JP2018011566A - 熱サイクル装置、反応容器及び核酸増幅反応方法 - Google Patents

熱サイクル装置、反応容器及び核酸増幅反応方法 Download PDF

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Abstract

【課題】核酸の増幅を高速に行うことのできる熱サイクル装置、反応容器及び核酸増幅反応方法の提供。
【解決手段】第1内壁面113と、第2内壁面114との間に形成され、第1内壁面に垂直な方向から見た場合に、長手方向を有する流路110を含み、第1内壁面と第2内壁面との間の距離は、反応液115が第1内壁面と第2内壁面の両方に接触する距離で、長手方向に直交する流路の断面において、第1内壁面に平行な方向の長さが、第1内壁面と第2内壁面との間の長さの5倍以上の形状の断面を有し、流路内に、反応液と、気体130と、オイルと、が配置された、反応容器100を装着可能な装着部と、第1加熱部と、第2加熱部と、反応液を移動させる移動機構と、を含み、オイルの量は、流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上で、流路内に配置される反応液の体積と、オイルの体積と、の合計が、流路の容積の50%以下である、熱サイクル装置。
【選択図】図4B

Description

本発明は、熱サイクル装置、反応容器及び核酸増幅反応方法に関する。
高速で核酸を増幅させる方法として、円筒状の反応容器中にオイルと少量の反応液を投入し、当該容器の一端を高温、他端を低温に維持し、容器を回転させて、その一端が鉛直方向下となるようにして高温のオイル中に反応液を位置させる状態と、他端が鉛直方向下となるようにして低温のオイル中に反応液を位置させる状態とを交互に切換えることにより、反応液の温度に熱サイクルを高速で発生させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、容器内を反応液が往動する熱サイクル装置が記載されており、第1の内壁と第2の内壁との距離は、反応液が第1の内壁と第2の内壁の双方に接触する距離であることが記載されている。
特開2012−115208号公報 特開2015−154722号公報
上記特許文献1に記載されている反応液を重力の作用で移動させる昇降式のPCR装置では、円筒状の反応容器を用いており、反応容器内の流路の断面形状は、円形となっている。そして、反応液の液滴の直径が反応容器の流路の直径に比して小さくすることにより、液滴の移動を実現している。
ところが、このような構成では、液滴と流路の壁面との接触が、点接触や線接触となり、液滴が流路の壁面と接触する面積が小さい。そのため、壁面から直接液滴に対して熱を与える場合の熱伝導の効率は必ずしも良好ではなかった。すなわち、上記文献の技術では、反応装置のヒーターによって加熱された容器の側壁の熱は、オイルを介して液滴に伝導させることが主となり、容器の側壁から直接液滴に伝導させるための、側壁と液滴との接触面積が不十分であった。
一方、特許文献1及び特許文献2の容器では、いずれも容器内がオイルで満たされ、オイルにPCRのための温度勾配が形成されている。そして、反応液をオイル中で移動させることにより熱サイクルが行われる。
しかし、オイル中で反応液を移動させる場合にはオイルの流動を伴い、オイルが一定の粘性を有しているため、オイルの流動抵抗が生じる。また、例えば、反応液の体積が大きくなると、反応液の移動がオイルの存在によって妨げられ、反応液の移動を高速に行うことができなくなる場合があった。そのため、核酸増幅反応の高速化という点では必ずしも十分ではなかった。
本発明の幾つかの態様に係る目的の一つは、核酸の増幅を高速に行うことのできる熱サイクル装置、反応容器及び核酸増幅反応方法を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するために為されたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
本発明に係る熱サイクル装置の一態様は、
第1内壁面と、前記第1内壁面に対向する第2内壁面と、の間に形成され、前記第1内壁面に垂直な方向から見た場合に、長手方向を有する流路を含み、前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の距離は、反応液が導入された場合に、前記反応液が前記第1内壁面と前記第2内壁面の両方に接触する距離であり、前記長手方向に直交する前記流路の断面において、前記第1内壁面に平行な方向の長さが、前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の長さの5倍以上である形状の断面を有し、前記流路内に、前記反応液と、気体と、オイルと、が配置された、核酸増幅反応用の反応容器を装着可能な装着部と、
前記装着部に前記反応容器を装着した場合に、前記反応容器の第1領域を加熱する第1加熱部と、
前記装着部に前記反応容器を装着した場合に、前記反応容器の第1領域とは異なる第2領域を加熱する第2加熱部と、
前記反応液を、前記第1領域と前記第2領域との間で移動させる移動機構と、
を含み、
前記オイルの量は、前記流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上であり、
前記流路内に配置される前記反応液の体積と、前記オイルの体積と、の合計が、前記流路の容積の50%以下である。
このような熱サイクル装置によれば、反応容器に反応液が導入された場合に、反応液が、第1内壁面及び第2内壁面の両者に接触し、当該接触が面接触となる。そして、長手方向に直交する流路の断面において、第1内壁面に平行な方向の長さは、第1内壁面と前記第2内壁面との間の距離の5倍以上である断面を有することで、当該接触面積を大きくすることができる。そのため、大量のオイルを介することなく反応液と内壁面との熱交換を良好とすることができる。
しかも、反応容器には、反応液の他に、流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上であって、反応液の体積との合計が、流路の容積の50%以下となるように、オイルが配置される。そのため、一つは反応液と大気等の気体との大きい比重差によって、例えば、重力を利用して反応液を移動させる場合に、反応液の移動(落下)が高速である。さらに、一つはオイルが反応容器と反応液との間に存在しやすいため、係るオイルが反応液の移動のための抵抗を小さくする作用、あるいは潤滑作用により、反応液が変形しつつ、移動する際の抵抗を低減することができる。
これらのことから、本発明に係る熱サイクル装置は、反応液を所定の温度により早く到達させることができる。これにより、核酸の増幅を非常に高速に行うことができる。
さらに、反応液及びオイル以外(例えば、大気等の気体)の体積が、前記流路の容積の50%以上を占めることになるため、このような熱サイクル装置によれば、例えば、反応容器の半分ずつを互いに異なる温度に設定しても、反応液の全体を、それぞれの温度に到達させやすい。
本発明に係る熱サイクル装置において、
前記反応容器は、ポリプロピレンを含んでもよい。
このような熱サイクル装置によれば、反応容器を透明にしやすく、また、反応容器を使い捨てにした場合でも、反応容器を安価に入手することができる。
本発明に係る熱サイクル装置において、
前記オイルの60℃における動粘度は、20センチストークス以下であってもよい。
このような熱サイクル装置によれば、より反応液の移動を高速化することができる。
本発明に係る熱サイクル装置において、
前記オイルの20℃における飽和蒸気圧と、100℃における飽和蒸気圧の差が、0.99atm以下であってもよい。
このような熱サイクル装置によれば、反応容器から液体や気体が漏れにくく、安定して良好な熱サイクルを行うことができる。
本発明に係る熱サイクル装置において、
前記オイルは、シリコーンオイル、パラフィンオイル、ミネラルオイル、及び、それらの誘導体、並びに、それらの変性体の少なくとも一種を含んでもよい。
このような熱サイクル装置によれば、反応液に対してさらに安定した熱サイクルを施すことができる。
本発明に係る熱サイクル装置において、
前記オイルは、波長350nm以上800nm以下の光を透過してもよい。
このような熱サイクル装置によれば、反応液に、蛍光プローブ等が含まれた場合に、外部から入射する励起光やプローブが発する蛍光を、オイルによって遮蔽しにくく、例えばリアルタイムPCRをより容易に行うことができる。
本発明に係る熱サイクル装置において、
前記オイルの25℃における比重は、0.75以上1以下であってもよい。
このような熱サイクル装置によれば、反応液が水系である場合に、オイルの比重が、反応液と同程度かそれ以下であるため、反応液の移動をさらに高速化しやすい。
本発明に係る熱サイクル装置において、
前記移動機構は、前記装着部、前記第1領域及び前記第2領域の配置を、第1配置と、第2配置との間で切換える駆動機構を含み、
前記第1配置は、前記装着部に前記反応容器を装着した場合に、前記第1領域が、前記第2領域よりも重力の作用する方向に対して下となる配置であり、
前記第2配置は、前記装着部に前記反応容器を装着した場合に、前記第2領域が、前記第1領域よりも重力の作用する方向に対して下となる配置であってもよい。
このような熱サイクル装置によれば、高速に核酸を増幅することができる。
本発明に係る反応容器の一態様は、核酸増幅反応用の反応容器であって、
第1内壁面と、前記第1内壁面に対向する第2内壁面と、の間に形成され、前記第1内壁面に垂直な方向から見た場合に、長手方向を有する流路を含み、
前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の距離は、反応液が導入された場合に、前記反応液が前記第1内壁面と前記第2内壁面の両方に接触する距離であり、
前記長手方向に直交する前記流路の断面において、前記第1内壁面に平行な方向の長さが、前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の長さの5倍以上である形状の断面を有し、
前記流路内に、前記反応液と、オイルと、が配置された場合に、
前記オイルの量は、前記流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上であり、
前記流路内に配置される、前記反応液の体積と、前記オイルの体積と、の合計が、前記流路の容積の50%以下である。
このような反応容器によれば、反応容器に反応液が導入された場合に、反応液が、第1内壁面及び第2内壁面の両者に接触し、当該接触が面接触となる。そして、長手方向に直交する流路の断面において、第1内壁面に平行な方向の長さは、第1内壁面と前記第2内壁面との間の距離の5倍以上である断面を有することで、当該接触面積を大きくすることができる。そのため、大量のオイルを介することなく反応液と内壁面との熱交換を良好とすることができる。
しかも、このような反応容器には、反応液の他に、流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上であって、反応液の体積との合計が、流路の容積の50%以下となるように、オイルが配置される。そのため、一つは反応液と大気等の気体との大きい比重差によって、例えば、重力を利用して反応液を移動させる場合に、反応液の移動(落下)が高速である。さらに、一つはオイルが反応容器と反応液との間に存在しやすいため、係るオイルが反応液の移動のための抵抗を小さくする作用、あるいは潤滑作用により、反応液が変形しつつ、移動する際の抵抗を低減することができる。
