本発明は、ユーザにガスの流れを供給するための患者インタフェース用患者接触要素に関し、患者接触要素は、使用中、ユーザの皮膚との実質上気密シールを提供するように構成される。さらに、本発明は、このような患者接触要素を含む患者インタフェースに関する。
患者インタフェース、例えば圧支持システムにおけるマスクは、ガスをユーザに供給するために使用される。空気、清浄空気、酸素、又はこれらの任意の改質のようなこのようなガスは、加圧又は非加圧の方法で患者インタフェースを介してユーザ(患者とも称される)に送られる。
幾つかの慢性疾患及び疾病に対し、このような患者インタフェースの使用は必要である又は少なくとも望ましい。
このような疾病の1つの例は、閉塞性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)である。OSAは通常、上気道の閉塞により引き起こされる。OSAは、睡眠中の繰り返しの呼吸の中断により特徴付けられ、通常は血中酸素飽和度の減少と関連付けられる。無呼吸と呼ばれる呼吸のこのような中断は、一般的に20秒から40秒続く。上気道の閉塞は通常、睡眠中に起こる身体の減少した筋緊張により引き起こされる。人間の気道は、軟組織の壁部から構成され、この軟組織の壁部は潰れてしまうことがあり、それにより睡眠中に呼吸を妨げる。舌組織は、睡眠中、喉の奥に向かって移動し、それにより気道を閉鎖する。したがって、OSAは一般にいびきを伴う。
OSAに対する異なる侵襲性及び非侵襲性治療が知られている。最も有力な非侵襲性治療の1つは、持続気道陽圧(CPAP)又は2相陽圧換気(BiPAP)の使用であり、ここでは患者インタフェース、例えばフェイスマスクがチューブ及び機械に取り付けられ、この機械は、患者の気道を開いたままにするために、加圧したガス、好ましくは空気を患者インタフェースの中にそして患者の気道を通って送風する。したがって、陽圧が、定期的に夜に患者に装着される、患者インタフェース又は呼吸インタフェース、例えばフェイスマスクに接続されるホースを通じて患者に供給される。患者インタフェースの装着は通常患者の睡眠時間中に行われるので、患者インタフェースの前述の長期間使用はその結果である。
患者インタフェースの例は:
−鼻の上に着けて、鼻孔にガスを供給する鼻マスク、
−口の上に着けて、口にガスを供給するオーラルマスク、
−鼻と口の両方の上に着けて、両方にガスを供給するフルフェイスマスク、及び
−マスクであるとともに本発明の範囲内にあると見なされ、鼻孔にガスを直接供給する小さい鼻挿入物から構成される、鼻枕、
である。
装置の確実な作動を保証するために、患者インタフェースは、マスクと顔のインタフェース(接点)で気密シールを提供するように、患者の顔に密接する必要がある。通常、患者インタフェースは、患者の頭の後ろを回るストラップを持つヘッドギアを使用して装着される。患者インタフェース又はマスクは、実際に、通常、マスクと患者のインタフェースとして使用される、すなわち、マスクが装着されるとき患者の顔に接触する、柔らかいクッションを有し、並びに、通常、いわゆるクッションを所定位置に保持するとともに患者インタフェースに機械的な安定性を与えるために硬質又は半硬質保持構造を作るマスクシェルを有する。
クッションは通常、患者の快適さを増加させるとともに患者の顔での柔らかい感触を保証するために、ゲル又はシリコーン又は任意の他の柔軟材料で作られた1又は複数のパッドを有する。後者の記載のマスクは通常、それらの供給ホースをマスクに接続するように適合されるホースインタフェースも有することになっている。マスクのタイプに応じて、人間の顔の気道機能の周りのマスクによって加えられる力をバランスさせるために、額状の追加のクッションサポートを持つ機構も有し得る。現在のCPAPマスクに関して、クッションは典型的には、顔との気密シールを作るために顔に押し付けられる薄肉シリコーン構造を有する。加えて、幾つかのマスクはまた、シリコーンシール構造のための下部サポート(underlying support)を提供するように、ゲル充填袋(gel-filled bladder)のような、シリコーン又は他の材料から構成された二次構造も含む。これらのサポート構造の機能は、シリコーンシール構造を通じて顔に圧迫力を伝えることによってクッションと顔との間の接触圧力をさらに増加させることである。
上述の患者インタフェースは通常一晩中且つ長期的に装着されるので、CPAPマスクのユーザが一晩中このようなマスクが持つ1又は複数の不都合を経験することは明らかであり、最も目立つのは、マスク不快感及び顔の赤い痕である。これら不都合は、マスクシール構造と顔との間に十分な接触圧力を提供することによって、漏れを防ぐこと及び十分なマスク安定性を確実にすることに起因して生じる。
技術分野では、不快な圧力点及び皮膚のマーキング、例えば、赤い痕、凹み、並びに全体的な長期にわたる不快感は、弛緩位置から圧迫された位置への変化に際して横の移動にさらされないクッションを提供することによって対処されている。
特許文献1は、患者インタフェース装置のためのクッションを含むこのようなマスクに関する情報を与える。患者接触要素と患者インタフェースのフレームの結合部との間に、結合部から延びるベース部及びベース部から外側に延びる傾斜部を有する壁部が設けられ、下部サポート部が傾斜部の中間部分から延び、膜がベース部と反対側の傾斜部の端部から延びる。傾斜部は、クッションが圧縮されていない位置から圧縮される位置に移行されるとき、膜及びサポート部の横方向の位置を維持するように構成される。
特許文献2は、呼吸用マスクのためのクッションを開示している。マスククッションは、呼吸可能なガスを患者の気道に供給するために使用され、チャンバ及び内側クッション構成要素を有する。患者接触側として働く外側バリア又は膜は、チャンバを形成するように内側クッション構成要素に付けられる。チャンバは、流体又はガスを含む。内側クッション構成要素は、連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体であり得る。マスククッションは、チャンバを加圧するために内側クッション構成要素を通ってチャンバに空気を導くためのチャンバ供給ダクトを有し得る。
特許文献3は、同心関係で配置されるとともに独立して加圧するように適合される少なくとも2つの袋を有する患者インタフェースのためのクッションを開示している。
顔の形状の広がり、マスクストラップ力の変異及び枕接触に起因するマスクに作用する外力のような妨害要因を考えると、全ての位置におけるクッション圧縮が最適な圧縮範囲であることを確実にすることは非常に困難である。
漏れを防ぐとともに十分なマスク安定性を確実にするために、最小接触圧力が、マスクシール構造と顔との間で必要とされる。この最小接触圧力は、使用されるCPAP圧と等しい。他方、高過ぎる接触圧力は、赤い痕に、そしてやがては褥瘡にさえつながる。
WO 2014/020468 A1
WO 2011/003128 A1
WO 2007/068044 A1
したがって、本発明の目的は、圧力点、赤い痕、及び/又は任意の他の不快感を生じさせることなしにユーザの顔に対して構造を確実にシールする患者インタフェース又はその構成要素を提供することである。他の目的は、ユーザの顔に対する安定した位置をマスクに与える患者インタフェース又はその構成要素の提供にある。さらに他の目的は、ユーザの顔との本質的に全ての接触点において正確且つ均等にシール接触(sealing contact)を維持する患者インタフェース又はその構成要素の提供である。
本発明の第1の態様では、ガスの流れをユーザに供給するための患者インタフェース用患者接触要素が提供される。前記患者接触要素は、使用中、ユーザの皮膚との実質的に気密なシールを提供するように構成され、以下を有する:
− ガスの流れの少なくとも一部を受ける入口、及び
− 患者接触要素の中に配置されるとともに入口と流体連通して配置される少なくとも1つのガス透過性要素。患者接触要素はさらに、少なくとも1つのガス透過性要素とユーザの鼻及び/又は口を受けるための患者接触要素の内側空間との間に配置される気密材料の第1の層を有し、気密材料は、その中に少なくとも1つの開口を有する。
本発明のさらなる態様では、ガスの流れをユーザに供給するための患者インタフェースが提示され、前記患者インタフェースは、患者接触要素を有する。
本発明はしたがって、患者接触要素の中に配置される柔軟な、空気透過性材料を有する本患者接触要素を提供することによって上述の不都合を克服し、これは、内部CPAP空気流においてCPAP圧で流れることを可能にする。この方法では、顔との最小必要接触圧力が確保され(CPAPと等しい)、応力集中が材料の柔軟さのために回避される。少なくとも1つのガス透過性要素の使用は、非定常クッション又は患者接触要素圧縮剛性を可能にし、これは、最適な圧迫範囲を著しく増加させるとともに、最適な圧迫範囲でのユーザの顔の全ての場所における圧迫を実現するのに役立つ。
本構成の主な利点は、シールのためのまさに必要な最小圧力が、全ての異なる値のCPAP圧に対して実現されることである。この方法では、シール構造は、CPAP圧が変化するとき、顔との接触圧力を自動的に調整する。これは、CPAP圧が、例えば自動圧調整(auto-titrating)CPAP及び/又はランプ(ramp)機能により、増加するとき、マスクの接触圧力が増加するとともにシールが維持されることを意味する。
少なくとも1つのガス透過性要素が、患者接触要素の内部に配置され得るとともに、患者接触要素によって提供されるユーザの皮膚との実質的に気密なシールを構成する。
