<第1の実施の形態>
以下に図面を参照して、本願発明に係る伸縮可撓管継手の挙動探査装置の第1の実施の形態について説明する。
図1に示すように、第1配管1と第2配管2とが伸縮可撓管継手3によって接続された配管が地中に埋設されている。第1配管1と第2配管2は伸縮可撓管継手3に挿入されるフランジ部とこのフランジ部に接続される本体管とから構成されている。伸縮可撓管継手3は、円筒状のスリーブ4と、スリーブ4の両端部に配設されるリング状のシール部材5、6とを有する。シール部材5、6は第1配管1と第2配管2の各々の外周壁面とスリーブ4の内周面との間に隙間が形成されるように配設されており、この隙間を介して第1配管1と第2配管2はスリーブ4に対して傾きや曲げ等を許容するように接続されている。
また、第1配管1と第2配管2はシール部材5、6を介してスリーブ4の軸線方向に対して伸縮自在に接続されている。スリーブ4は硬質管体からなっているが、軟質管体から構成してもよい。
次に、伸縮可撓管継手3に対する第1配管1と第2配管2の位置関係を電気的に検出する伸縮可撓管継手3の挙動探査装置10について説明する。
挙動探査装置10は、第1測定具12が複数個の組となって構成される第1測定具群11と、第2測定具14が複数個の組となって構成される第2測定具群13とを備えている。
図1においては、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12と第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14としては、一つの第1測定具12と第2測定具14のみが示されている。実際の装置は複数の例えば4個の第1測定具12が伸縮可撓管継手3のスリーブ4と第1配管1及び第2配管2の周方向に等間隔に配設されており、同様にして複数の例えば4個の第2測定具14が周方向に等間隔に配設されている。なお、第1測定具群11等を構成する複数の第1測定具12等の個数は、3個以上であればよく、また、周方向の配設される位置さえ特定されれば角度に対して等間隔である必要はない。
第1測定具12は、第1配管1における第1配管位置15と伸縮可撓管継手3のスリーブ4の第1基準位置16との間の距離の変化量である第1距離変化量V1を測定する。第2測定具14は、第2配管2における第2配管位置17とスリーブの第2基準位置18との間の距離の変化量である第2距離変化量V2を測定する。伸縮可撓管継手3のスリーブ4の第1基準位置16と第2基準位置18とは、スリーブ4の軸線に対して直交する面のリング位置にあり、スリーブ4上の位置データが既知である。
第1測定具12は、第1配管位置15に一端が取り付けられた第1筒19と、第1基準位置16に一端が取り付けられ他端が第1筒19の他端に対し入れ子式に移動する第1筒受け20と、第1筒19の第1筒受け20に対する入れ子度合から第1距離変化量V1を電気的に測定し測定データを送信する第1センサー21(図2参照)とを備えている。第2測定具14は、第2配管位置17に一端が取り付けられた第2筒23と、第2基準位置18に一端が取り付けられ他端が第2筒23の他端に対し入れ子式に移動する第2筒受け24と、第2筒23の第2筒受け24に対する入れ子度合から第2距離変化量V2を電気的に測定し測定データを送信する第2センサー25とを備えている。
第1配管1の第1配管位置15の外周には円環板状の円環部26が配設されており、スリーブ4の第1基準位置16の外周には円環板状の円環部27が配設されている。同様に、第2配管2の第2配管位置17の外周には円環板状の円環部28が配設されており、スリーブ4の第2基準位置18の外周には円環板状の円環部29が配設されている。円環部26、27、28、29には自在継手30が取り付けられている。第1筒19の一端は自在継手30を介して円環部26に取り付けられており、第1筒受け20の一端は自在継手30を介して円環部27に取り付けられており、第2筒23の一端は自在継手30を介して円環部28に取り付けられており、第2筒受け22の一端は自在継手30を介して円環部29に取り付けられている。自在継手30は、第1筒19、第1筒受け20、第2筒21及び第2筒受け22が伸縮可撓管継手3に対する第1配管1及び第2配管2の変位に円滑に正確に追従して移動するように機能する。第1筒19、第1筒受け20、第2筒21及び第2筒受け22は、自在継手30を介してそれぞれの円環部26、27、28、29に取り付けられているので、自在継手30によって、第1筒19と第1筒受け20、及び第2筒21と第2筒受け22とは常に入れ子式の関係に維持するように姿勢を正すことができ、この結果、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを得ることが可能になる。
第1センサー21及び第2センサー25は、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを地中に埋設されたケーブル32を介して地上に設置された観測装置33へ送る。
なお、第1センサー21及び第2センサー25は、ケーブル32に代えて無線によって、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを観測装置33へ送ることも可能である。
観測装置33においては、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12による複数の第1距離変化量V1から伸縮可撓管継手3のスリーブ4に対する第1配管1の伸縮度合と傾き度合を演算し、同様に第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14による複数の第2距離変化量V2から伸縮可撓管継手3のスリーブ4に対する第2配管2の伸縮度合と傾き度合を演算する。ここで、スリーブ4に対する第1配管1および第2配管2の伸縮度合とはスリーブ4に対する第1配管1および第2配管2の中心線上の軸方向のずれ量をいう。また第1配管1および第2配管2の傾き度合とは、スリーブ4に対する第1配管1および第2配管2の傾きをいう。