これらのことから、本発明に係る核酸増幅反応用の反応容器は、反応液を所定の温度により早く到達させることができる。これにより、核酸の増幅を非常に高速に行うことができる。
本発明に係る反応容器において、
前記反応液と、気体と、オイルと、が配置された場合に、
前記気体の体積が、前記流路の容積の50%以上を占めてもよい。
このような反応容器によれば、例えば、容器の半分ずつを互いに異なる温度に設定しても、反応液の全体を、それぞれの温度に到達させやすい。
本発明に係る核酸増幅反応方法の一態様は、
第1内壁面と、前記第1内壁面に対向する第2内壁面と、の間に形成され、前記第1内壁面に垂直な方向から見た場合に、長手方向を有する流路を含み、
前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の距離は、反応液が導入された場合に、前記反応液が前記第1内壁面と前記第2内壁面の両方に接触する距離であり、
前記長手方向に直交する前記流路の断面において、前記第1内壁面に平行な方向の長さが、前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の長さの5倍以上である形状の断面を有する、反応容器の、前記流路内に、前記反応液と、前記流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上の体積のオイルと、を配置する工程と、
前記反応容器の第1領域を第1温度に加熱する工程と、
前記反応容器の第2領域を第1温度とは異なる第2温度に加熱する工程と、
前記反応液を前記流路内で移動させて、前記第1領域から前記第2領域に移動させる工程と、
前記反応液を前記流路内で移動させて、前記第2領域から前記第1領域に移動させる工程と、
を含み、
前記流路内に配置される、前記反応液の体積と、前記オイルの体積と、の合計が、前記流路の容積の50%以下である。
このような核酸増幅反応方法によれば、反応容器に反応液が導入された場合に、反応液が、第1内壁面及び第2内壁面の両者に接触し、当該接触が面接触となる。そして、長手方向に直交する流路の断面において、第1内壁面に平行な方向の長さは、第1内壁面と前記第2内壁面との間の距離の5倍以上である断面を有することで、当該接触面積を大きくすることができる。そのため、大量のオイルを介することなく反応液と内壁面との熱交換を良好とすることができる。
しかも、反応容器には、反応液の他に、流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上であって、反応液の体積との合計が、流路の容積の50%以下となるように、オイルが配置される。そのため、一つは反応液と大気等の気体との大きい比重差によって、例えば、重力を利用して反応液を移動させる場合に、反応液の移動(落下)が高速である。さらに、一つはオイルが反応容器と反応液との間に存在しやすいため、係るオイルが反応液の移動のための抵抗を小さくする作用、あるいは潤滑作用により、反応液が変形しつつ、移動する際の抵抗を低減することができる。
これらのことから、本発明に係る核酸増幅反応方法によれば、反応液を所定の温度により早く到達させ、高速な熱サイクルを行うことができる。これにより、核酸の増幅を非常に高速に行うことができる。
実施形態に係る熱サイクル装置の蓋を閉じた状態を模式的に示す斜視図。 実施形態に係る熱サイクル装置の蓋を開けた状態を模式的に示す斜視図。 実施形態に係る熱サイクル装置における本体の分解斜視図。 実施形態に係る熱サイクル装置における本体の、図1AのA−A線における断面の模式図であって、第1配置を示す。 実施形態に係る熱サイクル装置における本体の、図1AのA−A線における断面の模式図であって、第2配置を示す。 実施形態に係る反応容器の対向する第1内壁面及び第2内壁面に対して平行な面で切断した断面の模式図。 実施形態に係る反応容器の第1内壁面及び第2内壁面に対して直交する面で切断した断面の模式図。 実施形態に係る熱サイクル装置を用いた処理を表すフローチャート。 変形例に係る熱サイクル装置の蓋を閉じた状態を模式的に示す斜視図。 変形例に係る熱サイクル装置の蓋を閉じた状態を模式的に示す斜視図。 変形例に係る熱サイクル装置における本体の、図6AのB−B線における断面の模式図。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.熱サイクル装置
1.1.熱サイクル装置の構成
図1A及び図1Bは、実施形態に係る熱サイクル装置1の斜視図である。図1Aは熱サイクル装置1の蓋50を閉じた状態、図1Bは熱サイクル装置1の蓋50を開けた状態であり、装着部11に後述する反応容器が幾つか装着された状態を表す。図2は、実施形態に係る熱サイクル装置1における本体10の分解斜視図である。図3A及び図3Bは、実施形態に係る熱サイクル装置における本体10の、図1AのA−A線における断面の模式図である。図1Aないし図3B中、反応容器100については、後述の第1態様の反応容器100が例示してある。
本実施形態に係る熱サイクル装置1は、図1A及び図1Bに示すように、本体10及び駆動機構20を含む。また、図2に示すように、本体10は、装着部11、第1加熱部12(加熱部に相当)及び第2加熱部13を含む。第1加熱部12と第2加熱部13との間にはスペーサー14が設けられている。本実施形態の本体10においては、第1加熱部12が底板17の側、第2加熱部13が蓋50の側に配置されている。本実施形態の本体10においては、第1加熱部12、第2加熱部13、及びスペーサー14はフランジ16、底板17及び固定板19に固定されている。
装着部11は、後述する反応容器100を装着する構造である。図1B及び図2に示すように、本実施形態の装着部11は、反応容器100を差し込んで装着するスロット構造であり、第1加熱部12(加熱部)の第1ヒートブロック12b、スペーサー14、及び第2加熱部13の第2ヒートブロック13bを貫通する穴に反応容器100を差し込む構造となっている。装着部11の数は、1個であってもよいし、複数であってもよく、図1Bの例では、8個の装着部11が本体10に設けられている。
本実施形態の熱サイクル装置1は、反応容器100を第1加熱部12及び第2加熱部13に対して所定の位置に保持する構造を含むことが好ましい。これにより、第1加熱部12及び第2加熱部13によって反応容器100の所定の領域を加熱できる。より具体的には、図3A及び図3Bに示すように、後述する反応容器100を構成する流路110の、第1領域111を第1加熱部12によって、第2領域112を第2加熱部13によって、加熱できる。本実施形態においては反応容器100の位置を定める構造は底板17であり、図3A及び図3Bに示すように、反応容器100を底板17に接触する位置まで差し込むことで、第1加熱部12及び第2加熱部13に対して反応容器100を所定の位置に保持できる。
第1加熱部12は、装着部11に反応容器100を装着した場合に、後述する反応容器100の第1領域111を第1温度に加熱する。図3A及び図3Bに示す例では、第1加熱部12は本体10において、反応容器100の第1領域111を加熱する位置に配置されている。
第1加熱部12は、熱を発生させる機構と、発生した熱を反応容器100に伝える部材とを含んでもよい。図2に示す例では、第1加熱部12は第1ヒーター12a及び第1ヒートブロック12bを含む。本実施形態においては、第1ヒーター12aはカートリッジヒーターであり、導線15によって図示しない外部電源に接続されている。第1ヒーター12aは第1ヒートブロック12bに挿入されており、第1ヒーター12aが発熱することで第1ヒートブロック12bが加熱される。第1ヒートブロック12bは、第1ヒーター12aから発生した熱を反応容器100に伝える部材である。本実施形態においてはアルミニウム製のブロックである。
カートリッジヒーターは温度制御が容易であるので、第1ヒーター12aをカートリッジヒーターとすることで、第1加熱部12の温度を容易に安定させることができる。したがって、より正確な熱サイクルを実現できる。アルミニウムは熱伝導率が高いので、第1ヒートブロック12bをアルミニウム製とすることで、反応容器100を効率よく加熱できる。また、第1ヒートブロック12bに加熱ムラが生じにくいので、精度の高い熱サイクルを実現できる。また、加工が容易なので第1ヒートブロック12bを精度よく成型でき、加熱の精度を高めることができる。したがって、より正確な熱サイクルを実現できる。
第1加熱部12は、装着部11に反応容器100を装着した場合に、反応容器100に接触していることが好ましい。これにより、第1加熱部12によって反応容器100を加熱した場合に、第1加熱部12の熱を反応容器100に安定して伝えることができるので、反応容器100の温度を安定させることができる。本実施形態のように、装着部11が第1加熱部12の一部として形成されている場合には、装着部11が反応容器100と接触することが好ましい。これにより、第1加熱部12の熱を反応容器100に安定して伝えることができるので反応容器100を効率よく加熱できる。
第2加熱部13は、装着部11に反応容器100を装着した場合に、反応容器100の第2領域112を、第1温度とは異なる第2温度に加熱する。図3A及び図3Bに示す例では、第2加熱部13は本体10において、反応容器100の第2領域112を加熱する位置に配置されている。図2に示すように、第2加熱部13は、第2ヒーター13a及び第2ヒートブロック13bを含む。第2加熱部13は、加熱する反応容器100の領域及び加熱する温度が第1加熱部12と異なる以外は、第1加熱部12と同様である。
本実施形態においては、第1加熱部12及び第2加熱部13の温度は、図示しない温度センサー及び後述する制御部によって制御される。第1加熱部12及び第2加熱部13の温度は、反応容器100が所定の温度に加熱されるように設定されることが好ましい。本実施形態においては、第1加熱部12を第1温度に、第2加熱部13を第2温度に制御することで、反応容器100の第1領域111を第1温度に、第2領域112を第2温度に加熱できる。本実施形態における温度センサーは熱電対である。
駆動機構20は、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13を駆動する機構である。本実施形態においては、駆動機構20は図示しないモーター及び駆動軸を含み、駆動軸と本体10のフランジ16とが接続されている。本実施形態における駆動軸は、装着部11の長手方向に対して垂直に設けられており、モーターを動作させると駆動軸を回転の軸として本体10が回転される。
本実施形態の熱サイクル装置1は、図示しない制御部を含む。制御部は、後述する第1温度、第2温度、第1時間、第2時間、及び熱サイクルのサイクル数などのうち、少なくとも1つを制御する。制御部が第1時間又は第2時間を制御する場合には、制御部は駆動機構20の動作を制御することによって、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13が所定の配置に保持される時間を制御する。制御部は、制御する項目ごとに異なる機構を設けても、全項目を一括して制御するものであってもよい。
