JP2018009395A - 堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラム - Google Patents

堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP2018009395A
JP2018009395A JP2016139906A JP2016139906A JP2018009395A JP 2018009395 A JP2018009395 A JP 2018009395A JP 2016139906 A JP2016139906 A JP 2016139906A JP 2016139906 A JP2016139906 A JP 2016139906A JP 2018009395 A JP2018009395 A JP 2018009395A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
difference
height direction
levee
sliding surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016139906A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6693825B2 (ja
Inventor
智哉 高木
Tomoya Takagi
智哉 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu FIP Corp
Original Assignee
Fujitsu FIP Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu FIP Corp filed Critical Fujitsu FIP Corp
Priority to JP2016139906A priority Critical patent/JP6693825B2/ja
Publication of JP2018009395A publication Critical patent/JP2018009395A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6693825B2 publication Critical patent/JP6693825B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Abstract

【課題】水の境界線が折り返しを含む場合でも、安全率が過少に評価されることを防ぎ、高速に安全率を導出可能な、堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムを提供する。【解決手段】遮水体15の下方に、堤体11の水12が貯留された側とは反対の方向に下側浸潤線16が延在し、堤体11に対してすべり面17が設定されている場合は上側差分h1C1、h1D1を基にすべり面17における水圧を計算し、かつ、すべり面17が下側浸潤線16より下方に位置する場合は遮水体15の表面15aと下側浸潤線16との高さ方向の差分を、すべり面17が下側浸潤線16より上方に位置する場合は、遮水体15の前記表面15aとすべり面17との高さ方向の差分を、それぞれ、水位面13とすべり面17との高さ方向の差分から除外して計算し、水圧を基に安全率を計算する制御部を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムに関するものである。
周知のように、道路や堤防、ダムの建設等においては、切土や盛土によって、人工的な斜面が形成されている。斜面が容易に崩壊しないようにするために、斜面の施工時に、斜面の安定性を表す指標である安全率を計算して設計を評価する、斜面安定計算が、広く行われている。
斜面の崩壊は、通常、地表下に生じた物質間の境界面であるすべり面に沿って、すべり面より上に位置する土砂等がすべることにより発生する。斜面安定計算においては、斜面に対してすべり面を想定し、斜面とすべり面間の平均間隙水圧を入力パラメータとして、公知のフェレニウス式等に適用することにより、安全率が導出される。平均間隙水圧が高いほど安全率が低く、すなわち、安定性が低く崩壊しやすいという結果が得られる傾向にある。
ここで、特に堤防等の堤体においては、堤体の一方の側の斜面に水が貯留される場合があるため、通常の斜面安定計算とは異なり、平均間隙水圧に、斜面上に貯留された水によって生じる水圧を加えたものを水圧として使用して、安全率が導出される。非特許文献1は、上記のような、斜面に水が貯留される場合の斜面安定計算が可能なシステムの操作ガイドである。本操作ガイドにより使用方法が説明されている斜面安定計算システムにおいては、以下のような方針で水圧が計算されている。
図8(a)は、互いに反対の方向に向く2つの斜面101a、101bを備える堤体101を模した評価モデル100の、鉛直方向の断面図である。本図は、洪水等により増水した場合を想定したものであり、堤体101の一方の側の斜面101aには、水面103として表されるように、水が貯留されている。水は、堤体101の内部にまで浸潤しており、浸潤している部分と浸潤していない部分との境界が、浸潤線104として表されている。斜面101aには、1つのすべり面105が想定されて設けられている。
このような、図8(a)に示される例において、斜面101aが水面103の下に位置している水面103上の地点PS11に関しては、地点PS11の鉛直下方に位置する、すべり面105上の地点QS11における水圧は、水面103上の地点PS11の高さ位置とすべり面105上の地点QS11の高さ位置との、高さ方向の差分hS11を基に計算される。また、浸潤線104上に位置している地点PS12に関しては、地点PS12の鉛直下方に位置する、すべり面105上の地点QS12における水圧は、浸潤線104上の地点PS12の高さ位置とすべり面105上の地点QS12の高さ位置との、高さ方向の差分hS12を基に計算される。
水圧の計算を行う他の方法として、浸透流解析を行うことが挙げられる。浸透流解析は、堤体のモデルに対して、堤体の内部における水の流れを有限要素法等によりシミュレートすることで、堤体内の各地点における水の流速や水圧を導出する手法である。本手法によれば、正確な水圧値が導出可能である。
堤体が崩壊する危険性を低減するために、堤体の斜面に、完全に遮水が可能な素材が敷設される場合がある。図8(b)は、水が貯留された側の斜面111aに遮水体116が敷設された堤体111の評価モデル110の断面図である。遮水体116は、例えば遮水シートである。遮水体116の敷設に伴い、浸潤線114は、遮水体116の下端から、堤体111の水が貯留された側とは反対側の方向へ伸びるような形状を備えている。これにより、水面103、遮水体116、及び浸潤線114によって形成された、連続した水の境界線は、水面103が遮水体116によって一旦折り返されて浸潤線114へ続くような、折り返しを含んだ形状を備えている。
このような、境界線が折り返しを含んだ形状である場合に、非特許文献1のような方法で、例えば図8(b)の水面103上の地点PS2に関して、地点PS2の鉛直下方に位置する、すべり面105上の地点QS2における水圧を計算する場合においては、水面103上の地点PS2の高さ位置とすべり面105上の地点QS2の高さ位置との、高さ方向の差分hS2を基に、水圧が計算される。しかし、遮水体116の下には、水が浸潤していない部分が存在し、この部分の高さも差分hS2に入っているため、実際の値よりは高い水圧値が計算され、結果として、過剰に低い安全率が導出される。
他方、浸透流解析により水圧を計算すると、図8(b)のような場合においても正確な水圧値を計算可能ではあるが、上記のように浸透流解析では有限要素法等の多くの計算時間を要する方法により水圧が導出されるため、水圧の計算に多大な時間がかかる。特に、堤体の設計の初期段階のような、様々なモデルに対して安全率を何度も導出し、試行錯誤を行うような場合においては、浸透流解析を使用すると設計期間が多く必要となる。
本発明が解決しようとする課題は、水の境界線が折り返しを含む場合でも、安全率が過少に評価されることを防ぎ、高速に安全率を導出可能な、堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムを提供することである。
本発明は、表面が傾斜する遮水体が設けられた、水を堰き止める堤体における斜面安定計算装置であって、前記遮水体の下方に、前記堤体の水が貯留された側とは反対の方向に下側浸潤線が延在し、前記堤体に対してすべり面が設定されている場合に、前記堤体の水が貯留された側における水の水位面と、該水位面より下方に位置する前記遮水体の前記表面との高さ方向の差分である上側差分を基に、前記すべり面における水圧を計算し、かつ、この際、前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記下側浸潤線との高さ方向の差分を、前記すべり面が前記下側浸潤線より上方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記すべり面との高さ方向の差分を、それぞれ、前記水位面と前記すべり面との高さ方向の差分から除外して計算し、該水圧を基に安全率を計算する制御部を備える、堤体の斜面安定計算装置を提供する。
ここで、高さ方向の差分とは、鉛直方向に間隔を置いて位置する2つの地点のうち、高い位置に在る地点の高さ位置から、低い位置に在る地点の高さ位置を引いた結果の値を意味する。
