JP2018008424A - 射出成形機 - Google Patents

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Abstract

【課題】スクリュを交換したときに、スクリュの種類に応じて加熱シリンダのゾーンが適切に自動的に分割されて温度制御されたり、他の制御が自動的に切換えられる射出成形機を提供する。【解決手段】スクリュ(3)毎に識別ID(11)を設け、取付け時に射出成形機(1)の読み取り手段(12)によって識別ID(11)が読み取られるように構成する。コントローラ(14)には複数のスクリュ(3)について識別ID(11)とスクリュ(3)の仕様データとを格納しておき、スクリュ(3)の取付け時に該当する仕様データを特定する。射出成形機(1)は仕様データに基づいて制御する。例えば、ゾーンの切換えに関する情報、つまりゾーン情報を仕様データとする場合には、スクリュ(3)が取付けられたら該当する識別ID(11)のゾーン情報に基づいて、ゾーン(H1、H2、…)が自動的に切換えられる。【選択図】 図1

Description

本発明は、加熱シリンダとスクリュを備えた射出成形機に関するものであり、スクリュの交換や加熱シリンダの交換が可能な射出成形機に関するものである。
射出成形機は従来周知で、金型を型締めする型締装置、型締めされた金型に樹脂を射出する射出装置等から構成されている。射出装置は、加熱シリンダと、この加熱シリンダ内に軸方向と回転方向とに駆動可能に設けられているスクリュとから構成され、加熱シリンダは後方にホッパが、そして前方に射出ノズルが設けられ、外周面には複数個のバンドヒータが設けられている。バンドヒータによって加熱シリンダを加熱し、そしてホッパからペレット状の樹脂を供給してスクリュを回転すると、ペレット状の樹脂は加熱シリンダ内で溶融し、そしてスクリュにより混練されてスクリュの前方に送られる。溶融した樹脂によりスクリュが後退し、適切な量がスクリュの前方に計量されたらスクリュの回転を停止する。スクリュを軸方向の前方に駆動すると溶融した樹脂が射出ノズルから射出される。
ところでスクリュにはフライトが形成されているが、その形状は軸方向で一様ではなく場所によって変化している。例えば、一般的なスクリュにおいてはフライト間の溝が、軸方向における後方区間、中間区間、前方区間の3区間において変化している。具体的には、ホッパに近い後方区間はフライト間の溝が深く形成されてペレット状の樹脂がスムーズに前方に送られるようになっており、中間区間においては軸方向の前方に向かって徐々に浅くなるように形成されて溶融した樹脂が圧縮・混練されるようになっており、前方区間は浅く形成されて溶融・混練された樹脂が所定の圧力で前方に送られるようになっている。後方区間をフィード部、中間区間を圧縮部、前方区間を計量部と呼ぶこともできる。
このようなスクリュに対応して、加熱シリンダは軸方向に分割された複数のゾーンにおいて独立して温度制御できるようになっている。すなわち各ゾーンには温度センサが埋め込まれ、外周面に設けられたバンドヒータがPWM制御されて所望の温度に管理されている。このような独立して温度制御されるゾーン数は、射出成形機によって異なるが、例えば加熱シリンダが第1〜5のゾーンに分割されている射出成形機では次のように温度制御されている。ホッパ寄りの最後方のゾーンでありペレット状の樹脂が供給される第1のゾーンは、樹脂がホッパにおいてブリッジを形成しないような温度、かつ樹脂を余熱して溶融し易い温度に制御される。第1のゾーンに続く第2のゾーンは樹脂を効率よく溶融させて、未ゲル状態の樹脂が実質的になくなるような比較的高温に制御される。そしてスクリュの圧縮部に対応する第3のゾーンは、樹脂が圧縮されて発熱するので温度が高温になりすぎないように制御される。第3のゾーンに続く第4のゾーンは、圧縮の発熱調整から保温に向けた移行温度に制御される。そして加熱シリンダの最前方のゾーンである第5のゾーンは計量した樹脂の保温に適した温度に制御される。樹脂は高温にすると流動性が高くなり転写性に優れた成形品を得ることができるが、高温になりすぎると焼けや変色の原因にもなる。従って適切に温度を管理する必要があるが、加熱シリンダは複数のゾーンにおいて独立して温度制御されるようになっているので、温度の適切な管理が可能になっている。
特開平11−300805号公報 特開平6−71715号公報
加熱シリンダにおいて独立して温度制御される各ゾーンの位置は射出成形機において一般的に固定されているが、このようなゾーンの位置を可変にすることができる射出成形機が特許文献1に記載されている。この文献に記載の射出成形機は、加熱シリンダにゾーンの個数より多くのバンドヒータが設けられている。そして各バンドヒータは手動で所望のゾーンに切換えることができるようになっている。従って、前記したようなゾーンの個数が5個の加熱シリンダにおいては、溶融樹脂を圧縮する第3のゾーンを長くしたり、計量するための第5のゾーンを短くしたり各ゾーンの長さを調整することができる。このように各ゾーンの長さを調整することができるので、樹脂の種類が変化したり、射出容量が変化しても、適切に加熱シリンダの温度を管理して対応することができる。
