JP2017514961A - O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸およびVi多糖類ワクチンとしてのその利用 - Google Patents

O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸およびVi多糖類ワクチンとしてのその利用 Download PDF

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Abstract

本開示は、(a)1×106Daを超える分子量;(b)1モル当たり約10%未満のメチル化度;および(c)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量:のうち少なくとも一つを有する、合成免疫原性Vi抗原として有用な、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸またはその医薬上許容される塩を提供する。本開示はさらに、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸またはその医薬上許容される塩、これらを含む医薬組成物および/またはワクチン組成物を製造する方法、および前述のいずれかを使用して免疫化する方法を提供する。

Description

本出願は、2014年5月8日に出願された、米国仮特許出願第61/990,493号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本開示は、広く医薬の分野に関するものであり、具体的には微生物学、免疫学、およびワクチンに関するものであり、より具体的には、腸チフスワクチンに関するものである。
背景
腸チフス熱は、急性の、重篤な熱性疾病である。腸チフス熱は、サルモネラ・チフィ(S. typhi)により、引き起こされる。毎年、1600万から3300万の新しい腸チフスの症例と、50万から60万の死亡が生じていると推定される。汚染された食品と水が、主な感染源である。感染リスクは、衛生状態が不良な、発展途上国、例えば、アジア、アフリカ、中南米で最も高い。
当該細菌は、経口摂取後の小腸の粘膜バリアに侵入する。細菌はその後、血液循環を経て肝臓および脾臓に到達し、当該疾病を引き起こす。いくつかの異なる抗生物質療法が、腸チフスを治療するために用いられてきた。しかし、S. typhiの多剤耐性株が出現し、これらの高価な治療を無効にしてきた。従って、低価格で効果的なワクチンの広範な使用は、依然として、腸チフスの影響を低減するのに最も有効な方法である。
現在、腸チフスを制御するのに有効なワクチンには2タイプあり、単回投与で非経口的に投与されるVi多糖類ワクチンと、経口の弱毒性Ty21a生ワクチンである。Vi多糖類ワクチンは、2歳以上の人においての使用が認可されており、3年間持続する約70%の防御を提供する。経口液体生ワクチンは、2歳を超える人においての使用が認可されており、3回または4回投与後に、約53−78%の防御を与える。カプセル形態の別の経口生ワクチンは、5歳を超える人に承認されており、4回投与後に、同様のレベルの防御を提供する。
薬剤耐性株の増加と広がりに伴う、多くの地域での腸チフスの継続的に高い発生率により、2000年に、WHOは、腸チフスが実質的な公衆衛生上の問題である地域において、これらのワクチンを学童期の子供に免疫化することを推奨するようになった。米国において、当該ワクチンは高価であり、主に旅行客と軍人に与えられている。
Vi多糖類ワクチンは、Vi莢膜多糖類に基づいている(図1)。それは、(α―1,4)、2−デオキシ―2−N−アセチルガラクツロン酸であり、C3で可変的にO−アセチル化され(60−90%;Szu and Bystricky, Enzymol. 363:552-567 (2003))、細菌を補体媒介性溶解およびファゴサイトーシスから保護する莢膜を形成する。Viワクチンは、長年の研究の後に開発され、最終的にはVi多糖類が防御抗原であり、改良された精製方法により、変性することなく製造可能であることが、示された。現在、2つのVi多糖類ワクチンが米国とヨーロッパで利用可能であり、Sanofi-Pasteurにより製造されたワクチン(Typhim Vi(登録商標))と、GSKにより製造されたワクチン(Typherix(登録商標))である。各ワクチン投与量は、25μgのVi多糖類と、保存料としてのフェノールで処方され、筋肉内注射または皮下注射で投与される。米国では、2年ごとに再接種が推奨されている。Vi多糖類ワクチンはまた、インドおよび中国を含む他の国でも製造されている。
当該ワクチンは、野生型S. typhi株Ty2の大量発酵と、培養上清からの多糖類の沈殿、その後のさらなる下流の精製ステップにより、製造される(Product inserts, Typhim Vi(登録商標)およびTypherix(登録商標))。製造技術は、1970年代および1980年代に開発された。S. typhiはグラム陰性細菌であるため、グラム陰性細菌の菌体内部毒素またはリポ多糖類、細胞壁成分のコンタミネーションが、常に潜在的な安全リスクである。
Viワクチンは、たいていの多糖類ベースのワクチンと同様に、T細胞非依存性抗原であり、再接種において、追加免疫を誘発したり、あるいは記憶応答を誘発したりしない(WHO/IVB/12.02)。Viワクチンは、2歳未満の乳児または幼児においても有効でない。従って、Vi多糖類−蛋白質結合ワクチンが、Vi多糖類の蛋白質担体への共有結合により、開発されている。当該結合ワクチンは、T細胞依存性抗原であり、再接種において、追加免疫効果を有する。
O−アセチル化および分子量は、Vi多糖類の免疫原性の重要な決定要因である。研究により、C3のO−アセチル基の除去が、免疫原性を低下させることが分かってきている。Jarvis et al., J. Bacteriol. 94:1406-1410 (1967);Szewczyk and Taylor, Infect. Immun. 29:539-544 (1980);Szu et al., Infect. Immun. 59:4555-4561 (1991);Rijpkema et al., Biologicals. 32:11-6 (2004)。立体構造モデルにより、C3の、かさ高い、無極性のO−アセチル基が、両側に列をなして突き出ることにより、多糖類分子の表面のほとんどを成し、一方、カルボキシル基および(C2の)N−アセチル基が、ほとんど包埋されるか、軸の近くに位置していることが分かった。Szu et al., Infect. Immun. 59:4555-4561 (1991)。このことは、O−アセチル基が、優位な免疫原性決定要因であることと、一致している。O−アセチル化の量は、O−アセチル化度(DOAc、O−アセチル基/Gal UA[mole/mole]の割合)または、多糖類1mg当たりのアセチル基含量(μmole)として、表される。C2のN−アセチル基もまた、免疫原性において重要な役割を果たす。
研究によりまた、Vi多糖類の免疫原性は、その分子量が減少した時に、低下することが分かってきている。Martin et al., J. Bacteriol. 94:1411-1416 (1967);Szu et al., Infect. Immun. 59:4555-4561 (1991)。このことは、多糖類抗原モデルのデキストランB512(dx)によってなされた発見と一致しており、本発見は、当該多糖類抗原の免疫原性が分子量の減少と共に低下することを示している。Gonzalez-Fernandez et al., Vaccine. 26:292-300 (2008)。
O−アセチル基含量および分子量は、現在のViワクチン(Product insert, Typhim Vi(登録商標))の効力の指標である。強力なVi多糖類ワクチンの製造は、Vi多糖類構造の保存に左右される。強力なVi多糖類を製造する初期の多くの試みが、精製工程において多糖類が分解されたために、失敗に終わった。
植物ペクチンは、Vi多糖類と同じ骨格を持つ。それらは、可変的にメチル化された、α−1,4結合ポリガラクツロン酸(PGA)である。リンゴおよび柑橘類の果実由来の植物ペクチンは、食品工業において、最も広く用いられている。ペクチンのメチル化は、メタノールによりガラクツロン酸残基のカルボキシル基のエステル化を通じて、自然に生じる。50%未満のメチル化度(DM)のペクチンは、低メトキシル(LM)ペクチンと規定され、一方、50%を超えるDMのペクチンは、高メトキシル(HM)ペクチンと規定されている。10%未満のDMのLMペクチンは、PGAと考えられる。最終産物として、PGAはしばしば、ナトリウム塩の形態またはポリガラクツロン酸ナトリウムとして製造される。従って、「ポリガラクツロン酸」という用語は、本明細書において、「ポリガラクツロン酸塩」と互換的に用いられる。LMペクチンおよびPGAは、一般に、アルカリ性のpH条件下で、HMペクチンの脱メチル化によって獲得される。これらの条件はメチル基を除去するが、必ずポリマー骨格を破壊し、分子量の減少をもたらす。
市販のLMペクチンまたはPGAは、Vi多糖類の抗原性を解析して、合成Vi多糖類ワクチンを製造する目的で、O−アセチル化されている。結果として得られたアセチル化産物は、天然のVi多糖類と同じ抗原性を有することが、見出された。Szewczyk and Taylor, Infect. Immun. 29:539-544 (1980);Szu et al., Infect. Immun. 62:5545-5549 (1994)。しかしながら、当該アセチル化産物は、動物において免疫原性ではなかった。Szu et al., Infect. Immun. 62:5545-5549 (1994)。この原因は、天然のVi多糖類の1−2×10Daと比較して、使用した市販のLMペクチンの分子量(約4x10Da)が低いことであった。同文献。多糖類抗原の免疫原性が分子量に左右されることは、他の多糖類抗原によって示されてきている。Gonzalez-Fernandez et al., Vaccine. 26:292-300 (2008)。しかしながら、O−アセチル化LMペクチンは、ひとたび蛋白質担体と結合すると免疫原性であったが、その抗体応答レベルは、Vi多糖類−蛋白質結合体よりもずっと低かった。Szu et al., Infect. Immun. 62:5545-5549 (1994);Kossaczka et al., Infect. Immun. 67:5806-5810 (1997)。従って、蛋白質担体に結合しなくても免疫原性である、腸チフスに対する新規の合成Vi多糖類ワクチンを開発する必要がある。
