JP2017511382A - ガロタンニンを使用する皮膚美白方法 - Google Patents

ガロタンニンを使用する皮膚美白方法 Download PDF

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Abstract

カエデの一部からガロタンニンを含む化合物を合成し、新規な皮膚美白化合物とする方法を開示する。該方法は、カエデの一部からガロタンニンを単離するステップを含む。

Description

本発明は、ガロタンニンを使用する皮膚美白方法に関する。
本出願は、2014年4月4日に出願の米国特許仮出願第61/975,668号の優先権を主張するものであり、その開示はその全体が参照によって本明細書に援用される。
メラニンの生合成は、100を超える別個の遺伝子によって集合的に制御される。哺乳動物では、3つの酵素、すなわち、チロシナーゼ(TYR)、チロシナーゼ関連タンパク質−1(TRP−1)およびチロシナーゼ関連タンパク質−2(TRP−2)が、全体的なメラニン産生に不可欠である。チロシナーゼは、メラニン形成の調節において中心的役割を果たす。これは、L−チロシンの3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(ドーパ)へのヒドロキシル化を触媒する律速酵素であり、結果的にドーパをドーパキノンに酸化する。TRP−2は、ドーパクロム互変異性酵素(DCT)として働き、即座にドーパキノンを5,6−ジヒドロキシインドール−2−カルボン酸(DHICA)にさらに変換するのに対し、TRP−1は、DHICAの酸化を促進し、カルボキシル化インドールキノンを形成する。2種類のメラニン、すなわち、赤色/黄色の亜メラニンおよび黒色/褐色の真性メラニンが産生される。TYR酵素は、亜メラニンの合成と真性メラニンの合成の両方に極めて重要に関与し、一方、TRP−1およびDCTは真性メラニンの合成の方に多く寄与する。小眼球症関連転写因子(MITF)は、メラニン形成酵素の一次転写活性化因子であり、メラニン芽細胞およびメラノサイトの生存、増殖および分化を仲介する根本的な転写制御因子であると思われる。哺乳動物におけるメラニン合成が、一群の酵素および転写因子によって調節される多段階の触媒化を含むことを考慮すると、メラニン形成阻害剤の生物学的分子機序を理解することは重要なことである。
哺乳動物では、皮膚色素は、真皮と表皮との間の基底層の上に位置するメラノサイト細胞のメラノソーム中で産生される。色素沈着は、紫外光への曝露などの、放射線によって誘発される損傷から皮膚を保護することに関して非常に重要な役割を果たしている。しかし、メラニンの過剰産生または異常な蓄積は、そばかす、年齢によるしみ、炎症後色素沈着過剰、および黒色腫すら含めた、多くの皮膚色素沈着過剰障害を引き起こすおそれがある。望ましくない過剰な皮膚色素沈着は、患者の精神的な健康に負担をかけるおそれがあるために、健康上の深刻な問題である。よって、皮膚色素脱失は依然として化粧品産業の切実な研究分野であり、天然源から新規なクラスの安全かつ有効なメラニン形成阻害剤を探索することに多大な研究的関心が寄せられている。
したがって、皮膚美白能力が強化された、向上した皮膚美白化合物に対する必要性が依然として存在する。
一実施形態では、本発明は、カエデ(maple tree)の一部からガロタンニンを含む化合物を合成し、新規な皮膚美白化合物とする方法を提供する。該方法は、ガロタンニンをカエデの一部から単離するステップを含む。
ある特定の実施形態では、皮膚美白化合物は、テトラガロイルグルシトール(tetragalloylglucitol)である。さらなる実施形態では、皮膚美白化合物は、以下:
を含む。
さらなる実施形態では、皮膚美白化合物は、以下:
を含む。
以下の説明は、添付の図面を参照することで、さらに理解することができる。
ギンナリンギンナリン(ginnalinginnalin)A〜C(1〜3)ならびにマプレキシンF(4)およびJ(5)の化学構造を示す図である。 MaplifaのHPLC−UVクロマトグラムをグラフ表示する図である。 Maplifaが48時間作用したB16F10の細胞生存率をグラフ表示する図である。 Maplifaが72時間作用したB16F10の細胞生存率をグラフ表示する図である。 ギンナリンギンナリンA〜C(1〜3)がB16F10細胞の生存率に及ぼす効果をグラフ表示する図である。 B16F0細胞における、ギンナリンギンナリンA〜C(1〜3)によるメラニン合成の阻害をグラフ表示する図である。 ギンナリンギンナリンで処理したB16F0細胞における、MITF、TYR、TRP−1およびTRP−2のmRNA発現をグラフ表示する図である。 ギンナリンギンナリンで処理したB16F0細胞における、MITF、TYR、TRP−1およびTRP−2のmRNA発現をグラフ表示する図である。 ギンナリンギンナリンで処理したB16F0細胞における、メラニン形成関連タンパク質MITFおよびTRP−2の発現の顕微鏡写真を表示する図である。 マプレキシンJと命名されたテトラガロイルグルシトールを合成する方法を示す図である。 マプレキシンJを合成するさらなる方法を示す図である。