ここで、複数の第1距離変化量V1は、伸縮可撓管継手3と第1配管1の周方向の異なる位置に配設された複数の第1測定具12による測定データであるから、既知の数式あるいは容易に作成可能な数式に従って複数の第1距離変化量V1から容易に伸縮度合と傾き度合を演算することができる。例えば、各々の第1測定具12による第1距離変化量V1は、それらが取り付けられたスリーブ4の第1基準位置16からの変化量を示すから、各々の第1測定具12が取り付けられた円周上の角度の位置データとを合わせることにより、第1配管1の伸縮長さと曲げ方向とを知ることができる。複数の第2距離変化量V2についても同様である。
これらの演算は、予めプログラムされた演算式を用いて行われる。そして得られた演算結果により、許容範囲の値を超えている場合や、越えていなくとも補修をしておくのがよいと判断される場合には、伸縮可撓管継手3等を補修する。また、得られた演算結果により、補修等の必要性や緊急性がないと判断された場合には、次回の検査がくるまで安心して現状状態に放置することができる。
なお、スリーブ4に対する第1配管1と第2配管2の傾きおよび中心線上の軸方向のずれ量については後述する。
次に、図2を参照して第1測定具12について説明する。第2測定具14は第1測定具12と同一の構成であるので、説明を省略する。
第1測定具12は、前述したように第1配管位置15に一端が取り付けられた第1筒19と、一端が第1基準位置16に取り付けられ他端が第1筒19の他端に対し入れ子式に移動する第1筒受け20と、第1筒19と第1筒受け20との間の入れ子度合から第1距離変化量V1を電気的に測定し測定データを送信する第1センサー21とを備えている。
第1センサー21は、内部に泥や水等が侵入しないように密閉的に構成されている。
第1センサー21は既知の摺動抵抗式のセンサーであり、センサー本体21aとガイドロッド21bとを備えている。センサー本体21aは第1筒19の先端部に固着されたホルダー19aに取り付けられている。ホルダー19aはセンサー本体21aを水分等から保護するように密閉的に保持する。第1筒19とホルダー19aとセンサー本体21aとは一体的に動くように構成されている。ガイドロッド21bは、その一端が第1筒受け20の根元端部に固着され、本体は第1筒19及び第1筒受け20内を延びている。
センサー本体21aはガイドロッド21bに案内されて動くようにガイドロッド21bに櫛差し状に保持されている。センサー本体21aは、ガイドロッド21bの軸線に直交する方向に配設された伝達軸21cと、伝達軸21cに一体的に取り付けられガイドロッド21bの表面を摺動的に転がり移動するローラ21dと、伝達軸21cに一体的に取り付けられた図示しない摺動抵抗円板とを有する。摺動抵抗円板は、電気抵抗値が伝達軸21cの回りの回転量に比例するように構成されている。
センサー本体21aが第1筒19と一体的に移動しガイドロッド21bが第1筒受け20に固着されているので、第1筒19と第1筒受け20とが相対的に変位すると、センサー本体21aのローラ21dがガイドロッド21bの表面を摺動的に転がり移動し、これに伴って図示しない摺動抵抗円板が伝達軸21cの回りに回転する。得られた摺動抵抗円板の回転量から摺動抵抗値を検出することができる。この摺動抵抗値はローラ21dがガイドロッド21bの表面を摺動的に転がり移動する量を反映するものであるから、摺動抵抗値から第1筒19と第1筒受け20との相対的変位量を知ることができる。摺動抵抗値に基づく第1距離変化量V1はコード32によって外部へ伝送される。
次に、図3及び図4に、4個の第1測定具12と4個の第2測定具14を配設した実際の挙動探査装置に近く表示した挙動探査装置10を示す。図3は、挙動探査装置10を上方から見た図、図4は図3における左右方向から見た図である。
実際の工事現場においては、伸縮可撓管継手3の挙動探査装置10は次のような手順で配設される。まず、土砂を掘り起こし、第1配管1と第2配管2とを伸縮可撓管継手3によって接続する。第1配管1と第2配管2と伸縮可撓管継手3に予め設けられた円環部26、27、28、29を用いて、円環部26、27、28、29の間に4個の第1測定具12と4個の第2測定具14を取り付ける。4個の第1測定具12と4個の第2測定具14は、円周方向の90度の角度間隔で配設される。なお、個々の第1測定具12等が設置される円周上の角度位置を知ってさえすれば、円周方向の90度の角度間隔に限らず、他の角度位置であってもよい。
図3及び図4に示す例は、第1配管1と第2配管2とを伸縮可撓管継手3によって接続してから多少に時間の経過後の状態を示し、第1配管1と第2配管2との間に相対的な曲げ等のずれが生じていることが示されている。4個の第1測定具12と4個の第2測定具14を取り付けた当初においては、第1配管1と第2配管2とは図4等に示されるような互いに曲がって接続された状態にはなく伸縮可撓管継手3によって直線状に接続されている。円環部26、27、28、29は第1測定具12等を取り付けるための取り付け手段39を有し、取り付け手段39に自在継手30を介して第1測定具12等が取り付けられる。
なお、図3及び図4においては、自在継手30は簡単のために簡略化して表示されている。
4個の第1測定具12による4個の第1距離変化量V1の測定データと4個の第2測定具14による4個の第2距離変化量V2の測定データがコード32を介して観測装置33へ送られる。なお、測定データを無線で観測装置33へ送ることも可能である。
