JP2017533347A - カテコール/キノン官能化層のためのプラズマ堆積法 - Google Patents

カテコール/キノン官能化層のためのプラズマ堆積法 Download PDF

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Abstract

本発明は、前駆体を用いて、無溶媒下で、無機または有機基板に付着性のカテコールおよび/またはキノン官能化層を堆積させるプラズマ堆積法であって、前記前駆体が、キノン基、保護または未保護のカテコール基、キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換された分子、および/またはカテコール基および/またはキノン基の天然もしくは合成誘導体を少なくとも含む方法を提供する。【選択図】図4

Description

本発明は、基材の表面にカテコール/キノン官能化層を形成するためのプラズマ堆積法に関する。
カテコール基がイガイ(mussel)の付着において役割を果たすことが発見されたので、カテコール基を含有するコーティングは大きな注目を集めている。ヨーロッパイガイ(Mytilus edulis)の足タンパク質において発見された3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)またはそのジヒドロキシフェニル誘導体(DHPD)中に存在するカテコール基は、湿潤、乱流または塩分環境において、無機面および有機面の両方に付着することがよく知られている。このような注目すべき挙動の詳細なメカニズムは、まだ完全に解明されていない。しかし、カテコール基の、キノンに酸化する能力、または金属原子と配位結合を形成する能力に起因して、カテコール基と他の化合物との間で、共有結合および強力な非共有結合が生じることが分かっている。このような性質により、この分野における研究の関心が高まっており、カテコール/キノン基を含有する薄膜コーティングを作製するための様々な技術が開発されている。
カテコール/キノン官能化層は、それらの高反応性官能基に関連する化学的性質が豊富であるために、材料系の科学者および企業からますます注目されている。
カテコール/キノンを含有するコーティングを得るための様々なストラテジーが知られている。一般的に、湿式化学法が、カテコールベースの層を形成するための通常の方法として用いられる。その主要なプロセスは、非特許文献1に記載されている。コーティングにカテコール基を組み込む方法は、主に2つある。第1の方法は、カテコール基で置換された分子を、水溶液または有機溶液に溶かして、基材上に堆積させる方法である。分子は、小さな有機性の分子または高分子であり得る。高分子は、合成ポリマーまたは天然ポリマーであり、その鎖末端にまたは側鎖等の鎖に沿って、少なくとも1つのカテコール基を有する。これらは、非特許文献1に要約された様々な合成経路により作製することができる。堆積は、浸漬コーティング、スプレー、ロールコーティングなどの従来の湿式堆積技術により実施される。第2の方法は、アルカリ溶液中でのドーパミンの24時間のまたは酸化剤(例えば過ヨウ素酸ナトリウムや酵素)を使用した自家重合を含む。特許文献1には、低温プラズマを使用して、低摩擦係数を有するプラズマ重合された膜を作製する方法が開示されている。特許文献2には、基材上に吸着層を形成するための溶媒ベースの方法であって、付着させる化合物を水中に溶解させるステップと、溶液中に基材を室温で1時間浸漬させるステップとを有する方法が開示されている。
カテコール/キノン官能化層を堆積させるための現在のストラテジーは、一般的に溶媒の使用を必要とする湿式化学技術に基づいており、膜堆積速度が遅く、時間がかかるものであった。この問題を改善するための方法が求められている。
米国特許第US4693799号明細書 国際公開第WO2007/022645号明細書
E. Faure, C. Falentin-Daudre, C. Jerome, J. Lyskawa, D. Fournier, P. Woisel, C. Detrembleur. Prog. Pol. Sci. 2013, 38, 236-270
本発明によれば、基材にカテコールおよび/またはキノン官能化層を付着させる方法であって、(a)基材を用意するステップと、(b)キノン基、保護もしくは未保護のカテコール基、キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換された分子、および/または、カテコール基および/またはキノン基の天然もしくは合成誘導体を少なくとも含み、前記キノン基が1,2−ベンゾキノン基であり、かつ前記カテコール基が1,2−ジヒドロキシベンゼン基である前駆体を用意するステップと、(c)前記前駆体および前記基材に対してプラズマを照射し、前記基材上に、カテコールおよび/またはキノン官能化層を含むコーティングを形成するステップとを有することを特徴とする方法が提供される。
また、本発明によれば、実質的に無溶媒下でコーティングが形成された基材であって、前記コーティングが、カテコールおよび/またはキノン官能化層を含むことを特徴とする基材が提供される。
本発明は、カテコール/キノン官能化層を付着させるためにプラズマによりアシストされた、化学気相堆積法を提供する。カテコール/キノン表面成分、層の架橋および厚さ、並びに、合成有機層の分子量は、プラズマパラメータに従って調節することができる。
本発明により形成された、高化学反応性コーティングは、下記の(a)−(d)により、様々な用途に有用である。
(a)2つの異種面間の付着を促進する能力。例えば、水性、湿潤性、または非水性環境下で、有機(例えば、タンパク質、酵素、合成ポリマー、天然ポリマー)または無機(金属(酸化物)(ナノ)粒子、ガラス、シリカ)の異種基材、表面、化合物、または粒子に結合または付着する能力。
(b)他のカテコール/キノン基、他の官能基(例えば、アミン、チオール、ヒドロキシル、カルボキシル基)または他の反応基のいずれかと、不可逆的(共有結合)または可逆的(水素結合、電子π−π相互作用)な化学架橋を形成する能力。
(c)治療、分析または環境的な用途において、アニオン種またはカチオン種、とりわけ、FeIIIなどの遷移金属を効率的にコーディネート(coordinate)する能力。
(d)可逆的な酸化還元能力。他の分子または金属に結合する優れた能力と共に、デバイス用途の刺激制御スイッチとして使用される。
本発明に係るコーティングされた基材の好適な用途は、(a)接着コーティング、(b)防汚コーティング、および(c)生体分子を有するコーティングを含む。(a)の用途については、接着コーティング用の好適な基材は、いくつかの実施形態では、テープ、絆創膏、パッチ、創傷被覆材、または医療器具(例えば電極)であり得る。(b)の用途については、防汚コーティング用の好適な基材は、いくつかの実施形態では、医療器具、コンタクトおよび/または眼内レンズ、血液接触器具、医療用インプラント、外科器具、または組織スキャフォールドインプラントであり得る。
従来の湿潤技術と比較して、プラズマ堆積法は下記の利点を提供する。
(a)単純な1ステップの処理であり、溶媒を使用しないで乾燥状態で行われる。
(b)最小限の物質を使用し、最小源の排水を生成し、環境修復プロセスを必要とせず、工業用途に利用可能なので、環境に優しい方法であると考えられる。
(c)非基材特異性の表面処理方法であると考えられる。
(d)改変は頂面層に限定されるので、材料のバルク性には影響を与えない。
(e)一般的に、改変は、基材の全体に渡って均一になされる。
(f)堆積層の化学的性質、とくに、分子結合を制御するのに有用な官能基の密度は、プロセスパラメータを調節することによって細かく調整することができる。
(g)例えば無水物、カルボン酸、アミン、エポキシ、水酸基、ブロモ基などの様々な一般的な官能基を含むコーティングを、適切な有機前駆体を使用して堆積させることができる。
(h)堆積層が、湿潤化学法で使用される溶媒または可塑剤に関連する不純物を含まない。
(a)の利点に関しては、プラズマ堆積法が、重合させるモノマーに加えて液体溶媒を必要とする浸漬またはスプレーなどの湿潤化学法とは異なることは、当業者であれば理解できるであろう。湿潤化学法とは対照的に、プラズマ堆積法は、液体の有機溶媒を用いることなく気相で反応が行われるため、溶媒を使用しないで乾燥状態で行われる。
例えば自発CVD(iCVD)などの低圧化学蒸気堆積技術と比較して、プラズマの使用は、大気圧下で実施できるため既存の製造ラインに組み込むことを可能にする、および、製造部品の大きい面積または局所面積上に官能化層の高堆積速度を実現する、という利点を提供する。
本発明では、1,2−ベンゾキノン基であるキノン基および/または1,2−ジヒドロキシベンゼン基であるカテコール基を使用することにより、産業的に有用なコーティングが得られることが見出された。このコーティングのメカニズムは完全には解明されていないが、キノン基およびカテコール基の両方が1,2−官能基を有することにより、カテコール基が容易に酸化してキノン基になり、キノン基も同様に還元してカテコール基になると考えられる。いくつかの実施形態では、前駆体は、1または複数のキノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール、および/または、カテコールおよび/またはキノンの天然もしくは合成誘導体で置換されたビニル系もしくは非ビニル系分子を少なくとも含む。いくつかの実施形態では、キノン基は、1,2−ベンゾキノン基である。いくつかの実施形態では、前駆体は、下記の化学式(VII)の1または複数の化合物、および/または化学式(VII)の化合物の天然もしくは合成誘導体で置換されたビニル系もしくは非ビニル系分子を少なくとも含む。
