JP2018009906A - 打音診断装置及び診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリート等構造体の欠陥の有無について高精度で操作の簡易な打音診断装置及び診断方法を提供すること、及びコンパクトで携帯性に優れた打音診断装置を提供する。【解決手段】ハンマー等でコンクリート等構造体を打撃した打音を録音する手段と、録音した音の周波数スペクトラムを得る周波数解析手段と、前記周波数スペクトラムから診断モデルを作成する診断モデル作成手段と、周波数スペクトラム及び診断モデルを記憶することが可能な記憶手段と、被診断対象の周波数スペクトラムと前記診断モデルと相関をとるK近傍法によるコンクリート等構造体の欠陥を診断する診断手段と、を有する欠陥の有無の診断する診断装置である。特に前記診断手段には、Local outlier factorの外れ値を算定する機能を設け、処理負担を軽減し、診断精度の高い診断装置を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、コンクリートのトンネル、橋梁、建造物等の構造体(以下、コンクリート等構造体と略す)の亀裂、剥離、間隙等の欠陥(以下、欠陥と略す)の非破壊検査・診断方法に関わる。
非特許文献1(平成25年度国土交通白書)によれば、高度成長期以降に整備された道路橋、トンネル等の社会インフラについて、今後20年で建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなり、維持管理が重要な課題になるという。
例えば、道路橋脚の約40万本の67%、約1万本のトンネルの50%であり、特に、これらはコンクリートが多用されているので、コンクリートの製造不良、経年劣化を継続的に検査・診断する必要性が求められている。
当該報告書では、最新の各種計測方法が検討されているが、打音を用いた非破壊の検査・診断が基本手法であると指摘し、国土交通省道路局が平成26年6月発行した「道路トンネル定期点検要領」に次の3つが述べられている。
・定期点検は,近接目視により行うことを基本とする。
・必要に応じて触診や打音等の非破壊検査等を併用して行う。
・点検員の資格要件は「道路トンネルに関する設計,施工や維持管理等の専門的知識および技能を有する者」。
しかしながら、点検員が箇所ごとにハンマーで打撃した打音を聴取して判断を行うという検査方法では、多大な時間と費用がかかり、地方自治体においては点検員の人員が不足し、技能向上が追いつかないのが現状である。
このような背景から、簡易にコンクリート等構造体の欠陥を診断できる装置及び方法の開発が望まれていた。以下に先行技術を取り上げ、分析する。
特許文献1(特許第3958538号)は、コンクリート部材を打撃した際の打音波形の特徴を抽出するために、逆ウェーブレット変換手法を採用し、時間・周波数分析した解析空間より得られる打音曲面の形状を判別する方法を開示している。特徴抽出の一手法であるフーリエ変換をさらに一歩進めた技術であるが、分析される波形データのスペクトル特性が定常状態であることを基本的な仮定としており、打音曲面の形状の境界があいまいとなり、判別が難しいという課題があった。
特許文献2(特許第5714930号)では、ハンマーの加振力の時間特性波形に、2段階以上の加振履歴が観察された場合、あるいは加振力の時間特性波形を1階微分した波形がゼロクロスを2回以上繰り返す場合に、前記被測定対象に異常があると診断する手法を開示している。
特許文献3(特開2001-311724)は、打音の音圧の大きさによって構造物の品質種別を判別する方法である。コンクリート表面を打撃入力値の時間変化が既知となるハンマーを用いて打撃を行い、この打撃入力の既知量とコンクリート中を伝播した打音とを解析するコンクリートの健全度を診断する。
特許文献4(特開2010-060286)は、打音の音色に相当する量によって構造物の品質種別を判別する方法を開示している。被測定対象の構造物に、衝撃を加えることで得られる応答信号を、加えた衝撃力の大きさで除することで得られた応答で構造物の各部位における品質種別を判別する。
しかし、前述の診断方法では、あらかじめ健全部と異常部などのカテゴリー別の対応パラメータを定義し、その弁別境界値をセットするプロセスを要する。また、この設定値の精度、あるいは、選択したパラメータの如何により、診断精度が大きく左右され、適用範囲が限定されるという課題がある。
打音を振動や音色とし解析する以外の方法として、打撃手段による加速度を測定・診断する方法が特許文献5(特開2006-349628)に開示されている。この加速度を周波数解析して特徴値を判別する必要があることから、診断する者に専門的な知識や能力が求められ、接触時間は一定の加振力で比較しなければ高い精度の測定はできないという課題を指摘している。
特許文献6(特許第5193714号)には、配管からの音を観測して亀裂の有無及びその大きさを機械学習のニューラルネットワークの手法にて診断し、亀裂がある場合には、配管からのガス漏れを機械学習のK近傍法でガスの漏れ圧力を診断する方法を開示する。配管から発する音を周波数スペクトラム保存すると共に、予め既知の運転状態において算出された解析結果を前記した機械学習の手法で診断した類似度により配管の異常を診断するものである。この時、周波数スペクトラムの密度そのものではなく、主成分の周波数パターンに変換し、その特徴に着目して学習して診断するものである。