観測装置33によって、測定データは、例えば1年に2回あるいは地震等が発生した後に適宜に観測される。4個の第1測定具12と4個の第2測定具14を取り付けた当初においては、第1配管1と第2配管2の各々の伸縮も曲げもないので、4個の第1距離変化量V1と4個の第2距離変化量V2はゼロである。
設置後の時間の経過後においては、後述のように観測装置33の制御部33aが第1配管1及び第2配管2の伸縮可撓管継手3のスリーブ4に対する変位位置を演算する。変位位置としては、伸縮可撓管継手3のスリーブ4の円周上の異なる位置の4個の第1距離変化量V1によって第1配管1の伸縮量と伸縮可撓管継手3のスリーブ4の軸線(中心線)に対する第1配管1の曲げ角度とを演算することができ、同様に、4個の第2距離変化量V2によって第2配管2の伸縮量と伸縮可撓管継手3のスリーブ4の軸線(中心線)に対する第2配管2の曲げ角度とを演算することができる。また、伸縮可撓管継手3のスリーブ4の軸線(中心線)に対する第1配管1の曲げ角度と伸縮可撓管継手3のスリーブ4の軸線(中心線)に対する第2配管2の曲げ角度とから、第1配管1の軸線(中心線)と第2配管2の軸線(中心線)との間の軸線シフト量dを演算することができる。そして、演算で得た結果が、第1配管1または第2配管2の伸縮量が、許容伸縮量、例えば200mmを越えていないか否か、また、軸線シフト量dが、許容軸線シフト量、例えば100mmを越えていなか否かを検査する。演算結果が、許容伸縮量や許容軸線シフト量を越えていることが判明した場合には、伸縮可撓管継手3を新たな伸縮可撓管継手に交換するか、あるいは管継手補修装置によって伸縮可撓管継手3を補修するかを決定する。また、演算結果により許容伸縮量や許容軸線シフト量を越えていないことが判明した場合には、伸縮可撓管継手3を継続して使用することが可能であることを確認することができる。
次に観測装置33において行われる演算について、図11乃至図15により以下詳述する。
図11に示すように、観測装置33には、第1測定具12の第1センサー21および第2測定具14の第2センサー25からの測定データが入力される。観測装置33は、第1センサー21および第2センサー25からの測定データを増幅する増幅器33bと、増幅器33bで増幅された測定データに基づいて各種の演算を行う制御部33aと、演算した結果のデータを無線で送信する通信機器33cとを有する。
また観測装置33は、電源33d、避雷器33eおよびメンテナンス用PC33fを有する。
ところで観測装置33の通信機器33cから無線で送信される演算結果のデータは中央監視装置35内部のサーバー35aへ送られる。この場合、サーバー35aは中央監視装置35内部に設置する必要はなく、中央監視装置35外部に設け、必要に応じて中央監視装置35が外部のサーバー35aまで演算結果のデータを確認するようにしてもよい。
次に観測装置33の制御部33aにより行われる各種演算について述べる。
まず制御部33aにより、伸縮自在継手のスリーブ4に対する第1配管1の傾きおよび第1配管1の中心線上の軸方向のずれ量を演算する。
具体的には、制御部33aは、複数の第1測定具12の第1センサー21から送られる測定データを取得する。
この場合、複数の第1測定具12は、スリーブ4および第1配管1の円周方向に複数配置されており、例えば第1測定具12は、スリーブ4および第1配管1の上方部および下方部に一対設けられている(図13参照)。
制御部33aは、次に図12Aおよび図12Bに示すように、スリーブ4および第1配管1の上方部および下方部に設けられた一対の第1測定具12,12からの測定データに基づいて、第1配管1とスリーブ4との間に、第1配管1の中心線1cを通る垂直断面において、第1配管1とスリーブ4との位置ずれ量を示す第1仮想直角三角形51を形成する。
次に制御部33aは、この第1仮想直角三角形51に基づいて、スリーブ4に対する第1配管1の傾き(角度θ1)および第1配管1の中心線1c上の第1配管1のずれ量を求める。
このとき、図12Aに示すように、上方部の第1測定具12からの測定データが第1配管1の中心線1c上のずれ量S1を示し、下方部の第1測定具12からの測定データが第1配管1の中心線1c上のずれ量S2を示す場合、第1仮想直角三角形51の直角を挟む2辺の長さは、S1−S2およびhとなる(図12B参照)。
ここでhは第1配管1の直径となっている。
そして制御部33aは、第1配管1の傾き(角度θ1)を下記の式から算出する。
また制御部33aは、図12Bに示す第1仮想直角三角形51の中央部の幅l1を、第1配管1の中心線1c上の軸方向ずれ量として定める。
同様にして制御部33aにより、伸縮自在継手のスリーブ4に対する第2配管2の傾きおよび第2配管2の中心線上の軸方向のずれ量を演算する。
具体的には、制御部33aは、複数の第2測定具14の第2センサー25から送られる測定データを取得する。
この場合、複数の第2測定具14は、スリーブ4および第2配管2の円周方向に複数配置されており、例えば第2測定具14は、スリーブ4および第2配管2の上方部および下方部に一対設けられている(図13参照)。
制御部33aは、次に図12Cに示すように、スリーブ4および第2配管2の上方部および下方部に設けられた一対の第2測定具14,14からの測定データに基づいて、第2配管2とスリーブ4との間に、第2配管2の中心線2cを通る断面において、第2配管2とスリーブ4との位置ずれ量を示す第2仮想直角三角形52を形成する。
次に制御部33aは、この第2仮想直角三角形52に基づいて、スリーブ4に対する第2配管2の傾き(角度θ2)および第2配管2の中心線2c上の第2配管2のずれ量を求める。
