JP2018012869A - アルミニウム合金の導電線、およびアルミニウム合金の導電部材の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金の導電線、およびアルミニウム合金の導電部材の製造方法 Download PDF

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敏也 穴見
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Abstract

【課題】導電性を確保しつつ、機械的性質が向上するアルミニウム合金の導電線、およびアルミニウム合金の導電部材の製造方法を提供する。【解決手段】アルミニウム合金の導電線は、0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウム合金組成を有する急冷凝固粉末熱間加工材からなる。また、アルミニウム合金の導電部材の製造方法は、0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金組成を有する急冷凝固粉末を製造する工程と、前記急冷凝固粉末を成形する工程と、得られた成形体を押出温度が350℃以上470℃以下の範囲で押出加工する熱間押出工程とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム合金の導電線、およびアルミニウム合金の導電部材の製造方法に関する。
自動車や産業機器に用いられる導電線の材料は銅が主流であったが、銅価格の高騰、省エネや高齢化による軽量化の要望やリサイクル性の要望等により、徐々にアルミニウム合金製導電線が用いられるようになってきた。
導電線に用いられる材料として、特許文献1や2に開示されているようなアルミニウム合金が知られている。
特開2005−336549号公報 特開2012−46824号公報
配線用電線は、自動車や産業機器の狭い内部に張り巡らされるため、屈曲性が要求されている。また、エンジンやモータの近くで使用される電線は高周波の振動を受けるため、屈曲性と高い疲労強度が要求される。先行文献記載の導電性Al−Fe系合金は純アルミニウムより優れた引張強さと同等の伸びを有する状態で導電線として使用されるが、導電線に使用する銅や銅合金に比べると引張強さが低い。このため、導電線の断面積が0.5mm以下で、かつ高い繰り返し強度が要求される部位に使用可能なアルミニウム合金の導電線が望まれていた。
また、同じ断面積の導電線の場合、できるだけ細い素線を多本数撚った方が高い屈曲性が得られるが、素線の径が細すぎると製造における伸線加工や撚り加工時に断線することがある。
よって厳しい環境下で使用される導電線にアルミニウム合金が使用されることはほとんどなかった。このため、従来のアルミニウム合金製導電線の伸びと導電率はそのままで、引張強さを銅並みに高めることが要求されていた。
本発明の態様は、導電性を確保しつつ、機械的性質が向上するアルミニウム合金の導電線、およびその導電部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係るアルミニウム合金の導電線は、0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウム合金組成を有する急冷凝固粉末熱間加工材からなることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係るアルミニウム合金の導電線は、0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウム合金組成を有し、Al−Fe系化合物相の最大円相当直径が1.0μm以下であることを特徴とする。
本発明の第3の態様に係るアルミニウム合金の導電線は、0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウムと不可避不純物からなる合金組成を有し、Al−Fe系化合物相の最大円相当直径が1.0μm以下であり、かつ急冷凝固粉末アルミニウム合金熱間加工材からなることを特徴とする。
本発明の第1の態様から第3の態様のいずれかのアルミニウム合金の導電線を用いれば、導電性を確保しつつ、機械的性質が向上した導電線を得ることができる。
望ましい態様として、引張強さが220MPa以上であって、導電率が55%IACS以上である。
本発明の第4の態様に係る導電部材用アルミニウム合金急冷凝固粉末は、0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウム合金組成を有し、合金組織において、セルサイズが5.0μm以下、Al−Fe系化合物相の最大円相当直径が1.0μm以下であることを特徴とする。
