JP2017537145A - カンピロバクター・ジェジュニに対する合成抗原コンストラクト - Google Patents

カンピロバクター・ジェジュニに対する合成抗原コンストラクト Download PDF

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Abstract

本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発することができる免疫原性合成コンストラクトであって1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含むものに関する。具体的には、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発することができる免疫原性合成コンストラクトであって1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含むものに関する。また、本発明は、前記免疫原性合成コンストラクトを含む組成物、ならびに、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法であって前記免疫原性合成コンストラクトおよび/または前記免疫原性合成コンストラクトを含む組成物を前記被験体に投与することを含むものに関する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2014年11月5日に出願された米国仮特許出願第62/075,399号の利益および2015年3月4日に出願された米国仮特許出願第62/127,935号の利益を主張するものであり、これらは参照によって本明細書に組み込まれている。
本発明の発明主題は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発することができる免疫原性合成コンストラクトに関する。また、本発明の発明主題は、前記免疫原性合成コンストラクトを有する組成物、および、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法に関する。
下痢症は、発展途上国における罹患率および死亡率の主要な原因である。細菌による下痢の主な原因の中には、毒素原性大腸菌(ETEC)、シゲラ種、およびカンピロバクター・ジェジュニがある。実際、カンピロバクター・ジェジュニは、米国で毎年250万件の胃腸炎を引き起こし、世界中で4億件以上の胃腸炎を引き起こすと推定されている。発展途上国において、カンピロバクター・ジェジュニ胃腸炎は、主に小児疾患である。カンピロバクター・ジェジュニ胃腸炎の症状には、下痢、腹痛、発熱、時には嘔吐が含まれる。便は、通常、粘液、糞便白血球、および血液を含むが、水様性の下痢も観察される。この病気は、人獣共通感染症であり、野鳥および家畜化された鳥は、大きな貯水池である。カンピロバクター・ジェジュニは、食品媒介性感染症であり、ほとんどの場合汚染された家禽に関連している。しかし、主要な発生は、水または生乳の汚染に関連している。
カンピロバクター・ジェジュニは、胃腸炎を引き起こすことに加えて、炎症性腸症候群、および、ライター(Reiter)症候群として知られる脊椎関節症を含む、いくつかの望ましくない感染後の状態を引き起こす可能性がある。さらに、最近の研究では、カンピロバクター・ジェジュニの感染と、栄養失調と、資源の乏しい環境での幼児の発育阻害との関連が示されている。
カンピロバクター・ジェジュニ感染症の可能な別の消耗性合併症は、麻痺を引き起こしうる感染後の多発神経障害であるギラン・バレー症候群(GBS)の発症である(Allos, B.M., J. Infect. Dis 176 (Suppl 2): S125-128 (1997))。カンピロバクター・ジェジュニは、哺乳動物の細胞に見られる6炭糖であるシアル酸を内因性に合成しうる限られた数の細菌の1つである。カンピロバクター・ジェジュニとGBSとの関連性は、カンピロバクター・ジェジュニに存在するリポオリゴ糖類(LOS)のシアル酸含有外側コアとヒトのガングリオシドとの間の分子擬態によるものであると報告されている(Moran et al., J. Endotox. Res. 3: 521 (1996))。カンピロバクター・ジェジュニのLOSコアに対するヒト被験体によって生成された抗体は、その被験体の神経組織に対する望ましくない自己免疫応答を引き起こすと考えられている。実際に、研究の結果、カンピロバクターにおけるLOS合成は、シアル酸の生合成に関与する酵素をコードする遺伝子を含む、多数の遺伝子によって制御されることが示されている。シアル酸は、その後、LOSに組み込まれる。これは、GBSにおけるLOSおよびヒトガングリオシドの観察された分子模倣(molecular mimicry)と一致する。(Aspinall, et al., Eur. J. Biochem., 213: 1029 (1993); Aspinall, et al., Infect. Immun. 62: 2122-2125 (1994); Aspinall, et al., Biochem 33: 241 (1994); Salloway et al., Infect. Immun., 64: 2945 (1996))。
カンピロバクター・ジェジュニは、コロニー形成および浸潤に関与しかつ血清抗体が生成される表面莢膜多糖類(CPS)を有するグラム陰性菌である。カンピロバクターゲノム配列の最近の分析により、腸内細菌のタイプII/III莢膜遺伝子座に見られるものと同様の完全な莢膜輸送遺伝子群が同定された(Parkhill et al., Nature, 403: 665 (2000); Karlyshev et al., Mol. Microbiol., 35: 529 (2000))。いくつかの莢膜輸送遺伝子において部位特異的突然変異を引き起こしたその後の遺伝子研究は、その莢膜がPennerの血清型決定スキームの主要な血清決定因子であることを指摘している(Karlyshev et al., Mol. Microbiol., 35: 529 (2000))。Pennerのスキームは、カンピロバクターの2つの主要な血清型分類スキームの1つであり、当初はリポ多糖類O側鎖に基づくと考えられていた(Moran and Penner, J. Appl. Microbiol., 86: 361 (1999))。以前にO側鎖として記載された構造は、実際には多糖類莢膜であると現在考えられている。興味深いことに、カンピロバクター・ジェジュニの莢膜部分が血清決定に重要であり、カンピロバクター・ジェジュニの47以上のPenner血清型が同定されているにもかかわらず、ほとんどのカンピロバクター下痢症は限られた数のこれらの血清型によって引き起こされると考えられている。したがって、疫学研究に基づく、カンピロバクター・ジェジュニの選択された菌株のみが、潜在的なワクチン組成物の開発に適した候補株を提供しうる。
一般的なカンピロバクター・ジェジュニ血清型に関連するいくつかの免疫原性CPS−CRM197コンジュゲートが作製されている(Monteiro et al., (2009) Infect. Immun. 77, 1128-1136; Bertolo, L, et al. (2012) Carbohy Res 366; 45-49)。人間以外の霊長類をカンピロバクター・ジェジュニの下痢から保護することができる免疫原性カンピロバクター・ジェジュニCPSコンジュゲートワクチンが開発されている(Monteiro et al., (2009) Infect. Immun. 77, 1128-1136, 米国特許第9,084,809号)。米国特許第9,084,809号には、とりわけ、BALB/cマウスにおいて免疫応答を誘発することができるカンピロバクター・ジェジュニ株81−176(本明細書では血清型HS23/36とも呼ばれる)の莢膜多糖ポリマーからなる抗カンピロバクター・ジェジュニ免疫原性組成物について記載されている。この文献は、HS23/36莢膜多糖が、ガラクトース、3−O−メチル−6−デオキシ−アルトロ−ヘプトース、およびN−アセチルグルコサミンの三糖類を有すること、具体的には、免疫原性多糖ポリマーが、GalのO−2位にO−メチル−ホスホルアミデートを含む、式[→3)−α−D−Gal−(1→2)−6d−3−O−Me−α−D−altro−Hep−(1→3)−β−D−GlcNAc−(1→]で表される反復三糖類構造を有することを教示している。プロトタイプワクチンの兆しにもかかわらず、また、ヒトの疾患に対するこの微生物の重要性にもかかわらず、カンピロバクター・ジェジュニに対する認可された市販のワクチンはまだない。したがって、カンピロバクター・ジェジュニの感染に関連する疾患を予防または改善するための改良された免疫原性組成物および方法が現在なお必要とされている。
第1の態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発することができる免疫原性合成コンストラクトに関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。
さらにもう1つの態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発することができる免疫原性合成コンストラクトを含む組成物に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。
さらなる態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法であって免疫原性合成コンストラクトの有効量を前記被験体に投与することを含む方法に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。特定の実施形態において、本方法は、免疫原性合成コンストラクトの1回以上の追加用量を投与することをさらに含みうる。特定の実施形態において、前記有効量は、免疫原性合成コンストラクトの約0.1μg〜約10mgの量である。
さらなる態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法であって免疫原性合成コンストラクトを含む組成物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。特定の実施形態において、本方法は、免疫原性合成コンストラクトの1回以上の追加用量を投与することをさらに含みうる。特定の実施形態において、前記有効量は、免疫原性合成コンストラクトの約0.1μg〜約10mgの量である。
さまざまな追加の態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するのに用いる免疫原性合成コンストラクトに関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するための免疫原性合成コンストラクトの使用に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する薬剤の製造における免疫原性合成コンストラクトの使用に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。
さらなる態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するのに用いる免疫原性合成コンストラクトを含む組成物に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するための免疫原性合成コンストラクトを含む組成物の使用に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する薬剤の製造における、免疫原性合成コンストラクトを含む組成物の使用に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。
さらなる態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するのに用いる免疫原性合成コンストラクトを含む医薬組成物に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するための免疫原性合成コンストラクトを含む医薬組成物の使用に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する薬剤の製造における、免疫原性合成コンストラクトを含む医薬組成物の使用に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。
さらなる態様において、本発明は、本発明の免疫原性合成コンストラクトを合成する方法に関する。
上記態様のさまざまな実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、担体化合物、例えばキャリアタンパク質にコンジュゲートされうる。特定の実施形態において、キャリアタンパク質は、少なくとも1つのT細胞エピトープを含む。特定の実施形態において、キャリアタンパク質は、CRM197である。
上記態様のさらなる実施形態において、前記組成物は、医薬組成物である。特定の実施形態において、前記医薬組成物は、ワクチン製剤である。
特定の実施形態において、前記医薬組成物および前記ワクチン製剤は、1つ以上のアジュバントを含みうる。特定の実施形態において、前記アジュバントは、トール様受容体リガンド、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピドA、リポソーム、ならびにそれらの誘導体および組み合わせからなる群から選択される。さらなる実施形態において、前記医薬組成物および前記ワクチン製剤は、1つ以上の追加免疫調節剤を含む。特定の実施形態において、前記免疫調節剤は、1つ以上のカンピロバクター・ジェジュニ株の抗原、ETEC抗原、赤痢菌リポ多糖類構造、および非コンジュゲート状態のキャリアタンパク質からなる群から選択される物質である。
特定の実施形態において、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法は、タンパク質担体にコンジュゲートされたコンストラクトを投与することを含む。特定の実施形態において、前記タンパク質担体は、CRM197である。別の特定の実施形態において、この方法は、1つ以上のアジュバントと共にコンストラクトまたはコンジュゲートを投与することをさらに含む。特定の実施形態において、前記アジュバントは、トール様受容体リガンド、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピドA、リポソーム、ならびにそれらの誘導体および組み合わせからなる群から選択される。上記態様の特定の実施形態において、前記被検体は、ヒトである。
血清型複合体HS1、HS3、HS4、およびHS23/36のCPS反復ブロック、株特異性のあるヘプトース単位、ならびにO−メチルホスホルアミデート(MeOPN)結合を示す図である。略語:「±」、不定比量のMeOPN部分;Gal、ガラクトース;Gro、グリセロール;Fru、フルクトース;Hep、ヘプトース;GlcpNAc、N−アセチル−D−グルコサミン。HS23/36株におけるMeOPN−6−Galの存在は、本明細書に報告された発見に基づく。 MeOPN→6−Galコンストラクト(O−Me−ホスホルアミデートガラクトシド)のp−メトキシフェニルグリコシド、つまり、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMP、の合成を示す図である(「スキーム1」)。本明細書に示す工程で用いる試薬および条件は、次の通りである:(a)TrCl、ピリジン、95%;(b)AllBr、NaH、DMF、0℃、89%;(c)80%AcOH、80℃、78%;(d)PCl(O)OMe、EtN、CHCl、その後NH(g)、19%;(e)PdCl、MeOH、39%。Tr、トリチル;All、アリル;DMF、ジメチルホルムアミド;OMP、4−メトキシフェニル基。 MeOPN→6−Galコンストラクト(O−Me−ホスホルアミデートガラクトシド)のアミノペンチルグリコシド、つまり、MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNH、の合成を示す図である(「スキーム2」)。本明細書に示す工程で用いる試薬および条件は、次の通りである:(a)CAN、CHCN、HO、0℃;その後CClCN、KCO、CHCl、57%、2工程にわたる;(b)HO(CHNPhth、TMSOTf、CHCl、65%;(c)80%AcOH、80℃、78%;(d)PCl(O)OMe、EtN、CHCl、その後NH(g)、27%;(e)PdCl、MeOH、75%;(f)HNNH、EtOH、82%。CAN、硝酸セリウムアンモニウム;TMSOTf、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート;Tr、トリチル;All、アリル;OMP、4−メトキシフェニル基;OTCA、トリクロロアセトイミデート。 MeOPN→6−Galコンストラクト(O−Me−ホスホルアミデートガラクトシド)のアミノペンチルグリコシド、つまり、MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNH、の合成の別のスキームを示す図である(「スキーム2a」)。本明細書に示す工程で用いる試薬および条件は、次の通りである:(a)TrCl、ピリジン、95%;(b)AllBr、NaH、DMF、0℃、89%;(c)CAN、CHCN、HO、0℃;その後CClCN、KCO、CHCl、57%、2工程にわたる;(d)HO(CHNPhth、TMSOTf、CHCl、65%;(e)80%AcOH、80℃、78%;(f)PClOMe、EtN、CHCl、その後NH(g)、27%;(g)PdCl、MeOH、75%;(h)HNNH、EtOH、82%。CAN、硝酸セリウムアンモニウム;TMSOTf、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート;Tr、トリチル;All、アリル;OMP、4−メトキシフェニル基;OTCA、トリクロロアセトイミデート。 MeOPN→2−β−D−Galp−(1→OMPの合成を示す図である(「スキーム3」)。本明細書に示す工程で用いる試薬および条件は、次の通りである:(a)AllBr、NaH、DMF、0℃、95%;(b)80%AcOH、80℃、94%;(c)BzCl、ピリジン、97%;(d)PdCl、MeOH、92%;(e)PCl(O)OMe、EtN、CHCl、その後NH(g)、26%;(f)NaOMe、MeOH、73%。All、アリル;Bz、ベンゾイル。 考えられるMeOPN部分の位置および複数のコンジュゲートワクチンに対する抗体によるMeOPN−6−Galに対する莢膜交差反応性を示す図である。図6(A)は、カンピロバクター・ジェジュニのHS23/36血清型のCPSにおけるMeOPN−6Gal上の考えられるMeOPN修飾単糖類の構造を示している。存在するすべての「R」基は、HまたはMeOPNのいずれかを表すことができる、つまり、修飾の各部位(Gal−2またはGal−6)は、HまたはMeOPNのいずれかと置換することができる。図6(B)は、カンピロバクター・ジェジュニの示された血清型であるHS:4、HS:1、およびHS:3のCPSにおけるMeOPN修飾単糖類の構造を示している。莢膜交差反応性を試験するために、MeOPN−6−Galのスポットを、示された検出抗CRM197コンジュゲート抗血清(右側のブロットに示す)と組み合わせた。データは、カンピロバクター・ジェジュニのHS23/36、HS4、およびHS1血清型に対する抗体が合成MeOPN−6−Galコンストラクトと反応しうることを示している。 中央カラムに示された血清型HS1(1:500)、HS3(1:500)、HS4(1:2000)、およびHS23/36(1:2000)のカンピロバクター・ジェジュニCPSコンジュゲート抗血清によるMeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMP(カラムA)およびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O−(CHNH(カラムB)の免疫検出を示す図である。希釈は、TBST(20mM Tris、pH7.4、0.425N NaCl、0.05% Tween20)中で行った。データは、カンピロバクター・ジェジュニのHS23/36、HS4、およびHS1の血清型に対する抗体が、添加リンカーの有無にかかわらず、合成MeOPN−6−Galコンストラクトと反応しうることを示している。 HS23/36多糖類−CRM197コンジュゲートワクチンに対するウサギ抗体が、MeOPN−6−Galを検出したが、MeOPN−2−Galの異性体を検出しなかったことを示すイムノブロットを示す図である。これらのデータは、MeOPN−6−Gal単糖類の免疫原性、および、Galの6位におけるメチルホスホルアミデートのGalの2位におけるMeOPNに対する免疫優性を明確に示している。 リンカー付きガラクトシドとキャリアタンパク質CRM197(CRM197はリボンダイアグラムとして示されている)とのコンジュゲーションを示す図である(「スキーム4」)。本明細書に示す工程で用いる試薬および条件は、次の通りである:(a)ジ−N−ヒドロキシ−スクシンイミジルアジペートエステル、EtNDMSO;(b)CRM197、70mM NaPi、pH7.0。 リンカー付きガラクトシドとキャリアタンパク質とのコンジュゲーションの分析および確認を示す図である:(A)CRM197およびMeOPN→6−β−D−Gal CRM197(化合物14)のゲル電気泳動;(B)MeOPN→6−β−D−Gal CRM197(化合物14)とカンピロバクター・ジェジュニHS23/36全細胞抗血清とのウェスタンブロット;(C)MeOPN→6−β−D−Gal CRM197(化合物14)のMALDI−TOF/MS。MeOPN−6−Gal−CRM197ワクチンは、質量61,781.206の大きなピークを示した。類似のMALDI実験におけるCRM197の質量は57,967ダルトンであった(図示せず)。したがって、質量差は約3,814ダルトンであった。MeOPN−6−Galおよびリンカーの質量は461ダルトンであるため(データは示さず)、これは、CRM197分子1個当たり約8個のMeOPN−6−Gal−リンカー部分が添加されたことを示している。 HS23/36CPSコンジュゲート(約10〜10のピーク)および合成MeOPN→6−β−D−Gal CRM197コンジュゲート14(約0〜−10のピーク)によって産生された抗血清を用いたカンピロバクター・ジェジュニHS23/36細胞のフローサイトメトリー分析を示す図である。0のピークは、二次抗体単独の結合を表す。APC−A、アロフィコシアニン。データは、本発明の合成コンジュゲートワクチンが、カンピロバクター・ジェジュニHS23/36細胞の細胞表面に露出したCPS MeOPN→6−D−Gal結合に特異的な抗体をウサギ中に作ることができることを証明している。 MeOPN−6−Gal単糖類コンストラクトの合成およびキャリアタンパク質CRM197へのコンジュゲーションの概要を示す図である。Ac、アセチル;MP、メトキシフェニル;All、アリル;Tr、トリチル;Phth、フタルイミド。 従来の方法を用いて実施したMeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPの31P NMR(A)およびH NMR(B)のスペクトルを示す図である。 従来の方法を用いて実施した4−メトキシフェニル2−O−メチル−ホスホラミジル−β−D−ガラクトピラノシドの31P NMR(A)およびH NMR(B)を示す図である。 リンカーを有しキャリアタンパク質CRM197にコンジュゲートされたデンプン主鎖を用いて化学的に結合した複数のMeOPN−6−Gal単糖類を含む本発明の合成ポリマーコンジュゲートの合成を示す図である。 複数のMeOPN−6−Gal単糖類を含む図15の合成ポリマーコンストラクトの12.5%SDS−PAGEゲル(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)(A)およびイムノブロット(B)を示す図である。図のように、図16(A)は、分子量マーカー、合成コンストラクト、およびキャリアタンパク質のみのレーンを含む。図16(B)は、コンストラクトのブロットを示す。ゲルおよびブロットは、実施例7に記載した従来の方法を用いて調製した。 図15の合成ポリマーコンストラクトのH NMRを示す図であって、カンピロバクター・ジェジュニMeOPN−6−Gal合成抗原の修飾された(酸化された)デンプンポリマーへの結合が成功したことを示している。X軸はppmである。約4.5ppmの矢印は、6MeOPN−β−D−Gal合成抗原のβ−アノマーシグナルを示している。残りの矢印は、リンカーのCHシグナルを示している。 デンプン主鎖を用いて他の糖類と化学的に結合した複数のMeOPN−6−Gal単糖類を含むとともに、リンカーを有しキャリアタンパク質にコンジュゲートされた、本発明の別の合成ポリマーコンストラクトを示す図である。具体的には、図のように、合成ポリマーは、複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−2−Gal、およびMeOPN−1−Fru単糖類を含む。 81−176莢膜トリサッカリドの2つの反復の構造を示す図である(A)。MeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galの位置が示されている。図19(B)は、81−176の可変CPS遺伝子座における遺伝子のカートゥーンを示す図である。81−176の可変CPS遺伝子座は、灰色で示されたkpsC(CJJ81176_1413c)とkpsF(CJJ81176_1437c)の間に位置し、22個の遺伝子を包含する。既知の機能の遺伝子にはラベルが付されている。MeOPNの合成に関与する遺伝子には、mpnA−Dというラベルが付され([21])、ラベルが付された残りの遺伝子は、ヘプトース合成に関与する。黒色の遺伝子は、2つの推定MeOPNトランスフェラーゼ、CJJ81176_1420およびCJJ81176_1435を表している。 抗コンジュゲート抗体の免疫応答を示す図である。A.カンピロバクター・ジェジュニ81−176のホルマリンで死滅させた全細胞に対するウサギの高度免疫血清を用いたイムノブロット。B.81−176−CRM197コンジュゲートワクチン(CJCV1)に対するウサギの高度免疫血清を用いたイムノブロット。レーンは、次の通りである:マーカー、プレシジョンPlusプロテインスタンダード;野生型81−176;株3468、kpsM、非莢膜化突然変異体([34]);株3469、kpsMの補体;株3390、MeOPNを合成する能力を欠くmpnC突然変異体([21]);株3391、mpnCの補体;株3477、CJJ81176_1420の突然変異体;株3498、CJJ81176_1420突然変異体の補体;株3636、CJJ81176_1435の突然変異体;株3637、CJJ81176_1435突然変異体の補体。C.ELISAによって測定した、精製されたCPS多糖類に対する抗コンジュゲート抗体の免疫応答。使用した突然変異体の株番号を表1に示し説明する。 本研究で議論した3つの異なるMeOPN関連共鳴(X、Y、およびZ)を示す1D31P NMRスペクトルを示す図である。A.1つのMeOPN単位のみを含むカンピロバクター・ジェジュニ81−176野生型のCPS(ピークY)。B.2つのMeOPN単位を含むカンピロバクター・ジェジュニ81−176野生型のCPS(ピークYおよびZ)。C.新しいMeOPN CPS修飾を含むカンピロバクター・ジェジュニCJJ81176_1435(3636)のCPS(ピークX)。 2D 1H−31Pヘテロ核多重結合相関NMR実験からの1Dスライスを示す図である。A.MeOPNとガラクトースの2位との間の貫通結合相関を示すカンピロバクター・ジェジュニ81−176野生型のCPS。B.MeOPNとガラクトースの6位との間の貫通結合相関を示すカンピロバクター・ジェジュニCJJ81176_1435(3477)のCPS。C.MeOPNと未同定CPS位置との間の貫通結合相関を示すカンピロバクター・ジェジュニCJJ81176_1420(3636)のCPS。HODは、各実験における水ピークの位置を表す。 モノクローナルDB3の特性評価を示す図である。A.DB3を用いて検出された、野生型81−176およびさまざまな突然変異体の全細胞のドットブロット。B.DB3を用いた、野生型、3390、および3391のフローサイトメトリー。C.DB3を用いた、野生型、3636、および3637のフローサイトメトリー。D.DB3を用いた、野生型、3477、および3498のフローサイトメトリー。B、C、およびDにおいて「2」というラベルが付されたピークは、二次抗体単独の結合を示す。 異なるコンジュゲートワクチン群のMeOPNレベルの変化を示す図である。A.3つの異なる81−176−CRM197コンジュゲートワクチンのDB3 ELISA。B.野生型81−176(黒色の棒)およびmpnC突然変異体(3390;灰色の棒)から精製した莢膜に対するウサギポリクローナル超免疫血清のエンドポイント力価。C−E.コンジュゲートCCV(C)、DB4(D)、およびCJCV1(E)に対するウサギ過免疫血清の結合を、野生型81−176、3390、mpnC突然変異体、および3469、kpsM突然変異体と比較したフローサイトメトリー。 増加する量のNHSに対するカンピロバクター・ジェジュニ株の耐性を示す図である。細菌を37℃で1時間、増加する量のNHSにさらし、生存菌を生菌数で数えた。菌株の遺伝子型を表1に示す。菌株3636は、NHS(P<0.05)の4つの濃度すべてにおいて野生型と有意に異なっていた。菌株3477は、5%NHS(P<0.05)、10%(P<0.005)、および15%(P<0.05)において野生型よりも血清耐性が有意に低かった。2つの突然変異体3498および3637の補体には、NHSのどの濃度においても野生型との有意差はなかった。二重トランスフェラーゼ突然変異体3479は、5%(P<0.0005)、10%(P<0.005)、および15%NHS(P<0.05)において野生型よりも有意に低かった。 CJJ81176_1435MeOPNトランスフェラーゼの相変化を示す図である。A.DB3を用いた、81−176の代表的な単一コロニーのイムノブロット。反応性の強さは、数値の得点(3+、2+、1+、および負数)によって示される。WT、野生型81−176の集団の反応;ネガティブコントロールは、mpnC突然変異体3390の集団である。B.DB3を用いた異なるレベルの反応性を示す集団内のコロニーの百分率。1+、2+、および3+として記録されたコロニーの百分率を示す;黒色の領域は、陰性のコロニーを表す。