このとき、下方部の第2測定具14からの測定データが第2配管2のS中心線2C上のずれ量S1を示し、上方部の第2測定具14からの測定データが第2配管2のS中心線2C上のずれ量S2を示す場合、第2仮想直角三角形52の直角を挟む2辺の長さは、S1−S2およびhとなる(図12C参照)。
ここでhは第2配管2の直径となっている。
そして制御部33aは、第2配管2の傾き(角度θ2)を下記の式から算出する。
また制御部33aは、図12Cに示す第2仮想直角三角形52の中央部の幅l2を、第2配管2の中心線2c上の軸方向ずれ量として定める。
次に制御部33aは、第1仮想直角三角形51の角度θ1および第2仮想直角三角形52の角度θ2に基づいて、第1配管1の中心線1cと第2配管2の中心線2cとの間の軸線シフト量dを求める。
上記実施の形態において、第1測定具12および第2測定具14を、各々スリーブ4および第1配管1の上方部および下方部、あるいはスリーブ4および第2配管2の上方部および下方部に設置することにより、第1配管1の中心線1cおよび第2配管2の中心線2cを通る垂直断面における第1仮想直角三角形あるいは第2仮想直角三角形を作成し、第1配管1の中心線1cおよび第2配管2の中心線2cを通る垂直断面における第1配管1および第2配管2の傾きおよび軸方向のずれ量を求めることができる。
これに限らず、図14に示すように第1測定具12および第2測定具14を、スリーブ4および第1配管1の上方部、下方部および左右の両側部、あるいはスリーブ4および第2配管2の上方部、下方部および左右の両側部に配置することにより、第1配管1の中心線1cおよび第2配管2の中心線2cを通る垂直断面における第1配管1および第2配管2の傾きおよび軸方向のずれ量だけでなく、垂直断面に直交する第1配管1の中心線1cおよび第2配管2の中心線2cを通る水平断面における第1配管1および第2配管2の傾きおよび軸方向のずれ量を求めることができる。
また図15に示すように、第1測定具12および第2測定具14を、スリーブ4および第1配管1の上方の3点、あるいはスリーブ4および第2配管2の上方の3点に設けることにより、最上部の第1測定具12および第2測定具14と、左右の第1測定具12および第2測定具14との間で垂直断面における第1配管1および第2配管2の傾きおよび軸方向のずれ量を求めることができる。また左右の第1測定具12および第2測定具14の間で水平断面における第1配管1および第2配管2の傾きおよび軸方向のずれ量を求めることができる。
以上、本実施の形態の構成によれば、伸縮可撓管継手3に対する第1配管1と第2配管2の位置関係を電気的に確実に検出することが可能になる。この結果、伸縮可撓管継手の修理や交換の必要性の有無を的確に判断することが可能になる。
次に、図5及び図6を参照して、本願発明の他の実施の形態について説明する。前述の実施の形態では、第1測定具群11と第2測定具群13とは、伸縮可撓管継手3によって第1配管1と第2配管2とを接続する工事作業を行うときに合わせて配設される場合であった。これに対して、本実施の形態においては、挙動探査装置10に相当する装置が敷設されることなく伸縮可撓管継手3によって第1配管1と第2配管2とが既に接続されている場合において、後発的に第1測定具群11と第2測定具群13を配設し、伸縮可撓管継手3対する第1配管1と第2配管2の位置関係を後発的に検出可能にするものである。
第1配管1と第2配管2の伸縮量と伸縮可撓管継手3の軸線に対する第1配管1と第2配管2の曲げ角度とを演算することができるためには、第1測定具群11と第2測定具群13は各々少なくとも3個の第1測定具12、第2測定具14が円周上の異なる位置に配設されることが必要である。
そこで、まず、図5に示すように、伸縮可撓管継手3と第1配管1と第2配管2の上方の一部が露出するまで土砂を掘り起こす。符合Dは掘り起こした地面レベルを示す。地面レベルDは、必要な最低本数である3個の第1測定具12と第2測定具14を取り付けれるように掘り起こされた地表面である。3個の第1測定具12と第2測定具14が、地面レベルD上に露出した伸縮可撓管継手3と第1配管1と第2配管2の上部円周部に取り付けられる。なお、本来ならば、測定データの正確性を期すためには、土砂をできるだけ深く掘り起こし、複数個、例えば3個の第1測定具12と第2測定具14をできるだけ360度の角度範囲の全体位置に及ぶようにしたいところであるが、土砂を深く掘ることの困難性にある。そこで、上述のように上部円周部の異なる位置に局在的に配設するのであるが、これでも補修や交換の必要性の有無を判断する上での十分な判断情報を得ることができる。
3個の第1測定具12による3個の第1距離変化量V1の測定データと3個の第2測定具14による3個の第2距離変化量V2の測定データは、コード32を介してあるいは無線で地上に設置する観測装置33へ送られる。
なお、図5及び図6には、円環部26、27、28、29と取り付け手39が表示されているが、これらが予め伸縮可撓管継手3等に設けられていない場合もあるが、その場合には、現場において溶接等によって円環部26等や取り付け手39の機能をなすものを取り付けるようにすればよい。
以上、本実施の形態の構成によれば、当初に挙動探査装置10に相当する装置が敷設されていない場合であっても、後発的に少なくとも3個の第1測定具12と第2測定具14を伸縮可撓管継手3等に取り付けることによって、その後の伸縮可撓管継手3対する第1配管1と第2配管2の位置関係を検出しモニターすることが可能になり、伸縮可撓管継手3の修理や交換の必要性の有無を的確に判断することが可能になる。
次に、本願発明に係る伸縮可撓管継手の挙動探査方法について説明する。
まず、第1測定具12が複数個の組となって構成される第1測定具群11と第2測定具14が複数個の組となって構成される第2測定具群13とを揃え用意する。
