JP2018013339A - ひずみセンサ、クラック検出用センサ及びクラック検出装置 - Google Patents

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Zymelka Daniel
ジメルカ ダニエル
小林 健
Takeshi Kobayashi
健 小林
崇博 山下
Takahiro Yamashita
崇博 山下
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Abstract

【課題】ひずみ変形を検出することができない方向は存在せず、このため、ひずみ変形方向に依存性を有しないひずみセンサを提供する。
【解決手段】シート状基材上に、印加されたひずみに応じて抵抗値が変化するひずみ受感材料を少なくとも部分的に含む導電性材料が所定のパターンとして形成されているひずみセンサである。所定のパターンは、一筆書きパターンであって、シート状基材の所定場所を中心部として、この中心部から、少なくとも3方向以上の複数の放射方向に延伸する複数個の延伸部を備えている。複数個の延伸部のそれぞれは、それぞれが延伸する放射方向に伸縮変形可能なパターン形状とされる共に、延伸部の一部または全部は、ひずみ受感材料で構成されている。複数個の延伸部を含む一筆書きパターンの所定のパターンの全体の抵抗値の変化を検出するための2個の端子を備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、ひずみセンサ及びクラック検出用センサに関する。また、この発明は、クラック検出用センサを用いたクラック検出装置に関する。
物体のひずみを測定するための力学的センサとして、ひずみゲージが知られている。このひずみゲージとしては、金属ひずみゲージや半導体ひずみゲージが知られている。これらひずみゲージは、被測定物(被検体)に接着材などにより固着して、被検体にひずみ変形が生じると、ひずみゲージも同率で変形することに基づいて、被検体のひずみ変形を検出するようにする。
一般的に知られている従来の金属ひずみゲージ1は、例えば図12に示すように、フレキシブル基板などの薄い絶縁体シート2上に、ジグザグ形状(格子状)にレイアウトされたひずみ受感材料としての金属の抵抗体(金属線や金属箔)3が取り付けられ、リード端子3a,3bが形成された構造を有している。この場合に、図12に示すように、抵抗体3がジグザグ形状に折り曲げられることにより形成されている複数の直線状部分3cは互いに平行とされており、この複数の直線状部分3cの長手方向の長さLはゲージ長と呼ばれている。
抵抗体3がジグザグ形状に折り曲げられて形成されている直線状部分3cのそれぞれは、伸びにより断面積が減ると共に、長さが長くなり、その結果、直線状部分3cの抵抗値が増加する。ひずみゲージ1では、この抵抗値変化を測定して、被検体に生じたひずみ変形を検出するようにする。つまり、従来のひずみゲージ1は、そのゲージ長の方向を、被検体が伸縮変形する方向に合わせて、当該被検体に固着することで、被検体の伸縮変形によるひずみ変形を検出するようにしている。
すなわち、従来のひずみゲージ1は、検出することができるひずみ変形方向に依存性を有し、被検体がひずみ変形する方向とゲージ長Lの方向とが一致している場合には、感度良く、ひずみ変形を検出することができるが、被検体が変形する方向とゲージ長Lの方向とが不一致の場合には、ひずみ変形の検出感度が低下する。
図13に、図12に示した従来のひずみゲージ1における、ひずみ変形方向に対する抵抗値変化の例を示す。図13は、図12に示すように、ひずみ変形方向が、ひずみゲージ1の抵抗体2の直線状部分2cの長手方向に平行な方向3A(ゲージ長Lの方向に対する傾き0°)の場合、方向3Aに対して45°異なる方向3Bの場合、方向3Aに対して90°異なる方向3Cの場合、の3方向の場合について、抵抗値変化を測定したものである。
図13において、実線4Aは、図12における方向3Aの場合の抵抗値変化を示し、粗い点線4Bは、図12における方向3Bの場合の抵抗値変化を示し、細かい点線4Cは、図12における方向3Cの場合の抵抗値変化を示している。
この図13から明らかなように、従来のひずみゲージ1は、被検体が変形する方向とゲージ長Lの方向とが不一致の場合には、その不一致の角度に応じてひずみの検出感度が低下し、90°異なると、ひずみの検出がほぼ不能になること分かる。なお、図12では、方向3A,3B,3Cは、ひずみゲージ1に対して、これを伸ばす方向の力として示したが、ひずみゲージ1に対して、これを収縮させる方向の力が印加される場合も同様である。
このひずみゲージ1の、検出することができるひずみ変形の方向に依存性を有することに鑑み、従来は、被検体に対して任意の方向に加わる力に応じたひずみを検出する場合には、複数個のひずみゲージを組み合わせてひずみセンサを用いるするようにしている(例えば、特許文献1(特開2011−164495号公報)参照)。すなわち、特許文献1では、ひずみゲージのゲージ長の方向を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3軸のそれぞれに合わせた3個のひずみゲージを組み合わせて、ひずみセンサを構成するようにしている。
特開2011−164495号公報
以上のように、従来のひずみゲージは、検出することができるひずみ変形の方向に依存性を有し、殆どひずみ変形を検出することができない方向を有するために、ひずみ変形方向が既知である被検体にのみ使用することが可能であり、例えば被検体に生じるクラックを検出する場合のように、ひずみ変形方向が未知の場合には、単独では用いることができないという問題があった。
そして、被検体のひずみ変形方向が未知である場合に、特許文献1のひずみセンサのように、ひずみゲージを複数個を組み合わせる場合には、複数個のひずみゲージのそれぞれの抵抗値変化を検出して、それらを合成してひずみ変形を検出する必要があり、ひずみ検出装置の全体としての構成が複雑となるという問題がある。また、ひずみゲージを複数個を組み合わせるために、ひずみセンサの大きさも大きくなってしまうという問題もある。
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにしたひずみセンサを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