特許文献2には、その径とフライトの形状が異なる複数のスクリュから選択して取付けることができるスクリュおよび加熱シリンダが交換可能な射出成形機が記載されている。この射出成形機においては、コントローラ内の記憶領域に、取付け可能な全てのスクリュに関して、それらのスクリュ条件データが記憶されている。具体的にはスクリュの径、フライトの形状、最大射出圧、最大保圧、射出モータのトルクリミット、射出ストローク、最大射出速度、最大回転数、計量モータのトルクリミット、等である。この射出成形機においては、オペレータはスクリュを交換したら、射出成形機のコントローラに設けられている画面から、そのスクリュの径とフライトの形状について入力する。そうすると、射出成形機は記憶領域内から、入力されたスクリュの径とフライトの形状とに一致するスクリュ条件データを読み出す。これによってそのスクリュの最大射出圧、最大保圧等のスクリュ条件データが得られる。成形品を適切に成形するための成形条件は、スクリュを交換すると変化するが、この射出成形機は、得られたスクリュ条件データに基づいて自動的に成形条件を変換する。これによってスクリュを交換しても、実質的に同じように成形品を成形することができる。なお、この射出成形機においては、スクリュ条件データに適合しない成形条件があるとき、例えばスクリュの最大射出圧を越える射出圧で射出するような成形条件があるときには、警報を出力するようになっていて、スクリュ交換に伴う事故が発生しないように安全を確保している。
射出成形機においては、前記したように加熱シリンダが軸方向に複数のゾーンに分割されて独立して温度制御されるようになっているので、ペレット状の樹脂を適切に溶融して圧縮・混練し、計量することができ、優れている。また特許文献1に記載の射出成形機は、樹脂の種類や射出容量に応じて各ゾーンの長さを調整できるので優れていると言える。しかしながら解決すべき問題も見受けられる。具体的には、加熱シリンダのゾーンの分割個数や、各ゾーンの長さが必ずしも最適であるという保証がない点である。射出成形機は、目的に応じてスクリュを交換することができる。スクリュはその種類によってフライトの形状が異なり、フィード部、圧縮部、計量部の位置や長さが異なっている。このような種類の異なるスクリュが交換されても概ね対応できるように、加熱シリンダの各ゾーンの位置は、平均的な位置に調整されている。従って、ある程度の温度制御は可能になっている。しかしながら、必ずしもそのスクリュに最適なゾーン個数、ゾーン位置に調整されている訳ではない。そうすると所定の種類のスクリュに対しては、加熱シリンダにおける圧縮を想定している第3のゾーンは、スクリュの圧縮部に対してズレていて適切に温度制御できない場合もある。
ところで、特許文献2に記載の射出成形機は、交換可能なスクリュに関するスクリュ条件データが全てのスクリュに関して記憶されており、交換したスクリュのスクリュ径とフライトの形状とを入力すれば、該当するスクリュ条件データが読み込まれるようになっている。この射出成形機はスクリュ条件データに適合するように自動的に成形条件を変換するようになっているので、優れていると言える。この特許文献2に記載の方法を応用して、交換されるスクリュに応じて加熱シリンダのゾーンのを変更することも考えられる。しかしながら特許文献2に記載の射出成形機では、交換したスクリュを特定するのにオペレータによるデータ入力を必要としている。つまりスクリュ径とフライトの形状を入力する必要がある。しかしながら、このような入力作業は煩雑でもあるしミスが入る可能性もある。もし入力においてミスがあれば、異なるスクリュ条件データが読み込まれることになり、危険がある。必ずしもスクリュを特定できないケースも考えられる。すなわちスクリュはスクリュ径とフライトの形状のみから特定されるようになっているが、2本以上の異なるスクリュにおいてスクリュ径とフライトの形状が同一であれば、スクリュを特定することができない。
本発明は、上記のような問題を解決することを目的とし、具体的にはスクリュが交換され場合において、スクリュの種類に応じて加熱シリンダのゾーンが適切に分割されて各ゾーンが適切に温度制御されるようになっていたり、スクリュを交換したときそのスクリュに固有のデータが確実かつ自動的に設定され、それに基づいて制御されるようになっている、射出成形機を提供することを目的としている。
