本開示は、向上した溶解度及び生物学的利用能を有し且つ固体分散体の形態で提供することができるチエノトリアゾロジアゼピン化合物を用いる耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫及び/又はALK+非小細胞肺癌の治療方法を説明する。
本明細書の下記に記載される式(1)の化合物は、BRD2、BRD3及びBRD4を含むBET(bromodomains and extraterminal)タンパク質として知られるタンデムブロモドメイン(BRD)を含有する転写制御因子ファミリーに対するアセチル化ヒストンH4の結合を阻害することが示された。米国特許出願公開2010/0286127 A1号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照。BETタンパク質は、増殖及び分化のエピジェネティックな主要な制御因子として出現し、また、脂質異常症又は脂肪生成の不適切な調節、高い炎症性プロファイル及び心血管疾患及び2型糖尿病のリスク、及び関節リウマチ及び全身性エリテマトーデスのような自己免疫疾患に対する感受性の増大の傾向に関連している。これは、Denis、G.V.により「癌、肥満症、2型糖尿病及び炎症におけるブロモドメイン共活性化因子」Discov Med 2010;10:489-499(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で報告されている。従って、式(II)の化合物は、様々な癌、心血管疾患、2型糖尿病及び自己免疫障害(例えば、関節リウマチ及び全身性エリテマトーデス)の治療に有用であり得る。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物を用いる耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫及び/又はALK+非小細胞肺癌の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のセクションIII、IV、V及びVIで説明する組成物の何れかに従う、固体分散体を含む医薬上許容される量の組成物を必要とする患者に投与することを含む哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞肺癌の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法であって、耐性非ホジキンリンパ腫が、B細胞非ホジキンリンパ腫又はT細胞非ホジキンリンパ腫であり得る方法を提供する。いくつかの実施形態では、B細胞非ホジキンリンパ腫は、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、及びマントル細胞リンパ腫であり得る。いくつかの実施形態では、T細胞耐性非ホジキンリンパ腫は、菌状息肉腫、未分化大細胞型リンパ腫、及び前駆Tリンパ芽球性リンパ腫からなる群から選ばれ得る。いくつかの実施形態では、耐性非ホジキンリンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫又はマントル細胞リンパ腫であり得る。
いくつかの実施形態では、髄芽腫は、古典的髄芽腫、線維形成性結節性髄芽腫、大細胞髄芽腫、神経芽分化又は神経分化を伴う髄芽腫、グリア分化を伴う髄芽腫、髄芽筋芽細胞腫、又はメラニン細胞性髄芽腫であり得る。いくつかの実施形態では、髄芽腫は、Wnt髄芽腫、Shh髄芽腫、第3群髄芽腫又は第4群髄芽腫であり得る。いくつかの実施形態では、Wnt髄芽腫は、Wnt α髄芽腫又はWnt β髄芽腫である。いくつかの実施形態では、Shh髄芽腫は、Shh α髄芽腫、Shh β髄芽腫、又はShh γ髄芽腫であり得る。
いくつかの実施形態では、ALK+非小細胞肺癌は、約15%を上回るALK陽性の腫瘍細胞により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、ALK+非小細胞肺癌は、約10%を上回るALK陽性の腫瘍細胞により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、ALK+非小細胞肺癌は、ALK遺伝子に融合したEML4遺伝子を有する腫瘍細胞を含む。他の実施形態では、ALK+非小細胞肺癌は、ALK遺伝子に融合したKIF5B遺伝子、TFG遺伝子又はKLCI遺伝子を有する腫瘍細胞を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、(1)本明細書のセクションIII、IV、又はVで説明されるチエノトリアゾロジアゼピン組成物の何れか;及び(2)mTOR阻害剤、BTK阻害剤、HDAC阻害剤、抗CD20モノクローナル抗体、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び免疫調節薬、又はそれらの組み合わせを含む医薬上許容される量の組成物を患者に投与する工程を含む哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法を提供する。チエノトリアゾロジアゼピン組成物及びmTOR阻害剤(又はBTK阻害剤、HDAC阻害剤、抗CD20モノクローナル抗体、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、又は免疫調節薬)は、同時又は順次のいずれかで投与することができる。いくつかの実施形態では、その組み合わせは、相乗効果を生み出すことができる。
いくつかの実施形態では、本開示は、BTK阻害剤が、イブルチニブ、GDC−0834、CGI−560、CGI−1746、HM−71224、CC−292、ON0−4059、CNX−774、LFM−Al3、telTeic酸、QL47、及びそのエステル、その誘導体、そのプロドラッグ、その塩及びその複合体からなる群から選ばれ得る、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、mTOR阻害剤が、BEZ235、エベロリムス、ラパマイシン、AZD8055、PI−103、テムシロリムス(temisirolimus)、Ku−0063794、GDC−0349、トリン2、INK128、AZD2014、NVP−BGT226、PF−04691502、CH5132799、GDC−0980、トリン1、WAY−600、WYE−125132、WYE−687、GSK2126458、PF−05212384、PP−121、OSI−027、パロミド(palomid)529、PP242、XL765、GSK1059615、WYE−354、デフォロリムス、及びそのエステル、その誘導体、その15プロドラッグ、その塩、及びその複合体からなる群から選ばれ得る、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、HDAC阻害剤が、ボリノスタット、エンチノスタット、パビノスタット、トリコスタチンA、モセチノスタット、ベリノスタット、MC1568、LAQ824、ITF2357、ツバスタチンA HCl、CUDC−101、プラシノスタット、ドロキシノスタット、キシノスタット、PCI−24781、20ロミデプシン、AR−42、バルプロ酸ナトリウム塩、PCI−34051、タセジナリン、M344、PI3K/HDAC阻害剤I、ロシリノスタット、アピシジン、スクリプタイド、ツバスタチンA、フェニル酪酸ナトリウム、レスミノスタット、及びそのエステル、その誘導体、そのプロドラッグ、その塩、及びその複合体からなる群から選ばれ得る、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤がデシタビンである、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、免疫調節薬がレナリドマイドである、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、組み合わせ組成物が固体分散体として形成している、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法を提供する。
哺乳動物における非ホジキンリンパ腫の治療方法のいくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫が耐性非ホジキンリンパ腫である。
いくつかの実施形態では、本開示は、式(1):
[式中、R1は、1〜4の炭素数を有するアルキルであり、R2は、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい1〜4の炭素数を有するアルキルであり、R3は、ハロゲン原子;ハロゲン原子、1〜4の炭素数を有するアルキル、1〜4の炭素数を有するアルコキシ又はシアノで置換されていてもよいフェニル;−NR5−(CH2)m−R6(式中、R5は、水素原子又は1〜4の炭素数を有するアルキルであり、mは、0〜4の整数であり、R6は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。);又は−NR7−CO−(CH2)n−R8(式中、R7は、水素原子又は1〜4の炭素数を有するアルキルであり、nは、0〜2の整数であり、R8は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。)であり、R4は、−(CH2)a−CO−NH−R9(式中、aは、1〜4の整数であり、R9は、1〜4の炭素数を有するアルキル;1〜4の炭素数を有するヒドロキシアルキル;1〜4の炭素数を有するアルコキシ;又は1〜4の炭素数を有するアルキル、1〜4の炭素数を有するアルコキシ、アミノ又はヒドロキシル基で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。)又は−(CH2)b−COOR10(式中、bは、1〜4の整数であり、R10は、1〜4の炭素数を有するアルキルである。)である。]
のチエノトリアゾロジアゼピン化合物(その任意の塩、その異性体、そのエナンチオマー、そのラセミ化合物、その水和物、その溶媒和物、その代謝物、及びその多形体を含む。)を用いる、耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫及び/又はALK+非小細胞肺癌の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、式(1)は、式(1A)、その医薬上許容される塩又はその水和物;及び医薬上許容されるポリマーから選ばれる:
[式中、Xはハロゲンであり、R1がC1-C4アルキルであり、R2がC1-C4アルキルであり、aは1〜4の整数であり、R3がC1-C4アルキル、C1-C4ヒドロキシアルキル、C1-C4アルコキシ、置換基を有していてもよいフェニル又は置換基を有していてもよいヘテロアリールである。]。一つのこのような実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物を含む固体分散体として製剤化される。
ある実施形態では、式(1A)は、(i)(S)−2−[4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ−[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル]−N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド又はその二水和物、(ii)メチル(S)−{4−(3’−シアノビフェニル−4−イル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリ−アゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル}アセテート、(iii)メチル(S)−{2,3,9−トリメチル−4−(4−フェニルアミノフェニル)−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアズ−オロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル}アセテート;及び(iv)メチル(S)−{2,3,9−トリメチル−4−[4−(3−フェニルプロピオニルアミノ)フェニル]−6H−チエノ[3,2−f−][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル}アセテートからなる群から選ばれる。一つのこのような実施形態では、式(1A)は(S)−2−[4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,−4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル]−N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミドである。
いくつかの実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートである。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)に対して1:3ないし1:1の重量比でチエノトリアゾロジアゼピン化合物を有する。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、約130℃ないし約140℃の範囲内でガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかのこのような実施形態では、少なくとも1か月間40℃で相対湿度75%に曝露した後のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度は、このような曝露前の非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度の少なくとも90%である。
他の実施形態では、医薬上許容されるポリマーはPVPである。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、PVPに対して1:3ないし1:1の重量比でチエノトリアゾロジアゼピン化合物を有する。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、約175℃ないし約185℃の範囲内でガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかのこのような実施形態では、少なくとも1か月間40℃で相対湿度75%に曝露した後のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度は、このような曝露前の非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度の少なくとも90%である。
他の実施形態では、固体分散体は噴霧乾燥により得られる。
他の実施形態では、固体分散体は、式(1A)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。
さらに他の実施形態では、固体分散体は、同等な量の式(1A)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物を含む静脈投与された対照組成物により提供される対応するAUC値の少なくとも0.5倍の曲線下面積(AUC)値を提供する。
なおさらに他の実施形態では、固体分散体は、5.0ないし7.0のpHの対照in vitro試験培地におけるポリマーを伴わない式(1A)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度の少なくとも5倍の、5.0ないし7.0のpHの水性in vitro試験培地における非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度を提供する。
さらに他の実施形態では、1.0ないし2.0のpHを有する水性in vitro試験培地における固体分散体に対する非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度は、5.0ないし7.0のpHを有するin vitro試験培地におけるポリマーを伴わない式(1A)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度よりも少なくとも50%高い。