Figure 2017533347
両方のR置換基は、任意選択で保護された水酸基またはカルボニル基を表し、
両方のR置換基が、カルボニル基である場合は、Rで置換された各炭素原子間の結合は単結合であり、
両方のR置換基が、任意選択で保護された水酸基である場合は、Rで置換された各炭素原子間の結合は二重結合である。
いくつかの実施形態では、前駆体は、キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコールで置換されたビニル系もしくは非ビニル系分子、および/または、少なくともキノン基および/または保護もしくは未保護のカテコールで置換されたポリマーである。このような前駆体は、本発明の他のビニル系もしくは非ビニル系のコモノマーと共に使用することができる。いくつかの実施形態では、前駆体は、下記のうちの1または複数である。
キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換されたビニル系モノマー
キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換された非ビニル系分子
キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換された天然もしくは合成ポリマー
キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換されたビニル系モノマー、およびビニル系もしくは非ビニル系のコモノマー
キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換された非ビニル系モノマー、およびビニル系もしくは非ビニル系のコモノマー
キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換された天然もしくは合成ポリマー、およびビニル系もしくは非ビニル系のコモノマー
いくつかの実施形態では、本発明において前駆体として使用するのに好適な、カテコール基で置換されたビニル系モノマーは、下記の化学式(I)の化合物である。
Figure 2017533347
Yは、共有結合、または、任意選択でアルキル、アミドまたはエステル基で置換される結合基を表す。Xは、アルキル基または水素を表す。いくつかの実施形態では、Yの任意選択の置換基は、アルキル、アミドまたはエステル基である。いくつかの実施形態では、Yで表されるアミド基は、
Figure 2017533347
である。Rは、アルキル基を表す。いくつかの実施形態では、Yで表されるエステル基は、
Figure 2017533347
である。Rは、アルキル基を表す。いくつかの実施形態では、Xは、メチルまたは水素を表す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、直鎖または分岐鎖の、1−6個の炭素原子を有する置換または非置換のアルキル基である。
いくつかの実施形態では、本発明において前駆体として使用するのに好適な、カテコール基を有するビニル系モノマーは、下記の化学式の化合物である。
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
いくつかの実施形態では、化学式(I)のカテコール基で置換されたビニル系モノマーは、単独で、または追加的なビニル系コモノマーと共に使用される。好適なビニル系モノマーは、プラズマによる(共)重合が可能な任意のビニル系モノマーであり得る。代表例としては、アクリレート、メタクリルレート、スチレンおよびその誘導体、ビニルエステル、ビニルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、不飽和植物油、脂肪酸、アクリル酸、メタアクリル酸、ビニルアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、および/または、エチレンが挙げられる。特に、ビニル系コモノマーが液体である場合、液体ビニル系コモノマーは、コモノマーと、化学式(I)のカテコール基で置換された固体ビニル系モノマーを溶解させるための溶剤との両方として使用することができる。
いくつかの実施形態では、化学式(I)のカテコール基で置換されたビニル系モノマーは、単独で、または追加的な非ビニル系コモノマーと共に使用される。非ビニル系コモノマーの例としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オルトケイ酸テトラエチル、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロオクタシロキサン、および/またはポリジメチルシロキサンおよびその誘導体などのシロキサン形成材料が挙げられる。特に、非ビニル系コモノマーが液体である場合、液体非ビニル系コモノマーは、コモノマーと、化学式(I)のカテコール基で置換された固体ビニル系モノマーを溶解させるための溶剤との両方として使用することができる。この非ビニル系モノマーの使用により、カテコール/キノン官能基を含むマトリクスの形成が可能となる。このマトリクスは、膜が物理的および化学的安定性を有することを確実にし、これにより、耐劣化性を向上させることができる。
いくつかの実施形態では、本発明において前駆体として使用するのに好適な、キノン基で置換されたビニル系モノマーは、下記の化学式(II)の化合物である。
Figure 2017533347
YおよびXは、上記の化学式(I)における定義と同一である。
いくつかの実施形態では、化学式(II)のキノン基で置換されたビニル系モノマーは、単独で、または追加的なビニル系コモノマーと共に使用される。好適なビニル系モノマーは、プラズマによる(共)重合が可能な任意のビニル系モノマーであり得る。代表例としては、アクリレート、メタクリルレート、スチレンおよびその誘導体、ビニルエステル、ビニルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、不飽和植物油、脂肪酸、アクリル酸、メタアクリル酸、ビニルアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、および/またはエチレンが挙げられる。特に、ビニル系コモノマーが液体である場合、液体ビニル系コモノマーは、コモノマーと、化学式(III)のキノン基で置換された固体ビニル系モノマーを溶解させるための溶剤との両方として使用することができる。
いくつかの実施形態では、化学式(II)のキノン基で置換されたビニル系モノマーは、単独で、または追加的な非ビニル系コモノマーと共に使用される。非ビニル系コモノマーの例としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オルトケイ酸テトラエチル、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロオクタシロキサン、および/またはポリジメチルシロキサンおよびその誘導体などのシロキサン形成材料が挙げられる。特に、非ビニル系コモノマーが液体である場合、液体非ビニル系コモノマーは、コモノマーと、化学式(II)のキノン基で置換された固体ビニル系モノマーを溶解させるための溶剤との両方として使用することができる。この非ビニル系モノマーの使用により、カテコール/キノン官能基を含むマトリクスの形成が可能となる。このマトリクスは、膜が物理的および化学的安定性を有することを確実にし、これにより、耐劣化性を向上させることができる。
一般的に、カテコール基で置換された非ビニル系分子は、少なくとも1つのカテコール基を有し、かつ重合可能な二重結合を持たない分子である。いくつかの実施形態では、本発明において前駆体として使用するのに好適な、カテコール基で置換されたビニル系分子は、下記の化学式(III)の化合物である。
Figure 2017533347
は、1または複数の任意選択で置換された、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、および/または芳香族基を表す。また、2以上のR置換基の組み合わせは、多環シクロアルキル、ヘテロシクロアルキ、および/または芳香族基を表す。好適な置換基は、水素またはハロゲン原子、あるいは、水酸基、アミン、アミド、エステル、エーテル、および/またはカルボン酸基である。
いくつかの実施形態では、本発明において前駆体として使用するのに好適な、カテコール基で置換された非ビニル系分子は、下記の化学式の化合物である。
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
いくつかの実施形態では、カテコールで置換された分子は、ドーパミン、1,2−ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシフェニル誘導体(DHPD)、および/または、例えばタンニンなどのポリフェノールであり得る。
本発明における使用に好適なDHPD分子は、WO2008/019352に記載されている。いくつかの実施形態では、好適なDHPD分子は、下記の化学式(IV)の化合物である。
Figure 2017533347
およびRは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素原子、または飽和または不飽和、分鎖または非分鎖、置換または非置換のC1−4炭化水素基である。Pは、別々に独立して、−NH、−COOH、−OH、−SHを表す。
