JP2018009893A - 探傷方法及び探傷装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】探傷対象面が複雑な形状をしている場合であっても、探傷対象面に係る磁界の測定を効率よく行う。【解決手段】対象物の探傷対象面近傍での磁界を測定することにより表層のきずを探傷する方法であって、不連続部を有する前記対象物の探傷対象面に沿って、当該不連続部に対して交差する方向に磁気センサを走査することにより、当該磁気センサの位置に係る位置情報と、当該位置情報により特定される位置において当該磁気センサにより測定された磁界に係る磁界情報と、を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された前記磁界情報及び前記位置情報に対して、前記探傷対象面の形状を示す形状情報を組み合わせることにより、前記探傷対象面における磁界の分布を示す磁界分布情報を作成する磁界分布情報作成ステップと、を有する。【選択図】図3
Description
本発明は、探傷方法及び探傷装置に関する。
対象物の表層のきず(JIS Z 2300:2009)を検出するための磁気センサを利用した非破壊検査手法として、漏洩磁束探傷法や渦電流探傷法等が知られている。漏洩磁束探傷法(Magnetic Flux Leakage:MFL)は、表層のきずから漏洩する磁束による磁界の変化を磁気センサにより測定する方法である。また、渦電流探傷法(Eddy Current Testing:ECT)は、対象物の表層に渦電流を発生させ、その電流がきずによって遮られた際に発生する磁界の変化を磁気センサにより測定する方法である。いずれの方法においても、対象物の探傷対象面に沿って磁気センサにより走査することで磁界の測定が行われる。このため、例えば、特許文献1では、対象物における探傷対象面が曲率を有する場合の磁気センサの走査方法について検討が進められている。
しかしながら、対象物の探傷対象面が複雑な形状をしている場合には、探傷対象面における磁気センサの走査が複雑となるため、磁界測定の所要時間が長くなる等の改善の余地があった。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、探傷対象面が複雑な形状をしている場合であっても、探傷対象面に係る磁界の測定を効率よく行うことができる探傷方法及び探傷装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る探傷方法は、対象物の探傷対象面近傍での磁界を測定することにより表層のきずを探傷する探傷方法であって、不連続部を有する前記探傷対象面に沿って、当該不連続部に対して交差する方向に磁気センサを走査することにより、当該磁気センサの位置に係る位置情報と、当該位置情報により特定される位置において当該磁気センサにより測定された磁界に係る磁界情報と、を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得された前記磁界情報及び前記位置情報に対して、前記探傷対象面の形状を示す形状情報を組み合わせることにより、前記探傷対象面における磁界の分布を示す磁界分布情報を作成する磁界分布情報作成ステップと、を有する。
また、本発明の一形態に係る探傷装置は、対象物の探傷対象面近傍での磁界を測定することにより表層のきずを探傷する探傷装置であって、不連続部を有する前記探傷対象面に沿って、当該不連続部に対して交差する方向に走査して磁界を測定する磁気センサと、前記磁気センサの位置に係る位置情報と、当該位置情報により特定される位置において前記磁気センサにより測定された磁界に係る磁界情報と、を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記磁界情報及び前記位置情報に対して、前記探傷対象面の形状を示す形状情報を組み合わせることにより、前記探傷対象面における磁界の分布を示す磁界分布情報を作成する磁界分布情報作成部と、を有する。
上記の探傷方法及び探傷装置によれば、探傷対象面に不連続部が存在する場合に、不連続部に対して交差する方向に磁気センサが走査される。したがって、探傷対象面が複雑な形状を有している場合であっても、不連続部の形状に応じて磁気センサの走査方向等を変更する必要がなくなるため、磁気センサの走査は簡単となり、磁界測定の所要時間を短縮することができる。また、上記の探傷方法及び探傷装置では、探傷対象面の形状情報に基づき探傷対象面を特定した磁界分布情報を作成することができる。したがって、きず由来の磁界を不連続部由来の磁界とは区別することができるため、対象物の表層におけるきずを適切に検出することが可能となる。このように、上記の探傷方法及び探傷装置によれば、探傷対象面が複雑な形状をしている場合であっても、探傷対象面に係る磁界の測定を効率よく行うことができる。
