JP2017534272A - 成体幹細胞増殖に適したフィーダー細胞の処置の方法 - Google Patents
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Abstract
Description
*1、2、3及び4と番号付けした4つ組の培養を、第1継代のケラチノサイト及び6ウェルプレートのウェル1個当たり144000個のフィーダー細胞で開始した。4−15及び4−150は、細胞100万個当たり15又は150μgいずれかの用量で1mL当たり4μgのマイトマイシンC濃度の交換に曝露したフィーダーを表し、γ−IRRはγ線照射を受けたフィーダーを示す。
*1、2、3及び4と番号付けした4つ組の培養を、第1継代のケラチノサイト及び6ウェルプレートのウェル1個当たり144000個のフィーダー細胞で開始した。4−15及び4−150は、細胞100万個当たり15又は150μgいずれかの用量で1mL当たり4μgのマイトマイシンC濃度の交換に曝露したフィーダーを表し、γ−IRRはγ線照射を受けたフィーダーを示す。
C=MMCの濃度(μg/mL)
υ=一定に保たれる処理溶液の体積(mL)
Σ=曝露細胞数(100万個)である。]
追加の適切な方法が特定の各実施例の下で記述されるが、記述された全ての実施例は、以下の共通の方法を含んだ:
第115継代で供給されたスイス3T3(ATCC−CCL−92)培養は、10パーセント(体積/体積)ドナー仔ウシ血清及び17.86mM炭酸水素ナトリウムを含有するDMEM中で、37℃の一定温度及び加湿した5パーセント二酸化炭素雰囲気の細胞培養条件下で培養し、継代培養のために、細胞を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中の0.25パーセントトリプシン及び0.03パーセントエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を使用してトリプシン処理により剥がした。細胞を、4継代連続的に継代培養して、第4継代と見なされる凍結保存マスターバンクを確立した。次いで第6継代まで2回継代培養することによりマスターバンクの凍結バイアルから作業バンクを生成し、凍結保存した。培養を、マイコプラズマ(Kumarら、2008年)、倍加時間、飽和密度及びメチルセルロース中で成長しないことを試験した。継代培養希釈は、バンキング手段の全体を通じて1:6〜1:10の範囲になるように採用され、供給元によって推奨される通り1cm2当たり約3×103個細胞の播種密度を維持し、培養は50パーセントコンフルエンスより高く決して成長させなかった。凍結保存してある作業バンク細胞を急速解凍した後に(生存度81.4±1.1パーセント;n=22)、そこから第6継代培養を開始し、T75培養フラスコ中で225000個細胞を4日間インキュベートし;産物(17.90934±5.3809×104;n=22)を、同数の細胞を3日間インキュベートすることにより更に継代培養し;得られた第7継代産物細胞(17.60247±4.2266×104;n=22)を、溶液10mL中のマイトマイシンC 40μgにパルス曝露した後に全ての細胞が崩壊するまで維持することにより、不可逆的な成長停止についてバッチ試験した。実施例1の実験には第6継代産物細胞を使用したが、並列の作業バンクバイアルから同じく生成した他の第7継代細胞を、資質のあるフィーダー細胞に指定し、同じものを実施例2及び実施3の成長停止実験に使用した。
健康な成人ヒト皮膚生検から単離し、無フィーダー及び無血清培養系で成長させた後の表皮細胞の初回培養の終了時に冷凍保存された初代ケラチノサイトを、Genlantis(カタログ番号PH 10205A、www.genlantis.com)から入手した。細胞を、記述されている通り基本的なRheinwald−Green(1975年)技術(Navasariaら、1994年)を採用して成長停止されたフィーダーとの共培養実験に使用した。3:1の比のダルベッコ変法イーグル培地及びHam’sF−12、10パーセント(体積/体積)ウシ胎仔血清並びにシプロフロキサシン10μg、インスリン5μg、追加のL−グルタミン110μg、デキサメタゾン1μg、アデニン24.32μg、L−セリン20μg、ヒドロコルチゾン0.4μg、コレラ毒素10ηg、表皮成長因子10ηg(2日目に培地に添加する)、トリヨードチロニン1.346ηg及びトランスフェリン5μgを含み、そのそれぞれは成長培地1mL毎当たりである、ケラチノサイト成長培地(KGM)。