Figure 2017533347
およびRは、上記に定義した通りであり、
単結合、ハロゲン、
Figure 2017533347
各AおよびAは、互いに独立的に水素原子を表す。
保護基、
実質的にポリ(アルキレン酸化物)
Figure 2017533347
nは、1−3の整数を表し、Aは、水素原子、または、アルキル、エステル、エーテル、またはアミド基を表し、Aは、
Figure 2017533347
(ただし、Rは、H、C1−6低アルキルを表す)、または
Figure 2017533347
(ただし、R5は、水素原子、または飽和もしくは未飽和、分鎖もしくは非分鎖、飽和もしくは非飽和のC1−4炭化水素基を表す)を表し、
Dは、1−50の値を有する。
いくつかの実施形態では、Dは、1−25の値を有する。いくつかの実施形態では、Dは、整数の値を有する。いくつかの実施形態では、ポリ(アルキレン酸化物)置換基は、下記の構造を有する。
Figure 2017533347
およびRは、互いに独立して、水素原子または−CHを表し、mは、1−250の値を有し、Aは、−NH、−COOH、−OH、−SH、−H、または保護基を表す。
いくつかの実施形態では、化学式(IV)の好適な化合物は、
Figure 2017533347
である。R、R、およびPは、上記に定義した通りである。
いくつかの実施形態では、化学式(IV)の好適な化合物は、
Figure 2017533347
である。LGは、結合基を表し、実質的にポリ(アルキレン酸化物)、アクリレート、メタクリルレート、ビニル基、およびそれらの誘導体のオリゴマーから選択されるか、または、化学構造式−[C(R)(R)]−Pを有する。RおよびRは、上記に定義した通りである。Pは、−NH、−COOH、−OH、−SH、単結合、ハロゲン、−NH−A−、−C(O)A、−CH(NHA)−C(O)−Aを表す。Aは、−H、−C、単結合、保護基、実質的にアルキル、ポリ(アルキレン酸化物)、ペプチジル、アクリレーテッド、および/またはメタクリルレーテッド基を表すか、またはAおよびAについて定義した通りである。Aは、−OH、−NHを表すか、またはAおよびAについて定義した通りである。
いくつかの実施形態では、化学式(IV)の好適な化合物は、
Figure 2017533347
である。LGは、上記に定義した通りである。
いくつかの実施形態では、カテコールおよび/またはキノンの誘導体として使用されるDHPDは、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)、ドーパミン、3,4−ジヒドロキシドロケイ皮酸(DOHA)、前駆体、およびそれらを誘導体化した形態であり得る。前駆体の例としては、これに限定されないが、チロシン、チラミン、ヒドロケイ皮酸、フェニルアラニン、ベンゼンプロパン酸、ベンジルエタミン、2,4,5‐トリヒドロキシフェニルアラニン、および、水酸化または脱水酸化してDHPDを形成することができる他のフェノールまたはベンジルが挙げられる。DHPDのさらなる誘導体化形態の例としては、保護基を有するDHPD、水酸基上の金属イオンへのDHPD結合、または、アクリレート、メタクリルレート、実質的なポリ(アルキレン酸化物)で修飾したDHPD、PHPDを含有するペプチドまたはオリゴマーおよびその前駆体、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、上記の化学式(III)の化合物や化学式(IV)の化合物などのカテコール基を有する非ビニル系分子は、単独で、またはビニル系コモノマーと共に使用される。好適なビニル系モノマーは、プラズマによる(共)重合が可能な任意のビニル系モノマーであり得る。代表例としては、アクリレート、メタクリルレート、スチレンおよびその誘導体、ビニルエステル、ビニルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、不飽和植物油、脂肪酸、アクリル酸、メタアクリル酸、ビニルアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、および/またはエチレンが挙げられる。特に、ビニル系コモノマーが液体である場合、液体ビニル系コモノマーは、コモノマーと、化学式(III)の化合物または化学式(IV)の化合物を溶解させるための溶剤との両方として使用することができる。
いくつかの実施形態では、上記の化学式(III)の化合物や化学式(IV)の化合物を含む非ビニル系分子は、単独で、または追加的な非ビニル系コモノマーと共に使用される。非ビニル系コモノマーの例としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オルトケイ酸テトラエチル、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロオクタシロキサン、および/またはポリジメチルシロキサンおよびその誘導体などのシロキサン形成材料が挙げられる。特に、非ビニル系コモノマーが液体である場合、液体非ビニル系コモノマーは、コモノマーと、化学式(III)の化合物または化学式(IV)の化合物を溶解させるための溶剤との両方として使用することができる。この非ビニル系モノマーの使用により、カテコール/キノン官能基を含むマトリクスの形成が可能となる。このマトリクスは、膜が物理的および化学的安定性を有することを確実にし、これにより、耐劣化性を向上させることができる。
一般的に、キノン基で置換された非ビニル系分子は、少なくとも1つのキノン基を有し、かつ重合可能な炭素−炭素二重結合を持たない分子である。いくつかの実施形態では、本発明において前駆体として使用するのに好適な、キノン基で置換された非ビニル系分子は、下記の化学式(V)の化合物である。
Figure 2017533347
任意選択可能な置換基Rは、上記に定義した通りである。代表的な例は、1,2−キノンである。
いくつかの実施形態では、化学式(V)の非ビニル系化合物は、単独で、または追加的なビニル系コモノマーと共に使用される。好適なビニル系モノマーは、プラズマによる(共)重合が可能な任意のビニル系モノマーであり得る。代表例としては、アクリレート、メタクリルレート、スチレンおよびその誘導体、ビニルエステル、ビニルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、不飽和植物油、脂肪酸、アクリル酸、メタアクリル酸、ビニルアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、および/またはエチレンが挙げられる。特に、ビニル系コモノマーが液体である場合、液体ビニル系コモノマーは、コモノマーと、化学式(V)の化合物を溶解させるための溶剤との両方として使用することができる。
いくつかの実施形態では、化学式(V)の非ビニル系化合物は、単独で、または非ビニル系コモノマーと共に使用される。非ビニル系コモノマーの例としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オルトケイ酸テトラエチル、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロオクタシロキサン、および/またはポリジメチルシロキサンおよびその誘導体などのシロキサン形成材料が挙げられる。特に、非ビニル系コモノマーが液体である場合、液体非ビニル系コモノマーは、コモノマーと、化学式(V)の化合物を溶解させるための溶剤との両方として使用することができる。この非ビニル系モノマーの使用により、カテコール/キノン官能基を含むマトリクスの形成が可能となる。このマトリクスは、膜が物理的および化学的安定性を有することを確実にし、これにより、耐劣化性を向上させることができる。
本発明において使用される、カテコールを含むポリマーは、鎖末端および/または鎖に沿って少なくとも1つのカテコール基で置換された、合成または非合成の任意のポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、本発明において使用することができる、カテコールを含むポリマーは、化学式(VIa)のポリ(ドーパミン)、化学式(VIb)のポリ(コーヒー酸)、化学式(VIc)のポリマー(Rはアルキル基または水素を表し(一般的にRはメチルまたは水素を表す)、
Figure 2017533347
がポリマーの主骨格とカテコール基との間のリンカーを表す)、化学式(VId)のポリ(ドーパミンアクリルアミド)、化学式(VIe)の酸化ポリ(ドーパミンアクリルアミド)、および化学式(VIf)のタンニンを含む。
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
Figure 2017533347
いくつかの実施形態では、上記したカテコールを含むポリマーは、水溶液または有機溶液に溶かして堆積させることができ、単独で、または、追加的なビニル系コモノマーと混合して使用することができる。ビニル系コモノマーは、プラズマによる(共)重合が可能な任意のビニル系モノマーであり得る。その代表例としては、アクリレート、メタクリルレート、スチレンおよびその誘導体、ビニルエステル、ビニルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、不飽和植物油、脂肪酸、アクリル酸、メタアクリル酸、ビニルアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、および/またはエチレンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、上記したカテコールを含むポリマーは、単独で、または、追加的な非ビニル系コモノマーと混合して使用することができる。非ビニル系コモノマーの例としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オルトケイ酸テトラエチル、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロオクタシロキサン、および/またはポリジメチルシロキサンおよびその誘導体などのシロキサン形成材料が挙げられる。
