JP2017513978A - シール適合性添加剤及び立体障害性アミンを含有する潤滑油組成物 - Google Patents

シール適合性添加剤及び立体障害性アミンを含有する潤滑油組成物 Download PDF

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Abstract

本開示は、改善されたフルオロポリマー適合性をもたらす潤滑剤組成物用の添加剤パッケージを目的とする。この添加剤パッケージは、アミン化合物、及びシール適合性添加剤を含有する。本開示はまた、基油、アミン化合物、シール適合性添加剤を含有する潤滑剤組成物も目的とする。シール適合性添加剤により、生じる潤滑剤組成物のフルオロポリマーシール適合性が改善する。

Description

本発明は一般的に、基油、シール適合性添加剤、及びアミン化合物を含有する潤滑剤組成物に関する。本発明はまた、潤滑剤組成物用の添加剤パッケージに関する。
背景技術
性能特性を改善するため、鉱油又は合成油をベースとする潤滑剤組成物に、安定剤を添加することが知られており、また慣用である。慣用のアミン化合物には、潤滑剤用の安定剤として効果的なものもある。これら慣用のアミン化合物は、燃焼プロセスの間に形成される酸を中和するのに役立つことがある。しかしながらこれら慣用のアミン化合物は、フルオロポリマーシールに対して有害な効果を有するため、燃焼エンジンでは一般的に使用されない。
本発明の目的は、潤滑剤組成物のフルオロポリマーシール適合性を改善させる、新規添加剤を提供することである。
発明の概要
本発明によって、潤滑剤組成物のフルオロポリマー適合性を改善させる潤滑剤組成物用の添加剤パッケージが得られる。この添加剤パッケージは、シール適合性添加剤、及びアミン化合物少なくとも1種を含有する。
本発明によってまた、フルオロポリマー適合性が改善された潤滑剤組成物が得られる。この潤滑剤組成物は、基油、シール適合性添加剤、及びアミン化合物を含有する。
本発明によってまた、フルオロポリマーシールを含有する系を潤滑にする方法が提供される。この方法は、基油、シール適合性添加剤、及びアミン化合物を含有する潤滑剤組成物を用意する工程と、フルオロポリマーシールを潤滑剤組成物と接触させる工程とを有する。
アミン化合物とシール適合性添加剤とを含有する潤滑剤組成物は、CEC L-39-T96により示されるフルオロポリマーシールとの適合性が改善されている。
発明の詳細な説明
潤滑剤組成物用の添加剤パッケージは、アミン化合物、及びシール適合性添加剤を含有する。添加剤パッケージは、慣用の潤滑剤組成物に添加されていてよい。添加剤パッケージ、及び生成する潤滑剤組成物(添加剤パッケージが添加されたもの)はともに考慮され、本開示内容にまとめて記載される。
アミン化合物は、一般式Iを有する化合物:
Figure 2017513978
を有し、
前記式中、R1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して、1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R5、及びR6はそれぞれ独立して、H、又は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり、R7は、1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であるか、又はアリール基であり、ただし、R5がHであり、かつR7がアルキル基である場合、R6はアルキル基であり、ただし、R1、R2、R3、及びR4のうち3つ以下が同時にメチルである。或いは、このアミン化合物は、β分枝状アルキル基(アルキル鎖の第二炭素原子で分岐)2個、及びβ分枝状の、2−アリール置換された、又はα分枝状(アルキル鎖の第一炭素原子で分岐)のアルキル基1個を有するアミンとして記載することができる。一般式Iのアミン化合物は立体障害性アミン化合物であり、そのように呼ぶこともできる。一般的には、潤滑剤組成物中で使用する場合、特にアミン化合物をシール適合性添加剤と組み合わせて使用する場合、置換基のこの組み合わせによって有利なことに、アミン化合物が腐食、及びフルオロポリマーエンジンシール材料との適合性に関して逆効果をもたらすことを防止する程度の立体障害性が得られることが、実証されている。
特定の態様において、アミン化合物は、以下のような一般式Iの化合物である:R5がHであり、R1、R2、R3、R4、及びR6がそれぞれ、炭素原子を1〜約6個有するアルキル基であり、かつR7がC1〜C6アルキル、又は2−アリールのいずれかであり、ただし、R1、R2、R3、及びR4のうち3個以下が、同時にメチルである。
一般式Iのアミン化合物の例を、以下に示す:
Figure 2017513978
Figure 2017513978
特定の態様において一般式Iのアミン化合物は、分子量が少なくとも約175〜約690ダルトン、少なくとも約225〜約690ダルトン、少なくとも約275〜約690ダルトン、少なくとも約175〜約600ダルトン、少なくとも約175〜約400ダルトン、少なくとも約225〜約600ダルトン、又は少なくとも約275〜約400ダルトンである。
潤滑剤組成物中で使用するために適したアミン化合物は、ASTM D-4739に従って測定したTBN(正味)が少なくとも約50mgKOH/g、例えば少なくとも約100mgKOH/g、又は少なくとも約150mgKOH/gであり得る。潤滑剤組成物中で使用するために適したアミン化合物は、ASTM D-4739に従って測定したTBN(正味)が約300mgKOH/g以下、例えば約250mgKOH/g以下、又は約200mgKOH/g以下であり得る。
アミン化合物が含まれている場合、潤滑剤組成物はアミン化合物を、潤滑剤組成物の全質量に対して0.1〜10質量%の量で含有する。幾つかの態様では、潤滑剤組成物はアミン化合物を、潤滑剤組成物の全質量に対して0.1〜30質量%、0.1〜25質量%、0.1〜20質量%、又は0.1〜15質量%の範囲の量で含有する。或いは、潤滑剤組成物はアミン化合物を、潤滑剤組成物の全質量に対して0.5〜5質量%、1〜3質量%、又は1〜2質量%の範囲の量で含有することができる。
潤滑剤組成物は、シール適合性添加剤も含有する。シール適合性添加剤は、CEC L-39-T96に従って測定した場合にシール適合性添加剤を含有する潤滑剤組成物が、フルオロポリマーシールとの改善された適合性を示す限り、様々な形態を含有することができる。シール適合性添加剤は、アミン化合物との相互作用はあるが、アミン化合物とは反応しないため、潤滑剤組成物がフルオロポリマーシールと接触する際、潤滑剤組成物中でフルオロポリマーシールとの否定的な相互作用をもたらすアミン化合物の傾向には干渉しないと考えられる。
特定の態様においてシール適合性添加剤は、ハロゲン化合物、エポキシ化合物、ボロキシン化合物、スルホン酸エステル、又はこれらの組み合わせである。
ハロゲン化合物は最少でも、1個以上のハロゲン原子を有する。しかしながらハロゲン化合物は、様々な形態を取りうる。ハロゲン化合物は例えば、炭化水素骨格を有することができる。ハロゲン化合物はより具体的には、ハロゲン化アルキル化合物を含有することができるか、又はそこに結合されたハロゲン原子を1個以上有する第四級アミン化合物を含有することができる。或いは、ハロゲン化合物は、元素のハロゲン、例えばCl2、Br2、I2、又はF2であり得る。
1つ以上の態様においてハロゲン化合物は、炭化水素骨格と、炭化水素骨格にある炭素原子に結合された少なくとも1個のハロゲン原子を有する。ハロゲン化合物は、直鎖状、又は分枝鎖状であり得る。炭化水素骨格は、環状であるか、又は非環状であり得る。炭化水素骨格も、直鎖状であり得る。炭化水素骨格は、1〜30個、2〜25個、2〜20個、2〜15個、9〜15個、又は9〜12個、炭素原子を有することができる。
ハロゲン化合物は、1個以上の懸垂基を有することができ、この懸垂基は、アルコール基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アミン基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アミド基、エーテル基、エステル基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それぞれ独立して炭素原子を1〜30個、1〜20個、1〜15個、又は3〜12個有するものである。これらの懸垂基はそれぞれ、ハロゲン化合物の炭化水素骨格に位置している炭素原子に結合していてよい。「非置換」とは、示されたヒドロカルビル基又は炭化水素基が、置換官能基(例えばアルコキシ基、アミド基、アミン基、ケト基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、オキシド基、チオ基、及び/又はチオール基)を有さないこと、及び示されたヒドロカルビル基又は炭化水素基がヘテロ原子及び/又はヘテロ基を有さないことを意味する。
1つの態様において、ハロゲン化合物は環状であり、これはハロゲン化合物が、1個以上の環状懸垂基を有すること、存在する場合には炭化水素骨格が環状であることを意味するか、又はこれら両方を意味する。別の態様においてハロゲン化合物は非環状であり、これは存在する場合には炭化水素骨格が非環状であり、ハロゲン化合物が環状懸垂基を有さないということである。
存在する場合に炭化水素骨格は、ハロゲン原子以外の官能基(例えばヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、エポキシ基、オキシド基、チオ基、及びチオール基)を有することができる。これらの官能基は、ハロゲン化合物の炭化水素骨格に位置している炭素原子に結合していてよい。存在する場合に炭化水素骨格はまた、1個以上のヘテロ原子(例えば酸素、硫黄、及び窒素のヘテロ原子)、又は1個以上のヘテロ基(例えばピリジル、フリル、チエニル、及びイミダゾリル)を有することができる。
或いは、存在する場合に炭化水素骨格は、ハロゲン原子以外に、炭化水素骨格にある炭素原子に結合された懸垂基又は官能基を有さなくてもよい。さらに、又は1つの選択肢として、炭化水素骨格は、ヘテロ原子及びヘテロ基不含であってよい。炭化水素骨格は、飽和又は不飽和であり得る。
ハロゲン化合物は、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びこれらの組み合わせを含有することができる。これらのハロゲン原子はそれぞれ、炭化水素骨格にある炭素原子に、若しくは炭化水素骨格の懸垂基の1つにある炭素原子に、又はその双方に結合されていてよい。 ハロゲン化合物は、1分子当たりハロゲン原子を1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、若しくは10個、又はそれより多く有することができる。異なるハロゲン原子が1種以上、同じハロゲン化合物分子に存在していてよいことも考えられる。
ハロゲン化合物がハロゲン化アルキルを含有する態様において、この化合物は一般式II:
n2n+2-mm II
を有することができ、
上記式II中、n≧1であり、1≦m≦(2n+2)であり、Xはハロゲン原子である。Xは、フッ素、臭素、ヨウ素、及びこれらの組み合わせを含む群から選択される。幾つかの態様においてnは、1〜30、2〜25、2〜20、2〜15、9〜15、又は9〜12の範囲にあり得る:mは、1、2、3、4、5、6、又はこれらより大きい値であり得る。このハロゲン化アルキル化合物は、第一級、第二級、又は第三級であり得る。ハロゲン化アルキル化合物は幾つかの態様において、モノハロゲン化物、ジハロゲン化物、トリハロゲン化物、又はテトラハロゲン化物であり得る。異なるハロゲン原子1種以上が、同じハロゲン化アルキル化合物に存在していてよいことも考えられる。
第四級ハロゲン化合物は、第四級アミン塩に結合された1個以上のハロゲン原子を有する第四級アミン塩として理解することができる。ハロゲン原子は、第四級アミン塩の本体に沿って結合されていてよいか、又はハロゲン化物の対イオンとして第四級アミン塩に結合されていてよい。第四級アミン化合物は、1個、2個、3個、4個、5個、又はそれより多くの窒素原子を有することができる。第四級アミン化合物はまた、1個、2個、3個、4個、5個、又はそれより多くのハロゲン原子を有することができる。異なるハロゲン原子が1種以上が、同じ第四級アミン化合物に存在していてよいことも考えられる。第四級アミン化合物は、様々な種類の懸垂基を有することができ、それは例えばアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、又はヘテロアリール基であり(それぞれ1〜30個、1〜20個、1〜15個、又は3〜12個の炭素原子を有する)、第四級アミンは1個以上のアミン基、イミン基、ヒドロキシ基、ハロゲン基、及び/又はカルボキシ基によってさらに置換されていてよい。第四級アミン化合物は、環状であるか、又は非環状であり得る。
ハロゲン化合物の例には、テトラブロモエタン;ヨウ化エチル;臭化エチル;1,2−ジブロモエタン;トリフルオロ−1,2,2−ジブロモエタン;1−フルオロオクタン;トリブロモプロパン;ジブロモシクロヘキサン;ジブロモエタン;n−プロピルブロミド;1−ブロモ,4−フルオロシクロヘキサン;臭化ブチル;臭化オクチル;1−ヨードドデカン;1−ブロモドデカン;1,4−ジヨードブタン;1,4−ジブロモブタン;テトラフルオロエタン;3−ヨード−1−プロパノール;1−ブロモヘキサン;1−ヨードヘキサン;1−ブロモプロパン;及び1−ヨードプロパンが含まれる。
ハロゲン化合物は質量平均分子量が、30〜1500、50〜1000、100〜500、150〜500、200〜500、又は250〜500の範囲にあり得る。
ハロゲン化合物は、1気圧における沸点が50〜650℃、100〜450℃、135〜450℃、140〜450℃、145〜450℃、150〜450℃、155〜450℃、又は200〜400℃の範囲であり得る。或いは、ハロゲン化合物は、1気圧における沸点が少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、少なくとも150℃、又は少なくとも160℃であり得、かつこの1気圧における沸点は450℃未満、400℃未満、350℃未満、300℃未満、又は250℃未満であり得る。
ハロゲン化合物はまた、引火点が10〜300℃、25〜250℃、50〜250℃、75〜250℃、又は85〜200℃の範囲にあることによっても特徴付けられる。或いは、ハロゲン化合物は、引火点が少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも25℃、少なくとも30℃、少なくとも35℃、少なくとも40℃、少なくとも45℃、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、又は少なくとも85℃であり、かつこの引火点は250℃未満、225℃未満、200℃未満、175℃未満、150℃未満、又は125℃未満である。
特定の態様においてハロゲン化合物は、1気圧で25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、又は100℃の温度において液体である。
ハロゲン化合物は、様々な方法で合成できる。ハロゲン化合物は例えば、アルケンをハロゲン化物(例えば塩化水素若しくは臭化水素)と反応させて、相応するモノハロゲン化アルケンを得ることによって作製できる。或いは、ハロゲン化合物はアルコールをハロゲン化水素と反応させることによって作製できる。或いはまた、ハロゲン化合物はアルキルアルコールを、四臭化炭素、臭化ナトリウム、及びルテニウム触媒(すべてジメチルホルムアミド溶媒中にある)と反応させることによって作製できる。四臭化炭素は、臭化物以外のハロゲンが望ましい場合、他のハロゲン化合物で置き換えることができる。
ハロゲン化合物の慣用の使用には、ハロゲン化合物の反応生成物を形成することが含まれる。このような慣用の使用では、反応前のハロゲン化合物の全質量に対して、ハロゲン化合物の50質量%超が、通常は反応する。特定の態様では、添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物におけるあらゆる反応の前に添加剤パッケージ及び/又は潤滑剤組成物を形成するために利用されるハロゲン化合物の全質量に対して、ハロゲン化合物の少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%が、添加剤パッケージ及び/又は潤滑剤組成物中に未反応のまま残る。或いは、添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物におけるあらゆる反応の前にハロゲン化合物の全質量に対して、ハロゲン化合物の少なくとも95質量%、少なくとも96質量%、少なくとも97質量%、少なくとも98質量%、又は少なくとも99質量%が、添加剤パッケージ及び/又は潤滑剤組成物中に未反応のまま残る。
