「バイオガス」という用語は、有機物の生物学的分解により生成されるあらゆる非不活性ガスを含むものとして本明細書では使用される。バイオガスの非限定的な例としては、水素、メタン、および一酸化炭素が挙げられる。本明細書で使用されるバイオガスは、エタンおよびエチレンなどのガス状石油ベース生成物の他にも、木材チップ、穀物、草、葉、その他などの農業廃棄物の腐敗生成物も含む。「バイオガス」という用語は、本明細書では、他の供給源から得られる同じガスを含むものとしても使用される。他の例としては、「炭層メタン」、「炭鉱メタン」、および「廃止炭鉱メタン」として知られる、石炭に関連するメタンが挙げられる。いくつかの実施形態では係るメタンはバクテリア活性または熱により導出される。
「天然ガス」という用語は、本明細書では、主にメタンから形成された物質の集合体を意味することを意図するものであるが、エタン、プロパン、ブタン、およびペンタンも含み得る。天然ガスの組成は、広く変動し得(例えば個別的または全体的に約70%〜100%または約70%〜約90%のメタン、約5%〜15%のエタン、約5%までまたは約20%までのプロパンまたはブタン)、二酸化炭素、酸素、水、窒素、硫化水素、希ガス(例えばアルゴン、ヘリウム、ネオン、およびキセノン)を含み得る。
本明細書で使用される「軽質ガス」という用語は、二酸化炭素と、少なくとも2つの炭素を含む炭化水素(例えばメタン、エタン、プロパン、エタノール、メタノール、メタノール、およびこれらのうちの2つ以上の組合せ)と、を含むガスを意味することを意図するものである。いくつかの実施形態では水も含まれ得る。
本明細書で使用される「生物燃料」と言う用語は一般に、動物、植物、および/または生体物質から作られた液体燃料を指す。
本発明の一態様では、ハイブリッド燃料と、ハイブリッド燃料を作る方法と、が開示される。本明細書で使用される「ハイブリッド燃料」と言う用語は一般に、容易に利用可能な軽質ガス(以下でより詳細に説明する)、炭化水素留分、生物燃料、水、および様々な添加剤パッケージのうちの任意の1つまたは複数を使用する「ドロップイン」燃料調合物を含む多数の可能な燃料の調合物または配合物のうちの任意の1つを指す。いくつかの実施形態ではハイブリッド燃料は、軽質ガスおよび液体燃料供給(例えば天然ガスおよび軽油)の組み合わせに起因する燃料生成物を含む。ドロップイン燃料は、ドロップイン燃料により置き換えられる従来の燃料に対して相互交換可能性および互換性を有する燃料である。ドロップイン燃料は、暖房システム、燃焼器システム、エンジンまたはジェット燃料システムの改造を、または、ドロップイン燃料が使用される燃料分配ネットワークの変更を、必要としない。ドロップイン燃料は、「そのまま」での使用も可能であり、または、ドロップイン燃料により置き換えられる従来の燃料との配合も可能である。
本明細書で使用される「エネルギー電子」は、ガス状分子の分解(例えば分離またはイオン化によるメタンまたは天然ガスの分解)に関与する能力を有するよう、高い電子エネルギーを有する電子を指す。エネルギー電子は、別様に熱力学的に望ましくない反応が発生することを可能にする(非熱プラズマの使用を含むがこれに限定されない)本明細書で開示する処理の一部である。いくつかの非限定的な実施形態ではエネルギー電子は、約1〜10eVの、約5eVより大きい、約6.5eVより大きい、または約10eVよりもさらに大きい、電子エネルギーを有する。いくつかの実施形態では十分な個数のエネルギー電子または高エネルギー電子が電子崩壊とよばれる現象に関与する。係る現象では2次電子が生成される。特定的な状況ではメタンから形成されたラジカル上のフラグメンテーションパターンは電子エネルギー分布関数(EEDF)に部分的に依存する。
ハイブリッド燃料を作るための処理の実施形態は、柔軟性および十分な統合化を示し、手元にある利用可能な原料に、ならびに、所望のハイブリッド燃料の種類に、容易に適応されることが可能である。例えばこれらの処理の実施形態は、暖房用オイル、軽油、ガソリン、船舶燃料、およびジェット燃料(例えばJet A、JP−8、JP−5、その他)のうちの任意の1つまたは複数に対するドロップイン交換品を生成するよう適応され得る。同様に、これらの処理の実施形態は、様々な原料(例えば、植物油、動物由来脂肪、アルコール、天然ガス、CO2、重油、軽油、バイオディーゼル、および、バイオマス、石炭、コークス、および他の物質のガス化から作られた製品)を受け入れるよう適応され得る。本明細書で開示の統合化された処理は、燃料可用性の経済的側面を最大化し、且つ、暖房、輸送(例えば車両、船舶、ジェット、その他)の要件を含む複数の燃料使用の要件を満足する、柔軟な動作を提供する。本明細書に開示の処理は、制限された天然ガスを保有する遠隔地を含む多数の場所に適用可能であり、トラックまたは平底荷船により設備を移動させるにあたり好適である。さらにこれらの処理は、比較的低い用役消費量(例えば水)を有し、実装するにあたって比較的低い資本コストを伴う。
上述のように、および以下でより詳細に説明するように、本発明の実施形態は、ハイブリッド燃料を生成するための高度に統合化された処理を提供する。高度に統合化されたプラントは、個々の処理のための原料の多数が「内部的に供給」されるため、原料の価格および可用性に影響されにくい。すなわち、1つのサブ処理の1次生成物または副生成物が他のサブ処理に対して供給される。このように処理の外部から購入されるべき原料が少量ですむため、原料供給の不安定さにさらされる度合いは小さくなる。
さらに処理全体の性能は高度な処理統合化により向上する。高度に統合化された処理の柔軟性は、利用可能な原料および所望のハイブリッド燃料生成物に対応するために、サブ処理の処理順序の変更を可能にする。同様にこの処理は、代替的なハイブリッド燃料生成物の製造に対応することにより、変化する生成物要求および生成物の経済的側面に適応することが可能である。普通なら廃棄されることが要求されるであろう特定のサブ処理の副産物が他のサブ処理のための原料として使用可能であるため、環境的性能も向上する。このことにより、廃棄コストの他にも原料そのもののコストも回避されるため、運用コストも小さくなる。さらに多くの場合、統合化プラント全体に対する資本的経費も、個々のサブ処理が独立的に構築された場合に発生するであろう資本的経費よりも、低くなる。同様に、1つのサブ処理から他のサブ処理へと材料を発想することにより発生するであろう輸送コストも、統合化された処理では回避される。
一態様では、本明細書に開示の処理は、軽質ガスからフリーラジカルを形成することと、ハイブリッド燃料を生成するために後続の処理においてフリーラジカルを利用することと、を含む。本明細書で開示の処理は、2つの別個のステップ、―すなわち、軽質ガスを分離する第1のステップと、さらなる処理ステップを起動するために再び高温高圧でフリーラジカルを作る第2の後続ステップと、を必要とする従来の処理に対する利点を示す。本明細書で開示の処理はこれら2つの別個のステップに対する必要性を制限し、それにより精製器およびユーザに対して顕著な利点(例えば低エネルギー消費)が提供される。本明細書で開示の代表的な実施形態では、最初のステップで生成されるフリーラジカルは、オイルおよび他の燃料供給液体の精製のための処理において直接的に利用される。さらにフリーラジカルは他の処理における使用のために利用可能である。本明細書で開示の処理は、フリーラジカルが存在する時間内における、蒸気相のフリーラジカルおよび後続の液体燃料供給(例えば、液体またはオイルの液相)との密接な(すなわち短期の)接触を組み込む。
他の態様では、炭素を、水素を、酸素を、または、炭素、水素、および酸素のうちの2つ以上の混合物を、含むフリーラジカルが軽質ガスの改質のための処理において作られる。いくつかの実施形態では改質処理は、乾燥改質(CO2+CH4)、蒸気改質、部分酸化、またはメチルラジカルの形成である。いくつかの実施形態では軽質ガスを改質する処理は、非熱(非平衡)プラズマの存在において実施される。いくつかの実施形態では、非熱プラズマを使用して軽質ガスを改質する処理は大気圧で行われる。他の実施形態では、非熱プラズマを使用して軽質ガスを改質する処理は大気圧を越える圧力で行われる。例えばいくつかの実施形態では、この処理は約0.1気圧〜約5気圧の範囲の圧力で行われる。いくつかの実施形態では、この処理は約5気圧までの圧力で行われる。いくつかの実施形態では、この処理は約100トールの圧力で行われる。他の実施形態では改質処理は、超音波励起、回転盤、均質化、UV光源、放射、またはこれらの処理のうちの2つ以上の組み合わせにより生じた高い剪断条件下で実施される。いくつかの実施形態では、放射は電子放射、または粒子放射(カンマ線)、またはこれらの組み合わせである。一実施形態では、放射源はトリウムである。
従来の高温・高圧処理では、フリーラジカルは改質処理の間に形成される。フリーラジカルが非熱(非平衡)プラズマを使用して形成され得ることが主張される。エネルギー消費量は、より低い。同様に、引き続き行われる高温における液体の水処理によりフリーラジカルが形成され、それにより連鎖反応が生じる。合成ガスをフリーラジカルとともに中性に戻した後にフリーラジカル状態を再び作ることはエネルギー的に非効率的であることが主張される。この処理では、引き続き生じる連鎖反応を生じさせるために、プラズマ動作の間に形成されるフリーラジカルが利用される。同様に非熱反応器を使用するプロセスは合成ガスまたはメチルラジカルを標準状態に戻す。
いくつかの実施形態では本明細書で開示の処理は触媒の使用を含む。係る触媒は、ガスシフト反応の他にも、炭化水素の再配列も支援する。代表的な触媒としては、金属、ナノ粒子、ワイヤ、担持触媒、および可溶性触媒が挙げられるが、これらに限定されない。例えば本明細書で使用される「ナノスフェア」または「ナノ触媒」は、平均直径が1nm〜1μmの範囲となるような触媒を指す。いくつかの実施形態では触媒は油溶性触媒(ナノ触媒としても知らされる)である。係る触媒は良好に分散してオイル処理の間に沈殿することがない。いくつかの実施形態では触媒は、2官能性触媒(例えば、無機塩基と、鉄、クロム、モリブデン、またはコバルトなどの遷移金属を含む触媒と、を含む触媒)である。特定の実施形態では、約0.03重量%〜約15重量%のレベルの触媒が反応処理に存在する。いくつかの実施形態では約1%のレベルの触媒が存在する。1つの非限定的な代表的実施形態では反応物質混合物に導入された可溶性触媒の濃度は、液体オイルの約50ppm、もしくは約100ppmであるか、または約50ppm〜約100ppmの範囲内である。いくつかの実施形態では少なくとも約50ppmのレベルの触媒が存在する。いくつかの実施形態では約50ppm〜約100ppmの範囲のレベルの触媒が存在する。いくつかの実施形態では、の範囲のレベルの触媒が存在する。
いくつかの実施形態では触媒は有機金属化合物である。代表的な有機金属化合物は、遷移金属、遷移金属を含む化合物、またはこれらの混合物を含む。触媒化合物に含まれる代表的な遷移金属としては、元素周期表におけるV族、VI族、およびVIII族の元素から選択される触媒が挙げられる。特定の実施形態では触媒の遷移金属は、バナジウム、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、クロム、タングステン、マンガンのうちの1つまたは複数である。いくつかの実施形態では触媒はナフテン酸金属塩、硫酸エチル、または多金属アニオンのアンモニウム塩である。一実施形態では触媒は、有機モリブデン錯体(例えばMOLYVAWM 855 (R.T. Vanderbilt Company, Inc. of Norwalk, Conn., CAS Reg. No. 64742−52−5)、約7%〜約15%のモリブデンを含む有機アミドの有機モリブデン錯体である。他の実施形態では触媒は、HEXCEM(Mooney Chemicals, Inc., Cleveland, Ohio、約15%のモリブデン2−ヘキサン酸エチルを含む)、または、約50〜51%のコバルトと、20%のクロムと、約15%のタングステンと、約10%のニッケルと、約3%までの鉄と、1.5%マンガンと、を含むH25/L605(Altemp Alloys, Orange Calif.)であるバイメタルワイヤ、シェービングもしくは粉末触媒である。
