JP2018004842A - インターコネクタ用光拡散部材、太陽電池用インターコネクタ及び太陽電池モジュール - Google Patents

インターコネクタ用光拡散部材、太陽電池用インターコネクタ及び太陽電池モジュール Download PDF

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剛明 藤野
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Abstract

【課題】太陽電池セルの表面に入射する光量を増大させることができ、しかも、温度サイクル試験でのマイクロクラックに対する信頼性も兼ね備えたインターコネクタ用光拡散部材及びこれを備える太陽電池用インターコネクタ及び太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】本発明に係るインターコネクタ用光拡散部材3は、隣接する太陽電池セルを接続するインターコネクタの前記太陽電池セルとは逆側の面に配置されるインターコネクタ用光拡散部材であって、少なくとも樹脂を含む光拡散層を備え、下記式(1)10000≦4x+1000y≦65000 (1)(ここで、xはインターコネクタ用光拡散部材の引張弾性率(MPa)、yはインターコネクタ用光拡散部材の厚み(μm)である)の関係式を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、結晶系シリコン太陽電池等に適用できるインターコネクタ用光拡散部材、太陽電池用インターコネクタ及び太陽電池モジュールに関する。
太陽電池用インターコネクタは、結晶系シリコン太陽電池等において、隣接する太陽電池セルどうしを電気的に接続して集電するための配線材である。この配線材は、全表面半田被覆基材で構成され、銅などで構成される平角状の金属基材に下地メッキを施した後、半田溶融めっきにより平角状の金属基材の全表面を被覆することにより形成される。
上記の全表面半田被覆基材としては、例えば、平角状の銅基材の表面にSn−Bi−Ag系半田めっきを施してなる部材が知られており、これを太陽電池用インターコネクタに適用する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このような太陽電池用インターコネクタの場合、平角状の金属基材で構成されているので、このインターコネクタの部分が影となって光を遮ってしまい、結果として太陽電池セルの発電効率を低減させる要因となっている。しかも、半田めっき金属自体にも可視光の吸収があるので、反射光が低下する原因となり、入射した光を有効に利用できていないという欠点を有している。このような観点から、太陽電池セルの発電効率を向上させるための技術が種々提案されている。例えば、太陽電池用インターコネクタに60度のフェース角を有する溝をパターン成形し、インターコネクタで反射される光をガラス−空気間で内部全反射させることで、太陽電池セルの表面(吸収体)に光を効率よく入射させるという方法が提案されている(例えば、特許文献2等を参照)。この場合の溝は、スズめっきした平角状の銅基材にダイアモンド旋削心棒圧延技術を用いることでパターン形成される。
上記の方法では、太陽電池用インターコネクタで反射される光を有効に活用することはできるものの、パターン化される半田めっき金属自体にやはり可視光の吸収があるため、反射される光は80%程度まで低下してしまうことがある。また、上記技術では別途パターン形成する工程が必要であるので、製作工程が複雑になるという問題も有している。他方、太陽電池用インターコネクタの受光面に反射用部材を樹脂系の接着剤で接着させる技術も提案されている(例えば、特許文献3等を参照)。このように反射部材を用いる方法では、反射性を向上させることができる。
特開2002−217434号公報 特表2009−518823号公報 特表2013−149863号公報
しかしながら、受光面に反射用部材を設けた場合、屋外の急激な気温変化が太陽電池セルにマイクロクラックを生じさせて太陽電池セルの発電効率の低下を引き起こすことを本発明者は、突き止め、マイクロクラックを低減させる必要があるといった課題にたどり着いた。具体的に、太陽電池セルの−40℃から85℃間の温度サイクル試験を実施すると、反射用部材の熱膨張及び熱収縮による熱応力がインターコネクタに伝播し、Ag電極等の電極との半田付け部にストレスが加わり、従来は認識されていなかったマイクロクラックが発生していることを突き止めたものである。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、太陽電池セルの表面に入射する光量を増大させることができ、しかも、温度サイクル試験でのマイクロクラックに対する信頼性も兼ね備えたインターコネクタ用光拡散部材及びこれを備える太陽電池用インターコネクタ及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、光拡散部材の厚みと引張り弾性率とが特定の関係式を満たすことにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1.隣接する太陽電池セルを接続するインターコネクタの前記太陽電池セルとは逆側の面に配置されるインターコネクタ用光拡散部材であって、
少なくとも樹脂を含む光拡散層を備え、
下記式(1)
10000≦4x+1000y≦65000 (1)
(ここで、xはインターコネクタ用光拡散部材の引張弾性率(MPa)、yはインターコネクタ用光拡散部材の厚み(μm)である)
の関係式を満たす、インターコネクタ用光拡散部材。
項2.光拡散層上に設けられた接着層をさらに備え、
前記接着層は、前記インターコネクタの面積の10〜80%の部分で前記インターコネクタに接着するように設けられている、項1に記載のインターコネクタ用光拡散部材。
項3.項1又は2に記載のインターコネクタ用光拡散部材を備える、太陽電池用インターコネクタ。
項4.前記インターコネクタ用光拡散部材と、前記インターコネクタとの接着有効面積が10〜80%である、項3に記載の太陽電池用インターコネクタ。
項5.項4に記載の太陽電池用インターコネクタを備える太陽電池モジュール。
項6.項3又は4に記載の、隣接する太陽電池セルを接続させる太陽電池用インターコネクタの製造方法であって、
前記太陽電池用インターコネクタは、光拡散部材を備え、
前記光拡散部材は、少なくとも樹脂を含む光拡散層と、この光拡散層上に設けられた接着層とを備え、
前記光拡散部材を、前記太陽電池用インターコネクタの面積の10〜80%の部分に接着させる工程を有する、製造方法。
項7.項3又は4に記載の、隣接する太陽電池セルを接続させる太陽電池用インターコネクタへの光拡散部材の接着方法であって、
前記光拡散部材は、少なくとも樹脂を含む光拡散層と、この光拡散層上に設けられた接着層とを備え、
前記光拡散部材を、前記太陽電池用インターコネクタの面積の10〜80%の部分に接着させる工程を有する、方法。
本発明に係るインターコネクタ用光拡散部材は、太陽電池セルの表面に入射する光量を増大させることができ、しかも、温度サイクル試験でのマイクロクラックに対する信頼性も兼ね備える。よって、本発明に係るインターコネクタ用光拡散部材は、急激な気温変化が生じた場合の太陽電池セルのマイクロクラックの発生を抑制できる。
本発明に係る太陽電池用インターコネクタは、上記インターコネクタ用光拡散部材を備えるので、太陽電池モジュールに優れた発電効率をもたらすことができ、太陽電池に好適に使用することができる。
本発明に係る太陽電池モジュールは、上記太陽電池用インターコネクタを構成部材として備えるので、急激な気温変化が生じたとしても、マイクロクラックの発生が抑制され、結果として、優れた発電効率を有する。
