JP2018010225A - 光モジュールおよび光モジュールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光ファイバを高精度に位置決めできる光モジュールおよび光モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】光モジュール1は、凹部11bが表面に形成され、凹部11bの内側面から表面に沿って伸びる光導波路11cが内部に形成された光学素子11と、先端部が光学素子11の端面と対向するように凹部11bに配置された光ファイバ12とを備え、光ファイバ12は、凹部11b内の幅方向に偏りなく濡れ広がった第1樹脂層13にて固定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、光導波路と光ファイバとを備え、これら両者間にて光信号の伝達を行う光モジュールおよび光モジュールの製造方法に関する。
従来、光導波路と光ファイバとを備え、これら両者間にて光信号の伝達を行う光モジュールが知られている。この種の光モジュールでは、基板に光導波路が形成され、光導波路の端部と光ファイバとの間で光信号が伝播するように、光導波路と光ファイバとを光接続している。
具体的には、従来の光モジュールでは、特許文献1に開示されているように、光導波路を形成する基板に、光ファイバを配置するガイド溝を形成し、ガイド溝に光ファイバを配置し、ガイド溝の光ファイバを接着剤にて固定している。また、特許文献2および3に記載の構成では、光ファイバを配置するガイド溝としてV溝を形成し、V溝に配置した光ファイバを接着剤にて固定している。
これら特許文献1〜3に開示された構成では、光ファイバは光導波路に対して無調心の状態でガイド溝(V溝)に配置される。したがって、ガイド溝は、ガイド溝に配置した光ファイバの光軸と光導波路の光軸とが一致するように形成されている。
特開昭63−58304号公報 特開平8−313756号公報 特開2006−350014号公報
近年、シリコンフォトニクスなど、シリコン基板に微細な光導波路を形成した非常に小型かつ高速の光デバイスが開発されている。このような光デバイスでは、光ファイバについて、光導波路に対して例えば1μm以下といった高い位置決め精度が求められる。
これに対し、上記従来の構成では、基板に形成したガイド溝(V溝)に光ファイバを無調心の状態にて配置することにより、光導波路に対して光ファイバを位置決めしている。このため、上記従来のガイド溝による光ファイバの位置決め方式では、光ファイバの位置決め精度がガイド溝の加工精度に依存し、上記光デバイスに求められる光ファイバの位置決め精度が得られない。
そこで、光ファイバの位置決めをより高精度に行う方式として、いわゆるアクティブ調心方式が採用されている。この方式では、一例として次のようにして調心を行う。例えば、光ファイバに光信号を入射させ、光導波路の出射側端部(入射側とは反対側の端部)にて光信号の強度を測定し、光信号の強度が最大となる位置に光ファイバを位置決めする。この場合、基板にはガイド溝に代えて凹部を形成し、調心後の光ファイバを凹部に充填した接着剤(樹脂)にて固定する。
しかしながら、光ファイバの位置決め後に、基板の凹部に接着剤を塗布等により充填すると、接着剤の充填の際に機械的力が光ファイバに作用し、光ファイバは位置決めされた位置から移動する。また、接着剤は硬化時に収縮するので、これによっても光ファイバは位置決めされた位置から移動する。
なお、接着剤の硬化収縮による位置決め位置からの光ファイバの移動に対し、光ファイバの移動量を予測し、光ファイバが移動後に所定の位置決め位置に配置されるように、光ファイバを予め位置決め位置からずれた位置に配置すること、すなわちオフセット配置することが考えられる。しかしながら、光ファイバを接着剤の層内に埋設して配置するような構成では、接着剤の硬化収縮による光ファイバの移動方向および移動量を予測するのが困難である。このため、光ファイバをオフセット配置することによっても、接着剤の硬化収縮による光ファイバの位置決め位置からのずれに対応することができない。
したがって、本発明は、光導波路に対する光ファイバの位置決めを高精度に行うことができる光モジュールおよび光モジュールの製造方法の提供を目的としている。
上記の課題を解決するために、本発明の光モジュールは、凹部が表面に形成されるとともに、該凹部の内側面から前記表面に沿って伸びる光導波路が内部に形成された光学素子と、先端が前記光導波路の端面と対向するように、少なくとも一部が前記凹部に配置された光ファイバと、を備え、前記光ファイバは、前記凹部内の幅方向に偏りなく濡れ広がった第1樹脂層によって、前記光学素子に固定されている、ことを特徴としている。
上記の構成によれば、光ファイバは、光学素子の凹部内の幅方向に偏りなく濡れ広がった第1樹脂層によって光学素子に固定されているので、光モジュールの製造において、光導波路に対する光ファイバの位置決めを高精度に行うことができる。
すなわち、第1樹脂層の形成時において、第1樹脂層を形成する樹脂は、光学素子の凹部内に幅方向に偏りなく濡れ広がった状態に注入される。したがって、光ファイバは、樹脂の硬化収縮時に、凹部の幅方向への偏りによる移動が生じ難く、正規の位置決め位置からの光ファイバの位置ずれを抑制することができる。この結果、光導波路に対する光ファイバの位置決めを高精度に行うことができる。
また、第1樹脂層を形成する樹脂の硬化収縮時における光ファイバの移動は、主に下方向への移動のみを考慮すればよい。したがって、光ファイバは、主に下方向のみの移動量を考慮して、予め正規の位置決め位置からずれた位置に配置しておき、樹脂の硬化収縮後に、正規の位置決め位置に配置されるようにすることも可能である。
上記の光モジュールにおいて、前記光ファイバは、その一部が前記第1樹脂層に埋設されることなく前記凹部外に突出している構成としてもよい。
上記の構成によれば、光導波路に対する光ファイバの位置決めをさらに高精度に行うことができる。
