JP2018009760A - 下敷シート - Google Patents

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真一 栗栖
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亮介 上村
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Abstract

【課題】 その表面に付着した水分又は油分を含む汚れを拭き取り易い下敷シートを提供する。【解決手段】 下敷シート1は、シート状の紙からなるベース層4と、ベース層4の一方面に形成された、第1の合成樹脂からなる第1の保護コート層5と、ベース層4の他方面に接着層6を介して積層されたアルミニウム層7と、アルミニウム層7の外方(ベース層4が存在する方向に対する反対方向)面に形成された、第2の合成樹脂からなる第2の保護コート層8とから構成されている。上記の下敷シート1の各構成要素はそれぞれ通常の使用に際しては分離不能に一体化されている。そして、第2の保護コート層8の表面の接触角は、90度以上である。このように構成することで、下敷シートの表面の撥水性が向上するため、下敷シートの表面についた汚れが拭き取り易くなる。【選択図】 図2

Description

この発明は下敷シートに関し、特に、ガスコンロ等の加熱調理機の下部に敷設される下敷シートに関するものである。
従来、ガスコンロ等の加熱調理機の下部に敷設される下敷シートが存在する。
特許文献1には、難燃紙と、難燃紙の一方面側に積層されるアルミニウム箔と、アルミニウム箔上に設けられる保護コート層と、難燃紙の他方面側に積層される蒸着アルミニウム層と、蒸着アルミニウム層の支持体となるポリエステルフィルムとを備える、従来の下敷シートが開示されている。
その考案の実施の形態によると、難燃紙とアルミニウム箔とは、ポリエチレンからなる接着層を介して接合されている。又、蒸着アルミニウム層はポリエステルフィルムの上に蒸着等によって形成され、蒸着アルミニウム層と難燃紙とは、ポリエチレンからなる接着層を介して接合されている。
又、この考案における保護コート層は、アルミニウム箔表面を保護するためのものであり、第1図に示されるように、その厚みはアルミニウム箔より薄いものであった。
次に、特許文献2には、表面にヘアライン加工が施されたアルミニウム箔製のヘアライン箔と、ヘアライン箔に積層状態で固着された難燃紙と、ヘアライン箔の表面を覆い、かつヘアライン加工によって形成された凹凸がその表面に反映する程度の厚さに施された透光性のオーバーコート層とを含む、従来の他の下敷シートが開示されている。
その考案の実施の形態によると、難燃紙とヘアライン箔とは、ポリエチレン樹脂によって接着されている。難燃紙の下面には、ポリエチレン層を介して、蒸着により形成されたアルミニウム層が積層されている。アルミニウム層の表面は、ポリエチレンテレフタレート(PET)層によってコーティングされている。
又、この考案におけるオーバーコート層は、特許文献1の考案における保護コート層と同様に、ヘアライン箔(アルミニウム箔)表面を保護するためのものであって、ヘアライン(平均粗さ1μm程度の細かい筋)の凹凸がその表面に反映する程度の厚さであり、第2図に示されるように、その厚みはヘアライン箔よりも薄いものであった。
これらの下敷シートは、特許文献2の第1図に示されるように、所定の大きさの略矩形シート状に成形され、ガスコンロ等の加熱調理機の下部に敷設して使用される。これによって、調理に伴って加熱調理機より飛び散った水分又は油分を含む調理カス等の汚れが加熱調理機下部のテーブル(ガス台)に到達するのを阻止することで、ガス台の汚れを防止する。
下敷シートを続けて使用することによりその表面には汚れが付着するが、仮にその状態で放置すると、汚れの腐敗による悪臭の発生や、腐食の発生等の問題が発生する。又、下敷シートの表面に抗菌加工等を施していた場合には、その効果を十分に発揮させるためには表面は汚れの付着していない状態に保つ必要がある。これらのため、下敷シートの表面に付着した汚れは日々速やかに拭き取ることが好ましい。
