JP2017519521A - 新規分子バイオマーカーを使用して慢性閉塞性肺疾患(copd)を診断する方法 - Google Patents

新規分子バイオマーカーを使用して慢性閉塞性肺疾患(copd)を診断する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、マーカー遺伝子TMSB15Aの発現を判定する、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のインビトロ診断方法に関する。詳細には、本発明は、マーカー遺伝子TMSB15Aと場合によりDMBT1、KIAA1 T99、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つまたは複数のさらなるマーカー遺伝子との発現を判定する、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法に関する。本発明は、TMSB15Aと場合によりDMBT1、KIAA1 199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つまたは複数のさらなるマーカー遺伝子との発現を判定する、安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法にも関する。さらに、本発明は、対応するインビトロ方法における、上述のマーカー遺伝子の転写産物のためのプライマーの使用、これらのマーカー遺伝子の転写産物に対する核酸プローブの使用、これらのマーカー遺伝子の転写産物に対する核酸プローブを含むマイクロアレイの使用、およびこれらのマーカー遺伝子から発現されるタンパク質に対する抗体の使用に関する。本発明によるマーカー遺伝子の発現を判定する、COPDの進行のインビトロモニタリング方法も提供する。

Description

本発明は、マーカー遺伝子TMSB15Aの発現を判定する、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断のためのインビトロ方法に関する。詳細には、本発明は、マーカー遺伝子TMSB15Aと場合によりDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つまたは複数のさらなるマーカー遺伝子との発現を判定する、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法に関する。本発明は、TMSB15Aと場合によりDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つまたは複数のさらなるマーカー遺伝子との発現を判定する、安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法にも関する。さらに、本発明は、対応するインビトロ方法における、上述のマーカー遺伝子の転写産物のためのプライマーの使用、これらのマーカー遺伝子の転写産物に対する核酸プローブの使用、これらのマーカー遺伝子の転写産物に対する核酸プローブを含むマイクロアレイの使用、およびこれらのマーカー遺伝子から発現されるタンパク質に対する抗体の使用に関する。本発明によるマーカー遺伝子の発現を判定する、COPDの進行のインビトロモニタリング方法も提供する。
COPDは、世界の高齢者人口の主要病態の1つである。燃焼生成物への長期曝露、気象条件および反復感染によって誘発されるCOPDは、高齢者の死亡原因第4位になっている。過去10年間に、COPDの世界的有病率は、特に55歳より高齢の能動喫煙者において10%より大きく上昇した(Murray et al., 1997)。世界人口における高齢者数の増加、ならびに吸入の危険、職業的なものと個人的なもの両方、の世界的増加を考えると、COPDを世界の医療制度に対する最も厄介な脅威の1つとみなさなければならない(Halbert et al., 2006、US Burden of Disease Collaborators, 2013)。しかし、健康状態へのCOPDの影響に対する理解が増しているとはいえ、この疾患の進行を引き起こし、維持するメカニズムはほとんど分かっていない。臨床経験および比較対照研究の結果に基づいて、COPDは主として炎症性疾患とみなされる。しかし、長期抗炎症治療はCOPDの転帰を向上させることもあるが、この疾患の全病態に対するその影響は不明確である。TORCH(TOwards a Revolution in COPD Health)研究は、吸入コルチコステロイド薬での継続的治療を受けていた患者が受けていなかった患者より良好な転帰を有さなかったので、COPDの病態生理に対するこの一面的な見解が完全に正しいわけではないことを明確に示した。これを踏まえて、関連性のある臨床表現型に従って患者を層別化するためにいくつかの明確に定義された臨床試験が試みられており、今までのところECLIPSE(予測代替エンドポイントを同定するためのCOPD長期的評価(Evaluation of COPD Longitudinally to Identify Predictive Surrogate Endpoints))研究が最新の最も重要な試みである(Vestbo et al., 2011)。これらの試みは、COPDの臨床的発現の著しい不均一性を証明したが、残念なことに、COPDの臨床表現型を惹起する点でのこの疾患の中心的駆動力、それらの媒介因子およびそれらの階層についての理解を向上させることはできなかった。
最近まで、COPDは、努力呼気中に1秒間に吐き出される空気の最大量の限界(FEV)によって、ならびに吐き出される空気の総量(努力[呼気]肺活量、FVC)、およびそれらのそれぞれの関係によって主として定義されてきた(Wedzicha JA, 2000)。しかし、個々の気流制限度に一切関係なくCOPDの臨床症状の変動性は、この疾患が気管支および気管支周囲の病態に関連した様々なメカニズムを含むことを示唆した(Hurst et al., 2010、Han et al., 2010)。結果として、気管支の炎症の強度、疾患増悪の頻度または併存症の存在などのさらなる臨床的尺度がCOPDの診断プロセスに加えられた(Vestbo et al., 2013)。
当然のことながら、FEVは、症状発生とあまり相関しない。しかし、多くの研究によってFEVはCOPDの死亡率および罹患率の強力な予測因子であることが明確に実証されており、これは、末梢気道の(形態的に不可逆性の)閉塞とこの疾患の病態生理との妥当な相関関係を示唆している。小気道の形態が、慢性炎症および再生活動を含むこの肺区画内のすべての代謝事象の形態的最終結果を反映することになることを考えると、これは極めて妥当である。これらのことに基づいて、COPDの病態を駆動できるメカニズムおよび媒介因子を描出する初めての試みに、COPDの最も確証されている臨床的発現の症状、すなわち不可逆性気管支閉塞および気管支炎の強度を主臨床指標として利用することは、やはり適切であるように思える。20年を超える期間に及ぶことが多い、十分に記録されている長期COPD歴にかんがみて、この疾患の病態を描出するためのいずれの試みも、a)「不可逆的」気管支閉塞の最初の発現に先行する可能性が高い慢性気管支炎の確定(GOLD(閉塞性肺疾患に関するグローバルイニシアティブ)基準に従ってCOPD「リスクがある」)である、病態発生の最初期相を対象に含めるべきであり、b)管理された臨床評価相に先行する長期間にわたる疾患発生両方を含むべきであり、c)COPD病態に対する重要な短期的効果の同定を可能にするのに十分な長さの期間にわたるべきである。最後に、COPDの病態は小気道に集中している(Hogg JC, et al., 2004 (a))ので、気管支炎増強の徴候としての喀痰の産生などの一部の特徴的症状がより中枢の気道の代謝活性も反映するであろうということに関係なく、初期生物学的評価はこの区画で行うべきである。
COPDは次第に患者を衰弱させ、その結果、不安定性が増し、増悪の影響が悪化する。特に、COPDに罹患している患者がCOPDの安定した初期の病期から進行ステージに進むと、肺の不可逆的損傷の発生が始まり、その後、徐々に悪化する。残念なことに、多くのCOPD患者は、より進んだ病期になるまで診断未確定のままであり、医療供給者に分からない可能性がある。そのような場合、COPDの診断の遅れの結果として、患者は、そうでなければ治療によって軽減することができるであろう症状および制限に苦しむことになる(Price et al., 2011)。したがって、初期の病期でCOPDを診断できること、特に、進行期COPDを発生させるリスクがある患者を同定して、これらの患者が顕著な不可逆的損傷を受けることを防ぐことができることは、非常に望ましいことであろう。
したがって、本発明の目的は、COPDを初期の病期で診断することまたはCOPDの発生に対する対象のリスクもしくは感受性を評価することを可能にする新規のおよび/または改善された方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価することを可能にする新規のおよび/または改善された方法を提供することである。
本発明は、遺伝子TMSB15Aならびに遺伝子DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLが、一方では進行期COPDに罹患している対象または進行期COPDを発生させるリスクがある/発生させ易い対象からのサンプルと、他方では健常対象からの対照サンプルとで別様に発現されるという予想外の発見に基づく。詳細には、および実施例1でも説明するように、健常患者からの対照サンプルにおける対応する遺伝子の発現と比較して、遺伝子DMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2およびCOMPの発現は、進行期COPDに罹患しているまたは進行期COPDを発生させるリスクがある患者からのサンプルではアップレギュレートされるが、遺伝子TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLの発現は、進行期COPDに罹患しているまたは進行期COPDを発生させるリスクがある患者からのサンプルではダウンレギュレートされることを発見した。したがって、本発明に従ってこれらの新規分子バイオマーカーを対象の進行期COPDの発生に対する感受性/易発性の評価に有利に使用することができる。驚くべきことに、遺伝子TMSB15A、DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLは、一方では安定期COPDに罹患している対象または安定期COPDを発生させるリスクがある/発生させ易い対象からのサンプルと、他方では健常対象からの対照サンプルとで別様に発現されることをさらに発見した。これに関連して、健常患者からの対照サンプルにおける対応する遺伝子の発現と比較して、遺伝子TMSB15A、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLの発現は、安定期COPDを有する患者または安定期COPDを発生させるリスクがある患者からのサンプルではダウンレギュレートされるが、遺伝子DMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2およびCOMPの発現は、安定期COPDを有する患者または安定期COPDを発生させるリスクがある患者からのサンプルではアップレギュレートされることを特に発見した。したがって、本発明に従ってこれらの新規分子バイオマーカーを安定期COPDの診断におよび/または対象の安定期COPDの発生に対する感受性/易発性の評価に使用することができる。さらに、本明細書において提供するバイオマーカーは、優れた感度および/または特異性を有する。
したがって、第1の態様では、本発明は、COPDの診断のためのインビトロ方法であって、対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップを含む方法を提供する。
この第1の態様によれば、本発明は、COPDのインビトロ診断用のマーカーとしてのTMSB15Aの使用にも関する。
第2の態様では、本発明は、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法であって、
− 対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップと、
− 対象からのサンプルにおけるTMSB15Aの発現レベルを、健常対象におけるTMSB15Aの対照発現レベルと比較するステップと、
− 対象が、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いか否かを判定するステップと
を含む方法を提供し、この場合、TMSB15Aの対照発現レベルと比較して対象からのサンプルにおけるTMSB15Aの発現レベルの減少は、進行期COPDの易発性を示す。
この第2の態様での方法は、
− 対象から得たサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
− 1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを、健常対象における対応する遺伝子の対照発現レベルと比較するステップと、
− 対象が、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いか否かを判定するステップと
をさらに含むことが好ましく、この場合、
対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルの増加は、進行期COPDの易発性を示し、
対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルの減少は、進行期COPDの易発性を示す。
第3の態様では、本発明は、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法であって、
− 対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップと、
− 対象からのサンプルにおけるTMSB15Aの発現レベルを、健常対象におけるTMSB15Aの対照発現レベルと比較するステップと、
− 対象が、安定期COPDに罹患しているか否か、または安定期COPDに罹患し易いか否かを判定するステップと
を含む方法を提供し、この場合、TMSB15Aの対照発現レベルと比較して対象からのサンプルにおけるTMSB15Aの発現レベルの減少は、安定期COPDまたは安定期COPDの易罹患性を示す。
この第3の態様による方法は、好ましくは、
− 対象から得たサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
− 1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを、健常対象における対応する遺伝子の対照発現レベルと比較するステップと、
− 対象が安定期COPDに罹患しているか否か、または安定期COPDに罹患し易いか否かを判定するステップと
をさらに含み、この場合、
対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルの増加は、安定期COPDまたは安定期COPDの易罹患性を示し、
対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルの減少は、安定期COPDまたは安定期COPDの易罹患性を示す。
第5の態様では、本発明は、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法における、(i)遺伝子TMSB15Aの転写産物のためのプライマー対の使用、(ii)遺伝子TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブの使用、(iii)TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブを含み、DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つもしくは複数のさらなる遺伝子の転写産物に対する核酸プローブを場合により含むマイクロアレイの使用、または(iv)タンパク質TMSB15Aに対する抗体の使用に関する。
第6の態様では、本発明は、COPDに対する薬物であって、本発明の第2の態様による方法で不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと同定された対象のCOPDの治療に使用するための薬物に関する。
本発明は、COPDに対する薬物の使用であって、本発明の第2の態様による方法で不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと同定された対象のCOPDを治療するための医薬組成物の調製における使用にさらに関する。
さらに、この第6の態様によれば、本発明は、COPDを治療する方法であって、本発明の第2の態様による方法で不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと同定された対象にCOPDに対する薬物を投与することを含む方法も提供する。
第7の態様では、本発明は、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法における、(i)遺伝子TMSB15Aの転写産物のためのプライマー対の使用、(ii)遺伝子TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブの使用、(iii)TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブを含み、DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つもしくは複数のさらなる遺伝子の転写産物に対する核酸プローブを場合により含むマイクロアレイの使用、または(iv)タンパク質TMSB15Aに対する抗体の使用に関する。
第8の態様では、本発明は、COPDに対する薬物であって、本発明の第3の態様による方法で安定期COPDに罹患しているとまたは安定期COPDに罹患し易いと同定された対象のCOPDの治療または予防に使用するための薬物に関する。
本発明は、本発明の第3の態様による方法で安定期COPDに罹患しているとまたは安定期COPDに罹患し易いと同定された対象のCOPDを治療または予防するための医薬組成物の調製におけるCOPDに対する薬物の使用にも関する。
この態様では、本発明は、本発明の第3の態様による方法で安定期COPDに罹患しているとまたは安定期COPDに罹患し易いと同定された対象にCOPDに対する薬物を投与することを含む、COPDを治療または予防する方法にさらに関する。
第11の態様では、本発明は、対象のCOPD進行をモニタリングするインビトロ方法であって、
− 対象から得た第1のサンプルにおけるNTRK2およびRASGRF2から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
− 第1のサンプルより後の時点で対象から得た第2のサンプルにおける1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
− 第2のサンプルにおける1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを、第1のサンプルにおける対応する遺伝子の発現レベルと比較するステップと、
−対象のCOPDの進行を評価するステップと
を含む方法を提供し、この場合、
第1のサンプルにおける対応する遺伝子の発現レベルと比較して第2のサンプルにおけるNTRK2および/またはRASGRF2の発現レベルの減少は、対象のCOPDの寛解を示し、
第1のサンプルにおける対応する遺伝子の発現レベルと比較して第2のサンプルにおけるNTRK2および/またはRASGRF2の発現レベルの増加は、対象のCOPDの悪化を示す。
一般的および好ましい特徴および実施形態の以下の説明は、特に別段の指示がない限り、特に本発明の上記第1、第2、第3、第5、第6、第7、第8および第11の態様を含む、本明細書において提供する方法、使用、およびCOPDに対する薬物の1つ1つに関する。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、通常、進行性であり、有害な粒子またはガスに対する気道および肺の慢性炎症反応亢進を伴う、持続性の気流制限を特徴とする肺疾患である。COPDは、閉塞性肺疾患のためのグローバルイニシアティブ(GOLD)によって指定されているように、スパイロメトリーによって決定される不可逆的肺閉塞の程度に基づいて4つの異なるステージに概して分類される(Vestbo et al., 2013、およびPauwels et al., 2001を参照されたい)。COPDステージI(「軽度COPD」)は、<70%のFEV/FVC比および≧80%のFEVを特徴とする。ステージIの患者は、彼/彼女の肺機能が異常であることに気づかないことがある。COPDステージII(「中等度COPD」)は、<70%のFEV/FVC比、および50%≧かつ<80%のFEVを特徴とする。これは、患者が慢性呼吸器症状または彼らの疾患の増悪のため概して病院に駆けつけるステージである。COPDステージIII(「重度COPD」)は、<70%のFEV/FVC比、および30%≧かつ<50%のFEVを特徴とする。COPDステージIV(「最重度COPD」)は、<70%のFEV/FVC比および<30%のFEV、または慢性呼吸不全および<50%のFEVを特徴とする。「ステージ0」または「COPDリスクがある」とも呼ばれる、気道閉塞(≧70%のFEV/FVC比)のない慢性呼吸器症状(特に慢性気管支炎)がCOPDの病態発生に先行することもある。本明細書で使用するときの用語「ステージI」、「ステージII」、「ステージIII」、「ステージIV」および「ステージ0」は、対応するGOLDステージ、すなわち、上記GOLD基準に従って対応するCOPDステージを指す。