概要
本開示は、(a)1×10Daを超える分子量;(b)1モル当たり約10%未満のメチル化度;および(c)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量:のうち少なくとも一つを有する、合成免疫原性Vi抗原として有用な、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸またはその医薬上許容される塩を提供する。本開示はさらに、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸またはその医薬上許容される塩、これらを含む医薬組成物および/またはワクチン組成物を調製する方法、および前述のいずれかを使用して免疫化する方法を提供する。
異なる植物源由来のペクチンは、異なる化学的特性および物理的特性を有する。アロエベラL由来の高分子ポリガラクツロン酸(HPGA)(GelSite(登録商標)、その医薬上許容される塩を含む)は、U.S. Patent Nos. 5,929,051、7,705,135および7,691,986に記載されるように同定され、製造されており、これらの文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。アロエベラは、世界の熱帯および亜熱帯地域で広く栽培されている植物である。HPGAは特有の特徴を有する。HPGAは天然において低メトキシル含量であり(「DM」<10%)、非常に高分子量であり(>1×10Da)、高いGalUA(ナトリウム塩)含量(>90%)である。HPGAの化学的特性および物理的特性を、表1にまとめている。HPGAは水に可溶性であるが、生理食塩水または緩衝生理食塩水(150 mM NaCl)には直接には難溶性である。LMペクチンのように、HPGAはカルシウムイオンとゲルを形成することができる。ゲル化は、カルシウムと混合すると、直ちに生じる。HPGAは通常は99%を超える純度を有し、必要最低限の量の中性糖および蛋白質(<0.5%)を含有する。これらの優れた化学的特性および物理的特性が、HPGAを他に存在する全てのペクチンまたはPGAから区別している。
本明細書で規定されるように、HPGAは、(1)1×10Daを超える分子量、(2)1モル当たり約10%未満のメチル化度、および(3)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量、の特性のうち、少なくとも1つを有する高分子ポリガラクツロン酸である。
本明細書で規定されるように、OAc−HPGAは、(1)1×10Daを超える分子量、(2)1モル当たり約10%未満のメチル化度、および(3)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量、の特性のうち、少なくとも1つを有する、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸である。
本開示のいくつかの態様において、HPGAはGelSite(登録商標)である。GelSite(登録商標)は、アロエベラL由来のcGMPを使って製造される。製造工程には、U.S. Patent 7,691,986に詳細に記載されたように、植物素材を細かく刻むこと、抽出、清澄化、および0.2μmのろ過、その後の精製ステップが含まれる。最終産物は乾燥物質である。商業的には、結果として得られるHPGAはまた、GelSite(登録商標)ポリマーとして知られる。GelSite(登録商標)についてのドラッグマスターファイル(DMF)は2005年にFDAに提出され、毎年新しい製品情報とともに更新されている。
本開示は、安全性、有効性、およびコストの点で、現在のViワクチンよりも顕著な有意性がある新しい腸チフスワクチンとして用いることができる合成および免疫原性のVi抗原を提供する。合成Vi抗原、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA、例えばGelSite−OAc(商標))またはその医薬上許容される塩は、新規高分子ポリガラクツロン酸(HPGA、例えばGelSite(登録商標))のO−アセチル化により作成される。上述のHPGAの新規の特性により、HPGAは、O−アセチル化によって、合成Vi多糖類アナログに対する理想的な基質となる。
OAc−HPGA、例えばGelSite−OAc(商標)は、化学的方法によって、非常に高収量(重量収量>100%)で、製造される。これは、O−アセチル基/Gal UA[mole/mole]の割合としての高いO−アセチル化度(DOAc)(>100%またはC2またはC3の位置のいずれかにおいて>50%(mole/mole))、あるいは、多糖類1mg当たりのアセチル基含量(μmole)としての高いO−アセチル化度(DOAc)(>4.6μmole/mg)を有し、および、高分子量を有し(>1x10Da)、その結果現在のViワクチンの効力仕様をしのぐ。GelSite−OAc(商標)は、Vi多糖類と同様の、あるいは実質的に同じ抗原性を有し、そのままで高い免疫原性である。さらに重要なことに、当該合成抗原は、致死量の生きたS. typhiを負荷された動物において、完全に防御性であった。さらに、OAc−HPGAは、追加免疫効果または記憶免疫応答を保持し、2回目の免疫化において、2倍を超える抗体力価の増加を示す。このことは、多糖類抗原の中では非常に珍しく、蛋白質担体に結合することなく、2歳未満の人々において、OAc−HPGAを有効にする可能性がある。
したがって、少なくとも1つの以下を有する、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)またはその医薬上許容される塩を提供することは、本開示の1つの目的である:
(a)1×10Daを超える分子量、
(b)1モル当たり約10%未満のメチル化度、および
(c)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量。
いくつかの態様において、OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩は、1×10Daを超える分子量を有する。
いくつかの態様において、OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩のO−アセチル化度(DOAc)が、100%を超えるか、C2またはC3の位置のいずれかにおいて50%を超える。
いくつかの態様において、OAc−HPGAは、1×10Daを超える分子量を有し、1モル当たり約10%未満のメチル化度であり、O−アセチル化度が、100%を超えるか、C2またはC3の位置のいずれかにおいて50%を超える。
いくつかの態様において、OAc−HPGAは合成免疫原性Vi抗原である。
いくつかの態様において、OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩は、実質的にVi多糖類ワクチンと同じ抗原性を有し、免疫原性である。
いくつかの態様において、OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩は、2回目の免疫化において、抗体力価の2倍以上の上昇を誘導する。
いくつかの態様において、OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩は、蛋白質担体に結合することなく、2歳未満の人々において、合成免疫原性Vi抗原として有効である。
いくつかの態様において、OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩は、腸チフスに対するワクチンとして有効である。
本開示はさらに、方法を単純化し、高い回収率または収量を保証するために、本開示のHPGAの特有の特性を組み込んだ、OAc−HPGAを製造する方法を提供する。OAc−HPGA(例えば、GelSite−OAc(商標))は、植物ベースの出発物質(例えば、GelSite(登録商標))から、大量に製造することができる。
従って、高分子ポリガラクツロン酸(HPGA)またはその塩と、酢酸および無水酢酸の混合物とを反応させることを含む方法により形成され、HPGAが次のうち少なくとも1つを有する、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)またはその医薬上許容される塩を提供することは、本開示のもう1つの目的である:
(a)1×10Daを超える分子量、
(b)1モル当たり約10%未満のメチル化度、および
(c)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量。
高分子ポリガラクツロン酸(HPGA)またはその塩と、酢酸および無水酢酸の混合物とを反応させることを含み、HPGAが次のうち少なくとも1つを有する、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)またはその医薬上許容される塩を製造する方法を提供することは、本開示のさらなる目的である:
(a)1×10Daを超える分子量、
(b)1モル当たり約10%未満のメチル化度、および
(c)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量。
いくつかの態様において、前記方法はさらに、酢酸および無水酢酸の混合物と反応させる前に、HPGAまたはその塩と酸性ゲルを形成することを含む。
いくつかの態様において、前記方法はさらに、HPGAまたはその塩と、過塩素酸とを反応させることを含む.
