JP2017517255A - 微粉化ホウォートンゼリー - Google Patents

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Abstract

本発明は、対象の損傷領域に送達した場合に、その修復および/または再生のために損傷領域から僅かに移動するか移動することなく実質的に局在化されたままであるように制御された粘度を有する微粉化ホウォートンゼリーの組成物および製剤を提供する。微粉化ホウォートンゼリーを生理食塩水、滅菌水または任意の好適な緩衝液などの薬学的に許容される水性担体に懸濁させて懸濁液またはゼリー状ゲル組成物を形成することができ、あるいは対象の関節面軟骨の損傷領域に隣接する空間への送達に適したペーストの形態にすることができる。微粉化ホウォートンゼリーは十分な濃度で用いた場合、水和させてゲルまたはペーストにして局所投与したり、針および注射器を使用して体内に注射したりすることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、微粉化ホウォートンゼリー、微粉化ホウォートンゼリーを含む組成物および製剤ならびに微粉化ホウォートンゼリー、その組成物および製剤の使用方法に関する。
関節面欠損としては、スポーツ関連外傷による損傷、衝撃損傷または長期間持続する過去の損傷が挙げられる。例えばスポーツへの参加中に生じる急性および繰り返しの衝撃や捻挫した関節への負荷は関節面を損傷させて、疼痛、関節機能障害および浸出を引き起こし得る。場合によっては、この特定の表面損傷は、進行性の関節変性や変形性関節症に繋がる。大抵の場合、関節をさらなる損傷から保護すれば、関節面を破壊しない損傷であれば修復することができる。関節軟骨の機械的破壊は軟骨細胞の合成活性を刺激するが、それにより損傷が修復されることは稀である。軟骨下骨の破壊は軟骨および骨の修復を刺激するが、それにより正常な関節軟骨の生物学的および機械的特性を再現することができる関節面が回復されることは稀である。関節面欠損は自然に治癒または再生させるのが難しい。
ホウォートンゼリーは、哺乳類の臍帯に存在する粘性のゼリー状物質である(以下、「天然ホウォートンゼリー」と呼ぶ)。天然ホウォートンゼリーは、大量の宿主細胞外マトリックス(ECM)成分(コンドロイチン硫酸、コラーゲン、ヒアルロン酸(HA)、プロテオグリカンを含む)および幹細胞を含む。天然ホウォートンゼリーは、例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様増殖因子I(IGF−I)、形質転換増殖因子β(TGF−β)、血小板由来増殖因子(PDGF)および表皮増殖因子(EGF)などの増殖因子も含んでいることがある。天然ホウォートンゼリーは顕著な弾性特性ならびに水分子の結合も有する。
関節面欠損に対処する場合、「修復または再生」法が典型的に使用される。「修復」とは損傷した組織の治癒すなわち細胞増殖および新しいECMによる置換を指す。「再生」とは元の組織と同一の完全に新しい関節面の形成を指す。走化性により細胞増殖を引き起こし、ECMを運び、かつ硝子軟骨への細胞分化を促進する重要な増殖因子を導入して修復または再生を支援する。
天然ホウォートンゼリーは関節面軟骨の修復および再生の両方に必須の要素を提供すると考えられているが、修復および/または再生のために体内に送達するのが難しい粘性のゼラチンである。従って、その関節面軟骨の修復および/または再生のために対象の損傷領域に容易かつ確実に送達することができる天然ホウォートンゼリーの提供が求められている。
一態様では、本発明は、対象の損傷領域に送達されると、その修復および/または再生のために損傷領域から僅かに移動するか移動することなく実質的に局在化されたままであるように制御された粘度を有する微粉化天然ホウォートンゼリーを有する組成物および製剤を提供する。いくつかの実施形態では、本発明に係る微粉化天然ホウォートンゼリーを、生理食塩水、滅菌水または当該技術分野で知られている任意の好適な緩衝液などの薬学的に許容される水性担体に懸濁させて懸濁液またはゼリー状ゲル組成物を形成することができ、あるいは本明細書に記載されているように対象の関節面軟骨の損傷領域に隣接する空間に送達するのに適したペーストの形態にすることができる。従って、本発明に係る微粉化天然ホウォートンゼリーは十分な濃度で用いた場合、水和させてゲルまたはペーストにして局所投与したり、針および注射器を使用して体内に注射したりすることができるため汎用性がある。少なくともこれらの点において、微粉化天然ホウォートンゼリー、その組成物または製剤を本発明に従って非微粉化天然ホウォートンゼリーよりも好都合な方法で送達することができる。
以下に記載する本発明の態様は、具体的な組成物、そのような組成物の調製方法またはその使用に限定されず、従って当然ながら異なり得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は単に特定の態様について記述するためのものであり、本発明を限定するものではないことも理解されたい。
本明細書およびその後に続く添付の特許請求の範囲に記載されているように、多くの用語に言及するが、それらの用語は以下の意味を有するものと定める。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されている単数形の「1つ(種)の(a)」、「1つ(種)の(an)」および「その(前記)(the)」は、文脈が明らかに別の意を示していない限り、複数の指示物を含む。従って、例えば、「1種の生物活性剤」という場合、単一の生物活性剤、2種以上の生物活性剤の混合物などを含む。
「任意の」または「任意で」という用語は、その後に記載されている事象または状況が生じても生じなくてもよいことを意味し、その記載は、事象または状況が生じる場合およびそれらが生じない場合を含む。例えば、「任意の洗浄工程」という語句は、洗浄工程を行っても行わなくてもよいことを意味する。
「含む(comprising)」という用語は、本組成物および方法が列挙されている要素を含むが、それ以外を排除しないことを意味するものとする。「本質的に〜からなる(consisting essentially of)」は、組成物および方法を定義するために使用する場合、その組み合わせに対するあらゆる本質的に重要な他の要素を排除することを意味するものとする。例えば、本質的に本明細書に定義されている要素からなる組成物は、特許請求されている本発明の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を与えない他の要素を排除しない。「〜からなる(consisting of)」は、列挙されている微量の他の成分および実質的な方法工程を上回るものを排除することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は本発明の範囲に含まれる。
本明細書で使用される「対象」または「患者」という用語は、限定されるものではないが、哺乳類対象、例えば、ヒト、家畜(ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラットおよびマウスなど)および非家畜動物を含む任意の脊椎動物を意味する。
「胎盤組織」という用語は、限定されるものではないが、羊膜および絨毛膜などを含み、かつ脱水した胎盤組織および微粉化胎盤組織などの処理された組織を含む、胎盤の周知の成分のありとあらゆるものを意味する。本明細書で使用される「胎盤組織」という用語は、臍帯に存在する成分(例えば、天然ホウォートンゼリー、臍帯静脈/動脈および周囲の羊膜)のいずれも含まない。
「約」という用語は、数値の前に使用されている場合、その表示されている値を含み、かつ文脈によって決定される意味を有する(例えば、特定の量の測定に伴う程度の誤差を含む)。好ましくは、「約」という用語は、表示されている量からの±10%、5%または1%の偏差を指す。
「脱水した」という用語は、微粉化天然ホウォートンゼリー、羊膜および絨毛膜などの物質を定義する場合、その物質が、約10%以下、約5%以下、約1%以下、約0.5%以下、約0.2%以下、約0.1%以下または約0.01%以下の水分を有するか、水を全く含まないことを意味する。「脱水する」または「乾燥する」、「乾燥した」という用語またはあらゆる文法的な同等物は、水を実質的に除去すること(例えば、物質中の少なくとも約85%、約90%、約95%、約99%、約99.5%、約99.8%、約99.9%または約99.99%の水分を除去すること)、あるいは物質から完全に水を除去して水分を全く含まない脱水した物質を生成することを意味する。
「治療」または「治療する」という用語は、疾患または状態に関する程度に、疾患または状態が生じるのを予防すること、疾患または状態を阻害すること、疾患または状態を除去すること、および/または疾患または状態の1つ以上の症状を軽減することを含む。
略語
以下の略語は、本明細書および添付の特許請求の範囲の全体を通して使用される場合、以下の意味を有する。
℃=摂氏度
cc=立方センチメートル
cm=センチメートル
Da=ダルトン
DI=脱イオン化
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDTA=エチレンジアミン四酢酸
M=モル濃度(mol/L)
mg=ミリグラム
mL=ミリリットル
mm=ミリメートル
PBS=リン酸緩衝生理食塩水
rpm=毎分回転数
μm=マイクロメートル
本明細書では、読者の便宜上、タイトルまたはサブタイトルを使用している場合もあるが、それらは本発明の範囲に影響を与えるものではない。さらに、本明細書で使用されるいくつかの用語について、以下により具体的に定義する。
I.天然ホウォートンゼリー
臍帯(umbilical cord)(へその緒(「navel string」、「birth cord」または「funiculus umbilicalis」)ともいう)は、発生中の胚または胎児と胎盤との間の導管である。出生前発育中は、臍帯は胎児の生理学的かつ遺伝的一部であり、ヒトにおいては通常、天然ホウォートンゼリーに囲まれた2本の動脈(臍動脈)および1本の静脈(臍静脈)を含む。臍帯の外層は羊膜に包まれている。
本発明によれば、天然ホウォートンゼリーは、哺乳類、例えば、ヒト、家畜(ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラットおよびマウスなど)および非家畜化動物の臍帯から得ることができる。天然ホウォートンゼリーは、大量の宿主細胞外マトリックス(ECM)成分(コンドロイチン硫酸、コラーゲン、ヒアルロン酸(HA)、プロテオグリカンを含む)および幹細胞を含む。天然ホウォートンゼリーは、例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様増殖因子I(IGF−I)、形質転換増殖因子β(TGF−β)、血小板由来増殖因子(PDGF)および表皮増殖因子(EGF)などの増殖因子も含んでいることがある。天然ホウォートンゼリーは、顕著な弾性特性ならびに水分子の結合も有する。
本発明によれば、天然ホウォートンゼリーは、以下により詳細に説明するように、臍帯の肉眼的処理により採取する。次いで、以下により詳細に説明するように、採取した天然ホウォートンゼリーを脱水し、次いで微粉化する。
臍帯組織の採取
ヒトの場合、臍帯組織の回収または採取を例えば病院で達成することができ、そこでは好ましくは帝王切開分娩中に臍帯組織を採取する。その提供者は、まさに出産しようとしている母親を指すが、医療用に安全な組織を提供するために設計された包括的スクリーニングプロセスを自発的に受ける。このスクリーニングプロセスは、好ましくはヒト免疫不全ウイルス1型および2型に対する抗体(抗HIV−1および抗HIV−2)、B型肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎表面抗原(HBsAg))に対する抗体(抗HBV)、C型肝炎ウイルスに対する抗体(抗HCV)、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型およびII型に対する抗体(抗HTLV−I、抗HTLV−II)、サイトメガロウイルス(CMV)および梅毒について検査し、従来の血清学的検査を用いて、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)およびC型肝炎ウイルス(HCV)について核酸検査をする。上記検査の羅列は単に例示であって、当業者によって理解されるように、経過と共に、あるいは組織の目的の用途によって、より多くの検査、より少ない検査または異なる検査が望まれたり必要とされたりする場合がある。