次に、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12をスリーブ4の円周方向の異なる位置に配設して円環部26、27と自在継手30を用いて取り付け、第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14をスリーブ4の円周方向の異なる位置に配設して円環部28、29と自在継手30を用いて取り付ける。
そして、上述のように既知のプログラム手法で作成されたプログラムを用いて観測装置33において、第1測定具群11の複数の第1センサー21による測定データと第2測定具群13の複数の第2センサーによる測定データとから第1配管1及び第2配管2の伸縮可撓管継手3に対する変位位置を演算する。そして、演算された検査結果に基づき、伸縮可撓管継手3の修理や交換の必要性の有無を判断する。
また、新たに伸縮可撓管継手3によって第1配管1と第2配管2とを接続するときには、伸縮可撓管継手3によって第1配管1と第2配管2とを接続することと同時的に、第1測定具群11と第2測定具群13とを配設して取り付けるようにする。
また、伸縮可撓管継手3によって第1配管1と第2配管2とが予め接続されているときには、土砂等を掘り起こして伸縮可撓管継手3と第1配管1と第2配管2との地表に近い上方部のみを露出させ、露出されたこの上方部に第1測定具群11と第2測定具群13とを後発的に配設して取り付けるようにする。
なお、測定データを有線で送信する場合にはケーブル32を敷設し、測定データを無線で送受信する場合には無線で送受信できるように第1センサー21等と観測装置33を無線で送受信できるようにする。
以上、本願発明に係る伸縮可撓管継手の挙動探査方法によれば、伸縮可撓管継手3対する第1配管1と第2配管2の位置関係を検出しモニターすることが可能になり、伸縮可撓管継手3の修理や交換の必要性の有無を的確に判断することが可能になる。
なお、上述の説明においては、第1センサー21として図2を参照して摺動抵抗式のセンサーを例にとり説明した。しかしながら、本願発明において、第1距離変化量V1を電気的に測定する第1センサー21としては、摺動抵抗式のセンサーに限らず、第1筒19の第1筒受け20に対する入れ子度合から第1距離変化量V1を電気的に測定するものであれば他の方式のものでもよいのであり、例えば差動トランス方式のセンサーであってもよい。
例えば、差動トランス方式のセンサーの場合においては、例えば第1筒19の先端部に固着されたコイル部と、第1筒受け20の一端に固定された棒状部に設けられ鉄芯部とを備えており、コイル部は1個の1次コイルと、互いに対称に直列的に配設された2個の2次コイルとから構成されている。1次コイルは駆動発信器により駆動され、1次コイルに対する2個の2次コイルの相互コンダクタンスは等しく構成されており、位相が180度異なるようにコイルが巻かれている。鉄芯部が2個の2次コイルの中心部にある状態では、2個の2次コイルに誘起される誘起電圧は等しく位相が逆であるので、出力電圧はゼロであり、第1筒19と第1筒受け20とが相対的に摺動して鉄芯部が2個の2次コイルの中心部にある状態から相対的に変位すると、片方の2次コイルの誘導電圧が減少し、他方の2次コイルの誘導電圧が増加し、両者の誘起電圧の差に相当する電圧が出力電圧として出力される。2個の2次コイルの各々の一方は互いに接続され各々の他方の間から出力電圧が取り出され、コード32によって外部へ伝送される。
<第2の実施の形態>
次に図7により本願発明に係る伸縮可撓管継手の挙動探査装置の第2の実施の形態について説明する。
図7に示すように、第2の実施の形態は、第1測定具12に設置された第1センサー21からの測定データ(第1距離変化量V1)と、第2測定具14に設置された第2センサー25からの測定データ(第2距離変化量V2)とを送信器36を介して観測装置33へ無線で送るとともに、この観測装置33から測定データを更に監視装置35へ送るよう構成されている。
この場合、観測装置33と監視装置35との間で、データの送受信が行われる。
また観測装置33は、第1測定具12に設置された第1センサー21および第2測定具14に設定された第2センサー25に対して給電する。
図7に示す実施の形態において、他の部分は図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。図7において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図7において、第1測定具12に設置された第1センサー21および第2測定具14に設置された第2センサー25から測定データが送信器36を介して観測装置33に送られ、次に観測装置33から測定データが監視装置35へ送られる。
監視装置35においては、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12による複数の第1距離変化量V1から伸縮可撓管継手3に対する第1配管1の伸縮度合と傾き度合を演算する。同様に第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14による複数の第2距離変化量V2から伸縮可撓管継手3に対する第2配管2の伸縮度合と傾き度合を演算する。
本実施の形態によれば、地中に埋まっている伸縮可撓管継手3近傍に観測装置33を設け、この観測装置33から第1測定具12の第1センサー21および第2測定具14の第2センサー25に対して給電を行うことができ、かつ第1センサー21および第2センサー25から測定データを観測装置33へ送ることができる。そして観測装置33から遠方に設置された監視装置35へ観測装置33からの測定データを送り、この監視装置33において、伸縮可撓管継手3に対する第1配管1の伸縮度合と傾き度合および伸縮可撓管継手3に対する第2配管2の伸縮度合と傾き度合を精度良く確実に演算することができる。