本発明において使用される、キノンを含むポリマーは、鎖末端および/または鎖に沿って少なくとも1つのキノン基で置換された、合成または非合成の任意のポリマーであり得る。いくつかの実施形態では、本発明において使用することができる、キノンを含むポリマーは、化学式(VIe)のポリ(コーヒー酸)、および/または化学式(VIf)の酸化ポリ(ドーパミンアクリルアミド)であり得る。
Figure 2017533347
Figure 2017533347
いくつかの実施形態では、上記の化学式(VIe)または(VIf)で定義されたキノンを含むポリマーは、水溶液または有機溶液に溶かして堆積させることができ、単独で、または、追加的なビニル系コモノマーと混合して使用することができる。ビニル系コモノマーは、プラズマによる(共)重合が可能な任意のビニル系モノマーであり得る。その代表例としては、アクリレート、メタクリルレート、スチレンおよびその誘導体、ビニルエステル、ビニルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、不飽和植物油、脂肪酸、アクリル酸、メタアクリル酸、ビニルアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、および/またはエチレンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、上記の化学式(VIe)または化学式(VIf)で定義されたキノンを含むポリマーは、単独で、または、追加的な非ビニル系コモノマーと混合して使用することができる。非ビニル系コモノマーの例としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オルトケイ酸テトラエチル、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロオクタシロキサン、および/またはポリジメチルシロキサンおよびその誘導体などのシロキサン形成材料が挙げられる。
いくつかの実施形態では、前駆体として使用される、カテコールまたはキノンを含むポリマーのモル質量は、1000g/molから10×10g/molの範囲、好ましくは2000g/molから5x10g/molの範囲であり得る。
本発明において使用される、カテコールおよび/またはキノン基で置換されたポリマーは、直鎖状、分鎖状、多分鎖状、星型であり得る。本発明において使用される、カテコールおよび/またはキノン基で置換されたポリマーは、ランダム、またはブロック様構造であり得る。前記ポリマーは、下記のスキ−ムに示す合成コポリマー、またはカテコールを含むペプチドであり得る。前記(コ)ポリマーの電荷は、中性、負、または正であり得る。
Figure 2017533347
いくつかの実施形態では、カテコールで置換された分子またはポリマーは保護され得る。保護されたカテコール置換分子またはポリマーは、本発明において、単独で、またはビニル系もしくは非ビニル系のコモノマーと混合して使用することができる。好適な保護基の例としては、アルキル基またはシラン基が挙げられる。当業者に公知の別の保護基は、例えば、「Greene's protective groups in organic synthesis, 4th edition, P.G.M. Wuts, T.W. Greene; Wiley-lnterscience, 2007, John Wiley & Sons, Inc.」に記載されている。保護されたカテコールを含むビニル系モノマーとしては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2017533347
Figure 2017533347
いくつかの実施形態では、ステップ(b)において、無機および/または有機(ナノ)粒子、例えば金属(ナノ)粒子を、本発明のプラズマ重合(ステップ(c))に使用する前駆体に加えてもよい。金属(ナノ)粒子は、例えば、元素金属(AgまたはAu)、金属酸化物(Al、ZnO、Fe、および/またはFe)、金属ハロゲン化物(AgClまたはAgBr)、金属硫化物(PbS、CdS、および/またはAgS)などであり得る。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ステップ(c)の前に、前駆体に重合開始剤を注入するステップ(b1)をさらに有する。
あるいは、本発明の方法のいくつかの実施形態では、重合開始剤は、ステップ(c)の開始時またはステップ(c)の実施中に、堆積チャンバ内に注入される。
いくつかの実施形態では、重合開始剤は、フリーラジカル開始剤であり得る。フリーラジカル開始剤は、フリーラジカル、例えば、加熱分解、光分解またはプラズマ照射によりラジカルを生成する前駆体(アゾ化合物、過酸化物またはペルオキシエステル)を作製する物質である。フリーラジカルは、光学系および/または高エネルギー放射線(例えばX線またはガンマ線)により生成することもできる。
好適なフリーラジカル開始剤の例としては、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−ヒドロキシエチルプロピオンアミド]、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−エチル)−プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2'−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2'−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、ポリエチレングリコール単位を有するアゾ開始剤(ドイツ国のWako Chemicals GmbH社から、VPE 0201、VPE 0401、VPE 0601の商品名で販売されている)が挙げられる。ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ジ次亜硝酸−tert−ブチル、次亜硝酸ジクミル、および過酸化水素を使用することもできるが、それらは、ジヒドロキシフェニル部分を酸化してキノン形態に誘導する可能性がある。酸化の程度は、プラズマ重合中に導入する開始剤の割合に依存する。
いくつかの実施形態では、例えばベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、アシルホスフィンオキシドおよび/または光酸化還元系などの光分解によりラジカルを生成する開始剤が、ステップ(b)で使用され得る。
いくつかの実施形態では、例えば酸化剤と還元剤との組み合わせなどの酸化還元反応によりラジカルを生成する開始剤が、ステップ(b)で使用され得る。好適な酸化剤は、例えば、ペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシドである。好適な還元剤は、例えば、Fe(II)塩、Ti(III)塩、チオ硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、アスコルビン酸およびその塩、シュウ酸およびその塩、D型グルコース、およびロンガリッド(登録商標)(ドイツ国ルートウィヒスハーフェン、BASF AG社製のホルムアルデヒド・スルホキシル酸ナトリウム)である。いくつかの実施形態では、還元剤は、酸化剤によるジヒドロキシフェニル部分の酸化を制限するために慎重に選択されるべきである。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(c)で使用されるプラズマは、低圧、中圧または大気圧下で実施される非平衡プラズマである。いくつかの実施形態では、本発明に係る方法は、プラズマ堆積チャンバにおいて実施される。いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(a)は、プラズマ堆積チャンバを用意するステップを含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(c)は、基材における前駆体と接触する表面部分に官能化層を形成するステップを含む。
いくつかの実施形態では、プラズマの生成のために、ステップ(c)において電気的励起が使用され得る。いくつかの実施形態では、電気的励起は、1−500KHz(低周波数)および0.1−2.45GHz(マイクロ波)の範囲の周波数を有する電気信号を含む。いくつかの実施形態では、電気的励起は、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、または81.36MHzの無線周波数信号を含む。
