JP2018537428A - カンピロバクター・ジェジュニに対する合成抗原コンストラクト - Google Patents
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Abstract
本発明は、1つまたは複数のMeOPN部分を含む1つまたは複数の単糖類を含む、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニ(C.ジェジュニ)に対する免疫応答を誘導することができる免疫原性合成コンストラクトに関する。具体的には、本発明は、1つもしくは複数のMeOPN−6−Gal単糖類、1つもしくは複数のMeOPN−4−Gal単糖類、および/または1つもしくは複数のMeOPN−2−Gal単糖類を含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導することができる免疫原性合成コンストラクトに関する。本発明は、免疫原性合成コンストラクトを含む組成物、ならびに免疫原性合成コンストラクトおよび/または免疫原性合成コンストラクトを含む組成物を被験体に投与することを含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法にも関する。1つまたは複数のMeOPN部分に対する1つまたは複数の用量の免疫グロブリンを被験体に投与することを含む、被験体におけるC.ジェジュニ細菌感染を治療、予防、または改善する方法も企図される。
Description
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年11月5日に出願されたPCT出願第PCT/US2015/059315号の利益を主張するものであり、2015年11月5日に出願された米国特許出願第14/933,793号に関連し、この出願は、2014年11月5日に出願された米国仮特許出願第62/075,399号の利益および2015年3月4日に出願された米国仮特許出願第62/127,935号の利益を主張するものであり、これらの全体の開示は参照により本明細書に組み込まれている。
本出願は、2015年11月5日に出願されたPCT出願第PCT/US2015/059315号の利益を主張するものであり、2015年11月5日に出願された米国特許出願第14/933,793号に関連し、この出願は、2014年11月5日に出願された米国仮特許出願第62/075,399号の利益および2015年3月4日に出願された米国仮特許出願第62/127,935号の利益を主張するものであり、これらの全体の開示は参照により本明細書に組み込まれている。
(配列表)
本出願は、EFS−Webを介して、ASCIIフォーマットで提出された配列表を含有し、この配列表は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。前記ASCIIコピーは、2016年10月5日に作成され、「103281CIP_ST25.txt」と命名され、4.52キロバイトのサイズである。
本出願は、EFS−Webを介して、ASCIIフォーマットで提出された配列表を含有し、この配列表は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。前記ASCIIコピーは、2016年10月5日に作成され、「103281CIP_ST25.txt」と命名され、4.52キロバイトのサイズである。
(技術分野)
本発明の発明主題は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)(C.ジェジュニ)に対する免疫応答を誘導することができる免疫原性合成コンストラクトに関する。本発明の発明主題は、免疫原性合成コンストラクトを含む組成物、ならびに被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法にも関する。
本発明の発明主題は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)(C.ジェジュニ)に対する免疫応答を誘導することができる免疫原性合成コンストラクトに関する。本発明の発明主題は、免疫原性合成コンストラクトを含む組成物、ならびに被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法にも関する。
下痢症は、発展途上国における罹患率および死亡率の主要な原因である。細菌による下痢の主な原因の中には、毒素原性大腸菌(ETEC)、シゲラ種、およびC.ジェジュニがある。実際、C.ジェジュニは、米国で毎年250万件の胃腸炎を引き起こし、世界中で4億件超の胃腸炎を引き起こすと推定されている。発展途上国において、C.ジェジュニ胃腸炎は、主に小児疾患である。C.ジェジュニ胃腸炎の症状には、下痢、腹痛、発熱、時には嘔吐が含まれる。便は、通常、粘液、糞便白血球、および血液を含むが、水様性の下痢も観察される。この病気は人獣共通感染症であり、野鳥および家畜化された鳥は主要な保有者を代表する。C.ジェジュニは、主要な食品媒介性感染症であり、ほとんどの場合汚染された家禽に関連している、しかし、主要な発生は、水または生乳の汚染に関連している。
C.ジェジュニは、胃腸炎を引き起こすことに加えて、炎症性腸症候群、および、ライター症候群として知られる脊椎関節症を含む、いくつかの望ましくない感染後の状態を引き起こす可能性がある。さらに、最近の研究では、C.ジェジュニの感染と、栄養失調と、資源の乏しい環境での小児の発育阻害との関連が示されている。
C.ジェジュニ感染症の可能な別の衰弱性合併症は、麻痺を引き起こし得る感染後の多発神経障害であるギラン・バレー症候群(GBS)の発症である(Allos, B.M., J. Infect. Dis 176 (Suppl 2):S125−128 (1997))。C.ジェジュニは、哺乳動物の細胞に見られる九炭糖であるシアル酸を内因性に合成し得る限られた数の細菌の1つである。C.ジェジュニとGBSとの関連性は、C.ジェジュニに存在するリポオリゴ糖類(LOS)のシアル酸含有外側コアとヒトのガングリオシドとの間の分子模倣によるものであると報告されている(Moran, et al., J. Endotox. Res. 3: 521 (1996))。C.ジェジュニのLOSコアに対するヒト被験体によって生成された抗体は、その被験体の神経組織に対する望ましくない自己免疫応答を引き起こすと考えられている。実際に、研究の結果、カンピロバクターにおけるLOS合成は、シアル酸の生合成に関与する酵素をコードする遺伝子を含む、いくつかの遺伝子によって制御されることが示唆されている。シアル酸は、その後、LOSに組み込まれる。これは、GBSにおけるLOSおよびヒトガングリオシドの観察された分子模倣と一致する。(Aspinall, et al., Eur. J. Biochem., 213: 1029 (1993);Aspinall, et al., Infect. Immun. 62: 2122−2125 (1994);Aspinall, et al., Biochem 33: 241 (1994); Salloway et al., Infect. Immun., 64: 2945 (1996))。
C.ジェジュニは、コロニー形成および侵襲に関与しかつ血清抗体が生成される表面莢膜多糖類(CPS)を有するグラム陰性菌である。カンピロバクターゲノム配列の最近の分析により、腸内細菌のタイプII/III莢膜遺伝子座に見られるものと同様の莢膜輸送遺伝子の完全なセットが同定された(Parkhill et al., Nature, 403: 665 (2000);Karlyshev et al., Mol. Microbiol., 35: 529 (2000))。いくつかの莢膜輸送遺伝子において部位特異的突然変異を引き起こしたその後の遺伝子研究は、その莢膜がPennerの血清型決定スキームの主要な血清型決定因子であることを指摘している(Karlyshev et al., Mol. Microbiol., 35: 529 (2000))。Pennerのスキームは、カンピロバクターの2つの主要な血清型分類スキームの1つであり、当初はリポ多糖類O側鎖に基づくと考えられていた(Moran and Penner, J. Appl. Microbiol., 86:361 (1999))。以前にO側鎖として記載された構造は、実際には多糖類莢膜であると現在考えられている。興味深いことに、C.ジェジュニの莢膜部分が血清型決定に重要であり、C.ジェジュニの47超のPenner血清型が同定されているにもかかわらず、ほとんどのカンピロバクター下痢症はわずかに限られた数のこれらの血清型によって引き起こされると考えられている。したがって、疫学研究に基づく、C.ジェジュニのわずかに選択された株のみが、潜在的なワクチン組成物の開発に適した候補株を提供し得る。
蔓延しているC.ジェジュニ血清型に関連するいくつかの免疫原性CPS−CRM197コンジュゲートが作製されている(Monteiro et al., (2009) Infect. Immun.77, 1128−1136;Bertolo, L, et al. (2012) Carbohy Res 366:45−49)。ヒト以外の霊長類をC.ジェジュニの下痢から保護することができる免疫原性C.ジェジュニCPSコンジュゲートワクチンが開発されている(Monteiro et al., (2009) Infect. Immun.77, 1128−1136、米国特許第9,084,809号)。米国特許第9,084,809号には、とりわけ、BALB/cマウスにおいて免疫応答を誘導することができるC.ジェジュニ株81−176(本明細書では血清型HS23/36とも呼ばれる)の莢膜多糖ポリマーからなる抗C.ジェジュニ免疫原性組成物について記載されている。この文献は、HS23/36莢膜多糖類が、ガラクトース、3−O−メチル−6−デオキシ−アルトロ−ヘプトース、およびN−アセチルグルコサミンの三糖類を含むこと;具体的には、免疫原性多糖ポリマーが、GalのO−2位にO−メチル−ホスホルアミデートを含有する、式[→3)−α−D−Gal−(1→2)−6d−3−O−Me−α−D−altro−Hep−(1→3)−β−D−GlcNAc−(1→]を有する反復三糖類構造を含むことを教示している。プロトタイプワクチンの見込みおよびヒトの疾患に対するこの微生物の重要性にもかかわらず、C.ジェジュニに対する認可された市販のワクチンはまだない。したがって、C.ジェジュニの感染に関連する疾患を予防または改善するための改良された免疫原性組成物および方法が現在なお必要とされている。
第1の態様において、本発明は、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニ(C.ジェジュニ)に対する免疫応答を誘導することができる免疫原性合成コンストラクトに関する。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。
さらに別の一態様において、本発明は、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導することができる免疫原性合成コンストラクトを含む組成物に関する。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。
さらなる態様において、本発明は、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む免疫原性合成コンストラクトの有効量を被験体に投与することを含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法に関する。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。特定の実施形態において、本方法は、免疫原性合成コンストラクトの1回または複数回の追加用量を投与することをさらに含み得る。特定の実施形態において、有効量は、免疫原性合成コンストラクトの約0.1μg〜約10mgの量である。
さらなる態様において、本発明は、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む免疫原性合成コンストラクトを含む組成物の有効量を被験体に投与することを含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法に関する。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。特定の実施形態において、本方法は、免疫原性合成コンストラクトの1回または複数回の追加用量を投与することをさらに含み得る。特定の実施形態において、有効量は、免疫原性合成コンストラクトの約0.1μg〜約10mgの量である。
さまざまな追加の態様において、本発明は、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導するのに用いる免疫原性合成コンストラクトに関する。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導するための免疫原性合成コンストラクトの使用に関する。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する薬剤の製造における免疫原性合成コンストラクトの使用に関し、前記免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN部分を有する単糖類を含む。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。
さらなる態様において、本発明は、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導するのに用いる免疫原性合成コンストラクトを含む組成物に関する。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導するための免疫原性合成コンストラクトを含む組成物の使用に関し、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する薬剤の製造における、免疫原性合成コンストラクトを含む組成物の使用に関し、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。
さらなる態様において、本発明は、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導するのに用いる免疫原性合成コンストラクトを含む医薬組成物に関する。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導するための免疫原性合成コンストラクトを含む医薬組成物の使用に関し、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。別の態様において、本発明は、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する薬剤の製造における、免疫原性合成コンストラクトを含む医薬組成物の使用に関し、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む。
さらなる態様において、本発明は、本明細書において詳細に記載されているように、本発明の免疫原性合成コンストラクトを合成する方法を対象とする。
上記態様のさまざまな実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、担体化合物、例えばキャリアタンパク質にコンジュゲートされ得る。特定の実施形態において、キャリアタンパク質は、少なくとも1つのT細胞エピトープを含む。特定の実施形態において、キャリアタンパク質は、CRM197である。
上記態様のさらなる実施形態において、組成物は、医薬組成物である。特定の実施形態において、医薬組成物は、ワクチン製剤である。
特定の実施形態において、医薬組成物およびワクチン製剤は、免疫有効量の1つまたは複数のアジュバントを含み得る。特定の実施形態において、アジュバントは、トール様受容体リガンド、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピドA、リポソーム、ならびにそれらの誘導体および組合せからなる群から選択される。さらなる実施形態において、医薬組成物およびワクチン製剤は、1つまたは複数の追加の免疫調節剤を含む。特定の実施形態において、免疫調節剤は、C.ジェジュニの1つまたは複数の株の抗原、ETECの抗原、赤痢菌リポ多糖類構造、および非コンジュゲートキャリアタンパク質からなる群から選択される物質である。
特定の実施形態において、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法は、タンパク質担体にコンジュゲートされたコンストラクトを投与することを含む。特定の実施形態において、タンパク質担体は、CRM197である。別の特定の実施形態において、この方法は、免疫有効量の1つまたは複数のアジュバントと共にコンストラクトまたはコンジュゲートを投与することをさらに含む。特定の実施形態において、アジュバントは、トール様受容体リガンド、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピドA、リポソーム、ならびにそれらの誘導体および組合せからなる群から選択される。上記態様の特定の実施形態において、被検体は、ヒトである。
別の態様において、本発明は、必要とする被験体におけるC.ジェジュニ細菌感染を治療、予防、または改善する方法であって、1つまたは複数の用量の免疫グロブリンを被験体に投与することを含み、前記免疫グロブリンは、前記C.ジェジュニ細菌の莢膜における1つまたは複数のMeOPN部分を認識する、方法を対象とする。一実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される。特定の実施形態において、MeOPN部分は、MeOPN−4−Galである。
本明細書は、本発明を具体的に指摘して明確に請求する特許請求の範囲で締めくくっているが、本発明は以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
本明細書で使用されるすべてのパーセンテージおよび比率は、本明細書に別段の指示がない限り、全組成物の重量による。特別の定めのない限り、すべての温度は、セ氏温度である。別の指定がなければ、測定はすべて25℃、常圧で行った。本発明は、本発明の構成要素も本明細書に記載された他の成分または要素も「含む(comprise)」(オープンエンド)または「本質的にからなる(consist essentially of)」ことができる。本明細書で使用されるように、「含む(comprising)」は、記載された要素、または構造もしくは機能におけるその同等物、および、記載されていないその他要素(複数可)を意味する。また、「有する(having)」、「含有する(containing)」、および「含む(including)」という用語も、文脈上他の意味を示唆することがない限り、オープンエンドと解釈されるべきである。本明細書で使用されるように、「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、本発明が請求項に記載された成分以外の成分を含み得るが、その付加的な成分が請求項に係る発明の基本的かつ新規な特徴を実質的に変えない場合に限ることを意味する。
本明細書に記載された範囲はすべて、2つの値の「間」の範囲を示すエンドポイントを含む。「約(about)」や「一般に(generally)」、「実質的に(substantially)」などの用語は、絶対的なものではないが、従来技術には読めないように用語または値を変更するものと解釈されるべきである。このような用語は、当業者によって理解されるように、状況およびこれらが修飾する用語によって定義される。これには、最低でも、値を測定するのに用いられる与えられた技術の期待実験誤差、技術誤差、および機器誤差の程度が含まれる。別段の指示がない限り、本明細書で使用されるように、「a」および「an」は複数を含み、例えば、「a MeOPN−6−Gal monosaccharide」は、少なくとも1つのMeOPN−6−Gal単糖類、および、複数のMeOPN−6−Gal単糖類、つまり、2つ以上のMeOPN−6−Gal単糖類を意味することができる。
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、2つ以上の項目のリストに使用される場合、列挙された特徴のうちのいずれか1つが存在し得ること、または、列挙された特徴の2つ以上の任意の組合せが存在し得ることを意味する。例えば、C.ジェジュニに対するワクチン製剤が特徴A、B、および/またはCを含むと記載されている場合、C.ジェジュニに対するワクチン製剤は、特徴Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの組合せ、AとCの組合せ、BとCの組合せ、またはAとBとCの組合せを含むことができる。本明細書で言及したすべての特許、特許出願その他刊行物の教示内容全体は、まるで本明細書に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。
最近まで、MeOPN−2−Galは、C.ジェジュニ株81−176(別名、本明細書では血清型HS23/26と称する)におけるCPS Gal上の唯一のMeOPN部分であると考えられた(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol. 188, 3273−3279)。しかし、C.ジェジュニ株HS23/36の遺伝的および構造的分析を行うことにより、本発明者らは、驚くべきことに、CPSガラクトースのO−6位に第2の異なるMeOPN(MeOPN−6−Gal)を発見し、さらに最近、ガラクトースの4位に第3の異なるMeOPN部分(MeOPN−4−Gal)を発見した。本明細書で報告されるように、本発明者らは、不定比量で存在するものの、MeOPN単位を含むCPSエピトープが、重要なC.ジェジュニ免疫原性マーカーであることを発見した。さらに、C.ジェジュニHS23/36の天然CPSを用いてマルチバレントコンジュゲートワクチンの総合的な免疫学的分析を行うことにより、本発明者らは、MeOPN修飾多糖類が未修飾多糖類に対して免疫原性および免疫優性であることを発見した。さらに、以下に提供されたデータは、MeOPN−4−Galが、補体媒介性死滅に対する耐性に関与している主要な修飾であると思われることを示している。
上記に鑑みて、本発明は、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導することができる免疫原性合成コンストラクトを対象とする。具体的には、従来の抗C.ジェジュニ免疫原性多糖類コンストラクトまたはCPSコンジュゲートワクチンとは対照的に、本発明は、1つまたは複数のメチルホスホラミジル単糖類を含むC.ジェジュニに対する免疫原性合成コンストラクト、つまり、1つまたは複数のO−メチルホスホルアミデート(MeOPN)部分(ガラクトースの2位、4位、および/または6位のMeOPNを含むがこれに限定されない)を含む免疫原性合成コンストラクトを対象とする。
特定の実施形態において、特に本明細書で詳細に記載されているように、C.ジェジュニに対する合成MeOPN→6Galコンストラクトの免疫原性および効力が驚くべきことに発見された。したがって、さまざまな態様において、本発明は、1つまたは複数の合成MeOPN→6Gal単糖類を含む合成糖類コンストラクト、これらの合成糖類コンストラクトを含む組成物、およびこれらの合成糖類コンストラクトを使用する方法を含む。加えて、本明細書に開示されるC.ジェジュニの莢膜におけるMeOPN−4−Galエピトープの最近の予想外の発見に鑑みて、本発明は、1つまたは複数のMeOPN→4 Gal単糖類を含む合成コンストラクト、これらの合成糖類コンストラクトを含む組成物、および、これらの合成糖類コンストラクトを使用する方法も含む。
本明細書で使用されるように、「単糖類」という用語は、その誘導体を含む、単一糖残基を指す。当業者には理解されるように、オリゴ糖の文脈内で、個々の単量体単位は、ヒドロキシル基を通して別の単糖に結合し得る、単糖である。
特定の実施形態において、本発明の合成糖類コンストラクトは、キャリアタンパク質にコンジュゲートされている。合成コンストラクト(キャリアタンパク質にコンジュゲートされていないまたはコンジュゲートされている)を含む組成物、例えば、ワクチン製剤を含む医薬抗C.ジェジュニ製剤が、本明細書で企図されている。また、本明細書で企図されているのは、合成コンストラクトならびに/またはコンジュゲートおよび/もしくは非コンジュゲート形態の合成コンストラクトを含む本発明の組成物、例えばワクチン製剤の有効量を被験体に投与することを含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法である。
本発明の免疫原性合成コンストラクトおよびコンジュゲートは、精製されたC.ジェジュニ莢膜多糖類から作製された従来のコンジュゲートワクチンよりも多数の利点をもたらすと考えられる。例えば、データは、MeOPN部分がC.ジェジュニにおいて相可変(phase variable)であり、したがって、精製された莢膜から得られるワクチン製剤に通常存在するこのエピトープのレベルが変わり得ることを示している。この天然の可変性の結果として、C.ジェジュニの同じ株に由来する異なる調製物は、このMeOPNエピトープの異なるレベル、したがって、異なる免疫原性を有し得る。対照的に、合成アプローチを用いることにより、所望レベルのMeOPNエピトープを含む医薬製剤(例えば、ワクチン製剤)を得ることができ、当該医薬製剤は、ワクチンの潜在的な免疫原性が制御され得るという利点を提供する。さらに、本明細書で提供された実施例から明らかなように、本発明の合成C.ジェジュニ単糖類コンストラクト抗原は、多糖類よりも広いカバレッジを有し、したがって、C.ジェジュニに対するワクチンに必要な結合価を潜在的に低下させ得る。したがって、本明細書に開示された合成コンストラクトは、単一のエピトープが2つ以上のC.ジェジュニ血清型にわたって交差防御するということもあり得るワクチン製剤において有効な抗原として使用され得る抗原決定基であることが、本明細書で企図される。さらに、本発明の合成コンストラクトの使用は、C.ジェジュニ(潔癖な生物)を増殖させることおよび莢膜を精製することを不要にするため、合成コンストラクトは、費用効率がより高く、したがって、精製されたCPSを使用する他のワクチンと比較して商業上の利益および改善をもたらす。
上記に加えて、本発明の合成コンストラクトは、免疫原性であるのみならず、合成アプローチによって自己免疫の発達に対する懸念がなくなるという利点も持つ、なぜなら、本方法は、ヒトガングリオシドを構造的に模倣する構造であってギラン・バレー症候群をもたらす自己免疫応答を誘導し得る構造をしばしば含むC.ジェジュニリポオリゴ糖類(LOS)から離れて莢膜の精製を必要としないためである。
当業者に理解されるように、「MeOPN→6Gal」、「MeOPN−6−Gal」、「MeOPN−6−Galコンストラクト」などの用語は、ガラクトース単糖類を指し、当該ガラクトース単糖類のO−6位にO−メチルホスホルアミデート部分を含むように修飾されたものである。本明細書で理解されるように、合成MeOPN−6−Galコンストラクトは、MeOPN部分に加えて他のさまざまな「R」基を含み得る。この用語は、さまざまな修飾形態、例えば、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMP、つまり、4−メトキシフェニル6−O−メチル−ホスホルアミデート−α−D−ガラクトピラノシド;および、リンカーを含む活性型、例えば、MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2、つまり、5−アミノ−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド、のコンストラクトを包含する。同様に、「MeOPN−2−Gal」などの用語は、ガラクトース単糖類のO−2位にO−メチルホスホルアミデート部分を含むことを指し、「MeOPN−4−Gal」などの用語は、ガラクトース単糖類のO−4位にO−メチルホスホルアミデート部分を含むことを指す。本明細書で理解されるように、合成MeOPN−2−GalおよびMeOPN−4−Galコンストラクトは、MeOPN部分に加えて他のさまざまな「R」基も含み得、当該用語は、例えば、MeOPN−6−Galに関して上で論じたような、さまざまな修飾形態のコンストラクトを包含する。
本明細書で理解されるように、「免疫原性合成コンストラクト」またはより単純に「合成コンストラクト」および同類の用語は、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニ(C.ジェジュニ)に対する免疫応答を誘導することができる1つまたは複数のMeOPN部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む、インビトロ、つまり、化学的に産生された天然に存在しない(「人工の」)化合物を指す。本明細書で使用されるように、「合成」は、単離された場合に通常付随する化合物である、成分、例えば、エンドドキシン、糖脂質、無関係のオリゴ糖などから実質的にまたは本質的に遊離されている物質を指す。特定の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、被験体においてC.ジェジュニに対する免疫応答を誘発し得る1つまたは複数のMeOPN→6Gal単糖類を含む。別の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、被験体においてC.ジェジュニに対する免疫応答を誘発し得る1つまたは複数のMeOPN→4Gal単糖類を含む。さらに別の実施形態において、免疫原性合成コンストラクトは、被験体においてC.ジェジュニに対する免疫応答を誘発し得る1つまたは複数のMeOPN→2Gal単糖類を含む。上で論じたように、MeOPN単糖類は、MeOPN部分に加えて他のさまざまな「R」基も含み得る。
本明細書で企図されるように、特定の実施形態において、本発明の免疫原性合成コンストラクトは、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される1つまたは複数の合成MeOPN単糖類を含む。別の実施形態において、コンストラクトは、1つまたは複数の他の糖類および/または化学的なリンカーと組み合わせて、さらに化学的に関連させ得る。例えば、本発明の合成コンストラクトは、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−6−Gal単独または1つまたは複数の他の単糖類と組み合わせて含み得ることが本明細書において企図される。C.ジェジュニのCPSに存在する単糖類は、特に、本明細書において、例えば、1つまたは複数のフルクトース、ガラクトース、グルコース、またはヘクトース単糖類であることが企図されており、また、任意選択的に、1つまたは複数のさらなるMeOPN部分、またはC.ジェジュニに対する他の抗原と置換される。
以下で詳述されるように、本明細書において、1つまたは複数のMeOPN→6Gal、MeOPN→4Gal、および/またはMeOPN→2Gal単糖類を含む合成コンストラクトを有する合成コンストラクトを含む、本発明の合成コンストラクトを活性化しキャリアタンパク質にコンジュゲートし得ること、または、非コンジュゲート形態で使用し得ることが企図される。特定の実施形態において、キャリアタンパク質にコンジュゲートされた場合、その合成コンストラクトを、本明細書において「コンジュゲートワクチン」または「コンジュゲート」と称し得る。
本明細書で使用されるように、「被験体」は、動物(鳥類および哺乳動物を含むがこれに限定されない)を含む。また、この言葉には、人間も包含される。本明細書において特に企図されるように、被験体は、例えば、C.ジェジュニに感染しているまたは感染する危険があるあらゆる動物またはヒトを含む。被験者は、C.ジェジュニの曝露に関してナイーブまたは非ナイーブであり得る。特に、適切な被験体(患者)は、家畜(例えば、ニワトリ)ならびに非ヒト霊長類およびヒト患者を含むがこれに限定されない。
本明細書で理解されるように、本発明の合成コンストラクトは、被験体に免疫応答を誘導して被験体におけるC.ジェジュニに関連する1つまたは複数の病的状態を予防および/または改善するために、被験体に投与され得る。本明細書で理解されるように、被験体において免疫応答を「誘導する」という概念は、被験体において体液性および/または細胞性免疫応答を引き起こすことを指す。したがって、「免疫刺激を誘発するための十分な量で」または「免疫刺激を刺激するため有効量で」(例えば、調製物に存在するMeOPN部分に対して)などの用語は、特定の抗原調製物の投与の前および後に測定された免疫応答インジケーターの間の検出可能な差を産生することができる量を指す。免疫応答インジケーターは、酵素結合免疫アッセイ(ELISA)、殺菌アッセイ(例えば、血清殺菌抗体を検出する)、フローサイトメトリー、免疫沈降、Ouchter−Lowry免疫拡散法;例えば、スポット、ウエスタンブロットまたは抗原アレイ;細胞毒性アッセイなどの結合検出アッセイなどのアッセイによって検出されるような、抗体価または特異性を含むが、これに限定されない。
C.ジェジュニ感染および/またはC.ジェジュニに関連する1つまたは複数の病的状態を「治療、予防、および/または改善する」という概念は、例えば、C.ジェジュニ感染に関連する病的状態の発症または進行を防ぐまたは妨げること、ならびに、C.ジェジュニに関連する1つまたは複数の病的状態を治癒し、遅らせ、および/またはその重症度を低下させることを包含する。
本明細書で使用されるように、「C.ジェジュニに関連する1つまたは複数の病的状態」という用語は、C.ジェジュニによる感染によって引き起こされる被験体における望ましくない状態(「カンピロバクター症」)を指す。本明細書で企図されるように、そのような病的状態は、C.ジェジュニの感染時に被験体において生じ得る臨床症状および疾患、ならびに、既往のカンピロバクター症の結果として被験体において発症し得る状態を含む。これらの状態は、当業者によく知られており、カンピロバクター胃腸炎、ライター症候群、炎症性腸症候群、およびギラン・バレー症候群(GBS)を含むがこれに限定されない。
例えば、MeOPNの単糖(simple sugar)への制御された合成および導入、得られた合成コンストラクトの活性化、化学的リンカーの添加、ならびにキャリアタンパク質の結合を含む、本発明の合成コンストラクトの合成は、当業者、例えば、炭水化物化学者によく知られている市販の材料および方法を用いて実施し得る。化合物合成の特定の方法(合成スキーム)は、以下の実施例において詳細に説明する。本明細書において、以下の実施例および合成スキームに開示された化合物を合成する方法は、本発明の態様に含まれることが企図される。
当業者に理解されるように、単糖類の化学合成は、炭水化物化学における十分に確立された手順を用いて達成され得る;しかし、開示された合成スキームにおいて出発化合物として使用するための単糖類は、さまざまな商業的供給業者から取得し、当業者によって化学的に修飾して、例えば、本明細書に開示された合成スキーム(しかし、これに限定されない)に従って、本発明の免疫原性合成コンストラクトに到達し得る。公開された化学的修飾は、Comfort, et al., Biochem. 46: 3319−3330 (2007)で提案された4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドの合成方法を含むがこれに限定されない。簡単に述べると、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドは、D−ガラクトースから、アセチル化、4−メトキシフェノールによるグリコシド化、その後、公開された方法によるゼンプレーン脱アセチル化によって合成し得る(Montgomery et al. (1942) J. Am. Chem. Soc. 64, 690−694)。
同様に、MeOPNの単糖類への合成および導入のためのさまざまな方法は、当業者によく知られている。例えば、特定の方法は、Mara et al, Bioorg. Med. Chem. Lett. 6180−6183 (2011)に記載されている。この文献は、ジクロロリン酸エチルとの反応、その後、保護されたアミンとの反応を記載している。
上で論じたように、本発明の合成コンストラクトは、キャリアタンパク質と反応することができる1つまたは複数の化学結合基を付加するために化学的に活性化し得る。本明細書で企図されるように、本発明のコンストラクトの活性化は、当業者によく知られている従来の方法に従って実施し得る。このような方法は、例えば、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボラート(CDAP)やカルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、p−ニトロ安息香酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)などのシアン化試薬の使用を含む。また、コンストラクトの活性化は、糖類を2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)と反応させることによって達成され得る。例えば、US Pub. No.2014/0141032を参照されたい。
本発明の免疫原性合成コンストラクトは、非コンジュゲート形態で被験体に投与し得るが、本明細書において、合成時に、免疫応答を増強するために投与前に当該コンストラクトを化学的に活性化しインビトロで1つまたは複数のキャリア分子、例えば1つ以上のT細胞依存性キャリアタンパク質に化学的にコンジュゲートし得ることが企図される。実際に、当業者に理解されるように、小児は、多糖抗原に直面してIgM応答のみをマウントすることができ;成人はIgG、IgAおよびIgM応答を生成することができる。したがって、キャリアタンパク質を合成コンストラクトに結合することにより、コンストラクトによってインビボで引き起こされる免疫応答は、T細胞非依存性応答からT細胞依存性であるものに変化する。このように、引き起こされる免疫応答は増強され、したがって、その反対の非コンジュゲートコンストラクトによってインビボで産生されるであろうものと著しく異なる。
特定の実施形態において、キャリア分子は、キャリアタンパク質である。本明細書で使用されるように、「キャリアタンパク質」は、特定の実施形態において、理想的には少なくとも1つのT細胞エピトープを含むタンパク質またはその類似体もしくは断片を指す。本発明での使用に適したキャリアタンパク質は、当業者によく知られており、市販されており、および/または、従来の方法を用いて当業者により作製および精製され得る。例えば、本発明で使用されるキャリアタンパク質は、免疫学的に有効な担体であり、かつ、被験体に投与する化学的または遺伝的手段によって安全にされた、細菌毒素を含む。例は、ジフテリアトキソイドやCRM197、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌熱不安定性エンテロトキシン(LT)、大腸菌熱不安定性エンテロトキシンの結合成分(LTB)、大腸菌アドヘシンおよび/または線毛、ならび緑膿菌由来の外毒素Aなどの不活性化細菌毒素を含むがこれに限定されない。また、例えば、外膜複合体c(OmpC)やポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌アドヘシンタンパク質(PsaA)、肺炎球菌表面タンパク質BVH−3およびBVH−11などの細菌外膜タンパク質も使用され得る。また、その他のタンパク質、例えば、炭疽菌の防御抗原(PA)や、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン(BSA)、ツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)なども使用され得る。
特定の実施形態において、キャリアタンパク質は、不活性化細菌毒素、細菌外膜タンパク質、炭疽菌の防御抗原(PA)、オボアルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン(BSA)、およびツベルクリンの精製タンパク質誘導体(PPD)からなる群から選択される。特定の実施形態において、不活性化細菌毒素は、ジフテリアトキソイド、交差反応性物質197(CRM197)、破傷風トキソイド、百日咳トキソイド、百日咳トキソイド、大腸菌熱不安定性エンテロトキシンの結合成分(LTB)、大腸菌アドヘシンおよび/または線毛、ならびに緑膿菌由来の外毒素Aからなる群から選択される。特定の実施形態において、キャリアタンパク質は、不活性化細菌毒素CRM197である。別の特定の実施形態において、細菌外膜タンパク質は、外膜複合体c(OmpC)、ポーリン、トランスフェリン結合タンパク質、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、肺炎球菌アドヘシンタンパク質(PsaA)、肺炎球菌表面タンパク質BVH−3、および肺炎球菌表面タンパク質BVH−11からなる群から選択される。このようなキャリアタンパク質は、さまざまな商業的供給業者から入手可能である。
また、本明細書において、ETEC由来のタンパク質をキャリア分子として使用することも企図される。考えられるETECタンパク質担体は、熱不安定性エンテロトキシンのBサブユニット、および線毛サブユニットを含むがこれに限定されない。後者は、さまざまなETEC定着因子のサブユニット、例えば、CfaI(CfaEおよび/またはCfaB)、CS6(CssBおよび/またはCssA)、CS3(CstGおよび/またはCstH)、CS17(CsbAおよび/またはCsbD)、ならびにCS1(CooA)などを含む。ETECタンパク質のさらなる例および考えられるキャリア分子としてのETECタンパク質の使用に関する詳細は、例えば、US2015/0258201 A1を参照のこと(この文献の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている)。
本明細書で企図されるように、キャリアタンパク質は、C.ジェジュニに対するコンストラクトの免疫原性を増強するために、2つ以上の合成コンストラクトに結合され得る。一実施形態において、複数の合成MeOPN−6−Galコンストラクトが単一のキャリアタンパク質に結合される。特定の実施形態において、MeOPN−6−Gal:CRM197比(w/w)が少なくとも8:1以上である本発明のコンジュゲートワクチンが、本明細書において想定される。別の実施形態において、複数の合成MeOPN−4−Galおよび/またはβ−GlcNAc−(1−3)−[MeOPN−4]−Galコンストラクトが単一のキャリアタンパク質に結合される。特定の実施形態において、MeOPN−4−Gal:CRM197比(w/w)が少なくとも8:1以上である本発明のコンジュゲートワクチンが、本明細書において想定される。
コンジュゲーション後、遊離したものとコンジュゲートした糖類コンストラクトは、さまざまな従来の方法を用いて分離され得る。精製方法は、当業者によく知られており、例えば、限外濾過、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および/または硫酸アンモニウム分画を含む。
本発明の活性化単糖類または糖類コンストラクトをキャリアタンパク質にコンジュゲートする考えられる方法は、当業者によく知られており、例えば、以下を含む:結果として生じるアミノ基をアジピン酸リンカー基の一端に結合し、その後、タンパク質をそのアジピン酸リンカー基の他端に結合することを含む単糖類の還元的アミノ化;糖類コンストラクトが、臭化シアン(CNBr)または1−シアノ−4−ジメチルアンモニウムピリジニウムテトラフルオロボラート(CDAP)のいずれかにより活性化されて、シアネート基をヒドロキシル基に導入し、もって、タンパク質成分の添加時にアミノ基またはヒドラジド基と共有結合を形成する、シアニル化コンジュゲーション:カルボジイミドがコンジュゲーション反応の1つの成分上のカルボキシル基を活性化し、活性化されたカルボニル基が他の成分上のアミノ基またはヒドラジド基と反応する、カルボジイミド反応。必要に応じて、これらの反応を用いてコンジュゲーション反応の前にキャリアタンパク質の成分を活性化し得る。本明細書で企図されるように、特定の実施形態において、アミノ基を単糖類に導入し(例えば、末端=O基を−NH2と置換することにより)、その後、アジピン酸ジエステル(例えば、アジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエステル)による誘導体化およびキャリアタンパク質との反応を行うことを含むプロセスを使用し得る。
また、本明細書において、合成コンストラクトをキャリアタンパク質に直接結合し得ることも企図される。タンパク質への直接結合は、従来の方法を用いた、単糖類の酸化とその後のタンパク質による還元的アミノ化とを含み得る。
例えば、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal単糖類、MeOPN−4−Gal単糖類、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含む本発明の合成コンストラクトは、さらに、1つまたは複数の追加の糖類、ならびにこれらの1つまたは複数のさらなる化合物、部分、断片、または誘導体を含み得る。さまざまな化合物は、本発明の免疫原性合成コンストラクトのさまざまな成分を結合し、および/または、合成コンストラクト全体を1つまたは複数のキャリアタンパク質に結合するための化学的主鎖としての役割を果たし得る。ポリマーコンストラクトまたはコンジュゲートを作製するのに使用され得る化合物は、例えば、修飾デンプン部分、シクロデキストリン、およびニゲランを含む。
本明細書で特に企図されるように、コンストラクトは、さまざまな理由で、例えば、合成コンストラクトの化学的安定性を増加させるために、および/または、コンストラクトの送達もしくはバイオアベイラビリティを増強するために加え得る追加の糖類、部分、または化合物を含み得る。特定の実施形態において、追加の糖類、部分、および化合物は、被験体におけるC.ジェジュニに対する合成コンストラクトの免疫原性を増強するために、1つまたは複数のリンカーまたは他の化合物を介して、直接的または間接的に、1つまたは複数のMeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Galコンストラクトと化学的に結合され得ることが、本明細書で企図される。したがって、本発明の合成コンストラクトに使用する追加の糖類は、さまざまなC.ジェジュニ株の莢膜に存在する単糖類、例えば、フルクトース、グルコース、ヘプトース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルグルコサミン、グルシトールを含む、ガラクトースまたはその他のその修飾形態、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galを含むがこれに限定されない1つまたは複数のMeOPN部分を有する単糖類を含む、グルコースまたはその修飾形態もしくは誘導体を含むがこれに限定されない。このような糖類は、C.ジェジュニに対する合成コンストラクトの免疫原性を増強し得る1つまたは複数の他のMeOPN単糖類の量でそれと組み合わせて使用され得る。例えば、図1は、C.ジェジュニ血清型複合体HS1、HS3、HS4、およびHS23/36のCPS反復ブロック、特異的ヘプトース単位、およびMeOPN結合を列挙する。