本発明のインターコネクタ用光拡散部材を備える太陽電池モジュールの実施の形態の一例を示す概略断面図である。 インターコネクタ用光拡散部材を設けていない太陽電池モジュールの平面図であり、太陽電池セルがインターコネクタで接続されている状態を示す概略図である。 同上の太陽電池モジュールの断面図であって、図2のa−a線に沿って切断したときの太陽電池モジュールの断面である。 本発明のインターコネクタ用光拡散部材を備える太陽電池モジュールの実施の形態の一例を示す平面図であり、インターコネクタに光拡散部材を設けられている状態を示す概略図である。 同上の太陽電池モジュールの断面図であって、図4のb−b線に沿って切断したときの太陽電池モジュールの断面である。 本発明のインターコネクタ用光拡散部材を備える太陽電池モジュールの他の実施の形態の一例を示す平面図であり、インターコネクタに光拡散部材が設けられている状態を示す概略図である。 光拡散部材の引張弾性率x(MPa)と、厚みy(μm)との関係をプロットしたグラフである。 本発明のインターコネクタ用光拡散部材の実施の形態の一例を示す概略平面図である。 実施例及び比較例の各光拡散部材の引張弾性率x(MPa)と、厚みy(μm)との関係をプロットしたグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、インターコネクタ用光拡散部材3を備える太陽電池モジュールAの実施の形態の一例を示す概略断面図である。本実施形態の太陽電池モジュールAは、太陽電池セル6と、インターコネクタ1と、インターコネクタ用光拡散部材3と、強化ガラス7と、封止材8と、裏面保護シート9とを備える。
太陽電池セル6は、受光した光を光電変換して電力を生成する機能を有する部材である。この太陽電池セル6は、通常は太陽電池モジュールAにおいて複数設けられる。
図2及び3にはそれぞれ、インターコネクタ用光拡散部材3を設けていない太陽電池モジュールの平面図及びその断面図を示している。尚、図2では、強化ガラス7や封止材8は省略して示している。また、図3は、図2におけるa−a線の断面であり、この図3では、強化ガラス7や封止材8を表して示している。
図2,3からわかるように、複数の太陽電池セル6が太陽電池モジュールAの略全面にわたって所定の間隔をおきながら縦方向及び横方向に設けられて、格子状に配置されている。
インターコネクタ1は、隣接する太陽電池セルを電気的に接続するための部材であり、例えば、図2,3に示すように長尺のリボン状(又はテープ状)に形成されている。インターコネクタ1は、導電性を有する部材で形成されている。隣接する太陽電池セル6において、一方の太陽電池セル6表面にインターコネクタ1の一端が接合され、他方の太陽電池セル6の裏面にインターコネクタ1の他端が接合されることで、太陽電池セル6どうしが相互に電気的に結合される。現在広く使用されている片面受光P型シリコン太陽電池セルでは、受光面が負極、非受光面が正極である。通常、インターコネクタ1は、図2及び図3のように太陽電池セル6の受光面と他方の太陽電池セル6の非受光面とで電気的に直列接合される。
図4及び5にはそれぞれ、インターコネクタ用光拡散部材3を設けた太陽電池モジュールの平面図及びその断面図を示している。尚、図4では、強化ガラス7や封止材8は省略して示している。また、図5は、図4におけるb−b線の断面であり、この図5では、強化ガラス7や封止材8を表して示している。
インターコネクタ1の太陽電池セル6側とは反対側の面にはインターコネクタ用光拡散部材3(以下「光拡散部材3」と略記することがある)が設けられている。すなわち、光拡散部材3は、インターコネクタ1の太陽光の受光側の面に設けられている。この光拡散部材3は、入射した光を拡散及び反射させる機能を有する部材である。光拡散部材3の構成の詳細については後述する。
光拡散部材3は図4及び図5に示すようにインターコネクタ1本につき、1枚ずつ配置することができ、このようにすることで通常のインターコネクタ自動配線化の製造工程上、生産性が良好となる。
図6のように、光拡散部材3をインターコネクタ単位ではなく、セルストリング1本につき、1枚の長いシートとして光拡散部材3を設けるようにしても良い。ただし、この場合はシートが長いためにそれぞれのインターコネクタについて位置合わせを一括して行う必要があるので、上述のように太陽電池セル6に所定の長さで光拡散部材3を配置した方が製造工程上は好ましい。
封止材8は、複数の太陽電池セル6とインターコネクタ1とを封止して一体化するために設けられている。これにより、太陽電池モジュールAにおいて太陽電池セル6が固定される。そして、この封止材8の表面側、すなわち、太陽光の受光面には強化ガラス7が貼り合わせられている。一方、封止材8の裏面側には、裏面保護シート9が貼り合わせられている。
図1の実施形態の太陽電池モジュールAでは、強化ガラス7側から太陽光が入射した後、この光を太陽電池セル6が受光し、光電変換して電力が生じる。
特に、本実施形態の太陽電池モジュールAでは、インターコネクタ1部分に入射した光「入射光4」は、光拡散部材3で拡散及び反射が起こる。この拡散及び反射された光5は強化ガラス7によって反射され、その後太陽電池セル6で受光される。このような光拡散部材3の入射光の拡散作用及び反射作用により、太陽電池セル6に入射する光量が全体として増大し、結果として太陽電池モジュールAの発電効率を向上させることができる。
上記インターコネクタ用光拡散部材3について以下に詳述する。
図1に示すように、光拡散部材は、隣接する太陽電池セルを接続するインターコネクタの前記太陽電池セルとは逆側の面に配置される。光拡散部材は、少なくとも樹脂を含む光拡散層を備える。インターコネクタ1の前記太陽電池セル6とは逆側の面とは、すなわち受光面である。
光拡散部材は、下記式(1)
10000≦4x+1000y≦65000 (1)
(ここで、xはインターコネクタ用光拡散部材の引張弾性率(MPa)、yはインターコネクタ用光拡散部材の厚み(μm)である)
の関係式を満たす。
光拡散層3aは、樹脂フィルム、樹脂シート又は樹脂プレートで形成されていてもよい。本明細書において、樹脂フィルム、樹脂シート又は樹脂プレートをまとめて「樹脂成形体」ということがある。樹脂成形体は、樹脂がマトリックス成分であるが、このマトリックス成分中に無機粒子が存在していてもよい。あるいは、後述するように、光拡散層3aは、樹脂成形体と、金属箔等の無機物との積層体であってもよい。つまり、光拡散層3aは、樹脂と無機物を含むことができる。
光拡散層3aが樹脂成形体である場合、樹脂の種類としては、特に限定的ではなく、公知の樹脂を使用することができる。樹脂の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂、その他ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンデトラフルオロエチレン)、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂の中でも、光拡散部材3の厚み及び引張弾性率の両方を上記の範囲に調節しやすいという点で、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂であることが好ましい。樹脂は、ポリプロピレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレンであることがより好ましく、ポリプロピレン樹脂であることが特に好ましい。
光拡散層3aに含まれる樹脂は、1種類であってもよいし2種以上であってもよい。光拡散層3aに含まれる樹脂が2種以上含まれる場合には、いわゆるポリマーブレンド、ポリマーアロイ、ポリマーコンポジットの形態であってもよい。また、樹脂は、共重合体やグラフト重合体であってもよい。
上記樹脂フィルムや樹脂シートは、例えば、一軸または二軸方向に延伸して形成することができる。このように形成される場合の樹脂の種類としては、太陽電池モジュールAに対して良好な耐候性や耐湿熱性を付与できるという点で、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはポリプロピレンを主成分としていることが好ましい。樹脂成形体の成形方法としては、Tダイ成形やインフレーション成形を採用することもでき、多層押出機でも成形可能である。樹脂プレートの分子量等については、成形可能な範囲であれば特に制限はない。
無機粒子は、光拡散層3aに光拡散機能及び光反射機能をさらに付与するための材料である。無機粒子の種類は特に限定されないが、例えば、酸化チタン、シリカ、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ゲルマニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、アンチモン、酸化マグネシウム、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化セリウム等を使用することができ、その他、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン等を使用することもできる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、無機粒子は、複数の元素の酸化物で構成されるいわゆる複合酸化物の形態であってもよい。また、無機粒子表面にさらに他の無機微粒子や有機微粒子によって被覆がされていてもよい。
