JP2017514527A - ヨーグルトの生産 - Google Patents

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Abstract

本発明は発酵の技術分野にあり、好適な培養培地中に選択された微生物を含む発酵スターターカルチャーを提供する段階、培養培地にジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を加える段階、微生物を培養する段階、およびヨーグルトを回収する段階を含む、発酵によってヨーグルトを調製する方法に関係する。本方法には、比較的低用量のジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を添加することによって発酵のラグタイムを短縮できるという利点がある。本方法には、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質が低温殺菌を含む広範囲のpH域および温度域に渡って本方法を適用可能にすること、濾過滅菌が可能であること、そしてジャガイモプロテアーゼ阻害物質タンパク質が非アレルゲン性であることという付加的な利点がある。

Description

本発明は、発酵によるヨーグルトの生産の技術分野におけるものである。発酵は、酸を放出する微生物の代謝活性を用いてヨーグルトを生産するための周知の技術である。
乳を含むフィードカルチャーにおいて酸を放出する微生物を使用することで、乳よりも長い賞味期限を有するヨーグルトが得られることは周知の事実である。ヨーグルトの生産に利用される周知の酸放出性微生物の例は、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)およびストレプトコッカス属(Streptococcus)の微生物である。
典型的なヨーグルトの発酵工程は3つの相に分けられる。第一相は微生物が発酵フィード、通常は乳ベースのフィードと組み合わされたときに始まる。微生物はその新しい環境に適応し、ペプチド、アミノ酸、ビタミン、およびミネラルなどの栄養素を取り込み始める。本相においては、微生物は細胞の分裂と増殖、エネルギー消費、そして貯蔵物質や構成要素または栄養素の生産に必要とされる酵素を産生する。しかし本相においては、微生物の増殖はほとんどないか、または発酵において何かが起こっているという目に見える他の徴候が認められない。この理由により、本相は誘導期(lag phase)と呼ばれる。
誘導期はある栄養素の存在が増殖の制限因子となり得るという点で特徴付けられる。その一例は、微生物の正常な増殖または正常な増殖速度を可能にするのに必要なペプチドの量が不十分であるような系である。存在するペプチドが不十分であり続ける限り、増殖は該ペプチド濃度によって制限され続ける。何も起こらないように見えるとしても、微生物集団の衛生状態が、結果として得られるヨーグルトの品質を決定することになるため、発酵工程にとって本相は非常に重要である。
微生物がその環境に適応した際に、第二相が始まる。基質によって制限されない微生物の増殖に特徴付けられる本相は対数期と呼ばれる。対数期において微生物は細胞分裂によって増殖し始め、指数関数的に増える。本相において微生物はその代謝特性の結果として、とりわけ乳酸を産生する。
対数期の終期には好適な栄養素の量が大抵減少し、発酵中の乳混合物によって対数増殖がもはや維持できなくなる。したがって増殖速度は遅くなり、発酵は静止期に入る。本相において細胞分裂はなおも起こるが、増殖はもはや指数関数的ではなく、発酵中の混合物は存在する全化合物の間でゆっくりと平衡に達する。全ての環境が適切である場合、これによってバランスの良い風味や香りを有する良質のヨーグルト産物が得られる。
これらの段階が必要とする時間は著しく可変性であり、使用される微生物の種類、発酵フィードの種類、温度、および多くの他のパラメーターに依存する。これらの別個の相を考慮すると、ヨーグルトの生産は通常バッチ式工程となる。バッチ式工程には一般的であるように、コストにおいて大事な要素は、産物が準備できるまでにかかる時間である。
生産時間において重要な要素となるのは誘導期である。誘導期においては実際の発酵工程の準備が行われる。微生物の増殖に適した条件を整えること以外に関心対象の産物の生産には全く寄与しないので、誘導期をより短くすることが発酵工程の経済性に大きく影響することとなる。しかし、誘導期は微生物集団の衛生状態を決定するために非常に重要であり、ひいてはヨーグルトの品質にとって重要である。誘導期を経過させ、発酵工程を対数期に到達させるために必要とされる時間はラグタイム(lag time)と呼ばれる。
ラグタイムを短くする試みは以前にもなされている。ある選択肢では、微生物を生産段階に適応させて対数期をより長い時間維持する、半連続式発酵工程が用いられる。しかし、ヨーグルトの最終的な味および/または品質の決定には静止期が重要であり、半連続式発酵工程では静止期は省略されてしまうため、この方法は好適でないことが多い。
また、既に発酵の培地条件に適応している、スターターカルチャーと呼ばれる微生物混合物を加えることが可能である。しかし本方法では、少量のプレミックス微生物フィードで本格的な発酵槽の環境を模倣するのが難しいため別の問題が生じる。より大量のプレカルチャー(種菌)を使用することはできるが、それでは生産工程と予備培養工程のコストに大きな影響を与えてしまう。したがって、信頼できる方法で限られた量のスターターカルチャーを用いて、本技術によって可能な限りラグタイムを短くすることが好ましい。
ラグタイムを短くするためには、容易に輸送可能であり、エネルギー面で有益な追加の栄養素、たとえば追加のペプチドなどをプレミックスに加えることもできる。しかし、これによっては例えば異味や着色についての付加的なコストや問題が生じる。
本発明は、好適な培養培地に選択された微生物を含む発酵スターターカルチャーを提供する段階、培養培地に植物タンパク質プロテアーゼ阻害物質、好ましくはジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を加える段階、培養培地において微生物を培養する段階、およびヨーグルトを回収する段階を含む、発酵によってヨーグルトを調製する方法に関連する。
発酵フィードにジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を加えることによって発酵のラグタイムが有意に短くなることが認められた。必要とされるジャガイモタンパク質の量はヨーグルトの味には影響を与えないほど十分少なく、ラグタイムはバッチ式工程でも半連続式工程でも短くなる。
