JP2017537879A - クロスカップリング反応用の新規プレ触媒骨格、ならびにその作製方法および使用方法 - Google Patents

クロスカップリング反応用の新規プレ触媒骨格、ならびにその作製方法および使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、活性カップリング触媒を調製する上で有用な新規遷移金属プレ触媒を提供する。特定の態様では、本発明のプレ触媒は空気に安定であり、水分に安定である。本発明はさらに、本発明のプレ触媒の作製方法および使用方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は2014年10月8日出願の米国仮出願第62/061,319号の米国特許法119条(e)項に基づく優先権を主張し、その出願全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の背景
遷移金属触媒クロスカップリングは、全合成、材料、および生物有機化学などの、化学の様々な領域に応用されている。実際、クロスカップリングは最も強力かつ一般的な合成方法の1つである。特に、高血圧を処置するために使用されるロサルタン((2-ブチル-4-クロロ-1-{[2'-(1H-テトラゾール-5-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-イミダゾール-5-イル)メタノール)、およびHIVを処置するために使用されるアタザナビル(メチル N-[(1S)-1-{[(2S,3S)-3-ヒドロキシ-4-[(2S)-2-[(メトキシカルボニル)アミノ]-3,3-ジメチル-N'-{[4-(ピリジン-2-イル)フェニル]メチル}ブタンヒドラジド]-1-フェニルブタン-2-イル]カルバモイル}-2,2-ジメチルプロピル]カルバメート)などの、薬物の薬学的有効成分は、クロスカップリングを使用して合成される。
最も有効なクロスカップリング触媒は、Pdを利用するものであり、立体的にかさ高く電子豊富なホスフィンまたはN-複素環カルベン(NHC)補助配位子を特徴とする。触媒作用における活性種、通常は一配位Pd(0)は、多くの場合、過剰の配位子をPd(0)源に付加することを通じて生成される。しかし、大部分のクロスカップリング反応において利用される特殊な配位子は、多くの場合Pd(0)源と同じくらい高価であり、過剰な配位子の使用は経済的に実行可能ではない。代わりに、Pd:配位子比1:1を特徴とする種々の明確に規定されたPd(I)およびPd(II)プレ触媒が開発されている。
活性触媒種に効率的に変換可能な新規プレ触媒が、当技術分野においてなお求められている。本発明はこの要求に対処および適合するものである。
発明の簡単な概要
本発明は、式(I)のプレ触媒、またはその塩もしくは溶媒和物を提供する:
Figure 2017537879
(I)において、各Mは独立して遷移金属であり;各Xは独立して配位子であり;各Rは独立してアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、但し、各5員環は少なくとも1個の独立して選択されるRで置換されており;ZはCH、CR、またはNであり、但し、0〜2個のZ基はNであり; あるいは、5位および6位のZ基は無であり、4位および7位のZ基は独立してRであり;nは1、2、3、または4である。
本発明はさらに、式(II)のプレ触媒、またはその塩もしくは溶媒和物を提供する:
Figure 2017537879
(II)
(II)において、Mは遷移金属であり;Xは配位子であり;各Rは独立してアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、但し、5員環は少なくとも1個のRで置換されており;ZはCH、CR、またはNであり、但し、0〜2個のZ基はNであり; あるいは、5位および6位のZ基は無であり、4位および7位のZ基は独立してRであり;Lは単座配位子または二座配位子であり;nは1、2、3、または4である。
本発明はさらに、式(I)のプレ触媒を調製する方法を提供する。特定の態様では、本方法は、混合アルカリ/遷移金属またはアルカリ土類/遷移金属塩と、以下の配位子
Figure 2017537879
とを、有機溶媒中、塩基の存在下で接触させることで反応混合物を形成する工程を含む。
本発明はさらに、式(II)のプレ触媒を調製する方法を提供する。特定の態様では、本方法は、式(I)の触媒と本発明の範囲内と考えられる配位子とを接触させる工程を含む。
本発明はさらに、第1の試薬と第2の試薬との間の反応を促進する方法を提供する。特定の態様では、本方法は、第1の試薬と第2の試薬とを(a) 式(I)のプレ触媒および配位子; ならびに(b) 式(II)のプレ触媒からなる群より選択される少なくとも1つの存在下で接触させる工程を含む。
本発明はさらに、第一級または第二級アルコールの嫌気性酸化を促進する方法を提供する。特定の態様では、本方法は、第一級または第二級アルコールと(a) 式(I)のプレ触媒および配位子; ならびに(b) 式(II)のプレ触媒からなる群より選択される少なくとも1つとを接触させる工程を含む。
特定の態様では、(I)中の各Mは独立してPd、Ni、およびPtからなる群より選択される。他の態様では、(II)中のMはPd、Ni、およびPtからなる群より選択される。さらに他の態様では、(I)中の2個のMは同一である。さらに他の態様では、(I)中の2個のMはPdである。さらに他の態様では、(II)中のMはPdである。
特定の態様では、(I)中の2個のXは同一である。他の態様では、(I)中の2個の各Xは独立して弱配位性配位子である。さらに他の態様では、(I)中の2個の各Xは独立してハロゲン化物、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)、トシレート、メシレート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフィン、アセテート、トリフルオロアセテート、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、および水からなる群より選択される。さらに他の態様では、(I)中の2個の各Xはアニオンである。さらに他の態様では、(II)中のXはハロゲン化物、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)、トシレート、メシレート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフィン、アセテート、トリフルオロアセテート、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、および水からなる群より選択される。さらに他の態様では、(II)中のXはアニオンである。
特定の態様では、5員環を含む2個の配位子は同一である。他の態様では、各5員環は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。さらに他の態様では、各5員環は、メチル、イソプロピル、およびtert-ブチルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。さらに他の態様では、各5員環の1位または3位はRで置換されている。さらに他の態様では、各5員環の2位はRで置換されている。さらに他の態様では、各Zは独立してCHおよびCRからなる群より選択される。
特定の態様では、5員環は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。さらに他の態様では、5員環は、メチル、イソプロピル、およびtert-ブチルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。さらに他の態様では、5員環の1位または3位はRで置換されている。さらに他の態様では、5員環の2位はRで置換されている。さらに他の態様では、各Zは独立してCHおよびCRからなる群より選択される。
特定の態様では、Lは二座配位子であり、Xは存在しかつMに配位する。他の態様では、Lは二座配位子であり、Xは存在しないかまたはMに配位しない。さらに他の態様では、Xは弱配位性配位子である。さらに他の態様では、Lは1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-イリデンおよび1,3-ビス(2,6-ビス-(ジフェニルメチル)-4-メトキシフェニル)イミダゾール-2-イリデンからなる群より選択される。
特定の態様では、Lは単座ホスフィン配位子である。他の態様では、Lは二座ホスフィン配位子である。
特定の態様では、Lは、AmPhos(ジ-t-ブチルホスフィノ-4-ジメチルアミノベンゼン)、DavePhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル)、tBuDavePhos(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル)、QPhos(1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1'-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン)、RuPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジイソプロポキシビフェニル)、SPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル)、XPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル)、tBuXPhos(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル)、Me4tBuXPhos(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)、BrettPhos(2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)3,6-ジメトキシ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)、tBuBrettPhos(2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-3,6-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル)、AdBrettPhos(2-(ジアダマンチルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-3,6-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル)、Me-DalPhos(2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)フェニルピペリジン)、Mor-DalPhos(ジ(1-アダマンチル)-2-モルホリノフェニルホスフィン)、ジ(1-アダマンチル)-1-ピペリジニル-フェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、およびトリ(t-ブチル)ホスフィンからなる群より選択される少なくとも1つである。
特定の態様では、Lは1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(XantPhos)、4,6-ビス(ジフェニルホスファニル)-10H-フェノキサジン(NiXantPhos)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(dppm)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)、2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(BINAP)、ビス[(2-ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル(DPEPhos)、1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)エタン、および1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-エタン(dcpe)からなる群より選択される。
特定の態様では、塩基は炭酸ナトリウムを含む。他の態様では、有機溶媒はメタノールを含む。さらに他の態様では、プレ触媒は反応混合物から析出する。さらに他の態様では、混合塩は[E]MX2を含み、[E]はNa2、K2、Ca、またはMgである。さらに他の態様では、混合塩はNa2PdCl2を含む。さらに他の態様では、混合アルカリ/遷移金属塩または混合アルカリ土類/遷移金属塩は、MX2とアルカリまたはアルカリ土類塩とを溶液中で接触させることで調製される。
特定の態様では、本発明の範囲内と考えられる配位子はN-複素環カルベンである。
特定の態様では、第1の試薬は芳香族またはヘテロ芳香族ボロン酸またはボロン酸エステルであり、第2の試薬は芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである。他の態様では、第1の試薬は芳香族またはヘテロ芳香族アミンであり、第2の試薬は芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである。さらに他の態様では、第1の試薬は芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化亜鉛であり、第2の試薬は芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである。さらに他の態様では、第1の試薬は芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化マグネシウムであり、第2の試薬は芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである。さらに他の態様では、第1の試薬は芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化スズであり、第2の試薬は芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである。さらに他の態様では、第1の試薬はケトン、アルデヒド、イミン、アミド、またはエステルであり、第2の試薬は芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである。さらに他の態様では、第1の試薬はアルコールまたはチオールであり、第2の試薬は芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである。さらに他の態様では、第1の試薬は芳香族またはヘテロ芳香族シラノール、シロキサン、またはシランであり、第2の試薬は芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである。
本発明を例示する目的で、本発明の特定の態様を図面に示す。しかし、本発明は、図面に示される態様の正確な配置および手段に限定されない。
プレ触媒(1)および(2)を含むPd対配位子比1:1の市販のプレ触媒を示す、分子構造のセットである。 本発明のプレ触媒を使用して実行可能な例示的反応スキームのセットである。 個々のプレ触媒により触媒される鈴木・宮浦反応の収率(ガスクロマトグラフィーまたはGCにより確定)を示すグラフである。 KOiPr(KOtBuからiPrOH中で生成)による(η3-アリル)Pd(IPr)(Cl)型のプレ触媒の活性化の経路を示すスキームである。Pd(0)の活性化速度(工程i)およびPd(I)の均等化(工程ii)はいずれも触媒活性に影響する。 インデニルプレ触媒骨格およびIPr担持プレ触媒の合成を示すスキームである。 d4-MeOH中、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(dvds)の存在下でのK2CO3による1の活性化における、速度定数観察値対塩基の当量数のグラフである。 4d-IPr*OMeにより触媒されるテトラオルト置換ビアリール生成物を生成するための一連の鈴木・宮浦反応の生成物収率を示す。ArX(0.50mmol)、ArB(OH)2(0.75mmol)、KOH(1.0mmol)、4d-IPr*OMe(0.5または1.0mol%)、THF(1.0mL); 単離収率は2回の実行の平均。 ホスフィン担持プレ触媒の調製および収率を示す。 2-複素環ボロン酸が関与する鈴木・宮浦反応の生成物の収率を示す。ArCl(1.0mmol)、ArB(OH)2(1.5mmol)、K2CO3(2.0mmol)、4d-XPhos(1.0mol%)、MeOH(4mL)、THF(2mL); 単離収率は2回の実行の平均。 無保護インダゾールまたはベンゾイミダゾールが関与する鈴木・宮浦反応の生成物の収率を示す。ArCl(1.0mmol)、ArB(OH)2(2.0mmol)、K2CO3(2.0mmol)、4d-SPhos(2.0mol%)、1,4-ジオキサン(4mL)、MeOH(2mL); 単離収率は2回の実行の平均。 第二級アミンが関与するBuchwald-Hartwig反応の生成物の収率を示す。ArCl(1.0mmol)、アミン(1.2mmol)、NaOtBu(1.2mmol)、4d-RuPhos(0.5mol%)、RuPhos(0.5mol%)、THF(1mL); 単離収率は2回の実行の平均。a 4d-XPhos使用。b ArBr使用。 アリールメチルケトンのα-アリール化による生成物の収率を示す。ArCl(0.53mmol)、ケトン(0.5mmol)、KOtBu(1.2mmol)、4d-XPhos(1.0mol%)、THF(4mL)、MeOH(1mL); 単離収率は2回の実行の平均。 アルキルトリフルオロボロネートが関与する鈴木・宮浦反応の生成物の収率を示す。ArCl(0.5mmol)、R'R''CH-BF3K(0.75mmol)、K2CO3(1.5mmol)、4d-PtBu3(1.0〜2.0mol%)、トルエン(1.0mL)、H2O(0.5mL); 単離収率は2回の実行の平均。 4b-IPrの例示的ORTEPを含む。楕円体は確率30%で示される。IPrのiPr基、および水素原子はわかりやすくするために省略する。 4c-IPrの例示的ORTEPを含む。楕円体は確率30%で示される。IPrのiPr基、および水素原子はわかりやすくするために省略する。 4d-IPrの例示的ORTEPを含む。楕円体は確率30%で示される。IPrのiPr基、および水素原子はわかりやすくするために省略する。 4d-BrettPhosの例示的ORTEPを含む。楕円体は確率30%で示される。IPrのiPr基、および水素原子はわかりやすくするために省略する。
発明の詳細な説明
本発明は、活性カップリング触媒を調製する上で有用な新規遷移金属プレ触媒の予想外の発見に関する。特定の態様では、本発明のプレ触媒は空気に安定であり、水分に安定である。他の態様では、本発明のプレ触媒は、式(I)の二量体プレ触媒または式(II)の単量体プレ触媒を含む。本発明はさらに、本発明のプレ触媒の作製方法および使用方法を提供する。
定義
本明細書において使用される以下の各用語は、本節においてそれに関連づけられる意味を有する。
別途定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を一般に有する。一般に、本明細書において使用される命名法、ならびに動物薬理学、薬科学、分離科学、および有機化学における実験室法は、当技術分野において周知でかつ一般的に使用されるものである。
本明細書において使用される「a」および「an」という冠詞は、該冠詞の文法上の対象が1つまたは複数(すなわち少なくとも1つ)であることを意味する。例えば、「ある要素」とは1つの要素または複数の要素を意味する。
本明細書において使用される「約」という用語は、当業者に理解されているものであり、それが使用される文脈によってある程度変動する。量、持続時間などの測定可能な値に言及する際に本明細書において使用される「約」という用語は、特定の値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらに好ましくは±1%、さらに好ましくは±0.1%の変動を、開示される方法を行う上でそのような変動が適切である場合に包含するように意図されている。
本明細書において使用される、単独でまたは他の用語との組み合わせで使用される「アルケニル」という用語は、別途記載がない限り、記載される数の炭素原子を有する安定な一不飽和または二不飽和の直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味する。例としてはビニル、プロペニル(またはアリル)、クロチル、イソペンテニル、ブタジエニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、ならびに高級同族体および異性体が挙げられる。アルケンを表す官能基は-CH2-CH=CH2によって例示される。
本明細書において使用される、単独でまたは他の用語との組み合わせで使用される「アルコキシ」という用語は、別途記載がない限り、酸素原子によって分子の残りに接続された、指定数の炭素原子を有する上記定義のアルキル基、例えばメトキシ、エトキシ、1-プロポキシ、2-プロポキシ(イソプロポキシ)、ならびに高級同族体および異性体を意味する。具体例としては、エトキシおよびメトキシなどであるがそれに限定されない(C1〜C3)アルコキシがある。
本明細書において使用される、単独でのまたは別の置換基の一部としての「アルキル」という用語は、別途記載がない限り、指定数の炭素原子を有する(すなわちC1〜C10とは1〜10個の炭素原子を意味する)直鎖または分岐鎖の炭化水素を意味し、直鎖、分岐鎖、または環状の置換基を含む。例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、およびシクロプロピルメチルが挙げられる。選択される例としては、エチル、メチル、イソプロピル、イソブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、およびシクロプロピルメチルなどであるがそれに限定されない(C1〜C6)アルキルがある。
