JP2018017280A - 車両の制御装置 - Google Patents

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聖二 増永
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Abstract

【課題】、コーストダウン変速中に係合側係合装置の指示圧および解放側係合装置の指示圧を学習により補正するものにおいて、イナーシャ相開始時間が過剰に補正されることを抑制できる制御装置を提供する。【解決手段】解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1が正の値となり、且つ、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2が負の値になった場合、および、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1が負の値となり、且つ、係合側係合措置の学習値変化量ΔPid2が正の値になった場合には、解放側係合装置または係合側係合装置の学習値の更新が禁止されるため、イナーシャ相開始時間Tsが遅くなる側、およびイナーシャ相開始時間Tsが早くなる側に過剰に補正されることを抑制できる。【選択図】図7

Description

本発明は、車両の制御装置に係り、特に、コーストダウン変速中の学習に関するものである。
複数個の係合装置を備えて構成される有段式の自動変速機において、変速中に解放される解放側係合装置を解放するとともに、変速中に係合される係合側係合装置を係合するクラッチツゥクラッチ変速を実行するものが知られている。特許文献1に記載の自動変速機がそれである。特許文献1には、クラッチツゥクラッチ変速であって、且つコーストダウン変速において、タービン回転速度の吹き上がり量に基づいてクラッチツゥクラッチ変速のタイアップ状態を判定し、そのタイアップ状態に応じて係合側係合装置の指示圧を学習により補正し、解放側係合装置の滑り出し期間が予め設定された期間となるように、その解放側係合装置の指示圧を学習により補正するものが記載されている。
特開2003−42281号公報
ところで、解放側係合装置の指示圧と係合側係合装置の指示圧とが、ともにイナーシャ相開始時間を遅らせる側にそれぞれ学習により補正される場合、イナーシャ相開始時間が遅くなる側に過剰に補正され、解放側係合装置の指示圧と係合側係合装置の指示圧とが、ともにイナーシャ相開始時間を早める側にそれぞれ学習により補正される場合、イナーシャ相開始時間が早くなる側に過剰に補正される虞がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、コーストダウン変速中に係合側係合装置の指示圧および解放側係合装置の指示圧を学習により補正するものにおいて、イナーシャ相開始時間が過剰に補正されることを抑制できる制御装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)複数個の係合装置を含んで構成され、該複数個の係合装置の係合状態が切り替えられることにより複数の変速段に変速される有段式の自動変速機を備えた車両、の制御装置であって、(b)コーストダウン変速中に解放される解放側係合装置の指示圧を学習により補正するとともに、コーストダウン変速中に係合される係合側係合装置の指示圧を学習により補正する学習制御部を備え、(c)前記学習制御部は、変速開始時点からイナーシャ相が開始される時点までのイナーシャ相開始時間に基づいて、前記解放側係合装置の補正量である学習値変化量を求め、前記解放側係合装置の指示圧に前記学習値変化量を加算することで前記指示圧を補正し、前記自動変速機の入力軸の回転速度の吹き上がり量に基づいて、前記係合側係合装置の補正量である学習値変化量を求め、前記係合側係合装置の指示圧に前記学習値変化量を加算することで前記指示圧を補正するものであり、(d)前記学習制御部は、前記解放側係合装置の前記学習値変化量が正の値となり、且つ、前記係合側係合装置の前記学習値変化量が負の値になった場合、および、前記解放側係合装置の学習値変化量が負の値となり、且つ、前記係合側係合装置の前記学習値変化量が正の値になった場合、の少なくとも1つが成立した場合には、前記解放側係合装置の学習値の更新を禁止するか、または、前記係合側係合装置の学習値の更新を禁止することを特徴とする。
解放側係合装置の学習値変化量が正の値になると、解放側係合装置の指示圧が増加側に学習により補正され、次回のコーストダウン変速においてイナーシャ相開始時間が遅くなる側に補正される。また、係合側係合装置の学習値変化量が負の値になると、係合側係合装置の指示圧が減少側に学習により補正され、次回のコーストダウン変速においてイナーシャ相開始時間が遅くなる側に補正される。これより、解放側係合装置の学習値変化量が正の値であり、且つ、係合側係合装置の学習値変化量が負の値の場合に、解放側係合装置の指示圧および係合側係合装置の指示圧の両方が学習により更新されると、イナーシャ相開始時間が過剰に遅くなる側に補正される虞がある。
また、解放側係合装置の学習値変化量が負の値になると、解放側係合装置の指示圧が減少側に学習により補正され、次回のコーストダウン変速においてイナーシャ相開始時間が早くなる側に補正される。また、係合側係合装置の学習値変化量が正の値になると、係合側係合装置の指示圧が増加側に学習により補正され、次回のコーストダウン変速においてイナーシャ相開始時間が早くなる側に補正される。これより、解放側係合装置の学習値変化量が負の値であり、且つ、係合側係合装置の学習値変化量が正の値の場合に、解放側係合装置の指示圧および係合側係合装置の指示圧の両方が学習により更新されると、イナーシャ相開始時間が過剰に早くなる側に補正される虞がある。
第1発明によれば、解放側係合装置の学習値変化量が正の値となり、且つ、係合側係合装置の学習値変化量が負の値になった場合、および、解放側係合装置の学習値変化量が負の値となり、且つ、係合側係合措置の学習値変化量が正の値になった場合の少なくとも1つが成立した場合には、解放側係合装置の学習値の更新が禁止されるか、または、係合側係合装置の学習値の更新が禁止されるため、イナーシャ相開始時間が遅くなる側、およびイナーシャ相開始時間が早くなる側の少なくとも一方に過剰に補正されることを抑制できる。
