JP2018010003A - 構成要素の均一反応後の単分子層の電子測定 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高速の溶液反応動態、SAM保護電極及び表面ベースの電気化学の利点を電子測定に活用して、後に自己組織化単分子層(SAM)を形成する電気活性部分(EAM)を用いて溶液ベースのアッセイ反応を行う新規の方法を提供する。【解決手段】過酸化物をレドックス活性電気活性部分(EAM)の過酸化物感受性部分(PSM)と反応させ、自己犠牲部分(SIM)が除去され、遷移金属錯体に結合した官能基が変換される。反応したEAM及び反応せずに残ったEAMの両方を電極に供給すると、自己組織化単分子層が形成され、電極をインテロゲートした(interrogated)場合に2つの固有電位E01及びE02で定量可能な電気化学的シグナルが生じる。【選択図】図1
Description
本発明は、より高速の溶液反応動態、SAM保護電極及び表面ベースの電気化学の利点を電子測定に活用して、後に自己組織化単分子層(SAM)を形成する電気活性部分(EAM)を用いて溶液ベースのアッセイ反応を行う方法を記載する。
起電力(EMF)は、ガルバーニ電池又はボルタ電池の2つの電極間の最大電位差であり、この場合、標準水素電極が以下の電池の左側にある:
EMFは、溶液間の液界を無視若しくは算出することができるか、又はそれが全く存在しない場合にのみ、上記電池の図式スキームの右側に位置する電極の電極電位とみなされる。
右側の電極の電極電位(酸化還元電位と呼ばれることが多い)は、ネルンストの式で与えられる。
この関係は、
が
に等しく設定され、pH及び
がゼロに等しい場合に式(2.21)から得られる。電極電位の符号の下付き文字に、酸化還元系の酸化及び還元構成要素の符号が示される。より複雑な反応では、符号Eの後に電池の右半分で起こる全反応(「半電池」反応)を書くことが特に推奨される。したがっ
て、今回の場合は、
て、今回の場合は、
である。
量
は、標準電極電位と称される。これは、酸化還元系の構成要素の酸化能力又は還元能力を表す。標準電極電位がより正になると、系の酸化型がより強い酸化剤となり、還元型がより弱い還元剤となる。同様に、標準電位がより負になると、酸化還元系の還元構成要素がより強い還元剤となり、酸化型がより弱い酸化剤となる。
ネルンストの式、式(1−2)における標準電極E0は、その標準的用法で下記のように表される:
(式中、E0はレドックス反応の標準電位であり、Rは一般気体定数(8.314JK−1mol−1)であり、Tはケルビン温度であり、nは反応中に移動した電子の数であり、Fはファラデー定数(96487クーロン)である)。このため、E0の負極側では、酸化型が還元する傾向があり、正反応(すなわち還元)がより有利である。電気活性種の酸化状態の変化によって生じる電流はファラデー電流と称される。
以前の研究は、2つの固有電位E0 1及びE0 2で定量可能な電気化学的シグナルを生じる遷移金属錯体に結合した官能基の変換を用いて記載されている。例えば、特許文献1及び特許文献2(いずれもその全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい。この方法は概して、分析物を電極以外の固体支持体上の機能的タグを有し得る結合リガンドのサンドイッチ内に結合させることを含む。標的結合の後、過酸化物生成部分又は中間酵素及び過酸化水素を生成する基質を添加する。レドックス活性錯体が電極に結合し、過酸化物感受性部分(PSM)を含む。酵素系により生成した過酸化物はPSMと反応し、自己犠牲部分(SIM)が除去され、遷移金属錯体に結合した官能基が変換され、2つの固有電位E0 1及びE0 2で定量可能な電気化学的シグナルを生じる。
本発明は、代理標的の過酸化物を溶液相中でレドックス活性電気活性部分(EAM)と反応させることによって標的分析物を検出する組成物及び方法を提供する。特に過酸化物をEAMの過酸化物感受性部分(PSM)と反応させ、自己犠牲部分(SIM)が除去され、遷移金属錯体に結合した官能基が変換される。反応したEAM及び反応せずに残ったEAMの両方を電極に供給すると、自己組織化単分子層が形成され、電極をインテロゲートした(interrogated)場合に2つの固有電位E0 1及びE0 2で定量可能な電気化学的シグナルが生じる。特に、本発明は過酸化物とEAMのPSMとの反応を溶液相中で行うことの利点を開示する。
本開示における自己組織化単分子層の驚くべき予期せぬ利益は、自己組織化単分子層をアッセイの検出相のために形成することができるが、それがアッセイの標的相互作用相(例えば結合)又はシグナル生成反応(EAMと反応する過酸化物)には必要とされないことである。従来の適用では自己組織化単分子層が変化を標的の存在下で検出する特定の所定状態を有する必要があったため、これは独特であり、予期せぬことである。本開示の方法の別の重要な特徴は、反応したEAM及び未反応のEAMが電極に同様の速度で共有結合することである。これは、過酸化物が、供給されたEAMの一部と反応した後の反応したEAM及び未反応のEAMの混合SAMの形成によって証明される。本方法は、溶液中の標的及び電極表面上のEAMの反応の顕著な改善ももたらす。
一態様では、本発明は試験サンプル中の標的分析物を検出する組成物及び方法であって、
(a)試験サンプルと、標的分析物に結合する捕捉結合リガンドとを、該捕捉結合リガンドが、存在する場合に上記試験サンプル中の上記標的分析物に結合して第1の錯体を形成する条件下で接触させることであって、上記捕捉結合リガンドが第1の固体支持体に結合していることと、
(b)上記第1の錯体と、第2の結合リガンドとを、該第1の錯体及び該第2の結合リガンドが結合して第2の錯体を形成する条件下で接触させることであって、該第2の結合リガンドが過酸化物生成系の中間酵素を含むことと、
(c)上記第2の錯体を単離することと、
(d)上記第2の錯体と、上記過酸化物生成系の中間酵素の基質とを生成物が生成する条件下で接触させることであって、第1のアッセイ混合物を形成することと、
(e)過酸化物生成酵素と、上記第1のアッセイ混合物とを過酸化物が生成する条件下で接触させることであって、第2の過酸化物含有アッセイ混合物を形成することと、
(f)上記第2の過酸化物含有アッセイ混合物と、遷移金属錯体、自己犠牲部分(SIM)及び過酸化物感受性部分(PSM)を含む電気活性部分(EAM)とを接触させることであって、上記SIMが上記PSMと上記遷移金属錯体とを結び付け、上記EAMが第1のE0を有し、上記過酸化物が溶液相中で上記EAMの上記PSMと反応して、該EAMから上記SIMを放出するとともに、第2のE0を有する上記EAMを生じる、第3のアッセイ混合物を形成することと、
(g)上記第3のアッセイ混合物と、電極を備える第2の固体支持体とを、上記第1のE0を有するEAM及び上記第2のE0を有するEAMを含む共有結合した自己組織化単分子層(SAM)が形成される条件下で接触させることと、
(h)上記EAMの第1のE0と第2のE0との間の変化を検出することと、
を含み、上記変化が上記標的分析物の存在の指標である、組成物及び方法を提供する。
(a)試験サンプルと、標的分析物に結合する捕捉結合リガンドとを、該捕捉結合リガンドが、存在する場合に上記試験サンプル中の上記標的分析物に結合して第1の錯体を形成する条件下で接触させることであって、上記捕捉結合リガンドが第1の固体支持体に結合していることと、
(b)上記第1の錯体と、第2の結合リガンドとを、該第1の錯体及び該第2の結合リガンドが結合して第2の錯体を形成する条件下で接触させることであって、該第2の結合リガンドが過酸化物生成系の中間酵素を含むことと、
(c)上記第2の錯体を単離することと、
(d)上記第2の錯体と、上記過酸化物生成系の中間酵素の基質とを生成物が生成する条件下で接触させることであって、第1のアッセイ混合物を形成することと、
(e)過酸化物生成酵素と、上記第1のアッセイ混合物とを過酸化物が生成する条件下で接触させることであって、第2の過酸化物含有アッセイ混合物を形成することと、
(f)上記第2の過酸化物含有アッセイ混合物と、遷移金属錯体、自己犠牲部分(SIM)及び過酸化物感受性部分(PSM)を含む電気活性部分(EAM)とを接触させることであって、上記SIMが上記PSMと上記遷移金属錯体とを結び付け、上記EAMが第1のE0を有し、上記過酸化物が溶液相中で上記EAMの上記PSMと反応して、該EAMから上記SIMを放出するとともに、第2のE0を有する上記EAMを生じる、第3のアッセイ混合物を形成することと、
(g)上記第3のアッセイ混合物と、電極を備える第2の固体支持体とを、上記第1のE0を有するEAM及び上記第2のE0を有するEAMを含む共有結合した自己組織化単分子層(SAM)が形成される条件下で接触させることと、
(h)上記EAMの第1のE0と第2のE0との間の変化を検出することと、
を含み、上記変化が上記標的分析物の存在の指標である、組成物及び方法を提供する。
別の様態では、本開示は、試験サンプル中の標的分析物を検出する方法であって、
(a)上記標的分析物と過酸化物生成酵素とを、標的が存在する場合に該過酸化物生成酵素の基質として働き、過酸化物が生成する条件下で接触させることであって、第1のアッセイ混合物を形成することと、
(b)上記第1の過酸化物含有アッセイ混合物と遷移金属錯体、自己犠牲部分(SIM)及び過酸化物感受性部分(PSM)を含む電気活性部分(EAM)とを接触させることであって、上記SIMが上記PSMと上記遷移金属錯体とを結び付け、上記EAMが第1のE0を有し、上記過酸化物が溶液相中で上記EAMの上記PSMと反応して、該EAMから上記SIMを放出するとともに、第2のE0を有する上記EAMを生じる、第2のアッセイ混合物を形成することと、
(c)上記第2のアッセイ混合物と、電極を備える第1の固体支持体とを、上記第1のE0を有するEAM及び上記第2のE0を有するEAMを含む共有結合した自己組織化単分子層(SAM)が形成される条件下で接触させることと、
(d)上記EAMの第1のE0と第2のE0との間の変化を検出することと、
を含み、上記変化が上記標的分析物の存在の指標である、方法を提供する。
(a)上記標的分析物と過酸化物生成酵素とを、標的が存在する場合に該過酸化物生成酵素の基質として働き、過酸化物が生成する条件下で接触させることであって、第1のアッセイ混合物を形成することと、
(b)上記第1の過酸化物含有アッセイ混合物と遷移金属錯体、自己犠牲部分(SIM)及び過酸化物感受性部分(PSM)を含む電気活性部分(EAM)とを接触させることであって、上記SIMが上記PSMと上記遷移金属錯体とを結び付け、上記EAMが第1のE0を有し、上記過酸化物が溶液相中で上記EAMの上記PSMと反応して、該EAMから上記SIMを放出するとともに、第2のE0を有する上記EAMを生じる、第2のアッセイ混合物を形成することと、
(c)上記第2のアッセイ混合物と、電極を備える第1の固体支持体とを、上記第1のE0を有するEAM及び上記第2のE0を有するEAMを含む共有結合した自己組織化単分子層(SAM)が形成される条件下で接触させることと、
(d)上記EAMの第1のE0と第2のE0との間の変化を検出することと、
を含み、上記変化が上記標的分析物の存在の指標である、方法を提供する。
本開示の一実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、標的分析物がタンパク質であるものである。本開示の別の実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、標的が小分子であるものである。
本開示の一実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、上記第1の固体支持体が微小粒子、磁性微小粒子、ビーズ、マイクロチャネル又は膜からなる群から選ばれるものである。
本開示の一実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、上記生成物(複数の場合もあり)が上記過酸化物生成酵素の基質であるものである。
本開示の一実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、上記過酸化物生成酵素の基質の存在を更に含み、上記生成物(複数の場合もあり)が該過酸化物生成酵素の補助因子である。
本開示の一実施の形態の任意の上述の実施の形態では、上記過酸化物生成系の中間酵素がアルカリホスファターゼ(AP)又は任意の他の脱リン酸酵素である。
本開示の別の実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、上記過酸化物生成酵素がD−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)又は任意のフラビン依存性オキシドレダクターゼ酵素からなる群から選択されるものである。
本開示の一実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、上記過酸化物生成系の中間酵素がグルコースオキシダーゼを含むオキシダーゼ酵素であるものである。
本開示の別の実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、上記第1の結合リガンド及び上記第2の結合リガンドが独立してモノクローナル抗体、モノクローナル抗体のフラグメント、ポリクローナル抗体、ポリクローナル抗体のフラグメント、タンパク質及びペプチドからなる群から選ばれるものである。
本開示の一実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、上記過酸化物が過酸化水素(H2O2)であるものである。
本開示の一実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、上記EAMが遷移金属を含むものである。別の実施の形態では、上記遷移金属が鉄、ルテニウム及びオスミウムからなる群から選ばれる。
本開示の一実施の形態では、任意の上述の実施の形態は、上記EAMがフェロセン及び
置換フェロセンからなる群から選ばれるものである。
置換フェロセンからなる群から選ばれるものである。
概要
本発明は、溶液ベースの標的(代理標的)−EAM反応及び電極上のそのEAMのSAMベースの検出を行う方法を記載する。このアッセイ法は、溶液−表面又は溶液−単分子層反応速度に優る溶液ベースの反応動態の利点を活用するものである。
本発明は、溶液ベースの標的(代理標的)−EAM反応及び電極上のそのEAMのSAMベースの検出を行う方法を記載する。このアッセイ法は、溶液−表面又は溶液−単分子層反応速度に優る溶液ベースの反応動態の利点を活用するものである。
本発明は、生成する過酸化物の濃度が標的分析物の濃度に依存する溶液中でのPSM(下記で規定)と過酸化物との均一反応を記載する。次いで、反応したPSM及び反応せずに残ったPSMが他の構成要素とともに、その後の電子測定のための電極上に自己組織化単分子層(SAM)を形成する。
現在のポイントオブケアアッセイが直面する課題の1つは、パフォーマンスを犠牲にするか又はコストを増大することのないサンプリングから結果までの(sample-to-result)時間の短縮である。試薬濃度の増大はコストがかかり、必ずしもアッセイの高速化につながるわけではない。概して、感度はアッセイの1つ又は複数の工程の時間に直接左右されるため、時間の短縮は本質的にパフォーマンスに影響を及ぼす。アッセイのいずれか又は全ての工程の反応速度の増大は、パフォーマンスを犠牲にすることのない総アッセイ時間の短縮に不可欠である。本発明は、試薬濃度を増大するか又は管理し難いほどの複雑性を増すことなく標的(又は代理標的)と検出分子との間の反応速度を増大する手段を提供する。表面ベースの反応に対する溶液ベースの反応の拡散動態を利用することによって反応速度の増大が可能である。さらに、シグナルレベルの増大は標的(又は代理標的)濃度の識別性を高め、アッセイ感度の増大が可能になる。
この溶液ベースの反応の利点を製造にも広げることができる。従来の表面単分子層ベースのセットアップでは、溶液を電極に予めスポッティングし、SAM形成を生じさせる必要がある。概して、所要のスループットを得るために、大型の高価な市販のスポッターによってスポッティングが行われる。さらに、この製造法の別の課題は流体カートリッジ内でのスポッティングのための電極への接近性、又は電極表面上のSAMを損傷することの
ない流体カートリッジへの修飾電極の組込みである。これらの製造上の課題は、使い捨ての検出カードの複雑性及びコストを増大させる。溶液ベースのEAM−標的(又は代理標的)の利用は電極の事前修飾を必要とせず、EAM及び他のSAM構成要素を検出カード上のin situで使用される試薬として保管することができる。
ない流体カートリッジへの修飾電極の組込みである。これらの製造上の課題は、使い捨ての検出カードの複雑性及びコストを増大させる。溶液ベースのEAM−標的(又は代理標的)の利用は電極の事前修飾を必要とせず、EAM及び他のSAM構成要素を検出カード上のin situで使用される試薬として保管することができる。