非特許文献2は、本発明で導入するLocal Outlier Factorの理論的意義を示すものである。特許文献7は、Local Outlier Factorの同一値が頻出という異常発現を回避する検出装置の発明を開示している。理論上の理解に役立つ。
特許第3958538号公報 特許第5714930号公報 特開2001-311724号公報 特開2010-060286号公報 特開2006-349628号公報 特許第5193714号公報 特開2016-99863号公報
平成25年度「国土交通白書」第1部第1章第3節「社会インフラの維持管理をめぐる状況」 Markus M. Breunig,Hans-Peter Kriegel, Raymond T. Ng and Jorg Sander, "LOF: Identifying Density-Based Local Outliers," in Proc. ACM SIGMOD, 2000,
しかしながら、特許文献1〜6に記載されている従来の音響信号の特徴分析に基づく異常状態の診断方法では、その診断精度がいまだ十分でない。
また、特許文献6に開示された機械学習の手法では、二重の学習手法が講じられているが、亀裂の有無だけでなく、亀裂の大きさやガス漏れの圧力まで診断するには、多量の標本データが必要である。また診断装置の性能に依存することから、応答時間及び演算負担が大きく、携帯性のある診断装置を提供することに限界があるという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、第一の課題は、コンクリート等構造体の欠陥の有無について高精度で簡易な診断装置及び診断方法を提供することを目的とする。第二の課題は、コンパクトで携帯性に優れた診断装置を提供し、効率的な運用を図ることにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ハンマー等でコンクリート等構造体を打撃した打音を録音する手段と、録音した音の周波数スペクトラムを得る周波数解析手段と、前記周波数スペクトラムから診断モデルを作成する診断モデル作成手段と、周波数スペクトラム及び診断モデルを記憶することが可能な記憶手段と、被診断対象の周波数スペクトラムと前記診断モデルと相関をとるk近傍法に基づく診断手段と、を有する打音診断装置である。機械学習の一手法であるk近傍法による診断手段を特徴とする。
請求項2に係る発明は、前記K近傍法に基づく診断手段にLocal outlier factor(以下LOFと略す)の外れ値を算定する機能を設けて、診断精度を上げ、診断処理の負担を軽減する手段を提供する。
請求項3に係る発明は、特定の周波数スペクトラムの成分が所定の閾値を超えるか否かで欠陥の有無を診断するスペクトラム閾値診断手段を前記診断手段に併設して、K近傍法及びLOFに係る診断手段を補助するものである。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3に記載されたいずれかの打音診断装置に少なくとも1以上の通信手段を付加した打音診断装置であって、前記診断装置を2以上の構成部に分けた場合には、前記構成部のそれぞれに通信手段を設けて、2以上の構成部との間を前記通信手段を介して情報の授受及び制御をすること、を特徴とする。処理を分散し又は広域通信網に接続する打音診断装置を提供する。
請求項5に係る発明は、診断モデルを知識データベースとして記録する記憶手段を有し、前記診断モデルをアップデートまたは/かつダウンロードすることが可能なサーバー装置と、通信手段を有する打音診断装置とを、広域通信網を介して接続した診断システムを提供して、点検作業の効率的な運用を図るものである。
請求項6に係る発明は、前記録音手段により、コンクリート等構造体が発する打音を録音して、録音した音の周波数スペクトラムを得るステップと、周波数スペクトラムを記憶手段に記憶させるステップと、前記記憶手段から周波数スペクトラムのデータを読み込み、周波数スペクトラムのデータから診断モデルを作成するステップと、前記診断モデルを記憶手段に記憶させるステップと、被診断対象の周波数スペクトラムのデータと前記診断モデルとの相関をとるK近傍法に基づくLOFの外れ値算定による診断するステップと、を有する診断方法を提供する。
本発明によれば、点検現場において、打音の録音データからリアルタイム、かつ高精度で簡易にコンクリート等構造体の欠陥の有無を診断することができる。
また、K近傍法及びLOFを導入することで演算量を削減し、高性能なハードウェアを必要とせず、ソフトウエアの処理負担を軽減する。さらに、診断装置を複数の構成機器に分けて実現することにより、コンパクトかつ携帯性のある診断装置を実現できるという効果を奏する。他方、広域通信網を介したネットワーク化により点検作業の効率的運用を実現する。
