JP6756612B2 - キレーターを含む微粒子化した胎盤性組成物 - Google Patents

キレーターを含む微粒子化した胎盤性組成物 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本願は、米国特許法119条(e)の下、2013年8月30日に出願の米国特許仮出願第61/872,393号の利益を主張するものであり、この文書は全体を参照として本明細書中に援用される。
本発明は、微粒子化した胎盤の成分および任意にフィラーを含む微粒子化した胎盤性組成物であって、生物学的に適合可能なキレーター部分が、上記組成物の成分と結合している、微粒子化した胎盤性組成物を目的とする。本発明は、キレート部分と可逆的に結合した薬理学的に活性の金属イオンを有する当該組成物をさらに含む。
最新技術
単離した羊膜および絨毛膜、ならびにそれらの積層物などの胎盤組織の成分は、創傷被覆として使用するため、および創傷治癒を促進するために、当業者に知られている。概して、胎盤組織は、選択的帝王切開(elective Cesarean surgery)の後に収集される。胎盤は、2つの主な組織層の、羊膜(amnion)および絨毛膜を有する羊膜(amniotic membrane)から構成される。羊膜組織は、羊膜嚢の最内層であり、羊水と直接接触している。羊膜嚢は羊水を含み、胎児の環境を保護する。組織学的な評価は、羊膜の膜層は、単一層の上皮細胞、薄膜細網線維(基底膜)、および緻密層、および繊維芽細胞からなることを示す。羊膜の線維層(すなわち基底膜)は、IV型、V型、およびVII型コラーゲンと、フィブロネクチンおよびラミニンを含む細胞接着性生理活性因子とを含む。よって、回収した羊膜は、創傷を保護し、かつ治癒を誘導する創傷移植片に、商業的に使用されている。
このような有益な用途に加えて、羊膜は、米国特許出願公開公報第2014/0106447号に提供されるように、幹細胞のリクルーターとして作用することが見出されており、この文献全体は本明細書中参照として援用される。
米国特許出願公開公報第2013/0344162号は、微粒子化した胎盤組織の組成物およびその作製方法および使用方法を記載する。米国特許出願番号第13/903,878号は、生物学的に適合可能なポリマー−キレーター複合体ならびにその作製方法および使用方法を記載する。これらの参照文献全体は本明細書中参照として援用される。
Koobらは、様々な生物医学的応用のために、場合によっては天然の腱と類似する引っ張り強度(たとえば約91MPa)を伴うノルジヒドログアヤレチン酸(NDGA)重合および架橋コラーゲン線維を生成する方法を説明している。たとえば、Koob and Hernandez, Material properties of polymerized NDGA−collagen composite fibers: development of biologically based tendon constructs, Biomaterials 2002 Jan; 23 (1): 203−12および米国特許第6,565,960号を参照されたい。これらの内容は本明細書中に完全に引用されるものとして、参照として本明細書中に援用される。
本発明は、羊膜、絨毛膜、中間組織層、およびホウォートンゼリー、ならびにそれらの積層物などの微粒子化した胎盤組織の成分と、任意にフィラーとを含む組成物であって、上記胎盤の成分および/またはフィラーの少なくとも一部が、キレート部分と結合している、組成物を目的とする。好ましくは、キレート部分は、薬理学的に活性の金属イオンと放出可能に結合することにより、金属イオンが経時的に持続して放出される。よって、これらの金属イオンの作用は、局在化した方法で微粒子化した羊膜の治療上の作用と組み合わせることにより、改善した治療を提供できる。
あるいは、本発明の組成物を使用して、異常性幹細胞を含む異常性細胞を死滅または破壊することができる。このような実施形態では、本組成物は、羊膜および絨毛膜、ならびにそれらの積層物などの胎盤の成分と、任意にフィラーとを含む。これらのいずれかまたは両方が、シスプラチンなどの1つまたは複数の薬理学的に活性の金属イオンを含む薬理学的に活性な薬剤が可逆的に結合したキレート剤に結合する。一部の実施形態では、羊膜を、癌幹細胞(CSC)などの異常性幹細胞を動員するために使用し、抗癌剤を、CSCを死滅または破壊するために使用する。これに関連して、CSCは、癌の再発、惹起、進行、転移、および薬物の耐性の原因であると考えられている。理論により縛られるものではないが、腫瘍部位への本発明の組成物の導入は、金属含有の抗癌剤によりCSCの標的化をもたらすと考えられている。すなわち、CSCは、羊膜により腫瘍部位へと動員され、抗癌剤により死滅または阻害される。
この組成物の一態様では、本発明は、羊膜、絨毛膜、およびその積層物などの微粒子化した胎盤組織およびその成分と、任意にフィラーとを含む組成物であって、微粒子化した組織および/またはフィラーの少なくとも一部が、1つまたは複数のキレート部分と結合している、組成物に関する。さらに、微粒子化ホウォートンゼリーなどの微粒子化臍帯物質は、微粒子化した胎盤組織と組み合わせることができる。
この組成物の別の態様では、治療上活性の金属イオンは、キレート部分と放出可能に結合している。一態様では、金属イオンは、持続した抗癌活性を提供するために経時的に放出される抗癌剤である。
本発明の、羊膜、絨毛膜、中間組織層、ホウォートンゼリーの組成物などの胎盤性組成物は、たとえば白金アルキル化剤といった、金属イオンでの処置の影響を受けやすい癌を有する患者に導入されてもよい。当該組成物は、腫瘍の処置の前、最中、および/または後に患者に導入されてもよい。一態様では、本組成物は、たとえば手術不能の脳腫瘍または脊髄の腫瘍といった、別な方法では治療できない腫瘍部位または腫瘍部位の近くに導入される。一態様では、本組成物は、たとえば外科手術、化学療法、および/または放射線療法といった、他の処置と併用して、腫瘍部位または腫瘍部位の近くに導入される。一態様では、本組成物は、腫瘍が処置かつ/または除去された後に、腫瘍部位または腫瘍部位の近くに導入される。
キレート部分は、生物学的に適合可能であり、かつ薬理学的に活性の金属イオンとの可逆的な結合に適したペンダント官能基を含む任意の部分とすることができる。このような生物学的に適合可能であり、かつ薬理学的に活性の金属イオンの例として、限定するものではないが、銀イオン、銅イオン、または金属イオン性抗腫瘍剤が挙げられる。好ましくは、抗腫瘍剤は、イオン化した白金である。本明細書中に記載されるキレート部分は、癌の処置部位で日和見性細菌感染症および/または真菌性感染症を阻害するために、抗細菌性の銀イオンおよび/または抗真菌性の銅イオンなどの金属の混合物を含むことができる。
一実施形態では、本発明の羊膜または絨毛膜の組成物などの胎盤性組成物は、罹患領域または罹患領域の近くに注射される。一実施形態では、胎盤性組成物は、置換領域または罹患領域の近くに移植される。理論により縛られるものではないが、局在型の本組成物の導入は、薬理学的に活性の金属イオンでの全身的な処置で起こる潜在的な副作用を低減させると考えられている。
また本発明は、本組成物と結合した1つまたは複数のキレート部分を有する本明細書中に記載される組成物の作製方法および使用方法を目的とする。
本発明のいくつかの利点は、続く説明に部分的に記載されており、一部はこの説明から明らかであり、または以下に記載される態様の実務により学習され得る。以下に記載される利点は、添付される特許請求の範囲に特に指摘される要素および組み合わせにより認識かつ達成されるものである。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示的であり、単なる説明であり、限定されるものではない。
以下の添付図面は、本明細書の一部に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成し、以下に記載されるいくつかの態様を例証する。
図1Aおよび1Bは、本明細書中に記載される羊膜組成物を作製する工程のフローチャートの概略である。 図1Aおよび1Bは、本明細書中に記載される羊膜組成物を作製する工程のフローチャートの概略である。 図2および3は、異なるキレート部分を使用した、羊膜−またはフィラー−キレート剤複合体の混合物を含む組成物から金属イオンの異なる二元的な放出パターンを例証する。図2では、異なる非架橋キレート剤(部分)を含むキレート剤複合体からの、金属イオンの放出速度が例証されている。これら2つのキレート剤からの放出速度は、経時的な金属イオンの徐放を提供するために重複して選択される。 図3では、2つの類似の複合体からの金属イオンの放出速度が例証されている。この場合、複合体のキレート部分は、これらの放出速度が重複しないように選択される。これは、金属イオンの第1の急速投与の放出、次いで金属イオンの第2の急速投与の放出をもたらす。 実施例3に記載される幹細胞遊走アッセイのための細胞培養インサートを模式的に示す。 様々な量のEpiFix(登録商標)の存在下で培養したヒト間葉系幹細胞(MSC)におけるパーセント細胞遊走の棒グラフを示す。詳細を、実施例3に記載する。 図6Aは、移植から3日後、7日後、14日後、および28日後に、正常な皮膚、シャムインプラント、無細胞真皮マトリックス、およびEpiFix(登録商標)におけるパーセンテージ生存/Linマウス造血性幹細胞の棒グラフを示す。示される値は、平均値±標準偏差である(n=4検体)。**は、一元配置ANOVAで、正常な皮膚およびシャムインプラントと、EpiFix(登録商標)または対照ADMを比較する場合のp<0.05を示す。††は、両側t検定で、対照のADMとEpiFix(登録商標)を比較する場合のp<0.05を示す。図6Bは、移植から3日後、7日後、14日後、および28日後の、正常な皮膚、シャムインプラント、無細胞真皮マトリックス、およびEpiFix(登録商標)におけるパーセンテージ生存/Linマウス間葉系細胞の棒グラフを示す。示される値は、平均値±標準偏差である(n=4検体)。**は、一元配置ANOVAで、正常な皮膚およびシャムインプラントと、EpiFix(登録商標)または対照のADMを比較する場合のp<0.05を示す。詳細を実施例4に記載する。 図7Aは、CD45およびSca−1のフローサイトメトリーおよび蛍光検出を使用して検出される細胞の代表的なFACSドットプロットを示す。図7Bは、細胞体を染色するDAPI、および造血幹細胞のマーカーであるCD34で染色した真皮組織の顕微鏡写真である。詳細を実施例5に記載する。
本発明を開示かつ記載する前に、以下に記載される態様は、特定の組成物、当該組成物の調製方法、または用途に限定されるものではなく、当然変動することが理解される。また、本明細書中で使用される技術は、単に特定の態様を説明するためのものであり、限定を意図するものではないことが理解される。
本明細書および以下の特許請求の範囲では、以下の意味を有すると定義される多くの文言を参照する。
すべての数字表示、たとえば、それらの各範囲を含む、pH、温度、時間、濃度、および重量は、適宜0.1、1.0、または10.0だけ(+)または(−)に変動し得る近似値である。すべての数字表示は、用語「約」が前に置かれるものと理解され得る。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が特段他の記述が明確にない限り複数形を含むものと理解すべきである。よって、参照として「生理活性薬剤(a bioactive agent)」は、2つ以上の当該薬剤の混合物などを含む。
「任意の」または「任意に」は、以降で記載される事象または状況が起こり得ること、または起こり得ないことを意味し、かつ記載が事象または状況が起こる例と、当該事象または状況がおこらない例とを含むことを意味する。たとえば、文言「任意に洗浄するステップ」は、洗浄するステップが、実施されてもされなくてもよいことを意味する。
本明細書中で使用される用語「羊膜」は、中間組織層が無処置であり、または実質的に除去されている羊膜を含む。
用語「羊膜組成物」は、1つまたは複数の胎盤組織の成分を含む組成物であって、上記成分の少なくとも1つが羊膜である、組成物を指す。羊膜組成物は任意にフィラーを含む。用語羊膜組成物は、任意に、組成物の成分と結合した1つまたは複数のキレート剤をさらに含む。
用語「絨毛膜組成物」は、1つまたは複数の胎盤組織の成分を含む組成物であって、上記成分のうち少なくとも1つが絨毛膜である、組成物を指す。絨毛膜組成物は、任意にフィラーを含む。用語絨毛膜組成物は、任意に、組成物の成分と結合した1つまたは複数のキレート剤をさらに含む。
用語「フィラー」は、羊膜以外の、組成物の任意の成分を指す。フィラーは、コラーゲン、ヒアルロン酸、生物学的に適合可能な可塑剤などを含む、他の胎盤組織の成分およびポリマーを含む。一実施形態では、コラーゲンは、ヒトのコラーゲン、および非ヒトの抗原を実質的に含まないコラーゲン物質などの胎盤組織から調製されたコラーゲンを含む。一部の実施形態では、コラーゲンは、IV型、V型、およびVII型のコラーゲンを含む羊膜の線維層(すなわち基底膜)から調製される。本明細書中に記載されるコラーゲンフィラーは、もしある場合は、組成物の羊膜または絨毛膜中などの胎盤の成分に存在するコラーゲンから分離、かつコラーゲンから離れている。一部の態様では、コラーゲンは、エラスチン、フィブロネクチン、および/またはラミニンを含む他の成分を含まない、または実質的に含まない。
用語「非ヒト抗原」は、ヒトへ導入される場合に免疫原性であり、免疫応答の症状(たとえば炎症など)のために医療処置を必要とする望ましくない免疫応答を排除する、非ヒト由来の任意の薬剤(たとえばタンパク質、ペプチド、多糖、糖タンパク質、糖脂質、核酸、またはそれらの組み合わせ)を指す。本明細書中定義されるように、非ヒト抗原誘導型の免疫応答は、体液もしくは細胞媒介型、またはその両方とすることができる。
用語「胎盤組織」は、限定するものではないが、羊膜、絨毛膜、中間組織層、ホウォートンゼリーなどの臍帯成分などを含む、良く知られた胎盤の成分のいずれかおよびすべてを指す。一実施形態では胎盤組織は、臍帯成分(たとえばホウォートンゼリー、臍帯の静脈および動脈、ならびに周辺の膜)を含むものではない。別の実施形態では、臍帯成分(たとえばホウォートンゼリー、臍帯の静脈および動脈、ならびに周辺の膜)のいずれかを含む。
用語「成形する」、「成形した」、または「成形している」は、微粒子化した胎盤組織および任意にフィラーが、圧力下で圧縮されて、ex vivoまたはin vivoのいずれかで使用するために定義される時間の間、定義される大きさおよび形状を有する胎盤性組成物を生成するための、実際の型の使用、圧力下での押し出し、型打ち(stamping)、または任意の圧縮方法など、任意の形態の成形を含む。好ましくは、成形した胎盤成分は、in vivoでの投与の最中に組成物の大きさおよび形状を維持するための十分な密度および接着性を有する。
用語「〜を含む」は、いずれかの記載される構成要素が必ずしも含まれるわけではなく、他の構成要素を任意に含み得ることを意味する。「本質的に、〜からなる」は、いずれかの記載される構成要素が必ずしも含まれるわけではなく、列挙される構成要素の基本的かつ新規の特徴に著しく影響する構成要素は排除され、その他の構成要素を任意に含み得ることを意味する。「〜からなる」は、列挙されるもの以外の全ての構成要素は排除されることを意味する。これら用語のそれぞれにより定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