いくつかの実施形態では、電気信号は、連続波形またはパルス波形で送達される。いくつかの実施形態では、プラズマ放電は、オン期間(ton)とオフ期間(toff)とが繰り返されるパスルモードで行われる。これらの条件下で、コーティングを形成するための荷電種に干渉することなく、オン期間(ton)ではモノマーの活性化および/または分離、並びに表面の活性部位の生成が行われ、オフ期間(toff)では重合が行われる。いくつかの実施形態では、界面反応に利用可能な多数のカテコール/キノン基を含む付着層を得るために、プラズマのオフ期間の長さは、オン期間よりも重要となる。したがって、本発明に係る方法のステップ(c)は、低いまたは極端に低いデューティサイクル(DC)を有する。デューティサイクルは、下記の式により算出することができる。
DC,%=ton/(ton+toff)100
いくつかの実施形態では、デューティサイクルは、使用される発電機のタイプに依存する。例えば、正弦波チョップ型の発電機では、デューティサイクルは、1−50%であり、オン期間は、例えば1ms−30msであり得る。短矩形パルス型の発電機では、デューティサイクルは、0.01−1%であり、オン期間は、例えば1−50μsおよび/または100−500nsであり得る。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(c)は、ガスの使用を含む。いくつかの実施形態では、不活性ガス(例えば窒素)または希ガス(例えばアルゴンやヘリウム)を使用することができる。いくつかの実施形態では、不活性ガスまたは希ガスと、酸化ガス(例えばOやHO蒸気)または還元ガス(例えばHやアンモニア)との混合物などのガス混合物が使用される。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(c)は、前駆体(ステップb)を堆積チャンバに導入して基材(ステップa)およびプラズマと接触させるために、前駆体導入装置の使用を必要とする。選択された前駆体の物理的特性に応じて、様々な前駆体導入装置を使用することができる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(c)は、大気圧プラズマ法を用いて実施することができる。この場合、前駆体は、高蒸気圧を有する液体であり、堆積チャンバへの前駆体の導入は、気泡曝気装置(bubbler system)を使用して実施することができる。前駆体が非熱過敏性の液体である場合、加熱気泡曝気装置を使用することにより、堆積チャンバへの前駆体の導入を向上させることができる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(c)は、大気圧プラズマ法を用いて実施することができる。この場合、前駆体は、低蒸気圧を有する液体であり、堆積チャンバへの前駆体の導入は、噴霧装置を使用して実施することができる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(c)は、大気圧プラズマ法を用いて実施することができる。この場合、前駆体は、非熱敏感性の固体であり、堆積チャンバへの前駆体の導入は、前駆体の溶融装置と、噴霧装置または超音波噴霧スプレーノズルを使用して実施することができる。あるいは、前駆体が非熱敏感性であり昇華温度が高い場合は、前駆体の導入は、加熱制御装置および蒸気流制御装置をそれぞれ使用して実施することができる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(c)は、低圧プラズマ法を用いて行うことができる。この場合、前駆体は、容器内に収容された固体であり、堆積チャンバへの前駆体の導入は、昇華した前駆体の流動を制御するために前駆体ラインに設置された質量流量制御装置またはマイクロリーク弁を使用して制御することができる。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法のステップ(c)は、低圧プラズマ法を用いて行うことができる。この場合、前駆体は、容器内に収容された液体であり、堆積チャンバへの前駆体の導入は、噴霧装置または超音波噴霧スプレーノズルを使用して実施することができる。
上記した前駆体導入装置は、一例であり、他の種類の前駆体導入装置の使用を排除するものではない。上記した前駆体導入装置は、カテコールおよび/またはキノン基を含むポリマーのプラズマ堆積のために使用することもできる。
いくつかの実施形態では、プラズマ堆積チャンバへの前駆体の導入位置は、選択することができる。いくつかの実施形態では、下記の3つの前駆体導入位置のうちの1つを用いることができる。
(a)プラズマ放電帯域への導入
(b)プラズマ放電後帯域への導入
(c)プラズマ放電またはプラズマ放電後帯域と接触する前の基材表面上への堆積
いくつかの実施形態では、コーティングは、例えば1×1011ないし1×1018/cmの多数のカテコールおよび/またはキノン置換基を有する高官能化コーティングであり得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、基材の表面の全体または一部に形成され得る。いくつかの実施形態では、本発明に係る、基材に形成された実質的に溶剤を含まないコーティングは、検出可能な量の溶剤(本発明に係る方法における使用に好適であるとして本明細書中に説明した化合物ではない)を含まない。
いくつかの実施形態では、本発明に使用される基材は、無機基材または有機基材であり得る。好適な無機基材は、例えばニッケル、チタン、スチール、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属基材、または、例えばガラスやシリコンウエハーなどのセラミック基材であり得る。好適な有機基材は、例えばナイロン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリマー系基材であり得る。いくつかの実施形態では、基材は、メッシュの形態であり得る。いくつかの実施形態では、基材は、金属化ポリマー、金属化ガラス、塗装ポリマー、塗装された金属などの予めコーティングされた基材であり得る。
いくつかの実施形態では、カテコールおよび/またはキノン官能化面は、他の官能基(例えば、アミン、チオール、ヒドロキシル、カルボキシル基)または他の反応基のいずれかと、不可逆的(共有結合)または可逆的(水素結合、電子π−π相互作用)な化学架橋を形成する能力を有する。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法により得られる付着性コーティングは、カテコールおよび/またはキノン官能化層である。本発明に係るコーティングされた基材は、生体分子との相互作用に有用である。コーティングが界面接着剤としての役割を果たすと考えられるからである。いくつかの実施形態では、本発明に係るコーティングされた基材は、生体分子を含む。
いくつかの実施形態では、生体分子は、生理活性分子および/または天然もしくは合成ペプチドまたはタンパク質(例えば酵素)であり得る。いくつかの実施形態では、生体分子は、その自由形態(すなわち、コーティングされた基材に固定化される前)において、少なくとも1つの官能基(少なくとも1つのアミノ基および/または少なくとも1つのチオール基であり得る)を含む。この官能基は、非常に緩やかな反応条件下(例えば室温および水溶液)で、本発明に係るコーティングされた基材中に含まれる酸化ジヒドロキシフェニル基のキノン形態との容易な反応を可能にすると考えられる。生体分子は、その1または複数のアミノ基および/またはチノール基が、コーティングされた基材におけるコーティングのキノン官能基と反応することにより、コーティングされた基材に対して化学的に、一般的には共有結合的に結合される。生体分子は、コーティングに追加的な官能性を付与するように選択される。例えば、抗微生物活性が所望される場合、細菌、真菌、植物、動物、人間に由来する、または、de novoデザインおよび化学合成により得られた類似化学構造体などの抗微生物ペプチドおよび/またはタンパク質を使用することができる。同様に、抗微生物物質を使用することもできる。抗微生物物質の例としては、ナイシン、リゾチーム、ナタマイシンおよび/またはメラミンペプチドが挙げられる。抗微生物有機分子のさらなる例は、キトサンまたは当分野で公知の他の抗微生物性分子、例えばトリクロサンやイソチアゾリノンなどである。対象となる生体分子の他の例は多糖類であり、抗微生物多糖類の一例は、キトサンである。同様に、例えばディスパーシンBなどの抗バイオフィルム生体分子または合成基材を使用することができる。いくつかの実施形態では、コーティングされた基材は、例えば銀ナノ粒子などの抗微生物性金属ナノ粒子を含むことができ、コーティングのカテコール基は、コーティングの形成および安定化に利用される。
例えば構成物質の分解などの水汚染除去が目的とされる場合、生体分子は、これに限定されないが、β−ラクタマーゼを含む酵素であり得る。コーティングされた基材の使用目的に応じて、他の生体分子を選択してもよい。
本発明に使用される第1の大気圧プラズマ堆積チャンバの概略断面図 (a)スプレーされたDOA−VTMOS溶液、(b)スプレーされたVTMOS由来のプラズマ堆積層、(c)スプレーされたDOA−VTMOS溶液由来のプラズマ堆積層の各々のFT−IRスペクトル (a)ビニルトリメトキシシラン(VTMOS)溶液中の0.5mg/mLのドーパミンアクリルアミド(DOA)、(b)金属基材上にスプレーされた溶液(a)、(c)溶液(a)由来のプラズマ堆積層の各々のUV可視スペクトル 遊離および固定化β−ラクタマーゼによるアモキシンリンの分解を示す棒グラフ 本発明に使用される第2の大気圧プラズマ堆積チャンバの概略断面図 本発明に使用される低圧プラズマ堆積チャンバの概略断面図 本発明に係るコーティングされた基材の第1の実施例の概略断面図 本発明に係る部分的にコーティングされた基材の第2の実施例の概略断面図