上記に鑑みて、以下の実施例に記述のように、図15は、2つ以上のMeOPN−6−Gal単糖類を含む合成ポリマーコンストラクトを示し、図18は、2つ以上のMeOPN−6−Gal単糖類を含むとともに、追加の単糖類MeOPN−2−GalおよびMeOPN−1−Fruをも含む、合成ポリマーコンストラクトを示す。本明細書において、本発明のコンストラクトまたはコンジュゲートにおけるこれらの追加成分の存在が、C.ジェジュニに対するコンストラクトまたはコンジュゲートの免疫原性を増強することが企図される。特定の実施形態において、本発明のこれらのおよび他の合成コンストラクトが修飾されて、1つまたは複数のMeOPN−4−Galエピトープを含め得ることが、本明細書で企図される。
本明細書で理解されるように、「結合した」は、任意の様式の化学結合を含み、例えば、合成コンストラクトは、ポリマーとして鎖状に化学的に結合した、または、1つもしくは複数の他の糖類のいくつもとさまざまに組み合わせた、数個の合成MeOPN−6−Gal、MeOPN−4−Gal、および/またはMeOPN−2−Gal単糖類を含み得る。このようなコンストラクトは、さらに、キャリアタンパク質にコンジュゲートされ得る。
本明細書で企図されるように、本発明の方法は、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導することを対象とし、免疫原性合成コンストラクトの有効量を被験体に投与することを含む。特定の実施形態において、コンストラクトは、活性医薬成分、例えば医薬組成物として、より具体的には、キャリアタンパク質に結合された合成コンストラクトを含むワクチン製剤として、合成コンストラクトを含む組成物の形態で被験体に投与される。したがって、本明細書で使用されるように、「有効量」は、免疫原性合成コンストラクトの単独または組成物中の量を指し得、組成物は、1つまたは複数の他の活性医薬品または賦形剤を有する医薬組成物を含む。
さらに、本明細書中で理解されるように、「有効量」は、被験体において免疫応答を誘発するのに適した免疫原性合成コンストラクト(コンジュゲートまたは非コンジュゲート)の免疫学的に有効な量を指す。上で論じたように、「免疫応答」は、被験体における体液性および/または細胞性免疫応答を引き起こすことを包含する。結果として、被験者にとって意味のある臨床的利益が提供される。このような利益は、例えば、カンピロバクター症または関連する後遺症に関連する1つまたは複数の病的状態を予防し、改善し、治療し、阻害し、および/または低減することであり得る。したがって、本発明の方法は、治療方法、予防および/または防止方法と考えることができる。特定の実施形態において、本発明の免疫原性合成コンストラクトおよび/またはコンジュゲートを被験体に投与して、被験体におけるC.ジェジュニに起因する下痢および/または他の形態の胃腸炎を予防し得ることが、本明細書で企図される。
当業者は、本発明の合成コンストラクトの投与が、後でC.ジェジュニの感染に見舞われた場合に被験者に免疫を生み出すために、本発明のコンストラクトおよび/または組成物(例えば、ワクチン製剤)の使用を包含することを理解するであろう。しかし、さらに、本明細書において、本発明の合成コンストラクト、コンジュゲート、組成物、ワクチン製剤、および方法が、必ずしもC.ジェジュニに対する免疫をすべて提供したりおよび/またはすべての疾患症状を完全に治癒もしくは排除したりするわけではないと理解される。
本発明の免疫原性合成コンストラクトの適切な有効量は、当業者によって容易に決定可能であり、治療する被験体の年齢、体重、種(非ヒトの場合)および医学的状態、ならびに、そのコンストラクトがコンジュゲートまたは非コンジュゲート形態で投与されるかどうかに依存する。当業者には、用量が、経験的に決定され得ることおよび使用されるアジュバントに応じて変わり得ることも理解される。例えば、初期情報は、実験室での実験で収集され、ヒトに対する有効量は、その後、従来の投与試験および日常的な実験を通じて決定される。
本明細書で企図されるように、特定の実施形態において、C.ジェジュニの感染に対するワクチン接種用のコンストラクトまたはコンジュゲートの有効量は、体重1kg当たり約1μg以下から約100μg以上であり得る。一般的な指針として、本発明のコンストラクトまたはコンジュゲートの適切な量は、アジュバントの有無にかかわらず1投与量当たり約0.1μgから約10mgの間の量であり得る。さらに、1回または複数回の追加用量の投与を含む免疫は、アジュバントの有無にかかわらず、1用量当たり約0.1μgから約10mgの間の量を用いて実施し得る。
本明細書において、本発明のコンストラクトおよび組成物は、従来の方法に従ってさまざまな経路で被験体に投与されることが企図され、従来の方法は、非経口(例えば、大そう内注射および注入技術による)、皮内、膜貫通、経皮(局所を含む)、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、病巣内、皮下、経口、および鼻腔内(例えば、吸入)の投与経路を含むがこれに限定されない。また、投与は、連続注入またはボーラス注入によるものであり得る。
さらに、本発明の組成物は、さまざまな剤形で投与し得る。これらは、例えば、選択されたpHに緩衝され得る滅菌等張水溶液や懸濁液、乳液、粘性組成物などの、非経口、皮下、皮内、筋肉内、腹腔内、または静脈内投与(例えば、注射可能な投与)用製剤を含む、液体調製物および懸濁液を含む。特定の実施形態において、本発明のコンストラクトおよび組成物は、注射剤として被験体に投与されることが企図され、注射剤は、筋肉内、静脈内、皮下、または経皮注射によって送達される注射用組成物を含むがこれに限定されない。このような組成物は、当業者によく知られているさまざまな医薬賦形剤、担体、または希釈剤を用いて製剤され得る。
別の特定の実施形態において、本発明の合成免疫原性コンストラクトおよび組成物は、経口投与され得る。本発明の方法による投与のための経口製剤は、さまざまな剤形、例えば、液剤、散剤、懸濁剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、カプレット、持続放出製剤、または徐放性の製剤もしくは液体が充填された製剤(例えば、ゼラチンで覆われた液体であり、それによってゼラチンが胃の中で溶けて腸に送達される)を含み得る。このような製剤は、当業者によく知られている、さまざまな薬学的に許容される賦形剤を含み得、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムを含むがこれに限定されない。
特定の実施形態において、本明細書では、経口投与用の組成物が液体製剤であり得ることが企図される。このような製剤は、免疫原の粘膜送達を促進する(例えば、胃の内膜と普通よりも長い時間接触することにより)増強された粘度を有する組成物を生成し得る薬学的に許容される増粘剤を含み得る。このような粘性組成物は、当業者によって、従来の方法を使用し、かつ、医薬賦形剤および試薬(例えば、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびカルボマー)を使用して、作製され得る。
鼻腔または呼吸(粘膜)投与に適した(例えば、スクイズスプレーディスペンサー、ポンプディスペンサー、またはエアロゾルディスペンサーの形態の)他の剤形が、本明細書で企図される。また、直腸または膣送達に適した剤形も本明細書で企図される。また、本発明のコンストラクト、コンジュゲート、および組成物は、凍結乾燥もされ得る、また、従来の方法を用いて再水和の有無にかかわらず被験体に送達され得る。
本明細書で理解されるように、本発明の方法は、免疫原性合成コンストラクトを被験体に、さまざまなレジメンに従って、つまり、被験体に臨床的に有意な利益を提供するのに十分な量および方法でかつ十分な時間、投与することを含む。本発明での使用に適した投与レジメンは、従来の方法に従って当業者によって決定され得る。例えば、本明細書では、有効量を、単回用量、数日間にわたって投与される一連の複数回用量、または単回用量とその後の追加用量(例えば、数年後)として被験体に投与し得ることが企図される。本明細書で使用される用語「用量(dose)」または「投与量(dosage)」は、被験体への投与に適した物理的に不連続な単位を指し、各投与量は、所望の応答を生じるように計算された活性医薬成分としての所定の量の合成コンストラクトおよび/またはコンジュゲートを含む。
投与レジメン(例えば、投与する量や治療の回数、単位用量当たりの有効量など)は、施術者の判断次第であり、各被験体に特有である。この点で考慮すべき要因には、被験体の身体的および臨床的状態、投与経路、治療の意図した目標、ならびに、特定のコンストラクト、コンジュゲート、または組成物の効力、安定性、および毒性が含まれる。当業者に理解されるように、「追加用量(boosting dose)」は、初期投与量と同じ投与量または異なる投与量を含み得る。実際に、被験体において所望の免疫応答を生じさせるために一連の免疫が投与される場合、当業者は、この場合、「有効量」が2回分以上の投与量を包含し得ることを理解する。
本明細書で企図されるように、本発明の組成物、特に本発明の医薬組成物およびワクチンは、好ましくは無菌であり、重量または体積の単位で被験体への投与に適した量のコンストラクトおよび/またはコンジュゲートを含む。被験体に投与される組成物の体積(投与量単位)は、投与方法に依存し、当業者によって認識できる。例えば、注射剤の場合、投与される体積は、典型的には、0.1〜1.0ml、好ましくは約0.5mlであり得る。
当業者に理解されるように、本明細書で使用される「組成物」という用語は、医薬組成物を包含する。本明細書で理解されるように、本発明の「医薬組成物」は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤と組み合わせて、活性剤、例えば、免疫原性合成コンストラクト(キャリアタンパク質にコンジュゲートされていないもしくはコンジュゲートされたもの、またはこれらの組合せ)または抗体調製物を含む。「薬学的に許容される」という用語は、細胞や細胞培養、組織、生物などの生態系と適合する無毒物質を指すのに用いられる。
薬学的に許容される賦形剤、担体、および希釈剤の例は、当業者によく知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (latest edition)、Mack Publishing Company、Easton、PAで見られ得る。例えば、薬学的に許容される賦形剤は、湿潤または乳化剤、pH緩衝剤、結合剤、安定剤、防腐剤、増量剤、吸着剤、消毒剤、洗浄剤、糖アルコール、ゲル化または増粘添加剤、香味剤、および着色剤を含むがこれに限定されない。薬学的に許容される担体は、タンパク質や多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマー、トレハロース、脂質凝集体(油滴またはリポソームなど)、不活性ウイルス粒子などの巨大分子を含む。薬学的に許容される希釈剤は、水、生理食塩水、およびグリセロールを含むがこれに限定されない。
当業者に理解されるように、本発明の医薬組成物に含まれる薬学的に許容される追加の成分の種類および量は、例えば、所望の投与経路、ならびに所望の物理的状態、溶解性、安定性、および組成物のインビボ放出の速度によって変わり得る。例えば、静脈内注射、皮膚注射、皮下注射、または他の注射による投与に対して、ワクチン製剤は、典型的には、適切なpHおよび安定性の、発熱物質を含まない非経口的に許容される水溶液の形態であり、等張性ビヒクル、および、薬学的に許容される安定剤、防腐剤、緩衝剤、抗酸化剤、または当業者によく知られている他の添加剤を含み得る。
特定の実施形態において、本発明の免疫原性合成コンストラクトおよび/またはコンジュゲートを単独でまたは他の活性剤および/もしくは薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含む、ワクチン製剤の形態の医薬組成物が、本明細書に記述のように被験体への投与のために企図される。モノバレントワクチン(例えば、単一の抗原または単一の微生物に対して免疫するため設計される)とポリバレント(またはマルチバレント)ワクチン(例えば、同じ微生物の2つ以上の株に対してまたは2つ以上の微生物に対して免疫するため設計される)の両方が、本明細書で企図される。一実施形態において、本発明のワクチン製剤は、ポリバレント製剤である。特定の実施形態において、本発明のワクチン製剤は、C.ジェジュニの1つまたは複数の株(血清型HS23/36、HS1、HS2、HS3、HS4、およびHS5/31を含むがこれに限定されない)に対するポリバレント製剤であり得る。また、本発明のポリバレント製剤が、C.ジェジュニの1つまたは複数の株および/または他の細菌株(MeOPN含有莢膜を有するものを含む)に対するものを対象とし得ることも、本明細書で企図される。
例えば、本明細書に提供されたデータは、C.ジェジュニのHS23/36、HS4、およびHS1株に対する抗体が、合成MeOPN−6−Galコンストラクトと反応し得ることを示している。したがって、一実施形態において、当業者は、従来の方法を用い、かつ過度の実験をすることなく、C.ジェジュニの少なくともこれら3つの主要な莢膜型をカバーするべき本明細書に開示された合成MeOPN−6−Galコンストラクトを含むマルチバレントワクチン製剤を開発し得ることが、本明細書で企図される。MeOPN−6−Galを含むマルチバレント合成コンストラクトがMeOPN−2−Galおよび/またはMeOPN−4−Gal部分をさらに含み得ることが、本明細書で企図される。
本発明のマルチバレントワクチン製剤が、1つまたは複数のMeOPN部分(例えば、本明細書に開示された)を含む複数の合成コンストラクトを含み得ることも企図される。具体的には、本明細書において、カンピロバクター症の世界的症例の大部分を占めるC.ジェジュニの株をカバーする本発明の1つまたは複数の免疫原性合成コンストラクトを含む追加のマルチバレント製剤を開発し得ることがさらに企図される。このような製剤は、例えば、この点に関連するC.ジェジュニ株に由来の莢膜単糖類を含むさらなるコンストラクトを合成し、この合成コンストラクトの、そのようなC.ジェジュニ株に対する免疫原性(あり得る交差反応性を含む)を検査することによって生成され得る。特定の実施形態において、そのような合成コンストラクトは、例えば、1つもしくは複数のMeOPN−6−Gal部分、1つもしくは複数のMeOPN−4−Gal部分、および/または1つもしくは複数のMeOPN−2−Gal部分を含む、1つまたは複数のMeOPN部分を含む1つまたは複数の単糖類を含み得る。本明細書において、MeOPN−2−Galを含む合成コンストラクトが企図される。
本発明のマルチバレントワクチン製剤は、C.ジェジュニの2つ以上の株をカバーするため設計された単一の合成コンストラクト、および/または、C.ジェジュニの単一の特定の株に対して特別に設計された合成コンストラクトを含み得る。さらに、当業者であれば、2つ以上のC.ジェジュニ株に対してのみならず2つ以上の細菌の種類(例えば、ETECまたは赤痢菌)に対しても免疫原性である合成コンストラクトを、C.ジェジュニに対する免疫原性コンストラクトに、それらの追加の細菌に対するさまざまな異なる抗原成分を連結することによって産生し得ることを理解するであろう。例えば、US2015/0258201を参照されたい。
本発明のワクチンの製剤は、当該技術分野で広く認められている方法を用いて達成し得る。例えば、免疫学的に有効な量のコンストラクトまたはコンジュゲートワクチンに加えて、本発明の「ワクチン製剤」は、さらに、1つまたは複数の非免疫原性成分、例えば、上で論じたような、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、安定剤、防腐剤、緩衝剤、および消毒剤を含み得る。この目的のために、当業者は、頑強で安定なワクチン製剤の開発が、抗原に安定性をもたらして凝集、タンパク質構造の喪失、および/または酸化や脱アミド化などの化学的分解を防止するさまざまな賦形剤および製剤パラメータを理想的に用いることを理解するであろう。通常の実験および従来の方法を使用する当業者は、本発明の頑強で安定なワクチン製剤の開発によく適している特定のpH、緩衝剤、および安定剤を決定し得る。例えば、Morefield, G. (2011) The APPS Journal, 13: 191−200を参照されたい。
加えて、医薬組成物、特に本発明のワクチン製剤は、さらに、免疫有効量の1つまたは複数のアジュバントを含み得る。当業者に理解されるように、アジュバントは、抗原に対する被験体の免疫応答(つまり、体液性および/または細胞性免疫応答)を助ける物質である。アジュバントは、ワクチンの免疫原性効力を増加させるのに使用可能であり、また、ワクチン製剤の安定性を高める能力をも有し得る。したがって、ワクチン製剤にアジュバントを添加することにより、より迅速でより長期の持続的な免疫応答がインビボで可能となり得る。例えば、Stills, ILAR J (2005) 46:280−293(その内容を参照により本明細書に組み込む)を参照されたい。
本明細書で理解されるように、アジュバントの「免疫有効量」は、例えば、ワクチンの有効性を増加させること、および/またはワクチン製剤の安定性を増加させることによって。抗原に対して免疫応答の誘発を助ける量であると理解される。必要とされる量は、アジュバントおよび抗原に応じて変わり得る、かつ過度の実験をすることなく当業者によって認識され得る。
本発明の組成物と共に使用するのに適したアジュバントは、当業者によく知られており、さまざまな商業的供給業者から入手可能である。これらは、例えば、糖脂質;ケモカイン;サイトカインおよびケモカインの産生を誘導する化合物;インターフェロン;ミョウバンやベントナイト、ラテックス、アクリル粒子などの不活性担体;プルロニックブロックポリマー;デポフォーマー;サポニンやリゾレシチン、レチナール、リポソーム、プルロニックポリマー製剤などの表面活性物質;細菌リポ多糖類などのマクロファージ刺激剤;インスリンやザイモサン、エンドトキシン、レバミソールなどの代替経路補体活性剤;非イオン性界面活性剤;ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)トリ−ブロックコポリマー;トレハロースジミコレート(TDM);細胞壁スケルトン(CWS);完全フロイントアジュバント;フロイント不完全アジュバント;マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF);腫瘍壊死因子(TNF);3−O−脱アシル化MPL;CpGオリゴヌクレオチド;ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンエーテル、アルミニウム、ポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン](PCPP)、モノホスホリルリピドA、QS−21、コレラ毒素、およびホルミルメチオニルペプチドを含む。
一実施形態において、アジュバントは、抗原送達システム(例えば、アルミニウム化合物またはリポソーム)、免疫賦活剤(例えば、トール様受容体リガンド)、またはそれらの組合せ(例えば、AS01またはASO4)からなる群から選択され得る。これらの物質は、当業者によく知られている。特定の実施形態において、本発明の組成物および方法で使用するアジュバントは、トール様受容体リガンド、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピドA、リポソーム、ならびにそれらの誘導体および組合せからなる群から選択される。例えば、Alving, C. et al., 2012, Expert Rev Vaccines 11, 733−44;Alving, C. et al.(2012) Curr Opin Immunol 24, 310−5;Alving C. and Rao, M, (2008) Vaccine 26, 3036−3045;US6,090,406;US5,916,588を参照されたい。
免疫原性合成コンストラクトおよび/またはコンジュゲートに加えて、本発明の組成物は、さらに、1つまたは複数の他の活性医薬成分(追加の免疫調節剤を含むがこれに限定されない)を含み得る。本明細書で理解されるように、免疫調節剤は、被験体の免疫系を誘導し、増強し、活性化し、または刺激することができる物質である。これらの免疫調節剤は、例えば、C.ジェジュニの1つまたは複数の株の抗原、ETECの抗原、赤痢菌リポ多糖類構造、および非コンジュゲートキャリアタンパク質からなる群から選択される物質を含む。(例えば、US2015/0258201 A1を参照されたい)。それらは、過度の実験をすることなく当業者によって容易に認識される免疫有効量において使用し得る。
さらに、本発明の組成物およびワクチンは、単独で、または、他のワクチンおよび/もしくは他の治療剤もしくは免疫調節剤と組み合わせて、投与され得る。このような追加のワクチンおよび薬剤は、任意の様式で、例えば、本発明の免疫原性合成コンストラクトおよび組成物の前、後、または同時に、被験体に投与され得る。それらは、過度の実験をすることなく当業者によって容易に認識される免疫有効/治療有効量において使用し得る。
本明細書に記載の免疫原性合成コンストラクトは、C.ジェジュニに対する免疫原性製剤(例えば、ワクチン製剤)に含めることができ、また、C.ジェジュニに対する免疫応答を誘導するために被験体に投与することができる。したがって、本発明は、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法であり、特に、カンピロバクター腸炎に関連する胃腸障害および他の衰弱作用からの防御免疫を提供する、被験体において免疫応答を誘導する方法を企図している。
一例として、本発明の方法は、本発明の1つまたは複数の合成コンストラクトを含む免疫原性組成物を投与することを含み、当該コンストラクトは、任意選択的に、キャリア分子、好ましくは、CRM197のようなキャリアタンパク質分子にコンジュゲートされていることが本明細書で企図される。この方法は、さらに、第1のステップで投与されたのと同じ免疫原を含む組成物の1回または複数回の追加用量を投与することを含む1つまたは複数の後続するステップをさらに有し得る。
当業者に理解されるように、ヒトにおいて防御免疫を誘導する最適な方法の前に、マウスやサルなどの動物における研究が先行する。したがって、本発明の合成コンストラクトを含む各ワクチン製剤に対して、限られた量の実験が、最適な有効用量範囲を確認するのに必要である。例えば、一実施形態において、免疫原性合成コンストラクトの単位用量の範囲は、さまざまな緩衝液で、1用量あたり約0.1μg〜10mgであり得ることが、本明細書で企図される。任意選択的に、初回用量(priming dose)に続いて、緩衝水溶液中約0.1μg〜10mgの免疫原の単位用量範囲で、1回または複数回、例えば2〜4回の追加用量を投与し得る。
したがって、C.ジェジュニに対する被験体における免疫応答を誘導する方法は:(a)本発明の1つまたは複数の合成コンストラクトを含む免疫原性組成物を投与するステップであって、コンストラクトは、キャリア分子、好ましくはキャリアタンパク質分子にコンジュゲートされており、組成物は、アジュバントの有無にかかわらず1用量当たり約0.1μg〜10mgの用量範囲で投与される、ステップと、(b)任意選択的に、アジュバントの有無にかかわらず、1用量当たり約0.1.1μg〜10mgの用量範囲で、ステップ(a)に記載された組成物の追加用量を投与するステップとを含む。
投与経路に応じて、本明細書に記載されたものなどのいくつかのアジュバントのいずれかの有無にかかわらずワクチン製剤を投与し得ることが、本明細書で企図される。投与される免疫有効量のアジュバントの量は、特定のアジュバントに応じて変わり得る、かつ過度の実験をすることなく当業者によって確認され得る。
さらに、本明細書で論じたように、本方法は、キャリアタンパク質にコンジュゲートされている合成コンストラクトを用いて、または、非コンジュゲート合成コンストラクトを用いて実施され得る。本方法は、上で論じたいくつかのキャリア分子のいずれかの使用を含み得る。一例として、CRM197を使用し得る。また、ETECタンパク質を、上で論じたように、例えばUS2015/0258201 A1に開示されているように、キャリアタンパク質として使用し得る。
コンストラクト:キャリアタンパク質比(w/w)は、1:1、または、2つ以上のコンストラクトが、単一のキャリアタンパク質に、例えば、2:1から10:1以上、特に少なくとも8:1で結合するようなものであり得る。当業者には理解されるように、単一キャリア分子は、多数の合成コンストラクト、例えば、1キャリア分子当たり数百または数千のコンストラクトにコンジュゲートされ得る。過度の実験を行うことなく、当業者であれば、被験体における免疫応答を誘導および/または増強するのに最適な適切な比率を認識し得る。
実際、本明細で企図されるように、当業者は、2つ以上のMeOPN修飾単糖類を含むコンストラクトおよびコンジュゲートを有する合成コンストラクト、アジュバント、キャリアタンパク質、追加の免疫調節剤、および投与経路の異なる組合せを使用することによって、本発明の方法に使用する合成コンストラクトの免疫原性を最適化し得る。例えば、C.ジェジュニのみならず他の細菌病原体に対しても免疫原性が増強されたコンストラクトを産生するために、異なるETECタンパク質を、本発明の免疫原性合成コンストラクトとさまざまに組み合わせて使用し得ることが、本明細書で企図される。この目的のために、US2015/0258201 A1の教示内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。さらに、本発明の組成物、例えば、医薬製剤、特に本発明のワクチン製剤は、さまざまな様式で投与、例えば、経口投与、経鼻投与、皮下投与、皮内投与、経皮投与、筋肉内投与、または直腸投与し得る。被験体において免疫応答を生成するのに最も適した投与方法および投与レジメンは、従来の方法を用い、かつ過度の実験をすることなく、当業者によって認識され得る。
本発明は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−GalおよびMeOPN−6−Galを含むがこれに限定されない、C.ジェジュニの莢膜に見られる1つまたは複数のMeOPN部分に対する抗体調製物をさらに提供する。さまざまな実施形態において、抗体調製は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、マウスモノクローナルIgG抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、その断片、またはその組合せからなる群からの任意のメンバーを含み得る。本発明は、本明細書に記載された任意のMeOPN部分に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞をさらに企図する。特定の実施形態において、本発明は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、またはMeOPN−6−Galに対するモノクローナル抗体を対象とする。
別の実施態様において、本発明は、1つまたは複数の抗−MeOPN抗体またはその機能的断片、および生理的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物を提供する。特定の実施態様において、本発明は、1つまたは複数のC.ジェジュニ血清型に対する受動免疫または治療を提供する方法における使用のための、抗体および生理的に許容されるビヒクルを含む医薬組成物を提供する。本明細書で使用されるように、「受動免疫」は、被験体に対する抗体の投与を指し、それによって抗体が異なる被験体(同じおよび異なる種の被験体を含む)中に生成され、抗体が細菌の表面に結合し、細菌の貪食または死滅が引き起こされる。
本発明の医薬組成物および組成物は、従来の方法を用いて当業者によって調製され得る。例えば、本発明の1つまたは複数のMeOPN部分および/または合成コンストラクトに対する抗血清は、13週にわたる3〜4皮下注射によってニュージーランドホワイトウサギにおいて生成され得る。免疫前に放血させることにより、各ウサギから約5mLのベースライン血清を生成し得る。例えば、抗原の初回注射は、完全フロイントアジュバント(CFA)中のエマルジョンとして投与し得る。続く注射は、不完全フロイントアジュバント(IFA)において3週間隔で与え得る。ウサギは、3回目の免疫後の1週目から始めて2週ごとに放血させ得る。ウサギ1個体当たり約25〜30mLの血清を、各放血イベントから生成し、−80℃で凍結し得る。血清は、従来の方法を用いて、対応するMeOPN/合成コンストラクトまたはMeOPNを含有する精製された多糖類莢膜に対してELISAによって分析し得る。加えて、後の放血からの抗血清は、従来の方法を用いて親和性精製され得る。
本発明の薬学的な抗体組成物が、それを必要とする被験体におけるC.ジェジュニ感染に対して受動免疫を提供する方法に使用し得ることが、本明細書で企図される。したがって、特定の実施形態において、本発明は、本発明の薬学的な抗体組成物の有効量を被験体に投与することによって、被験体におけるC.ジェジュニの1つまたは複数の株または血清型による感染を予防し、治療し、または改善する方法を含む。本明細書で理解されるように、有効量は、被験体の年齢、体重、および種などの因子に応じて変わり得る。一般に、抗体の投与量は、約1〜10mg/kg体重の範囲であり得る。特定の実施形態において、抗体は、IgGまたはIgAクラスのヒト化抗体である。
本発明の医薬組成物および抗体の投与が、予防(C.ジェジュニ感染に対する予測される曝露の前)または治療(感染の開始後、例えば、症状の発症時または直後)のいずれかであり得ることが当業者には理解される。投与は、例えば、上で論じたような投与の経口または全身性の方法、例えば、皮下、筋肉内または静脈内法を含み得る。
また、本発明は、免疫有効量の本発明の免疫原性合成コンストラクトおよび/または組成物を含むキットを提供する。特定の実施形態において、キットは、コンジュゲートワクチンと、当該コンジュゲートワクチンを被検体に投与するための説明書とを含み得る。別の実施形態において、キットは、本明細書に記載されるような、抗体組成物を含み得る。また、キットは、任意選択的に、有効量の1つまたは複数の他の治療剤または免疫調節剤も含み得る。キットは、任意選択的に、1つまたは複数の診断ツールおよび使用説明書を含み得る。例えば、2つ以上のワクチンを含む組成物を含み得る、または、異なるワクチン、抗体もしくは治療剤を含有する別々の医薬組成物を含み得る。また、キットは、段階または連続投与のためのコンジュゲートワクチンおよび/または抗体の別々の用量を含み得る。キットは、組成物を投与するための説明書と共に、適切な送達デバイス(例えば、注射器や吸入デバイスなど)を含み得る。キットは、任意選択的に、保管、再構成(該当する場合)、および含まれる任意またはすべての治療薬の投与のための説明書を含み得る。キットは、被験体に与える投与回数を反映する複数の容器を含み得る。キットが第1および第2の容器を含む場合、複数の容器が存在し得る。
本明細書では特定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当然のことながら、これらの実施形態および本明細書で提供される実施例は、単に本発明の原理および適用を反映したものにすぎない。したがって、当然のことながら、説明に役立つ実施形態および実施例に対して多くの変更を行うことができ、また、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲から逸脱することなく他の構成を考案することができる。本明細書で引用したすべての特許出願、特許、文献、および参考文献は、全体が参照により本明細書に組み込まれている。
MeOPN→6−Galコンストラクトのp−メトキシフェニルおよびアミノペンチルグリコシド:MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPおよびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2の合成
以前、従来の方法および質量分析を用いて、C.ジェジュニ81−176CPSのガラクトースの2位(MeOPN−2−Gal)で不定比MeOPN単位を検出し、31P共鳴は図20Aに示すものと同様であった(ピークY)(Kanipes MI, et al.(2006). J. Bacteriol.188:3273−3279)。1H−31P相関実験におけるMeOPNの31P共鳴Y(δP14.45)とガラクトース単位のH−2(δH4.52)との間のクロスピークの検出により、このMeOPN−2−Gal結合をNMRにより確認した(図21A)。いくつかの81−176CPS調製物において、より低い強度ではあるが、31P NMRスペクトルは、δP14.15(指定ピークZ)で追加の共鳴を提示した(図20B)。また、同様のピークが、MeOPNのリンとCPSガラクトース単位のいくつかのH−6共鳴との間にクロスピークを示した別の81−176CPS調製物(遺伝子CJJ81176_1420における突然変異体)において観察された(MeOPNのメチル共鳴の非常に近くで共鳴した)(δH 3.75から3.81)(図21B)。NMRデータは、81−176のピークZが、ガラクトースの6位のMeOPN(MeOPN−6−Gal.)の不定比配置に対応することを示唆した。これらのデータおよびさらなる遺伝子研究は、以下の実施例8でより詳細に述べられる。
以前、従来の方法および質量分析を用いて、C.ジェジュニ81−176CPSのガラクトースの2位(MeOPN−2−Gal)で不定比MeOPN単位を検出し、31P共鳴は図20Aに示すものと同様であった(ピークY)(Kanipes MI, et al.(2006). J. Bacteriol.188:3273−3279)。1H−31P相関実験におけるMeOPNの31P共鳴Y(δP14.45)とガラクトース単位のH−2(δH4.52)との間のクロスピークの検出により、このMeOPN−2−Gal結合をNMRにより確認した(図21A)。いくつかの81−176CPS調製物において、より低い強度ではあるが、31P NMRスペクトルは、δP14.15(指定ピークZ)で追加の共鳴を提示した(図20B)。また、同様のピークが、MeOPNのリンとCPSガラクトース単位のいくつかのH−6共鳴との間にクロスピークを示した別の81−176CPS調製物(遺伝子CJJ81176_1420における突然変異体)において観察された(MeOPNのメチル共鳴の非常に近くで共鳴した)(δH 3.75から3.81)(図21B)。NMRデータは、81−176のピークZが、ガラクトースの6位のMeOPN(MeOPN−6−Gal.)の不定比配置に対応することを示唆した。これらのデータおよびさらなる遺伝子研究は、以下の実施例8でより詳細に述べられる。
プロトタイプ合成単糖類抗C.ジェジュニワクチンの可能性を試験するために、MeOPN→6−Galコンストラクトのp−メトキシフェニルおよびアミノペンチルグリコシド、つまり、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPおよびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2をそれぞれ合成した。具体的には、以下に示すとともに図2および図3に示すように、MeOPN→6−α−D−Galpコンストラクトを、p−メトキシフェニル(OMP)グリコシド、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMP(図2、スキーム1)として合成し、その後、キャリアタンパク質へのコンジュゲーションのために、C−1でアミノペンチルリンカーを備えさせて、(βアノマーとして)MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2としてもよい(図3、スキーム2)。
要約 MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPの合成(図2、スキーム1):
MeOPNは、弱酸性媒質で容易に除去され得るため、このような条件を回避する適切な合成方法が必要であった。出発化合物として、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドを公開された方法に従って合成した。(Comfort, et al., Biochem.46:3319−3330 (2007)を参照されたい)。簡単に述べると、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドは、D−ガラクトースから、アセチル化、4−メトキシフェノールによるグリコシド化、その後、公開された方法によるゼンプレーン脱アセチル化によって合成された(Montgomery et al.(1942) J.Am.Chem.Soc.64, 690−694)。
MeOPNは、弱酸性媒質で容易に除去され得るため、このような条件を回避する適切な合成方法が必要であった。出発化合物として、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドを公開された方法に従って合成した。(Comfort, et al., Biochem.46:3319−3330 (2007)を参照されたい)。簡単に述べると、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシドは、D−ガラクトースから、アセチル化、4−メトキシフェノールによるグリコシド化、その後、公開された方法によるゼンプレーン脱アセチル化によって合成された(Montgomery et al.(1942) J.Am.Chem.Soc.64, 690−694)。
4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物1)から出発して、6位にトリチル基を選択的に導入した。当初は、化合物2に対してベンゾイル化を行ったが、MeOPNの導入中に広範な移動が観察されたことから、より適切な保護基の解明が必要とされた。こうして、C−2、C−3、およびC−4位を保護するためにアリル基を選択した(これは移動に耐性があった)。その後、アリル基を接触水素化分解で脱保護して化合物3を得、これがMeOPN修飾に適合することが判明した。次に、トリチル基を除去して、修飾のために6−OHを露出させた化合物4を得た。
MeOPNの導入のための戦略は、公開された方法に類似する(Mara et al, Bioorg.Med.Chem.Lett.6180−6183 (2011)を参照されたい)。化合物4をトリエチルアミンの存在下で市販のジクロロリン酸メチルで処理した後、アンモノリシスを行った。新たに導入したMeOPNの二重キラル性質(dual chiral nature)のために、2つのジアステレオ異性体の混合物として生成物5を集めた。31P NMRは、生成物5が実際に2つのジアステレオ異性体の1:1混合物であり、10.5ppmで2つのリンシグナルを示すことを確認できた。また、1H NMRは、2つのアノマーおよび2つのOCH3シグナルを有する二組のシグナルを明らかにした(データは示さず)。
この反応により、副生成物の混合物が得られ、最も豊富なものは、第2のNH2によるO−メチル基の置換であった。塩化パラジウム(II)によるアリル基の除去は、生成物6を生成した。化合物5と同様に、ジアステレオ異性体の混合物が1Hおよび31P NMRによって観察された(図13)。従来の方法を用いて実施される、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPの31P NMR(A)および1H NMR(B)スペクトルを示す図13を参照されたい。
2D 1H−31P HMBC NMR実験は、MeOPNがO−6位に導入され、リンシグナルとH−6およびOCH3の両シグナルとの間に相関シグナルを示すことを確認できた。
要約 MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2の合成(図3、スキーム2):
MeOPN修飾の方法の設計に成功した後、ワクチンコンジュゲートを作製するために、コンストラクトをリンカーに結合した。まず、4−メトキシフェニル(OMP)をガラクトシド(図2の化合物3)から除去した。対応するヘミアセタールをトリクロロアセトイミデート供与体(化合物7)に変換した。その後、5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニルリンカーを、0℃で活性剤としてTMSOTfと共に導入した。化合物8を、βアノマーで65%、αアノマーで29%集めた。トリチル基の除去により、MeOPNの導入のための遊離ヒドロキシル基を有する化合物9が得られた。上記の手順を用いて、ホスホルアミデート(化合物10)を2つのジアステレオ異性体の混合物として回収した。その後、アリルおよびフタルイミド保護基を除去して、化合物11、それから化合物12を得た。
MeOPN修飾の方法の設計に成功した後、ワクチンコンジュゲートを作製するために、コンストラクトをリンカーに結合した。まず、4−メトキシフェニル(OMP)をガラクトシド(図2の化合物3)から除去した。対応するヘミアセタールをトリクロロアセトイミデート供与体(化合物7)に変換した。その後、5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニルリンカーを、0℃で活性剤としてTMSOTfと共に導入した。化合物8を、βアノマーで65%、αアノマーで29%集めた。トリチル基の除去により、MeOPNの導入のための遊離ヒドロキシル基を有する化合物9が得られた。上記の手順を用いて、ホスホルアミデート(化合物10)を2つのジアステレオ異性体の混合物として回収した。その後、アリルおよびフタルイミド保護基を除去して、化合物11、それから化合物12を得た。
材料および方法
化合物は、従来の方法を用いて合成し、すべての化学物質は、商業的供給業者から購入し、受け取ったまま使用した。分子篩は、加熱マントルにより減圧下で加熱することによって活性化した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、TLCシリカゲルF254上で実施した。糖化合物は、UV光によってまたはエタノール中の10%H2SO4による炭化によって可視化した。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルP60(43〜60μm、230〜400メッシュ)で行った。1H NMRおよび13C NMRスペクトルは、Bruker400または600MHz分光計(Bruker Daltonics Inc、Billerica、MA)を用いて記録した。残りの非重水素化溶媒のプロトンシグナル(CHCl3に対してδ7.24ppm)を1Hスペクトルの内部基準として使用した。13Cスペクトルに関して、化学シフトは溶媒(CDCl3に関してδ77.1ppm)と比較して報告される。化学シフトは、百万分率(ppm)で報告される。結合定数は、ヘルツ(Hz)で報告される。次の略語は、多重度を示すのに使用される:s、一重項;d、二重項;t、三重項;m、多重項。旋光度は、ルドルフリサーチオートポール3自動偏光計(Rudolph Research Analytical、Hackettstown、NJ)で測定し、また濃度(c)は、g/100mlで表す。合成化合物の高分解能質量スペクトルは、電子スプレーイオン化質量分析(飛行時間分析器)によって記録した。
化合物は、従来の方法を用いて合成し、すべての化学物質は、商業的供給業者から購入し、受け取ったまま使用した。分子篩は、加熱マントルにより減圧下で加熱することによって活性化した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、TLCシリカゲルF254上で実施した。糖化合物は、UV光によってまたはエタノール中の10%H2SO4による炭化によって可視化した。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルP60(43〜60μm、230〜400メッシュ)で行った。1H NMRおよび13C NMRスペクトルは、Bruker400または600MHz分光計(Bruker Daltonics Inc、Billerica、MA)を用いて記録した。残りの非重水素化溶媒のプロトンシグナル(CHCl3に対してδ7.24ppm)を1Hスペクトルの内部基準として使用した。13Cスペクトルに関して、化学シフトは溶媒(CDCl3に関してδ77.1ppm)と比較して報告される。化学シフトは、百万分率(ppm)で報告される。結合定数は、ヘルツ(Hz)で報告される。次の略語は、多重度を示すのに使用される:s、一重項;d、二重項;t、三重項;m、多重項。旋光度は、ルドルフリサーチオートポール3自動偏光計(Rudolph Research Analytical、Hackettstown、NJ)で測定し、また濃度(c)は、g/100mlで表す。合成化合物の高分解能質量スペクトルは、電子スプレーイオン化質量分析(飛行時間分析器)によって記録した。
4−メトキシフェニル6−O−トリチル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物2):
ピリジン(40mL)に溶解した化合物1(2.7g、9.3mmol)の溶液に塩化トリチル(3.1g、11mmol)を加え、反応混合物を60℃で3日間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物2を得た(4.7g、95%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.44-7.20 (m, 15H, Ar-H); 7.11-6.83 (m, 4H, MeOC6H4); 5.51 (d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1); 4.05-3.93 (m, 4H, H-2, H-3, H-4, H-5); 3.79 (s, 3H, OCH3); 3.54-3.32 (m, 2H, H-6.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.3, 151.2, 150.6, 144.3, 143.8, 143.7, 143.6, 129.1, 128.6, 128.0, 127.9, 127.8, 127.5, 127.3, 127.1, 127.0, 118.5, 117.9, 114.6, 114.5, 114.4 (Ar); 98.4 (C-1); 87.0, 71.2, 70.0, 69.3 (C-2, C-3, C-4, C-5); 63.6 (C-6); 55.6 (CH3.)HRMS (ESI): C32H32O7 [M+Na]+の計算値: 551.2046, 実測値: 551.2021.
