JP2017538841A - 芳香族ポリイミドの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリイミドの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、以下の工程:(a)固体状態での1つまたは複数の芳香族テトラカルボン酸と1つまたは複数のジアミンとを、任意選択的に1つまたは複数の鎖制限剤の存在下で、芳香族テトラカルボン酸、ジアミン、および任意選択の鎖制限剤の総重量に対して1重量%〜25重量%の量で、1つまたは複数の有機液体を含む、1つまたは複数のバインダーの存在下で反応させることによって1つまたは複数の塩を調製する工程と、次に;(b)工程(a)において得られた塩を重合させる工程とを含む、芳香族ポリイミドの製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族の熱可塑性ポリイミドに、およびそれらの製造に関する。
より正確に言えば、本発明は、1つまたは複数の芳香族テトラカルボン酸および1つまたは複数のジアミンから出発して形成された1つまたは複数のアンモニウムカルボキシレ−ト塩の重合による芳香族の熱可塑性ポリイミドの製造方法に関する。
ポリイミド、とりわけ芳香族ポリイミドは、それらの並外れた熱的および/または機械的特性で知られており、それらの特性によって、それらは、宇宙飛行あるいはエレクトロニクス(例えば、プリント回路基板)などの様々な分野での「高性能」用途向けに特に選定されている。
それにもかかわらず、これらの芳香族ポリイミドは、熱硬化性で、非可融性であると考えられ、そして芳香族ジアミンおよび芳香族二酸無水物から出発して、有毒であり、とりわけ、ある場合には発癌性または潜在的に発癌性である、および/または環境にやさしくない溶媒中の溶液での合成プロセスの使用を必要とする。最もよく知られた、そして最も幅広いポリイミドの合成方法は、芳香族二酸無水物を、ジメチルアセトアミド、クレゾールあるいはN−メチルピロリドンなどの溶媒中で、芳香族ジアミンと反応させて、ポリアミド酸として知られる中間体を形成するという第1工程を含み、その中間体が、その後温度の上昇によってかまたは化学的脱水によって、第2工程においてポリイミドへ変換される2段階プロセスである。
第1工程中に、アミンは、酸無水物環を開環させ、多くの場合アミド酸官能基と呼ばれる、酸アミド官能基を生じさせる。形成されたポリアミド酸は、合成溶媒に可溶であり、通常不溶性である、ポリイミドへ環化によって変換される。ポリイミドフィルムを製造するために、例えば、ポリ(アミド酸)の溶液が加熱表面上へ注がれる。加熱表面が加熱されるとき、溶媒は蒸発し、環化が起こり:ポリイミドフィルムがそのとき得られる。
芳香族ポリイミドを可融性にする、それ故、特に、押出または射出成形の技法による変換に適しているようにするために、Ultemが1つの取引名である、ポリエーテルイミド名称で知られている、200℃に近いガラス遷移温度Tgの非晶質ポリイミドを生み出す、より可撓性の芳香族ジアミンを使用することは公知の慣行である。芳香族二酸無水物と芳香族ジアミンとの、または芳香族テトラカルボン酸と芳香族ジアミンとの直接混合物から、米国特許第3833546号明細書におけるような、溶融重合を275〜290℃で行う工程を含む方法が開発されている。この場合、試薬の化学量論の制御が最適ではなく、速い分解反応が起こる。1つの欠点は、使用温度がポリイミドのガラス遷移温度Tgよりも高い場合に、ポリイミドが、その非晶質性のせいで、その機械的強度を失うことである。最後に、非晶質ポリマーのように、機械的特性はモル質量に主に依存し、モル質量は、絡み合い間のモル質量よりも大きくなければならず:これらのポリマーについて、これは、かなりのモル質量を有することを暗示し、これには、高い溶融粘度が伴う。これらの可撓性芳香族ポリイミドは、これにもかかわらず、熱可塑性樹脂であると考えられる。
半芳香族ポリイミドはまた、それらが、半結晶性であり得るし、熱可塑性樹脂の変換温度に適合する融点(一般に330℃よりも下の融点)を有し得るし、そしてそれ故、優れた耐熱性に恵まれながら、ポリアミドに似た、熱可塑性樹脂に関して知られている加工プロセスによって変換することができるので、興味深いアプローチを表す。
芳香族ポリイミドについて記載されているような溶液での合成をはじめとして、様々な合成方法がある。溶液でのポリイミド合成の一例は、定期刊行物Polymer 1998年、第39巻、16、3697〜3702頁にCor Koningによって記載されている。著者らは、3,3’−4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からおよび4〜10個のメチレン基を含有する脂肪族ジアミンから溶液でポリイミドを合成している。得られたポリイミドは330℃よりも下の融点を有する。ポリアミド合成のための公知の方法に従って、脂肪族ジアミンおよびピロメリット酸無水物からの、またはピロメリット二酸無水物ジエステル誘導体からの溶融重合が、米国特許第2710853号明細書または米国特許第2867609号明細書に記載されている。この技法の主要な欠点は、長い継続時間にわたって、形成されるポリイミドの融点よりも上であり、それによって実質的な、かなりの熱分解を引き起こす合成温度の選択をそれが必要とすることである。
この問題を克服するために、日本のチーム(Inoue et al.,Macromolecules 1997,30,1921−1928“High Pressure Synthesis of Aliphatic−Aromatic Polyimides via Nylon−Salt−Type Monomers derived from aliphatic diamines and pyromellitic acid and biphenyltetracarboxylic acid”)は、固体状態での芳香族テトラカルボン酸塩と脂肪族ジアミンとを重合させるための方法を特定した。著者らはこうして、ディスクなどの物体を与えるために、数百バールの圧力でプレスされる塩を調製し、その後結果として生じたディスクを様々な圧力下で所与の温度に加熱している。加熱の過程で、反応が起こり、そして反応が起こったこと、かつ非常に速く起こっているであろうことを示す、水を発生させる。
