JP2018015785A - 電磁攪拌による金属成形体製造装置 - Google Patents

電磁攪拌による金属成形体製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】効率よく溶湯を攪拌できる金属成形体の製造装置を提供することを課題とする。
【解決手段】金属の溶湯を電磁攪拌して、金属成形体を成形するための製造装置であって、傾斜した側壁5を有する型2と、前記型内の溶湯を攪拌するための移動磁界発生部3を備えており、その移動磁界発生部が、磁性体6と、その磁性体を中心にして巻き回されたコイル7とからなり、前記磁性体の端面が、前記側壁の内面に平行に配置されている、金属成形体の製造装置1。
【選択図】図1

Description

本発明は、型内の溶融金属を攪拌して金属成形体を製造する装置に関する。
従来から、アルミニウム合金等を成形する技術の1つとして、金型に溶融金属を加圧注入し、所定形状の成形品を得るダイカスト法が用いられており、溶湯を用いた場合、金型の寿命が短い事や、引け、巣等が発生し製品の品質が十分でないなどの問題が指摘されている。
また、従来から溶融金属を型内で攪拌しながら金属成形体を成形する方法、さらに得られた金属成形体をプレス機械で加工する方法として、レオキャスティング法が知られている。この場合、通常は前記型には抜き勾配が設けられているから、製造された金属成形体を抜き出して次工程のプレス機械などの成形型へ転置する作業が容易である。もちろん金属成形体をそのまま製品として用いる場合もある。
さらにまた、車体などに用いられるアルミ構造物は、細くて長く、しかも曲がっているなどの場合が多い。このような細長い構造物をアルミで成形する場合、プレス成形前の金属成形体の形状を構造品に近づけるべく、攪拌型の形状も細長くされている。
特許文献1、2、3には、溶融金属を電磁攪拌するものが記載されている。それらの溶解炉(ポット)の内周面は、円筒状にされており、溶湯を円形の内周面に沿って攪拌する。
その他、特許文献4の装置は、連続鋳造設備に用いられ、外側には、直線状の両側壁に対向するように直線型の電磁攪拌装置が設けられている。
また、特許文献4、5には、直線型(リニア型)の電磁攪拌装置の構造が開示されている。
さらに、非特許文献1、2では、例えばギャップと電磁力の関係などについて検討されている。
特許第5352236号公報 特開2009−74103号公報 特開2007−144501号公報 特開2006−289448号公報 特開2006−289476号公報 電磁流体解析による電磁コイル設計、新日鉄技報 第379号 溶解炉における電磁攪拌シミュレーションの開発、Furukawa−sky Review No.3、2007
型に投入された金属の溶湯は、通常、入れた瞬間から冷却が始まる。このため、金属が固化するまでに攪拌できる時間は、せいぜい10秒程度である。すなわち、固化するまでの短い時間に、いかに効率良く攪拌するかが重要である。
ここで、前記型には、製造した金属成形体を抜き取るための抜き勾配が設けられている。
しかしながら、その抜き勾配により、溶融金属に働く電磁攪拌の推力は型内の深さ方向
の位置により大幅に変わる。例えば、図1bに示すように、型の上端における有効ギャップG1に対し、下端の有効ギャップG2が2倍になれば磁束密度は約30%になり、推力は1割(0.3の二乗)にまで落ち込む可能性がある(非特許文献1、2参照)。このため、型の上端と下端とでは推力に大きな差が生じており、下端付近では攪拌の効率が低くなる。
前記推力の差は、10秒程度の攪拌時間を考慮すると、無視できない。それに加え、特に、車体などに用いられるような、細くて長く、しかも曲がっているような構造物の金属成形体の場合であると、型の形状が不定形であり、途中に分岐部などもある。このような型の形状も攪拌の流れを邪魔する一因であり、上述したように抜き勾配のギャップと相まって、10秒程度の全攪拌工程から考えると、攪拌の効率の観点から無視できない。
そこで本発明は効率よく溶湯を攪拌できる金属成形体製造装置を提供することを課題とする。
