以下では、通常は、基地局またはeNodeB等のアクセスポイントであるノードデバイスが仮想MIMOチャネルを介した通信の全体のロバスト性を改善するために協調する仮想MIMOチャネルベースの電気通信ネットワークの状況において、本発明を詳述する。仮想MIMOチャネルは、上記電気通信ネットワークの環境を構成し、各ノードデバイスは、この環境に影響を与えるそれぞれの協調パラメーターに従って構成されるように適合されている。この環境が測定可能な確率変数によって表されると、仮想MIMOチャネルベースの電気通信ネットワークの各モバイル端末は、仮想MIMOチャネルを表す確率変数の測定を実行することができる。同様に、ノードデバイスは、送信チャネルが実質的に対称であることを考慮すると、上記測定を実行することができる。協調パラメーターは、環境の変動、すなわち、送信条件の変動を考慮に入れるために、上記測定に従って更新される。
ノードデバイス間の少なくとも1つのリンクは、上記測定を表すデータを送信するための量子化演算および/または上記協調パラメーターを送信するための量子化演算を実行することを伴う。そのような量子化演算は、関係しているリンクにそれぞれ関連付けられたコードブックに依拠する。仮想MIMOチャネルベースの電気通信ネットワークの性能を改善するために、上記協調パラメーターを定義するために最適化しなければならない性能指数と、確率変数の確率分布に関連した統計データとを考慮に入れることによってあらゆるコードブックを定義することが提案されている。そのようにあらゆるコードブックを定義することによって、上記協調パラメーターを適用することによって得られるような仮想MIMOチャネルベースの電気通信ネットワークの有効な性能に対する量子化演算の影響は、制限される。
一方、複数のノードデバイスが、通信システムの環境に関するこの通信システムの性能を、この環境を表す確率変数の測定に基づいて改善する協調を実行する限り、また、上記ノードデバイス間の少なくとも1つのリンクが、上記測定を表すデータを送信するための量子化演算および/または協調の範囲で通信システムを構成するのに用いられる協調パラメーターを送信するための量子化演算を実行することを伴う限り、本明細書において説明する原理は、より広い範囲の通信システムの用途に適用される。
1つの例によれば、本明細書において説明する原理は、建物のいくつかの空間が、ヒーターと、ヒーター制御デバイスと、このヒーター制御デバイスに接続された温度計とを装備している建物内の温度協調制御システムに適用される。1つの建物空間におけるヒーターによって生成された熱は、他の建物空間に相互に伝播する。システム性能は、各部屋における温度制御およびエネルギー消費に関係し、その結果、適した性能指数によって表すことができる。ヒーター制御デバイスおよび温度計は、ヒーターを協調して制御するために相互接続することができる。温度計からそれらのそれぞれのヒーター制御デバイスへの通信リンクおよび/またはヒーター制御デバイス間の通信リンクは、それぞれの容量が制限されている場合があり、したがって、量子化演算を伴う場合がある。1つの建物空間から別の建物空間への熱伝播は、確率変数の確率分布に関連した統計データの観点から定義することができる。したがって、量子化演算に用いられるあらゆるコードブックは、本発明によれば、最適化しなければならない上記性能指数と、上記統計データとを考慮に入れることによって定義することができる。
制限された容量を有する通信リンクとは、本明細書では、目標とされる所定の反応レベル(すなわち、所与の量の情報を考慮したレイテンシー問題)を達成することができるように、所与の量の情報のみを、当該情報が受信時にさらなる処理に利用可能になるべき所与の所要時間で送信することを可能にする通信リンクを指す。
図1Aは、本発明を実施することができる第1の通信システムを概略的に表している。
この第1の通信システムは、サーバー100と、複数のアクセスポイント110、111、112と、これらのアクセスポイント110、111、112を介して通信する複数のモバイル端末120、121とを備える。モバイル端末120、121は、複数のアクセスポイントから信号を同時に受信するように適合されている。図1Aに示すように、モバイル端末120は、好ましくは、(矢印170によって示すように)アクセスポイント110と通信するが、モバイル端末120は、アクセスポイント111および112からも信号を受信し、モバイル端末121は、好ましくは、(矢印171によって示すように)アクセスポイント112と通信するが、モバイル端末121は、アクセスポイント110および111からも信号を受信する。
第1の通信システムの各アクセスポイント110、111、112は、サーバー100に接続されている。図1Aでは、アクセスポイント110は、双方向リンク160を介してサーバー100に接続され、アクセスポイント111は、双方向リンク161を介してサーバー100に接続され、アクセスポイント112は、双方向リンク162を介してサーバー100に接続されている。双方向リンク160、161および162は、制限された容量を有し、アクセスポイント110、111、112によってサーバー100に送信された少なくともいくつかのデータは、量子化されなければならず、および/またはサーバー100によってアクセスポイント110、111、112に送信された少なくともいくつかのデータは、量子化されなければならないようになっている。1つの双方向リンク160、161、162のみが制限された容量を有する場合がある。この制限された容量は、任意の双方向リンク160、161、162の1つの方向のみに関係する場合もある。そのような制限された容量は、それぞれのコードブックに依拠することによって実行しなければならない量子化演算を示す。
モバイル端末120、121が複数のアクセスポイントから信号を同時に受信することができるということから利益を得ることができるように仮想MIMOチャネル150を実施するために、第1の通信システムのアクセスポイント110、111、112は、協調フェーズを実施する。この協調フェーズは、仮想MIMOチャネル150を介した通信性能の改善を試みるようにアクセスポイント110、111、112を構成する協調パラメーターを求めることを目的としている。そのような改善は、仮想MIMOチャネル150に関する第1の通信システムの性能を表す性能指数を最適化することによって目標にされる。仮想MIMOチャネル150は、モバイル端末120、121および/またはアクセスポイント110、111、112が測定することができる確率変数(チャネル係数)によって表すことができる。これらの確率変数の測定がモバイル端末120、121によって実行されたとき、これらのモバイル端末120、121は、上記測定を表す情報を少なくとも1つのアクセスポイントに送信する。上記測定を表す情報をモバイル端末120、121からアクセスポイント110、111、112に通信するには、それぞれのコードブックに依拠することによって実行しなければならない量子化演算が必要となる場合がある。
上記測定から、第1の通信システムは、仮想MIMOチャネルに関する第1の通信システムの性能の改善を試みるためにアクセスポイント110、111、112によって適用される協調パラメーターを求めるために、上記性能を表す性能指数を最適化することができる。
図1Aに示す第1の通信システムの範囲では、サーバー100が、上記測定を表す情報から上記協調パラメーターを求めることを担当し、したがって、仮想MIMOチャネルに関する第1の通信システムの性能を表す性能指数を最適化することを担当する。測定がモバイル端末120、121によって実行されると、測定を表す情報は、関係しているモバイル端末によって1つまたは複数のアクセスポイントを介して提供される。
上記から、上記測定を表す情報に対して量子化演算を適用して、サーバー100がこの情報の推定値を受信することを可能にしなければならない場合があること、および/または上記協調パラメーターに対して量子化演算を適用して、1つまたは複数のアクセスポイントがこれらの協調パラメーターの推定値を受信することを可能にしなければならない場合があることを理解することができる。
そのような量子化演算は、アクセスポイント110、111、112によって有効に適用された協調パラメーターによっては、行われた上記性能指数の測定を考慮すると、到達可能な仮想MIMOチャネルに関する第1の通信システムの性能に到達することが可能でない場合があることを示す。したがって、上記性能に対する量子化演算の影響を制限するために、サーバー100は、前処理フェーズを事前に実施するように適合されている。この前処理フェーズにおいて、サーバー100は、モバイル端末120、121および/またはアクセスポイント110、111、112によって測定された上記確率変数の確率分布に関連した統計データを得る。さらに、サーバー100は、性能指数が上記統計データに従って統計的に最適化されるように、上記量子化演算に用いられるあらゆるコードブックを上記性能指数に基づいて求める。このように、あらゆるコードブックは、仮想MIMOチャネルに関する第1の通信システムの有効な性能に対する量子化演算の影響が制限されるように定義される。
図1Bは、本発明を実施することができる第2の通信システムを概略的に表している。
この第2の通信システムは、複数のアクセスポイント110、111、112と、複数のモバイル端末120、121とを備える。図1Aに示す第1の通信システムと比較して、図1Bに示す第2の通信システムは、サーバー100を備えていない。モバイル端末120、121は、ここでも同様に、複数のアクセスポイントから信号を同時に受信するように適合されている。図1Bに示すように、モバイル端末120は、好ましくは、(矢印170によって示すように)アクセスポイント110と通信するが、モバイル端末120は、アクセスポイント111および112からも信号を受信し、モバイル端末121は、好ましくは、(矢印171によって示すように)アクセスポイント112と通信するが、モバイル端末121は、アクセスポイント110および111からも信号を受信する。
第2の通信システムのアクセスポイント110、111、112は、相互接続されている。図1Bでは、アクセスポイント110は、双方向リンク181を介してアクセスポイント111に接続され、アクセスポイント111は、双方向リンク182を介してアクセスポイント112に接続され、アクセスポイント112は、双方向リンク180を介してアクセスポイント110に接続されている。双方向リンク180、181および182は、制限された容量を有し、アクセスポイント110、111、112間の少なくともいくつかのデータは、量子化されなければならないようになっている。1つの双方向リンク180、181、182のみが制限された容量を有する場合がある。この制限された容量は、任意の双方向リンク180、181、182の1つの方向のみに関係する場合もある。そのような制限された容量は、コードブックに依拠することによって実行しなければならない量子化演算を示す。
モバイル端末120、121が複数のアクセスポイントから信号を同時に受信することができるということから利益を得ることができるように仮想MIMOチャネル150を実施するために、第2の通信システムのアクセスポイント110、111、112は、協調フェーズを実施する。既述したように、協調フェーズは、仮想MIMOチャネル150を介した通信性能の改善を試みるようにアクセスポイント110、111、112を構成する協調パラメーターを求めることを目的としている。そのような改善は、仮想MIMOチャネル150に関する第2の通信システムの性能を表す性能指数を最適化することによって目標にされる。既述したように、仮想MIMOチャネル150は、モバイル端末120、121および/またはアクセスポイント110、111、112が測定することができる確率変数によって表すことができる。これらの確率変数の測定がモバイル端末120、121によって実行されたとき、これらのモバイル端末120、121は、上記測定を表す情報を少なくとも1つのアクセスポイントに送信する。上記測定を表す情報をモバイル端末120、121からアクセスポイント110、111、112に通信するには、量子化演算が必要となる場合がある。
上記測定から、第2の通信システムは、仮想MIMOチャネルに関する第2の通信システムの性能の改善を試みるためにアクセスポイント110、111、112によって適用される協調パラメーターを求めるために、上記性能を表す性能指数を最適化することができる。