タンパク質、DNA及び小分子の酵素誘発レドックス変化化学的脱離(E−TRACE)アッセイの感度及びタイミングは、本明細書に記載の代理標的過酸化水素及びEAM分子の溶液ベースの均一反応によって向上させることができる。E−TRACE技術はこれまで、2011年1月19日付けで出願された米国仮出願第61/434,122号及び2011年8月15日付けで出願された同第61/523,679号の優先権の利益を請求する2012年1月19日付けで出願された特許文献2、並びに2009年8月7日付けで出願された米国仮出願第61/232,339号の優先権の利益を請求する2010年8月9日付けで出願された米国特許出願公開第12/853,204号、並びに2012年10月17日付けで出願された米国特許出願公開第13/653931号(いずれもその全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載されている。
一実施形態では、標的分析物と過酸化物生成酵素とを、標的が存在する場合に過酸化物生成酵素の基質として働き、過酸化物が生成する条件下で直接接触させ、第1のアッセイ混合物を形成する。次いで、この第1のアッセイ混合物を第1のE0を有するEAMと接触させ、第2のアッセイ混合物を得る。過酸化物はEAMと反応してEAMから上記SIMを放出し、第2のE0を有するEAMを生成する。次いで、第2のアッセイ混合物と電極を備える第1の固体支持体とを、上記第1のE0を有するEAM及び上記第2のE0を有するEAMを含むSAMが形成される条件下で接触させる。EAMの第1のE0と第2のE0との間の差を検出し、かかる変化が生じる場合、これが標的分析物の存在の指標となる。
溶液ベースの均一反応アッセイの例示的な方法を図1に示す。直接的な過酸化物とPSMとの相互作用を溶液中で行う。自己犠牲頭部基、フェロセン、アンカー及びチオール基を含むE−TRACE EAMのいずれかを過酸化水素(H2O2)の検出分子としてこのフォーマットで利用することができる。
工程1:反応−EAM溶液への標的溶液の添加
工程2:SAM成長−SAM成長用の電極へのEAM/標的溶液の供給
工程3:洗浄及び試験−電極の洗浄、試験溶液の添加及び電気化学的測定の実行。
工程1:反応−EAM溶液への標的溶液の添加
工程2:SAM成長−SAM成長用の電極へのEAM/標的溶液の供給
工程3:洗浄及び試験−電極の洗浄、試験溶液の添加及び電気化学的測定の実行。
アッセイは、自己犠牲部分を含み、その存在がEAMに第1のE0を与え、不可逆的切断の際のその非存在がEAMに第2のE0を与える電気活性部分(「EAM」)の使用に依存する。
別の実施形態では、アッセイは導入時に標的分析物に結合して第1の錯体を形成する、固体支持体に結合した捕捉結合リガンドにも依存する。同様に第1の錯体に結合して第2の錯体を形成する第2の可溶性結合リガンドを導入する。第2の結合リガンドは、アルカリホスファターゼ酵素系等の過酸化物生成系の中間酵素を含む。第2の錯体を単離し、任意に好適なバッファーで洗浄する。酸素及びペルオキシダーゼ生成系の中間酵素の基質(例えば、中間酵素であるアルカリホスファターゼのフラビンアデニンジヌクレオチドリン酸(FADP))を添加すると、生成物が中間酵素から生成して第1のアッセイ混合物が形成される。本明細書で規定されるように、生成物はフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)及び遊離ホスフェートを含む。次いで、過酸化物生成酵素を第1のアッセイ混合物及び該過酸化物生成酵素の基質と接触させると、過酸化物が生成し、第2のアッセイ混合物が得られる。第2のアッセイ混合物をEAMと接触させると、過酸化物が自己犠牲部分を攻撃し、自己犠牲部分がEAMから除去され、EAMのE0の変化が生じ、第3のア
ッセイ混合物が形成される。次いで、第3のアッセイ混合物と第2の固体支持体とを、上記第1のE0を有するEAM及び上記第2のE0を有するEAMを含むSAMが形成される条件下で接触させる。EAMの第1のE0及び第2のE0でのシグナルの大きさの差を検出し、かかる変化が生じる場合、これが標的分析物の存在の指標となる。
ッセイ混合物が形成される。次いで、第3のアッセイ混合物と第2の固体支持体とを、上記第1のE0を有するEAM及び上記第2のE0を有するEAMを含むSAMが形成される条件下で接触させる。EAMの第1のE0及び第2のE0でのシグナルの大きさの差を検出し、かかる変化が生じる場合、これが標的分析物の存在の指標となる。
このため、標的分析物がサンプル中に存在するか否かを決定するために、サンプルを、捕捉結合リガンドを含む固体支持体に適用し、任意に洗浄し、標的分析物の代替エピトープに結合するオキシダーゼ酵素結合二次結合リガンド(例えば抗体)を添加し、標的との「サンドイッチアッセイ」フォーマットを作製する。表面を任意に洗浄し、高濃度のグルコースを含有する酸素飽和バッファーで処理する。表面上の基質オキシダーゼ酵素(本明細書で「SOX」と称される場合もある、例えばグルコースオキシダーゼ)の存在は、溶液中の過酸化水素の酵素的生成をもたらす。次いで、この過酸化物含有溶液を溶液中のEAMと混合し、溶液相EAMにおいて化学的脱離反応(「自己犠牲」反応)を誘発する。この不可逆的脱離反応は、例えば遷移金属錯体の「R」基(例えば置換基)を変化させることによってEAMの電子環境を変化させ、それによりEAMの明らかな見掛け電位を標的の存在を示す第2のE0へとシフトする。次いで、過酸化物及びEAMを含有する溶液を電極に供給すると、EAMが電極表面と反応し、自己組織化単分子層が形成される。次いで、反応したEAM及び未反応のEAMの両方の第1及び第2のE0を標的分析物の量又は存在の指標として電気化学的に測定する。
さらに、本発明は、過酸化水素を生成する標的依存性酵素カスケードに依存するシグナル増幅戦略を利用した標的検出の適用を記載する。図6は、タンパク質標的とのアルカリホスファターゼ(AP)タグ付けサンドイッチ免疫複合体に基づくカスケードシグナル増幅の一般的アプローチを示す。同様の比色アッセイが以前に報告されている(Li et al.,
Current Medicinal Chemistry 8(2001), p.121-133)。この系では、アルカリホスファ
ターゼを含む可溶性捕捉リガンドがFADPの脱リン酸化を触媒して、不活性(dormant
)アポ−D−アミノ酸オキシダーゼ(D−AAO)を「オン」にする酵素補助因子であるFADを生じる。次に、生成した各々の活性D−AAOがD−プロリンを酸化して過酸化水素を生じ、これを2011年1月19日付けで出願された米国仮出願第61/434,122号及び2011年8月15日付けで出願された同第61/523,679号の優先権の利益を請求する2012年1月19日付けで出願された特許文献2、並びに2009年8月7日付けで出願された米国仮出願第61/232,339号の優先権の利益を請求する2010年8月9日付けで出願された米国特許出願公開第12/853,204号、並びに2012年10月17日付けで出願された米国特許出願公開第13/653931号(いずれもその全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載されるOhmxのE−TRACE技術を用いて検出する。このようにして検出される例示的なタンパク質標的は図7に示され、血清中の心臓トロポニン−I(cTnI)の希釈系列を分析する。データから、pg/mLレジーム未満での検出限界が、この均一な溶液ベースのE−TRACEアッセイを用いて血清中のcTnIについて生じ得ることが示唆される。
Current Medicinal Chemistry 8(2001), p.121-133)。この系では、アルカリホスファ
ターゼを含む可溶性捕捉リガンドがFADPの脱リン酸化を触媒して、不活性(dormant
)アポ−D−アミノ酸オキシダーゼ(D−AAO)を「オン」にする酵素補助因子であるFADを生じる。次に、生成した各々の活性D−AAOがD−プロリンを酸化して過酸化水素を生じ、これを2011年1月19日付けで出願された米国仮出願第61/434,122号及び2011年8月15日付けで出願された同第61/523,679号の優先権の利益を請求する2012年1月19日付けで出願された特許文献2、並びに2009年8月7日付けで出願された米国仮出願第61/232,339号の優先権の利益を請求する2010年8月9日付けで出願された米国特許出願公開第12/853,204号、並びに2012年10月17日付けで出願された米国特許出願公開第13/653931号(いずれもその全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載されるOhmxのE−TRACE技術を用いて検出する。このようにして検出される例示的なタンパク質標的は図7に示され、血清中の心臓トロポニン−I(cTnI)の希釈系列を分析する。データから、pg/mLレジーム未満での検出限界が、この均一な溶液ベースのE−TRACEアッセイを用いて血清中のcTnIについて生じ得ることが示唆される。
例示的なトロポニンアッセイプロセスは以下の工程を含む:(a)標的と抗体コーティングビーズとの結合;(b)ビオチン−二次抗体と標的との結合;(c)ストレプトアビジン−APと標的抗体複合体との結合;(d)シグナルの増幅;(e)単分子層構成要素との反応に十分な時間の接触;及び(f)検出のためのSAM形成。
したがって、本発明はサンプル中の標的分析物を検出する方法及び組成物を提供する。特定の用途では、測定がサンプル中に存在する全ヘモグロビンの量によって影響を受けない糖化ヘモグロビンのパーセンテージを直接検出する単一測定アプローチを記載する。全ヘモグロビンが生理学的に5g/dL〜20g/dLで変化し得ることから、この範囲にわたる同じパーセンテージの糖化ヘモグロビンの直接測定は、このアプローチを用いて実
現可能である。
現可能である。
標的分析物
本明細書で「標的分析物」若しくは「分析物」若しくは「標的」又は文法的な同等物は、検出対象の任意の分子、化合物又は粒子を意味する。下でより十分に説明されるように標的分析物は結合リガンド(捕捉結合リガンド及び可溶性結合リガンドの両方)に結合する。
本明細書で「標的分析物」若しくは「分析物」若しくは「標的」又は文法的な同等物は、検出対象の任意の分子、化合物又は粒子を意味する。下でより十分に説明されるように標的分析物は結合リガンド(捕捉結合リガンド及び可溶性結合リガンドの両方)に結合する。
好適な分析物としては、生体分子を含む有機分子及び無機分子が挙げられる。好ましい実施形態では、分析物は環境汚染物質(農薬、殺虫剤、毒素等を含む);化学物質(溶媒、ポリマー、有機材料等を含む);治療用分子(治療薬物及び乱用薬物、抗生物質等を含む);生体分子(ホルモン、サイトカイン、タンパク質、脂質、炭水化物、細胞膜抗原及び受容体(神経受容体、ホルモン受容体、栄養素受容体及び細胞表面受容体)又はそれらのリガンド等を含む);全細胞(原核細胞(病原性細菌等)及び哺乳動物腫瘍細胞を含む真核細胞を含む);ウイルス(レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス等を含む);並びに胞子等であり得る。
幾つかの実施形態では、標的分析物はタンパク質である。当業者に認められているように、本発明を用いて検出することができる多数の可能なタンパク性標的分析物が存在する。本明細書で「タンパク質」又は文法的な同等物は、タンパク質、オリゴペプチド及びペプチド、非天然アミノ酸及びアミノ酸類似体、並びにペプチド模倣構造を含有するタンパク質を含む誘導体及び類似体を意味する。側鎖は(R)配置又は(S)配置であり得る。好ましい実施形態では、アミノ酸は(S)配置又はL配置である。下記で論考するように、タンパク質を結合リガンドとして使用する場合、サンプル汚染物質による分解を遅らせるためにタンパク質類似体を利用することが望ましい場合もある。
好適なタンパク質標的分析物としては、(1)免疫グロブリン、特にIgE、IgG及びIgM、特に例えばヒトアルブミン、アポリポタンパク質(アポリポタンパク質Eを含む)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、コルチゾール、α−フェトプロテイン、チロキシン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、抗トロンビンに対する抗体、医薬品(抗癲癇薬(フェニトイン、プリミドン、カルバマゼピン、エトスクシミド、バルプロ酸及びフェノバルビタール)、心臓作用薬(ジゴキシン、リドカイン、プロカインアミド及びジソピラミド)、気管支拡張剤(テオフィリン)、抗生物質(クロラムフェニコール、スルホンアミド)、抗鬱剤、免疫抑制剤、乱用薬物(アンフェタミン、メタンフェタミン、カンナビノイド、コカイン及びアヘン剤)を含む)に対する抗体、並びに様々なウイルス(オルトミクソウイルス(例えばインフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス)、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、レオウイルス、トガウイルス(例えば風疹ウイルス)、パルボウイルス、ポックスウイルス(例えば天然痘ウイルス、ワクシニアウイルス)、エンテロウイルス(例えばポリオウイルス、コクサッキーウイルス)、肝炎ウイルス(A型、B型及びC型を含む)、ヘルペスウイルス(例えば単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバーウイルス)、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、ハンタウイルス、アレナウイルス、ラブドウイルス(例えば狂犬病ウイルス)、レトロウイルス(HIV、HTLV I及びIIを含む)、パポーバウイルス(例えばパピローマウイルス)、ポリオーマウイルス及びピコルナウイルス等を含む)及び細菌(バシラス属;ビブリオ属、例えばコレラ菌(V. cholerae);エシェリキア属、例えば腸管毒素原性大
腸菌(E. coli)、シゲラ属、例えば志賀赤痢菌(S. dysenteriae);サルモネラ属、例
えばチフス菌(S. typhi);マイコバクテリウム属、例えば結核菌(M. tuberculosis)
、癩菌(M. leprae);クロストリジウム属、例えばボツリヌス菌(C. botulinum)、破
傷風菌(C. tetani)、クロストリジウム・ディフィシレ(C. difficile)、ウェルシュ
菌(C. perfringens);コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、例えばジフテリア
菌(C. diphtheriae);ストレプトコッカス属、化膿レンサ球菌(S. pyogenes)、肺炎
レンサ球菌(S. pneumoniae);スタフィロコッカス属、例えば黄色ブドウ球菌(S. aureus);ヘモフィラス属、例えばインフルエンザ菌(H. influenzae);ナイセリア属、例
えば髄膜炎菌(N. meningitidis)、淋菌(N. gonorrhoeae);エルシニア属、例えばラ
ンブル鞭毛虫(G. lamblia)、ペスト菌(Y. pestis)、シュードモナス属、例えば緑膿
菌(P. aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(P. putida);クラミジア属、例えばクラミジア・トラコマチス(C. trachomatis);ボルデテラ属、例えば百日咳菌(B. pertussis);トレポネーマ属、例えば梅毒トレポネーマ(T. palladium)等を含む対象の広範な病原性及び非病原性原核生物を含む)に対する抗体を含むが、これに限定されない治療又は診断関連抗体;(2)クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、トロポニンT、ミオグロビン、フィブリノゲン、コレステロール、トリグリセリド、トロンビン、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)を含む心臓病の指標として又はその治療に使用される酵素;アミラーゼ、リパーゼ、キモトリプシン及びトリプシンを含む膵疾患の指標;コリンエステラーゼ、ビリルビン及びアルカリホスファターゼを含む肝機能酵素及びタンパク質;アルドラーゼ、前立腺酸性ホスファターゼ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、並びにHIVプロテアーゼ等の細菌酵素及びウイルス酵素を含むが、これらに限定されない酵素(及び他のタンパク質);(3)エリトロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン(IL−1〜IL−17を含む)、インスリン、インスリン様成長因子(IGF−1及びIGF−2を含む)、上皮成長因子(EGF)、形質転換成長因子(TGF−α及びTGF−βを含む)、ヒト成長ホルモン、トランスフェリン、上皮成長因子(EGF)、低密度リポタンパク質、高密度リポタンパク質、レプチン、VEGF、PDGF、毛様体神経栄養因子、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、カルシトニン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、コルチゾール、エストラジオール、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロゲステロン、テストステロン等のホルモン及びサイトカイン(大半が細胞受容体のリガンドとして働く);並びに(4)他のタンパク質(α−フェトプロテイン、癌胎児性抗原CEAを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
