以下は、例示的な実施形態の説明であり、同じ参照番号が、幾つかの図のそれぞれにおいて構造の同じ要素を特定する図面が参照される。
次に続く図面及びテキストにおいて、類似のコンポーネントが類似の参照番号で指定され、コンポーネント及び配置構成又は既に述べたコンポーネントの相互作用に関する同様な説明は省略される。これらが使用される場合、用語「第1の(first)」、「第2の(second)」等は、任意の順序関係、前後関係又は優先関係を必ずしも示すのではなく、単に、1つの要素を別の要素からより明確に区別するために使用される。
本出願の文脈において、用語「光学部品(optics)」は概して、光ビームを形作り方向付けるために使用されるレンズ並びに他の屈折性、回折性、及び反射性コンポーネントを指すために使用される。
本開示の文脈において、用語「観察者(viewer)」、「オペレータ(operator)」、及び「ユーザ(user)」は同等であると考えられ、観察中の施術者、技術者、又はディスプレイモニター上で、歯科画像等の画像を観察し操作する他の人を指す。「オペレータの指示(operator instruction)」又は「観察者の指示(viewer instruction)」は、カメラ上のボタンをクリックすることによって、コンピュータマウスを使用することによって、又はタッチスクリーンもしくはキーボード入力によって等で、観察者によって入力される明示的なコマンドから得られる。オペレータの指示は、広帯域可視源及び近UV又は青UV源からの、単一画像の採取及び処理、又は、パターン化画像及びフラットフィールド画像を含む複合画像を生成するために必要とされる幾つかの異なる画像タイプの採取及び処理を始動する可能性がある。動きアーチファクトを低減するのに役立つために、複合画像生成は、例えば、密な連続で互いにすぐ後に続く等で、出来る限り短い時間スパン内で採取される画像のシーケンスを使用する。検出器52が光を採取し、取得される各画像について画像データを提供するために、ある有限量の時間が必要とされることが理解される。複数の画像が必要とされる場合、複数の画像は、任意の順序で取得され、複合画像を生成するために使用される可能性がある。本出願のある実施形態によれば、複合画像を生成することは、複数の構造化光投影画像及び1つ又は複数の蛍光画像が、同じカメラ位置から採取されたと判定された後にのみ、起こる。
表示される特徴についての用語「強調すること(highlighting)」は、情報及び画像表示技術の専門家にとって理解されるその従来の意味を有する。一般に、強調することは、観察者の注意を引くため、ある形態の局所化された表示強化を使用する。個々の歯牙又は歯牙のセット又は他の構造(複数可)等の画像の一部分を強調することは、注釈を付けること、近傍の又は重なるシンボルを表示すること、輪郭付け又はトレースすること、他の画像又は情報コンテンツと異なる色で、又はそれより著しく異なる輝度もしくはグレイスケール値での表示、表示の一部分の点滅もしくはアニメーション、又は、より高い鮮鋭度又はコントラストでの表示を含むが、それに限定されない幾つかの方法のうちの任意の方法で達成される可能性がある。
画像は、カメラ又は他のデバイスによって採取される可能性がある画像データに応じて表示され、画像データは、ピクセルの順序付けられた配置として画像を表す。画像コンテンツは、例えば、異なるソースからの画像データを組合せるため、又は、画像データによって表される歯牙解剖学的構造の種々の特徴を強調するため等のために、採取済み画像データから直接表示されてもよい、又は、さらに処理されてもよい。本出願の文脈で使用されるように、用語「画像(image)」及び「画像データ(image data)」は、これらの用語が文脈によるデジタルデータ表現又は物理的表示表現に関連することを理解して、概して同義である。
用語「少なくとも1つの(at least one of)」は、列挙される項目の1つ又は複数が選択される可能性があることを意味するために使用される。用語「約(about)」は、列挙された値が、ある適度な許容範囲内である程度改変される可能があることを示す。ただし、その改変は、例証した実施形態に対するプロセス又は構造の不適合をもたらさない場合に限られる。用語「例示的な(exemplary)」は、特定の説明又はインスタンスが、理想的であることを意味するのではなく、例として使用されることを示す。