この実施例は、周期的なフィーダー細胞死滅が、ある範囲のフィーダー細胞密度を様々な濃度のマイトマイシンCへ実験的にパルス曝露した後に算術的に得られ、単位細胞数当たりで表される、ある範囲のマイトマイシンC用量によって決まることを示すための実験的な証明について記述する。
作業バンクスイス3T3細胞を、一般的な方法に記載の通り培養に入れ、この第6継代産物細胞を、培地10mLを含有するT25フラスコ(Nunc)に播種し、マイトマイシンCによる処理の前に5日間インキュベートした。マイトマイシンCへの処理時に必要とされる3つの曝露細胞数(ECN)を達成するように(図1)、培養を、1cm2当たり4×102、2.5×103及び2×104個細胞の播種密度で開始し、成長領域1cm2当たり実現して得られたECNは、それぞれ、0.7276±0.0844×104(低密度;n=6)、3.0711±0.3021×104(中密度;n=4)及び6.1556±0.2309×104(高密度;n=4)であった。必要なECNを得た後に、細胞を、記述されている標準細胞培養条件下でマイトマイシンC(Sigma−Aldrich、カタログ番号M4287)の2時間パルスに曝露した。マイトマイシンCは、ハンクス平衡アールズ塩(HBES)に溶解し、培養培地10mLで比例して希釈して1mL当たり1、3、4、5及び10μgのマイトマイシンC濃度の範囲を得た;1mL当たり10μgより高い濃度は、全てのECNにわたる急性毒性のため、本研究に含めなかった。
データを分析手順(Yemeni及びJayaraman、2003年)に供して、3T3細胞に対するマイトマイシンCの密度依存的影響を検証した。再培養した対照細胞は、予想通りに典型的なS字形曲線で成長し、6日〜9日でコンフルエンスに達した;従って、処理と対照の間の細胞数比較は、論理的に不適当になった。従って、独立した成長曲線プロットを、対照を表すことなく、3つのECNに対して試験したマイトマイシンCの濃度毎に構築し、各時点における細胞数データを一方向性ANOVAにより分析し、P<0.05の場合に有意と見なした。加えて、3〜12日目の全体にわたり所与の濃度と3つのECNとを組み合わせた作用の後に得られるデータ内の相違の有意性を、双方向ANOVAにより分析した;20日目のデータは、特定の組み合わせにおいて細胞が存在しないため、省略した。細胞100万個当たりのマイトマイシンCのμgとして表され、細胞1個当たりのρgと等しい用量が、1mL当たりμgの濃度の産物及びmLの処理溶液の体積を100万個の曝露細胞数で割ることにより算出された(図1)。各時点に対する生存細胞数とマイトマイシンC用量の間の直線性の有意性を、相関係数により検定した。細胞死滅傾向に基づいて定義した成長停止結末の区分を、成長曲線プロットで表し、回帰により分析した。
3つの曝露細胞密度(ECN)のフィーダー細胞に対して試験した1mL当たり1μgのマイトマイシンCの最低濃度は、6日目及び9日目において細胞死滅の有意な(p<0.02)ECN依存的変動に影響したが、その後細胞数は安定して増加し、それは成長停止できなかったことを示した(図4A)。
1mL当たり3μgのマイトマイシンCの後に得られた成長曲線を、播種した細胞数より多い20日目の細胞数と整合性がある復活を示した高ECNに利用し、細胞数と観察日の間の有意な線形正相関(P<0.01)を最終的な刺激状態に割り当てた。
無作為の一過性の復活と整合性がない細胞数減少並びに細胞数の変化と培養時間の経過との間で有意でない線形相関を示す1mL当たり3μgのマイトマイシンCを使用して中ECNを処理し、1mL当たり4及び5μgのマイトマイシンCを使用して高ECNを処理した後の成長曲線を、共に最終的な定常状態に割り当てた。
1mL当たり4、10、5、10、3並びに4μgのマイトマイシンCを使用して、中、高、中、中、低及び低ECNを処理した後の成長曲線は、それぞれ、細胞数変化と培養時間の経過との間で有意な(P<0.01〜0.05)負の線形相関と整合性がある細胞数減少を示し、共に阻害と分類した。
低ECNを処理するために利用した1mL当たり5及び10μgのマイトマイシンCの後に得られた成長曲線は、最初の細胞計数によって視覚化された3日目に、播種した細胞の10%未満になる細胞数の急速な減少並びに細胞数の変化と培養時間の経過との間で有意な負の線形相関(P<0.01〜0.05)を示し、最終的に有毒な状態を共に割り当てた。
