JP2018003640A - 流体機械の制御方法および流体機械の制御装置 - Google Patents

流体機械の制御方法および流体機械の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】流体機械に吸い込まれる流体の流量をより少ないパラメータを用いて制御することができる流体機械の制御方法および流体機械の制御装置を提供する。【解決手段】流体機械100への流体の吸込流量Q、流体機械100に取り付けられている可変式の案内羽根2の開度I、および流体機械100における回転軸6の回転速度Nに基づいて、流体機械100の運転点が特定される。そして、特定された運転点を移動させることによって吸込流量Qが予め設定された目標吸込流量Fとなるように、案内羽根2の開度Iと回転軸6の回転速度Nとが制御される。【選択図】図2

Description

本発明は、流体機械の制御方法および流体機械の制御装置に関する。
流体を圧送するターボ型のブロワ、圧縮機などの流体機械が存在する。遠心式や斜流式などの流体機械は、駆動機により回転する羽根車によって、ガスや液体などの作動流体にエネルギを与える。このような流体機械では一般に、消費電力の低減や安定作動範囲の拡大が要求される。
このため、流体機械の中でも特に単段構成の流体機械では、駆動機の回転速度の制御や、可変式の案内羽根の開度(つまり翼取付角度)の制御などが行われる場合が多い。ここで、駆動機の回転速度は、インバータ等で制御され得る。また、可変式の案内羽根は、例えば羽根車へ流入する流れに対して羽根車仕事が低減される方向の旋回流を付与する旋回流発生装置として、流体機械に取り付けられている。
例えば、特許文献1に記載の技術では、流体機械の設計点よりも低流量側で生じるサージングによる運転状態の変動を精度良く検出し、流体機械における可変式の案内羽根の開度と羽根車の回転数とを制御することによって安定な運転の実現を図っている(要約等参照)。
また、特許文献2に記載の技術では、流体機械の吸込圧力、吐出圧力、および吸気温度から算出された無次元量と、吸込流量とを用いて目標回転数を演算し、前記無次元量を制御パラメータとして、流量制御を行っている(段落0030〜0034等参照)。
特開平9−133093号公報 特開2003−322096号公報
特許文献1,2に記載の技術のいずれも、流体機械の運転制御のためには、パラメータとして多くの物理量の計測が必要となるため、多くのセンサ等の計測機器を流体機械の内部または外部に設置する必要がある。そのため、計測機器の設置に伴って必要となる加工の費用や、計測機器そのものの費用を確保することによるコスト増加が懸念される。また、場合によっては、例えばプラント側の配管への計測機器の設置が必要となり、プラント側の配管への追加工の必要が生じるおそれもある。
本発明は、前記した事情に鑑みなされたものであり、流体機械に吸い込まれる流体の流量をより少ないパラメータを用いて制御することができる流体機械の制御方法および流体機械の制御装置を提供することを課題とする。
上記課題を達成すべく、本発明に係る流体機械の制御方法は、流体機械に吸い込まれる流体の流量である吸込流量、前記流体機械に取り付けられている可変式の案内羽根の開度、および前記流体機械における駆動軸の回転速度に基づいて、前記流体機械の運転点を特定し、前記運転点を移動させることによって前記吸込流量が予め設定された目標吸込流量となるように、前記案内羽根の開度と前記駆動軸の回転速度とを制御することを特徴とする。
また、本発明に係る流体機械の制御装置は、流体機械に吸い込まれる流体の流量である吸込流量を検出する流量検出部と、前記流体機械に取り付けられている可変式の案内羽根の開度を検出する開度検出部と、前記流体機械における駆動軸の回転速度を検出する速度検出部と、前記流量検出部によって検出された前記吸込流量、前記開度検出部によって検出された前記案内羽根の開度、および前記速度検出部によって検出された前記駆動軸の回転速度に基づいて、前記流体機械の運転点を特定し、前記運転点を移動させることによって前記吸込流量が予め設定された目標吸込流量となるように、前記案内羽根の開度と前記駆動軸の回転速度とを制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、流体機械に吸い込まれる流体の流量をより少ないパラメータを用いて制御することができる流体機械の制御方法および流体機械の制御装置を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る流体機械の制御方法が適用される流体機械の上半分を示す縦断面図である。 