上記無機粒子は、高屈折率、低導電性、耐湿熱性、経時安定性、価格等の観点から酸化チタンを使用することが特に好ましい。酸化チタンの種類としては特に制限はなく、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン等を使用することできるが、優れた光拡散性を付与でき、しかも、長期間にわたって安定な状態が維持されるという点ではルチル型酸化チタンであることが好ましい。
無機粒子の平均粒子径の制限も特にないが、例えば、200nm以上、300nm以下とすることができる。平均粒子径が200nm以上であれば、太陽電池モジュールAの発電に寄与する近赤外光である波長800〜1200nm間の反射率を高くすることでき、より高い発電効率を付与することができる。また、平均粒子径が200nm以上であれば、無機粒子による触媒活性を抑制することができるので、樹脂の劣化を起こしにくくすることができる。一方、平均粒子径が300nm以下であれば、太陽電池モジュールAの発電に大きく寄与する可視光400〜800nm間の反射率を高くすることでき、より高い発電効率を付与することができる。この400〜800nm間の可視光領域の光は、プランクの法則より、800〜1200nm間の長波長領域の光に比べて高エネルギー密度であることが知られているので、結晶シリコン等の太陽電池の発電に特に有利となる。よって、平均粒子径が300nm以下であれば、太陽電池モジュールAの発電効率がさらに高まるという点で特に好ましい。太陽電池モジュールAの発電効率を一層向上させるという観点では、無機粒子の平均粒子径は210nm以上、290nm以下であることがより好ましい。尚、ここでいう平均粒子径とは無機粒子の一次粒子径のことを指し、電子顕微鏡観察により、無作為に選んだ一次粒子計10サンプルの粒子径を測定した平均値のことをいう。
光拡散層3aによる光拡散機能は、樹脂と無機粒子との屈折率差や、上記の無機粒子の粒子径に大きく依存することが知られているので、所望の光拡散機能に応じて、樹脂と無機粒子との組み合わせを選定すればよい。
無機粒子は、マトリックスである樹脂中に存在する。無機粒子を樹脂中に存在させる方法は特に制限はないが、例えば、原料の樹脂と無機粒子とをあらかじめ混合させた状態で樹脂成形体を成形すれば、無機粒子を含有する樹脂成形体が得ることができる。
無機粒子を樹脂中に分散させやすくすることを目的として、無機粒子をステアリン酸等の脂肪酸、多価アルコールであるポリオール等で被覆することもできる。この場合、樹脂中における無機粒子の分散性が向上するので、光拡散層3aの反射率を向上させることができ、太陽電池モジュールAの発電効率の向上に寄与できる。被覆方法には特に制限はなく、公知の方法を採用することができる。
無機粒子を含む場合、無機粒子の含有量は、光拡散層3aの全質量に対して5.0質量%以上、60.0質量%以下であることが好ましい。添加量が5.0質量%以上であることで、無機粒子の添加効果が十分に発揮され得る。また、添加量が60.0質量%以下であることで、光拡散層3a自体の引張強度や引裂強度の低下を防ぐことができる。また、添加量が60.0質量%以下であることで、光拡散層3aの引張弾性率が測定しやすく、かつ、フィルムとしての成形性の低下も起こりにくい。より好ましい無機粒子の含有量は、光拡散層3aの全質量に対して10.0質量%以上50.0質量%以下である。
光拡散層3aは、単層構造であってもよいし、複数の層が積層されて形成される多層構造であってもよい。多層構造である場合は、各層はすべて同一の材料で構成されていてもよいし、異なる材料で構成されていてもよい。特に、多層構造である場合は、各層に添加する無機粒子の種類、粒子径、含有量などは、各々の層の間で異なっていてもよい。多層構造の具体例としては、例えば、上記樹脂成形体と金属箔との積層体、金属箔表面に樹脂コート層を有する積層体、あるいは、上記樹脂成形体に樹脂コート層を有する積層体が挙げられる。金属箔としては、例えば、アルミニウム箔を挙げることができる。樹脂コート層としては、各種の樹脂、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体が例示される。積層体が金属箔を有する場合は、無機粒子が含まれていなくとも、高い光反射性能及び光拡散性能をもたらし得る。
光拡散層3aの表面には、プリズム形状層が形成されていてもよい。このようなプリズム形状層が形成されており、さらに必要に応じてプリズム形状表面にアルミニウム等の金属が存在することで、光拡散層3aは、優れた光反射性能及び光拡散性能を有する。光拡散層3aの表面にプリズム形状層を形成させる方法は特に限定されず、公知の方法、例えば、樹脂成型体表面に樹脂でコート層を形成し、この光拡散層3aの表面に、エンボス金型を使用して三角プリズム形状を転写させる方法が挙げられる。プリズムの形状、プリズムピッチ、プリズム高さも限定されない。
光拡散層3aには、光拡散機能を阻害しない程度であれば、その他の添加剤、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が含まれていてもよい。
特に、光拡散層3aは蛍光体を含むことも可能である。この蛍光体としては、波長300〜400nmの紫外線を吸収して波長400〜800nm間に特定の励起ピークをもつような、可視光スペクトルに変換することが可能な蛍光体粒子、いわゆる波長変換粒子が例示される。光拡散層3aが上記蛍光体を含むことにより、本来、発電に利用されない紫外線が可視光に変換されるので、セル発電効率をさらに向上させることができる。
光拡散層3aが蛍光体を含む場合、光拡散層3aを上記したように二層以上の多層構造とし、その最外層に蛍光体粒子を主として含む層が太陽電池セルとは逆側の面に形成されていることが、光拡散部材3の好ましい実施形態となる。この形態の光拡散部材3であれば、入射した紫外線を波長変換した可視光と、入射した可視光を効果的に拡散及び反射させて再度太陽電池セル6に入射させることができる。
上記蛍光体粒子としては、酸化アルミニウムなどの酸化物にイットリウム、ユウロピウムやテルビウムなどの希土類元素を添加した無機蛍光体、シアニン色素などの有機蛍光体、希土類金属にアルキル基などの有機化合物等を配位させた希土類金属錯体などが使用できる。これらの中でも、希土類金属錯体が波長変換効率や長期安定性の観点から好ましい。蛍光体粒子の含有量としては、光拡散層3aの全質量に対して0.1質量%以上、10.0質量%以下であることが好ましい。添加量が0.1質量%以上であることで、蛍光体粒子の添加効果が十分に発揮され得る。また、添加量が10.0質量%以下であることで、光拡散層3a自体の引張強度や引裂強度の低下を防ぐことができる。
図1の実施形態のように、光拡散部材3は、インターコネクタ1に配置される面に接着層3bを備えることができる。接着層3bは、光拡散部材3をインターコネクタ1に接着させるための層である。具体的に、接着層3bは、図1に示すように光拡散層3aの裏面側、すなわち太陽電池セル6側の面に積層して設けられる。接着層3bを有することで、光拡散部材3がインターコネクタ1に容易に接着され、光拡散部材3とインターコネクタ1との接着性が良好となる。