本明細書で使用するとき、用語「安定期COPD」(「安定した初期ステージCOPD」と同義に使用する)は、不可逆的肺損傷の発生に先行するCOPDの初期ステージを指す。詳細には、「安定期COPD」は、疾患発症の最初の徴候から、<70%のFEV/FVC比および≧80%のFEVを特徴とする軽度気流制限までの、初期COPDステージを指す。したがって、「安定期COPD」は、好ましくは、COPDステージ0(すなわちCOPD「リスクがある」ステージ)および(GOLD基準に従って)COPDステージIを指し、より好ましくはCOPDステージIを指す。
用語「進行期COPD」および「不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPD」は、本明細書では同義に/交換可能に使用しており、肺への不可逆的損傷が起こって次第に悪化するCOPDの病期を指す。詳細には、「進行期COPD」は、中等度気流制限、すなわち<70%のFEV/FVC比、および50%≧かつ<80%のFEVを特徴とする、COPD病期を指す。したがって、「進行期COPD」は(GOLD基準に従って)COPDステージIIを指すことが特に好ましい。
本明細書で使用するとき、用語「KIAA1199」、「DMBT1」、「TMSB15A」、「DPP6」、「SLC51B」、「NUDT11」、「ITGA10」、「CST6」、「TAL1」、「FIBIN」、「BEX5」、「BEX1」、「ESM1」、「GHRL」、「NTRK2」、「SFN」、「GPR110」、「FGG」、「CEACAM5」、「AZGP1」、「COMP」、「PRRX1」、「AHRR」、「CYP1A1」、「CYP1A2」、「CYP1B1」、「GDF15」、「ELF5」、「AQP3」、「RASGRF2」、「PLA1A」、「HYAL2」、「CTHRC1」、「RND1」および「CXCL3」は各々、それぞれのヒト遺伝子、対応するmRNA(すべての可能な転写産物/スプライス変異体を含む)、および対応するタンパク質(すべての可能な異性体を含む)を指す。これらの用語は、他の(非ヒト)種、特に他の哺乳類種において見つけられる対応するヒト遺伝子のホモログおよび/またはオルソログ、ならびにそれらの対応するmRNAおよびそれらの対応するタンパク質も指す。本発明の方法で試験される対象が非ヒト動物(特に非ヒト哺乳動物)である場合には、(発現レベルが判定される)1つまたは複数のマーカー遺伝子が、試験されるその非ヒト動物において見つけられる、示されているヒト遺伝子のホモログ/オルソログになることは、理解されるはずである。好ましくは、対象はヒトであり、したがって、上述の用語は、好ましくは、それぞれのヒト遺伝子ならびに対応するmRNAおよびタンパク質を指す。
上述のマーカー遺伝子のヒト形態のフルネーム、それらのEntrez遺伝子ID、ならびにそれらのmRNAおよびタンパク質のNCBI参照配列を次の表1に収載する:
特に本発明の第1、第2、第3および第11の態様による方法を含む、本発明による方法では、1つまたは複数の遺伝子発現レベルを、試験される対象から得たサンプルで判定する。
例えば、対応するマーカー遺伝子の転写レベルまたは翻訳レベルを判定することによって、発現レベルを判定することができる。したがって、サンプル中のこれらの遺伝子のmRNAの量を測定して、または対応するタンパク質の量を測定して、それぞれの遺伝子の発現レベルを判定することができる。これは、例えばGreen et al., 2012に記載されているような当技術分野において公知の方法を使用して遂行することができる。これらの遺伝子の転写レベルは、例えば、定量的(リアルタイム)逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(「qRT−PCR」)を使用して、またはマイクロアレイを使用して判定することができる(例えば、Ding et al., 2004を参照されたい)。マイクロアレイの使用は、例えば、いくつかの異なるマーカー遺伝子の転写レベルを判定する場合に有利でありうる。マイクロアレイの使用は、様々な異なる疾患/障害をまたは様々な疾患/障害に対する感受性を同時に試験または診断する場合にも有利でありうる。転写レベルを判定すべき場合、対象からのサンプルに1つまたは複数のRNアーゼ阻害剤を含めることがさらに有利であることもある。対応するマーカー遺伝子の翻訳レベルは、例えば、定量すべきタンパク質に対して特異的に産生される抗体を利用する酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)もしくはラジオイムノアッセイ(RIA)などの抗体ベースのアッセイ、または質量分析、ゲル−ベースもしくはブロット−ベースのアッセイ、またはフローサイトメトリー(例えばFACS)を使用して判定することができる。翻訳レベルを判定すべき場合、対象からのサンプルに1つまたは複数のプロテアーゼ阻害剤を含めることがさらに有利であることもある。mRNAは、タンパク質より容易におよびより対費用効果が高い様式で単離および定量することができるので、本発明の方法では、1つまたは複数の遺伝子発現レベルを、対応する遺伝子の転写レベルを判定することによって判定することが好ましい。転写レベルは、好ましくは、qRT−PCRまたはマイクロアレイを使用して判定する。
本発明に従って試験される対象は、動物であってもよく、好ましくは哺乳動物である。本発明に従って試験される哺乳動物は、例えば、齧歯動物(例えばモルモット、ハムスター、ラットもしくはマウスなど)、ネズミ科動物(例えばマウスなど)、イヌ科動物(例えばイヌなど)、ネコ科動物(例えばネコなど)、ブタ類(例えばブタなど)、ウマ科動物(例えばウマなど)、霊長類、サル類(例えばサルもしくは類人猿)、サル(例えばマーモセットもしくはヒヒなど)、類人猿(例えばゴリラ、チンパンジー、オランウータンもしくはテナガザルなど)、またはヒトであってもよい。経済的に、農耕学的にまたは科学的に重要である非ヒト哺乳動物が試験されることが特に予想される。科学的に重要な哺乳動物としては、例えば、マウス、ラットおよびウサギが挙げられる。農耕学的に重要な哺乳動物の非限定的な例は、ヒツジ、ウシおよびブタである。経済的に重要な哺乳動物としては、例えば、ネコおよびイヌが挙げられる。最も好ましくは、本発明に従って試験される対象はヒトである。
本発明の第2の態様では、試験される対象は、安定期COPDに罹患していると診断されている、または安定期COPDに罹患していることが疑われる対象(好ましくはヒト)であることがさらに好ましい。
本発明の第3の態様によれば、試験される対象は、安定期COPDに罹患していることが疑われる対象(好ましくはヒト)、または安定期COPDに罹患し易いことが疑われる対象(好ましくはヒト)であることが好ましい。
試験される対象から得られるサンプルは、原則的に対象からのいずれの組織サンプルまたは血清であってもよい。好ましくは、サンプルは肺組織サンプルである。より好ましくは、サンプルは、経気管支肺生検サンプルまたは気管支肺胞洗浄(BAL)サンプルである。
特に本発明の第2および第3の態様による方法を含む、本明細書において提供する方法の一部では、1つまたは複数の特異的遺伝子の発現レベルが健常対象の対応する遺伝子の対照発現レベルと比較される。そのような対照発現レベルを本発明のそれぞれの方法の一部として確証することができ、したがって、本発明のそれぞれの方法は、健常対象(すなわち、COPDに罹患しておらず、COPDを発生させるリスクが高くない対象)から得たサンプルにおいて、または数名の健常対象(例えば、約10名、約20名、約50名、約100名もしくは約500名の健常対象)からのサンプルの混合物において、対応する遺伝子の発現レベルを判定するさらなるステップを含むことがある。健常対象が、試験される対象と同じ種であること、好ましくは、試験される対象と同じ年齢、性別および民族性を有するべきであることは、理解されるはずである。あるいは、これらの対照発現レベルを医学文献から得ることもでき、または本発明の方法の実施前に行われた実験から得ることもできる。健常対象からのサンプル(またはサンプルの混合物)のタイプ/起源も含む、対照発現レベル(それらが文献もしくは以前の実験から得られるのか、またはそれらが本発明の方法を行う過程で判定されるかに関係なく)を得るまたは得た条件が、試験される対象から得たサンプルにおける1つまたは複数の遺伝子の発現レベルの判定に使用する条件と同一または少なくとも同様/同等であるべきであることは、理解されるであろう。
本発明の第2および第3の態様による方法では、TMSB15Aおよび場合により1つまたは複数のさらなるマーカー遺伝子の発現レベルを判定する。好ましくは、TMSB15Aの発現レベル、および対応するさらなるマーカー遺伝子の少なくとも1つについての発現レベルを判定し、より好ましくは、TMSB15Aの発現レベル、およびこれらのさらなるマーカー遺伝子の少なくとも2つについての発現レベルを判定し、よりいっそう好ましくは、TMSB15Aの発現レベル、および対応するさらなるマーカー遺伝子の少なくとも3つについての発現レベルを判定し、それによって診断または評価の信頼性をさらに向上させることができる。一般に、発現が(本発明の対応する態様において定義するように)改変されるマーカー遺伝子の数が多いほど、およびまたこれらの各々のマーカー遺伝子の発現のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションが顕著であるほど、(第2の態様の方法で)試験される対象は、進行期COPDを発生させ易い可能性が高くなり、または(本発明の第3の態様の方法で)試験される対象は、安定期COPDに罹患しているもしくは安定期COPDに罹患し易い可能性が高くなる。
したがって、対象が(第2の態様に従って)進行期COPDを発生させ易いか否か、または対象が(本発明の第3の態様に従って)安定期COPDに罹患しているもしくは安定期COPDに罹患し易いか否かを判定するとき、(i)上で説明したように改変される発現レベルを示す試験するマーカー遺伝子の数と、(ii)試験するマーカー遺伝子の1つ1つの発現レベルの改変の程度両方を考慮することができる。COPDを示すさらなる因子、徴候および症状、例えば気流制限(例えばスパイロメトリーによって判定されるようなもの)、咳嗽、呼気性喘鳴、さらなる呼吸器症状、対象の喫煙歴、気管支炎症および/またはさらなるバイオマーカー(分子バイオマーカーを含む)などをさらに考慮し、対象が(第2の態様に従って)進行期COPDを発生させ易いか否か、または対象が(第3の態様に従って)安定期COPDに罹患しているか否かもしくは安定期COPDに罹患し易いか否かの判定の精度をさらに向上させることができる。
本発明の第2の態様による方法の一実施形態では、TMSB15Aの発現レベルと、FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2およびRASGRF2から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルを、対象から得たサンプルにおいて判定することが好ましい。この実施形態では、前述のさらなる遺伝子の少なくとも2つについての発現レベルを判定することがさらに好ましい。例えば、TMSB15A、FGGおよびCYP1A1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、FGGおよびCEACAM5の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、FGGおよびCTHRC1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、FGGおよびNTRK2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、FGGおよびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CYP1A1およびCEACAM5の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CYP1A1およびCTHRC1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CYP1A1およびNTRK2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CYP1A1およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CEACAM5およびCTHRC1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CEACAM5およびNTRK2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CEACAM5およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CTHRC1およびNTRK2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CTHRC1およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、NTRK2およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよい。それに加えて、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2およびRND1から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子ならびに/またはDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51BおよびNUDT11(特にDMBT1および/もしくはKIAA1199)から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルも、判定してもよい。
本発明の第2の態様による方法のさらなる実施形態では、TMSB15Aの発現レベルと、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2およびRND1から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルを、対象から得たサンプルにおいて判定することが好ましい。この実施形態では、前述のさらなる遺伝子の少なくとも2つについての発現レベルを判定することがさらに好ましい。例えば、TMSB15A、ELF5およびAZGP1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびPRRX1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびAQP3の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびSFNの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびPRRX1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびAQP3の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびSFNの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびAQP3の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびSFNの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびSFNの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SFNおよびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SFNおよびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SFNおよびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SFNおよびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GPR110およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GPR110およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GPR110およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GDF15およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GDF15およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、RASGRF2およびRND1の発現レベルを判定してもよい。それに加えて、FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2およびRASGRF2から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子ならびに/またはDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51BおよびNUDT11(特にDMBT1および/もしくはKIAA1199)から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルも、判定してもよい。
本発明の第2の態様による方法のさらなる実施形態では、TMSB15Aの発現レベルと、DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51BおよびNUDT11から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルを、対象から得たサンプルにおいて判定することが好ましい。この実施形態では、前述のさらなる遺伝子の少なくとも2つについての発現レベルを判定することがさらに好ましい。例えば、KIAA1199、DMBT1およびTMSB15Aの発現レベルを判定してもよく、またはKIAA1199、TMSB15AおよびDPP6の発現レベルを判定してもよく、またはKIAA1199、TMSB15AおよびSLC51Bの発現レベルを判定してもよく、またはKIAA1199、TMSB15AおよびNUDT11の発現レベルを判定してもよく、またはDMBT1、TMSB15AおよびDPP6の発現レベルを判定してもよく、またはDMBT1、TMSB15AおよびSLC51Bの発現レベルを判定してもよく、またはDMBT1、TMSB15AおよびNUDT11の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、DPP6およびSLC51Bの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、DPP6およびNUDT11の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SLC51BおよびNUDT11の発現レベルを判定してもよい。それに加えて、FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2およびRASGRF2から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子ならびに/またはELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2およびRND1から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルも、判定してもよい。
本発明の第2の態様による方法では、TMSB15Aの発現レベルと、DMBT1およびKIAA1199から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルを、対象から得たサンプルにおいて判定することが特に好ましい。したがって、TMSB15AおよびKIAA1199の発現レベルを判定すること、またはDMBT1およびTMSB15Aの発現レベルを判定することが好ましい。最も好ましくは、DMBT1、KIAA1199およびTMSB15Aの発現レベルを対象から得たサンプルにおいて判定する。例えば、DMBT1の発現レベルと、KIAA1199の発現レベルと、TMSB15Aの発現レベルと、FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2、RASGRF2、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、DPP6、SLC51BおよびNUDT11から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルとを判定してもよい。