「未反応」という用語は、ハロゲン化合物の未反応の量が、添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物におけるあらゆる成分と反応しないということを表す。従って、未反応のハロゲン化合物の部分量は、潤滑剤組成物が最終的な用途(例えば内燃エンジン)において使用される前に、添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物に存在する場合、未使用の状態で残る。
「あらゆる反応の前」という表現は、添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物におけるハロゲン化合物の量の基準を言う。この表現は、ハロゲン化合物が、添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物において他の成分と反応することを要求するものではない。すなわち、ハロゲン化合物が、添加剤パッケージ及び/又は潤滑剤組成物におけるあらゆる反応の前にハロゲン化合物の全質量に対して100質量%、添加剤パッケージ及び/又は潤滑剤組成物中に未反応のまま残ってもよい。
1つの態様において、未反応のまま残るハロゲン化合物のパーセンテージは、添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物中に存在する全ての成分が、相互に平衡状態に達した後に特定される。添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物中で平衡に達するのに必要となる時間は、大きく変わり得る。例えば、平衡に達するのに必要となる時間は、一分から数日、又は数週間にもわたる。特定の態様において、添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物中で未反応のまま残るハロゲン化合物のパーセンテージは、1分後、1時間後、5時間後、12時間後、1日後、2日後、3日後、1週間後、1ヶ月後、6ヶ月後、又は1年後に特定される。
ハロゲン化合物は、アミン化合物との相互作用はあるが、アミン化合物とは反応しないため、潤滑剤組成物がフルオロポリマーシールと接触する際、フルオロポリマーシールとの否定的な相互作用をもたらすアミン化合物の傾向には干渉しないと考えられる。
添加剤パッケージという文脈においてハロゲン化合物は、添加剤パッケージの全質量に対して0.1〜99.5質量%、5〜50質量%、又は10〜40質量%の範囲の量で存在していてよい。潤滑剤組成物という文脈においてハロゲン化合物は、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜10質量%、0.05〜5質量%、0.1〜3質量%、又は0.1〜2質量%という範囲の量で存在していてよい。添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物は、異なるハロゲン化合物の混合物を含有することができる。
添加剤パッケージは、ハロゲン化合物と一般式Iのアミン化合物を、1:100から10:1、1:80から2:1、1:50から10:1、又は1:10から10:1の範囲の質量比で含むことができる。或いは、添加剤パッケージは、ハロゲン化合物とアミン化合物を、1:3から1:6の範囲の質量比で含むことができる。より具体的には、添加剤パッケージは、ハロゲン化合物とアミン化合物を、1:10から10:1の範囲の質量比、又は1:3から1:6の範囲の質量比で含むことができる。
別の態様においてシール適合性添加剤は、エポキシ化合物である。特定の態様においてエポキシ化合物は、一般式IIIによって表すことができる:
Figure 2017513978
一般式IIIにおいて、R8はそれぞれ独立して、水素原子、又はヒドロカルビル基である。R8によって示される複数の基がともに結合して、環状構造を形成することができる。
「環状」とは、少なくとも3個の原子がともに結合して環を形成するあらゆる分子を有する化合物を言う。幾つかの態様では、「環状」という用語は、芳香族化合物を包含しない。
エポキシ化合物は、オキシラン環を1つ以上有することができる。オキシラン環は、末端オキシラン環、又は内部オキシラン環であり得る。「末端オキシラン環」という用語は、オキシラン環を形成する炭素原子のいずれかが、2個の水素原子を有さなければならないこと、又はオキシラン環を形成する2個の炭素が、環状環の一部も形成することを意味する。「内部オキシラン環」という用語は、オキシラン環を形成する炭素原子のいずれも、1個より多くの水素原子に結合していないことを意味する。エポキシ化合物は、内部オキシラン環不含であってよく、又は、4個、3個、2個、又は1個よりも少ない内部オキシラン環を有することができる。或いは、エポキシ化合物は、1個、2個、3個、4個、又はそれより多い内部オキシラン環を含有することができる。或いはまた、エポキシ化合物は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個の末端オキシラン環を含有することができる。特定の態様において、少なくとも1個、又は少なくとも2個のオキシラン環は、末端であってよく、また環状であってよい。すなわち、オキシラン環の炭素は、環状環の一部である。
8で示されるヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、置換若しくは非置換で直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、又はこれらの組み合わせであり得る。R8で示されるヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、炭素原子を1〜100個、1〜50個、1〜40個、1〜30個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個有することができる。或いは、R8で示されるヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、炭素原子を20個未満、15個未満、12個未満、又は10個未満、有することができる。
「非置換」とは、示されたヒドロカルビル基又は炭化水素基が、置換官能基(例えばアルコキシ基、アミド基、アミン基、ケト基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、オキシド基、チオ基、及び/又はチオール基)を有さないこと、及び示されたヒドロカルビル基又は炭化水素基がヘテロ原子及び/又はヘテロ基を有さないことを意味する。
或いは、R8で示されたヒドロカルビル基はそれぞれ独立して置換されていてよく、1個以上のヘテロ原子(例えば酸素、窒素、硫黄、塩素、フッ素、臭素、若しくはヨウ素)、及び/又は1個以上のヘテロ基(例えばピリジル、フリル、チエニル、及びイミダゾリル)を有することができる。或いは、又はヘテロ原子とヘテロ基を含むことに加えて、R8で示されたヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、アルコキシ基、アミド基、アミン基、カルボキシ基、エポキシ基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基、ケト基、金属塩、スルフリル基、及びチオール基から選択される置換基を1個以上有することができる。或いは、R8で示されたヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、非置換であってよい。
例示的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、及びドデシルといった基が含まれる。例示的なシクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基である。例示的なアリール基には、フェニル基、及びナフタレニル基が含まれる。例示的なアリールアルキル基には、ベンジル、フェニルエチル、及び(2−ナフチル)−メチルが含まれる。
前述のように一般式IIIに関して、R8によって示されるヒドロカルビル基は、1個以上のエポキシ基を有することができる。これらのヒドロカルビルエポキシ基は、一般式IVによって表すことができる:
Figure 2017513978
一般式IVにおいて、R9は二価の炭化水素基であり、R10はそれぞれ独立して、水素原子、又はヒドロカルビル基であり得る。R9によって示される二価の炭化水素基は、置換若しくは非置換で直鎖若しくは分枝鎖のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、又はこれらの組み合わせであり得る。R9で示される炭化水素基はそれぞれ独立して、炭素原子を1〜100個、1〜50個、1〜40個、1〜30個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個有することができる。或いはまた、R9で示されるヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、炭素原子を20個未満、15個未満、12個未満、又は10個未満、有することができる。或いは、R9で示された炭化水素基はそれぞれ独立して置換されていてよく、1個以上のヘテロ原子(例えば酸素、窒素、硫黄、塩素、フッ素、臭素、若しくはヨウ素)、及び/又は1個以上のヘテロ基(例えばピリジル、フリル、チエニル、及びイミダゾリル)を有することができる。或いは、又はヘテロ原子とヘテロ基を含むことに加えて、R9で示された炭化水素基はそれぞれ独立して、アルコキシ基、アミド基、アミン基、カルボキシ基、エポキシ基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基、ケト基、金属塩、スルフリル基、及びチオール基から選択される置換基を1個以上有することができる。R10で示されるヒドロカルビル基は、一般式IIIに関して前述のR8と意味と同じであってよい。R10によって示される複数の基は、ともに結合して環状構造を形成することができる。
再び一般式IIIについて述べると、少なくとも1個のR8が、アミド基を有するヒドロカルボル基である場合、例示的なエポキシ化合物には、N−メチル−2,3−エポキシプロピオンアミド、N−エチル−2,3−エポキシプロピオンアミド、N−プロピル−2,3−エポキシプロピオンアミド、N−イソプロピル−2,3−エポキシプロピオンアミド、N−ブチル−2,3−エポキシプロピオンアミド、N−イソブチル−2,3−エポキシプロピオンアミド、N−tert−ブチル−2,3−エポキシプロピオンアミド、N−へキシル−2,3−エポキシプロピオンアミド、N−オクチル−2,3−エポキシプロピオンアミド、N−(2−エチルヘキシル)−2,3−エポキシプロピオンアミド、及びN−ドデシル−2,3−エポキシプロピオンアミドが含まれる。
特定の態様において一般式IIIのエポキシ化合物は、アルキルエポキシ化合物であり得る。アルキルエポキシ化合物の例は、1,2−エポキシブタン、2−メチル−2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシヘプタデカン、1,1−,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシノナデカン、及び2,3−エポキシペンタンであり得る。
或いは他の態様において、一般式IIIのエポキシ化合物は、アルキルグリシジルエーテル化合物であり得る。アルキルグリシジルエーテル化合物の例は、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテル、及びポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルである。
エポキシ化合物の例には、グリシドール、グリシドール誘導体、グリシジル、グリシジル誘導体、アリル−2,3−エポキシプロピルエーテル、イソプロピル−2,3−エポキシプロピルエーテル、(tert−ブトキシメチル)オキシラン、及び[[(2−エチルヘキシル)オキシ]メチル]オキシランも含まれる。
幾つかの態様においてエポキシ化合物は、エポキシエステル化合物であり得る。エポキシエステル化合物は、一般式Vによって表すことができる:
Figure 2017513978
一般式Vにおいて、R11によって示される基はそれぞれ独立して、水素原子、又はヒドロカルビル基であり、ここでR11によって示される基の少なくとも1個がエポキシ基であるか、又はエポキシ基で置換されたヒドロカルビル基である。或いは、特定の態様において、R11によって示される基がそれぞれエポキシ基であるか、又は少なくとも1個のエポキシ基によって置換されたヒドロカルビル基である。さらにまた、一般式VにおいてR11により示される基の少なくとも1個は、環状ヒドロカルビル基を示すことがあり、この場合、オキシラン環の2個の炭素が、環状環の一部である。R11により示されるヒドロカルビル基は独立して、一般式IIIに関して前述のR8と意味と同じであってよい。
一般式Vのエポキシエステル化合物の例は、メチル−2,3−エポキシプロピオネート、エチル−2,3−エポキシプロピオネート、プロピル−2,3−エポキシプロピオネート、イソプロピル−2,3−エポキシプロピオネート、ブチル−2,3−エポキシプロピオネート、イソブチル−2,3−エポキシプロピオネート、へキシル−2,3−エポキシプロピオネート、オクチル−2,3−エポキシプロピオネート、2−エチルヘキシル−2,3−エポキシプロピオネート、及びドデシル−2,3−エポキシプロピオネートである。
特定の態様において、一般式Vのエポキシエステル化合物は、一般式VIによってより具体的に示すことができる:
Figure 2017513978
一般式VIにおいて、R12で示される各基は、水素原子、又はヒドロカルビル基であり得る。R12で示されるヒドロカルビル基は、一般式IIIに関して前述のR8と意味と同じであってよい。一般式IIのエポキシエステル化合物の例は、グリシジル−2,2−ジメチルオクタノエート、グリシジルベンゾエート、グリシジル−tert−ブチルベンゾエート、グリシジルアクリレート、及びグリシジルメタクリレートであり得る。
特定の態様において、エポキシ化合物は環状エポキシ化合物である。環状エポキシ化合物は、一般式VIIによって表すことができる:
Figure 2017513978
一般式VIIにおいてZは、一般式VIIの環状環を完成させるために必要な原子の種類と数を表す。Zで表される環は、2〜20個、3〜15個、又は5〜15個の炭素原子を有することができる。例えば、Zで表される環は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、又は12個の炭素原子を含むことができる(あらゆる置換基における炭素原子の数は考慮しない)。Zは、置換若しくは非置換、分枝状若しくは非分枝状の二価の炭化水素基であってよく、この炭化水素基は、1個以上のヘテロ原子(例えば酸素、窒素、硫黄、塩素、フッ素、臭素、若しくはヨウ素)、又は1個以上のヘテロ基(例えばピリジル、フリル、チエニル、及びイミダゾリル)を有することができる。ヘテロ原子及び/又はヘテロ基を含むことに加えて、又はこれに代えて、Zで示される環は、1個以上のヒドロカルビル置換基(例えば一般式III中でR9について記載したもの)を有することができる。Zで示される二価の炭化水素基は、脂肪族、又は芳香族であり得る。幾つかの態様において、Zで示される二価の炭化水素基の例は、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、フェニル基、ナフタレニル基、ベンジル基、フェニルエチル基、及び(2−ナフチル)−メチル基である。ヘテロ原子、ヘテロ基、及び/又は上記置換基は、Zで示される環中で様々な原子に結合されていてよいことは、肯定的に評価すべきである。ヒドロカルビル置換基は例えば、オキシラン環の一部を形成するZで示される環中の1個以上の炭素に直接結合していてよい。代替的には、置換基、ヘテロ基、及びヘテロ原子は、炭化水素基中の他の炭素原子(例えば、オキシラン環の一部ではない炭素)に結合していてよい。幾つかの態様において、一般式VIIの環状エポキシ化合物は、末端オキシラン環を少なくとも2個有する脂環式エポキシ化合物であり得る。
一般式VIIの環状エポキシ化合物の例は、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロペンタン、3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロへキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロへキシルメチル)アジペート、及び4−エポキシエチル−1,2−エポキシシクロヘキサンであり得る。
上記一般式III、IV、V、VI、及びVIIから分かるように、エポキシ化合物は、モノエポキシド化合物、又はポリエポキシド化合物(例えばジエポキシド)であり得る。ポリエポキシ化合物は、少なくとも2個のオキシラン環を有する。さらに、幾つかの態様では、ポリエポキシ化合物は、一分子あたり10個未満、8個未満、5個未満、4個未満、又は3個未満のオキシラン環を有することができる。