流体機械の制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。 流体機械の制御方法の内容を示すフローチャートである。 流体機械の吸込流量と吐出圧力との相関を、回転軸の回転速度が変化したときの作動範囲マップの変化とともに示す図である。 流体機械の吸込流量と吐出圧力との相関を、吸気温度が変化したときの作動範囲マップの変化とともに示す図である。 流体機械の運転点を特定するプロセスを示す図であって、予想性能曲線の作成を説明するための図である。 流体機械の運転点を特定するプロセスを示す図であって、実際の運転時における性能曲線の作成を説明するための図である。 吸込流量の制御の一例を示す図である。 吸込流量の制御の一例を示す図である。 流体機械の吸込流量と効率との相関を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る流体機械の制御方法の内容を示すフローチャートである。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図7を参照しながら、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る流体機械の制御方法が適用される流体機械100の上半分を示す縦断面図である。
なお、図1中の白抜き矢印は、流体の流れを示す(図2でも同様)。
ここでは、単段の流体機械の一例として、遠心式のターボ型ブロワを例に説明するが、本発明は、その他の流体機械に適用しても構わない。
本実施形態では、流体機械100は、例えば下水処理場の曝気設備などに使用される曝気用ブロワである。
流体機械100は、流体機械100への作動流体(以下、単に「流体」ともいう)の流入流れに任意の旋回角を付与する可変式の案内羽根2を備えている。また、流体機械100は、羽根車駆動機22によって回転させられる回転軸(駆動軸)6に装着された羽根車3と、羽根車3の下流側に配置されているディフューザ4と、吐出スクロール5とを備えている。流体機械100のこれらの構成要素は、ケーシング7内に格納されており、内部流路を構成している。
案内羽根2は、回転軸6の軸線CLに対して放射状に設けられた複数枚の板状の翼から構成される翼列である。案内羽根2は、案内羽根駆動機1によって回動させられることで、その開度が調整され得る。羽根車3は、回転エネルギを流体に付与して流体を昇圧する。ディフューザ4は、周方向にほぼ等ピッチで配置された複数枚の翼を有するベーン(羽根)付きディフューザである。ただし、翼を有さないベーンレスディフューザが使用されてもよい。ディフューザ4は、羽根車3の出口から流入する流体の動圧を静圧へと変換するものである。吐出スクロール5は、スクロールと類似の別の形態の吐出流路であってもよい。
このような流体機械100では、流体は、流体機械100の吸込流路8から吸い込まれ、可変式の案内羽根2によって任意の旋回角を与えられた状態で羽根車3に流入する。羽根車3に流入した流体は、羽根車3によって昇圧され、ディフューザ4で減速された後、吐出スクロール5によって吐出流路9へと導き出される。
次に、以上のように構成された流体機械100における流量制御について、図2および図3を参照して説明する。
図2は、流体機械100の制御装置20の構成を模式的に示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置20は、流体機械100に吸い込まれる流体の流量である吸込流量を計測する流量計(流量検出部)21を備えている。また、制御装置20は、流体機械100に取り付けられている可変式の案内羽根2の開度を計測する開度計測器(開度検出部)24と、流体機械100における回転軸6の回転速度を計測する回転速度計(速度検出部)23とを備えている。
流量計21は、流体機械の吸込流路8に設けられている。羽根車3は、回転軸6を介して羽根車駆動機22に接続されている。回転速度計23は、例えば回転軸6に取り付けられて、回転軸6の回転速度を計測する。可変式の案内羽根2の回動軸は、案内羽根2の開度を調整するための案内羽根駆動機1に接続されている。また、開度計測器24は、例えば案内羽根駆動機1に取り付けられて、可変式の案内羽根2の開度を計測する。
