JP2018000305A - 被検体情報取得装置および信号処理方法 - Google Patents

被検体情報取得装置および信号処理方法 Download PDF

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幸生 古川
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尚史 海老澤
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Abstract

【課題】保持部材により保持された被検体から発生する光音響波に基づいて特性情報を取得する際の画質を向上させる技術を提供する。【解決手段】被検体を保持する保持部材と、パルス光を照射された被検体から発せられた音響波を検出して受信信号を出力する複数の音響波検出器と、受信信号の高周波成分を減衰させるローパスフィルタと、保持部材の厚さおよび横波の音速に基づきフィルタリング特性を決定するローパスフィルタ決定手段と、決定されたフィルタリング特性を用いて受信信号を変換する受信信号変換手段と、被検体の特性情報を生成する信号処理手段を有し、信号処理手段は、音響波の伝受信信号を用いて特性情報を生成する被検体情報取得装置を用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、被検体情報取得装置および信号処理方法に関する。
レーザなどの光源から被検体に光を照射し、入射した光に基づいて得られる被検体内の情報を画像化する光イメージング装置の研究が医療分野で積極的に進められている。この光イメージング技術の一つとして、光音響トモグラフィー(Photoacoustic
Tomography:PAT)がある。PATでは、光源から発生したパルス光を被検体に照射し、被検体内で伝搬、拡散したパルス光のエネルギーを吸収した組織から発生した音響波(典型的には超音波)を検出する。この音響波発生の現象を光音響効果と呼ぶ。
腫瘍や血管などの被検部位は、その周辺組織に対して光エネルギーの吸収率が高いことが多いため、周辺組織よりも多くの光を吸収して瞬間的に膨張する。この膨張の際に発生する音響波を探触子(以下、音響波検出器とも呼ぶ)で検出し、受信信号を得る。この受信信号を数学的に解析処理することにより、被検体内の、光音響効果により発生した音響波の音圧分布を画像化できる。このようにして得られる光音響画像を基にして、被検体内の光学特性分布、特に、光吸収係数分布を取得できる。これらの情報は、被検体内の特定物質、例えば血液中に含まれるグルコースやヘモグロビンなどの定量的計測にも利用できる。
光音響画像を精度よく取得するためには、測定時間中は被検体が静止していることが望ましい。そこで特許文献1では、被検体と音響波検出器との間に、被検体を保持する保持カップがある光音響装置が開示されている。
米国特許出願公開第2011/0306865号明細書
一般に、乳房などの生体中あるいは液体中では、音響波は縦波として伝搬する。一方、固体中では、音響波は縦波だけでなく横波でも伝搬可能である。生体中あるいは液体中を伝搬した縦波は、固体中を、縦波および横波が共存した状態で伝搬する。さらに、固体中を伝搬し、探触子が接触している側に位置する音響液体へ到達すると、音響波は再び縦波となって音響液体中を伝搬する。縦波と横波とでは固体中における伝搬速度が異なっている。そのため、液体(生体)、固体、液体(音響液体)を縦波−縦波−縦波で伝搬した音響波(第1の音響波)と、縦波−横波−縦波で伝搬した音響波(第2の音響波)とでは、位相や強度が互いに相違する。
音響液体中の音響波は第1の音響波と第2の音響波とが干渉した状態で伝搬するが、干渉の度合いは固体(保持部材)に入射する音響波の角度、音響波の周波数、あるいは固体(保持部材)の厚さに依存する。
さらに、固体(保持部材)の厚さが音響波の波長と同程度、あるいはそれ以下の場合は、たとえスネルの法則で規定される全反射角以上で音響波が入射した場合であっても、音響波の一部は固体(保持部材)を透過できる。これらの現象により、音響波は、固体に入
射する音響波の角度に依存して、波形が歪んだ状態で探触子に到達する。
特許文献1の方法では、音響波の周波数あるいは固体(保持部材)の厚さによって受信信号が歪んでしまうことについて考慮されていない。そのため、受信信号の歪みに起因する光音響画像の画質の低下を抑えることができない、という課題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、保持部材により保持された被検体から発生する光音響波に基づいて特性情報を取得する際の画質を向上させる技術を提供することにある。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
パルス光を被検体に照射する光照射手段と、
前記被検体を保持する保持部材と、
前記パルス光を照射された前記被検体から発せられた音響波を検出して受信信号を出力する複数の音響波検出器と、
前記受信信号の高周波成分を減衰させるローパスフィルタと、
前記保持部材の厚さおよび前記保持部材中の前記音響波の横波の音速に基づき前記ローパスフィルタのフィルタリング特性を決定するローパスフィルタ決定手段と、
前記ローパスフィルタ決定手段で決定された前記フィルタリング特性を持つ前記ローパスフィルタを用いて前記受信信号を変換する受信信号変換手段と、
前記被検体の特性情報を生成する信号処理手段と、
を有し、
前記信号処理手段は、前記被検体から発せられた前記音響波が前記音響波検出器に到達するまでの伝搬時間を、前記保持部材の厚さを0として計算する伝搬時間取得手段を含み、当該伝搬時間と、前記受信信号とを用いて前記特性情報を生成する
ことを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
パルス光を被検体に照射する光照射手段と、
前記被検体を保持する保持部材と、
前記パルス光を照射された前記被検体から発せられた音響波を検出して受信信号を出力する複数の音響波検出器と、
前記受信信号の高周波成分を減衰させるローパスフィルタと、
前記保持部材の厚さおよび前記保持部材中の前記音響波の横波の音速に基づき前記ローパスフィルタのフィルタリング特性を決定するローパスフィルタ決定手段と、
前記ローパスフィルタ決定手段で決定された前記フィルタリング特性を持つ前記ローパスフィルタを用いて前記受信信号を変換する受信信号変換手段と、
前記被検体の特性情報を生成する信号処理手段と、
を有し、
前記信号処理手段は、複数の界面を含む前記音響波の伝搬経路を、実際よりも少ない数の界面を有する伝搬経路で近似して、前記被検体から発せられた前記音響波が前記音響波検出器に到達するまでの伝搬時間を計算するまでの伝搬時間取得手段を含み、当該伝搬時間と、前記受信信号とを用いて前記特性情報を生成する
ことを特徴とする被検体情報取得装置である。
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
保持部材によって保持された被検体に、パルス光が照射されて発せられた音響波が音響波検出器で検出された受信信号から、前記被検体の特性情報を生成する信号処理方法であって、
前記保持部材の厚さおよび前記保持部材中の音響波の横波の音速に基づきローパスフィルタのフィルタリング特性を決定するステップと、
前記ローパスフィルタを用いて前記受信信号を変換するステップと、
前記特性情報を生成するステップと、
を有し、
前記生成するステップは、前記被検体から発せられた前記音響波が前記音響波検出器に到達するまでの伝搬時間を、前記保持部材の厚さを0として計算し、前記伝搬時間と、前記受信信号とを用いて前記特性情報を生成するように行われる