用語「セット(set)」は、本明細書で使用されるとき、セットの要素又はメンバの集合体の概念が基本数学において幅広く理解されるため、非空のセットを指す。用語「サブセット(subset)」は、別途明示的に述べられない限り、非空の適切なセット、すなわち、1つ又は複数のメンバを有する大きなセットのサブセットを指すために本明細書で使用される。セットSについて、サブセットは、完全なセットSを含んでもよい。しかし、セットSの「適切なサブセット(proper subset)」は、セットS内に厳密に含まれ、セットSの少なくとも1つのメンバを排除する。
本明細書で使用されるように、用語「通電可能(energizable)」は、電力を受取ると、任意選択で、イネーブル用信号を受信すると、示す機能を実施するデバイス又はコンポーネントのセットに関する。
用語「作動可能(actuable)」は、その従来の意味を有し、例えば、電気信号に応答して等、刺激に応答してアクションを実施することが可能であるデバイス又はコンポーネントに関する。
本出願で使用されるフレーズ「信号通信状態にある(in signal communication)」は、電気接続であって、それによって、2つ以上のデバイス及び/又はコンポーネントが、何らかのタイプの信号経路を通じて伝わる、1つ又は複数の信号を共有することができる電気接続を示す。信号通信は有線又は無線であってよい。信号は、第1のデバイス及び/又はコンポーネントと第2のデバイス及び/又はコンポーネントとの間の信号経路に沿って、第1のデバイス及び/又はコンポーネントから第2のデバイス及び/又はコンポーネントまで情報、電力、及び/又はエネルギーを伝達してもよい、通信信号、電力信号、データ信号、又はエネルギー信号であってよい。信号経路は、第1のデバイス及び/又はコンポーネントと第2のデバイス及び/又はコンポーネントとの間の、物理的接続、電気的接続、磁気的接続、電磁的接続、光学的接続、有線接続及び/又は無線接続を含んでもよい。信号経路には、同様に、第1のデバイス及び/又はコンポーネントと第2のデバイス及び/又はコンポーネントとの間に、さらなるデバイス及び/又はコンポーネントを含んでもよい。
本出願の実施形態は、パターン化光画像からの輪郭撮像と共に反射撮像技法と蛍光撮像技法の組合せを使用し、検出される輪郭構造に対してフラットフィールド画像をマッピングすることによって、改良型口腔内撮像についての必要性に対処する。種々のタイプの画像が、採取され、処理され、表示され、歯牙及び口の特徴のより詳細な解析及び評価が患者の診断を補助することを可能にすることができる。
図1は、例示的な口腔内撮像装置の実施形態のコンポーネントを示す略図である。図1に示すように、口腔内撮像装置10は、歯牙20の画像を取得する可能性がある。口腔内カメラ30は、本出願においてコンピュータプロセッサとも呼ばれる制御ロジックプロセッサ40と信号通信状態にある。信号通信は、ケーブル32を通じて、又は代替的に、無線接続(図示せず)を通じて提供される。プロセッサ40は、ディスプレイ42、並びに、コマンド入力用のキーボード及びマウス又は他のポインタデバイス等のオペレータインタフェース44と信号通信状態にある。プロセッサ40が、カメラ30の内部の及び/又は外部のコンピュータ処理回路要素によって、幾つかの異なる方法で具現化される可能性があることが理解できる。ある例示的な方法及び/又は装置の実施形態において、プロセッサ40は、照明経路上に、密な連続で及び/又は時間的に隣接する期間の間に、オペレータの指示に応答して、可視又は青UV光源からフラットフィールド光又はパターン化照明を(例えば、カメラ30によって)提供することが可能である。
図2Aは、本出願による口腔内撮像カメラの例示的な光学コンポーネントを示す略図である。図2Aは、口腔内カメラ30の一実施形態の撮像コンポーネントについての光学経路をより詳細に示す。制御ロジックプロセッサ40は、図1に示すように、カメラ30の外部にあってよい、又は、カメラ30の内部にあってよい。代替的に、プロセッサ40は、分散ロジック処理配置構成を使用してもよく、それにより、一部の処理機能はカメラ30内で実施され、他の機能は、カメラ30からデータを採取する1つ又は複数の更なるプロセッサによって実施される。フリンジパターン発生器50は、広帯域可視又は白色光源66等の1つ又は複数の照明源、及び、後続の説明で「青紫外(blue−ultraviolet)」又は「青UV(blue−UV)」と呼ばれる、紫外(UV)又は近紫外又は青光源等の、一般的に短い波長にある励起エネルギー用の第2の光源68から光エネルギーを得る。