ヨーグルトの生産についてのフロースキーム。 ヨーグルト製造工程における、PPIIの様々な濃度での経時的なpHの低下;より高いPPII濃度ではより速いpH低下が起こる。 ヨーグルト産物の写真。 予備発酵時に加熱処理 ありおよびなしで、様々な濃度のPPIIで標準培養および3.5%の乳タンパク質を用いて行ったヨーグルト製造工程における、pH5に達するまでの時間の短縮。 ヨーグルト製造工程において、3.5%の乳タンパク質に様々な濃度のPPIIを加え、標準培養を用いて生産されたヨーグルトがpH5.0、5.3、および4.7に達するまでの発酵時間の増加曲線グラフ。 予備発酵時に異なる温度で加熱処理ありおよびなしで、様々な濃度のPPIIの存在下において3.5%の乳タンパクに加えた標準培養を用いて行った発酵での、標的pH5.0に達するまでの時間の短縮。 改変アワモリコウジカビ(Aspergillus awamori)により産生されたArthomyces ramousペルオキシダーゼ(ArP)の凍結乾燥画分に対するSolanic PPIIタンパク質によるプロテアーゼ阻害。 ジャガイモプロテアーゼ阻害物質アイソレート、ダイズプロテアーゼ阻害物質およびエンドウプロテアーゼ阻害物質による、ヨーグルト生産時間における用量依存的な時間短縮。 予備発酵時に加熱処理(80℃、30分間)ありおよびなしで、標準スターターカルチャー、およびPPII、エンドウタンパク質、ならびにダイズ粉を用いて行ったヨーグルト製造における、pH5に達するまでの用量依存的な時間短縮。 6種の異なるヨーグルトスターターカルチャーを用いて行ったヨーグルト製造における、pH5に達するまでの用量依存的な時間短縮。 図10aは、OD600によって認められる、ペプチド濃度を増加させた際の微生物の経時的な増殖。ペプチドを培地に添加した場合に増殖の明らかな促進が認められる。ペプチド濃度75%超では、このスターターカルチャーを用いたこの特定的な状況において、この培地はペプチド制限型をもはや示さない。図10bは、異なるペプチド濃度についてのOD600nmで評価した、PPIIの添加の際の用量依存的な時間短縮。この特定的な実施例において、ペプチド濃度75%超の酵母菌抽出物およびカゼインペプトン含有培地においては、PPII添加でのラグタイムの短縮は認められない。この発酵についてのPPIIによる用量依存的な時間短縮は、ペプチド濃度75%未満のYEおよびCP含有培地において示される。
詳細な説明
本発明は、選択された微生物を好適な培養培地に含む、発酵スターターカルチャーを提供する段階、植物タンパク質プロテアーゼ阻害物質、好ましくはジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を培養培地に添加する段階、培養培地において微生物を培養する段階、およびヨーグルトを回収する段階を含む、ヨーグルトを調製する方法に関係する。
ジャガイモプロテアーゼ阻害物質アイソレート(「PPII」)のようなジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を発酵フィードに少量添加することにより発酵のラグタイムが有意に短縮され、ヨーグルトの生産において経済的利益があることが認められた。ジャガイモタンパク質の必要量はヨーグルトの味に影響を与えないほど十分に少なく、ラグタイムの短縮はバッチ式工程でも半連続式工程でも起こる。本発明に関連したラグタイムの短縮は、「刺激活性(stimulating activity:SA)」と呼ぶこともできる。
また、本発明は広範囲のpH域および温度域において適用することができる。
本方法はヨーグルトの生産のための発酵工程に関するものである。好ましくは、本発明は微生物の増殖がペプチド制限型であるような発酵工程において適用される。本発明の範囲については、ペプチドは5〜30個のアミノ酸からなるタンパク質小断片である;そのような断片は「栄養ペプチド(nutritious peptides)」と呼ぶこともできる。
ペプチド制限型発酵は、フリーの栄養ペプチドの濃度が制限されるが、(微量)ミネラル、炭水化物およびタンパク質のような他の必須栄養素は制限なく利用できるような発酵である。このようなペプチドの制限は、プロテアーゼ/ペプチダーゼによる栄養ペプチドのアミノ酸への分解速度がタンパク質からの栄養ペプチドの形成速度より速い場合に起こる。少量のペプチドを添加して増殖およびラグタイムへのその影響を観察することによって、発酵がペプチド制限型であるかどうかを試験することが可能である。栄養ペプチドを加えた結果、発酵速度が実質的に上がらないのであれば、その発酵はペプチド制限型ではない。栄養ペプチドを加えた結果発酵速度が上がるのであれば、その発酵はペプチド制限型と呼ぶことができる。
これは、発酵速度が利用可能な栄養ペプチドの濃度に依存することを意味する。ペプチド制限型発酵においては、微生物の対数増殖を維持するために、または対数増殖に適応していくために足りない栄養ペプチドがある。この結果ラグタイムが長くなる。
本発明の方法においては、特にペプチド制限型発酵について、そして特に十分なタンパク質が利用可能な場合において、比較的少量のジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の添加によりラグタイムが短縮されることが認められる。
意外なことに、特にペプチド制限型発酵に関する方法においてラグタイムが短縮される。発酵のラグタイムを決定する重要な要素が、5〜30アミノ酸からなる小分子栄養ペプチドへの、培地中のタンパク質の分解であることは周知されている。この転換は様々なプロテアーゼによって行われる。プロテアーゼ阻害物質の周知の機能は、タンパク質の栄養ペプチドへの分解を司るプロテアーゼを効果的に阻害するようなプロテアーゼ阻害である。そのため、いずれの供給源のものであれ、プロテアーゼ阻害物質を添加することで結果的にタンパク質の酵素分解速度が下がり、それに関連して栄養ペプチドの形成速度が下がることによってラグタイムが長くなると予想される。しかし実際には逆のことが起こり、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の添加によってラグタイムは長くならずに短くなることがここで認められる。
本文脈におけるラグタイムとは、微生物が新しい環境、つまり培養培地に適応するのに必要とされる継続時間と定義される。それはすなわち誘導期に必要とされる継続時間である。
ヨーグルトの発酵工程は様々な好適な代謝アウトプットパラメーターを介してモニタリングすることができる。例えば、pHは好適な代謝アウトプットパラメーターとなり得る。または、存在する微生物の量を定量化する光学密度(600 nmにおけるOD、0D600)が好適なアウトプットパラメーターとなり得る。しかし、当業者はヨーグルト生産における発酵の進行を測定するため、および誘導期に必要となる時間を測定するための数多の方法を見出すことができる。