腸菌(E. coli)、シゲラ属、例えば志賀赤痢菌(S. dysenteriae);サルモネラ属、例
えばチフス菌(S. typhi);マイコバクテリウム属、例えば結核菌(M. tuberculosis)
、癩菌(M. leprae);クロストリジウム属、例えばボツリヌス菌(C. botulinum)、破
傷風菌(C. tetani)、クロストリジウム・ディフィシレ(C. difficile)、ウェルシュ
菌(C. perfringens);コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、例えばジフテリア
菌(C. diphtheriae);ストレプトコッカス属、化膿レンサ球菌(S. pyogenes)、肺炎
レンサ球菌(S. pneumoniae);スタフィロコッカス属、例えば黄色ブドウ球菌(S. aureus);ヘモフィラス属、例えばインフルエンザ菌(H. influenzae);ナイセリア属、例
えば髄膜炎菌(N. meningitidis)、淋菌(N. gonorrhoeae);エルシニア属、例えばラ
ンブル鞭毛虫(G. lamblia)、ペスト菌(Y. pestis)、シュードモナス属、例えば緑膿
菌(P. aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(P. putida);クラミジア属、例えばクラミジア・トラコマチス(C. trachomatis);ボルデテラ属、例えば百日咳菌(B. pertussis);トレポネーマ属、例えば梅毒トレポネーマ(T. palladium)等を含む対象の広範な病原性及び非病原性原核生物を含む)に対する抗体を含むが、これに限定されない治療又は診断関連抗体;(2)クレアチンキナーゼ、乳酸脱水素酵素、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、トロポニンT、ミオグロビン、フィブリノゲン、コレステロール、トリグリセリド、トロンビン、組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)を含む心臓病の指標として又はその治療に使用される酵素;アミラーゼ、リパーゼ、キモトリプシン及びトリプシンを含む膵疾患の指標;コリンエステラーゼ、ビリルビン及びアルカリホスファターゼを含む肝機能酵素及びタンパク質;アルドラーゼ、前立腺酸性ホスファターゼ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、並びにHIVプロテアーゼ等の細菌酵素及びウイルス酵素を含むが、これらに限定されない酵素(及び他のタンパク質);(3)エリトロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン(IL−1〜IL−17を含む)、インスリン、インスリン様成長因子(IGF−1及びIGF−2を含む)、上皮成長因子(EGF)、形質転換成長因子(TGF−α及びTGF−βを含む)、ヒト成長ホルモン、トランスフェリン、上皮成長因子(EGF)、低密度リポタンパク質、高密度リポタンパク質、レプチン、VEGF、PDGF、毛様体神経栄養因子、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、カルシトニン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、コルチゾール、エストラジオール、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、プロゲステロン、テストステロン等のホルモン及びサイトカイン(大半が細胞受容体のリガンドとして働く);並びに(4)他のタンパク質(α−フェトプロテイン、癌胎児性抗原CEAを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
加えて、抗体を検出し得る任意の生体分子を直接検出することもできる。すなわち、ウイルス又は細菌細胞、治療薬物及び乱用薬物等の検出を直接行うことができる。
好適な標的分析物としては、乳がん(CA15−3、CA549、CA27.29)、ムチン様癌関連抗原(MCA)、卵巣がん(CA125)、膵臓がん(DE−PAN−2)並びに結腸直腸がん及び膵臓がん(CA19、CA50、CA242)のマーカーを含むが、これらに限定されない炭水化物が挙げられる。
標的としては、グルコース若しくはコレステロール若しくはATP、FADP、NADH及び他の代謝産物等の小分子、又はホルモン(テストステロン等)、又はタンパク質(甲状腺刺激ホルモン、トロポニンI等)が挙げられる。
一実施形態では、サンプル中の標的分析物の割合を決定する単一測定方法は、本発明の酵素誘発レドックス変化化学的脱離(E−TRACE)反応を用いる電気化学的測定、又は溶液中のH2O2を検出する標準イムノアッセイ光学試験により本明細書に記載の方法に従って行うことができ、以下の工程で説明される。
工程1:一次抗体による修飾:
固体支持体を捕捉プローブで修飾する。この捕捉プローブ、例えば抗体は選択的及び同等に標的の全ての変異体タイプの標的(例えば、ヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンを含
むヘモグロビン)に結合する。本明細書で規定される場合、「選択的に結合する」という用語は所定の標的(例えば糖化ヘモグロビン(ヘモグロビンA1c)を含む全ヘモグロビン)への結合を意味し、「同等に結合する」という用語は、タンパク質(例えばヘモグロビン)及び糖化タンパク質(例えばヘモグロビンA1c)の両方への非選択的な結合を意味する。
固体支持体を捕捉プローブで修飾する。この捕捉プローブ、例えば抗体は選択的及び同等に標的の全ての変異体タイプの標的(例えば、ヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンを含
むヘモグロビン)に結合する。本明細書で規定される場合、「選択的に結合する」という用語は所定の標的(例えば糖化ヘモグロビン(ヘモグロビンA1c)を含む全ヘモグロビン)への結合を意味し、「同等に結合する」という用語は、タンパク質(例えばヘモグロビン)及び糖化タンパク質(例えばヘモグロビンA1c)の両方への非選択的な結合を意味する。
工程2:標的の添加:
標的は小分子又はタンパク質であり得る。或る特定の実施形態では、一次結合が起こると、二次支持体の表面上のほぼ全ての結合部位が飽和すると考えられる。この重要性は、総標的濃度が異なるサンプルが依然として表面に結合する標的分析物の大部分を生じることである。
標的は小分子又はタンパク質であり得る。或る特定の実施形態では、一次結合が起こると、二次支持体の表面上のほぼ全ての結合部位が飽和すると考えられる。この重要性は、総標的濃度が異なるサンプルが依然として表面に結合する標的分析物の大部分を生じることである。
工程3:検出抗体の添加:
或る特定の実施形態では、二次抗体を表面に導入すると、固定化標的分析物のみに結合する。これは、ELISA様サンドイッチ錯体が標的分析物によって占められる部位のみで形成され、非標的(例えば非糖化ヘモグロビン)によって占められる部位では形成されないことを意味する。
或る特定の実施形態では、二次抗体を表面に導入すると、固定化標的分析物のみに結合する。これは、ELISA様サンドイッチ錯体が標的分析物によって占められる部位のみで形成され、非標的(例えば非糖化ヘモグロビン)によって占められる部位では形成されないことを意味する。
工程4:シグナル伝達及び検出:
標的に選択的に結合する抗標的抗体を、過酸化物生成系の中間酵素、例えばオキシダーゼ酵素(SOx)で標識する。中間酵素標識は、過酸化水素を生じるオキシダーゼ酵素の補助因子又は基質である生成物を生成する。レドックス活性EAMを、過酸化水素含有アッセイ混合物に供給し、EAMのPSMと過酸化水素との反応を溶液相中で均一に進行させる。
標的に選択的に結合する抗標的抗体を、過酸化物生成系の中間酵素、例えばオキシダーゼ酵素(SOx)で標識する。中間酵素標識は、過酸化水素を生じるオキシダーゼ酵素の補助因子又は基質である生成物を生成する。レドックス活性EAMを、過酸化水素含有アッセイ混合物に供給し、EAMのPSMと過酸化水素との反応を溶液相中で均一に進行させる。
工程5:SAM形成:
過酸化水素と反応したEAM及び未反応のEAMを合わせたアッセイ混合物を、非修飾電極に供給し、反応したEAM及び未反応のEAMの両方のSAM形成を生じさせる。次いで、反応したEAM及び未反応のEAMの両方の定量可能なシグナルを測定することができる。
過酸化水素と反応したEAM及び未反応のEAMを合わせたアッセイ混合物を、非修飾電極に供給し、反応したEAM及び未反応のEAMの両方のSAM形成を生じさせる。次いで、反応したEAM及び未反応のEAMの両方の定量可能なシグナルを測定することができる。
シグナルの量は、表面に固定化したヘモグロビンA1cの量に依存するサンドイッチ錯体の数と直接相関する。固定化ヘモグロビンA1cの量は元のサンプル中の全ヘモグロビンに対するヘモグロビンA1cのパーセンテージに直接左右されるため、観察されるシグナルにより、全ヘモグロビンに対するヘモグロビンA1cの比率(パーセンテージ)の評価がもたらされる。
結合リガンドの1つであるヘモグロビンA1cについては、捕捉結合リガンド又は可溶性結合リガンドが糖化型のヘモグロビンに特異性を有する。すなわち、一実施形態では、捕捉結合リガンドがいずれかの型のヘモグロビンに結合することができる。表面を洗浄した後、過酸化物生成部分を有する糖化型(すなわちHb A1c)のみに特異性を有する可溶性結合リガンドを添加する。代替的には、捕捉結合リガンドは他の型のヘモグロビンに比べHb1Acに対して特異性を有し、かかる特異性を有しない可溶性捕捉リガンドを表面の適切な洗浄後に使用することができる。このアプローチを、糖化型又は非糖化型の検出が望まれる他の標的分析物に使用することができる。当業者に認められているように、両方の型の検出が望まれる標的分析物も存在し、これらの実施形態では、一方に特異性を有しない結合リガンドを使用する。
この電気活性SAMに連結したヘモグロビンA1cの単一測定検出は、サンプル中の全ヘモグロビンに対する標的の割合を決定するより単純な手段をもたらす。これには、2回
の測定を行う必要がなく、光学測定、複数の抗体対、又はヘモグロビンA1c及び全ヘモグロビンの2回の別個の測定に基づき更なる誤差を生じるパーセンテージ計算アルゴリズムが除外されるという利点がある。本開示の標的分析物は標識することができる。このため、本明細書で「標識標的分析物」とは、特異的結合対の成員で標識される標的分析物を意味する。
の測定を行う必要がなく、光学測定、複数の抗体対、又はヘモグロビンA1c及び全ヘモグロビンの2回の別個の測定に基づき更なる誤差を生じるパーセンテージ計算アルゴリズムが除外されるという利点がある。本開示の標的分析物は標識することができる。このため、本明細書で「標識標的分析物」とは、特異的結合対の成員で標識される標的分析物を意味する。
サンプル
標的分析物は概してサンプル中に存在する。当業者に認められているように、サンプル溶液は、体液(実質的に任意の生物の血液、尿、血清、リンパ液、唾液、肛門分泌物及び膣分泌物、汗並びに精液を含むが、これらに限定されず、哺乳動物のサンプルが好ましく、ヒトのサンプルが特に好ましい);環境サンプル(大気、農産物、水及び土壌のサンプルを含むが、これらに限定されない);植物材料;生物兵器サンプル;研究サンプル、精製サンプル、未加工サンプル等を含むが、これらに限定されない様々なものを含み得る。当業者に認められているように、実質的に任意の実験操作をサンプルに行うことができる。幾つかの実施形態では、貯蔵(例えば凍結及び/又は保管)した又は新鮮な組織に由来するサンプルを利用する。パラフィン包埋サンプルは、これらのサンプルが診断及び予後診断等のサンプルと関連する付加的なデータの存在のために非常に有用であり得ることから、多くの実施形態で特に有用である。本明細書に記載の固定及びパラフィン包埋した組織サンプルは、貯蔵可能な又は保管可能な組織サンプルを指す。大半の患者由来の病理サンプルは、組織学的分析及び後続の保管貯蔵を可能にするために日常的に固定及びパラフィン包埋される。
標的分析物は概してサンプル中に存在する。当業者に認められているように、サンプル溶液は、体液(実質的に任意の生物の血液、尿、血清、リンパ液、唾液、肛門分泌物及び膣分泌物、汗並びに精液を含むが、これらに限定されず、哺乳動物のサンプルが好ましく、ヒトのサンプルが特に好ましい);環境サンプル(大気、農産物、水及び土壌のサンプルを含むが、これらに限定されない);植物材料;生物兵器サンプル;研究サンプル、精製サンプル、未加工サンプル等を含むが、これらに限定されない様々なものを含み得る。当業者に認められているように、実質的に任意の実験操作をサンプルに行うことができる。幾つかの実施形態では、貯蔵(例えば凍結及び/又は保管)した又は新鮮な組織に由来するサンプルを利用する。パラフィン包埋サンプルは、これらのサンプルが診断及び予後診断等のサンプルと関連する付加的なデータの存在のために非常に有用であり得ることから、多くの実施形態で特に有用である。本明細書に記載の固定及びパラフィン包埋した組織サンプルは、貯蔵可能な又は保管可能な組織サンプルを指す。大半の患者由来の病理サンプルは、組織学的分析及び後続の保管貯蔵を可能にするために日常的に固定及びパラフィン包埋される。
固体支持体
標的分析物は、電極を備える固体支持体を用いて検出される。本明細書で「基板」又は「固体支持体」又は他の文法的な同等物は、捕捉リガンドの付着又は結合に適切な個別の部位を含有するように修飾され得る任意の材料を意味する。好適な基板としては、金等の金属表面、下記で規定する電極、ガラス及び改質ガラス又は官能化ガラス、ガラス繊維、テフロン、セラミック、マイカ、プラスチック(アクリル樹脂、ポリスチレン、及びスチレンと他の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、テフロン(商標)、並びにそれらの誘導体等を含む)、GETEK(ポリプロピレンオキシドとガラス繊維とのブレンド)等、多糖、ナイロン又はニトロセルロース、樹脂、シリカ又はシリコン及び変性シリコンを含むシリカベースの材料、炭素、金属、無機ガラス、並びに他の様々なポリマーが挙げられ、プリント配線板(PCB)材料が特に好ましい。一実施形態では、固体支持体は微小粒子、磁性微小粒子、ビーズ及びマイクロチャネルから選択される。
標的分析物は、電極を備える固体支持体を用いて検出される。本明細書で「基板」又は「固体支持体」又は他の文法的な同等物は、捕捉リガンドの付着又は結合に適切な個別の部位を含有するように修飾され得る任意の材料を意味する。好適な基板としては、金等の金属表面、下記で規定する電極、ガラス及び改質ガラス又は官能化ガラス、ガラス繊維、テフロン、セラミック、マイカ、プラスチック(アクリル樹脂、ポリスチレン、及びスチレンと他の材料とのコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、テフロン(商標)、並びにそれらの誘導体等を含む)、GETEK(ポリプロピレンオキシドとガラス繊維とのブレンド)等、多糖、ナイロン又はニトロセルロース、樹脂、シリカ又はシリコン及び変性シリコンを含むシリカベースの材料、炭素、金属、無機ガラス、並びに他の様々なポリマーが挙げられ、プリント配線板(PCB)材料が特に好ましい。一実施形態では、固体支持体は微小粒子、磁性微小粒子、ビーズ及びマイクロチャネルから選択される。
本発明の系は、アドレス可能な検出電極(本明細書では概して「パッド」、「アドレス」又は「微小位置(micro-locations)」と称される)のマトリックスが存在するアレイ
フォーマットで特に有用である。本明細書で「アレイ」とは、アレイフォーマットの複数の捕捉リガンドを意味する。アレイのサイズはアレイの組成及び最終用途に依存する。約2個〜数千個の異なる捕捉基板を含有するアレイを作製することができる。
フォーマットで特に有用である。本明細書で「アレイ」とは、アレイフォーマットの複数の捕捉リガンドを意味する。アレイのサイズはアレイの組成及び最終用途に依存する。約2個〜数千個の異なる捕捉基板を含有するアレイを作製することができる。
好ましい実施形態では、検出電極が基板上に形成される。加えて、本明細書の論考は概して金電極の使用を対象とするが、当業者に認められているように、他の電極を使用してもよい。基板は本明細書及び引用参照文献で概説されるような広範な材料を含み得る。
概して、材料としてはプリント配線板材料が挙げられる。配線板材料は、導電層でコーティングされ、リソグラフィー法、特にフォトリソグラフィー法を用いて処理され、電極及びインターコネクト(当該技術分野で相互接続部又はリードと称される場合もある)のパターンを形成した絶縁基板を含むものである。絶縁基板は常にという訳ではないが、概
してポリマーである。当該技術分野で既知のように、1つ又は複数の層を使用して、「二次元」(例えば全ての電極及び相互接続部が平面内にある)又は「三次元」(電極が一方の表面上にあり、インターコネクトがボードの反対側まで貫通し得るか、又は電極が複数の表面上にある)のボードを作製してもよい。三次元系は、「ボード貫通」相互接続部が作製されるように、ドリリング又はエッチングに続く銅等の金属による電気めっきの使用に依存することが多い。配線板材料は、基板に既に結合した銅ホイル等のホイルを備えることが多く、付加的な銅が必要に応じて(例えば相互接続部に)例えば電気めっきによって添加される。次いで、銅表面を接着層の結合のために例えばエッチングによって粗面化する必要がある場合もある。したがって、好ましい実施形態では、本発明は複数の電極、好ましくは金電極を備える基板を含むチップを提供する。電極の数はアレイについて概説される通りである。各々の電極が本明細書で概説されるようにアッセイの最終工程中にin situで自己組織化単分子層により修飾される。加えて、各電極が相互接続部を有する、すなわち電極が最終的に電極を制御することができるデバイスに結合する。すなわち、各電極が独立してアドレス可能である。