(1)本発明の金属成形体製造装置は金属の溶湯を電磁攪拌して、金属成形体を成形するための装置であって、傾斜した内面を有する側壁を備えた型と、その型の外周に沿って配置され、その内部の溶湯を攪拌する移動磁界発生部とを備えており、その移動磁界発生部が、磁性体と、その磁性体を中心にして巻き回されたコイルとからなり、前記磁性体の端面と、前記側壁の内面とのギャップが均一になるように、前記磁性体の端面が配置されていることを特徴としている。
ここで、磁性体の端面と、前記側壁内面とのギャップが均一とは、移動磁界発生部の磁性体の端面が側壁の内面に平行であることを意味し、外面との間が平行でない場合を含む概念である。
さらに、金属成形体とは、金属の溶湯を冷却して固液共存状態になった金属、更に冷却が進んで固化された金属も含み、さらに固体金属が加熱されて固液共存になった金属も含み、さらにまた、次工程で加工が加わり製品となる一次成形体、そのまま製品と成る最終成形体を含む概念である。
(2)このような金属成形体製造装置において、前記側壁内面の傾斜が、前記金属成形体を取り出すための抜き勾配を兼ねているものが好ましい。
(3)前記抜き勾配が1〜9°であるものが好ましい。
(4)前記側壁が対向する一対の対向壁を有しており、それらの対向壁に沿って、それぞれ前記移動磁界発生部が設けられており、それらの移動磁界発生部が、溶融金属に渦流を生じるように互いに逆向きの移動磁界を発生させているものが好ましい。
(5)基台と、前記移動磁界発生部が固定される傾斜板と、その傾斜板と基台の間に設けられ、前記磁性体の端面と前記側壁内面のギャップが均一になるように前記基台に対する傾斜板の傾きを調整するための傾き調節機構とをさらに備えているものが好ましい。
(6)前記移動磁界発生部の磁性体の端面が、前記型の底部より下方から、その型内に入れられた溶融金属の上面を超えて延設されているものが好ましい。
(7)前記型が平面形状で湾曲しており、前記移動磁界発生部の磁性体の端面に、追加の磁性体部材が設けられており、その追加の磁性体部材の端面が、前記型の湾曲した内面に沿った曲面にされているものが好ましい。
(1)本発明の金属成形体製造装置は、型の傾斜した内壁面に平行に、移動磁界発生部の端面を配置し、この端面と型の内面のギャップ(距離)を同じにするから、壁面の上下方向で推力の差が生じにくい。
このため、溶融金属を最終製品に近い形状の型で攪拌し、残留ガスを排出し、結晶の成長を妨げつつ、全体として等温的に冷却し固化することができる。
(2)このような金属成形体の製造装置において、前記側壁の傾斜が、前記金属成形体を取り出すための抜き勾配を兼ねている場合は、金属成形体を取り出しやすく効果的である。
また抜き勾配があるため、型の下面に行くほど、移動磁界の浸透深さは型の中心に近づく。このため型の下面に行くほど中心近くまで強い渦流が発生し上面から溶融金属を引き込む下降流が発生する。この渦流により溶融金属の上層、下層の配置転換(対流)が進み残留ガスの排出が容易になる。
(3)前記抜き勾配が1〜9°である場合は、抜き勾配としても使い勝手がよく、その上で前記対流を発生させることができる。
(4)前記側壁が対向する一対の対向壁を有しており、それらの対向壁に沿って、それぞれ前記移動磁界発生部が設けられており、それらの移動磁界発生部が、溶融金属に渦流を生じるように互いに逆向きの移動磁界を発生させている場合は、細長い型の場合でも攪拌の効率を高くすることができる。
また金属結晶も過流で成長が阻害され緻密な構造になる。
(5)基台と、前記移動磁界発生部が固定される傾斜板と、その傾斜板と基台の間に設けられ、前記磁性体の端面が前記側壁に平行になるように前記基台に対する傾斜板の傾きを調整するための傾き調節機構とをさらに備えている場合は、型の抜き勾配が変わった際に、移動磁界発生部の傾きを、前記抜き勾配に合わせることができる。
(6)前記移動磁界発生部の磁性体の端面が、前記型の底部より下方から、その型内に入れられた溶融金属の上面を超えて延設されている場合は、溶融金属の全体を確実に移動させることができるから、攪拌効率が高い。
(7)前記型が平面形状で湾曲しており、前記移動磁界発生部の磁性体の端面に、追加の磁性体部材が設けられており、その追加の磁性体部材の端面が、前記型の湾曲した内面に沿った曲面にされている場合は、曲面に沿ったスムーズな流れを形成することができる。