本願発明の打音診断装置の基本形態のブロック図である。 通信手段を介して測定部と診断部の2つの機器で構成した打音診断装置のブロック図である。 診断手段に周波数スペクトラム閾値診断手段を併設した打音診断装置のブロック図である。 本発明の動作処理の一例を示すフローチャートである。 (a)は打音を時間軸でデジタル変換した音圧の出力を示した図である。(b)は、フーリエ変換による周波数を横軸とした音圧の出力を示す図である。 打音の周波数スペクトラムの特定周波数AとBを成分とする2次元データをプロットした空間図である。 LOF外れ値算定を説明する2次元データでプロットした空間図である。 特定の周波数成分の閾値により欠陥を診断する説明図である。 打音診断装置をインターネット等の広域通信網への接続によるサーバー装置と連携したシステム構成図である。 本発明の実験機外観を示した図である。
(装置の構成と動作概要)
図1は、本発明を基本となる実施形態の例を示したブロック図であり、録音手段1、周波数解析手段2、記憶手段3、診断モデル作成手段4、診断手段5及び表示手段6とからなる一体型の診断装置を示している。診断手段には、LOFによる外れ値算定の機能を含む。
図2及び図3は、前記実施形態のバリエーションである。図2は、録音手段1、周波数解析手段2及び記憶手段-1を構成する部分を測定部10として、診断モデル作成手段4、記憶手段-2、診断手段5及び表示手段6を構成する部分を診断部20として、2つの機器により構成された打音診断装置である。測定部と診断部に通信手段を設け、有線または無線通信により、該測定部と該診断部の情報授受を可能としたものである。
なお、図2における記憶手段は、測定部10と診断部20とに具備されている点で図1の構成とは異なるが、通信手段7を介して測定部10及び診断部20を接続しており、最適な処理の観点からそれぞれに記憶手段を配置したものであり、機能的に両者は等価である。
図3は、特定の周波数スペクトラムの成分値が所定の閾値を超えるか否かで、欠陥の有無を診断するスペクトラム閾値による周波数スペクトラム閾値診断手段8を併設した診断装置である。通信手段を含む図2の実施形態でも、併設して等価な診断装置を構成できるので、通信手段を含む実施形態は省略する。
図4は、本発明の診断装置の動作処理の一例を模式的に表したものである。以下、図1及び図4を用いて、打音診断装置の動作概要を説明する。
まず、録音手段1は、被診断対象のコンクリート等構造体に対してハンマーによる打音を録音する。欠陥のない周波数スペクトラムは診断モデルとなり、その後に採取される打音が被診断対象となる。
ここで、録音手段1で採取した音とは、図5(a)に示すように、時間を横軸、振幅を縦軸とした音響波形で表わされる。前記音響波形を周波数解析手段により、図5(b)に示すように横軸を音の周波数、縦軸をパワー(音圧)とし、各周波数の強さを示した周波数スペクトラムに変換する。
周波数解析手段2は、典型的にはフーリエ変換をいう。周波数スペクトラムとは、打音に含まれる周波数成分の特徴量を表わす多次元ベクトルとなる。このようにして得た周波数スペクトラムは、記憶手段3に記憶される。
診断モデル作成手段4は、記憶手段3に記憶させた打音の周波数スペクトラムのデータを読み込んで、診断モデルを生成する。記憶された周波数スペクトラムから選定して、少なくとも被診断対象のコンクリート等構造体の種別に応じた診断モデルを作成する。
前記診断モデルに含まれるスペクトラムのデータの数は、実験的な評価によってあらかじめ定めていく。また、過去の点検で得られたデータから作成した診断モデルを事前に登録しておいても良い。
次に、診断手段5は、前記診断モデルと被診断対象のコンクリート等構造体から得た打音の周波数スペクトラムとの相関をK近傍法及びLOFによる外れ値の算定により、欠陥の有無を診断する。
なお、診断手段5による診断後、被診断対象の周波数スペクトラムが診断モデルに好適であれば、記憶手段3に登録された診断モデルに追加する処理を行う。好適か否かは、例えば、周波数スペクトラムの表示情報を確認して判断できる。
以下、本発明の打音診断装置で使用する各手段について、詳細に説明する。
(録音手段)
録音手段1は、集音マイク、振動計などを用いることができる。加速度センサー等の音響系データに相当するデータを採取するものであってもよい。録音対象となるコンクリート等構造体の特性及び打音の特徴によって、録音を行う時間、レベルを適宜、調整することができるものとするのが好ましい。
具体的には、録音手段としてマイクロフォンを使う場合には、増幅アンプ、ならびにアナログ・デジタル変換器から構成される。コンクリートの打音のダイナミックレンジを考慮して、音量を正規化してデジタル・データに変換し音響波形とする。
実験機は、マイクロフォンの増幅アンプの出力値を25.6kHzのサンプリングクロックでA/D変換回路によりサンプリングして、デジタル・データを一時記憶手段の一つであるリングバッファに格納している。
ここで、前記した正規化とは、入力のばらつきを補正するものであって、本発明では、入力の逐次処理のため簡易な変換を採用する。
すなわち、AD変換のビット数をn、時間軸上の打音入力をVtとすれば、
・(Vt-2n-1)/2n-1、-1≦Vt<+1と正規化する。