シート状基材上に、ひずみ変形に対して抵抗値が変化するひずみ受感材料を少なくとも部分的に含む導電性材料が所定のパターンとして形成されているひずみセンサであって、
前記所定のパターンは、一筆書きパターンであって、前記シート状基材の所定場所を中心部として、前記中心部から、少なくとも3方向以上の複数の放射方向に延伸する複数個の延伸部を備えており、
前記延伸部は、それぞれが延伸する放射方向に伸縮変形可能なパターン形状とされる共に、前記延伸部の一部または全部は、前記ひずみ受感材料で構成されており、
前記一筆書きパターンの前記所定のパターンの全体の抵抗値の変化を検出するための2個の端子を備える
ことを特徴とするひずみセンサを提供する。
上述の構成の請求項1の発明によるひずみセンサは、シート状基材の所定場所に設定された中心部から、少なくとも3方向以上の複数の放射方向に延伸する延伸部を備える。したがって、請求項1の発明によるひずみセンサおいては、ひずみ変形方向がいずれの方向であっても、複数の放射方向に延伸する延伸部のそれぞれには、ひずみ変形方向とそれぞれの延伸部の放射方向との違いに応じた伸縮変形が生じるので、2個の端子の間の全体の抵抗値は、ひずみ変形に応じて変化する。
すなわち、請求項1の発明によれば、ひずみ変形を検出することができない方向を殆ど有さないので、ひずみ変形方向に依存せずに、生じたひずみ変形を検出することができるひずみセンサを実現することができる。
この発明によれば、少なくとも3方向以上の複数の放射方向に延伸する複数の延伸部を備える一筆書きパターンを具備することで、ひずみ変形を検出することができない方向は存在せず、このため、ひずみ変形方向に依存性を有しないひずみセンサを実現することができる。
この発明によるひずみセンサの第1の実施形態を説明するための図である。 この発明によるひずみセンサの第1の実施形態の等価回路を示す図である。 この発明によるひずみセンサの第1の実施形態の要部を説明するための図である。 この発明によるひずみセンサの第1の実施形態についてひずみに応じた出力電圧を検出するひずみ検出回路の一例を示す図である。 この発明によるひずみセンサの第1の実施形態の効果を説明するために用いる図である。 この発明によるひずみセンサの第1の実施形態の効果を説明するために用いる図である。 この発明によるひずみセンサの第2の実施形態を説明するための図である。 この発明によるひずみセンサの第2の実施形態の等価回路を示す図である。 この発明によるひずみセンサの他の実施形態を説明するための図である。 この発明によるクラック検出用センサ及びクラック検出装置の実施形態を説明するための図である。 この発明によるクラック検出用センサ及びクラック検出装置の実施形態の使用例を説明するための図である。 従来のひずみセンサの例を説明するための図である。 図12の従来のひずみセンサの方向依存性を説明するための図である。
以下、この発明によるひずみセンサ及びこの発明のひずみセンサを用いたクラック検出センサ、更に、クラック検出センサを備えるクラック検出装置の実施形態を、図を参照しながら説明する。
[ひずみセンサの第1の実施形態]
図1は、この発明によるひずみセンサの第1の実施形態を示すものである。この実施形態のひずみセンサ11は、フレキシブル基板などの薄い絶縁体シートからなるシート状基材12の一面上に、図1に示すような放射状パターンからなる無方向性(非方向依存性)ひずみ検知パターン13が形成されたものである。シート状基材12は、例えば接着材により被検体に固着されたときに、被検体に生じたひずみ変形に伴ってひずみ変形をするもので構成されている。後述する他の例のひずみセンサ及びクラック検出用センサのシート状基材も同様である。
無方向性ひずみ検知パターン(以下、無方向性パターンと略称する)13は、ひずみ受感材料からなる線状パターンあるいは箔パターン、この例では箔パターンにより形成される。この無方向性パターン13の箔パターンは、矩形形状のシート状基材12上に、例えば印刷や蒸着により形成される。ひずみ受感材料は、この例では、ひずみ変形に対して抵抗値を変える導電性材料であって、例えばグラファイト、銅、コンスタンタン、カーボンナノチューブなどのうちのいずれか、あるいは、それらの混合物で構成され、この例ではコンスタンタン(お願い:一例としてコンスタンタンを記しましたが、適切な材料名を挙げて下さい)が用いられる。
無方向性パターン13は、この例では、2個のリード端子13a及び13bの間を、箔パターンによる一筆書きパターンで連結したものである。したがって、無方向性パターン13の等価回路は、図2に示すように、リード端子13aとリード端子13bとの間に、ひずみ変形により抵抗値を変える抵抗RVが接続されたものとなる。
そして、ひずみセンサ11の無方向性パターン13の幾何学的形状は、シート状基材12のほぼ中心位置近傍を、その放射状パターンの中心部14として、当該中心部14から、n(nは3以上)個の放射方向に形成されているn個の延伸部15を備える。図1の例の無方向性パターン13では、中心部14を中心とした円周方向の360°角範囲を、16等分(22.5°の角間隔)したn=16個の延伸部15を、放射状に備える。
図1の例の無方向性パターン13では、ひずみ変形方向によって抵抗変化が異ならないように、16個の延伸部15のパターン形状及び放射方向の長さ等の寸法は同一とされている。図3に示すように、所定の一つの延伸部とその両隣の延伸部(図3では、延伸部15Aと、その両隣の延伸部15B,15C)とを抜き出して、一つの延伸部15(図3では延伸部15A)の構成について説明する。
すなわち、延伸部15Aは、図3に示すように、その放射方向RAに沿った1対の延伸方向パターン151及び152と、当該1対の延伸方向パターン151及び152を、その延伸方向の先端で連結する先端連結部153とにより形成される折り返しパターン154を備える。この例の場合、延伸部15Aの延伸方向パターン151及び152は、当該延伸部15Aが延伸される放射方向RAに平行で、幅(箔パターンの幅)が一定の直線状パターンとされている。
そして、延伸部15Aの先端連結部153は、図3の例では、1対の延伸方向パターン151及び152間を曲線状に連結するアーチ形状を備えている。先端連結部153は、この例のようなアーチ形状にするのは必須ではなく、例えばコの字形状であってもよい。要は、1対の延伸方向パターン151及び152間を、放射方向の先端部で連結するようにすればよい。