患者インタフェース又はマスクによって顔に加えられる最小接触圧力は、最小必要シール圧力と等しい。これは、クッションの最小の圧縮がシールを達成するために必要とされることを意味する。その結果、最小の「与圧(pre-loading)」のみが、シールのための必要な接触圧力を達成するために必要とされるので、(圧縮方向における)クッションの深さが最小にされることができる。したがって、本患者接触要素又は患者インタフェースをユーザの顔に確実に取り付けるために用いられるストラップ又は他の締め付け手段は、最小の接触圧力を必要とする。さらに、ガス透過性要素の剛性は、顔の変動性及びマスクの安定性を、伝統的な構造より非常に大きい程度に、適応させるように最適化されることができる、すなわち、クッションは、赤い痕の接触圧力閾値を超えることなしに広い範囲の圧迫を受け得る。加えて、クッションの外側層は、非常に柔軟な材料から選ばれ得るとともに、例えば、しわを避けるために、クッションを材料内部で圧縮することによって、プレストレスの下に置かれ得る。
患者インタフェースのための患者接触要素は、装着する際ユーザの皮膚と直接接触する又は近接しているかのいずれかの任意の構成要素として理解され得る。患者接触要素は、例えば、クッション又はその上に形成又は作られる任意の他の皮膚接触材料であり得る。患者接触要素はまた、マスクシェル及び/又はそのサポートに対応し得る。
患者接触要素は、ユーザの皮膚との実質的に気密なシールを提供するように構成される。ユーザの皮膚との実質的に気密なシールは、入口を経て供給されるガスの流れに応じてガス透過性要素の膨張を可能にする。しかし、供給されるガスのある量が、ガス透過性要素を通過し且つユーザの皮膚と接触することが可能であり得るとともに望ましい。
本出願で使用される用語「実質的に」は、ユーザの皮膚のような、任意の他の構造に対する気密シールを概して示す。実質的に気密は、少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、98%以上、又は99%以上の空気がガス透過性要素の中に保持されることを示す。言い換えると、10%未満の空気が、実質的に気密なシールを通り得る。代替的には、用語「実質的に」は、十分な空気圧が患者接触要素の中に維持され且つ適切な空気流がユーザに供給されることに向けられていると理解されてよい。したがって、実質的に気密は、0.1L/min以上の空気流がユーザに供給されることを示し得る。好ましくは、1L/min以上の空気流が、10L/min以上の空気流が、又は50L/min以上の空気流でさえ、ユーザに供給される。ユーザの皮膚との完全な気密なシールもまた考えられる。ユーザの皮膚との実質的に気密なシールは、膨張状態での少なくとも1つのガス透過性要素の保持を可能にするとともに、同時に患者接触要素の接触部における空気の冷却流を供給し、皮膚を乾かした状態に保つのを助け、これは、赤い痕又は潰瘍のような、皮膚刺激を避けることを促進する。
患者インタフェースは、マスク又はその個別の部品のいずれかのために設計され得る。患者インタフェースは、例えば、互いに相互接続される2つの部材を有することができ、部材の一方は、ユーザの顔に接触するためのクッションを有し、他の部材は、クッションを保持するためのマスクシェルを有する。クッションは、皮膚接触材料を有し得る又はそれで作成され得る。皮膚接触材料はまた、以後シールフラップとも称され得る。
ここで使用されるガスの流れの少なくとも一部を受けるための入口は、少なくとも1つのガス透過性要素にガスを供給するための任意の種類のポートであり得る。ここで使用されるガスは、従来の呼吸空気又は合成空気を指す。合成空気は、呼吸空気を含んでよく、そこでは1又は複数の成分、例えば酸素が、高められる又は激減される。合成空気はまた、任意の呼吸可能な混合気、例えば、十分な酸素が含まれるという条件でのみ酸素及び窒素からなる混合気を含み得る。
少なくとも1つのガス透過性要素は、入口と流体連通して配置される。少なくとも1つのガス透過性要素は、発泡体及び/又はスペーサファブリック(spacer fabric)の積み重ねで作られ得る。例えば、連続気泡発泡体が発泡体として役立つ。ガス透過性要素は好ましくは、ユーザの顔との最適な接触を提供するためにユーザの顔又は頭への患者接触要素の密着(fit)を改良するように形成される。一般的に、患者接触要素の材料は、それが入口を介して供給されるガスの流れから独立して膨張可能且つ収縮可能であるとともにガス透過性要素の材料が供給されるガスの流れの圧力に応じてその体積を変化させる限り、特に限定されない。したがって、患者接触要素は、スポンジ状(sponge-like)、くし状(comb-like)構造又は任意の他の種類の多孔構造であり、孔はガスの許容流と少なくとも部分的に相互接続される。
患者接触要素はさらに、気密性を確実にするために少なくとも1つのガス透過性要素の少なくとも一部を覆う層を有し得る。代替的に又は追加で、スポンジ、くし及び/又は孔の材料は、その外側部分でシール特性を示し、本質的に完全なガス透過性要素が膨張し得る、すなわち、ふくらみ得る、又は収縮し得る、例えば、縮み得ることを確実にする。
表現「少なくとも1つ」は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の個別のアイテム、例えばガス透過性要素を含む本質的に任意の数を指すために使用される。しかし、ユーザの顔との全ての接触領域を含む単一のガス透過性要素の使用が好ましい。
ここで使用される表現「気密性」は、空気をそのようなものとして指す。しかし、任意の種類の合成空気も含まれ得る。
本発明の1つの実施形態によれば、患者接触要素は、少なくとも1つのガス透過性要素の少なくとも一部を覆う気密材料の少なくとも1つのさらなる層を有する。
少なくとも1つのガス透過性要素の少なくとも一部を覆う気密材料の少なくとも1つのさらなる層は、望ましくない領域での患者接触要素を通るガスの漏れを防ぐ。このような領域は、ユーザの皮膚との接触面及び/又は外側空間若しくは周囲と連通している患者接触要素の領域を含み得る。代替的に又は追加で、気密材料の層は、患者接触要素の内側空間からガス透過性要素を分け、この内側空間はユーザの鼻及び/又は口を受ける。層の材料は、容易に圧縮され得る高弾性材料、例えば、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体、及び気密又はコーティングされた織物であり得る。代替的には、層は、十分薄く選ばれ、ポリウレタン又はシリコーンのような材料で作られ、その結果、圧縮及びシワが、ユーザの顔と接触しないクッションの側壁に生じる。他の可能性は、層に与圧を与え、それによってクッションの内側を圧縮することにあり、これはしわを避けるのを助ける。当業者は、気密材料のこのような層のために使用される材料及び必要な厚さに関して熟知している。
気密材料の第1の層は、本質的にそれぞれの種類の柔軟な性質の気密材料を含み得る。このような気密材料の例は、特に、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体及びコーティングされた織物を含む。気密材料の第1の層は、少なくとも1つのガス透過性要素と患者接触要素との間の境界層を提供する。したがって、気密材料の第1の層は、患者接触要素の一部を形成し得るとともに、ユーザの口及び/又は鼻孔から患者接触要素を分ける。気密材料の第1の層に形成された少なくとも1つの開口は、ガスの流れの変化及び/又はユーザの顔への患者接触要素の接触圧力に応じて少なくとも1つのガス透過性要素の膨張及び収縮を可能にするように、少なくとも1つのガス透過性要素に入口を介して受け入れ十分なガスの流れを可能にする直径を有する。
少なくとも1つの開口は、本質的に任意の数の開口を有する。例えば、1から10000、好ましくは1から1000、50から500、又は100から200の数の開口が、少なくとも1つのガス透過性要素と患者接触要素との間の境界層に設けられ得る。代替的には、多孔材料が気密材料の第1の層を形成するために使用されることができ、孔の数、直径及び分布は、実際の要件にしたがって選ばれ得る。
既に上で示したように、気密材料の第1の層は、本質的に両方向のガスの流れを提供し得る。しかし、患者接触要素の構造に応じて、一方向の流れのみが達成され得ることがあり得る。ガスの流れの少なくとも一部を受ける入口は、例えば、ガス透過性要素に直接的に、そしてガス透過性要素を介して気密材料の第1の層に形成された少なくとも1つの開口を通ってユーザに提供され得る。したがって、この例は、ユーザに供給されるガスの流れがもっぱらガス透過性要素を通って流れる場合を記載している。
代替的には、患者接触要素は、ガスの流れを異なる部分に分けるように適合されることができ、必要な部分はユーザに直接供給され、ガスの流れの少なくとも他の部分は、少なくとも1つのガス透過性要素に供給される。したがって、ガスの流れの一部は、もっぱら少なくとも1つのガス透過性要素を膨張させるために使用される。ガス透過性要素に供給されるガスの流れはさらに、ユーザに皮膚との実質的に気密なシールを部分的に通過する。上で示されたように、これは、マスクの快適性を増加させるとともに赤い痕を形成する危険性を減少させるためにユーザの皮膚への有利な冷却及び乾燥効果を提供し得る。
少なくとも1つのガス透過性要素に蓄積される圧力はまた、患者接触要素の外側空間にガスの流れを供給することによって、減少し得る。また、上で示された2つの可能性の組合せ、すなわち、ユーザの皮膚へのガスの流れの一部及び患者接触要素の外側空間への他の部分の供給が考えられる。
本発明の他の実施形態によれば、患者接触要素は、少なくとも1つのガス透過性要素と使用中にガスの流れと流体連通しない患者接触要素の外側空間との間に配置される気密材料の第2の層を有する。
第2の層はしたがって、患者接触要素の内側空間と周囲/外側スペースとの間の境界層の一部を形成し得る。したがって、第2の層は、使用に際し周囲へのガスの漏れを防ぐ。第2の層は、例えば、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体及びコーティングされた織物からなるグループから選択される材料で形成され得る。