この実施例は、濃度及び単位胞数当たりの用量の特定の交換を表す体積の範囲を得るように構成されているマイトマイシンC溶液で一定の曝露細胞集団を処理することによって細胞崩壊の程度を調節することによりフィーダー細胞成長停止の正味の寿命を制御する戦略について記述する。
この実施例の全ての実験は、同一の作業バンクのスイス3T3フィーダー細胞の1回の継代培養後に得られた培養の3日目の細胞集団に対して行われた。資質のあるフィーダー細胞と考えられるこの集団を、溶液10mL中のマイトマイシンC 40μgの濃度にパルス曝露した後に全ての細胞が崩壊するまで維持することにより、不可逆的な成長停止についてバッチ試験した。T25又はT75いずれかのフラスコ内で成長させた資質のある細胞を、無作為に取り出した並列のフラスコにおいて実行した細胞計数から決定した平均曝露前細胞数を含めることによって得られるマイトマイシンCの用量−濃度交換の範囲で次いで滴定した。交換は、100万個の曝露前細胞数の産物及び細胞1個当たりのρgとして表される選んだ用量を1mL当たりμgの濃度で割ることにより算出された(図2)。更に、実施例1から得られる用量より広い範囲を滴定用として選んで、細胞死滅のより明らかな差異的程度を作製することにより最良の結末を同定する範囲を増加させた。
最終選抜候補交換へのスイス3T3細胞の曝露後の細胞生存度に対する2時間の短期的影響を研究するために、3日目に、1平方センチメートル当たり3000個細胞の固定密度で開始したT25フラスコ中の資質のある細胞集団を、マイトマイシンCにパルス曝露した。この手順は、全ての交換に使用したフラスコ当たり490000±7775個細胞(n=6)の平均曝露細胞密度をもたらし、曝露後生存度を3つ組のフラスコで評価した。
細胞死滅に対する最終選抜候補の用量−濃度交換の副産物を研究するために、3日目に、1平方センチメートル当たり3000個細胞の固定密度で開始したT25フラスコ中の資質のある細胞集団を、マイトマイシンCにパルス曝露した。この手順は、全ての実験を通してフラスコ当たり1760247±42266個の整合性が高い再生可能な曝露細胞密度(n=22)をもたらし、各交換からトリプシン処理した細胞を再培養して、12日間にわたり細胞死滅を評価した。
再培養した媒体対照細胞は、典型的なS字形曲線で成長し、6日〜9日でコンフルエンスに達した;従って、論理的に不適当になるので、処理と媒体対照との間の比較は行わず、適当な比較のためにより低い及びより高い濃度の対照を含めた。各データ点は、3つ組サンプルからの平均±標準偏差を表す。データを解析手段に供して、細胞死滅が固有であり用量変動の真の反映かどうかを検証した。細胞生存度に対するマイトマイシンCへの2時間の曝露の即座の影響を視覚化するために、生存細胞収量を表す棒グラフを構築し、各交換を、スチューデントt検定により3−10及び10−30と比較した。加えて、媒体対照における2時間の生存細胞産物を、曝露前細胞数と比較した。各濃度の全ての交換の間の生存度の用量依存的減少を回帰により検定し、R2値を算出した。
短期生存度に対する影響
最終選抜候補交換は、1.47〜55.12mLの得られた体積範囲を含み(表2)、最小体積は、最大容量が65mであるT25フラスコ内の細胞層を均一に浸すのに十分であった。3T3細胞生存度における有意差は、濃度及び用量の様々な交換でのマイトマイシンCへの2時間のパルス曝露の直後に観察された(図6)。生存細胞割合が、媒体の影響がないことを実証する実験を開始する前に決定した曝露前細胞計数と同程度である媒体対照と比較して、処理は、全ての群において細胞生存度の有意な(P<0.05)減少をもたらした。グループ間の比較は、4−15及び5−450における生存細胞産物が、低濃度対照3−10並びに高濃度対照10−30と同程度であることをそれぞれ示し、これは、マイトマイシンCの作用潜在性の増加又は減少が、濃度だけでなく細胞1個当たりの用量にも依存することを示した。加えて、回帰分析から、1mL当たり4μg(P<0.01;R2=0.926)及び1mL当たり5μg(R2=0.898;P<0.02)の全ての交換の間で生存度の有意な用量依存的減少が明らかになり、濃度に加えて用量変調の重要性を更に示した。
T75フラスコの最大容量は265mLであったが、試験した交換は、5.281〜198.028mLの体積範囲を含んだ。再培養したマイトマイシンC処理細胞は、1mL当たり4及び5μgの試験濃度内で用量依存的な様式で差異的周期的細胞死滅を呈した(図7)。
