JP6030282B2 - カンピロバクター・ジェジュニに対する免疫原として使用するための莢膜組成物 - Google Patents

カンピロバクター・ジェジュニに対する免疫原として使用するための莢膜組成物 Download PDF

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Description

本発明は、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)によって引き起こされる下痢症に対する保護作用を与えることができる免疫原性組成物、および、前記組成物に対する免疫応答を誘発する方法に関する。
C.ジェジュニは世界的に下痢症を引き起こす原因であり、アメリカの軍の隊員に対する脅威が実際に文書に記述されている(Taylor,1992;Tauxe,1992)。カンピロバクター腸炎の症状は、下痢症、腹部の痛みおよび熱を含み、さらによく嘔吐症状も伴う。通常、便に粘液、便の白血球および血液が含まれるが、水っぽい下痢症もまた観察される(Cover and Blaster 1999)。しかし、人間の病気へのこの生物の重要性にもかかわらず、C.ジェジュニに対し、認可が下りているワクチンはない。
C.ジェジュニの医学的重要性のため、病原体の解明に向かってかなりの研究が献身された。しかし、この努力にもかかわらず、驚くべき事に、C.ジェジュニがどのように人間に病気を引き起こしているかについてほとんど解明されなかった。一つの菌株であるNCTC 11168のゲノム(Parkhill,et al.,2000)が、C.ジェジュニの生物学におけるいくつかの珍しい面について明らかにした。一つの印象的な特徴は、糖および/または多糖化合物に関与する推定上の酵素をコードする遺伝子が、予想外に多数存在するということである(Parkhill,et al.,2000)。当該配列および当該配列の入手により主として促進される研究結果により、これらの遺伝子は、C.ジェジュニの生物学へのいくつかの珍しい炭化水素構造の重要性を強調する、四つの主たる機能的一群に属するということを明らかにした。これらの一群は、リポオリゴ糖(LOS)の合成、フラゲリンの糖鎖付加の遺伝的調整、N結合型糖鎖付加の遺伝的調整、ならびに、莢膜の生合成および構築の調整を含む。
C.ジェジュニに対するワクチン療法は、C.ジェジュニの多数の菌株のリポオリゴ糖(LOS)コアと、人間のガングリオシドとの間の分子擬態によるものに大きく限られていた(Moran,et al.,1996)。この擬態は、C.ジェジュニ感染の強い関連における、感染後の多発ニューロパチーであるギラン・バレー症候群の主たる要因であると考えられてる(Allos,1997)。このように、LOSコアに対して生成する抗体は、結果として人間の神経系組織に対する自己免疫応答となる。カンピロバクター腸炎の1/3000もの場合において、結果としてGBSとなっていると推定されていた。そのため、GBSが発展する可能性は、ガングリオシドの擬態も含むC.ジェジュニに対する全ての細胞全体のワクチンに関連しうる。
カンピロバクター内におけるLOSの合成は、LOSへ取り込まれるシアル酸の生合成に関連する酵素をコードする遺伝子を含む、多数の遺伝子によって調整されている。このように、C.ジェジュニは、多くの哺乳類の細胞において見つけられる9炭素の糖のシアル酸を、内因的に合成しうる限られた細菌の一つである。これは、GBSにおいて重要な、LOSおよび人間のガングリオシドで観察される分子擬態と一致している(Aspinall et al.,1993、1994(a and b);Salloway et al.,1996)。