少なくとも1つのガス透過性要素の漏れ特性は、その材料、特にユーザの皮膚及び/又は外側空間への境界を形成するために使用される材料によって、影響され得るので、上述の第1の層及び第2の層は必ずしも必要とされないことは明白であり得る。既に上で示したように、少なくとも1つのガス透過性要素は、例えば、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねから形成され得る。孔のサイズ及び/又はスペーサファブリックの積み重ねの距離は、例えば、ユーザの皮膚、内側空間及び/又は外側空間に向かう少なくともガス透過性要素の領域において減らされ得る。したがって、単一の材料が選ばれることができ、そこでは、ユーザの皮膚、内側空間及び/又は外側空間に向かう境界層におけるガス透過性が、現在のニーズにしたがって個々に適合され得る。これは、患者接触要素をユーザの顔の全ての部分への等しく且つ最小の圧力が得られる方法で形成することを可能にする。加えて、少なくとも1つのガス透過性要素上の他の第1及び/又は第2の層の形成は、省略され得るとともにガス透過性要素製造を容易にする。
本発明の他の実施形態によれば、入口は、ガスの流れの少なくとも一部を少なくとも1つのガス透過性要素に直接供給するために、少なくとも1つのガス透過性要素の中に直接広がる。したがって、ガスの流れの一部は、もっぱら少なくとも1つのガス透過性要素を介してユーザに供給される。これは、圧力減少のために少なくとも1つのガス透過性要素を使用することの利点を提供する。したがって、少なくとも1つのガス透過性要素は、ユーザへの必要な端部圧力(end pressure)を供給するように適合され得る。
代替的には、少なくとも1つのガス透過性要素は、吸湿手段及び/又は抗菌剤(anti-microbial agents)を含み得る。吸湿手段は有利には、ユーザの空気から湿気を取り込み、それによって、患者接触要素の接触領域とユーザの皮膚との間の湿気を減らす。これは、快適さを増加させるとともに赤い痕を形成する危険を減らすのに役立つ。抗菌剤は、そうでなければ皮膚の部分に感染し得るとともに皮膚刺激を生じさせ得る微生物の成長を妨げる。吸湿手段及び抗菌剤は、通常、少なくとも1つのガス透過性要素が特定の時間の使用の後に交換される必要があるという結果を伴って喪失及び/又は分解の対象となる。したがって、患者接触要素との解放可能に接続する少なくとも1つのガス透過性要素を、その交換を可能にするように、提供することが好ましい。
親水性ポリマー材料、例えば、親水性シリコーンゴム材料が、吸湿手段として使用され得る。抗菌剤は、例えば、抗細菌(anti-bacterial)、抗真菌剤及び抗ウイルス剤のうちの1又は複数を含む。抗細菌剤の例は、銀化合物及びアルファオレフィンスルホン酸塩を含む。好ましくは、上述の機能性の両方を組み合わせる材料、すなわち、吸湿手段及び抗菌剤、例えば、アルファオレフィンスルホン酸塩を含み充填されたシリコーンゴムである親水性材料が使用される。
本発明のさらに他の実施形態によれば、患者接触要素は、クッション、額パッド、ヘッドギア及び頬取付サポートからなるグループから選択される。このような患者接触要素は当業者によく知られている。
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのガス透過性要素は、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねを有する。発泡体は好ましくは、少なくとも1つのガス透過性要素の中でガスの流れを供給する連続気泡発泡体である。上述のように、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねは、現在のニーズ、すなわち、発泡体内の孔の直径並びに孔の相互接続を適合することによって、適合され得る。同じことが、スペーサファブリックの積み重ねに対して言え、積み重ねの間の距離及びファブリックの特性は、少なくとも1つのガス透過性要素の中のガスの流れに影響を与える。
代替的には、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねは、患者接触要素の上で変えられ得る。したがって、患者接触要素は、ユーザの皮膚/顔の上の位置に関して患者接触要素の異なる部分において異なるガス透過性を有し得る。加えて、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねの特性は、ユーザの皮膚、患者接触要素の内側空間及び外側空間の少なくとも1つに対する異なる程度の気密性を提供するように、特定のガス透過性要素の中で変えられ得る。したがって、患者接触要素は、マスクの内側部分、周囲及びユーザの皮膚に対する異なる程度の気密性を有する本質的に単一のガス透過性要素を有し得る。単一の材料が、この目的のために使用され得る。
他の好適な実施形態によれば、発泡体は、連続気泡発泡体である。
本発明のさらに他の実施形態によれば、少なくとも1つのガス透過性要素の形状は、ユーザの顔又は頭の輪郭に適合される。これは、十分当業者の知識の範囲内であり、ユーザの快適さを増加させるのに役立ち、顔への柔らかい感触を保証する。
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのガス透過性要素の特性は、少なくとも1つのガス透過性要素に沿って変わる。これは、皮膚特性及び/又はユーザの皮膚の異なる部分における圧力要件に対する特性を適合させることを可能にする。したがって、患者インタフェースが提供されることができ、患者接触要素は、最小の接触圧力を必要とするが、患者インタフェースの必要な機能性を達成する。このような患者接触要素及び/又は患者インタフェースはしたがって、ユーザに高い快適性を提供する。加えて、赤い痕及び潰瘍を形成する危険が著しく減らされる。
本発明の1つの実施形態によれば、患者接触要素は、複数のガス透過性要素を有する。患者接触要素は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い個別のガス透過性要素を有し得る。
本発明の他の実施形態によれば、患者接触要素は、患者接触要素の少なくとも一部を覆うとともに使用中にユーザの皮膚との実質的に気密のシールを提供する第3の層を有する。ユーザの皮膚との実質的に気密のシールは、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体及びコーティングされた織物からなるグループから選択される材料の第3の層を提供することによって得られる。
これらの材料は、例えば、少なくとも90%以上までの、ユーザに皮膚との実質的に気密のシールを提供し、患者接触要素、特にガス透過性要素の中の十分な圧力の発生を可能にする。
患者接触要素の少なくとも一部を覆うとともに使用中にユーザの皮膚との実質的に気密のシールを提供する第3の層もまた、少なくとも1つのガス透過性要素の外側層を変更することによって提供されることができ、外側層は、皮膚にごく近接している。このような変更は、例えば、少なくとも1つのガス透過性要素のための材料として使用される連続気泡発泡体の孔を(熱的に)シールすることを含み得る。このような孔のシールは本質的にガス透過性要素とユーザの皮膚との間に他の材料の層を提供することと同じ効果を有することが理解されるであろう。このような孔のシールは、材料の追加の層の提供の必要性を省略することができる。
本発明のさらに他の実施形態によれば、第3の層は、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体及び/又はコーティングされた織物を含む。好ましくは、ポリマーフィルムは、ポリウレタンフィルム又はシリコーンフィルムである。これらの材料は、当業者によく知られており、患者接触要素又はその部分を容易するための使用が技術分野で良く知られているという利点を有する。
本発明の実施形態によれば、第3の層は、その中に開口を提供するように構成され、この開口は、使用に際しユーザの皮膚にガスの流れを供給する。第3の層の材料並びに開口の数及び向きは、当業者に知られている。代替的には、第3の層は、省かれてよく、少なくとも1つのガス透過性要素は、皮膚接触を形成する領域において変更されてよい。この変更は、十分な気密性を提供することを含む。
好ましくは、第1の層は、第2の層と部分的に重なり得る。代替的には、第1の層は、第3の層と部分的に重なり得る。さらに代替的には、第2の層は、第3の層と部分的に重なり得る。より好ましくは、第1の層は、第2の層及び第3の層と部分的に重なり得るとともに、第2の層は、第3の層と部分的に重なり得る。
さらに他の好適な実施形態によれば、ガスの流れをユーザに供給するための患者インタフェースが提供される。前記患者インタフェースは、本発明による患者接触要素を有する。
本発明のこれらの及び他の態様は、後述する実施形態から明らかになるとともに同実施形態を参照して説明されるであろう。以下の図面において、例は特定の実施形態の単なる例証であり、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
本発明による患者インタフェースの例を示す。
本発明による患者インタフェースの第1の実施形態を概略的に示す。
本発明による患者インタフェースの第1の実施形態を概略的に示す。
第1の実施形態によるユーザの皮膚に対する皮膚接触要素の位置及びその中のガスの流れを概略的に示す。
第2の実施形態によるユーザの皮膚に対する皮膚接触要素の位置及びその中のガスの流れを概略的に示す。
第3の実施形態によるユーザの皮膚に対する皮膚接触要素の位置及びその中のガスの流れを概略的に示す。