ポリエポキシ化合物は、1個以上の置換若しくは非置換、分枝状若しくは非分枝状のヒドロカルビル基又は二価の炭化水素基を有することができ、それは例えば、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール、アルキルアリール基、アリールアルキル基、及びこれらの組み合わせである。ポリエポキシ化合物に含まれるヒドロカルビル基又は二価の炭化水素基はそれぞれ独立して、1個以上のヘテロ原子(例えば酸素、窒素、硫黄、塩素、臭素、フッ素、若しくはヨウ素)により置換されていてよく、かつ/又は独立して1個以上のヘテロ基(例えばピリジル、フリル、チエニル、及びイミダゾリル)を有することができる。ポリエポキシ化合物中のヒドロカルビル基又は二価の炭化水素基はそれぞれ、アルコキシ、アミド、アミン、カルボキシ、エポキシ、エステル、エーテル、ヒドロキシ、ケト、金属塩、スルフリル、及びチオール基から選択される置換基を1個以上有することができる。ポリエポキシ化合物中のヒドロカルビル基又は二価の炭化水素基はそれぞれ独立して、炭素原子を1〜100個、1〜50個、1〜40個、1〜30個、1〜20個、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個有することができる。ヒドロカルビル基又は二価の炭化水素基は、相互に結合して、又はオキシラン環の1個以上の炭素原子に結合して、ポリエポキシ化合物を形成することがある。
幾つかの態様において、ポリエポキシ化合物は、一般式VIIIにより表すことができる:
Figure 2017513978
一般式VIIIにおいて、R13、R14、R15、R16、及びR17はそれぞれ独立して、水素原子、又はヒドロカルビル基である。R18は、二価の炭化水素基である。一般式VIIIにおいてR13、R14、R15、R16、及びR17で示されるヒドロカルビル基は、一般式IIIに関して前述のR8と意味と同じであってよい。一般式VIIIにおいてR18で示される二価の炭化水素基は、一般式IVに関して前述のR9と意味と同じであってよい。 特定の態様においてR13、及びR14は、オキシラン環の2個の炭素とともに、環状構造を形成する。別の態様においてR15、及びR16は、オキシラン環の2個の炭素とともに、環状構造を形成する。一般式VIIIのポリエポキシ化合物はそれ自体、1個、2個、又は2個より多くの環状環を有することができる。特定の態様においてはさらに、一般式VIIIにおける少なくとも1個、又は少なくとも2個のオキシラン酸素が、2個の環状炭素(すなわち、環状環の一部を形成する炭素)に直接結合している。
或いは、ポリエポキシ化合物は、一般式IXにより以下のように表すことができる:
Figure 2017513978
一般式IXにおいてZはそれぞれ、一般式IXに関して前述の意味と同じであってよい。一般式IXにおいて、R19は二価の炭化水素基である。R19は、一般式IVにおけるR9について前述の意味と同じであってよい。R19で示される二価の炭化水素基は、Zにより示される二価の炭化水素基における様々な原子に結合していてよいことを、肯定的に評価すべきである。例えば、R19で示される二価の炭化水素基は、特定の態様において、1個以上のオキシラン環炭素に直接結合していてよい。或いは、R19で示される二価の炭化水素基は、Zにより示される炭化水素基における非オキシラン環炭素原子に結合していてよい。一般式IXのポリエポキシ化合物は、以下の化合物によって例示できる:
Figure 2017513978
Figure 2017513978
1つの態様においてポリエポキシ化合物は、少なくとも2個のオキシラン環を有するポリエポキシドエステル化合物であり得る。特定の態様において、ポリエポキシドエステル化合物は、一般式Xにより例示できる:
Figure 2017513978
一般式XにおいてZはそれぞれ、一般式VIIに関して前述の意味と同じであってよい。一般式Xにおいて、R20は二価の炭化水素基である。R20は、一般式IVにおけるR9について前述の意味と同じであってよい。R20で示される二価の炭化水素基は、Zにより示される二価の炭化水素基における様々な原子に結合していてよいことを、肯定的に評価すべきである。例えば、R20で示される二価の炭化水素基は、特定の態様において、1個以上のオキシラン環炭素に直接結合していてよい。或いは、R20で示される二価の炭化水素基は、Zにより示される環における非オキシラン環炭素原子に結合していてよい。1つの態様において、一般式Xのエポキシ化合物は、3,4−エポキシシクロアルキル、3,4−エポキシシクロアルキルカルボキシレート、例えば3,4−エポキシシクロへキシルメチル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。一般式Xのポリエポキシドエステル化合物は、以下の化合物によって例示できる:
Figure 2017513978
Figure 2017513978
或いはまた、エポキシ化合物は、一般式XIにより以下のように例示することができる:
[A]w[B]x XI
一般式XIにおいて、Aはそれぞれ独立して、ヒドロカルビル基又は二価の炭化水素基であり、Bはそれぞれエポキシ基である。Aで示される基は、一般式IIIにおけるR8、又は一般式IVにおけるR9の前述の意味と同じであってよい。「w」は、0〜50の値の整数であり、「x」は、0〜10の値の整数であり、ここでw+x≧1であるが、ただしx=0の場合、Aにより示される少なくとも1個の部分が、エポキシ置換基を有するヒドロカルビル基である。「w」は、1〜40、1〜30、1〜20、1〜10、1〜8、1〜5、又は1〜3の値を有する整数であってよく、「x」は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1の値を有する整数であり得る。一般式XIにおける基A及びBは、あらゆる順序で、繰り返し数を変えて、相互に結合していてよいことを肯定的に評価すべきである。
エポキシ化合物は、以下の化合物によって例示することができる:
Figure 2017513978
Figure 2017513978
Figure 2017513978
Figure 2017513978
Figure 2017513978
これらの例示的な化合物の全てが、一般式III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、及びXIの1つ以上の範囲に、及び/又は上記エポキシ化合物の範囲に入ることを肯定的に評価するべきである。
特定の態様においてエポキシ化合物は、窒素原子、硫黄原子、リン原子、塩素原子、臭素原子、及び/又はヨウ素原子不含であり得る。前述のようにエポキシ化合物は、脂肪族、環式、非環式、及び/又は芳香族であり得る。
エポキシ化合物は質量平均分子量が、44〜1000、50〜750、100〜500、100〜400、又は100〜200であり得る。或いはまた、エポキシ化合物は、質量平均分子量が少なくとも30、少なくとも50、少なくとも70、少なくとも90、少なくとも110、又は少なくとも130であり得る。或いはエポキシ化合物は、質量平均分子量が1500未満、1300未満、1100未満、900未満、700未満、500未満、400未満、又は300未満であり得る。
エポキシ化合物はエポキシ当量が、エポキシ化合物のオキシラン環1molあたり75〜300g、75〜250g、75〜200g、85〜190g、85〜175g、95〜160g、又は100〜145gであり得る。或いは、エポキシ化合物はエポキシ当量が、エポキシ化合物のオキシラン環1molあたり少なくとも50g、少なくとも60g、少なくとも70g、少なくとも80g、少なくとも90g、少なくとも100g、少なくとも110g、少なくとも120g、少なくとも130g、少なくとも140g、又は少なくとも150gであり得る。本開示を通じて言及しているように「エポキシ当量」とは、エポキシ化合物の質量平均分子量を、分子中のオキシラン環の数で割ることによって得られる数値である。
エポキシ化合物の塩基性作用は、酸滴定によって特定できる。生じる中和価は、合計塩基価(TBN)として表され、様々な方法を用いて測定できる。ASTM D4739は、電位差による塩化水素酸滴定である。このASTM D4739による方法は、使用済みオイルを用いたエンジン試験において好ましく、TBN減少/保持性を測定するために用いられる。使用済みエンジン潤滑剤を試験する場合、特定の弱塩基は、オイルに組み込まれていたと言うよりは、稼働の結果であると認識されるべきである。この試験法は、潤滑剤組成物において、酸化又は他の稼働条件の下、生成する潤滑剤組成物の色又は他の特性に拘わらず、使用の間に起こる相対的な変化を示すために使用できる。
幾つかの態様において、エポキシ化合物は潤滑剤組成物の合計塩基価に対して、否定的な影響をもたらさない。或いはエポキシ化合物は、潤滑剤組成物のTBNを、エポキシ化合物1gあたり少なくとも0.5mgKOH、少なくとも1mgKOH、少なくとも1.5mgKOH、少なくとも2mgKOH、少なくとも2.5mgKOH、少なくとも3mgKOH、少なくとも3.5mgKOH、少なくとも4mgKOH、少なくとも4.5mgKOH、少なくとも5mgKOH、少なくとも10mgKOH、又は少なくとも15mgKOH改善させることができる。潤滑剤組成物のTBN値は以下に記すように、ASTM D2896及び/又はASTM D4739に従って測定できる。
特定の態様において、エポキシ化合物はモノマー状である。「モノマー状」という用語は、対象の化合物が、相互に結合した繰り返しモノマー単位を3個より多く、2個より多く、又は1個より多く有さないということを表す。或いは、「モノマー状」とは、あらゆる繰り返しモノマー単位を含有しない化合物について言うことがあり得る。換言すれば、「モノマー状」とは、オリゴマー状、又はポリマー状の化合物を排除する用語である。特定の態様において、モノマー状エポキシ化合物は、エポキシ化されてオキシラン環を1個以上有する油又はアルキル脂肪酸エステル(例えばエポキシ化された植物油)を排除する。代替的に潤滑剤組成物又は添加剤パッケージは、エポキシ化された脂肪酸エステル、又はエポキシ化された油を、潤滑剤組成物の全質量に対して5質量%未満、4質量%未満、3質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.5質量%未満、0.1質量%未満、又は0.01質量%未満、含有することができる。ここで使用するように、「エポキシ化された油」という用語は、1分子あたり少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、又は少なくとも9個のエポキシ基を有し、かつ/又はエポキシ当量が200超、250超、又は300超、又は350超である天然油を言う。ここで使用するように、「エポキシ化脂肪酸エステル」という用語は、エポキシ化されて1分子あたり少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、又は少なくとも9個のエポキシ基を有し、かつ/又はエポキシ当量が200超、250超、又は300超、又は350超である天然脂肪酸エステル又は酸を言う。ここで使用するように、「天然」という用語は、天然に産生する化合物を言う。
エポキシ化合物は沸点が、1気圧の圧力で少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、又は少なくとも150℃であり得る。或いは、エポキシ化合物は沸点が、1気圧の圧力で50〜450℃、55〜450℃、65〜450℃、75〜450℃、85〜450℃、100〜450℃、115〜450℃、125〜450℃、135〜450℃、150〜450℃、又は200〜400℃である。さらに特定の態様において、エポキシ化合物は、50℃の定常温度で、また1気圧の定常圧力で液状である。
エポキシ化合物は引火点が、1気圧の圧力で25〜250℃、50〜250℃、65〜250℃、75〜250℃、100〜250℃、又は115〜250℃であり得る。或いはエポキシ化合物は、1気圧の圧力で引火点が、少なくとも25℃、少なくとも35℃、少なくとも45℃、少なくとも55℃、少なくとも65℃、少なくとも75℃、少なくとも85℃、少なくとも95℃、少なくとも105℃、少なくとも115℃、少なくとも125℃、又は少なくとも135℃であり得る。
潤滑剤組成物中に含まれるエポキシ化合物の量は、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜8質量%、0.05〜5質量%、0.1〜2質量%、0.1〜1.5質量%、0.3〜1.2質量%、0.4〜1質量%、0.1〜1質量%、0.1〜0.8質量%、又は0.2〜0.7質量%の量であり得る。エポキシ化合物はまた、添加剤パッケージ中に、添加剤パッケージの全質量に対して0.5〜90質量%、1〜50質量%、1〜30質量%、又は5〜25質量%の量で含まれていてよい。潤滑剤組成物及び/又は添加剤パッケージは、2種以上の異なるエポキシ化合物を含むことができる。
特定の態様においてエポキシ化合物は、潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜5質量%、0.01〜4.5質量%、0.01〜4質量%、0.01〜3.5質量%、0.01〜3質量%、0.01〜2.5質量%、0.01〜2質量%、0.01〜1.5質量%、0.01〜1質量%、0.1〜0.9質量%、0.2〜0.8質量%、又は0.3〜0.7質量%の量のオキシラン酸素をもたらすのに充分な量で含まれている。
エポキシ化合物は、当業者に知られた様々な方法により製造することができる。エポキシ化合物は例えば、アリルエーテル、α,β−不飽和アミドをエポキシ化して、相応するグリシジルエーテル、グリシジルエステル、又はグリシジルアミドにすることによって製造できる。或いは、オレフィンを過酸化水素及び有機過酸によりエポキシ化して、エポキシ化合物にすることができる。或いは、オレフィンを遷移金属触媒及び補助酸化剤の存在下でエポキシ化して、エポキシ化合物にすることができる。適切な補助酸化剤には、過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ヨードシルベンゼン、次亜塩素酸ナトリウムなどが含まれる。或いは、グリシジルエステルは塩基の存在下で、α−ハロエステル及びアルデヒド又はケトンのダルツェン縮合によって製造することができる。
特定の態様において、潤滑剤組成物及び/又は添加剤パッケージは、エポキシ反応触媒を含有しないか、又は潤滑剤組成物の全質量に対して5質量%未満、3質量%未満、1質量%未満、0.5質量%未満、0.1質量%未満、又は0.05質量%未満しか含有しない。エポキシ反応触媒は、金属塩、例えば脂肪酸の金属塩、ナフテネート、フェノレート、アルコラート、カルボキシレート、及び相応するチオ類似体、スルホネート、及びスルフィネートであり得る。エポキシ反応触媒とはまた、カルシウムセチルアルコラート、バリウムイソアミルチオフェノレート、ナフテン酸カルシウム、及びアルキル置換されたベンゼンスルホン酸の金属塩であり得る。幾つかの態様においてエポキシ反応触媒とは、潤滑剤組成物中で100℃未満、80℃未満、又は60℃未満の温度でエポキシ化合物とさらなる成分との反応を触媒する成分と規定される。さらなる成分には、エポキシ反応触媒及びエポキシ化合物以外の、本明細書に記載されるあらゆる化合物が含まれ得るが、これらに限られることはない。例えば、上記さらなる成分は、分散剤、耐摩耗性添加剤、酸化防止剤、又は潤滑剤組成物の合計塩基価に影響をもたらす成分であり得る。
潤滑剤組成物におけるエポキシ化合物の慣用の使用は、慣用の分散剤と、慣用のエポキシ化合物との反応生成物を形成する工程を伴う。これらの適用では、慣用のエポキシ化合物は化学反応により消費され、最終的に形成される潤滑剤組成物は、未反応状態の慣用のエポキシ化合物を検知可能な量では含有しない。慣用のエポキシ化合物は、付加反応によって反応して、潤滑剤組成物に1個以上の小さな分子が付加することにより、慣用のエポキシ化合物のあらゆる部分を脱離若しくは開裂させることなく、慣用のエポキシ化合物のエポキシ基の開環につなげることができる。
このような慣用の使用では、潤滑剤組成物中にある慣用のエポキシ化合物の全質量に対して慣用のエポキシ化合物の50質量%超が通常、反応前に、慣用の分散剤又は他の化合物と反応する。特定の態様では、潤滑剤組成物を形成するために利用されるエポキシ化合物の全質量に対して、エポキシ化合物の少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%が、潤滑剤組成物におけるあらゆる反応の前に、潤滑剤組成物中に未反応のまま残る。或いは、エポキシ化合物の全質量に対して、エポキシ化合物の少なくとも95質量%、少なくとも96質量%、少なくとも97質量%、少なくとも98質量%、又は少なくとも99質量%が、潤滑剤組成物におけるあらゆる反応の前に、潤滑剤組成物中に未反応のまま残る。