タンパク質の糖鎖付加は、一度、真核生物の特徴であると考えられたが、原核生物のタンパク質の糖鎖付加の認識は増加してきている(Power and Jennings、2003)。最も特徴的であり、最も大規模にグリコシル化された細菌のタンパク質は、カンピロバクターのフラゲリンである。菌株81〜176からのフラゲリンは、O結合によって19のセリンまたはスレオニンの位置においてグリコシル化され、プソイダミン酸(Pseudaminic acid)およびプソイダミン酸の誘導体となる(Thibault et al.,2001)。プソイダミン酸は、シアル酸に似た珍しい9炭素の糖であるが、シアル酸とは異なり免疫原性が高い。さらに、フラゲリンをグリコシル化できない変異株は、鞭毛の繊維を構築することができない(Goon et al.,2003)。鞭毛はC.ジェジュニの病原性の決定因子として不可欠なので、そのためグリコシル化も病原性の決定因子の鍵となる。
C.ジェジュニの最も珍しい面の一つは、多数のタンパク質のN結合型グリコシル化のための一般的な機構の存在である(Szymanski et al.,1999;reviewed in Szymanski et al.,2003)。この機構は、真核生物のサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)に見つかったものと同様のオリゴ糖トランスフェラーゼを含み、一つのバシロサミン残基(珍しいデオキシ糖)、一つのD−グルコースおよび五つのD−GalNAc残基から構成されている七糖であると最近示されたグリカンを付着させる(Young et al.,2002)。糖鎖付加は、C.ジェジュニにおいて、多数の周辺質上で起こっているらしく、おそらく表面にさらされているタンパク質に起こっているらしい(Young et al.,2002)。当該珍しいグリカンは、再び高い免疫原性を現し、人間が感染している間認識される(Szymanski et al.,1999、2003)。
最近のカンピロバクターのゲノム配列に関する興味深い発見は、腸内細菌科のタイプII/IIIの莢膜遺伝子座において見られるものと同様の、莢膜の輸送遺伝子の全部のセットが存在することである(Parkhill et al.,2000;Karlyshev et al.,2000)。様々な莢膜の輸送遺伝子に部位特異的な変異を作った続く遺伝子的研究では、莢膜がPennerの血清型別分類の血清決定要因であることを示していた(Karlyshev et al.,2000;Bacon et al.,2001)。Pennerの分類(または熱安定性(HS))は、カンピロバクターの二つの主な血清型別分類のうちの一つであり、本来はリポ多糖のO側鎖に基づくものだと考えられていた(Moran and Penner、1999)。
現在は、前にO側鎖として記述した構造の全ては、実際は莢膜であるということが信じられている。いくつかのPennerの血清型別の莢膜/O側鎖の化学構造が決定され、これらの構造はいくつかの珍しい糖の構造を含み、表1に要約してある。遺伝子の株がNCTC 11168の莢膜は、L−グルコースの配座異性体としてのヘプトピラノースを含み、そのような構造の自然界での報告は最初である(St.Michael et al.,2002)。HS23株およびHS36株の莢膜は、異なる比率で同じ炭水化物を含み、四つの珍しいアルトロ−ヘプトースの混合物を含有する(6−デオキシ−α−D−アルトロ−ヘプトース、D−グリセロ−α−D−アルトロ−ヘプトース、6−デオキシ−3−Me−α−アルトロ−ヘプトース、および、3−Me−D−グリセロ−α−D−アルトロ−ヘプトース(Aspinall et al.,1992))。
Figure 0006030282
効果の高い莢膜のワクチンの例がいくつかある。S.ニューモニエ(S.pneumoniae)は、83の異なる莢膜のタイプを有するが、現在のS.ニューモニエのワクチンは、米国およびヨーロッパにおいて、23の最も蔓延している血清型の混合が含まれている。N.メニンジチディス(N.meningitidis)はより少数の血清型を有するので、ワクチンの開発は潜在的に単純化されており、実際に髄膜炎菌性髄膜炎の90%以上のケースにおいて、血清型A、BおよびCが関係がある(Jennings,1999)。しかしながら、おそらく人間の組織をまねているために、血清型Bからの多糖はヒトにおける免疫原性に乏しい。莢膜のワクチンは、H.インフルエンザ(H.influenzae)およびグループBのストレプトコッカス(Streptococcus)に対しても開発されてきた。