流量計21、回転速度計23、および開度計測器24は、それぞれ回線を介して制御器(制御部)25に接続されており、これらの計測機器からの信号が制御器25に入力される。制御器25は、回線を介して案内羽根駆動機1と接続されており、制御器25からの信号が案内羽根駆動機1に入力される。制御器25は、案内羽根駆動機1を介して、可変式の案内羽根2の開度を制御する。また、制御器25は、回線を介して羽根車駆動機22と接続されており、制御器25からの信号が羽根車駆動機22に入力される。制御器25は、羽根車駆動機22を介して、回転軸6の回転速度を制御する。
流体機械100の設置場所の一つとして挙げられる下水処理場では、曝気用ブロワとして使用される流体機械100の吐出側は、曝気槽(図示せず)の側壁に接続されており、この曝気槽の水位が一定となるように、曝気設備において制御されている。したがって、流体機械100の吐出側の圧力が、常時一定、もしくは圧力特性がある抵抗曲線でほぼ決まっていることが多い。そのため、制御器25の記憶部25aには、図2に示すように、吐出圧力Pdの特性が、予め入力されて記憶(記録)させられている。
図3は、流体機械100の制御方法の内容を示すフローチャートである。
図3に示すように、まずステップS0として、制御器25は、流体機械100の現在の運転点を算出する。
このステップS0では、制御器25は、流体機械100の吸込流量Q、可変式の案内羽根2の開度I、および回転軸6の回転速度Nに基づいて、流体機械100の運転点を特定する。すなわち、制御器25は、制御器25に入力された、吸込流量Q、開度I、および回転速度Nの3つを用いて、流体機械100の性能曲線(吸込流量と吐出圧力の相関)上のどの動作点で運転しているかを確認する。このステップS0は、一定時間間隔で絶えず実施され、制御器25は、常に流体機械100の運転点を監視している。
前記したように予め制御器25の記憶部25aに流体機械100の吐出圧力Pdの特性が格納されているため、制御器25に入力された、吸込流量Q、開度I、および回転速度Nの3つを用いて、流体機械100の運転点を導出することができる。
以下、流体機械100の運転点の具体的な特定方法について説明する。
図4は、流体機械100の吸込流量Qと吐出圧力Pdとの相関を、回転軸6の回転速度Nが変化したときの作動範囲マップの変化とともに示す図である。図5は、流体機械100の吸込流量Qと吐出圧力Pdとの相関を、吸気温度が変化したときの作動範囲マップの変化とともに示す図である。ここで、吸気温度とは、流体機械100に吸い込まれる流体の温度である。
作動範囲マップは、予め実施された流体機械100の性能試験によって基準温度(例えば20℃)において可変式の案内羽根2の開度Iを変化させて取得される性能曲線から決定される、運転可能範囲を示している。すなわち、作動範囲マップは、取得された複数の性能曲線を含む面の領域で表される。ここでは、作動範囲マップ作成時の回転軸6の回転速度Nは、ある一種類の回転速度(例えばN=100%)のデータのみが制御器25に記憶されているとして説明する。ただし、制御器25は、複数種類の回転速度Nについて、作動範囲マップを所有していてもよい。
図4〜図5では、可変式の案内羽根2の開度Iの最小値は15%とされている。ただし、可変式の案内羽根2の開度Iは実際には0%近くまで絞ることが可能であるため、開度Iの最小値は15%よりも小さくてもよい。ここで、案内羽根2の表面が吸込流路8の軸線に対して、略平行な場合を開度I=100%、略垂直な場合を開度I=0%とする。
可変式の案内羽根2を有する単段の流体機械100は、一般的に、可変式の案内羽根2の開度毎に図4中の太い実線で示すような性能曲線を有している。また、流体機械100の吸込流量点は、図4中の太い破線で示す抵抗曲線R上に位置している。
図4に示すように、作動範囲マップは、回転軸6の回転速度が変化することによって、図4中の一点鎖線で示された一定勾配を有する直線L上をシフトする。したがって、予め流体機械100の性能試験を実施する際に、異なる回転速度Nで運転した際の性能曲線も合わせて取得しておけば、回転軸6の回転速度Nの変化に伴う作動範囲マップの変化を規定する1次関数の勾配および変化幅が得られる。これにより、回転軸6の回転速度Nの変化に対する作動範囲マップの変化の相関関数を導出できるため、流体機械100の運転時における作動範囲マップの変化を容易に算出できる。
図5には、吸気温度の変化に伴う作動範囲マップの変化が示されている(図5中に細い破線で示す)。図5に示すように、吸気温度が変化しても作動限界Kの吸込流量点は変化しない。そのため、作動範囲マップは、吸気温度の変化に応じて図5において上下にシフトすることとなる。この変化幅は、吸気温度の1次関数で表されるため、作動範囲マップの変化を容易に算出できる。ここで、作動限界Kは、流れが失速し、サージングが生じる低流量側の限界である。