実公平6−46671号公報 実公平6−27409号公報
しかしながら、上記特許文献に開示された従来の下敷シートでは、その表面に位置する保護コート層(オーバーコート層)は単に表面保護の目的で形成されており、下敷シート表面の接触角が比較的低いPETや塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(塩酢ビ)系樹脂等からなるものであったため、汚れの拭き取り易さに対しては改善の余地が存在していた。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、その表面に付着した水分又は油分を含む汚れを拭き取り易い下敷シートを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、加熱調理器の下部に敷設される下敷シートであって、シート状の紙からなるベース層と、ベース層の一方面に形成された、第1の合成樹脂からなる第1の保護コート層と、ベース層の他方面に積層されたアルミニウム層と、アルミニウム層の外方面に形成された、第2の合成樹脂からなる第2の保護コート層とを備え、第2の保護コート層の表面の接触角は、90度以上であるものである。
このように構成すると、下敷シートの表面の撥水性が向上する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第2の保護コート層は、厚みが25μm以上40μm以下であるものである。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、第2の合成樹脂は、オレフィン系合成樹脂であるものである。
このように構成すると、素材特性として、接触角が高くなる。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、第2の保護コート層は、抗菌剤又は防虫剤の少なくともいずれか一方を含有するものである。
このように構成すると、下敷シートが抗菌機能又は防虫機能の少なくともいずれか一方を発揮する。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、下敷シートの表面の撥水性が向上するため、下敷シートの表面についた汚れが拭き取り易くなる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、汚れを複数回拭き取っても第2の保護コート層が剥がれる虞が減少すると共に、折り曲げが容易となる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、素材特性として、接触角が高くなるため、下敷シートの表面に特殊な加工を施さなくとも接触角を高くすることができ、設計が容易となる。又、耐薬品性が高くなる。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、下敷シートが抗菌機能又は防虫機能の少なくともいずれか一方を発揮するため、清潔性の維持が容易となる。
この発明の実施の形態による下敷シートの全体形状を示す平面図である。 図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。 折り曲げ試験において下敷シートの折り曲げた箇所の表面を拡大観察したものであって、(イ)は実施例1の折り曲げる前の状態を、(ロ)は実施例1の折り曲げた後の状態を、(ハ)は比較例1の折り曲げる前の状態を、(ニ)は比較例1の折り曲げた後の状態を示すものである。
図1はこの発明の実施の形態による下敷シートの全体形状を示す平面図である。
図を参照して、下敷シート1は、例えば縦50cm、横70cmの略矩形シート状に形成され、図示しないガスコンロ等の加熱調理機の下部に敷設して使用される。従来の下敷シートと同様、調理に伴って加熱調理機より飛び散った水分又は油分を含む汚れが加熱調理機下部のガス台に到達するのを阻止することで、ガス台の汚れを防止する。