ここで、前記磁界情報は、前記探傷対象面を磁化することにより、前記対象物の前記探傷対象面近傍での漏洩磁束により生じる磁界に係る情報であって、前記磁気センサは、二軸検出型である態様とすることができる。
上記のように、探傷対象面を磁化することにより、対象物の探傷対象面近傍での漏洩磁束により生じる磁界に係る情報を検出する構成である場合に、二軸検出型の磁気センサを採用する構成とすると、探傷対象面におけるきずを詳細に検出するために磁化方向を変更した場合であっても、磁気センサの走査方向を変更することが不要となる。したがって、探傷対象面に係る磁界の測定をさらに効率よく行うことができる。
本発明によれば、探傷対象面が複雑な形状をしている場合であっても、探傷対象面に係る磁界の測定を効率よく行うことができる探傷方法及び探傷装置が提供される。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る探傷装置である漏洩磁束探傷装置1の概略構成を示す図である。図1に示す漏洩磁束探傷装置1は、磁界測定を利用した非破壊検査の一種である漏洩磁束探傷法(Magnetic Flux Leakage:MFL)による検査を行う装置である。
漏洩磁束探傷法とは、図2(A)に示されるように、強磁性体からなる対象物Oの表面または表層に存在し得るきずXを、磁気センサTを用いて探索する検査法である。図2(B)に示されるように、漏洩磁束探傷法では、種々の方法により対象物Oを磁化することにより、対象物Oに所定方向の磁束Fを発生させる。磁束Fを遮るきずXがある場合には、そのきずXに起因して漏洩磁束Faが発生する。対象物Oの探傷対象面S上で磁気センサTを走査方向Dに走査させることにより、漏洩磁束Faが検出される。磁気センサTからの信号を用いる漏洩磁束探傷法は、従来採用されてきた磁粉探傷法に比して、探傷の自動化と結果のデジタル化とが容易であるという利点を有する。
図1に戻り、漏洩磁束探傷装置1について説明する。漏洩磁束探傷装置1は、対象物Oにおいて探傷の対象となる探傷対象面Sにおける磁界の分布を示す磁界分布情報を作成して出力する。この漏洩磁束探傷装置1は、強磁性体の対象物Oを載せるステージ2と、ステージ2上の対象物Oの上方において適宜間隔を設けた状態で保持される磁気センサ3と、ステージ2を駆動するドライバ4と、磁気センサ3において測定された情報等に基づいて探傷対象面Sに係る磁界分布情報を出力する制御部5と、を有する。
漏洩磁束探傷装置1では、対象物Oは、探傷対象面Sが所定の方向に磁化された状態でステージ2上に載せられる。対象物Oの探傷対象面Sとは、ステージ2上で磁気センサ3に対向する面である。探傷対象面Sが磁化された対象物Oがステージ2上に載せられた状態で、ドライバ4に対する制御部5からの指示によりステージ2を駆動することで、対象物Oの探傷対象面Sに沿って磁気センサ3を走査させる。磁気センサ3を走査させることで、探傷対象面Sの表層に形成されたきずに由来する漏洩磁束を磁気センサ3により検出することができる。
ステージ2は、上記のように対象物Oを載置すると共にドライバ4に対する制御部5からの指示に基づいて磁気センサ3との距離を一定に保った状態で移動する機能を有する。なお、ステージ2の形状や移動方向等は特に限定されない。ステージ2は、対象物Oの探傷対象面Sに沿って磁気センサ3を走査させるための手段であるので、対象物Oの形状、探傷対象面Sの凹凸、又は、磁気センサ3の走査方向等に応じてステージ2の形状や構成は適宜変更することができる。例えば、エンジンシャフトのように対象物Oが筒状の部材であり、探傷対象面Sが対象物Oの側面であって、対象物Oの周方向に沿って磁気センサ3を走査させる場合には、対象物Oの側面と磁気センサ3との距離を一定に保ちながら対象物Oの軸心を固定した状態で対象物Oを回転させることができるようにステージ2の構成を変更することができる。