本明細書は、本発明を具体的に指摘して明確に請求する特許請求の範囲で締めくくっているが、本発明は以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
本明細書で使用されるすべての百分率および比率は、本明細書に別段の指示がない限り、全組成物の重量による。特別の定めのない限り、すべての温度は、セ氏温度である。特に別の指定がなければ、測定はすべて25℃、常圧で行った。本発明は、本発明の構成要素も本明細書に記載された他の成分または要素も「含む(comprise)」(開放型)または「実質的にからなる(consist essentially of)」ことができる。本明細書で使用されるように、「含む(comprise)」は、記載された要素、または構造もしくは機能におけるその同等物、および、記載されていないその他要素(複数可)を意味する。また、「有する(having)」および「含む(including)」という用語も、文脈上他の意味を示唆する場合を除き、開放型と解釈されるべきである。本明細書で使用されるように、「実質的にからなる(consist essentially of)」は、本発明が請求項に記載された成分以外の成分を含みうるが、その付加的な成分が請求項に係る発明の基本的かつ新規な特徴を実質的に変えない場合に限ることを意味する。
本明細書に記載された範囲はすべて、2つの値の「間」の範囲を示す端点を含む。「約(about)」や「一般に(generally)」、「実質的に(substantially)」などの用語は、絶対的なものではないが、従来技術には読めないように用語または値を変更するものと解釈されるべきである。このような用語は、当業者によって理解されるように、状況およびこれらが修飾する用語によって定義される。これには、最低でも、値を測定するのに用いられる与えられた方法の期待実験誤差、技術誤差、および機器誤差の程度が含まれる。別段の指示がない限り、「a」および「an」は複数を含む。例えば、「a MeOPN−6−Gal単糖類」は、少なくとも1つのMeOPN−6−Gal単糖類、および、複数のMeOPN−6−Gal単糖類、つまり、2つ以上のMeOPN−6−Gal単糖類を意味することができる。
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、2つ以上の項目のリストに使用される場合、記載された特徴のうちのいずれか1つが存在しうること、または、記載された特徴の2つ以上の任意の組み合わせが存在しうることを意味する。例えば、カンピロバクター・ジェジュニに対するワクチン製剤が特徴A、B、および/またはCを含むと記載されている場合、カンピロバクター・ジェジュニに対するワクチン製剤は、特徴Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの組み合わせ、AとCの組み合わせ、BとCとの組み合わせ、またはAとBとCの組み合わせを含むことができる。本明細書で言及したすべての特許、特許出願その他刊行物の教示内容全体は、まるで本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み入れられている。
最近まで、MeOPN−2−Galは、カンピロバクター・ジェジュニ株81−176(別名、本明細書では血清型HS23/26と称する)におけるCPS Gal上の唯一のMeOPN部分であると考えられた(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol. 188, 3273-3279)。しかし、カンピロバクター・ジェジュニ株HS23/36の遺伝的および構造的分析を行うことにより、本発明者らは、驚くべきことに、CPS GalのO−6位にもう1つの異なるMeOPNを発見した。本明細書で報告されるように、本発明者らは、不定比量で存在するものの、MeOPN単位を含むCPSエピトープが、重要なカンピロバクター・ジェジュニ免疫原性マーカーであることを発見した。さらに、カンピロバクター・ジェジュニHS23/36の天然CPSを用いて多価コンジュゲートワクチンの総合的な免疫学的分析を行うことにより、本発明者らは、MeOPN−6−Gal単糖類がMeOPN−2−Galおよび未修飾多糖類に対して免疫原性および免疫優性であることを発見した。
上記に鑑みて、本発明は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発することができる免疫原性合成コンストラクトを対象とする。具体的には、従来の抗カンピロバクター・ジェジュニ免疫原性多糖類コンストラクトまたはCPSコンジュゲートワクチンとは対照的に、本発明は、1つ以上のメチルホスホラミジル単糖類を含むカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫原性合成コンストラクト、つまり、1つ以上のO−メチルホスホルアミデート(MeOPN)部分(ガラクトースの6位のMeOPNを含むがこれに限定されない)を含む免疫原性合成コンストラクトを対象とする。
特定の実施形態において、特に本明細書で詳細に記載されているように、カンピロバクター・ジェジュニに対する合成MeOPN→6Galコンストラクトの免疫原性および効力の改善が意外にも発見された。したがって、さまざまな態様において、本発明は、1つ以上の合成MeOPN→6Gal単糖類を含む合成糖類コンストラクト、これらの合成糖類コンストラクトを含む組成物、およびこれらの合成糖類コンストラクトを使用する方法を含む。特定の実施形態において、合成糖類コンストラクトは、キャリアタンパク質にコンジュゲートされている。合成コンストラクト(キャリアタンパク質にコンジュゲートされていないまたはコンジュゲートされている)を含む組成物、例えば、ワクチン製剤を含む医薬抗カンピロバクター・ジェジュニ製剤を含むジェジュニ製剤が、本明細書で検討されている。また、本明細書で検討されているのは、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法であって、前記合成コンストラクトならびに/またはコンジュゲートされたおよび/もしくはコンジュゲートされていない形態の前記合成コンストラクトを含む本発明の組成物(例えば、ワクチン製剤)の有効量を前記被験体に投与することを含む方法である。
本発明の免疫原性合成コンストラクトおよびコンジュゲートは、精製されたカンピロバクター・ジェジュニ莢膜多糖類から作製された従来のコンジュゲートワクチンよりも多数の利点をもたらすと考えられる。例えば、データは、MeOPN部分がカンピロバクター・ジェジュニにおいて相可変であり、したがって、精製された莢膜から得られるワクチン製剤に通常存在するこのエピトープのレベルが可変であることを示している。この天然の可変性の結果として、カンピロバクター・ジェジュニの同じ株に由来する異なる調製物は、このMeOPNエピトープの異なるレベル、したがって、異なる免疫原性を有しうる。対照的に、合成アプローチを用いることにより、所望レベルのMeOPNエピトープを含む医薬製剤(例えば、ワクチン製剤)をうることができ、当該医薬製剤は、ワクチンの潜在的な免疫原性が制御されうるという利点を提供する。さらに、本明細書で提供された実施例から明らかなように、本発明の合成カンピロバクター・ジェジュニ単糖類コンストラクト抗原は、多糖類よりも広いカバレッジを有し、したがって、カンピロバクター・ジェジュニに対するワクチンに必要な原子価を潜在的に低下させるように思われる。したがって、本明細書に開示された合成コンストラクトは、単一のエピトープが2つ以上のカンピロバクター・ジェジュニ血清型にわたって交差防御するということもありうるワクチン製剤において有効な抗原として使用されうる抗原決定基であると考えられる。さらに、本発明の合成コンストラクトの使用は、カンピロバクター・ジェジュニ(潔癖な生物)を増殖させることおよび莢膜を精製することを不要にするため、合成コンストラクトは、費用効率がより高く、したがって、精製されたCPSを使用する他のワクチンと比較して商業上の利益をもたらす。
上記に加えて、本発明の合成コンストラクトは、免疫原性であるのみならず、合成アプローチによって自己免疫の発達に対する懸念がなくなるという利点も持つ。なぜなら、本方法は、ヒトガングリオシドを構造的に模倣する構造であってギラン・バレー症候群をもたらす自己免疫応答を誘発しうる構造をしばしば含むカンピロバクター・ジェジュニリポオリゴ糖類(LOS)から離れて莢膜の精製を必要としないためである。
当業者に理解されるように、「MeOPN→6Gal」や「MeOPN−6−Gal」、「MeOPN−6−Galコンストラクト」などの用語は、ガラクトース単糖類を指し、当該ガラクトース単糖類のO−6位にO−メチルホスホルアミデート部分を含むように修飾されたものである。本明細書で理解されるように、合成MeOPN−6−Galコンストラクトは、MeOPN部分に加えて他のさまざまな「R」基を含みうる。この用語は、さまざまな変性型、例えば、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMP、つまり、4−メトキシフェニル6−O−メチル−ホスホルアミデート−α−D−ガラクトピラノシド、および、リンカーを含む活性型、例えば、MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNH、つまり、5−アミノ−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド、のコンストラクトを包含する。同様に、「MeOPN−2−Gal」および同類の用語は、ガラクトース単糖類のO−2位のO−メチルホスホルアミデート部分を指す。
本明細書で理解されるように、「免疫原性合成コンストラクト」またはより単純に「合成コンストラクト」および同類の用語は、インビトロ、つまり、化学的に産生された非天然(「人工」)の化合物であって、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発することができる1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含むものを指す。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、被験体においてカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発しうる1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む。また、MeOPN→6Gal単糖類は、MeOPN部分に加えて他のさまざまな「R」基を含みうる。本明細書で企図されるように、特定の実施形態において、本発明の免疫原性合成コンストラクトは、単独でもしくは1つ以上の他の糖類と組み合わせて化学的に結合した、1つ以上の合成MeOPN→6Gal単糖類、および/または、化学リンカーを含む。例えば、本明細書において、本発明の合成コンストラクトは、1つ以上のMeOPN−6−Gal単糖類と組み合わせて1つ以上のさらなる単糖類を含みうると考えられる。カンピロバクター・ジェジュニのCPSに存在する単糖類は、特に、本明細書において、例えば、1つ以上のフルクトース、ガラクトース、グルコース、またはヘクトース単糖類と考えられており、また、任意選択的に、1つ以上のさらなるMeOPN部分(MeOPN−2−Galを含むがこれに限定されない)、またはカンピロバクター・ジェジュニに対する他の抗原と置換される。
以下で詳述されるように、本明細書において、1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む合成コンストラクトを有する合成コンストラクトを含む、本発明の合成コンストラクトを活性化しキャリアタンパク質にコンジュゲートしうること、または、非コンジュゲート型で使用しうることが考えられる。キャリアタンパク質にコンジュゲートされた場合、その合成コンストラクトを、本明細書において「コンジュゲートワクチン(conjugate vaccine)」または「コンジュゲート(conjugate)」と称しうる。
本明細書で使用されるように、「被験体(subject)」は、動物(鳥類および哺乳動物を含むがこれに限定されない)を含む。また、この言葉には、人間も含まれる。本明細書において特に企図されるように、被験体は、例えば、カンピロバクター・ジェジュニに感染しているまたは感染する危険があるあらゆる動物またはヒトを含む。被験者は、カンピロバクター・ジェジュニの暴露に関してナイーブまたは非ナイーブでありうる。特に、適切な被験体(患者)は、家畜(例えば、ニワトリ)ならびに非ヒト霊長類およびヒト患者を含むがこれに限定されない。
本明細書で理解されるように、本発明の合成コンストラクトは、被験体に免疫応答を誘発して被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに関連する1つ以上の病的状態を予防および/または改善するために、被験体に投与されうる。本明細書で理解されるように、被験体において免疫応答を「誘発する」という概念は、被験体において体液性および/または細胞性免疫応答を引き起こすことを指す。
カンピロバクター・ジェジュニに関連する1つ以上の病的状態を「予防および/または改善する」という概念は、例えば、カンピロバクター・ジェジュニの感染に関連する病的状態の発症または進行を防ぐまたは妨げること、ならびに、カンピロバクター・ジェジュニに関連する1つ以上の病的状態を治療し、治癒し、遅らせ、および/またはその重症度低下させることを包含する。
本明細書で使用されるように、「カンピロバクター・ジェジュニに関連する1つ以上の病的状態」という用語は、カンピロバクター・ジェジュニによる感染によって引き起こされる被験体における望ましくない状態(「カンピロバクター症」)を指す。本明細書で企図されるように、そのような病的状態は、カンピロバクター・ジェジュニの感染時に被験体において生じうる臨床症状および疾患、ならびに、既往のカンピロバクター症の結果として被験体において発症しうる状態を含む。これらの状態は、当業者によく知られており、カンピロバクター胃腸炎、ライター症候群、炎症性腸症候群、およびギラン・バレー症候群(GBS)を含むがこれに限定されない。
MeOPNの単糖(simple sugar)への制御された合成および導入、得られた合成コンストラクトの活性化、化学的リンカーの添加、ならびにキャリアタンパク質の結合を含む、本発明の合成コンストラクトの合成は、炭水化物化学者によく知られている市販の材料および方法を用いて実施しうる。特定の合成方法(合成スキーム)は、以下の実施例において詳細に説明する。本明細書において、以下の実施例および「スキーム」に開示された化合物を合成する方法は、本発明の態様に含まれると考えられる。
当業者に理解されるように、単糖類の化学合成は、炭水化物化学における十分に確立された手順を用いて達成されうる。しかし、開示された合成スキームにおいて出発化合物として使用するための単糖類は、さまざまな商業的供給業者から取得し、当業者によって化学的に修飾して、例えば、本明細書に開示された合成スキームに従って、本発明の免疫原性合成コンストラクトに到達しうる。公表された化学的修飾は、Comfort et al., Biochem. 46: 3319-3330 (2007)で提案された4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドの合成方法を含むがこれに限定されない。簡単に述べると、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドは、D−ガラクトースから、アセチル化、4−メトキシフェノールによるグリコシド化、その後、公表された方法によるゼンプレーン脱アセチル化によって合成しうる。(Montgomery et al. (1942) J. Am. Chem. Soc. 64, 690-694)
同様に、MeOPNの単糖類への合成および導入のためのさまざまな方法は、当業者によく知られている。特定の方法は、C. Mara et al. Bioorg. Med. Chem. Lett. 6180-6183 (2011)に記載されている。この文献は、ジクロロリン酸エチルとの反応、その後、保護されたアミンとの反応を記載している。
上述したように、本発明の合成コンストラクトは、キャリアタンパク質と反応することができる1つ以上の化学結合基を付加するために化学的に活性化しうる。本明細書で企図されるように、本発明のコンストラクトの活性化は、当業者によく知られている従来の方法に従って実施しうる。このような方法は、例えば、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボラート(CDAP)やカルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、p−ニトロ安息香酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)などのシアン化試薬の使用を含む。また、コンストラクトの活性化は、糖類を2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)と反応させることによって達成されうる。例えば、US Pub. No. 2014/0141032を参照。
本発明の免疫原性合成コンストラクトは、非コンジュゲート型で被験体に投与しうるが、本明細書において、合成時に、免疫応答を増強するために投与前に当該コンストラクトを化学的に活性化しインビトロで1つ以上のキャリア分子(例えば、1つ以上のT細胞依存性キャリアタンパク質)に化学的にコンジュゲートしうることが考えられる。実際に、当業者に理解されるように、子供は、多糖抗原に直面してIgM応答のみを捉えることができ、成人はIgG、IgAおよびIgM応答を生成することができる。したがって、キャリアタンパク質を合成コンストラクトに結合することにより、コンストラクトによってインビボで引き起こされる免疫応答は、T細胞非依存性応答からT細胞依存性応答に変化する。このように、引き起こされる免疫応答は増強され、したがって、その反対の非コンジュゲート状態のコンストラクトによってインビボで産生されるであろうものと著しく異なる。
特定の実施形態において、キャリア分子は、キャリアタンパク質である。本明細書で使用されるように、「キャリアタンパク質」は、理想的には少なくとも1つのT細胞エピトープを含むタンパク質またはその類似体もしくは断片をいう。本発明での使用に適したキャリアタンパク質は、当業者によく知られており、市販されており、および/または、従来の方法を用いて当業者により作製・精製されうる。例えば、本発明で使用されるキャリアタンパク質は、免疫学的に有効な担体であり、かつ、被験体に投与する化学的または遺伝的手段によって安全にされた、細菌毒素を含む。例は、ジフテリアトキソイドやCRM197、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌熱不安定性エンテロトキシン(LT)、大腸菌熱不安定性エンテロトキシンの結合成分(LTB)、大腸菌付着因子および/または線毛、ならび緑膿菌由来の外毒素Aなどの不活性化細菌毒素を含むがこれに限定されない。また、例えば、外膜複合体c(OmpC)やポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌アドヘシンタンパク質(PsaA)、肺炎球菌表面タンパク質BVH−3およびBVH−11などの細菌外膜タンパク質も使用されうる。また、その他のタンパク質、例えば、炭疽菌の防御抗原(PA)や、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン(BSA)、ツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)なども使用されうる。
特定の実施形態において、キャリアタンパク質は、不活性化細菌毒素、細菌外膜タンパク質、炭疽菌の防御抗原(PA)、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ヒト血清アルブミン、ウシウシ血清アルブミン(BSA)、およびツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)からなる群から選択される。特定の実施形態において、不活性化細菌毒素は、ジフテリアトキソイド、交差反応性物質197(CRM197)、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌熱不安定性エンテロトキシン(LTB)の結合成分(LTB)、大腸菌付着因子および/または線毛、ならびに緑膿菌由来の外毒素Aからなる群から選択される。特定の実施形態において、キャリアタンパク質は、不活性化細菌毒素CRM197である。別の特定の実施形態において、細菌外膜タンパク質は、外膜複合体c(OmpC)、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌アドヘシンタンパク質(PsaA)、肺炎球菌表面タンパク質BVH−3、および肺炎球菌表面タンパク質BVH−11からなる群から選択される。このようなキャリアタンパク質は、さまざまな商業的供給業者から入手可能である。
また、本明細書において、ETEC由来のタンパク質をキャリア分子として使用することも企図される。考えられるETECタンパク質担体は、熱不安定性エンテロトキシンのBサブユニット、および線毛サブユニットを含むがこれに限定されない。後者は、さまざまなETEC定着因子のサブユニット、例えば、CfaI(CfaEおよび/またはCfaB)、CS6(CssBおよび/またはCssA)、CS3(CstGおよび/またはCstH)、CS17(CsbAおよび/またはCsbD)、ならびにCS1(CooA)などを含む。ETECタンパク質のさらなる例および考えられるキャリア分子としてのETECタンパク質の使用に関する詳細は、例えば、US 2015/0258201 A1を参照のこと。この文献の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
本明細書で企図されるように、キャリアタンパク質は、カンピロバクター・ジェジュニに対するコンストラクトの免疫原性を増強するために、2つ以上の合成コンストラクトに結合されうる。一実施形態において、複数の合成MeOPN−6−Galコンストラクトが単一のキャリアタンパク質に結合される。特定の実施形態において、MeOPN−6−Gal:CRM197比(w/w)が少なくとも8:1以上である本発明のコンジュゲートワクチンが、本明細書において想定される。
コンジュゲーション後、遊離したコンジュゲート糖類コンストラクトは、さまざまな従来の方法を用いて分離されうる。精製方法は、当業者によく知られており、例えば、限外濾過、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および/または硫酸アンモニウム分画を含む。
本発明の活性化単糖類または糖類コンストラクトをキャリアタンパク質にコンジュゲートする考えられる方法は、当業者によく知られており、例えば、以下を含む:結果として生じるアミノ基をアジピン酸リンカー基の一端に結合し、その後、タンパク質をそのアジピン酸リンカー基の他端に結合することを含む単糖類の還元的アミノ化;糖類コンストラクトが、臭化シアン(CNBr)または1−シアノ−4−ジメチルアンモニウムピリジニウムテトラフルオロボラート(CDAP)のいずれかにより活性化されて、シアネート基をヒドロキシル基に導入し、もって、タンパク質成分の添加時にアミノ基またはヒドラジド基と共有結合を形成する、シアニル化コンジュゲーション:カルボジイミドが抱合反応の1つの成分上のカルボキシル基を活性化し、活性化されたカルボニル基が他の成分上のアミノ基またはヒドラジド基と反応する、カルボジイミド反応。必要に応じて、これらの反応を用いて抱合反応の前にキャリアタンパク質の成分を活性化しうる。本明細書で企図されるように、特定の実施形態において、アミノ基を単糖類に導入し(例えば、末端=O基を−NHと置換することにより)、その後、アジピン酸ジエステル(例えば、アジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエステル)による誘導体化およびキャリアタンパク質との反応を行うことを含むプロセスを使用しうる。