この場合、接着層3bとしては、インターコネクタ1及び光拡散層3aに対して良好な接着性を示す樹脂で形成させることができる。接着層3bを形成するための樹脂としては、例えば、接着性を有するポリエチレンやポリプロピレン等の接着性ポリオレフィン、エチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニールブチラール、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物やシアネート化合物等の熱硬化樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ4フッ化エチレン、シリコン樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に接着層3bは、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸ビニル共重合体、接着性ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂の群から選ばれる少なくとも1種類の樹脂を含有することが好ましい。上記接着性ポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィン樹脂に反応性の官能基がグラフト変性した変性樹脂のことをいい、例えば反応性の官能基としては不飽和カルボン酸類である。このような接着性ポリオレフィン樹脂としては例えば、グラフト変性ポリエチレン樹脂、グラフト変性エチレン・アクリル酸エチル共重合体樹脂、グラフト変性エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、グラフト変性ポリプロピレン樹脂およびポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンやエチレン・αオレフィン共重合体樹脂を不飽和カルボン酸等でグラフト変性した樹脂等が挙げられる。接着性ポリオレフィン樹脂の市販品の具体例として、三井化学社製の接着性ポリオレフィン「アドマー」(登録商標)が挙げられ、さらに具体的には、「アドマーLF128」(登録商標)等が挙げられる。上記アイオノマー樹脂とは、ポリマー側鎖にカルボン酸やスルホン酸基などの酸性基を有し、これら酸性基の一部あるいは全部を金属塩としたポリマー金属塩の総称である。この定義に属するアイオノマー樹脂であれば、本発明ではその種類は特に問わない。
接着層3bは光拡散層3aに接着剤や粘着剤を塗布することによる形成も可能であり、また、フィルム状又はテープ状に予め加工されている粘着剤を貼り付ける方法も可能である。これらの接着剤や粘着剤についても、上記例示列挙した樹脂系から成ることが好ましく、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂から成ることが耐候性の観点から特に好ましい。
光拡散部材3が光拡散層3aと接着層3bと有して形成されている場合は、光拡散部材3は、光拡散機能及びインターコネクタ接着機能を併せもつ部材となる。このような光拡散部材3は、例えば、光拡散層3aと接着層3bとをいわゆる二層共押出しすることによって得ることができる。二層共押出しは公知の方法を採用することができ、一般的に多層フィルムを製造する方法と同様の方法で行うことができる。
光拡散部材3は、必ずしも接着層3bの層を有している必要はなく、光拡散層3aのみで構成されていてもよい。この場合、光拡散層3aにインターコネクタ1に対する接着性を付与する目的で、光拡散層3aを構成する樹脂に接着性を有する樹脂をさらに含有することが好ましい。接着性を有する樹脂としては、上述の接着層3bに使用する樹脂と同様の材料が挙げられる。接着性を有する樹脂の具体例としては、接着性を有する変性ポリオレフィン樹脂やアイオノマー樹脂が挙げられ、例えば、三井化学社製の接着性ポリオレフィン「アドマー」(登録商標)が例示される。
上記のように構成される光拡散部材3は、下記式(1)
10000≦4x+1000y≦65000 (1)
を満たす。
図7は、光拡散部材3の引張弾性率x(MPa)と、厚みy(μm)との関係をプロットしたグラフを示している。この図7における斜線部分が、光拡散部材3が上記式(1)を満たす領域である。
太陽電池セル6にマイクロクラックが発生する一つの原因として、光拡散部材3が熱膨張及び熱収縮によって寸法変化が過大となり、このときに発生する応力(ストレス)によって、太陽電池セル6に負荷がかかるためである。よって、マイクロクラックの発生を抑制するには、光拡散部材3の引張弾性率及び厚みのバランスを調節することが重要であると考え、上記式(1)の関係式を導き出している。
特に、4x+1000yの値が10000以上、65000以下であることで、光拡散部材3を備える太陽電池モジュールの温度サイクル試験において、光拡散部材3の熱膨張及び熱収縮による寸法変化が起こりにくくなり、光拡散部材3に発生する応力が減少する。このため、熱応力がインターコネクタ1に伝播しにくくなり、インターコネクタ1及びAg電極等の電極との半田付け部に加わるストレスが減少し、結果として、太陽電池セル6の破損を防ぐことができ、マイクロクラックが低減される。ここでいう温度サイクル試験は、例えば、太陽電池モジュールを−40℃から85℃への加熱と、85℃から−40℃への冷却を繰り返し(例えば、200回〜400回)実施する試験をいう。
上記のように4x+1000yの値が10000以上、65000以下であることでマイクロクラックが低減されことにより、光拡散部材3を備える太陽電池モジュールにおいては、温度サイクル試験前後での曲線因子(FF)の低下が抑制される。よって、上記光拡散部材3を備える太陽電池モジュールは、急激な温度が起きたとしても、発電効率が低下しにくく、信頼性及び耐久性に優れる。
4x+1000yの値が10000よりも小さい場合、厚みxが薄くなりやすいので、光拡散部材3を製作することが難しく、また、仮に製作できたとしても、インターコネクタ1に光拡散部材3を接着させることが難しくなる。また、4x+1000yの値が65000を超える場合、温度サイクル試験時の光拡散部材3の熱膨張及び熱収縮による寸法変化が過大となり、太陽電池セル6のマイクロクラックが発生しやすくなり、発電効率を悪化させる。
上記式(1)における4x+1000yの値の下限は、40000であることがより好ましく、50000であることが特に好ましい。また、上記式(1)における4x+1000yの値の上限は、64000であることがより好ましく、60000であることが特に好ましい。
光拡散部材3の引張弾性率xは、100〜10000の範囲であることが好ましく、この場合4x+1000yの値を10000以上、65000以下に調節しやすい上、太陽電池セル6のマイクロクラックの発生を抑制しやすい。光拡散部材3の引張弾性率xは、300〜4000の範囲であることが特に好ましい。
光拡散部材3の厚みyは、10〜60の範囲であることが好ましく、この場合4x+1000yの値を10000以上、65000以下に調節しやすい上、太陽電池セル6のマイクロクラックの発生を抑制しやすい。光拡散部材3の厚みyは、30〜50の範囲であることが特に好ましい。
上記式(1)における光拡散部材3の厚みyとは、光拡散部材3が光拡散層3aのみで構成されている場合は、光拡散層3aの全体の厚みをいう。また、光拡散部材3が光拡散層3a及び接着層3bの積層体である場合は、光拡散層3a及び接着層3bの合計厚みが光拡散部材3の総厚みyである。なお、光拡散部材3が光拡散層3a及び接着層3bに加えてさらに他の層を有している場合は、光拡散層3a及び接着層3bに加えてさらに他の層も含めた各層の合計厚みが光拡散部材3の厚みyである。
なお、光拡散部材3の厚みyのうち、接着層3bの厚みは、特に限定されないが、接着性を高めるという観点からは、2〜50μmとすることができる。
光拡散部材3は、インターコネクタ1の前記太陽電池セル6とは逆側の面に配置される。光拡散部材3は、インターコネクタ1の全面又は一部に設けることができるが、太陽電池モジュールAの発電効率をより向上させるという観点で、インターコネクタ1の全面に設けられていることが好ましい。
図1に示す実施形態のように、光拡散部材3を設けたインターコネクタ1を備える太陽電池モジュールAでは、強化ガラス7から入射した入射光4が光拡散部材3により拡散及び反射する。この拡散及び反射した光5が強化ガラス7で再度反射されて太陽電池セル6に入射する。その結果、太陽電池セル6に入射する光量が増大する。このように、光の反射性能及び拡散性能に優れる光拡散部材3を設けたインターコネクタ1を備えることで、入射する太陽光をより効率的に使用することができ、太陽電池モジュールAの発電効率を高めることができる。
本実施形態の光拡散部材では、接着層は、インターコネクタの面積の10〜80%の部分で前記インターコネクタに接着するように設けられていることが好ましい。特に、
光拡散部材3において、接着層3bがインターコネクタ1の有効面積の10〜80%の部分で接着するように設けられている具体的態様としては、例えば、光拡散部材3の表面に、接着層3bが間隔を有しながら設けられた態様を挙げることができる。
ここでいうインターコネクタ1の有効面積とは、少なくとも太陽電池セル6の面上に接して載置されているインターコネクタ1の部分の表面側部分の全面積をいう。つまりは、インターコネクタ1が太陽電池セル6の面上に接している部分の面積をいい、さらに具体的には、インターコネクタ1が太陽電池セル6と接着されている逆側の部分(太陽光入射側から視認される金属部分)の面積をいう。
図8は、接着層3bが間隔を有しながら設けられた光拡散部材3の一例を示す概略平面図であり、特に、接着層3bが設けられている面側から光拡散部材3を直視したときの平面図である。