提供者の情報の見直しおよびスクリーニング検査の結果に基づいて、提供者は許容されるか否かのいずれかと判定される。また、分娩の時点で培養物を採取して、例えばクロストリジウム属細菌または連鎖球菌などの細菌の存在を判定する。提供者の情報、スクリーニング検査および分娩培養物が全て申し分なければ(すなわち、どんなリスクも示さない場合または許容されるレベルのリスクを示す場合)、その提供者は医学の専門家によって承認され、その組織標本は一次ではさらなる処理および評価の資格があるものとみなされる。
標準的なプロセス中に盤状胎盤から剥離され、かつ上記選択基準を満たす臍帯組織を本発明に従って直ちに処理することができ、あるいは生理食塩水を含む無菌出荷袋または容器などの貯蔵用の入れ物に保管し、次いで、本発明に従った処理のために処理場所または研究室に出荷するために氷環境に保管することができる。
肉眼的臍帯組織処理
最初に、約2mm〜約3mmの深さで臍帯に沿って切開部を形成することにより上記のように盤状胎盤から剥離された臍帯を処理し、それにより動脈、静脈および天然ホウォートンゼリーを露出させる。当業者によって理解されるように、切開部の深さは、当然ながら剥離された臍帯の直径または厚さによって異なってもよい。次いで、可能な限り多くの天然ホウォートンゼリーを維持するように注意を払いながら例えば当該技術分野で知られている皮下組織剥離技術を利用して臍帯動脈および静脈を除去し、それにより天然ホウォートンゼリーおよび臍帯羊膜を含む臍帯組織(以下「臍帯組織」と呼ぶ)を得る。臍帯組織からの天然ホウォートンゼリーの剥離および回収を増やすために、臍帯を例えば約4cm〜約10cmの長さの臍帯切片などのより小さい切片に切断してもよい。当然のことながら、本発明によれば、臍帯組織は羊膜を含んでいても含んでいなくてもよい。例えば、本発明の特定の態様では、羊膜を天然ホウォートンゼリーから剥離して、それによりどんな臍帯成分も含まない天然ホウォートンゼリー(以下「単離されたホウォートンゼリー」と呼ぶ)を得ることで、天然ホウォートンゼリーを臍帯組織からさらに単離することができる。単離されたホウォートンゼリーを、所望の用途に応じて他の厚さも可能であるが、例えば、約1.25cmの厚さを有する約1cm〜約4cm×約10cm〜約30cmの細片にさらに切断することができる。
本発明によれば、www.iopinc.com/wp−content/uploads/2012/05/Ambio_AM_Process_Monograph−May−12.pdfにおいて入手可能な「PURION(登録商標)処理した脱水したヒト羊膜/絨毛膜の同種移植(PURION(登録商標) Processed Dehydrated Human Amnion/Chorion Membrane Allografts)」(2012年)(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている標準的なPurion(登録商標)プロセスの洗浄および洗い流し工程に従って、臍帯組織または単離されたホウォートンゼリーを洗い流して綺麗にする。
脱水
本明細書に特に明記しない限り、臍帯組織または単離されたホウォートンゼリーの脱水のために、本明細書に記載されている脱水工程を用いることができる。従って、臍帯組織の脱水という場合、特に明記しない限り単離されたホウォートンゼリーを含むものとし、その言葉と言い換えて言及することができる。上記洗浄および洗い流し工程が完了した後、以下により詳細に説明されている技術またはそれ以外に当該技術分野で知られている方法で、臍帯組織を脱水することができる。
一態様では、臍帯組織を乾燥板の上に置くことができる。そのままの羊膜を含む臍帯組織の場合、天然ホウォートンゼリー側を上に向けて臍帯組織を乾燥板の上に置く。次いで、本明細書に記載されている脱水仕様に従うか、それ以外に当該技術分野で知られている方法で臍帯組織を乾燥させる。例えば臍帯組織から実質的に水を除去するように臍帯組織を脱水する(すなわち、組織中に存在する水の約90%超、約95%超または約99%超を除去する)、あるいは、臍帯組織中に存在する全ての水を完全に除去するように脱水する(すなわち、臍帯組織中に存在する水を100%除去する)ことができる。
一態様では、化学的脱水後に凍結乾燥して臍帯組織を脱水する。例えば、十分な時間および量で臍帯組織を極性有機溶媒と接触させることにより化学的脱水工程を行う。その溶媒はプロトン性であっても非プロトン性であってもよい。本明細書中で有用な極性有機溶媒の例としては、限定されるものではないが、アルコール、ケトン、エーテル、アルデヒドまたはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。具体的かつ非限定的な例としては、DMSO、アセトン、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノールまたはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一態様では、臍帯組織を室温で極性有機溶媒と接触させる。さらなる工程は不要であり、以下に記載するように臍帯組織を直接凍結乾燥することができる。
脱水後、あらゆる残留する水および極性有機溶媒を除去するために、臍帯組織を凍結乾燥することができる。一態様では、臍帯組織を凍結乾燥前に好適な乾燥用固定具の上に置くことができる。乾燥用固定具は、好ましくは平たく広げた臍帯組織を完全に受け入れるのに十分な大きさであるように大きさが決められる。一態様では、乾燥用固定具は、テフロン(登録商標)製またはDuPont社によって販売され、かつWerner Machine社(米国ジョージア州マリエッタ)からも市販されているアセタール樹脂エンジニアリングプラスチックの商品名であるデルリン(登録商標)製である。乾燥用固定具のために、耐熱性かつ耐切創性であり、濡れた臍帯組織を受け入れるのに適当な形状に形成することができる任意の他の好適な材料を使用することができる。
臍帯組織を乾燥用固定具の上に置いたら、乾燥用固定具を凍結乾燥器の中に置く。凍結乾燥器を使用して臍帯組織を脱水することは、加熱脱水などの他の技術と比較してより効率的かつ完全である。いくつかの実施形態では、氷晶は臍帯組織内の細胞外マトリックスを損傷する恐れがあるため、臍帯組織における氷晶形成を回避することが望ましい。凍結乾燥前に臍帯組織を化学的に脱水することにより、氷晶の形成および細胞外マトリックスへの損傷を回避することができる。
別の態様では、脱水工程で臍帯組織に熱を当てる。例えば、上記のように臍帯組織を好適な乾燥用固定具または板の上に置き、乾燥用固定具を無菌のTyvex製(または同様の通気性、耐熱性および密封性の材料)の脱水袋の中に入れて密封する。通気性脱水袋により臍帯組織があまりに急速に乾燥するのを防止する。複数の乾燥用固定具を同時に処理する場合、各乾燥用固定具をそれ自体のTyvex製袋の中に入れるか、あるいは複数の乾燥枠をその上に保持するように設計された好適な取付枠の中に置き、次いで、この枠全体をより大きな単一の滅菌Tyvex製脱水袋の中に入れて密封する。
次いで、1つ以上の乾燥用固定具を含むTyvex製脱水袋を、非真空乾燥器または恒温器(約35℃〜約50℃に余熱されている)の中に約30〜約120分間置く。一態様では、加熱工程を約45℃の温度で約45分間行って臍帯組織を十分に乾燥させると同時に、臍帯組織の過剰乾燥または燃焼を回避することができる。任意の特定の乾燥器のための具体的な温度および時間は、処理されている組織の量および大きさ、高度、乾燥器の大きさ、乾燥器温度の正確性、乾燥用固定具のために使用される材料、同時に乾燥される乾燥用固定具の数などの因子、乾燥用固定具の単一または複数の枠を同時に乾燥するか否かおよび同様の検討項目に基づいて較正および調節しなければならない。
臍帯組織の脱水は当該技術分野で知られている脱水装置を用いて達成してもよいが、米国特許第8,904,664号(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような脱水プロセスの速度および均一性を高める革新的な脱水装置を利用してもよい。例えば、一実施形態では、従来の乾燥機と比較してそのような脱水装置の1つの構成において、乾燥時間を約40%まで加速させることができる。本実施形態の特定の態様では、臍帯組織を本明細書に記載されている乾燥用固定具の上に置き、臍帯組織を含む乾燥用固定具を、脱水プロセスを行うための脱水装置の中に挿入する。他の態様では、複数の臍帯組織を乾燥用固定具の上に置いて、2つ以上の臍帯組織を脱水装置で同時に乾燥させることができる。
微粉化ホウォートンゼリーの調製
上に詳細に記載されているように、あるいはそれ以外に当該技術分野で知られているように、天然ホウォートンゼリーまたは臍帯組織を脱水した後(まとめてまたは個々に「脱水した組織」という)、脱水した組織を本発明に従って微粉化して(以下「微粉化ホウォートンゼリー」という)、1つ以上の大きさの粒子を含む粒子分布を形成する。例えば、脱水した組織を約2cm×約2cmの切片に切断し、微粉化のために準備することができる。当該技術分野で知られている機器を用いて微粉化を達成することができる。例えば、Retsch Oscillating Mill MM400(Retsch社(Retsch-Allee 1-5、42781ハーン、ドイツ)によって製造および市販されている)を使用して本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリーを生成することができる。
一態様では、脱水した組織の機械的粉砕または破砕により微粉化ホウォートンゼリーを調製する。
別の態様では、脱水した組織の低温粉砕により微粉化ホウォートンゼリーを調製する。この態様では、粉砕プロセスの前および間に、脱水した組織を含む粉砕用広口瓶を一体化式冷却システムからの液体窒素で絶えず冷却する。このようにして、当該試料を砕けやすくし、揮発性成分を保存する。さらに、脱水した組織中のタンパク質の変性を最小限に抑えるか防止する。例えば、一態様では、Retsch社によって製造および市販されているCryoMillを使用することができる。
例えば、本明細書に記載されている脱水した組織をバイアルに入れることができ、このバイアルをその後に密閉する。このバイアルをクライオブロックの中に入れ、クライオブロックをクライオラックの中に置く(それらはそれぞれRetsch社によって製造および市販されている)。クライオラックを、液体窒素を保持するデュワー瓶の中に入れる。脱水した組織を約30分〜約60分間以内で気相冷却する。クライオラックをデュワー瓶から取り出し、クライオブロックをクライオラックから取り出す。クライオブロックを粉砕機(例えば、SPEX SamplePrep社(65 Liberty St.、メタッチェン、ニュージャージー州08840)から製造および市販されているSPEX Sample Prep GenoGrinder 2010)の中に置き、約1,500rpmで約20分間に設定する。約20分が経過した後、以下により詳細に説明するように、微粉化ホウォートンゼリーについて本発明の粒径仕様に従った微粉化が実現されているかを調べる。必要であれば、微粉化ホウォートンゼリーを、例えば約30分〜約60分などのさらなる期間だけデュワー瓶に戻し、次いで例えば約20分などのさらなる期間だけ粉砕機の中に置いて、以下により詳細に説明するような十分な微粉化および所望の粒径分布を実現してもよい。
