JP2018002187A - 着色ptp用シート、及びptp包装体 - Google Patents
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PTPは一般的に、ポケットに収納された固形剤や食品等を開封前に直接肉眼で確認できるよう内容物視認性が求められるため、底材として使用されるシートは一般的には無色透明なものが多いが、機能性付与を目的として着色されているものもある。
すなわち、本発明の課題は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、JIS Z8781−4に準拠して測定した際のL*a*b*値が、L*=50〜90、a*=10〜90、b*=−15〜0の範囲であり、かつ、波長600nmにおける可視光線透過率が20〜80%であることを特徴とする着色PTP用シートにより解決される。
<熱可塑性樹脂>
本発明のシートを構成する熱可塑性樹脂は、従来公知の一般に使用される樹脂を用いることができ、特に制限はないが、具体的には、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン系樹脂やプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系樹脂、などが挙げられる。中でも本発明においては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましい樹脂として挙げられ、特にはポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。
これら塩化ビニル系共重合体において、共重合体に占める塩化ビニル単量体の割合は、60〜99質量%であることが好ましい。共重合体中の塩化ビニル以外の構成単位の含有量が多くなると、機械的特性が低下する傾向がある。
本発明のシートは、JIS Z8781−4に準拠して測定した際のL*a*b*値が、L*=50〜90、a*=10〜90、b*=−15〜0の範囲であることが重要である。この範囲に調色するための具体的な方法は、着色剤を配合することである。
本発明のシートに用いられる着色剤としては、顔料や染料など従来公知のものから、L*a*b*値を上記範囲内とするために適切な材料を選択することができる。本発明における着色剤としては、無機顔料、有機顔料、またはこれらの混合物であることが好ましい。また本発明においては、L*a*b*値を上記範囲内とするために、赤色顔料と白色顔料を併用することが好ましい。
赤色顔料の市販品としては、例えば、大日精化社製8040レッド、セイカファーストレッド1547、DA−P4120、R−3776、8060ペリカレッドR、セイカファーストカーミン1476T−7、DIC社製FSYMULER Red NRY、SYMULER Red 3013、SYMULER Red 3123、SYMULER Fast Red 4586、SYMULER Fast Red BR 4598などが挙げられる。顔料は、原材料のロット間での平均分子量やその分子量分布、湿度等の影響により、混練性や分散性が変動する事を鑑みて、その時に最適な顔料を選択する必要がある。
白色顔料の市販品としては、例えば、堺化学工業社製A−190、A−160、TMA−2、大日精化社製DA EP−4120、R−TC30、NAF−5002、チタン工業株式会社製KR−310、KR−380Nなどが挙げられる。顔料は、原材料のロット間での平均分子量やその分子量分布、湿度等の影響により、混練性や分散性が変動する事を鑑みて、その時に最適な顔料を選択する必要がある。
本発明のシートを構成する樹脂組成物には、上記成分の他にさらに、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種添加剤を適宜添加することができる。具体的には例えば、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤などが挙げられる。また、耐衝撃改良剤として、ゴム・エラストマー等を添加してもよい。
本発明のシートは、JIS Z8781−4に準拠して測定した際のL*a*b*値が、L*=50〜90、a*=10〜90、b*=−15〜0の範囲であることが重要である。
L*a*b*値は、色の表示方法であり、L*は輝度すなわち色味の明るさの程度を表し、a*は赤味の強さを表し、プラス方向に大きいほど赤味が強くなり、マイナス方向に強くなると緑が強くなる。b*は、プラス方向に大きくなるほど黄味が強くなり、マイナス方向に強くなると青味が強くなることを表す。
本発明のシートのL*a*b*値を上記範囲とすることにより、特に高齢者や女性の消費者が、薬剤に対する印象を好ましいものと感じ、さらには開封時の過剰なストレスや負荷が低減されるという優れた効果を奏することが分かった。
上記L*a*b*値の範囲となる色調は、いわゆるピンク色、あるいは桃色、桜色、薔薇色などと表現される色合いである。その他、退紅色、褪紅色、浅紅色、薄紅色、石竹色、淡紅色、鴇色、などと表現されることもある。
本発明のシートは、JIS R3106に準拠して測定したときの波長600nmにおける可視光線透過率が5〜60%であることが重要である。可視光線透過率の下限値は、8%以上が好ましい。上限値は50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。可視光線透過率が上記範囲内であれば、蓋材の印刷物の視認性は良好となる。