本明細書において使用される、単独でまたは他の用語との組み合わせで使用される「アルキニル」という用語は、別途記載がない限り、記載される数の炭素原子を有する三重炭素-炭素結合を伴う安定な直鎖または分岐鎖の炭化水素基を意味する。非限定的な例としてはエチニルおよびプロピニル、ならびに高級同族体および異性体が挙げられる。「プロパルギル」という用語は、-CH2-C≡CHによって例示される基を意味する。「ホモプロパルギル」という用語は、-CH2CH2-C≡CHによって例示される基を意味する。「置換プロパルギル」という用語は、-CR2-C≡CR'によって例示される基を意味し、ここで各R'は独立してH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、または置換アルケニルであり、但し、少なくとも1個のR'基は水素ではない。「置換ホモプロパルギル」という用語は、-CR'2CR'2-C≡CR'によって例示される基を意味し、ここで各R'は独立してH、アルキル、置換アルキル、アルケニル、または置換アルケニルであり、但し、少なくとも1個のR'基は水素ではない。
本明細書において使用される「AmPhos」という用語はジ-t-ブチルホスフィノ-4-ジメチルアミノベンゼンを意味する。
本明細書において使用される「芳香族」という用語は、1個または複数のポリ不飽和環を有しかつ芳香族性を有する、すなわちnが整数である(4n+2)個の非局在化π(パイ)電子を有する、炭素環または複素環を意味する。
本明細書において使用される、単独でまたは他の用語との組み合わせで使用される「アリール」という用語は、別途記載がない限り、1個または複数の環(通常は1個、2個、または3個の環)を含有する炭素環式芳香族系を意味し、ここで、そのような環はビフェニルのようにペンダント式で一緒に結合してもよければ、ナフタレンのように縮合してもよい。例としてはフェニル、アントラシル、およびナフチルが挙げられる。
本明細書において使用される「アリール-(C1〜C3)アルキル」という用語は、炭素数1〜3のアルキレン鎖がアリール基に結合した官能基、例えば-CH2CH2-フェニルまたは-CH2-フェニル(ベンジル)を意味する。具体例としてはアリール-CH2-およびアリール-CH(CH3)-がある。「置換アリール-(C1〜C3)アルキル」という用語は、アリール基が置換されたアリール-(C1〜C3)アルキル官能基を意味する。具体例としては置換アリール(CH2)-がある。同様に、「ヘテロアリール-(C1〜C3)アルキル」という用語は、炭素数1〜3のアルキレン鎖がヘテロアリール基に結合した官能基、例えば-CH2CH2-ピリジルを意味する。具体例としてはヘテロアリール-(CH2)-がある。「置換ヘテロアリール-(C1〜C3)アルキル」という用語は、ヘテロアリール基が置換されたヘテロアリール-(C1〜C3)アルキル官能基を意味する。具体例としては置換ヘテロアリール-(CH2)-がある。
本明細書において使用される、単独でのまたは別の置換基の一部としての「シクロアルキル」という用語は、別途記載がない限り、指定数の炭素原子を有する(すなわちC3〜C6とは、3〜6個の炭素原子からなる環基を含む環状基を意味する)環状鎖の炭化水素を意味し、直鎖、分岐鎖、または環状の置換基を含む。例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。他の例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルなどであるがそれに限定されない(C3〜C6)シクロアルキルがある。
本明細書において使用される「DavePhos」という用語は2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニルを意味する。
本明細書において使用される「dvds」という用語は1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンを意味する。
本明細書において使用される「ハロゲン化物」という用語は、負電荷を有するハロゲン原子を意味する。ハロゲン化物アニオンとはフッ化物(F-)、塩化物(Cl-)、臭化物(Br-)、およびヨウ化物(I-)のことである。
本明細書において使用される、単独でのまたは別の置換基の一部としての「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、別途記載がない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。
本明細書において使用される、単独でのまたは別の用語との組み合わせでの「ヘテロアルケニル」という用語は、別途記載がない限り、記載される数の炭素原子とO、N、およびSからなる群より選択される1個または2個のヘテロ原子とからなり、窒素原子および硫黄原子が酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子が四級化されていてもよい、安定な直鎖または分岐鎖の一不飽和または二不飽和のアルキル基を意味する。最大2個のヘテロ原子が連続的に配置されうる。例としては-CH=CH-O-CH3、-CH=CH-CH2-OH、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、および-CH2-CH=CH-CH2-SHが挙げられる。
本明細書において使用される、単独でのまたは別の用語との組み合わせでの「ヘテロアルキル」という用語は、別途記載がない限り、記載される数の炭素原子とO、N、およびSからなる群より選択される1個または2個のヘテロ原子とからなり、窒素原子および硫黄原子が酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子が四級化されていてもよい、安定な直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の残りとヘテロアルキル基が結合している断片との間を含むヘテロアルキル基の任意の位置に配置されうるし、かつ、ヘテロアルキル基の最も遠位の炭素原子に結合しうる。例としては-O-CH2-CH2-CH3、-CH2-CH2-CH2-OH、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、および-CH2CH2-S(=O)-CH3が挙げられる。例えば-CH2-NH-OCH3または-CH2-CH2-S-S-CH3などのように最大2個のヘテロ原子が連続的であってもよい。
本明細書において使用される、単独でのまたは別の置換基の一部としての「複素環」または「ヘテロシクリル」または「複素環式」という用語は、別途記載がない限り、炭素原子とN、O、およびSからなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子とからなり、窒素および硫黄ヘテロ原子が酸化されていてもよく、窒素原子が四級化されていてもよい、非置換または置換の安定な単環式または多環式の複素環系を意味する。複素環系は、別途記載がない限り、安定な構造を与える任意のヘテロ原子または炭素原子において結合しうる。複素環は芳香族性または非芳香族性でありうる。特定の態様では、複素環はヘテロアリールである。
本明細書において使用される「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」という用語は、芳香族性を有する複素環を意味する。多環式ヘテロアリールは、部分飽和の1個または複数の環を含みうる。例としてはテトラヒドロキノリンおよび2,3-ジヒドロベンゾフリルが挙げられる。
非芳香族複素環の例としてはアジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ジオキソラン、スルホラン、2,3-ジヒドロフラン、2,5-ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、チオファン、ピペリジン、1,2,3,6-テトラヒドロピリジン、1,4-ジヒドロピリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、2,3-ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ホモピペラジン、ホモピペリジン、1,3-ジオキセパン、4,7-ジヒドロ-1,3-ジオキセピン、およびヘキサメチレンオキシドなどの単環式基が挙げられる。
ヘテロアリール基の例としてはピリジル、ピラジニル、ピリミジニル(2-および4-ピリミジニルなどであるがそれに限定されない)、ピリダジニル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、ならびに1,3,4-オキサジアゾリルが挙げられる。
多環式複素環の例としてはインドリル(3-、4-、5-、6-、および7-インドリルなどであるがそれに限定されない)、インドリニル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル(1-および5-イソキノリルなどであるがそれに限定されない)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリル、シンノリニル、キノキサリニル(2-および5-キノキサリニルなどであるがそれに限定されない)、キナゾリニル、フタラジニル、1,8-ナフチリジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、クマリン、ジヒドロクマリン、1,5-ナフチリジニル、ベンゾフリル(3-、4-、5-、6-、および7-ベンゾフリルなどであるがそれに限定されない)、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,2-ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチエニル(3-、4-、5-、6-、および7-ベンゾチエニルなどであるがそれに限定されない)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル(2-ベンゾチアゾリルおよび5-ベンゾチアゾリルなどであるがそれに限定されない)、プリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、チオキサンチニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、ピロリジジニル、ならびにキノリジジニルが挙げられる。
ヘテロシクリル部分およびヘテロアリール部分の上述のリストは、代表的であるように意図されており、限定的であるようには意図されていない。
本明細書において使用される「IPr」という用語は、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-イリデンを意味する。
本明細書において使用される「IPr*OMe」という用語は、1,3-ビス(2,6-ビス-(ジフェニルメチル)-4-メトキシフェニル)イミダゾール-2-イリデンを意味する。
本明細書において使用される「配位子」という用語は、金属中心に配位可能な任意の有機または無機の分子またはイオンを意味する。特定の態様では、配位子は、金属中心に配位可能な1個または複数の孤立電子対を含む。
本明細書において使用される「プレ触媒」という用語は、特定の反応条件下で活性クロスカップリング触媒に変換される遷移金属含有錯体を意味する。特定の態様では、プレ触媒は二量体であり、すなわち分子当たり2個の遷移金属を含有する。他の態様では、プレ触媒は単量体であり、すなわち分子当たり1個の遷移金属を含有する。さらに他の態様では、プレ触媒から活性クロスカップリング触媒への変換は、プレ触媒と選択される配位子とを接触させることを含む。
本明細書において使用される「QPhos」という用語は1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1'-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセンを意味する。
本明細書において使用される「RuPhos」という用語は2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジイソプロポキシビフェニルを意味する。
本明細書において使用される「SPhos」という用語は2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニルを意味する。
本明細書において使用される「置換された」という用語は、原子または原子群が水素を、別の基に結合した置換基として置き換えたことを意味する。
本明細書において使用される「置換アルキル」、「置換シクロアルキル」、「置換アルケニル」、または「置換アルキニル」という用語は、ハロゲン、-OH、アルコキシ、テトラヒドロ-2-H-ピラニル、-NH2、-N(CH3)2、(1-メチル-イミダゾール-2-イル)、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、-C(=O)OH、トリフルオロメチル、-C≡N、-C(=O)O(C1〜C4)アルキル、-C(=O)NH2、-C(=O)NH(C1〜C4)アルキル、-C(=O)N((C1〜C4)アルキル)2、-SO2NH2、-C(=NH)NH2、および-NO2からなる群より選択される1個、2個、または3個の置換基で置換される、好ましくは、ハロゲン、-OH、アルコキシ、-NH2、トリフルオロメチル、-N(CH3)2、および-C(=O)OHより選択され、より好ましくはハロゲン、アルコキシ、および-OHより選択される1個または2個の置換基を含有する、上記定義のアルキル、シクロアルキル、アルケニル、またはアルキニルを意味する。置換アルキルの例としては2,2-ジフルオロプロピル、2-カルボキシシクロペンチル、および3-クロロプロピルが挙げられるがそれに限定されない。
アリール基、アリール-(C1〜C3)アルキル基、およびヘテロシクリル基では、これらの基の環に適用される「置換された」という用語は、任意の許容される置換のレベル、すなわち一置換、二置換、三置換、四置換、または五置換を意味する。置換基は独立して選択されるものであり、置換は任意の化学的に利用可能な位置に存在しうる。特定の態様では、置換基の数は1個から4個まで変動する。別の態様では、置換基の数は1個〜3個で変動する。さらに別の態様では、置換基の数は1個〜2個で変動する。さらに別の態様では、置換基は独立してC1〜6アルキル、-OH、C1〜6アルコキシ、ハロ、アミノ、アセトアミド、およびニトロからなる群より選択される。本明細書において使用される置換基がアルキル基またはアルコキシ基である場合、炭素鎖は分岐状、直鎖状、または環状でありうる。
本明細書において使用される「XPhos」という用語は2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニルを意味する。
範囲: 本開示を通じて、本発明の様々な局面を範囲という形で提示することができる。範囲という形での記述が、単に便宜および簡潔さを目的としており、本発明の範囲に対する硬直的な制限と解釈されるべきではないということを理解すべきである。したがって、範囲に関する記述は、すべての可能な部分範囲、およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示したものと考えるべきである。例えば、1〜6などの範囲に関する記述は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々のおよび部分的な数、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を具体的に開示したものと考えるべきである。このことは範囲の幅に関係なく当てはまる。
説明
本発明は、活性カップリング触媒を調製する上で有用な新規遷移金属プレ触媒の予想外の発見に関する。特定の態様では、本発明のプレ触媒は空気に安定であり、水分に安定である。本発明は、本発明のプレ触媒の作製方法および使用方法を提供する。
一局面では、Pd(II)プレ触媒の有効性の主要な特徴は、反応条件下での一配位L-Pd(0)活性種への変換の速度および効率である。例えば、Nolan型(η3-アリル)Pd(NHC)(Cl)プレ触媒の効率は2つの要因に関する: (i) 触媒活性L-Pd(0)種を形成するための配位プレ触媒骨格の活性化速度、および(ii) (μ-アリル)(μ-Cl)Pd2(L)2型のPd(I)μ-アリル二量体を形成しかつ反応混合物からL-Pd(0)を除去する、L-Pd(0)と出発プレ触媒との間の均等化(図4)。特定の態様では、アリル配位子の1位に置換基を有する単量体プレ触媒は活性がある。というのも、一配位L-Pd(0)と均等化してPd(I)二量体を形成する可能性が低いからである。その結果、活性L-Pd(0)は、隔離されてより低活性の二量体になるよりも優先的に、基質による酸化的付加を経る。しかし、最も高活性の1-置換プレ触媒の場合であっても、ある程度のPd(約35%)がPd(I)二量体の形態中に捕捉されることがある。
本明細書に示すように、均等化に対する障壁をさらに増加させることで、改善されたプレ触媒を設計することができる。特定の態様では、Pd(I)を形成するPd(II)とPd(0)との間の有害な均等化よりもPd(II)からPd(0)への変換が著しく速くなるように、Pd(II)プレ触媒をPd(0)に変換する速度を増加させる。特定の態様では、本発明のプレ触媒は、著しい量の不活性Pd(I)二量体を形成することなく、触媒作用に関与する。他の態様では、本発明のプレ触媒はホスフィンまたはN-複素環カルベン(NHC)配位子と適合性がある。
本開示は、鈴木・宮浦反応に通常使用される条件下での(η3-アリル)Pd(IPr)(Cl)型のプレ触媒におけるPd(II)からPd(0)への変換に対する最初の包括的な見識を提供する。本開示はさらに、弱塩基および強塩基の両方との鈴木・宮浦反応において(η3-シンナミル)Pd(IPr)(Cl)よりも著しく効率的な新規プレ触媒(η3-1-tBu-インデニル)Pd(IPr)(Cl)を提供する。特定の態様では、二量体化合物(η3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2は、適切な配位子との組み合わせでプレ触媒として使用され、やはりその二量体類似体(η3-シンナミル)2(μ-Cl)2Pd2よりも優れている。
特定の態様では、本発明の新規プレ触媒骨格は少なくとも以下の反応において使用することができる: 鈴木・宮浦、Buchwald-Hartwig、熊田、薗頭、Heck、C-SおよびC-O結合形成、アルデヒドのα-アリール化、ケトンのα-アリール化、アミドのα-アリール化、複素環のα-アリール化、ならびにアルコールの嫌気性酸化。
Pd(II)インデニル錯体の合成
適切な遊離配位子との反応を通じて単量体化合物(η3-インデニル)Pd(IPr)(Cl)(4a-IPr)に変換可能なインデニル二量体(η3-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2(3a)の現行の合成は、3つの工程を必要とし、空気感受性試薬を利用する。
本明細書に示すように、この反応は、空気感受性試薬の使用なしに好気性条件下でワンポット合成として行うことができる(図5)。本発明の合成において、1当量のNa2PdCl4(PdCl2および2当量のNaClからインサイチューで生成)をMeOH中にてインデンおよびNa2CO3で処理した。混合物を室温で2時間攪拌した。この間に褐色固体が溶液から析出した。次にこれを濾過し、水およびジエチルエーテルで順次洗浄して3aを高収率(84%)および高純度で得た。この方法を、適切に置換されたインデンで出発して3つの関連する置換インデニル二量体(η3-1-R-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2(R = Me(3b)、iPr(3c)、またはtBu(3d))を良好な収率(すべての場合で70%超)で調製するためにも使用した。あるいは、NaHCO3を3dの合成における塩基として、収率の減少なしで使用することもできる。
続いて、二量体錯体を2当量のIPrで処理して単量体錯体(η3-1-R-インデニル)Pd(IPr)(Cl)(R = H(4a-IPr)、Me(4b-IPr)、iPr(4c-IPr)、またはtBu(4d-IPr))を高収率(約80%)で生成した。新規錯体4b-IPr、4c-IPr、および4d-IPrを完全に特性評価した。全体として、4a-IPrの新規2工程合成は、以前に報告された合成の著しい改善である。
Pd(II)からPd(0)への活性化
特定の態様では、(η3-アリル)Pd(IPr)(Cl)からのPd(0)の形成における律速段階は、η3-アリル型配位子からη1-アリル配位子への変換を包含する。他の態様では、変換は1-置換種において立体因子が理由で比較的容易である。さらに他の態様では、変換はη3-インデニル配位子などの1,3-二置換η3-アリル配位子において比較的高速度で進行する。
η3-アリル、η3-シンナミル、およびη3-インデニル配位子を含有する錯体の活性化速度を比較し、得られた結果によってPd(II)からPd(0)への変換の機構の解明が可能になった。Pd(II)錯体1-IPr、2-IPr、4a-IPr、および4d-IPrからPd(0)への変換速度を、これらの化合物を10当量の1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(dvds)の存在下、塩基で処理することで試験した(表1)。すべての場合において、これらの反応の生成物は、様々な異なる有機副生成物と共に、Pd(0)錯体(IPr)Pd(dvds)である(表2)。これらの反応は触媒作用におけるPd(II)からPd(0)への初期還元を模擬的に示すものであり、触媒作用では、不安定な一配位Pd(0)錯体への酸化的付加が続いて生じることで触媒プロセスが開始する。
触媒作用に関連性のある3つの異なる種類の反応条件を調査した。第1の条件のセットは、塩基としてのKOtBuおよび溶媒としてのd8-iPrOHを包含した(均一な反応条件を確実にするために少量のd8-THFも加えた)。第2の条件のセットは、K2CO3、および溶媒としてのd4-MeOHを包含した。これらの条件下では、K2CO3は可溶性ではなく、1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタデカン(18-クラウン-6)が可溶化剤として使用された。第3の条件のセットは、塩基としてのKOtBuおよび溶媒としてのd4-MeOHを包含した。
(表1)dvdsの存在下での1-IPr、2-IPr、4a-IPr、または4d-IPrの活性化速度a
Figure 2017537879
a 反応条件: 溶媒500μL中1-IPr、2-IPr、4a-IPr、または4d-IPr 0.0087mmol、塩基0.087mmol、dvds 0.087mmol。
b d8-THF 100μLをiPrOH 400μLのみと共に加えた。
c 2当量の18-クラウン-6(K2CO3に対して)を加えてK2CO3を可溶化した。
d d4-MeOH 500μL中プレ触媒0.0087mmol、フェニルボロン酸0.087mmol、塩基0.096mmol、dvds 0.087mmol。