滅菌水中に粒子の懸濁液を形成して微粉化ホウォートンゼリーをその中で分別することにより、それぞれの大きさによる微粉化ホウォートンゼリー粒子の分離を達成することができる。そのような分別技術によれば、懸濁液の最上部は主に最小の粒子を含み、懸濁液の最下部は主に最も重い粒子を含む。分別により粒径分離が生じ、繰り返しの分別により微粉化粒子を異なる大きさに分離させる。次いで、分離された微粉化ホウォートンゼリー粒子を、目的の用途に最も適切であるような所望の粒径比で再結合させることができる。
別の実施形態では、所望の穴径または細孔径を有する1つ以上の篩を利用して分離を達成し、本発明に係る所望の粒径分布を達成する。例えば、上記のように微粉化ホウォートンゼリーを調製したら、アメリカ材料試験協会(ASTM:American Society for Testing and Materials)の規格および仕様を満たす一連の篩を用いて粒径により分類することができる。例えば、いくつかの実施形態では、篩は355μm、300μm、250μm、150μmおよび125μmのそれぞれの穴径または細孔径を有する。次いで、微粉化ホウォートンゼリーを、355μmの篩、次いで300μmの篩、次いで250μmの篩、次いで150μmの篩、次いで125μmの篩に連続的に移す。微粉化ホウォートンゼリーをその後の篩に移す前に、微粉化ホウォートンゼリー粒子を大きさで完全に分離するために、それぞれの篩を個々に激しく動かす。この例では、篩を用いて微粉化ホウォートンゼリー粒子を効果的に分離したら、355μm、300μm、250μm、150μmおよび125μmの粒径を有する微粉化ホウォートンゼリー粒子を別個のラベル付けされたバイアルに採取する。
微粉化ホウォートンゼリーの粒径は用途によって異なってもよい。当然のことながら、「微粉化」という用語は、ミクロンおよびサブミクロンの大きさの粒子を含むことを意図している。一態様では、微粉化ホウォートンゼリーは、約500μm以下、約400μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下、約75μm以下、約50μm以下、約25μm以下、約20μm以下、約15μm以下、約10μm以下、約9μm以下、約8μm以下、約7μm以下、約6μm以下、約5μm以下、約4μm以下、約3μm以下、約2μm以下または約2μm〜約400μm、約25μm〜約300μm、約25μm〜約200μmまたは約25μm〜約150μmの粒子を有する。一態様では、微粉化ホウォートンゼリーは、約150μm未満、約100μm未満または約50μm未満の直径を有する粒子を有する。他の態様では、より大きな直径(例えば、約150μm〜約350μm)を有する粒子が望ましい。他の態様では、当該粒子は約25μm〜約75μmの直径を有する。全ての場合において、当該粒子の直径はその最長の軸に沿って測定する。
いくつかの実施形態では、微粉化ホウォートンゼリーは、例えば、より小さい大きさの粒子が即効または短期的効果を与えることができ、かつより大きな粒子が持続的かつ長期的効果を与えることができるような所望の粒径分布を有する。例えば、いくつかの実施形態では、微粉化ホウォートンゼリーは、例えば、当該粒子の約50%が約40μM未満の直径を有し、当該粒子の約25%が約40μM〜約60μM未満の直径を有し、当該粒子の約25%が約60μM超の直径を有するような複数の粒径を含む組成物である。他の実施形態では、微粉化ホウォートンゼリー粒子の約25%が約40μM未満の直径を有し、当該粒子の約25%が約40μM〜約60μM未満の直径を有し、当該粒子の約50%が約60μM超の直径を有する。
一実施形態では、当該粒子の表面積対体積比(上記のような直径範囲を有する粒子に基づく)は、約0.06μm−1〜約6×10μm−1、約0.06μm−1〜約6×10μm−1、約0.06μm−1〜約6×10μm−1または約0.6μm−1〜約6×10μm−1の範囲内である。
一態様では、微粉化ホウォートンゼリーは、どんな胎盤組織またはその成分も実質的に含まない。本明細書で使用される「実質的に含まない」とは、微粉化ホウォートンゼリーが約10%、5%または1%以下の胎盤組織またはその成分を含むことを意味する。一態様では、微粉化ホウォートンゼリーはどんな胎盤組織またはその成分も含まない。
当業者によって理解されるように、微粉化ホウォートンゼリーの粒径をナノ範囲まで減少させ、それにより微粉化ホウォートンゼリー粒子の密度を顕著に増加させ、かつ治療部位に施用した際の微粉化ホウォートンゼリー粒子の放出速度を高めることができる。例えば、微粉化ホウォートンゼリーを分画遠心分離などの当該技術分野で知られている従来の方法に供し、それにより粒径をナノ範囲まで減少させることができる。好適な技術または装置を用いた粒径の減少は当業者の技量の範囲内である。
II.微粉化ホウォートンゼリー組成物
本発明のさらに別の態様によれば、微粉化ホウォートンゼリーを含む組成物および製剤が提供される。
上記のように、天然ホウォートンゼリーは、修復および/または再生のために体内に送達するのが難しい粘性のゼリー状材料である。本発明によれば、微粉化ホウォートンゼリーおよびその組成物および製剤を、対象の関節面軟骨の修復および/または再生のために、容易かつ確実に対象の損傷領域に送達することができる。一態様では、本発明は、対象の損傷領域に送達した場合に、その修復および/または再生のために実質的に局在化されたままであるように制御された粘度を有する微粉化ホウォートンゼリーおよびその組成物を提供する。以下により詳細に説明するように、本発明に係る微粉化ホウォートンゼリーを生理食塩水、滅菌水または当該技術分野で知られている任意の好適な緩衝液などの薬学的に許容される水性担体に懸濁させて、本明細書に記載されているように対象の関節面軟骨の損傷領域に隣接する空間への送達に適した液体、ゲルまたはペーストの形態にすることができる懸濁液またはゼリー状ゲル組成物を形成することができる。従って、本明細書に開示されている微粉化ホウォートンゼリーは、十分な濃度で用いた場合、水和させてゲルまたはペーストにして局所投与したり、針および注射器を使用して体内に注射したりすることができるため汎用性がある。少なくともこれらの点において、本発明に係る微粉化ホウォートンゼリーまたはその組成物または製剤を天然ホウォートンゼリーよりも好都合な方法で送達することができる。
一態様では、本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリーを生物系または生物学的存在が許容することができる任意の賦形剤に入れて製剤化して、微粉化ホウォートンゼリーを対象に投与するための組成物または製剤を生成することができる。水性賦形剤の例としては、限定されるものではないが、水、ヒアルロン酸水溶液、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、ハンクス液および他の水性の生理学的平衡塩類溶液が挙げられる。固定油すなわち植物油(例えば、オリーブ油および胡麻油)、トリグリセリド、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよび注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)などの非水性賦形剤も使用することができる。他の有用な製剤としては、カルボキシメチルセルロースもしくはその塩、ソルビトールまたはデキストランなどの粘度増強剤を含む懸濁液が挙げられる。賦形剤は等張性および化学的安定性を増強させる物質などの微量の添加剤も含有することができる。緩衝液の例としては、リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液およびトリス緩衝液が挙げられ、防腐剤の例としては、チメロサール、クレゾール、ホルマリンおよびベンジルアルコールが挙げられる。特定の態様では、投与様式に応じてpHを変えることができる。さらに、微粉化ホウォートンゼリーを対象に投与するための組成物または製剤は、本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリーに加えて、担体、増粘剤、希釈液、防腐剤、界面活性剤などを含むことができる。
いくつかの実施形態では、本組成物は、PCT出願第PCT/US12/24798号ならびに米国仮出願第61/442,346号、第61/543,995号および第61/683,700号に記載されているような微粉化胎盤組織または微粉化胎盤羊膜などのその成分をさらに含む。これらの出願の開示内容全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。そのような実施形態では、上に詳細に記載されているように微粉化の前および/または後、および/または天然ホウォートンゼリーまたは臍帯組織の脱水の前および/または後に、微粉化胎盤組織またはその成分を添加することができる。
別の態様では、上に詳細に記載されているように微粉化の前および/または後、および/または天然ホウォートンゼリーまたは臍帯組織の脱水の前および/または後に、胎盤組織または羊膜、中間組織層、絨毛膜などのその成分およびさらなる成分を添加することができる。
一態様では、上に詳細に記載されているように微粉化の前および/または後、および/または天然ホウォートンゼリーまたは臍帯組織の脱水の前および/または後に、充填剤を添加することができる。充填剤の例としては、限定されるものではないが、同種移植片心膜、同種移植片無細胞真皮、精製した異種移植片1型コラーゲン、バイオセルロースポリマーもしくはコポリマー、生体適合性合成ポリマーもしくはコポリマーフィルム、精製した小腸粘膜下組織、膀胱無細胞マトリックス、死体筋膜(cadaveric fascia)またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
別の態様では、上に詳細に記載されているように微粉化の前および/または後、および/または天然ホウォートンゼリーまたは臍帯組織の脱水の前および/または後に、生物活性剤を添加することができる。生物活性剤の例としては、限定されるものではないが、自己血液を採取および分離した生成物のいずれかを用いた濃厚血小板または期限切れの保存血由来の濃厚血小板由来の天然に生じる増殖因子、骨髄穿刺液、濃縮されたヒト胎盤臍帯血幹細胞、濃縮された羊水幹細胞もしくはバイオリアクターで増殖された幹細胞由来の幹細胞または抗生物質が挙げられる。生物活性剤を含む微粉化ホウォートンゼリーを対象の目的の領域に投与すると、生物活性剤は時間をかけてその領域に送達される。従って、本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリーまたはその組成物は、対象に投与した場合に生物活性剤および他の医薬品にとって有用な送達媒体となる。当業者によって理解されるように、本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリー組成物からの生物活性剤の放出プロファイルは、とりわけ、微粉化ホウォートンゼリー組成物を含む成分の選択ならびに当該粒子の大きさに基づいて変更することができる。
当該技術分野で知られている技術を用いて、微粉化ホウォートンゼリーを対象に投与するための組成物または製剤を調製することができる。一態様では、本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリーを薬学的に許容される化合物および/または担体と混合して組成物または製剤を調製する。
当然のことながら、特定の組成物中の微粉化ホウォートンゼリーの量は、利用されている微粉化ホウォートンゼリー中の粒子の大きさ、製剤化される特定の組成物、投与もしくは送達様式、特定の位置もしくは領域および治療されている対象によって異なる。所与の対象の投薬量は従来の検討項目を用いて決定することができる。例えば、当該技術分野において微粉化ホウォートンゼリーを対象に投与するための組成物または製剤の用量および/または投与計画の決定に熟練した医師および処方者が、標準的な推奨(医師用卓上参考書、Barnhart Publishing (1999))に従って、適当な用量または投与計画を決定することができる。
いくつかの実施形態では、微粉化ホウォートンゼリーを生理食塩水、滅菌水または当該技術分野で知られている任意の好適な緩衝液などの薬学的に許容される水性担体に懸濁させて懸濁液またはゼリー状ゲル組成物を形成することができる。従って、本組成物は、液体、ゲルまたはペーストの形態であってもよい。