第4の実施形態によるユーザの皮膚に対する皮膚接触要素の位置及びその中のガスの流れを概略的に示す。
一定のクッション剛性、一定でないクッション剛性及び空気補助クッション剛性それぞれに関する最適圧縮範囲を示す。
一定のクッション剛性、一定でないクッション剛性及び空気補助クッション剛性それぞれに関する最適圧縮範囲を示す。
一定のクッション剛性、一定でないクッション剛性及び空気補助クッション剛性それぞれに関する最適圧縮範囲を示す。
図1は、本発明によるマスクの例を示す。図1に示されたマスクの主な構造的な要素は一般的に知られており、具体的に示されていない。本発明による実施形態は図3乃至7に示されている。しかし、図1は、患者インタフェースに含まれる主な構造的な要素の概要を与えるだろう。
患者インタフェースは、図1において、全体として参照数字12で示されている。以下では患者インタフェース12とも称される、マスク12は、典型的には、圧支持システム(CPAPシステム)で使用される。それは、ガスの流れを患者50の気道に供給するためである。このような患者インタフェースは、よく知られており、大抵、人間の顔の気道入口機能の周りで所定位置にマスク12を保持するように患者の頭の周りでストラップシステムを使用して頭に装着される。患者インタフェース12は典型的には、そこにヘッドギア/ストラップシステムが取り付けられる硬質又は半硬質マスクシェルを有する。マスクシェルは、通常、例えば、プラスチック、ポリカーボネート又はシリコーンのような、硬質又は半硬質材料で作られる。しかし、他の材料も一般的に考えられる。マスクシェルは、患者接触要素とも称される、可撓性軟質クッション/マスクフラップ10のための保持フレームとして機能する。患者接触要素10は、患者の顔と係合し、マスク/患者インタフェース12は、使用中患者の顔に取り付けられる。それは、患者インタフェースのマスクとして機能する。
これらの患者接触要素10又はクッション10は、技術分野ではシリコーンから作られ、患者の顔への柔らかい接触を確立するために1又は複数のゲルパッドを有する。これらのクッション10のさらなる機能は、圧力が患者の気道に加えられるとき、患者インタフェースと患者の顔との間の空気漏れを防ぐために外部の周囲に対する患者インタフェース12の内部のシールである。クッション/マスクフラップ10の形状は、さらに好ましくはユーザの顔の形状に適合される。患者接触要素10は、クッションとして具体化されるだけでなく、額パッド24、ヘッドギア及び頬取付サポートの形態でもあってよい。
図1、2a及び2bに示された例は、いわゆるフルフェイスマスク12を指し、クッション/マスクフラップ10がユーザ50の鼻及び口を囲む。これらのフルフェイスマスク12はしばしば、額サポート24とも称される、追加のクッションサポート24を有し、これは、マスクシェルに一体に接続され得るとともに、患者50の額に係合するように配置される。追加のクッションサポート/額サポート24は主に、マスク12が患者の顔に加えるとともにマスクシェルに機械的に安定化される力をバランスさせるとともにマスクの快適な密着を供給又は修正するのに役立つ。ガス供給ホース(図示せず)が、通常、マスクシェル30に好ましくは取り付けられる又はマスクシェル30に一体かされる接続インタフェース14に接続される。マスクは、本発明による患者接触要素を含み得る。
図3に示されるように、本発明による患者接触要素が、使用中にユーザの皮膚との実質的に気密のシールを提供するように構成された空気透過性マスククッション10の断面で示されている。これは、ユーザ50の皮膚/顔との接触領域上に、シリコーンフィルムのような、実質的に気密の材料の薄い層を設けることによって得られ得る。任意の種類のポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体又はコーティングされた織物のような、他の材料も、層に関して考えられる。患者接触要素10は、この例では、患者接触要素の中に配置されるとともに実質的に気密の材料又は実質的に気密の境界と接触する2つのガス透過性要素16を有する。しかし、任意の数のガス透過性要素16が用いられ得る。ガス40は、入口14を経由して供給され、患者接触要素16の内側空間52から患者接触要素16に患者接触要素10の内側空間52からガス透過性要素16を分ける実質的に気密の材料の第1の層18に設けられる開口20を通って通過する。開口20の数は特に制限されないことは明らかである。一般的に、任意の数の開口20が用いられ得る。ガス透過性要素16内で、ガスの流れは、参照番号40によって示されるように、本質的に全ての方向に可能である。ガスはまた、開口20を通ってガス透過性要素16の外に流れ出ることができる。シリコーンシールフラップ28が、患者接触要素の内側空間52と外側空間54との間に形成され得る。
図4は、本発明の他の実施形態を示している。概略的に示された患者接触要素10は、幾つかの開口20を備えた2つのガス透過性要素16をそれぞれ有し、この開口は、患者接触要素の内側空間と流体連通している。入口14は、ガスの流れの少なくとも一部を受けるとともに開口20を介してガス透過性要素16にガスの流れ一部を供給する。この場合もやはり、クッション10は、使用中にユーザ50の皮膚と実質的に気密のシールを提供するように構成される。
図5はなお、3つの入口14の1つがユーザ50に直接空気を供給するためにクッションの内側部分に直接接続されている3つの入口14を有する概略的に示された患者接触要素の他の実施形態を示している。2つの他の入口14は、2つのガス透過性要素16それぞれに直接空気を供給する。ガス透過性要素16のそれぞれに供給されるガスの流れの一部は、ガス透過性要素16を、開口20を通って、接触要素の内側空間に出て、これは、ガスの一方向性の流れを説明する参照番号40によって示される。
図6に例示的に示される患者接触要素10は、サポートの面に取り付けられるシールフラップのような、従来のシリコーンシールフラップのための支持構造として機能し得る。患者接触要素10は、外側空間54及びユーザ50の皮膚/顔からガス透過性要素16のそれぞれを分ける2つのシリコーンシール膜22、26を有する。ガスの流れ40は、入口14を介してガス透過性要素16に供給される。ガス透過性要素16と患者接触要素の内側空間52との間の実質的に気密の材料の第1の層18は、その中に設けられた幾つかの開口20を有し、双方向性のガスの流れを可能にし、それによってガス透過性要素16の中の圧力の変化を可能にする。
図7a乃至cは、一定の、一定でない及び空気補助クッション剛性に関する最適な圧縮範囲を概略的に示している。これらの図面において、圧縮が、x軸60によって示される一方、圧力はy軸62によって示されている。線64は概して、シールのための最小の圧力を示し、線66は、赤い痕がユーザの顔に生じ得る最大(許容)圧力を示す。最適な圧縮範囲68は、境界60a及び60bの中である。
図7aに示されるように、クッションの圧縮は、一定のクッション剛性に関して多少小さい最適圧縮範囲68、すなわち圧縮70にあるべきである。図7bから導き出されるように、この場合も同様に線70によって示される一定でないクッション圧縮剛性は、最適圧縮範囲68が著しく増加し、最適圧縮範囲の全ての場所における圧縮を実現するのに役立つ。しかし、この適合された(tailored)剛性は、ある/特定の値のCPAP圧に対してのみうまく機能する。
最適な性能のために、異なるCPAP圧に適合される必要がある。この例は、下方及び上方境界60a及び60bの中の広い最適圧縮範囲を有する図7cに示されている。したがって、本患者接触要素10並びにこのような患者接触要素10を有する患者インタフェース12の利点は、適切なシールであるとともに、マスクにユーザ50の顔に対する安定した位置を与えることである。それによって、額サポート24(図2a参照)のような、二次構造は、この二次構造が非常に柔らかく作られない限りより低い圧力ピークにつながるので、回避され得る。しかし、この二次構造があまりに柔らかくされる場合、本明細書で提案されるように内部圧力によって安定化されない限り、不安定になる。
任意の種類のクッションサポート構造のような、二次構造によって支持されていないシリコーンクッション10の部分は、CPAP圧がクッション10とユーザ50の顔との間に行き渡るとすぐに顔に向かう推進力が少しもないので、(例えば、伸長が顔の輪郭に従うために必要とされるとき)しわ又は他の剛性の影響のために、顔との接触を非常に簡単に失う。これとは対照的に、本クッション材料は、顔方向に小さい余分の圧力を加える。これに加えて、クッションの実質的に気密の外側層は、非常に柔らかく選ばれ、しわを避けるために(クッション内部材料を圧縮することによって)与圧下に置かれることができる。
本発明は、図面及び上述の記述において詳しく図示されるとともに記述されているが、このような図示及び記述は、説明的又は例示的であって、限定的なものではないとみなされるべきである。本発明は、開示される実施形態に限定されない。図面、開示及び添付の請求項の検討から、開示される実施形態に対する他の変更は、請求項に記載の本発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
請求項において、「含む、有する(comprising)」の語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞“a”又は“an”は、複数を除外しない。単一の要素又は他のユニットは、請求項に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
請求項における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
