JP2017512205A - 腎臓障害を治療するための組成物及び方法 - Google Patents

腎臓障害を治療するための組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、改変ペクチン(例えば、GCS-100)などのガレクチン-3阻害剤を使用して、慢性腎臓病又はNASHなどの腎臓障害を治療するための方法を提供する。例えば、治療中にガレクチン-3阻害剤の投与レジメンを適合させるように、本阻害剤の効果を評価及び/又はモニタリングするための方法も記載されている。【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、2014年3月10日に出願された米国仮特許出願第61/950,806号に基づく利益を主張し、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
先進国において、高血圧症、高脂血症、及び糖尿病と診断される個体の継続的増加は、慢性腎臓病(CKD)、NASH、及び末期腎疾患(ESRD)などの、腎臓障害の発症の全体的な増加に寄与してきた。(Tumlinら、(2013)「Cardiorenal Syndrome Type 4: insights on clinical presentation and pathophysiology from the Eleventh Consensus Conference of the acute dialysis quality initiative」、Contrib Nephrol.2013;182:158〜73ページ)。慢性腎臓病(CKD)及び末期腎疾患(ESRD)の有病率の上昇は、グローバルな医学上の及び疫学上の問題である(Redonら、(2006)「ERIC-HTA 2003 study investigators: kidney function and cardiovascular disease in the hypertensive population: the ERIC-HTA study」、J. Hypertens 24:663〜669ページ)。米国においては、人口の13%まで(3000万人)がCKDを有すると推定される。腎機能の低下は心血管疾患の独立危険因子であることを示す証拠が増えてきている。CKD患者は、心筋梗塞後に死亡するリスクが高く、一過性腎機能障害となった患者でさえも、CVDの長期リスクは増加している(Id.; Mathewら、(2002)「Coronary intervention incidence and prognostic importance of acute renal failure after percutaneous coronary intervention」、Circulation 105:2259〜2264ページ.)。
患者においてCKDに至るメカニズムは十分に知られていないが、障害を受けた糸球体濾過率(GFR)及び腎障害を補償する腎臓応答において作用する複数のシグナル伝達経路の役割への関心が高まりつつある。広範囲の科学研究が、腎臓障害を治療するための新しい戦略を考案する意図で、そのような経路に関する独特な病理生理学的メカニズムに注目してきた(Ronco,ら、「Cardio-renal syndromes: report from the consensus conference of Acute Dialysis Quality Initiative」、Eur Heart J 31:703〜771ページ.)。
その生理的応答によって、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン軸(RAAS)の増大及び交感神経系の増大並びにカルシウム-副甲状腺軸の活性化を含めて、複数の補償経路の活性化が起こる可能性がある。(Tumlinら(2013)「Cardiorenal Syndrome Type 4; insights on clinical presentation and pathophysiology from the Eleventh Consensus Conference of the acute dialysis quality initiative」、Contrib Nephrol. 2013;182:158〜73ページ)。
近年のいくつかの研究によると、ガレクチン-3の循環レベルが高まることが末期腎疾患(ESRD)の患者における転帰の悪化に関連している(de Boerら、2011)。また、腎臓障害(片側性尿管閉塞[UUO]、虚血再灌流[I/R]、及び腎移植)の複数の動物モデルを使用した、いくつかの前臨床研究により、腎不全に至る組織線維の形成における、マクロファージによるガレクチン-3発現及び分泌の、直接の、因果的役割が実証された。具体的には、遺伝子操作されて、ガレクチン-3を欠失する動物は、腎臓損傷又は腎臓移植後に瘢痕形成(線維形成)を示さず、代わりに、ガレクチン-3を発現する対照マウスと比べて、炎症性サイトカイン発現の低下及び腎臓機能の改善を示す(Hendersonら、2008、Dangら、2012、Fernandes Bertocchiら、2008)。
まとめるとこれらの知見は、腎臓障害の治療において、ガレクチン-3を間接的に又は直接的に標的化する可能性を強調する。ガレクチン-3を抑制する能力は、腎損傷を緩和し、且つ腎機能を向上させるので、治療処置の有効な及び費用効果があるコースを適切に決定するために、ガレクチン-3、又はガレクチン-3が介在するシグナル伝達経路を標的とする化合物を特定する技術に対する大きなニーズがある。
本明細書に記載の本発明は、ガレクチン-3阻害剤、特に改変ペクチン、例えばGCS-100を使用する、腎臓障害の安全且つ効果的な治療を提供する。本発明は、がん、心血管疾患、感染症、炎症、線維症、及び腎損傷の治療において有効な1種以上のさらなる治療剤と一緒にガレクチン-3阻害剤、又は改変ペクチンを用いる、腎臓障害を治療するための併用療法をさらに提供する。腎臓障害を治療するための方法に関連する組成物、及びキットを含む製造品も、本発明の一部として意図されたものである。
ある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は、他のガレクチン、特にガレクチン-9と比べて、ガレクチン-3レベル及び/又は活性に対して選択的に影響を及ぼす用量で投与されるが、例えば、これは、この薬剤はガレクチン-9レベル及び/又は活性を阻害するよりも、ガレクチン-3レベル及び/又は活性を大幅に阻害するからである。例えば、ガレクチン-9に対するこの薬剤のIC50は、ガレクチン-3に対するそのIC50よりも、少なくとも2、3、5、10、20、50、100倍、又は100倍をも超えて大きいことがある。理論に拘泥するものではないが、ガレクチン-9レベル及び/又は活性を阻害することにより、望ましくない副作用が誘導される恐れもあり、したがって、ガレクチン-9レベル及び/又は活性を実質的に阻害せずに、ガレクチン-3レベル及び/又は活性を治療有効程度に阻害することが望ましいであろう。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載の方法には、ガレクチン-3阻害剤で処置した患者においてガレクチン-9レベルを測定して、ガレクチン-9レベル及び/又は活性が、臨床的に有意な程度に影響を受けたかどうか判定することが含まれる。測定結果が、ガレクチン-9レベル及び/又は活性が、有意に影響を受けたことを示す場合、ガレクチン-3阻害剤の1回以上のその後の用量を、測定前に投与された用量と比べて低下させることができる。
本発明の一態様は、患者において腎臓障害を治療する方法であって、患者に少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤を投与することを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、腎臓障害は、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、腎不全、CKD(慢性腎臓病)、肝腎症候群、アシドーシス、ARF(急性腎不全)、無形性、アルポート症候群、アミロイドーシス、鎮痛薬性腎症、抗GBM病(グッドパスチャー病)、抗リン脂質症候群、アテローム塞栓症(コレステロール塞栓症)、バーター症候群、良性家族性血尿、ベルガー病、ブレーシャーチミーノ瘻、カルシフィラキシー、慢性腎盂腎炎(逆流性腎症)、CRF(慢性腎不全)、慢性腎不全症、保存的管理、半月体形成性腎炎(RPGN(急速進行性糸球体腎炎))、膀胱炎、腎臓内嚢胞、デンスデポジット病又はMCGN(メサンギウム毛細管性糸球体腎炎)、尿崩症、糖尿病性腎障害、排尿障害、浮腫、ESRD又はESRF(末期腎疾患又は末期腎不全)、ファブリー病、ファンコニ症候群、原線維性腎炎、FSGS(巣状分節性糸球体硬化症)、ギテルマン症候群、糸球体腎炎、血尿、HUS(溶血性尿毒症症候群)、水腎症、ヘノッホ‐シェーンライン紫斑病、肝腎症候群、副腎腫、形成不全、IgA腎症(ベルガー病)、間質性腎炎、腰痛血尿症候群、悪性高血圧、海綿腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、MCGN(メサンギウム毛細管性糸球体腎炎)、MPA(顕微鏡的多発血管炎)、腎障害、ネフローゼ症候群、ナットクラッカー症候群、乏尿症、骨形成異常症、ペイジ腎、多発性動脈炎、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、感染後糸球体腎炎、プルーンベリー症候群、腎盂腎炎、逆流性腎症、腎尿細管性アシドーシス、後腹膜線維症、サルコイドーシス、シェーンライン-ヘノッホ紫斑病、強皮症腎クリーゼ、シェーグレン症候群、全身性硬化症、全身性血管炎、菲薄GBM症(Thin GBM disease)、血栓性血小板減少性紫斑病、TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)、結節性硬化症、尿道炎、脈管炎、及びヴェグナー肉芽腫症から選択される。
一部の実施形態では、患者はCKDを有する。
一部の実施形態では、患者はNASHを有する。
一部の実施形態では、患者は、約15〜44mL/min/1.73m2のベースラインeGFR(糸球体濾過率)を有する。
一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は改変ペクチンである。
一部の実施形態では、改変ペクチンの骨格は、ホモガラクツロナン及び/又はラムノガラクツロナンIを含む。
一部の実施形態では、改変ペクチンは、分断されたラムノガラクツロナン骨格を有するように、脱エステル化及び部分的に脱重合化されている。
一部の実施形態では、改変ペクチンは、50から200kDaの間、好ましくは80から150kDaの間の平均分子量を有する。
一部の実施形態では、改変ペクチンは、25kDa未満の分子量を有する改変ペクチンを実質的に含まない。
一部の実施形態では、改変ペクチンはGCS-100である。
一部の実施形態では、改変ペクチンは、改変又は非改変ペクチンを接線流フィルター(tangential flow filter)に通すことにより生成される。
一部の実施形態では、本方法は、約0.1〜2mg/m2の用量で改変ペクチンを投与することを含む。
一部の実施形態では、用量は約1.5mg/m2である。
一部の実施形態では、用量は約1〜10mgである。
一部の実施形態では、用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10mg、好ましくは1、3、又は9mgである。
一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は週1回又は2週1回で投与される。
一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は導入期の間は週1回で、次いで維持期の間は2週1回で投与される。
一部の実施形態では、導入期は1〜3ヶ月、好ましくは2ヶ月である。
一部の実施形態では、維持期は少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも3ヶ月である、又は6ヶ月以上ですらある。
一部の実施形態では、少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤は、患者の血清中の尿酸レベルを低下させる量で投与される。
一部の実施形態では、少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤は、患者の血清中のBUNレベルを低下させる量で投与される。
一部の実施形態では、少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤は、患者のGFRの変化を引き起こす量で投与される。
一部の実施形態では、少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤は、患者の血清中のガレクチン-3レベルを低下させる量で投与される。
一部の実施形態では、少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤は、患者におけるガレクチン-3の発現レベルを低下させる量で投与される。
一部の実施形態では、少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤は、患者におけるガレクチン-3活性を低下させる量で投与される。
一部の実施形態では、ガレクチン-3の濃度、発現レベル、又は活性は、対照と比較して0.5、1、2、3、4、又は5倍低下する。
一部の実施形態では、本方法は、1)ガレクチン-3阻害剤の投与前にガレクチン-3の濃度、レベル、又は活性を測定すること、及び2)ガレクチン-3阻害剤の投与後にガレクチン-3の濃度、レベル、又は活性を測定することをさらに含む。
一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤の投与後のガレクチン-3の濃度、レベル、又は活性の減少により、ガレクチン-3阻害剤の用量が、患者における腎臓障害の治療にとってのガレクチン-3阻害剤の有効量であることが示される。
一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤の投与後のガレクチン-3の濃度、レベル、又は活性の上昇により、ガレクチン-3阻害剤の用量が、患者における腎臓障害の治療にとってのガレクチン-3阻害剤の無効量であることが示される。
一部の実施形態では、本方法は、先行投与におけるよりも低量でガレクチン-3阻害剤の第2の用量を患者に投与することをさらに含む。
一部の実施形態では、本方法はさらなる治療剤を投与することをさらに含む。
一部の実施形態では、さらなる治療剤は心血管疾患、腎不全、がん、炎症、線維症、又は感染症の治療に有効である。
一部の実施形態では、さらなる治療剤は、抗酸化剤、抗炎症剤、化学療法剤、抗感染剤、抗生物質、又は抗線維症剤から選択される。
一部の実施形態では、本方法は、ガレクチン-3阻害剤を治療剤と同時に投与することを含む。
一部の実施形態では、本方法は、治療剤の投与後にガレクチン-3阻害剤を投与することを含む。
一部の実施形態では、本方法は、ガレクチン-3阻害剤の投与後に治療剤を投与することを含む。
一部の実施形態では、本方法は、少なくとも8週間にわたってガレクチン-3阻害剤の複数用量を投与することを含む。
一部の実施形態では、本方法は、ガレクチン-3阻害剤を週1回で投与することを含む。
一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は、注射又は静脈注入により投与される。
一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は静脈注入により投与される。
本明細書に記載の全ての実施形態は、本発明の様々な態様の下で記載されるものを含め、特に禁止されていない場合、互いに組み合わせることができると考えられる。
哺乳動物の既知ガレクチンのファミリーを示す図である。 ガレクチン-3に非結合である及び結合したGCS-100の構造を模式的に示す図である。 がん患者において1.5mg/m2単回用量後の、GCS-100濃度対ベースラインガレクチン-3を示す図である。 がん患者において30mg/m2単回用量後の、GCS-100濃度対ベースラインガレクチン-3を示す図である。 経時的eGFRの変化を示す図である。
本明細書において、ガレクチン-3阻害剤、特に改変ペクチン、例えばGCS-100を使用して、慢性腎臓病又はNASHなどの腎臓障害を治療するための方法が提供される。本発明は、がん、心血管疾患、感染症、炎症、線維症、及び腎損傷の治療において有効な1種以上のさらなる治療剤と一緒に、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンを用いる腎臓障害を治療するための併用療法をさらに提供する。また、例えば、治療中にガレクチン-3阻害剤の投与レジメンを適合させるように、本阻害剤の効果を評価及び/又はモニタリングするための方法も記載されている。腎臓障害を治療するための方法に関連する組成物及び、キットを含む製造品も、本発明の一部として意図されたものである。
本発明の様々な態様を、本明細書においてさらに詳細に説明する。
I. 定義
本明細書において他に定義しない限り、本出願で使用される科学技術用語は、当業者によって通常理解される意味を有するものとする。一般的に、化学、分子生物学、細胞及びがん生物学、免疫学、微生物学、薬理学、並びにタンパク質及び核酸化学に関する本明細書に記載の命名法及び技術は、当業界において周知で、通常に使用されているものである。
本出願を通して、単語「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形は、述べられた完全体(又は成分)又は完全体(又は成分)の群を含むことを意味し、任意の他の完全体(又は成分)又は完全体(又は成分)の群を除外することを意味しないと理解されるであろう。単数形「a」、「an」、及び「the」は、その文脈が別段に明確に指示しない限り、複数形を含む。用語「含む(including)」は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」を意味するために使用される。「含む(including)」及び「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」は、交換可能に使用される。
「約(about)」及び「およそ(approximately)」は、一般的に、測定値の性質又は精度を前提に、測定された量の許容可能な誤差の程度を意味する。典型的には、例示的な誤差の程度は、所与の値又は値の範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。あるいは、特に生物学系では、用語「約」及び「およそ」は、ある大きさの程度以内、所与の値の好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内にある値を意味し得る。本明細書に与えられた数量は、特に明記しない限り、概算であり、明示的に述べられていない場合、用語「約」又は「およそ」を推定することができることを意味する。
「ベースライン」とは、初回試験薬投与前にとられた直近の評価である。
「ベースラインからの変化」とは、投与後ベースライン値と上記ベースライン値の間の算術差である:ベースラインからの変化=(投与後ベースライン値-ベースライン値)ベースラインからのパーセント変化=[(投与後ベースライン値-ベースライン値)/ベースライン値]×100。
「体表面積」又はBSAは、式:
Figure 2017512205
により定義される。
本明細書で使用されるとき「臨床応答」は、薬剤の治療的有効性の指標を指す。例えば、臨床応答は、慢性腎臓病(CKD)及びベースラインeGFR約15〜44mL/min/1.73m2を有する患者における、対照と比較した、GCS-100などの改変ペクチンを8週間投与後のベースラインからの推定糸球体濾過率(eGFR)の変化により決定することができる。臨床応答は、CKD患者における、対照と比較した、8週間投与した改変ペクチンの安全性及び耐容性とすることができる。ある特定の実施形態では、臨床応答とは、対照と比較した、1)循環ガレクチン-3レベル、2)血清マーカー、並びに/又は3)炎症、線維形成、及び腎損傷のマーカー、に対する改変ペクチンの影響の測定結果である。
「第2の薬剤と組み合わせた第1の薬剤」という句中の用語「組合せ」には、例えば薬学的に許容される同一担体中に溶解されていても若しくは混合されていても良い第1の薬剤と第2の薬剤の同時投与、又は第1の薬剤に続いて第2の薬剤の投与、又は第2の薬剤に続いて第1の薬剤の投与が含まれる。したがって、本発明は、併用療法及び組合せ医薬組成物を含む。
「併用療法(concomitant therapeutic treatment)」という句中の用語「併用」には、第2の薬剤の存在下である薬剤を投与することが含まれる。併用療法には、第1、第2、第3又はさらなる薬剤が同時投与される方法が含まれる。併用療法には、第1の又はさらなる薬剤が第2又はさらなる薬剤の存在下で投与される方法も含まれ、ここにおいて、例えば、第2の又はさらなる薬剤があらかじめ投与されていることもある。併用療法には、異なる実行者により段階的に実施されても良い。例えば、ある実行者は第1の薬剤を対象に投与し、第2の実行者は第2の薬剤をこの対象に投与してもよく、投与ステップは、同時に若しくはほぼ同時に又は第1の薬剤(及びさらなる薬剤)が第2の薬剤(及びさらなる薬剤)の存在下での後投与である限り、離れた時間に実施しても良い。実行者と対象は同じ実体(例えば、ヒト)であってもよい。
用語「併用療法(conjpoint therapy)」及び「併用療法(combination therapy)」とは、本明細書で使用されるとき、2つ以上の治療薬物質、例えば、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン、及び炎症、線維症、腎損傷、又はがんの治療において使用される別の薬物の投与のことを指す。その他の薬物(複数可)は、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの投与と同時に、先立って又は続いて投与しても良い。
用語「用量」とは、本明細書で使用されるとき、対照に投与される、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)などの、治療剤の量を指す。
用語「投与(dosing)」とは、本明細書で使用されるとき、治療目的(例えば、腎臓障害の治療)を達成するための、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)などの治療剤の投与のことを指す。投与のレベルは、ガレクチン-3のベースラインレベルに基づくことができる。適切な用量を決定する1つの方法として、ベースラインガレクチンの測定を行って、目標用量を決定し、続いて投与後にさらなる測定を行って、ガレクチン-3に対する用量効果を決定することが考えられる。
「投与レジメン」とは、例えば、長期間にわたる、又は治療過程を通しての治療スケジュール、例えば、0週目にガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)の初回用量、続いて週1回又は2週1回の投与レジメンでガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)の第2の用量を投与することなど、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)などの治療剤を投与するためのスケジュールを言う。
「糸球体濾過率」、又はGFRとは、腎臓がどれほど良く機能しているかチェックするのに使用される試験である。具体的には、これにより、毎分あたり血液が糸球体をどのくらい通流するか推定される。糸球体は腎臓にある、血液から老廃物を濾過する微小濾過器である。GFRは、2週、4週、6週、8週、10週、12週、16週、20週、24週、26週、28週、32週、34週、36週、42週、44週、48週、50週、52週、56週、57週毎などに測定することができる。GFRは0週目、50週目、及び57週目に測定するのが好ましい。
用語「固定用量」又は「全身用量」とは、治療すべき対象に各投与で送達される治療剤の一定量である用量を指す。ある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)は、0.1mg/m2から30mg/m2の範囲の固定用量で対象に投与される。ある特定の実施形態では、改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤は、0.1mg/m2、0.5mg/m2、1mg/m2、3mg/m2、6mg/m2、9mg/m2、12mg/m2、15mg/m2、18mg/m2、21mg/m2、24mg/m2、27mg/m2、30mg/m2、35mg/m2、40mg/m2、50mg/m2、60mg/m2、70mg/m2、80mg/m2、90mg/m2、100mg/m2、110mg/m2、120mg/m2、130mg/m2、140mg/m2、150mg/m2、160mg/m2、170mg/m2、180mg/m2、190mg/m2、200mg/m2など固定用量で対象に投与される。上に記載の任意の値同士の間の値の範囲も、本発明の範囲内に含まれるものであり、上記用量に基づいた範囲、例えば、0.1〜5mg/m2、5〜10mg/m2、10〜15mg/m2、15〜20mg/m2、20〜25mg/m2、25〜30mg/m2、30〜80mg/m2、80〜120mg/m2、120〜150mg/m2、150〜175mg/m2、175〜200mg/m2として、例えば、0.2mg/m2、0.6mg/m2、1.9mg/m2、4mg/m2、8mg/m2、10mg/m2、13mg/m2、17mg/m2、20mg/m2、23mg/m2、25mg/m2、26mg/m2、28mg/m2、32mg/m2、45mg/m2、55mg/m2、65mg/m2、75mg/m2、85mg/m2、95mg/m2、105mg/m2、115mg/m2、125mg/m2、135mg/m2、145mg/m2、155mg/m2、165mg/m2、175mg/m2、185mg/m2、195mg/m2、205mg/m2も含まれるものとする。全身用量は週当たり1g/m2又は日当たり200mg/m2で5回を超えてはならない。