e すべての速度は少なくとも2回の実行の平均である。
f 実験は0℃で行った。
(表2)dvdsの存在下での1-IPr、2-IPr、4a-IPr、または4d-IPrの活性化による副生成物a
Figure 2017537879
a 重水素化溶媒よりもむしろプロチオ溶媒を利用することで、溶媒から生じた有機副生成物を確定したことを除けば、表1に記載のものと同じ反応条件を利用した。
インデニル錯体4a-IPrおよび4d-IPrはすべての場合で最も速く活性化された。多くの場合、活性化が高速であったことから、1H NMR分光法を使用して25℃で最小速度を推定することしかできなかった。表1に記載のものと類似した0℃での一連の反応により、本発明者らは、4d-IPrが4a-IPrよりもわずかに速く活性化されることを確定することができた。予想通り、d8-iPrOH中でのKOtBuの鈴木・宮浦反応の伝統的なクロスカップリング条件を使用すると、シンナミル種2-IPrは非置換種1-IPrよりも著しく速く活性化された。しかし、弱塩基とのクロスカップリングについて開発された条件(d4-MeOH中でのK2CO3)下では、1-IPrは2-IPrよりも速く活性化された。d4-MeOH中で塩基をK2CO3からKOtBuに変えた際に、1-IPrおよび2-IPrの両方において活性化がわずかに高速化されたことが観察され、非置換種1-IPrの速度はやはり2-IPrよりも速かった。
活性化による有機副生成物を1Hまたは13C NMR分光法を使用して同定および定量化した。1-IPr、2-IPr、4a-IPr、および4d-IPrを使用する活性化試験において、すべての条件下でそれぞれプロペン、アリルベンゼン、インデン、および1-tBu-インデンが副生成物として収率95%超で観察された。さらに、13C NMR分光法を使用して確定されたように、iPrOH中で行われたすべての反応において、アセトンが高収率で形成された。理論に拘束されることは望ましくないが、MeOH中で行われる反応において、ホルムアルデヒドが副生成物でありうる。
特定の態様では、1-IPr、2-IPr、4a-IPr、および4d-IPrの活性化における関連副生成物の出現は、反応が同様の機構をたどることを示唆している。この観察と一致して、すべての反応はPdに関して一次反応であった。1-IPrを代表的化合物として使用した一連の実験は、溶媒および塩基の選択にもかかわらず、1-IPrの活性化が塩基に関して一次反応であったことを示した(図6)。10当量のフェニルボロン酸(鈴木・宮浦反応におけるカップリングパートナー)の存在下で実験を行った際に、活性化速度に影響する塩基濃度と一致して、速度の低下が観察された。しかし、反応副生成物はなお同じであった。このことは、ボロン酸の初期トランスメタル化とそれに続く還元的脱離とを包含する活性化の経路が生じないことを示している。理論に拘束されることは望ましくないが、ボロン酸は、活性化において直接的役割を果たすよりもむしろ、塩基の有効濃度を減少させる。
dvdsの非存在下では、1-IPr、2-IPr、および4a-IPrの活性化によるPd含有生成物は、架橋アリルまたはインデニル配位子を有するPd(I)二量体であり、一方、有機副生成物はdvdsで観察されたものと同じであった。しかし、Pd(I)二量体は反応条件下で可溶性ではなく、これによりデータの慎重な動態解析が妨げられた。にもかかわらず、定性的解析は、dvdsの非存在下で行われた活性化実験がdvdsの存在下での傾向と同じ傾向を示し、インデニル錯体4a-IPrが1-IPrまたは2-IPrよりも著しく速く活性化されたことを示した(表3)。理論に拘束されることは望ましくないが、dvdsの存在下での活性化速度について出された結論は、dvdsを含有しない触媒系にも関連性がある。
(表3)dvdsの非存在下での1-IPr、2-IPr、または4a-IPrの活性化速度a
Figure 2017537879
a 反応条件: 溶媒500μL中1-IPr、2-IPr、または4a-IPr 0.0087mmol、塩基0.087mmol。
b d8-THF 100μLをiPrOH 400μLのみと共に加えた。
c 2当量の18-クラウン-6(K2CO3に対して)を加えてK2CO3を可溶化した。
d d4-MeOH 500μL中プレ触媒0.0087mmol、フェニルボロン酸0.087mmol、塩基0.096mmol。
e 錯体までのすべての時間は少なくとも2回の実行の平均である。
触媒実験およびPd(I)二量体形成
本明細書に示すように、インデニル系4a-IPrおよび4d-IPrは、様々な条件下でシンナミル系2-IPrよりも速くPd(II)からPd(0)に還元された。特定の態様では、4a-IPrおよび4d-IPrは、触媒混合物からPd(0)を除去する有害な副反応が最小化されれば、より良い鈴木・宮浦反応用プレ触媒となる。
2-IPr、およびインデニル錯体4a-IPr〜4d-IPrのファミリーを、弱塩基(K2CO3)および強塩基(KOtBu)の両方を使用する、塩化アリールが関与する鈴木・宮浦反応用のプレ触媒として試験した(図3)。結果は、両セットの条件下でインデニル担持プレ触媒がシンナミル担持種よりも高活性であったことを示す。これは、触媒条件下でPd(II)からPd(0)により速く還元されることと一致している。さらに、η3-インデニル配位子上の置換基のサイズが増加したことから、プレ触媒はより高活性になり、最も効率的なプレ触媒は4d-IPrであった。
図3は、19:1 MeOH:THF混合物中で弱塩基(K2CO3)および強塩基(KOtBu)の両方を使用する(それぞれ条件Aおよび条件B)、4-クロロトルエンとフェニルボロン酸との鈴木・宮浦反応用のプレ触媒として、インデニル錯体4a-IPr、4b-IPr、4c-IPr、および4d-IPrを使用して得られた収率%を示す。比較のために、Nolanプレ触媒(η3-シンナミル)Pd(Cl)(IPr)(2a-IPrとしても知られる)およびOrganプレ触媒(3-クロロピリジン)Pd(Cl)2(IPr)(PEPPSI-IPrとしても知られる)の両方を含めた。両セットの反応条件下で、プレ触媒性能に関する同じ傾向が観察された。すべてのインデニル担持プレ触媒は2a-IPrよりも高活性であり、また、4c-IPrおよび4d-IPrはいずれもPEPPSI-IPrよりも著しく高活性であった。インデニル配位子上の置換基のサイズが増加したことから、インデニル担持プレ触媒はより高活性になり、最も効率的な系は4d-IPrであった。
η3-アリル系の場合、プレ触媒および一配位Pd(0)が均等化して触媒作用中の反応性がより低い形態であるPd(I)二量体を生成する傾向は、η3-アリル配位子上の立体的かさ高さが増加したことから、減少した(図4)。インデニル系において同様の効果が生じたか否かを探るために、立体的かさ高さが最小のプレ触媒(4a-IPr)および立体的かさ高さが最大のプレ触媒(4d-IPr)が二量体化する傾向を調査した。
Figure 2017537879
非置換インデニル二量体7-IPrを、K2CO3のEtOH溶液による4a-IPrの処理を通じて収率85%で調製した(式1)。化合物7-IPrをX線結晶解析などにより完全に特性評価した。4d-IPrをK2CO3で処理した場合、錯体4a-IPrとは対照的に、二量体形成は観察されなかった(式2)。代わりに、Pd(0)生成物のみが反応混合物中で観察された。この観察は、より大きな立体的かさ高さを有するインデニル系では、均等化によるPd(I)二量体形成がより困難であることを示唆している。
触媒作用
インデニルベースの系がシンナミルプレ触媒2-IPrよりも優れていることを確認するために、弱塩基および強塩基の両方を使用する鈴木・宮浦反応に一連の異なる基質を使用して、4d-IPrと2-IPrとの間で両者間比較を行った(表4)。すべての場合において、4d-IPrは、2-IPrよりも著しく良好なプレ触媒であり、種々の異なる塩化アリール基質を室温でカップリングすることができた。これには、オルト位に不活性化電子供与基および電子供与置換基を有する基質が含まれた。2-IPrから4d-IPrへの改善は、強塩基よりも弱塩基を使用した場合に最も顕著であり、触媒添加量にかかわらず生じた。Nolan型プレ触媒は、弱塩基との鈴木・宮浦反応において完全変換をもたらすことが示されなかった。したがって、4d-IPrで得られた定量的収率は、著しい改善を示すものであり、実行可能な基質の範囲をこの触媒系によって拡張する可能性がある。
(表4)2-IPrおよび4d-IPrにより触媒される鈴木・宮浦反応bの生成物の収率a
Figure 2017537879
a 収率は、ナフタレンを内部標準とするガスクロマトグラフィーを使用して計算されたものであり、2回の実行の平均である。
b KOtBuを使用する反応条件: 塩化アリール0.5263M、ボロン酸0.5526M、KOtBu 0.5789M、およびナフタレン0.2632Mを含有するメタノール溶液(950μL)、0.05M[Pd]を含有するTHF溶液(50μL)。
K2CO3を使用する反応条件: 塩化アリール0.5263M、ボロン酸0.5526M、およびナフタレン0.2632Mを含有するメタノール溶液(950μL)、0.1M[Pd]を含有するTHF溶液(50μL)。K2CO3 104mgを各反応液に加える。
Nolanシンナミル系においては、配位子フリー前駆体(η3-シンナミル)2(μ-Cl)2Pd2をインサイチューで配位プレ触媒に変換することができる。これにより、明確に規定されたプレ触媒のファミリーの合成または単離を必要とせずに、種々の異なる配位子を反応用に速やかにスクリーニングすることが可能になる。
3-シンナミル)2(μ-Cl)2Pd2および2当量のIPrのインサイチュー生成溶液の触媒活性と、(η3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2(3d)および2当量のIPrのインサイチュー生成溶液の触媒活性とを、弱塩基および強塩基の両方を使用して比較した(表5)。インデニル骨格は性能がNolan系よりも著しく良好であった。このことは、η3-インデニル系が、伝統的なシンナミル系に比べて、より効率的な単離プレ触媒を与えるというだけでなく、インサイチューでの新規配位子のスクリーニングのためのより良い骨格であるということを示唆している。理論に拘束されることは望ましくないが、より立体的にかさ高い置換基をインデニル配位子上に有するプレ触媒の活性の増加は、架橋インデニル配位子を有するPd(I)二量体がこれらの場合において形成されにくいという事実が理由である。
(表5)(η3-シンナミル)2(μ-Cl)2Pd2およびIPrのインサイチュー生成溶液、ならびに(η3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2およびIPrのインサイチュー生成溶液により触媒される、鈴木・宮浦反応bの生成物の収率a
Figure 2017537879
a 収率は、ナフタレンを内部標準とするガスクロマトグラフィーを使用して計算されたものであり、2回の実行の平均である。
b KOtBuを使用する反応条件: 塩化アリール0.5263M、ボロン酸0.5526M、KOtBu 0.5789M、およびナフタレン0.2632Mを含有するメタノール溶液(950μL)、0.05M[Pd]Tot、0.05M IPrを含有するTHF溶液(使用前に溶液を1時間攪拌する、50μL)。
K2CO3を使用する反応条件: 塩化アリール0.5263M、ボロン酸0.5526M、およびナフタレン0.2632Mを含有するメタノール溶液(950μL)、0.1M[Pd]Tot、0.1M IPrを含有するTHF溶液(使用前に溶液を1時間攪拌する、50μL)。K2CO3 104mgを各反応液に加える。
本プレ触媒骨格が最高水準のNHC配位子に適合性があることを実証するために、テトラオルト置換ビアリール生成物を生成する鈴木・宮浦反応を行った(図7)。この種類の困難な反応には立体障害性補助配位子IPr*OMe(IPr*OMe = 1,3-ビス(2,6-ビス-(ジフェニルメチル)-4-メトキシフェニル)イミダゾール-2-イリデン)が必要である。IPr*OMeと3dとの反応を通じて、錯体(η3-1-tBu-インデニル)Pd(IPr*OMe)(Cl)または4d-IPr*OMeを調製した。4d-IPr*OMeをプレ触媒として使用して、いくつかのテトラオルト置換生成物を高収率で調製した。臭化アリールを基質として使用した場合、IPr*OMeにより担持されたシンナミル系に比べて低い温度(80℃)で反応が生じた。さらに、触媒添加率を1.0mol%に増加させることで、塩化アリールを同じ反応条件下で基質として使用した。特定の態様では、この方法は、塩化アリールを使用してテトラオルト置換生成物を高収率で生成すると報告された最も温和な条件を利用する。
ホスフィン担持錯体との触媒反応
配位子としてのホスフィンの範囲を調査するために実験を行った。この目的で、一般構造(η3-tBu-インデニル)Pd(L)(Cl)を有するホスフィン配位錯体のファミリーを合成した(図8)。二量体前駆体3dに2当量の配位子を付加することを通じて配位を実現することで、種々のプレ触媒を優れた収率で得た。いくつかのBuchwald型ホスフィンを含むいくつかの最高水準の配位子を二量体骨格に配位させることに成功した。
手元にあるこれらの錯体を用いて、ホスフィン担持系を現状では困難なクロスカップリング反応のためにスクリーニングした。複素環は、薬剤および天然物に一般的に見られるものであるが、伝統的にはクロスカップリングが困難な基質である。例えば、5員複素環の2位においてボロン酸を使用する鈴木・宮浦反応は、それらが急速にプロト脱ホウ素化される傾向があることから、特に困難である。したがって、生成物への完全な変換を得るには、急速かつ効率的なプレ触媒を使用しなければならない。(η3-1-tBu-インデニル)Pd(XPhos)(Cl)(4d-XPhos)をプレ触媒として使用することで、一連の2-複素環ボロン酸を温和な反応条件下でカップリングしてビアリール生成物を優れた収率で生成することに成功した(図9)。この反応に関して最もよく知られた系に比べて同等のまたは優れた性能を示す、本プレ触媒はまた、フェノール、Boc保護アニリン、および遊離アミンを含む、塩化アリール上の多種多様な官能基に耐性がある。
酸性遊離N-H部分を含有する基質に対するPd触媒クロスカップリング方法論の適合性は、一般的な合成上の問題である。塩化アリールがインダゾールまたはベンゾイミダゾールである(η3-1-tBu-インデニル)Pd(SPhos)(Cl)(4d-SPhos)を使用することで、反応収率90%超が得られた(図10)。本触媒系によって、温度をわずかに低下させることができ(80℃)、優れた収率が15時間で得られた。特定の態様では、この方法論はヘテロ芳香族ボロン酸の使用を支持するものである。
薬剤の合成において、鈴木・宮浦反応の次に一般的に行われているクロスカップリング反応は、Buchwald-Hartwigカップリングである。(η3-1-tBu-インデニル)Pd(RuPhos)(Cl)(4d-RuPhos)は、選択された対称および非対称第三級アミンを良好な〜優れた収率で生成することに成功した(図11)。ヘテロ原子およびオルト置換基を含有する様々な塩化アリールは、本発明の系に適合性があった。
アリールメチルケトンのモノアリール化は、興味深い薬理特性および生物特性を有する有機化合物にα-アリールカルボニル部分が広く存在することから重要である。しかし、ケトンがジアリール化される可能性があることから、これは困難な反応である。(η3-1-tBu-インデニル)Pd(XPhos)(Cl)(4d-XPhos)を使用したところ、穏和な条件下での種々のメチルケトンのモノアリール化に関して優れた結果が観察された(図12)。1:1 THF/MeOH混合物、および塩基としてのKOtBuを使用したところ、いずれの場合でも、塩化アリール中およびアリールメチルケトン中の複素環部分はいずれも収率90%超で耐性を示した。実際、2つの場合において、生成物は両カップリングパートナー中に複素環断片を含んでいた。
本発明のプレ触媒を非活性化アルキルカップリングパートナーのクロスカップリングに使用した。文献記載の系を使用すると、アルキルトリフルオロボロネート(ボロン酸模倣体としての)と塩化アリールとの鈴木・宮浦反応は、高触媒添加率(5〜10mol%)、高温(110℃)、および長い反応時間(24〜48時間)を一般に必要とする。(η3-1-tBu-インデニル)Pd(PtBu3)(Cl)(4d-PtBu3)をプレ触媒として使用することで、既存のプロトコルの相当な改善が実現された。具体的には、いくつかの場合において、触媒添加率を1mol%に減少させることができ、利用する反応時間を短縮することができた(8時間)。4d-PtBu3を使用することで、直鎖状および環状の両方のアルキルトリフルオロボロネート塩を、窒素含有複素環の一例を含む種々の塩化アリールにカップリングすることができた(図13)。実際、カリウムシクロプロピルトリフルオロボロネートを使用した場合、活性の損失なしに(収率96%)、温度を40℃に低下させることができた。
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2(3d)が、明確に規定されたプレ触媒の単離を必要とせずに速やかな配位子のスクリーニングを行うために好適であることを実証するために、3dおよび2当量の配位子のインサイチュー生成溶液を使用して一連の触媒反応を行った。3dと適切な配位子とを室温で10分間混合した際に、単離プレ触媒との本明細書に記載のすべての反応において優れた活性が観察された。3dおよびIPrを含有する系とNolanシンナミル二量体およびIPrを含有する系との間の比較実験は、優れた触媒活性が3dで観察されたことを示した。実際、3dと配位子とを予備混合することなく、反応の成功が実現された。式3は、プレ触媒が反応中に生成されたワンポット鈴木・宮浦反応を示す。これらの条件下では、4d-XPhosのインサイチュー生成バージョンおよび単離バージョンの両方に比べての活性の損失はなかった。特定の態様では、本方法論によって、種々の一般的かつ速やかなスクリーニング手順の実現が可能になる。
Figure 2017537879
プレ触媒
一局面では、本発明は、式(I)のプレ触媒、またはその塩もしくは溶媒和物を提供する:
Figure 2017537879
(I)において、
各Mは独立して遷移金属であり;各Xは独立して配位子であり;各Rは独立してアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、但し、各5員環は少なくとも1個の独立して選択されるRで置換されており;ZはCH、CR、またはNであり、但し、0〜2個のZ基はNであり; あるいは、5位および6位のZ基は無であり、4位および7位のZ基は独立してRであり;nは1、2、3、または4である。
特定の態様では、各Xは独立してハロゲン化物、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)、トシレート、メシレート、テトラフルオロボレート(-BF4)、テトラフェニルボレート(-BPh4)、ヘキサフルオロホスフェート(-PF6)、アセテート、トリフルオロアセテート(TFA)、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、および水からなる群より選択される。他の態様では、Xはアニオン性配位子である。さらに他の態様では、Xは単一荷電アニオン性配位子である。
特定の態様では、各Mは独立してPd、Ni、およびPtからなる群より選択される。他の態様では、(I)中の2個のMは同一である。さらに他の態様では、(I)中の2個のMはPdである。さらに他の態様では、(I)中の2個のMはNiである。さらに他の態様では、(I)中の2個のMはPtである。
特定の態様では、(I)中の2個のXは同一である。他の態様では、(I)中の2個のXは塩化物である。別の態様では、(I)中の2個のXは臭化物である。さらに他の態様では、(I)中の2個のXはフッ化物である。さらに他の態様では、(I)中の2個のXはヨウ化物である。さらに他の態様では、(I)中の2個のXはトリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)である。さらに他の態様では、(I)中の2個のXはメシレートである。さらに他の態様では、(I)中の2個のXはトシレートである。さらに他の態様では、(I)中の2個のXは同一であり、テトラフルオロボレート(-BF4)、テトラフェニルボレート(-BPh4)、ヘキサフルオロホスフェート(-PF6)、アセテート、トリフルオロアセテート(TFA)、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、および水からなる群より選択される。
特定の態様では、5員環を含む2個の配位子は同一である。他の態様では、5員環を含む2個の配位子は同一ではない。
特定の態様では、各5員環は、アルキルおよび置換アルキルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。他の態様では、各5員環は少なくとも1個のメチル基で置換されている。さらに他の態様では、各5員環は少なくとも1個のイソプロピル基で置換されている。さらに他の態様では、各5員環は少なくとも1個のtert-ブチル基で置換されている。
特定の態様では、各5員環の1位または3位は、アルキルおよび置換アルキルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。他の態様では、各5員環の1位または3位はメチル基で置換されている。さらに他の態様では、各5員環の1位または3位はイソプロピル基で置換されている。さらに他の態様では、各5員環の1位または3位はtert-ブチル基で置換されている。
特定の態様では、各5員環の2位は、アルキルおよび置換アルキルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。他の態様では、各5員環の2位はメチル基で置換されている。さらに他の態様では、各5員環の2位はイソプロピル基で置換されている。さらに他の態様では、各5員環の2位はtert-ブチル基で置換されている。
特定の態様では、各Zは独立してCHおよびCRからなる群より選択され、したがって式(I)のプレ触媒は置換インデニル錯体である。
特定の態様では、nは1である。他の態様では、nは2である。さらに他の態様では、nは3である。さらに他の態様では、nは4である。
別の局面では、本発明は、式(II)のプレ触媒、またはその塩もしくは溶媒和物を提供する:
Figure 2017537879
(II)
(II)において、
Mは遷移金属であり;Xは配位子であり;各Rは独立してアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、但し、少なくとも1個のRは5員環中の置換基であり; ZはCH、CR、またはNであり、但し、0〜2個のZ基はNであり; あるいは、5位および6位のZ基は無であり、4位および7位のZ基は独立してRであり;Lは単座配位子または二座配位子であり;nは1、2、3、または4である。