また、好適には、第1発明の車両の制御装置において、解放側係合装置の学習値変化量が正の値となり、且つ、係合側係合装置の学習値変化量が負の値になった場合、および、解放側係合装置の学習値変化量が負の値となり、且つ、係合側係合措置の学習値変化量が正の値になった場合の少なくとも1つが成立した場合には、解放側係合装置の学習値の更新が禁止されるものである。このようにすれば、上記条件の少なくとも1つが成立した場合には、係合側係合装置の指示圧のみ補正され、イナーシャ相開始時間が遅くなる側、およびイナーシャ相開始時間が早くなる側の少なくとも一方に過剰に補正されることを抑制できる。また、係合側係合装置の指示圧は学習によって補正されるので、吹き上がり量が適切な値に速やかに収束し、吹き上がりによるドラビリ低下を速やかに回避することができる。
本発明が適用される車両の概略構成を説明する図であると共に、車両における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。 図1のトルクコンバータや自動変速機の一例を説明する骨子図である。 図2の自動変速機において各ギヤ段を成立させるための係合作動表である。 第2速ギヤ段から第1速ギヤ段へのコーストダウン中の車両状態を説明するためのタイムチャートである。 イナーシャ相開始時間誤差に基づいて、解放側係合装置の学習値変化量を求めるときに使用される関係マップである。 吹き上がり量と目標値との差分に基づいて、係合側係合装置の学習値変化量を求めるときに使用される関係マップである。 図1の電子制御装置の制御作動の要部であって、コーストダウン変速の際に出力される指示圧の学習制御を説明するフローチャートである。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用される車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン12と、駆動輪14と、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた車両用動力伝達装置16(以下、動力伝達装置16という)とを備えている。動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材としてのケース18内に、トルクコンバータ20、自動変速機22、自動変速機22の出力回転部材である変速機出力歯車24に連結された減速ギヤ機構26、その減速ギヤ機構26に連結されたディファレンシャルギヤ(差動歯車装置)28等を備えている。また、動力伝達装置16は、ディファレンシャルギヤ28に連結された1対のドライブシャフト(車軸)30等を備えている。動力伝達装置16において、エンジン12から出力される動力(特に区別しない場合にはトルクや力も同義)は、トルクコンバータ20、自動変速機22、減速ギヤ機構26、ディファレンシャルギヤ28、およびドライブシャフト30等を順次介して駆動輪14へ伝達される。
エンジン12は、車両10の駆動力源であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。このエンジン12は、後述する電子制御装置70によって吸入空気量、燃料供給量、点火時期等の運転状態が制御されることによりエンジントルクTeが制御される。
図2は、トルクコンバータ20や自動変速機22の一例を説明する骨子図である。なお、トルクコンバータ20や自動変速機22等は、自動変速機22の入力回転部材である変速機入力軸32の軸心RCに対して略対称的に構成されており、図2ではその軸心RCの下半分が省略されている。
図2において、トルクコンバータ20は、エンジン12と自動変速機22との間に動力伝達経路において、軸心RC回りに回転するように配設されており、エンジン12に連結されたポンプ翼車20p、および変速機入力軸32に連結されたタービン翼車20tなどを備えた流体式伝動装置である。変速機入力軸32は、タービン翼車20tによって回転駆動されるタービン軸でもある。また、動力伝達装置16は、ポンプ翼車20pとタービン翼車20tとの間(すなわちトルクコンバータ20の入出力回転部材間)を直結可能なロックアップクラッチLCを備えている。また、動力伝達装置16は、ポンプ翼車20pに連結された機械式のオイルポンプ34を備えている。オイルポンプ34は、エンジン12によって回転駆動されることにより、自動変速機22を変速制御したり、動力伝達装置16の動力伝達経路の各部に潤滑油を供給したりする為の元圧となる作動油圧を発生する(吐出する)。すなわち、オイルポンプ34によって汲み上げられた作動油は、車両10に備えられた油圧制御回路50(図1参照)の元圧として供給される。
自動変速機22は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成する有段式の自動変速機である。自動変速機22は、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置36と、ラビニヨ型に構成されている、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置38およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置40とを同軸線上(軸心RC上)に有する、遊星歯車式の多段変速機である。自動変速機22は、第1クラッチC1、第2クラッチC2、第3クラッチC3、第4クラッチC4、第1ブレーキB1、および第2ブレーキB2(以下、特に区別しない場合は単に係合装置Cという)を備えている。なお、第1クラッチC1〜第4クラッチC4、第1ブレーキB1、第2ブレーキB2が、本発明の係合装置に対応している。
第1遊星歯車装置36は、第1サンギヤS1と、互いに噛み合う複数対の第1遊星歯車P1と、その第1遊星歯車P1を自転および公転可能に支持する第1キャリヤCA1と、第1遊星歯車P1を介して第1サンギヤS1と噛み合う第1リングギヤR1とを備えている。第2遊星歯車装置38は、第2サンギヤS2と、第2遊星歯車P2と、その第2遊星歯車P2を自転および公転可能に支持するキャリヤRCAと、第2遊星歯車P2を介して第2サンギヤS2と噛み合うリングギヤRRとを備えている。第3遊星歯車装置40は、第3サンギヤS3と、互いに噛み合う複数対の第3遊星歯車P3a,P3bと、その第3遊星歯車P3a,P3bを自転および公転可能に支持するキャリヤRCAと、第3遊星歯車P3a,P3bを介して第3サンギヤS3と噛み合うリングギヤRRとを備えている。第2遊星歯車装置38および第3遊星歯車装置40においては、第3遊星歯車P3bは第2遊星歯車P2と共通化され、また、キャリヤが共通のキャリヤRCAで構成されると共にリングギヤが共通のリングギヤRRで構成される、所謂ラビニヨ型となっている。