本発明の第3の態様による方法の一実施形態では、TMSB15Aの発現レベルと、FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2およびRASGRF2から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルを、対象から得たサンプルにおいて判定することが好ましい。この実施形態では、前述のさらなる遺伝子の少なくとも2つについての発現レベルを判定することがさらに好ましい。例えば、TMSB15A、FGGおよびCYP1A1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、FGGおよびCEACAM5の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、FGGおよびCTHRC1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、FGGおよびNTRK2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、FGGおよびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CYP1A1およびCEACAM5の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CYP1A1およびCTHRC1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CYP1A1およびNTRK2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CYP1A1およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CEACAM5およびCTHRC1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CEACAM5およびNTRK2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CEACAM5およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CTHRC1およびNTRK2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、CTHRC1およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、NTRK2およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよい。それに加えて、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2およびRND1から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子ならびに/またはDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51BおよびNUDT11(特にDMBT1および/もしくはKIAA1199)から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルも、判定してもよい。
本発明の第3の態様による方法のさらなる実施形態では、TMSB15Aの発現レベルと、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2およびRND1から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルを、対象から得たサンプルにおいて判定することが好ましい。この実施形態では、前述のさらなる遺伝子の少なくとも2つについての発現レベルを判定することがさらに好ましい。例えば、TMSB15A、ELF5およびAZGP1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびPRRX1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびAQP3の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびSFNの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、ELF5およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびPRRX1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびAQP3の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびSFNの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AZGP1およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびAQP3の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびSFNの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、PRRX1およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびSFNの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、AQP3およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SFNおよびGPR110の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SFNおよびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SFNおよびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SFNおよびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GPR110およびGDF15の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GPR110およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GPR110およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GDF15およびRASGRF2の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、GDF15およびRND1の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、RASGRF2およびRND1の発現レベルを判定してもよい。それに加えて、FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2およびRASGRF2から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子ならびに/またはDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51BおよびNUDT11(特にDMBT1および/もしくはKIAA1199)から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルも、判定してもよい。
本発明の第3の態様による方法のさらなる実施形態では、TMSB15Aの発現レベルと、DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51BおよびNUDT11から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルを、対象から得たサンプルにおいて判定することが好ましい。この実施形態では、前述のさらなる遺伝子の少なくとも2つについての発現レベルを判定することがさらに好ましい。例えば、KIAA1199、DMBT1およびTMSB15Aの発現レベルを判定してもよく、またはKIAA1199、TMSB15AおよびDPP6の発現レベルを判定してもよく、またはKIAA1199、TMSB15AおよびSLC51Bの発現レベルを判定してもよく、またはKIAA1199、TMSB15AおよびNUDT11の発現レベルを判定してもよく、またはDMBT1、TMSB15AおよびDPP6の発現レベルを判定してもよく、またはDMBT1、TMSB15AおよびSLC51Bの発現レベルを判定してもよく、またはDMBT1、TMSB15AおよびNUDT11の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、DPP6およびSLC51Bの発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、DPP6およびNUDT11の発現レベルを判定してもよく、またはTMSB15A、SLC51BおよびNUDT11の発現レベルを判定してもよい。それに加えて、FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2およびRASGRF2から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子ならびに/またはELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2およびRND1から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルも、判定してもよい。
本発明の第3の態様による方法では、TMSB15Aの発現レベルと、DMBT1およびKIAA1199から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルを、対象から得たサンプルにおいて判定することが特に好ましい。したがって、KIAA1199およびTMSB15Aの発現レベルを判定すること、またはDMBT1およびTMSB15Aの発現レベルを判定することが好ましい。最も好ましくは、KIAA1199、DMBT1およびTMSB15Aの発現レベルを対象から得たサンプルにおいて判定する。
本発明の第2の態様による方法では、好ましくは、試験される遺伝子の数の(すなわち、発現を試験した遺伝子の数の)大多数の発現レベルが、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味で改変される場合、対象は進行期COPDを発生させ易いと判定される。1つだけのマーカー遺伝子(すなわちTMSB15A)が試験される場合には、このマーカー遺伝子の発現レベルの改変によって、対象が進行期COPDを発生させ易いか否かが決まる。2つ以上のマーカー遺伝子が試験される場合には、対象が進行期COPDを発生させ易いか否かの判定にこれらのマーカー遺伝子の数の大多数の発現レベルの減少または増加が必要とされる。(「試験される遺伝子の数の大多数」という表現におけるような)用語「大多数」は、試験されるマーカー遺伝子の数の50%超を意味する。
第2の態様によれば、試験される遺伝子の数の少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、よりいっそう好ましくは少なくとも80%、およびよりいっそう好ましくは少なくとも90%の発現レベルの改変、すなわち、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味での改変が、対象が進行期COPDを発生させ易いか否かの判定に必要とされることは、さらに好ましい。
第2の態様に従って対象が進行期COPDを発生させ易いことの判定に必要とされる、試験されるマーカー遺伝子の発現レベルの減少または増加は、好ましくは3分の2以下の減少または少なくとも1.5倍の増加、より好ましくは2分の1以下の減少または少なくとも2倍の増加、よりいっそう好ましくは3分の1以下の減少または少なくとも3倍の増加、よりいっそう好ましくは5分の1以下の減少または少なくとも5倍の増加、およびさらによりいっそう好ましくは10分の1以下の減少または少なくとも10倍の増加である。
本発明の第2の態様による方法の好ましい実施形態では、試験される対象は、試験される遺伝子の数の大多数の発現レベルが、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して少なくとも3倍(より好ましくは少なくとも5倍、よりいっそう好ましくは少なくとも10倍)に増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して3分の1以下(より好ましくは5分の1以下、よりいっそう好ましくは10分の1以下)に減少するという意味で改変される場合、進行期COPDを発生させ易いと判定される。
本発明の第2の態様による方法のさらなる好ましい実施形態では、試験される対象は、試験される験遺伝子の数の少なくとも70%(より好ましくは少なくとも80%、およびよりいっそう好ましくは少なくとも90%)の発現レベルが、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味で改変される場合、進行期COPDを発生させ易いと判定される。
本発明の第2の態様による方法のさらなる好ましい実施形態では、試験される対象は、試験される遺伝子の数の少なくとも70%(より好ましくは少なくとも80%、およびよりいっそう好ましくは少なくとも90%)の発現レベルが、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して少なくとも3倍(より好ましくは少なくとも5倍、よりいっそう好ましくは少なくとも10倍)に増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して3分の1以下(より好ましくは5分の1以下、よりいっそう好ましくは10分の1以下)に減少するという意味で改変される場合、進行期COPDを発生させ易いと判定される。
本発明の第3の態様による方法では、好ましくは、試験される遺伝子の数の大多数(すなわち50%超)の発現レベルが、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味で改変される場合、対象は、安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いと判定される。
第3の態様によれば、試験される遺伝子の数の少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、よりいっそう好ましくは少なくとも80%、およびよりいっそう好ましくは少なくとも90%の発現レベルの改変、すなわち、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味での改変が、対象が安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いことの判定に必要とされることは、さらに好ましい。
第3の態様に従って対象が安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いことの判定に必要とされる、試験されるマーカー遺伝子の発現レベルの減少または増加は、好ましくは少なくとも1.5倍の減少または増加、より好ましくは少なくとも2倍の減少または増加、よりいっそう好ましくは少なくとも3倍の減少または増加、よりいっそう好ましくは少なくとも5倍の減少または増加、およびさらによりいっそう好ましくは少なくとも10倍の減少または増加である。
本発明の第3の態様による方法の好ましい実施形態では、試験される対象は、試験される遺伝子の数の大多数の発現レベルが、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して少なくとも3倍(より好ましくは少なくとも5倍、よりいっそう好ましくは少なくとも10倍)に増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して3分の1以下(より好ましくは5分の1以下、よりいっそう好ましくは10分の1以下)に減少するという意味で改変される場合、安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いと判定される。
本発明の第3の態様による方法のさらなる好ましい実施形態では、試験される対象は、試験される遺伝子の数の少なくとも70%(より好ましくは少なくとも80%、およびよりいっそう好ましくは少なくとも90%)の発現レベルが、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味で改変される場合、安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いと判定される。
本発明の第3の態様による方法のさらなる好ましい実施形態では、試験される対象は、試験される遺伝子の数の少なくとも70%(より好ましくは少なくとも80%、およびよりいっそう好ましくは少なくとも90%)の発現レベルが、(i)対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して少なくとも3倍(より好ましくは少なくとも5倍、よりいっそう好ましくは少なくとも10倍)に増加し、(ii)対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルがその(それらの)対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して3分の1以下(より好ましくは5分の1以下、よりいっそう好ましくは10分の1以下)に減少するという意味で改変される場合、安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いと判定される。
本発明は、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法におけるマーカーとしての遺伝子TMSB15Aの使用にさらに関する。詳細には、第5の態様によれば、本発明は、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法における遺伝子TMSB15Aの転写産物のための(すなわち転写産物と結合する)プライマー対の使用に関する。そのようなインビトロ方法の非限定的な例は、本発明の第2の態様による方法である。転写産物は、好ましくは、遺伝子TMSB15AのmRNA(例えば、上の表1に収載されているTMSB15Aの特定のmRNA)、または遺伝子TMSB15AのmRNAから合成されるcDNA(例えば、上の表1に収載されているTMSB15Aの特定のmRNAから合成されるcDNA)である。当技術分野において公知の(例えばGreen et al., 2012にも記載されているような)方法を使用して、遺伝子TMSB15Aの転写産物の特異的増幅/定量を可能にするようにプライマーを設計することができる。さらに、プライマーは、好ましくはDNAプライマーである。プライマー対が使用される、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法は、好ましくは、対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップを含む。発現レベルを判定する好ましい実施形態、サンプルの好ましい実施形態および対象の好ましい実施形態を特に含む、本明細書に記載の本発明の第2の態様による方法の好ましい特徴/実施形態は、プライマー対が使用される方法にも当てはまる。
第5の態様によれば、本発明は、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法における遺伝子TMSB15Aの転写産物に対する(すなわち、転写産物と結合する)核酸プローブの使用にも関する。そのようなインビトロ方法の非限定的な例は、本発明の第2の態様による方法である。転写産物は、好ましくは、遺伝子TMSB15AのmRNA(例えば、上の表1に収載されているTMSB15Aの特定のmRNA)、または遺伝子TMSB15AのmRNAから合成されるcDNA(例えば、上の表1に収載されているTMSB15Aの特定のmRNAから合成されるcDNA)である。核酸プローブは、上述の転写産物とハイブリダイズできる核酸を含む、またはそのような核酸からなる。核酸プローブは、好ましくは1本鎖DNAプローブまたは1本鎖RNAプローブであり、より好ましくは1本鎖DNAプローブである。(例えば、1本鎖DNAであってもよく、1本鎖RNAであってもよく、好ましくは1本鎖DNAである)核酸プローブは、例えば10〜80ヌクレオチド、好ましくは15〜60ヌクレオチド、より好ましくは20〜35ヌクレオチド、およびよりいっそう好ましくは約25ヌクレオチドを有する、オリゴヌクレオチドプローブであることがさらに好ましい。当技術分野において公知の(例えばGreen et al., 2012にも記載されているような)方法を使用して、対応する遺伝子の転写産物の特異的検出および定量を可能にするように、そのような核酸プローブを設計することができる。核酸プローブが使用される、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法は、好ましくは、対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップを含む。発現レベルを判定する好ましい実施形態、サンプルの好ましい実施形態および対象の好ましい実施形態を特に含む、本明細書に記載の本発明の第2の態様による方法の好ましい特徴/実施形態は、核酸プローブが使用される方法にも当てはまる。