特定の態様において潤滑剤組成物は、150℃未満、125℃未満、100℃未満、又は80℃未満の温度でエポキシ化合物と反応するであろう化合物を、潤滑剤組成物の全質量に対して10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.5質量%未満、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0.001質量%未満、又は0.0001質量%未満含む。100℃未満の温度でエポキシ化合物と反応可能な種類の化合物の例には、酸、アミン硬化剤、無水物、トリアゾール、及び/又は酸化物が含まれる。特定の態様において潤滑剤組成物は酸、アミン硬化剤、無水物、トリアゾール、及び/又は酸化物を集合的な量で含有することができ、その量は潤滑剤組成物の全質量に対して5質量%未満、3質量%未満、1質量%未満、0.5質量%未満、又は0.1質量%未満である。或いは潤滑剤組成物は酸、アミン硬化剤、無水物、トリアゾール、及び/又は酸化物を集合的な量で含有することができ、その量は潤滑剤組成物の全質量に対して0.01質量%未満、0.001質量%未満、又は0.0001質量%未満である。或いはまた、潤滑剤組成物は酸、アミン硬化剤、無水物、トリアゾール、及び/又は酸化物不含であってよい。
他の慣用の使用において、慣用のエポキシ化合物は、潤滑剤組成物中で摩擦重合(tribopolymerization)を経て、保護潤滑フィルムを形成する。摩擦重合プロセスにおいてポリマー形成剤は固体表面に吸着され、摩擦条件下で重合して、有機ポリマーフィルムが摩擦表面に直接形成される。このような慣用の使用では、慣用のエポキシ化合物の50質量%超が、通常、摩擦重合により反応する。対照的に、本発明による潤滑剤組成物は、摩擦重合によって反応しないエポキシ化合物を大量に含むことができる。特定の態様では、潤滑剤組成物を形成するために利用されるエポキシ化合物の全質量に対して、エポキシ化合物の少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%が、潤滑剤組成物において摩擦重合により100℃未満、80℃未満、又は60℃未満の温度で反応しない。或いは、潤滑剤組成物中のエポキシ化合物の全質量に対して、エポキシ化合物の少なくとも95質量%、少なくとも96質量%、少なくとも97質量%、少なくとも98質量%、又は少なくとも99質量%が、潤滑剤組成物において摩擦重合により100℃未満、80℃未満、又は60℃未満の温度で反応しない。
アミン化合物は、エポキシ化合物と実質的に反応して塩を形成することはない。塩が形成されていないことは、エポキシ化合物とアミン化合物が潤滑剤組成物及び/又は添加剤パッケージ中にまとめられる場合、エポキシ化合物とアミン化合物のNMR分光分析において化学シフトが欠如していることによって証明される。換言すれば、アミン化合物の少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、少なくとも95質量%、又は少なくとも99質量%が、潤滑剤組成物及び/又は添加剤パッケージが平衡に達した後、未反応のまま残る。
基油、及びシール適合性添加剤から、基油、シール適合性添加剤、及びアミン化合物から、又は基油、シール適合性添加剤、及び耐摩耗性添加剤から、又は基油、アミン化合物、シール適合性添加剤、及び耐摩耗性添加剤から成る、又は実質的に成る様々な態様において潤滑剤組成物は、酸、アミン硬化剤、無水物、トリアゾール、及び酸化物不含であるか、又はこれらを0.01質量%未満、0.001質量%未満、又は0.0001質量%未満、含有する。
他の態様においてシール適合性添加剤は、ボロキシン化合物である。ボロキシン化合物自体は、潤滑剤組成物のシール適合性を改善するため、潤滑剤組成物中に、又は潤滑剤組成物用の添加剤パッケージ中に含まれていてよい。ボロキシン化合物は潤滑剤組成物中で、一般式Iのアミン化合物と組み合わされていてよい。潤滑剤組成物又は添加剤パッケージの中にアミン化合物とともに存在する場合、ボロキシン化合物はこれらのアミン化合物と相互作用を起こし、潤滑剤組成物がフルオロポリマーシールと接触した時に、フルオロポリマーシールとの否定的な相互作用をもたらすアミン化合物の傾向に干渉すると考えられるが、アミン化合物の安定化作用に影響を与えることは無い。
このボロキシン化合物は、下記一般式XII:
Figure 2017513978
を有する。
一般式XII中、R21はそれぞれ独立して、7個以下の炭素原子を有するアルキル基である。例えばR21はそれぞれ独立して、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、又は1〜2個の炭素原子を有するアルキル基であり得る。R21はそれぞれ独立して、直鎖状又は分枝鎖状であり得る。1つの態様では、R21はそれぞれメチル基であり得る。R21の例は独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、及びn−ヘキシル基を含む。
ボロキシン化合物には、トリメトキシボロキシン、トリプロポキシボロキシン、トリイソプロポキシボロキシン、トリブトキシボロキシン、トリペントキシボロキシン、トリヘキソキシボロキシン、及びトリヘプトキシボロキシンが含まれるが、これらに限られることはない。例えばトリメトキシボロキシンは、下記式で例示できる:
Figure 2017513978
特定の態様においてR21はそれぞれ、明確なアルキル基を表すことができる。このようなボロキシン化合物は例えば、下記式で例示できる:
Figure 2017513978
上記式XII中、R21で表される基の1つがメチルであり、上記式XII中、R21で表される基の1つがエチルであり、上記式XII中、R21で表される基の1つがプロピルである。或いはまた、上記式XII中、R21で表される基が同じであってよく、上記式XII中、R21で表される基が異なっていてもよい。
ボロキシン化合物は、潤滑剤組成物及び/又は添加剤パッケージ中に、潤滑剤組成物及び/又は添加剤パッケージにおける所望のホウ素濃度をもたらすのに充分な量で含有されていてよい。ボロキシン化合物は例えば、潤滑剤組成物の質量全体に対して、潤滑剤組成物中に1〜5000ppmのホウ素をもたらすのに充分な量で含有されていてよい。或いは、ボロキシン化合物は潤滑剤組成物又は添加剤パッケージ中に、潤滑剤組成物の全質量に対して100〜5000ppm、300〜3000ppm、500〜1500ppm、又は700〜1200ppmのホウ素をもたらすのに充分な量で含有されていてよい。或いはまたボロキシン化合物は、潤滑剤組成物の全質量に対して、潤滑剤組成物中に1〜100ppm、1〜40ppm、1〜20ppm、又は10〜20ppmのホウ素をもたらすのに充分な量で含有されていてよい。
或いは、ボロキシン化合物は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.1〜10質量%、0.1〜5質量%、0.1〜1質量%、0.3〜0.7質量%、0.5〜3質量%、又は0.5〜1.5質量%の範囲の量で含有されていてよい。別の態様においてボロキシン化合物は、潤滑剤組成物の全質量に対して1質量%超、5質量%未満の量で含有されている。異なるボロキシン化合物の混合物も、潤滑剤組成物又は添加剤パッケージにおいて組み合わせで使用できる。
添加剤パッケージとして調製する場合、ボロキシン化合物は、添加剤パッケージの全質量に対して0.1〜75質量%の範囲の量で存在していてよい。ボロキシン化合物はまた、添加剤パッケージ中に、添加剤パッケージの質量に対して0.1〜50質量%、0.1〜33質量%、又は0.1〜25質量%の範囲の量で存在していてよい。
ボロキシン化合物は、多様な方法で作製できる。一例としてボロキシン化合物は、オルトホウ酸(H3BO3)2molと、トリアルキルボレート1molとを反応させることによって作製できる。アルキルボレートは、一般式XII中R21で示される基における所望の炭素原子の数に応じて、炭素原子を1〜7個有することができる。この反応は、1molのH2Oを除去するために、50〜150℃の範囲で行うことができる。
慣用のホウ素化合物の慣用の使用は、慣用のアミン化合物と、慣用のホウ素化合物との反応生成物を形成する工程を伴う。慣用のホウ素化合物は、反応性ボレートエステル及びホウ酸によって例示できる。これらの適用では、慣用のホウ素化合物は化学反応により消費され、最終的に形成される潤滑剤組成物は、慣用のホウ素化合物を検知可能な量では含有しない。これらの適用ではさらに、慣用のアミン化合物を慣用のホウ素化合物と反応させると、塩が形成される。塩の形成は、慣用のホウ素化合物と、慣用のアミン化合物との反応時の電気的な衝撃によって実証され、これはNMR分光分析における化学シフトとして可視化できる。また、反応(例えば熱の生成、及び溶液の粘稠化=架橋)が起こるという物理的な指標もある。
慣用のホウ素化合物をこのように適用する場合、反応前の慣用のホウ素化合物の全質量に対して、慣用のホウ素化合物の50質量%超が、通常、慣用のアミン化合物と反応するか、又は加水分解されている。潤滑剤組成物は、ボロキシン化合物の反応を通して形成される塩を含有しなくてもよく、或いは、ボロキシン化合物の反応を通して形成される塩を、あらゆる反応後の潤滑剤組成物の全質量に対して10質量%未満、5質量%未満、又は1質量%未満、含有できる。
特定の態様では、潤滑剤組成物を形成するために利用されるボロキシン化合物の全質量に対して、ボロキシン化合物の少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%が、潤滑剤組成物におけるあらゆる反応の前に、潤滑剤組成物中に未反応のまま残る。或いは、ボロキシン化合物の全質量に対して、ボロキシン化合物の少なくとも95質量%、少なくとも96質量%、少なくとも97質量%、少なくとも98質量%、又は少なくとも99質量%が、潤滑剤組成物におけるあらゆる反応の前に、潤滑剤組成物中に未反応のまま残る。
1つの態様において、未反応のまま残るボロキシン化合物のパーセンテージは、潤滑剤組成物中に存在する全ての成分が、相互に平衡状態に達した後に特定される。潤滑剤組成物中で平衡に達するのに必要となる時間は、大きく変わり得る。例えば、平衡に達するのに必要な時間は、一分から数日、又は数週間にもわたる。特定の態様において、潤滑剤組成物中で未反応のまま残るボロキシン化合物のパーセンテージは、1分後、1時間後、5時間後、12時間後、1日後、2日後、3日後、1週間後、1ヶ月後、6ヶ月後、又は1年後に特定される。潤滑剤組成物中で未反応のまま残るボロキシン化合物のパーセンテージは一般的に、最終的な使用の前に特定される。
特定の態様において潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の全質量に対して、0.1質量%未満、0.01質量%未満、0.001質量%未満、又は0.0001質量%未満、ボロキシン化合物と反応するであろう化合物を含有する。
潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の全質量に対して100ppm未満、50ppm未満、10ppm未満、又は5ppm未満、B(OH)3 -イオンを含有することができる。慣用のボロキシン化合物は、慣用の潤滑剤組成物と組み合わせる前に、B(OH)3 -イオンが100ppm超、慣用の潤滑剤組成物に存在するように加水分解されていてよい。このような加水分解状態において、本願の発明者らは意外なことに、生成する慣用のボロキシン化合物が、シール適合性に対して所望の効果をもたらさないことに気付いた。換言すれば、潤滑剤組成物中に、ボロキシン化合物の全質量に対して、ボロキシン化合物の少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%、少なくとも95質量%、又は少なくとも99質量%が、加水分解されていない状態で残る。加水分解されたボロキシン化合物の量は、未反応のまま残るボロキシン化合物の量を特定する際に考慮される。
さらにボロキシン化合物は、潤滑剤組成物の合計塩基価(TBN)に対して、否定的な影響をもたらさない。潤滑剤組成物のTBN値は以下に記すように、ASTM D2896及びASTM D4739に従って測定できる。
ボロキシン化合物を潤滑剤組成物に組み込むことにより、潤滑剤組成物がシールを分解する傾向は、ボロキシン化合物不含の潤滑剤組成物に比べて減少する。
他の態様においてシール適合性添加剤は、スルホン酸エステルである。スルホン酸エステル自体は、潤滑剤組成物のシール適合性を改善するため、潤滑剤組成物中に、又は潤滑剤組成物用の添加剤パッケージ中に含まれていてよい。
特定の態様においてスルホン酸エステルは、スルホン酸エステルがスルホネート基を含有する限り、多くの形態を取り得ると理解されるべきである。スルホン酸エステルとは例えば、モノスルホン酸エステル、ジスルホン酸エステル、トリスルホン酸エステル、及び4個以上のスルホネート基を有するスルホン酸エステルであり得る。異なるスルホネート基が2種以上、又は同種のスルホネート基2個以上が、同じスルホン酸エステルに存在し得ることも考えられる。スルホン酸エステルには例えば、少なくとも1個のメシレート基、及び少なくとも1個のトシレート基が、同じ分子に含まれ得る。
1つの態様において、スルホン酸エステルは、以下の一般式(XIII)を有する:
Figure 2017513978
上記式中、R22及びR23は、それぞれ独立して選択されるヒドロカルビル基である。R22及びR23で示されるヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、置換若しくは非置換で直鎖若しくは分枝鎖のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル基、又はこれらの組み合わせであり得る。R22及びR23で示されるヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、炭素原子を1〜100個、1〜50個、1〜40個、1〜30個、1〜20個、1〜17個、1〜15個、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個有することができる。或いは、R22及びR23で示されるヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、炭素原子を20個未満、15個未満、12個未満、又は10個未満、有することができる。例示的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、セチル、3,5,5−トリメチルへキシル、2,5,9−トリメチルデシル、及びドデシルといった基が含まれる。例示的なシクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基である。例示的なアリール基には、フェニル基、及びナフタレニル基が含まれる。例示的なアリールアルキル基には、ベンジル、フェニルエチル、及び(2−ナフチル)−メチルが含まれる。
幾つかの態様において、スルホン酸エステルは置換基不含であるか、又は特定の置換基を限定された数で有する。スルホン酸エステルは例えば、カルボニル基を3個未満、2個未満、1個有するか、又は完全にカルボニル基不含であり得る。別の態様においてスルホン酸エステル基は、エストリド基不含である(かつエストリドではない)。さらに別の態様においてスルホン酸エステルは、金属イオン及び/又はその他のイオン不含である。
特定の態様において、R22及びR23で示されたヒドロカルビル基はそれぞれ独立して置換されていてよく、少なくとも1個のヘテロ原子(例えば酸素、窒素、硫黄、塩素、フッ素、臭素、若しくはヨウ素)、及び/又は少なくとも1個のヘテロ基(例えばピリジル、フリル、チエニル、及びイミダゾリル)を有することができる。或いは、又はヘテロ原子とヘテロ基を含むことに加えて、R22及びR23で示されたヒドロカルビル基はそれぞれ独立して、アルコキシ基、アミド基、アミン基、カルボキシ基、エポキシ基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基、ケト基、スルホネート基、スルフリル基、及びチオール基から選択される置換基を少なくとも1個有することができる。例えば、R22及びR23で示されたヒドロカルビル基はそれぞれ、スルホネート基を有するヒドロカルビル基を有することができる。或いはまた、R22及びR23で示された少なくとも1個のヒドロカルビル基は、少なくとも2個のスルホネート基を有するヒドロカルビル基を有することができる。
