JP2017537648A - ミスプライミング防止試薬 - Google Patents
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Abstract
ミスプライミング防止試薬、そのような試薬を含む組成物およびキット、ならびにその使用方法が、本明細書中に提供される。【選択図】なし
Description
関連出願
本出願は、2015年3月20日出願の米国特許仮出願第62/136,048号、および2014年12月19日出願の同第62/094,597号(これらのそれぞれが、その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)の優先権を主張する。
本出願は、2015年3月20日出願の米国特許仮出願第62/136,048号、および2014年12月19日出願の同第62/094,597号(これらのそれぞれが、その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)の優先権を主張する。
技術分野
本発明はミスプライミング防止試薬に関する。
本発明はミスプライミング防止試薬に関する。
ミスプライミングは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などのプライマー依存的増幅プロセスを行なう際に直面する深刻な問題である。ミスプライミングは、少なくとも4種類のタイプで現われる:1型ミスプライミングは、反応混合物の調製または他の酵素的操作(例えば、ワンステップRT-PCRの場合には逆転写)の実行中に、増幅の開始前に生じる;2型ミスプライミングは、LATE-PCR(Linear-After-The-Exponential PCR)などの非対称性PCR増幅(低い融解温度を有するプローブがその標的に結合することを可能にするためにインキュベーション温度を低下させる場合がある)の実施中に起こり得る通り、プライマーアニーリング温度を著しく下回るいずれかの温度がサイクル温度に含まれる場合に、増幅中に生じるか、または増幅反応の終了時に、DNA配列決定などの後続のプロセスに先立って、サンプルが冷却されかつサーマルサイクラーから取り出されたときに起こり得る;3型ミスプライミングは、反応のプライマーアニーリング温度以上の温度を有するサイクルでの増幅中に生じる;4型ミスプライミングは、高濃度のアンプリコンが生成された後に増幅の後期で生じる。つまり、1型および2型ミスプライミングは増幅反応のプライマーアニーリング温度未満で生じ、3型および4型ミスプライミングは反応のプライマーアニーリング温度以上で生じる。
1型および2型ミスプライミングの1つの兆候は、あるプライマーが他のプライマーまたはそのプライマー自体にハイブリダイズし、それから3'末端が伸長して小さな二本鎖アンプリコンが生成されるときに起こるプライマーダイマーの形成である。このアンプリコンは、続いてさらなる増幅を受けるか、かつ/またはさらに大きなオリゴマーを形成することができる。プライマーダイマー形成は、標的核酸配列の非存在下でさえも起こり得る。1型ミスプライミングに対処するために適用されてきたアプローチには、抗体が不可逆的に変性し、かつポリメラーゼにもはや結合できない95℃などの高温に反応物が加熱されるまで、DNAポリメラーゼに結合しかつポリメラーゼ活性を阻害する抗体の使用がある。
1型および2型ミスプライミングは、二本鎖DNAに相互作用する蛍光色素(例えば、SYBR Green 1)を用いてモニタリングされるリアルタイムPCR増幅の使用を介するものなどの、種々の方法により測定することができる。例えば、標的を含有する反応物に関して、ミスプライミングは、出発時の標的数および増幅効率に対して予測されるCtよりも低い閾値サイクル(Ct)値をもたらす場合がある。標的を含まない反応物に関して、ミスプライミングは、リアルタイム増幅シグナルの存在として観察されることができ、これらのシグナルのCt値が早ければ早いほど、ミスプライミングの発生率が高い。1型および2型ミスプライミングはまた、一次微分融解曲線分析によっても測定することができ、このとき、ミスプライミングは、意図される増幅生成物の融解ピークとは異なる融解ピークの形成として、意図される増幅生成物の融解ピークの両側の肩として、または意図される増幅生成物の融解ピークの幅の増大として、観察することができる。1型および2型ミスプライミングはまた、ゲル電気泳動を用いて検出することができ、この場合、ミスプライミングは、意図される特異的増幅生成物の予想される長さに対応するバンドとは別のバンドとして、または高分子量もしくは低分子量スメアとして観察することができる。ミスプライミングの防止は、意図される生成物の増幅の増大として現れる、より効率的なプライマーの使用をもたらす。
特定の態様では、ミスプライミング防止試薬が本明細書中に提供される。一部の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬は、1型および/または2型ミスプライミングを減少させるかまたは防止する。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、逆転写反応中の非特異的生成物の形成を減少させるかまたは防止する。一部の実施形態では、本明細書中に提供されるミスプライミング防止試薬は、第1の温度では主にステム・ループヘアピンコンホメーションを可逆的に獲得するが、第2の、より高い温度では獲得しない。一部の実施形態では、第1の温度は増幅反応のアニーリング温度未満の温度であり、第2の温度は増幅反応のアニーリング温度を超える温度である。特定の実施形態では、ミスプライミング防止試薬のステム・ループヘアピンコンホメーションは、熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)および/もしくは逆転写酵素の活性を阻害するか、かつ/またはその特異性を増大させる。一部の実施形態では、ミスプライミング防止領域は、その5'末端および3'末端に連結される非同一部分を含む(存在するとしても、リンカーは含まれない)。一部の実施形態では、末端部分は、dabcyl部分、Black Holeクエンチャー部分(例えば、Black Holeクエンチャー2部分またはBlack Holeクエンチャー3部分)またはクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47またはBiosearch Blue)などの、嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分である(存在するとしても、リンカーは含まれない)。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、単一ヌクレオチド反復配列(例えば、ポリシトシン反復)から構成されるループ状核酸配列を含む。つまり、一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、プライマーベースの核酸増幅プロセスの実施中に「ホットスタート」試薬および「コールドストップ」試薬の両方として作用することができる。
特定の態様では、少なくとも2つの非同一5'または3'末端部分(存在するとしても、リンカーは含まれない)を含む多重鎖ミスプライミング防止試薬が本明細書中に提供される。一部の実施形態では、多重鎖ミスプライミング防止試薬は、3型および/または4型ミスプライミングを阻害または防止する。一部の実施形態では、多重鎖ミスプライミング防止試薬は、合計で少なくとも2つの非同一5'または3'末端部分を含む、第1の核酸鎖および第2の核酸鎖を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの非同一部分は、dabcyl部分、Black Holeクエンチャー部分(例えば、Black Holeクエンチャー2部分またはBlack Holeクエンチャー3部分)およびクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blue)から選択される。
特定の態様では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を含む反応混合物またはキット(例えば、増幅および/または配列決定反応を行なうための反応混合物および/またはキット)が本明細書中に提供される。一部の実施形態では、反応混合物またはキットは、第1の核酸プライマー、第2の核酸プライマー、熱安定性DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、マグネシウム供給源、増幅バッファーおよび/またはdNTPをさらに含む。一部の実施形態では、反応混合物またはキットは、標的核酸分子をさらに含む。一部の実施形態では、反応混合物は、第2のミスプライミング防止試薬(例えば、本明細書中に記載される多重鎖ミスプライミング防止試薬)をさらに含む。
一部の態様では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を用いる、核酸増幅反応、逆転写反応および/または核酸配列決定反応中のミスプライミングの低減または防止方法が、本明細書中に提供される。特定の実施形態では、増幅生成物(すなわち、アンプリコン)の作製方法が本明細書中に提供され、該方法は、プライマーベースの核酸増幅反応が行われる(例えば、LATE-PCR反応、LEL-PCR反応またはRT-PCR反応などのPCR反応)条件下で本明細書中に記載される反応混合物をインキュベートするステップを含む。特定の実施形態では、cDNAの作製方法が本明細書中に提供され、該方法は、逆転写酵素反応が行われる条件下で本明細書中に記載される反応混合物をインキュベートするステップを含む。特定の実施形態では、標的核酸分子の配列決定方法が本明細書中に提供され、該方法は、配列決定反応が行われる条件下で本明細書中に記載される反応混合物をインキュベートするステップを含む。一部の実施形態では、方法は、反応混合物を形成させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、様々な長さの時間にわたり、かつ様々な温度での、増幅プロセスの開始に先立つ、反応混合物のインキュベーションをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、反応物の温度を低下させることにより増幅を停止させるステップ、および続いて、反応物を加熱することにより増幅を再開させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、増幅生成物の形成を検出するステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、長期間にわたって(例えば、1、2、3、4、5、6もしくは7日間超、および/または1、2、3、4、5、6、7もしくは8週間超)、増幅生成物を保存するステップをさらに含む。
概論
特定の態様では、プライマー依存的DNA増幅手順の間の、ミスプライミングの1回以上の出現の防止および/または意図される標的核酸配列の増幅の促進のための組成物および方法が本明細書中に提供される。特定の実施形態では、そのような組成物および方法はまた、標的核酸配列が存在しない増幅反応中のものを含めた、意図していない生成物の増幅も減少させるかまたは除去する。態様では、逆転写反応中の非特異的生成物の形成の減少または防止のための組成物および方法が、本明細書中に提供される。
特定の態様では、プライマー依存的DNA増幅手順の間の、ミスプライミングの1回以上の出現の防止および/または意図される標的核酸配列の増幅の促進のための組成物および方法が本明細書中に提供される。特定の実施形態では、そのような組成物および方法はまた、標的核酸配列が存在しない増幅反応中のものを含めた、意図していない生成物の増幅も減少させるかまたは除去する。態様では、逆転写反応中の非特異的生成物の形成の減少または防止のための組成物および方法が、本明細書中に提供される。
一部の実施形態では、第1の温度(例えば、核酸増幅手順中のアニーリング温度未満の温度)では熱安定性DNAポリメラーゼの活性を阻害しかつ/または特異性を増大させるステム・ループヘアピンコンホメーションを主に有するが、第2の、より高い温度(例えば、核酸増幅手順中のアニーリング温度超の温度)では主に非ヘアピンコンホメーションである、ミスプライミング防止試薬が本明細書中に提供される。つまり、一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、「ホットスタート」試薬(反応物の温度が最初にアニーリング温度より上昇する前のミスプライミングを阻害する)および「コールドストップ」試薬(温度がアニーリング温度未満に低下するときはいつでも、ミスプライミングを阻害する)の両方として機能することができる。
図1は、機能的に活性である緊密ヘアピンコンホメーションでの例示的ミスプライミング防止試薬の構造的特徴を描写している。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、以下の特徴のうちの1種以上を含むことができる:(1)シトシンヌクレオチドのみから構成されるループ;(2)少なくとも6塩基対長であるステム;(3)ステム配列の3'末端および5'末端塩基対および/もしくはループに最も近いステム配列の塩基対がGCもしくはCGのいずれかであるか、または対としてはTAもしくはAT対のものよりも高い融解温度を有する1種以上の非天然ヌクレオチドから構成される;(4)ステムの3'末端および5'末端が嵩高い部分を有しない環状および多環状平面部分の群より選択される非同一部分に連結され、それらの部分のうちの1種がステムに結合した蛍光色素から放射される蛍光などの光エネルギーをはじめとする電磁エネルギーのクエンチャーである。
一部の実施形態では、本明細書中に提供されるミスプライミング防止試薬を含む反応混合物およびキットならびに本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を用いる増幅手順を行なう方法が、本明細書中に提供される。一部の実施形態では、多重鎖ミスプライミング防止試薬、そのような試薬を含む試薬混合物およびキットならびにそのような試薬を用いる方法もまた、本明細書中に提供される。
定義
便宜のために、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲で用いられる一部の用語をここに集める。
便宜のために、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲で用いられる一部の用語をここに集める。
冠詞「a」および「an」は、その冠詞の文法上の目的語のうちの1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を意味するために本明細書中で用いられる。例として、「要素」(an element)は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。
用語「ホットスタート」および「コールドストップ」は、増幅反応中で用いられるDNAポリメラーゼのDNA合成活性(エキソヌクレアーゼ活性ではなく)が温度依存性試薬、抗体および/もしくはアルキル化剤との相互作用または他の何らかの手段により阻害される、反応の状態を説明する。ホットスタートとは、最初にアニーリング温度を超えて反応物の温度を上昇させ、かつポリメラーゼがDNAを合成するのを可能にするのに十分な長さにわたって高温を維持することによる、ポリメラーゼの活性化を意味する。特定のポリメラーゼ阻害剤試薬(例えば、本明細書中に記載される特定の試薬)は、反応物の温度が一旦アニーリング温度未満に低下すれば、再活性化することができる。そのような試薬は、「コールドストップ」試薬と称される。
本明細書中で用いる場合、「ハイブリダイズする」または「ハイブリダイゼーション」との用語は、二重鎖分子を形成させる相補的DNAおよび/またはRNA配列の水素結合を意味する。本明細書中で用いる場合、ハイブリダイゼーションは、一般的に、相補配列が1塩基対のみでミスマッチしている場合に、第1のオリゴヌクレオチドプライマーまたはオリゴヌクレオチドプローブと標的配列との間の塩基対形成を減少させるかまたは妨げさえするストリンジェンシーのレベルに調整することができる条件下で行なわれる。閉管反応では、ストリンジェンシーのレベルは、温度を変化させることにより調整することができ、結果として、標的に対するプライマーもしくはプローブのハイブリダイゼーションは、温度に応じて生じるかまたは生じないことができる。つまり、例えば、標的に対してミスマッチしているプローブまたはプライマーは、溶液の温度を十分に低下させることにより標的にハイブリダイズさせることができる。
本明細書中で用いる場合、用語「Linear-After-The Exponential PCR」または「LATE-PCR」は、不均等なプライマー濃度を用いて、一本鎖プライマー伸長生成物(本明細書中では、増幅生成物またはアンプリコンと称される)を生じる、非対称性PCR法を意味する。LATE-PCRは、例えば、米国特許第7,198,897号および同第8,367,325号(それらのそれぞれが、その全体で参照により組み入れられる)に記載されている。
本明細書中で用いる場合、用語「Linear-Expo-Linear PCR」または「LEL-PCR」は、標的核酸配列が増幅生成物を生成する最初の線形増幅プロセスに供され、続いてLATE-PCRに選択的に供される、PCR法を意味する。LEL-PCRでは、標的核酸を含有するサンプルが、標的核酸配列がまず1ラウンド以上(例えば、1〜10ラウンド)の線形増幅プロセスに供され、それにより標的核酸配列に相補的な配列を含む一本鎖増幅生成物が生成される増幅条件に供される。続いて、サンプルは、線形増幅生成物が1ラウンドの増幅を受け、それにより標的核酸配列に相補的な配列を含む二本鎖増幅生成物が生じる増幅条件に供される。続いて、サンプルは、二本鎖増幅生成物が1ラウンド以上の指数的増幅プロセスを受け、それにより第1の鎖が標的核酸配列に相補的な配列を含み、かつ第2の鎖が標的核酸配列に対応しかつ第1の増幅生成物鎖の配列に相補的である配列を含む二本鎖増幅生成物が生成される条件に供される。指数的増幅に続いて、二本鎖増幅生成物が、第2の一本鎖増幅生成物が生成される線形増幅プロセスに供される。
本明細書中で用いる場合、低Tmプローブおよび超低Tmプローブは、LATE-PCR増幅の指数的増幅中のプライマーアニーリング温度より少なくとも5℃低いTmを有する、蛍光タグ、電気的タグまたはクエンチャータグが付されたオリゴヌクレオチドである。一部の実施形態では、シグナリングおよびクエンチャー低Tmプローブおよび超低Tmプローブのセットが、増幅の開始に先立ってLATE-PCR増幅混合物中に含められる。低Tmプローブおよび超低Tmプローブには、多数の設計が考えられる。例えば、分子ビーコンは、反応のプライマーアニーリング温度以上で標的鎖にハイブリダイズする標準的な分子ビーコンと比較して短いステムおよびループを有するプローブを設計することにより、低Tmプローブとして設計することができる。
本明細書中で用いる場合、用語「点灯/消灯プローブ」(Lights-On/Lights-Off probe)は、検出される対象の一本鎖DNA標的に対して隣接する核酸配列にハイブリダイズするプローブのセットを意味する。点灯/消灯プローブ技術は、PCT出願第PCT/US10/53569号(その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)にさらに完全に説明されている。
本明細書中で用いる場合、消灯単独プローブ(Lights-Off Only probe)は、検出される対象の一本鎖DNA標的にハイブリダイズする、非蛍光クエンチャー部分(例えば、Black Holeクエンチャー)を用いて標識化されたプローブである。消灯単独プローブは、一本鎖増幅生成物(例えば、LATE-PCRにより生成される一本鎖DNA生成物)を検出するために、二本鎖DNAに優先的に結合する蛍光色素(例えば、SYBR(登録商標)Green色素)と組み合わせて用いられる。これは、蛍光dsDNA色素および消灯単独プローブを含有する増幅されたサンプルを、プローブの融解温度未満の複数の温度で、色素を刺激するために適切な波長での励起およびdsDNA色素からの発光を検出するために適切な波長での発光の検出に供すことにより、行なうことができる。消灯単独プローブ技術は、米国特許仮出願第61/702,019号(その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)にさらに完全に説明されている。
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、本明細書中で相互に交換可能に用いられる。これらの用語は、いずれかの長さの、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはそれらのアナログのいずれかのヌクレオチドの多量体形態を意味する。ポリヌクレオチドは、いずれかの三次元構造を有することができ、かつ、既知または未知のいずれかの機能を有することができる。以下のものは、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子もしくは遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖解析から定義される遺伝子座、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、合成ポリヌクレオチド、組み換えポリヌクレオチド、分岐状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、いずれかの配列の単離されたDNA、いずれかの配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログなどの修飾型ヌクレオチドを含むことができる。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアッセンブリの前または後に付与することができる。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素により中断される場合がある。ポリヌクレオチドは、標識化構成要素とのコンジュゲート化などにより、さらに修飾することができる。
本明細書中で用いる場合、「プライマーアニーリング温度」との用語は、PCR増幅反応中の熱サイクルの大部分の間のプライマー結合のために用いられる温度を意味する。この定義は、増幅反応の開始時、開始直後、反応中、または終了近くのいずれかの、特定の熱サイクル中のアニーリング温度が、熱サイクルの大部分に対して選択されるアニーリング温度を超えるか、またはそれを下回るものとして意図的に選択することができる可能性を認識している。
本明細書中で用いる場合、2種類のオリゴヌクレオチドのTmまたは融解温度は、オリゴヌクレオチド/標的のうちの50%が結合し、オリゴヌクレオチド標的分子のうちの50%が結合していない温度である。2種類のオリゴヌクレオチドのTm値は、オリゴヌクレオチド濃度依存的であり、反応混合物中の一価、二価カチオンの濃度から影響を受ける。Tmは、実験的に決定することができ、またはSanta Lucia, J. PNAS (USA) 95:1460-1465 (1998)(参照により本明細書中に組み入れられる)に記載される通りの、最近隣式を用いて算出することができる。それ自体が折り畳まれてヘアピンを形成する1本のオリゴヌクレオチドのTmは、オリゴヌクレオチド濃度には依存しないが、ステムを形成する配列の長さおよび塩基組成、ならびに反応混合物中の一価および二価カチオンの濃度には依存する。一般的に、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬のTmは、実験的に決定される。
一本鎖ミスプライミング防止試薬
特定の態様では、一本鎖ミスプライミング防止試薬が本明細書中に提供される。一部の実施形態では、本明細書中に記載される試薬は、PCRアッセイまたは反応物中のDNAポリメラーゼの濃度と比較した機能的温度依存的濃度で、他のプライマー依存的DNA増幅反応などのプライマーベースの増幅反応に添加された場合に、プライマーダイマーの増幅をはじめとするミスプライミングの少なくとも1種類の兆候の防止、3'末端ミスマッチに対するポリメラーゼ選択性の増大、反復実験中の散乱の低減、および1種以上の反応生成物の増幅の最大未満の収率に有効な試薬のクラスに入る。
特定の態様では、一本鎖ミスプライミング防止試薬が本明細書中に提供される。一部の実施形態では、本明細書中に記載される試薬は、PCRアッセイまたは反応物中のDNAポリメラーゼの濃度と比較した機能的温度依存的濃度で、他のプライマー依存的DNA増幅反応などのプライマーベースの増幅反応に添加された場合に、プライマーダイマーの増幅をはじめとするミスプライミングの少なくとも1種類の兆候の防止、3'末端ミスマッチに対するポリメラーゼ選択性の増大、反復実験中の散乱の低減、および1種以上の反応生成物の増幅の最大未満の収率に有効な試薬のクラスに入る。
特定の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬は、少なくとも一部のPCR増幅反応および/または逆転写反応でのミスプライミングの1種類以上の兆候を防止または阻害することが可能である。本明細書中で用いる場合、「ミスプライミングの兆候を防止する」とは、試薬が省かれたがそれ以外は同一である核酸増幅反応と比較して、本明細書中に記載される試薬を含有する核酸増幅反応でのミスプライミングの1種以上の生成物の形成の消失または減少を意味する。
特定の実施形態では、本明細書中に記載される試薬は、オリゴヌクレオチドの3'末端および5'末端にあるかまたはその近傍の6個以上の相補的ヌクレオチドが温度依存的に互いにハイブリダイズするか否かに応じて、開いた構成または閉じたヘアピン構成であり得る一本鎖オリゴヌクレオチドを含む。試薬は、閉じたステム・ループヘアピンコンホメーションで活性である(すなわち、ミスプライミングを阻害する)。このコンホメーションでは、試薬は、DNAポリメラーゼに結合し、DNA合成速度を大幅に減少させることによるなどして、その特異性を増大させる。
つまり、特定の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬は、1型および/または2型ミスプライミングを減少させるかまたは防止する。一部の実施形態では、本明細書中に提供されるミスプライミング防止試薬は、第1の温度では主にステム・ループヘアピンコンホメーションを可逆的に獲得するが、第2の、より高い温度では獲得しない。一部の実施形態では、第1の温度は増幅反応のアニーリング温度より低い温度であり、かつ第2の温度は増幅反応のアニーリング温度よりも高い温度である。特定の実施形態では、ミスプライミング防止試薬のステム・ループヘアピンコンホメーションは、熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)の活性を低減させる。つまり、一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、プライマーベースの核酸増幅プロセスの実行中に「ホットスタート」試薬および「コールドストップ」試薬の両方として機能することができる。
本明細書中に記載される通り、固定された配列のステムを有するヘアピン試薬の融解温度であるTmは、ループ中のシトシンヌクレオチドの数を増加または減少させることにより、調整することができる。しかしながら、ヘアピンのTmは増加するループ長の関数として低下するが、ループ長とヘアピンTmとの関係は直線的ではない。さらに、実験的に観察されるヘアピンTmは、ステムの3'および5'末端に連結された化学的部分の存在により、コンピュータ(in silico)計算されたTmとは異なる。一般的に、対形成した同一部分は、対形成した非同一部分よりも大きな程度で、閉じたステム構造を安定化する。一部の実施形態では、本明細書中に記載される試薬は、非同一の対形成する3'および5'部分を含む。
一部の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬オリゴヌクレオチドは、5'から3'の順番に、第1の条件依存的「ステム」領域、条件依存的「ループ」領域および第2の条件依存的「ステム」領域を含み、このとき、第1のステム領域は温度依存的に第2のステム領域にハイブリダイズして、ステム・ループヘアピンコンホメーションを獲得する(例えば、3'または5'オーバーハングを有するステム・ループヘアピンまたは平滑末端ステム・ループヘアピン)。一部の実施形態では、第1のステム領域は第1の部分に連結され、第2のステム領域は第2の非同一な部分に連結される。一部の実施形態では、第1の部分および第2の部分は、嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分である(例えば、dabcyl部分、Black Holeクエンチャー2などのBlack Holeクエンチャー部分またはクマリン部分)。