特定の態様では、Lは二座配位子である。他の態様では、Lは二座配位子であり、XはMに配位する。さらに他の態様では、Lは二座配位子であり、Xは存在しないかまたはMに配位しない(すなわち、XとMとの間の配位は存在しない)。さらに他の態様では、二座配位子L中の2個の配位中心はMに配位する。
特定の態様では、各Xは独立して弱配位性配位子である。他の態様では、各Xは独立してハロゲン化物、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)、トシレート、メシレート、テトラフルオロボレート(-BF4)、テトラフェニルボレート(-BPh4)、ヘキサフルオロホスフェート(-PF6)、アセテート、トリフルオロアセテート(TFA)、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、および水からなる群より選択される。他の態様では、Xはアニオン性配位子である。さらに他の態様では、Xは単一荷電アニオン性配位子である。
特定の態様では、MはPd、Ni、およびPtからなる群より選択される。他の態様では、MはPdである。さらに他の態様では、MはNiである。さらに他の態様では、MはPtである。
特定の態様では、Xは塩化物である。他の態様では、Xは臭化物である。さらに他の態様では、Xはフッ化物である。さらに他の態様では、Xはヨウ化物である。さらに他の態様では、Xはトリフレートである。さらに他の態様では、Xはメシレートである。さらに他の態様では、Xはトシレートである。
特定の態様では、Lは、ホスフィン、N-複素環カルベン、N含有配位子、O含有配位子、およびS含有配位子からなる群より選択される少なくとも1つである。
特定の態様では、Lは置換されていてもよい1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-イリデン、置換されていてもよい1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-イミダゾール-2-イリデン、および置換されていてもよい1,2,4-トリアゾール-5-イリデンからなる群より選択される。他の態様では、Lは1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-イリデンである。
特定の態様では、LはPR'R''R'''であり、ここでR''、R''、およびR'''は独立してアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、ここで2個または3個のR置換基は共有結合してPと環状構造を形成してもよい。
特定の態様では、Lは、AmPhos(ジ-t-ブチルホスフィノ-4-ジメチルアミノベンゼン)、DavePhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル)、tBuDavePhos(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル)、QPhos(1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1'-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン)、RuPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジイソプロポキシビフェニル)、SPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル)、XPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル)、tBuXPhos(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル)、Me4tBuXPhos(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)、BrettPhos(2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)3,6-ジメトキシ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)、tBuBrettPhos(2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-3,6-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル)、AdBrettPhos(2-(ジアダマンチルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-3,6-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル)、Me-DalPhos(2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)フェニルピペリジン)、Mor-DalPhos(ジ(1-アダマンチル)-2-モルホリノフェニルホスフィン)、ジ(1-アダマンチル)-1-ピペリジニル-フェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、およびトリ(t-ブチル)ホスフィンからなる群より選択される少なくとも1つである。
特定の態様では、Lは二座ホスフィン配位子である。他の態様では、Lは1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(XantPhos)、4,6-ビス(ジフェニルホスファニル)-10H-フェノキサジン(NiXantPhos)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(dppm)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)、2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(BINAP)、ビス[(2-ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル(DPEPhos)、1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)エタン、および1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-エタン(dcpe)からなる群より選択される。
特定の態様では、LはNR'R''R'''であり、ここでR''、R''、およびR'''は独立してアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、ここで2個または3個のR置換基は共有結合してNと環状構造を形成してもよい。
特定の態様では、LはR'OR''であり、ここでR''およびR''は独立してアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、ここでR'およびR''は共有結合してOと環状構造を形成してもよい。他の態様では、Lは置換されていてもよいフランまたはテトラヒドロフランである。さらに他の態様では、Lはエステル、ケトン、またはアルデヒドである。
特定の態様では、LはR'SR''であり、ここでR''およびR''は独立してアルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、ここでR'およびR''は共有結合してSと環状構造を形成してもよい。他の態様では、Lは置換されていてもよいチオフェンまたはテトラヒドロチオフェンである。さらに他の態様では、Lはチオエステル、チオケトン、またはチオアルデヒドである。
特定の態様では、5員環は、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。他の態様では、5員環は、アルキルおよび置換アルキルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。さらに他の態様では、5員環は少なくとも1個のメチル基で置換されている。さらに他の態様では、5員環は少なくとも1個のイソプロピル基で置換されている。さらに他の態様では、5員環は少なくとも1個のtert-ブチル基で置換されている。
特定の態様では、5員環の1位または3位は、アルキルおよび置換アルキルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。他の態様では、5員環の1位または3位はメチル基で置換されている。さらに他の態様では、5員環の1位または3位はイソプロピル基で置換されている。さらに他の態様では、5員環の1位または3位はtert-ブチル基で置換されている。
特定の態様では、5員環の2位は、アルキルおよび置換アルキルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている。他の態様では、5員環の2位はメチル基で置換されている。さらに他の態様では、5員環の2位はイソプロピル基で置換されている。さらに他の態様では、5員環の2位はtert-ブチル基で置換されている。
特定の態様では、各Zは独立してCHおよびCRからなる群より選択され、したがって式(II)のプレ触媒は置換インデニル錯体である。
特定の態様では、nは1である。他の態様では、nは2である。さらに他の態様では、nは3である。さらに他の態様では、nは4である。
当業者は、式(I)および式(II)から、Rが任意の適切な位置における6員環および/または5員環上の置換基でありうると考えるであろう。例えば、式(III)に示すように配位子がインデンである場合、Rは1位、2位、3位、4位、5位、6位、および/または7位の置換基でありうる。特定の態様では、Rは5員環の1位または3位に結合している。他の態様では、Rは5員環の2位に結合している。
Figure 2017537879
本発明のプレ触媒は1個または複数の立体中心を有しうるし、各立体中心は独立して(R)配置または(S)配置で存在しうる。特定の態様では、本明細書に記載のプレ触媒は光学活性体またはラセミ体として存在する。本明細書に記載のプレ触媒は、本明細書に記載の治療上有用な特性を有するラセミ体、光学活性体、位置異性体、および立体異性体、またはその組み合わせを包含する。光学活性体の調製は、再結晶技術によるラセミ体の分割、光学活性出発原料からの合成、キラル合成、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフィー分離を非限定的な例として含む任意の好適な様式で実現される。
特定の態様では、本発明のプレ触媒は互変異性体として存在する。すべての互変異性体が本明細書に記載のプレ触媒の範囲内に含まれる。
本明細書に記載の化合物は、同一の原子数を有するが自然界に通常見られる原子質量または原子質量数とは異なる原子質量または原子質量数を有する原子で1個または複数の原子が置き換えられた、同位体標識化合物も含む。本明細書に記載の化合物に含まれることに好適な同位体の例としては2H、3H、11C、13C、14C、36Cl、18F、123I、125I、13N、15N、15O、17O、18O、32P、および35Sが挙げられるがそれに限定されない。特定の態様では、重水素などの重同位体による置換によって化学安定性が向上する。同位体標識化合物は、任意の好適な方法によって、または別途使用される非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用するプロセスによって調製される。
特定の態様では、本明細書に記載のプレ触媒は、発色団もしくは蛍光部分、生物発光標識、または化学発光標識の使用を含むがそれに限定されない他の手段によって標識されている。
合成
本明細書に記載のプレ触媒、および異なる置換基を有する他の関連プレ触媒は、本明細書に記載の技術および材料を使用して、かつFieser & Fieser's Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1-17 (John Wiley and Sons, 1991); Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1-5 and Supplementals (Elsevier Science Publishers, 1989); Organic Reactions, Volumes 1-40 (John Wiley and Sons, 1991)、Larock's Comprehensive Organic Transformations (VCH Publishers Inc., 1989)、March, Advanced Organic Chemistry 4th Ed., (Wiley 1992); Carey & Sundberg, Advanced Organic Chemistry 4th Ed., Vols. A and B (Plenum 2000,2001)およびGreen & Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis 3rd Ed., (Wiley 1999)(いずれもその開示が参照により組み入れられる)に例えば記載のように合成される。
本明細書に記載のプレ触媒は、商業的供給源から入手可能な化合物から出発する任意の好適な手順を使用して合成されるか、または本明細書に記載の手順を使用して調製される。これらの手順の修正は当業者に公知である。本明細書に含まれるスキームは、本発明のプレ触媒を作製するために当業者が使用可能な化学反応および方法論を例示するように意図されているが、それを限定するようには意図されていない。
特定の態様では、式(I)のプレ触媒の合成は、1工程で行われるものであり、空気感受性試薬の使用なしに好気性条件下で行うことができる。
特定の態様では、遷移金属塩(ハロゲン化物、トリフレート、メシレート、またはトシレートなどであるがそれに限定されない)とアルカリまたはアルカリ土類塩とを反応させることで、Na2PdCl4などであるがそれに限定されない混合塩を得る。混合塩と置換インデンおよび塩基(炭酸セシウム、炭酸カリウム、または炭酸ナトリウムなどであるがそれに限定されない)とを有機溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、および/または1,4-ジオキサンなどであるがそれに限定されない)中で反応させることができる。混合物を約-20℃〜約80℃の範囲の温度で攪拌する。特定の態様では、プレ触媒が溶液から析出するので、これを単離し、場合によって洗浄、再結晶、および/または抽出により精製する。他の態様では、プレ触媒を溶液からクロマトグラフィー、析出、結晶化、および/または抽出などの方法を使用して単離する。
特定の態様では、式(II)のプレ触媒の合成は、式(I)のプレ触媒とIPr(1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-イリデン)などであるがそれに限定されない適切な配位子Lとをジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、および/または1,4-ジオキサンなどであるがそれに限定されない有機溶媒中で反応させることを含む。
方法
式(I)または式(II)のプレ触媒を、カップリング反応において、炭素-炭素、炭素-酸素、炭素-窒素、および/または炭素-硫黄結合の形成を促進するために使用することができる。特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、図2に示す反応を促進するために使用することができる。
特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、芳香族またはヘテロ芳香族ボロン酸またはボロン酸エステルと芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートとのカップリング(鈴木・宮浦反応)を促進するために使用する。
特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、芳香族またはヘテロ芳香族アミンと芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートとのカップリング(Buchwald-Hartwig反応)を促進するために使用する。
特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化亜鉛と芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートとのカップリング(根岸反応)を促進するために使用する。
特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化マグネシウムと芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートとのカップリング(熊田反応)を促進するために使用する。
特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化スズと芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートとのカップリング(Stille反応)を促進するために使用する。
特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、ケトン、アルデヒド、イミン、アミド、またはエステルの芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートによるα-アリール化(α-アリール化反応)を促進するために使用する。
特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、アルコールまたはチオールと芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートとの反応(C-SまたはC-O結合形成)を促進するために使用する。
特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、芳香族またはヘテロ芳香族シラノール、シロキサン、またはシランと芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、またはメシレートとの反応(檜山カップリング)を促進するために使用する。
特定の態様では、式(I)または式(II)のプレ触媒を、第一級または第二級アルコールの嫌気性酸化を促進するために使用する。
当業者は、本明細書に記載の具体的な手順、態様、請求項、および実施例の数多くの等価物を認識するであろうし、または単なる日常的な実験を使用して確認可能であろう。そのような等価物は、本発明の範囲内にあると考えられ、かつ本明細書に添付される特許請求の範囲によって網羅されると考えられた。例えば、反応時間、反応サイズ/体積、および溶媒などの実験試薬、触媒、圧力、雰囲気条件、例えば窒素雰囲気、ならびに還元剤/酸化剤を含むがそれに限定されない反応条件を、当技術分野で認識されている代替物によってかつ単なる日常的な実験を使用して修正することが、本出願の範囲内にあると理解すべきである。
本明細書中のどこで値および範囲が示されるとしても、範囲という形での記述が、単に便宜および簡潔さを目的としており、本発明の範囲に対する硬直的な制限と解釈されるべきではないということを理解すべきである。したがって、これらの値および範囲が包含するすべての値および範囲は、本発明の範囲内に包含されるように意図されている。さらに、これらの範囲内にあるすべての値、および値の範囲の上限または下限も、本出願によって想定される。範囲に関する記述は、すべての可能な部分範囲、およびその範囲内の個々の数値、ならびに適切であれば範囲内の数値の部分整数を具体的に開示したものと考えるべきである。例えば、1〜6などの範囲に関する記述は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6などの部分範囲、ならびにその範囲内の個々の数、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を具体的に開示したものと考えるべきである。このことは範囲の幅に関係なく当てはまる。
以下の実施例は本発明の局面をさらに示す。しかし、それらは、本明細書に記載の本発明に関する教示または開示を限定するものでは決してない。
ここで、本発明を以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例は例示目的でのみ示されるものであり、本発明はこれらの実施例に限定されず、むしろ、本明細書に示される教示の結果として明白なすべての変形を包含する。
材料および方法
材料
別途記載がない限り、すべての出発原料を商業的供給業者から入手し、精製せずに使用した。
ペンタン、THF、ジエチルエーテル、およびトルエンを、活性化アルミナカラムに通すことで乾燥させた後、二窒素下で貯蔵した。記載がある場合を除き、すべての市販の化学物質を受け取ったまま使用した。MeOH(J.T. Baker)、iPrOH(Macron Fine Chemicals)、および200プルーフEtOH(Decon Laboratories Inc.)を乾燥させることはなかったが、二窒素を1時間スパージすることで脱気し、二窒素下で貯蔵した。酢酸エチル(Fisher Scientific)およびヘキサン(Macron Fine Chemicals)を受け取ったまま使用した。カリウムtert-ブトキシド(99.99%、昇華)、ナフタレン(99%)、4-クロロトルエン(98%)、および4-クロロアニソール(99%)をAldrichから購入した。2,6-ジメチルボロン酸(98%)、1-ナフタレンボロン酸(97%)、1-クロロナフタレン(90+%)、および2-メトキシボロン酸(97%)をFisher Scientificから購入した。炭酸カリウムをMallinckrodtから購入した。1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンおよび4-メチルビフェニルをTCIから購入した。フェニルボロン酸(98%)および2,4,6-トリメチルベンゼンボロン酸(97%)をAlfa Aesarから購入した。炭酸カリウムを乳鉢および乳棒で粉砕し、使用前にオーブン中にて130℃で貯蔵した。4-クロロトルエン、2-クロロ-m-キシレン、1-クロロナフタレン、4-クロロアニソール、および1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンを使用前に3回の凍結-ポンプ-解凍サイクルを通じて脱気した。