実際の性能試験で取得できる試験データは、限られた開度Iと、限られた回転速度Nのときのデータのみであることが多い。そのため、取得されたデータの間に位置するデータは、何らかの形で補完される。作動範囲マップは、例えば、図4、図5に太い実線で示す複数の性能曲線を含む面の領域に分布されるマッピングデータで与えられてもよいし、多項式近似のような近似式(関数)で与えられてもよい。
図6は、流体機械100の運転点を特定するプロセスを示す図であって、予想性能曲線C1の作成を説明するための図である。図7は、流体機械100の運転点を特定するプロセスを示す図であって、実際の運転時における性能曲線C2の作成を説明するための図である。
まず、制御器25が、流体機械100の吸込流量Q、可変式の案内羽根2の開度I、および回転軸6の回転速度Nを、流量計21、開度計測器24、および回転速度計23からそれぞれ受け取る。
続いて、図6に示すように、制御器25は、受け取った開度Iおよび回転速度Nと、予め制御器25の記憶部25aに記憶されている作動範囲マップを用いて、基準温度(例えば20℃)における開度Iおよび回転速度Nに基づく予想性能曲線C1を算出する。ここで、制御器25に記憶されている作動範囲マップの回転速度と、制御器25が回転速度計23から受け取った回転速度Nとの間に差がある場合、前記した相関関数によって作動範囲マップが修正された後に、予想性能曲線C1が算出される。
この際、基準温度における開度Iおよび回転速度Nに基づく運転時の想定吸込流量は、予想性能曲線C1と、流体機械100の吐出側の圧力特性にもとづく抵抗曲線Rとの交点の位置P0で表される。しかし、基準温度と実際の運転時の吸込温度とが異なるとき、予想性能曲線C1と抵抗曲線Rの交点の位置P0と、実測された吸込流量Qの位置P1との間に差分δが生じる。この流量の差分δは吸気温度の差によるものなので、この差分δによる誤差を修正する。
温度変化によって生じた差分δは、図5に示したとおり、作動範囲マップの上下シフトによって生じている。したがって、図7に示すように、予想性能曲線C1を、作動範囲マップのシフト幅を決定する温度の1次関数にもとづいて上下方向に移動させる。そして、移動後の予想性能曲線C1と抵抗曲線Rとの交点が実測された吸込流量Qと一致するとき、移動後の予想性能曲線C1は、実際の運転時の性能曲線C2であると言える。このようなプロセスによって、流体機械100の実際の運転時における性能曲線C2、および該性能曲線C2上の位置P1で示す動作点を特定することができる。すなわち、流体機械100の運転点が特定される。
図3の説明に戻り、ステップS1では、制御器25は、流体機械100に要求したい吸込流量である目標吸込流量Fの入力を受け付ける。これにより、目標吸込流量Fが設定される。
ステップS2では、制御器25は、流量計21を用いることによって、流体機械100の現在の吸込流量Qを計測する。
ステップS3では、制御器25は、流体機械100の現在の吸込流量Qと目標吸込流量Fとの間に差があるか否かを判定する。そして、現在の吸込流量Qと目標吸込流量Fとの間に差がないと判定された場合(ステップS3でYes)、図3に示す制御は終了となるが、差がある場合(ステップS3でNo)、ステップS4へ進む。
ステップS4では、制御器25は、流体機械100の吸込流量Q、可変式の案内羽根2の開度I、および回転軸6の回転速度Nに基づいて、流体機械100の運転点を特定する。ステップS4の処理は、前記したステップS0の処理と同様であるため、説明を省略する。このステップS4では、各計測値が変化している場合を想定して、流体機械100の現在の運転点が再度特定される。
図8および図9は、吸込流量Qの制御の一例を示す図である。
ステップS5以降では、吸込流量Qと目標吸込流量Fとの関係を判定し、具体的にどの部位を動かして流量制御を実施するかを判定する。具体的には、可変式の案内羽根2の開度Iを制御するのか、回転軸6の回転速度Nを制御するのかを判定する。
ステップS5では、制御器25は、目標吸込流量Fが現在の吸込流量Qよりも大きいか否かを判定する。そして、目標吸込流量Fが現在の吸込流量Qよりも大きいと判定された場合(ステップS5でYes)、ステップS6へ進む。一方、目標吸込流量Fが現在の吸込流量Qよりも小さいと判定された場合(ステップS5でNo)、ステップS9へ進む。