係合装置Cは、油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式の摩擦係合装置である。係合装置Cは、油圧制御回路50内のソレノイドバルブ等から出力される油圧(すなわちクラッチ圧Pc)によりそれぞれのトルク容量(すなわちクラッチトルクTc)が変化させられることで、それぞれ作動状態(係合や解放などの状態)が切り替えられる。係合装置Cを滑らすことなく(すなわち係合装置Cに差回転速度を生じさせることなく)変速機入力軸32と変速機出力歯車24との間でトルク(例えば変速機入力軸32に入力される変速機入力トルクTinすなわちタービントルクTt)を伝達する為には、そのトルクに対して各係合装置Cにて受け持つ必要がある伝達トルク分(すなわち係合装置Cの分担トルク)が得られるトルク容量が必要になる。但し、伝達トルク分が得られるトルク容量においては、トルク容量を増加させても伝達トルクは増加しない。なお、本実施例では、便宜上、クラッチトルクTcとクラッチ圧Pcとを同義に取り扱うこともある。
自動変速機22において、第1サンギヤS1は、ケース18に連結されている。第1キャリヤCA1は、変速機入力軸32に連結されている。第1キャリヤCA1と第2サンギヤS2とは、第4クラッチC4を介して選択的に連結されている。第1リングギヤR1と第3サンギヤS3とは、第1クラッチC1を介して選択的に連結されている。第1リングギヤR1と第2サンギヤS2とは、第3クラッチC3を介して選択的に連結されている。第2サンギヤS2は、第1ブレーキB1を介してケース18に選択的に連結されている。キャリヤRCAは、第2クラッチC2を介して変速機入力軸32に選択的に連結されている。キャリヤRCAは、第2ブレーキB2を介してケース18に選択的に連結されている。リングギヤRRは、変速機出力歯車24に連結されている。
自動変速機22は、後述する電子制御装置70により運転者のアクセル操作や車速V等に応じて係合装置Cの係合と解放とが制御されることで、ギヤ比(変速比)γ(=入力回転速度Nin/出力回転速度Nout)が異なる複数のギヤ段(変速段)が選択的に形成される。自動変速機22は、例えば図3の係合作動表に示すように、第1速ギヤ段「1st」−第8速ギヤ段「8th」の8つの前進ギヤ段、および後進ギヤ段「Rev」の各ギヤ段が選択的に形成される。なお、入力回転速度Ninは、変速機入力軸32の回転速度であり、出力回転速度Noutは、変速機出力歯車24の回転速度である。各ギヤ段に対応する自動変速機22のギヤ比γは、第1遊星歯車装置36、第2遊星歯車装置38、および第3遊星歯車装置40の各歯車比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。第1速ギヤ段「1st」のギヤ比γが最も大きく、高車速側(第8速ギヤ段「8th」側)程小さくなる。
図3の係合作動表は、自動変速機22にて形成される各ギヤ段と係合装置Cの各作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合、空欄は解放をそれぞれ表している。図3に示すように、前進ギヤ段では、第1クラッチC1と第2ブレーキB2との係合によって第1速ギヤ段「1st」が成立させられる。第1クラッチC1と第1ブレーキB1との係合によって第2速ギヤ段「2nd」が成立させられる。第1クラッチC1と第3クラッチC3との係合によって第3速ギヤ段「3rd」が成立させられる。第1クラッチC1と第4クラッチC4との係合によって第4速ギヤ段「4th」が成立させられる。第1クラッチC1と第2クラッチC2との係合によって第5速ギヤ段「5th」が成立させられる。第2クラッチC2と第4クラッチC4との係合によって第6速ギヤ段「6th」が成立させられる。第2クラッチC2と第3クラッチC3との係合によって第7速ギヤ段「7th」が成立させられる。第2クラッチC2と第1ブレーキB1との係合によって第8速ギヤ段「8th」が成立させられる。また、第3クラッチC3と第2ブレーキB2との係合よって後進ギヤ段「Rev」が成立させられる。また、係合装置Cが何れも解放されることにより、自動変速機22は、何れのギヤ段も形成されないニュートラル状態(すなわち動力伝達を遮断するニュートラル状態)とされる。
図1に戻り、車両10は、例えば自動変速機22の変速制御などに関連する車両10の制御装置を含む電子制御装置70を備えている。よって、図1は、電子制御装置70の入出力系統を示す図であり、また、電子制御装置70による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置70は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置70は、エンジン12の出力制御、自動変速機22の変速制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン出力制御用、油圧制御用(変速制御用)等に分けて構成される。
電子制御装置70には、車両10に設けられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ52、入力回転速度センサ54、出力回転速度センサ56、アクセル開度センサ58、スロットル弁開度センサ60、ブレーキスイッチ62、シフトポジションセンサ64、油温センサ66など)による検出値に基づく各種信号(例えばエンジン回転速度Ne、タービン軸の回転速度(すなわちタービン回転速度Nt)でもある入力回転速度Nin、車速Vに対応する出力回転速度Nout、アクセルペダルの操作量であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキを作動させる為のブレーキ操作部材の運転者による操作が為されたブレーキ操作状態を示す信号であるブレーキオンBon、「P」,「R」,「N」,「D」等のシフトレバーの操作位置(シフトポジション)POSsh、油圧制御回路50内の作動油の温度である作動油温THoilなど)が、それぞれ供給される。また、電子制御装置70からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン12、油圧制御回路50など)に各種指令信号(例えばエンジン制御指令信号Se、油圧制御指令信号Satなど)が、それぞれ供給される。この油圧制御指令信号Satは、係合装置Cの各油圧アクチュエータへ供給される各油圧(すなわちクラッチ圧Pc)を調圧する各ソレノイドバルブを駆動する為の指令信号(油圧指令値、指示圧)であり、油圧制御回路50へ出力される。
