JP2018008838A - カーボンナノチューブを含有する分散液から金属イオンを除去する方法、カーボンナノチューブ分散液、およびカーボンナノチューブ含有膜 - Google Patents

カーボンナノチューブを含有する分散液から金属イオンを除去する方法、カーボンナノチューブ分散液、およびカーボンナノチューブ含有膜 Download PDF

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Abstract

【課題】CNTが高濃度で分散媒体中に均一に分散されたCNT分散液の製造を可能とし、成膜性および成形性に優れ、かつ、簡便な方法で基板に塗工することができる金属不純物を含まない高純度のCNT分散液、および該CNT分散液から形成された金属不純物を含まない高純度のCNT含有膜を提供する。【解決手段】本発明に係る精製CNT分散液を製造する方法は、OH−型陰イオン交換体当量比率が10%から90%の、OH−型陰イオン交換体とH+型陽イオン交換体を混合し、これを精製用カラムに充填し、この中を原料となるCNT分散液を通過させることで、原料となるCNT分散液から金属イオンを除去することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブを含有する分散液から金属イオンを除去する方法、およびこれを用いて形成された金属イオン含有の少ないカーボンナノチューブを含有する分散液、およびこれを用いて形成された金属イオン含有の少ないカーボンナノチューブ含有膜に関する。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともいう。)は、一様な平面のグラファイトを丸めて円筒状にしたような構造を有している。CNTの両端は、フラーレンの半球のような構造で閉じられていても良いし、また末端が還元されて水素基となっていても、酸化されてカルボン酸やフェノール基となった開放末端となっていてもいい。さらにCNTは単層の筒状構造体または同心円筒状複数積層構造体であっても良い。カーボンナノバッドやカーボンナノホーンといわれるカーボンの形態もCNTに含める。CNTは、このような独特の構造を有するため様々な特性を具備しており、広範な分野において応用が検討されている。
具体的には、CNTは電場をかけると5員環や開放末端や結晶欠陥点から電子が放出されるため、電子放出電極としての応用が検討されている。また、CNTは内部に筒状の中空空間を有しているため、該空間に様々な分子を内包させることにより、燃料電池用電極としての応用が検討されている。さらに、CNTを分散させた導電性コンポジットのように膜としての応用が検討されている(特許文献1参照)。
CNTの塗膜形成をする場合や、CNTと他の炭素材料と混合し電極として成形する場合、CNTを分散媒体中に分散させたCNT分散液を原料として利用することが簡便である。例えば、水中や共役系重合体の溶液中にCNTを分散させる方法等が提案されている。
特開2008−166591号公報
CNT分散液中に不純物として金属原子を含有すると、電池等をはじめとした各種電子デバイス用にCNT分散液を用いて形成された膜や電極を形成する際に、電子デバイスの性能や信頼性や耐久性に悪影響があるので好ましくない。一方、CNTは一般的に鉄(Fe)やコバルト(Co)やニッケル(Ni)やモリブデン(Mo)等を含む触媒を用いるのでこれら金属や金属酸化物等を不純物として含有する形で製造される。また、触媒の担体や作業環境から混入する、ナトリウム(Na)やカリウム(K)やカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)等の金属や金属酸化物等も不純物として含有する形で製造される。それら金属の除去には硝酸・塩酸・硫酸・フッ酸等を用いる酸処理によるイオン化溶解処理と、各種ろ過膜によるCNTの回収等が組み合わせて利用されることがある。しかしこれらによっても、電子デバイスが要求する残留金属イオン濃度がPPMレベル以下に金属イオン成分を除去することは困難である。
一般的に溶液中の微量の金属イオンの除去は、H型の陽イオン交換体を充填したカラム中を溶液が通過することで実現される。ただし、溶液がCNTを含有する分散液(以下、「CNT分散液」ともいう。)の場合、H型の陽イオン交換体を充填したカラム中を溶液が通過すると、溶液中の金属イオンの除去と同時に、CNTが凝集しカラム内に残留し失われるため、CNTが回収されない問題が発生する。このため、金属イオンの含有を抑制しながら、分散媒体中に均一にCNTが分散したCNT分散液を、H型の陽イオン交換体を充填したカラムを用いて製造することは困難であった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上記課題を解決することで、CNTが高濃度で分散媒体中に均一に分散されたCNT分散液の製造を可能とし、成膜性および成形性に優れ、かつ、簡便な方法で基板に塗工することができる金属不純物を含まない高純度のCNT分散液、および該CNT分散液から形成された金属不純物を含まない高純度のCNT含有膜を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
〔適用例1〕
本発明に係る精製CNT分散液を製造する方法の一態様は
OH型陰イオン交換体当量比率が10%から90%の、OH型陰イオン交換体とH型陽イオン交換体を混合し、これを精製用カラムに充填し、この中を原料となるCNT分散液を通過させることで、原料となるCNT分散液から金属イオンを除去することができる。
〔適用例2〕
本発明に係る精製CNT分散液の一態様は
適用例1に記載の方法により製造することができる。
〔適用例3〕
本発明に係る金属イオン含有の少ないカーボンナノチューブ含有膜の一態様は
適用例2に記載の精製CNT分散液を用い、スピンコート、スプレーコート、スリットコート、グラビア印刷、インクジェット法、等の方法により形成することができる。