ある実施形態では、非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度は、式(1A)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の固体分散体、及びヒプロメロースフタレート及びアクリル酸エチル-メタクリル酸メチル-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーからなる群から選ばれる医薬上許容されるポリマーからの式(1A)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度と比較して少なくとも50%高い(各固体分散体は、1.0ないし2.0のpHを有する水性in vitro試験培地に置いた。)。
ある実施形態では、式(1A)の非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度は、式(1A)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の固体分散体、及びヒプロメロースフタレート及びアクリル酸エチル-メタクリル酸メチル-トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーからなる群から選ばれる医薬上許容されるポリマーに対する式(1A)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度と比較して少なくとも50%高い(各固体分散体は、1.0ないし2.0のpHを有する水性in vitro試験培地に置いた。)。
本開示は、さらに、噴霧乾燥した本明細書に記載の固体分散体、及びラクトース一水和物;微結晶性セルロース;クロスカルメロースナトリウム;コロイド状二酸化ケイ素;ステアリン酸マグネシウム;及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる1以上の医薬上許容される賦形剤を含む、耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞性肺癌の治療に用いられる医薬製剤を提供する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は0.55g/ccないし0.60g/ccの範囲内の嵩密度を有する。いくつかの実施形態では、医薬形体は医薬カプセル剤であってもよい。いくつかの実施形態では、医薬形体は医薬錠剤であってもよい。
本開示は、さらに、10〜15重量%の噴霧乾燥した本明細書に記載の固体分散体、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)を含む、耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞性肺癌の治療に用いられる医薬製剤を提供する。ここで、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、分散体中で非晶質であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)に対して1:3ないし1:1の重量比のチエノトリアゾロジアゼピン化合物;45〜50重量%のラクトース一水和物;35〜40重量%の微結晶性セルロース;4〜6重量%のクロスカルメロースナトリウム;0.8〜1.5重量%のコロイド状二酸化ケイ素;及び0.8〜1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを有する。
さらに、本開示は、式(1)の化合物及びアルキル化剤を投与することを含む、耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞性肺癌の治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、式Iの化合物及びアルキル化剤を順次投与する。その一方で、他の実施形態では、式(1)の化合物及びアルキル化剤を同時に投与する。いくつかの実施形態では、アルキル化剤は、テモゾロミドを含む。
本発明のチエノトリアゾロジアゼピン製剤を含む医薬組成物及び本発明の方法の実施形態の上述の要約及び以下の詳細な説明は、代表的な実施形態の添付図面と併せて読むことによりよく理解されるであろう。しかしながら、本発明が、図示された厳密な配置及び手段に限定されるものではないということを理解されたい。
図面において:
図1Aは、25%の化合物(1-1)及びオイドラギットL100-55を含む固体分散体を含む比較製剤の溶解プロファイルを説明する;
図1Bは、50%の化合物(1-1)及びオイドラギットL100-55を含む固体分散体を含む比較製剤の溶解プロファイルを説明する;
図1Cは、25%の化合物(1-1)及びポリビニルピロリドン(PVP)を含む固体分散体を含む実施例製剤の溶解プロファイルを説明する;
図1Dは、50%の化合物(1-1)及びPVPを含む固体分散体を含む実施例製剤の溶解プロファイルを説明する;
図1Eは、25%の化合物(1-1)及びPVP-酢酸ビニル(PVP-VA)を含む固体分散体を含む実施例製剤の溶解プロファイルを説明する;
図1Fは、50%の化合物(1-1)及びPVP-VAを含む固体分散体を含む実施例製剤の溶解プロファイルを説明する;
図1Gは、25%の化合物(1-1)及びヒプロメロースアセテートスクシナート(HPMCAS-M)を含む固体分散体を含む実施例製剤の溶解プロファイルを説明する;
図1Hは、50%の化合物(1-1)及びHPMCAS-Mを含む固体分散体を含む実施例製剤の溶解プロファイルを説明する;
図1Iは、25%の化合物(1-1)及びヒプロメロースフタレート(HPMCP-HP55)を含む固体分散体を含む実施例製剤の溶解プロファイルを説明する;
図1Jは、50%の化合物(1-1)及びHMCP-HP55を含む固体分散体を含む実施例製剤の溶解プロファイルを説明する;
図2Aは、25%の化合物(1-1)及びPVPの固体分散体を含む実施例製剤のin vivoスクリーニングの結果を説明する;
図2Bは、25%の化合物(1-1)及びHPMCAS-Mの固体分散体を含む実施例製剤のin vivoスクリーニングの結果を説明する;
図2Cは、50%の化合物(1-1)及びHPMCAS-Mの固体分散体を含む実施例製剤のin vivoスクリーニングの結果を説明する;
図3は、化合物(1-1)の固体分散体の粉末X線回析プロファイルを説明する;
図4Aは、周囲条件下で平衡化させた25%の化合物(1-1)及びPVPの固体分散体の改良型示差走査熱量計のトレースを説明する;
図4Bは、周囲条件下で平衡化させた25%の化合物(1-1)及びHPMCAS-Mの固体分散体の改良型示差走査熱量計のトレースを説明する;
図4Cは、周囲条件下で平衡化させた50%の化合物(1-1)及びHPMCAS-Mの固体分散体の改良型示差走査熱量計のトレースを説明する;
図5は、25%の化合物(1-1)及びPVP又はHMPCAS-Mの固体分散体、及び50%の化合物(1-1)及びHPMCAS-MGの固体分散体についてのガラス転移温度(Tg)の相対湿度(RH)に対するプロットを説明する;
図6は、75%の相対湿度下で平衡化させた25%の化合物(1-1)及びPVPの固体分散体の改良型示差走査熱量計のトレースを説明する;
図7は、1mg/kg静脈内投与(黒四角)後、及び25%の化合物(1-1):PVP(白丸)、25%の化合物(1-1):HPMCAS-MG(白三角)、及び50%の化合物(1-1):HPMCAS-MG(白逆三角)としての3mg/kg経口投与後の化合物(1-1)の血漿濃度の時間に対する曲線を説明する。挿入図は、片対数目盛に対してプロットされた同じデータを示す;
図8は、25%の化合物(1-1):PVP(白丸)、25%の化合物(1-1):HPMCAS-MG(白三角)及び50%の化合物(1-1):HPMCAS-MG(白逆三角)としての3mg/kg経口投与後の化合物(1-1)の血漿濃度の時間に対する曲線を説明する。挿入図は、片対数目盛に対してプロットされた同じデータを示す;
図9は、HPMCAS-MG中の化合物(1-1)の固体分散体の安定性試験のゼロ時間における粉末X線回析プロファイルを説明する;
図10は、40℃及び相対湿度75%での1か月後におけるHPMCAS-MG中の化合物(1-1)の固体分散体の粉末X線回析プロファイルを説明する;
図11は、40℃及び相対湿度75%での2か月後におけるHPMCAS-MG中の化合物(1-1)の固体分散体の粉末X線回析プロファイルを説明する;及び
図12は、40℃及び相対湿度75%での3か月後におけるHPMCAS-MG中の化合物(1-1)の固体分散体の粉末X線回析プロファイルを説明する。
発明の詳細な説明
本主題は、以下において、代表的な実施形態が示される添付の図面及び実施例を参照することによって、直ちにより十分に開示されるであろう。しかしながら、本主題は異なる形式で実施可能であり、本明細書に明記される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、開示し、当業者が実施可能とするために提供される。別段の定めがない限り、本明細書で用いられている全ての技術用語及び科学用語は、主題が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同様の意味を有する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及びその他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。
(I.定義)
本明細書で用いられる用語「アルキル基」とは、直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素を言う。
用語「置換されたアルキル基」とは、炭化水素骨格の水素又は1以上の炭素において置換した1個以上の置換基を有するアルキル部分を言う。
用語「アルケニル基」が単独で或いは置換基群の一部として用いられるかどうかにかかわらず、例えば、「C1-4アルケニル(アリール)」とは、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する分枝鎖又は直鎖の一価の部分不飽和炭化水素基を言う。そのような二重結合は、元のアルキル分子の隣接した2個の炭素原子それぞれから1個の水素原子を除去することにより誘導される。その基は、1個の炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導される。原子は、二重結合の周りをcis(Z)又はtrans(E)配座の何れによっても配置していてもよい。代表的なアルケニル基としては、エテニル、プロぺニル、アリル(2-プロぺニル)、ブテニル等が挙げられるが、これらに限定されない。実施例は、C1-4アルケニル基又はC2-4アルケニル基を含む。
用語「C(j-k)」(j及びkは指定された炭素原子の数を示す整数である)とは、全部でjないしk個の炭素原子を含む、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基又はシクロアルキル基、或いは、アルキルが接頭語語幹に付く基のアルキル部分を言う。例えば、C(1-4)は、1、2、3又は4個の炭素原子を含む基を示す。
本明細書で用いられる用語「ハロ」又は「ハロゲン」とは、F、Cl、Br、又はIを言う。
用語「医薬上許容される塩」は、当該技術分野で認識されているものであって、化合物の比較的無毒性の無機及び有機の酸付加塩、又は無機又は有機の塩基付加塩を言う。例えば、本発明の組成物に含まれるものが挙げられる。
本明細書で用いられる用語「固体分散体」とは、少なくとも2つの異なる成分、一般的に親水性の担体及び疎水性の薬剤(活性成分)からなる固体生成物の群を言う。
用語「キラル」は、当該技術分野で認識されているものであって、鏡像の相手と重ね合わせることができない性質を有する分子を言う。その一方で、用語「アキラル」とは、それらの鏡像の相手と重ね合わせることができる分子を言う。「プロキラル分子」は、特定のプロセスでキラル分子になる能力を有する分子である。
記号「
」は、単結合であっても、二重結合であっても、或いは三重結合であってもよい結合を示すために用いられる。
本明細書で用いられる用語「エナンチオマー」及びエナンチオマーを示す構造式は、その光学異性体を含まない「純粋な」エナンチオマー、及びエナンチオマーが鏡像体過剰率(例えば、少なくとも10%、25%、50%、75%、90%、95%、98%又は99%の鏡像体過剰率)で存在しているエナンチオマーとその光学異性体の混合物を含むことを意味する。
用語「立体異性体」は、本明細書で用いられる場合に、全ての幾何異性体、エナンチオマー又はジアステレオマーからなる。本発明は、これらの化合物及びその混合物の様々な立体異性体を包含する。また、開示された化合物の配座異性体及び回転異性体も考慮される。
本明細書で用いられる用語「立体選択的合成」は、単一の反応物質が、新たな立体中心が形成され或いは予め存在するものを変換する間に不均等な立体異性体の混合物を形成する化学反応或いは酵素反応を示し、それは、当技術分野でよく知られている。立体選択的合成は、エナンチオ選択的変換及びジアステレオ選択的変換の両方を包含する。例えば、Carreira, E. M. and Kvaerno, L., Classics in Stereoselective Synthesis, Wiley-VCH: Weinheim, 2009を参照のこと。
用語「噴霧乾燥」とは、供給された懸濁液又は溶液を噴霧化して小さな液滴にし、蒸発に強い促進力(例えば、高温乾燥ガス又は部分真空又はその組み合わせ)を備えた処理装置室内の混合物から急速に溶媒を除去することを含むプロセスを言う。
本明細書で用いられる用語「治療有効量」とは、その量のチエノトリアゾロジアゼピン又は他の薬学的に活性な薬剤を受け入れていない対応する患者と比較して、疾患、障害又は副作用の、改善処置、治癒、予防又は向上、或いは疾患又は障害の進行の減速をもたらす、本発明のチエノトリアゾロジアゼピン又は任意の他の薬学的に活性な薬剤の任意の量を言う。
用語「約」は+/−10%を意味する。
本出願及び後述する特許請求の範囲を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、語句「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」のような変形は、定められた完全体の段階又は完全体若しくは段階の集合を包含することを意味すると理解されるべきであるが、いかなる他の完全体若しくは工程又は完全体若しくは工程の集合も排除されることを意味すると理解するべきではない。
今回、本明細書の以下に記載の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物が、医薬上許容されるポリマーと共に固体分散体として製剤化し、胃腸管から循環への医薬成分を高吸収で提供する経口製剤を提供することができることが見出された。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ヒプロメロースアセテートスクシネート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート又はHPMCASともいう)である。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)である。
いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)としては、9%アセチル/11%スクシノイルを有するMグレード(例、5μmの平均粒径を有するHPMCAS(即ち、HPMCAS−MF、微粉末グレード)又は1mmの平均粒径を有するHPMCAS(即ち、HPMCAS−MG、顆粒グレード))、12%アセチル/6%スクシノイルを有するHグレード(例、5μmの平均粒径を有するHPMCAS(即ち、HPMCAS−HF、微粉末グレード)又は1mmの平均粒径を有するHPMCAS(即ち、HPMCAS−HG、顆粒グレード))、及び8%アセチル/15%スクシノイルを有するLグレード(例、5μmの平均粒径を有するHPMCAS(即ち、HPMCAS−LF、微粉末グレード)又は1mmの平均粒径を有するHPMCAS(即ち、HPMCAS−LG、顆粒グレード))が挙げられ得る。