従来、スイス3T3細胞の所与の集団からなる胚性皮膚線維芽細胞系モデルのマイトマイシンCへのパルス曝露による成長停止後の死滅プロファイルが簡単な体積測定滴定の戦略により調節され、その体積の範囲が推奨より広いことが、そのモデルにおいて示されてきた。成長停止されたフィーダー及びヒト表皮ケラチノサイトの両方の細胞型が、in vitroでのそれらの維持に有利に働く培地中で共培養され、特定の死滅プロファイルを持つそのフィーダーだけが、ケラチノサイトの最高の増殖を支持する場合、成長停止されたフィーダーの得られた正味の寿命は、ヒト表皮ケラチノサイトとの正味の比を決定すると仮定される。本実施例は、ヒト表皮ケラチノサイト細胞に対して多様な成長刺激効果を与えるマイトマイシンCの様々な濃度−用量交換を使用することにより成長停止されたフィーダー細胞の差異的能力を実証し、最良の結末を同定する実験的な証拠について記述する。
いくつかの予備実験を行って、最も有効な濃度−用量交換を最終選抜し、フィーダー−ケラチノサイト細胞播種比を同定して、それにより共培養系における表皮ケラチノサイト細胞に対するフィーダーの成長刺激作用を評価した。最初のスクリーニングは、4−150曝露のフィーダーは第3〜第5継代ケラチノサイトを最大に刺激し、細胞1個当たり75ρgのマイトマイシンC用量へ曝露したフィーダーが、細胞1個当たり15ρgのそれと同程度のケラチノサイト刺激を生じたことを示した。その後、1mL当たりマイトマイシンC 4μgの濃度群のフィーダーを使用して試験したいくつかのケラチノサイト−フィーダー比から、1cm2当たり7500個並びに15000個の密度でそれぞれ播種したケラチノサイト及びフィーダーの1:2の比が最適であることが判明し、9日目までにケラチノサイトは最大成長に達した。死滅について実施例2において試験したフィーダー細胞播種密度の1cm2当たり7000個から最適な1cm2当たり15000個への増加に伴って、後者を周期的な死滅について更に単独で評価して、死滅における前者及びガンマ線照射を受けたフィーダー(γ−Irr)との類似性が比較のために更に含まれることを確認した。従って、成長判定に含まれる最終選抜候補の用量は、細胞1個当たり15、150並びに450ρgであり、それぞれが1mL当たり4及び5μgの濃度とそれぞれ組み合わされた。3−10及び10−30のフィーダー群は、比較のための対照としてγ−Irrフィーダー細胞とともに含まれた。実験に使用したケラチノサイトは、供給元(Genlantis)から入手した凍結第1継代細胞又は凍結第2継代細胞を培養することによって作製された第3継代細胞のいずれかを含み、その両方を1cm2当たり15000個の4−150群のフィーダーを使用して継代培養した。
成長領域判定のためのコロニー形成効率(CFE)及びデジタル画像分析を、1cm2当たり15000個のフィーダー細胞を含有する各ウェルを含む6ウェルプレートにおいて様々なフィーダー群の上で低密度ケラチノサイトを培養して実行した。CFEを、第3継代の250個のケラチノサイト及び全ての最終選抜候補交換で処理したフィーダーを使用して実行した。その後、別々の実験を実行して、それぞれ1ウェル当たり170個及び340個培養した第1継代の生存ケラチノサイトを用いて平均コロニーサイズ及び全成長領域を推定し、フィーダーは、最良に機能する4−150並びに準最適な4−15及びγ−Irrであった。プレートを、隔日毎に培養培地交換しながら9日間インキュベートし、リン酸緩衝食塩水(pH7.2)に調製した4%パラホルムアルデヒド中で45分間固定し、蒸留水中の1%ローダミンBで30分間染色し、蒸留水中で洗浄してケラチノサイト及びフィーダー細胞の領域を色分化し、風乾した。CFEは、8個以上の細胞の個々のケラチノサイトコロニーを計数することからなり、培養した細胞のパーセンテージとして表した。平均コロニーサイズの推定は、成長領域判定及びCFEに基づき、広く、扁平化し、終末に分化した細胞を含有する非常に不規則な形状の小さいコロニーは中止と見なし、残りは増殖性コロニーを構成した。CFEの実験は、3つ組で実行し、成長領域判定は、フィーダー群当たり4つ組で実行した。
