JP2017511961A - 電気化学的エネルギー貯蔵装置並びにそれの作動方法 - Google Patents

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Abstract

本発明による再充電可能なエネルギー貯蔵装置は、金属−空気電池をベースとし、ガス電極が使用され、かつイオンまたはプロトン伝導性膜が電解質として使用される。既知の金属−空気電池とは異なり、本発明によるエネルギー貯蔵装置では、活性成分は、ガス電極に対し反対の電解質膜側に液状媒体の形で存在する。本発明による液状媒体−ガス電池は、電池の作動温度での、液状の形の媒体を活性材料として含む容器を有する。このような材料としては、中でも次のものが適している:金属、半金属、単純もしくは複合酸化物を初めとした酸素含有化合物、窒素含有化合物、炭素含有化合物、水素含有化合物、リン含有化合物、ハロゲン含有化合物、他のカルコゲン含有化合物、ケイ素含有化合物、ゲルマニウム含有化合物、またはホウ素化合物、特に一種もしくは複数種の金属若しくは半金属を有する化合物(酸化物からホウ素化合物までの全リストをベースにする)、またはこれらの混合物、但し、作動温度で液状に存在することを条件とする。

Description

本発明は、エネルギー貯蔵装置、特に複数回充電可能な電気化学的エネルギー貯蔵装置に関する。本発明は更に、上記エネルギー貯蔵装置の作動方法にも関する。
(例えば定置式のエネルギーの中間貯蔵のための)多量の電気的エネルギーを費用効果高く貯蔵できるようにするためには、大規模にスケールアップ可能でかつ製造が非常に簡単な、適当なエネルギー密度を持つ可逆作動性電気化学的貯蔵装置が必要である。電池(elektrischen Batterie)とは、複数の同型のガルバーニ単電池もしくは素子の系統連系のことと解される。狭義では、「電池」という概念は、複数回充電可能ではない、いわゆる「一次単電池」または「一次素子」のことしか指さない。これとは異なり、再充電可能な「二次単電池」または「二次素子」は「蓄電池(Akkumulator)」(略語:Akkus)と呼ばれる。しかし、「電池」という概念は、最近は幾らかやわらげられており、そのため、本発明の枠内では、以下において、再充電可能なエネルギー貯蔵装置についても一般的に「電池」という概念を使用する。
原則的に、異なる要求のために、電圧曲線から耐用性までが異なっていてそして相応して使用されるべきでもある異なるバッテリータイプもある。
これらの異なる電池タイプは、一般的には、異なる貯蔵装置材料(活性材料)を使用し、これらは、少なくとも一つの還元及び酸化型(レドックスペア)で存在することができる。これらの活性材料の助けを借りて、過剰の電気エネルギー(例えば風または太陽エネルギーから)を、活性材料、例えば金属酸化物の酸化型の還元に利用することができる。この場合、貯蔵装置は充電される。必要に応じて、この還元された活性材料、例えば金属は次いで再び酸化でき、それによって電気エネルギーが放出される。この貯蔵装置は放電される。
使用される活性材料(レドックスペア)は、単電池の定格電圧を決定し、他方で活性材料の量は、単電池のエネルギー含量に影響を及ぼす。
エネルギー貯蔵装置では、(一般に知られている慣用のタイプ、例えば亜鉛−炭素電池、アルカリ−マンガン電池または鉛−、NiCd−、NiMH−もしくはLiイオン蓄電池の他に)既に、異なるタイプの電池が知られており、このような電池について以下に簡単に説明する。
一つのタイプは、図1に図示するようなレドックスフロー電池である。このタイプの電池では、電気エネルギーは、室温下に各々溶剤中に溶解した形で存在する化学的な化合物(活性材料)中に貯蔵される。このためには、各々の場合、膜によって隔てられた二つの循環路中に、活性物質を含んだ電解質が循環する。この膜を介してイオン交換が行われる。単電池電圧は、このシステムでは、通常1.0Vと2.2Vとの間である。溶剤としては、無機酸または有機酸のいずれかが使用される。活性材料(レドックスペア)としては、チタン、鉄、クロム、バナジウム、セリウム、亜鉛、臭素及び硫黄でできた化合物が既知である。
エネルギー貯蔵性の化合物を含む電解質は、単電池の外に別個のタンク中に貯蔵できるために、このタイプの電池は、エネルギー量を電解質量を介してそして出力を電極表面の大きさを介して有利に互いに独立して変化及びスケール変更できる電気化学的エネルギー貯蔵装置の一例である。更に別の利点の一つは、装置の停止中に、自己放電が事実上起こらないことである。
他の貯蔵装置技術と比べて、レドックスフロー電池は、高い効率、自己放電の良好な回避性、及び高い予期命数を有する、というのも、なかでも、電極材料、大概はグラファイトが、電解質の電気化学的反応自体には関与せず、それ故劣化しないためである。しかし、レドックスフロー電池を用いてこれまで達成されてきたエネルギー密度は、いまなも比較的小さい。
更に、作動管理のためには、大規模な器械的追加ユニット、例えばポンプなどが必要とされ、これは、通常腐食性の電解質の使用に適したものである必要がある。更に、溶剤中、大体は水中への活性材料の溶解性が多くの場合に低い故に、多量の体積流量が移動または制御される。
他のタイプの電池は、高温液体金属電池である。これの既知の例は、例えばナトリウム−硫黄システムである。この形の電池では、通常は、固体の電極によって隔てられた二つの液状の材料が、反応パートナーとして使用される。作動温度は典型的には700℃周辺である。電極を液状の状態にするため及びセラミック製の電解質を伝導性にするために、高い温度が必要である。液状の状態でのみ、電極は、充電及び放電反応に関与できる。このような電池は、例えば、風力及び太陽電力発電所において定置型エネルギー貯蔵装置として使用できる。
この種類のバッテリーでのセーフティクリティカルは電解質の破損であり、その場合、それに次いで、反応パートナー間の不制御の反応、それ故、不制御のエネルギー放出が起こり得る。
それに加えて、USAから更に別の液体金属蓄電池が既知であり、この電池では、アノードはマグネシウムからなり、電解質は融解した塩電解質MgCl−KCl−NaClからなり、そしてカソードはアンチモン(Sb)からなる。その機能原理は図2から明らかである。
上記の液体金属蓄電池の構造及び作用様式は次の通りである:約700℃に加熱すると、材料である粉砕したマグネシウム及びアンチモン金属からなる混合物が、塩混合物MgCl-KCl-NaClと一緒に融解し、そしてこの際、異なる比密度の故に三つの水平な層を形成する。
最上層は、純粋なマグネシウムを含み、そして負極として働く。下層は、マグネシウム−アンチモン合金からなり、これは蓄電池の正極を形成する。中間層としては、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び塩素からなる塩層が生成し、そしてそれらから電解質を形成する。