いくつかの態様において、前記方法で用いられるHPGAはアロエベラに由来する。
記載した方法のいずれかに従った方法により形成された、OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩を提供することもまた、本開示の1つの目的である。
本開示のさらなる目的は、本開示のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩を含み、場合により少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供することである。
いくつかの態様において、医薬組成物はさらに蛋白質担体を含む。
いくつかの態様において、蛋白質担体はOAc−HPGAに結合している。
腸チフスに対して対象を免疫化する方法であって、それを必要とする対象にOAc−HPGAまたは医薬上許容される塩を有効量投与することを含む方法を提供することはまた、本開示のもう1つの目的である。
いくつかの態様において、本開示はまた、O−アセチル化ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)を動物またはヒトに投与することにより、サルモネラ・チフィに対して防御免疫応答を誘導する方法を提供する。例えば、本開示は、サルモネラ・チフィおよび/または腸チフスに対して対象を免疫化する方法であって、OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩、または本開示に従った前述のいずれかの医薬組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
いくつかの態様において、医薬組成物の投与が、抗体応答を誘導する。
いくつかの態様において、医薬組成物の投与が、2回目の免疫化において、抗体力価の2倍以上の上昇を誘導する。
OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩、または医薬組成物の、実質的にVi多糖類ワクチンと同じ抗原性を有し、免疫原性である、合成免疫原性Vi抗原としての使用を提供することは、本開示の1つの目的である。
腸チフスに対するワクチンに用いられる薬物の製造のための、OAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩、または医薬組成物の使用を提供することは、本開示のさらなる目的である。
本開示はさらに、場合により少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含んで、OAc−HPGAによって調製される、腸チフスワクチンを提供する。OAc−HPGAは場合により、潜在的にさらに免疫原性を高めるために、蛋白質担体と結合させてもよい。
1kgのOAc−HPGAで、1回の投与当たり25−50μgのワクチンを2,000万−4,000万回投与することができる可能性がある。OAc−HPGAは植物ベースであるため、S.typhiなどのグラム陰性細菌から精製されたワクチンにおいて最も危険な汚染物質である、菌体内毒素(リポ多糖類、LPS)を含まない。現存のVi多糖類ワクチンと比較して、OAc−HPGAは、はるかに安全で、より安価で、より有効なワクチンであろう。経済的優位性はまた、世界中、特に発展途上国の特有の地域において、腸チフスワクチンの製造および使用を拡大することを、より簡単に、またより手頃な価格にする。
Vi多糖類、HPGA(例えば、GelSite(登録商標))、およびOAc−HPGA(GelSite−OAc(商標))の構造を図示している。基本的なガラクツロン酸(Gal UA)残基が、Vi多糖類、HPGAおよびOAc−HPGAに対して示されている。
OAc−HPGA(GelSite−OAc(商標))を製造するためのO−アセチル化方法を図示している。アスタリスクは、少量の過塩素酸の触媒としての任意の使用を示している。
デキストランスタンダードと共に、GelSite(登録商標)およびGelSite−OAc(商標)の分子ふるいクロマトグラムを図示している。使用したデキストランスタンダードは、1,597、214.8、および39.9kDaであった。
免疫拡散法により試験した、O−アセチル化ポリガラクツロン酸(GelSite−OAc(商標))の抗原性を示している。各ウェルは、20μlの多糖類(200μg/ml)、あるいは参照血清(中心のウェル)を受けた。アガロースプレートを、ウエットチャンバーで一晩保持した。ウェルには、次のように負荷した:1)GelSite(登録商標);2)O−アセチル化ポリガラクツロン酸1×;3)O−アセチル化ポリガラクツロン酸2×;4)O−アセチル化ポリガラクツロン酸3×;およびC)Vi多糖類。
GelSite−OAc(商標)に対する免疫応答における、DOAcのあらゆる影響を図示している。Balb/cマウスは、Viワクチンまたは様々なDOAcを有するGelSite−OAc(商標)により、2.5μg/マウスで、4週間空けて、2回免疫化した。特異的IgGを、抗原としてVi多糖類(A)またはGelSite−OAc(商標)(B)を用いて、測定した。
GelSite−OAc(商標)の用量依存的なあらゆる影響を図示している。Balb/cマウスを、様々な示した用量で、6週間空けて、GelSite−OAc(商標)(DOAc、1.75)により2回免疫化した。特異的IgGを、抗原としてVi多糖類(A)またはGelSite−OAc(B)を用いて、ELISAで測定した。
あらゆる交差反応性を図示している。様々な研究グループ由来の貯蔵した血清サンプルは、GelSite(登録商標)(A)、GelSite−OAc(商標)(B)またはVi多糖類(C)と反応した。
クロスブースティング(cross-boosting)の影響を図示している。特異的IgG抗体を、Vi多糖類(A)またはGelSite−OAc(商標)(B)で測定した。
IgGサブクラスの分布を示している。様々なサブクラスの特異的IgG抗体を、ELISAで測定した。力価は、終点により決定した(バックグラウンドよりも2倍高い、≧0.2OD)。抗体は、抗原としてVi多糖類(A)またはGelSite−OAc(商標)(B)を用いて測定した。
生きたS.Typhiよる致死性の負荷に対する防御を図示している。Balb/cマウスは、Viワクチンまたは様々なDOAcを有するGelSite−OAc(商標)により、2.5μg/マウスで、4週間空けて、2回免疫化した。マウスを、2回目の免疫化後、2週間目に、100 LD50のS.Typhiで負荷した。
GelSite−OAc(商標)の免疫原性とDOAcの相関を図示している。Balb/cマウス(n=6)を、様々なDOAcを有するGelSite−OAc(商標)により、2.5μg/マウスで、4週間空けて、2回免疫化した。1回目および2回目の免疫化後の2週間目(w2)に回収したそれぞれの血清サンプルにおける特異的IgGを、抗原として、Vi多糖類(A)またはGelSite−OAc(商標)(B)を用いて、測定した。
GelSite−OAc(商標)の防御と、DOAcの相関を図示している。Balb/cマウス(n=6)を、様々なDOAcを有するGelSite−OAc(商標)により、2.5μg/マウスで、4週間空けて、2回免疫化した。動物を、2回目の免疫化後3週間目に、100 LD50のS.Typhiで、負荷した。A、生存%;B、平均体重。
詳細な記述
本O−アセチル化方法は、Schweiger (1964)により記載された方法に基づいている。高分子量のために、HPGA(例えば、GelSite(登録商標))は低pH(約pH2.0)でゲルを形成し、これは、Schweiger, J. Org. Chem. 29:2973 - 2975 (1964) による方法の最初のステップとして記載されたカルシウム沈殿物の調製を不要にする。このことは、固体またはビーズの形態でのHPGA(例えば、GelSite(登録商標))のアセチル化を可能にし、アセチル化方法中の簡便なハンドリングと回収を可能にする。アセチル化反応の終了時には、OAc−HPGAビーズは、酸性pHが中性pHに上がることにより、可溶化された。当該アセチル化方法は、方法の単純性とアセチル基の付加のために、100%を超える収量であり、非常に効率的である。