また、本明細書において、合成コンストラクトをキャリアタンパク質に直接結合することも企図される。タンパク質への直接結合は、従来の方法を用いた、単糖類の酸化とその後のタンパク質による還元的アミノ化とを含みうる。
本発明の合成コンストラクトは、例えば、1つ以上のMeOPN−6−Gal単糖類を含むが、さらに、1つ以上の追加の糖類、ならびに、これの1つ以上のさらなる化合物、部分、断片、または誘導体を含みうる。さまざまな化合物は、本発明の免疫原性合成コンストラクトのさまざまな成分を結合し、および/または、合成コンストラクト全体を1つ以上のキャリアタンパク質に結合するための化学的主鎖としての役割を果たしうる。ポリマーコンストラクトまたはコンジュゲートを作製するのに使用されうる化合物は、例えば、修飾デンプン部分、シクロデキストリン、およびニゲランを含む。
本明細書で特に企図されるように、コンストラクトは、さまざまな理由で、例えば、合成コンストラクトの化学的安定性を増加させるために、および/または、コンストラクトの送達もしくはバイオアベイラビリティを増強するために加えうる追加の糖類、部分、または化合物を含みうる。特定の実施形態において、追加の糖類、部分、および化合物は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する合成コンストラクトの免疫原性を増強するために、1つ以上のリンカーまたは他の化合物を介して、直接的または間接的に、1つ以上のMeOPN−6−Galコンストラクトと化学的に結合されうることが、本明細書で企図されている。したがって、本発明の合成コンストラクトに使用する追加の糖類は、さまざまなカンピロバクター・ジェジュニ株の莢膜に存在する単糖類、例えば、MeOPN−2−Galを含むガラクトースその他その修飾形態、フルクトース、グルコース、ヘプタースN−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、グルシトール、1つ以上のMeOPN部分(MeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galを含むがこれに限定されない)を有する単糖類を含むグルコースまたはその修飾形態もしくは誘導体、を含むがこれに限定されない。このような糖類は、カンピロバクター・ジェジュニに対する合成コンストラクトの免疫原性を増強しうる1つ以上のMeOPN−6−Gal単糖類の量でそれと組み合わせて使用されうる。例えば、図1は、カンピロバクター・ジェジュニ血清型複合体HS1、HS3、HS4、およびHS23/36のCPS反復ブロック、特異的ヘプトース単位、およびMeOPN結合を列挙する。
上記を考慮して、以下の実施例に記述のように、図15は、2つ以上のMeOPN−6−Gal単糖類を含む合成ポリマーコンストラクトを示し、図18は、2つ以上のMeOPN−6−Gal単糖類を含むとともに、追加の単糖類MeOPN−2−GalおよびMeOPN−1−Fruをも含む、合成ポリマーコンストラクトを示す。本明細書において、本発明のコンストラクトまたはコンジュゲートにおけるこれらの追加成分の存在が、カンピロバクター・ジェジュニに対するコンストラクトまたはコンジュゲートの免疫原性を増強すると考えられる。
本明細書で理解されるように、「結合した(associated)」は、任意の態様の化学結合を含む。例えば、合成コンストラクトは、ポリマーとして鎖状に化学的に結合した、または、1つ以上の他の糖類のいくつもとさまざまに組み合わせた、数個の合成MeOPN−6−Gal単糖類を含みうる。このようなコンストラクトは、さらに、キャリアタンパク質にコンジュゲートされうる。
本明細書で企図されるように、本発明の方法は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発することを対象にし、免疫原性合成コンストラクトの有効量を被験体に投与することを含む。特定の実施形態において、コンストラクトは、活性医薬成分、例えば医薬組成物として、より具体的には、キャリアタンパク質に結合された合成コンストラクトを含むワクチン製剤として、合成コンストラクトを有する組成物の形態で被験体に投与される。したがって、本明細書で使用されるように、「有効量(effective amound)」は、免疫原性合成コンストラクトの単独または組成物中の量を指しうる。組成物は、1つ以上の他の活性医薬品または賦形剤を有する医薬組成物を含む。
さらに、本明細書中で理解されるように、「有効量」は、被験体において免疫応答を誘発するのに適した免疫原性合成コンストラクト(コンジュゲートまたは非コンジュゲート)の免疫学的に有効な量をいう。上記のように、「免疫応答」は、被験体における体液性および/または細胞性免疫応答を引き起こすことを包含する。結果として、被験者にとって意味のある臨床的利益が提供される。このような利益は、例えば、カンピロバクター症または関連する後遺症に関連する1つ以上の病的状態を予防し、改善し、治療し、阻害し、および/または低減することでありうる。したがって、本発明の方法は、治療方法または予防方法と考えることができる。特定の実施形態において、本発明の免疫原性合成コンストラクトおよび/またはコンジュゲートを被験体に投与し、もって被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに起因する下痢を予防しうると、本明細書で企図される。
当業者は、本発明の合成コンストラクトの投与が、後でカンピロバクター・ジェジュニの感染に見舞われた場合に被験者に免疫を生み出すために、本発明のコンストラクトおよび/または組成物(例えば、ワクチン製剤)の使用を含むことを理解するであろう。しかし、さらに、本明細書において、本発明の合成コンストラクト、コンジュゲート、組成物、ワクチン製剤、および方法が、必ずしもカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫をすべて提供したりおよび/またはすべての疾患症状を完全に治癒もしくは排除したりするわけではないと理解される。
本発明の免疫原性合成コンストラクトの適切な有効量は、当業者によって容易に決定可能であり、治療する被験体の年齢、体重、種(非ヒトの場合)および医学的状態、ならびに、そのコンストラクトがコンジュゲート型または非コンジュゲート型で投与されるかどうかに依存する。例えば、初期情報は、実験室実験で収集され、ヒトに対する有効量は、その後、従来の投与試験および日常的な実験を通じて決定される。本明細書で企図されるように、カンピロバクター・ジェジュニの感染に対するワクチン接種用のコンストラクトまたはコンジュゲートの有効量は、体重1kg当たり約1μg以下から約100μg以上でありうる。一般的な指針として、本発明のコンストラクトまたはコンジュゲートの適切な量は、アジュバントの有無にかかわらず1投与量当たり約0.1μgから約10mgの間の量でありうる。さらに、1回以上の追加用量の投与を含む免疫付与は、アジュバントの有無にかかわらず、1用量当たり約0.1μgから約10mgの間の量を用いて実施しうる。
本明細書において、本発明のコンストラクトおよび組成物は、従来の方法に従ってさまざまな経路で被験体に投与されることが企図される。従来の方法は、非経口(例えば、大そう内注射および注入技術による)、皮内、膜貫通、経皮(局所を含む)、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、病巣内、皮下、経口、および鼻腔内(例えば、吸入)の投与経路を含むがこれに限定されない。また、投与は、連続注入またはボーラス注入によるものでありうる。
さらに、本発明の組成物は、さまざまな剤形で投与しうる。これらは、例えば、選択されたpHに緩衝されうる滅菌等張水溶液や懸濁液、乳液、粘性組成物などの、非経口、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、または静脈内投与(例えば、注射可能な投与)用製剤を含む、液体調製物および懸濁液を含む。特定の実施形態において、本発明のコンストラクトおよび組成物は、注射剤として被験体に投与されることが企図される。注射剤は、筋肉内、静脈内、皮下、または経皮注射によって送達される注射用組成物を含むがこれに限定されない。このような組成物は、当業者によく知られているさまざまな医薬賦形剤、担体、または希釈剤を用いて製剤されうる。
別の特定の実施形態において、本発明の合成免疫原性コンストラクトおよび組成物は、経口投与されうる。本発明の方法による投与のための経口製剤は、さまざまな剤形、例えば、液剤、散剤、懸濁剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、カプレット、持続放出製剤、または徐放性の製剤もしくは液体が充填された製剤(例えば、ゼラチンで覆われた液体であり、それによってゼラチンが胃の中で溶けて腸に送達される)、を含みうる。このような製剤は、本明細書に記載されたさまざまな薬学的に許容される賦形剤を含みうる。このような賦形剤は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムを含むがこれに限定されない。
特定の実施形態において、本明細書では、経口投与用の組成物が液体製剤でありうることが企図される。このような製剤は、免疫原の粘膜送達を促進する(例えば、胃の内膜と普通よりも長い時間接触することにより)増強された粘度を有する組成物を生成しうる薬学的に許容される増粘剤を含みうる。このような粘性組成物は、当業者によって、従来の方法を使用し、かつ、医薬賦形剤および試薬(例えば、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボマー)を使用して、作製されうる。
鼻腔または呼吸(粘膜)投与に適した(例えば、スクイズスプレーディスペンサー、ポンプディスペンサー、またはエアロゾルディスペンサーの形態の)他の剤形が、本明細書で企図される。また、直腸または膣送達に適した剤形も本明細書で企図される。また、本発明のコンストラクト、コンジュゲート、および組成物は、凍結乾燥もされうるし、また、従来の方法を用いて再水和の有無にかかわらず被験体に送達されうる。
本明細書で理解されるように、本発明の方法は、免疫原性合成コンストラクトを被験体に、さまざまなレジメンに従って、つまり、被験体に臨床的に有意な利益を提供するのに十分な量および方法でかつ十分な時間、投与することを含む。本発明での使用に適した投与レジメンは、従来の方法に従って当業者によって決定されうる。例えば、本明細書では、有効量を、単回投与、数日間にわたって投与される一連の複数回投与、または単回投与後の追加投与(例えば、数年後)として被験体に投与しうることが企図される。本明細書で使用される用語「投与(dose)」または「投与量(dosage)」は、被験体への投与に適した物理的に不連続な単位を指し、各投与量は、所望の応答を生じるように計算された活性医薬成分としての所定の量の合成コンストラクトおよび/またはコンジュゲートを含む。
投与レジメン(例えば、投与する量や治療の回数、単位用量当たりの有効量など)は、施術者の判断次第であり、各被験体に特有である。この点で考慮すべき要因には、被験体の身体的および臨床的状態、投与経路、治療の意図した目標、ならびに、特定のコンストラクト、コンジュゲート、または組成物の効力、安定性、および毒性が含まれる。当業者に理解されるように、「追加用量(boosting dose)」は、初期用量と同じ用量または異なる用量を含みうる。実際に、被験体において所望の免疫応答を生じさせるために一連の免疫付与が投与される場合、当業者は、この場合、「有効量」が2回分以上の投与量を含みうることを理解するであろう。
本明細書で企図されるように、本発明の組成物、特に本発明の医薬組成物およびワクチンは、好ましくは無菌であり、重量または体積の単位で被験体への投与に適した量のコンストラクトおよび/またはコンジュゲートを含む。被験体に投与される組成物の体積(容量単位)は、投与方法に依存し、当業者によって認識できる。例えば、注射剤の場合、投与される体積は、典型的には、0.1〜1.0ml、好ましくは約0.5mlでありうる。
本明細書で理解されるように、本発明の「医薬組成物(pharmaceutical composition)」は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤と組み合わせて、免疫原性合成コンストラクト(キャリアタンパク質にコンジュゲートされていないもしくはコンジュゲートされたもの、またはこれらの組み合わせ)を含む。「薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)」という用語は、細胞や細胞培養、組織、生物などの生態系と適合する無毒物質を指すのに用いられる。
薬学的に許容される賦形剤、担体、および希釈剤の例は、当業者によく知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (latest edition), Mack Publishing Company, Easton, PAで見られうる。例えば、薬学的に許容される賦形剤は、湿潤または乳化剤、pH緩衝剤、結合剤、安定剤、防腐剤、増量剤、吸着剤、消毒剤、洗浄剤、糖アルコール、ゲル化または増粘添加剤、香味剤、および着色剤を含むがこれに限定されない。薬学的に許容される担体は、タンパク質や多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマー、トレハロース、脂質凝集体(油滴またはリポソームなど)、不活性ウイルス粒子などの巨大分子を含む。薬学的に許容される希釈剤は、水、生理食塩水、およびグリセロールを含むがこれに限定されない。
当業者に理解されるように、本発明の医薬組成物に含まれる薬学的に許容される追加の成分の種類および量は、例えば、所望の投与経路、ならびに所望の物理的状態、溶解性、安定性、および組成物のインビボ放出の速度によって変わりうる。例えば、静脈内注射、皮膚注射、皮下注射、または他の注射による投与に対して、ワクチン製剤は、典型的には、適切なpHおよび安定性の、発熱物質を含まない非経口的に許容される水溶液の形態であり、等張賦形剤、および、薬学的に許容される安定剤、防腐剤、緩衝剤、抗酸化剤、または当業者によく知られている他の添加剤を含みうる。
特定の実施形態において、本発明の免疫原性合成コンストラクトおよび/またはコンジュゲートを単独でまたは他の活性剤および/もしくは薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む、ワクチン製剤の形態の医薬組成物が、本明細書に記述の通りに被験体への投与のために企図される。単価ワクチン(例えば、単一の抗原または単一の微生物に対して免疫性を与えるように作られている)と多価ワクチン(例えば、同じ微生物の2つ以上の株に対してまたは2つ以上の微生物に対して免疫性を付与するように作られている)の両方が、本明細書で企図される。一実施形態において、本発明のワクチン製剤は、多価製剤である。特定の実施形態において、本発明のワクチン製剤は、カンピロバクター・ジェジュニの1つ以上の株(血清型HS23/36、HS1、HS2、HS3、HS4、およびHS5/31を含むがこれに限定されない)に対する多価製剤でありうる。また、本発明の多価製剤が、カンピロバクター・ジェジュニの1つ以上の株および/または他の細菌株(MeOPN含有莢膜を有するものを含む)に対するものを対象にしうることも、本明細書で企図される。
本発明のワクチンの製剤は、当該技術分野で広く認められている方法を用いて達成しうる。例えば、免疫学的に有効な量のコンストラクトまたはコンジュゲートワクチンに加えて、本発明の「ワクチン製剤(vaccine formulation)」は、さらに、1つ以上の非免疫原性成分、例えば、上記の1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、安定剤、防腐剤、緩衝剤、および消毒剤を含みうる。この目的のために、当業者は、頑丈で安定なワクチン製剤の開発が、抗原に安定性をもたらして凝集、タンパク質構造の喪失、および/または酸化や脱アミド化などの化学的分解を防止するさまざまな賦形剤および製剤パラメータを理想的に用いることを理解するであろう。通常の実験および従来の方法を使用する当業者は、本発明の頑丈で安定なワクチン製剤の開発によく適している特定のpH、緩衝剤、および安定剤を決定しうる。例えば、Morefield, G. (2011) The APPS Journal, 13: 191-200を参照。
加えて、医薬組成物、特に本発明のワクチン製剤は、さらに、1つ以上のアジュバントを含みうる。当業者に理解されるように、アジュバントは、抗原に対する被験体の免疫応答を助ける物質である。アジュバントは、ワクチンの免疫原性効力を増加させるのに使用可能であり、また、ワクチン製剤の安定性を高める能力をも有しうる。したがって、ワクチン製剤にアジュバントを添加することにより、より迅速でより長期の持続的な免疫応答がインビボで可能となりうる。本発明の組成物と共に使用するのに適したアジュバントは、当業者によく知られており、さまざまな商業的供給業者から入手可能である。これらは、例えば、糖脂質;ケモカイン;サイトカインおよびケモカインの産生を誘発する化合物;インターフェロン;ミョウバンやベントナイト、ラテックス、アクリル粒子などの不活性担体;プルロニックブロックポリマー;デポフォーマー;サポニンやリゾレシチン、レチナール、リポソーム、プルロニックポリマー製剤などの表面活性物質;細菌リポ多糖類などのマクロファージ刺激剤;インシュリンやザイモサン、エンドトキシン、レバミソールなどの代替経路補体活性剤;非イオン性界面活性剤;ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)トリ−ブロックコポリマー;トレハロースジミコレート(TDM);細胞壁スケルトン(CWS);完全フロイントアジュバント;フロイント不完全アジュバント;マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF);腫瘍壊死因子(TNF);3−O−脱アシル化MPL;CpGオリゴヌクレオチド;ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンエーテル、アルミニウム、ポリ[ジ(カルボキシフェノキシ)ホスファゼン](PCPP)、モノホスホリルリピドA、QS−21、コレラ毒素、およびホルミルメチオニルペプチド、を含む。
一実施形態において、アジュバントは、抗原送達システム(例えば、アルミニウム化合物またはリポソーム)、免疫賦活剤(例えば、トール様受容体リガンド)、またはそれらの組み合わせ(例えば、AS01またはASO4)からなる群から選択されうる。これらの物質は、当業者によく知られている。特定の実施形態において、本発明の組成物および方法で使用するアジュバントは、トール様受容体リガンド、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピドA、リポソーム、ならびにそれらの誘導体および組み合わせからなる群から選択される。例えば、Alving, C. et al., 2012, Expert Rev Vaccines 11, 733-44; Alving, C. et al., (2012) Curr Opin Immunol 24, 310-5; Alving C. and Rao, M, (2008) Vaccine 26, 3036-3045; US 6,090,406; US 5,916,588を参照。
免疫原性合成コンストラクトおよび/またはコンジュゲートに加えて、本発明の組成物は、さらに、1つ以上の他の活性医薬成分(追加の免疫調節剤を含むがこれに限定されない)を含みうる。本明細書で理解されるように、免疫調節剤は、被験体の免疫系を誘発し、増強し、活性化し、または刺激することができる物質である。これらの免疫調節剤は、例えば、1つ以上のカンピロバクター・ジェジュニ株の抗原、ETECの抗原、赤痢菌リポ多糖類構造、および非コンジュゲートキャリアタンパク質からなる群から選択される物質を含む。(例えば、US 2015/0258201 A1を参照。)
さらに、本発明の組成物およびワクチンは、単独で、または、他のワクチンおよび/もしくは他の治療剤もしくは免疫調節剤と組み合わせて、投与されうる。このような追加のワクチンおよび薬剤は、いかなる方法によっても、例えば、本発明の免疫原性合成コンストラクトおよび組成物の前、後、または同時に、被験体に投与されうる。
また、本発明は、本発明の免疫原性合成コンストラクトおよび/または組成物を含むキットを提供する。特定の実施形態において、キットは、コンジュゲートワクチンと、当該コンジュゲートワクチンを被検体に投与するための説明書とを含みうる。また、キットは、任意選択的に、1つ以上の他の治療剤または免疫調節剤も含みうる。キットは、任意選択的に、1つ以上の診断ツールおよび使用説明書を含みうる。例えば、2つ以上のワクチンを含む組成物を含みうるし、または、異なるワクチンもしくは治療剤を含有する別々の医薬組成物を含みうる。また、キットは、連続投与のためのコンジュゲートワクチンの別々の用量を含みうる。キットは、組成物を投与するための説明書と共に、適切な送達デバイス(例えば、注射器や吸入デバイスなど)を含みうる。キットは、任意選択的に、保管、再構成(該当する場合)、および含まれる任意またはすべての治療薬の投与のための説明書を含みうる。キットは、被験体に与える投与回数を反映する複数の容器を含みうる。キットが第1および第2の容器を含む場合、複数の容器が存在しうる。
本明細書では特定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当然のことながら、これらの実施形態および本明細書で提供される実施例は、単に本発明の原理および適用を反映したものにすぎない。したがって、当然のことながら、説明に役立つ実施形態および実施例に対して多くの変更を行うことができ、また、添付の請求項に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の構成を考案することができる。本明細書で引用したすべての特許出願、特許、文献、および参考文献は、全体が参照により本明細書に組み込まれている。
MeOPN→6−Galコンストラクトのp−メトキシフェニルおよびアミノペンチルグリコシドの合成:MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPおよびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNH
以前、従来の方法および質量分析を用いて、カンピロバクター・ジェジュニ81−176CPSのガラクトースの2位(MeOPN−2−Gal)で不定比MeOPN単位を検出し、31P共鳴は図21Aに示すものと同様であった(ピークY)(Kanipes MI, et al., (2006) J. Bacteriol. 188: 3273-3279)。H−31P相関実験においてMeOPNの31P共鳴Y(δ14.45)とガラクトース単位のH−2(δ4.52)との間のクロスピークを検出することにより、NMRによる当該MeOPN−2−Gal結合を確認した(図22A)。いくつかの81−176CPS製剤において、強度が比較的低いにもかかわらず、31P NMRスペクトルは、δ14.15で追加の共鳴を示した(指定したピークZ)(図21B)。また、同様のピークが、MeOPNのリン酸とCPSガラクトース単位のいくつかのH−6共鳴との間にクロスピークを示した別の81−176CPS製剤(CJJ81176_1420の突然変異体)において観察された(MeOPNのメチル共鳴の非常に近くで共鳴した)(図22B)。NMRデータは、81−176のピークZが、ガラクトースの6位のMeOPN(MeOPN−6−Gal)の不定比配置に対応することを示唆した。これらのデータおよびさらなる遺伝子研究は、以下の実施例8でより詳細に述べられる。
原型合成単糖類抗カンピロバクター・ジェジュニワクチンの可能性を試験するために、MeOPN→6−Galコンストラクトのp−メトキシフェニルおよびアミノペンチルグリコシド、つまり、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPおよびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHをそれぞれ合成した。具体的には、以下に示すとともに図2および図3に示すように、MeOPN→6−α−D−Galpコンストラクトを、p−メトキシフェニル(OMP)グリコシドとして合成し、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMP(図2、スキーム1)、その後、キャリアタンパク質へのコンジュゲーションのために、C−1(βアノマーとして)MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHでアミノペンチルリンカーを備えうる(図3、スキーム2)。
要約 MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPの合成(図2、図式1):
MeOPNは、弱酸性媒質で容易に除去されうるため、このような条件を回避する適切な合成方法が必要であった。出発化合物として、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドを公開された方法に従って合成した。簡単に説明すると、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドを、D−ガラクトースから、アセチル化、4−メトキシフェノールによるグリコシド化、その後、公表された方法によるゼンプレーン脱アセチル化によって合成された。(Montgomery et al. (1942) J. Am. Chem. Soc. 64, 690-694)
4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物1)から出発して、6位にトリチル基を選択的に導入した。当初は、化合物2に対してベンゾイル化を行ったが、MeOPNの導入中に観察された広範な移動は、より適切な保護基の解明を必要とした。したがって、移動に耐性があるC−2、C−3、およびC−4位を保護するためにアリル基を選択した。その後、アリル基を接触水素化分解で脱保護して、化合物3を得た。これは、MeOPN修飾に適合することが判明した。次に、トリチル基を除去して、修飾のために6−OHを露出させた化合物4を得た。
MeOPNの導入方法は、公表された反応と同様である(Maraet et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 6180-6183 (2011)を参照)。化合物4をトリエチルアミンの存在下で市販のメチルジクロロホスフェートで処理した後、アンモノリシスを行った。新たに導入したMeOPNの二重キラル性質のために、2つのジアステレオ異性体の混合物として生成物5を集めた。31P NMRは、生成物5が実際に2つのジアステレオ異性体の1:1混合物であり、10.5ppmで2つのリンシグナルを示すことを確認できた。また、H NMRは、2つのアノマーおよび2つのOCHシグナルを有する2組のシグナルを明らかにした(データは示さず)。