<第3の実施の形態>
次に図8により本発明に係る伸縮可撓管継手の挙動探査装置の第3の実施の形態について説明する。
図8に示すように、第1配管と第2配管2とは、例えばじゃ腹管のような柔軟性管体41を介して互いに接続され、この柔軟性管体41の外周にこの柔軟性管体41を囲むスリーブ4が設置されている。
またスリーブ4は、第1配管1および第2配管2に互いに連結されている。
図8において、スリーブ4と、柔軟性管体41とにより伸縮可撓管継手3が構成される。
図8に示す第3の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図8に示すように挙動探査装置10は、第1測定具12が複数個の組となって構成される第1測定具群11と、第2測定具14が複数個の組となって構成される第2測定具群13とを備えている。
図8においては、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12と第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14としては、一つの第1測定具12と第2測定具14のみが示されている。実際の装置は複数の例えば4個の第1測定具12が伸縮可撓管継手3と第1配管1及び第2配管2の周方向に等間隔に配設されており、同様にして複数の例えば4個の第2測定具14が周方向に等間隔に配設されている。なお、第1測定具群11等を構成する複数の第1測定具12等の個数は、3個以上であればよく、また、周方向の配設される位置さえ特定されれば角度に対して等間隔である必要はない。
第1測定具12は、第1配管1における第1配管位置15と伸縮可撓管継手3のスリーブ4の第1基準位置16との間の距離の変化量である第1距離変化量V1を測定する。第2測定具14は、第2配管2における第2配管位置17とスリーブ4の第2基準位置18との間の距離の変化量である第2距離変化量V2を測定する。伸縮可撓管継手3のスリーブ4の第1基準位置16と第2基準位置18とは、スリーブ4の軸線に対して直交する面のリング位置にあり、スリーブ4上の位置データが既知である。
第1測定具12は、第1配管位置15に一端が取り付けられた第1筒19と、第1基準位置16に一端が取り付けられ他端が第1筒19の他端に対し入れ子式に移動する第1筒受け20と、第1筒19の第1筒受け20に対する入れ子度合から第1距離変化量V1を電気的に測定し測定データを送信する第1センサー21(図2参照)とを備えている。第2測定具14は、第2配管位置17に一端が取り付けられた第2筒23と、第2基準位置18に一端が取り付けられ他端が第2筒23の他端に対し入れ子式に移動する第2筒受け24と、第2筒23の第2筒受け24に対する入れ子度合から第2距離変化量V2を電気的に測定し測定データを送信する第2センサー25とを備えている。
第1配管1の第1配管位置15の外周には円環板状の円環部26が配設されており、スリーブ4の第1基準位置16の外周には円環板状の円環部27が配設されている。同様に、第2配管2の第2配管位置17の外周には円環板状の円環部28が配設されており、スリーブ4の第2基準位置18の外周には円環板状の円環部29が配設されている。円環部26、27、28、29には自在継手30が取り付けられている。第1筒19の一端は自在継手30を介して円環部26に取り付けられており、第1筒受け20の一端は自在継手30を介して円環部27に取り付けられており、第2筒21の一端は自在継手30を介して円環部28に取り付けられており、第2筒受け22の一端は自在継手30を介して円環部29に取り付けられている。自在継手30は、第1筒19、第1筒受け20、第2筒21及び第2筒受け22が伸縮可撓管継手3に対する第1配管1及び第2配管2の変位に円滑に正確に追従して移動するように機能する。第1筒19、第1筒受け20、第2筒21及び第2筒受け22は、自在継手30を介してそれぞれの円環部26、27、28、29に取り付けられているので、自在継手30によって、第1筒19と第1筒受け20、及び第2筒21と第2筒受け22とは常に入れ子式の関係に維持するように姿勢を正すことができ、この結果、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを得ることが可能になる。
第1センサー21及び第2センサー25は、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを地中に埋設されたケーブル32を介して地上に設置された観測装置33へ送る。
なお、第1センサー21及び第2センサー25は、ケーブル32に代えて無線によって、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを観測装置33へ送ることも可能である。
観測装置33においては、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12による複数の第1距離変化量V1から伸縮可撓管継手3に対する第1配管1の伸縮度合と傾き度合を演算し、同様に第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14による複数の第2距離変化量V2から伸縮可撓管継手3に対する第2配管2の伸縮度合と傾き度合を演算する。
なお、観測装置33は第1距離変化量V1と、第2距離変化量V2から第1配管1の伸縮度合および傾き度合、あるいは第2配管2の伸縮度合および傾き度合を演算することなく、観測装置33からさらに監視装置35に測定データを送り、この監視装置35によって第1配管1の伸縮度合および傾き度合、あるいは第2配管2の伸縮度合および傾き度合を演算してもよい(図7参照)。
