JP2017523418A - 生物学的サンプルの品質を評価するための手段及び方法 - Google Patents

生物学的サンプルの品質を評価するための手段及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、診断方法の分野に関する。具体的には、本発明は、生物学的サンプルの品質を評価する方法であって、以下のステップ: (a)いくつかのエントリーを含む表を提供するステップであって、各エントリーは、化合物、少なくとも1つのパラメータ、及びスコアリングファクタを含み、該化合物が天然化合物の場合には、それはアナライトを指し、又は該化合物が人工化合物の場合には、それは2つのアナライトの比を指し、該少なくとも1つのパラメータは該化合物に関連し、アナライトに関連する該パラメータはアナライトについての少なくとも1つの記録値から導出され、一方、2つのアナライトの比に関連する該パラメータは2つのアナライトの少なくとも1つの記録値の比から導出され、該スコアリングファクタは該化合物に関連する、ステップ; (b)表中の化合物のそれぞれについて化合物品質スコアを決定するステップであって、該化合物品質スコアは、該化合物に関連するスコアリングファクタの倍数値をとることによって決定され、該化合物に関連する少なくとも1つのパラメータの実際の値に応じて、該倍数値は選択され、該倍数値は、該化合物に関連するスコアリングファクタが乗算される整数又は10進数を含む、ステップ; (c)ステップ(b)で決定された、表中の化合物についての化合物品質スコアを合計することによって、少なくとも1つのサンプル品質スコアを導出するステップ; 及び (d)ステップ(c)で導出された少なくとも1つのサンプル品質スコアを、少なくとも1つの参照品質スコアと比較するステップであって、その比較により、サンプルの品質が評価される、ステップを含む、方法に関する。本発明は、デバイス及びキットなどの、上記の方法を実施するためのツール、並びに生物学的サンプルの品質を評価するための成分又はその検出剤の使用にさらに関する。本発明は、特に前分析段階に関して、正しいサンプルタイプを同定し(好ましくは自動的に)、同時に、サンプル品質を評価することを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、診断方法の分野に関する。具体的には、本発明は、生物学的サンプルの品質を評価するための方法に関する。本発明は、デバイス及びキットなどの、上記の方法を実施するためのツール、並びに生物学的サンプルの品質を評価するための成分又はその検出剤の使用にさらに関する。
特にバイオマーカーの同定及び確認に関する、代謝産物プロファイリング並びに/又は治療及び/若しくは診断の目的に関連した生物医学的研究のための、バイオバンクに保存された生物学的材料などの生物学的材料の使用は、サンプルメタボロームを妨げる分析前交絡因子によって大きく損なわれる可能性があり、これは、不均衡な研究デザイン、変動性の増大、不規則な影響、及び再現性のない結果をもたらし得る。このように、この生物学的材料の価値は、サンプル組成を妨害し得る分析前交絡因子によって損なわれ得るというこの観察は、十分に記録されている(例えば、Yin et al., Clin. Chem. 2013, 59:5, 833-845; Yang et al., Analytical Chemistry 2013, 85, 2606-2610; Kamlage et al., Clin. Chem. 2014, 60:2, 399-412を参照)。したがって、代謝産物プロファイリング又は他の分析若しくは診断方法に使用される生物学的材料の品質及び適合性を保証するために、生物学的材料の品質を評価することが特に望ましい。具体的には、関連する交絡因子は、血液、血漿、若しくは血清サンプルの処理及び/又は保存の時間及び/又は温度の増加、遠心分離プロトコールの影響、溶血、例えば遠心分離後の軟膜又は血塊の分散による、血液細胞による汚染、凍結プロトコール、抗凝固剤との血液の遅延又は不十分な混合により特に生じ得る血漿調製用の血液サンプルの微小凝固、及び他の実行可能な分析前ステップである。
ISO 9001、ISOガイド34、ISO 17025など、バイオバンクの品質保証及び品質管理のためのさまざまな標準が存在する(例えば、Carter 2011, Biopreservation and Bio-banking 9(2): 157-163; Elliott 2008, Int. J. Epidemiology 37: 234-244を参照)。現在、生物学的材料の品質を評価するために、生化学標準パラメータ、例えば、サンプルにおける核酸含有量及び完全性、遊離ヘモグロビン分析、カリウム分析、凝固活性の存在、細胞組成、細胞完全性、及び細胞数が決定される。しかしながら、これらの種類の標準パラメータの評価は、メタボローム分析のためのより明確な品質評価には適していない可能性がある。したがって、生物学的材料の品質評価のための代替方法及び手段に対するかなりの需要が存在する。
一例として、WO 2012/170669 A1は、プロテオーム分析のためのサンプルの品質を保証するためのタンパク質バイオマーカーの使用を開示する。さらに、Liu et al. 2010, Anal. Biochem. 406: 105-115; Fliniaux et al. 2011, J. Biomolecular NMR 51(4): 457-465; Boyanton 2002, Clinic. Chem. 48(12): 2242-2247; 及びBernini et al. 2011, J. Biomolecular NMR 49: 231-243は、インキュベーションが血漿及び血清サンプルのメタボローム組成に影響を及ぼし得ることを報告している。さらなる例として、US 7,790,464 B2は、電磁放射線の吸収を測定し比較することによって、体液中のヘモグロビン誘導体の濃度を測定する方法を開示する。さらに、生物学的サンプルの品質を評価するためのさらなる方法は、US 2014/087401 A1、WO 2003/033019 A1、及びWO 2003/016226に開示されている。
さらなる例として、US 2013/103321 A1は、サンプル品質を決定する方法を開示し、ここでは、サンプル処理マーカーが提供され、決定されたプロトコールから逸脱した方法によってどの程度までサンプルが生成され得るかを示す、サンプルについてのスコアを提供するための定量モデルが適用され、該スコアは、サンプルを拒絶又は受容するために使用される。この目的のために、正常範囲及び好ましいカットオフ値を含むサンプル品質標準を決定する方法は、さらなる分析に適したサンプルを同定するために使用され、ここで、対照サンプル中のサンプルマーカー値変動性は、細胞又は細胞成分から血漿上清を分離し、その後、血漿上清の凍結及びその後の解凍を行い、それにより、解凍された上清のスピンを行った後に、改善された品質のサンプルが生成されることにより、取得される。そこから、サンプル処理における変動に感度の高い処理マーカーが同定され、そこから各処理マーカーの正常範囲及び好ましいカットオフ値が導出され、サンプルのスクリーニングに適用されるサンプル品質標準内で使用される。
さらに、WO 2013/005790 A1は、血液サンプル中のアミノ酸濃度を利用することにより、酸化ストレス及び/又は抗酸化能力の程度を含む生体酸化を評価する方法を開示する。ここで、酸化ストレス及び/又は抗酸化能力の程度を含む生体酸化状態は、得られたアミノ酸濃度データに基づいて評価される。この目的のために、特にアミノ酸の可変濃度及びアミノ酸濃度データとして、多変量判別式が予め設定され、取得されたデータから導かれた計算された判別値と比較され、その比較から生物学的酸化の状態が評価される。比較のために、正準判別分析が使用され、それにより、好ましくはマハラノビス距離法に関連する決定木を使用し、ここで、マハラノビス距離法は、一般に「残余(residual)」として表記されるいくつかのデータ点の、共通点からの距離に関連する測定値を提供することができる。
WO 2012/170669 A1 US 7,790,464 B2 US 2014/087401 A1 WO 2003/033019 A1 WO 2003/016226 US 2013/103321 A1 WO 2013/005790 A1
Yin et al., Clin. Chem. 2013, 59:5, 833-845 Yang et al., Analytical Chemistry 2013, 85, 2606-2610 Kamlage et al., Clin. Chem. 2014, 60:2, 399-412 Carter 2011, Biopreservation and Bio-banking 9(2): 157-163 Elliott 2008, Int. J. Epidemiology 37: 234-244 Liu et al. 2010, Anal. Biochem. 406: 105-115 Fliniaux et al. 2011, J. Biomolecular NMR 51(4): 457-465 Boyanton 2002, Clinic. Chem. 48(12): 2242-2247 Bernini et al. 2011, J. Biomolecular NMR 49: 231-243
しかしながら、生物学的材料のメタボローム品質を評価するための基準は、特に、メタボロミクス研究から再現性のある信頼できる結果を得るための品質保証及び品質管理措置に関して、まだ利用可能ではないが、それにもかかわらず、非常に望まれている。
したがって、本発明の目的は、上記の要求を満たすための手段及び方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、特にその分析前段階に関して、好ましくは自動的に、正しいサンプルタイプを同定し、同時にサンプル品質を評価するための手段及び方法を提供することである。
この課題は、独立請求項の特徴を有する生物学的サンプルの品質を評価するための方法、デバイス、キット、及びバイオマーカーの使用によって解決される。単独で、又は任意の組み合わせで実現され得る本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に開示される。
第1の態様において、本発明は、生物学的サンプルの品質を評価する方法であって、
(a)少なくとも1つのエントリーを含む表を提供するステップであって、各エントリーは、化合物、少なくとも1つのパラメータ、及びスコアリングファクタを含み、該少なくとも1つのパラメータは、該化合物に関連し、該スコアリングファクタは、該化合物に関連する、ステップ;
(b)表中の少なくとも1つの化合物について、化合物品質スコアを決定するステップであって、該化合物品質スコアは、該化合物に関連するスコアリングファクタの倍数値をとることによって決定され、該倍数値は、該化合物に関連する該少なくとも1つのパラメータによって特定される、ステップ;
(c)表中の少なくとも1つの化合物について化合物品質スコアを合計することによって、少なくとも1つのサンプル品質スコアを導出するステップ; 及び