「C」はある基の前に置かれる場合、m個の炭素原子を含む基を指す。
「アルキル」は、ヒドロカルビルラディカル、好ましくは、1〜12個の炭素原子を含む一価のヒドロカルビルラディカルを指す。アルキルの非限定的な例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチルなどが挙げられる。
「シクロアルキル」は、環状ヒドロカルビルラディカル、好ましくは、3〜10個の炭素原子を含む一価の環状ヒドロカルビルラディカルを指し、二環ラディカルを含む。シクロアルキルの非限定的な例として、シクロプロピル(cycloproyl)、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
「アリール」は、6〜14個の炭素原子を有する、芳香式ヒドロカルビルの単環、二環、または三環を指す。
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、硫黄、およびそれらの適切な酸化形態から選択され、かつ1〜14個の炭素原子を有する、1〜5個の環状ヘテロ原子を含むアリール環を指す。
「アルデヒド」は、式O=C(H)−Rの化合物であって、式中、Rが、任意にリンカー部分を介してアルデヒドと結合したキレート部分を構成する基から選択される、化合物を指す。リンカーを使用する場合、アルデヒドは、式R−L−アルデヒドにより表され、Lはリンカーである。
「イソシアナート」は、式O=N=C−L−Rの化合物であって、式中Rは上述のように定義され、Lは、結合またはリンカー部分である、化合物を指す。
上記で「L」と定義される用語「リンカー」は、羊膜もしくは絨毛膜などの胎盤の成分、および/またはフィラーにキレート部分を結合させる、共有結合または酸素、硫黄、窒素、および炭素の原子から選択される1〜10の原子を有する結合基を指す。
用語「キレート部分」は、金属イオンをキレート化できる官能基を含む良く知られた置換基を指す。当該置換基は、単なる例として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、またはそれらの混合物(カルボキシル基およびヒドロキシル基)などのα,β基を含む。キレート部分は、金属イオンと可逆的に結合し、キレートの強度は、解離定数により測定される。特定のかつ良好に特徴付けられたキレート部分に異なる金属イオンを結合する際の異なる解離定数を当業者は十分熟知するものである。
本明細書中使用される用語「対象」または「患者」は、限定するものではないが、ヒト、家畜、家庭用ペットなどの哺乳類の対象を含む、任意の脊椎動物を指す。
本明細書中使用される用語「生物学的に適合可能な」は、対象への移植または注射に適した物質を指す。様々な態様では、生物学的に適合可能な物質は、対象に移植される際に毒性または損傷性の作用を引き起こさない。
用語「改変胎盤組織」は、組織を洗浄、消毒、および/または区分けすることにより、改変した胎盤組織全体を含む胎盤組織のいずれかまたは全ての成分、ならびに羊膜、絨毛膜、臍帯などの胎盤組織の分離した成分などを指す。改変した組織は、上皮層および/または線維芽細胞などの細胞層を維持し得る。改変した胎盤組織は、胎盤組織のうち1つまたは複数の層の積層化、胎盤組織の微粒子化、小分子、タンパク質(たとえば増殖因子、抗体)、核酸(たとえばアプタマー)、ポリマー、もしくは他の分子の化学吸着または物理吸着などのさらなる改変を含んでもよい。
用語「十分な量の〜」は、in vivoまたはin vitroのいずれかで、たとえば経時的に組成物の近くまたは組成物で幹細胞の動員を引き起こすといった、望ましい作用を有するために十分な組成物の量を指す。羊膜または絨毛膜の組成物などの胎盤成分の「十分な量」は、限定するものではないが、使用する胎盤性組成物の種類および/もしくは量、使用するフィラーの種類および/もしくは量、処置すると意図される臓器および/もしくは身体の一部の種類および/もしくは量、処置される臓器および/もしくは身体の一部の疾患もしくは損傷の重症度、ならびに投与経路などの、様々な要因に応じて変動する。「十分な量」は、本明細書中に提供される開示に基づき当業者の1人により決定できるものである。
本明細書中使用される「金属イオンの抗癌性となる量」または「抗癌剤の抗癌性となる量」は、たとえば癌細胞といった異常性細胞とin vitroまたはin vivoで接触した場合、異常性細胞または組織を死滅または阻害し、かつ好ましくは50%、より好ましくは90%、およびさらにより好ましくは99%の当該細胞または組織を阻害または殺傷する、本発明の組成物にキレート化した金属イオンなどの抗癌剤の量を指す。本明細書中使用されるように、「抗癌剤の有効量」は、好ましくは本発明の組成物から放出され、かつ、好ましくは50%、より好ましくは90%、さらにより好ましくは99%の異常性細胞または組織をin vitroまたはin vivoで阻害または死滅させるために十分である、抗癌剤の量を指す。抗癌剤の有効量は、1つまたは複数の癌の症状を改善し、かつ/または1つもしくは複数の癌の副作用を回復させ、かつ/または癌の侵襲性および/もしくは転移を予防かつ/もしくは妨害することができる。特定の実施形態では、抗癌剤の抗癌性となる量は、抗癌剤の有効量とは異なる可能性がある。
用語「幹細胞動員因子」は、幹細胞を動員でき、かつ当該因子の供給源に向けて遊走させる、いずれかおよびすべての因子を指す。幹細胞動員因子の非限定的な例は、1つまたは複数のCCケモカイン、CXCケモカイン、Cケモカイン、またはCX3Cケモカインであってよい。
用語「幹細胞の動員」は、羊膜または絨毛膜の組成物などの胎盤性組成物への幹細胞の直接的または間接的な走化性を指す。動員は直接的であってよく、この場合では、組成物中の幹細胞動員因子(たとえば細胞の走化性を誘導するケモカイン)は、組成物から放出され、幹細胞を羊膜組成物に向けて遊走させるよう誘導する。一態様では、この動員は間接的であってよく、この場合では、組成物中の幹細胞動員因子は、細胞の近くに因子(たとえばケモカイン)を放出するよう誘導し、次いで幹細胞を組成物に向けて遊走させるように誘導する組成物から放出される。さらに、幹細胞の動員は、直接的な因子および間接的な因子の両方を使用してもよい。
本明細書中使用される「金属イオンでの処置の影響を受けやすい癌」は、たとえば白金アルキル化剤といった1つまたは複数の金属イオンで処置される癌を指し、このアルキル化剤の非限定的な例としてシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチンが挙げられ、これらは当業者に良く知られている。このような癌の非限定的な例として、非小細胞肺癌、乳癌、卵巣癌、精巣癌、前立腺癌、および膀胱癌が挙げられる。
本明細書中使用される「アルキル化剤(Alkylatorまたはalkylating agents)」は、当業者に良く知られているように、核酸および/またはタンパク質へ白金部分などの求電子性金属部分をアルキル化または伝達できる薬剤である。またアルキル化剤は、アルキル化様薬剤であってもよく、これはアルキル基を含まないが、アルキル化剤と類似の作用形態を有する薬剤を指す。
「金属イオンを含む薬理学的に活性の薬剤」は、活性金属イオンを含む物質であって、疾患、損傷、または病態の処置などの薬剤の治療上の効果が、少なくとも部分的に金属イオンの活性による、物質を含む。金属イオンを含む薬理学的に活性の薬剤は、白金アルキル化剤を含む。「薬理学的に活性の金属イオン」は、白金イオン、銀イオン、銅イオンなどの金属イオンを含む薬理学的に活性の薬剤上の活性金属イオンを指す。薬理学的に活性の金属イオンは、抗菌剤および抗癌剤として当業者に知られている。米国特許出願公開公報第2014/0141096号、第2014/0142041号、および米国特許出願番号第13/903,878号および第13/860,473号に薬理学的に活性の金属イオンおよびその用途が記載される。これら参照文献全体は参照として本明細書中援用される。
本明細書中使用される用語「罹患した」は、ある疾患状態にあると特徴付けられる、またはある疾患状態の疑いのある臓器および/または身体の一部であって、上記疾患が、幹細胞での処置の影響を受けやすい、臓器および/または身体の一部を指す。
本明細書中で使用される用語「損傷した」は、当業において通常の意味を有するように使用されており、臓器および/または身体の一部への損傷のいずれかおよびすべての種類を含み、ここではこの損傷は、幹細胞での処置の影響を受けやすい。
用語「移植可能な」およびその派生語は、対象の中または対象の表面にデバイスを挿入、埋め込む、移植、または急性的または慢性的に付着もしくは配置できることを意味する。
表題または副題は、読み手にとってわかりやすくするために本明細書中で使用されてもよく、本発明の範囲に影響を与えると意図するものではない。さらに、本明細書中に使用される用語の一部は、以下に具体的に定義される。
用語「処置」または「処置する」は、疾患または病態に関連する限り、疾患もしくは病態の発生もしくは再発を防止し、当該疾患もしくは病態の発症を阻害し、当該疾患もしくは病態を低減もしくは除去し、かつ/または当該疾患もしくは病態のうち1つもしくは複数の症状を軽減することを含む。
I.微粒子化した胎盤およびキレーターを含む組成物
本明細書中、これらに結合する1つまたは複数のキレート部分を有する、羊膜もしくは絨毛膜の組成物などの微粒子化した胎盤性組成物、および/またはフィラー、およびその薬学的な組成物を記載する。当該組成物は、微粒子化した胎盤組織の成分から調製されており、これは、国際特許出願第WO2012/112410号、ならびに米国仮特許出願番号第61/442,346号、第61/543,995号、および第2014/0050788号に記載されている。これら出願の内容の全体は参照として特に援用される。用語「微粒子化」は、ミクロンおよびサブミクロンの大きさの胎盤組織の粒子を含むことを意味する。
一態様では、本発明は、(a)微粒子化した羊膜と、任意に、微粒子化した絨毛膜、中間組織層、もしくはそのいずれかの組み合わせのうちの少なくとも1つと、(b)羊膜に共有結合した、1つまたは複数のキレート部分と、任意に(c)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む組成物を目的とする。
一態様では、本発明は、(a)微粒子化した絨毛膜と、任意に、微粒子化した羊膜、中間組織層、もしくはそのいずれかの組み合わせのうちの少なくとも1つと、(b)絨毛膜と共有結合した、1つまたは複数のキレート部分と、任意に(c)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む組成物を目的とする。
一態様では、本発明は、(a)2つの羊膜層、2つの絨毛膜層、または1つの羊膜層および1つの絨毛膜層、ならびに任意に、微粒子化した羊膜、中間組織層、もしくはそのいずれかの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む胎盤組織の微粒子化した積層物層と、(b)羊膜および/または絨毛膜と共有結合した、1つまたは複数のキレート部分と、任意に(c)任意に薬学的に許容可能な賦形剤とを含む組成物を目的とする。
別の態様では、本発明は、(a)微粒子化した羊膜と、任意に、微粒子化した絨毛膜、中間組織層、もしくはそのいずれかの組み合わせのうちの少なくとも1つと、(b)1つまたは複数のフィラーと、(c)羊膜および/もしくはフィラーと共有結合した、1つまたは複数のキレート部分と、任意に(d)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む組成物を目的とする。
別の態様では、本発明は、(a)微粒子化した絨毛膜と、任意に、微粒子化した羊膜、中間組織層、もしくはそのいずれかの組み合わせのうちの少なくとも1つと、(b)1つまたは複数のフィラーと、(c)絨毛膜および/またはフィラーと共有結合した、1つまたは複数のキレート部分と、任意に(d)薬学的に許容可能な賦形剤とを含む組成物を目的とする。
たとえば、本組成物は、羊膜に結合した1つまたは複数のキレート部分を含む、微粒子化した羊膜を含み、これは、フィラー、安定剤、緩衝剤、または薬学的な成分を追加することなく使用できる。あるいは、本組成物は、微粒子化した胎盤組織と、フィラー、安定剤、緩衝剤、着色剤、崩壊剤などの少なくとも1つの薬学的な賦形剤などと、任意に1つまたは複数の薬学的な成分とを含む。好ましくは、着色剤は、正常な組織と区別することが困難である可能性のある胎盤組織の、意図する処置部位への局在化および適切な位置付けを促進する。崩壊剤は、微粒子化した胎盤性組成物は、対象に導入された後、in vivoで侵食または崩壊する速度を改変する。
一実施形態では、薬理学的に活性の金属イオンの有効量は、本組成物の成分にキレート化される。一実施形態では、薬理学的に活性の金属イオンは、抗癌剤である。一実施形態では、薬理学的に活性の金属イオンは、白金のイオンである。
一実施形態では、羊膜または絨毛膜の組成物などの微粒子化した胎盤性組成物は、任意に成形され、脱水されている。一実施形態では、成形された組成物は、フィラーをさらに含む。1つまたは複数のキレート部分は、羊膜、フィラー、またはその両方と結合してよい。当業者のうちの1人は、成形した胎盤組織組成物が特定の密度を有するコヒーレントな質量を有する限り、成形し、脱水した組成物が任意の形状または大きさに圧力下で圧縮されることを理解するものである。あるいは、脱水した微粒子化した胎盤の成分を、望ましい形状または大きさを有する任意の型へと圧縮することにより、成形し、脱水した組織の移植片が、この型の形状および大きさを取るようになる。望ましい形状および大きさの型を形成するために、シリコーン、樹脂、テフロン(登録商標)、またはステンレススチールなどの適切な型材料を選択することは当業者のうちの1人の範囲内である。成形した胎盤組織およびその作製方法の例は、米国特許出願番号第13/815,753号で見出すことができ、この文書全体は参照として本明細書中に援用される。
成形した組成物は、任意に、生物学的に適合可能な可塑剤をさらに含む。可塑剤の種類および量は、成形した組成物の望ましい特性、たとえば強度、柔軟性、疎水性、または親水性に基づき決定できる。
II.胎盤性組成物に結合した1つまたは複数のキレート部分を含む胎盤性組成物を作製する方法
図1Aおよび図1Bは、脱水し、微粒子化した胎盤性物質を収集、処理、および調製するためのステップの概略(100)および特定の態様を表す。それぞれ個々のステップに関するより詳細な説明および論述は後述する。最初に、胎盤組織を、同意した患者から、選択的帝王切開(elective Cesarean surgery)の後に回収する(ステップ110)。この物質を保存し、確認および評価に適した処理の場所または施設へと従来の組織保存方法で輸送する(ステップ120)。次に組織層の肉眼での処理、操作、および分離を行う(ステップ130)。次に、認容可能な組織を除染し(ステップ140)、脱水する(ステップ145)。除染および脱水の後、胎盤組織の成分(たとえばそれぞれ羊膜、中間組織層、および/または絨毛膜、または移植片として)を、次いで微粒子化する(ステップ150)。脱水の前(図1B)もしくは後(図1A)、または微粒子化の後にキレーターを胎盤の成分に結合することができる(ステップ170)。キレーターは、いずれかのステップでフィラーに結合してもよい。胎盤の成分へのキレーターの結合は、任意に微粒子化の後に行われていてもよい。微粒子化した胎盤の成分および他のいずれかの成分は、任意に、望ましい形状または大きさへと圧力下で圧縮/成形される。各ステップを以下に詳細に記載する。