本発明の第4の態様の導電部材用アルミニウム合金急冷凝固粉末を用いれば、導電性を確保しつつ、機械的性質が向上した導電部材を得ることができる。
本発明の第5の態様に係るアルミニウム合金の導電部材の製造方法は、0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金組成を有する急冷凝固粉末を製造する工程と、前記急冷凝固粉末を成形する工程と、得られた成形体を押出温度が350℃以上470℃以下の範囲で押出加工する熱間押出工程とを有することを特徴とする。
本発明の第5の態様によれば、アルミニウム合金の導電部材が導電性を確保しつつ、機械的性質が向上する。
望ましい態様として、前記熱間押出工程で得られた押出材に、冷間加工を施す冷間加工工程をさらに有する。これにより、所望の導電材の形状に寸法精度よく成形される。
本発明に係る態様によれば、導電性を確保しつつ、機械的性質が向上するアルミニウム合金の導電線、およびアルミニウム合金の導電部材の製造方法を提供することができる。
図1は、本実施形態のアルミニウム合金の導電部材の製造方法の一例を説明する説明図である。 図2は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例2の急冷凝固粉末の合金組織の写真である。 図3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例2の急冷凝固粉末の合金組織の写真である。 図4は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例2の急冷凝固粉末の合金組織の写真である。 図5は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例1のアルミニウム合金の導電線の合金組織の写真である。 図6は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例1のアルミニウム合金の導電線の合金組織の写真である。 図7は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した比較例5のアルミニウム合金の導電線の合金組織の写真である。 図8は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した比較例5のアルミニウム合金の導電線の合金組織の写真である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、以下で説明する実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
ワイヤーハーネスに使用する導電用線材の製造方法として、上述したような特許文献1に示す連続鋳造圧延法が一般的である。この鋳造時にAl母相中に固溶しきれないFeが、Al−Fe系化合物として晶出する。連続鋳造圧延法における鋳造時の冷却速度は0.5℃/秒以上15℃/秒以下の範囲と推定されている。この連続鋳造圧延法で製造すると化合物の最大円相当直径が3.0μmを超えるものになってしまうことがある。最大円相当直径が3.0μmを超える化合物があると十分な分散強化が得られない。
そこで、本実施形態のアルミニウム合金の導電部材は、ガスアトマイズ法等の急冷凝固法により鋳造時の冷却速度を高め、Al−Fe晶出物を微細にした急冷凝固粉末を押出温度350℃から470℃で熱間押出加工し固化成形することにより、Al母相中に固溶していたFeがAl−Fe化合物として微細析出し、析出強化により強度が向上する。以下、本実施形態のアルミニウム合金の導電部材を詳細に説明する。
(合金組成)
本実施形態のアルミニウム合金は、0.8質量%以上3.0質量%以下のFeと不可避不純物とを含み、残部がAlである。
本実施形態のアルミニウム合金において、Feが含有されると、アルミニウム合金の機械的性質が向上する作用を有するが、Feの含有量が0.8質量%未満であると、Feの含有量が0.8質量%以上のアルミニウム合金よりも引張強さが低下してしまう。
本実施形態のアルミニウム合金において、Feが3.0質量%を超えて添加されると、急冷凝固してもAl−Fe系化合物相が粗大化しやすくなり、伸びが低下してしまう。
また、Feが3.0質量%を超えて添加されると、導電率が低下するので、Feの含有量が3.0質量%以下であることが好ましい。