これらの著者らによって想定されたこれらの方法の問題は、成形操作の過程で形成される反応水を抽出することが必要であり、そしてこれが部品に欠陥を生じさせる場合があり、長い変換時間が、過度の変換費用を生じさせるならびに/または気孔率および外観の問題ありの、準最適品質の部品を生成する可能性があるか、あるいは非反応性ポリマーの使用を意図する装置の改造および/または変更を要求するという事実にある。
さらに、既存の方法は、ポリイミドの構造、モル質量および/または粘度を制御するという観点から満足できないと判明する可能性がある。しかしながら、これらのパラメータの制御は、これらのポリマーが意図される用途に特に依存して、特に重要である。
これらの様々な問題に対処するために、半芳香族および半結晶性ポリイミド固体粒子の改善された取得方法が、特許出願国際公開第2013/041528号パンフレットに記載された。それは何よりも先に、塩を得るために少なくとも1つのジアミンを少なくとも1つの芳香族テトラカルボン酸と反応させる。この第1工程は、鎖制限剤のおよび/または過剰のモノマーの1つの存在下で行われてもよい。塩の固相重合が次に、第1工程中に得られた塩の融点よりも下に同時に留まりながら、得られるポリイミドのガラス遷移温度Tgよりも上の温度で行われる。得られた固体ポリイミド粒子のモル質量はとりわけ、第1工程中に導入される鎖制限剤および/または過剰のモノマーの1つの量によって制御される。
本出願人は、この合成法が完全に満足できるものではないこと、およびさらにより効率的に芳香族半結晶性ポリイミドを製造することが可能であることに気づいた。
本発明の目的は、先ず第一に、上に述べられた問題のすべてを解決するための、そして、第二に、とりわけ、得られるポリイミドの収率および特性の制御の観点から既存の方法を改善するための解決策を提案することである。
本発明による芳香族ポリイミドの製造方法は、以下の工程:
(a)固体状態での1つまたは複数の芳香族テトラカルボン酸と1つまたは複数のジアミンとを、任意選択的に1つまたは複数の鎖制限剤の存在下で、芳香族テトラカルボン酸、ジアミン、および任意選択の鎖制限剤の総重量に対して1〜25重量%の量で、1つまたは複数の有機液体を含む、1つまたは複数のバインダーの存在下で反応させることによる1つまたは複数の塩の調製の工程と、次に;
(b)工程(a)において得られた塩の重合の工程と
を含む。
本発明による方法は、様々な用途向けの芳香族ポリイミドの効率的な、信頼できる工業的製造を可能にする。得られるポリイミドは、その後の変換工程、例えば引く抜き成形、押出成形、または射出成形中に水を放出または吸収しないという特性を持った半結晶性の熱可塑性樹脂である。それらはとりわけ、制御された粒度の粉末の形態で得られてもよい。
これらの粉末はとりわけ、複合品を製造するために、レーザー焼結によって物品を製造するために、コーティングするために、または化粧品部門で使用されてもよい。
本発明によれば、塩の調製中の特定量のバインダーの使用は、とりわけ造塩工程(a)についての収率を高めることを可能にする。この量のバインダーは、工程(a)の終わりに、より均一な構造の塩を得ることを可能にする。
これらの効果は、先ず第一に、ポリイミド合成プロセスについての全収率を高めること、第二にその構造がより良く制御されているポリマーを得ることを可能にする。特に、ポリマー鎖はより均一であり、ポリマーの粘度はより良く制御される。
したがって、本発明による方法は、得られるポリイミドの構造のおよび粘度の特に効率的な制御を可能にする。
本発明による方法の別の利点は、比較的低い温度で実際の重合(工程(b))を行い、塩のおよび形成されたポリイミドの熱分解を回避する能力である。
本発明の特に有利な実施形態によれば、工程(b)は、工程(a)の終わりに直接得られた混合物の温度を単に高めることによって行われてもよく、反応によって生成した水をあらかじめ除去されてしまっている。これは、とりわけ同じ反応器で、同じミキサーでまたは同じ造粒機で、総合的に全体プロセスを行うことを可能にする。
本発明の他の利点および特性は、以下の詳細な説明を検討すると、よりはっきりと明らかになるであろう。
用語「バインダー」は、芳香族テトラカルボン酸と、ジアミンおよび任意選択の鎖制限剤との接触を可能にし、そして前に記載された化合物と化学的に反応しない任意の液体化合物を意味する。
有利には、バインダーは、芳香族テトラカルボン酸、ジアミンおよび鎖制限剤の中からの化合物の1つ、好ましくは上に述べられたような化合物の1つの少なくとも一部を溶解させることを可能にする。
特に、バインダーは、芳香族テトラカルボン酸またはジアミンまたは任意選択の鎖制限剤を溶解させることを可能にする。
特に好ましいやり方で、バインダーは、芳香族テトラカルボン酸、ジアミンおよび任意選択の鎖制限剤を溶解させることを可能にする。
用語「有機液体」は、芳香族テトラカルボン酸、ジアミンおよび任意選択の鎖制限剤と化学的に反応しない任意の液体有機化合物を意味する。
これらの化合物は、25℃の温度でおよび大気圧(760mmHg)で液体である。
本発明による方法によって得られるポリイミドは、熱可塑性であり、半結晶性である。好ましくは、それは、50〜350℃の範囲の融点Tfを有する。
ポリイミドの融点は好ましくは、10℃/分の速度で20℃から出発してポリイミドを加熱することによって、Perkin Elmer Pyris 1機器を用いる、示差走査熱量測定法(DSC)により測定されるような融解吸熱のピークで求められる。
用語「半結晶性ポリイミド」は、非晶相と結晶相とを有する、例えば、1%〜85%の結晶化度を有するポリイミドを意味する。
本発明による方法によって得られるポリイミドは優先的には、200℃以下、より優先的には150℃以下のガラス遷移温度Tgを有する。
用語「熱可塑性ポリイミド」は、それよりも上で材料が軟化し、そして融解し、それよりも下でそれが硬くなる温度を有するポリイミドを意味する。
本発明は、1つまたは複数の芳香族テトラカルボン酸および1つまたは複数のジアミンからの芳香族ポリイミドの製造に関する。たった1つのジアミンおよびたった1つのテトラカルボン酸から得られるポリマーは、ホモポリイミドとして一般に知られる、ポリイミドである。少なくとも3つの異なるモノマー間の反応、最も具体的には2つのジアミンと1つのテトラカルボン酸との間の、または1つのジアミンと2つのテトラカルボン酸との間の反応は、コポリイミドとして一般に知られる、ポリイミドを生成する。ポリイミドは、各構成モノマーのモル組成によって定義され得る。