本発明に係る方法により金属イオンを除去精製されたCNT分散液は、分散媒体中にCNTが高濃度で均一に分散されているため、長期の貯蔵安定性を確保することができる。さらに、本発明に係るCNT分散液は、電極形成剤の添加材として電極素材である炭素系を主体とする原料に添加して用いると簡単に混合し不純物金属イオンを増加させることなく形成できる。また本発明に係るCNT分散液は、硝酸イオン等も低減するので、成膜性および成形性に優れたCNT分散液を提供し、それを基板上に簡便な方法で塗工することができる。
上述した方法で形成された電極は不純物イオン量が少なく、CNTが有する繊維状構造体による補強効果で機械強度の良好な電極が形成できる。また上述した方法で形成されたCNT含有膜は、CNTの導電性等の特性を損なうことなく、不純物となる金属イオンを発生しない優れた膜となる。
精製CNT分散液を製造する方法を行う装置を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例をも含む。
1.精製CNT分散液を製造する方法
OH型陰イオン交換体当量比率を、「イオン交換体混合物中にある、OH型陰イオン交換体の官能基の当量の、OH型陰イオン交換体とH型陽イオン交換体の官能基の合計当量に対する100分比率」として定義すると、本実施の形態に係る精製CNT分散液を製造する方法は、OH型陰イオン交換体当量比率が10%から90%の範囲の組成のOH型陰イオン交換体とH型陽イオン交換体の混合物を混合し、これを精製用カラムに充填し、この中を原料となるCNT分散液を通過させることで、原料となるCNT分散液から金属イオンを除去した精製CNT分散液を製造する方法である。
1.1.原料となるCNT分散液
本実施の形態に用いる原料となるCNT分散液は、CNTが分散媒体中に均一に分散したものである。本実施の形態に係る原料となるCNT分散液は、均一に分散させることができれば必要に応じて所望の順に添加剤を混合することにより製造することができる。添加する順序は、特に限定されず、全ての原料を一括して混合してもよいし、添加材を混合した分散媒体を用いても良いし、最後にCNTを分散媒体に分散後添加剤を混合しても良い。
各成分を均一に分散させる方法としては、CNTを分散媒体中で超音波照射により予備分散した後超音波照射により分散する方法等が好ましい。ここで、超音波照射は、超音波洗浄機、超音波破砕機等を用いて行うことができる。
原料となるCNT分散液のpHは分散安定性のために2.0〜12.0が好ましく、さらにpHは分散安定性のために4.0〜10.0が好ましく、CNT分散液中の金属イオン(K、Na、Mg、Ca、Fe、Co、Ni)の合計含有量をM(ppm)としたときに、M=1×10(ppm)以下であることが好ましい。
CNT分散液の濃度は簡便には、OD値(波長550nmでの光路長1cmでの光線透過率の対数値)で評価できる。光線透過率1%は、OD値2となり、これはCNTの重量濃度0.006%に相当する。精製CNTを用いた塗膜が有用な膜厚を形成するためには黒色で高濃度の原料となるCNT分散液が好ましく、そのOD値が2以上あることが好ましい。
以下、本実施の形態に係る原料となるCNT分散液を構成する各成分について説明する。
1.1.1.CNT
本実施の形態で用いられる成分であるCNTとしては、炭素によって作られる1枚の六員環ネットワーク(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層のシングルウォールCNT(以下、「SWCNT」という。)、数枚(通常10層以下)のグラフェン・シートが同心円状に巻かれたフューウォールCNT(以下、「FWCNT」という。)、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれたマルチウォールCNT(以下、「MWCNT」という。)等が挙げられる。本実施の形態では、SWCNT、FWCNT、MWCNTをそれぞれ単独で使用してもよいし、複数種組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、導電性および分散安定性および半導体特性において優れた性質を有する観点から、SWCNTおよびFWCNTがより好ましい。
上記のようなCNTは、例えばアーク放電法、レーザーアブレーション法、化学気相成長法(以下、「CVD法」ともいう。)等によって好ましいサイズに作製される。本実施の形態で用いられるCNTは、いずれの方法を用いて作製されたものであってもよい。
上記の方法でCNTを作製する際には、フラーレンやグラファイト、非晶性炭素が同時に副生成物として生成される場合があり、またニッケル、鉄、コバルト、モリブデン、イットリウム等の触媒金属が残存する場合があるし、触媒担体として用いられるシリカやマグネシアが残存する場合があるので、これらの不純物をできるだけ精製して除去することが好ましい。不純物を除去する方法としては、硝酸、硫酸、フッ酸等による酸処理またはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、アンモニア、水酸化カリウム等による塩基処理と共に超音波処理や沸騰水中での加熱を行う方法が有効であり、さらにフィルターによる分離または遠心分離による分離操作と脱イオン水や硝酸や塩酸や硝酸やフッ酸やアンモニア水等での洗浄を併用することが純度を向上させる観点から好ましい。
なお、CNTは、あらかじめ微細に破断し分散性を向上させておくことが望ましい。CNTを短繊維状に破断するには、硝酸、硫酸等による酸処理と共に、食塩等の各種塩を粉砕助剤と混ぜ乳鉢で粉砕する方法や、ロールミル・ビーズミル・ジェットミル・各種撹拌翼・超音波ホーン等による機械的撹拌破砕等を用いる方法も有効であり、さらにフィルターや遠心分離による分離操作を併用することによりCNTのみを回収することを併用することができる。なお、本実施の形態においては、短繊維状に加工されたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製されたCNTを用いてもよい。