UV照明の場合、励起源68からの放出光は、一般に、約410nmより低い。青UV照明の場合、励起源68は、通常、約350nmと500nmとの間の範囲内の光を放出する。一般に可視蛍光を励起するのに効果的であるこの青UV照明範囲の有利な部分は、ほぼ約405nmに中心を置く。ダイクロイック表面を有するビームスプリッタ等の光コンバイナ60は、照明をフリンジパターン発生器50に方向付ける。フリンジパターン発生器50は、例えば、空間光変調器であってよく、空間光変調器は、光源66及び68から光の1つ又は複数のパターンを形成するため、又は、全体的な反射撮像又は蛍光撮像についてパターンを持たないフラットフィールドの光を形成するために通電可能である。パターン化光を生成するために使用される可能性がある空間光変調器のタイプの中に、Texas Instruments,Inc.(テキサス州ダラス所在(Dallas TX))からのデジタル光プロセッサ等のデジタルマイクロミラーアレイ及び液晶デバイス(LCD)アレイが存在する。フリンジパターン発生器50は、透光タイプ(図2Aに示す)、又は、反射によって入射光を変調する反射タイプ(図示せず)である可能性がある。
広帯域光源56は、反射画像用のフラットフィールド白色光照明を提供する。青UV源58は、蛍光撮像用のフラットフィールド青UV照明を提供する。いずれか又は両方の光源56及び58は発光ダイオード(LED)である可能性がある。破線で示す3つの照明経路及び検出器に至る撮像経路のそれぞれは、種々の光学部品54を含み、種々の光学部品54は、図2Aのレンズシンボルで表され、また、レンズ、フィルタ、偏光子/解析器、経路折畳み光学部品、アパーチャ、又は、照明又は撮像光を適切に条件付け方向付けるのに役立つ他のコンポーネントを含む。
任意選択で、カメラ30の動きは、画像の間で決定される可能性がある。例えば、オプションの動き検出器38などは、画像の間でカメラ30の動きを検知するために使用される可能性がある。この情報は、構造化光画像を互いに関連付けると共に蛍光画像を反射画像コンテンツに関連付けるために、画像コンテンツを相関付けるのに役立つために使用される可能性がある。代替的に、動きは、制御ロジックプロセッサ40によって実行される画像解析ソフトウェアルーチンによって検出される可能性がある。オプションのモード選択スイッチ78は、口腔内カメラについて撮像モードのオペレータ選択を可能する設定を提供する。スイッチ78は、蛍光画像又は反射画像及び/又はその組合せを使用して、反射画像取込み、蛍光画像取込み、又は輪郭画像取込みの選択を可能にする可能性がある。プロセッサ40は、異なる光源間で高速に切換えることが可能であるため、異なるタイプの画像は、検出器52が画像データ出力を処理し提供するのと同程度に迅速に、同じカメラ30位置から、密な連続で、採取される可能性がある。他の画像の直後に一方の画像を、隣接して撮影される任意の2つの画像の場合、隣接画像採取間の間隔が、他のいかなる単一の要因にも増して、例えば、コンポーネントリフレッシュタイムを含む、画像データを形成し記録するためにシステムによって要求される応答時間によって決定されるとき、画像取込みは、「密な連続で(in close succession)」であると考えられる。
図2Bは、本出願による例示的な口腔内撮像カメラの実施形態内で別の例示的な光学配置構成を示す略図である。図2Bは、単一光源67のみが輪郭撮像のために使用されるようにコンバイナ60を使用しないが、図2Aの実施形態と同様のカメラ30の実施形態を示す。この構成において、フリンジパターン発生器50は、広帯域可視又は白色光源もしくは青UV源を含むが、それに限定されない1つの光源67からの光エネルギーを使用する。反射又は蛍光撮像用のフラットフィールド照明は、光源56又は58からそれぞれ提供される。
図2Cは、本出願による、口腔内撮像カメラの実施形態の別の例示的な光学配置構成を示す略図である。図2Cは、フリンジパターン発生器50がカメラ30内の(例えば、全ての)光源用の照明経路内にあるカメラ30の実施形態を示す。パターン化照明又はフラットフィールドの照明は、反射撮像用であれ、蛍光撮像用であれ、輪郭撮像用であれ、プロセッサ40によって制御される空間光変調器によって形成される可能性がある。空間光変調器は、例えば、液晶デバイス又はマイクロミラーデバイス又は微小電気機械システム(MEMS:micro−electromechanical system)デバイスを含む。オプションの動き検出器38は、同様に、カメラ30の一部として含まれる。