第5の態様では、本発明は、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法における、遺伝子TMSB15Aの転写産物に対する(すなわち、転写産物と結合する)核酸プローブを含み、DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つもしくは複数のさらなる遺伝子の転写産物に対する核酸プローブを場合により含むマイクロアレイの使用にさらに関する。マイクロアレイは、好ましくは、TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブと、上述のさらなる遺伝子の少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つ、よりいっそう好ましくは少なくとも3つの転写産物に対する核酸プローブとを含む。転写産物の各々は、好ましくは、対応する遺伝子のmRNA(例えば、上の表1に収載されている対応する特定のmRNAのいずれか1つを含む)、または遺伝子のmRNAから合成されるcDNA(例えば、上の表1に収載されている対応する特定のmRNAのいずれか1つから合成されるcDNAを含む)である。核酸プローブの各々は、好ましくは1本鎖DNAプローブまたは1本鎖RNAプローブであり、より好ましくは1本鎖DNAプローブである。(例えば、1本鎖DNAまたは1本鎖RNA、好ましくは1本鎖DNAであってもよい)核酸プローブは、例えば10〜80ヌクレオチド、好ましくは15〜60ヌクレオチド、より好ましくは20〜35ヌクレオチド、およびよりいっそう好ましくは約25ヌクレオチドを有する、オリゴヌクレオチドプローブであることがさらに好ましい。マイクロアレイが使用される、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法は、好ましくは、対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aのおよび場合により1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを判定するステップを含む。発現レベルを判定する好ましい実施形態、サンプルの好ましい実施形態および対象の好ましい実施形態を特に含む、本明細書に記載の本発明の第2の態様による方法の好ましい特徴/実施形態は、マイクロアレイが使用される方法にも当てはまる。
第5の態様によれば、本発明は、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法におけるタンパク質TMSB15Aに対する(すなわち、タンパク質TMSB15Aと結合する)抗体の使用にも関する。抗体は、タンパク質TMSB15Aと特異的に結合し、例えば、ポリクローナル抗体であってもよく、またはモノクローナル抗体であってもよい。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。抗体は、さらに、完全/インタクトな免疫グロブリン分子またはその断片/一部(例えば、分離された軽鎖もしくは重鎖、Fab断片、Fab/c断片、Fv断片、Fab’断片、またはF(ab’)断片など)であってもよいが、断片/部分が対応する完全免疫グロブリン分子の結合特異性を実質的に保持することを条件とする。抗体は、修飾および/もしくは改変抗体、例えばキメラもしくはヒト化抗体、二重特異性もしくは三重特異性抗体、または抗体構築物(例えば、1本鎖可変断片(scFv)もしくは抗体融合タンパク質)であってもよい。抗体は、例えばHarlow et al., 1998にも記載されているような当技術分野において公知の方法を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術(例えばKohler et al., 1975を参照されたい)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(例えばKozbor et al., 1983を参照されたい)またはEBV−ハイブリドーマ技術(例えばCole et al., 1985を参照されたい)などの方法によって調製することができる。タンパク質TMSB15Aは、例えば、上の表1に収載されている特定のTMSB15Aタンパク質であってもよい。抗体が使用される、進行期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法は、好ましくは、対象から得たサンプル中のタンパク質TMSB15Aの量を判定するステップを含む。特に、(翻訳レベルの判定に関連して論じたような)サンプル中の特定のタンパク質の量を判定する好ましい実施形態、サンプルの好ましい実施形態および対象の好ましい実施形態を含む、本明細書に記載の本発明の第2の態様による方法の好ましい特徴/実施形態は、抗体が使用される方法にも当てはまる。
さらに、第7の態様によれば、本発明は、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法における遺伝子TMSB15Aの転写産物のための(すなわち転写産物と結合する)プライマー対の使用に関する。そのようなインビトロ方法の非限定的な例は、本発明の第3の態様による方法である。転写産物は、好ましくは、遺伝子TMSB15AのmRNA(例えば、上の表1に収載されているTMSB15Aの特定のmRNA)、または遺伝子TMSB15AのmRNAから合成されるcDNA(例えば、上の表1に収載されているTMSB15Aの特定のmRNAから合成されるcDNA)である。当技術分野において公知の(例えばGreen et al., 2012にも記載されているような)方法を使用して、遺伝子TMSB15Aの転写産物の特異的増幅/定量を可能にするようにプライマーを設計することができる。さらに、プライマーは、好ましくはDNAプライマーである。プライマー対が使用される、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法は、好ましくは、対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップを含む。発現レベルを判定する好ましい実施形態、サンプルの好ましい実施形態および対象の好ましい実施形態を特に含む、本明細書に記載の本発明の第3の態様による方法の好ましい特徴/実施形態は、プライマー対が使用される方法にも当てはまる。
第7の態様によれば、本発明は、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法における遺伝子TMSB15Aの転写産物に対する(すなわち転写産物と結合する)核酸プローブの使用にも関する。そのようなインビトロ方法の非限定的な例は、本発明の第3の態様による方法である。転写産物は、好ましくは、遺伝子TMSB15AのmRNA(例えば、上の表1に収載されているTMSB15Aの特定のmRNA)、または遺伝子TMSB15AのmRNAから合成されるcDNA(例えば、上の表1に収載されているTMSB15Aの特定のmRNAから合成されるcDNA)である。核酸プローブは、上述の転写産物とハイブリダイズできる核酸を含む、またはそのような核酸からなる。核酸プローブは、好ましくは1本鎖DNAプローブまたは1本鎖RNAプローブであり、より好ましくは1本鎖DNAプローブである。(例えば、1本鎖DNAであってもよく、1本鎖RNAであってもよく、好ましくは1本鎖DNAである)核酸プローブは、例えば10〜80ヌクレオチド、好ましくは15〜60ヌクレオチド、より好ましくは20〜35ヌクレオチド、およびよりいっそう好ましくは約25ヌクレオチドを有する、オリゴヌクレオチドプローブであることがさらに好ましい。当技術分野において公知の(例えばGreen et al., 2012にも記載されているような)方法を使用して、対応する遺伝子の転写産物の特異的検出および定量を可能にするように、そのような核酸プローブを設計することができる。核酸プローブが使用される、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法は、好ましくは、対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップを含む。発現レベルを判定する好ましい実施形態、サンプルの好ましい実施形態および対象の好ましい実施形態を特に含む、本明細書に記載の本発明の第3の態様による方法の好ましい特徴/実施形態は、核酸プローブが使用される方法にも当てはまる。
第7の態様では、本発明は、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法における、遺伝子TMSB15Aの転写産物に対する(すなわち、転写産物と結合する)核酸プローブを含み、DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つもしくは複数のさらなる遺伝子の転写産物に対する核酸プローブを場合により含むマイクロアレイの使用に関する。マイクロアレイは、好ましくは、TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブと、上述のさらなる遺伝子の少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つ、よりいっそう好ましくは少なくとも3つの転写産物に対する核酸プローブとを含む。転写産物の各々は、好ましくは、対応する遺伝子のmRNA(例えば、上の表1に収載されている対応する特定のmRNAのいずれか1つを含む)、または遺伝子のmRNAから合成されるcDNA(例えば、上の表1に収載されている対応する特定のmRNAのいずれか1つから合成されるcDNAを含む)である。核酸プローブの各々は、好ましくは1本鎖DNAプローブまたは1本鎖RNAプローブであり、より好ましくは1本鎖DNAプローブである。(例えば、1本鎖DNAまたは1本鎖RNA、好ましくは1本鎖DNAであってもよい)核酸プローブは、例えば10〜80ヌクレオチド、好ましくは15〜60ヌクレオチド、より好ましくは20〜35ヌクレオチド、およびよりいっそう好ましくは約25ヌクレオチドを有する、オリゴヌクレオチドプローブであることがさらに好ましい。マイクロアレイが使用される、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法は、好ましくは、対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aのおよび場合により1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを判定するステップを含む。発現レベルを判定する好ましい実施形態、サンプルの好ましい実施形態および対象の好ましい実施形態を特に含む、本明細書に記載の本発明の第3の態様による方法の好ましい特徴/実施形態は、マイクロアレイが使用される方法にも当てはまる。
第7の態様によれば、本発明は、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法におけるタンパク質TMSB15Aに対する(すなわちタンパク質TMSB15Aと結合する)抗体の使用にも関する。抗体は、タンパク質TMSB15Aと特異的に結合し、例えば、ポリクローナル抗体であってもよく、またはモノクローナル抗体であってもよい。好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。抗体は、さらに、完全/インタクトな免疫グロブリン分子またはその断片/一部(例えば、分離された軽鎖もしくは重鎖、Fab断片、Fab/c断片、Fv断片、Fab’断片、またはF(ab’)断片など)であってもよいが、断片/部分が対応する完全免疫グロブリン分子の結合特異性を実質的に保持することを条件とする。抗体は、修飾および/もしくは改変抗体、例えばキメラもしくはヒト化抗体、二重特異性もしくは三重特異性抗体、または抗体構築物(例えば、1本鎖可変断片(scFv)もしくは抗体融合タンパク質)であってもよい。抗体は、例えばHarlow et al., 1998にも記載されているような当技術分野において公知の方法を使用して調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術(例えばKohler et al., 1975を参照されたい)、トリオーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(例えばKozbor et al., 1983を参照されたい)またはEBV−ハイブリドーマ技術(例えばCole et al., 1985を参照されたい)などの方法によって調製することができる。タンパク質TMSB15Aは、例えば、上の表1に収載されている特定のTMSB15Aタンパク質であってもよい。抗体が使用される、対象の安定期COPDを診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法は、好ましくは、対象から得たサンプル中のタンパク質TMSB15Aの量を判定するステップを含む。サンプル中の特定のタンパク質の量を判定する好ましい実施形態(翻訳レベルの判定に関連して論じたようなもの)、サンプルの好ましい実施形態および対象の好ましい実施形態を特に含む、本明細書に記載の本発明の第3の態様による方法の好ましい特徴/実施形態は、抗体が使用される方法にも当てはまる。
第6の態様によれば、本発明は、COPDを治療する方法であって、本発明の第2の態様による方法で進行期COPDを発生させ易いと同定された対象にCOPDに対する薬物を投与することを含む方法を提供する。本発明は、COPDに対する薬物であって、本発明の第2の態様による方法で進行期COPDを発生させ易いと同定された対象のCOPDの治療に使用するためのる薬物をさらに提供する。本発明は、COPDに対する薬物の使用であって、本発明の第2の態様による方法で進行期COPDを発生させ易いと同定された対象のCOPDを治療するための医薬組成物の調製における使用にも関する。上で言及した対象は、本発明の第2の態様による方法に関して定義した通りであり、したがって、好ましくはヒトである。
さらに、第8の態様によれば、本発明は、本発明の第3の態様による方法で安定期COPDに罹患しているとまたは安定期COPDに罹患し易いと同定された対象にCOPDに対する薬物を投与することを含む、COPDを治療または予防する方法を提供する。安定期COPDに罹患していると同定された対象をCOPDに対する薬物の投与によって治療することができ、その一方で、安定期COPDに罹患し易いと同定された対象をCOPDに対する薬物の投与によってCOPDを発生させないように予防することができることは理解されるであろう。本発明は、COPDに対する薬物であって、第3の態様による方法で安定期COPDに罹患しているとまたは安定期COPDに罹患し易いと同定された対象のCOPDの治療または予防に使用するための薬物をさらに提供する。本発明は、COPDに対する薬物の使用であって、第3の態様による方法で安定期COPDに罹患しているとまたは安定期COPDに罹患し易いと同定された対象のCOPDを治療または予防するための医薬組成物の調製における使用にも関する。上で言及した対象は、本発明の第3の態様による方法に関して定義した通りであり、したがって、好ましくはヒトである。
本発明の第6または第8の態様に従って対象に投与されるCOPDに対する薬物は特に限定されず、例えば、β−アゴニスト(例えば、ビトルテロール、カルブテロール、フェノテロール、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ツロブテロール、アルホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、オロダテロール、サルメテロール、インダカテロール、もしくは前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩など)、糖質コルチコイド(例えば、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクロソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメンタゾン、トリアムシノロン、もしくは前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩など)、抗コリン作用薬もしくはムスカリンアンタゴニスト(例えば、アクリジニウム臭化物、グリコピロニウム臭化物、イプラトロピウム臭化物、オキシトロピウム臭化物、チオトロピウム臭化物、もしくは前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩など)、マスト細胞安定剤(例えば、クロモグリク酸塩、ネドクロミル、もしくは前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩など)、キサンチン誘導体(例えば、アセフィリン、アンブフィリン、バミフィリン、ドキソフィリン、エンプロフィリン、エタミフィリン、プロキシフィリン、テオブロミン、テオフィリン、アミノフィリン、コリンテオフィリン、もしくは前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩など)、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト、もしくは前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩など)、リポキシゲナーゼ阻害剤(例えば、ジロートンもしくはその医薬的に許容される塩など)、トロンボキサン受容体アンタゴニスト(例えば、ラマトロバン、セラトロダスト、もしくは前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩など)、非キサンチンPDE4阻害剤(例えば、イブジラスト、ロフルミラスト、もしくは前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩など)、またはCOPDに対する任意の他の薬物(例えば、アンレキサノクス、エプロジノール、フェンスピリド、オマリズマブ、エピネフリン、ヘキソプレナリン、イソプレナリン、イソプロテレノール、オルシプレナリン、メタプロテレノール、アトロピン、もしくは前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩など)、またはそれらの任意の組合せであってもよい。COPDに対する特に好ましい薬物はロフルミラストである。
第11の態様では、本発明は、対象のCOPD進行をモニタリングするインビトロ方法であって、
− 対象から得た第1のサンプルにおけるNTRK2およびRASGRF2から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
− 第1のサンプルより後の時点で対象から得た第2のサンプルにおける1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
− 第2のサンプルにおける1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを、第1のサンプルにおける対応する遺伝子の発現レベルと比較するステップと、
− 対象のCOPDの進行を評価する(または判定する)ステップと
を含み、
第1のサンプルにおける対応する遺伝子の発現レベルと比較して第2のサンプルにおけるNTRK2および/またはRASGRF2の発現レベルの減少が対象のCOPDの寛解(すなわち改善)を示し、
第1のサンプルにおける対応する遺伝子の発現レベルと比較して第2のサンプルにおけるNTRK2および/またはRASGRF2の発現レベルの増加が対象のCOPDの悪化を示す、方法を提供する。
実施例1で実証し、図4Aおよび8Aに示すように、NTRK2および/またはRASGRF2の発現レベルの減少はCOPDの寛解/改善を示すのに対して、これらの遺伝子の発現レベルの増加はCOPDの悪化を示す。COPDの、この疾患に罹患している対象における、進行のモニタリングは、例えば、治療の、新薬のまたは新規投薬レジメンの成功の見込みを評価するのに有用でありうる。
第11の態様では、遺伝子NTRK2のおよび場合により遺伝子RASGRF2の発現レベルを判定することが好ましい。より好ましくは、遺伝子NTRK2およびRASGRF2の発現レベルを判定する。
本発明の第11の態様による第1のサンプルにおけるおよび第2のサンプルにおける前述のマーカー遺伝子の発現レベルは、本発明の第2または第3の態様の方法に関連して説明したようにして判定することができる。例えば、マーカー遺伝子NTRK2および/またはRASGRF2の転写レベルまたは翻訳レベルを判定することができる。第1のサンプルにおけるおよび第2のサンプルにおけるNTRK2およびRASGRF2から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを、対応する遺伝子の転写レベルを判定することによって判定することが好ましい。好ましくは、qRT−PCTまたはマイクロアレイを使用して転写レベルを判定する。
本発明の第11の態様による方法で試験される対象は、本発明の第2または第3の態様の方法に関連して定義した通りであり、好ましくはヒトまたは非ヒト哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。第11の態様に従って試験/モニタリングされる対象は、(例えば、第1のサンプルを得た時点で)COPDに罹患していると診断されている対象(好ましくはヒト)であることがさらに好ましい。
対象から得る第1のサンプルおよび第2のサンプルは、原則として、対象からのいずれの組織サンプルまたは血清であってもよいが、それらは、両方とも、対象の同じタイプの組織に由来するべきである(または両方とも血清サンプルであるべきである)。好ましくは、第1のサンプルおよび第2のサンプルは、肺組織サンプルである。より好ましくは、第1のサンプルおよび第2のサンプルは経気管支肺生検サンプルであるか、それらは気管支肺胞洗浄(BAL)サンプルである。