最初の組織の回収(ステップ110)
本明細書中記載される胎盤性組成物を生成するために使用される成分は、胎盤由来である。胎盤の供給源は変動し得る。一態様では、胎盤は、ヒト、および限定するものではないが、ウシ、ブタなどを含む他の動物などの哺乳類に由来し、これを本明細書中で使用できる。ヒトの場合、胎盤の回収は病院で行われ、好ましくは、帝王切開の最中に回収される。ドナーは、出産を行おうとしている母体を指し、移植が可能な最も安全な組織を提供するように設計された総合的なスクリーニング処理に自発的に提供する。スクリーニング処理は、好ましくは、ヒト免疫不全ウイルス1型および2型に対する抗体(抗HIV−1および抗HIV−2)、B型肝炎ウイルスに対する抗体(抗−HBV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、C型肝炎ウイルスに対する抗体(抗−HCV)、ヒトTリンパ球向性ウイルスI型およびII型に対する抗体(抗−HTLV−I、抗−HTLV−II)、CMV、および梅毒に関する試験、ならびに、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、およびC型肝炎ウイルス(HCV)に関して、従来の血清学的試験を使用した、核酸試験を処理する。上述の試験の列挙は単なる例示であり、より多くの試験、少ない試験、または異なる試験が、経時的に望ましくまたは必要であってよく、または移植片の意図する用途に応じるものであり、これが当業者に理解されるものである。
ドナーの情報およびスクリーニング試験の結果の説明に基づき、ドナーは、認容可能またはそれ以外のいずれかとされる。さらに、送達時に、細菌、たとえばClostridium、またはStreptococcusの存在を判定するために培養物を採取する。ドナーの情報、スクリーニング試験、および分娩培養物がすべて満足のいくものである場合(すなわち、リスクが全く含まれていない、または認容可能なレベルのリスクが示される)、ドナーは、医長により認可されており、組織の検体は、さらなる処置および評価にふさわしいと初期に指定されるものである。
上記の選択基準に一致するヒトの胎盤は、好ましくは、さらなる処理のための処理場所または研究室への発送のため、滅菌発送バック中の生理食塩水溶液に詰められており、湿潤した氷のコンテナに保存されている。
スクリーニング試験および分娩培養物からの結果を入手が完了する前に胎盤を回収する場合、当該組織をラベル化し、隔離し続ける。胎盤は、必要なスクリーニング評価の後にのみさらなる処理に関して認可され、操作および用途に関する組織の安全性を示す分娩培養物が満足のいくものであり、最終的な認可は医長から入手する。
医療上の確認および評価(ステップ120)
処理センターまたは研究室に到着すると、発送物を開け、滅菌発送バッグ/コンテナが密閉されており、冷却材の中にあるか、適切なドナーの書類が存在するか、および書類上のドナー番号が、組織を含む滅菌発送バッグの番号と一致するかを検証する。次に、組織を含む滅菌発送バッグを、さらなる処理を準備するまで、冷蔵庫に保存する。
肉眼での組織処理
組織をさらに処理するための準備ができている場合、胎盤組織を処理するために必要な滅菌供給物を、制御した環境のステージングエリアにさらに集め、制御した環境下へと導入のために調製する。一態様では、胎盤は室温で処理される。制御した環境が製造フードである場合、滅菌供給物を開口し、従来の滅菌技術を使用してフードの中へ入れる。制御した環境が清浄な部屋である場合、滅菌供給物を開口し、滅菌ドレープにより被覆されたカートへ入れる。すべての作業表面を、従来の滅菌技術を使用して滅菌ドレープの一部により被覆し、滅菌供給物および処理器具を、再度従来の滅菌技術を使用して滅菌ドレープの上に配置する。
処理器具を、従来の産業上認可されている除染手法にしたがい除染し、次に制御した環境に導入する。この器具は、制御した環境の中に戦略的に配置することにより、器具が組織検体の近くにあること、または組織検体により誤って汚染される可能性を最小限にする。
次に、胎盤を、滅菌発送バッグから除去し、制御した環境の中の滅菌処理ベースンへと無菌で移す。滅菌ベースンは、室温または室温近くの高張性生理食塩水溶液(たとえば18%のNaCl)を含む。血餅の分離を支援し、胎盤組織を室温にするために胎盤をゆっくりとマッサージすることにより、胎盤の成分の互い(たとえば羊膜および絨毛膜)から分離しやすくする。最大大気温度まで温めた後(たとえば約10〜30分)、次に胎盤を滅菌処理ベースンから除き、検査のためにふせて置かれた羊膜層を有する処理トレイ上に平たく配置する。
胎盤を変色、デブリ、または他の汚染、臭い、および損傷のサインに関して試験する。また組織の大きさを記載する。この時点で、組織がさらなる処理に認容可能かどうかの判定を行う。
次に、羊膜および絨毛膜を注意深く分離する。一態様では、この手順に使用する物質および器具は、処理トレイ、18%の生理食塩水、滅菌4×4のスポンジ、および2つの滅菌Nalgeneジャーを含む。次いで、羊膜を絨毛膜から分離することができる領域(概して角)を見出すため、胎盤を念入りに試験する。羊膜は、絨毛膜の上の薄く不透明な層であることが明らかである。
線維芽細胞層は、滅菌ガーゼまたはコットンの付いたアプリケータの一部と羊膜の各側面をやさしく接触させることにより同定する。線維芽細胞層は、試験物質に固着している。羊膜を、基底膜層を下にして処理トレイに置く。鈍器、細胞スクレーパー、または滅菌ガーゼを使用して、残る血液をも除去する。このステップは、羊膜を引き裂かないように、適切な注意を払って再度行わなければならない。羊膜が滑らかであり乳白色の外観になると、羊膜の洗浄は終了している。
特定の態様では、中間組織層は、スポンジ層とも呼ばれ、線維芽細胞層を曝露するために羊膜から実質的に除去されている。中間組織層の量に対して、用語「実質的に除去した」は、羊膜から中間組織層の90%超、95%超、または99%超を除去すると本明細書中で定義される。これは、羊膜から中間組織層をはぐことにより実施できる。あるいは、中間組織層は、ガーゼまたは他の適切なティッシュで中間組織層をぬぐうことにより羊膜から除去できる。この結果として得られる羊膜は、以下に記載される処理を使用して実質的に除染できる。
特定の態様では、羊膜に存在する上皮層は、羊膜の基底層を曝露するために、実質的に除去されている。除去される上皮の量に関して、用語「実質的に除去した」は、羊膜から上皮細胞の90%超、95%超、または99%超を除去すると本明細書中で定義される。羊膜層上に残る上皮細胞の存在または不存在は、当業者に知られた技術を使用して評価できる。たとえば、上皮細胞層の除去の後、処理ロットからの代表的な組織の試料を、標準的な顕微鏡の試験スライド上に配置する。次に組織の試料を、エオシンY染色を使用して染色し、以下に記載するように評価する。次にこの試料を被覆し、静置させる。染色を可能にするための適切な時間が経過した後、視覚的な観察を拡大して行う。
上皮層は、当業者に知られている技術により除去できる。たとえば、上皮層は、細胞スクレーパーを使用して羊膜をこすりとることができる。他の技術として、限定するものではないが、膜の凍結、細胞スクレーパーを使用した物理的な除去、または非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、およびヌクレアーゼへの上皮細胞の曝露が挙げられる。次に、脱上皮化組織を、基底膜が構成されておらず、未処置のままであることを判定するために評価する。このステップは、処理ステップの完了後、および組織が次のセクションに記載されるように脱水される前に実施される。たとえば、代表的な試料移植片を、顕微鏡解析のために除去する。この組織試料を標準的なスライドに配置し、エオシンYで染色し、顕微鏡で検視した。上皮が存在する場合、玉石形状の細胞として見える。
本明細書中に記載される方法は、羊膜中のすべての細胞成分を除去するものではない。この技術は、当該分野で「脱細胞化」と呼ばれる。脱細胞は、一般的に、上皮細胞および線維芽細胞を含む、羊膜に存在するすべての細胞の物理的および/または化学的な除去を含む。たとえば、上皮細胞の除去は任意であるが、中間組織層が除去されていても羊膜の間質系層に存在する繊維芽細胞は未処置である。ここでは、繊維芽細胞は、繊維芽細胞層に存在する。
胎盤組織がホウォートンゼリーである場合、以下の例示的な手順を使用できる。メスまたはハサミを使用して、臍帯を絨毛膜のディスクから解体する。静脈および動脈を同定し、臍帯を、静脈または動脈のいずれかの下方へ縦方向に切開する。臍帯を解体した後に、ホウォートンゼリーから静脈壁および動脈壁を解体するために、外科的なハサミおよび鉗子を使用できる。次に、羊膜の外層を、羊膜を切断することによりホウォートンゼリーから除去する。ここで、ホウォートンゼリーが唯一の残存する成分となるように、臍帯の外層を除去する。よって、本明細書中で使用されるホウォートンゼリーは外側の臍帯膜および臍帯管を含むものではない。ホウォートンゼリーは、条片に切断できる。一態様では、条片は、約1.25cmの厚さで、約1〜4cm×10〜30cmであるが、他の厚さも用途に応じて可能である。
化学的な除染(ステップ140)
胎盤組織は、以下に記載される技術を使用して化学的に除染できる。一態様では、羊膜は室温で除染される。一態様では、ステップ130で生成した羊膜(中間組織層を含むまたは含まない)を、次のステップのために滅菌Nalgeneジャーに配置できる。一態様では、以下の手順を使用して羊膜を清浄にできる。Nalgeneジャーは、18%の生理食塩水高張性溶液で無菌的に充填され、密封されている(または上部が密閉される)。次にこのジャーを、ロッカープラットフォーム上に配置し、30〜90分間撹拌し、これによりさらに羊膜の汚染物質を除く。ロッカープラットフォームが臨界環境にない場合(たとえば製造フード)、Nalgeneジャーは、制御された/滅菌環境に戻し、開口する。滅菌鉗子を使用し、または中身を無菌的にデカントすることにより、羊膜を、18%の高張性生理食塩水を含むNalgeneジャーからゆっくりと除去し、空のNalgeneジャーに入れる。次に、この羊膜を含む空のNalgeneジャーを予め混合した抗菌溶液で無菌的に充填する。一態様では、あらかじめ混合した抗菌溶液は、硫酸ストレプトマイシンおよび硫酸ゲンタマイシンなどの抗生物質のカクテルから構成される。現在入手可能または将来入手可能な硫酸ポリミキシンB(Polymixin B Sulfate)およびバシトラシンまたは類似の抗生物質などの他の抗生物質もまた適切である。さらに、抗菌性溶液は、羊膜の温度を変化させないよう、または羊膜を損傷させないように、添加される際、室温であることが好ましい。次に、この羊膜および抗生物質を含むジャーまたはコンテナを密閉または閉鎖し、ロッキングプラットフォームに置き、好ましくは60〜90分撹拌する。このような、抗菌性溶液の中での羊膜のロッキングまたは撹拌は、組織の汚染物質および細菌をさらに取り除く。任意に羊膜を界面活性剤で洗浄できる。一態様では、羊膜を、0.1〜10%、0.1〜5%、0.1〜1%、または0.5%のトリトンX洗浄溶液で洗浄できる。
ロッカープラットフォームが臨界環境にない場合(たとえば製造フード)、次に、羊膜および抗生物質を含むジャーまたはコンテナを臨界/滅菌環境に戻し、開口する。滅菌鉗子を使用し、羊膜をジャーまたはコンテナからゆっくりと取り出し、滅菌水または通常の生理食塩水(0.9%の生理食塩水溶液)中に配置する。羊膜を、少なくとも10〜15分間、滅菌水/通常の生理食塩水中に置いて浸す。羊膜を、組織から、抗菌性溶液および他のいずれかの汚染物質の除去を促進するためにわずかに撹拌させてもよい。少なくとも10〜15分後に、羊膜は、脱水され、さらに処理される準備ができている。
絨毛膜の場合、以下の例示的な手順を使用できる。羊膜から絨毛膜を分離し、線維層から血餅を除去した後、絨毛膜を、18%の生理食塩水で15分〜60分間すすぐ。第1のすすぎ周期の間、溶液の温度が約48℃になるように、18%の生理食塩水を研究室の加熱プレートを使用して滅菌コンテナ中で加熱する。この溶液をデカントし、絨毛膜組織を滅菌コンテナに配置し、デカントした生理食塩水溶液をコンテナに注ぐ。このコンテナを密封し、ロッカープレート上に置き、15分〜60分撹拌する。1時間槽で撹拌した後、絨毛膜組織を除去し、さらに15分〜60分のすすぎ周期の間第2の加熱した撹拌槽に配置する。任意に、絨毛膜組織を、羊膜の除染に関して上述した界面活性剤(たとえばトリトンX洗浄溶液)で洗浄できる。コンテナを密封し、15分間〜120分間加熱することなく撹拌する。次に、絨毛膜組織を脱イオン水(250mlのDI水×4)で、各すすぎで勢いよく洗浄する。この組織を除去し、1×PBSw/EDTA溶液のコンテナに配置する。このコンテナを密閉し、8時間制御した温度で1時間撹拌する。絨毛膜組織を除去し、滅菌水を使用してすすぐ。視覚的な検査を実施して、絨毛膜組織から残存する着色されてない線維状の血液の物質を除去した。絨毛膜組織は、褐色に変色しておらず、乳白色の外観を有しているべきであった。
胎盤組織がホウォートンゼリーである場合、以下の例示的な手順を使用できる。ホウォートンゼリーを、滅菌Nalgeneジャーに移す。次に、室温の18%の高張性生理食塩水溶液を添加して、組織をすすぎ、ジャーを密閉する。このジャーを30〜60分撹拌する。インキュベートした後、ジャーを除染し、滅菌性の場に戻す。この組織を清浄な滅菌Nalgeneジャーに移し、18%のNaClで予め温める(約48℃)。コンテナを密封し、ロッキングプレート上に配置し、60〜90分間撹拌した。
すすいだ後、ジャーを除染し、滅菌性の場に戻す。組織を除去し、抗菌性溶液の中に配置する。コンテナを密封し、ロッカープラットフォーム上で60〜90分間撹拌した。インキュベーションした後、ジャーは、最大24時間、1℃〜10℃で冷蔵されてよい。
次に、ホウォートンゼリーを、約200mlの滅菌水を含む滅菌ベースンに移す。この組織を、1〜2分間すすぎ、約300mlの滅菌水を含む滅菌Nalgeneジャーに移す。このジャーを密封し、ロッカー上に30〜60分間配置する。インキュベーションの後、ジャーを滅菌性の場に戻す。ホウォートンゼリーは、褐色の変色がなく、乳白色の外観を有するべきであった。
脱水(ステップ145)
一態様では、上述の胎盤組織もしくはその成分、またはそれらのいずれかの組み合わせは、その後微粒子化される組織移植片(たとえば積層物)へと処理できる。別の態様では、胎盤組織またはその個々の成分は、独立して脱水でき、その後単独または成分の混合物として微粒子化できる。一態様では、組織(すなわち個々の膜または移植片)は、化学的な脱水、次いで凍結乾燥により脱水される。一態様では、化学的な脱水ステップは、実質的に(すなわち90%超、95%超、または99%超)または完全に組織に存在する残存した水を除去(すなわち組織を脱水)するために十分な時間および量で、羊膜、絨毛膜、および/または中間層を極性有機溶媒と接触させることにより実施される。この溶媒は、プロトン性または非プロトン性とすることができる。本明細書中有益な極性有機溶媒の例として、限定するものではないが、アルコール、ケトン、エーテル、アルデヒド、またはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。具体的には、非限定的例として、DMSO、アセトン、テトラヒドロフラン、エタノール、イソプロパノール、またはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。一態様では、胎盤組織は、極性有機溶媒と室温で接触する。追加的なステップは必要とされず、組織は、以下に記載されるように直接凍結乾燥できる。