ことを特徴とする信号処理方法である。
本発明によれば、保持部材により保持された被検体から発生する光音響波に基づいて特性情報を取得する際の画質を向上させる技術を提供できる。
実施例1の被検体情報取得装置の概念図 伝搬時間の計算の説明図 点音源の光音響波信号 光音響画像(比較例) カットオフ周波数と光音響画像の相関の説明図 カットオフ周波数と、点像の強度、X方向半値幅、Z方向半値幅の関係図 複素透過率Tの絶対値と、周波数、入射角の関係図 入射角30度における複素透過率Tの絶対値と周波数の関係図 点像のX方向半値幅とカットオフ周波数の関係の横波音速依存の説明図 点像のX方向半値幅とカットオフ周波数の関係の縦波音速依存の説明図 カットオフ周波数と、点像の強度、X方向半値幅との関係図 画像位置の微調整の効果の説明図 実施例1の被検体情報取得のフロー 実施例1の受信された点音源の光音響波信号を示す図 実施例1のローパスフィルタのフィルタリング特性を示す図 実施例1の光音響画像を示す図 実施例1の光音響画像を示す図(比較例) 実施例2の被検体情報取得装置の概念図 実施例2の係数と点像のピーク強度およびx方向半値幅の関係図 実施例4の被検体情報取得装置の概念図
以下に図面を参照しつつ、本発明の好適な実施の形態について説明する。ただし、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状およびそれらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。よって、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
本発明は、被検体から伝播する音響波を検出し、被検体内部の特性情報を生成し、取得する技術に関する。よって本発明は、被検体情報取得装置またはその制御方法、あるいは被検体情報取得方法や信号処理方法として捉えられる。本発明はまた、これらの方法をCPUやメモリ等のハードウェア資源を備える情報処理装置に実行させるプログラムや、そのプログラムを格納した記憶媒体としても捉えられる。
本発明の被検体情報取得装置には、被検体に光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体の特性情報を画像データとして取得する光音響効
果を利用した装置を含む。この場合、特性情報とは、光音響波を受信することにより得られる受信信号を用いて生成される、被検体内の複数位置のそれぞれに対応する特性値の情報である。
光音響測定により取得される特性情報は、光エネルギーの吸収率を反映した値である。例えば、光照射によって生じた音響波の発生源、被検体内の初期音圧、あるいは初期音圧から導かれる光エネルギー吸収密度や吸収係数、組織を構成する物質の濃度を含む。また、物質濃度として酸化ヘモグロビン濃度と還元ヘモグロビン濃度を求めることにより、酸素飽和度分布を算出できる。また、グルコース濃度、コラーゲン濃度、メラニン濃度、脂肪や水の体積分率なども求められる。
被検体内の各位置の特性情報に基づいて、二次元または三次元の特性情報分布が得られる。分布データは画像データとして生成され得る。特性情報は、数値データとしてではなく、被検体内の各位置の分布情報として求めてもよい。すなわち、初期音圧分布、エネルギー吸収密度分布、吸収係数分布や酸素飽和度分布などの分布情報である。
本発明でいう音響波とは、典型的には超音波であり、音波、音響波と呼ばれる弾性波を含む。探触子等により音響波から変換された電気信号を音響信号とも呼ぶ。ただし、本明細書における超音波または音響波という記載は、それらの弾性波の波長を限定する意図ではない。光音響効果により発生した音響波は、光音響波または光超音波と呼ばれる。光音響波に由来する電気信号を光音響信号とも呼ぶ。
本発明の被検体情報取得装置は、人や動物などを対象として、血管疾患や悪性腫瘍などの診断や、化学治療の経過観察などに利用できる。この場合、被検体は生体の一部である。また、ファントムなどの非生物も測定対象となる。
<装置構成>
以下、本発明に係る被検体情報取得装置の構成要素について、図1を用いて説明する。
(パルス光源101)
被検体113が生体の場合、パルス光源101からは、生体を構成する成分のうち特定の成分に吸収される波長の光を照射する。効率的に音響波を発生させるため、パルス幅は10〜100nsec程度が好適である。光源としては大出力が得られるレーザが好ましい。ただし、発光ダイオードやフラッシュランプ等を利用できる。レーザとしては、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半導体レーザなど様々なレーザを使用できる。本発明において使用する光源の波長は、被検体113の内部まで光が伝搬する波長であることが望ましい。具体的には被検体113が生体の場合、500nm以上1200nm以下である。パルス光源101は、不図示のQスイッチ、間欠的に開放するシャッター等により、経時的に照射光の強弱が変化する周期を繰り返し照射するように構成される。
(光伝送手段103)
パルス光源101から発せられた光は光伝送手段103によって光照射手段105に到達する。光伝送手段103は、例えば、複数の光ファイバを束ねたファイバーバンドルで構成される。その他、複数の中空の導波管を、ミラーを内包した関節によって接続した光学系でも構成できる。
(光照射手段105)
光照射手段105は、光伝送手段103によって伝えられた光を生体などの被検体113に照射する。被検体113上での照射強度や光分布、位置は、ミラー、レンズ、プリズムなどの光学素子によって調整されることが望ましい。
(音響波検出器107)
音響波検出器107は、被検体113の表面及び被検体113の内部で発生する音響波を受信し、アナログ電気信号(受信信号)に変換して出力する。音響波検出器107として、圧電現象を用いたもの、光の共振を用いたもの、静電容量の変化を用いたもの等を利用できる。
複数の音響波検出器(受信素子)が1次元、2次元、あるいは立体的に配置された多次元配列素子を用いれば、同時に複数の位置で音響波を受信できるので、測定時間が短縮される。立体的に配置する場合は、それぞれの音響波検出器の受信感度が強い指向領域が被検体の位置で重なるように配置して、高感度領域を形成することが好ましい。例えば本実施例では、半球状のキャリッジ109の内面に音響波検出器107が配置される。他にも、球冠状、球帯状、楕円体の一部を切り取った形状、平面または曲面を組み合わせた形状などの支持体(キャリッジ)を利用できる。
(保持部材115)
保持部材115は、被検体113を保持する。これにより、画質低下の要因となる測定中の体動を抑制できる。また、被検体113の形状を一定に保つことで、光量分布取得や再構成処理の演算量を削減できる。保持部材115は、ある程度の強度を有し変形しないことが望ましい。かつ、光照射手段105から照射される光や被検体113から伝搬する音響波を十分透過させる材質であることが望ましい。例えば、ポリカーボネートやポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等、樹脂材料を使用できる。以下の実施例中では、保持部材を保持カップと表現する場合がある。
(受信信号収集手段151)
受信信号収集手段151は、音響波検出器107で得られた受信信号を収集する。受信信号収集手段151は、受信信号をアナログ電気信号からデジタル電気信号に変換するA/D変換部や、信号強度を増幅するアンプなどで構成される。
(ローパスフィルタ決定手段153)