本発明による工程(a)は、固体状態での1つまたは複数の芳香族テトラカルボン酸と1つまたは複数のジアミンとを、任意選択的に1つまたは複数の鎖制限剤の存在下で反応させることによって1つまたは複数の塩を調製することにある。
本発明によれば、工程(a)は、芳香族テトラカルボン酸、ジアミン、および任意選択の鎖制限剤の総重量に対して1〜25重量%の量で、1つまたは複数の有機液体を含む、1つまたは複数のバインダーの存在下で行われる。好ましくは、バインダーは、芳香族テトラカルボン酸、ジアミン、および任意選択の鎖制限剤の総重量に対して、5〜20重量%、好ましくは10〜20重量%の範囲の量で存在する。
本発明の特定の実施形態によれば、バインダーは、バインダーの総重量に対して少なくとも50重量%の有機液体、好ましくは少なくとも60重量%の有機液体、より好ましくは70重量%の有機液体、特に好ましくは100重量%の有機液体を含む。
この実施形態に従って、バインダーは、(50/50)、とりわけ(60/40)、好ましくは(70/30)、より優先的には90/10のそれぞれの重量含有量で有機液体と水とをベースとする混合物であってもよい。
有利には、有機液体は、C〜C、優先的にはC〜Cアルコール、ケトン、およびそれらの混合物から選択される。優先的には、有機液体は、C〜Cアルコール、とりわけエタノールから選択される。
好ましい実施形態によれば、工程(a)は、芳香族テトラカルボン酸、ジアミン、および任意選択の鎖制限剤の総重量に対して1〜25重量%の範囲の重量含有量での、C〜Cアルコール、とりわけエタノールから選択される1つまたは複数の有機液体の存在下で行われる。
好ましくは、塩は、芳香族テトラカルボン酸とジアミンとを0.70〜1.30、優先的には0.95〜1.05の範囲の芳香族テトラカルボン酸対ジアミンのモル比で反応させることによって調製される。これは、一方で、芳香族テトラカルボン酸のモル単位での量と、他方で、ジアミンのモル単位での量との間の比が、0.70〜1.30、優先的には0.95〜1.05の範囲であることを意味する。
このようにして調製された塩は、ジアミンおよびテトラカルボン酸化学種が、特にタイプの−COO N−の、極性相互作用によって専ら、共有結合によってではなく連結している塩である。より具体的には、塩は、共有結合していない、芳香族テトラカルボン酸とジアミンとを含む。特に、塩は、Arが芳香族基を表す状態で、次の構造:
を有してもよい。
本発明による方法の芳香族テトラカルボン酸は優先的には、それらが、一般に、脱水反応によって同じ分子上に2つの酸無水物官能基の形成を可能にするような位置にカルボン酸官能基を有する。本発明の芳香族テトラカルボン酸は一般に、2対のカルボン酸官能基を含有し、各対の官能基は、αおよびβ位で、隣接炭素原子に結合している。テトラカルボン酸官能基は、酸無水物官能基の加水分解によって酸二無水物から得られてもよい。芳香族酸二無水物の、および二酸無水物に由来する、芳香族テトラカルボン酸の例は、米国特許第7932012号明細書に記載されている。
本発明の芳香族テトラカルボン酸はまた、官能基、とりわけ基−SOX(ここで、X=HまたはNa、Li、Zn、Ag、Ca、Al、K、およびMgなどの、カチオンである)を有してもよい。
有利には、芳香族テトラカルボン酸は、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸、および2,2’−ビス(3,4−ビカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸から選択される。
好ましくは、本発明のアミンは、1つまたは複数のヘテロ原子を任意選択的に含む、飽和または不飽和の、線状または分岐の脂肪族、脂環式または芳香族二価炭化水素ベースの基Rを持った式HN−R−NHの分子である。
基Rは有利には、2〜50個の炭素原子、優先的には6〜36個の炭素原子を含む。基Rは任意選択的に、O、N、P、またはSなどの、1つまたは複数のヘテロ原子を含有してもよい。基Rは、ヒドロキシル、スルホン、ケトン、エーテル、または他の官能基などの、1つまたは複数の官能基を含んでもよい。
好ましくは、アミン官能基は、第一級アミンである。
第1実施形態によれば、本発明のジアミンは、脂肪族ジアミンから選択される。
ジアミンは特に、15〜20個のメチレン基を含有する、αおよびω位のジアミンであってもよい。
好ましくは、脂肪族ジアミンは、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、2,2,7,7−テトラメチルオクタメチレンジアミン、1,9−ジアミノノナン、5−メチル−1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、および1,14−ジアミノテトラデカンから選択される。
本発明の特定の実施形態によれば、ジアミンは、脂環式ジアミンから、好ましくはイソホロンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)および4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)から選択される。
ポリエーテルジアミンなどの、ヘテロ原子を含有するジアミンの例、例えば、Huntsmanによって販売されるJeffamine(登録商標)およびElastamine(登録商標)製品に言及されてもよい。エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはテトラメチレンオキシド単位から構成される、様々なポリエーテルが存在する。
第2実施形態によれば、本発明のジアミンは、芳香族ジアミンから選択される。
好ましくは、芳香族ジアミンは、6〜24個の炭素原子、より優先的には6〜18個の炭素原子、さらにより優先的には6〜10個の炭素原子を含む芳香族ジアミン、例えばm−キシリレンジアミン(MXDA)である。
好ましくは、芳香族ジアミンの芳香族性は、m−フェニレンおよび/またはo−フェニレン基(前記基の総数は1〜2の範囲である)の存在に起因する。