・ただし、上限下限の最大値±2n-1の90%〜100%の値を示すVtを含む打音は、歪みを含む過大音量と推定してアラームとして廃棄する。なお、前記のパーセンテージは、適宜補整してもよい。
実験機では、12ビットA/D変換器を採用しているので、(Vt-2048)/2048で演算し、±212-1の95%〜100%の入力はアラームとする処理を講じている。
(記憶手段)
記憶手段3は、周波数スペクトル及び関連する情報を記憶するものとして、二通りあり、先ず一時記憶手段(一般的にはランダムアクセスメモリ)に蓄えるもの、次に長期記憶手段して(一般的にはフラッシュメモリ)に蓄えるものがある。
(周波数解析手段)
周波数解析手段2は、所定時間、所定のレベルで図3(a)に例示するようなスペクトラムとして変換可能なものであれば、特に限定されるものではない。本実施例では、フーリエ変換を採用しているが、帯域フィルターで周波数スペクトラムを取り出すものであってもよい。なお、演算負担の軽減のため高速フーリエ変換を採用する。
(診断モデル作成手段)
診断モデル作成手段4は、前述したように記憶手段3に記憶させた周波数スペクトラムのデータを読み込んで、診断モデルに適するスペクトラムを選定し改めて登録する。
本発明では、欠陥のない打音のスペクトラムのデータ集合を診断モデルとしており、実質的にコンクリート等構造体から採取した打音の周波数スペクトラムそのものから選定する。係る診断モデルは機械学習における教師データの集合に該当する。
なお、必要により、登録済みの診断モデルから不要なスペクトラムデータを削除し、新たに追加する処理を行う。診断手段による処理と精度を調整するため教師データを所定の数に限定して更新を行うものである。また、特徴ある周波数成分のみを切り出す処理を行ってもよい。これらの処理は、一意的なものはなく、実験実証により決定できる。
例えば、打音がコンクリート構造物を伝搬しつつ暫時減衰していくが、構造物の端面に至り、反射して微細な反響音としても採取されることを考慮すれば、診断対象の周波数領域は限定することが好ましい。
また、被診断対象のコンクリート等構造体の属性情報も同時に登録しておくことが好ましい。属性情報とは、例えば、被診断対象のコンクリート等構造体の種別、温度、湿度等の環境情報、日時情報、構造体の材料複合率等が考えられる。
少なくとも、被診断対象のコンクリート等構造体の種別情報があれば、その種別に応じた診断モデルを作成しておく。点検員は現場の種別に応じた診断モデルを選択すれば、効果的に点検作業を進めることができる。
また、属性情報は、事後の欠陥の分析に有用となるものである。図1には診断手段に「操作等入力」が記載されているが、属性情報や事前の診断モデルの登録に利用できる機能が装備されることが好適である。
(通信手段)
通信手段7は、広域または近距離通信が可能なものであって、有線通信または無線通信の手段を含む。図2のように測定部と診断部を分けて個別の機器として構成する場合、個別の機器間を接続する近距離通信の接続手段が好適である。有線では、I2CやSPIのような簡易なインターフェイス、又はUSB等を採用できる。
無線の場合、近距離ではBluetooth(登録商標)が好適である。またWiFiのような無線LANを採用できる。前記接続手段を組み込むことで、診断部を手持ち機器とせずに、測定部のみの機器をもって現場での点検作業を行い、診断部とを通信手段を介して連携することが可能となる。
また、広域通信は、携帯電話における無線通信網に連携するBluetooth(登録商標)あるいは広域通信網(WAN)に接続できるものであってもよい。インターネット等の広域通信網に接続されたサーバー装置と連携した診断システムが構築できる。
(診断手段)
診断手段5は、記憶手段に登録した診断モデルを読み込み、点検対象の打音の周波数スペクトラムを観測データとして、K近傍法を用いることによりコンクリート等構造体の欠陥を診断する。
K近傍法は他の機械学習に比べて標本データの数が少なくてすみ、その場で採取した打音のスペクトラムをすぐに診断モデルに加えて診断することができる。
本発明では、さらにLOFを導入する。これにより、診断モデルのデータ数を少なくして記憶容量を削減し、診断の処理時間も圧倒的に小さくできるという効果を奏する。
以下に、K近傍法を用いた診断の基本アルゴリズムを示し、その後、LOFに基づく外れ値の算定について説明する。
(k近傍法の基本アルゴリズム)
k近傍法は、被診断対象の周波数スペクトラムが、欠陥の有無がラベル付された2つの標本データ集合のいずれかに属するかを、所定の範囲(K値をいう)で多数決をとり、最も多い個数の標本データ集合に属するラベルをもって診断する。
以下、周波数スペクトラムの所定の2つの周波数成分に特徴にある2次元データ、K=3として図6により説明する。図6は、AHzとBHzの2種類の特徴周波数で抽出した2次元の標本データである。欠陥無しラベル付きのデータ点●と、欠陥ありラベル付きのデータ点○をもってプロットしている。
ここで、被診断対象の観測データをx点◆とする。図6中において、x点◆に最も近い距離から3番目に近い距離にある3点を選択する。図6中では、y1、y2、z1が該当する。