アルミニウム合金の導電部材においては、機械的性質を高めるためにFe、Al以外の元素(例えばSi、Mg、Cu、Ni、Zn等)を添加してもよい。但し、Fe、Al以外の元素(例えばSi、Mg、Cu、Ni、Zn等)の含有量が増えると、導電率が低下するので、Fe、Al以外の元素(例えばSi、Mg、Cu、Ni、Zn等)の含有量は、Fe、Al以外の元素(例えばSi、Mg、Cu、Ni、Zn等)の合計で1.0質量%以下にすることが好ましい。但し、Ti、V、Mn、Zrは、導電率に対する影響が大きいので、合計で0.05質量%以下にすることが好ましい。
本実施形態のアルミニウム合金は、Feと、Si、Mg、Cu、Ni、Znの少なくとも1種の元素から選ばれる第1元素群の元素と、Ti、V、Mn、Zrの少なくとも1種の元素から選ばれる第2元素群の元素と、不可避不純物と、残部のAlからなり、Feの含有量がx質量%であり、Si、Mg、Cu、Ni、Znの少なくとも1種の元素から選ばれる第1元素群の含有量がy質量%であり、Ti、V、Mn、Zrの少なくとも1種の元素から選ばれる第2元素群の含有量がz質量%であり、不可避不純物の含有量がs質量%であり、Alが(100−x−y−z−s)質量%である場合、x、y、z、sは、以下を満たす。
0.8質量%≦x≦3.0質量%
0質量%≦y+z≦1.0質量%
0質量%≦z≦0.05質量%
0質量%≦s≦0.05質量%
以上説明したように、本実施形態のアルミニウム合金の導電線は、上述したアルミニウム合金組成を有し、急冷凝固粉末熱間加工材からなる。これにより、導電性を確保しつつ、機械的性質が向上する。
本実施形態のアルミニウム合金の組織では、最終的に、Al−Fe系化合物相の最大円相当直径が1.0μm以下であることが好ましい。Al−Fe系化合物相の円相当径が1.0μmを超えると、分散強化や析出強化が十分でなく、十分な機械的性質が得られない虞がある。例えば、Al−Fe系化合物相の円相当径が1.0μmを超えると、220MPa以上の引張強さ、10%以上の伸びが得られない。
Al−Fe系化合物相の最大円相当直径を小さくするためには、アルミニウム合金溶湯を急冷凝固させる必要がある。しかしながら、プロペルチ法等の鋳造圧延法、DC鋳造法、ダイカスト法等の金型鋳造では、十分な冷却速度を得ることが難しい。そこで、本実施形態では、必要な冷却速度の得られるアトマイズ法等で製造した急冷凝固粉末を用いることが好ましい。
ここで、粉末の場合、粉末自体の冷却速度を定量的に測定したり、規定したりすることが困難である。そこで本願発明者らは、急冷凝固粉末の冷却速度が高くなるほど細かくなるセルサイズ、及びAl−Fe系化合物相の最大円相当直径と、導電部材の引張強さ、伸びとの関係を調査した。その結果、本願発明者らによれば、急冷凝固粉末の粉末径が小さくなるほど、急冷凝固粉末の冷却速度が高くなるので、セルサイズが小さくなり、Al−Fe系化合物相の最大円相当直径が小さくなる傾向を見いだした。そして、上記セルサイズが5.0μm以下であって、Al−Fe系化合物相の最大円相当径が1.0μm以下の急冷凝固粉末を使用して、アルミニウム合金の導電線とした場合、本願発明者らは、引張強さが220MPa以上、伸びが10%以上となることを見出した。
[製造方法]
図1を参照しつつ、上述したアルミニウム合金の導電部材として、導電線、ワイヤーハーネス又はバスバーが製造される本実施形態の製造方法を説明する。
(急冷凝固粉末製造工程)
図1は、本実施形態のアルミニウム合金の導電部材の製造方法の一例を説明する説明図である。図1の急冷凝固粉末製造工程(ステップST11)において、Feの含有量が0.8質量%以上3.0質量%以下のアルミニウム合金が既知の方法で溶製される。溶製されたアルミニウム合金の溶湯がタンディッシュの上部から流出すると、流出した溶湯の周囲の流路から気体が衝突する。気体が衝突した溶湯が液滴となり、この液滴が急冷凝固され、急冷凝固粉末10となる。溶湯に気体を衝突させて、急冷凝固粉末10を製造する方法は、アトマイズ法とよばれる。気体は、He、N、Ar及び大気のいずれか1つである。
このような、アトマイズ法では、鋳造圧延法等の鋳造法より、はるかに速い速度でアルミニウム合金の溶湯が急冷凝固されるので、上記セルサイズが小さくなるとともに、Al−Fe系化合物相が微細になる。製造された急冷凝固粉末10の粒子径が細かいほど冷却速度が高くなり、高強度、高延性の材料になる。
急冷凝固粉末の製法として、アトマイズ法に限られず、単ロール法、双ロール法、噴霧ロール法、回転ディスク法を用いて得られる、フレーク状、リボン状の材料を破砕した急冷凝固粉末10が製造されてもよい。
(圧粉成形工程)