図1Bに示す第2の通信システムの範囲では、アクセスポイント110、111、112の中の1つのアクセスポイントが、上記測定を表す情報から上記協調パラメーターを求めることを担当し、したがって、仮想MIMOチャネルに関する第2の通信システムの性能を表す性能指数を最適化することを担当する。
別の手法は、全てのアクセスポイント110、111、112が、上記測定を表す情報からそれら自身の協調パラメーターを求めることを担当するというものである。全てのアクセスポイント110、111、112は、したがって、仮想MIMOチャネルに関する第2の通信システムの性能を表す性能指数を並行して最適化する。
上記から、上記測定を表す情報に対して量子化演算を適用して、1つまたは複数のアクセスポイントがこの情報の推定値を受信することを可能にしなければならない場合があること、および/または上記協調パラメーターに対して量子化演算を適用して、1つまたは複数のアクセスポイントがこれらの協調パラメーターの推定値を受信することを可能にしなければならない場合があることを理解することができる。
そのような量子化演算は、アクセスポイント110、111、112によって有効に適用された協調パラメーターによっては、行われた上記性能指数の測定を考慮すると、到達可能な仮想MIMOチャネル性能に関する第2の通信システムの性能に到達することが可能でない場合があることを示す。したがって、上記性能に対する量子化演算の影響を制限するために、少なくとも1つのアクセスポイントは、前処理フェーズを事前に実施するように適合されている。この前処理フェーズにおいて、上記アクセスポイントは、モバイル端末120、121および/またはアクセスポイント110、111、112によって測定された上記確率変数の確率分布に関連した統計データを得る。さらに、上記アクセスポイントは、性能指数が上記統計データに従って統計的に最適化されるように、上記量子化演算に用いられるあらゆるコードブックを上記性能指数に基づいて求める。このように、あらゆるコードブックは、仮想MIMOチャネルに関する第2の通信システムの有効な性能に対する量子化演算の影響が制限されるように定義される。第2の通信システムは、あらゆるアクセスポイントが、そのアクセスポインによって適用される協調パラメーターを求めるために前処理フェーズを実行するようにすることができることに留意することができる。
図1Cは、本発明を実施することができる第3の通信システムを概略的に表している。
この第3の通信システムは、サーバー100と、複数のアクセスポイント110、111、112と、複数のモバイル端末120、121とを備える。モバイル端末120、121は、ここでも同様に、複数のアクセスポイントから信号を同時に受信するように適合されている。図1Cに示すように、モバイル端末120は、好ましくは、(矢印170によって示すように)アクセスポイント110と通信するが、モバイル端末120は、アクセスポイント111および112からも信号を受信し、モバイル端末121は、好ましくは、(矢印171によって示すように)アクセスポイント112と通信するが、モバイル端末121は、アクセスポイント110および111からも信号を受信する。
第3の通信システムのアクセスポイント110、111、112は、相互接続されている。図1Cでは、アクセスポイント110は、双方向リンク181を介してアクセスポイント111に接続され、アクセスポイント111は、双方向リンク182を介してアクセスポイント112に接続され、アクセスポイント112は、双方向リンク180を介してアクセスポイント110に接続されている。双方向リンク180、181および182は、制限された容量を有し、アクセスポイント110、111、112間の少なくともいくつかのデータは、量子化されなければならないようになっている。1つの双方向リンク180、181、182のみが制限された容量を有する場合がある。この制限された容量は、任意の双方向リンク180、181、182の1つの方向のみに関係する場合もある。そのような制限された容量は、それぞれのコードブックに依拠することによって実行しなければならない量子化演算を示す。
第3の通信システムの各アクセスポイント110、111、112は、サーバー100にさらに接続されている。図1Cでは、アクセスポイント110は、双方向リンク160を介してサーバー100に接続され、アクセスポイント111は、双方向リンク161を介してサーバー100に接続され、アクセスポイント112は、双方向リンク162を介してサーバー100に接続されている。
モバイル端末120、121が複数のアクセスポイントから信号を同時に受信することができるということから利益を得ることができるように仮想MIMOチャネル150を実施するために、第3の通信システムのアクセスポイント110、111、112は、協調フェーズを実施する。既述したように、この協調フェーズは、仮想MIMOチャネル150を介した通信性能の改善を試みるようにアクセスポイント110、111、112を構成する協調パラメーターを求めることを目的としている。そのような改善は、仮想MIMOチャネル150に関する第3の通信システムの性能を表す性能指数を最適化することによって目標にされる。既述したように、仮想MIMOチャネル150は、モバイル端末120、121および/またはアクセスポイント110、111、112が測定することができる確率変数によって表すことができる。これらの確率変数の測定がモバイル端末120、121によって実行されたとき、これらのモバイル端末120、121は、上記測定を表す情報を少なくとも1つのアクセスポイントに送信する。上記測定を表す情報をモバイル端末120、121からアクセスポイント110、111、112に通信するには、量子化演算が必要となる場合がある。
上記測定から、第3の通信システムは、仮想MIMOチャネルに関する第3の通信システムの性能の改善を試みるためにアクセスポイント110、111、112によって適用される協調パラメーターを求めるために、上記性能を表す性能指数を最適化することができる。
図1Cに示す第3の通信システムの範囲では、アクセスポイント110、111、112の中の1つのアクセスポイントが、上記測定を表す情報から上記協調パラメーターを求めることを担当し、したがって、仮想MIMOチャネルに関する第3の通信システムの性能を表す性能指数を最適化することを担当する。
別の手法は、全てのアクセスポイント110、111、112が、上記測定を表す情報からそれら自身の協調パラメーターを求めることを担当するというものである。全てのアクセスポイント110、111、112は、したがって、仮想MIMOチャネルの性能を表す性能指数を並行して最適化する。
上記から、上記測定を表す情報に対して量子化演算を適用して、1つまたは複数のアクセスポイントがこの情報の推定値を受信することを可能にしなければならない場合があること、および/または上記協調パラメーターに対して量子化演算を適用して、1つまたは複数のアクセスポイントがこれらの協調パラメーターの推定値を受信することを可能にしなければならない場合があることを理解することができる。
そのような量子化演算は、アクセスポイント110、111、112によって有効に適用された協調パラメーターによっては、行われた上記性能指数の測定を考慮すると、到達可能な仮想MIMOチャネルに関する第3の通信システムの性能に到達することが可能でない場合があることを示す。したがって、上記性能に対する量子化演算の影響を制限するために、サーバー100は、前処理フェーズを事前に実施するように適合されている。この前処理フェーズにおいて、サーバー100は、モバイル端末120、121および/またはアクセスポイント110、111、112によって測定された上記確率変数の確率分布に関連した統計データを得る。さらに、サーバー100は、性能指数が上記統計データに従って統計的に最適化されるように、上記量子化演算に用いられるあらゆるコードブックを上記性能指数に基づいて求める。このように、あらゆるコードブックは、仮想MIMOチャネルに関する第3の通信システムの有効な性能に対するあらゆる量子化演算の影響が制限されるように定義される。
図1A、図1Bおよび図1Cでは、アクセスポイント110、111、112が互いに直接的または(サーバー100を介して)間接的のいずれかで相互接続されることに気付くことができる。
図2は、第1の通信システムまたは第2の通信システムまたは第3の通信システムにおいて用いられるような任意のアクセスポイントおよび/またはサーバー100のハードウェアアーキテクチャの一例を概略的に表している。図2が、例示として、サーバー100のハードウェアアーキテクチャの一例を表しているものと考えることにする。
図示したアーキテクチャによれば、サーバー100は、通信バス210によって相互接続された次の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラーまたはCPU(中央処理装置)200と、RAM(ランダムアクセスメモリ)201と、ROM(読み出し専用メモリ)202と、SD(セキュアデジタル)カードリーダー203、または記憶手段に記憶された情報を読み出すように適合された他の任意のデバイスと、一組の通信インターフェース204とを備える。
一組の通信インターフェース204は、サーバー100が第1の通信システムまたは第3の通信システム内で通信することを可能にする。図2に示すハードウェアアーキテクチャの例がアクセスポイントを表すものと考えたとき、一組の通信インターフェース204は、このアクセスポイントが第1の通信システムまたは第2の通信システムまたは第3の通信システム内で通信することを可能にする。
CPU200は、ROM202またはSDカード等の外部メモリからRAM201内にロードされた命令を実行することが可能である。サーバー100に電源が投入された後、CPU200は、RAM201から命令を読み出し、これらの命令を実行することが可能である。これらの命令は、以下で説明するアルゴリズムのステップの一部または全てをCPU200に実行させ、および/または図3A〜図3Cに関して以下で説明するモジュールアーキテクチャのうちの任意の1つをCPU200に実施させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
以下で説明するアルゴリズムの全てのステップおよび/または図3A〜図3Cに関して以下で説明するモジュールアーキテクチャは、PC(パーソナルコンピューター)、DSP(デジタル信号プロセッサ)またはマイクロコントローラー等のプログラマブルコンピューティングマシンによって一組の命令またはプログラムを実行することによるソフトウェアで実施することもできるし、それ以外に、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)等のマシンまたは専用の構成要素によるハードウェアで実施することもできる。
図3Aは、本発明を実施する第1のモジュール配置を概略的に表している。
4種の機能が、図1A〜図1Cに関して説明したものから明らかにされている。すなわち、仮想MIMOチャネル150に関する通信システム性能に関連した性能指数を最適化するために測定データを提供する測定データ提供機能と、上記性能指数を最適化することによってアクセスポイントの協調パラメーターを求めるパラメーター最適化機能と、上記性能指数を最適化することによって得られた協調パラメーターを適用するパラメーター適用機能と、協調の範囲内でデータを量子化することに用いられるあらゆるコードブックを定義する量子化最適化機能とが明らかにされている。
上記機能は、好ましくは、専用ユニット、すなわち、測定データ提供ユニット301と、パラメーター最適化ユニット303と、パラメーター適用ユニット304と、量子化最適化ユニット302とによってそれぞれ実施される。
複数の測定データ提供ユニット301が、図1A〜図1Cに示す通信システムに存在し、各アクセスポイント110、111、112および/または各モバイル端末120、121に1つの測定データ提供ユニット301が存在する。複数のパラメーター適用ユニット304が、図1A〜図1Cに示す通信システムに存在し、各アクセスポイント110、111、112に1つのパラメーター適用ユニット304が存在する。1つまたは複数のパラメーター最適化ユニット303が、図1A〜図1Cに示す通信システムに存在する。1つまたは複数の量子化最適化ユニット302が、図1A〜図1Cに示す通信システムに存在する。