図1aは本発明の金属成形体製造装置の一実施形態を示す断面図、図1bは図1aの装置と比較するための例を示す断面図である。 図2aは型の一実施形態を示す平面図、図2bは図2aの型のA−A断面図を示す。 図3は移動磁界発生部および型を示す概略平面図である。 図4aおよび図4bは、コア背を周回させてコイルを巻いた様子を示す概略図である。 図5aおよび図5bは、スロット間を周回させてコイルを巻いた様子を示す概略図である。 図6は金属成形体製造装置の他の実施形態を示す側面図である。 図7aは移動磁界発生部の他の実施形態を示す正面図、図7bは図7aの底面図である。 図8は製造装置のさらに他の実施形態を示す平面図である。 図9aは図8の移動磁界発生部から追加の磁性体部を取り外した様子を示す平面図、図9bは図8の追加の磁性体部の平面図、図9cは追加の磁性体部の他の実施形態を示す平面図である。
<第1実施形態>
「1.概略」
図1を用いて本発明の金属成形体の製造装置(以下、単に製造装置という)を説明する。図1に示す製造装置1は、型2に投入された金属の溶湯を移動磁界発生部3により攪拌して、その型内に金属成形体を成形するものである。
この製造装置1で製造される金属成形体は、次工程の例えばプレス装置など(図示しない)で、プレス成形品とするための加工が施される場合と、最終成形体として、そのまま使用される場合がある。
「2.製造装置1」
さらに詳細には、前記製造装置1は、内面の傾斜した側壁5を有する型2と、前記型2内の溶湯を攪拌するための移動磁界発生部3とを備えている。そして、その移動磁界発生部3の磁性体の端面3aが、前記側壁の内側の面5c(以下、内壁面という。)とのギャップG(図1a参照)が均一になるように配置されている。前記端面3aと内壁面5cは平行あるいはほぼ平行である。
(型2について)
前記型2は、例えば透磁率の低い物質で、内部に投入される金属の溶湯よりも融点の高い材質で形成されるのが好ましい。本実施形態ではステンレスが用いられている。
その型2(図2b参照)は、底部4と、その底部4の周縁から上方に延びている筒状の側壁5とを有している。その側壁5は金属成形体を取り出すべく開口側に向けて外向きに傾斜している。その側壁5の厚みは通常は均一であるが、均一でなくてもよい。均一でない場合、少なくとも内面が開口側に向けて外向きに傾斜していればよい。その傾斜の角度としては、型2の軸線(底部の面に垂直な軸線、あるいは鉛直な軸線)に対して、金属成形体を取り出すための抜き勾配であればよい。例えば、前記抜き勾配としては、1〜9°であり、好ましくは5〜7°である。
(型の形状)
図2aに示すように、本実施形態では、前記型2は、例えば平面視において細長い小判状の形状をしている。すなわち、型2の側壁5は、対向する一対の対向壁5a、5aを備えている。そして、それらの対向壁5a、5aの両端部同士をそれぞれ半円状部5b、5bで連結して、前記小判状が形成されている。
また、図2bに図2aの断面図を示す。前記側壁5は開口側に向けて拡がるように傾斜している。なお、本実施形態では底部4は平坦にされている。
(溶湯)
前記型2に投入される溶湯としては、例えば、アルミニウム合金などの金属を溶融させたものである。
(移動磁界発生部3)
図1aに戻って、前記移動磁界発生部3は、例えば、磁性体6(以下、コアという。)と、そのコア6を中心にして巻き回されたコイル7とを備えている。図1aに示すように、前記移動磁界発生部3、3(二点鎖線参照)は、そのコア6の端面が前記側壁の対向壁5a、5aの内面と平行になるように、かつ、側壁の外面との間に隙間が空くように配置
されている。
前記移動磁界発生部3のコア7の端面が、前記型2の底部4より下方の位置から、その型内に入れられた溶融金属の上面より上方の位置まで延設されている。このため、溶融金属の全体を確実に移動させることができる。
(磁性体6、コイル7)
図1aに戻って、前記磁性体6、コイル7は、従来公知のものである。例えば、磁性体6としては、例えばケイ素鋼板などが用いられ、渦電流の影響を低減するなどの理由で、その薄板を積み重ねて形成されている。