又、下敷シート1の表側(一方面)から裏側(他方面)(以下、説明の便宜上、載置面側を裏側、その逆側を表側として説明する。)にかけて、プレス成型により、折り曲げ用の罫線2が所定位置において平面視縦方向及び横方向に複数形成されている。下敷シート1は、罫線2が形成されている部分を除き、平坦である平坦部3からなる。このように構成することで、縦方向に延びる罫線(縦罫線)又は横方向に延びる罫線(横罫線)に沿って下敷シートを折り曲げ易くなるため、幾度も折り曲げてコンパクトに収納することが容易となり、下敷シートの流通に都合が良い。又、下敷シートの使用時には、設置場所に沿った形状に変形することが容易となると共に、折り曲げた箇所が元の形状に戻るのを罫線が防止するため、設置状態における保形性が向上する。例えば横方向長さが70cmよりも短いガス台において使用する場合であれば、下敷シートの横方向端部周辺に形成された縦罫線に沿って下敷シートの端部を内側に折り曲げ、当該端部が上方に立ち上がるようにして設置することができる。
次に、図2は図1で示したII−IIラインの拡大断面図である。
図を参照して、下敷シート1は、シート状の紙からなるベース層4と、ベース層4の一方面に形成された、第1の合成樹脂からなる第1の保護コート層5と、ベース層4の他方面に接着層6を介して積層されたアルミニウム層7と、アルミニウム層7の外方(ベース層4が存在する方向に対する反対方向)面に形成された、第2の合成樹脂からなる第2の保護コート層8とから構成されている。上記の下敷シート1の各構成要素はそれぞれ、後述する下敷シート1の製造方法によって、一体化されている。又、下敷シート1にはその表面に罫線2が形成されている。
ここで、本実施の形態に係るベース層は、下敷シートの形状の基礎となる部分であり、折り曲げし易さと折り曲げた状態における保形性とを両立させる観点から、ベース層を構成する紙は下敷シートの平坦部における平均坪量が120g/m以上240g/m以下であることが好ましい。
又、上述した紙は、公知の紙を用いることが可能であるが、加熱調理機下部に敷設して使用する際の安全性確保の観点から、難燃紙であることが好ましく、不燃紙であることが更に好ましい。紙の種類は特に限定されないが、所望の用途に応じて、純白ロール紙、クラフト紙、パーチメント紙、アイボリー紙、マニラ紙、カード紙、カップ紙、グラシン紙等を用いることができる。又、カレンダー加工等の平滑化処理を施しても良い。
次に、本実施の形態に係る第1の保護コート層は、最も裏側に位置し、第1の合成樹脂からなり、上述したベース層の一方面が傷ついたり水分又は油分がベース層に浸透したりすることを防止して保護すると共にツヤ出し等により美観を向上させる。折り曲げ易さ、柔軟性、耐久性等を確保する観点から、厚み(下敷シートの平坦部における平均厚み)が2μm以上22μm以下であることが好ましい。
又、第1の保護コート層は、フィルム状に形成した第1の合成樹脂をラミネート加工等の公知の手段によりベース層の一方面に貼り合わせることで構成しても良いし、第1の合成樹脂をベース層の一方面にコーティングにより定着させることで構成しても良い。
又、上述した第1の合成樹脂は、公知の合成樹脂を用いることが可能であるが、上述した第1の保護コート層の厚みの数値範囲程度の薄膜に形成した時の耐久性、折り曲げし易さ、防水性、低コスト性等を確保したものが好ましく、例えばPET、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、塩酢ビ系樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、フッ素樹脂(PTFE)、アクリル(メタクリル)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリカーボネイト、シリコン樹脂等の合成樹脂が挙げられる。
次に、本実施の形態に係るアルミニウム層は、アルミニウムからなり、防湿性、ガスバリア性、耐熱性、保形性等を確保すると共にメタリックな光沢性により美観を向上させる。下敷シートの使用の目的の達成には、アルミニウム層の果たす上記の機能が最も重要となる。そして、耐久性や保形性の確保と加工のし易さを確保する観点から、厚み(下敷シートの平坦部における平均厚み)が6μm〜12μmであることが好ましい。