本発明は、ユーザにガスの流れを供給するための患者インタフェース用患者接触要素に関し、患者接触要素は、使用中、ユーザの皮膚との実質上気密シールを提供するように構成される。さらに、本発明は、このような患者接触要素を含む患者インタフェースに関する。
患者インタフェース、例えば圧支持システムにおけるマスクは、ガスをユーザに供給するために使用される。空気、清浄空気、酸素、又はこれらの任意の改質のようなこのようなガスは、加圧又は非加圧の方法で患者インタフェースを介してユーザ(患者とも称される)に送られる。
幾つかの慢性疾患及び疾病に対し、このような患者インタフェースの使用は必要である又は少なくとも望ましい。
このような疾病の1つの例は、閉塞性睡眠時無呼吸又は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)である。OSAは通常、上気道の閉塞により引き起こされる。OSAは、睡眠中の繰り返しの呼吸の中断により特徴付けられ、通常は血中酸素飽和度の減少と関連付けられる。無呼吸と呼ばれる呼吸のこのような中断は、一般的に20秒から40秒続く。上気道の閉塞は通常、睡眠中に起こる身体の減少した筋緊張により引き起こされる。人間の気道は、軟組織の壁部から構成され、この軟組織の壁部は潰れてしまうことがあり、それにより睡眠中に呼吸を妨げる。舌組織は、睡眠中、喉の奥に向かって移動し、それにより気道を閉鎖する。したがって、OSAは一般にいびきを伴う。
OSAに対する異なる侵襲性及び非侵襲性治療が知られている。最も有力な非侵襲性治療の1つは、持続気道陽圧(CPAP)又は2相陽圧換気(BiPAP)の使用であり、ここでは患者インタフェース、例えばフェイスマスクがチューブ及び機械に取り付けられ、この機械は、患者の気道を開いたままにするために、加圧したガス、好ましくは空気を患者インタフェースの中にそして患者の気道を通って送風する。したがって、陽圧が、定期的に夜に患者に装着される、患者インタフェース又は呼吸インタフェース、例えばフェイスマスクに接続されるホースを通じて患者に供給される。患者インタフェースの装着は通常患者の睡眠時間中に行われるので、患者インタフェースの前述の長期間使用はその結果である。
患者インタフェースの例は:
−鼻の上に着けて、鼻孔にガスを供給する鼻マスク、
−口の上に着けて、口にガスを供給するオーラルマスク、
−鼻と口の両方の上に着けて、両方にガスを供給するフルフェイスマスク、及び
−マスクであるとともに本発明の範囲内にあると見なされ、鼻孔にガスを直接供給する小さい鼻挿入物から構成される、鼻枕、
である。
装置の確実な作動を保証するために、患者インタフェースは、マスクと顔のインタフェース(接点)で気密シールを提供するように、患者の顔に密接する必要がある。通常、患者インタフェースは、患者の頭の後ろを回るストラップを持つヘッドギアを使用して装着される。患者インタフェース又はマスクは、実際に、通常、マスクと患者のインタフェースとして使用される、すなわち、マスクが装着されるとき患者の顔に接触する、柔らかいクッションを有し、並びに、通常、いわゆるクッションを所定位置に保持するとともに患者インタフェースに機械的な安定性を与えるために硬質又は半硬質保持構造を作るマスクシェルを有する。
クッションは通常、患者の快適さを増加させるとともに患者の顔での柔らかい感触を保証するために、ゲル又はシリコーン又は任意の他の柔軟材料で作られた1又は複数のパッドを有する。後者の記載のマスクは通常、それらの供給ホースをマスクに接続するように適合されるホースインタフェースも有することになっている。マスクのタイプに応じて、人間の顔の気道機能の周りのマスクによって加えられる力をバランスさせるために、額状の追加のクッションサポートを持つ機構も有し得る。現在のCPAPマスクに関して、クッションは典型的には、顔との気密シールを作るために顔に押し付けられる薄肉シリコーン構造を有する。加えて、幾つかのマスクはまた、シリコーンシール構造のための下部サポート(underlying support)を提供するように、ゲル充填袋(gel-filled bladder)のような、シリコーン又は他の材料から構成された二次構造も含む。これらのサポート構造の機能は、シリコーンシール構造を通じて顔に圧迫力を伝えることによってクッションと顔との間の接触圧力をさらに増加させることである。
上述の患者インタフェースは通常一晩中且つ長期的に装着されるので、CPAPマスクのユーザが一晩中このようなマスクが持つ1又は複数の不都合を経験することは明らかであり、最も目立つのは、マスク不快感及び顔の赤い痕である。これら不都合は、マスクシール構造と顔との間に十分な接触圧力を提供することによって、漏れを防ぐこと及び十分なマスク安定性を確実にすることに起因して生じる。
技術分野では、不快な圧力点及び皮膚のマーキング、例えば、赤い痕、凹み、並びに全体的な長期にわたる不快感は、弛緩位置から圧迫された位置への変化に際して横の移動にさらされないクッションを提供することによって対処されている。
特許文献1は、患者インタフェース装置のためのクッションを含むこのようなマスクに関する情報を与える。患者接触要素と患者インタフェースのフレームの結合部との間に、結合部から延びるベース部及びベース部から外側に延びる傾斜部を有する壁部が設けられ、下部サポート部が傾斜部の中間部分から延び、膜がベース部と反対側の傾斜部の端部から延びる。傾斜部は、クッションが圧縮されていない位置から圧縮される位置に移行されるとき、膜及びサポート部の横方向の位置を維持するように構成される。
特許文献2は、呼吸用マスクのためのクッションを開示している。マスククッションは、呼吸可能なガスを患者の気道に供給するために使用され、チャンバ及び内側クッション構成要素を有する。患者接触側として働く外側バリア又は膜は、チャンバを形成するように内側クッション構成要素に付けられる。チャンバは、流体又はガスを含む。内側クッション構成要素は、連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体であり得る。マスククッションは、チャンバを加圧するために内側クッション構成要素を通ってチャンバに空気を導くためのチャンバ供給ダクトを有し得る。
特許文献3は、同心関係で配置されるとともに独立して加圧するように適合される少なくとも2つの袋を有する患者インタフェースのためのクッションを開示している。
特許文献4は、ガス入力及び出力を備える内側チャンバ、並びに患者の顔に接触するとともに可撓膜によって包まれる当接部材を有する、呼吸補助装置を開示している。
顔の形状の広がり、マスクストラップ力の変異及び枕接触に起因するマスクに作用する外力のような妨害要因を考えると、全ての位置におけるクッション圧縮が最適な圧縮範囲であることを確実にすることは非常に困難である。
漏れを防ぐとともに十分なマスク安定性を確実にするために、最小接触圧力が、マスクシール構造と顔との間で必要とされる。この最小接触圧力は、使用されるCPAP圧と等しい。他方、高過ぎる接触圧力は、赤い痕に、そしてやがては褥瘡にさえつながる。
WO 2014/020468 A1
WO 2011/003128 A1
WO 2007/068044 A1
US 2011/0247625
したがって、本発明の目的は、圧力点、赤い痕、及び/又は任意の他の不快感を生じさせることなしにユーザの顔に対して構造を確実にシールする患者インタフェース又はその構成要素を提供することである。他の目的は、ユーザの顔に対する安定した位置をマスクに与える患者インタフェース又はその構成要素の提供にある。さらに他の目的は、ユーザの顔との本質的に全ての接触点において正確且つ均等にシール接触(sealing contact)を維持する患者インタフェース又はその構成要素の提供である。
本発明の第1の態様では、ガスの流れをユーザに供給するための患者インタフェース用患者接触要素が提供される。前記患者接触要素は、使用中、ユーザの皮膚との実質的に気密なシールを提供するように構成され、以下を有する:
− ガスの流れの少なくとも一部を受ける入口、及び
− 患者接触要素の中に配置されるとともに入口と流体連通して配置される少なくとも1つのガス透過性要素。患者接触要素はさらに、少なくとも1つのガス透過性要素とユーザの鼻及び/又は口を受けるための患者接触要素の内側空間との間に配置される気密材料の第1の層を有し、気密材料は、その中に少なくとも1つの開口を有する。患者接触要素は、少なくとも1つのガス透過性要素と使用中にガスの流れと流体連通していない患者接触要素の外側空間との間に配置される気密材料の第2の層を有する。
本発明のさらなる態様では、ガスの流れをユーザに供給するための患者インタフェースが提示され、前記患者インタフェースは、患者接触要素を有する。
本発明はしたがって、患者接触要素の中に配置される柔軟な、空気透過性材料を有する本患者接触要素を提供することによって上述の不都合を克服し、これは、内部CPAP空気流においてCPAP圧で流れることを可能にする。この方法では、顔との最小必要接触圧力が確保され(CPAPと等しい)、応力集中が材料の柔軟さのために回避される。少なくとも1つのガス透過性要素の使用は、非定常クッション又は患者接触要素圧縮剛性を可能にし、これは、最適な圧迫範囲を著しく増加させるとともに、最適な圧迫範囲でのユーザの顔の全ての場所における圧迫を実現するのに役立つ。
本構成の主な利点は、シールのためのまさに必要な最小圧力が、全ての異なる値のCPAP圧に対して実現されることである。この方法では、シール構造は、CPAP圧が変化するとき、顔との接触圧力を自動的に調整する。これは、CPAP圧が、例えば自動圧調整(auto-titrating)CPAP及び/又はランプ(ramp)機能により、増加するとき、マスクの接触圧力が増加するとともにシールが維持されることを意味する。、