前述したように、主としてC.ジェジュニの多くの菌株のLOSコアと人間のガングリオシドとの間の分子擬態により、現在カンピロバクターに対して認可の下りているワクチンはない(Moran,et al.,1996)。しかし、細菌の莢膜を組み込んだワクチンの製剤は、多数の病原体に対して開発されてきた。一般に、莢膜ワクチンは人間において免疫原性があり、非中毒性である(Jennings,1990)。莢膜ワクチンに関係する一般的な問題のうちの一つは、小児における全ての多糖の免疫原性が乏しいことであり、莢膜のワクチンの多くが小児集団に対して特異的に脅威となる病気に向けられるという事実である。マウスの研究に基づき、精製した多糖の抗原はT細胞とは無関係であり、IgM型のみ応答を誘起する能力があると考えられた。対照的に、大人の人間は、多糖に対してIgM抗体およびIgA抗体に加え、IgG抗体を産生することができる。B型のH.インフルエンザ(Schneerson et al.1980;Anderson,1983;Marburg,1986)、グループA、BおよびCのナイセリア・メニンジチディス(髄膜炎菌、Neisseria meningitidis)(Jennings and Lugowski、1981および1983)、ならびに、6A型のストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)(Chu et al.,1983)に対する小児におけるワクチンへの応答は、タンパク質との結合に従って全て改良された。
本出願において定義されるC.ジェジュニ莢膜は、多糖構造の繰り返しから構成される莢膜のポリマーとしての一般的な用語である。当該繰り返し構造は、一つの糖の成分の繰り返しとして定義されるホモポリマーでもあってもよく、または、オリゴ糖の繰り返しでも構わない(例えば、二糖もしくは三糖等)。莢膜の繰り返し多糖ポリマーの種の数は、同定されてきた。莢膜の多糖構造の属を例証するために、表2にカンピロバクターの菌株において、公知の莢膜の多糖構造を列挙している。
Figure 0006030282
本発明の課題の一つは、莢膜の多糖ポリマーを含み、同時にGBSを引き起こすことなしに重要な病原性のある菌種のC.ジェジュニに対する免疫応答を引き起こすことができる抗C.ジェジュニ免疫原性組成物である。
本発明のもう一つの課題は、C.ジェジュニの莢膜をT依存担体分子に抱合させることによる、重要な病原性のある細菌の菌種に対するT細胞による免疫性が高められた抗C.ジェジュニ予防製剤である。
さらに、本発明のもう一つの課題は、免疫応答を引き起こすために、抗C.ジェジュニ莢膜多糖組成物と抱合させた、または、抱合させていない担体を投与する方法である。
本発明は、
単離された炭水化物ポリマーから構成され、
前記ポリマーは、式、
→4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2/7]−6d−α−D−ido−Hep−(1→、または、
→4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2]−L−グリセロ−α−D−ido−Hep−(1→、
を有する二糖の繰り返しからなり、
式中、Pは、不定比量存在するO−メチルホスホロアミダートであることを特徴とする免疫原性組成物である。