尚、本実施の形態においては、アルミニウム箔からなるアルミニウム層7と紙からなるベース層4とが、厚み15μm程度の接着層6を介して一般的なラミネート加工により積層されているが、他の接着手段を用いても良いし、接着層を介することなく蒸着等によりアルミニウムを積層しても良い。
又、上述したアルミニウム箔は、焼きなまし等の安定化処理を行ったものでも良いし、行っていないものでも良い。
次に、本実施の形態に係る第2の保護コート層は、第2の合成樹脂からなり、アルミニウム層のしわや破れ等の傷の発生を防止する。ここで、下敷シートは、その表面に付着した汚れを拭き取り易い方が好ましいが、それには下敷シートの最も表側に位置する第2の保護コート層の表面の撥水性、ひいては接触角が顕著に影響する。接触角は、液体の固体表面への濡れ易さの指標の一つであり、接触角が大きいほど撥水性が高いことを示す。ここで接触角とは、下敷シートの平坦部における第2の保護コート層の表面において、純水を用いて接触角計(株式会社ニック製、型番:LSE−ME3)により例えば10点測定し算術平均を取った接触角を言う。
そのため、第2の保護コート層の表面の接触角は、90度以上であることが好ましく、100度以上であることが更に好ましい。このように構成することで、下敷シートの表面の撥水性が向上するため、下敷シートの表面についた汚れが拭き取り易くなる。又、下敷シートの表面の撥水性が高すぎると、加熱調理機から飛び散り下敷シートの表面に落ちてきた汚れが、下敷シートの表面ではじかれてガス台又は床面に落ちてしまう虞があるため、170度以下であることが好ましく、150度以下であることが更に好ましい。
尚、第2の保護コート層には接触角を高める表面処理が施されても良い。例えば、リソグラフィー法を用いた表面凹凸付与による人工的な撥水表面構造の形成処理、ワックス等の撥水剤の表面塗布等が挙げられる。
又、下敷シートの使用に際しては、ウエスや布巾で下敷シートの表面の汚れを拭き取るため、幾度も汚れを拭き取っていると、第2の保護コート層の厚みが薄すぎる場合にはいずれ第2の保護コート層が剥がれてしまう。
そのため、第2の保護コート層は、厚み(下敷シートの平坦部における平均厚み)が25μm以上であることが好ましい。
又、第2の保護コート層は、後述するように第2の合成樹脂からなるフィルムを用いて構成する場合があるため、合成樹脂をフィルム状に成形することを容易とする観点から、28μm以上であることが更に好ましい。
更に、折り曲げし易さやコスト面の観点から、40μm以下であることが好ましく、35μm以下であることが更に好ましい。
即ち、厚みを上記数値範囲に構成することで、汚れを複数回拭き取っても第2の保護コート層が剥がれる虞が減少すると共に、折り曲げが容易となる。
更に、このように構成することで、第2の保護コート層は所定の厚みを有する合成樹脂からなることから、第2の保護コート層の引張力が高くなるため、下敷シートを折り曲げたときに表面が破れる虞が減少すると共に、折り曲げが容易となる。即ち、下敷シートを罫線に沿って(あるいは平坦部において)上述したように設置や収納の際に折り曲げた時、折り曲げた部分の表面に破れが発生してアルミニウム層の腐食や汚れの下敷シート内方への浸透等が発生する虞が減少する。具体的には、第2の保護コート層の厚みを上記数値範囲内に構成することで、アルミニウム層が破れる程度に下敷シートを伸ばして(折り曲げて)も、第2の保護コート層は破れることを防止する。
尚、第2の保護コート層は、フィルム状に形成した第2の合成樹脂をラミネート加工等の公知の手段によりアルミニウム層の外方面に貼り合わせることで構成しても良いし、第2の合成樹脂をアルミニウム層の外方面にコーティングにより定着させることで構成しても良い。