さらなる実施形態では、他の好適な触媒は、比較的高い添加のモリブデンを有する一方でオイルに対する高い可溶性を有する化合物を含む。いくつかの実施形態では、触媒は潤滑性を燃料に付与する。これは超低硫黄軽油製品に対して必要である。いくつかの実施形態では有機金属化合物は、潤滑性を液体燃料生成物に加える他にも、触媒として機能し、それにより最終的なハイブリッド燃料生成物に対してさらなる潤滑性添加剤を加える必要性が回避される。本明細書で開示の処理に対して有用である他の有機金属化合物は、Khanらに付与された米国特許第7,790,018号およびCouplandらに付与された米国特許第4,248,720号に開示された有機金属化合物である。
いくつかの実施形態では、遷移金属触媒は単一の遷移金属であるか、または金属塩、純金属、または金属合金のいずれかとして複数の遷移金属の組み合わせであり、いくつかの実施形態では、遷移金属以外の金属と組み合わせて使用される。本発明において使用されるための好適な触媒は金属および金属合金である。いくつかの実施形態では、23〜79の範囲の原子番号を有する遷移金属が用いられ、他の実施形態では、24〜74の範囲の原子番号を有する遷移金属がより用いられる。いくつかの実施形態ではコバルト、ニッケル、タングステン、鉄、およびこれらの組み合わせが、触媒化合物のための金属として用いられる。含まれることが可能な追加的な金属の非限定的な例としてはアルミニウムが挙げられる。いくつかの実施形態では、遷移金属(単数または複数)が、アルミニウムなどの他の金属とともに、鉄フレームにより支持される。いくつかの実施形態では金属フレームはバスケットであるか、またはベッド内である。いくつかの実施形態では触媒は電極の表面上に堆積される。多様な形態の鉄がフレーム材料として使用され得る。非限定的な例としては銑鉄、ねずみ鋳鉄、およびダクタイル鋳鉄が挙げられる。特定の実施形態では金属巻線は、例えばいくつかの実施形態では目の粗いメッシュ状の網状組織の形態にある鉄フレーム上に支持される。ねずみ鋳鉄鋳物は、例えば、2.75〜4.00パーセントの全炭素と、0.75〜3.00パーセントのシリコンと、0.25〜1.50パーセントのマンガンと、0.02〜0.20パーセントの硫黄と、0.02〜0.75パーセントのリンと、を含む。さらにいくつかの実施形態では、以下の合金化要素、すなわちモリブデンと、銅と、ニッケルと、バナジウムと、チタンと、スズと、アンチモンと、クロムと、のうちの1つまたは複数が変動する量で存在する。いくつかの実施形態では窒素は一般に、約20〜約92ppmの範囲で存在する。
化学反応の速度および程度は、反応速度論および熱力学の法則により制限される。反応速度は、時間、温度、および圧力を含む多数の要因に依存する。触媒反応の場合、反応物と触媒との接触時間と、触媒がさらなる反応物に触媒作用を及ぼすことが可能となるよう、反応された生成物が触媒の表面から取り除かれるための時間と、という追加的な速度制約要因が存在する。
いくつかの実施形態では、軽質ガスと液体燃料供給とを組み合わせるための処理は、約100℃〜約850℃の温度で行われる。いくつかの実施形態では、この処理は室温で行われる。いくつかの実施形態では、この処理は、約200℃〜約500℃の温度で、約500℃〜約700℃の温度で、または、約700℃〜約850℃の温度で、で行われる。他の実施形態では、この処理は約300℃〜約500℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、ガスおよび液体燃料供給は加熱される。温度は反応処理を支援するよう制御される。
いくつかの実施形態では、この処理は、1気圧を越える圧力で行われる。いくつかの実施形態では、この処理は大気圧で行われる。特定の実施形態では、この処理は約0.1気圧〜約5気圧の範囲の正圧で行われる。いくつかの実施形態では、この処理はわずか5気圧の圧力で行われる。特定の実施形態(例えばマイクロプラズマ反応器)では、この処理は約100トールまでの圧力で行われる。いくつかの実施形態では、圧力は約1200ポンド/平方インチ〜約3000ポンド/平方インチの範囲である。
いくつかの実施形態では、軽質ガスおよび液体燃料供給の組み合わせから生物燃料を生成するための処理は、液体/気相または蒸気/気相処理である。
いくつかの実施形態では天然ガスを改質するための装置または生物燃料を生成するための装置は非熱プラズマ反応器である。非熱プラズマ反応器の非限定的な例としては、グライディングアーク、渦流アーク、分散放電、マイクロチャンネル放電、および誘電体バリアが挙げられる。いくつかの実施形態では、この装置または反応器は放射線源を含む。代表的放射線源はトリウムを含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、この装置または反応器は電子流を増加させるために低作用力物質を含む。いくつかの実施形態では、この装置または反応器は磁界を含む。
フリーラジカルを生成するための装置は、非熱プラズマ反応器と、高剪断反応器と、電子または粒子ビーム反応器と、ハイブリッドシステムと、を含むが、これらに限定されない。非熱プラズマ反応器は、その内部において電子が励起され、フリーラジカルが比較的低い温度条件で生成される非熱プラズマ反応器を含む。いくつかの実施形態では非熱プラズマ反応器は、電界を形成するために外部電源を利用する。印加される電圧は、いくつかの実施形態では、DCであり、その一方、他の実施形態では、高周波である。代表的な非熱プラズマ反応器としては、グライディングアーク反応器、マイクロプラズマ反応器、ホモジナイザ、高剪断反応器、が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる非限定的な実施形態では非熱プラズマ反応器は、渦流発生器、マイクロプラズマ発生器、遠心分離、高周波数、マイクロ波、およびソニック励起を有する回転円盤を含む。高剪断反応器の非限定的な例としては、ホモジナイザ反応器、超音波反応器、キャビテーション反応器、高エネルギー混合装置、および触媒遠心分離反応器が挙げられる。代表的な電子または粒子ビーム・フリーラジカル発生器としては、高エネルギー電子発生器および放射線源が挙げられるが、これらに限定されない。例えば一実施形態では、放射線源は、アルファ粒子を発生させるトリウムなどの物質である。
いくつかの実施形態では反応器はマイクロプラズマ反応器である。マイクロプラズマは1ミリメートル未満の幾何学的形状を有するプラズマ反応器である。マイクロプラズマは高い電子密度および比較的高い割合のエネルギー(>20eV)電子を有する。これらは、理論上、化学反応を効率的に促進する能力を有する。本明細書で利用されるマイクロプラズマ反応器は、非熱プラズマを用いて動作し、直流電流またはパルスDC電源装置(<80kHz)のいずれかを使用して、点火される。1つの特定の実施形態では、この装置は細長いトレンチを有するマイクロホローカソード放電(MHCD)である。
天然ガスを改質することからラジカルを作るためにマイクロプラズマ技術を使用することは、より高い電子およびフリーラジカルの密度を提供する。このことは、理論的には、全体的な効率を向上させるはずである。少なくとも1つの寸法が1mmより小さい領域に閉じ込められたプラズマはマイクロプラズマを画成する。マイクロプラズマは、従来の大型プラズマ化学システムと比較すると、はるかに高い出力密度(1kW/cm3を越える)と、より高い電子密度(1015cm−3を越える)と、より高い表面対体積比と、を有する。高い表面対体積比は、卓越した熱管理および混合特性を与える。それにより、均質で等温の反応体積が維持される。これらのマイクロプラズマ特性は炭化水素改質用途に対する処理上の利点を提供する。大気圧付近で動作させることにより、設備要件が最小化され、全体的な運用システムが簡略化される。
従来の反応器では、反応物質および触媒の接触時間は、多くの場合、化学反応に関与する成分間の接触を提供する混合により、制御される。化学反応を加速するために混合および混合装置の使用を最大化することを目指して、様々な革新が、これまでになされてきた。高剪断および高エネルギー混合装置が化学反応の速度を高めるために提案されてきた。他の装置も、化学反応物質の反応を加速するために提案されてきた。例えば流体力学的キャビテーションが化学反応を加速するための方法として提案されてきた。流体力学的キャビテーションは、相変化と、温度および圧力の急速な上昇と、を伴う。流動する流体の速度に起因して圧力変動が生じると、化学反応は加速される。
一般に高剪断反応器は、乳化剤混合機、分散混合機、または音波ユニット(sonic unit)とも呼ばれる。特定の反応器および処理の実現形態は、他の要素の中でもともわけ、原料のスケール、コスト、品質、および量の考慮を含むであろう。ホモジナイザ反応器は、本明細書で開示の処理に対して有用な1種類の構成である。
特定の理論に限定されることを望むものではないが、高剪断混合のレベルまたは度合いは、質量移動の速度を増加させるに十分であり、普通であればギブス自由エネルギーの予測に基づいて生じないと期待されるであろう反応が生じることを可能にする局部的で非理想的な状態を作り得ると考えられる。局所的で非理想的な状態が高剪断装置内で生じ、その結果として高温・高圧が生じ、最も顕著な増加は局所的圧力内で生じると考えられる。高剪断装置内での圧力および温度の増加は瞬間に且つ局所的に生じるものであり、高剪断装置から出た後、ただちにバルクシステム状態または平均システム状態へと迅速に戻る。いくつかの場合では、高剪断混合装置は、十分な強度のキャビテーションが、反応物質のうちの1つまたは複数をフリーラジカルへと分離させるよう、誘導する。このことにより、化学反応が強められるか、または、普通であれば要求されたであろうあまり厳しくない状態での反応の発生が可能になる。キャビテーションは、局所乱流および液体微小循環(音響ストリーミング)を生成することにより、輸送処理の速度も向上させ得る。化学/物理処理におけるキャビテーション現象の応用例に関する概要は、Gogateら、”Cavitation: A technology on the horizon,” Current Science 91 (No. 1): 35−46 (2006)で提供されている。本システムおよび方法の特定の実施形態に係る高剪断混合装置は、反応の最適化のために反応物質を分離させるにあたり効果的なキャビテーション状態であると考えられる状態の下で、動作される。特定の事例ではこの状態は、炭化水素を機械的に分解および/または抽出するにあたり効果的である。さらにこの状態は、炭化水素鎖を機械的に均質化しそれにより液体炭化水素生成物を生成することに対して効果的であり得る。
いくつかの実施形態では、先端部スピード(したがって剪断速度)は、微細なマイクロエマルジョンを達成することにおいて重要な要因である。1つの特定の実施形態において、SUPER DISPAX REACTORでは、極度に高い剪断速度と、微細発生器幾何学的形状と、が高エネルギー分散を作るために組み合わされている。高い先端部スピードのために、所望の結果を達成するために、2つの段階のみが、多くの場合、必要とされる。いくつかの実施形態では10,000fpmを越える先端部スピードが達成される。