上記のような構成によれば、堤体の斜面安定計算装置の制御部は、堤体の水が貯留された側における水の水位面、遮水体の傾斜した表面、下側浸潤線によって形成された、連続した水の境界線が、水位面が遮水体によって一旦折り返されて下側浸潤線へ続くような、折り返しを含む形状である場合において、安全率の計算において参照されるすべり面における水圧を、堤体の水が貯留された側における水の水位面と、水位面より下方に位置する遮水体の傾斜した表面との高さ方向の差分である上側差分を基にして、計算する。この際、すべり面が下側浸潤線より下方に位置する場合には、遮水体の表面と下側浸潤線との高さ方向の差分を、すべり面が下側浸潤線より上方に位置する場合には、遮水体の表面とすべり面との高さ方向の差分を、それぞれ、水位面とすべり面との高さ方向の差分から除外して計算する。これらの、除外して計算される各々の差分は、各々の場合における、貯留された水が浸潤しない領域に相当するものであるため、これらの値を水位面とすべり面との高さ方向の差分から除外することにより、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
また、浸透流解析を使用せずとも、安全率が過小に評価されることを防ぐ程度に適切な水圧値を導出可能となるため、安全率を高速に導出可能である。これにより、例えば堤体の設計の初期段階等の、様々なモデルに対して安全率を何度も導出したいような場合において、設計期間を短縮可能となる。
本発明の一態様においては、前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合に、前記制御部は、前記下側浸潤線と前記すべり面との高さ方向の差分である下側差分と、前記上側差分の和を基に、前記すべり面における前記水圧を計算する。
上記のような構成によれば、すべり面が下側浸潤線より下方に位置する場合に、下側浸潤線とすべり面との高さ方向の差分である下側差分と、上側差分の和を基に、遮水体の表面と下側浸潤線との高さ方向の差分を、水位面とすべり面との高さ方向の差分から除外して、すべり面における水圧を計算する。すなわち、すべり面が下側浸潤線より下方に位置する場合においても、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
本発明の一態様においては、前記遮水体は、前記表面が前記堤体の斜面の表層近傍に、前記斜面に沿って設けられ、前記水位面は貯留された水の水面である。
上記のような構成によれば、遮水体は、傾斜した表面が堤体の斜面の表層近傍に、斜面に沿って設けられ、水位面は貯留された水の水面である場合においても、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
本発明の一態様においては、前記遮水体は、遮水シートである。
上記のような構成によれば、遮水体は、遮水シートである場合においても、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
本発明の一態様においては、前記遮水体は前記堤体内に埋設され、前記水位面は、貯留された水の水面と、該水面から前記堤体内側の前記遮水体の前記表面まで連続する上側浸潤線を備えている。
上記のような構成によれば、遮水体は堤体内に埋設され、水位面は、貯留された水の水面と、水面から堤体内側の遮水体の傾斜した表面まで連続する上側浸潤線を備えている場合においても、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
本発明の一態様においては、前記堤体はフィルダムであり、前記遮水体はフィルダムのコアである。
上記のような構成によれば、堤体はフィルダムであり、遮水体はフィルダムのコアである場合においても、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
本発明の一態様においては、前記堤体はため池堤体であり、前記遮水体は遮水層である。
上記のような構成によれば、堤体はため池堤体であり、遮水体は遮水層である場合においても、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
また、本発明は、表面が傾斜する遮水体が設けられた、水を堰き止める堤体における斜面安定計算方法であって、前記遮水体の下方に、前記堤体の水が貯留された側とは反対の方向に下側浸潤線が延在し、前記堤体に対してすべり面が設定されている場合に、前記堤体の水が貯留された側における水の水位面と、該水位面より下方に位置する前記遮水体の前記表面との高さ方向の差分である上側差分を基に、前記すべり面における水圧を計算し、かつ、この際、前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記下側浸潤線との高さ方向の差分を、前記すべり面が前記下側浸潤線より上方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記すべり面との高さ方向の差分を、それぞれ、前記水位面と前記すべり面との高さ方向の差分から除外して計算し、該水圧を基に安全率を計算する、堤体の斜面安定計算方法を提供する。
上記のような構成によれば、堤体の斜面安定計算装置の制御部は、堤体の水が貯留された側における水の水位面、遮水体の傾斜した表面、下側浸潤線によって形成された、連続した水の境界線が、水位面が遮水体によって一旦折り返されて下側浸潤線へ続くような、折り返しを含む形状である場合において、安全率の計算において参照されるすべり面における水圧を、堤体の水が貯留された側における水の水位面と、水位面より下方に位置する遮水体の傾斜した表面との高さ方向の差分である上側差分を基にして、計算する。この際、すべり面が下側浸潤線より下方に位置する場合には、遮水体の表面と下側浸潤線との高さ方向の差分を、すべり面が下側浸潤線より上方に位置する場合には、遮水体の表面とすべり面との高さ方向の差分を、それぞれ、水位面とすべり面との高さ方向の差分から除外して計算する。これらの、除外して計算される各々の差分は、各々の場合における、貯留された水が浸潤しない領域に相当するものであるため、これらの値を水位面とすべり面との高さ方向の差分から除外することにより、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
また、浸透流解析を使用せずとも、安全率が過小に評価されることを防ぐ程度に適切な水圧値を導出可能となるため、安全率を高速に導出可能である。これにより、例えば堤体の設計の初期段階等の、様々なモデルに対して安全率を何度も導出したいような場合において、設計期間を短縮可能となる。
本発明の一態様においては、堤体の斜面安定計算方法は、前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合に、前記下側浸潤線と前記すべり面との高さ方向の差分である下側差分と、前記上側差分の和を基に、前記すべり面における前記水圧を計算する。
上記のような構成によれば、すべり面が下側浸潤線より下方に位置する場合に、下側浸潤線とすべり面との高さ方向の差分である下側差分と、上側差分の和を基に、遮水体の表面と下側浸潤線との高さ方向の差分を、水位面とすべり面との高さ方向の差分から除外して、すべり面における水圧を計算する。すなわち、すべり面が下側浸潤線より下方に位置する場合においても、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
また、本発明は、表面が傾斜する遮水体が設けられた、水を堰き止める堤体における斜面安定計算プログラムであって、前記遮水体の下方に、前記堤体の水が貯留された側とは反対の方向に下側浸潤線が延在し、前記堤体に対してすべり面が設定されている場合に、前記堤体の水が貯留された側における水の水位面と、該水位面より下方に位置する前記遮水体の前記表面との高さ方向の差分である上側差分を基に、前記すべり面における水圧を計算し、かつ、この際、前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記下側浸潤線との高さ方向の差分を、前記すべり面が前記下側浸潤線より上方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記すべり面との高さ方向の差分を、それぞれ、前記水位面と前記すべり面との高さ方向の差分から除外して計算し、該水圧を基に安全率を計算する、堤体の斜面安定計算プログラムを提供する。
上記のような構成によれば、堤体の斜面安定計算装置の制御部は、堤体の水が貯留された側における水の水位面、遮水体の傾斜した表面、下側浸潤線によって形成された、連続した水の境界線が、水位面が遮水体によって一旦折り返されて下側浸潤線へ続くような、折り返しを含む形状である場合において、安全率の計算において参照されるすべり面における水圧を、堤体の水が貯留された側における水の水位面と、水位面より下方に位置する遮水体の傾斜した表面との高さ方向の差分である上側差分を基にして、計算する。この際、すべり面が下側浸潤線より下方に位置する場合には、遮水体の表面と下側浸潤線との高さ方向の差分を、すべり面が下側浸潤線より上方に位置する場合には、遮水体の表面とすべり面との高さ方向の差分を、それぞれ、水位面とすべり面との高さ方向の差分から除外して計算する。これらの、除外して計算される各々の差分は、各々の場合における、貯留された水が浸潤しない領域に相当するものであるため、これらの値を水位面とすべり面との高さ方向の差分から除外することにより、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
また、浸透流解析を使用せずとも、安全率が過小に評価されることを防ぐ程度に適切な水圧値を導出可能となるため、安全率を高速に導出可能である。これにより、例えば堤体の設計の初期段階等の、様々なモデルに対して安全率を何度も導出したいような場合において、設計期間を短縮可能となる。
本発明の一態様においては、堤体の斜面安定計算プログラムは、前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合に、前記下側浸潤線と前記すべり面との高さ方向の差分である下側差分と、前記上側差分の和を基に、前記すべり面における前記水圧を計算する。