充電過程の間は、電子が上側のマグネシウム電極層中に到達する。同時に、正に荷電したMgイオンが、電子の放出下に、下の電極層のマグネシウム−アンチモン合金から形成し、そして電解質中を移動して同様に上のマグネシウム層に至り、ここで電子を取り込んで金属マグネシウムが形成する。これとは逆に、放電中は、電子が上の電極で抜き出され、そうしてその時再び正に荷電したMgイオンが、上のマグネシウム電極層から電解質を通って下層へと戻る。
このような蓄単電池は、200mA/cmの電流密度まで適しているべきである。このタイプの電池の電圧は一般的に1Vよりも明らかに低い。
更に別の関心の持たれる代替品の一つは、金属−空気電池である。(i)空気を然るべきイオン導体によって輸送し、そしてそこで固体の材料(活性材料)と反応させるか、または(ii)固体の材料(活性材料)を先ずイオン化しそして電解質中に移動させ、そしてそこから対電極の方へと輸送し、そこで酸素含有媒体中で酸化させる電池が、基本的に金属−空気電池と呼称される。
(i)で挙げた実施形態の例は、例えば特許文献US2012/0328972(特許文献1)、US2011/0033769A1(特許文献2)、WO96/23322(特許文献3)及びWO2013/093044A1(特許文献4)に記載されている。
幾つものリチウム電池では、金属リチウムがアノードとして働く。これは、基本的に、電気化学的反応に完全に関与する。充電の時のリチウム金属の成長が問題であり;これは平らな層として成長するのではなく、配向した網状体の様に成長する、すなわちいわゆる樹状成長を起こす。これらの針状構造は、単電池中で望ましくない短絡の原因となる恐れがある。
リチウム−金属含有電池の既知の例の一つは、例えばリチウム−空気蓄電池である。より新しい研究では、リチウムをナトリウムまたは亜鉛で置き換えることも取り組まれている。
上記(i)による金属−空気電池の問題の一つは、酸素イオンを活性材料としての金属に接近させるつつも、他方で、酸化の時の金属の体積増大が電池を損傷すること、または非電導性層が形成してこれが他の望ましい反応をかなり遅くすることを避けることにある。
図3a〜3d([非特許文献5]からの抜粋)には、Li−空気電池の場合には、電解質の構成に基づいて四種の異なる変形、すなわち非水性電解質、水性電解質、ハイブリッド電解質及び固体電解質を備えた四つの異なる変形のみがあることが示されている。全ての形態は、図3から分かるように、固体のリチウム金属がアノード材料として使用され、及び酸素がカソード側の酸化剤として使用される点で共通している。この際、LiSICONは、Liスーパーイオン伝導体を表す。
上記(ii)による金属−空気電池では、活性材料、通常は金属の全部を最初に先ずイオン化し、次いでその全てを電解質を通して移動させる必要があるという問題が浮上し得る。活性材料の代わりに、空のスペースが残った金属格子中に発生した場合には、これを再度の充電の時に再び相応して充填する必要がある。加えて、この箇所では、材料と電流タップとの及び電解質との電気的接触の問題が起こる。充電の時に新たに堆積する金属は確かにそれに予定された箇所で成長するが、しかし緻密な層の形でではなく、他の形、例えば樹状に成長することは排除できない。更に、対電極上には熱力学的にあまり安定していない相が形成してはならない。というのも、これは、不利なことに、逆反応において多くの場合にもはや可逆的に挙動しないからである。リチウム−空気システムでは、例えば過酸化リチウムが適当な相であろうが、他方で、これとは反対に、LiOが非常に安定した相の一例である。
再充電可能なリチウムイオン電池は、近年、素晴らしい進歩を遂げている。これらは既に多くの可動装置に使用されている。それらの使用分野は、ハイブリッド−及び電気自動車の他に、風力及び太陽エネルギープラントからの電流の可能な貯蔵にもある。しかし、これらの電池は、特にエネルギー貯蔵密度の点で、幾つかの要求を未だ満たすことができず、そのため、代替的な貯蔵材料を探求するために多くの努力が行われている。現在使用されている有機電解質は化学的または熱的に安定しておらず、水または酸素とも激しく反応する。
電池または蓄電池に関連して、容量とは大概は、それらに貯蔵できる最大充電量のことと解される。これはしばしば電流と時間との積として示される(例えばAh単位で)。本発明の枠内では、電圧(単位:ボルト)と充電量(単位:例えばアンペア時)との積がエネルギーと解され、ここでこれは、追加的に、電池の質量または体積を基準にしてエネルギー密度の形でも表現できる。それ故、キログラム当たりのワット時(質量ベース)または立方メーター当たりのワット時(体積ベース)がエネルギー密度の単位として使用される。
US2012/0328972 US2011/0033769A1 WO96/23322 WO2013/093044A1
Ch.Mortimer,Chemie,Thieme Verlag Stuttgart,3.Aufl.1980,ISBN3−13−484303−X,Seite 289 Phase Diagrams for Ceramicists,E.M.Levin,H.F.McMurdie,F.P.Hall,The American Ceramic Society,Columbus,OH,USA,1956,Seite 38,Abb.12 Phase Diagrams for Ceramicists,E.M.Levin,H.F.McMurdie,F.P.Hall,The American Ceramic Society,Columbus,OH,USA,1956,Seite 39,Abb.16 Phase Diagrams for Ceramicists,E.M.Levin,H.F.McMurdie,F.P.Hall,The American Ceramic Society,Columbus,OH,USA,1956,Seite 57,Abb.91 Lee et al."Metal−Air Batteries with High Energy Density: Li−Air versus Zn−Air",Advanced Energy Materials 2011,1,Seiten 34−50
本発明の課題は、より多量の電気エネルギーを費用効果高く貯蔵でき、十分な容量またはエネルギーを有し、大きな規模にスケールアップ可能であり、そして製造及び取り扱いが非常に簡単な、再充電可能なエネルギー貯蔵装置(以下、電池と言う)を提供することである。加えて、これは、多くの充電及び放電サイクルを損傷無く耐え、そして長い寿命を有するべきである。
本発明の課題は、主請求項の特徴を備えた電気化学的エネルギー貯蔵装置によって、並びに下位の請求項に従うこのようなエネルギー貯蔵装置の複数の作動方法によって解決される。
前記エネルギー貯蔵装置、並びにこのようなエネルギー貯蔵装置の作動方法の有利な形態は、それぞれそれらを引用する請求項に記載される。