(d)該少なくとも1つのサンプル品質スコアを少なくとも1つの参照品質スコアと比較するステップであって、それにより、サンプルの品質が評価される、ステップ
を含む、方法に関する。
ステップ(a)〜(d)は、一般に、任意の順序で実施されてよく、本方法の所望の目的、すなわち、生物学的サンプルの品質の評価が達成され得る限り、本明細書で言及されていない追加のステップが含まれてもよい。しかし、ステップ(a)で始まり、最初にステップ(b)に進んで、次にステップ(c)に進み、最後にステップ(d)で終了するまでの所与の順序が特に好ましいかもしれない。しかし、これに関して、特に2つ以上の単一の化合物が参照され得る場合には、前のステップを完全に終わらせることなく次のステップを開始することが可能であり得ることが示され得る。
本明細書で使用される場合、用語「評価すること」は、「高品質」、「中品質」及び「低品質」を含む品質群の少なくとも2つのメンバーへの、生物学的サンプルの分類の提供を指し得る。したがって、第1の点では、評価することは、代謝分析のために、高い又は十分なサンプル品質と、低い又は不十分なサンプル品質との間を区別することを指してもよい。これに関して、高い又は十分なサンプル品質は、そのメタボローム組成の適切な分析を可能にし得るサンプルの組成を指し、一方、低い又は不十分なサンプル品質は、そのメタボローム組成の適切な分析を可能としないかもしれない。さらなる実施形態では、例えば、中程度又は中位の品質のサンプルは、いくつかの構成要素の適切な分析を依然として可能にし得るが、一方、他の構成要素の適切な分析は、もはや実行可能又は信頼可能ではないかもしれない。サンプル中の代謝産物のそれぞれの量並びに代謝産物のそれぞれの化学的性質に関して、代謝組成が変更され得るため、低サンプル品質は、不適切な分析をもたらし得る。低サンプル品質は、典型的には、代謝産物の分解及び/又は代謝産物の化学的変化によって引き起こされ得る。より典型的には、長期間の処理、溶血、微小凝固、細胞汚染、不適切な保存条件及び/又は不適切な凍結(特に緩慢な凍結による)によるものなど、分析前交絡因子の悪影響のために、サンプル品質は低いかもしれない。
当業者であればわかるだろうが、評価は、調査されるサンプルの100%に対して正しいことが望ましいが、通常はそうでないかもしれない。しかし、用語「評価」は、統計学的に有意な一部のサンプルを正しく評価できることを必要とし得る。一部が統計学的に有意かどうかは、種々の周知の統計学的評価ツールを用いて、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定又はマン・ホイットニー検定などを行って、当業者によって決定され得る。それに関する詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見出され得る。これに関して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%である好ましい信頼区間が選択され得る。p値は、好ましくは0.2、0.1、又は0.05と選択され得る。
本明細書で使用される場合、用語「アナライト」は、本明細書による品質の指標として機能し得る分子種を指し得る。分子種は、サンプル中に見出され得る代謝産物自体であり得る。さらに、アナライトはまた、例えば化学修飾によって、代謝産物から誘導され得る分子種であってもよい。そのような場合、実際の代謝産物は、サンプル中で又は決定プロセス中に化学的に修飾されてよく、修飾の結果として、化学的に異なる分子種(「バイオマーカー」又は「天然化合物」と称され得る)が、決定される分子種であり得る。そのような場合、アナライト又は天然化合物は、それが関連する実際の代謝産物を表すことができ、したがって、それぞれの品質評価の指標と同じ可能性を含み得る。
さらに、本発明によるアナライトは、必ずしも単一分子種に対応しなくてもよい。むしろ、アナライトは、立体異性体又は鏡像異性体を含んでいてもよい。さらに、アナライトはまた、異性体分子の生物学的クラスの異性体の合計を表してもよい。ある場合には、異性体は同一の分析特性を示してよく、したがって、使用される分析方法によって区別することができない。しかし、異性体は、少なくとも同一の合計式パラメータ(sum formula parameter)を共有してよく、したがって、例えば脂質の場合、脂肪酸及び/又はスフィンゴ塩基部分に同一の鎖長及び同一の二重結合数を含む。
本発明による方法では、生物学的サンプルは、特に、最小侵襲性マトリックスタイプのメタボロミクスについて評価され、ここで、最小侵襲性マトリックスタイプは、血漿、血清及び尿のうちの1つを含み得る。本明細書中で使用される場合、代謝産物は、特定の代謝産物の少なくとも1つの分子から、特定の代謝産物の複数の分子までを指し得る。さらに、一群の代謝産物は、複数の化学的に異なる分子を意味し得、各代謝産物について、少なくとも1つの分子から複数の分子までが存在し得る。本発明による代謝産物は、生物又はその一部、例えば、臓器、組織、体液、細胞のクラスター又は単一細胞など、生物学的材料に含まれる有機又は無機化合物の全てのクラスから選択され得る。好ましくは、本発明による代謝産物は、小分子であってもよく、特に複数の代謝産物が想定される場合には、複数の代謝産物は、メタボローム、すなわち、特定の時間及び特定の条件下の生物又はその一部に含まれる代謝産物の集合を表し得る。
本明細書中で使用される場合、用語「サンプル」は、生物学的材料、及び、特に代謝バイオマーカーを含むサンプルを指し得る。好ましくは、本発明によるサンプルは、体液、好ましくは血液、血漿、血清、唾液若しくは尿に由来するサンプル、又は例えば生検による、細胞、組織若しくは臓器に由来するサンプルである。より好ましくは、サンプルは、血液、血漿又は血清サンプル、最も好ましくは、血清サンプルであり、ここで、血清はEDTA血漿、クエン酸血漿及びヘパリン血漿のうちの1つを優先的に含み得る。本発明によるサンプルは、当技術分野で周知の技術によって被験体から得られてよい。一例として、血液サンプルは被験体から血液を採取することによって得ることができるが、組織又は臓器サンプルは被験体から、例えば生検によって得ることができる。本明細書中で使用される場合、被験体は動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウス若しくはラット又は霊長類、最も好ましくはヒトに関し得る。被験体は、好ましくは、疾患又は病的状態に罹患している疑いがあるか若しくはない、又は疾患又は病的状態を発症する危険性があるか若しくはなくてよい。
サンプルは、好ましくは、本発明の方法に使用される前に前処理され得る。本明細書において、前処理は、アナライト若しくは天然化合物を放出若しくは分離するため、又は過剰な材料及び/若しくは廃棄物を除去するために必要とされる処理を含み得る。さらに、前処理は、サンプルの滅菌、並びに/又は望ましくない細胞、細菌及び/若しくはウイルスなどの夾雑物のサンプルからの除去を目的とするものであり得る。好適な技術は、遠心分離、抽出、分画、限外濾過、タンパク質沈殿、それに続く濾過並びにアナライトの精製及び/又は濃縮を含み得る。さらに、他の前処理は、分析に適した形態及び/又は濃度のアナライトを提供するために実施され得る。好ましい例として、アナライトの先行する誘導体化を必要とし得るガスクロマトグラフィー結合質量分析が、本発明の方法において使用され得る。別の種類の前処理は、適切な保存温度、圧力、湿度、時間を含み得る適切な保存条件下でのサンプルの保存、及び保存剤を用いた保存サンプルの処理であり得る。適切で必要な前処理は、当業者に周知である。本明細書に記載される前処理されたサンプルはまた、本発明に使用される「サンプル」という用語に含まれる。
問題のサンプルの品質を評価する本方法のステップ(a)において、表が提供される。本明細書で使用される場合、用語「表を提供すること」は、リストの形でいくつかのエントリーを割り当て、供給することを指してもよく、ここで、各エントリーは、化合物、該化合物に関連する少なくとも1つのパラメータ、及び該化合物に関連するスコアリングファクタを含む。この点に関して、表は、少なくとも1つのエントリー、好ましくは少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個のエントリーを有するリストを含み得る。本明細書では、エントリーの数は、信頼性が高いが最も効率的な方法でサンプルの品質を評価するために必要とされ得る化合物の数によって好ましくは選択され得る。本明細書で使用される場合、用語「化合物」は、「天然化合物」又は「人工化合物」の両方を指してよく、どちらの種類の化合物も表の中に含まれ得る。天然化合物に関連するパラメータは、化合物に関連する少なくとも1つの対応する記録値から導出され得るが、人工化合物に関連するパラメータは、少なくとも2つの天然化合物の少なくとも1つの対応する記録値の1つを比較することによって決定され得る。
本明細書で使用される場合、表中に含まれる「天然化合物」は、天然化合物との関係におけるパラメータが、天然化合物に対応する少なくとも1つの記録値から導出され得る、化合物を指し得る。したがって、天然化合物は、上述のような、そしてサンプル中に含まれると考えられる又は想定されるアナライト、特にバイオマーカーに従って選択され得るアナライト、特にバイオマーカーを指し得る。特に、バイオマーカーなどのアナライトは、それが十分な及び/又は不十分なサンプル品質に相関し得る少なくとも1つの特徴的特性を含む限り、好ましくは天然化合物として選択され得る。好ましくは、少なくとも1つの天然化合物は、一意性、性能、及びGC極性を含む基準の1つに従って選択され得る。本明細書で使用される場合、用語「一意性」は、サンプルの品質に関して特定の分析前交絡因子を特異的に示す天然化合物の特性に関連し得る。本明細書で使用される場合、用語「性能」は、可能な限り低いp値を示し得る天然化合物の特性に関連し得る。本明細書で使用される場合、用語「GC極性」は、ガスクロマトグラフ法によって得られた極性画分から分析可能な天然化合物の特性に関連し得る。一般に、不適当な処理及び保存、溶血、血液細胞による汚染、血漿調製を目的とした血液サンプルの微小凝固、及びさらなる分析前ステップなどの、関連性のある様々な分析前交絡因子に関して、生物学的材料のサンプルの品質を示し得る天然化合物を選択することが特に好ましい。