上記のような構成によれば、すべり面が下側浸潤線より下方に位置する場合に、下側浸潤線とすべり面との高さ方向の差分である下側差分と、上側差分の和を基に、遮水体の表面と下側浸潤線との高さ方向の差分を、水位面とすべり面との高さ方向の差分から除外して、すべり面における水圧を計算する。すなわち、すべり面が下側浸潤線より下方に位置する場合においても、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
本発明によれば、水の境界線が折り返しを含む場合でも、安全率が過少に評価されることを防ぎ、高速に安全率を導出可能な、堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムを、提供することが可能となる。
本発明の実施形態として示した堤体の斜面安定計算装置における制御部のブロック図である。 本発明の実施形態として示した堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムを説明する、第1実施例の説明図である。 本発明の実施形態として示した堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムを説明する、第1実施例の説明図である。 本発明の実施形態として示した堤体の斜面安定計算方法を説明するフローチャートである。 本発明の実施形態として示した堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムを説明する、第2実施例の説明図である。 本発明の実施形態として示した堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムを説明する、第3実施例の説明図である。 本発明の実施形態として示した堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムを説明する、第4実施例の説明図である。 従来の堤体の斜面安定計算方法の説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(斜面安定計算装置における制御部の構成)
図1は、本発明の実施形態として示した堤体の斜面安定計算装置における制御部1のブロック図である。本実施形態においては、制御部1は、キーボード、マウスや、ディスプレイ等の図示されない入力装置、出力装置を備えている、例えばPC(Personal Computer)、サーバ、メインフレーム等のコンピュータである。当該コンピュータは、後述する堤体の斜面安定計算方法を実施するプログラムを実行するものである。制御部1は、モデル入力部2、すべり面候補集合決定部3、細片分割部4、水圧計算部5、安全率計算部6、及び出力部7を備えている。
モデル入力部2は、例えば適切なユーザインターフェース等をディスプレイ等の出力装置に表示しながら、安全率を評価したい堤体の評価モデルの、キーボードやマウス等の入力装置を介した作業者による入力を支援する。本実施形態における斜面安定計算装置、方法及びプログラムは、堤防等のような、水を堰き止める堤体において、斜面の安全率を計算するための装置、方法及びプログラムである。したがって、モデル入力部2に入力され得る堤体の評価モデルの一例としては、例えば、図2(a)に第1実施例として示されるような評価モデル10が挙げられる。
図2(a)は、地盤G上に形成された堤体11を鉛直方向に断面視した評価モデル10である。本第1実施例においては、堤体11は、地盤Gと略平行に形成された上面11cと、上面11cの両端から互いに反対側の斜め下方向に延びる、水側斜面11a(斜面)と反対側斜面11bを備えており、これら上面11c、水側斜面11a、反対側斜面11bと、地盤Gとにより、略台形形状に形成されている。
図2(a)における堤体11の左側には、水12が貯留されている。水12が貯留された側における斜面である水側斜面11aには、水側斜面11aに対して略平行な表面15aを有する遮水体15が設けられている。これにより、遮水体15の表面15aは傾斜して位置づけられている。本第1実施例においては、遮水体15は、表面15aが堤体11の水側斜面11aの表層近傍に、水側斜面11aに沿って設けられた、遮水シートである。各図においては、水側斜面11aと遮水体15の表面15aが一致するように描かれているが、表面15aは実際には、堤体11の表層近傍に浅く埋設されていても構わない。堤体11の水12が貯留された側における水の上面である水位面13は、本第1実施例においては貯留された水12の水面12aに相当し、遮水体15の表面15a上の点15bにおいて終端している。
評価モデル10においては、水側斜面11aの、点15bよりも下方に位置している下側部分は、地盤Gに至るまで、遮水体15の下側15cによって覆われているため、水12は、堤体11の内部には浸潤しておらず、遮水体15の下に位置する地盤Gに対して、水12が貯留された側とは反対の方向である、図2(a)における右側の方向に向けて、遮水体15の下端から浸潤している。すなわち、遮水体15よりも低い高さにおける、水12が浸潤している部分と浸潤していない部分との境界である下側浸潤線16は、遮水体15の下方に、より詳細には遮水体15の下端から、水12が貯留された側とは反対の方向に延在して設けられている。水面12aすなわち水位面13、遮水体15の下側15c、及び下側浸潤線16によって形成された、連続した水の境界線は、水面12aが遮水体15によって一旦折り返されて下側浸潤線16へ続くような、折り返しを含んだ形状を備えている。
モデル入力部2は、上記のような評価モデル10を受け付けた後、データとして保存する。
すべり面候補集合決定部3は、モデル入力部2によって入力された評価モデル10に対して、安全率を導出する対象となる、複数のすべり面からなる集合を決定する。斜面安定計算においては、様々なすべり面の各々に対して安全率を計算し、その中で、例えば最も低い値を、最終的な安全率として出力する。そのため、すべり面候補集合決定部3は、例えば安全率が低くなることが予想されるような、複数のすべり面からなる集合を決定する。
図2(b)に、本第1実施例におけるすべり面17の例を示す。本第1実施例においては、すべり面17は円弧形状を成している。このような場合において、すべり面17の候補集合は、例えば、作業者が複数の中心点の座標値と複数の半径の値を入力した後に、これら中心点座標と半径の値を組み合わせることによって、様々な形状の円弧を形成することにより、決定される。このようにして決定されたすべり面17の候補集合の中から、任意の1つが選択されて、評価モデル10中に設けられる。本第1実施例においては、すべり面17は、一端が上面11cに、他端が水12中の地盤G上に位置しており、遮水体15の全体が、すべり面17より上方に位置するように設定されている。
細片分割部4は、堤体11及び地盤Gを、複数の水平位置において鉛直方向に分割して細片化する。より具体的には、図2(b)のようにすべり面17が設けられた評価モデル10の、すべり面17より上方の部分を、図3に破線で示されるように、鉛直方向に延在する複数の線で複数の位置において分割し、複数の細片18(18A、18B、18C、18D、18E、18F)へと分割する。
水圧計算部5は、細片分割部4によって分割された複数の細片18の各々において、すべり面17における水圧を計算する。水圧計算部5は、本実施形態においては、各細片18の水平方向における中央位置での、堤体11の水12が貯留された側における水の水位面13すなわち水面12a、遮水体15の表面15a、下側浸潤線16、及びすべり面17の高さ位置を基にして、水圧を計算する。
細片18の中で、水平方向における中央位置に、遮水体15の表面15a及び下側浸潤線16が位置していない各細片18、例えば図3における細片18A、18Bに関しては、水圧計算部5は、水の単位体積重量をγとすると、水平方向における中央位置での、水面12a(水位面13)と、すべり面17との高さ方向の差分h1A、h1Bを基に、次式によって各細片18A、18Bに対応する水圧u1A、u1Bを計算する。ここで、高さ方向の差分とは、鉛直方向に間隔を置いて位置する2つの地点のうち、高い位置に在る地点の高さ位置から、低い位置に在る地点の高さ位置を引いた結果の値を意味する。
(数1)
1A=h1A×γ …(1)
1B=h1B×γ
細片18の中で、水平方向における中央位置に、遮水体15の表面15a及び下側浸潤線16が位置している細片18、例えば図3における細片18C、18Dに関しては、水圧計算部5は、堤体11の水12が貯留された側における水の水位面13すなわち水面12aと、水位面13より下方に位置する遮水体15の遮水表面15aとの高さ方向の差分である上側差分h1C1、h1D1を基に、すべり面17における各細片18C、18Dに対応する水圧u1C、u1Dを計算する。細片18C、18Dにおいては、すべり面17が下側浸潤線16より下方に位置するが、このような場合においては特に、水圧計算部5は、上側差分h1C1、h1D1に加えて、下側浸潤線16とすべり面17との高さ方向の差分である下側差分h1C2、h1D2を基にして、より詳細には、下側差分h1C2、h1D2と上側差分h1C1、h1D1の和を基に、すべり面17における水圧u1C、u1Dを計算する。より具体的には、水圧計算部5は、次式によって水圧u1C、u1Dを計算する。
(数2)
1C=(h1C1+h1C2)×γ …(2)
1D=(h1D1+h1D2)×γ
このように、水平方向における中央位置ですべり面17が下側浸潤線16より下方に位置する細片18C、18Dにおいては、上記のように水圧u1C、u1Dの計算を行うことにより、遮水体15の表面15aと下側浸潤線16との高さ方向の差分h1Cu、h1Duが、水位面13とすべり面17との高さ方向の差分から除外されて計算されている。