協調フェーズに関係するものとして、各測定データ提供ユニット301は、測定データを少なくとも1つのパラメーター最適化ユニット303に、可能性として量子化された形態で提供するように適合され、各パラメーター最適化ユニット303は、協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報を少なくとも1つのパラメーター適用ユニット304に、可能性として量子化された形態で提供するように適合されている。1つの測定データ提供ユニット301から1つのパラメーター最適化ユニット303に送信される測定データを量子化しなければならないとき、1つの量子化最適化ユニット302は、コードブックを測定データ提供ユニット301およびパラメーター最適化ユニット303に提供するように適合されている。1つのパラメーター最適化ユニット303から1つのパラメーター適用ユニット304に送信される協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報を量子化しなければならないとき、1つの量子化最適化ユニット302は、コードブックをパラメーター最適化ユニット303およびパラメーター適用ユニット304に提供する。
前処理フェーズに関係するものとして、各測定データ提供ユニット301は、上記確率変数の確率分布に関連した統計データを少なくとも1つの量子化最適化ユニット302に提供するように適合されている。一変形形態では、上記統計データは、上記量子化最適化ユニット302が統計モデルを介して得ることができる。少なくとも1つのパラメーター最適化ユニット303は、性能指数を表す情報を少なくとも1つの量子化最適化ユニット302に提供するように適合されている。一変形形態では、各量子化最適化ユニット302は、例えば、性能指数の記述が構成フェーズ中または製造中に前もって記憶された専用のレジスタまたはメモリゾーンを読み出すことによって、この性能指数を事前に知っている。
第1のモジュール配置は、複数の測定データ提供ユニット301を備えるが、簡略にすることを考慮して、図3Aには、それらのうちの1つしか示されていない。第1のモジュール配置は、複数のパラメーター適用ユニット304をさらに備えるが、簡略にすることを考慮して、図3Aには、これらのうちの1つしか示されていない。第1のモジュール配置は、1つのパラメーター最適化ユニット303と、1つの量子化最適化ユニット302とをさらに備える。第1のモジュール配置は、複数のパラメーター最適化ユニット303および/または複数の量子化最適化ユニット302を備えることができる。
第1のモジュール配置は、パラメーター最適化ユニット303が性能指数の記述351を量子化最適化ユニット302に提供することを示している。第1のモジュール配置は、量子化最適化ユニット302が、協調フェーズの範囲において、各測定データ提供ユニット301から、この測定データ提供ユニット301によってさらに測定される確率変数の確率分布に関連した統計352を受信することをさらに示している。第1のモジュール配置は、量子化最適化ユニット302が、測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信するための量子化演算を実行しなければならない各測定データ提供ユニット301にコードブックの第1の見本353aを提供し、上記測定データ提供ユニット301から上記測定データを受信するためのコードブックの第2の見本353bをパラメーター最適化ユニット303に提供することをさらに示している。第1のモジュール配置は、測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信するための量子化演算を実行しなければならない各測定データ提供ユニット301が、量子化された測定データ361’をパラメーター最適化ユニット303に送信することをさらに示している。測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信するための量子化演算を実行する必要がない各測定データ提供ユニット301は、非量子化測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信する(図3Aに図示せず)。第1のモジュール配置は、パラメーター最適化ユニット303が、性能指数の最適化から得られる非量子化協調パラメーター362を各パラメーター適用ユニット304に送信することをさらに示している。
第1のモジュール配置は、とりわけ、以下のように、図1Cに示す第3の通信システムのアーキテクチャと一致することが分かる。すなわち、前処理フェーズにおいてサーバー100に確率変数統計を提供するとともに、協調フェーズにおいて他のアクセスポイントに測定データを提供する1つの測定データ提供ユニット301が各アクセスポイント110、111、112に配置されていること、性能指数の最適化から得られる協調パラメーターを適用する1つのパラメーター適用ユニット304が各アクセスポイント110、111、112に配置されていること、協調の範囲で上記アクセスポイントによって適用される協調パラメーターを求める1つのパラメーター最適化ユニット303が各アクセスポイント110、111、112に配置されていること、および適用されるコードブックを前処理フェーズにおいて求める1つの量子化最適化ユニット302がサーバー100に配置されていること、で一致する。したがって、測定データ提供ユニット301は、測定データを各パラメーター最適化ユニット303に送信するように適合されている。モバイル端末がアクセスポイントにアタッチされていないとき、サーバー100に提供される測定データは、空であり、この測定データのためのいずれの量子化演算も無用であると考えられる。測定データ提供ユニット301がモバイル端末120、121に配置されることも考えることができる。したがって、上記を考慮すると、第3の通信システムは、この場合、モバイル端末120、121が測定データを通信する際に経由するこれらのモバイル端末120、121からアクセスポイント110、112へのリンクの中の少なくとも1つのリンクが量子化演算を伴い、および/または上記モバイル端末120、121が測定データを通信する際に経由するアクセスポイント110、111、112間のリンクの中の少なくとも1つのリンクが量子化演算を伴うようになっている。
図3Bは、本発明を実施する第2のモジュール配置を概略的に表している。
第2のモジュール配置は、複数の測定データ提供ユニット301を備えるが、簡略にすることを考慮して、図3Bには、それらのうちの1つしか示されていない。第2のモジュール配置は、複数のパラメーター適用ユニット304をさらに備えるが、簡略にすることを考慮して、図3Bには、これらのうちの1つしか示されていない。第2のモジュール配置は、1つのパラメーター最適化ユニット303と、1つの量子化最適化ユニット302とをさらに備える。第2のモジュール配置は、複数のパラメーター最適化ユニット303および/または複数の量子化最適化ユニット302を備えることができる。
第2のモジュール配置は、パラメーター最適化ユニット303が性能指数の記述351を量子化最適化ユニット302に提供することを示している。第2のモジュール配置は、量子化最適化ユニット302が、協調フェーズの範囲において、各測定データ提供ユニット301から、この測定データ提供ユニット301によってさらに測定される確率変数の確率分布に関連した統計352を受信することをさらに示している。第2のモジュール配置は、量子化最適化ユニット302が、測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信するための量子化演算を実行しなければならない各測定データ提供ユニット301に第1のコードブックの第1の見本353aを提供し、上記測定データ提供ユニット301から上記測定データを受信するための第1のコードブックの第2の見本353bをパラメーター最適化ユニット303に提供することをさらに示している。第2のモジュール配置は、量子化最適化ユニット302が第2のコードブックの第1の見本354aをパラメーター最適化ユニット303に提供し、パラメーター最適化ユニット303が協調パラメーターをパラメーター適用ユニット304に送信するための量子化演算を実行しなければならない各パラメーター適用ユニット304に第2のコードブックの第2の見本354bを提供することをさらに示している。第2のモジュール配置は、測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信するための量子化演算を実行しなければならない各測定データ提供ユニット301が、量子化された測定データ361’をパラメーター最適化ユニット303に送信することをさらに示している。測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信するための量子化演算を実行する必要がない各測定データ提供ユニット301は、非量子化測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信する(図3Bに図示せず)。第2のモジュール配置は、パラメーター最適化ユニット303が、パラメーター最適化ユニット303が協調パラメーターをパラメーター適用ユニット304に送信するための量子化演算を実行しなければならない各パラメーター適用ユニット304に、性能指数の最適化から得られるパラメーター362’を量子化された形態で送信することをさらに示している。パラメーター最適化ユニット303が協調パラメーターをパラメーター適用ユニット304に送信するための量子化演算を実行する必要がない各パラメーター適用ユニット304は、非量子化協調パラメーターをパラメーター最適化ユニット303から受信する(図3Bに図示せず)。
第2のモジュール配置は、図1Aに示す第1の通信システムのアーキテクチャと一致することが分かる。すなわち、サーバー100に確率変数の統計を提供する1つの測定データ提供ユニット301が各アクセスポイント110、111、112に配置されていること、性能指数の最適化から得られる協調パラメーターを適用する1つのパラメーター適用ユニット304が各アクセスポイント110、111、112に配置されていること、ならびに1つのパラメーター最適化ユニット303および1つの量子化最適化ユニット302がサーバー100に配置されていること、で一致する。モバイル端末がアクセスポイントにアタッチされていないとき、サーバー100に提供される測定データは、空であり、この測定データのためのいずれの量子化演算も無用であると考えられる。測定データ提供ユニット301がモバイル端末120、121に配置されることも考えることができる。したがって、上記を考慮すると、第1の通信システムは、この場合、モバイル端末120、121が測定データを通信する際に経由するこれらのモバイル端末120、121からアクセスポイント110、112へのリンクの中の少なくとも1つのリンクが量子化演算を伴い、および/または上記モバイル端末120、121が測定データをサーバー100に通信する際に経由するアクセスポイント110、111、112へのリンクが量子化演算を伴うようになっている。その上、第1の通信システムは、この場合、サーバー100からアクセスポイント110、111、112へのリンクの中の少なくとも1つのリンクが量子化演算を伴うようになっている。
第2のモジュール配置は、図1Bに示す第2の通信システムのアーキテクチャと一致することも分かる。すなわち、アクセスポイント110、111、112の中の少なくとも1つのマスターアクセスポイントに確率変数の統計を提供する1つの測定データ提供ユニット301が各アクセスポイント110、111、112に配置されていること、性能指数の最適化から得られる協調パラメーターを適用する1つのパラメーター適用ユニット304が各アクセスポイント110、111、112に配置されていること、ならびに1つのパラメーター最適化ユニット303および1つの量子化最適化ユニット302が上記少なくとも1つのマスターアクセスポイントに配置されていること、で一致する。各マスターアクセスポイントは、その場合、複数のアクセスポイントの代わりに量子化最適化の実行を担当する。モバイル端末がアクセスポイントにアタッチされていないとき、サーバー100に提供される測定データは、空であり、この測定データのためのいずれの量子化演算も無用であると考えられる。測定データ提供ユニット301がモバイル端末120、121に配置されることも考えることができる。したがって、上記を考慮すると、第2の通信システムは、この場合、モバイル端末120、121が測定データを通信する際に経由するこれらのモバイル端末120、121からアクセスポイント110、112へのリンクの中の少なくとも1つのリンクが量子化演算を伴い、アクセスポイント110、111、112間のリンクの中の少なくとも1つのリンクが量子化演算を伴うようになっている。