上述したような短繊維状CNTは、例えば以下のようにして作製することができる。まず、基板を用意し、該基板上に鉄、コバルト等の触媒金属を形成させる。次いで、その基板の表面にCVD法を用いて700〜900℃で炭素化合物を熱分解して気相成長させる。これにより、前記基板表面に垂直方向に配向した形状のCNTが形成される。得られた短繊維状のCNTは、基板から剥ぎ取る等の方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTは、ポーラスシリコンのようなポーラスな支持体またはアルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、それらの表面にCVD法にて成長させて得ることもできる。また、触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVD法を用いることによって基板上にCNTを作製する方法でも、配向された短繊維状CNTを作製することができる。さらには、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向させた短繊維状CNTを得ることもできる。
なお、本実施の形態において、CNTは、CNT分散液を作成する任意の時点で、分散安定性を向上させる等の目的でカルボキシル基、フェノール基、アルコール基、ケトン基、アミン基、ピリジン基、アミド基、ニトロ基、ジアゾ基等の官能基を導入する表面処理を行ってもよい。これらの表面処理を行うには公知の反応、例えば、硫酸・硫酸と過酸化水素水との混合物・硝酸・フッ酸等との常温下もしくは加熱下接触処理、イオン注入処理、スパッタエッチング処理、プラズマ処理、酸素およびオゾンとの接触処理、アンモニアガスやアンモニアと水素の混合ガスとの接触処理、ニトロ化反応、ニトロ化反応とジアゾ化反応の連続処理、ニトロ化反応とジアゾ化反応とジアゾカップリング反応の連続処理、シランカップリング反応を利用した化学処理等が挙げられる。
1.1.2.分散媒体
本実施の形態に係るCNT分散液は分散媒体を含有する。本実施の形態で用いられる分散媒体は、CNTを均一に分散させることができ、CNT含有膜の成膜時に速やかに揮発する成分であれば特に限定されない。分散媒体としては、例えば水、アルコール系分散媒体、ケトン系分散媒体、アミド系分散媒体、エステル系分散媒体および非プロトン系分散媒体から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらの分散媒体の中でも、50〜300℃の沸点を有するものが好ましい。さらに、分散媒体としては、安全面の観点から、水を含有する媒体が好ましく、水がより好ましい。前記例示した分散媒体を用いることにより、CNT含有膜を成膜する際に必要となる特性、すなわち適度な蒸気圧および蒸発速度、基板への濡れ性、ならびに粘度等を付与することができる。
1.1.3.添加剤
本実施の形態に係るCNT分散液は、必要に応じて以下に示すようなメタルイオン源とならない添加剤を加えてもよい。
1.1.3.1.有機ポリマー
本実施の形態に係るCNT分散液は、粘度調整等の目的でポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアンハイドライド、ポリスチレン系重合体および(メタ)アクリル系重合体から選択される少なくとも1種の有機ポリマーを添加してもよい。
本実施の形態に係るCNT分散液においては、モノマー組成、分子量等を適切に選択することによって窒素雰囲気下において80〜250℃における示差熱熱重量分析による重量減少率が90%以上となる有機ポリマーを用いることが好ましい。また、本実施の形態に用いられる有機ポリマーは、分解後の残渣がCNTの性質に影響を及ぼさないものが好ましく、解重合により分解されるものがより好ましい。
本実施の形態に係るCNT分散液中に含まれる有機ポリマーの含有量は、分散媒体100質量部に対して、100質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらにより好ましくは1質量部以下、であることが好ましい。
1.1.3.2.界面活性剤
本実施の形態に係るCNT分散液は、CNTの分散安定性を向上させる観点から、界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤のいずれの界面活性剤を使用してもよい。アニオン系界面活性剤としては、例えば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
本実施の形態に係るCNT分散液中に含まれる界面活性剤の含有量は、分散媒体100質量部に対して、1質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、さらにより好ましくは0.01質量部以下、であることが好ましい。
1.1.3.3.pH調整剤
本実施の形態に係るCNT分散液は、pH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては、例えば硝酸、塩酸、過塩素酸、硫酸・シュウ酸・酢酸等の酸や、アンモニア水・TMAH水溶液・コリン水溶液・ピリジン水溶液等のアルカリや、それらの組み合わせで形成される塩や、アミノ酸、EDTA等の両性化合物の水溶液を用いた希薄な緩衝溶液(塩濃度10当量MOL/L以下)を用いることができる。CNT分散液のpHを2.0〜12.0に調整することがこのましく、さらに好ましくは調整後のpHが4.0〜10.0にあることが好ましい。
1.1.3.4.密着助剤
本実施形態に係るCNT分散液は、CNT分散液を利用する環境で安定な酸化物となり金属イオン源とならない密着性助剤の目的のTEOS(オルトケイ酸テトラエチル)やアルミニウムイソプロポキシドやオルトチタン酸テトライソプロピルなどのアルコキシド化合物やその類似化合物を添加しても良い。