この反応により、副生成物の混合物が得られた。最も豊富なものは、第2のNHによるO−メチル基の置換であった。塩化パラジウム(II)によるアリル基の除去は、生成物6を生成した。化合物5と同様に、ジアステレオ異性体の混合物がHおよび31P NMRによって観察された(図13)。2D H−31P HMBC NMR実験は、MeOPNがO−6位に導入され、リンシグナルとH−6およびOCHの両シグナルとの間に相関シグナルを示すことを確認できた。
要約 MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHの合成(図3、スキーム2)
MeOPN修飾の方法の設計に成功した後、ワクチンコンジュゲートを作製するために、コンストラクトをリンカーに結合した。まず、4−メトキシフェニル(OMP)をガラクトシド(図2の化合物3)から除去した。対応するヘミアセタールをトリクロロアセトイミデート供与体(化合物7)に変換した。その後、5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニルリンカーを、0℃で活性剤としてTMSOTfと共に導入した。化合物8を、βアノマーで65%、αアノマーで29%集めた。トリチル基の除去により、MeOPNの導入のための遊離ヒドロキシル基を有する化合物9が得られた。上記の手順を用いて、ホスホルアミダート(化合物10)を2つのジアステレオ異性体の混合物として回収した。その後、アリルおよびフタルイミド保護基を除去して、化合物11、それから化合物12を得た。
材料および方法:
化合物は、従来の方法を用いて合成し、すべての化学物質は、商業的供給業者から購入し、受け取ったまま使用した。分子篩は、加熱マントルにより減圧下で加熱することによって活性化した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、TLCシリカゲルF254上で実施した。糖化合物は、UV光によってまたはエタノール中の10%HSOによる炭化によって可視化した。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルP60(43〜60μm、230〜400メッシュ)で行った。H NMRおよび13C NMRスペクトルは、Bruker400または600MHz分光計(ブルガーダルトニクス社、ビレリカ、マサチューセッツ州)を用いて記録した。残りの非重水素化溶媒(CHClに対してδ7.24ppm)をHスペクトルの内部基準として使用した。13Cスペクトルの場合、化学シフトが溶媒(CDClに対してδ77.1ppm)に対して報告される。化学シフトは、百万分率(ppm)で報告される。結合定数は、ヘルツ(Hz)で報告される。次の略語は、多重度を示すのに使用される:s、一重項;d、二重項;t、三重項;m、多重項。旋光度は、ルドルフリサーチオートポール3自動偏光計(ルドルフ・リサーチ・アナリティカル社、ハケッツタウン、ニュージャージー州)で測定した。濃度(c)は、g/100mlで表す。合成化合物の高分解能質量スペクトルは、電子スプレーイオン化質量分析(飛行時間分析器)によって記録した。
4−メトキシフェニル6−O−トリチル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物2):
ピリジン(40mL)に溶解した化合物1(2.7g、9.3mmol)の溶液に塩化トリチル(3.1g、11mmol)を加え、反応混合物を60℃で3日間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物2を得た(4.7g、95%)。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.44〜7.20(m、15H、Ar−H);7.11〜6.83(m、4H、MeOC);5.51(d、1H、J=3.6Hz、H−1);4.05〜3.93(m、4H、H−2、H−3、H−4、H−5);3.79(s、3H、OCH);3.54〜3.32(m、2H、H−6)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ155.3、151.2、150.6、144.3、143.8、143.7、143.6、129.1、128.6、128.0、127.9、127.8、127.5、127.3、127.1、127.0、118.5、117.9、114.6、114.5、114.4(Ar);98.4(C−1);87.0、71.2、70.0、69.3(C−2、C−3、C−4、C−5);63.6(C−6);55.6(CH)。HRMS(ESI):C3232[M+Na]に対する計算値:551.2046、実測値:551.2021。
4−メトキシフェニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物3):
臭化アリル(4.6mL、53mmol)でDMF(60mL)に溶解した化合物2(4.7g、8.8mmol)の溶液を0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム、60%分散液(1.2g、29mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、反応をMeOH(10mL)で急冷し、氷冷水(100mL)に注ぎ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。1:7EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、化合物3(5.1g、89%)を得た。[α] 25=+132.6°(c+0.1、CHCl);H NMR(400MHz、CDCl):δ7.38〜7.18(m、15H、Ar−H);7.10〜6.75(m、4H、MeOC);6.00〜5.53(m、3H、CH−CH=CH);5.42(d、1H、J=3.2Hz、H−1);5.33〜4.98(m、6H、CH−CH=CH);4.37〜3.72(m、13H、CH−CH=CH、H−2、H−3、H−4、H−5、OCH);3.38(m、1H、H−6a);3.01(m、1H、H−6b)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ155.0、151.0、143.9(Ar);135.2、135.1、135.0(CH−CH=CH);128.6、127.8、127.0、119.0、117.4、117.3、116.4、114.4(CH−CH=CH、Ar);97.5(C−1);86.8;78.2(C−2);77.4(C−4;76.1(C−5);73.9、72.5、71.9(CH−CH=CH);70.4(C−3)63.3(C−6);55.6(OCH)。HRMS(ESI):C4144[M+Na]に対する計算値:671.2985、実測値:671.2970。
4−メトキシフェニル2,3,4−トリ−O−アリル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物4):
80%水性AcOH(5mL)中の化合物3(300mg、0.46mmol)の溶液を80℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(1:6EtOAc−ヘキサン)により精製して、化合物4(147mg、78%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl3):δ7.02〜6.78(m、4H、MeOC);5.95〜5.89(m、3H、CH−CH=CH);5.50(d、1H、J=3.5Hz、H−1);5.35〜5.12(m、6H、CH−CH=CH);4.42(dd、1H、J=3.2Hz、J=9.3Hz、H−3);4.27〜3.89(m、10H、CH−CH=CH、H−2、H−4、H−5、OH);3.81(m、1H、H−6a);3.74(s、3H、OCH);3.70(m、1H、H−6b)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ155.1、150.9(Ar);135.0、134.9(CH−CH=CH);118.6、118.0、117.4、116.6、114.5(CH−CH=CH、Ar);97.5(C−1);78.2、75.9、74.0、72.6、72.0,71.0(CH−CH=CH、C−2、C−3、C−4、C−5);62.7(C−6);55.6(OCH)。HRMS(ESI):C2230[M+Na]に対する計算値:429.1890、実測値:429.1891。
4−メトキシフェニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−メチル−ホスホルアミデート−α−D−ガラクトピラノシド(化合物5):
分子篩でCHCl(3mL)に溶解した化合物4(65mg、0.16mmol)およびジクロロリン酸メチル(150μL、1.3mmol)の溶液に、EtN(175μL、1.3mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。10分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物5を得た(15mg、19%)。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.04〜6.77(m、4H、MeOC);5.99〜5.85(m、3H、CH−CH=CH);5.48(2d、1H、J=3.6Hz、H−1);5.36〜5.10(m、6H、CH−CH=CH);4.41(m、1H、H−3);4.29〜4.10(m、8H、CH−CH=CH、H−2、H−4);3.95〜3.86(m、3H、H−5、H−6);3.73(s、3H、OCH);3.57(2d、3H、J=11.4Hz、OCH);2.75、2.56(2d、2H、NH)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ155.2、155.0、150.9(Ar);135.0、134.9(CH−CH=CH);128.9、128.3、118.8、118.5、117.7、117.5、117.4、116.6、114.5、114.4(CH−CH=CH、Ar);97.6、97.2(C−1);78.1、75.8、74.4、74.0、72.7、71.9、70.5、70.4、70.0、69.9、68.5、65.5、(CH−CH=CH、C−2、C−3、C−4、C−5、C−6);55.7、53.3、53.2(OCH)。HRMS(ESI):C2334NOP[M+H]に対する計算値:500.2050、実測値:500.2035。
4−メトキシフェニル6−O−メチル−ホスホルアミデート−α−D−ガラクトピラノシド(化合物6):
MeOH(1mL)に溶解した化合物5(17.0mg)の溶液にPdCl(5.0mg)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(純粋なEtOAc)で精製して、化合物6を得た(5.1mg、39%)。1H NMR(400MHz、DO):δ6.98〜6.80(m、4H、MeOC);5.39(2d、1H、J=3.6Hz、H−1);4.13(m、1H、H−3);4.01〜3.85(m、4H、H−4、H−5、H−6);3.78(m、1H、H−2);3.63(OCH);3.41(2d、3H、J=11.4Hz、OCH)。13C NMR(100MHz、DO):δ154.6、150.0、149.9、119.3、119.1、114.9(Ar);98.1、97.9(C−1);70.3、70.2、70.0、69.1、68.8、67.8、65.8(C−2、C−3、C−4、C−5、C−6);55.6(OCH);53.6、53.5、53.4(OCH)。HRMS(ESI):C1423NOP[M+H]に対する計算値:380.1111;実測値380.1110。
2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−α,β−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート(化合物7):
CHCN(480mL)およびHO(120mL)に溶解した化合物3(5.0g、7.7mmol)の溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(12.8g、23mmol)を加え、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、混合物をブライン(200mL)で希釈し、EtOAc(3×300mL)で抽出した。有機層を飽和NaCO水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:6EtOAc−ヘキサン)で精製した。得られたヘミアセタール(3.3g、6.1mmol)を無水CHCl(120ml)に溶解し、CClCN(310μL、30mmol)およびKCO(420mg、30mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、セライト(登録商標)で濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(体積1%EtNを含む1:4EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物7をα,β−混合物として得た(3.6g、2段階で57%)(化合物7A、7B)。
7A:H NMR(400MHz、CDCl):δ8.52(s、1H、NH);7.42〜7.18(m、15H、Ar−H);6.46(d、1H、J=3.6Hz、H−1);6.00〜5.61(m、3H、CH−CH=CH);5.39〜4.98(m、6H、CH−CH=CH);4.32〜3.84(m、10H、CH−CH=CH、H−2、H−3、H−4、H−5);3.35(m、1H、H−6a);3.09(m、1H、H−6b)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ161.3、160.8、143.9、143.7、135.2、135.0、134.9、134.8、134.1、133.8、128.8、128.6、127.8、127.1、127.0(Ar、CH−CH=CH);117.9、117.4、117.3、116.7、116.5(CH−CH=CH);104.0(C−1);86.8(C−3);86.7(C−2);83.8(C−3);82.6;76.7(C−4);75.3、74.1、72.5、72.2、71.8、71.0(CH−CH=CH、C−5);61.9(C−6)。HRMS(ESI):C3638l3NO[M+Na]に対する計算値:708.1663、実測値:708.1673。
7B:H NMR(400MHz、CDCl):δ8.59(s、1H、NH);7.41〜7.18(m、15H、Ar−H);5.90(m、2H、CH−CH=CH);5.62(m、2H、H−1、CH−CH=CH);5.35〜5.01(m、6H、CH−CH=CH);4.31〜3.83(m、6H CH−CH=CH);3.83(m、1H、H−5);3.76(dd、1H、J=8.2Hz、J=9.7Hz、H−3);3.62(t、1H、J=5.9Hz、H−2);3.48〜3.39(m、2H、H−4、H−6a);3.12(dd、1H、J=7.2Hz、J=9.3Hz、H−6b)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ161.5、143.8(Ar);135.4、134.9、134.8(CH−CH=CH);128.7、128.6、128.0、127.9、127.1(Ar);117.3、117.0、116.8(CH−CH=CH);98.5(C−1);86.8(C−2);81.6(C−3);77.8(C−5);74.6(C−3);74.2、73.8、73.3、72.0(CH−CH=CH、C−4);62.4(C−6)。HRMS(ESI):C3638ClNO[M+Na]に対する計算値:708.1663、実測値:708.1673。
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−β−D−ガラクトピラノシド(化合物8):
トリクロロアセトイミデート(化合物7、両方アノマー)(1.1g、1.6mmol)および5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタノール(560mg、2.4mmol)を無水CHCl(25mL)に溶解し、反応混合物を0℃に冷却した。TMSOTf(15μL、0.080mmol)を滴下して加え、反応混合物を0℃で15分間撹拌した。その後、反応物をEtN(15μL)で中和し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:8EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物8(783mg、65%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.80〜7.67(m、4H、フタルイミドプロトン);7.41〜7.19(m、15H、Ar−H);5.98〜5.59(m、3H、CH−CH=CH);5.33〜4.94(m、6H、CH−CH=CH);4.30〜3.84(m、8H、CH−CH=CH、H−1、リンカー−CHH);3.77(d、1H、J=2.9Hz、H−5);3.62(t、2H、J=7.3Hz、リンカー−CH);3.45〜3.35(m、4H、H−2、H−4、H−6a、リンカー−CHH);3.29(dd、1H、J=3.0Hz、J=9.8Hz、H−3);3.13(dd、1H、J=9.4Hz、J=10.1Hz、H−6b);1.65(m、4H、リンカー−CH);1.40(m、2H、リンカー−CH13C NMR(100MHz、CDCl):168.4、143.8(Ar);135.7、135.3、135.2(CH−CH=CH);133.9、132.1、128.7、127.9、127.1、123.2(Ar);116.8、116.5(CH−CH=CH);103.7(C−1);86.8;81.5(C−1);79.2(C−2);73.9、73.6、73.4、73.3(C−5、C−4、CH−CH=CH);71.9、69.4(リンカー);62.5(C−6);37.9、29.2、28.4、23.4(リンカー)。HRMS(ESI):C4751NO[M+Na]に対する計算値:780.3513、実測値780.3489。
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−β−D−ガラクトピラノシド(化合物9):
80%水性AcOH(10mL)に溶解した化合物8(493mg、0.65mmol)の溶液を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物9(260mg、78%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl3):δ7.81〜7.66(m、4H、フタルイミドプロトン);5.92〜5.82(m、3H、CH−CH=CH);5.30〜5.10(m、6H、CH−CH=CH);4.37〜4.02(m、6H、CH−CH=CH);4.22(d、1H、J=7.7Hz、H−1);3.88(m、2H、H−6a、リンカー−CHH);3.69〜3.60(m、4H、H−4、H−6b、リンカー−CH);3.51〜3.42(m、2H、H−2、リンカー−CHH);3.39(m、1H、H−5);3.28(dd、1H、J=3.0Hz、J=9.8Hz、H−3);2.09(m、1H、6−OH);1.65(m、4H、リンカー−CH);1.40(m、2H、リンカー−CH2)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ168.5(フタルイミドC=O);135.3、135.0、133.9(CH−CH=CH);132.1、123.2(フタルイミド);117.8、116.7、116.6(CH−CH=CH);103.9(C−1);81.6(C−3);79.1(C−2);74.6(C−5);74.0(C−4);73.7、73.6(CH−CH=CH);72.1、69.6(リンカー);62.5(C−6);37.8、29.2、28.3、23.3(リンカー)。HRMS(ESI):C2837NO[M+Na]に対する計算値:538.2417、実測値538.2403。
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(化合物10):
分子篩でCHCl(15mL)に溶解した化合物9(400mg、0.78mmol)およびジクロロリン酸メチル(0.70mL、6.0mmol)の溶液に、EtN(0.70mL、5.0mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。10分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)で精製して、化合物10を得た(129mg、27%)。H NMR(400MHz、CDCl):7.80〜7.68(フタルイミドプロトン);5.88(m、3H、CH−CH=CH);5.30〜5.10(m、6H、CH−CH=CH);4.23〜4.10(m、9H、CH−CH=CH、H−1、リンカー−CH);3.82(m、1H、H−5);3.71〜3.39(m、9H、OCH、H−4、H−2、H−6a、H−6b、リンカー−CH);3.28(m、1H、H−3);2.87(dd、2H、J=5.3Hz、J=13.0Hz、NH);1.66(m、4H、リンカー−CH);1.38(m、2H、リンカー−CH)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ168.5(Ar);135.4、135.2、134.9(CH−CH=CH);133.9、132.1、123.2(Ar);117.5、117.2、116.8、116.7、116.6(CH−CH=CH);103.8(C−1);81.4(C−3);78.9(C−2);74.0、73.8、73.3、73.2、73.0、72.9、72.1(CH−CH=CH、C−5、C−4);69.8、69.7(C−6);65.3、65.0、64.9(リンカー);53.4、53.3(OCH);37.9、29.7、29.2、28.3(リンカー)。HRMS(ESI):C294110P[M+H]に対する計算値:609.2578、実測値609.2585。
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(化合物11):
MeOH(4mL)に溶解した化合物10(95mg、0.16μmol)の溶液に、PdCl(20mg)を加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)による精製により、化合物11(57mg、75%)を得た。H NMR(400MHz、D2O):δ7.64(m、4H、フタルイミドプロトン);4.23(d、1H、J=8.0Hz、H−1);4.01(m、2H、H−6);3.78〜3.70(m、3H、H−4、H−5、リンカー−CHH));3.59〜3.45(m、7H、OCH、リンカー−CHリンカー−CHH、H−3);3.33(dd、1H、J=8.0Hz、J=9.8Hz、H−2);1.51(m、4H、リンカー−CH);1.22(m、2H、リンカー−CH)。13C NMR(100MHz、DO):170.9、134.5、133.9、131.3、126.0、123.1(Ar);102.6(C−1);73.2(C−5);72.5(C−3);71.9(C−2);70.3、70.2(リンカー);68.1(C−4);65.4(C−6);53.6(OCH);48.7、37.6(リンカー);28.2、27.2、22.3(リンカー)。HRMS(ESI):C202910P[M+H]に対する計算値:489.1639、実測値489.1624。
5−アミノ−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(化合物12):
95%EtOH(1mL)に溶解した化合物11(23mg、0.047μmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(16μL、0.33μmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3:1EtOAc−MeOH)で精製して化合物12(14mg、82%)を得た。H NMR(400MHz、DO):δ4.27(d、1H、J=7.1Hz、H−1);4.03(m、2H、リンカー−CH);3.81〜3.75(m、3H、H−4、H−5、H−6a);3.61〜3.48(m、5H、OCH、H−3、H−6b);3.36(dd、1H、J1=7.9、J2=9.9Hz、H−2);2.82(t、2H、J=7.5Hz、リンカー−CH);1.52(m、4H、リンカー−CH);1.30(m、2H、リンカー−CH)。13C NMR(100MHz、DO):δ102.6(C−1);73.2(C−5);72.5(C−3);70.5(C−2);70.1(C−6);68.1(C−4);60.0(リンカー);48.7(OCH);39.2、28.0、26.3、22.0、21.9(リンカー)。HRMS(ESI):C1227P[M+H]に対する計算値:359.1584、実測値359.1587。
また、構造MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHの合成も、図4のスキーム2aに記載のように示すことができ、以下に要約する。
以前に報告された化合物(Comfort, et al., Biochem. 46: 3319-3330 (2007))、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物1を参照)から出発して、トリチル基をC−6に選択的に導入した。当初は、化合物2にベンゾイル化を行ったが(スキーム2a、化合物2)、MeOPNの導入中に観察された広範な移動が、より適切な保護基の解明をもたらした。したがって、移動に耐性があるC−2、C−3、およびC−4位を保護するためにアリル基を選択した。その後、アリル基を触媒的水素化分解で脱保護した。これは、MeOPN修飾に適合することが判明した。
アリル基を導入した後、アミノ−ペンタニルリンカーを、コンジュゲーション用の部位としてアノマー位に導入した。ガラクトシド(スキーム2a、化合物3)から出発して、まず、硝酸セリウムアンモニウム(CAN)を用いて4−メトキシフェニル基(OMP)を除去した。その後、対応するヘミアセタールをトリクロロアセトイミダート供与体に変換した(スキーム2a、化合物4を参照)。その後、5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニルリンカーを、0℃で活性剤としてTMSOTfと共に導入した。化合物5を、βアノマーとして65%、αアノマーとして29%集めた。トリチル基の除去により、修飾用の遊離6−ヒドロキシル基を有する化合物6を得た。