本実施形態の熱サイクル装置1における制御部は電子制御であり、上記項目を全て制御する。本実施形態の制御部は図示しないCPU等のプロセッサー、及び、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置を含む。記憶装置には上記各項目を制御するための各種プログラム、データ等が記憶されている。また、記憶装置は各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを有する。
本実施形態の本体10は、図2、図3A及び図3Bの例に示すように、第1加熱部12と第2加熱部13との間にスペーサー14が設けられている。本実施形態のスペーサー14は、第1加熱部12又は第2加熱部13を保持する部材である。スペーサー14を設けることにより、第1加熱部12と第2加熱部13との間の距離を、より正確に定めることができる。すなわち、後述する反応容器100の第1領域111及び第2領域112に対する第1加熱部12及び第2加熱部13の位置を、より正確に定めることができる。
スペーサー14の材質は必要に応じて適宜選択できるが、断熱材であることが好ましい。これにより、第1加熱部12及び第2加熱部13の熱が相互に及ぼす影響を少なくできるので、第1加熱部12及び第2加熱部13の温度制御が容易になる。スペーサー14が断熱材である場合には、装着部11に反応容器100を装着した場合に、第1加熱部12と第2加熱部13との間の領域において反応容器100を囲むようにスペーサー14が配置されることが好ましい。これにより、反応容器100の第1加熱部12と第2加熱部13との間の領域からの放熱を抑制できるので、反応容器100の温度がより安定する。本実施形態においては、スペーサー14は断熱材であり、図3A及び図3Bの例においては、装着部11はスペーサー14を貫通している。これにより、第1加熱部12及び第2加熱部13によって反応容器100を加熱した場合に、反応容器100の熱が逃げにくくなるので、第1領域111及び第2領域112の温度をより安定させることができる。
本実施形態の本体10は、固定板19を含む。固定板19は、装着部11、第1加熱部12及び第2加熱部13を保持する部材である。図1B及び図2に示す例においては、2枚の固定板19がフランジ16に嵌め合わされており、第1加熱部12、第2加熱部13及び底板17が固定されている。固定板19によって本体10の構造がより強固になるので、本体10が破損しにくくなる。
本実施形態の熱サイクル装置1は、蓋50を含む。図1A、図3A及び図3Bの例では、装着部11は蓋50によって覆われている。蓋50によって装着部11を覆うことで、第1加熱部12によって加熱をした場合に、本体10から外部への放熱を抑制できるので、本体10内の温度を安定させることができる。蓋50は、固定部51によって本体10に固定されてもよい。本実施形態においては、固定部51は磁石である。図1B及び図2の例に示すように、本体10の蓋50の接触する面には磁石が設けられている。図1B及び図2には示されていないが、蓋50にも、本体10の磁石が接触する位置に磁石が設けられており、蓋50で装着部11を覆うと、磁力によって蓋50が本体10に固定される。これにより、駆動機構20によって本体10を駆動した場合に蓋50が外れたり動いたりすることを防止できる。したがって、蓋50が外れることで熱サイクル装置1内の温度が変化することを防止できるので、より正確な熱サイクルを後述する反応液140に施すことができる。
本体10は、気密性の高い構造であることが好ましい。本体10が気密性の高い構造であると、本体10内部の空気が本体10の外部に逃げにくいので、本体10内の温度がより安定する。本実施形態においては、図2に示すように、2個のフランジ16、底板17、2枚の固定板19、及び蓋50によって、本体10内部の空間が密閉される。
固定板19、底板17、蓋50、フランジ16は断熱材を用いて形成されることが好ましい。これにより、本体10から外部への放熱をさらに抑制できるので、本体10内の温度をより安定させることができる。
2.反応容器
本実施形態に係る反応容器は、核酸増幅反応用の反応容器であって、長手方向を有する流路を含む。係る流路は、第1内壁面と、第1内壁面に対向する第2内壁面と、の間に形成されている。そして、流路は、第1内壁面に垂直な方向から見た場合に、長手方向を有する。
本実施形態に係る反応容器は、反応液が導入された場合に、反応液が、流路を形成する第1内壁面と第2内壁面の両方に接触する距離であり、長手方向に直交する流路の断面において、第1内壁面に平行な方向の長さが、第1内壁面と第2内壁面との間の距離の5倍以上である断面を有する。また、本実施形態に係る反応容器は、係る流路内に、反応液と気体とが配置されることができる。
また、本実施形態の反応容器は、反応液、及び、流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上であって、反応液の体積との合計が、流路の容積の50%以下となるように、オイルが配置された状態で使用されることができる。また、本実施形態の反応容器は、流路内に、反応液と、気体と、反応液の体積の0.1倍以上3倍以下の体積のオイルと、が配置された状態で使用されることもできる。
なお、本明細書において、「反応液が内壁面に接触する」との表現は、反応液が直接内壁面に接触する場合と、反応液がオイルを介して接触する場合とを含む。後者の場合のオイルは、反応液と内壁面とにより圧縮される状態となるため、薄膜状の形状となる場合がある。
以下、本実施形態に係る反応容器の例として、反応容器100を例として説明した後、反応液、オイルについて説明する。
2.1.反応容器の構成
図4A及び図4Bは、本実施形態に係る反応容器100の断面の模式図である。図4Aは反応容器100の対向する第1内壁面113及び第2内壁面114に対して平行かつ長手方向に沿う面で切った断面の模式図であり、図4Bは反応容器100の第1内壁面113及び第2内壁面114に対して直交し、かつ長手方向に沿う面で切った断面の模式図である。
図4A及び図4Bに例示するように、第1態様に係る反応容器100は流路110及び蓋体120を含む。流路110は、第1内壁面113と、第1内壁面113に対向する第2内壁面114と、第1内壁面113及び第2内壁面114をつなぐ第3内壁面115と、を含む壁面によって区画されている。そして、流路110の長手方向は、第1内壁面113(及び第2内壁面114)に沿う方向となっており、図4Aに示すように、第1内壁面113に直交する方向から見た場合に、流路110の幅cよりも長く延びた方向であり、開放した一端と閉じた他端(底部117側)をむすぶ方向である。
また流路110を区画する第3内壁面115は、長手方向に延びた平行な一対の壁面と、底部117によって形成される底面を含んでいる。また、流路110の開放された一端側は、蓋体120が装着されて封止されることにより、蓋体120の表面によって区画される。なお、本実施形態の反応容器100では、第3内壁面115を有する形状となっているが、第3内壁面115が存在しない形状とすることも可能である。例えば、第1内壁面113及び第2内壁面114をつなぐ形態として、第1内壁面113及び第2内壁面114を形成する第1壁118及び第2壁119を、熱融着すると、第3内壁面115が存在しない形状であって、第1内壁面113及び第2内壁面114がつながれた形状とすることができる。このような形態は、例えば、ラミネート加工やパウチ加工の手法により形成できる。
流路110には、少なくとも核酸増幅反応を行う反応液(以下、単に「反応液140」ともいう。)及び気体130が導入され、蓋体120によって封止されている。また、流路110には、反応液140よりも比重が小さく、かつ、反応液140とは混和しない液体(図示せず)が導入される。係る反応液140とは混和しない液体は、オイルであり、その詳細は後述する。ただし、この場合であっても流路110には気体130が存在するように各液体の量が適宜に調節される。
反応容器100の形状は扁平状であり、長手方向(図4A及び図4Bにおける上下方向であって、第1内壁面113及び第2内壁面114に平行な方向)を有する。流路110の長手方向は、熱サイクル装置の起動中に反応液140(反応液)が移動する方向である。
反応容器100は蓋体120で封止されている。反応容器100では、容器内部に入れた反応液140の液滴が容器の底部117において底部の中央に位置しやすいように、反応容器100の底部117の中央が外部に向かって突出する形状となっている。
第1内壁面113及び第2内壁面114は互いに対向する平面である。第1内壁面113と第2内壁面114の間の距離(図4Bにおいて示す幅a)は、反応容器100に注入された反応液140の1つの液滴が第1内壁面113及び第2内壁面114の両方に同時に接触する距離である。なお、反応液140が第1内壁面113及び第2内壁面114の両方に同時に接触する状態において、反応液140は、第3内壁面115には接しても接しなくてもよい。
流路110の長手方向に直交する面で切った流路110の断面の形状について説明する。本実施形態の反応容器100では、長手方向に直交する面で切った流路110の断面は、底部117以外の部分において略長方形の形状となっている。そして、係る断面の第1内壁面113(第2内壁面114)に平行な方向の長さは、第1内壁面113と第2内壁面114との間の距離の5倍以上となっている。すなわち、図4Aにおける幅cは、図4Bにおける幅aの5倍以上である。
係る断面の形状はアスペクト比(扁平率)で規定することができる。本明細書では、アスペクト比とは、長手方向を有する形状において、長手方向(長軸)の大きさを、長手方向に直交する方向(短手方向)(短軸)の大きさで除した値とする。この場合、上述の流路110の長手方向に直交する面で切った流路110の断面のアスペクト比(c/a)は5以上であると言い換えることができる。なお、この例では、幅cは、図4Aの例では、第1内壁面113と第2内壁面114とを連絡する第3内壁面115間の距離である。
長手方向に直交する面で切った流路110の断面の第1内壁面113に平行な方向の長さは、第1内壁面113と第2内壁面114との間の距離の6倍以上が好ましく、より好ましくは7倍以上、さらに好ましくは8倍以上である。言い換えると、流路110の長手方向に直交する面で切った流路110の断面のアスペクト比は、6以上が好ましく、より好ましくは7以上、さらに好ましくは8以上である。
流路110がこのような扁平な形状を有することにより、反応液140がより少ない量でも第1内壁面113及び第2内壁面114の両方に同時に接触することができる。
反応液140及び気体130が流路110内に導入される体積は、気体130の体積が流路110の容積の50%以上を占める限り、特に限定されない。このようにすれば、2つの異なる温度領域のどちらか一方に、反応液140を配置することができる。導入される反応液140及びオイルの合計の体積は、流路110の容積の50%以下、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である。また、第1内壁面113と第2内壁面114の間の距離(図4Bにおいて示す幅a)に依存するが、反応液140は、第1内壁面113及び第2内壁面114の両方に同時に接触する体積が導入されれば十分であり、例えば、導入される反応液140の体積は、流路110の容積の5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上である。