してポリマーである。当該技術分野で既知のように、1つ又は複数の層を使用して、「二次元」(例えば全ての電極及び相互接続部が平面内にある)又は「三次元」(電極が一方の表面上にあり、インターコネクトがボードの反対側まで貫通し得るか、又は電極が複数の表面上にある)のボードを作製してもよい。三次元系は、「ボード貫通」相互接続部が作製されるように、ドリリング又はエッチングに続く銅等の金属による電気めっきの使用に依存することが多い。配線板材料は、基板に既に結合した銅ホイル等のホイルを備えることが多く、付加的な銅が必要に応じて(例えば相互接続部に)例えば電気めっきによって添加される。次いで、銅表面を接着層の結合のために例えばエッチングによって粗面化する必要がある場合もある。したがって、好ましい実施形態では、本発明は複数の電極、好ましくは金電極を備える基板を含むチップを提供する。電極の数はアレイについて概説される通りである。各々の電極が本明細書で概説されるようにアッセイの最終工程中にin situで自己組織化単分子層により修飾される。加えて、各電極が相互接続部を有する、すなわち電極が最終的に電極を制御することができるデバイスに結合する。すなわち、各電極が独立してアドレス可能である。
最後に、本発明の組成物は、マイクロ流体構成要素及びロボット構成要素(例えば、米国特許第6,942,771号及び同第7,312,087号並びに関連案件(どちらもその全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい)、並びにシグナル処理法を用いるコンピュータを含む検出システム(例えば米国特許第6,740,518号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい)を含む広範な付加的構成要素を含み得る。
電極
本発明の固体支持体は電極を備える。本明細書で「電極」とは、電子デバイスに接続した場合に電流又は電荷を感知し、それをシグナルに変換することが可能な組成物を意味する。好ましい電極は当該技術分野で既知であり、金;白金;パラジウム;ケイ素;アルミニウムを含む或る特定の金属及びその酸化物;酸化白金、酸化チタン、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化パラジウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化モリブデン(Mo2O6)、酸化タングステン(WO3)及び酸化ルテニウムを含む金属酸化物電極;並びに炭素(ガラス状炭素電極、グラファイト及びカーボンペーストを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい電極としては、金、ケイ素、炭素及び金属酸化物の電極が挙げられ、金が特に好ましい。
本発明の固体支持体は電極を備える。本明細書で「電極」とは、電子デバイスに接続した場合に電流又は電荷を感知し、それをシグナルに変換することが可能な組成物を意味する。好ましい電極は当該技術分野で既知であり、金;白金;パラジウム;ケイ素;アルミニウムを含む或る特定の金属及びその酸化物;酸化白金、酸化チタン、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化パラジウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化モリブデン(Mo2O6)、酸化タングステン(WO3)及び酸化ルテニウムを含む金属酸化物電極;並びに炭素(ガラス状炭素電極、グラファイト及びカーボンペーストを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい電極としては、金、ケイ素、炭素及び金属酸化物の電極が挙げられ、金が特に好ましい。
本明細書に記載の電極は平面として示されるが、これは電極の可能な形態の1つにすぎず、図解のみを目的とするものある。電極の形態は用いられる検出方法によって異なる。
本発明の電極は概してカートリッジに組み込まれ、広範な構成をとることができ、作用電極及び参照電極、インターコネクト(「ボード貫通」インターコネクトを含む)、並びにマイクロ流体構成要素を備えることができる。例えば、米国特許第7,312,087号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい。加えて、チップは概して、本明細書に記載の構成要素を有する作用電極、参照電極及び対/補助電極を備える。
好ましい実施形態では、検出電極はポリマーバッキング上の蒸着金回路からなる。
カートリッジは生体分子のアレイを備える基板を含み、様々な形で構成することができる。例えば、チップは試薬の導入及び除去用の入口及び出口を有する反応チャンバを備えることができる。加えて、カートリッジは、サンプルを導入し、試薬を添加し、反応を行った後、サンプルを検出用のアレイを備える反応チャンバに添加するようにマイクロ流体構成要素を有するキャップ又は蓋を備えることができる。
自己組織化単分子層
電極は、アッセイの一環としてin situで形成された自己組織化単分子層(SAM)を備える。本明細書で「単分子層」又は「自己組織化単分子層」又は「SAM」とは、自発的に表面に化学吸着した比較的秩序だった分子の集合体を意味し、分子は互いにほぼ並行し、表面にほぼ垂直に配向する。分子の各々が表面に付着する官能基と、単分子層内の隣接分子と相互作用して比較的秩序だったアレイを形成する部分とを含む。「混合」単分子層は、少なくとも2つの異なる分子が単分子層を構成する不均一単分子層を含む。本明細書で概説されるように、単分子層の使用は表面への生体分子の非特異的結合の量を低減し、核酸の場合、オリゴヌクレオチドと電極との距離の結果としてオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションの効率を増大させる。加えて、単分子層は電荷担体を電極の表面から離しておく働きをする。
電極は、アッセイの一環としてin situで形成された自己組織化単分子層(SAM)を備える。本明細書で「単分子層」又は「自己組織化単分子層」又は「SAM」とは、自発的に表面に化学吸着した比較的秩序だった分子の集合体を意味し、分子は互いにほぼ並行し、表面にほぼ垂直に配向する。分子の各々が表面に付着する官能基と、単分子層内の隣接分子と相互作用して比較的秩序だったアレイを形成する部分とを含む。「混合」単分子層は、少なくとも2つの異なる分子が単分子層を構成する不均一単分子層を含む。本明細書で概説されるように、単分子層の使用は表面への生体分子の非特異的結合の量を低減し、核酸の場合、オリゴヌクレオチドと電極との距離の結果としてオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションの効率を増大させる。加えて、単分子層は電荷担体を電極の表面から離しておく働きをする。
幾つかの実施形態では、単分子層は導電性オリゴマーを含み、特に導電性オリゴマーは概して下記のようにEAMを電極表面に結合するために使用される。本明細書で「導電性オリゴマー」とは、好ましくは線状の実質的に導電性のオリゴマーを意味し、その幾つかの実施形態が文献内で「分子ワイヤー」と称される。本明細書で「実質的に導電性の」とは、オリゴマーが100Hzで電子を移動させることが可能であることを意味する。概して、導電性オリゴマーは、導電性オリゴマーのモノマー単位間に実質的に重なりあったπ軌道、すなわち結合π軌道を有するが、導電性オリゴマーは1つ又は複数のシグマ(σ)結合を含有していてもよい。加えて、導電性オリゴマーは、結合したEAMへ又はそれから電子を注入又は受容するその能力によって機能的に規定され得る。さらに、導電性オリゴマーは本明細書で規定されるように絶縁体よりも導電性である。加えて、本発明の導電性オリゴマーは、それ自体が電子を供与又は求引し得る電気活性ポリマーとは区別される。
導電性オリゴマーのより詳細な説明は、国際公開第1999/57317号(その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に見られる。特に、国際公開第1999/57317号の14頁〜21頁の構造1〜9に示される導電性オリゴマーが本発明に使用される。幾つかの実施形態では、導電性オリゴマーは以下の構造を有する:
加えて、単分子層中の少なくとも一部の導電性オリゴマーの末端は電子的に露出している。本明細書で「電子的に露出する」とは、末端に極めて接近したEAMの配置の際及び適切なシグナルによる開始後に、EAMの存在に依存するシグナルが検出され得ることを意味する。導電性オリゴマーは末端基を有していても又は有していなくてもよい。このため、好ましい実施形態では付加的な末端基は存在せず、導電性オリゴマーは例えばアセチレン結合等の末端基で終了する。代替的には、幾つかの実施形態では、本明細書で「Q」と表されることもある末端基が付加される。末端基は幾つかの理由、例えばEAMの検出に対する導電性オリゴマーの電子的有用性に寄与するため、又は他の理由、例えば非特異的結合の防止からSAMの表面を変更するために使用され得る。例えば、標的分析物がDNA又はRNA等の核酸である場合に、核酸が反発される又は表面への付着が防止され、ハイブリダイゼーションが促進されるように負に帯電した表面を形成する負に帯電した基が末端上に存在し得る。好ましい末端基としては、−NH、−OH、−COOH及び−CH3等のアルキル基、並びに(ポリ)エチレングリコール等の(ポリ)アルキル酸化物が
挙げられ、−OCH2CH2OH、−(OCH2CH2O)2H、−(OCH2CH2O)3H及び−(OCH2CH2O)4Hが好ましい。
挙げられ、−OCH2CH2OH、−(OCH2CH2O)2H、−(OCH2CH2O)3H及び−(OCH2CH2O)4Hが好ましい。
一実施形態では、異なるタイプの末端基を有する導電性オリゴマーの混合物を使用することが可能である。このため、例えば一部の末端基は検出を促進することができ、一部は非特異的結合を防止することができる。
このため、不動態化剤は電極への溶媒の接近性を遮断する物理的障壁として働く。そのように、不動態化剤自体は実際には(1)導電性又は(2)非導電性、すなわち絶縁性の分子であり得る。このため、一実施形態では、不動態化剤は本明細書に記載されるように、電極への電荷移動を遮断又は減少させる末端基を有する又は有しない導電性オリゴマーである。導電性であってもよい他の不動態化剤としては、−(CF2)n−、−(CHF)n−及び−(CFR)n−のオリゴマーが挙げられる。好ましい実施形態では、不動態化剤は絶縁体部分である。
幾つかの実施形態では、単分子層は絶縁体を含む。「絶縁体」は好ましくは線状の実質的に非導電性のオリゴマーである。本明細書で「実質的に非導電性」とは、絶縁体を介した電子移動速度が導電性オリゴマーを介した電子移動速度よりも遅いことを意味する。言い方を変えれば、絶縁体の電気的抵抗は導電性オリゴマーの電気的抵抗よりも高い。しかしながら、−(CH2)16分子等の概して絶縁体とみなされるオリゴマーであっても、遅い速度ではあるが電子を移動させ得ることにも留意されたい。
幾つかの実施形態では、絶縁体は約10−7Ω−1cm−1以下の伝導性Sを有し、約10−8Ω−1cm−1未満が好ましい(Gardner et al., Sensors and Actuators A 51
(1995) 57-66(引用することにより本明細書の一部をなすものとする))。
(1995) 57-66(引用することにより本明細書の一部をなすものとする))。
概して、絶縁体はシグマ結合を有するアルキル又はヘテロアルキルオリゴマー又は部分であるが、任意の特定の絶縁体分子は芳香族基又は1つ若しくは複数の共役結合を含有し得る。本明細書で「ヘテロアルキル」とは、少なくとも1つのヘテロ原子、すなわち窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素又はホウ素が鎖に含まれるアルキル基を意味する。代替的には、絶縁体は、好ましくは実質的に電子移動を阻害又は遅延させる働きをする1つ又は複数のヘテロ原子又は結合を付加した導電性オリゴマーによく似たものであり得る。幾つかの実施形態では、絶縁体はC6〜C16アルキルを含む。
絶縁体を含む不動態化剤は、電極への部分又は導電性オリゴマーの密集、絶縁体の親水性又は疎水性、及び絶縁体の柔軟性、すなわち回転柔軟性、ねじれ柔軟性又は縦方向柔軟性を変更する本明細書で規定のR基で置換されていてもよい。例えば、分岐アルキル基を使用することができる。加えて、絶縁体を含む不動態化剤の末端は、単分子層の露出表面に影響を与える付加的な基(本明細書で末端基(「TG」)と称される場合もある)を含有し得る。例えば、サンプルによる非特異的結合を阻害するため、又は分析物の結合動態に影響を与えるために帯電した中性又は疎水性基の付加が行われ得る。例えば、或る特定の標的分析物の結合を促す若しくは妨げる、又は反発する若しくは表面ヘの付着を防止するために、帯電表面を形成する帯電基が末端上に存在し得る。
不動態化剤の長さは必要に応じて異なる。概して、不動態化剤の長さは、上記で概説したような導電性オリゴマーの長さと同様である。加えて、導電性オリゴマーは不動態化剤と基本的に同じ長さを有しても又はそれより長くてもよい。
in situ単分子層は、絶縁体を含む単一タイプ又は異なるタイプの不動態化剤を含み得る。
好適な絶縁体は当該技術分野で既知であり、−(CH2)n−、−(CRH)n−及び−(CR2)n−、エチレングリコール又は酸素の代わりに他のヘテロ原子、すなわち窒素又は硫黄を用いた誘導体(電極が金である場合、硫黄誘導体は好ましくない)が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、絶縁体はC6〜C16アルキルを含む。
幾つかの実施形態では、電極は金属表面であり、必ずしも相互接続又は電気化学を行う能力を有する必要はない。
電気活性部分
SAMに加えて、in situ修飾電極はEAMを含む。本明細書で「電気活性部分(EAM)」又は「遷移金属錯体」又は「レドックス活性分子」又は「電子移動部分(ETM)」は、可逆的に又は半可逆的に1つ又は複数の電子を移動させることが可能な金属含有化合物を意味する。電子供与能及び電子受容能が相対的なものである、すなわち或る特定の実験条件下で電子を失うことができる分子は、異なる実験条件下で電子を受容することが可能であることが理解されよう。
SAMに加えて、in situ修飾電極はEAMを含む。本明細書で「電気活性部分(EAM)」又は「遷移金属錯体」又は「レドックス活性分子」又は「電子移動部分(ETM)」は、可逆的に又は半可逆的に1つ又は複数の電子を移動させることが可能な金属含有化合物を意味する。電子供与能及び電子受容能が相対的なものである、すなわち或る特定の実験条件下で電子を失うことができる分子は、異なる実験条件下で電子を受容することが可能であることが理解されよう。
可能な遷移金属錯体の数が非常に多く、電子移動化合物の当業者が本発明において多数の化合物を利用することが可能であることを理解されたい。本明細書で「遷移金属」とは、原子が部分的又は完全な電子殻を有する金属を意味する。本発明での使用に好適な遷移金属としては、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、白金(Pt)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、タングステン(W)及びイリジウム(Ir)が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、Fe、Re、W、Mo及びTcに加えて第一遷移金属系列、白金金属(Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPt)が本発明で特に使用される。本発明で使用される金属は、ルテニウム、オスミウム、鉄、白金及びパラジウムを含む酸化状態の変化の際に配位部位の数が変化しない金属でもあり、オスミウム、ルテニウム及び鉄がとりわけ有用である。概して、遷移金属は本明細書(又は引用参照文献)でTM又はMと表される。
遷移金属及び配位リガンドは金属錯体を形成する。本明細書で「リガンド」又は「配位リガンド」(本明細書又は引用参照文献の図で「L」と表される)は、概して配位共有結合を介して1つ若しくは複数のその電子を1つ若しくは複数の中心原子若しくはイオンに供与するか、又は共有結合を介してその電子をそれらと共有する原子、イオン、分子又は官能基を意味する。
幾つかの実施形態では、小極性リガンドが使用される。概して本明細書で「L」と表される好適な小極性リガンドは、本明細書でより十分に説明されるように大きく2つのカテゴリーに分けられる。一実施形態では、小極性リガンドは、概して不十分な脱離基又は良好なシグマドナーとしてのその特徴、及び金属の固有性のために効果的に金属イオンに不可逆的に結合する。これらのリガンドは「置換的に不活性」と称される場合もある。代替的には、下記でより十分に説明されるように、小極性リガンドは金属イオンに可逆的に結合することができ、そのため標的分析物の結合の際に、分析物は、その良好な脱離基特性又は不十分なシグマドナー特性のために効果的に小極性リガンドを置き換える1つ又は複数の金属の配位原子を生じ得る。これらのリガンドは「置換的に不安定」と称される場合もある。リガンドは、高い溶媒再構成エネルギーに寄与することから双極子を形成するのが好ましい。