第2のサンプルは、第1のサンプルより遅い時点で対象から得た。例えば、第2のサンプルは、第1のサンプルを対象から得た約2〜約12ヶ月後、好ましくは約3ヶ月〜約9ヶ月(例えば、約3ヶ月、または約4ヶ月、または約5ヶ月、または約6ヶ月、または約7ヶ月、または約8ヶ月、または約9ヶ月)後、およびより好ましくは約3ヶ月〜約6ヶ月後に、その対象から得たものであってもよい。
本明細書で使用するとき、用語「約」は、示されている数値の±10%、および特に、示されている数値の±5%を指す。用語「約」を使用するときは常に、示されているまさにその数値への特異的言及を含む。所与の核酸中のヌクレオチドの数などの整数で数値化されるパラメーターに関連して用語「約」を使用する場合、示されている数値の±10%または±5%に相当する数を一番近い整数に丸めるものとする。例えば、「約25ヌクレオチド」という表現は、23〜28の範囲のヌクレオチド、特に24〜26の範囲のヌクレオチドを指し、好ましくは、25という特定の値のヌクレオチドを指す。
本発明が、一般的および/または好ましい特徴/実施形態の任意の組合せを含む本明細書に記載の特徴および実施形態の各々のおよびあらゆる組合せに特に関係することは、理解されるはずである。詳細には、本発明は、本明細書において提供する方法および使用の好ましい特徴(すべての好ましさ度を含む)のすべての組合せに特に関係する。
本明細書には、特許出願、科学文献および製造業者のマニュアルを含むいくつかの文献が引用されている。これらの文献の開示は、本明細書の特許性に関係があるとみなされないが、その全体が参照によって本明細書に組み入れられている。より具体的には、すべての参考文献は、個々の文献各々が参照によって組み入れられていると具体的におよび個々に示されている場合と同程度に、参照によって組み入れられている。
本発明を以下の実例となる図によっても説明する。添付の図面は、以下のことを示すものである。
Vienna Medical Universityで行われたCOPD−AUVA研究の研究デザイン(実施例1を参照されたい)を示す図である。 COPD−AUVA研究を受けた様々な病状の対象の数の概要を示す図である。 健常対象(A)の概要および慢性気管支炎を有するが来院1の時点で肺閉塞の徴候がない(COPD「リスクがある」;「GOLD 0」)(B)または来院1の時点で顕性COPDを有する(C)いずれかの対象の概要、ならびに来院1(第0日)〜来院2(12ヶ月)〜来院3(36ヶ月)の期間にわたってのこれらの対象のCOPD(GOLD基準による重症度)の発生、気管支炎および喫煙習慣を示す図である。用語「パックイヤー」は、年数でのタバコ消費長を掛けた、1日に喫煙したタバコのパック数(各パックがタバコ20本を含有)として計算した、人物のタバコ消費量を指す。(D)COPD−AUVA研究への参加者の臨床的特徴およびベースラインから来院3の間の変化(実施例1を参照されたい)を示す。 同上 同上 同上 COPD病理学モジュール1:慢性気管支炎の発症:アクチン細胞骨格協調運動の阻害に起因する粘膜細胞の適応運動性の漸進的阻害を示す図である。慢性気管支炎は、構築、重合、運動性、安定性、およびFアクチン媒介細胞骨格運動のエネルギー供給を制御する遺伝子の有意なダウンレギュレーション(チモシンベータ15A(TMSB15A)、ジペプチジル−ペプチダーゼ6(DPP6)、nudix(ヌクレオシド二リン酸結合部分X)型モチーフ11(NUDT11)およびインテグリンアルファ10(ITGA10)の抑制)で開始する。同時に、細胞運動中にアクチンのCdc42媒介重合を阻害することが公知のRASGRF2遺伝子の発現がCOPDの進行中に漸進的に増加し(図4Aおよび4D)、これは、細胞の運動性の阻害が、COPD発生の初期ステージの主要メカニズムであるばかりでなく、COPDのより後のステージの漸進的膜破壊の一部でもあることを示す。注目すべきこととして、これらの遺伝子の発現低減は、気管支炎症の強度増加にも関連している。この特徴的発現パターンは、今までのところは主に腸細胞中のステロイド前駆体分子を輸送するその能力で知られているSLC51B遺伝子を含む(図4D)。COPD GOLDステージIIまでは、増殖因子刺激に反応してのアクチン細胞骨格の組織化を制御するその能力で最もよく知られているGTPアーゼRND1(RhoファミリーGTPアーゼ1)の代償性活性化が増加するだけであり、これは、COPDのより後のステージにおけるアクチン依存性の細胞の細胞骨格組織化の完全欠如を示すばかりでなく、モジュール3の中でも実証されるように(図6A〜6Eを参照されたい)再生能力の喪失も示す。そしてまたこれは、上皮細胞の機能的分化と表面完全性の維持の両方のアノテーションが付与されているシステインM/E(CST6)遺伝子の漸進的ダウンレギュレーションとかなりよく一致する。これらの分子の協調作用は、付着細胞層系内の細胞の増殖、挿入および押し出しなどの極めて重要なプロセス中の上皮細胞の制御運動に必要であるので、これらの機能の喪失は、膜完全性の顕著な障害の原因となり、したがって、タバコの煙または溶接煙などの燃焼生成物を含む換気される空気のすべての成分を基本的に反映する非特異的気管支炎症の発症を可能にする。 同上 同上 同上 COPD病理学モジュール2:粘膜免疫の二相性活性化を示す図である。この細胞付着喪失によって駆動されて、気管支は、フィブリノーゲン(FGG)の発現(図5Aおよび5D)、癌胎児抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)のアップレギュレーション(図5Aおよび5D)、およびアリール炭水化物受容体(AHR)シグナル伝達[この最後のものは、チトクロムP450、ファミリー1、サブファミリーAポリペプチド1(CYP1A1)およびチトクロムP450、ファミリー1、サブファミリーBポリペプチド1(CYP1B1)の発現増加を特徴とする](図5Aおよび5E、5F)などの、急性炎症メカニズムを併用する多様な粘膜免疫応答を発生させる。煙の継続的影響を反映する可能性が最も高い、アリール炭水化物受容体リプレッサー遺伝子(AHRR)の代償性発現増加にもかかわらず、AHRシグナル伝達の強度は有意である。CEACAMは、進行性気管支炎の際に見いだされることが多い髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)およびモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)などのグラム陰性菌の表面受容体として作用することが最近証明されたので、このメカニズムは、気管支炎症増強エピソードの一因になる傾向がある。FGGおよびCEACAM5両方の遺伝子の活性化は気管支炎症の強度に有意に寄与する(図4D、右パネル)のだが、それにもかかわらず、FGG発現もCEACAM5発現も不可逆的肺閉塞の短期悪化を引き起こさない(図5D、中央パネル)。これは、CYP1A2、KIAA1199およびホスホリパーゼA1メンバーA(PLA1A)(これらすべてが肺機能の有意な悪化と相関関係がある)の発現(図4bおよびe)とは異なる。煙誘導AHRシグナル伝達応答の一部としてのCYP1A2発現は、COPD発生の現在の認識とよく合致するが、KIAA1199およびPLA1A発現とGOLD基準による肺機能の悪化との強い相関関係は、別の方向、気管支区画系の完全不全、を指し示す。KIAA1199は、最近、基質ヒアルロニダーゼを活性化することが実証され、その一方でホスホリパーゼA1メンバーA(PLA1A)が非特異的炎症刺激に応答してT細胞を活性化することは公知である。KIAA1199の有意なアップレギュレーションは、GOLDステージIの特徴をなす非進行性気管支炎症相(図5A)に続くGOLDステージIIIおよびIVにおける第2の気管支炎症亢進相(図5B)に特有であることが現在見いだされている。顕著なこととして、この安定化相中にKIAA1199発現とPLA1A発現の両方もまた低減される(図5B)。高分子量ヒアルロナン分解の強い炎症誘発性の影響を考えると、これらの観察は、COPD GOLDステージIIIおよびIVにおける炎症活性の最終的な増加が、上皮完全性の永久障害と基質ヒアルロニダーゼの活性化による気管支壁内のヒアルロナン基質の二次的障害との複合的結果であることを示す。この見解は、ヒトの主要ヒアルロナン分解酵素を代表する基質ヒアルロニダーゼ2(HYAL2)自体の発現パターンによって裏付けられる(図5C)。 同上 同上 同上 同上 同上 同上 同上 COPD病理学モジュール3:再生修復強化の影響:進行性気管支炎症の一時的抑制を示す図である。粘膜の構造完全性の維持はもちろん気管支壁の必須成分の維持も効果的な創傷治癒の一部であり、したがって、抗原、アレルゲンおよび感染病原体の粘膜内区画への侵入防止に欠かせない手段である。それ故、図6Aで実証されるように上皮修復機能を誘導する様々な遺伝子が炎症増加に反応してアップレギュレートされることは驚くにあたらない。しかし、GOLDステージIにおける進行性気管支炎症の一時的抑制に有意に寄与するのはこれらの遺伝子の小群;上皮再生および分化、細菌防御および上皮水分輸送に関与することが公知の遺伝子(図6A〜6C):a)悪性脳腫瘍で欠失する遺伝子1(DMBT1)、b)亜鉛結合アルファ−2−糖タンパク質1(AZGP1)およびc)アクアポリン3(AQP3)だけである。しかし、炎症の進行が再開するとこれらの遺伝子の発現が再び減少するのでこの再生インパルスは長続きせず、これは、気管支炎症に対するKIAA1199発現および基質分解の影響を強調する。ストラテフィン(SFN)、Gタンパク質共役型オーファン受容体110(GPR110)、煙誘導性増殖分化因子15(GDF15)およびE74様因子5(ELF5)などの上皮修復に密接に関連しているさらなる遺伝子がはるかに長いCOPD発生期間を通して発現される(図6A)が、この創傷治癒アプローチの有効性は、気管支完全性を維持するのに、および上皮崩壊と漸進的ヒアルロナン分解の存在下で気管支炎症のバランスをとるのに明らかに不十分である。結果として、DMBT1およびKIAA1199遺伝子発現の同時測定は、DMBT1発現とKIAA1199発現の差が3.63の値を超えた場合、(GOLD基準に従って)安定期COPDと進行期COPDを識別することができる(図6E)。糖尿病患者の皮膚の慢性炎症の創傷治癒の際にKIAA1199の発現が有意にアップレギュレートされるが、正常な皮膚修復の際にはKIAA1199発現が低減されることによって、進行性上皮炎症にとってのKIAA1199発現増強の重要性がさらに強調される(図8を参照されたい)。高齢者の皮膚におけるKIAA1199発現は、一般に、若年者からの皮膚より有意に高い(p<0.01)ことにも注目すべきである。 同上 同上 同上 同上 皮膚創傷治癒の際のKIAA1199の発現を示す図である。 COPD病理学モジュール4:一般的構造的欠損の存在下での再生不全の結果としての顕著な間葉性修復による瘢痕化を示す図である。生命を脅かさない一般的修復未解決のいずれの状況においても、「二次的」間葉性修復の活性化は、構造的欠損を除去するためのおよび創傷治癒を終わらせるための出口戦略として役立つであろう。COPDの進行中のこの関連での協調遺伝子活性化を2つのカテゴリーに分けることができる:a)間葉性修復の永続的支持(NTRK2およびSOS1遺伝子の発現)(図8Aおよび8B)、b)機能性「一次」修復中および非機能性「二次」創傷治癒中の両方の間葉性修復の支持(COMP、PRRX1およびCTHRC1遺伝子の発現)(図8A〜8C)。主に間葉性修復についてのいずれの形態でも同様だが、血管成長および分化を制御する遺伝子の発現は漸進的に減少する。図8Dは、COPD進行中に有意に調節される血管成長および修復に関連するすべての遺伝子についての発現パターンおよび関連アノテーションの梗概を提供するものである。 同上 同上 同上
次に以下の実施例への参照によって本発明を説明することにする。以下の実施例は単に説明に役立つものであり、以下の実施例を本発明の範囲に対する制限とみなすべきではない。
[実施例]
進行期COPDの症状に基づく分子代謝マーカーの同定を目的とした前向き比較対照パイロット試験(Vienna COPD−AUVA研究)
序論
本発明に関連して、進行期COPDの症状に基づく分子代謝マーカーの同定を目的とした前向き比較対照パイロット試験を2007年〜2012年の間にVienna Medical Universityで行った。Vienna COPD−AUVA研究は、COPDの進行および変動性に取り組む最も大きな最も精緻な研究である、ECLIPSE試験(Vestbo et al., 2011)の全戦略に一部準じる、COPDについての検証済み臨床的尺度の評価を併用した。
患者の層別化のために、症状スコアリング(St.George呼吸器質問票、活動および症状スコア)の3年解析(第0日、12ヶ月および36ヶ月)、肺機能の評価、心肺運動負荷試験、およびコンピューター支援断層撮影(高解像モード)による放射線学的評価を、全ゲノム転写解析に加えて定量的RT−PCRおよび質量分析プロテオミクスと併用した。図1に示すように、研究開始時に正常な肺機能を提示し、心肺疾患の徴候が一切なかった(健常志願者)または慢性気管支炎の症状があった(COPD「リスクがある」)2つの群および悪化した肺機能とともに慢性気管支炎の症状(GOLDステージI〜IVのCOPD)を有する志願者の1群の3層に患者を群分けした。
研究来院をベースライン時ならびに12ヶ月および36ヶ月後にそれぞれ実施した。各来院は、外来ベースで行い、病歴、身体検査、肺機能試験(PFT)、心肺運動負荷試験(CPET)、コンピューター支援断層撮影(CAT)スキャンによる放射線学的評価、および気管支鏡検査を含んだ。各来院時に、個人歴および職業歴はもちろん、COPDに関連する症状の開始および継続期間を含む喫煙歴、喀痰の産生(頻度、量および色)、St.George呼吸器質問票(SGRQ:活動および症状スコア指数)によって測定された症状の強度、ならびにSF−36質問票を使用する生活の質の評価も受け取った。増悪の度合い(頻度、入院数、抗生物質、コルチコステロイドまたは併用治療薬の使用)および個人の服薬も記録した。
各来院時に肺機能試験(PFT)を受けてもらい、該PFTは、採血と、体プレスチモグラフィーと、スパイロメトリーと、に安静時のおよび症候限界性心肺運動負荷試験(CPET)中の肺ガス交換の定量的測定とを含んだ。PFTは、Autobox DL 6200(Sensor Medics、Vienna、Austria)を用いて実施し、CPETは、Sensormedics 2900 Metabolic Measurement Cartを使用するトレッドミル実施した。基準値の計算式は、Harnoncourt et al., 1982から得た。予測値は、European Respiratory Societyの提言(Rabe et al., 2007)に従ってAustrian Society of Pneumologyの基準値から導出した。
血清サンプルを全細胞血球数、電解質、グルコース、C−反応性タンパク質、フィブリノーゲン、および凝固パラメーターについて解析した。
気管支鏡検査の前に、高解像度コンピューター断層撮影(HRCT)を含むCATスキャンを実施した。各来院時、追加のインフォームドコンセント後に気管支鏡検査を実施した。気管支鏡検査中に、気管支肺胞洗浄(BAL)サンプルと経気管支生検サンプル(各中葉の1区域につき5つ)の両方を採取した。
高解像度スキャニングを含むコンピューター支援断層撮影(CAT)スキャンによる放射線学的評価後に中葉の2回の肺局在定位から気管支鏡検査中に採取した経気管支肺生検試料(各5つ)で生物学的解析を行った。CATスキャンを肺気腫形成の評価に使用し、腫瘍発生および感染の排除にも使用した。比較対照観察期間中に臨床的発生と分子的発生の複合評価が最終的に志願者120名で可能であった。いずれの場合も、個々の肺機能変化およびCOPDの進行に特有の臨床症状によってバイオマーカーを同定した。結果として、このアプローチは、COPDの臨床表現型の周知変動性およびそれらの様々な進行過程を使用すると同時に、このタイプの疾患進行の原因となるまさにそのバイオマーカーセットを同定する。
臨床解析
この研究プロトコルは、Medical University of Viennaの倫理委員会(ClinicalTrials.gov識別子NCT00618137)によって承認された。スクリーニング中、インフォームドコンセント後、個人を来院1(第0日)に、彼らが以下の基準を満たす場合、層別化した。
個人396名をスクリーニングし、185名が研究基準を満たした。参加者136名が12ヶ月後の来院2を終え、120名が36ヶ月の比較対照観察後の最終来院を完了した。同等の環境条件を確保するために、この研究を通してすべての参加者はウィーン広域圏に居住し、ウィーン広域圏で仕事をしていた。対照群は、上の表2にも示したように、喫煙経験が全くない健常志願者16名(女性7名および男性9名;平均年齢36±12.2歳)からなった。研究期間中に肺疾患の何らかの症状を発症した健常参加者は全くいなかった。研究開始時、参加者104名は、WHO定義による慢性気管支炎の臨床症状を提示し、そのうち55名は、不可逆的気管支閉塞の徴候を有さなかった(GOLD「リスクがある」)が、他の49名の参加者は、PFTによって判定してGOLDステージI〜IVの範囲の気管支閉塞を示した(図3Dを参照されたい)。COPD群およびCOPD「リスクがある」群のすべての参加者は、気管支拡張症の放射線学的徴候はないが毎日の喀痰喀出に加えて気管支感染の頻回エピソード(>2回/年)について報告した溶接工1名を除いて、10パックイヤーより長い喫煙歴を有する能動タバコ喫煙者であった。参加者64名は、タクシーまたはバス運転手として働いており(53%)、40名は、10年より長い溶接煙への以前の曝露がある現役の溶接工であった(33%)。
来院1では、顕性COPDを有する参加者の大多数が気管支閉塞GOLDステージIIおよびIIIを有した(n=38)が、残りの対象は、COPD GOLDステージI(n=9)およびIV(n=2)であった(図3Dを参照されたい)。GOLDステージIIIの52±9.0歳およびGOLDステージIVの63±11歳と比較して、GOLDステージIおよびIIの平均年齢は、それぞれ50±9.5および56±10.4歳であった。GOLD「リスクがある」群の参加者の29%は、継続的な毎日の喀痰喀出を既に提示しており、27%に関しては、多くの場合、喀痰が変色していた(黄色、緑色、褐色)。
比較対照観察(36ヶ月)中、参加者14名(12%)[GOLD「リスクがある」群の7名(13%)、GOLD Iの1名(11%)、GOLD IIの3名(12%)およびGOLD IIIの3名(25%)]には、GOLDに従って疾患の進行があった。GOLDに従って気管支閉塞の改善が、主としてタバコ禁煙に関連して13名の個人(GOLDステージIとII両方では参加者5名ならびにGOLDステージIIIおよびIVでは3ケース)で観察された。
この研究の観察デザインの一部として、参加者に禁煙するように特に勧めなかった。したがって、喫煙習慣はほんのわずかしか変わらなかった:「COPDリスクがある」群の参加者5名(9%)および「顕性COPD」群の参加者2名(4%)しか観察期間中に禁煙しなかったが、31%はタバコ喫煙を減らした(データを示さない)。これらの変化は、慢性気管支炎症状の発生率も強度も有意に改変しなかった。参加者27名(23%)は咳嗽および喀痰産生の改善および悪化を示したからである。
生物学的/分子解析(肺組織の遺伝子転写)
RNAlater(Ambion、lifetechnologies)を組織アーサベーション(asservation)に使用した。Fastprep 24システム(MP Biomedical、Eschwege)のLysing Matrix Dセラミックボールを使用して、肺生検材料を破壊した。カオトロピック溶解緩衝液(RLT、Rneasy Kit、Qiagen、Hilden)を使用し、その後、クロマトグラフィーマトリックスでのDNアーゼI消化を含む、RNeasy Mini Kit(Qiagen、Hilden)のスピンカラムアプローチをその製造業者のマニュアルに従って使用してフェノール/クロロホルム抽出およびその後の清浄化を行った。NanoDrop 1000デバイス(Thermo Scientific)を使用して分光光度法でRNA定量を行い、Agilent 2100バイオアナライザーで品質管理を行った。1マイクログラムの量のカットオフ、および7.0のRNA完全性番号を選択した。
全RNAサンプルをHuman Genome U133plus 2.0 array(Affymetrix、St.Clara、CA)にハイブリダイズさせて、54,000より多くのプローブセットで47,000の転写産物を調べた。
「GeneChip(登録商標)Expression 3 Amplification One−Cycle Target Labeling and Control reagents」(Affymetrix、St.Clara、CA)を使用してその供給業者の説示に従ってアレイハイブリダイゼーションを行った。終夜(16時間)、45℃で、GeneChip(登録商標)Hybridization Oven 640(Affymetrix、St.Clara、CA)でハイブリダイゼーションを行った。その後の洗浄および染色プロトコルは、Affymetrix Fluidics Station 450で行った。シグナル強化のために、ビオチン化抗ストレプトアビジン抗体(Vector Laboratories、U.K.)を使用して抗体増幅を行い、それをヤギIgG(Sigma、Germany)によって架橋し、その後、ストレプトアビジン−フィコエリトリンコンジュゲート(Molecular Probes、Invitrogen)で二次染色した。GeneChip(登録商標)Scanner 3000(Affymetrix、St.Clara、CA)を用いて1.56ミクロンの解像度でマイクロアレイのスキャニングを行った。