その磁性体6には型2の側壁側に等間隔で複数のスロット8(図4a参照)が形成されている。そのスロット8にコイル7が巻かれている。
(原理など)
図3に製造装置1の概略を示す。図では移動磁界発生装置3を型2の片側に3個並べて結線している。電源は3相交流である。端子記号R、S、Tのコイルに3相の交流U、W、Vが順次通電される。そして、前記型2内に、その側壁5の対向壁5aと平行に移動する磁界(矢印Hの方向)を発生させる。具体的には、図3に示すコイル7に、図の左から、+U相、−W相、+V相、−U相、+W相そして−V相の順に通電する。それらの三相交流は、+U相、+V相および+W相の位相はそれぞれ順に120°ずれた交流電流であり、−V相、−Wおよび−U相は電流が反対向きにされている。電流の流れる方向は、紙面の表から裏に流れる方向を正とすると、電流が正方向に流れる場合は、コイルを中心として時計回りの磁束が発生し、電流が逆方向に流れる場合は、反時計回りの磁束が発生する。そして、磁束密度の大きさはコイルの電流値の増加にともなって大きくなる。
したがって、前記コイルに印加すると、時間の経過と共に、合成された磁束密度分布は左から右に移動する(矢印φ参照)。すなわち、コア6の長手方向に沿って左から右に移動する移動磁界が形成される。これにより、溶湯には誘導電流が発生し、この誘導電流が磁界から受ける力(ローレンツ力)により、溶湯には磁界の移動方向に追随して流動する駆動力(矢印H1、2、3参照)が与えられる。
なお、符号Oは中性点である。
図4aは図1aの移動磁界発生部3の平面図を示している。図に示している巻線方式は、コア背周回方式である。移動磁界発生部3のコア6はクシの歯状であり、そのコアの歯の間(前記スロット8)に前記コイル7が捲かれている。
そのスロット内はコイル(コイル導体)7で満たされている。コア6は角柱状のヨーク(コア背)6aと、そのヨークに形成された蟻溝状の溝6bに一端が固定されたティース9とからなる。ティース9は7本で、それらの間のヨークに巻かれるコイル7は6個であり、全て同一方向に捲かれている。したがって巻き始めコイルから電流が入る場合と、巻き終わりコイルから電流が入る場合とでは、極性が逆になる。隣り合うティース9、9の間には型2側に開口するスリット8aが形成されている。ヨーク6aおよびティース9は、いずれも珪素鋼板の薄板を多数枚重ねたコアで構成されており、それらは一体になっていてもよい。
そして、移動磁界発生部3は、3相電源によって移動磁界をスムーズに発生させる最少単位として、6つのスロット8を最少単位として構成している。なお、さらに小ないスロットを単位にする場合は、相互に磁気結合を行って、バランスを取る。
また図5aには、前記移動磁界発生部3の他の実施形態を示す。図に示している巻線方式は、スロット間周回方式である。U相のコイルは、左端のスロットと4番目のスロットの間に通されてそれらの間の3本のティースに亘って巻き付けられている。同様に、V相のコイルは、2番目と5番目のスロットの間に通されてそれらの間の3本のティースに亘
って巻き付けられている。W相のコイルは、3番目のスロットと6番目のスロットに通されてそれらの間の3本のティースに亘って巻き付けられている。これらの3種類のコイルは、図5bに示すように、コア13の側方では互いに重なって交差している。
この方式はコイル7がコア背6aを周回しないので、移動磁界発生部3を固定するのにコア背6aを使うことが出来る。
(まとめ)
図1aに戻って、前記移動磁界発生部3は、そのコア6の端面が前記側壁の抜き勾配に平行になるように配置されている。このため、側壁の上下方向で推力の差が生じにくい。すなわち、壁面に沿った材料の全体が流れるから、攪拌効率が高く、結晶の成長を妨げる。そして、図2aに示すように、一対の移動磁界発生部3、3が、溶融金属に渦流を生じるように互いに逆向きの移動磁界を発生させているから、攪拌効率が高い。
<第2実施形態>
「3.他の実施形態」
次に、図6に製造装置の他の実施形態を示す。その製造装置10は、工場などの建屋の床面に設置される基台11と、その基台11に設けられ、前記移動磁界発生部3が固定される傾斜板12とを備えている。その傾斜板は2枚1組で用いられ、それぞれに移動磁界発生部3が設けられている。それらの傾斜板12、12は向かい合うように配置されている。前記基台11には、傾斜板12の傾きを調整する傾き調節機構13が設けられている。