磁気センサ3は、探傷対象面S近傍での磁束を検出し、磁界の大きさを測定可能なセンサである。具体的には、磁気センサ3としては、MI(Magneto-Impedance)センサ、GMR(Giant Magneto Resistive effect)センサ、TMR(Tunnel Magneto-Resistance)センサ、AMR(Anisotropic Magneto-Resistance)センサ、FG(Flux-Gate)センサ、ホール素子、SQUID(Superconducting QUantum Interference Device)センサ、コイル等を用いることができる。図1に示すように、磁気センサ3は、対象物Oの探傷対象面Sと対向する位置に配置される。磁気センサ3と探傷対象面Sとは当接していてもよいが、磁気センサ3と探傷対象面Sとが離間していてもよい。磁気センサ3と探傷対象面Sとが離間している場合、磁気センサ3と探傷対象面Sとの距離を一定に保つことが好ましく、例えば、0.01mm〜5mmとすることができる。すなわち、探傷対象面Sの近傍とは、探傷対象面Sからの距離が5mm未満の領域を指す。
なお、磁気センサ3は、二軸検出型のセンサであることが好ましい。この場合、対象物Oからの漏洩磁束による磁界の方向によらず磁界の測定を好適に行うことができる。ただし、一軸検出型のセンサを磁気センサ3として用いてもよい。
次に、制御部5について説明する。制御部5は、ドライバ4に対してステージ2の駆動を指示しながら磁気センサ3を走査することで、対象物Oの探傷対象面S近傍での磁界の大きさの変化を磁気センサ3の位置情報に対応付けて取得する。ステージ2を駆動させることで、対象物Oの探傷対象面Sの磁気センサ3に対向する位置が変化する。制御部5では、測定開始時からのステージ2の駆動方向及び駆動距離から磁気センサ3が探傷対象面Sのどの位置を走査しているかの情報を得ると共に、当該位置において磁気センサ3が検出した磁界の大きさ及び方向に係る情報を得る。制御部5は、この情報を蓄積することで、探傷対象面S近傍で検出された磁界の分布を示す磁界分布図を作成する機能を有する。探傷対象面Sに対象物の割れやピンホール等のきずがある場合、きずに対応する位置で磁界が変化することを磁界分布図において確認することができる。すなわち、探傷対象面S近傍での磁界の変化を記録した探傷対象面Sに係る磁界分布図を作成することで、探傷対象面Sを含む対象物Oの表層におけるきずの場所を特定することが可能となる。
なお、本実施形態に係る漏洩磁束探傷装置1では、探傷対象面Sの形状が複雑であり、不連続部を有する対象物Oに係る磁界の分布を測定することを目的としている。対象物Oは、例えば、航空機のジェットエンジンにおけるシャフト等が挙げられる。エンジンシャフトは円筒状の部材であるが、端部に切り欠き部が設けられる場合がある。そのため、探傷対象面Sをシャフトの外周面とした場合、周方向に沿って見たときに端部の凹凸に由来して不連続となる領域がある場合がある。これに対して、漏洩磁束探傷装置1の制御部5では、対象物Oの探傷対象面Sの形状に係る情報を利用して、これを組み合わせることで、探傷対象面Sに係る磁界の分布を示す磁界分布情報である磁界分布図を作成して出力する。この点については後述する。
制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)、他の機器との間の通信を行う通信モジュール、並びにハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、制御部5としての機能が発揮される。
図1に示すように、制御部5は、磁界情報取得部11(取得部)と、位置情報取得部12(取得部)と、形状情報格納部13と、分布図作成部14(磁界分布情報作成部)と、出力部15と、を有する。
磁界情報取得部11は、磁気センサ3からの磁界の大きさに係る情報である磁界情報を取得する機能を有する。磁気センサ3が二軸検出型のセンサである場合には、磁界の方向に係る情報も併せて取得することができる。
位置情報取得部12は、磁気センサ3の走査位置に係る情報である位置情報を取得する機能を有する。上述したように、本実施形態の装置の構成の場合、ステージ2が駆動することで対象物Oに対する磁気センサ3の相対位置が変化する。したがって、位置情報取得部12は、ステージ2の駆動位置に係る情報を磁気センサ3の走査位置に係る位置情報として取得する。
形状情報格納部13は、対象物Oの探傷対象面Sの形状に係る情報である形状情報を格納する機能を有する。探傷対象面Sの形状情報としては、例えば、対象物Oの設計図面等から抽出される情報を利用することができる。また、対象物Oを実際に測定して得られる情報を探傷対象面Sの形状情報として利用してもよい。また、対象物Oを撮影した画像等を形状情報として利用してもよい。すなわち、探傷対象面Sの形状情報とは、探傷対象面Sの形状を特定可能な情報であれば、種々の情報を利用することができる。探傷対象面Sの形状に係る情報は、対象物Oに係る測定を行う前に予め形状情報格納部13に格納しておくこととしてもよいし、磁界分布図を作成する直前に取得して形状情報格納部13に格納する構成としてもよい。