オプションのフラットフィールド反射画像は、2つ以上の異なる修復エリア内のセラミック又は他の修復部の間の色調差を検出し示すために有用である可能性がある。
図3は、フリンジパターン発生器50から生成される可能性がある例示的な構造化光パターン62を示す。この例において、構造化光パターン62は、輪郭撮像技術の専門家によく知られている技法を使用して、フリンジ投影撮像のために従来的に使用されるような平行ラインのパターン84である。より手の込んだ光パターンが生成される可能性がある。しかし、平行ラインの1つ又は複数のパターンの使用が、表面輪郭を決定するときに効果的であることが示された。図4は、1つの例示的な構造化光パターン62が、歯牙の採取される画像上にどのように現れる可能性があるかを、モデルの歯牙構造上に示す。
図5は、本出願による、歯牙及び/又は他の口腔特徴部の表面輪郭に相関付けられる蛍光撮像データを提供するための例示的な方法の実施形態を示すロジックフロー図である。図5のロジックフロー図は、蛍光画像コンテンツを、輪郭撮像から取得される構造データに結合する可能性がある例示的なプロセスの実施形態のステップを示す。構造化光画像採取ステップS100にて、構造化光パターンが投影され、対応する画像が、採取され、輪郭画像生成ステップS110にて、表面輪郭情報を生成するために使用される。2つ以上の構造化光パターンが、その撮像視点における表面輪郭のより完全な特徴付けのために投影され撮像されてもよい。蛍光画像採取ステップS120は、同様に、ステップS100と同時に又はほぼ同時に実行される可能性がある。蛍光画像採取ステップS120は、より高いエネルギーの青UV照明を歯牙表面に方向付け、フラットフィールド蛍光画像を取得し、フラットフィールド蛍光画像は、その後、マッピングステップS130にて輪郭画像にマッピングされる可能性がある。蛍光画像、輪郭画像、又はフラットフィールド画像は、ビデオモードで取得される可能性がある。カメラ30は、輪郭画像及び蛍光画像を密な連続で採取するため同じ位置に保持され、採取速度は、検出器52(図2A〜2C)によって要求される応答時間によってゲート制御される。マッピングステップS130に続いて、オプションの画像処理及び解析ステップS140が、細菌活動及び脱灰についてのう蝕検出を補助するために実施される可能性がある。う蝕検出に加えて、ステップS140は、同様に、テトラサイクリンの支援型検出等、他の臨床診断を適用する可能性がある。テトラサイクリンは、320〜400nmUV範囲内の光を吸収することが知られている。約358nm〜364nmのUV励起は、ナノグラムレベルの量のこれらの成分の検出を可能にするのに特に効果的である。このテトラサイクリン検出機能のみが必要とされるステップS130は、任意であり、処理は、ステップS120からS140に進むことになる。表面輪郭にマッピングされた蛍光画像データを示す、こうした結果として得られる画像は、表示ステップS150にて表示される。
図5のシーケンスで示す撮像ステップが任意の順序で実行される可能性があることが留意されるべきである。撮像技法又は何らかの他のタイプの位置検知メカニズムを使用するカメラ30の位置追跡は、構造化光画像の間の必要とされる相関、及び、生成される輪郭画像と蛍光画像データとの相関を提供するのに役立つ。
2つ以上の構造化光画像からの輪郭画像生成は、画像処理技術の専門家に知られている。輪郭画像生成は、三角測量、カメラ場所又は移動補償、及び画像解析を使用して、取得される画像から表面情報を取得してもよい。
マッピングステップS130は、幾つかの方法で実行される可能性がある。本出願のある実施形態によれば、蛍光画像は、構造化光画像を取得するために使用される同じ位置でカメラ30によって取得される。そのため、同じ撮像視点が、1つ又は複数の構造化光画像及び1つ又は複数の対応する蛍光画像について適用される。構造化光画像及び蛍光画像は、異なるカメラ移動又は位置によって決定される、幾つかの撮像視点についてこうした方法で取得される可能性がある。その後、各撮像視点において、同じ画像座標が、輪郭画像の再構築と輪郭画像に対する蛍光画像コンテンツのマッピングの両方に役立つ可能性がある。図6は、再構築された輪郭画像に対する蛍光画像のマッピングを概略的な形態で示す。カメラ位置検知に対する代替として、画像解析法を利用するマッピングプロセスが使用される可能性がある。画像処理技術の専門家によく知られているこれらの方法は、撮像される構造を解析し、取得される画像内で同様な特徴を検出して、画像を互いに相関付ける。