すなわち、光ファイバの周囲全体を第1樹脂層に埋設する場合には、光モジュールの製造の際の第1樹脂層により光ファイバを固定する工程において、光ファイバの周りに第1樹脂層を形成する樹脂が存在し、光ファイバの周囲全体において樹脂の硬化収縮が生じる。このため、樹脂が硬化収縮した場合、樹脂の硬化収縮時における光ファイバの移動方向および移動量を予測することが困難である。
これに対し、光ファイバの一部が第1樹脂層に埋設されることなく凹部外に突出している構成とした場合、第1樹脂層を形成する樹脂の硬化収縮時における光ファイバの移動は、光ファイバの凹部外に突出している方向への移動を考慮する必要がない。したがって、第1樹脂層を形成する樹脂の硬化収縮時における光ファイバの移動量および移動方向が予測し易く、光ファイバは、予め正規の位置決め位置からずれた位置に配置しておき、樹脂の硬化収縮後に、正規の位置決め位置に配置されるようにすることが可能である。これにより、光導波路に対する光ファイバの位置決めをさらに高精度に行うことができる。
上記の光モジュールにおいて、前記第1樹脂層は、前記光ファイバの光軸に直交する各断面において、前記表面に直交する軸に対して対称に濡れ広がっている構成としてもよい。
上記の構成によれば、第1樹脂層は、光ファイバの光軸に直交する各断面において、凹部が形成されている表面に直交する軸に対して対称に濡れ広がっている。
したがって、第1樹脂層を形成する樹脂の硬化収縮時における光ファイバの移動は、光学素子の凹部が形成されている表面に直交する軸に対して対称な方向についての移動を考慮する必要がない。これにより、第1樹脂層を形成する樹脂の硬化収縮時における光ファイバの移動量および移動方向が予測し易く、光ファイバは、予め正規の位置決め位置からずれた位置に配置しておき、樹脂の硬化収縮後に、正規の位置決め位置に配置されるようにすることが可能である。この結果、光導波路に対する光ファイバの位置決めをさらに高精度に行うことができる。
上記の光モジュールにおいて、前記第1樹脂層は、前記光ファイバの前記先端部を含む第1の区間に接触しないように濡れ広がっている構成としてもよい。
上記の構成によれば、第1樹脂層は、光ファイバの先端部を含む第1の区間に接触しないように濡れ広がっているので、第1樹脂層がフィラーを含んでいる場合であっても、光ファイバの先端部と光導波路の端部との間での光信号の伝送がフィラーによって阻害されることがない。
上記の光モジュールにおいて、前記光ファイバは、前記第1樹脂層に加え、前記光ファイバの前記先端部を含む第2の区間に接触しないように前記光ファイバの一部に覆い被さった第2樹脂層によって、前記光学素子に固定されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、光ファイバは、光ファイバの先端部を含む第2の区間に接触しないように光ファイバの一部に覆い被さった第2樹脂層によって光学素子に固定されている。したがって、例えば温度変化に起因する第1樹脂層および第2樹脂層の膨張または収縮に伴う光ファイバの先端部の位置ずれが生じ難く、かつ第1樹脂層から光ファイバが剥がれる事態、すなわち光学素子から光ファイバが剥がれる事態を防止することができる。
上記の光モジュールは、前記光導波路の前記光ファイバと対向する端面と前記光ファイバの先端部との間に、前記光ファイバの先端部を前記光導波路に対して固定する透光性の接続樹脂層が設けられている構成としてもよい。
上記の構成によれば、光ファイバの先端部は、接続樹脂層により光導波路に対して位置決めされた状態にて固定されているので、光ファイバが光導波路に対する位置決め位置からずれることがない。これにより、光ファイバが光導波路に対して高精度に位置決めされた状態を維持することができる。
上記の光モジュールにおいて、前記光ファイバの側面は、前記凹部の底面および内側面から離間している構成としてもよい。
上記の構成によれば、光モジュールの製造において、光ファイバのアクティブ調心が可能となるので、光導波路に対する光ファイバの位置決めを高精度に行うことができる。なお、アクティブ調心は、光ファイバに光信号を入射させ、光導波路の出射側端部(入射側とは反対側の端部)にて光信号の強度を測定し、光信号の強度が最大となる位置に光ファイバを位置決めする方式である。
上記の光モジュールにおいて、前記第1樹脂層は、前記第2樹脂層よりも、硬化する際の収縮率が小さい樹脂にて形成されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、第1樹脂層は、第2樹脂層よりも硬化する際の収縮率が小さい樹脂にて形成されているので、光モジュールの製造において、第1樹脂層の硬化収縮に伴う光ファイバの移動量を小さくし、光ファイバの位置ずれを抑制することができる。これにより、光導波路に対する光ファイバの位置決めを高精度に行い易くなる。
上記の光モジュールにおいて、前記第1樹脂層は、前記第2樹脂層よりもフィラーを多く含んでいる構成としてもよい。
上記の構成によれば、第1樹脂層は、第2樹脂層よりもフィラーを多く含んでいるので、第2樹脂層よりも硬化の際の収縮率を小さくすることができる。これにより、例えば第1樹脂層および第2樹脂層とで同じ樹脂を使用している場合であっても第1樹脂層の硬化の際の収縮率を容易に小さくすることができる。また、第1樹脂層はフィラーを多く含んでいることにより、高い強度を有し、光ファイバを強固に保持することができる。
本発明の光モジュールは、凹部が表面に形成されるとともに、該凹部の内側面から前記表面に沿って伸びる光導波路が内部に形成された光学素子と、先端部が前記光導波路の端面と対向するように前記凹部に配置された光ファイバと、前記凹部に設けられ、前記光ファイバの側面の上側に位置する部分を露出させた状態にて前記光ファイバを覆い固定する第1樹脂層と、前記第1樹脂層の上、および前記光ファイバにおける前記第1樹脂層の上に位置する部分の上に設けられた第2樹脂層とを備えている構成である。