いくつかの実施形態では、滅菌水を使用して、対象の損傷領域に送達した場合にその修復および/または再生のために損傷領域から僅かに移動するか移動することなく実質的に局在化されたままであるようにそのような流動性ゲル組成物の制御された粘度を維持しながら、注射器および針での注射に適した微粉化ホウォートンゼリーを含む流動性ゲル組成物を生成する。例えば、約0.1〜約1g(例えば、約0.5g)の微粉化ホウォートンゼリーを約1mL〜約2mL(例えば、約1.3〜1.4mL)の水と混合して流動性ゲル材料を得ることができる。いくつかの実施形態では、本組成物中の微粉化ホウォートンゼリーの濃度は、約0.05g/mL〜約1g/mL、例えば、約0.05g/mL、約0.1g/mL、約0.2g/mL、約0.3g/mL、約0.4g/mL、約0.5g/mL、約0.6g/mL、約0.7g/mL、約0.8g/mL、約0.9g/mL、約1g/mLまたは任意の2つの値(終点を含む)の間の任意の範囲などである。当該材料は、注射器の中に充填して25〜27ゲージ針などの針を通過させることができる滑らかな稠度を有し、ここでは流動性ゲルの粘度は実質的に変わらないままである。
いくつかの実施形態では、上記のような流動性ゲルの液滴を板の滑らかな非凹凸面などの表面に塗布し、そのまま実質的または完全に乾燥させる。いくつかの実施形態では、液滴の直径は約5〜約1mm、例えば約2.5mmである。乾燥した後、全径の減少が最小に抑えられた固体のペレットが形成される。いくつかの実施形態では、この固体のペレットは円形の形状/構成である。本明細書で使用される「実質的に」とは、乾燥したペレットが約10%、約5%、約2%、約1%、約0.5%または約0.1%以下の残留水を含むことを意味する。
このペレットを滅菌水に入れて再水和させることができる。いくつかの実施形態では、再水和時間は約1時間またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、このペレットの直径は再水和後に増加する。いくつかの実施形態では、この直径は、約1.1〜約3倍、例えば約1.5〜約2.5倍または約2倍増加する。いくつかの実施形態では、約24時間超などの長期間にわたって水性条件下においても大きさまたは形状の完全性の喪失の兆候は認められない。
いくつかの実施形態では、微粉化ホウォートンゼリーを所望の形状または大きさを有する型の中に圧縮して、その型の形状および大きさをなし、かつ所望の粘着性および密度を示す成形微粉化ホウォートンゼリーを形成する。シリコーン、樹脂、テフロン(登録商標)またはステンレス鋼などの好適な成形材料を選択して所望の形状および大きさの型を形成することは当業者の技量の範囲内である。
本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリーを対象に投与するための組成物または製剤は、局所もしくは全身治療のどちらが望まれるか、および治療される面積に応じて、多くの方法で投与することができる。一態様では、投与は注射によるものであってもよく、この場合、本組成物は液体またはゲルに製剤化されている。他の様態では、本組成物を対象に内服的に施用するように製剤化することができる。他の様態では、本組成物を局所的に(例えば、眼内、膣内、直腸内、鼻腔内、経口または皮膚に直接)施用することができる。
一態様では、微粉化ホウォートンゼリー組成物を皮膚に直接塗布される局所組成物として製剤化することができる。局所投与の製剤としては、乳濁液、クリーム、水溶液、油、軟膏、ペースト、ゲル、ローション、ミルク、泡、懸濁液および粉末を挙げることができる。一態様では、本局所組成物は1種以上の界面活性剤および/または乳化剤を含むことができる。微粉化ホウォートンゼリーの局所塗布は、特に火傷、乾癬のただれ、皮膚炎、しわなどの治療に非常に適している。
本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリー組成物は、界面活性剤(すなわち表面活性物質)または乳化剤をさらに含むことができる。
界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性および/または両性の界面活性剤であってもよい。アニオン性界面活性剤の典型例としては、限定されるものではないが、石鹸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、グリセリンエーテルスルホン酸塩、α−メチルエステルスルホン酸塩、スルホ脂肪酸、アルキル硫酸塩、脂肪アルコールエーテル硫酸塩、グリセリンエーテル硫酸塩、脂肪酸エーテル硫酸塩、ヒドロキシ混合エーテル硫酸塩、モノグリセリド(エーテル)硫酸塩、脂肪酸アミド(エーテル)硫酸塩、モノおよびジアルキルスルホコハク酸塩、モノおよびジアルキルスルホスクシンアミド酸塩(sulfosuccinamate)、スルホトリグリセリド、アミド石鹸、エーテルカルボン酸およびそれらの塩、脂肪酸イセチオン酸塩、脂肪酸サルコシン酸塩、脂肪酸タウリド(fatty acid tauride)、N−アシルアミノ酸、例えば、アシル乳酸塩、アシル酒石酸塩、アシルグルタミン酸塩およびアシルアスパラギン酸塩、アルキルオリゴグルコシド硫酸塩、タンパク質脂肪酸濃縮物(特にコムギ系植物産物)およびアルキル(エーテル)リン酸塩が挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、限定されるものではないが、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、アルコキシル化トリグリセリド、混合エーテルまたは混合ホルマール(formal)、任意で部分的に酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシドもしくはグルクロン酸誘導体、脂肪酸N−アルキルグルカミド(alkylglucamide)、タンパク質加水分解物(特にコムギ系植物産物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびアミンオキシドが挙げられる。両性または双性イオン性界面活性剤の例としては、限定されるものではないが、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート(aminoglycinate)、イミダゾリニウムベタインおよびスルホベタインが挙げられる。
一態様では、界面活性剤は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル硫酸塩、モノグリセリド硫酸塩、モノおよび/またはジアルキルスルホコハク酸塩、脂肪酸イセチオン酸塩、脂肪酸サルコシン酸塩、脂肪酸タウリド、脂肪酸グルタミン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、エーテルカルボン酸、アルキルオリゴグルコシド、脂肪酸グルカミド(fatty acid glucamide)、アルキルアミドベタイン、アンホアセタール(amphoacetal)および/またはタンパク質脂肪酸濃縮物であってもよい。
双性イオン性界面活性剤の例としては、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、いずれの場合もアルキルまたはアシル基中に8〜18個の炭素原子を有するココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2−アルキル−3−カルボキシメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリン、およびココアシルアミノエチルヒドロキシエチル−カルボキシメチルグリシネートなどのベタインが挙げられる。
一態様では、乳化剤は、8〜22個の炭素原子を有する直鎖状脂肪アルコール、12〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、アルキル基中に8〜15個の炭素原子を有するアルキルフェノールおよびアルキルラジカル中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルアミンへの2〜30モルのエチレンオキシドおよび/または0〜5モルのプロピレンオキシド付加物、アルキル(アルケニル)ラジカル中に8〜22個の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアルケニルオリゴグリコシドおよびそのエトキシ化類似体、ヒマシ油および/または水添ヒマシ油への1〜15モルのエチレンオキシド付加物、ヒマシ油および/または水添ヒマシ油への15〜60モルのエチレンオキシド付加物、グリセリンおよび/またはソルビタンと12〜22個の炭素原子を有する不飽和直鎖状または飽和分岐鎖状の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸との部分エステルおよび1〜30モルのエチレンオキシドを有するその付加物、ポリグリセリン(平均自己縮合度:2〜8)、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、アルキルグルコシド(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)およびポリグルコシド(例えば、セルロース)と12〜22個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の直鎖状または分岐鎖状の脂肪酸および/または3〜18個の炭素原子を有するヒドロキシカルボン酸との部分エステルおよび1〜30モルのエチレンオキシドを含むその付加物、ペンタエリトリトール、脂肪酸、クエン酸および脂肪アルコールの混合エステルおよび/または6〜22個の炭素原子を有する脂肪酸、メチルグルコースおよびポリオールの混合エステル、好ましくはグリセリンまたはポリグリセリン、モノ、ジおよびトリアルキルリン酸塩およびモノ、ジおよび/またはトリ−PEGアルキルリン酸塩およびそれらの塩、羊毛蝋アルコール、ポリシロキサン−ポリアルキル−ポリエーテルコポリマーおよび対応する誘導体、ならびにブロックコポリマー、例えばジポリヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール−30から選択される非イオン性(nonionogenic)界面活性剤であってもよい。一態様では、乳化剤は、例えばポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールである。別の態様では、乳化剤は、分子量100Da〜5,000Da、200Da〜2,500Da、300Da〜1,000Da、400Da〜750Da、550Da〜650Daまたは約600Daを有するポリエチレングリコールである。
別の態様では、乳化剤はポロキサマーである。一態様では、ポロキサマーは、ポリオキシエチレン(例えば、ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖が隣接したポリオキシプロピレン(例えば、(ポリ(プロピレンオキシド))の中心疎水性鎖からなる非イオン性トリブロックコポリマーである。一態様では、ポロキサマーは、式:HO(CO)(CO)(CO)OH(式中、「a」は10〜100、20〜80、25〜70または25〜70または50〜70であり、「b」は5〜250、10〜225、20〜200、50〜200、100〜200または150〜200である)を有する。別の態様では、ポロキサマーは、2,000〜15,000、3,000〜14,000または4,000〜12,000の分子量を有する。本明細書中で有用なポロキサマーは、BASF社によって製造されてプルロニック(登録商標)という商品名で販売されている。本明細書中で有用なポロキサマーの非限定的な例としては、限定されるものではないが、プルロニック(登録商標)F68、P103、P105、P123、F127およびL121が挙げられる。