油圧制御回路50は、第1クラッチC1の(油圧アクチュエータの)係合油圧Pc1を調圧するためのソレノイドバルブSL1、第2クラッチC2の係合油圧Pc2を調圧するためのソレノイドバルブSL2、第3クラッチC3の係合油圧Pc3を調圧するためのソレノイドバルブSL3、第4クラッチC4の係合油圧Pc4を調圧するためのソレノイドバルブSL4、第1ブレーキB1の係合油圧Pb1を調圧するためのソレノイドバルブSL5、第2ブレーキB2の係合油圧Pb2を調圧するためのソレノイドバルブSL6を備えている。各ソレノイドバルブSL1〜SL6は、電子制御装置70から出力される油圧指令信号Spに基づいて各係合装置Cの係合油圧を調圧する。
電子制御装置70は、車両10における各種制御の為の制御機能を実現する為に、エンジン制御手段すなわちエンジン制御部72、変速制御手段すなわち変速制御部74、学習制御手段すなわち学習制御部75、学習条件成立判定手段すなわち学習条件成立判定部76、解放側係合装置学習手段すなわち解放側係合装置学習部78、係合側係合装置学習手段すなわち係合側係合装置学習部80を、機能的に備えている。
エンジン制御部72は、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された(すなわち予め定められた)関係(例えば駆動力マップ)にアクセル開度θaccおよび車速V(出力回転速度No等も同意)を適用することで要求駆動力Fdemを算出する。エンジン制御部72は、伝達損失、補機負荷、自動変速機22のギヤ比γ等を考慮して、その要求駆動力Fdemが得られる目標エンジントルクTetgtを設定し、その目標エンジントルクTetgtが得られるように、エンジン12の出力制御を行うエンジン制御指令信号Seをスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置などへ出力する。
変速制御部74は、予め定められた関係(変速マップ、変速線図)を用いて自動変速機22のギヤ段の切替え制御の実行有無を判断することで自動変速機22の変速を判断する。変速制御部74は、上記変速マップに車速関連値および駆動要求量を適用することで自動変速機22の変速を判断する(すなわち自動変速機22にて形成するギヤ段を判断する)。変速制御部74は、その判断したギヤ段を形成するように、自動変速機22の変速に関与する係合装置Cを係合または解放させる油圧制御指令信号Satを油圧制御回路50へ出力する。
上記変速マップは、車速関連値および駆動要求量を変数とする二次元座標上に、自動変速機22の変速が判断される為の変速線を有する所定の関係である。この変速マップにおける各変速線は、アップシフトが判断される為のアップシフト線、およびダウンシフトが判断される為のダウンシフト線である。アップシフト線およびダウンシフト線は、各々、複数のギヤ段において相互に1段異なるギヤ段間毎に予め定められている。この各変速線は、ある駆動要求量を示す線上において実際の車速関連値が線を横切ったか否か、または、ある車速関連値を示す線上において実際の駆動要求量が線を横切ったか否か、すなわち変速線上の変速を実行すべき値(変速点)を横切ったか否かを判定する為のものであり、この変速点の連なりとして予め定められている。上記車速関連値は、車速Vやその車速Vに関連する値であって、例えば車速Vや車輪速や出力回転速度Nout等である。上記駆動要求量は、運転者による車両10に対する駆動要求の大きさを表す値であって、例えば上述した要求駆動力Fdem[N]、要求駆動力Fdemに関連する要求駆動トルク[Nm]や要求駆動パワー[W]等である。この駆動要求量として、単にアクセル開度θacc[%]やスロットル弁開度θth[%]や吸入空気量[g/sec]等を用いることもできる。
変速制御部74は、自動変速機22の変速の際には、自動変速機22の変速に関与する係合装置Cを掴み替える(すなわち係合装置Cの係合と解放とを切り替える)、所謂クラッチツゥクラッチ変速を行う。例えば、第2速ギヤ段2ndから第1速ギヤ段1stへのダウンシフトでは、第1ブレーキB1と第2ブレーキB2とで掴み替えが行われる(すなわち第1ブレーキB1を解放すると共に第2ブレーキB2を係合するクラッチツゥクラッチ変速が実行される)。本実施例では、変速時に掴み替えが行われる係合装置Cのうちで、解放される係合装置を解放側係合装置と称し、係合される係合装置を係合側係合装置と称する。前記油圧制御指令信号Satとしては、変速中の解放側係合装置のトルク容量(クラッチトルク)を得る為の解放側指示圧、および変速中の係合側係合装置のトルク容量(クラッチトルク)を得る為の係合側指示圧である。
変速制御部74は、アクセルペダルが踏み込まれない状態(アクセルペダルオフ)でのコースト走行(惰性走行)中に、ダウンシフトを実行すべきと判断すると、アクセルペダルオフでのコーストダウン変速を開始する。このとき、変速制御部74は、変速中に解放される解放側係合装置を解放するとともに、変速中に係合される係合側係合装置を係合するクラッチツゥクラッチ制御を実行する。
以下、コーストダウン変速中の変速制御について、第2速ギヤ段2ndから第1速ギヤ段1stへのダウンシフトを一例にして説明する。図4は、第2速ギヤ段2ndから第1速ギヤ段1stへのコーストダウン中の制御状態を説明するためのタイムチャートである。なお、上記タイムチャートは、車速Vが極低車速の場合、具体的には、タービン回転速度Ntが、エンジン12の予め設定されているアイドル回転速度Neidleよりも低い場合に対応している。第2速ギヤ段2ndから第1速ギヤ段1stへのダウンシフトでは、第1ブレーキB1が解放されるとともに、第2ブレーキB2が係合される。すなわち、第1ブレーキB1が解放側係合装置に対応し、第2ブレーキB2が係合側係合装置に対応する。
アクセルペダルオフでのコースト走行中において、車速Vの低下に伴い、例えば上述した変速マップにおいて予め規定されているダウンシフト線(2−1ダウンシフト線)を跨いたことが判断されると、第1速ギヤ段1stへのダウンシフトが判断され、第1速ギヤ段1stへのコーストダウン変速が開始される(t1時点)。