ピリジン(40mL)に溶解した化合物1(2.7g、9.3mmol)の溶液に塩化トリチル(3.1g、11mmol)を加え、反応混合物を60℃で3日間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物2を得た(4.7g、95%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.44-7.20 (m, 15H, Ar-H); 7.11-6.83 (m, 4H, MeOC6H4); 5.51 (d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1); 4.05-3.93 (m, 4H, H-2, H-3, H-4, H-5); 3.79 (s, 3H, OCH3); 3.54-3.32 (m, 2H, H-6.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.3, 151.2, 150.6, 144.3, 143.8, 143.7, 143.6, 129.1, 128.6, 128.0, 127.9, 127.8, 127.5, 127.3, 127.1, 127.0, 118.5, 117.9, 114.6, 114.5, 114.4 (Ar); 98.4 (C-1); 87.0, 71.2, 70.0, 69.3 (C-2, C-3, C-4, C-5); 63.6 (C-6); 55.6 (CH3.)HRMS (ESI): C32H32O7 [M+Na]+の計算値: 551.2046, 実測値: 551.2021.
4−メトキシフェニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物3):
臭化アリル(4.6mL、53mmol)を含むDMF(60mL)に溶解した化合物2(4.7g、8.8mmol)の溶液を0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム、60%分散液(1.2g、29mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、反応をMeOH(10mL)でクエンチし、氷冷水(100mL)に注ぎ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。1:7EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、化合物3(5.1g、89%)を得た。[α]D 25=+132.6°(c+0.1、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.38-7.18 (m, 15H, Ar-H); 7.10-6.75 (m, 4H, MeOC6H4); 6.00-5.53 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.42 (d, 1H, J = 3.2 Hz, H-1); 5.33-4.98 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.37-3.72 (m, 13H, CH2-CH=CH2, H-2, H-3, H-4, H-5, OCH3); 3.38 (m, 1H, H-6a); 3.01 (m, 1H, H-6b.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.0, 151.0, 143.9 (Ar); 135.2, 135.1, 135.0 (CH2-CH=CH2); 128.6, 127.8, 127.0, 119.0, 117.4, 117.3, 116.4, 114.4 (CH2-CH=CH2, Ar); 97.5 (C-1); 86.8; 78.2 (C-2); 77.4 (C-4); 76.1 (C-5); 73.9, 72.5, 71.9 (CH2-CH=CH2); 70.4 (C-3) 63.3 (C-6); 55.6 (OCH3.)HRMS (ESI): C41H44O7 [M+Na]+の計算値: 671.2985, 実測値: 671.2970.
臭化アリル(4.6mL、53mmol)を含むDMF(60mL)に溶解した化合物2(4.7g、8.8mmol)の溶液を0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム、60%分散液(1.2g、29mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、反応をMeOH(10mL)でクエンチし、氷冷水(100mL)に注ぎ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。1:7EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、化合物3(5.1g、89%)を得た。[α]D 25=+132.6°(c+0.1、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.38-7.18 (m, 15H, Ar-H); 7.10-6.75 (m, 4H, MeOC6H4); 6.00-5.53 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.42 (d, 1H, J = 3.2 Hz, H-1); 5.33-4.98 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.37-3.72 (m, 13H, CH2-CH=CH2, H-2, H-3, H-4, H-5, OCH3); 3.38 (m, 1H, H-6a); 3.01 (m, 1H, H-6b.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.0, 151.0, 143.9 (Ar); 135.2, 135.1, 135.0 (CH2-CH=CH2); 128.6, 127.8, 127.0, 119.0, 117.4, 117.3, 116.4, 114.4 (CH2-CH=CH2, Ar); 97.5 (C-1); 86.8; 78.2 (C-2); 77.4 (C-4); 76.1 (C-5); 73.9, 72.5, 71.9 (CH2-CH=CH2); 70.4 (C-3) 63.3 (C-6); 55.6 (OCH3.)HRMS (ESI): C41H44O7 [M+Na]+の計算値: 671.2985, 実測値: 671.2970.
4−メトキシフェニル2,3,4−トリ−O−アリル−α−D−ガラクトピラノシド(化合物4):
80%水性AcOH(5mL)中の化合物3(300mg、0.46mmol)の溶液を80℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(1:6EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物4(147mg、78%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.02-6.78 (m, 4H, MeOC6H4); 5.95-5.89 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.50 (d, 1H, J = 3.5 Hz, H-1); 5.35-5.12 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.42 (dd, 1H, J1 = 3.2 Hz, J2 = 9.3 Hz, H-3); 4.27-3.89 (m, 10H, CH2-CH=CH2, H-2, H-4, H-5, OH); 3.81 (m, 1H, H-6a); 3.74 (s, 3H, OCH3); 3.70 (m, 1H, H-6b.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.1, 150.9 (Ar); 135.0, 134.9 (CH2-CH=CH2); 118.6, 118.0, 117.4, 116.6, 114.5 (CH2-CH=CH2, Ar); 97.5 (C-1); 78.2, 75.9, 74.0, 72.6, 72.0, 71.0 (CH2-CH=CH2, C-2, C-3, C-4, C-5); 62.7 (C-6); 55.6 (OCH3.)HRMS (ESI): C22H30O7 [M+Na]+の計算値: 429.1890, 実測値: 429.1891.
80%水性AcOH(5mL)中の化合物3(300mg、0.46mmol)の溶液を80℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(1:6EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物4(147mg、78%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.02-6.78 (m, 4H, MeOC6H4); 5.95-5.89 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.50 (d, 1H, J = 3.5 Hz, H-1); 5.35-5.12 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.42 (dd, 1H, J1 = 3.2 Hz, J2 = 9.3 Hz, H-3); 4.27-3.89 (m, 10H, CH2-CH=CH2, H-2, H-4, H-5, OH); 3.81 (m, 1H, H-6a); 3.74 (s, 3H, OCH3); 3.70 (m, 1H, H-6b.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.1, 150.9 (Ar); 135.0, 134.9 (CH2-CH=CH2); 118.6, 118.0, 117.4, 116.6, 114.5 (CH2-CH=CH2, Ar); 97.5 (C-1); 78.2, 75.9, 74.0, 72.6, 72.0, 71.0 (CH2-CH=CH2, C-2, C-3, C-4, C-5); 62.7 (C-6); 55.6 (OCH3.)HRMS (ESI): C22H30O7 [M+Na]+の計算値: 429.1890, 実測値: 429.1891.
4−メトキシフェニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−メチル−ホスホルアミデート−α−D−ガラクトピラノシド(化合物5):
分子篩でCH2Cl2(3mL)に溶解した化合物4(65mg、0.16mmol)およびジクロロリン酸メチル(150μL、1.3mmol)の溶液に、Et3N(175μL、1.3mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。10分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物5を得た(15mg、19%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.04-6.77 (m, 4H, MeOC6H4); 5.99-5.85 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.48 (2d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1); 5.36-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.41 (m, 1H, H-3); 4.29-4.10 (m, 8H, CH2-CH=CH2, H-2, H-4); 3.95-3.86 (m, 3H, H-5, H-6); 3.73 (s, 3H, OCH3); 3.57 (2d, 3H, J = 11.4 Hz, OCH3); 2.75, 2.56 (2d, 2H, NH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.2, 155.0, 150.9 (Ar); 135.0, 134.9 (CH2-CH=CH2); 128.9, 128.3, 118.8, 118.5, 117.7, 117.5, 117.4, 116.6, 114.5, 114.4 (CH2-CH=CH2, Ar); 97.6, 97.2 (C-1); 78.1, 75.8, 74.4, 74.0, 72.7, 71,9, 70.5, 70.4, 70.0, 69.9, 68.5, 65.5, (CH2-CH=CH2, C-2, C-3, C-4, C-5, C-6); 55.7, 53.3, 53.2 (OCH3.)HRMS (ESI): C23H34NO9P [M+H]+の計算値: 500.2050, 実測値: 500.2035.
分子篩でCH2Cl2(3mL)に溶解した化合物4(65mg、0.16mmol)およびジクロロリン酸メチル(150μL、1.3mmol)の溶液に、Et3N(175μL、1.3mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で5時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。10分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物5を得た(15mg、19%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.04-6.77 (m, 4H, MeOC6H4); 5.99-5.85 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.48 (2d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1); 5.36-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.41 (m, 1H, H-3); 4.29-4.10 (m, 8H, CH2-CH=CH2, H-2, H-4); 3.95-3.86 (m, 3H, H-5, H-6); 3.73 (s, 3H, OCH3); 3.57 (2d, 3H, J = 11.4 Hz, OCH3); 2.75, 2.56 (2d, 2H, NH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.2, 155.0, 150.9 (Ar); 135.0, 134.9 (CH2-CH=CH2); 128.9, 128.3, 118.8, 118.5, 117.7, 117.5, 117.4, 116.6, 114.5, 114.4 (CH2-CH=CH2, Ar); 97.6, 97.2 (C-1); 78.1, 75.8, 74.4, 74.0, 72.7, 71,9, 70.5, 70.4, 70.0, 69.9, 68.5, 65.5, (CH2-CH=CH2, C-2, C-3, C-4, C-5, C-6); 55.7, 53.3, 53.2 (OCH3.)HRMS (ESI): C23H34NO9P [M+H]+の計算値: 500.2050, 実測値: 500.2035.
4−メトキシフェニル6−O−メチル−ホスホルアミデート−α−D−ガラクトピラノシド(化合物6):
MeOH(1mL)に溶解した化合物5(17.0mg)の溶液にPdCl2(5.0mg)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(純粋なEtOAc)で精製して、化合物6を得た(5.1mg、39%)。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 6.98-6.80 (m, 4H, MeOC6H4); 5.39 (2d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1); 4.13 (m, 1H, H-3); 4.01-3.85 (m, 4H, H-4, H-5, H-6); 3.78 (m, 1H, H-2); 3.63 (OCH3); 3.41 (2d, 3H, J = 11.4 Hz, OCH3.) 13C NMR (100 MHz, D2O): δ 154.6, 150.0, 149.9, 119.3, 119.1, 114.9 (Ar); 98.1, 97.9 (C-1); 70.3, 70.2, 70.0, 69.1, 68.8, 67.8, 65.8 (C-2, C-3, C-4, C-5, C-6); 55.6 (OCH3); 53.6, 53.5, 53.4 (OCH3.)HRMS (ESI): C14H23NO9P [M+H]+の計算値380.1111; 実測値 380.1110.
MeOH(1mL)に溶解した化合物5(17.0mg)の溶液にPdCl2(5.0mg)を加え、反応混合物を室温で3時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(純粋なEtOAc)で精製して、化合物6を得た(5.1mg、39%)。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 6.98-6.80 (m, 4H, MeOC6H4); 5.39 (2d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1); 4.13 (m, 1H, H-3); 4.01-3.85 (m, 4H, H-4, H-5, H-6); 3.78 (m, 1H, H-2); 3.63 (OCH3); 3.41 (2d, 3H, J = 11.4 Hz, OCH3.) 13C NMR (100 MHz, D2O): δ 154.6, 150.0, 149.9, 119.3, 119.1, 114.9 (Ar); 98.1, 97.9 (C-1); 70.3, 70.2, 70.0, 69.1, 68.8, 67.8, 65.8 (C-2, C-3, C-4, C-5, C-6); 55.6 (OCH3); 53.6, 53.5, 53.4 (OCH3.)HRMS (ESI): C14H23NO9P [M+H]+の計算値380.1111; 実測値 380.1110.
2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−−α,β−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート(化合物7):
CH3CN(480mL)およびH2O(120mL)に溶解した化合物3(5.0g、7.7mmol)の溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(12.8g、23mmol)を加え、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、混合物をブライン(200mL)で希釈し、EtOAc(3×300mL)で抽出した。有機層を飽和Na2CO3水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:6EtOAc−ヘキサン)で精製した。得られたヘミアセタール(3.3g、6.1mmol)を無水CH2Cl2(120ml)に溶解し、CCl3CN(310μL、30mmol)およびK2CO3(420mg、30mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、セライト(登録商標)で濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(体積1%Et3Nを含む1:4EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物7をα,β−混合物として得た(3.6g、2ステップで57%)(化合物7A、7B)。
CH3CN(480mL)およびH2O(120mL)に溶解した化合物3(5.0g、7.7mmol)の溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(12.8g、23mmol)を加え、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、混合物をブライン(200mL)で希釈し、EtOAc(3×300mL)で抽出した。有機層を飽和Na2CO3水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:6EtOAc−ヘキサン)で精製した。得られたヘミアセタール(3.3g、6.1mmol)を無水CH2Cl2(120ml)に溶解し、CCl3CN(310μL、30mmol)およびK2CO3(420mg、30mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、セライト(登録商標)で濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(体積1%Et3Nを含む1:4EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物7をα,β−混合物として得た(3.6g、2ステップで57%)(化合物7A、7B)。
7A:1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.52 (s, 1H, NH); 7.42-7.18 (m, 15H, Ar-H); 6.46 (d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1); 6.00-5.61 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.39-4.98 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.32-3.84 (m, 10H, CH2-CH=CH2, H-2, H-3, H-4, H-5); 3.35 (m, 1H, H-6a); 3.09 (m, 1H, H-6b); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 161.3, 160.8, 143.9, 143.7, 135.2, 135.0, 134.9, 134.8, 134.1, 133.8, 128.8, 128.6, 127.8, 127.1, 127.0 (Ar, CH2-CH=CH2); 117.9, 117.4, 117.3, 116.7, 116.5 (CH2-CH=CH2); 104.0 (C-1); 86.8 (C-3); 86.7 (C-2); 83.8 (C-3); 82.6; 76.7 (C-4); 75.3, 74.1, 72.5, 72.2, 71.8, 71.0 (CH2-CH=CH2, C-5); 61.9 (C-6.)HRMS (ESI): C36H38Cl3NO6 [M+Na]+の計算値: 708.1663, 実測値: 708.1673.
7B:1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.59 (s, 1H, NH); 7.41-7.18 (m, 15H, Ar-H); 5.90 (m, 2H, CH2-CH=CH2); 5.62 (m, 2H, H-1, CH2-CH=CH2); 5.35-5.01 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.31-3.83 (m, 6H CH2-CH=CH2); 3.83 (m, 1H, H-5); 3.76 (dd, 1H, J1 = 8.2 Hz, J2 = 9.7 Hz, H-3); 3.62 (t, 1H, J = 5.9 Hz, H-2), 3.48-3.39 (m, 2H, H-4, H-6a); 3.12 (dd, 1H, J1 = 7.2 Hz, J2 = 9.3 Hz, H-6b.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 161.5, 143.8 (Ar); 135.4, 134.9, 134.8 (CH2-CH=CH2); 128.7, 128.6, 128.0, 127.9, 127.1 (Ar); 117.3, 117.0, 116.8 (CH2-CH=CH2); 98.5 (C-1); 86.8 (C-2); 81.6 (C-3); 77.8 (C-5); 74.6 (C-3) 74.2, 73.8, 73.3, 72.0 (CH2-CH=CH2, C-4); 62.4 (C-6.)HRMS (ESI): C36H38Cl3NO6 [M+Na]+の計算値: 708.1663, 実測値: 708.1673.
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−β−D−ガラクトピラノシド(化合物8):
トリクロロアセトイミデート(化合物7、両方アノマー)(1.1g、1.6mmol)および5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタノール(560mg、2.4mmol)を無水CH2Cl2(25mL)に溶解し、反応混合物を0℃に冷却した。TMSOTf(15μL、0.080mmol)を滴下して加え、反応混合物を0℃で15分間撹拌した。その後、反応物をEt3N(15μL)で中和し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:8EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物8(783mg、65%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.80-7.67 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 7.41-7.19 (m , 15H, Ar-H); 5.98-5.59 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.33-4.94 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.30-3.84 (m, 8H, CH2-CH=CH2, H-1, リンカー-CHH); 3.77 (d, 1H, J = 2.9 Hz, H-5); 3.62 (t, 2H, J = 7.3 Hz, リンカー-CH2); 3.45-3.35 (m, 4H, H-2, H-4, H-6a, リンカー-CHH); 3.29 (dd, 1H, J1 = 3.0 Hz, J2 = 9.8 Hz, H-3); 3.13 (dd, 1H, J1 = 9.4 Hz, J2 = 10.1 Hz, H-6b); 1.65 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.40 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): 168.4, 143.8 (Ar); 135.7, 135.3, 135.2 (CH2-CH=CH2); 133.9, 132.1, 128.7, 127.9, 127.1, 123.2 (Ar); 116.8, 116.5 (CH2-CH=CH2); 103.7 (C-1); 86.8; 81.5 (C-1); 79.2 (C-2); 73.9, 73.6, 73.4, 73.3 (C-5, C-4, CH2-CH=CH2); 71.9, 69.4 (リンカー); 62.5 (C-6); 37.9, 29.2, 28.4, 23.4 (リンカー.) HRMS (ESI): C47H51NO8 [M+Na]+の計算値: 780.3513, 実測値 780.3489.
トリクロロアセトイミデート(化合物7、両方アノマー)(1.1g、1.6mmol)および5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタノール(560mg、2.4mmol)を無水CH2Cl2(25mL)に溶解し、反応混合物を0℃に冷却した。TMSOTf(15μL、0.080mmol)を滴下して加え、反応混合物を0℃で15分間撹拌した。その後、反応物をEt3N(15μL)で中和し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:8EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物8(783mg、65%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.80-7.67 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 7.41-7.19 (m , 15H, Ar-H); 5.98-5.59 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.33-4.94 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.30-3.84 (m, 8H, CH2-CH=CH2, H-1, リンカー-CHH); 3.77 (d, 1H, J = 2.9 Hz, H-5); 3.62 (t, 2H, J = 7.3 Hz, リンカー-CH2); 3.45-3.35 (m, 4H, H-2, H-4, H-6a, リンカー-CHH); 3.29 (dd, 1H, J1 = 3.0 Hz, J2 = 9.8 Hz, H-3); 3.13 (dd, 1H, J1 = 9.4 Hz, J2 = 10.1 Hz, H-6b); 1.65 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.40 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): 168.4, 143.8 (Ar); 135.7, 135.3, 135.2 (CH2-CH=CH2); 133.9, 132.1, 128.7, 127.9, 127.1, 123.2 (Ar); 116.8, 116.5 (CH2-CH=CH2); 103.7 (C-1); 86.8; 81.5 (C-1); 79.2 (C-2); 73.9, 73.6, 73.4, 73.3 (C-5, C-4, CH2-CH=CH2); 71.9, 69.4 (リンカー); 62.5 (C-6); 37.9, 29.2, 28.4, 23.4 (リンカー.) HRMS (ESI): C47H51NO8 [M+Na]+の計算値: 780.3513, 実測値 780.3489.
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−β−D−ガラクトピラノシド(化合物9):
80%水性AcOH(10mL)中に溶解した化合物8(493mg、0.65mmol)の溶液を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物9(260mg、78%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.81-7.66 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 5.92-5.82 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.30-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.37-4.02 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.22 (d, 1H, J = 7.7 Hz, H-1); 3.88 (m, 2H, H-6a, リンカー-CHH); 3.69-3.60 (m, 4H, H-4, H-6b, リンカー-CH2); 3.51-3.42 (m, 2H, H-2, リンカー-CHH); 3.39 (m, 1H, H-5); 3.28 (dd, 1H, J1= 3.0 Hz, J2= 9.8 Hz, H-3); 2.09 (m, 1H, 6-OH); 1.65 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.40 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 168.5 (フタルイミド C=O); 135.3, 135.0, 133.9 (CH2-CH=CH2); 132.1, 123.2 (フタルイミド); 117.8, 116.7, 116.6 (CH2-CH=CH2); 103.9 (C-1); 81.6 (C-3); 79.1 (C-2); 74.6 (C-5) 74.0 (C-4); 73.7, 73.6 (CH2-CH=CH2); 72.1, 69.6 (リンカー); 62.5 (C-6); 37.8, 29.2, 28.3, 23.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C28H37NO8 [M+Na]+の計算値: 538.2417, 実測値 538.2403.
80%水性AcOH(10mL)中に溶解した化合物8(493mg、0.65mmol)の溶液を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物9(260mg、78%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.81-7.66 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 5.92-5.82 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.30-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.37-4.02 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.22 (d, 1H, J = 7.7 Hz, H-1); 3.88 (m, 2H, H-6a, リンカー-CHH); 3.69-3.60 (m, 4H, H-4, H-6b, リンカー-CH2); 3.51-3.42 (m, 2H, H-2, リンカー-CHH); 3.39 (m, 1H, H-5); 3.28 (dd, 1H, J1= 3.0 Hz, J2= 9.8 Hz, H-3); 2.09 (m, 1H, 6-OH); 1.65 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.40 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 168.5 (フタルイミド C=O); 135.3, 135.0, 133.9 (CH2-CH=CH2); 132.1, 123.2 (フタルイミド); 117.8, 116.7, 116.6 (CH2-CH=CH2); 103.9 (C-1); 81.6 (C-3); 79.1 (C-2); 74.6 (C-5) 74.0 (C-4); 73.7, 73.6 (CH2-CH=CH2); 72.1, 69.6 (リンカー); 62.5 (C-6); 37.8, 29.2, 28.3, 23.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C28H37NO8 [M+Na]+の計算値: 538.2417, 実測値 538.2403.
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(化合物10):
分子篩でCH2Cl2(15mL)に溶解した化合物9(400mg、0.78mmol)およびジクロロリン酸メチル(0.70mL、6.0mmol)の溶液に、Et3N(0.70mL、5.0mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。10分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)で精製して、化合物10を得た(129mg、27%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): 7.80-7.68 (フタルイミドのプロトン); 5.88 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.30-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.23-4.10 (m, 9H, CH2-CH=CH2, H-1, リンカー-CH2); 3.82 (m, 1H, H-5); 3.71-3.39 (m, 9H, OCH3, H-4, H-2, H-6a, H-6b, リンカー-CH2); 3.28 (m, 1H, H-3); 2.87 (dd, 2H, J1 = 5.3 Hz J2= 13.0 Hz, NH2); 1.66 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.38 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 168.5 (Ar); 135.4, 135.2, 134.9 (CH2-CH=CH2); 133.9, 132.1, 123.2 (Ar); 117.5, 117.2, 116.8, 116.7, 116.6 (CH2-CH=CH2); 103.8 (C-1); 81.4 (C-3); 78.9 (C-2); 74.0, 73.8, 73.3, 73.2, 73.0, 72.9, 72.1 (CH2-CH=CH2, C-5, C-4); 69.8, 69.7 (C-6) 65.3; 65.0, 64.9 (リンカー) 53.4, 53.3 (OCH3); 37.9, 29.7, 29.2, 28.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C29H41N2O10P [M+H]+の計算値: 609.2578, 実測値 609.2585.
分子篩でCH2Cl2(15mL)に溶解した化合物9(400mg、0.78mmol)およびジクロロリン酸メチル(0.70mL、6.0mmol)の溶液に、Et3N(0.70mL、5.0mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。10分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)で精製して、化合物10を得た(129mg、27%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): 7.80-7.68 (フタルイミドのプロトン); 5.88 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.30-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.23-4.10 (m, 9H, CH2-CH=CH2, H-1, リンカー-CH2); 3.82 (m, 1H, H-5); 3.71-3.39 (m, 9H, OCH3, H-4, H-2, H-6a, H-6b, リンカー-CH2); 3.28 (m, 1H, H-3); 2.87 (dd, 2H, J1 = 5.3 Hz J2= 13.0 Hz, NH2); 1.66 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.38 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 168.5 (Ar); 135.4, 135.2, 134.9 (CH2-CH=CH2); 133.9, 132.1, 123.2 (Ar); 117.5, 117.2, 116.8, 116.7, 116.6 (CH2-CH=CH2); 103.8 (C-1); 81.4 (C-3); 78.9 (C-2); 74.0, 73.8, 73.3, 73.2, 73.0, 72.9, 72.1 (CH2-CH=CH2, C-5, C-4); 69.8, 69.7 (C-6) 65.3; 65.0, 64.9 (リンカー) 53.4, 53.3 (OCH3); 37.9, 29.7, 29.2, 28.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C29H41N2O10P [M+H]+の計算値: 609.2578, 実測値 609.2585.
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(化合物11):
MeOH(4mL)に溶解した化合物10(95mg、0.16μmol)の溶液に、PdCl2(20mg)を加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)による精製により、化合物11(57mg、75%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 7.64 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 4.23 (d, 1H, J = 8.0 Hz, H-1); 4.01 (m, 2H, H-6); 3.78-3.70 (m, 3H, H-4, H-5, リンカー-CHH)); 3.59-3.45 (m, 7H, OCH3, リンカー-CH2 リンカー-CHH, H-3); 3.33 (dd, 1H, J1= 8.0 Hz, J2= 9.8 Hz, H-2); 1.51 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.22 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, D2O): 170.9, 134.5, 133.9, 131.3, 126.0, 123.1 (Ar); 102.6 (C-1); 73.2 (C-5); 72.5 (C-3); 71.9 (C-2); 70.3, 70.2 (リンカー); 68.1 (C-4); 65.4 (C-6); 53.6 (OCH3); 48.7; 37.6 (リンカー); 28.2; 27.2, 22.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C20H29N2O10P [M+H]+の計算値: 489.1639, 実測値 489.1624.