分布図作成部14は、磁界情報取得部11により取得された磁気センサ3からの磁界情報と、位置情報取得部12により取得された位置情報と、形状情報格納部13に格納される探傷対象面Sの形状に係る情報とを組み合わせることで、対象物Oの探傷対象面Sに係る磁界の分布を示す磁界分布図を作成する機能を有する。磁界分布図の作成の詳細については後述する。
出力部15は、分布図作成部14により作成された磁界分布図を出力する機能を有する。出力方法は特に限定されないが、例えば、モニタ等に表示する方法や、画像データとして他の装置に送信する等の方法を用いることができる。
次に、上記の漏洩磁束探傷装置1による探傷方法である漏洩磁束探傷方法について、図3を参照しながら説明する。まず、漏洩磁束探傷装置1では、探傷対象面Sが磁化された対象物Oに係る磁界情報及び位置情報を取得する(S01:取得ステップ)。具体的には、探傷対象面Sが上面となるように漏洩磁束探傷装置1のステージ2上に対象物Oを載せた状態で、探傷対象面S(もしくは対象物O全体)を磁化し、ステージ2を駆動させることで探傷対象面Sに沿って磁気センサ3により走査する。対象物Oは磁化した後にステージ2上に載置してもよい。また、探傷対象面Sのうち磁気センサ3の周囲のみを磁化する構成としてもよい。一軸検出型のセンサを磁気センサ3として用いる場合、磁気センサ3の走査方向は、磁化方向に沿った方向とされる。二軸検出型のセンサを磁気センサ3として用いる場合、磁気センサ3の走査方向は特に限定されない。
本実施形態に係る探傷方法では、探傷対象面Sの不連続部に対して交差するように磁気センサ3を走査させることを特徴とする。この点について、図4を参照しながら説明する。図4では、対象物Oの探傷対象面Sに対する磁気センサ3の走査方向を示している。図4(A)では、探傷対象面Sの上方から対象物Oを見た場合を示している。また、図4(B)では、図4(A)の矢印L1に沿った断面を示している。図4(A),(B)に示すように、漏洩磁束探傷装置1で用いられる対象物Oは、探傷対象面Sが複数の切り欠き部S1〜S3を有していることで、探傷対象面Sの端部に凹凸が生じている。この場合、矢印L1に沿った方向で見ると、探傷対象面Sは、連続ではなく切り欠き部S1〜S3により不連続な領域が存在する状態となっている。本実施形態においては、図4(A),(B)に示すように、所定の方向で見た場合に、探傷対象面Sが途切れる領域が存在することを、探傷対象面Sに「不連続部が存在する」という。すなわち、切り欠き部S1〜S3が探傷対象面Sの不連続部を形成している。なお、図4(A),(B)に示す対象物Oのように探傷対象面Sの端部に凹凸が形成されている場合とは異なる場合でも、探傷対象面Sに不連続部が存在する状況は発生する。例えば、対象物Oの表面に溝等が形成されていることで、探傷対象面Sが複数の島状の領域になっている場合にも、所定の方向で見た場合には探傷対象面Sが不連続となり、探傷対象面Sに不連続部が存在する状態となる。また、探傷対象面Sの一部に開口等が設けられている場合にも、探傷対象面Sに不連続部が存在する状態となる。一方、四角形状等のように直線状の辺を組み合わせた形状となし、端部に囲われている領域内に凹凸又は開口が形成されていない場合には、探傷対象面Sには不連続部が存在しない状態となる。
本実施形態に係る漏洩磁束探傷装置1による探傷方法では、磁気センサ3を矢印L1に沿って走査させる。すなわち、切り欠き部S1〜S3によってそれぞれ形成されている不連続部に対して交差する方向に磁気センサ3を走査させる。このように、不連続部に対して交差する方向に磁気センサ3を走査させると、磁気センサ3は、不連続部を横断するように移動する。図4(A)に示すように、矢印L1方向と直交する方向での磁気センサ3の位置を変更しながら、矢印L1方向の磁気センサ3の移動を繰り返すことで、磁気センサ3による探傷対象面S上の走査を行うことができる。
なお、磁気センサ3は、図4(B)に示すように、磁気センサ3と探傷対象面Sとの距離を維持するように探傷対象面Sに沿って走査する。漏洩磁束を用いて探傷する場合、磁気センサ3と探傷対象面Sとの距離が変化すると磁界が変化する。したがって、磁気センサ3と探傷対象面Sとの距離を維持するように磁気センサ3を走査することで、探傷対象面S近傍における磁界の分布をより磁気センサ3において精度よく検出することができる。