図3Cは、本発明を実施する第3のモジュール配置を概略的に表している。
第3のモジュール配置は、複数の測定データ提供ユニット301を備えるが、簡略にすることを考慮して、図3Cには、それらのうちの1つしか示されていない。第3のモジュール配置は、複数のパラメーター適用ユニット304をさらに備えるが、簡略にすることを考慮して、図3Cには、これらのうちの1つしか示されていない。第3のモジュール配置は、1つのパラメーター最適化ユニット303と、1つの量子化最適化ユニット302とをさらに備える。第3のモジュール配置は、複数のパラメーター最適化ユニット303および/または複数の量子化最適化ユニット302を備えることができる。
第3のモジュール配置は、パラメーター最適化ユニット303が性能指数の記述351を量子化最適化ユニット302に提供することを示している。第3のモジュール配置は、量子化最適化ユニット302が、協調フェーズの範囲において、各測定データ提供ユニット301から、この測定データ提供ユニット301によってさらに測定される確率変数の確率分布に関連した統計352を受信することをさらに示している。第3のモジュール配置は、量子化最適化ユニット302が、パラメーター最適化ユニット303にコードブックの第1の見本354aを提供し、パラメーター最適化ユニット303が協調パラメーターをパラメーター適用ユニット304に送信するための量子化演算を実行しなければならない各パラメーター適用ユニット304に第2のコードブックの第2の見本354bを提供することをさらに示している。第3のモジュール配置は、各測定データ提供ユニット301が非量子化測定データ361をパラメーター最適化ユニット303に送信することをさらに示している。第3のモジュール配置は、パラメーター最適化ユニット303が、パラメーター最適化ユニット303が協調パラメーターをパラメーター適用ユニット304に送信するための量子化演算を実行しなければならない各パラメーター適用ユニット304に、性能指数の最適化から得られる協調パラメーター362’を量子化された形態で送信することをさらに示している。パラメーター最適化ユニット303が協調パラメーターをパラメーター適用ユニット304に送信するための量子化演算を実行する必要がない各パラメーター適用ユニット304は、非量子化協調パラメーターをパラメーター最適化ユニット303から受信する(図3Cに図示せず)。
第3のモジュール配置は、図1Aに示す第1の通信システムのアーキテクチャと一致することが分かる。すなわち、サーバー100に確率変数の統計を提供する1つの測定データ提供ユニット301が各アクセスポイント110、111、112に配置されていること、性能指数の最適化から得られる協調パラメーターを適用する1つのパラメーター適用ユニット304が各アクセスポイント110、111、112に配置されていること、ならびに1つのパラメーター最適化ユニット303および1つの量子化最適化ユニット302がサーバー100に配置されていること、で一致する。測定データ提供ユニット301は、測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信するようにさらに適合されている。モバイル端末がアクセスポイントにアタッチされていないとき、サーバー100に提供される測定データは、空であり、この測定データのためのいずれの量子化演算も無用であると考えられる。測定データ提供ユニット301がモバイル端末120、121に配置されることも考えることができる。したがって、上記を考慮すると、第1の通信システムは、この場合、サーバー100からアクセスポイント110、111、112へのリンクの中の少なくとも1つのリンクが量子化演算を伴うようになっている。
図4は、通信システムの性能を改善するためにこの通信システムのノードデバイスによって適用される協調パラメーターを求めるアルゴリズムを概略的に表している。
既述したように、通信システムは、前処理フェーズS400を実行し、その後、協調フェーズS410を実行する。前処理フェーズS400は、協調フェーズS410の間の量子化演算に用いられるあらゆるコードブックを定義することを目的とする。前処理フェーズS400は、ステップS401から開始し、ステップS405で終了する。
協調フェーズS410は、上記通信システムの環境に関するこの通信システムの性能を改善するために、上記通信システムによって適用される協調パラメーターを定義することを目的とする。協調フェーズS410は、ステップS411から開始し、ステップS414で終了する。
この通信システムは、例えば、図1Aに示す第1の通信システム、図1Bに示す第2の通信システム、または図1Cに示す第3の通信システムである。
ステップS401において、通信システムは、通信システム性能が評価される際に考慮される環境を表す確率変数の確率分布に関連した統計データを得る。この統計データは、統計モデルの記述、例えば、ガウスベクトルとすることもできるし、そのようなモデルに関連したパラメーター、例えば、共分散行列とすることもできる。したがって、上記統計データは、そのような統計モデルから得ることができる。上記統計データは、一変形形態では、上記確率変数の長期測定から得ることができる。
次のステップS402において、通信システムは、上記環境に関する通信システム性能を改善するために通信システムによって適用される協調パラメーターを定義するために協調フェーズS410において最適化される性能指数を得る。
次のステップS403において、通信システムは、協調フェーズS410において測定データの送信および/または協調パラメーターの送信に用いられる各リンクの容量を表す情報を得る。通信システムは、したがって、協調フェーズS410において用いられるいずれのリンクが量子化演算を必要とするのか、したがって、コードブック定義を必要とするのかを判断することができる。
次のステップS404において、通信システムは、性能指数が、ステップS401において得られた統計データに従って統計的に最適化されるように、性能指数に基づいてあらゆるコードブックを求める。協調フェーズS410において用いられるあらゆるコードブックが定義されると、通信システムは、これによって、得られた統計データが、性能指数が統計的に最適化されることを示すそれぞれの値の範囲において、より高いコード密度を有するコードブックを定義することができる。すなわち、上記環境に関する通信システム性能に対する量子化演算の影響が、統計的に最小になるように定義することができる。
次のステップS405において、通信システムは、通信システムの関係しているノードデバイス、すなわち、協調フェーズS410において量子化演算を必要とする対応するリンクのエンドポイントであるノードデバイスに、求められたコードブックを提供する。
あらゆるコードブックが定義され、協調フェーズS410において量子化演算を実行しなければならないあらゆるノードデバイスが適用可能なコードブックを得ると、協調フェーズS410を開始することができる。
ステップS411において、通信システムは、測定データを収集する。この測定データは、上記環境を表す確率変数の測定に対応する。この測定データは、上記環境の実際の状態を表す。上記測定データを収集するには、レイテンシー制約に適合するために量子化演算が必要となる場合があり、この場合、関係している各ノードデバイスは、前処理フェーズS400の間に求められた対応するコードブックを適用する。
次のステップS412において、通信システムは、収集された測定を考慮して前述の性能指数の最適化を実行する。性能指数の最適化を実行することは、収集された測定を考慮して通信システムの性能に関連した性能指数の最良の結果を可能な限りもたらす協調パラメーターを探索することを意味する。
次のステップS413において、通信システムは、この通信システムの性能を上記環境の実際の特性に対して改善するために、この通信システムによって適用される協調パラメーターを求める。適用される協調パラメーターは、性能指数の最適化から得られる。
次のステップS414において、通信システムは、求められた協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報を通信システムの関係しているノードデバイスに提供する。これらの協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報を提供するには、量子化演算が必要となる場合があり、この場合、関係している各ノードデバイスは、前処理フェーズS400の間に求められた対応するコードブックを適用する。
このように、性能指数が上記確率変数に関連した統計データを考慮して統計的に最適化されるように、この性能指数を考慮に入れることによってあらゆるコードブックを定義することによって、上記環境に関する通信システム性能に対する量子化演算の影響は、制限される。
確率変数がダウンリンク仮想MIMOチャネルのチャネル係数であり、アクセスポイントが送信チャネル観測結果を得る第1の特定の実施の形態を考えることにする。送信チャネル観測結果は、通信システムのモバイル端末からフィードバックされるダウンリンク測定から得ることができ、および/または検討対象の各送信チャネルが実質的に対称であることを考慮すると、上記アクセスポイントによって実行されるアップリンク測定から得ることができる。したがって、これは、測定データ提供ユニット301をモバイル端末(ダウンリンク測定)および/またはアクセスポイント(アップリンク測定)に配置することができることを意味するか、またはいくつかの測定データ提供ユニット301がアクセスポイントごとに存在することができることさえも意味する。協調パラメーターは、この第1の特定の実施の形態では、変調パラメーターおよび符号化パラメーター、または他の信号送信パラメーターおよびプロトコルパラメーターである。後述するような仮想MIMOチャネル係数の推定
は、これらの協調パラメーターを表す情報である。
この第1の特定の実施の形態では、各アクセスポイントが1つの量子化最適化ユニット302と、1つのパラメーター最適化ユニット303と、1つのパラメーター適用ユニット304と、を備えることがさらに考えられる。1つのアクセスポイントがデータ測定を量子化された形態で受信することを可能にするために適用されるコードブックを求めることは、したがって、このアクセスポイントによって実行される。換言すれば、これは、図3Aに示す第1のモジュール配置を図1Bに示す第2の通信システムのアーキテクチャと併せて説明したような非集中化手法に対応する。
インデックスjの値によって識別される1つの測定データ提供ユニット301によって得られるとともに、この測定データ提供ユニット301からインデックスiの値によって識別される1つのパラメーター最適化ユニット303に送信される測定データの量子化された形態をzj,iで示すことにする。インデックスiおよびjは厳密に正であり、それぞれ、通信システムに存在する測定データ提供ユニット301の数量およびパラメーター最適化ユニット303の数量によって制限されることに留意すべきである。
インデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301からインデックスiの値によって識別されるパラメーター最適化ユニット303へのリンクをCLj,iでさらに示すことにする。これは、zj,iが、リンクCLj,iを介して量子化された形態で送信された測定データに対応することを意味する。インデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301およびインデックスiの値によって識別されるパラメーター最適化ユニット303が同じノードデバイスの内部に配置されているとき、リンクCLj,iは、通常、量子化演算を必要とせず、したがって、zj,iは、測定データ提供ユニット301によって得られる測定データに直接対応することに留意すべきである。
より正確に言えば、仮想MIMOチャネル係数h(すなわち、確率変数)に対応するとともに、インデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301によって得られる測定データを、
で示すことによって、z
j,iは、対応する量子化演算を適用した後の測定データ
に対応する。hは、仮想MIMOチャネル係数をベクトル化したものであることに留意しなければならない。
は、インデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301によって実行される仮想MIMOチャネルの観測結果をベクトル化したものであることにさらに留意しなければならない。
データレートに関する制限された容量R