細片18E、18Fに関しては、各々の水平方向における中央位置において、すべり面17の上方に、水面12a(水位面13)、遮水体15の下側15c、及び下側浸潤線16によって形成された水の境界線が位置しないため、各細片18E、18Fに対応する水圧u1E、u1Fは0と計算される。
安全率計算部6は、水圧計算部5により計算された水圧u1A、u1B、u1C、u1D、u1E、u1Fを基に安全率を計算する。本実施形態においては、安全率Fを、フェレニウス式、または、修正フェレニウス式によって導出している。フェレニウス式と修正フェレニウス式は、すべり面の粘着力をc(kPa)、すべり面のせん断抵抗角をφ(°)、各細片18の水圧をu(kPa)、各細片18のすべり面長をl(m)、各細片18の土塊重量をW(kN/m)、各細片18のすべり面傾斜角をα(°)、及び、各細片18の幅をb(m)としたときに、各々、次の数式3、数式4によって表される。
(数3)
F=Σ{cl+(Wcosα―ul)tanφ}/ΣWsinα …(3)
(数4)
F=Σ{cl+(W―ub)cosαtanφ}/ΣWsinα …(4)
数式3、数式4のいずれにおいても、記号Σにおける総和は、細片18ごとの集計を示すものであり、水圧計算部5により計算された水圧u1A、u1B、u1C、u1D、u1E、u1Fが、数式3、数式4における水圧uに相当する。上記数式3、数式4からわかるように、水圧uが大きいと、安全率Fは低く計算される。
上記のように、すべり面候補集合決定部3は、複数のすべり面17からなる集合を決定し、その中のすべり面17の各々に対して、安全率計算部6は、安全率を導出する。出力部7は、複数のすべり面17の各々に対して導出された安全率の中から、例えば、最も値が低い安全率を抽出し、その値と、その安全率に対応するすべり面17の形状を、ディスプレイ等の出力装置へ出力する。
(斜面安定計算方法)
次に、堤体の斜面安定計算装置における制御部1の処理手順を、図1から図3、及び、図4に示されるフローチャートを用いて説明する。
作業者が、入力装置等に対して計算開始を指示することにより、処理が開始される(ステップS1)。
まず、作業者が、キーボードやマウス等の入力装置を介して、例えば図2(a)に示されるような、安全率を評価したい堤体の評価モデル10を入力する。このとき、モデル入力部2は、例えば適切なユーザインターフェース等をディスプレイ等の出力装置に表示することにより、評価モデル10の入力を支援する。モデル入力部2は、上記のような評価モデル10を受け付けた後、データとして保存する(ステップS2)。
評価モデル10の入力が完了すると、すべり面候補集合決定部3が、入力された評価モデル10に対して、安全率を導出する対象となる、複数のすべり面17からなる集合を決定する。すべり面17の候補集合は、例えば、作業者が複数の中心点の座標値と複数の半径の値を入力した後に、これら中心点座標と半径の値を組み合わせることによって、様々な形状の円弧を形成することにより、決定される(ステップS3)。
次に、制御部1は、すべり面候補集合決定部3によって決定された複数のすべり面17からなる集合から、任意に、1つのすべり面17を選定する(ステップS4)。
ステップS4において選定されたすべり面17に対し、細片分割部4は、図2(b)のようにすべり面17が設けられた評価モデル10の、すべり面17より上方の部分を、図3に破線で示されるように、鉛直方向に延在する複数の線で複数の位置において分割し、複数の細片18(18A、18B、18C、18D、18E、18F)へと分割する(ステップS5)。
水圧計算部5が、上記のように、細片分割部4によって分割された複数の細片18の各々において、すべり面17における水圧を計算する(ステップS6)。
細片18の中で、水平方向における中央位置に、遮水体15の表面15a及び下側浸潤線16が位置していない各細片18、例えば図3における細片18A、18Bに関しては、水圧計算部5は、上記のように数式1により、各細片18A、18Bに対応する水圧u1A、u1Bを計算する。
細片18の中で、水平方向における中央位置に、遮水体15の表面15a及び下側浸潤線16が位置している細片18、例えば図3における細片18C、18Dに関しては、水圧計算部5は、堤体11の水12が貯留された側における水の水位面13すなわち水面12aと、水位面13より下方に位置する遮水体15の遮水表面15aとの高さ方向の差分である上側差分h1C1、h1D1を基に、すべり面17における各細片18C、18Dに対応する水圧u1C、u1Dを計算する。細片18C、18Dにおいては、すべり面17が下側浸潤線16より下方に位置するが、このような場合においては特に、水圧計算部5は、上側差分h1C1、h1D1に加えて、下側浸潤線16とすべり面17との高さ方向の差分である下側差分h1C2、h1D2を基にして、より詳細には、下側差分h1C2、h1D2と上側差分h1C1、h1D1の和を基に、すべり面17における水圧u1C、u1Dを計算する。計算は、上記のように数式2により行われる。
このように、水平方向における中央位置ですべり面17が下側浸潤線16より下方に位置する細片18C、18Dにおいては、上記のように水圧u1C、u1Dの計算を行うことにより、遮水体15の表面15aと下側浸潤線16との高さ方向の差分h1Cu、h1Duが、水位面13とすべり面17との高さ方向の差分から除外されて計算される。
細片18E、18Fに関しては、各々の水平方向における中央位置において、すべり面17の上方に、水面12a(水位面13)、遮水体15の下側15c、及び下側浸潤線16によって形成された水の境界線が位置しないため、各細片18E、18Fに対応する水圧u1E、u1Fは0と計算される。
水圧計算部5によって水圧u1A、u1B、u1C、u1D、u1E、u1Fが計算された後に、安全率計算部6は、計算された水圧u1A、u1B、u1C、u1D、u1E、u1Fを基に安全率を計算する。本実施形態においては、安全率Fを、上記した数式3及び数式4として示される、フェレニウス式、または、修正フェレニウス式によって導出している(ステップS7)。
ステップS5からステップS7により、ステップS4によって選定された、1つのすべり面17に対する安全率が導出されたが、このとき、ステップS3において選定されたすべり面17候補集合の中に、未だ安全率が計算されていない、未処理のすべり面17があるか否かを、制御部1が判定する(ステップS8)。未処理のすべり面17が有る場合には、ステップS4に戻り、未処理のすべり面17の中から1つのすべり面17を選定し、このすべり面17に対して安全率を導出する。
ステップS8において、未処理のすべり面17が無いと判断された場合には、出力部7が、複数のすべり面17に対して導出された安全率の中から、最も値が低いものを抽出し、その値と、その安全率に対応するすべり面17の形状を、ディスプレイ等の出力装置へ出力し(ステップS9)、その後、制御部1は処理を終了する(ステップS10)。
次に、上記の堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムの効果について説明する。
上記のような構成によれば、堤体11の斜面安定計算装置の制御部1は、堤体11の水12が貯留された側における水12の水位面13、遮水体15の傾斜した表面15a、下側浸潤線16によって形成された、連続した水の境界線が、水位面13が遮水体15によって一旦折り返されて下側浸潤線16へ続くような、折り返しを含む形状である場合において、安全率の計算において参照されるすべり面17における水圧を、堤体11の水12が貯留された側における水12の水位面13と、水位面13より下方に位置する遮水体15の傾斜した表面15aとの高さ方向の差分である上側差分h1C1、h1D1を基に計算する。この際、第1実施例の細片18C、18Dにおいては、すべり面17が下側浸潤線16より下方に位置しているが、このような場合には、遮水体15の表面15aと下側浸潤線16との高さ方向の差分h1Cu、h1Duを、水位面13とすべり面17との高さ方向の差分から除外して計算する。この、除外して計算される差分h1Cu、h1Duは、貯留された水12が浸潤しない領域に相当するものであるため、この値を水位面13とすべり面17との高さ方向の差分から除外することにより、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、特に水圧計算においてこれらの値を算入する従来の手法よりも適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
また、第1実施例の細片18C、18Dのように、すべり面17が下側浸潤線16より下方に位置する場合に、下側浸潤線16とすべり面17との高さ方向の差分である下側差分h1C2、h1D2と、上側差分h1C1、h1D1の和を基に、遮水体15の表面15aと下側浸潤線16との高さ方向の差分h1Cu、h1Duを、水位面13とすべり面17との高さ方向の差分から除外して、すべり面17における水圧を計算する。すなわち、すべり面17が下側浸潤線16より下方に位置する場合においても、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、特に水圧計算においてこれらの値を算入する従来の手法よりも適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
また、浸透流解析を使用せずとも、安全率が過小に評価されることを防ぐ程度に適切な水圧値を導出可能となるため、安全率を高速に導出可能である。これにより、例えば堤体の設計の初期段階等の、様々なモデルに対して安全率を何度も導出したいような場合において、設計期間を短縮可能となる。
(第2実施例)
図5は、第2実施例として示された評価モデル20を示す図である。本実施形態においては、水圧の計算以外においては、第1実施例に適用された場合と同様に実施可能であるため、ここでは、特に水圧計算部5における水圧の計算に関して説明する。