高剪断ミキサおよび高剪断ミルなどの高剪断高剪断装置(HSD)は一般に、流体を混合させる能力に基づいていくつかの等級に分類される。混合とは流体内の均質な化学種または粒子のサイズを低減することである。混合の度合いまたは完全さのための1つの測定基準は、混合装置が流体を混乱させる単位体積あたりのエネルギー密度である。これらの等級は供給されるエネルギー密度に基づいて区別される。粒子または泡サイズが0〜50flmの範囲となる混合物またはエマルジョンを一貫して生成するにあたっての十分なエネルギー密度を有する工業用ミキサには3つの等級が存在する。
均質化バルブシステムは通常、高エネルギー装置として分類される。処理対象の流体は、非常に高い圧力下で間隙が狭いバルブを通して低圧環境へとポンプ圧送される。バルブの両端の圧力勾配、その結果として生じる乱流およびキャビテーションは、流体中のあらゆる粒子を分裂させるよう作用する。いくつかの実施形態では、これらのバルブシステムにより約0.01flm〜約1flmの範囲の平均粒子サイズがもたらされる。このスペクトルの他方の端部では、低エネルギー装置として分類される高剪断ミキサシステムが存在する。これらのシステムは通常、処理対象の流体のタンクにおいて高速で回転するパドルまたは流体ロータを有する。係る流体は、多くの一般的な用途においては、食品製品である。これらのシステムは通常、平均サイズが20ミクロンより大きい粒子、小滴、または泡が処理対象の流体において許容可能である場合に、使用される。
非熱プラズマ反応器のいくつかの実施形態では、水素を含有するガス(例えば合成ガス)がチャンバ内に存在する状態で、重炭化水素の不均質な媒体が、この媒体に対して熱非平衡の他にも空間的に不均質な状態を作るために、同時に電子ビームおよび電子放電界の両方に曝露される。係る二重の曝露は、通常は分解のために必要とされる高温および高圧を用いなくても分解方法が進行し、それにより、エネルギー消費と、所望の出力生成物と併せての不純物の生成と、が低減されることを可能にする。
他の実施形態では、電子ビーム(EB)などの自己持続しない放電が、非常に高強度の外部電離化装置により発生する。高強度の電界がガスに対して付加され、次にガスがEBに曝露されるため、EBにより生成される電子の個数が増加され、放電が作られる。この放電により、化学的に活性な粒子が生成される。均質な媒体におけるこれらの放電の多数の応用が(例えばガスレーザの活性化のために)周知である。例えば、均質ガス中でEBにより支持される放電の化学活性は、 Y N Novoselov, V V Ryzhov, A I Suslov//Letters in Journal of Theoretical Physics, 1998. v. 24. No. 19; p. 41で記載されている。
同様に、ガスを含有する非熱プラズマゾーンへのガンマ線の注入は、プラズマの安定性を改善し、フリーラジカルの形成の起動を支援すると考えられる。4MEVのガンマ線が、トリウム含有物質からの放射から生成され得る。
図1では、本発明の一実施形態にしたがってハイブリッド燃料120を生成するための統合化された処理100の概略が示されている。処理100は多様なサブ処理を含む。これらのサブ処理のうちの各サブ処理については、以下でより詳細に説明する。図1は、これらのサブ処理が実行される代表的な順序(単実線により示される)について示す。しかし処理100は柔軟であり、これらのサブ処理の順序は、使用される特定の原料と、所望のハイブリッド燃料120と、にしたがって変動し得る。実際にはいくつかの実施形態で、これらのサブ処理のうちの1つまたは複数が省略される場合もある。係る態様は二重破線により表される。図1では、以下でより詳細に説明する暖房用オイル118のためのドロップイン交換品を生成するための処理100の代表的な実現形態も示されている(二重実線)。
処理100は、生物燃料エマルジョン生成物を生成するための生物燃料エマルジョン処理102(以下でより詳細に説明する)と、液体燃料製品を生成するための液体燃料処理104(以下でより詳細に説明する)と、を含む。処理100は混合処理106も含み、混合処理106において液体燃料生成物が生物燃料エマルジョンと混合される。処理100は、生物燃料エマルジョン、液体燃料、および/またはこれら2つの混合生成物の使用に基づいて水−油系エマルジョンを作るための水/燃料混合処理108をさらに含む。処理100は、処理100において生成されたあらゆる中間生成物に対して酸素化するための酸素化添加剤混合処理110をさらに含む。処理100は、使用される原料および/または所望のハイブリッド燃料120に応じて添加剤パッケージを追加するための添加物パッケージ混合処理112も含む。添加剤パッケージについては以下でより詳細に説明する。
上述のように、処理100の代表的な実現形態は、暖房用オイル生成物118を生成するための処理114を含む。一実施形態では、生物燃料エマルジョン処理102の生成物が直接的に暖房用オイル生成物118として使用される。他の実施形態(図示せず)ではおよそ5〜20%の、またはいくつかの実施形態では約10%の、生物燃料エマルジョンが石油ベースの軽油と配合され、それにより交通燃料が作られる。さらに他の実施形態では生物燃料エマルジョン生成物が添加物パッケージ混合処理116に供給され、それにより暖房用オイル生成物118が生成される。添加物パッケージ混合処理116は処理112と同等であり、ここでは例示を簡略化するために別個のものとして示してある。さらに処理102からの生物燃料エマルジョン中間生成物と、処理104からの液体燃料中間生成物と、が混合処理106において混合された後、さらに、処理116において添加剤パッケージと組み合わされる前に、処理108において水と組み合わされ、その結果として、暖房用オイル生成物118が生成される。上述のように、処理114は単に、統合化された処理100の柔軟性を例示することを旨とするものであり、他のサブ処理の組み合わせも本発明の範囲に含まれる。
図2は生物燃料エマルジョン処理200の概略である。統合化された処理100の実施形態では、処理200は、生物燃料エマルジョン処理102として使用され得る。処理200は、オイル202、乳化剤204、およびアルコール206を遠心圧縮機208に供給し、遠心圧縮機208は、これらの供給物を混合し、反応器210へと供給するために混合物の圧力を上昇させる。いくつかの実現形態では反応器210は、混合物に高圧(例えば約8000ポンド/平方インチまでの圧力)を加える超臨界反応器である。反応器210からの中間生成物は膨張容器212に供給される。高い度合いの混合および均質化を提供するために混合物がプレートと衝突するとき膨張容器は混合物の圧力を低下させ、混合物の成分を小さい粒子(いくつかの実施形態では、数百ナノメートルのオーダー)に分解し、このようにして安定したエマルジョンの形成が支援される。
いくつかの代替的な実施形態では、脂肪酸エチルエステル(FAEE)およびグリセロール224が処理200の副生成物として生成される。特定の実施形態では、グリセロールはグリコールエーテルへとさらに処理される。グリコールエーテルは、添加剤(例えば218)として、処理200に戻され得る。添加剤として使用されると、グリコールエーテルは、結果的に生成される生物燃料エマルジョン222の粘度および流動点を低下させる。反応器210からの超臨界圧力および急速な膨張の作用により高剪断環境が作られ、高剪断環境によりフリーラジカルが形成され、次にフリーラジカルがFAEEおよびグリセロールの形成に参加するものと理論化される。したがってFAEEおよびグリセロールを含有する燃料は暖房上の価値を増加させた。さらに、本明細書で記載の燃料に含水エタノールを含めることにより、生成物および追加的な含水量内に安定した水が存在することが可能になる。
乳化された中間生成物は酸化反応器214を通される。いくつかの実装では、酸素を含有するガスが乳化された中間生成物を通して泡立たせられる。これは、所望により、高温で行われ得る。このことが行われるとき、乳化された中間生成物中の成分が酸化されると考えられる(例えばエタノール)。乳化された中間生成物の少なくとも一部を酸化することにより、反応器214は最終的な生物燃料エマルジョン222の引火点を上昇させる。酸化された中間生成物は、添加剤ミキサ220を介して添加剤パッケージ218とともに処理するために、格納容器216内に保持され、それにより生物燃料エマルジョン生成物222が生成される。添加剤パッケージの追加は省略可能であり、特定の実現形態では省略される。いくつかの実施形態では添加剤パッケージは、非鉱物原油原料から生成された生物燃料の悪臭の割合を低下させるための酸化安定剤を含む。上述のように、いくつかの実施形態では、添加剤パッケージはグリコールエーテルも含む。
いくつかの実施形態では、処理200の原料として使用されるオイル202は、植物油、動物性脂肪、および/または、加水熱分解(例えば熱的解重合)により生成されたオイルを含む。したがって供給源の具体例としては、アマナズナ、椰子、大豆、トウモロコシ、菜種、ヤトロファ、および、様々な畜産操業から出た動物性脂肪および廃棄物が挙げられる。特定の実施形態では、アルコール206は、一価アルコール、二価アルコール、三価アルコール、多価アルコール、および/またはC1〜C4アルコールのうちのいずれか1つである。一方、代表的な乳化剤204としては、非イオン性、イオンもしくは部分的イオン性、アニオン性、両性、カチオン性、および極性イオン性の界面活性剤などの様々な種類の表面活性剤のうちのいずれか1つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、2009年9月18日に出願されたBiofuel Composition and Method of Producing a Biofuelを発明の名称とする米国特許公開第2010/0037513号(参照することにより本願にその全体が援用される)に記載の界面活性剤のいずれもが乳化剤204として使用され得る。
処理100の1つの代表的な実現形態では、2009年1月22日に出願された米国特許公開第2009/0185963号(本明細書に参照することによりその全体が援用される)に記載の技術が処理200に対して使用される。
処理100の他の代表的な実現形態では、2007年8月31日に出願されたMethod for Production of Emulsion Fuel and Apparatus for Production of the Fuelを発明の名称とする米国特許公開第2010/0186288号(本明細書に参照することによりその全体が援用される)に開示の技術が、処理200のために使用される。
処理100のさらに他の代表的な実現形態では、1982年9月24日に出願されたMicroemulsions From Vegetable Oil And Aqueous Alcohol With 1−Butanol Surfactant As Alternative Fuel For Diesel Enginesを発明の名称とする米国特許公開第4,526,586号(本明細書に参照することによりその全体が援用される)に記載の技術が処理200のために使用される。