1つの態様において一般式(XIII)のスルホン酸エステルは環状であり、これはつまり、R22及びR23で示された少なくとも1個の基が環状であるか、又はR22及びR23が環状の懸垂基を有するということである。別の態様において一般式(XIII)のスルホン酸エステルは、非環状ヒドロカルビル基であり、これはつまり、R22及びR23の両方が非環状であり、R22及びR23が環状の懸垂基不含であるということである。或いはさらに、一般式(XIII)に関して、R22がメチル基であり、R23が1〜17個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり;R22がメチル基であり、R23が1〜17個の炭素原子を有するアルキル基であってよく;R22がメチルベンジル基であり、R23が1〜17個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり;又はR22がメチルベンジル基であり、R23が1〜17個の炭素原子を有するアルキル基であり得る。
或いは、一般式(XIII)によって考慮されるように、他の態様ではR22がp−ニトロベンゼンスルホネート、及びp−ブロモベンゼンスルホネートから選択され、R23が1〜17個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である。
幾つかの態様においてスルホン酸エステルは、イオン結合不含である。換言すれば、この態様においてスルホン酸エステルの原子間に存在する結合は、共有結合のみから成る。スルホン酸エステル自体は、塩ではない。
スルホン酸エステルは質量平均分子量が、96〜1500、100〜1000、100〜500、150〜500、又は250〜400の範囲にあり得る。
幾つかの態様においてスルホン酸エステルは、硫黄を、スルホン酸エステル中の合計モル数に対して1〜50mol%、1〜40mol%、5〜30mol%、5〜25mol%、10〜25mol%含有することができる。
例示的に、一般式(XIII)及び上記説明に包含されるスルホン酸エステルは、以下の化合物1種以上によって例示できる:
Figure 2017513978
Figure 2017513978
スルホン酸エステルは、様々な方法で合成できる。スルホネートは例えば、塩化スルホニルのアルコール分解によって、以下の反応メカニズムにより形成できる:
22SO2Cl+R23OH → R22SO2OR23+HCl
上記式中、R22及びR23はそれぞれ独立して、式(XIII)で前述のようにヒドロカルビル基である。しかしながら、スルホン酸エステルを合成するための他の方法が考慮されれていることも肯定的に評価されるべきである。
特定の態様では、添加剤パッケージ及び/又は潤滑剤組成物を形成するために利用されるスルホン酸エステルの全質量に対して、スルホン酸エステルの少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、又は少なくとも90質量%が、添加剤パッケージ又は潤滑剤組成物におけるあらゆる反応の前に、添加剤パッケージ及び/又は潤滑剤組成物中に未反応のまま残る。或いは、添スルホン酸エステルの全質量に対して、スルホン酸エステルの少なくとも95質量%、少なくとも96質量%、少なくとも97質量%、少なくとも98質量%、又は少なくとも99質量%が、加剤パッケージ又は潤滑剤組成物におけるあらゆる反応の前に、添加剤パッケージ及び/又は潤滑剤組成物中に未反応のまま残る。
添加剤パッケージは、シール適合性添加剤及びアミン化合物から成るか、又は実質的にこれらから成る。添加剤パッケージは、シール適合性添加剤又はアミン化合物の官能性若しくは性能に大きく影響を与えない添加剤1種以上に加えて、シール適合性添加剤及びアミン化合物から成るか、又は実質的にこれらから成る。他の態様において、「〜から実質的に成る」という用語は、添加剤パッケージが、当業者に認識されているように、添加剤パッケージの性能全体に大きく影響を与える化合物不含であると説明できる。例えば、添加剤パッケージの性能全体に大きく影響を与える化合物は、添加剤パッケージから作製される潤滑剤組成物のTBN増強、潤滑性、フルオロポリマーシール適合性、腐食防止性、又は酸性に否定的な影響を与える化合物と説明できる。
潤滑剤組成物は基油を含有することができる。基油は、American Petroleum Institute (API) Base Oil Interchangeability Guidelinesに従って分類される。すなわち基油は、五種類の基油のうち1つ以上としてさらに記載できる。第I群:硫黄分0.03質量%超、かつ/又は飽和炭化水素90質量%未満、粘度指数80〜119)、第II群(硫黄含分0.03質量%以下、飽和炭化水素90質量%以上、粘度指数80〜119)、第III群(硫黄分0.03質量%以下、飽和炭化水素90質量%以上、粘度指数119以上)、第IV群(全てのポリα−オレフィン(PAO))、及び第V群(第I群、第II群、第III群、又は第IV群に含まれないものすべて)。
幾つかの態様において基油は、API第I群の基油、API第II群の基油、API第III群の基油、API第IV群の基油、API第V群の基油、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。1つの態様において、基油はAPI第II群の基油を含有する。
基油は、ASTM D445に従って100℃で試験した粘度が1〜50cSt、1〜40cSt、1〜30cSt、1〜25cSt、又は1〜20cStであり得る。或いは、ASTM D445に従って100℃で試験した基油の粘度は、3〜17cSt、又は5〜14cStであり得る。
基油はさらに、火花点火式、及び圧縮着火式内燃エンジン用のクランクケース潤滑剤として規定することもでき、これには自動車及びトラックのエンジン、2サイクル式エンジン、航空機用ピストンエンジン、船舶用エンジン、及び軌道車両用ディーゼルエンジンが含まれる。或いは、基油はさらに、ガス式エンジン、ディーゼルエンジン、定置型発電用エンジン、及びタービンで使用するためのオイルとして規定できる。基油はさらに、高負荷用、又は低負荷用のエンジンオイルとして規定できる。
さらなる別の態様において、基油はさらに、1種以上のアルキレンオキシドポリマー、コポリマー、及びこれらの誘導体を含有する合成オイルとして規定できる。アルキレンオキシドポリマーの末端ヒドロキシ基は、エステル化、エーテル化、又はこれらに似た反応によって変性できる。通常、これらの合成オイルは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを重合させて、ポリオキシアルキレンポリマーにして、これをさらに反応させて、合成オイルにすることにより作製できる。例えば、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキルエーテルとアリールエーテルが使用できる。例えば、質量平均分子量が1000のメチルポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量が500〜1000のポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、又は質量平均分子量が1000〜1500のポリプロピレングリコールのジエチルエーテル、及び/又はこれらのモノカルボン酸エステルとポリカルボン酸エステル、例えば酢酸エステル、混合型のC3〜C8脂肪酸エステル、及びテトラエチレングリコールのC13オキソ酸ジエステルもまた、基油として利用できる。或いは、基油は実質的に不活性の、通常は液状の有機希釈剤、例えば鉱油、ナフサ、ベンゼン、トルエン、又はキシレンを含有することができる。
基油は、潤滑剤組成物の全質量に対して90未満、80未満、70未満、60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、10未満、5未満、3未満、1未満、エストリド化合物(すなわち、エストリド基を1個以上有する化合物)を含有するか、又は全く含有しない。
基油は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して1〜99.9質量%、50〜99.9質量%、60〜99.9質量%、70〜99.9質量%、80〜99.9質量%、90〜99.9質量%、75〜95質量%、80〜90質量%、又は85〜95質量%の量で、存在していてよい。或いは、基油は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して1質量%超、10質量%超、20質量%超、30質量%超、40質量%超、50質量%超、60質量%超、70質量%超、75質量%超、80質量%超、85質量%超、90質量%超、95質量%超、98質量%超、又は99質量%超の量で、存在していてよい。様々な態様において、完全に調製された潤滑剤組成物(存在する場合には希釈剤、又はキャリアオイルを含む)中における基油の量は、潤滑剤組成物の全質量に対して50〜99質量%、60〜90質量%、80〜99.5質量%、85〜96質量%、又は90〜95質量%の範囲にある。或いは、基油は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.1〜50質量%、1〜25質量%、又は1〜15質量%の量で、存在していてよい。様々な態様において、添加剤パッケージ(存在する場合には希釈剤、又はキャリアオイルを含む)中における基油の量は、含有されているのであれば、添加剤パッケージの全質量に対して0.1〜50質量%、1〜25質量%、又は1〜15質量%の範囲にある。
潤滑剤組成物は、硫黄含分が約0.4質量%未満、約0.35質量%未満、又は約0.03質量%未満、例えば約0.20質量%未満であり得る。潤滑剤組成物のNoack揮発試験(ASTM D5880)(粘度を潤滑にする油+全ての添加剤及び添加剤希釈物)は、13以下、例えば12以下、又は10以下であり得る。
添加剤を含有する添加剤パッケージ(添加剤パッケージは、添加剤濃縮物と呼ぶこともある)を1種以上製造することが、必須ではないものの、望ましいことがあり、これによって幾つかの添加剤を、潤滑剤組成物を形成するためのオイルに同時に添加できる。
1つ以上の態様において潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の全質量に対して、硫酸灰分が3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、1.1質量%以下、0.8質量%以下、又は0.5質量%以下の低SAPS潤滑剤として分類され得る。「SAPS」とは、硫酸灰分(Sulfated Ash)、リン、及び硫黄を言う。
潤滑剤組成物はTBN値が、ASTM D2896に従って試験した場合、潤滑剤組成物1g当たり少なくとも1mgKOH、少なくとも3mgKOH、少なくとも5mgKOH、少なくとも7mgKOH、又は少なくとも9mgKOHである。或いは、潤滑剤組成物はTBN値が、ASTM D2896に従って試験した場合、潤滑剤組成物1g当たり3〜100mgKOH、3〜75mgKOH、50〜90mgKOH、3〜45mgKOH、3〜35mgKOH、3〜25mgKOH、3〜15mgKOH、6〜15mgKOH、又は9〜12mgKOHである。
特定の態様において潤滑剤組成物は、組成TBN(ASTM D4739に従って測定)の少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも20%が、式Iのアミン化合物を少なくとも1種含有する無灰TBN源に由来する。或いは、潤滑剤組成物は、組成TBNの少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも20%が、一般式Iのアミン化合物少なくとも1種に由来する。特定の態様において潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物に貢献する一般式Iのアミン化合物の量を、TBN(ASTM D4739)で約0.5〜約4mgKOH/g、又は約1〜約3mgKOH/g、含有する。
特定の態様において潤滑剤組成物は、粘度計SAE15WX、SAE 10WX、SAE 5WX、又はSAE 0WXによって特定されるマルチグレード潤滑剤組成物である(ここでXは、8、12、16、20、30、40、又は50である)。1つ以上の異なる粘度グレードの特性は、SAE J300の分類に見られる。
潤滑剤組成物は、リン含分が1500ppm未満、1200ppm未満、1000ppm未満、800ppm未満、600ppm未満、400ppm未満、300ppm未満、200ppm未満、若しくは100ppm未満、又は0ppm未満であり得る(ASTM D5185標準、又はASTM D4951標準に従って測定)。潤滑剤組成物は、硫黄含分が3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1200ppm未満、1000ppm未満、700ppm未満、500ppm未満、300ppm未満、又は100ppm未満であり得る(ASTM D5185標準、又はASTM D4951標準に従って測定)。
最終的な潤滑剤組成物では、添加剤パッケージを5〜25質量%、或いは5〜18質量%、又は10〜15質量%(残分は粘度を潤滑にする油、及び粘度調整剤)で使用することができる。特定の態様において添加剤パッケージは、基油を含有する。添加剤パッケージが含まれている場合、添加剤パッケージは基油を、添加剤パッケージの全質量に対して0.1〜50質量%、1〜25質量%、又は1〜15質量%の範囲の量で含む。
潤滑剤組成物は、カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルについて不含であるか、又は実質的に不含であり得る。潤滑剤組成物は例えば、20質量%未満、15質量%未満、10質量%未満、5質量%未満、3質量%未満、1質量%未満、0.5質量%未満、又は0.1質量%未満、カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルを含有することができる。カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルは、水反応性官能液体中に慣用の基油として含まれていてよい。潤滑剤組成物は、1気圧の定常圧力下、25℃の定常温度で液状であるカルボン酸エステル系の基油及び/又はリン酸エステル系の基油を含有しなくてもよい。
特定の態様では、本発明による開示により、ヘビーデューティーディーゼル(HDD)エンジン用のクランクケース潤滑剤組成物を有する潤滑剤組成物がもたらされ、この潤滑剤組成物は、シール適合性添加剤、及び硫酸塩灰分を導入せずにTBNを増加させるための添加剤として有用なアミン化合物1種以上を含有する。
特定の態様において、本開示により、ヘビーデューティーエンジン潤滑剤のためのACEA E6, MB p228.51, API C)-4+、及びAPI CJ-4仕様の性能基準を1つ以上満たす潤滑剤組成物が得られる。
特定の態様では本開示により、排気再循環(EGR)システム(例えば、濃縮EGRシステム、及び微粒子捕捉部)を備えるヘビーデューティーディーゼルエンジンが得られ、このエンジンのクランクケースは、潤滑剤組成物によって潤滑化される。
特定の態様では本開示により、TBNが高く、SASH含分が低減された潤滑剤組成物を形成するための方法が得られ、この方法は、潤滑剤組成物に、硫酸塩灰分を導入することなく、潤滑剤組成物のTBNを増加させるための添加剤として有用なアミン化合物1種以上を組み込む工程、及びシール適合性添加剤を組み込む工程を有する。
潤滑剤組成物は、水と反応性でなくてもよい。水と非反応性とは、25℃、1気圧で潤滑剤組成物の5質量%未満、4質量%未満、3質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.5質量%未満、又は0.1質量%未満しか、水と反応しないということである。
様々な態様において、潤滑剤組成物は実質的に水不含であり、潤滑剤組成物は例えば、潤滑剤組成物の全質量に対して5質量%未満、4質量%未満、3質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.5質量%未満、又は0.1質量%未満の量で、水を含有する。或いは、潤滑剤組成物は完全に水不含である。
潤滑剤組成物、例えばクランクケースの潤滑剤組成物は、潤滑剤組成物の全質量に対して、少なくとも3質量%、少なくとも4質量%、少なくとも5質量%、少なくとも6質量%、少なくとも7質量%、又は少なくとも8質量%という合計添加剤処理率を有する潤滑剤組成物であり得る。或いは潤滑剤組成物は、3〜20質量%、4〜18質量%、5〜16質量%、又は6〜14質量%の範囲の合計添加剤処理率を有することができる。「合計添加剤処理率」という用語は、潤滑剤組成物中に含まれる添加剤の合計質量パーセンテージを言う。合計添加剤処理率に含まれる添加剤には、以下のものが含まれるが、これらに限られるわけではない:シール適合性添加剤(すなわちエポキシ化合物、ハロゲン化合物、及び/又はボロキシン化合物)、アミン化合物、分散剤、洗浄剤、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、消泡剤、耐摩耗性添加剤、流動点降下剤、粘度調整剤、及びこれらの組み合わせ。特定の態様において、添加剤は潤滑剤組成物中にある、基油以外のあらゆる化合物である。言い換えると、合計添加剤処理率の計算では、基油を添加剤として考慮しない。