第2実施例における評価モデル20は、第1実施例における評価モデル10と同様に、堤体11、遮水体15、下側浸潤線16が形成されており、これに対して、評価モデル10とは異なる形状のすべり面27が設定されている。すべり面27が評価モデル10とは異なるため、細片28も評価モデル10とは異なるように分割されて設けられている。
評価モデル20においては、評価モデル10と同様に、水面12aすなわち水位面13、遮水体15の下側15c、及び下側浸潤線16によって形成された、連続した水の境界線は、水面12aが遮水体15によって一旦折り返されて下側浸潤線16へ続くような、折り返しを含んだ形状を備えている。すべり面27は、一端が堤体11の上面11cに、他端が遮水体15上に位置しており、全体として、下側浸潤線16より上方に位置するように設定されている。
このような評価モデル20に対し、図1に示される水圧計算部5は、複数の細片28の各々において、すべり面27における水圧を計算する。水圧計算部5は、本実施形態においては、各細片28の水平方向における中央位置での、堤体11の水12が貯留された側における水の水位面13すなわち水面12a、遮水体15の表面15a、下側浸潤線16、及びすべり面27の高さ位置を基にして、水圧を計算する。
より詳細には、細片28の中で、水平方向における中央位置に、遮水体15の表面15aが位置している細片28、例えば図5における細片28Aに関しては、水圧計算部5は、堤体11の水12が貯留された側における水の水位面13すなわち水面12aと、水位面13より下方に位置する遮水体15の遮水表面15aとの高さ方向の差分である上側差分h2A1を基に、すべり面27における細片28Aに対応する水圧u2Aを計算する。第2実施例においてはすべり面27が下側浸潤線16より上方に位置し、下側浸潤線16より下方に位置する水の水圧はすべり面27には作用しないため、下側浸潤線16より下方に位置する水の水圧は、第1実施例とは異なり水圧u2Aの計算時には考慮されない。
(数5)
2A=h2A1×γ …(5)
このように、水平方向における中央位置ですべり面27が下側浸潤線16より上方に位置する細片28Aにおいては、上記のように水圧u2Aの計算を行うことにより、遮水体15の表面15aとすべり面27との高さ方向の差分h2Auが、水位面13とすべり面27との高さ方向の差分から除外されて計算されている。
細片28B、28C、28Dに関しては、各々の水平方向における中央位置において、すべり面27の上方に、水面12a(水位面13)、遮水体15の下側15c、及び下側浸潤線16によって形成された水の境界線が位置しないため、各細片28B、28C、28Dに対応する水圧u2B、u2C、u2Dは0と計算される。
本実施形態の堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムが、本第2実施例における評価モデル20によって安全率を導出するにあたり、上記第1実施例において記載した効果と同様の効果を奏することはいうまでもない。
第2実施例の細片28Aにおいては、すべり面27が下側浸潤線16より上方に位置しているが、このような場合には、遮水体15の表面15aとすべり面27との高さ方向の差分h2Auを、水位面13とすべり面27との高さ方向の差分から除外して計算する。この、除外して計算される差分h2Auは、貯留された水12が浸潤しない領域に相当するものであるため、この値を水位面13とすべり面27との高さ方向の差分から除外することにより、より実際の値に近い水圧値を計算することが可能となり、したがって、このような場合においても、特に水圧計算においてこれらの値を算入する従来の手法よりも適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
(第3実施例)
図6は、第3実施例として示された評価モデル30を示す図である。本実施形態においては、水圧の計算以外においては、第1実施例に適用された場合と同様に実施可能であるため、ここでは、特に水圧計算部5における水圧の計算に関して説明する。
第3実施例における評価モデル30は、第1実施例における評価モデル10と同様な外形を有する堤体31を備えているが、遮水体35の構造が異なっている。すなわち、第3実施例においては、堤体31はため池堤体であり、遮水体35は遮水層である場合を想定したものであり、したがって、遮水体35は堤体31内に埋設されている。
より詳細には、遮水体35は図6のように断面視したときに、2つの台形を互いの下底を合わせて上下方向に連接して設けた形状をなしている。遮水体35は、図6に示される6つの点35a、35b、35c、35d、35e、35fの各々を線で結んで形成された形状によって外殻が形成されており、これら各線が、水を遮水する遮水表面となっている。これらの線の中の、堤体31の上側かつ水12側に位置する点35aと、堤体31の下側かつ点35aよりも更に水12側に位置する点35bを結ぶ遮水表面35g(表面)は、堤体31の水側斜面31a(斜面)と、略同一方向に傾斜している。
遮水体35の上側に位置する点35aは、水面12aと略同等以上の高さ位置に設けられている。堤体31の水12が貯留された側における水の上面である水位面33は、貯留された水12の水面12aと、水面12aから堤体31内側の遮水体35の表面35gまで連続する上側浸潤線39を備えており、上側浸潤線39の水12側とは反対側の端点が、遮水表面35g上に位置するように設けられている。
遮水体35の遮水表面35gの下側の端点である点35bと、点35cとを結んで形成される遮水表面35hは、水側斜面31aに対して略垂直になるように位置せしめられている。この遮水表面35hの、水側斜面31aから離れて位置づけられた点35cと、その右側に設けられた点35dを結んで形成される遮水表面35iは、地盤Gと略平行に延在するように設けられている。
評価モデル30においては、堤体31の、遮水体35に対して水12とは反対側に位置している、図6における右側の領域は、上面31cから地盤Gに至るまで、遮水体35によって水12から隔離されている。したがって、水12は、堤体31の遮水体35に対して右側の領域には浸潤しておらず、遮水体35の下に位置する地盤Gに対して、遮水体35の下端から浸潤している。すなわち、遮水体35の傾斜する遮水表面35gよりも低い高さにおける、水12が浸潤している部分と浸潤していない部分との境界である下側浸潤線36は、遮水体35の下方に、より詳細には、遮水表面35gの下端である点35bを起点とし、遮水表面35hに沿って延在した後に、遮水表面35hの下端である点35cで屈曲して、水12が貯留された側とは反対の方向に向けて、地盤Gと略平行に延在するように、地盤G中に設けられている。水面12aと上側浸潤線39により形成される水位面33、遮水体35の遮水表面35g、及び、点35bを基点とする下側浸潤線36によって形成された、連続した水の境界線は、水位面33が遮水体35によって一旦折り返されて下側浸潤線36へ続くような、折り返しを含んだ形状を備えている。
すべり面37は、一端が堤体31の上面31c上に、他端が水12中の地盤G上に位置しており、遮水体35の全体が、すべり面37より上方に位置するように設定されている。このような評価モデル30において、堤体31の、すべり面37より上方の部分が細片38(38A、38B、38C、38D、38E、38F、38G、38H、38I)に分割されている。
上記のような評価モデル30に対し、図1に示される水圧計算部5は、複数の細片38の各々において、すべり面37における水圧を計算する。水圧計算部5は、本実施形態においては、各細片38の水平方向における中央位置での、水面12aと上側浸潤線39により形成される水位面33、遮水体35の遮水表面35g、点35bを基点とする下側浸潤線36、及びすべり面37の高さ位置を基にして、水圧を計算する。
まず、細片38の中で、水平方向における中央位置に、遮水体35の遮水表面35g及び下側浸潤線36が位置していない各細片38、例えば図6における細片38A、38B、38Cに関しては、水圧計算部5は、水平方向における中央位置での、水位面33すなわち水面12aまたは上側浸潤線39と、すべり面37との高さ方向の差分h3A、h3B、h3Cを基に、次式によって各細片38A、38B、38Cに対応する水圧u3A、u3B、u3Cを計算する。
(数6)
3A=h3A×γ …(6)
3B=h3B×γ
3C=h3C×γ
細片38の中で、水平方向における中央位置に、遮水体35の遮水表面35g、下側浸潤線36が位置している細片38、例えば図6における細片38D、38E、38F、38G、38Hに関しては、水圧計算部5は、堤体31の水12が貯留された側における水の水位面33すなわち水面12a及び上側浸潤線39と、水位面33より下方に位置する遮水体35の遮水表面35gとの高さ方向の差分である上側差分h3D1、h3E1、h3F1、h3G1、h3H1を基に、すべり面37における各細片38D、38E、38F、38G、38Hに対応する水圧u3D、u3E、u3F、u3G、u3Hを計算する。
これらの細片38D、38E、38F、38G、38Hの中で、特に、各々の水平方向における中央位置において、下側浸潤線36より下方にすべり面37が位置する細片38D、38E、38Fに関しては、水圧計算部5は、上側差分h3D1、h3E1、h3F1に加えて、下側浸潤線36とすべり面37との高さ方向の差分である下側差分h3D2、h3E2、h3F2を基にして、より詳細には、下側差分h3D2、h3E2、h3F2と、上側差分h3D1、h3E1、h3F1の和を基に、すべり面37における各細片38D、38E、38Fに対応する水圧u3D、u3E、u3Fを計算する。より具体的には、水圧計算部5は、次式によって水圧u3D、u3E、u3Fを計算する。
(数7)
3D=(h3D1+h3D2)×γ …(7)
3E=(h3E1+h3E2)×γ
3F=(h3F1+h3F2)×γ