図3Aでは、液体燃料生成物328を生成するための処理300の概略が示されている。統合化された処理100の実施形態では、処理300は液体燃料処理104として使用され得る。軽質ガス302および液体燃料供給304が、ポンプおよび/または圧縮器306を介して、排出器308を通して反応容器310に(実線で示されるように)供給される。所望により、軽質ガス302および液体燃料供給304は、水308(約−100eV〜約−500eVの範囲の負の酸化還元電位(ORP)を有するよう処理され得る)、触媒311、および/または乳化剤312とともに、ホモジナイザ313を介してポンプ/圧縮器306に供給され得る(二重線により示される)。いくつかの実施形態では空気もポンプ/圧縮器306を通して処理に追加される。ポンプ/圧縮器306および/またはホモジナイザ313は、排出器308を通して混合物を通過させる前に、混合物の均質性を上昇させる。ポンプ/圧縮器306は、混合物の個々の成分の液滴のサイズの縮小化を支援する高剪断遠心ポンプを含み得る。さらに排出器308は、混合物の成分の反応性を、成分間の全体的接触を増加させることにより、増加させる小さい気泡および/または流体液滴(成分の相に応じて)の生成を支援する。
図示しないが、ホモジナイザ313に供給され得る成分の全部はポンプ306に直接的に供給され得るが、液体燃料供給304はポンプ306に進入する前にホモジナイザ313を通過する。係る実現形態ではホモジナイザは液体燃料供給304(重油、ビチューメン、および/または、他の粘度が高い成分を含み得る)を小さい液滴へと分解し、それにより液体燃料供給304の反応性が向上する(例えば表面積と質量との比を大きくすることにより)。代替的な実現形態では、液体燃料供給304は、直前の記載のように液体燃料供給を分解する事前処理(図示せず)において処理され得る。高い粘度の原料の液滴を分解するための好適な技術は、2009年10月26日に出願されたFlow−Through Cavitation−Assisted Rapid Modification of Crude Oilを発明の名称とする米国特許公開第2010/0101978号と、2000年5月22日に出願されたMethod And Device For Resonance Excitation Of Fluids And Method And Device For Fractionating Hydrocarbon Liquidsを発明の名称とするカナダ特許公開第2400188号と、2010年6月28日に出願されたDeep Conversion Combining The Demetallization And The Conversion Of Crudes, Residues Or Heavy Oils Into Light Liquids With Pure Or Impure Oxygenated Compoundsを発明の名称とする米国特許公開第2010/0260649号と、に記載の技術を含む(これら特許の全部は本明細書で参照することによりその全体が援用される)。比較的低い粘度の液体燃料供給304の物質に対して、工業用ホモジナイザが液体燃料供給304中の液滴を分解するために使用され得る。
反応容器310は、固定床、流動床、移動床、気泡、またはスラリー触媒反応器であり得る。触媒は、ゼオライト上に支持され得、単一の遷移金属を含んでもよく、または金属塩、純金属および/または金属合金の形態で遷移金属の組み合わせを含んでもよい。23〜79の範囲の原子番号を有する遷移金属が好適であり、24〜74の範囲の原子番号を有する遷移金属がより好適である。追加的に他の非遷移金属が、遷移金属触媒(例えばアルミニウム)に代わって、または遷移金属触媒と組み合わせて、使用され得る。触媒は、ペレット状、顆粒状、ワイヤ状、メッシュスクリーン状、穿孔プレート状、棒状、および/または細片状であり得る。1つの代表的な実現形態では、触媒混合物は、アルミニウムワイヤと、コバルトワイヤ(およそ50%のコバルト、10%のニッケル、20%のクロム、15%のタングステン、1.5%のマンガン、および2.5%の鉄を含有する合金)と、ニッケルワイヤと、タングステンワイヤと、鋳鉄顆粒と、を含む。他の実施形態では触媒は金属合金ワイヤの形態である。係る金属合金ワイヤは上記の遷移金属を含むが、これらに限定されず、係る遷移金属は、有機モリブデン触媒を含むが、これに限定されない。触媒は容器310内部でガスおよび液体分配マニホールドと組み合わせて固定床または流動床の構成で配置され得る。さらにワイヤメッシュスクリーン(触媒物質または別様の物質から構築される)が、ガス状反応物質と触媒との間の接触を促進するために、反応容器310内で用いられ得る。
動作中、反応容器310およびその構成要素は、周辺温度より高く、且つ、通常は反応混合物の液相の沸点または熱分解温度より低い温度に保持される。容器310は、反応容器を加熱するための既知の方法のいずれか(例えば内部もしくは外部のインダクティブヒータ、上記ジャケット、その他)を用いて加熱される。反応は通常、周囲圧力より高い、2つの雰囲気において、または二つの雰囲気内で、行われる。
いくつかの実現形態では反応容器310は、メタンおよび/または天然ガス成分におけるC−Cおよび/またはC−H結合を分解するための励起エネルギー源を作ることを含むか、またはこれを可能にする。励起エネルギー源は、マイクロ波、赤外線、または他のエネルギー源からの放射を含み得る。1つの実現形態では非熱プラズマは、2005年2月3日に出願されたMethods For Natural Gas And Heavy Hydrocarbon Co−Conversionを発明の名称とする米国特許第7,494,574号(本明細書で参照することによりその全体が援用される)で記載の技術による励起エネルギー源である。
他の実現形態では、ワイヤまたはポイント供給源媒体は、媒体を通って流れる気泡および/または流体流が、反応器内の液相および気相において電界および電位差を作るよう、反応容器310(触媒物質を含み得る)の内部に配置される。したがってワイヤ、粒子、および/またはプレートの間隔は、触媒の密接な近傍にある気泡内のメタンまたは他の反応物質を励起させるためのエネルギーを作る。このように多層乱流において流れる気泡および/または液体により生成される静電電圧を利用することは、反応を駆動する場合に有用な励起エネルギーを提供する。一実施形態では、Two Phase Streaming Potentials (S.S. Marsen, Pet. Eng. Dept., Stanford University; M. W. Wheatall, ARCO International)(本明細書で参照することによりその全体が援用される)で開示の技術を拡大して、反応物質励起のために所望の静電電圧を達成するために反応容器310に適用され得る。
さらに他の実現形態では音響エネルギーが励起エネルギーの供給源として使用され得る。これは、可聴領域における、可聴下周波、超音波、および/または音響エネルギーを含み得る。
特定の実施形態では、酸素および/または空気が軽質ガス302に含まれてもよく、または反応容器310へと別個に供給されてもよい(別個の供給は図示せず)。これらの実施形態では、Oxygen Pathways and Carbon Dioxide Utilization in Methane Partial Oxidization in Ambient Temperature Electric Discharges (D. W. Larkin, T. A. Caldwell, L. L. Laban, and R. G. Mallinson; Energy & Fuels 1998, 12, 740−744)、および/または、Partial Oxidation of Methane with Air for Synthesis Gas Production in a Multistage Gliding Arc Discharge System (T. Sreethawong, P. Thakonpatthanakun, S. Chavadej; Chulalongkorn University; Available online 12 Sep. 2006)(本明細書で参照することによりその全体が援用される)、に記載の技術にしたがって酸素および天然ガス成分から有機酸素化合物および/または合成ガスが生成されるよう、反応容器310が構成され、反応条件が制御される。
反応から生じたガス状生成物は、反応容器310の頭隙から取り出され、気相触媒反応器314を通して供給される。いくつかの実現形態では反応器314は反応容器310で使用のものと同一種類の触媒を含み得る。反応器314は、容器314の頭隙から実行されたであろうあらゆる未反応の成分間の反応(単数または複数)の完成を支援する。反応器314の出力は、ガス状反応生成物の少なくとも一部を凝縮するために、冷却材ループ318を含む熱交換器316を通過する。熱交換器316および冷却材ループ318は、形成された化合物のうちのある一定量が、気相においておよび/または高温で、迅速に戻る、および/または、分解し得るときに、反応の結果として生成される蒸気質生成物の凝縮および冷却を行うサイズを有する。迅速な冷却が、生成物を急冷するにあたり好適である。
凝縮された生成物および残留する上記は、捕集容器320へと通過する。捕集容器320の頭隙322内の蒸気は、ポンプ/圧縮器324および排出器326を介して反応容器310へと戻るようにリサイクルされる。これは、上記と同一または同様であり得る。一方、捕集容器320内の凝縮液は液体燃料生成物328を含む。反応副生成物330はシステムから取り出され、さらに分離器332を介して分離され得る。これらの副生成物は重質留分、アルカン、および硫黄化合物を含み得る。分離器332は、フィルタ、膜、蒸留器、塔、および、液体ならびに固体を分離するとともに異なる液体流物を互いから分離するための他の装置を含み得る。
1つの実現形態では分離器332は、固体の硫黄化合物を液体成分(アルカンを含み得る)から分離する遠心分離機である。固体硫黄化合物は廃棄物334として廃棄され、液体成分336の少なくとも1部分は、捕集容器320からの液体の1部分とともにミキサ338へと通される。ミキサ338は当該技術分野で周知の任意のミキサ(例えばスプラッシュミキサなど)であり得る。ミキサ338により生成された配合物も液体燃料328として使用され得る。
蒸気のように、軽質ガス302は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、エチレン、エタノール、メタノール、またはこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では水も軽質ガスに加えられる。いくつかの実現形態では、軽質ガス302は、軽質ガス302を赤外線源に曝露させることにより、励起される。いくつかの実現形態では、放射は長波長赤外線(すなわち3〜8μm範囲の光)、または中波長赤外線(すなわち8〜15μmの範囲の光)である。しかし赤外線範囲の任意波長(例えば0.75〜1,000μm)の使用が本発明の範囲に含まれる。軽質ガスの励起がガスのエネルギーを増大させ、それにより軽質ガス302の反応特性が改善されるものと考えられる。したがって軽質ガス302は、より完全に、および/またはより迅速に、液体燃料供給304と反応し、および/または、液体燃料供給304中のより高い分子量および/または芳香族化合物との反応を達成するものと考えられる。いくつかの実現形態では、2006年2月16日に出願されたFuel Activation Apparatus for Methane Gasを発明の名称とする米国特許第7,721,719号で、および/または、2007年11月13日に出願されたFuel Activator Using Multiple Infrared Wavelengthsを発明の名称とする米国特許公開第2009/0120416号で、記載の処理が励起された軽質ガス302を提供するために使用される(これら両方は本明細書で参照することによりその全体が援用される)。