次に、上述した第2の合成樹脂は、公知の合成樹脂を用いることが可能であり、上述した第1の合成樹脂と素材的に同一の合成樹脂でも良い。そして、第2の合成樹脂は、接触角が高い合成樹脂であることが好ましい。例えば、PE、PP、ポリメチルペンテン、PTFE、シリコン樹脂、PS等の合成樹脂が挙げられる。又、オレフィン系合成樹脂(PE、PP、ポリメチルペンテン等)であることが更に好ましい。このように構成することで、素材特性として接触角が高くなるため、下敷シート(第2の保護コート層)の表面に特殊な加工を施さなくとも接触角を高くすることができ、設計が容易となる。更に、伸び性が高くなるため上述したような折り曲げた時に表面が破れる虞が減少する。更に、フィルム状に形成し易くなる。
ここで、下敷シートの表面に付着した汚れを拭き取る際には、ウエスや布巾に洗剤等を用いることも多い。そのため、下敷シート内方に洗剤や汚れが浸透して劣化するのを防ぐ目的から、第2の保護コート層、ひいてはそれを構成する第2の合成樹脂は、洗剤等に対する耐性(耐薬品性)を備えていることが好ましい。この点において、第2の合成樹脂がオレフィン系合成樹脂であれば、耐薬品性が高くなるため、使用勝手が向上する。
又、第2の保護コート層は、抗菌剤又は防虫剤の少なくともいずれか一方を含有することが好ましく、抗菌剤及び防虫剤の両方を含有することが更に好ましい。このように構成することで、下敷シートが抗菌機能又は防虫機能の少なくともいずれか一方を発揮するため、清潔性の維持が容易となる。
又、上述した抗菌剤は、細菌(大腸菌、黄色ブドウ球菌等)の増殖を抑制する機能性物質であり、公知の無機抗菌剤、有機抗菌剤等を用いることができる。
更に、上述した防虫剤は、害虫が近寄ることを防止する機能性物質であり、公知の防虫剤を用いることが可能であり、例えばピレスロイド系防虫剤が挙げられる。
抗菌剤又は防虫剤を第2の保護コート層に含有させる手段としては、第2の保護コート層の表面に付与することで構成しても良いが、上述したように下敷シートの使用に際して拭き取りを複数回行い得るため、第2の保護コート層を構成する第2の合成樹脂に練り込むことで構成することが好ましい。
次に、本実施の形態に係る罫線は、上述したように折り曲げる時の折り目として機能するものであれば良く、例えば図2の罫線2として示されるように折り曲げ側に凹となる断面形状の溝等が挙げられる。又、本実施の形態において罫線2は縦方向及び横方向の特定位置に形成されているが、他の位置に形成しても良いし、斜め方向に延びるように形成しても良い。
次に、本実施の形態に係る下敷シートは、以上説明した各構成要素を積層形成して構成される。例えば、アルミニウム層としてのアルミニウム箔とベース層としての紙と第2の保護コート層としてのPEフィルム(抗菌剤及び防虫剤を含有したもの)とを準備する工程と、アルミニウム箔と紙とをPEを用いてラミネート加工する工程と、紙のアルミニウム箔側とは反対方向の面にPEをコーティングする工程と、アルミニウム箔の紙側とは反対方向の面にPEフィルムをドライラミネート加工する工程とを経て、本実施の形態に係る下敷シートが、各構成要素が一体化されるように安定的に構成される。
尚、本実施の形態においては、下敷シートが図1に示したような特定の全体形状であったが、下敷シートの角から斜め方向に罫線を形成したり、あるいは下敷シートの横方向両端部から横方向に対向して延びる切込みを形成したりすることで、加熱調理機の底面と加熱調理機の右側面及び左側面の少なくとも一面と加熱調理機の背面とを囲う形状に組み立てることができるように構成しても良い。
又、本実施の形態においては、下敷シートが特定の構造からなるものであったが、ベース層と第1の保護コート層との間、ベース層とアルミニウム層との間、又はアルミニウム層と第2の保護コート層との間において、他の物質からなる層を積層させても良い。例えば、印刷層や接着層や蒸着アルミ層等が挙げられる。
更に、本実施の形態においては、下敷シートの特定の面が形成されている方向を表側として使用していたが、逆方向を表側として使用しても良い。
以下、実施例に基づいて本発明について具体的に説明する。尚、本実施の形態は実施例に限定されるものではない。
I.試験に用いた下敷シートの構成
実施例1及び比較例1として2種の下敷シートを構成した。
実施例1は、最も表側の表面に第2の保護コート層が位置し、第2の保護コート層として抗菌剤及び防虫剤を含有した厚み30μmのPEフィルムと、アルミニウム層として厚み7μmのアルミニウム箔と、接着層として厚み15μmのPEを介してベース層として坪量170g/mの紙と、第1の保護コート層として厚み20μmのPEからなるコーティングとから構成されたものである。