ステップS6では、制御器25は、可変式の案内羽根2の開度Iによって作動範囲マップ内において制御可能、すなわち可変式の案内羽根2の開度Iを調整することによって目標吸込流量Fを達成できるか否かを判定する。そして、可変式の案内羽根2の開度Iによって制御可能と判定された場合(ステップS6でYes)、ステップS7へ進む。一方、可変式の案内羽根2の開度Iによって制御不可能と判定された場合(ステップS6でNo)、ステップS8へ進む。
ステップS7では、設定された目標吸込流量Fが可変式の案内羽根2の開度Iの調整範囲内であると判断されたため、制御器25は、図8に示すように、可変式の案内羽根の開度Iのみを上げる(大きくする)ように調整して流量変更を行う。これにより、現在の性能曲線C2上の位置P1で示す動作点が、吸込流量の大きくなる方へ移行して、流量変更後における性能曲線C3上の目標吸込流量Fに向かう。
ステップS8では、制御器25は、回転軸6の回転速度Nを上げる(高くする)ように調整して流量変更を行う。すなわち、図4に示したように、回転速度Nを上げることによって、作動範囲マップを吸込流量の大きい方へシフトさせる。これにより、目標吸込流量Fの達成を図る。ただし、本ステップの処理を行っても目標吸込流量Fを達成できない場合には、警告等の所定のエラー処理が行われる。
ステップS9では、制御器25は、可変式の案内羽根2の開度Iによって作動範囲マップ内において制御可能、すなわち可変式の案内羽根2の開度Iを調整することによって目標吸込流量Fを達成できるか否かを判定する。そして、可変式の案内羽根2の開度Iによって制御可能と判定された場合(ステップS9でYes)、ステップS10へ進む。一方、可変式の案内羽根2の開度Iによって制御不可能と判定された場合(ステップS9でNo)、ステップS11へ進む。
ステップS10では、設定された目標吸込流量Fが可変式の案内羽根2の開度Iの調整範囲内であると判断されたため、制御器25は、可変式の案内羽根の開度Iのみを下げる(小さくする)ように調整して流量変更を行う。これにより、現在の性能曲線上の位置で示す動作点が、吸込流量の小さくなる方へ移行して、流量変更後における性能曲線上の目標吸込流量Fに向かう。
ステップS11では、制御器25は、目標吸込流量Fが回転軸6の現在の回転速度Nにおける作動限界よりも小さいか否か、すなわち作動限界よりも低流量域に位置するか否かを判定する。そして、目標吸込流量Fが現在の回転速度Nにおける作動限界よりも小さいと判定された場合(ステップS11でYes)、ステップS12へ進む。一方、目標吸込流量Fが現在の回転速度Nにおける作動限界以上であると判定された場合(ステップS11でNo)、ステップS13へ進む。
ステップS12では、制御器25は、図9に示すように、回転軸6の回転速度Nを上げるとともに可変式の案内羽根の開度Iを下げるように調整して流量変更を行う。つまり、回転速度Nを上昇させたうえで開度Iの調整を実施して、目標吸込流量Fに対応することになる。これにより、現在の性能曲線C2上の位置P1で示す動作点が、流量変更後における性能曲線C3上の目標吸込流量Fに向かう。ただし、本ステップの処理を行っても目標吸込流量Fを達成できない場合には、所定のエラー処理が行われる。
ステップS13では、制御器25は、回転軸6の回転速度Nを下げるように調整して流量変更を行う。例えば、図4に示す位置に目標吸込流量Faが設定されている場合が該当する。図4に示すように、回転速度Nを下げることによって、作動範囲マップを吸込流量の小さい方へシフトさせる。これにより、目標吸込流量Fの達成を図る。ただし、本ステップの処理を行っても目標吸込流量Fを達成できない場合には、所定のエラー処理が行われる。
このような制御ループ(ステップS2〜S13)を繰り返すことにより、最終的に吸込流量Q=目標吸込流量Fの関係に至ることで(ステップS3でYes)、図3に示す制御が終了する。
図3に示す制御を実施する際の開度I、回転速度Nの調整幅(変化幅)は、制御すべき流体機械100の特性によって異なるため、どのような調整幅でも構わない。例えば、調整幅は、予め決められた一定値であってもよいし、あるいは吸込流量Qと目標吸込流量Fとの差に応じて変化させられてもよい。
また、目標吸込流量Fの達成の精度は、図3に示す制御を実施する流体機械100が適用されるプラント側の流量誤差許容値にも依存する。このため、必ずしも吸込流量Q=目標吸込流量Fを厳密に実現する必要はなく、ある要求された誤差範囲内に吸込流量Qと目標吸込流量Fの差分が収まれば、図3に示す制御は終了としてもよい。
前記したように本実施形態では、流体機械100への流体の吸込流量Q、流体機械100に取り付けられている可変式の案内羽根2の開度I、および流体機械100における回転軸6の回転速度Nに基づいて、流体機械100の運転点が特定される。そして、特定された運転点を移動させることによって吸込流量Qが予め設定された目標吸込流量Fとなるように、案内羽根2の開度Iと回転軸6の回転速度Nとが制御される。