GeneChip Operating Software(GCOS 1.4)を使用してMAS 5.0(Microarry Suite statistical algorithm、Affymetrix)プローブレベル解析でデータ解析を行い、DataMinig Tool 3.1(Affiymetrix、St.Clara、CA)で最終データ抽出を行った。
CELファイルをインポートし、R/Bioconductor(Gentleman et al., 2004)で処理した。簡単に言うと、分位点正規化(Gentleman et al., 2004)およびコンバット(Johnson et al., 2007)を使用してデータを前処理し、limma(Smyth GK, 2005)を使用して線形モデルを計算し、F統計量<5e−3のp値を有する遺伝子を有意と呼んだ。これらの遺伝子を同時調節遺伝子の20のクラスターに群分けた。モデリングおよびクラスタリングの手順を共変数としてのGOLDおよび喀痰について繰り返した。
その後の遺伝子オントロジー(GO)−解析のために、遺伝子発現に対するGOLDの効果と喀痰の効果を分離する必要があった。このために、GOLD分類を「非COPD」(健常およびGOLD 0)と「COPD」(GOLDグレードI〜IV)に群分けした。同様に、喀痰を、「喀痰」群(湿性または重篤)および「非喀痰」群(健常または無/乾性)に再分類した。これらの再分類に基づいて、2x2要因デザインを使用して遺伝子発現をモデル化し、その結果、遺伝子の5つの異なるリストを得た:(1)COPD存在下、喀痰で調節される遺伝子、(2)COPD不在下、喀痰で調節される遺伝子、(3)COPD存在下、COPDで調節される遺伝子、(4)COPD不在下、COPDで調節される遺伝子、および最後に(5)喀痰があるか否かによってCOPDで別様に調節される遺伝子。
CytoscapeフレームワークのClueGOプラグインを使用して遺伝子オントロジー(GO)データベースでカタログ化してこれらのリストにそれらの生物学的機能に関するアノテーションを付与した。
総合臨床・分子分析の結果
上皮修復メカニズムの活性化
COPD発生中の遺伝子発現の有意な変化の系統的解析は、差異が認められる像を明らかにした。図6A〜6Dに示すように、末梢気管支樹内で慢性炎症プロセスが確立され次第、再生および修飾メカニズムが開始する。これは、既に、持続性のまたは繰り返し顕性化する気管支炎(COPD「リスクがある」)の場合である。まだ潜在的COPDに過ぎない存在論的期間での、正常な平衡状態からのこの種の逸脱に関連する機能は、胎児表皮および肺成長の調節に関与する媒介因子、例えば上皮構造の空間的に制御された成長をもたらすELF5(E74様因子5;ETSドメイン転写因子)(Metzger et al., 2008、Yaniw et al., 2005)、ならびに肺の粘膜免疫の調節に関与する媒介因子(Lei et al., 2007)を含む。当然のことながら、ELF5の発現は、上皮再生および分化(Medina et al., 2007)の増加をもたらす、しかしコラーゲンIを含む基質タンパク質沈着の低減(Chavez-Munoz et al., 2012)および非特異的表面免疫機能の低減(Butt et al., 2012)ももたらす、ストラテフィン(SFN)の有意なアップレギュレーションによって果たされる。修復のこの再生相には、Gタンパク質共役型オーファン受容体GPR110および煙誘導性増殖分化因子15(GDF15)(Wu et al., 2012)(骨形成タンパク質トランスフォーミング増殖因子−ベータスーパーファミリ−のメンバー)が関与するばかりでなく、分化上皮修復を指示する媒介因子、例えば亜鉛結合アルファ−2−糖タンパク質1(AZGP1)、および虫垂炎中に腸内上皮の急性だが消散性の細菌性炎症中に強くアップレギュレートされるDMBT1遺伝子(悪性脳腫瘍で欠失する遺伝子1)も関与し(Kaemmerer et al., 2012)、したがって、粘膜防御の機能的関連性を示唆している(Diegelmann et al., 2012)。腫瘍細胞において強い上皮分化転換を誘導できる媒介因子(Kong et al., 2010)、DMBT1およびAZGP1の最も一致している発現プロファイルは、上皮再生中の細胞分化に対する両方の媒介因子のいまだ不明確な組合せ効果を示唆している。顕著なこととして、これらの遺伝子発現は、図6Aにも示すように、COPD GOLD Iを有する個人では強く増加し、COPDの進行とともに有意に減少する。この観察と一致して、上皮再生および分化を伝達するすべての媒介因子は、COPDステージIIIからCOPDステージIVへの移行中に有意にダウンレギュレートされることが判明した。
上皮細胞の増殖および分化を誘導することが公知(Nakahigashi et al., 2011、Kim et al., 2010)のさらなる媒介因子である、SFN、GPR110(図6Dも参照されたい)およびアクアポリン3(AQP3)(図6Aも参照されたい)の遺伝子発現の均一な増加によって実証されるように、再生修復の媒介因子の活性化が、気管支炎症の有意な症状を示す個人においても見いだされた。しかし、これらの因子の発現は、気管支炎症の重症度の増加に伴ってさらに増加せず、これは、上皮表面の炎症を増強できる媒介因子、例えば癌胎児抗原関連細胞接着分子5(CEACAM5)(図5Aおよび5Dを参照されたい)、または炎症修復中の優先的間葉性創傷治癒応答の一部である因子(Agarwal et al., 2012、Agarwal et al., 2013)、例えば軟骨オリゴマー基質タンパク質(COMP)(図8Aおよび8Cを参照されたい)とは非常に対照的であった。この研究デザインによって、COPDの短期進行中に修復の有意な変化をことによると示す、3年の研究期間を通して起こる遺伝子発現の変化の測定も可能になった。ここで、図6Bおよび6Dにも示すように、GOLDに従って肺機能悪化と相関するGPR110およびDMBT1遺伝子の有意なダウンレギュレーションが見られた。再生遺伝子活性のこの減少は、GOLDステージIIで既に開始し、間葉性創傷治癒に関連した修復機能の著しい増加を伴った(図8を参照されたい)。
間葉性修復の漸進的活性化
COPDのより後のステージ中に間葉性修復を優先する媒介因子の発現がますます顕著になった。これは、COMP遺伝子の発現増加(図8Aおよび8Cを参照されたい)に関係するばかりでなく、セブンレスの息子ホモログ1(SOS1)遺伝子(肝細胞増殖因子の同族受容体として作用するRASタンパク質のグアニンヌクレオチド交換因子)などの間葉幹細胞の強力な活性化因子の発現にも、および対関連ホメオボックス1遺伝子(PRRX1)[肝硬変の際に間葉増殖を誘導することができ(Jiang et al., 2008)、癌発生中に上皮間葉転換(EMT)(Ocana et al., 2012)を誘導することもできる初期分化因子のHOXファミリーに属するRAS転写因子の転写共役因子]にも関係する。それらの発現パターンは、COMP遺伝子とPRRX1遺伝子両方がGOLDステージIおよびIIの特徴をなす創傷治癒の再生相にも関与することを示しており、GOLDステージIIIからIVへの移行中のより後のそれらの増加は、気道の漸進的瘢痕化へのさらなる関与を示唆している。線維化促進因子の発現増加は、神経栄養チロシンキナーゼ受容体2型(またはトロポミオシン受容体キナーゼB受容体;TrkB)(NTRK2)発現の顕著な増加によってさらに実証される。神経発生中に様々な神経栄養成長因子の高親和性受容体として作用することがこれまでに公知であるNTRK2/TrkBは、アポトーシスおよびアノイキスに対する間葉細胞の抵抗性を促進することもできる(Frisch et al., 2013)。線維化促進媒介因子の複合的増加は、線維性器官ジストロフィーをもたらす能力があるコラーゲントリプルヘリックスリピート含有1遺伝子(CTHRC1)の発現も含む(Spector et al., 2013)。特に、CTHRC1の発現増加はGOLDステージIIでしか開始しないが、NTRK2/TrkBの累積活性化は一般にCOPDの進行を通して顕著な特徴であり、これは、COPDの進展中の末梢気道における異所修復応答に対するNTRK2/TrkBシグナル伝達の永続的寄与を示唆している。この見解は、TrkB軸障害が実験的肺線維症の一因になることがあるという観察(Avcuoglu et al., 2011)によってさらに裏付けされる。
臨床的悪化がGOLDによる気管支閉塞の悪化と相関する(図8Cを参照されたい)COMP発現を除いて、NTRK2遺伝子(図8Bを参照されたい)の長期発現の増加も、PRRX1遺伝子(図8Bも参照されたい)またはCTHRC1遺伝子(図8Cも参照されたい)の長期発現の増加も、3年の比較対照観察研究期間中に気管支閉塞に対する同等の短期影響を示さない。遺伝子発現と進行性気管支炎症の相関関係の評価時に対応する結果が得られた:間葉性修復を優先するすべての遺伝子の発現は気管支炎増強の結果として増加するが、有意な変化はPRRX1およびCTHRC1遺伝子についてしか見られなかった(図8Bおよび8Cも参照されたい)。
上皮表面の構造完全性の喪失
期せずして、本解析によって、細胞の細胞骨格の運動、分布および活性化を誘導する、および結果として粘膜表面の構造完全性およびバリア機能に多大な影響を及ぼす可能性が高い遺伝子の1群の発現の非常に有意なダウンレギュレーションが明らかになった。これらの遺伝子のダウンレギュレーションは、図4Aにも示したように、GOLDによる気管支閉塞の確定のかなり前、慢性気管支炎の確定中に既に起こる。この発生に密接に関連している遺伝子が、チモシンベータ15A(TMSB15A)、ジペプチジル−ペプチダーゼ6(DPP6)、nudix(ヌクレオシド二リン酸結合部分X)型モチーフ11(NUDT11)、インテグリンアルファ10(ITGA10)、システインE/M(CST6)およびチモシンPRICKLE2である(データを示さない)。特に、COPDの進行中に最も有意に減少する2つの遺伝子、TMSB15AおよびDPP6は、気管支炎症亢進の症状と相関して有意にダウンレギュレートされもする(図4Bも参照されたい)。ベータチモシンは、膜構造、表面安定性および細胞表現型に影響を及ぼす(Husson et al., 2010)ことによる、アクチン細胞骨格の構成と分離両方の制御因子(Hannappel, 2007、Huff et al., 2001、Malinda et al., 1999)である。創傷治癒中のベータチモシンのレベル上昇の結果の1つは、修復の線維性異常からの保護であるようであり(De Santis et al., 2011)、この保護は、1つには、線維性組織発生の最も大きな特徴である筋繊維芽細胞へのそれらの分化転換を妨げるアルファ平滑筋ストレスファイバーの発現を防止することによるものである。現在、再生創傷治癒におけるDPP6の機能についてほとんど分かっていない。しかし、検出可能なプロテアーゼ活性が一切ない膜結合型セリンプロテアーゼのS9BファミリーのメンバーであるDPP6は、膜安定性と、細胞接着および運動性の綿密な制御を含む神経発生中の細胞の増殖制御とをもたらすことが最近実証された(Lin et al., 2013)。さらに、膜結合イオンチャネルの、特に電位開口型カリウムチャネルの、発現および活性化とのその関連性ならびにそのような発現および活性化のその制御が証明されていること(Jerng et al., 2012)を考えると、DPP6の発現は、静止膜電位を制御することもでき(Nadin et al., 2013)、それによってアクチン細胞骨格の活性と細胞内分布の両方を制御することもできる(Mazzochi et al., 2006、Chifflet et al., 2003)。
TMSB15A遺伝子発現の顕著な低減と相まって、DPP6発現の有意な減少は、上皮脂質二重層の物理化学的完全性を低減させる、細胞アクチン骨格の正常な運動および分布に対する重度の障害を示唆している。これはCOPD発生の非常に初期に既に起こるので、この所見は、非特異的表面炎症につながる、開始メカニズムおよびことによると素因となるメカニズムを示すことができるだろう。
その一方で、システインM/E(CST6)は、上皮構造の成長および分化中のプロテアーゼ活性の生理的調節に不可欠な分泌型システインプロテアーゼ阻害剤のシステインファミリーに属する上皮特異的プロテアーゼ阻害剤である。CST6は、皮膚上皮と気管支上皮の両方で発現され、そこでの機能性分化状態を特徴とする(Zeeuwen et al., 2009)。CST6の有意なダウンレギュレーションがマウスの真皮の表面完全性と分化状態の両方に対する顕著な障害の原因となることは既に証明されている(Zeeuwen et al., 2010)。したがって、COPDの進行中に観察されるようなCST6の漸進的ダウンレギュレーションは、表面安定性の喪失はもちろん再生気管支上皮における細胞接着および分化にも寄与することによって、プロテアーゼとプロテアーゼ阻害剤間の複雑なバランスを不安定化する可能性が高い。この状況の中で、細胞接着および運動性の調節に複雑に関与する2つの他の遺伝子、すなわち、分化間葉構造の一部であるインテグリンα10(ITGA10)、および細胞脂質二重層構造に由来するジホスホイノシトールポリリン酸と主としてアデノシン三リン酸(ATP)に基づくジアデノシンポリリン酸とを加水分解することができるnudix(ヌクレオシド二リン酸結合部分X)型モチーフヒドラーゼ11(NUDT11)の有意なダウンレギュレーションも観察された。
遺伝子発現のこれらの変化の帰結は上皮バリア機能の崩壊であると予想され、これは、おそらく、細胞レベルで(それに接着しているアクチン細胞骨格の非協調的蓄積および運動に起因する細胞二重層内の継続的せん断応力)で開始し、細胞外基質組成自体の崩壊によって悪化する。このことは、GOLDステージIからGOLDステージIVへのCOPDの進行中にKIAA1199遺伝子の遺伝子発現の有意な増加によって裏付けられる(図5Bを参照されたい)。細胞接着および接触阻害を媒介すること(Tian et al., 2013)に加えて、KIAA1199の発現増加は、癌細胞のサイトゾルへの小胞体(ER)内容物の漏出の原因となることがつい最近実証された(Evensen et al., 2013)。さらに、KIAA1199の発現増加は、細胞外基質の主成分の1つである高分子量ヒアルロン酸(HMM−HA)を分解することができる酵素であるヒアルロニダーゼ(HAアーゼ)を活性化することができる(Toole., 2004)。ヒアルロン酸(HA)によって誘発される生物学的応答は、HAポリマー長に依存する。HMM−HAは強い抗炎症特性を有する(Kothapalli et al., 2007)のに対して、低分子量HAは炎症および同時細胞増殖を促進する(Pure et al., 2009)。この見解の裏付けとして、HAの分解はHAの低分子量断片の生成によって皮膚炎症を誘発することが証明されている(Yoshida et al., 2013)。
これと一致して、HAシンターゼ(HAS1−3)の発現はCOPD進行中に変化されないが(図5Gを参照されたい)、ヒアルロニダーゼ2(HYAL2)遺伝子は、GOLDステージI〜IIIの間にアップレギュレートされる(図5Cも参照されたい)。実際、HYAL1およびHYAL2両方の発現パターンは、KIAA1199の発現パターンに準じ、したがって、COPD進行中の修復の最も強い再生相(慢性気管支炎およびCOPD GOLD I)中にダウンレギュレーションを示す。そしてまたKIAA1199のアップレギュレーションは、toll様受容体4(TLR4)シグナル伝達などの典型的な表面免疫メカニズムによって刺激されてマクロファージにおいて発現されるホスファチジルセリン特異的ホスホリパーゼであるPLA1A遺伝子(Wakahara et al., 2007)のアップレギュレーションと同時に起こる(図5Bを参照されたい)。KIAA1199発現増強とPLA1A発現増強両方がGOLD基準による肺機能の短期悪化と関係があることが判明した(図5Bも参照されたい)。
COPD進行中の血管新生促進媒介因子の減少
有効な器官修復は、上皮、間葉および内皮増殖の空間的制御を同時に指示するメカニズムを必要とする。しかし、上皮および間葉性修復に寄与する遺伝子機能とは対照的に、血管新生および血管分化を促進する遺伝子発現は、慢性気管支炎が存在し次第、減少することが判明した。図8Dにも示すように、COPDの発生(GOLDステージIおよびII)中にこの遺伝子発現パターンは有意に進行した。GOLDステージIで起こるBex1およびグレリン(GHRL)遺伝子位発現の増加でさえ、DMBT1およびAZGP1などの上皮増殖の再生を目的とした遺伝子機能と比較してかなり小さく、ほんのわずかである。FIBIN(鰭芽開始因子ホモログ)、ESM1(内皮細胞特異的分子1)およびグレリン(GHRL)などの機能の一部が、ある程度、初期器官発生相で媒介因子として作用することは公知である。例えば、FIBINは、初期脈管形成に極めて重要である(Paffett-Lugassy et al., 2013)中胚葉側板発生に関与し(Wakahara et al., 2007)、ESM1は、VEGF−A依存性シグナル伝達を媒介し(Zhang et al., 2012)、概して、腫瘍血管新生(Zhang et al., 2012、Roudnicky et al., 2013、Chen et al., 2010)および再生創傷治癒(Bechard et al., 2001)を含む血管組織増殖中に発現される。
その一方で、グレリンは、肺気腫発症に特有の過剰アポトーシスを防止する継続的上皮酸素およびエネルギー供給(Mimae et al., 2013)に極めて重要である、微小血管発生の典型的なマーカーである(Li et al., 2007、Wang et al., 2012、Rezaeian et al., 2012)。BEX1およびBEX5(脳発現性、X連鎖1および5)は、p75NTRシグナル伝達事象に干渉するアダプター分子をコードする遺伝子である。p75NTRは、神経成長因子(NGF)シグナル伝達の中心となる2つの受容体の1つである。BEX1は、増殖停止条件下でNGFに応答して細胞増殖維持を誘導することが公知である一方で、血管新生および血管形成へのその関与の可能性について分かっていることはそれよりはるかに少ないが、NGFシグナル伝達自体が血管新生を促進することは周知である(Cantarella et al., 2002)。1つの可能性のある相互作用は、BEX1遺伝子発現低減がp75NTRシグナル伝達効力を増加させることになり、p75NTRシグナル伝達の遮断は内皮アポトーシスを有意に減少させるので、その増加に起因して内皮アポトーシスが増加することになるというものでありうる(Han et al., 2008、Caporali et al., 2008)。そしてまた、BEX5プロモーターは、血管新生中に有意にアップレギュレートされる、アンジオポエチン2の直接転写活性化因子である、TAL1(T細胞急性リンパ球性白血病1)の調節結合部位を含有する(Deleuze et al., 2012)。しかし、TAL1は、図8Dにも示すように、COPD進行中にダウンレギュレートもされる。
免疫応答のステージ依存性活性化
COPD進行中に測定された遺伝子発現の有意な変化に基づいて、4つの連続する遺伝子発現相を区別した:第1相は、図5A〜5Eにも示すように、急性免疫応答に関与する遺伝子、例えばフィブリノーゲン(FGG)(Duvoix et al., 2013、Cockayne et al., 2012)、ならびにアリール炭水化物受容体(AHR)シグナル伝達の産物、例えばCYP1A1(チトクロムP450、ファミリー1、サブファミリーA、ポリペプチド1)およびCYP1B1(チトクロムP450、ファミリー1、サブファミリーB、ポリペプチド1)発現の急速な増加を特徴とする。これは、癌胎児抗原(CEA)関連細胞接着分子(CEACAM)の、特に、CEACAM5遺伝子の発現増加も含む(図5Aおよび5Dを参照されたい)。慢性気管支炎を依然として提示するが肺機能の有意な変化のないこの初期ステージ(COPD「リスクがある」)で、主に適応免疫の機能を媒介する遺伝子、例えば、RASGRF2(Rasタンパク質特異的グアニンヌクレオチド放出因子2)、KIAA1199またはCXCL3の発現は有意には変化されなかった(図5Hおよび5Fも参照されたい)。第2相(GOLDステージIを表す)では、これらの遺伝子の発現は安定したままであるか、ある程度減少さえした(図4Aおよび5Aを参照されたい)。これは、GOLDステージIで最も力を入れた再生修復努力の安定化結果をおそらく反映している(図6Aも参照されたい)。しかし、GOLDステージIIおよびIIIを含む第3相は、CYP1A1、CYP1A2およびCYP1B1などのAHRシグナル伝達増加を示す遺伝子を含む、免疫に関連するすべての遺伝子の発現の有意な増加を特徴とした(図5A、5Eおよび5Fも参照されたい)。後述のもの(複数)は、タバコ喫煙の影響を反映する可能性が最も高い。参加者の4分の3がこのステージではまだ能動喫煙者であったのでなおさらである(図3Cを参照されたい)。特にGOLDステージIIおよびIII中に、AHRシグナル伝達事象を阻害することが公知のアリール炭水化物受容体リプレッサー(AHRR)遺伝子のレベル上昇にもかかわらず、AHRシグナル伝達増強を示す遺伝子発現増加を実証することができた。
それにもかかわらず、3年の期間にわたってCOPDの発生に取り組む遺伝子発現の短期解析(図5Aおよび5D、中央も参照されたい)は、FGG発現(図5Dも参照されたい)に匹敵して、気管支炎の強度をはるかによく反映するようであるCEACAM5のさらなる発現より、肺機能の悪化に対するAHRシグナル伝達の全影響のほうが重要であることを示す。GOLDステージIVを表す第4相は、COPD発生のより初期の相中にアップレギュレートされた免疫関連機能の大多数の顕著なダウンレギュレーションを示し、これは、細胞の再生および分化を制御する遺伝子の調節に匹敵する。しかし、興味深いことに、これは、KIAA1199およびRASGRF2遺伝子の発現には当てはまらず、これの遺伝子は両方とも、GOLDステージIVででもアップレギュレートされ、後述のものは、アクチン細胞骨格の阻害によって細胞運動にもまた影響を及ぼすことができる(Calvo et al., 2011):RASGRF2は、T細胞の活性化にも関与するGTPアーゼRASの活性化因子の1群に属し、NF−AT、IL−2およびTNF−αの誘導に必要とされる(Ruiz et al., 2007)。