一部の実施形態では、第1のステム領域は、第1のステム核酸配列(例えば、少なくとも6、7、8、9または10ヌクレオチド長の核酸配列)を含む。一部の実施形態では、第1のステム核酸配列は、20、19、18、17、16、15、14、12または11ヌクレオチド長以下である。一部の実施形態では、第1のステム核酸配列は10ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1のステム領域は5'末端部分を含む。一部の実施形態では、5'末端部分は、第1のステム領域の最も5'にあるヌクレオチドに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、5'末端部分は、第1のステム領域の2、3、4、または5個の最も5'にあるヌクレオチドのうちの1つに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、5'末端部分は、嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分(存在するとしても、リンカーは含まれない)を含む。一部の実施形態では、5'末端部分はdabcyl部分である。一部の実施形態では、5'末端部分はクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47またはBiosearch Blue)である。
一部の実施形態では、ループ領域は、ループ核酸配列(例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25ヌクレオチド長の核酸配列)を含む。一部の実施形態では、ループ核酸配列は、25〜40ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、ループ核酸配列は、単一ヌクレオチド反復配列(例えば、ポリシトシン、ポリグアニン、ポリチミン、ポリアデニンまたはポリウラシル配列)である。単一ヌクレオチド配列、特にシトシンの、ループに対する使用は、ループ内または増幅反応中に存在し得る天然に存在する核酸配列とのループ配列塩基対形成の可能性を低減させる。一部の実施形態では、単一ヌクレオチド反復配列は、ポリシトシン配列である。
一部の実施形態では、第2のステム領域は、第2のステム核酸配列(例えば、少なくとも6、7または8ヌクレオチド長の核酸配列)を含む。一部の実施形態では、第2のステム核酸配列は、20、19、18、17、16、15、14、12または11ヌクレオチド長以下である。一部の実施形態では、第2のステム核酸配列は、10ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第2のステム核酸配列は、第2のステム核酸配列に相補的である。一部の実施形態では、第2のステム領域は、3'末端部分を含む。一部の実施形態では、3'末端部分は、第2のステム領域の最も3'にあるヌクレオチドに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、3'末端部分は、第2のステム領域の2、3、4、または5個の最も3'にあるヌクレオチドのうちの1つに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、3'末端部分は、嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分(存在するとしても、リンカーは含まれない)を含む。一部の実施形態では、3'末端部分はdabcyl部分である。一部の実施形態では、3'末端部分はクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47またはBiosearch Blue)である。一部の実施形態では、3'末端部分は、5'末端部分に対して非同一である。一部の実施形態では、第2のステム領域の3'末端は、DNAポリメラーゼにより伸長可能でない。
一部の実施形態では、第1のステム領域は、温度依存的に第2のステム領域にハイブリダイズして、ステム・ループヘアピンコンホメーションを獲得する。一部の実施形態では、ステム・ループコンホメーションは、0、1、2、3、4または5個のヌクレオチドの3'または5'オーバーハングを含む。一部の実施形態では、第1のステム領域は、少なくとも30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃または45℃である融解温度で、第2のステム領域にハイブリダイズする。一部の実施形態では、第1のステム領域は、71℃、70℃、69℃、68℃、67℃、66℃、65℃、64℃、63℃、62℃、61℃、60℃、59℃、58℃、57℃、56℃、55℃、54℃、53℃、52℃、51℃または50℃以下である融解温度で、第2のステム領域にハイブリダイズする。一部の実施形態では、第1のステム領域は、40℃〜71℃、40℃〜55℃または45℃〜55℃である融解温度で、第2のステム領域にハイブリダイズする。一部の実施形態では、第1のステム領域は、核酸増幅反応のアニーリング温度より低い融解温度(例えば、アニーリング温度より0〜10℃低い、アニーリング温度より0〜9℃低い、アニーリング温度より0〜8℃低い、アニーリング温度より0〜7℃低い、アニーリング温度より0〜6℃低いかまたはアニーリング温度より0〜5℃低い)を伴って、第2のステム領域にハイブリダイズする。
一部の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬は、ステム領域の一端または両端にG/Cクランプを含む。一部の実施形態では、第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸はシトシンであり、第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸はグアニンである。一部の実施形態では、第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸はグアニンであり、第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸はシトシンである。一部の実施形態では、第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸はシトシンであり、第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸はグアニンである。一部の実施形態では、第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸はグアニンであり、第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸はシトシンである。
一部の実施形態では、試薬は、増幅反応中に存在する場合には蛍光を発しない。一部の実施形態では、試薬は、適切な励起波長で刺激されていないので蛍光を発しない。一部の実施形態では、試薬は、蛍光性部分を含まないので蛍光を発しない。一部の実施形態では、3'末端部分および/または5'末端部分は、閉じたヘアピンのステムに挿入される、SYBR Greenなどの蛍光DNA結合性色素から放出される蛍光をはじめとする電磁エネルギーのクエンチャーである。
多重鎖ミスプライミング防止試薬
特定の態様では、少なくとも2つの非同一な5'または3'末端部分を含む多重鎖ミスプライミング防止試薬が本明細書中に提供される。一部の実施形態では、多重鎖ミスプライミング防止試薬は、二本鎖ミスプライミング防止試薬である。一部の実施形態では、多重鎖ミスプライミング防止試薬は、3型および/または4型ミスプライミングを阻害または防止する。一部の実施形態に従う例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の構造および配列が、図35に示されている。
特定の態様では、少なくとも2つの非同一な5'または3'末端部分を含む多重鎖ミスプライミング防止試薬が本明細書中に提供される。一部の実施形態では、多重鎖ミスプライミング防止試薬は、二本鎖ミスプライミング防止試薬である。一部の実施形態では、多重鎖ミスプライミング防止試薬は、3型および/または4型ミスプライミングを阻害または防止する。一部の実施形態に従う例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の構造および配列が、図35に示されている。
一部の実施形態では、多重鎖ミスプライミング防止試薬は、第1の核酸鎖および第2の核酸鎖を含む。一部の実施形態では、第1および/または第2の核酸鎖は、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1および/または第2の核酸鎖は、18〜24ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1および/または第2の核酸鎖は、20〜22ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1および/または第2の核酸鎖は、21ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1および第2の鎖は、同じ長さである。一部の実施形態では、第1および第2の鎖は、異なる長さである。一部の実施形態では、第1の核酸鎖は、25℃、30℃、32℃、35℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃または50℃以上である融解温度で、第2の核酸鎖にハイブリダイズする。一部の実施形態では、第1の核酸鎖は、77℃、76℃、75℃、74℃、73℃、72℃、71℃、70℃、69℃、68℃、67℃、66℃、65℃、64℃、63℃、62℃、61℃または60℃以下である融解温度で、第2の核酸鎖にハイブリダイズする。
一部の実施形態では、第1および第2の核酸鎖は、合計で少なくとも2つの非同一な5'または3'末端部分(例えば、2、3または4つの末端部分)を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの非同一部分は、dabcyl部分、Black Holeクエンチャー部分およびクマリン部分から選択される。一部の実施形態では、少なくとも2つの非同一部分は、dabcyl部分およびクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blue)を含む。一部の実施形態では、非同一部分のうちの1つは第1の核酸鎖の5'末端に位置し、非同一部分のうちの1つは第2の核酸鎖の3'末端に位置する。一部の実施形態では、非同一部分のうちの1つは第1の核酸鎖の3'末端に位置し、非同一部分のうちの1つは第2の核酸鎖の5'末端に位置する。一部の実施形態では、dabcyl部分が第1の核酸鎖の5'末端に位置し、Biosearch Blue部分が第2の核酸鎖の3'末端に位置する。一部の実施形態では、Biosearch Blue部分が第1の核酸鎖の5'末端に位置し、dabcyl部分が第2の核酸鎖の3'末端に位置する。一部の実施形態では、クマリン部分が第1の鎖の3'末端および第2の鎖の3'末端に位置し、Biosearch Blue部分が第2の鎖の5'末端に位置する。一部の実施形態では、炭素スペーサーが第1の鎖の5'末端に位置する。一部の実施形態では、非同一末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、非同一末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の2、3、4、または5個の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドのうちの1つに(直接的または間接的に)連結している。
反応混合物
特定の態様では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を含む反応混合物が、本明細書中に提供される。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、反応混合物中で行なわれる増幅反応でのミスプライミングを低減または阻害するために、かつ/または逆転写反応のフィデリティを改善するために十分な濃度で、反応混合物中に存在する。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、少なくとも50nM、100nM、200nM、300nM、400mM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、800nM、900nM、1000nM、1200nMまたは最大で2400nMの濃度で存在する。反応物中での使用に対する適切な濃度は、DNAポリメラーゼおよび/または逆転写酵素の単位数ならびに反応物がインキュベートされる温度の両方に依存する。
特定の態様では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を含む反応混合物が、本明細書中に提供される。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、反応混合物中で行なわれる増幅反応でのミスプライミングを低減または阻害するために、かつ/または逆転写反応のフィデリティを改善するために十分な濃度で、反応混合物中に存在する。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、少なくとも50nM、100nM、200nM、300nM、400mM、450nM、500nM、550nM、600nM、650nM、800nM、900nM、1000nM、1200nMまたは最大で2400nMの濃度で存在する。反応物中での使用に対する適切な濃度は、DNAポリメラーゼおよび/または逆転写酵素の単位数ならびに反応物がインキュベートされる温度の両方に依存する。
一部の実施形態では、反応混合物は、第1の融解温度で、標的核酸配列の3'領域にハイブリダイズする第1の核酸プライマーをさらに含む。一部の実施形態では、反応混合物は、第2のプライマー融解温度で、標的核酸配列の相補体の3'領域にハイブリダイズする第2の核酸プライマーをさらに含む。一部の実施形態では、第1および第2のプライマーは、PCR増幅反応中で標的核酸配列を増幅するために設計される。一部の実施形態では、第1および第2のプライマーは、PCR増幅反応の実行に十分な濃度(例えば、少なくとも25nM、50nM、75nM、100nM、150nM、200nM、250nM、300nM、350nM、400nM、450nM、500nMまたは1000nM)で反応混合物中に存在する。一部の実施形態では、第1のプライマーは、第2のプライマーの濃度よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高いかまたは少なくとも5倍高い濃度で反応混合物中に存在する。一部の実施形態では、第2のプライマーは、第1のプライマーの濃度よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高いかまたは少なくとも5倍高い濃度で反応混合物中に存在する。不均等なプライマー濃度を有する反応混合物は、例えば、LATE-PCRまたはLEL-PCR反応を行なうために用いることができる。
一部の実施形態では、反応混合物は、熱安定性DNAポリメラーゼをさらに含む。一部の実施形態では、熱安定性DNAポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼ、TFI DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、VentR DNAポリメラーゼまたはDeep VentR DNAポリメラーゼである。一部の実施形態では、熱安定性DNAポリメラーゼは、KlearKallポリメラーゼ(LGC Biosearch社)、Taqポリメラーゼ(Hain Lifescience社)をはじめとするTaq DNAポリメラーゼである。一部の実施形態では、熱安定性DNAポリメラーゼは、PCR増幅反応の実行のために十分な濃度(例えば、少なくとも0.5mM、1mM、1.5mMまたは2mM)で反応混合物中に存在する。一部の実施形態では、反応混合物は逆転写酵素を含む。
一部の実施形態では、反応混合物は、dNTP(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、および/またはdUTP)をさらに含む。一部の実施形態では、dNTPは、PCR増幅反応の実行のために十分な濃度(例えば、少なくとも50μM、75μM、100μM、150μM、200μM、300μM、400μMまたは500μM)で反応混合物中に存在する。
一部の実施形態では、反応混合物は、標的核酸配列を含む標的核酸分子をさらに含む。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、ステム融解温度よりも高い融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、25℃、30℃、32℃、35℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃または49℃より高い融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、ステム融解温度よりも高い融解温度でいかなる他の標的核酸分子にもハイブリダイズしない。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、25℃、30℃、32℃、35℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃または49℃より高い融解温度で、反応混合物中のいかなる他の核酸分子にもハイブリダイズしない。
一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬の第1のステム領域は、第1のプライマー融解温度および/または第2のプライマー融解温度以下であるステム融解温度(例えば、第1のプライマー融解温度および/または第2のプライマー融解温度より0〜10℃低い、0〜9℃低い、0〜8℃低い、0〜7℃低い、0〜6℃低いかまたは0〜5℃低い)を伴って、第2のステム領域にハイブリダイズする。
一部の実施形態では、反応混合物は、第2のミスプライミング防止試薬をさらに含む。一部の実施形態では、第2のミスプライミング防止試薬は、本明細書中に記載される多重鎖ミスプライミング防止試薬である。一部の実施形態では、第2のミスプライミング防止試薬は、3型および/または4型ミスプライミングを阻害または防止する。一部の実施形態では、多重鎖ミスプライミング防止試薬は、米国特許出願公開第2012/0088275号および同第2014/0206564号(これらのそれぞれが、その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)に記載される試薬である。
一部の実施形態では、反応混合物の第2のミスプライミング防止試薬は、第1の核酸鎖および第2の核酸鎖を含む。一部の実施形態では、第1および/または第2の核酸鎖は、少なくとも6ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1の核酸鎖は、25℃、30℃、32℃、35℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃または50℃以上である融解温度で第2の核酸鎖にハイブリダイズする。一部の実施形態では、第1の核酸鎖は、77℃、76℃、75℃、74℃、73℃、72℃、71℃、70℃、69℃、68℃、67℃、66℃、65℃、64℃、63℃、62℃、61℃または60℃以下である融解温度で第2の核酸鎖にハイブリダイズする。
一部の実施形態では、第1および第2の核酸鎖は、合計で少なくとも1つの5'または3'末端部分を含む。一部の実施形態では、末端部分は、嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分(存在するとしても、リンカーは含まれない)を含む。一部の実施形態では、末端部分はdabcyl部分である。一部の実施形態では、末端部分はクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47またはBiosearch Blue)である。一部の実施形態では、末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の2、3、4、または5個の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドのうちの1つに(直接的または間接的に)連結している。
一部の実施形態では、第2のミスプライミング防止試薬の第1および第2の核酸鎖は、合計で少なくとも2つの5'または3'末端部分(例えば、2、3または4つの末端部分)を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの末端部分は、嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分(存在するとしても、リンカーは含まれない)を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの末端部分は、dabcyl部分およびクマリン部分から選択される。一部の実施形態では、少なくとも2つの末端部分はdabcyl部分である。一部の実施形態では、末端部分はクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47またはBiosearch Blue)である。一部の実施形態では、末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の2、3、4、または5個の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドのうちの1つに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、第2のミスプライミング防止試薬は、少なくとも2つの非同一な5'または3'末端部分を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの非同一部分は、dabcyl部分、Black Holeクエンチャー部分およびクマリン部分から選択される。一部の実施形態では、少なくとも2つの非同一部分は、dabcyl部分およびクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blue)を含む。一部の実施形態では、非同一部分のうちの1つは第1の核酸鎖の5'末端に位置し、非同一部分のうちの1つは第2の核酸鎖の3'末端に位置する。一部の実施形態では、非同一部分のうちの1つは第1の核酸鎖の3'末端に位置し、非同一部分のうちの1つは第2の核酸鎖の5'末端に位置する。一部の実施形態では、非同一末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、非同一末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の2、3、4、または5個の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドのうちの1つに(直接的または間接的に)連結している。
キット
特定の態様では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を含むキットが、本明細書中に提供される。一部の実施形態では、反応混合物は、第1の融解温度で、標的核酸配列の3'領域にハイブリダイズする第1の核酸プライマーをさらに含む。一部の実施形態では、反応混合物は、第2のプライマー融解温度で、標的核酸配列の相補体の3'領域にハイブリダイズする第2の核酸プライマーをさらに含む。一部の実施形態では、キットは、熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ、TFI DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、VentR DNAポリメラーゼ、Deep VentR DNAポリメラーゼ、KlearKallポリメラーゼ(LGC Biosearch社)、Taqポリメラーゼ(Hain Lifescience社))をさらに含む。一部の実施形態では、キットは逆転写酵素を含む。一部の実施形態では、キットは、dNTP(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、および/またはdUTP)をさらに含む。特定の実施形態では、キットは、増幅反応中でミスプライミング防止試薬を用いるための説明書をさらに含む。特定の実施形態では、キットは、逆転写反応中でミスプライミング防止試薬を用いるための説明書をさらに含む。
特定の態様では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を含むキットが、本明細書中に提供される。一部の実施形態では、反応混合物は、第1の融解温度で、標的核酸配列の3'領域にハイブリダイズする第1の核酸プライマーをさらに含む。一部の実施形態では、反応混合物は、第2のプライマー融解温度で、標的核酸配列の相補体の3'領域にハイブリダイズする第2の核酸プライマーをさらに含む。一部の実施形態では、キットは、熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ、TFI DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、VentR DNAポリメラーゼ、Deep VentR DNAポリメラーゼ、KlearKallポリメラーゼ(LGC Biosearch社)、Taqポリメラーゼ(Hain Lifescience社))をさらに含む。一部の実施形態では、キットは逆転写酵素を含む。一部の実施形態では、キットは、dNTP(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、および/またはdUTP)をさらに含む。特定の実施形態では、キットは、増幅反応中でミスプライミング防止試薬を用いるための説明書をさらに含む。特定の実施形態では、キットは、逆転写反応中でミスプライミング防止試薬を用いるための説明書をさらに含む。
一部の実施形態では、キットは、標的核酸配列を含む標的核酸分子をさらに含む。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、ステム融解温度よりも高い融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、25℃、30℃、32℃、35℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃または49℃より高い融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、ステム融解温度よりも高い融解温度でいかなる他の標的核酸分子にもハイブリダイズしない。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、25℃、30℃、32℃、35℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃または49℃より高い融解温度で、反応混合物中のいかなる他の核酸分子にもハイブリダイズしない。
一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬の第1のステム領域は、第1のプライマー融解温度および/または第2のプライマー融解温度以下であるステム融解温度(例えば、第1のプライマー融解温度および/または第2のプライマー融解温度より0〜10℃低い、0〜9℃低い、0〜8℃低い、0〜7℃低い、0〜6℃低いかまたは0〜5℃低い)を伴って、第2のステム領域にハイブリダイズする。
一部の実施形態では、キットは、第2のミスプライミング防止試薬をさらに含む。一部の実施形態では、第2のミスプライミング防止試薬は、本明細書中に記載される多重鎖ミスプライミング防止試薬である。一部の実施形態では、第2のミスプライミング防止試薬は、2型および/または3型ミスプライミングを阻害または防止する。
一部の実施形態では、キットの第2のミスプライミング防止試薬は、第1の核酸鎖および第2の核酸鎖を含む。一部の実施形態では、第1および/または第2の核酸鎖は、少なくとも6ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、第1の核酸鎖は、25℃、30℃、32℃、35℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃または50℃以上である融解温度で第2の核酸鎖にハイブリダイズする。一部の実施形態では、第1の核酸鎖は、77℃、76℃、75℃、74℃、73℃、72℃、71℃、70℃、69℃、68℃、67℃、66℃、65℃、64℃、63℃、62℃、61℃または60℃以下である融解温度で第2の核酸鎖にハイブリダイズする。
一部の実施形態では、第1および第2の核酸鎖は、合計で少なくとも1つの5'または3'末端部分を含む。一部の実施形態では、末端部分は、嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分(存在するとしても、リンカーは含まれない)を含む。一部の実施形態では、末端部分はdabcyl部分である。一部の実施形態では、末端部分はクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47またはBiosearch Blue)である。一部の実施形態では、末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の2、3、4、または5個の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドのうちの1つに(直接的または間接的に)連結している。
