JP2017520657A - ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造 - Google Patents
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Abstract
ポリα−1,3−グルカンフィルムを製造するための押出方法が開示される。これらのフィルムは半透明とすることができ、また包装用途で使用することができる。
Description
関連出願の相互参照
本開示は2014年6月26日に出願された米国仮特許出願番号第62/017469号に基づく優先権の利益を主張するものであり、この出願の全体
は参照により本明細書に包含される。
本開示は2014年6月26日に出願された米国仮特許出願番号第62/017469号に基づく優先権の利益を主張するものであり、この出願の全体
は参照により本明細書に包含される。
本開示は、ポリα−1,3−グルカンフィルム及びその作製方法に関する。
グルコース系多糖類及びそれらの誘導体は、潜在的な産業上の用途が存在し得る。
セルロースはそのような多糖類の典型的な例であり、これはヘキソピラノース単位のβ−1,4−D−グリコシド結合からなる。セルロースは、繊維やフィルムの製造などの複数の商業的な用途で使用されている。このような用途で使用されるセルロースは典型的には木材パルプから得られるが、綿花、亜麻、麻、又は竹のパルプ由来である場合もある。
セルロースの溶液化は手間のかかる工程である。セルロースフィルムの製造に関し、セルロースの溶解のために最も一般的に用いられている方法は「ビスコース法」である。当業者に認識されるであろうように、一般的に行われているビスコース法は、水酸化ナトリウム中へセルロースパルプを溶解させる工程又はスラリー化させる工程と、水酸化ナトリウム溶液中へこれを浸漬する工程と、任意選択的にセルローススラリーをマーセル化して水酸化ナトリウム溶液の一部を取り除く工程と、セルロースを二硫化炭素でキサントゲン化する工程と、これを水酸化ナトリウム溶液に再溶解させてビスコースすなわちキサントゲン酸セルロースの溶液を形成する工程とが含まれる。
ビスコースは、典型的には製品品質を向上させる目的で材料の純度を最大化するために、濾過及び再濾過される。その後これは、例えばスリット若しくはローラーにこれを通して押し出すことでフィルムのシートを形成することによって、又は紡糸口金からこれを押し出して繊維状材料を形成することによって、などの当該技術分野で公知の技術を使用して、例えば繊維やフィルムなどの求められる形状に成形される。成形されたビスコースはその後、ビスコースからセルロースを再生するために、酸性のキャスト溶液と接触させられる。
しかしながら、ビスコース法は、例えば有毒な化学物質、特には二硫化炭素の使用を含むこと、及び大きな環境コストを有することなどの、それに伴う多くの欠点を有している。
グルコース系多糖類のもう1つの例は、α−1,3−グリコシド結合を有するグルカンポリマーである。グルカンポリマーは、大きな利点を有していることが示されており、例えば特許文献1には、ヘキソース単位を含み、ポリマー中の少なくとも50%のヘキソース単位がα−1,3−グリコシド結合を介して連結されており、数平均重合度が少なくとも100である、多糖繊維の作製方法が記載されている。ポリマーの製造にはストレプトコッカス サリバリウス(Streptococcus salivarius、gtfJ)由来のグルコシルトランスフェラーゼ酵素が使用される。ポリマーを溶媒又は溶媒を含む混合物に臨界濃度を超えて溶解させた場合に液晶溶液が形成された。この溶液から、繊維製品での使用に非常に適した、連続的で頑丈な綿状の繊維が紡糸され、使用された。
多糖グルカンポリマーからなるフィルムを製造することが望まれるであろう。また、有毒な化学物質、特には二硫化炭素を工程で使用することなしに、多糖グルカンポリマーからなるフィルムを製造することも望まれるであろう。
第1の実施形態においては、本開示は、(a)ポリα−1,3−グルカンを溶媒組成物に溶解させてポリα−1,3−グルカンの溶液を得ること;(b)ポリα−1,3−グルカンの溶液を凝固浴の中に押し出してフィルム形状のウェットゲルを形成すること;(c)フィルム形状のウェットゲルを水で洗浄すること;(d)任意選択的に、可塑剤を用いてフィルム形状のウェットゲルを可塑化すること;及び(e)フィルム形状のウェットゲルから水を除去してポリα−1,3−グルカンフィルムを形成することを含む、ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法に関する。
第2の実施形態においては、本開示は、溶媒組成物が塩基性水溶液を含む形態に関する。
第3の実施形態においては、本開示は、塩基性組成物が水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及び水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液からなる群から選択される形態に関する。
第4の実施形態においては、本開示は、溶媒組成物中の塩基の濃度が(a)約5重量%〜約15重量%、又は(b)約7重量%〜約13重量%である形態に関する。
第5の実施形態においては、本開示は、溶媒組成物が溶解性改良剤、可塑剤、又はこれらの混合物を更に含む形態に関する。