本明細書において交換可能に使用される、用語「導入用量」又は「負荷用量」とは、腎臓障害を治療するために最初に使用される、改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤(例えばGCS-100)の初回用量(複数可)を指す。負荷用量を、例えば、導入期の間投与しても良い。負荷用量は、後続の維持用量又は処置用量と比較して高くても良い。導入用量は、単回用量であっても良く、また一セットの用量であっても良い。例えば、1.5mg/m2用量を、1.5mg/m2の単回用量として、各0.75mg/m2の2回用量として、又は各0.375mg/m2の4回用量として投与しても良い。ある特定の実施形態では、導入用量には、より低用量の改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤(例えばGCS-100)、例えば、処置用量又は維持用量(複数可)の投与が次いで後続する。導入用量は、治療の導入期又は負荷期の間、投与される。導入期に後続して維持期であっても良い。
「治療を必要とする」ものには、その疾患又は障害を予防すべきであるもの、例えば、その疾患又は障害を発症するリスクがあると確認されたものを含めて、既に腎臓障害を有する、ヒトなどの哺乳動物が含まれる。
本明細書で使用されるとき、用語「腎臓障害」とは、腎臓の任意の腎症、疾患、状態、病気、感染、炎症、低下、線維形成、障害、又は瘢痕化を指す。腎臓障害には、それらに限定されないが、以下のNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、腎不全、CKD(慢性腎臓病)、肝腎症候群、アシドーシス、ARF(急性腎不全)、無形性、アルポート症候群、アミロイドーシス、鎮痛薬性腎症、抗GBM病(グッドパスチャー病)、抗リン脂質症候群、アテローム塞栓症(コレステロール塞栓症)、バーター症候群、良性家族性血尿、ベルガー病、ブレーシャーチミーノ瘻、カルシフィラキシー、慢性腎盂腎炎(逆流性腎症)、CRF(慢性腎不全)、慢性腎不全症、半月体形成性腎炎RPGN(急速進行性糸球体腎炎)、膀胱炎、腎臓内嚢胞、デンスデポジット病又はMCGN(メサンギウム毛細管性糸球体腎炎)、尿崩症、糖尿病性腎障害、排尿障害、浮腫、ESRD又はESRF(末期腎疾患又は末期腎不全)、ファブリー病、ファンコニ症候群、原線維性腎炎、FSGS(巣状分節性糸球体硬化症)、ギテルマン症候群、糸球体腎炎、血尿、HUS(溶血性尿毒症症候群)、水腎症、ヘノッホ‐シェーンライン紫斑病、肝腎症候群、副腎腫、形成不全、IgA腎症(ベルガー病)、間質性腎炎、腰痛血尿症候群、悪性高血圧、海綿腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、MCGN(メサンギウム毛細管性糸球体腎炎)、MPA(顕微鏡的多発血管炎)、腎障害、ネフローゼ症候群、ナットクラッカー症候群、乏尿症、骨形成異常症、ペイジ腎、多発性動脈炎、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、感染後糸球体腎炎、プルーンベリー症候群、腎盂腎炎、逆流性腎症、腎尿細管性アシドーシス、後腹膜線維症、サルコイドーシス、シェーンライン-ヘノッホ紫斑病、強皮症腎クリーゼ、シェーグレン症候群、全身性硬化症、全身性血管炎、菲薄GBM症、TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)、結節性硬化症、尿道炎、脈管炎及びヴェグナー肉芽腫症が含まれる。
用語「レクチン」とは、細胞内に、細胞の表面上に、及び細胞間に存在する炭水化物糖類と特異的に相互作用する、体内に見出されるタンパク質を指す。この相互作用により、細胞運動、増殖、及び他の細胞機能を含めて、細胞に挙動の変化が生じる。レクチンとその標的炭水化物糖類の間の相互作用は、レクチン内の炭水化物認識ドメイン(CRD)を介して生ずる。ガレクチンは、レクチンのサブファミリーである。
用語「ガレクチン」とは、β-ガラクトシド糖分子に特異的に結合するCRDを有するレクチンのサブファミリーである。ガレクチンは、細胞の生存と接着の媒介、細胞-細胞相互作用の促進、血管の成長、及び免疫系と炎症応答の調節を含めて、広範な機能を有する(Lefflerら、2004)。現在のところ、既知である15の哺乳動物性ガレクチンがあり、図1に示すように、これらには3つのサブクラスがある:1つのCRDを有するもの(ガレクチン1、2、5、7、10、13、14、及び15)、2つのCRDを有するもの(ガレクチン4、6、8、9、及び12)、並びに1つのCRD及びアミノ酸尾部を含む第2のドメインを有するもの(ガレクチン3)。ガレクチンは、低濃度ではモノマーとして存在するが、高濃度ではダイマー及びオリゴマーとして存在し(図1)、したがって、細胞内に及び細胞とその環境の間にβ-ガラクトシド含有受容体と格子状ネットワークを形成する(図1)。したがって、低濃度では、ガレクチンは、上方調節及び過剰発現により変化する様々な生物学的機能を有することができる(Rabinovichら、2007)。
用語「維持療法」又は「維持投与レジメン」とは、腎臓障害と診断された対象又は患者が彼らの健康を所与の状態に、例えば、腎損傷が低下する又は臨床応答を達成するなど、維持することができるような、治療スケジュールを指す。例えば、本発明による維持療法によって、患者は自身の健康を完全に又は実質的に症状が無い状態に維持することが可能となる。あるいは、本発明による維持療法によって、患者はその健康を、治療を受ける前のその患者の状態と比べて、疾患に伴う症状が有意に低下する状態に、維持することが可能となる。
本明細書で使用されるとき、用語「維持期」又は「治療期」とは、所望の治療効果、例えば、腎臓障害と関連した症状の改善を維持するために、対象に改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤(例えば、GCS-100)を投与することを含む治療のある期間を指す。維持期に先行して導入期があっても良い。導入期は、例えば、改変ペクチンなどの治療剤の患者の血漿レベルを、ベースラインレベル(例えば、0)から治療有効ウィンドウまでに即座に上昇させる目的で、一般に維持期よりも高い用量であり、次いでこの血漿レベルは維持期における投与により維持される。
用語「維持用量」及び「治療用量」とは、所望の治療効果を維持する又は継続するように対象により摂取される改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤(例えば、GCS-100)の量である。維持用量は、単回用量であっても良く、また、あるいは一セットの用量であっても良い。維持用量は、療法の治療期又は維持期の間投与される。一般に、維持用量(複数可)は、導入用量(複数可)より低く、維持用量同士は連続的に投与するとき、互いに等しくても良い。
「複数可変用量」という句は、治療薬処置のために対象に投与する改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤(例えば、GCS-100)の様々な用量を含む。「複数可変用量レジメン」又は「複数可変用量療法」とは、治療の過程を通して種々の時点において改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤(例えば、GCS-100)の様々な量を投与することに基づく治療スケジュールを言う。
用語「薬学的に有効な量」又は「治療有効量」とは、例えば、患者における腎不全の治療に有効な、例えば、腎機能を改善する、並びに/又は、腎臓病に罹患した患者の全般的な健康に有益な及び/若しくは望ましい変化をもたらす、ガレクチン3阻害剤などの組成物又は治療剤の量を指す。「薬学的に有効な量」又は「治療有効量」はまた、患者の臨床症状を改善する量を指す。
本明細書で使用されるとき句「薬学的に許容される賦形剤」とは、当業者が医薬製剤を対象に投与するのに適したものとするのに好適であると考える、薬学的に許容される物質、組成物若しくは媒体、例えば、液体若しくは固体の増量剤、希釈剤、滑沢剤、バインダー、担体、湿潤剤、崩壊剤、溶媒又は封入剤を意味する。各賦形剤は、製剤の他の成分と適合性があるという意味において「許容される」、並びに上で定義したように「薬学的に許容される」でなければならない。薬学的に許容される担体としての機能を果たす物質の例には、それらに限定されないが、乳糖、グルコース及び蔗糖などの、糖類;トウモロコシ澱粉及びジャガイモ澱粉などの、澱粉類;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどの、セルロース及びその誘導体;粉末トラガラント;麦芽;ゼラチン;タルク;シリカ、ワックス;トウモロコシ油及びゴマ油などの、油類;プロピレングリコール及びグリセリンなどの、グリコール類;ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコールなどの、ポリオール類;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどの、エステル類;寒天;緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル溶液;並びに医薬製剤で通常使用するその他の非毒性適合性物質が含まれる。
用語「予防する」は、その分野において承認されており、腎臓障害などの医学的状態に関連して使用されるとき、当業界においてよく理解されており、組成物を投与されてない対象と比べて、対象において医学的状態に関する症状の頻度を低下させる、又はそれの発現を遅延させる組成物の投与を含む。腎毒性の予防は、例えば、腎臓から毒性物質を除去して、腎臓及びその機能に対するそのような物質の悪影響を回避することを含む。
用語「予防的」又は「治療的」処置とは、その技術分野において承認されており、宿主への薬物投与を指す。望ましくない状態の臨床症状(例えば、宿主動物の疾患又は他の望ましくない状態)に先立ち薬物が投与される場合、その処置は予防的であり、すなわち、それは、望ましくない状態が発生することに対して宿主を保護する。一方、望ましくない状態の症状後に薬物が投与される場合、その処置は治療的である(すなわち、それは現在の望ましくない状態又はそれに由来する副作用を軽減するか、改善するか、又は維持することを意図する)。予防的及び治療薬処置は、腎臓機能障害を軽減する公知の方法、例えば、それらに限定されないが、血管形成、血液透析、血液濾過、砕石、透析、及びパリアティブケアなどと併せて使用しても良い。
用語「対象」及び「患者」とは、本明細書で使用されるとき、交換可能に使用される。ある特定の実施形態では、対象とは、改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤(例えば、GCS-100)で治療的に処置可能な個体を指す。
ある特定数未満のある特定の分子量を有する改変ペクチンを「実質的に含まない」とは、組成物が有する、その数未満の分子量を有する改変ペクチンが1%未満、好ましくは0.5%未満、又は0.1%未満ですらあることを意味する。
本発明の改変ペクチンなどの、化合物の「治療有効量」とは、治療に関する本方法に関連して、対象に望ましい投与量レジメンの一部として投与するとき、治療目的(例えば、腎臓障害の治療)を達成する、調製物中の化合物(複数可)の量を指す。治療有効量は、ベースラインガレクチン-3レベルの測定を行って目標用量を決定し、続いて投与後にさらなる測定を行って、ガレクチン-3に対する当該用量の影響を決定することにより、決定することができる。そのような実施形態では、患者のガレクチン-3レベル又は活性が低下する、阻害される、又は低減する場合、当該用量は治療有効量である。
用語「治療」とは、本発明の文脈内で使用するとき、治療処置、並びに予防手段又は抑制手段を含む。
III. ガレクチン-3阻害剤
本発明のある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は、ガレクチン-3に結合し且つ、例えば、その抗アポトーシス活性を低減させることによりガレクチン-3を阻害する薬剤である。そのような薬剤は、例えば、細胞内シグナル伝達経路及び/又はガレクチン-3の転位を防止することによって機能する。例示に過ぎないが、そのような薬剤は、ガレクチン-3の多量体化及び/又はガレクチン-3とBcl-2若しくはbcl-xLなどの抗アポトーシスBcl-2タンパク質との相互作用を阻害するものである。それはまた、例えば、ガレクチン-3のSer-6でのリン酸化を阻害することによって、ガレクチン-3のリン酸化を阻害する薬剤でもある。全体的な反応機構レベルにおいて、その阻害剤は、核と細胞質の間のガレクチン-3の転位を阻害し、又はガレクチン-3の核周囲膜への転位を阻害し、そしてチトクロームCのミトコンドリアからの放出を阻害する薬剤とすることができる。その阻害剤は、例えば、ガレクチン-3に結合し、ガレクチン-3を阻害することにより、繊維芽細胞の増殖を誘発する薬剤でもある。
本発明で考えられているガレクチン-3阻害剤の1つのクラスは、ポリマー、特に、ガレクチン-3に結合し、その抗アポトーシス活性を阻害する、炭水化物含有ポリマーである。本発明において有用な物質は、通常天然又は合成のポリマー及びオリゴマーを含んでも良い。そのようなポリマーは非常に毒性が低いことが好ましい。
本発明の実施のためのポリマーの好ましいクラスは、活性ガレクチンと結合する糖部位を含有するが、単糖類よりやや高分子量であり、これによりそのような分子が持続的なブロッキング、活性化、抑制、又はガレクチンタンパク質と他の相互作用を行うことが可能となる、炭水化物由来のポリマーである。治療物質の好ましいクラスは、天然又は合成由来の、ペクチンなどの、ガラクトース又はアラビノースに富んだオリゴマー又はポリマー種を含む。そのような物質は、好ましくは500,000ダルトンまでの範囲内、より好ましくは100,000ダルトンまでの範囲内の分子量を有している。1つの特定の物質は、それから枝分かれしているガラクトースを末端とする側鎖を有する、ラムノースにより分断されていても良い、実質的にデメトキシル化したポリガラクツロン酸骨格を含む。別の特定の物質は、それから枝分かれしている側鎖を有する又は有さないホモガラクツロナン骨格を含む。
ペクチンは、その骨格から依存する多数の分岐側鎖を有するポリガラクツロン酸骨格から成る高度に分岐した構造を有する複合炭水化物である。この分岐により、「スムース」と「ヘアリー」に特徴付けられる領域が生じている。ペクチンは、種々の化学的、酵素的又は物理的処理で改変してその分子をより小さな部分に分割できるが、この分子は、分岐が減少した、枝分かれしているラムノース残基の側鎖を持つ、より直線状の、実質的にデメトキシル化したポリガラクツロン酸骨格を有していることが見出されている。結果として得られる部分的に脱重合されたペクチンは当業界で改変ペクチンとして公知である。
ある特定の実施形態では、本発明は、中性糖側鎖を有するラムノガラクツロナン及び/又はホモガラクツロナン骨格を含み、骨格にかかる中性糖の分岐程度が低い改変ペクチンを提供する。ある特定の実施形態では、改変ペクチンは、分断されたラムノガラクツロナン骨格を有するように、脱エステル化及び部分的に脱重合化されている。
ある特定の実施形態では、改変ペクチンは、ガラクトース-及びアラビノース含有側鎖の少なくともいくつかがなお結合している、ガラクツロン酸とラムノガラクツロナンIのコポリマーを含む。好ましい実施形態では、改変ペクチンは、多角度光散乱(MALLS)検出器を備えたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定したところ、平均分子量が50〜200kD、好ましくは70〜200kD、より好ましくは70〜150kDである。
ある特定の実施形態では、改変ペクチンは、その中に少量のラムノガラクツロナンを有するホモガラクツロナン骨格を含み、その骨格は、骨格にかかる分岐程度が低い中性の糖側鎖を有する。特定の実施形態では、ホモガラクツロナン骨格のガラクツロン酸サブユニットは、部分的に脱エステル化されていた。
ある特定の実施形態では、本発明は、下の式I及びIIの
ホモガラクツロナン
Figure 2017512205
ラムノガラクツロナン
Figure 2017512205
一方又は両方で説明できるが、この一般的な式の変異体も、米国特許第8,128,966号に記載の原則に従って調製及び使用できるであろうことは理解できる。
上の式において、mは≧0であり、n、o及びpは≧1であり、Xはα-Rhapであり;及びYmは、糖の直鎖又は分岐鎖を表す(鎖Ymの各Yは、鎖の中の異なる糖を独立して表す)。糖Yは、それらに限定されないが、次のうちのいずれかとすることができる:α-Galp、β-Galp、β-Apif、β-Rhap、α-Rhap、α-Fucp、β-GlcpA、α-GalpA、β-GalpA、β-DhapA、Kdop、β-Acef、α-Araf、β-Araf及びα-Xylp。
この種のポリマーの例としては、改変ペクチン、好ましくは、水溶性のpH改変シトラスペクチンが挙げられる。この種の適切なポリマーは、例えば、米国特許第5,834,442号、第5,895,784号、第6,274,566号、第6,500,807号、第7,491,708号及び第8,128,966号、米国特許出願公開第2002/0107222号、並びにPCT国際公開公報96/01640号及び03/000118号に開示されている。
天然のペクチンは、厳密には定期的な繰り返し構造を有しておらず、さらなるランダムな変形がペクチンの部分的加水分解によって導入される可能性があり、その結果Ymの同一性並びに「n」及び「o」の値は、上の式IIで表される繰り返し単位pの1つの反復ごとに変動し得ることが理解されよう。
本明細書で使用する糖モノマー名の省略形を以下に定義する。GalA:ガラクツロン酸、Rha:ラムノース、Gal:ガラクトース、Api:エリトロ-アピオース、Fuc:フコース、GlcA:グルクロン酸、DhaA:3-デオキシ-D-リキソ-ヘプツロサル酸、Kdo:3-デオキシ-D-マンノ-2-オクツロソン酸、Ace:アセル酸(3-C-カルボキシ-5-デオキシ-L-リキソース)、Ara:アラビノース。イタリック体のpはピラノース型を表し、イタリック体のfはフラノース環を表す。
その開示を引用によって本明細書中に組み込むこととする、米国特許第5,895,784号、第8,128,966号、第8,658,224号、第8,409,635号、第8,420,133号、及び第8,187,642号では、改変ペクチン物質、それらの調製技術、及び種々のがんの治療としてのその物質の使用が開示され、そしてこれらの物質は、本明細書に記載の組成物及び方法においても使用し得る。この'784号特許に記載のように、改変ペクチンは、ペクチンを溶液に入れ、一連のプログラム化されたpH変化に曝露してこの分子を分解させ、治療有効な改変ペクチンを得る、pHベースの改変法により調製される。好ましい出発物質はシトラスペクチンであるが、リンゴペクチンなどの、他のソースから得られるペクチンから改変ペクチンを調製できることは理解されたい。また、改変は、ペクチンの酵素処理、又は、加熱などの物理的方法によって行うことができる。改変ペクチン並びにそれらの調製方法及び使用に関するさらなる開示は、米国特許第5,834,442号及び第7,491,708号にもみられるが、その開示は引用によって本明細書中に組み込まれる。この種類の改変ペクチンは、一般に100キロダルトン未満の範囲の分子量を有する。このような物質の一群は、3キロダルトン未満の平均分子量を有するものである。別の群は、1〜15キロダルトンの範囲の平均分子量を有しており、特定の群の物質は、約10キロダルトンの分子量を有する。ある特定の実施形態では、改変ペクチンは、ペクチン側鎖の一部がなお存在しているペクチン酸ポリマーの構造を有する。好ましい実施形態では、改変ペクチンは、ガラクトース及びアラビノース含有側鎖の一部がなお結合している、ホモガラクツロン酸とラムノガラクツロナンIのコポリマーである。改変ペクチンは、多角度光散乱(MALLS)検出器を備えたゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で測定したところ、平均分子量1〜500キロダルトン(kD)、好ましくは、10〜250kD、より好ましくは50〜200kD又は80〜150kD、最も好ましくは80〜100kDである。ある特定の実施形態では、改変ペクチンは、20〜70kDの範囲の平均分子量を有する改変リンゴペクチンである。ある特定の実施形態では、改変ペクチンは、1〜15kDの範囲の平均分子量を有することもあり、他の実施形態では、改変ペクチンは、15〜60kDの範囲の平均分子量を有する。ガレクチン-3に結合するガラクタンのその論議については、その全体を引用によって本明細書中に組み込むこととする、Gunning、ら、The FASEB Journal、(2009)、23巻、416ページを参照されたい。そのようなガラクタンも本明細書に記載の組成物及び方法において使用することができる。
ある特定の実施形態では、改変ペクチンは、25kDa未満の分子量を有する改変ペクチンを実質的に含まない。改変ペクチンは、改変又は非改変ペクチンを接線流フィルターに通すことにより製造することができる。
エステル化の程度は、改変ペクチンの別の特徴である。ある特定の実施形態では、エステル化の程度は、0から80%の間、10から60%の間、0から50%の間、又は、20〜45%、若しくは30〜40%エステル化などの、20から60%の間とすることができる。
糖類含有量は、改変ペクチンの別の特徴である。ある特定の実施形態では、改変ペクチンは全体として単一の種類の糖類サブユニットからなる。他の実施形態では、改変ペクチンは、少なくとも2種、好ましくは少なくとも3種、最も好ましくは少なくとも4種の糖類サブユニットを含む。例えば、改変ペクチンは全体としてガラクツロン酸サブユニットから構成されても良い。あるいは、改変ペクチンは、ガラクツロン酸サブユニット及びラムノースサブユニットの組合せを含んでも良い。さらに別の例では、改変ペクチンは、ガラクツロン酸サブユニット、ラムノースサブユニット及びガラクトースサブユニットの組合せを含んでも良い。さらに別の例では、改変ペクチンは、ガラクツロン酸サブユニット、ラムノースサブユニット及びアラビノースのサブユニット組合せを含んでも良い。またさらに別の例では、改変ペクチンは、ガラクツロン酸サブユニット、ラムノースサブユニット、ガラクトースサブユニット及びアラビノースサブユニットの組合せを含んでも良い。一部の実施形態では、改変ペクチンのガラクツロン酸含有量は、50%を超える、好ましくは、60%を超える、最も好ましくは80%を超える。一部の実施形態では、ラムノース含有量は、25%未満、好ましくは15%未満、最も好ましくは10%未満であり、ガラクトース含有量は、50%未満、好ましくは40%未満、最も好ましくは30%未満であり、アラビノース含有量は、15%未満、好ましくは10%未満、そして最も好ましくは5%未満である。ある特定の実施形態では、改変ペクチンは、上記糖類ユニットに加えて、他のウロン酸、キシロース、リボース、リキソース、グルコース、アロース、アルトロース、イドース、タロース、グルオース(gluose)、マンノース、フルクトース、プシコース、ソルボース、又はタラロース(talalose)を含有しても良い。
本方法において使用に適した改変ペクチンは、種々の任意のリンケージ又はそれらの組合せを有することもできる。リンケージとは、ペクチン中の個々の糖が互いに結合している部位を意味する。一部の実施形態では、改変ペクチンは単一の種類のリンケージのみを含む。ある特定の好ましい実施形態では、改変ペクチンは、少なくとも2種のリンケージ、最も好ましくは3種のリンケージを含む。例えば、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニットのみを含んでも良い。あるいは、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及びアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでも良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及びアラビノースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットで構成されていても良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及びさらなる3-連結アラビノースサブユニットを有するアラビノースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでいても良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及びさらなる5-連結アラビノースユニットを備えたアラビノースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでも良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及びさらなる3-連結及び5-連結アラビノースサブユニットを備えたアラビノースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでも良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及び3,5-連結アラビノース分岐点を有するさらなる3-連結及び5-連結アラビノースサブユニットを備えるアラビノースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでも良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及びガラクトースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでも良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及びさらなる3-連結ガラクトースサブユニットを備えたガラクトースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでも良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及びさらなる4-連結ガラクトースサブユニットを備えたガラクトースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでも良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及び3,6-連結分岐点を有するさらなる3-連結ガラクトースサブユニットを備えたガラクトースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでも良い。別の例では、改変ペクチンは、アルファ-1,4-連結ガラクツロン酸サブユニット及び4,6-連結分岐点を有するさらなる4-連結ガラクトースサブユニットを備えたガラクトースサブユニットに4位を介して連結しているアルファ-1,2-ラムノースサブユニットを含んでも良い。ある特定の実施形態では、改変ペクチンの側鎖は、上記糖類ユニットに加えて、ウロン酸、ガラクツロン酸、グルクロン酸、ラムノース、キシロース、リボース、リキソース、グルコース、アロース、アルトロース、イドース、タロース、グルオース、マンノース、フルクトース、プシコース、ソルボース又はタロースを含んでも良い。