前記3点のプロットのうち、2点y1、y2は●の欠陥なし、1点のz1が○の欠陥ありであるため、多数決によりx点◆の観測データは、●の欠陥なしの標本データ集合に属すると判断され、x点の観測データは欠陥なしの打音と診断できる。
以上は説明を容易にする為に特徴量の次元数を2次元としたが、実際例では数百次元である。その場合の距離は、数学的には超球面で定義されたユークリッド距離やマハラビノス距離等の計算方法がある。本発明ではユークリッド距離を採用している。なお、k値は多数決のため奇数が好ましい。
また、上記説明では多数決を取るプロットを1票としたが、プロットごとに票の重み付けをしても良い。例えば、診断したい観測データに近い距離にあるプロットほど多くの票を有するように重み付けをする。
(LOFよる外れ値算定)
LOFは,データマイニング分野で利用される異常検知手法の1つである。標本データの集合空間において、観測点と近傍の標本データの集まり具合を密度として、観測点と標本データ集合の密度の相対値をもって外れ度合いを測り、前記観測点がどの標本データ集合に属するか判断するものである。
K近傍法の基本アルゴリズムでは、k番目に近いデータ点を拾い上げ多数決で決する。この場合、観測点からk範囲内の標本データをすべて拾い上げる必要があり、標本データを総当たりで探索することになる。これには多大の演算処理が要求される。
LOFによる外れ値の算定は、1クラス異常検知を実現するもので、欠陥のない又は欠陥のある標本データ集合のいずれかだけで探索し、さらに、その集合の一部をもって外れ度を算定することが可能である。処理負担が格段に改善されるとともに、精度の高い診断を実現する。
本実施形態では、欠陥のない打音の周波数スペクトラムである標本データ(教師データ)の集合を診断モデルとしている。これは、欠陥のあるデータを採取することが困難であることによる。また、欠陥のある観測点では、近傍に欠陥のない観測点が少ないという異常発生の特徴も考慮したものである。
一般に、コンクリート等構造体における欠陥は、一時に構造体全体に発生することはなく、徐々に拡大する。特に初期的欠陥が発生している段階では、欠陥のあるデータを採取することは容易でない。逆に欠陥のないデータの採取は容易である。
他方、欠陥のある標本データの集合をもって診断モデルとして扱い、欠陥の有無を診断することも可能である。
LOFの理論的意義は、非特許文献2に記載されている。概略的に理論式を提示し、具体な算定例を説明する。
まず、標本データ集合Dと観測点xとの外れ値をLOF(x)と表記する。標本データ集合Dとは、診断モデルであって、データ数はk+1以上を満せばよい。LOF(x)を定義するために,いくつかの式を定義する。
kdist(x)は、xに対するk距離と呼ばれる値で、観測点xからのk番目に近いデータまでの距離である。次に、kdist(x)を利用して、Nk(x)、reach-dist k(x, y)及びlrdk(x)を定義する。なお、距離とは、多次元空間における2点間のユークリッド距離を意味する。
Nk(x)は、観測点xのk近傍であるy点集合として、次式に定義する
Nk(x)={ y∈D\{ x } | d(x, y) ≦ kdist (x) } (1)
xのyに関する到達可能距離としてreach-dist k(x, y)を次の式に定義する。
reach-dist k(x, y)=max{ kdist (y), d(x, y) } (2)
ただし、max{ }は、{ }内に示す値の最大値をいう。
xのK距離到達可能密度lrd k(x)を次の式のように定義する。
lrd k(x)=|Nk(x)|/Σy∈Nk(x) reach-dist k(x, y) (3)
ただし、| |は、| |内に示す集合内の標本の個数。
以上により、LOF(x)は次式により算定する。
LOF(x)=1/|Nk(x)|Σy∈Nk(x) (lrd k(y)/lrd k(x)) (4)
以下に、簡単のため周波数スペクトラムの2次元の標本データを例として図7を用いてLOF算定を説明する。まず、観測点x(◆)から最も近い距離からk個(k範囲)の欠陥なしの標本データを定める。図7中y1、y2、y3が該当する。d(x,y)はx点とy点とのユークリッド距離をいう。
点xのk範囲の距離は、d(x,y1)、d(x,y2)、d(x,y3)となり、この中で最大距離d(x、y3)を選定する。
さらに、y1を起点してy1からk範囲のデータ点を定める。この場合、近い位置からy4、y2、y5となる。最大距離はd(y1, y5)である。同様にy2のk範囲の点は、y1、y6、y4であり、最大距離はd(y2, y4)となる。さらに、y3のk範囲の点はy7、y6、y2となり、最大距離はd(y3, y2)となる。
そうすると、x点とy点とのK距離到達可能密度lrd k(x)は、d(x、y3)と推定される。y1のlrd k(y1)は最大距離であるd(y1、y5)と推定される。同様に、y2のlrd k(y2)は、d(y2, y4)と、y3のlrd k(y3)は、最大距離であるd(y3、y2)と推定される。
よって、y1、y2、y3の周辺密度lrd k (y)は、(3)式より
lrd k(y)=|Nk(x)|/{d(y1、y5)+d(y2, y4)+d(y3, y2)} (5)