別の態様では、乳化剤は1種以上の脂肪アルコールからなる。一態様では、脂肪アルコールは、直鎖状または分岐鎖状のC〜C35脂肪アルコールである。脂肪アルコールの例としては、限定されるものではないが、カプリルアルコール(1−オクタノール)、2−エチルヘキサノール、ペラルゴンアルコール(1−ノナノール)、カプリンアルコール(1−デカノール、デシルアルコール)、ウンデシルアルコール(1−ウンデカノール、ウンデカノール、ヘンデカノール)、ラウリルアルコール(ドデカノール、1−ドデカノール)、トリデシルアルコール(1−トリデカノール、トリデカノール、イソトリデカノール)、ミリスチルアルコール(1−テトラデカノール)、ペンタデシルアルコール(1−ペンタデカノール、ペンタデカノール)、セチルアルコール(1−ヘキサデカノール)、パルミトレイルアルコール(palmitoleyl alcohol)(シス−9−ヘキサデセン−1−オール)、ヘプタデシルアルコール(1−n−ヘプタデカノール、ヘプタデカノール)、ステアリルアルコール(1−オクタデカノール)、イソステアリルアルコール(16−メチルヘプタデカン−1−オール)、エライジルアルコール(9E−オクタデセン−1−オール)、オレイルアルコール(シス−9−オクタデセン−1−オール)、リノレイルアルコール(9Z,12Z−オクタデカジエン−1−オール)、エライドリノレイルアルコール(9E,12E−オクタデカジエン−1−オール)、リノレニルアルコール(9Z,12Z,15Z−オクタデカトリエン−1−オール)、エライドリノレニルアルコール(9E,12E,15−E−オクタデカトリエン−1−オール)、リシノレイルアルコール(12−ヒドロキシ−9−オクタデセン−1−オール)、ノナデシルアルコール(1−ノナデカノール)、アラキジルアルコール(1−エイコサノール)、ヘンエイコシルアルコール(heneicosyl alcohol)(1−ヘンエイコサノール)、ベヘニルアルコール(1−ドコサノール)、エルシルアルコール(シス−13−ドコセン−1−オール)、リグノセリルアルコール(1−テトラコサノール)、セリルアルコール(1−ヘキサコサノール)、モンタニルアルコール、クルイチル(cluytyl)アルコール(1−オクタコサノール)、ミリシルアルコール、メリシルアルコール(1−トリアコンタノール)、ゲジルアルコール(geddyl alcohol)(1−テトラトリアコンタノール)またはセテアリルアルコールが挙げられる。
一態様では、本組成物を生成するために使用される担体は、ポリエチレンと1種以上の脂肪アルコールとの混合物である。例えば、担体は、50重量%〜99重量%、75重量%〜99重量%、90重量%〜99重量%または約95重量%のポリエチレングリコールと、1重量%〜50重量%、1重量%〜25重量%、1重量%〜10重量%または約5重量%の脂肪アルコールとからなる。さらなる態様では、担体はポリエチレングリコールとセチルアルコールとの混合物である。
微粉化ホウォートンゼリー組成物は、例えば、脂肪、蝋、真珠光沢蝋、増ちょう剤(bodying agent)、増粘剤、過脂肪剤、安定化剤、ポリマー、シリコーン化合物、レシチン、リン脂質、生体活性成分、脱臭剤、抗菌剤、制汗剤、膨潤剤、防虫剤、ヒドロトロープ、可溶化剤、防腐剤、香油および染料などの1種以上のさらなる成分も含むことができる。これらの成分のそれぞれの例は米国特許第8,067,044号に開示されており、これらの成分に関するその開示内容は参照により組み込まれる。
本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリー組成物は、その粒子が担体全体に実質的に均等に分散されるように微粉化ホウォートンゼリーと担体とを十分な時間にわたって混合することにより調製することができる。担体が2種以上の成分からなる場合、微粉化ホウォートンゼリーの添加前にこれらの成分を互いに混合することができる。本組成物中に存在する微粉化ホウォートンゼリーの量は用途によって異なってもよい。一態様では、微粉化ホウォートンゼリーは、本組成物の約0.1%〜約99%、約0.5%〜約90%、約1%〜約75%、約1%〜約50%、約1%〜約20%、約1%〜約10%、約2%〜約5%または約3重量%である。本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリー組成物を調製するための例示的な手順は実施例に示されている。
上記利点に加えて、より大きな微粉化ホウォートンゼリー粒子の流体吸収能により、それらを様々な物質(例えば、本明細書に記載されている生物活性剤のいずれか)と混合して、高い活性を有する微粉化ホウォートンゼリーを対象に投与するための組成物または製剤を生成することができる。例えば、より大きな粒子を、抗線維素溶解薬、ビタミンK、フィブリノーゲンおよび血液凝固因子などのさらなる止血剤と混合して、創傷部位における凝血を促進することができる。他の態様では、より大きな粒子を患者由来の骨などの自家材料と混合することができる。ここでは、微粉化ホウォートンゼリーを骨膜界面に直接投与することができる。他の態様では、より大きな微粉化粒子をフィブリン接着剤と混合して創傷治癒を高めることができる。微粉化ホウォートンゼリーはフィブリン塊を形成するフィブリン接着剤の能力を高め、組織修復を高めることができる。従って、フィブリン接着剤と組み合わせたより大きな粒子は、典型的に創傷を閉じるために使用される縫合糸の必要性をさらに減らすことができる。
一実施形態では、微粉化ホウォートンゼリーを対象の組織表面と接触する羊膜または絨毛膜の表面に埋め込むことができる。高速噴霧機などの従来の技術により、増殖因子などの組織内への放出速度を高めるために微粉化ホウォートンゼリーを表面に充填することができる。例えば、米国特許第8,372,437号、第8,460,715号、第8,357,403号、米国出願第14/325132号、米国特許出願公開第2014/0067058号(これらの開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、例えば微粉化ホウォートンゼリーを胎盤組織移植片の表面に被覆することができる。
可塑剤
さらに別の態様では、微粉化ホウォートンゼリー組成物の成分を少なくとも1種の可塑剤と混合する。「可塑剤(plasticizer)」および「可塑剤(plasticizing agent)」という用語は、本発明では同義で使用することができる。可塑剤は、本組成物または本組成物から形成される製品の機械的特性を変更するために添加することができるあらゆる添加剤または添加剤の組み合わせを含むことができる。当業者であれば、可塑剤の生体適合性、生体内での微粉化ホウォートンゼリー組成物の分解もしくは侵食速度に対する可塑剤の効果、成形/圧縮プロセスを容易にする混合物の特性に対する可塑剤の効果、および/または本組成物の強度、柔軟性、稠度、疎水性および/または親水性に対する可塑剤の効果に基づき好適な可塑剤を選択するであろう。いくつかの態様では、微粉化ホウォートンゼリーと混合する前に、可塑剤および微粉化ホウォートンゼリーの混合物が無孔性の型における圧縮を可能にする十分に低い水分を有するように、可塑剤を脱水および/または微粉化する。
どんな理論または作用機序によって束縛されるものではないが、本組成物中の成分間の流れを生成または増強する工程を含むことができる設計目標により可塑剤を添加して、例えば結晶化度を低下させるか、ガラス転移温度(Tg)を低下させるか、あるいは本組成物中の成分間の分子間力を低下させることができる。変更される機械的特性としては、限定されるものではないが、ヤング率、引張強度、衝撃強度、引裂強度および破壊歪みが挙げられる。可塑剤はモノマー、ポリマー、コポリマーまたはそれらの組み合わせであってもよく、共有結合により/よらずに組成物に添加することができる。可塑剤の選択では、例えば極性などの溶媒を選択する際の考慮に類似した考慮を行うという程度で、可塑化および溶解度は類似している。さらに、共重合により本組成物の分子構造を変える共有結合により可塑剤を組成物に添加することもできる。
可塑剤の例としては、限定されるものではないが、例えばシングルブロックポリマー、マルチブロックポリマーおよびコポリマーなどの低分子量ポリマー、例えば限定されるものではないが乳酸のエチル末端基をもつオリゴマーなどの乳酸オリゴマーなどのオリゴマー、環式乳酸およびグリコール酸の二量体、小さい有機分子、ヒドロキシル基を含む/含まない水素結合形成有機化合物、脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオールなどのポリオール、ブタノール、ペンタノールおよびヘキサノールなどのアルカノール、糖アルコールおよび糖アルコールの無水物、ポリ(アルキレングリコール)などのポリエーテル、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸エステルおよびアジピン酸エステルなどのエステル、ポリエステル、脂肪酸、飽和および不飽和脂肪酸、脂肪アルコール、コレステロール、ステロイド、例えばレシチンなどのリン脂質、動物タンパク質および植物タンパク質などのタンパク質、例えば植物油および動物油などの油、シリコーン、アセチル化モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、アミド、アセトアミド、スルホキシド、スルホン、ピロリドン、オキサ酸、ジグリコール酸ならびにそれらのあらゆる類似体、誘導体、コポリマーおよび組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、可塑剤としては、限定されるものではないが、例えば、カプロラクトンジオール、カプロラクトントリオール、ソルビトール、エリスリトール、グリシドール、マンニトール、ソルビトール、スクロースおよびトリメチロールプロパンなどの他のポリオールが挙げられる。他の実施形態では、可塑剤としては、限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどのグリコール、例えば、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテルならびにそれらのあらゆる類似体、誘導体、コポリマーおよび組み合わせが挙げられる。
他の実施形態では、可塑剤としては、限定されるものではないが、エステル、例えば、グリコールエステル(例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、メチレングリコールカプレート/カプリレートなど)、モノステアリン酸エステル(例えば、モノステアリン酸グリセリンなど)、クエン酸エステル、有機酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、脂肪酸エステル(例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびセバシン酸エステルなど)、トリアセチン、ポリ(エステル)(例えば、フタル酸系ポリエステル、アジピン酸系ポリエステル、グルテート系(glutate)ポリエステルなど)、フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジアルキル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸イソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニルおよびフタル酸ジイソデシルなど)、セバシン酸エステル(例えば、セバシン酸アルキル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジブチルなど)、ヒドロキシルエステル(例えば、乳酸エステル、乳酸アルキル、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸アリル、グリコール酸エチルおよびモノステアリン酸グリセリンなど)、クエン酸エステル(例えば、アセチルクエン酸アルキル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリヘキシル、クエン酸アルキル、クエン酸トリエチルおよびクエン酸トリブチルなど)、ヒマシ油のエステル(例えば、リシノール酸メチルなど)、芳香族カルボン酸エステル(例えば、トリメリト酸エステル、安息香酸エステルおよびテレフタル酸エステル)、脂肪族ジカルボン酸エステル(例えば、アジピン酸ジアルキル、アジピン酸アルキルアリルエーテルジエステル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステルおよび酒石酸エステルなど)、脂肪酸エステル(例えば、グリセリン、一酢酸、二酢酸または三酢酸エステルなど)およびジエチルスルホコハク酸ナトリウムならびにそれらのあらゆる類似体、誘導体、コポリマーおよび組み合わせが挙げられる。