一部の実施形態では、第2のミスプライミング防止試薬の第1および第2の核酸鎖は、合計で少なくとも2つの5'または3'末端部分(例えば、2、3または4つの末端部分)を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの末端部分は、嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分(存在するとしても、リンカーは含まれない)を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの末端部分は、dabcyl部分、Black Holeクエンチャー部分(例えば、Black Holeクエンチャー2部分)およびクマリン部分から選択される。一部の実施形態では、少なくとも2つの末端部分はdabcyl部分である。一部の実施形態では、末端部分はクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47またはBiosearch Blue)である。一部の実施形態では、末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の2、3、4、または5個の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドのうちの1つに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、第2のミスプライミング防止試薬は、少なくとも2つの非同一な5'または3'末端部分を含む。一部の実施形態では、少なくとも2つの非同一部分は、dabcyl部分、Black Holeクエンチャー部分およびクマリン部分から選択される。一部の実施形態では、少なくとも2つの非同一部分は、dabcyl部分およびクマリン部分(例えば、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blue)を含む。一部の実施形態では、非同一部分のうちの1つは第1の核酸鎖の5'末端に位置し、非同一部分のうちの1つは第2の核酸鎖の3'末端に位置する。一部の実施形態では、非同一部分のうちの1つは第1の核酸鎖の3'末端に位置し、非同一部分のうちの1つは第2の核酸鎖の5'末端に位置する。一部の実施形態では、非同一末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドに(直接的または間接的に)連結している。一部の実施形態では、非同一末端部分は、第1もしくは第2の核酸鎖の2、3、4、または5個の最も3'または最も5'にあるヌクレオチドのうちの1つに(直接的または間接的に)連結している。
特定のミスプライミング防止試薬の可視化
一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、クエンチャー部分(例えば、dabcyl部分またはBlack Holeクエンチャー2部分などのBlack Holeクエンチャー部分)を含む。試薬のステムよりも長い二本鎖DNAを含有し、かつ増幅反応で典型的に用いられるSYBR Green濃度を用いる閉管系では、SYBR Green分子の大多数が二本鎖DNAに挿入される。結果として、二本鎖ステムに結合した残余の色素は、試薬のステムへと挿入されたSYBR Greenにより放射される光を消光させる共有結合クエンチャー部分(存在する場合)の能力を上回らない。この場合、合計SBRの一部分のみが比較的長い二本鎖DNAへの結合に対して利用可能であり、残余は試薬により消光されるので、閉管系の合計蛍光は減少する。対照的に、試薬のステム以外に二本鎖DNAを含有しない閉管系では、ステムに挿入されたSYBR Greenの蛍光が、挿入された色素により放射される光を消光させる共有結合クエンチャー部分の能力を上回る。この場合、クエンチャー部分の存在にもかかわらず、閉管系の合計蛍光が増大する。いずれの場合にも、系の蛍光の減少または増大は、温度依存的な定量的様式で見られ、これは、蛍光の減少または増大が、二本鎖ステムが存在する温度範囲にわたってのみ観察され、かつその強度が所定の温度で存在する閉じたヘアピン分子の絶対数に比例することを意味する。これらの系内蛍光の増大または減少は、温度の関数として、SYBR Greenの発光スペクトルでの系の蛍光の負の一次微分(変化率)を算出することにより、最も容易に観察される。
一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、クエンチャー部分(例えば、dabcyl部分またはBlack Holeクエンチャー2部分などのBlack Holeクエンチャー部分)を含む。試薬のステムよりも長い二本鎖DNAを含有し、かつ増幅反応で典型的に用いられるSYBR Green濃度を用いる閉管系では、SYBR Green分子の大多数が二本鎖DNAに挿入される。結果として、二本鎖ステムに結合した残余の色素は、試薬のステムへと挿入されたSYBR Greenにより放射される光を消光させる共有結合クエンチャー部分(存在する場合)の能力を上回らない。この場合、合計SBRの一部分のみが比較的長い二本鎖DNAへの結合に対して利用可能であり、残余は試薬により消光されるので、閉管系の合計蛍光は減少する。対照的に、試薬のステム以外に二本鎖DNAを含有しない閉管系では、ステムに挿入されたSYBR Greenの蛍光が、挿入された色素により放射される光を消光させる共有結合クエンチャー部分の能力を上回る。この場合、クエンチャー部分の存在にもかかわらず、閉管系の合計蛍光が増大する。いずれの場合にも、系の蛍光の減少または増大は、温度依存的な定量的様式で見られ、これは、蛍光の減少または増大が、二本鎖ステムが存在する温度範囲にわたってのみ観察され、かつその強度が所定の温度で存在する閉じたヘアピン分子の絶対数に比例することを意味する。これらの系内蛍光の増大または減少は、温度の関数として、SYBR Greenの発光スペクトルでの系の蛍光の負の一次微分(変化率)を算出することにより、最も容易に観察される。
閉管系のSYBR Green蛍光での一次微分温度依存的定量的増大または減少は、Y軸上に−dF/dTとしてプロットされる。これらの値は、閉じた(ヘアピン)構成での試薬の存在に起因して変化し、一次微分でのこれらの変化は、以下の状況をはじめとする数種類の状況では情報を提供するものである:
(1)無鋳型対照(NTC)増幅反応では、試薬の閉じた構成の存在に起因する蛍光シグナルは、Y軸上に−dF/dTを用いてプロットする場合には増大して、つまり小さな山を形成するように見える。この正のシグナルは、この閉管反応での試薬の融解温度(Tm)の実験的尺度を提供し、シグナルの温度依存的形状は所定の温度で閉じたヘアピンである試薬分子の割合(%)の尺度を提供する。この情報は、(a)増幅反応の最初の融解サイクル前に反応物がインキュベートされる温度および時間;(b)熱サイクルの大部分で用いられるプライマーアニーリング温度および伸長温度;(c)生成物の増幅または検出の特定の特徴を達成するために増幅反応全体にいずれかのサイクルで導入される1〜10回の通常と異なる熱サイクルの温度をはじめとする、系の具体的な温度特性との組み合わせで有用である。加えて、ヘアピン分子(%)は、閉管反応に添加される分子の総数が既知の場合には、ナノモル濃度(nM)でのヘアピン分子の絶対濃度に変換できる。この情報は、次に、閉管反応中に存在するDNAポリメラーゼの単位当たりのnMとして算出できる。
(2) NTCサンプル中の試薬の正のシグナルは、少量であっても、プライマーダイマーをはじめとする意図しない生成物の増幅に対して極めて敏感である。正の(山型)シグナルは、低レベルでさえもそのような生成物が検出される場合には消失する。
(3) 1種以上の二本鎖DNA生成物を増幅する反応では、試薬のステムに結合したSYBR Greenの−dF/dT値が、漸増温度に対してプロットされる場合に、谷として現れる。これは、ヘアピンの5'および3'末端のクエンチャー部分が、そうでなければヘアピンの閉じた非修飾型ステムに結合した色素から発生するであろうSYBR Green蛍光を消光するからである。温度が上昇するにつれて、ヘアピンが徐々に開き、かつ結合したSYBR Greenが徐々に放出されて、さらに長い二本鎖DNA生成物に再結合する。この谷は、この閉管反応での試薬のステムの融解温度(Tm)の実験的尺度を提供する。試薬分子のうちの50%が閉じたヘアピンコンホメーションであり、試薬分子のうちの50%が、温度に対する−dt/dTプロット上で観察される谷の中の最も低い点では開いたコンホメーションである。閉じたコンホメーションまたは開いたコンホメーションにある分子の割合(%)は、谷のスパンにわたってそれぞれの温度に対して判断することができる。この情報は、(a)増幅反応の最初の融解サイクル前に反応物がインキュベートされる温度および時間;(b)熱サイクルの大部分で用いられるプライマーアニーリング温度および伸長温度;(c)生成物の増幅または検出の特定の特徴を達成するために増幅反応全体にいずれかのサイクルで導入される1〜10回の通常と異なる熱サイクルの温度;(d)ヘアピンのループの長さおよび組成をはじめとする、系の具体的な温度特性との組み合わせで有用である。加えて、ヘアピン分子(%)は、閉管反応に添加される分子の総数が既知の場合には、ナノモル濃度(nM)でのヘアピン分子の絶対濃度に変換できる。この情報は、次に、閉管反応中に存在するDNAポリメラーゼの単位当たりのnMとして算出できる。
例示的ミスプライミング防止試薬の使用
一部の態様では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を用いる増幅反応および/または配列決定反応の実行中のミスプライミングを阻害する方法が、本明細書中に提供される。
一部の態様では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を用いる増幅反応および/または配列決定反応の実行中のミスプライミングを阻害する方法が、本明細書中に提供される。
一部の態様では、標的核酸配列またはその相補体を含む増幅生成物(すなわち、アンプリコン)を作製する方法が、本明細書中に提供される。一部の実施形態では、方法は、プライマーベースの核酸増幅反応が行われる(例えば、LATE-PCR反応、LEL-PCR反応および/またはRT-PCR反応などのPCR反応)条件下で、本明細書中に記載される反応混合物をインキュベートするステップを含む。一部の実施形態では、方法は、反応混合物を形成させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、方法は、増幅生成物の形成を検出するステップをさらに含む。
一部の態様では、標的核酸を配列決定する方法が、本明細書中に提供される。一部の実施形態では、方法は、配列決定反応が行われる条件下で、本明細書中に記載される反応混合物をインキュベートするステップを含む。核酸配列決定反応としては、限定するものではないが、チェーンターミネーション配列決定、ライゲーションによる配列決定、合成による配列決定、パイロシークエンス、イオン半導体配列決定、一分子リアルタイム配列決定、454配列決定、および/またはDilute-'N'-Go配列決定が挙げられる。一部の実施形態では、方法は、反応混合物を形成させるステップをさらに含む。
一部の態様では、cDNAを作製する方法が、本明細書中に提供される。一部の実施形態では、方法は、反応混合物中のmRNAがcDNAへと逆転写される条件下で本明細書中に記載される反応混合物(例えば、逆転写酵素を含む)をインキュベートするステップを含む。一部の実施形態では、方法は、反応混合物を形成させるステップをさらに含む。一部の実施形態では、cDNAに対する増幅反応(例えば、本明細書中に記載される増幅反応)を行なうステップをさらに含む。
一部の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬を含む反応混合物(例えば、本明細書中、上記に記載される反応混合物)を形成させるステップを含む。一部の実施形態では、反応混合物は、標的核酸分子(例えば、標的核酸配列を含む標的核酸分子)を含む。一部の実施形態では、反応混合物は、第1のプライマー融解温度で、標的核酸配列の3'領域にハイブリダイズする第1の核酸プライマーを含む。一部の実施形態では、反応混合物は、第2のプライマー融解温度で、標的核酸配列の相補体の3'領域にハイブリダイズする第2の核酸プライマーを含む。一部の実施形態では、反応混合物は、熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば、Taq DNAポリメラーゼ、Tfi DNAポリメラーゼ、Pfu DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、VentR DNAポリメラーゼ、Deep VentR DNAポリメラーゼ、KlearKallポリメラーゼ(LGC Biosearch社)、Taqポリメラーゼ(Hain Lifescience社))を含む。一部の実施形態では、反応混合物は、dNTP(例えば、dATP、dCTP、dGTP、dTTP、および/またはdUTP)を含む。一部の実施形態では、反応混合物は逆転写酵素を含む。一部の実施形態では、第1のプライマーは、第2のプライマーの濃度よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高いかまたは少なくとも5倍高い濃度で反応混合物中に存在する。一部の実施形態では、第2のプライマーは、第1のプライマーの濃度よりも、少なくとも2倍高い、少なくとも3倍高い、少なくとも4倍高いかまたは少なくとも5倍高い濃度で反応混合物中に存在する。一部の実施形態では、反応混合物は、第2のミスプライミング防止試薬(例えば、本明細書中に記載される多重鎖ミスプライミング防止試薬)をさらに含む。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、熱安定性DNAポリメラーゼまたはミスプライミング防止試薬がプライマーと組み合わせられる前に、熱安定性DNAポリメラーゼと組み合わせられる。一部の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、Tris緩衝溶液中に希釈される。
本明細書中に記載される方法の一部の実施形態では、反応混合物は、増幅生成物の形成を検出するための検出試薬をさらに含む。一部の実施形態では、検出試薬は、dsDNA蛍光色素(例えば、SYBR Green、PicoGreen)を含む。一部の実施形態では、検出試薬は、検出可能に標識を付されたプローブ(例えば、分子ビーコン、TaqManプローブ、スコーピオンプローブ)を含む。一部の実施形態では、検出試薬は、点灯プローブ(Lights-On probe)および消灯プローブ(Lights-Off probe)を含む。一部の実施形態では、検出試薬は、消灯単独プローブ(Lights-Off Only probe)およびdsDNA蛍光色素を含む。
一部の実施形態では、方法は、第1のプライマーまたは第2のプライマーが熱安定性DNAポリメラーゼにより伸長されて、標的核酸配列またはその相補体を含む増幅生成物が生成される条件下で反応混合物をインキュベートするステップを含む。一部の実施形態では、方法は、少なくとも90℃の変性温度で反応混合物をインキュベートするステップ、第1のプライマー融解温度よりも顕著に高くないアニーリング温度で反応混合物をインキュベートするステップ、および熱安定性DNAポリメラーゼが活性な伸長温度で反応混合物をインキュベートするステップを含む。一部の実施形態では、アニーリング温度は、第1のプライマー融解温度と第2のプライマー融解温度のうちの低い方よりも高くない。一部の実施形態では、アニーリング温度および伸長温度が同じ温度である。一部の実施形態では、インキュベーションプロセスのステップが繰り返される(例えば、少なくとも5回、10回、15回、20回、25回または30回繰り返される)。
特定の実施形態では、本明細書中に提供される方法は、増幅生成物の形成を検出するステップを含む。一部の実施形態では、増幅生成物の検出ステップは、増幅生成物の形成と同時に行なわれる(すなわち、「リアルタイム」検出)。一部の実施形態では、増幅生成物の検出は、増幅が完了した後に行なわれる。一部の実施形態では、増幅ステップと検出ステップとが1つの反応容器中で行なわれる。一部の実施形態では、反応容器は増幅ステップに先立って密封され、検出ステップ中に密封されたままである。一部の実施形態では、方法は、反応容器中で本明細書中に記載される反応混合物を形成させるステップ、反応容器を密封するステップ、増幅生成物が反応容器中で形成される条件下で増幅反応を行なうステップ、および反応容器中の増幅生成物を検出するステップを含む。一部の実施形態では、増幅生成物の検出は、増幅反応が行われる試験管の外で行なわれる。
特定の実施形態では、ミスプライミング防止試薬は、1型および/または2型ミスプライミングを低減させるかまたは防止する。1型ミスプライミングは、反応混合物の調製または他の酵素的操作(例えば、ワンステップPCRの場合には逆転写)の実行中に、増幅の開始前に生じる。2型ミスプライミングは、非対称性PCR増幅(LATE-PCRなど)(アニーリング温度を下回る融解温度を伴うプローブの結合を可能にするために、増幅中に温度を低下させる場合がある)中に、または、停止され、室温にされてから、さらに追加の回数の熱サイクルのために後になって再開される増幅反応中に、プライマーアニーリング温度を著しく下回るいずれかの温度がサイクル温度に含まれる場合に、増幅中に生じる。2型ミスプライミングは、リバースプライマー(過剰プライマー)が制限プライマー一本鎖にハイブリダイズするのを可能にするために、線形増幅の初期相後の1〜5サイクルの間、温度が低下する場合がある、LEL-PCR中にも起こり得る。
特定の実施形態では、本明細書中に記載される試薬は、PCR増幅反応中に1型および2型ミスプライミングを防止するかまたは低減させるために用いられる。一部の実施形態では、試薬は、熱サイクルの大部分の間のDNA複製効率を低下させず、また、1種以上の意図される標的の増幅または検出の局面に対して必要とされる特殊なサイクル中のDNA複製を意図的に減少させるかまたは阻害することも可能にする。
一部の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬の組成および使用は、以下の様式で以下の因子を調整することにより最適化できる:
(1)非天然ヌクレオチドの使用を含む、ステムの長さおよび塩基対組成を調整することにより、ヘアピンの機能的Tmを上昇または低下させることができる。ヘアピンの機能的Tmはまた、ループ中のシトシンヌクレオチド数を変化させることにより上昇または低下させることもできる。ヘアピンの機能的Tmはまた、3'および5'部分の化学的組成を変化させることによっても調整することができる。上記で説明した通り、少なくとも1つの蛍光団消光部分を含むヘアピンの機能的Tmを決定することができ、その温度依存的形成は、そのシグナルの一次微分の分析によりSYBR Greenの存在下で観察できる。そのTmに関して、試薬は、ヘアピンが、典型的には氷上または室温での反応の開始に先立って用いられる最も低い温度で実質的に100%がヘアピンコンホメーションにあり、かつヘアピンが、熱サイクルの大部分でのプライマーアニーリングのために用いられる温度では5%以下がヘアピンコンホメーションにある場合に、最も効果的である。
(2)増幅反応中に用いられる試薬の至適濃度は、以下の変数を考慮することにより、反応中で用いられる酵素量に関して調整することができる:(a)反応条件下での酵素に対するその閉じたヘアピン構成での試薬の親和性。この親和性は、漸減濃度で反応物のセットに添加される場合にI型および/またはII型ミスプライミングを抑制する試薬の様々な変種の能力を比較することにより、実験的に決定することができる。酵素に対して最も高い親和性を有する試薬は、I型および/またはII型ミスプライミングの抑制を実現するために、最も低い濃度を必要とする。以下で考察される結果は、これらに関して種々の試薬の相対的親和性を記載する。(b)使用のための試薬の至適濃度は、反応の熱ステップにも依存する。例えば、反応物が、反応の開始前に氷上または室温(約25℃)に設定される場合、約650nMの完全に二本鎖のヘアピン試薬が、25μLの反応中の1.5単位の酵素当たりに必要とされる。しかしながら、反応の熱プロファイルが最初の融解ステップに先立って追加の温度中断を必要とする場合、同じ試薬のうちの一部分のみが二本鎖ヘアピンコンホメーションのままであり、同じ25μLの反応中の同じ1.5単位の酵素に対して二本鎖ヘアピン分子の同じ比率を達成するためには、試薬の濃度を増大させなければならない。
(3)反応中のミスプライミングは、意図しないイベントが生じる比率に依存するので、増幅反応のいずれかの1つ以上のステップに費やされる時間の長さを長くするためには、酵素濃度と比較した試薬の濃度を増大させる必要がある場合がある。
(4)試薬は、酵素に結合する場合にI型および2型ミスプライミングの抑制に関して活性であるので、一部の実施形態では、それらのプライマーに対する鋳型鎖が最終的な反応混合物中に存在するか否かにかかわらず、試薬は、プライマーと酵素を混合する前に酵素と混合されるか、または酵素の添加前に反応混合物中に存在し、かつ酵素が混合物に添加された後には反応混合物に添加されない。さらに、試薬はその二本鎖ヘアピンコンホメーションでのみ活性であるので、それらのプライマーに対する鋳型鎖が最終的な反応混合物中に存在するか否かにかかわらず、試薬は、酵素と混合される前に、または少なくとも酵素・試薬混合物が増幅のために用いられる1種以上のプライマーと混合される前に、このコンホメーションになる条件下で調製しなければならない。
実施例1:ミスプライミング防止試薬融解温度に対するヘアピンループ長およびミスマッチ末端部分の影響
シトシンループ長が増大する場合、コンピュータ融解温度分析(Visual OMP, version 7.5.0.0, DNA Software Inc., Ann Arbor, MI)は、ヘアピンステムの融解温度が低下するであろうと予測する。しかしながら、図2で見られる場合、ループ長とTmとの関係は厳密には直線的でない。これらのデータは、2種類の構造に対して提示され、PSLは5'および3'末端の両方にdabcyl部分を有する例示的ミスプライミング防止試薬であり、TSDBBは5'dabcyl部分および3'Biosearch Blue部分を有する本明細書中に記載される例示的ミスプライミング防止試薬である。図2に見られる通り、考えられるPSL変種のそれぞれのTmは、同等のループ長のTSDBB分子のTmよりも数℃高いと予想される。これにより、特定の実施形態では、マッチする末端部分を有する試薬がループ中に25個のシトシンを含んで設計され、ミスマッチ部分を有する試薬はループ中に28個のシトシンを含んで設計される(図3)。
シトシンループ長が増大する場合、コンピュータ融解温度分析(Visual OMP, version 7.5.0.0, DNA Software Inc., Ann Arbor, MI)は、ヘアピンステムの融解温度が低下するであろうと予測する。しかしながら、図2で見られる場合、ループ長とTmとの関係は厳密には直線的でない。これらのデータは、2種類の構造に対して提示され、PSLは5'および3'末端の両方にdabcyl部分を有する例示的ミスプライミング防止試薬であり、TSDBBは5'dabcyl部分および3'Biosearch Blue部分を有する本明細書中に記載される例示的ミスプライミング防止試薬である。図2に見られる通り、考えられるPSL変種のそれぞれのTmは、同等のループ長のTSDBB分子のTmよりも数℃高いと予想される。これにより、特定の実施形態では、マッチする末端部分を有する試薬がループ中に25個のシトシンを含んで設計され、ミスマッチ部分を有する試薬はループ中に28個のシトシンを含んで設計される(図3)。
少なくとも一方の試薬末端上の少なくとも1個のdabcyl部分(クエンチャー)の存在は、SYBR Green(蛍光dsDNA結合性色素)が反応混合物に添加される場合に、ヘアピンの実験的Tmの測定を可能にする。図3は、本明細書中に記載される種々のミスプライミング防止試薬の実験的Tmを示す。Tmが高くなればなるほど、ステム構造はさらに安定になる。
実施例2:本明細書中に記載される例示的試薬によるミスプライミングの防止
特定の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬は、ミスプライミングの1種以上の態様を抑制し、それによりPCR増幅での1種以上の意図される生成物の増幅を強化する能力を有する。図4は、無試薬対照と比較して、650nM/反応の濃度で、ミスプライミングを抑制する例示的ミスプライミング防止試薬TSDBB(図3)の能力を図示する。反応の両方のセットが、DNA標的を含有する。結果は、無試薬サンプルが、無秩序な増幅動態を示し(左上パネル)、そのうちの大部分が意図される生成物であるには高すぎる様々なTmを有する多様な増幅生成物を含む(左下パネル)ことを実証する。対照的に、ミスプライミングは、TSDBBを含有するすべての反応で抑制され、増幅の動態が再現可能であり(右上パネル)、かつ融解曲線分析がすべてのサンプルに対する予測されるTmを有する単一アンプリコンピークがあることを明らかにしている(右下パネル)という結果を伴う。
特定の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬は、ミスプライミングの1種以上の態様を抑制し、それによりPCR増幅での1種以上の意図される生成物の増幅を強化する能力を有する。図4は、無試薬対照と比較して、650nM/反応の濃度で、ミスプライミングを抑制する例示的ミスプライミング防止試薬TSDBB(図3)の能力を図示する。反応の両方のセットが、DNA標的を含有する。結果は、無試薬サンプルが、無秩序な増幅動態を示し(左上パネル)、そのうちの大部分が意図される生成物であるには高すぎる様々なTmを有する多様な増幅生成物を含む(左下パネル)ことを実証する。対照的に、ミスプライミングは、TSDBBを含有するすべての反応で抑制され、増幅の動態が再現可能であり(右上パネル)、かつ融解曲線分析がすべてのサンプルに対する予測されるTmを有する単一アンプリコンピークがあることを明らかにしている(右下パネル)という結果を伴う。
図5は、650nM PSLと、同等な濃度のTSDBBとの比較を示す。両方のサンプルのセットが均一な動態を示すが、TSDBB反応はPSL反応よりも高いプラトー値を有し、このことは、より多くの増幅生成物がTSDBB反応で形成されていることを示す。理論に拘泥するものではないが、この改善された収率は、低レベルのプライマーダイマー形成を抑制する、PSLと比較して大きなTSDBBの能力に起因するようである。言い換えれば、TSDBBの存在下では、プライマーはダイマーの形成に浪費されない。
図6は、650nM TSDBB/反応を含有するか(黒色線)、または本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬の非存在下でホットスタート抗体を含有する(灰色線)反応の収率を比較する、それぞれ異なる標的アンプリコンを用いる3種類の類似の実験の結果を示す。それぞれの場合に、示される一本線は各反復反応の平均であり、それぞれの場合に、TSDBBを含有する反応は、抗体を含有する対応する反応よりも高いプラトー値に達した。それぞれの実験は、線のパターンにより区別される(実験1:実線、実験2:破線、実験3:点線)。このホットスタート抗体は、様々なプライマーのペアのそれぞれに対して、プライマーダイマー形成を完全に阻害することはできない。
図7〜9は、種々のプライマーのペアを含有するがDNA鋳型が添加されていない無鋳型対照(NTC)反応での、プライマーダイマー形成を抑制する本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬の能力の比較分析を提供する。図7の3つのパネルは、ホットスタート試薬不含(A)、または650nM TSC39BB含有(B)、または650nM TSDBB含有(C)での反応中で観察される蛍光シグナルを比較する。いかなるホットスタート試薬も存在しない場合(図7A)、すべての反復実験が32サイクルまでに非特異的生成物を増幅した。TSC39BBの存在下(図7B)では、すべての反復実験が非特異的生成物を蓄積させたが、数サイクルの遅れの後のみであり、このことは、プライマーダイマー形成は完全に抑制されたわけではないが遅延したことを示す。図7Cは、TSDBBを含有する反復実験のうちの一部がいかなる生成物も生じず、それ以外は相当な遅延後に非常に低レベルの生成物を生じることを示す。つまり、TSDBBはTSC39BBよりも有効であるが、TSC39BBおよびTSDBBの両方が、ミスプライミングを抑制できた。
図8は、類似のNTC実験の結果を示し、ここではホットスタート試薬不含、650nM PSL、および650nM TSDBBの有効性を比較する。結果は融解ピークとして示す。ホットスタート試薬不含の8回の反応のうちの6回(図8A)が高レベルのプライマーダイマーを生成し、PSLを含有する8回の反応のうちの3回が中程度のレベルのプライマーダイマーを生成した(図8B)。対照的に、TSDBBを含有する反応のうちのいずれも、これらの8回の反応中にプライマーダイマーを生成しなかった(図8C)。代わりに、これらの反応はすべて、ミスプライミング防止試薬のステムへのSYBR Greenの結合に起因する、プライマーダイマーよりもかなり低い温度での小さな正の融解ピークを含んだ。いかなるプライマーダイマーも存在しない場合には、閉じた系のうちの未結合SYBR Greenの濃度はヘアピンのステムを飽和させ、dabcyl部分がSYBR Green蛍光を消光する能力を超過する。