本明細書に記載の組成物及び方法に適した改変ペクチンは、以上に記載の1つ以上の特徴を有することがある。
ガレクチン-3を結合し且つ阻害することが可能なガラクトース残基を含む他の炭水化物物質も、本明細書に開示の組成物及び方法において用いることができる。例えば、マンナン、デキストラン、ポリガラクツロネート、ポリグルコサミン、及び他の水溶性多糖(例えば、その中で開示されている組成物に関し、参照により本明細書に組み込まれる、Plattらへの米国特許出願公開第2005/0043272号を参照されたい)を、ガレクチン-3阻害剤として使用することができる。ガラクトース、ラムノース、マンノース、又はアラビノースなどの、標的特異的な炭水化物の組み入れを、腫瘍細胞上の特異的レクチン型受容体を標的するようにに変化させて、例えば、ガレクチン-3対ガレクチン-9の相対的阻害を調節することができる。当業者は、修飾したペクチン及びある種のガラクタンなどの、ある種の天然に存在するポリマーの場合のように、ポリマー上に炭水化物残基の異種の集団が存在し得ることを理解するであろう。特定の多糖類には、ガラクトマンナン(例えば、シアンポシス・テトラゴノロブス(Cyamopsis tetragonolobus)由来)、アラビノガラクタン(例えば、ウエスタンラーチ(Larix occidentalis)由来)、ラムノガラクツロナン(例えば、ジャガイモ由来)、カラギーナン(例えば、ユーケウマ(Eucheuma)藻類)由来、及びローカストビーンガム(例えば、イナゴマメ(Ceratonia siliqua)由来)が含まれる。
アルキル改変多糖類は、天然源を由来とすること及び/又は天然に存在する炭水化物ポリマーから合成的に調製することができる。アルキル化多糖類の微生物源は当業者に周知であり、その教示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,997,881号を参照されたい。その微生物源の一部はオイルスピル浄化作業に使用されてきた(Gutnick及びBach 「Engineering bacterial biopolymers for the biosorption of heavy metals; Applied Microbiology and Biotechnology、54 (4)451〜460ページ、(2000)を参照されたい、また、その全教示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,395,354号、Gutnick、ら1983、も参照されたい)。オイルスピル浄化活動に関係するこの微生物は、“エマルザン”と呼ばれており、その多糖の一部がO-アシル化されている。アルキル化された類似の炭水化物も酵母発酵物から分離され、ソホロリピッドとして公知である。
適切な多糖類の別例は、2-アミノ-2,6-ジデオキシアルドヘキソース糖、グルコサミン、及び1種類以上の非アミノ化糖から本質的になる多糖鎖であり、アミノ化した糖のアミノ基は、実質的に全てがアセチル化した形態になっている。この多糖鎖は、エステル結合で、約10〜約18個炭素原子を有する飽和鎖及び/又は不飽和鎖からなるアルキル部分に結合している。そのアルキル部分の50〜95%には、ドデカン酸及び3-ヒドロキシ-ドデカン酸が含まれている。一特定の態様では、ドデカン酸は、3-ヒドロキシ-ドデカン酸よりも多い量で存在する。
任意選択で、アルキル化多糖は、疎水性部分を維持した状態で、リン酸基、硫酸基、硝酸基、カルボキシル基、及び/又は硫酸基などの、アニオン基を含むことができる。
例えば、合成多糖を、約8〜約40個の炭素原子からなる直鎖又は分岐鎖のアルキル基を使用してエステル化することができる。これらのアルキル基は、脂肪族でも不飽和でもよく、任意選択で1つ以上の芳香族基を含有することができる。ある特定の実施形態では、アルキル化多糖類の表面を炭水化物リガンド、例えばガラクトース、ラムノース、マンノース、アラビノースを使用して、さらに誘導体化して、レクチンによって認識される部位をさらに増やすことができる。本発明の多糖類は、アルキル、アリール、又は他の化学的部分を使用して誘導体化することができる。
特定の実施形態では、多糖は、それらに開示される組成物に関しその全てが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0064957号、第2005/0053664号、第2011/0077217号、及び2013/0302471に記載のガラクトマンナンとすることができる。例えば、ガラクトマンナンの分子量が平均分子量20〜600kDの範囲であり、例えば、ガラクトマンナンは、平均分子量83kD又は215kDなどの、90〜415kD又は40〜200kDの範囲である。適切なガラクトマンナンは、ハニーローカスト(Gleditsia triacanthos)、セロトニア・シリクア(Ceratonia siliqua)、ザントモナス・カムペストリス(Xanthomonas campestris)、トリゴネラ・フェナムグラカム(Trigonella foenum-graecum)、メディカゴ・ファルケート(Medicago falcate)、又はシアンポシス・テトラゴノロバ(Cyamopsis tetragonoloba)から単離しても良く、それらから単離したガラクトマンナンから調製しても良い。
ある特定のそのような実施形態では、ガラクトマンナンは、β-1→4-D-ガラクトマンナンであってよく、且つマンノースが1.0〜3.0の範囲であり及びガラクトースが0.5〜1.5の範囲にある、マンノースに対するガラクトースの比を含むことができる。あるいは、ガラクトマンナンは、マンノース対ガラクトースの比が2.6対1.5でも良い。
ある特定の実施形態では、ガラクトマンナンは、マンノースのガラクトースに対する比が2.2対0.9でも良い。あるいは、ガラクトマンナンは、マンノース対ガラクトースの比が1.13対1でも良い。あるいは、ガラクトマンナンは、マンノース対ガラクトースの比が2.2対1でも良い。
ある特定の実施形態では、多糖は、β-1,4-D-ガラクトマンナンであってよく、約1.7の、ガラクトースに対するマンノースの比を含む。ある特定の実施形態では、ガラクトマンナン多糖の分子量は、約4〜約200kDという範囲にある。ある種の特定の実施形態では、ガラクトマンナンは平均重量が約40〜60kDである。別の態様では、ガラクトマンナンの構造は、ポリ-β-1,4マンナン骨格であり、側鎖置換基がα-1-6-グリコシドリンケージによって付着したものである。ある特定の実施形態では、ガラクトマンナン多糖はβ-1,4-Dガラクトマンナンとすることができる。ある種の特定の実施形態では、多糖は、(((1,4)-連結β-D-マンノピラノース)17-((1,6)-連結-β-D-ガラクトピラノース)10)12)である。
適切な多糖類は、標的特異的な炭水化物の側鎖、例えばガラクトース、ラムノース、マンノース、又はアラビノースなどを有して、例えば、ガレクチン-3対ガレクチン-9の相対的阻害を調節することができるなど、それが細胞表面上の特異的レクチン型受容体を標的する際に認識能力を実現することができる。分岐は、オリゴ糖類の単一のユニットでもよく、2以上のユニットでも良い。
さらに別の適切な多糖は、その中で開示されている組成物に関し、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2005/0282773号に開示されている。その多糖類は、約20骨格ユニット当たり1つから、25骨格ユニット当たり1つまでにおいて、骨格に接続された中性単糖類を有するウロン酸糖類骨格又はウロンエステル糖類骨格を有することができる。得られる多糖類は、ほとんどが中性である糖類、及び約7〜25の中性単糖類ごとに1つを介して骨格に接続された糖類誘導体を含む少なくとも1つの側鎖を有することができる。好ましい一部の多糖類は、糖類の少なくとも1つの側鎖を有するが、実質的に派生糖類枝をさらに有せず、末端の糖類はガラクトース、グルコース、アラビノース、又はそれらの誘導体を含む。他の好ましい多糖類は、フェルロイル基で修飾された糖類の末端を有する少なくとも1つの糖類側鎖を有することができる。
適切な多糖類は約40,000〜400,000ダルトンの間の平均分子量範囲を有することができ、糖類の複数分岐、例えば、グルコース、アラビノース、ガラクトース等で構成される分岐を有することができる。これらの分岐はラムノースなどの中性単糖類を介して骨格に接続できる。これら分子は、ウロン酸残基の約10%程度から約90%程度にエステル化されてもいても良い、ウロン酸糖類骨格をさらに含むことができる。複数分岐それ自体、糖類の複数分岐を有することができ、この糖類の複数分岐は中性糖類と中性糖類誘導体を任意選択で含むことができる。
そのような多糖類は、化学修飾手順により調製することができるが、この手順は、例えばpH10.0、37℃、30分間、次にpH約3.5、25℃、12時間など、連続的に制御されたpH、温度及び時間を使用して、より小さい、脱分岐された多糖類分子へのpH依存脱ポリマー化を伴う(実施例1を参照されたい)。任意選択の代替の改変法は、水素化ホウ素カリウムなどの還元剤の存在下、アルカリ性溶液中で多糖を加水分解して、反復サブユニットに相応するサイズの断片を形成することである(例えば米国特許第5,554,386号を参照されたい)。化学的に改変された多糖類の分子量範囲は、5〜60kDの範囲、より具体的には約15k〜40kDの範囲、より具体的には、例えば、約20kDである。
さらに他の適切な多糖類は、その中で開示されている組成物に関し、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2008/0107622号に開示されている。そのような多糖類の1種には、ガラクト-ラムノガラクツロネート(GR)、すなわち、1,2-連結ラムノース残基及び1,4-連結Gala残基を交互に有するオリゴマーの分岐ヘテロポリマーであって、RGI骨格のラムノース残基に結合している1,4-β-D-ガラクトース残基及び/又は1,5-α-L-アラビノース残基を主に有する中性側鎖を有する分岐ヘテロポリマーが含まれる。GR側鎖は、アラビノシル残基(アラビノガラクタンI)又はフコース、キシロース、及びマンノースを含めて、他の糖類が加えられていても良い。またこれらは、工業的使用においてペクチン性物質とも称されている。
このような多糖類の製造には、天然に存在するポリマーを改変して、所望の範囲に分子量を減少させること、アルキル化された基を調整すること(脱メトキシル化又は脱アセチル化)、及び最適効率のため側鎖オリゴ糖類を調整することが含まれて良い。例えば、天然多糖類は、多糖の複数分岐、例えば、グルコース、アラビノース、ガラクトース等1〜20の単糖で構成される分岐を有する、約40,000〜1,000,000の間の分子量範囲を有することもあり、これらの分岐は、ラムノースのような中性単糖類を介して骨格に結合できる。これらの分子は、1個のウロン酸糖骨格をさらに含んでよく、これは約2%の少程度から約30%にエステル化されていて良い。複数分岐それ自体、糖類の複数分岐を有してよく、この糖類の複数分岐は、主に疎水性物を創出する中性糖類及び中性糖類の誘導体を任意選択で含んで良い。
ある特定の実施形態では、ラムノガラクツロネートは2,0〜200kDの範囲の分子量を有する。具体的な例では、ラムノガラクツロネートは、約34kD又は約135kDの平均サイズの分子量を有しても良く、化学的、酵素的及び/又は物理的処理によって得られる。当業者には明らかであるように、出発材料は、柑橘類の皮、リンゴ絞りかす、ダイズ外皮、若しくはテンサイ、又は他の適切な材料のペクチン性物質から単離及び/又は精製を介して得ることができる。
ある特定の実施形態では、可溶性の化学的に改変されたガラクト-ラムノガラクツロネートを、天然に存在するポリマーを改変して、所望の範囲に分子量を低下させること、アルキル化基を還元(脱メトキシル化又は脱アセチル化)することにより調製する。化学的改変の前には、天然多糖類は、多糖類の複数分岐、例えば、グルコース、アラビノース、ガラクトース等1〜20単糖で構成される分岐を有する、約40,000〜1,000,000の間の分子量範囲を有することもあり、これらの分岐は、ラムノースなどの中性単糖類を介して骨格に結合できる。これらの分子は、単一の又は鎖のウロン酸糖骨格をさらに含んでよく、これは約2%の少程度から約30%にエステル化されていて良い。複数分岐それ自体、糖類の複数分岐を有してよく、この糖類の複数分岐は、主に疎水性物を創出する中性糖類及び中性糖類の誘導体を任意選択で含んで良い。
より小分子な糖類も使用できる。適切な化合物として、N-アセチルラクトサミン及びその誘導体(例えば、3'-アミノ-N-アセチルラクトサミン誘導体の範囲を開示している、その全体が本明細書に組み込まれる、Sormeら、Chembiochem. 2002 Mar 1;3(2-3):183〜9ページを参照されたい)、並びにポリ-N-アセチルラクトサミンなどの、それらのオリゴマー及びポリマー誘導体が含まれる。
ガレクチン-3に結合するガレクチン-3阻害剤の他のクラスには、ガレクチン-3に特異的な抗体、ガレクチン活性に結合し且つガレクチン活性を妨害するペプチド及びポリペプチド、並びにガレクチン-3に結合し且つガレクチン-3を阻害する有機小分子(好ましくは2500amu未満)が含まれる。
さらに詳しく説明すると、本発明のある特定の実施形態では、本方法は、ガレクチン-3と免疫反応性であり且つその抗アポトース活性に阻害性である抗体又はそれの断片を使用して実施することができる。
例示的タンパク質治療薬がPCT国際公開公報02/100343号に記載されている。その文献には、ある特定のN末端を切断したガレクチン-3タンパク質が開示されてあり、このタンパク質は、無傷のガレクチン-3の炭水化物リガンドへの結合を阻害し、このことにより、その抗アポトーシス活性に必要な、ガレクチン-3の多量体化及び架橋活性も阻害する。
ガレクチン-3の例示的な小分子阻害剤には、チオジガラクトシド(例えば、Lefflerら、1986、J. Biol. Chem. 261:10119ページに記載)、及びその中で開示された阻害剤に関して参照により本明細書に組み込まれる、PCT国際公開公報02/057284号に記載の薬剤が含まれる。
ガレクチン-3に結合するガレクチン-3阻害剤のある特定の好ましい実施形態では、阻害剤は、10-6M以下、さらにより好ましくは10-7M未満、10-8M未満の、又は10-9M未満ですらあるガレクチン-3と結合するための解離定数(Kd)を持つように選択される。
本発明に有用な、ある特定のガレクチン-3阻害剤は、ガレクチン-3に結合し、ガレクチン-3と1つ以上の抗アポトーシスBcl-2タンパク質との相互作用を断ち切ることによって、作用する。あるガレクチン-3阻害剤は、Bcl-2結合部位と直接的に結合して、それによってBcl-2結合を競合的に阻害することができる。しかし、Bcl-2タンパク質に結合するガレクチン-3阻害剤もまた考えられ、これには、Bcl-2タンパク質と結合し、競合的若しくはアロステリックのいずれかにガレクチン-3との相互作用を阻害するガレクチン-3阻害剤が含まれる。
上記のように、ある特定の本ガレクチン-3阻害剤は、ガレクチン-3のリン酸化を阻害することによってその効果を発揮する。ガレクチン-3阻害剤の結合により、ガレクチン-3のリン酸化の原因となるキナーゼのアクセスをブロックすることができ、又は、あるいは、ガレクチンの配座変化が引き起こされ、リン酸化部位を隠し、又は曝露することができる。しかし、本発明はまた、ガレクチン-3のリン酸化の原因となるキナーゼ(複数可)に直接的に作用するキナーゼ阻害剤の使用も考慮に入れている。
さらに他の実施形態では、ガレクチン-3の活性の阻害も、ガレクチン-3タンパク質の発現を阻害することによって達成される。そのような阻害は、ガレクチン-3遺伝子から転写されるmRNA配列の一部に相応する配列を有するアンチセンス又はRNAi構築物を使用して達成される。
ある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は核酸とすることができる。ある特定の実施形態では、本発明は、ガレクチン-3mRNAにハイブリダイズし、ガレクチン-3の発現を減少させるアンチセンス核酸の使用に関する。そのようなアンチセンス核酸は、例えば、発現プラスミドとして送達することができる。それは、細胞内で転写されると、ガレクチン-3をコードする細胞mRNAの少なくとも特有の部分に相補的であるRNAを産生する。あるいは、構築物はex vivoで生成されるオリゴヌクレオチドであり、それは、細胞に導入されると、ガレクチン-3をコードするmRNA及び/又はゲノム配列とハイブリダイズすることによって発現の阻害を引き起こす。そのようなオリゴヌクレオチドは、内因性のヌクレアーゼ、例えば、エキソヌクレアーゼ及び/又はエンドヌクレアーゼに耐性のある、任意選択で改変されたオリゴヌクレオチドであり、したがってそれはin vivoで安定である。アンチセンスオリゴヌクレオチドとしての使用のための核酸分子の例としては、DNAのホスホラミデート、ホスホチオエート及びメチルホスホネートアナログが挙げられる(米国特許第5,176,996号、第5,264,564号、及び第5,256,775号も参照されたい)。さらに、核酸治療に有用なオリゴマーを構築するための一般的なアプローチが概観されている。例えば、van der Krolら、(1988) Biotechniques 6:958〜976ページ、及びSteinら、1988、Cancer Res. 48:2659〜2668ページを参照されたい。
他の実施形態では、本発明は、ガレクチン-3遺伝子の発現のノックダウンに影響を与えるRNA干渉(RNAi)の使用に関する。RNAi構築物は、標的遺伝子の発現を特異的にブロックすることができる二本鎖RNAを含む。「RNA干渉」すなわち「RNAi」は、植物及びムシにおいて観察された現象に最初に適用された語であり、二本鎖RNA(dsRNA)は、特異的及び転写後の様式で遺伝子の発現をブロックする。RNAiは、in vitro又はin vivoでの遺伝子発現を阻害するのに有用な方法を提供する。本明細書で使用されるとき、用語「RNAi構築物」は、低分子干渉RNA(siRNA)、ヘアピンRNA、及びin vivoで切断されて、siRNAを形成することが可能なその他のRNA種を含む総称である。また、本明細書においてRNAi構築物は、細胞中にdsRNA若しくはヘアピンRNAを形成する転写物、及び/又はin vivoでsiRNAを産生し得る転写物を生じることができる発現ベクター(RNAi発現ベクターとも称する)も含む。
RNAi構築物は、標的核酸配列と同一若しくは実質的に同一の長いストレッチdsRNA、又は標的核酸配列の一領域のみと同一若しくは実質的に同一の短いストレッチのdsRNAのいずれかを含むことができる。
任意選択で、RNAi構築物は、阻害される遺伝子(すなわち、「標的」遺伝子)のmRNA転写物の少なくとも一部のヌクレオチド配列に、細胞の生理学的条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含有する。二本鎖RNAは、RNAiを媒介する能力を有する程十分に天然のRNAに類似しているだけで良い。したがって、本発明は、遺伝子の突然変異、株の多型又は進化の多様化によって見込めるかもしれない、配列の変型を許容することができるという利点を有する。標的配列とRNAi構築物配列の間の許容されるヌクレオチドのミスマッチの数は、5塩基対中1以下、又は10塩基対中1以下、又は20塩基対中1以下、又は50塩基対中1以下である。siRNA二本鎖の中心におけるミスマッチは、最も致命的であり、基本的に標的RNAの切断をだめにする恐れがある。対照的に、標的RNAに相補的なsiRNA鎖の3'末端におけるヌクレオチドは、標的認識の特異性に対して有意な寄与を示さない。配列同一性は、当業界において公知の配列の比較及びアライメントアルゴリズムによって(Gribskov及びDevereux、Sequence Analysis Primer、Stockton Press、1991及びそこに引用されている引例を参照されたい)、及びヌクレオチド配列間のパーセント差異を、例えば、デフォルトパラメータを使用するBESTFITソフトウェアプログラムにおいて実行されるようなSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、University of Wisconsin Genetic Computing Group)によって計算することによって、最適化することができる。阻害性RNAと標的遺伝子の部分の間が、90%を超える配列同一性、さらには100%の配列同一性であることが好ましい。あるいは、RNAの二本鎖領域を、標的遺伝子転写物の一部とハイブリダイズすることが可能なヌクレオチド配列として機能的に画定することができる(例えば、NaCl 400mM、PIPES 40mM、pH6.4、EDTA 1mM、50℃又は70℃、12〜16時間のハイブリダイゼーションに続いて洗浄を行う)。
二本鎖構造は、単一の自己相補的RNA鎖又は2つの相補的RNA鎖によって形成することができる。RNA二本鎖形成は、細胞の内部又は外部のいずれかで開始することができる。RNAは、1細胞につき少なくとも1コピーの送達を可能にする量で導入することができる。二本鎖物質の用量を増やすと(例えば、1細胞あたり、少なくとも5、10、100、500又は1000コピー)、より効果的な阻害が生じるが、低用量も具体的な用途に有用であり得る。RNAの二本鎖領域に相応するヌクレオチド配列が、遺伝子的阻害の標的であるという点において、阻害は配列特異的である。
本RNAi構築物は、「低分子干渉RNA」又は「siRNA」とすることができる。このような核酸は、約19〜30ヌクレオチド長であり、さらに好ましくは21〜23ヌクレオチド長である。siRNAは、ヌクレアーゼ複合体を動員し、特異的な配列と対になってこの複合体を標的mRNAに導くものであることが理解される。その結果、標的mRNAは、タンパク質複合体中のヌクレアーゼによって分解される。一部の実施形態では、21〜23ヌクレオチドのsiRNA分子は、3'ヒドロキシル基を含む。ある特定の実施形態では、siRNA構築物は、長い二本鎖RNAを、例えば、酵素ダイサーの存在下で処理することによって作製し得る。例えば、in vitro系ショウジョウバエ(Drosophila)を使用し得る。このシステムにおいて、dsRNAは、ショウジョウバエ胚由来の可溶性抽出物と組み合わされ、それによって、組合せが生じる。この組合せは、dsRNAがプロセシングされて約21〜約23ヌクレオチドのRNA分子となる条件下で維持される。siRNA分子は、当業者に公知のいくつかの方法を使用して精製することができる。例えば、ゲル電気泳動を使用して、siRNAを精製することができる。あるいは、未変性法、例えば、未変性カラムクロマトグラフィーを使用してsiRNAを精製することができる。さらに、クロマトグラフィー(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー)、グリセロール勾配遠心分離、抗体を用いたアフィニティ精製を使用してsiRNAを精製することができる。
RNAi構築物は、化学的合成法又は組換え核酸技法によって作製することができる。処理された細胞の内因性RNAポリメラーゼが、in vivoでの転写を媒介し得る。又はクローニングされたRNAポリメラーゼを、in vitroでの転写に使用し得る。例えば、細胞性ヌクレアーゼに対する感受性を減少させるように、バイオアベイラビリティーを向上させるように、製剤特性を向上させるように、及び/又は、他の薬物動態特性を変化させるように、リン酸-糖骨格あるいはヌクレオシドのいずれかの改変を、RNAi構築物に含めることができる。例えば、天然のRNAのホスフォジエステルリンケージを、窒素原子又はイオウへテロ原子の少なくとも1つを含むように改変することができる。RNA構造の改変物は、dsRNAに対する一般的な応答を回避しながら、特異的な遺伝子的阻害を可能とするよう調整することができる。同様に、塩基を、アデノシンデアミナーゼの活性をブロックするよう改変することができる。RNAi構築物は、酵素的に作製しても、部分的/全体的な有機合成によって作製しても良い。任意の改変リボヌクレオチドをin vitroで酵素的、又は有機的合成によって導入しても良い。RNA分子を化学的に改変する方法は、RNAi構築物の改変に適合することができる(例えば、Heidenreichら、1997、Nucleic Acids Res.、25:776〜780ページ;Wilsonら、1994、J. Mol. Recog. 7:89〜98ページ;Chenら、1995、Nucleic Acids Res. 23:2661〜2668ページ;Hirschbeinら、1997、Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 7:55〜61ページを参照されたい)。例示に過ぎないが、RNAi構築物の骨格は、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、ホスホジチオエート、キメラメチルホスホネート-ホスフォジエステル、ペプチド核酸、5-プロピニル-ピリミジン含有オリゴマー又は糖改変物(例えば、2'-置換リボヌクレオシド、a-構成)によって改変することができる。