ローパスフィルタ決定手段153は、保持部材115を伝搬する音響波の横波における音速、および、保持部材の厚さ、をもとに、受信信号を変換するためのローパスフィルタを決定する。特にローパスフィルタのフィルタリング特性を決定する。フィルタのカットオフ周波数は、保持部材中を伝搬する音響波の横波における、音速と保持部材の厚さから決定される。
計算に必要な周波数決定情報(保持部材115を伝搬する音響波の横波における音速、および、保持部材115の厚さ)を取得する方法は任意である。例えば、これらの周波数決定情報を予め記憶手段(不指示)に記憶しておいてもよい。また、保持部材115に設けられたタグに周波数決定情報を記憶しておき、被検体情報取得装置が有する読み取り手段を用いて読み取る構成でもよい。この場合、例えばICタグとタグリーダーを利用できる。また、被検体情報取得装置が有する入力手段を用いて、操作者が周波数決定情報を入力する構成でもよい。この場合、マウス、キーボード、タッチパネルのような、情報処理装置のユーザインタフェースを利用できる。
(受信信号変換手段155)
受信信号変換手段155は、ローパスフィルタ決定手段153によって得られたローパスフィルタで、受信信号収集手段151によって収集された受信信号を信号処理することで、受信信号を変換する。さらに、受信信号変換手段155が、音響波検出器107の受信特性(インパルス応答)をあらかじめ取得しておき、それを応答関数としてデコンボリ
ューションする機能を有することも好ましい。この処理により、インパルス応答による受信信号の劣化を補正できる。
(信号処理手段157)
信号処理手段157は、変換された受信信号から、3次元の被検体内の光音響画像、あるいは、光学特性分布を生成する。信号処理手段157は、伝搬時間取得手段159と画像再構成手段161を含む。
ローパスフィルタ決定手段153、受信信号変換手段155や、信号処理手段157は、専用の処理回路により構成されてもよいし、プログラムに従って動作する情報処理装置により実現されてもよい。情報処理装置としては、プロセッサやメモリなどを備え、非一時的な記憶媒体に保存されたプログラムに従って動作するコンピュータ(例えばPCやワークステーション)が好適である。
(伝搬時間取得手段159)
伝搬時間取得手段159は、伝搬時間情報に基づいて、被検体内のある一点から発生した音響波が、所定の音響波検出器107に到達するまでの伝搬時間を計算するまでの伝搬時間情報には、保持部材115の形状、保持部材115の配置されている場所、音響波検出器107の位置、被検体113の音速、保持部材115と音響波検出器107の間に設けられる音響液体111の音速、などが含まれる。伝搬時間情報は、予め記憶手段に記憶されていてもよい。また、保持部材115に関する情報については、保持部材115に設けられたタグに記憶しておき、読み取り手段が読み取る構成としてもよい。
以下に説明するが、伝搬時間の計算においては、保持部材115は厚さが0として、保持部材115を縦波および横波が伝搬する遅延時間を略0(実質的に0)と仮定して扱う。略0とは、診断に必要な画像解像度から見て適宜定めればよい。その結果、保持部材115を音響波が伝搬する際の縦波および横波の影響を考慮しなくてよいので計算を簡略化できる。このため、本実施形態に係る伝搬時間の計算によれば、後述する画像再構成において、単位時間あたりのレンダリング処理計算を増大させ、より高精細な画像再構成処理、または、より高速な動画撮影を行うことが可能となる。
(画像再構成手段161)
画像再構成手段161は、受信信号変換手段155により変換処理を施された受信信号から、3次元の被検体内の光音響画像を生成する。画像再構成には、ユニバーサルバックプロジェクション(Universal Back−projection、以下UBP)アルゴリズムやディレイアンドサム(Delay and Sum)アルゴリズムなど、既知の任意の手法を利用できる。
(記憶手段)
記憶手段は、信号処理に必要となる上記の周波数決定情報や伝搬時間情報などのデータを格納する。上記データの他にも、照射する光の光量、各音速の温度依存、音響波の減衰係数、音響波検出器107の受信特性(インパルス応答)などが必要に応じて記憶されている。記憶手段は、一般的には、コンピュータ内のメモリに相当する。信号処理の過程で生成された情報なども格納され得る。
<伝搬時間の計算方法>
伝搬時間取得手段159の計算手法について図2を用いて説明する。
図2中、171は指定されたボクセル、107−iは音響波検出器107の中のある音響波検出器を示している。ボクセル171の位置で発生した音響波がある音響波検出器107−iに到達するまでの伝搬経路を図2(a)に示す。ここで、201は保持部材11
5を縦波で伝搬する際の伝搬経路であり、203は保持部材115を横波で伝搬する際の伝搬経路である。伝搬経路の計算には以下のような課題がある。
音響波検出器107−iには縦波と、保持部材115のせん断応力に起因する横波との2つの伝搬経路を経由した音響波が合成されて到達する。よって、夫々の音響波の伝搬時間を計算する必要がある。また、このような伝搬時間の計算においては、伝搬経路が異なる縦波と横波の強度比を考慮して合成する必要がある。このような2つの伝搬経路の計算と合成は複雑で計算負荷を要する。これら保持部材115に係る計算負荷課題を回避するため、本発明では、図2(b)に示すように保持部材115の厚さを無視する方法を採用する。具体的には以下の(i)、(ii)、(iii)の通りである。
(i)保持部材115の厚さが0であるとして、保持部材115を音響液体111で置き換える。
(ii)音響液体111と被検体113の界面での屈折を考慮して伝搬経路205−1、205−2を求める。界面のひとつの場合は伝搬経路の計算は容易である。
(iii)伝搬経路205−1の長さを音響液体111の音速で割った時間と、伝搬経路205−2の長さを被検体113の音速で割った時間と、の合計を伝搬時間とする。
ここで、(i)について、保持部材115を被検体113で置き換えてもよく、また、保持部材115の中央に新たな界面を設ける形で双方に置き換えてもよい。望ましくは、計算にどの界面を用いるのかを考慮して、保持部材115の形状情報を記憶手段に記憶させておくのがよい。例えば、図2(b)のように保持部材115を音響液体111に置き換える場合は、保持部材115の両曲面のうち、被検体113側の曲面の径や位置情報を、保持部材115の形状情報として記憶しておくのがよい。
さらに計算を簡略化するため、本発明では、図2(c)に示すような方法を採用してもよい。具体的には以下の(i’)、(ii’)、(iii’)の通りである。
(i’)保持部材115の厚さが0であるとして、保持部材115を音響液体111で置き換える。
(ii’)ボクセル171と音響波検出器107−iを直線で結んだ線を伝搬経路とし、音響液体111と被検体113の界面を境として伝搬経路207−1、207−2を求める。屈折を考慮しないため、伝搬経路の計算はさらに容易である。
(iii’)伝搬経路207−1の長さを音響液体111の音速で割った時間と伝搬経路207−2の長さを被検体113の音速で割った時間との合計を伝搬時間とする。
本手法は音響液体111と被検体113との音速差が小さい場合に採用できる。具体的には、音速差が10%以下の場合は本手法を用いてもよい。
図2(b)、(c)のいずれの場合も、複数の界面を有し、また縦波と横波の分離が起きるような、複雑な屈折を引き起こす音響波伝搬経路を、より単純な界面構造上での伝搬経路で近似する点で共通する。単純な構造とは例えば、界面がゼロまたは1つのように、実際の界面の数よりも少ない構造で近似した状態である。
<ローパスフィルタの決定>
