JP2018009042A - ディップ成形用組成物、ディップ成形体 - Google Patents

ディップ成形用組成物、ディップ成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性に優れ、風合い、引張り強度、伸び等の物性に優れ、ピンホールが少ない低アレルギー性の手袋等のディップ成形体の提供。
【解決手段】ジエン系重合体100重量部と、水ガラスを0.1〜20重量部を含み、pH9.0以上であり、前記ジエン系重合体が、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)を100質量部と、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(Me)を1〜10質量部と、を有するディップ成形用組成物。好ましくは、アクリロニトリルの様なα,β−不飽和ニトリル化合物と1,3−ブタジエンの様な共役ジエン化合物を有するNBRの様なジエン系重合体を含むディップ成形用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ディップ成形用組成物およびディップ成形体に関する。
ゴム手袋は、家事用、食品工業や電子部品製造業などの種々の工業用および医療用(特に手術用)など、幅広く使用されている。ゴム手袋には、長時間にわたり着用しても手が疲れないように、指の動きに合わせて小さな力で手袋が伸びやすいこと(風合いがよいこと)、作業中に破れたりしないこと(十分な引張強度を有すること)など様々な特性が要求されている。
現在、NBRゴム手袋や天然ゴム手袋などに用いられている加硫剤は含硫黄および該硫黄加硫促進剤によるゴム分子内の共有結合による架橋、亜鉛華による多価金属塩とのイオン結合による架橋が主流である。しかし、天然ゴム由来の非ゴム成分(タンパク質、脂質)は皮膚との接触により即時型のI型アレルギーを引き起こすことがあり、また、含硫黄および該加硫促進剤は遅延型のIV型アレルギーを引き起こすことが知られている。さらに、含硫黄および該加硫促進剤、亜鉛華はゴム手袋作製時にピンホールが発生しやすく問題となることがある(特許文献1など)。
このような背景の元、従来の加硫剤を用いない新たな加硫(架橋)システムが実施されつつある。例えば、特許文献2に記載されているようなNメチロールアクリルによる架橋では反応中にホルムアルデヒドが生成する問題がある。特許文献3に記載されているようなエポキシ基による架橋では高温での架橋処理が必要となる。特許文献4に記載されているようなカルボジイミドによる架橋では加水分解を受けやすい。特許文献5に記載されているような乳酸アルミによる架橋では、酸化亜鉛を併用する必要があるとともに経時的にゲル化し易い。また、これらの加硫システムは、コスト、生産性および性能の観点から、実用化は極限られているようである。
特許第3900530号 特開2008−512526号 特開2010−144163号 特開2002−523164号 特開2009−138194号
しかしながら、特許文献1〜5のような従来のディップ成形用組成物は、作製後のpH変化などの変質が著しく、風合い、引張り強度、伸び等の物性に優れ、ピンホールが少ない低アレルギー性ディップ成形体を安定的に製造することが困難であった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上記の要求に応えるために、安定性に優れ、良質のディップ成形体を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係るディップ成形用組成物の一態様は、
ジエン系重合体100重量部と、
水ガラスを0.1〜20重量部を含み、
pH9.0以上である。
[適用例2]
適用例1のディップ成形用組成物において、
前記ジエン系重合体が、
共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)を100質量部と、
不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(Me)を1〜10質量部と、
を有することができる。
[適用例3]
適用例1または適用例3のディップ成形用組成物において、前記水ガラスが、下記一般式(1)で示される化合物であることができる。
が、下記一般式(1)で示される化合物であることができる。
O・nSiO ・・・(1)
(上記一般式(1)において、Mはナトリウム、カリウムおよびナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも一種を示す。nは2.0〜4.5の数を示す。)
[適用例4]
本発明に係るディップ成形体の一態様は、
適用例1ないし適用例3のいずれか一例のディップ成形用組成物を用いて作成することができる
本発明に係るディップ成形用組成物は保存安定性が良好であり、風合い、引張り強度、伸び等の物性に優れ、ピンホールが極めて少ない低アレルギー性ディップ成形体を安定的に製造することができる。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、下記に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜」および「メタクリル酸〜」の双方を包括する概念である。また、「〜(メタ)アクリレート」とは、「〜アクリレート」および「〜メタクリレート」の双方を包括する概念である。また、「(メタ)アリル」とは、「アリル」および「メタリル」の双方を包括する概念である。