この状況の中で、RASを継続的に活性化することができる、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)セブンレスの息子ホモログ1(SOS1)の緩徐だが不断の、非常に有意なアップレギュレーション(図8Aを参照されたい)は、後期ステージCOPDに特有の気管支壁瘢痕化を助長する慢性炎症性プロセスに有意に寄与しうる。
癌胎児抗原関連細胞接着分子(CEACAM)ファミリーのメンバーは、不透明(Opa)タンパク質を発現する髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)およびモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)などの、ヒト気道の表面でコロニーを形成することが多い典型的なグラム陰性菌の細胞受容体として役立つ(Muenzner et al., 2010、Bookwalter et al., 2008、Muenzner et al., 2005)。分類不能なインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)およびモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)は、宿主細胞でのそれらのそれぞれの受容体の発現を増加させることができることが、最近示唆された(Klaile et al., 2013)。しかし、CEACAMファミリーメンバーの発現とCOPDとの相関関係は、その研究で用いられた条件下で見いだされなかった。本研究では、CEACAM5遺伝子の発現だけは、一般には炎症反応後のGOLDステージIIIまで有意に増加したが、その後、GOLDステージIVでは有意に減少した。しかし、これは、CEACAM5の持続的アップレギュレーションの結果としての粘膜炎症の増悪を除外するものではない。CEACAM5の発現は、気管支炎症の強度の漸増と相まって増加することが判明したのでなおさらである(図5Dを参照されたい)。
結論
2007年〜2012年の間、前向き比較対照パイロット試験を最終的に志願者120名で行って、COPDの進行を示す代謝マーカーを同定した。COPDの進行と変動性の両方を説明する臨床マーカーを同定するためにこれまでに行われた最も大きな最も精緻な研究であるECLIPSE試験デザイン(Vestbo et al., 2011)の一部を採用することによって、Vienna COPD研究は、検証済み臨床的尺度の比較対照評価と、COPD病態の病巣を代表する肺組織におけるゲノムワイドな遺伝子転写の教師なしの評価(unsupervised assessment)(Hogg HC, 2004 (b))を併用した。遺伝子発現と臨床的発生の相関関係は、a)来院1における(閉塞性肺疾患のためのグローバルイニシアティブ;GOLDによる)不可逆的肺閉塞の程度に、b)来院1〜3の間(3年の期間を対象に含める)のGOLDによる不可逆的閉塞の悪化に、およびc)来院1および3における構造化された病歴の中で記録された気管支炎の強度増加を示す症状に基づく。
この解析によって、肺の構造および防御の正常な維持からの6つの大きな逸脱を示す遺伝子発現の変化が明らかになった:(1)上皮および(2)血管の再生を誘導する機能の、(3)線維増殖性修復のメカニズムの持続性および増加性活性化と相まった、漸進的喪失(これらが組み合わさって、COPD進行中の再生修復から線維性修復への移行を示す);(4)再生修復活性が最も高いGOLDステージIでは弱められており、その後GOLDステージIIおよびIIIで最高に達する、気管支炎症の増強;(5)最終的に免疫不全に結びつくGOLDステージIVでの構造維持の完全喪失(これらは両方とも瘢痕組織の形成を示唆する);そして最後に、細胞骨格を形成するアクチンポリマーの細胞内分布、凝集および分離を制御する機能の急速かつ持続的なダウンレギュレーション(6)。最後の発見は、対応する遺伝子の転写の変化、特に、TMSB15A,、DPP6、NUDT11およびPRICKLE2のダウンレギュレーションが、GOLDステージ0(COPD「リスクがある」)で、肺機能の何らかの変化が測定可能になる前に、既に観察されたので、特に興味深い。この顕著な喪失は、気管支炎症を左右する機能の有意な増加とともに起こり、したがって、これらの変化が気管支に持続的炎症の素因をもたらす最初のものである可能性があることを示唆している。TMSB15A、DPP6、NUDT11およびPRICKLE2遺伝子のそのような初期の同時ダウンレギュレーションの結果を以下で論ずることにする。
チモシンベータ15A(TMSB15A)は、細胞運動中のアクチンフィラメントの解重合に必要である、WH2(WASP−ホモログ2)ドメイン結合タンパク質群に属する(Husson et al., 2010、Hertzog et al., 2004)。そしてまたアクチンフィラメントの形成および高速運動は、細胞分裂、挿入および細胞の押し出しなどのプロセスに不可欠である。これは、頂底細胞極性の調節にも当てはまり(Nishimura et al., 2012)、よりいっそう重要なこととして、タイトジャンクションおよび接着結合の形成および維持にも当てはまる(Shen et al., 2005、Calautti et al., 2002)。これらの複雑な膜動態は、外部および内部応力に対する答えであるのみならず、正常な組織増殖の一部でもあり、したがって、エネルギー依存性である。アクチン骨格の構築は非常に動的であり、細胞の絶えず移動している脂質境界からなる透過不能流体様シールドとして動作する上皮細胞層を作る(Guillot et al., 2013)。したがって、TMSB15Aの持続的ダウンレギュレーションは、上皮バリア機能の反復撹乱の原因となる細胞運動中の表面脂質層のあらゆる急速適応配列を防止する可能性が高い。
その一方で、DPP6は、膜結合カリウムチャネルに作用することによって膜電位を安定させることが公知であり、アクチン細胞骨格の組織化にも顕著な影響を及ぼし(Chifflet et al., 2003)、これはバリア機能障害の認識を裏付ける。同じことが、NUDT11遺伝子発現のダウンレギュレーションに当てはまる。ヌクレオシド二リン酸結合部分X(nudix)型モチーフ11(NUDT11)遺伝子は、小胞輸送に、サッカロミセス属(Saccharomyces)における細胞壁完全性の維持に、および環境塩ストレスに対する細胞応答の媒介に不可欠な高エネルギーリン酸塩を生じさせる、3型ジホスホイノシトールポリリン酸ホスホヒドロラーゼをコードする(Dubois et al., 2002)。細胞骨格内のFおよびGアクチン線維の適応構築は数秒で起こるので、あらゆる細胞膜の不可欠構成要素である高エネルギージホスホイノシトールポリリン酸がすぐに利用できるエネルギー源として利用されることになる。
これらの発見は、上皮バリアの支持に必要な遺伝子の同時発生調節異常を指し示す。さらに、PRICKLE2遺伝子のダウンレギュレーションがマウス胚形成中の分極上皮層の形成に極めて重要であることも証明された(Tao et al., 2012)。しかし、4つすべての遺伝子(すなわち、TMSB15A、DPP6、NUDT11およびPRICKLE2)の発現減少は気管支炎症の有意な減少を伴い、したがって、細胞骨格構築と気管支の活性化の機能的に相互に関連している特徴を誘導する遺伝子のダウンレギュレーション同士の機能的相関関係を示唆した。これは、保護上皮シールドの喪失と慢性気管支炎の増悪の間の直接的関連を示すので、気管支炎症の進行に新たな光を当てる。そのような効果の物理化学的性質に基づいて、あらゆる潜在的抗原またはアレルゲンによる上皮膜の透過は、特に、繰り返される煙による損傷に起因するまたはウイルス感染後の修復強化中に増進される可能性が高い。このことにより、COPDに特有の炎症状態の著しい不均一性を説明することができるばかりでなく、継続している炎症にもかかわらず強い細胞再生を達成する能力が炎症誘発性遺伝子発現の抑制に役立つ可能性があるという観察も説明することができるだろう。
この見解は、COPD進行中のプロテアーゼ阻害剤システインM/E(CST6)の有意なダウンレギュレーションによってさらに裏付けられる(図4Aも参照されたい)。CST6が角質層の恒常性を制御することは公知であり、マウスにおけるその欠損は重症魚鱗癬および新生仔致死の原因となる(Zeeuwen et al., 2009)。上皮構造の完全性を保つことが公知のより後のCOPD相でのプロテアーゼ阻害剤の漸進的喪失は、上皮層の崩壊によってばかりでなく、基質自体の破壊の助長によっても、保護バリア機能の欠如に寄与する可能性が最も高い。
これに関連して、基質ヒアルロニダーゼの活性を有意に増加させることが実証されているKIAA1199遺伝子の強力なアップレギュレーションは、おそらく同様に重要である。このアップレギュレーションは、本研究の比較的短い観察期間内でさえ肺機能の有意な悪化と直接関連するからである(図5Bも参照されたい)。大量の高分子量ヒアルロナンを含有する基質構造はもちろん、ヒアルロニダーゼ活性の阻害も、炎症および癌進行の両方を防ぐことが、最近証明された(Tian et al., 2013)。要約すると、これらの発見は、気管支表面を襲う物理化学的攻撃の頻度および強度によって変わる強まっていく非特異的気管支炎症の原因となるCOPD発生の気管支表面完全性の漸進的破壊についての初めての決定的証拠を提供する
本明細書に記載する結果によると、これらの攻撃に対する応答は、末梢気管支における緩徐な漸進的瘢痕化プロセスであって、それによって、CTHRC1、SOS1およびNTRK2遺伝子の複合アップレギュレーション(図8Aも参照されたい)が優先的間葉性創傷治癒のメカニズムを示す可能性が高い一方で、PRRX1およびCOMP遺伝子のステージ依存性発現が正常な器官の修復へのそれらの関与も示唆し、したがって、再生修復中の正常な基質支持と器官の再生修復能力の漸進的欠如の結果としての瘢痕化との間の曖昧さを明示するプロセスである。
これは、FIBIN、TAL1、BEX1/5およびグレリン(GHRL)遺伝子の発現の同時減少によって実証されるように(図8Dも参照されたい)、血管樹の再生増殖機能を主として制御する遺伝子の漸進的ダウンレギュレーションとよく合致する。ここで再び、GOLDステージI中の優先的再生修復メカニズムを利用する末梢肺の能力の漸増が明らかになる。BEX1およびGHRLはこのステージで増加するが、COPDのさらなる進行中に漸進的に減少するからである。
このように、このCOPD AUVA研究において、COPDの臨床的進行と肺組織における遺伝子発現の生物学的解析との相関関係を証明することに成功した。詳細には、健常対象からの肺組織サンプルにおける対応する遺伝子の発現と比較して、遺伝子KIAA1199、DMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2およびCOMPの発現は、進行期COPDを発生させ易い対象からの肺組織サンプルでは増加するが、遺伝子TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLの発現は、進行期COPDを発生させ易い対象からの肺組織サンプルでは減少することを実証した。したがって、これらの分子バイオマーカーを本発明に従って、特に本発明の第2の態様の方法で、対象の進行期COPDの発生に対する感受性/易発性を評価するために使用することができる。さらに、健常対象からの肺組織サンプルにおける対応する遺伝子の発現と比較して、遺伝子DMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2およびCOMPの発現は、安定期COPDに罹患しているまたは罹患し易い対象からの肺組織サンプルでは増加するが、遺伝子KIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLの発現は、安定期COPDに罹患しているまたは罹患し易い対象からの肺組織サンプルでは減少することも実証した。これは、これらのバイオマーカーが、本発明による、特に本発明の第3の態様の方法における、安定期COPDの診断または安定期COPDの発生に対する対象の感受性の評価に適していることを示す。
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Claims (77)

  1. 対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップを含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断のためのインビトロ方法。
  2. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)のインビトロ診断用のマーカーとしてのTMSB15Aの使用。
  3. 不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法であって、
    − 前記対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップと、
    − 前記対象からのサンプルにおけるTMSB15Aの発現レベルを、健常対象におけるTMSB15Aの対照発現レベルと比較するステップと、
    − 前記対象が、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いか否かを判定するステップと
    を含み、TMSB15Aの前記対照発現レベルと比較して前記対象からのサンプルにおけるTMSB15Aの発現レベルの減少が進行期COPDの易発性を示す、方法。
  4. − 前記対象から得たサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
    − 前記1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを、健常対象における対応する遺伝子の対照発現レベルと比較するステップと、
    − 前記対象が、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いか否かを判定するステップと
    をさらに含み、
    前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルの増加が進行期COPDの易発性を示し、
    前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して前記対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルの減少が進行期COPDの易発性を示す、
    請求項3に記載の方法。
  5. FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2およびRASGRF2から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルが判定される、請求項4に記載の方法。
  6. ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2およびRND1から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルが判定される、請求項4または5に記載の方法。
  7. DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51BおよびNUDT11から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルが判定される、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. DMBT1の発現レベルが判定される、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. KIAA1199の発現レベルが判定される、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. DMBT1およびKIAA1199の発現レベルが判定される、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
  11. DMBT1の発現レベルと、KIAA1199の発現レベルと、FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2、RASGRF2、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、DPP6、SLC51BおよびNUDT11から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルとが判定される、請求項4に記載の方法。
  12. 試験される遺伝子の数の大多数の発現レベルが、(i)前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加さし、(ii)前記対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味で改変される場合、前記対象が、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと判定される、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 試験される遺伝子の数の大多数の発現レベルが、(i)前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して少なくとも3倍に増加し、(ii)前記対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して3分の1以下に減少するという意味で改変される場合、前記対象が、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと判定される、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 試験される遺伝子の数の少なくとも70%の発現レベルが、(i)前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加し、(ii)前記対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味で改変される場合、前記対象が、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと判定される、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。
  15. 試験される遺伝子の数の少なくとも70%の発現レベルが、(i)前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して少なくとも3倍に増加し、(ii)前記対象からのサンプルにおけるTMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して3分の1以下に減少するという意味で改変される場合、前記対象が、不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと判定される、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記対象が哺乳動物である、請求項3〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記対象がヒトである、請求項3〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記対象が、安定期COPDに罹患していると診断されている、または安定期COPDに罹患していることが疑われる、請求項3〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記対象から得たサンプルが、肺組織サンプルである、請求項3〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記対象から得たサンプルが、経気管支肺生検サンプルまたは気管支肺胞洗浄サンプルである、請求項3〜18のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記対象からのサンプルにおけるTMSB15Aおよび該当する場合には前記1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルが、前記対応する遺伝子の転写レベルを判定することによって判定される、請求項3〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記転写レベルが、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を使用して判定される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記転写レベルが、マイクロアレイを使用して判定される、請求項21に記載の方法。
