JP2017523837A - 硬質な針保護体、及びその組み立てに用いる方法および装置 - Google Patents

Abstract

硬質な針保護体（１０）であって、エラストマー素材からなる内部部材（１１）と、前記エラストマー素材からなる内部部材（１１）に対して固定された硬質な外部体（１２）とを有し、前記硬質な外部体（１２）は、当該硬質な外部体（１２）の軸方向下端に設けられた折り込み部（１２１）を介して、前記エラストマー素材からなる内部部材（１１）に固定され、当該折り込み部（１２１）は前記硬質な外部体（１２）の外周面（１２５）から径方向内側に延出し、当該折り込み部（１２１）の外表面は、軸方向下端且つ径方向外側に位置する縁部において、前記硬質な外部体（１２）の外周面（１２５）に対して鋭角をなす角部を有する。【選択図】 図８

Description

本発明は、硬質な針保護体、そのような硬質な針保護体の組立方法、及びそのような組立方法を実施するための組立装置に関連する。

硬質な（ｒｉｇｉｄ）針保護体は公知である。一般的に、硬質な針保護体は、内部部材と当該内部部材に固定された硬質な外部体とからなる。内部部材は、ゴムや熱可塑性エラストマー（ＴＰＥ）素材などのエラストマー素材からなる。また、針の先を当該内部部材に突き刺すことで、針を外気から隔離することができる。一方、硬質な外部体は特に、針による貫通が非常に困難な剛性を有し、外側からの付加的な保護を提供することで、シリンジのユーザを針による穿刺から守る機能を実現する。そのような硬質な針保護体は、具体的には特許文献１に開示されている。

この種の硬質な針保護体は自己注射器においても用いられている。その場合、自己注射器はその本体に装着されたキャップ型の取り外し部材を有する。当該取り外し部材が自己注射器本体からの取り外し時に硬質な針保護体と協働することで、当該硬質な針保護体が針から取り外される。
図１は、取り外し部材２０内に配された、従来の針保護体１０を示す。なお、図１は針保護体１０の構成要素のうち硬質な外部体１２のみを図示しており、エラストマー材料からなる内部部材１１は図示していない。図２〜４は、図１の針保護体の組立方法を示す。図２は、エラストマー材料からなる内部部材１１の硬質な外部体１２内への挿入を示す。
なお通常、この挿入時には、針保護体１０は図２とは上下逆の位置にあり、エラストマー材料からなる内部部材１１が重力により硬質な外部体１２内へと落下することで挿入がなされる。図３及び図４は、エラストマー材料からなる内部部材１１を硬質な外部体１２内に固定するための、硬質な外部体１２の軸方向下端部１２１の内側への折り曲げを示す。この折り曲げにより形成される折り込み部１２１は、硬質な外部体１２の外周面１２５から径方向内側に延出する。

なお、通常この折り曲げは、折り曲げヘッド３０を用いて高温で実行される。特に図４は、折り曲げヘッド３０の折り曲げ凹部３１の形状により、針保護体１０の硬質な外部体１２に、丸みを帯びた外形の折り込み部１２１が形成されることを示す。折り曲げ凹部３１のこのような丸みを帯びた形状は、折り曲げ中に硬質な外部体１２の軸方向端部１２１がつぶれてしまうことを避けるために必要である。しかしながら、外部体１２の軸方向下端に丸みを帯びた外形の折り込み部１２１が形成されることにより、硬質な針保護体１０を特に自己注射器において用いる場合には、次のような問題が起こる。すなわち、硬質な針保護体１０を自己注射器において用いる場合、自己注射器の取り外し部材２０が折り込み部１２１を介して針保護体１０と協働する。その際、折り込み部１２１が丸みを帯びた形状を有することにより、取り外し部材２０が折り込み部１２１を上滑りしてしまう可能性がある。この現象が起こると、取り外し部材２０を用いた針保護体１０の取り外しが不可能となる。