染色したプレートを一定光で照射し、1平方インチ当たり9×104ピクセルの分解能を有するデジタル画像を作製するNikon組み立てカメラを使用して撮影した。画像を、以前に報告されている技術の通りAdobe Photoshop第7版を使用して画像分析に供した(Kumar及びYemeni、2009年)。基本的な技術は、デジタル化画像上で類似する色特徴を別々に選択することを含んだ。所望の色のピクセルの選択、ケラチノサイト及びフィーダーをそれぞれ表す赤色並びに薄く青みがかったピンク色を、Magic Wandツール使用して手段上選択した。選択プロセスは、Magic Wandパレット内のオプション及びメニューバーにある選択オプションを使用して必要な修正手段により手作業で制御した。正確な色分解を確認した後、画像を3つ組にし、そのうち2つを、2色を分離するために使用し、3つ目の無処理のものを比較のために参照した。それぞれの色を一旦分離したら、それらを重ね合わせて、原本と類似の画像の複製を検証した。この後に、イメージメニューにあるヒストグラムコマンドを使用して、選択した赤色領域内のピクセル数によって定量化を達成した。ウェルのピクセルの総数から赤色のピクセルの数のパーセンテージを算出し、ケラチノサイト成長の領域を、ウェルの公知の全領域から得た。170個のケラチノサイトで培養したウェルの場合、平方センチメートルで算出した領域をそれぞれのウェル内で計数されたコロニーの総数で割って、平均コロニーサイズを得た。
培養を、1cm2当たり15000個の密度で最良に機能するフィーダーの4−150並びに4−15及び□−Irrを含有するフラスコ当たり70個の第1継代生存表皮ケラチノサイトで開始し、隔日毎に培養培地を交換しながら10日間インキュベートしたスライドフラスコ(Nunc)において分裂指数を推定した。フィーダー細胞を、0.02%EDTAで選択的に除去し、ウェルを、非放射性ブロモデオキシウリジン(BrdU)中で1時間インキュベートし、カルノア固定液で固定し、4M HClで処理して抗原回復させ、0.1Mホウ酸ナトリウムで中和し、マウスモノクローナル抗BrdU一次抗体(カタログ番号sc−32323、Santacruz)中でインキュベートし、続いてFITC標識抗マウスヤギポリクローナル二次抗体(カタログ番号sc−2010、Santacruz Biotechnology Inc.)中でインキュベートした後に蛍光標識核を可視化した。フィーダー群当たり3つ組にしたスライドフラスコからの全てのコロニーを、標識及び無標識の核について差次的に計数した。簡潔には、各コロニーを、Evolution QEi単色カメラ(Media Cybernetics)使用して20×対物で、Nikon Diphot300顕微鏡で位相差及び蛍光様式の両方で撮影し;コロニーが視野より大きかった場合、複数の画像を撮像し、Image Pro−Express表示ソフトウェア第6.0版の手作業によるタグツールを使用して核の計数を実行する前に画像を照合することにより重なり合っている縁を画定した。
共培養を、群当たり3つ組のウェルから差異的細胞計数が実行されるまで3、6及び9日目に、最終選抜候補フィーダー群の存在下で隔日毎に培養培地交換しながら第3継代の初代表皮ケラチノサイトを使用して24ウェルプレート中で開始した。差異的細胞採集のために、培養を、0.02%EDTAで最初に処理して、ケラチノサイト培地に採集されたフィーダー細胞を選択的に除去し、続いて0.25%トリプシン、0.03パーセントEDTA及び0.025パーセントグルコースの3倍希釈溶液を使用して分離した後に別々のバイアルにケラチノサイトを採集した。生存細胞計数を、トリパンブルー排除後にノイバウエル容器内で実行した。
培養上皮自家移植片と同等の人工上皮を、最良に機能するフィーダー細胞の4−150を使用して調製し、準最適に機能する他のフィーダーの4−15をγ−Ιrrと共に比較のために含めた。3つ組培養を、1cm2当たり800個の第1継代の生存ケラチノサイト細胞及び1cm2当たり15000個のフィーダー細胞を播種することにより6ウェルプレート中で開始した。培養培地を、コンフルエンスまで隔日毎に交換し、表皮成長因子(EGF)を48時間後に培養培地に添加した。2つのウェルを、組織学的及び免疫組織化学的研究に使用し、3つ目を、寒天−メチルセルロース中でフィーダー細胞汚染並びに成長について評価した。コンフルエントなケラチノサイト培養由来の重層上皮を、無血清ケラチノサイト培養培地1mL当たり2mgのディスパーゼを含有する溶液中で、37℃で50〜70分間インキュベートすることにより回収した。