一部の場合、siRNA分子の少なくとも1つの鎖は、2から4のヌクレオチド長でも良いが、約1から約6のヌクレオチド長の3'末端オーバーハングを有している。より好ましくは、3'末端オーバーハングは、1〜3ヌクレオチド長である。ある特定の実施形態では、3'末端オーバーハングを有する一方の鎖及び平滑末端であるか又はオーバーハングも有する他方の鎖。オーバーハングの長さは、それぞれの鎖につき同じでも良いし異なっていても良い。siRNAの安定性をさらに向上させるため、3'末端オーバーハングを分解に対して安定化させることができる。一部の実施形態では、RNAは、プリンヌクレオチド、例えば、アデノシン若しくはグアノシンヌクレオチドを含めることによって安定化されている。あるいは、改変アナログによるピリミジンヌクレオチドの置換、例えば、2'-デオキシチニジンによるウリジンヌクレオチド3'末端オーバーハングの置換が許容され、この置換はRNAiの効能に影響しない。2'ヒドロキシルの非存在によって、組織培養培地におけるオーバーハングのヌクレアーゼ耐性が有意に上昇し、そしてこの非存在は、in vivoにおいて有益であり得る。
RNAi構築物は、長い二本鎖RNAの形態とすることもできる。ある特定の実施形態では、RNAi構築物は、少なくとも25、50、100、200、300又は400塩基である。ある特定の実施形態では、RNAi構築物は、400〜800塩基長である。二本鎖RNAは、細胞内消化されて、例えば、細胞内でsiRNA配列を産生する。しかし、おそらく配列非依存性のdsRNA応答によって生じ得る有害効果により、長い二本鎖RNAをin vivoで使用することは必ずしも実践的ではない。そのような実施形態では、局所送達系及び/又はインターフェロン若しくはPKRの効果を減少させる薬剤を使用することが好ましい。
あるいは、RNAi構築物は、ヘアピン構造(ヘアピンRNAと称する)の形態である。ヘアピンRNAは、外因的に合成することができ、又は、in vivoでRNAポリメラーゼIIIプロモータから転写することによって形成することができる。哺乳動物細胞における遺伝子サイレンシングのための、そのようなヘアピンRNAを作製する及び使用する例については、例えば、Paddisonら、Genes Dev.、2002、16:948〜58ページ;McCaffreyら、Nature、2002、418:38〜9ページ;McManusら、RNA、2002、8:842〜50ページ;Yuら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA、2002、99:6047〜52ページ)に記載されている。そのようなヘアピンRNAを細胞内又は動物において操作して、所望の遺伝子が連続的且つ安定して抑制されることを確実とすることが、好ましい。siRNAが、細胞内でヘアピンRNAを処理することにより作製し得ることは、当業界において公知である。
他の実施形態では、本発明は、ガレクチン-3のmRNA転写物を触媒的に切断して、mRNAの翻訳を阻止するように設計されたリボザイム分子の使用に関する(例えば、PCT国際公開公報90/11364、1990年10月4日公開;Sarverら、1990、Science 247:1222〜1225ページ;及び米国特許第5,093,246号を参照されたい)。部位特異的認識配列においてmRNAを切断するリボザイムを使用して、特定のmRNAを破壊することができるが、ハンマーヘッドリボザイムを使用することが好ましい。ハンマーヘッドリボザイムは、標的mRNAと相補的な塩基対を形成するmRNAを、隣接領域によって示される位置において切断する。標的mRNAは2つの塩基からなる次の配列:5'-UG-3'を有することが唯一の要件である。ハンマーヘッドリボザイムの構築及び作製は、当業界において周知であり、Haseloff及びGerlach、1988、Nature、334:585〜591ページにより詳細に記載されている。本発明のリボザイムはまた、テトラヒメナ好熱菌(Tetrahymena thermophila)において天然に発生するものなどの、及び広く記載されている(例えば、Zaug、1984、Science、224:574〜578ページ;Zaug及びCech、1986、Science、231:470〜475ページ;Zaugら、1986、Nature、324:429〜433ページ;公開国際特許出願第88/04300号、University Patents Inc.による; Been及びCech、1986、Cell、47:207〜216ページを参照されたい)、RNAエンドリボヌクレアーゼ(「Cech型リボザイム」)を含む(IVS又はL-19 IVS RNAとして公知)。
さらなる実施形態において、本発明は、ガレクチン-3遺伝子の発現を阻害するDNA酵素の使用に関する。DNA酵素には、アンチセンス及びリボザイム技術双方の反応機構的特徴の一部が組み込まれている。DNA酵素は、アンチセンスオリゴヌクレオチド酷似の、特定の標的核酸配列を認識するように、しかし、リボザイムに酷似して、触媒的及び特異的に標的核酸を切断するように設計されている。要するに、標的核酸を特異的に認識し、切断する理想的なDNA酵素を設計するために、当業者はまず、独特の標的配列を特定しなければならない。独特の又は実質的な配列は、およそ18〜22ヌクレオチドでG/Cに富んでいることが好ましい。G/C含有量が高いと、DNA酵素と標的配列との間の相互作用を強める助けとなる。DNA酵素を合成する際、この酵素をメッセージへと標的し得る特異的なアンチセンス認識配列が、DNA酵素の2つの腕を含むように分割され、そしてこのDNA酵素のループは、この2つの特定の腕の間に配置される。DNA酵素を作製及び投与する方法は、例えば、米国特許第6,110,462号に見出すことができる。
他の阻害剤として、ガレクチン-3に結合するモノクローナル、ポリクローナル、ヒト化、及び/又はキメラ抗体を含めることができる。本明細書で使用されるとき、用語「抗体」とは、4本のポリペプチド鎖、ジスルフィド結合によって相互接続された2本の重(H)鎖及び2本の軽(L)鎖を含む免疫グロブリン分子を指すものとする。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書中でHCVR又はVHと略す)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2及びCH3を含む。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中でLCVR又はVLと略す)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLを含む。VH及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存的な領域が散在する領域へとさらに細分することができる。それぞれのVH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成されており、アミノ末端からカルボキシ末端に、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置されている。代表的な抗体については、米国特許第6,090,382号、第6,258,562号及び第6,509,015号においてさらに詳細に記載されている。
本明細書で使用されるとき、用語、抗体(又は、単に「抗体部分」)の「抗原結合部位」又は「抗原結合断片」とは、抗原(例えば、ガレクチン-3)と特異的に結合する能力を保持している、抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片で実施できることが示されてきた。結合断片には、Fab、Fab'、F(ab')2、Fabc、Fv、単鎖、及び単鎖抗体が含まれる。抗体の用語「抗原結合部分」内に包含される結合断片の例には、(i)VL、VH、CL及びCHIドメインからなる一価断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab')2断片、(iii)VH及びCHIドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一のアームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardra、(1989)Nature、341:544〜546ページ)、並びに(vi)単離した相補性決定領域(CDR)が含まれる。
さらに、Fv断片の2つのドメイン、VL及びVHは別々の遺伝子によってコードされているが、これらは、組換え方法を使用して、これらが、VL領域及びVH領域が対合した単一のタンパク質鎖として作製され、一価分子を形成することを可能にする合成リンカーによって、結合させることができる(単鎖Fv(scFv)として知られる、例えば、Birdら(1988) Science 242:423〜426ページ;及びHustonら(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879〜5883ページを参照されたい)。そのような単鎖抗体も、用語、抗体の「抗原結合部分」内に包含されるものとする。ダイアボディなどの他の形態の単鎖抗体も包含される。ダイアボディは、VH及びVLドメインが単一ポリペプチド鎖上で発現されるが、同一鎖上の2つのドメイン間で対を形成するには余りに短いリンカーを使用することによって、それらドメインが別の鎖の相補性ドメインと対を形成し、2つの抗原結合部位を生ずるようにした二価の双特異性抗体である(例えば、Holligerら(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444〜6448ページ;Poljak、R.J.ら(1994) Structure 2:1121〜1123ページを参照されたい)。本発明の抗体部分は、それぞれが全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,090,382号、第6,258,562号、第6,509,015号に、より詳細に記載されている。
さらに、抗体又はその抗原結合部分は、この抗体又は抗体部分と1つ以上の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合性又は非共有結合性会合により形成されるさらに大きな免疫接着分子の一部であり得る。このような免疫接着分子の例は、四量体scFv分子を作製するためのストレプトアビジンコア領域の使用(Kipriyanov, S.M.、ら(1995) Human Antibodies and Hybridomas 6:93〜101ページ)並びに二価及びビオチン化scFv分子を作製するためのシステイン残基、マーカーペプチド及びC末端ポリヒスチジンタグの使用(Kipriyanov, S.M.、ら(1994) Mol. Immunol. 31: 1047〜1058ページ)を含む。Fab及びF(ab')2断片などの抗体部分は、全抗体のそれぞれパパイン又はペプシン消化などの従来の技法を使用して、全抗体から調製することができる。さらに、抗体、抗体部分及び免疫接着分子は、本明細書に記載の標準組換えDNA技法を使用して得ることができる。
「キメラ抗体」とは、重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの一部が特定の種に由来する又は特定のクラスに属する抗体中の対応する配列と相同であるが、鎖の残りのセグメントが別の種由来の対応する配列と相同である抗体を指す。ある特定の実施形態では、本発明は、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域が哺乳動物のある種に由来する抗体の可変領域を模倣するのに対して、定常部分は別の種に由来する抗体中の配列と相同である、キメラ抗体又は抗原結合断片を特徴とする。ある特定の実施形態では、キメラ抗体は、マウス抗体からのCDRをヒト抗体のフレームワーク領域上に植え付けることによって作製される。
「ヒト化抗体」とは、実質的にヒト抗体鎖(アクセプター免疫グロブリン又は抗体と称される)に由来する可変領域フレームワーク残基を含む少なくとも1つの鎖及び実質的に非ヒト抗体(例えば、マウス)に由来する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む抗体を指す。CDRの植え付けの他に、ヒト化抗体は、通例、親和性及び/又は免疫原性を改善するためにさらなる変化を受ける。
「多価抗体」という用語は、2つ以上の抗原認識部位を含む抗体を指す。例えば、「二価」抗体は2つの抗原認識部位を有するのに対して、「四価」抗体は4つの抗原認識部位を有する。「一重特異的」、「二重特異的」、「三重特異的」、「四重特異的」などの用語は、(抗原認識部位の数ではなく)多価抗体中に存在する異なる抗原認識部位の特異性の数を指す。例えば、「一重特異的」抗体の抗原認識部位は、全て同一のエピトープと結合する。「二重特異的」又は「デュアル特異的」抗体は、第1のエピトープと結合する少なくとも1つの抗原認識部位及び第1のエピトープとは異なる第2のエピトープと結合する少なくとも1つの抗原認識部位を有する。「多価一重特異的」抗体は、全て同一のエピトープと結合する複数の抗原認識部位を有する。「多価二重特異的」抗体は、複数の抗原認識部位を有し、そのうちのいくつかは第1のエピトープと結合し、及びそのうちのいくつかは第1のエピトープとは異なる第2のエピトープと結合する。
本明細書で使用されるとき、用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むものとする。本発明のヒト抗体は、例えば、CDR、特にCDR3中に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムな突然変異導入若しくは部位特異的突然変異導入によって、又はin vivoでの体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかし、本明細書で使用されるとき、用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体を含まないものとする。
本明細書で使用されるとき、用語「組換えヒト抗体」は、宿主細胞中に形質移入された組換え発現ベクターを使用して発現された抗体(下にさらに記載されている)、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(recombinant, combinatorial human antibody library)から単離された抗体(下にさらに記載されている)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対して遺伝子導入されている動物(例えば、マウス)から単離されたモノクローナル抗体(例えば、Taylorら(1992) Nucl. Acids Res. 20:6287を参照されたい)又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の、他のDNA配列へのスプライシングを含む他の任意の手段によって調製され、発現され、作製され、若しくは単離された抗体など、組換え手段によって調製され、発現され、作製され、又は単離された全てのヒト抗体を含むものとする。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する。しかし、ある特定の実施形態では、このような組換えヒト抗体は、in vitro突然変異導入(又は、ヒトIg配列に対して遺伝子導入された動物が使用される場合には、in vivo体細胞突然変異導入)に供され、したがって、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来し、これらの配列に関連しつつも、in vivoで、ヒト抗体生殖系列レパートリー内には、天然に存在しない場合があり得る配列である。
IV. 血清マーカー及びバイオマーカー
血清マーカーをガレクチン-3と併せて測定して、改変ペクチン(例えば、GCS-100)などの、ガレクチン-3阻害剤を使用する処置の効果を測定することができる。全血試料を、循環ガレクチン-3、クレアチニン、BUN、血漿マイトジェン、及び/又は他の血清マーカーのレベルを決定するために採取することができる。ガレクチン-3の濃度及び血清マーカーのアッセイは、本明細書に記載の及び当業界で公知の方法に準じて行うことができる。
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、例えば、非処置患者又はプラセボ処置患者において測定したGFRと比べて、低用量ガラクタン-3阻害剤を与えた患者において、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、4、6、8倍、又は10倍も、GFRレベルを向上させる。
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、例えば、非処置患者又はプラセボ処置患者において測定したBUNレベルと比べて、低用量ガラクタン-3阻害剤を与えた患者(例えば、GCS-100などの改変ペクチン1.5mg/m2)において、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、4、6、8倍、又は10倍も、BUNレベルを低下させる。
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、例えば、非処置患者又はプラセボ処置患者において測定した尿酸と比べて、低用量ガラクタン-3阻害剤を与えた患者(例えば、GCS-100などの改変ペクチン1.5mg/m2)において、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、4、6、8倍、又は10倍も、尿酸レベルを低下させる。
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、例えば、非処置患者又はプラセボ処置患者において測定したガレクチン-3と比べて、低用量ガラクタン-3阻害剤を与えた患者(例えば、GCS-100などの改変ペクチン1.5mg/m2)において、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、4、6、8倍、又は10倍も、ガレクチン-3レベルを低下させる。
ある特定の実施形態では、本発明の方法は血清尿素濃度を低下させる。特に、ガレクチン-3阻害剤投与後に測定した血清尿素濃度は、非処置患者又はプラセボ処置患者において測定した尿素と比べて、少なくとも20%低下することができる。
ある特定の実施形態では、本発明の方法は絶対及び/又は相対血清クレアチニンレベルを低下させる。特に、ガレクチン-3阻害剤投与後に測定した血清クレアチニンの相対濃度は、非処置患者又はプラセボ処置患者において測定したクレアチニンと比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%低下することができる。他の実施形態では、クレアチニンの絶対濃度は、約0.1〜1.0mg/dl、例えば約0.1〜0.5mg/dl低下することができ又は0.1mg/dl超、0.2mg/dl超、若しくは0.3mg/dl超低下することができる。
ある特定の実施形態では、本発明の方法は、β2-ミクログロブリン、N-アセチル-β-D-グルコアミニダーゼ(glucoaminidase)、及びα1酸性糖タンパク質などの、近位尿細管損傷マーカーの尿排泄を変化させる。特に、ガレクチン-3阻害剤投与後において測定したの尿中の1種以上の尿細管損傷マーカー濃度は、非処置患者又はプラセボ処置患者において測定した尿細管損傷マーカーに関して、処置後に尿中において測定した尿細管損傷マーカーと比べて、少なくとも20%低下することができる。他のマーカーとして、N-gal、シスタチンC、並びに/又は腎臓活性及び/若しくは損傷と相関するさらなる尿性マーカーを含めることができる。
炎症、線維症、及び/又は腎損傷のバイオマーカー
また、ガレクチン-3の存在又はレベルの決定については、腎臓障害と相関しているその上昇した発現又は低下した発現について、1種以上の他のバイオマーカーの検出と組み合わせることもできる。選択されたバイオマーカーを、腎臓障害、炎症、線維症、及び腎障害の複数種に有用な、一般的治療マーカー、診断マーカー又は予後診断マーカーとすることができる。このようなマーカーには、それに限定されないが、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、コラーゲン、インターロイキン-6(IL-6)、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、インターフェロン-γ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、細胞接着分子-1(ICAM-1)、ヘモグロビンAlc(HbAlc)及びE-セレクチンを含めることができる。
当業者は、ガレクチン-3と組み合わせた測定に、1種以上の有用な治療マーカー、診断マーカー又は予後診断マーカーを選択することができる。同様に、3種以上、4種以上、若しくは5種以上又は多くのバイオマーカーを、患者の診断又は予後診断を決定するのに一緒に使用することができる。
ある特定の実施形態では、本方法は、プラセボ投与患者において測定した同一のバイオマーカーレベルと比べて、低用量ガラクタン-3阻害剤を与えた患者(例えば、GCS-100などの改変ペクチン1.5mg/m2)において、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、4、6、8倍、又は10倍も、バイオマーカーレベルを減少又は上昇させる。
V. ガレクチン-3及びバイオマーカータンパク質の検出技法
ガレクチン-3タンパク質及びバイオマーカーなどの、タンパク質を検出する方法は、当業者に周知であり、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、RIA(放射性免疫アッセイ)、ウェスタンブロット、及び免疫組織化学法が含まれる。ELISA又はRIAなどの免疫アッセイが、極めて迅速になり得、一般的により好ましい。これらの方法では抗体、又は抗体等価物を使用して、ガレクチン-3タンパク質を検出する。抗体アレイ又はタンパク質チップもまた用いることができるが、例えば、全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願第20030013208A1号、第20020155493A1号、第20030017515号及び米国特許第6,329,209号、第6,365,418号を参照されたい。
ELISA及びRIA手順は、ガレクチン-3標準物質を(125I又は35Sなどの放射性同位体で、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼなどの、測定可能酵素で)標識し、そして、非標識試料と一緒に、相応する抗体と接触するように、その上で、第2の抗体を使用して、第1の抗体と結合し、放射活性又はその固定化酵素をアッセイする(競合的アッセイ)ように、実施することができる。あるいは、試料中のガレクチン-3を、相応する固定化抗体と反応させ、放射性同位体標識抗ガレクチン-3抗体又は酵素標識抗ガレクチン-3抗体をその系と反応させ、放射活性又はその酵素をアッセイする(ELISA-サンドイッチアッセイ)。他の従来法も適宜用いることができる。
上の技法は、本質的に「1ステップ」又は「2ステップ」アッセイとして行うことができる。「1ステップ」アッセイには、抗原を固定化抗体と接触させること、次いで洗浄せずにその混合物を標識抗体と接触させることが含まれる。「2ステップ」アッセイには、洗浄後にその混合物を標識抗体と接触させることを含む。他の従来法も適宜用いることができる。
ある特定の実施形態では、ガレクチン-3レベルを測定する方法には、生体試料を、選択的にガレクチン-3と結合する抗体又はその変異体(例えば、断片)と接触させること、並びに前記抗体又はその変異体が前記試料に結合しているかを検出すること及びそれによりガレクチン-3レベルを測定することが含まれる。方法には、その試料を第2の抗体、例えば標識抗体と接触させることがさらに含まれていても良い。この方法には、例えば1種以上の薬剤を取り除くため、洗浄を実施する1つ以上のステップがさらに含まれていても良い。
ガレクチン-3並びに/又は抗体の酵素標識及び放射標識は任意の適切な手段により実施することができる。このような手段には、具体的には酵素活性に悪影響を与えないように、グルタルアルデヒドによるなどの、問題の抗原又は抗体への、酵素の共有結合的連結が一般に含まれていても良い。このことは、酵素はその基質となお相互作用できるものでなければならないことを意味し、必ずしも酵素の全てが活性である必要はないが、但し、アッセイの実施を可能とする十分量が依然として活性であるとする。実際、酵素を結合させる一部の技法は、非特異的(ホルムアルデヒドを使用するなど)であり、ある比率の活性酵素を生じるだけで良い。
アッセイ系の1成分を支持体上に固定化し、それにより、その系の他の成分を当該成分と接触させ、面倒で時間を要する労力を伴わずに容易に取り除くことを可能とすることが望ましいであろう。第2の相を第1の相から離れて固定化することが可能であるが、1つの相で通常は十分である。