MeOPN基の導入方法は、C. Mara et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 6180-6183 (2011)によって提案された反応と同様である。化合物6をトリエチルアミンの存在下で市販のメチルジクロロホスフェートで処理した後、アンモノリシスを行った。新たに導入したMeOPN(RおよびS)のキラリティ(chirality)の性質のために、2つのジアステレオ異性体の混合物として化合物7を集めた。H NMRは、化合物7が実際に2つのジアステレオ異性体の1:1混合物であり、スペクトル全体にわたって2組のシグナルを示すことを確認できた。これは、アノマーおよびO−Meシグナルについて見られうる。この反応により、副生成物の混合物が得られた。最も豊富なものは、第2のNHによるO−Me基の置換であった。これが、この反応の低収率の主な原因である。
アリルおよびフタルイミド保護基を塩化パラジウム(II)およびヒドラジンでそれぞれ除去して、化合物8および化合物9を生成した。化合物7と同様に、ジアステレオ異性体の混合物は、NMRによく現れている。光学的に純粋ではないものの、31P NMRの結果は、天然のMeOPN含有多糖類と一致し、14ppmあたりにリン信号を有する。31H−31P HMBC NMR実験は、MeOPNがO−6位に導入され、O−MeシグナルおよびH−6シグナルとで相関シグナルを示すことを確認できた(データは示さず)。
MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHの上記合成の詳細は、以下およびスキーム2aに提供されている。
4−メトキシフェニル6−O−トリチル−α−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物2):
ピリジン(40mL)に溶解した化合物1(2.7g、9.3mmol)の溶液に塩化トリチル(3.1g、11mmol)を加え、反応混合物を60℃で3日間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物2(4.7g、95%)を得た。[α] 25=+91.2°(c=0.21、CHCl);H NMR(400MHz、CDCl):δ7.44〜7.20(m、15H、Ar−H);7.11〜6.83(m、4H、MeOC);5.51(d、1H、J=3.6Hz、H−1);4.05〜3.93(m、4H、H−2、H−3、H−4、H−5);3.79(s、3H、OCH);3.54〜3.32(m、2H、H−6)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ155.3、151.2、150.6、144.3、143.8、143.7、143.6、129.1、128.6、128.0、127.9、127.8、127.5、127.3、127.1、127.0、118.5、117.9、114.6、114.5、114.4(Ar);98.4(C−1);87.0、71.2、70.0、69.3(C−2、C−3、C−4、C−5);63.6(C−6);55.6(CH)。HRMS(ESI):C3232[M+Na]に対する計算値:551.2046、実測値:551.2021。
4−メトキシフェニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−α−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物3):
臭化アリル(4.6mL、53mmol)を含むDMF(60mL)に溶解した化合物2(4.7g、8.8mmol)の溶液を0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム、60%分散液(1.2g、29mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、反応をMeOH(10mL)で急冷し、氷冷水(100mL)に注ぎ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。1:7EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、化合物3を得た(スキーム1、構造3を参照)(5.1g、89%)。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.38〜7.18(m、15H、Ar−H);7.10〜6.75(m、4H、MeOC);6.00〜5.53(m、3H、CH−CH=CH);5.42(d、1H、J=3.2Hz、H−1);5.33〜4.98(m、6H、CH−CH=CH);4.37〜3.72(m、13H、CH−CH=CH、H−2、H−3、H−4、H−5、OCH);3.38(m、1H、H−6a);3.01(m、1H、H−6b)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ155.0、151.0、143.9(Ar);135.2、135.1、135.0(CH−CH=CH);128.6、127.8、127.0、119.0、117.4、117.3、116.4、114.4(CH−CH=CH、Ar);97.5(C−1);86.8;78.2(C−2);77.4(C−4);76.1(C−5);73.9、72.5、71.9(CH−CH=CH);70.4(C−3)63.3(C−6);55.6(OCH)。HRMS(ESI):C4144[M+Na]に対する計算値:671.2985、実測値:671.2970。
2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−α,β−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート(スキーム2a、化合物4):
CHCN(480mL)およびHO(120mL)に溶解した化合物3(5.0g、7.7mmol)の溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(12.8g、23mmol)を加え、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、混合物をブライン(200mL)で希釈し、EtOAc(3×300mL)で抽出した。有機層を飽和NaCO水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:6EtOAc−ヘキサン)で精製した。得られたヘミアセタール(3.3g、6.1mmol)を無水CHCl(120ml)に溶解し、CClCN(310μL、30mmol)およびKCO(420mg、30mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、セライト(登録商標)で濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(体積1%EtNを含む1:4EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物4をα,β−混合物として得た(3.6g、2段階で57%)。
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物5):
トリクロロアセトイミデート(化合物4)(1.1g、1.6mmol)および5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタノール(560mg、2.4mmol)を無水CHCl(25mL)に溶解し、反応混合物を0℃に冷却した。TMSOTf(15μL、0.080mmol)を滴下して加え、反応混合物を0℃で15分間撹拌した。その後、反応物をEtN(15μL)で中和し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:8EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物5(783mg、65%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.80〜7.67(m、4H、フタルイミドプロトン);7.41〜7.19(m、15H、Ar−H);5.98〜5.59(m、3H、CH−CH=CH);5.33〜4.94(m、6H、CH−CH=CH);4.30〜3.84(m、8H、CH−CH=CH、H−1、リンカー−CHH);3.77(d、1H、J=2.9Hz、H−5);3.62(t、2H、J=7.3Hz、リンカー−CH);3.45〜3.35(m、4H、H−2、H−4、H−6a、リンカー−CHH);3.29(dd、1H、J=3.0Hz、J=9.8Hz、H−3);3.13(dd、1H、J=9.4Hz、J=10.1Hz、H−6b);1.65(m、4H、リンカー−CH);1.40(m、2H、リンカー−CH)。13C NMR(100MHz、CDCl):168.4、143.8(Ar);135.7、135.3、135.2(CH−CH=CH);133.9、132.1、128.7、127.9、127.1、123.2(Ar);116.8、116.5(CH−CH=CH);103.7(C−1);86.8;81.5(C−1);79.2(C−2);73.9、73.6、73.4、73.3(C−5、C−4、CH−CH=CH);71.9、69.4(リンカー);62.5(C−6);37.9、29.2、28.4、23.4(リンカー)。HRMS(ESI):C4751NO[M+Na]に対する計算値:780.3513、実測値780.3489。
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物6):
80%水性AcOH(10mL)に溶解した化合物5(493mg、0.65mmol)の溶液を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物6(260mg、78%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.81〜7.66(m、4H、フタルイミドプロトン);5.92〜5.82(m、3H、CH−CH=CH);5.30〜5.10(m、6H、CH−CH=CH);4.37〜4.02(m、6H、CH−CH=CH);4.22(d、1H、J=7.7Hz、H−1);3.88(m、2H、H−6a、リンカー−CHH);3.69〜3.60(m、4H、H−4、H−6b、リンカー−CH);3.51〜3.42(m、2H、H−2、リンカー−CHH);3.39(m、1H、H−5);3.28(dd、1H、J=3.0Hz、J=9.8Hz、H−3);2.09(m、1H、6−OH);1.65(m、4H、リンカー−CH);1.40(m、2H、リンカー−CH)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ168.5(フタルイミドC=O);135.3、135.0、133.9(CH−CH=CH);132.1、123.2(フタルイミド);117.8、116.7、116.6(CH−CH=CH);103.9(C−1);81.6(C−3);79.1(C−2);74.6(C−5);74.0(C−4);73.7、73.6(CH−CH=CH);72.1、69.6(リンカー);62.5(C−6);37.8、29.2、28.3、23.3(リンカー)。HRMS(ESI):C2837NO[M+Na]に対する計算値:538.2417、実測値538.2403。
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物7):
分子篩でCHCl(15mL)に溶解した化合物6(400mg、0.78mmol)およびジクロロリン酸メチル(0.70mL、6.0mmol)の溶液に、EtN(0.70mL、5.0mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。10分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)で精製して、生成物7(129mg、27%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):7.80〜7.68(フタルイミドプロトン);5.88(m、3H、CH−CH=CH);5.30〜5.10(m、6H、CH−CH=CH);4.23〜4.10(m、9H、CH−CH=CH、H−1、リンカー−CH);3.82(m、1H、H−5);3.71〜3.39(m、9H、OCH、H−4、H−2、H−6a、H−6b、リンカー−CH);3.28(m、1H、H−3);2.87(dd、2H、J=5.3Hz、J=13.0Hz、NH);1.66(m、4H、リンカー−CH);1.38(m、2H、リンカー−CH)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ168.5(Ar);135.4、135.2、134.9(CH−CH=CH);133.9、132.1、123.2(Ar);117.5、117.2、116.8、116.7、116.6(CH−CH=CH);103.8(C−1);81.4(C−3);78.9(C−2);74.0、73.8、73.3、73.2、73.0、72.9、72.1(CH−CH=CH、C−5、C−4);69.8、69.7、65.3(C−6);65.0、64.9(リンカー);53.4、53.3(OCH);37.9、29.7、29.2、28.3(リンカー)。HRMS(ESI):C294110P[M+H]に対する計算値:609.2578、実測値609.2585。
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物8):
MeOH(4mL)に溶解した化合物7(95mg、0.16μmol)の溶液に、PdCl(20mg)を加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)による精製により、化合物8(57mg、75%)を得た。H NMR(400MHz、DO):δ7.64(m、4H、フタルイミドプロトン);4.23(d、1H、J=8.0Hz、H−1);4.01(m、2H、H−6);3.78〜3.70(m、3H、H−4、H−5、リンカー−CHH);3.59〜3.45(m、7H、OCH、リンカー−CHリンカー−CHH、H−3);3.33(dd、1H、J=8.0Hz、J=9.8Hz、H−2);1.51(m、4H、リンカー−CH);1.22(m、2H、リンカー−CH)。13C NMR(100MHz、DO):170.9、134.5、133.9、131.3、126.0、123.1(Ar);102.6(C−1);73.2(C−5);72.5(C−3);71.9(C−2);70.3、70.2(リンカー);68.1(C−4);65.4(C−6);53.6(OCH);48.7、37.6(リンカー);28.2;27.2、22.3(リンカー)。HRMS(ESI):C202910P[M+H]に対する計算値:489.1639、実測値489.1624。
5−アミノ−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物9):
95%EtOH(1mL)に溶解した化合物8(23mg、0.047μmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(16μL、0.33μmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3:1EtOAc−MeOH)で精製して化合物9(14mg、82%)を得た。H NMR(400MHz、DO):δ4.27(d、1H、J=7.1Hz、H−1);4.03(m、2H、リンカー−CH);3.81〜3.75(m、3H、H−4、H−5、H−6a);3.61〜3.48(m、5H、OCH、H−3、H−6b);3.36(dd、1H、J=7.9、J=9.9Hz、H−2);2.82(t、2H、J=7.5Hz、リンカー−CH);1.52(m、4H、リンカー−CH);1.30(m、2H、リンカー−CH)。13C NMR(100MHz、DO):δ102.6(C−1);73.2(C−5);72.5(C−3);70.5(C−2);70.1(C−6);68.1(C−4);60.0(リンカー);48.7(OCH);39.2、28.0、26.3、22.0、21.9(リンカー)。HRMS(ESI):C1227P[M+H]に対する計算値:359.1584、実測値359.1587。
MeOPN→2−β−D−Galp−(1→OMPの合成
要約 MeOPN→2−β−D−Galp−(1→OMPの合成(図5、スキーム3):
MeOPN→2−β−D−Galp−(1→OMPの合成を図5のスキーム3に示す。ガラクトシド(生成物7)の合成は、既知の化合物である4−メトキシフェニル3,4−O−イソプロピリデン−6−O−トリチル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物1)から始めた。この生成物1は、公表された手順(スキーム1)に従ってD−ガラクトースから調製した(Comfort DA, et al., Biochem 2007; 46: 3319- 3330)。C−2位を区別するために、O−アリル化を行い、優れた収率で生成物2を生成した。MeOPNは酸性媒質によって除去可能であるため、適切な保護基を導入する必要があった。よって、O−イソプロピリデンおよびO−トリチル基を除去して、生成物3を得た。その後、これを過ベンゾイル化して生成物4を得た。次に、アリル基を除去して、修飾用の遊離2−OHを得た。MeOPN基の生成物5への導入は、まず市販のジクロロリン酸メチルでリン酸化した後でアンモノリシスを行うことを含む、以前に当研究所で開発した方法に従った(Jiao, Y. et al., Carbohydr. Res. (2015) doi: 10.1016/j.carres.2015.09.012)。生成物5の31P NMRスペクトルは、2つのジアステレオ異性体の形成に起因して、約1:1比の2つのリンシグナルを示した。生成物6を脱ベンゾイル化して、O−Me−ホスホルアミデートガラクトシドの生成物7を得た。興味深いことに、本発明者らは、フラッシュクロマトグラフィーを用いてジアステレオ異性体の1つを精製することができた。ジアステレオ異性体731P NMRスペクトルは、14.27ppmで単一のシグナルを示した(図14参照)。
材料および方法:
従来の方法を用いて化合物を合成し、すべての化学物質を商業的供給業者から購入し、受け取ったまま使用した。分子篩を、加熱マントルにより減圧下で加熱することによって活性化した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、TLCシリカゲルF254上で実施した。糖化合物は、UV光によってまたはエタノール中の10%HSOによる炭化によって可視化した。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルP60(43〜60μm、230〜400メッシュ)で行った。1H NMRおよび13C NMRスペクトルは、Bruker400または600MHz分光計(ブルガーダルトニクス社、ビレリカ、マサチューセッツ州)を用いて記録した。残りの非重水素化溶媒(CHClに対してδ7.24ppm)をHスペクトルの内部基準として使用した。13Cスペクトルの場合、化学シフトが溶媒(CDClに対してδ77.1ppm)に対して報告される。化学シフトは、百万分率(ppm)で報告される。結合定数は、ヘルツ(Hz)で報告される。次の略語は、多重度を示すのに使用される:s、一重項;d、二重項;t、三重項;m、多重項。旋光度は、ルドルフリサーチオートポール3自動偏光計で測定した。濃度(c)は、g/100mlで表す。合成化合物の高分解能質量スペクトルは、電子スプレーイオン化質量分析(飛行時間分析器)によって記録した。
4−メトキシフェニル2−O−アリル−3,4−O−イソプロピリデン−6−O−トリチル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物2):
臭化アリル(0.16mL、1.8mmol)を含むDMF(18mL)に溶解した生成物1(0.68g、1.2mmol)の溶液を0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム、60%分散液(57mg、1.4mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、反応をMeOH(2mL)で急冷し、氷冷水(40mL)に注ぎ、CHCl(3×50mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。1:7EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、生成物2(0.69g、95%)を得た。[α] 25=+40.2°(c=0.05、CHCl);H NMR(400MHz、CDCl):δ7.46〜7.19(m、15H、Ar);7.10〜6.75(m、4H、MeOC);5.92(m、1H、CH−CH=CH);5.34〜5.19(m、2H、CH−CH=CH);4.67(d、1H、J=8.1Hz、H−1);4.36(m、2H、CH−CH=CH);4.08(m、2H、H−3、H−4);3.73(s、3H、OCH);3.61〜3.53(m、3H、H−2、H−5、H−6a);3.34(m、1H、H−6b);1.47(s、3H、CH);1.29(s、3H、CH)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ155.2,151.5,144.0,143.9(Ar);134.9(CH−CH=CH);128.8、127.9、127.8、127.0、126.9、118.6、118.3、117.7、117.4、114.5、114.4、110.2、109.3(CH−CH=CH、Ar);102.2(C−1);86.8(CMe)79.4(C−2);79.2(C−3);73.8(C−4);72.9(CH−CH=CH);72.6(C−5);63.0(C−6);55.6(OCH);27.9、26.3(CH)。HRMS(ESI):C3840NaO[M+Na]に対する計算値:631.2672、実測値:631.2670。
4−メトキシフェニル2−O−アリル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物3):
80%水性AcOH(10mL)中の生成物2(0.69g、1.1mmol)の溶液を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)による精製により、生成物3(0.35g、94%)を得た。[α] 25=+90.2°(c=0.2、CHCl);H NMR(400MHz、CDCl):δ7.01〜7.78(m、4H、MeOC);5.91(m、1H、CH−CH=CH);5.19(m、2H、CH−CH=CH);4.83(d、1H、J=7.5Hz、H−1);4.53〜4.25(m、2H、CH−CH=CH);4.14(m、1H、H−5);3.96(m、1H、H−6a);3.85(m、1H、H−6b);3.76(s、3H、OCH);3.62(m、3H、H−2、H−3、H−4)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ155.4,151.1(Ar);134.5(CH−CH=CH);118.5、118.2、118.0、114.6、114.6(CH−CH=CH、Ar);102.6(C−1);78.4(C−3);75.9(C−4);73.7(CH−CH=CH);73.0(C−2);68.9(C−5);62.8(C−6);55.7(OCH)。HRMS(ESI):C1623[M+H]に対する計算値:327.1445、実測値:327.1422。
4−メトキシフェニル2−O−アリル−3,4,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物4):
CHCl(1mL)およびピリジン(65μL、8.3mmol)中の生成物3(27mg、0.83mmol)の溶液に、BzCl(100μL、8.3mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。MeOH(1mL)を加え、反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:3EtOAc−ヘキサン)により精製して、生成物4(51mg、97%)を得た。[α] 25=+48.6°(c=0.1、CHCl);H NMR(400MHz、DO):δ8.07〜7.29(m、15H、Ar);7.06〜6.71(m、4H、MeOC);5.89(d、1H、J=2.7Hz、H−4);5.74(m、1H、CH−CH=CH);5.42(dd、1H、J1=3.5、J2=10.0Hz、H−3);5.21〜5.01(m、3H、CH−CH=CH、H−1);4.57(m、1H、H−6a);4.39〜4.06(m、5H、CH−CH=CH、H−6b、H−5、H−2);3.73(s、3H、OCH)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ171.2、166.0、165.7、155.6、151.2、134.3、133.8、133.5、133.2、133.1、132.9、130.6、130.2、129.8、129.7、129.6、129.4、128.8、128.5、128.4、118.8、114.6(Ar);117.7(CH−CH=CH);102.8(C−1);78.7(C−2);74.0(C−3);73.6(CH−CH=CH);72.2(C−5);69.9(C−4);63.5(C−6);55.6(CH)。HRMS(ESI):C3734NaO10[M+Na]に対する計算値:661.2050、実測値:661.2041。
4−メトキシフェニル3,4,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物5):
MeOH(1mL)に溶解した生成物4(45mg、70μmol)の溶液に、PdCl(2mg)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(1:3EtOAc−ヘキサン)により精製して、生成物5(39mg、92%)を得た。[α] 25=+78.2°(c=0.1、CHCl)。H NMR(400MHz、DO):δ8.08〜7.28(m、15H、Ar);7.07〜6.72(m、4H、MeOC);5.91(d、1H、J=3.5Hz、H−4);5.45(dd、1H、J1=3.5、J2=10.1Hz、H−3);5.00(d、1H、J=7.8Hz、H−1);4.60(m、1H、H−6a);4.44(m、1H、H−6b);4.34(m、2H、H−5、H−2);3.73(s、3H、OCH)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ166.0、165.5、155.7、150.9、133.7、133.4、130.0、129.9、129.8、129.4、129.2、129.1、128.5、128.4、118.6、114.5(Ar);102.6(C−1);73.2(C−3);71.6(C−5);69.7(C−2);68.1(C−4);62.3(C−6);55.6(OCH)。HRMS(ESI):C3430NaO10[M+Na]に対する計算値:621.1737、実測値:621.1723。
4−メトキシフェニル3,4,6−トリ−O−ベンゾイル−2−O−メチル−ホスホラミジル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物6):