液体燃料供給304は、化石燃料から、または更新可能な起源から、導出される燃料を含み得る。例としては、ミネラルオイル、ガソリン、ディーゼル燃料、ジェット燃料、ロケット燃料、石油残留物ベースの燃料油(例えばバンカー燃料および残留燃料)、直留ディーゼル燃料、フィードラックディーゼル燃料、ライトサイクルオイルの1つまたは配合物が挙げられる。液体燃料供給304は、水素添加分解、接触分解、熱分解、コーキング、および/または脱硫処理から得られた生成物を含む原油留分の1つまたは配合物も含み得る。液体燃料供給304は、軽質直留ナフサ、重質直留ナフサ、軽質水蒸気分解ナフサ、軽質熱分解ナフサ、軽質接触分解ナフサ、重質熱分解ナフサ、改質ナフサ、アルキレートナフサ、灯油、水素化処理灯油、常圧ガスオイル、軽質減圧ガスオイル、重質減圧ガスオイル、残油、減圧残油、軽質コーカーガソリン、コーカー蒸留液(coker distillate)、FCC(流動接触分解装置)サイクルオイル、およびFCCスラリーオイルも含み得る。いくつかの実現形態では、軽質ガス304に関して上述したように、液体燃料供給304は液体燃料供給304を赤外線源に曝露させることにより、励起される。物質励起のために赤外線放射を使用することは、励起を達成するためにより短い波長(例えばナノメートル範囲の波長)を使用することを除外しない。
軽量ガス302および/または液体燃料供給304が赤外線放射源により励起される実施形態では、赤外線放射源は反応容器310内に含まれ得る。他の実現形態では、赤外線放射源は反応容器310の外部に位置するが、反応容器の上流側にある。例えば放射源は、排出器308のすぐ下流側、且つ反応容器310のすぐ上流側に配置され得る。さらなる実現形態では、赤外線放射源はポンプ306の上流側であり、ポンプ306に対する供給(例えば、軽質ガス302供給、液体燃料304供給、および/またはホモジナイザ313からの供給)のうちのいずれか、および/または、ホモジナイザ313に対する供給のうちのいずれか、にあり得る。
他の実施形態では、励起された軽質ガス302および/または液体燃料供給304は、反応容器310において処理されない。むしろ軽質ガス302および液体燃料供給304は、励起の後、または励起の間、混合されて、液体燃料生成物がそれにより生成される。図3Bでは、液体燃料生成物328を作るための代替的な処理350の概略が示されている。処理300の構成要素と同一の参照番号を共有する処理350の構成要素は、上述の参照番号と同一である。外部赤外線放射源の可能な代替的な配置が放射源352として示されている(これの放射源は図3Aに関して記載した配置に対応するが、図3Bでは図示の容易化のために示されている)。1つの実現形態では、軽質ガス302および/または液体燃料304は、上述のように(例えばポンプ306の上流側、または排出器308の下流側で)励起され、ポンプ306において混合され、沈殿タンク354に排出される。沈殿タンク352の液体底部は代替的な液体燃料生成物328である。他の実現形態では、赤外線放射源は沈殿タンク354内にある。さらなる実施形態では軽質ガス302および液体燃料304(軽質ガス302および液体燃料304のうちの一方または両方が励起され得る)は単に混合され、代替的な液体燃料生成物として提供され得る。
上述のように、軽質ガス302および/または液体燃料供給304を励起することにより、物質がより反応しやすくなり、それにより成分の反応速度が向上すると考えられる。物質を励起することにより反応物質の立体化学が変更され、それにより普段なら発生し得ない反応の発生が可能となるという仮説が立てられる。追加的に、反応物質を励起することにより触媒の有効性が向上すると考えられる。さらに励起された反応物質は、乳化剤または界面活性剤を必要とすることなく乳化されることが可能であると仮定される。Photoassisted Activated of Methane Over Supported Catalysts With a Xenon Excimer Lamp (Loviat, F., ETH ZUrich, 2009)と、Bond−and Mode−Specific Reactivity of Methane on Ni(100) (Maroni, P., Ecole Polytechnique Federale De Lausanne, 2005)と、Infrared−Excitation for Improved Hydrocarbon Fuel’s Combustion Efficiency (Wey, A., Handy, R. G., Zheng, Y., and Kim, C., SAE International, 2007)と、で記載の技術が、励起された反応物質を達成するために使用され得る(これら全部は本明細書で参照することによりその全体が援用される)。
処理300のいくつかの実現形態では、2008年4月7日に出願されたConversion of Biogas to Liquid Fuelsを発明の名称とする米国特許公開第2009/0249682号、2010年10月5日に発行されたLiquid Hydrocarbon Fuel from Methane Assisted by Spontaneously Generated Voltageを発明の名称とする米国特許第7,806,947号、および/または、2008年9月18日に出願されたContinuous Process and Plant Design for Conversion of Biogas to Liquid Fuelを発明の名称とする米国特許第7,897,124号、で開示の技術が液体燃料生成物328を提供するために使用され得る(これらの全部は本明細書で参照することによりその全体が援用される)。
特定の動作条件下では処理300は、軽質ガス302が液体燃料に直接変換されることを可能にし、ここでは、特定の軽質ガス(例えばメタン)が、様々なオイルおよび液体燃料原料を更新(upgrade)するための水素の供給源として挙動することが提案される。同様に、比較的より長い鎖状アルカン(A)がメタンと反応されると、式1にしたがって2つの比較的より短い鎖状アルカン(B、C)が生成されることを理論化した者もいる。
この「メタノリシス」触媒反応(式1)は(この反応はメタノリシスと呼ばれる場合もある)、メタンを、n個(nは少なくとも2に等しく、好適には少なくとも3に等しい)の炭素原子を有する少なくとも1つの他の開始アルカン(A)と接触させ、その結果として、触媒反応により一般に、2個〜(n−1)個の炭素原子、またはさらには2個〜(n−1)より大きい個数の炭素原子を有する、少なくとも1つの最終アルカン(B)が、または少なくとも2つの最終アルカン(B、C)が、形成されることにより、生じる。これは、直接的にメタノリシス反応から生成されたアルカン(単数または複数)自体が、他のアルカンのメタセシスのための少なくとも1つの反応に関与し得るためである。アルカンという語の使用は他の留分(例えば芳香族、アルケン、その他)を除外しない。
メタンが、合成液体燃料を生成するための開始原料のうちの1つとなり得ることが知られている。例えばメタンおよび蒸気を改質すると、水素および一酸化炭素が作られる。次に水素および一酸化炭素をフィッシャー・トロプシュ法において反応させると液体燃料が作られる。しかしフィッシャー・トロプシュ設備に対して必要とされる資本的経費は、少なくとも本発明で開示の処理に対して必要とされる資本的経費と比較して、何オーダーかの開きがある。さらに本処理はフィッシャー・トロプシュ法と比較して、30%までのパーセンテージで、より効率的である。
さらにメタン(および/または他の天然ガス成分)を、炭化水素および/またはバイオ由来の留分に直接的に連結させ、および/またはメタンをアルカン・アルカン反応で消費することにより、使用可能である(および、普通なら燃やされることとなり得る)天然ガスが液体燃料に変換される。追加的に処理300は、最終燃料生成物の芳香族炭化水素と、特に多環芳香族炭化水素(PAH)成分と、を低減させる。軽油およびジェット燃料中のPAHは多数の望ましくない特性(例えば非常に低い着火特性ならびにセタン価、望ましくない低温フロー特性、煤煙形成傾向、および非常に低い水素含有量)を保有する。このことにより、エンジンから排出される二酸化炭素の比率が高くなる。
ディーゼル燃料において許可されるPAHの最高レベルは多数の国で規制され、これらの制限をさらに低くすることを提案している国もある。したがって、比較的高いレベルのPAHを含有する特定の精製ストリーム(流体接触分解から生じたライトサイクルオイルまたは遅延コーカーもしくはフルードコーカーから生じた中間蒸留留分)は制限された量だけがディーゼル燃料に配合され得る。燃料中のPAH成分の排出は、非従来的な水素が欠乏した重油(例えばオイルサンドから得られるビチューメン、またはオリノコ超重質油など)が将来処理される場合に、悪化されるであろう。炭素数を劣化させることなく一環ナフテンまたは好適にはアルカンのような水素を豊富に含む高価値燃料への中間留分において生じるPAHの選択的水素脱環化は依然として、不均一触媒作用に関する主要な難題であり続ける。したがって本明細書で記載の処理は、普通であれば取り扱いが困難となる原料を使用して、比較的低いPAH成分を有する燃料を生成するための方法を提供する。
さらに処理300の実施形態は未処理の液体燃料供給と比較して、改善された粘度および低い曇り点を有する燃料生成物を提供する。処理300は未処理の液体燃料供給から硫黄も取り除く。
図4では、生物燃料エマルジョン・液体燃料混合処理400が示されている。統合化された処理100の実施形態では、処理400は生物燃料エマルジョン・液体燃料混合処理106として使用され得る。処理400はミキサ反応器402を含む。生物燃料エマルジョン生成物404および液体燃料生成物406がミキサ反応器402に供給され、ハイブリッド燃料408が生成される。生物燃料エマルジョン生成物404および液体燃料生成物406は、上述の実施形態のいずれかにより生成され得る。ミキサ反応器402は、原料に対して好適である任意種類のミキサ(例えばスプラッシュブレンダ)であり得る。処理400では、生物燃料エマルジョン404は約0.5体積%〜約20体積%で液体燃料406と配合される。生物燃料を液体燃料に配合すると、ハイブリッド燃料に対していくつかの有利な特性がもたらされる。生物燃料が加えられることにより燃料の潤滑性が改善され、結果的に生成されるハイブリッド燃料の粘度が小さくなり、流動点が低くなる。
図5では、水/燃料配合生成物508(油中水滴(W/O)生成物とも呼ばれる)を生成するための処理500が示されている。統合化された処理100の実施形態では、処理500は水/燃料混合処理108として使用され得る。処理500は配合反応器502を含み、水504と、燃料生成物506と、所望により乳化剤508と、が配合反応器502に供給され、水/燃料配合物510が生成される。燃料生成物506は、上述のように、生物燃料エマルジョン404および/または液体燃料406であり得る。配合反応器502は水504を燃料506の連続相に分散させる。