上記の方法で計算した伝搬時間をもとにUBPアルゴリズムを用いて光音響画像を生成した場合、受信信号をそのまま用いると、点像が点ではなく分離して結像され、画質が劣化するおそれがある。これは、複雑な音響波伝搬経路を単純化して近似したために、あるボクセルを画像再構成するときに正確な受信信号を取得できないためである。発明者は、この画質の劣化を抑えるためには、受信信号にローパスフィルタを備える周波数フィルタで信号処理することが有効であることを見出した。以下に、ローパスフィルタの決定方法
と効果について説明する。
まず、想定している構成について説明する。音響波検出器107はキャリッジ109によって支持されている。キャリッジ109において、音響波検出器107を支持している部分は、内面が半径127mmの半球状となっており、半球面に沿って512個の音響波検出器107が配置されている。音響波検出器107は、鉛直下方向を0度、上方向を180度として、0度から75度の半球面上に、半球面をほぼ均等に埋めるよう配置されている。
この例では、保持部材115として保持カップ115aを用いる。保持カップ115aは、厚さ80μmのポリエチレンテレフタレート樹脂からなる。保持カップ115aの曲面部分は、内側(被検体側)の半径が408mmの球面の一部である。また、その中心は、キャリッジ109の半球部分の中心座標を(0,0,0)、鉛直上方向を+Z方向として、(0,0,382)(単位mm)に位置している。
点音源からの理想的な光音響波信号を理想的に受信した場合の受信信号特性を、図3(a)、(b)に示す。図3(a)は受信信号の時間波形であり、図3(b)は周波数軸に変換したものである。点音源は座標(0,0,0)にあるものとする。前述の理想的な光音響信号および理想的に受信した受信信号特性の「理想」とは、周波数空間において帯域を制限されていないことを意味する。
音響液体111および被検体113の音速はともに1486m/s、保持カップ115aの縦波、横波の音速はそれぞれ2340m/s、912m/sとした。
図2(c)に示すモデルで伝搬時間を計算し、UBPアルゴリズムを用いて画像再構成シミュレーションを行った結果を図4に示す。図4(a)はZ=0でのXY断面像、図4(b)はY=0、Z=0でのX方向のプロファイル、図4(c)はX=0でのYZ断面像、図4(d)はX=0、Y=0でのZ方向のプロファイルを示している。このように、本来、点として結像されるべき画像が、分離して結像されてしまう。
発明者は、この画質の劣化を抑えるためには、所定のカットオフ周波数を有するローパスフィルタで受信信号をフィルタリングすることが有効であることを見出した。図5(a)〜(e)のそれぞれにおいて、左より順に、Z=0でのXY断面像、Y=0、Z=0でのX方向のプロファイル、X=0でのYZ断面像、X=0、Y=0でのZ方向のプロファイルを示している。また、ローパスフィルタのカットオフ周波数として、図5(a)は7.5MHz、図5(b)は6.5MHz、図5(c)は5.5MHz、図5(d)は4.5MHz、図5(e)は3.5MHzを用いている。ここで、ローパスフィルタH(f)として、式(1)で示されるバターワースフィルタを用いた。
Figure 2018000305
ここで、fcはカットオフ周波数である。なお、フィルタはこれに限られず、別の関数で表現されるフィルタを用いてもよい。また、式(1)の乗数もこれに限ったものではなく、画質が最適となるように選択すればよい。乗数が大きいと矩形関数に近くなり、周波数の不連続性から信号にリップルが発生する場合がある。
図5(a)のカットオフ周波数7.5MHzのローパスフィルタでは画像が分離してい
るが、図5(c)のカットオフ周波数5.5MHzでは単峰性の画像が得られている。さらにカットオフ周波数を小さくすると、高周波成分がなくなるためスポットサイズが大きくなっている。
図6に、ローパスフィルタのカットオフ周波数と、点像の強度、X方向半値幅、Z方向半値幅との関係を示す。ここでは半値幅として、FWHM(Full Width at
Half Maximum)を用いた。図6(a)はカットオフ周波数と点像の強度の関係を示す図であり、5.7MHz付近で極大となっていることがわかる。図6(b)はカットオフ周波数と点像のX方向半値幅の関係を示す図であり、5.5MHz付近で極小となっていることがわかる。図6(c)はカットオフ周波数と点像のZ方向半値幅の関係を示す図である。カットオフ周波数が大きいほどZ方向半値幅が小さい傾向があり、X方向半値幅よりは小さい値となっている。図6により、図5で示された点像再現性のカットオフ周波数依存性が、定量的に理解される。
図6より、点像の強度が強く、X方向半値幅が小さい(すなわち水平方向の解像度が高い)ことを考慮すると、カットオフ周波数は、4.5MHzから6.2MHzあたりが良いことがわかる。
カットオフ周波数を決定するのに必要なパラメータは、保持カップ115aの厚さおよび保持カップ115a中を伝搬する音響波の横波の音速である。この点について以下に説明する。
被検体113の音速(縦波)をc、保持カップ115aの縦波、横波に対する音速をそれぞれc2L、c2T、水111aの音速(縦波)をc、保持カップ115aへの入射角をθ、保持カップ115aの厚さをdとする。水111aとは、この例での音響液体111に相当する。また、被検体113の音響インピーダンスをZ、保持カップ115aの縦波、横波に対する音響インピーダンスをそれぞれZ2L、Z2T、水111aの音響インピーダンスをZとする。
保持カップ115a中の縦波、横波に対する伝搬角θ2L、θ2T、および水111a中の伝搬角θは、スネルの法則により以下の関係がある。
Figure 2018000305
例えば、c2Lがcより大きい場合、sinθ2L>1となる場合がある。このとき、cosθ2Lは虚数となる。ここで、保持カップ115aの面に垂直な方向への伝搬に伴って減衰するように符号を決める。すなわち、式(3)とする。
Figure 2018000305
cosθ2Tについても同様に、虚数となる場合は、式(4)とする。
Figure 2018000305
保持カップ115aに対する音響波の透過率は周波数、および入射角θに依存する。音響波の複素透過率をT(f)とすると、以下の式(9)のように表すことができる。
Figure 2018000305

ここで、式(5)〜(8)のF、G、M、Nは、式(9)を簡略に表現するため便宜上導入した関数であり、周波数fの関数である。
複素透過率Tの絶対値と、周波数、入射角の関係を図7に示す。図中、横軸が入射角、縦軸が周波数であり、複素透過率Tは、グラフの右側に挿入したバーに記載の濃度コンターで示されている。ここで、音速は、c=1486m/s、c=1486m/s、c2L=2340m/s、c2T=912m/sを用いた。また、音響インピーダンスは、Z=1485600kg/ms、Z=1485600kg/ms、Z2L=2971800kg/ms、Z2T=1158240kg/msを用いた。保持カップ115aの厚さは、d=80μmとした。
図7中、白実線で示したラインは、次式(10)を満たすラインである。
Figure 2018000305

式(10)は、音響波の横波が保持カップ115a中を伝搬する際に干渉する条件である。
図7より、白実線に沿って、周波数5.5から6MHzに透過率が極小になる領域が存在することがわかる。
この白実線に沿った領域では、入射角の変化に対する周波数の変動が小さい。そこで、cosθ2T=1として式(10)を整理すると、次式(11)の関係を得る。
Figure 2018000305

式(11)を図7中、白点線で示す。以下、式(11)で決まる周波数を基準周波数とよび、foと表記する。このように、「f=c2T/2d」として表される式(11)により、基準周波数を表現できる。