図8に示すように、光拡散部材3の表面には、接着層3bが間隔を有しながら設けられている。図8の形態の光拡散部材3において、接着層3bが設けられていない部分は、非接着部3cとしている。
図8の形態の光拡散部材3は、接着層3bと非接着部3cとを、光拡散部材3の長尺方向に沿って交互に繰り返し有している。
接着層3bは、一定の間隔を有しながら等間隔に設けられていてもよい。もちろん、隣り合う接着層3bの間隔は等間隔でなくてもよい。
また、光拡散部材3に設けられている接着層3bの長さLは、すべて同じ長さであってもよいし、一部又は全部が異なる長さで設けられていてもよい。なお、接着層3bの長さLとは、図8にも示すように光拡散部材3の長尺方向に沿った長さのことをいう。
図8のように、接着層3bは、光拡散層3a上の全面には設けられず、少なくとも非接着部3cも形成されるように光拡散層3a上に設けられる。このように光拡散部材3は、光拡散層3aのインターコネクタ1への接着面に対して接着層3bが間隔を有しながら設けられた構成を具備することができる。このような形態の光拡散部材3の接着層3b側の面がインターコネクタ1へ配置されると、光拡散部材3の接着層3bがインターコネクタ1に接着し、非接着部3cは、インターコネクタ1に接することはあるものの、接着層3bのような接着力は有しないので、接着は起こらない。これによって、光拡散部材3が、インターコネクタ1の有効面積の10〜80%の部分で接着するように設けられ得る。
上記のように光拡散部材3の接着層3bが、インターコネクタ1の有効面積の10〜80%の部分で接着するように設けられることにより、インターコネクタ1が接続している太陽電池セル6にマイクロクラックが発生しにくくなる。
詳述すると、太陽電池セル6が急激な温度変化が起こる環境に置かれると、光拡散部材3の熱膨張及び熱収縮が起こり、これらによる熱応力がインターコネクタ1に伝播し、結果として、太陽電池セル6にマイクロクラックが発生する。しかし、光拡散部材3において、接着層3bが間隔を有しながら設けられていることで、光拡散部材3の熱膨張及び熱収縮が起こったとしても、これらによる熱応力がインターコネクタ1に伝播しにくくなる。つまり、インターコネクタ1に対して接着しない又は接着力が弱い非接着部3cを有していることで、熱応力がインターコネクタ1に伝播しにくくなる。その結果として、太陽電池セル6にマイクロクラックが発生するのを防止しやすくなる。
太陽電池セル6のマイクロクラックの発生が抑制されると、このような太陽電池セル6を備える太陽電池モジュールの温度サイクル試験前後での曲線因子(FF)の低下が抑制される。よって、上記光拡散部材3を備える太陽電池モジュールは、急激な温度が起きたとしても、発電効率が低下しにくく、信頼性及び耐久性に優れる。
また、接着層3bは、インターコネクタ1の有効面積の10〜80%の部分で接着するように設けられていることで、光拡散部材3のインターコネクタ1に対する接着力の低下も起こりにくい。
接着層3bは、インターコネクタ1の有効面積の10〜60%の部分で接着するように設けられていることが特に好ましく、この場合、陽電池モジュールの温度サイクル試験前後での曲線因子(FF)の低下がさらに抑制され、発電効率が低下しにくく、信頼性及び耐久性に特に優れる。
インターコネクタ1の有効面積の10〜80%の部分で接着するように設けられた接着層3bを備える光拡散部材3は、あらかじめ製作した光拡散層3aを準備し、この光拡散層3a表面に接着層3bを形成するための材料を、所定の部分に塗布、いわゆるストライプ塗布することで製作することができる。これにより、接着層3bが、間隔を有しながら光拡散層3aに設けられる。塗布の方法は特に限定されず、例えば、公知の方法を採用することができる。上記塗布をする際に、塗布長さ、塗布厚み及び塗布する間隔を調節することで、所望の接着層3b及び非接着部3cを有する光拡散部材3が製造される。
光拡散部材3は、波長400nm以上800nm以下までの可視光の平均吸収率が10%以下であり、かつ、光拡散率が90%以上であることが好ましい。波長400nm以上800nm以下までの可視光の平均吸収率が10%以下であることで、光拡散部材3の可視光の反射性能が一層高まり、太陽電池モジュールAに高い発電効率を付与することができる。また、光拡散率が90%以上であることで、光拡散部材3の光拡散性能がより優れるものとなり、太陽電池モジュールAに高い発電効率を付与することができる。尚、ここでいう光拡散率は、45度入射時における反射角45度のL*値と45度入射時における反射角75度のL*値との平均値を、45度入射時における反射角15度のL*値で除した値で定義される値である。光拡散部材3の可視光の平均吸収率については、市販の分光機、例えば、日本分光製「V−570」で測定でき、光拡散率は、市販の多角度分光測色計、例えば、エックスライト社製MA68IINS多角度分光測色計で測定できる。光拡散率とは、光の広がり具合を表す指標であるといえる。
図1の実施形態では、光拡散層3aは、上述のように樹脂フィルム等の樹脂成形体で形成されているが、これに限らず、例えば、インキ組成物を用いて形成される塗膜状に形成されていてもよい。
上記インキ組成物は、樹脂及び必要に応じて含まれる上述の無機粒子を含む液体で構成される。
インキ組成物における樹脂としては、公知の樹脂が使用可能であるが、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、ポリビニールブチラール、フェノール樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物やシアネート化合物等の熱硬化樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ4フッ化エチレン、シリコン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂の主剤が例えばアクリル酸エステルモノマーとエポキシ樹脂との混合物のような硬化性樹脂であれば、アミン化合物に代表される硬化剤をさらに含んでいてもよい。
インキ組成物における樹脂は溶剤に溶解又は分散した状態であってもよい。溶剤としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられ、その他、公知の有機溶剤も使用できる。
インキ組成物には、各種の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、レベリング剤、酸化防止剤、腐食抑制剤、消泡剤、増粘剤、タックファイヤー、カップリング剤、静電付与剤、重合禁止剤、チキソトロピー剤、沈降防止剤等が挙げられる。より具体的には、ポリエチレングリコールエステル化合物、ポリエチレングリコールエーテル化合物、ポリオキシエチレンソルビタンエステル化合物、ソルビタンアルキルエステル化合物、脂肪族多価カルボン酸化合物、燐酸エステル化合物、ポリエステル酸のアマイドアミン塩、酸化ポリエチレン系化合物、脂肪酸アマイドワックス等が例示される。
インキ組成物が無機粒子を含む場合、その含有量は、インキ組成物の全質量に対して5.0質量%以上、60.0質量%以下であることが好ましい。添加量が5.0質量%以上であることで、無機粒子の添加効果が十分に発揮され得る。また、添加量が60.0質量%以下であることで、光拡散層3a自体の引張強度や引裂強度の低下を防ぐことができる。より好ましい無機粒子の含有量は、光拡散層3aの全質量に対して10.0質量%以上50.0質量%以下である。
インキ組成物において、樹脂、溶剤及びその他添加剤の総量は、インキ組成物の全量に対して15質量%以上60質量%以下とすることができる。この場合、インキの塗布性が良好となるので良好な光拡散層3aを形成しやすくなり、また、インキ粘度の増大や過剰な樹脂の存在による光拡散層3aの乾燥性が悪化するのを防止しやすくなる。
樹脂、溶剤及びその他添加剤の総量に対する樹脂の配合比率は特に限定されないが、50質量%以下であることが好ましい。また、添加剤の配合比率も特に限定されないが、10質量%以下であることが好ましい。
上記インキ組成物を、インターコネクタ1に直接塗布し、その後、乾燥させることで光拡散層3aを形成することができる。このようにインキ組成物から光拡散層3aを形成させる場合は、光拡散層3a自体に接着性の機能を有しているので、図1の実施形態のように、接着層3bを設けなくとも、インターコネクタ1に光拡散層3aが接着される。このようにしてインターコネクタ1に光拡散部材3が設けられる。光拡散層3aの厚みについては、図1の実施形態の場合と同様である。また、インキ組成物から形成される光拡散部材3であっても、上述の樹脂成形体で形成される光拡散部材3と同じ性能を有する。インキ組成物から形成される光拡散部材3の好ましい態様も、上述の樹脂成形体で形成される光拡散部材3と同じである。