本明細書で使用される場合、用語「値を記録すること」は、本発明の方法によって必要とされるサンプルに関して、天然化合物、例えばアナライト、特にバイオマーカー、の少なくとも1つの特徴的特性を取得することを指し得る。本発明による特徴的特性は、天然化合物の生化学的特性を含む物理的及び/又は化学的特性を特徴付けることができる特性であってもよく、その特性は、分子量、粘度、密度、電荷、スピン、光学活性、色、蛍光、化学発光、元素組成、化学構造、別のアナライトと反応する能力、及び/又は生物学的読み取り系において応答を誘発する能力、例えば、レポーター遺伝子の誘導を含み得る。それぞれの特性の値は、特徴的特性として機能してよく、当技術分野で周知の技術によって記録され得る。さらに、特徴的特性は、限定されるものではないが、加算、減算、乗算、除算、対数微積分、又は罰則付きロジスティック回帰を含む、計算などの標準的操作によって天然化合物の物理的及び/又は化学的特性の値から導出され得る任意の特性であり得る。最も好ましくは、少なくとも1つの特徴的特性は、天然化合物及びその量の決定及び/又は化学的同定を可能にし得る。したがって、特性値は、好ましくは、特性値が導出され得る天然化合物の存在量に関する情報も含み得る。一例として、天然化合物の特性値は、質量スペクトルにおけるピークであってもよく、ピークは、質量対原子番号(m/z)情報又はサンプル中の天然化合物の存在量、すなわちその量に関連する強度値などの、天然化合物に関する情報を含み得る。本発明に関して、サンプルに含まれる天然化合物は、好ましくは、定量的に決定され得る。定量的決定のためには、天然化合物の絶対量又は正確な量が、少なくとも1つの特徴的特性について得られた値から導出され得る。
さらに、本発明の方法において用いられる決定は、好ましくは、上述した分析ステップの前にアナライト分離ステップを用いることを含み得る。好ましくは、分離ステップは、サンプルに含まれる代謝産物の時間分解分離を生じ得る。したがって、本発明により好ましく用いられる分離に適した技術は、クロマトグラフィー分離技術、例えば、液体クロマトグラフィー(LC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、薄層クロマトグラフィー、サイズ排除又はアフィニティークロマトグラフィーを含み得る。これらの技術は当技術分野において周知であり、当業者により適用され得る。最も好ましくは、LC及び/又はGCは、本発明の方法により想定されるクロマトグラフィー技術である。アナライトの決定に適したデバイスは当技術分野において周知である。好ましくは、質量分析、特にガスクロマトグラフィー結合質量分析(GC-MS)、液体クロマトグラフィー結合質量分析(LC-MS)、直接注入質量分析又はフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT-ICR-MS)、キャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)、高速液体クロマトグラフィー結合質量分析(HPLC-MS)、四重極質量分析、任意の連続結合質量分析(例えば、MS-MS又はMS-MS-MS)、誘導的連結プラズマ質量分析(ICP-MS)、熱分解質量分析(Py-MS)、イオン移動度質量分析又は飛行時間質量分析(TOF)が用いられる。質量分析技術の代替として又はこれに加えて、以下の技術の少なくとも1つをアナライト決定に使用することができる:核磁気共鳴(NMR)、磁気共鳴画像法(MRI)、フーリエ変換赤外分析(FT-IR)、紫外線(UV)分光法、屈折指数法(RI)、蛍光検出法、放射化学的検出法、電気化学的検出法、光散乱法(LS)、分散的ラマン分光法又は水素炎イオン化検出法(FID)。また、これらの技術は当業者に周知であり、容易に適用することができる。
特に、ガスクロマトグラフィー結合質量分析(GC-MS)及び/又は液体クロマトグラフィー結合質量分析(LC-MS)が、本発明において値を記録するために使用される。これらの技術は、例えば、Nissen, J. Chromatography A, 703: 37-57, 1995、US 4,540,884 A又はUS 5,397,894 Aに開示されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書でさらに使用されるように、液体クロマトグラフィーは、液体又は超臨界相中のアナライトの分離を可能にし得る技術を指し得る。液体クロマトグラフィーは、移動相中の化合物が固定相を通過し得ることを特徴とし得る。化合物が異なる速度で固定相を通過し得る場合、それぞれ個々の化合物は特定の保持時間、すなわちアナライトが系を通過するのに要する時間を示し得るため、それらは時間とともに分離され得る。本明細書で使用される液体クロマトグラフィーはまた、高圧又は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含み得る。一方、本発明に従って適用されるガスクロマトグラフィーは、原則として、液体クロマトグラフィーと同等に作動し得る。しかし、固定相を通過し得る液体移動相中にアナライトを有するのではなく、アナライトは、ここでは気体体積中に存在し得る。アナライトは、固定相として機能し得る又は固定相で被覆され得る固体支持材料を含むカラムを通過してもよい。再び、各化合物は、カラムを通過するのに必要な特定の時間を示し得る。さらに、クロマトグラフィーの場合、クロマトグラフィーを行う前にアナライトを誘導体化することが好ましいかもしれない。誘導体化のための適切な技術は、当技術分野で周知である。好ましくは、本発明による誘導体化は、好ましくは極性化合物の、メトキシ化及びトリメチルシリル化、又は好ましくは非極性、すなわち親油性化合物の、トランスメチル化、メトキシ化及びトリメチルシリル化に関連し得る。
さらに、少なくとも1つの天然化合物、特に少なくとも1つのバイオマーカーはまた、特定の化学的又は生物学的アッセイによって決定され得る。前記アッセイは、サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーを特異的に検出することを可能にする手段を含む。好ましくは、前記手段は、他の化合物と反応するその能力若しくは生物学的読み取り系において応答を誘発するその能力(例えば、レポーター遺伝子の誘導)に基づいて、バイオマーカーの化学構造を特異的に認識することができるか、又はバイオマーカーを特異的に同定することができる。バイオマーカーの化学構造を特異的に認識することができる手段は、好ましくは、抗体、又は化学構造と特異的に相互作用する他のタンパク質、例えば、受容体又は酵素である。特定の抗体は、例えば、当技術分野で周知の方法によってバイオマーカーを抗原として使用して得ることができる。本明細書で言及される抗体は、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方、並びに抗原又はハプテンに結合することができるその断片、例えば、Fv、Fab及びF(ab)2断片を含む。本発明はまた、所望の抗原特異性を示す非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列がヒトアクセプター抗体の配列と組み合わされた、ヒト化ハイブリッド抗体も含む。さらに、単鎖抗体が包含される。ドナー配列は、通常、ドナーの少なくとも抗原結合アミノ酸残基を含むが、同様にドナー抗体の他の構造的に及び/又は機能的に関連するアミノ酸残基も含み得る。そのようなハイブリッドは、当技術分野で周知のいくつかの方法によって調製され得る。バイオマーカーを特異的に認識することができる適切なタンパク質は、好ましくは、前記バイオマーカーの代謝変換に関与する酵素である。前記酵素は、バイオマーカーを基質として使用するか、又は基質をバイオマーカーに変換し得る。さらに、前記抗体は、バイオマーカーを特異的に認識するオリゴペプチドを生成するための基礎として使用され得る。これらのオリゴペプチドは、例えば、前記バイオマーカーのための酵素の結合ドメイン又はポケットを含む。適切な抗体及び/又は酵素ベースのアッセイは、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)又は固相免疫試験であり得る。さらに、バイオマーカーはまた、他の化合物と反応するその能力に基づいて、すなわち特定の化学反応によって、決定され得る。さらに、バイオマーカーは、生物学的読み取り系において応答を誘発するその能力に起因して、サンプル中で決定されてもよい。生物学的応答は、サンプルに含まれるバイオマーカーの存在及び/又は量を示す読み出し値として検出される。生物学的応答は、例えば、遺伝子発現の誘導、又は細胞若しくは生物の表現型応答であり得る。好ましい実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーの決定は、例えばサンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定も可能にする、定量的プロセスである。
特定の実施形態では、本発明の方法は、記録値が欠損し得るか、又は誤っていると考えられ得るかどうかを各天然化合物について確認するステップをさらに含み得る。このような手順は、多数のサンプルが調査される場合、及び方法が何らかの理由で失敗しているサンプルが、警告メッセージの形式で又はプロトコール若しくはログファイルにおけるエントリーとして提供することなどによって、同定され得る場合、特に重要であり得る。
上記のように、表に含まれる「人工化合物」は、人工化合物との関係におけるパラメータが、少なくとも2つの天然化合物の少なくとも1つの対応する記録値の1つを比較することによって決定され得る化合物を指し得る。これに関して、表は、好ましくは、少なくとも2つの天然化合物と、それぞれの天然化合物を用いて決定される人工化合物との両方を含み得る。特に好ましい実施形態では、人工化合物との関係における少なくとも1つのパラメータは、人工化合物を導出するために使用される少なくとも2つの天然化合物の少なくとも1つの対応する記録値の比を導出することによって決定され得る。しかし、少なくとも2つの天然化合物に関する少なくとも1つのパラメータを比較するための他の手段が実現可能であり得る。2つの特定の天然化合物の対応するパラメータのそれぞれが、ピークの振幅又は強度などのマススペクトルにおけるピークに関連する値であり得る本発明による例では、人工化合物は、マススペクトルにおける2つのそれぞれのピークの振幅の又は強度の比を決定することによって導出され得る。したがって、この特定の例では、人工化合物は、サンプル中の2つの天然化合物の相対的存在比を反映し得る。結果として、人工化合物は、天然化合物に加えて、サンプルの品質に関連し得るさらなる指標を提供するのに寄与し得る。
したがって、本発明において、特定の化合物が天然化合物又は人工化合物と見なされ得るかどうかにかかわらず、化合物が参照される表におけるエントリーは、それぞれの化合物に関係する少なくとも1つのパラメータをさらに含む。好ましい実施形態では、パラメータは、アナライト、好ましくはバイオマーカーに関連する一種の閾値(例えば、量又は量の比)として選択され得、それによって、閾値は、特徴的特性について可能な値の範囲を少なくとも2つのセクションに分割し得る。第1の例では、第1のセクションは十分なサンプル品質に寄与することに関連し、一方、第2のセクションは不十分なサンプル品質に寄与することに関連し、一方、閾値自体はまた、十分な品質又は不十分な品質に寄与することのいずれかに関連し得る。閾値が不十分な品質に寄与することに関連し得る場合、閾値と本質的に同一であり得るか、又は不十分な品質に寄与することに関連するセクションに分類され得る化合物に関連する値は、不十分なサンプル品質への寄与を示し得る。一方、閾値が十分な品質に寄与することに関連する場合、閾値と本質的に同一であり得るか、又は十分な品質に寄与することに関連するセクションに分類され得る化合物に関連する値は、十分なサンプル品質への寄与を示す。