また、延伸部15Aの1対の延伸方向パターン151及び152のうちの一方の延伸方向パターン151の中心部14側は、左側に隣接する延伸部15Bの1対の延伸方向パターン151及び152の内の他方の延伸方向パターン152と中心部側連結部155Lにより連結されている。また、延伸部15Aの1対の延伸方向パターン151及び152のうちの他方の延伸方向パターン152の中心部14側は、右側に隣接する延伸部15Cの1対の延伸方向パターン151及び152の内の一方の延伸方向パターン151と中心部側連結部155Rにより連結されている。
そして、以上のように構成されているので、延伸部15Aは、2個の延伸方向パターン151及び152の、先端連結部153を除く部分から、中心部側連結部155L及び155Rまでの長さLD(図3参照)の部分が、当該延伸部15Aの放射方向のひずみ変形に対して高感度で抵抗値を変化する有効部(ゲージ長に対応)となる。
以上は、無方向性パターン13の16個の延伸部15の内の特定の1個の延伸部15Aについての説明であるが、16個の延伸部15のそれぞれについて、同様に構成されているものである。すなわち、この例のひずみセンサ11の無方向性パターン13においては、16個の延伸部15は、中心部14からの放射方向が異なるのみで、形状及び長さ、幅(箔パターンの幅のみではなく、折り返しパターン154の幅を含む)等の寸法が同一に構成されている。ただし、図1の例では、例えば、シート状基材12の長手方向に沿う方向を放射方向とする1個の延伸部15Tの延伸方向パターン151及び152の先端部は、互いには連結されずに、リード端子13a及びリード端子13bのそれぞれに接続されている。
こうして、16個の延伸部15の延伸方向パターン151及び152の内の、リード端子13a及び13bと接続される延伸部15Tの延伸方向パターン151及び152を除く全ての延伸部15について、上述した先端連結部153による連結と、中心部側連結部155L及び155Rによる連結とをすることによって、リード端子13aとリード端子13bとの間には、16個の延伸部15を備える一筆書きパターンからなる無方向性パターン13が生成される。
この実施形態のひずみセンサ11によれば、当該ひずみセンサ11を、ひずみ変形が生じる被検体に、シート状基材12を接着材により接着して固着したときには、被検体に生じるひずみ変形方向に関係なく、当該ひずみ変形を確実に検出することができる。
すなわち、ひずみセンサ11の無方向性パターン13に含まれる16個の延伸部15のそれぞれには、その放射方向と、被検体に生じるひずみ変形方向との一致度合あるいは異なり度合に応じた伸縮が生じる。つまり、被検体に生じるひずみ変形方向がいずれの方向であっても、16個の延伸部15のそれぞれには、ひずみ変形の大きさ及びひずみ変形方向とそれぞれ延伸部15の放射方向との違いに応じた伸縮が生じる。そして、ひずみセンサ11の無方向性パターン13のリード端子13aとリード端子13bとの間の抵抗RVには、それぞれの延伸部15の伸縮に応じた抵抗値変化の総合変化が生じる。
この場合に、この実施形態のひずみセンサ11の無方向性パターン13に含まれる16個の延伸部は、中心部14を中心として円周方向に等角間隔で配置されていると共に、延伸する方向(放射方向)が異なるだけで、形状及び長さ、幅等の寸法が同一に構成されている。このため、ひずみセンサ11の無方向性パターン13のリード端子13aとリード端子13bとの間の抵抗RVの抵抗値変化は、ひずみ変形の方向に関係なく、ひずみ変形の大きさに応じたものとなる。
したがって、ひずみセンサ11のリード端子13aとリード端子13bとの間の抵抗RVの抵抗値の変化を検出することにより、被検体に生じるひずみ変形方向がいずれの方向であっても、そのひずみ変形の大きさを検出することができる。
この場合に、この実施形態のひずみセンサ11の無方向性パターン13の複数個の延伸部15は、偶数個であって、かつ、等角間隔で形成されている。このため、中心部14を跨いで対向している2個の延伸部15は、180°の角間隔となり、一つの放射方向の延長方向となっている。当該180°角間隔離れた2個の延伸部では、その延伸方向のひずみ変形に対して同様の伸縮をするので、その延伸方向のひずみ変形に対する検出感度が2倍になるのに等しい。したがって、この実施形態のひずみセンサ11は、複数個の延伸部15が、等角間隔であって、奇数個である場合よりも、それぞれの方向のひずみ変形を感度良く検出することができるという効果がある。
例えば、被検体に、図3に示した放射方向RAの方向のひずみ変形が生じたときには、ひずみセンサ11においては、当該放射方向RAに延伸している延伸部15Aと、当該延伸部15Aと180°角間隔離間している延伸部15Tとにおいて、大きな伸縮が生じて、リード端子13aとリード端子13bとの間の抵抗RVには、図13で実線で示したような大きな抵抗値変化が得られる。
そして、同時に、延伸部15Aの両隣の22.5°の角間隔離れた延伸部15B及び延伸部15Cと、それらと180°角間隔だけ離間している2個の延伸部15との合計4個の延伸部15には、延伸部15Aよりは、ひずみ変形方向と延伸方向の違いである22.5°に応じた若干小さい伸縮が生じて、それに応じた抵抗変化が生じる。さらに、延伸部15Aと、45°の角間隔離れた2個の延伸部15と、それらと180°角間隔だけ離間している2個の延伸部15との合計4個の延伸部15には、延伸部15Aよりは、ひずみ変形方向と延伸方向の違いである45°に応じたさらに小さい伸縮が生じ、それに応じた抵抗変化が生じる。
さらに、また、延伸部15Aと、67.5°の角間隔離れた2個の延伸部15と、それらと180°角間隔だけ離間している2個の延伸部15との合計4個の延伸部15には、延伸部15Aよりは、ひずみ変形方向と延伸方向の違いである67.5°に応じたさらに小さい伸縮が生じ、それに応じた抵抗変化が生じる。なお、延伸部15Aと、90°の角間隔離れた2個の延伸部15では、図13に示したように、ひずみ変形方向RAのときには、殆ど伸縮が生じず、抵抗値変化もほとんど得られない。
リード端子13aとリード端子13bとの間の抵抗RVには、以上のように複数個の延伸部15のそれぞれに生じた抵抗変化の総合の抵抗値変化が生じる。