化学的な脱水の後、残存するいずれかの水および極性有機溶媒を除去するために組織を凍結乾燥する。一態様では、羊膜、絨毛膜、および/または中間層を、凍結乾燥する前に適切な乾燥構造(fixture)に置くことができる。たとえば、羊膜の1つまたは複数の条片は、適切な乾燥構造上に置くことができる。次に、絨毛膜を羊膜の上に置く。この態様では、羊膜/絨毛膜組織の移植片を生成する。あるいは、羊膜の条片を、第1の乾燥構造の上に配置でき、絨毛膜の条片を第2の乾燥構造の上に置くことができる。乾燥構造は、好ましくは、胎盤組織を完全に平たく広げて載置するよう十分大きい大きさである。一態様では、乾燥構造は、テフロン(登録商標)またはDelrin(登録商標)から作製され、これらは、デュポンにより考案かつ販売されているアセタル樹脂のエンジニアリングプラスチックに関するブランド名であり、また、ジョージア州マリエッタのWerner Machine, Incから市販されている。加熱および切断に耐性があり、湿潤組織を載置するために適切な形状へと形成できる他のいずれかの物質もまた、乾燥構造に使用できる。
組織を乾燥構造上に配置した後、乾燥構造を凍結乾燥機に入れる。組織を脱水させるための凍結乾燥機の使用は、熱的脱水などの他の技術と比較して効率的かつ徹底的とすることができる。一般的に、胎盤組織で氷晶形成を回避することが望ましく、これは、氷晶形性が組織の細胞外マトリックスに損傷を与え得るためである。凍結乾燥の前に胎盤組織を化学的に脱水することにより、この問題は回避できる。
別の態様では、脱水ステップは、組織に熱を適用することを含む。一態様では、羊膜、絨毛膜、および/または中間層は、適切な乾燥構造上に配置され(たとえば上述の個々の条片または積層物のいずれかとして)、乾燥構造を、滅菌Tyvek(登録商標)(または類似の通気性があり、熱に耐性があり、封止可能な物質)の脱水バッグに入れ、封止する。通気性のある脱水バックは組織を早く乾燥しすぎないようにする。複数の乾燥構造を同時に処理する場合、各乾燥構造は、自身のTyvek(登録商標)バッグに配置、またはあるいはその上に複数の乾燥フレームを保持するように設計される適切な取付けフレームに配置され、次にフレーム全体を、より大きな単一の滅菌Tyvek(登録商標)脱水バッグに配置し、封止する。
次に、1つまたは複数の乾燥構造を含むTyvek(登録商標)脱水バッグを、約35〜50℃にあらかじめ温めた、非真空オーブンまたはインキュベーターに配置する。Tyvek(登録商標)バッグを、30〜120分、オーブンに入れたままにする。一態様では、加熱ステップを、約45℃の温度で45分間実施して、組織を過剰に乾燥または焼却することなく組織を十分に乾燥できる。特定のオーブンの特定の温度および時間は高度、オーブンの大きさ、オーブン温度の正確性、乾燥構造に使用される物質、同時に乾燥される乾燥構造の数、乾燥構造の単一または複数のフレームが同時に乾燥されるかどうかなどを含む他の要因に基づき、較正かつ調節する必要がある。
一態様では、胎盤組織は、脱水工程の比率および均一性を高める脱水装置を使用して脱水できる。胎盤組織の移植片の乾燥に適した代表的な脱水装置は、米国特許公開公報第2014/0051059号に記載されている。この出願の内容全体は参照により援用される。
微粒子化した胎盤の成分の調製(ステップ150)
上述した胎盤組織またはその成分を個々に、または組織の移植片の形態で脱水した後、脱水した組織を微粒子化する。微粒子化した胎盤の成分を、当業者に知られている器具を使用して生成できる。たとえば、レッチェの振動ミルM400を使用して、本明細書中に記載される微粒子化した成分を生成できる。微粒子化した組成物中の物質の粒径は、微粒子化した組成物の用途に応じても変動できる。一態様では、微粒子化した組成物は、500μm未満、400μm未満、300μmm未満、200μm未満、100μm未満、50μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満、9μm未満、8μm未満、7μm未満、6μm未満、5μm未満、4μm未満、3μm未満、2μm未満、または2μm〜400μm、25μm〜300μm、25μm〜200μm、または25μm〜150μmである粒子を有する。一態様では、微粒子化した組成物は、150μm未満、100μm未満、または50μm未満の直径を有する粒子を有する。他の態様では、より大きな直径(たとえば150μm〜350μm)を有する粒子が望ましい、すべての場合、粒子の直径は、最も長い軸に沿って測定される。
一実施形態では、粒子の大きさは、ナノ範囲に減少させてもよい。当業者は、胎盤成分のナノ粒子が、創傷に適用する際の密度の増加および/または放出速度の増加に望ましい場合があることを理解するものである。好ましくは、微粒子化した粒子の粒径は、約0.05μm〜約2μm、約0.1μm〜約1.0μm、約0.2μm〜約0.8μm、約0.3μm〜約0.7μm、または約0.4μm〜約0.6μmである。あるいは、微粒子化した粒子の粒径は、少なくとも0.05μm、少なくとも0.1μm、少なくとも0.2μm、少なくとも0.3μm、少なくとも0.4μm、少なくとも0.5μm、少なくとも0.6μm、少なくとも0.7μm、少なくとも0.8μm、少なくとも0.9μm、または少なくとも1μmである。あるいは、微粒子化した粒子の粒径は、1μm未満、0.9μm未満、0.8μm未満、0.7μm未満、0.6μm未満、0.5μm未満、0.4μm未満、0.3μm未満、0.2μm未満、0.1μm未満、または0.05μm未満である。
一態様では、初期の微粒子化を、機械的な砕粉または寸断により実施する。別の態様では、微粒子化は、低温の砕粉により実施する。この態様では、組織を含む砕粉ジャーを、砕粉工程の前および最中に完全な冷却システムからの液体窒素で連続的に冷却する。よって、試料が脆化し、揮発成分が保存される。さらに、羊膜、中間組織層、および/または絨毛膜中のタンパク質の変性が最小限になり、または保存される。一態様では、レッチェにより製造されたCryoMillをこの態様に使用できる。
本明細書中に記載される羊膜または絨毛膜の組成物などの胎盤性組成物を作製するために使用される成分の選択は、胎盤組織の最終用途に基づき変動できる。たとえば、羊膜、絨毛膜、中間組織層、ホウォートンゼリー、またはそのいずれかの組み合わせなどの胎盤組織または個々の成分は、互いと混合し、その後微粒子化することができる。別の態様では、1つまたは複数の胎盤組織、羊膜、絨毛膜、中間組織層、またはそのいずれかの組み合わせ(すなわち積層物)から構成される1つまたは複数の組織移植片を微粒子化できる。さらなる態様では、1つまたは複数の羊膜、絨毛膜、中間組織層、またはそれらのいずれかの組み合わせから構成される1つまたは複数の組織移植片を、個々の成分としての、絨毛膜、中間組織層、またはそれらのいずれかの組み合わせと混合し、その後微粒子化できる。
異なる成分の量は、羊膜の組成物の用途に応じて変動することができる。一態様では、羊膜組成物は、羊膜(中間組織層を含むまたは含まない)から単独で構成される。一態様では、羊膜組成物は、羊膜(中間組織層を含むまたは含まない)および中間組織層から構成され、中間組織層に対する羊膜の重量の比率は、10:1〜1:10、9:1〜1:1、8:1〜1:1、7:1〜1:1、6:1〜1:1、5:1〜1:1、4:1〜1:1、3:1〜1:1、2:1〜1:1、または約1;1である。別の態様では、羊膜組成物は、羊膜(中間組織層を含むまたは含まない)および絨毛膜から構成され、羊膜に対する絨毛膜の重量の比率は、10:1〜1:10、9:1〜1:1、8:1〜1:1、7:1〜1:1、6:1〜1:1、5:1〜1:1、4:1〜1:1、3:1〜1:1、2:1〜1:1、または約1:1である。
粒径での分離は、粒子の懸濁液を形成することによる滅菌水中の微粒子化した物質の分画により達成できる。懸濁液の最も上部の部分は、主に最も小さな粒子を含み、懸濁液の最も下部の部分は主に最も重い粒子を含む。あるいは、微粒子化した物質は、望ましい大きさのふるいを使用して分画できる。分画は、粒径での分離をもたらし、繰り返し分画することにより異なる大きさへと微粒子化した粒子を分けることとなる。このように分離した粒子は、羊膜組成物を作製するためおよび望ましい医療用途に最も適した粒径の望ましい比率で再度組み合わせることができる。
フィラー
一部の態様では、本発明の組成物は、1つまたは複数のフィラーを含む。一部の態様では、フィラーは、生物学的に適合可能なポリマーである。適切なポリマーは、当業者に知られており、本明細書中に記載されるキレーター複合体を形成できるものを含む。本発明に有益な好ましい生物学的に適合可能なポリマーは、生分解性ポリマーを含む。
適切なポリマーとして、限定するものではないが。天然に存在するポリマー、合成ポリマー、またはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ポリマーは、コラーゲン(ヒトのコラーゲンなど)、または、たとえばコラーゲンを含む羊膜または絨毛膜といった胎盤組織から調製されるコラーゲンを含む。天然に存在する生物学的に適合可能なポリマーの他の例として、限定するものではないが、ヒアルロン酸、フィブリン、線維状タンパク質もしくは球状タンパク質、グルコサミノグリカンなどの炭水化物の複合体、またはそれらの混合物が挙げられる。よって、一実施形態では、ポリマーは、全ての種類のコラーゲン、エラスチン、ラミニン、ヒアルロン酸、アルギン酸、デスミン、バーシカン、フィブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチンアルブミンなどを含んでもよい。例示的な合成の生物学的に適合可能なポリマーとして、限定するものではないが、ポリオキシアルキレン(たとえばポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレンおよびオキシプロピレンのコポリマーなど)、ポリエチレングリコール、ポリメチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリビニルピロリドン、カプロラクトン、2−メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、Nusil MED−6215などのシリコーンもしくは移植に適した他のシリコーン、ポリ(ε−カプロラクトン)ジメチルアクリラート、ポリスルホン、(ポリ)メタクリル酸メチル(PMMA)、可溶性テフロンAF、ポリエチレンテレフタラート(PET Dacron)、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ヒドロキシアパタイトなど、およびそのこれらの混合物が挙げられる。このようなポリマーは、好ましくは、少なくとも約10,000、より好ましくは約10,000〜約1,000,000の平均分子量を有する。一部の実施形態では、これらポリマーは、好ましくは、少なくとも約10,000、より好ましくは約10,000〜約100,000の平均分子量を有する。本明細書中に記載されるポリマーは、非キレート剤で架橋することができ、または架橋することができない。一般的な非キレート架橋剤として、カルボジイミド(carbodimide)、ジイソチオシアナート、ジカルボン酸、ジアミンなどが挙げられる。
一部の実施形態では、生物学的に適合可能なポリマーは、水溶性ポリマーであり、場合によっては親水性ポリマーと呼ばれる。水溶性は、水溶液中で水素結合を形成するために利用可能な十分な数の酸素(またはそれより頻度の少ないが窒素)原子を組み込むことで達成できる。親水性ポリマーとして、限定するものではないが、ポリオキシエチレン、ポリエチレングリコール、ポリメチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリビニルピロリドン、またはそれらの誘導体が挙げられる。ポリマーは、好ましくは、直鎖状、またはわずかにのみ分枝状(すなわち約2〜10の重要な遊離端のみを有する)であり、実質的に架橋していない。他の適切なポリマーとして、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
エチレンジアミンの核を有する(よって4つ端を有する)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーもまた利用可能であり、本発明の実務に使用してもよい。また親水性ポリマーは、タンパク質(たとえば限定するものではないが、コラーゲン)、デンプン、セルロースなどの天然に存在するポリマーなどをも含むことができる。
すべての適切なポリマーは、生物学的に適合可能であり、好ましくはin vivoで投与される際に非毒性および非炎症性であり、より好ましくは、少なくとも数か月の分解時間で、in vivoで分解可能である。
一部の実施形態では、ポリマーは、少なくとも1つ、好ましくは最大1000の、
前駆体キレーター化合物上の反応官能基と相補的である反応性官能基を有する。概して、相補的な反応性官能基は、コラーゲン、ヒアルロン酸などで見出される反応性官能基などのポリマー上に存在し、または、当業者に良く知られた従来の化学合成技術によりポリマー上に導入できる。例示的な官能基として、限定するものではないが、アミン、カルボン酸、ヒドラジン、ヒドラゾン、アジド、イソシアナート、イソシアナート、イソチオシアネート、アルコキシアミン、アルデヒド、エポキシ、ニトリル、マレイミド、ハロ、ヒドロキシ、チオール、またはそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、反応性官能基は、アミンまたはカルボン酸から選択される。相補性官能基は、共有結合を形成するために互いと反応するものを含む。例として、尿素またはカルバメート結合を形成するためのアミンおよびヒドロキシル基を伴うイソシアナート、アミドを形成するカルボン酸およびアミンなどが挙げられる。以下の表は、一部の一般的な相補性官能基を例示するものであり、それぞれ、ポリマー上の前駆体キレート部分(第1の反応性官能基)およびその他(第2の反応性官能基)が見出される。
Figure 0006756612
ポリマーは、アミン官能基モノマーのペンダントまたは末端のいずれかをポリマーに導入することにより官能基化できる。ポリマーへペンダントアミン官能基を付すための適切な方法は、ペンダントアミン官能基を含むモノマーを使用することである。ペンダントアミン官能基を含む適切なモノマーとして、2−アミノエチルアクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリルアミド、2−アミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリル(dimethylaminoethylmethacryl)、アミノプロピル(メト)アクリルアミドなどが挙げられる。ペンダントアミン官能基を含むモノマーを使用する場合、結果として得られるポリマーは、1つまたは複数のペンダントアミン基を含んでもよい。好ましくは、ポリマーに付されるペンダントアミン官能基は、末端のペンダントアミン官能基である。末端のペンダントアミン官能基は、連鎖移動剤として機能する場合にペンダントアミン基を有する1つまたは複数の化合物を使用することにより、ポリマーに付すことができる。末端のアミン官能基を付すための好ましい化合物は、たとえばN−ブチルアミノエタンチオール、N,N−ジエチルアミノエタンチオール、およびそれらの塩といったアミン−チオール類である。