いくつかの実施形態では、ポリビニルピロリドンは、約2,500の分子量(Kollidon(登録商標)12PF、2,000ないし3,000の範囲の量平均分子量)、約9,000の分子量(Kollidon(登録商標)17PF、7,000ないし11,000の範囲の量平均分子量)、約25,000の分子量(Kollidon(登録商標)25、28,000ないし34,000の範囲の量平均分子量)、約50,000の分子量(Kollidon(登録商標)30、44,000ないし54,000の範囲の量平均分子量)、及び約1,250,000の分子量(Kollidon(登録商標)90又はKollidon(登録商標)90F、1,000,000ないし1,500,000の範囲の量平均分子量)を有していてもよい。
(II.治療方法)
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物を用いる耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞肺癌の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のセクションIII、IV、V及びVIで説明される組成物の何れかに従う、固体分散体を含む医薬上許容される量の組成物を、必要とする患者に投与することを含む、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞肺癌の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のセクションIII、IV、V及びVIで説明される組成物の何れかに従う、医薬製剤を含む医薬上許容される量の組成物を、必要とする患者に投与することを含む、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞肺癌の治療方法を提供する。
いくつかの実施形態では、耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞肺癌の治療方法は、式(1):
[式中、R1は、1〜4の炭素数を有するアルキルであり、R2は、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい1〜4の炭素数を有するアルキルであり、R3は、ハロゲン原子;ハロゲン原子、1〜4の炭素数を有するアルキル、1〜4の炭素数を有するアルコキシ又はシアノで置換されていてもよいフェニル;−NR5−(CH2)m−R6(式中、R5は、水素原子又は1〜4の炭素数を有するアルキルであり、mは、0〜4の整数であり、R6は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。);又は−NR7−CO−(CH2)n−R8(式中、R7は、水素原子又は1〜4の炭素数を有するアルキルであり、nは、0〜2の整数であり、R8は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。)であり、R4は、−(CH2)a−CO−NH−R9(式中、aは、1〜4の整数であり、R9は、1〜4の炭素数を有するアルキル;1〜4の炭素数を有するヒドロキシアルキル;1〜4の炭素数を有するアルコキシ;又は1〜4の炭素数を有するアルキル、1〜4の炭素数を有するアルコキシ、アミノ又はヒドロキシル基で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。)又は−(CH2)b−COOR10(式中、bは、1〜4の整数であり、R10は、1〜4の炭素数を有するアルキルである。)である。]
のチエノトリアゾロジアゼピン化合物(その任意の塩、その異性体、そのエナンチオマー、そのラセミ化合物、その水和物、その溶媒和物、その代謝物、及びその多形体を含む)を使用する。
いくつかの実施形態では、式(1)は式(1A)、その医薬上許容される塩又はその水和物;及び医薬上許容されるポリマーから選ばれる:
[式中、Xはハロゲンであり、R1はC1−C4アルキルであり、R2はC1−C4アルキルであり、aは1〜4の整数であり、R3はC1−C4アルキル、C1−C4ヒドロキシアルキル、C1−C4アルコキシ、置換基を有していてもよいフェニル、又は置換基を有していてもよいヘテロアリールである。]。一つのこのような実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物を含む固体分散体として製剤化される。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のセクションIII、IV、V及びVIで説明される組成物の何れかに従う、医薬製剤を含む医薬上許容される量の組成物を必要とする患者に投与することを含む哺乳動物における髄芽腫の治療方法を提供する。
髄芽腫(天幕下原始神経外胚葉腫瘍(PNET)ともいう)は、脳の小脳(又は後頭蓋窩)に由来する任意の腫瘍であり得る。
髄芽腫としては、古典的髄芽腫、線維形成性結節性髄芽腫、大細胞髄芽腫、神経芽分化又は神経分化を伴う髄芽腫、グリア分化を伴う髄芽腫、髄芽筋芽細胞腫、及びメラニン細胞性髄芽腫が挙げられるが、これらに限定されない。古典的髄芽腫組織は、大きな暗核を伴う高密度に詰まった小さくて丸い細胞により特徴付けられ得る。線維形成性結節性髄芽腫は、ゆるくて少ない細胞領域と混合した高密度に詰まった腫瘍細胞の島により特徴付けられ得る。大細胞髄芽腫(未分化髄芽腫ともいう)は、大きくて丸い腫瘍細胞により特徴付けられ得る。
髄芽腫としては、Wnt、Shh、第3群及び第4群髄芽腫が挙げられるが、これらに限定されない。Wntとは、作用の特定の理論に限定されることなく、その発病におけるWntシグナル伝達経路に関与し得る髄芽腫のサブタイプを言う。Wntとしては、Wnt α及びWnt β髄芽腫が挙げられるが、これらに限定されない。Shh(ソニックヘッジホッグともいう)とは、作用の特定の理論に限定されることなく、その発病におけるShhシグナル伝達経路に関与し得る髄芽腫のサブタイプを言う。Shhとしては、Shh α、Shh β及びShh γ髄芽腫が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のセクションIII、IV、V及びVIで説明される組成物の何れかに従う、医薬製剤を含む医薬上許容される量の組成物を必要とする患者に投与することを含む、哺乳動物におけるALK+非小細胞肺癌の治療方法を提供する。
ALK+非小細胞肺癌とは、ALK遺伝子が活性の任意の非小細胞肺癌を言う。ALK+非小細胞肺癌が、例えば、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を用いて測定した時に約15%を上回るALK陽性を有する腫瘍細胞により特徴付けられる場合、ALK遺伝子は活性であると理解され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、約10%を上回るALK陽性を有する腫瘍細胞は、ALK+であると理解され得る。
特定の理論に限定されることなく、ALK遺伝子は、その他の隣接する遺伝子と融合した場合、活性化し、癌を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、ALK+非小細胞肺癌は、特定の理論に限定されることなく、染色体2p33上のEML4遺伝子の5’末端とALK遺伝子の3’末端の融合に起因するEML4−ALK再配列を含む。他の実施形態では、ALK+非小細胞肺癌は、ALK遺伝子のKIF5B、TFG、又はKLC1遺伝子との融合により特徴付けられる。
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のセクションIII、IV、V及びVIで説明される組成物の何れかに従う、医薬製剤を含む医薬上許容される量の組成物を必要とする患者に投与することを含む、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法を提供する。
方法のいくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、式(1)で表されるチエノトリアゾロジアゼピン化合物を除く1以上の抗癌薬剤による治療に耐性である。このような非ホジキンリンパ腫は、本明細書では、「耐性非ホジキンリンパ腫」ともいう。
哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法のいくつかの実施形態では、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫は、B細胞非ホジキンリンパ腫である。B細胞非ホジキンリンパ腫としては、バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、及びマントル細胞リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施形態では、耐性非ホジキンリンパ腫は、T細胞非ホジキンリンパ腫である。T細胞非ホジキンリンパ腫としては、菌状息肉腫、未分化大細胞型リンパ腫、及び前駆Tリンパ芽球性リンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、DLBCL又はマントル細胞リンパ腫である。
いくつかの実施形態では、哺乳動物における耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法は、(1)本明細書におけるセクションIII、IV、又はVで説明されるチエノトリアゾロジアゼピン組成物の何れか;及び(2)mTOR阻害剤、BTK阻害剤、HDAC阻害剤、抗CD20モノクローナル抗体、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤及び免疫調節薬、又はそれらの組み合わせを含む、医薬上許容される量の組成物を患者に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法は、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物を、mTOR阻害剤、BTK阻害剤、HDAC阻害剤、抗CD20モノクローナル抗体、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、免疫調節薬、又はそれらの組み合わせと併用する。いくつかの実施形態では、耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法は、式(1A)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物を、mTOR阻害剤、BTK阻害剤、HDAC阻害剤、抗CD20モノクローナル抗体、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、免疫調節薬、又はそれらの組み合わせと併用する。
チエノトリアゾロジアゼピン組成物及びmTOR阻害剤(又はBTK阻害剤、HDAC阻害剤、抗CD20モノクローナル抗体、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、又は免疫調節薬)は、同時又は順次投与することができる。いくつかの実施形態では、その組み合わせは、相乗効果を生み出し得る。
本発明の耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法における式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物と併用するための適切なBTK阻害剤薬の例としては、下記の表Aに列挙されたBTK阻害剤が挙げられる。
本発明の耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法における式(1)のチエノトリアゾロジアゼピンと併用するためのラパマイシン(mTOR)阻害剤の適切な哺乳動物の標的の例としては、下記の表Bに列挙されたmTOR阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法における式(1)のチエノトリアゾロジアゼピンと併用するための適切なヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の例としては、下記の表Cに列挙されたHDAC阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法における式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物と併用するための適切な抗CD20モノクローナル抗体の例としては、下記の表Dに列挙される抗CD20モノクローナル抗体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、及びそれらのエステル、それらの誘導体、それらのプロドラッグ、それらの塩、及びそれらの複合体からなる群から選ばれ得る。
本発明の方法における式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物と併用するための適切な免疫調節剤としては、下記の表Eに列挙された免疫調節剤が挙げられる。
本発明の方法における式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物と併用するためのDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤の例としては、下記の表Fに列挙された化合物が挙げられる。本発明の耐性非ホジキンリンパ腫の治療方法において式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物と併用するための適切なDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤の例としては、デシタビンが挙げられる。
本明細書で用いられる哺乳動物の対象は、任意の哺乳動物であり得る。一実施形態では、哺乳動物の対象としては、ヒト;非ヒト霊長類;マウス、ラット、又はモルモットのようなげっ歯類;ネコ又はイヌのような飼いならされたペット;ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、又はウサギが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、哺乳動物の対象としては、アヒル、ガチョウ、ニワトリ、又はシチメンチョウのような鳥類が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、哺乳動物の対象はヒトである。一実施形態では、哺乳動物の対象は、いずれの性別であってもよく、どんな年齢であってもよい。
本発明において、「治療」又は「治療する」とは、例えば、耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞肺癌(又はその症状)を緩和すること、耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞肺癌(又はその症状)の発病を予防すること、又は耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞性肺癌の発病前の状態を回復することを目指して、耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞性肺癌を患っている又は耐性非ホジキンリンパ腫、髄芽腫、及び/又はALK+非小細胞肺癌を発症するリスクがあると医師に診断されたヒト(患者)に、本発明の活性成分を投与することの働き又は作用をいう。
(III.チエノトリアゾロジアゼピン化合物)
ある実施形態では、本発明の製剤で用いられるチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、式(1):