1.ディップ成形用組成物
本実施の形態に係るディップ成形用組成物は、ジエン系重合体を100重量部と、水ガラスを0.1〜20重量部を含み、pH9.0以上である。
以下、本実施の形態に係るディップ成形用組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
1.1.ジエン系重合体
ジエン系重合体は、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)と、α,β−不飽和ニトリル化合物(Mb)と、を有することが好ましい。
1.1.1.共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)
ジエン系重合体が共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)を有することにより、粘弾性および強度に優れたディップ成形体を製造することが容易となる。
共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエンが特に好ましい。
ジエン系重合体において、共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)の含有割合は、全繰り返し単位を100質量部とした場合に50〜80質量部であることが好ましく、55〜75質量部であることがより好ましい。繰り返し単位(Ma)の含有割合が前記範囲あると、乾燥後のラテックスポリマーがNBRゴムとしての性質を呈するため好ましい。また、繰り返し単位(Ma)の含有割合が前記範囲であると、耐油性を向上させることができる。
1.1.2.α,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位(Mb)
ジエン系重合体がα,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位(Mb)を有することにより、粘弾性および強度に優れたディップ成形体を製造することが容易となる。
α,β−不飽和ニトリル化合物の具体例としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどを挙げることができ、これらから選択される1種以上であることができる。これらのうち、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから選択される1種以上であることが好ましく、アクリロニトリルであることがより好ましい。
ジエン系重合体において、α,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位の含有割合は、全繰り返し単位を100質量部とした場合に、15〜50質量部であることが好ましく、20〜45質量部であることがより好ましい。α,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位の含有割合が前記範囲にあると、ディップ成形体に十分な耐油性を付与することができる。また、α,β−不飽和ニトリル化合物に由来する繰り返し単位の含有割合が前記範囲にあると、ディップ成形体にNBRゴムとしての性質を付与することができる。
1.1.3.その他の繰り返し単位
ジエン系重合体は、上記以外の繰り返し単位を有してもよい。上記以外の繰り返し単位としては、例えば芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位(Mc)、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Md)、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(Me)、等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジビニルベンゼンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。芳香族ビニル化合物としては、スチレンが特に好ましい。
ジエン系重合体において、芳香族ビニル化合物に由来する繰り返し単位(Mc)の含有割合は、全繰り返し単位を100質量部とした場合に0〜40質量部であることが好ましく、10〜35質量部であることがより好ましい。
不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。このような(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール、(メタ)アクリル酸アリル、ジ(メタ)アクリル酸エチレンなどを挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。これらのうち、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルおよび(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルから選択される1種以上であることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルであることが特に好ましい。
ジエン系重合体において、不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(Md)の含有割合は、全繰り返し単位を100質量部とした場合に5〜40質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