同様に、本発明のポリマーは、たとえば、カルボン酸官能性モノマーを導入することにより官能基化できる。好ましい酸モノマーは、限定するものではないが、モノ不飽和型モノカルボン酸、モノ不飽和型ジカルボン酸、無水物またはアルコール誘導型モノもしくはジエステルを含む、カルボン酸またはそれらの誘導体である。たとえばポリオレフィンといったポリマーと反応すると、モノ不飽和型カルボキシ反応物質のモノ不飽和は、飽和型となる。例示的なモノ不飽和型カルボキシ反応物質として、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、クロロマレイン酸、クロロマレイン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、およびマレイン酸メチル、フマル酸エチル、およびフマル酸メチルなどの低級アルキル酸エステルが挙げられる。他の実施形態では、無水物またはエステル官能基を含むポリマーは、当業者に良く知られた方法により酸へと変換できる。
キレーター
銅、銀、および白金のイオンなどの様々な薬理学的に活性の金属イオンと結合するための良く知られた様々なキレーターは、本発明に有益であり、好ましくは、当該キレーターは生物学的に適合可能である。生物学的に適合可能なキレーターは、たとえば米国特許仮出願番号第61/728,198号、および米国特許出願公開公報第2014/0142041号に記載されており、これらの両方は、全体的に本明細書中参照として援用される。
適切なキレーターは、好ましくは、少なくとも2つの隣接した(または1、2置換型)ヒドロキシ、C〜C10アルコキシ、アミノ、(C〜C10)アルキルアミノ、(C〜C10ジアルキルアミノ、メルカプト、C〜C10チオアルキル基で置換した、1つまたは複数のC〜C10アルキルまたはヘテロアルキル、C〜C10アリールC〜C10ヘテロアリール、またはC〜C10シクロアルキル基を含み、ここで、アルキルまたはヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはシクロアルキル基は、リンカー、または結合および官能基結合基を介して羊膜および/またはフィラーに結合している。
用語「キレーター前駆体化合物」は、羊膜組成物またはフィラーと反応する前のキレーターを指す。前駆体化合物は、共有結合を形成するように羊膜またはフィラー上の相補性官能基と反応する反応性官能基を含む。結果として得られるキレート部分は、「キレーター」と呼ばれ、上記に定義される。キレーター前駆体化合物上の反応性官能基は、羊膜またはフィラー上の相補性反応性官能基と結合する場合、安定した共有結合を形成する。このような安定した共有結合は、例示的に、エステル、エーテル、アミド(−CONH−、−NHCO−、−N(アルキル)CO−、またはCO−N(アルキル)−)、カルバメート、尿素、カルボネート、チオカルボネート、チオウレア、カルバメート、およびウレタンの結合、ならびに、他のいずれかの良く知られた共有結合が挙げられる。キレーター前駆体化合物、羊膜、またはフィラーのいずれかの上の反応性官能基は、アミノ、ヒドロキシ、メルカプト、およびカルボン酸、カルボン酸エステル、イソシアナート、および、本明細書中で利用されるように、羊膜またはフィラー上の相補性反応性官能基に対して以下の当業者に知られた方法で化学的に結合可能な他の良く知られた官能基を含む。キレーター前駆体化合物上の基Xは、Hまたは相補性反応性官能基からなる群から選択される。Xが相補性官能基である場合、化合物上の他の反応性官能基は、従来の方法および保護基を使用して阻害または保護される必要がある場合があることが理解される。
一実施形態では、キレート剤は、1,2−ベンゾキノン、および/または1,2−ジヒドロキシフェニル部分を含む。別の実施形態では、キレート部分は、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ドーパミン、3,4−ジヒドロベンズアルデヒド、および3,4−ジヒドロキシ安息香酸からなる群から選択される前駆体化合物に由来する。
一実施形態では、キレート剤は、羊膜および/またはフィラーと反応、かつ共有結合を形成でき、かつ薬理学的に活性の金属イオンと可逆的に結合できる前駆体化合物に由来する。好ましくは、前駆体化合物は、
Figure 0006756612
からなる群から選択され、式中、Xは、H、またはXが相補性反応基である場合に分子上の他の反応性官能基が保護されるような相補性反応性官能基である。
一実施形態では、前駆体化合物は、
Figure 0006756612
であって、式中、X’は、分子上のヒドロキシル基が任意に保護されるような相補性反応性官能基である。
好ましくは、使用されるキレート剤は、ドーパミンおよびLドーパなどの天然に存在する化合物に由来する。
反応の後、キレーターは、場合によっては、キレート剤、またはキレート部分を指す。
薬理学的に活性の金属イオン
適切な薬理学的に活性の金属は当業者に知られている。一実施形態では、薬理学的に活性の金属は抗癌剤である。抗癌性金属として、限定するものではないが、白金、ルテニウム、オスミウム、およびコバルトが挙げられる。本明細書中で使用されるように、用語「抗癌剤」または「抗癌性金属イオン」は、1つもしくは複数の癌の症状を改善でき、かつ/または1つもしくは複数の癌の副作用を改善でき、かつ/もしくは、癌の侵襲性および/もしくは転移を予防かつ/または妨害できる、何等かの金属イオン含有化合物を指す。
抗癌剤は、米国特許出願公開公報第2014/0142041号に記載されており、この文献全体は参照として援用される。一実施形態では、金属イオンはイオン化した白金である。一実施形態では、白金は、白金(II)および/または白金(IV)を含む。別の実施形態では、白金は、シスプラチン、
Figure 0006756612
からなる群から選択される化合物を含み、式中、
Figure 0006756612
はキレーターへの結合を指す。
本発明のキレートした羊膜−Ptおよび/またはフィラー−Pt構築物は、適切なPt塩、好ましくはPT(II)を、本発明の官能基化羊膜組成物またはフィラーと接触させることにより調製する。好ましくは、Pt塩は、シスジアミノPt(II)ジクロロ、またはさらにより好ましくは、シスジアミノPt(II)ジアクア塩である。例示的かつ非限定的な例を以下に示す。
Figure 0006756612
本発明の羊膜組成物またはフィラーと結合していない過剰のPtは、キレックスなどの樹脂と複合体を形成することにより除去できる。羊膜組成物−Pt(II)またはフィラー−Pt(II)構築物は、たとえばHでの酸化による対応するPt(IV)構築物へと変換できる。図2および3は、金属イオンの連続的な放出を提供するために複合体の放出速度が重複するような(図2)異なる複合体の使用を例示し、対して図3は、金属イオンの2つの別々の放出(急速投与)を提供するために放出速度が重複しない方法での異なる複合体の使用を例示する。
本明細書中で使用されるように、シス−ジアクア白金複合体は、シスまたは隣接する構成で白金と結合した2つの水分子を含み、シス−ジハロ白金複合体は、シスまたは隣接する構成で白金と結合する、2つのハロゲン、好ましくは塩化物の基を含む。
ポリマー複合体
本発明のポリマー構築物は、例示的なポリマーとしてコラーゲンを使用して以下に記載される。しかしながら、本明細書中に記載されるものなどのコラーゲン以外のポリマーが、コラーゲンに代わり利用できることが理解される。例示的な生物学的に適合可能なコラーゲン複合体およびそれから作製されるデバイスは、米国特許第7,901,455号、米国特許出願公開公報第2008/0161917号、第2008/0188933号、第2008/0200992号、第2009/0216233号、第2009/0287308号、第2010/0094318号、第2010/0094404号、第2011/0282448号、第20110282447号、および第2014/0172096号に記載されており、これらは参照として本明細書中に援用される。
本発明の複合体は、乾燥でき、または部分的に水和できる。本明細書中に使用される用語「乾燥」は、構築物が、構築物の約5重量%未満の水分含有量を有することを意味する。本明細書中で使用される用語「部分的に水和した」は、構築物が、大気温度の生理食塩水槽において24時間後にex vivoで測定した、完全な水和した水分含有量の約50%未満、概して約75%未満の水分含有量を有する。よって、構築物は、構築物の約15重量%未満などの、構築物の約25重量%未満の水分含有量を有することができる。
成形した胎盤性移植片の調製および
その医薬組成物(任意)
本発明の羊膜組成物は、任意に、成形した胎盤性移植片であってもよい。微粒子化した羊膜、微粒子化した絨毛膜、微粒子化した中間組織層、フィラー、およびそれらのいずれかの組み合わせなどの脱水成分を、好ましくは非多孔性の型に圧縮した場合、この型により定義される望ましい形状および大きさを形成する。多孔性の型が好ましいものではないが、水または他の溶媒が成形の最中に漏れ出る場合、本発明の方法に使用できることが考慮される。成形した羊膜移植片は、少なくとも成形した羊膜移植片が対象に導入されるまで、大きさおよび形状を維持するために十分な密度および接着質量を有する。成形した羊膜移植片の接着は、微粒子化した成分の粒径により部分的に決定される。たとえば、大きな粒径を有する微粒子化した成分は、小さな粒径を有する微粒子化した成分から構成される成形した羊膜移植片と同一の密度を有する成形した羊膜移植片を入手するためにより高い圧縮圧力、および/またはより長い圧縮時間を必要とする。言い換えると同一の圧縮条件下で入手した成形した組成物では、大きな粒径を有する組成物は、小さな粒径を有する組成物と比較してより小さな密度を有し、より速い速度で分離する。
任意に、1つまたは複数の粘着剤は、型に導入される前に、羊膜または絨毛膜の組成物などの胎盤性組成物と混合することができる。このような粘着剤の例として、限定するものではないが、フィブリン密封剤、シアノアクリレート、ゼラチン、およびトロンビン生成物、ポリエチレングリコールポリマー、アルブミン、およびグルタルアルデヒド生成物が挙げられる。この工程に使用される粘着剤は、粘着剤および胎盤性組成物の混合物が、非多孔性の型での圧縮を許容するために十分低い水含有量を有するように、胎盤性組成物と混合する前に脱水されるべきである。
羊膜に加えて、追加的な脱水された成分を、微粒子化の前および/または後に組成物に添加できる。一態様では、他の胎盤組織の成分を添加してもよい。胎盤組織の成分は、中間組織層、絨毛膜、またはその両方、ならびにこれらの脱水し、微粒子化した移植片を含むことができる。
一態様では、脱水したフィラーを添加できる。フィラーの例として、限定するものではないが、同種移植片心膜、同種移植片無細胞真皮、精製した異種移植片1型コラーゲン、バイオセルロースポリマーもしくはコポリマー、生物学的に適合可能な合成ポリマーまたはコポリマーフィルム、精製した小腸の粘膜下層、膀胱無細胞マトリックス、屍体の筋膜、骨粒子(海綿状および皮質性骨粒子を含む)、上述の他のポリマー、またはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。フィラーは、粉末化されていてもよく、微粒子化されていてもよく、またはフィラーが微粒子化した胎盤の成分と組み合わせることができるような他のいずれかの形態であってもよい。
別の態様では、脱水した生理活性薬剤を、微粒子化の前および/または後に組成物に添加することができる。生理活性薬剤の例として、限定するものではないが、自己血液収集物および分離生成物、または外部の保存血由来の血小板濃縮物のいずれかを使用した、血小板濃縮物由来の天然に存在する増殖因子;骨髄液;濃縮したヒト胎盤性臍帯血幹細胞由来の幹細胞;濃縮した羊水幹細胞またはバイオリアクター中で増殖させた幹細胞;または抗生物質が挙げられる。対象となる領域に生理活性薬剤と胎盤性組成物を塗布すると、生理活性薬剤は、経時的にこの領域に送達される。よって、本明細書中に記載される組成物は、対象に投与する場合に、生理活性薬剤および他の医薬製剤の送達デバイスとして有益である。放出プロファイルは、とりわけ、組成物を作製するために使用される成分の選択、および組成物中に含まれる粒子の大きさに基づき変更できる。放出プロファイルは、上述される組成物の成形によりさらに変更できる。
一部の態様では、幹細胞の走化性および/または動員を高める1つまたは複数の幹細胞動員因子を、本技術の胎盤性組成物に添加してもよい。他の態様では、幹細胞動員因子を、微粒子化した胎盤性組成物に添加することができる。あるいは、幹細胞動員因子を、微粒子化の前に積層物組織移植片の層に添加してもよい。よって、たとえば、サイトカイン、ケモカイン、増殖因子、細胞外マトリックス成分、および他の生理活性物質を、変性した羊膜組成物に添加して、天然の幹細胞の動員を高めることができる。幹細胞動員因子の具体的な非限定的例は、以下の、CCケモカイン、CXCケモカイン、Cケモカイン、またはCXXケモカインのうちの1つまたは複数を含んでもよい。他の幹細胞動員因子は、α−線維芽細胞増殖因子(αFGFまたはαFGF−1)、β−線維芽細胞増殖因子(βFGF−1またはβFGF−2)、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF−A、B、C、DまたはE)、アンジオポエチン−1および−2、インスリン様増殖因子(IGF−1)、骨形態形成タンパク質(BMP−2および−7)、形質転換増殖因子−αおよび−β(TGF−αおよびTGF−β)、上皮増殖因子(EGF)、結合組織増殖因子(CTGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、ヒト成長ホルモン(HGH)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、白血病抑制因子(LIF)、神経成長因子(NGF)、ストロマ細胞由来因子1(SDF−1α)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、および当業者に知られている他の因子などの増殖因子をさらに含んでもよい。
可塑剤
さらなる別の態様では、胎盤性組成物は、少なくとも1つの可塑剤と混合される。当業者は、可塑剤の生物学的な適合性、in vivoでの胎盤組織組成物の分解または侵食速度に関する可塑剤の作用、ならびに/また組成物の強度、柔軟性、一貫性、疎水性、および/もしくは親水性に関する可塑剤の作用に基づき適切な可塑剤を選択する。
用語「可塑剤」および「可塑剤(plasticizing agent)」は、本発明で互換的に使用できる。可塑剤は、本組成物または本組成物から形成される生成物の機械的な特性を変更するために添加できるいずれかの薬剤または薬剤の組み合わせを含むことができる。