当技術分野において周知のように、発酵は一般に光学密度またはpHのようなアウトプットパラメーターにおけるS字型曲線に沿って進行する。本発明においては、指数曲線の中間点に達するまでの時間は、その二次導関数からならしたS字型曲線における変曲点を計算することによって求められる。または、pHを代謝進行の指標として用い、指数曲線の中間であるpH値を取り、このpHに達するまでの時間を記録する。ヨーグルトの生産においては、適切な比較ができるようにその値が一貫して適用される限り、pH 5.0〜5.5の任意のpHを用いることができる。適切な量のジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を加えた場合の発酵と、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を加えない同じ発酵のラグタイムを比較することによって、ラグタイムの短縮を測定することができる。一般的に、ラグタイムの絶対的短縮は時間数の減少として定量化される一方、ラグタイムの相対的短縮は「%」として定量化される。
天然ジャガイモタンパク質は暫定的に3つのクラスに分類することができる;(i)パタチンファミリー、高度に相同な43kDaの酸性糖タンパク質(ジャガイモタンパク質の40〜50重量パーセント)、(ii)単離された場合にジャガイモプロテアーゼ阻害物質アイソレートまたは「PPII」と呼ばれる、5〜25 kDaの塩基性プロテアーゼ阻害物質(ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質;ジャガイモタンパク質の30〜40重量パーセント)、および(iii)その多くが高分子量タンパク質である他のタンパク質(ジャガイモタンパク質の10〜20重量パーセント)(Pots et al., J.Sci.Food.Agric. 1999, 79, 1557-1564)。
PPIIは、その分子量に基づいていくつかの異なる群に分類することができる。プロテアーゼ阻害物質のそれらの異なる群は、プロテアーゼ阻害物質I(分子量約39 kDa)、カルボキシペプチダーゼ阻害物質(分子量約4100 Da)、プロテアーゼ阻害物質IIaならびにIIb(分子量約20.7 kDa)、およびプロテアーゼ阻害物質A5(分子量約26 kDa)と識別される。ジャガイモの全タンパク質におけるこれらの異なるプロテアーゼ阻害物質群の比率は、ジャガイモの品種によって異なる。
本発明の範囲については、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質は、上記に定義されるような任意のジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質、または、1つもしくは複数のジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質、もしくは阻害物質群を含むような、異なるジャガイモタンパク質の任意の混合物を含む。ジャガイモプロテアーゼ阻害物質アイソレート(PPII)は、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を含むアイソレートである。PPIIは、例えば沈殿、60〜80℃における熱分画、膜分離、硫酸アンモニウムまたは飽和脂肪酸または他の成分を用いた沈殿、限外濾過またはゲル濾過のような濾過技術などの、任意の公知の方法において得ることができる。
好ましくは、本発明においてはPPIIが使用される。PPIIは、ジャガイモ搾汁(PFJ)またはジャガイモ搾汁水(PFW)からのプロテアーゼ阻害物質の単離について詳述されており、その内容が参照により本明細書に組み入れられる国際公開広報第2008/069650号において説明されるように得ることができる。
その工程は、pH7〜9での2価金属陽イオンによる凝析にジャガイモ搾汁を供する段階、そして凝析されたジャガイモ搾汁を遠心分離して上清を形成させる段階を伴う。続いて、ジャガイモタンパク質に結合できる吸着剤を用いて、天然ジャガイモタンパク質が吸着剤に吸着されるように、pH11未満、温度5〜35℃で操作した拡張床クロマトグラフィーに上清を供する。ある量の天然ジャガイモタンパク質と結合するカラム材料は、例えばAmersham Streamline(商標)Direct CST I(GE Healthcare)、Fastline adsorbentia(Upfront Chromatography A/S)のようなミックスモード吸着剤、Amberlite(商標)XAD7HP(Rohm & Haas Company)のようなマクロ多孔性吸着剤、およびイオン交換吸着剤を含む。または、本発明で使用するのに好適なPPIIを単離するには、欧州特許出願第12175944.3号において開示されるようなリガンドを含む吸着剤が非常に好ましい。
最終的に、溶出剤を用いて少なくとも1つの天然ジャガイモタンパク質アイソレートを吸着剤から溶出する。本方法ではとりわけ、存在する変性タンパク質が最小限となるような、そして安定した溶解度を有することに特徴付けられるような、高純度の単離PPIIが得られる。結果として、本方法によって天然PPIIが得られる。本発明の方法では天然PPIIは一般に好ましい。
ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の量は、Spelbrink et al.,The Open Food Science Journal 2011(5)p42-46"Quantitative Determination Trypsin Inhibitory Activity in Complex Matrices"またはISO 14902:2001E "Animal Feed Stuffs - Determination of soya products"において説明される方法に従った、トリプシンに対する阻害効果の測定によって定量することができる。
PPIIのようなジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を使用する代わりに、PPIIから単離されたさらなる精製タンパク質画分を用いることが可能である。好ましいタンパク質画分は
・pH8で可溶性である
・pKa < 8である
・TIA活性とCTIA活性の双方を有し、いずれの活性も80℃、30分間の加熱処理で失われるが、それにもかかわらずラグタイムの短縮能は少なくとも90℃まではインタクトのままである。
・17.5〜18.2 kDaの分子量を有する。
TIA活性は、Spelbrink et al The Open Food Science Journal 2011(5) p42-46"Quantitative Determination Trypsin Inhibitory Activity in Complex Matrices"またはISO 14902:2001E"Animal Feed Stuffs - Determination of soya products"において説明される方法に従った、トリプシンに対するタンパク質の阻害効果の測定によって定量される。
CTIA活性はキモトリプシンに対するタンパク質の阻害効果の測定によって定量される。使用される方法はTIAについて説明される方法と本質的に同じであるが、キモトリプシンのより低い特異活性を補うためにはより多くの酵素量が必要とされる。
ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を使用する利点は、その大多数が高度に熱安定性であることである。ラグタイムの短縮の原因となるジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質アイソレートの活性画分は、温度60℃まで、好ましくは70℃まで、より好ましくは80℃まで、そして最も好ましくは90℃まで、少なくとも15分間、好ましくは少なくとも90分間その天然の状態が保持される。これにより、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を発酵工程の異なる時点で加えることが可能である。それはスターターカルチャーの添加前、後もしくは添加中に培地に加えることができ、または、スターターカルチャー自体に加えることもできる。
また、発酵に先立って発酵フィードが加熱される工程において、発酵フィードに加えることもできる。これは例えば、多くのヨーグルト生産工程には一般的であるように、発酵以前に低温殺菌または滅菌が必要な工程の場合である。
説明されるように、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質が非常に低い濃度でも発酵工程において機能性であることが、本発明のさらなる利点である。特に、本発明に従った発酵工程においては1 g/l未満、好ましくは0.5 g/l未満、より好ましくは0.1 g/l未満、なおもより好ましくは0.05 g/l未満のジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を添加すればラグタイムを短縮するには十分である。本発明に従って発酵のラグタイムを短縮するためには、少なくとも0.01 g/l、好ましくは0.005 g/l、より好ましくは0.001 g/lのジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の最小限度量が必要である。
ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の好ましい濃度は、例えば5 g/l〜0.001 g/l、好ましくは5 g/l〜0.05 g/l、より好ましくは5 g/l〜0.01 g/l、例えば1 g/l〜0.01 g/l である。本文脈におけるジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質濃度は、培養培地1l当たりのジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質のg数で表現される。
これらの濃度において、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質がヨーグルトに何の味も与えないことが付加的な利点である。さらに、これらの低濃度のジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質はヨーグルトの官能特性に検出可能なほどの影響を与えない。しかし、0.5〜2%の、より高い濃度のジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質は、ヨーグルトの最終産物の構造および例えばなめらかさのような官能特性を向上させる。
広範囲のpH域における発酵工程でジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質が機能性であることもまた、本発明の利点である。特に、培養培地のpHは6.7まで、好ましくは8.0まで、より好ましくは10.0にまで上がる可能性がある。また、pHは4、好ましくは3、より好ましくは2にまで下がる可能性がある。様々なpHの培養培地を発酵処理することが可能になるため、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の広範囲のpH域での安定性は好都合である。さらに、発酵の過程を通してジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を添加することで、ヨーグルトの発酵に恩恵をもたらすことができる。
さらに、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質が非アレルゲン性であることが本発明の特徴的な利点である。これは、別のタンパク質に対するアレルギーを持つ人が操作をするヨーグルト発酵工程においても、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を使用できることを意味する。また、アレルギーを持つ人に消費される可能性のあるヨーグルトの発酵に、アレルギーショックのリスクなくジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を使用できることを意味する。
さらに、このタンパク質の溶液、好ましくは水性溶液が、少なくとも濃度10 g/L、好ましくは50 g/L、より好ましくは250 g/Lまでは透明である、または少なくとも実質的に濁りのないことが、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の利点である。これらの濃度は好ましくはpH2〜5、好ましくはpH2〜4、より好ましくはpH2.5〜3.5の溶液において得られる。ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の透明または実質的に濁りのない溶液は、簡便な濾過滅菌を行うことが可能であり、ヨーグルトの魅力的な外見を可能にする。
ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質と他の供給源由来のプロテアーゼ阻害物質との比較において、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質とは対照的に、同等量のタマゴタンパク質プロテアーゼ阻害物質はラグタイムの短縮を示さないことが認められた。また、同等量の乳清タンパク質アイソレート(WPI)およびカルボキシペプチダーゼ阻害物質(CPI)もラグタイムの短縮を示さなかった。
しかし、ダイズタンパク質プロテアーゼ阻害物質およびエンドウタンパク質プロテアーゼ阻害物質は、乳含有培養培地などの好適な培養培地に添加した際にラグタイムの短縮を示すことが可能である。だが、ダイズやエンドウのタンパク質では同じ用量でのラグタイムの短縮がジャガイモタンパク質より有意に小幅であるため、ダイズタンパク質プロテアーゼ阻害物質またはエンドウタンパク質プロテアーゼ阻害物質の使用量はより多く必要となる(図8aを参照のこと)。