蛍光画像コンテンツは、種々の条件について解析される可能性がある。例えば、鉱物質消失と青色光励起の場合の蛍光の消失との間の相関が使用されて、歯牙のう蝕エリアを特定し評価する可能性がある。スペクトルの青色又は赤色光励起領域であって、その領域内で、う蝕領域内の細菌副産物が、健康なエリアがするよりも著しく吸収し蛍光を放つ、青色又は赤色光励起領域について、異なる関係が見出された。
出願人等は、う蝕の光学検出に関連する幾つかの参考文献を述べる。
米国特許第4,515,476号(Ingmar)は、う蝕エリアを位置特定するため何らかの他の波長で蛍光を生成する励起エネルギーを提供するためのレーザの使用を述べる。
米国特許第6,231,338号(de Josselin de Jong等)は、蛍光検出を使用して歯科う蝕を特定するための撮像装置を述べる。
米国特許出願公開第2004/0240716号(de Josselin de Jong等)は、蛍光発光する組織から取得される画像についての改善された画像解析のための方法を述べる。
米国特許第4,479,499号(Alfano)は、歯牙構造の半透明特性に基づいてう蝕を検出するため透過照明を使用するための方法を述べる。
米国特許出願公開第2004/0202356号(Stookey等)は、異なるステージのう蝕を改善された精度で検出するための、蛍光のスペクトル変化の数学的処理を述べる。スペクトル蛍光測定を使用するときの早期検出の困難さを認めて、’2356号のStookey等の開示は、取得されるスペクトル値を増大(enhance)させるためのアプローチを述べ、そのアプローチは、蛍光画像を取得するカメラのスペクトル応答に適合するスペクトルデータの変換を実施する。
Wong等による「Method for Detection of Caries」と題する本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7668355号において、歯牙の反射画像と蛍光画像の両方を使用する方法及び装置がう蝕を検出するために使用される。この方法は、初期う蝕のためのまた蛍光作用と組合せての後方散乱又は反射の観測を利用して、う蝕を検出する歯科撮像技法を提供する。
本発明のある例示的な装置及び/又は方法の実施形態は、少なくとも2つの異なる、重なる又は重ならないスペクトル帯における蛍光応答を利用する可能性がある。例えば、図7Aは、緑スペクトル帯の蛍光から提供される情報を示す。青及び近UV波長(本出願のある実施形態によれば、名目上、ほぼ約405nmに中心を置く)の励起光70は、外側エナメル質層22及び内側象牙質24を有する歯牙20に方向付けられる。ほぼ500〜550nmの範囲の緑波長の蛍光発光した光72は、通常の灰分を有する歯牙20の部分から検出され、虫歯による知覚できる損傷を示さない。図7Aに示す表現において、脱灰されたエリア26は、健康なエナメル質より不透明性が高く、入射励起光70をブロックすると共に、周囲エナメル質からの後方散乱蛍光をブロックする傾向がある。この作用は、Wong等に対する「Method and Apparatus for Detection of Caries」と題する本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7596253号に記載されるFIRE法によって使用され、2D静止画像内の蛍光緑チャネルデータが2D静止画像内の反射画像データと組合されて、う蝕領域のコントラストを高める。
図7Bは、FIRE法を使用して検出された歯牙20の早期う蝕状態を示す2D画像である。図7Bにおいて丸で囲むエリア28は、疑わしい脱灰によるう蝕を示す。
蛍光発光した赤色光は、異なる意味を有し、例えば、細菌代謝産物の存在を示す。通常、う蝕病変、プラーク、又は歯石をもたらす細菌は、約600nmより上で、赤スペクトルにおいて蛍光発光する副産物を、通常、生成する。図8Aは、う蝕検出のための蛍光発光した赤色光53の挙動を示す。ここで、う蝕病変55は、励起光70に応答して、赤スペクトル領域内で知覚可能な量の蛍光発光した光53の放出によって立証される有意の細菌活動を有する。蛍光光の適切なフィルタリングによって、この赤波長放出は、図8Bにおいて丸で囲む活動性病変46を示す。
図6は、本出願のある実施形態による、(例えば、マッピングされた)蛍光画像コンテンツを含む可能性がある例示的な輪郭画像を示す斜視図である。図6は、表示ステップS150(図5)の例示的な出力、輪郭画像74上に表示されたう蝕エリア76を有する複合画像80を示す。表示された複合画像80は、例えば、う蝕等の、検知される細菌活動の相対的な重大さ又はタイプに応じて強調された、細菌活動の1つ又は複数のエリアを含んでもよい。