分子篩4Åを用いてCHCl(1mL)に溶解した生成物5(18mg、0.030mmol)およびジクロロリン酸メチル(70μL、0.30mmol)の溶液に、EtN(85μL、0.30mmol)を滴下して加えた。反応混合物を40℃で12時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。5分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して、生成物6(5.4mg、26%)を得た。[α] 25=+68.5°(c=0.05、CHCl);H NMR(400MHz、CHCl):δ8.06〜7.31(m、30H、Ar);7.07〜6.72(m、8H、MeOC);5.94(m、2H、H−4、H−4);5.54(m、2H、H−3、H−3);5.10(m、4H、H−1、H−1、H−2、H−2);4.58(m、2H、H−6a、H−6a);4.45(m、2H、H−6b、H−6b);4.35(m、2H、H−5、H−5);3.73(s、3H、OCH);3.67(d、3H、3JPH=11.6、POCH);3.41(d、3H、PH=11.5、POCH );2.92(d、2H、NH)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ166.0、165.7、165.6、165.5、155.8、155.7、150.8、150.6、133.8、133.6、133.5、133.4、130.1、130.0、129.9、129.8、129.4、128.9、128.8、128.7、128.6、128.5、128.4、118.6、114.7、114.6(Ar);101.2、101.1(C−1);73.9、73.6(C−2);72.5、72.4(C−3);71.7、71.5(C−5);68.0(C−4);62.1(C−6);55.6(OCH);53.6、53.3(POCH)。HRMS(ESI):C3535NO12P[M+H]に対する計算値:692.1898、実測値:692.1815。
4−メトキシフェニル2−O−メチル−ホスホラミジル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物7):
生成物7(2.5mg、mmol)を0.25MメタノールMeONa(1mL)に溶解し、混合物を室温で1時間撹拌した後、酢酸で中和し、濃縮した。1:1EtOAc−MeOHで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、生成物7(1.0mg、73%)を得た。
7:δ H NMR(400MHz、DO):δ6.97〜6.83(m、8H、MeOC);5.05(2d、2H、H−1、H−1);4.28(m、2H、H−2、H−2);3.91(m、2H、H−4、H−4);3.77〜3.72(m、4H、H−3、H−3、H−5、H−5);3.67〜3.60(m、10H、H−6、H−6、OCH);3.59(d、3H、PH=11.5Hz、POCH);3.56(d、3H、PH=11.5Hz、POCH )。13C NMR(100MHz、CDCl):δ154.5、150.7、117.7、114.9(Ar);99.7(C−1);77.0(C−2);75.3(C−5);71.6(C−3);68.6(C−4);60.5(C−6);55.6(OCH);53.9(POCH)。
:[α] 25=−11.0°(c=0.01、HO);H NMR(400MHz、DO):δ6.97〜6.83(m、4H、MeOC);5.05(d、1H、J=7.8Hz、H−1);4.28(m、1H、H−2);3.91(d、1H、J=3.5Hz、H−4);3.77(dd、1H、J=3.5Hz、J=9.8Hz、H−3);3.72(m、1H、H−5);3.67〜3.60(m、5H、H−6、H−6、OCH);3.56(d、3H、PH=11.5Hz、POCH)。13C NMR(100MHz、CDCl):δ154.5、150.7、117.7、114.9(Ar);99.7(C−1);77.0(C−2);75.3(C−5);71.6(C−3);68.6(C−4);60.5(C−6);55.6(OCH);53.9(POCH)。HRMS(ESI):C1423NOP[M+H]に対する計算値:380.1111、実測値:380.1085。
カンピロバクター・ジェジュニCPSコンジュゲート抗血清によるMeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPおよびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHの免疫検出
上記実施例に記載の通りに合成した、MeOPN→6−Galコンストラクトの合成p−メトキシフェニルおよびアミノペンチルグリコシド、つまり、化合物MeOPN→6−α−D−Gal−(1→OMPおよびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHを、血清型HS1、HS3、HS4、およびHS23/36のカンピロバクター・ジェジュニCPSコンジュゲートに対してあらかじめ生じさせた抗血清との反応性について試験した。特に、上記記載された血清型のうち、HS23/36のみがMeOPN−6−Galを発現する。
材料および方法
合成コンストラクトMeOPN−6−Galを1mg/mlに調整し、2μlをニトロセルロース膜の上にスポットし、乾燥させた。個々のスポットを、異なるカンピロバクター・ジェジュニ多糖類莢膜をCRM197にコンジュゲートした従来の異なるコンジュゲートワクチンに対して作製された次の4つの異なるポリクローナル抗血清を用いて免疫検出した。(1)HS23/36コンジュゲートに対するウサギ血清(20mM Tris、pH7.4、0.425N NaCl、0.05% Tween20(TBST)における最終希釈1:1000、Monteiro et al., (2009) Infect. Immun. 77, 1128-1136、US Patnet No. 9,084,809)、(2)HS4コンジュゲートに対するウサギ血清(最終希釈1:1000、Monteiro et al., (2009) Infect. Immun. 77, 1128-1136、US Patnet No. 9,084,809)、(3)HS1コンジュゲートに対するマウス血清(最終希釈1:500、準備中の原稿)、(4)HS3コンジュゲートに対するマウス血清(最終希釈1:500、US 2015/0273037)。使用した二次抗体は、ヤギ抗ウサギ(HS23/36およびHS4に対して)またはヤギ抗マウス(HS1およびHS3(Thermo−Pierce、ロックフォード、イリノイ州)のいずれかであった。イムノブロットは、化学発光キット(Pierce Supersignal West Femto Maximun Sensitivity Substrate、サーモフィッシャーサイエンティフィック、ウォルサム、マサチューセッツ州)を用いて展開し、バイオ・ラッドゲル撮影装置(バイオ・ラッドラボラトリーズ、ハーキュリーズ、カルフォルニア州)上で画像化した。同様の方法を用いて、リンカーを有するコンジュゲートを分析した。
図6に示すように、単糖類コンストラクトMeOPN−6−Galは、CRM197にコンジュゲートされたHS23/36(GalのC−6でMeOPNを有するCPS)から単離された莢膜多糖類に対する抗体によって認識された。また、予想外に、CRM197にコンジュゲートされたHS4(イド−ヘプトースのC−7でMeOPNを有するCPS)からの多糖類に対する抗体も、MeOPN−6−Galに対する抗HS23/36CRM197コンジュゲートに相当する応答を誘発した。また、抗HS1−CRM197(C−6 Galで少量のMeOPNを有するCPS)も、幾分より少ない程度ではあるが、MeOPN−6−Galに反応した。HS3 CPSコンジュゲート抗血清(イド−ヘプトースのC−2でMeOPNを有するCPS)は、MeOPN−6−Galと反応しなかった。α−D−Gal−(1−OMP(MeOPNがない)とHS23/36 CPSコンジュゲート抗血清との間で反応は観察されなかった(データは示さず)。したがって、データは、HS23/36、HS4、およびHS1に対して産生された抗体はすべてMeOPN−6−Gal抗原と反応することを示している。対照的に、これらの抗体は、異種の莢膜と反応しない。換言すれば、抗HS23/36抗体の、精製されたHS4またはHS1莢膜との検出可能な反応性は存在しない。
HS23/36およびHS4抗体に対して示されるMeOPON−6−Galとの強い交差反応性は、MeOPN−6−GalがHS23/36およびHS4莢膜多糖類とエピトープ構造を共有するという事実によって説明されうる。1つの説明は、HS23/36およびHS4の両方におけるMeOPN基が第1級ヒドロキシル基に対するものであることでありうる。MeOPN−6−Gal(HS23/36)とHS4(MeOPN−7−6d−β−D−イド−ヘプトースを含む)との交差反応は、予想外であったが、両方の糖上の第一ヒドロキシ位置へのMeOPNの結合に起因しうる。実際に、図6に示すように、HS23/36、HS4、およびHS1に対して産生された抗体はすべて合成MeOPN−6−Gal抗原と反応する。対照的に、これらの抗体は、異種の莢膜と反応しない。換言すれば、抗HS23/36抗体の、精製されたHS4またはHS1莢膜との検出可能な反応性は存在しない。
図7は、指示されたコンジュゲート抗血清を用いて、カラムAにおけるコンストラクトMeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMP(図6Bと同じデータ)の認識と、コンストラクトMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNH)を用いたカラムBのデータとを比較する。図7に示すように、両方のコンストラクトは、HS23/36 CPSコンジュゲート抗血清(このCPSは、不定比量のMeOPN→6−α−D−Gal結合を含む)、HS4 CPSコンジュゲート抗血清(このCPSは、不定比のMeOPN→7−6d−ido−Hep結合を有する)、および、強度は比較的弱いものの、HS1 CPSコンジュゲート抗血清(非常に少量のMeOPN→6−α−D−Galを含む)によって、強く認識された。上述のように、HS23/36、HS4、およびHS1 CPSコンジュゲート抗血清による合成MeOPN→6−D−Galの検出は、これらのポリクローナル調製物が、第一位でMeOPN単位に対する特異的な抗体を含有するという事実を示している。HS3 CPSコンジュゲート抗血清(CPSの6d−ido−HepのC−2にMeOPNを有する)は、いずれの合成コンストラクトMeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPまたはMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNH)(データは示さず)とも反応しなかった。Gal OMPおよびアミノペンチルグリコシド(MeOPNを欠く)とHS23/36 CPSコンジュゲートまたは全細胞抗血清との間の反応は観察されなかった(データは示さず)。
図7に示すように、検出限界内では、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPとMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHとの間に抗血清反応性の差は観察されなかった。これは、Galの環外C−6位でのMeOPNの認識が、アノマー配置に依存していなかったことを示唆する。MeOPN→6−Galがコンジュゲート形態でアクセス可能であることは、HS23/36全細胞血清とMeOPN→6−Gal CRM197コンジュゲートとの反応によって確認された。これらのデータは、合成MeOPN→6−Galエンティティ(アノマー配置にかかわらず)が、同種カンピロバクター・ジェジュニHS23/36 CPSコンジュゲートによって産生された抗血清と反応するだけでなく、第一位にMeOPNも有する(例えば、図1参照)血清型HS1およびHS4によって産生された抗血清とも反応することを示す。
MeOPN−6−Galは免疫優勢エピトープである
本明細書に報告されたGal−O−6での第二のMeOPN結合の発見まで、MeOPNは、単にガラクトースのO−2位についてのみ報告されていた(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol. 188, 3273-3279)。CPSコンジュゲートワクチンを利用する以下の実験は、Gal−O−6でのMeOPN結合が、MeOPN−2−Galよりも免疫優性であることを示している。
材料および方法
合成MeOPN−6−Gal(上記のように調製された)およびMeOPN−2−Galの2つの異性体(「A」および「B」)(本明細書に記載のように調製された)の1mg/ml溶液2μlを、従来の方法を用いてニトロセルロースフィルターの上にスポットし、乾燥させた。フィルターを、Supersignal West Femto Maximum Sensitivity Substrate(Thermo−Pierce、ロックフォード、イリノイ州)を備えた遮断剤でブロックした。フィルターを、カンピロバクター・ジェジュニ株81−176のホルマリン死滅全細胞に対して作製した一次ウサギポリクローナル抗体(20mM Tris、pH7.4、0.425N NaCl、0.05% Tween20)(Bacon et al., (2001) Mol. Microbiol. 40, 769-777)、または、HS23/36多糖類−CRM197コンジュゲートワクチンに対するウサギ抗体(最終希釈1:1000)(Monteiro et al., (2009) Infect. Immun. 77, 1128-1136)と混合した。フィルタは、一次抗体と一晩反応させた後、洗浄した。二次抗体は、ヤギ抗ウサギIgG(最終希釈1:50,000)(Thermo−Pierce、ロックフォード、イリノイ州)であった。洗浄後、フィルターをSupersignal West Femto Maximum Sensitivity Luminescence Substrateで検出し、画像をバイオ・ラッドゲル画像システム(バイオ・ラッドラボラトリーズ、ハーキュリーズ、カルフォルニア州)で記録した。
図8に示すように、結果は、HS23/36多糖類−CRM197コンジュゲートワクチンに対するウサギ抗体は、MeOPN−6−Galを検出したものの、MeOPN−2−Galのいずれの異性体も検出しなかったことを明らかに示している。同様の結果が、ウサギポリクローナル抗体を用いて得られたが、MeOPN−2−Gal B異性体に対していくらかの反応性が検出された。これらのデータは、MeOPN−6−Gal単糖類の免疫原性、および、Galの2位でのメチルホスホルアミデートに対するGalの6位でのMeOPNの免疫優性を明確に示している。また、MeOPN−2−Galに対するMeOPN−6−Galの免疫優性は、カンピロバクター・ジェジュニのさまざまな突然変異株を用いた研究を含むさらなる実験においても実証されており、結果は、MeOPN−6−Galのレベルが免疫応答を調節しうることを示唆している(下記の実施例8参照)。これらのデータは、本明細書で企図されるMeOPN−糖エピトープの化学合成に加えて、カンピロバクター・ジェジュニに対するCPSベースのワクチンが、MeOPN修飾糖の免疫優位性を利用することによって、例えば、莢膜の精製およびワクチンの製造のために免疫優勢のMeOPN−6−Galエピトープを過剰発現させる株を使用することによって、改善されうることを示唆している。
MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHのタンパク質CRM197へのコンジュゲーション
コンジュゲートを形成するための、タンパク質担体に結合した合成コンストラクトの合成を図9に示す(スキーム4)。リンカー付きガラクトシド(図3の化合物12または図4の化合物9)(4.5mg)および過剰のアジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエステル(10当量)をDMSO(1ml)に溶解した。トリエチルアミン(60μl)を滴下して加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。減圧下で濃縮した後、残渣をHOで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィー(3:1EtOAc−ヘキサン)で精製して活性化単糖類である化合物13を得た。その後、この得られた半エステル(化合物13)をリン酸緩衝液(NaPi緩衝液、pH7)中のタンパク質CRM197のアミノ基と縮合させて、化合物14を得た。具体的には、70mMのリン酸緩衝液pH7.0においてCRM197を有する活性化単糖類を100:1のモル比(タンパク質1モル当たりの活性エステルのモル数)でコンジュゲーションを実施した。室温で3日間撹拌した後、コンジュゲート(化合物14)を流水に対して透析した。
コンジュゲーションは、SDS−PAGEゲルおよびmALDI−TOFを用いて分析し、確認した。具体的には、従来の方法に従って、ゲル電気泳動(図10A)、ウェスタンブロット(図10B)、および質量分析(mALDI−TOF)(図10C)によって、MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNHのCRM197へのコンジュゲーションを分析し、確認した。
材料および方法
CRM197に連結したMeOPN−6−Galコンストラクトを、従来の方法を用いて、SDS−PAGEおよびイムノブロッティングによって分析し、特性決定した。CRM197(重量で2.5μgおよび5μg)に結合した合成MeOPN−6−Galの試料を12.5%SDS−PAGEゲルで分析し、GelCode Blue(サーモフィッシャーサイエンティフィック、ウォルサム、マサチューセッツ州)で染色するかまたはニトロセルロースに移して、カンピロバクター・ジェジュニ81−176(HS23/36)の全細胞に対してウサギポリクローナル抗体で免疫検出した(Baconet al., (2001) Mol. Microbiol. 40, 769-777)。染色されたSDS−PAGEゲルは、ワクチンコンジュゲートは大きさが不均一であり、非コンジュゲート型CRM197よりも少し大きいものから>250Kdまでの範囲にあることを示した(図10A)。イムノブロットの結果は、ワクチンコンジュゲートが、カンピロバクター・ジェジュニ株81−176の全細胞に対するウサギポリクローナル抗体と反応して、莢膜とコンジュゲートとの交差反応を示したことを示している(データは示さず)。最終生成物(当該コンジュゲート)がMeOPNのジアステレオ異性体を含んでいたという事実のために、MeOPN→6−D−Galpエピトープの単に半分のみが天然のCPSのものを反映した。たとえそうであっても、HS23/36全細胞抗血清を用いたウェスタンブロット分析は、当該コンジュゲートが、MeOPNの立体構造および細胞表面上の結合を模倣するMeOPN→6−D−Galエピトープを露出していることを示した(図10B)。
また、当該コンジュゲートを、従来の方法を用いてMALDI−TOFによって分析して、当該コンジュゲートの質量をより正確に決定した。簡単に説明すると、シナピン酸(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)を、マトリックスとして水中の30:70(v/v)アセトニトリル(ACN):0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)において飽和させた。マトリクスと試料(1mg/mL)を等体積で予混合し、分析用に1μLを接地鋼板に被着させた。Microflex LRTマトリックス支援レーザー脱離法およびイオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析計(ブルガー・ダルトニクス社、ビルリカ、マサチューセッツ州)を、陽イオン検出による線形モードに設定し、質量スペクトルを得た。結果は、MeOPN−6−Gal−CRM197コンジュゲートワクチンが、質量61,781の主要なピークを与えたことを示している。類似のMALDI実験におけるCRM197の質量は57,967ダルトンであった(図示せず)。したがって、質量差は3,814ダルトンである。MeOPN−6−Galおよびリンカーの質量は461ダルトンであるため(データは示さず)、これは、1CRM197分子当たり約8個のMeOPN−6−Gal−リンカー部分が添加されたことを示す。より大きな形態は検出されなかったが、これは、分子が大きくなるほどブルガー・ダルトニクス社製の機器を用いた検出が困難になるという事実に起因しうる。
MeOPN→6−β−D−Gal CRM197コンジュゲート抗体はカンピロバクター・ジェジュニHS23/36細胞表面を認識し、殺菌作用を有する
本発明者らは、以前、カンピロバクター・ジェジュニに対する免疫原性莢膜多糖類コンジュゲートワクチン(「従来の」ワクチン)が血清殺菌抗体(SBA)を誘発することを実証した(原稿は準備中)。換言すれば、従来のワクチンに対して産生された抗体は、補体の存在下で細菌と結合し、細菌溶解を誘発しうる。上記の実施例で論じたように、MeOPN−6−Galは、合成されて、HS23/36およびHS4の両方に基づく従来のCRM197コンジュゲートワクチンに対する抗体と反応することが示されている。1タンパク質当たり約8個のMeOPN−6−Gal部分を有するCRM197に結合されたMeOPN−6−Galから成るワクチンコンジュゲートを、上記のように合成し、ウサギの免疫原性に対して試験した。
材料および方法
従来の方法および市販の試薬を用いて、ウサギを、フロイントアジュバントを含むCRM197ワクチンコンジュゲート(それぞれ250μg)に結合した4回用量のMeOPN−6−Galで免疫化した。最終血清を、BSAにコンジュゲートしたカンピロバクター・ジェジュニ81−176莢膜が検出抗原であるELISAで使用した。血清の終点力価は、1:200であった。MeOPN−6−Galに対して産生したウサギ血清を、30分間56℃に加熱することにより熱失活させて、内因性補体を不活性化した。対照(control)として、同じウサギの前出血(免疫化前)も熱失活させた。血清をマイクロタイタープレートで連続希釈し、カンピロバクター・ジェジュニ81−176および仔ウサギ補体と混合した。そのプレートは、37℃で微好気的条件下でインキュベートした。各ウェルからのアリコートをミューラー・ヒントン寒天培地プレート上にプレーティングして、生き残った細菌細胞を数え上げた。結果は、免疫したウサギの前出血と最終出血との間の死滅の倍数増加として報告される。
MeOPN−6−Gal−CRM197コンジュゲートワクチンで免疫したウサギの結果は、血清殺菌活性の16倍の増加を示した。フローサイトメトリーからの結果を図11に示す。データは、コンジュゲートワクチン(例えば、図9の化合物14)が、ジェジュニ(カンピロバクター・ジェジュニ)HS23/36細胞の細胞表面に露出したCPS MeOPN→6−D−Gal結合に特異的なウサギにおいて抗体を誘発することができることを示す。カンピロバクター・ジェジュニHS23/36細胞への結合強度は、天然のCPSコンジュゲートによって産生された抗体を用いる場合よりも高かった。カンピロバクター・ジェジュニHS23/36細胞への結合強度は、合成ワクチンに惹起された抗体では少なかったが、細胞の一部は、MeOPN→6−D−Gal抗体と全く反応しなかった。しかし、これらの抗体の、HS23/36細胞の表面への結合は、上記のSBA力価の観察された上昇と一致する。
カンピロバクター・ジェジュニ合成抗原を含むポリマーコンストラクトの合成
1つ以上の合成MeOPN−単糖類を含み、任意選択的に1つ以上の他の糖類と会合した免疫原性合成コンストラクトが、本明細書において企図される。合成されたそのようなポリマーコンストラクトの例が、本明細書において図15および図18に示されている。
材料および方法
図15のマルチMeOPN−6−Galポリマーコンジュゲートは、従来の方法、市販の試薬、および本明細書および前述の実施例に開示された単糖類を用いて合成した。リントナーデンプン(100mg)を、0.1M NaOAc緩衝液(100ml)pH4中の0.04M NaIOにより、4℃で3日間活性化した。水(1000ダルトン分子カットオフ)に対して2日間透析した後、生成混合物を遠心分離した。上清を凍結乾燥し、バイオゲルP−2カラムでさらに精製した。
活性化されたデンプン(8mg)を、0.1Mホウ酸塩緩衝液(5ml)、pH9中で、MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CHNH(4mg)に化学的にコンジュゲートした。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(40mg)を添加し、反応混合物を室温で1日間、37℃で2日間攪拌した。その後、コンジュゲートを流水(1000Da)に対して2日間透析した後、凍結乾燥した。
デンプン−糖コンジュゲート生成物(4mg)を、0.1Mホウ酸塩緩衝液(5ml)、pH9中のCRM197(4mg)とコンジュゲートした。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(40mg)を加え、反応混合物を室温で1日、37℃で2日間撹拌した。その後、コンジュゲートを流水(1000Da)に対して2日間透析した後、凍結乾燥した。得られた合成コンジュゲートを、図16および17にそれぞれ示すように、ウエスタンゲルおよびイムノブロッティングおよび1H NMRを用いて特性決定した。簡単に説明すると、イムノブロットでは、合成コンジュゲートを12.5%ポリアクリルアミドゲルで2回電気泳動させた。トランスブロットTurboシステム(バイオ・ラッド社、ハーキュリーズ、カルフォルニア州)を用いてゲルの一部を染色し他の部分をニトロセルロースに移し、カンピロバクター・ジェジュニ株81−176のホルマリン死滅全細胞にウサギ過免疫血清で免疫検出した(20mM Tris、pH7.4、0.425N NaCl、0.05% Tween20であるTBST中の最終希釈1:500)。このフィルターを一次抗体と一晩反応させた後、洗浄した。二次抗体は、ヤギ抗ウサギIgGであった(TBST中の最終希釈1:50,000)。洗浄後、フィルターをSupersignal West Femto Maximum Sensitivity Luminescence Substrateで検出し、画像をバイオ・ラッドゲル画像システムで記録した。
図18に示す合成ポリマーコンジュゲートを、従来の方法および試薬を用いて同様に調製し、タンパク質担体にコンジュゲートした。図15に示すコンジュゲートとは対照的に、図18に示す合成コンストラクトは、複数のMeOPN−6−Gal単糖類だけでなく、複数のMeOPN−2−GalおよびMeOPN−1−Fru単糖類をも含む。上記のように、さまざまな単糖類は、デンプン骨格を使用して化学的に会合(コンジュゲート)される。糖(sugar)は、糖(sugar)とデンプンとの間の橋渡しをすることができるリンカーを化学的に備えている。キャリアタンパク質は、コンストラクトに付加される。
カンピロバクター・ジェジュニにおけるメチルホスホルアミデートトランスフェラーゼをコードする遺伝子の相変化は、莢膜構造およびカンピロバクター・ジェジュニの補体媒介性殺滅に対する耐性を調節する