j,iを有するリンクCL
j,i上で測定データを量子化された形態z
j,iで送信するために適用されるコードブックC
j,iに依拠する量子化演算をCB
j,iで示すことによって、以下の関係を表すことができる。
ここで、
である。この式において、|A|は、Aの濃度を表す。
量子化された形態z
j,iの測定データから、インデックスiの値によって識別されるパラメーター最適化ユニット303によって実行される仮想MIMOチャネル係数の推定は、ここでは、
で示される。各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)によって実行される仮想MIMOチャネル係数の推定
が、このパラメーター最適化ユニット303によって収集される量子化された形態z
j,iの測定データの重み付き線形結合であることを考慮することによって、以下の関係を表すことができる。
ここで、W
j,iは、
となるような半正定重み行列である。ここで、Iは、単位行列である。
仮想MIMOチャネルに関する通信システム性能は、各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)の観点からは、性能指数F
(i)によって表される。この性能指数は、仮想MIMOチャネル係数の推定
を考慮して最適化されなければならない。各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)の観点からの仮想MIMOチャネルに関する通信システムの性能を表す性能指数F
(i)を考慮に入れることによってコードブックC
j,iおよび重み行列W
j,iを求めることは、したがって、上記性能を改善する。
上記第1の特定の実施の形態では、性能指数F
(i)は、仮想MIMOチャネル係数の推定
と、有効仮想MIMOチャネル係数hとの間の最小にされる推定誤差を表す。この推定誤差は、仮想MIMOチャネル係数の推定
と、有効仮想MIMOチャネル係数h(有効仮想MIMOチャネル係数hは事前に知られていない)との間の平均二乗誤差を最小にしたものとして、以下の式で表すことができる。
ここで、
は、仮想MIMOチャネル係数hにわたる数学的期待値を表す。
換言すれば、各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)に向かう全てのリンクCL
j,iを考えると、協調フェーズS410の間に適用しなければならないとともに、以下の式を統計的に最小にする重み行列W
j,iの集合{W
j,i}およびコードブックC
j,iの集合{C
j,i}は、このパラメーター最適化ユニット303を構成することを担当する量子化最適化ユニット302によって求められるべきである。
ここで、
は、仮想MIMOチャネル係数hの統計と、測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)によって得られる測定データ
の集合
とにわたる数学的期待値を表す。
各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)について、例えば、モンテカルロシミュレーションを用いて評価することで、仮想MIMOチャネル係数の推定
と仮想MIMOチャネル係数hとの間の平均二乗誤差を統計的に最小にする重み行列W
j,iの集合{W
j,i}およびコードブックC
j,iの集合{C
j,i}が見つかるまで、候補重み行列W
j,iの集合{W
j,i}および候補コードブックC
j,iの集合{C
j,i}が、そのパラメーター最適化ユニット303を構成することを担当する量子化最適化ユニット302によってランダムに定義される。
一変形形態では、各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)について、例えば、モンテカルロシミュレーションを用いて評価することで、仮想MIMOチャネル係数の推定
と、仮想MIMOチャネル係数hとの間の平均二乗誤差を統計的に最小にするコードブックC
j,iの集合{C
j,i}および重み行列W
j,iの対応する集合{W
j,i}が見つかるまで、そのパラメーター最適化ユニット303を構成することを担当する量子化最適化ユニット302によって、候補コードブックC
j,iの集合{C
j,i}は、ランダムに定義され、候補重み行列W
j,iの対応する集合{W
j,i}は、ランダムに定義された候補コードブックC
j,iの集合{C
j,i}に従って半正定値計画を用いた最適化によって定義される。
別の変形形態(最適性および計算の必要性の点から改善された性能を提供する)では、量子化誤差には相関性がないことを考慮して、トレースベースの単純化した関係を導き出すことができる。これによって、有効仮想MIMOチャネル係数h、および測定データをパラメーター最適化ユニット303に送信しなければならない測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)によって得られる測定データ
の集合
にわたる各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)の数学的期待値を求める複雑さが低減される。換言すれば、各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)に向かう全てのリンクCL
j,iを考えると、協調フェーズS410の間に適用しなければならないとともに、以下の式を統計的に最小にする重み行列W
j,iの集合{W
j,i}およびコードブックC
j,iの集合{C
j,i}は、そのパラメーター最適化ユニット303を構成することを担当する量子化最適化ユニット302によって求められるべきである。
ここで、
は、量子化された形態z
j,iの測定データの誤差共分散行列を表し、以下のように表すことができる。
定義によって、共分散行列
は、量子化された形態z
j,iのそれぞれの測定データをそれぞれの測定データ
から量子化演算によって得ることに用いられるそれぞれのコードブックC
j,iに依存する。前処理フェーズS400の目的は、各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)について、そのパラメーター最適化ユニット303の観点から性能指数F
(i)を最大にするようにコードブックC
j,iを求めることである。結果として、各共分散行列
は、以下のように表すことができる。
ここで、C
hは、仮想MIMOチャネル係数hの確率分布を表す共分散行列を表し、Q
jは、インデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301によって事前に得られた長期統計データから得られる推定誤差共分散行列を表し、
は、検討対象のコードブックC
j,iのコードワードx
(j,i)の中のk番目のコードワードを表し、A
Hは、Aのエルミート共役を表し、α
j,i,kは、測定データ
が、検討対象のコードワード
によって定義される重心に関連付けられたボロノイ領域に属する確率を表すパラメーターである。このボロノイ領域(セルと呼ばれることもある)は、その内部のいずれの点も、検討対象のコードブックC
j,iの他のいずれのコードワード
よりも上記重心に近い空間である。各パラメーターα
j,i,kは、数値シミュレーションによって得ることができる。
推定誤差共分散行列Q
jは、以下のように表すことができる。
ここで、
は、長期統計を構築するためにインデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301によって事前に実行される仮想MIMOチャネルの測定を表し、したがって、Q
jは、この長期統計を表す。
推定誤差共分散行列Qjは、一変形形態では、インデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301または検討対象のパラメーター最適化ユニット303を構成することを担当する量子化最適化ユニット302のいずれかによって、統計モデルから得ることができる。
各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)について、測定データをこのパラメーター最適化ユニット303に提供することに用いられる各コードブックC
j,iは、以下の連立方程式に従って、対応する共分散行列
に基づいて定義される中間行列B
j,iを求めることによって定義される。
ここで、
は、複素数Aの実部を表し、
は、複素数Aの虚部を表し、A
−HはAのエルミート共役の逆数を表し、A
H/2は、Aのエルミート共役の平方根を表し、Nは、コードブックC
j,iの濃度|C
j,i|を表し、βは、スカラーを表し、nは、仮想MIMOチャネルベクトルhの濃度を表す。
この連立方程式から、各共分散行列
は、コードブックC
j,iに関連した量子化誤差共分散行列
と、適用可能な推定誤差共分散行列Q
jから導出することができるチャネル推定誤差共分散行列(上記で表された共分散行列
の定義の残りの部分)との和として表すことができることは明らかである。
各量子化最適化ユニット302は、協調フェーズS410の間に適用される量子化演算を定義する重み行列Wj,iの集合{Wj,i}および中間行列Bj,iの集合{Bj,i}を定義するために、前述のトレースベースの数式を最適化する。実際は、コードブックの代わりに行列に対して最適化を実行する方が容易であり、したがって、処理資源の点から費用効果が高い。
最適化は、その後、半正定値計画に依拠することによって、上記トレースベースの数式を最小にする中間行列Bj,iおよび対応する重み行列Wj,iの対を選択するために実行される。
量子化された形態zj,iで測定データをリンクCLj,iを介して送信するための量子化演算を実行するために適用される対応するコードブックCj,iは、その後、図5に関して、以下で詳述するようなロイドマックスアルゴリズムを用いることによって、選択された中間行列Bj,iから導出される。
上記によれば、前処理フェーズS400の間に、量子化最適化ユニット302は、確率変数である仮想MIMOチャネル係数hの確率分布に関連した統計データを得る。この統計は、例えば、インデックスjの値によって識別される、関係している測定データ提供ユニット301によって事前に実行される仮想MIMOチャネルの長期測定
に基づいている。この長期測定
は、各測定データ提供ユニット301による量子化演算なしで、関係している量子化最適化ユニット302に提供され、この量子化最適化ユニットは、その後、対応する推定誤差共分散行列Q
jを推論することができる。推定誤差共分散行列Q
jは、一変形形態では、統計モデルに依拠することによって、量子化最適化ユニット302が得ることができる。好ましい実施の形態では、推定誤差共分散行列Q
jは、インデックスjの値によって識別される対応する測定データ提供ユニット301によって得られ、この測定データ提供ユニットは、その後、この推定誤差共分散行列Q
jを関係している量子化最適化ユニット302に量子化演算なしで送信する。
量子化最適化ユニット302は、その後、インデックスiの値によって識別されるパラメーター最適化ユニット303およびインデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301に、適用するために求められたコードブックCj,iを提供し、そのため、上記測定データ提供ユニット301は、量子化された形態zj,iで測定データをリンクCLj,iを介して上記パラメーター最適化ユニット303にさらに送信することができる。量子化演算は、上記第1の特定の実施の形態では、協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報を提供するのに必要とされず、したがって、パラメーター最適化ユニット303が上記協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報をそれぞれのパラメーター適用ユニット304に送信することを可能にするためにコードブックを求める必要はない。
上記第1の特定の実施の形態の1つのより特定的な実施の形態では、コードブックC
j,iのコードワードx
(j,i)をインデックスiの値によって識別されるパラメーター最適化ユニット303およびインデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301に提供する代わりに、量子化最適化ユニット302は、コードワードW
j,ix