上記のように形成される光拡散部材3にあっても、図1の実施形態と同様の光拡散機能を有しているので、この光拡散部材3を有するインターコネクタ1を備える太陽電池モジュールAは、上記同様の原理によって優れた発電効率を有する。
太陽電池モジュールAにおいて、光拡散部材3以外の各部材については、従来から太陽電池において使用されている部材であれば、特にその種類は限定されない。例えば、太陽電池セル6としては、結晶系シリコン太陽電池において一般的に使用されているセルを適用することができる。
また、図8の形態の光拡散部材3を使用する場合にあっては、太陽電池モジュールAに組み込まれる太陽電池用インターコネクタ1は、前記光拡散部材を、前記太陽電池用インターコネクタの面積の10〜80%(好ましくは10〜60%)の部分に接着させる工程を含む方法によって製造することができる。
また、太陽電池モジュールAを製作する方法も従来と同様の方法を採用することができる。
インターコネクタ1に光拡散部材3を設けるにあたっては、インターコネクタ1が太陽電池セル6に取り付けられた状態で行うことができる。この場合、光拡散部材3は、必ずしもインターコネクタ1の全長に設けなくてもよく、少なくとも太陽電池セル6の面上に接して載置されているインターコネクタ1の部分の表面側に光拡散部材3が設けられればよい。つまり、光拡散部材3は、インターコネクタ1が太陽電池セル6の面上に接している部分のみに設けることができる。
インターコネクタ1は、太陽電池セル6の受光面と、これと隣接する太陽電池セル6の非受光面に半田付けすることで、太陽電池セル6に取り付けられる。このようにして複数のセルを直列接続させたストリングに対して、インターコネクタ1の半田付けされている面とは逆側の面に光拡散部材3を接着させることができる。
インターコネクタ1に光拡散部材3を接着させる方法は特に限定的ではないが、例えば、光拡散層3aが樹脂成形体で形成されている場合は、ヒートシール等の熱プレスをすることで、光拡散部材3をインターコネクタ1に接着させることができる。光拡散部材3が光拡散層3a及び接着層3bを備えているのであれば、接着層3b側の面をインターコネクタ1表面に貼り合わせばよい。一方、インキ組成物を用いて光拡散部材3をインターコネクタ1に設ける場合は、インターコネクタ1にインキ組成物を塗布し、その後乾燥して製膜させればよい。塗布条件や乾燥条件は、一般的に塗膜の形成で行われている条件を採用できる。
また、図8の形態の光拡散部材3を使用する場合にあっては、インターコネクタ1に光拡散部材3を接着させる方法は特に限定的ではないが、例えば、光拡散部材を、前記太陽電池用インターコネクタの面積の10〜80%(好ましくは10〜60%)の部分に接着させる工程を有することができる。
以上のいずれかの方法によって、光拡散部材3を備える太陽電池用インターコネクタ1を製作することができる。
その他、インターコネクタ1を太陽電池セル6に接着させるにあたっては、通常、インターコネクタ1の、セル受光面と半田付けされる面とは逆側の面にあらかじめ光拡散部材3を設けておき、その後、このインターコネクタ1を太陽電池セル6に接着させるようにしてもよい。この場合、インターコネクタ1の光拡散部材3が設けられている面とは逆側の面を、太陽電池セル6の受光面へ半田付けするとともに、このインターコネクタ1を隣接する太陽電池セル6の非受光面へも接続させる。そうすれば、太陽電池モジュールAが完成した状態において、光拡散部材3が太陽光等の受光側(太陽電池モジュールAの表面側)に配置される。
太陽電池用インターコネクタ1では、インターコネクタ用光拡散部材3と、インターコネクタ1との接着有効面積が10〜80%であることが好ましく(より好ましくは10〜60%)、この場合、両者は十分に接着し、しかも、太陽電池セル6へのマイクロクラックの発生もより抑制されやすい。
光拡散部材3を備える太陽電池用インターコネクタ1が組み込まれた太陽電池モジュールAでは、光拡散部材3が光拡散機能及び光反射機能を有するので、上述した原理により、太陽電池セル6が受光する光量をより増大させることができる。その結果、太陽電池モジュールAは優れた発電効率を有するものとなる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
40μm厚みの光拡散層及び20μm厚みの接着層からなるインターコネクタ用光拡散部材(以下「光拡散部材」と略記する)を製作した。光拡散層は、ポリエチレン樹脂(プライムポリマー株式会社製ウルトゼックス4020L)75質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製CR−63)25質量部を溶融混練して製作した。一方、接着層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学株式会社製スミテートKA30)75質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製CR−63)25質量部を溶融混練して製作した。これらの光拡散層、接着層を共押出しにより、光拡散層と接着層が積層してなる二層共押出フィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PE40/ad20」と表記する。
(実施例2)
5μm厚みの光拡散層及び5μm厚みの接着層からなる光拡散部材を製作した。光拡散層は、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー株式会社製プライムポリプロF−300SP)75質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製CR−63)25質量部を溶融混練して製作した。一方、接着層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(住友化学株式会社製スミテートKA30)75質量部と、平均粒子径210nmのルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製CR−63)25質量部を溶融混練して製作した。これらの光拡散層、接着層を共押出しにより、光拡散層と接着層が積層してなる二層共押出フィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PP5/ad5」と表記する。
(実施例3)
光拡散層及び接着層の厚みをそれぞれ10μmとしたこと以外は実施例2と同様の方法で光拡散部材を得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PP10/ad10」と表記する。
(実施例4)
ポリエチレン樹脂の代わりにポリプロピレン樹脂(プライムポリマー株式会社製プライムポリプロF−300SP)としたこと以外は実施例1と同様の方法で光拡散部材を得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PP40/ad20」と表記する。
(実施例5)
光拡散層の厚みを20μm、接着層の厚みを40μmとしたこと以外は実施例2と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PP20/ad40」と表記する。
(実施例6)
光拡散層として、ポリカーボネート樹脂(サビックジャパン合同会社製レキサン121R)75質量部と、酸化チタン(石原産業株式会社製CR−63)25質量部を溶融混練して、厚み40μmとなるように押出しフィルムを製作した。一方、接着層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をIPAに分散したコート剤を厚み10μmとなるよう塗布乾燥し、光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PC40/ad10」と表記する。
(実施例7)
光拡散層の厚みを20μm、接着層の厚みを30μmとしたこと以外は実施例6と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PC20/ad30」と表記する。
(実施例8)