ラグタイム短縮型の発酵法におけるジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の使用について現在述べられているパラメーターの全ては、エンドウタンパク質プロテアーゼ阻害物質およびダイズタンパク質プロテアーゼ阻害物質についても適用でき、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質について述べられている任意のパラメーターまたはパラメーターの組み合わせは、エンドウタンパク質プロテアーゼ阻害物質およびダイズタンパク質プロテアーゼ阻害物質についても有効であると考えられる。したがって、被子植物(顕花植物)または野菜に由来するタンパク質プロテアーゼ阻害物質、好ましくはエンドウ、ダイズまたはジャガイモのタンパク質プロテアーゼ阻害物質のような植物タンパク質プロテアーゼ阻害物質を、本発明に従ったラグタイム短縮型のヨーグルト発酵法において同様に使用できる。
しかし、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の利点の全てが他の植物タンパク質プロテアーゼ阻害物質に同様に当てはまるわけではない。特に、ダイズ粉はジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質のような熱安定性を示さない。したがって、ダイズ粉は発酵前の低温殺菌段階または(濾過/加熱)滅菌段階を含む方法のような、発酵に先立って培養培地と共に加熱される発酵法でラグタイムを短縮させるために使用することはできない。これはジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の、ダイズ粉のダイズタンパク質プロテアーゼ阻害物質に勝る利点である。
単離されたエンドウおよびダイズのタンパク質プロテアーゼ阻害物質は熱安定性を示す。PPIIを用いて本発明に従った発酵を行った場合、加熱処理工程後のラグタイムの短縮は、事前の加熱処理工程がない場合に認められるラグタイムの短縮とほぼ同じである。これは、単離エンドウタンパク質および単離ダイズタンパク質についても同様で、上記に説明されるように、エンドウおよびダイズのタンパク質によるラグタイムの短縮はジャガイモタンパク質による短縮より絶対的には小幅であるが、事前の加熱処理工程の有無では活性はほぼ変わらない。
ジャガイモタンパク質の使用と比較して、エンドウまたはダイズのタンパク質を使用することのさらなる不利益は、ラグタイムの短縮においてその活性がより低いため、より高い濃度が必要となることである。これにより、添加したタンパク質がヨーグルトの味に影響するというリスクが増大する不利益が生じる。
加えて、エンドウおよびダイズのタンパク質プロテアーゼ阻害物質はいずれもアレルゲン性タンパク質であり、ジャガイモタンパク質に比べてリスクおよび規制が増すことから、食品生産工程には一般に適用しづらい。
したがって、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質は発酵における熱安定性、ラグタイムの短縮および一般的な産業上の利用可能性の観点から他の供給源由来のプロテアーゼ阻害物質より勝っている。しかし、被子植物(顕花植物)または野菜に由来するタンパク質プロテアーゼ阻害物質、好ましくはエンドウ、ダイズまたはジャガイモのタンパク質プロテアーゼ阻害物質のような、任意の植物タンパク質プロテアーゼ阻害物質がヨーグルト発酵フィードに加えた際にラグタイムの短縮を示す。
ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の上記の全ての利点は、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質として使用される場合にPPIIにも当てはまる。
特に、PPIIの場合、PPIIが熱安定性画分を豊富に含むことが利点であり、それは同様に、発酵に先立ち発酵フィードを加熱する工程で本発明に従ってジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を使用することを可能にする。PPIIは一般に20〜80重量%の、好ましくは40〜60重量%の熱安定性ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を含むため、ほんの少量のPPIIを加えればラグタイムが短縮される。この場合においても、最終産物の味に変化が与えられることはない。
または、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の発酵工程における適用に先立ち、PPIIの熱安定性画分をPPIIから単離することができる。これは、PPII中の非熱安定性タンパク質の熱沈殿およびそれに続く濾過によって行うことができ、その結果、熱安定性ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質溶液としてPPIIの熱安定性画分を単離し、任意に、例えば凍結乾燥によって粉末として単離することができる。または、イオン交換クロマトグラフィーによって、熱安定性タンパク質プロテアーゼ阻害物質の大部分に相当するpHで溶出することによって、そしてまた、吸着工程、膜濾過、ゲル濾過または選択的沈殿によってPPIIを分画することにより、熱安定性ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を得ることができる。
発酵によるヨーグルト調製法のための微生物は、ヨーグルトの生産のために好適なものである。好適な微生物は例えばラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)およびビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)の微生物を含む。
本発明の文脈においては、発酵スターターカルチャーはヨーグルトを得るために適切な1つまたは複数の微生物を含む培養である。スターターカルチャーは単一の微生物種を含み得る、または、2つもしくはそれ以上の微生物を含み得る。好適なスターターカルチャーは、乳酸菌および酵母菌のようなケフィア(Kefir)に存在する微生物、それと同様にラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ロイコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、乳酸連鎖球菌(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus cremoris)、例えばラクトコッカス・ジアセチラクチス(Lactococcus diacetylactis)とロイコノストック・クレモリス(Leuconostoc cremoris)の混合物を含む。
培養培地はヨーグルトの発酵について適切なものでなければならない。好適な培養培地は例えば牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、ヤク乳、ウマ乳、トナカイ乳、ヘラジカ乳、スイギュウ乳、ロバ乳および/またはラクダ乳、好ましくは牛乳のような乳を含む。