(j,i)の等価なコードブックを提供する。したがって、インデックスiの値によって識別されるパラメーター最適化ユニット303は、関係している測定データ提供ユニット301から量子化された形態で受信された測定データを直接加えることによって、仮想MIMOチャネル係数の推定
を求めることができ、したがって、協調パラメーターを求めることができる。
上記第1の特定の実施の形態は、仮想MIMOチャネルに関係したものであるが、同じ原理は、通信システムの環境に影響を与える協調パラメーターを求めなければならない当該通信システムに適用可能であることに留意すべきである。この環境は、測定可能な確率変数によって表され、この環境に関する通信システムの性能に関連した性能指数は、上記協調パラメーターを求めるために最適化されなければならない。
上記第1の特定の実施の形態は、各アクセスポイントが1つの量子化最適化ユニット302を備えるものと考えることによって説明されているが、同じ原理は、1つの量子化最適化ユニット302をサーバー100または上記アクセスポイントの中のマスターアクセスポイントにリモート配置することによって適用されることにさらに留意すべきである。この場合、サーバー100または上記マスターアクセスポイントが、量子化最適化を実行する、すなわち、各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)の代わりにコードブックCj,iおよび対応する重み行列Wj,iを求める。同じ原理は、1つの量子化最適化ユニット302を、パラメーター最適化ユニット303のサブセットのみの代わりにコードブックCj,iおよび対応する重み行列Wj,iを求めるサーバー100または上記マスターアクセスポイントにリモート配置することによって適用される一方、残りのコードブックCj,iおよび対応する重み行列Wj,iは、上記第1の特定の実施の形態に関して上記で詳述したように分散形式でまたは別のマスターアクセスポイントにおいて求められる。この場合、各リモート量子化最適化ユニット302は、適用可能なコードブックCj,iおよび対応する重み行列Wj,i、またはそれぞれのコードワードWj,ix(j,i)の等価なコードブックを、この量子化最適化ユニット302が構成することを担当する各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)に送信する。
上記第1の特定の実施の形態の1つのより特定的な実施の形態では、2つのアクセスポイント間の協調が想定されており、各アクセスポイントは、1つのパラメーター最適化ユニット303を備える。その上、各パラメーター最適化ユニット303が同じインデックス値を有する1つの測定データ提供ユニット301から測定データを受信することを可能にするために量子化演算を実行する必要がないと考えられる。通常、この状況では、各アクセスポイントは、1つのパラメーター最適化ユニット303および1つの測定データ提供ユニット301を備えるか、または各アクセスポイントは、1つのパラメーター最適化ユニット303を備え、少なくとも1つの測定データ提供ユニット301は、モバイル端末からこのアクセスポイントに測定データをフィードバックするリンク容量制限なしで、このアクセスポイントと通信する少なくとも1つのそれぞれのモバイル端末に配置される。適用されるコードブックを求めることは、単純化される。実際は、上記記述は、以下の関係を与える。
重み行列W
j,iを求めることは、より簡単となり、有効に適用されるそれぞれのコードブックC
2,1およびC
1,2をさらに選択するための適切な中間行列B
2,1およびB
1,2を選択するための最適化は、以下のトレースベースの数式を最小にすることによって実行することができる。
上記第1の特定の実施の形態の上記より特定的な実施の形態は、2つのアクセスポイント間の協調に依拠する仮想MIMOチャネルに関係したものであるが、同じ原理は、通信システムの環境に影響を与える協調パラメーターを求めなければならない2つのノードデバイスを有する通信システムに適用可能であることに留意すべきである。この環境は、測定可能な確率変数によって表され、この環境に関する通信システムの性能に関連した性能指数は、上記協調パラメーターを求めるために最適化されなければならない。
上記第1の特定の実施の形態の上記より特定的な実施の形態は、各アクセスポイントが1つの量子化最適化ユニット302を備えるものと考えることによって説明されているが、同じ原理は、1つの量子化最適化ユニット302をサーバー100または上記アクセスポイントの中のマスターアクセスポイントにリモート配置することによって適用されることにさらに留意すべきである。この場合、サーバー100または上記マスターアクセスポイントが、量子化最適化を実行する、すなわち、各パラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)の代わりにコードブックCj,iおよび対応する重み行列Wj,iを求める。同じ原理は、1つの量子化最適化ユニット302を、一方のアクセスポイントに配置された1つのパラメーター最適化ユニット303の代わりにコードブックCj,iおよび対応する重み行列Wj,iを求めるサーバー100にリモート配置することによって適用される一方、残りのコードブックCj,iおよび対応する重み行列Wj,iは、他方のアクセスポイントに配置された1つの量子化最適化ユニット302によって求められる。この場合、リモート量子化最適化ユニット302は、適用可能なコードブックCj,iおよび対応する重み行列Wj,i、またはそれぞれのコードワードWj,ix(j,i)の等価なコードブックを、このリモート量子化最適化ユニット302が構成することを担当するパラメーター最適化ユニット303(インデックスiによって識別される)に送信する。
確率変数が引き続きダウンリンク仮想MIMOチャネルのチャネル係数であり、アクセスポイントが送信チャネル観測結果を得る第2の特定の実施の形態を考えることにする。送信チャネル観測結果は、通信システムのモバイル端末からフィードバックされるダウンリンク測定から得ることができ、および/または検討対象の各送信チャネルが実質的に対称であることを考慮すると、上記アクセスポイントによって実行されるアップリンク測定から得ることができる。したがって、これは、測定データ提供ユニット301をモバイル端末(ダウンリンク測定)またはアクセスポイント(アップリンク測定)に配置することができることを意味し、いくつかの測定データ提供ユニット301がアクセスポイントごとにあることさえも意味する。アクセスポイントは、ダウンリンク測定だけでなく、アップリンク測定にも依拠することができるので、そのような測定データ提供ユニット301は、モバイル端末およびアクセスポイントに配置することができる。この第2の特定の実施の形態では、協調パラメーターは、上記と同様に、変調パラメーターおよび符号化パラメーター、または他の信号送信パラメーターおよびプロトコルパラメーターである。後述するような仮想MIMOチャネル係数の推定
は、これらの協調パラメーターを表す情報である。
この第2の特定の実施の形態では、各アクセスポイントが1つのパラメーター適用ユニット304を備えることがさらに考えられる。上記アクセスポイントの中のマスターアクセスポイント、またはサーバー100は、1つの量子化最適化ユニット302および1つのパラメーター最適化ユニット303を備える。各アクセスポイントがデータ測定を量子化された形態で受信することを可能にするために適用されるコードブックを求めることは、したがって、上記マスターアクセスポイントまたは上記サーバー100によって実行される。換言すれば、これは、協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報をアクセスポイントに提供するのに量子化演算が必要とされないときは、図1Cに示す第3の通信システムのアーキテクチャを伴う図3Aに示す第1のモジュール配置に関して説明したような集中化手法に対応し、協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報をアクセスポイントに提供するのに量子化演算が必要とされるときは、図1Cに示す第3の通信システムのアーキテクチャを伴う図3Bに示す第2のモジュール配置に関して説明したような集中化手法に対応する。
量子化最適化ユニット302およびパラメーター最適化ユニット303は、上記第2の特定の実施の形態では、理解を単純にするために、サーバー100またはマスターアクセスポイントに共存しているものと考えられる。しかしながら、同じ原理は、量子化最適化ユニット302およびパラメーター最適化ユニット303が共存していない(すなわち、量子化最適化は、通信ネットワークの第1のデバイスによって実行され、パラメーター最適化は、通信ネットワークの第2のデバイスによって実行される)ときにも適用される。
適用されるコードブックがサーバー100によって求められ、協調パラメーター最適化もサーバー100によって実行され、かつ、協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報をアクセスポイントに提供するのに量子化演算が必要とされない第1の状況を考えることにする。第1の特定の実施の形態を説明することに用いられた表記を再利用することにし、インデックス値「0」によってパラメーター最適化ユニット303を表すことにする。
したがって、データレートに関する制限された容量R
j,0を有するリンクCL
j,0上で量子化された形態z
j,0で測定データを送信するために適用されるコードブックC
j,0に依拠する量子化演算をCB
j,0で示すことによって、以下の関係を表すことができる。
ここで、
である。
協調パラメーター最適化は、したがって、以下の式によって駆動される。
ここで、W
j,0は、
であるような半正定重み行列である。
コードブックC
j,0および重み行列W
j,0は、前処理フェーズS400の間に、サーバー100に配置された量子化最適化ユニット302によって確率変数hの統計から求められる。その後、協調フェーズS410の間に、測定データ提供ユニット301によって得られた測定データ
は、コードブックC
j,0をそれぞれ用いてそれぞれの量子化演算CB
j,0を受け、量子化された形態z
j,0の測定データを得る。これらの測定データは、その後、上記測定データ提供ユニット301によって、それぞれのリンクCL
j,0を介してパラメーター最適化ユニット303に送信される。パラメーター最適化ユニット303は、その後、仮想MIMOチャネル係数の推定
を求め、仮想MIMOチャネル係数の推定
を各パラメーター適用ユニット304に提供することができる。
上記第2の特定の実施の形態の上記第1の状況では、性能指数Fは、仮想MIMOチャネル係数の推定
と、有効仮想MIMOチャネル係数hとの間の最小にされる推定誤差を表す。この推定誤差は、仮想MIMOチャネル係数の推定
と、有効仮想MIMOチャネル係数h(有効仮想MIMOチャネル係数hは、事前に知られていない)との間の平均二乗誤差を最小にしたものとして、以下の式で表すことができる。
協調フェーズS410の間に測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)から測定データを量子化された形態で受信するために適用しなければならない重み行列W
j,0の集合{W
j,0}およびコードブックC
j,0の集合{C
j,0}は、以下の数式を最小にしなければならない。
例えば、モンテカルロシミュレーションを用いて評価することで、仮想MIMOチャネル係数の推定
と、仮想MIMOチャネル係数hとの間の平均二乗誤差を統計的に最小にする重み行列W
j,0の集合{W
j,0}およびコードブックC
j,0の集合{C
j,0}が見つかるまで、候補重み行列W
j,0の集合{W
j,0}および候補コードブックC
j,0の集合{C
j,0}は、量子化最適化ユニット302によってランダムに定義される。
一変形形態では、例えば、モンテカルロシミュレーションを用いて評価することで、仮想MIMOチャネル係数の推定
と、仮想MIMOチャネル係数hとの間の平均二乗誤差を統計的に最小にするコードブックC
j,0の集合{C
j,0}および重み行列W
j,0の対応する集合{W
j,0}が見つかるまで、最適化ユニット302によって、候補コードブックC
j,0の集合{C
j,0}は、ランダムに定義され、候補重み行列W
j,0の対応する集合{W
j,0}は、ランダムに定義された候補コードブックC
j,0のそれぞれの集合{C
j,0}に従って半正定値計画を用いた最適化によって定義される。