いくつかの実現形態では配合反応器502は、電解槽、超音波発生器、ならびにトランスデューサ、および/または攪拌装置を含む。係る場合には、2007年6月15日に出願されたEmulsion Fuel, and Process And Apparatus for Production Thereofを発明とする米国特許公開第2010/0095580号(本明細書で参照することによりその全体が援用される)で開示の技術が水504、燃料生成物506、および乳化剤508を配合するために使用される。一方、他の実現形態では、2008年4月4日に出願されたOil Emulsionを発明の名称とする米国特許公開第2010/0122488号(本明細書で参照することによりその全体が援用される)で記載の技術および装置が配合物510を形成するのに使用される。同特許出願で記載のように、特定のイオン交換樹脂および鉱物物質(例えばトルマリンおよびシリコンジオキサイド)が、処理において使用される水を事前処理するために使用される。これらの物質および技術は本発明の実施形態においても使用される。
さらなる実用形態では、配合反応器502は、微粒子化装置(例えば、日本国神奈川県横浜市のナノマイザー株式会社により販売される市販ナノマイザー製品のいずれか)を含む。使用のための技術と、係る装置に関するおよびさらなる詳細とは、2007年8月31日に出願されたMethod for Production of Emulsion Fuel and Apparatus for Production of the Fuelを発明の名称とする米国特許公開第2010/0186288号に開示されている。追加的に、ナノマイザー株式会社により市販される界面活性剤(例えば製品名:Nanoemer GFA−001)が乳化剤508に対して処理500の特定の実現形態で使用される。所望による乳化剤508は乳化される燃料組成物に基づいて選択される。オイル原産地が異なるだけでも、性能が影響される。
さらなる実施形態では、配合反応器502は、水504、燃料生成物506、および乳化剤508を組み合わせるよう構成された高剪断反応器である。これは、単一の装置であってもよく、または直列もしくは並列に配置された複数の装置であってもよい。一般に高剪断反応器は、高剪断反応器を通って流れる反応物質混合物中にサブミクロンおよびミクロンのサイズの気泡および/または液滴を生成する能力を有する機械的装置である。高剪断反応器は、混合物の流体および/または気体粒子を分離することにより、反応物質混合物成分を混合する。高剪断反応器は、均質化バルブシステム、コロイド粉砕機、および/または高速ミキサのうちのいずれかの1つまたは複数であり得る。
均質化バルブシステムでは処理対象の流体は、(上述のように)非常に高い圧力のもとで間隙が狭いバルブを通って低圧環境へとポンプ圧送される。バルブの両端の圧力勾配、その結果として生じる乱流およびキャビテーションは、流体中のあらゆる粒子を分裂させるよう作用する。高速ミキサは通常、流体内で高速で回転することにより平均粒径を20ミクロンより大きい値にするような、パドル、ロータ、および/またはブレードを有する。
一方、通常のコロイド粉砕機構成は、液体冷却固定子から最密に制御されたロータ・固定子間隙だけ離間された円錐形状またはディスク状のロータを含む。ロータは、直接駆動またはベルト機構を通して通常電気モータにより駆動される。ロータが高速で回転すると、ロータは流体をロータの外側表面と固定子の内側表面との間でポンプ圧送し、その間隙において生成された剪断力により流体が処理される。適切に調節された多数のコロイド粉砕機は、処理された流体において0.1〜25ミクロンの平均粒径を達成する。これらの能力を有するため、コロイド粉砕機はコロイドおよび油/水ベースのエマルジョン処理を含む多様な用途に対して適切となる。
上述のように配合反応器502は水504を、通常は連続相である燃料生成物506に分散させる。好適なコロイド粉砕器の製造元としては、例えばノースカロライナ州ウィルミントンのIKA(登録商標)Works社、およびマサチューセッツ州ウィルミントンのAPV North America社が挙げられる。いくつかの実現形態では、配合反応器502は、IKA(登録商標)Works社のDispax Reactor(登録商標)を含む。2008年6月17日に出願されたSystem and Process for Production of Liquid Product from Light Gasを発明の名称とする米国特許公開第2009/0001316号(本明細書で参照することによりその全体が援用される)では高剪断装置を使用するためのシステムおよび技術が開示されている。これらの技術および/またはシステムのいずれもが、本明細書で開示の高剪断反応器および/または高剪断混合装置として使用され得る。
配合物510の安定性は、少なくとも部分的に水504の粒径に依存する。みずの粒径は、部分的に水のORPにより決定される。目標は1〜5μmの水液滴サイズを配合物508において作ることである。いくつかの実現形態では水504は約−100eV〜約−500eVの範囲の負のORPを有するよう処理される。負のORPを含む水/燃料配合物(すなわちエマルジョン)は、燃料のみと比較して、優れた効率改善(30%増加を越える)を示すと考えられる。
本明細書で記載の種類の配合部は、示された顕著な利点をエンジンおよび暖房用途において有し、結果として温室効果ガス(GHG)、二酸化炭素、炭化水素、およびNOxの排出量を減少させると考えられる。
図6では、液体燃料602および酸素化添加剤604をミキサ反応器606内で組み合わせるための処理600が示されている。液体燃料602は、上述の生物燃料エマルジョンのうちのいずれかのエマルジョンの実現形態を含む本明細書で記載の液体燃料のうちのいずれかの液体燃料であり得る。処理600は、添加剤パッケージ610を配合してハイブリッド燃料612を生成するためのミキサ反応器608を含む。ミキサ反応器606および608は、当業者に周知である任意のミキサであり得、任意種類のスプラッシュミキサを含み得る。反応器606および608が組み合わせされて単一のミキサとなってもよい。図6で示されているように、処理600は、酸素化添加剤604と他の添加剤パッケージ610とを配合すること(実線で示されている)を含んでもよく、またはいずれかの添加剤が省略されてもよい(二重破線で示されている)。
いくつかの実現形態では酸素化添加剤604は、例えばメチルtert−ブチルエーテル(MBTE)、tert−アミルメチルエーテル(TAME)エタノール、その他などの市販の酸素化添加剤を含み得る。他の実現形態では、生物燃料エマルジョン222は液体燃料602として使用され、ここでは配合されたアルコールが酸素化添加剤の目的を達成し、さらなる酸素化は不必要である。さらなる実現形態では酸素および/または二酸化炭素は、液体燃料生成物328が製造される間に軽質ガス302に含まれ、さらなる酸素化は不必要である。係る実施形態では、2004年12月2日に出願されたGas to Liquid Conversion Processを発明の名称とする米国特許公開第2005/0288541号(本明細書で参照することによりその全体が援用される)で開示の技術が液体燃料生成物328を酸素化するために使用され得る。
いくつかの実現形態では、添加剤パッケージ610は、以下の添加剤、すなわち、酸化安定性を増加させるための添加剤、粘度を調節するための添加剤、防錆剤、潤滑性を調節するための添加剤、および/または燃料のセタン価を高めるための添加剤、のうちの1つまたは複数の添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では添加剤はグリコールエーテルである。いくつかの実施形態では、添加剤はハイブリッド燃料612の流動点を下げる効果を有する。添加剤の具体例としては、ジメチルエーテル(DME)と、米国特許第4,185,594号に開示の摩耗防止添加剤と、市販のセタン価向上剤と、が挙げられる。
図1を参照すると、上述のように処理100は柔軟な処理であり、特定の原料および/または所望の生成物の入手可能性に応じて、上述のサブ処理は、変更されてもよく、または省略されてもよい。例えば処理100の一実施形態では、処理102から得られた生物燃料エマルジョンは、処理300において天然ガスと反応される。係る反応では、生物燃料エマルジョン中に存在する芳香族炭化水素が、非芳香族化合物に分解または別様に変換され、それにより生物燃料エマルジョンのみの場合と比較して、より効果的に且つ清浄に燃焼する燃料の生成が可能になると考えられる。
図7では、重油からハイブリッド燃料原料を生成するための処理700が示されている。上述のように本発明の1つの態様は、全体的な処理100が柔軟であり、製油、油精製、燃料生成、および/または化学製造のための多様な処理と十分に統合化されることが可能であることである。処理700は、全体的に処理702として示される、水または酸素化ガスの助けにより、固体であるかまたは高い沸点を有し、金属、硫黄、沈澱物を含む、炭化水素の液体(ガソリン、ガスオイル、燃料)へと変換するための処理と処理100とを統合する1つの可能な実現形態の具体例を提供する。処理702は米国特許公開第2010/0260649号で詳細に記載されている。米国特許公開第2010/0260649号で説明されているように、処理702は、加熱器8において供給5を、反応器10の選択された温度より低い温度に予熱することを含む。この供給は、注入器4により空の反応器10(すなわち触媒を有さない)へと注入される。供給は、過熱器2からのガスジェットまたは加熱蒸気を用いて過熱蒸気で処理され、それにより供給が励起される。ガスジェットは、二酸化炭素を含む、例えばガス704から放出されたガスであり得る。供給中の励起された生成物は、反応器において選択された温度および選択された圧力において安定化されることが可能であり、次に、一連の抽出機13を通され、それにより重質炭化水素および軽質炭化水素が分離され、供給が脱金属化される。水/炭化水素エマルジョンの形態で現れる有用な生成物は一般に解乳化器16において解乳化され、その結果として、異なる不純物を含む水が形成される。最終的な炭化水素を含む軽質相は加熱器98において加熱され、13と同様の抽出器18により、精製に対する要求にしたがって従来の生成物のカットへと分離される。
抽出器18からの重質留分708は未処理供給5として処理へと再資源化され得る。追加的に重質留分708は処理300において液体燃料供給304として使用され得る。さらに他の重油710および/または液体燃料生成物712(例えば上述した任意の生成物など)は未処理供給5として供給され得る。このようにして処理100からの中間生成物および/または最終的生成物は処理702への供給として統合化され得る。
追加的に、処理100により生成された様々な物質を処理702に統合化するために、本発明の実施形態では、処理702により生成された様々な物質が処理100に統合化される。例えば軽質ガス生成物714は抽出機13からの生成物として生成され得る。軽質ガス生成物714は、本明細書で記載の液体燃料処理のうちの任意の処理に対する軽質ガス原料(例えば処理300の軽質ガス302)として使用され得る。同様に酸素化燃料716も抽出機13からの生成物として生成され得る。いくつかの実現形態では、酸素化燃料716は、生物燃料エマルジョン102に対する代替物として処理100に統合化され得る。同様にいくつかの実現形態では、液体ディーゼル燃料718は処理300における液体燃料供給304として使用され得る。