他の実施形態では、可塑剤としては、限定されるものではないがエーテルおよびポリエーテル、例えば限定されるものではないが、ポリ(アルキレングリコール)(例えば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)およびポリ(エチレン/プロピレングリコール)など)、PEG誘導体(例えば、メトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)など)、およびエステルエーテル(例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエートおよびトリエチレングリコールカプレート/カプリレートなど)ならびにそれらのあらゆる類似体、誘導体、コポリマーおよび組み合わせが挙げられる。
他の実施形態では、可塑剤としては、限定されるものではないが、アミド(例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドおよびパルミチン酸アミドなど)、アルキルアセトアミド(例えば、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)など)、ピロリドン(例えば、n−メチルピロリドンなど)、スルホン(例えば、テトラメチレンスルホンなど)、酸(例えば、オキサ一酸、オキサ二酸(例えば、3,6,9−トリオキサウンデカン二酸、ポリオキサ二酸など)、アセチル化クエン酸のエチルエステル、アセチル化クエン酸のブチルエステル、アセチル化クエン酸のカプリル酸エステルおよびジグリコール酸(例えば、ジメチロールプロピオン酸)ならびにそれらのあらゆる類似体、誘導体、コポリマーおよび組み合わせが挙げられる。
他の実施形態では、可塑剤としては、限定されるものではないが、エポキシ化大豆油、亜麻仁油、ヒマシ油、ヤシ油、分別ヤシ油、エポキシ化タール油(epoxidized tallate)、およびステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびセバシン酸などの脂肪酸のエステルを含む植物油、限定されるものではないが、アンゲリカ油、アニス油、アルニカ油、アウランティイ・アエテロレウム(aurantii aetheroleum)、吉草油、バシリシ・アエテロレウム(basilici aetheroleum)、ベルガモット油、セイバリー油、ブクコ・アエテロレウム(bucco aetheroleum)、樟脳油、・カルダモミ・アエテロレウム(cardamomi aetheroleum)、カッシア油、ヘノポジ油、キク油、キナエ・アエテロレウム(cinae aetheroleum)、シトロネラ油、レモン油、柑橘油、コスタス油、ウコン油、チャボアザミ油(carlina oil)、エレミ油、タラゴン油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、松根油、フィリシス(filicis)、アエテロレウム(aetheroleum)、ガルバナム油、ガウルテリアエ・アエテロレウム(gaultheriae aetheroleum)、ゼラニウム油、ガイアックウッド油、オウシュウサイシン油(hazelwort oil)、イリス油、オトギリソウ油、菖蒲油、カモミール油、ファーニードル油、ニンニク油、コリアンダー油、キャラウェイ油、ラウリ・アエテロレウム(lauri aetheroleum)、ラベンダー油、レモングラス油、ロベージ油、ベイ油、ルプリ・ストロブリ・アエテロレウム(lupuli strobuli aetheroleum)、メース油、マジョラム油、マンダリン油、メリッサ油、メントール、ミルレフォリイ・アエテロレウム(millefolii aetheroleum)、ハッカ油、クラリセージ油、ニクズク油、甘松油、丁子油、ネロリ油、ニアウリ油、オリバナム油、オノニディス・アエテロレウム(ononidis aetheroleum)、オポプラナックス油(opopranax oil)、オレンジ油、オレガノ油、オルトシフォン油(orthosiphon oil)、パチョリ油、パセリ油、プチグレン油、ペパーミント油、タンジー油、ローズウッド油、ローズ油、ローズマリー油、ヘンルーダ油、サビナエ・アエテロレウム(sabinae aetheroleum)、サフラン油、セージ油、ビャクダン油、サッサフラス油、セロリ油、カラシ油、セルフィルリ・アエテロレウム(serphylli aetheroleum)、イモーテル油、ファー油、ティーツリー油、テレビン油、タイム油、杜松油、オリバナム油、ヒソップ油、シダーウッド油、桂皮油およびイトスギ油などの精油および例えば魚油などの他の油ならびにそれらのあらゆる類似体、誘導体、コポリマーおよび組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
当然のことながら、いくつかの実施形態では、当業者は、上記可塑剤のうちのいずれか1種または任意の組み合わせを除外するために、1種以上の特定の可塑剤を選択してもよい。
いくつかの実施形態では、可塑剤は、水溶性成分を含むことができる。他の実施形態では、可塑剤を修飾して水溶性にすることができる。いくつかの実施形態では、可塑剤は脂溶性成分を含むことができる。他の実施形態では、可塑剤を修飾して脂溶性にすることができる。任意の官能基を添加して、例えば生体内に存在する体液などの溶媒における可塑剤の挙動を変更することができる。
架橋結合
さらなる態様では、本発明に係る微粉化ホウォートンゼリー組成物製剤の潜在的な生体内分解もしくは侵食速度ならびに微粉化ホウォートンゼリーおよび他の成分の密度および粘着性を、例えば架橋結合によって変更することができる。微粉化ホウォートンゼリーを羊膜組織、中間組織層、絨毛膜または第2の羊膜組織などの他の成分と架橋させることができる。例えば、本明細書に記載されている微粉化の前および/または後に架橋剤を添加することができる。一般に、架橋剤は非毒性かつ非免疫原性である。当該成分を架橋剤で処理する場合、架橋剤は同じであっても異なってもよい。一態様では、天然ホウォートンゼリー、臍帯組織(天然ホウォートンゼリーを含む/含まない)および/または他の成分を架橋剤で別々に処理することができ、あるいは、天然ホウォートンゼリー、臍帯組織(天然ホウォートンゼリーを含む/含まない)および/または他の成分を同じ架橋剤で一緒に処理することができる。特定の態様では、天然ホウォートンゼリー、臍帯組織(天然ホウォートンゼリーを含む/含まない)および/または他の成分を2種以上の異なる架橋剤で処理することができる。天然ホウォートンゼリー、臍帯組織(天然ホウォートンゼリーを含む/含まない)および/または他の成分を処理するための条件は異なってもよい。他の態様では、微粉化ホウォートンゼリーをその後に架橋剤で処理することができる。一態様では、架橋剤の濃度は、約0.1M〜約5M、約0.1M〜約4M、約0.1M〜約3M、約0.1M〜約2Mまたは約0.1M〜約1Mである。好ましくは、脱水した架橋された成分が無孔性の型における圧縮または成形を可能にする十分に低い水分を有するように、天然ホウォートンゼリー、臍帯組織(天然ホウォートンゼリーを含む/含まない)および/または他の成分を脱水前に架橋させる。
特定の態様では、以下に記載するように、成形微粉化ホウォートンゼリーを架橋剤で処理することができる。好ましくは、本組成物の水分が低レベル、例えば、約20%未満、約15%未満、約10%未満または約5%未満に維持されるように、本組成物を圧縮前であって微粉化の前または後にガス/蒸気で架橋結合させる。架橋剤は一般に、タンパク質と反応して共有結合を形成することができる2種以上の官能基を有する。一態様では、架橋剤は、タンパク質上に存在するアミノ基と反応することができる基を有する。そのような官能基の例としては、限定されるものではないが、ヒドロキシル基、置換もしくは非置換アミノ基、カルボキシル基およびアルデヒド基が挙げられる。一態様では、架橋剤は、例えばグルタルアルデヒドなどのジアルデヒドであってもよい。別の態様では、架橋剤は、例えば(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド(EDC)などのカルボジイミドであってもよい。他の態様では、架橋剤は、酸化デキストラン、p−アジドベンゾイルヒドラジド、N−[α−マレイミドアセトキシ]スクシンイミドエステル、p−アジドフェニルグリオキサール一水和物、ビス−[β−(4−アジドサリチルアミド)エチル]ジスルフィド、ビス−[スルホスクシンイミジル]スベレート、ジチオビス[スクシンイミジル]プロピオネート、ジスクシンイミジルスベレートおよび1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩、二官能性オキシラン(OXR)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)、ノルジヒドログアヤレチン酸(NDGA)であってもよい。
一態様では、天然ホウォートンゼリー、臍帯組織(天然ホウォートンゼリーを含む/含まない)および/または他の成分中に存在するタンパク質と反応して共有結合を形成することができる糖が架橋剤である。例えば、糖は、メイラード反応によりタンパク質と反応することができ、この反応は、還元糖によるタンパク質上のアミノ基の非酵素的グリコシル化により開始し、その後に共有結合の形成が生じる。架橋剤として有用な糖の例としては、限定されるものではないが、D−リボース、グリセロース、アルトロース、タロース、エリトロース(ertheose)、グルコース、リキソース、マンノース、キシロース、グロース、アラビノース、イドース、アロース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、スクロース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトースまたはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
成形組成物
いくつかの実施形態では、流動性ゲル材料の形態の微粉化ホウォートンゼリーを適当な大きさおよび形状を有する型に入れ、そのまま型の中で乾燥させて、例えば関節軟骨のドリル穴部の中に入れるのに適した固体の成形組成物を形成することができる。従って、一実施形態では、事前に選択した生体内崩壊速度を有する微粉化ホウォートンゼリーを含む成形組成物を製造する方法が提供される。当然のことながら、粒径を変えることにより、成形組成物の崩壊速度における予測可能な変化を可能にする。一実施形態によれば、微粉化ホウォートンゼリーを圧力下で成形し、ここでは、事前に選択した崩壊速度を有する成形組成物を提供するために前記成形前に上記のように粒径を調整する。一実施形態では、微粉化ホウォートンゼリーの粒径を小さくすることにより生体内崩壊速度を低下させる(遅らせる)ことができる。
別の態様では、微粉化ホウォートンゼリーの粒径、使用される圧縮力および圧縮力をかける速度のうちの1つ以上を変更することにより、成形組成物の剛性および/または強度における予測可能な変化を可能にする。従って、事前に選択した強度および/または剛性を有する成形微粉化ホウォートンゼリー組成物を製造する方法がさらに提供され、前記方法は微粉化ホウォートンゼリーを圧力下で成形する工程を含み、ここでは、事前に選択した強度および/または剛性を有する成形組成物を提供するために前記成形前に上記パラメータのうちの1つ以上を調整する。一実施形態では、微粉化ホウォートンゼリーの粒径を小さくすることにより上に列挙されている他の因子のそれぞれを維持しながら成形組成物の強度を高めることができる。一実施形態では、使用される圧縮力を増加させることにより成形組成物の強度を高めることができる。一実施形態では、使用される圧縮速度を低下させることにより成形組成物の強度を高めることができる。