少なくとも1つのガス透過性要素が、患者接触要素の内部に配置され得るとともに、患者接触要素によって提供されるユーザの皮膚との実質的に気密なシールを構成する。
患者インタフェース又はマスクによって顔に加えられる最小接触圧力は、最小必要シール圧力と等しい。これは、クッションの最小の圧縮がシールを達成するために必要とされることを意味する。その結果、最小の「与圧(pre-loading)」のみが、シールのための必要な接触圧力を達成するために必要とされるので、(圧縮方向における)クッションの深さが最小にされることができる。したがって、本患者接触要素又は患者インタフェースをユーザの顔に確実に取り付けるために用いられるストラップ又は他の締め付け手段は、最小の接触圧力を必要とする。さらに、ガス透過性要素の剛性は、顔の変動性及びマスクの安定性を、伝統的な構造より非常に大きい程度に、適応させるように最適化されることができる、すなわち、クッションは、赤い痕の接触圧力閾値を超えることなしに広い範囲の圧迫を受け得る。加えて、クッションの外側層は、非常に柔軟な材料から選ばれ得るとともに、例えば、しわを避けるために、クッションを材料内部で圧縮することによって、プレストレスの下に置かれ得る。
患者インタフェースのための患者接触要素は、装着する際ユーザの皮膚と直接接触する又は近接しているかのいずれかの任意の構成要素として理解され得る。患者接触要素は、例えば、クッション又はその上に形成又は作られる任意の他の皮膚接触材料であり得る。患者接触要素はまた、マスクシェル及び/又はそのサポートに対応し得る。
患者接触要素は、ユーザの皮膚との実質的に気密なシールを提供するように構成される。ユーザの皮膚との実質的に気密なシールは、入口を経て供給されるガスの流れに応じてガス透過性要素の膨張を可能にする。しかし、供給されるガスのある量が、ガス透過性要素を通過し且つユーザの皮膚と接触することが可能であり得るとともに望ましい。
本出願で使用される用語「実質的に」は、ユーザの皮膚のような、任意の他の構造に対する気密シールを概して示す。実質的に気密は、少なくとも90%以上、好ましくは95%以上、98%以上、又は99%以上の空気がガス透過性要素の中に保持されることを示す。言い換えると、10%未満の空気が、実質的に気密なシールを通り得る。代替的には、用語「実質的に」は、十分な空気圧が患者接触要素の中に維持され且つ適切な空気流がユーザに供給されることに向けられていると理解されてよい。したがって、実質的に気密は、0.1L/min以上の空気流がユーザに供給されることを示し得る。好ましくは、1L/min以上の空気流が、10L/min以上の空気流が、又は50L/min以上の空気流でさえ、ユーザに供給される。ユーザの皮膚との完全な気密なシールもまた考えられる。ユーザの皮膚との実質的に気密なシールは、膨張状態での少なくとも1つのガス透過性要素の保持を可能にするとともに、同時に患者接触要素の接触部における空気の冷却流を供給し、皮膚を乾かした状態に保つのを助け、これは、赤い痕又は潰瘍のような、皮膚刺激を避けることを促進する。
患者インタフェースは、マスク又はその個別の部品のいずれかのために設計され得る。患者インタフェースは、例えば、互いに相互接続される2つの部材を有することができ、部材の一方は、ユーザの顔に接触するためのクッションを有し、他の部材は、クッションを保持するためのマスクシェルを有する。クッションは、皮膚接触材料を有し得る又はそれで作成され得る。皮膚接触材料はまた、以後シールフラップとも称され得る。
ここで使用されるガスの流れの少なくとも一部を受けるための入口は、少なくとも1つのガス透過性要素にガスを供給するための任意の種類のポートであり得る。ここで使用されるガスは、従来の呼吸空気又は合成空気を指す。合成空気は、呼吸空気を含んでよく、そこでは1又は複数の成分、例えば酸素が、高められる又は激減される。合成空気はまた、任意の呼吸可能な混合気、例えば、十分な酸素が含まれるという条件でのみ酸素及び窒素からなる混合気を含み得る。
少なくとも1つのガス透過性要素は、入口と流体連通して配置される。少なくとも1つのガス透過性要素は、発泡体及び/又はスペーサファブリック(spacer fabric)の積み重ねで作られ得る。例えば、連続気泡発泡体が発泡体として役立つ。ガス透過性要素は好ましくは、ユーザの顔との最適な接触を提供するためにユーザの顔又は頭への患者接触要素の密着(fit)を改良するように形成される。一般的に、患者接触要素の材料は、それが入口を介して供給されるガスの流れから独立して膨張可能且つ収縮可能であるとともにガス透過性要素の材料が供給されるガスの流れの圧力に応じてその体積を変化させる限り、特に限定されない。したがって、患者接触要素は、スポンジ状(sponge-like)、くし状(comb-like)構造又は任意の他の種類の多孔構造であり、孔はガスの許容流と少なくとも部分的に相互接続される。
患者接触要素はさらに、気密性を確実にするために少なくとも1つのガス透過性要素の少なくとも一部を覆う層を有し得る。代替的に又は追加で、スポンジ、くし及び/又は孔の材料は、その外側部分でシール特性を示し、本質的に完全なガス透過性要素が膨張し得る、すなわち、ふくらみ得る、又は収縮し得る、例えば、縮み得ることを確実にする。
表現「少なくとも1つ」は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10の個別のアイテム、例えばガス透過性要素を含む本質的に任意の数を指すために使用される。しかし、ユーザの顔との全ての接触領域を含む単一のガス透過性要素の使用が好ましい。
ここで使用される表現「気密性」は、空気をそのようなものとして指す。しかし、任意の種類の合成空気も含まれ得る。
本発明の1つの実施形態によれば、患者接触要素は、少なくとも1つのガス透過性要素の少なくとも一部を覆う気密材料の少なくとも1つのさらなる層を有する。
少なくとも1つのガス透過性要素の少なくとも一部を覆う気密材料の少なくとも1つのさらなる層は、望ましくない領域での患者接触要素を通るガスの漏れを防ぐ。このような領域は、ユーザの皮膚との接触面及び/又は外側空間若しくは周囲と連通している患者接触要素の領域を含み得る。代替的に又は追加で、気密材料の層は、患者接触要素の内側空間からガス透過性要素を分け、この内側空間はユーザの鼻及び/又は口を受ける。層の材料は、容易に圧縮され得る高弾性材料、例えば、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体、及び気密又はコーティングされた織物であり得る。代替的には、層は、十分薄く選ばれ、ポリウレタン又はシリコーンのような材料で作られ、その結果、圧縮及びシワが、ユーザの顔と接触しないクッションの側壁に生じる。他の可能性は、層に与圧を与え、それによってクッションの内側を圧縮することにあり、これはしわを避けるのを助ける。当業者は、気密材料のこのような層のために使用される材料及び必要な厚さに関して熟知している。
気密材料の第1の層は、本質的にそれぞれの種類の柔軟な性質の気密材料を含み得る。このような気密材料の例は、特に、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体及びコーティングされた織物を含む。気密材料の第1の層は、少なくとも1つのガス透過性要素と患者接触要素との間の境界層を提供する。したがって、気密材料の第1の層は、患者接触要素の一部を形成し得るとともに、ユーザの口及び/又は鼻孔から患者接触要素を分ける。気密材料の第1の層に形成された少なくとも1つの開口は、ガスの流れの変化及び/又はユーザの顔への患者接触要素の接触圧力に応じて少なくとも1つのガス透過性要素の膨張及び収縮を可能にするように、少なくとも1つのガス透過性要素に入口を介して受け入れ十分なガスの流れを可能にする直径を有する。
少なくとも1つの開口は、本質的に任意の数の開口を有する。例えば、1から10000、好ましくは1から1000、50から500、又は100から200の数の開口が、少なくとも1つのガス透過性要素と患者接触要素との間の境界層に設けられ得る。代替的には、多孔材料が気密材料の第1の層を形成するために使用されることができ、孔の数、直径及び分布は、実際の要件にしたがって選ばれ得る。
既に上で示したように、気密材料の第1の層は、本質的に両方向のガスの流れを提供し得る。しかし、患者接触要素の構造に応じて、一方向の流れのみが達成され得ることがあり得る。ガスの流れの少なくとも一部を受ける入口は、例えば、ガス透過性要素に直接的に、そしてガス透過性要素を介して気密材料の第1の層に形成された少なくとも1つの開口を通ってユーザに提供され得る。したがって、この例は、ユーザに供給されるガスの流れがもっぱらガス透過性要素を通って流れる場合を記載している。
代替的には、患者接触要素は、ガスの流れを異なる部分に分けるように適合されることができ、必要な部分はユーザに直接供給され、ガスの流れの少なくとも他の部分は、少なくとも1つのガス透過性要素に供給される。したがって、ガスの流れの一部は、もっぱら少なくとも1つのガス透過性要素を膨張させるために使用される。ガス透過性要素に供給されるガスの流れはさらに、ユーザに皮膚との実質的に気密なシールを部分的に通過する。上で示されたように、これは、マスクの快適性を増加させるとともに赤い痕を形成する危険性を減少させるためにユーザの皮膚への有利な冷却及び乾燥効果を提供し得る。
少なくとも1つのガス透過性要素に蓄積される圧力はまた、患者接触要素の外側空間にガスの流れを供給することによって、減少し得る。また、上で示された2つの可能性の組合せ、すなわち、ユーザの皮膚へのガスの流れの一部及び患者接触要素の外側空間への他の部分の供給が考えられる。
患者接触要素は、少なくとも1つのガス透過性要素と使用中にガスの流れと流体連通していない患者接触要素の外側空間との間に配置される気密材料の第2の層を有する。