部分的に、D−ガラクトース、6−デオキシ−D−ido−ヘプトースおよびl−グリセロ−D−ido−ヘプトースから構成されているということを示す、C.ジェジュニBH01−0142株(以降、BH0142として言及する)の莢膜の多糖の糖組成分析である。 C.ジェジュニBH0142株の莢膜の多糖がいくつかのO−メチル−ホスホロアミダート単位を含むことを示す、C.ジェジュニBH0142株の莢膜の多糖のH−NMRスペクトルである。 C.ジェジュニBH0142株の莢膜の多糖がいくつかのO−メチル−ホスホロアミダート単位を含むことを示す、C.ジェジュニBH0142株の莢膜の多糖の31PNMRスペクトルである。 C.ジェジュニBH0142株の莢膜の多糖を作りあげる二糖の繰り返しブロックの化学構造である。 部分的に、イドース(C−6の位置がアルデヒド)、6−デオキシ−D−ido−ヘプトースおよびL−グリセロ−D−ido−ヘプトースから構成されることを示す、C.ジェジュニBH0142株の活性化させた(酸化させた)莢膜の多糖の糖組成分析である。 活性化されたC.ジェジュニBH0142株の莢膜の多糖の、担体タンパク質CRM197への抱合を示す模式図である。 活性化されたC.ジェジュニCPS8486株の莢膜の多糖の、担体タンパク質CRM197への抱合を示す模式図である。GlcNAcの非還元末端または6d−ido−Hepの非還元末端のいずれかが、酸化されうる。 CG8486と抱合したワクチンを用いた免疫化に沿った、CG8486(CPS8486としても呼ばれる)での鼻腔内における誘発からのマウスの保護作用。
C.ジェジュニの莢膜の成分は血清の決定において重要である。しかし、確認された60以上のPennerの血清型にもかかわらず、ほとんどのカンピロバクターの下痢性の病気は、血清型の限られた数のからのC.ジェジュニによって引き起こされる。血清の決定における莢膜構造の重要性のため、それらは免疫原性が高い構造であると想定される。さらに、リポオリゴ糖により観察される免疫擬態によって引き起こされる、不必要な自己免疫の誘発もそれらは示しそうもない。そのため、莢膜または莢膜組成物は、抗C.ジェジュニワクチンにおいて大いに有益となるだろう。C.ジェジュニの莢膜は多糖の繰り返し構造から構成されている。該繰り返し構造は、一つの糖の成分の繰り返しとして定義されるホモポリマー、または、二糖もしくは三糖のようなオリゴ糖の繰り返しでも構わない。
まずC.ジェジュニを成長させ、その後水−フェノール抽出、超遠心分離およびゲル浸透クロマトグラフィーを用いて莢膜の分離および精製を行うことにより、C.ジェジュニの化学組成の分析を行った。具体的な炭化水素構造は、ガス−液体クロマトグラフィー(GLC)、GLC−質量分析法および高速原子衝撃質量分析法(FAB−MS)を組み合わせた化学操作によって決定した。糖のアノマーの立体配座は核磁気共鳴(NMR)分析法によって決定した。
図1において示される炭化水素分析に基づくと、C.ジェジュニのBH0142株の莢膜(H3の血清型複合体の代表的なもの)は、D−ガラクトースおよび6−デオキシ−D−ido−ヘプトース、ならびにそれらより少ない量のL−グリセロ−D−ido−ヘプトースから構成されていた。加水分解の第1工程の間にL−グリセロ−D−ido−ヘプトースの環化から生じる生成物である6−アンハイドロ−L−グリセロ−D−ido−ヘプトースも該分析において観察された。糖鎖分析では、主な単糖単位での存在は、4−置換D−ガラクトースおよび3−置換6−デオキシ−D−ido−ヘプトース、ならびにそれらよりも少ない量の3−置換L−グリセロ−D−ido−ヘプトースであることが示された。H−NMRスペクトルによって全単位にα−アノマーの立体配座が含まれているということが明らかになった(図2A)。H−NMRスペクトル(図2A)、および2DH−13CHSQC実験でもまた、3−ハイドロキシプロパノイル単位(7)の非酸化メチレン基の特徴であるδ2.71およびδ37.20における共鳴が認められた。これらにより、C.ジェジュニのBH0142株の莢膜の多糖における3−ハイドロキシプロパノイル(CHOH−CH−CO−)成分の存在が明らかになった。莢膜の多糖は、一部に可変濃度のO−メチルホスホロアミダート単位も含んでいる(図2B)。3,4−2置換ガラクトース、2,3−2置換6−デオキシ−D−ido−ヘプトース、3,7−2置換6−デオキシ−D−ido−ヘプトースおよび2,3−2置換L−グリセロ−D−ido−ヘプトースを示す糖鎖分析データは、O−メチルホスホロアミダート単位が、ガラクトースのO−3の位置、6−デオキシ−α−D−ido−ヘプトースのO−2および/またはO−7の位置、ならびに、L−グリセロ−D−ido−ヘプトースのO−3の位置に存在することを示している。