有利には、芳香族ジアミンは、下に例示されるような、m−フェニレンジアミン(MPD)、p−フェニレンジアミン(PPD)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−ODA)、m−キシリレンジアミン(MXDA):
およびp−キシレンジアミン(PXDA、示されていない)から選択される。
特に好ましい芳香族ジアミンは、m−キシリレンジアミン(MXDA)である。
工程(a)は、塩の重合(工程(b))中にポリイミドの鎖長を制御するための化合物である、1つまたは複数の鎖制限剤の存在下で行われてもよい。
好ましくは、鎖制限剤は、芳香族テトラカルボン酸およびジアミン以外の、そしてアミン基、カルボン酸基、酸無水物基、エステル基およびアシルクロリド基から選択される1つまたは複数の基を含む化合物(C)である。
本発明の一実施形態によれば、化合物(C)は、モノアミン、一酸無水物、一酸、二酸および芳香族二酸無水物から選択される。
一酸はとりわけ、アルコールと酸無水物とを反応させることによって得られるような酸モノエステルを含む。二酸はとりわけ、アルコールと芳香族二酸無水物とを反応させることによって得られるような芳香族二酸ジエステルを含む。
好ましくは、化合物(C)は、1−アミノペンタン、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、1−アミノオクタン、1−アミノノナン、1−アミノデカン、1−アミノウンデカン、1−アミノドデカン、ベンジルアミン、無水フタル酸、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、1,2−ベンゼンジカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ステアリン酸、メリト酸、トリメリット酸、フタル酸、1−ヘキサン酸、1,2,3,4,5−ベンゼンペンタカルボン酸、トリメリット酸無水物クロリドならびにその酸、エステルおよびジエステル誘導体、ベンゾイルクロリド、トルオイルクロリド、ナフトイルクロリド、テトラメチルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート、トリメチル1,2,4−ピロメリテート、トリメチル1,2,5−ピロメリテート、ジエチル1,2−ピロメリテート、ジエチル1,4−ピロメリテート、ジエチル1,5−ピロメリテート、ジメチル1,2−ピロメリテート、ジメチル1,4−ピロメリテート、ジメチル1,5−ピロメリテート、メチルピロメリテート、エチルピロメリテート、トリメチルトリメリテート、トリエチルトリメリテート、ジメチル1,3−トリメリテート、ジメチル1,4−トリメリテート、ジエチル1,3−トリメリテート、ジエチル1,4−トリメリテート、ジエチル3,4−トリメリテート、メチルトリメリテート、エチルトリメリテート、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸および1,12−ドデカン二酸、ならびにそれらの混合物から選択される。
特に好ましい化合物(C)は1−アミノヘキサンである。
導入される任意選択の化合物(C)の量は有利には、芳香族テトラカルボン酸およびジアミンの総モル数に対してモル数として0.5%よりも大きい。好ましくは、導入される任意選択の化合物(C)の量は有利には、芳香族テトラカルボン酸およびジアミンの総モル数に対して、モル数として0.5〜10%、より優先的にはモル数として1〜5%の範囲である。
工程(a)中に、バインダーはとりわけ、ジアミンおよび/または鎖制限剤のいずれかと一緒に、またはジアミンおよび/または任意選択の鎖制限剤とは独立して導入されてもよい。
本プロセスは、例えば、固体形態での芳香族テトラカルボン酸に、バインダー中のそれらの溶液または分散系の形態でのジアミンおよび/または任意選択の鎖制限剤を添加することによって行われてもよい。
本プロセスは、例えば、固体形態での芳香族テトラカルボン酸上へ、ジアミンのおよび/または鎖制限剤の溶液または分散系を噴霧することによって行われてもよい。
バインダーはまた、ジアミンのおよび/または任意選択の鎖制限剤の添加前に、固体形態での芳香族テトラカルボン酸に添加されてもよい。
本プロセスはしたがって、バインダーを、鎖制限剤の存在下または不在下に、芳香族テトラカルボン酸上へまたは芳香族テトラカルボン酸とジアミンとの混合物上へ噴霧することによって行われてもよい。
例として、エタノールが、固体形態にある芳香族テトラカルボン酸に添加される。次に、液体形態でのジアミンが噴霧によって添加され、鎖制限剤が添加される。得られた塩は沈殿する。
上に述べられたような可能なケースすべてにおいて、反応混合物は攪拌状態に保たれる。
工程(a)中、反応媒体の温度は優先的には、150℃よりも下の温度に維持される。
この合成の最後に、工程(a)の終わりに得られた塩は、乾燥粉末が得られるように、例えば大気圧で乾燥させることによって、または真空下に乾燥させることによって乾燥させられてもよい。しかしながら、工程(a)の終わりに得られた塩を乾燥させることは必須ではなく、前記塩は、下に概説されるように工程(b)に直接かけられてもよい。これは、本発明による方法の追加の利点である。
上に記載されたような、工程(a)の実施は、実際の造塩反応について非常に良好な収率を得ることを可能にする。
造塩収率は、遊離モノマー、すなわち、塩を形成するために反応してしまっていないモノマーの量を測定することによる熱重量分析(TGA)によって測定され得る。
得られる収率はとりわけ、80重量%、優先的には95重量%以上のオーダーのものである。
さらに、得られる塩は、「平衡」構造のものである、すなわち、工程(a)において形成される塩中のジアミンのモル量に対する芳香族テトラカルボン酸のモル量は有利には、0.70〜1.30、優先的には0.95〜1.05である。モル比は、電位差滴定法によって測定される。これは、工程(b)の終わりに得られるポリイミドの構造および均一性を改善することを可能にする。
本発明との関連で、形成された塩へ、個別にか混合物としてかのいずれかで、例えばジアミンおよび/または任意選択の鎖制限剤と混合することによって、プロセスにおける任意の段階で添加される、触媒が使用されてもよい。