ステージ2を駆動させながら探傷対象面Sに沿って磁気センサ3を走査させることで、磁界情報取得部11では、磁気センサ3において測定される磁界に係る情報を取得する。また、同時に位置情報取得部12では、ステージ2の駆動に伴い磁気センサ3が走査している位置の情報を取得する。この2つの情報により、磁気センサ3の走査位置毎の磁界情報が得られる。これらの情報に基づいて、分布図作成部14では、まず、磁気センサ3により得られた磁界情報を走査位置に対応してプロットすることで、磁気センサ3による走査結果に基づく磁界の分布図を作成する(S02:磁界分布情報作成ステップ)。
ただし、上述したように、磁気センサ3は、不連続部を横断するように移動しながら磁界の測定を行っている。したがって、磁気センサ3が測定した磁界に係る情報には、不連続部上の情報も含まれている。すなわち、上記で作成した磁界の分布図には、不連続部上で磁気センサ3が測定した磁界に係る情報も含まれる。
次に、分布図作成部14では、探傷対象面Sに係る形状情報を取得する(S03:磁界分布情報作成ステップ)。探傷対象面Sの形状情報は、形状情報格納部13に格納されているので、当該情報を取得する。なお、探傷対象面Sに係る情報を測定の都度取得する構成としてもよい。
分布図作成部14では、探傷対象面Sの形状情報を利用して、磁界の分布図における対象物の探傷対象面Sに対応するエリアを特定する(S04:磁界分布情報作成ステップ)。先に作成された磁界の分布図と形状情報とを対応付けると、探傷対象面Sに対応するエリアであるか探傷対象面Sとは異なるエリア(すなわち、不連続部に相当するエリア)であるかを特定することができる。分布図作成部14では、上記の特定結果に基づいて、探傷対象面Sを特定した磁界の分布図、すなわち、探傷対象面Sの磁界分布図を作成すると共に、その結果を出力部15から出力する(S05:出力ステップ)。
図5に探傷対象面Sを特定した磁界分布図の出力例を示す。図5に示す例では、対象物Oの探傷対象面Sの形状に対応したエリアA1と、探傷対象面Sとは異なるエリアA2と、が区別されている。図5に示す出力例では、エリアA2についてはグレーで示されている。そして、エリアA1については、磁気センサ3で測定された磁界情報が反映され、エリアA2については、磁気センサ3で測定された磁界情報が反映されない状態で出力される。このように、探傷対象面Sに係る磁界分布図では、不連続部が含まれる探傷対象面Sとは異なるエリアA2については、磁気センサ3で測定された磁界情報を表示しない状態とされる。なお、エリアA2についても磁気センサ3が走査された領域に関しては磁気センサ3により測定された磁界情報を表示して出力する構成としてもよいが、出力部15から出力される探傷対象面Sに係る磁界分布図では、少なくとも探傷対象面Sに対応するエリアA1と、不連続部を含む探傷対象面Sとは異なるエリアA2とは明確に区別された状態で出力される。以上により、漏洩磁束探傷装置1による探傷方法が終了する。
なお、探傷対象面Sに形成された全ての方向のきずを検出するためには、探傷対象面Sに対して少なくとも2方向の磁化が必要となる。したがって、図3に示す一連の処理(S01〜S05)を終えた後、探傷対象面Sの磁化方向を変更して、漏洩磁束の探傷に係る処理を繰り返す。これにより、漏洩磁束を用いて探傷対象面Sにおける全ての方向のきずを検出することができる。なお、二軸検出型のセンサを磁気センサ3として用いる場合には、磁化方向を変更した場合にも、一度目の走査方向(例えば、図4(A),(B)の矢印L1)と同じ方向に磁気センサ3を走査することで、磁界の分布図を得ることができる。一軸検出型のセンサを磁気センサ3として用いる場合には、磁化方向に対応させて走査方向を変更する。
上記の漏洩磁束探傷装置1及び漏洩磁束探傷装置1による探傷方法では、従来の手法と比較して、探傷対象面に不連続部が存在する場合の磁気センサによる測定の効率が向上する。この点について、図6を参照しながら説明する。図6では、図4と同じ形状の対象物Oの探傷対象面Sを磁気センサ3で走査する場合の走査方法について説明する。図6では、図4と同形状の探傷対象面Sを有する対象物O、すなわち、切り欠き部S1〜S3を有する対象物に対して、従来の手法により磁気センサ3を走査させる場合の経路を矢印L2で示している。探傷対象面S近傍での磁界を磁気センサ3で測定する場合、磁気センサ3により対象物Oの探傷対象面S上のみを走査することが一般的である。このため、図6の矢印L2で示すように、探傷対象面Sとは異なる領域、すなわち、切り欠き部S1〜S3上を磁気センサ3が走査することのないように、切り欠き部S1〜S3を回避して磁気センサ3を移動させていた。そのため、磁気センサ3の走査が複雑となる場合があった。探傷対象面Sの形状が複雑になると、それに応じて不連続部が増加するため、磁気センサ3の走査も複雑となる。したがって、探傷対象面Sの形状が複雑になればなるほど、磁界測定の所要時間が長くなった。