第6の実施形態においては、本開示は、溶液中のポリα−1,3−グルカンの濃度が(a)約10重量%〜約30重量%、又は(b)約15重量%〜約23重量%の範囲である形態に関する。
第7の実施形態においては、本開示は、凝固浴が酸性水溶液又はメタノールを含む形態に関する。
第8の実施形態においては、本開示は、酸性水溶液が硫酸水溶液を含む形態に関する。
第9の実施形態においては、本開示は、凝固浴が硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、ホウ酸、又はこれらのうちの2つ以上の混合物を更に含む形態に関する。
第10の実施形態においては、本開示は、フィルム形状のウェットゲルが少なくとも約1.5MPa、少なくとも約2.0MPa、又は少なくとも約2.5MPaの引張強度を有する形態に関する。
第11の実施形態においては、本開示は、(a)ポリα−1,3−グルカンを溶媒組成物に溶解させてポリα−1,3−グルカンの溶液を得ること;(b)ポリα−1,3−グルカンの溶液を凝固浴の中に押し出してフィルム形状のウェットゲルを形成すること;(c)フィルム形状のウェットゲルを水で洗浄すること;(d)任意選択的に、可塑剤を用いてフィルム形状のウェットゲルを可塑化すること;及び(e)フィルム形状のウェットゲルから水を除去してポリα−1,3−グルカンフィルムを形成することを含む、ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法によって製造されるポリα−1,3−グルカンフィルムに関する。
第12の実施形態においては、本開示は、ポリα−1,3−グルカンを含むフィルムに関する。
第13の実施形態においては、本開示は、フィルムが(a)約10%未満、約5%未満、若しくは約3%未満のヘイズ;又は(b)約10〜約100MPaの破断応力のうちの少なくとも1つを有する形態に関する。
第14の実施形態においては、本開示は、(a)ポリα−1,3−グルカンを溶媒組成物に溶解させてポリα−1,3−グルカンの溶液を得ること;(b)ポリα−1,3−グルカンの溶液を凝固浴の中に押し出してフィルム形状のウェットゲルを形成すること;(c)フィルム形状のウェットゲルを水で洗浄すること;(d)任意選択的に、可塑剤を用いてフィルム形状のウェットゲルを可塑化すること;及び(e)フィルム形状のウェットゲルから水を除去してポリα−1,3−グルカンフィルムを形成することを含む、ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法からのフィルムを含む、ラベル、包装用物品、又は機密文書に関する。
第15の実施形態においては、本開示は、ラベル又は包装用物品によって、標識される又は包装される物品に関する。
本明細書に引用されている全ての特許文献及び非特許文献の開示内容は、それらの全体が参照により本明細書に包含される。
本明細書において、用語「発明」又は「開示された発明」は、限定することを意図しておらず、通常は請求項で規定されているか本明細書に記載されている発明のいずれかに対して適用される。これらの用語は本明細書においては同じ意味で使用される。特段の明示がない限り、本明細書において、用語「a」及び「an」は、言及されている特徴のうちの1つ又はそれ以上(すなわち少なくとも1つ)を包含することが意図されている。
本明細書において、用語「フィルム」とは、薄くて外観上連続的な材料のことをいう。
本明細書において、用語「包装用フィルム」とは、物体を部分的に又は完全に包み込む、薄くて外観上連続的な材料のことをいう。
本明細書において、用語「フィルム形状のウェットゲル」とは、薄くて外観上連続的な、フィルム形成溶液の凝固した形態のことをいう。
本明細書において、用語「可塑化」とは、(a)室温での剛性を下げること;(b)あまり大きくない力で実質的に変形させることが可能な温度を下げること;又は(c)室温での破断伸びを向上させることのうちの少なくとも1つを含む軟化を達成するための添加剤を使用することによる周知の効果のことをいう。
本明細書において、用語「溶媒組成物」とは、ポリマーを溶解させるために必要とされ
る化合物の混合物のことをいう。
る化合物の混合物のことをいう。
用語「ポリα−1,3−グルカン」、「α−1,3−グルカンポリマー」、「グルカンポリマー」及び「グルカン」は、本明細書においては同じ意味で使用される。ポリα−1,3−グルカンは、ポリα−1,3−グルカンの構造を以下のように示すことができるポリマーである(nは8以上である)。
本発明の第1の態様によれば、(a)ポリα−1,3−グルカンを溶媒組成物に溶解させてポリα−1,3−グルカンの溶液を得ること;(b)ポリα−1,3−グルカンの溶液を凝固浴の中に押し出してフィルム形状のウェットゲルを形成すること;(c)フィルム形状のウェットゲルを水で洗浄すること;(d)任意選択的に、可塑剤を用いてフィルム形状のウェットゲルを可塑化すること;及び(e)フィルム形状のウェットゲルから水を除去してポリα−1,3−グルカンフィルムを形成することを含む、ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法が提供される。
