JP2018002187A - 着色ptp用シート、及びptp包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】内容物に対するイメージや印象を損ねることがなく、成形後でも均一で明るい色味を有し、蓋材の印刷物視認性にも優れ、開封時の過剰なストレスや負荷を低減することができる着色PTP用シート、及びそれを用いたPTP包装体を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、JIS Z8781に準拠して測定した際のL*a*b*値が、L*=50〜90、a*=10〜90、b*=−15〜0の範囲であり、かつ、波長600nmにおける可視光線透過率が5〜60%であることを特徴とする着色PTP用シート。【選択図】なし

Description

本発明は、着色PTP用シートに関し、詳しくは、内容物に対するイメージや印象を損ねることがなく、均一で明るい色味を有し、蓋材の印刷物視認性にも優れ、開封時の過剰なストレスや負荷を低減することができる着色PTP用シート、及びそれを用いたPTP包装体に関する。
プレス・スルーパッケージ(以下「PTP」と略す)は、錠剤などの薬品や菓子類、料理材料その他の食品の包装に広く用いられている。PTPは、プラスチックシートに凹形のポケットを成形し、このシートを底材としてポケットに内容物を収納し、アルミ箔などの蓋材でポケットを被覆すると共にこれを底材のポケット以外の平面部に熱シールして得られ、ポケットを指先で押すことにより、その部分の蓋材が破れて内容物を容易に取り出すことができるようにした包装体である。
PTPは一般的に、ポケットに収納された固形剤や食品等を開封前に直接肉眼で確認できるよう内容物視認性が求められるため、底材として使用されるシートは一般的には無色透明なものが多いが、機能性付与を目的として着色されているものもある。
着色されたシートは、製膜時の焼けや、製膜に伴う厚み変動や厚み分布・偏肉等により、特に薄い(明るい)色味とした場合、色調ムラ・濃淡ムラ(肉厚の厚い部分は色味が濃く、薄い部分は色味も薄くなってしまう)が生じ易いという課題があるため、従来は、赤や青と云った濃い(暗めの)色味に着色したものしかなかった。例えば特許文献1には、赤色の着色シート及び着色PTPが開示されている。
このような従来の濃く暗い色味の着色PTPは、消費者に薬剤自体に強い効能や作用を持つ印象や、特殊な治療向けの特別な薬という印象を持たれることがあり、人前での服用を躊躇・敬遠されてしまうことがあった。それにより、市販薬などの用途や女性向けの医薬品の場合は、商品価値を損ねてしまうという弊害が生じることがあった。また濃く暗い色味の着色PTPは、見た目から受ける視覚効果により、特に力の弱い高齢者や女性から、硬くて開け難いとの印象を持たれることも多かった。
昨今は、ジェネリック薬が広く普及するようになり、消費者が視覚や見た目から受ける印象、即ちイメージが、薬剤の商品力としても重要な要素となってきている。また、従来の暗く濃い色調では、特に視力の衰えた高齢者などでは蓋材に記した印刷が見え難くなるなどの課題もあり、底側から見た際にも蓋材に施された印刷物が視認できるよう、PTP用シートには、印刷物が十分に視認可能な程度の可視光透過性も必要不可欠である。
特開2006−219548号公報
本発明は、上記課題を鑑みて検討されたものであり、すなわち本発明の目的は、内容物に対するイメージや印象を損ねることがなく、成形後でも均一で明るい色味を有し、蓋材の印刷物視認性にも優れ、開封時の過剰なストレスや負荷を低減することができる着色PTP用シート、及びそれを用いたPTP包装体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記従来技術の課題を解決し得る着色PTP用シートを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、JIS Z8781−4に準拠して測定した際のL値が、L=50〜90、a=10〜90、b=−15〜0の範囲であり、かつ、波長600nmにおける可視光線透過率が20〜80%であることを特徴とする着色PTP用シートにより解決される。
本発明によれば、内容物に対するイメージや印象を損ねることがなく、かつ成形後でも均一で明るい色味を有し、蓋材の印刷物の視認性も良好であり、更にはその視覚効果から開封時の過剰なストレスや負荷を低減可能な着色PTP用シート及びそれを用いたPTP包装体を得ることができる。
以下、本発明の実施形態の一例としての本発明の着色PTP用シート(以下、「本発明のシート」と称する)及び本発明の包装体について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、主成分として含有される樹脂が有する作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、構成成分全体の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であって、100質量%以下の範囲を占める成分である。
<本発明のシート>
<熱可塑性樹脂>