第2の層はしたがって、患者接触要素の内側空間と周囲/外側スペースとの間の境界層の一部を形成し得る。したがって、第2の層は、使用に際し周囲へのガスの漏れを防ぐ。第2の層は、例えば、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体及びコーティングされた織物からなるグループから選択される材料で形成され得る。
少なくとも1つのガス透過性要素の漏れ特性は、その材料、特にユーザの皮膚及び/又は外側空間への境界を形成するために使用される材料によって、影響され得るので、上述の第1の層及び第2の層は必ずしも必要とされないことは明白であり得る。既に上で示したように、少なくとも1つのガス透過性要素は、例えば、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねから形成され得る。孔のサイズ及び/又はスペーサファブリックの積み重ねの距離は、例えば、ユーザの皮膚、内側空間及び/又は外側空間に向かう少なくともガス透過性要素の領域において減らされ得る。したがって、単一の材料が選ばれることができ、そこでは、ユーザの皮膚、内側空間及び/又は外側空間に向かう境界層におけるガス透過性が、現在のニーズにしたがって個々に適合され得る。これは、患者接触要素をユーザの顔の全ての部分への等しく且つ最小の圧力が得られる方法で形成することを可能にする。加えて、少なくとも1つのガス透過性要素上の他の第1及び/又は第2の層の形成は、省略され得るとともにガス透過性要素製造を容易にする。
本発明の他の実施形態によれば、入口は、ガスの流れの少なくとも一部を少なくとも1つのガス透過性要素に直接供給するために、少なくとも1つのガス透過性要素の中に直接広がる。したがって、ガスの流れの一部は、もっぱら少なくとも1つのガス透過性要素を介してユーザに供給される。これは、圧力減少のために少なくとも1つのガス透過性要素を使用することの利点を提供する。したがって、少なくとも1つのガス透過性要素は、ユーザへの必要な端部圧力(end pressure)を供給するように適合され得る。
代替的には、少なくとも1つのガス透過性要素は、吸湿手段及び/又は抗菌剤(anti-microbial agents)を含み得る。吸湿手段は有利には、ユーザの空気から湿気を取り込み、それによって、患者接触要素の接触領域とユーザの皮膚との間の湿気を減らす。これは、快適さを増加させるとともに赤い痕を形成する危険を減らすのに役立つ。抗菌剤は、そうでなければ皮膚の部分に感染し得るとともに皮膚刺激を生じさせ得る微生物の成長を妨げる。吸湿手段及び抗菌剤は、通常、少なくとも1つのガス透過性要素が特定の時間の使用の後に交換される必要があるという結果を伴って喪失及び/又は分解の対象となる。したがって、患者接触要素との解放可能に接続する少なくとも1つのガス透過性要素を、その交換を可能にするように、提供することが好ましい。
親水性ポリマー材料、例えば、親水性シリコーンゴム材料が、吸湿手段として使用され得る。抗菌剤は、例えば、抗細菌(anti-bacterial)、抗真菌剤及び抗ウイルス剤のうちの1又は複数を含む。抗細菌剤の例は、銀化合物及びアルファオレフィンスルホン酸塩を含む。好ましくは、上述の機能性の両方を組み合わせる材料、すなわち、吸湿手段及び抗菌剤、例えば、アルファオレフィンスルホン酸塩を含み充填されたシリコーンゴムである親水性材料が使用される。
本発明のさらに他の実施形態によれば、患者接触要素は、クッションである。このような患者接触要素は当業者によく知られている。
本発明の実施形態によれば、患者接触要素はさらに、額パッド、ヘッドギア及び頬取付サポートのうちの1又は複数を含む。
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのガス透過性要素は、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねを有する。発泡体は好ましくは、少なくとも1つのガス透過性要素の中でガスの流れを供給する連続気泡発泡体である。上述のように、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねは、現在のニーズ、すなわち、発泡体内の孔の直径並びに孔の相互接続を適合することによって、適合され得る。同じことが、スペーサファブリックの積み重ねに対して言え、積み重ねの間の距離及びファブリックの特性は、少なくとも1つのガス透過性要素の中のガスの流れに影響を与える。
代替的には、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねは、患者接触要素の上で変えられ得る。したがって、患者接触要素は、ユーザの皮膚/顔の上の位置に関して患者接触要素の異なる部分において異なるガス透過性を有し得る。加えて、発泡体及び/又はスペーサファブリックの積み重ねの特性は、ユーザの皮膚、患者接触要素の内側空間及び外側空間の少なくとも1つに対する異なる程度の気密性を提供するように、特定のガス透過性要素の中で変えられ得る。したがって、患者接触要素は、マスクの内側部分、周囲及びユーザの皮膚に対する異なる程度の気密性を有する本質的に単一のガス透過性要素を有し得る。単一の材料が、この目的のために使用され得る。
他の好適な実施形態によれば、発泡体は、連続気泡発泡体である。
本発明のさらに他の実施形態によれば、少なくとも1つのガス透過性要素の形状は、ユーザの顔又は頭の輪郭に適合される。これは、十分当業者の知識の範囲内であり、ユーザの快適さを増加させるのに役立ち、顔への柔らかい感触を保証する。
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのガス透過性要素の特性は、少なくとも1つのガス透過性要素に沿って変わる。これは、皮膚特性及び/又はユーザの皮膚の異なる部分における圧力要件に対する特性を適合させることを可能にする。したがって、患者インタフェースが提供されることができ、患者接触要素は、最小の接触圧力を必要とするが、患者インタフェースの必要な機能性を達成する。このような患者接触要素及び/又は患者インタフェースはしたがって、ユーザに高い快適性を提供する。加えて、赤い痕及び潰瘍を形成する危険が著しく減らされる。
本発明の1つの実施形態によれば、患者接触要素は、複数のガス透過性要素を有する。患者接触要素は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれより多い個別のガス透過性要素を有し得る。
本発明の他の実施形態によれば、患者接触要素は、患者接触要素の少なくとも一部を覆うとともに使用中にユーザの皮膚との実質的に気密のシールを提供する第3の層を有する。ユーザの皮膚との実質的に気密のシールは、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体及びコーティングされた織物からなるグループから選択される材料の第3の層を提供することによって得られる。
これらの材料は、例えば、少なくとも90%以上までの、ユーザに皮膚との実質的に気密のシールを提供し、患者接触要素、特にガス透過性要素の中の十分な圧力の発生を可能にする。
患者接触要素の少なくとも一部を覆うとともに使用中にユーザの皮膚との実質的に気密のシールを提供する第3の層もまた、少なくとも1つのガス透過性要素の外側層を変更することによって提供されることができ、外側層は、皮膚にごく近接している。このような変更は、例えば、少なくとも1つのガス透過性要素のための材料として使用される連続気泡発泡体の孔を(熱的に)シールすることを含み得る。このような孔のシールは本質的にガス透過性要素とユーザの皮膚との間に他の材料の層を提供することと同じ効果を有することが理解されるであろう。このような孔のシールは、材料の追加の層の提供の必要性を省略することができる。
本発明のさらに他の実施形態によれば、第3の層は、ポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体及び/又はコーティングされた織物を含む。好ましくは、ポリマーフィルムは、ポリウレタンフィルム又はシリコーンフィルムである。これらの材料は、当業者によく知られており、患者接触要素又はその部分を容易するための使用が技術分野で良く知られているという利点を有する。
本発明の実施形態によれば、第3の層は、その中に開口を提供するように構成され、この開口は、使用に際しユーザの皮膚にガスの流れを供給する。第3の層の材料並びに開口の数及び向きは、当業者に知られている。代替的には、第3の層は、省かれてよく、少なくとも1つのガス透過性要素は、皮膚接触を形成する領域において変更されてよい。この変更は、十分な気密性を提供することを含む。
好ましくは、第1の層は、第2の層と部分的に重なり得る。代替的には、第1の層は、第3の層と部分的に重なり得る。さらに代替的には、第2の層は、第3の層と部分的に重なり得る。より好ましくは、第1の層は、第2の層及び第3の層と部分的に重なり得るとともに、第2の層は、第3の層と部分的に重なり得る。
さらに他の好適な実施形態によれば、ガスの流れをユーザに供給するための患者インタフェースが提供される。前記患者インタフェースは、本発明による患者接触要素を有する。
本発明のこれらの及び他の態様は、後述する実施形態から明らかになるとともに同実施形態を参照して説明されるであろう。以下の図面において、例は特定の実施形態の単なる例証であり、本発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
本発明による患者インタフェースの例を示す。
本発明による患者インタフェースの第1の実施形態を概略的に示す。
本発明による患者インタフェースの第1の実施形態を概略的に示す。
第1の実施形態によるユーザの皮膚に対する皮膚接触要素の位置及びその中のガスの流れを概略的に示す。