図1は、第1の大気圧プラズマ堆積チャンバ100を示す。チャンバ100は、スプレー装置105と、プラズマ生成装置107と、可動テーブル110と、無機または有機基材120とを含む。スプレー装置105は、前駆体入口130と超音波スプレー装置140とを有する。超音波スプレー装置140は、ステップ200において基材120に堆積して初期コーティング層152を形成する微小液滴150を生成する。いくつかの実施形態では、超音波スプレー装置140は、48KHzの超音波噴霧ノズル(Sono-Tek社製)であり得る。プラズマ生成装置107は、一対の電極160、160と、ガス流入口170と、高電圧回路180と、ガス出口190とを有する。プラズマ生成装置107は、可動テーブル110の垂直方向上方に、基材120から離間して配置されている。ステップ300においてプラズマが生成されたとき、基材120A上に官能化された付着有機コーティング層152Bが形成される。官能化された付着有機コーティング層152Bは、官能化されたカテコールおよび/またはキノン基154を有する。
図5は、第2の第1の大気圧プラズマ堆積チャンバ500を示す。チャンバ500は、プラズマ生成装置507と、可動テーブル510と、無機または有機基材520とを含む。プラズマ生成装置507は、一対の電極560、560と、ガスおよび前駆体入口570と、高電圧回路580と、ガスおよび前駆体出口590とを有する。プラズマ生成装置507は、可動テーブル510の垂直方向上方に、基材520から離間して配置されている。出口590から導入されたガスおよび前駆体並びに基材520に対して、その後、プラズマ重合ステップ300を施される。これにより、付着コーティング552Bを有する、有機または無機材料製の基材520Aが得られる。コーティング552Bは、キノン基554およびカテコール基555を有する官能化された有機層である。
図6は、低圧プラズマ堆積チャンバ600を示す。チャンバ600は、堆積チャンバ605と、高圧電極602と、接地電極601と、生成されたプラズマ603と、プラズマガスおよび前駆体の入口604と、ポンプに接続された出口606と、基材620と、官能化層652とを含む。
図7は、本発明の第1実施形態に係るコーティングされた基材700を示す。コーティングされた基材700は、基材704と、溶剤を含まない付着コーティング702とを含む。図8は、本発明の第2実施形態に係るコーティングされた基材800を示す。コーティングされた基材800は、基材804と、基材804を部分的に覆う溶剤を含まない付着コーティング802Aおよび802Bとを含む。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照してさらに説明される。
(準備的な実施例1)
この準備的な実施例1では、N−(3,4−ジヒドロキシフェネチル)アクリルアミド(DOA分子(2))の合成を説明する。
この合成は、Leeらの手法(Lee, B. P.; Huang, K.; Nunalee, F. N.; Shull, K. .; Messersmith, P. B. J. Biomater. Sci. Polym. Ed. 2004, 15, 449-464.参照)を改良した手法を使用した。2口丸底フラスコに、12.1g(31.6mmol)のNa・10HOと、5.0gのNaCOと、475mLのMilli−Q水(18.2MΩ.cm、Millipore社製)を充填した。この塩基性水溶液を、超音波処理槽(Branson 2510、100W、42KHz)中で1時間脱気し、軽い真空を印加し、アルゴンで2時間バブリングした。3g(15.8mmol)のドーパミン塩酸塩(分子1)をアルゴン雰囲気下で添加し、30分間撹拌した。そして、フラスコを0℃で冷却した後、5.1mL(63.2mmol)の塩化アクリルを滴下し撹拌した。反応中の水溶液のpHを9以上に維持するために、9.0gのNaCOをさらに添加した。室温で12時間撹拌した後、6NのHClにより水溶液をpH1−2に酸性化し、開放容器内で1時間撹拌を継続した。酢酸エチルにより混合物を5回抽出し、0.1MのHClで洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶剤を真空で除去し、生の灰色のペーストを得た。ペーストをフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィにより精製すると、ジクロロメタン/メタノール(9:1)混合物(80%収率)が溶出した。
Figure 2017533347
(実施例2)
この例では、バイオインスバイアード抗微生物面の作製を説明する。
堆積に使用される基材は、1mmの厚さを有する、鏡面研磨304されたステンレス鋼ディスクまたはアルミニウムホイルである。ステンレス鋼ディスクを、まず、ブタン(5分)、アセトン(1分)および無水エタノール(1分)中で連続的に超音波洗浄し、その後、窒素流下で乾燥させた。ニワトリ卵白由来のリゾチーム(凍結乾燥粉末、タンパク質≧90%、≧40,000ユニット/mgタンパク質、アルドリッチ社製)を入手し、そのまま使用した。
プラズマ堆積前に、前記金属基材をプラズマ洗浄し、1.6W/cm、30秒間の連続波(CW)放電モードでのAr/Oプラズマ処理(19slm/1slm(1分間当たりの1標準リットル))により活性化させた。
準備的な実施例1で説明したように作製した、実験室で合成したドーパミンアクリルアミド(DOA、分子(2))を、ビニルトリメトキシシラン(VTMOS、98%、Sigma-Aldrich社製)中に、0.5mg/mLの最終濃度で、周囲室温で10時間溶解させた。
まず、調製した溶液を、図1に示した装置を使用して、48kHzの超音波噴霧ノズル140(Sono-Tek Corporation社製)により噴霧した。生成されたミスト150は、40マイクロメートルの中央径および5−200マイクロメートルのサイズを有する液滴からなった。シリンジポンプを使用して、溶液を0.25mL/分でノズルに注入した。ミスト150を生成するために、超音波噴霧ノズル生成器140を2Wに設定した。ノズル140の出力では、窒素流が、ミスト150を形成し、基材120上に導くために使用された。その後、高電圧回路180に接続され、平坦アルミナで覆われた2つの電極160、160を有し、18.72cmの効率的なプラズマ表面領域を確保する誘電体バリア放電反応器107により、アルゴン中でのプラズマ硬化を行った。サンプルを、動的堆積モードを確実にする可動テーブル110(すなわち、グランド電極)上に載置した。テーブル110の速度と電極160との距離は、100mm/sと1mmにそれぞれ固定した。プラズマ放電は、10kHzでの正弦波信号で発生させ、1667Hzの矩形信号でチョップした。電力密度は、1.6W/cmに設定した。
その後、リゾチーム(抗微生物ペプチド)の形態の生体分子を、コーティングされた表面上に、下記のようにして固定化させた。カテコール/キノン官能化層でコーティングされた基材を、5mg/mlのリゾチームを含有する10mMのリン酸緩衝液中に、pH11、室温で1時間浸漬し、緩やかに機械撹拌した。その後、サンプルを、MilliQ浄水で5分間、5回洗浄した。
金属化ステップの後、Hitachi SU-70 FE-SEMを使用して、走査型電子顕微鏡(SEM)の観察を実施した。
MCT検出機を備えたBruker Hyperion 2000分光器を使用して、FT−IR分析を実施した。コーティングされたステンレス鋼またはアルミニウム基材を分析するために、グレージング(grazing angle)またはAT対象をそれぞれ使用した。
単色Al?KαラインX線源(1486.6eV)、および20eVの通過エネルギーを用いて、Kratos Axis-Ultra DLD装置によりX線光電子分光(XPS)を実施した。積分球を備えたPerkinElmer Lambda 950 UV-vis-NIR(InGaAs)分光器を使用して、UV可視分光分析を実施した。
堆積層の枯草菌、グラム陽性細菌に対する抗微生物性を、ISO 22196抗微生物試験法により調べた。生存細菌の対数減少が2を超えた場合に、表面が抗微生物性を有すると見なした。この試験は、産業分野で幅広く用いられており、JISZ2801プロトコル27に由来する。この方法の詳細な説明は、JISZ2801プロトコル28に記載されている。
生成されたコーティングは、基材に良好に付着し、かつ粉末を含まなかった。SEM分析により、堆積が滑らかであり、表面全体を均等に被覆していることが明らかになった。後者は、XPS分析によっても確認され、AlおよびFeは検出されなかった。
官能基を含む完全に覆われた層を得るために、サンプルをプラズマに15秒未満で露出させた。全ての既存の方法は約1時間かかるが、この方法は数秒程度で済む。したがって、本発明に係る方法は、既存の方法と比較して、堆積速度は、少なくとも200倍速い。
接触形状測定器で測定したところ、堆積速度は、約5−10nm/s29と推定された。したがって、本発明は、カテコール/キノン官能化層を、既に報告されている従来の湿式化学方法よりも少なくとも200倍速い速度で堆積させることができる。