酵素自体を支持体上に固定化することが可能であるが、固相酵素を必要とする場合、これは、抗体に結合し且つその抗体を、当業界で周知である支持体、モデル及び系に取り付けることにより一般に最良に達成される。単純なポリエチレンにより適切な支持体を提供することができる。
標識に用いることができる酵素は特に限定されないが、例えば、オキシダーゼ群のメンバーから選択することができる。これらは、その基質と反応することにより過酸化水素の生産を触媒するが、グルコースオキシダーゼを、その安定性が良好で、利用しやすく且つ安価であるが故に、並びにその基質(グルコース)が入手し易いが故に、使用することが多い。オキシダーゼの活性は、当業界で周知の制御条件下で、酵素標識抗体と基質を反応させた後に形成した過酸化水素の濃度を測定することによりアッセイできる。
他の技法を使用して、本開示に基づいて実行者の好みに応じて、ガレクチン-3を検出することができる。このような1つの技法は、ウェスタンブロット(Towbin et alら、Proc. Nat. Acad. Sci. 76:4350ページ(1979))であり、ここでは、適切に処理した試料をSDS-PAGEゲル上で走らせた後、ニトロセルロースフィルターなどの、固体支持体に移行させる。抗ガレクチン-3抗体(非標識)をその支持体と次いで接触させ、二次免疫試薬、例えば、標識プロテインA又は抗免疫グロブリン(適切な標識として、125I、西洋ワサビペルオキシダーゼ及びアルカリホスファターゼが含まれる)により、アッセイする。クロマトグラフィー的検出も使用することができる。
免疫組織化学を使用して、例えば、生検試料中の、ヒトガレクチン-3の発現を検出することができる。適切な抗体を、例えば、細胞の薄層と接触させ、洗浄し、次いで第2の標識抗体と接触させる。標識は蛍光マーカー、ペルオキシダーゼなどの酵素、アビジン、又は放射能標識によるもので良い。アッセイは、顕微鏡を使用して、視覚的にスコアする。結果は、例えば、実施例で説明のように、定量化することができる。
シグナルの定量化と任意選択で組み合わせた免疫組織化学的分析は、次のように実施することができる。ガレクチン-3発現及びバイオマーカー発現を、例えば、アビジン-ビオチン化ペルオキシダーゼ複合体システムを使用して、免疫組織化学的に染色したスライドを調製することにより組織において直接評価することができる。
染色、すなわち、ガレクチン-3の存在又はバイオマーカーの存在の評価も、例えば、免疫染色組織の試料におけるガレクチン-3発現レベル又はバイオマーカーの発現レベルの評価のために使用することができる、コンピュータ化画像解析装置(例えば、Automated Cellular Imaging System, ACIS, ChromaVision Medical System Inc., San Juan Capistrano, CA)を用いて、定量的免疫組織化学的検討により行うことができる。ACISを使用して、ガレクチン-3又はバイオマーカー検出用のプログラムとして、「細胞質染色(cytoplasmic staining)」を選択することができる。1より大きいか又は小さい、ACISの平均値、例えば約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5.、2、2.5、3、5、10、30、100又はそれ以上は、ガレクチン-3発現又はバイオマーカー発現の上昇又は低下を示す。
他の機械又は自動画像システムを使用して、ガレクチン-3の免疫染色結果を測定することもできる。本明細書で使用されるとき、「定量的」免疫組織化学法とは、免疫組織化学を行って、抗原又は他のタンパク質などの、特定のバイオマーカーの存在を同定し且つ定量化する試料を、走査し且つスコアする自動化法を指す。試料に付けるスコアは、試料の免疫組織化学染色の強度を表す数値であり、試料中に存在する標的バイオマーカーの量を表す。本明細書で使用されるとき、吸光度(OD)とは、染色の強度を表す数値的スコアである。本明細書で使用されるとき、半定量的免疫組織化学法とは、訓練を受けたオペレーターが結果を数値(例えば、1、2又は3のように)で評価する、ヒトの眼による免疫組織化学結果のスコアリングを指す。
免疫組織化学法との使用に適した、種々の自動化された試料処理、走査及び分析システムが、当業界で利用できる。このようなシステムには、自動染色(例えば、the Benchmark(商標)system, Ventana Medical Systems, Inc.を参照されたい)及び顕微鏡走査、コンピュータ化された画像解析、連続切片比較(試料の方向及びサイズにおける差異の制御)、デジタル報告書作成、並びに試料の保管及び追跡(組織切片が配置されるスライドなど)を含めても良い。免疫染色試料を含めて、細胞及び組織の定量分析を行うために従来の光学顕微鏡とデジタル画像処理システムとを組み合わせた、細胞画像システムが市販されている。例えば、CAS-200 system(Becton, Dickinson & Co.)を参照されたい。
ガレクチン-3タンパク質レベル又はバイオマーカータンパク質レベルを検出且つ定量するために使用できる別の方法は、例えば実施例に説明のウェスタンブロットである。腫瘍組織を溶解バッファー中で凍結し、ホモジナイズすることができる。免疫検出を、増強化学発光システム(例えば、PerkinElmer Life Sciences製、Boston, MA)を使用してガレクチン-3抗体で実施することができる。次いで、膜を剥離し、対照抗体、例えば、Sigma(St. Louis, MO)製抗アクチン(A-2066)ポリクローナル抗体と共に再ブロットすることができる。シグナルの強度は、デンシトメーターソフトウェア(例えば、NIH Image 1.61)により定量化することができる。ガレクチン-3、バイオマーカー、及び対照シグナル(例えば、アクチン)の定量後、ガレクチン-3又はバイオマーカーの相対的発現レベルは、各レーンにおけるアクチンの量により、すなわち、ガレクチン-3又はバイオマーカーシグナルの値を対照シグナルの値によって割ることにより、標準化される。ガレクチン-3のタンパク質発現又はバイオマーカーのタンパク質発現は、相対レベルが1より大きい、例えば約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5.、2、2.5、3、5、10、30である、又は100ですらあるとき、上昇したとみなされる。逆に、ガレクチン-3のタンパク質発現又はバイオマーカーのタンパク質発現は、相対レベルが1より小さい、例えば約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5.、2、2.5、3、5、10、30である、又は100ですらあるとき、低下したとみなされる。
抗ガレクチン-3抗体又はバイオマーカー抗体を画像化目的のために使用して、例えば、対象の細胞及び組織中におけるガレクチン-3又はバイオマーカーの存在を検出することもできる。適切な標識としては、放射性同位体、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)及びテクネチウム(99mTc)、蛍光標識、例えばフルオレセイン及びローダミン、並びにビオチンが挙げられる。免疫酵素的相互作用を様々な酵素、例えばペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、又は様々な色素体、例えばDAB、AEC若しくはFast Redを使用して可視化することができる。
in vivoでの画像化の目的のため、抗体は身体の外側から本来検出することができず、したがって、検出を可能にするためには標識しなければならず、又はさもなければ、修飾しなければならない。この目的のためのマーカーは、抗体結合を実質的には妨害しないが、外部検出を可能とする任意のものとすることができる。適切なマーカーとしては、X線写真法、NMR又はMRIによって検出され得るものを挙げることができる。X線写真法の技術について、適切なマーカーとしては、例えばバリウム又はセシウムなどの、検出可能な放射線を放出するが患者に明らかに有害とはならない任意の放射性同位体が挙げられる。NMR及びMRIのための適切なマーカーとしては、一般に、重水素などの、検出可能な特徴的なスピンを有するものが挙げられ、それらは、例えば関連のハイブリドーマのための栄養物質の適切な標識化によって抗体に組み込むことができる。
対象のサイズ及び使用される画像化システムにより、診断画像を作成するために必要な画像化部分の量を決定することができる。放射性同位体部分の場合、ヒト対象については、注入される放射活性の量は、通常、約5から20ミリキューリーのテクネチウム99mの範囲である。次いで、標識抗体又は抗体断片は、ガレクチン-3を含有する細胞の位置に選択的に蓄積する。次いで、公知の技法を使用して標識抗体又はそれの変異体、例えば、抗体断片を検出することができる。
ガレクチン-3を検出するために使用され得る抗体としては、天然であるにせよ合成であるにせよ、完全長であるかその断片であるにせよ、モノクローナルであるかポリクローナルであるにせよ、検出すべきガレクチン-3、例えばヒトガレクチン-3に十分に強く且つ特異的に結合する任意の抗体が挙げられる。任意の抗体は、多くとも約10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12MのKdを有することができる。「特異的に結合する」という句は、結合を、同一又は類似のエピトープ、抗原又は抗原決定基である第2の調製物によって変位することができるか、又はそれと競合することができるような方法での、例えばエピトープ又は抗原又は抗原決定基への抗体の結合を指す。抗体は、関連タンパク質、例えば、ガレクチン1〜15などの他のタンパク質と比べて、ガレクチン-3に選択的に結合することができる。
使用し得る抗体及びそれらの誘導体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、霊長類化(CDRグラフト)抗体、ベニヤ抗体又は単鎖抗体、ファージにより産生された抗体(例えば、ファージディスプレイライブラリー由来)、並びに抗体の機能的断片、すなわちガレクチン-3結合断片を包含する。例えば、それらに限定されないが、Fv断片、Fab断片、Fab'断片及びF(ab')2断片を含めて、ガレクチン-3又はその部分に結合し得る抗体断片を使用することができる。このような断片は、酵素的切断によって、又は組換え技法によって作製することができる。例えば、パパイン切断又はペプシン切断によって、それぞれFab断片又はF(ab')2断片を生成することができる。必要な基質特異性を有する他のプロテアーゼを使用して、Fab断片又はF(ab')2断片を生成することもできる。抗体は、1種以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入された抗体遺伝子を使用して、多様な切断型として作製することもできる。例えば、F(ab')2重鎖部分をコードするキメラ遺伝子を、重鎖のCH、ドメイン及びヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。
一部の実施形態では、ガレクチン-3に特異的に結合する又は抗体以外の、ペプチドなどの、薬剤を使用する。ガレクチン-3に特異的に結合するペプチドは、当業界において公知の任意の手段によって同定することができる。例えば、ガレクチン-3の特異的ペプリド(pepride)バインダーは、ペプチドファージディスプレイライブラリーの使用についてスクリーニングすることができる。
一般に、ガレクチン-3又は他のバイオマーカーの存在が検出され及び/又は定量されるように、ガレクチン-3ポリペプチド又はバイオマーカーポリペプチドを検出することができる試薬を使用することができる。本明細書において定義されるように、「試薬」は、生物学的試料中においてガレクチン-3を同定するか又は検出する(例えば、ガレクチン-3mRNA、ガレクチン-3DNA、ガレクチン-3タンパク質、又は、バイオマーカーmRNA、バイオマーカーDNA、バイオマーカータンパク質を同定するか又は検出する)ことができる物質を指す。一部の実施形態では、試薬は、ガレクチン-3ポリペプチド又はバイオマーカーポリペプチドに特異的に結合する標識された又は標識可能な抗体である。本明細書で使用されるとき、「標識された又は標識可能な」という句は、標識(例えば、マーカー又は指標)の結合若しくは包含、又は標識(例えば、マーカー又は指標)を結合する若しくは含む能力を指す。マーカー又は指標としては、それらに限定されないが、例えば、基質中において検出可能な変化を生じさせる放射性分子、比色分子及び酵素分子が挙げられる。
さらに、ガレクチン-3タンパク質又はバイオマーカータンパク質は、質量分析、例えば、MALDI/TOF(飛行時間型)、SELDI/TOF、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)、高速液体クロマトグラフィー-質量分析(HPLC-MS)、キャピラリー電気泳動-質量分析、核磁気共鳴分光法又はタンデム型質量分析(例えば、MS/MS、MS/MS/MS、ESI-MS/MS等)を使用して検出することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第20030199001号、第20030134304号、第20030077616号を参照されたい。
質量分析法は、当業界で周知であり、タンパク質などの生物分子を定量するため及び/又は同定するために使用されている(例えば、Liら(2000) Tibtech 18:151〜160ページ;Rowleyら(2000) Methods 20: 383〜397ページ;及びKuster and Mann (1998) Curr. Opin. Structural Biol. 8: 393〜400ページを参照されたい)。さらに、単離されたタンパク質の少なくとも部分的なde novo配列決定を可能にする質量分析技法が開発されている。Chaitら、Science 262:89〜92ページ(1993);Keoughら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 96:7131〜6ページ(1999);Bergman、EXS 88:133〜44ページ(2000)においてレビューされたもの。
ある特定の実施形態では、気相イオン分光光度計が使用される。他の実施形態では、レーザ脱離/イオン化質量分析を使用して試料を分析する。モデムレーザ脱離/イオン化質量分析(「LDI-MS」)は、2つの主な変形形態:マトリックス支援レーザ脱離/イオン化(「MALDI」)質量分析及び表面増強レーザ脱離/イオン化(「SELDI」)質量分析において実践することができる。MALDIにおいて、分析物を、マトリックスを含有する溶液と混合し、一滴の液体を基質の表面に置く。次いで、そのマトリックス溶液は、それらの生物学的分子と共結晶化する。基質を質量分析計に挿入する。レーザエネルギーを基質表面に向け、生物学的分子を著しく断片化することなく、生物学的分子を脱離及びイオン化する。しかし、MALDIは、分析用ツールとして限界を有する。MALDIは、試料を分画化するための手段を提供せず、マトリックス材料は、特に低分子量の分析物の場合、検出を妨害する可能性がある。例えば、米国特許第5,118,937号(Hellenkampら)及び米国特許第5,045,694号(Beavis及びChait)を参照されたい。
SELDIにおいて、基質表面が脱離プロセスに積極的に関与するように、基質表面を修飾する。1つの変形形態において、対象となるタンパク質を選択的に結合する吸着剤及び/又は捕獲試薬によって表面を誘導体化する。別の変形形態において、レーザが当たった際に脱離されない、エネルギー吸収分子によって表面を誘導体化する。別の変形形態において、対象となるタンパク質を結合し、且つレーザの印加時に壊される光分解性結合を含有する分子によって表面を誘導体化する。これらの方法のそれぞれにおいて、一般に、試料が塗布される基質表面上における特定の場所に誘導体化剤を局在化させる。例えば、米国特許第5,719,060号(Hutchens及びYip)及びWO98/59361(Hutchens及びYip)を参照されたい。これら2つの方法は、例えば、分析物を捕獲するためにSELDI親和性表面を使用することにより、及びエネルギー吸収材料を提供するため、マトリックス含有液体を、捕獲された分析物に加えることにより組み合わせることができる。
質量分析計に関するさらなる情報については、例えば、Principles of Instrumental Analysis, 3rd edition., Skoog, Saunders College Publishing, Philadelphia, 1985;及びKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 4.th ed. Vol. 15 (John Wiley & Sons, New York 1995)、1071〜1094ページを参照されたい。
マーカー又は他の物質の存在の検出は、典型的には、シグナル強度の検出を含む。これは、次に、基質に結合したポリペプチドの量及び特性を反映することができる。例えば、ある特定の実施形態では、第1の試料及び第2の試料のスペクトルから得たピーク値のシグナル強度を(例えば視覚的に、又はコンピュータ分析などにより)比較して、特定の生物分子の相対量を決定することができる。ソフトウェアプログラム、例えばBiomarker Wizardプログラム(Ciphergen Biosystems、Inc.、Fremont、Calif.)を使用して、質量スペクトルの分析に役立てることができる。質量分析計及びそれらの技法は当業者に周知である。
任意の当業者は、質量分析計の構成要素の内のいずれか(例えば、脱離ソース、質量分析器、検出等)及び様々な試料調製物を、本明細書において記載されている他の適切な構成要素若しくは調製物と、又は当業界において公知のものと組み合わせることができることを理解する。例えば、一部の実施形態では、対照試料、標準試料、及び/又は1種以上の試験試料は、重原子(例えば、13C)の存在により、任意選択でその基質に連結した同位体的に識別された標識を使用して、試料のアレイ中に検出されることにより、区別することができ、これにより、複数の試料を、同一の質量分析の実行において、組み合わせ且つ識別することが可能になる。
ある特定の好ましい実施形態では、レーザ脱離飛行時間型(TOF)質量分析計が使用される。レーザ脱離質量分析において、結合されたマーカーを伴う基質をインレット系に導入する。マーカーを、イオン化源からのレーザにより脱離し、気相にイオン化する。生成したイオンをイオン光学アセンブリによって回収し、次いで飛行時間型質量分析器内において、イオンを、短い高電圧場を通じて加速し、高真空チャンバ内に送り込む。高真空チャンバの遠端において、加速されたイオンは、異なる時点で高感度検出器の表面にぶつかる。飛行時間型は、イオンの質量の関数であるので、イオン形成とイオンの検出器への衝突との間の経過時間を使用して、特定の質量対電荷比を有する分子の存在又は非存在を同定することができる。
一部の実施形態では、第1の試料又は第2の試料中において存在する1種以上の生物分子の相対量を、部分的に、プログラム可能なデジタルコンピュータによりアルゴリズムを実行することによって決定する。アルゴリズムは、第1質量スペクトル及び第2質量スペクトルにおける少なくとも1つのピーク値を同定する。次いで、アルゴリズムは、質量スペクトルの内の第1質量スペクトルのピーク値のシグナル強度を第2質量スペクトルのピーク値のシグナル強度と比較する。相対的なシグナル強度は、第1の試料及び第2の試料中に存在している生物分子の量の指標である。ある生物分子の既知量を含有する標準を第2の試料として分析して、第1の試料中に存在している当該生物分子の量のより良好な定量化を行うことができる。ある特定の実施形態では、第1の試料及び第2の試料中の生物分子の同一性を決定することもできる。
VI. ガレクチン-3RNA及びバイオマーカーRNA検出技法
ガレクチン-3RNA/バイオマーカーRNA、例えば、mRNAを定性的に又は定量的に検出するための、任意の方法を使用することができる。
RNA転写物の検出は、ノーザンブロットによって達成することが可能であり、例えば、ここでは、RNAの調製物を変性アガロースゲル上で走らせ、適切な支持体、例えば、活性化されたセルロース、ニトロセルロース又はガラス若しくはナイロン膜に転写する。次いで、放射標識されたcDNA又はRNAを調製物にハイブリダイズし、洗浄し、オートラジオグラフィによって分析する。
RNA転写物の検出は、増幅方法を使用してさらに達成させることができる。例えば、mRNAをcDNAに逆転写し、その後ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を行うこと、若しくは米国特許第5,322,770号において記載されているように両ステップに単一酵素を使用すること、又はR. L. Marshallら、PCR Methods and Applications 4:80〜84ページ(1994)により記載されているように、mRNAをcDNAに逆転写し、その後対称ギャップリガーゼ連鎖反応(RT-AGLCR)を行うことは、本発明の範囲内である。
ある特定の実施形態では、定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)を使用して、ガレクチン-3のmRNAレベルを評価する(実施例を参照されたい)。ガレクチン-3mRNA/バイオマーカーmRNA及び対照mRNA、例えば、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のmRNAレベルを、がん組織及び隣接する良性組織において定量化することができる。このために、凍結組織を5ミクロンの切片に切り、総RNAを、例えば、Qiagen RNeasy Mini Kit (Qiagen, Inc.、Valencia、CA)により抽出することができる。各組織からのある特定量のRNA、例えば、総RNA500ナノグラムを、例えば、Qiagen Omniscript RT Kitを使用することにより、逆転写することができる。2ステップqRT-PCRを、例えば、ABI TaqMan PCR reagent kit (ABI Inc、Foster City、CA)、並びにガレクチン-3プライマー及びGAPDHプライマー、並びにABI Prism 7700 system上で双方の遺伝子のプローブを使用して、行うことができる。使用可能な適切なプライマーは実施例に示されている。ガレクチン-3のコピー数/バイオマーカーのコピー数は次いでGAPDHコピー数により割って、且つ1,000を掛けて、特定対象の値を得ることができる。換言すると、ガレクチン-3mRNA/バイオマーカーmRNAの量を、同一のRNA抽出物中で測定したGAPDHのmRNAの量で標準化して、ガレクチン-3/バイオマーカー/GAPDHの比を得た。1に等しいかそれ以上の比、例えば、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5.、2、2.5、3、5、10、30、又は100である比は、ガレクチン-3発現/バイオマーカー発現が高いとみなすことができる。
本明細書において利用され得る他の公知の増幅方法としては、それらに限定されないが、PNAS USA 87: 1874〜1878ページ(1990)において記載され、又はNature 350 (No. 6313):91〜92ページ(1991)においても記載されている、いわゆる「NASBA」又は「3SR」技法、公開された欧州特許出願(EPA)第4544610号において記載されているQベータ増幅法、鎖置換増幅法(G. T. Walkerら、Clin. Chem. 42: 9〜13ページ(1996)及び欧州特許出願第684315号において記載されている、並びにPCT国際公開第9322461号によって記載されている標的媒介増幅法が挙げられる。
ガレクチン-3核酸タンパク質の増幅に使用し得るプライマーは実施例に示されている。
また、インサイチュハイブリダイゼーションの視覚化を用いることも可能であり、ここでは、放射活性物質で標識したアンチセンスRNAプローブを生検試料の薄切片とハイブリダイズさせ、洗浄し、RNアーゼによって切断し、オートラジオグラフィ用感光乳剤に曝露させる。この試料をヘマトキシリンで染色して試料の組織学的組成を示すことが可能であり、適切な濾光器による暗視野画像化により、現像された乳剤が示される。また、ジゴキシゲニンなどの非放射性標識を使用しても良い。
ガレクチン-3発現/バイオマーカー発現を評価する別の方法は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)をにより、遺伝子増幅を検出することである。FISHは、細胞中のDNA又はRNAの特定領域を直接に同定することができる技法であり、したがって、組織試料におけるガレクチン-3発現/バイオマーカー発現を視覚的に決定することができる。FISH方法は、スコアシステムがより客観的なであり、同一試料中の非腫瘍性の全細胞に存在するガレクチン-3の遺伝子シグナル/バイオマーカーの遺伝子シグナルからなる組み込み内部対照が存在するという長所を有している。蛍光インサイチュハイブリダイゼーションは、比較的迅速で、感度の高い、直接的なインサイチュ技法である。FISH試験は自動化もできる。免疫組織化学法を、ガレクチン-3/バイオマーカーの発現レベルを免疫組織化学法単独で決定することが困難なとき、FISH方法と組み合わせることができる。
あるいは、mRNA発現は、DNAアレイ、チップ又はマイクロアレイ上において検出され得る。ガレクチン-3/バイオマーカーに相応するオリゴヌクレオチドをチップ上に固定化し、これを、患者から得た試験試料の標識核酸と次いでハイブリダイズさせることができる。陽性のハイブリダイゼーションシグナルは、ガレクチン-3転写物/バイオマーカー転写物を含有する試料によって得られる。DNAアレイの調製方法及びその使用は、当業界において周知である(例えば、それらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,618,6796号、第6,379,897号、第6,664,377号、第6,451,536号、第548,257号、米国特許出願公開第20030157485号並びにSchenaら、 995 Science 20:467〜470ページ;Gerholdら1999 Trends in Biochem. Sci. 24, 168〜173ページ;及びLennonら2000 Drug discovery Today 5:59〜65ページ)。また、遺伝子発現の連続的分析(SAGE)を行うこともできる(例えば、米国特許出願第20030215858号を参照されたい)。