本実施の形態に係るCNT分散液中に含まれる密着助剤の含有量は、分散媒体100質量部に対して、1質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、さらにより好ましくは0.01質量部以下、であることが好ましい。
1.1.3.5.その他の添加剤
本実施の形態に係るCNT分散液には、必要に応じて、さらに分散剤、粘度調整剤、塗面調整剤、保存剤等の各種添加剤を添加してもよい。
本実施の形態に係るCNT分散液中に含まれるこれら各種添加剤の含有量は、分散媒体100質量部に対して、100質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらにより好ましくは1質量部以下、であることが好ましい。
1.2.充填カラム
本実施の形態に用いる充填カラムは、0%から90%の官能基当量比でOH型陰イオン交換体をH型陽イオン交換体中に添加し、これを混合し、これをカラムに充填したものである。本実施の形態に係る充填カラムは、OH型陰イオン交換体をH型陽イオン交換体を所望の順に投入し、それらをカラム内で混合し充填してもよい。
本実施の形態に係る充填カラムは、必要に応じて所望の順に体積分率で50%を超えない範囲の添加剤を混合することにより製造することができる。添加する順序は、特に限定されず、全ての原料を一括して混合してもよい。添加剤としては、OH型陰イオン交換体をH型陽イオン交換体でない樹脂添加材、分散媒体、pH調整添加剤が用いられる。
以下、本実施の形態に係る充填カラムを構成する各成分について説明する。
1.2.1 OH型陰イオン交換体
上記OH型陰イオン交換体は、OH型陰イオン交換体が市販品として入手可能な場合にはそのまま用いても良いし、市販体がCl型等の陰イオン交換体の場合には1M NaOH水溶液や1M KOH水溶液や1M TMAH等で処理し、OH型陰イオン交換体として用いても良い。OH型陰イオン交換体は純水で充分に洗浄したものを用いることが好ましい。陰イオン交換体としては特に限定されず、例えば、ハイドロタルサイト、ハイドロカルマイト等の無機化合物、陰イオン交換膜、陰イオン交換樹脂等を挙げることができるが、なかでも陰イオン交換樹脂が好ましい。さらに陰イオン交換樹脂の粒径は0.01mm〜2mmであることが好ましい。
上記陰イオン交換樹脂としては、例えば、官能基として−N(CH基(Xは、Cl又はOHを表す。)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂、−N(CH(COH)基(Xは、上記と同じ。)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂等、公知のものが挙げられる。例えば、ORGANO社から販売されているアンバーライトIRA400J、アンバーライトIRA402BL、アンバーライトIRA404J、アンバーライトIRA900J、アンバーライトIRA904J、アンバーライトIRA458RF、アンバーライトIRA958、IRA410J、アンバーライトIRA411、アンバーライトIRA910CT、アンバージェット4400、アンバージェット4400、アンバージェット4002、アンバージェット4010等や、また三菱化学が製造するダイヤイオンセパビーズシリーズのSA10A、SA12A、SA11A、NSA100、UBA120、PA306S、PA308、PA312、PA316PA318L、HPA25、SA20A、SA21A、PA408、PA412、PA418等の市販品を使用することができる。
1.2.2 H型陽イオン交換体
上記H型陽イオン交換体としては、陽イオン交換樹脂を挙げることができる。上記陽イオン交換樹脂としては特に限定されず、例えば、官能基として−SO3−基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、官能基として−COO基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂等、公知のものが挙げられるが、なかでも、除去効率の観点から、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、H型の強酸性陽イオン交換樹脂がより好ましい。さらに陽イオン交換樹脂の粒径は0.01mm〜2mmであることが好ましい。
上記陽イオン交換樹脂は、H型陽イオン交換体が市販品として入手可能な場合にはそのまま用いても良いし、市販体がNa型等の陽イオン交換体の場合には1M HCl水溶液や1M HNO水溶液でH型に処理し、H型陽イオン交換体として用いても良い。H型陽イオン交換体は純水で充分に洗浄したものを用いることが好ましい。陽イオン交換体としては特に限定されず、例えば、ORGANO社から販売されているアンバーライトIRA120B H、アンバーライトIR124 H、アンバーライトIR200CT H、アンバーライトFPC3500、アンバーライトIRC76、アンバージェット1020、アンバージェット1024、アンバージェット1060、アンバージェット1220等や、また三菱化学が製造するダイヤイオンセパビーズシリーズのSK1B、 SK104、SK110、SK112、UBK08、UBK10、UBK12、PK208、PK212、PK216、PK218、PK220、PK228、WK40、WK10、WK11、WK100等の市販品を使用することができる。
1.2.3 樹脂添加剤