一方、第1内壁面113と第2内壁面114との間の距離(幅a)は、0.1mm以上3mm以下、好ましくは0.2mm以上2.5mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.5mm以下、さらに好ましくは0.5mm以上1mm以下である。
反応液140が第1内壁面113及び第2内壁面114の両方に同時に接触する状態は、反応液140の体積と、第1内壁面113と第2内壁面114との間の距離とを適宜に調節することによって得ることができる。また、流路110中に気体130が50%以上存在する状態は、流路110中に反応液140及びオイルと気体130のみが導入される場合、例えば、反応容器100の実用的な大きさを考慮して設計することができる。このように、本実施形態の反応容器100の大きさ及び流路110の形状は、導入される反応液140の体積を考慮して適宜に設計され得る。
流路110に導入される反応液140の体積は、上記条件を満たすように流路110の形状が設計される限り、特に限定されない。流路110に導入される反応液140の体積は、例えば、1μL以上100μL以下、好ましくは5μL以上50μL以下、より好ましくは10μL以上40μL以下、さらに好ましくは20μL以上30μL以下である。この範囲の体積であれば、反応液140中の核酸を増幅することが容易である。
流路110には、反応液140とオイルとが導入されるが、本実施形態の反応容器100に導入されるオイルの量は、反応容器100の内壁面を十分に濡らすことができる量であり、その典型的な量は、反応容器100の流路110の表面積に依存する。オイルの量としては、流路110の単位面積当たりの体積(流路110の内面の面積に対する体積)として、0.005μL/mm以上、好ましくは0.01μL/mm以上、より好ましくは0.02μL/mm以上である。このような体積のオイルが導入されれば、反応液140の移動を非常に円滑に行うことができる。
また、流路110内に配置される反応液の体積と、オイルの体積と、の合計は、流路110の容積の50%以下、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下である。すなわち、反応液とオイルとが反応容器100内に配置された際に、反応液及びオイル以外の部分の体積が流路110の容積の50%未満である。
ここで、反応液及びオイルが、反応に係る第1温度に制御された第1領域と第2温度に制御された第2領域とを往復することを考える(後述の核酸増幅反応方法の項も参照。)。その際に、一方の領域で反応液が温度変化をしている間に、他方の領域からの熱が反応液に対して伝導しにくいことがより好ましい。例えば、第1温度に制御された第1領域に反応液及びオイルが存在している間には、第2温度に制御された第2領域から反応液及びオイルに熱が伝わらないことが望ましい。
したがって、流路110内に配置される反応液の体積と、オイルの体積と、の合計を、流路110の容積の50%以下とすれば、二つの領域が容器に対して対称に設けられた場合に、一方の領域に反応液が存在するときに、他方の領域に反応液及びオイルが存在しないようにしておくことができ、熱交換の効率や反応液の温度制御を容易に行うことができる。
また、本実施形態の反応容器100に導入されるオイルの体積の典型的例としては、反応液140の体積の0.05倍以上5倍以下、好ましくは0.1倍以上3倍以下、より好ましくは0.1倍以上3倍以下、さらに好ましくは0.2倍以上2倍以下である。オイルの体積がこの範囲であれば、反応容器100の内壁面を十分に濡らすことができるとともに、反応液140の流路中での移動を高速に行わせることができる。
上記範囲の体積の反応液140を導入する場合の流路110の形状を幾つか例示的に説明する。以下の説明では、オイルの体積は無視するものとする。流路110の形状が、長手方向を有する扁平な直方体形状であって、厚さ(上述の第1内壁面113と第2内壁面114との間の距離に相当)をD、長手方向の長さをL、長手方向に直交する方向の長さ(上述の幅cに相当)をWとした場合を考える(なお、この場合L>Dである。)。
反応液140の導入量が10μLである場合には、例えば、D=0.2mm、W=5mmとすれば、Lが2cm以上であれば、上述の条件を満たすことができる。この場合、上記のアスペクト比はW/D=25となっている。同様に、反応液140の導入量が50μLである場合には、例えば、D=1mm、W=5mmとすれば、Lが2cm以上であれば、上述の条件を満たすことができる。この場合、上記のアスペクト比はW/D=5となっている。反応液140の導入量が100μLである場合には、例えば、D=1mm、W=1cmとすれば、Lが2cm以上であれば、上述の条件を満たすことができる。この場合、上記のアスペクト比はW/D=10となっている。なお、容器の形状(D、W、L)から、反応液140の導入量を決定してもよい。
なお、本実施形態において、幅cは、特に限定されない。すなわち、本実施形態の反応容器100には、流路110に50体積%以上の気体(空気等)が導入されるため、仮に、反応液140の1つの液滴が第3内壁面115に同時に接触したとしても、重力の作用による反応液140の流路110内での移動を非常に容易に行うことができる。これは上述の断面のアスペクト比が5以上であることにより、反応液140のメニスカスが形成されにくく、反応液140の表面(気体130との界面)が破壊されやすいことが一因と考えられる。
本実施形態の反応容器100を使用すれば、反応液140が反応容器100の長手方向に移動する際、反応液140が反応容器100の対向する内壁の両方に常に接触している。さらに、流路110の形状が扁平であるため、反応液140と、第1内壁面113及び第2内壁面114と、の接触が面接触となる。そして、長手方向に直交する流路110の断面において、第1内壁面113に平行な方向の長さが、第1内壁面113と第2内壁面114との間の距離の5倍以上である断面を有する。すなわち、反応液140は反応容器100の第1内壁面113及び第2内壁面114に挟まれており、反応液140の液滴は、厚み方向に圧縮され、その大きさは厚み方向に対して直交する方向に拡大する。
そのため、接触面積を大きくすることができる。したがって、加熱部からの熱は、反応容器100の壁面から反応液140に広い面積で直接伝達することができるので熱伝達効率が高い。これにより、反応液140と内壁面との直接の熱交換を良好に行うことができ、反応液140を所定の温度に非常に早く到達させることができる。これにより、核酸の増幅を高速に行うことができる。
また、第1内壁面113及び第2内壁面114を形成する第1壁118及び第2壁119は、薄いほど容器の内外の熱交換を行いやすい。すなわち、第1壁118及び第2壁119の少なくとも一方の厚さは、0.01mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.4mm以下がより好ましく、0.1mm以上0.3mm以下がさらに好ましい。
また、図示しないが、第1内壁面113及び第2内壁面114を形成する第1壁118及び第2壁119は、フィルムによって形成されてもよい。その場合には、例えば、フィルムを展張する枠に対して、フィルムを貼り付けることにより、反応容器を形成することができる。この場合のフィルムの厚さは特に限定されないが、例えば、0.01mm以上0.5mm以下、好ましくは0.02mm以上0.3mm以下、より好ましくは0.03mm以上0.2mm以下、さらに好ましくは0.04mm以上0.1mm以下である。
またこの場合、フィルム(第1壁118及び第2壁119)は、単層構造、多層構造のいずれでもよい。多層構造であると、各層に各種の機能を担わせることができるためより好ましい。そのような機能としては、ガスバリア性、接着性、溶着性、強度(剛性)、視認性等が挙げられる。フィルムの材質についても特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、及びそれらの共重合体等の高分子を含むものとし、所定の機能に合わせて適宜含むことができる。
また、本実施形態に係る反応容器100は、流路110の一方の端部側(底部117)の幅cが狭窄する形状となっている。このような形状とすることで、反応液140の落下位置が反応容器100の幅方向に安定するため、反応容器100の長手方向の端部(図示の例では、底部117)から反応液140の蛍光計測を行うことがより容易である。また、本実施形態に係る反応容器100は、反応液140の落下位置が反応容器100の厚み方向に安定するため、下記変形例1に示すように、水平方向から反応液140の蛍光計測を行うようにしても同様である。なお、係る形状は任意であり、流路110の一方の端部側(底部117)の幅cが狭窄していなくてもよいし、図示のように、第1内壁面113及び第2内壁面114に垂直な方向から見た場合に角のある形状であっても、丸みのある形状であってもよい。
再度図3A及び図3Bを参照して反応容器100の加熱について説明する。反応容器100の第1領域111は、第1加熱部12によって第1温度に加熱される、流路110の一部の領域である。第2領域112は、第2加熱部13によって第2温度に加熱される、第1領域111とは異なる流路110の一部の領域である。本実施形態の反応容器100においては、第1領域111は、流路110の長手方向における一方の端部を含む領域であり、第2領域112は、流路110の長手方向における他方の端部を含む領域である。図3A及び図3Bに示す例では、流路110の蓋体120側の端部を含む点線で囲まれた領域が第2領域112であり、蓋体120から遠い側の端部を含む点線で囲まれた領域が第1領域111である。
流路110には、気体130と、オイル(図示せず)と、反応液140とが充填されている。オイル及び気体130は、例えば大気(空気)であり、疎水性を有しているため、図4に示すように、反応液140は気体130の中に液滴(液溜まり)の状態で保持されている。反応液140は、気体130よりも比重が大きいため、流路110の重力方向における最下部の領域に位置している。
2.2.オイルの機能及び反応液の移動
ここで、オイルが存在する状態における反応液140の移動の様子を説明する。オイルは、反応液140と比較して表面張力の小さい液体である。そのため、反応液140よりも反応容器100の内壁面と親和性が高い。したがって、内壁面に対して反応液140よりもオイルが優先して付着しやすい(濡れやすい)。そうすると、反応液140は、内壁面に対して、液体であるオイルを介して接触することになる。ここで、反応液140が例えば重力の作用で流路110内を移動する場合、反応液140は、内壁面をオイル上を滑って移動することができる。すなわち、オイルが無い場合には、反応液140は、内壁面に接しながら移動することになるが、相対的に表面張力の大きい反応液140は、内壁面との親和性が小さいため、内壁面との接触角が大きく、かつ固体である内壁面上を移動するため、移動の際には表面張力に基づく抵抗が大きい。これに対して、オイルが存在する場合には、反応液140は、相対的に表面張力の大きい反応液140であっても、内壁面との間に液体であるオイルが存在するため、オイルとの親和性が小さくても、液体の上を滑走することができる。他に例えて言うと、オイルが、反応液140の移動のための潤滑剤、コロあるいは滑車のような働きをする。これにより、本実施形態の反応容器100では、反応液140が非常に移動しやすくなっている。