さらに、糖鎖分析は、O−メチルホスホロアミダートが主にガラクトースのO−3の位置、および、6−デオキシ−α−D−ido−ヘプトースのO−2の位置に存在するということを示している。まとめると、当該データは、C.ジェジュニBH0142株の莢膜の多糖(図3)は、4−置換α−D−ガラクトースおよび3−置換6−デオキシ−α−D−ido−ヘプトースから成る二糖の繰り返し単位から構成されることを示している。いくつかの二糖の繰り返し単位(約20%)では、3−置換6−デオキシ−α−D−ido−ヘプトースの位置に、3−置換L−グリセロ−α−D−ido−ヘプトースを含んでいる。このように、C.ジェジュニBH0142株の莢膜の多糖の二糖の繰り返し単位は、
→4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2/7]−6−d−α−D−ido−Hep−(1→、
または、
→4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2]−L−グリセロ−α−D−ido−Hep−(1→
の一般的構造(図3)を有する。但し、PはO−メチル−ホスホロアミダートを表し、不定比量存在する。いくらかの二糖においては、3−ハイドロキシプロパノイルも存在してもよい。
そのため、本発明の一面は、二糖の繰り返しから成る分離された莢膜の多糖から構成される免疫原性の製剤であり、それぞれの二糖は、一般式、
→4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2/7]−6d−α−D−ido−Hep−(1→、または、
→4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2]−L−グリセロ−α−D−ido−Hep−(1→
を有する。但し、PはO−メチル−ホスホロアミダートを表し、不定比量存在する。あるいは、該製剤が、両方の二糖の構造の混合を含む莢膜の多糖から構成されていてもよい。MALDI−TOF−MS解析によって、ここで分析されたBH0147のCPSの平均分子量は、約8300Daであることが明らかになった。
同様に、CG8486株の莢膜の多糖が分析され、式、
→3)−6−デオキシ−β−D−ido−ヘプトース−(1→4)−β−D−GlcNAc−(1→
によって示される二糖の繰り返しであるが、類似した構造から構成されるということが示された。さらに、O−メチル−ホスホロアミダートは、6−デオキシ−β−D−ido−ヘプトースのO−2および/またはO−7の位置において、不定比量存在する。MALDI−TOF−MS解析によって、ここで分析されたCG8486株のCPSの分子量は、平均6400〜6700Daの間であることが明らかになった。
莢膜への免疫は担体分子との抱合によって増加しうる。
IgG応答は、主によく、T細胞から独立した免疫応答として観察されている。そのため、大人がIgG、IgAおよびIgM応答を起こすことができる多糖の抗原の面において、子供は典型的にIgM応答のみを開始することができる。
潜在的にさらに莢膜の部分への応答を改良するために、C.ジェジュニの莢膜の免疫原性は、T依存担体タンパク質と抱合されうる。
交差反応材料(Cross Reactiong Material 197,CRM197)のようなC.ジェジュニのBH0142株の莢膜の多糖の担体タンパク質との抱合は、過ヨウ素酸を用い、それぞれの莢膜の多糖において存在する、一以上のL−グリセロ−D−ido−ヘプトース単位の環外のグリセロ部分の選択的な酸化によって達成しうる。活性化した(酸化した)C.ジェジュニのBH0142株の莢膜の多糖の分析(図4)によって、実際に、L−グリセロ−D−ido−ヘプトースは、未変化の莢膜の多糖の残りと一緒に、C−6のアルデヒド基を含むイドース単位へ選択的に酸化されうる。この活性化した莢膜の多糖は、C.ジェジュニBH0142株の莢膜の多糖と担体タンパク質とから構成される複合糖質を得るための還元的アミノ化メカニズムによって、直接的に担体タンパク質とつながれうる(図5A)。