これに対して、本実施形態に係る漏洩磁束探傷装置1及び探傷方法では、探傷対象面Sに不連続部が存在する場合であっても、不連続部に対して交差する方向に磁気センサを走査する。したがって、不連続部の形状に応じて磁気センサ3の走査を変更する必要がなくなるため、磁気センサ3の走査は簡単となり、磁界測定の所要時間を短縮することができる。
一方、対象物Oにおける切り欠き部S1〜S3のような探傷対象面Sの不連続部では、本来の探傷対象である探傷対象面Sの表層のきずと同様に磁界の変化が発生する。磁気センサ3は、切り欠き部S1〜S3のような不連続部においても、きず由来の漏洩磁束と同様に磁界の変化を検出し測定する。したがって、不連続部に対して交差する方向に磁気センサを走査した結果得られる磁界の分布図では、磁界の変化が大きな領域が存在する場合に、その領域の磁界の変化がきずに由来するものであるかをを特定することが難しくなることが考えられる。この点について、本実施形態に係る漏洩磁束探傷装置1及び探傷方法では、探傷対象面Sの形状情報に基づき探傷対象面Sを特定した磁界分布図を作成して出力する。したがって、不連続部に由来して形成される磁界の変化をきず由来の磁界の変化と区別することができるため、探傷対象面Sにおけるきずを適切に検出することが可能となる。このように、本実施形態に係る漏洩磁束探傷装置1及び探傷方法によれば、探傷対象面Sの形状が複雑であっても、探傷対象面に係る磁界の測定を効率よく行うことができる。
また、上記の漏洩磁束探傷装置1及び探傷方法のように、二軸検出型の磁気センサ3を採用した場合、磁化方向を変更した場合であっても、磁気センサ3の走査方向を変更することが不要となる。したがって、探傷対象面に係る磁界の測定をさらに効率よく行うことができる。
以上、本発明の実施形態に係る漏洩磁束探傷装置1及び探傷方法について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施形態では、制御部5が1台の装置により実現されている場合について説明したが、制御部5は複数の装置により構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、探傷装置の一種である漏洩磁束探傷装置1について説明し、探傷方法の一種である漏洩磁束探傷方法について説明した。しかしながら、本発明は、漏洩磁束探傷法とは異なる手法を用いた探傷方法及び探傷装置に適用することができる。磁気を用いて対象物の表層の探傷を行う手法としては、上記実施形態で説明した漏洩磁束探傷方法のほかに、渦電流探傷法(Eddy Current Testing:ECT)が挙げられる。渦電流探傷法とは、交流の電流を流した励磁コイルによって探傷対象面に渦電流を誘起させると共に、きずに由来する磁界の変化を磁気センサで検出する手法である。本発明に係る探傷方法及び探傷装置は、上記の渦電流探傷法においても適用可能である。渦電流探傷法においても、上記実施形態で説明したように、探傷対象面に不連続部が存在する場合に、不連続部に対して交差する方向に磁気センサを走査すると共に、探傷対象面の形状情報に基づき探傷対象面を特定した磁界分布情報を作成する構成とする。これにより、探傷対象面が複雑な形状をしている場合であっても、磁気センサによる測定を効率よく実施することが可能とする。
また、上記実施形態では、磁気センサ3を固定した状態でステージ2を駆動させることで探傷対象面Sに沿って磁気センサ3を走査させる構成について説明したが、探傷対象面Sに沿って磁気センサ3を走査させる構成は適宜変更することができる。例えば、ステージ2は固定した状態で、磁気センサ3を移動させて探傷対象面Sに沿った走査を行うという構成とすることもできる。この場合には、磁気センサ3の移動の制御に係る情報を磁気センサ3の位置情報として取得する構成としてもよいし、磁気センサ3の移動を計測するエンコーダ等を用いて位置情報を取得する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、1つの磁気センサ3を用いて磁界の測定を行う場合について説明したが、本発明に係る探傷方法及び探傷装置では、複数の磁気センサを用いて磁界の測定を行う構成としてもよい。その場合には、複数の磁気センサを一方向に並べたセンサアレイを用いて探傷対象面に沿った走査を行う構成とすることで、不連続部を含む探傷対象面に係る磁界の測定をさらに素早く行うことができるため、探傷対象面に係る磁界の測定をさらに効率よく行うことができる。