ポリα−1,3−グルカンは化学的な手法を用いて合成することができる。あるいは、ポリα−1,3−グルカンはポリα−1,3−グルカンを生成する菌類などの様々な微生物からこれを抽出することによって得ることができる。もう1つの代替方法は、例えば同じ出願人の同時係属出願である米国特許出願公開第2013/0244288号明細書(この開示内容は参照により本明細書に包含される)に記載されているような微生物中に存在する、1種以上のグルコシル−トランスフェラーゼ(例えばgtfJ)酵素触媒を利用して、スクロースなどの再生可能な資源から酵素的に製造することであってもよい。
ポリα−1,3−グルカンは、少なくとも約400の重合度(DPw)を有していてもよい。好ましくは、ポリα−1,3−グルカンは少なくとも約400〜約1400、又は約400〜約1000、又は約500〜約900のDPwを有する。
本発明の工程においては、ポリα−1,3−グルカンの溶液は溶媒組成物中にポリα−1,3−グルカンを溶解させることによって得られる。溶媒組成物は好ましくは塩基性水溶液を含み、これには例えばNaOH水溶液又はKOH水溶液などのアルカリ金属水酸化物水溶液、及び/又は水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液が含まれていてもよい。塩基性水溶液は好ましくは水酸化カリウム水溶液である。
溶媒組成物中の塩基の濃度は、約4重量%〜約20重量%の範囲、好ましくは約5重量%〜約15重量%の範囲、最も好ましくは約7重量%〜約13重量%の範囲であってもよい。溶媒組成物中の塩基の濃度は、使用されるポリα−1,3−グルカンのDPw次第であってもよい。
溶媒組成物は、例えば溶解性改良剤、可塑剤、又はこれらの混合物などの1種以上の添加剤を更に含んでいてもよい。1種以上の添加剤は、例えばエトキシ化アルコールなどのアルコキシ化アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、尿素(CAS登録番号:57−13−6)、及び/又はグリセロール(CAS登録番号:56−81−5)を含んでいてもよい。好ましくは、溶媒組成物は溶解性改良剤として機能し得る尿素、可塑剤として機能し得るグリセロール、又はこれらの混合物を含む。尿素は最大で溶液中のポリα−1,3−グルカンの重量までの任意の量で添加されてもよい。グリセロールは任意の適切な量添加されてもよい。
ポリα−1,3−グルカンは適切なせん断をかけられることによって溶媒組成物と混合されてもよい。いくつかの例においては、溶媒組成物と混合する前に、ポリα−1,3−グルカンを水と予め混合してスラリーを形成してもよい。これは溶解させる際にポリα−1,3−グルカンが凝集することを防止するのに有用である場合がある。
得られる溶液中のポリα−1,3−グルカンの濃度は約10重量%〜約30重量%の範囲であってもよく、好ましくは約15重量%〜約23重量%の範囲である。先と同様に、溶液中のポリα−1,3−グルカンの濃度は使用されるポリα−1,3−グルカンのDPw次第であってもよい。
例えば、約850のDPwを有するポリα−1,3−グルカンについては、ポリα−1,3−グルカン濃度は少なくとも約15重量%であってもよく、水酸化カリウム水溶液の濃度は少なくとも約8重量%であってもよい。約650のDPwを有するポリα−1,3−グルカンについては、ポリα−1,3−グルカン濃度は少なくとも約17重量%であってもよく、水酸化カリウム水溶液の濃度は少なくとも約8重量%であってもよい。約550のDPwを有するポリα−1,3−グルカンについては、ポリα−1,3−グルカン濃度は少なくとも約22重量%であってもよく、水酸化カリウム水溶液は少なくとも約11重量%であってもよい。
本発明の発明者らは、驚くべきことに、十分な強度のフィルム形状のウェットゲルを製造するためには、ポリα−1,3−グルカン溶液中に高濃度のポリα−1,3−グルカンが必要とされることを見出した。より具体的には、フィルム形状のウェットゲルは、例えばフィルムが望ましい光学特性及び機械的特性を得るためにローラー及び/またが浴を通過する場合に、任意の後続のフィルム処理工程によって生じる引っ張りに耐える十分な強度が必要とされる。
本発明の発明者らは、更に、これらの高濃度のポリα−1,3−グルカン溶液は高濃度の塩基性溶媒を用いて製造可能であることも見出した。
ポリα−1,3−グルカンの溶液は、凝固浴の中に押し出されることでフィルム形状のウェットゲルが形成される。凝固浴はエアギャップを有していてもよいし、有していなくてもよい。
凝固浴は、酸性水溶液又はメタノールを含んでいてもよい。酸性水溶液は好ましくは硫酸である。酸性水溶液又はメタノールは、凝固浴の中に約5重量%〜約20重量%、好ましくは約10重量%〜約15重量%の量で存在していてもよい。
凝固浴は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、ホウ酸、又はこれらの2つ以上の混合物を更に含んでいてもよい。硫酸ナトリウムは、凝固浴の中に約10重量%〜約40重量%、好ましくは約20重量%〜約30重量%の量で存在していてもよい。硫酸カリウムは、凝固浴の中に約10重量%〜約40重量%、好ましくは約20重量%〜約30重量%の量で存在していてもよい。ホウ酸は、凝固浴の中に約0.1重量%〜約5重量%、好ましくは約1重量%〜約2重量%の量で存在していてもよい。
本発明の方法は、フィルム形状のウェットゲルを水で洗浄することを更に含む。フィルム形状のウェットゲルは、浴がほぼ中性のpHすなわちpH7になるまで水で洗浄されてもよい。