mRNAレベルをモニタリングするため、例えば、mRNAを試験すべき生物学的試料から抽出し、逆転写し、そして蛍光標識cDNAプローブを作製する。次いで、ガレクチン-3cDNA/バイオマーカーcDNAにハイブリダイズすることができるマイクロアレイを、標識cDNAプローブによってプローブし、スライドを走査し、蛍光強度を測定する。この強度は、ハイブリダイゼーション強度及び発現レベルと相関する。
ガレクチン-3mRNA/バイオマーカーmRNAを検出するためのプローブの型としては、cDNA、リボプローブ、合成オリゴヌクレオチド及びゲノムプローブが挙げられる。使用されるプローブの型は、一般に、例えば、インサイチュハイブリダイゼーションのためのリボプローブ、及びノーザンブロットのためのcDNAなどの、特定の状態によって決定される。プローブは、ガレクチン-3RNA/バイオマーカーRNAに独自なヌクレオチド領域に向けられることが、最も好ましい。プローブは、ガレクチン-3のmRNA転写物/バイオマーカーのmRNA転写物を区別して認識するために必要なものと同程度に短くてよく、例えば15塩基程度に短くて良いが、少なくとも17塩基、より好ましくは18塩基、さらにより好ましくは20塩基のプローブが好ましい。プライマー及びプローブは、ストリンジェントな条件下で、ガレクチン-3遺伝子に相応するヌクレオチド配列を有するDNA断片に特異的にハイブリダイズするのが好ましい。本明細書で使用されるとき、「ストリンジェントな条件」という用語は、配列間に少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%の同一性がある場合、ハイブリダイゼーションが起こり得ることを意味する。
プローブの標識化の形態は、放射性同位体、例えば、32P及び35Sの使用など、適切なものであれば何でも良い。プローブが化学的に合成されたものであっても、生物学的に合成されたものであっても、適切に標識された塩基を使用して、放射性同位体による標識化が達成され得る。
VII. 腎臓障害をガレクチン-3阻害剤で治療する方法
本発明は、患者における腎臓障害をガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン、例えばGCS-100で治療するための方法を提供する。
A. 用量及び投与レジメン
一部の実施形態では、患者に投与される(例えば、注射された又は静脈注入された)組成物中の治療有効物質(ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン、例えばGCS-100)の総量は、その患者に適したものである。異なる個体がガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの異なる総量を必要とし得ることを、当業者は理解するであろう。一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの総量とは、薬学的に有効な量である。当業者は、例えば、患者の年齢、体重、及び健康状態などの、要因に基づいて、患者を治療するのに必要な、組成物中のガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの量を決定することができるであろう。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの濃度は、静脈投与溶液におけるその溶解性及び投与し得る液体の容積に部分的に左右される。
ある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)は、0.1mg/m2から30mg/m2の範囲にある固定用量で対象に投与する。例えば、改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤を、0.1mg/m2、0.5mg/m2、1mg/m2、3mg/m2、6mg/m2、9mg/m2、12mg/m2、15mg/m2、18mg/m2、21mg/m2、24mg/m2、27mg/m2、30mg/m2、35mg/m2、40mg/m2、50mg/m2、60mg/m2、70mg/m2、80mg/m2、90mg/m2、100mg/m2、110mg/m2、120mg/m2、130mg/m2、140mg/m2、150mg/m2、160mg/m2、170mg/m2、180mg/m2、190mg/m2、200mg/m2など、固定用量で対象に投与することができる。上に記載の任意の値同士の間の値の範囲も、本発明の範囲内に含まれるものであり、上記用量に基づいた範囲、例えば、0.1〜5mg/m2、5〜10mg/m2、10〜15mg/m2、15〜20mg/m2、20〜25mg/m2、25〜30mg/m2、30〜80mg/m2、80〜120mg/m2、120〜150mg/m2、150〜175mg/m2、175〜200mg/m2として、例えば、0.2mg/m2、0.6mg/m2、1.5mg/m2、2mg/m2、4mg/m2、8mg/m2、10mg/m2、13mg/m2、17mg/m2、20mg/m2、23mg/m2、25mg/m2、26mg/m2、28mg/m2、32mg/m2、45mg/m2、55mg/m2、65mg/m2、75mg/m2、85mg/m2、95mg/m2、105mg/m2、115mg/m2、125mg/m2、135mg/m2、145mg/m2、155mg/m2、165mg/m2、175mg/m2、185mg/m2、195mg/m2、205mg/m2も含まれるものとする。全身用量は週当たり1g/m2又は日当たり200mg/m2で5回を超えてはならない。
ある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)は、1〜10mgの範囲の固定用量で、例えば、週1回患者に投与される。例えば、固定用量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、又は10mg、例えばそれぞれの場合において週1回、とすることができる。ある特定のそのような実施形態では、改変ペクチン、好ましくはGCS-100を、所定の期間(例えば、1〜3ヶ月、好ましくは2ヶ月などの、導入期)週1回投与し、その後続いて2週に1回投与する(例えば、1〜6ヶ月の、又は無期限の維持期又は治療期)。ある特定のそのような実施形態では、固定用量は両期を通じて同一であるが、投与頻度のみがこの2つの期の間で異なる。
投与される組成物中のガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの濃度は、少なくとも16μg/mlとすることができる。一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの濃度は、約1.0μg/ml、約2.0μg/ml、約3.0μg/ml、約4.0μg/ml、約5.0μg/ml、約6.0μg/ml、約7.0μg/ml、約8.0μg/ml、約9.0μg/ml、約10.0μg/ml、約11.0μg/ml、約12.0μg/ml、約13.0μg/ml、約14.0μg/ml、約15.0μg/mlなど、とすることができる。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンを含む組成物を十分な速度で投与し、1種以上の生理的パラメーター、例えば、糸球体濾過率、腎血管抵抗、腎血流、濾過画分、平均動脈圧などにおいて、又は、本明細書に記載の1種以上のバイオマーカーレベルにおいて上昇又は調節を達成することができる。患者は、処置過程の一部又は全ての間、連続的、周期的、又は不定期的測定値を提供するモニターに接続することもできる。患者の生理的及び/又はバイオマーカーパラメーターを所望の範囲以内に又は所望の閾値より上に若しくは下に維持するために、投与速度は、手動で(例えば、医師又は看護師によって)又は自動的に(例えば、モニターから受信した生理的パラメーターに応じて、組成物の送達を調節することができる医療機器によって)調節することができる。例えば、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの投与速度は、注射可能な組成物で、約0.032ng/kg/minから約100μg/kg/minとすることができる。一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの投与速度は、約0.4から約45μg/minまで、約0.12から約19μg/minまで、約3.8から約33.8μg/minまで、約0.16から約2.6μg/minまでなどとすることができる。特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの投与速度は、約0.032ng/kg/min、約0.1ng/kg/min、約0.32ng/kg/min、約1ng/kg/min、約1.6ng/kg/min、約2ng/kg/min、約3ng/kg/min、約4ng/kg/min、約5ng/kg/min、約6ng/kg/min、約7ng/kg/min、約8ng/kg/min、約9ng/kg/min、約10ng/kg/min、約15ng/kg/min、約20ng/kg/min、約25ng/kg/min、約30ng/kg/min、約40ng/kg/min、約50ng/kg/min、約60ng/kg/min、約70ng/kg/min、約80ng/kg/min、約90ng/kg/min、約100ng/kg/min、約200ng/kg/min、約300ng/kg/min、約400ng/kg/min、約500ng/kg/min、約600ng/kg/min、約700ng/kg/min、約800ng/kg/min、約900ng/kg/min、約1μg/kg/min、約1.1μg/kg/min、約1.2μg/kg/min、約1.3μg/kg/min、約1.4μg/kg/min、約1.5μg/kg/min、約1.5μg/kg/min、約1.6μg/kg/min、約1.7μg/kg/min、約1.8μg/kg/min、約1.9μg/kg/min、約2μg/kg/min、約2.1μg/kg/min、約2.2μg/kg/min、約2.3μg/kg/min、約2.4μg/kg/min、約2.5μg/kg/min、約2.6μg/kg/min、約2.7μg/kg/min、約2.8μg/kg/min、約2.9μg/kg/min、約3.0μg/kg/min、約3.1μg/kg/min、約3.2μg/kg/min、約3.3μg/kg/min、約3.4μg/kg/min、約3.5μg/kg/min、約3.6μg/kg/min、約3.7μg/kg/min、約3.8μg/kg/min、約3.9μg/kg/min、約4.0μg/kg/min、約4.1μg/kg/min、約4.2μg/kg/min、約4.3μg/kg/min、約4.4μg/kg/min、約4.5μg/kg/min、約4.6μg/kg/min、約4.7μg/kg/min、約4.8μg/kg/min、約4.9μg/kg/min、約5.0μg/kg/min、約6μg/kg/min、約7μg/kg/min、約8μg/kg/min、約9μg/kg/min、約10μg/kg/min、約11μg/kg/min、約12μg/kg/min、約13μg/kg/min、約14μg/kg/min、約15μg/kg/min、約16μg/kg/min、約17μg/kg/min、約18μg/kg/min、約19μg/kg/min、約20μg/kg/min、約25μg/kg/min、約30μg/kg/min、約31μg/kg/min、約32μg/kg/min、約33μg/kg/min、約33.8μg/kg/min、約34μg/kg/min、約35μg/kg/min、約40μg/kg/min、約45μg/kg/min、約50μg/kg/min、約55μg/kg/min、約60μg/kg/min、約65μg/kg/min、約70μg/kg/min、約75μg/kg/min、約80μg/kg/min、約85μg/kg/min、約90μg/kg/min、約95μg/kg/min、約100μg/kg/minなどとすることができる。
組成物は、少なくとも8時間、少なくとも24時間、及び8時間から24時間まで、から選択される期間にわたって投与することができる。組成物は、2〜11日など少なくとも2〜6日間継続して、2〜6日間継続して、2〜11日など少なくとも2〜6日の期間にわたって1日当たり8時間、投与することができる。長期注入後は、離脱期間(数時間から数日)が有益であり得る。ある特定の実施形態では、治療期間は、最大で8週間連続の投与を続けても良いし、用量制限毒性が発生するまで続けても良い。
B. 医薬製剤
本発明の組成物は、適切な任意の経路を通して投与することができる。一部の実施形態では、本発明の組成物は非経口投与に適している。これらの組成物は、例えば、腹腔内、静脈内、腎臓内、又は髄腔内に投与することができる。一部の実施形態では、本発明の組成物は静脈内に注入される。当業者は、本発明の治療有効な物質の製剤又は組成物の投与方法は、処置されている患者の年齢、体重、及び健康状態、並びに処置されている疾患又は状態などの要因に依存するであろうことを理解するであろう。当業者は、したがって、ケースバイケースで、患者のための投与の最適な方法を選択することができるであろう。
組成物は、少なくとも0.5、1、5、又は10重量%、例えば最大で約10又は15重量%のガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンを含有する溶液とすることができる。ある特定の実施形態では、改変ペクチンはコロイド水溶液として用意される。コロイド粒子のサイズは、直径で1μm未満、好ましくは約0.65μm未満、最も好ましくは約0.2μm未満とすることができる。
製剤は、当業界において周知の、薬学的に許容される緩衝剤、安定剤、局所麻酔剤などを含めた好適な賦形剤を含んでも良い。非経口投与の場合、例示的な製剤は、無菌溶液若しくは懸濁液とすることができ、経口投与法の場合、シロップ、錠剤若しくは口当たりの良い溶液とすることができ、局所塗布の場合、ローション、クリーム、スプレー若しくは軟膏とすることができ、膣内又は直腸内投与の場合、ペッサリー、座薬、クリーム若しくは泡剤とすることができる。投与経路は非経口であることが好ましく、静脈内がより好ましい。
代替の実施形態では、本発明の医薬組成物は、例えばシロップ若しくは口当たりの良い溶液などの経口投与に適合した形態とすることができ、例えばクリーム若しくは軟膏などの局所塗布に適合した形態とすることができ、又は例えば微結晶性粉末若しくは噴霧に適した溶液などの吸入投与に適合した形態とすることができる。代替の投与経路のための、医薬成分を製剤化する方法及び手段は当業界で周知であり、関連業者はそのような公知の方法を本発明のガレクチン-3阻害剤に適合し得ることが予想される。
錠剤は任意選択で1種以上の副成分と共に圧縮又は成型により製造され得る。圧縮錠剤はバインダー(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムスターチ又は架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤を使用して調合され得る。成型錠剤は不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を適切な機械で成型することにより製造され得る。
錠剤、及び本発明の医薬組成物による他の固形剤形は、腸溶性コーティング及び医薬製剤業界で周知の他のコーティングなどの、コーティング及びシェルと共に任意選択でスコアされるか又は調製することができる。またそれらは、例えば、所望の放出のプロファイルを提供する様々な比率のヒドロキシプロピルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又はミクロスフェアを使用して、それらの中の改変物の緩慢な又は制御された放出を可能とするように、製剤され得る。それらはまた、例えば、細菌除去フィルターを通す濾過によって、又は使用直前に滅菌水に溶解可能な、殺菌固形組成物の形態にある殺菌剤、若しくは何か他の無菌で注射可能な培地を組み込ませることによって、殺菌され得る。そのような組成物は不透明化剤を任意選択で含むこともでき、且つそれらが、活性成分(複数可)単独で放出し、又は選択的に、消化管のある特定の部分において、任意選択で遅延して放出する組成物であり得る。使用され得る埋封組成物の例にはポリマー性物質及びワックスが含まれる。ガレクチン-3阻害剤はまた、適切な場合、1種以上の上記賦形剤と共にマイクロカプセル形態であり得る。
本発明のガレクチン-3阻害剤の経口投与の場合の液体剤形は、薬学的に許容される乳化液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシルを含む。ガレクチン-3阻害剤に加えて、液体剤形は、例えば、水、又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤などの、当業界において通常に使用される不活性希釈剤が含まれ得る。
不活性希釈剤以外で、経口組成物はまた湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、香味料、着色料、芳香剤及び保存料などのアジュバンドを含み得る。
活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天-寒天及びトラガント、並びにそれらの混合物として、懸濁剤を含み得る。
薬剤の投与は、軽度、中度若しくは重度の急性若しくは慢性症状の治療、又は予防処置に必要であろう。投与される正確な用量は患者の年齢及び状態、使用する特定の粒状薬剤及び投与頻度によるが、最終的には担当医の裁量であることがわかるであろう。典型的には、投与は週1回行われるが、日1回若しくは月1回又はそれらの組合せなど(例えば、日1回で5日間を月1回)、規則的頻度で行っても不規則的な頻度で行っても良い。
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1種以上の薬学的に許容される無菌で等張の水溶液若しくは非水性溶液、又は使用する直前に無菌の注射可能な溶液若しくは分散系に再構成され得る無菌粉末との組合せで、本発明のガレクチン-3阻害剤を含む。この溶液又は粉末は、抗酸化剤、バッファー、静菌薬、当該製剤を目的のレシピエントの血液と等張にする溶質、又は懸濁剤若しくは増粘剤を含有しても良い。
これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などのアジュバントも含有できる。微生物の作用の防止は、各種の抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどを加えることによって確保されることができる。糖、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物に含めることも望ましい場合もある。
薬学的に許容される抗酸化剤としては、それらに限定されないが、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロール、及びキレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが含まれる。
注射可能なデポー剤は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に本化合物のマイクロカプセルマトリックス(microencapsule matrices)を形成することによって製造される。薬物対ポリマーの比率、及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルソエステル)及びポリ(無水物)を含む。注射可能なデポー製剤は、生体組織に適合するリポソーム又はマイクロエマルジョン中にその薬物を捕捉することによっても調製される。
本発明の化合物の局所又は経皮投与の場合、剤形は、散剤、スプレー、軟膏、泥膏、クリーム、ローション剤、ゲル剤、溶剤、貼り薬、及び吸入剤を含む。ガレクチン-3阻害剤は薬学的に許容される担体、及び必要とされる任意の保存料、緩衝剤、又はプロペラントと共に滅菌状態で混合され得る。
本発明の組成物中にpH調整剤を含めることにより組成物のpHを調整することが有益であり得る。製剤又は組成物のpHを修正することが、例えば、治療有効な物質の安定性若しくは溶解性に対して有益な効果を有することができ、又は、非経口投与に適した製剤若しくは組成物を作製するのに有用であり得る。pH調整剤は当業界において周知である。したがって、本明細書に記載のpH調整剤は、網羅的なリストを構成することを意図しておらず、本発明の組成物において使用することができる単に例示的なpH調整剤として提供される。pH調整剤としては、例えば、酸及び塩基を挙げることができる。一部の実施形態では、pH調整剤としては、それらに限定されないが、酢酸、塩酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及びそれらの組合せが挙げられる。本発明の組成物のpHは、製剤又は組成物に望ましい特性を提供する任意のpHとすることができる。望ましい特性としては、例えば、治療有効な物質安定性、他のpHでの組成物と比較して治療有効な物質の保持が上昇すること、及び濾過効率が改善することを挙げることができる。一部の実施形態では、本発明の組成物のpHは、約3.0から約9.0まで、例えば、約5.0から約7.0とすることができる。特定の実施形態では、本発明の組成物のpHは、5.5±0.1、5.6±0.1、5.7±0.1、5.8±0.1、5.9±0.1、6.0±0.1、6.1±0.1、6.2±0.1、6.3±0.1、6.4±0.1、又は6.5±0.1とすることができる。
ある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は、実質的にエタノールを含まないように調製され且つ非経口投与に好適な、改変ペクチンである。実質的にエタノールを含まないとは、本発明の組成物が5重量%未満のエタノールを含有することを意味する。好ましい実施形態では、組成物は、2重量%未満のエタノール、より好ましくは0.5重量%未満のエタノールを含有する。ある特定の実施形態では、組成物は、1種以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。そのような組成物には、本発明のガレクチン-3阻害剤の水溶液が含まれる。そのような水溶液のある特定の実施形態では、ペクチン改変物は、少なくとも7mg/mL、少なくとも10、若しくは15mg/ml以上の濃度で存在する。また、そのような組成物のいずれも、エタノール以外の有機溶媒を実質的に含まない。
緩衝剤を使用して、組成物を溶液に再懸濁させることができる。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、例えば、約5.5、約6.0、又は約6.5のpKaを有することができる。当業者は、適切な緩衝剤が、そのpKa及び他の特性に基づいて、本発明の組成物に含めるために選択され得ることを理解するであろう。緩衝剤は当業界において周知である。したがって、本明細書に記載の緩衝剤は、網羅的なリストを構成することを意図しておらず、本発明の組成物において使用することができる単に例示的な緩衝剤として提供される。ある特定の実施形態では、緩衝剤としては、次の1つ以上を挙げることができ、すなわち、トリス、トリスHCl、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムとリン酸カリウムの組合せ、トリス/トリスHCl、重炭酸ナトリウム、リン酸アルギニン、塩酸アルギニン、塩酸ヒスチジン、カコジレート、コハク酸塩、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、マレイン酸塩、ビス-トリス、リン酸塩、炭酸塩、並びにそれらの任意の薬学的に許容される塩及び/又はそれらの組合せである。
薬物又は化合物の溶解性を高めるために可溶化剤を加えることができる。一部の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンに可溶化剤を含めることは有益であり得る。可溶化剤は、治療有効な物質ガレクチン-3阻害剤又は賦形剤を含めて、製剤又は組成物の任意の成分の溶解性を高めるのに有用であり得る。本明細書に記載の可溶化剤は、網羅的なリストを構成することを意図しておらず、本発明の組成物に使用することができる単に例示的な可溶化剤として提供される。ある特定の実施形態では、可溶化剤としては、それらに限定されないが、エチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、並びにそれらの任意の薬学的に許容される塩及び/又はそれらの組合せが挙げられる。
安定化剤が、本発明の組成物中の治療有効な物質の安定性を高める助けとなり得る。これは、例えば、分解を減少させることにより、又は、治療有効な物質の凝集を防止することにより起こり得る。理論に拘泥するものではないが、安定性を高めるためのメカニズムとしては、治療有効な物質の溶媒からの隔離、又は、アントラサイクリン化合物のフリーラジカル酸化の阻害を挙げることができる。安定化剤は当業界において周知である。したがって、本明細書に記載の安定化剤は、網羅的なリストを構成することを意図しておらず、本発明の組成物において使用することができる単に例示的な安定化剤として提供される。安定化剤としては、それらに限定されないが、乳化剤及び界面活性剤を挙げることがきる。