本発明のシートを構成する熱可塑性樹脂は、従来公知の一般に使用される樹脂を用いることができ、特に制限はないが、具体的には、ポリ塩化ビニル系樹脂、エチレン系樹脂やプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリビニルアルコール系樹脂、などが挙げられる。中でも本発明においては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましい樹脂として挙げられ、特にはポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体、塩化ビニルと共重合可能なその他の単量体との共重合体、塩化ビニル系重合体以外の重合体に塩化ビニルをグラフト共重合させたグラフト共重合体などを挙げることができる。
前記塩化ビニルと共重合可能な単量体は、分子中に反応性二重結合を有するものであればよく、具体的には例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル類、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類などを挙げることができ、これらは単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら塩化ビニル系共重合体において、共重合体に占める塩化ビニル単量体の割合は、60〜99質量%であることが好ましい。共重合体中の塩化ビニル以外の構成単位の含有量が多くなると、機械的特性が低下する傾向がある。
前記グラフト共重合体における塩化ビニル系重合体以外の重合体は、塩化ビニルをグラフト共重合できるものであればよい。具体的には例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどを挙げることができ、これらは単独でも2種以上の組み合わせで用いてもよい。
<着色剤>
本発明のシートは、JIS Z8781−4に準拠して測定した際のL値が、L=50〜90、a=10〜90、b=−15〜0の範囲であることが重要である。この範囲に調色するための具体的な方法は、着色剤を配合することである。
本発明のシートに用いられる着色剤としては、顔料や染料など従来公知のものから、L値を上記範囲内とするために適切な材料を選択することができる。本発明における着色剤としては、無機顔料、有機顔料、またはこれらの混合物であることが好ましい。また本発明においては、L値を上記範囲内とするために、赤色顔料と白色顔料を併用することが好ましい。
赤色顔料としては、具体的には、アントラキノン系、アゾ系、キナクリドン系、ペリレン系などが挙げられる。
赤色顔料の市販品としては、例えば、大日精化社製8040レッド、セイカファーストレッド1547、DA−P4120、R−3776、8060ペリカレッドR、セイカファーストカーミン1476T−7、DIC社製FSYMULER Red NRY、SYMULER Red 3013、SYMULER Red 3123、SYMULER Fast Red 4586、SYMULER Fast Red BR 4598などが挙げられる。顔料は、原材料のロット間での平均分子量やその分子量分布、湿度等の影響により、混練性や分散性が変動する事を鑑みて、その時に最適な顔料を選択する必要がある。
白色顔料としては、具体的には、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。
白色顔料の市販品としては、例えば、堺化学工業社製A−190、A−160、TMA−2、大日精化社製DA EP−4120、R−TC30、NAF−5002、チタン工業株式会社製KR−310、KR−380Nなどが挙げられる。顔料は、原材料のロット間での平均分子量やその分子量分布、湿度等の影響により、混練性や分散性が変動する事を鑑みて、その時に最適な顔料を選択する必要がある。
本発明のシートを構成する樹脂組成物中における着色剤の含有量は、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、0.1〜5質量%であることが好ましく、下限値としては、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。上限値としては、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。なお、着色剤として赤色顔料と白色顔料を併用する場合、着色剤全体を100質量%としたとき、赤色顔料の含有量が10〜30質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のシートを構成する樹脂組成物には、上記成分の他にさらに、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の各種添加剤を適宜添加することができる。具体的には例えば、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤などが挙げられる。また、耐衝撃改良剤として、ゴム・エラストマー等を添加してもよい。
<L値>
本発明のシートは、JIS Z8781−4に準拠して測定した際のL値が、L=50〜90、a=10〜90、b=−15〜0の範囲であることが重要である。
値は、色の表示方法であり、Lは輝度すなわち色味の明るさの程度を表し、aは赤味の強さを表し、プラス方向に大きいほど赤味が強くなり、マイナス方向に強くなると緑が強くなる。bは、プラス方向に大きくなるほど黄味が強くなり、マイナス方向に強くなると青味が強くなることを表す。
本発明のシートのL値を上記範囲とすることにより、特に高齢者や女性の消費者が、薬剤に対する印象を好ましいものと感じ、さらには開封時の過剰なストレスや負荷が低減されるという優れた効果を奏することが分かった。