<第4の実施の形態>
次に図9により本発明に係る伸縮可撓管継手の挙動探査装置の第4の実施の形態について説明する。
図9に示すように、第1配管1とスリーブ4とは、第1連結配管43を介して接続され、第2配管2とスリーブ4とは第2連結配管45を介して接続されている。
この場合、スリーブ4と第1連結配管43との間にはシール部材43aが介在され、第1連結管43と第1配管1との間にはシール部材43bが介在されている。またスリーブ4と第2連結配管45との間にはシール部材45aが介在され、第2連結配管45と第2配管2との間にはシール部財45bが介在されている。また図9において、スリーブ4と、第1連結配管43と、第2連結配管45と、シール部材43a、43bと、シール部材45a、45bとにより伸縮可撓管継手3が構成されている。
図9に示す第4の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図9に示すように、挙動探査装置10は、第1測定具12が複数個の組となって構成される第1測定具群11と、第2測定具14が複数個の組となって構成される第2測定具群13とを備えている。
図9においては、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12と第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14としては、一つの第1測定具12と第2測定具14のみが示されている。実際の装置は複数の例えば4個の第1測定具12が伸縮可撓管継手3と第1配管1及び第2配管2の周方向に等間隔に配設されており、同様にして複数の例えば4個の第2測定具14が周方向に等間隔に配設されている。なお、第1測定具群11等を構成する複数の第1測定具12等の個数は、3個以上であればよく、また、周方向の配設される位置さえ特定されれば角度に対して等間隔である必要はない。
第1測定具12は、第1配管1における第1配管位置15と伸縮可撓管継手3のスリーブ4の第1基準位置16との間の距離の変化量である第1距離変化量V1を測定する。第2測定具14は、第2配管2における第2配管位置17とスリーブ4の第2基準位置18との間の距離の変化量である第2距離変化量V2を測定する。伸縮可撓管継手3のスリーブ4の第1基準位置16と第2基準位置18とは、スリーブ4の軸線に対して直交する面のリング位置にあり、スリーブ4上の位置データが既知である。
第1測定具12は、第1配管位置15に一端が取り付けられた第1筒19と、第1基準位置16に一端が取り付けられ他端が第1筒19の他端に対し入れ子式に移動する第1筒受け20と、第1筒19の第1筒受け20に対する入れ子度合から第1距離変化量V1を電気的に測定し測定データを送信する第1センサー21(図2参照)とを備えている。第2測定具14は、第2配管位置17に一端が取り付けられた第2筒23と、第2基準位置18に一端が取り付けられ他端が第2筒23の他端に対し入れ子式に移動する第2筒受け24と、第2筒23の第2筒受け24に対する入れ子度合から第2距離変化量V2を電気的に測定し測定データを送信する第2センサー25とを備えている。
第1配管1の第1配管位置15の外周には円環板状の円環部26が配設されており、スリーブ4の第1基準位置16の外周には円環板状の円環部27が配設されている。同様に、第2配管2の第2配管位置17の外周には円環板状の円環部28が配設されており、スリーブ4の第2基準位置18の外周には円環板状の円環部29が配設されている。円環部26、27、28、29には自在継手30が取り付けられている。第1筒19の一端は自在継手30を介して円環部26に取り付けられており、第1筒受け20の一端は自在継手30を介して円環部27に取り付けられており、第2筒21の一端は自在継手30を介して円環部28に取り付けられており、第2筒受け22の一端は自在継手30を介して円環部29に取り付けられている。自在継手30は、第1筒19、第1筒受け20、第2筒21及び第2筒受け22が伸縮可撓管継手3に対する第1配管1及び第2配管2の変位に円滑に正確に追従して移動するように機能する。第1筒19、第1筒受け20、第2筒21及び第2筒受け22は、自在継手30を介してそれぞれの円環部26、27、28、29に取り付けられているので、自在継手30によって、第1筒19と第1筒受け20、及び第2筒21と第2筒受け22とは常に入れ子式の関係に維持するように姿勢を正すことができ、この結果、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを得ることが可能になる。
第1センサー21及び第2センサー25は、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを地中に埋設されたケーブル32を介して地上に設置された観測装置33へ送る。
なお、第1センサー21及び第2センサー25は、ケーブル32に代えて無線によって、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを観測装置33へ送ることも可能である。
観測装置33においては、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12による複数の第1距離変化量V1から伸縮可撓管継手3に対する第1配管1の伸縮度合と傾き度合を演算し、同様に第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14による複数の第2距離変化量V2から伸縮可撓管継手3に対する第2配管2の伸縮度合と傾き度合を演算する。