図1の圧粉成形工程(ステップST12)において、急冷凝固粉末製造工程(ステップST11)で製造された急冷凝固粉末10が、金型成形、CIP(Cold Isostatic Pressing:冷間静水圧加圧)成形等の方法で圧縮成形され、圧粉成形体であるビレットが成形される。あるいは、急冷凝固粉末製造工程(ステップST11)で製造された急冷凝固粉末が、缶等の容器に入れられて、ビレットが形成されてもよい。
(熱間押出工程)
図1の熱間押出(熱間加工)工程(ステップST13)において、圧粉成形工程(ステップST12)で製造されたビレットを押出材に加工する。ビレットは、コンテナに収容されており、ステムのストロークに応じて、ダイスへ向けて、ビレットが押し出される。ビレットがダイスのベアリング部から押出され、断面積の減少と形状変化が生じて、ビレットが、例えば棒状又は板状に押出加工されると同時に固化成形される。
熱間押出工程(ステップST13)において、ビレットの押出温度は350℃以上470℃以下、より好ましくは350℃以上425℃以下である。ビレットの押出温度が350℃未満では、急冷凝固粉末10同士の結合が不十分であり、必要な引張強さと伸びが得られない。また、ビレットの押出温度が470℃を超えると加熱時に析出するAl−Fe系化合物相が粗大化する可能性があるため、必要な引張強さと伸びが得られないことがある。また、押出比が10より小さいと加圧が不十分となり、隣接する急冷凝固粉末10同士が十分に塑性変形せず、急冷凝固粉末同士の結合が不十分となる可能性がある。
また熱間加工方法としては、得たい導電部材の形状により、熱間押出加工以外に、熱間圧延加工、熱間鍛造加工等を用いても良いし、それらを2つ以上組み合わせても良い。
最終製品のアルミニウム合金の導電部材がバスバー5である場合、熱間押出工程(ステップST13)において得られた板状の押出材が急冷凝固粉末熱間加工材からなり、所望の形状体になる。その結果、アルミニウム合金の導電部材が急冷凝固粉末熱間加工材からなる。なお、冷間加工工程(ステップST14)において、この押出材がプレス加工や切削加工されてもよい。
(冷間加工工程)
冷間加工工程(ステップST14)において、熱間押出工程(ステップST13)で製造された押出材を所望の導電部材の形状又は寸法にするために、押出材が冷間加工される。
例えば、最終製品のアルミニウム合金の導電部材が導電線材4である場合、熱間押出工程(ステップST13)において得られた棒状の押出材が急冷凝固粉末熱間加工材からなり、この押出材が冷間加工工程(ステップST14)において、引抜機で引き抜き加工(伸線加工)され導電線材4になる。導電線材4の線径が細い場合、得られた導電線材4が複数回繰り返し、引き抜き加工(伸線加工)されることで、導電線材4の線径が細くなり、目的とする線径の導電線材4になる。本実施形態では、導電線材4を伸線材ともいう。
アルミニウム合金の導電部材が冷間加工工程(ステップST14)で処理された後、さらに、導電線材4が複数本撚り合わせられる、撚り加工工程(ステップST15)が行われる。次に、得られた撚り線(伸線)2が所定の断面積になるように圧縮加工が行われる。
(被覆工程)
被覆工程(ステップST16)において、撚り加工工程(ステップST15)により得られた撚り線(伸線)2に、絶縁材3の加工が行なわれる。絶縁樹脂の被覆後、撚り線2が所定の長さに切断され、電線1が製造される。電線1の両端には、端子が設けられ、ワイヤーハーネスが製造される。
押出材が十分に高い伸び特性を有しているので、冷間加工工程(ステップST14)で得られるアルミニウム合金の導電部材が焼鈍処理されずに、最終製品とすることができる。押出材の断面積が大きく、上述した冷間加工における冷間加工率が高いために、加工硬化が進み、要求する伸びが得られなくなった場合は、焼鈍処理を行ってもよい。焼鈍処理されたアルミニウム合金の導電部材は、冷間加工工程(ステップST14)によって生じる加工硬化が緩和され、伸びや導電率が向上する。焼鈍処理工程において、焼鈍温度が高くなると加熱時に析出するAl−Fe系化合物相が粗大化するため、焼鈍温度は、500℃以下で行うことが好ましく、450℃以下で行うことがより好ましい。また、冷間加工工程(ステップST14)で得られたアルミニウム合金の導電部材に対して焼鈍処理がバッチ式で行われてもよい。又は、冷間加工工程(ステップST14)で得られたアルミニウム合金の導電部材に対して通電により連続焼鈍処理が行われてもよい。また、冷間加工工程(ステップST14)の前又は冷間加工工程(ステップST14)の加工中に、焼鈍処理が行われてもよい。
例えば、アルミニウム合金の導電部材が焼鈍処理工程で処理されて、バスバー5が最終製品として製造される。
[実施例]