このような本実施形態によれば、流体機械100に吸い込まれる流体の流量をより少ないパラメータを用いて制御することができる。
したがって、従来のように多くのセンサ等の計測機器を流体機械100の内部または外部に設置する必要なしに流量制御が可能となる。
ここで、前記したように、流体機械100が使用される曝気設備などの定圧力特性を有するプラントでは、一般に、流体機械100の吐出側の圧力がプラント側で一定に保たれるように制御がなされている。また、吐出圧力一定の制御がなされていない場合であっても、曝気槽を含めたシステムの抵抗曲線が既知、もしくは、既存の曝気ブロワ(流体機械)の運用状態から予測可能である。このため、流体機械100の制御器25側で吐出圧力を常時計測する必要はなく、予めプラント特性に応じた圧力値、またはシステムの抵抗曲線を制御器25へ入力しておけばよい。この場合、吸込流量Q、開度I、回転速度Nの3つのパラメータさえわかれば、流体機械100の性能曲線(吸込流量と吐出圧力の相関)上のどの位置(動作点)で運転しているかは、予め作成された作動範囲マップを用いて特定可能である。
流体機械100は、昼夜の変化、季節の変化に応じて、吸い込む流体の温度や湿度が変化する。一般的に、吸い込む流体の温度が高くなると、流体の密度が低下することが知られている。このため、同一の吸込体積流量であっても、吸い込む流体の温度が高いほど、吐出圧力が低下する。したがって、同一の開度I、同一の回転速度Nの運転条件であったとしても、吸い込む流体の温度が基準温度(例えば20℃)に対して高いとき、吐出圧力一定のプラント下においては、吸込体積流量が少なくなる。同様に、吸い込む流体の温度が基準温度に対して低いときは、吸込体積流量が大きくなる。
しかし、吸込む流体の温度が変化した場合であっても、同一の開度I、同一の回転速度Nの運転条件下においては、失速、サージングに入る低流量側の作動限界の流量点は、変化しない。したがって、この特性を利用すれば、吸気温度が変化した場合においても、吸込流量Q、開度I、回転速度Nの3つのパラメータさえわかれば、流体機械100の性能曲線上のどの位置で運転しているかは、作動範囲マップを用いて特定可能である。
なお、前記した吸込流量Qと吐出圧力Pdの相関は、流体機械100の性能試験によって予め作成され、流体機械100を制御する制御器25の記憶部25aに記憶されている。吸気温度の変化や回転速度Nの変化に伴って、吸込流量と吐出圧力の相関を示す性能曲線はシフトするが、これらの相関についても、性能試験にて予め計測することで、もしくは、一般的な流体機械の相似則に則って、取得できる。
また、本実施形態では、吸込流量Q、可変式の案内羽根2の開度I、および回転軸6の回転速度Nに基づいて、流体機械100の運転時における性能曲線、および該性能曲線上の動作点の特定が行われる。これにより、開度Iと回転速度Nとを制御することで流体機械100の流量制御を確実に行うことができる。
また、本実施形態では、案内羽根2は、流体機械100における流体の流入部に設けられている。この構成によれば、案内羽根2は、流体機械100に流入する流れに対して羽根車3の仕事が低減される方向の旋回流を付与する旋回流発生装置として機能することができる。ただし、案内羽根2は、流体機械100における流体の流出部に設けられてもよい。この場合、案内羽根2は、羽根車3の出口から流入する流体の動圧を静圧へと変換するディフューザとして機能することができる。
また、本実施形態では、案内羽根2の開度Iの制御が回転軸6の回転速度Nの制御に優先して実行される(図3のステップS6,S9参照)。この構成では、容易に応答性良く制御することができる。
また、本実施形態では、目標吸込流量Fが回転軸6の現在の回転速度Nにおける作動限界よりも低流量域に位置する場合、回転軸6の回転速度Nを上げるとともに案内羽根2の開度Iを下げる制御が行われる。この構成によれば、作動限界を下回って失速、サージングのおそれがあるために案内羽根2の開度Iの調整では対応できない場合でも、目標吸込流量Fの実現を図ることが可能となる。
(第2実施形態)
次に、図10〜図11を参照しながら、本発明の第2実施形態について、前記した第1実施形態と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。
図10は、流体機械100の吸込流量Qと効率ηとの相関を示す図である。図11は、本発明の第2実施形態に係る流体機械100の制御方法の内容を示すフローチャートである。