上記両イオン交換体の機能を阻害しない樹脂添加剤として、官能基を満たない樹脂や、イオン化する官能基を持たない樹脂や、キレート基で修飾された樹脂等を樹脂添加剤とし50%を超えない範囲で用いてよい。イオン化しない官能基としては、アルコール基、グリコール基、オキシメチレン基等が考えられる。キレート基としては、イミノジ酢酸基、アミノリン酸基などがあげられる。三菱化学等が製造するダイヤイオンセパビーズCR11やオルガノが販売するキレート樹脂IRC748のようなイミノジ酢酸型は1M HNO水溶液の処理でカルボキシ基部分をH型としたうえで十分水洗しさらに1M TMAHを用いてイミド基部分をOH型とし十分水洗した上で樹脂添加剤として用いることができる。三菱化学等が製造するダイヤイオンセパビーズCRB03やCRB05やオルガノが販売するキレート樹脂IRA743のようなグルカミン型や、オルガノが販売するキレート樹脂IRC747UPSのようなアミノリン酸型も樹脂添加剤として用いることができる。
1.2.4 pH調整添加剤
精製用のカラムは、使用前に樹脂充填物の隙間に脱イオン水などの溶媒で注入して用いることが好ましい。脱イオン水などの溶媒にはpH調整のために、硝酸、塩酸、過塩素酸、硫酸・シュウ酸・酢酸等の酸や、アンモニア水・TMAH水溶液・コリン水溶液・ピリジン水溶液等のアルカリや、それらの組み合わせで形成される塩や、アミノ酸、EDTA等の両性化合物の水溶液を用いた希薄な緩衝溶液(塩濃度10当量MOL/L以下)を添加することができる。溶媒のpHを2.0〜12.0に調整することがこのましく、さらに好ましくは調整後のpHが4.0〜10.0にあることが好ましい。
1.3 カラム処理装置
上記充填カラムは、例えば図1に示されるようなカラム処理装置に組み込み原料となるCNT分散液の処理に用いられる。カラム処理装置100において、CNT分散液は、供給タンク1から定量ポンプ2により昇圧された脈動防止器3に供給される。定量ポンプ2による脈動がある場合は、脈動防止器3によって脈動が低減される。脈動防止器3から排出された反応液は、均質な混床4のCNT分散液供給側に供給され、均質な混床との接触工程が行われた後、CNT分散液排出側に設置された排出導管5を通って回収される。また、定量ポンプ2による脈動が生じない場合には、脈動防止器3を配置しなくてもよい。
排出導管5を通って回収されたCNT分散液は、必要に応じて戻り導管6を通して供給タンク1に戻し、再び均質な混床4にて均質な混床に接触させる工程を行うこともできる。導管6でのCNT分散液の水圧がCNT分散液をタンク1に戻すのに十分でない場合には、導管6の途中に定量ポンプや脈動防止器を追加設置しても良い。
更に、CNT分散液の粘度が高い場合には、供給タンク、導管、またはこれらの両方を加温することにより、反応液の粘度を低下させることができる。即ち、供給タンク、導管、またはこれらの両方を加温可能な加温手段を更に備えていてもよい。
なお、カラム処理装置100は、第一圧力計7aと第二圧力計7bとを備えているが、圧力計を備えない装置を用いてもよい。但し、第一圧力計7aと第二圧力計7bとを備えることにより、器が正常に機能するように器に生じる差圧を管理することができる。また、供給タンク1に代えて、運搬用のコンテナから直接、異物除去前のCNT分散液を供給してもよい。そして、カラム処理装置100は、1つの均質な混床4を用いた例であるが、複数の均質な混床を用いることもできる。複数の均質な混床を用いる場合、複数の均質な混床を直列に連結してもよいし、並列に配置してもよい。
2.カーボンナノチューブ含有膜に用いる精製CNT分散液
本方法で生成された精製CNT分散液は、そのまま塗膜形成に用いても良いが、必要に応じてろ過や添加剤の添加や分散性を向上させる処理をしてから、塗膜形成に用いても良い。塗膜形成方法は、スピンコート、スプレーコート、スリットコート、グラビア印刷、インクジェット法、等のいずれの一般的方法により膜を形成しても良い。
以下、本実施の形態に係る精製CNT分散液の各処理について説明する。
2.1 フィルター処理
本方法で生成された精製CNT分散液を用いた塗膜を半導体デバイス上で利用する場合には、異物除去をするために0.1〜2μmのフィルターでろ過することが好ましい。
2.2 添加剤処理
本方法で生成された精製CNT分散液を用いた塗膜形成を補助する、ポリオキシメチレンポリマーやヒドロキシプロピルセルロース等の増粘剤や、1.1.3に記載された各種添加剤を添加しても良い。
2.3 分散処理
本方法で生成された精製CNT分散液は、分散性のさらなる向上のために、ビーズミル・ジェットミル・各種撹拌翼・超音波ホーン等による機械的撹拌破砕等を用いても良い。
3.実施例
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3.1 実施例1
3.1.1 CNT分散液の調製
CNT(米国nanoC社製、SWCNT、APT−25)10gを50%硝酸水溶液3.0Lと混合し、120℃の共沸条件下でリフラックスさせ、8時間加熱することで、CNT原料中に夾雑物として存在する鉄や鉄の酸化物等を溶解イオン化するとともに、硝酸の酸化作用でCNTをカルボキシ基で表面処理した。得られた混合液を、室温まで冷却し、上澄みを除去した。沈殿物に、4.0Lの脱イオン水を加え撹拌後、遠心分離し上澄みを除去することを、除去される上澄み液のpHが1.6以上となる時点まで繰り返した。この沈殿物を希釈し、さらに液のpHが7になるように微量のアンモニア水を加え中和した。さらにこれを超音波破砕機(東京理化器械社製 「VCX−502」、出力250W、直接照射)で60分間分散処理し均一なCNT分散液を得た。こうして得たCNT分散液を希釈して、1cmの光路長での波長550nmでの光線透過率が0.01%(OD=4.0)(ThermoScientific社製、GENESYS 10S)の真っ黒な高濃度の一様なCNT分散液を得た。
このCNT分散液中に、鉄イオンは10ppmで硝酸イオンは200ppm存在した。金属量はサンプリングしたCNT分散液をICP−MS(Agilent 7500CS)、硝酸イオン量は硝酸イオン計(本体VWR社製 B20PI Benchtop Multi Parameter MeterにプローブFisher Scientific 社製Nitrate Polymer Membrane Combination ISE; BNC connector、 13−620−534を取り付けて使用)を用いて分析して算出した。以上を繰り返し数バッチ生産のCNT分散液をまとめることで十分量の高濃度の一様なCNT分散液を確保した。