本発明による再充電可能なエネルギー貯蔵装置は、金属−空気電池をベースとし、図3でに従来技術として示したものと類似して、ガス電極が使用され、かつイオンまたはプロトン伝導性膜が電解質として使用される。ガス電極の機能は、ガスからイオン(別の形態の場合にはプロトン)が発生し、これが電解質を通して案内されるようにガス空間からのガス分子と反応させることである。この反応の時に電荷が流れる必要があるため、ガス電極は導電性である必要がある。可逆的に作動する電池の場合の逆反応でも同様に挙動する:電解質からのイオン(またはプロトン)は、ガス電極のところで電荷を受け取ってまたは放出して電気化学的に中性のガス粒子へと変換され、これがガス空間へと放出される。この際、ガス電極は一般的に化学的に反応しない。
既知の金属−空気電池とは異なり、本発明によるエネルギー貯蔵装置では、活性成分は、ガス電極に対し反対の電解質膜側に液状媒体の形で存在する。基本的に二つの実施形態がある:
(i)液状活性材料が、固体の電解質と直接接触している。この場合、活性材料は、電解質からの荷電した粒子を貯蔵するだけでなく、必要な電荷流との電気化学的部分反応も行う。
(ii)液状活性材料が、固体触媒層の上にあり、この固体触媒層は、それと接触している電解質上にある。極端な場合、この触媒層は、部分反応の加速を担うだけでなく、ガス電極について上述したのと同様に、荷電の取り込みまたは放出を伴って完全な電極部分反応を担い、この際、液状活性材料は、部分反応生成物(電解質からの粒子からなる生成物)を取り入れる。この場合、活性材料はもはや必ずしも導電性である必要はない。
第一のケースでは、液状活性材料が、第二のケースでは触媒層(常に固体)と液状活性材料との組み合わせが、以下に対電極と呼称される。
これらの液状活性成分は、完全に電気化学的反応に関与し得る。活性材料は、少なくとも、還元型及び酸化型(レドックス対)の形で存在し得る。この際、原則的に、二つの作動様式が区別できる。
(i)ガス電極のところに存在するガスまたは構成分またはそれらのイオンが酸化的に作用する(例えば酸素):エネルギー貯蔵装置の充電の間は、還元された形で存在する液状活性材料(例えば金属)の少なくとも一部が酸化型(例えば金属酸化物)に転化され、これも同様に液状に存在することができる。同時に、該反応に必要な酸化剤(例えば空気)が、ガス電極のところのガス空間から取り出される。
(ii)ガス電極のところに存在するガスまたは構成分またはそれらのイオンが還元的に作用する:エネルギー貯蔵装置の充電の間は、酸化された形で存在する液状活性材料は、同様に液状に存在し得る還元型に転化され、他方で、反応に必要な還元剤が、ガス電極のところのガス空間から取り出される。
以下、本発明による可逆性エネルギー貯蔵装置を、液状媒体−ガス電池とも称する。
図4は、空気、特に酸素がガスとして使用される本発明による液状媒体−ガス電池の実施形態を示す。
本発明による液状媒体−ガス電池の大きな利点は、液状活性材料が各々の充電または放電サイクルの時に、すなわち各々の還元または酸化の時に、その液状の形の故に、新たに組織化または構造化し得ることにある。還元及び酸化された状態で存在する活性材料の異なる比密度は、ハウジング内での層の形成を有利にもたらす。
酸化の時の固体電極材料のこれまで有害であった体積増加、または更なる望ましいレドックス反応を顕著に遅らせる非導電性相の形成は、そうして有利に回避し得る。
液状媒体−ガス電池の本発明による形態は、電池の作動温度で液状の形の媒体を活性材料として含む容器を有する。このような材料としては、中でも次のものが適している:作動温度で液状の形で存在する限り、金属、半金属、酸素含有化合物(単純なもしくは複雑な酸化物を包含する)、窒素含有化合物(硝酸塩、窒化物を包含する)、炭素含有化合物(炭化物、炭酸塩を包含する)、水素含有化合物(水素化物を包含する)、リン含有化合物(リン化物、リン酸塩を包含する)、ハロゲン含有化合物(ハロゲンは、元素周期律表の第7主族の元素と定義される)、他のカルコゲン含有化合物(カルコゲンは、元素周期律表の第6主族の元素と定義される)(硫化物、硫酸塩を包含する)、ケイ素含有化合物(ケイ酸塩を包含する)、ゲルマニウム含有化合物またはホウ素化合物、特に一種もしくは複数種の金属若しくは半金属を有する化合物(酸化物からホウ素化合物までの全リストをベースにする)、またはこれらの混合物。
本発明による液状媒体−ガス電池の典型的な作動温度は、使用した活性材料及び電解質に依存して、例えば500℃と1000℃の間である。しかし、活性材料が比較的低い温度において既に液状に存在する場合(レドックス対の相のうちの少なくとも一方)、より低い作動温度も選択できる。
この際、該液状媒体−ガス電池の必要な作動温度への加熱は、慣用的に、すなわち外部手段、例えば加熱装置またはそれ以外の熱源によって行うことができる。
有利には、該活性材料は一種の金属または複数種の金属の混合物(合金含む)を含み、そして更に、例えば共晶の形成によって反応生成物の融点、すなわち酸化されて存在する活性材料の融点を下げる追加的な物質を含む。これと類似して、活性材料としてのガラスの場合には、軟化点を低める更に別の物質を同様に添加できる。
本発明による液状媒体−ガス電池の作動時は、活性材料は、通常のケースでは、電解質からのイオンとの反応の前に液状であるべきである。この活性材料は、電解質からのイオンまたはプロトンと(電気)化学的に反応できるものでなければならない。液状活性材料中での電子及び/もしくはイオンの高い可動性または電子及びイオンの高い伝導性が、該電池の作動にとって有利である。それによって、電池の内部抵抗が有利に最小化される。
更に、膜と活性材料の液状相との間の非常に低い付着または非常に大きな濡れ角が有利である。というのも、これは、作動中はできるだけ良好に膜から解放されそして空間的に離れるべきであるからである。
基本的に、該エネルギー貯蔵装置は、一部の必要な付属装置、例えばガス電極及び/または対電極側の圧力−もしくは体積補償装置または電流導入端子などは除いて、閉鎖的な容器として設計できる。
この容器は、通常は、完全に活性材料で満たされている。完全にとは、本発明の枠内において、この際に活性材料の酸化または還元によって起こり得る体積変化が全て考慮されていることを意味する。アノード材料の最大体積では、容器中に圧力は発生するべきではない。比較的高い体積のアノード材料が比較的小さなアノード材料に変わる時に、相応して空隙が生じる。
液状媒体−ガス電池のこの容器は、液状活性材料または同様に液状であることができる対応する反応生成物によっては持続的に腐食されない材料からできている。加えて、これは、液状媒体−ガス電池の必要な作動温度、すなわち約1000℃までの作動温度でも安定している。適当な容器材料の一つは例えば酸化ジルコニウムである。
更に、該容器は、追加的に、電解質としてイオンもしくはプロトン伝導性膜、例えば固体イオン導体を含む。
この膜も同様に、液状活性材料または同様に液状であることができる対応する酸化された反応生成物によって、並びにガス空間に使用されたガスによって持続的に腐食されない材料でできている必要がある。これもまた、必要な作動温度において十分に長期安定性に構築されている必要がある。