[ひずみセンサの抵抗値変化の検出回路例]
図4は、この実施形態のひずみセンサ11の抵抗値変化を検出するひずみ検出回路の一例を説明するための回路図であり、この図4の例のひずみ検出回路は、公知のホイートストンブリッジを用いた構成である。
すなわち、抵抗器21と抵抗器22との直列回路と、ひずみセンサ11と抵抗器23との直列回路とが並列に接続されると共に、抵抗器21と抵抗器22との直列回路と、ひずみセンサ11と抵抗器23との直列回路とに、電源24からの電圧Eが印加される。そして、抵抗器21と抵抗器22との接続点と、抵抗器21と抵抗器22との接続点とが、それぞれ出力電圧検出回路25に接続される。
図4に示すように、抵抗器21,22,23の抵抗値をR1,R2,R3とすると、ひずみセンサ11の抵抗値はRVであるので、出力電圧検出回路25では、
e0=(RV×R2−R1×R2)×E/(VR+R3)×(R1+R2)
なる演算式により求められる出力電圧e0を検出する。
ここで、ひずみセンサ11にひずみ変形が加わっていないときの抵抗値をR0としたとき、R0=RV=R1=R2=R3に選定されている。したがって、ひずみセンサ11にひずみ変形が加わっていないときの出力電圧検出回路25で検出される出力電圧e0は、上記の演算式からe0=0となる。
ひずみセンサ11にひずみ変形が加わって、その抵抗値が、RV+ΔRVになった時には、出力電圧検出回路25で検出されるそのひずみ変形に対応する出力電圧Δeは、
Δe=ΔRV×E/(4R0+2ΔRV)
となり、ΔRV<<RVである場合には、2ΔRV<<4ROであるので、
Δe=ΔRV×E/4R0
となる。
上述したように、この実施形態のひずみセンサ11は、ひずみ変形方向に関係なく、同じ大きさのひずみ変形を受けたときには、ほぼ同じ抵抗値変化を生じる。したがって、出力電圧検出回路25では、ひずみ変形方向に関係なく、ひずみセンサ11に加わったひずみ変形の大きさに応じた出力電圧Δeが検出される。
図5は、ひずみセンサ11のひずみ変形方向に依存しないことを検証するための検証装置を説明するための図である。そして、図6は、図5の検証装置で測定した複数のひずみ変形方向おけるひずみセンサ11の抵抗値変化を示す図である。
図5の例の検証装置は、弾性変形が可能な矩形の板状体31を被検体として、その長手方向の一端31aが、固定部材32に対して取り付けられた片持ち梁構造を有するもので、板状体31の他端31b側は、図5で矢印FDで示すように、当該板状体31の板面に直交する方向に押下することで、自由に撓むことができるようにされている。
そして、この板状体31の一端側31aの、当該板状体31が図5で矢印FDで示す方向に押下されたときに板状体31の長手方向(図5の矢印SD)に伸縮ひずみ変形する位置には、ひずみセンサ11のリード端子13a及びリード端子13bが接続されている延伸部15Tの延伸方向を基準にして、互いに異なる方向に、ひずみセンサ11が接着材により固着されている。図5の例では、3個のひずみセンサ11A、11B、11Cの延伸部15Tの延伸方向のそれぞれが、板状体31の長手方向(矢印SD)に対して、それぞれ0°、45°、90°の角度だけ異なるように固着されている。
この状態で、板状体31の他端31b側を矢印FDの方向に押下したときには、ひずみセンサ11A、11B、11Cに対して、矢印SDの方向の伸縮が生じ、それに応じて、ひずみセンサ11A、11B、11Cのそれぞれのリード端子13a及びリード端子13bの間に形成される抵抗値RVが変化する。
図6は、このときのひずみセンサ11A、11B、11Cのそれぞれのリード端子13a及びリード端子13bの間に形成される抵抗値の変化を示す。この図6において、実線41Aは、ひずみセンサ11Aの抵抗値変化を示し、粗い点線41Bは、ひずみセンサ11Bの抵抗値変化を示し、細かい点線41Cは、ひずみセンサ11Cの抵抗値変化を示している。
この図6から明らかなように、この実施形態のひずみセンサ11を、被検体としての板状体31に対してどの方向に向けて固着しても、被検体としての板状体31に生じるひずみ変形に応じた、ひずみセンサ11の抵抗値変化はほぼ同様となる。すなわち、この実施形態のひずみセンサ11は、ひずみ変形方向に依存性を有さずに、当該ひずみセンサ11に印加されるひずみ変形の大きさを検出することができる。
[第1の実施形態のひずみセンサ11の効果]
以上のようにして、上述した第1の実施形態のひずみセンサ11は、所定の中心部を中心として、複数個の放射方向に延伸部15を備えるので、図12で説明した従来のひずみゲージ1の、ゲージ長の方向とひずみ変形方向とが90°の場合のように、ひずみ変形を検出できない方向は存在しない。
そして、上述の実施形態のひずみセンサ11においては、複数個の延伸部15は、等角間隔で形成されていると共に、延伸方向(放射方向)の長さ及び寸法関係が等しく形成されているので、ひずみセンサ11は、ひずみ変形方向に関係なく、ひずみ変形の大きさに応じた抵抗値変化をする。したがって、この実施形態のひずみセンサ11を用いたひずみ検出装置においては、ひずみ変形方向に関係なく、そのひずみ変形の大きさに応じたひずみ検出出力を得ることができる。
また、上述の実施形態のひずみセンサ11においては、複数個の延伸部15の数は偶数個であるので、互いに180°の角間隔離れた位置に2個の延伸部15が存在する構成となる。このため、ひずみ変形に対して2個の延伸部15のペアに同様の抵抗変化が生じることになり、効率良く、ひずみ変形を検出することができるという効果もある。
[ひずみセンサの第2の実施形態]
上述した第1の実施形態のひずみセンサ11では、無方向性パターン13が備える複数個の延伸部15の内の一つの延伸部15Tは、1対の延伸方向パターン151及び152の先端部の先端部では連結せずに、1対の延伸方向パターン151及び152のそれぞれの先端部からリード端子13a及びリード端子13bを導出するようにした。これに対して、第2の実施形態のひずみセンサは、2個のリード端子の導出の方法が異なる。
図7は、第2の実施形態のひずみセンサ51の一例を示すもので、第1の実施形態のひずみセンサ11と同様に、矩形状のシート状基材52上に、同一形状及び同一寸法の16個の延伸部51が等角間隔で形成されている無方向性パターン53を備える。この第2の実施形態のひずみセンサ51では、16個の全ての延伸部51を構成する1対の延伸方向パターン551及び552の先端は先端連結部553で全て連結して、全ての延伸部51を折り返しパターン554の構成とする。そして、折り返しパターン554で構成される各延伸部51の1対の延伸方向パターン551及び552の中心部54側は、隣接する延伸部51と連結部555L及び555Rにより連結する。