CPS8486−CRM197の複合糖質は、還元的アミノ化による、CG8486 CPSのCRM197への共有結合での付着によって合成した(図5)。今回用いられたCG8486のCRM197に対する比率は、重量で2:1である。ここで、CG8486 CPSの非還元単糖は、非還元末端において、アルデヒド機能性を得るため過ヨウ素酸によって酸化され、該末端はCRM197の付着場所として機能する。利用可能な近接するヒドロキシルの欠乏、および、(脂質アンカーによって)占有された還元末端のため、過ヨウ素酸は内側の領域またはこれらのCPSの還元末端は酸化しない。このように、非還元末端のみ酸化され、CG CPSの構造上の完全性は未変化のままである。酸化されたCG8486 CPSを、NMR、MALDI−TOF−MS、および、アルジトールアセテート誘導体のGC−MSによって分析した。酸化されたCPSにおけるトリ−O−アセチル1−[2H1]グリセロール単位の評価はとりわけ重要である、すなわちそれは、非還元末端において酸化が行われたという証拠となる。複合糖質のMALDI−TOF−MSスペクトルでは幅が広いm/zイオンが得られ、平均で70000〜80000Daの範囲のCPS8486−CRM197であり、これはそれぞれのCRM197には平均で5CPS8486まで付加していることを示唆している。MALDI−TOF−MSによっては示すことができないが、さらに高い分子量のCPS8486−CRM197抱合体も存在しうるかもしれない。複合糖質は付着していない(freeな)CPSまたはCRM197を検出可能な量含んでいないということが、MSスペクトルおよび/またはゲル電気泳動による観察で再確認された。すなわち、今回合成された複合糖質のMALDI−TOF−MSまたはSDS−PAGE分析において、付着していない(freeな)CPSおよびCRM197のどちらも検出されなかった。
CG8486莢膜抱合体(CPS8486−CRM197)ワクチンの免疫原性。
CG8486からの莢膜抱合体を、それぞれ1、5および25μgの3回の投与において、四週間の間隔でネズミの皮下に免疫をした。それぞれのワクチン接種の前、ならびに、三度目のワクチン接種の4、8、12および14週間後、すぐに血液サンプルを集めた。CPS8486IgGのタイター(力価)はELISAによって決められた。PBSを受ける動物は、CPS8486−特異的IgGのタイターのベースラインレベルを示した(幾何学的な終了点のタイター3.4±0.40)。表2に免疫化された動物のタイターを示した。1μgのCG8486莢膜抱合体ワクチンでの免疫原性では、CPS8486−特異的IgGを誘発することができなかった。対照的に、5および25μgのワクチンで免疫化した動物は、二回目の投与の後で抗原−特異的血清IgGが、同様に高い値を有していた。5μgのワクチンの三度目の投与ではさらにIgGレベルを高めるが、25μgの三度目のワクチン接種はそうではなかった。CG8486莢膜抱合体ワクチンの5μgおよび25μgを受けたグループにおけるIgGのタイターの最高レベルは、1μgのワクチンまたはPBSのどちらかを受けたグループにおけるものよりも著しく高いが、それぞれはそれほど異ならない。一連の免疫が完了した後、二つのより高い投与量を受けたグループにおいて、90%以上の動物がレスポンダーの定義に適うものであった。三度目の投与の後少なくとも14週間の間、CPS8486−特異的IgGレベルは高いままだった。
Figure 0006030282
マウスの鼻腔内でのC.ジェジュニ感染モデルにおけるCPS8486−CRM197の保護的効力。