アセチル化は、しかしながら、Carson and Maclay, J. Am. Chem. Soc. 68:1015-1017 (1946) によって記載される方法を含む、他の方法によって達成され得る。
「O−アセチル化」または「O−アセチル化された」という用語は、糖残基のC2およびC3の位置のアセチル基の付加を指す。各糖残基のC2およびC3の両方の位置がアセチル化された際に、最大のO−アセチル化度(200%)に達する。
結果として得られたOAc−HPGA(例えば、GelSite−OAc(商標))は、少なくとも130%または100%、あるいはC2またはC3の位置のいずれかにおいて少なくとも65%または50%のO−アセチル化度(DOAc)と、高分子量(>1.0×10Da)とを有し、その結果天然のVi多糖類(C3における60−90%のアセチル化、および1−2×10Da)に非常によく似ている。DOAcは、反応時間を延長させることにより、容易に175%以上増加させることができる。アセチル基の付加のために、OAc−HPGAはまた、増加した分子量を有する。
現在認可されているViワクチンの効力指標は、O−アセチル基含量(O−アセチル基[C3]/mgが2μmole以上)およびVi多糖類の分子量(多糖類の50%が、2.5×10Da以上)である(WHO Expert Committee on Biological スタンダードization, 1993)。従って、OAc−HPGAは、現在のViワクチンの効力指標を両方とも、容易に満たし、超えている(C2またはC3のいずれかのO−アセチル基/mgが2.5μmolを超え、多糖類の70%が1×10Da以上である、表2および図3)。
HPGA(例えば、GelSite(登録商標))とは異なり、OAc−HPGA(例えば、GelSiteOAc(商標))はもはやカルシウムとゲルを形成しない。また、HPGAと異なり、OAc−HPGAは生理食塩水または緩衝生理食塩水(150mM NaCl)に直接溶解可能である。これらの結果は、O−アセチル化はHPGAの基本的な化学特性および機能特性を変化させ、結果として得られた産物であるOAc−HPGAは新規の化学物質であることを示している。
OAc−HPGAは、参照抗Vi多糖類血清により示されているように、抗原性である(図4)。OAc−HPGAはVi多糖類と同じ抗原性を持つ。重要なことに、HPGAとの反応は得られず、OAc−HPGAは非アセチル化親分子とは交差反応しないことを示す。
OAc−HPGA、例えばGelSite−OAc(商標)は、マウスにおいて免疫原性である(図5)。特異的抗体は、抗原としてVi多糖類またはOAc−HPGAを用いて、ELISAで検出可能である。既に、アセチル化LMペクチンは、天然のVi多糖類と比較して低分子量(4×10Da)であるために、マウスにおいて免疫原性でないことが分かっている。Szu et al. Infect. Immun. 62:5545-5549 (1994)。OAc−HPGAははるかに高い分子量を有し、このことは、ある程度、その免疫原性の原因であり得る。この場合も、その親分子(HPGA)との交差反応性は観察されず、このことは、OAc−HPGAにより誘導される特異的抗体が、Vi多糖類の最も重要な免疫原性決定基であるO−アセチル基に対するものであることを示している。
注目すべきことに、OAc−HPGAは追加免疫効果または記憶免疫応答を有し、2回目の免疫化において、抗体力価の2倍以上の上昇を示す。並行して試験したViワクチン(Typhim Vi(登録商標))においては、このような追加免疫効果は観察されなかった。多糖類抗原は、T細胞非依存性であり、免疫記憶または追加免疫効果を欠くことが知られている。記憶免疫応答または追加免疫応答は、多糖類抗原では、蛋白質担体と結合させることによってはじめて達成される。従って、OAc−HPGAは、いかなる結合もなしに、それ自体で追加免疫効果を有する点で非常に独特であり、これは、その新規の化学特性によるものであろう。さらに、追加免疫効果は、2回目の投与の際に、GelSite−OAc(商標)によってのみでなく、Viワクチンによってもまた、誘導され得る。このことは、OAc−HPGAとVi多糖類との構造的な類似性を裏付ける。当該追加免疫効果は、2歳未満の人々において、蛋白質担体に結合することなくOAc−HPGAを有効にさせる可能性がある。
「追加免疫効果」という用語は、「記憶免疫応答」と互換可能に用いられ、2回目の免疫化または再接種後の約2倍以上の免疫応答の増加を指す。
OAc−HPGAは、生きたS.typhiの致死量を付加された動物において完全に防御性であり、このことはOAc−HPGAにより誘導された免疫応答がS typhiに対して防御性であることを示している。合わせると、これらの発見は、製造、費用、記憶応答、蛋白質担体に結合しない状態での2歳未満の人々における潜在的な有効性に関して、現在のViワクチンに対する明確な優位性を有する新規の腸チフスViワクチンとして、OAc−HPGAを開発できることを示す。OAc−HPGAは、植物源からの豊富で高品質なHPGAを用いたシンプルな化学的方法によって、大量に生産することができる。OAc−HPGA 1kgから、1投与あたり25−50μg多糖類のワクチンを、2,000万−4,000万回投与分、製造できる可能性がある。植物起源であるため、OAc−HPGAは、S. typhiなどのグラム陰性細菌の細胞壁成分であり、これらの細菌から精製されたワクチンの最も危険な汚染物質である、菌体内毒素またはLPSを含まない。従って、当該合成ワクチンは、現在認可されているViワクチンよりもより安全で安価であり得る。経済的優位性は、世界中、特に発展途上国の特有の地域において、腸チフスワクチンの製造および使用を拡大することを、より簡単に、またより手頃な価格にする。さらに、OAc−HPGAは、2歳未満の子供にとってさらにより免疫原性および防御性が高い可能性がある結合型ワクチンの開発に、用いることができる。
実施例1:GelSite(登録商標)ポリマーのO−アセチル化
GelSite(登録商標)のO−アセチル化に対して、2つの異なる方法を評価した:1つはCarson and Maclay (1946)により記載され、他方はSchweiger (1964)により記載された方法である。両方法とも、GelSite(登録商標)をO−アセチル化することができた。Schweiger法が、GelSite(登録商標)の特有の特性にとって、およびO−アセチル化産物の獲得にとって、より効果的であり、より好適であることがわかった。Schweiger法は、ホルムアミドまたはピリジンを使用しない。代わりに、触媒として、過塩素酸を少量使用する。さらに、Schweiger法による全工程は、室温で行われる。従って、Schweiger法を、GelSite(登録商標)のアセチル化のために選択して改変した。
方法。Schweiger法から改変された方法は、6つのシンプルなステップから成る(図2)。本来のSchweiger法と比較して、GelSite(登録商標)の2つの明確な特性−酸性ゲル化および酸性型における水への不溶性により、はるかに単純化されている。最初のステップは、基質またはGelSite(登録商標)を、希塩酸、続いて氷酢酸でリンスすることにより、ナトリウム塩型から酸性型へ変換することである。GelSite(登録商標)の新規の特性の1つは、低pHで効果的にゲル化し、下流のステップに耐えることができる強固な酸性ゲルビーズまたは鎖を形成することである。本来のSchweiger法では最初に、酸洗浄ステップに先立ち、カルシウム沈殿物を調製した。それゆえ、これは、GelSite(登録商標)のO−アセチル化には必要でなく、除かれている。アセチル化の後、ゲルビーズまたは鎖は、酸性型のアセチル化GelSite(登録商標)が水に不溶性であるがゆえに、損失なく、アセチル化試薬を取り除くために脱イオン水で洗浄される。洗浄後、アセチル化GelSite(登録商標)は続いてNaOHで中和することにより可溶化され、酸からナトリウム塩へ変換される。全工程を、最後の乾燥ステップを除いて、1日で完了することができる。
用いた全ての試薬は、Sigma Chemical Co. (St. Louis, MO) から入手した。1グラムスケールに基づく、基本的な方法を、簡単に以下に記載する。