本発明は上記目的を達成するために、スクリュが交換可能な射出成形機を対象とする。スクリュには予め識別IDを設ける。そしてスクリュが取付けられたら射出成形機に設けられている読み取り手段によって識別IDが読み取られるようにする。コントローラ内には予め交換可能な複数本のスクリュについて識別IDとスクリュの仕様データとを関連して記憶させておく。コントローラは、スクリュ取付け時に読み取られた識別IDから、該当する仕様データを特定する。この特定された仕様データに基づいて射出成形機を制御する。加熱シリンダにはゾーンの個数より多い複数個のバンドヒータを設け、取付けられたスクリュに対応して、それぞれのバンドヒータが属するゾーンが自動的に切換えられるようにする。バンドヒータは、加熱シリンダに等間隔に設けるようにし、バンドヒータと同数の温度センサをバンドヒータに対応するよう加熱シリンダに設ける。
かくして、請求項1に記載の発明は、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で軸方向と回転方向とに回転駆動に設けられているスクリュとからなり、前記スクリュが交換可能になっている射出成形機において、前記スクリュには識別IDが設けられており、前記スクリュが前記射出成形機に取付けられると前記射出成形機に設けられている読み取り手段によって前記識別IDが読み取られ、前記射出成形機のコントローラは、予め記憶されている複数本のスクリュに関する前記識別IDと仕様データの組合わせの中から該当する仕様データを特定し、該特定された前記仕様データに基づいて前記射出成形機を制御するようになっていることを特徴とする射出成形機として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の射出成形機において、前記加熱シリンダは軸方向に複数のゾーンに分割されて各ゾーンが独立して温度制御されるようになっていると共にゾーンの個数より多い複数個のバンドヒータが設けられ、特定された前記仕様データに基づいて、それぞれのバンドヒータが属するゾーンが自動的に切換えられるようになっていることを特徴とする射出成形機として構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の射出成形機において、前記バンドヒータは前記加熱シリンダに軸方向に等間隔に設けられていることを特徴とする射出成形機として構成される。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の射出成形機において、前記加熱シリンダには、前記複数個のバンドヒータと同数の温度センサが、それぞれの前記バンドヒータに対応して設けられていることを特徴とする射出成形機として構成される。
以上のように本発明によると、加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で軸方向と回転方向とに回転駆動に設けられているスクリュとからなり、スクリュが交換可能になっている射出成形機を対象としている。そしてスクリュには識別IDが設けられており、スクリュが射出成形機に取付けられると射出成形機に設けられている読み取り手段によって識別IDが読み取られ、射出成形機のコントローラは、予め記憶されている複数本のスクリュに関する識別IDと仕様データの組合わせの中から該当する仕様データを特定し、該特定された仕様データに基づいて射出成形機を制御するように構成されている。つまりスクリュが交換されたら、コントローラは自動的にそのスクリュについての仕様データを得ることができる。仕様データには、例えば射出圧制限値、最大可塑化能力等があるが、このような仕様データに基づいて自動的に成形条件を変更したり、射出成形機を制御することができる。そして識別IDによって確実にスクリュの仕様データが特定されるので、特定に関してオペレータのミスが入り込む余地はない。他の発明によると、加熱シリンダは軸方向に複数のゾーンに分割されて各ゾーンが独立して温度制御されるようになっていると共にゾーンの個数より多い複数個のバンドヒータが設けられ、特定された仕様データに基づいて、それぞれのバンドヒータが属するゾーンが自動的に切換えられるようになっている。スクリュは、その種類によってフィード部、圧縮部、計量部の長さが相違しているが、加熱シリンダの各ゾーンがスクリュの種類に応じて適切な長さに調整されることになるので、各ゾーンの温度は適切に管理されることが保証される。他の発明によると、バンドヒータは加熱シリンダに軸方向に等間隔に設けられている。従って、ゾーンの長さの調整は自由度が大きい。これによってさらにスクリュに適したゾーンの設定がなされることになる。また他の発明によると加熱シリンダには、複数個のバンドヒータと同数の温度センサが、それぞれのバンドヒータに対応して設けられている。温度センサがバンドヒータと同数だけ設けられているので、各バンドヒータを温度センサから検出される温度に基づいて個別に温度制御することができ、その属するゾーンにおいて設定されている温度に精度良く制御することが可能になる。