重水素化溶媒をCambridge Isotope Laboratoriesから入手した。C6D6をナトリウム金属で乾燥させ、窒素下で貯蔵し、一方で、d4-MeOH、d8-iPrOH、およびd8-THFを乾燥させることはなかったが、使用前に3回の凍結-ポンプ-解凍サイクルを通じて脱気した。
文献記載の手順を使用して以下の化合物を調製した: IPr(Arduengo, et al., 1999, Tetrahedron 55:14523; Tang, et al., 2011, J. Am. Chem. Soc. 133:11482)、(η3-アリル)Pd(IPr)(Cl)(1-IPr)(Viciu, et al., 2002, Org. Lett. 4:4053)、および(η3-シンナミル)Pd(IPr)(Cl)(2-IPr)(Marion, et al., 2006, J. Am. Chem. Soc. 128:4101)。
方法
別途記載がない限り、実験を二窒素雰囲気下、M-Braunドライボックス中でまたは標準的シュレンク技術を使用して行った。標準的グローブボックス条件下では、ペンタン、ベンゼン、およびトルエンの各使用の間に掃流を行わなかった。したがって、これらの溶媒のいずれかを使用した場合、微量のこれらすべての溶媒が雰囲気中に存在したし、溶媒ボトル中で混ざり合っているのが見られることもあった。水分および空気感受性の液体をステンレス鋼カニューレによってシュレンクライン上にまたはドライボックス中に移した。
フラッシュクロマトグラフィーをシリカゲル60(230〜400メッシュ、Fisher Scientific)上で行った。
記載がない限り、NMRスペクトルを周囲プローブ温度にてAgilent 400、500、および600分光計ならびにVarian 300、500分光計上で記録した。可変温度NMRでは、エチレングリコール(99%、Aldrich)中でOH共鳴とCH2共鳴との間の距離を測定することで試料温度を較正した。1Hおよび13C{1H} NMRスペクトルについて化学シフトを残留内部プロチオ溶媒に対して記録する。
ガスクロマトグラフィー分析(GC)を、水素炎イオン化検出器およびShimadzu SHRXI-5MSカラム(30m、内径250μm、膜厚: 0.25μm)を備えたShimadzu GC-2010 Plus装置上で行った。以下の条件をGC分析に使用した: 流量1.23mL/分、一定流量、カラム温度50℃(5分間保持)、20℃/分で300℃まで増加(5分間保持)、合計時間22.5分。
高分解能質量分析を、超伝導(7T)磁石を備えたイオンサイクロトロン共鳴(ICR)質量分析計を使用して行った。
X線結晶解析
X線回折実験を、Rigaku Mercury 275R CCD(SCX mini)回折計上でグラファイトモノクロメーターMo Kα線(λ = 0.71073Å)を-50℃で使用して、またはSaturn994+ CCD検出器と組み合わせたRigaku MicroMax-007HF回折計上でCu Kα線(λ = 1.54178Å)を-180℃で用いて行った。結晶を浸漬油と共にMiTeGenポリイミドループ上に乗せた。データフレームをRigaku CrystalClearを使用して処理し、ローレンツ偏光効果に関して補正した。Olex2を使用することで、構造をXS構造解析プログラムによって直接法を使用して解析し、XL精密化パッケージによって最小二乗最小化を使用して精密化した。非水素原子を異方性精密化した。水素原子をライディングモデルを使用して精密化した。
実施例1
合成および特性評価
1-置換インデンの合成手順
1-メチルインデン
グローブボックス中の100mLシュレンク管にリチウムインデニル(1.00g、8.25mmol)を加え、ジエチルエーテル50mLに溶解させた。ヨウ化メチル(0.62mL、9.9mmol)をシリンジによってシュレンク管に加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。この後、混合物を分取漏斗に注ぎ、水で3回洗浄した。有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、揮発物を減圧除去して生成物を淡黄色油状物として得た。収量: 0.70g、65%。1H NMRデータは、Villasenor, et al., 2013, Eur. J. Inorg. Chem. 2013:1184-1196に既に報告されたデータと一致していた。
1-イソ-プロピルインデン
この化合物を、Someya, et al., 2010, Tetrahedron 66:5993-5999により報告された手順を使用して合成した。
1-tert-ブチルインデン
グローブボックス中の500mLシュレンク管にリチウムインデニル(20.0g、0.164mol)を加え、ジエチルエーテル200mLを加えて錯体を溶解させた。臭化銀(0.3g、1.59mmol)を溶液に加え、シュレンク管をグローブボックスから取り外し、-78℃浴中で攪拌した。冷却すると黄色析出物が出現した(この温度でリチウムインデニルはジエチルエーテルに可溶性ではない)。2-ブロモ-2-メチルプロパン(22.1mL、0.18mol)をシリンジによってゆっくりと加えた。反応混合物を室温に昇温させ、12時間攪拌した。室温に昇温させると均一溶液が得られた。この後、シュレンク管を空気に開放し、生成物を酢酸エチル300mL中に抽出し、塩化アンモニウム水溶液で洗浄した。水層を酢酸エチルで2回(2 X 200mL)抽出した。有機層を一緒にし、MgSO4で乾燥させ、濾過し、揮発物を除去した。得られた油状物をヘキサンに溶解させ、シリカゲルパッドに通した。溶媒をロータリーエバポレーターによって除去して黄色油状物を得た。収量: 22.7g、80%。1H NMRデータは、Someya, et al., 2010, Tetrahedron 66:5993-5999に既に報告されたデータと一致していた。
錯体の合成手順
3-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3a)
PdCl2(1.00g、5.64mmol)およびNaCl(0.658g、11.3mmol)を250mL丸底フラスコに加えた。MeOH(70mL)を加え、反応混合物を50℃で30分間加熱し、その時にそれは均一になった。溶液を室温に冷却した。インデン(0.650g、5.64mmol)を加えた後、Na2CO3(0.888g、8.46mmol)を加え、反応液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、得られた褐色固体を水およびジエチルエーテルで洗浄した。生成物を減圧乾燥させて3aを褐色固体として得た。収量: 1.22g、84%。1H NMRデータは、文献(Sui-Seng, et al., 2004, Organomet. 23:1236)に公開されたデータと一致していた。
3-1-Me-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3b)
PdCl2(0.885g、5.0mmol)およびNaCl(0.585g、10.0mmol)を100mL丸底フラスコに加えた。MeOH(50mL)を加え、反応混合物を50℃で30分間加熱し、その時にそれは均一になった。溶液を室温に冷却した。1-メチル-インデン(0.650g、5.00mmol)を加えた後、Na2CO3(1.06g、10.0mmol)を加え、反応液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、得られた褐色固体を水およびジエチルエーテルで洗浄した。生成物を減圧乾燥させて3bを褐色固体として得た。収量: 1.20g、89%。
Figure 2017537879
3-1-iPr-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3c)
PdCl2(0.337g、1.89mmol)およびNaCl(0.220g、3.78mmol)を100mL丸底フラスコに加えた。MeOH(30mL)を加え、反応混合物を50℃で30分間加熱し、その時にそれは均一になった。溶液を室温に冷却した。1-イソプロピル-インデン(0.300g、1.89mmol)を加えた後、Na2CO3(0.300g、2.84mmol)を加え、反応液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、得られた褐色固体を水およびジエチルエーテルで洗浄した。生成物を減圧乾燥させて3cを褐色固体として得た。収量: 0.400g、71%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)
PdCl2(0.412g、2.32mmol)およびNaCl(0.269g、4.64mmol)を100mL丸底フラスコに加えた。MeOH(40mL)を加え、反応混合物を50℃で30分間加熱し、その時にそれは均一になった。溶液を室温に冷却した。1-t-ブチル-インデン(0.400g、2.32mmol)を加えた後、Na2CO3(0.369g、3.48mmol)を加え、反応液を室温で2時間攪拌した。反応混合物を濾過し、得られた褐色固体を水およびジエチルエーテルで洗浄した。生成物を減圧乾燥させて3dを褐色固体として得た。収量: 0.550g、77%。
Figure 2017537879
3-インデニル)Pd(IPr)(Cl) (4a-IPr)
3-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3a)(0.600g、1.17mmol)およびIPr(0.900g、2.34mmol)を100mLシュレンク管に加えた。ジエチルエーテル(40mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を90分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。溶液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒をロータリーエバポレーターを使用して除去して4a-IPrを橙色粉末として得た。収量: 1.33g、88%。1H NMRデータは、文献(Bielinski, et al., 2013, Organomet. 32:4025)に公開されたデータと一致していた。
3-1-Me-インデニル)Pd(IPr)(Cl) (4b-IPr)
3-1-Me-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3b)(0.300g、0.502mmol)およびIPr(0.390g、1.00mmol)を100mLシュレンク管に加えた。ジエチルエーテル(30mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を90分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。溶液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒をロータリーエバポレーターを使用して除去して4b-IPrを橙色粉末として得た。収量: 0.550g、81%。X線品質結晶を飽和ペンタン溶液からゆっくりと蒸発させることで成長させた。
Figure 2017537879
3-1-iPr-インデニル)Pd(IPr)(Cl) (4c-IPr)
3-1-iPr-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3c)(0.300g、0.502mmol)およびIPr(0.390g、1.00mmol)を100mLシュレンク管に加えた。ジエチルエーテル(30mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を90分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。溶液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒をロータリーエバポレーターを使用して除去して4c-IPrを橙色粉末として得た。収量: 0.550g、81%。X線品質結晶を飽和ペンタン溶液からゆっくりと蒸発させることで成長させた。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(IPr)(Cl) (4d-IPr)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.400g、0.65mmol)およびIPr(0.505g、1.30mmol)を100mLシュレンク管に加えた。ジエチルエーテル(40mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を90分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。溶液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒をロータリーエバポレーターを使用して除去して4d-IPrを橙色粉末として得た。収量: 0.705g、78%。X線品質結晶を飽和ペンタン溶液からゆっくりと蒸発させることで成長させた。
Figure 2017537879
(μ-インデニル)(μ-Cl)Pd2(IPr)2 (7-IPr)
3-インデニル)Pd(IPr)(Cl) (4a-IPr)(0.200g、0.31mmol)およびK2CO3(0.086g、0.62mmol)を100mLシュレンク管に加えた。脱気MeOH(30mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。析出物を空気中で濾過し、水で洗浄して過剰の塩を除去した。固体をペンタンで洗浄し、減圧乾燥させて7-IPrを濃黄色固体として得た。収量: 0.150g、85%。X線品質結晶を、ペンタンと層形成した飽和トルエン溶液(V(トルエン):V(ペンタン) = 1:2)から-35℃で成長させた。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(IPr*OMe)(Cl) (4d-IPr*OMe)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.165g、0.265mmol)およびIPr*OMe(0.500g、0.53mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(30mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を24時間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。反応混合物を、セライトを上に乗せたシリカゲルパッドに通した。溶媒の約90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。ベージュ色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.534g、80%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(XPhos)(Cl) (4d-XPhos)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびXPhos(0.460g、0.98mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.650g、86%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(RuPhos)(Cl) (4d-RuPhos)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびRuPhos(0.448g、0.98mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.694g、89%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(SPhos)(Cl) (4d-SPhos)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびSPhos(0.395g、0.98mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.622g、86%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(P{tBu}3)(Cl) (4d-PtBu3)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびPtBu3(0.448g、0.98mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.694g、89%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(PCy3)(Cl) (4d-PCy3)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびPCy3(0.269g、0.96mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.546g、92%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(P{o-tol}3)(Cl) (4d-P(o-tol)3)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびP(o-tol)3(0.262g、0.96mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.550g、89%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(PPh3)(Cl) (4d-PPh3)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびPPh3(0.252g、0.96mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.535g、93%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(DavePhos)(Cl) (4d-DavePhos)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびDavePhos(0.378g、0.96mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。2つの異性体を約1:1の比で含有する赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.622g、88%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(AmPhos)(Cl) (4d-AmPhos)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびAmPhos(0.255g、0.96mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.526g、91%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(QPhos)(Cl) (4d-QPhos)
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (3d)(0.300g、0.48mmol)およびQPhos(0.682g、0.96mmol)を100mLシュレンク管に加え、窒素雰囲気下に置いた。THF(20mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を60分間攪拌し、その間に反応混合物は均一になった。混合物を空気に開放し、溶媒の90%を減圧蒸発させた。ペンタンを加えて溶液から固体を析出させた。赤橙色固体を減圧濾過により収集した。収量: 0.870g、85%。
Figure 2017537879
3-1-tBu-インデニル)Pd(BrettPhos)(Cl) (4d-BrettPhos)
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた100mLシュレンク管に[Pd(1-tBu-インデニル)Cl]2(156.1mg、0.25mmol)およびBrettPhos(268.1mg、0.5mmol)を加えた。無水THF(10mL)をシュレンク管に加えて即時赤色溶液を得た。溶液を室温で20分間攪拌し、その時に溶媒をシュレンクライン上で除去した。溶媒を除去した時に、シュレンク管を空気に開放し、赤色粘稠油状物をペンタンに溶解させた。溶液をセライトパッドに通した後、ペンタンをロータリーエバポレーターを使用して蒸発させた。赤色固体(0.386g、91%)をさらに精製せずに使用した。X線品質結晶を、濃ペンタン溶液を-10℃に置くことで生成した。
Figure 2017537879
Figure 2017537879
3dおよび4dの大規模合成の合成手順
PdCl2(13.9g、78.5mmol)およびNaCl(9.19g、157.0mmol)を1L丸底フラスコに加えた。MeOH(600mL)を加え、反応混合物を50℃で90分間加熱し、その時にそれは均一になった。溶液を室温に冷却した。1-tBu-インデン(13.5g、78.5mmol)を加えた後、NaHCO3(9.88g、117.75mmol)を加え、反応液を室温で6時間攪拌した。反応混合物を濾過し、得られた黒色固体をMeOH、水、およびジエチルエーテルで洗浄した。固体をジクロロメタンに溶解させ、溶液をセライトパッドに通した。溶媒をロータリーエバポレーターを使用して除去して褐色固体を得た。生成物を減圧乾燥させて3dを褐色固体として得た。収量: 21.6g、88%。
3-1-tBu-インデニル)2(μ-Cl)2Pd2 (1d)(6.00g、9.58mmol)およびIPr(7.44g、19.16mmol)を500mLシュレンク管に加えた。ジエチルエーテル(200mL)をカニューレによってシュレンク管に加えた。得られた溶液を120分間攪拌した。溶液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒をロータリーエバポレーターを使用して除去して4d-IPrを橙色粉末として得た。収量: 12.1g、91%。
実施例2
[(1-tBu-インデニル)Pd(DPPF)]Clの合成