上記L値の範囲となる色調は、いわゆるピンク色、あるいは桃色、桜色、薔薇色などと表現される色合いである。その他、退紅色、褪紅色、浅紅色、薄紅色、石竹色、淡紅色、鴇色、などと表現されることもある。
<可視光線透過率>
本発明のシートは、JIS R3106に準拠して測定したときの波長600nmにおける可視光線透過率が5〜60%であることが重要である。可視光線透過率の下限値は、8%以上が好ましい。上限値は50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。可視光線透過率が上記範囲内であれば、蓋材の印刷物の視認性は良好となる。
<防湿性>
本発明のシートは、JIS K7129B法に基づき温度40℃、相対湿度90%で測定した際の、シート厚み0.25mmでの水蒸気透過率が5g/(m・24時間)以下であることが好ましい。中でも3g/(m・24時間)以下であることがさらに好ましく、その中でも特に1g/(m・24時間)以下であることがより一層好ましい。水蒸気透過率が上記範囲内であれば、PTPとして十分な防湿性を有する製品が得られる。
<耐衝撃性>
本発明のシートは、23℃におけるハイドロショット破壊エネルギーが10kgf・mm以上であることが好ましく、中でも12kgf・mm以上であることがさらに好ましく、その中でも特に15kgf・mm以上であることがより一層好ましい。かつ、0℃におけるハイドロショット破壊エネルギーが4kgf・mm以上であることが好ましく、その中でも特に4.5kgf・mm以上であることがさらに好ましく、5kgf・mm以上であることがより一層好ましい。引張破断伸度とハイドロショット破壊エネルギーが係る範囲であれば、包装体とした時の耐衝撃性は充分となり、輸送時や保管時における内容物の破損を防止することができる。
<本発明のシートの製造方法>
本シートの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法により製造することができる。例えば、圧延法により製造することができる。具体的には、4本カレンダロールなどの圧延装置により、熱可塑性樹脂と各種添加剤のブレンド物を圧延、シート化する。その後、引取ロールで引き取られ、複数本の冷却ロールで次第に冷却され、所定の厚みのシートが得られる。
<PTPシートの成型方法>
PTP包装用の成形シートを製造する方法としては、成形前に加熱板で本発明のシートを加熱軟化させ、成形型にて当該シートを挟み、圧空を注入して成形型の凹型に沿わせてシート面内に多数のポケット部を成形するようにすれば良い。また、必要に応じて圧空注入時に適切なタイミングでプラグを上昇及び下降させて成形性を補助することもできる。
前記の熱成形を施すと共に、シート表面、あるいは、裏面又は両面にアルミ箔、アルミ蒸着フィルム、プラスチックフィルム(例えば二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム)などを積層することも可能である。なお、シート表面或いは裏面又は両面にアルミ箔や前記各種フィルムなどを積層して複合シートを形成した後、これを熱成形することも可能である。
<本発明のシートのその他加工>
本発明のシートは、製品の意匠性や二次加工性等を高める目的で、シート表面にエンボス加工や、艶消し加工等の加工を行ってもよい。この場合、一旦鏡面状のシートを作成してからエンボスロールや艶消しロールで加工を施すようにしても、押出成形の際にキャストロールをエンボスロールや艶消しロールに変更して成形するようにしてもよい。本発明の趣旨を損なわない限り、シート表面に帯電防止剤、シリコーン、ワックスなどをコーティングすることも、印刷層を設けることも可能である。なお、印刷層の形成手段は現在公知の任意の手段を採用できる。
<積層体>
本発明のシートは、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じてさらにその他の樹脂層を積層することもできる。その他の樹脂としては例えば、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂としては、具体的には、塩化ビニリデン単量体、あるいは、各種モノマーとの共重合体を使用することができる。共重合モノマーの具体例としては、塩化ビニルやアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸や、αメチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物や、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル酸エステルや、アクリル酸グリシジルメタクリル酸エステルや、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミドが挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