本発明の実施の形態に係る射出成形機を一部断面にして示す正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る射出成形機を一部断面にして示す正面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る射出成形機について説明する。本実施の形態に係る射出成形機は、従来の射出成形機と同様に金型を型締めする型締装置、金型に樹脂を射出する射出装置1、等から構成されている。射出装置1は図1に示されているように、加熱シリンダ2と、この加熱シリンダ2内で回転方向と軸方向とに駆動可能に設けられているスクリュ3とから構成されている。加熱シリンダ2の先端には射出ノズル5が設けられ、後端寄りにはホッパ6が設けられている。
本実施の形態に係る射出装置2は、加熱シリンダ2の外周面に多数のバンドヒータ7a、7b、…が設けられ、そしてバンドヒータ7a、7b、…と同数の温度センサ8a、8b、…が加熱シリンダ2に埋め込まれている点に大きな特徴がある。本実施の形態においてはバンドヒータと温度センサは16個設けられている。すなわち第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…と、第1〜16の温度センサ8a、8b、…である。本実施の形態においては第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…は等幅になっていて、軸方向に等間隔に設けられている。次に説明するように加熱シリンダ2は軸方向に分割されたゾーン毎に温度制御ができるようになっているが、バンドヒータ7a、7b、…の個数16はこのゾーンの個数よりかなり多い。このような第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…のそれぞれに対応する位置に、熱電対からなる第1〜16の温度センサ8a、8b、…が加熱シリンダ2に埋め込まれている。
本実施の形態に係る射出成形機にも従来の射出成形機と同様に、型締装置、射出装置等を制御するコントローラ14が設けられている。コントローラ14内には、第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…のそれぞれに対応する第1〜16のPWM制御器15a、15b、…が設けられている。これらの第1〜16のPWM制御器15a、15b、…には、第1〜16の温度センサ8a、8b、…から加熱シリンダ2の温度が入力されるようになっており、所定の目標温度になるように第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…をPWM制御する。ところで、加熱シリンダ2は、軸方向に分割されたゾーン毎に目標温度が設定されている。本実施の形態において加熱シリンダ2は5個、つまり第1〜5のゾーンH1、H2、…に分割され、第1〜5のゾーンH1、H2、…における目標温度が、コントローラ14内のH1温度設定器、H2温度設定器、…にそれぞれ格納されている。これらの目標温度は切換器17を介して第1〜16のPWM制御器15a、15b、…に与えられ、第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…は、それぞれ第1〜5のゾーンH1、H2、…のいずれかの目標温度に基づいて温度制御するようになっている。つまり、第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…は第1〜5のゾーンH1、H2、…のいずれかに属して温度制御するようになっている。
スクリュ3は周知のようにフライトの形状が軸方向で変化しており、後方から前方に向かってフィード部、圧縮部、計量部に分けることができる。加熱シリンダ2の各ゾーンは、第1のゾーンH1がフィード部に、第3のゾーンが圧縮部に、そして第5のゾーンが計量部に対応し、第2のゾーンH2、第4のゾーンH4はフィード部と圧縮部の接続部分、圧縮部と計量部の接続部分にそれぞれ対応している。ところで、本実施の形態に係る射出成形機も従来の射出装置と同様にスクリュ3が交換可能になっている。スクリュ3は、その種類によってフィード部、圧縮部、計量部の長さが異なる。本実施の形態に係る射出成形機は、スクリュ3が交換されたら、そのスクリュ3に適するように第1〜5のゾーンH1、H2、…の長さが自動的に変わるようになっている。つまり、スクリュ3が交換されたら、第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…が属するゾーンH1、H2、…が自動的に切換えられるようになっている。