液体組成物の表面張力を低下させるために、界面活性剤を加えることができる。これにより、濾過容易性が改善されるなどの有益な特性が提供され得る。界面活性剤はまた、乳化剤及び/又は可溶化剤として作用することもできる。界面活性剤は当業界において周知である。したがって、本明細書に記載の界面活性剤は、網羅的なリストを構成することを意図しておらず、本発明の組成物において使用することができる単に例示的な界面活性剤として提供される。含めることができる界面活性剤としては、それらに限定されないが、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80)などのソルビタンエステル、、リポ多糖、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400及びPEG3000)、ポロキサマー(すなわち、プルロニック)、エチレン酸化物、及びポリエチレン酸化物(例えば、トリトンX-100)サポニン、リン脂質(例えば、レシチン)、並びにそれらの組合せを挙げることができる。
張度調整剤を使用して、投与に好適な製剤又は組成物を製造する助けとなることができる。液体組成物の張度は、組成物を患者に、例えば非経口投与によって投与する際、重要な考慮事項である。張度調整剤は当業界において周知である。したがって、本明細書に記載されている張度調整剤は、網羅的な一覧を構成するものではなく、本発明の組成物に使用することができる単に例示的な張度調整剤として提供される。張度調整剤はイオン性であっても非イオン性であってもよく、それらに限定されないが、無機塩、アミノ酸、炭水化物、糖、糖アルコール、及び炭水化物が挙げられる。例示的無機塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、及び硫酸カリウムを含み得る。例示的アミノ酸はグリシンである。例示的糖は、グリセロール、プロピレングリコール、グルコース、蔗糖、ラクトース、及びマンニトールなどの糖アルコールを含み得る。
B. 製造品及びキット
また、本発明はパッケージ型医薬組成物も提供し、キット又は製造品内には、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン、例えばGCS-100がパッケージされている。本発明のキット又は製造品には、腎臓障害を改善し、及び/又は軽減し、予防し及び/又は診断し又はモニタリングすることを含めて、治療するのに有効な材料が含有されても良い。キット又は製造品には、容器及びラベル又は添付文書又は容器上に若しくは容器に付随して印刷物が含まれても良く、これにより、腎臓障害の治療についてのガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの使用に関する情報が提供される。
ある特定の実施形態では、本発明は、ガレクチン-3阻害剤及び添付文書を備える製造品を提供し、この添付文書により、ガレクチン-3阻害剤を使用して、eGFRが約15〜44mL/min/1.73m2の範囲である患者において腎臓障害を治療することができることが示されている。
「添付文書」という用語は、適応症、用途、服用量、投与、禁忌及び/又はその治療用製品の使用に関する警告についての情報を含む、治療用製品の商業的パッケージに慣習的に含められた指示書を指すために使用される。
ある特定の実施形態では、本発明の製造品には、(a)ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンを含む組成物を保持する第1の容器、及び(b)本明細書に記載のように、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンを患者にどのように投与するかを示す添付文書が含まれる。好ましい実施形態では、ラベル又は添付文書により、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)は、腎臓障害を治療するために使用されることが示されている。ある特定の実施形態では、本発明は、キットが十分な数の容器を備えるという特色をなして、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの負荷用量及び維持用量の両方を提供する。例えば、キットは、静脈注射用の改変ペクチン、約1.5及び30mg/m2、又は0.1〜5mg/m2、5〜10mg/m2、10〜15mg/m2、15〜20mg/m2、20〜25mg/m2、25〜30mg/m2、30〜80mg/m2、80〜120mg/m2、120〜150mg/m2、150〜175mg/m2、175〜200mg/m2の範囲の量を含有する容器を含むことができる。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)を含有する容器それぞれにより、週1回で最大で連続8週間、又は日1回若しくは月1回などの別の適切な頻度で、静脈投与を行うのに十分な改変ペクチンが提供される。
ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)の適切な容器として、例えば、瓶、バイアル、プレロード(preloaded)/プレフィルドシリンジを含めてシリンジ、オートインジェクターペンを含めてペン等が挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの種々の材質から形成することができる。容器は、それ単独で又は別の組成物と組み合わさると、病状を治療するのに、予防するのに及び/又は診断するのに効果的である組成物を保持し、且つ無菌アクセスポートを有することができる。
ある特定の実施形態では、医薬組成物及び関連製品は、改変ペクチンに好意的に応答するある特定の患者集団を治療する上で有用である。例えば、改変ペクチン、例えば、GCS-100を使用して、その腎臓障害を治療するための経口抗生物質又は薬物に無反応であるか又は不耐容であった患者における腎臓障害を治療することができる。
ある特定の実施形態では、医薬組成物及び/又は関連製品は、腎臓障害を治療するための治療剤を投与するのに最適な用量を提供することができる。ある特定の実施形態では、製品は治療の最初に投与される負荷用量約1.5mg/m2を含む。ある特定の実施形態では、製品は、例えば、4週目から開始するなど、その後の幾週かのための維持用量約0.5mg/m2を含む。例えば、本発明のキットは、負荷用量及び1以上の維持用量を含むことができる。
他の実施形態では、製品は皮下注射に最適なガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン(例えばGCS-100)を提供する。
本発明のある特定の実施形態では、キットは、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン、さらなる治療剤を含む第2の医薬組成物、及び任意選択で腎臓障害を治療するための両薬剤の投与に関する指示書を備える。指示書にて、改変ペクチン及び/又はさらなる治療剤を治療のために対象にいかに投与するか、例えば、皮下により又は静脈により、及びいつ投与するか、例えば、0週目に、2週目に、及び週1回又はその後2週に1回など、説明することができる。
ある特定の実施形態では、キットは、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物、並びにそれぞれが腎臓障害(CKD又はNASHなど)又はそれの症状を治療するために有効な薬物及び薬学的に許容される担体を含む1種以上のさらなる医薬組成物を備える。あるいは、キットは、ガレクチン-3阻害剤(改変ペクチンなど)、腎臓障害(CKD又はNASHなど)を治療するのに有効な1種以上の薬物、及び薬学的に許容される担体を含む単一の医薬組成物を備える。
別の態様では、本発明は医薬パッケージを提供し、これは、再構成が可能な粉末の形態で又は注射若しくは注入に適した溶液の形態で、本発明によるガレクチン-3阻害剤を含有するバイアル又はアンプルを、任意選択で腎毒性を患う患者に組成物を投与するための指示書と一緒に備える。指示書には、それらに限定されないが、活性成分、組成物を投与に適した濃度へ希釈するための指示、適切な適応症、適切な投与レジメン、禁忌、薬物相互作用、及び臨床試験の過程中に注意すべきあらゆる有害な副作用の、書面による説明及び/又は絵による説明が含まれる。
代替の実施形態では、医薬パッケージは、任意選択で上記の指示書と共に、静脈投与に適した溶液の形態で、本発明の医薬組成物100mLから2Lまでを含有するプラスチックバッグを備えても良い。
C. さらなる治療剤
ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンは、GCS-100を含めて、本発明の方法において、単独で又はさらなる治療剤との組合せのいずれかで使用することができ、前記さらなる薬剤は、その意図された目的に対して当業者により選択される。例えば、さらなる薬剤は、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンにより治療されるべき疾患又は状態を治療するのに有用であると、その技術分野において承認されている治療剤とすることができる。
本発明内に含まれるべき組合せは、それらの意図された目的に有効な組合せであることは、さらに理解されるべきである。以下に示される薬剤は、目的のための例示であり、限定されることを意図しない。本発明の一部である組合せは、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン及び下のリストから選択される少なくとも1種のさらなる薬剤とすることができる。また、形成された組成物がその意図された機能を発揮し得るような組合せである場合、当該組合せは、2種以上のさらなる薬剤、例えば、2種若しくは3種のさらなる薬剤を含み得る。本明細書に記載の改変ペクチン又はガレクチン-3阻害剤を、がん、心血管疾患、炎症、線維症、及び腎損傷を治療するためのさらなる治療剤と組み合わせて使用することができ、このような治療剤は、改変ペクチンの機能に並行して、依存して又は共同して作用することができる。本明細書で使用される改変ペクチンは1種以上の治療剤と組み合わせることもでき、例えば、メトトレキセート、メサラジン、オルサラジン、クロロキニン、ヒドロキシクロロキン、ペニシラミン、金チオマレート(筋肉内及び経口)、コルヒチン、コルチコステロイド(経口、吸入及び局所注入)、ベータ-2アドレナリン作動性受容体作用物質(サルブタモール、テルブタリン、サルメテロール)、キサンチン(テオフィリン、アミノフィリン)、クロモグリケート、ネドクロミル、ケトティフェン、イプラトロピウム、オキシトロピウム、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノレートモフェチル、レフルノミド、NSAID(例えばイブプロフェン)、コルチコステロイド(プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及び酢酸メチルプレドニゾロンなど)、ホスホジエステラーゼ阻害因子、アデノシン作用物質、抗血栓薬、補体阻害因子、アドレナリン作動薬、TNFα又はIL-1(例えばIRAK、NIK、IKK、p38又はMAPキナーゼ阻害因子)のような前炎症性サイトカインによりシグナル伝達を妨害する薬剤、IL-1変換酵素阻害因子、TNFα変換酵素(TACE)阻害因子、キナーゼ阻害因子などのT細胞シグナル伝達阻害因子、メタロプロテイナーゼ阻害因子、スルファサラジン、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、アンギオテンシン変換酵素阻害因子、可溶性サイトカイン受容体及びそれらの誘導体(例えば可溶性p55又はp75TNF受容体及びその誘導体、P75TNFRiγG(Enbrel(商標)及びp55TNFRiγG(Lenercept))、siL-1RI、siL-1RII、siL-6R)、抗炎症性サイトカイン(例えばIL-4、IL-10、IL-12、IL-13及びTGFβ)、セレコキシブ(celecoxib)、葉酸、硫酸ヒドロキシクロロキン、ロフェコキシブ(rofecoxib)、エタネルセプト(etanercept)、インフリキシマブ(infliximab)、メロキシカム(meloxicam)、金チオリンゴ酸ナトリウム、アスピリン、トリアムシノロンアセトニド(triamcinolone acetonide)、ナプシル酸プロポキシフェンナ(propoxyphene napsylate)、ホラート(folate)、ナブメトン(nabumetone)、ジクロフェナック(diclofenac)、ピロキシカム(piroxicam)、エトドラック(etodolac)、ジクロフェナックナトリウム(diclofenac sodium)、オキサプロジン(oxaprozin)、オキシコドン(oxycodone)、重酒石酸ヒドロコドン、ジクロフェナックナトリウム(diclofenac sodium)、ミソプロストール(misoprostol)、フェンタニル(fentanyl)、アナキンラ(anakinra)、トラマドール(tramadol)、サルサラート(salsalate)、スリンダック(sulindac)、シアノコバラミン、ホラシン(folacin)、ピリドキシン、アセトアミノフェン、アレンドロン酸ナトリウム(alendronate sodium)、プレドニゾロン(prednisolone)、硫酸モルヒネ、リドカイン、インドメタシン、硫酸グルコサミン、コンドロイチン、アミトリプチリン(amitriptyline)、スルファジアジン(sulfadiazine)、オロパタジン(olopatadine)、オメプラゾール(omeprazole)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、リツキシマブ(rituximab)、IL-1 TRAP、MRA、CTLA4-IG、IL-18BP、抗IL-18、抗-IL15、BIRB-796、SCIO-469、VX-702、AMG-548、VX-740、ロフルミラスト(Roflumilast)、IC-485、PSORIASIS-801並びにメソプラム(Mesopram)である。
改変ペクチン又は他のガレクチン-3阻害剤が組み合わさることができる腎臓障害の治療剤の非制限的例としては、次が挙げられる:防腐剤及び制汗剤(例えば、無水エタノール中6.25%の塩化アルミニウム6水和物)、テトラサイクリン、病巣内のトリアムシノロン、又はフィナステリドなどの、抗炎症治療又は抗アンチアンドロゲン治療。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンはまた、メトトレキセート、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸モフェチル、レフルノミド、NSAID(例えばイブプロフェン)、プレドニゾロンなどのコルチコステロイド、ホスホジエステラーゼ阻害因子、アデノシン作用物質、抗血栓薬、補体阻害因子、アドレナリン作動薬、TNFα又はIL-1(例えばIRAK、NIK、IKK、p38又はMAPキナーゼ阻害因子)などの前炎症性サイトカインによりシグナル伝達を妨害する薬剤、IL-1β変換酵素阻害因子、TNFα変換酵素阻害因子、キナーゼ阻害因子などのT細胞シグナル伝達阻害因子、メタロプロテイナーゼ阻害因子、スルファサラジン、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、アンギオテンシン変換酵素阻害因子、可溶性サイトカイン受容体及びそれらの誘導体(例えば可溶性p55又はp75TNF受容体、siL-1RI、siL-1RII、siL-6R)、並びに抗炎症性サイトカイン(例えばIL-4、IL-10、IL-12、IL-13及びTGFβ)などの、薬剤と組み合わせることもできる。
改変ペクチンが組み合わさることができる腎臓障害の治療剤のさらなる例としては、次が挙げられる:D2E7(PCT国際公開公報第 97/29131号;Humira(登録商標))、Ca2(Remicade(登録商標))、TNFR-Ig構造体、(p75TNFR1ganmaG(Enbrel(商標))及びp55TNFR1γG(Lenercept))阻害剤及びPDE4阻害剤である。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンは、コルチコステロイド、例えばブデソニドやデキサメタゾンと組み合わせることができる。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンはまた、薬剤、例えば、スルファサァジン、5-アミノサリチル酸、及びオルサラジン、及びIL-1などのプロ炎症性サイトカイン、例えばIL-1β変換酵素阻害剤、及びIL-1raの合成又は作用を妨げる薬剤、と組み合わせることができる。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンはまた、T細胞シグナル伝達阻害剤、例えばチロシンキナーゼ阻害剤6-メルカプトプリン類と使用することができる。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンは、IL-12と組み合わせることができる。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンはまた、メサラミン、プレドニゾン、アザチオプリン、メルカプトプリン、インフリキシマブ、メチルプレドニゾロン、ジフェノキシレート/アトロプ硫酸塩、ロペラミド塩酸塩、メトトレキセート、オメプラゾール、ホーレート、シプロフロキサシン、酒石酸水素ヒドロコドン、テトラサイクリン塩酸塩、フルオシノニド、メトロニダゾール、チメロサール、コレスチラミン、シプロフロキサシン塩酸塩、ヒヨスチアミン硫酸塩、メペリジン塩酸塩、ミダゾラム塩酸塩、オキシコドン、プロメタジン塩酸塩、リン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、セレコキシブ、ポリカルボフィル、ナプシル酸プロポキシフェン、総合ビタミン剤、バルサラジド2ナトリウム、リン酸コデイン、コレセベラムhcl、シアノコバラミン、葉酸、レボフロキサシン、メチルプレドニゾロン、ナタリズマブ及びインターフェロン-γと組み合わせることができる。ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンはまた、アレムツズマブ、ドロナビノール、ダクリズマブ、ミトキサントロン、塩酸キサリプロデン、ファムプリジン、酢酸グラチラマー、ナタリズマブ、シンナビドール、α-イムノカインNNSO3、ABR-215062、AnergiX.MS、ケモカイン受容体アンタゴニスト、BBR-2778、カラグアリン、CPI-1189、LEM(リポソームカプセル化ミトキサントロン)、THC.CBD(カナビノイドアゴニスト)、MBP-8298、メソプラム(PDE4阻害剤)、MNA-715、抗IL-6受容体抗体、ニューロバックス、ピルフェニドンアロトラップ1258(RDP-1258)、sTNF-R1、タランパネル、テリフルノミド、TGF-ベータ2、チプリモチド、VLA-4アンタゴニスト(例えば、TR-14035、VLA4 Ultrahaler、Antegran-ELAN/Biogen)、インターフェロンガンマアンタゴニスト及びIL-4アゴニスト及びヒト化IL-6抗体トシリズマブなどの薬剤と組み合わせることもできる。
ある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンは、感染症を治療するため、当業者に公知の抗ウイルス又は抗微生物剤と組み合わせることができる。本明細書で使用されるとき、用語「抗生物質」とは、微生物の成長を阻害、又は微生物を死滅させる化学物質を指す。この用語により包含されるものは、微生物により産生される抗生物質並びに当業者に周知の合成抗生物質(例えば、アナログ)である。抗生物質として、それらに限定されないが、クラリスロマイシン(Biaxin(登録商標))、シプロフロキサシン(Cipro(登録商標))、及びメトロニダゾール(Flagyl(登録商標))が挙げられる。
ある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンは、腎毒性を引き起こす恐れのある化学療法剤と組み合わせる場合もある。あるいは、ガレクチン-3阻害剤は、化学療法剤以外の、又は薬物乱用若しくは腎毒性でもある重金属への曝露などの状態に応じて、腎毒性を引き起こす恐れのある治療と組み合わせる場合もある。
腎毒性を伴うがん治療薬には、AZQ(ジアジクオン)、シスプラチン、シスプラチンアナログ、イホスファミド、ニトロソウレアなどのアルキル化剤、マイトマイシンC及びプリカマイシンなどの抗腫瘍抗生物質、5-アザシチジン及びメトトレキサートなどの代謝拮抗薬、インターフェロン及びインターロイキン-2などの生物薬剤、並びに硝酸ガリウム、シクロスポリン及びタクロリムスなどの他の薬物が含まれる。化学療法剤は、白金錯体、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、サトラプラチン、BBR3464又はZD0473から選択することができる。ある特定の実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は、シスプラチン、メトトレキサート、マイトマイシン、シクロスポリン、イホスファミド、及びゾレドロン酸から選択される化学療法剤又は免疫抑制剤と共に投与される。
ある特定の実施形態では、ガレクチン阻害剤は、抗生物質、免疫抑制剤、抗高脂血症薬、ACE阻害薬、NSAID、及びアスピリンから選択される、化学療法剤以外の腎毒性薬物と組み合わされる。抗生物質は、アミノグリコシド、スルホンアミド、アンホテリシンB、ホスカルネット、キノロン(例えば、シプロフロキサシン、レボフロキサシン)、リファンピシン、テトラサイクリン、アシクロビル、ペンタミジン又はバンコマイシンから選択することができる。ある特定の実施形態では、方法には、化学療法剤又は抗生物質などの2種以上の腎毒性治療を一緒に用いて、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンを投与することが含まれる。腎臓病を治療する方法は、抗炎症剤又は抗酸化剤などのさらなる治療剤を投与することをさらに含むことができる。ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、アロプリノール(Allopurinol)、エブセレン(Ebselen)、エルドステイン(Erdosteine)、エダラボン(Edaravone)、N-アセチルシステイン、シリマリン(Silymarin)、ナリンゲルニン(Naringernin)、ビタミンC及びビタミンEから選択することができる。ある特定の実施形態では、抗炎症剤はサリチレートから選択される。
ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン含む組成物は、腎機能の改善を促進するさらなる医薬品と組み合わせて投与することができる。一部の実施形態では、静脈内投与されたアルブミンによる血漿の体積膨張が肝腎症候群を有する患者において腎機能を改善することが示されているので、さらなる医薬品はアルブミンである。投与されるさらなる医薬品の量は、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン及びさらなる医薬品を含む処置の累積的治療効果に応じて変動することができる。例えば、投与されるアルブミンの量は、第1日目に静脈内投与される体重1キログラム当たりアルブミン1グラム、続いて毎日20〜40グラムとすることができる。さらに他のさらなる医薬品は、ミドドリン、オクトレオチド、ソマトスタチン、バソプレシンアナログオルニプレシン、テルリプレシン、ペントキシフィリン、アセチルシステイン、ノルエピネフリン、ミソプロストールなどの任意の1つ以上であっても良い。一部の実施形態では、上記で議論した疾患に関連するナトリウム排泄の障害を改善するために、他のナトリウム利尿ペプチドもまた、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンと組み合わせて使用することができる。例えば、ナトリウム利尿ペプチドとしては、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)、及び/又はマンバ属(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチドなどの任意のタイプを挙げることができる。尿排出を誘発するために、いくつかの利尿化合物をガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンと組み合わせて使用することができる。例えば、カフェイン、テオフィリン、テオブロミンなどのキサンチン、ベンドロフルメチアジド、ヒドロクロロチアジドなどのチアジド、アミロライド、スピロノラクトン、トリアムテレン、カンレノ酸カリウムなどのカリウム保持性利尿薬、グルコース(特にコントロール不良の糖尿病における)、マンニトールなどの浸透利尿薬、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、トルセミドなどのループ利尿薬、アセタゾラミド、ドルゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害剤、ドーパミンなどのNa-H交換アンタゴニスト、アキノキリンソウ、ジュニパーなどの水利尿薬、アンホテリシンB、クエン酸リチウムなどのアルギニンバソプレシン受容体2アンタゴニスト、CaCl2、NH4Clなどの酸性化塩、エタノール、水などの任意の1つ以上を、患者を処置するためにガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンと組み合わせて使用することができる。上記のさらなる医薬品のリストは単なる例示であり、上記で議論した任意の腎臓障害に関連する腎不全の処置に有効であり得る他の任意の医薬品を含んでも良い。
1. 併用投与
ガレクチン-3阻害剤及びさらなる治療剤の併用投与は同時投与を含むことができる。特定の実施形態では、併用投与には、約10分以内、約20分以内、又は約30分以内に2種の薬剤を互いに投与することが含まれる。例示的な実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は、さらなる治療薬と共にオーバーラップして投与される。例えば、さらなる治療薬は静脈投与され、ガレクチン-3阻害剤はその静脈投与の過程の間、経口投与される。