MeOH(4mL)に溶解した化合物10(95mg、0.16μmol)の溶液に、PdCl2(20mg)を加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)による精製により、化合物11(57mg、75%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 7.64 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 4.23 (d, 1H, J = 8.0 Hz, H-1); 4.01 (m, 2H, H-6); 3.78-3.70 (m, 3H, H-4, H-5, リンカー-CHH)); 3.59-3.45 (m, 7H, OCH3, リンカー-CH2 リンカー-CHH, H-3); 3.33 (dd, 1H, J1= 8.0 Hz, J2= 9.8 Hz, H-2); 1.51 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.22 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, D2O): 170.9, 134.5, 133.9, 131.3, 126.0, 123.1 (Ar); 102.6 (C-1); 73.2 (C-5); 72.5 (C-3); 71.9 (C-2); 70.3, 70.2 (リンカー); 68.1 (C-4); 65.4 (C-6); 53.6 (OCH3); 48.7; 37.6 (リンカー); 28.2; 27.2, 22.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C20H29N2O10P [M+H]+の計算値: 489.1639, 実測値 489.1624.
5−アミノ−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(化合物12):
95%EtOH(1mL)に溶解した化合物11(23mg、0.047μmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(16μL、0.33μmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3:1EtOAc−MeOH)で精製して化合物12(14mg、82%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 4.27 (d, 1H, J = 7.1 Hz, H-1); 4.03 (m, 2H, リンカー-CH2); 3.81-3.75 (m, 3H, H-4, H-5, H-6a); 3.61-3.48 (m, 5H, OCH3, H-3, H-6b); 3.36 (dd, 1H, J1 = 7.9, J2 = 9.9 Hz, H-2); 2.82 (t, 2H, J = 7.5 Hz, リンカー-CH2); 1.52 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.30 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, D2O): δ 102.6 (C-1); 73.2 (C-5); 72.5 (C-3); 70.5 (C-2); 70.1 (C-6); 68.1 (C-4); 60.0 (リンカー); 48.7 (OCH3); 39.2, 28.0, 26.3, 22.0, 21.9 (リンカー.) HRMS (ESI): C12H27N2O8P [M+H]+の計算値: 359.1584, 実測値 359.1587.
95%EtOH(1mL)に溶解した化合物11(23mg、0.047μmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(16μL、0.33μmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3:1EtOAc−MeOH)で精製して化合物12(14mg、82%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 4.27 (d, 1H, J = 7.1 Hz, H-1); 4.03 (m, 2H, リンカー-CH2); 3.81-3.75 (m, 3H, H-4, H-5, H-6a); 3.61-3.48 (m, 5H, OCH3, H-3, H-6b); 3.36 (dd, 1H, J1 = 7.9, J2 = 9.9 Hz, H-2); 2.82 (t, 2H, J = 7.5 Hz, リンカー-CH2); 1.52 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.30 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, D2O): δ 102.6 (C-1); 73.2 (C-5); 72.5 (C-3); 70.5 (C-2); 70.1 (C-6); 68.1 (C-4); 60.0 (リンカー); 48.7 (OCH3); 39.2, 28.0, 26.3, 22.0, 21.9 (リンカー.) HRMS (ESI): C12H27N2O8P [M+H]+の計算値: 359.1584, 実測値 359.1587.
また、構造MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2の合成も、図4のスキーム2aに記載のように示すことができ、以下に要約する:
以前に報告された化合物(Comfort, et al., Biochem.46: 3319−3330(2007))、4−メトキシフェニル−α−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物1を参照されたい)から出発して、トリチル基をC−6に選択的に導入した。当初は、化合物2にベンゾイル化を行ったが(スキーム2a、化合物2)、MeOPNの導入中に広範な移動が観察されたことから、より適切な保護基を解明することへと導かれた。こうして、C−2、C−3、およびC−4位を保護するためにアリル基を選択した(これは移動に耐性があった)。その後、アリル基を接触水素化分解で脱保護し、これがMeOPN修飾に適合することが判明した。
アリル基を導入した後、アミノ−ペンタニルリンカーを、コンジュゲーションのための部位としてアノマー位に導入した。ガラクトシド(スキーム2a、化合物3)から出発して、まず、硝酸セリウムアンモニウム(CAN)を用いて4−メトキシフェニル基(OMP)を除去した。その後、対応するヘミアセタールをトリクロロアセトイミデート供与体に変換した(スキーム2a、化合物4を参照されたい)。その後、5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニルリンカーを、0℃で活性剤としてTMSOTfと共に導入した。化合物5を、βアノマーとして65%、αアノマーとして29%集めた。トリチル基の除去により、修飾用の遊離6−ヒドロキシル基を有する化合物6を得た。
MeOPN基の導入方法は、Mara et al, Bioorg. Med. Chem. Lett. 6180−6183 (2011)によって提案された反応と同様である。化合物6をトリエチルアミンの存在下で市販のジクロロリン酸メチルで処理した後、アンモノリシスを行った。新たに導入したMeOPN(RおよびS)のキラリティの性質のために、2つのジアステレオ異性体の混合物として化合物7を集めた。1H NMRは、化合物7が実際に2つのジアステレオ異性体の1:1混合物であり、スペクトル全体にわたって2組のシグナルを示すことを確認でき、これは、アノマーおよびO−Meシグナルについて見られ得る。この反応により、副生成物の混合物が得られ、最も豊富なものは、第2のNH2によるO−Me基の置換であった、これが、この反応の低収率の主な原因である。
アリルおよびフタルイミド保護基を塩化パラジウム(II)およびヒドラジンでそれぞれ除去して、化合物8および化合物9を生成した。化合物7と同様に、ジアステレオ異性体の混合物は、NMRに現れている。光学的に純粋ではないものの、31P NMRの結果は、天然のMeOPN含有多糖類と一致し、14ppmあたりにリンシグナルを有する。31H−31P HMBC NMR実験は、MeOPNがO−6位に導入され、O−MeシグナルおよびH−6シグナルとで相関シグナルを示すことを確認できた(データは示さず)。
MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2の上記合成の詳細は、以下およびスキーム2aに提供されている:
4−メトキシフェニル6−O−トリチル−α−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物2):
ピリジン(40mL)に溶解した化合物1(2.7g、9.3mmol)の溶液に塩化トリチル(3.1g、11mmol)を加え、反応混合物を60℃で3日間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物2を得た(4.7g、95%)。[α]D 25=+91.2°(c=0.21、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.44-7.20 (m, 15H, Ar-H); 7.11-6.83 (m, 4H, MeOC6H4); 5.51 (d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1); 4.05-3.93 (m, 4H, H-2, H-3, H-4, H-5); 3.79 (s, 3H, OCH3); 3.54-3.32 (m, 2H, H-6.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.3, 151.2, 150.6, 144.3, 143.8, 143.7, 143.6, 129.1, 128.6, 128.0, 127.9, 127.8, 127.5, 127.3, 127.1, 127.0, 118.5, 117.9, 114.6, 114.5, 114.4 (Ar); 98.4 (C-1); 87.0, 71.2, 70.0, 69.3 (C-2, C-3, C-4, C-5); 63.6 (C-6); 55.6 (CH3.)HRMS (ESI): C32H32O7 [M+Na]+の計算値: 551.2046, 実測値: 551.2021.
ピリジン(40mL)に溶解した化合物1(2.7g、9.3mmol)の溶液に塩化トリチル(3.1g、11mmol)を加え、反応混合物を60℃で3日間撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物2を得た(4.7g、95%)。[α]D 25=+91.2°(c=0.21、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.44-7.20 (m, 15H, Ar-H); 7.11-6.83 (m, 4H, MeOC6H4); 5.51 (d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1); 4.05-3.93 (m, 4H, H-2, H-3, H-4, H-5); 3.79 (s, 3H, OCH3); 3.54-3.32 (m, 2H, H-6.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.3, 151.2, 150.6, 144.3, 143.8, 143.7, 143.6, 129.1, 128.6, 128.0, 127.9, 127.8, 127.5, 127.3, 127.1, 127.0, 118.5, 117.9, 114.6, 114.5, 114.4 (Ar); 98.4 (C-1); 87.0, 71.2, 70.0, 69.3 (C-2, C-3, C-4, C-5); 63.6 (C-6); 55.6 (CH3.)HRMS (ESI): C32H32O7 [M+Na]+の計算値: 551.2046, 実測値: 551.2021.
4−メトキシフェニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−α−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物3):
臭化アリル(4.6mL、53mmol)を含むDMF(60mL)に溶解した化合物2(4.7g、8.8mmol)の溶液を0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム、60%分散液(1.2g、29mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、反応をMeOH(10mL)でクエンチし、氷冷水(100mL)に注ぎ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。1:7EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、化合物3を得た(スキーム1、構造3を参照されたい)(5.1g、89%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.38-7.18 (m, 15H, Ar-H); 7.10-6.75 (m, 4H, MeOC6H4); 6.00-5.53 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.42 (d, 1H, J = 3.2 Hz, H-1); 5.33-4.98 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.37-3.72 (m, 13H, CH2-CH=CH2, H-2, H-3, H-4, H-5, OCH3); 3.38 (m, 1H, H-6a); 3.01 (m, 1H, H-6b.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.0, 151.0, 143.9 (Ar); 135.2, 135.1, 135.0 (CH2-CH=CH2); 128.6, 127.8, 127.0, 119.0, 117.4, 117.3, 116.4, 114.4 (CH2-CH=CH2, Ar); 97.5 (C-1); 86.8; 78.2 (C-2); 77.4 (C-4); 76.1 (C-5); 73.9, 72.5, 71.9 (CH2-CH=CH2); 70.4 (C-3) 63.3 (C-6); 55.6 (OCH3.) HRMS (ESI): C41H44O7 [M+Na]+の計算値: 671.2985, 実測値: 671.2970.
臭化アリル(4.6mL、53mmol)を含むDMF(60mL)に溶解した化合物2(4.7g、8.8mmol)の溶液を0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム、60%分散液(1.2g、29mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、反応をMeOH(10mL)でクエンチし、氷冷水(100mL)に注ぎ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。1:7EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、化合物3を得た(スキーム1、構造3を参照されたい)(5.1g、89%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.38-7.18 (m, 15H, Ar-H); 7.10-6.75 (m, 4H, MeOC6H4); 6.00-5.53 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.42 (d, 1H, J = 3.2 Hz, H-1); 5.33-4.98 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.37-3.72 (m, 13H, CH2-CH=CH2, H-2, H-3, H-4, H-5, OCH3); 3.38 (m, 1H, H-6a); 3.01 (m, 1H, H-6b.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.0, 151.0, 143.9 (Ar); 135.2, 135.1, 135.0 (CH2-CH=CH2); 128.6, 127.8, 127.0, 119.0, 117.4, 117.3, 116.4, 114.4 (CH2-CH=CH2, Ar); 97.5 (C-1); 86.8; 78.2 (C-2); 77.4 (C-4); 76.1 (C-5); 73.9, 72.5, 71.9 (CH2-CH=CH2); 70.4 (C-3) 63.3 (C-6); 55.6 (OCH3.) HRMS (ESI): C41H44O7 [M+Na]+の計算値: 671.2985, 実測値: 671.2970.
2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−−α,β−D−ガラクトピラノシルトリクロロアセトイミデート(スキーム2a、化合物4):
CH3CN(480mL)およびH2O(120mL)に溶解した化合物3(5.0g、7.7mmol)の溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(12.8g、23mmol)を加え、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、混合物をブライン(200mL)で希釈し、EtOAc(3×300mL)で抽出した。有機層を飽和Na2CO3水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:6EtOAc−ヘキサン)で精製した。得られたヘミアセタール(3.3g、6.1mmol)を無水CH2Cl2(120ml)に溶解し、CCl3CN(310μL、30mmol)およびK2CO3(420mg、30mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、セライト(登録商標)で濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(体積1%Et3Nを含む1:4EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物4をα,β−混合物として得た(3.6g、2ステップで57%)。
CH3CN(480mL)およびH2O(120mL)に溶解した化合物3(5.0g、7.7mmol)の溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(12.8g、23mmol)を加え、反応混合物を0℃で20分間撹拌した。その後、混合物をブライン(200mL)で希釈し、EtOAc(3×300mL)で抽出した。有機層を飽和Na2CO3水溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(1:6EtOAc−ヘキサン)で精製した。得られたヘミアセタール(3.3g、6.1mmol)を無水CH2Cl2(120ml)に溶解し、CCl3CN(310μL、30mmol)およびK2CO3(420mg、30mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、セライト(登録商標)で濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(体積1%Et3Nを含む1:4EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物4をα,β−混合物として得た(3.6g、2ステップで57%)。
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−トリチル−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物5):
トリクロロアセトイミデート(化合物4)(1.1g、1.6mmol)および5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタノール(560mg、2.4mmol)を無水CH2Cl2(25mL)に溶解し、反応混合物を0℃に冷却した。TMSOTf(15μL、0.080mmol)を滴下して加え、反応混合物を0℃で15分間撹拌した。その後、反応物をEt3N(15μL)で中和し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:8EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物5(783mg、65%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.80-7.67 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 7.41-7.19 (m , 15H, Ar-H); 5.98-5.59 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.33-4.94 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.30-3.84 (m, 8H, CH2-CH=CH2, H-1, リンカー-CHH); 3.77 (d, 1H, J = 2.9 Hz, H-5); 3.62 (t, 2H, J = 7.3 Hz, リンカー-CH2); 3.45-3.35 (m, 4H, H-2, H-4, H-6a, リンカー-CHH); 3.29 (dd, 1H, J1 = 3.0 Hz, J2 = 9.8 Hz, H-3); 3.13 (dd, 1H, J1 = 9.4 Hz, J2 = 10.1 Hz, H-6b); 1.65 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.40 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): 168.4, 143.8 (Ar); 135.7, 135.3, 135.2 (CH2-CH=CH2); 133.9, 132.1, 128.7, 127.9, 127.1, 123.2 (Ar); 116.8, 116.5 (CH2-CH=CH2); 103.7 (C-1); 86.8; 81.5 (C-1); 79.2 (C-2); 73.9, 73.6, 73.4, 73.3 (C-5, C-4, CH2-CH=CH2); 71.9, 69.4 (リンカー); 62.5 (C-6); 37.9, 29.2, 28.4, 23.4 (リンカー.)HRMS (ESI): C47H51NO8 [M+Na]+の計算値: 780.3513, 実測値 780.3489.
トリクロロアセトイミデート(化合物4)(1.1g、1.6mmol)および5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタノール(560mg、2.4mmol)を無水CH2Cl2(25mL)に溶解し、反応混合物を0℃に冷却した。TMSOTf(15μL、0.080mmol)を滴下して加え、反応混合物を0℃で15分間撹拌した。その後、反応物をEt3N(15μL)で中和し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:8EtOAc−ヘキサン)で精製して、化合物5(783mg、65%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.80-7.67 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 7.41-7.19 (m , 15H, Ar-H); 5.98-5.59 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.33-4.94 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.30-3.84 (m, 8H, CH2-CH=CH2, H-1, リンカー-CHH); 3.77 (d, 1H, J = 2.9 Hz, H-5); 3.62 (t, 2H, J = 7.3 Hz, リンカー-CH2); 3.45-3.35 (m, 4H, H-2, H-4, H-6a, リンカー-CHH); 3.29 (dd, 1H, J1 = 3.0 Hz, J2 = 9.8 Hz, H-3); 3.13 (dd, 1H, J1 = 9.4 Hz, J2 = 10.1 Hz, H-6b); 1.65 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.40 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): 168.4, 143.8 (Ar); 135.7, 135.3, 135.2 (CH2-CH=CH2); 133.9, 132.1, 128.7, 127.9, 127.1, 123.2 (Ar); 116.8, 116.5 (CH2-CH=CH2); 103.7 (C-1); 86.8; 81.5 (C-1); 79.2 (C-2); 73.9, 73.6, 73.4, 73.3 (C-5, C-4, CH2-CH=CH2); 71.9, 69.4 (リンカー); 62.5 (C-6); 37.9, 29.2, 28.4, 23.4 (リンカー.)HRMS (ESI): C47H51NO8 [M+Na]+の計算値: 780.3513, 実測値 780.3489.
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物6):
80%水性AcOH(10mL)中に溶解した化合物5(493mg、0.65mmol)の溶液を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物6(260mg、78%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.81-7.66 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 5.92-5.82 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.30-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.37-4.02 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.22 (d, 1H, J = 7.7 Hz, H-1); 3.88 (m, 2H, H-6a, リンカー-CHH); 3.69-3.60 (m, 4H, H-4, H-6b, リンカー-CH2); 3.51-3.42 (m, 2H, H-2, リンカー-CHH); 3.39 (m, 1H, H-5); 3.28 (dd, 1H, J1= 3.0 Hz, J2= 9.8 Hz, H-3); 2.09 (m, 1H, 6-OH); 1.65 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.40 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 168.5 (フタルイミド C=O); 135.3, 135.0, 133.9 (CH2-CH=CH2); 132.1, 123.2 (フタルイミド); 117.8, 116.7, 116.6 (CH2-CH=CH2); 103.9 (C-1); 81.6 (C-3); 79.1 (C-2); 74.6 (C-5) 74.0 (C-4); 73.7, 73.6 (CH2-CH=CH2); 72.1, 69.6 (リンカー); 62.5 (C-6); 37.8, 29.2, 28.3, 23.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C28H37NO8 [M+Na]+の計算値: 538.2417, 実測値 538.2403.
80%水性AcOH(10mL)中に溶解した化合物5(493mg、0.65mmol)の溶液を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を濃縮した後、フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して化合物6(260mg、78%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.81-7.66 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 5.92-5.82 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.30-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.37-4.02 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.22 (d, 1H, J = 7.7 Hz, H-1); 3.88 (m, 2H, H-6a, リンカー-CHH); 3.69-3.60 (m, 4H, H-4, H-6b, リンカー-CH2); 3.51-3.42 (m, 2H, H-2, リンカー-CHH); 3.39 (m, 1H, H-5); 3.28 (dd, 1H, J1= 3.0 Hz, J2= 9.8 Hz, H-3); 2.09 (m, 1H, 6-OH); 1.65 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.40 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 168.5 (フタルイミド C=O); 135.3, 135.0, 133.9 (CH2-CH=CH2); 132.1, 123.2 (フタルイミド); 117.8, 116.7, 116.6 (CH2-CH=CH2); 103.9 (C-1); 81.6 (C-3); 79.1 (C-2); 74.6 (C-5) 74.0 (C-4); 73.7, 73.6 (CH2-CH=CH2); 72.1, 69.6 (リンカー); 62.5 (C-6); 37.8, 29.2, 28.3, 23.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C28H37NO8 [M+Na]+の計算値: 538.2417, 実測値 538.2403.
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル2,3,4−トリ−O−アリル−6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物7):
分子篩でCH2Cl2(15mL)に溶解した化合物6(400mg、0.78mmol)およびジクロロリン酸メチル(0.70mL、6.0mmol)の溶液に、Et3N(0.70mL、5.0mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。10分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)で精製して、生成物7を得た(129mg、27%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): 7.80-7.68 (フタルイミドのプロトン); 5.88 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.30-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.23-4.10 (m, 9H, CH2-CH=CH2, H-1, リンカー-CH2); 3.82 (m, 1H, H-5); 3.71-3.39 (m, 9H, OCH3, H-4, H-2, H-6a, H-6b, リンカー-CH2); 3.28 (m, 1H, H-3); 2.87 (dd, 2H, J1 = 5.3 Hz J2= 13.0 Hz, NH2); 1.66 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.38 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 168.5 (Ar); 135.4, 135.2, 134.9 (CH2-CH=CH2); 133.9, 132.1, 123.2 (Ar); 117.5, 117.2, 116.8, 116.7, 116.6 (CH2-CH=CH2); 103.8 (C-1); 81.4 (C-3); 78.9 (C-2); 74.0, 73.8, 73.3, 73.2, 73.0, 72.9, 72.1 (CH2-CH=CH2, C-5, C-4); 69.8, 69.7 (C-6) 65.3; 65.0, 64.9 (リンカー) 53.4, 53.3 (OCH3); 37.9, 29.7, 29.2, 28.3 (リンカー.) HRMS (ESI): C29H41N2O10P [M+H]+の計算値: 609.2578, 実測値 609.2585.
分子篩でCH2Cl2(15mL)に溶解した化合物6(400mg、0.78mmol)およびジクロロリン酸メチル(0.70mL、6.0mmol)の溶液に、Et3N(0.70mL、5.0mmol)を滴下して加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。10分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)で精製して、生成物7を得た(129mg、27%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): 7.80-7.68 (フタルイミドのプロトン); 5.88 (m, 3H, CH2-CH=CH2); 5.30-5.10 (m, 6H, CH2-CH=CH2); 4.23-4.10 (m, 9H, CH2-CH=CH2, H-1, リンカー-CH2); 3.82 (m, 1H, H-5); 3.71-3.39 (m, 9H, OCH3, H-4, H-2, H-6a, H-6b, リンカー-CH2); 3.28 (m, 1H, H-3); 2.87 (dd, 2H, J1 = 5.3 Hz J2= 13.0 Hz, NH2); 1.66 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.38 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 168.5 (Ar); 135.4, 135.2, 134.9 (CH2-CH=CH2); 133.9, 132.1, 123.2 (Ar); 117.5, 117.2, 116.8, 116.7, 116.6 (CH2-CH=CH2); 103.8 (C-1); 81.4 (C-3); 78.9 (C-2); 74.0, 73.8, 73.3, 73.2, 73.0, 72.9, 72.1 (CH2-CH=CH2, C-5, C-4); 69.8, 69.7 (C-6) 65.3; 65.0, 64.9 (リンカー) 53.4, 53.3 (OCH3); 37.9, 29.7, 29.2, 28.3 (リンカー.) HRMS (ESI): C29H41N2O10P [M+H]+の計算値: 609.2578, 実測値 609.2585.
5−アミノ−N−フタルイミド−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物8):
MeOH(4mL)に溶解した化合物7(95mg、0.16μmol)の溶液に、PdCl2(20mg)を加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)による精製により、化合物8(57mg、75%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 7.64 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 4.23 (d, 1H, J = 8.0 Hz, H-1); 4.01 (m, 2H, H-6); 3.78-3.70 (m, 3H, H-4, H-5, リンカー-CHH)); 3.59-3.45 (m, 7H, OCH3, リンカー-CH2 リンカー-CHH, H-3); 3.33 (dd, 1H, J1= 8.0 Hz, J2= 9.8 Hz, H-2); 1.51 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.22 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, D2O): 170.9, 134.5, 133.9, 131.3, 126.0, 123.1 (Ar); 102.6 (C-1); 73.2 (C-5); 72.5 (C-3); 71.9 (C-2); 70.3, 70.2 (リンカー); 68.1 (C-4); 65.4 (C-6); 53.6 (OCH3); 48.7; 37.6 (リンカー); 28.2; 27.2, 22.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C20H29N2O10P [M+H]+の計算値: 489.1639, 実測値 489.1624.
MeOH(4mL)に溶解した化合物7(95mg、0.16μmol)の溶液に、PdCl2(20mg)を加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(9:1EtOAc−MeOH)による精製により、化合物8(57mg、75%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 7.64 (m, 4H, フタルイミドのプロトン); 4.23 (d, 1H, J = 8.0 Hz, H-1); 4.01 (m, 2H, H-6); 3.78-3.70 (m, 3H, H-4, H-5, リンカー-CHH)); 3.59-3.45 (m, 7H, OCH3, リンカー-CH2 リンカー-CHH, H-3); 3.33 (dd, 1H, J1= 8.0 Hz, J2= 9.8 Hz, H-2); 1.51 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.22 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, D2O): 170.9, 134.5, 133.9, 131.3, 126.0, 123.1 (Ar); 102.6 (C-1); 73.2 (C-5); 72.5 (C-3); 71.9 (C-2); 70.3, 70.2 (リンカー); 68.1 (C-4); 65.4 (C-6); 53.6 (OCH3); 48.7; 37.6 (リンカー); 28.2; 27.2, 22.3 (リンカー.)HRMS (ESI): C20H29N2O10P [M+H]+の計算値: 489.1639, 実測値 489.1624.
5−アミノ−ペンタニル6−O−メチルホスホルアミデート−β−D−ガラクトピラノシド(スキーム2a、化合物9):
95%EtOH(1mL)に溶解した化合物8(23mg、0.047μmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(16μL、0.33μmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3:1EtOAc−MeOH)で精製して化合物9(14mg、82%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 4.27 (d, 1H, J = 7.1 Hz, H-1); 4.03 (m, 2H, リンカー-CH2); 3.81-3.75 (m, 3H, H-4, H-5, H-6a); 3.61-3.48 (m, 5H, OCH3, H-3, H-6b); 3.36 (dd, 1H, J1 = 7.9, J2 = 9.9 Hz, H-2); 2.82 (t, 2H, J = 7.5 Hz, リンカー-CH2); 1.52 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.30 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, D2O): δ 102.6 (C-1); 73.2 (C-5); 72.5 (C-3); 70.5 (C-2); 70.1 (C-6); 68.1 (C-4); 60.0 (リンカー); 48.7 (OCH3); 39.2, 28.0, 26.3, 22.0, 21.9 (リンカー.) HRMS (ESI): C12H27N2O8P [M+H]+の計算値: 359.1584, 実測値 359.1587.
95%EtOH(1mL)に溶解した化合物8(23mg、0.047μmol)の溶液に、ヒドラジン一水和物(16μL、0.33μmol)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(3:1EtOAc−MeOH)で精製して化合物9(14mg、82%)を得た。1H NMR (400 MHz, D2O): δ 4.27 (d, 1H, J = 7.1 Hz, H-1); 4.03 (m, 2H, リンカー-CH2); 3.81-3.75 (m, 3H, H-4, H-5, H-6a); 3.61-3.48 (m, 5H, OCH3, H-3, H-6b); 3.36 (dd, 1H, J1 = 7.9, J2 = 9.9 Hz, H-2); 2.82 (t, 2H, J = 7.5 Hz, リンカー-CH2); 1.52 (m, 4H, リンカー-CH2); 1.30 (m, 2H, リンカー-CH2.) 13C NMR (100 MHz, D2O): δ 102.6 (C-1); 73.2 (C-5); 72.5 (C-3); 70.5 (C-2); 70.1 (C-6); 68.1 (C-4); 60.0 (リンカー); 48.7 (OCH3); 39.2, 28.0, 26.3, 22.0, 21.9 (リンカー.) HRMS (ESI): C12H27N2O8P [M+H]+の計算値: 359.1584, 実測値 359.1587.
MeOPN→2−β−D−Galp−(1→OMPの合成
要約 MeOPN→2−β−D−Galp−(1→OMPの合成(図5、スキーム3):
MeOPN→2−β−D−Galp−(1→OMPの合成は、図5、スキーム3に示される。ガラクトシド(生成物7)の合成は、既知の化合物である4−メトキシフェニル3,4−O−イソプロピリデン−6−O−トリチル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物1)から始めた、この生成物は、公開された手順(スキーム1)に従ってD−ガラクトースから調製した。(Comfort DA, et al., Biochem 2007; 46:3319−3330)。C−2位を区別するために、O−アリル化を行い、優れた収率で生成物2を生成した。MeOPNは酸性媒質によって除去可能であるため、適切な保護基を導入する必要があった。よって、O−イソプロピリデンおよびO−トリチル基を除去して、生成物3を得て、その後、これを過ベンゾイル化して生成物4を得た。次に、アリル基を除去して、修飾用の遊離2−OHを得た。MeOPN基の生成物5への導入は、まず市販のジクロロリン酸メチルでリン酸化した後でアンモノリシスを行うことを含む、当研究所で開発した戦略に従った。(Jiao, Y. et al., Carbohydr. Res. (2015) doi: 10.1016/j.carres.2015.09.012)。生成物5の31P NMRスペクトルは、2つのジアステレオ異性体の形成に起因して、約1:1比の2つのリンシグナルを示した。生成物6を脱ベンゾイル化して、O−Me−ホスホルアミデートガラクトシドの生成物7を得た。興味深いことに、本発明者らは、フラッシュクロマトグラフィーを用いてジアステレオ異性体の1つを精製することができた。ジアステレオ異性体7*の31P NMRスペクトルは、14.27ppmで単一のシグナルを示した。従来の方法を用いて実施される、4−メトキシフェニル2−O−メチル−ホスホラミジル−β−D−ガラクトピラノシドの31P NMR(A)および1H NMR(B)を示す図14を参照されたい。
要約 MeOPN→2−β−D−Galp−(1→OMPの合成(図5、スキーム3):
MeOPN→2−β−D−Galp−(1→OMPの合成は、図5、スキーム3に示される。ガラクトシド(生成物7)の合成は、既知の化合物である4−メトキシフェニル3,4−O−イソプロピリデン−6−O−トリチル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物1)から始めた、この生成物は、公開された手順(スキーム1)に従ってD−ガラクトースから調製した。(Comfort DA, et al., Biochem 2007; 46:3319−3330)。C−2位を区別するために、O−アリル化を行い、優れた収率で生成物2を生成した。MeOPNは酸性媒質によって除去可能であるため、適切な保護基を導入する必要があった。よって、O−イソプロピリデンおよびO−トリチル基を除去して、生成物3を得て、その後、これを過ベンゾイル化して生成物4を得た。次に、アリル基を除去して、修飾用の遊離2−OHを得た。MeOPN基の生成物5への導入は、まず市販のジクロロリン酸メチルでリン酸化した後でアンモノリシスを行うことを含む、当研究所で開発した戦略に従った。(Jiao, Y. et al., Carbohydr. Res. (2015) doi: 10.1016/j.carres.2015.09.012)。生成物5の31P NMRスペクトルは、2つのジアステレオ異性体の形成に起因して、約1:1比の2つのリンシグナルを示した。生成物6を脱ベンゾイル化して、O−Me−ホスホルアミデートガラクトシドの生成物7を得た。興味深いことに、本発明者らは、フラッシュクロマトグラフィーを用いてジアステレオ異性体の1つを精製することができた。ジアステレオ異性体7*の31P NMRスペクトルは、14.27ppmで単一のシグナルを示した。従来の方法を用いて実施される、4−メトキシフェニル2−O−メチル−ホスホラミジル−β−D−ガラクトピラノシドの31P NMR(A)および1H NMR(B)を示す図14を参照されたい。
材料および方法
従来の方法を用いて化合物を合成し、すべての化学物質を商業的供給業者から購入し、受け取ったまま使用した。分子篩は、加熱マントルにより減圧下で加熱することによって活性化した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、TLCシリカゲルF254上で実施した。糖化合物は、UV光によってまたはエタノール中の10%H2SO4による炭化によって可視化した。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルP60(43〜60μm、230〜400メッシュ)で行った。1H NMRおよび13C NMRスペクトルは、Bruker400または600MHz分光計(Bruker Daltonics Inc、Billerica、MA)を用いて記録した。残りの非重水素化溶媒のプロトンシグナル(CHCl3に対してδ7.24ppm)を1Hスペクトルの内部基準として使用した。13Cスペクトルに関して、化学シフトは溶媒(CDCl3に関してδ77.1ppm)と比較して報告される。化学シフトは、百万分率(ppm)で報告される。結合定数は、ヘルツ(Hz)で報告される。次の略語は、多重度を示すのに使用される:s、一重項;d、二重項;t、三重項;m、多重項。旋光度は、ルドルフリサーチオートポール3自動偏光計(Rudolph Research Analytical、Hackettstown、NJ)で測定し、また濃度(c)は、g/100mlで表す。合成化合物の高分解能質量スペクトルは、電子スプレーイオン化質量分析(飛行時間分析器)によって記録した。
従来の方法を用いて化合物を合成し、すべての化学物質を商業的供給業者から購入し、受け取ったまま使用した。分子篩は、加熱マントルにより減圧下で加熱することによって活性化した。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、TLCシリカゲルF254上で実施した。糖化合物は、UV光によってまたはエタノール中の10%H2SO4による炭化によって可視化した。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルP60(43〜60μm、230〜400メッシュ)で行った。1H NMRおよび13C NMRスペクトルは、Bruker400または600MHz分光計(Bruker Daltonics Inc、Billerica、MA)を用いて記録した。残りの非重水素化溶媒のプロトンシグナル(CHCl3に対してδ7.24ppm)を1Hスペクトルの内部基準として使用した。13Cスペクトルに関して、化学シフトは溶媒(CDCl3に関してδ77.1ppm)と比較して報告される。化学シフトは、百万分率(ppm)で報告される。結合定数は、ヘルツ(Hz)で報告される。次の略語は、多重度を示すのに使用される:s、一重項;d、二重項;t、三重項;m、多重項。旋光度は、ルドルフリサーチオートポール3自動偏光計(Rudolph Research Analytical、Hackettstown、NJ)で測定し、また濃度(c)は、g/100mlで表す。合成化合物の高分解能質量スペクトルは、電子スプレーイオン化質量分析(飛行時間分析器)によって記録した。
4−メトキシフェニル2−O−アリル−3,4−O−イソプロピリデン−6−O−トリチル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物2):
臭化アリル(0.16mL、1.8mmol)を含むDMF(18mL)に溶解した生成物1(0.68g、1.2mmol)の溶液を0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム、60%分散液(57mg、1.4mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、反応をMeOH(2mL)でクエンチし、氷冷水(40mL)に注ぎ、CH2Cl2(3×50mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。1:7EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、生成物2(0.69g、95%)を得た。[α]D 25=+40.2o(c=0.05、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.46-7.19 (m, 15H, Ar); 7.10-6.75 (m, 4H, MeOC6H4); 5.92 (m, 1H, CH2-CH=CH2); 5.34-5.19 (m, 2H, CH2-CH=CH2); 4.67 (d, 1H, J = 8.1 Hz, H-1); 4.36 (m, 2H, CH2-CH=CH2); 4.08 (m, 2H, H-3, H-4); 3.73 (s, 3H, OCH3); 3.61-3.53 (m, 3H, H-2, H-5, H-6a); 3.34 (m, 1H, H-6b); 1.47 (s, 3H, CH3); 1.29 (s, 3H, CH3.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.2, 151.5, 144.0, 143.9 (Ar); 134.9 (CH2-CH=CH2); 128.8, 127.9, 127.8, 127.0, 126.9, 118.6, 118.3, 117.7, 117.4, 114.5, 114.4, 110.2, 109.3 (CH2-CH=CH2, Ar); 102.2 (C-1); 86.8 (CMe2) 79.4 (C-2); 79.2; (C-3); 73.8 (C-4); 72.9 (CH2-CH=CH2); 72.6 (C-5); 63.0 (C-6); 55.6 (OCH3); 27.9, 26.3 (CH3.) HRMS (ESI): C38H40NaO7 [M+Na]+の計算値: 631.2672, 実測値: 631.2670.