本発明による方法の工程(b)中に、工程(a)において得られた塩の重合がポリイミドを得るために行われる。
好ましくは、重合は、固体状態で、溶融体で、または液体媒体中で、特に好ましくは固体状態で行われる。
用語「固相重合」は、当業者によく知られており、反応媒体が固体状態に留まっている重合反応を意味する。
固相重合は特に、環境に有害であり得る、溶媒の使用を回避する。
好ましくは、工程(b)は、工程(a)の終わりに直接得られた混合物を150℃以上の、好ましくは150〜250℃の範囲の温度にすることにより、固相重合によって行われる。
本発明の好ましい実施形態によれば、重合は、次の関係:塩のTf>T>得られるポリイミドのTgに従う温度Tで行われる。
工程(a)において得られる塩のTfは、前記塩の融点を意味する。
塩の融点は優先的には、10℃/分の速度で20℃から出発して塩を加熱することによって、Perkin Elmer Pyris 1機器を用いる、示差走査熱量測定法(DSC)により測定されるような吸熱終点温度を測定することによって求められる。
有利には、重合は、0.005〜1MPaの範囲の、より優先的には0.005MPa〜0.2MPaの範囲の絶対圧で行われる。
固相重合法は、当業者に公知の従来プロセスに従って行われてもよい。これらの方法の基本的な原理は、工程(a)において得られた塩を、任意選択の化合物(C)の存在下で、空気下または不活性雰囲気下でまたは真空下で、塩の融点よりも下であるが、重合反応を可能にするのに十分である温度、一般にポリイミドのガラス遷移温度よりも上の温度にすることにある。そのような方法はしたがって、手短に言えば:
a)伝導拡散または対流拡散によるかまたは輻射による生成物の加熱;
b)真空の適用、窒素、CO、または過熱スチームなどの中性ガスでのフラッシング、または正圧の適用による不活性化;
c)蒸発、引き続くキャリアガスでのフラッシングまたは気相の濃縮による縮合副産物の除去;
d)機械撹拌、またはキャリアガスまたは振動での固相の流動化が、伝熱および物質移動を向上させるために、そしてまた分離固体の集塊のいかなるリスクをも防ぐために望ましい場合もある
を含んでもよい。
優先的には、ポリイミドを動いている状態に保つための手段が、前記ポリイミドを粒子の形態で得るために、そしてこれらの粒子の凝集を防ぐために工程(d)の過程で用いられる。攪拌機の使用によって、反応器の回転によって、または振動かき混ぜによって、またはキャリアガスでの流動化によってなどの、機械撹拌が、これを行うために用いられてもよい。
本発明による方法によって得られるポリイミドは有利には、それらの中央径D50が0.01〜2mmの範囲である粒子の形態にある。
用語「中央径D50」は、容積によって粒度分布の曲線を等面積の2つの部分に分ける中央値を意味する。粒度分析は、2〜2000μmの粒度を特性化することを可能にする、Malvern Instruments S.A.製の広い光学ベンチを有するMastersizer Xレーザー回折粒度分析計を用いて行われてもよい。分布は容積によるので、中央径は、粒子の全容積の50%に相当するであろう。さらに、所与の中央径は等価球形の直径に相当し、それは、物体がすべて球形に等価の形状を有すると仮定する。
好ましくは、本発明による方法によって得られるポリイミドは白色である。それらはとりわけ、10以下のCIE b*比色特性を有する。
好ましくは、本発明によるポリイミドの数平均モル質量Mは、500〜50,000g/モル、より優先的には2000〜40,000g/モル、さらにより優先的には5000〜30,000g/モルの範囲である。
本発明における具体的なモル質量は、当業者にそれ自体よく知られている多くの方法によって測定され得る。
これらの方法の実例として、とりわけ、末端基の分析に基づくもの、例えばNMRまたは滴定による測定、またはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)としても知られる、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いる測定を求めるものが挙げられてもよい。一般に、ポリイミドのGPC測定を実施するための溶媒の選択は、ポリイミドの構造の関数としてそれ自体よく知られているように行われる。
優先的には、末端基の濃度を測定するために、ポリイミドのNMR測定は、溶媒としての重水素化濃硫酸中で採られてもよい。
質量分布およびまた平均質量Mnの計算は、市販標準を使用した較正後に、ポリスチレン当量(PST)でまたは絶対質量として行われてもよい。必要ならば、絶対重量測定は、粘度検出によって実施されてもよい。本発明との関連で、平均モル質量Mnは、絶対質量として表される。平均モル質量Mnは、全体分布から、または環状オリゴマーの寄与を考慮に入れなくない場合には低質量の切り捨て後に計算されてもよい。
工程(b)の終わりに、本発明による方法によって合成されたポリイミドは、好ましくは粒子の形態で回収され、これはとりわけ、追加の機械的粉砕が必要であることなく行われてもよい。一方、塊になっている可能性がある粒子の解凝集を実施することが有用であることもある。
本発明による方法によって得られるポリイミドは一般に、組成物を調製するために使用され得るし、組成物は、ポリイミドを様々な化合物、とりわけ充填材および/または添加剤と混合することによって得られる。本プロセスは、様々な化合物の性質に応じて、多かれ少なかれ高温で、そして多かれ少なかれ高い剪断力で行われる。化合物は、同時にかまたは逐次的に導入することができる。一般に、押出装置が用いられ、その装置中で材料は加熱され、次に溶融させられ、剪断力にかけられ、搬送される。特定の実施形態によれば、最終組成物の調製前に、任意選択的に溶融状態で、プレブレンドを調製することが可能である。マスターバッチを生成するために、例えば、ポリイミドの、樹脂中のプレブレンドを調製することが、例えば、可能である。
組成物は、補強材もしくは増量剤とのおよび/または衝撃改質剤とのおよび/または添加剤との、前に記載されたような製造方法によって得られたポリイミドの溶融混合もしくは非溶融混合によって得られてもよい。
前記組成物は任意選択的に、1つまたは複数の他のポリマーを含んでもよい。