ガレクチン-3阻害剤は、さらなる治療剤の投与に続いて投与してもよい。ガレクチン-3阻害剤は、さらなる治療剤後即座に、又は、例えば、1時間以内、2時間以内、4時間以内、6時間以内若しくは12時間以内に投与してもよい。他の実施形態では、さらなる治療剤は、ガレクチン-3阻害剤の投与に続いて投与してもよい。さらなる治療剤は、ガレクチン-3阻害剤後即座に、又は、例えば、1時間以内、2時間以内、4時間以内、6時間以内若しくは12時間以内に投与してもよい。
ガレクチン-3阻害剤は、それが腎臓と接触し、腎障害を予防及び治療するのに十分な量を蓄積するように、適切な任意の方法で投与することができる。ガレクチン-3阻害剤又はガレクチン-3阻害剤を含有する組合せ治療薬は、経口的に、静脈注射による非経口的に、経皮的に、肺吸入法により、膣内又は直腸内挿入により、皮下埋め込み術により、筋肉内注射又は患部組織への直接注射により、例えば、腫瘍部位への注射により投与することができる。一部の例において、物質は、手術実施時に局所適用してもよい。
物質は、所望の投与経路に適するように製剤される。ガレクチン-3阻害剤及びさらなる任意の治療剤はそれぞれ、投与を促進するように製剤することができる。例えば、組合せ治療薬は、静脈投与用に製剤するが、ガレクチン-3阻害剤は噴霧用に製剤しても良い。製剤に関する以下の論議を、組合せ治療薬若しくはガレクチン-3阻害剤又はこれら2つの組合せのそれぞれの製剤に適用することができる。
ガレクチン-3阻害剤は、他の組合せ治療薬と同じ方法で投与する必要はない。例えば、ガレクチン-3阻害剤は経口投与しても良いが、さらなる治療剤は静脈投与される。また、ガレクチン-3阻害剤は、組合せ治療薬の投与前など、組合せ治療薬の投与前、投与中又は投与後に投与しても良い。好ましい実施形態では、ガレクチン-3阻害剤は、腎臓においてガレクチン-3阻害剤の有効濃度を蓄積するように投与される。1種以上の任意の上記治療剤を、単独で又は組合せで、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンと一緒に、例えば、複数可変用量の治療レジメンを使用して、腎臓障害を患う対象に投与することができる。
腎臓障害を治療する方法には、さらなる治療剤及びガレクチン-3阻害剤の組合せ投与前、その最中、及び/又はその後に、患者に生理食塩水で水分補給することをさらに含めることができる。
一部の実施形態では、上記治療剤のいずれか1つは、単独で又はこれらと組み合わせて、がん、心血管疾患、炎症等を治療するのに使用される治療剤に加えて、腎臓障害を患う対象に投与することができる。さらなる治療剤を、上記の組合せ治療薬において使用することができるが、有益な効果が所望される、本明細書に記載の他の適応症においても使用することができる。本明細書に記載されている方法及び医薬組成物において使用される薬剤の組合せは、治療対象の状態(複数可)又は疾患(複数可)に対して治療上の相加的又は相乗的効果を有することができる。また、本明細書に記載されている方法又は医薬組成物内において使用される薬剤の組合せは、単独で投与されたとき又は特定の医薬組成物の他の薬剤(複数可)無しで投与されたとき、それら薬剤の少なくとも1つに関連した有害な効果を軽減し得る。例えば、1つの薬剤の副作用の毒性は当該組成物の別の薬剤により弱められ、より大量の投与が可能となり、患者のコンプライアンスが改善され、及び/又は治療結果が改善される。当該組成物のこの相加的又は相乗的な効果、利益及び利点は、治療剤の種類、構造的種類若しくは機能的種類のいずれか、又は個々の化合物自体に当てはまる。
VIII. ガレクチン阻害剤及び改変ペクチンの有効性
本発明は、対象におけるガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの効果を評価する方法も提供する。そのような方法を使用して、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの有効性を決定することができ、又は、測定された効果に応じて患者の投与量を調整することができる。本明細書に記載の方法を使用すると、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの効果を、決定し又は確認し、及び任意選択で腎臓障害を治療する方法において使用することができる。
ある特定の実施形態では、本発明は、対象における腎臓障害を治療するためGCS-100を含めてガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの有効性を決定する方法を提供し、この方法は、ベースラインeGFRの変化を使用して有効性を決定する。ある特定の実施形態では、対象における腎臓障害を治療するための、GCS-100を含めてガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの有効性は、ガレクチン-3レベル及び/又は活性の変化を検出することにより評価されるが、ガレクチン-3レベルの低下は望ましい結果を示す。他の適切なマーカーには、シスタチンC、クレアチニン、BUN、血漿マイトジェン、カリウム、尿酸、尿素、並びに腎臓機能及び/又は損傷に関する他のマーカーが含まれる。
ある特定の実施形態では、本発明は、対象における腎臓障害を治療するための方法を提供し、この方法には、腎臓障害が治療されるように、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン、例えば、GCS-100を患者に投与することが含まれ、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンにより、患者又は患者集団内で実質的に有意な臨床応答が達成される。
ある特定の実施形態では、本発明の方法を使用して、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンの用量が、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンで治療してきた患者に対して、ガレクチン-3阻害剤改変ペクチンの有効量かどうか判定する。
ある特定の実施形態では、本発明の方法には、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンを患者に投与すること、及び患者の変化、改善、測定値等、eGFR、ガレクチン-3、バイオマーカー、血清レベル(例えば、患者の治療前状態、所定の所望の状態若しくは標準、又は未治療患者若しくはプラセボ処置患者の状態と比べて)を決定することにより改変ペクチンの有効性を決定することが含まれる。
有効性を決定する方法には、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンが効果的療法かどうか又は投与量の変化が望ましいかどうか判定するために、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチン含む投与量レジメンの、腎臓障害を有する患者に対する影響を評価することが含まれても良い。
本明細書に記載の実施例及び発見は、腎臓障害を治療するために効果的である改変ペクチン、GCS-100を代表するものである。したがって、ガレクチン-3阻害剤又は改変ペクチンを、腎臓障害を治療するのに使用するための指針として、本明細書の実施例のセクションに記載の試験及び結果を使用することができる。
本発明の他の実施形態を以下の実施例において説明する。本発明を、いかようにも限定するものとして解釈されるべきでない以下の実施例によりさらに説明する。
[実施例]
ガレクチン-3阻害剤:GCS-100は、ガレクチン-3に結合する能力、及びガレクチン-3の効果を潜在的にブロックする能力を有する複合多糖である。GCS-100は、パルプ及び柑橘類果実の皮を含めて、種々の植物の組織中に見出される、天然に存在する多糖であるペクチンの誘導体である、。ペクチンは、複数の側鎖を有する複合ポリマー立体配座に配置された数種の糖類からなる。特に、ペクチンは、ガレクチン-3の炭水化物結合ドメインにより認識される糖β-ガラクトースを含有する複数の側鎖を有する。したがって、GCS-100は、細胞外(循環)ガレクチン-3の複数の分子に結合し且つそれを隔離することができる(図2)。また、平均分子量が大きいので、GCS-100は、長時間(およそ30時間の半減期)体内に存在し、循環ガレクチン-3と相互作用し且つそれを隔離する時間が長い。
[実施例1]
GCS-100薬理学的研究の概要
GCS-100については、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)として公知の脂肪肝疾患の線維症炎症誘発マウスモデルにおいて試験した。このモデルにおいては、生後にストレプトゾシンを単回皮下注射することにより、続いて、4週齢の後、高脂肪食を自由(ad libitum)給餌することにより、マウスにおいてNASHが確立される。NASHは、約7週目に発生し、9週目に線維症の証拠及び11〜12週目に肝結節形成がある。本試験では、マウスを、9週齢目に、不活性プラセボ(対照)、1mg/kgのGCS-100、又は25mg/kgのGCS-100、の静注処置の3群に無作為化した。全ての動物は、9週目〜12週目の間、週当たり3回、各群それぞれの投与を受けた。12週目の最後に、血液及び組織試料を採取し、肝酵素、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)活性スコア、及び線維形成について分析した。
全体として、NASHマウスにおけるGCS-100処置は、耐容性が良好で、血漿ALTの低下を生じた。血糖レベルに対する影響はみられなかった。組織学的な分析により、NAFLDスコアにおいて有意な改善が示され、マイクロ及びマクロな内臓脂肪沈着、肝細胞肥大、及び炎症性細胞浸潤が低下していた。ヒドロキシプロリンの減少が観察され、且つシリウスレッド染色で測定すると線維形成の有意な低下も観察された。本試験により、GCS-100は、線維形成を低減する際に有効であることが実証されている。
[実施例2]
慢性腎臓病の患者の治療におけるGCS-100の使用
所望の治療効果を達成するためには、長期間にわたって有効レベルで血漿ガレクチン-3に結合し且つそれを中和化するのに十分な循環GCS-100濃度を達成することが役立つ。ESRD患者における、循環ガレクチン-3の平均濃度は約64ng/mLであり、この濃度は、2.21×10-6μmolのガレクチン-3/mL血漿に等しい(de Boerら、2011)。
ヒト薬物動態のデータに基づくと、GCS-100の単回1.5mg/m2用量は、予想ガレクチン-3濃度を上回る開始時血漿濃度を生ずることが予想される。この用量では、モルベースにおいて、GCS-100は、GCS-100のCmaxで、循環ガレクチン-3より約6倍高濃度である。血漿中GCS-100のおよその平均半減期は30時間であり、したがってGCS-100のレベルは、次の処置前にこのベースラインより下回るであろう(図3)。
同様に、GCS-100の単回30mg/m2用量は、予想ガレクチン-3濃度を上回る開始時血漿濃度を生ずることが予想される。モルベースでのこの用量では、GCS-100は、GCS-100のCmaxで、循環ガレクチン-3より約160倍高濃度であり、GCS-100の血漿レベルは、次の処置前にこのベースラインより下回らないはずである。
前の理論的根拠に基づいて、本試験に使用した用量群及び投与スケジュールにより、耐容性が良好でありながら、有効なガレクチン-3阻害が可能となることが予想された。
試験薬投与及び投与スケジュール
治療群に割り振られた患者に、プラセボ又はGCS-100を、1、8、15、22、29、36、43、及び50日目に投与した。投与予定のGCS-100の量(mgで)は、下の式III又はIV
Figure 2017512205
又は
Figure 2017512205
を使用して体重及び身長に基づいて算出した体表面積に基づいて決定した。
投与レジメン
週1回で8週間、患者に投与した。各患者の試験薬用量は1日目に算出した。
治療
患者を、プラセボ(0.9%の塩化ナトリウム注射、USP)、1.5mg/m2のGCS-100、又は30mg/m2のGCS-100が投与されるように無作為に割り振った。プラセボ及びGCS-100は、IV注入として週1回で8週間、投与した。
表3〜4には、ベースラインから、30mg/m2(表3)及び1.5mg/m2(表4)を注射した患者の50日目と57日目の平均値への、GFRの平均変化が示されている。表5〜8には、1.5mg/m2のGCS-100及び30mg/m2のGCS-100を投与した患者における、ベースラインGFR、ベースラインBUN、ベースライン尿酸、及びベースラインガレクチン-3の変化が示されている。
Figure 2017512205
Figure 2017512205
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Figure 2017512205
Figure 2017512205
[実施例3]
慢性腎臓病(CKD)の患者におけるGCS-100の第2相試験
121人の進行性CKD患者において、多施設共同、無作為化、盲検、プラセボ対照、第2相試験を実施した。第2相試験は、腎臓機能の統計的に有意な改善に関する有効性の主要評価項目を満たした。具体的には、1.5mg/m2の用量でのGCS-100は、プラセボに対して、8週の投与後、推定糸球体濾過率(eGFR)において統計的に有意な(p=0.045)改善をもたらした。プラセボと比較して、この改善は投与終了後、5週維持された(p=0.07)。30mg/m2用量群では、eGFRにおいて統計的に有意な改善は観察されなかった。
Figure 2017512205
糖尿病の病因を伴う予め設定された患者の小集団におけるeGFR対するGCS-100の効果は、より顕著であった(p=0.029)。この小集団の分析は、ガレクチン-3が糖尿病性CKD患者の腎臓において上昇するということ、及びガレクチン-3レベルがこれら患者におけるタンパク尿(腎臓の健常性のマーカー)と相関するという観察に基づいて、あらかじめ指定されていた。
Figure 2017512205
GCS-100は耐容性が良好であった。1.5mg/m2群において、深刻な有害事象、グレード3又は4の有害事象及び初期の試験中断はなかった。いずれの用量群においても血圧に対する影響はみられなかった。
第2相からの患者が再無作為化されて、1.5又は30mg/m2のGCS-100のいずれかを投与される、延長試験を実施した(16週目により全データが利用可)。参加した総計93人の患者のうち、33人の患者が、延長試験においてGCS-100で処置する前に、第2相試験において事前にプラセボを投与されていた。この群は、初めてGCS-100を投与される一セットの患者を代表するものであり、有効性に関して分析を行った。盲検の第2相の結果と一致して、1.5mg/m2群では、eGFRが有意に改善した。これは、両処置に対するこれら患者の応答、すなわち、(1)30mg/m2を受けた無作為化並行群における応答(p=0.04)、及び(2)延長試験に参加したプラセボ処置患者についての盲検第2相試験におけるプラセボに対する以前の応答(p=0.02)を比較した場合に観察された。
Figure 2017512205
参考資料
各々の刊行物又は特許が具体的且つ個別に参照により組み込まれていた場合と同様に、本明細書に記載の全ての刊行物及び特許は、以下に列記の参考資料を含めて、本明細書にその全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合には、本明細書におけるあらゆる定義を含めて、本出願が優先される。
Figure 2017512205
Figure 2017512205
均等物
当業者は、本明細書に記載した本発明の具体的実施形態の多数の均等物を、高々日常的な実験法によって認識し、又は確認することができる。本発明の具体的実施形態が議論されてきたが、上記仕様は例示であって制限的なものではない。本発明の多くの変形形態が、本出願の検討により当業者に明らかになるであろう。本発明の全範囲は、本特許請求の範囲をそれらの均等物の全範囲と共に、及び本出願をそのような変形形態と共に参照することによって決定されるべきである。そのような均等物は以下の特許請求の範囲に包含されるものとする。

Claims (41)

  1. 患者において腎臓障害を治療する方法であって、患者に少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤を投与することを含む方法。
  2. 腎臓障害が、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、腎不全、CKD(慢性腎臓病)、肝腎症候群、アシドーシス、ARF(急性腎不全)、無形性、アルポート症候群、アミロイドーシス、鎮痛薬性腎症、抗GBM病(グッドパスチャー病)、抗リン脂質症候群、アテローム塞栓症(コレステロール塞栓症)、バーター症候群、良性家族性血尿、ベルガー病、ブレーシャーチミーノ瘻、カルシフィラキシー、慢性腎盂腎炎(逆流性腎症)、CRF(慢性腎不全)、慢性腎不全症、保存的管理、半月体形成性腎炎(RPGN(急速進行性糸球体腎炎))、膀胱炎、腎臓内嚢胞、デンスデポジット病又はMCGN(メサンギウム毛細管性糸球体腎炎)、尿崩症、糖尿病性腎障害、排尿障害、浮腫、ESRD又はESRF(末期腎疾患又は末期腎不全)、ファブリー病、ファンコニ症候群、原線維性腎炎、FSGS(巣状分節性糸球体硬化症)、ギテルマン症候群、糸球体腎炎、血尿、HUS(溶血性尿毒症症候群)、水腎症、ヘノッホ‐シェーンライン紫斑病、肝腎症候群、副腎腫、形成不全、IgA腎症(ベルガー病)、間質性腎炎、腰痛血尿症候群、悪性高血圧、海綿腎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、MCGN(メサンギウム毛細管性糸球体腎炎)、MPA(顕微鏡的多発血管炎)、腎障害、ネフローゼ症候群、ナットクラッカー症候群、乏尿症、骨形成異常症、ペイジ腎、多発性動脈炎、多発性嚢胞腎疾患(PKD)、感染後糸球体腎炎、プルーンベリー症候群、腎盂腎炎、逆流性腎症、腎尿細管性アシドーシス、後腹膜線維症、サルコイドーシス、シェーンライン-ヘノッホ紫斑病、強皮症腎クリーゼ、シェーグレン症候群、全身性硬化症、全身性血管炎、菲薄GBM症、血栓性血小板減少性紫斑病、TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)、結節性硬化症、尿道炎、脈管炎及びヴェグナー肉芽腫症から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 患者がCKDを有する、請求項1に記載の方法。
  4. 患者がNASHを有する、請求項1に記載の方法。
  5. 患者が、約15〜44mL/min/1.73m2のベースラインeGFR(糸球体濾過率)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ガレクチン-3阻害剤が改変ペクチンである、請求項1に記載の方法。
  7. 改変ペクチンの骨格が、ホモガラクツロナン及び/又はラムノガラクツロナンIを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 改変ペクチンが、分断されたラムノガラクツロナン骨格を有するように、脱エステル化及び部分的に脱重合化されている、請求項6に記載の方法。
  9. 改変ペクチンが、50から200kDaの間、好ましくは80から150kDaの間の平均分子量を有する、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 改変ペクチンが、25kDa未満の分子量を有する改変ペクチンを実質的に含まない、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 改変ペクチンがGCS-100である、請求項6に記載の方法。
  12. 改変ペクチンが、改変又は非改変ペクチンを接線流フィルターに通すことにより生成される、請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 約0.1〜2mg/m2の用量で改変ペクチンを投与することを含む、請求項6から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 用量が約1.5mg/m2である、請求項13に記載の方法。
  15. 約1〜10mgの用量で改変ペクチンを投与することを含む、請求項6から12のいずれか一項に記載の方法。
  16. 用量が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10mg、好ましくは1、3、又は9mgである、請求項15に記載の方法。
  17. ガレクチン-3阻害剤が週1回又は2週1回で投与される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. ガレクチン-3阻害剤が導入期の間は週1回で、次いで維持期の間は2週1回で投与される、請求項17に記載の方法。
  19. 導入期が1〜3ヶ月、好ましくは2ヶ月である、請求項18に記載の方法。
  20. 維持期が少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも3ヶ月である、又は6ヶ月以上ですらある、請求項18又は19に記載の方法。
  21. 少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤が、患者の血清中の尿酸レベルを低下させる量で投与される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤が、患者の血清中のBUNレベルを低下させる量で投与される、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤が、患者のGFRの変化を引き起こす量で投与される、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤が、患者の血清中のガレクチン-3レベルを低下させる量で投与される、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤が、患者におけるガレクチン-3の発現レベルを低下させる量で投与される、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 少なくとも1つのガレクチン-3阻害剤が、患者におけるガレクチン-3活性を低下させる量で投与される、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
  27. ガレクチン-3の濃度、発現レベル、又は活性が、対照と比較して0.5、1、2、3、4、又は5倍低下する、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 1)ガレクチン-3阻害剤の投与前に患者におけるガレクチン-3の濃度、レベル、又は活性を測定すること、及び2)ガレクチン-3阻害剤の投与後にガレクチン-3の濃度、レベル、又は活性を測定することをさらに含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. ガレクチン-3阻害剤の投与後のガレクチン-3の濃度、レベル、又は活性の減少により、ガレクチン-3阻害剤の用量が、患者における腎臓障害の治療にとってのガレクチン-3阻害剤の有効量であることが示される、請求項28に記載の方法。
  30. ガレクチン-3阻害剤の投与後のガレクチン-3の濃度、レベル、又は活性の上昇により、ガレクチン-3阻害剤の用量が、患者における腎臓障害の治療にとってのガレクチン-3阻害剤の無効量であることが示される、請求項29に記載の方法。
  31. 先行投与におけるよりも低量でガレクチン-3阻害剤の第2の用量を患者に投与することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
  32. さらなる治療剤を投与することをさらに含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
  33. さらなる治療剤が心血管疾患、腎不全、がん、炎症、線維症、又は感染症の治療に有効である、請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
  34. さらなる治療剤が、抗酸化剤、抗炎症剤、化学療法剤、抗感染剤、抗生物質、又は抗線維症剤から選択される、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
  35. ガレクチン-3阻害剤を治療剤と同時に投与することを含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 治療剤の投与後にガレクチン-3阻害剤を投与することを含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
  37. ガレクチン-3阻害剤の投与後に治療剤を投与することを含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
  38. 少なくとも8週間にわたってガレクチン-3阻害剤の複数用量を投与することを含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
  39. ガレクチン-3阻害剤を週1回で投与することを含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
  40. ガレクチン-3阻害剤が、注射又は静脈注入により投与される、請求項1から39のいずれか一項に記載の方法。
  41. ガレクチン-3阻害剤が、静脈注入により投与される、請求項40に記載の方法。
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