遷移金属錯体の構造の一部を下に示す:
Lは金属イオンに結合する配位原子を生じる共リガンドである。当業者に認められているように、共リガンドの数及び性質は金属イオンの配位数に依存する。単座、二座又は多座共リガンドを任意の位置で使用することができる。このため、例えば金属の配位数が6である場合、導電性オリゴマーの末端のL、核酸に由来するL、及びrが合計6となる。このため、金属の配位数が6である場合、rは0(全ての配位原子が他の2つのリガンドから与えられる場合)から全ての共リガンドが単座である場合の4という範囲とすることができる。このため、概して、rは金属イオンの配位数及び他のリガンドの選択に応じて0〜8である。
一実施形態では、金属イオンの配位数は6であり、導電性オリゴマーに結合するリガンド及び核酸に結合するリガンドの両方が少なくとも二座である、すなわちrが好ましくは0、1(すなわち、残りの共リガンドが二座である)又は2(2つの単座共リガンドが使用される)である。
当該技術分野で認められているように、共リガンドは同じであっても又は異なっていてもよい。好適なリガンドは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、炭素原子又はリン原子(金属イオンに応じる)を配位原子として用いるリガンド(概して文献内でシグマ(σ)ドナーと称される)、及びメタロセンリガンド等の有機金属リガンド(概して文献内でパイ(π)ドナーと称され、本明細書でLmと表される)という2つのカテゴリーに分けられる。好適な窒素供与リガンドは当該技術分野で既知であり、シアノ(C≡N)、NH2;NHR;NRR’;ピリジン;ピラジン;イソニコチンアミド;イミダゾール;ビピリジン及びビピリジンの置換誘導体;テルピリジン及び置換誘導体;フェナントロリン、特に1,10−フェナントロリン(略称phen)、並びに4,7−ジメチルフェナントロリン及びジピリド[3,2−a:2’,3’−c]フェナジン(略称dppz)等のフェナントロリンの置換誘導体;ジピリドフェナジン;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称hat);9,10−フェナントレンキノンジイミン(略称phi);1,4,5,8−テトラアザフェナントレン(略称tap);1,4,8,11−テトラ−アザシクロテトラデカン(略称cyclam)及びイソシアニドが挙げられるが、これらに限定されない。縮合誘導体を含む置換誘導体を使用してもよい。幾つかの実施形態では、ポルフィリン及びポルフィリンファミリーの置換誘導体を使用することができる。例えば、Comprehensive Coordination Chemistry, Ed. Wilkinson et al., Pergammon Press, 1987, Chapters 13.2 (pp 73-98), 21.1 (pp. 813-898) and 21.3 (pp 915-957)(
全て引用することにより明示的に本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい。
全て引用することにより明示的に本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい。
当該技術分野で認められているように、ドナー(1)が金属に結合し、ドナー(2)が周囲の媒体(溶媒、タンパク質等)との相互作用に利用可能である任意のリガンドドナー(1)−架橋−ドナー(2)を、とりわけシアノ(Cがドナー(1)であり、Nがドナー(2)であり、パイ系がCN三重結合である)のように、ドナー(1)及びドナー(2)
がパイ系を介して結合する場合に本発明で使用することができる。一例は、ビピリジンによく似ているが、「背面」に媒体との相互作用のためにNドナーを有するビピリミジンである。その他の共リガンドとしては、シアネート、イソシアネート(−N=C=O)、チオシアネート、イソニトリル、N2、O2、カルボニル、ハロゲン化物、アルコキシド、チオレート、アミド、リン化物、並びにスルフィノ、スルホニル、スルホアミノ及びスルファモイル等の硫黄含有化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
がパイ系を介して結合する場合に本発明で使用することができる。一例は、ビピリジンによく似ているが、「背面」に媒体との相互作用のためにNドナーを有するビピリミジンである。その他の共リガンドとしては、シアネート、イソシアネート(−N=C=O)、チオシアネート、イソニトリル、N2、O2、カルボニル、ハロゲン化物、アルコキシド、チオレート、アミド、リン化物、並びにスルフィノ、スルホニル、スルホアミノ及びスルファモイル等の硫黄含有化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態では、複数のシアノを種々の金属との錯体形成のための共リガンドとして使用する。例えば、7つのシアノでRe(III)に結合し、8つでMo(IV)及びW(IV)に結合する。このため、本発明では、Re(III)で6つ以下のシアノ及び1つ若しくは複数のL、又はMo(IV)若しくはW(IV)で7つ以下のシアノ及び1つ若しくは複数のLを使用することができる。W(IV)系を有するEAMは、より不活性であり、より調製が容易であり、より有利な還元電位を有することから他のものに勝る特定の利点を有する。概して、より大きなCN/L比はより大きなシフトをもたらす。
炭素、酸素、硫黄及びリンを用いる好適なシグマ供与リガンドが当該技術分野で既知である。例えば、好適なシグマ炭素ドナーは、Cotton and Wilkenson, Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, 1988(引用することにより本明細書の一部をなすものとする;例えば38頁を参照されたい)に見られる。同様に、好適な酸素リガンドとしては、クラウンエーテル、水及び当該技術分野で既知の他のリガンドが挙げられる。ホスフィン及び置換ホスフィンも好適である。Cotton and Wilkensonの38頁を参照されたい。
酸素、硫黄、リン及び窒素供与リガンドは、ヘテロ原子が配位原子として働くように結合する。
幾つかの実施形態では、有機金属リガンドを使用する。レドックス部分として使用される純粋に有機の化合物、及び複素環又は環外置換基としてドナー原子とのδ結合有機リガンドを有する様々な遷移金属配位錯体に加えて、パイ結合有機リガンドを有する広範な遷移金属有機金属化合物が利用可能である(Advanced Inorganic Chemistry, 5th Ed., Cotton & Wilkinson, John Wiley & Sons, 1988, chapter 26、Organometallics, A Concise
Introduction, Elschenbroich et al., 2nd Ed., 1992, VCH、及びComprehensive Organometallic Chemistry II, A Review of the Literature 1982-1994, Abel et al. Ed., Vol. 7, chapters 7, 8, 10 & 11, Pergamon Press(引用することにより明示的に本明細
書の一部をなすものとする)を参照されたい)。かかる有機金属リガンドとしては、シクロペンタジエニドイオン[C5H5(−1)]等の環式芳香族化合物、並びにビス(シクロペンタジエニル)金属化合物類(すなわちメタロセン)を生じるインデニリデン(−1)イオン等の様々な環置換誘導体及び環縮合誘導体が挙げられる。例えば、Robins et al., J. Am. Chem. Soc. 104:1882-1893 (1982)及びGassman et al., J. Am. Chem. Soc. 108:4228-4229 (1986)(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照さ
れたい。これらの中でも、フェロセン[(C5H5)2Fe]及びその誘導体が、広範な化学的(Connelly et al., Chem. Rev. 96:877-910 (1996)(引用することにより本明細
書の一部をなすものとする))及び電気化学的(Geiger et al., Advances in Organometallic Chemistry 23:1-93及びGeiger et al., Advances in Organometallic Chemistry 24:87(引用することにより本明細書の一部をなすものとする))電子移動又は「レドックス」反応に使用される典型例である。様々な第一列、第二列及び第三列遷移金属のメタロセン誘導体が、リボース環又は核酸のヌクレオシド塩基に共有結合するレドックス部分の有力な候補である。他の潜在的に好適な有機金属リガンドとしては、ビス(アレーン)金属化合物を生じるベンゼン等の環状アレーン並びにその環置換誘導体及び環縮合誘導体が挙げられ、ビス(ベンゼン)クロムが典型例である。アリル(−1)イオン又はブタジエ
ン等の他の環状π結合リガンドが潜在的に好適な有機金属化合物をもたらし、他のパイ結合及びデルタ結合リガンドと伝導する全てのかかるリガンドが、金属と炭素との結合が存在する一般的な有機金属化合物類を構成する。架橋有機リガンド及び付加的な非架橋リガンドを有し、金属−金属結合を有する及び有しないかかる化合物の様々な二量体及びオリゴマーの電気化学的研究は、核酸分析において有力な候補レドックス部分である。
Introduction, Elschenbroich et al., 2nd Ed., 1992, VCH、及びComprehensive Organometallic Chemistry II, A Review of the Literature 1982-1994, Abel et al. Ed., Vol. 7, chapters 7, 8, 10 & 11, Pergamon Press(引用することにより明示的に本明細
書の一部をなすものとする)を参照されたい)。かかる有機金属リガンドとしては、シクロペンタジエニドイオン[C5H5(−1)]等の環式芳香族化合物、並びにビス(シクロペンタジエニル)金属化合物類(すなわちメタロセン)を生じるインデニリデン(−1)イオン等の様々な環置換誘導体及び環縮合誘導体が挙げられる。例えば、Robins et al., J. Am. Chem. Soc. 104:1882-1893 (1982)及びGassman et al., J. Am. Chem. Soc. 108:4228-4229 (1986)(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照さ
れたい。これらの中でも、フェロセン[(C5H5)2Fe]及びその誘導体が、広範な化学的(Connelly et al., Chem. Rev. 96:877-910 (1996)(引用することにより本明細
書の一部をなすものとする))及び電気化学的(Geiger et al., Advances in Organometallic Chemistry 23:1-93及びGeiger et al., Advances in Organometallic Chemistry 24:87(引用することにより本明細書の一部をなすものとする))電子移動又は「レドックス」反応に使用される典型例である。様々な第一列、第二列及び第三列遷移金属のメタロセン誘導体が、リボース環又は核酸のヌクレオシド塩基に共有結合するレドックス部分の有力な候補である。他の潜在的に好適な有機金属リガンドとしては、ビス(アレーン)金属化合物を生じるベンゼン等の環状アレーン並びにその環置換誘導体及び環縮合誘導体が挙げられ、ビス(ベンゼン)クロムが典型例である。アリル(−1)イオン又はブタジエ
ン等の他の環状π結合リガンドが潜在的に好適な有機金属化合物をもたらし、他のパイ結合及びデルタ結合リガンドと伝導する全てのかかるリガンドが、金属と炭素との結合が存在する一般的な有機金属化合物類を構成する。架橋有機リガンド及び付加的な非架橋リガンドを有し、金属−金属結合を有する及び有しないかかる化合物の様々な二量体及びオリゴマーの電気化学的研究は、核酸分析において有力な候補レドックス部分である。
共リガンドの1つ又は複数が有機金属リガンドである場合、リガンドは概して有機金属リガンドの炭素原子の1つを介して結合するが、結合は複素環リガンドの他の原子を介するものであってもよい。好ましい有機金属リガンドとしては、置換誘導体を含むメタロセンリガンド及びメタロセネオファン(metalloceneophanes)が挙げられる(Cotton and Wilkenson(上掲)の1174頁を参照されたい)。例えば、メチルシクロペンタジエニル等のメタロセンリガンドの誘導体(ペンタメチルシクロペンタジエニルのように複数のメチル基を有するのが好ましい)を用いて、メタロセンの安定性を増大することができる。好ましい実施形態では、メタロセンの2つのメタロセンリガンドの一方のみが誘導体化される。
本明細書に記載されるように、リガンドの任意の組合せを用いることができる。好ましい組合せとしては、以下のものが挙げられる:a)全てのリガンドが窒素供与リガンドである;b)全てのリガンドが有機金属リガンドである;及びc)導電性オリゴマーの末端のリガンドがメタロセンリガンドであり、核酸によって与えられるリガンドが窒素供与リガンドであり、必要に応じて他のリガンドが窒素供与リガンド若しくはメタロセンリガンド、又はその混合物である。
概して、金属の存在により複数のプロリガンド(proligands)が互いに結合して複数の酸化状態をもたらすことから、非大環状キレート剤を含むEAMは金属イオンに結合し、非大環状キレート化合物を形成する。
幾つかの実施形態では、窒素供与プロリガンドが使用される。好適な窒素供与プロリガンドは当該技術分野で既知であり、NH2;NHR;NRR’;ピリジン;ピラジン;イソニコチンアミド;イミダゾール;ビピリジン及びビピリジンの置換誘導体;テルピリジン及び置換誘導体;フェナントロリン、特に1,10−フェナントロリン(略称phen)、並びに4,7−ジメチルフェナントロリン及びジピリド[3,2−a:2’,3’−c]フェナジン(略称dppz)等のフェナントロリンの置換誘導体;ジピリドフェナジン;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン(略称hat);9,10−フェナントレンキノンジイミン(略称phi);1,4,5,8−テトラアザフェナントレン(略称tap);1,4,8,11−テトラ−アザシクロテトラデカン(略称cyclam)及びイソシアニドが挙げられるが、これらに限定されない。縮合誘導体を含む置換誘導体を使用してもよい。金属イオンを配位的に飽和させず、別のプロリガンドの付加を必要とする大環状リガンドがこの目的で非大環状とみなされることに留意されたい。当業者に認められているように、多数の「非大環状」リガンドを共有結合して、配位的に飽和しているが、環状骨格を欠く化合物を形成することが可能である。
幾つかの実施形態では、単座(例えば、少なくとも1つのシアノリガンド)、二座、三座及び多座リガンドの混合物をEAMの構造に使用することができる。
少なくとも第1の自己犠牲部分が結合したメタロセン、特にフェロセンであるEAMが本発明で特に有用であるが、幾つかの実施形態では、下記のように2つ以上の自己犠牲部分が結合している(本明細書に広く記載される自己犠牲部分を有する他のEAMを使用してもよいことにも留意されたい)。幾つかの実施形態では、2つ以上の自己犠牲部分がフェロセンに結合する場合、全てシクロペンタジエニル環の1つに結合する。幾つかの実施
形態では、自己犠牲部分は異なる環に結合する。幾つかの実施形態では、1つの部位が電極への結合に使用される限り、シクロペンタジエニル環の一方又は両方が自己犠牲部分で飽和することが可能である。
形態では、自己犠牲部分は異なる環に結合する。幾つかの実施形態では、1つの部位が電極への結合に使用される限り、シクロペンタジエニル環の一方又は両方が自己犠牲部分で飽和することが可能である。
幾つかの実施形態では、EAMは置換1,1’−フェロセンを含む。フェロセンは空気中で安定している。フェロセンは捕捉リガンド又は反応部分及びアンカー基の両方で容易に置換され得る。フェロセンの周囲の環境を変化させるだけでなく、シクロペンタジエニル環の回転を防ぐフェロセン上の捕捉リガンドへの標的タンパク質の結合により、エネルギーがおよそ4kJ/mol変化する(国際公開第1998/57159号、Heinze and
Schlenker, Eur. J. Inorg. Chem. 2974-2988 (2004)、Heinze and Schlenker, Eur. J.
Inorg. Chem. 66-71 (2005)、及びHolleman-Wiberg, Inorganic Chemistry, Academic Press 34th Ed, at 1620、全て引用することにより本明細書の一部をなすものとする)。
Schlenker, Eur. J. Inorg. Chem. 2974-2988 (2004)、Heinze and Schlenker, Eur. J.