本出願の代替の装置及び/又は方法の実施形態によれば、口腔内撮像装置10が使用されて、反射光を使用するのではなく、蛍光を使用して取得される輪郭画像を表示する可能性がある。図9は、本出願による、少なくとも蛍光画像コンテンツから形成される輪郭画像を生成し表示するための例示的な方法の実施形態を示すロジックフロー図である。構造化光画像採取ステップS200は、UV光又は近UV光等の、蛍光を励起することを意図される構造化光によって、歯牙又は他の口腔特徴部を照明する。構造化光パターンは、図3及び4に関して示す従来的な平行ライン配置構成であってよい、又は、異なる特徴的なパターンを有してもよい。この照明パターンから得られる蛍光発光した光は、その後、反射撮像のために使用される方法と同様な方法で、幾つかの撮像視点のそれぞれについて、複数の画像のセットで取込まれる。輪郭画像は、その後、輪郭画像生成ステップS210内で形成される可能性がある。細菌活動のエリアは、先に述べたように、蛍光光から検出される可能性がある;このプロセスは、任意の細菌エリア特定ステップS220において実施される。表示ステップS230は、その後、細菌活動を示すエリアが強調された状態で輪郭画像を表示する可能性がある。
図9に示す撮像ステップシーケンスが、任意の順序で実行される可能性があり、また同様に、動的な更新のために連続して実施される可能性があることが留意されるべきである。撮像技法又は何らかの他のタイプの位置検知メカニズムを使用するカメラ30の位置追跡は、構造化光画像の間の必要とされる相関、及び、生成される輪郭画像と蛍光画像データとの相関を提供するのに役立つ。
図10は、本出願による、周囲軟部組織内の病変情報と共に輪郭画像を表示するための例示的な方法の実施形態を示すロジックフロー図である。図10は、患者の口の周囲組織内の病変エリアを検出し表示するため、反射輪郭撮像と蛍光撮像の組合せを使用するためのシーケンスを示す。構造化光画像採取ステップS300にて、構造化光のパターンは、2つ以上の空間的にシフトした位置のそれぞれにおいて、2回以上、歯牙及び組織上に投影されて、幾つかの構造化光投影画像を取得する。カメラ30がパターン化光画像を取込むため同じ位置で保持された状態で、周囲組織を含む輪郭画像は、その後、輪郭画像生成ステップS310にて形成される可能性がある。輪郭情報がそれについて取得された歯牙の近くにある組織から、蛍光画像コンテンツが取得される可能性がある蛍光画像採取ステップS320が、その後、実行される。蛍光を励起するための光は、先に述べたように、UV又は近UV波長範囲内の光等のフラットフィールド光である可能性がある。カメラ30を同じ位置に維持することは、蛍光情報と輪郭情報の位置合せを可能にする。種々のセンサ(図2A〜2Cにおいて動き検出器38として示す)は、意図しないカメラ30の移動を検出するために使用される可能性がある;画像処理は、同様に、必要とされる画像を採取するため、カメラ30が同じ位置にあるか否かを判定するために使用される可能性がある。本出願のある実施形態によれば、後続のステップS330及びS340についての処理は、互いに適切に位置合せされる可能性がある輪郭画像及び蛍光画像が取得されるまで始まらない。
図10のシーケンスにおける病変エリア特定ステップS330において、画像解析が使用されて、病変を示す組織エリアを特定する。表示ステップS340は、その後、撮像される組織場所を撮像される歯牙に相関付け、特定される病変エリアを複合画像で表示する。病変の強調は、図10のシーケンスの結果として表示される画像について提供される可能性がある。
図10に示すシーケンスは、例えば、粘膜病変の検出を補助するために使用される可能性がある。病変検出は、例えば、スペクトル解析を使用して、組織の疑わしいエリアを特定する可能性がある。約375〜440nmの範囲内のUVを使用する口腔粘膜の励起が、上皮ケラチンからの蛍光応答を生成することが観測された。異常組織は、減少した蛍光強度を有し、種々のタイプの病変を示す。
図10のシーケンスに示す画像採取ステップが、同期して、又は、示す順序配置と異なる順序配置で実行される可能性があり、異なる画像コンテンツ及び対応する処理が、新しい画像が採取されるにつれて更新されることが留意されるべきである。撮像技法又は何らかの他のタイプの位置検知メカニズムを使用するカメラ30の位置追跡は、構造化光画像の間の必要とされる相関、及び、生成される輪郭画像と蛍光画像データとの相関を提供するのに役立つ。