この膜に適した材料としては、ポリマー、ガラスまたは固体を挙げ得る。固体という名称は、ここでは、結晶格子中に長距離秩序を持つ材料、すなわちX線回折図において、結晶格子の格子面でのX線回折での干渉のために反射を確認できる材料を記載する。ここでガラスとは、ただの非晶質であるかまたは結晶格子中にせいぜい近距離秩序しか持たない材料、すなわちX線回折図において、結晶格子の格子面でのX線の回折での干渉のための反射を確認できない材料のことと、極一般的に解釈される。粘度は、典型的には、1010Pasのオーダーより大きい。特に、セラミック(多結晶)もしくは単結晶、またはポリマー、ガラスもしくは固体の三種の材料の部類の少なくとも二つの組み合わせを使用できる。部分結晶性セラミック、いわゆるガラスセラミックも同様に、電解質用の好適な材料として包含される。
有利な形態の一つでは、電解質は酸素イオン導体である。例えば、電解質は、例えばイットリウム(Y)またはスカンジウム(Sc)で置換されかつ置換率が0モル%と16モル%との間の部分置換ZrO2−δを含むことができる。CeO2−δからなる電解質も有利であり、この際、Ceの場所で0モル%と約30モル%の間が、任意に、ガドリウム(Gd)、サマリウム(Sm)、ネオジム(Nd)または他の希土類元素、または周期律表の第二主族の元素、例えばストロンチウム(Sr)で部分置換されていてもよい。
しかし、電解質は、有利には、任意選択的にLaの場所で他の希土類元素で部分置換されたランタン−タングステンをベースとするプロトン導体として構成してもよい。
前記耐腐食性の壁材料及びイオンもしくはプロトン伝導性膜の材料は、場合により同一であってもよい。
この気密の膜は、薄い電解質層として存在することができ、それ故、イオン伝導性が高いという利点を持ち、これは液体−ガス電池の比較的低い内部抵抗をもたらす。これに関連して、薄層とは、500マイクロメーター未満、特に10マイクロメーター未満の層厚を有する層のことと解される。
該イオンもしくはプロトン伝導性膜は、接合材料またはシール材料によってあるいはラビリンスシールによって容器中にはめ込み得るか、または単に押圧することができる。該容器は、代替的に、完全に一つの同じ材料(イオンまたはプロトン伝導性材料)から作製することもでき、その時は、本質的に追加のシールは必要ではない。
電解質としてのイオンまたはプロトン伝導性膜の上には、それの活性材料の方を向いた側上に、界面反応(触媒作用/触媒活性)、特に液状活性材料と、輸送されたイオンもしくはプロトンとの間の界面反応の向上に役立つ層を設けることが有利である。この層は、以下活性材料−触媒層と言う。
電解質としてのイオンもしくはプロトン伝導性膜の反対側には、ガス電極が配置され、このガス電極に、上記膜とは反対側でガス空間が連絡しており、このガス空間は、一部は必要な付属装置、例えばガス供給手段及びガス導出手段、及び必要な電流導入端子は除いて、基本的に閉鎖していることもできる(図4参照)。ガス電極またはガス空間は、酸化性ガスばかりでなく還元性ガスも供給できまたはこれらで作動させることができる。
この際、ガス電極は、電気化学反応を予定されたガス空間からのガスまたはそれの成分をイオンに変換する層として上記膜上に設けることができる。ガスまたはそれの成分をイオンに変換するこの層は、緻密であることができ、または多孔性であってもよい。この層は導電性である。
本発明によるエネルギー貯蔵装置のガス電極のためのガスとしては、酸素キャリアとしての空気が特に有利に使用され得る。更に別の適したガスは、一般的に酸素、窒素、水、水素、二酸化炭素、一酸化炭素またはハロゲン(化学元素の周期表の第7主族の元素)を含むかまたはこれらの物質の混合物を含み、及び酸化剤としてまたは還元剤として使用されるガスである。
本発明の有利な形態の一つでは、ガス電極層の隣に、機械的安定性を保証するガス透過性キャリアが追加的に配置される。この際、キャリアは、ガス電極と同じ材料からなることができる。
本発明による電池の基本原則は、還元された形の液状活性材料と、ガスまたはそれの一部で酸化された形の液状活性材料との間の異なる化学ポテンシャルをベースとする。還元された活性材料及びガスを用いて酸化された活性剤材料との間の異なる化学ポテンシャルの一例は、還元された状態で存在する活性材料としての銅(Cu)及び酸素を用いて酸化された状態で存在する活性材料としての酸化銅(Cu2+2−)である:
Cu→Cu2++2e、付随する電圧−0.34ボルト [非特許文献1]
この際、電池中での全体的な反応は、放電時に以下のように進行する。
前提条件は、ガス電極のところに存在するガス及び液状活性材料が、反応生成物とは異なる化学ポテンシャルを有することである。例えば、酸素は金属−空気電池中で、触媒作用するガス電極のところで少なくとも部分的に化学的に反応させ、この際、この反応は、荷電した粒子が発生しそしてこれらが、化学ポテンシャルの勾配による推進力の結果、イオン伝導性膜を通って液状媒体に、ここでは具体的には金属に拡散するように行われる。これらはそこで液状金属と反応し、そして反応生成物として第二の層の金属酸化物(これも同様に液状であることができる)を形成する。
反応が、液状活性材料と電解質/膜との間の界面で、望むよりもゆっくりと進行する場合には、任意に、追加的な触媒層を、活性材料と、イオンもしくはプロトン伝導性膜との間に設けることができる。触媒が化学的にのみに作用するのではなく、触媒がそれに加えて少なくとも部分的に電極の機能を担う場合には(すなわち、電子が取り込まれるか放出される)、この触媒は、電子伝導性にも構成されるべきである。この場合、有利には、後での電流輸送のための電流タップを、外部の回路を介して直接触媒層に取り付ける。
ガス電極のところのガス空間中での必要な電荷交換のための電荷は、ガス電極及びそれに接続する電流タップを通って、または液状媒体と電気的に接触している導電体を通って流れる。ガス電極は、応じて電気伝導性に構成されていなければならない。本発明と同様に構想される高温燃料電池からのガス電極は、1cm当たり100ジーメンスを超える範囲の材料伝導率を有する、または他の表現では、電気抵抗が最大0.01Ohm・cmである。
液状金属は、基本的に非常に良好な導電体であり、そして塩溶融物も、イオンの運動の故に、それによる電流の放出を保証するのに十分に良好な電気伝導性を大抵有する。抵抗損を最小化するための最大限許容可能な抵抗は、容器の実際の設計に大きく依存する。最も単純なケースとして活性材料としての立方体から出発しそして公称電圧と比べて最大で1%の電圧損を許容する場合には10−3Ohm・cmのオーダーの最大比抵抗が生ずる。
電流の放出のためには、固体の状態でも十分な電気伝導性を有する液状活性材料の場合には、本発明の特に簡単な形態では、容器と同じ液状活性材料が充填された管が適している。液状活性材料を含む管は外部に案内され、そして液状媒体の融点よりも明らかに低く、それ故作動温度よりも低い温度にされる。このようにして、エネルギー負荷が、固体電気伝導体に接触できる。それによって、電流タップのところの、特に電流タップと液状媒体との界面の所の腐食現象を有利に最小化できる。