本発明のシートは、JIS K7129B法に基づき温度40℃、相対湿度90%で測定した際の、シート厚み0.25mmでの水蒸気透過率が5g/(m2・24時間)以下であることが好ましい。中でも3g/(m2・24時間)以下であることがさらに好ましく、その中でも特に1g/(m2・24時間)以下であることがより一層好ましい。水蒸気透過率が上記範囲内であれば、PTPとして十分な防湿性を有する製品が得られる。
本発明のシートは、23℃におけるハイドロショット破壊エネルギーが10kgf・mm以上であることが好ましく、中でも12kgf・mm以上であることがさらに好ましく、その中でも特に15kgf・mm以上であることがより一層好ましい。かつ、0℃におけるハイドロショット破壊エネルギーが4kgf・mm以上であることが好ましく、その中でも特に4.5kgf・mm以上であることがさらに好ましく、5kgf・mm以上であることがより一層好ましい。引張破断伸度とハイドロショット破壊エネルギーが係る範囲であれば、包装体とした時の耐衝撃性は充分となり、輸送時や保管時における内容物の破損を防止することができる。
本シートの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により製造することができる。例えば、圧延法により製造することができる。具体的には、4本カレンダロールなどの圧延装置により、熱可塑性樹脂と各種添加剤のブレンド物を圧延、シート化する。その後、引取ロールで引き取られ、複数本の冷却ロールで次第に冷却され、所定の厚みのシートが得られる。
PTP包装用の成形シートを製造する方法としては、成形前に加熱板で本発明のシートを加熱軟化させ、成形型にて当該シートを挟み、圧空を注入して成形型の凹型に沿わせてシート面内に多数のポケット部を成形するようにすれば良い。また、必要に応じて圧空注入時に適切なタイミングでプラグを上昇及び下降させて成形性を補助することもできる。
前記の熱成形を施すと共に、シート表面、あるいは、裏面又は両面にアルミ箔、アルミ蒸着フィルム、プラスチックフィルム(例えば二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム)などを積層することも可能である。なお、シート表面或いは裏面又は両面にアルミ箔や前記各種フィルムなどを積層して複合シートを形成した後、これを熱成形することも可能である。
本発明のシートは、製品の意匠性や二次加工性等を高める目的で、シート表面にエンボス加工や、艶消し加工等の加工を行ってもよい。この場合、一旦鏡面状のシートを作成してからエンボスロールや艶消しロールで加工を施すようにしても、押出成形の際にキャストロールをエンボスロールや艶消しロールに変更して成形するようにしてもよい。本発明の趣旨を損なわない限り、シート表面に帯電防止剤、シリコーン、ワックスなどをコーティングすることも、印刷層を設けることも可能である。なお、印刷層の形成手段は現在公知の任意の手段を採用できる。
本発明のシートは、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じてさらにその他の樹脂層を積層することもできる。その他の樹脂としては例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。
異なる2種以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂を交互に各々1層以上積層することで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を構成する場合、具体的には、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比が1.05〜1.40であるポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる層−1と、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比が0.80〜1.05であるポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる層−2を交互に各々1層以上、好ましくは各々2層以上、さらに好ましくは各々3層以上積層することが好ましい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂のラテックスを、乾燥後の塗布量が約8g/m2となるように二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムという)に塗布する。次いで、80℃で15秒間乾燥した後、40℃で16時間熱処理を施す。次にフーリエ変換赤外分光光度計を用いて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂が塗布されたOPPフィルムの1200〜800cm−1のスペクトルを測定する。得られたスペクトルにおいて、1100cm−1と850cm−1を線で結び、この線をベースとして1046cm−1と1070cm−1のピーク強度を測定し、吸光度比(1046cm−1の吸光度/1070cm−1の吸光度)を算出した。なお、吸光度比が大きい方が、結晶化度が高いことを示す。