上皮を、4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包埋のために一連の段階的なアルコールによる脱水によって処置し、続いてキシレン中で不要物を除き、パラフィンに包埋した。培養表皮の厚さ5μmの切片を、脱パラフィン化し、水和し、ヘマトキシリン−エオシンで染色し、脱水後にDPXに封入した。
並列の切片を、キシレン中で脱パラフィン化し、一連の段階的なエタノールによって水和した。フィラグリン、サイトケラチン−10(CK−10)及びサイトケラチン−14(CK−14)の抗原を、切片を含有するスライドを10mMクエン酸ナトリウム緩衝液に90℃で30分間浸漬し、その後30分間冷却することにより回復させ、インボルクリンを、新たに調製したトリス緩衝食塩水(TBS)中の0.1%トリプシン及び0.1%CaCl2で、室温で7分間処理することにより回復させた。切片を、その後TBSで洗浄し、加湿した容器内で、2%正常ヤギ血清(SC−2043)で、37℃で1時間ブロッキングし、1:50の比で希釈したフィラグリン(SC−25896)、インボルクリン(SC−21748)、CK−10(SC−51581)、CK−14(SC−58724)に対するマウスモノクローナル一次抗体(Santacruz Biotech)中で、4℃で終夜インキュベートした。次いで、切片をTBSですすぎ、その後1:100で希釈したFITCタグ付きヤギ抗マウスIgG二次抗体(SC−2010)中で、37℃で1時間インキュベートし、次にDAPI含有媒体(SC−24941)に封入した。陰性対照は、一次抗体の代わりに単純なTBS中でインキュベートすることを除いて等しく処置した。同様に処置した正常なヒト皮膚が、陽性対照としての役割を果たした。
3つのフィーダー群から単離したケラチノサイト懸濁液を、ヘキスト染色により(a)非増殖性及び(b)増殖性フィーダー細胞汚染の両方について評価した。
3つのフィーダー群により生成された細胞懸濁液を、1ディッシュ当たり5000個細胞の密度で、フィーダーなしに60ミリメートルディッシュ中で培養し;細胞を、KGM中でインキュベートすることにより終夜付着させておき、フィーダー細胞の数を、ヘキスト染色後に計数した。
トリプシン処理した細胞を、フラスコ当たり50000個細胞の密度で、T25フラスコ中で培養し、KGM中で3週間インキュベートし、ヘキスト染色用として処置した。
それぞれのインキュベーション期間の最後に、培養を、メタノール3容量及び氷酢酸1容量の冷却溶液中で固定し、ハンクス平衡塩類溶液1mL当たりヘキスト33258(Sigma、H−6024)0.125μgの濃度で、暗所で10分間染色した。ディッシュを蒸留水で洗浄し、330〜380nmの励起フィルタ及び420nmの放射フィルタを取り付けた蛍光顕微鏡(Nikon Diaphot 300)で観察した。3T3細胞を、その異なる核サイズ、形態及び蛍光パターンに基づいてケラチノサイトと区別した(Alitaloら、1982年)。
3つのフィーダー群の存在下で成長させた、トリプシン処理したコンフルエントなケラチノサイト培養由来の5×104個の単離した細胞を、メチルセルロース(Methocel、Sigma−Aldrich)に懸濁させた。メチルセルロースを、3T3−CBS培地中に0.8%の最終濃度で調製し、35ミリメートルディッシュ中の0.6%寒天の基礎の上に注ぎ、標準的な培養条件でインキュベートし、2週間後にNikon倒立位相差顕微鏡で調べて、ケラチノサイト成長を見た。
1cm2当たり15000個の密度で培養したフィーダーの死滅について、棒の各集団が指定された交換を表し、各棒が指定された時点における生存細胞数を表す棒グラフを構築した。対応する時点を対にした後に、3−10及び10−30又はγ−Irrフィーダーの集団をスチューデントt検定により他の用量交換と比較した。
コロニー形成効率
250個のケラチノサイトにおけるCFE誘導に関する最終選抜候補フィーダー群全ての総合的なスクリーニングを含む実験から、試験した群全ての中で4−150が、67.7±0.6個の最高数のコロニーの形成を刺激し、その数が3−10、4−15、4−450、10−30、γ−Irrそれぞれによる56.7±2.5、59.7±3.2、55±2.6、49.7±1.5、36±3.6個と比較すると有意に高いことが明らかになり、一方5−150フィーダー群において60.7±1.2個のコロニーがあり、これは3−10、5−450(53±3.6)、10−30及びγ−IRRより有意に高いが、59.3±1.2個のコロニーの形成に影響した5−15と比較して有意でなかった(図10)。実際のところ、4−150は、5−150より非常に有意な(P<0.001)刺激を生じ;それゆえに、成長領域に関するその後の実験は、標準的フィーダーと見なされる4−15及びγ−Irrと比較する4−150の評価を含んだ。