となる。ここで、|Nk(x)|=3、すなわちk=3であるから各y点のk範囲の最大距離の平均の逆数となる。
x点のLOF(x)は、式(4)より、d(x, y3)/{(d(y1, y5)+d(y2, y4)+d(y3, y2))/3}と算定される。
観測点xとy点との最大距離で推定される密度lrd k(x)がy点の周辺密度と比べて小さいほどLOFの値は大きくなる。すなわち、観測点xと欠陥のない標本データの集合、すなわち診断モデルとの外れ度合いが大きいことを示す。
外れ度の閾値を規定すれば、その閾値以上であれば、観測点xは欠陥のある観測値であり、閾値より小さければ、欠陥のない観測値と判断する。
通常、外れ値は1.0より大きければ、周辺密度と差があるとして欠陥があると判断して良いが、実際には測定ノイズ等の誤差要因に対する許容性を担保するため、やや大きめの閾値1.0から2.0で運用する。
ここで、診断モデルの標本データの数をk+1した場合、y集合をy1、y2・・・、yi、・・・yk+1とすれば、任意のyi点のk範囲には、自らのyiを除くk個のy点が存在する。すると、1≦i≦k+1におけるk近傍密度lrd k(yi)すべては、事前に算定しておくことができる。
観測点xに係るlrd k(x)は、点xからk範囲にあるy1からyk+1のうち最も遠い点であるが、k範囲に入らない点が1点存在する。仮に前記yi点がK範囲に入らない点とすれば、yに係る周辺密度lrd k(y)は、k+1個の各y点のk近傍密度の総和からlrd k(yi)を引いたものとなる。すなわち、
lrd k(y)=k/{lrd k(y1)+lrd k(y2)+・・・+lrd k(yi)+・・・+lrd k(yk+1)-lrd k(yi)}となる。
観測点xからk範囲の最大距離を探索してlrd k(x)を算定する際に、前記yi点も容易に確定できる。よって、診断モデルの標本データ数を限定し適切に選べば、演算処理の負担をさらに軽減して、LOF(x)を簡易に算定できるものとなる。
上記のように、LOFを用いれば欠陥のない標本データのみ、かつ少ないデータ数で診断が可能となる。したがって、高性能な演算機能を必要とせず、記憶容量と演算時間を大幅に削減できるというメリットがあり、診断装置が小型化され携帯性の向上にも寄与する。
また、LOF算出の計算量が増えすぎないために標本データ数を制限しつつ更新をする手法が考えられる。前記y集合の各点lrd k(yi)をその値の大きさでソーティングしておいて、教師データを所定数の範囲で更新する際、lrd kが一番小さなデータを捨てる手法である。標本データ(教師データ)の密集度が高くなり、観測点との比較がより安定して行われる利点がある。
例えば、図7において、xをy0と読み替えてy0からy6まで順次教師データとして登録されたと仮定する。図7から視覚的にも分るようにlrd k(y0)は距離の逆数であるから一番小さくなる。教師データ数を7個と設定した場合、新たにy7が追加されると、lrd k(y7)は、lrd k(y0)より大きいのでy0を診断モデルから削除する。このように診断モデル生成手段は、診断時において算定されたk到達可能密度を勘案して教師データを選定し、診断モデルを更新する機能を持たせておくことができる。
(周波数スペクトラム閾値診断手段)
周波数スペクトラム閾値診断手段8とは、打音の周波数スペクトラムにおいて、欠陥があった場合に発生する特定の周波数成分が所定の閾値を超えた場合に、欠陥があると診断するものである。
本発明のLOF算定による診断手段に併設して、併用することで診断の精度を上げようとするものである。K近傍法の診断でその診断に疑いがあるとき、あるいは表示手段に周波数スペクトラムを表示して比較したい場合に補助的な手段として有効に活用する。
事前に特徴スペクトラムを検証して、閾値を定めておくか、又は診断モデルの特徴周波数をあらかじめ設定しておく。また、診断モデル生成手段から受け取ることもできる。
図8により、具体例を説明する。図8の周波数スペクトルの周波数A及びBに欠陥を示す周波数成分が強く現れることがわかっているとする。その周波数成分の欠陥の有無を診断する閾値を周波数Aではレベル1とする。周波数Bではレベル2とする。
打音の周波数スペクトラムのα点及びβ点は、それぞれの閾値であるレベル1及びレベル2を超えて生じている。これにより、被診断対象のコンクリート等構造体には欠陥があると診断するものである。
また、特定の周波数成分のそれぞれで診断せず、複数の成分を総和したレベルが一定の閾値を超えるか否かで診断する簡易な手法も取りえる。上記例では、α点とβ点のレベルの総和が所定の閾値を超えるか否かで診断する。なお、特定周波数及び閾値の範囲は実験的に判定する。
(表示手段)
診断装置は、コンクリート等構造体に欠陥があると診断した場合に警告等を表示する。周波数スペクトラムを表示して視認できるようにすることが好ましく、スペクトラムの視覚的特徴を確認できるからである。表示手段6として、液晶型ディスプレイが好ましい。
(各手段の構成)
上記の各手段は個々の独立した存在である必要はなく、複数の手段が1個の部材として形成されていること、ある手段が他の手段の一部であること、ある手段の一部と他の手段の一部とが重複していること等が可能である。