マウスの鼻腔内での感染モデルにおける、相同誘発に対して保護するための、CG8486莢膜抱合体ワクチンの能力を決定するために(図6)、5もしくは25μgのCG8486莢膜抱合体ワクチンまたはPBSによって4週間の間隔で免疫化した動物に、C.ジェジュニCG8486株を用いて鼻腔内に誘発させた。症状の指標は図面の説明において記載されているように計算した。ワクチン接種した動物は、コントロールの動物に見られたような病気の重症度と同じレベルには決して届かなかった。誘発後1および1.5日目において、25μgで免疫化された動物は、病気の重症度は3日目までに増加したが、コントロールまたは5μgのレシピエント(p<0.05)よりも著しく低い病状を示した。いずれかのワクチンの投与量によって免疫化された動物において、誘発の後三日間は、コントロールよりも著しく低い病気の指標を示した(p=0.05)。4.5日(25μg)または5.5日(5μg)を過ぎて、病気の指標の平均値は通常に戻った。対照的に、コントロールの動物の50%が、6日の観察期間の間病気のままだった。
BH0142莢膜の多糖(CPS)を使用する、人間における莢膜に対する免疫の誘発の予測的な実施例。
本発明の一つの面は、関連し分離されたC.ジェジュニ莢膜中から見つかる一以上の二糖ポリマーの、人間において活性があり効果的な免疫応答を誘導するが、ギラン・バレー症候群の禁忌を示すよう誘導しない能力である。それぞれのワクチンの製剤形態はC.ジェジュニの一つまたは混合した株からの莢膜を含むため、最適で効果的な投与範囲を確認するためには、実験が限られた量必要となる。しかし、下痢症の保護免疫を投薬治療する抗C.ジェジュニを誘導するための予測的な方法は、次の工程を含む。
a.一般式、
→4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2/7]−6d−α−D−ido−Hep−(1→、または、
→4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2]−L−グリセロ−α−D−ido−Hep−(1→
の二糖の繰り返しから構成される、分離されたC.ジェジュニの莢膜の多糖を含む免疫原性の製剤形態の投与によるプライミング。但し、Pは不定比量存在するO−メチルホスホロアミダートである。あるいは、免疫原性の製剤形態は、両方の二糖構造の混合を含みうる。一つの好ましい実施の形態においては、分離した二糖を担体分子と抱合させる。免疫原性の製剤形態は、経口投与、経鼻投与、皮下投与、皮内投与、経皮投与、経皮的な筋肉内投与または直腸内投与しうる。投与のルートによって、ワクチンの製剤形態は、LTR 192G、水酸化アルミニウム、RC529E、QS21、E294、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、CpGを含むオリゴデオキシヌクレオチド、リン酸アルミニウム、MPL(登録商標)(GlaxoSmithKline、ミドルセックス州、英国)またはこれらもしくはその他の可能なアジュバンドの組み合わせを含むがこれらに限られない、任意の数のアジュバンドと一緒にまたはアジュバントなしに投与しうる。免疫原の一回の単位の投与量の範囲は、緩衝液の範囲において、免疫原が0.1μg〜10mgである。
b.プライミング投与の次は、アジュバンドと一緒にまたはアジュバントなしに、緩衝溶液において、免疫原が0.1μg〜10mgの範囲の投与単位において、1〜4回追加免疫投与もしうる。
CPS8486の莢膜の多糖(CPS)を使用する、人間における莢膜に対する免疫の誘発の予測的な実施例。
同様に、CPS8486の莢膜の多糖を使用して、下痢症の保護免疫を投薬治療する抗C.ジェジュニを誘導するための予測的な方法は、次の工程を含む。
(a)一般式、
→3)−6−d−β−D−ido−Hep−(1→4)−β−D−GlcNAc−(1→
の二糖の繰り返しから構成される、分離されたC.ジェジュニの莢膜の多糖を含む免疫原性の製剤形態の投与によるプライミング。但し、O−メチルホスホロアミダートは、6−デオキシ−β−D−ido−ヘプトースのO−2および/またはO−7の位置に不定比量存在する。