GelSite(登録商標)水溶液(5mg/mlを200ml:合計1グラム)を、GelSite(登録商標)ゲルビーズを生産するために、1リットルの0.1M HClに滴下した。ゲルビーズを回収して、各回15分を3回、100mlの酢酸で洗浄した。ゲルビーズを、200mlの酢酸/無水酢酸(1:1)混合液に懸濁した。攪拌しながら、2mlの過塩素酸(70%)を、0、30分、60分、および90分の時点で0.5mlを0.1mlずつに分けて、2時間にわたって段階的に添加した。ゲルビーズをその後120分後に、ステンレススチールストレーナーで回収して、水で大規模に洗浄した。それらを300mlの水に懸濁して、0.1M NaOHでpHを約7に調整することで溶解し、エタノールで沈殿させて、真空下で乾燥させた。
方法評価。収量およびDOAcを含む主要パラメーターに関して、方法を評価した。
1)収量。重量収量は一貫して100%を超えていた。このような高収量は、効率的な生産を保証し、出発物質および試薬の使用を最大限にする。これは、アセチル基の付加が、GelSite(登録商標)の分子量を増加させることと一致しており、本方法は最小限の損失で実行され得る。酸性ゲルビーズは最低でも直径2mmであり、アセチル化方法中に、容易に回収できる。
2)O−アセチル化度(DOAc)。DOAcは、GelSite−OAc(商標)の主要パラメーターである。本アセチル化方法は、非常に効率的であり、たった1回の反応後に130%を超えるDOAcを生じた。DOAcは、アセチル化反応の持続時間、並びに使用した無水酢酸の濃度によって、制御することができた。DOAcは、過塩素酸の添加の間隔を同じ30分で維持しながら、反応時間を増加させるに伴い、さらに増加させることができた。175%あるいは7.5μmole/mg程度の高いDOAcを獲得した。C2およびC3部位が完全にアセチル化された際の、最大DOAcは200%である。一方、低DOAc、例えば80%は、無水酢酸の濃度を、反応混合物の約10%の程度の低さに低下させることによってまた、獲得することができ、その結果、評価のために、さらに広い範囲のDOAcを有するGelSite−OAc(商標)を作り出すことができた。
3)分子量。アセチル化後、分子量は一貫して増加した(表2および図3)。このことは、GelSite(登録商標)へのアセチル基の付加と一致しており、該方法が親分子(GelSite(登録商標))の分解を引き起こさないことを示しており、従って、最終産物GelSite−OAc(商標)の高分子量の維持を保証する。
4)酸性ゲル化。希塩酸中での強固な酸性ゲルの形成は、アセチル化方法の効率に重要である。市販の低分子量PGAは、下流の工程中に分解する軟質ゲルしか形成しないことが観察された。従って、GelSite(登録商標)の高分子量は、方法の効率にとって重要である。
5)過塩素酸。アセチル化は、触媒としての少量の過塩素酸の付加によって開始される。20%過塩素酸は、70%過塩素酸とちょうど同程度有効であることが分かった。さらに、高DOAc(>100%)は、上述の1グラムのGelSite(登録商標)との反応混合物中での、たった0.125mlの20%過塩素酸の使用により、容易に獲得することができた。さらに、酢酸中の1%過塩素酸はまた、同量の過塩素酸で用いられた場合と等しく有効であることが分かった。70%過塩素酸は強酸である。従って、1%または20%過塩素酸の使用は、有害な試薬の使用を最小限にし、方法の安全性を増す。
6)乾燥。方法の最後に、GelSite−OAc(商標)を容易に凍結乾燥することができ、エタノール沈殿の利用を不要にした。
実施例2:アセチル化GelSite(登録商標)ポリマーの特徴解析
1.分子量
デキストランスタンダードによるHPLC SEC(分子ふるいクロマトグラフィー)を、GelSite−OAc(商標)の分子量を決定するために用いた。多糖類などのポリマーの分子量は、現在一般的に、より進歩したHPLC−MALLS(多角度光散乱検出器)法を用いて決定されている。しかしながら、デキストランスタンダードによるHPLC SECは、既刊文献のVi多糖類研究において、Viワクチン効力を測定するために、最も広く使われており、従って既報の結果と直接比較することができるために、該方法を採用した。簡潔に言うと、移動相として、流速0.5ml/minで0.1M酢酸アンモニウムおよび200ppmアジ化ナトリウムを用いて、Shodex OH pak SB-806HQ (300 x 8 mm)、 Shodex OHpak SB-805HQ (300 x 8 mm)、および Shodex OHpak SB-804HQ (300 x 8 mm)を使用した。ピーク頂点の分子量の値を、デキストランスタンダード(Phenomenex broad MWD、8スタンダード、10−200kDa)と比較して報告した(図3)。GelSite−OAc(商標)の分子量は、試験した全てのバッチにおいて、開始時のGelSite(登録商標)の分子量と比較して、同じか高いことが分かった(>2×10Da)(表2)。このことは、アセチル基の付加による分子量の増加と一致している。
2.O−アセチル化度(DOAc)
Hestrin, J. Biol. Chem. 180:249-261 (1949) により記載された方法を、改変して用いた。アセチルコリン、塩酸ヒドロキシルアミンおよび塩化鉄を含む全ての試薬は、Sigma Chemical Co (St. Louis, MO)から入手した。該アッセイは、96穴プレートで行った。サンプルは、約0.2mg/ml(w/v)において2連で試験した。アセチルコリンをスタンダードとして用いた。DOAcは、Gal UA残基に対するアセチル基のモル比もしくはパーセントとして、または現在のViワクチンのDOAcの仕様に用いられている単位であるμmole/mgとして表した。Gal UA含量は、GelSite(登録商標)製品の試験販売結果に基づいた。
上述の最初の方法の条件に基づき、134%−153%のDOAcのGelSite−OAc(商標)が得られ、これらはC2またはC3の位置のいずれかにおける67%−76%に対応していた(表2)。DOAcはまた、μmole/mgに基づき表されてもよい(表2)。DOAcはさらに、アセチル化反応時間を延ばすことによって、175%またはC2またはC3の位置のいずれかにおいて87.5%程度の高さまで増加させることができ、理論上の最大である200%に近づいた。一方で、反応条件を調整して、反応混合物中の無水酢酸濃度を低下させることによって、例えば80%の低いDOAc(実施例5)もまた得ることができた。
3.カルシウムゲル化
カルシウム存在下でゲル化するGelSite(登録商標)およびGelSite−OAc(商標)の能力は、カルシウム溶液とGelSite(登録商標)またはGelSite−OAc(商標)溶液とを混合することにより決定した。従って、約0.2%(w/v)サンプル溶液(2−3ml)を、0.5−1mlの塩化カルシウム溶液と直接混合させた。GelSite(登録商標)溶液は直ちにゲルを形成し、一方GelSite−OAc(商標)とはゲル形成は生じなかった。ゲル形成は、全てのサンプル溶液がゲルに変化して、もはや自由に流れることができないことにより、示された。GelSite−OAc(商標)溶液は、塩化カルシウムと混合させた後に、流動性溶液のままであった。
また、GelSite(登録商標)とは異なり、GelSite−OAc(商標)は、直接生理食塩水または緩衝整理食塩水(150nM NaCl)に直接溶解することができた。これらの結果は、O−アセチル化がGelSite(登録商標)の基本的な化学特性および機能特性を変化させたこと、および得られた製品であるGelSite−OAc(商標)が新規の化学物質であることを示している。
4.免疫原性