Inorg. Chem. 66-71 (2005)、及びHolleman-Wiberg, Inorganic Chemistry, Academic Press 34th Ed, at 1620、全て引用することにより本明細書の一部をなすものとする)。
他の幾つかの実施形態では、EAMは1,3−二置換フェロセンを含む。1,3−二置換フェロセンは既知であるが(Bickert et al., Organometallics 1984, 3, 654-657、Farrington et al.,Chem. Commun. 2002, 308-309、Pichon et al., Chem. Commun. 2004, 598-599、及びSteurer et al., Organometallics 2007, 26, 3850-3859を参照されたい)、SAMにおけるこの種の分子の電気化学的研究は文献内で報告されていない。シクロペンタジエニル(Cp)環の回転がエクリプス配座の両方のCp置換基で起こり得る1,1’−二置換フェロセンとは対照的に、1,3−二置換フェロセンの位置異性体はこれらのCp基間の堅固な形状を強化する分子構造をもたらす。化合物1〜化合物5等の1,3−二置換フェロセンの代表例が下記に示される。アンカー及び機能的リガンドの両方に結合する1,3−二置換フェロセンの例を下に示す。
捕捉リガンド又は反応部分によって官能基化される
アンカー基によって官能基化される
アンカー基によって官能基化される
一連の1,3−二置換フェロセン誘導体(1−4)を、金でのSAM形成用の異なる官能部分及び有機硫黄アンカー基を用いて合成し、下に示す。
開示の方法での使用に好適な付加的なフェロセンEAMは、2011年11月4日付けで出願された米国仮出願第61/555,945号の利益を請求する、2012年11月2日付けで出願された米国特許出願公開第13/667,713号に開示されている(いずれもその全体が引用することにより明示的に本明細書の一部をなすものとする)。
加えて、EAMは概して、EAMの電極への結合に用いられる、EAMの導電性オリゴマーへの結合のための結合部分を有する。概して、必須というわけではないが、フェロセン等のメタロセンの場合、図8に概略的に示されるように自己犠牲部分(複数の場合もあり)はシクロペンタジエニル環の1つに結合し、結合部分は他の環に結合するが、同じ環への結合も起こり得る。当業者に認められているように、いずれの環についても自己犠牲部分と少なくとも1つの結合リンカーとの任意の組合せを使用することができる。
自己犠牲部分(複数の場合もあり)及び結合部分(複数の場合もあり)に加えて、フェロセンは、少なくとも自己犠牲基の存在下又は非存在下におけるE0を変化させることを含む様々な理由で付加することができる付加的な置換基も含み得る。関連の引用される参照文献において「R」基として示されることが多い好適な置換基は、2008年10月17日付けで出願された米国特許出願公開第12/253,828号、2008年10月17日付けで出願された米国特許出願公開第12/253,875号、2010年5月7日付けで出願された米国仮特許出願第61/332,565号、2010年5月21日付けで出願された米国仮特許出願第61/347,121号、及び2010年7月20日付けで出願された米国仮特許出願第61/366,013号(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に列挙されている。
下記のような幾つかの実施形態では、過酸化物感受性部分がEAMに直接結合し、過酸化物感受性部分が過酸化物に曝露されるとE0の変化をもたらす場合、EAMは自己犠牲部分を含まない。下記に示されるように、一実施形態では、ピナコールホウ酸エステル部分が結合する場合にフェロセンが第1のE0を有し、例えば過酸化物の存在下で除去されると第2のE0を有するように、過酸化物感受性部分がEAM(この場合、フェロセン)に直接結合する。
自己犠牲部分
本発明のEAMは、EAMが、それが存在する場合に第1のE0を有し、下記のように除去されると第2のE0を有するようにEAMに共有結合する少なくとも1つの自己犠牲部分を含む。
本発明のEAMは、EAMが、それが存在する場合に第1のE0を有し、下記のように除去されると第2のE0を有するようにEAMに共有結合する少なくとも1つの自己犠牲部分を含む。
「自己犠牲スペーサー」という用語は、2つの化学的部分を正常に安定した三部分分子へと共有結合することが可能な二官能性化学的部分を指す。自己犠牲スペーサーは、第1の部分への結合が切断されると第2の部分から自発的に分離することが可能である。本発明では、自己犠牲スペーサーは過酸化物感受性部分、例えばホウ素部分をEAMに連結する。図8に概略的に示されるように、過酸化物へと曝露されると、ホウ素部分が除去され、スペーサーが離れる。概して、不可逆的な反復結合転位反応が電子供与性アルコール官能基(すなわちキノンメチドモチーフ)によって開始する任意のスペーサーを、酸化条件下でアルコールを生成する誘発部分として働くホウ素基を用いて設計することができる。代替的には、ホウ素部分は遷移金属のプロキレート剤(pro-chelator)であるリガンド中の潜在フェノール酸素を遮蔽することができる。酸化の際に、リガンドが変形し、SAMにおいてEAM形成を開始する。例えば、サンプルキレートリガンドは、鉄に結合するサリチルアルデヒドイソニコチノイルヒドラゾンである。
当業者に認められているように、広範な自己犠牲部分を広範なEAM及び過酸化物感受性部分とともに使用することができる。自己犠牲リンカーは、米国特許出願公開第20090041791号、同第20100145036号、並びに米国特許第7,705,045号及び同第7,223,837号(特に自己犠牲スペーサーの開示について、全てその全体が引用することにより明示的に本明細書の一部をなすものとする)を含む多数の参照文献に記載されている。
本発明で特に有用な幾つかの自己犠牲リンカーを図9に示す。自己犠牲スペーサーは単一のモノマー単位、又は同じモノマーのポリマー(ホモポリマー)若しくは異なるモノマーのポリマー(ヘテロポリマー)を含み得る。代替的には、自己犠牲スペーサーは、先願の「酵素を検出する電気化学的アッセイ(Electrochemical Assay for the Detection of
Enzymes)」、米国特許出願公開第12/253,828号、国際出願PCT/US2008/080363号(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載されるような化学的構造に類似した切断後のEAMの環境を変化させるSAM中のEAMの隣接基であり得る。
Enzymes)」、米国特許出願公開第12/253,828号、国際出願PCT/US2008/080363号(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載されるような化学的構造に類似した切断後のEAMの環境を変化させるSAM中のEAMの隣接基であり得る。
過酸化物感受性部分
自己犠牲スペーサーは、過酸化物感受性部分(PSM、本明細書でPOMと称される場合もある)と本発明のEAMとを結び付ける。概して、過酸化物感受性部分は図8に示されるようにホウ素を含有するものである。
自己犠牲スペーサーは、過酸化物感受性部分(PSM、本明細書でPOMと称される場合もある)と本発明のEAMとを結び付ける。概して、過酸化物感受性部分は図8に示されるようにホウ素を含有するものである。
例えば、本明細書の図面は、過酸化物が、p−置換ピナコールホウ酸エステルを含むカルバミン酸ベンジルのアミンへの変化を誘発するフェロセン誘導体の使用を示す。この自己脱離性基は、過酸化水素の存在下でのアミン官能基化フルオロフォアの生成について以前に記載されている(Sella, E.; Shabat, D. Self-immolative dendritic probe for the direct detection of triacetone triperoxide. Chem. Commun. 2008, 5701-5703、及びLo, L. -Cl; Chu, C.-Y. Development of highly selective and sensitive probes for hydrogen peroxide. Chem. Commun. 2003, 2728-2729、どちらも引用することにより本明細書の一部をなすものとする)。他のかかる基(アリールホウ酸エステル及びアリールボロン酸)もSella and Loに記載されている。加えて、フェロセニルアミンが、対応するカルバメート誘導体と比較してより低い電位(約150mV)でレドックス挙動を示すことが知られている(Sagi et al., Amperometric Assay for Aldolase Activity; Antibody-Catalyzed Ferrocenylamine Formation. Anal. Chem. 2006, 78, 1459-1461(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい)。
捕捉結合リガンド及び可溶性結合リガンド
SAM及びEAMに加えて、幾つかの実施形態では、固体支持体は捕捉結合リガンドを含む。本明細書で「結合リガンド」又は「結合種」は、標的分析物の存在を調査するために使用され、標的分析物に結合する化合物を意味する。概して、本明細書に記載の大半の実施形態については、標的分析物分子1つ当たり少なくとも2つの結合リガンド(固体支持体に結合する「捕捉」又は「アンカー」結合リガンド、及び標的分析物に独立して結合し、直接的又は間接的にSOX若しくは過酸化物生成系の中間酵素等の少なくとも1つの標識を含む可溶性結合リガンド)が使用される。本明細書で「捕捉結合リガンド」は、標的分析物に結合する固体支持体に結合している標的分析物に結合する結合リガンドを意味する。本明細書で「可溶性結合リガンド」は、捕捉結合リガンドとは異なる部位で標的分析物に結合する溶液中に存在する結合リガンドを意味する。
SAM及びEAMに加えて、幾つかの実施形態では、固体支持体は捕捉結合リガンドを含む。本明細書で「結合リガンド」又は「結合種」は、標的分析物の存在を調査するために使用され、標的分析物に結合する化合物を意味する。概して、本明細書に記載の大半の実施形態については、標的分析物分子1つ当たり少なくとも2つの結合リガンド(固体支持体に結合する「捕捉」又は「アンカー」結合リガンド、及び標的分析物に独立して結合し、直接的又は間接的にSOX若しくは過酸化物生成系の中間酵素等の少なくとも1つの標識を含む可溶性結合リガンド)が使用される。本明細書で「捕捉結合リガンド」は、標的分析物に結合する固体支持体に結合している標的分析物に結合する結合リガンドを意味する。本明細書で「可溶性結合リガンド」は、捕捉結合リガンドとは異なる部位で標的分析物に結合する溶液中に存在する結合リガンドを意味する。
当業者に認められているように、結合リガンドの組成は標的分析物の組成によって決まる。広範な分析物に対する結合リガンドは既知であるか、又は既知の技法を用いて容易に発見することができる。例えば、分析物がタンパク質である場合、結合リガンドはタンパク質(特に抗体又はそのフラグメント(FAb等)を含む)又は小分子を含む。
概して、抗体は捕捉結合リガンド及び可溶性結合リガンドの両方として有用である。
可溶性結合リガンドは、過酸化物を生成する酵素等の過酸化物生成部分も含む。本明細書で規定されるように、「過酸化物生成系("peroxide generating system" or "peroxide-generating system")」という用語は、過酸化物をその基質から直接生成する1つ又は複数の酵素、及び/又は中間体、例えば過酸化物を生成する別の酵素の補助因子若しくは前駆基質(pre-substrate)を生成する中間酵素を意味する。一例では、過酸化物生成部
分は過酸化物を生成する酵素、例えば「過酸化物生成酵素」であり得る。グルコースオキシダーゼ、アシルCoAオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ等を含む広範なかかる酵素が既知である。広範な好適なオキシダーゼ酵素が当該技術分野で既知である(グルコースオキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)及びコリンオキシダーゼを含むが、これらに限定されないEC 1.1.3.4に分類される任意のグルコースオキシダーゼ酵素を参照されたい)。アスペルギルス種(例えばアスペルギルス・ニガー(A. niger))、ペニシリウム種、ストレプトミセス種、マウス等)を含むが、これらに限定されない細菌、真菌及び動物(哺乳動物)を含む広範な生物に由来するグルコースオキシダーゼ酵素も既知である。EC 1.3.3.6に分類されるアシルCoAオキシダーゼも有用である。
分は過酸化物を生成する酵素、例えば「過酸化物生成酵素」であり得る。グルコースオキシダーゼ、アシルCoAオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ等を含む広範なかかる酵素が既知である。広範な好適なオキシダーゼ酵素が当該技術分野で既知である(グルコースオキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)及びコリンオキシダーゼを含むが、これらに限定されないEC 1.1.3.4に分類される任意のグルコースオキシダーゼ酵素を参照されたい)。アスペルギルス種(例えばアスペルギルス・ニガー(A. niger))、ペニシリウム種、ストレプトミセス種、マウス等)を含むが、これらに限定されない細菌、真菌及び動物(哺乳動物)を含む広範な生物に由来するグルコースオキシダーゼ酵素も既知である。EC 1.3.3.6に分類されるアシルCoAオキシダーゼも有用である。
本明細書で「中間酵素」という用語は、別の中間酵素又は過酸化物生成酵素等の別の酵
素の基質又は補助因子である生成物を生成する酵素を意味する。例えば、可溶性結合リガンドは、基質との反応によって過酸化物を生成する可溶性アポ−オキシダーゼ酵素(すなわち、アポ−DAAOに結合するFADへと変換されるFADP)のリン酸化前駆体からの必須の補助因子の生成を触媒するアルカリホスファターゼ(AP)等の酵素を含有し得る。この戦略はアポ−酵素、リン酸化補助因子及びオキシダーゼ酵素基質の濃度が表面固定化標的に対して高い場合に標的結合事象のカスケード増幅を可能にする。
素の基質又は補助因子である生成物を生成する酵素を意味する。例えば、可溶性結合リガンドは、基質との反応によって過酸化物を生成する可溶性アポ−オキシダーゼ酵素(すなわち、アポ−DAAOに結合するFADへと変換されるFADP)のリン酸化前駆体からの必須の補助因子の生成を触媒するアルカリホスファターゼ(AP)等の酵素を含有し得る。この戦略はアポ−酵素、リン酸化補助因子及びオキシダーゼ酵素基質の濃度が表面固定化標的に対して高い場合に標的結合事象のカスケード増幅を可能にする。
概して、捕捉結合リガンドは検出目的での固体支持体表面への標的分析物の結合を可能にする。一実施形態では、結合は特異的であり、結合リガンドは結合対の一部である。本明細書で「特異的に結合する」とは、分析物と試験サンプルの他の構成要素又は汚染物質とを区別するのに十分な特異性でリガンドが分析物に結合することを意味する。本明細書で「特異的な結合対」とは、抗体/抗原及び受容体/リガンド等の結合リガンドの相補対を意味する。結合は、非特異的な結合を除去する洗浄工程を含むアッセイ条件下で分析物が結合したままであるのに十分であるものとする。幾つかの実施形態では、例えば或る特定の生体分子の検出において、結合リガンドへの分析物の結合定数は少なくとも約10−4M−1〜10−9M−1であり、少なくとも約10−5〜10−9が好ましく、少なくとも約10−7M−1〜10−9M−1が特に好ましい。
広範な分析物に対する結合リガンドは既知であるか、又は既知の技法を用いて容易に発見することができる。例えば、分析物が一本鎖核酸である場合、結合リガンドは概して実質的に相補的な核酸である。代替的には、米国特許第5,270,163号、同第5,475,096号、同第5,567,588号、同第5,595,877号、同第5,637,459号、同第5,683,867号、同第5,705,337号及び関連特許(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に概略的に記載されるように、実質的に任意の標的分析物に結合する核酸「アプタマー」を開発することができる。同様に、分析物は核酸結合タンパク質であってもよく、捕捉結合リガンドは一本鎖又は二本鎖核酸である。代替的には、分析物が一本鎖又は二本鎖核酸である場合、結合リガンドは核酸結合タンパク質であり得る。分析物がタンパク質である場合、結合リガンドは上記のタンパク質(特に抗体又はそのフラグメント(FAb等)を含む)、小分子又はアプタマーを含む。好ましい結合リガンドタンパク質は抗体及びペプチドを含む。当業者に認められているように、好ましくは特異的に結合する任意の2つの分子を分析物又は結合リガンドとして使用することができる。好適な分析物/結合リガンド対としては、抗体/抗原、受容体/リガンド、タンパク質/核酸;核酸/核酸、酵素/基質及び/又は阻害剤、炭水化物(糖タンパク質及び糖脂質を含む)/レクチン、炭水化物及び他の結合パートナー、タンパク質/タンパク質;及びタンパク質/小分子が挙げられるが、これらに限定されない。これらは野生型又は誘導体配列であり得る。
本明細書に記載の本発明が、違法な爆発性過酸化アセトン(TATP)のセンサーとしても用いられ得ることにも留意されたい。
アンカー基
本発明は、EAM(任意に導電性オリゴマーによって電極表面に結合する)と、電極表面にin situで結合するSAMとを含む化合物を提供する。概して、幾つかの実施形態では、これらの部分はアンカー基を用いて電極に結合している。本明細書で「アンカー」又は「アンカー基」は、本発明の化合物を電極に結合する化学基を意味する。
本発明は、EAM(任意に導電性オリゴマーによって電極表面に結合する)と、電極表面にin situで結合するSAMとを含む化合物を提供する。概して、幾つかの実施形態では、これらの部分はアンカー基を用いて電極に結合している。本明細書で「アンカー」又は「アンカー基」は、本発明の化合物を電極に結合する化学基を意味する。
当業者に認められているように、アンカー基の組成はin situで結合する表面の組成に応じて異なる。金電極の場合、ピリジニルアンカー基及びチオールベースアンカー基の両方が特に有用である。
導電性オリゴマーの共有結合は、使用する電極及び導電性オリゴマーに応じて様々な方法で達成することができる。概して、下記構造1において「A」で示される或るタイプのリンカーを使用する場合、Xは導電性オリゴマーであり、網掛けした表面は電極である。
この実施形態では、Aはリンカー又は原子である。「A」の選択は電極の特徴に一部依存する。このため、例えば金電極を使用する場合、Aは硫黄部分であり得る。代替的には、金属酸化物電極を使用する場合、Aは酸化物の酸素に結合したケイ素(シラン)部分であり得る(例えば、Chen et al., Langmuir 10:3332-3337 (1994)、Lenhard et al., J. Electroanal. Chem. 78:195-201 (1977)(どちらも引用することにより明示的に本明細書の一部をなすものとする)を参照されたい)。炭素ベース電極を使用する場合、Aはアミノ部分であり得る(好ましくは第1級アミン;例えばDeinhammer et al., Langmuir 10:1306-1313 (1994)を参照されたい)。このため、好ましいA部分としては、シラン部分、
硫黄部分(アルキル硫黄部分を含む)及びアミノ部分が挙げられるが、これらに限定されない。