電流の放出は、代替的にまたはそれを補完して、イオン伝導性膜に隣接して配置された電気化学的に作用する触媒層を介しても行うことができる。この形態では、不所望な反応を最小化するために、電流タップとして触媒材料を素材として使用することもできる。
本発明によるエネルギー貯蔵装置の特徴の一つは、このタイプの電池が、液状活性材料の構造及び性質の故に、作動中に優先方向を有することである。この場合、該エネルギー貯蔵措置の格別な形態は、以下に記載するように格別な利点を有する。
例えば、ハウジング内での電解質及び負のガス電極の配置は、本発明の有利な形態の一つではy−z平面に行われるように定められ(図4参照)、これは、この時は電解質が本発明のエネルギー貯蔵層中では地表に対して垂直に配置されることを意味する。それに対して、還元及び酸化された形の液状活性材料は、重力のために整然と水平な層を形成して、可能な限り最深の(すなわち地表近く)の点から始まって、これらは可能な限りx−y平面に広がっている。
本発明の汎用性を限定することなく、該エネルギー貯蔵装置の有利な構造の意味及びそれによって達成される電池の空間的位置の説明のためまたはより良好な理解のために、図5に示されるような、酸化剤としての酸素及び液状の還元された状態の活性材料としての金属の特別のケースに依拠する。液状活性材料は、重力のためにx−y平面に整然とした層を形成し、この際、還元されて存在する金属の密度は、金属酸化物の場合では、酸化された活性材料の密度よりも通常は高い。すなわち、液状金属は通常ハウジングの底にたまる。
本発明によるエネルギー貯蔵装置のこのような有利な配置は、放電サイクルの時に、膜を通して移動してきた負の粒子が、放電プロセスがどの程度進行したかには関係なく、液状に存在する活性成分との直接的な接触をも少なくとも常に持つという結果を有利にもたらす。放電過程中は、還元されて存在する活性成分の体積は減少し(図5中の小さな矢印で示される)、そのため膜とのこの層の接着面も減少する。それにもかかわらず、活性材料の酸化は何時でも直接起こすことができ、そして既に酸化した状態の活性材料の層によって不利に妨げられることはない。
しかし、他の面では、この本発明による配置は、充電サイクルの時でも(図5右参照)、活性材料の反応で放出された粒子が、充電プロセスがどの程度進行したかには関係なく、電解質との直接的な接触をも少なくとも常に持つという結果を有利にもたらす。充電過程中は、酸化されて存在するアノード材料の体積は減少し(図5中の小さな矢印で示される)、そのため膜とのこの層の接着面も減少する。
三次元空間でハウジングを変化(例えば回転)させることによって(図6〜8参照)、電池をx−z平面で回転させることにより、詳しくは、電解質(膜)と還元されて存在する活性材料との間の接触面が最大になるように回転させることにより、例えば放電過程を有利に援助できる。この際、極端なケースでは、電池をx−z平面で90℃回転させることができ、これは、ガス電極及び電解質がほぼ底にあり、そして液状活性材料の層がその上に直に存在することを意味する。充電プロセスの間に形成する比較的軽い酸化された活性材料は、形成されると直ぐに上方に浮かび、そして還元されて存在する活性材料上に第二の層を形成する。それによって、全放電過程の間、膜との全境界面上には、有利なことに、常に、還元されて存在する活性材料しか存在しない。場合によっては、この形態では、集電体が、電解質近くのアノードに配置されるように注意を払う必要がある。
他の面では、三次元空間でのハウジングの配置変更は、今度は電解質(膜)と酸化されて存在する活性材料との接触面が最大化されるように電池がx−z平面で回転されることによって、充電過程をも有利に援助することができる。この形態では、集電体が、むしろ電解質からは離して液状相付近に配置されるのが有利であろう。
電池の置き方の変更の利点を充電プロセスだけでなく放電プロセスにも最適に利用するためには、該電池の特別の形態では、可変のまたは対応して大面積の集電体が対電極のために設け得る。
酸化剤の代わりに例えば水素などの還元性ガスが使用される場合では、上記の化学反応は、充電及び放電過程において、逆の符合の電流でガス電極及び対電極のところで進行する。
安全性の理由のため、本発明による液状媒体−ガス電池は、不活性ガス(保護ガス)を充填したハウジング内でまたは排気したハウジング(真空)内で作動させることができる。ここで不活性とは、液状活性材料も、ガス空間からの(反応のための)ガスも保護ガスとは反応しないことを意味する。漏れの場合には、一方では、化学反応に必要まガスの供給が中断され、他方では、不活性ガスまたは真空のために、液状活性材料または反応に予定されたガスのための反応パートナーが存在しない。
纏めると、可逆性エネルギー貯蔵装置としての本発明よる液状媒体−ガス電池の利点は以下のように述べることができる:
・この構造は、比較的簡単にまた大規模でも製造できる少ない部材からなる。
・膜と液状活性材料との組み合わせには、伝導性、融点もしくは軟化点、密度、粘度及び腐食特性についての全ての要求を満たすために、多数の潜在的に適した材料を頼ることができる。膜及び液状活性材料に応じて、該電池は、通常の周囲温度または数百度(℃)までの高められた温度において作動する。
・該電池の構造は、電解質が、酸化された形態の活性材料ばかりでなく、還元された形の活性材料といつでも接触しているようにする。
・該電池の特別な構造は、更に、該電池の置き方の変更によって、充電または放電プロセスを有利に援助し得るようすることを可能にする。
・該電池の部材は、基本的に簡単に互いから再び分解することができる。そのために、該電池はリサイクルに有利に適している。
・該電池のエネルギー含量は、(壁の腐食現象は除いて)漏出でしか、すなわち液状活性材料の材料損失でしか減少しない。容器を一杯に満たすことによって、再びフルの初期エネルギー含量が得られる。ガス側でも同様になる。
・万一生じ得る腐食現象は除いて、漏出によるガス損失だけがエネルギー含量を減少し得る。本発明は、ガスとしては空気、酸素のいずれも明示的に含む。この場合、ガス損失は、これが外部への損失であって、液状活性材料に向いたものでない限りは、一般的に些細なものであって、この場合、容量の損失は起こらない。
・作動状態での活性材料の相は液状で存在するため、熱的または化学的要因の体積変化の結果としての機械的応力は重要ではない。破損による活性材料の損傷は起こり得ない。
・活性材料として液体、及びガスが使用されるため、これらは、イオン伝導性膜と常に良好な接触を持つ(例えば、液体の静水圧またはガスの外部からの所与ガス圧)。
・例えば慣用のレドックスフロー電池で使用されるような、腐食性媒体のためのポンプは有利に無しで済ませることができる。
・活性材料は、例えばリチウムイオン電池とは異なり、実際上100%まで利用できる。
・ガスの供給を比較的簡単に止められるため、不具合があった場合、例えば電解質膜が破損した場合には、反応を停止できる。
本発明のエネルギー貯蔵装置において場合によっては考慮するべき制約としては、もし活性材料が室温ではまだ液状に存在しない場合の必要な作動温度の調節、及び場合によっては、作動中の該エネルギー貯蔵装置の変わり得る方向付けの考慮のみが挙げられる。