第1の実施形態では、特定の化合物に関係する少なくとも1つのパラメータは、したがって、少なくとも1つのカットオフレベル、例えば、単一のカットオフレベルを構成し得る1つの単一のパラメータ、を含み得る。したがって、本発明による好ましい例では、カットオフレベルは、高サンプル品質への寄与又は低サンプル品質への寄与の間の区別に特に好適であり得る値を提供し得る。別の実施形態では、化合物に関連する少なくとも2つのパラメータが提供されてよく、ここで、少なくとも2つのパラメータは、少なくとも1つのカットオフレベル及び少なくとも1つのカットオフレベルに関連する方向を含んでよく、方向パラメータは、少なくとも1つのカットオフレベルを下回る値が、低サンプル品質又は高サンプル品質に寄与し得るかどうかを示し得る。さらに好ましい実施形態では、化合物に関係する少なくとも3つのパラメータが提供されてもよく、ここで、少なくとも3つのパラメータは、少なくとも2つのカットオフレベル及び少なくとも2つのカットオフレベルに関連する方向を含んでよく、例えば、3つのパラメータは、2つのカットオフレベルと単一の方向とを構成する。したがって、本発明によるさらに好ましい例では、2つのカットオフレベルは、サンプルの品質に特に関連し得る2つのカットオフレベルの間に位置する値の範囲を提供し得る。本発明によるさらに好ましい例では、2つのカットオフレベルのうちの1つは、したがって、第1のサンプル品質及び中程度のサンプル品質への寄与の間の区別に関連し得る第1の閾値を提供してよく、一方、2つのカットオフレベルのうちの他方は、中程度のサンプル品質及び第2のサンプル品質への寄与の間の区別に特に関連し得る第2の閾値を提供してよく、方向パラメータは、第1のサンプル品質が、低サンプル品質若しくは高サンプル品質に寄与し得るかどうか、又は第2のサンプル品質が、したがって、高サンプル品質若しくは低サンプル品質に寄与し得るかどうかを示し得る。
既に上述したように、化合物及び化合物との関係における少なくとも1つのパラメータに加えて、表中の各エントリーは、また、化合物に関連するスコアリングファクタを含む。整数若しくは自然数、あるいは10進数とも称され得る、整数の形で特に表され得る、スコアリングファクタは、より詳細に後述される化合物品質スコアを決定できるために、ステップ(b)の間に続いて使用されるためにステップ(a)の間に提供される。したがって、特定のスコアリングファクタは、特定のスコアリングファクタがリスト内で関連するそれぞれの化合物の重要性を表し得る。一例として、スコアリングファクタは、天然化合物であろうと又は人工化合物であろうと、0.5、1、2、3の値、又は対応する化合物の相対重量を反映するのに好適であり得る任意の他の値をとってもよい。さらなる例として、スコアリングファクタは、例えば、2つの天然成分について0(ゼロ)の値に等しくなるように選択されてもよいが、2つの天然成分の比のみがサンプルの品質評価に特に興味があり得る又は重要であり得る特定の場合には、2つの天然成分の相対的存在比を形成することによって取得され得る人工成分についてゼロの値とは異なるように選択されてもよい。
問題のサンプルの品質を評価する本方法のステップ(b)では、化合物品質スコアが、表中の化合物の数について決定される。本明細書では、化合物品質スコアは、表内のエントリーとして含まれる天然化合物又は人工化合物のいずれかの各化合物に関連している。本発明では、化合物品質スコアは、化合物と関連しているスコアリングファクタの倍数値をとることによって、ステップ(b)の間に決定され、ここで、倍数値は、化合物に関連する少なくとも1つのパラメータによって特定される。本明細書で使用される場合、「倍数値(multiple value)」は、特に容易な評価を可能にするために、整数又は自然数とも呼ばれる整数を好ましくは指してよいが、代わりに、10進数を指してもよく、これによって、特定の化合物に関連するスコアリングファクタが乗算されてよい。
本明細書で使用される場合、「倍数値を特定すること」は、倍数値がどの実際の値をとり得るかを決定するための手順を指してよく、ここで、各化合物に関連する少なくとも1つのパラメータの値が考慮される。第1の実施形態では、特に、化合物が天然化合物を構成し得る場合、倍数値は、天然化合物の少なくとも1つのパラメータを、天然化合物の少なくとも1つの対応する記録値と比較することによって、特定され得る。化合物に関連する少なくとも1つのパラメータが唯一のパラメータとして単一のカットオフレベルを含み得る、本発明による好ましい例では、それぞれの天然化合物についての記録値が、カットオフレベルと比較されてよく、したがって、記録値が表内のそれぞれのエントリーに与えられたカットオフレベルを超え得るか又はそれを下回り得るかどうかの区別を提供し得る。記録値がカットオフレベルを下回り、カットオフレベルを下回る値が低品質を示し得るように、カットオフレベルが低サンプル品質と高サンプル品質との間を区別し得る第1の場合では、倍数値は第1の値をとってよく、一方、記録値がカットオフレベルを超え得る第2の場合では、倍数値は同じ条件下で第2の値をとってよい。本発明のさらに好ましい例では、2つのカットオフレベル及び1つの方向が天然化合物に関連する3つのパラメータを構成してよく、第1のカットオフレベルは低及び中サンプル品質間を区別してよく、一方、第2のカットオフレベルは中及び高サンプル品質間を区別してよく、両者とも問題の天然化合物の寄与に関し、一方、方向パラメータは、方向「上昇」を示してよく、したがって、倍数値は、記録値が第1のカットオフレベルを下回り得る第1の値、記録値が第1のカットオフレベルを超えるが、依然として第2のカットオフレベルを下回り得る第2の値、又は記録値が第2のカットオフレベルも超え得る第3の値をとり得る。さらに好ましい例では、第1のカットオフレベルは高及び中サンプル品質間を区別してよく、一方、第2のカットオフレベルは中及び低サンプル品質間を区別してよく、一方、方向パラメータは、方向「下降」を示してよく、したがって、倍数値は、記録値が第2のカットオフレベルを超え得る第1の値、記録値が第2のカットオフレベルを下回るが、依然として第1のカットオフレベルを超え得る第2の値、又は記録値が第1のカットオフレベルも下回り得る第3の値をとり得る。さらに好ましい例は、天然化合物のそれぞれに関連する2つ以上のパラメータに適用可能であり得る。
第2の実施形態では、特に化合物が人工化合物を構成し得る場合、「倍数値を特定すること」は、人工化合物の少なくとも1つのパラメータを、少なくとも2つの天然化合物の少なくとも1つの対応する記録値と比較することを指し得る。2つの天然化合物の2つの対応するパラメータ間の比が、カットオフレベルなどの人工化合物の単一パラメータを構成し得る本発明による好ましい例では、倍数値は、比がカットオフレベルを下回り得る第1の値をとってよいが、比がカットオフレベルを超え得る第2の値をとってよい。上述のように、2つの別々のカットオフレベルが問題の人工化合物の寄与に関して低、中、及び高サンプル品質間を区別し得る本発明によるさらに好ましい例では、方向パラメータが方向「下降」を示し得るが、したがって、倍数値は、比が位置し得る範囲に応じて値をとってよい。
ステップ(b)による手順は、表内に含まれる少なくとも1つの化合物について、最も好ましくは天然化合物であれまたは人工化合物であれ表中の全ての化合物について、実施されてよく、このステップによって、表内に含まれる少なくとも1つの化合物についての化合物品質スコアが取得される。
続いて、又は少なくとも部分的に同時に、問題のサンプルの品質を評価するための本方法のステップ(c)では、少なくとも1つのサンプル品質スコアが、表中の少なくとも1つの化合物についての化合物品質スコアを合計することによって導出される。厳密に言えば、表が1つの単一の特定の化合物に関連する単一のエントリーのみを含み得る、ありそうにない場合には、「合計」手順は、この例外的な場合における少なくとも1つのサンプル品質スコアについての値として、1つの特定の化合物の化合物品質スコアを単純にとることを含み得る。表が、天然化合物であろうと又は人工化合物であろうと、少なくとも2つの異なる化合物に関連する少なくとも2つのエントリーを含む他の全ての場合において、「合計」手順は、表内の化合物の数のそれぞれについての化合物品質スコアの値の加算を含み得、ここで、加算は、それぞれの値の合計値を提供してよく、合計値は、この非常にありそうな場合におけるサンプル品質についての値に等しいと見なされ得る。
さらに、問題のサンプルの品質を評価する本方法のステップ(c)では、少なくとも2つの異なるサンプル品質スコアを別々に導出することが可能であり得る。特に好ましい実施形態では、2つの異なるサンプル品質スコアが導出されてもよく、ここで、第1のサンプル品質スコアは、(i)静脈切開と血液細胞からの血漿の分離との間の延長時間、又は(ii)静脈切開と血液細胞からの血漿の分離との間の温度の標準的なプロトコールからの逸脱などの、血液処理関連サンプル品質に関連してよく、第2のサンプル品質スコアは、(i)血漿の保存の延長時間、又は(ii)血漿の保存中の温度上昇などの、血漿処理関連サンプル品質に関し得る。本明細書では、この目的のために用いられる天然化合物又は人工化合物は、例えば2014年3月26日に出願された欧州特許出願EP14 161 766.2(その全内容は参照により本明細書に含まれる)による、血液処理関連及び/又は血漿処理関連交絡因子群に割り当てられてもよい。したがって、血液処理関連サンプル品質スコアは、好ましくは、血液処理のみに関連した天然化合物及び/又は人工化合物を使用することによって導出され得る。同様に、血漿処理関連サンプル品質スコアは、血漿処理のみに関連した天然化合物及び/又は人工化合物を使用することによって導出され得る。さらに、そのようなアプローチは、サンプル品質評価に対して、(1)標準的な操作手順からの逸脱が生じた重要なステップの同定、及び(2)さらなる分析に対するサンプルの適合性に関するより合理的な決定を可能にしてよく、例えば研究において、血液処理に関連する交絡因子に対して高い分析前感度を有する医学的血液パラメータに興味があり得る場合、血液処理に関連する高い品質スコアを有するが、血漿処理に関連する低い品質スコアを有するサンプルは依然としてこの研究における分析に適している可能性がある。
問題のサンプルの品質を評価するための本方法のステップ(d)では、少なくとも1つのサンプル品質スコアが少なくとも1つの参照品質スコアと比較され、その手順によってサンプルの品質が評価される。本明細書で使用される場合、用語「参照品質スコア」は、単一のサンプル、多数のサンプル、又は複数のサンプル、すなわち好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、200、500、1000又はそれ以上のサンプル(「参照サンプル」とも呼ばれ、明確な品質、特に十分な品質又は不十分な品質のものであることが知られていてよい)から得られた品質スコアを指してよい。