また、上記実施形態では、探傷対象面Sに係る磁界の分布を示す磁界分布情報として磁界分布図を作成して出力する構成について説明したが、磁界分布情報は磁界分布図に限定されない。すなわち、磁界の分布を示す情報の形式は特に限定されない。
また、上記実施形態では、磁界情報と位置情報とに基づいて不連続部を含む磁界の分布図を作成(S02)した後に、探傷対象面Sに係る形状情報に基づいて探傷対象面Sに係る磁界分布図の作成(S05)を行う場合について説明したが、不連続部を含む磁界の分布図の作成を行うことなく、磁界情報と、位置情報と、探傷対象面Sに係る形状情報とに基づいて、直接磁界分布情報(磁界分布図)を作成する構成としてもよい。すなわち、これらの情報に基づいて磁界分布情報を作成する場合の具体的な処理は適宜変更することができる。
1 漏洩磁束探傷装置
2 ステージ
3 磁気センサ
4 ドライバ
5 制御部
11 磁界情報取得部
12 位置情報取得部
13 形状情報格納部
14 分布図作成部
15 出力部
O 対象物
S 探傷対象面
2 ステージ
3 磁気センサ
4 ドライバ
5 制御部
11 磁界情報取得部
12 位置情報取得部
13 形状情報格納部
14 分布図作成部
15 出力部
O 対象物
S 探傷対象面
Claims (3)
- 対象物の探傷対象面近傍での磁界を測定することにより表層のきずを探傷する探傷方法であって、
不連続部を有する前記探傷対象面に沿って、当該不連続部に対して交差する方向に磁気センサを走査することにより、当該磁気センサの位置に係る位置情報と、当該位置情報により特定される位置において当該磁気センサにより測定された磁界に係る磁界情報と、を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記磁界情報及び前記位置情報に対して、前記探傷対象面の形状を示す形状情報を組み合わせることにより、前記探傷対象面における磁界の分布を示す磁界分布情報を作成する磁界分布情報作成ステップと、
を有する探傷方法。 - 前記磁界情報は、前記探傷対象面を磁化することにより、前記対象物の前記探傷対象面近傍での漏洩磁束により生じる磁界に係る情報であって、
前記磁気センサは、二軸検出型である請求項1に記載の探傷方法。 - 対象物の探傷対象面近傍での磁界を測定することにより表層のきずを探傷する探傷装置であって、
不連続部を有する前記探傷対象面に沿って、当該不連続部に対して交差する方向に走査して磁界を測定する磁気センサと、
前記磁気センサの位置に係る位置情報と、当該位置情報により特定される位置において前記磁気センサにより測定された磁界に係る磁界情報と、を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記磁界情報及び前記位置情報に対して、前記探傷対象面の形状を示す形状情報を組み合わせることにより、前記探傷対象面における磁界の分布を示す磁界分布情報を作成する磁界分布情報作成部と、
を有する探傷装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016139484A JP2018009893A (ja) | 2016-07-14 | 2016-07-14 | 探傷方法及び探傷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016139484A JP2018009893A (ja) | 2016-07-14 | 2016-07-14 | 探傷方法及び探傷装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2018009893A true JP2018009893A (ja) | 2018-01-18 |
Family
ID=60995444
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2016139484A Pending JP2018009893A (ja) | 2016-07-14 | 2016-07-14 | 探傷方法及び探傷装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2018009893A (ja) |
-
2016
- 2016-07-14 JP JP2016139484A patent/JP2018009893A/ja active Pending
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