JP2017521160A

JP2017521160A - 骨に面した多孔質の裏面を有するオールセラミックス製の人工膝関節

Info

Publication number: JP2017521160A
Application number: JP2017501036A
Authority: JP
Inventors: プロイスローマン; ラシュケマリタ; シュトレートゲンペーター; ヴァイストビアス
Original assignee: Ceramtec GmbH
Current assignee: Ceramtec GmbH
Priority date: 2014-07-09
Filing date: 2015-07-01
Publication date: 2017-08-03
Also published as: EP3166536A1; DE102015212258A1; CN106659571A; AU2015286968A1; US20170252168A1; RU2017104139A; RU2017104139A3; WO2016005235A1; KR20170028977A

Abstract

本発明は、関節を形成する表面と骨に面した裏面（４）とをそれぞれ有する大腿骨コンポーネント（１）および脛骨コンポーネント（２）と、ポリエチレン（ＰＥ）ライナ（３）とを備えた人工膝関節に関する。この人工膝関節が金属不含でかつセメントなしに埋込み可能となるようにするために、大腿骨コンポーネント（１）および脛骨コンポーネント（２）が、オールセラミックスから成っていて、両コンポーネント（１，２）の、骨に面した裏面（４）であって、一体化されたオッセオインテグレーション性の多孔質の裏面（４）を有していることが提案される。

Description

本発明は、関節を形成する表面と骨に面した裏面とをそれぞれ有する大腿骨コンポーネントおよび脛骨コンポーネントと、ポリエチレン（ＰＥ）ライナとを備えた人工膝関節に関する。

膝関節を置換するための昨今の臨床的な先行技術は、９０％以上、セメント固定式の体内プロテーゼを設けている。骨セメントは、初期には、金属製の体内プロテーゼ（ＣｏＣｒＭｏ合金またはＴｉ合金）の十分に粗面化された表面に極めて良好に付着しているが、時間が経つにつれ、人の体内の水性の環境の作用によってコンポーネントから剥離してしまう（いわゆる「剥がれ」）。関節に加わる動荷重により、膝用体内プロテーゼが骨セメントプラグで微小運動しかつ骨セメントの安定亀裂成長が進展することによって、時間が経つにつれ、骨セメントが破壊されてしまう。一方で周辺の組織に達し、他方で関節の滑り面にも移動してしまい、そこで、ポリエチレン（ＰＥ）ライナを大幅に摩耗させる摩耗粒子が生じる。生じた骨セメント摩耗片とＰＥ摩耗片とは、たいてい、周辺の組織の生物学的な反応を引き起こす。その結果、局所的な炎症や骨溶解（骨の退行）が生じる。この局所的な炎症や骨溶解は、次いで、インプラントの無菌性の緩みを招く。このメカニズムは、セメント固定式の膝用体内プロテーゼでは避けられず、セメント固定式の膝関節用体内プロテーゼの平均的な寿命がなぜ１０〜２０年でしかないのかも説明している。

より長いプロテーゼ寿命に対する大きな可能性を秘めた１つの択一的な形態は、セメントレスの膝用体内プロテーゼである。市場では、現在、金属製の膝関節用体内プロテーゼが確立されている。この金属製の膝関節用体内プロテーゼは、オッセオインテグレーション性の同じく金属製の被覆体を備えていることが多い。この被覆体は、インプラント表面への骨の直接的な入り込みを可能にする。インプラント表面への骨の直接的な固着および入り込みによって、インプラントと骨との間で長期安定性の結合が保証され、セメント固定式の形態に比べて、プロテーゼの寿命を大幅に向上させることができる（最長３０年）。セメントレスの金属製の体内プロテーゼは、セラミックス製の形態の場合よりも高い摩耗にさらされている。別の大きな欠点は、金属自体の使用である。なぜならば、昨今では、ますます多くの人が、使用される金属に対して不耐性を示し、アレルギー患者に金属製の人工関節が適さないからである。

骨に面した裏面であって、一体化されたオッセオインテグレーション性の多孔質の裏面を有する直接埋込み可能なオールセラミックス製の膝関節用コンポーネント（全膝システムにおいてＰＥライナに組み合わされる大腿骨コンポーネントおよび脛骨コンポーネント）の本発明による使用は、有利な革新を成している。

このような金属不含の膝関節用コンポーネントは、アレルギー患者に適した生体適合性の材料の利点と、滑り対偶の少ない摩耗の利点と、優れたオッセオインテグレーションとを一纏めにしている。

先行技術として、欧州特許第０５４２８１５号明細書ならびに欧州特許出願公開第１２６８３６４号明細書を挙げておく。

関節を形成する表面と骨に面した裏面とをそれぞれ有する大腿骨コンポーネントおよび脛骨コンポーネントと、ポリエチレン（ＰＥ）ライナとを備えた本発明に係る人工膝関節は、大腿骨コンポーネントおよび脛骨コンポーネントが、オールセラミックスから成っていて、両コンポーネントの、骨に面した裏面であって、オッセオインテグレーション性の多孔質の裏面を有していることを特徴としている。

本発明による１つの形態では、大腿骨コンポーネントおよび脛骨コンポーネントが、それぞれセラミックス製の焼結成形体から製造されている。この形態では、焼結成形体が、骨に面した裏面に多孔質の層を有している。