発酵中の培養条件は、ヨーグルトの発酵について公知のものであり得る。培養条件は好気性または嫌気性であり得、好気性の場合は低通気、通常通気、または高通気を用いることができる。培養は固体培養または液体培養が可能であり、任意の規模においてバッチ式または半連続式培養法で行うことができる。酸素レベルはゼロ(嫌気性発酵)から存在下(好気性発酵)まで変えることができる。培養工程は攪拌培養でも静止培養でもよい。
発酵中の温度は-10〜+60℃に、好ましくは13〜45℃に変えられる。好ましくは、温度は一定に保たれる。pHはpH2〜10に、好ましくは4〜6.7に変えられる。培養時間は高度に可変性であり、培養の種類に依存する。当業者はヨーグルトについて好適な培養時間を承知している。したがって、培養時間は0.5時間から10年間もしくはそれ以上まで、またはその間の任意の時間に変えることができる。
ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の添加は、発酵前の任意の時点で行うことができる。そのような添加は、濾過したもしくは低温殺菌したタンパク質濃縮溶液として、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を培養培地と組み合わせ、そしてスターターカルチャーを加えることで、または、スターターカルチャーを天然ジャガイモタンパク質と組み合わせ、そしてこの混合物を培養培地と組み合わせることで行うことができる。または、全ての成分を別々に、もしくは場合に応じて培養培地のその他の構成要素と組み合わせて加えることができる。培養培地のそのような他の構成要素には、例えば炭水化物、微量ミネラル、バルクミネラル、タンパク質、ペプチドを含み得る。
非常に好ましい態様においては、加熱段階以前に培養培地にジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を加えることができる。これは、スターターカルチャーの添加以前に、低温殺菌または滅菌のように培養培地が加熱される場合に有利である。ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質は、好都合な熱安定性を有することによって、そういった加熱の後でさえもその天然の状態が保持されるため、加熱後でも天然の生化学的機能は維持され、発酵のラグタイムが短縮される。
ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質の添加、好ましくは天然の状態における添加は、発酵のラグタイムを短縮させる効果がある。ラグタイムは、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を添加しない同じ発酵法と比較して少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、および最も好ましくは少なくとも90%のように、培養および培地に依存して有意に短縮される。
ヨーグルトの回収は、発酵後のヨーグルトの単離についての、当技術分野において公知の任意の形態でなされることが可能である。特に、好適な代謝アウトプットパラメーター(例えばpHまたは光学密度)をモニタリングし、発酵の終了点を決めてヨーグルトを単離することによってヨーグルトを得ることができる。
本発明は、限定するものではない以下の実施例によって、ここでさらに明らかにされる。
実施例1:ヨーグルトの生産
PPIアイソレートはジャガイモプロテアーゼ阻害物質アイソレートであり、PPIIと略することができる。PPIアイソレートは工程における2つの異なる時点で発酵混合物に加えられた、すなわち1)低温殺菌前に乳に、そして2)低温殺菌後にスターターカルチャーと共に乳に加えられた。第三の選択肢では、乳/ヨーグルト中のPPIIの最終濃度を考慮しながらスターターカルチャーの作製中にPPIIを添加する。
本工程は概略的に図1に表される。(特に指定のない限り80℃で30分間)乳の低温殺菌を行い、40〜42℃にまで冷却することによって新鮮なヨーグルトを調製した。PPIアイソレートを加えることが可能な工程が図において示される。より高い用量のPPIIを加えた場合にpHが下がることが認められた。したがって、低いpHがヨーグルトのテクスチャーに影響を与える可能性があるため、例えばNaOHを用いてpH6.7までにpHを再調整することが勧められる。
ヨーグルトを調製するために、2%(w/w)の市販のヨーグルト、または例えばCSK Food Enrichment B.V.の推奨量のスターターカルチャー(1単位/10L≒0.02%(m/m))、またはDSMのDelvoYog(登録商標)CY(5単位/1000L)のいずれかを用いて乳に接種し、pH4.5に達するまで4〜7時間発酵させた。使用された標準ヨーグルトカルチャー、CESKA(登録商標)-Star Y200は、乳酸菌ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)を含有する。実験は小規模(25〜50 mL)にて行い、接種直後にサンプルを40〜42℃において水浴中でインキュベートした。
いずれの実験もpHが4.5に達した時点で終了した。発酵中、2〜15分おきにpHを自動的に記録した(WTW、Germany)。
2%用量のヨーグルトを種菌として用いた発酵中の酸性化曲線が図2において示される。PPIIを加えない参照ヨーグルトは5:45時間後にpH5.0に達した。0.025%のPPIIを加えたヨーグルトは3時間後にpH5.0に達した。無添加のヨーグルトと比べて、PPIIを加えたヨーグルトの発酵時間は有意に短かった。達成することのできる時間の短縮は、種菌の生存能力および増殖相に大いに依存する。種菌中の細胞が静止期にある場合(例えば2%ヨーグルトを種菌として使った場合)、無添加/参照ヨーグルトのラグタイムは非常に長いので、時間を大いに短縮できる可能性がある。
実施例2:ヨーグルト生産における、ラグタイムの短縮のPPII依存性
0.005〜0.025%(w/w)の異なる用量のPPIIを用いて、実施例1に従ってヨーグルトを調製した。PPIIの添加によって達成された時間の短縮をPPIIの使用濃度に対してプロットした。様々な量のPPIIのラグタイムに対する効果を比較するために、発酵によってpH5.0に達するまでに必要とされた時間を用いた。図2において示されるように、ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質アイソレート量を増加させると発酵時間が有意に短縮された。
実施例3:ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質アイソレートの熱安定性
低温殺菌の前または後におけるPPIIの添加では、いずれも同等の用量依存的な時間短縮曲線が生じた(図4および図6)。先の2つの実施例において説明されるように、予め決められたスターターカルチャーを用いてヨーグルトを調製した。低温殺菌に先立ち、乳にPPIIを加えた。乳-PPIIプレミックスは低温殺菌しなかった(室温、RT)、または80℃、85℃、および90℃の3つの異なる温度にて30分間低温殺菌した。全てのサンプルについて得られた(絶対的または相対的な)時間の短縮はPPIIの用量に依存しており、異なる加熱処理の間には有意な差が認められなかった。本実験における最適PPIIの用量は0.1%であることが認められ、それにより有意な相対時間短縮がもたらされた(≒20%)。