上記の構成によれば、光ファイバを第1樹脂層および第2樹脂層にて光学素子に固定しているので、光モジュールの製造において、凹部内に第1樹脂層を形成する樹脂を注入し、その上に光ファイバを位置決めして配置し、第1樹脂層により、光ファイバの側面の上側に位置する部分を露出させた状態にて光ファイバを覆い固定することができる。また、第1樹脂層を形成する樹脂を注入する場合、樹脂を凹部内に幅方向に偏りなく濡れ広がった状態に注入することができる。
したがって、光ファイバは、第1樹脂層の樹脂の硬化収縮時に、凹部の幅方向への樹脂の偏りによる移動が生じ難く、正規の位置決め位置からの光ファイバの位置ずれを抑制することができる。この結果、光導波路に対する光ファイバの位置決めを高精度に行うことができる。
また、第1樹脂層を形成する樹脂の硬化収縮時における光ファイバの移動は、主に下方向への移動のみを考慮すればよい。したがって、光ファイバは、主に下方向のみの移動量を考慮して、予め正規の位置決め位置からずれた位置に配置しておき、樹脂の硬化収縮後に、正規の位置決め位置に配置されるようにすることも可能である。
また、第2樹脂層を、第1樹脂層の上、および光ファイバにおける第1樹脂層の上に位置する部分の上に設けることにより、光ファイバが第1樹脂層から剥がれる事態を防止することができる。
本発明の光モジュールの製造方法は、凹部が表面に形成されるとともに、該凹部の内側面から前記表面に沿って伸びる光導波路が内部に形成された光学素子と、先端部が前記光導波路の端面と対向するように、少なくとも一部が前記凹部に配置された光ファイバと、を備えた光モジュールを製造する製造方法において、前記凹部に未硬化樹脂を注入する注入工程と、前記注入工程の後、前記未硬化樹脂が前記凹部内に偏りなく濡れ広がるまで待機する待機工程と、前記待機工程の後、前記先端部が前記光導波路の端面と対向するように、前記光ファイバの少なくとも一部を前記凹部に配置する配置工程と、前記配置工程の後、前記未硬化樹脂を硬化することによって、前記光ファイバを前記光学素子に固定する硬化工程と、を含んでいる構成である。
上記の構成によれば、注入工程では、光学素子の凹部に未硬化樹脂を注入する。待機工程では、注入工程の後、未硬化樹脂が凹部内に偏りなく濡れ広がるまで待機する。配置工程では、待機工程の後、先端部が光導波路の端面と対向するように、光ファイバの少なくとも一部を凹部に配置する。硬化工程では、配置工程の後、未硬化樹脂を硬化することによって、光ファイバを光学素子に固定する。
したがって、注入工程では、光ファイバを凹部に配置していない状態にて凹部に未硬化樹脂を注入するので、凹部に未硬化樹脂を注入する際に、位置決めされた光ファイバが移動する事態を生じない。
また、待機工程では、未硬化樹脂が凹部内に偏りなく濡れ広がるまで待機し、配置工程では、先端部が光導波路の端面と対向するように光ファイバを凹部に配置するので、硬化工程において、未硬化樹脂を硬化する際に、凹部内での未硬化樹脂の偏りによって光ファイバが位置決め位置から移動する事態が生じ難い。これにより、光導波路に対する光ファイバの位置決めを高精度に行うことができる。
また、未硬化樹脂の硬化収縮時における光ファイバの移動は、主に下方向への移動のみを考慮すればよい。したがって、光ファイバは、主に下方向のみの移動量を考慮して、予め正規の位置決め位置からずれた位置に配置しておき、未硬化樹脂の硬化収縮後に、正規の位置決め位置に配置されるようにすることも可能である。
本発明の構成によれば、光導波路に対する光ファイバの位置決めを高精度に行うことができるという効果を奏する。
本発明の実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。 図2の(a)は、図1におけるA−A矢視断面図、図2の(b)は、図1におけるB−B矢視断面図である。 図1に示した光モジュールの製造工程を示す説明図である。 図4の(a)は、図1に示した第1樹脂層を形成する樹脂が光学素子の凹部の幅方向において偏った状態で注入された状態を示す光モジュールの縦断面図、図4の(b)は、図4の(a)に示した状態からの第1樹脂層の樹脂の硬化収縮により、光ファイバが正規の位置決め位置からずれた位置に固定された状態を示す光モジュールの縦断面図である。 図5の(a)は、光学素子の凹部に第1樹脂層の樹脂を注入した場合に、光ファイバが正規の位置決め位置から移動した状態を示す光モジュールの縦断面図、図5の(b)は、図5の(a)に示した状態からの第1樹脂層の樹脂の硬化収縮により、光ファイバが正規の位置決め位置からずれた位置に固定された状態を示す光モジュールの縦断面図である。 図6の(a)は、第1樹脂層の形成時に、樹脂を光学素子の凹部内に幅方向に偏りなく濡れ広がった状態に注入した状態を示す本実施形態の光モジュールの縦断面図、図6の(b)は、図6の(a)に示した状態からの第1樹脂層の樹脂の硬化収縮により、光ファイバが正規の位置決め位置からのずれを抑制されて固定された状態を示す本実施形態の光モジュールの縦断面図である。 図7の(a)は、光ファイバを第1樹脂層13の樹脂に埋め込んで配置した状態を示す光モジュールの縦断面図、図7の(b)は、図7の(a)の状態から樹脂が硬化収縮した状態を示す光モジュールの縦断面図である。 図2の(b)に示した凹部の形状の他の例を示すものであって、図8の(a)は、凹部がU字形状である場合、図8の(c)は、凹部が半円形状である場合、図8の(e)は、凹部がV字形状である場合、図8の(g)は、凹部が上広がりの台形状である場合、図8の(i)は、凹部が下広がり(図8の(g)とは上下逆)の台形状である場合、図8の(k)は、凹部が2段階に幅が変化した形状(下の方が幅狭な形状)である場合の光学素子の縦断面図である。図8の(b)、図8の(d)、図8の(f)、図8の(h)、図8の(j)、図8の(l)は、それぞれ、図8の(a)、図8の(c)、図8の(e)、図8の(g)、図8の(i)、図8の(k)に示した凹部に第1樹脂層および光ファイバを設けた状態の光学素子の縦断面図である。 本発明の他の実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。 図10の(a)は、図9におけるA−A矢視断面図、図10の(b)は、図9におけるB−B矢視断面図である。 図9に示した光モジュールの第1の製造方法による製造工程を示す説明図である。 図9に示した光モジュールの第2の製造方法による製造工程を示す説明図である。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。図1は、本実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。図2の(a)は、図1におけるA−A矢視断面図、図2の(b)は、図1におけるB−B矢視断面図である。