図9は、最も低い蛍光シグナルを有した図8Bで分析された3種類のサンプルと似通った見た目を与えた。これらのサンプルのうちのいずれも、合計蛍光として測定した場合にバックグラウンドを超える検出可能なシグナルを示さなかった(上側)。しかしながら、同じサンプルを一次微分融解ピークとして分析した場合(下側)、2回の反復実験がPSLのステムに対して結合しているSYBR Greenに起因する低温融解ピークを有した。これらの結果は、SYBR Greenが、この場合はPSLステムではなくプライマーダイマーである、より長い二本鎖DNA分子に優先的に結合するという事実と整合する。
実施例3:本明細書中に記載される例示的試薬の追加の特徴
上記の通り、ヘアピンのステム以外に二本鎖DNAを含有しない無鋳型対照サンプルのSYBR Green融解曲線分析が正のシグナルを示し、そのうちの最大のものが閉管中での試薬の実験的Tmを規定する。図10に示される通り、ピークの大きさは、反応物中の試薬の濃度に相関し、ピークのTmは試薬の特性に従ってシフトする。これらのデータはまた、ピークの大きさが、どのくらい多くのクエンチャー部分が試薬に連結しているかに基づいて変わることも示す。つまり、TSDBBのピークは、同等のナノモル濃度(nM)量に対してPSLのものよりも高く、これは、TSDBBは単一のdabcyl部分を有するが、PSLは2個のdabcyl部分を有するからである。
上記の通り、ヘアピンのステム以外に二本鎖DNAを含有しない無鋳型対照サンプルのSYBR Green融解曲線分析が正のシグナルを示し、そのうちの最大のものが閉管中での試薬の実験的Tmを規定する。図10に示される通り、ピークの大きさは、反応物中の試薬の濃度に相関し、ピークのTmは試薬の特性に従ってシフトする。これらのデータはまた、ピークの大きさが、どのくらい多くのクエンチャー部分が試薬に連結しているかに基づいて変わることも示す。つまり、TSDBBのピークは、同等のナノモル濃度(nM)量に対してPSLのものよりも高く、これは、TSDBBは単一のdabcyl部分を有するが、PSLは2個のdabcyl部分を有するからである。
図11に見られる通り、反応中のいずれかのサイズの二本鎖DNAアンプリコンの存在は、試薬「山」を試薬「谷」へと変換する。これは、閉じた系がもはや未結合のSYBR Greenを含有せず、これにより色素を含む試薬のステムを完全に飽和させ、したがってクエンチャーを圧倒することは不可能になることから生じる。ステムに結合した色素の蛍光はここで消光され、閉じた系の合計蛍光での低下を生じる。この場合、谷の位置はその試薬の実験的Tmを反映し、その谷の形状は特定の自己ハイブリダイゼーション特性を反映し、例えば、TSDBBは他の2種類の例示的ミスプライミング防止試薬変種よりも低いTmを有し、その谷の「壁」はより切り立っている。このことは、TSDBBヘアピンが、他の試薬よりも狭い温度範囲にわたって開閉することを示す。
図12は、ミスプライミング防止試薬の谷の深さが、反応に加えられた試薬の量に比例することを実証する。これは、その濃度が増幅の開始時と終了時で同じであることを確認するために用いることができる、試薬の実施形態のまた別の有用な特性である。この谷はまた、それに対して様々な反応中で生成される生成物の量を測定するための、増幅非依存的標準としても用いることができる。例えば、図13は、試薬の至適濃度(650nM対1300nM)を決定するための谷の使用を図示する。
特定の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬は、PCR増幅反応中の熱サイクルの大部分に対して用いられるアニーリング温度で少なくとも95%完了まで融解して開くように設計されている。例えば、図14では、3種類すべての例示的試薬変種が、谷の最高温度の縁から明らかな通り、60℃で実質的に完全に開状態となった。このことは、試薬が標準的アニーリング温度以上でポリメラーゼ活性を阻害しないであろう機会を最小限にする。対照的に、図14では例えば40℃以下である相当に低い温度では、例示的試薬分子の大部分またはすべてが閉じたヘアピンコンホメーションにあり、試薬が最大の考えられるミスプライミングの濃度依存的抑制を発揮している。このことは、反応物中に存在する機能的分子(閉じたヘアピン分子)の割合(%)が温度依存的であり、かつヘアピン形成の範囲で反応物の温度を上下させることにより増加もしくは減少させることができ、かつ/または反応物中の試薬の濃度を増加または減少させることにより調整することができるという上記の知見によるものである。図15は、2種類の異なる濃度のTSDBBを反復NTC反応およびDNA添加反応に加え、これを最初の熱サイクル前に氷上(4℃)に置いて、続いて47℃で30分間インキュベートした実験からの結果を提示する。図15Aに示される通り、650nM TSDBBはNTCサンプルではプライマーダイマー増幅を抑制できなかった。これは、試薬分子のうちの約50%(325nM)のみがヘアピンであり、これは反応物中の1.5単位のTaqポリメラーゼを飽和するのに十分でないからである。対照的に、図15Cは、1300nM TSDBBがNTCサンプルでのプライマーダイマー形成を抑制するのに十分であったことを示し、これは、47℃での閉じたヘアピンの濃度が、1.5単位のTaqポリメラーゼを含有する反応物でのミスプライミングの抑制に必要とされるTSDBB濃度である約650nMであったからである。図15Bおよび図15Dは、1300nM TSDBBを含有する反応物中で生成される意図されるアンプリコンの量が、650nMの試薬を含有する反応物中で生成されるものよりも多かったことを示し、このことは、機能的な温度調整済みの試薬濃度が低すぎた場合に、プライマーの一部が浪費されたという事実と整合する。
特定の実施形態では、本明細書中に記載されるミスプライミング防止試薬は、ステムの一方の末端にBiosearch Blueを用いて標識されたTSDBBのようにクマリン誘導体を有し、SYBR Greenを励起するために用いられる波長では蛍光団が励起されないので、SYBR Greenの検出中に蛍光を発しない。しかしながら、Biosearch Blueを用いて標識されたTDSDBBは、この変種がゲル上で泳動され、このゲルが染色されかつUV光を用いて撮影される際に、青色の蛍光を発する(図16)。青色に着色されたTSDBBのバンドは、電気泳動後のゲル中の試薬の位置を決定するために便利であり、バンドの強度は、どれだけの試薬が存在するか、ならびに試薬が無傷であるか否かの見積もりを与える。
一部の実施形態では、本明細書中に記載される例示的ミスプライミング防止試薬の機能性は、DNAポリメラーゼと混合される前に溶解される液体の組成により影響を受ける。図17は、酵素との混合前にTris緩衝溶液中に希釈されている試薬が、純水中に希釈されている試薬と比較して改善されたミスプライミング防止活性をもたらすことを示す。
一部の実施形態では、本明細書中に記載される例示的ミスプライミング防止試薬の機能性は、試薬がPCRアッセイ混合物に添加される順序により影響を受ける。図18〜19は、本明細書中に記載される特定の試薬が、試薬をマスターミックスに添加してその後に酵素を加える場合と比較して、酵素がマスターミックス中の他の構成要素に加えられる前に酵素と混合した場合に、ミスプライミングの抑制でより有効性が高いことを示す。
図18は、すべてがDNA鋳型の添加を伴わない(−DNA)4種類の条件下で調製された反復サンプル中でのミスプライミングのレベルを比較する。アッセイのうちの1種類では、650nM TSDBBを1.5単位のTaqポリメラーゼと十分に混合し、その後に、この酵素/試薬混合物をPCRマスターの残りに添加し、続いて増幅を行なった。図18Dの左側パネルに見られる通り、8回の反復実験のうちの1つもSYBR Greenシグナルを有さず、このことは、プライマーダイマー形成がないことを含めて、この条件下では増幅が行われなかったことを示した。この結論は、エンドポイントでのSYBR Green融解曲線の一次微分を示す図18Dの右側パネルにより裏付けられる。TSDBBのステムへのSYBR Greenの結合に起因するほんの小さな低Tm「山」のみが観察される。別のアッセイでは、650nM TSDBBをPCRマスターと十分に混合し、その後に1.5単位のTaqポリメラーゼを添加した。図18Cの左側パネルに見られる通り、SYBR Green蛍光は、30〜36サイクルから始まって、散在するプラトー値に44〜48サイクルで達するまで継続する、すべてのサンプルでの二本鎖DNAの蓄積を実証する。対応する融解曲線(図18C、右側パネル)は、約77℃での幾分か散乱したピークの存在を示す。これは、これらのサンプルでのプライマーダイマーピークであり、予測される生成物とほぼ同じTmをたまたま有する。すべてのサンプル中でのプライマーダイマーの存在は、酵素がPCRマスターミックスに添加されたときに、ポリメラーゼへのTSDBBの結合よりも早く、プライマーダイマー形成が既に起こったことを示す。3番目のアッセイでは、Taqポリメラーゼとホットスタート抗体から構成される1.5単位のGoTaqを、TSDBBを含有しないPCRマスターミックスと十分に混合した。SYBR Green分析(図18B)は、8種類のサンプルのうちの3種類が、36〜38サイクルでプライマーダイマー生成物を蓄積し始めたことを示す。一部のサンプルでのプライマーダイマーの存在は、ホットスタート抗体がPCRマスターミックス中でのポリメラーゼ活性を常にブロックするわけではないことを示す。4番目のアッセイでは、ホットスタート抗体を含まない1.5単位のTaqポリメラーゼを、TSDBBを含有しないPCRマスターミックスと十分に混合した。SYBR Green分析(図18A)は、すべてのサンプルがプライマーダイマーを生成し、かつ一部のサンプルではそれらのダイマーのオリゴマー化も起こったことを示す。これらの結果は、この反応で用いたプライマーのペアが、いかなるホットスタート試薬も存在しない場合にプライマーダイマーを非常に形成し易かったことを実証する。
図19は、DNA鋳型を添加して(+DNA)、同じ4種類の条件下で調製された反復サンプルでのミスプライミングのレベルを比較する。最初のアッセイでは、650nM TSDBBを1.5単位のTaqポリメラーゼと十分に混合し、その後に、この酵素/試薬混合物をPCRマスターの残りに添加し、続いて増幅を行なった。結果(図19D)は、すべての8回の反復実験が、31〜32サイクルで始まり8種類のサンプルのうちの6種類で非常に似通ったプラトー値まで上昇する一貫したSYBR Greenシグナルを有したことを示す。これらの反復実験での融解分析は、77℃での均一な単独ピークと、44℃での予測されたTSDBB「谷」を示す。結果は、すべての反復実験での予想されたアンプリコンの純粋な増幅を示す。2番目のアッセイでは、650nM TSDBBをPCRマスターと十分に混合し、その後に、1.5単位のTaqポリメラーゼを添加した。この場合(図19C)には、すべての8回の反復実験が、30〜32サイクルから始まり、8回のうち4回の反復実験では散在していたプラトー値まで上昇するSYBR Greenシグナルを有した。これらの反復実験の融解分析は、77℃での予測されたアンプリコンピークの存在を示したが、このピークの大きさは8回の反復実験の間で様々である。対応する−DNA反復実験(条件ii、上記)での知見に従うと、これらの結果は、プライマーダイマー形成が最初の熱サイクル前にPCRマスターミックス中で起こったので、低レベルのプライマーダイマーが、これらの反復実験のうちの一部、恐らくはすべてで増幅されたことを示す。3番目のアッセイでは、Taqポリメラーゼとホットスタート抗体から構成される1.5単位のGoTaqを、TSDBBを含有しないPCRマスターミックスと十分に混合した。この場合は(図19B)、すべての8回の反復実験が、30〜32サイクルで始まり、8回の反復実験の間で散在していたプラトー値まで上昇するSYBR Greenシグナルを有した。これらの反復実験の融解分析は、77℃での予測されたアンプリコンピークの存在を示したが、このピークの大きさは8回の反復実験の間で様々である。対応する−DNA反復実験(条件iii、上記)での知見に従うと、これらの結果は、プライマーダイマー形成が最初の熱サイクル前にPCRマスターミックス中で起こったので、低レベルのプライマーダイマーが、これらの反復実験のうちの一部、恐らくはすべてで増幅されたことを示す。4番目のアッセイでは、ホットスタート抗体を含まない1.5単位のTaqポリメラーゼを、TSDBBを含有しないPCRマスターミックスと十分に混合した。SYBR Green分析(図19A)は、すべてのサンプルが21〜32サイクルでシグナルを生じ、プラトー値が散乱したことを示す。融解分析は、8種類のサンプルのうちの7種類での少量かつばらついた量のアンプリコンと、すべてのサンプル中のさらなる二本鎖生成物の存在を実証する。これらの結果は、いかなるホットスタート試薬も存在しない場合に、大量のプライマーダイマー形成が最初の熱サイクル前に起こり、これらの誤った生成物の増幅が、反応全体を通じて正しい生成物の増幅と競合することを示す。
実施例4:本明細書中に記載される例示的試薬による2型ミスプライミングの抑制
図20は、1型および2型ミスプライミングの両方を抑制するTSDBBの能力を図示する。4種類のアッセイ条件が、2型ミスプライミングに対するTSDBBの影響を決定するために比較された。最初のアッセイ(図20A)では、ホットスタート抗体または本明細書中に記載される試薬を用いなかった。2番目のアッセイ(図20B)では、ホットスタート抗体を用いた。3番目のアッセイ(図20C)では、900nM PSLを用いた。4番目のアッセイ(図20D)では、900nM TSDBBを用いた。
図20は、1型および2型ミスプライミングの両方を抑制するTSDBBの能力を図示する。4種類のアッセイ条件が、2型ミスプライミングに対するTSDBBの影響を決定するために比較された。最初のアッセイ(図20A)では、ホットスタート抗体または本明細書中に記載される試薬を用いなかった。2番目のアッセイ(図20B)では、ホットスタート抗体を用いた。3番目のアッセイ(図20C)では、900nM PSLを用いた。4番目のアッセイ(図20D)では、900nM TSDBBを用いた。
図20は、3つの列(左から右に向かってA〜C)で結果を提示する。左側の列は、60回の熱サイクルの経過にわたって、SYBR Greenを用いて染色された二本鎖DNA分子の蓄積を示す。中央の列は、60サイクルの終了時に存在する二本鎖分子の一次微分融解曲線分析を示す。この融解曲線分析後に、すべてのサンプルがPCR機中で室温まで冷却され、続いて機械から取り出されて、数日間、冷蔵庫に保存された。次に、それらを機械に戻し、95℃まで再加熱し、さらに20サイクルにわたって増幅を再開させた。右側の列では、このプロセスの終了時に、サンプルを融解曲線分析により再検討した。最後に、サンプルをもう一度PCR機から取り出し、両方の鎖に対するDilute-N-Goプロトコールを用いる配列決定に対して準備した。配列決定分析の結果は、以下に提供される。
図20Aに見られる通り、いかなるホットスタート試薬も存在しない場合には、この反応で用いられたプライマーはミスプライミングし易かった。それ故、SYBR Greenシグナルは予測されたよりも早く現われ、最大レベルよりも低いレベルでプラトーに達した。60サイクル後の融解分析により、生成物が不均一であることが確認された。さらなる20サイクルにわたるこれらの生成物の再開された増幅は、それらの(−dF/dT)対温度プロット上で比較した場合に、60サイクル後よりも融解温度が高い新規形態の、それらのさらなる進化をもたらした。つまり、図20Aに提示されるデータは、1型および2型ミスプライミングの両方の存在を示す。
図20Bに見られる通り、ホットスタート抗体の存在下で、増幅の開始前のミスプライミングが抑制された。SYBR Greenシグナルが現われ、純粋なアンプリコンに対して予測されるであろう通りの高い値でプラトーに達した。60サイクル後の融解曲線分析は、予測されたTmの単一ピークの存在を示した。さらなる20サイクルにわたるこの生成物の再開された増幅は、それらの(−dF/dT)対温度プロット上で比較した場合に、より高い融解温度を有する新規形態への増幅生成物のそのさらなる進化をもたらした。つまり、図20Bに見られる通り、ホットスタート抗体は1型ミスプライミングを抑制するが、2型ミスプライミングを抑制できない。
図20Cに見られる通り、900nM PSLの存在下では、増幅の開始前のミスプライミングが抑制された。SYBR Greenシグナルが現われ、適度に純粋なアンプリコンに対して予測されるであろう通りの中程度に高い値でプラトーに達した。60サイクル後の融解曲線分析は、予測されたTmの単一ピークの存在を示した。さらなる20サイクルにわたるこの生成物の再開された増幅は、それらの(−dF/dT)対温度プロット上で比較した場合に、より高い融解温度を有する新規形態へのアンプリコンのその部分的な進化をもたらした。つまり、図20Cに見られる通り、900nM PSLは1型ミスプライミングを抑制するが、2型ミスプライミングを完全には抑制できない。
図20Dに見られる通り、900nM TSDBBの存在下では、増幅の開始前のミスプライミングが抑制された。SYBR Greenシグナルが現われ、適度に純粋なアンプリコンに対して予測されるであろう通りの中程度に高い値でプラトーに達した。60サイクル後の融解曲線分析は、予測されたTmの単一ピークの存在を示した。さらなる20サイクルにわたるこの生成物の再開された増幅は、正しいアンプリコンと同じ融解温度を有する単一ピークをもたらし、それらの(−dF/dT)対温度プロット上で比較した場合に、より高い融解温度を有する形態への増幅生成物の非常にわずかな進化を伴った。つまり、図20Dに見られる通り、900nM TSDBBは、1型および2型ミスプライミングの両方を抑制する。
図20Cの結果と図20Dの結果との比較は、900nM PSLが、900nM TSDBBよりも、1型および2型ミスプライミングの両方の抑制ではあまり機能的でないことを示す。中央および右側の列での「谷」は、TSDBBの機能的Tmが、PSLの機能的Tmよりも低いことを実証する。つまり、温度がまったくの最初の熱サイクル中に上昇しているときと、60回目の熱サイクル後に低下していくときの両方で、PSL分子よりも少ないTSDBB分子が、二本鎖ヘアピン構成にある。それにもかかわらず、TSDBBは、PSLよりも、1型および2型ミスプライミングの両方の強い抑制を示す。
上記の実施例の一部で用いられた実験条件に関するさらなる詳細は、図21〜24にまとめられている。
実施例5:本明細書中に記載される例示的試薬を用いる多重LATE-PCR増幅
多重(multiplex)LATE-PCR増幅を、反復実験間での散乱を減少させる試薬PSIおよびTSBHQ2BBの有効性を比較するために行なった。PCR反応は、以下の標的に対して特異的なプライマーのペアを含んだ:(1) rpoB遺伝子;(2) katG遺伝子;(3) inhA遺伝子のプロモーター領域の一部分;および(4)内部対照として機能する合成オリゴヌクレオチド標的。加えて、反応は、精密な温度指示剤として用いられた非増幅対照を含んだ。関連する配列は、以下の通りである(3個の炭素のリンカーはC3と表示され、Black Holeクエンチャー2はBHQ2とそれぞれ表示される):
多重(multiplex)LATE-PCR増幅を、反復実験間での散乱を減少させる試薬PSIおよびTSBHQ2BBの有効性を比較するために行なった。PCR反応は、以下の標的に対して特異的なプライマーのペアを含んだ:(1) rpoB遺伝子;(2) katG遺伝子;(3) inhA遺伝子のプロモーター領域の一部分;および(4)内部対照として機能する合成オリゴヌクレオチド標的。加えて、反応は、精密な温度指示剤として用いられた非増幅対照を含んだ。関連する配列は、以下の通りである(3個の炭素のリンカーはC3と表示され、Black Holeクエンチャー2はBHQ2とそれぞれ表示される):
RpoB:
制限プライマー:CTCCAGCCAGGCACGCTCACGTGACAGACCG
過剰プライマー:ACGTGGAGGCGATCACACCGCAGACGTT
プローブ1 Off:BHQ2-CTGGTTGGTGCAGAAG-C3
プローブ2 On:Quasar 670-TCAGGTCCATGAATTGGCTCAGA-BHQ2
プローブ3 Off:BHQ2-CAGCGGGTTGTT-C3
プローブ4 On TG:BHQ2-ATGCGCTTGTTGGTCAACCCCGAT-Quasar 670
プローブ5 On G:Quasar 670-AAGCCCCAGCGCCGACAGTCGTT-BHQ2
プローブ5 On:Quasar 670-AAGCCCCAGCGCCGACAGTCGTT-BHQ2
プローブ6 Off:ACAGACCGCCGG-BHQ2
制限プライマー:CTCCAGCCAGGCACGCTCACGTGACAGACCG
過剰プライマー:ACGTGGAGGCGATCACACCGCAGACGTT
プローブ1 Off:BHQ2-CTGGTTGGTGCAGAAG-C3
プローブ2 On:Quasar 670-TCAGGTCCATGAATTGGCTCAGA-BHQ2
プローブ3 Off:BHQ2-CAGCGGGTTGTT-C3
プローブ4 On TG:BHQ2-ATGCGCTTGTTGGTCAACCCCGAT-Quasar 670
プローブ5 On G:Quasar 670-AAGCCCCAGCGCCGACAGTCGTT-BHQ2
プローブ5 On:Quasar 670-AAGCCCCAGCGCCGACAGTCGTT-BHQ2
プローブ6 Off:ACAGACCGCCGG-BHQ2
KatG:
制限プライマー:AGCGCCCACTCGTAGCCGTACAGGATCTCGAGGAAAC
過剰プライマー:TCTTGGGCTGGAAGAGCTCGTATGGCAC
Onプローブ:QSR670-ACTCGCGTCCTTACCCAAAAAAAAAAAAAA-BHQ2
Offプローブ:ATGTCGGTGGTGA-BHQ2
制限プライマー:AGCGCCCACTCGTAGCCGTACAGGATCTCGAGGAAAC
過剰プライマー:TCTTGGGCTGGAAGAGCTCGTATGGCAC
Onプローブ:QSR670-ACTCGCGTCCTTACCCAAAAAAAAAAAAAA-BHQ2
Offプローブ:ATGTCGGTGGTGA-BHQ2
InhA:
制限プライマー:TTCCGGTAACCAGGACTGAACGGGATACGAATGGGGGTTTGG
過剰プライマー:TCGCAGCCACGTTACGCTCGTGGACATAC
Onプローブ:BHQ2-AAAAAAAAAAAAAAAGGCAGTCATCCCGTT-QSR670
Offプローブ:BHQ2-TTACAGCCTATCGCCTCGC-C3
制限プライマー:TTCCGGTAACCAGGACTGAACGGGATACGAATGGGGGTTTGG
過剰プライマー:TCGCAGCCACGTTACGCTCGTGGACATAC
Onプローブ:BHQ2-AAAAAAAAAAAAAAAGGCAGTCATCCCGTT-QSR670
Offプローブ:BHQ2-TTACAGCCTATCGCCTCGC-C3
内部対照:
制限プライマー:TTCGGCGCACAAAGTGTCTCTGGCTGTTGT
過剰プライマー:TTGGCACGATGCTCCCACATTGCGACTTC
制限プライマー:TTCGGCGCACAAAGTGTCTCTGGCTGTTGT
過剰プライマー:TTGGCACGATGCTCCCACATTGCGACTTC
増幅可能内部対照配列:
GGCACGATGCTCCCACATTGCGACTTCTGCCCTTGATAGTTATATTGAAAGTAAATAGTAGATAGTAGATGATGATATAAACAACAGCCAGAGACACTTTGTGCGCCGAA
Onプローブ:QSR670A-TTCTATTATTTATTTTCAT-BHQ2
Offプローブ:ATCATTATTTACTA-BHQ2
GGCACGATGCTCCCACATTGCGACTTCTGCCCTTGATAGTTATATTGAAAGTAAATAGTAGATAGTAGATGATGATATAAACAACAGCCAGAGACACTTTGTGCGCCGAA
Onプローブ:QSR670A-TTCTATTATTTATTTTCAT-BHQ2
Offプローブ:ATCATTATTTACTA-BHQ2
非増幅対照:
蛍光鎖(Fluor Strand):QSR670-CAGCTGCACTGGGAAGGGTGCAGTCTGACC-C3
クエンチャー鎖:GGTCAGACTGCACCCTTCCCAGTGCAGCTG-BHQ2
蛍光鎖(Fluor Strand):QSR670-CAGCTGCACTGGGAAGGGTGCAGTCTGACC-C3
クエンチャー鎖:GGTCAGACTGCACCCTTCCCAGTGCAGCTG-BHQ2
例示的試薬:
PSI:
Dabcyl-GAATAATATAGCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCTATATTATTC-Dabcyl
TSBHQ2BB:
BHQ2-GAATAATATAGCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCTATATTATTC-Biosearch Blue
PSI:
Dabcyl-GAATAATATAGCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCTATATTATTC-Dabcyl
TSBHQ2BB:
BHQ2-GAATAATATAGCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCTATATTATTC-Biosearch Blue
LATE-PCR増幅を、1×PCRバッファー(Invitrogen, Carlsbad, CA)、3mM MgCl2、300nM dNTP、50nM制限プライマー、1000nM過剰プライマー、150nMのそれぞれのOffプローブ、50nMのそれぞれのOnプローブ(rpoBプローブ5 On TG(25nM)およびrpoBプローブ5 On G(75nM)を除く)、1000ゲノム当量の増幅可能内部対照、50nM非増幅対照蛍光鎖(fluor strand)および150nM非増幅対照クエンチャー鎖から構成される25μLの反応溶液中で行なわれる6回の反復実験を用いて、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)(約100ゲノム)のゲノムDNAに対して行なった。それぞれの反応は、1.5単位のTaq DNAポリメラーゼ(Invitrogen, Carlsbad, CA)およびPSI(600nM)またはTSBHQ2BB(300nM、600nM、または1500nM)のいずれかを含んだ。
増幅反応のための温度プロフィールは、以下の通りであった: 97℃7秒間、続いて75℃45秒間を60サイクル、続いて75℃10分間、続いて25℃10分間、25℃から30秒間の間隔(各間隔で蛍光が取得される)毎に1℃の増分で96℃まで上昇する融解。プローブ・標的ハイブリダイゼーションは、25℃〜85℃の温度に対する一次微分を用いる融解曲線分析により分析した。
図25は、固定量(1.5単位)のTaq DNAポリメラーゼによるPSIおよびTSBHQ2BBを用いる増幅結果の再現性を示す。すべてのサンプルの1つの目立った特徴は、81℃での蛍光の谷であり、これはすべての反応物が一定の体積および塩濃度を反応全体を通して維持していることを示す非増幅温度インジケーターである。これらの2つの変数のうちのいずれかが変化すれば、この谷が生じる温度がシフトするであろう。
図25Aは、600nMのPSIを含有する6回の反復増幅の増幅生成物を用いて生成された融解曲線を示す。融解曲線は、2種類の異なる群の反応がこれらの条件下で行なわれたことを実証する。6回の反復実験のうちの3回が、67℃でのピーク、50℃での深い谷および30℃での別のピークを有する増幅を示し、それ以外の3回の反復実験はこれらの温度では乏しい増幅を示す。
図25Bは、300nMのTSBHQ2BBを含有する6回の反復増幅を用いて生成された融解曲線を示す。融解曲線は、反復実験間での増幅の漸次的変化を実証し、300nMがこの反応に対するTSBHQ2BBの至適濃度ではないことを示す。
図25Cは、600nMのTSBHQ2BBを含有する6回の反復増幅を用いて生成された融解曲線を示す。融解曲線は、3箇所すべての温度点(67℃でのピーク、50℃での深い谷および30℃での別のピーク)でのわずかな散乱および一貫した増幅を実証する。図25Aと図25Cでの67℃でのピークの大きさの比較は、図25Cに示された反応が、反復実験間でより堅牢であり、かつ、より一貫していることを示す。
図25Dは、1500nMのTSBHQ2BBを含有する6回の反復増幅を用いて生成された融解曲線を示す。融解曲線は、これらの条件下での増幅が、600nM TSBHQ2BBを用いた図25Cに示される増幅と同様であるが、6回の反復実験間では比較的一貫していないことを実証する。つまり、試験した反応条件に関して、600nMが最適なTSBHQ2BB濃度であった。
実施例6:本明細書中に記載される例示的試薬を用いる改善されたRT-LATE-PCR増幅
反応の間にサンプルチューブを開けることなく逆転写およびcDNA増幅を行なうために、逆転写(RT)試薬とPCR試薬とを組み合わせることができる。そのような「ワンステップ」RT-PCRプロトコールは、合計のアッセイ時間とサンプル汚染のリスクの両方を減少させる。RT反応中(30分間以上続く場合があり、42℃〜60℃の温度を含み得る)、DNAポリメラーゼは、プライマーダイマー形成およびプライマーとDNA標的との他の非特異的相互作用を防止するために、不活性のままであるべきである。この実施例は、ワンステップRT-PCR反応中の非特異的増幅の最小化および意図される標的の増幅の改善でのDNAポリメラーゼ特異的抗体の能力を、2種類の例示的試薬であるTSDBBおよびTSBHQ2BBを用いて比較する。