なお、本実施形態の反応容器100では、反応液140が流路110内を移動する際には、反応液140の形状の変化を伴うことが通常であり、その変形においても、同様の理由で変形のための抵抗が非常に小さくなっている。また、反応液140が流路110内を移動する際には、反応液140の滑走、流動、落下等も伴う場合があるが、これらの事象についても、同様の理由で抵抗が非常に小さくなっている。
反応容器100の材質は、PCR反応の温度により変形等を生じない限り、特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、及びそれらの共重合体等の高分子を含むものとすることができる。容器と蓋体120の材質は互いに異なってもよい。反応容器100の材質にポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を選ぶと、射出成形等により製造を容易化することができる。
さらに、第1壁118及び第2壁119を含む流路110を形成する壁の少なくとも一つは、透明な材質で形成され、光透過性を有してもよい。このようにすれば反応容器100を熱サイクル処理に使用した場合に、例えば、蛍光プローブの蛍光を測定しやすくすることができる。第1壁118及び第2壁119の少なくとも一方をを透明とすれば、外部から反応液140が移動する様子を観察できるため、熱サイクル処理が適切に行われているか否かを、目視により確認することができる。ここでの「透明」の程度は、これらの部材を熱サイクル装置1に採用して熱サイクル処理を行った場合に、反応液140が視認できる程度であればよい。
2.3.反応液
反応液140は、反応に必要な成分を含む液体である。反応がPCRである場合には、PCRによって増幅されるDNA(標的核酸)、DNAを増幅するために必要なDNAポリメラーゼ、並びにプライマー等が含まれる。また、反応液140には、PCRの進行をモニターするための蛍光プローブ等が含まれてもよい。
2.4.オイル
オイルとしては、上記機能を有する限り特に限定されないが、シリコーンオイル、パラフィンオイル、ミネラルオイル、及び、それらの誘導体、並びに、それらの変性体の少なくとも一種であることが好ましい。このようなオイルを選択することにより、反応液に対してさらに安定した熱サイクルを施すことができる。
オイルは、上記のような作用機能を有するが、オイルの60℃における動粘度は、20センチストークス以下であることがより好ましい。このような動粘度のオイルを選択すれば、より反応液の移動を高速化することができることが分かっている。
また、オイルの20℃における飽和蒸気圧と、100℃における飽和蒸気圧の差は、0.99atm以下であることがより好ましい。このような性質のオイルを選択すれば、例えば、室温で反応容器100に蓋体120を装着して、熱サイクルを開始し、温度が上昇した場合でも、水、オイルの蒸気圧、及び気体の膨張によって内圧が上昇したとしても、蓋体120のシールが破れにくく、流路110の気密を良好に保つことができる。そのため、熱サイクル中に液体や気体が漏れにくく、安定して良好な熱サイクルを行うことができる。
さらにオイルは、波長350nm以上800nm以下の光を透過することが好ましい。このようなオイルと選択すれば、反応液140に、蛍光プローブ等が含まれた場合に、外部から入射する励起光やプローブが発する蛍光を、オイルによって遮蔽しにくく、例えばリアルタイムPCRをより容易に行うことができる。
さらに、オイルの25℃における比重は、0.75以上1以下であってもよい。このようなオイルを選択すれば、反応液140が水系である場合に、オイルの比重が、反応液140と同程度かそれ以下であるため、反応液140の移動をさらに高速化しやすい。
3.熱サイクル装置を用いた熱サイクル処理
本実施形態の核酸増幅反応方法は、上述の反応容器(例えば反応容器100)に、反応液140を導入し、流路110内に少なくとも反応液140と気体130とを配置する工程と、反応容器100の第1領域111を第1温度に加熱する工程と、反応容器100の第2領域112を第1温度とは異なる第2温度に加熱する工程と、反応液140を流路110内で移動させて、第1領域111から第2領域112に移動させる工程と、反応液140を流路110内で移動させて、第2領域112から第1領域111に移動させる工程と、を含む。このような核酸増幅反応方法によれば、高速に核酸を増幅することができる。以下核酸増幅反応方法について、さらに具体的に説明する。
既に説明に用いた図3Aは第1配置、図3Bは第2配置を示している。また、図5は、実施形態における熱サイクル装置1を用いた熱サイクル処理の手順を表すフローチャートである。以下では、上述の実施形態の第1態様に係る反応容器100を用いた場合の、実施形態に係る熱サイクル装置1を用いた熱サイクル処理について説明する。
以下、図3A、図3B、及び図5を参照しながら、実施形態に係る熱サイクル装置1を用いた熱サイクル処理を説明する。図3A及び図3Bにおいては、矢印gの方向(図における下方向)が重力の作用する方向である。本実施形態においては、熱サイクル処理の例としてシャトルPCR(2段階温度PCR)を行う場合を説明する。なお、以下に説明する各工程は熱サイクル処理の一例を示すものである。必要に応じて工程の順序を入れ替えたり、2以上の工程を連続的にあるいは並行して行ったり、工程を追加したりしてもよい。
シャトルPCRは、高温と低温の2段階の温度処理を繰り返し反応液に施すことにより、反応液中の核酸を増幅させる手法である。高温の処理においては2本鎖DNAの解離が、低温の処理においてはアニーリング(プライマーが1本鎖DNAに結合する反応)及び伸長反応(プライマーを始点としてDNAの相補鎖が形成される反応)が行われる。
一般に、シャトルPCRにおける高温は80℃から100℃の間の温度、低温は50℃から70℃の間の温度である。各温度における処理は所定時間行われ、高温に保持する時間は低温に保持する時間よりも短いことが一般的である。例えば、高温が1秒から10秒程度、低温が10秒から60秒程度としてもよく、反応の条件によってはこれよりも長い時間であってもよい。
なお、使用する試薬の種類や量によって、適切な時間、温度及びサイクル数(高温と低温を繰り返す回数)は異なるので、試薬の種類や反応液140の量を考慮して適切なプロトコルを決定した上で反応を行うことが好ましい。
まず、本実施形態に係る反応容器100を、装着部11に装着する(ステップS101)。本実施形態では、気体130が充填された流路110に反応液140を導入後、蓋体120によって封止された反応容器100を装着部11に装着する。反応液140の導入は、マイクロピペットやインクジェット方式の分注装置等を用いて行うことができる。装着部11に反応容器100を装着した状態においては、第1加熱部12は第1領域111を、第2加熱部13は第2領域112を、それぞれ含む位置において反応容器100に接している。本実施形態においては、図3A及び図3Bに示すように反応容器100を底板17に接触するように装着することで、第1加熱部12及び第2加熱部13に対して反応容器100を所定の位置に保持できる。
本実施形態においては、ステップS101における装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13、の配置は第1配置である。図3Aに示すように、第1配置は、第1領域111が第2領域112よりも鉛直方向下となる配置であり、本実施形態では、反応容器100の第1領域111を、重力の作用する方向における流路110の最下部に位置させる配置である。したがって、第1領域111は、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13が所定の配置にある場合に、重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する流路110の一部の領域である。第1配置においては、重力の作用する方向における流路110の最下部に第1領域111が位置しているので、気体130よりも比重の大きい反応液140は、第1領域111に位置している。本実施形態においては、装着部11に反応容器100を装着したら、蓋50によって装着部11を覆い、熱サイクル装置1を作動させる。本実施形態においては、熱サイクル装置1を作動させると、ステップS102及びステップS103が開始される。
ステップS102では、第1加熱部12及び第2加熱部13により反応容器100を加熱する。第1加熱部12と第2加熱部13とは、反応容器100の異なる領域を異なる温度に加熱する。すなわち、第1加熱部12は第1領域111を第1温度に加熱し、第2加熱部13は第2領域112を第2温度に加熱する。これにより、流路110の第1領域111と第2領域112との間には、第1温度と第2温度との間で温度が漸次変化する温度勾配が形成される。本実施形態においては、第1温度は、熱サイクル処理において目的とする反応に適した温度のうち相対的に高い温度であり、第2温度は、熱サイクル処理において目的とする反応に適した温度のうち、相対的に低い温度である。したがって本実施形態のステップS102においては、第1領域111から第2領域112へ向けて温度が低くなる温度勾配が形成される。本実施形態の熱サイクル処理はシャトルPCRであるので、第1温度は2本鎖DNAの解離に適した温度、第2温度はアニーリング及び伸長反応に適した温度とすることが好ましい。
ステップS102における、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置は第1配置であるので、ステップS102において反応容器100を加熱すると、反応液140は第1温度に加熱される。したがって、ステップS102においては、反応液140に対して第1温度における反応が行われる。
ステップS103では、第1配置において、第1時間が経過したか否かを判定する。本実施形態においては、判定は図示しない制御部によって行われる。第1時間は、第1配置に装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13を保持する時間である。本実施形態において、ステップS101での装着に続いてステップS103が行われる場合、すなわち1回目のステップS103が行われる場合には、熱サイクル装置1を作動させてからの時間が第1時間に達したか否かが判定される。第1配置においては、反応液140は第1温度に加熱されるので、第1時間は、目的とする反応において反応液140を第1温度で反応させる時間とすることが好ましい。本実施形態においては、2本鎖DNAの解離に必要な時間とすることが好ましい。
ステップS103において、第1時間が経過したと判定した場合(yes)は、ステップS104へ進む。第1時間が経過していないと判定した場合(no)は、ステップS103が繰り返される。