ポリカーボネート樹脂の代わりにポリエチレンテレフタレート樹脂(ベルポリエステル製「E−02」)を75質量部とし、光拡散層の厚みを40μm、接着層の厚みを10μmとしたこと以外は実施例6と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PET40/ad10」と表記する。
(実施例9)
光拡散層の厚みを25μm、接着層の厚みを20μmとしたこと以外は実施例8と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PET25/ad20」と表記する。
(実施例10)
光拡散層として厚み25μmの透明PETフィルムに対し、アクリル系UV硬化樹脂コート剤を用いて、光拡散層の厚み15μmになるよう塗布し、エンボス金型にて120度頂角、プリズムピッチ3μm、プリズム高さ10μmの三角プリズム形状を転写させ、プリズム形状層を形成した。その後、プリズム形状表面にAL金属を0.1μm厚みになるよう蒸着加工を行った。一方、接着層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をIPAに分散したコート剤を厚み10μmとなるようプリズム形状層とは逆側の面に塗布乾燥し、光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材における光拡散層は、透明PETフィルム25μmとアクリル系UV硬化樹脂プリズム形状層15μmとAL金属層0.1μmがこの順に積層されて形成されている。この光拡散部材を後掲の表1において「コート15/PET25/ad10」と表記する。
(実施例11)
光拡散層として厚み20μmの軟質片ツヤアルミニウム箔(1N30材)を使用し、接着層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体をIPAに分散したコート剤を厚み10μmとなるよう塗布乾燥して、光拡散部材を得た。この光拡散部材を後掲の表1において「AL20/ad10」と表記する。
(実施例12)
光拡散層の厚みを5μm、接着層の厚みを5μmとしたこと以外は実施例11と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「AL5/ad5」と表記する。
(比較例1)
光拡散層の厚みを60μm、接着層の厚みを20μmとしたこと以外は実施例2と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PP60/ad20」と表記する。
(比較例2)
光拡散層の厚みを50μm、接着層の厚みを20μmとしたこと以外は実施例2と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PP50/ad20」と表記する。
(比較例3)
光拡散層の厚みを30μm、接着層の厚みを40μmとしたこと以外は実施例2と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PP30/ad40」と表記する。
(比較例4)
光拡散層の厚みを50μm、接着層の厚みを10μmとしたこと以外は実施例6と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PC50/ad10」と表記する。
(比較例5)
光拡散層の厚みを30μm、接着層の厚みを30μmとしたこと以外は実施例6と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PC30/ad30」と表記する。
(比較例6)
光拡散層の厚みを25μm、接着層の厚みを30μmとしたこと以外は実施例8と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PET25/ad30」と表記する。
(比較例7)
光拡散層の厚みを50μm、接着層の厚みを10μmとしたこと以外は実施例8と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「PET50/ad10」と表記する。
(比較例8)
接着層の厚みを20μmとしたこと以外は実施例10と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「コート15/PET25/ad20」と表記する。
(比較例9)
光拡散層に用いるPETの厚みを40μmとしたこと以外は実施例10と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「コート15/PET40/ad10」と表記する。
(比較例10)
接着層の厚みを20μmとしたこと以外は実施例11と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「AL20/ad20」と表記する。
(比較例11)
光拡散層の厚みを40μmとしたこと以外は実施例11と同様の方法で光拡散部材として得た。この光拡散部材を後掲の表1において「AL40/ad10」と表記する。
(比較例12)
光拡散層として厚み20μmの硬質片ツヤアルミニウム箔(1N30材)を使用し、接着層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体をIPAに分散したコート剤を厚み5μmとなるよう塗布乾燥して、光拡散部材を得た。この光拡散部材を後掲の表1において「ALH20/ad5」と表記する。
(評価方法)
<引張弾性率>
各々の実施例及び比較例で得た光拡散部材の測定には、東洋精機製オートグラフ(VGS1−E)を使用した。JIS K7161に準拠し、幅10mm、長さ50mm以上のサンプルを準備し、測定間距離(チャック間距離)50mmにて200mm/minの速度で引張り試験を行った。測定試料の長さ方向は流れ方向にて統一した。測定本数を3本として、それらを平均した値を光拡散部材の引張弾性率とした。光拡散部材の厚みについては上記引張試験用サンプルをマイクロメータにて測定した。
<曲線因子(FF)測定>
評価用太陽電池モジュールを次のように製作した。太陽電池セルにインターコネクタを半田付けした多結晶6inchシリコン半導体セル(京セラ株式会社製)に対して、上記実施例及び比較例で得た光拡散部材をセルに半田付けされたインターコネクタ上部に対して、ヒートシールすることで、光拡散層を形成した。この光拡散層を用いて、太陽電池用強化ガラス(厚さ3.2mm)/封止材EVA(厚さ0.500mm)/太陽電池セル(厚さ0.2mm)/封止材EVA(厚さ0.500mm)/裏面保護シートの順に積層させ、真空ラミネータ(NPC社製「LM−140X200S」)にて太陽電池モジュールを製作した。尚、強化ガラスの大きさは180mm角とした。
上記評価用太陽電池モジュールを用い、サーマルサイクル試験(TC試験)前後におけるFF測定を行った。サーマルサイクル試験には、Espec社製「ARS−0680−Jを」用いた。試験条件は、25℃から85℃まで40分かけて変化させ、85℃で30分保持した。次いで、85℃から−40℃まで80分かけて変化させ、−40℃で30分保持した。次いで、−40℃から25℃まで40分かけて変化させた。この試験条件を繰り返し400回行うことで、サーマルサイクル試験を行った。
上記サーマルサイクル試験前後の曲線因子FFの測定は、ソーラーシミュレータを用いて行った。TC試験前後における曲線因子FFの変化率を、下記式(2)を用いて算出した。
FF変化率=[(B−A)/A]×100[%] (2)
(2)式において、Aは、サーマルサイクル試験前のFFの値、Bは、サーマルサイクル試験後のFFの値である。
<EL試験>
ここでいうEL試験とは、太陽電池モジュールの順方向に電流を印加させるとセルの発電正常部が発光するが、この発光を画像化することで、セルのクラック発生箇所等を特定する試験のことを指す。EL試験によってセルのクラック発生の有無を測定し、下記の判定基準で評価した。マイクロクラック発生有無は、サーマルサイクル試験(TC試験)前後の太陽電池セルの画像を見比べて判断した。EL装置には、アイテス社製「PVX−300」を使用した。
○:クラックなし。
×:クラックあり。
ここで、FFの低下とセルのクラックには相関性があり、FF変化率がマイナスの値を取り、その絶対値が大きいほど、EL試験でのセルクラックの大きさが顕著であり、セルの発電性能は低い。具体的に、FF変化率が−0.4%以下であれば、TC試験でのセルクラック発生によって発電性能が低下しており、太陽電池モジュールの性能としては悪いと考えられる。