[式中、R1は、1〜4の炭素数を有するアルキルであり、R2は、水素原子;ハロゲン原子;又はハロゲン原子又はヒドロキシル基で置換されていてもよい1〜4の炭素数を有するアルキルであり、R3は、ハロゲン原子;ハロゲン原子、1〜4の炭素数を有するアルキル、1〜4の炭素数を有するアルコキシ又はシアノで置換されていてもよいフェニル;−NR5−(CH2)m−R6(式中、R5は、水素原子又は1〜4の炭素数を有するアルキルであり、mは、0〜4の整数であり、R6は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。);又は−NR7−CO−(CH2)n−R8(式中、R7は、水素原子又は1〜4の炭素数を有するアルキルであり、nは、0〜2の整数であり、R8は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。)であり、R4は、−(CH2)a−CO−NH−R9(式中、aは、1〜4の整数であり、R9は、1〜4の炭素数を有するアルキル;1〜4の炭素数を有するヒドロキシアルキル;1〜4の炭素数を有するアルコキシ;又は1〜4の炭素数を有するアルキル、1〜4の炭素数を有するアルコキシ、アミノ又はヒドロキシル基で置換されていてもよいフェニル又はピリジルである。)又は−(CH2)b−COOR10(式中、bは、1〜4の整数であり、R10は、1〜4の炭素数を有するアルキルである。)である。]
で表され、その任意の塩、その異性体、そのエナンチオマー、そのラセミ化合物、その水和物、その溶媒和物、その代謝物及びその多形体を含む。
ある実施形態では、適切なアルキル基としては、1個の炭素原子から4個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキル基が挙げられる。ある実施形態では、適切なアルキル基としては、1個の炭素原子から3個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキル基が挙げられる。ある実施形態では、適切なアルキル基としては、1個の炭素原子から2個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキル基が挙げられる。ある実施形態では、代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル及び2−メチル−2−プロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の医薬上許容される塩、溶媒和物(水和物を含む)及び同位体標識体を提供する。ある実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物の医薬上許容される塩としては、無機酸類と形成する酸付加塩が挙げられる。ある実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピンの医薬上許容される無機酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸の塩が挙げられる。ある実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物の医薬上許容される塩としては、有機酸類と形成する酸付加塩が挙げられる。ある実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピンの医薬上許容される有機酸付加塩としては、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンファースルホン酸、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチジン酸、イソニコチン酸、サッカリン酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルファニル酸、アルギン酸、ガラクツロン酸及びアリールスルホン酸(例えばベンゼンスルホン酸及び4−メチルベンゼンスルホン酸)の塩が挙げられる。
本発明は、1以上の原子が、同じ原子番号を有するが、天然に通常見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換えられた本明細書に記載のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の医薬上許容される同位体標識体を提供する。チエノトリアゾロジアゼピン化合物に含まれる適切な同位体の例としては、水素の同位体(例、2H及び3H)、炭素の同位体(例、11C、13C及び14C)、塩素の同位体(例、36Cl)、フッ素の同位体(例、18F)、ヨウ素の同位体(例、123I及び125I)、窒素の同位体(例、13N及び15N)、酸素の同位体(例、15O、17O及び18O)、及び硫黄の同位体(例、35S)が挙げられる。チエノトリアゾロジアゼピン化合物の同位体標識体は、一般的に、当業者に知られた従来の技術により調製することができる。
式(1)の化合物の特定の同位体標識体(例えば、放射性同位体を組み込んだもの)は、薬剤及び/又は基質組織内分布研究に有用である。このために、放射性同位体の三重水素(3H)及び炭素14(14C)が、その組み込みの容易性及び迅速な検出手段の観点から特に有用である。重水素(2H)のようなより重い同位体での置き換えは、より大きな代謝安定性からの特定の治療の利点(例えば、増大したin vivo半減期又は低減した必要用量)をもたらし得る。従って、ある状況下で好まれ得る。11C、18F、15O、及び13Nのような陽電子放射同位体での置き換えは、基質受容体占有率を試験するための陽電子放射断層撮影法(PET)研究で使用することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、医薬上許容される溶媒との溶媒和物並びに非溶媒和物として存在し得る。溶媒和物が、溶質(この場合は、本明細書に記載のチエノトリアゾロジアゼピン化合物)及び溶媒により形成する可変化学量論の複合体であることは、当業者により理解されるであろう。このような溶媒は、好ましくは、溶質(チエノトリアゾロジアゼピン化合物)の生物活性を妨げない。溶媒和物形成のための適切な溶媒の例としては、水、メタノール、ジメチルスルホキシド、エタノール及び酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。適切に用いられる溶媒は医薬上許容される溶媒である。適切に用いられる溶媒は水である。ある実施形態では、本明細書に記載のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の医薬上許容される溶媒和物としては、エタノール溶媒和物、イソプロパノール溶媒和物、ジオキソラン溶媒和物、テトラヒドロフラン溶媒和物、ジメチルスルホキシド溶媒和物、tert−ブタノール溶媒和物、2−ブタノール溶媒和物、ジオキソラン溶媒和物、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(「DMPU」)溶媒和物、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(「DMI」)溶媒和物、及び1,3−ジメチルイミダゾリジノン(「DMP」)溶媒和物、又はそれらの混合物が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、1以上のキラル中心及び/又は二重結合を含んでいてもよい。従って、幾何異性体、エナンチオマー又はジアステレオマーとして存在し得る。チエノトリアゾロジアゼピン化合物のエナンチオマー及びジアステレオマーは、各立体中心(時としてキラル中心ともいう)に対して「R」又は「S」記述子を割り当て、各炭素−炭素二重結合(幾何異性体を指定するもの)に対してE又はZ記述子を割り当てるカーン・インゴルド・プレローグ規則に従って指定することができる。それにより、分子全体の配置を、その系統名に記述子を含ませることにより一意的に特定することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、等量の左回り及び右回りのエナンチオマーのキラル分子を含む、ラセミ混合物、又はラセミ化合物として存在してもよい。このようなラセミ混合物を、dextro及びlevo異性体の等量(1:1)混合物を示す接頭辞(±)−又はdl−により示してもよい。また、接頭辞rac−(又はracem−)又は記号RS及びSRを、ラセミ混合物を指定するために用いてもよい。
また、炭素-炭素二重結合の周りの置換基の配置、又はシクロアルキル又は複素環の周りの置換基の配置から生じる幾何異性体は、本発明の化合物において存在し得る。いくつかの実施形態では、記号
を、単結合、二重結合又は三重結合であり得る結合を示すために使用してもよい。炭素−炭素二重結合の周りの置換基は、「Z」又は「E」配置であるとして指定される。ここで、用語「Z」及び「E」は、IUPAC基準に従って使用される。特に定めのない限り、二重結合を示す構造は、「E」及び「Z」異性体の両方を包含する。別の方法では、炭素−炭素二重結合の周りの置換基は、「cis」又は「trans」として言及することができる。ここで、「cis」は、二重結合の同じ側における置換基を示し、「trans」は、二重結合の反対側における置換基を示す。また、炭素環の周りの置換基の配置は、「cis」又は「trans」として指定することができる。用語「cis」は、環平面の同じ側の置換基を示し、用語「trans」は、環平面の反対側の置換基を示す。置換基が環平面の同じ側及び反対側両方に配置される化合物の混合物は、「cis/trans」又は「Z/E」を指定する。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、単結晶形又は多結晶形又は多形体で存在し得る。ある実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、その非晶質形態を含む。ある実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、その単一の多形体を含む。他の実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、その多形体の混合物を含む。他の実施形態では、化合物は、結晶形である。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、単一エナンチオマーとして或いは鏡像異性的に豊富な形態で存在し得る。ある実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、80%を超える鏡像体過剰率で存在する。ある実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、90%を超える鏡像体過剰率で存在する。ある実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、98%を超える鏡像体過剰率で存在する。ある実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、99%を超える鏡像体過剰率で存在する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、及び少なくとも99%の鏡像体過剰率からなる群から選ばれる鏡像体過剰率で存在する。
1対のエナンチオマーについては、エナンチオマーE2に対するエナンチオマーE1の鏡像体過剰率(ee)は、以下の方程式eq.(1)を用いて計算することができる:
E1とE2の相対量は、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴(NMR)又は任意の他の適切な方法により決定することができる。いくつかの実施形態では、エナンチオマー化合物の純度は、とりわけ副生成物及び/又は未反応物又は試薬を含み得る他の物質の量に対するエナンチオマーE1及びE2の量について言及してもよい。
いくつかの実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、以下の表Aにリストされたチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)〜(1−18)が挙げられるが、これらに限定されない。
表A:本明細書に記載の製剤で使用され得る代表的な化合物:
いくつかの実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物としては、(i)(S)−2−[4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアゾロ−[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル]−N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド又はその二水和物、(ii)メチル(S)−{4−(3’−シアノビフェニル−4−イル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリ−アゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル}アセテート、(iii)メチル(S)−{2,3,9−トリメチル−4−(4−フェニルアミノフェニル)−6H−チエノ[3,2−f][1,2,4]トリアズ−オロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル}アセテート;及び(iv)メチル(S)−{2,3,9−トリメチル−4−[4−(3−フェニルプロピオニルアミノ)フェニル]−6H−チエノ[3,2−f−][1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル}アセテートが挙げられる。
いくつかの実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物としては、(S)−2−[4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノ[3,2−f][1,2,−4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル]−N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミドが挙げられる。
(IV.製剤)
式(1)の化合物は、一般的な投与及びガレヌス組成物の調製が非常にとりわけ困難である。特に、薬物の生物学的利用能の特定の問題及び患者間及び患者内の用量反応の違いの特定の問題を含む。化合物のほぼ水に溶けない性質から従来にない剤形の開発が必要とされている。
これまでに、式(1)の化合物を、担体アクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド共重合体(オイドラギット RS,ローム社製)を用いて固体分散体として製剤化して、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎及びクローン病)の治療のために腸管下部で優先的に医薬成分を放出する経口製剤が提供できることが明らかとなった(米国特許出願20090012064 A1(2009年1月8日公開))。動物実験を含む様々な実験により、炎症性腸疾患において、病変における薬剤の放出及び炎症性病変に対するその直接的な作用が、胃腸管から循環への薬剤の吸収と比較してより重要であることが明らかとなった。
今回、意外なことに、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、その医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー異性体及びその同位体標識体は、医薬上許容されるポリマーと共に、固体分散体として製剤化して、炎症性腸疾患以外の疾患の治療のための胃腸管から循環への医薬成分の高吸収をもたらす経口製剤を提供することができるということが明らかとなった。イヌ及びヒト両方の研究によって、これらの固体分散体は、これまでに炎症性腸疾患の治療のために開発されたオイドラギット固体分散体製剤と比較して、経口生物学的利用能が高いことが確認された。
固体分散体は、難水溶性薬剤の経口生物学的利用能を向上させる方策である。