理論または作用機構に縛られると意図されるものではないが、可塑剤は、たとえば、組成物中の成分間のフローを形成または高めることを含み得る設計目標を伴い、結晶化度を小さくし、ガラス転移温度(Tg)を低くし、または組成物内の成分間の分子間力を減少させるために添加することができる。変更された機械的な特性として、限定するものではないが、ヤング率、引っ張り強度、衝撃強度、引裂強度、および破損−ひずみが挙げられる。可塑剤は、モノマー、ポリマー、コポリマー、またはそれらの組み合わせとすることができ、かつ、共有結合を含む、または含まない組成物に添加できる。可塑化および溶解度は、可塑剤を選択することが、たとえば極性などの溶媒を選択する際の考慮と類似する考慮を含む範囲内で類似する。さらに、可塑剤は、共重合を介して組成物の分子構造を変化させる共有結合を介して組成物にも添加できる。
可塑剤の例として、限定するものではないが、たとえば、単一ブロックポリマー、マルチブロックポリマー、およびコポリマーなどの低分子量ポリマー;たとえば限定するものではないが乳酸のエチル末端化オリゴマーを含む乳酸オリゴマーなどのオリゴマー;環状乳酸およびグリコール酸のダイマー;小有機分子;ヒドロキシル基を含む水素結合形成有機化合物およびヒドロキシル基を含まない水素結合形成有機化合物;脂肪族ヒドロキシルを有する低分子量ポリオールなどのポリオール;ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノールなどのアルカノール;糖アルコールおよび糖アルコールの無水物;ポリ(アルキレングリコール)などのポリエーテル;クエン酸塩、フタル酸塩、セバシン酸塩、およびアジピン酸塩などのエステル;脂肪族酸;飽和型および不飽和型の脂肪酸;脂肪アルコール;コレステロール;ステロイド;たとえばレシチンなどのリン脂質;動物性タンパク質および植物性タンパク質などのタンパク質;たとえば植物油および動物油などの油;シリコーン;アセチル化モノグリセリド;ジグリセリド;トリグリセリド;アミド;アセトアミド;スルホキシド;スルホン;ピロリドン;オキサ酸(oxa acid);ジグリコール酸;ならびにそれらのいずれかの類似体、誘導体、コポリマー、および組み合わせが挙げられる。
一部の実施形態では、可塑剤は、限定するものではないが、たとえばカプロラクトンジオール、カプロラクトントリオール、ソルビトール、エリスリトール、グルシトール(glucidol)、マンニトール、ソルビトール、スクロース、およびトリメチロールプロパンなどの他のポリオールを含む。他の実施形態では、可塑剤は、限定するものではないが、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、スチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどのグリコール;たとえば、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、およびジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコール−エーテル;ならびにそれらの誘導体、コポリマー、および組み合わせなどが挙げられる。
他の実施形態では、可塑剤は、限定するものではないが、たとえば、ジエチレングリコールジベンゾアート、ジプロピレングリコールジベンゾアート、メチレングリコールカプリン酸塩−カプリル酸塩などのグリコールエステル;たとえば、グリセロールモノステアレートなどのモノステアレート;クエン酸エステル;有機酸エステル;芳香族カルボキシエステル;脂肪族ジカルボキシエステル;たとえばステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびセバシン酸のエステルなどの脂肪酸エステル;トリアセチン;たとえばフタル酸ポリエステル、アジピン酸ポリエステル、グルタミン酸(glutate)ポリエステルなどのポリ(エステル);たとえばフタル酸ジアルキル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸イソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、およびフタル酸ジイソデシルなどのフタル酸塩;たとえばセバシン酸アルキル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジブチルなどのセバシン酸塩;たとえば乳酸塩、乳酸アルキル、乳酸エチル、乳酸ブチル、グリコール酸アリル、グリコール酸エチル、およびグリセロールモノステアレートなどのヒドロキシルエステル;たとえばクエン酸アルキルアセチル、クエン酸トリエチルアセチル、クエン酸トリブチルアセチル、クエン酸トリヘキシルアセチル、クエン酸アルキル、クエン酸トリエチル、およびクエン酸トリブチルなどのクエン酸塩;たとえば、リシノール酸メチル(methyl ricinolate)などのヒマシ油のエステル;たとえばトリメリット酸エステル、安息香酸エステル、およびテレフタル酸エステルなどの芳香族カルボキシエステル;たとえばアジピン酸ジアルキル、アジピン酸アルキルアリルエーテルジエステル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、クエン酸エステル、および酒石酸エステルなどの脂肪族ジカルボキシルエステル;ならびに、たとえば、グリセロール、モノ−、ジ−、またはトリ酢酸塩、およびジエチルスルホコハク酸ナトリウムなどの脂肪酸エステル;ならびにそれらのいずれかの類似体、誘導体、コポリマー、および組み合わせなどのエステルを含む。
他の実施形態では、可塑剤は、限定するものではないが、たとえばポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(プロピレングリコール)、およびポリ(エチレン/プロピレングリコール)などのエーテルおよびポリエーテル;たとえばメトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)などのPEG誘導体;ならびに、たとえばジエチレングリコールジベンゾアート、ジプロピレングリコールジベンゾアート、およびトリエチレングリコールカプリン酸塩−カプリル酸塩などのエステル−エーテル;ならびにそれらのいずれかの類似体、誘導体、コポリマー、および組み合わせが挙げられる。
他の実施形態では、可塑剤として、限定するものではないが、たとえば、オレインアミド、エル化酸アミド、およびパルミチン酸アミドなどのアミド;たとえばジメチルアセトアミドなどのアルキルアセトアミド;たとえばジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;たとえばn−メチルピロリドンなどのピロリドン;たとえばテトラメチレンスフホンなどのスルホン;たとえば3,6,9−トリオキサウンデカン二酸、ポリオキサ二酸などのオキサモノ酸、オキサ二酸などの酸;アセチル化クエン酸のエチルエステル、アセチル化クエン酸のブチルエステル、アセチル化クエン酸のカプリルエステル、およびジメチロールプロピオン酸などのジグリコール酸;ならびにそれらの誘導体、類似体、コポリマー、および組み合わせが挙げられる。
他の実施形態では、可塑剤として、限定するものではないが、エポキシ化ダイズ油;亜麻仁油;ヒマシ油;ヤシ油;分画ヤシ油;エポキシ化タラート(tallates);ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびセバシン酸などの脂肪酸エステル;限定するものではないが、アンゼリカ油、アニス油、アルニカ油、アウランティアエセロレウム(aurantii aetheroleum)、吉草油、バシリシアエセロレウム(basilici aetheroleum)、ベルガモット油、セイバリー油、バッコアエセロレウム(bucco aetheroleum)、カンファー、カルダモミアエセロレウム(cardamomi aetheroleum)、カッシア油、ヘノポジ油、キク油、シナアエセロレウム(cinae aetheroleum)、シトロネラ油、レモン油、かんきつ油、コスタス油、ウコン油、チャボアザミ油、エレミ油、タラゴン油、ユーカリ油、フェンネル油、松葉油、パイン油、フィリシスアエセロレウム(filicis aetheroleum)、ガルバナム油、ガウルセリアアエセロレウム(gaultheriae aetheroleum)、ゼラニウム油、グアヤクウッド油、サイシン油(hazelwort oil)、イリス油、オトギリソウ油、ショウブ油、カモミール油、ファーニードル油、ニンニク油、コリアンダー油、キャラウェイ油、ラウリアエセロレウム(lauri aetheroleum)、ラベンダー油、レモングラス油、ラベージ油、ベイ油、ルプリストロブリアエセロレウム(lupuli strobuli aetheroleum)、メース油、マジョラム油、マンダリン油(mandarine oil)、メリッサ油、メントール、ミレフォリアエセロレウム(millefolii aetheroleum)、ミント油、サルビア油、ナツメグ油、スパイクナード油、チョウジ油、ネロリ油、ニアウリ、オリバナム油、オノニディスアエセロレウム(ononidis aetheroleum)、オポプラナックス(opopranax)油、オレンジ油、オレガノ油、オルトシホン油、パチュリー油、パセリ油、プチグレン油、ペパーミント油、ヨモギギク油、ローズウッド油、バラ油、ローズマリー油、ヘンルーダ油、サビナアエセロレウム(sabinae aetheroleum)、サフラン油、セージ油、サンダルウッド油、サッサフラス油、セレリ油、カラシ油、セルフィリアエセロレウム(serphylli aetheroleum)、イモーテル油、ファー油、ティーツリー油、テレピン油(terpentine oil)、タイム油、ジュニパー油、オリバナム油、ヒソップ油、シダーウッド油、けい皮油、およびサイプレス油を含むエッセンシャルオイル;および例えば魚油などの他の油;ならびにそれらの類似体、誘導体、コポリマーおよび組み合わせが挙げられる。
一部の実施形態では、当業者は、上述の可塑剤のいずれか1つまたはいずれかの組み合わせを除外するために、1つまたは複数の可塑剤を選択し得ることが理解されるものである。
一部の実施形態では、可塑剤は、水溶性である成分を含むことができる。他の実施形態では、可塑剤は、水溶性に変性できる。一部の実施形態では、可塑剤は、脂溶性である成分を含むことができる。他の実施形態では、可塑剤は、脂溶性に変性できる。いずれかの官能基を、たとえばin vivoで存在する体液などの溶媒で可塑剤の挙動を変更するために添加することができる。
さらなる態様では、胎盤性組成物のin vivoでの分解または侵食速度、ならびに成分の密度、および接着性を、たとえば架橋により変性することができる。この成分は、同種間で架橋でき、かつ/または別種間で架橋できる。たとえば、羊膜は、それ自体、中間組織層、絨毛膜、第2の羊膜組織および/またはフィラーと架橋できる。たとえば、架橋剤を、脱水、微粒子化、および/または混合の前および/または後に、組成物(たとえば個々の成分および/または組織移植片としての、羊膜、絨毛膜、中間組織層、フィラー、またはそれらのいずれかの組み合わせ)に添加できる。一般的に、架橋剤は非毒性かつ非免疫原性である。
本明細書中で使用されるように、用語「同種間で架橋した」は、羊膜組成物のうち1つの成分の中での架橋を指す。たとえば、羊膜は羊膜自体と架橋できる。
本明細書中で使用されるように、用語「別種間で架橋した」は、胎盤性組成物の異なる成分の間の架橋を指す。たとえば、羊膜は、中間組織層、絨毛膜、第2の羊膜組織、および/またはフィラーと架橋できる。
羊膜、中間組織層、絨毛膜(またはそれらの組織移植片)、および/またはフィラーを、架橋剤で処理する場合、架橋剤は同一または異なるとすることができる。他の態様では、羊膜、中間組織層、絨毛膜、および/またはフィラーを、架橋剤で別々に処理することができ、またはあるいは、羊膜、中間層、絨毛膜、および/もしくはフィラーは、同一の架橋剤でまとめて処理できる。特定の態様では、羊膜、中間組織層、絨毛膜、および/またはフィラーを、2つ以上の異なる架橋剤で処理できる。羊膜、中間組織層、絨毛膜、およびフィラーを処理するための条件は変動できる。他の態様では、羊膜、中間組織層、絨毛膜、および/またはフィラーは、微粒子化の前または後に架橋剤で処理できる。一態様では、架橋剤の濃度は、0.1M〜5M、0.1M〜4M、0.1M〜3M、0.1M〜2M、または0.1M〜1Mである。好ましくは、この成分は、架橋した成分が、非多孔性の型での圧縮または成形を許容するために十分に低い水含有量を有するように、脱水の前に架橋される。
特定の態様では、胎盤性組成物は、架橋剤で処理できる。好ましくは、胎盤性組成物の1つまたは複数の成分を、架橋した成分の水含有量が低いレベル、たとえば約20%未満、約15%未満、約10%未満、または5%未満であるように微粒子化の前または後に気体/ヒュームの架橋剤にさらす。架橋剤は、一般的に、共有結合を生成するためにタンパク質と反応できる2つ以上の官能基を有する。一態様では、架橋剤は、タンパク質に存在するアミノ基と反応できる基を有する。このような官能基の例として、限定するものではないが、ヒドロキシル基、置換型または非置換型アミノ基、カルボキシル基、およびアルデヒド基が挙げられる。一態様では、架橋剤は、たとえば、グルタルアルデヒドなどのジアルデヒドとすることができる。別の態様では、架橋剤は、たとえば、(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミド(EDC)などのカルボジイミドとすることができる。他の態様では、架橋剤は、酸化したデキストラン、p−アジドベンゾイルヒドラジド、N−[α−マレイミドアセトキシ]スクシンイミドエステル、p−アジドフェニルグリオキサール一水和物、ビス−[β−(4−アジドサリシルアミド)エチル]ジスルフィド、ビス−[スルホスクシンイミジル]スベラート、ジチオビス[スクシンイミジル]プロピオナート、ジスクシンイミジルスベラート、および1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミドハイドロクロライド、二官能性オキシラン(OXR)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)、ノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)とすることができる。
一態様では、羊膜、中間組織層、絨毛膜、ホウォートンゼリー、および/またはフィラーに存在するタンパク質と反応して共有結合を形成できる糖は架橋剤である。たとえば、糖は、還元糖によりタンパク質上のアミノ基の非酵素的なグリコシル化により開始し、その後共有結合の形成をもたらすメイラード反応によりタンパク質と反応できる。架橋剤として有益な糖の例として、限定するものではないが、D−リボース、グリセロース、アルトロース、タロース、エリトロース(ertheose)、グルコース、リキソース、マンノース、キシロース、グロース、アラビノース、イドース、アロース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、スクロース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、トレハロース、イソマルトース、およびそれらのいずれかの組み合わせが挙げられる。