このような第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…のゾーンH1、H2、…の切換えを実現するために、本実施の形態において、スクリュ3にはユニークな番号、つまり識別IDが設けられている。本実施の形態においては識別IDはRFIDすなわち無線ICチップ11に格納されており、スクリュ3が取付けられると射出装置1側の読み取り手段である検出部12において識別IDが読み取られ、コントローラ14、具体的には切換器17に通知されるようになっている。切換器17は、仕様データファイル19を参照する。仕様データファイル19には、交換可能な全てのスクリュ3、3、…に関する、スクリュ3、3、…の仕様に関するデータつまり仕様データが格納されている。仕様データとしては、例えばスクリュ径、最大可塑化能力、射出圧制限値等があり、スクリュ3、3、…に関する仕様データであればどのようなものでもよいが、本実施の形態においては、仕様データはスクリュ3、3、…に関するゾーン情報になっている。つまり本実施の形態においては仕様データファイル19には、スクリュ3、3、…の識別IDと、第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…がいずれのゾーンH1、H2、…に属するかを指定したゾーン情報が格納されている。切換器17は、取付けられたスクリュ3の識別IDをキーとして、対応する仕様データつまりゾーン情報を特定し、仕様データファイル19から読み出す。切換器17は、読み出したゾーン情報に基づいて第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…を指定されたゾーンH1、H2、…に設定する。図1に示されている例では、第1〜4のバンドヒータ7a、7b、…、7dは第1のゾーンH1に、第5、6のバンドヒータ7e、7fは第2のゾーンH2に、第7〜10のバンドヒータ7g、…、7jは第3のゾーンH3に、第11、12のバンドヒータ7k、7lは第4のゾーンH4に、そして第13〜16のゾーン7m、…、7pは第5のゾーンH5に、それぞれ設定されている。第1〜16のPWM制御器15a、15b、…、15pは、設定されたゾーンH1、H2、…に従って、温度制御する。このように本実施の形態に係る射出成形機は、スクリュ3を交換すると、そのスクリュ3に適合するように加熱シリンダ2のゾーン分けが自動的になされるので、加熱シリンダ2を適切に温度制御できることになる。なお、仕様データファイル19には、射出成形機の管理者がそれぞれのスクリュ3に適した最適なゾーン情報、つまり仕様データを予め書き込んでいる。
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。図2には第2の実施の形態に係る射出成形機の射出装置1’が示されているが、前実施の形態に係る射出装置1と同じ部材には同じ番号を付して説明を省略する。第2の実施の形態において温度センサはバンドヒータ毎には設けられておらず、第1〜4の温度センサ8A、8B、…だけが埋め込まれている。これら第1〜4の温度センサ8A、8B、…は、それぞれ第1〜4のゾーンH1、H2、…に対応しており、コントローラ14’内の第1〜4のPWM制御器15A、15B、…に温度が入力されるようになっている。第2の実施の形態において、バンドヒータは前実施の形態と同様に第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…が設けられているが、これらは2種類に分けられる。第1の種類に属するバンドヒータは、固定的に所定のゾーンに割り当てられている。すなわち第1、2のバンドヒータ7a、7bは第1のゾーンH1に割り当てられて第1のPWM制御器15Aによって制御され、第5、6のバンドヒータ7e、7fは第2のゾーンH2に割り当てられて第2のPWM制御器15Bによって制御され、第8、9のバンドヒータ7h、7iは第3のゾーンH3に割り当てられて第3のPWM制御器15Cによって制御され、第11、12のバンドヒータ7k、7lは第4のゾーンH4に割り当てられて第4のPWM制御器15Dによって制御され、そして第14、15のバンドヒータ7n、7oは第5のゾーンH5に割り当てられて第5のPWM制御器15Eによって制御されるようになっている。これに対して第2の種類の属するバンドヒータは、取付けられるスクリュ3の種類に応じて所属するゾーンが切換えられるようになっている。すなわち、第3、4のバンドヒータ7c、7dは第1、2のゾーンH1、H2から選択的に切換えられるように、第7のバンドヒータ7gは第2、3のゾーンH2、H3から選択的に切換えられるように、第10のバンドヒータ7jは第3、4のゾーンH3、H4から選択的に切換えられるように、そして第13のバンドヒータ7mは第4、5のゾーンH4、H5から選択的に切換えられるように、それぞれなっている。第2の種類に属するバンドヒータの切換えはコントローラ14’の切換器17’によって実施される。この第2の実施の形態に係る射出成形機も、取付けられるスクリュ3によって加熱シリンダ2のゾーン分けは最適になされることになり、適切に温度制御ができることになる。