本明細書で用いられる用語「固体分散体」とは、少なくとも2つの異なる成分である一般的な親水性担体及び疎水性薬剤の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物を含む固体生成物の一群を言う。分散体中の薬剤の分子配置に基づいて、6つの異なる形態の固体分散体に区分することができる。一般的に、固体分散体は、単純共融混合物、固体溶液、ガラス溶液及び懸濁液、並びに結晶質担体中の非晶質沈殿物として分類される。さらに、特定の組み合わせとしては、例えば、同一試料内で、ある分子がクラスターとして存在する一方で、ある分子が分子として分散しているような組み合わせがあり得る。
ある実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物が、非晶質粒子(クラスター)内で分子として分散していてもよい。他の実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物が、結晶質粒子として分散していてもよい。ある実施形態では、担体が結晶質であってもよい。他の実施形態では、担体が非晶質であってもよい。
ある実施形態では、本発明は、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体;及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む医薬組成物を提供する。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ヒプロメロースアセテートスクシナート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート又はHPMCASとも言う)である。ある実施形態では、分散体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート(HPMCAS)に対して1:3ないし1:1の重量比でチエノトリアゾロジアゼピン化合物を有する。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物が、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、130℃ないし140℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約135℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回析線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明は、医薬上許容されるポリマー中、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体の固体分散体を含む医薬組成物を提供する。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ポリビニルピロリドン(ポビドン又はPVPとも言う)である。ある実施形態では、分散体は、PVPに対して1:3ないし1:1の重量比でチエノトリアゾロジアゼピン化合物を有する。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、175℃ないし約185℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約179℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、非晶質型の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ヒプロメロースアセテートスクシナートである。ある実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物のヒプロメロースアセテートスクシナートに対する重量比は1:3から1:1の範囲内である。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、130℃から140℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約135℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、非晶質型の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ポリビニルピロリドンである。ある実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物のポリビニルピロリドンに対する重量比は、1:3から1:1の範囲内である。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、175℃から約185℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約179℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、結晶質型の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ヒプロメロースアセテートスクシナートである。ある実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物のヒプロメロースアセテートスクシナートに対する重量比は1:3から1:1の範囲内である。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、結晶質型の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーはポリビニルピロリドンである。ある実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物のポリビニルピロリドンに対する重量比は、1:3から1:1の範囲内である。
いくつかの実施形態では、固体分散体を含む医薬組成物は、噴霧乾燥により調製される。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体及び薬学的に許容されるポリマーの噴霧乾燥した固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ヒプロメロースアセテートスクシナートである。ある実施形態では、化合物(1)のヒプロメロースアセテートスクシナートに対する重量比は、1:3から1:1の範囲内である。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、130℃から140℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約135℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体及び医薬上許容されるポリマーの噴霧乾燥した固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーはポリビニルピロリドンである。ある実施形態では、化合物(1)のポリビニルピロリドンに対する重量比は1:3から1:1の範囲内である。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、175℃から185℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約179℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、非晶質型の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体、及び医薬上許容されるポリマーの噴霧乾燥した固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ヒプロメロースアセテートスクシナートである。ある実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物のヒプロメロースアセテートスクシナートに対する重量比は、1:3から1:1の範囲内である。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、130℃から140℃の範囲内である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約135℃である。いくつかの実施形態では、固体分散体は、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、非晶質型の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体、及び医薬上許容されるポリマーの噴霧乾燥した固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ポリビニルピロリドンである。ある実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物のポリビニルピロリドンに対する重量比は、1:3から1:1の範囲内である。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、175℃から185℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約179℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、結晶質型の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体、及び医薬上許容されるポリマーの噴霧乾燥した固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ヒプロメロースアセテートスクシナートである。ある実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物のヒプロメロースアセテートスクシナートに対する重量比は、1:3から1:1の範囲内である。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、結晶質型の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体、及び医薬上許容されるポリマーの噴霧乾燥した固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、ポリビニルピロリドンである。ある実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物のポリビニルピロリドンに対する重量比は、1:3から1:1の範囲内である。
ある好ましい実施形態において、本発明は、化合物(1−1):
の2−[(6S)−4−(4−クロロフェニル)−2,3,9−トリメチル−6H−チエノール[3,2−f]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a][1,4]ジアゼピン−6−イル]−N−(4−ヒドロキシフェニル)アセトアミド二水和物又は医薬上許容される塩、溶媒和物(水和物を含む)、ラセミ化合物、エナンチオマー、異性体、又は同位体標識体、及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む医薬組成物を提供する。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーはHPMCASである。ある実施形態では、分散体は、1:3ないし1:1の重量比で化合物(1−1)及びHPMCASを有する。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。ある実施形態では、固体分散体は噴霧乾燥される。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、130℃から140℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約135℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
他の実施形態では、医薬組成物は、化合物(1−1)又は医薬上許容される塩、溶媒和物(水和物を含む)、ラセミ化合物、エナンチオマー、異性体、又は同位体標識体;及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーはPVPである。ある実施形態では、分散体が、1:3〜1:1の重量比で化合物(1−1)及びPVPを有する。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。ある実施形態では、固体分散体は噴霧乾燥される。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、175℃から185℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約179℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、非晶質型のチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体;及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーはHPMCASである。ある実施形態では、分散体は、1:3ないし1:1の重量比で化合物(1−1)及びHPMCASを有する。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。ある実施形態では、固体分散体は噴霧乾燥される。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、130℃から140℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約135℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、非晶質型のチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体;及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーはPVPである。ある実施形態では、分散体は、1:3ないし1:1の重量比で化合物(1−1)及びPVPを有する。ある実施形態では、少なくともいくらかのチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。他の実施形態では、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体中で均質に分散している。ある実施形態では、固体分散体は噴霧乾燥される。いくつかの実施形態では、固体分散体は、ガラス転移温度(Tg)の単一の変曲点を示す。いくつかの実施形態では、単一のTgは、175℃ないし185℃の範囲内である。他のこのような実施形態では、単一のTgは、約189℃である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体は、75%の相対湿度、40℃で少なくとも1か月間曝露された。いくつかの実施形態では、固体分散体は、結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)に関連する回折線を実質的に含まない粉末X線回折パターンを示す。本出願の目的において「実質的に含まない」とは、結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)に関連する2シータの21°近傍の非晶質のハローを超える回折線が存在しないことを意味するものとする。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、結晶質型のチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体;及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーは、HPMCASである。ある実施形態では、分散体は、1:3ないし1:1の重量比で化合物(1−1)及びHPMCASを有する。ある実施形態では、固体分散体は噴霧乾燥される。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、結晶質型のチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体;及び医薬上許容されるポリマーの固体分散体を含む。ある実施形態では、医薬上許容されるポリマーはPVPである。ある実施形態では、分散体は、1:3ないし1:1の重量比で化合物(1−1)及びPVPを有する。ある実施形態では、固体分散体は噴霧乾燥される。