別の変形形態(最適性および計算の必要性の点から改善された性能を提供する)では、量子化誤差には相関性がないことを考慮して、トレースベースの単純化した関係を導き出すことができる。これによって、有効仮想MIMOチャネル係数h、および測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)によって得られる測定データ
の集合
にわたる数学的期待値を求める複雑さが低減される。換言すれば、パラメーター最適化ユニット303に向かう全てのリンクCL
j,0を考えると、協調フェーズS410の間に適用しなければならないとともに、以下の式を統計的に最小にする重み行列W
j,0の集合{W
j,0}およびコードブックC
j,0の集合{C
j,0}は、量子化最適化ユニット302によって求められるべきである。
ここで、
は、量子化された形態z
j,0の測定データの誤差共分散行列を表す。
定義によって、共分散行列
は、量子化された形態z
j,0のそれぞれの測定データをそれぞれの測定データ
から量子化演算によって得ることに用いられるそれぞれのコードブックC
j,0に依存する。前処理フェーズS400の目的は、性能指数Fを最大にするようにコードブックC
j,0を求めることである。結果として、各共分散行列
は、以下のように表すことができる。
ここで、
は、検討対象のコードブックC
j,0のコードワードx
(j,0)の中のk番目のコードワードを表し、α
j,0,kは、測定データ
が、検討対象のコードワード
によって定義される重心に関連付けられたボロノイ領域に属する確率を表すパラメーターである。各パラメーターα
j,0,kは、数値シミュレーションによって得ることができる。
各コードブックC
j,0は、以下の連立方程式に従って、対応する共分散行列
に基づいて定義される中間行列B
j,0を求めることによって定義される。
ここで、N’は、コードブックC
j,0の濃度を表し、β’は、スカラーを表す。
この連立方程式から、各共分散行列
は、量子化誤差共分散行列
と、適用可能な推定誤差共分散行列Q
jから導出することができるチャネル推定誤差共分散行列(上記で表された共分散行列
の定義の残りの部分)との和として表すことができることは明らかである。
量子化最適化ユニット302は、協調フェーズS410の間に適用される量子化演算を定義する重み行列Wj,0の集合{Wj,0}および中間行列Bj,0の集合{Bj,0}を定義するために、前述のトレースベースの数式を最適化する。実際は、コードブックの代わりに行列に対して最適化を実行する方が容易であり、したがって、処理資源の点から費用効果が高い。
最適化は、その後、半正定値計画に依拠することによって、上記トレースベースの数式を最小にする中間行列Bj,0および対応する重み行列Wj,0の対を選択するために実行される。
量子化された形態zj,0で測定データをリンクCLj,0を介して送信するための量子化演算を実行するために適用される対応するコードブックCj,0は、その後、第1の特定の実施の形態および図5に関して既に説明したように、ロイドマックスアルゴリズムを用いることによって、選択された中間行列Bj,0から導出される。
量子化最適化ユニット302は、その後、インデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301に、適用するために求められたコードブックCj,0を提供し、そのため、インデックスjの値によって識別される測定データ提供ユニット301は、量子化された形態zj,0で測定データをリンクCLj,0を介してパラメーター最適化ユニット303にさらに送信することができる。量子化演算は、上記第2の特定の実施の形態の上記第1の状況では、協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報を提供するのに必要とされないので、他のコードブックは、必要ない。量子化最適化ユニット302およびパラメーター最適化ユニット303が共存していない(すなわち、量子化最適化は、通信ネットワークの第1のデバイスによって実行され、パラメーター最適化は、通信ネットワークの第2のデバイスによって実行される)とき、量子化最適化ユニット302は、上記求められたコードブックCj,0をパラメーター最適化ユニット303に提供し、そのため、このパラメーター最適化ユニット303は、それぞれの測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)から測定データをリンクCLj,0を介して量子化された形態zj,0でさらに受信することができる。
上記第2の特定の実施の形態の上記第1の状況は、仮想MIMOチャネルに関係したものであるが、同じ原理は、通信システムの環境に影響を与える協調パラメーターを求めなければならない当該通信システムに適用可能であることに留意すべきである。この環境は、測定可能な確率変数によって表され、この環境に関する通信システムの性能に関連した性能指数は、上記協調パラメーターを求めるために最適化されなければならない。
次に、適用されるコードブックが引き続きサーバー100(またはマスターアクセスポイント)によって求められ、パラメーター最適化もサーバー100(またはマスターアクセスポイント)によって実行されるが、協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報をアクセスポイントに提供するのに量子化演算が必要とされる第2の状況を考えることにする。第2の特定の実施の形態の第1の状況を説明することに用いられた表記を再利用することにし、インデックス値「0」によってパラメーター最適化ユニット303を再度表すことにする。
したがって、チャネル係数の推定
を考えると、データレートに関する制限された容量R
0,iを有するリンクCL
0,i上で、インデックスiの値によって識別されるパラメーター適用ユニット304に協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報を量子化された形態
で送信するために適用されるコードブックC
0,iに依拠する量子化演算をCB
0,iで示すことによって、以下の関係を表すことができる。
ここで、z
0,i∈C
0,iであり、
である。
協調パラメーター最適化は、したがって、以下の式によって駆動される。
ここで、
は、
となるように、各パラメーター適用ユニット304(インデックスiによって識別される)について量子化最適化ユニット302によって求められた半正定重み行列である。
したがって、これは、リンクCL0,iが、量子化最適化ユニット302によって実行される最適化の間に考慮に入れるべきレートR0,iを有することを意味する。
上記第1の特定の実施の形態と同じ性能指数の数式に依拠することによって、協調フェーズS410の間に各量子化最適化ユニット302(インデックスiによって識別される)によって適用される協調パラメーターに関して適用されなければならない重み行列
の集合
と、コードブックC
j,0の集合{C
j,0}と、コードブックC
0,iとは、以下の数式を最小にするように量子化最適化ユニットによって求められなければならない。
上記第2の特定の実施の形態の第1の状況とは逆に、チャネル係数の推定
は、パラメーター適用ユニット304ごとに、すなわち、アクセスポイントごとに異なる(これに対して、上記第2の特定の実施の形態の第1の状況では、同じチャネル係数の推定
がパラメーター最適化ユニット303によって全てのパラメーター適用ユニット304、すなわち、仮想MIMOチャネルに関与している全てのアクセスポイントに送信される)。インデックスjの値によって識別される1つの測定データ提供ユニット301を考えたとき、インデックスiの値によって識別される各パラメーター適用ユニット304について、1つの異なるコードブック
が存在することは、オーバーヘッドの点から無意味である。すなわち、上記測定データ提供ユニット301は、仮想MIMOチャネルに関与している他のアクセスポイントの数量だけ何度も測定データを量子化された形態でパラメーター最適化ユニット303に送信しなければならないということは、オーバーヘッドの点で無意味である。オーバーヘッドを制限するために、全てのチャネル係数の推定
について、コードブックC
j,0の単一の集合{C
j,0}が定義され、これによって、全てのパラメーター適用ユニット304(インデックスiによって識別される)を考慮した最悪の場合に対処することが可能になる。これが、上記式に「max
i」が現われている理由である。
例えば、モンテカルロシミュレーションを用いて評価することで、仮想MIMOチャネル係数の推定
と、仮想MIMOチャネル係数hとの間の平均二乗誤差を統計的に最小にする重み行列W
j,0の集合{W
j,0}、コードブックC
j,0の集合{C
j,0}、およびコードブックC
0,iの集合{C
0,i}が見つかるまで、候補重み行列W
j,0の集合{W
j,0}、候補コードブックC
j,0の集合{C
j,0}、および候補コードブックC
0,iの集合{C
0,i}は、量子化最適化ユニット302によってランダムに定義される。ここで、インデックスiは、仮想MIMOチャネル係数の推定
に関して、(上記数式に「max
i」が存在することに起因して)パラメーター適用ユニット304の中で統計的に最悪の場合を表している。
一変形形態では、例えば、モンテカルロシミュレーションを用いて評価することで、仮想MIMOチャネル係数の推定
と、仮想MIMOチャネル係数hとの間の平均二乗誤差を最小にするために、量子化最適化ユニット302によって、候補コードブックC
j,0の集合{C
j,0}および候補コードブックC
0,iの集合{C
0,i}は、ランダムに定義され、候補重み行列W
j,0の対応する集合{W
j,0}は、ランダムに定義された候補コードブックC
j,0の集合{C
j,0}および候補コードブックC
0,iの集合{C
0,i}に従って、半正定値計画を用いた最適化によって定義される。ここで、インデックスiは、仮想MIMOチャネル係数の推定
に関して、(上記数式に「max
i」が存在することに起因して)パラメーター適用ユニット304の中で統計的に最悪の場合を表している。
上記第2の特定の実施の形態の上記第2の状況では、量子化最適化ユニット302は、その後、測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)に、それぞれ適用するために求められたコードブックCj,0を提供し、そのため、この測定データ提供ユニット301は、量子化された形態zj,0で測定データをリンクCLj,0を介してパラメーター最適化ユニット303にさらに送信することができる。量子化最適化ユニット302は、パラメーター適用ユニット304(インデックスiによって識別される)に、それぞれ適用するために求められたコードブックC0,iも提供し、そのため、これらのパラメーター適用ユニット304は、量子化された形態z0,iで協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報をリンクCL0,iを介してパラメーター最適化ユニット303からさらに受信することができる。量子化最適化ユニット302およびパラメーター最適化ユニット303が共存していない(すなわち、量子化最適化は、通信ネットワークの第1のデバイスによって実行され、パラメーター最適化は、通信ネットワークの第2のデバイスによって実行される)とき、量子化最適化ユニット302は、上記求められたコードブックC0,iをパラメーター最適化ユニット303に提供し、そのため、このパラメーター最適化ユニット303は、量子化された形態z0,iで協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報をリンクCL0,iを介してそれぞれのパラメーター適用ユニット304(インデックスiによって識別される)にさらに送信することができる。その上、量子化最適化ユニット302は、パラメーター最適化ユニット303に上記求められたコードブックCj,0を提供し、そのため、このパラメーター最適化ユニット303は、量子化された形態zj,0で測定データをリンクCLj,0を介してそれぞれの測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)からさらに受信することができる。
上記第2の特定の実施の形態の上記第2の状況は、仮想MIMOチャネルに関係したものであるが、同じ原理は、通信システムの環境に影響を与える協調パラメーターを求めなければならない当該通信システムに適用可能であることに留意すべきである。この環境は、測定可能な確率変数によって表され、この環境に関する通信システムの性能に関連した性能指数は、上記協調パラメーターを求めるために最適化されなければならない。