(光モジュールの構成)
図1および図2の(a)(b)に示すように、光モジュール1は、光学素子11および光ファイバ12を備えている。
光学素子11は、長手方向の端面が高さよりも幅の方が長い長方形である直方体の基板形状であり、光導波路11cおよび凹部11bを有している。
凹部11bは、光学素子11の中央部付近から長手方向の一方側の第1端面11dに達する長さを有し、光学素子11の上面(表面)11aにおいて、光学素子11の例えば幅方向の中央部に形成されている。光学素子11の縦断面にて見た凹部11bの形状は、高さよりも幅の方が長い長方形である。
光導波路11cは、光学素子11の長手方向の、凹部11bが形成されている領域とは反対側の領域に形成されている。光導波路11cは、凹部11bの幅方向に平行な内側面から光学素子11の上面11aに沿って長手方向へ延び、第1端面11dとは反対側の第2端面11eに達している。光導波路11cの凹部11b側の端部は光入射部であり、第2端面11e側の端部は光出射部である。なお、光入射部と光出射部とが逆であってもよい。
なお、図1および図2には、光学素子11の一端部のみにおいて、光導波路11cの端部に凹部11bを介して光ファイバ12を接続した構造を示した。しかしながら、光導波路11cの端部に凹部11bを介して光ファイバ12を接続する構造については種々考えられる。例えば、光学素子11の両端部において、直線状に延びた光導波路11cの両端部に凹部11bを介して光ファイバ12を接続した構造である。あるいは、光学素子11の一端部から他端部方向へ延びた後、他端部に達する前に折り返して一端部に達した光導波路11c、すなわち両端部が光学素子11の一端部側に存在する光導波路11cに凹部11bを介して光ファイバ12を接続した構造である。したがって、図1および図2は、光学素子11での光導波路11cの端部に凹部11bを介して光ファイバ12を接続した構造の一つのみを抜き出して示したものと見なしてもよい。
凹部11bの内部には第1樹脂層13が設けられ、第1樹脂層13の上に光ファイバ12が設けられている。光ファイバ12は、光学素子11の長手方向に延びた状態に配置され、光導波路11c側の端面が光導波路11cの光入射部の端面と所定の間隔をおいて対向している。すなわち、光ファイバ12は、光導波路11cに対して位置決めされ、光ファイバ12内を伝播した光信号が光導波路11cへ入射するように、光導波路11cと光接続されている。理想的には、光ファイバ12は、光軸が光導波路11cの光軸と一致するように配置されている。
なお、本実施形態において、凹部11bは、幅方向の中心に対して左右対称形であり、光ファイバ12は、凹部11bの幅方向の中心位置に配置されている。
第1樹脂層13は、凹部11bの幅方向において、樹脂を偏りなく濡れ広がった状態に充填することにより形成されている。第1樹脂層13は、光ファイバ12の側面の上側に位置する部分を露出させた状態にて光ファイバ12を覆っている。すなわち、光ファイバ12は、側面における上側に位置する部分を除いて、第1樹脂層13に埋設されている。ただし、光ファイバ12における光導波路11c側の端部である先端部およびその付近は、第1樹脂層13が設けられておらず、第1樹脂層13に覆われていない。
第1樹脂層13の上、および光ファイバ12における第1樹脂層13の上に位置する部分の上には、第2樹脂層14が設けられている。ただし、第2樹脂層14は、第1樹脂層13の上、および光ファイバ12における第1樹脂層13の上に位置する部分の上の全体ではなく、光学素子11の第1端面11d付近に設けられている。したがって、第2樹脂層14は、光ファイバ12の先端部およびその付近を覆っていない。
ここで、第1樹脂層13は、光ファイバ12を光導波路11cに対して光接続可能な位置に固定している。第2樹脂層14は、光ファイバ12の第1樹脂層13対する上方への剥がれを防止している。
第1樹脂層13および第2樹脂層14は、例えばエポキシ樹脂にて形成されている。また、第1樹脂層13および第2樹脂層14は、例えばフィラーを含んでいてもよい。第1樹脂層13および第2樹脂層14は、フィラーを含むことにより、硬化時の収縮率が低下し、かつ強度が大きくなる。一方、フィラーの量が多くなるほど、第1樹脂層13および第2樹脂層14は、接着剤としての機能が低下する。
第1樹脂層13および第2樹脂層14がフィラーを含む場合、第1樹脂層13は第2樹脂層14よりもフィラーの量を多く含んでいてもよい。この場合、第1樹脂層13は、硬化する場合の収縮率が低下する。したがって、光ファイバ12を第1樹脂層13の上に位置決めして配置し、第1樹脂層13を硬化する工程において、位置決め位置からの光ファイバ12の移動を抑制することができる。一方、第2樹脂層14は、フィラーの量が少ないので、高い接着機能にて第1樹脂層13に接着し、第1樹脂層13から光ファイバ12を剥がれ難くすることができる。
フィラーの含有率は、一例として、第1樹脂層13が70%〜90%、第2樹脂層14が10%〜30%である。
(光モジュールの製造方法)
上記の構成において、光モジュール1の製造方法を以下に説明する。図3は、光モジュール1の製造工程を示す説明図である。