添加剤パッケージには以下のものが含まれるが、これらに限られるわけではない:シール適合性添加剤(すなわちエポキシ化合物、ハロゲン化合物、スルホン酸エステル、及び/又はボロキシン化合物)、アミン化合物、分散剤、洗浄剤、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、消泡剤、耐摩耗性添加剤、流動点降下剤、粘度調整剤、及びこれらの組み合わせ。潤滑剤組成物は添加剤パッケージを、潤滑剤組成物の全質量に対して少なくとも3質量%、少なくとも4質量%、少なくとも5質量%、少なくとも6質量%、少なくとも7質量%、又は少なくとも8質量%、含有することができる。或いは、潤滑剤組成物は添加剤パッケージを、潤滑剤組成物の全質量に対して3〜20質量%、4〜18質量%、5〜16質量%、又は6〜14質量%の量で含有することができる。幾つかの態様において添加剤パッケージは、基油の質量を添加剤として考慮しない。必ずしも必要ではないが、添加剤パッケージは、潤滑剤組成物中に、基油以外のあらゆる化合物を含む。しかしながら特定の個々の成分は、独立して、また個々に潤滑剤組成物に、添加剤パッケージの潤滑剤組成物への添加とは別に添加することができるが、それでも、潤滑剤組成物に個別に添加された添加剤が他の添加剤とともに潤滑剤組成物中に存在していれば、添加剤パッケージの一部とみなされることは肯定的に評価されるべきである。
添加剤パッケージとは、シール適合性添加剤(すなわち、エポキシ化合物、ボロキシン化合物、スルホン酸エステル、及び/又はハロゲン化合物)、アミン化合物、分散剤、洗浄剤、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、消泡剤、耐摩耗性添加剤、流動点降下剤、粘度調整剤、又はこれらの組み合わせが、溶液、混合物、濃縮物、又はブレンド(例えば潤滑剤組成物)に集合的に存在する量を言う。幾つかの態様において「添加剤パッケージ」とは、これらの添加剤が、基油に添加する前に物理的に一緒に包装されている、又は一緒にブレンドされている必要はない。よって、シール適合性添加剤と分散剤を含有する基油は(それぞれ基油に別個に添加)、シール適合性添加剤と分散剤とを含有する添加剤パッケージを有する潤滑剤組成物と解釈できる。別の態様において添加剤パッケージとは、シール適合性添加剤、アミン化合物、分散剤、洗浄剤、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、消泡剤、耐摩耗性添加剤、流動点降下剤、粘度調整剤のブレンド、又はこれらの組み合わせを言う。添加剤パッケージは、潤滑剤組成物を作製するために、基油にブレンドされていてよい。
添加剤パッケージは、添加剤パッケージを基油の所定の量と合わせる場合、潤滑剤組成物中に所望の濃度で得られるように調製することができる。本明細書の開示内容による潤滑剤組成物に関する多くの言及が、添加剤パッケージの説明にも当てはまることは、肯定的に評価すべきである。添加剤パッケージは例えば、潤滑剤組成物として同じ成分を様々な量で含有することができ、又は排除することができる。
1つの態様において潤滑剤組成物は、リン含分についてASTM D4951の試験に合格する。ASTM D4951は、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)を用いて、潤滑剤成分中の添加剤要素を特定するための標準的な試験法である。
別の態様では、潤滑剤組成物はASTM D6795の試験に合格し、この規格は、水とドライアイスで処理して短時間(30分)加熱した後で、潤滑剤組成物の濾過性能に対する作用を測定するための標準的な試験法である。ASTM D6795は、新品のエンジンを短時間稼働させ、オイル中に少量の水を有する状態で長期間貯蔵した後に起こり得る問題をシミュレーションすることができる。ASTM D6795は、潤滑剤組成物に、オイルフィルターを詰まらせる沈殿物を形成する傾向がどの程度あるのかを測定するために考案されている。
別の態様では、潤滑剤組成物はASTM D6794の試験に合格し、この規格は、様々な量の水と、6時間の加熱時間により処理した後で、潤滑剤組成物の濾過性能に対する作用を測定するための標準的な試験法である。ASTM D6794は、新品のエンジンを短時間稼働させ、オイル中に少量の水を有する状態で長期間貯蔵した後に起こり得る問題をシミュレーションすることができる。ASTM D6794はまた、潤滑剤組成物に、オイルフィルターを詰まらせる沈殿物を形成する傾向がどの程度あるのかを測定するために考案されている。
別の態様では、潤滑剤組成物はASTM D6922の試験に合格し、この規格は、潤滑剤組成物における均質性と混和性を測定するための標準的な試験法である。ASTM D6922は、潤滑剤組成物が均質であり、そのままであるかどうか、また所定の温度変化サイクルに掛けた後、潤滑剤組成物が特定の標準的な参照用オイルと混和性であるかどうかを試験するために考案されている。
別の態様では、潤滑剤組成物はASTM D5133の試験に合格し、この規格は、温度スキャン技術を用いて潤滑油の低温で低い剪断速度、粘度/温度の依存性を測定するための標準的な試験法である。潤滑剤組成物の低温で低い剪断粘度は、潤滑剤組成物が油取り入れスクリーンに、それからオイルポンプへ、それからエンジンで潤滑油が必要とされる箇所に充分な量で流入し、エンジンの損傷を直ちに、又は最終的には起動後の低温で防止するかどうかによって測定される。
別の態様において潤滑剤組成物はASTM D5800及び/又はASTM D6417の試験に合格し、これらの規格はいずれも、潤滑剤組成物の蒸発損失量を測定するための方法である。蒸発損失量は、エンジン潤滑剤において特に重要である。なぜならば、高温が発生した場合、潤滑剤組成物の一部が蒸発することがあり、これによって潤滑剤組成物の特性が変わり得るからである。
別の態様では、潤滑剤組成物はASTM D6577の試験に合格し、この規格は、潤滑剤組成物の防錆特性を評価するための標準的な試験法である。ASTM D6577は、潤滑剤組成物の防錆性を評価するためのボールさび試験(BRT)工程を有する。BRT工程は特に、低温、酸性の稼働条件下における潤滑剤組成物の評価に適している。
別の態様において潤滑剤組成物は、硫黄含分についてASTM D4951の試験に合格する。する。ASTM D4951は、ICP-OESを用いて、潤滑剤成分中の添加剤要素を特定するための標準的な試験法である。さらに潤滑剤組成物はまた、ASTM D2622の試験に合格し、これは波長分散性の蛍光X線質量分析により、石油製品中の硫黄を測定するための標準的な方法である。
別の態様では、潤滑剤組成物はASTM D6891の試験に合格し、この規格は、IVA火花点火エンジンにおける潤滑剤組成物を評価するための標準的な試験法である。ASTM D6891は、車両稼働においてエンジンのアイドリングが長くなった場合をシミュレーションするために考案されている。特にASTM D6891により、一連の頭上弁と摺動式カムフォロアを備えた、火花点火式エンジン用カムシャフトローブの摩耗を制御するための、潤滑剤組成物の性能が測定される。
別の態様では、潤滑剤組成物はASTM D6593の試験に合格し、この規格は、ガソリンが供給される火花点火式内燃機関において、低温、低負荷条件で堆積物の形成阻害について潤滑剤組成物を評価するための標準的な試験法である。ASTM D6593は、堆積物の形成を加速させるために意図的に選択された稼働条件下で、エンジン堆積物に対する潤滑剤組成物の制御能力を評価するために考案されている。
別の態様では、潤滑剤組成物はASTM D6709の試験に合格し、この規格は、火花点火エンジンのVIII段階で潤滑剤組成物を評価するための標準的な試験法である。ASTM D6709は、ベアリングの質量損失に対するエンジンの保護に関して潤滑剤組成物を評価するために考案されている。
さらに別の態様では、潤滑剤組成物はASTM D6984の試験に合格し、この規格は、点火発火式のIIIF段階における自動車エンジンオイルを評価するための標準的な試験法である。言い換えると、試験終了時における潤滑剤組成物の粘度上昇は、試験開始時の潤滑剤組成物の粘度に対して275%未満である。
別の態様では、潤滑剤組成物は、以下の標準試験法のうち2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの試験に合格する:ASTM D4951、ASTM D6795、ASTM D6794、ASTM D6922、ASTM D5133、ASTM D6557、ASTM D6891、ASTM D2622、ASTM D6593、及びASTM D6709。
潤滑剤組成物又は添加剤パッケージは、さらに分散剤を含有することができる。この分散剤は、ポリアルケンアミンであり得る。ポリアルケンアミンは、ポリアルケン部分を有する。ポリアルケン部分は、同一若しくは異なる、直鎖状若しくは分枝鎖状のC2〜C6オレフィンモノマーの重合生成物である。適切なオレフィンモノマーの例は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、2−メチルブテン、1−ヘキセン、2−メチルペンテン、3−メチルペンテン、及び4−メチルペンテンである。ポリアルケン部分は、質量平均分子量が200〜10000、500〜10000、又は800〜5000の範囲にある。
1つの態様においてポリアルケンアミンは、ポリイソブテンから誘導される。特に適切なポリイソブテンは、「高反応性」ポリイソブテンとして知られ、これは末端二重結合の含分が高いことを特徴とする。末端二重結合は、下記一般式XIVに見られる種類のα−オレフィン二重結合である:
Figure 2017513978
一般式XIVに示される結合は、ビニリデン二重骨格として知られる。適切な高反応性ポリイソブテンは例えば、ビニリデン二重結合の割合が70mol%超、80mol%超、又は85mol%超のものである。特に、均一なポリマー骨格を有するポリイソブテンが好ましい。均一なポリマー骨格は特に、少なくとも85質量%、90質量%、又は95質量%のイソブテン単位から構成されるポリイソブテンを有する。このような高反応性ポリイソブテンは通常、数平均分子量が、上記範囲にある。加えて、高反応性ポリイソブテンは、多分散性が1.05〜7、又は1.1〜2.5の範囲にあり得る。高反応性ポリイソブテンは、多分散性が1.9未満、又は1.5未満であり得る。多分散性とは、質量平均分子量Mwを、数平均分子量Mnで割った商のことである。
アミン分散剤は、無水コハク酸から誘導される部分であって、ヒドロキシ基及び/又はアミノ基及び/又はアミド基及び/又はイミド基を有する部分を含むことができる。分散剤は例えば、ポリイソブテニル無水コハク酸から誘導され、これは質量平均分子量が500〜5000の範囲にある慣用の又は高反応性のポリイソブテンを、熱的な経路で、又は塩素化されたポリイソブテンを介して、無水マレイン酸と反応させることによって得られるものである。例えば、脂肪族ポリアミン(例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、又はテトラエチレンペンタミン)との誘導体が使用できる。
ポリアルケンアミンを製造するために、ポリアルケン成分は、公知の方法でアミン化できる。例示的な方法は、ヒドロホルミル化によるオキソ中間体の製造を介して、続いて適切な窒素化合物の存在下での還元アミノ化によって進行する。
分散剤は、下記一般式XVのポリ(オキシアルキル)基、又はポリアルキレンポリアミン基であり得る:
24−NH−(C1〜C6アルキレン−NH)m−C1〜C6アルキレン XV
上記式中、mは1〜5の整数であり、R24は水素原子であるか、又は1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、C1〜C6アルキレンは、アルキル基の対応する架橋類似体を表す。分散剤は、1〜10個のC1〜C4アルキレンイミン基から構成されるポリアルキレンイミン基であり得る。分散剤は或いは、結合している窒素原子とともに、置換若しくは非置換の5員〜7員の複素環であって、この複素環は、非置換であるか、又は1〜3個のC1〜C4アルキル基によって置換されていてよく、さらなる環ヘテロ原子(例えば酸素又は窒素)を有していてよい。
適切なアルケニル基の例は、2〜18の炭素原子を有するモノ不飽和、若しくはポリ不飽和の、例えばモノ不飽和若しくはジ不飽和のアルキル基類似体であって、ここでは炭化水素鎖中のあらゆる位置において二重結合が存在し得る。
4〜C18シクロアルキル基の例には、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれ、また1〜3個のC1〜C4アルキル基で置換されたこれらの類似体も含まれる。C1〜C4アルキル基は例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、又はtert−ブチルから選択される。
アリールアルキル基の例には、C1〜C18アルキル基及びアリール基であって、単環式若しくは二環式の縮合型、若しくは非縮合型の4員〜7員、特に6員の芳香族若しくはヘテロ芳香族基(例えばフェニル、ピリジル、ナフチル、及びビフェニル)から誘導されるものが含まれる。
上記分散剤以外のさらなる分散剤を用いる場合、これらの分散剤は様々な種類のものであり得る。分散剤の適切な例には、ポリブテニルコハク酸アミド、ポリブテニルコハク酸イミド、ポリブテニルホスホン酸誘導体、及び塩基性のスルホン酸マグネシウム、スルホン酸カルシウム、及びスルホン酸バリウム、フェノール酸マグネシウム、フェノール酸カルシウム、フェノール酸バリウム、コハク酸エステル、及びアルキルフェノールアミン(マンニッヒ塩基)、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
分散剤を使用する場合、様々な量であり得る。分散剤は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜15質量%、0.1〜12質量%、0.5〜10質量%、又は1〜8質量%の量で含有されていてよい。或いは分散剤は、それぞれ潤滑剤組成物の全質量に対して15質量%未満、12質量%未満、10質量%未満、5質量%未満、又は1質量%未満の量で、存在していてよい。
添加剤パッケージ中、分散剤、アミン化合物、及びシール適合性添加剤の全質量は、添加剤パッケージの全質量に対して、添加剤パッケージの50質量%未満、45質量%未満、40質量%未満、35質量%未満、又は30質量%未満である。
潤滑剤組成物、又は添加剤パッケージはさらに、耐摩耗性添加剤(任意でリンを有していてよい)を含有することができる。耐摩耗性添加剤の例には、以下のものが含まれる:硫黄及び/又はリン及び/又はハロゲン含有化合物、例えば硫黄化オレフィン、及び植物油、アルキル化トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェート、トリクレシルホスフェート、塩化パラフィン、アルキルジスルフィド、アリールジスルフィド、アルキルトリスルフィド、アリールトリスルフィド、モノアルキルホスフェート及びジアルキルホスフェートのアミン塩、メチルホスホン酸のアミン塩、ジエタノールアミノメチルトリルトリアゾール、ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチルトリルトリアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールの誘導体、エチル−3−[(ジイソプロポキシホスフィノチオイル)チオ]プロピオネート、トリフェニルチオホスフェート(トリフェニルホスホロチオエート)、トリス(アルキルフェニル)ホスホロチオエート、及びこれらの混合物、ジフェニルモノノニルフェニルホスホロチオエート、イソブチルフェニルジフェニルホスホロチオエート、3−ヒドロキシ−1,3−チアホスフェタン−3−オキシドのドデシルアミン塩、トリチオリン酸5,5,5−トリス[イソオクチル2−アセテート]、2−メルカプトベンゾチアゾール、例えば1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−2−メルカプト−1H−1,3−ベンゾチアゾール、エトキシカルボニル−5−オクチルジチオカルバメート、及び/又はこれらの組み合わせ。
幾つかの態様では、耐摩耗性添加剤として、ジヒドロカルビルジチオホスフェート塩が例示できる。ジヒドロカルビルジチオホスフェート塩は、以下の一般式XVIによって示すことができる:
[R25O(R26O)PS(S)]2M XVI