臭化アリル(0.16mL、1.8mmol)を含むDMF(18mL)に溶解した生成物1(0.68g、1.2mmol)の溶液を0℃に冷却した。鉱油中の水素化ナトリウム、60%分散液(57mg、1.4mmol)を加え、反応混合物を0℃で1時間撹拌した。その後、反応をMeOH(2mL)でクエンチし、氷冷水(40mL)に注ぎ、CH2Cl2(3×50mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥し、濃縮した。1:7EtOAc−ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、生成物2(0.69g、95%)を得た。[α]D 25=+40.2o(c=0.05、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.46-7.19 (m, 15H, Ar); 7.10-6.75 (m, 4H, MeOC6H4); 5.92 (m, 1H, CH2-CH=CH2); 5.34-5.19 (m, 2H, CH2-CH=CH2); 4.67 (d, 1H, J = 8.1 Hz, H-1); 4.36 (m, 2H, CH2-CH=CH2); 4.08 (m, 2H, H-3, H-4); 3.73 (s, 3H, OCH3); 3.61-3.53 (m, 3H, H-2, H-5, H-6a); 3.34 (m, 1H, H-6b); 1.47 (s, 3H, CH3); 1.29 (s, 3H, CH3.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.2, 151.5, 144.0, 143.9 (Ar); 134.9 (CH2-CH=CH2); 128.8, 127.9, 127.8, 127.0, 126.9, 118.6, 118.3, 117.7, 117.4, 114.5, 114.4, 110.2, 109.3 (CH2-CH=CH2, Ar); 102.2 (C-1); 86.8 (CMe2) 79.4 (C-2); 79.2; (C-3); 73.8 (C-4); 72.9 (CH2-CH=CH2); 72.6 (C-5); 63.0 (C-6); 55.6 (OCH3); 27.9, 26.3 (CH3.) HRMS (ESI): C38H40NaO7 [M+Na]+の計算値: 631.2672, 実測値: 631.2670.
4−メトキシフェニル2−O−アリル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物3):
80%水性AcOH(10mL)中の生成物2(0.69g、1.1mmol)の溶液を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)による精製により、生成物3(0.35g、94%)を得た。[α]D 25=+90.2o(c=0.2、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.01-7.78 (m, 4H, MeOC6H4); 5.91 (m, 1H, CH2-CH=CH2); 5.19 (m, 2H, CH2-CH=CH2); 4.83 (d, 1H, J = 7.5 Hz, H-1); 4.53-4.25 (m, 2H, CH2-CH=CH2); 4.14 (m, 1H, H-5); 3.96 (m, 1H, H-6a); 3.85 (m, 1H, H-6b); 3.76 (s, 3H, OCH3); 3.62 (m, 3H, H-2, H-3, H-4.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.4, 151.1 (Ar); 134.5 (CH2-CH=CH2); 118.5, 118.2, 118.0, 114.6, 114.6 (CH2-CH=CH2, Ar); 102.6 (C-1); 78.4 (C-3); 75.9 (C-4); 73.7 (CH2-CH=CH2); 73.0 (C-2); 68.9 (C-5); 62.8 (C-6); 55.7 (OCH3.) HRMS (ESI): C16H23O7 [M+H]+の計算値: 327.1445, 実測値: 327.1422.
80%水性AcOH(10mL)中の生成物2(0.69g、1.1mmol)の溶液を80℃で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)による精製により、生成物3(0.35g、94%)を得た。[α]D 25=+90.2o(c=0.2、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.01-7.78 (m, 4H, MeOC6H4); 5.91 (m, 1H, CH2-CH=CH2); 5.19 (m, 2H, CH2-CH=CH2); 4.83 (d, 1H, J = 7.5 Hz, H-1); 4.53-4.25 (m, 2H, CH2-CH=CH2); 4.14 (m, 1H, H-5); 3.96 (m, 1H, H-6a); 3.85 (m, 1H, H-6b); 3.76 (s, 3H, OCH3); 3.62 (m, 3H, H-2, H-3, H-4.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 155.4, 151.1 (Ar); 134.5 (CH2-CH=CH2); 118.5, 118.2, 118.0, 114.6, 114.6 (CH2-CH=CH2, Ar); 102.6 (C-1); 78.4 (C-3); 75.9 (C-4); 73.7 (CH2-CH=CH2); 73.0 (C-2); 68.9 (C-5); 62.8 (C-6); 55.7 (OCH3.) HRMS (ESI): C16H23O7 [M+H]+の計算値: 327.1445, 実測値: 327.1422.
4−メトキシフェニル2−O−アリル−3,4,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物4):
CH2Cl2(1mL)およびピリジン(65μL、8.3mmol)中の3(27mg、0.83mmol)の溶液に、BzCl(100μL、8.3mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。MeOH(1mL)を加え、反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:3EtOAc−ヘキサン)で精製して、生成物4(51mg、97%)を得た。[α]D 25=+48.6o(c=0.1、CHCl3);1H NMR (400 MHz, D2O): δ 8.07-7.29 (m, 15H, Ar); 7.06-6.71 (m, 4H, MeOC6H4); 5.89 (d, 1H, J = 2.7 Hz, H-4); 5.74 (m, 1H, CH2-CH=CH2); 5.42 (dd, 1H, J1= 3.5, J2= 10.0 Hz, H-3); 5.21-5.01 (m, 3H, CH2-CH=CH2, H-1); 4.57 (m, 1H, H-6a); 4.39-4.06 (m, 5H, CH2-CH=CH2, H-6b, H-5, H-2); 3.73 (s, 3H, OCH3.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3):δ 171.2, 166.0, 165.7, 155.6, 151.2, 134.3, 133.8, 133.5, 133.2, 133.1, 132.9, 130.6, 130.2, 129.8, 129.7, 129.6, 129.4, 128.8, 128.5, 128.4, 118.8, 114.6 (Ar); 117.7 (CH2-CH=CH2); 102.8 (C-1); 78.7 (C-2); 74.0 (C-3); 73.6 (CH2-CH=CH2); 72.2 (C-5); 69.9 (C-4); 63.5 (C-6); 55.6 (CH3.) HRMS (ESI): C37H34NaO10 [M+Na]+の計算値: 661.2050, 実測値: 661.2041.
CH2Cl2(1mL)およびピリジン(65μL、8.3mmol)中の3(27mg、0.83mmol)の溶液に、BzCl(100μL、8.3mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。MeOH(1mL)を加え、反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:3EtOAc−ヘキサン)で精製して、生成物4(51mg、97%)を得た。[α]D 25=+48.6o(c=0.1、CHCl3);1H NMR (400 MHz, D2O): δ 8.07-7.29 (m, 15H, Ar); 7.06-6.71 (m, 4H, MeOC6H4); 5.89 (d, 1H, J = 2.7 Hz, H-4); 5.74 (m, 1H, CH2-CH=CH2); 5.42 (dd, 1H, J1= 3.5, J2= 10.0 Hz, H-3); 5.21-5.01 (m, 3H, CH2-CH=CH2, H-1); 4.57 (m, 1H, H-6a); 4.39-4.06 (m, 5H, CH2-CH=CH2, H-6b, H-5, H-2); 3.73 (s, 3H, OCH3.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3):δ 171.2, 166.0, 165.7, 155.6, 151.2, 134.3, 133.8, 133.5, 133.2, 133.1, 132.9, 130.6, 130.2, 129.8, 129.7, 129.6, 129.4, 128.8, 128.5, 128.4, 118.8, 114.6 (Ar); 117.7 (CH2-CH=CH2); 102.8 (C-1); 78.7 (C-2); 74.0 (C-3); 73.6 (CH2-CH=CH2); 72.2 (C-5); 69.9 (C-4); 63.5 (C-6); 55.6 (CH3.) HRMS (ESI): C37H34NaO10 [M+Na]+の計算値: 661.2050, 実測値: 661.2041.
4−メトキシフェニル3,4,6−トリ−O−ベンゾイル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物5):
MeOH(1mL)に溶解した生成物4(45mg、70μmol)の溶液に、PdCl2(2mg)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(1:3EtOAc−ヘキサン)により精製して、生成物5(39mg、92%)を得た。[α]D 25=+78.2o(c=0.1、CHCl3);1H NMR (400 MHz, D2O): δ 8.08-7.28 (m, 15H, Ar); 7.07-6.72 (m, 4H, MeOC6H4); 5.91 (d, 1H, J = 3.5 Hz, H-4); 5.45 (dd, 1H, J1 = 3.5, J2= 10.1 Hz, H-3); 5.00 (d, 1H, J = 7.8 Hz, H-1); 4.60 (m, 1H, H-6a); 4.44 (m, 1H, H-6b); 4.34 (m, 2H, H-5, H-2); 3.73 (s, 3H, OCH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 166.0, 165.5, 155.7, 150.9, 133.7, 133.4, 130.0, 129.9, 129.8, 129.4, 129.2, 129.1, 128.5, 128.4, 118.6, 114.5 (Ar); 102.6 (C-1); 73.2 (C-3); 71.6 (C-5); 69.7 (C-2); 68.1 (C-4); 62.3 (C-6); 55.6 (OCH3.) HRMS (ESI): C34H30NaO10 [M+Na]+の計算値: 621.1737, 実測値: 621.1723.
MeOH(1mL)に溶解した生成物4(45mg、70μmol)の溶液に、PdCl2(2mg)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。その後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(1:3EtOAc−ヘキサン)により精製して、生成物5(39mg、92%)を得た。[α]D 25=+78.2o(c=0.1、CHCl3);1H NMR (400 MHz, D2O): δ 8.08-7.28 (m, 15H, Ar); 7.07-6.72 (m, 4H, MeOC6H4); 5.91 (d, 1H, J = 3.5 Hz, H-4); 5.45 (dd, 1H, J1 = 3.5, J2= 10.1 Hz, H-3); 5.00 (d, 1H, J = 7.8 Hz, H-1); 4.60 (m, 1H, H-6a); 4.44 (m, 1H, H-6b); 4.34 (m, 2H, H-5, H-2); 3.73 (s, 3H, OCH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 166.0, 165.5, 155.7, 150.9, 133.7, 133.4, 130.0, 129.9, 129.8, 129.4, 129.2, 129.1, 128.5, 128.4, 118.6, 114.5 (Ar); 102.6 (C-1); 73.2 (C-3); 71.6 (C-5); 69.7 (C-2); 68.1 (C-4); 62.3 (C-6); 55.6 (OCH3.) HRMS (ESI): C34H30NaO10 [M+Na]+の計算値: 621.1737, 実測値: 621.1723.
4−メトキシフェニル3,4,6−トリ−O−ベンゾイル−2−O−メチル−ホスホラミジル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物6):
分子篩4ÅでCH2Cl2(1mL)に溶解した生成物5(18mg、0.030mmol)およびジクロロリン酸メチル(70μL、0.30mmol)の溶液に、Et3N(85μL、0.30mmol)を滴下して加えた。反応混合物を40℃で12時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。5分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して、生成物6を得た(5.4mg、26%)。[α]D 25=+68.5o(c=0.05、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CHCl3): δ 8.06-7.31 (m, 30H, Ar); 7.07-6.72 (m, 8H, MeOC6H4); 5.94 (m, 2H, H-4, H-4*); 5.54 (m, 2H, H-3, H-3*); 5.10 (m, 4H, H-1, H-1*, H-2, H-2*); 4.58 (m, 2H, H-6a, H-6a*); 4.45 (m, 2H, H-6b, H-6b*); 4.35 (m, 2H, H-5, H-5*); 3.73 (s, 3H, OCH3); 3.67 (d, 3H, 3JPH = 11.6, POCH3); 3.41 (d, 3H, 3JPH =11.5, POCH3 *); 2.92 (d, 2H, NH2); 2.51 (d, 2H, NH2 *.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 166.0, 165.7, 165.6, 165.5, 155.8, 155.7, 150.8, 150.6, 133.8, 133.6, 133.5, 133.4, 130.1, 130.0, 129.9, 129.8, 129.4, 128.9, 128.8, 128.7, 128.6, 128.5, 128.4, 118.6, 114.7, 114.6 (Ar); 101.2, 101.1 (C-1); 73.9, 73.6 (C-2); 72.5, 72.4 (C-3); 71.7 71.5 (C-5); 68.0 (C-4); 62.1 (C-6); 55.6 (OCH3); 53.6, 53.3 (POCH3.) HRMS (ESI): C35H35NO12P [M+H]+の計算値: 692.1898, 実測値: 692.1815.
分子篩4ÅでCH2Cl2(1mL)に溶解した生成物5(18mg、0.030mmol)およびジクロロリン酸メチル(70μL、0.30mmol)の溶液に、Et3N(85μL、0.30mmol)を滴下して加えた。反応混合物を40℃で12時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。5分後、反応混合物を濾過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して、生成物6を得た(5.4mg、26%)。[α]D 25=+68.5o(c=0.05、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CHCl3): δ 8.06-7.31 (m, 30H, Ar); 7.07-6.72 (m, 8H, MeOC6H4); 5.94 (m, 2H, H-4, H-4*); 5.54 (m, 2H, H-3, H-3*); 5.10 (m, 4H, H-1, H-1*, H-2, H-2*); 4.58 (m, 2H, H-6a, H-6a*); 4.45 (m, 2H, H-6b, H-6b*); 4.35 (m, 2H, H-5, H-5*); 3.73 (s, 3H, OCH3); 3.67 (d, 3H, 3JPH = 11.6, POCH3); 3.41 (d, 3H, 3JPH =11.5, POCH3 *); 2.92 (d, 2H, NH2); 2.51 (d, 2H, NH2 *.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 166.0, 165.7, 165.6, 165.5, 155.8, 155.7, 150.8, 150.6, 133.8, 133.6, 133.5, 133.4, 130.1, 130.0, 129.9, 129.8, 129.4, 128.9, 128.8, 128.7, 128.6, 128.5, 128.4, 118.6, 114.7, 114.6 (Ar); 101.2, 101.1 (C-1); 73.9, 73.6 (C-2); 72.5, 72.4 (C-3); 71.7 71.5 (C-5); 68.0 (C-4); 62.1 (C-6); 55.6 (OCH3); 53.6, 53.3 (POCH3.) HRMS (ESI): C35H35NO12P [M+H]+の計算値: 692.1898, 実測値: 692.1815.
4−メトキシフェニル2−O−メチル−ホスホラミジル−β−D−ガラクトピラノシド(生成物7):
生成物7(2.5mg、mmol)を0.25MメタノールMeONa(1mL)に溶解した後、混合物を室温で1時間撹拌した後、酢酸で中和し、濃縮した。1:1EtOAc−MeOHで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、生成物7(1.0mg、73%)を得た。
生成物7(2.5mg、mmol)を0.25MメタノールMeONa(1mL)に溶解した後、混合物を室温で1時間撹拌した後、酢酸で中和し、濃縮した。1:1EtOAc−MeOHで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによる精製により、生成物7(1.0mg、73%)を得た。
7:δδ 1H NMR (400 MHz, D2O): δ 6.97-6.83 (m, 8H, MeOC6H4); 5.05 (2d, 2H, H-1, H-1*); 4.28 (m, 2H, H-2, H-2); 3.91 (m, 2H, H-4, H-4*); 3.77-3.72 (m, 4H, H-3, H-3*, H-5, H-5*); 3.67-3.60 (m, 10H, H-6, H-6*, OCH3); 3.59 (d, 3H, 3JPH = 11.5 Hz, POCH3.) 3.56 (d, 3H, 3JPH = 11.5 Hz, POCH3 *.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 154.5, 150.7, 117.7, 114.9 (Ar); 99.7 (C-1); 77.0 (C-2); 75.3 (C-5); 71.6 (C-3); 68.6 (C-4); 60.5 (C-6); 55.6 (OCH3); 53.9 (POCH3.)
7*:[α]D 25=−11.0o(c=0.01、H2O);1H NMR (400 MHz, D2O): δ 6.97-6.83 (m, 4H, MeOC6H4); 5.05 (d, 1H, J = 7.8 Hz, H-1); 4.28 (m, 1H, H-2); 3.91 (d, 1H, J =3.5 Hz, H-4); 3.77 (dd, 1H, J1 =3.5 Hz, J2= 9.8 Hz, H-3); 3.72 (m, 1H, H-5); 3.67-3.60 (m, 5H, H-6, H-6’, OCH3); 3.56 (d, 3H, 3JPH = 11.5 Hz, POCH3.) 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 154.5, 150.7, 117.7, 114.9 (Ar); 99.7 (C-1); 77.0 (C-2); 75.3 (C-5); 71.6 (C-3); 68.6 (C-4); 60.5 (C-6); 55.6 (OCH3); 53.9 (POCH3.) HRMS (ESI): C14H23NO9P [M+H]+の計算値: 380.1111, 実測値: 380.1085.
C.ジェジュニCPSコンジュゲート抗血清によるMeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPおよびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2の免疫検出
上記実施例に記載される通り合成した、MeOPN→6−Galコンストラクトの合成p−メトキシフェニルおよびアミノペンチルグリコシド、化合物MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPおよびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2を、血清型HS1、HS3、HS4およびHS23/36のC.ジェジュニCPSコンジュゲートに対して以前に惹起された抗血清との反応性に対して試験した。特に、上記列挙された血清型のうち、HS23/36のみがMeOPN−6−Galを発現する。
上記実施例に記載される通り合成した、MeOPN→6−Galコンストラクトの合成p−メトキシフェニルおよびアミノペンチルグリコシド、化合物MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPおよびMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2を、血清型HS1、HS3、HS4およびHS23/36のC.ジェジュニCPSコンジュゲートに対して以前に惹起された抗血清との反応性に対して試験した。特に、上記列挙された血清型のうち、HS23/36のみがMeOPN−6−Galを発現する。
材料および方法
合成コンストラクトMeOPN−6−Galを1mg/mlに調整し、2μlをニトロセルロース膜の上にスポットし、乾燥させた。個々のスポットを、異なるC.ジェジュニ多糖類莢膜をCRM197にコンジュゲートした従来の異なるコンジュゲートワクチンに対して作製された次の4つの異なるポリクローナル抗血清を用いて免疫検出した:(1)HS23/36コンジュゲートに対するウサギ血清(20mM Tris、pH7.4、0.425M NaCl、0.05% Tween20(TBST)中の最終希釈1:1000;Monteiro et al., (2009) Infect. Immun.77, 1128−1136;米国特許第9,084,809号);(2)HS4コンジュゲートに対するウサギ血清(最終希釈1:1000;Monteiro et al., (2009) Infect. Immun. 77, 1128−1136;米国特許第9,084,809号);(3)HS1コンジュゲートに対するマウス血清(最終希釈1:500;未公開データ);および(4)HS3コンジュゲートに対するマウス血清(最終希釈1:500;US2015/0273037)。使用した二次抗体は、ヤギ抗ウサギ(HS23/36およびHS4に対して)またはヤギ抗マウス(HS1およびHS3(Thermo−Pierce、Rockford、IL)のいずれかであった。ウサギ抗体はハーランラボラトリーズ(Indianapolis、IN)から得られ、マウス抗体は従来の方法を用いて組織内で生成された。イムノブロットは、化学発光キット(Pierce Supersignal West Femto Maximun Sensitivity Substrate、Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA)を用いて発色させ、バイオ・ラッドゲル撮影装置(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)上で画像化した。同様の方法を用いて、リンカーを有するコンジュゲートを分析した。
合成コンストラクトMeOPN−6−Galを1mg/mlに調整し、2μlをニトロセルロース膜の上にスポットし、乾燥させた。個々のスポットを、異なるC.ジェジュニ多糖類莢膜をCRM197にコンジュゲートした従来の異なるコンジュゲートワクチンに対して作製された次の4つの異なるポリクローナル抗血清を用いて免疫検出した:(1)HS23/36コンジュゲートに対するウサギ血清(20mM Tris、pH7.4、0.425M NaCl、0.05% Tween20(TBST)中の最終希釈1:1000;Monteiro et al., (2009) Infect. Immun.77, 1128−1136;米国特許第9,084,809号);(2)HS4コンジュゲートに対するウサギ血清(最終希釈1:1000;Monteiro et al., (2009) Infect. Immun. 77, 1128−1136;米国特許第9,084,809号);(3)HS1コンジュゲートに対するマウス血清(最終希釈1:500;未公開データ);および(4)HS3コンジュゲートに対するマウス血清(最終希釈1:500;US2015/0273037)。使用した二次抗体は、ヤギ抗ウサギ(HS23/36およびHS4に対して)またはヤギ抗マウス(HS1およびHS3(Thermo−Pierce、Rockford、IL)のいずれかであった。ウサギ抗体はハーランラボラトリーズ(Indianapolis、IN)から得られ、マウス抗体は従来の方法を用いて組織内で生成された。イムノブロットは、化学発光キット(Pierce Supersignal West Femto Maximun Sensitivity Substrate、Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA)を用いて発色させ、バイオ・ラッドゲル撮影装置(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)上で画像化した。同様の方法を用いて、リンカーを有するコンジュゲートを分析した。
図6(B)に示すように、単糖類コンストラクトMeOPN−6−Galは、CRM197にコンジュゲートされたHS23/36(GalのC−6でMeOPNを有するCPS)から単離された莢膜多糖類に対する抗体によって認識された。また、予想外に、CRM197にコンジュゲートされたHS4(イド−ヘプトースのC−7でMeOPNを有するCPS)からの多糖類に対する抗体も、MeOPN−6−Galに対する抗HS23/36CRM197コンジュゲートに相当する応答を誘発した。また、抗HS1−CRM197(C−6 Galで少量のMeOPNを有するCPS)も、幾分より少ない程度ではあるが、MeOPN−6−Galに反応した。HS3 CPSコンジュゲート抗血清(イド−ヘプトースのC−2でMeOPNを有するCPS)は、MeOPN−6−Galと反応しなかった。α−D−Gal−(1−OMP(MeOPNがない)とHS23/36 CPSコンジュゲート抗血清との間で反応は観察されなかった(データは示さず)。したがって、データは、HS23/36、HS4、およびHS1に対して産生された抗体はすべて合成MeOPN−6−Gal抗原と反応することを示している。対照的に、これらの抗体は、異種の莢膜と反応しない。換言すれば、抗HS23/36抗体の、精製されたHS4またはHS1莢膜との検出可能な反応性は存在しない。
HS23/36およびHS4抗体に対して示されるMeOPN−6−Galとの強い交差反応性は、MeOPN−6−GalがHS23/36およびHS4莢膜多糖類とエピトープ構造を共有するという事実によって説明され得る。1つの説明は、HS23/36およびHS4の両方におけるMeOPN基が第1級ヒドロキシル基に対するものであることであり得る。MeOPN−6−Gal(HS23/36)とHS4(MeOPN−7−6d−β−D−イド−ヘプトースを含む)との交差反応は、予想外であったが、両方の糖上の第1ヒドロキシ位置へのMeOPNの結合に起因し得る。
図7は、指示されたコンジュゲート抗血清を用いて、カラムAにおけるコンストラクトMeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMP(図6Bと同じデータ)の認識と、コンストラクトMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2を用いたカラムBのデータとを比較する。図7に示すように、両方のコンストラクトは、HS23/36 CPSコンジュゲート抗血清(このCPSは、不定比量のMeOPN→6−α−D−Gal結合を含む)、HS4 CPSコンジュゲート抗血清(このCPSは、不定比のMeOPN→7−6d−ido−Hep結合を有する)、および、強度は比較的弱いものの、HS1 CPSコンジュゲート抗血清(非常に少量のMeOPN→6−α−D−Galを含む)によって、強く認識された。上述のように、HS23/36、HS4、およびHS1 CPSコンジュゲート抗血清による合成MeOPN→6−D−Galの検出は、これらのポリクローナル調製物が、第1位でMeOPN単位に対する特異的な抗体を含有するという事実を示している。HS3 CPSコンジュゲート抗血清(CPSの6d−ido−HepのC−2にMeOPNを有する)は、いずれの合成コンストラクトMeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPまたはMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2とも反応しなかった(データは示さず)。Gal OMPおよびアミノペンチルグリコシド(MeOPNを欠く)とHS23/36 CPSコンジュゲートまたは全細胞抗血清との間の反応は観察されなかった(データは示さず)。
図7に示すように、検出限界内では、MeOPN→6−α−D−Galp−(1→OMPとMeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2との間に抗血清反応性の差は観察されず、これは、Galの環外C−6位でのMeOPNの認識が、アノマー配置に依存していなかったことを示唆する。MeOPN→6−Galがコンジュゲート形態でアクセス可能であることは、HS23/36全細胞血清とMeOPN→6−Gal CRM197コンジュゲートとの反応によって確認された。これらのデータは、合成MeOPN→6−Galエンティティ(アノマー配置にかかわらず)が、同種C.ジェジュニHS23/36 CPSコンジュゲートによって惹起された抗血清と反応するのみならず、第1位にMeOPNも有する(例えば、図1参照)血清型HS1およびHS4によって産生された抗血清とも反応することを示す。
MeOPN−6−Galは、合成コンジュゲートワクチンにおける免疫優性エピトープである。
本明細書に報告されたGal−O−6での第2のMeOPN結合が発見されるまで、MeOPNは、ガラクトースのO−2位についてのみ報告されていた。(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol.188, 3273−3279)。合成CPSコンジュゲートワクチンを利用する以下の実験は、Gal−O−6でのMeOPN結合が、MeOPN−2−Galよりも免疫優性であることを示している。
本明細書に報告されたGal−O−6での第2のMeOPN結合が発見されるまで、MeOPNは、ガラクトースのO−2位についてのみ報告されていた。(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol.188, 3273−3279)。合成CPSコンジュゲートワクチンを利用する以下の実験は、Gal−O−6でのMeOPN結合が、MeOPN−2−Galよりも免疫優性であることを示している。
材料および方法
合成MeOPN−6−Gal(上記のように調製された)およびMeOPN−2−Galの2つの異性体(「A」および「B」)(本明細書に記載のように調製された)の1mg/ml溶液2マイクロリットルを、従来の方法を用いてニトロセルロースフィルターの上にスポットし、乾燥させた。フィルターを、Supersignal West Femto Maximum Sensitivity Substrate(Thermo−Pierce、Rockford、IL)を備えたブロッキング剤でブロックした。フィルターを、C.ジェジュニ株81−176のホルマリン死滅全細胞に対して作製した一次ウサギポリクローナル抗体(20mM Tris、pH7.4、0.425N NaCl、0.05% Tween20中の最終希釈1:500)(Bacon et al., (2001) Mol. Microbiol. 40, 769−777)、または、HS23/36多糖類−CRM197コンジュゲートワクチンに対するウサギ抗体(最終希釈1:1000)(Monteiro et al., (2009) Infect. Immun.77, 1128−1136)と混合した。フィルターは、一次抗体と一晩反応させた後、洗浄した。二次抗体は、ヤギ抗ウサギIgG(最終希釈1:50,000)(Thermo−Pierce、Rockford、IL)であった。洗浄後、フィルターをSupersignal West Femto Maximum Sensitivity Luminescence Substrateで検出し、画像をバイオ・ラッドゲル画像システム(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA)で記録した。
合成MeOPN−6−Gal(上記のように調製された)およびMeOPN−2−Galの2つの異性体(「A」および「B」)(本明細書に記載のように調製された)の1mg/ml溶液2マイクロリットルを、従来の方法を用いてニトロセルロースフィルターの上にスポットし、乾燥させた。フィルターを、Supersignal West Femto Maximum Sensitivity Substrate(Thermo−Pierce、Rockford、IL)を備えたブロッキング剤でブロックした。フィルターを、C.ジェジュニ株81−176のホルマリン死滅全細胞に対して作製した一次ウサギポリクローナル抗体(20mM Tris、pH7.4、0.425N NaCl、0.05% Tween20中の最終希釈1:500)(Bacon et al., (2001) Mol. Microbiol. 40, 769−777)、または、HS23/36多糖類−CRM197コンジュゲートワクチンに対するウサギ抗体(最終希釈1:1000)(Monteiro et al., (2009) Infect. Immun.77, 1128−1136)と混合した。フィルターは、一次抗体と一晩反応させた後、洗浄した。二次抗体は、ヤギ抗ウサギIgG(最終希釈1:50,000)(Thermo−Pierce、Rockford、IL)であった。洗浄後、フィルターをSupersignal West Femto Maximum Sensitivity Luminescence Substrateで検出し、画像をバイオ・ラッドゲル画像システム(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA)で記録した。
図8に示すように、結果は、HS23/36多糖類−CRM197コンジュゲートワクチンに対するウサギ抗体は、MeOPN−6−Galを検出したものの、MeOPN−2−Galのいずれの異性体も検出しなかったことを明らかに示している。同様の結果が、ウサギポリクローナル抗体を用いて得られたが、MeOPN−2−Gal B異性体に対していくらかの反応性が検出された。これらのデータは、MeOPN−6−Gal単糖類の免疫原性、および、Galの2位でのメチルホスホルアミデートに対するGalの6位でのMeOPNの免疫優性を明確に示している。本明細書で企図されるMeOPN−糖エピトープの化学合成に加えて、C.ジェジュニに対するCPSベースのワクチンが、MeOPN修飾糖の免疫優位性を利用することによって、例えば、莢膜の精製およびワクチンの製造のために免疫優勢のエピトープおよび/または生物学的に重要なエピトープを過剰発現させる株を使用することによって、改善され得る。
MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2のタンパク質CRM197へのコンジュゲーション
コンジュゲートを形成するための、タンパク質担体への合成コンストラクトの結合を図9に示す(スキーム4)。リンカー付きガラクトシド(図3の化合物12または図4の化合物9)(4.5mg)および過剰のアジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエステル(10当量)をDMSO(1ml)に溶解した。トリエチルアミン(60μl)を滴下して加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。減圧下で濃縮した後、残渣をH2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィー(3:1EtOAc−ヘキサン)で精製して活性化単糖類である化合物13を得た。その後、この得られた半エステル(化合物13)をリン酸緩衝液(NaPi緩衝液、pH7)中のタンパク質CRM197のアミノ基と縮合させて、化合物14を得た。具体的には、70mMのリン酸緩衝液pH7.0においてCRM197を有する活性化単糖類を100:1のモル比(タンパク質1モル当たりの活性エステルのモル数)でコンジュゲーションを実施した。室温で3日間撹拌した後、コンジュゲート(化合物14)を流水に対して透析した。コンジュゲートの合成およびタンパク質担体への結合の概要も図12に示す。