前記組成物は、組成物の総重量に対して、20重量%〜90重量%、優先的には20重量%〜70重量%、より優先的には35重量%〜65重量%の、本発明によるポリイミドを含んでもよい。
前記組成物はまた、補強材または増量剤を含んでもよい。補強材または増量剤は、ポリアミドを特にベースとする、熱可塑性組成物の製造のために通常使用される充填材である。ガラス繊維、炭素繊維または有機繊維などの、補強繊維充填材、粒状または層状充填材などの非繊維充填材、および/または剥離性または非剥離性ナノ充填材、例えばアルミナ、カーボンブラック、粘土、リン酸ジルコニウム、カオリン、炭酸カルシウム、銅、珪藻土、黒鉛、雲母、シリカ、二酸化チタン、ゼオライト、タルク、ウォラストナイト、ポリマー充填材、例えば、ジメタクリレート粒子、ガラスビーズまたはガラス粉末が特に挙げられてもよい。好ましくは、特に、ガラス繊維などの、補強繊維が使用される。
前記組成物は、組成物の総重量に対して、5重量%〜60重量%、優先的には10重量%〜40重量%の補強材または増量剤を含んでもよい。
前に定義されたような本発明による方法によって得られたポリイミドを含む、前記組成物は、少なくとも1つの衝撃改質剤、すなわち、ポリイミド組成物の衝撃強度を改善することができる化合物を含んでもよい。これらの衝撃改質剤化合物は優先的には、ポリイミドと反応する官能基を含む。表現「ポリイミドと反応する官能基」は、特に共有結合、イオン相互作用または水素結合相互作用またはファンデルワールス結合によって、ポリイミドの酸無水物、酸またはアミン残留官能基と反応することができるかまたは化学的に相互作用することができる基を意味する。そのような反応性基は、ポリイミドマトリックス中の衝撃改質剤の効果的な分散を確実にする。例としては、酸無水物、エポキシド、エステル、アミンおよびカルボン酸官能基、ならびにカルボキシレ−トまたはスルホネート誘導体が挙げられる。
前記組成物はまた、ポリイミドまたはポリアミド組成物の製造のために一般に使用される添加剤を含んでもよい。こうして、潤滑剤、難燃剤、可塑剤、核形成剤、抗UV剤、触媒、酸化防止剤、帯電防止剤、染料、艶消し剤、成形補助剤または他の従来型添加剤が挙げられてもよい。
これらの充填材、衝撃改質剤および/または添加剤は、例えば、造塩中または重合中に、エンジニアリングプラスチックの分野でよく知られている好適な通常の手段によってポリイミドに添加されてもよい。
ポリイミド組成物は一般に、組成物に含まれる様々な化合物を加熱なしでまたは溶融体でブレンドすることによって得られる。本プロセスは、様々な化合物の性質に応じて、多かれ少なかれ高温で、そして多かれ少なかれ高い剪断力で行われる。化合物は同時にかまたは逐次的に導入することができる。一般に、押出装置が用いられ、その装置中で材料は加熱され、次に溶融させられ、剪断力にかけられ、搬送される。
単一操作中に、例えば押出操作中に溶融相で化合物をすべてブレンドすることが可能である。例えば、顆粒またはポリマー材料を、それらを溶融させるために、そしてそれらを多かれ少なかれ高い剪断にかけるために、ブレンドすること、それらを押出装置へ導入することが可能である。特有の実施形態によれば、最終組成物の調製前に、溶融体中でまたは溶融体中ではなく、化合物のいくつかをプレブレンドすることが可能である。
前に定義されたようなポリイミドまたは様々な組成物は、プラスチック物品の製造のための任意の成形方法のために使用され得る。
本発明による方法によって製造されるようなポリイミドを含むそのようなプラスチック物品が製造され得る。この目的に向けて、例えば、とりわけ自動車のまたはエレクトロニクスおよび電気の分野での、成形方法、とりわけ射出成形、押出成形、押出−吹込み成形、またはあるいはまた回転成形などの様々な技法が挙げられてもよい。押出成形方法はとりわけ、紡糸方法またはフィルムの製造方法であってよい。
その特に良好な流動性のおかげで、本発明による方法によって得られるポリイミドは、射出成形または溶融押出成形を含む成形操作に特に最適である。
連続繊維複合品または含浸布などの物品が製造され得る。これらの物品はとりわけ、布と、本発明による方法によって得られるポリイミド粒子とを固体状態または溶融状態で接触させることによって製造され得る。布は、特に接着剤接合、フェルト化、編み、織りまたはニッティングなどの、任意の方法によって一体化される糸または繊維をアセンブリングすることによって得られる織物面である。これらの布はまた、例えばガラス繊維、炭素繊維などをベースとする、繊維のまたはフィラメントのネットワークとも言われる。それらの構造は、ランダム、一方向性(1D)または多方向性(2D、2.5D、3Dなど)であってもよい。
本発明による方法によって得られるポリイミドはまた、ポリマー粉末層の選択的溶融、とりわけ、固相レーザー焼結での迅速プロトタイピングによる物品の製造方法に、粒子の形態で使用されてもよい。層の選択的溶融による製造は、所望の物体を与えるために、粉末形態での材料の層をレイダウンする工程と、層のある部分またはある領域を選択的に溶融させる工程と、粉末の新たな層をレイダウンする工程と、この層のある部分を再び溶融させる工程などとを含む物品の製造方法である。溶融されるべき層の部分の選択性は、例えば、吸収体、阻害剤、またはマスクの使用によって、または集中エネルギー、例えば、レーザービームなどの電磁放射線の入力によって得られる。層の添加による焼結が、特にレーザーを用いる焼結による迅速プロトタイピングが特に好ましい。
特殊言語が、本発明の原理の理解を容易にするために本説明で用いられる。それにもかかわらず、本発明の範囲の限定はこの特殊な言語の使用によってまったく想定されないことが理解されるべきである。変更、改善、および改良が、関連技術分野に精通した者により、その者自身の常識に基づいて特に想定され得る。
用語「および/または」は、意味および、または、ならびにこの用語に関連する要素の他の可能な組み合わせをすべて包含する。
本発明の他の詳細または利点は、純粋に表示の目的で下に示される実施例に照らし合わせてよりはっきりと明らかになるであろう。
測定プロトコル
熱重量分析(TGA)を、塩の調製中のモノマーの転化率を測定するために行った。用いられる機器は、Perkin−Elmer TGA−7である。塩試料を10℃毎分の速度で30℃から800℃まで加熱し、質量の損失を記録する。160℃〜300℃で検出される質量の損失は、重合反応によって発生した水の損失に相当する。後者と、完全転化の場合に観察されるであろう質量の最大理論損失との間の比は、塩の転化、したがって未反応モノマーの量を評価することを可能にする。