フィルム形状のウェットゲルは、少なくとも約1.5MPa、好ましくは少なくとも約2.0MPa、より好ましくは少なくとも約2.5MPaの破断応力を有していてもよい。
例えば室温又は高温での蒸発により洗浄したフィルム形状のウェットゲルから水を除去することによって、ポリα−1,3−グルカンフィルムを得ることができる。
得られるα−1,3−グルカンフィルムは、(a)約10%未満、約5%未満、又は約3%未満のヘイズ;及び(b)約10〜約100MPaの破断応力、のうちの少なくとも1つを有し得る。有利なことには、本発明の方法を用いて形成されたα−1,3−グルカンフィルムは、低いヘイズを含み得る良好な光学特性を有する。
得られるα−1,3−グルカンフィルムは、約10μm〜約300μm、約10μm〜約200μm、又は約10μm〜約100μmの厚さを有し得る。
有利なことには、本発明の方法は有害な薬品、特には二硫化炭素の使用を必要としない。更に、セルロースフィルムを形成するための従来の方法と比較して、本発明のα−1,3−グルカンフィルムの形成はより少ない処理工程しか必要としない。
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様の方法を用いて形成されたポリα−1,3−グルカンを含むフィルムが提供される。
疑義を避けるために明記すると、本発明の第1の態様の全ての特徴は本発明の第2の態様の該当箇所にも関係し、逆もまた同様である。
本開示は、(a)ポリα−1,3−グルカンを溶媒組成物に溶解させてポリα−1,3−グルカンの溶液を得ること;(b)ポリα−1,3−グルカンの溶液を凝固浴の中に押し出してフィルム形状のウェットゲルを形成すること;(c)フィルム形状のウェットゲルを水で洗浄すること;(d)任意選択的に、可塑剤を用いてフィルム形状のウェットゲルを可塑化すること;及び(e)フィルム形状のウェットゲルから水を除去してポリα−1,3−グルカンフィルムを形成することを含む、ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法に関する。溶媒組成物は塩基性水溶液を含んでいてもよい。塩基性水溶液は、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及び水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液からなる群から選択することができる。溶媒組成物中の塩基の濃度は、(a)約5重量%〜約15重量%;又は(b)約7重量%〜約13重量%とすることができる。溶媒組成物は、溶解性改良剤、可塑剤、又はこれらの混合物を更に含んでいてもよい。溶液中のポリα−1,3−グルカンの濃度は、(a)約10重量%〜約30重量%;又は(b)約15重量%〜約23重量%の範囲とすることができる。凝固浴は酸性水溶液又はメタノールを含んでいてもよい。酸性水溶液は硫酸水溶液を含んでいてもよい。凝固浴は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、ホウ酸、又はこれらのうちの2つ以上の混合物を更に含んでいてもよい。フィルム形状のウェットゲルは少なくとも約1.5MPa、少なくとも約2.0MPa、又は少なくとも約2.5MPaの引張強度を有し得る。
本開示は、更に、(a)ポリα−1,3−グルカンを溶媒組成物に溶解させてポリα−1,3−グルカンの溶液を得ること;(b)ポリα−1,3−グルカンの溶液を凝固浴の中に押し出してフィルム形状のウェットゲルを形成すること;(c)フィルム形状のウェットゲルを水で洗浄すること;(d)任意選択的に、可塑剤を用いてフィルム形状のウェットゲルを可塑化すること;及び(e)フィルム形状のウェットゲルから水を除去してポリα−1,3−グルカンフィルムを形成することを含む方法によって製造されるポリα−1,3−グルカンフィルムにも関する。
本開示は、また更には、ポリα−1,3−グルカンを含むフィルムにも関する。フィルムは、(a)約10%未満、約5%未満、若しくは約3%未満のヘイズ;又は(b)約10〜約100MPaの破断応力のうちの少なくとも1つを有する。
本開示は、また更には、(a)ポリα−1,3−グルカンを溶媒組成物に溶解させてポリα−1,3−グルカンの溶液を得ること;(b)ポリα−1,3−グルカンの溶液を凝固浴の中に押し出してフィルム形状のウェットゲルを形成すること;(c)フィルム形状のウェットゲルを水で洗浄すること;(d)任意選択的に、可塑剤を用いてフィルム形状のウェットゲルを可塑化すること;及び(e)フィルム形状のウェットゲルから水を除去してポリα−1,3−グルカンフィルムを形成することを含む方法によって製造されるフィルムを含むラベル、包装用物品、又は機密文書にも関する。物品はラベルによって又は包装用物品によって、標識される又は包装される。
本開示を以下の実施例で更に詳しく例示する。これらの実施例は本明細書の特定の好ましい実施形態を示しているが、例示の目的のみのために示されていることを理解すべきである。当業者であれば、上の議論及びこれらの実施例から開示されている実施形態の本質的な特徴を突き止めることが可能であり、その趣旨及び範囲から逸脱することなしに、開示されている実施形態を様々な用途及び条件に適応させるために様々な変更及び修正を行うことが可能である。