本明細書で使用される場合、用語「比較すること」は、少なくとも1つのサンプル品質スコアについて導出された値が、参照品質スコアと本質的に同一であり得るか、又はそれと異なり得るかを判定することを決定することを指してもよい。好ましくは、少なくとも1つのサンプル品質スコアについて導出された値が参照品質スコアについて予め規定された値と異なり得る場合、少なくとも1つのサンプル品質スコアについての値は、参照品質スコアとは異なるとみなされ得る。このような比較に基づいて、サンプル品質が評価されてよく、すなわち、サンプルが十分な品質を含むか否かが評価されてよく、これは、以前の調査の解釈及び/又はさらなる調査のために、例えば、さらなる調査を実施するための十分な品質のサンプルのみを選択するために、特に関連し得る。したがって、本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも1つのサンプル品質スコアを少なくとも1つの参照品質スコアと比較することは、メンバー「高品質」、「中品質」及び「低品質」を少なくとも含み得る品質群の少なくとも2つのメンバーへのサンプルの分類を提供し得る。この点に関して、高サンプル品質は、そのメタボローム組成の適切な分析を可能にし得るサンプルを指してよく、一方、低サンプル品質は、そのメタボローム組成の適切な分析を可能にしなくてもよく、中品質サンプルは、いくつかの種類の調査の適切な分析を依然として可能にしてよく、一方、他の種類の調査の適切な分析は、もはや実行可能又は信頼可能ではなくてもよい。したがって、好適な例として、高品質に関連する第1の参照品質スコア、中品質に関連する第2の参照品質スコア、及び低品質に関連する第3の参照品質スコアが与えられてよい。したがって、結果として、ステップ(d)において参照品質スコアと比較され得る、ステップ(c)において導出された少なくとも1つのサンプル品質スコアは、そのそれぞれの値に従って、高、中又は低サンプル品質の1つに割り当てられてよく、それに応じて処置され得る。しかし、さらなる特定の条件下では、他の例が好ましいかもしれない。
本発明による方法は、好ましくは、自動化により補助又は実施され得る。一例として、サンプルの処理又は前処理は、機械又はロボット装置などの任意の種類の自動的若しくは自動補助装置又はその一部によって実施されてもよい。したがって、本発明による方法は、好ましくは、コンピュータで実施される方法であり得る。データ処理及び比較は、好ましくは、適切なコンピュータプログラム及びデータベースによって補助されてもよい。自動化は、特に、ハイスループットアプローチにおいて本発明の方法を使用することを可能にし得る。一例として、本発明による方法は、好ましくは、本発明によるステップのいずれか又は全てを実施するための少なくとも1つのアルゴリズムを含む適切なコンピュータプログラムによって補助されてもよい。
好ましい例として、第1のアルゴリズムは、ステップ(a)の間にデータベースとして化合物に関連する、化合物、少なくとも1つのパラメータ、及びスコアリングファクタをそれぞれが含む少なくとも1つのエントリーを有する表内のルックアップ機能を実行するために存在し得る。さらに、第2のアルゴリズムは、ステップ(b)の間に化合物に関連するスコアリングファクタの倍数値をとることによって、各化合物について化合物品質スコアを決定するために存在し得る。さらに、第3のアルゴリズムは、ステップ(c)の間に各化合物についての化合物品質スコアを合計することによって、少なくとも1つのサンプル品質スコアを導出するために存在し得る。さらに、第4のアルゴリズムは、ステップ(d)の間にサンプルを品質群のメンバーとして分類するために、少なくとも1つのサンプル品質スコアを参照品質スコアと比較するために存在し得る。さらに、化合物に関連する少なくとも1つの対応する記録値から天然化合物に関連するパラメータを導出するための第5のアルゴリズム、少なくとも2つの天然化合物の対応する記録値を比較することによって人工化合物に関連するパラメータを決定するための第6のアルゴリズム、記録値が欠損し得るか又は誤っていると考えられ得るかを各天然化合物について確認するための第7のアルゴリズムなど、さらなるアルゴリズムが存在し得る。さらに、本方法の特定の実施において、さらなるアルゴリズムが存在し得る。このようなアルゴリズム並びに関連するデータベース及びコンピュータプログラムは、当技術分野で周知である。上記にかかわらず、言及されたアルゴリズムのいずれか又は全ては、手動で実行されてもよい。
上記でなされた用語の定義及び説明は、本発明の以下の態様、特にデバイス、キット、及び化合物若しくはその検出剤の使用に関して、以下で本明細書中に特に明記される場合を除き、準用する。
さらなる態様において、本発明は、生物学的サンプルの品質を評価するためのデバイス(システムとも呼ばれ得る)であって、
(A)表中の化合物の少なくとも1つのパラメータに対応する少なくとも1つの記録値を含むデータセットを受信するための受信ユニット、
(B)データ処理ユニット及びデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースは少なくとも1つの記憶された参照スコア及び該表を含み、該表は少なくとも1つのエントリーを含み、各エントリーは該化合物の1つ、該少なくとも1つのパラメータ及びスコアリングファクタを含み、該少なくとも1つのパラメータは該化合物に関連し、該スコアリングファクタは該化合物に関連し、該データ処理ユニットは、化合物品質スコアを合計することによって、少なくとも1つのサンプル品質スコアを導出するために、及び少なくとも1つのサンプル品質スコアを少なくとも1つの参照品質スコアと比較することによって、サンプルの品質を決定するために、少なくとも1つの化合物についての化合物品質スコアを決定するための明白に組み込まれた少なくとも1つのアルゴリズムを有する、評価ユニット
を含む、デバイスに関する。
特に、代謝産物プロファイリング又は他の分析若しくは診断方法に使用される生物学的サンプルの品質及び適合性を保証するために、生物学的サンプルの品質を評価するためのデバイスは、本明細書中他の箇所に記載される生物学的サンプルの品質を評価するための方法を用いることによって、生物学的サンプルの品質を評価するために使用される。
本明細書で使用されるデバイスは、少なくとも上記のユニットを含むが、追加的に、任意のさらなるユニットを含み得る。本明細書において、デバイスのユニットは、好ましくは相互に動作可能に連結されていてもよく、ユニットの配置は、デバイス内に含まれるユニットのタイプ及びそれぞれの動作に依存し得る。好ましい例として、受信ユニット及び評価ユニットは、単一のデバイスに含まれていてもよく、それは、したがって、サンプル品質評価のためのデータを処理するための、並びにそれぞれの情報を割り当て及び/若しくは提供するための評価ユニットとして、コンピュータ又はデータ処理設備を示し得る。さらに好ましい例として、受信ユニット及び評価ユニットは、少なくとも2つの別個のデバイスに含まれていてもよく、それは、異なる部屋、場所、町又は国などの異なる位置に配置されていてさえもよい。このさらなる配置は、例えば単にサンプルをロードすることを必要とする電子デバイスなど、臨床医の特定の知識が必要とされない場合に特に適用され得る。受信ユニットの出力情報は、例えば、第1の場所で収集され、得られた結果は、評価ユニットが配置され得る第2の場所に、物理的転送又はワイヤレス転送を含む任意の手段によって転送され得る。第2の場所では、評価ユニットは、数値、又はより好ましくはサンプルの、品質群の少なくとも2つのメンバー、例えば高品質、中品質又は及び低品質への単純な分類(これは、それにもかかわらず、サンプル品質についての結論を引き出すことが可能であり得、したがって、第1の場所へ又はそのような種類の情報が診断の信頼性についてのサポートとして必要とされ得る任意の他の場所へ任意の手段によって戻され得る)を提供するために使用されてよい。そのような場合、第2の場所で評価ユニット内に明白に組み込まれたアルゴリズムは、サンプル品質を示すために必要とされる上述のステップを実行し得る。
デバイスのユニットはまた、好ましくは、動作可能に連結されているいくつかのユニットを含むシステムに組み入れることができる。本発明によるそれぞれのシステムに使用されるユニットに応じて、ユニットは、ユニット間にデータ伝送を可能にする手段、例えば、電気ケーブル、ガラスファイバーケーブル、又は特にハイスループットデータ伝送に適用可能な他のケーブルによって、各ユニットを他のユニットの少なくとも1つに接続することによって機能的に連結され得る。それにもかかわらず、例えば、LAN、ワイヤレスLAN、W-LANを介したユニット間のワイヤレスデータ転送も好ましい。
好ましいシステムは、本発明を実施するために必要とされるアナライト、特にバイオマーカーを決定するための手段をさらに含み得る。バイオマーカーを決定するための手段は、本明細書で使用される場合、バイオマーカーを分離するための手段、例えば、クロマトグラフィデバイス、及び代謝産物決定のための手段、例えば、質量分析デバイスを特に含み得る。好適なデバイスは上に詳細に記載されている。本発明のシステムに使用される化合物分離のための好ましい手段は、クロマトグラフィデバイス、より好ましくは、液体クロマトグラフィー、HPLC、及び/又はガスクロマトグラフィーのためのデバイスを含む。化合物決定のための好ましいデバイスは、質量分析デバイス、より好ましくはGC-MS、LC-MS、直接注入質量分析、FT-ICR-MS、CE-MS、HPLC-MS、四重極質量分析、順次結合質量分析(MS-MS又はMS-MS-MSを含む)、ICP-MS、Py-MS又はTOFを含む。分離及び決定手段は、好ましくは、互いに結合している。最も好ましくは、LC-MS及び/又はGC-MSが、本明細書中の他の箇所に詳細に記載されているように本発明のシステムに使用される。さらに含まれるのは、アナライトの決定のための手段から得られる結果を比較及び/又は分析するための手段である。本明細書では、結果を比較及び/又は分析するための手段は、少なくとも1つのデータベース及び結果の保存及び比較のための組み込まれるコンピュータプログラムを含み得る。
さらなる態様では、本発明は、生物学的材料のサンプルの品質の指標に寄与し得る少なくとも1つの化合物についての少なくとも1つのパラメータを含むデータ集合に関する。本明細書で使用される場合、用語「データ集合」は、物理的及び/又は論理的に一緒に分類し得るデータの収集物を指し得る。したがって、データ集合は、単一のデータ記憶媒体に、又は動作可能に連結されている物理的に分離されたデータ記憶媒体において実装され得る。好ましくは、データ集合は、データベースを用いて実装され得る。したがって、本明細書で使用されるデータベースは、適切な記憶媒体上へのデータ集合を含み得る。さらに、データベースは、好ましくは、データベース管理システムをさらに含んでよく、データベース管理システムは、好ましくは、ネットワーク基盤の、階層的及び/又はオブジェクト指向データベース管理システムであり得る。さらに、データベースは、連合又は統合データベースであってもよい。より好ましくは、データベースは、分散(連合)型システム、例えばクライアントサーバシステムとして実装され得る。より好ましくは、データベースは、検索アルゴリズムによって本発明の方法の言及されたステップのいずれか又は全てを実施できるように構築され得る。結果的に、データ集合から得られる情報は、例えば、問題のサンプルの品質の評価として使用できる。