反応の間にサンプルチューブを開けることなく逆転写およびcDNA増幅を行なうために、逆転写(RT)試薬とPCR試薬とを組み合わせることができる。そのような「ワンステップ」RT-PCRプロトコールは、合計のアッセイ時間とサンプル汚染のリスクの両方を減少させる。RT反応中(30分間以上続く場合があり、42℃〜60℃の温度を含み得る)、DNAポリメラーゼは、プライマーダイマー形成およびプライマーとDNA標的との他の非特異的相互作用を防止するために、不活性のままであるべきである。この実施例は、ワンステップRT-PCR反応中の非特異的増幅の最小化および意図される標的の増幅の改善でのDNAポリメラーゼ特異的抗体の能力を、2種類の例示的試薬であるTSDBBおよびTSBHQ2BBを用いて比較する。
アーマードRNA(armored RNA)HCV遺伝子型2b(カタログ番号42010、Asuragen社)を、逆転写および増幅の標的として1反応当たり約1000粒子の濃度で用いた。SuperScript III逆転写酵素およびTfi DNAポリメラーゼ(両方ともLife Technologies社から)をPlatinum抗体(Life Technologies社)、TSDBB、またはTSBHQ2BB(1×PCRバッファーおよび3mMマグネシウム中)と共に室温で10分間インキュベートした。HCVアーマードRNAを含むかまたは含まずにすべての他の構成要素(以下を参照されたい)を含有する反応ミックス(1×PCRバッファーおよび3mMマグネシウム中)を、HCVアーマードRNAの周囲の保護性タンパク質を変性させるために75℃で3分間インキュベートした。次に、酵素ミックスを5倍に希釈し、50nMアンチセンスプライマー(AAGGTCTTTCGCAACCCAACGCTA)、1000nMセンスプライマー(GACTGGGTCCTTTCTTGGA)、400nM HCVプローブ(Cal Red 610-TCGGCTAGTAGTCTTGTGG-BHQ2)、0.4mMの各dNTP、0.24×SYBR Green、4U/μL SuperScriptIII、および0.06U/μL Tfi DNAポリメラーゼの最終濃度(最終体積25μL/反応)を得た。Platinum抗体最終濃度は0.06U/μL(存在する場合)であり、TSBHQ2BB最終濃度は2μM(存在する場合)であった。TSBHQ2BB分子のうちの約半分(すなわち、1μM)は、逆転写のために用いられる温度である45℃で二本鎖DNAステムを有する。
熱サイクル実行および蛍光検出は、Stratagene Mx3005P装置で行なった。45℃30分間(RTステップ)、続いて95℃2分間のインキュベーションに、95℃10秒間、62℃10秒間、および68℃30秒間の60サイクル(SYBR Green蛍光の検出を伴う)が続いた。続いて、温度を徐々に低下させ(約2℃/分)、一本鎖増幅生成物に対するCal Red標識プローブの完全なハイブリダイゼーションを確実にするために、40℃で5分間維持した。温度を、各ステップ毎にSYBR GreenおよびCal Red蛍光を測定しながら、0.5℃の増分で40℃から95℃まで上昇させた。SYBR Green蛍光データは、Stratageneソフトウェアの適応的ベースライン設定を用いて分析した。Cal Red蛍光データは、Microsoft Excelにエクスポートし、プローブと増幅生成物との検出可能なハイブリダイゼーションがない温度である70℃での蛍光に基づいて標準化した。
図26は、SYBR Green検出を用いる二本鎖DNA(HCV特異的生成物と非特異的生成物の両方)のリアルタイム増幅を示す。平均CT値は、ホットスタート試薬不含(A)およびPlatinum抗体含有(B)のHCVサンプル(実線)で最も低かったが、同様のCT値が、それらの添加剤を含む無鋳型対照(NTC)サンプル(破線)で見られ、このことは、蛍光増大のうちの大きな割合が非特異的増幅に起因したことを示す。TSDBB (C)またはTSBHQ2BB (D)を含有するHCVサンプルは約3.5サイクル高い平均CT値を生成したが、対応するNTCサンプルはいかなる検出可能な増幅生成物も生成せず、このことは、これらの添加剤による特異性の改善を実証した。
増幅生成物のSYBR Green融解分析(図27)により、ホットスタート試薬不含(A)またはPlatinum抗体含有(B) HCVサンプルおよびNTCサンプルからの(−dF/dT)対温度プロットでの数箇所の非特異的生成物ピークの存在が確認された。同様の結果が、Platinum抗体と予め混合されているエキソヌクレアーゼ活性を欠損した1つのバージョンの酵素であるPlatinum Tfi (exo-) DNAポリメラーゼを含有するサンプルを用いて得られた。対照的に、TSDBB (C)またはTSBHQ2BB (D)を含有するHCVサンプルは、HCVアンプリコンの予測される融解温度での単一生成物ピークを示した。
HCVプローブハイブリダイゼーションの融解分析(図28)により、ホットスタート試薬不含(A)およびPlatinum抗体含有(B)HCVサンプルでの低レベルのHCV特異的増幅生成物、およびTSDBB (C)またはTSBHQ2BB (D)を含有するHCVサンプルでのバックグラウンドを超える検出可能なHCVプローブ蛍光の4倍の増大が確認された。
これらの結果は、本明細書中に記載される例示的試薬が、抗体ホットスタート試薬を用いて観察されるものと比較して、ワンステップRT-PCR反応での非特異的増幅を減少させ、かつ特異的標的増幅を増加させることを実証する。理論に拘泥するものではないが、特異性の改善は、RTインキュベーション中のプライマーダイマー伸長の阻害に起因するものであり得る。
実施例7:本明細書中に記載される例示的試薬を用いる改善されたRT-PCR増幅
実施例6のものに類似するが、Tfi DNAポリメラーゼの代わりにTaq DNAポリメラーゼを用い、かつLATE-PCRの代わりに対称性PCRを用いるワンステップRT-PCR実験を行なった。酵素ミックスは、Taq DNAポリメラーゼがTfi DNAポリメラーゼの代わりに用いられたこと以外は、実施例6に記載された通りに調製した。用いられたHCVアーマードRNA標的および増幅試薬は、センスプライマー濃度が500nMであり、かつ異なるアンチセンスプライマー(CTTTCGCAACCCAACGCTA)を500nMで用いたこと以外は、同じ濃度で使用した。
実施例6のものに類似するが、Tfi DNAポリメラーゼの代わりにTaq DNAポリメラーゼを用い、かつLATE-PCRの代わりに対称性PCRを用いるワンステップRT-PCR実験を行なった。酵素ミックスは、Taq DNAポリメラーゼがTfi DNAポリメラーゼの代わりに用いられたこと以外は、実施例6に記載された通りに調製した。用いられたHCVアーマードRNA標的および増幅試薬は、センスプライマー濃度が500nMであり、かつ異なるアンチセンスプライマー(CTTTCGCAACCCAACGCTA)を500nMで用いたこと以外は、同じ濃度で使用した。
熱サイクル実行および蛍光検出は、Stratagene Mx3005P装置で行なった。45℃での30分間(RTステップ)、続いで95℃で2分間のインキュベーションに続いて、95℃10秒間、62℃10秒間、および72℃30秒間を20サイクル、次に95℃10秒間、60℃10秒間、および72℃30秒間(Cal Red(60℃で分析)およびSYBR Green蛍光(72℃で分析)についての検出を含む)を30サイクル行なった。次に、温度を徐々に低下させ(約3℃/分)、40℃で2分間維持し、続いて0.5℃の増分で40℃から95℃まで上昇させ、各増分で蛍光検出を行なった。
増幅中のSYBR Green検出およびRT-PCR後融解を図29に示す。Platinum抗体を含有する反復HCVサンプルのCT値(図29A、左側パネル、実線)は大きく変動していた。Platinum抗体を含有する無標的対照(NTC)(破線)サンプルもまた、32〜33のCT値を伴って二本鎖DNA増幅を示した。融解分析である(−dF/dT)対温度プロットは、Platinum抗体を含有するHCVサンプルおよびNTCサンプルの両方でのすべての増幅生成物(図29A、左側パネル)が80℃未満のTmを有して非特異的であり、かつHCV特異的生成物は予測された86℃のTmでは検出されなかったことを明らかにした。対照的に、TSDBBを含有するHCVサンプルは34の平均CT値を有してより一貫した増幅をもたらし、TSDBBを含有するNTCサンプルは蛍光増大を示さなかった(図29B、左側パネル)。TSDBBを含有するHCVサンプルの融解分析である(−dF/dT)対温度プロットは、86℃の特異的生成物Tmでの単一の検出可能な融解ピークを示した(図29B、右側パネル)。TSBHQ2BBを含有するHCVサンプルおよびNTCサンプルに対する結果(図29C)は、TSDBBを含有するサンプルのものと同様であった。
これらの結果は、本明細書中に記載される例示的試薬が、抗体ホットスタート試薬を用いて観察されるものと比較してTaq DNAポリメラーゼを含有するワンステップRT-PCR反応での非特異的増幅を減少させることを実証する。
一本鎖ミスプライミング防止試薬ヘアピンの融解温度は、ステムの長さを増加させること、そのヌクレオチド配列(例えば、A-Tペアに対するG-Cペアの比率を増大させることにより)、またはループの長さを減少させることにより、45℃以上の温度(例えば、50℃、55℃、または60℃)での一本鎖ミスプライミング防止試薬の阻害効果を増大させるために改変することができるであろう。つまり、DNAポリメラーゼの活性を阻害したままで、様々なRTインキュベーション温度を用いることができるであろう。一本鎖ミスプライミング防止試薬は、RT-PCRに用いられる可能性がある広範囲のポリメラーゼの活性に影響を与えるはずである。
実施例8:2ステップRT-PCRでの本明細書中に記載される例示的試薬の使用
実施例6および7は、ワンステップRT-PCR反応での本明細書中に記載される例示的試薬による特異的RNA標的の増幅の改善を実証する。本実施例は、DNAポリメラーゼの非存在下でのRT反応中の逆転写酵素のフィデリティに対する、本明細書中に記載される例示的試薬の影響を試験する。増幅は、続いて、すべてのサンプル中の例示的試薬濃度の均一化後に別個のPCRステップで完了する。
実施例6および7は、ワンステップRT-PCR反応での本明細書中に記載される例示的試薬による特異的RNA標的の増幅の改善を実証する。本実施例は、DNAポリメラーゼの非存在下でのRT反応中の逆転写酵素のフィデリティに対する、本明細書中に記載される例示的試薬の影響を試験する。増幅は、続いて、すべてのサンプル中の例示的試薬濃度の均一化後に別個のPCRステップで完了する。
1×Tfiポリメラーゼ反応バッファーおよび3mM塩化マグネシウム中の500nMアンチセンスプライマー、10μMセンスプライマー(両者とも実施例6に記載されている)、および約500コピー/μL HCV-2bアーマードRNAの混合物を、75℃で3分間インキュベートし、25℃まで冷却し、続いて20U/μL SuperScript III、0.8mM各dNTP、および4μM TSDBBまたは4μM TSBHQ2BB、または例示的試薬なしのいずれかを1×Tfiポリメラーゼ反応バッファーおよび3mM塩化マグネシウム中に含有する等量のRT試薬混合物と混合し、45℃30分間、95℃2分間インキュベートし、25℃まで冷却し、氷上に置いた。RTサンプルを、PCR試薬ミックスを用いて5倍に希釈し、50nMアンチセンスプライマー、10μMセンスプライマー、400nM HCVプローブ、0.4mM各dNTP、0.24×SYBR Green、および0.06U/μL Tfi DNAポリメラーゼ(サンプル当たり20μLの最終体積)の最終濃度を得た。TSBHQ2BBは、すべてのサンプル中で同様のホットスタートPCR条件を提供するために、最終的なTSBHQ2BB合計濃度が1μMに達するようにすべてのサンプル中に含められた。PCR熱サイクル実行(95℃での2分間の変性ステップから始まる)およびPCR後融解プロトコールは、実施例6、図31に記載されるものと同一であった。
最も低いSYBR Green CT値(平均=31.2)は、RTステップ中に例示的試薬が存在しないサンプルで観察されたが(図30A、左)、融解分析は、それらのサンプル中での増幅の大半が非特異的であることを明らかにした(図30A、右)。少量かつばらついた量の増幅生成物が、HCV特異的生成物に対して予測される温度である86℃で融解した。反復サンプルのうちの1つが、81℃での非常に大きな融解ピークを伴って、最初のプラトー後にリアルタイムPCR蛍光での第2の上昇を示した。PCR中の遅れた第2の蛍光増大を示した2つのサンプルは、特異的生成物のものよりも高い88℃での融解ピークを含んだ。逆転写酵素を含まずに調製された対照サンプルは、蛍光増大を示さなかった。
RTステップ中の、TSDBBまたはTSBHQ2BBのいずれかを含有するサンプルでのSYBR Green増幅および融解分析結果(それぞれ、図30Bおよび図30C)は、試薬を含有しないサンプルと比較して高い平均CT値(それぞれ、34.6および35.0)を示したが、第2の蛍光増大はプラトー到達後には観察されず、融解分析である(−dF/dT)対温度プロットは86℃のHCV特異的生成物融解ピークのみを明らかにした。逆転写酵素を含まずに調製された対照サンプルは、蛍光増大を示さなかった。
より高いレベルのHCV特異的生成物が、HCVプローブ融解分析を用いて確認された。いずれかの例示的試薬を含むサンプル中でベースラインを超える平均蛍光は、RTステップ中に試薬が存在しないサンプルのものの4倍近かった。
これらの結果は、本明細書中に記載される例示的試薬が、DNAポリメラーゼの非存在下でのRTステップ中に非特異的生成物の初期の形成を防止することを示す。反応中のすべての試薬濃度はPCRステップの間は同一であるので、何らかの増幅の差異の発生源はRT中に生じているはずである。特異性をさらに増加させ、かつ/または特定の温度でのRNA非依存的DNAポリメラーゼ活性を阻害する目的で、逆転写酵素に対するそれらの親和性を増大させるために、少なくとも数個のRNAヌクレオチド、または合成ヌクレオチド(例えば、2'-O-メチルRNA)を用いて、修飾型試薬を設計することができる。つまり、「ホットスタート試薬」を、PCRに現在行われているのと大体同じように、RT反応にも応用することができる。また、本明細書中に記載される一本鎖ミスプライミング防止試薬の他のバージョンを、RNA依存的RNAポリメラーゼをはじめとする他のポリメラーゼの阻害剤として設計することもできるであろう。これらのタイプの阻害剤は、分子試験だけでなく、RNAウイルスおよび他の感染性物質を阻害する可能性のある薬物としての潜在的適用を有する。
実施例9:ワンステップRT-LATE-PCRでの本明細書中に記載される例示的試薬の使用
2ステップRT-PCRを用いた上記の実施例では、本明細書中に記載される一本鎖ミスプライミング防止試薬が、逆転写酵素に対して直接作用することにより逆転写を改善することができることを示す。このことをワンステップRT-PCRでより直接的に検討するために、実施例6のものと同様であるが、AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(ThermoFisher Scientific社)をTfiポリメラーゼの代わりに用いる実験を行なった。製造業者に従えば、この酵素は熱活性化を必要とするAmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼの化学的修飾型である。修飾型酵素は、不活性状態で提供される。95℃での10分間の熱活性化に際して、修飾因子(modifier)が永続的に放出され、活性な酵素が再生される。つまり、一本鎖ミスプライミング防止試薬(または他の添加剤)の存在または非存在を除いては同一であるサンプル間での増幅の差異は、おそらくは添加剤と逆転写酵素との直接的相互作用に起因する、反応のRT相中の添加剤の作用が原因であり得る。
2ステップRT-PCRを用いた上記の実施例では、本明細書中に記載される一本鎖ミスプライミング防止試薬が、逆転写酵素に対して直接作用することにより逆転写を改善することができることを示す。このことをワンステップRT-PCRでより直接的に検討するために、実施例6のものと同様であるが、AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼ(ThermoFisher Scientific社)をTfiポリメラーゼの代わりに用いる実験を行なった。製造業者に従えば、この酵素は熱活性化を必要とするAmpliTaq(登録商標)DNAポリメラーゼの化学的修飾型である。修飾型酵素は、不活性状態で提供される。95℃での10分間の熱活性化に際して、修飾因子(modifier)が永続的に放出され、活性な酵素が再生される。つまり、一本鎖ミスプライミング防止試薬(または他の添加剤)の存在または非存在を除いては同一であるサンプル間での増幅の差異は、おそらくは添加剤と逆転写酵素との直接的相互作用に起因する、反応のRT相中の添加剤の作用が原因であり得る。
酵素ミックスは、AmpliTaq Gold DNAポリメラーゼおよび該酵素と共に供給されているバッファー(バッファー1)をTfi DNAポリメラーゼ、Platinum抗体、およびTfiバッファーの代わりに用いた以外は、実施例6で行なわれた通りに調製した。HCVアーマードRNA標的および他のRT-LATE-PCR試薬を、該実施例と同じ最終濃度で用いた。一方のセットのサンプルが、2μMの一本鎖ミスプライミング防止試薬BHQ2BBを含有した。2番目のセットのサンプルは、2μM PSL(BHQ2BBと同じ配列を有するオリゴヌクレオチドであるが、両方の末端がBlack Holeクエンチャー2およびBioSearch Blueの代わりにDabcylを用いて修飾されている)を含有した。
熱サイクル実行および蛍光検出は、RTのための45℃でのインキュベーションの持続時間が15分間(30分間の代わりに)であり、PCRサイクル中の伸長ステップが72℃(68℃の代わりに)であること以外は、実施例6に記載されているのと同じプロトコールを用いてStratagene Mx3005Pで行なった。
PCR中の合計の二本鎖DNAのリアルタイムSYBR Green検出および引き続く融解分析を、図32に示す。SYBR Green蛍光増大は、添加剤を含有しないHCV ARサンプル(実線)および添加剤を含有しない無鋳型対照(NTC)サンプル(点線)を含むすべての反復実験で観察された(図32A、左)。平均CT値はそれぞれ35.5±0.8および41.6±1.8であった。融解分析は、融解ピークが、86℃の特異的生成物ピーク(図32Bおよび図32C、右)ではなく、約79℃で観察されたので(図32A、右)、すべての検出可能な増幅は非特異的であったことを示した。PSLを含むHCV ARサンプルは、37.7±1.6の平均CT値を伴うSYBR Green蛍光増大を示した(図32B、左)。PSLを含む4種類のNTCサンプルのうちのいずれも、蛍光増大を示さなかった。PSLを含むHCV ARサンプルの融解分析は、HCV特異的生成物の存在を示す約86℃での単一の大きな融解ピークを示した(図32B、右)。BHQ2BBを含むHCV ARサンプルは、PSLを用いて観察されたものよりも相当に低い34.3±0.1の平均CT値(図32C、左)を伴い、相当に低い標準偏差を伴うSYBR Green蛍光増大を示した。BHQ2BBを含む4種類のNTCサンプルのうちのいずれも、蛍光増大を示さなかった。融解分析は、HCV ARおよびBHQ2BBを含むサンプルでの特異的生成物ピークを示した(図32C、右)。
HCV生成物に特異的な蛍光標識プローブのハイブリダイゼーションおよび解離もまた、RT-PCR後融解の間にモニタリングされた。各グループ中のNTCサンプルのいずれも、バックグラウンドを超えるプローブシグナルを示さなかった(図示していない)。PSLまたはBHQ2BBのいずれかを含有するHCV ARサンプルは、バックグラウンドを超える強い蛍光を示し、この蛍光はプローブの融解温度である60℃を超えて温度が上昇すると直ちに低減した。これは、図33に蛍光微分ピークとして図示されている。添加剤を含まないサンプルは、微分ピークを有さず、このことはHCV特異的生成物の非存在と合致する。
実施例10:ワンステップ対称性RT-PCRでの本明細書中に記載される例示的試薬の使用
LATE-PCRについて観察されるワンステップRT-PCRでの改善が対称性PCRを実行する場合にも得られるか否かを決定するための実験を行なった。試薬ミックスは、センスプライマー濃度が500nMであり、かつ異なるアンチセンスプライマー(5'-CTTTCGCAACCCAACGCTA-3')を500nMで用いたこと以外は、実施例9の通りに調製した、熱サイクル実行および蛍光検出は、以前の実験と同一であった。
LATE-PCRについて観察されるワンステップRT-PCRでの改善が対称性PCRを実行する場合にも得られるか否かを決定するための実験を行なった。試薬ミックスは、センスプライマー濃度が500nMであり、かつ異なるアンチセンスプライマー(5'-CTTTCGCAACCCAACGCTA-3')を500nMで用いたこと以外は、実施例9の通りに調製した、熱サイクル実行および蛍光検出は、以前の実験と同一であった。
PCRおよびそれに続く融解分析中の合計二本鎖DNAのリアルタイムSYBR Green検出を、図34に示す。SYBR Green蛍光増大は、添加剤不含のHCV ARサンプル(実線)および添加剤不含の無鋳型対照(NTC)サンプル(点線)を含むすべての反復実験で観察された(図34A、左)。平均CT値は、それぞれ38.9±0.8および39.8±2.6であった。融解分析は、融解ピークが特異的生成物ピークである86℃(図34A、右)ではなく、77〜79℃の範囲で観察されたので(図34A、右)、すべての検出可能な増幅が非特異的であったことを示した。PSLを含むHCV ARサンプルは、平均CT値40.8±2.3を有するSYBR Green蛍光増大を示した(図34Bおよび図34C、左)。PSLを含む4種類のNTCサンプルのうちのいずれも、蛍光増大を示さなかった。PSLを含むHCV ARサンプルの融解分析は約86℃での単一の大きな融解ピークを示し、これはHCV特異的生成物の存在を示した(図34B、右)。BHQ2BBを含むHCV ARサンプルは、PSLについて観察されたものよりも低い37.1±1.8の平均CT値を有するSYBR Green蛍光増大を示した(図34C、左)。60サイクル目での蛍光は、PSL含有または添加剤不含のHCV ARサンプルよりも高かった。BHQ2BBを含む4種類のNTCサンプルのうちのいずれも、蛍光増大を示さなかった。融解分析は、HCV ARおよびBHQ2BBを含むサンプルでの特異的生成物ピークを示した。
SYBR Green検出に伴う結果は、BHQ2BBおよびPSLが、逆転写およびそれに続く特異的RNA標的の増幅を改善するために逆転写酵素と直接的に相互作用する対称性プライマーを用いるワンステップRT-PCRに対して、RT-LATE-PCRを用いて観察されたのと類似の効果を有することを確認する。試験した試薬の中では、BHQ2BBが最良の結果を生み出し、BHQ2BBはCT値を低くし、かつHCV特異的生成物からのより高い蛍光レベルを生じた。
PCR生成物鎖のハイブリダイゼーションが低Tmプローブのハイブリダイゼーションを妨げるので、Cal Red標識HCVプローブは、対称性PCRサンプルでのHCV生成物を検出できない。しかしながら、未処理の(raw)Cal Red蛍光の検討により、PSLまたはBHQ2BBのいずれかを含むサンプルでのレベルと比較して、添加剤不含サンプルでのPCRの開始時の相当に高いレベルの蛍光が明らかになった(図35)。より高い蛍光レベルが、HCV AR含有サンプルおよび鋳型を含まない対照サンプルで存在し、このことは、増大が、プローブハイブリダイゼーションの非存在下でさえも、エキソヌクレアーゼ活性によるプローブの加水分解に起因するようであることを示唆する。同様に高いCal Red蛍光が、このプローブをRT-LATE-PCRサンプル中でPSLまたはBHQ2BBを含まずに用いた場合に観察された(図示していない)。プローブオリゴヌクレオチドの消化はPCR前に起こるので、このエキソヌクレアーゼ活性はSuperScript III逆転写酵素または化学的に不活性化されたAmpliTaq Gold Taqポリメラーゼ中に存在するはずである。PSLまたはBHQ2BBの存在下で、活性は大きく低下または消失する。つまり、これらの添加剤は、損傷し易いオリゴヌクレオチドプローブの標的非依存性加水分解の減少という利点を有し、このことは、特異的標的の増幅を検出するのに十分な無傷のプローブがPCR中に存在することを保証する。
実施例11:RT-PCRのための例示的一本鎖ミスプライミング防止試薬の設計
RNAまたはRNA様ヌクレオチドを含むバージョンの本明細書中に記載される一本鎖ミスプライミング防止試薬は、逆転写酵素反応では特に有用であるようである。そのような試薬の使用は、他の実施例に記載されるのと同様のRT-PCRに対する改善を達成するために、より低い濃度の一本鎖ミスプライミング防止試薬の使用を可能にすることができるであろう。RNAを含有するバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬はまた、所望の範囲を超える温度で酵素を阻害するであろう高濃度でも用いることができるであろう。そのような阻害は、DNAバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬が低温でDNAポリメラーゼを阻害することによりPCRに対してホットスタートをもたらすのと同様の様式で、逆転写に対してホットスタートをもたらすであろう。例えば、約45℃のヘアピンTmを有するRNAヌクレオチド含有一本鎖ミスプライミング防止試薬は、最初の加熱前または加熱中に逆転写酵素を阻害し、それによりミスマッチ(したがって低融点)RNA標的に対するプライマー伸長の可能性を最小限にすることができるであろう。一本鎖ミスプライミング防止試薬分子のうちの大多数でステムが解離するはずである55℃〜60℃まで温度が上昇したら、逆転写酵素の親和性は低下し、特異的標的に対するプライマーの伸長が行なわれ得る。異なるヘアピンTmを有する一本鎖ミスプライミング防止試薬の変種を、様々な温度での酵素活性を制御するために設計することができるであろう。異なるバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬の組み合わせの使用(例えば、RNAを含有するものとDNAのみからなるもの)は、RTステップに対してホットスタートをもたらし、かつRTインキュベーション温度に達した際には増大した正確性および/または効率を維持することができるであろう。
RNAまたはRNA様ヌクレオチドを含むバージョンの本明細書中に記載される一本鎖ミスプライミング防止試薬は、逆転写酵素反応では特に有用であるようである。そのような試薬の使用は、他の実施例に記載されるのと同様のRT-PCRに対する改善を達成するために、より低い濃度の一本鎖ミスプライミング防止試薬の使用を可能にすることができるであろう。RNAを含有するバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬はまた、所望の範囲を超える温度で酵素を阻害するであろう高濃度でも用いることができるであろう。そのような阻害は、DNAバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬が低温でDNAポリメラーゼを阻害することによりPCRに対してホットスタートをもたらすのと同様の様式で、逆転写に対してホットスタートをもたらすであろう。例えば、約45℃のヘアピンTmを有するRNAヌクレオチド含有一本鎖ミスプライミング防止試薬は、最初の加熱前または加熱中に逆転写酵素を阻害し、それによりミスマッチ(したがって低融点)RNA標的に対するプライマー伸長の可能性を最小限にすることができるであろう。一本鎖ミスプライミング防止試薬分子のうちの大多数でステムが解離するはずである55℃〜60℃まで温度が上昇したら、逆転写酵素の親和性は低下し、特異的標的に対するプライマーの伸長が行なわれ得る。異なるヘアピンTmを有する一本鎖ミスプライミング防止試薬の変種を、様々な温度での酵素活性を制御するために設計することができるであろう。異なるバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬の組み合わせの使用(例えば、RNAを含有するものとDNAのみからなるもの)は、RTステップに対してホットスタートをもたらし、かつRTインキュベーション温度に達した際には増大した正確性および/または効率を維持することができるであろう。
ヘアピンTmの推定値を与えるコンピューターソフトウェアを、様々なバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬を設計する際に用いることができる。Integrated DNA Technologies OligoAnalyzer 3.1(https://www.idtdna.com/calc/analyzer)を、本明細書中、以下に提供されるTm推定値を与えるために用いた。このウェブサイトツールは、RNA(2'O-メチルRNAをはじめとする)またはDNAヌクレオチドのいずれかを含有するオリゴヌクレオチドのヘアピンTmを推定する。推定値は、一本鎖ミスプライミング防止試薬上に存在してヘアピンTmに影響を与え得る末端修飾の存在は考慮せずに与えられることに留意されたい。ステムTmの上昇または低下は、異なる末端修飾に対して変わり得る。
DNAヌクレオチドのみを含有する一本鎖ミスプライミング防止試薬は、上記実施例で用いた塩濃度で45℃の予測ヘアピンTmを有する。この値は、上記実施例に記載された方法を用いて実験的に決定された観測値よりも数℃低い。類似のRNA配列を有する一本鎖ミスプライミング防止試薬は、63℃の予測ヘアピンTmを有する。
5'-rGrArArUrArArUrArUrArGrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrUrArUrArUrUrArUrUrC-3'(RNA=rA、rG、rC、rU)
5'-rGrArArUrArArUrArUrArGrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrCrUrArUrArUrUrArUrUrC-3'(RNA=rA、rG、rC、rU)
ステム部分にRNAを含み、ループにDNAを含む配列は、類似のヘアピンTmを有するはずであり、かつ代替物として用いることができるであろう。
5'-rGrArArUrArArUrArUrArGCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCrCrUrArUrArUrUrArUrUrC-3'
5'-rGrArArUrArArUrArUrArGCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCrCrUrArUrArUrUrArUrUrC-3'
2'-O-メチルRNAヌクレオチドから構成されるRNAオリゴヌクレオチドはより安定かつヌクレアーゼに対して抵抗性であるので、2'-O-メチルRNAヌクレオチドは標準的なRNAヌクレオチドよりも好ましい。OligoAnalyzer 3.1は、2'O-メチルRNAに対して標準的RNAと同じTm推定値を与える。
5'-mGmAmAmUmAmAmUmAmUmAmGCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCmCmUmAmUmAmUmUmAmUmUmC-3'(2'O-メチルRNA=mA、mG、mC、mU)
5'-mGmAmAmUmAmAmUmAmUmAmGCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCmCmUmAmUmAmUmUmAmUmUmC-3'(2'O-メチルRNA=mA、mG、mC、mU)
上記のヌクレオチド配列を有する一本鎖ミスプライミング防止試薬分子は、低濃度で用いられる場合にはRT-PCRの幾分かの改善を与え得るが、高濃度(例えば、1μM)では、逆転写酵素を強く阻害する可能性がある。したがって、配列中の他の変更を、ヘアピンTmを低下させるために行なった。
ループのサイズを大きくすると、ヘアピンのTmが低下する。したがって、C残基の数を28から34まで増加させた。しかしながら、このことは、予測ヘアピンTmを1℃しか低下させなかった。そのような変更は小さな望ましい調整は可能にする場合があるが、ヘアピンTmにもっと大きな影響を有する追加の改変が望まれた。したがって、ステムに隣接するmGおよびmCヌクレオチドを欠失させてステム長を10まで減少させ、末端のmGおよびmCヌクレオチドをそれぞれmUおよびmAに変更した。予測ヘアピンTmは52℃であった。
5'-mUmAmAmUmAmAmUmAmUmACCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCmUmAmUmAmUmUmAmUmUmA-3'
5'-mUmAmAmUmAmAmUmAmUmACCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCmUmAmUmAmUmUmAmUmUmA-3'
ステム中のヌクレオチド数を減少させることにより、さらに低いヘアピンTmを有する一本鎖ミスプライミング防止試薬RNA分子を設計することができるであろう。しかしながら、本出願人にとってより好ましいバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬は、少なくとも10ヌクレオチドのステム長を有する。mG-mU対形成を用いる代替的方法を、ヘアピンTmを低下させるために用いた。mG-mU対形成(またはrU-rG対)は、mA-mU対形成と比較して若干不安定である。したがって、3個のmAヌクレオチドをmGで置き換えた。得られた予測ヘアピンTmは40℃であった。高濃度では、このバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬(BioSearch BlueおよびBlack Holeクエンチャー、または他の修飾を含む)は逆転写酵素の温度制御された阻害をもたらすようである。
5'-mUmAmAmUmAmGmUmGmUmACCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCmUmGmUmAmUmUmAmUmUmA-3'
5'-mUmAmAmUmAmGmUmGmUmACCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCmUmGmUmAmUmUmAmUmUmA-3'
別の設計は、ステムの半分にRNAを用い、もう半分にDNAを用いることである(RNAまたはDNAをループに用いることができるであろう)。RNA-DNAハイブリッドは、RNA鋳型の逆転写に用いられるDNAプライマーに比較的類似するであろう。RNA-DNAハイブリッドは、類似のRNA-RNAハイブリッドよりも低いTmを有する。以下のオリゴヌクレオチド配列は、52℃の予測ヘアピンTmを有する類似のRNA-RNA配列(上記)のものと37℃の予測ヘアピンTmを有する類似DNA-DNA配列との間のヘアピンTmを有するはずである。混合型ヌクレオチドに対するヘアピンTm推定値は、OligoAnalyzer 3.1により与えられなかった。このバージョンおよび他のバージョンの一本鎖ミスプライミング防止試薬に対する好ましいTm推定値は、上記の通りに実験的に決定される。
5'-mUmAmAmUmAmAmUmAmUmACCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCTATATTATTA-3'
5'-mUmAmAmUmAmAmUmAmUmACCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCTATATTATTA-3'
上記の配列のうちのいずれかに対する好ましい末端修飾はBioSearch BlueおよびBlack Holeクエンチャーであるが、似通った化学的特性および物理的特性を有する他の修飾を代替物として用いることができるであろう。上記の配列に対する代替物として用いることができる多数の考えられる代替ヌクレオチド配列、ステム長およびループ長がある。ステムの一方の側に沿ってRNAおよびDNAヌクレオチドを混合することは、別の考えられる変法である。これらの変法は、様々なRTインキュベーション温度での使用のための一本鎖ミスプライミング防止試薬分子の範囲を与え得るであろう。
実施例12:Dabcyl以外にBlack Holeクエンチャー部分を含有する例示的試薬
図37は、dabcyl部分に代えて数種類のBlack Holeクエンチャー部分のうちの1種類(Biosearch Technologies, Inc, Petaluma, CA)を含むTSDBBから派生した数種類のミスプライミング防止試薬を図示する。図37は、図36に示されるTSDBB誘導体のうちのそれぞれを同等の濃度で含む反応と比較して、標的DNAを含む反応中の900nM TSDBBのミスプライミング抑制活性を示す。結果は、反復反応に対応する個々の線を用いて融解ピークとして表示されている。900nM TSDBBの存在下では、すべての反復実験が、意図される生成物に対応する同様の高さの単一融解ピークを生じた(図37A)。対照的に、dabcylの代わりにBlack Holeクエンチャー0またはBlack Holeクエンチャー1のいずれかを含有する900nM TSDBB誘導体の存在下では、反復反応は、非特異的生成物に対応する追加のマイナーピークを伴って様々な高さの融解ピークを生じたか(Black Holeクエンチャー0、図37B)、またはそのうちの大多数が意図される生成物としては高すぎる様々な融解温度を伴う多様な増幅生成物を生じた(Black Holeクエンチャー1、図37C)。Black Holeクエンチャー2を含む900nM TSDBBの存在下で行なわれた反復増幅反応のみが、TSDBBを用いて得られた反復融解ピークと同様の均一な高さの単一融解ピークを生じた(図37D)。
図37は、dabcyl部分に代えて数種類のBlack Holeクエンチャー部分のうちの1種類(Biosearch Technologies, Inc, Petaluma, CA)を含むTSDBBから派生した数種類のミスプライミング防止試薬を図示する。図37は、図36に示されるTSDBB誘導体のうちのそれぞれを同等の濃度で含む反応と比較して、標的DNAを含む反応中の900nM TSDBBのミスプライミング抑制活性を示す。結果は、反復反応に対応する個々の線を用いて融解ピークとして表示されている。900nM TSDBBの存在下では、すべての反復実験が、意図される生成物に対応する同様の高さの単一融解ピークを生じた(図37A)。対照的に、dabcylの代わりにBlack Holeクエンチャー0またはBlack Holeクエンチャー1のいずれかを含有する900nM TSDBB誘導体の存在下では、反復反応は、非特異的生成物に対応する追加のマイナーピークを伴って様々な高さの融解ピークを生じたか(Black Holeクエンチャー0、図37B)、またはそのうちの大多数が意図される生成物としては高すぎる様々な融解温度を伴う多様な増幅生成物を生じた(Black Holeクエンチャー1、図37C)。Black Holeクエンチャー2を含む900nM TSDBBの存在下で行なわれた反復増幅反応のみが、TSDBBを用いて得られた反復融解ピークと同様の均一な高さの単一融解ピークを生じた(図37D)。
実施例13:末端5' Black Holeクエンチャー2部分および3' Biosearch Blue部分を有する例示的試薬
図38Bは、図37に示されたものとは異なるアッセイを用いて、ミスプライミングを抑制する種々の濃度のTSDBBおよびTSBQ2BBの能力を示す。反復反応の各セットが、DNA標的および一定量のTaq DNAポリメラーゼ(1.5単位)を含有した。この特定のアッセイに関して、反復実験間での意図される生成物に対応する単一融解ピークの高さの差異(図38A、上側パネル)ならびに反復反応間での増幅動態の差異(閾値サイクル(Ct)値間での散乱、プラトー値の散乱、図38A、下側パネル)により明らかである通り、1200nM TSDBBはミスプライミングを完全に抑制するには不十分であった。しかしながら、同じ濃度のTSBQ2BBの存在下では、すべての反復反応が、予測されるTmを有する同じ高さの単一アンプリコンピーク(図38B、上側パネル)、ならびにより狭い分布のCt値およびより再現性の高いプラトー値を有する再現性の高い増幅動態(図38B、下側パネル)を示した。これらの結果は、1200nMは反復反応中のすべてのミスプライミングを抑制したこと、およびTSBQ2BBがTSDBBに比べてTaq DNAポリメラーゼに対して高い親和性を有することを示す。TSDBBの濃度を1500nMまで上げると、1200nM TSBQ2BBを用いて観察されたものと同様の再現性の高い融解ピークが生じた(図38C、上側パネル)。1500nM TSDBBの存在下で観察される増幅動態は1200nM TSBBを用いて得られるものよりも相当に狭いが、しかしながら、増幅曲線は1200nM TSBQ2BBの存在下で得られた再現性および比較的高いプラトー値(すなわち、より高いアンプリコン収率)には匹敵しなかった(図38C、下側パネル)。ミスプライミングの1種以上の局面を抑制する試薬の能力が、意図される生成物の増幅の強化に反映されることを考えると、これらの結果は、TSBQ2BBが、TSDBBと比較して、Taq DNAポリメラーゼに対して高い親和性を有することに加えて、改善されたミスプライミング抑制活性を示すことを実証する。
図38Bは、図37に示されたものとは異なるアッセイを用いて、ミスプライミングを抑制する種々の濃度のTSDBBおよびTSBQ2BBの能力を示す。反復反応の各セットが、DNA標的および一定量のTaq DNAポリメラーゼ(1.5単位)を含有した。この特定のアッセイに関して、反復実験間での意図される生成物に対応する単一融解ピークの高さの差異(図38A、上側パネル)ならびに反復反応間での増幅動態の差異(閾値サイクル(Ct)値間での散乱、プラトー値の散乱、図38A、下側パネル)により明らかである通り、1200nM TSDBBはミスプライミングを完全に抑制するには不十分であった。しかしながら、同じ濃度のTSBQ2BBの存在下では、すべての反復反応が、予測されるTmを有する同じ高さの単一アンプリコンピーク(図38B、上側パネル)、ならびにより狭い分布のCt値およびより再現性の高いプラトー値を有する再現性の高い増幅動態(図38B、下側パネル)を示した。これらの結果は、1200nMは反復反応中のすべてのミスプライミングを抑制したこと、およびTSBQ2BBがTSDBBに比べてTaq DNAポリメラーゼに対して高い親和性を有することを示す。TSDBBの濃度を1500nMまで上げると、1200nM TSBQ2BBを用いて観察されたものと同様の再現性の高い融解ピークが生じた(図38C、上側パネル)。1500nM TSDBBの存在下で観察される増幅動態は1200nM TSBBを用いて得られるものよりも相当に狭いが、しかしながら、増幅曲線は1200nM TSBQ2BBの存在下で得られた再現性および比較的高いプラトー値(すなわち、より高いアンプリコン収率)には匹敵しなかった(図38C、下側パネル)。ミスプライミングの1種以上の局面を抑制する試薬の能力が、意図される生成物の増幅の強化に反映されることを考えると、これらの結果は、TSBQ2BBが、TSDBBと比較して、Taq DNAポリメラーゼに対して高い親和性を有することに加えて、改善されたミスプライミング抑制活性を示すことを実証する。
実施例14:例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬による反復増幅反応間での散乱の減少
反復増幅反応間での散乱を減少させる例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬(図39Aに構造および配列が示されている)の能力を試験した。ヒト遺伝子BRCA1の対称性一重(monoplex)増幅を、多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いずに(図39Bまたは図39E)、または400nMの多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いて(図39Cおよび図39E)行なった。図39Bおよび図39Cは、FAM標識TaqManプローブから検出された蛍光を示す。図39Dおよび図39Eは、それぞれ図39Bおよび図39Cと同じサンプルを、Cal Fluor Orange 560標識TaqManプローブから検出された蛍光を用いて示す。各パネルは、BRCA1遺伝子が一塩基多型で違っている3種類の異なるDNAサンプルの反復反応を含む。黒色実線(31、34、39、312)はホモ接合TTサンプルを示し、灰色点線(32、35、38、311)はヘテロ接合TCサンプルを示し、灰色実線(33、36、37、310)はホモ接合CCサンプルを示す。この実験は、製造業者(LCG Biosearch社)により提供された2×ストックから調製した1×Klearkallホットスタートマスターミックスを用い、標的としてCoriell Cell Repositories社からのヒトDNAの約1000コピー/μLを用いて行なった。用いた熱サイクルプロフィールは、以下の通りであった:95℃15分間、続いて95℃20秒間および60℃1分間を60サイクル。
反復増幅反応間での散乱を減少させる例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬(図39Aに構造および配列が示されている)の能力を試験した。ヒト遺伝子BRCA1の対称性一重(monoplex)増幅を、多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いずに(図39Bまたは図39E)、または400nMの多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いて(図39Cおよび図39E)行なった。図39Bおよび図39Cは、FAM標識TaqManプローブから検出された蛍光を示す。図39Dおよび図39Eは、それぞれ図39Bおよび図39Cと同じサンプルを、Cal Fluor Orange 560標識TaqManプローブから検出された蛍光を用いて示す。各パネルは、BRCA1遺伝子が一塩基多型で違っている3種類の異なるDNAサンプルの反復反応を含む。黒色実線(31、34、39、312)はホモ接合TTサンプルを示し、灰色点線(32、35、38、311)はヘテロ接合TCサンプルを示し、灰色実線(33、36、37、310)はホモ接合CCサンプルを示す。この実験は、製造業者(LCG Biosearch社)により提供された2×ストックから調製した1×Klearkallホットスタートマスターミックスを用い、標的としてCoriell Cell Repositories社からのヒトDNAの約1000コピー/μLを用いて行なった。用いた熱サイクルプロフィールは、以下の通りであった:95℃15分間、続いて95℃20秒間および60℃1分間を60サイクル。
図40Aは、図39Bおよび図39Cに示されるエンドポイントデータから作成した箱ひげ図を示す。図40Bの箱ひげ図は、図39Dおよび図39Eに示されるエンドポイントデータから作成した。データセット41、44、49および412はBRCA1遺伝子型CCを有するサンプルからのエンドポイントデータを表わす。データセット42、45、48および411はBRCA1遺伝子型TCを有するサンプルからのエンドポイントデータを表わす。データセット43、46、47および410はBRCA1遺伝子型TTを有するサンプルからのエンドポイントデータを表わす。各ボックスの中央の線は、データセットの中央値を表わす。ボックスは、データセットの四分位範囲、または25パーセンタイルから75パーセンタイルを表わす。上側のひげはデータセットの95パーセンタイルを表わし、下側のひげは10パーセンタイルを表わす。対照(41〜43および47〜49)と比較して、多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加(44〜46および410〜412)は、各遺伝子型由来のデータの四分位範囲を減少させ、このことは、反復反応間でのエンドポイント散乱の減少を実証する。多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加(44〜46および410〜412)はまた、各遺伝子型群同士の差異を増大させ、対照(41〜43および47〜49)でのものよりも反復実験の各群のひげまたは外縁を離れさせる。
図41は、反復実験の各群の周囲に95%信頼楕円を伴う、図39B〜Eからのエンドポイントデータの散布図を示す。縦軸はCal Fluor Orange 560標識プローブにより検出された蛍光であり、横軸はFAM標識プローブにより検出された蛍光である。このXY散布図形式は、この形式が遺伝子型を決定するために2種類のプローブからの蛍光を用いるアルゴリズムに対する共有基準であるので、SNP(一塩基多型)遺伝子型決定アッセイの評価に特に関連する。灰色の点は多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いない反応を示し、黒色の点は400nMの多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いる反応を示す。「51」と表示された反復実験の2つの群は、BRCA1遺伝子型CCを有する。「52」と表示された反復実験の2つの群は、BRCA1遺伝子型CTまたはTCを有する。「53」と表示された反復実験の2つの群は、BRCA1遺伝子型TTを有する。図41Bは、図41Aで「52」と表示された反復実験のヘテロ接合群の拡大図である。楕円は、Stata12用のユーザー作成プログラム「Ellip」を用いて作成した。これらの結果は、多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加が、測定された蛍光の二次元での反復実験間の散乱を減少させ、遺伝子型同士を区別する能力を増大させることを実証する。遺伝子型群間の分離の増大は、群間のマハラノビス二乗距離を算出することにより数学的に確認することができる(図42および図43)。マハラノビス二乗距離は、群間の平均ユークリッド距離、CalOrangeおよびFAM蛍光の両方の分散、ならびにプローブ読み取り値同士の共分散を説明する無単位数である。
マハラノビス二乗距離は、以下の式を用いて2つの遺伝子型群X1およびX2の間で算出することができ、式中、SはFAMおよびCalOrange蛍光に対する分散共分散行列である:
2つの群が互いに異なっているほど、それらの間のマハラノビス距離は大きくなる。図42の表中に列記されるマハラノビス二乗距離に伴う大きなF値および小さなp値は、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬を含む遺伝子型群の間の距離の増大が統計学的に有意であることを確認する。
実施例15:例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬による増幅反応での蛍光シグナルの増大
核酸増幅反応で生成される蛍光シグナルに対する例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬(図39Aに図示される)の影響を試験した。図44に示される通り、ヒト遺伝子XRCC1の対称性増幅を、400nM多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いて(図44Bおよび図44D)、または多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いずに(図44Aおよび図44C)行なった。TaqManプローブを、増幅生成物の形成を検出するために用いた。図44Aおよび図44BはFAM標識プローブからの蛍光を示す。図44Cおよび図44Dは、それぞれ図44Aおよび図44Bと同じサンプルを、Cal Fluor Orange 560標識プローブから検出された蛍光を用いて示す。各パネルは、そのXRCC1遺伝子が一塩基多型により違っている3種類の異なるDNAサンプルの反復反応を含む。黒色実線(72、75、78、711)はヘテロ接合GAまたはAGサンプルを示し、灰色点線(73、76、77、710)はホモ接合AAサンプルを示し、灰色実線(71、74、79、712)はホモ接合GGサンプルを示す。この実験は、製造業者の説明書に従って1×Klearkallホットスタートマスターミックスを用い、標的としてCoriell Cell Repositories社からのヒトDNAを約1000コピー/μLで用いて行なった。用いた熱サイクルプロフィールは、以下の通りであった:95℃15分間、続いて95℃20秒間および60℃1分間を60サイクル。
核酸増幅反応で生成される蛍光シグナルに対する例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬(図39Aに図示される)の影響を試験した。図44に示される通り、ヒト遺伝子XRCC1の対称性増幅を、400nM多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いて(図44Bおよび図44D)、または多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いずに(図44Aおよび図44C)行なった。TaqManプローブを、増幅生成物の形成を検出するために用いた。図44Aおよび図44BはFAM標識プローブからの蛍光を示す。図44Cおよび図44Dは、それぞれ図44Aおよび図44Bと同じサンプルを、Cal Fluor Orange 560標識プローブから検出された蛍光を用いて示す。各パネルは、そのXRCC1遺伝子が一塩基多型により違っている3種類の異なるDNAサンプルの反復反応を含む。黒色実線(72、75、78、711)はヘテロ接合GAまたはAGサンプルを示し、灰色点線(73、76、77、710)はホモ接合AAサンプルを示し、灰色実線(71、74、79、712)はホモ接合GGサンプルを示す。この実験は、製造業者の説明書に従って1×Klearkallホットスタートマスターミックスを用い、標的としてCoriell Cell Repositories社からのヒトDNAを約1000コピー/μLで用いて行なった。用いた熱サイクルプロフィールは、以下の通りであった:95℃15分間、続いて95℃20秒間および60℃1分間を60サイクル。
図45Aの箱ひげ図は、図44Aおよび図44Bからのエンドポイントデータから作成した。図45Bの箱ひげ図は、図44Cおよび図44Dからのエンドポイントデータから作成した。データセット81、84、87および810はBRCA1遺伝子型GGを有するサンプルからのエンドポイントデータを表わす。データセット82、85、88および811はBRCA1遺伝子型AGまたはGAを有するサンプルからのエンドポイントデータを表わす。データセット83、86、89および812はBRCA1遺伝子型AAを有するサンプルからのエンドポイントデータを表わす。各ボックスの中央の線は、データセットの中央値を表わす。ボックスは、データの四分位範囲、または25パーセンタイルから75パーセンタイルを表わす。上側のひげはデータセットの95パーセンタイルを表わし、下側のひげは10パーセンタイルを表わす。
これらの箱ひげ図は、FAM標識プローブおよびCal Fluor Orange 560標識プローブを用いた蛍光測定値のうちのそれぞれに関して、多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加(84〜86および810〜812)が、対照(81〜83および87〜89)と比較して、反復実験間の変動を減少させ、特異的生成物収率を増大させ、かつ遺伝子型間の差異を増加させることを実証する。このことは、データのXY散布図により二次元的に(図46)およびマハラノビス二乗距離数により数学的に(図47Aおよび図47B)繰り返されている。
実施例16:例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加は増幅曲線形状を変化させる
図44に示される通り、多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加は、特異的生成物収率を増大させるだけではなく、増幅プロットの形状も変化させる。多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いない反応(図44Aおよび図44C)は、早く減速し、プラトーに達する。多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いる反応(図44Bおよび図44D)は、40サイクルを通して直線的に見え、このことは、多重鎖ミスプライミング防止試薬が、そうしなければ酵素を占有し、かつ/またはプライマーを使い尽くして反応を中断させる、非特異的生成物を抑制することを示唆する。この反応ではKlearKall化学的ホットスタートが用いられたので、多重鎖ミスプライミング防止試薬により防止される非特異的生成物は、増幅中に生じるものである可能性がある。
図44に示される通り、多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加は、特異的生成物収率を増大させるだけではなく、増幅プロットの形状も変化させる。多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いない反応(図44Aおよび図44C)は、早く減速し、プラトーに達する。多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いる反応(図44Bおよび図44D)は、40サイクルを通して直線的に見え、このことは、多重鎖ミスプライミング防止試薬が、そうしなければ酵素を占有し、かつ/またはプライマーを使い尽くして反応を中断させる、非特異的生成物を抑制することを示唆する。この反応ではKlearKall化学的ホットスタートが用いられたので、多重鎖ミスプライミング防止試薬により防止される非特異的生成物は、増幅中に生じるものである可能性がある。
増幅プロット形状の変化は、線形回帰分析および二次回帰分析を用いて数学的に測定することができる。図48Aおよび図48Bは、それぞれ図44Cおよび図44Dの線77および710からのデータ点を、灰色で重ね合わせられたそれらの線形最良適合ライン、および黒色で重ね合わせられたそれらの二次最良適合ラインと共に示す。ラインは、サイクルに対する蛍光の最小二乗回帰(ordinary least squared regression)、および二次曲線に関しては二乗したサイクルに対する蛍光の最小二乗回帰を表わし、これは点とラインとの間の偏差平方和を最小にする。各サイクルでのデータ点の広がりに対する最小適合ラインの比較は、二次モデルか線形モデルのどちらがより正確にデータを表わすかを明らかにする。いずれのモデルも反応の開始時(すなわち、30サイクル目より前)の凸型指数曲線を説明しようとはしていないので、この比較は増幅の終了に向かう凹型曲率を評価する。二次最良適合ライン(灰色)が線形最良適合ライン(黒色)よりも多くのサイクルで反復実験の中央近くを通過しているので、図48Aは、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いない反応が、二次モデルによってより良く表わされることを示す。二次最良適合ライン(灰色)は線形最良適合ライン(灰色)とほとんど同一に見え、このことは、二次項が線形モデルを改善しておらず、線形モデルが正確であることを示すので、図48Bは、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いる反応が線形モデルによってより良く表わされることを示す。