実施例では次の略語を使用した
「DI水」は脱イオン水であり;「MPa」はメガパスカルであり;「NaOH」は水酸化ナトリウムであり;「KOH」は水酸化カリウムであり;「DPw」は重量平均重合度であり、「l」はリットルであり、「mm」はミリメートルであり、「g」はグラムであり、「min」は分である。
「DI水」は脱イオン水であり;「MPa」はメガパスカルであり;「NaOH」は水酸化ナトリウムであり;「KOH」は水酸化カリウムであり;「DPw」は重量平均重合度であり、「l」はリットルであり、「mm」はミリメートルであり、「g」はグラムであり、「min」は分である。
一般的方法
重合度(DPw)及び多分散度(PDI)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定した。ポリα−1,3−グルカンの分子量は、数平均分子量(Mn)又は重量平均分子量(Mw)として測定することができる。重合度は、その後、ポリマーのMwをモノマー単位の重量で割ることによって得られるDPw(重量平均重合度)として、又はポリマーのMnをモノマー単位の重量で割ることによって得られるDPn(数平均重合度)として、表すことができる。使用したクロマトグラフシステムは、3つのオンライン検出器(Watersの示差屈折計410、Wyatt Technologies(Santa Barbara,CA)の多角度光散乱光度計Heleos(商標)8+、及びWyattの差圧式キャピラリー粘度計ViscoStar(商標))と接続された、Waters Corporation(Milford,MA)のAlliance(商標)2695液体クロマトグラフであった。データ整理に用いたソフトウェアパッケージは、WatersのEmpower(商標)バージョン3(幅広いグルカン標準を用いたカラム校正、DR検出器のみ)と、WyattのAstraバージョン6(カラム校正なしの三重検出法)であった。Shodex(Japan)の4本のSECスチレン−ジビニルベンゼンカラム、すなわち2本の直線状のKD−806Mと、KD−802と、低分子量領域のポリマー分布の分離能を向上させるためのKD−801とを使用した。移動相は、0.11%のLiCl(Aldrich,Milwaukee,WI)を含んだJ.T Baker,Phillipsburg,NJからのN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)であった。クロマトグラフ条件は次の通りである:カラム及び検出器の領域の温度:50℃、試料及びインジェクターの領域の温度:40℃、流速:0.5mL/分、注入体積:100μL。試料の調製は、5%LiClを含むDMAcに0.5mg/mLの試料濃度を目標とし、100℃で終夜振とうした。溶解後、ポリマー溶液は室温で貯蔵することができる。
重合度(DPw)及び多分散度(PDI)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定した。ポリα−1,3−グルカンの分子量は、数平均分子量(Mn)又は重量平均分子量(Mw)として測定することができる。重合度は、その後、ポリマーのMwをモノマー単位の重量で割ることによって得られるDPw(重量平均重合度)として、又はポリマーのMnをモノマー単位の重量で割ることによって得られるDPn(数平均重合度)として、表すことができる。使用したクロマトグラフシステムは、3つのオンライン検出器(Watersの示差屈折計410、Wyatt Technologies(Santa Barbara,CA)の多角度光散乱光度計Heleos(商標)8+、及びWyattの差圧式キャピラリー粘度計ViscoStar(商標))と接続された、Waters Corporation(Milford,MA)のAlliance(商標)2695液体クロマトグラフであった。データ整理に用いたソフトウェアパッケージは、WatersのEmpower(商標)バージョン3(幅広いグルカン標準を用いたカラム校正、DR検出器のみ)と、WyattのAstraバージョン6(カラム校正なしの三重検出法)であった。Shodex(Japan)の4本のSECスチレン−ジビニルベンゼンカラム、すなわち2本の直線状のKD−806Mと、KD−802と、低分子量領域のポリマー分布の分離能を向上させるためのKD−801とを使用した。移動相は、0.11%のLiCl(Aldrich,Milwaukee,WI)を含んだJ.T Baker,Phillipsburg,NJからのN,N’−ジメチルアセトアミド(DMAc)であった。クロマトグラフ条件は次の通りである:カラム及び検出器の領域の温度:50℃、試料及びインジェクターの領域の温度:40℃、流速:0.5mL/分、注入体積:100μL。試料の調製は、5%LiClを含むDMAcに0.5mg/mLの試料濃度を目標とし、100℃で終夜振とうした。溶解後、ポリマー溶液は室温で貯蔵することができる。
フィルムの厚さはMitutoyoマイクロメーターNo.293−831を用いて決定した。
引張試験の準備
乾燥フィルムを定規で測り、FiskarsのコンフォートループロータリーカッターNo.195210−1001を使用して1”×3”の帯状片を切り取った。その後、試料を室内条件が相対湿度65%及び70°F+/−2°Fである試験室に移した。試料重量はMettlerの天秤AE240型を用いて測定した。