さらにポリ塩化ビニリデン系樹脂を積層することにより、本発明のシートは優れた防湿性や透明性を有するものとなる。ポリ塩化ビニリデン系樹脂層は、後述する方法により積層した層が少なくとも1層あればよく、2層以上の複数層で構成されていてもよい。複数層積層し、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の厚みを厚くすれば、防湿性能は高まるが、錠剤取り出し性や透明性とのバランス上の観点から、実用的には、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層の乾燥後厚みは10μm〜150μmとすることが好ましい。厚みの上限は90μmがより好ましく、60μmがさらに好ましい。下限は15μmがより好ましく、20μmがさらに好ましい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を複数層積層する場合、単一のポリ塩化ビニリデン系樹脂を複数積層しても構わないが、異なる2種以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂を交互に各々1層以上積層することで構成することがより好ましい。これにより本発明のシートはさらに、防湿性や耐衝撃性、透明性のバランスや錠剤の取り出し性に優れたものとなる。
異なる2種以上のポリ塩化ビニリデン系樹脂を交互に各々1層以上積層することで、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層を構成する場合、具体的には、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比が1.05〜1.40であるポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる層−1と、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比が0.80〜1.05であるポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる層−2を交互に各々1層以上、好ましくは各々2層以上、さらに好ましくは各々3層以上積層することが好ましい。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂層−1の1046cm−1/1070cm−1の吸光度比のより好ましい範囲は1.06〜1.38であり、さらに好ましい範囲は1.07〜1.35である。層−1の吸光度比がかかる範囲を下回る場合、十分な防湿性を付与することができず、一方、吸光度比がかかる範囲を上回る場合、結晶化度が高くなりすぎるため、透明性が低下する場合がある。また、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層−2の1046cm−1/1070cm−1の吸光度比のより好ましい範囲は0.82〜1.04であり、さらに好ましい範囲は0.85〜1.03である。層−2の吸光度比がかかる範囲を下回る場合、防湿性を損なう場合があり、一方、吸光度比がかかる範囲を上回る場合、十分な耐衝撃性が得られない場合がある。
なお、1046cm−1/1070cm−1の吸光度比は、以下の方法で算出する。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂のラテックスを、乾燥後の塗布量が約8g/m2となるように二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムという)に塗布する。次いで、80℃で15秒間乾燥した後、40℃で16時間熱処理を施す。次にフーリエ変換赤外分光光度計を用いて、ポリ塩化ビニリデン系樹脂が塗布されたOPPフィルムの1200〜800cm−1のスペクトルを測定する。得られたスペクトルにおいて、1100cm−1と850cm−1を線で結び、この線をベースとして1046cm−1と1070cm−1のピーク強度を測定し、吸光度比(1046cm−1の吸光度/1070cm−1の吸光度)を算出した。なお、吸光度比が大きい方が、結晶化度が高いことを示す。
<シート厚み>
本発明のシートの厚みは、特に限定するものではないが、例えば加工性、実用性を考慮した場合、0.1mm以上、0.4mm以下であることが好ましく、0.15mm以上、0.35mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上、0.3mm以下であることがさらに好ましい。シートの厚みが0.1mm以上であれば、PTP用シートとして必要な機械的物性や防湿性などは充分なものとなる。一方、シートの厚みが0.4mm以下であれば、PTPとして使用する際に薬剤の取り出しで不具合を生じることがない。
<本発明の包装体>
本発明のシートは、内容物に対するイメージや印象を損ねることがなく、成形後でも均一で明るい色味を有し、蓋材の印刷物視認性にも優れ、開封時の過剰なストレスや負荷を低減することができるため、これら品質を必要とするPTP包装体に好適に使用することができる。PTP包装体は一般的に、内容物を収納する底材と、密封するための蓋材とが、融着、接着されて構成される。本発明のシートは主として底材として好適に用いることができる。なお、蓋材としては一般的にPTP包装に使用される材料、例えば、アルミニウム箔やフィルム等、従来公知のものを用いることができる。また、PTP包装体の内容物は、錠剤やカプセル剤等、ポケット部に収納できるものであれば、特に限定されない。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示される原料及び試験片についての種々の測定値及び評価は次のようにして行った。
<測定方法>
(1)L
実施例で得られたシートについて、JIS Z8781−4に準拠して、X−Rite社製 分光色差計「RM200QC」を用いて、L値を測定した。
(2)可視光線透過率