まず、図4を参照して、可変式の案内羽根2の開度Iの調整、および回転軸6の回転速度Nの調整によって、流体機械100に吸い込まれる流体の流量制御を行う場合における、流体機械100の性能特性を説明する。
図4中に示すP1を流体機械100の現在の運転時における動作点と考えると、図4から、可変式の案内羽根2の開度I=30%、回転軸6の回転速度N=100%で運転されていると考えられる。しかし実際には、P1で示す点が、或る運転条件下の作動範囲マップ上に位置してさえいれば、流体機械100は運転可能である。そのため、目標吸込流量Fを満足しようとしたとき、可変式の案内羽根2の開度Iと回転軸6の回転速度Nとの組合せは、ほぼ無限に存在する。また、運転条件によっては、あまり効率が良くない運転点であっても、目標吸込流量Fを満足できることが容易に想定される。
図10には、太い破線で示す最大効率曲線Eが示されており、効率が最大となるηmaxが存在することがわかる。この最大効率ηmaxの傾向を見ると、可変式の案内羽根2の開度Iは、開いている(大きい)ほど、効率は高くなることがわかる。また、回転軸6の回転速度Nは、流体機械100使用上の最大吸込流量以下においては、低い(小さい)ほど、効率は高くなることがわかる。したがって、流量制御においては、できるだけ可変式の案内羽根2の開度Iが開いている、または、回転軸6の回転速度が低くなるように運転することが、流体機械100の高効率状態での運用のためには重要であると言える。
図10に示すグラフにおいて、各回転速度N、各開度Iの変化に応じて与えられる性能曲線は、吸気温度が変化しても変化しない。ただし、最大効率曲線Eは、吸気温度の変化によって、相似を保ったまま図10において左右にシフトする。最大効率曲線Eの位置は、図4中に示される開度Iごとに描かれる作動限界線Lkが、抵抗曲線Rと交わる点の集合として表現される。このため、図6において示した予想性能曲線C1の特定のプロセスにおいて、最大効率曲線Eの位置も合わせて特定することができる。これにより、或る吸込流量Qにおいて流体機械100が取りうる最大効率ηmaxが算出可能となる。
第2実施形態では、目標吸込流量Fを満たす性能曲線C3(図8、図9参照)を探索するにあたり、効率ηと吸込流量Qの相関を示すデータ(図10参照)が、予め制御器25に記憶させられている。
図11に示すステップS0〜S13の処理は、前記した第1実施形態(図3参照)と同様であるため、説明を省略する。
図11のステップS3において現在の吸込流量Qと目標吸込流量Fとが一致した際に(ステップS3でYes)、制御器25は、目標吸込流量Fを満たすように決定された性能曲線C3(図8、図9参照)上の動作点における効率ηが最大効率ηmaxと一致するか否かを判定する(ステップS21)。そして、η=ηmaxと判定された場合(ステップS21でYes)、図11に示す制御は終了となるが、差がある場合(ステップS21でNo)、ステップS22へ進む。
なお、ステップS21の判定において、厳密にη=ηmaxであるか否かではなく、効率ηと最大効率ηmaxとの差が或る程度の範囲内に収まるか否かが判定されてもよい。
ステップS22では、制御器25は、回転軸6の回転速度Nを下げる(低くする)ように調整する。そして、制御器25は、回転軸6の回転速度Nが最も低くなるように制御する。これにより、吸込流量Qが目標吸込流量Fを満足するとともに、より高効率の領域にて流体機械100を運転することができる。あるいは、制御器25が、ステップS22において、可変式の案内羽根2の開度Iが最も大きくなるように制御する構成とされてもよい。このような制御によっても、同様に、吸込流量Qが目標吸込流量Fを満足するとともに、より高効率の領域にて流体機械100を運転することができる。
このように第2実施形態では、第1実施形態で行われる制御に加え、運用時においてできるだけ回転軸6の回転速度Nをできるだけ低く保つように、もしくは、可変式の案内羽根2の開度Iを開いた状態に保つように制御される。ここで、ターボ型のブロワは、最も回転速度Nの低い条件で運転するほど、可変式の案内羽根2の開度Iが開き、かつ、最も効率の高い運転が可能となることが知られている。目標吸込流量Fを達成するための運転条件には、様々な開度Iと回転速度Nの組合せが想定される。そのうち最も効率が高くなると想定されるのは、回転軸6の回転速度Nが最も低い、もしくは、可変式の案内羽根2の開度Iが最も開いている(大きい)条件であることが多い。そこで、できる限り、回転速度Nが低い、もしくは、可変式の案内羽根2の開度Iが開いている条件での運転を行うことによって、流体機械100の効率向上を実現できる。したがって第2実施形態によれば、最も効率の良い運転が流量域でなされるため、高効率化が実現できる。