Szu et al. Infect. Immun. 62:5545-5549 (1994) に記載されるように、免疫拡散法を、1%アガロースで行った。シトロバクター・フロインデイ(Citrobacter freundii)由来の参照Vi多糖類抗原と、S. typhiに対する参照ロバ(burro)血清は、国立小児保険発育研究所(NICHD)から入手した。GelSite−OAc(商標)は参照血清と陽性の沈降線を形成した。Carson and Maclay 法により1、2および3回アセチル化した後に得られたサンプルで示されたように、沈降線の強度はDOAcの上昇に伴い増加した(図4)。GelSite−OAc(商標)とVi多糖類の沈降線が重なっていることから証明されるように、GelSite−OAc(商標)はVi多糖類と同じ、あるいは実質的に同じ抗原性を有していた;非アセチル化GelSite(登録商標)とは、反応は見られなかった(図4)。本明細書で用いられる場合、「Vi多糖類と同じ、あるいは実質的に同じ抗原性」という用語は、GelSite−OAc(商標)が、抗Vi多糖類血清または抗体に反応性であることを意味する。例えば、図4に見られ、上記で論じたように、GelSite−OAc(商標)はSzu et al.の免疫拡散法において、参照血清と陽性の沈降線を形成し、これはVi多糖類の免疫拡散法の沈降線と重なっていた。
5.Vi多糖類とワクチンとの比較
GelSite−OAc(商標)は、130%を超えるO−アセチル化度(5.58μm/mg)、あるいは、C2およびC3のO−アセチル化部位間の分布が均一であると仮定してC2またはC3のいずれかにおいて65%を超えるO−アセチル化度(2.79μm/mg)を有し、1×10Daを超える分子量を有する(表2)。天然のVi多糖類は、1−2×10Daの分子量を有し、60−90%のC3の位置のO−アセチル化度を有する(Szu and Bystricky, 2003)。従って、GelSite−OAc(商標)は、2つの免疫原性の重要な決定要因である、DOAcおよび分子量に基づき、Vi多糖類と非常に類似している。
現在認可されているViワクチンの効力指標は、Vi多糖類のO−アセチル化含量(≧2μmole/mg[C3において])と分子量(多糖類の50%が≧2.5×10Da)である(WHO Expert Committee on Biological Standardization, 1993; Keitel et al., 1994)。C2またはC3の位置のいずれかにおけるDOAcが容易に2.5μmol/mg(>65%)を超え、多糖類の70%以上が、分子量1×10Da以上であるため、GelSite−OAc(商標)は両方の効力の仕様を超えている。
実施例3:O−アセチル化GelSite(登録商標)(GelSite−OAc(商標))の免疫原性
GelSite−OAc(商標)の免疫原性を、認可されているViワクチン(Typhim Vi(登録商標); Sanofi-Pasteur)と比較して、Balb/cマウスで調べた。マウス群(n=10)に対して、右後肢に筋肉内注射することによって、示された投与量で、50μl PBS中のGelSite−OAc(商標)またはTyphim Viワクチンにより免疫化した。動物は、4週間空けて2回免疫化し、血清サンプルは2週間ごとに回収した。
特異的抗体を、既報のように、96穴プレートで、ELISAにより測定した。Szu et al., Enzymol. 363:552-567 (2003)。共に、腸チフス研究でよく知られている、NICHDおよびInternational Vaccine Institute (IVI)から入手したVi多糖類を、ELISAプレートを覆うための抗原として用いた。参照血清は、NICDHから入手した、40ELISA units/mlの過免疫マウス血清であった。抗体力価は、スタンダードとして該参照血清を用いて、CDC ELISA program (http://www.cdc.gov/ncidod/dbmd/bimb/elisa.htm)を使用して決定した。
1.DOAcおよび抗原投与量の影響
DOAcの影響:異なるDOAcを有する3つのGelSite−OAc(商標)サンプル(136%、155%、もしくは175%mole/mole、または5.6、6.5、もしくは7.5μmole/mg)を試験した。結果は、特異的IgG応答レベルが、DOAcと相関することが見出されたことを示した−DOAcが高いと、免疫応答も高かった(図5)。これは、特異的IgGを、Vi抗原を用いて測定したか(図5A)、あるいは合成抗原GelSite−OAc(商標)を用いて測定したか(図5B)に関わらず、1回目の免疫化後において特に正しい。最低のDOAc(136%)を有するGelSite−OAc(商標)は、一貫して、ほとんどの時点で、最低の力価を生じた。155%または175%のDOAcを有するGelSite−OAc(商標)サンプルは非常に類似した応答レベルを示し、155%または175%DOAcのGelSite−OAc(商標)が、等しく有効であり得ることを示唆した。この、免疫応答におけるDOAc依存効果は、さらに、80%程度の低いDOAcを有するGelSite−OAc(商標)を評価することによって、示された(実施例5)。
抗原投与量の影響:GelSite−OAc(商標)抗原投与量の影響もまた、4つの異なる投与量レベル(1、2.5、5、および10μg)で、175%のDOAcを有するGelSite−OAc(商標)を用いて試験した。ViまたはGelSite−OAc(商標)のいずれかを用いて測定した抗体応答は、特に2回目の免疫化後に、抗原用量依存的であった(図6)。
Viワクチンとの比較:155%または175%DOAcを有するGelSite−OAc(商標)は、1回目の免疫化後およびVi抗原を用いて測定した時点を除いて、一貫して、Viワクチンと同等の、またはより高い抗体力価を誘導した(図5および6)。GelSite−OAc(商標)抗原で測定した場合、GelSite−OAc(商標)により誘導された特異的抗体力価は、Viワクチンにより誘導された抗体力価よりも高く、最大で10倍であった。これは、GelSite−OAc(商標)のより高いDOAcと、より多くのアセチル基の存在によるものであろう。合わせて、これらの結果は、GelSite−OAc(商標)は、Viワクチンと比較した場合に、免疫原性が高いことを示している。
2.交差反応性
GelSite−OAc(商標)によって誘導される抗体の特異性は、Vi多糖類およびGelSite−OAc(商標)と比較した親分子(GelSite(登録商標))との反応によって評価した。抗原投与量依存性実験(図6)から、2回目の免疫化後8週間目に回収された、貯蔵した血清サンプルによる結果を、図7に示す。血清サンプルは、1:40という低い開始希釈度で試験し、NICDHから入手した参照血清もまた本試験に含めた(1:2000の開始希釈度)。GelSite(登録商標)との反応は、GelSite−OAc(商標)のいずれの投与量レベルにおいても見られず(図7A)、一方GelSite−OAc(商標)に対しては、高い飽和レベルの反応が得られた(図7B)。これらの結果は、上述の免疫拡散法により得られた結果と一致している。それらは、GelSite−OAc(商標)に対して生じた反応が、GelSite−OAc(商標)のO−アセチル基に向けられたものであることを示している。このことは、さらに、ELISAにおいて、異なるDOAc(134%−175%)を有するGelSite−OAc(商標)を抗原として用いることで確認されており、抗体反応レベルは、DOAcと相関していることが示された。
3.追加免疫効果
特有の追加免疫効果または記憶免疫応答が、実施した全ての動物実験において、2回目の免疫化で、GelSite−OAc(商標)により、一貫して観察された。図5および6に示されるように、Vi抗原またはGelSite−OAc(商標)抗原に対して測定された、3つ全てのGelSite−OAc(商標)群の力価は、2回目の免疫化後に、1回目の免疫化後の最大力価と比較して、少なくとも2倍および最大4倍を超えて増加し、Viワクチンによる力価よりもはるかに高くなった。このような追加免疫効果は、Viワクチンでは見られなかった。広範囲のDOAcを有するGelSite−OAc(商標)によるさらなる評価によって、100%程度の低いDOAcにおいて、追加免疫効果と完全な防御を獲得できることが示された(実施例5)。
さらに、当該新規追加免疫効果を確かめるために、1つの抗原により1回目の免疫化を動物に行い、続いて、同じまたは異なる抗原によって2回の追加免疫化を行う、クロスブースティング実験を行った(図8)。結果は、GelSite−OAc(商標)により初回刺激を受けた全ての動物が、GelSite−OAc(商標)またはViワクチンによる2回目の免疫化で、追加免疫効果を示すことを明らかにした(図8)。Viワクチンにより得られた追加免疫レベルは、Vi多糖類により測定した場合、GelSite−OAc(商標)による追加免疫レベルよりも高かった(図8A)。これは、O−アセチル基に基づく追加免疫と、Vi多糖類の他の部分に対する抗体の誘導との、相加効果を反映している可能性がある。