ローダミンB染色調製物から2色の固有の色合い、すなわち、ケラチノサイト成長を表す赤色、フィーダー領域を表す青っぽい灰色が得られたので、Adobe Photoshopに基づく画像分析を使用してこの染色試料における完全な色分解が可能になった(図11)。全ての事例において2つの分離された色画像を重ね合わせたマージ画像から無処理の元画像と完全に近い一致が明らかになったので、色選択が極めて簡単であることが判明した。
コロニーの全体にわたる細胞性又はBrdU標識ケラチノサイトいずれかの全体の分布は、試験したフィーダー群の中で有意に変化しなかった(図14)。しかし、4−150フィーダーにおいて27個のコロニーから30.1%(3243/10790)のBrdU陽性ケラチノサイトのパーセントは、20個のコロニーから20.5%(2000/9754)の陽性が明らかになった4−15より有意に(P<0.01)高かった(図15)。この上昇は、4−150における追加のコロニー形成が寄与しているように見え、この群における1コロニー当たりの標識細胞の有意な(P<0.03)分布が得られた(図15及び16)。これに反して、γ−Irrにおける標識された細胞数のパーセントは、21個のコロニーから28.9%(3270/11321)と判明し、4−150におけるそれと有意差を示さなかったが、同時にγ−Irrは、4−15より有意に優れていることが判明した。結果は、それが、1コロニー当たりの有糸分裂の増加ではなくコロニー開始の刺激であることを示し、濃度と細胞1個当たりの用量の両方を含むことによるマイトマイシンC処理の微調整の有利な結果であることが判明した。1コロニー当たりの平均細胞性において有意な変動がないにもかかわらず、4−150のフィーダーは、より高いBrdU標識の誘導において4−15より優れていたことが明らかであり、全体の高い細胞回転が、最終的に始まることを示した。ケラチノサイトのより速い成長の実現におけるマイトマイシンCによるフィーダーの用量滴定の重要性は、それ以外の準最適な能力を改善して、γ−Irrフィーダーのそれと一致させることよって更に強調される。
最終選抜候補交換のフィーダー群から1cm2当たり15000個の細胞を最初に培養した後のフィーダー細胞崩壊分析から、1cm2当たり7000個のフィーダーで培養した後に観察したそれと同程度の差異的用量依存的細胞死滅パターンが明らかになった(図17)。1mL当たり4μg(図17A)及び1mL当たり5μg(図17B)の濃度のそれぞれの下での様々なMMC処理フィーダー間の一致した時点における群相互間の比較は、有意な差異を示した。更にまた、γ−Irrフィーダーにおける細胞死は有意であり、MMCフィーダーのいずれと比較しても最も速かった。
一般に、2〜5個の細胞のケラチノサイトコロニーは、培養2日目までにウェルに現れた。1週間後に、分化の特定の領域を持つ大きなケラチノサイトコロニーが、現れた。ケラチノサイトコロニーは最終的に合体し、10〜13日目にコンフルエント培養は、ディスパーゼ処理により培養表面から単離される重層扁平上皮を生じた。ウェルのサイズの約3/4に収縮した単離した上皮シートは、薄く、壊れやすい、半透明の、浮動性の組織として現れた(図21)。1cm2当たり15000個細胞の一定のフィーダー密度並びに13、12及び10日目にそれぞれコンフルエントになった1cm2当たり400800又は1700個の第1継代表皮ケラチノサイト生存細胞による予備実験は、中間密度が、程度の差はあるが一様な厚さ及び完全性の表皮を生じることを証明した。それ故、4−15、4−150及びγ−Irrのフィーダーの存在下で成長させたこの800個播種群からの上皮を、組織学的特徴について分析した。
ヘマトキシリン−エオシン染色したパラフィン切片から、γ−Irr又は4−15MMCフィーダーいずれかの存在下での成長の結果生じる表皮厚さは、1細胞〜8細胞と大きく変化したが、4−150のフィーダー上で成長した表皮構築物は、程度の差はあるが平らな層状構造を持つ基底並びに分化した区画を均一に表すことが明らかになった(図22)。特に、γ−Irr群由来のシートは、よく形成された基底区画を示す良好な厚さの区域の間で完全に分化した部分の断続的な領域とあまり整合性がなかった。
(a)非増殖性汚染