窒素充填グローブボックス中で、[(1-tBu-インデニル)Pd(μ-Cl)]2(100mg、0.16mmol)および1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)(177mg、0.32mmol)を100mLシュレンク管に加えた。メタノール(20mL)を加え、混合物を室温で2時間攪拌した。この間に、混合物は均一になり、濃赤色を示した。シュレンク管を空気に開放し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去して赤色油状物を得た。ペンタンを加えた後、超音波処理し、減圧濾過して赤色結晶性固体(225mg、81%)を生成した。
Figure 2017537879
実施例3
[(1-tBu-インデニル)Pd(NiXantPhos)]BF4の合成
窒素充填グローブボックス中で、[(1-tBu-インデニル)Pd(μ-Cl)]2(57mg、0.091mmol)およびテトラフルオロホウ酸銀(42mg、0.218mmol)を100mLシュレンク管に加えた。メタノール(10mL)をシュレンク管に加え、混合物を1時間攪拌した。第2の100mLシュレンク管中に、NiXantPhos(100mg、0.182mmol)をメタノール(10mL)と共に加えた。第1のシュレンク管の内容物をフィルターカニューレを使用して第2のシュレンク管に移し、塩化銀副生成物を除去した。第2のシュレンク管を室温でさらに1時間攪拌し、その間に混合物は均一になった。溶媒を減圧除去した後、ペンタンを加えた。10分間の超音波処理の後、減圧濾過により化合物を橙色粉末(143mg、86%)として得た。
Figure 2017537879
実施例4
錯体2-IPr、PEPPSI-IPr、4a-IPr、4b-IPr、4c-IPr、および4d-IPrにより触媒される鈴木・宮浦反応の生成物の収率(図3)
Figure 2017537879
KOtBuを塩基として使用する図3の実験では、0.5263M 4-クロロトルエン、0.5525M フェニルボロン酸、0.5789M KtOBu、および0.2632M ナフタレンを含有するMeOH溶液を使用した。K2CO3を塩基として使用する図3の実験では、0.5263M 4-クロロトルエン、0.5525M フェニルボロン酸、および0.2632M ナフタレンを含有するMeOH溶液を使用した。ストック溶液をどのようにして調製したかの詳細を以下に示す。
KOtBu実験
KOtBu(0.650g、5.79mmol)、フェニルボロン酸(0.674g、5.531mmol)、およびナフタレン(0.3373g、2.632mmol)をグローブボックス中の10mLメスフラスコに移した。メスフラスコにラバーセプタムでふたをし、シュレンクライン上で二窒素下に置いた。4-クロロトルエン(0.6232mL、5.268mmol)を1.0mLガラスシリンジを使用してメスフラスコに移した。内容物をMeOHに溶解させ、溶液を10mLに希釈した。次に溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
K2CO3実験
フェニルボロン酸(0.674g、5.531mmol)およびナフタレン(0.3373g、2.632mmol)をグローブボックス中の10mLメスフラスコに移した。メスフラスコにラバーセプタムでふたをし、シュレンクライン上で二窒素下に置いた。4-クロロトルエン(0.6232mL、5.268mmol)を1.0mLガラスシリンジを使用してメスフラスコに移した。内容物をMeOHに溶解させ、溶液を10mLに希釈した。次に溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
プレ触媒ストック溶液の濃度は、実験に使用される塩基に応じて異なった。
KOtBu実験用の2-IPr、PEPPSI-IPr、および4a-IPr-4d-IPrのTHFストック溶液
プレ触媒0.05mmolをベンチトップ上の1mLメスフラスコ中に移した。フラスコにセプタムでふたをし、シュレンクライン上で(真空と二窒素との間のサイクルを3回行うことで)二窒素下に置いた。プレ触媒をTHFに溶解させ、溶液を1mLに希釈した。溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
K2CO3実験用の2-IPr、PEPPSI-IPr、および4a-IPr-4d-IPrのTHFストック溶液
プレ触媒(0.1mmol)をベンチトップ上の1mLメスフラスコ中に移した。フラスコにセプタムでふたをし、シュレンクライン上で(真空と二窒素との間のサイクルを3回行うことで)二窒素下に置いた。プレ触媒をTHFに溶解させ、溶液を1mLに希釈した。溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
実施例5
iPrOHを溶媒として、KOtBuを塩基として使用する(Nolan本来の条件)、不均一触媒実験に関する実験詳細
超小型攪拌子(flea stir bar)を備えた1ドラムバイアルにフェニルボロン酸(64.0mg、0.525mmol)、4-クロロトルエン(59μL、0.50mmol)、KOtBu(61.7mg、0.55mmol)、およびナフタレン(32.1mg、0.25mmol)を加えた。二窒素雰囲気下で、脱気iPrOH 1mLをシリンジによって混合物に加え、セプタムキャップで密封した。次にバイアルを、25℃に設定されたアルミニウムブロックヒーターを使用して加熱した。熱平衡化の後、適切なプレ触媒のiPrOH溶液(0.05M[Pd])50μLを加えることで反応を開始した。指示された反応時間にアリコート(約50〜100μL)を取り除いた。アリコートを、シリカ約1cmを含むピペットフィルターを通じた濾過により精製し、酢酸エチル1〜1.2mLで溶離して直接GCバイアルに入れた。生成物と内部ナフタレン標準とのGC応答の比較により変換率を確定した。これらの条件下での2-IPrおよび2d-IPrの性能の比較を表6に示す。
(表6)iPrOHを溶媒として、KOtBuを塩基として使用して行った鈴木・宮浦反応の生成物の収率a
Figure 2017537879
a 収率は、ナフタレンを内部標準とするガスクロマトグラフィーを使用して計算されたものであり、2回の実行の平均である。
実施例6
Pd(I)二量体が関与する実験
式2に関する実験詳細; d4-MeOH中での4d-IPrとK2CO3との反応
4d-IPr(10.0mg、0.0144mmol)をd4-MeOH 500μLに溶解させた。K2CO3(4.0mg、0.0288mmol)をJ. Young NMR管に加えた。溶液を管に-78℃で移した後、シュレンクライン上で脱気し、二窒素雰囲気下に置いた。不均一反応液を2時間超音波処理し、その時に溶媒をシュレンクライン上で減圧除去した。d6-ベンゼンを加えて生成物を可溶化し(Pd黒は不溶性のままであったが)、1H NMRスペクトルを記録した。存在する唯一のPd含有ピークはPd(IPr)2に対応していた。
NMR条件下での4a-IPrを使用する触媒作用
グローブボックス中でフェニルボロン酸(10.0mg、0.082mmol), 4-クロロトルエン(9.2μL、0.0781mmol)、KOtBu(9.6mg、0.0859mmol)、および2,6-ジメトキシトルエン(6.0mg、0.039mmol)をd4-MeOH 400μLに溶解させた。4a-IPr(2.5mg、0.0031mmol)をd8-THF 100μLに溶解させた。これらの溶液をJ. Young NMR管中で一緒にし、反応を1H NMR分光法によって25℃で1時間モニタリングした。この後、溶媒混合物をシュレンクライン上で除去し、d6-ベンゼンを加えた。最終1H NMRスペクトルを記録することでPd含有反応生成物を同定した。7-IPrがPd含有主生成物として観察され、収率は内部標準2,6-ジメトキシトルエンに対して85%であった。
実施例7
IPrを補助配位子として使用する基質スコープ
表4に関する実験詳細: 4d-IPrおよび2-IPrにより触媒される一連の鈴木・宮浦反応の生成物の収率
すべての触媒反応を同じ濃度下で行い、ストック溶液を以下の代表的な様式で調製した。
KOtBu実験
KOtBu(0.650g、5.79mmol)、ボロン酸(5.531mmol)、およびナフタレン(0.3373g、2.632mmol)をグローブボックス中の10mLメスフラスコに移した。メスフラスコにラバーセプタムでふたをし、シュレンクライン上で二窒素下に置いた。塩化アリール(5.268mmol)を1.0mLガラスシリンジを使用してメスフラスコに移した。内容物をMeOHに溶解させ、溶液を10mLに希釈した。次に溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
K2CO3実験
ボロン酸(5.531mmol)およびナフタレン(0.3373g、2.632mmol)をグローブボックス中の10mLメスフラスコに移した。メスフラスコにラバーセプタムでふたをし、シュレンクライン上で二窒素下に置いた。塩化アリール(5.268mmol)を1.0mLガラスシリンジを使用してメスフラスコに移した。内容物をMeOHに溶解させ、溶液を10mLに希釈した。次に溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
0.1mol%反応において使用されるプレ触媒ストック溶液
2-IPrまたは4d-IPr 0.01mmolをベンチトップ上の1mLメスフラスコ中に移した。フラスコにセプタムでふたをし、シュレンクライン上で(真空と二窒素との間のサイクルを3回行うことで)二窒素下に置いた。プレ触媒をTHFに溶解させ、溶液を1mLに希釈した。溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
0.2mol%反応において使用されるプレ触媒ストック溶液
2-IPrまたは4d-IPr 0.02mmolをベンチトップ上の1mLメスフラスコ中に移した。フラスコにセプタムでふたをし、シュレンクライン上で(真空と二窒素との間のサイクルを3回行うことで)二窒素下に置いた。プレ触媒をTHFに溶解させ、溶液を1mLに希釈した。溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
0.5mol%反応において使用されるプレ触媒ストック溶液
2-IPrまたは4d-IPr 0.05mmolをベンチトップ上の1mLメスフラスコ中に移した。フラスコにセプタムでふたをし、シュレンクライン上で(真空と二窒素との間のサイクルを3回行うことで)二窒素下に置いた。プレ触媒をTHFに溶解させ、溶液を1mLに希釈した。溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
1.0mol%反応において使用されるプレ触媒ストック溶液
2-IPrまたは4d-IPr(0.1mmol)をベンチトップ上の1mLメスフラスコ中に移した。フラスコにセプタムでふたをし、シュレンクライン上で(真空と二窒素との間のサイクルを3回行うことで)二窒素下に置いた。プレ触媒をTHFに溶解させ、溶液を1mLに希釈した。溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。
実施例8
IPr*OMeを使用するテトラオルト置換鈴木・宮浦反応
一般的手順A
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた1ドラムバイアルに固体であればハロゲン化アリール(0.5mmol)を、ボロン酸(0.75mmol)、KOH(1.0mmol)、および4d-IPr*OMe(0.005mmol、0.5 mol%または0.01mmol、1.0mol%)を加えた。液体であれば塩化アリール(0.5mmol)をシリンジによって加え、続いてTHF(1mL)を加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて80℃で12時間攪拌した。この時点でバイアルを空気に開放し、ジエチルエーテル(10mL)およびH2O(10mL)を反応混合物に加えた。水相をジエチルエーテル(3x10mL)で抽出した。一緒にした有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過した。次に上澄み液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒を減圧除去して有機生成物を得た。
以下の化合物の1H NMRデータは、Bastug & Nolan, 2014, Organometallics 33:1253-1258に公開されたデータと一致していた。
Figure 2017537879
2-メトキシ-1-(2,3,5,6-テトラメチルフェニル)ナフタレン
一般的手順Aに従って、1-ブロモ-2-メトキシナフタレン(118mg、0.5mmol)、2,3,5,6-テトラメチルフェニルボロン酸(133mg、0.75mmol)、水酸化カリウム(56mg、1.0mmol)、4d-IPr*OMe(3.2mg、0.0025mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を80℃で12時間攪拌した。2回の実行の平均により収率94%(136mg)を得た。
Figure 2017537879
4-メシチル-1,3,5-トリメチル-1H-ピラゾール
一般的手順Aに従って、4-ブロモ-1,3,5-トリメチル-1H-ピラゾール(92mg、0.5mmol)、2,4,6-トリメチルフェニルボロン酸(123mg、0.75mmol)、水酸化カリウム(56mg、1.0mmol)、4d-IPr*OMe(3.2mg、0.0025mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を80℃で12時間攪拌した。2回の実行の平均により収率95%(108mg)を得た。
Figure 2017537879
1-メシチル-2-メチルナフタレン
一般的手順Aに従って、1-ブロモ-2-メチルナフタレン(78μL、0.5mmol)、2,4,6-トリメチルフェニルボロン酸(123mg、0.75mmol)、水酸化カリウム(56mg、1.0mmol)、4d-IPr*OMe(3.2mg、0.0025mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を80℃で12時間攪拌した。2回の実行の平均により収率98%(127mg)を得た。
Figure 2017537879
2,6-ジメチル-2',6'-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル
一般的手順Aに従って、2-クロロ-m-キシレン(66μL、0.5mmol)、2,6-ジメトキシフェニルボロン酸(137mg、0.75mmol)、水酸化カリウム(56mg、1.0mmol)、4d-IPr*OMe(3.2mg、0.0025mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を80℃で12時間攪拌した。2回の実行の平均により収率94%(114mg)を得た。
Figure 2017537879
2,2',4,6,6'-ペンタメチル-1,1'-ビフェニル
一般的手順Aに従って、2-クロロ-m-キシレン(66μL、0.5mmol)、2,4,6-トリメチルフェニルボロン酸(123mg、0.75mmol)、水酸化カリウム(56mg、1.0mmol)、4d-IPr*OMe(3.2mg、0.0025mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を80℃で12時間攪拌した。2回の実行の平均により収率82%(92mg)を得た。
Figure 2017537879
2,2',3,5,6,6'-ヘキサメチル-1,1'-ビフェニル
一般的手順Aに従って、2-クロロ-m-キシレン(66μL、0.5mmol)、2,3,5,6-テトラメチルフェニルボロン酸(133mg、0.75mmol)、水酸化カリウム(56mg、1.0mmol)、4d-IPr*OMe(3.2mg、0.0025mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を80℃で12時間攪拌した。2回の実行の平均により収率92%(110mg)を得た。
実施例9
XPhosを使用する複素環ボロン酸との鈴木・宮浦反応
一般的手順B
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた4ドラムバイアルに固体であれば塩化アリール(1.0mmol)を、ボロン酸(1.5mmol)、K2CO3(2.0mmol)、および4d-XPhos(0.01mmol、1mol%)を加えた。液体であれば塩化アリール(1.0mmol)をシリンジによって加え、続いてメタノール(4mL)およびTHF(2mL)を加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて室温または40℃で1時間攪拌した。この時点でバイアルを空気に開放し、ジエチルエーテル(10mL)およびH2O(10mL)を反応混合物に加えた。水相をジエチルエーテル(3x10mL)で抽出した。一緒にした有機相をMgSO4で乾燥させ、濾過した。次に上澄み液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒を減圧除去して有機生成物を得た。
以下の化合物の1H NMRデータ(および該当する場合は19F NMRデータ)は、Kinzel, et al., 2010, J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 14073-14075; および/またはBruno, et al., 2013, Chem. Sci. 4:916-920に公開されたデータと一致していた。
Figure 2017537879
2-(3-(トリフルオロメチル)ベンジル)フラン
一般的手順Bに従って、1-(クロロメチル)-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(151μL、1.0mmol)、2-フランボロン酸(168mg、1.5mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-XPhos(7.9mg、0.01mmol)、THF(2mL)、およびメタノール(4mL)の混合物を40℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率92%(210mg)を得た。
Figure 2017537879
4-(フラン-2-イル)-2-イソプロピル-5-メチルフェノール
一般的手順Bに従って、4-クロロ-2-イソプロピル-5-メチルフェノール(185μg、1.0mmol)、2-フランボロン酸(168mg、1.5mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-XPhos(7.9mg、0.01mmol)、THF(2mL)、およびメタノール(4mL)の混合物を室温で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率94%(203mg)を得た。
Figure 2017537879
2-(ベンゾフラン-2-イル)-4,6-ジメトキシピリミジン
一般的手順Bに従って、2-クロロ-4,6-ジメトキシピリミジン(175μg、1.0mmol)、ベンゾフラン-2-ボロン酸(243mg、1.5mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-XPhos(7.9mg、0.01mmol)、THF(2mL)、およびメタノール(4mL)の混合物を40℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率95%(244mg)を得た。
Figure 2017537879
5-(ベンゾフラン-2-イル)-1H-インドール
一般的手順Bに従って、4-クロロインドール(152μg、1.0mmol)、ベンゾフラン-2-ボロン酸(243mg、1.5mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-XPhos(7.9mg、0.01mmol)、THF(2mL)、およびメタノール(4mL)の混合物を40℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率94%(220mg)を得た。
Figure 2017537879
2-(パーフルオロフェニル)チオフェン
一般的手順Bに従って、ペンタフルオロクロロベンゼン(130μL、1.0mmol)、2-チオフェンボロン酸(192mg、1.5mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-XPhos(7.9mg、0.01mmol)、THF(2mL)、およびメタノール(4mL)の混合物を室温で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率93%(232mg)を得た。
Figure 2017537879
2-(ベンゾ[b]チオフェン-2-イル)キノリン
一般的手順Bに従って、2-クロロキノリン(164μg、1.0mmol)、ベンゾチオフェン-2-ボロン酸(267mg、1.5mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-XPhos(7.9mg、0.01mmol)、THF(2mL)、およびメタノール(4mL)の混合物を40℃で1時間攪拌した。溶解度に関連する要因により、ジエチルエーテルの代わりにジクロロメタンをワークアップに使用した。2回の実行の平均により収率98%(220mg)を得た。
Figure 2017537879
3-(チオフェン-2-イル)フラン
一般的手順Bに従って、2-クロロチオフェン(92μL、1.0mmol)、3-フランボロン酸(168mg、1.5mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-XPhos(7.9mg、0.01mmol)、THF(2mL)、およびメタノール(4mL)の混合物を40℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率95%(143mg)を得た。
Figure 2017537879
tert-ブチル 4-(4-(チオフェン-3-イル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシレート
一般的手順Bに従って、tert-ブチル-(4-クロロフェニル)-カルバメート(228mg、1.0mmol)、3-チオフェンボロン酸(192mg、1.5mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-XPhos(7.9mg、0.01mmol)、THF(2mL)、およびメタノール(4mL)の混合物を室温で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率95%(143mg)を得た。