t1時点において変速が開始されると、解放側係合装置である第1ブレーキB1の指示圧Pb1*が、予め設定されている所定圧まで急激に低下させられ、その後は緩やかな勾配で漸減させられる。そして、所定時間が経過すると、第1ブレーキB1の指示圧Pb1*が予め設定されている待機圧Pst1に向かってさらに低下させられる。(t1時点〜t2時点)。また、係合側係合装置である第2ブレーキB2について説明すると、t1時点において、第2ブレーキB2の指示圧Pb2*を予め設定されている所定圧まで一時的に増圧させる所謂クイックフィルが実行される。クイックフィルは、第2ブレーキB2の実油圧(係合油圧Pb2)の応答性を向上させるために実行されるものである。そして、クイックフィルが終了すると、予め設定されている待機圧Pst2で待機させられる(t1時点〜t2時点)。本実施例では、イナーシャ相中にギヤ比が大きい第1速ギヤ段1stを形成する第2ブレーキB2が係合されることで、タービン回転速度変化が生じて駆動力変化を生じさせないため、イナーシャ相開始前は、第1ブレーキB1と第2ブレーキB2とがタイアップ状態に制御される。
t2時点においてイナーシャ相が開始されると、タービン回転速度Ntが上昇し、t3時点においてタービン回転速度Ntが1速同期同期回転速度N1を超える吹き上がり(吹き)が発生する。なお、1速同期回転速度N1は、第1速ギヤ段1stの変速比γ1と出力回転速度Noutとを乗算することで随時算出される。なお、吹き上がりが発生するのは、タービン回転速度Ntがエンジン12のアイドル回転速度Neidleよりも低回転であるため、コースト走行中であっても実質的にはエンジン12によって駆動される状態(エンジン12によってタービン回転速度Ntが引き上げられる状態)であるためである。
t3時点で吹き上がりが検出されると、第1ブレーキB1の指示圧Pb1*がゼロ(すなわち完全解放)に向かって低下させられる。また、第2ブレーキB2の指示圧Pb2*が、予め設定されている勾配で上昇させられる。t4時点において、タービン回転速度Ntが1速同期回転速度N1と同期したことが判断されると、イナーシャ相が終了したものと判断され、第2ブレーキB2の指示圧Pb2*が引き上げられて第2ブレーキB2が完全係合させられる。
本実施例では、コーストダウン変速中の、前記タービン回転速度Ntのタービン吹き上がり量S(以下、吹き上がり量S)の目標値S*、および、変速開始時点からイナーシャ相が開始される時点までのイナーシャ相開始時間Tsの目標値Ts*が、予め設定されている。そして、コーストダウン変速中において、イナーシャ相開始時間Tsが目標値Ts*となるように、解放側係合装置(上述した第2速ギヤ段2ndから第1速ギヤ段1stへのコーストダウン変速において第1ブレーキB1)の指示圧Pid1(図4において指示圧Pb1*に相当)が設定されている。また、タービン回転速度Ntの吹き上がり量Sが目標値S*となるように、係合側係合装置(上述した第2速ギヤ段から第1速ギヤ段1stへのダウンシフトにおいて第2ブレーキB2)の指示圧Pid2が設定されている。なお、係合側係合装置の指示圧Pid2は、前記待機圧Pst2および待機圧Pst2を所定時間出力した時点からイナーシャ相中の同期が完了するまでの指示圧(図4においてt3時点〜t4時点の指示圧)の全体が該当する。これら解放側係合装置の指示圧Pid1および係合側係合装置の指示圧Pid2は、コーストダウン変速が実行される毎にそれぞれ学習により補正される。
前記学習による補正は、図1に示す学習制御部75、学習条件成立判定部76、解放側係合装置学習部78、係合側係合装置学習部80によって実行される。
学習制御部75は、コーストダウン変速中に解放される解放側係合装置の指示圧Pid1を学習により補正するとともに、コーストダウン変速中に係合される係合側係合装置の指示圧Pid2を学習により補正する機能を有している。学習制御部75は、コーストダウン変速が開始されたか否かを判定し、コーストダウン変速が開始されたことを判定すると、後述する解放側係合装置学習部78および後述する係合側係合装置学習部80を実行する。また、学習制御部75は、コーストダウン変速が完了したか否かを判定し、コーストダウン変速が完了したものと判定すると、学習条件成立判定部76を実行する。
学習条件成立判定部76は、学習制御の実行を許可する所定の学習制御許可条件が成立したか否かを判定する。学習制御許可条件として、例えば油温THoilが学習制御に適した油温にあるか否かなどが判定される。学習制御許可条件が成立した場合には、学習制御可能と判断される。
解放側係合装置学習部78は、イナーシャ相開始時間Tsに基づいて解放側係合装置の指示圧Pid1の補正量である学習値変化量ΔPid1を算出する。すなわち、指示圧Pid1が解放側係合装置の学習値に対応する。解放側係合装置学習部78は、コーストダウン変速が開始されると、変速開始時点からイナーシャ相が開始されるまでのイナーシャ相開始時間Ts(図4参照)を計測する。また、コーストダウン変速の完了後に、学習条件成立判定部76によって学習制御許可条件が成立したものと判定されると、計測された開始時間Tsとイナーシャ相開始時間Tsの目標値Ts*とのズレ(誤差)であるイナーシャ相開始時間誤差ΔTs(=Ts−Ts*)を算出する。
解放側係合装置学習部78は、算出されたイナーシャ相開始時間誤差ΔTs(以下、開始時間誤差ΔTs)に基づいて、解放側係合装置の指示圧Pid1の学習値変化量ΔPid1(補正量)を算出する。解放側係合装置学習部78は、図5に示すような開始時間誤差ΔTsおよび解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1から構成される関係マップに、算出された開始時間誤差ΔTsを適用することで、解放側係合装置の補正量である学習値変化量ΔPid1を算出する。
図5に示す関係マップは、予め実験または解析によって求められて記憶されている。図5の関係マップに示すように、開始時間誤差ΔTsがゼロ以上の正の値の領域では、学習値変化量ΔPid1がゼロ以下の値に設定されている。具体的には、開始時間誤差ΔTsがゼロを含むゼロ近傍の値では学習値変化量ΔPid1がゼロとなり、開始時間誤差ΔTsが所定値以上になると、学習値変化量ΔPid1が負側に増加している。すなわち、イナーシャ相開始時間Tsが遅くなるほど、学習値変化量ΔPid1が負側に大きくなる。また、開始時間誤差ΔTsがゼロよりも小さい負の値の領域では、学習値変化量ΔPid1がゼロ以上の値に設定されている。具体的には、開始時間誤差ΔTsがゼロ近傍の値では学習値変化量ΔPid1がゼロとなり、開始時間誤差ΔTsが所定値以下になると、学習値変化量ΔPid1が正側に増加している。すなわち、イナーシャ相開始時間Tsが早くなるほど、学習値変化量ΔPid1が正側に大きくなる。