図2に報告されたFT−IR分析によれば、ドーパミンアクリルアミドおよびVTMOSのいくつかの特徴的なピークが検出されたので、プラズマ堆積層(スペクトルc)は、明らかに、DOAとVTMOSモノマーとの組み合わせによるものである。したがって、3345cm−1での広帯域は、カテコール由来のOH基と、ドーパミンアクリルアミドモノマーのアミド結合由来のNH基であり得る。=C−H伸縮に相当する3800cm−1でのわずかなショルダーは、芳香族化合物の存在を裏付ける。平面C−Hのたわみ振動から出る芳香族化合物が、830cm−1で見られる。2920cm−1でのショルダーは、芳香族のCH基の伸縮に起因する。多くのピークが、1500−1600cm間−1で重なり合っている。アミノII由来のNH曲げが、1500cm−1でのピークに存在し、芳香族C=Cが1520cm−1で存在する。1450cm−1でのピークは、CN伸縮に起因する。1740−1720cm−1の帯域は、キノン由来のC=OまたはC=O伸縮だと思われる。1650cm−1でのピークは、キノン基30由来のC=O曲げに起因し、ドーパミンアクリルアミドモノマーのアミド結合にも起因すると思われる。DOAおよびVTMOS由来のビニルピーク(1650cm−1)が存在しないことは、ビニル系モノマー基の全体に渡ってプラズマ重合が生じたことを示唆する。1200−1000cm−1、940cm−1、1280cm−1でのSi−O伸縮ピーク、Si−OHピーク、Si−O−CHピークの存在を考慮すると、カテコール/キノン官能化層は、VTMOSの使用により生成されるシリカネットワークから構成されていると結論付けることができる。最後に、1100cm−1でのピークは、E.Faureのレビュー31において推測されているように、カテコールとラジカル間の反応により生成されたC−C/C−0ネットワークに由来するSi−O−SiピークとC−C/C−0ピークとの間に、重複が存在すると思われる。
カテコールは、UV帯域で吸収する発色団化合物である。透過率UV可視分析により、VTMOS溶液中のドーパミンアクリルアミドが、290nm付近で吸光度ピークを示すことが分かった(図3のa)。プラズマ堆積層のUV可視分析により、このピークから276nmに向かって小さなシフトを有するカテコール遊離基の存在が裏付けられた(図3のc)。この小さなシフトは、表面にスプレーされたDOA/VTMOS溶液のUV可視分析により観察された(図3のb)。プラズマ堆積層における、320nmでの帯域の形成と、420nmでのピークの出現を気付くであろう。前者のピークは、ドーパミン誘導体による高分子量のポリマーの形成に起因すると思われる。420nmでのピークは、カテコールの酸化およびフェノール結合生成物の蓄積であり得る。
同一の堆積工程条件におけるVTMOS溶液由来のプラズマ堆積層と、DOA/VTMOS溶液由来のプラズマ堆積層とのXPS分析(表1)を比較すると、層内の両コモノマーの成功裏な統合が見られた。実際、DOA/VTMOS由来のプラズマ堆積層は、最大で2%の窒素元素を含む。
XPS分析によれば、窒素量の増加(2%から13%へ増加)、および生体分子の「証拠」である硫黄の存在が検出されたことにより、プラズマ堆積されたカテコール/キノン官能化層上にリゾチームが成功裏に固定化されたと結論付けることができる(表1のc)。
Figure 2017533347
リゾチーム固定化ステップの後に、プラズマ堆積層に対してJISZ2801抗微生物試験を実施した。金属グラフト化されたサンプルは、微生物集団の総数の減少を示した。抗微生物試験で設定された効果限界である2対数減少をはるかに上回る、微生物の6.9の対数減少が達成された。
(実施例3)
この例では、市販のカテコール分子をモノマーとして使用した、バイオインスパイアされた抗微生物表面の作製について説明する。
堆積に使用される基材は、1mmの厚さを有する、鏡面研磨304されたステンレス鋼ディスクである。プラズマ堆積の前に、ステンレス鋼ディスクを、ブタノン(5分)、アセトン(1分)、および無水エタノール(1分)中で連続的に超音波洗浄した後、窒素流下で乾燥させた。その後、前記金属基材をプラズマ洗浄し、1.6W/cm、30秒間の連続波(CW)放電モードでのAr/Oプラズマ処理(19slm/1slm(標準リットル/分))により活性化させた。
カテコール分子(1,2−ジヒドロキシベンゼン、Sigma-Aldrich社製、>99%)を、ビニルトリメトキシシラン(VTMOS、98%、Sigma-Aldrich社製)中に、5mg/mLの最終濃度で、周囲温度で溶解させた。
実施例2で説明したプラズマ堆積法を用いた。
この例では、ナイシン(抗微生物ペプチド)を生体分子として使用した。ナイシン(抗微生物ペプチド)の固定化の条件は、次の通りである。カテコール/キノン・プラズマ官能化層を、5mgのナイシンを含有する1mL溶液中に浸漬し、一定撹拌下で、周囲温度で1時間反応させた。ナイシンの固定化は、pH6.8の10mMリン酸緩衝液中で実施した。その後、ナイシンを固定化させた表面を、500rpmの撹拌下で、脱イオン水で5分間4回洗浄し、未反応ペプチドを除去した。
IS022196抗微生物試験を実施して、表面の抗微生物活性を調べた。
本発明に係る官能化カテコール/キノン層のプラズマ堆積により活性化され、抗微生物性ナイシンと反応させた表面における生存微生物は、最大で5の対数減少を示した。
(実施例4)
この例では、バイオインスパイアされた抗生体膜の作製について説明する。材料は、Kaplanらにより発表された手法(Kaplan, J.B. agunath, C. Ramasubbu N. Fine D.H, J. Bacteriol. 2005, 185, 4693)に従って製造したディスパーシンB(DispersinB、抗生体膜酵素)を生体分子として使用すること以外は、実施例2と同じ材料を使用した。実施例2と同一のプラズマ堆積法を用いた。
ディスパーシンB(抗生体膜酵素)の固定化は、次のようにして行った。カテコール/キノン・プラズマ官能化層で被覆された基材を、1mg/mlのディスパーシンBを含有するpH7の10mMリン酸緩衝液中に浸漬し、一定撹拌下で、室温で1時間、緩やかに機械的に撹拌した。その後、サンプルを、500rpmの撹拌下で、MilliQ浄水で5分間、5回洗浄した。
ディスパーシンBの作製についての補足的なデータは、次の通りである。pET−28a/DspBを発現する大腸菌(Escherichia coli)を、50μg/mlのカナマイシンが添加された50mLのLB培地中で撹拌しながら、37℃で一晩培養した。微生物の懸濁液を、カナマイシンを添加した2LのLB中で、100倍に希釈した。そして、培養物が0.6のA600に達したら、イソプロピル−β−D−オガラクトピラノシド(最終濃度は0.5mM)によってディスパーシンBの発現を誘導した。誘導培養物を、撹拌しながら、37℃でさらに4時間培養した。前述したようにして(Faure et al., Adv. Funct. Mater. 2012, 22, 5271-5282)、ニッケル親和性クロマトグラフィによりディスパーシンBを精製した。その断片を、SDS−PAGE、および、発現基質4−ニトロフェニル−N−アセチル−β−D−ガラクタサミニド(Sigma-Aldrich社製)を加水分解する能力により分析した。ディスパーシンBを含有している断片を、貯蔵し、10mMのPO(pH5.9)、100mMのNaClに対して、4℃で一晩透過させた。BCAキット(Pierce社製)を使用して、タンパク質を定量化した。
インビトロの抵接着性試験を次のようにして実施した。表皮ブドウ球菌(S. epidermidis ATCC35984)を形成する生体膜の前培養物を、LB(3ml)で、37℃で一晩培養し、翌朝、LB(50mL)に新鮮な培養物を撒いた。試験接種材料の微生物濃度を、グルコースおよびカザミノ酸を添加したM63培地中において約10細胞/mLとなるように調節した。高接着性膜で被覆した金属基材を、吸取紙を含むペトリ皿内に配置した。試験接種材料(200μL)を、各基材上にピペットで滴下させた。接種されたクーポンを含むペトリ皿を閉じ、37℃で24時間培養した。処理した基材を、脱イオン水(10mL)で2回洗浄し、接着していない微生物を除去した。その後、下向きにして、500倍に希釈したLB(20mL)および4mmのガラスビーズを含んでいるガラスビン内に配置した。ビンを水平方向に10分間シェイクし、その後、ビンの内容物を水槽内で2分間超音波分解した(50−60kHz)。10倍希釈をLB寒天上にプレーティングし、生存微生物をカウントした。プレートを37℃で一晩培養し、その後、コロニー形成単位をカウントした。
生物活性の評価は次のようにして行った。表2に示すように、本発明により形成した表面により実現された生物活性を要約すると、表面は、再現可能な方法により形成され、最大で97%の微生物数減少を示す強力な抗生物付着性を有すると結論付けることができる。
Figure 2017533347
(実施例5)
この例では、バイオインスパイアされた、水の汚染除去用(以降、抗生物質の分解用)の表面の作製について説明する。
金属および有機物の合成基材、すなわち、1mmの厚さを有する、鏡面研磨304されたステンレス鋼ディスクとナイロン膜とからなる合成基材を使用する。この例では、抗生物質を分解できる酵素であるβ−ラクタマーゼも、生体分子として使用する。プラズマ堆積法については、実施例1を参照されたい。
生体分子固定化の条件は、次の通りである。pH7.5の100mMリン酸緩衝液中の1mg/mlの生体分子濃度を使用して、β−ラクタマーゼ生体分子を、プラズマ堆積されたカテコール/キノン官能化層上に固定化した。
アモキシリンの分解を経時的にモニタすることにより、酵素活性を推定した。酵素を、0.22μmでろ過された水道水、HEPES(12.5mM)、BSA(10μg/mL)、およびアモキシンリン(100μg/mL)から成る2mLの分解培地中で培養した。24時間毎に、Synergy 2マイクロプレートリーダ(Biotek社製)を用いた210nmでの吸光度測定により、分解されたアモキシンリンの濃度を推定した。24時間毎に培地を除去し、ろ過した水道水によりウェルを3回洗浄し、ウェルに新しい分解培地を充填した。