以上、本発明について実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。前記した実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、前記した実施形態では、遠心式の流体機械100について説明したが、遠心式に限らず、回転機械全般に適用可能な技術である。
また、前記した実施形態では、流体機械100の制御方法は、単段の流体機械に適用されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、多段の流体機械であっても、回転速度Nが可変かつ可変式の案内羽根2を有する流体機械であれば、適用可能な技術である。
また、前記した実施形態では、案内羽根2の開度Iの制御が回転軸6の回転速度Nの制御に優先して実行されるように構成されているが、回転軸6の回転速度Nの制御が案内羽根2の開度Iの制御に優先して実行されるように構成されてもよい。
1 案内羽根駆動機
2 案内羽根
3 羽根車
4 ディフューザ
5 吐出スクロール
6 回転軸
7 ケーシング
8 吸込流路
9 吐出流路
20 流体機械の制御装置
21 流量計(流量検出部)
22 羽根車駆動機
23 回転速度計(速度検出部)
24 開度計測器(開度検出部)
25 制御器(制御部)
100 流体機械
C1 予想性能曲線
C2 実際の運転時における性能曲線
C3 流量変更後における性能曲線
E 最大効率曲線
F,Fa 目標吸込流量
I 案内羽根の開度
K 作動限界
Lk 作動限界線
N 回転軸の回転速度
Pd 吐出圧力
Q 吸込流量
R 抵抗曲線
η 流体機械の効率
ηmax 流体機械の最大効率

Claims (8)

  1. 流体機械に吸い込まれる流体の流量である吸込流量、前記流体機械に取り付けられている可変式の案内羽根の開度、および前記流体機械における駆動軸の回転速度に基づいて、前記流体機械の運転点を特定し、
    前記運転点を移動させることによって前記吸込流量が予め設定された目標吸込流量となるように、前記案内羽根の開度と前記駆動軸の回転速度とを制御することを特徴とする、流体機械の制御方法。
  2. 前記運転点の特定は、前記流体機械の運転時における性能曲線、および該性能曲線上の動作点の特定であることを特徴とする、請求項1に記載の流体機械の制御方法。
  3. 前記案内羽根の開度の制御が前記駆動軸の回転速度の制御に優先して実行されることを特徴とする、請求項1に記載の流体機械の制御方法。
  4. 前記目標吸込流量が前記駆動軸の現在の回転速度における作動限界よりも低流量域に位置する場合、前記駆動軸の回転速度を上げるとともに前記案内羽根の開度を下げることを特徴とする、請求項1に記載の流体機械の制御方法。
  5. 前記吸込流量が前記目標吸込流量を満足するとともに、前記駆動軸の回転速度が最も低くなるように制御することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の流体機械の制御方法。
  6. 前記吸込流量が前記目標吸込流量を満足するとともに、前記案内羽根の開度が最も大きくなるように制御することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の流体機械の制御方法。
  7. 流体機械に吸い込まれる流体の流量である吸込流量を検出する流量検出部と、
    前記流体機械に取り付けられている可変式の案内羽根の開度を検出する開度検出部と、
    前記流体機械における駆動軸の回転速度を検出する速度検出部と、
    前記流量検出部によって検出された前記吸込流量、前記開度検出部によって検出された前記案内羽根の開度、および前記速度検出部によって検出された前記駆動軸の回転速度に基づいて、前記流体機械の運転点を特定し、前記運転点を移動させることによって前記吸込流量が予め設定された目標吸込流量となるように、前記案内羽根の開度と前記駆動軸の回転速度とを制御する制御部と、
    を備えることを特徴とする、流体機械の制御装置。
  8. 前記案内羽根は、前記流体機械における前記流体の流入部または流出部に設けられていることを特徴とする、請求項7に記載の流体機械の制御装置。
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