実施例で得られたシートについて、JIS R3106に準拠して、日立ハイテクノロジーズ社製 分光光度計「UH5300」を用いて、波長600nmにおける可視光線透過率を測定した。JIS Z8120による可視光の定義として、下界がおよそ360〜400nm、上界がおよそ760〜830nmとされていることから、波長600nmでの透過率を代表値として示す。
(3)モニター評価
実施例で得られたシートを用いて、PTP加工を行い、PTP包装体を作成した。これについて、年齢20歳代〜60歳代、各2名、計10名の女性をモニターとし、「素材感」、「薬剤に対する印象」、「印刷の見え易さ」、「服用時の印象」の4項目について、以下の評価基準で評価を行った。
「素材感」 1:柔らかく開け易そうな印象を感じる
2:やや硬く開け難そうな印象を感じる(または特に違いは感じない)
3:硬くて開け難そうな印象を感じる
「薬剤に対する印象」 1:特に強い薬という印象はない
2:やや強い薬という印象(または特に違いは感じない)
3:強く特別な薬という印象
「印刷の見え易さ」 1:見え易い
2:やや見え難い(または特に違いは感じない)
3:見え難いあるいはほとんど見えない
「服用時の印象」 1:人前で服用するのに抵抗感を感じない
2:人前で服用するのにやや抵抗感を感じる(または特に違いは感じない)
3:人前で服用するのに抵抗感を感じる
(4)開封性
実施例で得られたシートを用いて、PTP加工を行い、PTP包装体を作成した。これについて、カトーテック社製 ウェアラブル接触力センサー「HapLog」を用いて、指で錠剤を押し出す力のピーク値と、指の仕事量を測定した。被験者は年齢50歳代の女性で行った。
各実施例、比較例で使用した原材料は、下記の通りである。
<熱可塑性樹脂>
・平均重合度700のポリ塩化ビニル:「PVC」と称する。
<着色剤>
・大日精化社製 商品名「DA−P4120」:「着色剤1」と称する。
・大日精化社製 商品名「DA EP−4120」:「着色剤2」と称する。
<実施例1>
PVCを主体とする樹脂組成物に対して、着色剤1を0.05質量%、着色剤2を0.24質量%配合し、カレンダー成形法にて厚さ0.2mmのシートを作成した。これについて評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1の着色剤1の配合割合を0.25質量%、着色剤2の配合割合を0.48質量%に変更した以外は、実施例1と同様に成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1の着色剤1の配合割合を1.38質量%とし、着色剤2は0質量%に変更した以外は、実施例1と同様に成形し、評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2018002187
実施例1で得られたシートは、比較例1及び2よりも被験者が視覚から感じ取る全ての項目にて優れる結果である事が判る。実施例と比較例1との結果より、色調(色味)は薄すぎても逆に硬い素材感との印象となり、視覚効果を有する色調(色味)には妥当な範囲がある事も示される。
また実施例1のシートは、比較例1、2と比べて、開封動作時の加速度の変化量は小さい事が判る。これは、柔らかい素材感という印象の視覚効果によって、被験者の指の動きに無駄な動作や過剰な力の掛け方が少なくなりスムーズで滑らかな開封動作に繋がっている事を表していると推察している。その結果として、開封動作にて被験者が指に掛けている力の最大値も実施例では、硬い素材感との見た目の印象を持った比較例1、2よりも小さくなっている。また同じく、指の筋力が消費するエネルギー(仕事量)も硬い素材感という印象の比較例1、2よりも本実施例では少なくなっている事が示されている。故に、本実施例は、PTP開封時にユーザーの指に掛る負荷・疲労低減につながる効果があると考え得る。
本発明の着色PTP用シートは、内容物に対するイメージや印象を損ねることがなく、成形後でも均一で明るい色味を有し、蓋材の印刷物視認性にも優れ、開封時の過剰なストレスや負荷を低減することができるため、特に高齢者や女性向けのPTP包装用途に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、JIS Z8781−4に準拠して測定した際のL値が、L=50〜90、a=10〜90、b=−15〜0の範囲であり、かつ、波長600nmにおける可視光線透過率が5〜60%であることを特徴とする着色PTP用シート。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、塩化ビニル系樹脂またはプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の着色PTP用シート。
  3. 前記樹脂組成物が着色剤を含有し、前記着色剤が、無機顔料、有機顔料、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の着色PTP用シート。
  4. 前記樹脂組成物における着色剤の含有量が0.1〜5質量%であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の着色PTP用シート。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の着色PTP用シートを用いてなるPTP包装体。
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