(基台11、傾斜板12、傾き調節機構13)
前記基台11は、床面に設置されるベース11aと、そのベース11aの中央付近から立設し、その上面に型2が載置される載置台11bと、その載置台11bを挟んで前記ベースから立設している一対の支持部11c、11cとからなる。
前記傾斜板12は、平板状で、ステンレスなどの金属で形成されている。そして、前記支持部11cの上端付近に揺動自在に枢支されている。その揺動の軸は型2の長軸と平行な軸12aである。
前記傾き調節機構13は、ネジ機構13aを備えている。そのネジ機構13aは、軸12aの下方に配置されている。そのネジ機構13aは支持部11cに設けたメネジ部材に対してオネジ部材を傾斜板12側に螺進させることにより、傾斜板12の下方を押動させて、前記軸12aを回転中心として傾斜板12を回動させるものである。
前記傾き調節機構13は、前記傾斜板12の傾斜を変化させて、移動磁界発生部3を、そのコア6の端面が前記側壁の内面5cと平行になるように配置することができる。このため、側壁の上下方向で溶融金属に推力の差が生じにくい。そして、壁面に沿った材料の全体が流れるから、金属結晶の成長が妨げられ緻密な金属成形体が出来る。
前記製造装置10には、支持部11cをベース11aに対して移動自在とする移動機構14を設けてもよい。その移動機構14(二点鎖線)はスライド機構など従来公知のものを用いることができる。その移動機構14を用いて、前記傾斜板12を側壁5に対し接近させたり、遠ざけたりして、すなわち平行移動させてギャップを調整する。
なお、製造装置10としては、移動機構14と傾き調節機構13を両方に備えるのが好ましい。
(層流の転置機構)
たとえば図7a、図7bに示すように、上下方向に傾斜した流れPを生じさせる移動磁界発生部15を用いることもできる。その場合は溶融金属に上下方向に斜めの流れを生じさせ、型の中の上下の層の溶融金属を転置させる。これにより残留ガス抜きが容易となり
、また一層効率よく攪拌するので、結晶粒を微細にすることができる。
さらに詳細には、前記移動磁界発生部15は、中央のスリットの2本を下から上に進行方向に傾斜(スキュー)させたスリット8bを形成している。こうすることによりコイルエンド部分は通常のコイルエンドと同一姿になるので、組立姿に無駄が出ない。
なお型2の底部の形状として、軸方向移動する溶融金属1の下降流をスムーズに上昇流へと反転させるための半球面形状の底部を備えるものが好ましい(図示せず)。また図7bの符号8cは、コイル7をスロット8内に保持するサシキである。
<第3実施形態>
図8に製造装置の他の実施形態を示す。本実施形態は前述した実施形態と同じ部分が多いので、同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図に示す製造装置16は、平面形状で逆T字状の型17と、その型17を挟むように型の壁面に沿って配置される複数対の移動磁界発生部3とを備えている。
前記型17のT字の付け根付近には、湾曲した内面を有する湾曲側壁17aが設けられている。そして、その湾曲側壁17aの湾曲した内面に対し、均一なギャップを維持すべく、本実施形態では前記湾曲した内面に平行な湾曲面を有する移動磁界発生部18が設けられている。その移動磁界発生部18のコア7の端面には、追加の磁性体部材19が設けられている。その追加の磁性体部材の端面19aは、前記型17の湾曲部17aの湾曲した内面に沿った曲面にされている。この追加の磁性体部材19は、磁界を発生するコア6のティース9に装着され、ティース9を磁気的に延長して湾曲側壁17aの内面に平行になるように設計されている。
本実施形態の移動磁気発生部は、直線部に設けた12個の移動磁界発生部3と、コーナに設けた2個の移動磁界発生部18とからなる。このように移動磁界発生部を分割し、さらに2種類の移動磁界発生部を組み合わせて配置することにより、種々の形状の型に対応することができる。これにより、種々の形状の型内の溶融金属を均一に攪拌することができる(図の矢印参照)。