本明細書に記載の本発明の固体分散体は、経口投与の際に特に有利な性質を示す。固体分散体の有利な性質の例としては、動物又はヒトにおける標準的な生物学的利用能試験で投与された場合の、一定の高いレベルの生物学的利用能が挙げられるが、これに限定されない。本発明の固体分散体としては、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物及びポリマー及び添加剤を含む固体分散体が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、固体分散体は、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の薬剤の水及び殆どの水性媒体に対する溶解度がわずかであることから、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物を添加剤と単に混合するだけでは成し遂げられない、血流中への式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の吸収を達成することができる。式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物又はチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の生物学的利用能は、さまざまなin vitro及び/又はin vivo研究を用いて測定され得る。in vivo研究は、例えば、ラット、イヌ又はヒトを用いて行ってもよい。
生物学的利用能は、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物又はチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の血清濃度又は血漿濃度を、縦座標(Y軸)に、横座標(X軸)の時間に対してプロットすることにより得られる曲線下面積(AUC)値によって測定してもよい。次いで、固体分散体の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物又はチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)のAUC値を、ポリマーを伴わない当量濃度の式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物又は結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)のAUC値と比較する。いくつかの実施形態では、固体分散体は、イヌに経口投与した場合に、等量の式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物を含む対照組成物をイヌに静脈投与することによって提供される対応するAUC値の少なくとも0.4倍、0.5倍、0.6倍、0.8倍、1.0倍から選ばれる曲線下面積(AUC)値を提供する。
生物学的利用能は、胃の環境及び腸の環境のpH値を模したin vitro試験により測定してもよい。測定は、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物又はチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の固体分散体を、1.0〜2.0の範囲のpHを有する水性のin vitro試験培地に分散させ、次いで、pHを、対照in vitro試験培地中で5.0及び7.0の範囲のpHに調整することにより行ってもよい。式(1)の非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物又は非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の濃度は、pH調整に続く最初の二時間はいつでも測定してもよい。いくつかの実施形態では、固体分散体は、5.0〜7.0の範囲のpHの水性in vitro試験培地中で、ポリマーを伴わない式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物又は結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の濃度に比べて、少なくとも5倍濃い濃度、少なくとも6倍濃い濃度、少なくとも7倍濃い濃度、少なくとも8倍濃い濃度、少なくとも9倍濃い濃度、又は少なくとも10倍濃い濃度から選ばれる、式(1)の非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物又は非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の濃度を提供する。
他の実施形態では、1.0〜2.0のpHを有する水性in vitro試験培地中に置かれた固体分散体の式(1)の非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物又は非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の濃度は、ポリマーを伴わない式(1)の結晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度と比べて少なくとも40%、少なくとも50%高く、少なくとも60%、少なくとも70%;少なくとも80%である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体のポリマーはHPMCASである。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体のポリマーは、PVPである。
他の実施形態では、固体分散体の式(1)の非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物又は非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の濃度は、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、及びヒプロメロースフタレート及びアクリル酸エチル−メタクリル酸メチル−トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド共重合体からなる群から選ばれる医薬上許容されるポリマーの固体分散体の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の濃度と比べて、それぞれの固体分散体を1.0〜2.0のpHを有する水性in vitro試験培地に置いた場合に、少なくとも40%、少なくとも50%高く、少なくとも60%、少なくとも70%;少なくとも80%である。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体のポリマーは、HPMCASである。いくつかのこのような実施形態では、固体分散体のポリマーは、PVPである。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の固体分散体は、湿度及び温度に長時間曝された場合に、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物又はチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の再結晶化に対して安定性を示す。ある実施形態では、非晶質のままである式(1)の非晶質チエノトリアゾロジアゼピン化合物又はチエノトリアゾロジアゼピン化合物(1−1)の濃度は、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%及び少なくとも99%から選ばれる。
(V.剤形)
本発明の固体分散体で用いることができる適切な剤形としては、カプセル剤、錠剤、ミニ錠剤、ビーズ剤、ビードレット剤、ペレット剤、顆粒剤、粒剤及び散剤が挙げられるが、これらに限定されない。適切な剤形はコーティングされていてもよく、例えば、腸溶コーティングでコーティングされていてもよい。適切なコーティング剤には、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリメチルアクリル酸コポリマー又はヒドロキシルプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート(HPMCAS)が含まれてもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、例えば、同一試料において、本発明のチエノトリアゾロジアゼピンのある分子は、クラスターとして存在してよい一方で、ある分子は、担体と共に分子として分散しているような特定の組み合わせがなされ得る。
いくつかの実施形態では、本発明の固体分散体は、錠剤、カプレット剤又はカプセル剤として製剤化されてもよい。1つのいくつかの実施形態では、本発明の固体分散体は、ミニ錠剤又は口腔内に流し込む顆粒剤、又は構成用経口散剤として製剤化してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の固体分散体は、他の賦形剤(例、再結晶/沈殿阻害ポリマー、矯味成分等)と組み合わせて適切な希釈剤中で分散させ、すぐに使える懸濁製剤を得ることができる。いくつかの実施形態では、本発明の固体分散体は、小児治療のために製剤化してもよい。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、経口投与として製剤化される。ある実施形態では、医薬組成物は、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、又はその医薬上許容される塩、その溶媒和物(水和物を含む)、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体;及びポリマー担体を含む、本明細書に記載の様々な実施形態に従う固体分散体を含む。ある実施形態では、さらに、医薬組成物は、1以上の添加剤(例えば崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、結合剤及びフィラー)を含む。
医薬組成物で用いるための適切な医薬上許容される滑沢剤及び医薬上許容される流動促進剤の例としては、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、デンプン、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ポリエチレングリコール、粉末セルロース、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、水素化ひまし油、モノステアリン酸グリセリル及びフマル酸ステアリルナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物で用いるための適切な医薬上許容される結合剤の例としては、デンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、微結晶性セルロース(例、FMCのAVICEL PH)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC、例、ダウ・ケミカル製のMETHOCEL);スクロース、デキストロース、コーンシロップ;多糖類;及びゼラチンが挙げられるが、これらに限定されない。
医薬組成物で用いられる適切な医薬上許容されるフィラー及び医薬上許容される希釈剤の例としては、粉砂糖、圧縮糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース(MCC)、粉末セルロース、ソルビトール、スクロース及びタルクが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、賦形剤は医薬組成物において1つ以上の機能を果たしてもよい。例えば、フィラー又は結合剤は、崩壊剤、流動促進剤、抗被着剤、滑沢剤、甘味料等であってもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、さらに、酸化防止剤(例、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、α−トコフェロール、没食子酸プロピル及びフマル酸)、抗菌剤、酵素阻害剤、安定剤(例、マロン酸)及び/又は保存剤のような添加剤又は成分を含んでいてもよい。
一般的に、本発明の医薬組成物は、任意の適切な固形剤に製剤化してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の固体分散体は、投与のために、例えば、カプセル剤又は錠剤のような単位剤形、又は顆粒剤又は粒剤又は散剤のような複粒子系で調合される。
ある実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体分散体の様々な実施形態に従う、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート(HPMCAS)の固体分散体を含み、チエノトリアゾロジアゼピン化合物は、固体分散体において非晶質であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート(HPMCAS)に対して1:3ないし1:1の重量比でチエノトリアゾロジアゼピン化合物を有し;45〜50重量%のラクトース一水和物;35〜40重量%の微結晶性セルロース;4〜6重量%のクロスカルメロースナトリウム;0.8〜1.5重量%のコロイド状二酸化ケイ素;及び0.8〜1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを有する。
(VI.用量)
ある実施形態では、本発明は、任意の適切な固形剤に製剤化されていてもよい医薬組成物を提供する。ある実施形態では、本発明に従う医薬組成物は、約10mg〜約100mgの範囲の用量である本明細書に記載の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピンの様々な実施形態の1以上を含む。ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、約10mg〜約100mg、約10mg〜約90mg、約10mg〜約80mg、約10mg〜約70mg、約10mg〜約60mg、約10mg〜約50mg、約10mg〜約40mg、約10mg〜約30mg、及び約10mg〜約20mgからなる群から選ばれる用量である本明細書に記載の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピンの様々な実施形態の1以上を含む。ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、約10mg、約50mg、約75mg、約100mgからなる群から選ばれる用量の本明細書に記載の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピンの様々な実施形態の1以上を含む。
ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、週一回、六日ごとに一日一回、五日ごとに一日一回、四日ごとに一日一回、三日ごとに一日一回、一日おきに一日一回、一日一回、一日二回、一日三回、一日四回及び一日五回からなる群から選ばれる剤形で、約1mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約4mg、約5mg、約7.5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg及び約150mgからなる群から選ばれる用量である本明細書に記載の式(I)のチエノトリアゾロジアゼピンの様々な実施形態の1以上を、それを必要とする被験体に投与するものを含む。他の実施形態では、上述の用量又は剤形のいずれかは、一定期間ごとに減少し、又は一定期間ごとに増加する。ある実施形態では、本発明の医薬組成物は、週一回、六日ごとに一日一回、五日ごとに一日一回、四日ごとに一日一回、三日ごとに一日一回、一日おきに一日一回、一日一回、一日二回、一日三回、一日四回及び一日五回からなる群から選ばれる剤形で、約1mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約4mg、約5mg、約7.5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg及び約150mgからなる群から選ばれる用量である、化合物(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、(1−9)、(1−10)、(1−11)、(1−12)、(1−13)、(1−14)、(1−15)、(1−16)、(1−17)及び(1−18)からなる群から選ばれるチエノトリアゾロジアゼピンを、それを必要とする対象に投与するものを含む。他の実施形態では、上述の用量又は剤形の何れかは、一定期間ごとに減少し、又は一定期間ごとに増加する。
このような単位剤形は、個々の治療目的、治療段階等に応じて一日1ないし5回投与することが好適である。ある実施形態では、剤形は、少なくとも二日間続けて少なくとも一日一回それを必要とする被験体に投与してもよい。ある実施形態では、剤形は、一日おきに少なくとも一日一回それを必要とする被験体に投与してもよい。ある実施形態では、剤形は、それを必要とする被験体に、少なくとも週ごとに投与してもよいし、均等及び/又は不均等な用量に分割して投与してもよい。ある実施形態では、剤形は、週ごとに、三日おきに及び/又は週に6回としてそれを必要とする被験体に投与してもよい。ある実施形態では、剤形は、一日おき、三日ごと、四日ごと、五日ごと、六日ごと及び/又は週ごとに分割された用量を、それを必要とする被験体に投与してもよい。ある実施形態では、剤形は、月ごとに2以上に均等に又は不均等に分割した用量を、それを必要とする被験体に投与してもよい。
例えば、カプセル剤、錠剤、ミニ錠剤、ビーズ剤、ビードレット剤、ペレット剤、顆粒剤、粒剤又は散剤で用いられる剤形はコーティングされていてもよく、例えば、腸溶コーティングでコーティングされていてもよい。適切なコーティング剤には、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリメチルアクリル酸共重合体又はヒドロキシルプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート(HPMCAS)が含まれてもよいが、これらに限定されない。
(VII.プロセス)
本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物は、遊離塩基として存在してもよく、又は酸付加塩として存在してもよく、それらは、米国特許出願公開番号2010/0286127号(その全体が参照により本明細書に又は本出願に組み込まれる)に記載の手順に従って得ることができる。本発明のチエノトリアゾロジアゼピン化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマーは、不斉中心又は立体中心を含む市販の出発原料からの合成により、或いはラセミ混合物を調製し、続いて当業者によく知られている方法で分割することにより調製することができる。これらの分割法は、(1)エナンチオマー混合物のキラル補助基への結合、再結晶又はクロマトグラフィーによる得られたジアステレオマー混合物の分離、及び光学的に純粋な生成物の補助基からの遊離、(2)光学活性分割剤を用いる塩形成、(3)キラル液体クロマトグラフカラムでの光学鏡像異性体混合物の直接的分離、又は(4)立体選択化学又は酵素試薬を使用した速度論的分割により例示される。ラセミ混合物は、キラル相ガスクロマトグラフィー又はキラル溶媒中での化合物の結晶化のような周知の方法によりそれらの成分エナンチオマーに分割することもできる。
必要に応じて、本明細書で開示されたチエノトリアゾロジアゼピン化合物の特定のエナンチオマーは、不斉合成により、或いはキラル補助基での誘導(ここでは、得られたジアステレオマー混合物を分離し、補助基を切断し、純粋な所望のエナンチオマーを提供する)により調製してもよい。別の方法としては、分子が、塩基性官能基(例えばアミノ)、又は酸性官能基(例えばカルボキシル)を含む場合、ジアステレオマー塩を、適切な光学活性酸又は塩基と形成し、続いて、ジアステレオマーを分割し、そして、当技術分野でよく知られた分別結晶化又はクロマトグラフの手段で形成し、それに続いて純粋なエナンチオマーを回収する。当技術分野でよく知られた様々な方法を用いて、通常約80%を超える鏡像体過剰率で式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物を調製することができる。有利には、好ましい鏡像体過剰率は、80%を超え、好ましくは90%を超え、より好ましくは95%を超え、及び最も好ましくは99%以上である。
本発明の固体分散体は、融解及び溶媒蒸発を含む多くの方法で調製することができる。また、本発明の固体分散体は、Chiou WL,Riegelman S:「Pharmaceutical applications of solid dispersion systems」, J. Pharm. Sci. 1971; 60:1281−1302;Serajuddin ATM:「Solid dispersion of poorly water−soluble drugs: early promises, subsequent problems, and recentbreakthroughs」, J. Pharm. Sci. 1999; 88:1058−1066; Leuner C, Dressman J:「Improving drug solubility for oral delivery using solid dispersions」, Eur. J. Pharm. Biopharm. 2000; 50:47−60; and Vasconcelos T, Sarmento B, Costa P:「Solid dispersions as strategy to improve oral bioavailability of poor water soluble drugs」, Drug Discovery Today 2007; 12:1068−1075(全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載の手順に従って調製することができる。
ある実施形態では、本発明の固体分散体は、融解プロセスにより調製される。ある実施形態では、融解プロセスは、担体と共に1以上の様々な実施形態の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピンを融解することを含む。ある実施形態では、融解プロセスは、融解した本発明の化合物及び担体を冷却することを含む。ある実施形態では、融解プロセスは、融解した化合物及び担体の粉砕を含む。ある実施形態では、融解した本発明の化合物及び担体を粉砕して、冷却工程が続く。
式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン又は医薬上許容される塩、その溶媒和物、その水和物、そのラセミ化合物、そのエナンチオマー、その異性体、又はその同位体標識体と、担体が不適合であるいくつかの実施形態では、界面活性剤を融解工程間に加えて、加熱混合物中で二液相又は懸濁液の形成を妨げてもよい。いくつかの実施形態では、1以上の様々な実施形態の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピンを、融解状態中で薬剤及び担体両方を使用する代わりに、予め融解した担体中に懸濁し、それにより、プロセスの温度を低下させる。ある実施形態では、融解した薬剤及び担体の混合物は、氷浴攪拌により冷却される。ある実施形態では、融解した薬剤及び担体の混合物を、スプレー冷却(別の方法では、スプレー凝固)により冷却及び固化する。
ある実施形態では、融解した薬剤及び担体の混合物を、周囲温度の又は冷却した低温空気を通して、融解物を冷却チャンバーにスプレーすることにより融解物から粒子を形成することによって冷却及び固化する。ある実施形態では、融解した薬剤及び担体の混合物を、適切な流動床処理装置で融解分散体の噴霧化及び再固化により冷却及び固化する。ある実施形態では、融解した薬剤及び担体の混合物を、加熱可能な高剪断ミキサーでの溶融造粒により冷却及び固化する。
いくつかの実施形態では、ホットステージ押し出し又は溶融凝集を、薬剤の融解限界を防ぐために使用してもよい。ホットステージ押し出しは、予め溶融温度で短時間混合した薬剤及び担体の高い回転速度での押し出しからなる;得られた生成物は、室温で冷却後回収し、粉砕する。
ある実施形態では、1以上の様々な実施形態の式(1)のチエノトリアゾロジアゼピンを、低い処理温度で処理し、任意の熱的に不安定な化合物の分解を防ぐ。ある実施形態では、低い処理温度は、二酸化炭素のような一時的な可塑剤を用いるホットステージ押し出しと結びつけることにより達成される。ある実施形態では、融解凝集が、従来の高剪断ミキサー又は回転処理装置における本発明に従う固体分散体の調製で使用される。ある実施形態では、加熱した賦形剤に本発明に従うチエノトリアゾロジアゼピン化合物を含む溶融担体を加えることにより、本発明に従う固体分散体を調製する。ある実施形態では、本発明に従うチエノトリアゾロジアゼピン及び1以上の賦形剤の加熱混合物に溶融担体を加えることにより、本発明に従う固体分散体を調製する。ある実施形態では、本発明に従うチエノトリアゾロジアゼピン化合物、担体及び1以上の賦形剤の混合物を、担体の融解範囲内又はそれを超える温度に加熱することにより、本発明に従う固体分散体を調製する。
いくつかの実施形態では、式(1)のチエノトリアゾロジアゼピンの製剤に関する1以上の様々な実施形態は、溶媒エバポレーション法により調製される。ある実施形態では、溶媒エバポレーション法は、揮発性溶媒中に式(1)のチエノトリアゾロジアゼピン化合物、担体を溶解し、次いでその揮発性溶媒を留去させることを含む。ある実施形態では、揮発性溶媒は、1以上の賦形剤であってもよい。ある実施形態では、1以上の賦形剤としては、固着防止剤、不活性フィラー、界面活性剤、湿潤剤、pH調整剤及び添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、賦形剤は、揮発性溶媒中に、溶解してもよいし、或いは懸濁状態又は膨潤状態にしてもよい。
ある実施形態では、本発明に従う固体分散体の調製には、揮発性溶媒中に懸濁した1以上の賦形剤を乾燥させることが含まれる。ある実施形態では、乾燥には、真空乾燥、低温での揮発性溶媒の低速留去、ロータリーエバポレーターの使用、噴霧乾燥、噴霧造粒、凍結乾燥、又は超臨界流体の使用が含まれる。
ある実施形態では、式(1)に従うチエノトリアゾロジアゼピン組成物の製剤の噴霧乾燥調製は、小滴に組成物の懸濁液又は溶液を噴霧して、続いて、製剤から溶媒を迅速除去することを含むことが用いられる。ある実施形態では、本発明に従う製剤の調製は、溶媒中の組成物の溶液又は懸濁液を、適切な化学的に及び/又は物理的に不活性なフィラー(例えば、ラクトース又はマンニトール)に噴霧する噴霧造粒が含まれる。ある実施形態では、組成物の溶液又は懸濁液の噴霧造粒は、二方向ノズル又は三方向ノズルを介して達成される。
いくつかの実施形態では、本発明に従う固体分散体の調製には、超臨界流体の使用が含まれる。用語「超臨界流体」とは、その臨界温度及び臨界圧力以上の単一の流体相として存在する物質をいう。ある実施形態では、本発明に従う製剤の調製には、超臨界二酸化炭素流体の使用が含まれる。ある実施形態では、超臨界流体技術を使用する本発明に従う製剤の調製は、一般的な溶媒に式(1)に従うチエノトリアゾロジアゼピン化合物及び担体を溶解し、二酸化炭素と共にノズルを通して粒子形成容器に同時に導入し、溶液を噴霧し、溶媒を超臨界流体により素早く抽出し、それにより、容器の壁上の固体分散体粒子の沈殿物を得ることを含む。
いくつかの実施形態では、本発明に従う固体分散体の調製は、共沈殿物法の使用を含む。ある実施形態では、式(1)に従うチエノトリアゾロジアゼピン組成物及び担体溶液に溶媒を滴下せずに、持続的に攪拌する。ある実施形態では、溶媒を添加しない間に、式(1)に従うチエノトリアゾロジアゼピン組成物及び担体を共沈殿し、マイクロ粒子を形成する。ある実施形態では、得られたマイクロ粒子をろ過し、乾燥し、所望の固体分散体を得る。
混合する式(1)の化合物及びポリマー担体の割合は、式(1)の化合物の生物学的利用能を向上させることができる限り特に限定されず、ポリマーの種類に応じて異なる。
本発明は、以下の非限定的な実施例で説明される。
(VIII.実施例)
本発明は、以下の非限定的な実施例で説明される。
実施例1:化合物(1−1)の固体分散体のin vitroスクリーニング
10種の固体分散体は、化合物(1−1)、並びにヒプロメロースアセテートスクシナート(HPMCAS−M)、ヒプロメロースフタレート(HPMCP−HP55)、ポリビニルピロリドン(PVP)、PVP−酢酸ビニル(PVP−VA)、及びオイドラギットL100−55を含む5種のポリマーのうち1種を用い、各ポリマーに対して25%及び50%両方の化合物(1−1)を加えて調製した。固体分散体は、噴霧乾燥し、続いて低温コンベクションオーブン内で二次乾燥することを用いる溶媒エバポレーション法により調製された。それぞれの固体分散体のパフォーマンスは、薬剤の総量と、長時間溶液中に存在するフリーの薬剤の量の両方で測定する非沈降溶解パフォーマンス試験によって評価した。非沈降溶解が選択されたのは、低い溶解性の化合物のin vivo条件を最もよく表現するためである。この試験は、in vivo条件を模倣して、分散体を試験培地に導入してからおよそ30ないし40分後の胃のpH(0.1N NaCl, pH 1.0)から腸内のpH(FaFSSIF, pH 6.5)への分散体の「胃の移動」を含む[FaFSSIFは絶食状態の腸内を模した溶液(Fasted State Simulated Intestinal Fluid)であり、3mMタウロコール酸ナトリウム、0.75mMレシチン、0.174g NaOHペレット、1.977g NaH2PO4・H2O、3.093g NaCl及び精製水500mLからなる]。溶解した薬剤の量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法及びアジレント1100シリーズHPLCを用いて定量化した。製剤の溶解プロファイル(図1A−1J)は、同じ溶媒中の製剤化していない化合物と比較して全ての分散体候補中の薬剤の溶解度が大きく増加したことを示した。固体分散体の中で、PVPにおける25%化合物(1−1)、HPMCAS−Mにおける25%化合物(1−1)、及びHPMCAS−Mにおける50%化合物(1−1)の分散体は、腸内のpHで放出されたフリーの薬剤のレベルが高まったという知見に基づけば、製剤化されていない化合物に比べて高い経口吸収をもたらす。
実施例2:化合物(1−1)の固体分散体のin vivoスクリーニング