図48Cの表は、図48Aおよび図48Bのフィッティングラインに対応する統計学的結果を与える。列(1)〜(3)は、蛍光がサイクル数のみにより説明される場合の結果を表わす。列(4)〜(6)は、蛍光がサイクル数および二乗したサイクル数の両方により説明される場合の二次項およびoverall決定係数(overall R-squared)に対する結果を表わす。
最良適合直線が試薬を用いない反復実験間の変動のうちの91.0%しか説明しないのに対して、試薬を用いる反復実験の変動のうちの98.55%を説明するので、列(3)の線形回帰決定係数値は、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬が、増幅曲線の「直線性」を増大させることを示す。列(1)の線形係数により測定される通り、増幅曲線の勾配は、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の存在下では2.2倍大きい。このことは、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬が、増幅速度の比率を増大させることを示す。
列(6)の決定係数値を列(3)に対して比較すると、二次項の追加は図48Aのデータに対するフィッティングを相当に改善し、それにより、説明されない分散の割合を0.090から0.067に、つまり22%減少させる。二次項の追加は、図48Bのデータに対するフィッティングをわずかしか改善しない(説明されない分散を0.0145から0.0141に、つまり1%未満減少させる)。
例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いる反応(図48B)での、試薬を用いない反応(図48A)と比較した曲率の減少はまた、二次項の推定される係数の大きさの減少(列(4)中、−0.789と比較した−2.61)およびそれらの統計学的有意性の大きさの減少(列(5)中、2.34に対して7.75)によっても測定できる。
つまり、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬は、増幅プロットの勾配および形状を、早いプラトーを有して緩慢に上昇する二次曲線から、同じサイクル数ではプラトーに達しない迅速に上昇する線形関数へと変化させる。このことは、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬が、プライマー依存的増幅の動態に影響を与えて、増幅速度を増加させ、かつその減速を遅延させることを実証する。
実施例17:例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬による増幅反応散乱の濃度依存的減少
多重鎖ミスプライミング防止試薬濃度の最適化を実証した。テイ・サックス病に関連するヘキソサミニダーゼA遺伝子中の1278位での4塩基対挿入(+TATC)に対する、2種類の分子ビーコンを用いてプローブ付けされたヒトDNAの対称性増幅を、1×Klearkallホットスタートマスターミックスを製造業者の説明書に従って用いて行なった。用いた熱サイクルプロフィールは以下の通りであった:95℃15分間、それに続く95℃10秒間、62℃30秒間、72℃15秒間を10サイクル、および95℃1分間、55℃30秒間、72℃30秒間を50サイクル。図49A〜図49DはQuasar Fluor 670標識プローブから測定された蛍光を示し、図49E〜図49HはCal Fluor Red 610標識プローブから測定された蛍光を示す。0nM(図49Aおよび図49E)から、200nM(図49Bおよび図49F)、300nM(図49Cおよび図49G)および400nM(図49Dおよび図49H)までの多重鎖ミスプライミング防止試薬の濃度の増加は、各プローブに対して異なる、最適な散乱減少を示す。Quasar 670蛍光では最大の散乱減少が400nM多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いて測定され、Cal Fluor Red 610蛍光では最大の散乱減少は300nM多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いて測定された。
多重鎖ミスプライミング防止試薬濃度の最適化を実証した。テイ・サックス病に関連するヘキソサミニダーゼA遺伝子中の1278位での4塩基対挿入(+TATC)に対する、2種類の分子ビーコンを用いてプローブ付けされたヒトDNAの対称性増幅を、1×Klearkallホットスタートマスターミックスを製造業者の説明書に従って用いて行なった。用いた熱サイクルプロフィールは以下の通りであった:95℃15分間、それに続く95℃10秒間、62℃30秒間、72℃15秒間を10サイクル、および95℃1分間、55℃30秒間、72℃30秒間を50サイクル。図49A〜図49DはQuasar Fluor 670標識プローブから測定された蛍光を示し、図49E〜図49HはCal Fluor Red 610標識プローブから測定された蛍光を示す。0nM(図49Aおよび図49E)から、200nM(図49Bおよび図49F)、300nM(図49Cおよび図49G)および400nM(図49Dおよび図49H)までの多重鎖ミスプライミング防止試薬の濃度の増加は、各プローブに対して異なる、最適な散乱減少を示す。Quasar 670蛍光では最大の散乱減少が400nM多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いて測定され、Cal Fluor Red 610蛍光では最大の散乱減少は300nM多重鎖ミスプライミング防止試薬を用いて測定された。
実施例18:例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の構造的特徴
図50、図51および図52では、図49に図示されたのと同じアッセイを、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の3つの構造的特徴を実証するために用いる。
図50、図51および図52では、図49に図示されたのと同じアッセイを、例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の3つの構造的特徴を実証するために用いる。
図50は、種々のポリメラーゼに対する様々な濃度の多重鎖ミスプライミング防止試薬の効果を示す。50nM(図50B)、100nM(図50C)および300nM(図50D)の濃度の多重鎖ミスプライミング防止試薬を、1200nMの一本鎖ミスプライミング防止試薬の存在下で、散乱を減少させるためにGoTaq Flexiポリメラーゼに適用した。これらの反応は、3mM MgCl2、250μM dNTP、および1×GoTaq Flexiバッファーの存在下で行なった。用いた熱サイクルプロフィールは以下の通りであった: 95℃3分間、それに続く95℃10秒間、62℃30秒間、72℃15秒間を10サイクル、および続いて95℃1分間、55℃30秒間、72℃30秒間を50サイクル。蛍光は、Quasar Fluor 670標識プローブから測定された。図50はまた、図39Aに図示される末端修飾因子を有する300nM多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加(図50D)と、末端修飾を有しない300nMの同じオリゴヌクレオチドの添加(図50E)との間の差異も実証する。図50Fの表に示される変動でのエンドポイントの有意な変化に関するカイ二乗検定は、例示的一本鎖ミスプライミング防止試薬は50nMでさえ散乱を有意に減少させるのに十分であるが、末端修飾を有しない300nMの同じオリゴヌクレオチドは散乱を有意に減少させないことを実証する。
図51は、100nMの例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬(線22)および500nMの例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬(線21)を用いるSYBR融解曲線分析を示す。両方の条件を、約1000コピーのゲノムDNAを用いて行なったが、100nM例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬を含有するサンプルのみが60サイクル後に増幅され、このことは、500nMの例示的多重鎖試薬が、1.5単位のPromega GoTaq Flexiポリメラーゼしか含まない反応に対して阻害的であったことを示した。この阻害濃度は、例示的一本鎖ミスプライミング防止試薬のTmを見い出すために有用である。
融解曲線22は、約83℃での特異的生成物ピーク、および約44℃での谷を示し、このことは、1200nMの例示的一本鎖ミスプライミング防止試薬TSBQ2BBの存在を示す。谷に対して十分な特異的生成物が生成されず、追加の500nMの多重鎖ミスプライミング防止試薬が、低温で結合したSYBR色素を開かせ、これにより局所的なBlack Holeクエンチャーがまさることを妨げるので、融解曲線21は、同量のTSBQ2BBからの明らかなSYBR痕跡を示さない。融解曲線21は、特異的生成物ピークを示さないが、その代わりに75℃での山を有し、これは、SYBR色素に結合する500nMの例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬を打ち負かすのに十分な生成物が生じず、かつ例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬上の単一Black Holeクエンチャーがそれに結合したSYBRを完全に消光しなかったからである。したがって、山のピークは、約75℃である例示的一本鎖ミスプライミング防止試薬の実験的Tmを与える。
図52の表は、例示的ミスプライミング防止試薬の多重鎖特性の重要性を実証する。図50は、50nMの多重鎖ミスプライミング防止試薬でさえ、または100nMの多重鎖ミスプライミング防止試薬の各鎖が、このアッセイ中でエンドポイント蛍光変動を有意に減少させるのに十分であったことを示した。1200nMの多重鎖ミスプライミング防止試薬の上側鎖または下側鎖のいずれか(配列は図39Aに提供されている)の添加は、エンドポイント散乱に対して有意な変化を生じない。
実施例19:多重(multiplex)増幅反応での例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の使用
ヒトパピローマウイルスの14種類の異なる株に対する多重(multiplex)LATE-PCRアッセイを行なった(図53)。図53の3つすべてのパネルが、異なるウイルス型のHPVを表わす4つの生成物ピークを可視化するために設計されたCal Fluor Red 610プローブの融解曲線分析である。図53Aは、いずれの一本鎖ミスプライミング防止試薬または多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加も用いない多重実験を示す。図53Bは、5μMの一本鎖ミスプライミング防止試薬を含むが、多重鎖ミスプライミング防止試薬を含まない多重実験を示す。図53Cは、5μMの一本鎖ミスプライミング防止試薬および125nMの多重鎖ミスプライミング防止試薬を含む多重実験を示す。標識161、165、および169は、1型HPVに対する生成物ピークが予測される場所を示す。標識162、166、1610は、2型HPVに対する生成物ピークが予測される場所を示す。標識163、167、1611は、3型HPVに対する生成物ピークが予測される場所を示す。標識164、168、1612は、4型HPVに対する生成物ピークを示す。一本鎖ミスプライミング防止試薬または多重鎖ミスプライミング防止試薬を含まないと、4型HPVのみが正しく増幅されて、目に見える生成物ピークを生じる。5μMの一本鎖ミスプライミング防止試薬の添加は、4種類すべてのウイルス型のHPVを多重実験で可視化することを可能にする。125nM多重鎖ミスプライミング防止試薬のさらなる添加は、一本鎖ミスプライミング防止試薬の添加により影響を受けなかった4型を含む、4種類すべてのHPVの収率を増加させる。この図は、多重鎖ミスプライミング防止試薬が、一本鎖ミスプライミング防止試薬の利点を累積的に増加させること、および両方の試薬が協働して、特異的生成物収率を最大化できることを実証する。反応物は、5単位のホットスタートTaq(Hain Lifescience社)を含有した。これらの結果(図53Aを図53Bと比較して参照されたい)はまた、Hain Lifescience社のホットスタートTaqが、その化学的修飾により完全には不活性化されていないことも実証する。
ヒトパピローマウイルスの14種類の異なる株に対する多重(multiplex)LATE-PCRアッセイを行なった(図53)。図53の3つすべてのパネルが、異なるウイルス型のHPVを表わす4つの生成物ピークを可視化するために設計されたCal Fluor Red 610プローブの融解曲線分析である。図53Aは、いずれの一本鎖ミスプライミング防止試薬または多重鎖ミスプライミング防止試薬の添加も用いない多重実験を示す。図53Bは、5μMの一本鎖ミスプライミング防止試薬を含むが、多重鎖ミスプライミング防止試薬を含まない多重実験を示す。図53Cは、5μMの一本鎖ミスプライミング防止試薬および125nMの多重鎖ミスプライミング防止試薬を含む多重実験を示す。標識161、165、および169は、1型HPVに対する生成物ピークが予測される場所を示す。標識162、166、1610は、2型HPVに対する生成物ピークが予測される場所を示す。標識163、167、1611は、3型HPVに対する生成物ピークが予測される場所を示す。標識164、168、1612は、4型HPVに対する生成物ピークを示す。一本鎖ミスプライミング防止試薬または多重鎖ミスプライミング防止試薬を含まないと、4型HPVのみが正しく増幅されて、目に見える生成物ピークを生じる。5μMの一本鎖ミスプライミング防止試薬の添加は、4種類すべてのウイルス型のHPVを多重実験で可視化することを可能にする。125nM多重鎖ミスプライミング防止試薬のさらなる添加は、一本鎖ミスプライミング防止試薬の添加により影響を受けなかった4型を含む、4種類すべてのHPVの収率を増加させる。この図は、多重鎖ミスプライミング防止試薬が、一本鎖ミスプライミング防止試薬の利点を累積的に増加させること、および両方の試薬が協働して、特異的生成物収率を最大化できることを実証する。反応物は、5単位のホットスタートTaq(Hain Lifescience社)を含有した。これらの結果(図53Aを図53Bと比較して参照されたい)はまた、Hain Lifescience社のホットスタートTaqが、その化学的修飾により完全には不活性化されていないことも実証する。
この結果は図54で確認され、同図は、FAM標識プローブ(図54Aおよび図54B)およびQuasar Fluor 670標識プローブ(図54Cおよび図54D)により検出される場合の、STIに関する七重増幅の結果を示す。多重サンプル(multiplex)は、600nM一本鎖ミスプライミング防止試薬のみの存在下(図54Aおよび図54C)ならびに600nM一本鎖ミスプライミング防止試薬および100nM多重鎖ミスプライミング防止試薬の両方の存在下(図54Bおよび図54D)で増幅された。
実施例20:ポリメラーゼフィデリティに対する例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の影響
Taqポリメラーゼは、10000個の取り込まれたヌクレオチド当たりに約1回、配列変化を導入するという、比較的低いフィデリティを示すことが知られている。ポリメラーゼフィデリティに対する例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の影響を試験した(図55)。このアッセイでは、ブロッカー(すべての熱サイクル中に存在する)は、ポリメラーゼが、ブロッカーが結合するはずである領域中に配列エラーを導入し、それによりブロッカー結合を妨げない限りは、野生型ヒトKras遺伝子由来の生成物の増幅を妨げるために設計されている。黒色実線(151)は対照サンプルを示す。暗灰色点線(152)は100nM多重鎖ミスプライミング防止試薬および1000nM一本鎖ミスプライミング防止試薬を含有するサンプルを示す。明灰色点線(153)はブロッカーのみを含有するサンプルを示す。明灰色実線(154)は、ブロッカー、多重鎖ミスプライミング防止試薬(100nM)、および一本鎖ミスプライミング防止試薬(1000nM)を含有するサンプルを示す。図55に見られる通り、ブロッカーの添加は、正常な増幅を約6Ct遅延させた(151と153)。ブロッカーに加えて多重鎖ミスプライミング防止試薬および一本鎖ミスプライミング防止試薬を添加することにより、増幅が約31Ct遅延し(2つのサンプルはまったく増幅しなかった)、このことは、一本鎖ミスプライミング防止試薬および多重鎖ミスプライミング防止試薬が、Platinum Taqのフィデリティを大きく増大させることを示唆する。
Taqポリメラーゼは、10000個の取り込まれたヌクレオチド当たりに約1回、配列変化を導入するという、比較的低いフィデリティを示すことが知られている。ポリメラーゼフィデリティに対する例示的多重鎖ミスプライミング防止試薬の影響を試験した(図55)。このアッセイでは、ブロッカー(すべての熱サイクル中に存在する)は、ポリメラーゼが、ブロッカーが結合するはずである領域中に配列エラーを導入し、それによりブロッカー結合を妨げない限りは、野生型ヒトKras遺伝子由来の生成物の増幅を妨げるために設計されている。黒色実線(151)は対照サンプルを示す。暗灰色点線(152)は100nM多重鎖ミスプライミング防止試薬および1000nM一本鎖ミスプライミング防止試薬を含有するサンプルを示す。明灰色点線(153)はブロッカーのみを含有するサンプルを示す。明灰色実線(154)は、ブロッカー、多重鎖ミスプライミング防止試薬(100nM)、および一本鎖ミスプライミング防止試薬(1000nM)を含有するサンプルを示す。図55に見られる通り、ブロッカーの添加は、正常な増幅を約6Ct遅延させた(151と153)。ブロッカーに加えて多重鎖ミスプライミング防止試薬および一本鎖ミスプライミング防止試薬を添加することにより、増幅が約31Ct遅延し(2つのサンプルはまったく増幅しなかった)、このことは、一本鎖ミスプライミング防止試薬および多重鎖ミスプライミング防止試薬が、Platinum Taqのフィデリティを大きく増大させることを示唆する。
援用
本明細書中に言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願が、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み入れられることが具体的かつ個別に示されているかのように、それらの全体で参照により本明細書中に組み入れられる。矛盾が生じる場合には、本明細書中のあらゆる定義を含めた本出願が支配するであろう。
本明細書中に言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願が、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により組み入れられることが具体的かつ個別に示されているかのように、それらの全体で参照により本明細書中に組み入れられる。矛盾が生じる場合には、本明細書中のあらゆる定義を含めた本出願が支配するであろう。
均等物
当業者は、慣用の実験法以上のものを用いずに、本明細書中に記載された本発明の具体的な実施形態に対する多数の均等物を認識するか、または解明することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
当業者は、慣用の実験法以上のものを用いずに、本明細書中に記載された本発明の具体的な実施形態に対する多数の均等物を認識するか、または解明することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。
Claims (182)
- 5'から3'の順に以下の領域:
(i) 5'末端共有結合部分および第1のステム核酸配列を含む第1の条件依存的ステム領域であって、第1のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、5'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含む、上記第1の条件依存的ステム領域;
(ii)少なくとも3ヌクレオチド長のループ核酸配列を含む、条件依存的ループ領域;および
(iii)第2のステム核酸配列および3'末端共有結合部分を含む第2の条件依存的ステム領域であって、第2のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、かつ第1のステム核酸配列に相補的であり、3'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含み、3'末端共有結合部分は5'末端共有結合部分と同一でなく、第2のステム領域の3'末端はDNAポリメラーゼにより伸長可能でない、上記第2の条件依存的ステム領域、
を含む核酸分子を含む、ミスプライミング防止試薬であって、
第1の条件依存的ステム領域は、ステム・ループヘアピンコンホメーションを獲得するために、温度依存的に第2の条件依存的ステム領域にハイブリダイズする、
上記ミスプライミング防止試薬。 - ループ核酸配列が単一ヌクレオチド反復配列である、請求項1に記載のミスプライミング防止試薬。
- 単一ヌクレオチド反復配列がポリシトシン配列である、請求項2に記載のミスプライミング防止試薬。
- ループ核酸配列が25〜40ヌクレオチド長である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- ループ核酸配列が28ヌクレオチド長である、請求項4に記載のミスプライミング防止試薬。
- 第1の条件依存的ステム領域が40℃〜71℃の融解温度で第2の条件依存的ステム領域にハイブリダイズする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- 第1の条件依存的ステム領域が40℃〜55℃の融解温度で第2の条件依存的ステム領域にハイブリダイズする、請求項6に記載のミスプライミング防止試薬。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、14ヌクレオチド長以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ少なくとも8ヌクレオチド長である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ11ヌクレオチド長である、請求項9に記載のミスプライミング防止試薬。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが5'または3'オーバーハングを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが平滑末端を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- (a)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンである、
請求項1〜12のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。 - (a)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンである、
請求項1〜13のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。 - 5'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- 3'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項16に記載のミスプライミング防止試薬。
- クマリン部分がBiosearch Blueである、請求項17に記載のミスプライミング防止試薬。
- 3'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- 5'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項20に記載のミスプライミング防止試薬。
- (a)第1のプライマー融解温度で標的核酸配列の3'領域にハイブリダイズする第1の核酸プライマー;
(b)第2のプライマー融解温度で標的核酸配列の相補体の3'領域にハイブリダイズする第2の核酸プライマー;および
(c)ミスプライミング防止試薬であって、5'から3'の順に以下の領域:
(i) 5'末端共有結合部分および第1のステム核酸配列を含む第1の条件依存的ステム領域であって、第1のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、5'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含む、上記第1の条件依存的ステム領域;
(ii)少なくとも3ヌクレオチド長のループ核酸配列を含む、条件依存的ループ領域;および
(iii)第2のステム核酸配列および3'末端共有結合部分を含む第2の条件依存的ステム領域であって、第2のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、かつ第1のステム核酸配列に相補的であり、3'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含み、3'末端共有結合部分は5'末端共有結合部分と同一でなく、第2の条件依存的ステム領域の3'末端はDNAポリメラーゼにより伸長可能でなく、第2のステム領域は第1のプライマー融解温度および第2のプライマー融解温度の両方以下であるステム融解温度で第1の条件依存的ステム領域にハイブリダイズし、第2の条件依存的ステム領域に対する第1の条件依存的ステム領域のハイブリダイゼーションが試薬にステム・ループヘアピンコンホメーションを獲得させる、上記第2の条件依存的ステム領域、
を含む核酸分子を含む、上記ミスプライミング防止試薬、
を含む反応混合物。 - ループ核酸配列が単一ヌクレオチド反復配列である、請求項22に記載の反応混合物。
- 単一ヌクレオチド反復配列がポリシトシン配列である、請求項23に記載の反応混合物。
- ループ核酸配列が25〜40ヌクレオチド長である、請求項22〜24のいずれか1項に記載の反応混合物。
- ループ核酸配列が28ヌクレオチド長である、請求項25に記載の反応混合物。
- ステム融解温度が、第1のプライマー融解温度または第2のプライマー融解温度のうちの低い方よりも0〜10℃低い、請求項22〜26のいずれか1項に記載の反応混合物。
- ステム融解温度が、第1のプライマー融解温度または第2のプライマー融解温度のうちの低い方よりも0〜5℃低い、請求項27に記載の反応混合物。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、14ヌクレオチド長以下である、請求項22〜28のいずれか1項に記載の反応混合物。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ少なくとも8ヌクレオチド長である、請求項22〜29のいずれか1項に記載の反応混合物。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ11ヌクレオチド長である、請求項30に記載の反応混合物。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが5'または3'オーバーハングを含む、請求項22〜31のいずれか1項に記載の反応混合物。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが平滑末端を含む、請求項22〜31のいずれか1項に記載の反応混合物。
- (a)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンである、
請求項22〜33のいずれか1項に記載の反応混合物。 - (a)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンである、
請求項22〜34のいずれか1項に記載の反応混合物。 - 5'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項22〜35のいずれか1項に記載の反応混合物。
- 3'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項22〜35のいずれか1項に記載の反応混合物。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項37に記載の反応混合物。
- クマリン部分がBiosearch Blueである、請求項38に記載の反応混合物。