実施例10
SPhosを使用するインダゾールまたはベンゾイミダゾールとの鈴木・宮浦反応
一般的手順C
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた4ドラムバイアルに塩化アリール(1.0mmol)、ボロン酸(2.0mmol)、K2CO3(2.0mmol)、および4d-SPhos(0.02mmol、2mol%)を加えた。メタノール(4mL)および1,4-ジオキサン(2mL)をシリンジによって加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて予備較正油浴中、80℃で15時間攪拌した。この時、バイアルを空気に開放し、酢酸エチル(10mL)およびH2O(10mL)を加えた。水相を酢酸エチル(3x10mL)で抽出し、一緒にした有機相をMgSO4で乾燥させた。濾過後、上澄み液をシリカゲルおよびセライトのパッドに通し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を減圧除去して有機生成物を得た。
以下の化合物の1H NMRデータは、Dufert, et al., 2013, J. Am. Chem. Soc. 135:12877-12885に公開されたデータと一致していた。
Figure 2017537879
3-(チオフェン-3-イル)-1H-インダゾール
一般的手順Cに従って、3-クロロインダゾール(153mg、1.0mmol)、3-チオフェンボロン酸(256mg、2.0mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-SPhos(14.5mg、0.02mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)、およびメタノール(2mL)の混合物を80℃で15時間攪拌した。2回の実行の平均により収率98%(196mg)を得た。
Figure 2017537879
3-(フラン-3-イル)-1H-インダゾール
一般的手順Cに従って、3-クロロインダゾール(153mg、1.0mmol)、3-フランボロン酸(224mg、2.0mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-SPhos(14.5mg、0.02mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)、およびメタノール(2mL)の混合物を80℃で15時間攪拌した。2回の実行の平均により収率97%(177mg)を得た。
Figure 2017537879
4-(1H-インダゾール-3-イル)ベンゾニトリル
一般的手順Cに従って、3-クロロインダゾール(153mg、1.0mmol)、4-シアノフェニルボロン酸(294mg、2.0mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-SPhos(14.5mg、0.02mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)、およびメタノール(2mL)の混合物を80℃で15時間攪拌した。2回の実行の平均により収率90%(197mg)を得た。
Figure 2017537879
2-(チオフェン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
一般的手順Cに従って、2-クロロベンゾイミダゾール(153mg、1.0mmol)、3-チオフェンボロン酸(256mg、2.0mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-SPhos(14.5mg、0.02mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)、およびメタノール(2mL)の混合物を80℃で15時間攪拌した。2回の実行の平均により収率98%(198mg)を得た。
Figure 2017537879
2-(4-tert-ブチルフェニル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
一般的手順Cに従って、2-クロロベンゾイミダゾール(153mg、1.0mmol)、4-tert-ブチルフェニルボロン酸(356mg、2.0mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-SPhos(14.5mg、0.02mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)、およびメタノール(2mL)の混合物を80℃で15時間攪拌した。2回の実行の平均により収率94%(236mg)を得た。
Figure 2017537879
1-(3-(1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル)エタノン
一般的手順Cに従って、2-クロロベンゾイミダゾール(153mg、1.0mmol)、3-アセチルフェニルボロン酸(328mg、2.0mmol)、K2CO3(276mg、2.0mmol)、4d-SPhos(14.5mg、0.02mmol)、1,4-ジオキサン(4mL)、およびメタノール(2mL)の混合物を80℃で15時間攪拌した。2回の実行の平均により収率91%(214mg)を得た。
実施例11
RuPhosを使用するBuchwald-Hartwig反応
一般的手順D
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた1ドラムバイアルに固体であればハロゲン化アリール(1.0mmol)を、固体であればアミン(1.2mmol)を、NaOtBu(115mg、1.2mmol)、4d-RuPhos(4.0mg、0.005mmol)、およびRuPhos(2.3mg、0.005mmol)を加えた。液体であればアミン(1.2mmol)を、液体であればハロゲン化アリール(1.0mmol)を、シリンジによってTHF(1mL)と共に加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて予備較正加熱ブロック中、85℃で6時間攪拌した。この時、バイアルを室温に冷却し、酢酸エチル(10mL)および水(10mL)を加えた。水相を酢酸エチル(3x10mL)で抽出し、有機相をMgSO4で乾燥させた後、濾過した。上澄み液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒を蒸発させて有機生成物を得た。
以下の化合物の1H NMRデータは、Bruno, et al., 2013, Chem. Sci. 4:916-920に公開されたデータと一致していた。
Figure 2017537879
5-メチル-N,N-ジフェニルピリジン-2-アミン
一般的手順Dに従って、2-クロロ-5-メチルピリジン(110μL、1.0mmol)、ジフェニルアミン(203mg、1.2mmol)、NaOtBu(115mg、1.2mmol)、4d-RuPhos(4.0mg、0.005mmol)、RuPhos(2.3mg、0.005mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を85℃で6時間攪拌した。2回の実行の平均により収率94%(244mg)を得た。
Figure 2017537879
N-メチル-N-フェネチルピリジン-3-アミン
一般的手順Dに従って、3-クロロピリジン(96μL、1.0mmol)、N-メチルフェネチルアミン(174μL、1.2mmol)、NaOtBu(115mg、1.2mmol)、4d-RuPhos(4.0mg、0.005mmol)、RuPhos(2.3mg、0.005mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を85℃で6時間攪拌した。2回の実行の平均により収率96%(204mg)を得た。
Figure 2017537879
4-(2-メトキシフェニル)モルホリン
一般的手順Dに従って、2-クロロアニソール(122μL、1.0mmol)、モルホリン(104μL、1.2mmol)、NaOtBu(115mg、1.2mmol)、4d-RuPhos(4.0mg、0.005mmol)、RuPhos(2.3mg、0.005mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を85℃で6時間攪拌した。2回の実行の平均により収率96%(185mg)を得た。
Figure 2017537879
N-メチル-N-(ピリジン-4-イル)キノリン-6-アミン
一般的手順Dに従って、6-クロロキノリン(164mg、1.0mmol)、N-メチル-4-アミノピリジン(130mg、1.2mmol)、NaOtBu(115mg、1.2mmol)、4d-RuPhos(4.0mg、0.005mmol)、RuPhos(2.3mg、0.005mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を85℃で6時間攪拌した。2回の実行の平均により収率91%(214mg)を得た。
Figure 2017537879
N,N-ジブチル-4-メトキシ-3-メチルアニリン
一般的手順Dに従って、4-ブロモ-2-メチルアニソール(201mg、1.0mmol)、ジ-n-ブチルアミン(202μL、1.2mmol)、NaOtBu(115mg、1.2mmol)、4d-RuPhos(4.0mg、0.005mmol)、RuPhos(2.3mg、0.005mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を85℃で6時間攪拌した。2回の実行の平均により収率90%(224mg)を得た。
Figure 2017537879
N-ベンジル-2-メチル-N-フェニルキノリン-7-アミン
一般的手順Dに従って、7-クロロ-2-メチルキノリン(177mg、1.0mmol)、N-ベンジルアニリン(220mg、1.2mmol)、NaOtBu(115mg、1.2mmol)、4d-RuPhos(4.0mg、0.005mmol)、RuPhos(2.3mg、0.005mmol)、およびTHF(1mL)の混合物を85℃で6時間攪拌した。2回の実行の平均により収率82%(265mg)を得た。
実施例12
XPhosを使用するα-アリール化反応
一般的手順E
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた1ドラムバイアルにKOtBu(112mg、1.0mmol)および4d-XPhos(4.0mg、0.005mmol)を加えた。塩化アリール(0.525mmol)およびアリールメチルケトン(0.5mmol)をシリンジによってバイアルに加えた。THF(1mL)およびメタノール(1mL)を加え、バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて予備較正加熱ブロック中、60℃で1時間攪拌した。この時、NH4Cl水溶液(10mL)を加えた。生成物を酢酸エチル(3x10mL)で抽出した後、MgSO4で乾燥させ、濾過した。得られた上澄み液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒を減圧除去して有機生成物を得た。
以下の化合物の1H NMRは、Biscoe & Buchwald, 2009, Org. Lett. 11:1773-1775に公開されたそれと一致していた。
Figure 2017537879
2-(4-メトキシフェニル)-1-フェニルエタノン
一般的手順Eに従って、アセトフェノン(59μL、0.5mmol)、4-クロロアニソール(64μL、0.525mmol)、KOtBu(112mg、1.0mmol)、4d-XPhos(4.0mg、0.005mmol)、THF(1mL)、およびメタノール(1mL)の混合物を60℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率97%(110mg)を得た。
Figure 2017537879
2-(4-メトキシフェニル)-1-(チオフェン-2-イル)エタノン
一般的手順Eに従って、2-アセチルチオフェン(54μL、0.5mmol)、4-クロロアニソール(64μL、0.525mmol)、KOtBu(112mg、1.0mmol)、4d-XPhos(4.0mg、0.005mmol)、THF(1mL)、およびメタノール(1mL)の混合物を60℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率90%(105mg)を得た。
Figure 2017537879
2-(4-メトキシフェニル)-1-(ピリジン-3-イル)エタノン
一般的手順Eに従って、3-アセチルピリジン(55μL、0.5mmol)、4-クロロアニソール(64μL、0.525mmol)、KOtBu(112mg、1.0mmol)、4d-XPhos(4.0mg、0.005mmol)、THF(1mL)、およびメタノール(1mL)の混合物を60℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率93%(106mg)を得た。
Figure 2017537879
1-(2,5-ジメチルチオフェン-3-イル)-2-(4-メトキシフェニル)エタノン
一般的手順Eに従って、1-(2,5-ジメチル-3-チエニル)-エタノン(72μL、0.5mmol)、4-クロロアニソール(64μL、0.525mmol)、KOtBu(112mg、1.0mmol)、4d-XPhos(4.0mg、0.005mmol)、THF(1mL)、およびメタノール(1mL)の混合物を60℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率95%(124mg)を得た。
Figure 2017537879
1-フェニル-2-(ピリジン-3-イル)エタノン
一般的手順Eに従って、アセトフェノン(59μL、0.5mmol)、3-クロロピリジン(50μL、0.525mmol)、KOtBu(112mg、1.0mmol)、4d-XPhos(4.0mg、0.005mmol)、THF(1mL)、およびメタノール(1mL)の混合物を60℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率94%(92mg)を得た。
Figure 2017537879
1,2-ジ(ピリジン-3-イル)エタノン
一般的手順Eに従って、3-アセチルピリジン(55μL、0.5mmol)、3-クロロピリジン(50μL、0.525mmol)、KOtBu(112mg、1.0mmol)、4d-XPhos(4.0mg、0.005mmol)、THF(1mL)、およびメタノール(1mL)の混合物を60℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率91%(90mg)を得た。
Figure 2017537879
1-(2,5-ジメチルチオフェン-3-イル)-2-(ピリジン-3-イル)エタノン
一般的手順Eに従って、1-(2,5-ジメチル-3-チエニル)-エタノン(72μL、0.5mmol)、3-クロロピリジン(50μL、0.525mmol)、KOtBu(112mg、1.0mmol)、4d-XPhos(4.0mg、0.005mmol)、THF(1mL)、およびメタノール(1mL)の混合物を60℃で1時間攪拌した。2回の実行の平均により収率92%(106mg)を得た。
実施例13
PtBu3を使用するアルキルトリフルオロボロネートとの鈴木・宮浦反応
一般的手順F
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた1ドラムバイアルにカリウムアルキルトリフルオロボロネート塩(0.75mmol)、K2CO3(207mg、1.5mmol)、4d-PtBu3(2.6mgまたは5.2mg、0.005mmolまたは0.01mmol)、および固体であれば塩化アリール(0.5mmol)を加えた。液体であれば塩化アリール(0.5mmol)をシリンジによって加え、続いてトルエン(1mL)および水(0.5mL)を加えた。反応液をグローブボックスの外側にて予備較正加熱ブロック中、80℃で8時間攪拌した。この時、NH4Cl水溶液(10mL)を加えた。酢酸エチル(3 X 10mL)を使用して生成物を抽出し、次にこれをMgSO4で乾燥させ、濾過した。上澄み液をシリカゲルパッドに通した後、溶媒を減圧蒸発させて有機生成物を得た。
以下の化合物の1H NMRは、Li, et al., 2014, J. Am. Chem. Soc. 136:14027-14030に公開されたものと一致していた。
Figure 2017537879
4-イソ-プロピルアニソール
一般的手順Fに従って、4-クロロアニソール(61μL、0.5mmol)、カリウムイソ-プロピルトリフルオロボレート(113mg、0.75)、K2CO3(207mg、1.5mmol)、4d-PtBu3(5.2mg、0.01mmol)、トルエン(1mL)、およびH2O(0.5mL)の混合物を80℃で8時間攪拌した。2回の実行の平均により収率95%(72mg)を得た。
Figure 2017537879
3-(sec-ブチル)-アニソール
一般的手順Fに従って、3-クロロアニソール(61μL、0.5mmol)、カリウムsec-ブチルトリフルオロボレート(123mg、0.75)、K2CO3(207mg、1.5mmol)、4d-PtBu3(2.6mg、0.005mmol)、トルエン(1mL)、およびH2O(0.5mL)の混合物を80℃で8時間攪拌した。2回の実行の平均により収率94%(77mg)を得た。
Figure 2017537879
1-シクロプロピル-4-ニトロベンゼン
一般的手順Fに従って、4-クロロニトロベンゼン(79mg、0.5mmol)、カリウムシクロプロピルトリフルオロボレート(123mg、0.75)、K2CO3(207mg、1.5mmol)、4d-PtBu3(2.6mg、0.005mmol)、トルエン(1mL)、およびH2O(0.5mL)の混合物を40℃で8時間攪拌した。2回の実行の平均により収率97%(79mg)を得た。
Figure 2017537879
6-シクロペンチルキノリン
一般的手順Fに従って、6-クロロキノリン(82mg、0.5mmol)、カリウムシクロペンチルトリフルオロボレート(132mg、0.75)、K2CO3(207mg、1.5mmol)、4d-PtBu3(5.6mg、0.01mmol)、トルエン(1mL)、およびH2O(0.5mL)の混合物を80℃で8時間攪拌した。2回の実行の平均により収率89%(88mg)を得た。
Figure 2017537879
3-シクロヘキシルアニソール
一般的手順Fに従って、3-クロロアニソール(61μL、0.5mmol)、カリウムシクロヘキシルトリフルオロボレート(143mg、0.75)、K2CO3(207mg、1.5mmol)、4d-PtBu3(5.6mg、0.01mmol)、トルエン(1mL)、およびH2O(0.5mL)の混合物を80℃で8時間攪拌した。2回の実行の平均により収率86%(83mg)を得た。
実施例14
インサイチュー生成プレ触媒を使用する様々な触媒反応
Figure 2017537879
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた2ドラムバイアルに3d(15.5mg、0.025mmol)およびXPhos(24mg、0.05mmol)を加えた。THF(5mL)をシリンジによってバイアルに加え、混合物を10分間攪拌した。4ドラムバイアル中に、2-クロロ-4,6-ジメトキシピリミジン(175mg、1.0mmol)、ベンゾフラン-2-ボロン酸(243mg、1.5mmol)、およびK2CO3(276mg、2.0mmol)を磁気攪拌子と共に加えた。THF(1mL)およびメタノール(4mL)をシリンジによってバイアルに加えた後、THF/プレ触媒溶液1mLを加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて予備較正加熱ブロック中、40℃で1時間攪拌した。一般的手順Bに従って生成物を収率95%(242mg)で得た。
Figure 2017537879
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた2ドラムバイアルに3d(31.0mg、0.05mmol)およびSPhos(41mg、0.1mmol)を加えた。1,4-ジオキサン(5mL)をシリンジによってバイアルに加え、混合物を10分間攪拌した。4ドラムバイアル中に、2-クロロ-1H-ベンゾイミダゾール(153mg、1.0mmol)、3-チオフェンボロン酸(256mg、2.0mmol)、およびK2CO3(276mg、2.0mmol)を磁気攪拌子と共に加えた。1,4-ジオキサン(3mL)およびメタノール(2mL)をシリンジによってバイアルに加えた後、1,4-ジオキサン/プレ触媒溶液1mLを加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて予備較正加熱ブロック中、80℃で15時間攪拌した。一般的手順Cに従って生成物を収率95%(192mg)で得た。
Figure 2017537879
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた2ドラムバイアルに3d(8.0mg、0.0125mmol)およびRuPhos(23.5mg、0.025mmol)を加えた。THF(5mL)をシリンジによってバイアルに加え、混合物を10分間攪拌した。1ドラムバイアル中に、NaOtBu(115mg、1.2mmol)を磁気攪拌子と共に加えた。2-メトキシクロロベンゼン(122μL、1.0mmol)およびモルホリン(104μL、1.2mmol)をシリンジによって加えた後、THF/プレ触媒溶液1mLを加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて予備較正加熱ブロック中、85℃で6時間攪拌した。一般的手順Dに従って生成物を収率94%(182mg)で得た。
Figure 2017537879