このように、水平方向における中央位置ですべり面37が下側浸潤線36より下方に位置する細片38D、38E、38Fにおいては、上記のように水圧u3D、u3E、u3Fの計算を行うことにより、遮水体35の遮水表面35gと下側浸潤線36との高さ方向の差分h3Du、h3Eu、h3Fuが、水位面33とすべり面37との高さ方向の差分から除外されて計算されている。
また、細片38D、38E、38F、38G、38Hの中で、各々の水平方向における中央位置において、すべり面37が下側浸潤線36より上方に位置する細片38G、38Hに関しては、上記第2実施例における細片28Aと同様に、下側浸潤線36より下方に位置する水の水圧はすべり面37には作用しないため、次式により各細片38G、38Hに対応する水圧u3G、u3Hを計算する。
(数8)
3G=h3G1×γ …(8)
3H=h3H1×γ
このように、水平方向における中央位置ですべり面37が下側浸潤線36より上方に位置する細片38G、38Hにおいては、上記のように水圧u3G、u3Hの計算を行うことにより、遮水体35の遮水表面35gとすべり面37との高さ方向の差分h3Gu、h3Huが、水位面33とすべり面37との高さ方向の差分から除外されて計算されている。
細片38Iに関しては、水平方向における中央位置において、すべり面37の上方に、水面12aと上側浸潤線39により形成される水位面33、遮水体35の遮水表面35g、及び下側浸潤線36によって形成された水の境界線が位置しないため、細片38Iに対応する水圧u3Iは0と計算される。
本実施形態の堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムが、本第3実施例における評価モデル30によって安全率を導出するにあたり、上記第1実施例において記載した効果と同様の効果を奏することはいうまでもない。
また、第3実施例の、細片38G、38Hにおいては、各々の水平方向における中央位置において、すべり面37が下側浸潤線36より上方に位置しているが、第2実施例において説明したように、このような場合においても、特に水圧計算においてこれらの値を算入する従来の手法よりも適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
(第4実施例)
図7は、第4実施例として示された評価モデル40を示す図である。本実施形態においては、水圧の計算以外においては、第1実施例に適用された場合と同様に実施可能であるため、ここでは、特に水圧計算部5における水圧の計算に関して説明する。
第4実施例における評価モデル40は、第1実施例における評価モデル10と同様な外形を有する堤体41を備えているが、遮水体45の構造が異なっている。すなわち、第4実施例においては、堤体41はフィルダムであり、遮水体45はフィルダムのコアである場合を想定したものであり、したがって、遮水体45は堤体41内に埋設されている。
より詳細には、遮水体45は図7のように断面視したときに、台形状に形成されている。すなわち、遮水体45は、堤体41の上面41cと地盤Gの各々の近傍に、これらに略平行に位置する上底45cと下底45d、及び、これら上底45cと下底45dを結ぶ略同等の長さの2つの脚45a、45bを備えている。この台形状の外殻を形成する各線が、水を遮水する遮水表面となっている。これらの線の中の、水12側に位置する脚45aに相当する遮水表面45a(表面)は、下方に向かうにつれて漸次、堤体41の水12が貯留されている側に向かうように、傾斜して設けられている。
堤体41の水12が貯留された側における水の上面である水位面43は、貯留された水12の水面12aと、水面12aから堤体41内側の遮水体45の水12側の遮水表面45aまで連続する上側浸潤線49を備えており、上側浸潤線49の水12側とは反対側の端点が、遮水表面45a上に位置するように設けられている。
評価モデル40においては、堤体41の、遮水体45に対して水12とは反対側に位置している、図7における右側の領域は、上面41cから地盤Gに至るまで、遮水体45によって水12から隔離されている。したがって、水12は、堤体41の遮水体45に対して右側の領域には浸潤しておらず、遮水体45の下に位置する地盤Gに対して、遮水体45の下端から浸潤している。すなわち、遮水体45の傾斜する遮水表面45aよりも低い高さにおける、水12が浸潤している部分と浸潤していない部分との境界である下側浸潤線46は、遮水体45の下方に、より詳細には、遮水表面45aの下端45eから水12が貯留された側とは反対の方向に向けて、地盤Gと略平行に延在するように、地盤G中に設けられている。水面12aと上側浸潤線49により形成される水位面43、遮水体45の遮水表面45a、及び、下端45eを基点とする下側浸潤線46によって形成された、連続した水の境界線は、水位面43が遮水体45によって一旦折り返されて下側浸潤線46へ続くような、折り返しを含んだ形状を備えている。
すべり面47は、一端が堤体41の水12とは反対側の斜面41b上に、他端が水12側の水側斜面41a(斜面)上に位置し、遮水体45の遮水表面45aと交差するように設けられている。このような評価モデル40において、堤体41の、すべり面47より上方の部分が細片48(48A、48B、48C、48D、48E、48F、48G)に分割されている。
上記のような評価モデル40に対し、図1に示される水圧計算部5は、複数の細片48の各々において、すべり面47における水圧を計算する。水圧計算部5は、本実施形態においては、各細片48の水平方向における中央位置での、水面12aと上側浸潤線49により形成される水位面43、遮水体45の遮水表面45a、下端45eを基点とする下側浸潤線46、及びすべり面47の高さ位置を基にして、水圧を計算する。
まず、細片48の中で、水平方向における中央位置に、遮水体45の遮水表面45a及び下側浸潤線46が位置していない各細片48、例えば図6における細片48A、48B、48C、48D、48E、48Fに関しては、水圧計算部5は、水平方向における中央位置での、水位面43すなわち水面12aまたは上側浸潤線49と、すべり面47との高さ方向の差分h4A、h4B、h4C、h4D、h4E、h4Fを基に、次式によって各細片48A、48B、48C、48D、48E、48Fに対応する水圧u4A、u4B、u4C、u4D、u4E、u4Fを計算する。
(数9)
4A=h4A×γ …(9)
4B=h4B×γ
4C=h4C×γ
4D=h4D×γ
4E=h4E×γ
4F=h4F×γ
細片48の中で、水平方向における中央位置に、遮水体45の遮水表面45a、下側浸潤線46が位置している細片48、例えば図7における細片48Gに関しては、水圧計算部5は、堤体41の水12が貯留された側における水の水位面43すなわち水面12a及び上側浸潤線49と、水位面43より下方に位置する遮水体45の遮水表面45aとの高さ方向の差分である上側差分h4G1を基に、すべり面47における細片48Gに対応する水圧u4Gを計算する。
細片48Gにおいては、水平方向における中央位置において、すべり面47が下側浸潤線46より上方に位置しており、下側浸潤線46より下方に位置する水の水圧はすべり面47には作用しないため、次式により水圧を計算する。
(数10)
4G=h4G1×γ …(10)
このように、水平方向における中央位置ですべり面47が下側浸潤線46より上方に位置する細片48Gにおいては、上記のように水圧u4Gの計算を行うことにより、遮水体45の遮水表面45aとすべり面47との高さ方向の差分h4Guが、水位面43とすべり面47との高さ方向の差分から除外されて計算されている。
本実施形態の堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムが、本第4実施例における評価モデル40によって安全率を導出するにあたり、上記第1実施例において記載した効果と同様の効果を奏することはいうまでもない。
また、第4実施例の、細片48Gにおいては、細片48Gの水平方向における中央位置において、すべり面47が下側浸潤線46より上方に位置しているが、第2実施例において説明したように、このような場合においても、特に水圧計算においてこれらの値を算入する従来の手法よりも適切な安全率を導出して、安全率が過小に評価されることを防ぐことができる。
なお、本発明の堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラムは、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
例えば、上記各実施例においては、遮水表面の下端は地盤Gと略同等の高さに位置するように、遮水体は設けられていたが、これに限られず、遮水表面の下端は地盤Gより低い位置に位置するように設けられてもよいし、地盤Gより高い位置に、すなわち堤体の内部に位置するように設けられて、下側浸潤線が堤体の内部に位置せしめられていても構わない。いずれの場合であっても、上記実施形態で説明した要領で、水圧値を計算することが可能であるのはいうまでもない。
また、第3及び第4実施例においては、上側浸潤線39、49は、図6、7に示されるように、水面12aが堤体31、41内部に直進して延在しているが、これに限られず、堤体31、41内部に侵入するに従って、水位すなわち高さが漸次低下するように設けられてよいことは言うまでもない。
また、上記各実施例においては、各すべり面は円弧形状を成していたが、これに限られず、他の形状であっても構わない。例えば作業者が複数の点を任意に、断面視した評価モデル上に入力し、これらの点を互いに接続することで形成された形状であってもよい。
また、上記各実施例においては、細片分割部4は、各細片が水平方向において略同等の幅を備えるように、図3、5、6、7に図示されているが、これに限られない。例えば、地盤や堤体の斜面の傾きや、地質等が、変化する地点において区切るように、細片として分割しても構わない。
また、上記実施形態においては、安全率は、数式3、数式4によって表されるフェレニウス式、修正フェレニウス式を用いて導出されたが、これに限られず、水圧を使用する他の式によって求められても構わない。