処理される画像コンテンツは、幾つかの方法のうちの任意の方法で観察者に提示される可能性がある。図11は、ディスプレイ42上の例示的なオペレータインタフェーススクリーンを示し、オペレータインタフェーススクリーンは、観察者が、輪郭画像74と共に又は輪郭画像74と別個にう蝕エリア76を観察すること、又は、輪郭画像74のみを観察すること等、複合画像80内の画像コンテンツの表示をイネーブル又はディセーブルすることを可能にする。この同じタイプのオペレータインタフェース配置構成は、病変のビューをイネーブル又はディセーブルするために使用される可能性がある。パン及びズーム画像操作機能が、同様に、オペレータインタフェースから利用可能である。
本出願の実施形態は、同様に、撮像される歯牙コンテンツが、歯科チャート情報と共に記憶されることを可能にする。図12は、ディスプレイ42上の例示的な歯科チャート88を示し、複合画像80コンテンツは歯牙配置に応じて特定の歯牙20に索引付けされる。
一実施形態において、歯牙の画像を取得するための方法は、構造化光パターンを1つ又は複数の歯牙上に投影し、歯牙の複数の構造化光投影画像を採取すること、採取される複数の構造化光投影画像から歯牙表面の輪郭画像を生成すること、青UV照明下で生成される歯牙の1つ又は複数の蛍光画像を採取すること、検出されるカメラ移動に応じて、生成される輪郭画像にマッピングされた蛍光画像コンテンツを有する複合画像を生成すること、マッピングされた蛍光画像コンテンツ内で1つ又は複数の修復エリアを特定すること、及び、生成される複合画像を、1つ又は複数の特定される修復エリアが強調された状態で表示することを含む可能性がある。
一実施形態において、口腔内画像を形成するための方法であって、構造化光パターンを歯牙上に投影し、歯牙の複数の構造化光投影画像を採取すること、採取される複数の構造化光投影画像から歯牙表面の輪郭画像を生成すること、青UV照明下で生成される1つ又は複数の歯牙の1つ又は複数の蛍光画像を採取すること、生成される輪郭画像にマッピングされた歯牙について、蛍光画像コンテンツを有する複合画像を生成すること、マッピングされた蛍光画像コンテンツに応じて、テトラサイクリン材料を示す歯牙の1つ又は複数のエリアを特定すること、及び、生成される複合画像を、テトラサイクリン材料を示す1つ又は複数の特定されるエリアが強調された状態で表示することを含む可能性がある。
一実施形態において、口腔内画像を取得するための方法は、構造化光パターンを1つ又は複数の歯牙及び周囲組織の少なくともある部分上に投影し、歯牙及び周囲組織の複数の構造化光投影画像を採取すること、採取される複数の構造化光投影画像から歯牙及び周囲組織表面の輪郭画像を生成すること、青UV照明下で生成される歯牙の近くの組織の1つ又は複数の蛍光画像を採取すること、生成される輪郭画像にマッピングされた組織について蛍光画像コンテンツを有する複合画像を生成すること、マッピングされた蛍光画像コンテンツ内で組織異常を示す1つ又は複数のエリアを特定すること、及び、生成される複合画像を、1つ又は複数の特定される組織異常エリアが強調された状態で、表示することを含む可能性がある。
一実施形態において、口腔内撮像のための装置は、反射撮像用のフラットフィールド照明を提供するための第1の広帯域可視光源と、蛍光撮像用のフラットフィールド照明を提供するための青UV光源と、パターン化照明を生成するための第2の広帯域可視光源又は青UV光源と、照明経路内にあり、1つ又は複数の歯牙上に投影するため第2の光源から光投影パターンを形成するために通電可能であるフリンジパターン発生器と、装置動き量がある閾値より小さいときを検出し、パターン化照明及びフラットフィールド照明による画像を取得するために、密な連続で、光源を切換えるために通電可能である制御プロセッサと、歯牙からの光の経路内にあり、照明経路内の光に応じて画像を形成するために通電可能な検出器とを含む可能性がある。