光モジュール1を製造する際には、光導波路11cおよび凹部11bが形成された状態の光学素子11、光ファイバ12、第1樹脂層13となる樹脂13a、第2樹脂層14となる樹脂14a、およびUV光源21を用意する。なお、ここでは、樹脂13aおよび樹脂14aには、UV硬化樹脂を使用する。
次に、図3に示す(1)〜(8)の工程により光モジュール1を製造する。
(1)光モジュール1の凹部11bに第1樹脂層13の樹脂13aを注入(塗布)する。
(2)樹脂13aが、凹部11bの幅方向において、十分に濡れ広がるのを待つ。これにより、樹脂13aは、凹部11bの幅方向において、偏りなく濡れ広がった状態に充填される。この場合の待ち時間は樹脂13aの粘度によって変わる。例えば粘度100,000cpsの樹脂13aであれば1分程度である。
(3)光ファイバ12を凹部11bの真上に保持する。
(4)光ファイバ12を凹部11bに向って降下させ、第1樹脂層13の樹脂13a上に配置する。これによって、光ファイバ12を樹脂13aに付着させ、側面の上側に位置する部分を除いて、樹脂13aに埋設された状態とする。
(5)光ファイバ12を光導波路11cに対して位置決めする。この位置決めは、前述したアクティブ調心方式にて行う。また、光ファイバ12の位置決め位置は、第1樹脂層13の樹脂13aの硬化収縮による光ファイバ12の移動分を考慮して決定することが好ましい。
(6)第1樹脂層13の樹脂13aにUV光源21からUV光21aを照射して樹脂13aを硬化させる。これにより、第1樹脂層13を形成する。
(7)第1樹脂層13の上、および光ファイバ12における第1樹脂層13の上に位置する部分の上であって、光学素子11の第1端面11d付近に、第2樹脂層14の樹脂14aを注入(塗布)する。
(8)第2樹脂層14の樹脂14aにUV光源21からUV光21aを照射して樹脂14aを硬化させる。これにより、第2樹脂層14を形成する。
(光モジュールおよび光モジュールの製造方法の利点)
本実施形態の光モジュール1は、次のような第1の構成を備えている。すなわち、光学素子11および光ファイバ12を備えている。光学素子11は、凹部11bが上面(表面)11aに形成されるとともに、凹部11bの内側面から上面11aに沿って伸びる光導波路11cが内部に形成されている。光ファイバ12は、先端が光導波路11cの端面と対向するように、少なくとも一部が凹部11bに配置されている。また、光ファイバ12は、凹部11b内に幅方向に偏りなく濡れ広がった第1樹脂層13によって光学素子11に固定されている。
第1の構成を備えている光モジュール1では、光ファイバ12は、凹部11b内に幅方向に偏りなく濡れ広がった第1樹脂層13によって光学素子11に固定されているので、光モジュール1の製造において、光導波路11cに対する光ファイバ12の位置決めを高精度に行うことができるようになっている。
すなわち、図4の(a)に示すように、第1樹脂層13を形成する樹脂13aが光学素子11の凹部11bの幅方向において偏った状態で注入された場合には、第1樹脂層13は凹部11bの幅方向において偏った状態に形成される。なお、図中の矢印は、樹脂13aの硬化収縮時に光ファイバ12に作用する応力を示している。この場合、光ファイバ12は、樹脂13aの硬化収縮時に、図4の(b)に示すように、樹脂13aの偏った方向へ移動し、正規の位置決め位置からずれた位置に固定される。この結果、光ファイバ12の位置決め精度は低下する。
また、光モジュール1の製造において、光ファイバ12を正規の位置決め位置に配置した後、凹部11bに第1樹脂層13の樹脂13aを注入した場合、図5の(a)に示すように、光ファイバ12が正規の位置決め位置(二点鎖線にて示す位置)から移動する事態が生じる。この場合にも光ファイバ12は、図5の(b)に示すように、樹脂13aの硬化収縮後(第1樹脂層13の形成後)に正規の位置決め位置からずれた位置に固定される。この結果、光ファイバ12の位置決め精度は低下する。
これに対し、光ファイバ12が、凹部11b内に幅方向に偏りなく濡れ広がった第1樹脂層13により光学素子11に固定されている第1の構成では、図6の(a)に示すように、第1樹脂層13の形成時に、樹脂13aは、凹部11b内に幅方向に偏りなく濡れ広がった状態に注入される。したがって、光ファイバ12は、図6の(b)に示すように、第1樹脂層13の樹脂13aの硬化収縮時(第1樹脂層13の形成時)に、樹脂13aの凹部11b内の幅方向への偏りによる移動が生じ難く、正規の位置決め位置からの光ファイバ12の位置ずれを抑制することができる。この結果、光導波路11cに対する光ファイバ12の位置決めを高精度に行うことができる。
この場合、光ファイバ12は、特に、凹部11bの幅方向の中心位置に配置すれば、樹脂13aの硬化収縮時(第1樹脂層13の形成時)に凹部11bの幅方向へは移動し難く、正規の位置決め位置からの光ファイバ12の位置ずれをさらに抑制することができる。
また、第1の構成では、樹脂13aの硬化収縮時における光ファイバ12の移動は、主に下方向への移動のみを考慮すればよい。したがって、光ファイバ12は、主に下方向のみの移動量を考慮して、予め正規の位置決め位置からずれた位置に配置しておき、樹脂13aの硬化収縮後に、正規の位置決め位置に配置されるようにすることも可能である。
また、本実施形態の光モジュール1は、次のような第2の構成を備えていると表現することができる。すなわち、光モジュール1は、光学素子11、光ファイバ12、第1樹脂層13および第2樹脂層14を備えている。光学素子11は、凹部11bが上面(表面)11aに形成されるとともに、凹部11bの内側面から上面11aに沿って伸びる光導波路11cが内部に形成されている。光ファイバ12は、先端が光導波路11cの端面と対向するように凹部11bに配置されている。第1樹脂層13は、凹部11bに設けられ、光ファイバ12の側面の上側に位置する部分を露出させた状態にて光ファイバ12を覆い固定している。第2樹脂層14は、第1樹脂層13の上、および光ファイバ12における第1樹脂層13の上に位置する部分の上に設けられている。