入射角30度における複素透過率Tの絶対値と周波数の関係を図8(a)に、複素透過率Tの位相と周波数の関係を図8(b)に示す。図中、周波数5.7MHzの直線は基準周波数foを示している。基準周波数の近傍および右側では、透過率の絶対値および位相が大きく変動していることがわかる。透過率の位相が図8(b)中の点線のように周波数に対して線形である場合、時間軸では波形が時間方向でシフトすることを意味する。透過率の絶対値が周波数に寄らず1であり、透過率の位相が周波数に対して線形であるとき、波形の形は全く変化せず、時間位置だけがシフトすることになる。
逆に、図7(a)、(b)のように、基準周波数の近傍やその右側の、透過率の絶対値および位相が大きく変動する周波数成分を含んでいると、保持カップ115aの通過の前後で波形が変化することになる。よって、式(11)で決定される基準周波数をもとにカットオフ周波数を設定したローパスフィルタで受信信号を信号処理することで、保持カップ115aの通過の前後で発生する波形の変化を抑えることができる。
横波の音速をもとに基準周波数を決定できることを以下のシミュレーションで確認する。図9(a)、(b)、(c)は、保持カップ115aの横波の音速を意図的に、0.9倍、1倍、1.1倍と変化させた場合の、点像のX方向半値幅とカットオフ周波数の関係を示している。図9(b)と図6(b)は同一のグラフである。図9中の直線は基準周波数foを示している。このように、X方向半値幅が極小となるカットオフ周波数は、横波の音速に依存して変化していることがわかる。
なお、図9の各図において縦軸にとった点像のX方向半値幅は、単峰性、双峰性とともに、再構成画像における点像の再現性を表現しており望小値である。従って、FWHMプロファイルの極小条件が、より好ましいローパスフィルタのカットオフ周波数(フィルタリング条件)を与えることを意味する。すなわち、ローパスフィルタのカットオフ周波数を決定するための基準周波数を横波は支配的に制限することが読み取れる。
一方、保持カップ115aの縦波の音速を意図的に、0.9倍、1倍、1.1倍と変化させた場合の、点像のX方向半値幅とカットオフ周波数の関係を図10に示す。縦波の音速を変化させても、カットオフ周波数の極小位置はあまり変化しないことがわかる。すなわち、ローパスフィルタのカットオフ周波数を決定するために基準周波数を縦波は支配的に制限しないことが読み取れる。
図11(a)はカットオフ周波数と点像のX方向半値幅の関係を示す図であり、図6(b)に基準周波数の位置を加えたものである。この図より、X方向半値幅を最小にするためにはカットオフ周波数fcを基準周波数と等しくすればよいことがわかる。また、X方向半値幅が5%増えることを許容する場合、カットオフ周波数fcは基準周波数fo(=5.5MHz)の85%から109%の範囲にあればよいことがわかる。
カットオフ周波数を、基準周波数に対してどのように決定すればよいかを説明する。
図11(b)はカットオフ周波数と点像の強度の関係を示す図であり、図6(a)に基準周波数の位置を加えたものである。この図より、画像強度を最大にするためにはカットオフ周波数fc(=5.7MHz)を基準周波数fo(=5.5MHz)の1.04倍にすればよいことがわかる。
以上説明したように、光音響画像の画質の劣化を抑えるためには、受信信号にローパスフィルタを備える周波数フィルタで信号処理することが有効である。また、そのカットオフ周波数は、保持カップ115aの厚さおよび横波の音速によって決まる基準周波数の85%から109%の範囲から選択すればよい。
<画像位置の微調整>
図12(a)は、カットオフ周波数5.5MHzのローパスフィルタを用いて作製した点像の光音響画像であり、図5(c)と同じものである。この図によると、Z方向のピーク位置がわずかに−Z方向にずれている。ただ、このずれ量は数10μm程度であるため、画像としては影響がなく、このままであっても光音響画像として有効である。
より厳密に位置を合わせるためには以下の方法がある。
本手法では、実際にはある厚さdを持っている保持カップ115aの厚さを0として、保持部材115を縦波および横波が伝搬する遅延時間を略0(実質的に0)と仮定して計算している。そのため、わずかではあるが伝搬時間にずれが生じている。このずれ量Δtは、保持カップ115aの縦波に対する音速c2L、水111aの音速(縦波)c、保持カップ115aの厚さdを用いて、概略、下式(12)で表すことができる。
Figure 2018000305

このように、「Δt=d(1/c−1/c2L)」として表される式(12)を用いて、受信信号の遅延時間を表現して特性情報を生成するときの受信信号の選択に利用できる。
式(12)は、水111aを厚さdの保持カップ115aで置き換えた場合の入射角0での時間ずれ、を表している。厳密には、ずれ量Δtは保持カップ115aへの入射角や保持カップ115a中の音響波の干渉などに影響される値であるが、それを厳密に計算し
ても計算時間を要する割には画像に与える効果がほとんどない。よって、入射角に依存しない一定値として式(12)を用いてよい。
このずれ量を考慮して画像再構成を行う。このためには、以下の2つの方法がある。これらは、周波数領域で行うか時間領域で行うかの違いであり、物理的には全く同じである。
(方法1):式(12)で与えられた時間だけ信号が速く到達しているものとして、画像再構成を行う際に、その時間分だけ遅延させて計算する。
(方法2):受信信号に対して、周波数領域において周波数fごとの位相シフト量としてexp(−2πfΔt)を積算し時間領域に戻す信号処理を行うことで、受信信号の位相をシフトさせる。もしくは、ローパスフィルタにexp(−2πfΔt)を積算したものを新たなローパスフィルタとして定義する。そして、伝搬時間のずれ量を考慮した新たなローパスフィルタによってフィルタリング処理を行う。伝搬時間のずれ量を考慮したローパスフィルタとは、具体的には、上記式(12)で示したd(1/c−1/c2L)で与えられる時間分、受信信号を遅延させるような、周波数ごとの位相情報を含むフィルタである。
このように、伝搬時間のずれ量を考慮して生成した点像の光音響画像を図12(b)に示す。Z方向のピーク位置がほぼ0となっていることがわかる。
<実施例1>
上述したように、図1は本発明の被検体情報取得装置の概念図である。本実施例において、パルス光源101は、波長800nm、パルス幅20nsec、繰り返し周波数10Hz、パルスエネルギー150mJのパルス光を発生するチタンサファイアレーザである。光伝送手段103は、ファイバーバンドルである。光照射手段105は光ビームを拡大するための凹レンズ(図中不指示)を内包している。光伝送手段(ファイバーバンドル)103の終端部は光照射手段105に接続されている。
音響波検出器107は、立体的に配置されている。キャリッジ109が、光照射手段105、音響波検出器107を支持している。キャリッジ109において、音響波検出器107を支持している部分は、内面が半径127mmの半球状となっており、半球面に沿って512個の音響波検出器107が配置されている。音響波検出器107の受信面は半径127mmの半球面に沿うように配置されている。複数の音響波検出器107の受信感度の高い方向(指向軸)が集まるような配置にすることで、分解能が良い画像が得られる、高感度領域が形成できる。
音響液体111としては、水111aが使用され、音響マッチング剤として用いられる。