コンジュゲートを形成するための、タンパク質担体への合成コンストラクトの結合を図9に示す(スキーム4)。リンカー付きガラクトシド(図3の化合物12または図4の化合物9)(4.5mg)および過剰のアジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエステル(10当量)をDMSO(1ml)に溶解した。トリエチルアミン(60μl)を滴下して加え、反応混合物を室温で4時間撹拌した。減圧下で濃縮した後、残渣をH2Oで抽出し、その後、カラムクロマトグラフィー(3:1EtOAc−ヘキサン)で精製して活性化単糖類である化合物13を得た。その後、この得られた半エステル(化合物13)をリン酸緩衝液(NaPi緩衝液、pH7)中のタンパク質CRM197のアミノ基と縮合させて、化合物14を得た。具体的には、70mMのリン酸緩衝液pH7.0においてCRM197を有する活性化単糖類を100:1のモル比(タンパク質1モル当たりの活性エステルのモル数)でコンジュゲーションを実施した。室温で3日間撹拌した後、コンジュゲート(化合物14)を流水に対して透析した。コンジュゲートの合成およびタンパク質担体への結合の概要も図12に示す。
コンジュゲーションは、SDS−PAGEゲルおよびmALDI−TOFを用いて分析し、確認した。具体的には、従来の方法に従って、ゲル電気泳動(図10A)、ウエスタンブロット(図10B)、および質量分析(mALDI−TOF)(図10C)によって、MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2のCRM197へのコンジュゲーションを分析し、確認した。
材料および方法
CRM197に連結したMeOPN−6−Galコンストラクトを、従来の方法を用いて、SDS−PAGEおよびイムノブロッティングによって分析し、特徴付けた。CRM197(重量で2.5μgおよび5μg)に結合した合成MeOPN−6−Galの試料を12.5%SDS−PAGEゲルで分析し、GelCode(商標)Blue Stain Reagent(ThermoFischer Scientific、Waltham、MA)で染色するかまたはニトロセルロースに転写して、C.ジェジュニ81−176(HS23/36)の全細胞に対してウサギポリクローナル抗体で免疫検出した(Bacon et al., (2001) Mol. Microbiol. 40, 769−777)。染色されたSDS−PAGEゲルは、ワクチンコンジュゲートは大きさが不均一であり、非コンジュゲートCRM197よりもわずかに大きいものから>250Kdまでの範囲にあることを示した(図10A)。イムノブロットの結果は、ワクチンコンジュゲートが、C.ジェジュニ株81−176の全細胞に対するウサギポリクローナル抗体と反応し、莢膜とコンジュゲートとの交差反応を示したことを示している(データは示さず)。最終生成物(当該コンジュゲート)がMeOPNのジアステレオ異性体を含んでいたという事実のために、MeOPN→6−D−Galpエピトープの半分のみが天然のCPSのものを反映した。それでも、HS23/36全細胞抗血清を用いたウエスタンブロット分析は、当該コンジュゲートが、MeOPNの立体化学構造および細胞表面上の結合を模倣するMeOPN→6−D−Galエピトープを露出していることを示した(図10B)。
CRM197に連結したMeOPN−6−Galコンストラクトを、従来の方法を用いて、SDS−PAGEおよびイムノブロッティングによって分析し、特徴付けた。CRM197(重量で2.5μgおよび5μg)に結合した合成MeOPN−6−Galの試料を12.5%SDS−PAGEゲルで分析し、GelCode(商標)Blue Stain Reagent(ThermoFischer Scientific、Waltham、MA)で染色するかまたはニトロセルロースに転写して、C.ジェジュニ81−176(HS23/36)の全細胞に対してウサギポリクローナル抗体で免疫検出した(Bacon et al., (2001) Mol. Microbiol. 40, 769−777)。染色されたSDS−PAGEゲルは、ワクチンコンジュゲートは大きさが不均一であり、非コンジュゲートCRM197よりもわずかに大きいものから>250Kdまでの範囲にあることを示した(図10A)。イムノブロットの結果は、ワクチンコンジュゲートが、C.ジェジュニ株81−176の全細胞に対するウサギポリクローナル抗体と反応し、莢膜とコンジュゲートとの交差反応を示したことを示している(データは示さず)。最終生成物(当該コンジュゲート)がMeOPNのジアステレオ異性体を含んでいたという事実のために、MeOPN→6−D−Galpエピトープの半分のみが天然のCPSのものを反映した。それでも、HS23/36全細胞抗血清を用いたウエスタンブロット分析は、当該コンジュゲートが、MeOPNの立体化学構造および細胞表面上の結合を模倣するMeOPN→6−D−Galエピトープを露出していることを示した(図10B)。
また、当該コンジュゲートを、従来の方法を用いてMALDI−TOFによって分析して、当該コンジュゲートの質量をより正確に決定した。簡単に説明すると、シナピン酸(Sigma Aldrich、St. Louis、MO)を、マトリックスとして水中の30:70(v/v)アセトニトリル(ACN):0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)において飽和させた。マトリックスと試料(1mg/mL)を等体積で予混合し、分析用に1μLを乾燥液滴法により接地鋼板に被着させた。Microflex LRTマトリックス支援レーザー脱離法およびイオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析計(Bruker Daltonics Inc、Billerica、MA)を、陽イオン検出でのリニアモードに設定し、質量スペクトルを得た。結果は、MeOPN−6−Gal−CRM197コンジュゲートワクチンが、質量61,781の主要なピークを与えたことを示している。類似のMALDI実験におけるCRM197の質量は57,967ダルトンであった(図示せず)。したがって、質量差は3,814ダルトンである。MeOPN−6−Galおよびリンカーの質量は461ダルトンであるため(データは示さず)、これは、1CRM197分子当たり約8個のMeOPN−6−Gal−リンカー部分が添加されたことを示す。より大きな形態は検出されなかったが、これは、分子が大きくなるほどBruker Daltonicsの機器を用いた検出が困難になるという事実に起因し得る。
MeOPN→6−β−D−Gal CRM197コンジュゲート抗体は、C.ジェジュニHS23/36細胞の細胞表面を認識し、殺菌活性を有する
本発明者らは、以前、C.ジェジュニに対する免疫原性莢膜多糖類コンジュゲートワクチン(「従来の」ワクチン)が血清殺菌抗体(SBA)を誘発することを実証した(データは示さず)。換言すれば、従来の多糖類ワクチンに対して産生された抗体は、補体の存在下で細菌と結合し、細菌溶解を誘導し得る。上記の実施例で論じたように、MeOPN−6−Galは、合成されて、HS23/36およびHS4の両方に基づく従来のCRM197コンジュゲートワクチンに対する抗体と反応することが示されている。1タンパク質当たり約8個のMeOPN−6−Gal部分を有するCRM197に結合されたMeOPN−6−Galからなるワクチンコンジュゲートを、上記のように合成し、ウサギの免疫原性に対して試験した。
本発明者らは、以前、C.ジェジュニに対する免疫原性莢膜多糖類コンジュゲートワクチン(「従来の」ワクチン)が血清殺菌抗体(SBA)を誘発することを実証した(データは示さず)。換言すれば、従来の多糖類ワクチンに対して産生された抗体は、補体の存在下で細菌と結合し、細菌溶解を誘導し得る。上記の実施例で論じたように、MeOPN−6−Galは、合成されて、HS23/36およびHS4の両方に基づく従来のCRM197コンジュゲートワクチンに対する抗体と反応することが示されている。1タンパク質当たり約8個のMeOPN−6−Gal部分を有するCRM197に結合されたMeOPN−6−Galからなるワクチンコンジュゲートを、上記のように合成し、ウサギの免疫原性に対して試験した。
材料および方法
ウサギを、フロイントアジュバント(BD Difcoブランド 10mlに5mgのMycobacterium butyricumを含有し、抗原と1:1で投与される(Becton、Dickinson and Co.、Franklin Lakes、NJ))を含む合成CRM197ワクチンコンジュゲート(Envigo、Frederick、MD)に結合した4回用量(それぞれ250μg)のMeOPN−6−Galで免疫化した。最終血清を、BSAにコンジュゲートしたC.ジェジュニ81−176莢膜が検出抗原であるELISAで使用した。血清のエンドポイント力価は、1:200であった。MeOPN−6−Galに対して産生したウサギ血清を、30分間56℃に加熱することにより熱失活させて、内因性補体を不活性化した。対照として、同じウサギの前出血(免疫前)も熱失活させた。血清をマイクロタイタープレートで連続希釈し、C.ジェジュニ81−176および仔ウサギ補体と混合した。そのプレートを、37℃で微好気的条件下でインキュベートした。各ウェルからのアリコートをミューラー・ヒントン寒天培地プレート上にプレーティングして、生き残った細菌細胞を数え上げた。結果は、免疫したウサギの前出血と最終出血との間の死滅の倍数増加として報告される。
ウサギを、フロイントアジュバント(BD Difcoブランド 10mlに5mgのMycobacterium butyricumを含有し、抗原と1:1で投与される(Becton、Dickinson and Co.、Franklin Lakes、NJ))を含む合成CRM197ワクチンコンジュゲート(Envigo、Frederick、MD)に結合した4回用量(それぞれ250μg)のMeOPN−6−Galで免疫化した。最終血清を、BSAにコンジュゲートしたC.ジェジュニ81−176莢膜が検出抗原であるELISAで使用した。血清のエンドポイント力価は、1:200であった。MeOPN−6−Galに対して産生したウサギ血清を、30分間56℃に加熱することにより熱失活させて、内因性補体を不活性化した。対照として、同じウサギの前出血(免疫前)も熱失活させた。血清をマイクロタイタープレートで連続希釈し、C.ジェジュニ81−176および仔ウサギ補体と混合した。そのプレートを、37℃で微好気的条件下でインキュベートした。各ウェルからのアリコートをミューラー・ヒントン寒天培地プレート上にプレーティングして、生き残った細菌細胞を数え上げた。結果は、免疫したウサギの前出血と最終出血との間の死滅の倍数増加として報告される。
合成MeOPN−6−Gal−CRM197コンジュゲートワクチンで免疫したウサギの結果は、血清殺菌活性の16倍の増加を示した。フローサイトメトリーからの結果を図11に示す。データは、コンジュゲートワクチン(例えば、図9の化合物14)が、C.ジェジュニHS23/36細胞の細胞表面に露出したCPS MeOPN→6−D−Gal結合に特異的なウサギにおける抗体を誘導することができることを示す。C.ジェジュニHS23/36細胞への結合強度は、天然のCPSコンジュゲートによって惹起された抗体を用いる場合よりも高かった。C.ジェジュニHS23/36細胞への結合強度は、合成ワクチンに惹起された抗体では少なかったが、細胞の一部は、MeOPN→6−D−Gal抗体と全く反応しなかった。しかし、これらの抗体の、HS23/36細胞の表面への結合は、上記のSBA力価の観察された上昇と一致する。
カンピロバクター・ジェジュニ合成抗原を含むポリマーコンストラクトの合成
1つまたは複数の合成MeOPN−単糖類を含み、任意選択的に1つまたは複数の他の糖類と関連させた免疫原性合成コンストラクトが、本明細書において企図される。合成されたそのようなポリマーコンストラクトの例が、本明細書において図15および図18に示されている。
1つまたは複数の合成MeOPN−単糖類を含み、任意選択的に1つまたは複数の他の糖類と関連させた免疫原性合成コンストラクトが、本明細書において企図される。合成されたそのようなポリマーコンストラクトの例が、本明細書において図15および図18に示されている。
材料および方法
図15のマルチMeOPN−6−Galポリマーコンジュゲートを、従来の方法、市販の試薬、および本明細書および前述の実施例に開示された単糖類を用いて合成した。リントナーデンプン(100mg)を、0.1M NaOAc緩衝液(100ml)pH4中の0.04M NaIO4により、4℃で3日間活性化した。水に対して2日間透析(1000ダルトン分子カットオフ)した後、生成混合物を遠心分離した。上清を凍結乾燥し、Bio−Gel(登録商標)P−2カラム(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)でさらに精製した。
図15のマルチMeOPN−6−Galポリマーコンジュゲートを、従来の方法、市販の試薬、および本明細書および前述の実施例に開示された単糖類を用いて合成した。リントナーデンプン(100mg)を、0.1M NaOAc緩衝液(100ml)pH4中の0.04M NaIO4により、4℃で3日間活性化した。水に対して2日間透析(1000ダルトン分子カットオフ)した後、生成混合物を遠心分離した。上清を凍結乾燥し、Bio−Gel(登録商標)P−2カラム(Bio−Rad Laboratories, Hercules, CA)でさらに精製した。
活性化されたデンプン(8mg)を、0.1Mホウ酸塩緩衝液(5ml)、pH9中で、MeOPN→6−β−D−Galp−(1→O(CH2)5NH2(4mg)に化学的にコンジュゲートした。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(40mg)を加え、反応混合物を室温で1日、37℃で2日間撹拌した。その後、コンジュゲートを流水に対して2日間透析(1000Da)した後、凍結乾燥した。
デンプン−糖コンジュゲート生成物(4mg)を、0.1Mホウ酸塩緩衝液(5ml)、pH9中のCRM197(4mg)とコンジュゲートした。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(40mg)を加え、反応混合物を室温で1日、37℃で2日間撹拌した。その後、コンジュゲートを流水に対して2日間透析(1000Da)した後、凍結乾燥した。得られた合成コンジュゲートを、図16および17にそれぞれ示すように、ウエスタンゲルおよびイムノブロッティングおよび1H NMRを用いて特徴付けた。簡単に説明すると、イムノブロットでは、合成コンジュゲートを12.5%ポリアクリルアミドゲルで二通り電気泳動した。Trans−Blot(登録商標)Turbo(商標)システム(BioRad Laboratories、Hercules、CA)を用いてゲルの一部を染色し他の部分をニトロセルロースに転写し、C.ジェジュニ株81−176のホルマリン死滅全細胞に対するウサギ過免疫血清で免疫検出した(20mM Tris、pH7.4、0.425N NaCl、0.05% Tween20であるTBST中の最終希釈1:500)。このフィルターを一次抗体と一晩反応させた後、洗浄した。二次抗体は、ヤギ抗ウサギIgGであった(TBST中の最終希釈1:50,000)。洗浄後、フィルターをSupersignal West Femto Maximum Sensitivity Luminescence Substrate(Thermo−Pierce、Rockford、IL)で検出し、画像をバイオ・ラッドゲル画像システムで記録した。
図18に示す合成ポリマーコンジュゲートを、従来の方法および試薬を用いて同様に調製し、タンパク質担体にコンジュゲートした。図15に示すコンジュゲートとは対照的に、図18に示す合成コンストラクトは、複数のMeOPN−6−Gal単糖類のみならず、複数のMeOPN−2−GalおよびMeOPN−1−Fru単糖類をも含む。上記のように、さまざまな単糖類は、デンプン骨格を使用して化学的に関連(コンジュゲート)させられる。糖は、糖とデンプンとの間の橋渡しをすることができるリンカーを化学的に備えている。キャリアタンパク質は、コンストラクトに付加される。
カンピロバクター・ジェジュニ株81−176の多糖類莢膜におけるO−メチルホスホルアミデート修飾の位置における相可変の変化による血清耐性のMeOPN−4−Galおよびモジュレーションの同定。
図19(A)は、示したMeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galの位置(R=HまたはMeOPN)での81−176莢膜トリサッカリドの2つの反復の構造を示す。図19(B)は、81−176の可変CPS遺伝子座における遺伝子のカートゥーンを示す図である。81−176の可変CPS遺伝子座は、灰色で示されたkpsC(CJJ81176_1413c)とkpsF(CJJ81176_1437c)の間に位置し、22個の遺伝子を包含する。既知の機能の遺伝子にはラベルが付されている。MeOPNの合成に関与する遺伝子には、mpnA−Dというラベルが付され(Maue, AC et al. 2013 Infect Immun. 81:665−672)、ラベルが付された残りの遺伝子は、ヘプトース合成に関与する。黒色の遺伝子は、2つの推定MeOPNトランスフェラーゼ、CJJ81176_1420およびCJJ81176_1435を表している。
図19(A)は、示したMeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galの位置(R=HまたはMeOPN)での81−176莢膜トリサッカリドの2つの反復の構造を示す。図19(B)は、81−176の可変CPS遺伝子座における遺伝子のカートゥーンを示す図である。81−176の可変CPS遺伝子座は、灰色で示されたkpsC(CJJ81176_1413c)とkpsF(CJJ81176_1437c)の間に位置し、22個の遺伝子を包含する。既知の機能の遺伝子にはラベルが付されている。MeOPNの合成に関与する遺伝子には、mpnA−Dというラベルが付され(Maue, AC et al. 2013 Infect Immun. 81:665−672)、ラベルが付された残りの遺伝子は、ヘプトース合成に関与する。黒色の遺伝子は、2つの推定MeOPNトランスフェラーゼ、CJJ81176_1420およびCJJ81176_1435を表している。
以下に提示されるデータは、ガラクトースの4位でのカンピロバクター・ジェジュニ株81−176 CPSにおけるMeOPN修飾(MeOPN−4−Gal)の第3の部位の存在を確認し、CJJ81176_1420遺伝子が、この活性に関与しているトランスフェラーゼをコードすることを示している。CJJ81176_1420遺伝子が、インビトロ培養の中に主に「OFF」配置であると思われるにもかかわらず、MeOPNが、正常ヒト血清(NHS)に存在する抗グリカン抗体の結合を遮断することによって補体に対する耐性を媒介すると思われること、およびMeOPN−4−Galが、補体媒介性死滅に対する耐性に関与している主要な修飾であると思われることもデータは示す。
材料および方法
株および増殖条件:すべての作業は、C.ジェジュニの81−176株で行った。この実施例に使用される、この株の突然変異体を表1に列挙する。*R、相変化(phase variation)を受けるGのホモポリマー性トラクトは、本明細書に記載されるように、修復された。
株および増殖条件:すべての作業は、C.ジェジュニの81−176株で行った。この実施例に使用される、この株の突然変異体を表1に列挙する。*R、相変化(phase variation)を受けるGのホモポリマー性トラクトは、本明細書に記載されるように、修復された。
株の構築のためC.ジェジュニを、37℃、微好気的条件下で市販のミューラー・ヒントン(MH)寒天で日常的に培養した。培地には、抗生物質耐性マーカーを有する突然変異体に対する必要に応じて抗生物質を補充した(Yao, R. et al. 1993 Gene 130:127−130)。莢膜抽出に関して細菌細胞は、37℃、微好気的環境で、ブタブレインハートインフュージョン培地(Difco、Franklin Lakes、NJ)中で増殖される。細菌細胞塊は、CPS/LOSの続く抽出および精製のため、集められ、凍結され、凍結乾燥され得る。
細胞全体の塊からの炭水化物の抽出には、熱水/フェノール抽出を使用する(Westphal O, Jann K. General Polysaccharides: Methods in Carbohydrate Chemistry.1965; 5:83−91;Chen Y−H et al., Carbohydrate Research. 2008; 343:1034−1040)。凍結乾燥された細胞全体のペレットを破砕した後に、得られた粉末が、丸底フラスコに加えられる。所定の量の水が、その後、反応フラスコに加えられる。フェノールが、70〜75℃で一時間撹拌後に、フラスコに加えられる。溶液は、その後、70〜75℃で追加の6〜7時間撹拌し、規定時間後に、氷に直ちに移される(Westphal O, Jann K. General Polysaccharides: Methods in Carbohydrate Chemistry. 1965; 5:83−91;Chen Y−H et al., Carbohydrate Research. 2008; 343:1034−1040)。反応混合物は、水およびフェノールの二層に分離する。炭水化物は水層に見られ、細胞の親油性成分はフェノール中に残る。水層は、集められ、新鮮な脱イオン水(dH2O)で置換される。反応は、追加の2日繰り返される。集められた水層は少量のフェノールをなおも含有し、これらの分子は透析の使用により除去することができる。水層は、1kDa分子量カットオフ(MWCO)バギング(Spectra/Por(登録商標)、Spectrum Laboratories、Rancho Dominguez、California)中で一晩dH2Oの流水下に配置される。CPSは、そのより大きな分子量に起因して1kDa MWCOバギングの内側に保持される。透析した層は、凍結され、さらなる精製および分析のため凍結乾燥される。凍結乾燥された水層からの生成物は、さらに精製される。C.ジェジュニの場合、回収された塊が15000rpmで6時間超遠心分離され、水性CPSからLOSが除去される。LOSのペレットおよび水性CPSは、両方とも凍結され、凍結乾燥される。水性CPS生成物は、その後、分離にサイズ排除を使用する、Bio−Gel(登録商標)ポリアクリルアミドP2カラム(Bio−Rad、Hercules、CA)の使用によってさらに精製される。集められた画分は、続く実験に使用し得る。
オリゴヌクレオチドプライマー。使用したすべてのオリゴヌクレオチドプライマーは、表2に列記され、これらはLife Technologies(Frederick、MD)によって合成された。
NMRおよびガスクロマトグラフ−質量分析(GC−MS)分析:1H、13Cおよび31P NMR実験を、CryoProbe(商標)(Bruker Corp.、Billerica、MA)を備えたBruker AMX 400分光計を用いて記録した。実験を、293Kまたは315Kで実行した。ヘテロ核単一量子相関分光法(HSQC)およびヘテロ核多重結合相関分光法(HMBC)実験は、Bruker TopSpin(商標)3.0ソフトウェアを用いて行った。分析の前に、試料は、D2O(99.9%)で3回凍結乾燥した。δH 4.821でのHOD共鳴は、1H実験に対する内部標準として使用された。D2O中のTSPの標準を使用して、HODシグナルに対する基準を確立した。オルトリン酸(δP 0.0)を、すべての31Pの実験の外部基準として使用した。
単糖の特徴付け:単糖を、酢酸アルジトール誘導体として特徴付けた。CPSを105℃で4Mトリフルオロ酢酸で最初に消化し、その後、モノマーを水中で一晩室温でNaBD4で還元した。アルジトールを、105℃で無水酢酸でアセチル化した。得られた酢酸アルジトールをジクロロメタンを用いて抽出し、DB−17キャピラリーカラム(Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA)を備えたThermoFinigan PolarisQ Ion TrapにおいてGC−MSによって分析した。
ウサギポリクローナル抗血清:3つのバッチのHS23/36−CRM197コンジュゲートワクチン、つまり、CCV(Monteiro, MA et al. 2009 Infect.Immun.77:1128−1136)、DB4、およびCJCV1(Dalton Pharma、Toronto Canada)に対して、ウサギの高度免疫ポリクローナル抗体を作製した。コンジュゲートワクチン CCVを、Monteiro, MA et al. 2009 Infect. Immun.77:1128−1136に記述のように産生した。簡単に説明すると、C.ジェジュニ株81−176を増殖させ、莢膜を上で記載されるように単離した。81−176の単離されたCPSを、CPSの非還元端で戦略的に作製させたアルデヒドとCRM197のアクセス可能なアミンとの間の還元的なアミノ化によって、キャリアタンパク質CRM197にコンジュゲートした。使用したCPS:CRM197比は、重量比で2:1であった。81−176のホルマリン固定全細胞に対するウサギポリクローナル血清が、これまでに報告されている(Bacon, DJ et al. 2001 Mol. Microbiol. 40:769−777)。
PCR:クローニングまたは配列分析のために産生されたすべてのPCR生成物を、Phusion(登録商標)ハイフィデリティーポリメラーゼ(New England Biolabs、Ipswich、MA)を用いて増幅した。他のすべてのPCRは、Taqポリメラーゼ(Applied Biosystems/Life Technologies (Foster City、CA)を使用した。
CPS−CRM197コンジュゲートにおけるMeOPNのレベルを決定するための抗−CPS ELISA:3つのCPS−CRM197コンジュゲート上のMeOPNの相対レベルを決定するために、コンジュゲートを、総CPS含量に基づいて標準化し、カーボネートコーティング緩衝液中、MaxiSorp Nunc(登録商標)プレート(Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)上で、4℃で一晩連続希釈した。プレートをPBSTで洗浄し、PBST中のBSAで、37℃で1時間ブロックした。MeOPN−6−Galを検出するために、プレートを洗浄し、DB3モノクローナル抗体をブロッキング緩衝液で希釈し、37℃で1時間インキュベートした。洗浄後にヤギ抗マウスIgG−HRP(Thermo−Scientific)を添加し、37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、100μlのテトラメチレンベンジジン(TMB, eBioscience、San Diego、CA)基質を10分間添加した後、100μlの1M H2SO4を加えて反応を停止させた。ODを450nmで読み取った。
ハイブリドーマの産生:(Nyame, AK et al. 2003 Exp. Parasitol. 104:1−13)に従って、(4週間間隔で3回)CPS81−176−CRM197コンジュゲートで皮下免疫したBALB/cマウス由来の脾細胞をSP2/O骨髄腫細胞(Sp2/0−Ag14;ATCC CRL−1581、ATCC、Manassas、VA)と融合させて、ハイブリドーマを作製した。簡単に説明すると、脾臓細胞およびSP2/O細胞をポリエチレングリコールの存在下で融合させ、ハイブリドーマ培地(20%FBS、2xHAT(200mMヒポキサンチン、0.8mMアミノプテリン、32mMチミン)、OPI(1mMオキサロ酢酸、0.45mMピルビン酸、および0.2U/mLインスリン)、4mMグルタミン、ならびにIL−6(10ng/ml)を含有するイスコフ培地)において非免疫化BALB/cマウス由来の腹腔マクロファージと混合した。融合した細胞を直ちに8枚の96ウェル細胞培養プレート上にプレーティングし、37℃、5%CO2雰囲気中で2週間インキュベートした。ハイブリドーマを、抗原標的として81−176およびmpnC突然変異体の両方に由来するCPSのBSAコンジュゲートを用いて、ELISAによって各ウェルから培養上清をスクリーニングすることによって選択した。
モノクローナル(mAb)DB3の産生および精製:単一細胞ハイブリドーマクローンを、イスコフ培地中で2.5%FBSまでウィーニングしながら、16個のT−150フラスコに徐々に増殖させた。細胞を1Lの無血清培地(SFM)を含有する2Lローラーボトルに移し、37℃、5%CO2で4週間培養した。SFM中のmAb DB3を、メーカーの説明書(Pall Life Sciences Corp.、Port Washington、NY)に従って、MEP−HyperCel(商標)カラムで精製した。溶出した抗体をTBS(0.05M Tris/0.15NaCl、pH7.6)に透析し、タンパク質含量をBCAアッセイによって決定した。アリコートは、さらなる特徴付けおよび使用のために−80℃で保存した。アイソタイプは、Pierce(商標) Rapid Isotyping Kit(カタログ番号26178;Thermo Fischer Scientific、Waltham、MA)を用いて決定した。
フローサイトメトリー:81−176株をMH寒天上で20時間増殖させ、細胞を5mLのPBSに回収し、1.2ミクロンフィルターで濾過した。得られた懸濁液をOD600 0.1に調整し、1mlを12000gで2分間スピンダウンした。ペレットを0.5mlの4%ホルムアルデヒドに再懸濁し、室温で10分間回転子上でインキュベートした。細胞を遠心分離し、氷冷PBSTで2回洗浄し、最終濃度112μg/mlのコンジュゲート抗体またはDB3モノクローナル抗体で免疫した超免疫ウサギ由来の血清の1:50希釈液100マイクロリットルに再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。懸濁液を氷冷PBSTで2回洗浄した後、過免疫血清またはラット抗マウスIgG1 PE(SouthernBiotech、Birmingham、AL)に対するロバ抗ウサギIgG AlexaFluor(登録商標)647(Biolegend、San Diego、CA)と共にインキュベートし、4℃で30分間インキュベートした。懸濁液を氷冷PBST中で2回洗浄し、0.5ml PBSTに再懸濁し、BD FACSCanto(商標)(BD Biosciences、San Jose、CA)で読み取った。データは、FlowJo(TreeStar、Ashland、OR)を用いて分析した。
CJJ81176_1420の突然変異:CJJ81176_1420を、EcoRおよびXhoI部位をそれぞれ導入したプライマーpg12.13およびpg12.14を用いてpPCRScript(Stratagene、La Jolla、CA)にクローニングした。このプラスミドを、Tnp Km(Epicentre、Madison、WI)を用いてトランスポゾン突然変異誘発に付し、個々のKmrトランスポゾン挿入をトランスポゾン内部のプライマーで配列決定して挿入部位を決定した。1779bp遺伝子のbp367での非極性トランスポゾン挿入を用いて、上述した方法によりKmrに81−176を電気穿孔した(Yao, R. et al. 1993 Gene 130:127−130)。推定突然変異は、カナマイシン遺伝子の挿入点を囲むプライマーpg12.25およびpg12.26を用いたPCRによって確認され、この突然変異体は、株3477と呼ばれた。
CJJ81176_1435の突然変異:CJJ81176_1435を、プライマーpg10.07およびpg10.08を用いてpPCR−Script(Stratagene、La Jolla、CA)にクローニングした。pRY109(Yao, R. et al. 1993 Gene 130:127−130)由来のcatカセットを、1813bp遺伝子のbp747に位置するユニークなNcoI部位にクローニングした。クローンを部分的に配列決定してcatカセットの配向を決定し、遺伝子がCJJ81176_1435と同じ配向で挿入されたものを用いてCmrに81−176を電気穿孔した。挿入のNcoI部位を囲むpg14.67およびpg14.68を用いたPCRによって推定クローンを確認し、得られた突然変異体を株3636と呼んだ。
両方の推定上のMeOPNトランスフェラーゼにおける二重突然変異体の構築:株3477、つまり、CJJ81176_1420::aph3を、株3636を産生するのに使用したのと同じプラスミドを用いてCmrに電気穿孔し、二重突然変異株3479を産生した(表1参照)。
hipO挿入ベクターの構築:81−176のhipO遺伝子(CJJ81176_1003)(非必須酵素ベンゾイルグリシンアミドヒドロラーゼをコード)を、プライマーセットpg12.31およびpg12.32を用いてpPCR−Script(Stratagene、La Jolla、CA)にクローニングした。ユニークなXbaI部位を、プライマーセットpg12.33およびpg12.34を有する逆PCRによってhipO遺伝子の中心に導入した。このプラスミドは、pCPE3490と呼ばれた。
CJJ81176_1420およびCJJ81187_1435の修復対立遺伝子を発現する株の構築:CJJ1420::aph3突然変異体を、以下のように、修復された対立遺伝子で補完した。野生型CJJ81176_1420遺伝子を、それぞれBamHIおよびEcoR1部位を導入する、プライマーpg12.29およびpg12.30を用いてPCR増幅し、得られた単位複製配列を、pBluescriptのXbaIとBamHI部位の間にクローニングされたflaAからのσ28プロモーターを含有する、BamHIおよびEcoRI消化したpCPE108にクローニングした(Ewing, C. P., et al. (2009) J. Bacteriol. 191:7086−7093)。CJJ81176_1420内の相可変G9トラクトを、G9がプライマーpg12.37およびpg12.38を用いてGGAGGAGGAに変更されるように突然変異誘発(Quick Change Site Directed Mutagenesis Kit;Agilent Technologies、Germantown、MD)によって修復した。挿入物全体をEcoR1−NotI断片としてpBluescript(Agilent Technologies、Germantown、MD)に移し、pRY109(Yao, R. et al. 1993 Gene 130:127−130)由来のSmaI末端catカセットを、修復したCJJ81176_1420遺伝子に対して3’のEcoRV部位に挿入した。全体構造(σ28−CJJ81176_1420+cat)を順方向および逆方向プライマーでPCR増幅し、平滑末端化した(上記の)pCPE3490のhipO遺伝子内のユニークなXbaI部位にクローニングした。この構造(pCPE3494と呼ばれる)を使用して、3477(CJJ81−176_1420::cat突然変異体)をKmrに電気穿孔し、株3498を産生した。
CJJ1435::cat突然変異体を、同様のアプローチを用いて補完した。プラスミドpCPE108を、ポリリンカーのXhoI部位にaph3遺伝子を含むように修飾して、pCPE3583を生成した。CJJ81176_1435を、BamHI部位およびEcoRI部位をそれぞれ導入したプライマーpg14.35およびpg14.03を用いてPCR増幅し、BamHIおよびEcoR1で消化したpCPE3583にクローニングした。CJJ81176_1435のコード領域内に位置する相可変G9トラクトを、プライマーpg14.09およびpg14.10を用いて上記のように部位特異的突然変異誘発に供した。修復されたCJJ81176_1435遺伝子および隣接するaph3遺伝子を、順方向および逆方向プライマーを用いてPCR増幅し、上述したように、株81−176のastAを含むプラスミド上のEcoRV部位にクローニングした(Ewing, C. P., et al. (2009) J. Bacteriol. 191:7086−7093;Yao, R. and Guerry,P. (1996) J. Bacteriol. 178:3335−3338)。このプラスミドを用いて、CJJ81176_1435突然変異(株3636)をKmrに電気穿孔し、株3637を産生した。
また、NMR研究のため、CJJ81176_1435突然変異体のバックグラウンドでCJJ81176_1420を過剰発現させたC.ジェジュニ株を構築した。CJJ81176_1420突然変異体(上記)の補体を構築するため使用されたプラスミドpCPE3494を、野生型81−176に電気穿孔して、株3501を産生した。プラスミドpAC1(Cameron, A. and Gaynor, E. C. (2014) Plos One 9, e95084. doi:10.1371/journal.pone.0095084)からのアプラマイシンカセットを、上記CJJ81176_1435のクローン中のユニークなNcoI部位に挿入した。このクローンを、株3501に電気穿孔して、株3718を産生した(表1を参照されたい)。
高度免疫ウサギまたは正常ヒト血清(NHS)における抗CPS応答を決定するための抗CPS ELISA:高度免疫ウサギまたはNHSにおける抗CPS応答を決定するために、Carbo−BIND(商標)プレート(Corning(登録商標)、Corning、NY)を、メーカーの説明書に従って、野生型、3390、3477、または3636株(酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中2μl/ml)からの酸化CPSの100μlで、室温で1時間コーティングした。プレートを1xPBS−(NHSに対して0.05%カゼイン)で1時間37℃洗浄し、PBSTで再度洗浄した。すべての血清を、ブロッキング緩衝液で二通り連続希釈し、37℃で1.5時間インキュベートした。洗浄後、HRPコンジュゲートヤギ抗ウサギIgG(Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)を5%FCS−PBSTで希釈し、洗浄前に1ウェル当たり100μlで、37℃で1時間添加した。ウサギに対してABTS−ペルオキシダーゼ基質(KPL、Gaithersburg、MD)またはNHSに対して3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)を検出試薬として使用し、それぞれOD405またはOD450を測定した。陰性対照ウェル(コーティングバッファーのみ)+3標準偏差の平均ODを用いてエンドポイント力価を決定した。
MeOPNトランスフェラーゼの相変化:2つのMeOPNトランスフェラーゼの可変領域を、保存領域に位置するpg12.17およびCJJ81176_1420に特異的であるpg15.13またはCJJ81176_1435に特異的であるpg15.14でPCR増幅した。得られたPCR生成物を、精製し、pg.12.17で配列決定した。
補体死滅:血清耐性アッセイに対して、細菌株は、二相性のMH培養で18から20時間、37℃で増殖された。プールされた正常ヒト血清(NHS)をSigma Aldrich(St. Louis、MO)から購入し、1つのロットをすべての実験に使用した。アッセイを、Maue, A. C., et al. (2013) Infect Immun. 81: 665−672に記載のように実施した(但し、一範囲のNHSが使用された)。簡単に説明すると、MH二相性培地で増殖させたC.ジェジュニの培養物(18時間培養)を洗浄し、最小必須培地(MEM)中に0.1のOD600に調整した。アリコート(100μl)を、異なるパーセンテージのNHSを補充した900μlの予熱したMEMを含有している24ウェルプレートのウェルに添加し、37℃で微好気的条件下でインキュベートした。生存菌のパーセンテージを、MH寒天プレート上での段階希釈によって決定した。アッセイを、各株について2〜9回繰り返した。統計は、GraphPad Prism(La Jolla、CA)を使用して行った。
結果