なお、他の従来型の装置を開示する文献として、特許文献２、及び特許文献３が挙げられる。

欧州公開第１２０８８６１号公報 国際公開第２０１３／１０４７３６号公報 オランダ特許公開第８５２０３８９号公報

本発明の目的は、シリンジ針を保護する保護装置であって、上述の問題を有さない保護装置を提供することである。
具体的には、本発明の目的は、シリンジ針を保護する保護装置であって、自己注射器の取り外し部材と確実に協働する保護装置を提供することである。
本発明の別の目的は、シリンジ針を保護する保護装置の組立方法であって、簡単且つ安価に実施可能な組立方法を提供することである。

本発明の別の目的は、シリンジ針を保護する保護装置を組み立てるための組立装置であって、上述の組立方法の実施を可能にする組立装置を提供することである。

上記に鑑み、本発明は、硬質な針保護体であって、エラストマー素材からなる内部部材と、前記エラストマー素材からなる内部部材に対して固定された硬質な外部体とを有し、前記硬質な外部体は、当該硬質な外部体の軸方向下端に設けられた折り込み部を介して、前記エラストマー素材からなる内部部材に固定され、当該折り込み部は前記硬質な外部体の外周面から径方向内側に延出し、当該折り込み部の外表面は、軸方向下端且つ径方向外側に位置する縁部において、前記硬質な外部体の外周面に対して鋭角をなす角部を有する硬質な針保護体を提供する。

前記角部が前記硬質な外部体の外周面に対してなす角度は９０°未満であることが好ましい。
前記エラストマー素材からなる内部体は、ゴムもしくは熱可塑性エラストマー素材からなることが好ましい。
本発明はさらに、硬質な針保護体および当該硬質な針保護体を囲んで配される取り外し部材からなるユニットであって、前記硬質な針保護体は上で上述の構成を有し、前記取り外し部材は手により把持される把持領域と協働領域とを有し、当該協働領域において前記硬質な針保護体と協働し、当該協働領域は、少なくとも一つの径方向内側に延出する肩部を有し、当該少なくとも一つの肩部は、前記取り外し部材の軸方向の移動に追随して前記硬質な針保護体が軸方向に移動するように、前記硬質な針保護体の前記硬質な外部体の前記折り込み部の前記軸方向下端且つ径方向外側に位置する縁部と係合するユニットを提供する。

本発明はさらに、貯留部と針とを有するシリンジであって、上記硬質な針保護体を有するシリンジを提供する。
本発明はさらに、上記硬質な針保護体を組み立てる組立方法であって、前記エラストマー素材からなる内部部材を前記硬質な外部体内に挿入するステップと、折り曲げヘッドを用いて当該硬質な外部体の軸方向下端を径方向内側に折り曲げることで、前記エラストマー素材からなる内部部材を前記硬質な外部体内に固定する折り込み部を形成するステップと、整形ヘッドを用いて当該折り込み部を変形させて、当該折り込み部の軸方向下端且つ径方向外側に位置する縁部において、前記硬質な外部体の外周面に対して鋭角をなす角部を形成するステップとを含む組立方法を提供する。

前記硬質な外部体の軸方向下端を径方向内側へ折り曲げるステップは、熱もしくは超音波を用いて実行されることが好ましい。
前記折り込み部を変形させるステップは、熱もしくは超音波を用いて実行されることが好ましい。
本発明はさらに、上記の組立方法を実施して、上記の硬質な針保護体を組み立てる組立装置であって、前記エラストマー素材からなる内部部材を前記硬質な外部体内に挿入するための挿入装置と、前記エラストマー素材からなる内部部材を前記硬質な外部体内に固定するために、径方向内側に延出する折り込み部を形成する折り曲げヘッドと、折り込み部の丸みを帯びた外表面を変形させることで、当該折り込み部の軸方向下端且つ径方向外側に位置する縁部において、前記硬質な外部体の外周面に対して、好ましくは９０°未満の、鋭角をなす角部を形成するための整形ヘッドとを有する組立装置を提供する。