次に、本発明に係る実施例について説明する。上述した製造方法により、実施例1から実施例6及び比較例1から比較例4として、表1に示す合金元素量の合金組成を有し、残部がAlであるアルミニウム合金の伸線材が得られた。
実施例1から実施例4及び比較例1、2において、表1に示す「粉末の分級」で分級された急冷凝固粉末(エアガスアトマイズ粉末)が冷間静水圧成形されて、直径100mm、長さ200mmの圧粉成形体が作製された。押出温度が400℃となるように加熱された状態で、各圧粉成形体が間接押し出され、直径12mmの押出材が作製された。これら直径12mmの押出材が直径0.75mmの伸線材に引き抜き加工(伸線加工)された。つまり、伸線材の断面積が0.5mm以下である。実施例1から実施例4及び比較例1、2の伸線材は、3時間の間、焼鈍温度が400℃となるように焼鈍処理された。得られた実施例1から実施例4及び比較例1、2の伸線材は、引張強さ、伸び、導電率が測定された。
押出温度の影響を調査するために、実施例3と同じ合金元素量の合金組成を有する比較例3及び比較例4が作製された。具体的には、比較例3及び比較例4の表1に示す「粉末の分級」で分級された急冷凝固粉末(エアガスアトマイズ粉末)が冷間静水圧成形されて、直径100mm、長さ200mmの圧粉成形体が作製された。押出温度が300℃となるように加熱された状態で、各圧粉成形体が間接押し出され、直径12mmの比較例3の押出材が作製された。押出温度が300℃で作製された比較例3の押出材には、割れが発生した。押出温度が500℃となるように加熱された状態で、各圧粉成形体が間接押し出され、直径12mmの比較例4の押出材が作製された。比較例4の押出材が直径0.75mmの伸線材に引き抜き加工(伸線加工)された。比較例4の伸線材は、3時間の間、焼鈍温度が400℃となるように焼鈍処理された。得られた比較例4の伸線材は、引張強さ、伸び、導電率が測定された。
実施例5及び実施例6において、表1に示す「粉末の分級」で分級された急冷凝固粉末(エアガスアトマイズ粉末)が冷間静水圧成形されて、直径100mm、長さ200mmの圧粉成形体が作製された。押出温度が400℃となるように加熱された状態で、各圧粉成形体が間接押し出され、直径3.0mmの押出材が作製された。これら直径3.0mmの押出材が直径0.75mmの伸線材に引き抜き加工(伸線加工)された。実施例5及び実施例6の伸線材は、焼鈍処理されない状態で、引張強さ、伸び、導電率が測定された。
比較例5、6は、表1に示す合金元素量の合金組成を有し、残部がAlであるアルミニウム合金の伸線材である。比較例5、6の作製手順について説明すると、特許文献1に示された、公知のベルトアンドホイール式の連続鋳造圧延機で直径9.5mmの荒引線が作製される。この荒引線が冷間引抜加工されて、直径0.75mmの伸線材となる。その後、冷間引抜加工された伸線材は、3時間の間、焼鈍温度が275℃となるように焼鈍処理され、比較例5、6の伸線材が得られる。得られた比較例5、6の伸線材について、引張強さ、伸び、導電率が測定された。
以上説明したように、JIS C3002に準拠した試験法により、実施例1から実施例6及び比較例1、2、4から6の伸線材の引張強さ、伸びが測定され、引張強さ、伸びの測定結果が表2に示されている。JIS H0505の試験法により、実施例1から実施例6及び比較例1、2、4から6の伸線材の導電率が測定され、導電率の結果も表2に示されている。
表2に示すように、実施例1から実施例6の測定結果によれば、実施例1から実施例6の引張強さが220MPa以上であり、実施例1から実施例6の伸びが10%以上であり、実施例1から実施例6の導電率が55%IACS以上であることが分かる。実施例5、6の結果より、アルミニウム合金の導電部材は、焼鈍処理をしなくても、引張強さが220MPa以上であり、伸びが10%以上であり、導電率が55%IACS以上であることが分かる。
表1に示すように、比較例1は、実施例1から実施例6と、合金元素量の合金組成を比較すると、Feの含有量が0.8質量%より少ない。このため、比較例1は、実施例1から実施例6よりも引張強さが小さい。
表1に示すように、比較例2は、実施例1から実施例6と、合金元素量の合金組成を比較すると、Feの含有量が3.0質量%より多い。このため、比較例2の導電率が55%IACSよりも小さくなる。
比較例4の測定結果によれば、引張強さが220MPaより小さく、伸びが10%より小さいことが分かる。比較例4の押出温度が高いため、押出加工の加熱時に、Al−Fe系化合物相が微細に析出せず、十分な引張強さ及び伸びが得られなかったと考えられる。