フィーダー4−15、4−150及びγ−Irrの存在下で成長させたバラバラになった培養上皮から、5×103個の培養細胞の中で付着している3T3細胞のパーセンテージとして0.46±0.03、0.54±0.04及び0.56±0.09がそれぞれ明らかになり(図28)、それらは、付着している全細胞の中のフィーダー夾雑物のパーセンテージとしてそれぞれ3.3±0.2、3.5±0.3並びに3.6±0.6になり、残りがケラチノサイトであった。データは、有意差を示さなかった。
上皮構築物由来の5×104個細胞を含有するバラバラになった細胞懸濁液を3週間インキュベートした後のT25フラスコ中のヘキスト染色調製物は、平らに拡散したクロマチン持つ比較的小さい核の存在により特徴づけられる複製されたケラチノサイトを示したが、粗く凝集したクロマチンを持つ大きな核を含有するどんな増殖性フィーダーも認められなかった(図29)。
3つのフィーダー群の存在下で成長させた、トリプシン処理したコンフルエントケラチノサイト培養由来の5×104個の単離した細胞のいずれも、2週間のインキュベーション後にメチルセルロース中でどんな成長も示さなかった。
Claims (10)
- 表皮ケラチノサイト幹細胞の成長のための培養系であって、
a.マイトマイシンCでフィーダー細胞を経済的に処置する工程と、
b.そのようなフィーダー細胞の形で基層を準備する工程と、
c.γ線照射したフィーダー細胞よりも良好な表皮ケラチノサイト幹細胞成長の成長刺激を達成する工程と
を含み、マイトマイシンCの最適濃度を細胞1個当たりの用量と更に組み合わせて、濃度−用量交換の範囲を得て、マイトマイシンCの濃度が1mL当たり3〜10μgの範囲にあり、用量が細胞1個当たり15〜450ρgの範囲にあることを特徴とする、培養系。 - マイトマイシンCの用量が、1mL当たりの濃度に加えて細胞1個当たりである、請求項1に記載の培養系。
- 成体幹細胞が、表皮ケラチノサイト幹細胞であり、前記フィーダー細胞が、任意のフィーダー細胞である、請求項1に記載の培養系。
- マイトマイシンCの濃度が、好ましくは1mL当たり4μgであり、用量が、細胞1個当たり150ρgである、請求項1に記載の培養系。
- (a)10%v/vドナー仔ウシ血清及び17.86mM炭酸水素ナトリウムを含むDMEMからなるフィーダー細胞用の唯一の培養培地と、(b)3:1の比のDMEM及びHam’sF−12、10パーセント(体積/体積)ウシ胎仔血清及びシプロフロキサシン10μg、インスリン5μg、追加のL−グルタミン110μg、デキサメタゾン1μg、アデニン24.32μg、L−セリン20μg、ヒドロコルチゾン0.4μg、コレラ毒素10ηg、トリヨードチロニン1.346ηg及びトランスフェリン5μg、表皮成長因子10ηg(2日目のみ培地に添加する)からなり、そのそれぞれは成長培地1mL毎当たりである、ケラチノサイト培養培地とを含む、請求項1に記載の培養系。
- フィーダー細胞の制御された成長停止の方法であって、
ある範囲のフィーダー細胞密度を異なる濃度のマイトマイシンCに曝露し、その後用量を以下の式:
C=MMCの濃度(μg/mL)
υ=一定に保たれる処理溶液の体積(mL)
Σ=曝露細胞数(100万個)である]
から算出する工程と、
単位細胞数当たりの用量及び単位体積当たりの濃度に基づいて以下の式:
によって導いたリストからマイトマイシンC溶液のある範囲の推定体積を予測する工程と、
細胞崩壊において用量依存的な有意差を誘導する工程と、
曝露させる一定密度のフィーダー細胞をリストにした濃度内でリストにした範囲の体積に供する工程と、
固有の細胞崩壊傾向を呈するフィーダー細胞バッチを同定する工程と、
特定のマイトマイシンC濃度の特定の体積によって成長停止され、in vitro共培養系におけるγ−Irrフィーダーと比較してケラチノサイトの最大成長を支持する最適なフィーダーバッチを同定する工程と
を含む、方法。 - 前記フィーダー細胞が、任意のフィーダー細胞であり、好ましくはスイス3T3フィーダー細胞である、請求項6に記載の方法。
- マイトマイシンC濃度が、1mL当たり3〜10μgの範囲である、請求項6に記載の方法。
- マイトマイシンCの用量が、細胞1個当たり15〜450pgの範囲である、請求項6に記載の方法。
- 前述の実施例及び図面を参照して本明細書に実質的に記述される、表皮ケラチノサイト幹細胞の成長を維持するための培養系。
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