ステップS104では、駆動機構20によって本体10を駆動し、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置を第1配置から第2配置へ切換える。第2配置は、第2領域112が第1領域111よりも鉛直方向下となる配置であり、本実施形態では、第2領域112を重力の作用する方向において流路110の最下部に位置させる配置である。換言すると、第2領域112は、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13が、第1配置とは異なる所定の配置にある場合に、重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する領域である。
本実施形態のステップS104では、図3Aの状態から、図3Bの状態へと装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置を切換える。本実施形態の熱サイクル装置1においては、制御部の制御によって駆動機構20が本体10を回転駆動する。駆動軸を回転の軸として、モーターによってフランジ16を回転駆動すると、フランジ16に固定されている装着部11、第1加熱部12及び第2加熱部13が回転される。駆動軸は装着部11の長手方向に対して垂直な方向の軸であるので、モーターの動作によって駆動軸が回転すると、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13が回転される。図3A及び図3Bに示す例では、本体10を180°回転させる。これにより、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置が第1配置から第2配置へ切換えられる。
ステップS104においては、第1領域111と第2領域112との重力の作用する方向における位置関係が第1配置とは逆になるので、反応液140は重力の作用によって第1領域111から第2領域112へと移動する。装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置が第2配置に達した場合に、制御部が駆動機構20の動作を停止すると、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置が第2配置に保持される。装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置が第2配置に達したら、ステップS105が開始される。
ステップS105では、第2配置において、第2時間が経過したか否かを判定する。第2時間は、第2配置に装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13を保持する時間である。本実施形態においては、第2領域112はステップS102において第2温度に加熱されているので、本実施形態のステップS105においては、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置が第2配置に達してからの時間が第2時間に達したか否かが判定される。第2配置においては、反応液140は第2領域112に保持されるので、本体10が第2配置に保持されている時間、反応液140は第2温度に加熱される。したがって、第2時間は、目的とする反応において、反応液140を第2温度に加熱する時間とすることが好ましい。本実施形態においては、アニーリングと伸長反応に必要な時間とすることが好ましい。
ステップS105において、第2時間が経過したと判定した場合(yes)は、ステップS106へ進む。第2時間が経過していないと判定した場合(no)は、ステップS105が繰り返される。
ステップS106では、熱サイクルの回数が所定のサイクル数に達したか否かを判定する。具体的には、ステップS103からステップS105までの手順が、所定回数完了したか否かを判定する。本実施形態においては、ステップS103及びステップS105が完了した回数は、「yes」と判定された回数で判定される。ステップS103からステップS105までが1回行われると、反応液140に熱サイクルが1サイクル施されるので、ステップS103からステップS105が行われた回数を、熱サイクルのサイクル数とすることができる。したがって、ステップS106により、目的とする反応に必要な回数の熱サイクルが施されたか否かを判定できる。
ステップS106において、熱サイクルが予定のサイクル数行われた(yes)と判定した場合には、処理を完了する(END)。熱サイクルが予定のサイクル数行われていない(no)と判定した場合には、ステップS107へ移行する。
ステップS107では、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置を、第2配置から第1配置へ切換える。駆動機構20によって本体10を駆動することで、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置を第1配置とすることができる。装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置が第1配置に達したら、ステップS103が開始される。
ステップS107に続いてステップS103が行われる場合、すなわち2回目以降のステップS103においては、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置が第1配置に達してからの時間が第1時間に達したか否かが判定される。
駆動機構20によって装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13を回転させる方向は、ステップS104における回転と、ステップS107における回転とで、反対方向であることが好ましい。これにより、回転によって導線15などの配線に生じた捩れを解消できるので、配線の劣化を抑制できる。回転の方向は、駆動機構20による1回の動作毎に反転させることが好ましい。これにより、同方向への回転を複数回連続して行う場合と比較して、配線が捩れる程度を軽減できる。
4.変形例
以下、上記実施形態に係る変形例について説明する。
図6A及び図6Bは、変形例に係る熱サイクル装置2の斜視図である。図6Aは蓋50を閉じた状態、図6Bは蓋50を開けた状態を示す。図7は、変形例に係る熱サイクル装置2の本体10aの、図6AのB−B線における断面を模式的に示す断面図である。以下の変形例は、相互に矛盾しない構成である限り任意の組み合わせが可能である。以下においては上述の実施形態とは異なる構成について詳述し、実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。変形例については、上述の反応容器100を使用する場合を中心として例示するが、他の形状の反応容器に対しても矛盾しない構成である限り適用できる。
(変形例1)
上記実施形態においては、熱サイクル装置1が検出装置を含まない例を示したが、図6A及び図6Bに示すように、本変形例に係る熱サイクル装置2は反応容器100の第2領域112の側壁を介して核酸量を測定するための蛍光検出器40を含んでもよい。これにより、例えばリアルタイムPCRのような蛍光検出を伴う用途に熱サイクル装置2を使用できる。蛍光検出器40の数は検出が問題なく行える限り任意である。本変形例においては、1個の蛍光検出器40をスライド22に沿って移動させて蛍光検出を行う。蛍光検出を行うために、本体10aの第2加熱部13側の側面部に孔が設けられ、測定窓18(図7参照)が形成されている。蛍光検出器40は、第2領域112中に反応液140が位置する際に、測定窓18を通じて反応容器100の第2領域112の側壁に励起光を照射して、放射される蛍光を測定し、反応液140中の核酸増幅量を測定することができる。
本変形例においては、図6A、図6B並びに図7に示す熱サイクル装置2において、蓋50の側に第1加熱部12が設けられ、蓋50から遠い側に第2加熱部13が設けられている。すなわち、第1加熱部12及び第2加熱部13と、本体10に含まれる他の部材との位置関係が熱サイクル装置1とは異なっている。位置関係が異なる以外は、第1加熱部12及び第2加熱部13の機能は上述の熱サイクル装置1と同様である。本変形例においては、図7に示すように、第2加熱部13の側面に測定窓18が設けられている。これにより、低温側(アニーリング及び伸長反応を行う温度)で蛍光測定を行うリアルタイムPCRにおいて適切な蛍光測定ができる。
(変形例2)
上記実施形態においては、第1温度及び第2温度は熱サイクル処理の開始から終了まで一定としたが、第1温度及び第2温度のうち少なくとも一方を処理の途中で変更してもよい。第1温度及び第2温度は、制御部の制御によって変更できる。第1加熱部12及び装着部11の配置を切換えて反応液140を移動させることで、変更された温度に反応液140を加熱できる。したがって、加熱部の数を増やしたり、装置の構造を複雑にしたりすることなく、例えば逆転写PCRのような、2種類以上の温度の組み合わせを必要とする反応を行うことができる。
(変形例3)
上記実施形態においては、装着部11がスロット構造である例を示したが、装着部11は反応容器100を保持できる構造であればよい。例えば、反応容器100の形状に合わせた窪みに反応容器100をはめ込む構造や、反応容器100を挟んで保持する構造を採用してもよい。
(変形例4)
上記実施形態においては、反応容器100の位置を定める構造は底板17であったが、位置を定める構造は所定の位置に反応容器100を保持できるものであればよい。位置を定める構造は、熱サイクル装置2に設けられた構造であっても、反応容器100に設けられた構造であっても、両方の組み合わせであってもよい。例えば、螺子、差込式の棒、反応容器100に突出部を設けた構造、装着部11と反応容器100とが勘合する構造を採用できる。螺子や棒を用いる場合には、螺子の長さやねじ込む長さ、棒を差込む位置を変更することで、熱サイクルの反応条件や反応容器100の大きさ等に合わせて保持する位置を調節できるようにしてもよい。
(変形例5)
上述の実施形態においては、第1加熱部12と第2加熱部13とが共にカートリッジヒーターである例を示したが、第1加熱部12は第1領域111を第1温度に加熱できるものであればよい。第2加熱部13は第2領域112を第2温度に加熱できるものであればよい。例えば、第1加熱部12及び第2加熱部13としては、カーボンヒーター、シートヒーター、IH(電磁誘導加熱)、ペルチェ素子、加熱液体、加熱気体を使用できる。また、第1加熱部12と第2加熱部13とで異なる加熱機構を採用してもよい。
(変形例6)
上述の実施形態においては、反応容器100を第1加熱部12と第2加熱部13によって加熱する例を示したが、第2加熱部13の代わりに第2領域112を冷却する冷却部を設けてもよい。冷却部としては、例えばペルチェ素子を使用できる。これにより、例えば、反応容器100の第1領域111からの熱によって第2領域112の温度が低下しにくい場合にも、流路110に所定の温度勾配を形成できる。また、例えば、加熱と冷却を繰り返す熱サイクルを反応液140に施すことができる。
(変形例7)
上述の実施形態においては、第1ヒートブロック12b及び第2ヒートブロック13bの材質がアルミニウムである例を示したが、ヒートブロックの材質は熱伝導率、保温性、加工しやすさ等の条件を考慮して選択できる。例えば銅合金を使用してもよく、複数の材質を組み合わせてもよい。また、第1ヒートブロック12bと第2ヒートブロック13bとが異なる材質であってもよい。