本発明の実施の形態に係る射出成形機は色々な変形が可能である。例えばバンドヒータは16個からなるように説明したが、それより少なくても、多くてもよい。識別IDを保存する対象やこれを読み取る手段についても変形が可能である。本実施の形態においては無線ICチップ11に識別IDが格納され、これを検出部12によって読み取るように説明したが、バーコード、QRコード(登録商標)に識別IDを埋め込んでおき、これらをスクリュ3に設けるようにし、光学的に読み取るリーダによって識別IDを取得するようにしてもよい。また、加熱シリンダ2のゾーン分けについても変形することができる。本実施の説明では加熱シリンダ2のゾーンは軸方向に5個に分けられているように説明したが、3個、4個あるいは6個に分けられていてもよい。そして、本実施の形態の説明では、取付けられるスクリュ3によって、第1〜16のバンドヒータ7a、7b、…の属するゾーンH1、H2、…が切換えられるように説明した。つまり各ゾーンH1、H2、…の長さが変化する点については説明した。これに対して、さらに加熱シリンダ2のゾーンの個数についても取付けられるスクリュ3の種類によって変化するように変形することができる。つまり所定の種類のスクリュ3が取付けられるときには、ゾーンの個数を3個にし、他の種類のスクリュ3が取付けられるときにはゾーンの個数を5個にするようにしてもよい。
さらに本実施の形態に係る射出成形機は変形が可能である。本実施の形態においてスクリュ3、3、…の仕様データは、ゾーン情報であるように説明した。しかながら、仕様データとして他のデータを仕様データファイル19に格納してもよい。例えば、仕様データとして、スクリュ径、スクリュ材質、最大可塑化能力、各ゾーンの温度設定限界値、最大計量ストローク、最大スクリュ回転速度、最大スクリュ回転トルク、最大射出速度、射出圧制限値、保圧制限値、サックバック速度制限値、可塑化能力等が考えられる。このようなスクリュ3、3、…に固有の仕様データを仕様データファイル19に格納しておき、取付けられたスクリュ3、3、…から仕様データを得れば、その仕様データに基づいて制御することができる。例えば仕様データとして最大スクリュ回転トルクが格納されていれば、樹脂の混練時に最大トルク回転トルク内でスクリュ3、3、…を制御するようにして加熱シリンダ2やスクリュ3の破損を防ぎ、寿命を延ばすことができる。また仕様データとして最大射出速度が格納されていれば、安全な射出速度で制御することができる。
1 射出装置 2 加熱シリンダ
3 スクリュ
7a、7b、… 第1〜16のバンドヒータ
8a、8b、… 第1〜16の温度センサ
11 無線ICチップ 12 検出部
14 コントローラ
15a、15b、… 第1〜16のPWM制御器
17 切換器 19 仕様データファイル
H1、H2、… 第1〜5のゾーン

Claims (4)

  1. 加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で軸方向と回転方向とに回転駆動に設けられているスクリュとからなり、前記スクリュが交換可能になっている射出成形機において、
    前記スクリュには識別IDが設けられており、
    前記スクリュが前記射出成形機に取付けられると前記射出成形機に設けられている読み取り手段によって前記識別IDが読み取られ、前記射出成形機のコントローラは、予め記憶されている複数本のスクリュに関する前記識別IDと仕様データの組合わせの中から該当する仕様データを特定し、該特定された前記仕様データに基づいて前記射出成形機を制御するようになっていることを特徴とする射出成形機。
  2. 請求項1に記載の射出成形機において、前記加熱シリンダは軸方向に複数のゾーンに分割されて各ゾーンが独立して温度制御されるようになっていると共にゾーンの個数より多い複数個のバンドヒータが設けられ、特定された前記仕様データに基づいて、それぞれのバンドヒータが属するゾーンが自動的に切換えられるようになっていることを特徴とする射出成形機。
  3. 請求項2に記載の射出成形機において、前記バンドヒータは前記加熱シリンダに軸方向に等間隔に設けられていることを特徴とする射出成形機。
  4. 請求項2または3に記載の射出成形機において、前記加熱シリンダには、前記複数個のバンドヒータと同数の温度センサが、それぞれの前記バンドヒータに対応して設けられていることを特徴とする射出成形機。
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