また、上記実施形態においては、各細片の高さの値として、細片の水平方向における中央位置での高さの値を使用したが、これに限られない。例えば、各細片中の複数の水平位置において高さを計測し、この平均値を高さとして使用しても構わない。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
1 制御部
2 モデル入力部
3 すべり面候補集合決定部
4 細片分割部
5 水圧計算部
6 安全率計算部
7 出力部
10、20、30、40 評価モデル
11、31、41 堤体
11a、31a、41a 水側斜面(斜面)
12 水
12a 水面(水位面)
13、33、43 水位面
15、35、45 遮水体
15a、35g、45a 遮水表面(表面)
16、36、46 下側浸潤線
17、27、37、47 すべり面
18、28、38、48 細片
39、49 上側浸潤線(水位面)
G 地盤
1C2、h1D2、h3D2〜h3F2 下側差分
1C1、h1D1、h2A1、h3D1〜h3H1、h4G1 上側差分
1Cu、h1Du、h2Au、h3Du〜h3Hu、h4Gu 除外して計算される差分

Claims (11)

  1. 表面が傾斜する遮水体が設けられた、水を堰き止める堤体における斜面安定計算装置であって、
    前記遮水体の下方に、前記堤体の水が貯留された側とは反対の方向に下側浸潤線が延在し、前記堤体に対してすべり面が設定されている場合に、
    前記堤体の水が貯留された側における水の水位面と、該水位面より下方に位置する前記遮水体の前記表面との高さ方向の差分である上側差分を基に、前記すべり面における水圧を計算し、
    かつ、この際、前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記下側浸潤線との高さ方向の差分を、前記すべり面が前記下側浸潤線より上方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記すべり面との高さ方向の差分を、それぞれ、前記水位面と前記すべり面との高さ方向の差分から除外して計算し、
    該水圧を基に安全率を計算する制御部を備える、堤体の斜面安定計算装置。
  2. 前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合に、前記制御部は、前記下側浸潤線と前記すべり面との高さ方向の差分である下側差分と、前記上側差分の和を基に、前記すべり面における前記水圧を計算する、請求項1に記載の堤体の斜面安定計算装置。
  3. 前記遮水体は、前記表面が前記堤体の斜面の表層近傍に、前記斜面に沿って設けられ、
    前記水位面は貯留された水の水面である、請求項1または2に記載の堤体の斜面安定計算装置。
  4. 前記遮水体は、遮水シートである、請求項3に記載の堤体の斜面安定計算装置。
  5. 前記遮水体は前記堤体内に埋設され、
    前記水位面は、貯留された水の水面と、該水面から前記堤体内側の前記遮水体の前記表面まで連続する上側浸潤線を備えている、請求項1または2に記載の堤体の斜面安定計算装置。
  6. 前記堤体はフィルダムであり、前記遮水体はフィルダムのコアである、請求項5に記載の堤体の斜面安定計算装置。
  7. 前記堤体はため池堤体であり、前記遮水体は遮水層である、請求項5に記載の堤体の斜面安定計算装置。
  8. 表面が傾斜する遮水体が設けられた、水を堰き止める堤体における斜面安定計算方法であって、
    前記遮水体の下方に、前記堤体の水が貯留された側とは反対の方向に下側浸潤線が延在し、前記堤体に対してすべり面が設定されている場合に、
    前記堤体の水が貯留された側における水の水位面と、該水位面より下方に位置する前記遮水体の前記表面との高さ方向の差分である上側差分を基に、前記すべり面における水圧を計算し、
    かつ、この際、前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記下側浸潤線との高さ方向の差分を、前記すべり面が前記下側浸潤線より上方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記すべり面との高さ方向の差分を、それぞれ、前記水位面と前記すべり面との高さ方向の差分から除外して計算し、
    該水圧を基に安全率を計算する、堤体の斜面安定計算方法。
  9. 前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合に、前記下側浸潤線と前記すべり面との高さ方向の差分である下側差分と、前記上側差分の和を基に、前記すべり面における前記水圧を計算する、請求項8に記載の堤体の斜面安定計算方法。
  10. 表面が傾斜する遮水体が設けられた、水を堰き止める堤体における斜面安定計算プログラムであって、
    前記遮水体の下方に、前記堤体の水が貯留された側とは反対の方向に下側浸潤線が延在し、前記堤体に対してすべり面が設定されている場合に、
    前記堤体の水が貯留された側における水の水位面と、該水位面より下方に位置する前記遮水体の前記表面との高さ方向の差分である上側差分を基に、前記すべり面における水圧を計算し、
    かつ、この際、前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記下側浸潤線との高さ方向の差分を、前記すべり面が前記下側浸潤線より上方に位置する場合には、前記遮水体の前記表面と前記すべり面との高さ方向の差分を、それぞれ、前記水位面と前記すべり面との高さ方向の差分から除外して計算し、
    該水圧を基に安全率を計算する、堤体の斜面安定計算プログラム。
  11. 前記すべり面が前記下側浸潤線より下方に位置する場合に、前記下側浸潤線と前記すべり面との高さ方向の差分である下側差分と、前記上側差分の和を基に、前記すべり面における前記水圧を計算する、請求項10に記載の堤体の斜面安定計算プログラム。
JP2016139906A 2016-07-15 2016-07-15 堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラム Active JP6693825B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016139906A JP6693825B2 (ja) 2016-07-15 2016-07-15 堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016139906A JP6693825B2 (ja) 2016-07-15 2016-07-15 堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018009395A true JP2018009395A (ja) 2018-01-18
JP6693825B2 JP6693825B2 (ja) 2020-05-13

Family

ID=60995105

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016139906A Active JP6693825B2 (ja) 2016-07-15 2016-07-15 堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6693825B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109388880A (zh) * 2018-09-30 2019-02-26 水利部交通运输部国家能源局南京水利科学研究院 坝体浸润线的绘制方法及绘制装置
CN109837909A (zh) * 2019-03-08 2019-06-04 北京正和恒基滨水生态环境治理股份有限公司 深基坑开挖方法
CN110700288A (zh) * 2019-10-17 2020-01-17 中国地质大学(武汉) 一种适用于动水压力型水库滑坡深部排水防治方法及系统
CN111859257A (zh) * 2020-07-28 2020-10-30 长沙理工大学 一种水位非匀速涨落过程山区岸滩浸润线位置确定方法

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5233305A (en) * 1975-09-10 1977-03-14 Unyusho Kowan Gijutsu Kenkyush Method of preventing destruction of soil construction due to sliding
JPS576011A (en) * 1980-06-14 1982-01-12 Seibu Polymer Kasei Kk Prevention method for circular slip of structure constructed by use of sheetform object for foundation construction
JPS5891212A (ja) * 1981-11-25 1983-05-31 Taisei Corp フイルダムの堤体
US20030082014A1 (en) * 2001-08-30 2003-05-01 Soo-Yong Kang Method for reinforcing slope reverse analysis technique
JP2004060311A (ja) * 2002-07-30 2004-02-26 Pasuko:Kk 地すべり監視方法、およびシステム
JP2004181393A (ja) * 2002-12-04 2004-07-02 Toyo Constr Co Ltd 海面処分場の遮水構造及び遮水工法