以下、本発明を、実施例及び更なる考慮に基づいてより詳しく説明するが、それによって本発明が限定されることはない。加えて、より良好な理解のために幾つかの図面が参照される。
図1:レドックスフロー電池(従来技術)、E1,E2=液状電解質、E=電極、M=イオン伝導性膜、P=ポンプ。 図2:マグネシウム−アンチモン−液状金属蓄電池(従来技術)。 図3:金属−空気電池の実施形態(非特許文献[5]からの従来技術):3a 非水性電解質使用 図3:金属−空気電池の実施形態(非特許文献[5]からの従来技術):3b 水性電解質使用 図3:金属−空気電池の実施形態(非特許文献[5]からの従来技術):3c ハイブリッド電解質使用 図3:金属−空気電池の実施形態(非特許文献[5]からの従来技術):3d 固体電解質使用 図4:酸化剤として酸素を使用する本発明による液状媒体−ガス電池の図面。記載したデカルト座標における座標は、ここで及び以下において空間における位置を記載するものである:x及びyは地表に対して並行で、zは地表に対して垂直である。電解質膜がy−z平面にあることを想定している。 図5:充電及び放電プロセスの間の活性材料としてMe/MeO及び酸化剤として酸素を用いる本発明による液状媒体−ガス電池の形態。 有利な空間位置での、酸化剤として酸素を用いた本発明による液状媒体−ガス電池の形態 有利な空間位置での、酸化剤として酸素を用いた本発明による液状媒体−ガス電池の形態 有利な空間位置での、酸化剤として酸素を用いた本発明による液状媒体−ガス電池の形態
1.実施例:モデル液状媒体−酸素電池の製造
La0.65Sr0.3MnO3−δでできた基材上に、固体イオン伝導体であるイットリウム安定化酸化ジルコニウム(略語:YSZ)でできた数マイクロメータの薄い気密な電解質層を施す。任意選択に、前記の電解質層を施す前に前記基材上に更に別の層、すなわちLa0.65Sr0.3MnO3−δと電解質材料との混合物からなる更なる層を施す;この層は、触媒作用反応中心の数を有利に高めるであろう。この際、前記基材は、流展成形及び焼結を介してまたはプレス成形及び焼結を介して製造できる。前記YSZは、例えば、スクリーン印刷及び焼結、及び/または物理的気相堆積法によって施される。
YSZは、燃料電池の研究からの材料として、特に約800℃の温度での酸素イオン導体として知られている。電解質層の気密性は、自己放電速度の決定に関係し、それ故、この層は非常に気密に作製するべきである。
押出機により製造された酸化ジルコニウム製のセラミック製ビーカー(内部容積はここでは0.5リットル)中で、この基材を、YSZ層と押圧及び/またはソルダーガラス接合によって接合し、ここでYSZ層は、ビーカーの開口部上に方に配向される。
活性材料としてのビスマスのデータ:
ビスマス(Bi) 融点270℃ 密度9.8g/cm−3
酸化ビスマス(Bi) 融点817℃ 密度8.9g/cm−3
事前に、上記ビーカーをビスマス(化学記号Bi)で約80体積%まで満たす。この充填は、通常は100%未満とする。なぜならば、活性材料は、酸化時に体積を増すからである。有利には、接合は、接合されたビーカー中への異質のガスの侵入を減少させるかまたは完全に防止するために、保護ガス雰囲気下にまたは真空中でグローブボックス中で行われる。このビーカーは、管の接続のために穴を横側に持っており、この管は、後でオーブンから引かれ、そして同様にBiで充填されて電流タップとして役立つ。後での作動の時には、このビーカーは、前記の管が下方へと出されるように置かれる。この際、前記の管は、この管が(それ故、その中のBiもが)、電池の作動中にBiの融点よりも明らかに低い温度を有する領域を含むような長さに作られる。このようにして、後で、酸化ビスマスよりも大きな密度を持つ液状金属と常に接触するようになる。
第二の白金ワイヤを、La0.65Sr0.3MnO3−δと一緒に焼結してまたは伝導性銀ワニス接着剤を用いて膜の基材上に固定する。この構造全体を、オーブン中で(このモデル単電池では空気雰囲気中で)約850℃の温度に加熱する。この電池は、YSZ−電解質膜が、底に対して垂直に側面に存在するように置かれる。ビスマス(Bi)は、酸化ビスマス(Bi)よりも高い密度を有するために、金属は、容器の最も深い所の領域の付近にたまり、そして電流タップに対し常に良好な接触が存在するようになる。該電池は、この場合は、液状金属の大部分が酸化されるまで外部回路(電気負荷を持つ)を介して放電できる。
酸化ビスマス(Bi)は約817℃の融点を有し、調節された条件下に同様に液状に存在する。これは、いくらか低い密度を有し、それ故、浮上する傾向がある。それによって、膜上に強く付着した酸化ビスマスからなる層が膜上で成長することを防止できる。
充電中の作動様式
本発明による液状媒体−ガス電池の充電のためには、電流タップに電圧をかけ、液状金属が電圧または電流を液状金属酸化物に伝達し、酸素イオンが、電解質の方向にかつ電解質を通ってガス電極へと移動し、そしてそこでLa0.65Sr0.3MnO3−δ層で酸素にガス状に変換され、この酸素は、前記層からガス空間へと拡散する。高温電解についての試験において既に示したように、La0.65Sr0.3MnO3−δはこれを達成できる。
エネルギー含量、すなわちエネルギー密度及び出力密度についての理論的考察:
上記のビーカー中には、約400ミリリットルのビスマス金属が存在する。9.8g/cmの密度で、これは約3.9キログラムの質量に相当し、または209g/モルのモル質量で合計で約19モルである。各ビスマス原子またはイオンは、三つの電気素量を有し、すなわち約3×19モルの電気素量、すなわち約56×96400クーロン、すなわちおおよそ5百40万クーロンを有し得、これは、約1500アンペア時(単位Ah)電荷に相当し、これを貯蔵できる。それ故、体積に基づくエネルギー密度は約1500Ah/0.7リットル、すなわち約2100Ah/リットル(オーブンの体積は考慮外)、質量に基づくエネルギー密度は1500Ah/5150g、すなわち約290Ah/kg(おおよそ、ビーカー1.2キログラム、膜100グラム、ビスマス3.9キログラム)である。しかし、この例では、電圧は、リチウムイオン電池の場合よりも明らかに低い、すなわち約0.3〜1ボルトでしかない。すなわち、約700〜2100Wh/リットルまたは約100〜290Wh/kgのエネルギー密度を持つ。それにもかからわず、それによって、現在のリチウムイオン電池と少なくとも同じくらいに良好なエネルギー密度を持つ。膜は、高温燃料電池で使用されるような膜に倣う。この場合、La0.65Sr0.3MnO3−δでできたカソードを用いて、有効セル面積1cmあたり約0.5Aの電流密度が達成される。
これを、ここに記載の単電池に転用し、そして境界面YSZ−Biのところでの分極損失が無視し得る程度と仮定すると、この例では、50cmの有効表面積で、約1ボルトあたり約25アンペアの最大電流、すなわち25Wが得られる。