81−176CPSに対するMeOPN修飾:質量分析を用いて、本発明者らは、81−176CPSのガラクトースの2位(MeOPN−2−Gal)で不定比MeOPN単位を以前に検出(Kanipes, M. I., et al., (2006) J. Bacteriol. 188:3273−3279)したが、31P共鳴は図20Aにおけるものと同様であった(ピークY)。1H−31P相関実験におけるMeOPNの31P共鳴Y(δP14.45)とガラクトース単位のH−2(δH4.52)との間のクロスピークの検出により、このMeOPN−2−Gal結合をNMRにより確認した(図26A)。
81−176CPSに対するMeOPN修飾:質量分析を用いて、本発明者らは、81−176CPSのガラクトースの2位(MeOPN−2−Gal)で不定比MeOPN単位を以前に検出(Kanipes, M. I., et al., (2006) J. Bacteriol. 188:3273−3279)したが、31P共鳴は図20Aにおけるものと同様であった(ピークY)。1H−31P相関実験におけるMeOPNの31P共鳴Y(δP14.45)とガラクトース単位のH−2(δH4.52)との間のクロスピークの検出により、このMeOPN−2−Gal結合をNMRにより確認した(図26A)。
いくつかの81−176CPS調製物において、より低い強度ではあるが、31P NMRスペクトルは、δP14.15(指定ピークZ)で追加の共鳴を提示した(図20B)。また、同様のピーク(データは示さず)が、MeOPNのリンとCPSガラクトース単位のいくつかのH−6共鳴との間にクロスピーク(図26B)を示した、CJJ81176_1420の突然変異体(株3477と呼ばれる、表1を参照されたい)の31P NMRにおいても観察され、これは、MeOPNのメチル共鳴(δH3.75〜3.81)の非常に近くで共鳴した。NMRデータは、81−176野生型および株3477(CJJ81176_1420の突然変異体)のピークZが、ガラクトースの6位のMeOPN(MeOPN−6−Gal)の不定比配置に対応することを示唆し、これは、合成MeOPN−6−Galを用いるデータと一致する。CJJ81176_1435の突然変異体である、株3636の31P NMRスペクトル(図20C)は、ピークYまたはピークZのいずれも示さなかったが、δP14.73(図20C中の指定ピークX)で以前には見られないリン共鳴を生じた。
2D 1H−31P NMR実験は、ピークXとδH4.88でのプロトン共鳴との間の結合を示した(図27)。両方のトランスフェラーゼにおける二重突然変異体(株3479)からの31P NMRスペクトルは、MeOPN共鳴を示さなかった(データ示さず)ため、この活性はCJJ81176_1420によってコードされなければならない。追加の構造分析において使用するための、株3718と呼ばれる新しい株を構築し、ここで、CJJ81176_1420の修復され、過剰発現された対立遺伝子は、CJJ81176_1435突然変異体である株3636に導入された(材料および方法および表1を参照されたい)。
C.ジェジュニ株3718の莢膜およびMeOPN結合の特徴付け:株3718 CPSの糖組成および結合解析は、81−176野生型CPSにおけるように、3−置換Galおよび3−置換GlcNAcが、トリサッカリド反復ブロックの一部であることを示した。しかしながら、81−176野生型CPSにおいて典型的に見られる2−置換6−デオキシ−3−O−メチル−アルトロ−ヘプトース誘導体の代わりに、大多数の3718 CPS中のヘプトースは、非メチル化2−置換6−デオキシ−アルトロ−ヘプトース(6d−altro−Hep)として存在した。
株3718 CPSのより注目すべき構造上の偏りが31P NMR分光法によって示され、δP 14.72での共鳴Xを提示した(図20C)。この31P共鳴は、Galの2および6位での以前に特徴付けたMeOPN置換に属さず、したがって、株3718が別のMeOPN置換を有するCPSを産生するという事実が指摘された。この新しいMeOPN部分(MeOPN−4−Gal)の特徴付けは、実施例9に詳細に記載される。簡単に説明すると、付随的な2D 1H−31Pヘテロ核相関(HMBC)実験は、14.72ppmでの新しい MeOPN 31P共鳴と4.92ppmでのCPS 1H共鳴との間の新しい相互接続性を示した(図26C;図21Cとの比較)。1D 1H−1H選択的な全相関分光学(TOCSY)法(実施例9に記載される)を用いて、δH 4.92でのピークが照射を受けて、そのδH 3.932およびδH 4.203での2つの環プロトン共鳴に対するおよびδH 5.057でのアノマー共鳴に対する結合が示された。δH 5.057でのアノマー共鳴も順に照射を受けて、そのδH 4.920、δH 4.203およびδH 3.932での環共鳴に対する関連性が確認された。これらのデータが、2D 1H−1H COSY実験(実施例9に記載される)と組み合わされて、環プロトンの割当をもたらした:δH−1 5.057、δH−2 3.932、δH−3 4.203、δH−4 4.920およびδH−5 4.250。したがって、新しいMeOPN結合は、この環系の4位に関与する。
CPSトリサッカリド反復と関連した単糖環炭素を、2D 1H−13C HSQCにより割当てた。図27は、「A」が6d−α−altro−HepのH−1/C−1を表し、「B」がα−GalのH−1/C−1を表し、「C」がβ−GlcNAcのH−1/C−1を表す、3つのアノマーのクロスピークを示す。環系A(6d−α−altro−Hep)炭素は、δ101.6(A−1)、85.2(A−2)、72.6(A−3)、74.0(A−4)、70.1(A−5)、36.4(A−6)、36.5(A−6’)、および61.0(A−7)に位置した。δ85.2でのA−2の低磁場炭素シフトは、2−置換6d−α−altro−HepのH−2の割当と一致した。環系B(α−Gal)炭素は、δ99.6(B−1)、70.2(B−2)、79.2(B−3)、79.0(B−4)、および71.6(B−5)に割当てられた。ここで、δC 79.2の低磁場位置で、3−置換α−GalのC−3が、以前に記載されているMeOPNを含有している環系のH−3(δH−3 4.203)とマッチすることもまた観察することができた。さらに、環B(α−Gal)のδC 79.0(δH−4 4.920)での関連したC−4は、3718 CPS中でMeOPNを保持するとして特徴付けられた。3−置換β−GlcNAc(環系C)のものである、β−配置におけるトリサッカリド反復の単独単位は、δ105.0でC−1、δ59.7でC−2、δ78.0でC−3、およびN−アセチル部分δ25.1のCH3基を含有した。
MeOPNは、抗−81−176コンジュゲートワクチンによって認識される免疫優性エピトープである:データは、抗−コンジュゲート抗体が、合成MeOPN−6−Galと反応することを示す。野生型81−176または突然変異体に由来するCPSに対して、ELISAによって81−176−CRM197コンジュゲートワクチン(CJCV1)に対するウサギ過免疫血清の反応性を調べた。結果は、図28(A)に示してあり、抗CJCV1抗体の反応が野生型CPSに対して最も強い(力価:5.9x106)ことを示した。MeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galを発現するCJJ81176_1420における突然変異体である、株3477から精製されたCPSに対する力価における顕著な低下(力価:6.6x105)ならびにMeOPN−4−Galのみを発現するCJJ81176_1435における突然変異体である、株3636から精製されたCPSに対するさらに大きな低下(エンドポイント力価600)が存在した。これらの後者2つの力価における差は、免疫コンジュゲートワクチン中に存在する非常にわずかなMeOPN−4−Galが存在したことまたはエピトープが不十分に免疫原性であったことを示唆する。興味深いことに、すべてのMeOPNを欠く3390(mpnC)に由来するCPSに対するエンドポイント力価(8100)が3636のものよりも高く、MeOPN−4−Galの存在が多糖類鎖に対する抗体の結合を防止することを示唆している。したがって、どちらかと言えば一般的なβ−D−GlcpNAc−(1−3)−α−D−Galp結合に向かうことが最も起こりそうな(altro−Hepは稀少な糖である)、NHS中の莢膜多糖に対する既存の抗体が存在する。MeOPN部分の存在により、多糖に対するこれらの抗体の結合が防止され、したがって、古典経路による補体媒介性死滅が防止される。コンジュゲートワクチンがMeOPN糖部分に対する抗体を誘導するため、これらの抗体が侵襲性病原体による感染の制御に関して重要である可能性がある補体媒介性死滅を誘導すると予想される。C.ジェジュニは侵襲性生物であるため、腸における上皮細胞の侵襲後に、高レベルのNHSに遭遇する可能性が予想される。したがって、CJJ81176_1420およびMeOPN−4−Galを発現する亜集団は、補体媒介性死滅に対してより耐性である可能性がある。
補体媒介性死滅に対する耐性におけるMeOPNの役割:van Alphenらは、彼らの81−176の株の集団が、「OFF」配置においてCJJ81176_1420遺伝子を有していたことについて報告していたが(van Alphen, L. B., et al., (2014) Plos One 9, e87051)、彼らは、両方の推定上のトランスフェラーゼ遺伝子における二重突然変異体を構築し、得られた突然変異体が、補体死滅に感受性であり、mpnC突然変異体での初期の仕事と一致したことを示した(Maue, A. C., et al. (2013) Infect Immun. 81: 665−672)。両方のMeOPNトランスフェラーゼの可変領域が、本発明者らのバージョンの株81−176の集団から配列決定された場合に、CJJ81176_1420も「OFF」配置にあったが、CJJ81176_1435は「ON」であった。しかしながら、本発明者らが、81−176の50の個々のコロニーから両方のトランスフェラーゼの可変領域の配列を決定した場合に、CJJ81176_1420を発現する細胞の24%が「ON」配置にあったが(12/50)、CJJ81−176_1435を発現する細胞の82%が「ON」配置にあった(41/50)。細胞の6%(3/50)のみが、「ON」配置において両方の遺伝子を発現していた。
本発明者らは、株3477(CJJ81176_1420の突然変異体)、株3636(CJJ81176_1435の突然変異体)、および両方のトランスフェラーゼを欠く二重突然変異体(株3479)の補体死滅(血清耐性)を、血清生存アッセイにおいてNHSの量を増加させながら用いて比較した(表1を参照されたい)。結果は、図24に示してあり、すべての血清濃度において、株3636(MeOPN−4−Galを発現するCJJ81176_1435突然変異体)が、野生型よりも有意に耐性があり、また、株3477(MeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galを発現するCJJ81176_1420突然変異体)が、5〜15%のNHS濃度において野生型81−176よりも有意に感受性があったことを示す。両方の突然変異体が、それらのそれぞれの修復された対立遺伝子(株3637および3498)で補完された場合、血清耐性は野生型のものと匹敵するレベルに戻った。図24を参照されたい。しかし、両方のMeOPNトランスフェラーゼの突然変異(株3479)は、CJJ81176_1420突然変異(株3477)よりも感受性が高くなり、以前に別の二重トランスフェラーゼ突然変異体(van Alphen, L. B., et al., (2014) Plos One 9, e87051)およびmpnC突然変異体(Maue, A. C., et al. (2013) Infect Immun. 81: 665−672)に対して報告したのと同様の感受性レベルを示した。
MeOPNトランスフェラーゼの相変化:血清死滅データは、MeOPN−4−Galの発現が血清耐性を増強させることを示唆した。81−176の一晩の培養物のアリコートを、ミューラー・ヒントン(MH)寒天に単一コロニーをプレーティングし、別のアリコートを、単一コロニーをプレーティング前に1時間20%NHSに露出した。CJJ81176_1420およびCJJ81176_1435の可変領域を、これらの個々のコロニーから配列決定した。結果は、NHSへの曝露なしで、CJJ81176_1420遺伝子が42コロニーの9.5%において「ON」配置にあったことおよびCJJ81176_1435がコロニーの90.5%において「ON」にあったことを示し、上記データと一致した。対照的に、NHSへの曝露後、CJJ81176_1420が配列決定した43コロニーの100%において「ON」であったことおよびCJJ81176_1435が配列決定した43コロニーの53.5%において「ON」であった。NHSへの曝露なしで、4.8%のコロニーが両方の遺伝子に対して「ON」であり、NHSへの曝露後に、53.5%のコロニーが両方の遺伝子に対して「ON」であった。コロニーは、両方の遺伝子に対して「OFF」ではなかった。
正常なヒト血清は、81−176多糖類鎖に対する抗体を含有する:ELISAを、81−176野生型および突然変異体から精製されたCPSに対する上記の血清死滅実験において使用される血清試料を含む、5つの市販のヒト血清試料(Sigma Aldrich、St. Louis、MO)を用いて行った。結果は、図28(B)に示してあり、81−176CPSに対してNHS中に既存の抗体(平均力価800)が存在するが、mpnC突然変異体に由来するCPSに対する力価が有意に高い(26,400)ことを示し、MeOPNがCPSに対する既存の抗グリカン抗体の結合をブロックすることを示唆している。コンジュゲートワクチンにおけるMeOPNに対する抗体の産生は、血清殺菌抗体(SBA)も誘導することができる。突然変異体株3477に由来するCPSに対する反応性は、野生型CPSよりも有意に高かった、このことは集団中の少数の細胞において発現するMeOPN−4−Galの欠損と一致した。株3636 CPSに対する反応性は、株3477 CPSのものよりも有意に高く、mpnC突然変異体(株3390)に由来するCPSのものよりもわずかに低かった、このことは集団中の大多数の細胞において発現するMeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Gal修飾の欠損と一致する。
DB3を用いるフローサイトメトリー分析:図22(B)は、モノクローナルDB3が、フローサイトメトリーにより測定されたように、野生型81−176の表面に結合していたが、ドットブロッティング研究から予想されたように、mpnC突然変異体には結合していなかったことを示す(図22(A))。結合は、mpnC突然変異体の補体である株3391で部分的に回復した。同様に、DB3は、たぶんMeOPN−6−Galを欠く突然変異体である3636には結合せず、結合は、補体である3637で部分的に回復した(図22(C))。しかし、MeOPN−2−Galを欠くがMeOPN−6−Galを保持する突然変異体である3477へのDB3の結合は減少した。結合は、補体である株3498で増強された(図22(D))。
コンジュゲートワクチン上のMeOPN−6−Galのレベルが免疫応答を調節する:3つの独立して生成されたコンジュゲートワクチン上のMeOPN−6−Galのレベルを測定するためにDB3をELISAで使用したとき、結合の差異を検出することができた(図23A)。CCVは、ヒト以外の霊長類を下痢症から守ることが示されたワクチンであり(Monteiro, MA et al. 2009 Infect. Immun.77:1128−1136)、最も高い結合性を示し、DB4は中間であり、CJCV1が最も低かった。図23Bに示すように、3つのワクチンのそれぞれに対するウサギ過免疫抗血清に対して野生型81−176およびmpnC突然変異体から精製した莢膜に対して、ELISAによってエンドポイント力価を測定した。各ワクチンは、無傷の野生型莢膜に対する抗体の高力価を誘発したが(CCV:6.6x105、DB4:4.0x106、CJCV1:5.9x106)、各ワクチンのMeOPN−6−Galの量が減少すると、mpnC莢膜に対する力価は増加した(CCV:100、DB4:5400、CJCV1:8100)。したがって、抗多糖類応答は、CCVに対して最も低く、DB4に対しては中間であり、CJCV1に対しては最も高かった。図23C〜Eは、野生型およびmpnC突然変異体の表面に対する各ウサギ過免疫血清の反応性を示す。CCVは、最高量のMeOPN−6−Galを有し、野生型81−176の表面に結合しているが、mpnC突然変異体3390には結合が検出されなかった(図23C)。結合は、株3391である補体で増強された。DB4をコンジュゲートする抗体は、野生型81−176の表面に結合し、CCVと比較してmpnC突然変異体への結合の増強を示した(図23D)。最後に、CJCV1に対する抗体は、野生型およびmpnC突然変異体に等しく良好に結合した(図23E)。いずれの抗体もkpsM突然変異体には結合しなかった。したがって、mpnC突然変異体に対する表面結合は、MeOPN−6−Galのレベルがワクチンにおいて減少するにつれて増強された。
考察
上記データは、81−176 CPSが、MeOPN修飾の2つの以前に報告された部位に加えて、第3の部位(MeOPN−4−Gal)で修飾され得ることを示している。Gal−2での修飾が31P−NMRシグナルとの比較に基づいて好ましい部位であるように思われるが、CJJ81176_1435によってコードされるトランスフェラーゼは、二機能性であり、Galの2および6位の両方へのMeOPNの付加に関与しているように思われる。これは、本発明者らの知識では、二機能性MeOPNトランスフェラーゼの最初の報告である。CJJ81176_1435の突然変異は、MeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galの欠損をもたらすのみならず、CJJ81176_1420によってコードされるMeOPN−4−Galに対応する新しい31P−NMRシグナルの出現をもたらした。インビトロで増殖させた場合、ほとんどの81−176細胞はCJJ81176_1435を発現し、集団のわずかなサブセット(9.5〜24%)がCJJ81176_1420を発現した。MeOPN−4−Gal 31−P NMRシグナルは、株3636(CJJ81176_1435の突然変異体)において最初に観察され、CJJ81176_1420トランスフェラーゼが、この突然変異体バックグラウンドにおいて過剰発現された株(株3718)において特徴付けられた。したがって、2−Galおよび6−Galに対してMeOPNを転移させることができないことは、おそらくは細胞中のMeOPNのプールの増加に起因して、Galの4−位の修飾を増強すると思われる。興味深いことに、3718 CPSはまた、81−176に通常見られる典型的な3−O−メチル−6d−altro−Hepの代わりに、大多数の6d−altro−Hepを含有する。この変化の理由は、不確かなままであるが、81−176 CPSのHep組成における類似のシフトは、ディープラフLOS突然変異体(Kanipes, M. I., et al., (2006) J. Bacteriol. 188:3273−3279)において以前に観察されていた。
上記データは、81−176 CPSが、MeOPN修飾の2つの以前に報告された部位に加えて、第3の部位(MeOPN−4−Gal)で修飾され得ることを示している。Gal−2での修飾が31P−NMRシグナルとの比較に基づいて好ましい部位であるように思われるが、CJJ81176_1435によってコードされるトランスフェラーゼは、二機能性であり、Galの2および6位の両方へのMeOPNの付加に関与しているように思われる。これは、本発明者らの知識では、二機能性MeOPNトランスフェラーゼの最初の報告である。CJJ81176_1435の突然変異は、MeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galの欠損をもたらすのみならず、CJJ81176_1420によってコードされるMeOPN−4−Galに対応する新しい31P−NMRシグナルの出現をもたらした。インビトロで増殖させた場合、ほとんどの81−176細胞はCJJ81176_1435を発現し、集団のわずかなサブセット(9.5〜24%)がCJJ81176_1420を発現した。MeOPN−4−Gal 31−P NMRシグナルは、株3636(CJJ81176_1435の突然変異体)において最初に観察され、CJJ81176_1420トランスフェラーゼが、この突然変異体バックグラウンドにおいて過剰発現された株(株3718)において特徴付けられた。したがって、2−Galおよび6−Galに対してMeOPNを転移させることができないことは、おそらくは細胞中のMeOPNのプールの増加に起因して、Galの4−位の修飾を増強すると思われる。興味深いことに、3718 CPSはまた、81−176に通常見られる典型的な3−O−メチル−6d−altro−Hepの代わりに、大多数の6d−altro−Hepを含有する。この変化の理由は、不確かなままであるが、81−176 CPSのHep組成における類似のシフトは、ディープラフLOS突然変異体(Kanipes, M. I., et al., (2006) J. Bacteriol. 188:3273−3279)において以前に観察されていた。
モノクローナルDB3は、全細胞ドットブロットにより決定されるようにMeOPN−6−Galおよび/またはMeOPN−2−Galエピトープに特異的であるように見え、また、これと一致して、フローサイトメトリーにより、野生型81−176の表面には結合しているが、CJJ81176_1435またはmpnC突然変異体には結合していないように見える。(図22を参照されたい)。興味深いことに、CJJ81176_1420の突然変異によってDB3の表面結合が妨害され、これは、MeOPN−2−Galの消失がCPSの二次および/または三次構造を変化させ、DB3の細胞表面へのアクセス可能性を低下させることを示唆している。研究はまだ報告されていないが、多糖類鎖は、細胞質で合成されているため、MeOPNで修飾されている可能性が高い。MeOPNを用いた糖の修飾は、多糖類の折り畳みの変化に影響を及ぼす可能性があり、細胞表面上へのアセンブリ後に、隣接する多糖類鎖間の相互作用にも影響を与え、多糖類の、抗体および/または補体カスケードの成分へのアクセス可能性にも影響を与え得る。これは、CJJ81176_1420突然変異体におけるMeOPN−2−Galの喪失が、補体媒介性死滅に対する耐性の有意な低下をもたらしたという本発明者らの観察と一致する。
C.ジェジュニの補体媒介性死滅は、主として古典経路によって起こることが報告されており(van Alphen, L. B., et al., (2014) Plos One 9, e87051;Pennie, R. A., et al.,. (1986) Infect Immun. 52:702−706)、CPSは、おそらく、表面タンパク質と交差反応するNHS中の天然に存在する抗体から細胞を保護する働きをすることが考えられる。しかしながら、上記に考察されるように、本明細書において提示されるデータは、MeOPN部分が、NHSにおける既存の抗グリカン抗体から多糖類鎖を保護するため機能することも示唆する。野生型CPSにおけるMeOPNの存在は、すべてのMeOPNを欠く株3390に由来するCPSと比較して、ELISAにより測定されたように、これらの抗体の結合を阻害した。したがって、Galの2および6位での主要な修飾を欠く株3636は、少数のMeOPN−4−Gal修飾を欠く株3477突然変異体でなされるよりも多くの抗体に結合した。しかしながら、株3477(MeOPN−4−Galを欠く)は、野生型よりも補体媒介性死滅に対してより感受性があり、MeOPN−2−GalおよびMeOPN−6−Galを欠く株3636は、野生型よりもより血清耐性であった。これは、CJJ81176_1435の突然変異体において、より多くのMeOPNが、Galの4位に置かれるとの本発明者らの観察と一致する。NHS中の81−176多糖類鎖に対する既存の抗体は、どちらかと言えば一般的なβ−D−GlcpNAc−(1−3)−α−D−Galp結合に対し向かうことが起こりそうである(altro−Hepは稀少な糖である)。
血清耐性に対するGalの4位での修飾の重要性は、それがGlcNAc−(1−3)−Gal結合に対する修飾の最も近い部位であり、交差反応する抗グリカン抗体の結合を妨げることに、より有効であり得るとの事実に関連し得る(図25)。同様に、MeOPN−4−Galのみを発現する、株3636のCPSは、すべてのMeOPNを欠く株3390よりも、81−176−CRM197コンジュゲートに対して産生されたウサギ過免疫血清に対して、より低いELISA力価を有していた。これは、MeOPN−4−Galが、これらの抗体の多糖に対するアクセスをブロックしたことも示唆する。
MeOPN修飾は、81−176−CRM197コンジュゲートワクチンにおける免疫優性エピトープであると思われる。したがって、図28Aに示すように、コンジュゲートに対するウサギ過免疫血清のエンドポイント力価は、mpnC突然変異体(株3390)に由来するCPSと比較して、野生型CPSに対して>2log高い。コンジュゲートワクチン中のMeOPNの免疫優性は、他の細菌病原体に基づく多糖類コンジュゲート上のO−アセチル基の免疫優性に匹敵するように見える(Calix, J. J., et al., (2011) J. Bacteriol. 193:5271−5278; Szu, S. C., et al. (1991) Infect. Immun. 59, 4555−4561; Fattom, A. I., et al. (1998) Infect. Immun. 66:4588−4592; Berry, D., et al. (2002) Infect. Immun. 70:3707−3713)。糖に対する不定比修飾は、多糖類鎖にかなりの異種性を与え、免疫原性に影響を与え得る(King, M. R., et al. (2007) Trends Microbiol. 15:196−202)。この不均一性はC.ジェジュニに関してより複雑であり、その理由は、相変化が、MeOPN修飾のレベルおよび位置の両方を調節するからである。C.ジェジュニとの感染の早期に、患者血清が、複数のC.ジェジュニ株の補体媒介性死滅の低いレベルを誘導することができるが、感染の48時間後に、患者が、MeOPN糖特異的な抗体応答に関連し得る観察である、株特異的な高レベル血清殺菌力価を発生したことが報告されている(Pennie, R. A., et al.,. (1986) Infect Immun. 52:702−706)。本発明者らは、コンジュゲートワクチン中のMeOPN糖部分に対する抗体が、血清殺菌死滅を誘導できるとの可能性を探求している(以下の実施例14を参照されたい)。
C.ジェジュニは、表面抗原の可変性によって特徴付けられる(Parkhill, J., et al. (2000) Nature 403, 665−668)。リポオリゴ糖類、CPS、および鞭毛に影響を与える遺伝子の相変化は、よく記録されている(Linton, D., et al (2000) Mol. Microbiol. 37: 501−514;Guerry, P., et al. (2001) Infect. Immun. 70:787−793;Hendrixson, D. R. (2006) Mol. Microbiol. 61: 1646−1659;Bacon, D. J., et al. (2001) Mol. Microbiol. 40:769−777)。最近の研究は、相変化に加えて、高頻度の突然変異が、運動性に影響を与える遺伝子において起こり得ることも示している(Hendrixson, D. R. (2008) Mol. Microbiol. 70:519−536;Mohawk, K. L., et al. (2014) Plos One 9:2(e88043). doi:10.137/journal.pone.0088043)。さらに最近、C.ジェジュニのストレス応答に関与する、2つの遺伝子aptおよびpurFの挿入、欠失、およびミスセンス突然変異を含む、広範な変化が、報告されている(Cameron, A., et al. (2015) mBio 6, e00612−00615)。これらの2つの遺伝子の異なる対立遺伝子は、異なるストレス条件下でさまざまな生存能力と関連した。まとめると、これらの観察は、C.ジェジュニが、特定の環境におけるそれらの相対適応度に基づいて選択することができる複数のゲノタイプを有する準種であるという示唆を支持する。C.ジェジュニ81−176におけるMeOPNトランスフェラーゼの相変化は、このベット−ヘッジ現象の別の例を提供する。その生物は、相対的に血清感受性(Blaser, M. J., et al. (1985) J. Infect Dis. 151:227−235)であると一般に考えられ、インビトロで増殖させた場合、株81−176のMeOPNトランスフェラーゼが、最大の補体耐性を許容しない配置にあり、MeOPN−4−Galトランスフェラーゼが優勢に「OFF」配置にあることを意味する。本明細書において提供されたデータは、NHSへの曝露が、MeOPN−4−Galを発現した細胞の少数の集団について選択され、したがって、高いレベルのNHSへの曝露を生存できたことを示している。よって、集団に対するインビトロで測定された血清耐性のレベルは、インビボで達成され得る耐性のレベルを反映しない場合がある。C.ジェジュニは侵襲性生物であり、それが腸管上皮を通して浸潤した際に、NHSの増加したレベルに曝露されるであろう。したがって、細胞のわずかな亜集団が、侵襲後に、生存する能力があることがあり得る。
HS:23/36 CJJ1435::cm突然変異体(株3718)におけるMeOPN−4−Gal部分の特徴付け
上で論じたように、C.ジェジュニ突然変異体株CJJ1435::cm (株3718)は、δP 14.48および14.20での2つの予想されたMeOPNシフトのみならず、δP 14.72(X)での新しいシフトも示す(図20)。さらなる研究を、新しく観察されたMeOPN(X)の結合部位を決定するため以下の詳細のように行った。
上で論じたように、C.ジェジュニ突然変異体株CJJ1435::cm (株3718)は、δP 14.48および14.20での2つの予想されたMeOPNシフトのみならず、δP 14.72(X)での新しいシフトも示す(図20)。さらなる研究を、新しく観察されたMeOPN(X)の結合部位を決定するため以下の詳細のように行った。
2D 1H−31P HMBC:
集められた最初の追加のNMRスペクトルは、2D 1H−31P HMBCであった。これは、NMRおよびGC−MSによるCPSの完全な分析を行う前に、Gal−2およびGal−6結合について点検するためであった。2D 1H−31P HMBCは、Gal−2またはGal−6 MeOPN結合のいずれかについて以前に観察されなかった新しいクロスピークを示した。クロスピークは、295KでのHODピークの下にあり、これは320Kで二度目に集められたスペクトルをもたらした(データ示さず)。δ4.92(1H)およびδ14.72(31P)でのより強いクロスピークは、目的の共鳴になり、標識ピークXであった。完全な特徴付けが必要とされること、ならびにGC−MSおよびNMR実験を実施することが決定された。
集められた最初の追加のNMRスペクトルは、2D 1H−31P HMBCであった。これは、NMRおよびGC−MSによるCPSの完全な分析を行う前に、Gal−2およびGal−6結合について点検するためであった。2D 1H−31P HMBCは、Gal−2またはGal−6 MeOPN結合のいずれかについて以前に観察されなかった新しいクロスピークを示した。クロスピークは、295KでのHODピークの下にあり、これは320Kで二度目に集められたスペクトルをもたらした(データ示さず)。δ4.92(1H)およびδ14.72(31P)でのより強いクロスピークは、目的の共鳴になり、標識ピークXであった。完全な特徴付けが必要とされること、ならびにGC−MSおよびNMR実験を実施することが決定された。
1D−1H:
1D−1Hスペクトルが、株3718について集められ、以前に公開されたスペクトル(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol. 188, 3273−3279)と比較された。CPSが、295Kで視覚化される1または2アノマーシフトを有し、より高い温度で実施されることが要求されるβ−アノマーNMRが観察されることが注意された。第2の1D−1Hスペクトルは、315Kで集められ、これはアノマー共鳴に関して低磁場範囲において2つのさらなる共鳴を示した(データ示さず)。以前に公開された81−176 waaC CPSから、アノマー共鳴が、6d−DD−altro−Hepについてδ5.12、α−Galについてδ4.98およびβ−GlcNAcについてδ4.75で観察された(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol. 188, 3273−3279)。類似のアノマーシフトが、株3718においてδ5.06(A)、5.05(B)および4.80(C)で観察された(データ示さず)。アノマー領域に観察された追加の共鳴は、δ4.92(X)であった(データ示さず)。他の匹敵する共鳴は、MeOPNのCH3に関してδ3.78、GlcNAcのCH3に関してδ2.04、6−デオキシプロトンの1つのδ1.74で観察された(データ示さず)。追加の2D NMR実験を行って、アノマー領域中の共鳴の同一性を決定し、それらの対応する環系の割当を試みた。
1D−1Hスペクトルが、株3718について集められ、以前に公開されたスペクトル(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol. 188, 3273−3279)と比較された。CPSが、295Kで視覚化される1または2アノマーシフトを有し、より高い温度で実施されることが要求されるβ−アノマーNMRが観察されることが注意された。第2の1D−1Hスペクトルは、315Kで集められ、これはアノマー共鳴に関して低磁場範囲において2つのさらなる共鳴を示した(データ示さず)。以前に公開された81−176 waaC CPSから、アノマー共鳴が、6d−DD−altro−Hepについてδ5.12、α−Galについてδ4.98およびβ−GlcNAcについてδ4.75で観察された(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol. 188, 3273−3279)。類似のアノマーシフトが、株3718においてδ5.06(A)、5.05(B)および4.80(C)で観察された(データ示さず)。アノマー領域に観察された追加の共鳴は、δ4.92(X)であった(データ示さず)。他の匹敵する共鳴は、MeOPNのCH3に関してδ3.78、GlcNAcのCH3に関してδ2.04、6−デオキシプロトンの1つのδ1.74で観察された(データ示さず)。追加の2D NMR実験を行って、アノマー領域中の共鳴の同一性を決定し、それらの対応する環系の割当を試みた。
2D 1H−13C HSQC−アノマー領域:
CPSに関与する残基の数を決定するため、2D 1H−13C HSQCを行った。アノマー領域での1H方向における高磁場を見ると、4つの視覚化されたクロスピークが存在した(データ示さず)。δ4.92でのプロトンシフトが、δ79.04で13Cクロスピークを有し、これはアノマー炭素の予想された範囲(δ90−112)を超えることが注意された。その結果、この異常なクロスピークが、2D 1H−31P HMBCからのピークXで同じプロトンシフトに由来することが注意された。残りのクロスピークは、それぞれ系A、BおよびCとして標識された(データ示さず)。注意される他のクロスピークは、6d−DD−altro−Hepからの6−デオキシ、GlcNAcからのCH3、およびMeOPNからのCH3のものであった。Xの同一性を含む残りのプロトンおよびそれらのそれぞれの炭素を割当てるため、追加の1Dおよび2D実験を必要とした。
CPSに関与する残基の数を決定するため、2D 1H−13C HSQCを行った。アノマー領域での1H方向における高磁場を見ると、4つの視覚化されたクロスピークが存在した(データ示さず)。δ4.92でのプロトンシフトが、δ79.04で13Cクロスピークを有し、これはアノマー炭素の予想された範囲(δ90−112)を超えることが注意された。その結果、この異常なクロスピークが、2D 1H−31P HMBCからのピークXで同じプロトンシフトに由来することが注意された。残りのクロスピークは、それぞれ系A、BおよびCとして標識された(データ示さず)。注意される他のクロスピークは、6d−DD−altro−Hepからの6−デオキシ、GlcNAcからのCH3、およびMeOPNからのCH3のものであった。Xの同一性を含む残りのプロトンおよびそれらのそれぞれの炭素を割当てるため、追加の1Dおよび2D実験を必要とした。
2D 1H−1H COSY:
2D 1H−1H COSYを、A、BおよびCの環系の割当の試みにおいてCPSにおいて行った。1H−13C HSQCからの環領域はオーバーラップを示し、これは1H−1H COSYの環領域において繰り返された(データ示さず)。込み合った環領域でさえも、3つの系のH−1とそれらのそれぞれのH−2との間の結合を割当てることができた。A−1がδ3.79でクロスピークを有し(A−2)、B−1がδ3.92でクロスピークを有し(B−2)、およびC−1がδ3.89でクロスピークを有する(C−2)ことが観察された(データ示さず)。さらなるプロトン割当を支援するため、2Dおよび選択的な1D TOCSY実験を実施した。
2D 1H−1H COSYを、A、BおよびCの環系の割当の試みにおいてCPSにおいて行った。1H−13C HSQCからの環領域はオーバーラップを示し、これは1H−1H COSYの環領域において繰り返された(データ示さず)。込み合った環領域でさえも、3つの系のH−1とそれらのそれぞれのH−2との間の結合を割当てることができた。A−1がδ3.79でクロスピークを有し(A−2)、B−1がδ3.92でクロスピークを有し(B−2)、およびC−1がδ3.89でクロスピークを有する(C−2)ことが観察された(データ示さず)。さらなるプロトン割当を支援するため、2Dおよび選択的な1D TOCSY実験を実施した。
2D−TOCSY:
2D−TOCSYにより、同系内のプロトンを磁化の転移を通して互いに見ることが可能となる。2D−TOCSYおよびCOSYを重ね合せることにより、環系のさらなる情報および見識が得られた。特に、ピークXをアノマー共鳴に結合させることができ、残基の同一性が明らかにされた。
2D−TOCSYにより、同系内のプロトンを磁化の転移を通して互いに見ることが可能となる。2D−TOCSYおよびCOSYを重ね合せることにより、環系のさらなる情報および見識が得られた。特に、ピークXをアノマー共鳴に結合させることができ、残基の同一性が明らかにされた。
プロトンB−1およびB−2の位置がわかっているので、COSYを利用してδ4.21でB−3をさらに示すことができた(データ示さず)。その後、2スペクトルの重ね合せは、δ4.98でピークXに対してB−3が結合するCOSYおよびTOCSYの両方からのクロスピークを示した(データ示さず)。ピークXは、B−4として再割当された。これらの割当は、2D TOCSYスペクトルにおけるプロトンB−1とB−4の割当によって確認された(データ示さず)。2D TOCSYからの1Dスライスが、アノマー共鳴B−1に関して抽出された(データ示さず)。このスライスは3つの追加のピークを示し、δ4.25でのピークを、2Dスペクトルに戻って参照し、B−4に対する結合を見つけることによって、B−5として割当てることができた。δ3.77およびδ3.93での残りの2つの共鳴は、このデータ単独を使用して割当てることができなかった。