図8では、本明細書で開示のハイブリッド燃料処理において使用するために炭質物質から原料を生成するための処理800が示されている。処理800では、石炭、バイオマス、および/または石油コークスなどの炭素質原料802と、アルカリ金属などの触媒804と、蒸気806と、がハイドロメタネーション反応器808に供給される。反応器808はメタンを含む複数のガスを、高温・高圧における触媒および蒸気の存在する中での原料の反応により生成する。反応されていない微細な炭質物質は未処理ガス生成物から例えばサイクロン810により除去され、ガスは複数の処理810、812において冷却および洗浄され、それにより、望ましくない汚染物質および副生成物814(一酸化炭素、水素、二酸化炭素、および硫化水素を含む)が除去され、その結果として、メタンを含む軽質ガスストリーム816が生成される。代表的な炭素質原料物質は、セルロース系原料(すなわち木材チップ)を含むがこれに限定されない。
メタンへの炭質物質のハイドロメタネーションは通常、以下に示す4つの別個の反応を伴う。
・水蒸気改質:C+H2O→CO+H2
・水性ガスシフト:CO+H2O→H2+CO2
・COメタネーション:CO+3H2→CH4+H2O
・水素添加ガス化:2H2+C→CH4
ハイドロメタネーション反応では、結果は「直接的」なメタン豊化未処理生成物ガスストリームである。このガスストリームは後に浄化され、さらにメタンで豊化され、その結果として最終的な軽質ガス生成物816が生成される。これは、炭素源の部分的燃焼/酸化に基づく処理などの従来のガス化処理とは異なる。従来のガス化処理では、合成ガス(一酸化炭素+水素)が1次生成物であり(直接的に生成されるメタンはほとんどないか、またはまったくない)、この合成ガスがさらに処理されて、メタンが生成される(触媒メタネーションを介して。反応参照)か、または任意個数の他の高級炭化水素生成物が生成される。メタンが所望の最終生成物である場合、ハイドロメタネーション反応は従来のガス化処理と比較して、より高い効率の、および、より低いメタンコストの、可能性を提供する。いくつかの実現形態では、2010年5月12日に出願されたProcesses for Hydrotnethanation of a Carbonaceous Feedstockを発明の名称とする米国特許公開第2010/0292350号(本明細書で参照することによりその全体が援用される)に開示の技術が処理800として用いられる。
処理800は、処理800により生成された軽質ガス816が軽質ガス302となることができるよう、処理300および処理700と統合化され得る。同様に副生成物814から得られる二酸化炭素が処理700により使用されるガス704となることが可能である。同様に、処理700から得られる重質留分708は処理800に対する炭素質原料802となることが可能である。
図9A〜図9Dでは、本明細書で記載の非熱プラズマの異なる実施形態が示されている。これらの実施形態では、合成ガスは非熱プラズマ技術を介して生成される。合成ガスの生成から生成されるラジカルが、後続のオイルとの反応において直接的に利用される。特定の実施形態では非熱プラズマはグライディングアークプラズマである。グライディングアークプラズマはプラズマを作るためにダイナミック放電を使用し、その一方で、コロナ放電は静的放電を用いてプラズマを生成する。特定の実施形態ではグライディングアークは2つの分岐電極を有する。アークは高電圧を印加することによりガスが進入する箇所で形成される。ガスは反応器の長さだけアークを下方に押し下げる。ガスが反応器の端部に到達すると、アークは切断される。次に他のアークがガス入口において形成される。
図9Aでは、液体燃料生成物を生成するための、特にハイブリッド燃料を生成するための、装置900が示されている。図示の実施形態では装置900は、非熱プラズマ反応器の特定的な実施形態であるグライディングアーク反応器である。図9Aで図示される実施形態では液体およびガスは、反応器を通る共処理である。プラズマは液体およびガスに対して同時に作用する。統合化された処理100の実施形態では装置900は軽質ガス/液体燃料生成物104を生成するために使用され得る。同様に処理300の実施形態では、装置900は、いくつかの実施形態ではポンプ/圧縮器306および排出器308を含む反応容器310のために使用され得る。同様に処理350では装置900は励起源352のために使用され得る。
装置900は、軽質ガス、液体燃料(例えばアルコールまたはオイル)、またはこれらの混合物を導入するための入口901を含む。装置900は電極903および高電圧コネクタ908をさらに含む。高電圧コネクタ908は電源に接続され、電極903に電圧を供給する。いくつかの実施形態では、高電圧コネクタは約90kVまでのパルス(30kHzに対する約20kWの直流に対応する)を供給する。電極903は入口901と流体連通する(いくつかの実施形態では、プレチャンバ911により画成される経路に沿って)。特定の実施形態では、電極903は低作用力カソード(すなわち低作用力物質から作られた)である。代表的低作用力カソードはトリウムを含むが、これに限定されない。高電圧コネクタ908から電圧が印加されると、放電器またはアーク904が形成され、アーク904は電極の長さに沿って走行する。装置900は出口ゾーン905をさらに含み、出口ゾーン905は電極により画成される経路と流体連通する。いくつかの実施形態では出口ゾーン905は所望によりヘルムホルツコイル906、加熱コイル912、および触媒ブラケット913を含み、ヘルムホルツコイル906、加熱コイル912、および触媒ブラケット913と流体連通する。ヒービングオイル(heaving oil)のための出口910も出口ゾーン905と流体連通する。第2入口902が提供され、第2入口902は、出口ゾーン905が電極903と第2入口902との間に配置されるよう、出口ゾーン905と流体連通する。装置900は出口907をさらに含む。いくつかの実施形態では、凝縮器909は装置から出て行く燃料油を収集するよう構成されている。
第1入口901を通して装置900に導入されると、液体燃料は電極903と、所望によりプレチャンバ903と、により画成される経路に沿って移動する。電気アーク904に曝露されるとフリーラジカルが形成される。電気アーク904は、液体燃料およびフリーラジカル反応生成物を、電極903により画成される経路に沿って、出口ゾーン905へと押す。出口ゾーン905ではフリーラジカルが、第2入口902を通って装置900に導入された液体と密接接触し、それにより液体燃料生成物が生成される。いくつかの実施形態では、第2入口902を通って導入される液体は再生油などの再生済み液体である。いくつかの実施形態では、フリーラジカルと、第2入口902を通って導入された液体と、の混合物は、触媒913とさらに接触する。装置900に含まれるにあたり有用な触媒は、本明細書に記載の触媒を含む。いくつかの実施形態では、加熱コイル912が反応混合物を加熱するために提供され、その一方でいくつかの実施形態では、ヘルムホルツコイル906が、液体燃料の形成処理を促進させるように伝導性を有する磁界を生成する。装置900により形成されたハイブリッド燃料は、出口907を通して装置から取り出される。装置900から出ると、結果的に生成されたハイブリッド燃料は、統合化された処理100で記載のように、さらなる処理を行う能力を有する。
装置900の構成は、フリーラジカルが形成されている間に、第2入口902を通して導入された液体が、液体燃料を電極に曝露させることにより生成されたフリーラジカルと直接的に密接接触する処理を、可能とする。装置900の構成によりもたらされる密接な接触は、従来の燃料処理におけるように追加的なエネルギーを印加する必要なしに、2つの反応物質がただちに組み合わされることを可能にする。さらに、装置900から生成されるハイブリッド燃料は、低い粘度および高い体積の他にも、より低い留分の多環芳香族化合物を示すことが見出されている。
図9Bでは、液体燃料生成物を生成するための、特にハイブリッド燃料を生成するための、装置920が示されている。図示の実施形態では装置920は、非熱プラズマ反応器の特定的な実施形態であるグライディングアーク反応器の他の実施形態である。図9Bで図示される実施形態では液体は合成ガスおよびラジカルと反応し、その一方で、電子は触媒を含むチャンバにおいて液体と反応する。装置900の場合と同様に統合化された処理100の実施形態では、装置920は軽質ガス/液体燃料処理104を生成するために使用され得る。同様に処理300の実施形態では、装置300、装置920は、いくつかの実施形態ではポンプ/圧縮器306および排出器308を含む反応容器310に対して使用され得る。同様に処理350では装置920は励起源352のために使用され得る。
装置920は、電極903を含む装置900と同一の特徴物のうちの多くを含む。電極903は、高電圧コネクタ908を通して電圧が印加されると、アーク904を形成する。同様に装置920は出口ゾーン905を含み、出口ゾーン905は所望により触媒913、ヘルムホルツコイル906、および加熱コイル912と流体連通する。装置920は出口907および凝縮器909も含む。
装置920は入口921を含む。装置920の入口921は軽質ガスを入力するためのものである。対照的に、装置900の入口901(図9A参照)は、ガスおよび液体の混合物を入力し、グライディングアーク反応器の電極を通して液体およびガスの共処理を可能にするためのものである。装置920では、オイルまたは再生油の形態の液体が、第2入口922aおよび922bを通して導入される。特定の実施形態では再生油が入力922aを通して導入され、その一方で入力オイルが入口922bを通して導入される。いくつかの実施形態では可溶性触媒も入力922bを通して導入される。入口922aおよび922bは、入口922aおよび922bがグライディングアーク反応器の生成物と密接に接触することができるよう、出口ゾーン905と流体連通する。例えば特定の実施形態では、液体は合成ガスおよび非熱プラズマ反応器により形成されたラジカルと反応し、その一方で、電子は出口ゾーン905内の液体と反応する。特定の実施形態では、出口ゾーン905は触媒を含むチャンバである。装置920の場合と同様に、反応生成物が混合されて液体燃料生成物が形成された後、ハイブリッド燃料は出口907を通して取り出される。
図9Cでは、液体燃料生成物を生成するための、特にハイブリッド燃料を生成するための、装置940が示されている。図示の実施形態では装置940は、非熱プラズマ反応器の特定的な実施形態であるグライディングアーク反応器の他の実施形態である。図9Cで図示される実施形態では合成ガス、およびグライディングアークにより生成されたラジカルならびに電子は、所望により触媒床を含むフローストリームと衝突する。装置900および920の場合と同様に、統合化された処理100の実施形態では、装置940は軽質ガス/液体燃料処理104を生成するために使用され得る。同様に処理300の実施形態では、装置940は、いくつかの実施形態ではポンプ/圧縮器306および排出器308を含む反応容器310に対して使用され得る。同様に処理350では装置940は励起源352のために使用され得る。
装置940は、電極903を含む装置900および920と同一の特徴物のうちの多くを含む。電極903は、高電圧コネクタ908を通して電圧が印加されると、アーク904を形成する。装置940の実施形態では、出口ゾーン905は、触媒床913、ヘルムホルツコイル906、および加熱コイル912と所望により流体連通する。
装置940は入口941を含む。装置940の入口941は軽質ガスを入力するためのものである。装置940では、オイルまたは再生油の形態の液体が、第2入口942を通して導入される。グライディングアーク反応器からの反応生成物が、入口942を通って導入された液体のフローストリームと直接的に衝突し、それによりグライディングアーク反応器の生成物と密接に接触するよう、入口942は出口ゾーン905と流体連通する。反応生成物が混合されて液体燃料生成物が生成された後、ハイブリッド燃料は出口907を介し、分離器909を通して取り出される。いくつかの実施形態では、分離器909は凝縮器でもある。装置940では、重質油および軽質油は、分離器909を通して提供されるものとして、システムから出る。