実施例4:本発明における使用のためのジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質は天然のものが可能である
50℃において、5 mM CaCl2(SigmaAldrich, C3881)を含む100 mM pH5.0のクエン酸緩衝液でアゾカゼイン(SigmaAldrich, A2765)タンパク質を溶解し、37℃にまで冷却することによって、30g/Lのアゾカゼイン保存溶液を調製した。プロテアーゼ活性を有する凍結乾燥菌ライセートを1 mM HCl溶液に溶解した。PPIIをpH3.0の酢酸溶液に溶解した。
サンプルの最高濃度としてインキュベートしたものからおよそ50%のシグナルの減少が認められるようになるまで、PPII溶液から一連の希釈液を調製した。エッペンドルフカップにて各々の希釈液からの125μLを、25μLの菌プロテアーゼ溶液と混合した、または、対照として25μLの脱塩水と混合した。タンパク質分解反応についての正負の対照には、サンプル材料ではなく125μLの脱塩水を使用した。これらの混合物に225μLの温かいアゾカゼインを加え、続けて37.0℃における30分間のインキュベーションを行った。そして150μLの15%w:v TCA溶液を加えることによって反応を停止させた。全てのサンプルについてインキュベーション時間を確実に等しくするため、アゾカゼインを加える順序はTCAを加える順序と同じにした(図7を参照のこと)。
Thermo Scientificローターを用いたHeraeus Multifuge 1S-Rにおける15,000 g、40℃での10分間の遠心分離により、非加水分解アゾカゼインおよび他の不溶物を除去した。細心のピペット操作によって上清100μLをマイクロタイタープレートに移し、100μLの1.5 M NaOH溶液を加えた。それからBioRad Model 680 マイクロプレートリーダーで450 nmでの吸光度についてプレートの分析を行った。
プレートのサンプル材料の量に対する吸光度をプロットした。最小二乗法を用いた線形回帰によって結果の直線の傾きが得られ、それはサンプル材料量当たりの吸光度の減少量を示す。サンプルを含まない正の対照は、既知の量のプロテアーゼ溶液によってもたらされる最大の吸光度を示す。したがって、正の対照の吸光度で傾きを割ることによって、サンプル材料量当たりの阻害されたプロテアーゼ量として表されるトリプシン阻害活性が得られた。
本実験において使用されるPPIIは天然のものが可能ということである。
実験例5:ジャガイモ以外の供給源由来のプロテアーゼ阻害物質タンパク質との比較
2種類の植物供給源、エンドウおよびダイズに由来するプロテアーゼ阻害物質は大規模の商業的加工のために非常に利用しやすいため、ヨーグルト発酵のラグタイムを短縮させる能力についてこれらを試験した。さらに、動物由来食品のプロテアーゼ阻害物質の代表的な供給源であるため、タマゴのタンパク質について試験した。
CosucraのPisane(登録商標)C9およびPisane(登録商標)F9の、2種類のエンドウタンパク質について試験した。また、生ダイズ粉(SigmaAldrich)およびダイズタンパク質(Profam, ADM)、同様にタマゴタンパク質およびPPIIを使用した。図8aは、発酵前にタンパク質を加熱処理しない場合の、CSK Food Enrichment B.V.のCESKA(登録商標)-Star Y200を用いた発酵における、ダイズタンパク質およびエンドウタンパク質の双方についての用量依存的な時間短縮を示す。タマゴタンパク質はラグタイムの小幅な短縮しか示さなかった(非表示)。生ダイズ粉はエンドウタンパク質より大幅なラグタイムの短縮を示したものの、タンパク質の最終濃度について用量決定すると、非常に高用量のダイズ粉が必要であったことが示される。また一方、ダイズタンパク質を用いたラグタイムの短縮は、PPIIの使用で実証されるジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質を用いたラグタイムの短縮よりは明らかに小幅なものである。
エンドウタンパク質については、Pisane(登録商標)C9およびPisane(登録商標)F9の双方を用いた。いずれの種類でも同様のラグタイムの短縮が得られたが、PPIIの使用で実証されるジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質について認められたラグタイムの短縮よりはずっと小幅なものである。
図8aにおいて認められるように、PPIIは最も顕著なラグタイムの短縮を示し、ヨーグルト発酵についてはエンドウタンパク質やダイズタンパク質のいずれよりも優れており、発酵時間をより短くする。
ジャガイモタンパク質、単離ダイズタンパク質および単離エンドウタンパク質は熱耐性であることが示された。これらのタンパク質については加熱処理(80℃で30分間)の前後でヨーグルトのラグタイムの用量依存的な短縮に有意な変化は認められなかった。しかし、生ダイズ粉では加熱処理によってラグタイムの短縮が得られなくなってしまう(図8b)。
実施例6:様々な発酵系におけるラグタイムの短縮、第一の実施例
異なるヨーグルト系におけるPPIIによるラグタイムの短縮を検証するため、異なる市販のスターターカルチャーを試した。最終的なヨーグルトの粘度および酸度の順で最大の変化が評価できるようにスターターカルチャーを選択した。試験されたスターターカルチャーはCeska(登録商標)-starヨーグルトカルチャーY200、Y700、Y900、Y104およびY508(ストレプトコッカス・サーモフィラス(St. thermophilus)ならびにラクトバチルス・デルブレッキー(Lb.delbrueckii) 亜種ブルガリクス(bulgaricus)の様々な混合物)、およびCSK Food Enrichment B.V.のB193(ストレプトコッカス・サーモフィラス(St.thermophilus)、ラクトバチルス・デルブレッキー(Lb.delbrueckii)亜種ブルガリクス(bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lb.acidophilus)ならびにビフィドバクテリウム(Bifidobacteria)の混合物)であった。
試験した6種のスターターカルチャー全てで、用量0.05〜0.20%のPPIIを添加すると有意なラグタイムの短縮が示され(図9a)、ヨーグルトの生産時間が短縮された。
実施例7:発酵系がペプチド制限型であるかどうかの決定