前記折り曲げヘッドと前記整形ヘッドの少なくともいずれかが、熱もしくは超音波を加えられた状態で動作することが好ましい。
以下に示す詳細な説明及び添付図面は、非限定的な例に基づき、本発明の特徴や利点を明確にするものである。

取り外し部材内に配された、従来の硬質な針保護体の断面図である。 図１の硬質な針保護体の断面図であって、その組み立て時における、エラストマー素材からなる内部部材の硬質な外部体への挿入を示す。 図２の硬質な針保護体の断面図であって、その組み立て時における、エラストマー素材からなる内部部材の固定のための、折り曲げヘッドを用いた硬質な外部体の軸方向下端の変形を示す。 折り曲げヘッドの形状、及び折り曲げヘッドにより形成される折り込み部の形状を示す詳細図である。 図３同様の図であり、本発明の好ましい実施形態の、成形ヘッド駆動前の状態を示す。 図５同様の図であり、成形ヘッド駆動中の状態を示す。 図５の細部を示す図であり、成形ヘッド駆動後の状態を示す。 取り外し部材内に配された、本発明の好ましい実施形態における硬質な針保護体のユニットの断面図である。 針を有するシリンジに搭載された、図８のユニットの斜視図である。 針を有するシリンジに搭載された、図８のユニットの断面図である。

なお、本明細書における「上」や「下」といった用語は、図に記載の硬質な針保護体の直立状態に基づくものである。また、「軸方向」および「径方向」といった用語は、図８に示す長手方向中央軸Ａに基づくものである。

本発明は、ゴムやＴＰＥ素材などのエラストマー素材からなる内部部材１１と、硬質な外部体１２とを有する硬質な針保護体１０に係る。
硬質な外部体１２は軸方向下端と軸方向上端面１２２とを有する。また、硬質な外部体１２は、その軸方向下端に形成された折り込み部１２１を介して、エラストマー素材からなる内部部材１１に固定される。

折り込み部１２１は、硬質な外部体１２の外周面１２５から径方向内側に延出（ｅｘｔｅｎｄ）する。また、折り込み部１２１は、公知の方法で、折り曲げヘッド３０により形成される。当該折り曲げヘッド３０は、丸みを帯びた形状の折り曲げ凹部３１を有する。当該折り曲げ凹部３１は、丸みを帯びた形状の折り込み部を形成するべく硬質な外部体１２の軸方向下端を変形させるよう構成されている。

本発明において、折り込み部１２１の外表面は、その軸方向下部且つ径方向外側の縁部において、硬質な外部体１２の外周面１２５に対して、好ましくは９０°未満の、鋭角をなす角部を有する。
この鋭角な角部は、成形ヘッド４０を用いて形成される。当該成形ヘッド４０は、折り込み部１２１の形状を、折り曲げヘッド３０により形成された丸みを帯びた形状から異なる形状へと変化させる。

なお、折り曲げヘッド３０を用いた、折り込み部１２１に丸みを帯びた外形を与える折り曲げは、エラストマー素材からなる内部部材１１を硬質な外部体１２内に確実に固定するために行われ、また特に、硬質な外部体１２がつぶれてしまうリスクを避けるために必要である。
したがって、折り曲げヘッド３０の折り曲げ凹部３１それ自体の形状を変更して、鋭角な角部を規定する形状にすることは望ましくない。なぜならそのような構成とした場合、硬質な外部体１２の軸方向下端の折り曲げ時に、硬質な外部体１２が変形したり、つぶれてしまう可能性があるためである。そのような変形やつぶれは、針保護体１０を損なう可能性がある。

より具体的には、折り曲げステップでは、折り込み部１２１が径方向内側にのみ延出するよう折り曲げられ、当該折り込み部１２１において、硬質な外部体１２の外周面１２５におけるいかなる径方向外側への形状変化も生じないようすることが望ましい。加えて、折り曲げステップでは、折り込み部１２１がエラストマー素材からなる内部部材１１を圧縮したり変形させたりしないことが望ましい。