そして、図7の例の第2の実施形態のひずみセンサ51では、互いに180°の角間隔離れた2個の延伸部55、図7の例では、シート状基材52の横方向に沿った2個の延伸部55TAと延伸部55TB、の一方の先端部から、ひずみセンサ51の一方のリード端子53aが導出され、また、他方の先端部からひずみセンサ51の他方のリード端子53bが導出される。
このように構成された第2の実施形態のひずみセンサ51は、リード端子53aとリード端子53bの中心を通る、図7で一点鎖線で示す直線SLよりも、上側の180°の角範囲部分SCaと、下側の180°の角範囲部分SCbとにそれぞれ存在する複数個の延伸部55で構成される抵抗値RVaと、抵抗値RVbとが、図8に示すように、並列に接続された構成を、等価的に備えるものとなる。ここで、図7の実施形態のひずみセンサ51では、RVa=RVbとなっているものである。
なお、リード端子53aに接続される延伸部55TAと、リード端子53bに接続される延伸部55TBとのそれぞれの1対の延伸方向パターン551,552は、一方が角範囲部分SCaに含まれ、他方が角範囲部分SCbに含まれることになる。
また、この第2の実施形態のひずみセンサ51は、見方を変えると、シート状基材52上に、互いに180°の角間隔離れたリード端子53aとリード端子53bとの間において、上側の180°の角範囲部分SCaに、一筆書きパターンによる複数個(7個)の延伸部55が形成されると共に、下側の180°の角範囲部分SCaに、一筆書きパターンによる複数個(7個)の延伸部55が形成されているものであって、リード端子53aとリード端子53bが先端部から導出されている2個の延伸部55TA及び55TBを含めて、合計16個の延伸部55を備える無方向性パターン53が形成されていると表現することもできる。
この第2の実施形態のひずみセンサ51は、図4に示したひずみ検出回路において、ひずみセンサ11に代えて接続されることにより、前述の第1の実施形態のひずみセンサ11と同様にして、ひずみ変形の大きさに応じた出力電圧を、ひずみ変形方向に依存性無く検出することができる。
この第2の実施形態のひずみセンサ51によれば、上述した第1の実施形態と同様の効果を奏する。
[ひずみセンサのその他の実施形態または変形例]
ひずみセンサ11の複数個の延伸部15及びひずみセンサ51の複数個の延伸部55は、上述の実施形態では、等角間隔で偶数個、上述の例では16個としたが、3個以上であれば、等角間隔で奇数個を配設するようにしてもよい。
また、前述もしたように、ひずみセンサ11の複数個の延伸部15及びひずみセンサ51の複数個の延伸部55における延伸方向パターン151,152及び延伸方向パターン551,552は、直線状パターンとしたが、放射方向に沿って延伸していれば、曲線状パターンであってもよい。また、1対の延伸方向パターン151,152及び1対の延伸方向パターン551,552の幅(箔パターンの幅)は一定でなくてもよい。ただし、ひずみ変形の大きさを、ひずみ変形方向に依存性なく検出する場合には、ひずみセンサ11の複数個の延伸部15及びひずみセンサ51の複数個の延伸部55は、同一の形状及び同一の寸法で形成するようにする必要があることは前述した通りである。
また、上述の実施形態では、ひずみセンサ11及びひずみセンサ51は、中心部14及び中心部54を中心とした360°の範囲に、複数個の延伸部15及び複数個の延伸部55を形成するようにしたが、中心部14及び中心部54を中心とした360°より小さいの所定の角度範囲分に、複数個の延伸部15及び複数個の延伸部55を形成するようにした構成とするようにしてもよい。
例えば、図9は、そのような構成例の一例であって、この例は、第2の実施形態のひずみセンサ51の変形例であり、当該ひずみセンサ51の内の上側の180°の角範囲SCa分に相当するひずみセンサ51Aの場合を示している。なお、第1の実施形態のひずみセンサ11についても同様の変形例を構成することができる。
この図9のひずみセンサ51Aは、矩形形状のシート状基材52Aにおいて、その所定の位置に放射方向の中心部54Aが定められ、この中心部54Aを中心とした180°の角範囲に、22.5°の角間隔で、9個の延伸部55Aが形成されて、無方向性パターン53Aが形成されたものである。
そして、この図9のひずみセンサ51Aは、9個の延伸部の内、互いに180°の角間隔離れた2個の延伸部55ATA及び55ATBとを除く7個の延伸部55Aは、前述した第2の実施形態と同様に、1対の延伸方向パターン551A及び552Aと、それら延伸方向パターン551A,552Aを、その先端連結部553で連結した折り返しパターン554で構成されている。折り返しパターン554からなる延伸部55Aの隣接するもの同士は、中心部54側において、中心部連結部554AL及び中心部連結部554ARにより連結されている。
この7個の延伸部55Aの折り返しパターン554Aの延伸方向(中心部54Aを放射中心とした放射方向)の長さ及び延伸方向パターン551A及び552Aの幅などの寸法は、第2の実施形態と同様に、全て同一に構成されている。
そして、この図9の例においては、180°の角間隔離れた2個の延伸部55ATA及び55ATBは、折り返しパターンの構成とはなっておらず、それぞれ1個づつの延伸方向パターンを備えるものとされている。そして、延伸部55ATA及び55ATBを構成する延伸方向パターンの先端から、リード端子53Aa及びリード端子53Abが導出される。
この図9の例のひずみセンサ51Aは、リード端子53Aa及びリード端子53Abとの間に形成される抵抗値が、図8に示した抵抗値RVaに等しいものとなる。この図9の例のひずみセンサ51Aにおいても、ひずみ変形方向に依存することなく、ひずみ変形の大きさに応じた抵抗値変化をする。したがって、図4に示したひずみ検出回路のホイートストンブリッジに接続したひずみセンサ11の代わりに、この図9の例のひずみセンサ51Aを接続することで、出力電圧検出回路25においては、ひずみ変形方向に依存することなく、ひずみ変形の大きさに応じた検出出力を得ることができる。