作製にあたっては、アルミニウム箔と紙と抗菌剤及び防虫剤を含有したPEフィルムとを準備し、アルミニウム箔と紙とを接着剤としてのPEを用いてラミネート加工することで、紙のアルミニウム箔側とは反対方向の面にPEをコーティングし、アルミニウム箔の紙側とは反対方向の面にPEフィルムをドライラミネート加工することで、実施例1の下敷シートを構成した。
比較例1は、最も表側の表面にオーバープリントコート層が位置し、オーバープリントコート層として厚み2μmの塩酢ビ系樹脂からなるコーティングと、アルミニウム層として厚み7μmのアルミニウム箔と、接着層として厚み15μmのPEを介してベース層として坪量170g/mの紙と、第1の保護コート層として厚み20μmのPEからなるコーティングとから構成されたものである。
作製にあたっては、アルミニウム箔と紙とPEフィルム(抗菌剤及び防虫剤を含有しないもの)とを準備し、アルミニウム箔の一方面に塩酢ビ系樹脂を用いてオーバープリントコートを施し、アルミニウム箔の他方面と紙とをPEを用いてラミネート加工し、紙のアルミニウム箔側とは反対方向の面にPEをコーティングし、アルミニウム箔の紙側とは反対方向の面にPEフィルムをドライラミネート加工することで、比較例1の下敷シートを構成した。
尚、これらの下敷シートは、図1に示したように、いずれも全体形状を打ち抜き加工により略矩形シート状に成型し、その表面に縦方向及び横方向に延びる罫線を上方からのプレス加工により形成した。
以上の2種の下敷シートを用いて、それぞれにおける接触角の測定試験及び拭き取り易さの官能試験を行った。
II.試験の詳細及び結果
(1)接触角の測定試験
操作a:水平面に実施例1及び比較例1の下敷シートを各々の第1の保護コート層が載置面となるように載置し、純水2μLを各下敷シートの平坦部に滴下した後、温度20±5度及び湿度50±10%の雰囲気下で30分放置した。
操作b:上記操作aにより形状が安定化した純水に対して、接触角計としてぬれ性評価装置(株式会社ニック製、型番:LSE−ME3)を用いて接触角を測定した。
操作c:上記操作a、bを各下敷シートの平坦部における異なる位置の計10点において行い、測定された接触角の算術平均値を算出した。
結果は以下の表1に示す通りであった。
表を参照して、実施例1は、比較例1に対して、接触角が有意に高い数値を示すことが確認された。
(2)拭き取り易さの官能試験
操作a:水平面に実施例1及び比較例1の下敷シートを各々の第1の保護コート層が載置面となるように載置し、市販のしょうゆ(キッコーマン株式会社製、商品名:キッコーマンしょうゆ)10mLを各下敷シートの平坦部の最も表側の表面の30cm×30cm四方のサイズに市販のハケを用いて塗り、温度20±5度及び湿度50±10%の雰囲気下で12時間放置した。このようにして、しょうゆが塗布された下敷シートを実施例1及び比較例1それぞれ各5サンプル用意した。
操作b:モニター5人を準備し、各モニターは実施例1及び比較例1の各下敷シートを1サンプルずつ担当し、上記操作aにより自然乾燥したしょうゆに対して、市販のティッシュ2枚を重ねて用いて、各モニターが各サンプルを上下に2往復させて下敷シートの表面を拭き取り、各モニターの目視により、しょうゆが残留しているか否かを判断した。
結果は以下の表2に示す通りであった。
表を参照して、各モニターが拭き取り前後でしょうゆを大幅に除去できたと判断したものを○と、拭き取り前後でしょうゆをあまり除去できていないと判断したものを×と評価した。
これにより、実施例1は比較例1よりも顕著に拭き取り易さの効果を奏することが確認された。これは、上述したように実施例1の接触角が比較例1よりも有意に高いことが顕著に影響したためと考えられる。
以上の試験(1)及び試験(2)の結果から、下敷シートの最も表側の表面に位置する第2の保護コート層においてポリエチレンを用いた実施例1では、下敷シートの最も表側の表面に位置するオーバープリントコート層において塩酢ビ系樹脂を用いた比較例1よりも、有意に接触角が高くなると共に顕著に拭き取り易さの効果を奏することが確認された。