気密性の考察
市販の蓄電池の自己放電は、一ヶ月当たり1〜10%のオーダーである。前述の例に基づいた場合、それによって、この電池の一秒間あたりの最大許容放電量が決定できる。酸化剤としての酸素の場合は、標準状態で酸素ガスが22.4Lの体積を持ち及び酸素分子の還元のために四つの電子が必要であるというデータを用いて、放電量を酸素のガス量に換算できる。一ヶ月当たり1%の自己放電の場合には、該容器は、合計として、漏れ率が酸素では最大でも110−3mbar/sである必要がある。容器の一部の回りが不活性保護ガスで洗われる(及びそれゆれ酸素を含まない)場合は、これは、酸素の最許容総漏れ率には考慮する必要はない。
2.実施例:
ガラス融解物をベースとする液状媒体−ガス電池
第一の実施例と比べて、Biをソーダカリ石灰ガラスに置き換える。これは、約500℃の軟化点を示す。この温度よりも高くなると、それの粘度が一般的になおも更に明らかに低下する。(液状)融解物は、一般的に、含まれるイオンの可動性の故に導電性となる。関連するアルカリ金属は、一緒になって500℃よりも明らかに低い融点を有する。
3.実施例:
液状活性材料中の添加剤としての酸化ホウ素(B)は、例えば金属の単純な酸化物では、通常はこの酸化物の融点の低下を導く。具体的な例としては、活性材料Li−LiOを挙げることができる。この混合物の融点は、約800〜950℃の範囲であり[非特許文献2]、Li−酸素反応の電位はかろうじて3ボルトである。更に別の例は、活性材料としてのNa−NaOである。この混合物の融点は、反応パートナーのNaOとBをベースにしてBの含有率が約55〜90モル%の時に約800〜970℃の範囲であり[非特許文献3];更に別の例は活性材料としてのMn−MnOである。この混合物の融点は、Bの含有率が約40〜80モル%の時に約800〜970℃の範囲である[非特許文献4]。基本的な構成は、この場合も第一の実施例と同様である。
Bi−Biの例は、材料の有利な選択について更なる示唆を与える。Bは、固体としても酸素イオンの真性伝導度を有する。これは、例えば、本当の作動温度に達していない電池の状態では、例えば本当の作動温度よりも低い温度において充電/放電リザーブとして有利であり得る。ここに記載のタイプの電池の他の変形でも、これは有利に使用でき、例えばガスとしてフッ素を用いる変形において、タイソナイトと似た結晶構造を持つ固体の材料からのフッ素イオンの輸送のために固体電解質を使用でき、そして活性材料としては、同様にタイソナイト様構造を持つ低融点フッ化物を使用できる。
以下の非可逆作動性電池を特殊な事例として見なすことができる。融点低下性添加物無しのLi−LiO。これは、明らかにより低い温度で作動させることができる(原則的に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を液状媒体として有するタイプの電池は全て約65℃と840℃の間の融点を有するため)。容量が大きくなるであろう、というのも放電性が犠牲となるものの、液状媒体の容器中に添加剤がないためである;他の場合には、酸化物は金属に再び還元する必要があるであろう。約600℃以上付近の作動温度は、高い導電性にとって有利である、というのも、セラミック製イオンもしくはプロトン導体は、一般的に、アレニウスの法則に準拠した熱活性化挙動を示すからである。約600℃未満では、薄い層の場合も、場合により不十分な電解質の伝導性が生じる。
液状媒体の必要な粘度についての考察:
反応生成物は、膜上での反応材料の滞留が起こらないように、有利には、イオン伝導性膜から素早く輸送されるべきである。この場合に液状媒体−ガス電池の輸送のための駆動力は、液体容器中の活性材料の二つの相の異なる密度であるため、密度の違いと必要な粘度との間に数学的な関係が生じる。
一平方センチメータの表面を持つモデル膜を考察する。これは1アンペア(1A)の電流を流すべきである。更に、液状の出発媒体及び反応生成物が異なる表面張力を有し、互いの中に混和可能でなく、また合金を作らないなどのことが仮定される。このモデルでは、反応生成物は、膜表面から小さな球形の液滴として離れる。揚力は、アルキメデス原理F=Δρgが考慮され、式中、Fは揚力であり、Δρは液状出発媒体と反応媒体の密度の差であり、Vは液滴の体積であり、そしてgは重力加速度(9.81g/s)である。ここで、媒体中の摩擦力は、ストークス摩擦を用いて記載される:F=6πηv、式中、Fはストークス摩擦力であり、rは液滴の半径であり、ηは、液滴がその中で運動している媒体の粘度であり、そしてvは、媒体中でのそれの相対速度である。これらの力の等式化は、粘度と密度差との間の関係式を与える:η=(2Δρ2*g)/(9v)。速度vは、電池の更なる機能を保証するために液滴が、その発生箇所からどれほど遠ざけられたかまたは遠ざける必要があるかを推量できるパラメータとして理解される。最悪の場合として、今度は、1Aの電流の時に、寸法が1cm*1cmの膜の所で一秒で液滴が形成し、そしてこの液滴が一秒で膜領域を完全に空間的に離れる、すなわち1cm移動する(v=1cm/s)と仮定する。
例として、活性材料としてビスマスを用いた場合は、Biの密度は9.8g/cm、Biの密度は8.9g/cmである。1Aは、一秒での1クーロンの電荷流に相当する。1/3モルBi→1/3モルBi3++1モルe。1モルの電子はファラデー定数F=96400クーロンに相当する。応じて、1秒で1クーロン荷電の場合には、一秒あたり以下の量の反応生成物が生ずる:(1/3モルBi)/96400→(1/3モルBi3+)/96400+1クーロン電子。(1/3モルBi3+)/96400が酸素と反応して(1/6モルBi)/96400となり、これは、0.8mgのBi、または910−5cmのBiに相当する。この体積は、半径が0.03cmの球に相当する。これを粘度に関しての上記の等式に代入すると、この評価における最小粘度値として18mPasが得られる。この粘度またはより低い粘度において、液滴が、少なくとも1cm、膜から上方に遠ざけられ得る。
一般的に、活性材料の酸化された相と還元された相との間の密度差が大きいほど及びこれらの二つの相の粘度が低いほど、より簡単にかつ迅速に変換を行い得る。それ故、活性材料のこれらの両相の間の最小密度差は、作動温度において少なくとも0.5g/cmであるのがよい。更に、作動温度での粘度は、両相について、反応生成物の液滴の半径30マイクロメータで400mPa/sを超えるべきではない。

Claims (21)

  1. 二つの電極、それらの間に配置されたイオン伝導性電解質、及び活性材料を含む電気化学的エネルギー貯蔵装置であって、
    −電極のうちの一つがガス電極であり、及び
    −対電極の側で、作動温度において、活性材料がエネルギー貯蔵装置の空隙中に存在し、この際、活性材料の少なくとも一つの還元形態または活性材料の少なくとも一つの酸化形態が液状で存在する、
    ことを特徴とする前記電気化学的エネルギー貯蔵装置。