以上は、この発明のひずみセンサについて、ひずみ変形方向が全く未知である場合を想定した場合であるが、ひずみ変形方向が所定の角度範囲に生じることが分かっている場合には、3個以上の複数個の延伸部をその角度範囲に設けることにより、当該角度範囲内においては、ひずみ変形の大きさに応じた検出出力を得ることができるように構成することができる。
以上の変形例は、ひずみ変形方向に関係なく、ひずみ変形の大きさに応じた抵抗値変化を呈することができるように構成した場合である。しかし、この発明によるひずみセンサは、放射方向に3個以上の複数個の延伸部を備えるので、前述した図12に示した従来のひずみセンサの場合のような、ひずみ変形を検出できない方向(図13の90°の場合参照)は、この発明によるひずみセンサでは存在しない。
したがって、この発明によるひずみセンサにおいては、ひずみ変形による抵抗値変化がひずみ変形方向によって異なったとしても、いずれのひずみ変形方向に対しても所定値以上の抵抗値変化が得られる。よって、ひずみ変形による抵抗値変化がひずみ変形方向によって異なったとしても、ひずみセンサに生じる抵抗値変化により、閾値以上の検出出力が得られるように構成することができる。
このように、ひずみ変形による抵抗値変化がひずみ変形方向によって異なってもよい場合を想定した場合には、この発明によるひずみセンサにおいて、上述のように等角間隔で延伸部を配することは必須ではないし、また、延伸部を構成する対の延伸方向パターンの長さ及び折り返しパターンの形状や寸法も、全ての延伸部で全く等しく選定することも必須ではない。
また、延伸部の対の延伸方向パターンの一方と他方とで、幅を異ならせてもよい。また、複数個の延伸部の延伸方向の長さ(延伸方向パターンの長さ)も、全てを同じにしなくてもよい。また、複数個の延伸部のそれぞれは、他の延伸方向の延伸部15と形状を異ならせたり、長さや幅等の寸法を異ならせたりしてもよい。
また、上述の実施形態のひずみセンサ11あるいはひずみセンサ51では、無方向性パターン13あるいは無方向性パターン53は、全て、ひずみ受感材料で構成するようにした。しかし、ひずみ変形に応じて有効に働く部分は、複数個の延伸部15あるいは延伸部55の延伸方向パターン151,152あるいは延伸方向パターン551,552の部分であるので、この延伸方向パターン151,152あるいは延伸方向パターン551,552の部分のみをひずみ受感材料で構成し、その他の先端連結部153あるいは553や中心部連結部155L,155R及び555L,555Rは、導電性材料で構成するようにしてもよい。そして、さらには、延伸部15あるいは延伸部55の延伸方向パターン151,152あるいは延伸方向パターン551,552の延伸方向の全体をひずみ受感材料で構成するのではなく、その延伸方向の一部をひずみ受感材料で構成するようにしてもよい。
[クラック検出用センサ及びクラック検出装置の実施形態]
以上説明したように、この発明によるひずみセンサは、ひずみ変形方向には依存することなく、ひずみ変形を検出することが可能になる。そこで、この発明によるひずみセンサを用いて、発生する方向が未知であって任意であるクラックの検出が可能となる。
この場合に、上述したひずみセンサの1個のみをクラック検出用として用いて、クラック検出用センサを構成することは勿論できるが、以下に説明する実施形態では、被検体において、クラックを生じる可能性のある比較的広い領域をカバーし、その領域内のいずれの位置でクラックが生じているかを検出することができるクラック検出用センサの場合について説明する。
図10は、この発明によるクラック検出用センサの一実施形態と、当該クラック検出用センサを用いたクラック検出装置の一実施形態の全体の概要を示すである。この実施形態のクラック検出装置は、この発明によるクラック検出用センサの一実施形態としてのクラック検出用センサ61と、ひずみ検出回路群71と、クラック発生位置判別回路72と、クラック発生位置表示部73とからなる。
クラック検出用センサ61は、矩形形状のシート状基材62の一面上に、複数個のひずみセンサ11ij(i=1,2,・・・,n、j=1,2,・・・,m)が形成されて構成されたクラック検出パターン63を備えている。クラック検出パターン63を構成する複数個のひずみセンサ11ijのそれぞれは、図10の例では、第1の実施形態のひずみセンサ11と同様の構成とされている。なお、複数個のひずみセンサ11ijのそれぞれを、第2の実施形態のひずみセンサ51と同様の構成としてもよいことは言うまでもない。
そして、クラック検出用センサ61においては、複数個のひずみセンサ11ijのそれぞれの2個のリード端子(図10では、参照符号は省略)からリードパターンが導出されると共に、その複数個のひずみセンサ11ijからのリードパターンは、矩形形状のシート状基材62の1辺側に集約されて、外部回路との接続用のコネクタ部64が形成されている。
図10の例においては、複数個のひずみセンサ11ijは、矩形形状のシート状基材62の一面上において、横方向をX軸方向、縦方向をY軸方向として、マトリクス状に配列されている。ひずみセンサ11ijのサフィックスi(i=1,2,・・・,n)は、矩形形状のシート状基材62のX軸方向の位置を示し、また、サフィックスj(j=1,2,・・・,m)は、矩形形状のシート状基材62のY軸方向の位置を示している。ここで、X軸方向の位置及びY軸方向の位置は、図10から理解されるように、点的な位置ではなく、ひずみセンサ11ijの大きさに応じた領域範囲の位置を示している。
例えば、矩形形状のシート状基材62の左上側を基準としたときに、図10において、横方向の領域X1及び縦方向の領域Y1には、ひずみセンサ1111が配置されており、また、横方向の領域X2及び縦方向の領域Y1には、ひずみセンサ1121が配置されており、・・・、横方向の領域Xn及び縦方向の領域Ymには、ひずみセンサ11nmが配置されている。
ひずみ検出回路群71は、図示は省略するが、前述の図4に示したひずみ検出回路を、複数個のひずみセンサ11ijのそれぞれに対して備えている。そして、クラック検出用センサ61のコネクタ部64の各ひずみセンサ11ijのそれぞれの2個の端子が、ひずみ検出回路群71の、対応するひずみ検出回路に接続されるように、クラック検出用センサ61のコネクタ部64に対して、ひずみ検出回路群71が接続される。この場合に、各ひずみセンサ11ijのそれぞれの2個の端子は、図4に示したように、対応する各ひずみ検出回路のホイートストンブリッジ回路において、ひずみセンサ11ijが接続されるべき部分に接続されるようにされる。