また、図2で示すような複数の構成部からなる機器とする場合、録音手段1の直後に通信手段を設けて、その他の手段を1つの機器とするような変形した構成も考えられる。
上記の各手段はその機能を実現するように形成されていれば良く、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたもの、コンピュータプログラムにより各手段に実現された所定の機能、及びこれらの組み合わせ等として実現することができる。
図2で示した構成であれば、スマートフォンや小型ノートパソコン等の情報端末を診断部に利用することができる。診断手段等の処理を情報端末に組み込むアプリケーションソフトウエアで実現することで、汎用性が高いものとなる。また、既存の情報端末を利用すれば、コストも軽減できるという効果も奏する。
実施例2は、図9に示すように打音診断装置を広域通信網上のサーバー装置と接続したネットワーク化したものである。観測データや診断モデルをアップロード、ダウンロードを可能とするものである。
サーバー装置30は、サーバー制御手段32により制御され、通信手段7及びハードディスク等により構成された記憶手段31を知識データベースとする一般的なサーバー装置である。現場におけて採取され生成された診断モデルは、有線または無線によるインターネット等の広域通信網を介して、サーバー装置30にアップロードされる。
サーバー装置30は、アップロードされた診断モデルを記憶手段31の知識データベースに格納して、最適な診断モデルの構築を図る。他方、前記最適化された診断モデルは、広域通信網を介して点検現場の診断装置にダウンロードされる。
現場の点検員は、前記知識データベースから最適化された診断モデルを適宜自らの診断装置にダウンロードする。これにより、複数の点検場所における判定基準が統一できるとともに、経験のない作業者でも同じ精度で点検が可能となる。
ここで、診断モデルのアップロードは、前述した属性情報とともにサーバーシステムに送ることが好適である。コンクリートの材質形状は、対象とする土木、建築工法では特性が異なるので、属性情報に基づきクラスタリングされた診断モデルを選択して使用すれば、診断精度も向上する。
また、蓄積された診断モデルから新しい知見も得られる。例えば、経年変化の観察ができ、モデルを統合して更新することも可能となる。必要であれば、再度最適化された診断モデルをダウンロードすれば現場での点検精度をさらに向上させることが出来る。
(検証実験)
以下、実験機により、LOFによる診断の効果を検証した。K=3とする。
供試体は、300mm(幅)×300mm(奥行)×150mm(高)のコンクリートブロックである。底面から95mmの略中央部に150mm×150mm×5mmの擬似的な間隙を作りこみ、当該間隙には音の共鳴・反射を抑えるため発泡スチロールを埋め込んでいる。コンクリートの強さは27±3N/mmである。
打音は、前記サンプルを打撃して採取し、フーリエ変換まで処理した標本データを評価に用いる。これらの標本データは
(ア)欠陥なしと既に判断された12個のデータ集合、
(イ)欠陥ありと既に判断された14個のデータ集合、
(ウ)採取不良(音量過大、過小)な2個のデータ集合
の3つであるである。
それぞれのデータはフーリエ変換時における周波数軸上で0.51Khzから10.0Khzを約24hz間隔でサンプリングされた391次元の特徴量ベクトルである。
(ウ)は、音量の過不足により打音の採取が上手くいかず、アラートが付与されたデータであるが、不良データとして混在させ、診断の誤りがないことを確認するものとした。
前記データの(ア)(イ)(ウ)を合計すると、高々28個でデータ数が少ないので、交差検証の手法を用いて診断効果の品質を検証した。
ここで、交差検定は、「S分割交差検定(検証)」を用いる。データ集合が小さいと予測性能の推定の誤差が大きくなる。そこで、データ集合をS個に分割して、そのうち(S−1)個のデータを使用して、順に変えてS回の評価を行い、結果を比較、あるいは平均化して利用するものである。
本実験ではS=2とした。12個の欠陥のないデータ集合(ア)から6個を選び、診断モデルとする(ア1と記す)とする。残った6個(ア2と記す)とデータ集合(イ)と(ウ)を合わせて合計22個のデータ集合D1を被診断対象の観測データとして評価する。
次に、データ集合ア2の6個を改めて診断モデルとし、先に診断モデルに使った6個の(ア1)とデータ集合(イ)と(ウ)を合わせて合計22個のデータ集合D2を被診断対象の観測データとして、これを評価する。
D1及びD2は、既に欠陥有無が診断された標本データであるので、診断が行われた場合、誤った診断結果をならないことが要求される。
診断は、LOFの外れ値を用いて、その所定の閾値と比較して結果を求める。外れ値が所定の閾値以上であれば、欠陥ありと診断、閾値未満であれば、欠陥なしと診断される。経験的に外れ値の閾値は2を基準として、実験的に閾値を決めている。
表1に本検証の結果を示す。本表には、交差検定における混合行列の概念を導入して結果を示している。項番1と4の列はLOF外れ値の閾値を2.0とし、項番2と5の列では閾値を1.5、項番3と6の列では閾値を1.3に設定した。