乾燥フィルムを定規で測り、FiskarsのコンフォートループロータリーカッターNo.195210−1001を使用して1”×3”の帯状片を切り取った。その後、試料を室内条件が相対湿度65%及び70°F+/−2°Fである試験室に移した。試料重量はMettlerの天秤AE240型を用いて測定した。
フィルム形状のウェットゲルを、幅が1インチで長さが少なくとも2インチの試料に切断した。試料を定規で測り、FiskarsのコンフォートループロータリーカッターNo.195210−1001を使用して1”×3”の帯状片を切り取った。その後、試料を室内条件が相対湿度65%及び70°F+/−2°Fである水浴中の試験室に移した。ウェットな試料重量はMettlerの天秤AE240型を用いて測定した。試料は試験直前まで水浴に浸したままにした。
引張特性は、ASTM D882−09に従い、1”のグリップと1”のゲージ長を用いてInstron 5500Rモデル1122で測定した。
フィルムの透明度及びヘイズは、透過モードの拡散反射アクセサリDRA−2500を備えたAgilent(Varian)Cary5000紫外/可視/近赤外分光光度計を用いて決定した。DRA−2500はSpectralon(登録商標)コーティングを有する150mmの積分球である。装置及び試料の全反射率及び拡散反射率は830nm〜360nmの波長範囲にわたって収集される。計算は、2°の観察角及びイルミナントC(標準昼光に相当、色温度6700K)を用いて、ASTM D1003に従って行われる。ヘイズ値はパーセンテージ(%)で報告された。
ポリα−1,3−グルカンの合成
gtfJ酵素調製物を使用したポリα−1,3−グルカンは、2013年9月19日に公開された同じ出願人の同時係属出願である米国特許出願公開第2013−0244288号明細書(この開示内容は参照により本明細書に包含される)に記載の通りに合成した。
gtfJ酵素調製物を使用したポリα−1,3−グルカンは、2013年9月19日に公開された同じ出願人の同時係属出願である米国特許出願公開第2013−0244288号明細書(この開示内容は参照により本明細書に包含される)に記載の通りに合成した。
材料
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び硫酸は、EMD Chemicals(Billerica,MA)から入手した。グリセロールはAcros Chemicalsから入手した。硫酸ナトリウムはSigma Aldrichから入手した。
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び硫酸は、EMD Chemicals(Billerica,MA)から入手した。グリセロールはAcros Chemicalsから入手した。硫酸ナトリウムはSigma Aldrichから入手した。
溶液の調製
溶液は、IKAオーバーヘッドスターラーと1インチのプラスチックブレードスターラー、又は高剪断ミキサーのいずれかで混合した。十分に混合した後、溶液をプラスチック製の遠沈管に移し、Fisher ScientificのMarathon 6K遠心分離機を用いて遠心分離し、溶液を脱気した。溶液の粘度は、Brookfield Engineering laboratoriesのSynchro−Lectric粘度計、RVT型を用いて測定した。
溶液は、IKAオーバーヘッドスターラーと1インチのプラスチックブレードスターラー、又は高剪断ミキサーのいずれかで混合した。十分に混合した後、溶液をプラスチック製の遠沈管に移し、Fisher ScientificのMarathon 6K遠心分離機を用いて遠心分離し、溶液を脱気した。溶液の粘度は、Brookfield Engineering laboratoriesのSynchro−Lectric粘度計、RVT型を用いて測定した。
実施例1
ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法
ポリα−1,3−グルカンポリマー粉末は、真空オーブン中、40℃で終夜乾燥した。DPwが800のポリα−1,3−グルカン固体33gを50gの水の中でスラリー化した。16.7gのKOHを100gの水に溶解させた。その後、KOH溶液をα−1,3−グルカンスラリーに添加し、ポリマーが完全に溶解してポリα−1,3−グルカンの溶液が形成されるまで、空気式オーバーヘッドスターラーを用いて混合した。溶液を30分間遠心分離して気泡を取り除いた。最終的な溶液の濃度はポリα−1,3−グルカンが16.5重量%、KOHが8.35重量%であった。KOHの重量をKOHと水の重量で割ることで定義される溶媒の組成は10%であった。なお、α−1,3−グルカン粉末は10%KOH水溶液に直接添加することもできるであろう。しかし、KOH溶液を入れる前に最初にα−1,3−グルカンの溶液のスラリーを形成しておくことにより、これはα−1,3−グルカンの凝集を防止するのに有用であった。ポリα−1,3−グルカンの溶液を、ガラスロッドコーターを用いてガラスプレート上に接触させることでフィルム状物品を形成した。フィルム状物品は、ChemInstruments Custom Coater EC−300及び巻線型キャスティングロッドなどの標準的なキャスティングロッドを用いてキャストすることもできる。
ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法
ポリα−1,3−グルカンポリマー粉末は、真空オーブン中、40℃で終夜乾燥した。DPwが800のポリα−1,3−グルカン固体33gを50gの水の中でスラリー化した。16.7gのKOHを100gの水に溶解させた。その後、KOH溶液をα−1,3−グルカンスラリーに添加し、ポリマーが完全に溶解してポリα−1,3−グルカンの溶液が形成されるまで、空気式オーバーヘッドスターラーを用いて混合した。溶液を30分間遠心分離して気泡を取り除いた。最終的な溶液の濃度はポリα−1,3−グルカンが16.5重量%、KOHが8.35重量%であった。KOHの重量をKOHと水の重量で割ることで定義される溶媒の組成は10%であった。なお、α−1,3−グルカン粉末は10%KOH水溶液に直接添加することもできるであろう。しかし、KOH溶液を入れる前に最初にα−1,3−グルカンの溶液のスラリーを形成しておくことにより、これはα−1,3−グルカンの凝集を防止するのに有用であった。ポリα−1,3−グルカンの溶液を、ガラスロッドコーターを用いてガラスプレート上に接触させることでフィルム状物品を形成した。フィルム状物品は、ChemInstruments Custom Coater EC−300及び巻線型キャスティングロッドなどの標準的なキャスティングロッドを用いてキャストすることもできる。
ポリα−1,3−グルカンの溶液とガラスプレートを、13.75重量%の硫酸、26重量%の硫酸ナトリウム、及び1.25%のホウ酸の凝固浴の中に浸漬し、フィルム形状のウェットゲルを形成した。フィルム形状のウェットゲルは、これがガラスプレートから剥がれるまで(約1分)凝固させた。なお、ポリα−1,3−グルカンの溶液は凝固浴の中に直接押し出すことも可能である。ガラスプレートは装置的な制約のため使用された。ここで使用した処理工程は直接押出法を再現するように設計された。このフィルム形状のウェットゲルは、新しい水浴の中で水浴のpHが中性になるまで複数回洗浄された。フィルム形状のウェットゲルの厚さは109ミクロンと測定された。このフィルムを3つのInstron試料に切断し、破断応力を測定した。3回の測定の平均は、破断応力2.6MPa、最大破断歪み70%であった。フィルム形状のウェットゲルをガラスプレート上で張力をかけながら乾燥させてフィルムの乾燥中の収縮を抑制した。フィルム形状のウェットゲルを乾燥させて透明なフィルムを形成した。フィルムのヘイズ値は約2.5%と測定された。フィルム作成条件及び物理的特性は表にまとめられている。
このように、ポリα−1,3−グルカンフィルムが本開示に従って製造された。
実施例2及び3
様々なDPw値のポリα−1,3−グルカンから作製されるポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法
実施例2及び3は様々なDPw値及び溶液組成のα−1,3−グルカン溶液を使用して実施例1と同様の方法で作製した。フィルム作製条件及び物理的特性は表にまとめられている。
様々なDPw値のポリα−1,3−グルカンから作製されるポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法
実施例2及び3は様々なDPw値及び溶液組成のα−1,3−グルカン溶液を使用して実施例1と同様の方法で作製した。フィルム作製条件及び物理的特性は表にまとめられている。
このように、実施例1〜3は、ウェットゲルの強度が2MPaより大きいポリα(1,3)グルカンウェットゲルを作製するために必要とされる溶液組成を示している。実証の目的でここではフィルムのキャスト後に凝固工程が続く方法が使用されたが、このウェットゲル強度を有するフィルムは、フィルム押し出しの後に凝固工程が続く方法でも維持されるはずである。
実施例4
ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法
DPwが800のグルカン42%と、水58%とからなるポリα−1,3−グルカン60gを50gの水の中でスラリー化した。13.2gのKOHを34.3gの水に溶解させた。その後、KOH溶液をα−1,3−グルカンスラリーに添加し、ポリマーが完全に溶解してポリα−1,3−グルカンの溶液が形成されるまで、ラボスケールのミキサーを用いて混合した。溶液を30分間遠心分離して気泡を取り除いた。最終的な溶液の濃度はポリα−1,3−グルカンが16重量%、KOHが8.4重量%、及び水が75.6%であった。KOHの重量をKOHと水の重量で割ることで定義される溶媒の組成は10%であった。溶液は、スロットダイから直接凝固浴の中へ押し出した。スロットの寸法は、厚さ254ミクロン、幅19mmであった。溶液を、シリンダー体積100mlのシリンジポンプを用いてスロットダイからポンプで送り出した。操作の間、スロットダイは凝固浴の中に若干沈められた。凝固液は14重量%の硫酸と、22重量%の硫酸ナトリウムと、残部水とで構成された。凝固浴は、長さ50cmのステンレス鋼製のバット中に入ったおおよそ2lの凝固浴液を含んでいた。溶液をスロットダイからポンプで送り出して凝固液と接触させることによって、フィルム形状のウェットゲルを作製した。ポンプ送り出し速度は2.5ml/分から10ml/分まで変化させた。ウェットゲルは凝固浴から水浴へ連続的に入れられた。このフィルム形状のウェットゲルを新しい水浴の中で水浴のpHが中性になるまで複数回洗浄した。フィルム形状のウェットゲルの厚さは102ミクロンと測定された。その後、フィルム形状のウェットゲルを3重量%のグリセロール浴に浸し、次いで張力をかけた状態で乾燥させた。フィルム形状のウェットゲルを乾燥させることで、破断応力13MPa、最大破断歪み40%の透明なフィルムが形成された。
ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法
DPwが800のグルカン42%と、水58%とからなるポリα−1,3−グルカン60gを50gの水の中でスラリー化した。13.2gのKOHを34.3gの水に溶解させた。その後、KOH溶液をα−1,3−グルカンスラリーに添加し、ポリマーが完全に溶解してポリα−1,3−グルカンの溶液が形成されるまで、ラボスケールのミキサーを用いて混合した。溶液を30分間遠心分離して気泡を取り除いた。最終的な溶液の濃度はポリα−1,3−グルカンが16重量%、KOHが8.4重量%、及び水が75.6%であった。KOHの重量をKOHと水の重量で割ることで定義される溶媒の組成は10%であった。溶液は、スロットダイから直接凝固浴の中へ押し出した。スロットの寸法は、厚さ254ミクロン、幅19mmであった。溶液を、シリンダー体積100mlのシリンジポンプを用いてスロットダイからポンプで送り出した。操作の間、スロットダイは凝固浴の中に若干沈められた。凝固液は14重量%の硫酸と、22重量%の硫酸ナトリウムと、残部水とで構成された。凝固浴は、長さ50cmのステンレス鋼製のバット中に入ったおおよそ2lの凝固浴液を含んでいた。溶液をスロットダイからポンプで送り出して凝固液と接触させることによって、フィルム形状のウェットゲルを作製した。ポンプ送り出し速度は2.5ml/分から10ml/分まで変化させた。ウェットゲルは凝固浴から水浴へ連続的に入れられた。このフィルム形状のウェットゲルを新しい水浴の中で水浴のpHが中性になるまで複数回洗浄した。フィルム形状のウェットゲルの厚さは102ミクロンと測定された。その後、フィルム形状のウェットゲルを3重量%のグリセロール浴に浸し、次いで張力をかけた状態で乾燥させた。フィルム形状のウェットゲルを乾燥させることで、破断応力13MPa、最大破断歪み40%の透明なフィルムが形成された。
このように、この実施例は、後続の工程時の引っ張りに耐えるのに十分な強度を有するフィルム形状のウェットゲルを製造するために、フィルムを凝固浴の中に押し出すことによる、グルカンフィルムの製造方法を示している。
Claims (15)
- (a)ポリα−1,3−グルカンを溶媒組成物に溶解させてポリα−1,3−グルカンの溶液を得ること;
(b)前記ポリα−1,3−グルカンの溶液を凝固浴の中に押し出してフィルム形状のウェットゲルを形成すること;
(c)前記フィルム形状のウェットゲルを水で洗浄すること;
(d)任意選択的に、可塑剤を用いて前記フィルム形状のウェットゲルを可塑化すること;及び
(e)前記フィルム形状のウェットゲルから前記水を除去してポリα−1,3−グルカンフィルムを形成すること;
を含む、ポリα−1,3−グルカンフィルムの製造方法。 - 前記溶媒組成物が塩基性水溶液を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記塩基性水溶液が水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、及び水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
- 前記溶媒組成物中の前記塩基の濃度が、
(a)約5重量%〜約15重量%;又は
(b)約7重量%〜約13重量%
である、請求項1に記載の方法。 - 前記溶媒組成物が溶解性改良剤、可塑剤、又はこれらの混合物を更に含む、請求項1に記載の方法。
- 前記溶液中のポリα−1,3−グルカンの濃度が、
(a)約10重量%〜約30重量%;又は
(b)約15重量%〜約23重量%
の範囲である、請求項1に記載の方法。 - 前記凝固浴が酸水溶液又はメタノールを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記酸性水溶液が硫酸水溶液を含む、請求項7に記載の方法。
- 前記凝固浴が硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、ホウ酸、又はこれらのうちの2つ以上の混合物を更に含む、請求項7に記載の方法。
- 前記フィルム形状のウェットゲルが少なくとも約1.5MPa、少なくとも約2.0MPa、又は少なくとも約2.5MPaの引張強度を有する、請求項1に記載の方法。
- 請求項1に従って製造されるポリα−1,3−グルカンフィルム。
- ポリα−1,3−グルカンを含むフィルム。
- 前記フィルムが、
(a)約10%未満、約5%未満、若しくは約3%未満のヘイズ;又は
(b)約10〜約100MPaの破断応力
のうちの少なくとも1つを有する、請求項12に記載のフィルム。 - 請求項12に記載のフィルムを含む、ラベル、包装用物品、又は機密文書。
- 請求項14に記載の前記ラベル又は包装用物品によって、標識される又は包装される物品。
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