保持部材115としては、0.08mmのポリエチレンテレフタレート樹脂からなる保持カップ115aが使用される。被検体113としては例えば人の乳房などが用いられる。保持カップ115aの曲面部分は、内側(被検体側)の半径が408mmの球面の一部である。また、その中心は、キャリッジ109の半球部分の中心座標を(0,0,0)、鉛直上方向を+Z方向として、(0,0,382)(単位mm)に位置している。被検体113と保持カップ115aの間を、音響マッチングのための超音波ジェルで埋めることも好ましい。
本実施例では、音響波検出器107として、CMUT(Capacitive Micro−machined Ultrasonic Transducers)と呼ばれる
静電容量型の素子を備えるトランスデューサを用いる。このトランスデューサを512個、半球面上に並べる。その素子サイズは直径1.5mmの円形であり、受信帯域の中心周波数は4MHzである。
受信信号収集手段151は、音響波検出器107で受信された電気信号をサンプリングレート40MHzで取得する。不要な情報を除くため、被検体113にパルス光を照射した瞬間の信号をサンプル0番として、サンプル2000番から6095番まで4096サンプルの信号を取得する。本実施例ではAD変換回路を用いる。
ローパスフィルタ決定手段153は、保持カップ115aの厚さおよび横波の音速によって決まる基準周波数をもとにローパスフィルタのフィルタリング特性を決定する。
受信信号変換手段155は、受信信号収集手段151によって収集された受信信号にローパスフィルタ決定手段153によって決定された周波数フィルタで信号処理して変換された受信信号を得る。具体的には、時間領域の受信信号をフーリエ変換して周波数領域に変換し、受信信号の各周波数分にローパスフィルタを掛けて、逆フーリエ変換により時間領域に戻すことで変換された受信信号を得る。
信号処理手段157は、伝搬時間取得手段159、画像再構成手段161からなる。
記憶手段(不図示)には以下の情報が記憶されており、必要に応じ参照可能となっている。
保持カップ115aの形状と厚さ
保持カップ115aの配置されている場所
保持カップ115a中を伝搬する音響波の縦波に対する音速と横波に対する音速
音響波検出器107の位置
被検体113の音速
水111aの音速
保持カップ115a、被検体113、水111aの音響インピーダンス
本実施例では、ローパスフィルタ決定手段153、受信信号変換手段155、信号処理手段157は、記憶手段に格納されたプログラムに従って動作する情報処理装置により実現される。記憶手段も、このような情報処理装置に備えられるものを使用できる。
(処理フロー)
図13に光音響画像を得るためのフローを示す。装置のセットアップや被検者の準備など、測定用意ができた時点から本フローは開始する。
(ステップS101):被検体113を保持カップ115aに配置する。例えば、対象が乳房で、寝台型の被検体情報取得装置を用いる場合、医師や技師が被検者を介助して、寝台の開口部から乳房を筐体内部に挿入してセットする。
(ステップS102):パルス光源101から、光照射手段105を介して、レーザ光を被検体113に照射する。これにより光音響波が発生する。
(ステップS103):複数の音響波検出器107が、光音響波を受信して、アナログ電気信号(受信信号)に変換する。
(ステップS104):受信信号収集手段151で受信信号を収集して、デジタル電気信号に変換してメモリに保存する。
(ステップS105):ローパスフィルタ決定手段153により、保持カップ115aの厚さ情報および保持カップ115a中を伝搬する音響波の横波に対する音速から、ローパスフィルタのフィルタリング特性を決定する。
(ステップS106):受信信号変換手段155が、受信信号収集手段151によって収集された受信信号にローパスフィルタ決定手段153によって決定された周波数フィルタで信号処理して、変換された受信信号を取得する。
(ステップS107):光音響画像を取得したい領域(関心領域)における、あるボクセルを指定する。
(ステップS108):伝搬時間取得手段159により、指定されたボクセルから発生した音響波が音響波検出器107のそれぞれに到達する時間を計算する。
なお、ステップS107およびS108を光音響測定より前に実行し、伝搬時間をメモリに保存しておいてもよい。すなわち、保持カップ115aの形状や音響波検出器107の位置は装置の設計値として分かっている。また、伝搬経路上の各領域(乳房組織、保持カップ、および音響液体)における音速値は、実測値あるいは一般的な値として取得できる。したがって、装置が取り得る関心領域の範囲や、関心領域のボクセルへの分割方法を設定することで、ボクセルごとの伝搬時間を予め取得できる。
なお、予め、被検者の年齢や性別などの特徴や、音響液体111の種類に応じた音速を用いて、伝搬時間を計算しておいてもよい。この場合、入力手段を用いてこれらの情報を受け付けて、ボクセル毎伝搬時間群を選択する。また、詳しくは後述するが、保持カップ115aのサイズ別に、伝搬時間を計算しておいてもよい。この場合、入力手段や、読み取り手段を用いてカップのサイズ情報を取得し、それに応じたボクセル毎伝搬時間群を取得する。
(ステップS109):画像再構成手段161によって、S106で得られた変換された受信信号を再構成処理して、指定されたボクセルの光音響画像情報を取得する。
(ステップS110):光音響画像を取得したい領域中のすべてのボクセルに対してS108、S109を実行することで、2次元または3次元の光音響画像情報を取得する。
実測された受信信号を用いて光音響画像の取得を行った場合の例を以下に示す。計算に必要なパラメータとして、音速は、c=1486m/s、c=1486m/s、c2L=2340m/s、c2T=912m/sを用いた。また、音響インピーダンスは、Z=1485600kg/ms、Z=1485600kg/ms、Z2L=2971800kg/ms、Z2T=1158240kg/msを用いた。この場合、式(11)で決まる基準周波数foは5.7MHzである。
ここでは、光吸収体は、直径0.1mmのゴム製の球であって、音響波検出器107か配置された探触子アレイの半球状の内面の曲率中心に重なるように配置されている。光吸収体の周りは水を満たしている。音響波の受信信号の例を図14に示す。図14(a)は受信信号の時間波形であり、図14(b)は受信信号の時間波形を周波数軸に変換したものである。
本実施例において、S105におけるローパスフィルタとして、カットオフ周波数fcが基準周波数foの0.93倍(5.3MHz)であるローパスフィルタ(式(1)参照)を用いた。ローパスフィルタのフィルタリング特性を図15に示す。
本実施例の手法により取得された光音響画像を、図16に示す。図16(a)はZ=0でのXY断面像、図16(b)はY=0、Z=0でのX方向のプロファイル、図16(c)はX=0でのYZ断面像、図16(d)はX=0、Y=0でのZ方向のプロファイルを示している。
比較例として、ローパスフィルタを用いない場合に得られた光音響画像を図17に示す。図17(a)はZ=0でのXY断面像、図17(b)はY=0、Z=0でのX方向のプロファイル、図17(c)はX=0でのYZ断面像、図17(d)はX=0、Y=0でのZ方向のプロファイルを示している。
図16、17から、ローパスフィルタを用いることにより画像が改善できていることがわかる。
<実施例2>
実施例1では、カットオフ周波数fcが基準周波数foの0.93倍、としていた。ただし周波数はこれに限ったものではない。本実施例では、カットオフ周波数を基準周波数の何倍にするかをユーザーが入力可能にした。
図18は本発明の被検体情報取得装置の概念図である。図1と共通する部分には同一番号を付加し、説明は省略する。図1との違いは、カットオフ周波数を基準周波数の何倍にするかを係数として入力するための、係数入力手段201が加えられている点である。以下、この係数をaとする。