Viワクチンによってのみ、初回刺激および追加免疫された動物は、追加免疫効果を示さなかった。Viワクチンにより初回刺激を受け、GelSite−OAc(商標)により追加免疫された動物は、より低い程度であり、GelSite−OAc(商標)に対して抗体を測定した場合にのみ検出可能であるが、追加免疫効果を示した(図8B)。3回目の免疫化では、さらなる追加免疫効果は観察されなかった。これらの結果は共に、特に初回刺激の免疫化としてGelSite−OAc(商標)を用いる場合に、Vi多糖類によるクロスブースティングが生じうること、従って、GelSite−OAc(商標)の新規の追加免疫効果と、そのVi多糖類への構造的類似性をさらに裏付けることを示した。
4.IgGサブクラス
GelSite−OAc(商標)の特有の追加免疫効果は、GelSite−OAc(商標)がT細胞依存性抗原であり得ることを示唆する。T細胞依存性免疫応答の特徴の1つは、多糖類結合型ワクチンの場合は純粋な多糖類抗原と比べた、初回刺激免疫化後の、サブクラスの変化またはスイッチングである。それゆえ、1回目および2回目の免疫化後の2週間目に回収した貯蔵血清サンプルを用いて、IgGサブクラス(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3)およびIgMの分布をELISAにより調べた。GelSite−OAc(商標)を注射した動物は、1回または2回の免疫化後のいずれにおいても高いIgG1レベルを示した(図9)。全てのIgGの力価は、2回目の免疫化後に、2倍以上増加した。IgG1、IgG2a、およびIgG2bの力価において、より大きな増加が、2回目の免疫化後に観察され、IgG2aが力価の最大の増加を示した(図9)。この、IgGサブクラスのプロファイルは、Th2に偏ったT細胞活性化が、GelSite−OAc(商標)に対する応答に関係している可能性があることを示唆している。当該応答は、Vi−結合型ワクチン (An et al., 2012)および肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)多糖類結合型ワクチン (Safari et al., 2011)により得られる応答に類似している。GelSite−OAc(商標)とは異なり、Viワクチンは、2回目の免疫化後に全てのIgGサブクラスにおいて同じか減少した力価を示したが、IgG2aは例外であり、2倍の増加を示した。いずれのワクチンにおいても、IgMのレベルには、明らかな違いは見られなかった。
実施例4:O−アセチル化GelSite(登録商標)ポリマーの防御効果
GelSite−OAc(商標)により誘導された特異的免疫応答の防御効果を、既に報告された(Park et al., 2002)、生きたS.typhiによる抗原投与実験において評価した。15匹の、6〜8週齢の老齢雌Balb/cマウス群を、異なるDOAc(136%または155%)を有するGelSite−OAc(商標)またはViワクチンを用いて、2.5μg/マウスで、4週間空けて、2回の筋肉内注射によって免疫化した。コントロールには、バッファー溶液を投与した。2回目の免疫化後2週間目に、各群の10匹のマウスに、0.5ml 5%豚胃粘液ムチン中の細菌を、100 LD50(1,000CPU/マウス)で腹腔内投与により、抗原投与した。用いた細菌は、サルモネラ・エンテリカ亜種(Salmonella enterica subsp)であった。腸チフス菌(Enterica serovar typhi (S. typhi))は、ATCCから入手した(Item number 19430)。
結果は、2つのGelSite−OAc(商標)群と、Viワクチン群を含む、全ての免疫化した動物において防御効果が見られることを示した(図10)。全ての非免疫コントロールマウスは3日以内に死亡した。防御効果が見られた群間では違いは見られず(図10)、GelSite−OAc(商標)が、Viワクチンと全く同様に防御性であることを示した。加えて、136%または155%のDOAcを有する2つのGelSite−OAc(商標)群は防御において違いを示さず、136%のDOAcを有するGelSite−OAc(商標)が、全く同様に防御性であり得ることを示した。防御効果が見られた全てのマウスが、抗原投与後1−3日に、軽微な一過性の体重減少(<10%)を経験したが、その後正常レベルに回復した(図10B)。また、特異的抗体を、上述のようにVi抗原またはGelSite−OAc(商標)抗原で測定し、図5で示した結果と同様の結果が得られた。
実施例5:DOAcと、免疫原性および防御との、さらなる相関
DOAcは、GelSite−OAc(商標)の重要な仕様である。従って、DOAcと防御との相関をさらに証明することが重要である。より広い範囲のDOAc(80%−153%)を有する一連のGelSite−OAc(商標)追加サンプルを、それ故に作成し、免疫原性および防御について選別した。結果は、抗体力価および防御のレベルがDOAcと直接相関して増加することを示した(図11および12)。0%DOAcである非アセチル化GelSite(登録商標)は、Vi多糖類またはGelSite−OAc(商標)のいずれかに対する検出可能な抗体をいずれも誘導せず、いかなる防御も与えなかったが、このことはさらに、GelSite−OAc(商標)により誘導された抗体がO−アセチル基に向けられることを示す。重要なことに、80%DOAcを有するGelSite−OAc(商標)は、最低の抗体力価を示し、2回目の免疫化後に追加免疫効果を示さず、部分的な防御を与えるのみであったが、一方、より高いDOAc(≧100%)を有する他のGelSite−OAc(商標)は、追加免疫効果を伴ってはるかに高い抗体力価を生じ(>10倍)、完全な防御を与えた。一方で、80%DOAcを有するGelSite−OAc(商標)は、低い抗体力価であったが(2回目の免疫化後Viに対して0.239U/ml:図11A)、それでも83%防御を与え(図12A)、GelSite−OAc(商標)により誘導される抗体の防御性が高いことが示唆された。まとめると、これらの結果は、100%以上のDOAcを有するGelSite−OAc(商標)が追加免疫効果を伴って完全に防御性であり得ることを示唆し、このことは、当該ワクチンのDOAcの仕様を確立するための、確固たる基礎を形成する。
本開示の他の実施形態は、本明細書に開示された本開示の明細書および実施を考慮すると、当業者には明らかであろう。明細書および実施例は、次の特許請求の範囲によって示される本開示の真の範囲および精神により、単に例示に過ぎないとみなされることが意図されている。

Claims (37)

  1. (a)1×10Daを超える分子量、
    (b)1モル当たり約10%未満のメチル化度、および
    (c)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量
    のうち少なくとも一つを有する、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)またはその医薬上許容される塩。