項番1では、正解率、検出率とも1.0であるから、診断結果と既知の欠陥の有無の標本データと一致することを意味する。項番2及び3は閾値の設定を2以下にした場合の結果を示し、精度が悪化するので閾値が厳し過ぎる事を意味している。
一方、項番4では閾値が甘く検出率が悪化しているが、項番5、6では、閾値を下げれば、正解率と検出率が1.0となり見逃しを防げることが判る。
ここで、標本データは、既知である「真のクラス」のラベルが付与された欠陥のないコンクリートの打音の特徴量、又は、「偽のクラス」のラベルが付与された欠陥のある打音の特徴量の2択である。
診断結果も、「欠陥なし」と「欠陥あり」の2択なので、真又は偽のラベル付きデータに対して、診断結果は2x2の行列(表形式)で、各々の診断結果の回数を数えた表を作成でき、これを混合行列と呼び、表2に示す。
ここで、
・TP真陽性とは、欠陥のあるデータを「欠陥あり」と正しく診断したものをいう。
・TN真陰性とは、欠陥のないデータを「欠陥なし」と正しく判断したものをいう。
・FP偽陽性とは、欠陥のないデータを「欠陥あり」と誤診断したものをいう。
・FN偽陰性とは、欠陥のあるデータを「欠陥なし」と誤診断したものをいう。
各正解率等の指標は、正解率=(TP+TN)/(FP+TN+TP+FN)、精度=TP/(TP+FP)、検出率=TP/(TP+FN)で現される。
評価結果を考察すると、項番1では、TP真陽性とTN真陰性が全数であるので、正解率、検出率とも1.0となり、真のクラスと診断結果が一致した。
項番2及び3は、閾値の設定を2.0未満にした結果で、FN偽陰性はなく「疑わしき」を見逃していないものの、FP偽陽性があり誤判断が生じている。項番3は、FN偽陰性がなく「疑わしき」は見逃していないが、FP偽陽性の誤診断が増えている。
一方、項番4は、FN偽陰性の誤診断が存在するものの、閾値を下げた項番5、6では、FP偽陰性及びFN偽陽性を示す誤判断はなく、項番1と同様に良好な結果を示す。
(結果)
以上から、正解率は欠陥のない標本データ(診断モデル)の選択の仕方と閾値設定により変動するが、高い値を示す。閾値が適度に調整されれば、検出率は1.0となることから、閾値は診断対象のコンクリート等構造体の特性に応じて、実験的に検証して設定可能である。以上により、診断品質は実用に十分耐えるという知見が得られた。
(実験機)
図10は、本発明の実験機を示す。測定部は、PD-100打音チェッカー((株)ポート電子製2015年発売)として、表示手段及び操作部は小型のノートPCを用いたものである。
1 録音手段
2 周波数解析手段
3 記憶手段
4 診断モデル生成手段
5 診断手段(LOF算定機能含む)
6 表示手段
7 通信手段
8 周波数スペクトラム閾値診断手段
10 測定部
20 診断部
30 サーバー装置
31 記憶手段(知識データベース)
32 サーバー制御手段

Claims (6)

  1. ハンマー等でコンクリート等構造体を打撃して、打音から前記コンクリート等構造体の欠陥を診断する打音診断装置であって、
    前記打音を録音する録音手段と、録音した音の周波数スペクトラムを得る周波数解析手段と、周波数スペクトラムから診断モデルを作成する診断モデル作成手段と、
    周波数スペクトラム及び診断モデルを記憶する記憶手段と、
    被診断対象の周波数スペクトラムと前記診断モデルとの相関をとるK近傍法による診断手段と、を有する打音診断装置
  2. 前記診断手段に、Local outlier factorによる外れ値を算定する機能を設けたことを特徴とする請求項1に記載の打音診断装置
  3. 特定の周波数スペクトラムの成分が所定の閾値を超えるか否かで欠陥の有無を診断するスペクトラム閾値診断手段を前記診断手段に併設した請求項1又は請求項2に記載されたいずれかの打音診断装置
  4. 請求項1ないし請求項3に記載されたいずれかの打音診断装置に少なくとも1以上の通信手段を付加した打音診断装置であって、前記診断装置を2以上の構成部に分けた場合には、前記構成部のそれぞれに通信手段を設けて、2以上の構成部との間を前記通信手段を介して情報の授受及び制御をすること、を特徴とする請求項1ないし請求項3に記載されたいずれかの打音診断装置
  5. 前記診断モデルを知識データベースとして記録する記憶手段を有するサーバー装置と、請求項4に記載された打音診断装置とを、広域通信網を介して接続して、前記診断モデルをアップデートまたは/かつダウンロードすることを特徴とする打音診断システム
  6. 前記録音手段により、コンクリート等構造体が発する打音を録音して、録音した音の周波数スペクトラムを得るステップと、前記周波数スペクトラムを記憶手段に記憶させるステップと、前記記憶手段から周波数スペクトラムのデータを読み込み、周波数スペクトラムのデータから診断モデルを作成するステップと、前記診断モデルを記憶手段に記憶させるステップと、被診断対象の打音の周波数スペクトラムと前記診断モデルとの相関をK近傍法に基づくLocal outlier factorによる外れ値を算定して診断するステップと、を有する打音診断方法。




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