第2の構成を備えている光モジュール1では、第1樹脂層13は、凹部11bに設けられ、光ファイバ12の側面の上側に位置する部分を露出させた状態にて光ファイバ12を覆い固定し、第2樹脂層14は、第1樹脂層13の上、および光ファイバ12における第1樹脂層13の上に位置する部分の上に設けられている。したがって、光モジュール1の製造において、光導波路11cに対する光ファイバ12の位置決めを高精度に行うことができるようになっている。
すなわち、光ファイバ12を例えば第1樹脂層13のみによって光学素子11すなわち凹部11bに固定する場合には、光ファイバ12を第1樹脂層13に埋め込む必要がある。この場合には、図7の(a)に示すように、光ファイバ12を第1樹脂層13により固定する工程において、光ファイバ12の周りに第1樹脂層13の樹脂13aが存在し、光ファイバ12の周囲全体において樹脂13aの硬化収縮が生じる。このため、図7の(b)に示すように、樹脂13aが硬化収縮した場合、樹脂13aの硬化収縮時における光ファイバ12の移動方向および移動量の予測が困難である。したがって、樹脂13aの硬化収縮時における光ファイバ12の移動方向および移動量を予測して、予め正規の位置決め位置からずらして光ファイバ12を配置しておくような対応が困難である。このため、光ファイバ12の位置決め精度は低下する。さらに、図4の(a)(b)および図5の(a)(b)により説明した問題も生じ易い。
これに対し、第2の構成の光モジュール1では、図6の(a)に示すように、まず、凹部11b内に第1樹脂層13の樹脂13aを注入し、その上に光ファイバ12を位置決めして配置し、第1樹脂層13により、光ファイバ12の側面の上側に位置する部分を露出させた状態にて光ファイバ12を覆い固定することができる。また、樹脂13aを注入する場合、樹脂13aを凹部11b内に幅方向に偏りなく濡れ広がった状態に注入することができる。
したがって、光ファイバ12は、図6の(b)に示すように、第1樹脂層13の樹脂13aの硬化収縮時(第1樹脂層13の形成時)に、樹脂13aの凹部11b内の幅方向への偏りによる移動が生じ難く、正規の位置決め位置からの光ファイバ12の位置ずれを抑制することができる。この結果、光導波路11cに対する光ファイバの位置決めを高精度に行うことができる。
この場合、光ファイバ12は、凹部11bの幅方向の中心位置に配置すれば、樹脂13aの硬化収縮時(第1樹脂層13の形成時)に凹部11bの幅方向へは移動し難く、正規の位置決め位置からの光ファイバ12の位置ずれをさらに抑制することができる。
また、樹脂13aの硬化収縮時における光ファイバ12の移動は、主に下方向への移動のみを考慮すればよい。したがって、光ファイバ12は、主に下方向のみの移動量を考慮して、予め正規の位置決め位置からずれた位置に配置しておき、樹脂13aの硬化収縮後に、正規の位置決め位置に配置されるようにすることも可能である。
また、第2樹脂層14を、第1樹脂層13の上、および光ファイバ12における第1樹脂層13の上に位置する部分の上に設けることにより、光ファイバ12が第1樹脂層13から剥がれる事態を防止することができる。
なお、第1樹脂層13および第2樹脂層14には、上記のように、UV硬化樹脂等の光硬化型樹脂を使うことが好ましい。第1樹脂層13および第2樹脂層14に加熱硬化型の樹脂を使用した場合には、加熱硬化時の温度変化による第1樹脂層13および第2樹脂層14の樹脂や光学素子11等の熱膨張により、第1樹脂層13および第2樹脂層14の樹脂の硬化前に光ファイバ12の位置ずれを引き起こす恐れがある。第1樹脂層13および第2樹脂層14に、UV硬化樹脂を使用した場合には、このような問題を回避することができる。
また、上記のように、第1樹脂層13の樹脂13aには、硬化収縮による光ファイバ12の位置ずれを抑制するため、第2樹脂層14の樹脂よりも硬化収縮率が小さいものを使うのが好ましい。このために、第1樹脂層13は、第2樹脂層14よりも多量のフィラーを含有し、第2樹脂層14よりも硬化収縮率が小さくなるようにしてもよい。
また、光モジュール1の製造時において、光ファイバ12は、光導波路11cに対する位置決めの際に、第1樹脂層13の樹脂13aの硬化収縮によるずれ量およびずれの方向を考慮して、正規の位置決め位置からずれた位置に配置してもよい。この場合には、第1樹脂層13の樹脂13aの硬化収縮後に、光ファイバ12を正規の位置に配置し易くなる。光ファイバ12を正規の位置決め位置からずれた位置に配置する作業は、前述の製造工程の(5)工程にて行う。
また、光学素子11の凹部11bは、上記のように、幅方向の中心に対して左右対称形であり、光ファイバ12は、凹部11bの幅方向の中心位置に配置されていることが好ましい。この場合には、第1樹脂層13の厚さを凹部11bの幅方向の左右において同じにでき、第1樹脂層13の樹脂13aの硬化収縮時における光ファイバ12の左右方向への移動を阻止することができる。また、凹部11bの深さは、樹脂13aの硬化収縮時における光ファイバ12の下方への移動を抑制するため、薄いほど好ましい。
また、光ファイバ12の先端部は、第1樹脂層13および第2樹脂層14によって覆われていないので、例えば温度変化に起因する第1樹脂層13および第2樹脂層14またはこれらのうちの一方の膨張または収縮に伴う光ファイバ12の先端部の位置ずれが生じ難くなっている。これにより、光導波路11cに対する光ファイバ12の良好な位置決め精度を維持することができる。また、第1樹脂層13および第2樹脂層14がフィラーを含んでいる場合であっても、光ファイバ12の先端部と光導波路11cの端部との間での光信号の伝送がフィラーによって阻害されることがない。
凹部11bの形状は、長方形に限定されず、幅方向において左右対称な形状であり、かつ第1樹脂層13の樹脂13aを注入した状態において、樹脂13aの上に配置した光ファイバ12の位置調整ができる大きさであればよい。図8に凹部11bの長方形以外の形状の具体例を挙げておく。