図9Dでは、液体燃料生成物を生成するための、特にハイブリッド燃料を生成するための、装置960が示されている。図示の実施形態では装置960は、非熱プラズマ反応器の特定的な実施形態であるグライディングアーク反応器である。図9Dで図示される実施形態では、非熱プラズマ反応器は、複数のマイクロプラズマ反応器の「プレート」として構成されている。装置960のプレート反応器の出力は、液体液滴または薄膜上に衝突する。統合化された処理100の実施形態では装置960は軽質ガス/液体燃料処理104を生成するために使用され得る。同様に処理300の実施形態では、装置960は、いくつかの実施形態ではポンプ/圧縮器306および排出器308を含む反応容器310に対して使用され得る。同様に処理350では装置960は励起源352のために使用され得る。
装置960は、軽質ガスを軽質ガスチャンバ961aに導入するための入口961を含む。装置960は、穴964を含むセラミックプレート963をさらに含み、穴964を通してガスが出口ゾーン965に分散される。ワイヤ968がセラミックプレート963上に配置され、電圧(例えば6〜1000Vのパルス)を印加するために電源966と電気的に接続されている。ガスがセラミックプレート963を横断すると、印加された電圧が複数のアークを、穴964のうちの各穴において作り、それにより軽質ガスとの反応が生じ、フリーラジカルが形成され、出口ゾーン965へと運ばれる。
装置960は、液体を液体チャンバ962aに入力するための第2入口962をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2入口962を通って導入される液体はオイルまたはオイルの混合物である。いくつかの実施形態では、第2入口962を通って導入される液体は再生油などの再生済み液体である。液体は拡散プレート969を横切って出口ゾーン965へと運ばれる。出口ゾーン965に導入されると、拡散された液体は、セラミックプレート963を通して運ばれた軽質ガスの反応生成物と密接に接触し、それによりハイブリッド電気燃料生成物が生成される。所望により触媒床973が出口ゾーン965内に存在する。また所望により加熱器972が装置960を加熱する。反応生成物が混合された後、これらの混合物は出口967を通って装置から出る。いくつかの実施形態では、所望により真空ポンプが出口ゾーン965と出口967との間に配置される。装置960から出ると、結果的に生成されたハイブリッド燃料は、統合化された処理100で記載のように、さらなる処理を行う能力を有する。
図9A〜図9Dでは、各装置900、920、940、および960の構成は、フリーラジカルが形成されている間に、流体が、液体燃料が電極に曝露されることにより生成されたフリーラジカルと直接的に密接接触する処理を提供する。各装置の構成によりもたらされる密接な接触は、従来の燃料処理におけるように追加的なエネルギーを印加する必要なしに、これらの反応物質がただちに組み合わされることを可能にする。さらに、装置900、920、940、および960から生成されるハイブリッド燃料は、低い粘度および高い体積の他にも、より低い留分の多環芳香族化合物および芳香族化合物を示すことが見出されている。
処理100の実施形態により生成されたハイブリッド燃料120は、競合する燃料(例えばバイオディーゼル燃料、「グリーンディーゼル」燃料、ストレートベジタブルオイル燃料、油/水エマルジョン燃料、および従来の石油燃料)と比較して、優れた性能を有する。例えばハイブリッド燃料のいくつかの実施形態は、従来燃料との配合が必要となるよりもむしろ、ハイブリッド燃料であり得る。特定のハイブリッド燃料は比較的低い流動点および曇り点を有し、複数の凍結/解凍サイクルに耐えることが可能であり、比較的長期の安定性(例えば1年よりも長い)を有する。このように本明細書で開示の特定のハイブリッド燃料は、寒冷気象における使用に対して好適である。1つの具体例では、約20体積%の次世代軽油(インディアナ州フォートウェインの有限責任会社Global Energy Resourcesから市販される)と、約80体積%のGDIESEL(商標)(ネバダ州リノのAdvanced Refining Conceptsから市販される)と、を含むハイブリッド燃料は、驚くべきことに個々の燃料成分と比較して、流動点における約25°F(14℃)の低下を示す。この同一のハイブリッド燃料は驚くべきことに、曇り点における約5°F(3℃)の低下も示す。したがって特定の実施形態によれば、本明細書で開示のハイブリッド燃料配合物は、約20%までの生物燃料エマルジョンを含む(例えば図1の処理102または図2の処理222の結果)。いくつかの実施形態では、本明細書で開示のハイブリッド燃料配合物は約5%〜約10%までの生物燃料エマルジョンを含む。さらにいくつかの実施形態では、約20%までの水がハイブリッド燃料中に存在する。
ハイブリッド燃料のさらに提案される実施形態は、上述の処理350を使用して、励起された天然ガスおよび/または水素と、次世代軽油と、を組み合わせることを含む。係るハイブリッド燃料は、次世代軽油のみと比較すると、燃料の水素対炭素比が向上したことにより、より低いCO2排出量を示すものと考えられる。
本明細書で開示のハイブリッド燃料の特定の実施形態では、液体燃料の潤滑性および/または粘度は、生物燃料エマルジョンの追加により、向上する。したがって超低硫黄軽油(ULSD)は、ULSDの低い潤滑性および/または低い粘度の不利益を受けることなく、特定調合の液体燃料として使用され得る。また、潤滑性を向上させるための添加剤に対する必要性は、潤滑性向上に伴ってコストおよび処理の複雑度が増大化されることとともに、縮小または回避される。いくつかの実施形態では、ULSDを含有する調合物は、従来の水素処理されたULSDまたは生物燃料エマルジョンと比較して、より低い粘度および流動点を有する。
さらなる利点は、本明細書で開示の特定のハイブリッド燃料が、低い温室効果ガス排出量、および低い粒子排出量を有し、二酸化炭素の消費により生成された物質を含む原料を有することを含む(例えば植物油)。排出における全低減量は、ハイブリッド燃料を生成するための特定の処理に対して、約50%であると期待される。一方、最終用途からの二酸化炭素および粒子排出量における30%の低減化が期待される。このように係るハイブリッド燃料の使用は環境に対する影響を低減させた。さらに、ハイブリッド燃料の特定の実施形態は、多くのバイオディーゼル生成物に見られるエステル交換ステップを回避する。このようにこれらのハイブリッド燃料はグリセリン、脂肪酸メチルエステル(FAME)、または脂肪酸エチルエステル(FAEE)を含まないであろう。これらは一般に、通常のバイオディーゼル生成物中には、少なくとも少量が見出される。これらの副生成物が特定の燃料(例えばジェット燃料)中に存在することが規制ガイドラインで禁じられているため、これらのハイブリッド燃料は、最も一般的なバイオディーゼル生成物とは異なり、既存の管路インフラストラクチャを介しての輸送に対して好適である。さらにエステル交換ステップを回避することにより、当該処理に関する資本コスト、操業コスト、複雑性、および時間が回避される。これにより、係るハイブリッド燃料を生成するコストが低くなる。
上述の利点では、本発明の実施形態が、Well−to−Wheelの検討およびライフサイクル・アナリシスに基づいて生物燃料および温室効果ガスに関するASTMおよびEU全体にわたる目標を満足するドロップイン燃料を提供することが示される。ハイブリッド燃料の実施形態は、単に燃料添加剤としてではなく燃料全体としての使用が可能であるという点で、ドロップインであると考えられる。特定の液体ハイブリッド燃料が天然ガスの使用を通して形成されるため、液体石油に対する必要性が低くなる。追加的に、液体燃料を形成するための処理は、現在のところ使用されていない天然ガス供給を有する遠隔地に適応され得る。
本明細書で開示の処理の実現形態により形成されるハイブリッド燃料は、上述の望ましい特性を示す一方で、従来の燃料に見られる特性も保持している。例えば本明細書で記載のハイブリッド燃料は、単位ポンド/ガロンあたり高いエネルギー含量を有し、複数の凍結サイクルを耐える能力を有し、安定であり、望ましい粘度およびセタン価(軽油型の燃料の代替物に対して)と、等価なリン含有量と、適合した蒸留曲線と、望ましい腐食特性と、既存のシール物質との適合性と、を有する。
他の例示的実施形態については以下のように説明され得る。
特定の例示的な実施形態は、改質、分解、水素化、メチル化、酸化的脱硫、水素脱硫、カルボニル化、ヒドロホルミル化、アルキル化、重合、および他の精製および/または化学的原料処理を行うために、純粋な酸素および/または他の選択されたガスを使用して(および/または、別個に、または組み合わせて、酸素、CO、CO2、水、水素、炭化水素ガス、および組み合わせ/選択された配合物比を用いて、メタンを改質して)、非熱/非平衡プラズマから生成されたフリーラジカルを組み合わせることを含み得る。原料および/または選択されたプラズマガスは、アルゴン、ゼオン、窒素などの不活性ガス、またはCO、エタン、ブタン、DME、アンモニア、尿素、合成ガス、その他も含み得る。設計者反応を提供するための特定のプラズマ強度の利用が、利用され得る。気相反応は、供給ガスの分離、および/または、振動および/または回転励起レベルまでのガスの刺激をもたらす。空間速度を選択することは、所望の生成物を達成するために利用され得る。
特定の例示的な実施形態は、所望の最終炭化水素生成物を達成するために、非熱/非平衡プラズマにより生成されたラジカルと様々なガスとの配合と、選択されたオイル留分の後続のおよび/またはコプロセッサ処理と、を選択することを含む。
特定の例示的な実施形態は、
a.長い鎖状分子を分解することと、
b.酸化的脱硫および水素脱硫−重油および研磨と、
c.良好な燃料性能を目指して酸素含有量を向上させるために、軽油および他の生成物を組み合わせるための合成オイル留分を作ることと、
を含む、オイルストリームの断片化および機能化のために、酸素ラジカルおよび/または刺激された留分を利用することを含み得る。
特定の例示的な実施形態は、所望の最終生成物を達成するために、これらの技術を順次適用することを含み得る。
特定の例示的な実施形態は、これらの技術を、上流側処理(源泉)に、中間ストリーム(精製)に、および最終のエンジン用途に、適用することを含み得る。
特定の例示的実施形態は、燃料体積を拡張し燃料特性を改善するために、天然ガスおよび/または酸素と燃料とを組み合わせることを含み得る。
酸素含有留分に関する望ましい状況については本明細書において以前の箇所で説明した。特定の例示的実施形態はプラズマ/フリーラジカルに対する酸素追加のための技術を拡張することを含み得る。同様に、重油に対してわれわれが含んだ概念については本明細書の以前の箇所で説明した。特定の例示的な実施形態は、目標を達成するために、酸素プラズマおよび水素/メタンラジカル反応を使用することを含む。特定の例示的な実施形態は、HDSと組み合わされたプラズマにより生成されたフリーラジカルを使用する酸化的脱硫技術も含み得る。参照により、この応用は生物燃料に適用される。
本発明の範囲が上述の実施形態に限定されるものではなく、むしろ、これまで説明してきた変更例および改善例を含むものであることが理解されるであろう。上記で記載のすべての参考文献は、本明細書で参照することにより、その全体は援用される。