なお、後述のように、観測装置33は第1距離変化量V1と第2距離変化量V2から第1配管1の伸縮度合および傾き度合、あるいは第2配管2の伸縮度合および傾き度合を演算することなく、観測装置33からさらに監視装置35に測定データを送り、この監視装置35によって第1配管1の伸縮度合および傾き度合、あるいは第2配管2の伸縮度合および傾き度合を演算してもよい(図7参照)。
<第5の実施の形態>
次に図10により本発明に係る伸縮可撓管継手の挙動探査装置の第5の実施の形態について説明する。
図10に示すように、第1配管1とスリーブ4とはじゃ腹管のような第1可撓配管47により接続され、第2配管2とスリーブ4とはじゃ腹管のような第1可撓配管49により接続されている。
そして図10において、スリーブ4と、第1可撓配管47と、第2可撓配管49とにより伸縮可撓管継手3が構成される。
図10に示す第5の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図10に示すように、挙動探査装置10は、第1測定具12が複数個の組となって構成される第1測定具群11と、第2測定具14が複数個の組となって構成される第2測定具群13とを備えている。
図10においては、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12と第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14としては、一つの第1測定具12と第2測定具14のみが示されている。実際の装置は複数の例えば4個の第1測定具12が伸縮可撓管継手3と第1配管1及び第2配管2の周方向に等間隔に配設されており、同様にして複数の例えば4個の第2測定具14が周方向に等間隔に配設されている。なお、第1測定具群11等を構成する複数の第1測定具12等の個数は、3個以上であればよく、また、周方向の配設される位置さえ特定されれば角度に対して等間隔である必要はない。
第1測定具12は、第1配管1における第1配管位置15と伸縮可撓管継手3のスリーブ4の第1基準位置16との間の距離の変化量である第1距離変化量V1を測定する。第2測定具14は、第2配管2における第2配管位置17とスリーブ4の第2基準位置18との間の距離の変化量である第2距離変化量V2を測定する。伸縮可撓管継手3のスリーブ4の第1基準位置16と第2基準位置18とは、スリーブ4の軸線に対して直交する面のリング位置にあり、スリーブ4上の位置データが既知である。
第1測定具12は、第1配管位置15に一端が取り付けられた第1筒19と、第1基準位置16に一端が取り付けられ他端が第1筒19の他端に対し入れ子式に移動する第1筒受け20と、第1筒19の第1筒受け20に対する入れ子度合から第1距離変化量V1を電気的に測定し測定データを送信する第1センサー21(図2参照)とを備えている。第2測定具14は、第2配管位置17に一端が取り付けられた第2筒23と、第2基準位置18に一端が取り付けられ他端が第2筒23の他端に対し入れ子式に移動する第2筒受け24と、第2筒23の第2筒受け24に対する入れ子度合から第2距離変化量V2を電気的に測定し測定データを送信する第2センサー25とを備えている。
第1配管1の第1配管位置15の外周には円環板状の円環部26が配設されており、スリーブ4の第1基準位置16の外周には円環板状の円環部27が配設されている。同様に、第2配管2の第2配管位置17の外周には円環板状の円環部28が配設されており、スリーブ4の第2基準位置18の外周には円環板状の円環部29が配設されている。円環部26、27、28、29には自在継手30が取り付けられている。第1筒19の一端は自在継手30を介して円環部26に取り付けられており、第1筒受け20の一端は自在継手30を介して円環部27に取り付けられており、第2筒21の一端は自在継手30を介して円環部28に取り付けられており、第2筒受け22の一端は自在継手30を介して円環部29に取り付けられている。自在継手30は、第1筒19、第1筒受け20、第2筒21及び第2筒受け22が伸縮可撓管継手3に対する第1配管1及び第2配管2の変位に円滑に正確に追従して移動するように機能する。第1筒19、第1筒受け20、第2筒21及び第2筒受け22は、自在継手30を介してそれぞれの円環部26、27、28、29に取り付けられているので、自在継手30によって、第1筒19と第1筒受け20、及び第2筒21と第2筒受け22とは常に入れ子式の関係に維持するように姿勢を正すことができ、この結果、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを得ることが可能になる。
第1センサー21及び第2センサー25は、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを地中に埋設されたケーブル32を介して地上に設置された観測装置33へ送る。
なお、第1センサー21及び第2センサー25は、ケーブル32に代えて無線によって、第1距離変化量V1及び第2距離変化量V2の測定データを観測装置33へ送ることも可能である。
観測装置33においては、第1測定具群11を構成する複数の第1測定具12による複数の第1距離変化量V1から伸縮可撓管継手3に対する第1配管1の伸縮度合と傾き度合を演算し、同様に第2測定具群13を構成する複数の第2測定具14による複数の第2距離変化量V2から伸縮可撓管継手3に対する第2配管2の伸縮度合と傾き度合を演算する。
なお、後述のように、観測装置33は第1距離変化量V1と第2距離変化量V2から第1配管1の伸縮度合および傾き度合、あるいは第2配管2の伸縮度合および傾き度合を演算することなく、観測装置33からさらに監視装置35に測定データを送り、この監視装置35によって第1配管1の伸縮度合および傾き度合、あるいは第2配管2の伸縮度合および傾き度合を演算してもよい(図7参照)。