一態様では、キレート剤は架橋剤である。一態様では、キレート剤は、成分の架橋に実質的に関与していない。
本発明のさらなる別の実施形態では、組成物に組み込まれた金属イオンは、架橋した胎盤性組成物に存在するキノン基および/またはカテコール基と結合する。本発明の他の実施形態では、組成物に組み込まれた金属イオンは、限定するものではないが、アミノ、またはモノまたはジアルキル化アミノ、およびイミダゾールが例として挙げられる塩基性窒素原子と結合してもよい。特定の態様では、金属イオンは、白金(+2)および/または白金(+4)などの白金抗癌剤である。特定の好ましい態様では、白金抗癌剤は、シス−ジアミノ白金部分を含む。本明細書中で使用されるように、用語「アミノ」は、アンモニアまたはシクロアルキルアミン、またはヘテロアリールまたはヘテロシクリルアミンを指し、窒素原子を配位する白金は、環系の一部とすることができ、または環系を誘導体化できる。本発明に有益なシス−ジアミノ白金部分および他の白金部分の例は、たとえばKostova, Recent Patents on Anti−Cancer Drug Discovery, 2006, 1, 1−22に記載されており、その全体は本明細書中参照として援用される。他の態様では、構築物に組み込まれた白金は、約0.1%〜約30%の量で存在する。
特定の態様では、白金組成物は、金属イオンの徐放を提供し、この徐放は、即時放出、中程度の放出、徐放、またはそれらの放出速度のいずれかの組み合わせを含む、複数の放出速度を含む。他の態様では、複数の放出速度は、適切な範囲の放出速度を提供するために調節され、放出速度の範囲は、約1分〜約60日、またはその中のいずれかの範囲を含む。
胎盤性組成物は、当該組成物の送達形式および送達部位に応じて様々に製剤化できる。一部の実施形態では、羊膜または絨毛膜の組成物などの微粒子化した胎盤性組成物は、ペレット、またはペンシル中の黒鉛チューブとして形成されたインプラントなどの形状に圧縮される。このような固形の剤形の単位長さまたは用量もまた提供される。このような固形の組成物は、抗癌または他の処置を必要とする部位に局所的に投与でき、または、既知かつ/もしくは商業的に入手可能な乾燥固形注入技術、もしくはそれらの明白な改変版を使用することにより患者に投与してもよい。このような固形注入技術の非限定的な例として、Glide SDIの固形注入システムが挙げられる。
他の実施形態では、胎盤性組成物は、粘性の流体として製剤化される。このような粘性の製剤は、好ましくは、ポリエチレングリコール、polaxamer(登録商標)ポリマーなどのポリマーなど、および/または小分子有機溶媒を含むことのできる、非水性有機溶媒を含むことが好ましい。このような粘性の製剤は、好ましくは、既知かつ/または商業的に入手可能である高圧シリンジ、またはその明らかな改変を使用して部位特異的に投与してもよい。このような高圧シリンジの非限定的な例として、米国特許第6,503,244号(本明細書中参照として援用)などが挙げられる。
本発明は、当業者に理解されるように、羊膜、フィラー、可塑剤、および/またはキレーターのいずれかの組み合わせを含む。羊膜および/またはフィラーは任意に架橋している。一実施形態では、成分は架橋していない、一実施形態では、羊膜および/またはフィラーは同種間で架橋している。一実施形態では、羊膜および/またはフィラーは別種間で架橋している。以下の表は、本発明の潜在的な実施形態の非限定的な例を提供するものである。当業者は、このような実施形態が本明細書中に提供される他の成分または態様をさらに含み得ることを理解するものである。
Figure 0006756612
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本発明の別の実施形態は、羊膜または絨毛膜の組成物などの胎盤性組成物を製造する方法であって、胎盤性の層または胎盤組織の移植片を提供することと、上記胎盤性の層または移植片を脱水することと、上記胎盤性の層または移植片を微粒子化することと、1つまたは複数のキレート剤を上記胎盤性の層または移植片に結合させることであって、上記結合ステップが、上記脱水ステップの前、または上記微粒子化ステップの前もしくは後であってもよい、結合させることとを含む、方法を目的とする。
本発明の別の実施形態は、羊膜または絨毛膜の組成物などの胎盤性組成物を製造する方法であって、胎盤性の層または胎盤組織の移植片を提供することと、上記胎盤性の層または移植片を脱水することと、上記胎盤性の層または移植片を微粒子化することと、1つまたは複数のキレート剤を上記胎盤性の層または移植片に結合させることであって、上記結合ステップが、上記脱水ステップの前、または上記微粒子化ステップの前または後であってよい、結合することと、薬理学的に活性の金属イオンを上記組成物にキレート化することであって、上記キレート化ステップが上記結合ステップの後の任意の時間に実施できる、キレート化することとを含む、方法を目的とする。
本発明の別の実施形態は、羊膜または絨毛膜の組成物などの胎盤性組成物を製造する方法であって、胎盤性の層または胎盤組織の移植片およびフィラーを提供することと、上記胎盤性の層または移植片、および任意にフィラーを脱水することと、上記胎盤性の層または移植片を微粒子化することと、上記胎盤性の層または移植片を微粒子化することと、1つまたは複数のキレート剤を上記胎盤性の層もしくは移植片、および/またはフィラーに結合させることであって、上記結合ステップが、上記脱水ステップの前、または上記微粒子化ステップの前もしくは後であってもよい、結合させることと、上記層または移植片および上記フィラーを組み合わせることであって、上記組み合わせるステップが、この工程の最中の任意の時間であってよい、組み合わせることとを含む、方法を目的とする
本発明の別の実施形態は、羊膜または絨毛膜組成物などの胎盤性組成物を製造する方法であって、胎盤性の層または胎盤組織の移植片およびフィラーを提供することと、上記胎盤性の層または移植片および任意にフィラーを脱水することと、上記胎盤性の層または移植片を微粒子化することと、1つまたは複数のキレート剤を上記胎盤性の層または移植片および/またはフィラーに結合させることであって、上記結合ステップが、上記脱水ステップの前、または上記微粒子化ステップの前もしくは後であってもよい、結合させることと、上記層または移植片およびフィラーを組み合わせることであって、上記組み合わせるステップが、この工程の任意の時間で実施されてもよい、組み合わせることと、薬理学的に活性の金属イオンを上記組成物にキレート化することであって、上記キレート化するステップが、上記結合ステップの後のいずれかの時間で実施できる、キレート化することとを含む、方法を目的とする。
本明細書中に記載される医薬組成物は、局所的または全身性の処置が望ましいかどうか、および処置される領域に応じて多くの方法で投与できる。一態様では、投与は注射によるものとすることができる。他の態様では、組成物は、対象へ内部に適用されるように製剤化できる。他の態様では、組成物は、局所的、皮下(subdermallyまたはsubcutaneously)的に適用できる。
III.これらに結合した1つまたは複数のキレート剤を含む、微粒子化した胎盤性の組成物および/またはフィラーを含む組成物の適用
治療上の用途
本明細書中に記載されるこれらに結合した1つまたは複数のキレート剤を含む、微粒子化した胎盤性物質および/またはフィラーを含む組成物は、多くの治療上の用途を有する。
一態様では、本明細書中、白金アルキル化剤での処置の影響を受けやすい癌を罹患する対象を処置する方法であって、上記方法が、対象中の胎盤性組成物を投与することを含み、上記組成物が、対象に有効量の白金を投与するために、(a)微粒子化した胎盤性組成物および1つまたは複数のキレート部分と、(b)キレート部分にキレート化された白金とを含む、方法を提供する。胎盤性組成物は、任意にフィラーを含む。キレート化部分は、羊膜、フィラー、またはその両方と結合してもよい。
さらなる別の実施形態では、本発明は、金属含有抗癌剤で処置可能な癌の処置の必要のある対象を処置する方法であって、a)対象に医薬構築物を移植することであって、上記医薬構築物が、微粒子化した胎盤性組成物、および上記構築物中で治療上有効量の抗癌性白金を提供するために組み込まれた抗癌性となる量の抗癌剤とを含む、移植することと、b)上記組成物から上記抗癌剤を放出することにより、癌を阻害することとを含む、方法を目的とする。一実施形態では、たとえば白金といった有効量の抗癌剤は、複数のin vivoでの放出速度で組成物から放出される。本明細書中に提供される化合物および組成物の治療上有効量および/または適切な投与形式を判定する方法は、本開示を読み、かつ当業者に知られている他の方法に基づき、当業者に理解されるものである。一実施形態では、胎盤性組成物は、任意にフィラーを含む。
本発明は、医療上の用途および動物試験での使用を見出すものである。用語「医療上」は、ヒトおよび獣医学的な用途の両方を含む。本発明の適切な対象として、限定するものではないが、鳥類および哺乳類が挙げられる。
特定の実施形態では、対象は、本発明の方法の「必要があり」、たとえば、対象は、プロステーシスまたは他のデバイスなどの、本発明の組成物を移植する外科的な工程から利益を得てもよい。特定の実施形態では、移植の後、本発明の組成物は、疾患および/もしくは臨床上の症状の予防、本発明の方法が存在しない状態で起こるものと比較して疾患および/もしくは臨床上の症状の重症度の低減、ならびに/または疾患および/もしくは臨床上の症状の発症および/もしくは進行の遅延などの、治療上および/または予防上の作用を対象へ与えることができる。本発明の方法は、完全かつ/または部分的な処置および/または保護を提供できる。特定の実施形態では、対象への移植または投与の後、本発明の組成物が、対象の癌、好ましくは白金抗癌剤で治療可能な癌を処置し、かつ/または阻害し、かつ/または癌から対象を保護する。
実施例
以下の実施例は、本明細書中に記載かつ請求されている化合物、組成物、および方法が、どのように作製され、評価されるかの完全な開示および説明を当業者に提供するために記載されており、単なる例示として意図され、本発明者らが本発明とみなす範囲を限定するよう意図されるものではない。数(たとえば量、温度など)に関する正確性を保つようにされているが、場合によって誤差および偏差が考慮されるものである。特段記載がない限り、部は重量部であり、温度は℃または大気温度であり、圧力は大気圧または大気圧に近い。たとえば成分の濃度、望ましい溶媒、溶媒混合物、温度、圧力、ならびに記載される工程から入手される生成物の純度および収率を最適化するために使用できる他の反応範囲および条件といった反応条件において多くの変動および組み合わせが存在する、合理的かつ通常の実験のみが、当該工程条件を最適化するために必要とされる。
実施例1.微粒子化した組成物の調製
微粒子化した粒子を生成するために本明細書中で使用される羊膜/絨毛膜の組織移植片を、米国特許公開公報第2008/0046095号に記載される工程により生成した。この文書全体は本明細書中参照として援用される。組織移植片(4cm×3cm)および2つの9.5mlのスチール砕粉ボールを50mlの容器に配置し、その後バイアルを密封した、バイアルをCryo−blockに置き、Cryo−blockをCryo−rackに配置した。Cryo−rackを、液体窒素を保持するデュワーへ配置する。組織の試料を、わずかに30〜60分間蒸気層で冷却した。Cryo−rackをデュワーから取り外し、Cryo−blockをCryo−rackから取り外した。Cryo−blockを砕粉器(SPEX Sample Prep GenoGrinder 2010)の中に配置し、20分間1,500rpmに設定した。20分経過した後、組織を、微粒子化が確保されるように検査した。必要に応じて、組織を、デュワーへとさらに30〜60分間戻し、さらに20分間砕粉器へと移動させて、十分な微粒子化を確保した。組織を十分に微粒子化した後、米国の標準的なASTMふるいのシリーズを使用して分類した。このふるいは、以下の順番:355μm、300μm、250μm、150μm、および125μmで配置した。微粒子化した物質を、50mlのバイアルから355μmのふるいに移した。各ふるいは、微粒子化した粒子を完全に分離するために個別に撹拌した。ふるいを使用して微粒子化した粒子を効率的に分離した後、355μm、300μm、250μm、150μm、および125μmの粒径を有する微粒子化した粒子を別々のバイアルに回収した。
実施例2−微粒子化した胎盤組織を伴う組織移植片の調製
様々な改変および変動を、本明細書中に記載される化合物、組成物、および方法に対して用いることができる。本明細書中に記載される化合物、組成物、および方法の他の態様は、本明細書中に開示される化合物、組成物、および方法の明細書および実務を考慮することから明らかである。本明細書および実施例は例示的なものと考慮するよう意図される。
強化された胎盤組織の移植片の詳細な説明は、米国特許公開公報第2014/0067058号に提供されており、この文書全体は本明細書中参照として援用される。
微粒子化した胎盤組織およびその抽出物を作製かつ使用する詳細な説明は、米国特許出願公開公報第2014/0050788号に提供されており、この文書全体は本明細書中参照として援用される。
実施例3−EpiFix(登録商標)の存在下での細胞の遊走
ヒト間葉系幹細胞(ヒトMSC)を、EpiFix(登録商標)の試料の存在下細胞培養物中で評価して、EpiFix(登録商標)がヒトMSCの遊走を誘導するかどうかを判定した。EpiFix(登録商標)は、無処置の上皮層を伴う羊膜および絨毛膜の層である。
材料および方法
標準的な遊走アッセイを、インサートの底部において、8μmの細孔膜フィルターを伴い24ウェルの細胞培養物インサートで実施する(図4;BD Biosciences参照)。実験を開始する24時間前に、ヒトMSC(1つのドナー、経路3)を無血清培地で培養し、PBS中5μg/mlのフィブロネクチン300μlを、細胞培養インサートの表面にフィブロネクチンを一晩吸着させることを可能にするために、各細胞培養インサートに配置した。
実験日に、無血清培地700μlを、プレートの底部ウェルに充填し、次いで、異なる大きさの滅菌した EpiFix(登録商標)の一部(低:直径1.5mmのディスク;中:直径4mmのディスク;高:12×13平方mmであり、3〜4平方mm断片に調節;n=6(試験したEpiFix(登録商標)組織ドナー)を添加した。1平方センチメートルのEpiFix(登録商標)の重量は4mgである。無血清培地および10%のウシ胎児血清(n=6)を含む培地を、それぞれ陰性対照および陽性対照として作用させた。次に、ヒトMSC(300μl中40,000細胞)を、細胞培養インサートの中に充填し、24時間培養した。次に、細胞培養インサートの両側面をPBSですすぎ、上部のインサート中の非遊走細胞を、コットンを付したアプリケータで除去した。インサートの下側の細胞に加えて膜フィルターを、10%のホルマリンで20分間固定し、次に、すすぎ、ヘマトキシリンで5分間染色した。膜を介して遊走する細胞の数を、倒立顕微鏡(Nikon TE2000;SPOT Software 4.6)で膜の下部表面上で計測した。