実施例1と同じく0.1mmのゴム球を音源(光吸収体)として光音響画像を取得した場合の、係数aと点像のピーク強度の関係を図19(a)に、係数aと点像のx方向半値幅の関係を図19(b)に示す。このように係数aを変化させることで、画像の強度や半値幅を調整することが可能になる。
例えば、係数aを変化させた場合の光音響画像をモニタに表示させ、画質がよくなるようにユーザーが最適な係数aを設定できるような構成としてもよい。また、係数aを設定可能な範囲(値域)をあらかじめ設定しておき、その範囲内で調整できるようにしておいてもよい。上述した理想的な受信波形に対するシミュレーションでは値域として0.84から1.05がよいとの結果を得た。実際の受信波形では音響波検出器の帯域などが影響し、本実施例のように若干ずれる場合がある。そのようなずれを考慮すると、係数aの値域として、0.8から1.1が適当である。
係数入力手段は、キーボードから直接数値を入力するタイプであったり、物理的な、あるいは画面上の、ダイヤル式やスライド式の調整機構を有するものであったりしてもよい。ダイヤル式やスライド式の調整機構の場合は、上限が1.1、下限が0.8となるようにあらかじめ設定しておけばよい。また、調整の程度を、例えば5段階や10段階で選択可能としてもよい。
本実施例によれば、入力値に応じた係数により画像が表示されるので、ユーザーが所望の画質で被検体の光音響画像が表示されて、診断などの精度が向上する。
<実施例3>
図1に示した被検体情報取得装置に用いる保持カップ115aにおいて、樹脂材料をこのような形状に成形する方法として、真空成形や圧空成形がある。どちらもシート状の樹脂材料を加熱して柔らかくして型に当てて冷却する、という方法である。この成形プロセスによって保持カップの厚さに分布ができる場合がある。これは、加熱温度、型に当てる速度など様々な条件に依存し、周辺よりも中央が厚くなるケースも、逆に周辺よりも中央が薄くなるケースもある。均一な厚さ分布とするには成形方法の条件の最適化が必要でありコストが高くなる要因となる。
本実施例では、不均一な厚さ分布を有する保持カップを用いた場合について説明する。
例えば、保持カップ115aとして、ランダムに約30ヶ所の厚さを測定した結果、最
大値d=0.085mm、最小値d=0.075mm、平均0.08mmの厚さを有するカップを用いた場合を想定する。このような保持カップに本発明の手法を適用する場合、次の2つの方法がある。
(方法1):
平均厚さを用いて基準周波数foを計算し、それに適当な係数a(aは0.8から1.1の値)を掛けたものをローパスフィルタのカットオフ周波数とする。
(方法2):
カットオフ周波数が、最大厚さにおける基準周波数foの0.8倍から1.1倍の間であり、かつ、最小厚さにおける基準周波数foの0.8倍から1.1倍の間であるように選択する。すなわち、保持部材の厚さの最大値がd、最小値がdであり、保持部材中の音響波の横波の音速をc2Tとすると、カットオフ周波数fを、c2T/2dの0.8倍から、c2T/2dの1.1倍の範囲とする。言い換えると、以下のようにする。
(c2T/2d)×0.8 ≦ f ≦ (c2T/2d)×1.1
上記の厚さ測定例について、方法2を適用する。最大厚さ0.085mmにおける基準周波数foは5.34MHzであり、その0.8倍から1.1倍は、4.29から5.90MHzに相当する。また、最小厚さ0.075mmにおける基準周波数foは6.08MHzであり、その0.8倍から1.1倍は、4.86から6.69MHzに相当する。したがって、4.86から5.90MHzの範囲からカットオフ周波数を選択すればよい。
本実施例によれば、保持カップ115aの成形時の厚さムラの影響を低減できる。
<実施例4>
被検体の形状(例えば乳房、手、足など)やサイズに応じて、保持カップの形状を変える場合がある。本実施例では、保持カップを交換した場合に最適なローパスフィルタを決定できるようにしたものである。図20は本発明の被検体情報取得装置の概念図である。図1と共通する部分には同一番号を付加し、説明は省略する。
図1との違いは、保持カップ115aに、保持カップ115aのパラメータが登録されたタグ301が設置されている点である。タグ301には、例えば、保持カップ115aの厚さ、曲率半径、曲率中心といった形状情報や、縦波音速、横波音速等のパラメータや、識別IDなどが登録されている。タグ301に登録されたパラメータや識別IDは、読み取り部303により読み出される。ローパスフィルタ決定手段353は、読み出された保持カップ115aのパラメータをもとにローパスフィルタのフィルタリング特性を決定する。ローパスフィルタの決定を可能にするため、パラメータとして、少なくとも、保持カップ115aの横波音速、および厚さ情報が含まれていることが望ましい。
このような構成とすることで、保持カップを交換した場合でも、その保持カップに適したローパスフィルタを適用することができ、画質の良い光音響画像を取得することが可能となる。
読み取り部303によって読み出された保持カップ115aのパラメータは、一旦、装置が保有する記憶手段(図中不支持)に記憶され、周波数決定手段353は、記憶手段内のパラメータを参照してローパスフィルタのフィルタリング特性を決定してもよい。また、タグ301には保持カップ115aの識別IDが登録されており、その識別IDに対応するパラメータは、装置が保有する記憶手段に予め記憶されていてもよい。また、また、ユーザーが保持カップ115aに付された識別IDを入力可能な構成とし、その識別IDに対応するパラメータを記憶手段から読み出すことが可能な構成にしてもよい。例えば、
タグ301はバーコードであり、読み取り部303はバーコードリーダである。
以上述べたように、本発明によれば、保持部材中の横波の音速や厚さからローパスフィルタを決定し、受信信号にフィルタリング処理を施すことで音響波が保持部材を透過する際の波形の歪みを低減する。その結果、画質が向上した光音響画像が得られるとともに、光音響画像生成に要する時間を短縮できる。
なお、本願明細書において用いられる、ローパスフィルタは、狭義にはハイカットフィルタとも呼ばれ、受信信号の高周波域に含まれる不要成分を減衰させることを目的として設けられる。従って、所定の受信信号の周波数帯域が確保される範囲において、バンドパスフィルターも本願発明の実施態様に含まれる。
<その他の実施形態>
記憶装置に記録されたプログラムを読み込み実行することで前述した実施形態の機能を実現するシステムや装置のコンピュータ(又はCPU、MPU等のデバイス)によっても、本発明を実施することができる。また、例えば、記憶装置に記録されたプログラムを読み込み実行することで前述した実施形態の機能を実現するシステムや装置のコンピュータによって実行されるステップを含む方法によっても、本発明を実施することができる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。この目的のために、上記プログラムは、例えば、ネットワークを通じて、又は、上記記憶装置となり得る様々なタイプの記録媒体(つまり、非一時的にデータを保持するコンピュータ読取可能な記録媒体)から、上記コンピュータに提供される。したがって、上記コンピュータ(CPU、MPU等のデバイスを含む)、上記方法、上記プログラム(プログラムコード、プログラムプロダクトを含む)、上記プログラムを非一時的に保持するコンピュータ読取可能な記録媒体は、いずれも本発明の範疇に含まれる。
101:パルス光源、105:光照射手段、107:音響波検出器、115:保持部材、151:受信信号収集手段、153:ローパスフィルタ決定手段、155:受信信号変換手段、157:信号処理手段、159:伝搬時間取得手段、161:画像再構成手段