溶液中の遊離酵素の酵素活性を分析した。最初の測定(T=24時間)に使用されたウェルでは、酵素は、100μg/mLのアモキシンリンを含有する2mLの分解培地中に、直接的に溶解した。時間T0での他の全てのウェルでは、酵素は、20mg/mLのアモキシンリンを含有する300μL溶液中に溶解した。全てのウェルには、24時間毎に、この同じ量が充填された。吸光度測定の24時間前に、ウェルに100μg/mLの抗生物質を補充し、2mLの最終体積を実現した。
生物活性の評価結果を図4に示す。図4は、遊離または固定化β−ラクタマーゼによるアモキシンリンの分解を示す棒グラフである。y軸は、アモキシンリンの分解の割合(パーセンテージ)を示す。x軸は、測定時間(時間)を示す。24時間、48時間、72時間、96時間では、アモキシンリンの分解の割合は、固定化β−ラクタマーゼ(左側の棒)と遊離β−ラクタマーゼ(右側の棒)との両方について示す。144時間、192時間、240時間、288時間、312時間では、固定化β−ラクタマーゼによるアモキシンリンの分解の割合だけを示す。
図4に示すように、固定化された酵素は、13日間に渡って、抗生物質を高い割合で分解できることが明確に観察された。また、24時間以降は、固定化酵素の生物学的性能は、遊離酵素よりも明らかに優れていることが分かった。
本発明に係る官能化ディスクの浸食に対する抵抗性を、基材をBiofilm Reactor Annular U 1320(Biosurface Technologies Corporation)内に配置することにより調べた。被覆された基材を、30km/hの水流に曝した。48時間および6日後に、酵素活性を調べた。興味深いことに、この侵食試験後の固定化された酵素の活性は変化しなかった。このことは、強力な酵素が、官能化された面に固定されていることを示す。
(実施例6)
この例では、キノン基を有する予め形成されたポリマーのプラズマ堆積に基づく、バイオインスパイアされた抗生体膜面の作製について説明する。
堆積に使用される基材は、1mmの厚さを有する、鏡面研磨304されたステンレス鋼ディスクまたはアルミニウム箔である。まず、ステンレス鋼ディスクを、ブタノン(5分)、アセトン(1分)、および無水エタノール(1分)中で超音波連続洗浄し、その後、窒素流下で乾燥させた。プラズマ堆積の前に、金属基材を、プラズマ洗浄し、1.6W/cm、30秒間の連続波(CW)放電モードでのAr/Oプラズマ処理(19slm/1slm(標準リットル/分))により活性化させた。
3,4−ジヒドロキシ−L−フェニルアラニン(P(mDOPA):分子1)を有するメタアクリルアミドのホモポリマーを、「J. Mater. Chem. 2011, 21, 7901-7904」記載された手法に従って作製し、塩基性媒体内で酸化させた。そして、20mgのP(mDOPA)を10mLの蒸留水中に溶解させ、その後、pHが10を超えるようにNaOH溶液(0.1M)をゆっくりと添加した。この酸化ステップを、空気中で、少なくとも一晩続けた。この反応の最後には、ポリマー溶液はピンク色を呈した。このことは、酸化されたP(mDOPA)ポリマー(分子2)が得られたことを示す。
Figure 2017533347
プラズマ堆積法および条件は、実施例2に説明した通りである。したがって、0.5mLのP(mDOPA)溶液を、シリンジドライバを使用してノズルに注入した。
使用した抗生体膜生体分子は、ディスパーシンBである。ディスパーシンBの作製および条件は、実施例4で説明した通りである。
生物活性の評価は、次のようにして行った。表3に示すように、本発明により形成された表面により実現された生物活性を要約すると、表面は、再現可能な方法により形成され、最大で85%の微生物数の平均減少を示す強力な抗生物付着性を有すると結論付けることができる。
Figure 2017533347

Claims (16)

  1. 基材にカテコールおよび/またはキノン官能化層を付着させる方法であって、
    (a)基材を用意するステップと、
    (b)キノン基、保護もしくは未保護のカテコール基、キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換された分子、および/または、カテコール基および/またはキノン基の天然もしくは合成誘導体を少なくとも含み、前記キノン基が1,2−ベンゾキノン基であり、かつ前記カテコール基が1,2−ジヒドロキシベンゼン基である前駆体を用意するステップと、
    (c)前記前駆体および前記基材に対してプラズマを照射し、前記基材上に、カテコールおよび/またはキノン官能化層を含むコーティングを形成するステップとを有することを特徴とする方法。
  2. 前記前駆体が、
    キノン基、
    保護もしくは未保護のカテコール基、
    キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換されたビニル系もしくは非ビニル系分子、および/または、
    1または複数の保護もしくは未保護のカテコール基および/またはキノン基を有するポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記前駆体が、
    キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換されたビニル系モノマー、
    キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換された非ビニル系分子、
    キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換されたポリマー、
    キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換されたビニル系モノマー、およびビニル系モノマーおよび/または非ビニル系モノマー、
    キノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換された非ビニル系分子、およびビニル系モノマーおよび/または非ビニル系モノマー、および、
    少なくともキノン基および/または保護もしくは未保護のカテコール基で置換されたポリマー、およびビニル系モノマーおよび/または非ビニル系モノマー
    からなる群より選択される1または複数であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 重合開始剤の使用を含み、
    前記重合開始剤は、好ましくは、前記ステップ(b)またはステップ(c)において添加されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記ステップ(a)の前記基材が、有機基材または無機基材であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  6. フリーラジカル開始剤の使用を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記前駆体が、
    ドーパミン、
    1,2−ジヒドロキシベンゼン、
    ジヒドロキシフェニル誘導体(DHPD)、および/または、
    ポリフェノールであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記ステップ(c)の前記プラズマが、低圧、中圧または大気圧下で実施される非平衡プラズマであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記ステップ(c)の前記プラズマは、電気的励起により生成されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
  10. 電気信号がパルス波形で送達されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記キノン基が1,2−ベンゾキノン基であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記前駆体が、1または複数の化学式(VII)の化合物および/またはその天然もしくは合成誘導体で置換されたビニル系もしくは非ビニル系分子を少なくとも含むことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の方法。
    Figure 2017533347
    両方のR置換基は、任意選択で保護された水酸基またはカルボニル基を表し、
    両方のR置換基が、カルボニル基である場合は、Rで置換された各炭素原子間の結合は単結合であり、
    両方のR置換基が、任意選択で保護された水酸基である場合は、Rで置換された各炭素原子間の結合は二重結合である。
  13. 実質的に無溶媒下でコーティングが形成された基材であって、
    前記コーティングが、カテコールおよび/またはキノン官能化層を含むことを特徴とする基材。
  14. 前記コーティングが、カテコール置換基および/またはキノン置換基で高度に官能化されていることを特徴とする請求項13に記載の基材。
  15. 前記基材が、無機基材または有機基材であることを特徴とする請求項13または14に記載の基材。
  16. 前記コーティングが形成された基材が、生体分子を含み、
    前記生体分子が、天然または合成のペプチドまたはタンパク質であることを特徴とする請求項13ないし15のいずれかに記載の基材。
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