上記式中、R25及びR26はそれぞれヒドロカルビル基であり、独立して1〜30個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、又は1〜5個の炭素原子を有し、Mは金属原子であるか、又はアンモニウム基である。例えば、R25、及びR26はそれぞれ独立して、C1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、C3〜C20シクロアルキル基、C1〜C20アラルキル基、又はC3〜C20アリール基である。R25及びR26で表される基は、置換されているか、又は非置換である。R25及びR26で示されるヒドロカルビル基は、一般式IIIに関して前述のR8と同じであってよい。金属原子は、アルミニウム、鉛、錫、マンガン、コバルト、ニッケル、又は亜鉛を含む群から選択されていてよい。 アンモニウム基は、アンモニア、又は第一級、第二級、若しくは第三級アミンから誘導される基であり得る。アンモニウム基は、式R27282930+のものであってよく、ここでR27、R28、R29、及びR30はそれぞれ独立して、水素原子であるか、又は1〜150個の炭素原子を有するヒドロカルビルル基である。特定の態様において、R27、R28、R29、及びR31はそれぞれ独立して、4〜30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり得る。R27、R28、R29、及びR31で示されるヒドロカルビル基は、一般式IIIにおけるR8と意味と同じであってよい。1つの態様において、ジヒドロカルビルジチオホスフェート塩は、亜鉛ジアルキルジチオホスフェートである。潤滑剤組成物は、異なるジヒドロカルビルジチオホスフェート塩の混合物を含有することができる。
特定の態様において、ジヒドロカルビルジチオホスフェート塩は、R25及びR26について第一級及び第二級アルキル基の混合物を含有し、ここで第二級アルキル基は、ジヒドロカルビルジチオホスフェート塩におけるアルキル基のモル数に対して、主要なモル割合を占める(例えば少なくとも60モル%、少なくとも75モル%、又は少なくとも85モル%)。
幾つかの態様では、耐摩耗性添加剤は、灰分不含であり得る。耐摩耗性添加剤はさらに、リン酸塩として規定することができる。別の態様において耐摩耗性添加剤はさらに、亜リン酸塩として規定される。さらに別の態様において耐摩耗性添加剤はさらに、ホスホロチオネートとして規定される。或いは耐摩耗性添加剤はさらに、ホスホロジチオエートとして規定することができる。1つの態様において耐摩耗性添加剤はさらに、ジチオホスフェートとして規定される。耐摩耗性添加剤はまた、アミン、例えば第二級若しくは第三級アミンを含有することができる。1つの態様において耐摩耗性添加剤は、アルキルアミン、及び/又はジアルキルアミンを含有する。耐摩耗性添加剤の適切な例(これらに限られるわけではない)は、以下の通りである:
Figure 2017513978
耐摩耗性添加剤は潤滑剤組成物中に、それぞれ潤滑剤組成物の全質量に対して、0.1〜20質量%、0.5〜15質量%、1〜10質量%、0.1〜5質量%、0.1〜1質量%、0.1〜0.5質量%、又は0.1〜1.5質量%の量で存在していてよい。或いは耐摩耗性添加剤は、潤滑剤組成物の全質量に対して20質量%未満、10質量%未満、5質量%未満、1質量%未満、0.5質量%未満、又は0.1質量%未満の量で、存在していてよい。添加剤パッケージはまた、それぞれ添加剤パッケージの全質量に対して0.1〜20質量%、0.5〜15質量%、1〜10質量%、0.1〜5質量%、0.1〜1質量%、0.1〜0.5質量%、又は0.1〜1.5質量%、リン含有耐摩耗性添加剤を含むことができる。
潤滑剤組成物又は添加剤パッケージはさらに、潤滑剤組成物の様々な化学的及び/又は物理的特性を改善するため、1種以上の添加剤を含有することができる。これらの添加剤は、シール適合性添加剤に加えて、シール適合性添加剤とアミン化合物との組み合わせに加えて、又はアミン化合物、シール適合性添加剤、及び耐摩耗性添加剤の組み合わせで、存在していてよい。1種以上の添加剤の特定の例に含まれるのは、酸化防止剤、金属失活剤(不活性化剤)、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、分散剤、洗浄剤、及び摩擦調整剤である。添加剤はそれぞれ単独で、又は組み合わせて使用できる。1種以上の添加剤は、これを使用する場合、様々な量であり得る。潤滑剤組成物は、幾つかの補助成分を加えて調製することができ、これにより特定の用途で用いるための特定の性能を得ることができる。潤滑剤組成物は例えば、防錆・酸化防止性潤滑剤組成物、液圧潤滑剤組成物、タービン潤滑油、及び内燃エンジン潤滑剤組成物であり得る。従って基油は、以下に述べるこれらの目的を達成するために調製されていてよい。
使用する場合、酸化防止剤は様々な種類であり得る。適切な酸化剤防止剤には、以下のものが含まれる:アルキル化モノフェノール、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−ertt−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノール、及びこれらの組み合わせ。
さらなる適切な酸化防止剤の例には、アルキルチオメチルフェノール、例えば2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール、及びこれらの組み合わせが含まれる。ヒドロキノンとアルキル化ヒドロキノン、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート、及びこれらの組み合わせも使用できる。
さらには、ヒドロキシ化チオジフェニルエーテル、例えば2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、及びこれらの組み合わせも使用できる。
また、以下のものも潤滑剤組成物中において酸化防止剤として利用できる:例えば2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプタン、1,1,5,5−テトラ−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン、及びこれらの組み合わせ。
O−ベンジル化合物、N−ベンジル化合物、及びS−ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオールテレフタレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート、及びこれらの組み合わせも、使用できる。
ヒドロキシベンジル化マロネート、例えばジオクタデシル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、及びこれらの組み合わせも、酸化防止剤としての使用に適している。
トリアジン化合物、例えば2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、及びこれらの混合物も使用できる。
酸化防止剤のさらなる例には、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール、及びこれらの組み合わせが含まれる。ベンジルホスホネート、例えばジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩、及びこれらの組み合わせも使用できる。さらには、アシルアミノフェノール、例えば4−ヒドロキシラウルアニリド、4−ヒドロキシステアルアニリド、及びオクチルN−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメートである。
[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオン酸と、一価若しくは多価アルコールとのエステルも使用でき、これらのアルコールは例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、及びこれらの組み合わせである。さらには、β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と、一価若しくは多価アルコールとのエステルも使用でき、これらのアルコールは例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、及びこれらの組み合わせである。
適切な酸化防止剤のさらなる例には、窒素を含有するものが含まれ、それは例えば、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えばN,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジンである。他の適切な酸化防止剤の例に含まれるのは、アミン系酸化防止剤、例えばN,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トルイル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノアルキル化及びジアルキル化されたt−ブチル−tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化されたイソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化されたt−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジジン、フェノチアジン、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブタ−2−エン、及びこれらの組み合わせである。
適切な酸化防止剤のさらなる例には、脂肪族若しくは芳香族ホスファイト、チオジプロピオン酸のエステル、又はチオ二酢酸のエステル、又はジチオカルバミン酸若しくはジチオリン酸の塩、2,2,12,12−テトラメチル−5,9−ジヒドロキシ−3,7,1−トリチアトリデカン、及び2,2,15,15−テトラメチル−5,12−ジヒドロキシ−3,7,10,14−テトラチアヘキサデカン、及びこれらの組み合わせが含まれる。さらに、硫黄化脂肪エステル、硫黄化脂肪、硫黄化オレフィン、及びこれらの組合せも使用できる。
使用する場合、酸化防止剤は様々な量で使用できる。酸化防止剤は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜5質量%、0.1〜3質量%、又は0.5〜2質量%の範囲の量で存在していてよい。或いは酸化防止剤は、潤滑剤組成物の全質量に対して5質量%未満、3質量%未満、又は2質量%未満の量で、存在していてよい。
使用する場合、金属失活剤は様々な種類のものであり得る。適切な金属失活剤には、ベンゾトリアゾールとその誘導体、例えば4−若しくは5−アルキルベンゾトリアゾール(例えばトルトリアゾール)とその誘導体、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾトリアゾール、及び5,5’−メチレンビスベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール若しくはトルトリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]トルトリアゾール、及び1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、及びアルコキシアルキルベンゾトリアゾール、例えば1−(ノニルメチル)ベンゾトリアゾール、1−(1−ブトキシエチル)ベンゾトリアゾール、及び1−(1−シクロヘキシルオキシブチル)トルトリアゾール、及びこれらの組み合わせが含まれる。
さらなる適切な金属失活剤の例には、1,2,4−トリアゾールとその誘導体、及び1,2,4−トリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば1−[ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1,2,4−トリアゾール、アルコキシアルキル−1,2,4−トリアゾール、例えば1−(1−ブトキシエチル)−1,2,4−トリアゾール、及びアシル化3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール誘導体、例えば4,4’−メチレンビス(2−ウンデシル−5−メチルイミダゾール)、及びビス[(N−メチル)イミダゾール−2−イル]カルビノールオクチルエーテル、及びこれらの組み合わせが含まれる。適切な金属失活剤のさらなる例に含まれるのは、硫黄含有複素環化合物、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、及びこれらの誘導体、並びに3,5−ビス[ジ(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−1,3,4−チアジアゾリン−2−オン、及びこれらの組み合わせである。金属失活剤のさらなる例には、アミノ化合物、例えばサリシリデンプロピレンジアミン、サリシルアミノグアニジン、及びこれらの塩、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
使用する場合、金属失活剤は様々な量であり得る。金属失活剤は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜0.1質量%、0.05〜0.01質量%、又は0.07〜0.1質量%の範囲の量で存在していてよい。或いは金属失活剤は、潤滑剤組成物の全質量に対して1.0質量%未満、0.7質量%未満、又は0.5質量%未満の量で、存在していてよい。
使用する場合、防錆剤及び/又は摩擦調整剤は様々な種類のものであり得る。適切な防錆剤及び/又は摩擦調整剤の例には、有機酸とそのエステル、金属塩、例えばアルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、及びこれらの酸とアルコールとの部分エステル、ジオール、又はヒドロキシカルボン酸、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸の部分アミド、4−ノニルフェノキシ酢酸、アルコキシカルボン酸、及びアルコキシエトキシカルボン酸、例えばドデシルオキシ酢酸、ドデシルオキシ(エトキシ)酢酸、並びにN−オレオイルサルコシン、ソルビタンモノオレエート、鉛ナフテネート、アルケニル無水コハク酸、例えばドデセニル無水コハク酸、2−カルボキシメチル−1−ドデシル−3−メチルグリセロール、及びこれらの組み合わせが含まれる。さらなる例には、複素環式化合物、例えば置換イミダゾリン、置換オキサゾリン、及び2−ヘプタデセニル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリン、リン含有化合物、例えばリン酸部分エステルのアミン塩、又はリン酸部分エステル、モリブデン含有化合物、例えばモリブデンジチオカルバメート、及び他の硫黄及びリン含有誘導体、硫黄含有化合物、例えばバリウムジノニルナフタレンスルホネート、カルシウム石油スルホネート、アルキルチオ置換された脂肪族カルボン酸、脂肪族2−スルホカルボン酸のエステルとその塩、グリセロール誘導体、例えばグリセロールモノオレエート、1−(アルキルフェノキシ)−3−(2−ヒドロキシエチル)グリセロール、1−(アルキルフェノキシ)−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)グリセロール、及び2−カルボキシアルキル−1,3−ジアルキルグリセロール、及びこれらの組み合わせが含まれる。
使用する場合、防錆剤及び/又は摩擦調整剤は様々な量で使用できる。防錆剤及び/又は摩擦調整剤は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜0.1質量%、0.05〜0.01質量%、又は0.07〜0.1質量%の範囲の量で存在していてよい。或いは防錆剤及び/又は摩擦調整剤は、潤滑剤組成物の全質量に対して1質量%未満、0.7質量%未満、又は0.5質量%未満の量で、存在していてよい。
使用する場合、粘度指数向上剤は様々な種類のものであり得る。粘度指数向上剤の適切な例には、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリブテン、オレフィンコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、及びポリエーテル、及びこれらの組み合わせが含まれる。
使用する場合、粘度指数向上剤は様々な量で使用できる。粘度指数改善剤は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜20質量%、1〜15質量%、又は1〜10質量%の範囲の量で存在していてよい。或いは粘度指数改善剤は、潤滑剤組成物の全質量に対して10質量%未満、8質量%未満、又は5質量%未満の量で、存在していてよい。
使用する場合、流動点降下剤は様々な種類のものであり得る。流動点降下剤の適切な例には、ポリメタクリレート、及びアルキル化ナフタレン誘導体、及びこれらの組み合わせが含まれる。