ひずみ検出回路群71の各ひずみ検出回路の出力電圧検出回路25(図4参照)に得られる出力電圧のそれぞれは、クラック発生位置判別回路72に供給される。クラック発生位置判別回路72では、ひずみ検出回路群71の各ひずみ検出回路の出力電圧検出回路25からの出力電圧が、クラック検出用センサ61の複数個のひずみセンサ1111〜11nmの内のいずれのひずみセンサ11ijについての出力電圧であるかを認識している。
クラック発生位置判別回路72は、ひずみ検出回路群71の各ひずみ検出回路の出力電圧検出回路25からの出力電圧のそれぞれを監視して、クラックの発生位置を判別する。そして、クラック発生位置判別回路72は、複数個のひずみ検出回路の出力電圧検出回路25からの出力電圧のうち、例えば所定の閾値を超えた出力電圧を検出したときには、対応するひずみセンサ11ijの位置にクラックが発生したとして検出し、その検出位置(シート状基材62上の位置)のX軸方向の位置情報及びY軸方向の位置情報を、クラック発生位置表示部73に出力する。
クラック発生位置表示部73は、この例では、表示用ディスプレイを備え、予め用意されているクラック検出用センサ61の表示画像上に、クラックが発生した位置を表示するようにする。この例の場合、クラックが発生した位置は、X軸方向の位置と、Y軸方向の位置とで特定されるひずみセンサ11ijが存在する領域を、点滅表示したり、色を変えたりして、他の領域と区別できる表示をすることで表示する。なお、クラック発生位置表示部73は、パソコンで構成することができる。
図11は、被検体80に、クラック検出用センサ61が、例えば接着材により固着された状態を示している。この場合に、被検体80に図11に示すようにクラック81が発生したときには、そのクラック81の発生部分においては、被検体80には、クラックの発生位置を境に両側に離れようとするひずみ変形が生じる。
このひずみ変形は、被検体80に固着されているクラック検出用センサ61においても同様に生じる。このため、クラック81の発生位置のひずみセンサ11ijは、2個のリード端子間の抵抗値が変化するので、ひずみ検出回路群71の対応するひずみ検出回路の出力電圧が閾値を超えるように変化する。
クラック発生位置判別回路72は、出力電圧が閾値を超えたひずみ検出回路を検出すると、当該ひずみ検出回路に対応するX軸方向及びY軸方向の位置を判別し、その判別結果の位置情報を、クラック発生位置表示部73に出力する。クラック発生位置表示部73では、その位置情報で示される一つのひずみセンサが存在する矩形領域のそれぞれを、点滅表示したり、色を変えたりして、クラックが発生した位置をディスプレイの観視者に対して報知する。
以上のようにして、この実施形態のクラック検出装置によれば、クラック検出用センサ61において複数個のひずみセンサ11ijのそれぞれが配設されている領域の単位で、クラックが発生した位置を検出することができる。この場合に、複数個のひずみセンサ11ijのそれぞれは、ひずみ変形方向には依存することなく、任意の方向のひずみ変形を検出することができるので、発生方向が未知のクラックの発生位置を確実に検出することができる。
[クラック検出用センサ及びクラック検出装置の他の実施形態]
上述の実施形態のクラック検出用センサでは、複数個のひずみセンサをシート状基材のX軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配設するようにしたが、複数個のひずみセンサのシート状基材における配設の仕方は、これに限られるものではないことは言うまでもない。例えば、複数個のひずみセンサをX軸方向のみに一列に、あるいはY軸方向に一列に、配設するようにしてもよい。また、複数個のひずみセンサのシート状基材上の配置位置を、クラック発生位置判別回路72で認識しているのであれば、複数個のひずみセンサのシート状基材上の配置位置は、どのような配置であってもよい。
また、クラック検出用センサのシート状基材の形状は、矩形形状に限られるものではなく、円形や多角形の形状でもよいし、被検体の形状に合わせた任意の形状であってもよい。ただし、その場合においても、クラック発生位置判別回路72は、複数個のひずみセンサのシート状基材上の配置位置を認識しており、各ひずみセンサに対応するひずみ検出回路の出力電圧を監視するようにするものである。
また、上述した実施形態のクラック検出用センサ及びクラック検出装置は、シート状基材62のいずれの位置でクラックが発生しているかを検出することができるようにするために、クラック検出用センサでは、複数個のひずみセンサの2個のリード端子のそれぞれから独立のリード端子を導出すると共に、複数個のひずみセンサのそれぞれに対応する複数個のひずみ検出回路を備えるひずみ検出回路群を設けるようにした。
しかし、シート状基材62内の位置は問題にせずに、当該シート状基材62内で発生するクラックを検出する用途であれば、複数個のひずみセンサ11ijのそれぞれの2個のリード端子の一方を共通に接続すると共に、複数個のひずみセンサ11ijの2個のリード端子の他方を共通に接続して、コネクタ部64´には2個のコネクタ端子のみを備えるクラック検出用センサ61´の構成することもできる。
このように構成した場合には、クラック検出用センサ61´のシート状基材62内でクラックが発生した場合には、複数個のひずみセンサ11ijのいずれか一つあるいは複数個で、そのクラックに応じたひずみ変形による抵抗値変化が生じる。そして、その抵抗値変化分は、クラック検出用センサ61´のコネクタ部64´の2個の端子間に得られる抵抗値の変化分として検出することができ、当該抵抗値変化分に応じた出力電圧が所定の閾値を超えたか否かにより、クラック検出用センサ61´のシート状基材62内で発生したクラックを検出することができる。
なお、このクラック検出用センサ61´の場合には、ひずみセンサが複数個ではなく、1個の場合も含むものである。
[その他の実施形態または変形例]