不飽和カルボン酸の具体例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のモノまたはジカルボン酸を挙げることができ、これらの中から選択される1種以上であることができる。特に、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸から選択される1種以上であることが好ましい。
ジエン系重合体において、不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(Me)の含有割合は、全繰り返し単位を100質量部とした場合に0〜10質量部の範囲で使用されることが好ましく、0.3〜10質量部であることがより好ましい。繰り返し単位(Me)の含有割合が前記範囲にあると、を越えると共重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎ、全ての用途で取り扱い上の問題を発生する可能性が高い。
ジエン系重合体は、以下に示す化合物に由来する繰り返し単位をさらに有してもよい。このような化合物としては、例えば、フッ化ビニリデン、四フッ化エチレンおよび六フッ化プロピレン等のエチレン性不飽和結合を有する含フッ素化合物;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸のアルキルアミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;エチレン性不飽和ジカルボン酸の酸無水物;モノアルキルエステル;モノアミド;アミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸のアミノアルキルアミド等を挙げることができ、これらのうちから選択される1種以上であることができる。
1.1.4.ジエン系重合体の合成方法
ジエン系重合体の合成方法については特に限定されないが、例えば特開2007−153948号公報に記載されている方法により作製することができる。
1.2.水ガラス
本願発明のディップ成形用組成物は、水ガラスを含有する。水ガラスを含有することにより、本願発明に係るディップ成形用組成物は放置してもpHの変動がなく、均質なディップ成形体を作成することが可能となる。ディップ成形用組成物の作製から成形体製造までのタイムラグは品質に影響を及ぼさないため、生産性に優れている。また、水ガラスは、下記一般式(1)で示される化合物を含有することが好ましい。
O・nSiO ・・・・(1)
前記式(3)において、Mはナトリウム、カリウムおよびリチウムからなる群から選ばれる少なくとも一種を示す。nは2.0〜4.1の数を示す。
一方、従来のディップ成形用組成物ではジエン系重合体と硫黄や酸化亜鉛のような加架橋剤を用いる場合が多い。この場合、ディップ成形用組成物の作製後、24時間以上熟成が必要とされる。たとえば、特許文献WO/0021451(エル・アール・シー・プロダクツ・リミテッド)では加硫剤の撹拌30℃16Hr以上を推奨している。このような熟成により、たとえば硫黄が重合体粒子へ吸着や浸透し、分子内での共有結合が促進される。
たとえば、酸化亜鉛を添加する場合には、酸化亜鉛はディップ成形用組成物中において
[Zn(OH)2−
Zn(OH)↓+3OH
Zn(NH2++2OH+4H
の3形態をとると推測される。その結果、重合体粒子中に存在するR−COO基(Rは重合体主鎖を示す)の配位子置換により、
Zn(R−COO)+4OH
Zn(R−COO)+2OH
Zn(R−COO)+4NH +4OH
という反応が発生し、pH上昇する。その結果、ディップ成形用組成物のpHが放置する時間の経過につれて上昇し、それに伴い得られるディップ成形体の物理特性も漸時変化する問題があった。
しかし、本願発明に係るディップ成形用組成物は、このような問題点が存在しない。
また、前記水ガラスは下記一般式(2)で示される組成であることが好ましい。
NaO・nSiO ・・・・(2)
前記一般式(2)において、nはSiO/NaOの分子比で示される値であって、一般にモル比と呼ばれる(JIS K1408−1966)に規定の範囲である。この係数nは、特に限定されないが、好ましくは、2.1〜3.1であり、より好ましくは、3.1である。上記係数nが3.1であるときは、水ガラス中のケイ酸成分の含有量(SiO換算量)が多くなることから、ゴムとの複合化処理の効率が向上する。
O・nSiOで示される化合物は、一般的には水ガラスとしてジエン系重合体と混合することが好ましい。なお、一般に、上記一般式(2)においてnが3.1である水ガラスは、水ガラス3号として市販されている。本発明に使用可能な水ガラスは、これに限定されるものではなく、例えば、JIS K1408に規定の1〜3号水ガラスや、その他各種のグレード品を使用することができる。
本願発明の組成物において、ジエン系重合体100重量部に対し、水ガラスを0.1〜20重量部であり、0.3〜15質量部であることが好ましく、0.5〜12質量部であることがより好ましい。前記範囲未満であるとディップ成形体の強度(破断時の応力)が低下するので好ましくない。前記範囲を超えるとディップ成形体の強度が飽和するので好ましくない。
1.3.pH
本願発明の組成物のpHは9以上であり、9.0〜12.0であることが好ましく、9.5〜11.5あることがより好ましい。pHが前記範囲であることによりディップ成形用組成物の安定性を向上させることができる。