硫黄部分(アルキル硫黄部分を含む)及びアミノ部分が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態では、電極は炭素電極、すなわちガラス状炭素電極であり、結合はアミン基の窒素を介したものである。代表的な構造は米国特許出願公開第20080248592号(特にそれに記載の構造並びに種々のアンカー基の説明及び付随の文章について、その全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする)の構造15に示される。この場合も付加的な原子、すなわちリンカー及び/又は末端基が存在していてもよい。
上記の米国特許出願公開第20080248592号(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)の構造16では、酸素原子は金属酸化物電極の酸化物に由来する。Si原子は他の原子を含有する、すなわち置換基を含有するケイ素部分であってもよい。他の電極へのSAMの他の結合が当該技術分野で既知である。例えばインジウムスズ酸化物電極への結合、更にはインジウムスズ酸化物電極へのリン酸塩の化学吸着についてのNapier et al., Langmuir, 1997を参照されたい(H. Holden Thorpe, CHI conferenceに
て口頭発表, May 4-5, 1998)。
て口頭発表, May 4-5, 1998)。
好ましい一実施形態では、インジウムスズ酸化物(ITO)を電極として使用し、アンカー基はホスホン酸含有種である。
硫黄アンカー基
構造1では単一部分として示されているが、導電性オリゴマーは2つ以上の「A」部分によって電極に結合していてもよい。この「A」部分は同じであっても又は異なっていてもよい。このため、例えば電極が金電極であり、「A」が硫黄原子又は部分である場合、下記構造2、3及び4に概略的に示されるように、複数の硫黄原子を電極への導電性オリゴマーの結合に用いることができる。当業者に認められているように、他のかかる構造を
作製することができる。構造2、3及び4では、A部分は単なる硫黄原子であるが、置換硫黄部分を使用してもよい。
構造1では単一部分として示されているが、導電性オリゴマーは2つ以上の「A」部分によって電極に結合していてもよい。この「A」部分は同じであっても又は異なっていてもよい。このため、例えば電極が金電極であり、「A」が硫黄原子又は部分である場合、下記構造2、3及び4に概略的に示されるように、複数の硫黄原子を電極への導電性オリゴマーの結合に用いることができる。当業者に認められているように、他のかかる構造を
作製することができる。構造2、3及び4では、A部分は単なる硫黄原子であるが、置換硫黄部分を使用してもよい。
構造4と同様に、電極に結合した3つの硫黄部分を有する単一の炭素原子で終わる導電性オリゴマーを得ることが可能であり得ることにも留意されたい。
別の態様では、本発明は結合チオールを含むアンカーを提供する。幾つかの実施形態では、アンカーはアルキルチオール基を含む。
別の態様では、本発明は、金電極等の電極での分析物検出用の電気活性部分の構築においてアンカー基として働く結合多点結合型(multipodal)硫黄含有化合物を提供する。すなわち、スペーサー基(EAM、ReAMC又は「空」単分子層形成種に結合することができる)は2つ以上の硫黄原子を用いて結合している。これらの多点結合型アンカー基は、本明細書に記載されるように線状又は環状であり得る。
幾つかの実施形態では、アンカー基は金表面に結合する2つの硫黄原子を含有する「二点結合型(bipodal)」であり、線状であるが、場合によっては他の多点結合型(例えば
「三点結合型(tripodal)」)の系を含むことが可能であり得る。かかる多点結合型アンカー基は安定性の増大を示し、及び/又は立体的に困難な頭基を有するチオール含有アンカーからのSAMの調製のフットプリントの増大を可能にする。
「三点結合型(tripodal)」)の系を含むことが可能であり得る。かかる多点結合型アンカー基は安定性の増大を示し、及び/又は立体的に困難な頭基を有するチオール含有アンカーからのSAMの調製のフットプリントの増大を可能にする。
幾つかの実施形態では、アンカーは環状ジスルフィドを含む(「二点結合型(bipod)
」)。場合によっては他の多点結合型(例えば「三点結合型」)の環系アンカー基を含むことが可能であり得る。環の原子の数は例えば5〜10で変化することができ、下記で論考する多環式アンカー基も含まれる。
」)。場合によっては他の多点結合型(例えば「三点結合型」)の環系アンカー基を含むことが可能であり得る。環の原子の数は例えば5〜10で変化することができ、下記で論考する多環式アンカー基も含まれる。
幾つかの実施形態では、アンカー基は下に示すように先端窒素原子及び分子内ジスルフィド結合を有する7員環である[1,2,5]−ジチアゼパン単位を含む:
構造(5)において、環の炭素原子が付加的に置換され得ることにも留意されたい。当業者に認められているように、他の員数の環も含まれる。加えて、他の環状アルカン(環状ヘテロアルカンを含む)又は芳香環構造で置換された上に示す[1,2,5]−ジチアゼパン等の環状ヘテロアルカンを含み得る多環式環構造を使用することができる。幾つかの実施形態では、アンカー基及びスペーサーの一部は下に示す構造を有する:
ここでの「R」基は、EAMの遷移金属構成要素の末端配位リガンドを有する結合オリゴフェニルエチニレン単位を含む任意の置換基であり得る。
アンカーは、Li et al., Org. Lett. 4:3631-3634 (2002)(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載の二点結合型中間体(I)(R=Iである式IIIの化合物)から合成される。Wei et al, J. Org, Chem. 69:1461-1469 (2004)(引用することにより本明細書の一部をなすものとする)も参照されたい。
硫黄原子の数は本明細書に概説するように変更することができ、特定の実施形態ではスペーサー1つ当たり1つ、2つ及び3つが用いられる。
当業者に認められているように、本発明の組成物は、下記及び2008年10月17日付けで出願された米国特許出願公開第12/253,828号、2008年10月17日付けで出願された米国特許出願公開第12/253,875号、2010年5月7日付けで出願された米国仮特許出願第61/332,565号、2010年5月21日付けで出願された米国仮特許出願第61/347,121号、2010年7月20日付けで出願された米国仮特許出願第61/366,013号に概説されるものを含む様々な方法で作製することができる。幾つかの実施形態では、組成物は米国特許第6,013,459号、同第6,248,229号、同第7,018,523号、同第7,267,939号、米国特許出願公開第09/096593号及び同第60/980,733号、並びに200
8年8月7日付けで出願された米国仮出願第61/087,102号(いずれもその全体が全ての目的で引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に開示される方法に従って作製される。
8年8月7日付けで出願された米国仮出願第61/087,102号(いずれもその全体が全ての目的で引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に開示される方法に従って作製される。
用途
本発明の系は、本明細書で概説される様々な標的分析物の検出に使用される。幾つかの実施形態では、図6に概略的に示されるように「サンドイッチ」タイプのアッセイが用いられる。他の実施形態では、例えばコレステロール、脂質及びグルコース等の特定の代謝産物の検出のために、他のフォーマットが用いられる。
本発明の系は、本明細書で概説される様々な標的分析物の検出に使用される。幾つかの実施形態では、図6に概略的に示されるように「サンドイッチ」タイプのアッセイが用いられる。他の実施形態では、例えばコレステロール、脂質及びグルコース等の特定の代謝産物の検出のために、他のフォーマットが用いられる。
幾つかの実施形態では、例えば「サンドイッチ」タイプのフォーマットにおいて、試験サンプル中に含有される標的分析物を、捕捉結合リガンドを含む固体支持体に添加する。この添加に続いて、任意の洗浄工程及び可溶性結合リガンドの添加を行うが、当業者に認められているように、これらの添加は同時に行っても、又は溶液結合リガンドを固体支持体への添加の前に標的分析物を含有するサンプルに添加してもよい。表面を再び任意に洗浄し、過酸化物感受性部分の基質、例えばグルコース、FAD等を存在する場合に過酸化物が生成する条件下で添加する。次いで、過酸化物含有溶液と溶液相中のEAMとを、PSMが過酸化物と反応した後にSIMが除去される条件下で混合する。次いで、過酸化物及びEAMを含有する溶液を電極に供給する。反応したEAM分子及び未反応のEAM分子の両方のSAM形成が生じ、電極に結合する。次いで、反応したEAM及び未反応のEAMの量を、E0 2及びE0 1のそれぞれでの電気化学的シグナルを定量化することによって測定することができる。
これらの条件は概して生理学的条件である。概して、複数のアッセイ混合物を並行して異なる濃度で用い、様々な濃度に対する差次的応答を得る。典型的には、これらの濃度の1つを陰性対照、すなわちゼロ濃度又は検出レベル未満とする。加えて、任意の様々な他の試薬がスクリーニングアッセイに含まれていてもよい。これらとしては、最適結合を促進し、及び/又は非特異的な若しくはバックグラウンド相互作用を低減するのに使用することができる塩等の試薬、中性タンパク質、例えばアルブミン、界面活性剤等が挙げられる。また、別の形でアッセイの効率を改善する試薬、例えばプロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗微生物剤等を使用することができる。構成要素の混合物は、必要な結合をもたらす任意の順序で添加してもよい。
ペルオキシダーゼの生成は錯体のPSM−SIM構成要素の喪失をもたらし、EAMのE0の変化を生じる。幾つかの実施形態では、EAMのE0は約20mV、30mV、40mV、50mV、75mV、80mV、90mV〜100mV変化し、200mV、300mV又は500mVの変化を生じる幾つかの実施形態が達成される。幾つかの実施形態では、EAMのE0の変化は減少である。幾つかの実施形態では、EAMのE0の変化は増大である。
電子移動は概して電子的に開始し、電圧が好ましい。印加電位の正確な制御及び変動は、ポテンシオスタット及び三電極系(1つの参照電極、1つの試料電極及び1つの対電極)又は二電極系(1つの試料電極及び1つの対電極)によって行うことができる。これにより、一部はレドックス活性分子の選択、一部は使用する導電性オリゴマーに依存する系のピーク電子移動電位に印加電位を整合させることができる。
検出
レドックス活性分子と電極との間の電子移動は様々な方法で検出することができ、好ましくは、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、キャパシタンス及びインピーダンスを含む電子検出が挙げられるが、これらに限定されない。これらの方法には、AC又はDC電
流に基づく時間又は周波数に依存する方法、パルス法、ロックイン法及びフィルタリング(ハイパス、ローパス、バンドパス)が含まれる。幾つかの実施形態では、電子移動検出のみが必要とされ、他の実施形態では、電子移動速度が決定され得る。
レドックス活性分子と電極との間の電子移動は様々な方法で検出することができ、好ましくは、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、キャパシタンス及びインピーダンスを含む電子検出が挙げられるが、これらに限定されない。これらの方法には、AC又はDC電
流に基づく時間又は周波数に依存する方法、パルス法、ロックイン法及びフィルタリング(ハイパス、ローパス、バンドパス)が含まれる。幾つかの実施形態では、電子移動検出のみが必要とされ、他の実施形態では、電子移動速度が決定され得る。
幾つかの実施形態では、アンペロメトリー、ボルタンメトリー、キャパシタンス及びインピーダンスを含む電子検出を用いる。好適な技法としては、電解重量法;クーロメトリー(制御電位クーロメトリー及び一定電流クーロメトリーを含む);ボルタンメトリー(サイクリックボルタンメトリー、パルスボルタンメトリー(正規パルスボルタンメトリー、矩形波ボルタンメトリー、差分パルスボルタンメトリー、Osteryoung矩形波ボルタンメトリー及び定電量(coulostatic)パルス法));ストリッピング分析(陽極
ストリッピング分析、陰極ストリッピング分析、矩形波ストリッピングボルタンメトリー);コンダクタンス測定(電解コンダクタンス、直接分析);時間依存性電気化学的分析(クロノアンペロメトリー、クロノポテンショメトリー、サイクリッククロノポテンショメトリー及びアンペロメトリー、ACポログラフィー(polography)、クロノガルバメトリー(chronogalvametry)及びクロノクーロメトリー);ACインピーダンス測定;キャパシタンス測定;ACボルタンメトリー及び光電気化学が挙げられるが、これらに限定されない。
ストリッピング分析、陰極ストリッピング分析、矩形波ストリッピングボルタンメトリー);コンダクタンス測定(電解コンダクタンス、直接分析);時間依存性電気化学的分析(クロノアンペロメトリー、クロノポテンショメトリー、サイクリッククロノポテンショメトリー及びアンペロメトリー、ACポログラフィー(polography)、クロノガルバメトリー(chronogalvametry)及びクロノクーロメトリー);ACインピーダンス測定;キャパシタンス測定;ACボルタンメトリー及び光電気化学が挙げられるが、これらに限定されない。
幾つかの実施形態では、電子移動のモニタリングはアンペロメトリー検出によって行われる。この検出方法は、本発明の組成物を含有する電極と、試験サンプル中の補助(対)電極との間に電位(分離参照電極と比較する)を印加することを伴う。標的分析物の存在下又は非存在下のサンプル中で効率の異なる電子移動を誘導する。
アンペロメトリーにより電子移動を測定するデバイスは高感度電流検出を伴い、電圧電位を制御する手段、通常はポテンシオスタットを含む。この電圧をレドックス活性分子の電位に対して最適化する。
幾つかの実施形態では、代替的な電子検出モードを利用する。例えば、ポテンショメトリー(又はボルタンメトリー)測定は非ファラデー(正味電流フローなし)プロセスを伴い、pH検出器及び他のイオン検出器で従来用いられている。同様のセンサーを使用して、レドックス活性分子と電極との間の電子移動をモニタリングする。加えて、絶縁体の他の特性(抵抗等)及び導体の他の特性(伝導性、インピーダンス及びキャパシタンス等)を用いて、レドックス活性分子と電極との間の電子移動をモニタリングすることができる。最後に、電流(電子移動等)を生成する任意の系では小磁場も生成し、幾つかの実施形態ではこれをモニタリングしてもよい。
本発明の組成物で観察される高速の電子移動の利点の1つが、時間分解能によって電子電流に基づくモニターのシグナル対ノイズ結果を大幅に増強し得ることであることを理解されたい。本発明の高速の電子移動は、高いシグナル及び電子移動の開始と終了との間の常同的遅延の両方をもたらす。例えば電子移動のパルス開始及び検出の「ロックイン」増幅器を用いて特定の遅延のシグナルを増幅することによって、シグナル対ノイズの大きさの改善を達成することができる。
幾つかの実施形態では、直流電流(DC)法を用いて電子移動を開始し、検出する。上述のように、先のレドックス活性分子の第1のE0及び後の反応レドックス活性分子の第2のE0によって分析物の検出が可能になる。当業者に認められているように、多数の好適な方法を用いて電子移動を検出することができる。
幾つかの実施形態では、交流電流(AC)法を用いて電子移動を開始する。第1の入力電気的シグナルを、好ましくは少なくとも試料電極(本発明の錯体を含有する)及び対電
極を介して系に適用し、電極と第2の電子移動部分との間の電子移動を開始する。電圧を参照電極及び作用電極に印加する三電極系を用いてもよい。この実施形態では、第1の入力シグナルは少なくともAC成分を含む。AC成分は変動振幅及び周波数であってもよい。概して、本方法での使用については、AC振幅は約1mV〜約1.1Vの範囲であり、約10mV〜約800mVが好ましく、約10mV〜約500mVがとりわけ好ましい。AC周波数は約0.01Hz〜約10MHzの範囲であり、約1Hz〜約1MHzが好ましく、約1Hz〜約100kHzがとりわけ好ましい。
極を介して系に適用し、電極と第2の電子移動部分との間の電子移動を開始する。電圧を参照電極及び作用電極に印加する三電極系を用いてもよい。この実施形態では、第1の入力シグナルは少なくともAC成分を含む。AC成分は変動振幅及び周波数であってもよい。概して、本方法での使用については、AC振幅は約1mV〜約1.1Vの範囲であり、約10mV〜約800mVが好ましく、約10mV〜約500mVがとりわけ好ましい。AC周波数は約0.01Hz〜約10MHzの範囲であり、約1Hz〜約1MHzが好ましく、約1Hz〜約100kHzがとりわけ好ましい。
幾つかの実施形態では、第1の入力シグナルはDC成分及びAC成分を含む。すなわち、試料電極と対電極との間のDCオフセット電圧を第2の電子移動部分の電気化学的電位によって掃引する。掃引を用いて系の最大応答が見られるDC電圧を同定する。これは概して、レドックス活性分子の電気化学的電位又はその前後である。この電圧を決定した後、掃引又は1つ若しくは複数の均一DCオフセット電圧を用いることができる。約1V〜約+1.1VのDCオフセット電圧が好ましく、約500mV〜約+800mVがとりわけ好ましく、約300mV〜約500mVが特に好ましい。DCオフセット電圧に加えて、変動振幅及び周波数のACシグナル成分を適用する。レドックス活性分子がAC摂動に応答するのに十分に低い溶媒再構成エネルギーを有する場合、電極とレドックス活性分子との間の電子移動によってAC電流が生じる。
幾つかの実施形態では、AC振幅を変化させる。理論に束縛されるものではないが、振幅の増大によって駆動力が増大するようである。このため、より高い過電圧を生じるより高い振幅が、より速い電子移動速度をもたらす。このため、概して、その周波数でより高い過電圧を用いることにより、任意の単一周波数での応答の改善(すなわち、より高い出力シグナル)が同じ系で得られる。このため、振幅を高周波数で増大させて、系を介した電子移動速度を増大させ、感度の増大をもたらすことができる。加えて、上述のように、レドックス活性分子の第1及び第2のE0を電子移動速度に基づいて測定し、これを用いて周波数又は過電圧に基づき2つを区別することが可能である。
幾つかの実施形態では、系の測定は少なくとも2つの別個の振幅又は過電圧で行われ、複数の振幅での測定が好ましい。上述のように、振幅の変化の結果としての応答の変化が系の同定、較正及び定量化の基礎となり得る。
幾つかの実施形態では、AC周波数を変化させる。異なる周波数で、異なる分子は異なる形で応答する。当業者に認められているように、周波数の増大により概して出力電流が増大する。しかしながら、電子が電極とレドックス活性分子との間を移動することができる速度よりも周波数が大きい場合、より高い周波数によって出力シグナルの喪失又は減少が引き起こされる。或る時点で、周波数はレドックス活性分子を阻害する均一溶媒を通る電子移動速度よりも大きくなり、出力シグナルも低下する。