一実施形態に適合して、本発明の制御ロジックプロセッサ40は、電子メモリに記憶され電子メモリからアクセスされた画像データに作用する記憶済み命令を有するコンピュータプログラムを利用するタイプのコンピュータプロセッサである。画像処理技術の専門家によって認識されるように、本発明のある実施形態のコンピュータプログラムは、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等の適した汎用コンピュータシステムによって、又は、口腔内カメラ30(図1)内に含まれるマイクロプロセッサデバイスによって利用される可能性がある。しかし、ネットワーク化プロセッサを含む、多くの他のタイプのコンピュータシステムが使用されて、本発明のコンピュータプログラムを実行する可能性がある。本発明の方法を実施するためのコンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。この媒体は、例えば、ハードドライブ又は取外し可能デバイス等の磁気ディスクもしくは磁気テープ等の磁気記憶媒体;光学ディスク、光学テープ、又は機械判読可能バーコード等の光学的記憶媒体;ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)又はリードオンリーメモリ(ROM:read only memory)等の固体電子記憶デバイス;又はコンピュータプログラムを記憶するために使用される任意の他の物理デバイスもしくは媒体を備えてもよい。本発明の方法を実施するためのコンピュータプログラムは、同様に、インターネット又は他の通信媒体によって画像プロセッサに接続されるコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されてもよい。こうしたコンピュータプログラム製品の等価物が、同様にハードウェアで構築されてもよいことを当業者は容易に認識するであろう。
本出願の文脈において「コンピュータアクセス可能メモリ(computer−accessible memory)」と同等である用語「メモリ(memory)」が、例えば、データベースを含む、画像データを記憶し画像データに作用するために使用され、コンピュータシステムにとってアクセス可能な任意のタイプの一時的又はより永続的なデータ記憶作業空間を指す可能性があることが留意されるべきである。メモリは、例えば、磁気又は光学ストレージ等の長期記憶媒体を使用して、不揮発性である可能がある。代替的に、メモリは、マイクロプロセッサ又は他の制御ロジックプロセッサデバイスによって一時的バッファ又は作業空間として用いられるランダムアクセスメモリ(RAM)等の電子回路を使用するより揮発的の高い性質を有する可能がある。画像を表示することはメモリ記憶を必要とする。ディスプレイデータは、例えば、一時的記憶バッファに記憶され、一時的記憶バッファは、ディスプレイデバイスに直接連結され、表示データを提供するため必要に応じて周期的にリフレッシュされる。この一時的記憶バッファは、この用語が本出願で使用されるとき、同様にメモリであると考えられる可能性がある。メモリは、同様に、計算及び他の処理の中間結果及び最終結果を実行及び記憶するためのデータ用作業空間として使用される。コンピュータアクセス可能メモリは、揮発性、不揮発性、又は揮発型と不揮発型のハイブリッド型組合せである可能性がある。
本出願による例示的な実施形態は、本明細書で述べる種々の特徴を(個々に又は組合せて)含む可能性がある。
本発明が1つ又は複数の実施態様に関して説明されたが、添付特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、例証的な例に対して改変及び/又は修正が行われる可能性がある。さらに、本発明の特定の特徴が、幾つかの実施態様の1つの実施態様に関して開示された可能性があるが、こうした特徴は、任意の所与の又は特定の機能について所望されかつ有利である可能性がある他の実施態様の1つ又は複数の他の特徴と組合される可能性がある。用語「at least one of(少なくとも1つの)」は、列挙された項目の1つ又は複数が選択される可能性があることを意味するために使用される。用語「about(約)」は、列挙される値がある程度変更される可能があることを示す。ただし、その改変は、例証した実施形態に対するプロセス又は構造の不適合をもたらさない場合に限られる。最後に、「exemplary(例示的な)」は、説明が、理想的であることを意味するのではなく、例として使用されることを示す。本発明の他の実施形態は、明細書の考察及び本明細書で開示される本発明の実施から当業者にとって明らかになるであろう。本明細書及び例は例示としてのみ考えられることが意図され、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等物の意味及び範囲内に入る全ての変更は、特許請求の範囲内に包含されることを意図される。