係合側係合装置学習部80は、係合側係合装置の指示圧Pid2の補正量である学習値変化量ΔPid2を算出する。すなわち、指示圧Pid2が、係合側係合装置の学習値となる。係合側係合装置学習部80は、コーストダウン変速が開始されると、タービン回転速度Ntの吹き上がりを検出する。係合側係合装置学習部80は、タービン回転速度Ntが1速同期回転速度N1よりも高くなると、吹き上がりの関連値である、タービン回転速度Ntと1速同期回転速度N1との差分ΔNt(=Nt−N1)を随時算出して記憶する。変速側係合装置学習部80は、タービン回転速度Ntと1速同期回転速度とが同期すると、吹き上がりが収束したものと判断し、差分ΔNtの算出を終了する。係合側係合装置学習部80は、コーストダウン変速の完了後に、学習条件判定部76によって学習制御条件が成立したものと判定されると、随時算出された差分ΔNtを積算(合算)することで、図4において斜線が施された面積に相当する吹き上がり量Sを算出する。
係合側係合装置学習部80は、算出された吹き上がり量Sに基づいて、係合側係合装置の指示圧Pid2の学習値変化量ΔPid2(補正量)を算出する。係合側係合装置学習部80は、図6に示すような吹き上がり量Sと目標値S*との差分ΔS(=S−S*)および係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2から構成される関係マップに、算出された吹き上がり量Sを適用することで係合側係合装置の補正量である学習値変化量ΔPid2を算出する。
図6に示す関係マップは、予め実験または解析によって求められて記憶されている。図6の関係マップに示すように、吹き上がり量Sの差分ΔSがゼロ以上の正の値の領域では、学習値変化量ΔPid2がゼロ以上の値に設定されている。具体的には、吹き上がり量Sの差分ΔSがゼロを含むゼロ近傍の値では、学習値変化量ΔPid2がゼロとなり、差分ΔSが所定値以上になると、学習値変化量ΔPid2が正側に増加している。すなわち、吹き上がり量Sが増加するほど、学習値変化量ΔPid2が大きくなる。また、吹き上がり量Sの差分ΔSがゼロ未満の負の値の領域では、学習値変化量ΔPid2が負の値の所定値に設定されている。すなわち、吹き上がり量Sが目標値S*よりも小さい場合には、学習値変化量ΔPid2が負の値の所定値に設定される。
学習制御部75は、解放側係合装置の現在の指示圧Pid1に、解放側係合装置学習部78によって算出された学習値変化量ΔPid1を加算(Pid1+ΔPid1)することで、新たな学習値である指示圧Pid1に更新(補正)する。例えば、学習値変化量ΔPid1が負の値であった場合(イナーシャ相開始時間Tsが目標値Ts*よりも遅い場合)には、指示圧Pid1が減少側に学習により補正される。また、学習値変化量ΔPid1が正の値であった場合(すなわちイナーシャ相開始時間Tsが目標値Ts*よりも早い場合)には、指示圧Pid1が増加側に学習により補正される。ここで、解放側係合装置の学習制御によって学習される指示圧Pid1は、変速開始以降(図4においてt1時点以降)の指示圧全体が対応している。例えば、学習値変化量ΔPid1が正の値であった場合、変速中の指示圧Pid1が、全体的に高圧側に変更される。また、学習値変化量ΔPid1が負の値であった場合、変速中の指示圧Pid1が、全体的に低圧側に変更される。また、係合側係合装置の指示圧Pid2は、クイックフィル後の待機圧Pst2および待機圧Pst2出力後からイナーシャ相中の同期が完了するまでの指示圧全体が対応している。
また、学習制御部75は、係合側係合装置の現在の指示圧Pid2に、係合側係合装置学習部80によって算出された学習値変化量ΔPid2を加算(Pid2+ΔPid2)することで、新たな学習値である指示圧Pid2に更新(学習)する。例えば、学習値変化量ΔPid2が正の値であった場合(すなわち吹き上がり量Sが目標値S*よりも大きい場合)には、指示圧Pid2が高圧側に学習により補正される。また、学習値変化量ΔPid2が負の値であった場合(すなわち吹き上がり量Sが目標値S*よりも小さい場合)には、指示圧Pid2が低圧側に学習により補正される。
このように、イナーシャ相の開始時間Tsおよびタービン回転速度Ntの吹き上がり量Sに基づいて、解放側係合装置の指示圧Pid1、および係合側係合装置の指示圧Pid2を学習により補正することで、これら開始時間Tsおよび吹き上がり量Sと各目標値(Ts*、S*)とのズレを速やかに解消することができる。
上述したように、本実施例では、コーストダウン変速の際に解放側係合装置および係合側係合装置の両方の学習制御が実行される。ところで、開始時間Tsに基づいて解放側係合装置の指示圧Pid1が学習され、吹き上がり量Sに基づいて係合側係合装置の指示圧Pid2が学習されるが、解放側係合装置および係合側係合装置は、それぞれイナーシャ相開始時間Tsおよび吹き上がり量Sにも寄与している。
例えば、係合側係合装置の指示圧Pid2(学習値)が高くなると、係合側係合装置によってタービン回転速度Ntが引き上がりやすくなるため、イナーシャ相開始時間Tsが早くなる。このとき、さらにイナーシャ相開始時間Tsに基づいて解放側係合装置の指示圧Pid1が低くなる側に学習されると、イナーシャ相の開始時間Tsが目標値Ts*に対して過剰に早くなる側に補正されてしまう可能性がある。
これに対して、学習制御部75は、係合側係合装置の指示圧Pid2(学習値)の学習値変化量ΔPid2が正の値となり、且つ、解放側係合装置の指示圧Pid1の学習値変化量ΔPid1が負の値の場合には、解放側係合装置の学習値の更新を禁止するか、または、係合側係合装置の学習値の更新を禁止する。これより、係合側係合装置の指示圧Pid2、および、解放側係合装置の指示圧Pid1の一方のみが、学習により補正(更新)されることで、開始時間Tsが過剰に早くなる側に補正されることを抑制できる。
また、係合側係合装置の指示圧Pid2が低くなると、係合側係合装置によってタービン回転速度Ntが引き上がりにくくなるため、イナーシャ相の開始時間Tsが遅くなる。このとき、さらにイナーシャ相の開始時間Tsに基づいて解放側係合装置の指示圧Pid1が高くなる側に学習されると、イナーシャ相の開始時間Tsが目標値Ts*に対して過剰に遅くなる側に補正されてしまう可能性がある。