さらに、本発明は、上記のデータ集合を含むデータ記憶媒体に関し得る。本明細書で使用される場合、用語「データ記憶媒体」は、単一の物理的実体、例えば、CD、CD-ROM、ハードディスク、光記憶媒体、又はディスケットなどに基づくデータ記憶のための手段を指し得る。しかし、この用語は、好ましくはクエリー検索に適した方法で、上記のデータ集合を提供するように動作可能に連結された物理的に分離された実体を含み得るデータ記憶のための手段をさらに指し得る。
さらなる態様において、本発明は、特に本願の他の箇所に記載されている生物学的サンプルの品質を評価する方法を使用することによって、生物学的サンプルの品質を評価するための、少なくとも1つの天然化合物若しくはその検出剤の使用、及び適用可能な場合には上記の少なくとも1つの人工化合物の使用を含む。この点に関して、検出剤を、少なくとも1つの化合物に基づいてどのように製造し得るかは、当業者に周知であることが言及され得る。例えば、天然化合物として使用される少なくとも1つのバイオマーカーに特異的に結合する抗体又はアプタマーが生成され得る。同様に、バイオマーカー化合物自体は、例えばGCMSで分析した場合に、例えば複合体内で又は修飾形態若しくは誘導体化形態で、組成物として使用され得る。
さらなる態様において、本発明は、生物学的サンプルの品質を評価するキットを提供し、該キットは、上記の少なくとも1つの天然化合物のための少なくとも1つの検出剤を含む。本明細書中で使用される場合、用語「キット」は、好ましくは別々に又は単一の容器内に提供される、上記の構成要素の集合を指し得る。容器は、本発明の方法を実施するために適用可能な説明書をさらに含んでよく、説明書はマニュアルの形態であってもよく、又は本発明の方法のステップのいずれか若しくは全てを実行することができるコンピュータプログラムコードによって提供されてもよく、したがって、コンピュータ若しくはデータ処理デバイス上で実施された場合にサンプルの品質評価を確立する。コンピュータプログラムコードは、データ記憶媒体、又は光記憶媒体、例えばコンパクトディスクなどの別個のデバイス上に、あるいはコンピュータ若しくはデータ処理デバイス上に直接提供されてもよい。いくつかの実施形態では、キットは、緩衝液又は試薬などのさらなる成分、例えばコンジュゲート及び/又は基質をさらに含み得る。
本発明はまた、生物学的サンプルの品質を評価する上記の目的のための本発明のキットの使用に関することがさらに理解される。
好ましい実施形態では、本発明は、メタボローム解析を行う方法であって、好ましくは、本発明の方法に従って少なくとも1つの生物学的サンプルの品質を評価すること、及び、好ましくは十分な品質、例えば高品質又は中品質が評価され得る生物学的サンプルのみを用いて、メタボローム解析を行うことを含む、方法に関する。
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、メタボローム解析を行う方法であって、好ましくは、本発明の方法の1つに従って少なくとも1つの生物学的サンプルの品質の評価を順序付けすること、及び、好ましくは十分な品質、例えば高品質又は中品質が評価され得る生物学的サンプルのみを用いて、メタボローム解析を行うことを含む、方法に関する。
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、品質に従って生物学的サンプルを階層化する方法であって、好ましくは、本発明の方法に従って少なくとも1つの生物学的サンプルの品質を評価すること、及び、品質に従って少なくとも1つのサンプルを階層化することを含む、方法に関する。
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、品質に従って生物学的サンプルを階層化する方法であって、好ましくは、本発明の方法の1つに従って少なくとも1つの生物学的サンプルの品質の評価を順序付けすること、及び、品質に従って少なくとも1つのサンプルを階層化することを含む、方法に関する。
さらに好ましい実施形態では、本発明は、品質基準に合致しない生物学的サンプルを生物学的サンプルのプールから除去する方法であって、好ましくは、本発明の方法に従うプールからの少なくとも1つの生物学的サンプルの品質、及び不十分な品質、例えば低品質又は中品質が評価され得る場合に、サンプルをプールから除去することを含む、方法に関する。
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、品質基準に合致しない生物学的サンプルを生物学的サンプルのプールから除去する方法であって、好ましくは、本発明の方法に従ってプールからの少なくとも1つの生物学的サンプルの品質の評価を順序付けすること、及び、不十分な品質、例えば低品質又は中品質が評価され得る場合に、サンプルをプールから除去することを含む、方法に関する。
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、試験に、特に臨床試験に生物学的サンプルを含める方法であって、好ましくは、本発明の方法に従って少なくとも1つの生物学的サンプルの品質を評価すること、及び、十分な品質、例えば高品質又は中品質が評価され得る場合に、試験に生物学的サンプルを含めることを含む、方法に関する。
さらなる好ましい実施形態では、本発明は、試験に、特に臨床試験に生物学的サンプルを含める方法であって、好ましくは、本発明の方法に従って少なくとも1つの生物学的サンプルの品質の評価を順序付けすること、及び、十分な品質、例えば高品質又は中品質が評価され得る場合に、試験に生物学的サンプルを含めることを含む、方法に関する。
本明細書中に引用される全ての参考文献は、一般的な開示内容又は上に示された特定の開示内容に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
上記を考慮して、以下の実施形態が好ましい:
実施形態1: 生物学的サンプルの品質を評価する方法であって、以下のステップ:
(a)少なくとも1つのエントリーを含む表を提供するステップであって、各エントリーは、化合物、少なくとも1つのパラメータ、及びスコアリングファクタを含み、該少なくとも1つのパラメータは該化合物に関連し、該スコアリングファクタは該化合物に関連する、ステップ;
(b)表中の少なくとも1つの化合物について化合物品質スコアを決定するステップであって、該化合物品質スコアは、該化合物に関連するスコアリングファクタの倍数値をとることによって決定され、該倍数値は、該化合物に関連する少なくとも1のパラメータによって特定される、ステップ;
(c)表中の少なくとも1つの化合物についての化合物品質スコアを合計することによって、少なくとも1つのサンプル品質スコアを導出するステップ; 及び
(d)少なくとも1つのサンプル品質スコアを少なくとも1つの参照品質スコアと比較するステップであって、それにより、サンプルの品質が評価される、ステップ
を含む、方法。
実施形態2: 前記倍数値が整数を含む、実施形態1に記載の方法。
実施形態3: 前記少なくとも1つのパラメータが、少なくとも1つのカットオフレベル及び該少なくとも1つのカットオフレベルに関連する方向を含む、実施形態1〜2のいずれか1つに記載の方法。
実施形態4: 前記少なくとも1つのサンプル品質スコアを前記少なくとも1つの参照品質スコアと比較することが、高品質、中品質、及び低品質を少なくとも含む品質群の少なくとも2つのメンバーへのサンプルの分類を提供する、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5: 前記表が、いくつかの天然化合物及びいくつかの人工化合物を含み、天然化合物に関連する少なくとも1つのパラメータが、該化合物に関連する少なくとも1つの対応する記録値から導出され、人工化合物に関連する少なくとも1つのパラメータが、少なくとも2つの天然化合物の少なくとも1つの対応する記録値の1つを比較することによって決定される、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6: 前記少なくとも1つの記録値が、定量的液体クロマトグラフィー結合質量分析(LC-MS)又はガスクロマトグラフィー結合質量分析(GC-MS)によって取得される、実施形態5に記載の方法。
実施形態7: 前記少なくとも1つの記録値が、化学的又は生物学的アッセイを使用することによって、特にRIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)又は固相免疫試験の1つ以上を用いることによって、取得される、実施形態5〜6のいずれか1つに記載の方法。
実施形態8: 記録値が欠損しているか又は誤っていると考えられるかを各天然化合物について確認するステップをさらに含む、実施形態5〜7のいずれか1つに記載の方法。
実施形態9: 人工化合物に関連する前記少なくとも1つのパラメータが、人工化合物に関連する少なくとも2つの天然化合物の少なくとも1つの対応する記録値の比を導出することによって決定される、実施形態5〜8のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10: 天然化合物について、前記倍数値が、天然化合物の少なくとも1つのパラメータを、天然化合物の少なくとも1つの対応する記録値と比較することによって特定されるか、又は人工化合物について、前記倍数値が、人工化合物の少なくとも1つのパラメータを、少なくとも2つの天然化合物の少なくとも1つの対応する記録値と比較することによって特定される、実施形態5〜9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11: 前記生物学的サンプルが、最小侵襲性マトリックスタイプのメタボロミクスについて評価される、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12: 前記最小侵襲性マトリックスタイプが、血漿、血清及び尿の1つを含み、該血漿が、EDTA血漿、クエン酸血漿、及びヘパリン血漿の1つを含む、実施形態11に記載の方法。
実施形態13: 前記方法が、コンピュータで実施される方法である、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の方法。
実施形態14: 生物学的サンプルの品質を評価するためのデバイスであって、
(A)表中の化合物の少なくとも1つのパラメータに対応する少なくとも1つの記録値を含むデータセットを受信するための受信ユニット、
(B)データ処理ユニット及びデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースは少なくとも1つの記憶された参照スコア及び該表を含み、該表は少なくとも1つのエントリーを含み、各エントリーは該化合物の1つ、該少なくとも1つのパラメータ及びスコアリングファクタを含み、該少なくとも1つのパラメータは該化合物に関連し、該スコアリングファクタは該化合物に関連し、該データ処理ユニットは、化合物品質スコアを合計することによって、少なくとも1つのサンプル品質スコアを導出するために、及び少なくとも1つのサンプル品質スコアを少なくとも1つの参照品質スコアと比較することによって、サンプルの品質を決定するために、少なくとも1つの化合物についての化合物品質スコアを決定するための明白に組み込まれた少なくとも1つのアルゴリズムを有する、評価ユニット