化合物(1−1)の固体分散体、即ち、PVPにおける25%化合物(1−1)、HPMCAS−MGにおける25%化合物(1−1)、及びHPMCAS−Mにおける50%化合物(1−1)の分散体を、in vivo研究のためにより大きなスケールで調製した。それぞれの製剤を、実施例1に記載のin vitro溶解試験で評価した。これらの分散体が非晶質であること及び均質であること両方を確認するために、それぞれの分散体を、粉末X線回析(PXRD)及び変調示差走査熱量計(mDSC)で評価した。X線回折計はBruker D−2 Phaserであった。さらに、それぞれの分散体のガラス転移温度(Tg)に対する水の影響を理解するために、予め設定相対湿度(即ち、25%、50%及び75%RH)で少なくとも18時間平衡化した試料についてmDSCを実行した(水は、固体分散体に対して可塑剤として作用することができ、活性化合物又はポリマーによる系の吸湿性は、これらの系による水の取り込み量に影響し得る。)。
非沈降溶解の結果(図2A〜2C)は、実施例1における分散体で見られるものに匹敵した。PXRD結果(図3)は、分散体の何れでも結晶質の化合物の存在を示さず、mDSC結果(図4A〜4C)は、それぞれの分散体について単一のガラス転移温度(Tg)であり、それぞれ分散体が均質であることを示した。それぞれについて、Tg及び相対湿度の間で逆相関が観察された(図5)。とりわけ、75%RHで平衡化したPVP固体分散体における25%化合物(1−1)については、2つのTgが存在し、相分離が生じていることを示した。また、この分散体は、75%RHでの溶融を示し、RHの平衡化時に結晶化が起きることを示唆した(図6)。この発見は、PVP分散体における25%化合物(1−1)が、HPMCAS−M分散体より不安定であってもよいことを示唆する。
3種の分散体の生物学的利用能を評価するために、雄のビーグル犬のグループ(グループ毎に3頭)に、3mg/kgの用量の化合物(1−1)の固体分散体の水性懸濁液を経口強制投与し、或いは水:エタノール:ポリエチレングリコール(PEG)400(60:20:20)に1mg/kgの用量の化合物(1−1)を溶解して橈側皮静脈に静脈内ボーラスとして投与した。血液試料を、静脈内投与の0(投与前)、5、15及び30分後、並びに1、2、4、8、12及び24時間後に、経口強制投与の0(投与前)、15及び30分後、並びに1、2、4、8、12及び24時間後に各動物の頸静脈から回収した。それぞれ試料に存在する化合物(1−1)の量を、定量下限0.5ng/mLの適切なLC−MS/MS法を用いて検出した。血漿濃度時間曲線下面積(AUC)は、末端排出相を無限に外挿することなく最終の測定可能濃度までの直線台形公式の使用により決定した。排出半減期(t1/2)は、対数の濃度時間曲線の末端直線部分の最小二乗回帰分析により計算した。最大血漿濃度(Cmax)及びCmaxに対する時間(tmax)を、血漿濃度データから直接得た。経口生物学的利用能(F)を、経口投与後の投与標準化AUCを静脈投与後の投与標準化AUCで割って計算し、百分率(%)として報告した。下記表1でまとめた結果から、PVPにおける25%化合物(1−1)、HPMCAS−Mにおける25%化合物(1−1)、並びにHPMCAS−Mにおける50%化合物(1−1)の固体分散体のそれぞれ58%、49%及び74%の平均経口生物学的利用能が得られた。
表1:イヌへの経口(po)投与及び静脈内(iv)投与後の化合物(1−1)の薬物動態パラメーター(値は3頭のイヌからの平均である)
AUC:血漿濃度時間曲線下面積;Cmax:最大血漿濃度;F:生物学的利用能;HPMCAS:ヒプロメロースアセテートナトリウム;IV:静脈内;PEG:ポリエチレングリコン;PO;per os、経口;PVP:ポリビニルピロリドン;tmax:Cmaxの時間;t1/2:血漿排出半減期
実施例3:化合物(1−1)の固体分散体を含むカプセルの調製及び臨床使用
10mg力価のゼラチンカプセルを、血液系悪性腫瘍を患う患者における初期臨床研究のために調製した。実施例1及び2に記載された化合物(1−1)の固体分散体のin vitro及びin vivo試験の結果に基づいて、HPMCAS−Mにおける50%化合物(1−1)の固体分散体が、カプセル開発のために選択された。サイズ3のゼラチンハードカプセル中で190mgの充填量を目標にカプセル開発を開始した。これは、この構造が、医薬組成物を維持させることができる一方で、より大きなサイズのカプセルを充填することで潜在的にカプセル力価を増加させることができるためである。経験に基づき、異なる量の崩壊剤を伴い且つ湿潤剤を伴って及び伴わずに、4種のカプセル製剤を設計した。全ての4種の製剤で同様の崩壊試験及び溶解試験の結果を示したため、最も単純な製剤(湿潤剤及び最小崩壊剤を伴わないもの)が、製造の観点から選択された。製造プロセスの開発及びスケールアップの研究が行われ、固体分散体の噴霧乾燥プロセス及び乾燥後の時間;混合パラメーター;目的の嵩密度のおよそ0.60g/ccを達成するための混合物の乾式圧縮造粒及び製粉;及びカプセルの充填条件を確認した。
結晶質の化合物(1−1)及びポリマーのヒプロメロースアセテートスクシネート(HPMCAS−M)を、アセトンに溶解し、噴霧乾燥し、装填する50%化合物(1−1)を含む固体分散体中間体(SDI)顆粒剤を製造した。SDIは、非晶質を示すPXRD分析、及び均質を示すmDSC分析(即ち、周囲条件下で単一のTg)により示された。HPMCAS−M固体分散体(1000g)における50%化合物(1−1)、及び賦形剤(微結晶性セルロースフィラー結合剤(4428g)、クロスカルメロースナトリウム崩壊剤(636g)、コロイド状二酸化ケイ素分散剤/滑沢剤156g)、ステアリン酸マグネシウム分散剤/滑沢剤(156g)及びラクトース一水和物フィラー(5364g)を含む)が、段階的にV−ブレンダーで配合された。次いで、混合物を、圧縮し、顆粒化し、およそ0.6g/mLの嵩密度を得た。混合物を、自動充填機を用いてサイズ3のゼラチンハードカプセル(目的の充填量:190mg)に分配し、出来上がったカプセルを、カプセル研磨機を用いて研磨した。
薬物動態評価を、HPMCASにおける50%化合物(1−1)の固体分散体を含む10mgのカプセルを経口投与した後に行い、結果を、化合物(1−1)のオイドラギット固体分散体を含む4x10mgのカプセルを健康なボランティアに経口投与した後に行われた薬物動態評価と比較した。
2種の医薬組成物の比較を下記の表2A及び2Bに示す。オイドラギット製剤は、以前に、2009年1月8日公開の米国特許出願2009/0012064A1の実施例5に記載されていた。その出願には、水及びエタノールの混合液中で、式(A)のチエノトリアゾロジアゼピン、及びアンモニオメタクリレート共重合体typeB(オイドラギットRS)、メタクリル酸共重合体typeC(オイドラギットL100−55)、タルク及びケイ酸アルミン酸マグネシウムを含むコーティング賦形剤を溶解すること及び/又は分散することにより、オイドラギット固体分散体製剤を調製することが記載されていた。次いでこの不均質混合物を、遠心流動床造粒機を用いて、微結晶性セルロース球(Nonpareil101,Freund)に塗布し、顆粒剤を製造し、サイズ2のヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに分配した。
両方の臨床研究において、化合物(1−1)の血液レベルを、有効なLC−MS/MS法を用いて決定し、薬物動態分析を、カプセル投与後24時間にわたる様々な時点で測定した化合物(1−1)の血漿濃度に基づいて行った。以下の表3にまとめた結果は、HPMCAS−M固体分散体製剤が、ヒトにおいて、AUCに基づくオイドラギット固体分散体製剤よりも3倍以上高い生物学的利用能を有することを示した(924*4/1140,投与された用量の差に対して調整)。さらに、観察されたTmaxに基づけば、HPMCAS製剤は、オイドラギット製剤と比較してより急速に吸収する(1時間のTmaxに対して4〜6時間)。HPMCAS−Mの固体分散体製剤を用いた全身曝露における顕著な改善は予想外であった。
表2A:臨床使用のための化合物(1−1)の固体分散体カプセル
化合物(1−1)の50%HPMCASの固体分散体を含む医薬組成物:10mg力価,サイズ3のゼラチンハードカプセル
表2B:化合物(1−1)のオイドラギットL100−55固体分散体を含む医薬組成物:10mg力価,サイズ2のゼラチンハードカプセル
表3:ヒトに対する化合物(1−1)の固体分散体の経口投与後の薬物動態パラメーター
AUC0−24h:24時間にわたるOTX015血漿濃度対時間曲線下面積
Cmax:血漿中の最大濃度
hr:時間
HPMCAS:ヒプロメロースアセテートスクシナート
mL:ミリリッター
ng:ナノグラム
PO:per os,経口
Tmax:Cmaxの時間
実施例4.ラットにおける経口曝露
化合物(1−1)の固体分散体の3製剤の経口生物学的利用能をラットで決定した。選択された3種の分散体は、PVPにおける化合物(1−1)の25%分散体、HPMCAS−MGにおける化合物(1−1)の25%分散体、及びHPMCAS−MGにおける化合物(1−1)の50%分散体である。研究に用いた動物は、トゥルク大学(フィンランド)の中央動物実験室から入手した特定の病原体を有さない(SPF)Hsd:Sprague Dawley Ratであった。ラットは、もともとHarlan(オランダ)から購入された。ラットは10週齢の雌だった。12匹のラットが研究に用いられた。動物を、ポリカーボネート製のMakrolon IIケージに入れた(1ケージあたり3匹の動物)。動物室の温度は21±3℃であり、動物室の相対湿度は55±15%であり、動物室の照明は人工的であり、12時間明暗期間のサイクルとした(18:00時と06:00時の間の暗期)。Aspen chip(Tapvei Oy,エストニア)を寝床として使用し、寝床を少なくとも週一回交換した。食事及び水を動物に投与する前に供給したが、投与後はじめの2時間で除去した。
PVPにおける化合物(1−1)の25%分散体、HPMCAS−MGにおける化合物(1−1)の25%分散体、及びHPMCAS−MGにおける化合物(1−1)の50%分散体を含む経口投与液剤は、適切な量を用いた分散体を入れた容器に予め計算された量の滅菌注射用水を加えて調製し、化合物(1−1)を0.75mg/mLの濃度とした。経口投与液剤は、各投与の20秒前に渦流混合した。0.25mg/mLの化合物(1−1)を含む静脈内投与用の投与溶液は、4mLの平均分子量400Da(PEG400)のポリエチレングリコール、4mLのエタノール(96%純度)及び12mLの滅菌注射用水を含む混合物に5mgの化合物(1−1)を溶解することにより調製した。PVPにおける化合物(1−1)の25%分散体を含む投与溶液を、水の添加後30分以内に使用した。HPMCAS−MGにおける化合物(1−1)の25%分散体、及びHPMCAS−MGにおける化合物(1−1)の50%分散体を含む投与溶液を、水の添加後60分以内に使用した。4mL/kgの用量容積を用いて、静脈内投与のための1mg/kg及び経口投与のための3mg/kgの化合物(1−1)の用量レベルを得た。用量設定を表4に示す。
表4.ラットの経口曝露研究のための投与設定
投与後0.25、0.5、1、2、4、8、12及び24時間の時点で、5μLのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)溶液を含むエッペンドルフチューブに、およそ50μLの血液試料を採取した。それぞれの試料を前述の時点から5分以内の時間幅で採取した。分析のために、それぞれの試料から、20μLの血漿を得、ドライアイスの温度で保存した。化合物(1−1)の各試料の濃度分析を、定量下限0.5ng/mLの有効な液体クロマトグラフ−タンデム型質量分析(LC−MS/MS)法を用いて行った。
薬物動態パラメーターを、標準的なノンコンパーメント法を用いてPhoenix WinNonlin software package(version 6.2.1,ファーサイト社,米国カリフォルニア州)で計算した。排出相半減期(t1/2)を、濃度時間対数曲線の末端の線形部の最小二乗回帰分析により計算した。血漿濃度時間曲線下面積(AUC)を、最終測定可能濃度までの線形台形公式を用い、その後、無限に末端排出相の外挿を用いて決定した。化合物がコンパートメント又は全身に滞留している時間の平均量を示す平均滞留時間(MRT)を、薬剤濃度プロファイルを無限に外挿することにより計算した。最大血漿濃度(Cmax)及びCmaxに対する時間(tmax)を血漿濃度データから直接導いた。試験的な経口生物学的利用能(F)を、経口投与後の用量標準化AUCを静脈内投与後の用量標準化AUCで割って計算し(即ち、F=(AUC(経口)/Dose(経口))/(AUC(静脈内)/Dose(静脈内)))、百分率(%)として報告する。
薬物動態パラメーターを表5に示す。時間プロットに対する血漿濃度を図7及び8に示す。
表5.経口投与及び静脈内投与後の化合物(1−1)の薬物動態パラメーター。値は三匹の動物の平均である。
実施例5.噴霧乾燥分散体の調製
化合物(1−1)の噴霧乾燥分散体を、5種の選択されたポリマー(HPMCAS−MG(信越化学株式会社)、HPMCP−HP55(信越化学株式会社)、PVP(ISP、アシュランド社の一部門)、PVP−VA(BASF社)、及びオイドラギットL100−55(エボニック インダストリーズAG))を用いて調製した。全ての噴霧乾燥溶液を、各ポリマーに対して25重量%及び50重量%で調製した。全ての溶液は、エタノール中で調製したPVP溶液を除いて、アセトン中で調製した。それぞれの溶液において、1.0gの固体(ポリマー及び化合物(1−1))を10gの溶媒中で調製した。溶液を1.5mmノズル及びBuchi B−295,P−002濃縮装置を備えたBuchi B−290,PE−024スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥した。スプレードライヤーのノズル圧力を80psiに設定し、目標吹出温度を40℃に設定し、チラー温度を−20℃に設定し、ポンプ速度を100%に設定し、アスピレーターを100%に設定した。噴霧乾燥後、固体分散体を回収し、低温コンベクションオーブン内で終夜乾燥し、残留溶媒を除去した。
実施例6:湿度及び温度に対する安定性
HPMCAS−MGにおける化合物(1−1)の噴霧乾燥分散体を、高温で水分に曝すことにより安定性を評価した。相対湿度に応じたガラス転移温度(Tg)を、1、2及び3カ月間において75%相対湿度、40℃で決定した。噴霧乾燥分散体は、量産品の包装を模してHDPE製のボトルに入れたLDPE製の袋の中で保管した。結果を表6にまとめる。ゼロ時間でTgは134℃であり、1カ月でTgは134℃であり、2カ月でTgは135℃であり、3カ月でTgは134℃であった。それぞれの測定で単一の変曲点のみが観察された。また、各試料でX線回析パターンを得た。図9は、安定性試験のゼロ時間でのHPMCAS−MGにおける化合物(1−1)の固体分散体の粉末X線回析プロファイルを説明する。図10、11及び12は、化合物(1−1)の固体分散体の粉末X線回析プロファイルを説明する。
その広い発明の概念から逸脱することなく上記に示され且つ記載された代表的な実施形態で、変更がなされもよいということが当業者によって理解されるであろう。従って、本発明は、示され且つ記載された代表的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定義された本発明の精神及び範囲内で変更を網羅することを意図していると理解される。例えば、代表的な実施形態の具体的な特徴は、特許請求の範囲に係る発明の一部であってもよいし、或いは一部でなくてもよく、開示された実施形態の特徴を組み合わせてもよい。具体的に本明細書に記載されていない限り、用語「a」、「an」及び「the」は、1つの要素に限定されるものではなく、その代わりに、「少なくとも1つ」を意味するものとして解釈されるべきである。
本発明の図及び詳細な説明の少なくとも一部は、本発明の明確な理解に関連する要素に焦点を合わせるために簡略化され、その一方で、明確にするため、当業者が発明の一部を含んでいてもよいと理解するであろう他の要素が除外されていると理解される。しかしながら、これらの要素が当技術分野でよく知られていること、そして、本発明をより理解することを必ずしも容易にしないことを理由として、そのような要素の説明は本明細書で提供されない。
さらに、方法が本明細書に記載された工程の特定の順序に依存しないという範囲のために、工程の特定の順序が特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明に方法に関する請求項は、記載の順序のこれらの工程の実施に限定するべきではなく、当業者は、工程を変えることができ、本発明の精神及び範囲に留まると容易に理解することができる。