これに対して、学習制御部75は、係合側係合装置の指示圧Pid2(学習値)の学習値変化量ΔPid2が負の値であり、且つ、解放側係合装置の指示圧Pid1の学習値変化量ΔPid1が正の値の場合には、解放側係合装置の学習値の更新を禁止するか、または、係合側係合装置の学習値の更新を禁止する。これより、係合側係合装置の指示圧Pid2、および、解放側係合装置の指示圧Pid1の何れか一方のみが、学習により補正(更新)されることで、開始時間Tsが過剰に遅くなる側に補正されることを抑制できる。
図7は、本実施例の電子制御装置70の制御作動の要部であって、コーストダウン変速の際に出力される指示圧の学習制御を説明するフローチャートである。このフローチャートは、コーストダウン変速が実行される毎に実行される。また、このフローチャートにあっては、解放側係合装置の学習値の更新を禁止する態様が一例として示されている。また、このフローチャートにあっては、コーストダウン変速の完了後の制御作動が示されており、コーストダウン変速中において、解放側係合装置学習部78が実行されてイナーシャ相開始時間Tsが予め求められているとともに、係合側係合装置学習部80が実行されてタービン回転速度Ntと同期回転速度との差分ΔNtが予め求められている。
まず、学習制御部75の制御機能に対応するステップS1(以下、ステップを省略)において、コーストダウン変速が完了したか否かが判定される。コーストダウン変速が完了していない場合には、S1が否定されてリターンされる。コーストダウン変速が完了したと判定されると、S1が肯定されてS2に進む。
学習条件成立判定部76の制御機能に対応するS2では、油温THoilが学習制御可能な所定範囲内にあるか否かなど学習制御許可条件が成立したか否かが判定される。例えば油温THoilが所定範囲よりも低い低温領域にある場合など、学習制御許可条件が成立しない場合には、S2が否定されてリターンされる。学習制御許可条件が成立した場合には、S2が肯定されてS3に進む。
解放側係合装置学習部78の制御機能に対応するS3では、今回のコーストダウン変速中に予め計測されていた、変速開始時点からイナーシャ相開始時点までの開始時間Tsと予め設定されている目標値Ts*との誤差であるイナーシャ相開始時間誤差ΔTsが算出される。解放側係合装置学習部78の制御機能に対応するS4では、S3で算出されたイナーシャ相開始時間誤差ΔTsおよび図5に示す関係マップに基づいて、解放側係合装置の補正量である学習値変化量ΔPid1が算出される。
係合側係合装置学習部80の制御機能に対応するS5では、今回のコーストダウン変速中に予め算出されていたタービン回転速度Ntと同期回転速度との差分ΔNtが積算されることで、タービン回転速度Ntの吹き上がり量Sが算出される。係合側係合装置学習部80の制御機能に対応するS6では、S5で算出された吹き上がり量Sおよび図6に示す関係マップに基づいて、係合側係合装置の補正量である学習値変化量ΔPid2が算出される。
学習制御部75の制御機能に対応するS7では、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2がゼロよりも大きく(正の値)、且つ、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1がゼロよりも小さい(負の値)か否かが判定される。学習値変化量ΔPid2がゼロより大きく、且つ、学習値変化量ΔPid1がゼロよりも小さい場合にはS7が肯定されてS10に進む。一方、学習値変化量ΔPid2がゼロよりも小さい、または、学習値変化量ΔPid1がゼロよりも大きい場合には、S7が否定されてS8に進む。
学習制御部75の制御機能に対応するS8では、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2がゼロよりも小さく(負の値)、且つ、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1がゼロよりも大きい(正の値)か否かが判定される。学習値変化量ΔPid2がゼロよりも小さく、且つ、学習値変化量ΔPid1がゼロよりも大きい場合には、S8が肯定されてS10に進む。一方、学習値変化量ΔPid2がゼロよりも大きい(すなわち学習値変化量ΔPid1および学習値変化量ΔPid2ともに正の値)、または、学習値変化量ΔPid1がゼロよりも小さい(すなわち学習値変化量ΔPid1および学習値変化量ΔPid2ともに負の値)場合には、S8が否定されてS9に進む。
学習制御部75の制御機能に対応するS9では、解放側係合装置の現在の指示圧Pid1(指示圧)にS4で算出された学習値変化量ΔPid1が加算されることで、新たな指示圧Pid1に更新(補正)される。また、学習制御部75の制御機能に対応するS10では、係合側係合装置の現在の指示圧Pid2(指示圧)にS6で算出された学習値変化量ΔPid2が加算されることで、新たな指示圧Pid2に更新(補正)される。
上記のように制御されることで、イナーシャ相開始時間Tsが早くなる側または遅くなる側に過剰に補正される可能性のある場合には、解放側係合装置の学習値の更新が禁止され、係合側軽装装置の学習値の更新のみ実行されることで、イナーシャ相開始時間Tsの過剰な補正が抑制される。また、係合側係合装置については、吹き上がり量Sに基づいて指示圧Pid2が学習により補正されるため、吹き上がり量Sと目標値S*とのズレが低減されることで吹き上がり量Sが目標値S*に速やかに収束し、吹き上がりによるドラビリ低下を速やかに回避することができる。
また、図7のフローチャートは、S7またはS8が肯定される場合において、解放側係合装置の学習値の更新を禁止するものであったが、解放側係合装置に代わって係合側係合装置の学習値の更新を禁止するものであっても構わない。すなわち、図7のS9とS10とが入れ代わっても構わない。この場合には、図7のS7またはS8が肯定される場合において、係合側係合装置の学習値の更新が禁止される。このとき、イナーシャ相開始時間Tsを速やかに目標値Tsに収束させることができる。