確率変数が引き続きダウンリンク仮想MIMOチャネルのチャネル係数であり、モバイル端末および/またはアクセスポイントが送信チャネル観測結果を得る第3の特定の実施の形態を考えることにする。したがって、そのような送信チャネル観測結果は、(各送信チャネルが対称であることを考慮すると)ダウンリンク測定および/またはアップリンク測定から得ることができる。協調パラメーターは、この第3の特定の実施の形態では、プリコーディングパラメーター、すなわち、以下で定義されるプリコーディング行列Piである。上記アクセスポイントの中のマスターアクセスポイント、またはサーバー100は、1つの量子化最適化ユニット302および1つのパラメーター最適化ユニット303を備える。この第3の特定の実施の形態では、各モバイル端末は、1つの測定データ提供ユニット301に関連付けられている。換言すれば、1つの測定データ提供ユニット301は、各モバイル端末に配置され、したがって、モバイル端末は、アクセスポイントを1つのパラメーター最適化ユニット303に向かう中継器として用いることができる。代替的に、モバイル端末ごとに1つの測定データ提供ユニット301が、アクセスポイントに配置される。各パラメーター最適化ユニット303がデータ測定を量子化された形態で受信することを可能にするために適用されるコードブックを求めることは、したがって、上記マスターアクセスポイントまたは上記サーバー100によって実行される。換言すれば、上記第3の特定の実施の形態は、図1Cに示す第3の通信システムのアーキテクチャを伴う図3Bに示す第2のモジュール配置に関して説明したような集中化手法に対応し、これは、測定データを提供するだけでなく、協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報を提供するのにも量子化演算が必要とされることを意味する。
上記で詳述した第1の特定の実施の形態および第2の特定の実施の形態に対する1つの主な相違は、検討対象の性能指数の定義にある。上記第3の特定の実施の形態では、性能指数の定義は、全てのアクセスポイントに共通であり、平均二乗誤差ではなく合計レートに対応する。
量子化最適化ユニット302およびパラメーター最適化ユニット303は、上記第3の特定の実施の形態では、理解を単純にするために、サーバー100またはマスターアクセスポイントに共存しているものとみなされる。しかしながら、同じ原理は、量子化最適化ユニット302およびパラメーター最適化ユニット303が共存していない(すなわち、量子化最適化は、通信ネットワークの第1のデバイスによって実行され、パラメーター最適化は、通信ネットワークの第2のデバイスによって実行される)ときに適用される。
第1の特定の実施の形態および第2の特定の実施の形態を説明することに用いられた表記を再利用することにし、インデックス値「0」によってパラメーター最適化ユニット303を表すことにする。
したがって、N
t個の送信アンテナとN
r個の受信アンテナとの間のN
r×N
t個の仮想MIMOチャネルを考えることにする。これによって、N
r・N
tベクトルの形態の仮想MIMOチャネル係数hが得られる。各パラメーター適用ユニット304(インデックスiによって識別される)は、以下のように定義される送信電力制約下で複数のモバイル端末にそれぞれアドレス指定されるように意図された信号を線形結合するプリコーディング行列P
iに依拠することによってプリコーディング演算を適用する。
K個(K≧2)のアクセスポイントおよびJ個(J≧2)のモバイル端末を考えることにする。したがって、各モバイル端末は、1つの測定データ提供ユニット301を備えるので、インデックスjは、モバイル端末に対して用いることができる。
K個のそれぞれのアクセスポイントのK個のプリコーディング行列を連結したものをPで示すことにする。
仮想MIMOチャネルのJ個の送信チャネルを連結したものをH’でさらに示すことにする。
ここで、H’
jは、インデックスjによって識別されるモバイル端末に向かう送信チャネルを表す。
上記第3の特定の実施の形態では、各モバイル端末(インデックスjによって識別される)は、以下のように定義されるMMSE(最小平均二乗誤差)受信フィルターT
jを装備しているとさらに考えられる。
ここで、δ
jは、インデックスjの値によって識別されるモバイル端末にアドレス指定されたデータを分離する、δ
jS=S
jとなるような選択行列である。ここで、Sは、プリコーディング後にN
t個の送信アンテナを介して同時に送信されたモバイル端末(インデックスjによって識別される)にそれぞれアドレス指定されたシンボルS
jを連結したものである。
性能指数Fは、仮想MIMOチャネルの、最大にされる合計レートSRを表し、以下のように表すことができる。
したがって、性能指数Fを最適化することは、仮想MIMOチャネルの合計レートSRを最大にする協調パラメーターPiを求めることを目的とするものである。
リンクCLj,0は、データレートに関する制限された容量Rj,0を有し、リンクCL0,iは、データレートに関する制限された容量R0,iを有するので、量子化最適化ユニット302は、性能指数Fが仮想MIMOチャネルの統計に従って統計的に最適化されるようなコードブックCj,0およびコードブックC0,iをそれぞれ求める。
測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)は、測定データを量子化された形態z
j,0でパラメーター最適化ユニット303に送信する。これらの量子化された形態z
j,0の測定データは、コードブックC
j,0に従って
を量子化したものである。ここで、
は、H’
jによって表される送信チャネルに関して得られたそれぞれの測定データ
をベクトル化したものである。
したがって、量子化最適化ユニット302は、プリコーディング行列P
iに対して、すなわち、連結したものPに対して、以下の数式を最大にするようにコードブックC
j,0およびコードブックC
0,iを求めなければならない。
ここで、Pは、各プリコーディング行列P
iがコードブックC
0,iにそれぞれ属するようになっているものであり、
は、H’
jによって表される送信チャネルについて得られた測定データ
の統計にわたる数学的期待値を表し、CM
j,0は、
をベクトル化したものが
に等しくなるようなコードブックC
j,0に従った量子化演算を表す。
例えば、モンテカルロシミュレーションを用いて評価することで、仮想MIMOチャネルの合計レートを統計的に最大にするコードブックCj,0の集合{Cj,0}およびコードブックC0,iの集合{C0,i}が見つかるまで、候補コードブックCj,0の集合{Cj,0}および候補コードブックC0,iの集合{C0,i}は、量子化最適化ユニット302によってランダムに定義される。
上記によれば、前処理フェーズS400の間に、量子化最適化ユニット302は、確率変数である仮想MIMOチャネル係数の確率分布に関連した統計データを得る。この統計は、例えば、測定データ提供ユニット301によって事前に実行される仮想MIMOチャネルの長期測定に基づいている。この長期測定は、各測定データ提供ユニット301による量子化演算なしで、量子化最適化ユニット302に提供される。一変形形態では、上記統計は統計モデルから得られる。
その後、量子化最適化ユニット302は、仮想MIMOチャネルの合計レートを統計的に最大にするコードブックCj,0の集合{Cj,0}およびコードブックC0,iの集合{C0,i}を求めるために、上記で説明したような量子化最適化を実行する。
量子化最適化ユニット302は、その後、測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)に、それぞれ適用するために求められたコードブックCj,0を提供し、そのため、上記測定データ提供ユニット301は、量子化された形態zj,0で測定データをリンクCLj,0を介してパラメーター最適化ユニット303にさらに送信することができる。量子化最適化ユニット302は、パラメーター適用ユニット304(インデックスiによって識別される)に、それぞれ適用するために求められたコードブックC0,iも提供し、そのため、上記パラメーター適用ユニット304は、量子化された形態z0,iで協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報をリンクCL0,iを介してパラメーター最適化ユニット303からさらに受信することができる。量子化最適化ユニット302およびパラメーター最適化ユニット303が共存していない(すなわち、量子化最適化は、通信ネットワークの第1のデバイスによって実行され、パラメーター最適化は、通信ネットワークの第2のデバイスによって実行される)とき、量子化最適化ユニット302は、上記求められたコードブックC0,iをパラメーター最適化ユニット303に提供し、そのため、このパラメーター最適化ユニット303は、量子化された形態z0,iで協調パラメーターまたはこれらの協調パラメーターを表す情報をリンクCL0,iを介してそれぞれのパラメーター適用ユニット304(インデックスiによって識別される)にさらに送信することができる。その上、量子化最適化ユニット302は、上記求められたコードブックCj,0をパラメーター最適化ユニット303に提供し、そのため、このパラメーター最適化ユニット303は、量子化された形態zj,0で測定データをリンクCLj,0を介してそれぞれの測定データ提供ユニット301(インデックスjによって識別される)からさらに受信することができる。
上記第3の特定の実施の形態は、仮想MIMOチャネルに関係したものであるが、同じ原理は、通信システムの環境に影響を与える協調パラメーターを求めなければならない当該通信システムに適用可能であることに留意すべきである。この環境は、測定可能な確率変数によって表され、この環境に関する通信システムの性能に関連した性能指数は、上記協調パラメーターを求めるために最適化されなければならない。
図5は、ロイドマックスアルゴリズムを用いることによってコードブックCj,i(またはコードブックCj,0)を中間行列Bj,i(それぞれBj,0)から求めるアルゴリズムを概略的に表している。サーバー100が1つの中間行列Bj,iから1つのコードブックCj,iを求めなければならないことを例示として考えることにする。
図5のアルゴリズムはステップS500から開始し、このステップにおいて、中間行列Bj,iが、前述したように得られる。
次のステップS501において、サーバー100は、以下のようなトレーニングデータの集合Yを得る。
ここで、Yは、仮想MIMOチャネル係数hと同じ分布を有し、仮想MIMOチャネルは、ガウス形であると考えられ、Tは、ここでは、トレーニングデータの数量を表す。
ステップS501において、サーバー100は、U=|Cj,i|の数量のクラスターSuをさらに初期化する。ここで、uは、1〜Uのインデックスである。ステップS501において、各クラスターSuは、空である。
次のステップS502において、サーバー100は、以下のようにコードブックC
j,iを初期化する。
値muは、任意に定義することもできるし、仮想MIMOチャネルを介した直前の送信条件についてサーバー100によって以前定義されたコードブックCj,iの以前のバージョンのコードワードx(j,i)とすることもできる。
次のステップS503において、サーバー100は、以下のように重み付き平均二乗歪みdC
j,iに従って、集合Yの各トレーニングデータを正確に1つのクラスターS
uに割り当てる。
ここで、tは、1〜Tのインデックスであり、
重み付き平均二乗歪みdC
j,iは、以下のとおりであり、
ここで、中間行列B
j,iは、この歪みの重みである。
換言すれば、クラスターSuは、このクラスターSuの重み付き平均二乗歪みdCj,iが他のいずれのクラスターのものよりも小さくなるような集合Yのトレーニングデータで満たされる。
次のステップS504において、サーバー100は、以下のように、値m
uを、クラスターS
uにおいて割り当てられたトレーニングデータの重心となるように更新する。
ここで、|S
u|は、クラスターS
uの濃度を表す。
次のステップS505において、サーバー100は、収束に達したとみなされるか否か、すなわち、ステップS504が変更されない値mu(連続した反復にわたる安定した重心)を与えるとみなされるか否かまたは所定の反復数が達成されたとみなされるか否かを調べる。収束に達したとみなされた場合、アルゴリズムが終了するステップS506が実行され、そうでない場合、各クラスターSuは、空にされ、ステップS504が繰り返される。