微粉化ホウォートンゼリーは、好ましくは無孔性の型の中で圧力をかけた場合、型によって画定される所望の形状および大きさをなす。多孔性の型はあまり好ましくないが、成形中に水または他の溶媒を逃したい場合には、本発明の方法においてそのような型を使用することができと考えられる。
成形微粉化ホウォートンゼリー組成物を形成している間の圧縮力、圧縮速度および圧縮サイクル数は異なってもよい。一態様では、微粉化ホウォートンゼリーを成形するために使用される圧縮力は、約10ニュートン〜約1000ニュートンである。別の実施形態では、使用される圧縮力は、約100ニュートン〜約400ニュートンである。この圧縮力は、目的の用途によって異なってもよい。例えば、成形組成物のより大きな強度および/または剛性を必要とする用途はより大きな力を必要とする。
一態様では、微粉化ホウォートンゼリーを成形するために使用される圧縮速度は、約0.001mm/sec〜約5mm/secである。別の実施形態では、この圧縮速度は、約0.008mm/sec〜約1.5mm/secである。この圧縮速度は目的の用途によって異なってもよい。例えば、成形組成物のより大きな強度および/または剛性を必要とする用途はより遅い速度を必要とする。
成形微粉化ホウォートンゼリー組成物は、少なくとも成形組成物が対象の体内に導入されるまで、その大きさおよび形状を維持するのに十分な密度および凝集塊(cohesive mass)を有する。成形組成物の凝集性は、一つには微粉化ホウォートンゼリーの粒径によって決定される。例えば、より大きな粒径を有する微粉化ホウォートンゼリーは、より小さい粒径を有する脱水した微粉化ホウォートンゼリーからなる成形微粉化ホウォートンゼリー組成物の密度と同じ密度を有する成形微粉化ホウォートンゼリー組成物を得るために、より高い圧縮圧力および/またはより長い圧縮時間を必要とする。言い換えると、同じ圧縮条件下で得られた成形微粉化ホウォートンゼリー組成物では、より大きな粒径を有する本組成物はより小さい密度を有し、かつより小さい粒径を有する本組成物と比較してより高い速度で分離する。
微粉化ホウォートンゼリー組成物の粒径は、本組成物中に存在する増殖因子および他の活性分子の放出速度にも影響を与える。理論によって縛られたくはなく、全ての他の因子は同等であるが、より小さい粒径により本組成物中の成分のより大きな総表面積が形成されると考えられる。より大きな表面積により、微粉化ホウォートンゼリーからの因子の放出を増加させ、かつ/または放出速度を高めることができる。より小さい粒子は、圧縮速度を上昇させ、かつ強度を高めることができると考えられる。より大きな粒子で作られた成形微粉化ホウォートンゼリー組成物は、より小さい粒子で作られたものよりも速く崩壊する可能性がある。従って、微粉化ホウォートンゼリーの粒径を最適化し、それにより、対象に投与した場合に所望の粘着性、表面積および所望の最終結果を有する成形微粉化ホウォートンゼリー組成物を得ることができる。
任意で、型に導入する前に、1種以上の接着剤を微粉化ホウォートンゼリーと混合することができる。そのような接着剤の例としては、限定されるものではないが、フィブリンシーラント、シアノアクリル酸塩、ゼラチンおよびトロンビン製品、ポリエチレングリコールポリマー、アルブミンおよびグルタルアルデヒド製品が挙げられる。当該プロセスで使用される接着剤を、接着剤および微粉化羊膜組成物の混合物が無孔性の型における圧縮を可能にする十分に低い水分を有するように、好ましくは微粉化羊膜組成物との混合前に脱水する。
上記脱水した組織に加えて、微粉化の前および/または後に、羊膜、中間組織層および/または絨毛膜などのさらなる脱水した成分を本組成物に添加することができる。一態様では、脱水した充填剤を添加することができる。充填剤の例としては、限定されるものではないが、同種移植片心膜、同種移植片無細胞真皮、精製した1型コラーゲン、バイオセルロースポリマーもしくはコポリマー、生体適合性合成ポリマーもしくはコポリマーフィルム、精製した小腸粘膜下組織、膀胱無細胞マトリックス、死体筋膜、骨粒子(海綿骨および皮質骨粒子を含む)またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
別の態様では、微粉化の前および/または後に、脱水した生物活性剤を本組成物に添加することができる。生物活性剤の例としては、限定されるものではないが、自己血液を採取および分離した生成物のいずれかを用いた濃厚血小板または期限切れの保存血由来の濃厚血小板由来の天然に生じる増殖因子、骨髄穿刺液、濃縮されたヒト胎盤臍帯血幹細胞、濃縮された羊水幹細胞もしくはバイオリアクターで増殖された幹細胞由来の幹細胞または抗生物質が挙げられる。脱水した成形微粉化ホウォートンゼリー組成物を生物活性剤と共に目的の領域に施用すると、生物活性剤は時間をかけてその領域に送達される。従って、本明細書に記載されている脱水した成形微粉化ホウォートンゼリー組成物は、対象に施用した場合に生物活性剤および他の美容剤(cosmetic agent)の送達媒体として有用である。とりわけ、成形組成物を調製するために使用される成分の選択ならびに本組成物に含まれる粒子の大きさに基づき、放出プロファイルを変更することができる。
注射可能な組成物
一態様では、対象の損傷領域に送達した場合に、その修復および/または再生のために損傷領域から僅かに移動するか移動することなく実質的に局在化されたままであるようにそのような流動性ゲル組成物の制御された粘度を維持しながら、注射器および針で注射するのに適した微粉化ホウォートンゼリーが提供される。好ましい実施形態では、注射可能な組成物はゲルである。微粉化ホウォートンゼリー組成物の水性形態は一般にゲルを形成するが、これらのゲルは、ゼラチン、メチルセルロースおよびポリエチレングリコールなどのゲルを形成する薬学的に許容されるポリマーをさらに含んでいてもよい。
本明細書に開示されている微粉化ホウォートンゼリーの注射可能なゲルを患者の治療のための媒体として使用して天然ホウォートンゼリー中に存在する生物学的に活性な化合物の生体内放出を持続することができると考えられる。天然ホウォートンゼリーによる生物学的に活性な化合物の拡散は、これらの系の粘度ならびに存在する3次元ポリマーネットワークにより生じる蛇行した拡散経路によって妨害されるが、そのような妨害は本発明の微粉化ホウォートンゼリー製剤および組成物によって克服される。
微粉化ホウォートンゼリーの注射可能なゲルは、浸透物質、疎水性物質および界面活性剤のうちの1種以上を含んでいてもよい。浸透物質はゲル内への水分収着速度を高め、かつ天然ホウォートンゼリー中に存在する生物学的に活性な化合物の放出速度を上昇させる。本発明に従ってあらゆる従来の浸透物質を使用することができる。好ましい浸透物質としては、マンニトール、デキストロースおよび塩化ナトリウムが挙げられる。疎水性物質は、注射部位からのゲルの除去速度を低下させ、かつ天然ホウォートンゼリー中に存在する生物学的に活性な化合物の放出速度を低下させる。本発明に従ってあらゆる従来の疎水性物質を使用することができる。好ましい疎水性物質としては、コレステロールおよび硫酸コレステロール、酢酸コレステロールおよびヘミコハク酸コレステロールなどのコレステロール誘導体が挙げられる。界面活性剤は、注射部位からのゲルの除去速度を上昇させ、かつホウォートンゼリー中に存在する生物学的に活性な化合物の最初の高い放出速度を与える。本発明に従ってあらゆる従来の界面活性剤を使用することができる。好ましい界面活性剤は、ステアリン酸、パルミチン酸、C〜C26カルボン酸およびこれらの酸の塩である。他の界面活性剤としては、ポリオキシエチレングリコール(例えば、プルロニック(登録商標))およびモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば、ポリソルベート)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、微粉化ホウォートンゼリーを含む注射可能なゲルを使用し、そのゲルを患者に注射して患者の関節面軟骨を修復および/または再生させることにより、患者を治療することができる。
さらなる実施形態では、微粉化ホウォートンゼリーを含む注射可能なゲルを使用し、そのゲルを患者の滑膜関節内に注射することにより患者を治療することができる。滑液は関節の動作および保護に関与する。滑液は関節を潤滑化し、かつ衝撃を吸収する粘弾特性を有する。但し、特定の疾患(例えば、変性変形性膝関節症)では、滑液は分解して関節の保護をやめる。
関節内補充療法では、ゲルを関節内に注射して欠陥のある滑液を置き換える。関節内補充は痛みを減少または除去して、関節可動性の回復を助けることができる。現在市販されている関節内補充製品はヒアルロン酸を含むゲルである。但し、ヒアルロン酸は容易に生体内で分解するため、ヒアルロン酸によるゲルの持続性は関節において低い(数時間から数日)。
対照的に、微粉化ホウォートンゼリーを含む注射可能なゲルは、関節面軟骨または滑膜関節などの注射部位に約6〜約12時間、約12〜約14時間、約24時間〜約36時間、約36時間〜約48時間、約48時間〜約60時間、約60時間〜約100時間またはそれ以上持続することができると考えられる。
III.関節面欠損の治療
別の態様では、関節面欠損の治療方法が提供される。
関節の裏打ちとして機能する関節軟骨は、ほぼ摩擦のない特性を与える固有の生化学的および物理的性質を有する。関節面欠損は、急性および繰り返しの外傷の両方によって引き起こされ得る。深刻な衝撃損傷は関節軟骨の病巣領域に損傷を引き起こすことがある。関節面における欠損は関節の変形性関節症に繋がり得る。そのような欠損は、肩、肘、膝、腰、足、足首、手および手首などの関節において生じ得る。組織損傷の種類および修復応答に基づき、(1)関節面の目に見える機械的破壊を引き起こさないが軟骨損傷を引き起こし、かつ軟骨下骨損傷を引き起こし得る関節表面への損傷、(2)関節軟骨に限定された関節面の機械的破壊、および(3)関節軟骨および軟骨下骨の機械的破壊の3つのクラスの軟骨および骨軟骨損傷を特定することができる。
関節面欠損を関節軟骨の損傷の深さに基づき段階付けすることができる。段階Iは、軟骨が軟らかい部分すなわち水疱を有する場合であり、段階IIは、亀裂または全層の半分未満の凹凸深さを含む軟骨内の目に見える小さい裂傷を指し、段階IIIは、病変部が軟骨の厚さの大部分を貫通する深い欠損を含む深い裂け目(軟骨層の50%超)を有することを指し、最も深刻な段階IVは、骨が露出された全層欠損を指す。
関節軟骨は治癒性が低い。関節面欠損は自然に治癒または再生させるのが難しい。関節面欠損または関節軟骨欠損に対処する手法は典型的に「修復」および/または「再生」を含む。「修復」とは、損傷した組織の治癒すなわち細胞増殖および新しいECMによる置換を指す。「再生」とは、好ましくは元の組織と同一の完全に新しい関節面の形成を指す。
天然ホウォートンゼリーは、様々な線維性タンパク質、間質タンパク質、およびグリコサミノグリカン(GAG)やプロテオグリカンなどのシグナル伝達分子、ならびに形質転換増殖因子β1(TGF−β1)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様増殖因子I(IGF−I)、血小板由来増殖因子(PDGF)および表皮増殖因子(EGF)などの増殖因子を含むECMが豊富である。天然ホウォートンゼリーは、さらに一つにはI型、II型、III型、IV型、V型、VI型およびVII型などのその中に存在するコラーゲンの種類および特定の各種層内に水結合能を有するという理由で独特なECMである。天然ホウォートンゼリーは顕著な弾性特性ならびに水分子の結合も有する。天然ホウォートンゼリーは関節面軟骨を修復し、かつ再生するのに必須の要素を提供すると考えられる。いくつかの実施形態では、増殖因子を導入して修復または再生を促進する。増殖因子は、走化性による細胞増殖およびECMの送達を引き起こし、丈夫で高密度かつ線維性であり関節には理想的ではない線維軟骨ではなく硝子軟骨への細胞分化を促進することができる。