実施例1から実施例6は、従来の鋳造圧延法で作成した比較例5、6と比較して、引張強さ及び伸びが向上し、導電率が同等である。実施例1から実施例6は、比較例5、6よりも、Al−Fe系化合物相が微細に存在し機械的性質が向上したと考えられる。
図2は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例2の急冷凝固粉末の合金組織の写真である。
図3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例2の急冷凝固粉末の合金組織の写真である。図3に示すセル粒界に晶出した白い相が、Al−Fe系化合物相である。Al−Fe系化合物相の長手方向の長さは全て1.0μm以下であることが分かる。
図4は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例2の急冷凝固粉末の合金組織の写真である。
図5は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例1のアルミニウム合金の導電部材の合金組織の写真である。図6は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した実施例1のアルミニウム合金の導電部材の合金組織の写真である。
図7は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した比較例5のアルミニウム合金の導電部材の合金組織の写真である。図8は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した比較例5のアルミニウム合金の導電部材の合金組織の写真である。
図5から図8において、上述と同様に白い相がAl−Fe系化合物相であり、実施例1のAl−Fe系化合物相の最大円相当直径が1.0μm以下である。これに対し、比較例5のAl−Fe系化合物相の最大円相当直径が1.0μmを超えることは明らかである。
以上、本願発明の種々の有用な実施例を示し、かつ、説明を施した。本願発明は、上述した種々の実施例や変形例に限定されること無く、この発明の要旨や添付する特許請求の範囲に記載された内容を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでも無い。
1 電線
2 撚り線
3 絶縁材
4 導電線材
5 バスバー
10 急冷凝固粉末

Claims (7)

  1. 0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウム合金組成を有する急冷凝固粉末熱間加工材からなることを特徴とするアルミニウム合金の導電線。
  2. 0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウム合金組成を有し、Al−Fe系化合物相の最大円相当直径が1.0μm以下であることを特徴とするアルミニウム合金の導電線。
  3. 0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウムと不可避不純物からなる合金組成を有し、Al−Fe系化合物相の最大円相当直径が1.0μm以下であり、かつ急冷凝固粉末アルミニウム合金熱間加工材からなることを特徴とするアルミニウム合金の導電線。
  4. 請求項1、2又は3に記載のアルミニウム合金の導電線において、引張強さが220MPa以上であって、導電率が55%IACS以上であることを特徴とするアルミニウム合金の導電線。
  5. 0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウム合金組成を有し、合金組織において、セルサイズが5.0μm以下、Al−Fe系化合物相の最大円相当直径が1.0μm以下であることを特徴とする導電部材用アルミニウム合金急冷凝固粉末。
  6. 0.8質量%以上3.0質量%以下のFeを含み、残部がアルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウム合金組成を有する急冷凝固粉末を製造する工程と、
    前記急冷凝固粉末を成形する工程と、得られた成形体を押出温度が350℃以上470℃以下の範囲で押出加工する熱間押出工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金の導電部材の製造方法。
  7. 前記熱間押出工程で得られた押出材に、冷間加工を施す冷間加工工程をさらに有することを特徴とする請求項6に記載のアルミニウム合金の導電部材の製造方法。
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