表1には、各実施例及び比較例で得られた光拡散部材の引張弾性率x(MPa)、厚みy(μm)、4x+1000yの値、FF変化率及びEL試験によるマイクロクラックの確認結果を示している。
図9には、各実施例及び比較例で得られた光拡散部材の引張弾性率x(MPa)と、厚みy(μm)との関係をプロットした結果を示している。
各実施例で得た光拡散部材を用いた場合は、いずれも4x+1000yの値が所定の範囲を充足するため、TC試験後のFF変化率の絶対値が小さく、太陽電池セルへのマイクロクラックが抑制されていることがわかる。図9の結果からも、4x+1000yの値が10000以上、65000以下であることの必要性が示された。
よって、4x+1000yの値が所定の範囲である光拡散部材は、太陽電池モジュールの信頼性を向上させることができ、耐久性に優れる太陽電池を構築するための部材として適していることが理解できる。
(実施例13)
光拡散層として、全長が150mmである25μm厚みの透明PETフィルムに対し、アクリル系UV硬化樹脂コート剤を用いて、光拡散層の厚み15μmになるよう塗布し、エンボス金型にて120度頂角、プリズムピッチ3μm、プリズム高さ10μmの三角プリズム形状を転写させ、プリズム形状層を形成した。その後、プリズムコート表面にAL金属を0.1μm厚みになるよう蒸着加工を行った。一方、接着層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体をIPAに分散したコート剤を使用して、プリズム形状層と逆側の面に、接着層が間隔を有しながら設けられるようにストライプ塗布を行った。具体的には、上記ストライプ塗布により、塗布長さを2.5mmとすると共に間隔を10.0mmとして、ストライプ塗布を行い、その後乾燥させることで複数の接着層を所定の間隔で形成させた。また、各接着層の厚みは10μmとなるようした。このようにして、光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材における光拡散層は、透明PETフィルム25μmとアクリル系UV硬化樹脂コート層15μmとアルミニウム層0.1μmとが積層されて形成されている。また、この光拡散部材は、光拡散部材の面積に対して、接着層の総面積が20%(すなわち、塗布有効割合は20%)であった。なお、4x+1000yの値は、実施例10と同様である。
(実施例14)
ストライプ塗布による塗布長さ2.5mm、間隔を5.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材は、光拡散部材の面積に対して、接着層の総面積が33%(すなわち、塗布有効割合は33%)であった。
(実施例15)
ストライプ塗布による塗布長さ5.0mm、間隔を5.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材は、光拡散部材の面積に対して、接着層の総面積が50%(すなわち、塗布有効割合は50%)であった。
(実施例16)
ストライプ塗布による塗布長さ7.5mm、間隔を7.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材
は、光拡散部材の面積に対して、接着層の総面積が50%(すなわち、塗布有効割合は50%)であった。
(実施例17)
ストライプ塗布による塗布長さ7.5mm、間隔を5.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材は、光拡散部材の面積に対して、接着層の総面積が60%(すなわち、塗布有効割合は60%)であった。
(実施例18)
ストライプ塗布による塗布長さ5.0mm、間隔を2.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材は、光拡散部材の面積に対して、接着層の総面積が67%(すなわち、塗布有効割合は67%)であった。
(実施例19)
ストライプ塗布による塗布長さ10.0mm、間隔を5.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材は、光拡散部材の面積に対して、接着層の総面積が67%(すなわち、塗布有効割合は67%)であった。
(実施例20)
ストライプ塗布による塗布長さ7.5mm、間隔を2.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材は、光拡散部材の面積に対して、接着層の総面積が75%(すなわち、塗布有効割合は67%)であった。
(実施例21)
ストライプ塗布による塗布長さ10.0mm、間隔を2.5mmとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で光拡散層と接着層が積層してなるフィルムを光拡散部材として得た。この光拡散部材は、光拡散部材の面積に対して、接着層の総面積が80%(すなわち、塗布有効割合は80%)であった。
表2には、実施例13〜21におけるストライプ塗布による塗布長さ、間隔、総塗布長さ、総間隔及び塗布有効割合を示している。総間隔とは、光拡散部材の非接着部の長尺方向長さの合計を示す。また、塗布有効割合は、光拡散部材3の面積に対する接着層の層面積の割合である。そして、本評価試験では、光拡散部材3とインターコネクタの面積は同一とし、しかも、インターコネクタの全長が太陽電池セル上に配置されるようにしたので、上記塗布有効割合は、インターコネクタの接着有効面積に等しい。
また、表2には、各実施例及び比較例で得られた光拡散部材のFF変化率及びEL試験によるマイクロクラックの確認結果を示している。
上記実施例で得た光拡散部材を用いた場合ではいずれも、TC試験後のFF変化率が小さく、特に、塗布有効割合が60%以下で効果的であった。これにより、光拡散部材による太陽電池セルへのマイクロクラックが抑制されていることがわかる。
A 太陽電池モジュール
1 インターコネクタ
3 インターコネクタ用光拡散部材
3a 光拡散層
3b 接着層
4 入射光
5 光
6 太陽電池セル
7 強化ガラス
8 封止材
9 裏面保護シート

Claims (7)

  1. 隣接する太陽電池セルを接続するインターコネクタの前記太陽電池セルとは逆側の面に配置されるインターコネクタ用光拡散部材であって、
    少なくとも樹脂を含む光拡散層を備え、
    下記式(1)
    10000≦4x+1000y≦65000 (1)
    (ここで、xはインターコネクタ用光拡散部材の引張弾性率(MPa)、yはインターコネクタ用光拡散部材の厚み(μm)である)
    の関係式を満たす、インターコネクタ用光拡散部材。
  2. 光拡散層上に設けられた接着層をさらに備え、
    前記接着層は、前記インターコネクタの面積の10〜80%の部分で前記インターコネクタに接着するように設けられている、請求項1に記載のインターコネクタ用光拡散部材。
  3. 請求項1又は2に記載のインターコネクタ用光拡散部材を備える、太陽電池用インターコネクタ。
  4. 前記インターコネクタ用光拡散部材と、前記インターコネクタとの接着有効面積が10〜80%である、請求項3に記載の太陽電池用インターコネクタ。
  5. 請求項4に記載の太陽電池用インターコネクタを備える太陽電池モジュール。
  6. 請求項3又は4に記載の、隣接する太陽電池セルを接続させる太陽電池用インターコネクタの製造方法であって、
    前記太陽電池用インターコネクタは、光拡散部材を備え、
    前記光拡散部材は、少なくとも樹脂を含む光拡散層と、この光拡散層上に設けられた接着層とを備え、
    前記光拡散部材を、前記太陽電池用インターコネクタの面積の10〜80%の部分に接着させる工程を有する、製造方法。
  7. 請求項3又は4に記載の、隣接する太陽電池セルを接続させる太陽電池用インターコネクタへの光拡散部材の接着方法であって、
    前記光拡散部材は、少なくとも樹脂を含む光拡散層と、この光拡散層上に設けられた接着層とを備え、
    前記光拡散部材を、前記太陽電池用インターコネクタの面積の10〜80%の部分に接着させる工程を有する、方法。
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WO2021165792A1 (en) * 2020-02-21 2021-08-26 3M Innovative Properties Company Light redirecting film and photovoltaic module

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