  24. 前記対象からのサンプルにおけるTMSB15Aおよび該当する場合には前記1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルが、前記対応する遺伝子の翻訳レベルを判定することによって判定される、請求項3〜20のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記対照発現レベルが、健常対象から得たサンプルにおける前記対応する遺伝子の発現レベルを判定することによって確証される、請求項3〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 対象の安定期慢性閉塞性肺疾患(COPD)を診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法であって、
    − 前記対象から得たサンプルにおける遺伝子TMSB15Aの発現レベルを判定するステップと、
    − 前記対象からのサンプルにおけるTMSB15Aの発現レベルを、健常対象におけるTMSB15Aの対照発現レベルと比較するステップと、
    − 前記対象が、安定期COPDに罹患しているか否か、または安定期COPDに罹患し易いか否かを判定するステップと
    を含み、TMSB15Aの前記対照発現レベルと比較して前記対象からのサンプルにおけるTMSB15Aの発現レベルの減少が安定期COPDまたは安定期COPDの易罹患性を示す、方法。
  27. − 前記対象から得たサンプルにおけるDMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
    − 前記1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルを、健常対象における前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較するステップと、
    − 前記対象が安定期COPDに罹患しているか否か、または安定期COPDに罹患し易いか否かを判定するステップと
    をさらに含み、
    前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルの増加が安定期COPDまたは安定期COPDの易罹患性を示し、
    前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して前記対象からのサンプルにおけるTMSB15A、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルの減少が安定期COPDまたは安定期COPDの易罹患性を示す、
    請求項26に記載の方法。
  28. FGG、CYP1A1、CEACAM5、CTHRC1、NTRK2およびRASGRF2から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルが判定される、請求項27に記載の方法。
  29. ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2およびRND1から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルが判定される、請求項27または28に記載の方法。
  30. DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51BおよびNUDT11から選択される少なくとも1つのさらなる遺伝子の発現レベルが判定される、請求項27〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. DMBT1の発現レベルが判定される、請求項27〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. KIAA1199の発現レベルが判定される、請求項27〜30のいずれか一項に記載の方法。
  33. DMBT1およびKIAA1199の発現レベルが判定される、請求項27〜30のいずれか一項に記載の方法。
  34. 試験される遺伝子の数の大多数の発現レベルが、(i)前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加し、(ii)前記対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味で改変される場合、前記対象が、安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いと判定される、請求項27〜33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 試験される遺伝子の数の大多数の発現レベルが、(i)前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して少なくとも3倍に増加し、(ii)前記対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して3分の1以下に減少するという意味で改変される場合、前記対象が、安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いと判定される、請求項27〜33のいずれか一項に記載の方法。
  36. 試験される遺伝子の数の少なくとも70%の発現レベルが、(i)前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して増加し、(ii)前記対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して減少するという意味で改変される場合、前記対象が、安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いと判定される、請求項27〜33のいずれか一項に記載の方法。
  37. 試験される遺伝子の数の少なくとも70%の発現レベルが、(i)前記対象からのサンプルにおけるDMBT1、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、FGG、CEACAM5、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、NTRK2および/またはCOMPの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して少なくとも3倍に増加し、(ii)前記対象からのサンプルにおけるKIAA1199、TMSB15A、DPP6、SLC51B、NUDT11、PLA1A、HYAL2、CST6、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1および/またはGHRLの発現レベルが前記対応する遺伝子の対照発現レベルと比較して3分の1以下に減少するという意味で改変される場合、前記対象が、安定期COPDに罹患しているまたは安定期COPDに罹患し易いと判定される、請求項27〜33のいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記対象が哺乳動物である、請求項26〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記対象がヒトである、請求項26〜38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記対象が、安定期COPDに罹患していることが疑われる、または安定期COPDに罹患し易いことが疑われる、請求項26〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記対象から得たサンプルが、肺組織サンプルである、請求項26〜40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 前記対象から得たサンプルが、経気管支肺生検サンプルまたは気管支肺胞洗浄サンプルである、請求項26〜40のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記対象からのサンプルにおけるTMSB15Aおよび該当する場合には前記1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルが、前記対応する遺伝子の転写レベルを判定することによって判定される、請求項26〜42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記転写レベルが、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を使用して判定される、請求項43に記載の方法。
  45. 前記転写レベルが、マイクロアレイを使用して判定される、請求項43に記載の方法。
  46. 前記対象からのサンプルにおけるTMSB15Aおよび該当する場合には前記1つまたは複数のさらなる遺伝子の発現レベルが、前記対応する遺伝子の翻訳レベルを判定することによって判定される、請求項26〜42のいずれか一項に記載の方法。
  47. 前記対照発現レベルが、健常対象から得たサンプルにおける前記対応する遺伝子の発現レベルを判定することによって確証される、請求項26〜46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期慢性閉塞性肺疾患の発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法における遺伝子TMSB15Aの転写産物のためのプライマー対の使用。
  49. 不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期慢性閉塞性肺疾患の発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法における遺伝子TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブの使用。
  50. 不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期慢性閉塞性肺疾患の発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法における、TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブを含み、DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つもしくは複数のさらなる遺伝子の転写産物に対する核酸プローブを場合により含むマイクロアレイの使用。
  51. 不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期慢性閉塞性肺疾患の発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ診断方法におけるタンパク質TMSB15Aに対する抗体の使用。
  52. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療する方法であって、請求項3〜25のいずれか一項に記載の方法で不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと同定された対象にCOPDに対する薬物を投与することを含む方法。
  53. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する薬物であって、請求項3〜25のいずれか一項に記載の方法で不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと同定された対象のCOPDの治療における使用のための薬物。
  54. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する薬物の使用であって、請求項3〜25のいずれか一項に記載の方法で不可逆的肺損傷の出現が関与する進行期COPDを発生させ易いと同定された対象のCOPDを治療するための医薬組成物の調製における使用。
  55. COPDに対する前記薬物が、ビトルテロール、カルブテロール、フェノテロール、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ツロブテロール、アルホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、オロダテロール、サルメテロール、インダカテロール、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクロソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメンタゾン、トリアムシノロン、アクリジニウム臭化物、グリコピロニウム臭化物、イプラトロピウム臭化物、オキシトロピウム臭化物、チオトロピウム臭化物、クロモグリク酸塩、ネドクロミル、アセフィリン、アンブフィリン、バミフィリン、ドキソフィリン、エンプロフィリン、エタミフィリン、プロキシフィリン、テオブロミン、テオフィリン、アミノフィリン、コリンテオフィリン、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト、ジロートン、ラマトロバン、セラトロダスト、イブジラスト、ロフルミラスト、アンレキサノクス、エプロジノール、フェンスピリド、オマリズマブ、エピネフリン、ヘキソプレナリン、イソプレナリン、イソプロテレノール、オルシプレナリン、メタプロテレノール、アトロピン、または前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩、またはそれらの任意の組合せである、請求項52に記載の方法または請求項53に記載の使用のための薬物または請求項54に記載の使用。
  56. COPDに対する前記薬物がロフルミラストである、請求項55に記載の方法または請求項55に記載の使用のための薬物または請求項55に記載の使用。
  57. 対象の安定期慢性閉塞性肺疾患(COPD)を診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法における遺伝子TMSB15Aの転写産物のためのプライマー対の使用。
  58. 対象の安定期慢性閉塞性肺疾患(COPD)を診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法における遺伝子TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブの使用。
  59. 対象の安定期慢性閉塞性肺疾患(COPD)を診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法における、TMSB15Aの転写産物に対する核酸プローブを含み、DMBT1、KIAA1199、DPP6、SLC51B、NUDT11、ELF5、AZGP1、PRRX1、AQP3、SFN、GPR110、GDF15、RASGRF2、RND1、PLA1A、FGG、CEACAM5、HYAL2、AHRR、CXCL3、CYP1A1、CYP1B1、CYP1A2、CST6、NTRK2、COMP、ITGA10、CTHRC1、TAL1、FIBIN、BEX5、BEX1、ESM1およびGHRLから選択される1つもしくは複数のさらなる遺伝子の転写産物に対する核酸プローブを場合により含むマイクロアレイの使用。
  60. 対象の安定期慢性閉塞性肺疾患(COPD)を診断するまたは安定期COPDの発生に対する対象の感受性を評価するインビトロ方法におけるタンパク質TMSB15Aの転写産物に対する抗体の使用。
  61. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)を治療または予防する方法であって、請求項26〜47のいずれか一項に記載の方法で安定期COPDに罹患しているとまたは安定期COPDに罹患し易いと同定された対象にCOPDに対する薬物を投与することを含む方法。
  62. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する薬物であって、請求項26〜47のいずれか一項に記載の方法で安定期COPDに罹患しているとまたは安定期COPDに罹患し易いと同定された対象のCOPDの治療または予防における使用のための薬物。
  63. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する薬物の使用であって、請求項26〜47のいずれか一項に記載の方法で安定期COPDに罹患しているとまたは安定期COPDに罹患し易いと同定された対象のCOPDを治療または予防するための医薬組成物の調製における使用。
  64. COPDに対する前記薬物が、ビトルテロール、カルブテロール、フェノテロール、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ツロブテロール、アルホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、オロダテロール、サルメテロール、インダカテロール、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクロソニド、フルニソリド、フルチカゾン、モメンタゾン、トリアムシノロン、アクリジニウム臭化物、グリコピロニウム臭化物、イプラトロピウム臭化物、オキシトロピウム臭化物、チオトロピウム臭化物、クロモグリク酸塩、ネドクロミル、アセフィリン、アンブフィリン、バミフィリン、ドキソフィリン、エンプロフィリン、エタミフィリン、プロキシフィリン、テオブロミン、テオフィリン、アミノフィリン、コリンテオフィリン、モンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト、ジロートン、ラマトロバン、セラトロダスト、イブジラスト、ロフルミラスト、アンレキサノクス、エプロジノール、フェンスピリド、オマリズマブ、エピネフリン、ヘキソプレナリン、イソプレナリン、イソプロテレノール、オルシプレナリン、メタプロテレノール、アトロピン、または前述の薬剤のいずれかの医薬的に許容される塩、またはそれらの任意の組合せである、請求項61に記載の方法または請求項62に記載の使用のための薬物または請求項63に記載の使用。
  65. COPDに対する前記薬物がロフルミラストである、請求項64に記載の方法または請求項64に記載の使用のための薬物または請求項64に記載の使用。
  66. 対象の慢性閉塞性肺疾患(COPD)の進行をモニタリングするインビトロ方法であって、
    − 前記対象から得た第1のサンプルにおけるNTRK2およびRASGRF2から選択される1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
    − 前記第1のサンプルより後の時点で前記対象から得た第2のサンプルにおける前記1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを判定するステップと、
    − 前記第2のサンプルにおける前記1つまたは複数の遺伝子の発現レベルを、前記第1のサンプルにおける前記対応する遺伝子の発現レベルと比較するステップと、
    − 前記対象のCOPDの進行を評価するステップと
    を含み、
    前記第1のサンプルにおける前記対応する遺伝子の発現レベルと比較して前記第2のサンプルにおけるNTRK2および/またはRASGRF2の発現レベルの減少が前記対象のCOPDの寛解を示し、
    前記第1のサンプルにおける前記対応する遺伝子の発現レベルと比較して前記第2のサンプルにおけるNTRK2および/またはRASGRF2の発現レベルの増加が前記対象のCOPDの悪化を示す、方法。
  67. 前記遺伝子NTRK2のおよび場合により前記遺伝子RASGRF2の発現レベルが判定される、請求項66に記載の方法。
  68. 前記遺伝子NTRK2およびRASGRF2の発現レベルが判定される、請求項66または67に記載の方法。
  69. 前記対象が哺乳動物である、請求項66〜68のいずれか一項に記載の方法。
  70. 前記対象がヒトである、請求項66〜69のいずれか一項に記載の方法。
  71. 前記対象が、COPDに罹患していると診断されている、請求項66〜70のいずれか一項に記載の方法。
  72. 前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルが、肺組織サンプルである、請求項66〜71のいずれか一項に記載の方法。
  73. 前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルが、経気管支肺生検サンプルであり、または前記第1のサンプルおよび前記第2のサンプルが、気管支肺胞洗浄サンプルである、請求項66〜71のいずれか一項に記載の方法。
  74. 前記第1のサンプルにおけるまたは前記第2のサンプルにおける前記1つまたは複数の遺伝子の発現レベルが、前記対応する遺伝子の転写レベルを判定することによって判定される、請求項66〜73のいずれか一項に記載の方法。
  75. 前記転写レベルが、定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応を使用して判定される、請求項74に記載の方法。
  76. 前記転写レベルが、マイクロアレイを使用して判定される、請求項74に記載の方法。
  77. 前記第1のサンプルにおけるまたは前記第2のサンプルにおける前記1つまたは複数の遺伝子の発現レベルが、前記対応する遺伝子の翻訳レベルを判定することによって判定される、請求項66〜73のいずれか一項に記載の方法。
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