3.1.2 CNT精製用カラムの準備
上方が解放され下方は閉鎖され流出口を持つガラス製の筒状カラム(直径50mm、長さ1000mm)を準備した。その流出口にはニードルバルブを付けることで流量コントロールできるようにした。さらにカラムの底の流出口手前にはイオン交換樹脂の流出を防止する樹脂製メッシュを設定した。これにH型としたオルガノ社が販売する陽イオン交換樹脂IR124と、OH型としたIRA410JをOH型陰イオン交換体当量比率50%で混合し、これを700mmの高さまで充填した。
さらにイオン交換樹脂が動かないように上から不活性な樹脂製のメッシュ構造をもった部品で押さえつけ、これを十分量の脱イオン水を上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出することでカラム内を洗浄した。液面がほぼイオン交換樹脂の最上部となる位置でニードルバルブを閉めた。
3.1.3 CNT分散液のカラム精製
上記3.1.1で作製したOD=4.0のCNT分散液から10Lをポリ瓶に移し、上記3.1.2で作成したCNT精製用カラムの上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出した。CNT分散液は基本的にカラムの上端から50mmの範囲となるように導入薬液量を調整しつつ、ニードルバルブにて排出される液体量を10mL/分に調整した。
流出口から出てくるCNT分散液を回収した。回収されたCNT分散液は、十分な濃度(OD=3.9)を維持し、pHがCNTの貯蔵安定性がよい6.8で、鉄イオン濃度が半導体デバイスへの悪影響がない0.1ppm以下で硝酸イオン濃度も10ppm以下の精製された良好なCNT分散液であった。
3.1.4 CNT分散液の塗布
4インチの熱酸化膜付きシリコンウエハーを試験片とした。この試験片をホットプレートで350℃/3分間乾燥させた後、アルミ製バットに置き30秒間除熱した。その後、乾燥させた試験片表面のゴミをエアスプレーで除去し、スピンコーター(ミカサ社製MS−B100)の回転台座に固定した。試験片を20rpmで回転させ、上記「3.1.3 CNT分散液のカラム精製」で得られたCNT分散液を5mL滴下し、30秒間CNT分散液が試験片全体に均質に行き渡るよう回転させた。その後、500rpmに回転数を設定し、1秒間回転させてCNT分散液を試験片全体に均等に塗布した。その後、回転数を再び60rpmに設定し、5分間回転させ、CNT分散液を乾燥させた。回転数を再度2000rpmに設定し、20秒間回転させてCNT分散液を完全に乾燥させた。試験片をスピンコーターから外し、ホットプレートで350℃/3分間乾燥することにより試験片表面にCNT含有膜を形成した。これを10回繰り返した。
CNTの膜が薄く形成されたためにシリコンウエハーの塗布面はかすかに暗いトーンの一様な色調となった。形成された膜は、目視異物観察(強い斜入射光を使い、異物による乱反射を確認)で異物のないスムーズで一様な良好な膜が形成されたことを確認した。
3.2 比較例1
3.2.1 CNT精製用カラムの準備
上記3.1.2と同様のガラス製の筒状カラムを準備した。これにH型としたオルガノ社が販売する陽イオン交換樹脂IR124を700mmの高さまで充填、さらにイオン交換樹脂が動かないように上から不活性な樹脂製のメッシュ構造をもった部品で押さえつけ、これを十分量の脱イオン水を上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出することでカラム内を洗浄した。液面がほぼイオン交換樹脂の最上部となる位置でニードルバルブを閉めた。本精製用カラムはOH型陰イオン交換体当量比率が0%である。
3.2.2 CNT分散液のカラム精製
上記3.1.3と同様の手順でCNT分散液のカラム精製を試みた。イオン交換樹脂による鉄イオン除去の結果、鉄イオン濃度が半導体デバイスへの悪影響がない0.1ppm以下を達成したが、硝酸イオン濃度は200ppmで、回収したCNT分散液中のCNTの濃度が大幅に下がり(OD=0.3)有用性が著しく損なわれ、pHはCNTの貯蔵安定性が悪い2.5であった。回収されたCNT分散液の濃度が不十分なため、上記3.1.4と同様の方法にて塗布膜の形成ができなかったため、異物確認はできなかった。
3.3 比較例2
3.3.1 CNT精製用カラムの準備
上記3.1.2と同様のガラス製の筒状カラムを準備した。これにH型としたオルガノ社が販売する陽イオン交換樹脂IR124とOH型としたIRA410Jを混合しないように注意しながら順番にそれぞれ350mm充填し全体で700mmの高さまで充填、さらにイオン交換樹脂が動かないように上から不活性な樹脂製のメッシュ構造をもった部品で押さえつけ、これを十分量の脱イオン水を上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出することでカラム内を洗浄した。液面がほぼイオン交換樹脂の最上部となる位置でニードルバルブを閉めた。本精製用カラムは全体としてはOH型陰イオン交換体当量比率50%だが、混合はしていない。
3.3.2.CNT分散液のカラム精製
上記3.1.3と同様の手順でCNT分散液のカラム精製を試みた。イオン交換樹脂による鉄イオンと硝酸イオン除去の結果、鉄イオン濃度が半導体デバイスへの悪影響がない0.1ppm以下と硝酸イオン濃度10ppm以下は達成したが、CNTの濃度が大幅に下がり(OD=0.3)有用性が著しく損なわれ、pHはCNTの貯蔵安定性が悪い2.5であった。回収されたCNT分散液の濃度が不十分なため、上記3.1.4と同様の方法にて塗布膜の形成ができなかったため、異物確認はできなかった。
3.4 比較例3
3.4.1 CNT精製用カラムの準備