上述のように、本実施例によれば、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1が正の値となり、且つ、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2が負の値になった場合、および、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1が負の値となり、且つ、係合側係合措置の学習値変化量ΔPid2が正の値になった場合には、解放側係合装置の学習値の更新が禁止されるか、係合側係合装置の学習値の更新が禁止されるため、イナーシャ相開始時間Tsが遅くなる側、およびイナーシャ相開始時間Tsが早くなる側に過剰に補正されることを抑制できる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、タービン回転速度Ntと1速同期回転速度N1との差分ΔNtの積分値を吹き上がり量Sとして、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2を求めるものであったが、吹き上がり発生時の差分ΔNtの最大値を求め、その最大値を吹き上がり量Sに設定しても構わない。この場合においても、吹き上がり量Sと係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2との関係は、図6で示したマップの関係と基本的には変わらない。
また、前述の実施例では、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2がゼロよりも小さく、且つ、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1がゼロよりも大きい場合には、解放側係合装置の学習値が更新されず、さらに、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2がゼロよりも大きく、且つ、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1がゼロよりも小さい場合には、解放側係合装置または係合側係合装置の学習値の更新が禁止されるものであったが、これらのうち何れか一方のみ判断されるものであっても構わない。すなわち、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2がゼロよりも小さく、且つ、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1がゼロよりも大きい場合のみ、解放側係合装置または係合側係合装置の学習値の更新が禁止されるものであっても構わない。または、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2がゼロよりも大きく、且つ、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1がゼロよりも小さい場合のみ、解放側係合装置または係合側係合装置の学習値の更新が禁止されるものであっても構わない。
また、前述の実施例において、図7のステップS3、S4に基づいて解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1が算出され、ステップS5、S6に基づいて係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2が算出されているが、ステップS5、S6をステップS3、S4よりも先に実行してもよい。もしくは、ステップS3、S4およびステップS5、S6が同時に実行されるものであっても構わない。また、ステップS7およびステップS8の順番が逆になっていても構わない。
また、前述の実施例では、自動変速機22は、複数個の遊星歯車装置と複数個の係合装置とを備えて構成される有段式の自動変速機であったが、本発明は、同期噛合型平行2軸式自動変速機であるが入力軸を2系統備えて各系統の入力軸に係合装置がそれぞれつながり更にそれぞれ偶数段と奇数段へと繋がっている型式の変速機である所謂DCTタイプの自動変速機にも適用され得る。また、本発明は、トルクコンバータ20を備えない構造であっても適用され得る。
また、前述の実施例において、イナーシャ相開始時間Tsが予め設定されている最小時間よりも短い場合、すなわちイナーシャ相開始時間Tsが早すぎる場合には、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1が正の値であり、且つ、係合側係合装置の学習値変化量ΔPid2が負の値であっても、解放側係合装置の学習値の更新を許容するものであっても構わない。また、イナーシャ相開始時間Tsが予め設定されている最大時間よりも長い場合、すなわちイナーシャ相開始時間Tsが遅すぎる場合には、解放側係合装置の学習値変化量ΔPid1が負の値であり、且つ、係合装置の学習値変化量ΔPid2が正の値であっても、解放側係合装置の学習値の更新を許容するものであっても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両
22:自動変速機
70:電子制御装置(制御装置)
75:学習制御部
B1、B2:第1ブレーキ、第2ブレーキ(係合装置)
C1〜C4:第1クラッチ〜第4クラッチ(係合装置)

Claims (1)

  1. 複数個の係合装置を含んで構成され、該複数個の係合装置の係合状態が切り替えられることにより複数の変速段に変速される有段式の自動変速機を備えた車両、の制御装置であって、
    コーストダウン変速中に解放される解放側係合装置の指示圧を学習により補正するとともに、コーストダウン変速中に係合される係合側係合装置の指示圧を学習により補正する学習制御部を備え、
    前記学習制御部は、変速開始時点からイナーシャ相が開始される時点までのイナーシャ相開始時間に基づいて、前記解放側係合装置の補正量である学習値変化量を求め、前記解放側係合装置の指示圧に前記学習値変化量を加算することで前記指示圧を補正し、前記自動変速機の入力軸の回転速度の吹き上がり量に基づいて、前記係合側係合装置の補正量である学習値変化量を求め、前記係合側係合装置の指示圧に前記学習値変化量を加算することで前記指示圧を補正するものであり、
    前記学習制御部は、前記解放側係合装置の前記学習値変化量が正の値となり、且つ、前記係合側係合装置の前記学習値変化量が負の値になった場合、および、前記解放側係合装置の学習値変化量が負の値となり、且つ、前記係合側係合装置の前記学習値変化量が正の値になった場合、の少なくとも1つが成立した場合には、前記解放側係合装置の学習値の更新を禁止するか、または、前記係合側係合装置の学習値の更新を禁止する
    ことを特徴とする車両の制御装置。
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