本発明のシートの厚みは、特に限定するものではないが、例えば加工性、実用性を考慮した場合、0.1mm以上、0.4mm以下であることが好ましく、0.15mm以上、0.35mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上、0.3mm以下であることがさらに好ましい。シートの厚みが0.1mm以上であれば、PTP用シートとして必要な機械的物性や防湿性などは充分なものとなる。一方、シートの厚みが0.4mm以下であれば、PTPとして使用する際に薬剤の取り出しで不具合を生じることがない。
本発明のシートは、内容物に対するイメージや印象を損ねることがなく、成形後でも均一で明るい色味を有し、蓋材の印刷物視認性にも優れ、開封時の過剰なストレスや負荷を低減することができるため、これら品質を必要とするPTP包装体に好適に使用することができる。PTP包装体は一般的に、内容物を収納する底材と、密封するための蓋材とが、融着、接着されて構成される。本発明のシートは主として底材として好適に用いることができる。なお、蓋材としては一般的にPTP包装に使用される材料、例えば、アルミニウム箔やフィルム等、従来公知のものを用いることができる。また、PTP包装体の内容物は、錠剤やカプセル剤等、ポケット部に収納できるものであれば、特に限定されない。
(1)L*a*b*値
実施例で得られたシートについて、JIS Z8781−4に準拠して、X−Rite社製 分光色差計「RM200QC」を用いて、L*a*b*値を測定した。
実施例で得られたシートについて、JIS R3106に準拠して、日立ハイテクノロジーズ社製 分光光度計「UH5300」を用いて、波長600nmにおける可視光線透過率を測定した。JIS Z8120による可視光の定義として、下界がおよそ360〜400nm、上界がおよそ760〜830nmとされていることから、波長600nmでの透過率を代表値として示す。
実施例で得られたシートを用いて、PTP加工を行い、PTP包装体を作成した。これについて、年齢20歳代〜60歳代、各2名、計10名の女性をモニターとし、「素材感」、「薬剤に対する印象」、「印刷の見え易さ」、「服用時の印象」の4項目について、以下の評価基準で評価を行った。
「素材感」 1:柔らかく開け易そうな印象を感じる
2:やや硬く開け難そうな印象を感じる(または特に違いは感じない)
3:硬くて開け難そうな印象を感じる
「薬剤に対する印象」 1:特に強い薬という印象はない
2:やや強い薬という印象(または特に違いは感じない)
3:強く特別な薬という印象
「印刷の見え易さ」 1:見え易い
2:やや見え難い(または特に違いは感じない)
3:見え難いあるいはほとんど見えない
「服用時の印象」 1:人前で服用するのに抵抗感を感じない
2:人前で服用するのにやや抵抗感を感じる(または特に違いは感じない)
3:人前で服用するのに抵抗感を感じる
実施例で得られたシートを用いて、PTP加工を行い、PTP包装体を作成した。これについて、カトーテック社製 ウェアラブル接触力センサー「HapLog」を用いて、指で錠剤を押し出す力のピーク値と、指の仕事量を測定した。被験者は年齢50歳代の女性で行った。
<熱可塑性樹脂>
・平均重合度700のポリ塩化ビニル:「PVC」と称する。
<着色剤>
・大日精化社製 商品名「DA−P4120」:「着色剤1」と称する。
・大日精化社製 商品名「DA EP−4120」:「着色剤2」と称する。
PVCを主体とする樹脂組成物に対して、着色剤1を0.05質量%、着色剤2を0.24質量%配合し、カレンダー成形法にて厚さ0.2mmのシートを作成した。これについて評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1の着色剤1の配合割合を0.25質量%、着色剤2の配合割合を0.48質量%に変更した以外は、実施例1と同様に成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1の着色剤1の配合割合を1.38質量%とし、着色剤2は0質量%に変更した以外は、実施例1と同様に成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、JIS Z8781−4に準拠して測定した際のL*a*b*値が、L*=50〜90、a*=10〜90、b*=−15〜0の範囲であり、かつ、波長600nmにおける可視光線透過率が5〜60%であることを特徴とする着色PTP用シート。
- 前記熱可塑性樹脂が、塩化ビニル系樹脂またはプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の着色PTP用シート。
- 前記樹脂組成物が着色剤を含有し、前記着色剤が、無機顔料、有機顔料、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の着色PTP用シート。
- 前記樹脂組成物における着色剤の含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の着色PTP用シート。
- 請求項1から4のいずれかに記載の着色PTP用シートを用いてなるPTP包装体。
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