を含む、デバイス。
実施形態15: 生物学的サンプルの品質を評価するための、少なくとも1つの天然化合物又はその検出剤の使用。
実施形態16: 少なくとも1つの天然化合物のための少なくとも1つの検出剤を含む、生物学的サンプルの品質を評価するためのキット。
本発明は、本発明の範囲を限定又は制限することを意図するものではない以下の実施例によって例示される。
[実施例1]
生物学的サンプルの品質を評価するための本方法のステップ(a)の第1の例として、エントリーの4つの別々の行を含む表1Aが提示される。本明細書において、各エントリー行は、化合物参照番号、それぞれの化合物の頭字語、対応する化合物に関連する2つのパラメータ、すなわち第1のパラメータ及び第2のパラメータ、並びに同じエントリー行内のそれぞれの化合物との関係におけるスコアリングファクタをも含む:
Figure 2017523418
本発明では、生物学的サンプルは、特に、最小侵襲性マトリックスタイプのメタボロミクスについて評価され、最小侵襲性マトリックスタイプは、血漿、血清及び尿の1つを含み得る。したがって、評価手順における適用のために選択され、したがって表1A(又は後述の表2A)に含まれる各化合物は、特にこの特定の目的を示してよく、すなわち、本方法にしたがって調査される血漿、血清、又は尿の品質を特に反映し得る。したがって、特定の例(ここには示されていない)では、問題となる生物学的サンプルの可能性のある最小侵襲性マトリックスタイプ間を区別し、したがって、どの最小侵襲性マトリックスタイプが評価中の生物学的サンプル中に実際に存在し得るかを決定することを可能にし得る各表に、少なくとも1つの追加の化合物をさらに含めることが実行可能であり得る。これに代えて又は加えて、少なくとも1つの追加の化合物の存在量の調査は、公知のサンプルが実際に、予想される最小侵襲性マトリックスタイプのものであるかどうかを検証するために使用され得る。
本発明による評価を実施する前に、記録値が欠損し得るか又は誤っていると考えられ得るかを各天然化合物について確認する追加のステップが、好ましくは実施され得る。そのような手順は、多数のサンプルが調査され得る場合に特に重要であり得る。その結果、警告メッセージ又はプロトコール若しくはログファイル内のエントリーが、そのような欠陥エントリーに対して提供され得る。
この特定の例では、第1のパラメータはそれぞれ、閾値を構成するカットオフレベルを含み、閾値を上回る値又は閾値を下回る値は、高サンプル品質又は低サンプル品質への寄与を示し得る。本明細書において、表1Aの1〜3行目に含まれる3つの天然化合物についての閾値は、LC-MS又はGC-MSデバイスによって取得されたそれぞれの天然化合物の存在量を構成する。
閾値を上回る値又は閾値を下回る値が高又は低サンプル品質への寄与を示し得るかどうかは、第2のパラメータ、すなわち方向に依存する。本明細書において、「上昇」に等しい方向は、カットオフレベルを超える記録値に対する高サンプル品質への寄与を示してよく、一方、「下降」に等しい方向は、記録値がカットオフレベルを下回り得る場合に高サンプル品質への寄与を示してよい。
さらに、この特定の例では、最初の2つの天然化合物のスコアリングファクタは0(ゼロ)に等しくなるように選択され、一方、3番目及び4番目の化合物についてのスコアリングファクタはゼロとは異なるものとして与えられる。第3の化合物についてのスコアリングファクタは、サンプル品質評価に重要であり得る天然化合物を指すが、第4の化合物についてのスコアリングファクタは、表1Aの1行目及び2行目に含まれる2つの天然成分の相対的存在量の比を形成することによって取得される人工成分に関する。この特定の例では、2つの特定の天然化合物の対応するパラメータのそれぞれが、マススペクトルにおけるピークに関連する値、例えばピークの振幅又は強度であり得る場合、人工化合物は、マススペクトルにおける2つのそれぞれのピークの振幅又は強度の比を決定することによって導出され得る。この特定の例では、2つの参照された天然成分の存在量の比のみ(2つの参照された天然成分の存在量自体ではなく)が、サンプル品質評価に重要であり得る。結果として、人工化合物は、天然化合物に加えて、サンプル品質に関連し得るさらなる指標を提供するのに寄与し得る。
この例に関して、本方法のステップ(b)では、化合物品質スコアは、表1Aに含まれる4つの化合物についてここで決定される。本発明では、化合物品質スコアは、化合物に関連するスコアリングファクタの倍数値をとることによって決定される。本明細書において、倍数値は、化合物に関連するパラメータによって特定される。この特定の例の中で、倍数値のパラメータへのそれぞれの依存性は、以下の補足表1Bに示す値をとり得るアルゴリズムによって表され得る:
Figure 2017523418
したがって、それぞれが天然化合物を含む表1Aの1〜3行目に関して、所与のカットオフレベルは、例えばLC-MS又はGC-MSデバイスを用いて取得される、それぞれの天然化合物の記録された存在量を構成し得る天然化合物との関係における記録値と比較される。しかし、表1Aの1〜2行目に含まれる天然成分のスコアリングファクタは上記の理由によりゼロに等しいため、任意の数の0との乗算は常にゼロを提供するので、表1Aの1〜2行目は無視され得、したがって、表1Aの3行目のみがさらに考慮され得る。
表1Aの3行目に関しては、記録値が実際に記録された単一の値であり得るか、あるいは、いくつかの異なる、好ましくは後続の、記録から導出される平均値であり得るかにかかわらず、LC-MS又はGC-MSデバイスによって0.28の記録値が取得されていてよい。この点に関して、記録値は、天然化合物の特徴的な値、特にマススペクトルにおけるピークであってもよいことが言及され、ピークは天然化合物に関する情報、例えば質量対原子番号(m/z)情報又はサンプル中の天然化合物の存在量、すなわちその量、に関する強度値を含み得る。この目的のために、好ましくは、ガスクロマトグラフィー結合質量分析(GC-MS)及び/又は液体クロマトグラフィー結合質量分析(LC-MS)が使用される。上により詳細に記載したように、液体クロマトグラフィーは、液体相又は超臨界相中のアナライトの分離を可能にする技術であり、移動相中の化合物は、異なる速度で固定相を通過して時間的に分離するが、ガスクロマトグラフィーでは、気体体積中に存在するアナライトは、固定相として機能する固体支持材料を含むカラムを通過し、各化合物は、カラムを通過するのに必要な特定の時間を示し得る。定量化のために、13C標識標準が使用され得る。
表1Aの3行目から、第1に、上に言及した0.28の記録値が0.5の所与のカットオフ値を下回ることが導出され得る。第2に、表1Aの3行目に示された方向は「下降」を示す。その結果、補足表1Bから得られ得る対応する倍数値は1に等しい。
表1Aの2行目に含まれる天然成分の存在量の比で割った表1Aの1行目に含まれる天然成分の存在量の比を表す人工化合物を含む、表1Aの4行目に関して、2つの天然成分の存在量が記録され、その後除算される必要がある。この特定の例では、表1Aの1行目の天然成分について9.10の値が記録されていてもよく、表1Aの2行目の天然成分について1.40の値が記録されていてもよい。結果として、6.50のそれぞれの比がそこから導出されてもよい。この値を表1Aの4行目に示されるカットオフレベルと比較することから推論されるように、この比はカットオフレベル6.00を超える。さらに、表1Aの4行目に示される方向は、「上昇」を示す。その結果、補足表1Bから得られ得る対応する倍数値は1に等しい。
Figure 2017523418
この例に関して、本方法のステップ(c)では、サンプル品質スコアは、表1A及び補足表1Cの両方に含まれる4つの化合物(天然化合物であれ又は人工化合物であれ)についての化合物品質スコアを合計することによって、続いて導出され、サンプル品質スコアについて5の値が得られる。しかし、この特定の例では、表1Cの1〜2行目を無視するか否かは、ゼロ加数の合計が無視できる寄与を常にもたらすため、同じ結果をもたらす。
しかし、この絶対値5は、本方法のステップ(d)によって、この特定の例の補足表1Cで取得され提示されたサンプル品質スコアが、補足表1Dから取得された参照品質スコアと比較されるまで、ほとんど関連性がない。この手順により、サンプルの品質が最終的に評価され得る。この特定の例では、取得されたサンプル品質スコア5は、7の値をとる参照品質スコア以上ではない。結果として、問題のサンプルの品質は、補足表1Dに従って、ここでは「低」と割り当てられ得る:
Figure 2017523418
[実施例2]
生物学的サンプルの品質を評価する本方法のステップ(a)の第2の例として、4つの別個のエントリー行を含む表2Aが提示される。本明細書において、各エントリー行は、化合物参照番号、それぞれの化合物の頭字語、対応する化合物に関連する3つのパラメータ、すなわち第1のカットオフレベル、第2のカットオフレベル、及び方向、並びに同じエントリー行内のそれぞれの化合物との関係におけるスコアリングファクタをも含む:
Figure 2017523418
この特定の例では、2つのカットオフレベルは、したがって、サンプルの品質に特に関連し得る2つのカットオフレベルの間に位置する値の範囲を提供し得る。本明細書において、2つのカットオフレベルのうちの1つは、したがって、高サンプル品質及び中サンプル品質への寄与の間の区別に関連する第1の閾値を提供してよく、一方、2つのカットオフレベルの他方は、中サンプル品質及び低サンプル品質への寄与の間の区別に関連する第2の閾値を提供してよいが、方向パラメータ「上昇」は、第1のサンプル品質が高サンプル品質に寄与し得、第2のサンプル品質がしたがって低サンプル品質に寄与し得ることを示し得る。反対に、方向パラメータ「下降」は、第1のサンプル品質が高サンプル品質に寄与し得、第2のサンプル品質がしたがって低サンプル品質に寄与し得ることを示し得る。中程度又は中位の品質のサンプルは、例えば、いくつかの構成要素の適切な分析を依然として可能にし、一方、他の構成要素の適切な分析は、もはや実行可能又は信頼可能ではないかもしれない。したがって、中品質のサンプルがさらに使用され得るかどうかは、それぞれの目的に依存し得る。さらに、第1の例に関してなされた定義及び説明は、この例についても同様に準用する。
第2の例に関して、本方法のステップ(b)では、化合物品質スコアは、化合物に関連するスコアリングファクタの倍数値をとることによって、表2Aに含まれる4つの化合物についてここで決定される。第1の例と同様に、倍数値は、化合物に関連するパラメータによって特定される。この特定の例の中で、倍数値のパラメータへのそれぞれの依存性は、以下の補足表2Bに示す値をとり得るアルゴリズムによって表され得る:
Figure 2017523418