(変形例8)
上述の実施形態に例示したように、装着部11が第1加熱部12の一部として形成されている場合には、装着部11を反応容器100に密着させる機構を設けてもよい。密着させる機構は、反応容器100の少なくとも一部を装着部11に密着させることができればよい。例えば、本体10や蓋50に設けたバネによって反応容器100を装着部11の一方の壁面に押し付けてもよい。これにより、第1加熱部12の熱を反応容器100にさらに安定して伝えることができるので、反応容器100の温度をさらに安定させることができる。
また、上述の実施形態では、反応容器100は、変形しにくい堅牢(剛直)なものとして説明したが、反応容器100は、可撓性を有してもよい。例えば、第1壁118及び第2壁119の少なくとも一方を、薄く形成したり、柔軟な材質で形成してもよい。このようにすれば、反応容器100が熱サイクル装置1に装着され、加熱された場合に、流路110内の反応液140や気体130が加熱されて内圧が上昇した場合に、反応容器100の少なくとも一部を装着部11に密着させることができる。すなわち、内圧が上昇した場合に、反応容器100が膨らもうとする力を装着部11によって抑えるため、両者が密着しやすい。これにより、第1加熱部12の熱を反応容器100にさらに安定して伝えることができるので、反応容器100の温度をさらに安定させることができる。また、反応容器100の脱落等の防止にも寄与することができる。
(変形例9)
上記実施形態においては、第1加熱部12及び第2加熱部13の温度が、反応容器100を加熱する温度と実質的に等しくなるよう制御される例を示したが、第1加熱部12及び第2加熱部13の温度制御は、実施形態に限定されない。第1加熱部12及び第2加熱部13の温度は、反応容器100の第1領域111及び第2領域112が所定の温度に加熱されるように制御されていればよい。例えば、反応容器100の材質や大きさを考慮することで、第1領域111及び第2領域112の温度をより正確に所定の温度に加熱できる。
(変形例10)
上記実施形態においては、駆動機構20がモーターである例を示したが、駆動機構20は装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13を駆動できる機構であればよい。駆動機構20が装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13を回転させる機構である場合、駆動機構20は遠心力によって反応液140が落下しない程度の回転速度以上とならないように制御可能であることが好ましい。また、配線に生じた捩れを解消するために、回転の方向を反転させることができるものであることが好ましい。このような機構としては、例えばハンドル、ぜんまい等を採用できる。
(変形例11)
上記実施形態においては、装着部11が第1加熱部12の一部である例を示したが、駆動機構20を動作させた場合に両者の位置関係が変化しない限り、装着部11と第1加熱部12とは別の部材であってもよい。装着部11と第1加熱部12とが別の部材である場合には、両者が直接又は他の部材を介して固定されていることが好ましい。また、装着部11と第1加熱部12とは同一の機構によって駆動されても、別個の機構によって駆動されてもよいが、両者の位置関係を一定に保つように動作することが好ましい。これにより、駆動機構20を動作させた場合に装着部11と第1加熱部12との位置関係を一定に維持できるので、反応容器100の所定の領域を所定の温度に加熱できる。なお、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13を駆動する機構が別個の機構である場合には、両者を合わせて駆動機構20とする。
(変形例12)
上記実施形態においては、温度センサーが熱電対である例を示したが、例えば測温抵抗体やサーミスタを使用してもよい。
(変形例13)
上記実施形態においては、固定部51が磁石である例を示したが、固定部51は蓋50と本体10を固定できるものであればよい。例えば、蝶番やキャッチクリップを採用してもよい。
(変形例14)
上記実施形態においては、駆動軸の方向は装着部11の長手方向に対して垂直であるとしたが、駆動軸の方向は、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置を第1配置と第2配置との間で切換えることができる限り任意である。駆動機構20が装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13を回転駆動する機構である場合、装着部11の長手方向に対して非平行な直線を回転の軸とすることで、装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置を切換えることができる。
(変形例15)
上記実施形態においては、制御部は電子制御である例を示したが、第1時間又は第2時間を制御する制御部(時間制御部)は、第1時間又は第2時間を制御できるものであればよい。すなわち、駆動機構20の動作又は停止のタイミングを制御できるものであればよい。また、熱サイクルのサイクル数を制御する制御部(サイクル数制御部)は、サイクル数を制御できるものであればよい。時間制御部及びサイクル数制御部としては、例えば、物理的な機構や電子制御機構、及びこれらの組み合わせを採用できる。
(変形例16)
熱サイクル装置は、図6A及び図6Bに例示するように、設定部25を含んでもよい。設定部25はUI(ユーザーインターフェイス)であり、熱サイクルの条件を設定する機器である。設定部25を操作することにより、第1温度、第2温度、第1時間、第2時間、及び熱サイクルのサイクル数のうち、少なくとも1つを設定できる。設定部25は制御部と機械的又は電子的に連動しており、設定部25での設定が制御部の制御に反映される。これにより、反応の条件を変更できるので、所定の熱サイクルを反応液140に施すことができる。設定部25は、上記のいずれかの項目を個別に設定できるものであっても、例えば事前に登録した複数の反応条件の中から1つを選択すると、必要な項目が自動的に設定されるものであってもよい。図6A及び図6Bの例では設定部25はボタン式であり、項目別にボタンを押すことで反応条件を設定できる。
(変形例17)
熱サイクル装置は、図6A及び図6Bに例示するように表示部24を含んでもよい。表示部24は表示装置であり、熱サイクル装置に関する各種情報を表示する。表示部24は、設定部25で設定される条件や熱サイクル処理中の実際の時間や温度を表示してもよい。例えば、設定を行う場合には入力された条件を表示したり、熱サイクル処理中には温度センサーによって測定された温度、第1配置又は第2配置において経過した時間、熱サイクルを施したサイクル数を表示したりしてもよい。また、熱サイクル処理が終了した場合や、装置に何らかの異常が発生した場合にも、その旨を表示してもよい。さらに、音声による通知を行ってもよい。表示や音声による通知を行うことで、熱サイクル処理の進行や終了を装置の使用者が容易に把握できる。
(変形例18)
上記実施形態においては、ステップS104における回転の方向と、ステップS107における回転の方向を反対方向としたが、同じ方向への回転を複数回行った後に、反対方向へ同じ回数回転させてもよい。これにより、配線に生じた捩れを解消できるので、反対方向への回転を行わない場合と比較して、配線の劣化を抑制できる。
(変形例19)
上記実施形態における熱サイクル装置1は、第1加熱部12及び第2加熱部13を含んだが、第2加熱部13は無くてもよい。すなわち、加熱部は第1加熱部12のみであってもよい。これにより、使用する部材の数を減らすことができるので、製造コストを削減できる。
また、本変形例においては、第1加熱部12によって反応容器100の第1領域111を加熱することにより、第1領域111から距離が離れるにつれて温度が低くなる反応容器100に温度勾配が形成される。第2領域112は、第1領域111とは異なる領域であるので、第1領域111よりも低い第2温度に維持される。本変形例においては、第2温度は、例えば反応容器100の設計や気体130の性質、第1加熱部12の温度の設定等によって制御される。
さらに本変形例においては、駆動機構20によって装着部11及び第1加熱部12の配置を第1配置と第2配置との間で切換えることで、反応液140を第1領域111と第2領域112との間で移動させることができる。第1領域111と第2領域112とは異なる温度に維持されているので、反応液140に熱サイクルを施すことができる。
このように第2加熱部13が無い場合には、スペーサー14は第1加熱部12を保持する。これにより、本体10における第1加熱部12の位置をより正確に定めることができるので、第1領域111をより確実に加熱できる。スペーサー14が断熱材である場合には、第1加熱部12によって加熱される領域以外の反応容器100の領域を囲むようにスペーサー14を配置することで、第1領域111及び第2領域112の温度をより安定させることができる。
本変形例の熱サイクル装置は、本体10の温度を一定に保つ機構を有してもよい。これにより、反応容器100の第2領域112の温度がより安定するので、より正確な熱サイクルを反応液140に施すことができる。本体10を保温する機構としては、例えば恒温槽が使用できる。
(変形例20)
上記実施形態においては、熱サイクル装置1が蓋50を含む例を示したが、蓋50は無くてもよい。これにより、使用する部材の数を減らすことができるので、製造コストを削減できる。
(変形例21)
上記実施形態においては、熱サイクル装置1がスペーサー14を含む例を示したが、スペーサー14は無くてもよい。例えば、上記実施形態のおけるスペーサー14の代わりに当該スペーサー14が占める空間を空気としてもよい。これにより、ヒーター間の熱伝導をより小さくすることができる場合があり、また、使用する部材の数を減らすことができるので、製造コストを削減できる。
(変形例22)
上記実施形態においては、熱サイクル装置1が底板17を含む例を示したが、図7に示すように、底板17は無くてもよい。これにより、使用する部材の数を減らすことができるので、製造コストを削減できる。
(変形例23)
上記実施形態においては、熱サイクル装置1が固定板19を含む例を示したが、固定板19は無くてもよい。これにより、使用する部材の数を減らすことができるので、製造コストを削減できる。
(変形例24)
上記実施形態においては、スペーサー14と固定板19が別個の部材である例を示したが、図7に示すように、スペーサー14と固定板19と一体に形成されていてもよい。また、底板17とスペーサー14、あるいは底板17と固定板19とが一体に形成されていてもよい。
(変形例25)
スペーサー14及び固定板19は、透明であってもよい。これにより、透明な反応容器100を熱サイクル処理に使用した場合に、装置の外部から反応液140が移動する様子を観察できる。したがって、熱サイクル処理が適切に行われているか否かを、目視により確認できる。したがって、ここでの「透明」の程度は、これらの部材を熱サイクル装置1に採用して熱サイクル処理を行った場合に、反応液140の移動が視認できる程度であればよい。
(変形例26)