系Aおよび系Cを、同様の様式で分析した。このことにより、δ4.34でのA−3の割当およびδ3.50でのC−3の割当がもたらされた(データ示さず)。加えて、アノマー共鳴から出発して、6−デオキシ共鳴を評価した。H−6/6’で出発して、強い接続性が、COSYおよびTOCSYの両方においてδ3.79で観察された;これはH−7に対応した(データ示さず)。H−6/6’に対する別のクロスピーク(TOCSYのみ)は、δ4.15に通知された(データ示さず)。これは、6d−DD−altro−Hep系のH−5として割当てられた。2つの2D実験の重ね合せ、およびH−5共鳴(δ4.15)に対応する列の1Dスライスも使用して、H−4がδ3.85に割当てられた(データ示さず)。この新しい結合を使用して、重ね合せた2Dスペクトルを再確認して、δ3.85(H−4)とδ4.34(A−3)との間のクロスピークが観察された。これは、6d−DD−altro−Hepとして割当てられる系Aをもたらした。系Cは、この技術によって過去に分析することができなかったが、プロトンC−3情報を、その同一性に関してアノマープロトンの化学シフトによって集めることができた。GlcNAcはCPS中の唯一のβアノマーであるため、最も高磁場にシフトしたアノマーが、β構成糖に対応することが推測できた。この仮定は、このδ4.76でのCPSと比較して、δ4.75でのβ−GlcNAcの以前に報告されたアノマーシフトによってもバックアップされる(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol. 188, 3273−3279)。
6d−DD−α−altro−Hepに割当てられた系Aおよびβ−GlcNAcに割当てられた系Cを考慮して、系Bをα−Galとして割当てた。環炭素の割当は、系A〜Cの同一性の確認として機能するであろう。
2D 1H−13C HSQC−アノマー領域(再確認):
関連した炭素を、その環に関してこれ以降は割当てることができ、Gal(B)およびGlcNAc(C)の残りのプロトンを、割当てできた。アノマーのクロスピークは、今回:A=6d−DD−α−altro−Hep、B=α−GalおよびC=β−GlcNAcと知られるものに割当てられた。すべてのプロトンシフトが知られているため、系A炭素は、その全体が最初に割当てられた;δ101.6(A−1)、85.2(A−2)、72.6(A−3)、74.0(A−4)、70.1(A−5)、36.4(A−6)、36.5(A−6’)、および61.0(A−7)(表3、図27)。2−位で結合し、これが結合した炭素の低磁場シフトをもたらすため、δ85.2でのA−2の低磁場炭素シフトは、6d−DD−α−altro−Hepとして系Aの割当と一致した。
関連した炭素を、その環に関してこれ以降は割当てることができ、Gal(B)およびGlcNAc(C)の残りのプロトンを、割当てできた。アノマーのクロスピークは、今回:A=6d−DD−α−altro−Hep、B=α−GalおよびC=β−GlcNAcと知られるものに割当てられた。すべてのプロトンシフトが知られているため、系A炭素は、その全体が最初に割当てられた;δ101.6(A−1)、85.2(A−2)、72.6(A−3)、74.0(A−4)、70.1(A−5)、36.4(A−6)、36.5(A−6’)、および61.0(A−7)(表3、図27)。2−位で結合し、これが結合した炭素の低磁場シフトをもたらすため、δ85.2でのA−2の低磁場炭素シフトは、6d−DD−α−altro−Hepとして系Aの割当と一致した。
その後、系Bの炭素は、プロトン1−5;δ99.6(B−1)、70.2(B−2)、79.2(B−3)、79.0(B−4)、および71.6(B−5)に関して割当てられた(表3、図27)。再び、α−Galの結合は3−位であり、その炭素は、δ79.2まで低磁場にシフトし、B−4は、MeOPN部分の結合部位であることから、その炭素のδ79.0までの低磁場シフトが同様に予想される。α−Gal系に関して割当てられる残りのプロトンは、B−6/6’である。同じ炭素シフトを有する2つのプロトンシフトは、δ3.93/δ63.4およびδ3.77/δ63.3で見られ(図27)、これは、ヘキソピラノースの6−位でのジェミナルプロトンの特徴である。
最終的に、系Cの炭素1、2 および3は、δ105.0(C−1)、59.7(C−2)、および78.0(C−3)に割当てられた(表3、図27)。δ78.0での低磁場シフトは、β−GlcNAcの3−位にある結合と一致し、割当が確認される。系Cに関して割当てられる残りは、プロトン/炭素4、5および6/6’であった。以前に特徴付けられたHS:23/36 CPS(Kanipes et al., (2006) J Bacteriol. 188, 3273−3279)との比較に基づいて、C−4はδ77.8に割当てられおよびC−5はδ70.5に割当てられた。以前のデータとの比較に基づいたC−6/6’は、B−6/6’プロトンおよび炭素に対する非常に類似のシフトがおそらくあり、これは、HSQCにおいて視覚化されていないクロスピークをもたらし、というのも、それらはオーバーラップするからである。β−GlcNAcに帰属する付加クロスピークはδ2.05/δ25.1であり、これはN−アセチル置換基のCH3基に由来する。
GC−MS分析:
単糖組成および結合解析もCPSにおいて実施して、NMRによって観察された結果を確認した。組成分析から、以前に特徴付けられたHS:23/36構造と異なり、3−OMe−6d−altro−Hepが非常にわずかに存在することが最初に注意された。大多数のaltro−Hepは、6−デオキシ形態にあり、追加で少量の未修飾Hepがあった(データ示さず)。ヘプトース変化に加えて、GalおよびGlcNAcも組成分析において観察された。すべてのピーク同一性は、相対的保持時間の比較ならびに断片化パターンの分析によって確認された(データ示さず)。
単糖組成および結合解析もCPSにおいて実施して、NMRによって観察された結果を確認した。組成分析から、以前に特徴付けられたHS:23/36構造と異なり、3−OMe−6d−altro−Hepが非常にわずかに存在することが最初に注意された。大多数のaltro−Hepは、6−デオキシ形態にあり、追加で少量の未修飾Hepがあった(データ示さず)。ヘプトース変化に加えて、GalおよびGlcNAcも組成分析において観察された。すべてのピーク同一性は、相対的保持時間の比較ならびに断片化パターンの分析によって確認された(データ示さず)。
結合解析も、情報が豊富であった。−3)Gal(1−、−2)6d−altro−Hep(1−、および−3)GlcNAc(1−の以前に見られた主要な結合が、予想されたように、すべて観察された(データ示さず)。これらの結合に加えて、末端Gal、−2)altro−Hep(1−(これは、以前に少量で見られた)、および−3,4)Gal(1−に対応する新しく観察されたピークも存在した(データ示さず)。再び、すべてのピーク同一性は、相対的保持時間の比較ならびに断片化パターンの分析によって確認された(データ示さず)。存在する−3,4)Gal(1−により、CPS構造における3−結合Galの4−位にあるMeOPNに対する結合部位の割当が確認された。
最終的な構造:
2D 1H−31P HMBCにおいて観察された結合に戻って、今回ピークXを明確(positively)に割当てることができた。この割当は、α−Galの4−位でのHS:23/36構造においてMeOPNの新しい結合をもたらした。これは、HS:23/36血清型に新しい可変CPS構造を与える(図40)。
2D 1H−31P HMBCにおいて観察された結合に戻って、今回ピークXを明確(positively)に割当てることができた。この割当は、α−Galの4−位でのHS:23/36構造においてMeOPNの新しい結合をもたらした。これは、HS:23/36血清型に新しい可変CPS構造を与える(図40)。
MeOPN−4−Gal抗原の合成
MeOPN−4−Gal抗原、メトキシフェニル4−O−メチル−ホスホラミジル−β−D−ガラクトピラノシドを調製する合成スキーム(以下「化合物D」または「ガラクトシドD」と呼ばれる)は、図29に示され、以下に詳細に記載される。簡単に説明すると、ガラクトシドDの合成は、公開された手順(Montel, E. et al.; Aust. J. Chem. 2009, 62, 575−584)から得られた、既知の化合物4−メトキシフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(「化合物A」または「ガラクトシドA」)から始めた。図30を参照されたい。ガラクトシドAにおける約3当量の塩化ベンゾイルでの選択的なベンゾイル化により、2,3,6−トリ−O−ベンゾイル化された生成物B(「化合物B」)が得られた。(図31を参照されたい)。選択性は、ガラクトシド中の4つのヒドロキシル基の間の反応性における差によって説明することができる。軸の配向におけるヒドロキシル基は、立体的な障害が低く、はるかによりアクセス可能である、エカトリアル配向におけるOH基よりも低速にアシル化を受けると予想される。加えて、4−OHは、C−5位におけるより大きなヒドロキシメチル基によって、さらに立体的に障害され、したがって、最低の反応性を有する。しかしながら、ここで実現された収率は、当初の予測よりも予想外に低く、有意な量の3,4,6−トリ−O−ベンゾイル化されたおよび完全にベンゾイル化された生成物を生成する。
MeOPN−4−Gal抗原、メトキシフェニル4−O−メチル−ホスホラミジル−β−D−ガラクトピラノシドを調製する合成スキーム(以下「化合物D」または「ガラクトシドD」と呼ばれる)は、図29に示され、以下に詳細に記載される。簡単に説明すると、ガラクトシドDの合成は、公開された手順(Montel, E. et al.; Aust. J. Chem. 2009, 62, 575−584)から得られた、既知の化合物4−メトキシフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(「化合物A」または「ガラクトシドA」)から始めた。図30を参照されたい。ガラクトシドAにおける約3当量の塩化ベンゾイルでの選択的なベンゾイル化により、2,3,6−トリ−O−ベンゾイル化された生成物B(「化合物B」)が得られた。(図31を参照されたい)。選択性は、ガラクトシド中の4つのヒドロキシル基の間の反応性における差によって説明することができる。軸の配向におけるヒドロキシル基は、立体的な障害が低く、はるかによりアクセス可能である、エカトリアル配向におけるOH基よりも低速にアシル化を受けると予想される。加えて、4−OHは、C−5位におけるより大きなヒドロキシメチル基によって、さらに立体的に障害され、したがって、最低の反応性を有する。しかしながら、ここで実現された収率は、当初の予測よりも予想外に低く、有意な量の3,4,6−トリ−O−ベンゾイル化されたおよび完全にベンゾイル化された生成物を生成する。
化合物BにおけるMeOPN修飾の導入は、上記のMeOPN−6−Gal(およびMeOPN−2−Gal)の合成で用いるものと類似の戦略に従った。Et3N(40eq.)存在下で48時間、35℃でメチルジクロロリン酸で糖を撹拌後、出発原料を、TLCによって示されるように、完全に消費させた。4−OHはガラクトシドにおいて最小の反応性を有し、電子吸引性のO−Bz基によってさらに減少するので、低い反応性が予想される。フラッシュクロマトグラフィーによる精製後、MeOPN生成物C(「化合物C」)を、31Pおよび1H NMRによって示されるように、約2:1の比で2つのジアステレオマーとして集めた(図32)。
化合物Cの脱保護を、MeOH/H2O/Et3Nの7:2:1混合物中で試みた。化合物Cを、望まれないO−メチルホスフェート生成物を約5時間産生させることで、TLCによって示されるように、完全に消費させた。低収率(14%)であるが、脱保護されたMeOPN生成物(化合物D)が得られた。この脱保護された化合物Dを、14.65ppmでの単一のリンシグナルを産生する、単一のジアステレオマーとして集めた(図33)。合成の詳細を、以下に詳細を提供する。
CH2Cl2(50mL)、DMF(4mL)およびピリジン(2.15mL、268mmol)に溶解した4−メトキシフェニルβ−D−ガラクトピラノシド(「化合物A」)(1.92g、67.1mmol)の溶液に、その後、BzCl(2.31mL、201mmol)を1時間、−20℃で加えた。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、MeOH(5mL)を加え、反応混合物を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(1:4EtOAc−ヘキサン)で精製して、生成物「化合物B」(1.53g、38%)を得た(図31を参照されたい)。[α]D 25=+124.0o(c=0.1、CHCl3);1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.04-7.32 (m, 15H, Ar); 7.00-6.66 (m, 4H, MeOC6H4); 6.00 (dd, 1H, J1 = 8.0 Hz, J2 = 10.3 Hz, H-2); 5.39 (dd, 1H, J1 = 3.2 Hz, J2 = 10.3 Hz, H-3); 5.12 (d, 1H, J = 8.0 Hz, H-1); 4.71 (m, 1H, H-6a); 4.61 (m, 1H, H-6b); 4.39 (m, 1H, H-4); 4.13 (m, 1H, H-5); 3.69 (s, 3H, OCH3); 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 166.4, 165.8, 165.4, 155.7, 151.2, 133.6, 133.4, 133.3, 129.9, 129.8, 129.6, 129.4, 128.9, 128.6, 128.5, 128.4, 119.0, 114.4 (Ar); 101.2 (C-1); 74.1 (C-3); 72.6 (C-5); 69.3 (C-2); 67.3 (C-4); 62.8 (C-6); 55.6 (OCH3). HRMS (ESI): C34H30NaO10 [M+Na]+の計算値: 621.1737, 実測値: 621.1733.
破砕した分子篩4Åで無水CH2Cl2(4mL)に溶解した化合物B(94.1mg、0.157mmol)およびジクロロリン酸メチル(0.57mL、4.6mmol)の溶液に、Et3N(0.64mL、4.6mmol)を0℃で滴下して加えた。反応混合物を35℃で48時間撹拌した。TLCで判断して反応が完了したら、アンモニアガスを針を通して反応混合物に注入した。3分後、反応混合物を濾過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(1:1EtOAc−ヘキサン)で精製して、MeOPN生成物「化合物C」を得た(図32)(16.1mg、15%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.10-7.36 (m, 30H, Ar); 6.92-6.60 (m, 8H, MeOC6H4); 6.00 (m, 2H, H-2, H-2*); 5.15 (dd, 1H, J1 = 2.3 Hz, J2 = 10.6 Hz, H-3); 5.12 (dd, 1H, J1 = 2.3 Hz, J2 = 10.6 Hz, H-3*); 5.19 (2dd, 2H, J1 = 3.1 Hz, J2 = 10.0 Hz, H-4, H-4*); 5.15 (2d, 2H, J = 8.0 Hz, H-1, H-1*); 4.70 (m, 4H, H-6a, H-6a*, H-6b, H-6b*); 4.35 (m, 2H, H-5, H-5*); 3.72 (d, 3H, 3JPH = 11.4, POCH3); 3.68 (s, 6H, OCH3); 3.52 3.50 (d, 3H, 3JPH = 11.4 Hz, POCH3 *); 2.87 (d, 2H, J = 4.7 Hz, NH2); 2.71 (d, 2H, J = 4.6 Hz, NH2 *). 13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 166.1, 165.7, 165.5, 155.7, 151.1, 133.5, 133.4, 133.3, 130.1, 129.8, 129.7, 129.6, 129.3, 129.2, 128.7, 128.5, 128.4, 126.3, 119.0, 118.9, 114.4 (Ar); 101.1 (C-1); 72.7 (C-5); 72.1, 72.0 (C-3); 71.5 71.4 (C-4); 69.0, 68.9 (C-2); 62.8, 62.7 (C-6); 55.6 (OCH3); 53.8, 53.7 (POCH3). 31P NMR (162 MHz, CDCl3): δ 11.27, 10.79. HRMS (ESI): C35H35NO12P [M+H]+の計算値: 692.1897, 実測値: 692.1868.
化合物C(4.0mg、5.8μmol)を、MeOH−H2O−Et3Nの7:2:1混合物の溶液(1.5mL)に溶解した。混合物を室温で6時間撹拌した後、酢酸で中和し、濃縮した。5:1EtOAc−MeOHで溶出するフラッシュクロマトグラフィーで精製して、生成物「化合物D」を単一のジアステレオマーとして得た(図33)(0.3mg、14%)。δ 1H NMR (600 MHz, D2O): δ 7.02-6.83 (m, 4H, MeOC6H4); 4.81 (d, 1H, H-1); 4.11 (m, 1H, H-4); 3.92 (m, 2H, H-3, H-5); 3.75-3.65 (m, 5H, H-2, H-6a, OCH3); 3.61-3.55 (m, 4H, H-6b, POCH3) 13C NMR (150 MHz, CDCl3): δ 118.0, 115.0 (Ar); 101.3 (C-1); 73.6 (C-3); 72.4 (C-2); 70.4 (C-5); 68.1 (C-4); 58.9 (C-6); 55.7 (OCH3); 53.9 (POCH3). 31P NMR (243 MHz, CDCl3): δ 14.65. HRMS (ESI): C14H21NO9P [M-H]-の計算値: 378.0954, 実測値: 378.0954.MeOPN→4−β−D−Gal−OMPの31P共鳴を示す化合物Dの31H NMR実験の結果を図34に示す。
コンジュゲートMeOPN−4−Galワクチンの合成
過ヨウ素酸酸化および還元的なアミノ化を使用するMeOPN−4−Galを過剰発現するC.ジェジュニ株3718から単離された莢膜多糖類(CPS)を含有するコンジュゲートワクチンの合成(実施例8に記載される)は、図35に示され、以下に詳細に記載される。
過ヨウ素酸酸化および還元的なアミノ化を使用するMeOPN−4−Galを過剰発現するC.ジェジュニ株3718から単離された莢膜多糖類(CPS)を含有するコンジュゲートワクチンの合成(実施例8に記載される)は、図35に示され、以下に詳細に記載される。
C.ジェジュニ株3718細菌を、増殖させ、莢膜多糖類を従来の方法に従って単離した。簡単に説明すると、C.ジェジュニ株3718細菌を、非動物ベースの液体培地:トリプトン代用物アソレート(tryptone substitute atholate)、13g/リットル(US Biological、Salem、MA;カタログ番号T8750−1);非動物ベースの酵母抽出物、2.5g/リットル(Novagen、Hornsby Westfield、NSW 1635、Australia;カタログ番号71270−3);ピルビン酸ナトリウム、1.25g/リットル(SigmaAldrich Corp、St. Louis、MO;カタログ番号P8574);CaCl2、0.2g/リットル(SigmaAldrich Corp、St. Louis、MO;カタログ番号C5080);およびNaCl、3.2g/リットル(FisherScientific、Pittsburgh、PA;カタログ番号S640−3)中で37℃、微好気的環境下で増殖させた。CPSの抽出を、実施例8に記載のように達成した。
過ヨウ素酸塩を使用して、6d−altro−Hepの近接するジオール(3および4位)で2つのアルデヒドを産生させることによって単離されたCPSを活性化した。CPSを、0.04Mヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)および0.1M NaOAcを含有する溶液中4.00のpHで可溶化した(Monteiro MA, et al. Infection and Immunity, 2009; 77:1128−1136を参照されたい)。反応を室温で2時間撹拌し、その後、断続的に撹拌しながら、5℃で72時間維持した。3日後、反応を、エチレングリコールでクエンチし、透析(1KDa MWCO)に24時間配置した。試料を、その後、凍結し、NMR分析のため凍結乾燥した。酸化型CPSが、NMRによって分析され、1D−1Hおよび2D 1H−13C HSQC実験に基づいて無傷であることが見出された(データ示さず)。MeOPNがCPSになおもに結合することが、1D 31Pによって示された(図36)。
酸化型CPSを、その後、以下のように、2つの異なるキャリアタンパク質CRM197(図35)およびBSAでの還元的なアミノ化に供した。過ヨウ素酸塩−酸化型−CPSを、0.1Mホウ酸緩衝液にpH9.00のpHで可溶化した。キャリアタンパク質を、同体積の緩衝液に可溶化し、ゆっくりと撹拌することによって活性化CPSに加えた。シアノホウ化水素ナトリウム(NaBH3CN)を反応バイアルに加え、溶液をゆっくりと室温で24時間撹拌した。(Lane C., Aldrichimica. 1975; 8:3−10を参照されたい)。温度を、その後、48時間37℃に増大した。反応物を、透析(25KDa MWCO)に72時間配置した。試料を、凍結し、NMR分析のため凍結乾燥した。2つのコンジュゲート(CRM197およびBSA)が、1D 1Hおよび31P NMRによって分析され、CPSの劣化のいかなる徴候も示されなかった(データ示さず)。
ウサギ免疫原性研究
上で論じたように、C.ジェジュニ株3718は、MeOPN−4−Galトランスフェラーゼ(CJJ81176_1420トランスフェラーゼ)を過剰発現し、MeOPN−2およびMeOPN−6−トランスフェラーゼ(CJJ81176_1435)に関して突然変異した株である。表現型的に、それはMeOPN−4−Galのみを発現する。実施例11において調製された3718−CRM197ワクチンコンジュゲートの免疫原性を試験するため、ウサギを従来の方法に従って3718−CRM197ワクチンコンジュゲート(Envigo、Frederick、MD)で免疫した。具体的には、300μgのワクチンコンジュゲートを、3月の期間にわたって月ごとに投与した。ワクチンコンジュゲートを、フロイント完全アジュバント(BD Difcoブランド 10mlに5mgのMycobacterium butyricumを含有し、抗原と1:1で投与される(Becton、Dickinson and Co.、Franklin Lakes、NJ))とともに与えた。血清試料を、エンドポイントELISA分析のため採取した。
上で論じたように、C.ジェジュニ株3718は、MeOPN−4−Galトランスフェラーゼ(CJJ81176_1420トランスフェラーゼ)を過剰発現し、MeOPN−2およびMeOPN−6−トランスフェラーゼ(CJJ81176_1435)に関して突然変異した株である。表現型的に、それはMeOPN−4−Galのみを発現する。実施例11において調製された3718−CRM197ワクチンコンジュゲートの免疫原性を試験するため、ウサギを従来の方法に従って3718−CRM197ワクチンコンジュゲート(Envigo、Frederick、MD)で免疫した。具体的には、300μgのワクチンコンジュゲートを、3月の期間にわたって月ごとに投与した。ワクチンコンジュゲートを、フロイント完全アジュバント(BD Difcoブランド 10mlに5mgのMycobacterium butyricumを含有し、抗原と1:1で投与される(Becton、Dickinson and Co.、Franklin Lakes、NJ))とともに与えた。血清試料を、エンドポイントELISA分析のため採取した。
図37中のELISAデータは、野生型C.ジェジュニおよびmpnC突然変異体(株3390)からの莢膜に対する四用量のワクチンの2週後のエンドポイント力価を示す。データは、多糖類鎖(エンドポイント〜1000)に対する低レベル応答およびMeOPNを含有する野生型莢膜に対する高力価が存在することを示す。これらのデータにより、野生型のMeOPN−4−Galの存在が確認され、ウサギが株3718における唯一の修飾であるMeOPN−4−Galに対する抗体を産生することを示している。
第2の用量の3718−CRM197ワクチンコンジュゲートの2週後に得られた血清もELISAに使用された。図38に示すデータは、二用量の3718−CRM197ワクチンコンジュゲート後のウサギからの血清のエンドポイントELISA力価を示す。まとめると、これらのELISAデータは、野生型にいくつかのMeOPN−4−Galエピトープが存在することを示している(エンドポイント〜10e5)。多糖類鎖に対する応答が、株3390(これは、生合成経路における突然変異に基づいてすべてのMeOPNを欠く)に対するおよび突然変異体3477(これは、CJJ81176_1420、MeOPN−4−トランスフェラーゼを欠く)に対する応答によって測定されたように、弱い(約10e3)こともデータは示している。株3477はMeOPN−2−およびMeOPN−6−Galを発現し、免疫応答は株3390のものに類似する。重要なことに、データは、CJJ811876_1435トランスフェラーゼにおける突然変異体である株3636(約10e6)に対する応答によって見られたように、MeOPN−4−Galエピトープに対する強い応答が存在することも示す。株3636は、MeOPN−4−Galのみを発現する。したがって、データは、MeON−4−Galがウサギにおいて免疫原性であることを示している。
MeOPN−4−Galを含む合成コンストラクトの作製
MeOPN−4−Galエピトープを含む合成コンストラクトの合成に関する詳細は、以下に提供されおよび図41〜43に詳細が記載される。簡単に説明すると、図41に示すように、ガラクトシルアクセプター5に向けた合成は、α−ガラクトシド1で開始される。イソプロピリデンを使用して、O−3およびO−4位を選択的に保護して、化合物2を生成する。O−2およびO−6位の両方は、その後、アリル基で保護されて、化合物3が生成される。O−3およびO−4位を区別するために、イソプロピリデンが最初に除去されて、化合物4が生成される。4位は、その後、オルソ酢酸化学によってO−Acで保護され、グリコシル化のため3−OHが残される。
MeOPN−4−Galエピトープを含む合成コンストラクトの合成に関する詳細は、以下に提供されおよび図41〜43に詳細が記載される。簡単に説明すると、図41に示すように、ガラクトシルアクセプター5に向けた合成は、α−ガラクトシド1で開始される。イソプロピリデンを使用して、O−3およびO−4位を選択的に保護して、化合物2を生成する。O−2およびO−6位の両方は、その後、アリル基で保護されて、化合物3が生成される。O−3およびO−4位を区別するために、イソプロピリデンが最初に除去されて、化合物4が生成される。4位は、その後、オルソ酢酸化学によってO−Acで保護され、グリコシル化のため3−OHが残される。
図42に示すように、ドナー9の合成は、過アセチル化GlcNAc6で出発する。アノマー位置をエタンチオールで置換して、チオグリコシド7を生成することができる。二糖類生成物の脱保護の容易さのため、O−Ac基が除去されて8が生成され、アリル基で置換して9が生成される。
図43に示すように、アクセプター5とドナー9との間のグリコシル化は、プロモーターとしてのNIS/TfOHで達成される。O−アセチル基は、その後、二糖類10から選択的に除去されて、MeOPN導入用の遊離4−OHを有する化合物11を得た。最終的に、化合物12中のアリル保護基が除去されて、MeOPN含有二糖類13が生成される。図41〜43で見られる略語は、以下の通りである:DMP:2,2−ジメトキシプロパン;TsOH:p−トルエンスルホン酸;AllBr:臭化アリル;NaH:水素化ナトリウム;DMF:ジメチルホルムアミド;AcOH:酢酸;CSA:カンファースルホン酸;MeCN:アセトニトリル;EtSH:エタンチオール;SnCl4:塩化スズ(IV);CH2Cl2:ジクロロメタン;NaOMe:ナトリウムメトキシド;MeOH:メタノール;DMF:ジメチルホルムアミド;NIS:N−ヨードスクシンイミド;TfOH:トリフルオロメタンスルホン酸(トリフル酸);PCl2O2Me:ジクロロリン酸メチル;Et3N:トリエチルアミン;NH3:アンモニア;PdCl2:塩化パラジウム(II)。
コンジュゲートワクチン中のMeOPN糖部分に対する抗体の使用を含む血清殺菌死滅を誘導する方法
本発明者らは、C.ジェジュニにおける莢膜多糖類と交差反応する、正常ヒト血清(NHS)中の天然に存在する抗体が、補体カスケードを誘導することができることを示した(図24を参照されたい)。莢膜におけるMeOPN部分の存在により、細胞表面に対するこれらの抗多糖類抗体の結合が防止されるように思われる。本発明者らは、エピトープ含有MeOPNが、HS23/36莢膜コンジュゲートワクチン中の免疫優性エピトープであることも決定した。これらのデータに鑑みて、本発明者らは、莢膜コンジュゲートワクチンに対して産生された、これらの抗MeOPN抗体が、血清殺菌抗体を誘導することができるかどうかを決定する、血清殺菌アッセイを開発した。
本発明者らは、C.ジェジュニにおける莢膜多糖類と交差反応する、正常ヒト血清(NHS)中の天然に存在する抗体が、補体カスケードを誘導することができることを示した(図24を参照されたい)。莢膜におけるMeOPN部分の存在により、細胞表面に対するこれらの抗多糖類抗体の結合が防止されるように思われる。本発明者らは、エピトープ含有MeOPNが、HS23/36莢膜コンジュゲートワクチン中の免疫優性エピトープであることも決定した。これらのデータに鑑みて、本発明者らは、莢膜コンジュゲートワクチンに対して産生された、これらの抗MeOPN抗体が、血清殺菌抗体を誘導することができるかどうかを決定する、血清殺菌アッセイを開発した。
材料および方法
カンピロバクター−ジェジュニの調製:細菌株81−176を、Muller Hinton寒天プレート(MHP; Muller Hintonブロス21g/リットルおよびBacto寒天15g/リットル[Becton Dickinson、Sparks、MD])において37℃で微好気的(窒素85%、二酸化炭素10%、および酸素5%)環境で20時間一晩増殖させた。細胞は、デキストロース−ゼラチン−ベロナール(DGV;Lonza、Walkersville、MD)に回収され、3x108 CFU/mlの濃度に等しい0.1(0.095〜0.105)のOD600に設定される。
カンピロバクター−ジェジュニの調製:細菌株81−176を、Muller Hinton寒天プレート(MHP; Muller Hintonブロス21g/リットルおよびBacto寒天15g/リットル[Becton Dickinson、Sparks、MD])において37℃で微好気的(窒素85%、二酸化炭素10%、および酸素5%)環境で20時間一晩増殖させた。細胞は、デキストロース−ゼラチン−ベロナール(DGV;Lonza、Walkersville、MD)に回収され、3x108 CFU/mlの濃度に等しい0.1(0.095〜0.105)のOD600に設定される。
血清試料:使用した血清試料は、CCV(上記)として知られるHS23/36 CPS−CRM197ワクチンの調製物で過免疫されたウサギからであった。各ウサギからの免疫前および免疫後血清を、56℃ウォーターバス中で30分間熱失活(HI)して、天然の補体を不活性化し、−20℃で保存した。
血清殺菌アッセイ:熱失活(HI)させた免疫前および免疫後血清試料を、50μl DGVに希釈し、試料が採取された日に基づいて多数の希釈物に対して外挿した。2700μl DGVおよび800μl 仔ウサギ補体(BRC、C’;Cedarlane Laboratories、Burlington、NC)の混合物を作製し、70μlのこの混合物を各ウェルに加えた(いずれかのBRCまたは血清も受け取っていないおよびいずれかの血清も受け取っていない、対照ウェルを除く)。20μlの各血清希釈を、その後、試料ウェルに加えた。0.1のOD600での100μlの1:1000希釈したC.ジェジュニ81−176細胞を、その後、各ウェルに加え、混合した。プレートを、その後、微好気条件で37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、25μlの各ウェルを、MHPプレートに二通りにプレーティングした。プレートを、微好気条件で37℃で48時間インキュベートした。その後、CFUを数え、死滅パーセンテージを計算し、力価を規定した。
死滅のパーセンテージの計算:各ウェルを二通りにプレーティングし、これらの2つのプレートの平均を取った。血清を含有する各ウェルに対して、平均を、補体のみを含有するウェルの平均によって除算した。その後、この数を100で乗算して得られたものが、細胞の生存度のパーセンテージであった。生存度パーセンテージが100%から減算されると、これにより、そのウェルにおける死滅のパーセンテージが得られた。
血清殺菌アッセイ力価規定:血清殺菌アッセイ抗体力価は、補体対照と比較されたときに、50%死滅以上をもたらす血清希釈の逆数として規定される。
HS23/36 CPS−CRM197コンジュゲートワクチンで免疫したウサギにおける血清殺菌抗体活性:免疫前または免疫後血清を血清殺菌アッセイによって分析し、各時点の力価を図39に棒グラフとして示す。図39に示すように、免疫前と免疫後血清との間のSBA力価の85倍上昇が、観察された。
結果
免疫前のウサギの血清(図39中に「免疫前」というラベルが付された)を、ワクチンで3回の免疫後の血清(「免疫後」)と比較した。免疫前の血清において既存のわずかな力価が存在したが、ワクチンの投与後の血清殺菌抗体価において85倍増加が存在した。
免疫前のウサギの血清(図39中に「免疫前」というラベルが付された)を、ワクチンで3回の免疫後の血清(「免疫後」)と比較した。免疫前の血清において既存のわずかな力価が存在したが、ワクチンの投与後の血清殺菌抗体価において85倍増加が存在した。
これらのデータは、抗コンジュゲート抗体が、血清殺菌抗体を誘導する能力があることを示している。MeOPN含有エピトープが免疫優性であり、SBAを誘導する能力があるとの観察は、本明細書に記載されるように、合成MeOPN糖エピトープに対する抗体がSBAも誘導し得ることも示唆している。
これまで本発明を記載してきたが、当業者は、上記の教示に照らして本発明の多くの変更および変形が可能であることを理解する。したがって、当然のことながら、添付の特許請求の範囲の範囲内において、本発明は、具体的に記載されたもの以外に実施され得る。
Claims (31)
- 1つまたは複数のO−メチルホスホルアミデート(MeOPN)部分を有する1つまたは複数の単糖類を含む、被験体におけるカンピロバクター・ジェジュニ(C.ジェジュニ)に対する免疫応答を誘導することができる免疫原性合成コンストラクト。
- MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される1つまたは複数のMeOPN部分を含む、請求項1に記載の免疫原性合成コンストラクト。
- キャリアタンパク質にコンジュゲートされている、請求項2に記載の免疫原性合成コンストラクト。
- キャリアタンパク質は、少なくとも1つのT細胞エピトープを含有する、請求項3に記載の免疫原性合成コンストラクト。
- キャリアタンパク質は、CRM197である、請求項4に記載の免疫原性合成コンストラクト。
- 被験体は、ヒトである、請求項1に記載の免疫原性合成コンストラクト。
- 請求項1に記載の免疫原性合成コンストラクトを含む組成物。
- 医薬組成物である、請求項7に記載の組成物。
- 前記医薬組成物は、ワクチン製剤である、請求項8に記載の組成物。
- ワクチン製剤は、免疫有効量の1つまたは複数のアジュバントをさらに含む、請求項9に記載の組成物。
- 1つまたは複数のアジュバントは、トール様受容体リガンド、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、モノホスホリルリピドA、リポソーム、ならびにそれらの誘導体および組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
- 1つまたは複数の追加の免疫調節剤をさらに含む、請求項7に記載の組成物。
- 1つまたは複数の追加の免疫調節剤は、C.ジェジュニの1つまたは複数の株の抗原、ETECの抗原、赤痢菌リポ多糖構造、および非コンジュゲートキャリアタンパク質からなる群から選択される物質である、請求項12に記載の組成物。
- 被験体は、ヒトである、請求項7に記載の組成物。
- 請求項1に記載の免疫原性合成コンストラクトの有効量を被験体に投与することを含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法。
- 被験体は、ヒトである、請求項15に記載の方法。
- 請求項7に記載の組成物の有効量を被験体に投与することを含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法。
- 被験体は、ヒトである、請求項17に記載の方法。
- 請求項8に記載の組成物の有効量を被験体に投与することを含む、被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法。
- 前記被験体は、ヒトである、請求項19に記載の方法。
- 被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法であって、
(a)請求項1に記載の免疫原性合成コンストラクトの有効量を被験体に投与することと、
(b)任意選択的に、ステップ(a)で投与した免疫原性合成コンストラクトの1回または複数回の追加用量を被験体に投与することと
を含む方法。 - ステップ(a)で投与する有効量は、免疫原性合成コンストラクトの約0.1μg〜約10mgである、請求項21に記載の方法。
- ステップ(a)および/またはステップ(b)においてコンストラクトと共に1つまたは複数のアジュバントの免疫有効量を投与することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
- 被験体におけるC.ジェジュニに対する免疫応答を誘導する方法であって、
(a)請求項8に記載の組成物の有効量を被験体に投与することと、
(b)任意選択的に、ステップ(a)で投与した組成物の1回または複数回の追加用量を被験体に投与することと
を含む方法。 - ステップ(a)で投与する有効量は、免疫原性合成コンストラクトの約0.1μg〜約10mgである、請求項24に記載の方法。
- ステップ(a)および/またはステップ(b)においてコンストラクトと共に1つまたは複数のアジュバントの免疫有効量を投与することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
- 組成物は、ワクチン製剤である、請求項19に記載の方法。
- 組成物は、ワクチン製剤である、請求項24に記載の方法。
- 必要とする被験体におけるC.ジェジュニ細菌感染を治療、予防、または改善する方法であって、1つまたは複数の用量の免疫グロブリンを被験体に投与することを含み、前記免疫グロブリンは、前記C.ジェジュニ細菌の莢膜における1つまたは複数のMeOPN部分を認識する、方法。
- 1つまたは複数のMeOPN部分は、MeOPN−2−Gal、MeOPN−4−Gal、およびMeOPN−6−Galからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
- MeOPN部分は、MeOPN−4−Galである、請求項30に記載の方法。
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