  2. 1×10Daを超える分子量を有する、請求項1に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  3. O−アセチル化度が、100%を超えるか、C2またはC3の位置のいずれかにおいて50%を超える、請求項1または2のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  4. OAc−HPGAが合成免疫原性Vi抗原である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  5. 実質的にVi多糖類ワクチンと同じ抗原性を有し、免疫原性である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  6. 2回目の免疫化において、抗体力価の2倍以上の上昇を誘導する、請求項1−5のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  7. 蛋白質担体に結合することなく、2歳未満の人々において、合成免疫原性Vi抗原として有効である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  8. 腸チフスに対するワクチンとして有効である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  9. 1×10Daを超える分子量を有し、1モル当たり約10%未満のメチル化度であり、およびO−アセチル化度が100%を超えるか、C2またはC3の位置のいずれかにおいて50%を超える、請求項1〜8のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  10. 高分子ポリガラクツロン酸(HPGA)またはその塩と、酢酸および無水酢酸の混合物とを反応させることを含む方法により形成され、HPGAが次のうち少なくとも1つを有する、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)またはその医薬上許容される塩:
    (a)1×10Daを超える分子量、
    (b)1モル当たり約10%未満のメチル化度、および
    (c)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量。
  11. 前記方法がさらに、酢酸および無水酢酸の混合物との反応の前に、HPGAまたはその塩の酸性ゲルを形成することを含む、請求項10に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  12. 前記方法がさらに、HPGAまたはその塩と過塩素酸とを反応させることを含む、請求項10または11のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  13. HPGAがアロエベラに由来する、請求項10−12のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  14. OAc−HPGAのO−アセチル化度が、100%を超えるか、C2またはC3の位置のいずれかにおいて50%を超える、請求項10−13のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  15. 合成免疫原性Vi抗原である、請求項10−14のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  16. OAc−HPGAが実質的にVi多糖類ワクチンと同じ抗原性を有し、免疫原性である、請求項10−15のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  17. 蛋白質担体に結合することなく、2歳未満の人々において、合成免疫原性Vi抗原として有効である、請求項10−16のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  18. 腸チフスに対するワクチンとして有効である、請求項10−17のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  19. OAc−HPGAが、2回目の免疫化において、抗体力価の2倍以上の上昇を誘導する、請求項10−18のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  20. 高分子ポリガラクツロン酸(HPGA)またはその塩と、酢酸および無水酢酸の混合物とを反応させることを含み、HPGAが次のうち少なくとも1つを有する、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)またはその医薬上許容される塩を製造する方法:
    (a)1×10Daを超える分子量、
    (b)1モル当たり約10%未満のメチル化度、および
    (c)1モル当たり約2%から約15%の範囲の介在性ラムノース含量。
  21. 酢酸および無水酢酸の混合物と反応させる前に、HPGAまたはその塩の酸性ゲルを形成することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  22. HPGAまたはその塩を過塩素酸と反応させることをさらに含む、請求項20または21のいずれか一項に記載の方法。
  23. HPGAがアロエベラに由来する、請求項20−22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 請求項20−23のいずれか一項に記載の方法により形成される、O−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)またはその医薬上許容される塩。
  25. OAc−HPGAのO−アセチル化度が、100%を超えるか、C2またはC3の位置のいずれかにおいて50%を超える、請求項24に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  26. 実質的にVi多糖類ワクチンと同じ抗原性を有する合成免疫原性Vi抗原であり、免疫原性である、請求項24または25のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  27. 蛋白質担体に結合することなく、2歳未満の人々において、合成免疫原性Vi抗原として有効である、請求項24−26のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  28. 腸チフスに対するワクチンとして有効である、請求項24−27のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  29. OAc−HPGAが、2回目の免疫化において、抗体力価の2倍以上の上昇を誘導する、請求項24−28のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩。
  30. 請求項1−19または24−29のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩、および、少なくとも1つの医薬上許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
  31. さらに蛋白質担体を含む、請求項30に記載の医薬組成物。
  32. 蛋白質担体がOAc−HPGAに結合している、請求項31に記載の医薬組成物。
  33. 腸チフスに対して対象を免疫化する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1−19または24−29のいずれか一項に記載のOAc−HPGAまたはその医薬上許容される塩、または請求項30−32のいずれか一項に記載の医薬組成物を有効量投与することを含む、方法。
  34. 医薬組成物の投与が抗体応答を誘導する、請求項33に記載の方法。
  35. 医薬組成物の投与が、2回目の免疫化において、抗体力価の2倍以上の上昇を誘導する、請求項33または34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 請求項1−19若しくは24−29のいずれか一項に記載のO−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)若しくはその医薬上許容される塩、または請求項30−32のいずれか一項に記載の医薬組成物の、合成免疫原性Vi抗原としての使用であって、前記Vi抗原が実質的にVi多糖類ワクチンと同じ抗原性を有し、免疫原性である、使用。
  37. 腸チフスに対するワクチンに用いられる医薬の製造のための、請求項1−9若しくは24−29のいずれか一項に記載のO−アセチル化高分子ポリガラクツロン酸(OAc−HPGA)若しくはその医薬上許容される塩、または請求項30−32のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
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