乾燥塩のモル比は、Mettler−Toledo T50機器を用いるpHメーター(pH−metric)滴定によって測定する。この滴定は、約0.5gの乾燥塩を含有する40mLの容積の水(それに1モル/Lの濃度での10mLの水酸化ナトリウムを添加する)に関して行う。使用される滴定溶液は、1モル/Lでの塩酸溶液である。第1当量容積(V1)によって特徴づけられる水酸化ナトリウム残留物の滴定は、逆滴定によるピロメリット酸(PMA)の量へのアクセスを提供する。当量容積の差(V2−V1)は、直接滴定による2−メチル−1,5−ジアミノペンタンの量を測定することを可能にする。滴定は、3つの試料に関して行う。塩のモル比はしたがって、テトラ酸のモル数とジアミンのモル数との間のモル比によって定義される。
示差走査熱量測定(DSC)分析は、合成ポリイミドの融点および結晶点を測定するために行う。用いられる機器は、Perkin−Elmer Pyris 1である。試料を、その温度がポリイミドの分解温度よりも下である、20℃から380℃までの第1温度上昇に、次に20℃までの冷却に、最後に10℃/分の速度での380℃までの第2上昇にかける。吸熱および発熱現象をこのシーケンス中に記録する。融点および結晶点は、それぞれの特性ピークの最高部で測定する。
実施例1(本発明による):バインダーとしての10%のエタノールを持った固体テトラ酸上へのジアミンの液体溶液の噴霧によるMPMD/PMA塩の調製
25.02g(0.1モル)のピロメリット酸(PMA)を、水平軸に対して20°よりも大きい傾きの軸に沿った回転運動によって攪拌される回転ドラム型の500ml反応器に入れる。反応器に、機械的応力による混合を改善するようにカウンターパドルを備え付ける。2−メチル−1,5−ジアミノペンタン(MPMD)のエタノール溶液を、26%の質量力価に達するために11.46g(0.1モル)のジアミンを4.06gのエタノール(Hexalab、純度>99.8%)と混合してすることによって調製する。こうして、ジアミン溶液のすべてが酸上へ注入されたとき、エタノールの質量力価は反応混合物中で10%である。
2−メチル−1,5−ジアミノペンタン/エタノール溶液を、3時間にわたって容積式計量供給ポンプを用いて反応媒体中へ添加する。注入される液体の量を、供給溶液の質量を量ることによってモニターする。液体ジアミン/エタノール溶液を、反応器の内部に配置されたフラット−コーン注入ノズルを用いて生成する噴霧の形態で固体テトラ酸上へ導入する。注入の全体にわたって、反応器を、30rpmで攪拌しながら、窒素の流れでフラッシュすることによる不活性雰囲気下で、30℃の温度に維持する。
2時間70℃の温度で300ミリバールでの減圧下の乾燥後に、形成塩は、均一な粒度の白色粉末の形態にある。
転化率を、熱重量分析によって評価する。こうして、合成塩を、10℃/分の加熱速度で800℃まで加熱する。160℃〜300℃の間でTGAによって記録される、そして重縮合反応に起因する水の損失に関連した質量の減少は18.9m%であり、それは、95%よりも大きいポリイミドへの塩の転化率に相当する。
合成塩は、1.04の平衡モル比を有する。
実施例2(比較):バインダーの不在下での固体テトラ酸上へのジアミンの液体溶液の噴霧によるMPMD/PMA塩の調製
25.02g(0.1モル)のピロメリット酸(PMA)を、水平軸に対して20°よりも大きい傾きの軸に沿った回転運動によって攪拌される回転ドラム型の500ml反応器に入れる。反応器に、機械的応力による混合を改善するようにカウンターパドルを備え付ける。11.47g(0.1モル)の液体2−メチル−1,5−ジアミノペンタン(MPMD)を、2時間30分にわたって容積式計量供給ポンプを用いて反応媒体に添加する。注入されるジアミンの量を、溶液の質量を量ることによってモニターする。液体ジアミンを、反応器の内部に配置されたフラット−コーン注入ノズルを用いて生成する噴霧の形態で固体テトラ酸上へ導入する。注入の全体にわたって、反応器を、30rpmで攪拌しながら、窒素の流れでフラッシュすることによる不活性雰囲気下で、30℃の温度に維持する。
2時間70℃の温度で300ミリバールでの減圧下の乾燥後に、形成塩は、塊を含有する白色粉末の形態にある。
転化率を評価するために、合成塩を、10℃/分の加熱速度で800℃まで加熱する。160℃〜300℃の間でTGAによって記録される、そして重縮合反応に起因する水の損失に関連した質量の減少はそのとき22.6m%であり、その値は、19.4m%である、最大理論損失値よりも大きい。この差は、この質量の損失が、乾燥中に除去されなかった過剰のテトラ酸の昇華が加算されなければならない、重縮合反応に由来する水の蒸発に相当するという事実によって説明される。
合成塩は、過剰のテトラ酸を裏付ける、1.2のモル比を有する。
最後に、ポリイミドへの塩の転化率は、これらの条件下で85%未満である。
実施例3(本発明による):210℃で固相でのポリイミドPI MPMD/PMAの製造
実施例1において調製された1.64gの塩MPMD/PMAを、機械攪拌機を備えた管中で210℃の温度にし、反応の全体にわたって窒素の制御された雰囲気下に維持する。4時間の反応後に、固体ブロック形態でのポリイミドが得られる。
339℃の融点および273℃の結晶点が、DSCによるポリイミドの熱特性の評価で観察される。
実施例4(比較):210℃で固相でのポリイミドPI MPMD/PMAの製造
実施例2において調製された1.53gの塩MPMD/PMAを、機械攪拌機を備えた管中で210℃の温度にし、反応の全体にわたって窒素の制御された雰囲気下に維持する。5時間の反応後に、固体ブロック形態でのポリイミドが得られる。
329℃の融点および224℃の結晶点が、DSCによるポリイミドの熱特性の評価で観察される。

Claims (15)

  1. 以下の工程:
    (a)固体状態での1つまたは複数の芳香族テトラカルボン酸と1つまたは複数のジアミンとを、任意選択的に1つまたは複数の鎖制限剤の存在下で、芳香族テトラカルボン酸、ジアミン、および任意選択の鎖制限剤の総重量に対して1〜25重量%の量で、1つまたは複数の有機液体を含む、1つまたは複数のバインダーの存在下で反応させることによる1つまたは複数の塩の調製の工程と、次に;