図8の(a)は、凹部11bがU字形状である場合、図8の(c)は、凹部11bが半円形状である場合、図8の(e)は、凹部11bがV字形状である場合、図8の(g)は、凹部11bが上広がりの台形状である場合、図8の(i)は、凹部11bが下広がり(図8の(g)とは上下逆)の台形状である場合、図8の(k)は、凹部が2段階に幅が変化した形状(下の方が幅狭な形状)である場合の光学素子11の縦断面図である。図8の(b)、図8の(d)、図8の(f)、図8の(h)、図8の(j)、図8の(l)は、それぞれ、図8の(a)、図8の(c)、図8の(e)、図8の(g)、図8の(i)、図8の(k)に示した凹部11bに第1樹脂層13および光ファイバ12を設けた状態の光学素子11の縦断面図である。
なお、図8の(c)(d)に示した凹部11bは、第1樹脂層13(樹脂13a)の厚みを全方位においてほぼ均一にすることができる。したがって、他の凹部11bと比較して、樹脂13aの硬化収縮および熱に起因した膨張や収縮による影響を想定し易い。また、凹部11bに角部がないので、樹脂13aの注入(塗布)が容易である。
図8の(i)(j)に示した凹部11bは、底面と側面との成す角度が鈍角(90度よりも大きい角度)となる。したがって、図8の(a)(b)および図8の(g)(h)に示した凹部11bと比較して、樹脂13aの注入(塗布)が容易である。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態を図面に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図9は、本実施形態の光モジュールの構成を示す斜視図である。図10の(a)は、図9におけるA−A矢視断面図、図10の(b)は、図9におけるB−B矢視断面図である。
(光モジュールの構成)
図9および図10の(a)(b)に示すように、本実施形態の光モジュール2は、光学素子11に形成された光導波路11cの光入射部の端面と光ファイバ12の先端部との間に接続樹脂層15が設けられている。接続樹脂層15は、光学素子11に形成された光導波路11cの光入射部の端面と光ファイバ12の先端部とを接続し、光ファイバ12の先端部を光導波路11cに対して位置決めされた位置に固定している。接続樹脂層15は、透光性の接着剤にて形成されている。光モジュール2の他の構成は、光モジュール1と同様である。
(光モジュールの第1の製造方法)
上記の構成において、光モジュール2の第1の製造方法を以下に説明する。図11は、光モジュール2の第1の製造方法による製造工程を示す説明図である。
光モジュール2を製造する際には、光導波路11cおよび凹部11bが形成された状態の光学素子11、光ファイバ12、第1樹脂層13となる樹脂13a、第2樹脂層14となる樹脂14a、接続樹脂層15となる樹脂およびUV光源21を用意する。なお、ここでは樹脂13aおよび樹脂14aには、UV硬化樹脂を使用する。
次に、図11に示す(1)〜(9)の工程により光モジュール2を製造する。なお、(1)〜(8)の工程については、図3に示した(1)〜(8)の工程と同様であるので、説明を省略する。
(9)光学素子11に形成された光導波路11cの光入射部の端面と光ファイバ12の先端部との間に、接続樹脂層15を形成する樹脂を塗布して硬化させ、接続樹脂層15を形成する。この場合、接続樹脂層15を形成する樹脂がUV硬化樹脂である場合には、UV光源21からUV光21aを照射して樹脂を硬化させる。また、接続樹脂層15を形成する樹脂が熱硬化型の樹脂である場合には、樹脂に熱を加えて硬化させる。
(光モジュールの第2の製造方法)
次に、光モジュール2の第2の製造方法を以下に説明する。図12は、光モジュール2の第2の製造方法による製造工程を示す説明図である。
光モジュール2を製造する際には、光導波路11cおよび凹部11bが形成された状態の光学素子11、光ファイバ12、第1樹脂層13となる樹脂13a、第2樹脂層14となる樹脂14a、接続樹脂層15となる樹脂15aおよびUV光源21を用意する。なお、ここでは、樹脂13a、樹脂14aおよび樹脂15aには、UV硬化樹脂を使用する。
次に、図12に示す(1)〜(9)の工程にて光モジュール2を製造する。
(1)光モジュール1の凹部11bに第1樹脂層13の樹脂13aを注入(塗布)する。
(2)樹脂13aが、凹部11bの幅方向において、十分に濡れ広がるのを待つ。これにより、樹脂13aは、凹部11bの幅方向において、偏りなく濡れ広がった状態に充填される。この場合の待ち時間は樹脂13aの粘度によって変わる。例えば粘度100,000cpsの樹脂13aであれば1分程度である。
(3)光ファイバ12を凹部11bの真上に保持する。この場合、光ファイバ12の先端部に接続樹脂層15を形成する樹脂15aを予め塗布しておく。
(4)光ファイバ12を凹部11bに向って降下させ、第1樹脂層13の樹脂13a上に配置する。この場合、光導波路11cの光入射部の端面(凹部11bの内壁面)と光ファイバ12の先端部の樹脂15aとの間には、隙間を確保しておく。また、光ファイバ12を第1樹脂層13の樹脂13a上に配置することによって、光ファイバ12を樹脂13aに付着させ、側面の上側に位置する部分を除いて、樹脂13aに埋設された状態とする。
(5)光ファイバ12を光導波路11cに対して位置決めする。この位置決めは、前述したアクティブ調心方式にて行う。また、光ファイバ12の位置決め位置は、第1樹脂層13の樹脂13aの硬化収縮による光ファイバ12の移動分を考慮して決定することが好ましい。その後、光ファイバ12を光導波路11c方向へ移動させて、樹脂15aを光導波路11cの光入射部の端面(凹部11bの内壁面)に突き当てる。
(6)第1樹脂層13の樹脂13aおよび接続樹脂層15の樹脂15aにUV光源21からUV光21aを照射して樹脂13aおよび樹脂15aを硬化させる。これにより、第1樹脂層13および接続樹脂層15を形成する。
(7)第1樹脂層13の上、および光ファイバ12における第1樹脂層13の上に位置する部分の上であって、光学素子11の第1端面11d付近に、第2樹脂層14の樹脂14aを注入(塗布)する。