第2の実施形態によるユーザの皮膚に対する皮膚接触要素の位置及びその中のガスの流れを概略的に示す。
第3の実施形態によるユーザの皮膚に対する皮膚接触要素の位置及びその中のガスの流れを概略的に示す。
第4の実施形態によるユーザの皮膚に対する皮膚接触要素の位置及びその中のガスの流れを概略的に示す。
一定のクッション剛性、一定でないクッション剛性及び空気補助クッション剛性それぞれに関する最適圧縮範囲を示す。
一定のクッション剛性、一定でないクッション剛性及び空気補助クッション剛性それぞれに関する最適圧縮範囲を示す。
一定のクッション剛性、一定でないクッション剛性及び空気補助クッション剛性それぞれに関する最適圧縮範囲を示す。
図1は、本発明によるマスクの例を示す。図1に示されたマスクの主な構造的な要素は一般的に知られており、具体的に示されていない。本発明による実施形態は図3乃至7に示されている。しかし、図1は、患者インタフェースに含まれる主な構造的な要素の概要を与えるだろう。
患者インタフェースは、図1において、全体として参照数字12で示されている。以下では患者インタフェース12とも称される、マスク12は、典型的には、圧支持システム(CPAPシステム)で使用される。それは、ガスの流れを患者50の気道に供給するためである。このような患者インタフェースは、よく知られており、大抵、人間の顔の気道入口機能の周りで所定位置にマスク12を保持するように患者の頭の周りでストラップシステムを使用して頭に装着される。患者インタフェース12は典型的には、そこにヘッドギア/ストラップシステムが取り付けられる硬質又は半硬質マスクシェルを有する。マスクシェルは、通常、例えば、プラスチック、ポリカーボネート又はシリコーンのような、硬質又は半硬質材料で作られる。しかし、他の材料も一般的に考えられる。マスクシェルは、患者接触要素とも称される、可撓性軟質クッション/マスクフラップ10のための保持フレームとして機能する。患者接触要素10は、患者の顔と係合し、マスク/患者インタフェース12は、使用中患者の顔に取り付けられる。それは、患者インタフェースのマスクとして機能する。
これらの患者接触要素10又はクッション10は、技術分野ではシリコーンから作られ、患者の顔への柔らかい接触を確立するために1又は複数のゲルパッドを有する。これらのクッション10のさらなる機能は、圧力が患者の気道に加えられるとき、患者インタフェースと患者の顔との間の空気漏れを防ぐために外部の周囲に対する患者インタフェース12の内部のシールである。クッション/マスクフラップ10の形状は、さらに好ましくはユーザの顔の形状に適合される。患者接触要素10は、クッションとして具体化されるだけでなく、額パッド24、ヘッドギア及び頬取付サポートの形態でもあってよい。
図1、2a及び2bに示された例は、いわゆるフルフェイスマスク12を指し、クッション/マスクフラップ10がユーザ50の鼻及び口を囲む。これらのフルフェイスマスク12はしばしば、額サポート24とも称される、追加のクッションサポート24を有し、これは、マスクシェルに一体に接続され得るとともに、患者50の額に係合するように配置される。追加のクッションサポート/額サポート24は主に、マスク12が患者の顔に加えるとともにマスクシェルに機械的に安定化される力をバランスさせるとともにマスクの快適な密着を供給又は修正するのに役立つ。ガス供給ホース(図示せず)が、通常、マスクシェル30に好ましくは取り付けられる又はマスクシェル30に一体かされる接続インタフェース14に接続される。マスクは、本発明による患者接触要素を含み得る。
図3に示されるように、本発明による患者接触要素が、使用中にユーザの皮膚との実質的に気密のシールを提供するように構成された空気透過性マスククッション10の断面で示されている。これは、ユーザ50の皮膚/顔との接触領域上に、シリコーンフィルムのような、実質的に気密の材料の薄い層を設けることによって得られ得る。任意の種類のポリマーフィルム、ポリマー膜、独立気泡発泡体又はコーティングされた織物のような、他の材料も、層に関して考えられる。患者接触要素10は、この例では、患者接触要素の中に配置されるとともに実質的に気密の材料又は実質的に気密の境界と接触する2つのガス透過性要素16を有する。しかし、任意の数のガス透過性要素16が用いられ得る。ガス40は、入口14を経由して供給され、患者接触要素10の内側空間52からガス透過性要素16に患者接触要素10の内側空間52からガス透過性要素16を分ける実質的に気密の材料の第1の層18に設けられる開口20を通って通過する。開口20の数は特に制限されないことは明らかである。一般的に、任意の数の開口20が用いられ得る。ガス透過性要素16内で、ガスの流れは、参照番号40によって示されるように、本質的に全ての方向に可能である。ガスはまた、開口20を通ってガス透過性要素16の外に流れ出ることができる。シリコーンシールフラップ28が、患者接触要素の内側空間52と外側空間54との間に形成され得る。
図4は、本発明の他の実施形態を示している。概略的に示された患者接触要素10は、幾つかの開口20を備えた2つのガス透過性要素16をそれぞれ有し、この開口は、患者接触要素の内側空間と流体連通している。入口14は、ガスの流れの少なくとも一部を受けるとともに開口20を介してガス透過性要素16にガスの流れ一部を供給する。この場合もやはり、クッション10は、使用中にユーザ50の皮膚と実質的に気密のシールを提供するように構成される。
図5はなお、3つの入口14の1つがユーザ50に直接空気を供給するためにクッションの内側部分に直接接続されている3つの入口14を有する概略的に示された患者接触要素の他の実施形態を示している。2つの他の入口14は、2つのガス透過性要素16それぞれに直接空気を供給する。ガス透過性要素16のそれぞれに供給されるガスの流れの一部は、ガス透過性要素16を、開口20を通って、接触要素の内側空間に出て、これは、ガスの一方向性の流れを説明する参照番号40によって示される。
図6に例示的に示される患者接触要素10は、サポートの面に取り付けられるシールフラップのような、従来のシリコーンシールフラップのための支持構造として機能し得る。患者接触要素10は、外側空間54及びユーザ50の皮膚/顔からガス透過性要素16のそれぞれを分ける2つのシリコーンシール膜22、26を有する。ガスの流れ40は、入口14を介してガス透過性要素16に供給される。ガス透過性要素16と患者接触要素の内側空間52との間の実質的に気密の材料の第1の層18は、その中に設けられた幾つかの開口20を有し、双方向性のガスの流れを可能にし、それによってガス透過性要素16の中の圧力の変化を可能にする。
図7a乃至cは、一定の、一定でない及び空気補助クッション剛性に関する最適な圧縮範囲を概略的に示している。これらの図面において、圧縮が、x軸60によって示される一方、圧力はy軸62によって示されている。線64は概して、シールのための最小の圧力を示し、線66は、赤い痕がユーザの顔に生じ得る最大(許容)圧力を示す。最適な圧縮範囲68は、境界60a及び60bの中である。
図7aに示されるように、クッションの圧縮は、一定のクッション剛性に関して多少小さい最適圧縮範囲68、すなわち圧縮70にあるべきである。図7bから導き出されるように、この場合も同様に線70によって示される一定でないクッション圧縮剛性は、最適圧縮範囲68が著しく増加し、最適圧縮範囲の全ての場所における圧縮を実現するのに役立つ。しかし、この適合された(tailored)剛性は、ある/特定の値のCPAP圧に対してのみうまく機能する。
最適な性能のために、異なるCPAP圧に適合される必要がある。この例は、下方及び上方境界60a及び60bの中の広い最適圧縮範囲を有する図7cに示されている。したがって、本患者接触要素10並びにこのような患者接触要素10を有する患者インタフェース12の利点は、適切なシールであるとともに、マスクにユーザ50の顔に対する安定した位置を与えることである。それによって、額サポート24(図2a参照)のような、二次構造は、この二次構造が非常に柔らかく作られない限りより低い圧力ピークにつながるので、回避され得る。しかし、この二次構造があまりに柔らかくされる場合、本明細書で提案されるように内部圧力によって安定化されない限り、不安定になる。
任意の種類のクッションサポート構造のような、二次構造によって支持されていないシリコーンクッション10の部分は、CPAP圧がクッション10とユーザ50の顔との間に行き渡るとすぐに顔に向かう推進力が少しもないので、(例えば、伸長が顔の輪郭に従うために必要とされるとき)しわ又は他の剛性の影響のために、顔との接触を非常に簡単に失う。これとは対照的に、本クッション材料は、顔方向に小さい余分の圧力を加える。これに加えて、クッションの実質的に気密の外側層は、非常に柔らかく選ばれ、しわを避けるために(クッション内部材料を圧縮することによって)与圧下に置かれることができる。
本発明は、図面及び上述の記述において詳しく図示されるとともに記述されているが、このような図示及び記述は、説明的又は例示的であって、限定的なものではないとみなされるべきである。本発明は、開示される実施形態に限定されない。図面、開示及び添付の請求項の検討から、開示される実施形態に対する他の変更は、請求項に記載の本発明を実施する際に当業者によって理解され達成されることができる。
請求項において、「含む、有する(comprising)」の語は、他の構成要素又はステップを除外せず、不定冠詞“a”又は“an”は、複数を除外しない。単一の要素又は他のユニットは、請求項に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
請求項における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。