次に図9a、図9bを用いて前記湾曲した移動磁界発生部18の詳細を説明する。図9aは移動磁界発生部18から追加の磁性体部材19を外した様子を示している。その図の移動磁界発生部のティース9の先端面(型の側壁に対抗する面)には、差込口18aが形成されている。一方、図9bに示すように追加の磁性体部材19の基端面には前記差込口18aにスライドして差し込まれる差込部19bが形成されている。前記追加の磁性体部材19はスライドにより係脱自在にされている。このため、元となる1つの移動磁界発生部18に対し、型の曲面の形状に応じた追加の磁性体部材を用意すればよいので、経済的である。
また図9bには凹形状の湾曲面を有する追加の磁性体部材20を示している。
なお、前記追加の磁性体部材について、高さ方向にも湾曲させてもよい(図示せず)。
「5.変形例」
前記型2の材質としては、溶融金属の高温に耐える耐熱性を有し、かつ透磁率の低い金属(例えばステンレス)、セラミックなどである。
型の形状として、平面視で円弧状のものや、二股に分かれたものを用いてもよい。
なお、本実施形態では型2の上部は開いているが、開閉可能な蓋で閉じても良い。この場合は蓋を開けて溶湯の投入あるいは金属成形体を取出す事が出来る。
1 金属成形体の製造装置(製造装置)
2 型
3 移動磁界発生部
3a 端面
4 底部
5 側壁
5a 対向壁
5b 半円状部
5c 内面
6 磁性体(コア)
6a ヨーク(コア背)
6b 溝
7 コイル
8 スロット
8a スリット
8b スリット
8c サシキ
9 ティース
10 製造装置(他の実施形態)
11 基台
11a ベース
11b 載置台
11c 支持部
12 傾斜板
12a 軸
13 傾き調節機構
13a ネジ機構
14 移動機構
15 移動磁界発生部
16 製造装置(さらに他の実施形態)
17 型
17a 湾曲側壁
18 移動磁界発生部
18a 差込口
19 追加の磁性体部材
19a 端面
19b 差込部
20 追加の磁性体部材
G ギャップ
G1 ギャップ
G2 ギャップ
P 流れ

Claims (7)

  1. 金属の溶湯を電磁攪拌して、金属成形体を成形するための装置であって、
    傾斜した内面を有する側壁を備えた型と、
    その型の外周に沿って配置され、その内部の溶湯を攪拌する移動磁界発生部とを備えており、
    その移動磁界発生部が、磁性体と、その磁性体を中心にして巻き回されたコイルとからなり、
    前記磁性体の端面と、前記側壁の内面とのギャップが均一となるように前記磁性体の端面が配置されている、金属成形体製造装置。
  2. 前記側壁の傾斜が、前記金属成形体を取り出すための抜き勾配を兼ねている請求項1記載の金属成形体製造装置。
  3. 前記抜き勾配が1〜9°である、請求項2記載の金属成形体製造装置。
  4. 前記側壁が対向する一対の対向壁を有しており、
    それらの対向壁に沿って、それぞれ前記移動磁界発生部が設けられており、
    それらの移動磁界発生部が、溶融金属に渦流を生じるように互いに逆向きの移動磁界を発生させている、請求項1、2あるいは3のいずれかに記載の金属成形体製造装置。
  5. 基台と、前記移動磁界発生部が固定される傾斜板と、
    その傾斜板と基台の間に設けられ、前記磁性体の端面と前記側壁内面のギャップが均一となるように前記基台に対する傾斜板の傾きを調整するための傾き調節機構とをさらに備えている請求項1、2、3あるいは4のいずれかに記載の金属成形体製造装置。
  6. 前記移動磁界発生部の磁性体の端面が、前記型の底部より下方から、その型内に入れられた溶融金属の上面を超えて延設されている、請求項1、2、3、4あるいは5のいずれかに記載の金属成形体製造装置。
  7. 前記型が平面形状で湾曲しており、
    前記移動磁界発生部の磁性体の端面に、追加の磁性体部材が設けられており、
    その追加の磁性体部材の端面が、前記型の湾曲した内面に沿った曲面にされている、請求項1、2、3、4、5あるいは6のいずれかに記載の金属成形体製造装置。
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