(8)第2樹脂層14の樹脂14aにUV光源21からUV光21aを照射して樹脂14aを硬化させる。これにより、第2樹脂層14を形成する。
なお、樹脂15aが熱硬化型の樹脂である場合には、(6)の工程においてUV光21aを樹脂15aに照射する必要がなく、下記の(9)の工程を行う。
(9)樹脂15aに熱を加えて硬化させ、接続樹脂層15を形成する。
(光モジュールおよび光モジュールの製造方法の利点)
本実施形態の光モジュール2は、光導波路11cの光入射部の端面と光ファイバ12の先端部とが接続樹脂層15によって接続され、光ファイバ12の先端部が光導波路11cに対して位置決めされた位置に固定されている。したがって、光ファイバ12が光導波路11cに対する位置決め位置からずれることがない。これにより、光モジュール2は、光ファイバ12が光導波路11cに対して高精度に位置決めされた状態を維持することができる。
また、光モジュール2の第2の製造方法では、光ファイバ12の先端部に接続樹脂層15を形成する樹脂15aを塗布した後に光導波路11cに対する光ファイバ12の位置決めを行うので、樹脂15aを塗布することによって光ファイバ12が位置決め位置からずれる事態を回避することができる。また、接続樹脂層15の屈折率を光ファイバ12や光導波路11cの屈折率に近づけることにより、接続樹脂層15と光ファイバ12や光導波路11cの材料境界面における光の反射による光減衰を抑制することができる。
光モジュール2および光モジュール2の製造方法のその他の利点は、光モジュール1および光モジュール1の製造方法の利点と同様である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
1,2 光モジュール
11 光学素子
11a 上面
11b 凹部
11c 光導波路
11d 第1端面
11e 第2端面
12 光ファイバ
13 第1樹脂層
13a 樹脂
14 第2樹脂層
14a 樹脂
15 接続樹脂層
15 樹脂
21 UV光源
21a UV光

Claims (11)

  1. 凹部が表面に形成されるとともに、該凹部の内側面から前記表面に沿って伸びる光導波路が内部に形成された光学素子と、
    先端部が前記光導波路の端面と対向するように、少なくとも一部が前記凹部に配置された光ファイバと、を備え、
    前記光ファイバは、前記凹部内の幅方向に偏りなく濡れ広がった第1樹脂層によって、前記光学素子に固定されている、
    ことを特徴とする光モジュール。
  2. 前記光ファイバは、その一部が前記第1樹脂層に埋設されることなく前記凹部外に突出している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
  3. 前記第1樹脂層は、前記光ファイバの光軸に直交する各断面において、前記表面に直交する軸に対して対称に濡れ広がっている、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の光モジュール。
  4. 前記第1樹脂層は、前記光ファイバの前記先端部を含む第1の区間に接触しないように濡れ広がっている、
    ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の光モジュール。
  5. 前記光ファイバは、前記第1樹脂層に加え、前記光ファイバの前記先端部を含む第2の区間に接触しないように前記光ファイバの一部に覆い被さった第2樹脂層によって、前記光学素子に固定されている、
    ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の光モジュール。
  6. 前記光導波路の前記光ファイバと対向する端面と前記光ファイバの先端部との間に、前記光ファイバの先端部を前記光導波路に対して固定する透光性の接続樹脂層が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光モジュール。
  7. 前記光ファイバの側面は、前記凹部の底面および内側面から離間している、
    ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の光モジュール。
  8. 前記第1樹脂層は、前記第2樹脂層よりも硬化する際の収縮率が小さい樹脂にて形成されていることを特徴とする請求項5に記載の光モジュール。
  9. 前記第1樹脂層は、前記第2樹脂層よりもフィラーを多く含んでいることを特徴とする請求項8に記載の光モジュール。
  10. 凹部が表面に形成されるとともに、該凹部の内側面から前記表面に沿って伸びる光導波路が内部に形成された光学素子と、
    先端部が前記光導波路の端面と対向するように前記凹部に配置された光ファイバと、
    前記凹部に設けられ、前記光ファイバの側面の上側に位置する部分を露出させた状態にて前記光ファイバを覆い固定する第1樹脂層と、
    前記第1樹脂層の上、および前記光ファイバにおける前記第1樹脂層の上に位置する部分の上に設けられた第2樹脂層と、を備えていることを特徴とする光モジュール。
  11. 凹部が表面に形成されるとともに、該凹部の内側面から前記表面に沿って伸びる光導波路が内部に形成された光学素子と、先端部が前記光導波路の端面と対向するように、少なくとも一部が前記凹部に配置された光ファイバと、を備えた光モジュールを製造する製造方法において、
    前記凹部に未硬化樹脂を注入する注入工程と、
    前記注入工程の後、前記未硬化樹脂が前記凹部内に偏りなく濡れ広がるまで待機する待機工程と、
    前記待機工程の後、前記先端部が前記光導波路の端面と対向するように、前記光ファイバの少なくとも一部を前記凹部に配置する配置工程と、
    前記配置工程の後、前記未硬化樹脂を硬化することによって、前記光ファイバを前記光学素子に固定する硬化工程と、を含んでいる、
    ことを特徴とする製造方法。
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