Claims (16)

  1. パルス光を被検体に照射する光照射手段と、
    前記被検体を保持する保持部材と、
    前記パルス光を照射された前記被検体から発せられた音響波を検出して受信信号を出力する複数の音響波検出器と、
    前記受信信号の高周波成分を減衰させるローパスフィルタと、
    前記保持部材の厚さおよび前記保持部材中の前記音響波の横波の音速に基づき前記ローパスフィルタのフィルタリング特性を決定するローパスフィルタ決定手段と、
    前記ローパスフィルタ決定手段で決定された前記フィルタリング特性を持つ前記ローパスフィルタを用いて前記受信信号を変換する受信信号変換手段と、
    前記被検体の特性情報を生成する信号処理手段と、
    を有し、
    前記信号処理手段は、前記被検体から発せられた前記音響波が前記音響波検出器に到達するまでの伝搬時間を、前記保持部材の厚さを0として計算する伝搬時間取得手段を含み、当該伝搬時間と、前記受信信号とを用いて前記特性情報を生成する
    ことを特徴とする被検体情報取得装置。
  2. 前記ローパスフィルタ決定手段は、前記保持部材の厚さおよび前記保持部材中の音響波の横波の音速に基づき前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の被検体情報取得装置。
  3. 前記保持部材の厚さをd、前記保持部材中の音響波の横波の音速をc2Tとしたとき、前記カットオフ周波数は、c2T/2dとして表現される基準周波数に基づいて決定される
    ことを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
  4. 前記カットオフ周波数を、前記基準周波数の何倍にするかを決定するための係数の入力を受け付ける入力手段をさらに有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の被検体情報取得装置。
  5. 前記保持部材の厚さをd、前記保持部材中の音響波の横波の音速をc2Tとしたとき、前記カットオフ周波数は、c2T/2dの、0.8倍から1.1倍の範囲にある
    ことを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
  6. 前記保持部材の厚さの分布において、最大値をd、最小値をdとし、前記保持部材中の音響波の横波の音速をc2Tとしたとき、前記カットオフ周波数は、c2T/2dの0.8倍から、c2T/2dの1.1倍の範囲にある
    ことを特徴とする請求項2に記載の被検体情報取得装置。
  7. 前記保持部材には、前記保持部材のパラメータまたは前記保持部材の識別IDの少なくともいずれかを示す情報が登録されたタグが設置されており、
    前記被検体情報取得装置は、前記タグに登録された情報を取得する読み取り部をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  8. 前記保持部材のパラメータは、少なくとも前記保持部材の厚さ情報および前記保持部材中の音響波の横波の音速を含む
    ことを特徴とする請求項7に記載の被検体情報取得装置。
  9. 前記保持部材と前記音響波検出器の間の音響液体、および、前記被検者の特徴の少なくともいずれかの入力を受け付ける入力手段と、
    前記入力手段により入力された情報に応じた前記伝搬時間を保存する記憶手段と、
    をさらに有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  10. 前記伝搬時間取得手段は、前記保持部材の音速および音響インピーダンスを、前記保持部材と前記音響波検出器の間の音響液体、または、前記被検体の音速および音響インピーダンスに置き換えることにより、前記保持部材の厚さを0とする
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  11. 前記信号処理手段は、前記保持部材の厚さをd、前記保持部材中の前記音響波の縦波の音速をc2L、前記保持部材と前記音響波検出器の間の音響液体の縦波の音速をcとしたとき、d(1/c−1/c2L)で与えられる時間分、前記受信信号を遅延させて前記特性情報を生成する
    ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  12. 前記ローパスフィルタは、前記保持部材の厚さをd、前記保持部材中の前記音響波の縦波の音速をc2L、前記保持部材と前記音響波検出器の間の音響液体の縦波の音速をcとしたとき、d(1/c−1/c2L)で与えられる時間分、受信信号を遅延させるような、周波数ごとの位相情報を含む
    ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  13. 前記伝搬時間取得手段は、前記保持部材を縦波および横波が伝搬する遅延時間を略0と仮定して、前記被検体から発せられた前記音響波が前記音響波検出器に到達するまでの伝搬時間を計算する
    ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。
  14. パルス光を被検体に照射する光照射手段と、
    前記被検体を保持する保持部材と、
    前記パルス光を照射された前記被検体から発せられた音響波を検出して受信信号を出力する複数の音響波検出器と、
    前記受信信号の高周波成分を減衰させるローパスフィルタと、
    前記保持部材の厚さおよび前記保持部材中の前記音響波の横波の音速に基づき前記ローパスフィルタのフィルタリング特性を決定するローパスフィルタ決定手段と、
    前記ローパスフィルタ決定手段で決定された前記フィルタリング特性を持つ前記ローパスフィルタを用いて前記受信信号を変換する受信信号変換手段と、
    前記被検体の特性情報を生成する信号処理手段と、
    を有し、
    前記信号処理手段は、複数の界面を含む前記音響波の伝搬経路を、実際よりも少ない数の界面を有する伝搬経路で近似して、前記被検体から発せられた前記音響波が前記音響波検出器に到達するまでの伝搬時間を計算するまでの伝搬時間取得手段を含み、当該伝搬時間と、前記受信信号とを用いて前記特性情報を生成する
    ことを特徴とする被検体情報取得装置。
  15. 保持部材によって保持された被検体に、パルス光が照射されて発せられた音響波が音響波検出器で検出された受信信号から、前記被検体の特性情報を生成する信号処理方法であって、
    前記保持部材の厚さおよび前記保持部材中の音響波の横波の音速に基づきローパスフィルタのフィルタリング特性を決定するステップと、
    前記ローパスフィルタを用いて前記受信信号を変換するステップと、
    前記特性情報を生成するステップと、
    を有し、
    前記生成するステップは、前記被検体から発せられた前記音響波が前記音響波検出器に到達するまでの伝搬時間を、前記保持部材の厚さを0として計算し、前記伝搬時間と、前記受信信号とを用いて前記特性情報を生成するように行われる
    ことを特徴とする信号処理方法。
  16. 前記生成するステップには、
    前記保持部材を前記音響波の縦波および横波が伝搬するときの遅延時間を略0と仮定して、前記伝搬時間を計算するステップが含まれている
    ことを特徴とする請求項15に記載の信号処理方法。
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