本願発明の組成物のpHを前記範囲に調整するためには、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等から選ばれる少なくとも一種以上を使用することができる。特にpH調整剤としてアンモニアを使用することにより、風合い、引張り強度、伸び等の物性により優れるディップ成形体を得ることができる。
これらのpH調整剤の添加方法、添加順序については特に制限はなく、共重合体ラテックスの重合後、水蒸気蒸留後、さらにはディップ成形用組成物の調整時等、何れにおいて添加してもよいが、添加時の凝集物発生を避けるため、0.1〜40重量%の濃度の水溶液として添加することが好ましい。
1.4.添加剤
本願発明の組成物は、成分以外に、必要に応じて適時添加剤を添加して使用することができる。添加剤としては、例えば、天然ゴムラテックス、イソプレンゴムラテックスなどのゴムラテックス、上記した水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア水などのpH調整剤に加えて、二酸化チタン、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、炭酸マグネシウムなどの充填剤、スチレン化フェノール、イミダゾール類、パラフェニレンジアミンなどの老化防止剤、ファーストイエロー、フタロシアンブルー、群青などの着色剤など適宜配合することができる。たとえば、ジエン系重合体100質量部に対して、0.7〜5重量部の酸化亜鉛を含有することもできる。
2.ディップ成形方法およびディップ成形体
本発明に係るディップ成形用組成物を用いることにより、ディップ成形品体を作成することができる。ディップ成形体を得るためには、特許第3900530号に記載の方法等を利用することができる。例えば直接浸漬法、アノード凝着浸漬法、ティーグ浸漬法など従来公知のディップ成形法がいずれも適応される。
以下、アノード凝着浸漬法について簡単に説明する。まず、型を凝固液に浸漬し、引き上げて乾燥することにより型表面に凝固剤が付着した状態にする。凝固液は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカルシウム塩を水、またはアルコール、ケトンなどの親水性有機溶媒に溶解させたものである。凝固液中のカルシウム濃度は、通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。凝固液には必要に応じてノニオン、アニオン界面活性剤などの界面活性剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカゲルなどの充填剤を配合してもよい。ついで凝固剤が付着した型をディップ成形用共重合体ラテックス組成物中に浸漬し、引き上げる。この時、凝固剤と共重合ラテックスが反応して型上にゴム状皮膜が形成される。得られた皮膜を水洗、乾燥した後、型から剥離すればディップ成形体となる。
3.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.実施例1
3.1.1.重合体の作製(ジエン系重合体Aの製造)
窒素置換した重合反応器に、アクリロニトリル27部、1,3−ブタジエン68.5部、メタクリル酸4.5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、イオン交換水140部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0部、β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.0部,過硫酸カリウム0.2部、重合温度を40℃に保持して重合を開始した。重合転化率が50%になった時点で、t−ドデシルメルカプタン0.1部を添加して、重合温度を45℃に昇温し、その後、重合転化率が75%になった時点で、t−ドデシルメルカプタン0.1部を添加して重合反応を継続し、重合転化率が95%に達するまで反応させた。その後、重合停止剤としてジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.1部を添加して重合反応を停止し、ジエン系重合体Aの粒子を含有する水分散体(ラテックス)を作成した。
3.1.2.ディップ成形用組成物の作製
前記「3.1.1.重合体粒子の作製」で得られたラテックスへ、水酸化カリウムを0.75部添加することによりpH8.5に調整した後、スチームで未反応モノマーを除去した。その後、エバポレーターを用いてにてジエン系重合体Aの濃度45%に調整した。次いで、水ガラス(1号珪酸カリウム)を2.0部、水酸化カリウム1.0部を添加した後、ジエン系重合体Aの濃度が25%になるようイオン交換水で調整し、ジエン系重合体Aを含有するディップ成形用組成物を得た。
得られたディップ成形用組成物について、pHメーター(HM−7J:東亜DKK社製)を用いて、25℃でのpHを評価した。作製1時間後のディップ成形用組成物のpHは10.1であった。また、24時間25℃で保管した後、再度pHを評価した結果、pHは10.1であり変化がないことを確認した。ディップ成形用組成物の作製直後から24時間以上放置してもpH変化がないことにより、安定なディップ成形用組成物であることが判明した。
3.1.3.ディップ成形体の作製