ある系がペプチド制限型であるかどうかを評価するために、用量反応試験を行うことができる。その原則を、発酵中に利用可能なペプチドの濃度を様々に変えたモデル系においてここに示す。ヨーグルト発酵系においては、該ヨーグルト発酵がペプチド制限型であるかどうかを決定するために、ペプチド濃度を同様に変えることができる。
本試験において使用された培地は培地A〜Hと標識され、スターターカルチャーは実施例1に従う。発酵の進行は600 nmにおける光学密度(OD600)によってモニタリングされた。
pH6.2〜6.5において以下を水1000 mlに加えることで、全ての培地A〜Hを調製した:グルコース(Merck 1.08342)20g、tween-80(Merck 822187)1g、K2HPO4(Merck 1.05104)2g、酢酸ナトリウム(Merck 1.06267)5g、クエン酸アンモニウム(SigmaAldrich 09833)2g、MgSO4-7H2O(SigmaAldrich M5921)0.2g、MnSO4-H2O(SigmaAldrich M7634)0.05gおよび肉抽出物(Fluka 70164)10g。さらに、表1において示されるように、本培地には様々な量の酵母菌抽出物(「YE」、Fluka 92144)およびカゼインペプトントリプシン消化物(「CP」、ペプチド供給源Fluka 70172)が含まれた。
(表1)培地A〜Hの組成表
Figure 2017514527
図10aは、ペプチド量の増加による、ヨーグルトスターターカルチャーの増殖に対する効果を明らかに示している。組成「E」「F」「G」および「H」はほぼ同じ結果を示し、さらなるラグタイムの短縮は得られなかったことが示された。これは、このスターターカルチャーについては組成「E」(75%YEおよびCP)が最適な培地であることを意味する。最少培地「A」に対して「B」では増殖において明らかに有利であることが認められ、培地「C」と「D」についても同じことがいえる。これは、これらの場合このスターターカルチャーにとって培地がペプチド制限型であり、ラグタイムの有意な短縮が導かれることを意味する。
図10bは、異なる用量のペプチド(YEおよびCP)を含む培地へのPPII添加の効果を示す。この特定的な実施例では、ペプチド濃度75%までの酵母菌抽出物およびカゼインペプトンを含む培地においてPPIIの添加によるラグタイムの短縮が認められた。ペプチド濃度75%およびそれ未満のYEおよびCPを含む培地において、この発酵についてのPPIIによる用量依存的な時間の短縮が示される。
実施例8:刺激物質(stimulating agent)の精製および特徴付け
ジャガイモタンパク質を本質的にPouvreauの方法(Pouvreau, 2001)に従って分画した。
ジャガイモタンパク質濃縮物(AVEBE)を脱塩水で1%タンパク質溶液になるまで希釈し、pHを8.0とした。室温、5000gにおける10分間の遠心分離によって不溶物を除去した。Source 30Q樹脂(GE Healthcare)を充填した15×2.6 cmのカラムに上清を入れ、0〜0.6MのNaClを用いてリニアグラジエント溶出を行った。この結果、F1からF8と標識される、8つの個別のタンパク質画分が得られた。
実施例1の方法に従い、ラグタイムの短縮について全ての画分を試験した。これにより、画分F1およびF6ではラグタイムの大幅な短縮があることが明らかとなり、これらの画分には活性成分であるジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質が存在することが示された。これらの実験法に従うと画分F2、F3、F4、F7およびF8ではラグタイムの中程度の短縮があり、F5ではラグタイムの短縮が全く認められない。したがって、活性成分であるジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質はF5には存在しない。本実験条件においては活性成分がカラムに結合するという事実から、それはpH8.0においては水溶性であり、8.0またはそれ未満の等電点を有することが明らかである。
変性、還元条件下において、製造業者の使用説明書に従ってExperion自動電気泳動システム(BioRad)で画分の分子量を決定した。ラグタイムの大幅な短縮があった画分F1およびF6では幾つかのMWバンドが共通しているが、画分F5においてはこれらの1つ、17.5 kDaと18.2 kDaの間に現れるバンドだけが欠けている(表2)。したがって、このバンドの存在がラグタイムの大幅な短縮を示すということになる。
(表2)
Figure 2017514527
特定化される本方法に従ったプロテアーゼ阻害活性の測定から、タンパク質画分F1とF6には、トリプシン阻害活性およびキモトリプシン阻害活性の双方があるが、いずれの活性も80℃における30分間の加熱処理後には残存しないことが明らかになった。それにもかかわらず、実施例3にて示されるように、ラグタイムの短縮は少なくとも90℃まではインタクトのままである。これにより、TIAもCTIAもラグタイムの短縮には絶対的に必要なのではないことが示される。

Claims (9)

  1. 好適な培養培地に選択された微生物を含む発酵スターターカルチャーを提供する段階、培養培地に植物タンパク質プロテアーゼ阻害物質を加える段階、培養培地において微生物を培養する段階、およびヨーグルトを回収する段階を含む、ヨーグルトを調製するための方法。
  2. 微生物の増殖がペプチド制限型である、ヨーグルトを発酵させるための請求項1に記載の方法。
  3. 植物タンパク質プロテアーゼ阻害物質がジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質である、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 乳酸菌および酵母菌からなる群より微生物が選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、およびペディオコッカス属(Pediococcus)の群より、またはビフィドバクテリウム目(Bifidobacteriales)より微生物が選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 培養培地が乳を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  7. ジャガイモタンパク質プロテアーゼ阻害物質が5 g/l〜0.001 g/lの量で培養培地中に存在する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  8. 培養培地のpHが2〜10である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
  9. 発酵中の温度が-10℃〜+60℃である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
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