本発明による別の形態では、骨に面した多孔質の裏面が、グリーン状態にある基体（コンポーネント）上へのセラミックスラリおよびスペーサ材（造孔材）の被着によって形成されている。焼結工程を介して、層と基体との結合が達成される。焼結時のスペーサ材の焼失によって、裂け目の多い表面を有する開気孔の構造が形成される。この構造は、骨の固着および入り込みを有利に促進させる。これについては、欧州特許出願公開第１２６８３６４号明細書も参照のこと。

セラミックスラリは、セラミックス製の基体と同じ材料から成っている。これによって、インプラント全体が、被覆体を含めて一切金属を含んでおらず、アレルギー反応に関して有利となる。

本発明によるさらに別の形態では、骨に面した多孔質の裏面が、グリーン状態にある基体（コンポーネント）上でのセラミックスラリおよびスペーサ材（造孔材）の発泡によって形成されている。焼結工程を介して、層と基体との結合が達成され、裂け目の多い表面を有する開気孔の構造が形成される。この構造は、骨の固着および入り込みを有利に促進させる。この種の被覆体は、セラミックス製の基体と共に、有利にはアレルギー反応に関して同じく金属不含である。

骨に面した多孔質の裏面は、焼結された状態にある緻密な成形体とセラミックス製の多孔質の成形体との接合によって形成されていてもよい。多孔質の成形体は、セラミックスラリの発泡と焼結とによって形成されていてもよいし、多孔質の担持材料へのスラリの含浸と焼結とによって形成されていてもよい。接合は、好適にはろう付けまたは接着によって実施される。この種の被覆体は、セラミックス製の基体と共に、有利にはアレルギー反応に関して金属不含である。

本発明によれば、骨に面した裏面であって、一体化されたオッセオインテグレーション性の多孔質の裏面が、二成分射出成形（緻密な相および多孔質のまたは造孔性の相）と焼結とによって形成されていてもよい。この種の被覆体は、セラミックス製の基体と共に、金属不含である。

骨に面した多孔質の裏面は、好適には更なる被覆によって、より高いインテグレーション速度または抗菌作用のような付加的な機能性を獲得することができる。インテグレーション速度とは、骨による入り込みの時間を意味している。好適には、このことは、バイオガラス、ハイドロキシアパタイト、官能化されたタンパク質またはハイドロゲルによって達成することができる。

本発明によるさらに別の形態では、骨に面した多孔質の裏面が、すでに焼結されたセラミック基体上への金属製の生体適合性の多孔質の層の被着によって形成されている（欧州特許第１０５２９４９号明細書参照）。

セラミックス製の膝関節用体内プロテーゼの全体を示す図である。

図１には、大腿骨コンポーネント１と、脛骨コンポーネント２と、両者間に位置するポリエチレン（ＰＥ）ライナ３とから成るセラミックス製の膝関節用体内プロテーゼの全体が、埋め込まれた状態で示してある。骨に面した多孔質の裏面には、符号４が付してある。

Claims

関節を形成する表面と骨に面した裏面（４）とをそれぞれ有する大腿骨コンポーネント（１）および脛骨コンポーネント（２）と、
ポリエチレン（ＰＥ）ライナ（３）と、
を備える人工膝関節であって、
前記大腿骨コンポーネント（１）および前記脛骨コンポーネント（２）は、オールセラミックスから成っていて、両コンポーネント（１，２）の、骨に面した裏面（４）であって、一体化されたオッセオインテグレーション性の多孔質の裏面（４）を有することを特徴とする、人工膝関節。
前記大腿骨コンポーネント（１）および前記脛骨コンポーネント（２）は、それぞれセラミックス製の焼結成形体から製造されている、請求項１記載の人工膝関節。
前記焼結成形体はその裏面に多孔質の層（４）を有する、請求項２記載の人工膝関節。
多孔質の前記裏面（４）は、グリーン状態でのセラミックスラリおよびスペーサ材（造孔材）の被着と、焼結時の前記スペーサ材の焼失とによって形成されている、請求項１記載の人工膝関節。
多孔質の層（４）は、グリーン状態でのセラミックスラリの発泡と、これに続く焼結とによって形成されている、請求項１記載の人工膝関節。
多孔質の前記裏面（４）は、焼結された状態にある緻密な成形体とセラミックス製の多孔質の成形体との接合によって形成されている、請求項１記載の人工膝関節。
多孔質の前記成形体は、セラミックスラリの発泡と焼結とによって形成されているか、または多孔質の担持材料へのスラリの含浸と焼結とによって形成されている、請求項６記載の人工膝関節。
前記接合は、ろう付けまたは接着によって実施される、請求項６または７記載の人工膝関節。
一体化されたオッセオインテグレーション性の多孔質の前記裏面（４）は、二成分射出成形（緻密な相および多孔質のまたは造孔性の相）と焼結とによって形成されている、請求項１記載の人工膝関節。
多孔質の前記裏面（４）は、更なる被覆によって、より高いインテグレーション速度または抗菌作用のような付加的な機能性を獲得している、請求項１から９までのいずれか１項記載の人工膝関節。
多孔質の前記裏面（４）は、バイオガラス、ハイドロキシアパタイト、官能化されたタンパク質またはハイドロゲルで被覆されている、請求項１０記載の人工膝関節。