使用する場合、流動点降下剤は様々な量で使用できる。流動点降下剤は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜0.1質量%、0.05〜0.01質量%、又は0.07〜0.1質量%の範囲の量で存在していてよい。或いは流動点降下剤は、潤滑剤組成物の全質量に対して1.0質量%未満、0.7質量%未満、又は0.5質量%未満の量で、存在していてよい。
使用する場合、洗浄剤は様々な種類のものであり得る。適切な洗浄剤の例には、過塩基性若しくは中性の金属スルホネート、フェネート、及びサリシレート、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
使用する場合、洗浄剤は様々な量で使用できる。洗浄剤は潤滑剤組成物中に、潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜5質量%、0.1〜4質量%、0.5〜3質量%、又は1〜3質量%の範囲の量で存在していてよい。或いは洗浄剤は、潤滑剤組成物の全質量に対して5質量%未満、4質量%未満、3質量%未満、2質量%未満、又は1質量%未満の量で、存在していてよい。
使用のために用意される、また本発明により使用される好ましい潤滑剤組成物には、CEC L-39-T96のシール適合性試験に合格するものが含まれる。CEC L-39-T96試験は、潤滑剤組成物中のフルオロポリマーの試験体を150℃に維持する工程を伴う。それからシール検体を取り出して乾燥させ、シール検体の特性を評価し、潤滑剤組成物中で加熱しなかったシール検体と比較する。これらの特性におけるパーセンテージの変化は、潤滑剤組成物とのフルオロポリマーシールの適合性を定量化するために評価される。シール適合性添加剤を潤滑剤組成物に組み込むことにより、潤滑剤組成物がシールを分解する傾向は、シール適合性添加剤不含の潤滑剤組成物に比べて減少する。
合格/不合格の基準には、事前にエージングせずに新しいオイルに7日間含浸させた後の、特定の特性の最大の変化幅が含まれる。各特性値についてこの最大変化幅は、使用するエラストマーの種類、使用するエンジンの種類、及び後処理デバイスを利用するかどうかによって異なる。
含浸前、及び含浸後に測定した特性には、DIDC硬度(点)、引張強度(%)、破断点伸び(%)、体積変化(%)が含まれる。負荷が高いディーゼルエンジンについて、合格/不合格の基準を以下の表1に示す。
表1:CEC L-39-T96についてのフルオロポリマーシール適合性
Figure 2017513978
これらの試験において慣用の潤滑剤組成物が試験に合格するのは、被曝した検体が、硬度において−1%〜+5%、引張強度において−50〜+10%(試験していない検体と比較して)、破断点伸びにおいて−60〜+10%(試験していない検体と比較して)、体積変化が−1%〜+5%(試験していない検体と比較して)、変化を示す場合である。
上記化合物のうち幾つかは、潤滑剤組成物中で相互作用を起こしてもよく、これにより、最終的な形態における潤滑剤組成物の成分は、当初添加した、又は一緒に合わせた成分とは異なることがある。これによって形成される生成物のうち幾つか(意図した用途において本発明の潤滑剤組成物により形成される生成物を含む)は、記載するのが困難であるか、又は記載できない。それにも拘わらず、意図した用途におけるこれら全ての変性、反応生成物、及び本発明の潤滑剤組成物を用いて形成される生成物は、明示的に考慮され、本明細書に組み込まれるものとする。本発明の様々な態様は上述のように、1種以上の変性、反応生成物、及び潤滑剤を用いることにより形成される生成物を含む。
系を潤滑にする方法が提供される。この方法は系を、上記潤滑剤組成物と接触させる工程を有する。この系はさらに、内燃エンジンを有することができる。或いは、系はさらに、燃焼エンジン、又は潤滑剤組成物を利用する適用を有することができる。系は、少なくとも1種のフルオロポリマーシールを有する。
この方法は、内燃機関のクランクケースに潤滑剤組成物を用意する工程、燃料を内燃機関の燃焼室に用意する工程、及び燃料を内燃機関で燃焼させる工程を有することができる。
フルオロポリマーシールは、フルオロエラストマーを有することができる。フルオロエラストマーは例えば、ASTM D1418及びISO 1629のもと、FKMの呼称に分類できる。フルオロエラストマーは、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)とビニリデンフルオリド(VF2のVDF)とのコポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)、ビニリデンフルオリド、及びヘキサフルオロプロピレンのターポリマー、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、TFEとプロピレンのコポリマー、及びTFE、PMVE、及びエチレンのコポリマーである。フッ素含分は例えば、フルオロポリマーシールの全質量に対して66〜70質量%の間で変わる。FKMは、ポリメチレン系のフッ素ゴムであり、ポリマー鎖上に置換基のフルオロとペルフルオロアルキル、又はペルフルオロアルコキシ基を有するものである。
加えて、潤滑剤組成物を形成する方法が提供される。この方法は、基油とシール適合性添加剤、及び任意でアミン化合物、及び/又は耐摩耗性添加剤を合する工程を有する。アミン化合物、及びシール適合性添加剤は、あらゆる慣用の方法で基油に組み込むことができる。よってアミン化合物、及びシール適合性添加剤は、これらを基油に所望の濃度水準で分散又は溶解させることにより、基油に直接添加することができる。或いは、アミン化合物、及びシール適合性添加剤が所望の濃度水準になるまで撹拌しながら、基油をアミン化合物及びシール適合性添加剤に直接添加するとできる。このようなブレンドは、周辺温度、又は低温で行うことができ、その温度は例えば、30℃、25℃、20℃、15℃、10℃、又は5℃である。
実施例
以下の実施例(これに制限されることはない)では、例示的な潤滑剤組成物を、市販で手に入るAPI-CJ4のACEA Eヘビーデューティーモーターオイル(「参照用潤滑剤」)を、アミン化合物、又はシール適合性添加剤でトップ処理することにより調製して、均一にした。幾つかの例は、参照用潤滑剤を含む。他の例は参照用潤滑剤を、アミン化合物及び/又はシール適合性添加剤との組み合わせで含む。
例2〜5で使用したアミン化合物は、トリス(2−エチルヘキシル)アミンである。例4及び5で使用したシール適合性添加剤は、3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。
各例について、参照用潤滑剤の量、及び添加成分の量はそれぞれ、下記表2〜3に記載されている。
表2:例No.1〜No.5の調製
Figure 2017513978
例に記載の潤滑剤組成物のシール適合性は、工業規格のシール適合性試験CEC-L-39-T96に従って試験した。CEC-L-39-T96シール適合性試験は、シール又はガスケットを潤滑剤組成物に入れ、潤滑剤組成物を、そこに含有されるシールとともに高温に加熱し、しばらくの間、高温を維持することによって行う。それからシールを取り出して乾燥させ、シールの機械的特性を評価し、潤滑剤組成物中で加熱しなかったシール検体と比較する。これらの特性におけるパーセンテージの変化は、潤滑剤組成物とのシールの適合性を評価するために分析する。
シール適合性の結果が、表3に示してある。
表3:シール適合性試験の結果、例No.1〜5
Figure 2017513978
本開示について多くの修正と変形が、上記教示に基づき可能であり、本開示は、添付した特許請求の範囲に具体的に記載された以外のやり方でも、実施できる。独立請求項及び従属請求項(単項従属と多項従属の双方)のあらゆる組み合わせの対象は、ここで明示的に考慮される。従属請求項は、特定の化合物、組成物、又は詳細な説明に記載された方法に制限されると理解されるべきではなく、これらは従属請求項の範囲内で全て、特定の態様の範囲内で変わりうると理解されるべきである。ここで記載したマーカッシュ群については、様々な態様の特定の特徴又は形態を記載するものではなく、異なる、特別な、及び/又は予測できない結果が、他のマーカッシュの選択肢とは独立して、各マーカッシュ群から得られることに留意すべきである。マーカッシュ群の各選択肢は、個々に、及び/又は組み合わせに基づいていてよく、従属請求項の範囲内で特定の態様を充分にサポートする。
独立請求項及び従属請求項(単項従属と多項従属の双方、間接的従属、又はその他)のあらゆる組み合わせの対象は、ここで明示的に考慮されるべきである。以下にその例を記すが、従属関係がこれらに限られるわけではない:
・請求項3は、請求項1又は2に従属することができる。
・請求項4は、請求項1から3までのいずれかに従属することができる。
・請求項5は、請求項1から4までのいずれかに従属することができる。
・請求項6は、請求項1から5までのいずれかに従属することができる。
・請求項7は、請求項1から6までのいずれかに従属することができる。
・請求項8は、請求項1から7までのいずれかに従属することができる。
・請求項9は、請求項1から8までのいずれかに従属することができる。
・請求項13は、請求項11又は12に従属することができる。
・請求項14は、請求項11から13までのいずれかに従属することができる。
・請求項13は、請求項10から12までのいずれかに従属することができる。
・請求項14は、請求項10から13までのいずれかに従属することができる。
前述のように潤滑剤組成物は、上記添加剤を1種以上、様々な量で含有することができる。特定の添加剤の量はそれぞれ、以下に記載する通りである:
Figure 2017513978
また、本開示の様々な態様を記載するにあたり、あらゆる範囲と二次的な範囲は、独立して、また集合的に、添付請求項の範囲に入ると理解されるべきであり、たとえここに具体的な値が明示的に記載されていない場合であっても、全体の、及び/又は部分的な値を含む全ての範囲を記載、保証すると理解されるべきである。当業者は、挙げられた範囲と二次的な範囲が、本開示の様々な態様を記載、かつ可能にしていることを直ちに理解でき、これらの範囲と二次的な範囲はさらに、半分、三分の一、四分の一、五分の一などに線引きすることができる。単に例として挙げると、「0.1〜0.9」という範囲は、さらに細かく分けることができる。つまり、0.1〜0.3(下限の三分の一)、0.4〜0.6(真ん中の三分の一)、そして0.7〜0.9(上限の三分の一)という具合であり、これらは個々に、また集合的に従属請求項の範囲に入り、個々に、及び/又は集合的に従属請求項の範囲にある特定の態様を充分にサポートする。加えて、範囲を規定又は修正する言語について、例えば「少なくとも」、「より大きい」、「より少ない」、「以上」などという言葉には、二次的な範囲及び/又は上限又は下限が含まれると理解されるべきである。別の態様において、「少なくとも10」という範囲には、内在的に少なくとも10〜35という二次的な範囲、少なくとも10〜25という二次的な範囲、25〜35という二次的な範囲などが含まれ、二次的な範囲はそれぞれ、個別的及び/又は集合的であってよく、従属請求項の範囲にある特定の態様を充分にサポートする。最後に、開示された範囲にある個々の数字は、従属請求項の範囲内で特定の態様の根拠となり、またこれを充分にサポートすることができる。例えば、1〜9という範囲には、様々な整数、例えば3、また10分の一(又は分数)を含む個々の数値(例えば4.1)が含まれ、これらは従属請求項の範囲内で特定の態様の根拠となり、またこれを充分にサポートすることができる。

Claims (15)

  1. 潤滑剤組成物であって、
    ・基油、
    ・式Iのアミン化合物:
    Figure 2017513978
    [前記式中、
    1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
    5、及びR6はそれぞれ独立して、H、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
    7は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であるか、又はアリール基であり、
    ただし、R5がHであり、かつR7がアルキル基である場合、R6はアルキル基であり、ただし、R1、R2、R3、及びR4のうち3つ以下が同時にメチルである]
    及び
    ・シール適合性添加剤
    を含有する、前記潤滑剤組成物。
  2. 前記アミン化合物が、前記潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜10質量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
  3. ASTM D-2896に従って測定した組成TBNが、少なくとも約6mgKOH/gである、請求項2に記載の潤滑剤組成物。
  4. 前記潤滑剤組成物の組成TBNの少なくとも10%が、式(I)のアミン化合物少なくとも1種を含む無灰TBN源から誘導されたものである、請求項3に記載の潤滑剤組成物。
  5. SASH含分が、前記潤滑剤組成物の全質量に対して1.1質量%以下である、請求項4に記載の潤滑剤組成物。
  6. さらにリン含有耐摩耗性添加剤を含有する、請求項2に記載の潤滑剤組成物。
  7. フルオロポリマーシール適合性を有する請求項1に記載の潤滑剤組成物であって、該潤滑剤組成物中に浸したフルオロポリマーシールが、CEC L-39-T96に従って試験した場合に、伸び率において−60〜10%の変化、又は引張強度において−50〜10%の変化を示す、前記潤滑剤組成物。
  8. 前記シール適合性添加剤が、ボロキシン化合物、エポキシ化合物、ハロゲン化物の化合物、スルホネートエステル化合物、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の潤滑剤組成物。
  9. 前記シール適合性添加剤が、前記潤滑剤組成物の全質量に対して0.01〜10質量%の範囲の量で存在する、請求項8に記載の潤滑剤組成物。
  10. 前記シール適合性添加剤がエポキシ化合物である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
  11. 式Iのアミン化合物:
    Figure 2017513978
    [前記式中、
    1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
    5、及びR6はそれぞれ独立して、H、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
    7は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であるか、又はアリール基であり、
    ただし、R5がHであり、かつR7がアルキル基である場合、R6はアルキル基であり、ただし、R1、R2、R3、及びR4のうち3つ以下が同時にメチルである]
    及び
    シール適合性添加剤
    を含有する添加剤パッケージ。
  12. さらに耐摩耗性添加剤を含有する、請求項11に記載の添加剤パッケージ。
  13. 前記シール適合性添加剤が、ボロキシン化合物、エポキシ化合物、ハロゲン化物の化合物、スルホネートエステル化合物、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項12に記載の添加剤パッケージ。
  14. 前記シール適合性添加剤がエポキシ化合物である、請求項11、12、又は13に記載の添加剤パッケージ。
  15. フルオロポリマーシールを含有する系を潤滑にする方法であって、以下の工程:
    ・基油、シール適合性添加剤、及び式Iのアミン化合物:
    Figure 2017513978
    [前記式中、
    1、R2、R3、及びR4はそれぞれ独立して、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
    5、及びR6はそれぞれ独立して、H、又は1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
    7は、1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であるか、又はアリール基であり、
    ただし、R5がHであり、かつR7がアルキル基である場合、R6はアルキル基であり、ただし、R1、R2、R3、及びR4のうち3つ以下が同時にメチルである]
    を含有する潤滑剤組成物を用意する工程、及び
    ・前記フルオロポリマーシールを、前記潤滑剤組成物と接触させる工程
    を有する、前記方法。
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