    (b)工程(a)において得られた塩の重合の工程と
    を含むことを特徴とする、芳香族ポリイミドの製造方法。
  2. バインダーが、芳香族テトラカルボン酸、ジアミン、および任意選択の鎖制限剤の総重量に対して、5〜20重量%、好ましくは10〜20重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 有機液体が、C〜C、優先的にはC〜Cアルコール、ケトン、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 工程(a)中に、バインダーが、ジアミンおよび/または鎖制限剤とのいずれかと一緒に、またはジアミンおよび/または鎖制限剤とは独立して導入されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 重合が、固体状態で、溶融体中で、または液体媒体中で工程(b)中に行われることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 塩が、芳香族テトラカルボン酸とジアミンとを、0.70〜1.30、優先的には0.95〜1.05の範囲の芳香族テトラカルボン酸対ジアミンのモル比で反応させることによって調製されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記芳香族テトラカルボン酸が、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸、および2,2’−ビス(3,4−ビカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ジアミンが、1つまたは複数のヘテロ原子を任意選択的に含む、線状または分岐の、飽和または不飽和の脂肪族、脂環式または芳香族二価炭化水素ベースの基Rを持った式HN−R−NHの分子であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 基Rが、2〜50個の炭素原子と、任意選択的に1つまたは複数のヘテロ原子とを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
  10. ジアミンが、脂肪族ジアミンから、好ましくは1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、2,2,7,7−テトラメチルオクタメチレンジアミン、1,9−ジアミノノナン、5−メチル−1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、および1,14−ジアミノテトラデカンから選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. ジアミンが、脂環式ジアミンから、好ましくはイソホロンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)および4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  12. ジアミンが、芳香族ジアミンから、好ましくはm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−キシリレンジアミンおよびp−キシリレンジアミンから選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記鎖制限剤が、アミン基、カルボン酸基、酸無水物基、エステル基およびアシルクロリド基から選択される1つまたは複数の基を含む化合物(C)であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 化合物(C)が、1−アミノペンタン、1−アミノヘキサン、1−アミノヘプタン、1−アミノオクタン、1−アミノノナン、1−アミノデカン、1−アミノウンデカン、1−アミノドデカン、ベンジルアミン、無水フタル酸、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、1,2−ベンゼンジカルボン酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ステアリン酸、メリト酸、トリメリット酸、フタル酸、1−ヘキサン酸、1,2,3,4,5−ベンゼンペンタカルボン酸、トリメリット酸無水物クロリドならびにその酸、エステルおよびジエステル誘導体、ベンゾイルクロリド、トルオイルクロリド、ナフトイルクロリド、テトラメチルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート、トリメチル1,2,4−ピロメリテート、トリメチル1,2,5−ピロメリテート、ジエチル1,2−ピロメリテート、ジエチル1,4−ピロメリテート、ジエチル1,5−ピロメリテート、ジメチル1,2−ピロメリテート、ジメチル1,4−ピロメリテート、ジメチル1,5−ピロメリテート、メチルピロメリテート、エチルピロメリテート、トリメチルトリメリテート、トリエチルトリメリテート、ジメチル1,3−トリメリテート、ジメチル1,4−トリメリテート、ジエチル1,3−トリメリテート、ジエチル1,4−トリメリテート、ジエチル3,4−トリメリテート、メチルトリメリテート、エチルトリメリテート、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸および1,12−ドデカン二酸、ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 工程(b)が、工程(a)の終わりに直接得られた混合物を150℃以上の、好ましくは150〜250℃の範囲の温度にすることによる、固相重合によって行われること、および、工程(b)中に、重合が、0.005〜1MPaの範囲の絶対圧で行われることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
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