上記3.1.2と同様のガラス製の筒状カラムを準備した。これにOH型としたオルガノ社が販売するIRA410Jを700mmの高さまで充填、さらにイオン交換樹脂が動かないように上から不活性な樹脂製のメッシュ構造をもった部品で押さえつけ、これを十分量の脱イオン水を上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出することでカラム内を洗浄した。液面がほぼイオン交換樹脂の最上部となる位置でニードルバルブを閉めた。本精製用カラムはOH型陰イオン交換体当量比率が100%である。
3.4.2 CNT分散液のカラム精製
上記3.1.3と同様の手順でCNT分散液のカラム精製を試みた。イオン交換樹脂による硝酸イオン除去の結果、硝酸イオン濃度が10ppmを達成したが、鉄イオン濃度は10ppmで変わらず、CNTの濃度が大幅に下がり(OD=0.3)有用性が著しく損なわれ、pHはCNTの貯蔵安定性が悪い11.0であった。回収されたCNT分散液の濃度が不十分なため、上記3.1.4と同様の方法にて塗布膜の形成ができなかったため、異物確認はできなかった。
3.5 実施例2
3.5.1 CNT精製用カラムの準備
上記3.1.2と同様のガラス製の筒状カラムを準備した。これにH型としたオルガノ社が販売する陽イオン交換樹脂IR124と、OH型としたオルガノ社が販売するIRA410JをOH型陰イオン交換体当量比率=25%で混合し、700mmの高さまで充填、さらにイオン交換樹脂が動かないように上から不活性な樹脂製のメッシュ構造をもった部品で押さえつけ、これを十分量の脱イオン水を上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出することでカラム内を洗浄した。液面がほぼイオン交換樹脂の最上部となる位置でニードルバルブを閉めた。
3.5.2 CNT分散液のカラム精製
上記3.1.3と同様の手順でCNT分散液のカラム精製を試みた。回収されたCNT分散液は、十分な濃度(OD=3.9)を維持し、pHがCNTの貯蔵安定性がよい6.8で、鉄イオン濃度が半導体デバイスへの悪影響がない0.1ppm以下で硝酸イオン濃度も10ppm以下の精製された良好なCNT分散液であった。
さらに、上記3.1.4と同様の方法にてシリコンウエハーに塗布した。形成された膜は、目視異物観察で異物のないスムーズで一様な良好な膜が形成されたことを確認した。
3.6 実施例3
3.6.1 CNT精製用カラムの準備
上記3.1.2と同様のガラス製の筒状カラムを準備した。これにH型としたオルガノ社が販売する陽イオン交換樹脂IR124と、OH型としたオルガノ社が販売するIRA410JをOH型陰イオン交換体当量比率=75%で混合し、700mmの高さまで充填、さらにイオン交換樹脂が動かないように上から不活性な樹脂製のメッシュ構造をもった部品で押さえつけ、これを十分量の脱イオン水を上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出することでカラム内を洗浄した。液面がほぼイオン交換樹脂の最上部となる位置でニードルバルブを閉めた。
3.6.2 CNT分散液のカラム精製
上記3.1.3と同様の手順でCNT分散液のカラム精製を試みた。回収されたCNT分散液は、十分な濃度(OD=3.9)を維持し、pHがCNTの貯蔵安定性がよい6.8で、鉄イオン濃度が半導体デバイスへの悪影響がない0.1ppm以下で硝酸イオン濃度も10ppm以下の精製された良好なCNT分散液であった。
さらに、上記3.1.4と同様の方法にてシリコンウエハーに塗布した。形成された膜は、目視異物観察で異物のないスムーズで一様な良好な膜が形成されたことを確認した。
3.7 比較例4
3.5.1 CNT精製用カラムの準備
上記3.1.1と同様のガラス製の筒状カラムを準備した。これにH型としたオルガノ社が販売する陽イオン交換樹脂IR124と、OH型としたオルガノ社が販売するIRA410Jを、OH型陰イオン交換体当量比率=1%で混合し、700mmの高さまで充填、さらにイオン交換樹脂が動かないように上から不活性な樹脂製のメッシュ構造をもった部品で押さえつけ、これを十分量の脱イオン水を上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出することでカラム内を洗浄した。液面がほぼイオン交換樹脂の最上部となる位置でニードルバルブを閉めた。
3.7.2 CNT分散液のカラム精製
上記3.1.3と同様の手順でCNT分散液のカラム精製を試みた。イオン交換樹脂による鉄イオン除去の結果、鉄イオン濃度が半導体デバイスへの悪影響がない0.1ppm以下を達成したが、硝酸イオン濃度は20ppmでCNTの濃度が大幅に下がり(OD=0.4)有用性が著しく損なわれ、pHはCNTの貯蔵安定性が悪い3.0であった。回収されたCNT分散液の濃度が不十分なため、上記3.1.4と同様の方法にて塗布膜の形成ができなかったため、異物確認はできなかった。
3.8 比較例5
3.8.1 CNT精製用カラムの準備
上記3.1.1と同様のガラス製の筒状カラムを準備した。これにH型としたオルガノ社が販売する陽イオン交換樹脂IR124と、OH型としたオルガノ社が販売するIRA410Jを、OH型陰イオン交換体当量比率=99%で混合し、700mmの高さまで充填、さらにイオン交換樹脂が動かないように上から不活性な樹脂製のメッシュ構造をもった部品で押さえつけ、これを十分量の脱イオン水を上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出することでカラム内を洗浄した。液面がほぼイオン交換樹脂の最上部となる位置でニードルバルブを閉めた。
3.8.2 CNT分散液のカラム精製
上記3.1.3と同様の手順でCNT分散液のカラム精製を試みた。イオン交換樹脂による硝酸イオン除去の結果、硝酸イオン濃度が10ppm以下を達成したが、鉄イオン濃度は1.0ppmで、CNTの濃度が大幅に下がり(OD=0.4)有用性が著しく損なわれ、pHはCNTの貯蔵安定性が悪い10.5であった。回収されたCNT分散液の濃度が不十分なため、上記3.1.4と同様の方法にて塗布膜の形成ができなかったため、異物確認はできなかった。