熱サイクル装置1の内部を観察するためには、スペーサー14を透明にして固定板19を無くしても、固定板19を透明にしてスペーサー14を無くしても、スペーサー14と固定板19の両方を無くしてもよい。観察者と観察対象の反応容器100の間に存在する部材が少ないほど、物体による光の屈折の影響が少なくなるので、内部の観察が容易になる。また、部材が少なければ、製造コストを削減できる。
(変形例27)
熱サイクル装置1の内部を観察するためには、図6A、図6B及び図7に例示するように、本体10aに観察窓23を設けてもよい。観察窓23は、例えば、スペーサー14又は固定板19に形成された穴やスリットであってもよい。図7の例では、観察窓23は固定板19と一体に形成された透明なスペーサー14に設けられた凹部である。観察窓23を設けることで、観察者と観察対象の反応容器100の間に存在する部材の厚みを少なくできるので、内部の観察が容易になる。
(変形例28)
上記実施形態においては、本体10の底板17側に第1加熱部12が、蓋50の側に第2加熱部13が配置されている例を示したが、図7に示すように、蓋50の側に第1加熱部12が配置されていてもよい。第1加熱部12が蓋50の側に配置されている場合には、上述の実施形態のステップS101において反応容器100を装着した場合の装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置は第2配置である。すなわち、第2領域112が重力の作用する方向における流路110の最下部に位置する配置である。したがって、本変形例の熱サイクル装置2を実施形態に係る熱サイクル処理に適用した場合には、反応容器100を装着部11に装着したら、第1配置への切換えが行われる。具体的には、ステップS101からステップS102及びステップS103へ移行する前に、ステップS107の処理が行われる。
(変形例29)
上記実施形態においては、第1加熱部12及び第2加熱部13によって反応容器100を加熱する工程(ステップS102)と、第1時間が経過したか否かの判定を行う工程(ステップS103)とが、反応容器100を装着部11に装着したら(ステップS101)開始される例を示したが、ステップS102を開始するタイミングは上記実施形態に限定されない。ステップS103において計時が開始される時点までに第1領域111が第1温度に加熱される限り、ステップS102は任意のタイミングで開始してよい。ステップS102を行うタイミングは、使用する反応容器100の大きさや材料、第1ヒートブロック12bの加熱に必要な時間等を考慮して決定される。例えば、ステップS101より前、ステップS101と同時、及びステップS101より後でステップS103より前、のいずれかとしてもよい。
(変形例30)
実施形態においては、第1温度、第2温度、第1時間、第2時間、及び熱サイクルのサイクル数、駆動機構20の動作を制御部によって制御する例を示したが、これらの項目のうち少なくとも1つを使用者が制御することも可能である。使用者が第1温度又は第2温度を制御する場合は、例えば温度センサーによって測定された温度を表示部24で表示し、使用者が設定部25を操作して温度を調節してもよい。使用者が熱サイクルのサイクル数を制御する場合、所定回数に達した場合に使用者が熱サイクル装置1を停止させる。サイクル数の計数は、使用者が行っても、熱サイクル装置1が計数を行ってサイクル数を表示部24に表示してもよい。
使用者が第1時間又は第2時間を制御する場合には、使用者が所定の時間に達したか否かを判断し、熱サイクル装置2に装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置を切換えさせる。すなわち、図5のステップS103及びステップS105と、ステップS104及びステップS107の少なくとも一部を使用者が行う。時間は熱サイクル装置2とは連動しないタイマーを用いて計測しても、熱サイクル装置2の表示部24で経過した時間を表示してもよい。配置の切換えは、設定部25(UI)を操作することで行っても、駆動機構20にハンドルを採用して手動で行ってもよい。
(変形例31)
上記実施形態においては、駆動機構20の回転によって装着部11、第1加熱部12並びに第2加熱部13の配置を切換える場合の回転角度が180°である例を示したが、回転角度は、第1領域111と第2領域112との、重力方向における上下の位置関係が変化する角度であればよい。例えば、回転角度を180°未満であれば、反応液140の移動速度が遅くなる。したがって、回転角度を調節することで、反応液140が第1温度と第2温度との間を移動する時間を調節できる。すなわち、反応液140の温度が第1温度と第2温度との間で変化する時間を調節できる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1,2…熱サイクル装置、10,10a…本体、11…装着部、12…第1加熱部(加熱部)、12a…第1ヒーター、12b…第1ヒートブロック、13…第2加熱部、13a…第2ヒーター、13b…第2ヒートブロック、14…スペーサー、15…導線、16…フランジ、17…底板、18…測定窓、19…固定板、20…駆動機構、22…スライド、23…観察窓、24…表示部、25…設定部、40…蛍光検出器、50…蓋、51…固定部、100…反応容器、110…流路、111…第1領域、112…第2領域、113…第1内壁面、114…第2内壁面、115…第3内壁面、117…底部、118…第1壁、119…第2壁、120…蓋体、130…気体、140…反応液

Claims (10)

  1. 第1内壁面と、前記第1内壁面に対向する第2内壁面と、の間に形成され、前記第1内壁面に垂直な方向から見た場合に、長手方向を有する流路を含み、前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の距離は、反応液が導入された場合に、前記反応液が前記第1内壁面と前記第2内壁面の両方に接触する距離であり、前記長手方向に直交する前記流路の断面において、前記第1内壁面に平行な方向の長さが、前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の長さの5倍以上である形状の断面を有し、前記流路内に、前記反応液と、気体と、オイルと、が配置された、核酸増幅反応用の反応容器を装着可能な装着部と、
    前記装着部に前記反応容器を装着した場合に、前記反応容器の第1領域を加熱する第1加熱部と、
    前記装着部に前記反応容器を装着した場合に、前記反応容器の第1領域とは異なる第2領域を加熱する第2加熱部と、
    前記反応液を、前記第1領域と前記第2領域との間で移動させる移動機構と、
    を含み、
    前記オイルの量は、前記流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上であり、
    前記流路内に配置される前記反応液の体積と、前記オイルの体積と、の合計が、前記流路の容積の50%以下である、熱サイクル装置。
  2. 請求項1において、
    前記反応容器は、ポリプロピレンを含む、熱サイクル装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記オイルの60℃における動粘度は、20センチストークス以下である、熱サイクル装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記オイルの20℃における飽和蒸気圧と、100℃における飽和蒸気圧の差が、0.99atm以下である、熱サイクル装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記オイルは、シリコーンオイル、パラフィンオイル、ミネラルオイル、及び、それらの誘導体、並びに、それらの変性体の少なくとも一種を含む、熱サイクル装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記オイルは、波長350nm以上800nm以下の光を透過する、熱サイクル装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
    前記オイルの25℃における比重は、0.75以上1以下である、熱サイクル装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれか一項において、
    前記移動機構は、前記装着部、前記第1領域及び前記第2領域の配置を、第1配置と、第2配置との間で切換える駆動機構を含み、
    前記第1配置は、前記装着部に前記反応容器を装着した場合に、前記第1領域が、前記第2領域よりも重力の作用する方向に対して下となる配置であり、
    前記第2配置は、前記装着部に前記反応容器を装着した場合に、前記第2領域が、前記第1領域よりも重力の作用する方向に対して下となる配置である、熱サイクル装置。
  9. 第1内壁面と、前記第1内壁面に対向する第2内壁面と、の間に形成され、前記第1内壁面に垂直な方向から見た場合に、長手方向を有する流路を含み、
    前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の距離は、反応液が導入された場合に、前記反応液が前記第1内壁面と前記第2内壁面の両方に接触する距離であり、
    前記長手方向に直交する前記流路の断面において、前記第1内壁面に平行な方向の長さが、前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の長さの5倍以上である形状の断面を有し、
    前記流路内に、前記反応液と、オイルと、が配置された場合に、
    前記オイルの量は、前記流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上であり、
    前記流路内に配置される、前記反応液の体積と、前記オイルの体積と、の合計が、前記流路の容積の50%以下である、核酸増幅反応用の反応容器。
  10. 第1内壁面と、前記第1内壁面に対向する第2内壁面と、の間に形成され、前記第1内壁面に垂直な方向から見た場合に、長手方向を有する流路を含み、
    前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の距離は、反応液が導入された場合に、前記反応液が前記第1内壁面と前記第2内壁面の両方に接触する距離であり、
    前記長手方向に直交する前記流路の断面において、前記第1内壁面に平行な方向の長さが、前記第1内壁面と前記第2内壁面との間の長さの5倍以上である形状の断面を有する、反応容器の、前記流路内に、前記反応液と、前記流路の内面の面積に対して、0.005μL/mm以上の体積のオイルと、を配置する工程と、
    前記反応容器の第1領域を第1温度に加熱する工程と、
    前記反応容器の第2領域を第1温度とは異なる第2温度に加熱する工程と、
    前記反応液を前記流路内で移動させて、前記第1領域から前記第2領域に移動させる工程と、
    前記反応液を前記流路内で移動させて、前記第2領域から前記第1領域に移動させる工程と、
    を含み、
    前記流路内に配置される、前記反応液の体積と、前記オイルの体積と、の合計が、前記流路の容積の50%以下である、核酸増幅反応方法。
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