  2. 電解質が、液状活性材料を含む電極との接触が予定されている側に、触媒層を有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置。
  3. イオンもしくはプロトン伝導性膜を電解質として備えている、請求項1または2に記載のエネルギー貯蔵装置。
  4. 活性材料の少なくとも一つの形態が、500℃と1000℃との間の作動温度において液状に存在する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のエネルギー貯蔵装置。
  5. 活性材料の酸化された相及び還元された相が、作動温度において少なくとも0.5g/cmの密度差Δρを有し、及び両相の最大粘度が400mPa/sを超えない、請求項1〜4のいずれか一つに記載のエネルギー貯蔵装置。
  6. (金属、半金属、単純もしくは複合酸化物、窒素化合物、炭素化合物、水素化物、リン化合物、ハロゲン化合物、他のカルコゲン化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、またはホウ素化合物、並びにこの群のうちの少なくとも二つの要素の混合物)の群からの活性材料を備えた、請求項1〜5のいずれか一つに記載のエネルギー貯蔵装置。
  7. ビスマスでできた活性材料を備えた、請求項1〜6のいずれか一つに記載のエネルギー貯蔵装置。
  8. −イオン伝導性電解質及びガス電極が地表に対して垂直に配置され、及び
    −活性材料の液状の酸化された相、及び還元された相が、重量の故に、水平な層として配置され、そうして
    −電解質が、充電もしくは放電プロセスの間に、活性材料の酸化された相とだけでなく、還元された相とも接触する、
    ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載のエネルギー貯蔵装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の電気化学的エネルギー貯蔵装置を少なくとも二つ含む電池スタック。
  10. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の電気化学的エネルギー貯蔵装置の作動方法であって、次のステップ:
    −エネルギー貯蔵装置を500℃と1000℃の間の作動温度に加熱するステップ、
    −充電過程の間に、対電極のところで電子供給によって、液状の酸化された状態で存在する活性材料の少なくとも一部を還元するステップ、
    −還元された活性材料からなる相が、酸化された状態で存在する活性材料からなる相とは異なる密度を有し、及びそれから分離するステップ、
    −還元の時に生じる負の粒子が、外部からかけられた電位勾配が原因の駆動力の結果として、電解質を通してガス電極へと移動するステップ、
    −負の粒子が、電子を放出しながらそこで酸化してガスとなるステップ、
    を含む、前記方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の電気化学的エネルギー貯蔵装置の作動方法であって、次のステップ:
    −エネルギー貯蔵装置を500℃と1000℃の間の作動温度に加熱するステップ、
    −放電過程の間に、対電極に供給されたガスが電子供給によって少なくとも部分的に還元されるステップ、
    −還元の時に生じる負の粒子が、電極間のまたはガスと活性材料との間の(電気)化学的電位の勾配の駆動力の結果、電解質を通して対電極へと移動するステップ、
    −負の粒子が、電子を放出しながら、還元された状態で存在する活性材料の少なくとも一部をそこで酸化するステップ;
    −酸化された活性材料からなる相が、還元された状態で存在する活性材料とは異なる密度を有し、それから分離するステップ、
    を含む、前記方法。
  12. 酸化剤として酸素が使用される、請求項10または11に記載の方法。
  13. 電解質としてアニオン伝導性膜が使用される、請求項10〜12のいずれか一つに記載の方法。
  14. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の電気化学的エネルギー貯蔵装置の作動方法であって、ガス電極のところで、還元剤を、還元可能な活性材料のために膜の反対側に使用する方法において、次のステップ:
    −エネルギー貯蔵装置を、500℃と1000℃の間の作動温度に加熱するステップ、
    −充電過程の間に、還元された状態で存在する活性材料の少なくとも一部を、正の粒子の放出を伴って酸化し、この際生じた正の粒子は、外部からかけられた電位勾配の故に重力によって電解質中を拡散して対電極に至るステップ、
    −対電極中で、これらの正の粒子が、外部電気回路からの電子供給によって還元されるステップ、
    −酸化された活性材料からなる相が、還元された状態で存在する活性材料からなる相とは異なる密度を有し、それから分離するステップ、
    を含む前記方法。
  15. 請求項1〜8のいずれか一つに記載の電気化学的エネルギー貯蔵装置の作動方法であって、ガス電極のところで、還元剤を、還元可能な活性材料のために膜の反対側に使用する方法において、次のステップ:
    −エネルギー貯蔵装置を、500℃と1000℃の間の作動温度に加熱するステップ、
    −放電過程の間に、ガス電極に供給されたガスが酸化し、そして(電気)化学的電位の差異の故に正に荷電した粒子の形で電解質中を拡散するステップ、
    −対電極のところで、電子供給によって、液状の酸化された状態で存在する活性材料の少なくとも一部が、正に荷電した粒子を電解質から取り込んで還元されるステップ、
    −還元された活性材料からなる相が、酸化された状態で存在する活性材料とは異なる密度を有し、それから分離するステップ、
    を含む前記方法。
  16. 還元剤として水素が使用される、請求項14または15に記載の方法。
  17. カチオンまたはプロトン伝導性膜が電解質として使用される、請求項14〜16のいずれか一つに記載の方法。
  18. (金属、半金属、単純もしくは複合酸化物、窒素化合物、炭素化合物、水素化物、リン化合物、ハロゲン化合物、他のカルコゲン化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、またはホウ素化合物、並びにこの群うちのの少なくとも二つの要素の混合物)の群からの活性材料が使用される、請求項10〜17のいずれか一つに記載の方法。
  19. 活性材料としてビスマスが使用される、請求項10〜17のいずれか一つに記載の方法。
  20. 液状活性材料を含む対電極のところでの化学的変換が、電解質上に施与された追加的な触媒層によって援助される、請求項10〜19のいずれか一つに記載の方法。
  21. 電気化学的エネルギー貯蔵装置の作動温度が外部加熱源を介して調節される、請求項10〜20のいずれか一つに記載の方法。
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