したがって、本発明は、丸みを帯びた形状の折り込み部を形成するために従来の組立方法及び組み立て装置における折り曲げヘッド３０を使用し、さらにその後、当該折り込み部に鋭角な角部を形成する成形ヘッド４０を使用することを想定する。
当該成形ヘッド４０は、鋭角を規定する成形凹部４１を有する。当該成形凹部４１は、折り込み部１２１と協働し、当該折り込み部１２１の外表面に、硬質な外部体１２の外周面１２５に対して鋭角をなす角部を形成する。

当該成形凹部４１は図７に示す形状を有するのが好ましい。しかしながら、折り込み部１２１の軸方向下部且つ径方向外側の縁部における鋭角をなす角部の形成を可能にするという点で適切な、他の形状とすることも可能である。
なお、折り曲げヘッド３０及び成形ヘッド４０のいずれも高温にして動作させることが好ましい。これにより、硬質な外部体１２の軸方向下端に形成された折り込み部１２１を容易に変形することができる。また、折り曲げヘッド３０及び成形ヘッド４０の少なくともいずれかにおいて、超音波を加えて動作させることもできる。

このように、本発明において、折り込み部１２１は鋭角な角部を有するよう成形される。このことによって、折り込み部が図１に示す丸みを帯びた形状を有する場合とは異なり、硬質な針保護体１０を取り外すための取り外し部材２０が折り込み部１２１を上滑りしてしまうリスクを回避することができる。なお、ここで、取り外し部材２０は例えば自己注射器において用いられるものである。

取り外し部材２０は手により把持される把持領域２５を有する。当該把持領域２５は、取り外し部材に対して軸方向のけん引力をかけるために、ユーザが指を当てる領域である。取り外し部材はさらに協働領域２１を有する。取り外し部材２０は当該協働領域２１において硬質な針保護体１０と係合する。当該協働領域２１は、少なくとも一つの径方向内側に延出する肩部を有し、当該少なくとも一つの肩部は、硬質な針保護体１０の硬質な外部体１２の折り込み部１２１と係合する。このことで、取り外し部材２０の軸方向の動きに追随して硬質な針保護体１０が軸方向に動く。

図８に示すように、本発明の折り込み部１２１における鋭角をなす角部の存在により、取り外し部材の少なくとも一つの肩部２１と折り込み部１２１との係合が解除されてしまう事態を避けることができる。したがって、取り外し部材２０を軸方向に動かすことで硬質な針保護体１０を確実に取り外すことができる。
図９及び図１０は、貯蔵部１と針２とを有するシリンジであって、本発明の硬質な針保護体１０を有するシリンジを示す。当該シリンジは、当該硬質な針保護体１０と取り外し部材２０からなる装置を有するのが好ましい。なお、当然のことながら、当該シリンジは、貯蔵部１内を摺動するよう構成されたピストンを有し、さらに通常、注射時に当該ピストンを動かすピストンロッドを有する。しかしながら、これらの要素は本発明の主要部ではないため、図１０において示されてはいない。

以上、本発明を特定の実施形態を参照しながら説明したが、当然のことながら本発明はこの実施形態に限られない。添付の請求項によって規定された本発明の範囲を超えない限り、当業者は様々な変形を適用することが可能である。

Claims (10)