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた2ドラムバイアルに3d(15.5mg、0.025mmol)およびXPhos(24mg、0.05mmol)を加えた。THF(5mL)をシリンジによってバイアルに加え、混合物を10分間攪拌した。1ドラムバイアル中に、KOtBu(134mg、1.2mmol)を磁気攪拌子と共に加え、3-アセチルピリジン(50μL、0.5mmol)および3-クロロピリジン(55μL、0.525mmol)をシリンジによって加えた。THF(0.5mL)およびメタノール(1mL)をシリンジによってバイアルに加えた後、THF/プレ触媒溶液0.5mLを加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて予備較正加熱ブロック中、60℃で1時間攪拌した。一般的手順Eに従って生成物を収率89%(88 mg)で得た。
Figure 2017537879
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた2ドラムバイアルに3d(15.5mg、0.025mmol)およびP(tBu)3(10mg、0.05mmol)を加えた。トルエン(5mL)をシリンジによってバイアルに加え、混合物を30分間攪拌した。1ドラムバイアル中に、カリウムイソプロピルトリフルオロボロネート(113mg、0.75mmol)およびK2CO3(207mg、1.5mmol)を磁気攪拌子と共に加え、4-クロロアニソール(61μL、0.5mmol)をシリンジによって加えた。水(0.5mL)をシリンジによってバイアルに加えた後、トルエン/プレ触媒溶液1.0mLを加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて予備較正加熱ブロック中、80℃で8時間攪拌した。一般的手順Fに従って生成物を収率97%(146mg)で得た。
実施例15
IPrを有するプレ触媒としての(η3-シンナミル)2(μ-Cl)2Pd2および3dを比較するインサイチュー触媒実験
図3において使用されたMeOHストック溶液を使用した。
0.5mol%反応用のプレ触媒ストック溶液の調製
3-シンナミル)2(μ-Cl)2Pd2(12.5mg、0.0244mmol)または3d(15.0mg、0.0244mmol)、およびIPr(19.0mg、0.049mmol)をグローブボックス中の1mLメスフラスコに加えた。THFを加え、溶液を1mLに希釈した。超小型攪拌子を備えた1ドラムバイアルに均一溶液を移し、溶液を25℃で1時間攪拌した。この後、溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。溶液をさらに精製せずに触媒実験に使用した。
1.0mol%反応用のプレ触媒ストック溶液の調製
3-シンナミル)2(μ-Cl)2Pd2(25.0mg、0.049mmol)または3d(30.0mg、0.049mmol)、およびIPr(38.0mg、0.098mmol)をグローブボックス中の1mLメスフラスコに加えた。THFを加え、溶液を1mLに希釈した。超小型攪拌子を備えた1ドラムバイアルに均一溶液を移し、溶液を25℃で1時間攪拌した。この後、溶液をKontesバルブによってフラスコに移した。溶液をさらに精製せずに触媒実験に使用した。
これらの条件下での(η3-シンナミル)2(μ-Cl)2Pd2および3dの性能の比較を表5に示す。3dから生成される系の方が著しく効率的である。
実施例16
ヘテロアリールクロスカップリング反応のためのワンポットインサイチュー触媒生成
窒素充填グローブボックス中で、磁気攪拌子を備えた4ドラムバイアルに3d(3.1mg、0.005mmol)、XPhos(4.8mg、0.005mmol)、2-クロロ-4,6-ジメトキシピリミジン(175mg、1.0mmol)、ベンゾフラン-2-ボロン酸(243mg、1.5mmol)、およびK2CO3(276mg、2.0mmol)を加えた。THF(12mL)およびメタノール(4mL)をシリンジによってバイアルに加えた。バイアルを密封し、グローブボックスの外側にて予備較正加熱ブロック中、40℃で1時間攪拌した。一般的手順Bに従って生成物を収率95%(242mg)で得た。
実施例17
本発明の単量体プレ触媒を使用する鈴木・宮浦反応の手順
KOtBu条件
二窒素下、超小型攪拌子を含みかつセプタムキャップで密封された1ドラムバイアル中で反応を行った。0.5263M塩化アリール、0.5525Mボロン酸、0.5789M KOtBu、および0.2632Mナフタレンを含有するMeOHストック溶液950μLをバイアルに加えた。次にバイアルを、25℃に設定されたアルミニウムブロックヒーターを使用して加熱した。熱平衡化の後、適切なプレ触媒のTHF溶液(0.1M[Pd])50μLを加えることで反応を開始した。指示された反応時間にアリコート(約50〜100μL)を取り除いた。アリコートを、シリカ約1cmを含むピペットフィルターを通じた濾過により精製し、酢酸エチル1〜1.2mLで溶離して直接GCバイアルに入れた。生成物と内部ナフタレン標準とのGC応答の比較により変換率を確定した。
K2CO3条件
ベンチトップ上で超小型攪拌子を含む1ドラムバイアル中に炭酸カリウム(0.75mmol)を移した。バイアルをセプタムキャップで密封し、シュレンクライン上でニードルを通じて(真空と二窒素との間のサイクルを3回行うことで)二窒素下に置いた。0.5263M塩化アリール、0.5525Mボロン酸、および0.2632Mナフタレンを含有するMeOHストック溶液950μLをバイアルに加えた。次にバイアルを、25℃に設定されたアルミニウムブロックヒーターを使用して加熱した。熱平衡化の後、適切なプレ触媒のTHF溶液(0.1M[Pd])50μLを加えることで反応を開始した。指示された反応時間にアリコート(約50〜100μL)を取り除いた。アリコートを、シリカ約1cmを含むピペットフィルターを通じた濾過により精製し、酢酸エチル1〜1.2mLで溶離して直接GCバイアルに入れた。生成物と内部ナフタレン標準とのGC応答の比較により変換率を確定した。
実施例18
本発明の二量体プレ触媒を使用する鈴木・宮浦反応の代表的手順
超小型攪拌子を備えた1ドラムバイアル中で、適切なPd(II)前駆体と2当量のIPrとを二窒素雰囲気下で混合することで0.05M [Pd]tot THF溶液(KOtBu実験)または0.1M [Pd]tot THF溶液(K2CO3実験)を調製した。溶液を室温で1時間攪拌することで、適切な配位Pd(II)プレ触媒の生成を可能にした。これらの溶液を、本明細書の他の箇所に記載のさらなる処理をせずに触媒実験に使用した。
実施例19
アリールスルファメートを使用する鈴木・宮浦反応
超小型攪拌子を備えた1ドラムバイアルにN,N-ジメチル(1-ナフチル) スルファメート(32.7mg、0.13mmol、1当量)、4-メトキシフェニルボロン酸(50.3mg、0.33mmol、2.5当量)、炭酸カリウム(88mg、0.6mmol、4当量)、およびパラジウムプレ触媒(0.00325mmol、2.5mol%)を窒素雰囲気下で加えた。トルエン(1mL)を加えて反応を開始し、各バイアルを25℃で4時間攪拌し、その時にそれを空気に開放した。生成物への変換率をGC分析を使用して確定した。
Figure 2017537879
実施例20
塩化アリールを使用する檜山-Denmark反応
窒素充填グローブボックス中で、ジメチル-(4-メトキシフェニル)シラノール(54μL、0.3mmol、1.5当量)および水素化ナトリウム(8.5mg、0.36mmol、1.8当量)をトルエン(1mL)と共に1ドラムバイアルに加えた。この混合物を30分間エージングした。この時、4-(トリフルオロメチル)-クロロベンゼン(27μL、0.2mmol、1当量)およびパラジウムプレ触媒(0.002mmol、1mol%)を追加のトルエン0.5mL中に加えて反応を開始させた。各バイアルを70℃で18時間攪拌した。生成物への変換率をGC分析によって確定した。
Figure 2017537879
実施例21
アリールスルファメートを使用する檜山-Denmark反応
窒素充填グローブボックス中で、ジメチル-(4-メトキシフェニル)シラノール(54μL、0.3mmol、1.5当量)および水素化ナトリウム(8.5mg、0.36mmol、1.8当量)をトルエン(1mL)と共に1ドラムバイアルに加えた。この混合物を30分間エージングした。この時、N,N-ジメチル(4-[トリフルオロメチル]フェニル)スルファメート(0.13mmol、1当量)およびパラジウムプレ触媒(0.002mmol、1mol%)を追加のトルエン0.5mL中に加えて反応を開始させた。各バイアルを70℃で18時間攪拌した。生成物への変換率をGC分析によって確定した。
Figure 2017537879
本明細書において引用されるすべての特許、特許出願、および刊行物の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。特定の態様を参照して本発明を開示してきたが、当業者が、本発明の真意および範囲を逸脱することなく、本発明の他の態様および変形を考案することができることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような態様および同等の変形を含むものと解釈されるように意図されている。

Claims (43)

  1. 式(I)のプレ触媒、またはその塩もしくは溶媒和物:
    Figure 2017537879
    (I)において、
    各Mは独立して遷移金属であり;
    各Xは独立して配位子であり;
    各Rは独立して、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、
    但し、各5員環は少なくとも1個の独立して選択されるRで置換されており;
    ZはCH、CR、またはNであり、但し、0〜2個のZ基はNであり; あるいは、5位および6位のZ基は無であり、4位および7位のZ基は独立してRであり;
    nは1、2、3、または4である。
  2. 各Mが独立してPd、Ni、およびPtからなる群より選択される、請求項1記載のプレ触媒。
  3. (I)中の2個のMが同一である、請求項1記載のプレ触媒。
  4. (I)中の2個のMがPdである、請求項1記載のプレ触媒。
  5. (I)中の2個のXが同一である、請求項1記載のプレ触媒。
  6. (I)中の2個の各Xが独立して弱配位性配位子である、請求項1記載のプレ触媒。
  7. (I)中の2個の各Xが独立して、ハロゲン化物、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)、トシレート、メシレート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフィン、アセテート、トリフルオロアセテート、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、および水からなる群より選択される、請求項1記載のプレ触媒。
  8. (I)中の2個の各Xがアニオンである、請求項1記載のプレ触媒。
  9. 5員環を含む2個の配位子が同一である、請求項1記載のプレ触媒。
  10. 各5員環が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている、請求項1記載のプレ触媒。
  11. 各5員環が、メチル、イソプロピル、およびtert-ブチルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている、請求項10記載のプレ触媒。
  12. 各5員環の1位または3位がRで置換されている、請求項1記載のプレ触媒。
  13. 各5員環の2位がRで置換されている、請求項1記載のプレ触媒。
  14. 各Zが独立してCHおよびCRからなる群より選択される、請求項1記載のプレ触媒。
  15. 式(II)のプレ触媒、またはその塩もしくは溶媒和物:
    Figure 2017537879
    (II)
    (II)において、
    Mは遷移金属であり;
    Xは配位子であり;
    各Rは独立して、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択され、
    但し、5員環は少なくとも1個のRで置換されており;
    ZはCH、CR、またはNであり、但し、0〜2個のZ基はNであり; あるいは、5位および6位のZ基は無であり、4位および7位のZ基は独立してRであり;
    Lは単座配位子または二座配位子であり;
    nは1、2、3、または4である。
  16. Lが二座配位子であり、Xが存在しかつMに配位する、請求項15記載のプレ触媒。
  17. Lが二座配位子であり、Xが存在しないかまたはMに配位しない、請求項15記載のプレ触媒。
  18. MがPd、Ni、およびPtからなる群より選択される、請求項15記載のプレ触媒。
  19. MがPdである、請求項15記載のプレ触媒。
  20. Xが弱配位性配位子である、請求項15記載のプレ触媒。
  21. Xが、ハロゲン化物、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)、トシレート、メシレート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、ヘキサフルオロホスフィン、アセテート、トリフルオロアセテート、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、および水からなる群より選択される、請求項15記載のプレ触媒。
  22. 5員環が、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、フェニル、置換フェニル、フェニルアルキル、置換フェニルアルキル、アリール、置換アリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリール、および置換ヘテロアリールからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている、請求項15記載のプレ触媒。
  23. 5員環が、メチル、イソプロピル、およびtert-ブチルからなる群より選択される少なくとも1個のRで置換されている、請求項22記載のプレ触媒。
  24. 5員環の1位または3位がRで置換されている、請求項15記載のプレ触媒。
  25. 5員環の2位がRで置換されている、請求項15記載のプレ触媒。
  26. 各Zが独立してCHおよびCRからなる群より選択される、請求項15記載のプレ触媒。
  27. Lが、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-イリデンおよび1,3-ビス(2,6-ビス-(ジフェニルメチル)-4-メトキシフェニル)イミダゾール-2-イリデンからなる群より選択される、請求項15記載のプレ触媒。
  28. Lが単座ホスフィン配位子である、請求項15記載のプレ触媒。
  29. Lが、AmPhos(ジ-t-ブチルホスフィノ-4-ジメチルアミノベンゼン)、DavePhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル)、tBuDavePhos(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル)、QPhos(1,2,3,4,5-ペンタフェニル-1'-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン)、RuPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジイソプロポキシビフェニル)、SPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシビフェニル)、XPhos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル)、tBuXPhos(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル)、Me4tBuXPhos(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-3,4,5,6-テトラメチル-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)、BrettPhos(2-(ジシクロヘキシルホスフィノ)3,6-ジメトキシ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル)、tBuBrettPhos(2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-3,6-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル)、AdBrettPhos(2-(ジアダマンチルホスフィノ)-2',4',6'-トリイソプロピル-3,6-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル)、Me-DalPhos(2-(ジ-1-アダマンチルホスフィノ)フェニルピペリジン)、Mor-DalPhos(ジ(1-アダマンチル)-2-モルホリノフェニルホスフィン)、ジ(1-アダマンチル)-1-ピペリジニル-フェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、およびトリ(t-ブチル)ホスフィンからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項15記載のプレ触媒。
  30. Lが二座ホスフィン配位子である、請求項15記載のプレ触媒。
  31. Lが、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(DPPF)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(XantPhos)、4,6-ビス(ジフェニルホスファニル)-10H-フェノキサジン(NiXantPhos)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン(dppm)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(dppp)、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(dppb)、2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(BINAP)、ビス[(2-ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル(DPEPhos)、1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)エタン、および1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)-エタン(dcpe)からなる群より選択される、請求項30記載のプレ触媒。
  32. 混合アルカリ/遷移金属またはアルカリ土類/遷移金属塩と、配位子
    Figure 2017537879
    とを、有機溶媒中、塩基の存在下で接触させて、反応混合物を形成する工程
    を含む、請求項1記載のプレ触媒を調製する方法。
  33. 塩基が炭酸ナトリウムを含む、請求項32記載の方法。
  34. 有機溶媒がメタノールを含む、請求項32記載の方法。
  35. プレ触媒が反応混合物から析出する、請求項32記載の方法。
  36. 混合塩が[E]MX2を含み、[E]がNa2、K2、Ca、またはMgである、請求項32記載の方法。
  37. 混合塩がNa2PdCl2を含む、請求項32記載の方法。
  38. 混合アルカリ/遷移金属塩または混合アルカリ土類/遷移金属塩が、MX2とアルカリまたはアルカリ土類塩とを溶液中で接触させることで調製される、請求項32記載の方法。
  39. 請求項1記載の触媒と配位子Lとを接触させる工程を含む、請求項15記載のプレ触媒を調製する方法。
  40. LがN-複素環カルベンである、請求項39記載の方法。
  41. 第1の試薬と第2の試薬とを、(a) 請求項1記載のプレ触媒および配位子ならびに(b) 請求項15記載のプレ触媒からなる群より選択される少なくとも1つの存在下で接触させる工程
    を含む、第1の試薬と第2の試薬との間の反応を促進する方法。
  42. 第1の試薬および第2の試薬が以下からなる群より選択される、請求項41記載の方法:
    (i) 第1の試薬が芳香族またはヘテロ芳香族ボロン酸またはボロン酸エステルであり、第2の試薬が芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである;
    (ii) 第1の試薬が芳香族またはヘテロ芳香族アミンであり、第2の試薬が芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである;
    (iii) 第1の試薬が芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化亜鉛であり、第2の試薬が芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである;
    (iv) 第1の試薬が芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化マグネシウムであり、第2の試薬が芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである;
    (v) 第1の試薬が芳香族またはヘテロ芳香族ハロゲン化スズであり、第2の試薬が芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである;
    (vi) 第1の試薬がケトン、アルデヒド、イミン、アミド、またはエステルであり、第2の試薬が芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである;
    (vii) 第1の試薬がアルコールまたはチオールであり、第2の試薬が芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである;
    (viii) 第1の試薬が芳香族またはヘテロ芳香族シラノール、シロキサン、またはシランであり、第2の試薬が芳香族、ヘテロ芳香族、またはビニルハロゲン化物、トシレート、トリフレート、メシレート、スルファメート、またはカルバメートである。
  43. 第一級または第二級アルコールと、(a) 請求項1記載のプレ触媒および配位子ならびに(b) 請求項15記載のプレ触媒からなる群より選択される少なくとも1つとを接触させる工程
    を含む、第一級または第二級アルコールの嫌気性酸化を促進する方法。
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