加えて、AC法を用いることにより、共有結合核酸以外の実体による任意の単一周波数でのバックグラウンドシグナルの大幅な低減、すなわち不要なシグナルの「ロックアウト」又は「フィルタリング」が可能になる。すなわち、溶液中の電荷担体又はレドックス活性分子の周波数応答がその拡散係数により制限される。したがって、高周波数では、電荷担体は、その電荷を電極に移動させるのに十分に急速には拡散せず、及び/又は電荷移動動態は十分な速度ではない可能性がある。これは、不動態化層の単分子層を利用しないか、又は単分子層が部分的若しくは不十分な、すなわち溶媒が電極に接近可能である実施形態において特に重要である。しかしながら、本AC法を用いると、単分子層の有無を問わずに、溶液中の1つ又は複数の電荷担体の周波数応答を防止する1つ又は複数の周波数を選ぶことができる。これは、血液等の多くの体液がアンペロメトリー検出法を妨げ得る相当量のレドックス活性分子を含有することから特に重要である。
幾つかの実施形態では、系の測定は少なくとも2個の別個の周波数で行われ、複数の周波数での測定が好ましい。複数の周波数はスキャンを含む。好ましい実施形態では、周波数応答を少なくとも2個、好ましくは少なくとも約5個、より好ましくは少なくとも約10個の周波数で求める。
シグナル処理
入力シグナルを伝達して電子移動を開始した後、出力シグナルを受信又は検出する。出力シグナルの存在及び大きさは、入力シグナルの過電圧/振幅;入力ACシグナルの周波数;電子移動部分間の介在媒体の組成、すなわちインピーダンス;DCオフセット;系の環境;及び溶媒に依存する。所与の入力シグナルでは、出力シグナルの存在及び大きさは、概して金属イオンの酸化状態の変化をもたらすのに必要とされる溶媒再構成エネルギーに依存する。このため、AC成分及びDCオフセットを含む入力シグナルを伝達すると、電子が電極とレドックス活性分子との間で移動し、溶媒再構成エネルギーが十分に低い場合、周波数は範囲内であり、振幅は十分なものとなり、出力シグナルを生じる。
入力シグナルを伝達して電子移動を開始した後、出力シグナルを受信又は検出する。出力シグナルの存在及び大きさは、入力シグナルの過電圧/振幅;入力ACシグナルの周波数;電子移動部分間の介在媒体の組成、すなわちインピーダンス;DCオフセット;系の環境;及び溶媒に依存する。所与の入力シグナルでは、出力シグナルの存在及び大きさは、概して金属イオンの酸化状態の変化をもたらすのに必要とされる溶媒再構成エネルギーに依存する。このため、AC成分及びDCオフセットを含む入力シグナルを伝達すると、電子が電極とレドックス活性分子との間で移動し、溶媒再構成エネルギーが十分に低い場合、周波数は範囲内であり、振幅は十分なものとなり、出力シグナルを生じる。
幾つかの実施形態では、出力シグナルはAC電流を含む。上記で概説したように、出力電流の大きさは多数のパラメーターに依存する。これらのパラメーターを変化させることによって、系を様々に最適化することができる。
概して、本発明で生成するAC電流は約1フェムトアンペア〜約1ミリアンペアの範囲であり、約50フェムトアンペア〜約100マイクロアンペアの電流が好ましく、約1ピコアンペア〜約1マイクロアンペアがとりわけ好ましい。
装置
本発明は、AC検出方法を用いて分析物を検出する装置を更に提供する。装置は、少なくとも第1の測定電極又は試料電極と、第2の測定電極又は対電極とを有する試験チャンバを備える。三電極系も有用である。第1及び第2の測定電極を、液体試験サンプルの存在下で2つの電極が電気的に接触することができるように試験サンプル受容領域と接触させる。
本発明は、AC検出方法を用いて分析物を検出する装置を更に提供する。装置は、少なくとも第1の測定電極又は試料電極と、第2の測定電極又は対電極とを有する試験チャンバを備える。三電極系も有用である。第1及び第2の測定電極を、液体試験サンプルの存在下で2つの電極が電気的に接触することができるように試験サンプル受容領域と接触させる。
更に別の実施形態では、第1の測定電極はスペーサーを介して、好ましくは本明細書に記載されるような導電性オリゴマーを介して共有結合したレドックス活性錯体を含む。代替的には、第1の測定電極は共有結合したレドックス活性分子及び結合リガンドを含む。
装置は試験チャンバ、すなわち測定電極に電気的に接続された電源を更に備える。電源は必要に応じてAC電圧及びDC電圧を供給することが可能であるのが好ましい。
一実施形態では、装置は入力シグナル及び出力シグナルを比較することが可能なプロセッサを更に備える。プロセッサは電極と連結し、出力シグナルを受信することにより、標的分析物の存在を検出するように作られている。
実施例1
EAM溶液を、50μMのEAMと125μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。H2O2滴定を100mM Na2CO3(pH9)中で行った。40μLのEAM溶液を各々のH2O2濃度の13μLの溶液に添加し、30秒間反応させた。H2O2の最終濃度は300μM、100μM及び30μMとした。次いで、4μLのTris(pH2)を添加し、pHを7まで低下させて反応を停止した。最終EAM/H2O2溶液を電極に供給し、2分間SAM成長させた。次いで、電極
を水で4回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
EAM溶液を、50μMのEAMと125μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。H2O2滴定を100mM Na2CO3(pH9)中で行った。40μLのEAM溶液を各々のH2O2濃度の13μLの溶液に添加し、30秒間反応させた。H2O2の最終濃度は300μM、100μM及び30μMとした。次いで、4μLのTris(pH2)を添加し、pHを7まで低下させて反応を停止した。最終EAM/H2O2溶液を電極に供給し、2分間SAM成長させた。次いで、電極
を水で4回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
溶液中のPSMがH2O2と均一に反応する場合の実行可能データの結果を表1及び図2に示し、電気化学的シグナル値によりH2O2に対する用量応答が実証される。
データを図2にも示すが、白三角は30μMのH2O2を表し、菱形は100μMのH2O2を表し、丸は300μMのH2O2を表し、実線はH2O2なしを表す。−0.25Vのピークの電流強度を測定することによって30μM未満のH2O2での用量応答が実証された。
実施例2
EAM溶液を、100μMのEAMと250μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。SAM成長を一晩行い、電極をエタノールで8回、水で4回洗浄した。300μM、100μM及び30μMでのH2O2滴定をNa2CO3(pH10)中で行った。H2O2溶液を電極上で30秒間インキュベートした。次いで、電極を水で4回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
EAM溶液を、100μMのEAMと250μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。SAM成長を一晩行い、電極をエタノールで8回、水で4回洗浄した。300μM、100μM及び30μMでのH2O2滴定をNa2CO3(pH10)中で行った。H2O2溶液を電極上で30秒間インキュベートした。次いで、電極を水で4回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
データを図3Aに示すが、白三角は30μMのH2O2を表し、菱形は100μMのH2O2を表し、丸は300μMのH2O2を表し、実線はH2O2なしを表す。表面反応及び溶液反応のH2O2に対する用量応答を比較する図3Bに示す溶液ベースのデータと比較して顕著に低いシグナルが観察された。
実施例3
表面ベースの反応:
EAM溶液を、100μMのEAMと250μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。SAM成長を一晩行い、電極をエタノールで8回、水で4回洗浄した。1mM、300μM、100μM、30μM、10μM、3μM及び1μMでのH2O2滴定を100mM Na2CO3(pH10)中で行った。H2O2溶液を電極上で60秒間インキュベートした。次いで、電極を水で4回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
表面ベースの反応:
EAM溶液を、100μMのEAMと250μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。SAM成長を一晩行い、電極をエタノールで8回、水で4回洗浄した。1mM、300μM、100μM、30μM、10μM、3μM及び1μMでのH2O2滴定を100mM Na2CO3(pH10)中で行った。H2O2溶液を電極上で60秒間インキュベートした。次いで、電極を水で4回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
溶液ベースの反応:
EAM溶液を、125μMのEAMと94μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。40μLのEAM溶液を100mM Na2CO3
(pH10)中の60μLの各H2O2に添加し、50秒間反応させた。H2O2の最終濃度は1mM、300μM、100μM、30μM、10μM、3μM及び1μMとした。最終EAM/H2O2溶液(50μM)を電極に供給し、15秒間SAM成長させた。次いで、電極を水で2回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
EAM溶液を、125μMのEAMと94μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。40μLのEAM溶液を100mM Na2CO3
(pH10)中の60μLの各H2O2に添加し、50秒間反応させた。H2O2の最終濃度は1mM、300μM、100μM、30μM、10μM、3μM及び1μMとした。最終EAM/H2O2溶液(50μM)を電極に供給し、15秒間SAM成長させた。次いで、電極を水で2回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
シグナルは溶液反応の場合に顕著に増大する。付加的なデータを、同様の時点(溶液では50秒及び表面では1分)での表面反応フォーマット及び溶液反応フォーマットのH2O2に対する用量応答の比較である図4に示す。シグナルは溶液反応の場合に顕著に増大し、傾きがより大きいためH2O2濃度間の差異が大きくなり、感度が向上した。
実施例4
表面ベースの反応:
EAM溶液を、100μMのEAMと250μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。SAM成長を一晩行い、電極をエタノールで8回、水で4回洗浄した。1mM、300μM、100μM、30μM、10μM、3μM、1μM及び100nMの濃度でのH2O2滴定を100mM Na2CO3(pH10)中で行った。H2O2溶液を電極上で10秒間インキュベートした。次いで、電極を水で4回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
表面ベースの反応:
EAM溶液を、100μMのEAMと250μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。SAM成長を一晩行い、電極をエタノールで8回、水で4回洗浄した。1mM、300μM、100μM、30μM、10μM、3μM、1μM及び100nMの濃度でのH2O2滴定を100mM Na2CO3(pH10)中で行った。H2O2溶液を電極上で10秒間インキュベートした。次いで、電極を水で4回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
溶液ベースの反応:
EAM溶液を、125μMのEAMと94μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。40μLのEAM溶液を100mM Na2CO3(pH10)中の60μLの各H2O2に添加し、90秒間反応させた。H2O2の最終濃度は1mM、300μM、100μM、30μM、10μM、3μM及び1μMとした。最終EAM/H2O2溶液(50μM)を電極に供給し、90秒間SAM成長させた。次いで、電極を水で2回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
EAM溶液を、125μMのEAMと94μMのPEG−C11−SHとをエタノール中で混合することによって調製した。40μLのEAM溶液を100mM Na2CO3(pH10)中の60μLの各H2O2に添加し、90秒間反応させた。H2O2の最終濃度は1mM、300μM、100μM、30μM、10μM、3μM及び1μMとした。最終EAM/H2O2溶液(50μM)を電極に供給し、90秒間SAM成長させた。次いで、電極を水で2回洗浄し、1M LiClO4をサイクリックボルタンメトリー測定のために適用した。
結果を図5に示すが、丸は10分間の表面ベースのH2O2反応を表し、四角は90秒間のSAM形成を含む90秒間の溶液ベースのH2O2反応を表す。溶液反応はより大きなシグナルの差異、より大きな応答範囲、及びおよそ20μMを超えるH2O2濃度に対してより高いシグナルをもたらした。顕著に長い時間(3分間に対して10分間)にわた
って起こる表面反応にも関わらず、これらの利点が観察された。
って起こる表面反応にも関わらず、これらの利点が観察された。
本明細書に記載の実施例及び実施形態が例示のみを目的とすることが理解されよう。文脈上明らかに除外される場合を除き、本発明の一態様について開示される全ての実施形態を、任意の好適な組合せで本発明の他の態様について開示される実施形態と組み合わせることができる。本発明の範囲を逸脱することなく様々な修正及び変更を本発明に加えることができることが当業者には明らかであろう。このため、本発明の修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある限り、本発明がそれらを包含することが意図される。本明細書に引用される全ての刊行物、特許及び特許出願は、全ての目的で引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
Claims (15)
- 試験サンプル中の標的分析物を検出する方法であって、
(a)試験サンプルと、標的分析物に結合する捕捉結合リガンドとを、該捕捉結合リガンドが、存在する場合に前記試験サンプル中の前記標的分析物に結合して第1の錯体を形成する条件下で接触させることであって、前記捕捉結合リガンドが第1の固体支持体に結合していることと、
(b)前記第1の錯体と、第2の結合リガンドとを、該第1の錯体及び該第2の結合リガンドが結合して第2の錯体を形成する条件下で接触させることであって、該第2の結合リガンドが過酸化物生成系の中間酵素を含むことと、
(c)前記第2の錯体を単離することと、
(d)前記第2の錯体と、前記過酸化物生成系の中間酵素の基質とを生成物が生成する条件下で接触させることであって、第1のアッセイ混合物を形成することと、
(e)過酸化物生成酵素と、前記第1のアッセイ混合物とを過酸化物が生成する条件下で接触させることであって、第2の過酸化物含有アッセイ混合物を形成することと、
(f)前記第2の過酸化物含有アッセイ混合物と、遷移金属錯体、自己犠牲部分(SIM)及び過酸化物感受性部分(PSM)を含む電気活性部分(EAM)とを接触させることであって、前記SIMが前記PSMと前記遷移金属錯体とを結び付け、前記EAMが第1のE0を有し、前記過酸化物が溶液相中で前記EAMの前記PSMと反応して、該EAMから前記SIMを放出するとともに、第2のE0を有する前記EAMを生じる、第3のアッセイ混合物を形成することと、
(g)前記第3のアッセイ混合物と、電極を備える第2の固体支持体とを、前記第1のE0を有するEAM及び前記第2のE0を有するEAMを含む共有結合した自己組織化単分子層(SAM)が形成される条件下で接触させることと、
(h)前記EAMの第1のE0と第2のE0との間の変化を検出することと、
を含み、前記変化が前記標的分析物の存在の指標である、方法。 - 試験サンプル中の標的分析物を検出する方法であって、
(a)前記標的分析物と過酸化物生成酵素とを、標的が存在する場合に該過酸化物生成酵素の基質として働き、過酸化物が生成する条件下で接触させることであって、第1のアッセイ混合物を形成することと、
(b)前記第1の過酸化物含有アッセイ混合物と遷移金属錯体、自己犠牲部分(SIM)及び過酸化物感受性部分(PSM)を含む電気活性部分(EAM)とを接触させることであって、前記SIMが前記PSMと前記遷移金属錯体とを結び付け、前記EAMが第1のE0を有し、前記過酸化物が溶液相中で前記EAMの前記PSMと反応して、該EAMから前記SIMを放出するとともに、第2のE0を有する前記EAMを生じる、第2のアッセイ混合物を形成することと、
(c)前記第2のアッセイ混合物と、電極を備える第1の固体支持体とを、前記第1のE0を有するEAM及び前記第2のE0を有するEAMを含む共有結合した自己組織化単分子層(SAM)が形成される条件下で接触させることと、
(d)前記EAMの第1のE0と第2のE0との間の変化を検出することと、
を含み、前記変化が前記標的分析物の存在の指標である、方法。 - 前記標的分析物がタンパク質である、請求項1に記載の方法。
- 前記標的が小分子である、請求項2に記載の方法。
- 前記第1の固体支持体が微小粒子、磁性微小粒子、ビーズ及びマイクロチャネルからなる群から選ばれる、請求項1又は3に記載の方法。
- 前記生成物(複数の場合もあり)が前記過酸化物生成酵素の基質である、請求項1、3又は5に記載の方法。
- 前記過酸化物生成酵素の基質の存在を更に含み、前記生成物(複数の場合もあり)が該過酸化物生成酵素の補助因子である、請求項1、3、5又は6に記載の方法。
- 前記過酸化物生成系の中間酵素がアルカリホスファターゼ又は任意の他の脱リン酸酵素である、請求項1、3、5〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記過酸化物生成酵素がD−アミノ酸オキシダーゼ又は任意のフラビン依存性オキシドレダクターゼ酵素からなる群から選択される、請求項1、3、5〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記過酸化物生成系の中間酵素がグルコースオキシダーゼを含むオキシダーゼ酵素である、請求項1、3、5〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第1の結合リガンド及び前記第2の結合リガンドが独立してモノクローナル抗体、モノクローナル抗体のフラグメント、ポリクローナル抗体、ポリクローナル抗体のフラグメント、タンパク質及びペプチドからなる群から選ばれる、請求項1、3、5〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記過酸化物が過酸化水素である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記EAMが遷移金属を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
- 前記遷移金属が鉄、ルテニウム及びオスミウムからなる群から選ばれる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
- 前記EAMがフェロセン及び置換フェロセンからなる群から選ばれる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
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