MeOPNの生合成のための遺伝子は、カンピロバクター・ジェジュニ株の間で高度に保存されている。一方で、MeOPNトランスフェラーゼをコードする遺伝子は、当該遺伝子の5’末端で高度に保存されているが、3’末端では分岐している。また、保存された5’末端は、複製中にスリップ鎖ミスマッチ修復によって相変化(PV)を受けるホモポリマー性Gトラクトの存在によって特徴付けられる[12]。したがって、集団は、カンピロバクター・ジェジュニの複数の表面抗原をコードする遺伝子に特徴的な形質である「オン」または「オフ」配置のいずれかの遺伝子を有する細胞の混合物から成りうる[12〜17]。PVの頻度が高いのは、ミスマッチ修復(MMR)酵素の欠如によるものである[12、18]。
上述のように、カンピロバクター・ジェジュニCPSは、発病に重要であることが示されている。無莢膜突然変異体は、下痢症のフェレットモデルでは弱毒化され、ニワトリ、マウス、および子豚に定着する能力が低下したが[19〜22]、疾患ハチノスツヅリガモデルの発病におけるMeOPNの役割に関して相反する報告がある[22、23]。
莢膜は、補体媒介性殺滅に対する耐性の主要因子であり、カンピロバクター・ジェジュニ81−176(HS23/36)の場合、MeOPNは、補体耐性にとって必須である。したがって、MeOPNを欠く多糖類CPSを発現する突然変異体は、CPSを欠く突然変異体と同じくらい補体媒介性殺滅に対して感受性があった[21、22]。また、2つの血清型HS2およびHS23/36の多糖類CPSもインビトロで免疫調節効果を有することが示されており[21、24]、81−176の免疫調節効果はマウスモデルにおいてインビボで確認されている[25]。また、MeOPNは、ファージ受容体としても機能することが示されている[26、27]。
81−176CPSは、ガラクトース、3−O−メチル−6−デオキシ−アルトロ−ヘプトース、およびN−アセチルグルコサミンの反復三糖類である(図19A参照)。株81−176は、2つの推定MeOPNトランスフェラーゼ、CJJ81176_1420およびCJJ81176_1435(図19B)をコードすると予想される遺伝子を含む[22]。MeOPNは、ガラクトース(MeOPN−2−Gal)の2位の両方で報告されており、本明細書に提供されたデータは、MeOPN部分がガラクトースの6位にも存在し、かつ、抗コンジュゲート抗体が合成MeOPN−6−Galを認識したことを示している。ここで、本発明者らは、MeOPN−6−GalおよびそれほどではないにせよMeOPN−2−Galが、コンジュゲートワクチンによって認識される無傷のCPS上の免疫優性エピトープであることのみならず、MeOPNエピトープの相変化が、CPS構造および補体媒介性殺滅に対する耐性のレベルを調節しうることを確認する。
方法と材料
株および増殖条件:すべての作業は、カンピロバクター・ジェジュニの81−176株で行った。この株の突然変異体を表1に示す。

カンピロバクター・ジェジュニは、ミューラー・ヒントン寒天培地上、37℃、微好気的条件下で日常的に培養した。培地には必要に応じて抗生物質を補充した。莢膜抽出のために、細胞をブタブレインハートインフュージョン培地またはプレート(ディフコ社)中で増殖させた。
オリゴヌクレオチドプライマー:使用したすべてのオリゴヌクレオチドプライマーを表2に列記する。これらは、ライフテクノロジーズ社によって合成された。
コンジュゲートワクチン合成:莢膜多糖の単離およびCRM197(Pfenex社)へのコンジュゲーションは、Monteiro et al.[30]に記載の通りに行った。3種のワクチンは、CCV[30]、DB4、およびCJCV1と呼ばれた。
ウサギポリクローナル抗血清:3つのバッチのHS23/36−CRM197コンジュゲートワクチン、つまり、CCV1[30]、DB4、およびCJCV1(Harlan Bioproducts for Science社)に対して、ウサギの高度免疫ポリクローナル抗体を作製した。81−176のホルマリン固定全細胞に対するウサギポリクローナル血清が、これまでに報告されている[34]。
PCR:クローニングまたは配列分析のために産生されたすべてのPCR生成物を、Phusionハイフィデリティーポリメラーゼ(ニュー・イングランド・バイオラボ社)を用いて増幅した。他のすべてのPCRは、Taqポリメラーゼ(アプライドバイオシステムズ/ライフテクノロジーズ社)を使用した。
CJJ81176_1420の突然変異:CJJ81176_1420を、EcoRおよびXhoI部位をそれぞれ導入したプライマーpg12.13およびpg12.14を用いてpCRScriptにクローニングした。このプラスミドを、Tnp Km(カナマイシン耐性またはaph3;Epicentre社)を用いてトランスポゾン突然変異誘発に付し、個々のKmトランスポゾン挿入をトランスポゾン内部のプライマーで配列して挿入部位を決定した。1779bp遺伝子のbp367での非極性トランスポゾン挿入を用いて、上述した方法によりKmに81−176を電気穿孔した。推定突然変異は、カナマイシン遺伝子の挿入点を囲むプライマーpg12.25およびpg12.26を用いたPCRによって確認された。この突然変異体は、株3477と呼ばれた。
CJJ81176_1435の突然変異:CJJ81176_1435を、プライマーpg10.07およびpg10.08を用いてpCRScriptにクローニングした。pRY109[35]由来のクロラムフェニコール耐性(cat)カセットを、1813bp遺伝子のbp747に位置する特異的なNcoI部位にクローニングした。クローンを部分的に配列してcatカセットの配向を決定し、遺伝子がCJJ81176_1435と同じ配向で挿入されたものを用いてCmに81−176を電気穿孔した。挿入のNcoI部位を囲むpg14.67およびpg14.68を用いたPCRによって推定クローンを確認し、得られた突然変異体を株3636と呼んだ。
両方の推定上のMeOPNトランスフェラーゼにおける二重突然変異体の構築:菌株3477、つまり、CJJ81176_1420::aph3を、菌株3636を産生するのに使用したのと同じプラスミドを用いてCmrに電気穿孔し、もって二重突然変異株3479を産生した(表1参照)。
hipO(馬尿酸塩)挿入ベクターの構築:81−176のhipO遺伝子(CJJ81176_1003)を、プライマーセットpg12.31およびpg12.32を用いてpCRScriptにクローニングした。特異的なXbaI部位を、プライマーセットpg12.33およびpg12.34を有する逆PCRによってhipO遺伝子の中心に導入した。このプラスミドは、pCPE3490と呼ばれた。
CJJ81176_1420およびCJJ81187_1435の修復対立遺伝子を発現する株の構築:CJJ1420::aph3突然変異体を、以下のように、修復された対立遺伝子で補完した。野生型CJJ81176_1420遺伝子を、BamHI部位およびEcoR1部位をそれぞれ導入したプライマーpg12.29およびpg12.30を用いてPCR増幅し、得られたアンプリコンを、BamHIおよびEcoRIで消化したpCPE108にクローニングした。プラスミドpCPE108は、pBluescriptのXbaIおよびBamHI部位の間にクローニングされたflaA由来のσ28プロモーターを含む[36]。CJJ81176_1420内の相可変G9区域を、G9がプライマーpg12.37およびpg12.38を用いてGGAGGAGGAに変更されるようにQuick Change(ライフテクノロジーズ社)突然変異誘発によって修復した。挿入物全体をEcoR1−NotI断片としてpBluescriptに移し、pRY109[35]由来のSmaI末端catカセットを、修復したCJJ81176_1420遺伝子のEcoRV部位3’に挿入した。全体構造(σ28−CJJ81176_1420+cat)を順方向および逆方向プライマーでPCR増幅し、平滑末端化した(上記の)pCPE3490のhipO遺伝子内の特異的なXbaI部位にクローニングした。この構造を使用して、3477(CJJ81−176_1420::cat突然変異体)をKmに電気穿孔し、株3498株を産生した。
CJJ1435::cat突然変異体を同様の方法で補完した。プラスミドpCPE108を、ポリリンカーのXhoI部位にaph3遺伝子を含むように修飾して、pCPE3583を産生した。CJJ81176_1435を、BamHI部位およびEcoRI部位をそれぞれ導入したプライマーpg14.35およびpg14.03を用いてPCR増幅し、BamHIおよびEcoR1で消化したpCPE3583にクローニングした。CJJ81176_1435のコード領域内に位置する相可変G9区域を、プライマーpg14.09およびpg14.10を用いて上記のように部位特異的突然変異誘発に供した。修復されたCJJ81176_1435遺伝子および隣接するaph3遺伝子を、順方向および逆方向プライマーを用いてPCR増幅し、上述したように、株81−176のastAを含むプラスミド上のEcoRV部位にクローニングした[36、37]。このプラスミドを用いて、CJJ81176_1435突然変異体つまり3636をKmに電気穿孔し、株3637を産生した。
CPSイムノブロット:カンピロバクター・ジェジュニの全細胞を、上記のようにプロテイナーゼKで消化した[30、34]。調製物を16%Tris−Glycineゲル(インビトロジェン社)で電気泳動させ、銀(バイオラッド社)で染色してLOSコアを可視化した。同等のコア量を12.5%SDS−PAGEゲル上で電気泳動させ、ニトロセルロースに移した。全細胞抗81−176血清を最終希釈1:500で使用し、抗コンジュゲート抗血清を最終希釈1:100で使用した。イムノブロットを化学発光(SuperSignal West Femto Maximum Sensitivity Substrate、サーモフィッシャー社)を用いて展開し、バイオ・ラッドゲル画像システムで記録した。
NMR分析:31P NMRスペクトルは、Bruker AMX 400分光計を用いて記録した。1D 31PおよびH−31P 2D実験は、Brukerソフトウェアを用いて行った。試料は、スペクトルを記録する前に、D2O(99.9%)で3回凍結乾燥した。オルトリン酸(δp0.0)を31Pのすべての実験の外部基準として用いた。
抗CPS ELISA:高度免疫ウサギにおける抗CPS応答を決定するために、Carbo−BINDプレート(コーニング社、コーニング、ニューヨーク州)を、メーカーの説明書に従って、野生型、3390、3477、または3636株(酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中2μg/ml)由来の酸化CPSの100μlで、室温で1時間コーティングした。プレートは、1×PBS−0.05%Tween−20(PBST)で洗浄し、PBST(5%FCS−PBST)中の5%ウシ胎仔血清で、37℃で1.5時間ブロックし、再度PBSTで洗浄した。すべてのウサギ過免疫血清を、5%FCS−PBSTで2回連続希釈し、37℃で1.5時間インキュベートした。洗浄後、HRPコンジュゲートヤギ抗ウサギIgG(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)を5%FCS−PBSTで希釈し、洗浄前に1ウェル当たり100μlで、37℃で1時間添加した。検出試薬として、2,2’−アジノビス(3−エチルベンズチアゾリンスルホン酸)(ABTS)−ペルオキシダーゼ基質を使用して、OD405を測定した。ネガティブコントロールウェル(コーティングバッファーのみ)+3標準偏差の平均OD450を用いて終点力価を決定した。
3つのCPS−CRM197コンジュゲート上のMeOPN−6−Galのレベルを決定するために、コンジュゲートを、総CPS含量に基づいて標準化し、カーボネートコーティング緩衝液中、MaxiSorp Nunc(登録商標)プレート(シグマアルドリッチ社、セントルイス、ミズーリ州)上で、4℃で一晩連続希釈した。プレートをPBSTで洗浄し、PBST中のBSAで、37℃で1時間ブロックした。MeOPN−6−Galを検出するために、プレートを洗浄し、DB3モノクローナルをブロッキング緩衝液で希釈し、37℃で1時間インキュベートした。洗浄後にヤギ抗マウスIgG−HRP(サーモ・サイエンティフィック社)を添加し、37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、100μlのテトラメチレンベンジジン(TMB、eBioscience社、サンディエゴ、カルフォルニア州)基質を10分間添加した後、100μlの1M H2SO4を加えて反応を停止させた。ODを450nmで読み取った。
ハイブリドーマの産生:[38]に従って、4週間間隔で3回CPS81−176−CRM197コンジュゲートで皮下免疫したBALB/cマウス由来の脾細胞をSP2/O骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマを作製した。簡単に説明すると、脾臓細胞およびSP2/O細胞をポリエチレングリコールの存在下で融合させ、ハイブリドーマ培地[20%FBS、2×HAT(200mMヒポキサンチン、0.8mMアミノプテリン、32mMチミン)、OPI(1mMオキサロ酢酸、0.45mMピルビン酸、および0.2U/mLインスリン)、4mMグルタミン、ならびにIL−6(10ng/ml)を含有するイスコフ培地]において非免疫化BALB/cマウス由来の腹腔マクロファージと混合した。融合した細胞を直ちに8枚の96ウェル細胞培養プレート上にプレーティングし、37℃、5%CO雰囲気中で2週間インキュベートした。ハイブリドーマは、抗原標的として81−176およびmpnC突然変異体の両方に由来するCPSのBSAコンジュゲートを用いて、ELISAによって各ウェルから培養上清をスクリーニングすることによって選択した。
モノクローナル(mAb)DB3の産生および精製:単一細胞ハイブリドーマクローンを、イスコフ培地中で2.5%FBSまで離乳しながら、16個のT−150フラスコに徐々に増殖させた。細胞を1Lの無血清培地(SFM)を含有する2Lローラーボトルに移し、37℃、5%COで4週間培養した。SFM中のmAb DB3を、メーカーの説明書(ポールライフサイエンス社)に従って、MEP−HyperCelカラムで精製した。溶出した抗体をTBS(0.05M Tris/0.15NaCl、pH7.6)に透析し、タンパク質含量をBCAアッセイによって決定した。アリコートは、さらなる特徴付けおよび使用のために−80℃で保存した。アイソタイプは、アイソタイピングキット(Pierce)を用いて決定した。
ドットブロットアッセイ:カンピロバクター・ジェジュニ細胞を、pH7.4のPBSにおいてOD600=0.5に設定し、ニトロセルロース上に3連で(2マイクロリットル)スポットし、乾燥させた。膜は、10μg/mlの最終濃度でのmAb DB3を用いた後、抗ウサギヤギIgG−HRP(シグマアルドリッチ社)を用いて免疫検出し、その後、上記のように化学発光検出を行った。
補体殺滅:プールされた正常ヒト血清(NHS)をシグマから購入し、1つのロットをすべての実験に使用した。アッセイは、NHSの範囲を使用した点を除き、Maue et al.[21]に記載された通りに行った。アッセイは、各株について2〜9回繰り返した。統計は、グラフパッドプリズム(Graphpad Prism)を使用して行った。
抗コンジュゲート抗体反応性を有するコロニーブロット:81〜176個の個々のコロニーをMH寒天プレート上で48時間増殖させた。個々のコロニーをPBSに再懸濁し、最終希釈10μg/mLでDB3抗体による免疫検出のために2μlをニトロセルロース上にスポットした。
フローサイトメトリー:81−176菌株をMH寒天上で20時間増殖させ、細胞を5mLのPBSに回収し、1.2ミクロンフィルターで濾過した。得られた懸濁液をOD6000.1に調整し、1mlを12000gで2分間スピンダウンした。ペレットを0.5mlの4%ホルムアルデヒドに再懸濁し、室温で10分間回転子上でインキュベートした。細胞を遠心分離し、氷冷PBSTで2回洗浄し、最終濃度112μg/mlのコンジュゲート抗体またはDB3モノクローナル抗体で免疫した超免疫ウサギ由来の血清の1:50希釈液100μlに再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。懸濁液を氷冷PBSTで2回洗浄した後、過免疫血清またはラット抗マウスIgG1 PE(SouthernBiotech社、バーミングハム、アラバマ州)に対するロバ抗ウサギIgG AlexaFluor 647(バイオレジェンド社、サンディエゴ、カルフォルニア州)と共にインキュベートし、4℃で30分間インキュベートした。懸濁液を氷冷PBST中で2回洗浄し、0.5ml PBSTに再懸濁し、Canto FACS上で読み取った。データは、FlowJo(TreeStar社、アシュランド、オレゴン州)を用いて分析した。
ワクチンDB4およびCJCV1は、Dalton Pharma社、トロントにより製造された。
結果
MeOPNは、抗コンジュゲート抗体によって認識される免疫優性の莢膜エピトープである。カンピロバクター・ジェジュニ81−176のプロテイナーゼK消化全細胞および突然変異体を、81−176のホルマリンで死滅させた全細胞(図20A、[34])および81−176−CRM197コンジュゲートワクチンCJCV1(図20B)に対するウサギポリクローナル抗体で免疫検出した。図20Aは、全細胞抗血清が野生型莢膜とは反応したが、非莢膜化突然変異体kpsM株3468とは反応しなかったことを示す[34]。kpsMをトランス(株3469)で補完すると[34]、反応性が回復した。また、図20Aは、全細胞血清が、MeOPNを欠くCPSを発現するmpnC突然変異体(株3390)およびその補体である株3391と反応したことを示す[21]。対照的に、CPSコンジュゲートワクチンに対するウサギポリクローナル血清(CJCV1;図2B)は、野生型81−176と反応したが、CPS欠損kpsM突然変異体またはMeOPN欠損mpnC突然変異体のいずれとも反応しなかった。両方の突然変異体が補完されたときに、反応性が回復した(それぞれ株3469および3391)。同様の反応性が、81−176−CRM197コンジュゲートワクチンの2つの他のバッチに対するウサギポリクローナル抗血清で見られた。
各MeOPNトランスフェラーゼの突然変異体に対する抗コンジュゲート抗血清の反応性。株81−176は、2つの推定MeOPNトランスフェラーゼ遺伝子であるCJJ81176_1420およびCJJ81176_1435を含む(図19B)。本発明者らは、材料および方法の項目に記載したように各遺伝子に突然変異を生じさせ、また、81−176−CRM197コンジュゲートワクチンに対して産生された抗体の、MeOPNトランスフェラーゼ遺伝子のそれぞれにおける突然変異体と反応する能力を比較した。図20Aは、81−176の全細胞に対する抗血清が、推定トランスフェラーゼ突然変異体3477および3636の両方のプロテイナーゼK消化全細胞と反応し、多糖類CPSの発現を確認したことを示す。株3477、CJJ81176_1420突然変異体に由来するCPS調製物に対する抗全細胞血清と抗コンジュゲート血清との反応性には明確な差異があった。抗コンジュゲート血清の場合(図20B)、明らかに低質量のCPS材料でのみ反応が見られ、一方、全細胞血清では(図20A)より広い反応性が観察された。抗コンジュゲート血清との反応の強度およびパターンは、補体3498において回復した(図20B)。全細胞に対する抗血清は、3636(図20A)由来のCPSおよび補体と反応した。しかし、抗コンジュゲート血清と3636由来のCPS、CJJ81176_1435の突然変異体との間に検出可能な反応はなかった(図20B)。抗コンジュゲート血清との反応性は、補体、株3637において回復した(図20B)。
同様の結果が、2つの他のバッチのコンジュゲートワクチンに対する追加のウサギ抗血清を用いて観察された。まとめると、これらのデータは、81−176のホルマリンで死滅した全細胞に対して産生された抗体は多糖類鎖と反応したが、コンジュゲートに対して産生された抗体は、主に、MeOPN−6−GalおよびそれほどではないにせよMeOPN−2−Galに向けられていたことを示した。
また、コンジュゲート中のMeOPNの免疫優性もELISAによって調べた。抗CJCV1抗体を連続的に希釈し、野生型81−176由来のCPSまたは突然変異体に反応させた。結果は、図20Cに示してあり、CJCV1の反応が野生型CPSに対して最も強い(力価:5.9×10)ことを示した。3477から精製されたCPS、CJJ81176_1420の突然変異体に対する反応もあったが、終点力価は野生型よりも低かった(力価:6.6×10)。CJCV1血清の反応は、3636由来のCPS、CJJ81176_1435の突然変異体と、すべてのMeOPNを欠く3390(mpnC)由来のCPSの両方に対して低下した(それぞれ力価:600および8100)。本明細書に報告された、MeOPN−2−Galよりも合成MeOPN−6−Galのほうに対する抗コンジュゲート抗体の反応性が強いことに基づいて、CJJ81176_1435トランスフェラーゼは、Galの6位へのMeOPNの付加に関与し、また、CJJ81176_1420によってコードされるトランスフェラーゼは、Galの2位へのMeOPNの付加に関与している可能性が高い。これは、以下、NMRによってさらに研究された。
81−176CPSに対するMeOPN修飾。以前に、質量分析を用いて、81−176CPSのガラクトース(MeOPPN−2−Gal)の2位に、図21Aと同様の31P共鳴(ピークY)を有する不定比MeOPN単位を検出した[31]。ここでは、H−31P相関実験におけるMeOPNの31P共鳴Y(δ14.45)とガラクトース単位のH−2(δ4.52)との間のクロスピークの検出により、このMeOPN−2−Gal結合をNMRにより確認した(図22A)。
いくつかの81−176CPS調製物において、より低い強度ではあるが、31P NMRスペクトルは、δ14.15(指定ピークZ)で追加の共鳴を示した(図21B)。また、同様のピークが、MeOPNのリンとCPSガラクトース単位のいくつかのH−6共鳴との間にクロスピーク(図22B)を示した、CJJ81176_1420の突然変異体(3477と呼ばれる)の31P NMRにおいても観察された。これは、MeOPNのメチル共鳴(δ3.75〜3.81)の非常に近くで共鳴した。3477由来のCPSでは、有意なピークYは観察されなかった。NMRデータは、81−176および3477(CJJ81176_1420の突然変異体)のピークZが、ガラクトースの6位のMeOPN(MeOPN−6−Gal)の不定比配置に対応することを示唆した。これは、本明細書に記載の合成MeOPN−6−Galを用いるデータと一致する。
CYJ81176_1435の突然変異体である3636の31P NMRスペクトル(図21C)は、ピークYまたはピークZのいずれも示さなかったが、δ14.79(指定ピークX)で以前には見られないリン共鳴を生じた。2D H−31P NMR実験は、ピークXとδ4.85でのプロトン共鳴との間の結合を示した(図22C)。株3636由来のCPSのNMRデータは、以前に81−176CPSで観察されなかったMeOPN修飾を提供するCJJ81176_1435の突然変異体における新たな活性を示唆した。この新たなCPS修飾は、進行中の研究の対象である。
両方のトランスフェラーゼ(株3479)における突然変異体の31P NMRスペクトルは、MeOPN関連の共鳴を示さなかった(データは示さず)。
モノクローナルDB3。マウスモノクローナル抗体(アイソタイプIgG1)を、81−176−CRM197コンジュゲートワクチンで免疫した動物から単離した。図23Aに示すように、モノクローナルを、野生型81−176の全細胞およびさまざまな突然変異体を有するドットブロットで使用した。モノクローナルは、mpnC突然変異体(3390)または81176_CJJ1435突然変異体(3636)のいずれとも反応しなかったが、両方の突然変異体が補完されたときに(それぞれ3391および3637)、反応性が回復した。DB3は、81176_CJJ1420突然変異体(3477)に結合しているため、モノクローナルの特異性は、MeOPN−6−Galである可能性が高いCJJ81176_1435によってコードされるトランスフェラーゼによって修飾された部位に対するものであった。さらに、DB3は、他のMeOPN含有莢膜(HS1、HS2、HS3、HS4、およびHS15)に反応しなかった[39−44]。これは、特異性がMeOPN単独に対してではなく、糖結合を含んでいたことを再確認する(データは示さず)。
DB3を用いたフローサイトメトリー分析。図23Bは、モノクローナルDB3が、フローサイトメトリーにより測定されたように、野生型81−176の表面に結合していたが、ドットブロッティング研究から予想されたように、mpnC突然変異体には結合していなかったことを示す。結合は、mpnC突然変異体の補体である株3391で部分的に回復した。同様に、DB3は、たぶんMeOPN−6−Galを欠く突然変異体である3636には結合せず、結合は、補体である3637で部分的に回復した(図23C)。しかし、MeOPN−2−Galを欠くがMeOPN−6−Galを保持する突然変異体である3477へのDB3結合は減少した。結合は、補体である株3498で増強された(図23D)。
コンジュゲートワクチン上のMeOPN−6−Galのレベルが免疫応答を調節する。3つの独立して生成されたコンジュゲートワクチン上のMeOPN−6−Galのレベルを測定するためにDB3をELISAで使用したとき、結合の差異を検出することができた(図24A)。CCVは、ヒト以外の霊長類を下痢症から守ることが示されたワクチンであり[30]、最も高い結合性を示し、DB4は中間であり、CJCV1が最も低かった。図24Bに示すように、3つのワクチンのそれぞれに対するウサギ過免疫抗血清に対して野生型81−176およびmpnC突然変異体から精製した莢膜に対して、ELISAによってエンドポイント力価を測定した。各ワクチンは、無傷の野生型莢膜に対する抗体の高力価を誘発したが(CCV:6.6×10、DB4:4.0×10、CJCV1:5.9×10)、各ワクチンのMeOPN−6−Galの量が減少すると(CCV:100、DB4:5400、CJCV1:8100)、mpnC莢膜に対する力価は増加した。したがって、抗多糖類応答は、CCVに対して最も低く、DB4に対しては中間であり、CJCV1に対しては最も高かった。図24C〜Eは、野生型およびmpnC突然変異体の表面に対する各ウサギ過免疫血清の反応性を示す。CCVは、最高量のMeOPN−6−Galを有し、野生型81−176の表面に結合しているが、mpnC突然変異体3390には結合が検出されなかった(図24C)。結合は、株3391である補体で増強された。DB4をコンジュゲートする抗体は、野生型81−176の表面に結合し、CCVと比較してmpnC突然変異体への結合の増強を示した(図24D)。最後に、CJCV1に対する抗体は、野生型およびmpnC突然変異体に等しく良好に結合した(図24E)。いずれの抗体もkpsM突然変異体には結合しなかった。したがって、mpnC突然変異体に対する表面結合は、MeOPN−6−Galのレベルがワクチンにおいて減少するにつれて増強された。