JP2008121185A (ja) * 2006-11-08 2008-05-29 Railway Technical Res Inst 安全率計算装置および安全率計算方法
JP2008284551A (ja) * 2008-06-16 2008-11-27 Toyo Constr Co Ltd 海面処分場の遮水構造及び遮水工法
JP2014006797A (ja) * 2012-06-26 2014-01-16 Toyo Constr Co Ltd 海洋構造物の解析方法及び設計方法
JP2015071858A (ja) * 2013-10-01 2015-04-16 富士通エフ・アイ・ピー株式会社 斜面安定計算装置、計算方法、及びプログラム

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5233305A (en) * 1975-09-10 1977-03-14 Unyusho Kowan Gijutsu Kenkyush Method of preventing destruction of soil construction due to sliding
JPS576011A (en) * 1980-06-14 1982-01-12 Seibu Polymer Kasei Kk Prevention method for circular slip of structure constructed by use of sheetform object for foundation construction
JPS5891212A (ja) * 1981-11-25 1983-05-31 Taisei Corp フイルダムの堤体
US20030082014A1 (en) * 2001-08-30 2003-05-01 Soo-Yong Kang Method for reinforcing slope reverse analysis technique
JP2004060311A (ja) * 2002-07-30 2004-02-26 Pasuko:Kk 地すべり監視方法、およびシステム
JP2004181393A (ja) * 2002-12-04 2004-07-02 Toyo Constr Co Ltd 海面処分場の遮水構造及び遮水工法
JP2008121185A (ja) * 2006-11-08 2008-05-29 Railway Technical Res Inst 安全率計算装置および安全率計算方法
JP2008284551A (ja) * 2008-06-16 2008-11-27 Toyo Constr Co Ltd 海面処分場の遮水構造及び遮水工法
JP2014006797A (ja) * 2012-06-26 2014-01-16 Toyo Constr Co Ltd 海洋構造物の解析方法及び設計方法
JP2015071858A (ja) * 2013-10-01 2015-04-16 富士通エフ・アイ・ピー株式会社 斜面安定計算装置、計算方法、及びプログラム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109388880A (zh) * 2018-09-30 2019-02-26 水利部交通运输部国家能源局南京水利科学研究院 坝体浸润线的绘制方法及绘制装置
CN109388880B (zh) * 2018-09-30 2023-04-28 水利部交通运输部国家能源局南京水利科学研究院 坝体浸润线的绘制方法及绘制装置
CN109837909A (zh) * 2019-03-08 2019-06-04 北京正和恒基滨水生态环境治理股份有限公司 深基坑开挖方法
CN110700288A (zh) * 2019-10-17 2020-01-17 中国地质大学(武汉) 一种适用于动水压力型水库滑坡深部排水防治方法及系统
CN111859257A (zh) * 2020-07-28 2020-10-30 长沙理工大学 一种水位非匀速涨落过程山区岸滩浸润线位置确定方法
CN111859257B (zh) * 2020-07-28 2023-08-25 长沙理工大学 一种水位非匀速涨落过程山区岸滩浸润线位置确定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6693825B2 (ja) 2020-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2018009395A (ja) 堤体の斜面安定計算装置、方法及びプログラム
Li et al. Combined roles of saturated permeability and rainfall characteristics on surficial failure of homogeneous soil slope
Fraccarollo et al. A Godunov method for the computation of erosional shallow water transients
Vandamme et al. Investigation of slope instability induced by seepage and erosion by a particle method
Tsaparas et al. Controlling parameters for rainfall-induced landslides
Segura et al. On zero‐thickness interface elements for diffusion problems
Ghiassian et al. Stability of sandy slopes under seepage conditions
Stock et al. Controls on alluvial fan long-profiles
Mishra et al. Seepage through a levee
Sabbagh-Yazdi et al. Depth-averaged hydrodynamic model for gradual breaching of embankment dams attributable to overtopping considering suspended sediment transport
Regmi et al. Application of dynamic programming to locate the critical failure surface in a rainfall induced slope failure problem
Leshchinsky Comparison of limit equilibrium and limit analysis for complex slopes
Kirra et al. Seepage and slope stability analysis of Mandali earth dam, Iraq: A case study
CN109191573B (zh) 一种基于抛物线原理的基覆界面自动建模方法
Sachpazis Experimental conceptualisation of the flow net system construction inside the body of homogeneous earth embankment dams
Mostafa et al. A review on analysis of seepage in zoned earth dams
Kacimov et al. Analytical determination of seeping soil slopes of a constant exit gradient
Moeller et al. Groundwater flow beneath Late Weichselian glacier ice in Nordfjord, Norway
Zhang et al. Withdrawal of layered fluid through a line sink in a porous medium
CN107480411A (zh) 储层压裂效果评价方法及评价系统
Zhai et al. Analytical, numerical and experimental studies on steady-state seepage through 3D rockfill trapezoidal dikes
Crenshaw et al. Water table profiles in the vicinity of horizontal drains
Farouk et al. Design of hydraulic structures with two intermediate filters
Bestuzheva et al. Seepage Through a Homogeneous Earth-Fill Dam with a Cut-Off Wall on a Permeable Foundation
JP7247407B1 (ja) 推定装置、推定方法及び制御プログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20160805

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190327

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200331

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200416

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6693825

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350