1. 硬質な針保護体（１０）であって、
   エラストマー素材からなる内部部材（１１）と、
   前記エラストマー素材からなる内部部材（１１）に対して固定された硬質な外部体（１２）とを有し、
   前記硬質な外部体（１２）は、当該硬質な外部体（１２）の軸方向下端に設けられた折り込み部（１２１）を介して、前記エラストマー素材からなる内部部材（１１）に固定され、
   当該折り込み部（１２１）は前記硬質な外部体（１２）の外周面（１２５）から径方向内側に延出し、
   当該折り込み部（１２１）の外表面は、軸方向下端且つ径方向外側に位置する縁部において、前記硬質な外部体（１２）の外周面（１２５）に対して鋭角をなす角部を有する
   ことを特徴とする硬質な針保護体。
2. 前記角部が前記硬質な外部体（１２）の外周面（１２５）に対してなす角度は９０°未満である
   請求項１に記載の硬質な針保護体。
3. 前記エラストマー素材からなる内部部材（１１）は、ゴムもしくは熱可塑性エラストマー素材からなる
   請求項１または２に記載の硬質な針保護体。
4. 硬質な針保護体（１０）および当該硬質な針保護体（１０）を囲んで配される取り外し部材（２０）からなるユニットであって、
   前記硬質な針保護体（１０）は、請求項１から３までのいずれか１項に記載の硬質な針保護体（１０）であり、
   前記取り外し部材（２０）は把持領域（２５）と協働領域（２１）とを有し、当該協働領域（２１）において前記硬質な針保護体（１０）と協働し、
   当該協働領域（２１）は、少なくとも一つの径方向内側に延出する肩部を有し、
   当該少なくとも一つの肩部は、前記取り外し部材（２０）の軸方向の移動に追随して前記硬質な針保護体（１０）が軸方向に移動するように、前記硬質な針保護体（１０）の前記硬質な外部体（１２）の前記折り込み部（１２１）の前記軸方向下端且つ径方向外側に位置する縁部と係合する
   ことを特徴とするユニット。
5. 貯留部（１）と針（２）とを有するシリンジであって、
   請求項１から３までのいずれか１項に記載の硬質な針保護体（１０）を有する
   ことを特徴とするシリンジ。
6. 請求項１から３までのいずれか１項に記載の硬質な針保護体（１０）を組み立てる組立方法であって、
   前記エラストマー素材からなる内部部材（１１）を前記硬質な外部体（１２）内に挿入するステップと、
   折り曲げヘッド（３０）を用いて当該硬質な外部体（１２）の軸方向下端を径方向内側に折り曲げることで、前記エラストマー素材からなる内部部材（１１）を前記硬質な外部体（１２）内に固定する折り込み部（１２１）を形成するステップと、
   整形ヘッド（４０）を用いて当該折り込み部（１２１）を変形させて、当該折り込み部（１２１）の軸方向下端且つ径方向外側に位置する縁部において、前記硬質な外部体（１２）の外周面（１２５）に対して鋭角をなす角部を形成するステップと、を含む
   ことを特徴とする組立方法。
7. 前記硬質な外部体（１２）の軸方向下端を径方向内側へ折り曲げるステップは、熱もしくは超音波を用いて実行される
   請求項６に記載の組立方法。
8. 前記折り込み部（１２１）を変形させるステップは、熱もしくは超音波を用いて実行される
   請求項６または７に記載の組立方法。
9. 請求項６から８までのいずれか１項に記載の組立方法を実施して、請求項１から３までのいずれか１項に記載の硬質な針保護体（１０）を組み立てる組立装置であって、
   前記エラストマー素材からなる内部部材（１１）を前記硬質な外部体（１２）内に挿入するための挿入装置と、
   前記エラストマー素材からなる内部部材（１１）を前記硬質な外部体（１２）内に固定するために、径方向内側に延出する折り込み部（１２１）を形成する折り曲げヘッド（３０）と、
   折り込み部（１２１）の丸みを帯びた外表面を変形させることで、当該折り込み部（１２１）の軸方向下端且つ径方向外側に位置する縁部において、前記硬質な外部体（１２）の外周面（１２５）に対して、好ましくは９０°未満の、鋭角をなす角部を形成するための整形ヘッド（４０）と、を有する
   ことを特徴とする組立装置。
10. 前記折り曲げヘッド（３０）と前記整形ヘッド（４０）の少なくともいずれかが、熱もしくは超音波を加えられた状態で動作する
    請求項９に記載の組立装置。

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