一つの好ましい実施の形態においては、分離した二糖を担体分子と抱合させる。免疫原性の製剤形態は、経口投与、経鼻投与、皮下投与、皮内投与、経皮投与、経皮的な筋肉内投与または直腸内投与しうる。投与のルートによって、ワクチンの製剤形態は、LTR 192G、水酸化アルミニウム、RC529E、QS21、E294、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、CpGを含むオリゴデオキシヌクレオチド、リン酸アルミニウム、MPL(登録商標)(GlaxoSmithKline、ミドルセックス州、英国)またはこれらもしくはその他の可能なアジュバンドの組み合わせを含むがこれらに限られない、任意の数のアジュバンドと一緒にまたはアジュバントなしに投与しうる。免疫原の一回の単位の投与量の範囲は、緩衝液の範囲において、免疫原が0.1μg〜10mgである。
(b)プライミング投与の次は、アジュバンドと一緒にまたはアジュバントなしに、緩衝溶液において、免疫原が0.1μg〜10mgの範囲の投与単位において、1〜4回追加免疫投与もしうる。
明らかに、本発明の多数の変形およびバリエーションが、上記の技術の露見において可能である。従って、特に記載されていない限り、添えられた特許請求の範囲内において、本発明を実施してもよいということが理解される。

Claims (11)

  1. 単離された炭水化物ポリマーであって
    前記ポリマーは、式
    →4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2/7]−6d−α−D−ido−Hep−(1→、または、
    →4)−[P→3]−α−D−Gal−(1→3)−[P→2]−L−グリセロ−α−D−ido−Hep−(1→、
    を有する二糖の繰り返しからなり、
    式中、Pは、不定比量存在するO−メチルホスホロアミダートであることを特徴とする炭水化物ポリマー
  2. 前記二糖の繰り返しは、担体分子に抱合することを特徴とする請求項1に記載の炭水化物ポリマー
  3. 前記担体分子は、交差反応材料197(CRM197)であることを特徴とする請求項2に記載の炭水化物ポリマー
  4. 前記単離された炭水化物ポリマーは、さらに、3−ヒドロキシプロパノイルを含むことを特徴とする請求項1に記載の炭水化物ポリマー
  5. アジュバントと一緒にまたはアジュバントなしに、1回の投与につき、0.1μg〜10mgの投与量において、担体分子と抱合したまたは抱合していない状態で投与され、
    1回の投与につき、0.1μg〜10mgの投与量において、アジュバントと一緒にまたはアジュバントなしに、追加免疫の投与をされるように用いられることを特徴とする請求項1に記載の炭水化物ポリマー
  6. アジュバントと一緒に投与されることを特徴とする請求項5に記載の炭水化物ポリマー
  7. 経口投与、経鼻投与、皮下投与、皮内投与、経皮投与、経皮的な筋肉内投与または直腸内投与されることを特徴とする請求項6に記載の炭水化物ポリマー
  8. →3)−[P→2]−6−d−α−ido−Hep−(1→4)−α−Gal−(1→、または、
    →3)−[P→2]−L−グリセロ−D−α−ido−Hep−(1→4)−α−Gal−(1→であり、
    但し、Pは、不定比量存在するO−メチルホスホロアミダートであることを特徴とする請求項5に記載の炭水化物ポリマー
  9. 前記アジュバンドは、LTR 192G、水酸化アルミニウム、RC529E、QS21、E294、オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)、CpGを含むオリゴデオキシヌクレオチドおよびリン酸アルミニウムからなるグループから選択されることを特徴とする
    請求項6に記載の炭水化物ポリマー
  10. 前記担体分子は、CRM197であることを特徴とする請求項5に記載の炭水化物ポリマー
  11. 前記単離された炭水化物ポリマーは、1〜100の前記二糖を含むことを特徴とする請求項1又は8に記載の炭水化物ポリマー
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