3.9 実施例5
3.9.1 CNT精製用カラムの準備
上記3.1.2同様のガラス製の筒状カラムを準備した。これにH型としたオルガノ社が販売する陽イオン交換樹脂IR124とOH型としたIRA410JをOH型陰イオン交換体当量比率50%で混合し、さらにこの混合されたイオン交換樹脂に樹脂添加剤としてその合計量の半分量のオルガノが販売するキレート樹脂IRA743を完全に混合した。これを700mmの高さまで充填した。
さらにイオン交換樹脂が動かないように上から不活性な樹脂製のメッシュ構造をもった部品で押さえつけ、これを十分量の脱イオン水を上から注ぎながら、開けた流出口から液を排出することでカラム内を洗浄した。液面がほぼイオン交換樹脂の最上部となる位置でニードルバルブを閉めた。
3.9.2 CNT分散液のカラム精製
上記3.1.3と同様の手順でCNT分散液のカラム精製を試みた。回収されたCNT分散液は、十分な濃度(OD=3.9)を維持し、pHがCNTの貯蔵安定性がよい6.7で、鉄イオン濃度が半導体デバイスへの悪影響がない0.1ppm以下で硝酸イオン濃度も10ppm以下の精製された良好なCNT分散液であった。
さらに、上記3.1.4と同様の方法にてシリコンウエハーに塗布した。形成された膜は、目視異物観察で異物のないスムーズで一様な良好な膜が形成されたことを確認した。
3.10 実施例6
3.10.1 CNT分散液の調製
CNT(米国Chasm Technology社製、FWCNT、FW100X)10gを塩酸3.0Lと混合し2時間撹拌し、CNT原料中に触媒起因で夾雑物として存在するMoの酸化物等を溶解イオン化した。得られた混合液を、2時間清置後、上澄みを除去した。沈殿物に、4.0Lの脱イオン水を加え撹拌後、遠心分離し上澄みを除去することを、除去される上澄み液のpHが1.6以上となる時点まで繰り返し、CNTを沈殿として回収した。この沈殿物を、短波長の光を遮断した赤色光のみの環境下で、10倍量の塩酸を加えて撹拌、さらに沈殿物と半量の亜硝酸ナトリウムを加え撹拌し反応させた。これにより得られたジアゾ基で表面処理されたCNTを、遠心分離と上澄みの除去にて回収した。さらに除去される上澄み液のpHが1.6以上となる時点まで脱イオン水による希釈と遠心分離を繰り返し、系中の塩酸や亜硝酸ナトリウムを除去した。この沈殿物に10倍量の塩酸と半量のアニリンを加えて撹拌し反応させた。これにより得られたジアゾニウム塩で表面処理されたCNTを、遠心分離と上澄みの除去にて回収した。さらに除去される上澄み液のpHが1.6以上となる時点まで脱イオン水による希釈と遠心分離を繰り返し、系中の塩酸やアニリンやナトリウムイオンを除去した。これによりアニリンをジアゾカップリング反応でCNTと反応させ、アミンで表面処理されたCNTを得た。
この沈殿物に4。0Lの硝酸を加えた混合液を、2時間清置後、上澄みを除去した。沈殿物に、4.0Lの脱イオン水を加え撹拌後、遠心分離し上澄みを除去することを、除去される上澄み液のpHが1.6以上となる時点まで繰り返し、CNTを沈殿として回収した。この沈殿物を希釈し、さらに液のpHが7になるように微量のアンモニア水を加え中和した。
さらにこれを上記3.1.1同様の超音波破砕機を用いた分散処理し均一なCNT分散液を得た。こうして得たCNT分散液を希釈して、1cmの光路長での波長550nmでの光線透過率が0.01%(OD=4.0)の真っ黒な高濃度の一様なCNT分散液を得て再度pHを7に調整した。このCNT分散液中に、Moの含有量濃度は10ppmで硝酸イオンは200ppm存在した。以上を繰り返し数バッチ生産のCNT分散液をまとめることで十分量の高濃度の一様なCNT分散液を確保した。
3.10.2 CNT分散液の調製
上記3.1.3と同様の手順でCNT分散液のカラム精製を試みた。回収されたCNT分散液は、十分な濃度(OD=3.9)を維持し、pHがCNTの貯蔵安定性がよい7.5で、鉄イオン濃度が半導体デバイスへの悪影響がない0.1ppm以下で硝酸イオン濃度も10ppm以下の精製された良好なCNT分散液であった。
さらに、上記3.1.4と同様の方法にてシリコンウエハーに塗布した。形成された膜は、目視異物観察で異物のないスムーズで一様な良好な膜が形成されたことを確認した。
3.11.評価結果
実施例1〜実施例6の結果より、高濃度CNT分散液は、OH型陰イオン交換体当量比率が10%から90%の陰イオン交換体および陽イオン交換体の均質な混合体の精製用カラムを通過させることで、CNTの析出等の障害なく、メタル不純物を除去し高濃度で塗布異物等の無い良好なCNT分散液が回収できることが認められた。
一方、比較例1〜比較例5の結果より、OH型陰イオン交換体当量比率が10%から90%の陰イオン交換体および陽イオン交換体の均質な混合体でない精製用カラムを通過させると、CNT分散液はイオン交換体と接触させると、CNTの析出等による材料ロスが発生したり、メタル不純物を除去が不十分となったりして、良好なCNT分散液が回収できないことが認められた。
1…供給タンク、2…定量ポンプ、3…脈動防止器、4…均質な混床、5…排出導管、6…戻り導管、7a…第一圧力計、7b…第二圧力計、100…処理装置

Claims (3)

  1. OH型陰イオン交換体当量比率が10%から90%の、OH型陰イオン交換体とH型陽イオン交換体を混合し、これを精製用カラムに充填し、この中を原料となるCNT分散液を通過させることで、原料となるCNT分散液から金属イオンを除去した精製CNT分散液を製造する方法。
  2. 請求項1の方法で作成した精製CNT分散液。
  3. 請求項2の精製CNT分散液を用い、スピンコート、スプレーコート、スリットコート、グラビア印刷、インクジェット法、等の方法により形成された金属イオン含有の少ないカーボンナノチューブ含有膜。
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