軟骨修復のために最も広く使用されている外科手術技術のうちの1つは、マイクロフラクチャー法である。マイクロフラクチャー法では、出血を誘導して骨髄幹細胞を刺激するために軟骨下骨および軟骨を破壊する。より大きな欠損では恐らく、治癒を促進するために少量の軟骨下骨を除去して様々な他の骨材料と混合する。本出願では、微粉化ホウォートンゼリーまたはその組成物または製剤を、除去した自家骨組織などに添加して混合し、欠損部の中に戻すことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているように、乾燥したペレットの形態の微粉化ホウォートンゼリーを添加する。いくつかの実施形態では、乾燥したペレットをドリル穴部位に圧入する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている流動性ゲル材料の形態の微粉化ホウォートンゼリーを適当な大きさおよび形状を有する型に入れ、そのまま型の中で乾燥させて関節軟骨のドリル穴部の中に入れるのに適した固体の成形組成物を形成する。乾燥後に、固体の成形組成物の大きさの減少が最小に抑えられていることは驚くべきことである。これにより、ドリル穴部に十分に合致する固体の成形組成物を製造するための、その穴部の形状および大きさに従った形状および大きさの型の信頼できる設計が可能になる。さらに、ペレットの形態または成形された形態のいずれの固体組成物も水性環境に置いた場合に容易に再溶解しないことは驚きである。これにより、微粉化ホウォートンゼリー組成物をドリル穴部位に長期間(例えば、少なくとも1日、1週間、2週間、1ヶ月あるいは修復または再生の完了まで)維持して、関節面軟骨の修復または再生を支援する長期間の効果を得ることができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている流動性ゲルの形態の微粉化ホウォートンゼリーをドリル穴部位に直接注射する。
一態様では、本明細書に記載されている微粉化ホウォートンゼリー組成物および製剤は創傷治癒を向上または改善するのにも有用である。毎日のように医師に診せられる創傷の種類は多様である。急性創傷は外科的介入、外傷および火傷によって引き起こされる。慢性創傷はそうではない健康な個体における治癒と比較して塞がりが遅い創傷である。患者を悩ます慢性創傷の種類の例としては、糖尿病性足部潰瘍、静脈性下腿潰瘍(venous leg ulcers)、褥瘡性潰瘍、動脈性潰瘍および感染する手術創傷が挙げられる。
以下の実施例は単に例示を目的としており、特許請求されている本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
1.微粉化のための臍帯組織の調製
当該技術分野で知られている標準的なプロセス中に臍帯を盤状胎盤から剥離することにより臍帯組織を得る。約2〜3mmの深さに延びる臍帯切片に沿った垂直方向の切開を行って剥離を続ける。次いで、可能な限り多くのホウォートンゼリー組織を維持するように注意を払いながら皮下剥離技術により臍帯動脈および静脈を除去する。天然ホウォートンゼリーを含む臍帯切片の剥離および回収を最大にするために、臍帯を4〜10cmの長さのより小さい切片に切断してもよい。剥離が完了したら、臍帯切片を標準的なPurionプロセスの洗浄および洗い流し工程に進めてもよい。洗浄および洗い流しが完了した後、次いで、天然ホウォートンゼリー側を上に向けた状態で臍帯切片を乾燥板の上に置く。臍帯切片を乾燥させ、2×2cmの切片に切断し、微粉化のために準備する。
2.臍帯組織の微粉化
次いで、実施例1に記載されている手順に従って得られた脱水した臍帯組織を微粉化して、以下のように25μm〜75μmの標的粒径を有する微粉化ホウォートンゼリーを得る。
乾燥した臍帯切片および2つの9.5mmの鋼製粉砕ボールを50mLのバイアルに入れ、バイアルをその後に密閉する。バイアルをクライオブロックに入れ、クライオブロックをクライオラックの中に置く。クライオラックを液体窒素保持デュワー瓶に入れる。組織試料を30〜60分以下で気相冷却する。クライオラックをデュワー瓶から取り出し、クライオブロックをクライオラックから取り出す。クライオブロックを粉砕機(SPEX Sample Prep GenoGrinder 2010)の中に置き、1,500rpmで20分間に設定する。20分が経過した後、当該組織について微粉化が実現されているかを調べる。必要であれば、当該組織をさらに30〜60分間デュワー瓶の中に戻し入れることができ、さらに20分間粉砕機に移して十分な微粉化を実現する。当該組織を十分に微粉化したら、一連の米国規格ASTMの篩を用いて分別する。これらの篩を355μm、300μm、250μm、150μm、125μm、75μmおよび25μmの順序で置く。微粉化材料を50mLのバイアルから355μmの篩に移す。微粉化粒子を完全に分離するために各篩を個々に激しく動かす。これらの篩を用いて微粉化粒子を効果的に分離したら、355μm、300μm、250μm、150μm、125μm、75μmおよび25μmよりも大きな粒径を有する微粉化粒子を別個のバイアルに採取する。
3.微粉化ホウォートンゼリーのゲル組成物の調製
滅菌水を使用して実施例2に記載されている手順に従って得られた微粉化ホウォートンゼリーを含む流動性ゲル構成を以下のとおり生成した。25〜27ゲージ針を通過させることができる滑らかな稠度を達成するために、1358.08μLの水を0.504gの微粉化ホウォートンゼリーに添加した。これにより、1.0cc注射器に充填することができる微粉化ホウォートンゼリーを含む2.5mLの流動性ゲル材料を得た。
4.微粉化ホウォートンゼリーのペレット組成物の調製
実施例3に従って調製した微粉化ホウォートンゼリーゲル製剤を1.0ccの注射器に充填した。充填後にオープンボア(open bore)技術を用いて、平均的な液滴直径が約2.5mmになるように、微粉化ホウォートンゼリーゲルの液滴を標準的な乾燥板(滑らかな側面、非凹凸)の上に置いた。液滴をそのまま約8時間完全に乾燥させた。
乾燥後、この液滴を固体のペレットになっているかを観察し、全径の減少が最小に抑えられた円形形状/構成を維持した。
次いで、ペレットを滅菌水の中に入れて再水和させた。ペレットの全径が約2倍に増加しているか観察した。24時間を超えて水性条件下においても大きさまたは形状における完全性の喪失の兆候は認められなかった。
5.微粉化ホウォートンゼリーの臨床的用途
軟骨修復のために最も広く使用されている外科手術技術のうちの1つは「マイクロフラクチャー」法である。「マイクロフラクチャー」法では、出血を誘導して骨髄幹細胞を刺激するために軟骨下骨および軟骨の破壊を行う。より大きな欠損では恐らく、治癒を促進するために少量の軟骨下骨を除去して様々な他の骨材料と混合する。本出願では、実施例4に従って調製した微粉化ホウォートンゼリーペレットを、除去した自家骨組織に添加して混合し、欠損部の中に戻すことができる。
マイクロフラクチャーの場合、実施例3に従って得られた微粉化ホウォートンゼリー流動性ゲル材料をドリル穴部位に直接注射することができ、実施例4に従って得られた微粉化ホウォートンゼリーペレットを各ドリル穴部位の中に圧入することができる。

Claims (34)

  1. 微粉化ホウォートンゼリー。
  2. 臍帯の羊膜を含む、請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリー。
  3. 臍帯の羊膜を実質的に含まない、請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリー。
  4. 約10μm〜約100μMの直径を有する微粉化ホウォートンゼリー粒子を含む、請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリー。
  5. 約25μm〜約75μMの直径を有する粒子を含む、請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリー。
  6. 粒径の混合物を含み、前記粒子の約50%が約40μM未満の直径を有し、前記粒子の約25%が約40μM〜約60μM未満の直径を有し、かつ前記粒子の約25%が約60μM以上の直径を有する、請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリー。
  7. 粒子の混合物を含み、前記粒子の約25%が約40μM未満の直径を有し、前記粒子の約25%が約40μM〜約60μM未満の直径を有し、かつ前記粒子の約50%が約60μM以上の直径を有する、請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリー。
  8. 請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリーおよび薬学的に許容される担体を含む組成物。
  9. 前記薬学的に許容される担体は水性担体である、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記薬学的に許容される担体は、水、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水である、請求項8に記載の組成物。
  11. 前記薬学的に許容される担体は水である、請求項8に記載の組成物。
  12. 微粉化ホウォートンゼリーの濃度は約0.01g/mL〜約1g/mLである、請求項8に記載の組成物。
  13. 微粉化ホウォートンゼリーの濃度は約0.1g/mL〜約0.5g/mLである、請求項12に記載の組成物。
  14. 微粉化ホウォートンゼリーの濃度は約0.2g/mLである、請求項12に記載の組成物。
  15. 胎盤組織を含まない、請求項8に記載の組成物。
  16. 胎盤組織をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
  17. 前記胎盤組織は微粉化羊膜である、請求項16に記載の組成物。
  18. 前記羊膜は生体適合性架橋剤により架橋されている、請求項17に記載の組成物。
  19. 注射可能である、請求項8に記載の組成物。
  20. 液体、ゲルまたはペーストである、請求項8に記載の組成物。
  21. 請求項8に記載の組成物の乾燥した液滴を含む固体のペレット。
  22. 約1mm〜約5mmの直径を有する、請求項21に記載の固体のペレット。
  23. 約2.5mmの直径を有する、請求項22に記載の固体のペレット。
  24. 型の中で乾燥した請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリーを含む成形組成物。
  25. 型の中で乾燥した請求項8に記載の組成物を含む成形組成物。
  26. 微粉化生体適合性ポリマーをさらに含む、請求項24に記載の成形組成物。
  27. 前記微粉化生体適合性ポリマーは可塑化ポリマーである、請求項26に記載の成形組成物。
  28. 前記可塑化ポリマーは生体適合性架橋剤で架橋されている、請求項27に記載の成形組成物。
  29. 請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリーを含む注射可能なゲル。
  30. 請求項8に記載の組成物を含む注射可能なゲル。
  31. 関節面欠損の治療方法であって、それを必要とする患者に請求項1に記載の微粉化ホウォートンゼリーを投与する工程を含む方法。
  32. 前記微粉化ホウォートンゼリーを前記関節面欠損部位に投与する、請求項31に記載の方法。
  33. 前記微粉化ホウォートンゼリーをマイクロフラクチャー法の間に前記対象に投与する、請求項31に記載の方法。
  34. 前記微粉化ホウォートンゼリーを前記マイクロフラクチャー法の間にそのドリル穴部位に投与する、請求項33に記載の方法。
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