なお、上述の実施形態では、シート状基材上に、ひずみ変形に応じて抵抗値を変化させるひずみ受感材料による線状パターンあるいは箔状パターンを印刷や蒸着により形成するようにした、いわゆる金属ひずみゲージの構成としたが、半導体ひずみゲージの構成とすることもできる。半導体ひずみゲージは、半導体の電気抵抗率が応力により変化するピエゾ抵抗効果(piezoresistive effect)や、印加された圧力に比例した分極(表面電荷)が現れる圧電効果(piezorelectric effect)を利用したひずみゲージである。
11,51,51A…ひずみセンサ、12,52,52A…シート状基材、13,53,53A…無方向性パターン、13a,13b,53a,53b,53Aa,53b…リード端子、14,54,54A…中心部、15,55,55A…延伸部、151,152,551,552,551A,552A…延伸方向パターン、154,554,554A…折り返しパターン、61…クラック検出用センサ、62…シート状基材、63…クラック検出パターン、64…コネクタ部、71…ひずみ検出回路群、72…クラック発生位置判別回路、73…クラック発生位置表示部

Claims (14)

  1. シート状基材上に、印加されたひずみに応じて抵抗値が変化するひずみ受感材料を少なくとも部分的に含む導電性材料が所定のパターンとして形成されているひずみセンサであって、
    前記所定のパターンは、一筆書きパターンであって、前記シート状基材の所定場所を中心部として、前記中心部から、少なくとも3方向以上の複数の放射方向に延伸する複数個の延伸部を備えており、
    前記複数個の延伸部のそれぞれは、それぞれが延伸する放射方向に伸縮変形可能なパターン形状とされる共に、前記延伸部の一部または全部は、前記ひずみ受感材料で構成されており、
    前記複数個の延伸部を含む一筆書きパターンの前記所定のパターンの全体の抵抗値の変化を検出するための2個の端子を備える
    ことを特徴とするひずみセンサ。
  2. 前記複数個の延伸部は、前記中心部を中心とした円周方向に等角間隔で配設されている
    ことを特徴とする請求項1に記載のひずみセンサ。
  3. 前記複数個の延伸部のそれぞれは、前記放射方向の形状が同一とされていると共に、前記放射方向の長さを含む寸法が等しくされている
    ことを特徴とする請求項2に記載のひずみセンサ。
  4. 前記複数個の延伸部は偶数個である
    ことを特徴とする請求項3に記載のひずみセンサ。
  5. 前記所定のパターンの全体が前記ひずみ受感材料で構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のひずみセンサ。
  6. 前記複数個の延伸部のそれぞれは、それぞれが延伸する放射方向に沿う1対のパターンを備えると共に、前記1対のパターンが、前記放射方向のそれぞれの先端部で連結されて折り返す折り返しパターンとされており、
    前記折り返しパターンの、前記中心部を中心とした円周方向に隣接するもの同士が前記中心部の近傍において互いに連結されている
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のひずみセンサ。
  7. 前記複数個の延伸部の一つの前記1対のパターンは、前記放射方向の先端部で連結されずに、前記2個の端子の一方及び他方と接続されて、前記2個の端子の一方から他方までの間に、前記複数個の延伸部を含む前記一筆書きパターンからなる前記所定のパターンが形成されている
    ことを特徴とする請求項6に記載のひずみセンサ。
  8. 前記2個の端子の一方と、他方とは、それぞれ前記複数の延伸部の内の異なる2個の延伸部の先端部から導出される
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のひずみセンサ。
  9. 前記延伸部のそれぞれの放射方向に延伸する部分は、前記放射方向の沿って直線状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のひずみセンサ。
  10. シート状基材上に、印加されたひずみに応じて抵抗値が変化するひずみ受感材料を少なくとも部分的に含む導電性材料が所定のパターンとして形成されているひずみセンサ部の複数個が配列されてなるクラック検出用センサであって、
    前記ひずみセンサ部のそれぞれは、
    前記所定のパターンは、一筆書きパターンであって、前記シート状基材の所定場所を中心部として、前記中心部から、少なくとも3方向以上の複数の放射方向に延伸する複数個の延伸部を備えており、
    前記複数個の延伸部のそれぞれは、それぞれが延伸する放射方向に伸縮変形可能なパターン形状とされる共に、前記延伸部の一部または全部は、前記ひずみ受感材料で構成されており、
    前記複数個の延伸部を含む一筆書きパターンの前記所定のパターンの全体の抵抗値の変化を検出するための2個の端子を備える
    ことを特徴とするクラック検出用センサ。
  11. 前記複数個のひずみセンサ部のそれぞれの2個の端子の一方同士が互いに接続された第1の端子と、前記2個の端子の他方同士が互いに接続された第2の端子とを、前記シート状基材に外部の回路との接続用端子として備える
    ことを特徴とする請求項10に記載のクラック検出用センサ。
  12. 前記ひずみセンサ部の2個の端子のそれぞれと接続される2個の接続用端子の組が、前記複数個のひずみセンサ部のそれぞれに対応して複数組、前記前記シート状基材に形成されている
    ことを特徴とする請求項10に記載のクラック検出用センサ。
  13. 請求項11に記載のクラック検出用センサと、
    前記クラック検出用センサにおいて前記第1の端子及び前記第2の端子との間に形成される前記複数個のひずみセンサ部の抵抗値の全体の値の変化として、前記クラック検出用センサが被着された被検体におけるクラックの発生を検出する検出部と
    からなることを特徴とするクラック検出装置。
  14. 請求項12に記載のクラック検出用センサと、
    前記クラック検出用センサの前記複数組の接続用端子の各組の接続用端子間に形成されるそれぞれのひずみセンサ部の抵抗値の変化を検出し、前記抵抗値の変化を検出したひずみセンサ部が存在する前記シート状基材の位置から、発生したクラックの前記シート状の位置を検出するクラック発生検出部と、
    をからなることを特徴とするクラック検出装置。
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