データを、10%のFBS陽性対照に対して正規化し、各試料ウェルに関して100倍の顕微鏡写真あたり、計測し遊走した細胞の平均値±標準偏差として表す。統計上の比較を、データ分散を正規化するためのBox−Cox変換、次いでテューキーのHSD(honestly significant difference)ポストホック検定を用いた片側分散分析(ANOVA)を使用して実施した。
結果
最も小さなEpiFix(登録商標)の試料を含む低のグループ(直径1.5mmのディスク)は、血清のない陰性対照と有意に異なるものではなかった(図5の棒グラフ参照)。中のグループ(直径4mmのディスク)および高のグループ(12〜13平方mm、3〜4平方mmの断片に調節)は、血清のない対照よりも統計的に高く(対照と比較して約60%および75%の遊走。図5参照)、このことから、EpiFix(登録商標)により刺激される細胞の遊走が示唆された。高のグループは、中のグループと有意に異なるものではなかった。この結果は、EpiFix(登録商標)生成物がヒト間葉系幹細胞を誘引する1つまたは複数の因子を含むことを示唆する。
実施例4−EpiFix(登録商標)インプラントを移植したマウスにおける幹細胞の動員
正常なマウスに移植されたEpiFix(登録商標)が、マウスの造血幹細胞(HSC)およびマウスの間葉系幹細胞(マウスのMSC)に焦点を当てて、幹細胞/前駆細胞の動員を引き起こすかどうかを判定するために試験を行った。
材料および方法
6つのドナー由来のEpiFix(登録商標)生成物を、正常なマウスの移植に使用した。5×5平方mmのEpiFix(登録商標)は、月齢4ヶ月のFVB/NJマウス(約23.50g〜約30gの体重)の皮下に外科的に配置した。各時点で試料あたり4匹のマウスに移植した。この時点は、3日、7日、14日、および28日であった。陰性対照は、正常な皮膚であり、かつ偽手術したマウスであった(外科的な切開を行ったが、移植は行っていない)。脱細胞化真皮のマトリックス(無細胞真皮マトリックス;ADM)を、比較上のインプラント(I型コラーゲン、サイトカインなし)として使用した。インプラントおよびその下の皮膚を、FACS(fluorescence activated cell sorting)のために収集した。
インプラントおよびその下の皮膚を収集し、1mmの区分に切断し、0.15%のディスパーゼ/0.075%のコラゲナーゼ溶液で、37℃で1時間インキュベートした。遠心した後、試料を、以下に記載される系列の抗体カクテルで染色した。CD31抗体を添加し、次いでAlexa Fluor 647抗ラット二次抗体を添加した。フィコエリトリン−Cy7−結合型抗CD45抗体を最後にインキュベートした。以下に記載されるように試料を調製し、解析した。
試料を、系列の陰性(lin)抗体カクテル(Ter119/CD4/CD8a/Gr−1/CD45R/CD11b)、次いでフィコエリトリンCy5抗ラット二次抗体でインキュベートした。間葉系幹細胞の解析のため、結合した抗体を、CD45(フィコエリトリンCy7)およびSca−1(フルオレセインイソチオシアネート)に対して添加した。造血幹細胞解析のために、結合した抗体を、CD45(フィコエリトリン−Cy7)、c−Kit(フィコエリトリン)、およびSca−1(フルオレセインイソチオシアネート)に対して添加した。試料を、抗体と共に30分間インキュベートし、次に、2mMのエチレンジアミン四酢酸を含むリン酸緩衝生理食塩水中5容量の2%のウシ胎児血清を添加することにより洗浄した。細胞を遠心し、次にヨウ化プロピジウム中に4℃で1分間再懸濁した。試料を、LSR フローサイトメーターを使用して解析した。CellQuest software)を使用して、試料を、lin/Sca−1/CD45に関して調節(gate)して、間葉系幹細胞を定義し、lin/Sca−1/c−Kit/CD45に関して調節して造血幹細胞を定義した。
結果
マウスのHSCは、7日目、14日目、および28日目に陰性対照と比較してEpiFix(登録商標)の移植後有意に増加した(図6A参照)。マウスのHSCは、ADMと比較して28日目にEpiFix(登録商標)試料中で有意に増加したままであった。
マウスのMSCは、7日目に陰性対照と比較してEpiFix(登録商標)の移植後有意に増加した(図6B参照)。マウスのMSCの平均パーセンテージは、陰性対照と比較してすべての時点で増加した。
よって、上述のデータは、EpiFix(登録商標)のインプラントが、正常なマウスにおいてin vivoでHSCおよびMSCの両方を有効に動員することを示した。またこのデータは、EpiFix(登録商標)が、無細胞真皮マトリックス(ADM)よりも長期間HSCの動員をもたらすことを示し、これは、EpiFix(登録商標)のサイトカイン媒介型の作用の仮説を支持するものである。
実施例5−EpiFix(登録商標)インプラントを移植したマウスにおける幹細胞の特徴付け
フローサイトメトリーおよび免疫組織化学を使用して、マウスのEpiFix(登録商標)インプラント部位に動員した幹細胞を特徴付けるための試験を行った。
材料および方法
滅菌Purion(登録商標)で処理した5×5平方mmパッチのEpiFix(登録商標)を、16匹の月齢4ヶ月のFVB/NJマウスの背中に皮膚切開を介して皮下移植した。同一の皮膚切開を、対照処置(シャム)として機能するために別の16匹のマウスに行った。コラーゲンスキャフォールドでの比較のため、脱細胞化ヒト真皮(無細胞真皮のマトリックス;ADM)の5×5mmの平方パッチを、16匹のマウスの背中に皮下移植した。無手術のマウスを、解析のため「正常な」背中の供給源として使用した。
外科手術部位を、幹細胞の解析のため移植から3日後、7日後、14日後、および28日後に除去した。4匹の動物/グループを、各時点で使用した。幹細胞を、2つの別々の方法:FACS(fluorescence activated cell sorting)および免疫組織化学(IHC)を用いて同定した。FAS解析のため、すべての細胞を羊膜および関連する再生組織から単離した。細胞を、特異的な幹細胞マーカーに対する抗体を用いて蛍光学的に標識した。各細胞の種類の同一性および数を、フローサイトメーターで判定した。
免疫組織化学的な解析のため、膜および関連する再生組織を固定し、スライド用の切片を作製し、幹細胞に特異的な抗体で染色した。2つの抗体:造血性前駆細胞(HPC)を特異的に検出し、真皮の前駆細胞、内皮細胞、樹状細胞と反応する抗−CD34、および内皮細胞を検出する抗CD31を、免疫組織化学のために使用した。染色した組織のセクションを、顕微鏡を用いて試験し、特定の種類の幹細胞の存在および数を測定した。実験的な解析のために、各細胞の種類の相対数を計測した。この結果を、各種類の細胞のパーセンテージとして計算した(免疫染色した細胞/細胞の総数)。細胞の動員のために、2つの領域:インプラントの周辺組織およびインプラント自体を免疫組織化学的に解析した。
結果
FACS解析からの代表的なデータを図7Aに示す。左のパネルは、試料中の細胞の総数を示す。中央のパネルは、CD45陽性細胞の数を示す(挿入ボックス中)。右のパネルは、Sca−1陽性細胞の数を示す(挿入ボックス中)。CD45およびSca−1は、造血幹細胞に特異的なマーカーである。
図7Bは、例示的な免疫組織化学の画像を示す。左下のすみの灰色のバーは、50μmを表す。このセクションは、DAPI(青色−すべての細胞を染色)および抗CD34(赤)で染色した。組織が実験マウスに埋め込まれた位置は参照として示されている。
造血性前駆細胞(HPC)レベルは、陰性対照と比較して14日目および28日目に、EpiFix(登録商標)インプラントの周辺の組織で有意に増加した。造血性前駆細胞は、コラーゲンスキャフォールドのADM対照と比較して、14日目および28日目にEpiFix(登録商標)インプラントの周辺の組織で有意に増加した。
前駆細胞を、EpiFix(登録商標)インプラントに動員した。インプラント内部の造血性前駆細胞は、EpiFix(登録商標)において14日目にピークとなり、28日目まで増加し続けた。インプラント内部の造血性前駆細胞の平均値は、対照のADMと比較して、14日目および28日目にEpiFix(登録商標)インプラントで増加した。前駆細胞は、ADM対照インプラントでは動員されなかった。
EpiFix(登録商標)インプラントの血管新生は、14日目〜28日目に安定して増大した。EpiFix(登録商標)インプラントでの新規の血管形成の量は、28日目でADMの対照よりも有意に多かった。
これらのデータは、EpiFix(登録商標)が、造血幹細胞および間葉系幹細胞を損傷部位に動員する1つまたは複数の因子を含むことを確立した。これら幹細胞が、シャムまたはより重要なことに、対照のコラーゲンのスキャフォールドよりもEpiFix(登録商標)および関連する再生組織で多く見出された。EpiFix(登録商標)は、インプラント部位でコロニー形成するために前駆細胞を動員する際に、対照の脱細胞化したコラーゲンのスキャフォールドよりも有意に有効であった。対照のコラーゲンのスキャフォールドよりもEpiFix(登録商標)の膜でより多くの前駆細胞が存在した。
またEpiFix(登録商標)は、関連する再生組織およびEpiFix(登録商標)膜自体に新規の血管形成を誘導した。EpiFix(登録商標)膜での血管新生は、コラーゲンスキャフォールドの対照よりも有意に多かった。
実施例6−非架橋型組織−キレーター複合体の調製
上述の様々な胎盤組織の移植片を、胎盤組織に結合した複数のキレート部分を提供するための従来のアミド形成条件下で少なくとも30当量のドーパミンと組み合わせることができる。ドーパミンの窒素は、羊水のコラーゲンの多くのカルボン酸基と反応してカルボジアミド結合を形成する。
Figure 0006756612
実施例7−ポリマーキレーター複合体での生物学的に活性の金属イオンのキレート化
上述の乾燥した非架橋型組織−キレーター複合体を、水において1%(w/v)のシス−ジアミノPt(II)ジアクア塩中で、室温で16時間インキュベートした。次に移植片を脱イオン水で洗浄して乾燥させた。複合体の白金含有量を、たとえばICP質量分析法(ICP−MS)により測定する。結果を、μg/gとして表し、これは百万当たりの部と等価である(ppm)。
複合体中の白金の組み込みは、抗癌性の特性を吸収した生体物質を生成することができる。このように、組織物質に白金を組み込む方法は、薬剤送達デバイス、好ましくは抗癌剤薬剤送達用のデバイスを提供できる。
一部の実施形態では、本発明の複合体に利用される組織は、幹細胞の走化性および/または動員を高める1つまたは複数の幹細胞動員因子をも組み込む。このような幹細胞を動員する組成物は、米国特許出願公開公報第2014/0106447号に記載されており、この出願全体は参照として本明細書中援用される。生物学的に活性の金属と組み合わせたこれら幹細胞動員因子は、癌性細胞などの異常性幹細胞と相反するものであり、かつ、癌の腫瘍関連の再発に反発するよう作用する。
EpiFix(登録商標)羊膜同種移植片は、羊膜への幹細胞のフラックスを誘引または増大させる特性を有することが、上述の実施例から明らかである。よって、羊膜は、幹細胞を誘引する生物由来のポリマーである。さらに、羊膜がキレーター部分およびたとえばシスプラチンなどの金属と結合する場合、ポリマー複合体を、幹細胞、具体的には腫瘍細胞などの異常性幹細胞を死滅させるために使用することができる。
様々な修正および変動を、本明細書中に記載される化合物、組成物、および方法に対して行うことができる。本明細書中に記載の化合物、組成物、および方法の他の態様は、本明細書中に開示される化合物、組成物、および方法の仕様および実務を考慮することから明らかである。本明細書および実施例は例示的なものと考慮することが意図される。
適切な架橋剤および手順の詳細な記載は、米国特許出願公開公報第2014/0052247号に提供されており、この出願全体は参照として本明細書中に援用される。
微粒子化した胎盤組織の詳細な説明は、米国特許出願公開公報第2014/0052274号および第2014/0050788号に提供されており、これら出願の全体は参照により本明細書中に援用される。
金属イオンを含む架橋性ポリマーの詳細な説明は、米国特許出願公開公報第2014/0141096、第2014/0142041号、および米国特許出願第13/860,473号に提供されており、これらすべての出願全体は、本明細書中参照として援用される。

Claims (16)

  1. 微粒子化した胎盤組織の成分と、1つまたは複数のキレート部分と、任意に生物学的に適合可能なフィラーと、を含む組成物であって、
    前記キレート部分が、前記胎盤組織の成分および/または前記フィラーと共有結合しており、
    前記胎盤組織の成分が、羊膜、絨毛膜、中間組織層、および/またはホウォートンゼリーを含み、
    前記微粒子化した胎盤組織の成分のサイズが2μm〜400μmであり、
    前記キレート部分のうちの1つ以上が、前記胎盤組織の成分および/またはフィラーを架橋する
    組成物。
  2. 前記胎盤組織の成分および/またはフィラーが、同種間で架橋している、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記胎盤組織の成分および/またはフィラーが、別種間で架橋している、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記フィラーが、前記組成物中に存在しており、かつ生物学的に適合可能なポリマーである、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記生物学的に適合可能なポリマーが、コラーゲン、ヒアルロン酸、および可塑剤からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
  6. 薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  7. 薬理学的に活性のある金属イオンの治療有効量が、前記1つまたは複数のキレート部分にキレート化されている、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記薬理学的に活性のある金属イオンが、抗癌剤である、請求項に記載の組成物。
  9. 前記抗癌剤が、白金のイオンを含む、請求項に記載の組成物。
  10. 前記抗癌剤がシスプラチンである、請求項に記載の組成物。
  11. 前記組成物が、前記金属イオンの徐放を提供する、請求項に記載の組成物。
  12. 前記組成物が成形されている、請求項1に記載の組成物。
  13. 前記微粒子化した胎盤組織の成分が、微粒子化した羊膜である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
  14. 微粒子化した絨毛膜、ホウォートンゼリー、および/または微粒子化した中間組織層をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
  15. 前記微粒子化した胎盤組織の成分が、微粒子化した絨毛膜である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 固形腫瘍の処置後の前記腫瘍の再発または転移を阻止するのに使用するための請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
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