補体抵抗性におけるMeOPNの役割。Van Alphenら[22、31]は、両方の推定トランスフェラーゼ遺伝子に二重突然変異体を構築し、得られた突然変異体が補体殺滅に対して感受性があることを示した。これは、mpnC突然変異体を用いた以前の研究と一致する[21、22]。本発明者らは、3477(CJJ81176_1420の突然変異体)、3636(CJJ81176_1435の突然変異体)、および両方のトランスフェラーゼを欠く二重突然変異体(3479)の血清抵抗性を、NHSの量を増加させながら比較した。結果は、図25に示してあり、すべての血清濃度において、CJJ81176_1435突然変異体3636が、野生型よりも有意に耐性があり、また、CJJ81176_1420突然変異体3477が、5〜15%のNHS濃度において野生型81−176よりも有意に感受性があることを示した。両方の突然変異体が修復された対立遺伝子で補完された場合、血清耐性のレベルは野生型のものと有意に異ならないレベルに戻った。しかし、両方のMeOPNトランスフェラーゼの突然変異(株3479)は、CJJ81176_1420突然変異体(3477)よりも感受性が高くなり、以前に別の二重トランスフェラーゼ突然変異体[22]およびmpnC突然変異体[21]に対して報告したのと同様の感受性レベルを示した。
MeOPN−6−Galの相変化。株81−176をMH寒天上の単一コロニーに対してプレーティングし、60個の個々のコロニーをDB3モノクローナル抗体でドットブロットしてMeOPN−6−Galの発現レベルを測定した。結果は、図26Aの代表的なコロニーによって示されるように、集団内のMeOPN−6−Galの発現にかなりの異種性があることを示した。図に示すように、コロニーには強度に対して主観的に得点を付した。興味深いことに、図26Aにおいて「WT」と表示した集団は、大部分の単一コロニーよりも少ない抗体に結合した。これは、集団の異種性の反映である。まとめると、図26Bに示すように、単一コロニーの54%が「3+」、16%が「2+」、26%が「1+」、4%がマイナスであった。
考察
カンピロバクター・ジェジュニ株の約75%は、そのCPS遺伝子座にMeOPNをコードする遺伝子を含むが、修飾された糖および修飾の部位は、限られた数のCPS型において決定されている。ほとんどの株は、単一のMeOPNトランスフェラーゼを含むが、NCTC11168および81−176を含むいくつかの株は、2つのトランスフェラーゼを含み、両方の莢膜は、2つの部位[31、40]で、本明細書に開示されるように修飾される。野生型81−176における両方のMeOPNトランスフェラーゼの存在下で、MeOPNは、Galの2位と6位の両方に結合している。CJJ81176_1420が突然変異した場合、MeOPNは、おそらくCJJ81176_1435によってコードされたMeOPNトランスフェラーゼによって6位にのみ結合した。また、これは、CJJ81176_1420によってコードされるトランスフェラーゼが、MeOPNの2−Galへの付加に関与していることを示す。しかし、CJJ81176_1435が突然変異した場合、Galの2位または6位のいずれにおいてもMeOPNは検出されず、未知の位置に新たな結合部位があった。この結合は、CJJ81176_1420によってコードされるトランスフェラーゼによって媒介されなければならない。なぜなら、新しい結合(図21CのピークX)は、二重MeOPNトランスフェラーゼ突然変異体3479において観察されなかったからである。これは、CJJ81176_1420によってコードされる酵素が、多糖類鎖の二次構造に依存する緩和された特異性を有することを示唆する。本発明らの研究室では、MeOPNトランスフェラーゼの特異性に関するさらなる研究が進行中である。
81−176CPS上のMeOPN修飾は、コンジュゲートワクチンにおいて免疫優性であり、MeOPN−6−Galに対する応答は、MeOPN−2−Galに対する応答よりも強かった。また、これは、本明細書に記載された、抗コンジュゲート抗体の合成MeOPN−6−Galとの観察された反応性とも一致する。MeOPN−6−Galの免疫優性は、CPS上での当該修飾のレベルがより高いことに起因するものでありうる、または、一次ヒドロキシル上での、Galの6位の修飾が、より免疫原性であることに起因する可能性がある。ELISAおよびフローサイトメトリーのより感度の高い方法によってさまざまなレベルの抗多糖類抗体を検出しうるであろうが、コンジュゲートワクチンに対する任意のウサギ超免疫血清を用いた粗CPS調製物のイムノブロッティングによって、mpnC突然変異体の多糖鎖に対する抗体を検出することはできない。しかし、DB3結合によって測定されたように、MeOPN−6−Galのレベルが減少するほど、多糖類鎖に対する反応性のレベルは増加した。コンジュゲートワクチンに対する応答とは対照的に、81−176のホルマリン死滅全細胞に対して作製されたウサギ過免疫血清は、イムノブロッティングによってmpnC多糖類と反応した。この抗血清を産生するために抗原として使用された細胞は、他の調製物ほどMeOPNを発現しなかったか、または、ホルマリン処理により一部のMeOPNが失われたため、細胞がより多くの露出した多糖類を含んでいた可能性がある。
モノクローナルDB3は、全細胞ドットブロットにより決定されるようにMeOPN−6−Galエピトープに特異的であるように見え、また、これと一致して、フローサイトメトリーにより、野生型81−176の表面には結合しているが、CJJ81176_1435またはmpnC突然変異体には結合していないように見える。興味深いことに、CJJ81176_1420の突然変異によってDB3の表面結合が妨害された。これは、MeOPN−2−Galの消失がCPSの二次および/または三次構造を変化させ、DB3の細胞表面への接近可能性(accessibility)を低下させることを示唆している。研究はまだ報告されていないが、多糖類鎖は、細胞質で合成されているため、MeOPNで修飾されている可能性が高い。MeOPNを用いた糖の修飾は、多糖類の折り畳みの変化に影響を及ぼす可能性があり、細胞表面上へのアセンブリ後に、隣接する多糖鎖間の相互作用にも影響を与え、もって、多糖類の、抗体および/または補体カスケードの成分への接近可能性にも影響を与えうる。これは、CJJ81176_1420突然変異体におけるMeOPN−2−Galの喪失が、補体媒介性殺滅に対する耐性の有意な低下をもたらしたという本発明者らの観察と一致する。
CJJ81176_1420の突然変異とは対照的に、CJJ81176_1435の突然変異は、補体媒介性死滅に対する耐性を高めた。31P−NMR研究は、CJJ81176_1435突然変異体が、MeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galの両方を失っており、未知の部位に新しいMeOPN修飾を得ていることを示した。おそらく、この新しい修飾部位は、補体カスケードからの保護を強化すると思われる。この仮説は、mpnC突然変異体と比較して、CJJ81176_1435突然変異体(3636)に対して見られるより低い終点力価と一致する。したがって、新しいMeOPN修飾は、多糖類鎖に対する抗CJCV1抗体の接近可能性をブロックしうる。
補体媒介性殺滅に対するこれらの異なる感受性のメカニズムを理解するためには、さらなる研究が必要である。しかし、野生型81−176の個々のコロニーをDB3モノクローナルでイムノブロッティングすることにより、集団内におけるMeOPN−6−Galレベルの広範な不均一性が明らかになった。これは、今度は、集団が環境の変化に容易に適応できることを示唆する。同様に、MeOPNは、いくつかのファージの結合に必要であることが示されており、MeOPNのレベルを変化させる能力は、いくつかの環境で生存に決定的に重要である可能性がある[26、27]。したがって、PVは、これらの環境変化、および、恐らくこの人獣共通病原体によって遭遇する他のもの、に適応するための新たなメカニズム機構を提供するように思われる。カンピロバクター・ジェジュニの表面抗原のみならず[12〜17、34、46]、ストレス応答に影響を与えるプリン生合成遺伝子においても[47、48]、同様の不均一性が観察されている。まとめると、これらのデータは、カンピロバクター・ジェジュニが、異種集団内の既存の突然変異体のサブセットの選択によって生存する準種であるという考えを支持する[47]。
コンジュゲートワクチン中のMeOPNの免疫優性は、他の細菌病原体に基づく多糖類コンジュゲート上のO−アセチル基の免疫優性に匹敵するように見える[49〜51]。重要なことに、異なる糖上にMeOPNを発現する他の血清型に由来するCPSと抗コンジュゲート血清との反応は検出されなかった(データは示さず)。これは、当該反応が81−176に存在するGal結合に特異的であり、MeOPNそれ自体には特異的でないことを示唆する。糖に対する不定比修飾は、多糖類鎖にかなりの異種性を与え、免疫原性に影響を与えうる[40、52]。これらのデータは、カンピロバクター・ジェジュニに対するCPSベースのワクチンが、MeOPN修飾糖のこの免疫優位性を利用することによって改善されうることを示唆している。本明細書において、1つのアプローチは、莢膜の精製およびワクチンの製造のために免疫優性エピトープを過剰発現する株を使用することであると考えられる。別の代替的なアプローチは、MeOPN−糖エピトープの化学合成および本明細書で企図されているようなキャリアタンパク質へのコンジュゲーションである。
カンピロバクター・ジェジュニの補体媒介性殺滅は、主として古典経路によって起こることが報告されており[22、53]、CPSは、恐らく、表面タンパク質と交差反応するNHS中の天然に存在する抗体から細胞を保護する働きをする。しかし、MeOPN装飾は、交差反応性抗体から表面タンパク質および多糖類を保護しうる。これは、NHSが、カンピロバクター・ジェジュニの表面タンパク質と交差反応し、かつ、複数の株の、低レベルの補体媒介性殺滅を誘発しうる、低レベルの抗体を含むこと、しかし、カンピロバクター・ジェジュニによる感染の48時間以内に、患者が、株特異的であるより高レベルの血清殺菌力価を発生させたこと[53]、という以前の観察、つまり、CPS特異的抗体応答に関連しうる観察と一致する。他のいくつかのグラム陰性病原体に対するコンジュゲートワクチンは、保護と相関する殺菌抗体を誘導し[54〜56]、本発明者らは、カンピロバクター・ジェジュニコンジュゲートワクチンに対する当該可能性を探求している。カンピロバクター・ジェジュニは、一般に、比較的血清感受性があると考えられているが[57]、本発明者らは、本明細書において、生物は、MeOPNトランスフェラーゼをコードする遺伝子のPVを介してその耐性レベルを調節する能力を有すること、集団は、これらの修飾のさまざまなレベルを表す細胞からなることを示した。よって、集団に対するインビトロで測定される血清耐性のレベルは、インビボで達成されうる耐性のレベルを反映しない場合がある。
したがって、上記のデータに基づいて、本発明者らは、カンピロバクター・ジェジュニ株81−176の多糖類莢膜が、ガラクトース(MeOPN−6−Gal)の2位(MeOPN−2−Gal)および6位(MeOPN−6−Gal)においてメチルホスホルアミデート(MeOPN)で不定比的に修飾されており、これらが、81−176莢膜コンジュゲートワクチンに対する抗体によって認識される免疫優性エピトープであることを示した。野生型81−176の表面に結合した(しかし、MeOPN−2−Galを欠く突然変異体に結合する)MeOPN−6−Galに特異的なマウスモノクローナル抗体は減少したが、これは、MeOPN−2−Galの欠損が莢膜の二次/三次構造の変化をもたらすことを示唆している。MeOPN−6−Galに特異的なモノクローナル抗体を用いて、本発明者らは、集団が、MeOPNトランスフェラーゼの相変化の結果として異なるレベルのMeOPN−6−Galを発現する細胞の異種混合物からなることを示した。MeOPN−2−Galの結合に関与していると思われるCJJ81176_1420によってコードされるMeOPNトランスフェラーゼの突然変異体は、5%、10%、および15%の正常ヒト血清(NHS)において野生型よりも補体媒介性殺滅に対して有意に感受性が高かった。対照的に、MeOPN−6−Galの付加に関与していると思われるトランスフェラーゼであるCJJ81176_1435の突然変異体は、5%、10%、15%、および20%のNHSにおいて野生型よりも有意に耐性があった。CJJ81176_1435突然変異体においては、MeOPN−6−GalおよびMeOPN−2−Galの両方が失われ、MeOPN修飾の新たな未同定部位が観察された。この未同定部位は、この突然変異体における血清耐性の増強に関与している可能性が高い。したがって、CJJ81176_1435によってコードされるトランスフェラーゼが存在しない場合、CJJ81176_1420トランスフェラーゼは、莢膜上の二次部位を修飾することができたように思われる。このように、MeOPNトランスフェラーゼの相変化は、莢膜の構造および補体媒介性殺滅に対する耐性のレベルを調節する。
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被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する予言的方法
先行する実施例に記載の免疫原性合成コンストラクトは、カンピロバクター・ジェジュニに対する免疫原性製剤(例えば、ワクチン製剤)に含めることができ、また、カンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するために被験体に投与することができる。したがって、本実施例は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する予言的方法であり、特に、カンピロバクター腸炎に関連する胃腸障害および他の衰弱作用からの防御免疫を提供する、被験体において免疫応答を誘発する方法が、本明細書で企図される。
一例として、そのような方法は、本発明の1つ以上の合成コンストラクトを含む免疫原性組成物を投与することを含みうる。このコンストラクトは、任意選択的に、キャリア分子、好ましくは、CRM197のようなキャリアタンパク質分子にコンジュゲートされている。この方法は、さらに、第1の工程で投与されたのと同じ免疫原を含む組成物の1回以上の追加用量を投与することを含む1つ以上の後続する工程をさらに有しうる。
当業者に理解されるように、ヒトにおいて防御免疫を誘発する最適な方法の前に、マウスやサルなどの動物における研究が先行する。本発明の合成コンストラクトを含む各ワクチン製剤に対して、限られた量の実験が、最適な有効用量範囲を確認するのに必要である。例えば、一実施形態において、免疫原性合成コンストラクトの単位用量の範囲は、さまざまな緩衝液で、1用量あたり約0.1μg〜10mgでありうることが、本明細書で企図される。また、任意選択的に、初回用量(priming dose)に続いて、緩衝水溶液中約0.1μg〜10mgの免疫原の単位用量範囲で、1回以上(例えば、2〜4回)の追加用量を投与しうる。
したがって、カンピロバクター・ジェジュニに対する被験体における免疫応答を誘発する方法は、(a)本発明の1つ以上の合成コンストラクトを含む免疫原性組成物を投与する工程と、前記コンストラクトは、キャリア分子、好ましくはキャリアタンパク質分子にコンジュゲートされており、前記組成物は、アジュバントの有無にかかわらず1用量当たり約0.1μg〜10mgの用量範囲で投与される、(b)任意選択的に、アジュバントの有無にかかわらず、1用量当たり約0.1μg〜10mgの用量範囲で、工程(a)に記載された組成物の追加用量を投与する工程を有しうる。
本明細書において、投与経路に応じて、詳しく上述した多数のアジュバントのいずれかの有無にかかわらずワクチン製剤を投与しうると考えられる。
さらに、上記のように、本方法は、キャリアタンパク質にコンジュゲートされている合成コンストラクトを用いて、または、非コンジュゲート合成コンストラクトを用いて実施されうる。本方法は、上記した多数のキャリア分子のいずれかの使用を含みうる。一例として、CRM197を使用しうる。また、ETECタンパク質を、上記のように、例えばUS 2015/0258201 A1に開示されているように、キャリアタンパク質として使用しうる。
コンストラクト:キャリアタンパク質比(w/w)は、1:1、または、2つ以上のコンストラクトが、単一のキャリアタンパク質に、例えば、2:1から10:1以上、特に少なくとも8:1で結合するようなものでありうる。当業者には理解されるように、単一キャリア分子は、多数の合成コンストラクト、例えば、1キャリア分子当たり数百または数千のコンストラクトにコンジュゲートされうる。過度の実験を行うことなく、当業者であれば、被験体における免疫応答を誘発しおよび/または増強するのに最適な適切な比率を認識しうる。
実際、本明細で企図されるように、当業者は、2つ以上のMeOPN修飾単糖類を含むコンストラクトおよびコンジュゲートを有する合成コンストラクト、アジュバント、キャリアタンパク質、追加の免疫調節剤、および投与経路の異なる組み合わせを使用することによって、本発明の方法に使用する合成コンストラクトの免疫原性を最適化しうる。例えば、カンピロバクター・ジェジュニのみならず他の細菌病原体に対しても免疫原性が増強されたコンストラクトを産生するために、異なるETECタンパク質を、本発明の免疫原性合成コンストラクトとさまざまに組み合わせて使用しうることが、本明細書で企図される。この目的のために、US 2015/0258201 A1の教示内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。さらに、本発明の組成物、例えば、医薬製剤、特に本発明のワクチン製剤は、経口投与、経鼻投与、皮下投与、皮内投与、経皮投与、筋肉内投与、または直腸投与しうる。被験体において免疫応答を生成するのに最も適した投与方法および投与レジメンは、従来の方法を用い、かつ過度の実験をすることなく、当業者によって認識されうる。
カンピロバクター・ジェジュニまたは他の生物に対する多価ワクチン製剤
本明細書に提供されたデータは、カンピロバクター・ジェジュニのHS23/36、HS4、およびHS1株に対する抗体が、合成MeOPN−6−Galコンストラクトと反応しうることを示している。したがって、一実施形態において、当業者は、従来の方法を用い、かつ過度の実験をすることなく、カンピロバクター・ジェジュニの少なくともこれら3つの主要な莢膜型をカバーするべき本明細書に開示された合成MeOPN−6Galコンストラクトを含む多価ワクチン製剤を開発しうることが、本明細書で企図される。
さらに、本明細書において、カンピロバクター症の世界的症例の大部分を占めるカンピロバクター・ジェジュニの菌株をカバーする本発明の1つ以上の免疫原性合成コンストラクトを含む追加の多価製剤を開発しうることが企図される。このような製剤は、例えば、この点に関連するカンピロバクター・ジェジュニ株に由来の莢膜単糖類を含むさらなるコンストラクトを合成し、この合成コンストラクトの、そのようなカンピロバクター・ジェジュニ株に対する免疫原性(ありうる交差反応性を含む)を検査することによって生成されうる。特定の実施形態において、そのような合成コンストラクトは、例えば、1つ以上のMeOPN−6−Gal部分および/または1つ以上のMeOPN−2−Gal部分を有する、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含みうる。本明細書において、MeOPN−2−Galを含む合成コンストラクトが企図される。
本発明の多価ワクチン製剤は、カンピロバクター・ジェジュニの2つ以上の株をカバーするように作られた単一の合成コンストラクト、および/または、カンピロバクター・ジェジュニの単一の特定の株に対して特別に作られた合成コンストラクトを含むことができる。さらに、当業者であれば、2つ以上のカンピロバクター・ジェジュニ株に対してのみならず2つ以上の細菌の種類(例えば、ETECまたは赤痢菌)に対しても免疫原性である合成コンストラクトを、カンピロバクター・ジェジュニに対する免疫原性コンストラクトに、それらの追加の細菌に対するさまざまな異なる抗原成分を連結することによって産生しうることを理解するであろう。例えば、US 2015/0258201を参照。
これまで本発明を説明してきたが、当業者であれば、上記の教示に照らして本発明の多くの変更および変形が可能であることを理解するであろう。したがって、当然のことながら、添付の特許請求の範囲内において、本発明は、具体的に記載されたもの以外に実施されうる。

Claims (36)

  1. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニ(C.jejuni)に対する免疫応答を誘発することができる免疫原性合成コンストラクトであって、1つ以上のMeOPN部分を有する1つ以上の単糖類を含む、免疫原性合成コンストラクト。
  2. 1つ以上のMeOPN→6Gal単糖類を含む、請求項1に記載の免疫原性合成コンストラクト。
  3. キャリアタンパク質にコンジュゲートされている、請求項2に記載の免疫原性合成コンストラクト。
  4. 前記キャリアタンパク質は、少なくとも1つのT細胞エピトープを含む、請求項3に記載の免疫原性合成コンストラクト。
  5. 前記キャリアタンパク質は、CRM197である、請求項4に記載の免疫原性合成コンストラクト。
  6. 前記被験体は、ヒトである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫原性合成コンストラクト。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫原性合成コンストラクトを含む組成物。
  8. 前記組成物は、医薬組成物である、請求項7に記載の組成物。
  9. 前記医薬組成物は、ワクチン製剤である、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 前記製剤は、1つ以上のアジュバントをさらに含む、請求項9に記載のワクチン製剤。
  11. 前記アジュバントは、トール様受容体リガンド、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピドA、リポソーム、ならびにそれらの誘導体および組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載のワクチン製剤。
  12. 1つ以上の追加免疫調節剤をさらに含む、請求項7に記載の組成物。
  13. 前記免疫調節剤は、1つ以上のカンピロバクター・ジェジュニ株の抗原、ETEC抗原、赤痢菌リポ多糖構造、および非コンジュゲート状態のキャリアタンパク質からなる群から選択される物質である、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記被験体は、ヒトである、請求項7に記載の組成物。
  15. 前記被験体は、ヒトである、請求項8〜13のいずれか一項に記載の組成物。
  16. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫原性合成コンストラクトの有効量を前記被験体に投与することを含む、方法。
  17. 前記被験体は、ヒトである、請求項16に記載の方法。
  18. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法であって、請求項7に記載の組成物の有効量を前記被験体に投与することを含む、方法。
  19. 前記被験体は、ヒトである、請求項18に記載の方法。
  20. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法であって、請求項8〜13のいずれか一項に記載の組成物の有効量を前記被験体に投与することを含む、方法。
  21. 前記被験体は、ヒトである、請求項20に記載の方法。
  22. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法であって、
    (a)請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫原性合成コンストラクトの有効量を前記被験体に投与する工程と、
    (b)任意選択的に、工程(a)で投与した免疫原性合成コンストラクトの1回以上の追加用量を前記被験体に投与する工程と、
    を含む方法。
  23. 工程(a)で投与する前記有効量は、前記免疫原性合成コンストラクトの約0.1μg〜約10mgである、請求項22に記載の方法。
  24. 工程(a)および/または工程(b)において前記コンストラクトと共にアジュバントを投与する工程をさらに含む、請求項22に記載の方法。
  25. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する方法であって、
    (a)請求項8〜13のいずれか一項に記載の組成物の有効量を前記被験体に投与する工程と、
    (b)任意選択的に、工程(a)で投与した組成物の1回以上の追加用量を前記被験体に投与する工程と、
    を含む方法。
  26. 工程(a)で投与する前記有効量は、前記免疫原性合成コンストラクトの約0.1μg〜約10mgである、請求項25に記載の方法。
  27. 工程(a)および/または工程(b)において前記コンストラクトと共にアジュバントを投与する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
  28. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するための請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫原性合成コンストラクトの使用。
  29. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するのに用いる請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫原性合成コンストラクト。
  30. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する薬剤の製造における請求項1〜5のいずれか一項に記載の免疫原性合成コンストラクトの使用。
  31. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するのに用いる請求項7に記載の組成物。
  32. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するための請求項7に記載の組成物の使用。
  33. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する薬剤の製造における請求項7に記載の組成物の使用。
  34. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するのに用いる請求項8〜13のいずれか一項に記載の組成物。
  35. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発するための請求項8〜13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
  36. 被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニに対する免疫応答を誘発する薬剤の製造における請求項8〜13のいずれか一項に記載の組成物の使用。
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