(3)罫線形成箇所における折り曲げ試験
操作a:1本の罫線に沿って、各下敷シートを山折りした後谷折りした。山折り、谷折りとは、いずれも人の手により行い、目視により表側面と表側面(あるいは裏側面と裏側面)が接する状態としたものである。尚、本明細書において、操作aを「折り曲げ」と称する。
操作b:各下敷シートを平坦状態に戻し、上記操作aにより折り曲げた箇所にアルミニウム層の破れが生じているか否かを拡大鏡を用いて上方から観察した。
操作c:上記操作a、bを1回として、3回反復した。
結果は以下の表3に示す通りであった。
表を参照して、折り曲げた箇所に全くアルミニウム層の破れが観察されなかった場合を○、折り曲げた箇所の少なくとも一部にアルミニウム層の破れが観察された場合を×と評価した。
更に、折り曲げた箇所について詳細に説明する。
図3は折り曲げ試験において下敷シートの折り曲げた箇所の表面を拡大観察したものであって、(イ)は実施例1の折り曲げる前の状態を、(ロ)は実施例1の折り曲げた後の状態を、(ハ)は比較例1の折り曲げる前の状態を、(ニ)は比較例1の折り曲げた後の状態を示すものである。
まず(イ)と(ロ)を参照して、実施例1にあっては、折り曲げた箇所にアルミニウム層の破れは全く観察されなかった。
次に(ハ)と(ニ)を参照して、比較例1にあっては、(ニ)の矢印が示すように、折り曲げた箇所にアルミニウム層の破れが観察された部分が存在した。
これにより、罫線形成箇所において、実施例1では比較例1よりも折り曲げに伴う破れが生じ難いことが確認された。
(4)平坦部における折り曲げ試験
操作a:罫線の形成されていない平坦部において、各下敷シートを山折りした後谷折りした。
操作b:各下敷シートを平坦状態に戻し、上記操作aにより折り曲げた箇所にアルミニウム層の破れが生じているか否かを拡大鏡を用いて上方から観察した。
操作c:上記操作a、bを1回として、計3回反復した。
結果は以下の表4に示す通りであった。
表を参照して、試験結果の評価方法は上述した(3)の試験の場合と同様である。
結果についても上述した(3)の場合と同様に、実施例1にあっては、折り曲げた箇所にアルミニウム層の破れは全く観察されなかったのに対し、比較例1にあっては、折り曲げた箇所にアルミニウム層の破れが観察された部分が存在した。
以上の試験(3)及び試験(4)の結果から、罫線形成箇所及び平坦部のいずれにおいても、実施例1では比較例1よりも折り曲げに伴う破れが生じ難いことが確認された。これは、実施例1の下敷シートの最も表側の表面に位置する第2の保護コート層がPEからなると共にその第2の保護コート層の厚みが30μmであることが顕著に影響したためと考えられる。
1…下敷シート
2…罫線
4…ベース層
5…第1の保護コート層
7…アルミニウム層
8…第2の保護コート層
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (4)

  1. 加熱調理器の下部に敷設される下敷シートであって、
    シート状の紙からなるベース層と、
    前記ベース層の一方面に形成された、第1の合成樹脂からなる第1の保護コート層と、
    前記ベース層の他方面に積層されたアルミニウム層と、
    前記アルミニウム層の外方面に形成された、第2の合成樹脂からなる第2の保護コート層とを備え、
    前記第2の保護コート層の表面の接触角は、90度以上である、下敷シート。
  2. 前記第2の保護コート層は、厚みが25μm以上40μm以下である、請求項1記載の下敷シート。
  3. 前記第2の合成樹脂は、オレフィン系合成樹脂である、請求項1又は請求項2記載の下敷シート。
  4. 前記第2の保護コート層は、抗菌剤又は防虫剤の少なくともいずれか一方を含有する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の下敷シート。
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