- 3'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項22〜39のいずれか1項に記載の反応混合物。
- 5'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項22〜35のいずれか1項に記載の反応混合物。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項41に記載の反応混合物。
- 熱安定性DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項22〜42のいずれか1項に記載の反応混合物。
- dNTPをさらに含む、請求項22〜43のいずれか1項に記載の反応混合物。
- 標的核酸配列を含む標的核酸分子をさらに含む、請求項22〜44のいずれか1項に記載の反応混合物。
- ミスプライミング防止試薬が、ステム融解温度を超える融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない、請求項45に記載の反応混合物。
- ミスプライミング防止試薬が、32℃を超える融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない、請求項45に記載の反応混合物。
- 以下の核酸鎖:
(i)少なくとも6ヌクレオチド長の第1の核酸鎖;および
(ii)少なくとも6ヌクレオチド長の第2の核酸鎖
を含む第2のミスプライミング防止試薬をさらに含み、
第1の核酸鎖は32℃以上の融解温度で第2の核酸鎖にハイブリダイズし、かつ第1および第2の核酸鎖が合計で少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分を含み、末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含む、
請求項21〜47のいずれか1項に記載の反応混合物。 - 少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分がdabcyl部分またはクマリン部分を含む、請求項48に記載の反応混合物。
- 少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項49に記載の反応混合物。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項50に記載の反応混合物。
- 少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項49に記載の反応混合物。
- 第1および第2の核酸鎖が合計で少なくとも2つの5'または3'末端部分を含み、かつ末端部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分である、請求項48に記載の反応混合物。
- 少なくとも2つの5'または3'末端部分がdabcyl部分およびクマリン部分から選択される、請求項53に記載の反応混合物。
- 少なくとも2つの5'または3'末端部分がdabcyl部分である、請求項54に記載の反応混合物。
- 少なくとも2つの5'または3'末端部分が少なくとも2つの非同一部分を含む、請求項53に記載の反応混合物。
- 少なくとも2つの非同一部分がdabcyl部分およびクマリン部分から選択される、請求項56に記載の反応混合物。
- 少なくとも2つの非同一部分がdabcyl部分およびクマリン部分を含む、請求項57に記載の反応混合物。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項58に記載の反応混合物。
- 非同一部分のうちの少なくとも1つが第1の核酸鎖上に位置し、かつ非同一部分のうちの少なくとも1つが第2の核酸鎖上に位置する、請求項56〜59のいずれか1項に記載の反応混合物。
- 非同一部分のうちの1つが第1の核酸鎖上の5'末端に位置し、かつ非同一部分のうちの1つが第2の核酸鎖上の3'末端に位置する、請求項60に記載の反応混合物。
- 請求項1〜21のいずれか1項に記載のミスプライミング防止試薬を含むキット。
- 熱安定性DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項62に記載のキット。
- dNTPをさらに含む、請求項62または63に記載のキット。
- 増幅反応バッファーをさらに含む、請求項62〜64のいずれか1項に記載のキット。
- 第2の条件依存的ステム領域にハイブリダイズする第1の条件依存的ステム領域に対する融解温度以上である第1のプライマー融解温度で標的核酸配列の3'領域にハイブリダイズする核酸プライマーをさらに含む、請求項62〜65のいずれか1項に記載のキット。
- 第2の条件依存的ステム領域にハイブリダイズする第1の条件依存的ステム領域に対する融解温度以上である第2のプライマー融解温度で標的核酸配列の相補体の3'領域にハイブリダイズする第2の核酸プライマーをさらに含む、請求項66に記載のキット。
- 標的核酸配列を含む標的核酸分子をさらに含む、請求項66または67に記載のキット。
- (a)第1のプライマー融解温度で標的核酸配列の3'領域にハイブリダイズする第1の核酸プライマー;
(b)第2のプライマー融解温度で標的核酸配列の相補体の3'領域にハイブリダイズする第2の核酸プライマー;および
(c)ミスプライミング防止試薬であって、5'から3'の順に以下の領域:
(i) 5'末端共有結合部分および第1のステム核酸配列を含む第1の条件依存的ステム領域であって、第1のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、5'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含む、上記第1の条件依存的ステム領域;
(ii)少なくとも3ヌクレオチド長のループ核酸配列を含む、条件依存的ループ領域;および
(iii)第2のステム核酸配列および3'末端共有結合部分を含む第2の条件依存的ステム領域であって、第2のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、かつ第1のステム核酸配列に相補的であり、3'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含み、3'末端共有結合部分は5'末端共有結合部分と同一でなく、第2の条件依存的ステム領域の3'末端はDNAポリメラーゼにより伸長可能でなく、第2のステム領域は第1のプライマー融解温度および第2のプライマー融解温度の両方以下であるステム融解温度で第1の条件依存的ステム領域にハイブリダイズし、第2の条件依存的ステム領域に対する第1の条件依存的ステム領域のハイブリダイゼーションが試薬にステム・ループヘアピンコンホメーションを獲得させる、上記第2の条件依存的ステム領域、
を含む核酸分子を含む、上記ミスプライミング防止試薬、
を含むキット。 - ループ核酸配列が単一ヌクレオチド反復配列である、請求項69に記載のキット。
- 単一ヌクレオチド反復配列がポリシトシン配列である、請求項70に記載のキット。
- ループ核酸配列が25〜40ヌクレオチド長である、請求項69〜71のいずれか1項に記載のキット。
- ループ核酸配列が28ヌクレオチド長である、請求項72に記載のキット。
- ステム融解温度が、第1のプライマー融解温度または第2のプライマー融解温度のうちの低い方よりも0〜10℃低い、請求項69〜73のいずれか1項に記載のキット。
- ステム融解温度が、第1のプライマー融解温度または第2のプライマー融解温度のうちの低い方よりも0〜5℃低い、請求項74に記載のキット。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、14ヌクレオチド長以下である、請求項69〜75のいずれか1項に記載のキット。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ少なくとも8ヌクレオチド長である、請求項69〜76のいずれか1項に記載のキット。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ11ヌクレオチド長である、請求項77に記載のキット。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが5'または3'オーバーハングを含む、請求項69〜78のいずれか1項に記載のキット。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが平滑末端を含む、請求項69〜78のいずれか1項に記載のキット。
- (a)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンである、
請求項69〜80のいずれか1項に記載のキット。 - (a)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンである、
請求項69〜81のいずれか1項に記載のキット。 - 5'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項69〜82のいずれか1項に記載のキット。
- 3'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項69〜83のいずれか1項に記載のキット。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項84に記載のキット。
- クマリン部分がBiosearch Blueである、請求項85に記載のキット。
- 3'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項69〜82のいずれか1項に記載のキット。
- 5'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項69〜82のいずれか1項に記載のキット。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項88に記載のキット。
- 熱安定性DNAポリメラーゼをさらに含む、請求項69〜89のいずれか1項に記載のキット。
- dNTPをさらに含む、請求項69〜90のいずれか1項に記載のキット。
- 標的核酸配列を含む標的核酸分子をさらに含む、請求項69〜91のいずれか1項に記載のキット。
- ミスプライミング防止試薬が、ステム融解温度を超える融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない、請求項92に記載のキット。
- ミスプライミング防止試薬が、32℃を超える融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない、請求項92に記載のキット。
- 以下の核酸鎖:
(i)少なくとも6ヌクレオチド長の第1の核酸鎖;および
(ii)少なくとも6ヌクレオチド長の第2の核酸鎖
を含む第2のミスプライミング防止試薬をさらに含み、
第1の核酸鎖は32℃以上の融解温度で第2の核酸鎖にハイブリダイズし、かつ第1および第2の核酸鎖が合計で少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分を含み、末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含む、
請求項69〜94のいずれか1項に記載のキット。 - 少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分がdabcyl部分またはクマリン部分を含む、請求項95に記載のキット。
- 少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項96に記載のキット。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項97に記載のキット。
- 少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項96に記載のキット。
- 第1および第2の核酸鎖が合計で少なくとも2つの5'または3'末端部分を含み、かつ末端部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分である、請求項95に記載のキット。
- 少なくとも2つの5'または3'末端部分がdabcyl部分およびクマリン部分から選択される、請求項100に記載のキット。
- 少なくとも2つの5'または3'末端部分がdabcyl部分である、請求項101に記載のキット。
- 少なくとも2つの5'または3'末端部分が少なくとも2つの非同一部分を含む、請求項102に記載のキット。
- 少なくとも2つの非同一部分がdabcyl部分およびクマリン部分から選択される、請求項103に記載のキット。
- 少なくとも2つの非同一部分がdabcyl部分およびクマリン部分を含む、請求項104に記載のキット。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項105に記載のキット。
- 非同一部分のうちの少なくとも1つが第1の核酸鎖上に位置し、かつ非同一部分のうちの少なくとも1つが第2の核酸鎖上に位置する、請求項95〜106のいずれか1項に記載のキット。
- 非同一部分のうちの1つが第1の核酸鎖上の5'末端に位置し、かつ非同一部分のうちの1つが第2の核酸鎖上の3'末端に位置する、請求項107に記載のキット。
- 標的核酸配列またはその相補体を含む増幅生成物を作製する方法であって、以下のステップ:
(a)以下の構成要素:
(i)標的核酸配列を含む標的核酸分子;
(ii)第1のプライマー融解温度で標的核酸配列の3'領域にハイブリダイズする第1の核酸プライマー;
(iii)第2のプライマー融解温度で標的核酸配列の相補体の3'領域にハイブリダイズする第2の核酸プライマー;
(iv)熱安定性DNAポリメラーゼ;
(v) dNTP;および
(vi)ミスプライミング防止試薬であって、5'から3'の順に以下の領域:
(1) 5'末端共有結合部分および第1のステム核酸配列を含む第1の条件依存的ステム領域であって、第1のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、5'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含む、上記第1の条件依存的ステム領域;
(2)少なくとも3ヌクレオチド長のループ核酸配列を含む、条件依存的ループ領域;および
(3)第2のステム核酸配列および3'末端共有結合部分を含む第2の条件依存的ステム領域であって、第2のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、かつ第1のステム核酸配列に相補的であり、3'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含み、3'末端共有結合部分は5'末端共有結合部分と同一でなく、第2の条件依存的ステム領域の3'末端は熱安定性DNAポリメラーゼにより伸長可能でなく、第2の条件依存的ステム領域は第1のプライマー融解温度および第2のプライマー融解温度以下であるステム融解温度で第1の条件依存的ステム領域にハイブリダイズし、第1の条件依存的ステム領域に対する第2の条件依存的ステム領域のハイブリダイゼーションが試薬にステム・ループヘアピンコンホメーションを獲得させる、上記第2の条件依存的ステム領域、
を含む核酸分子を含む、上記ミスプライミング防止試薬、
を含む反応混合物を形成させるステップ;および
(b)第1のプライマーまたは第2のプライマーが熱安定性DNAポリメラーゼによって伸長されて、標的核酸配列またはその相補体を含む増幅生成物が作製される条件下で反応混合物をインキュベートするステップ
を含む、上記方法。 - ステップ(b)が、以下のステップ:
(I)少なくとも90℃の変性温度で反応混合物をインキュベートするステップ;
(II)第1のプライマー融解温度以下のアニーリング温度で反応混合物をインキュベートするステップ;および
(III)熱安定性DNAポリメラーゼが活性である伸長温度で反応混合物をインキュベートするステップ
を含む、請求項109に記載の方法。 - ステップ(II)が、第1のプライマー融解温度および第2のプライマー融解温度のうちの低い方以下であるアニーリング温度で反応混合物をインキュベートするステップを含む、請求項110に記載の方法。
- アニーリング温度および伸長温度が同じ温度である、請求項110または111に記載の方法。
- ステップ(I)から(III)が繰り返される、請求項109〜112のいずれか1項に記載の方法。
- ステップ(I)から(III)が少なくとも20回繰り返される、請求項113に記載の方法。
- 第1のプライマーが、第2のプライマーの濃度よりも少なくとも2倍高い濃度で反応混合物中に存在する、請求項109〜114のいずれか1項に記載の方法。
- 第1のプライマーが、第2のプライマーの濃度よりも少なくとも5倍高い濃度で反応混合物中に存在する、請求項115に記載の方法。
- 第2のプライマーが、第1のプライマーの濃度よりも少なくとも2倍高い濃度で反応混合物中に存在する、請求項109〜114のいずれか1項に記載の方法。
- 第2のプライマーが、第1のプライマーの濃度よりも少なくとも5倍高い濃度で反応混合物中に存在する、請求項117に記載の方法。
- ステップ(b)がPCR反応を行なうステップを含む、請求項109〜118のいずれか1項に記載の方法。
- PCR反応がLATE-PCR反応またはLEL-PCR反応である、請求項119に記載の方法。
- 反応混合物が、増幅生成物の形成を検出するための検出試薬をさらに含む、請求項109〜120のいずれか1項に記載の方法。
- 検出試薬がdsDNA蛍光色素を含む、請求項121に記載の方法。
- 検出試薬が検出可能に標識を付されたプローブを含む、請求項121に記載の方法。
- 検出可能に標識を付されたプローブが分子ビーコンである、請求項123に記載の方法。
- 検出可能に標識を付されたプローブがTaqManプローブである、請求項123に記載の方法。
- 検出試薬が、点灯プローブ(Lights-On probe)および消灯プローブ(Lights-Off probe)または消灯単独プローブ(Lights-Off Only probe)およびdsDNA蛍光色素を含む、請求項121に記載の方法。
- 増幅生成物の形成を検出するステップをさらに含む、請求項109〜126のいずれか1項に記載の方法。
- ループ核酸配列が単一ヌクレオチド反復配列である、請求項109〜127のいずれか1項に記載の方法。
- 単一ヌクレオチド反復配列がポリシトシン配列である、請求項128に記載の方法。
- ループ核酸配列が25〜40ヌクレオチド長である、請求項109〜129のいずれか1項に記載の方法。
- ループ核酸配列が28ヌクレオチド長である、請求項129に記載の方法。
- ステム融解温度が、第1のプライマー融解温度または第2の融解温度のうちの低い方よりも0〜10℃低い、請求項109〜131のいずれか1項に記載の方法。
- ステム融解温度が、第1のプライマー融解温度または第2の融解温度のうちの低い方よりも0〜5℃低い、請求項132に記載の方法。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、14ヌクレオチド長以下である、請求項109〜133のいずれか1項に記載の方法。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ少なくとも8ヌクレオチド長である、請求項109〜134のいずれか1項に記載の方法。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ11ヌクレオチド長である、請求項135に記載の方法。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが5'または3'オーバーハングを含む、請求項109〜136のいずれか1項に記載の方法。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが平滑末端を含む、請求項109〜137のいずれか1項に記載の方法。
- (a)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンである、
請求項109〜138のいずれか1項に記載の方法。 - (a)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンである、
請求項109〜139のいずれか1項に記載の方法。 - 5'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項109〜140のいずれか1項に記載の方法。
- 3'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項109〜141のいずれか1項に記載の方法。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項142に記載の方法。
- クマリン部分がBiosearch Blueである、請求項143に記載の方法。
- 3'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項109〜140のいずれか1項に記載の方法。
- 5'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項109〜140のいずれか1項に記載の方法。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項146に記載の方法。
- ミスプライミング防止試薬が、32℃を超える融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない、請求項109〜147のいずれか1項に記載の方法。
- 以下の核酸鎖:
(i)少なくとも6ヌクレオチド長の第1の核酸鎖;および
(ii)少なくとも6ヌクレオチド長の第2の核酸鎖
を含む第2のミスプライミング防止試薬をさらに含み、
第1の核酸鎖は32℃以上の融解温度で第2の核酸鎖にハイブリダイズし、かつ第1および第2の核酸鎖が合計で少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分を含み、末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含む、
請求項109〜148のいずれか1項に記載の方法。 - 少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分がdabcyl部分またはクマリン部分を含む、請求項149に記載の方法。
- 少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項149に記載の方法。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項151に記載の方法。
- 少なくとも1つの5'または3'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項149に記載の方法。
- 第1および第2の核酸鎖が合計で少なくとも2つの5'または3'末端部分を含み、かつ末端部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分である、請求項149に記載の方法。
- 少なくとも2つの5'または3'末端部分がdabcyl部分およびクマリン部分から選択される、請求項153に記載の方法。
- 少なくとも2つの5'または3'末端部分がdabcyl部分である、請求項155に記載の方法。
- 少なくとも2つの5'または3'末端部分が少なくとも2つの非同一部分を含む、請求項154に記載の方法。
- 少なくとも2つの非同一部分がdabcyl部分およびクマリン部分から選択される、請求項157に記載の方法。
- 少なくとも2つの非同一部分がdabcyl部分およびクマリン部分を含む、請求項147に記載の方法。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項159に記載の方法。
- 非同一部分のうちの少なくとも1つが第1の核酸鎖上に位置し、かつ非同一部分のうちの少なくとも1つが第2の核酸鎖上に位置する、請求項157〜160のいずれか1項に記載の方法。
- 非同一部分のうちの1つが第1の核酸鎖上の5'末端に位置し、かつ非同一部分のうちの1つが第2の核酸鎖上の3'末端に位置する、請求項161に記載の方法。
- cDNAを作製する方法であって、以下のステップ:
(a)以下の構成要素:
(i) mRNA;
(iv)逆転写酵素;
(v) dNTP;および
(vi)ミスプライミング防止試薬であって、5'から3'の順に以下の領域:
(1) 5'末端共有結合部分および第1のステム核酸配列を含む第1の条件依存的ステム領域であって、第1のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、5'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含む、上記第1の条件依存的ステム領域;
(2)少なくとも3ヌクレオチド長のループ核酸配列を含む、条件依存的ループ領域;および
(3)第2のステム核酸配列および3'末端共有結合部分を含む第2の条件依存的ステム領域であって、第2のステム核酸配列は少なくとも6ヌクレオチド長であり、かつ第1のステム核酸配列に相補的であり、3'末端共有結合部分は嵩高い部分を有しない環状または多環状平面部分を含み、3'末端共有結合部分は5'末端共有結合部分と同一でなく、第2の条件依存的ステム領域の3'末端は熱安定性DNAポリメラーゼにより伸長可能でなく、第2の条件依存的ステム領域は第1のプライマー融解温度および第2のプライマー融解温度以下であるステム融解温度で第1の条件依存的ステム領域にハイブリダイズし、第1の条件依存的ステム領域に対する第2の条件依存的ステム領域のハイブリダイゼーションが試薬にステム・ループヘアピンコンホメーションを獲得させる、上記第2の条件依存的ステム領域、
を含む核酸分子を含む、上記ミスプライミング防止試薬、
を含む反応混合物を形成させるステップ;および
(b) mRNAが逆転写酵素により逆転写されて、cDNAが形成される条件下で反応混合物をインキュベートするステップ
を含む、上記方法。 - ループ核酸配列が単一ヌクレオチド反復配列である、請求項163に記載の方法。
- 単一ヌクレオチド反復配列がポリシトシン配列である、請求項164に記載の方法。
- ループ核酸配列が25〜40ヌクレオチド長である、請求項163〜165のいずれか1項に記載の方法。
- ループ核酸配列が28ヌクレオチド長である、請求項166に記載の方法。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、14ヌクレオチド長以下である、請求項163〜167のいずれか1項に記載の方法。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ少なくとも8ヌクレオチド長である、請求項163〜168のいずれか1項に記載の方法。
- 第1のステム核酸配列および第2のステム核酸配列が、それぞれ11ヌクレオチド長である、請求項169に記載の方法。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが5'または3'オーバーハングを含む、請求項163〜170のいずれか1項に記載の方法。
- ステム・ループヘアピンコンホメーションが平滑末端を含む、請求項163〜171のいずれか1項に記載の方法。
- (a)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンである、
請求項163〜172のいずれか1項に記載の方法。 - (a)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がシトシンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がグアニンであるか;または
(b)第1のステム核酸配列の最も5'にある核酸がグアニンであり、かつ第2のステム核酸配列の最も3'にある核酸がシトシンである、
請求項163〜173のいずれか1項に記載の方法。 - 5'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項163〜174のいずれか1項に記載の方法。
- 3'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項163〜175のいずれか1項に記載の方法。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項176に記載の方法。
- クマリン部分がBiosearch Blueである、請求項177に記載の方法。
- 3'末端共有結合部分がdabcyl部分を含む、請求項163〜174のいずれか1項に記載の方法。
- 5'末端共有結合部分がクマリン部分を含む、請求項163〜174のいずれか1項に記載の方法。
- クマリン部分が、クマリン39、クマリン47およびBiosearch Blueからなる群より選択される、請求項180に記載の方法。
- ミスプライミング防止試薬が、32℃を超える融解温度で標的核酸分子にハイブリダイズしない、請求項163〜181のいずれか1項に記載の方法。
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