表2Aの1〜3行目の天然成分について、第1の例で得られたものと同じ記録値がさらに検討され得る; すなわち、表2Aの1〜3行目のそれぞれの天然成分について、9.10、1.40及び0.28。結果として、各化合物について、天然化合物であれ又は人工化合物であれ、補足表2Bから得られ得る対応する倍数値を参照することにより、化合物スコアは、以下の補足表2Cに示されるように導出され得る:
Figure 2017523418
この例に関して、本方法のステップ(c)では、サンプル品質スコアは、補足表2Cに含まれる4つの化合物について、天然化合物であれ又は人工化合物であれ、化合物品質スコアを合計することによって続いて導出され、サンプル品質スコアについて11の値が得られる。
しかし、サンプル品質スコアについてのこの絶対値11は、本方法のステップ(d)において、この特定の例における補足表2Cで取得され、提示されたサンプル品質スコアが、補足表2Dから得られた参照品質スコアと比較されるまで、再度、ほとんど関連性はない。この手順により、サンプルの品質が最終的に評価され得る。この特定の例では、取得されたサンプル品質スコア11は、低サンプル品質についての第1の参照品質スコア10を超えているが、高サンプル品質についての第2の参照品質スコア15のすぐ下に依然としてとどまっている。結果として、問題のサンプルの品質は、補足表2Dに従って、「中」又は「中位」とここでは割り当てられ得る:
Figure 2017523418
結果として、この特定の例による中又は中位品質のサンプルは、依然として、いくつかの目的のために実行可能又は信頼可能であり得る。
第1及び第2の例の両方において、特異的に適合されたキットは、生物学的サンプルの品質を評価する上述の目的のために使用されてよく、該キットは、ここで使用される天然化合物についての少なくとも1つの検出剤を含む。この目的のために、キットは、好ましくはこの方法を実施するために適用可能な説明書と一緒に、別々に又は単一の容器内に提供された上述の構成要素の集合を含み得る。さらに、キットは、さらなる成分、例えば緩衝液又は試薬、例えばコンジュゲート及び/又は基質をさらに含み得る。
さらに、第1及び第2の例の両方において、本方法によって得られた結果は、いくつかの異なる配置に従って表示され得る。第1の種類の配置では、いくつかの異なるサンプルについての結果表が提供されてもよく、各サンプルについて、サンプル識別番号、数として表されたサンプル品質スコア、及び少なくとも一単語で表された関連サンプル品質を含むエントリーが与えられ得る。第2の種類の配置では、状況報告が提供されてもよく、第1の種類の配置に加えて、取得された最も可能性のあるマトリックスタイプも各サンプルに関して提示され得る。第3の種類の配置では、異なるサンプルの数についての要約表が提供されてよく、異なるサンプルカテゴリーについて、結果として得られた高品質、中品質、及び低品質のサンプルの数がそれぞれ与えられ得る。第4の種類の配置では、チャートが提供されてもよく、横軸としてのサンプル数に関して、各サンプル品質スコアが、対応するカットオフレベルと共に縦軸として提示され得る。この種の配置では、特に、対応する色(好ましくは補足表1D及び2Dに示されているように、適用可能な場合には、高サンプル品質について緑色、中サンプル品質について黄若しくは橙色、及び低サンプル品質について赤)で各サンプル品質を強調するために、カラーコードがさらに使用され得る。しかし、他のカラーコードが同様に使用され得る。さらに、さらなる種類の配置が使用され得る。

Claims (15)

  1. 代謝産物プロファイリング又は他の分析若しくは診断方法に使用される生物学的サンプルの品質及び適合性を保証するために、生物学的サンプルの品質を評価する、コンピュータで実施される方法であって、以下のステップ:
    (a)いくつかのエントリーを含む表を提供するステップであって、各エントリーは、化合物、少なくとも1つのパラメータ、及びスコアリングファクタを含み、該化合物が天然化合物の場合には、それはアナライトを指し、又は該化合物が人工化合物の場合には、それは2つのアナライトの比を指し、該少なくとも1つのパラメータは、該化合物に関連し、アナライトに関連する該パラメータはアナライトについての少なくとも1つの記録値から導出され、一方、2つのアナライトの比に関連する該パラメータは2つのアナライトの少なくとも1つの記録値の比から導出され、該スコアリングファクタは該化合物に関連する、ステップ;
    (b)表中の化合物のそれぞれについて化合物品質スコアを決定するステップであって、該化合物品質スコアは、該化合物に関連するスコアリングファクタの倍数値をとることによって決定され、該化合物に関連する少なくとも1つのパラメータの実際の値に応じて、該倍数値は選択され、該倍数値は、該化合物に関連するスコアリングファクタが乗算される整数又は10進数を含む、ステップ;
    (c)ステップ(b)で決定された、表中の化合物についての化合物品質スコアを合計することによって、少なくとも1つのサンプル品質スコアを導出するステップ; 及び
    (d)ステップ(c)で導出された少なくとも1つのサンプル品質スコアを、少なくとも1つの参照品質スコアと比較するステップであって、その比較により、サンプルの品質が評価される、ステップ
    を含む、方法。
  2. 表中のエントリーの数が、サンプルの品質を評価するために必要とされる化合物の数によって選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1つのパラメータが、少なくとも1つのカットオフレベル及び該少なくとも1つのカットオフレベルに関連する方向パラータを含み、該方向パラメータは、少なくとも1つのカットオフレベルを下回る値が、低サンプル品質又は高サンプル品質に寄与するかどうかを示す、請求項1〜2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つのサンプル品質スコアを前記少なくとも1つの参照品質スコアと比較することが、高品質、中品質、及び低品質を少なくとも含む品質群の少なくとも2つのメンバーへのサンプルの分類を提供する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記表が、いくつかの天然化合物及びいくつかの人工化合物を含み、天然化合物に関連する少なくとも1つのパラメータが、該化合物に関連する少なくとも1つの記録値から導出され、人工化合物に関連する少なくとも1つのパラメータが、少なくとも2つの天然化合物の少なくとも1つの記録値の1つを比較することによって決定される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つの記録値が、アナライトの定量的液体クロマトグラフィー結合質量分析(LC-MS)又はガスクロマトグラフィー結合質量分析(GC-MS)によって取得される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの記録値が、化学的又は生物学的アッセイを使用することによって、特にアナライトについてのRIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫試験、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離促進ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)又は固相免疫試験の1つ以上を用いることによって取得される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 記録値が欠損しているか又は誤っていると考えられるかを各アナライトについて確認するステップをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. アナライトが、代謝産物としてサンプル中に存在する分子種、代謝産物から誘導される分子種、代謝産物の立体異性体又は鏡像異性体、異性体分子の生物学的クラスの異性体の合計、のうちの1つである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. アナライトについて、前記倍数値が、アナライトの前記少なくとも1つのパラメータを、アナライトの前記少なくとも1つの記録値と比較することによって選択されるか、又は2つのアナライトの比について、前記倍数値が、2つのアナライトの比の前記少なくとも1つのパラメータを、少なくとも2つのアナライトの前記少なくとも1つの記録値と比較することによって選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 自動化により補助又は実施される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記生物学的サンプルが、血漿、血清及び尿の1つを含み、該血漿が、EDTA血漿、クエン酸血漿、及びヘパリン血漿の1つを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 代謝産物プロファイリング又は他の分析若しくは診断方法に使用される生物学的サンプルの品質及び適合性を保証するために、生物学的サンプルの品質を評価するためのデバイスであって、
    (A)表中の化合物の少なくとも1つのパラメータに対応する少なくとも1つの記録値を含むデータセットを受信するための受信ユニット、
    (B)データ処理ユニット及びデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースは少なくとも1つの記憶された参照スコア及び該表を含み、該表はいくつかのエントリーを含み、各エントリーは該化合物の1つ、該少なくとも1つのパラメータ及びスコアリングファクタを含み、該化合物が天然化合物の場合には、それはアナライトを指し、又は該化合物が人工化合物の場合には、それは2つのアナライトの比を指し、該少なくとも1つのパラメータは該化合物に関連し、アナライトに関連する該パラメータはアナライトについての少なくとも1つの記録値から導出され、一方、2つのアナライトの比に関連する該パラメータは2つのアナライトの少なくとも1つの記録値の比から導出され、該スコアリングファクタは該化合物に関連し、該データ処理ユニットは、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って生物学的サンプルの品質を評価するための明白に組み込まれた少なくとも1つのアルゴリズムを有する、評価ユニット
    を含む、デバイス。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って生物学的サンプルの品質を評価するための、少なくとも1つのアナライト又はその検出剤の使用。
  15. 少なくとも1つのアナライトのための少なくとも1つの検出剤を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って生物学的サンプルの品質を評価するためのキット。
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