作製1時間後のディップ成形用組成物と、作製後に24時間25℃で保管したディップ成形用組成物を用いて、それぞれ以下の方法に従いディップ形成体を作成した。
水溶性多価金属塩として硝酸カルシウム20部、ノニオン性乳化剤(エマルゲン−810:花王(株)製品)0.05部、および水80部を混合して得たラテックス凝固剤水溶液に、75℃に加温されたディップ成形用手袋型を10秒間浸漬した後、引き上げて75℃で5分間乾燥して水溶性多価金属塩を型表面に付着させた。
次に、この凝固剤の付着した手袋型を、それぞれ上記のディップ成形用組成物に15秒間浸漬した後、引き上げて、手袋型表面にディップ成形層を形成した。次に、75℃で50分乾燥し、続けて120℃で30分乾燥し手袋型表面に固形皮膜物を得た。最後にこの固形皮膜物を手袋型から剥し、厚みが0.1〜0.2ミリの手袋形状のディップ成形体を得た。
3.1.4.ディップ成形体の評価
3.1.4.1.試験片の準備
ASTM D412に準じて、「3.1.3.ディップ成形体の作製」にて作成した手袋状のディップ成形体をダンベル(Die−C)で打ち抜いて、試験片とした。
3.1.4.2.風合い評価
試験片を、精密万能試験機(オートグラフAG−X:株式会社島津製作所社製)で、引張速度500mm/分で引っ張り、伸び率が100%の時の引張応力を測定した。結果を表1に示す。この値が小さいほど、風合いに優れる。
3.1.4.3.ディップ形成品の強度評価
ASTM−D412に準じて、ディップ成形したゴム手袋をダンベル(Die−c)で
打ち抜いて、試験片を作製した。試験片を、精密万能試験機(島津製作所製、オートグラフAG−X)で、引張速度500mm/分で引っ張り、破断時の引張応力を測定した。結果を表1に示す。
ディップ成形用組成物を作成してから1時間後に製造したディップ形成品と、24時間放置後のディップ成形用組成物を用いて製造したディップ形成品の応力変化率(%)が小さい方が品質安定性および生産性の観点から好ましい。
3.1.4.4.ディップ形成品の伸び評価
ASTM−D412に準じて、ディップ成形したゴム手袋をダンベル(Die−c)で
打ち抜いて、試験片を作製した。試験片を、精密万能試験機で、引張速度500mm/分で引っ張り、破断直前の伸びを測定した。
3.1.4.5.ディップ形成品のピンホール評価
作製したディップ形成物100個についてピンホール発生個数を目視で観察した。なお、ディップ形成物10個のピンホール発生箇所のトータル個数が
全く発生していないを◎
0個〜3個発生を○
4個〜5個以下を△
6個以上を×とした。
ピンホールの発生箇所のトータル個数が3個以下であると、生産性や手袋規格として問題なくとなるので良好と判断できる。
3.2.実施例2〜13、比較例1〜3
表1に示す単量体組成、水ガラスの添加部数および水酸化カリウムの添加部数に変更した以外は、ジエン系重合体Aと同様にジエン系重合体B〜Mの製造を行った。さらに、表1に示す配合とすることにより、実施例2〜11、比較例1〜3のディップ成形用組成物を作成した。実施例1と同様に得られた組成物の評価を行った結果を表1に示す
なお、表1において、珪酸カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸リチウムは以下のものを使用した。
1号珪酸カリウム:SiO:28.5%、KO:21.7%、SiO/KOモル比:2.06、残り水、富士化学(株)製
2号珪酸カリウム:SiO:20.8%、KO:9.1%、SiO/KOモル比:3.58、残り水、富士化学(株)製
3号珪酸ナトリウム:SiO:29.05%、NaO:9.46%、SiO/NaOモル比:3.17、残り水分、富士化学(株)製
5号珪酸ナトリウム:SiO:25.47%、NaO:7.00%、SiO/NaOモル比:3.76、残り水分、富士化学(株)製
珪酸リチウム:SiO:20.0%、SiO/LiOモル比:4.5、残り水分、日産化学(株)製、品名(リチウムシリケート45)
3.3.評価結果
上記表1から明らかなように、本発明に係るディップ成形用組成物は、安定であり、またそれを用いて作製されたディップ成形体は、良好な特性を備えることが判明した。
本発明に係るディップ成形用組成物を用いて作製されたこのようなディップ成形体は、医療、食品加工分野および電子部品製造分野など各方面において広く使用されるゴム手袋等に利用することができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。

Claims (4)

  1. ジエン系重合体を100重量部と、
    水ガラスを0.1〜20重量部を含み、
    pH9.0以上である、ディップ成形用組成物。
  2. 前記ジエン系重合体が、
    共役ジエン化合物に由来する繰り返し単位(Ma)を100質量部と、
    不飽和カルボン酸に由来する繰り返し単位(Me)を1〜10質量部と、
    を有する、請求項1に記載のディップ成形用組成物。
  3. 前記水ガラスが、下記一般式(1)で示される化合物である、請求項1または請求項2に記載のディップ形成用組成物。
    O・nSiO ・・・(1)
    (上記一般式(1)において、Mはナトリウム、カリウムおよびリチウムからなる群から選ばれる少なくとも一種を示す。nは2.0〜4.5の数を示す。)
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のディップ成形用組成物を用いて作成されるディップ成形体。
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