B16F10細胞におけるギンナリンギンナリンA〜Cのメラニン形成に及ぼす阻害効果の機序は、リアルタイムPCRおよびウエスタンブロット実験を使用することによって解明された。その結果から、ギンナリンギンナリンは、MITF、TYR、TRP−1およびTRP−2の遺伝子レベルの発現を時間的におよび用量依存的に下方制御することができ、TRP−2遺伝子のタンパク質発現を有意に低減させることが示された。この知見から、ベニカエデ(red maple)の葉の中の植物化学物質には抗メラニン形成効果があり、よって化粧用皮膚美白用途を有する可能性があることが示される。
カエデ属(Acer)は、120を超える種からなり、その大半はアジアに見出され、残りは北アメリカを原産とする固有種である。A.buergerianum(トウカエデ)およびA.nikoense(イロハモミジ)を含めたAcer種の植物化学的および生物学的調査によって、B16F10細胞において抗メラニン形成効果を有するいくつもの化合物が得られた。興味深いことに、北アメリカ東部を原産とするA.rubrum L.(ベニカエデ)は、皮膚障害を含めた多くの病気の民間薬として先住アメリカ人によって従来使用されていた。
カエデのガロタンニン、すなわち、ギンナリンA〜C、ならびにマプレキシンFおよびJの化学構造を図1に示す。多くの合成化合物、例えばヒドロキノンおよびその誘導体がメラニンの過剰な産生を抑制するために従来より使用されてきたが、有効性の欠如または皮膚刺激性および/もしくは皮膚毒性を含めた潜在的副作用のために、化粧品におけるそれらの用途は制限されてきた。そうしたことから、安全である傾向があり、合成化合物より有害作用が少ないという理由から、天然物および植物抽出物がメラニン形成阻害用途の魅力的な候補として出現してきた。
一連の生体活性ガロタンニンは、カエデの一部から単離された。これらのガロタンニンは、ベニカエデ、サトウカエデ、ウラジロサトウカエデ、シカモア、ノルウェーカエデ、およびクロサトウカエデを含めた、カエデに存在する。この実施形態では、ガロタンニンはベニカエデ(Acer rubrum)種の葉から単離されたものであり、すなわち、ギンナリンギンナリンA〜C、およびマプレキシンA〜Iと命名された、高効力の抗酸化能力を有する新規な分子であった。他の実施形態は、カエデの側枝、幹、および樹皮の抽出物から単離されたガロタンニンを含む。これらの天然の化合物は、1,5−アンヒドロ−D−グルシトール部分に(可能な4箇所から)結合した1、2または3個のガロイル基を含有する。
この実施形態は、酵素および細胞に基づくアッセイにおける、ベニカエデ種の葉からの新規抽出物であるMaplifaの化粧用皮膚明色/美白への適用を示す。Maplifaは、約45〜50%のギンナリンギンナリンAを、ギンナリンギンナリンBおよびCならびにマプレキシンを含めた他のガロタンニンと共に含有する。SAR試験から、1,5−アンヒドロ−D−グルシトール部分に結合したガロイル基の数が増加すると、チロシナーゼ酵素の及ぼす阻害効果が増大することが示された。そこで、最初のテトラガロイル−グルシトール(最大数である4個のガロイル基を含有する)であるマプレキシンJを合成し、SARの観測値を確認した。精製したギンナリンギンナリンA〜Cを、Maplifa中の代表的なガロタンニンとして、B16F10細胞におけるメラニン産生に及ぼすそれらの阻害効果についてアッセイした。ギンナリンギンナリンA(2個のガロイル基を含有する)は、50μMでメラニン含有量を明らかに低減させたのに対して、ギンナリンBおよびC(それぞれ1個のガロイル基を含有する)は、わずかな抗メラニン形成効果しか示さなかった。
別の実施形態では、今までに報告された最初のテトラガロイル置換グルシトールである、マプレキシンJの合成を教示した。マプレキシンJは、α−グルコシダーゼ阻害の臨床薬であるアカルボースの80倍の効力があった(2対160M)。マプレキシンJは、今までに報告されている全てのマプレキシンの中で最も活性の高いα−グルコシダーゼ阻害剤であった。
<実施例1>
[ギンナリンギンナリンA〜CおよびMaplifaのチロシナーゼ活性に及ぼす効果]
ベニカエデの葉からのギンナリンに富む画分であるMaplifa、それと共に5種のフェノール系化合物、すなわち、ギンナリンギンナリンA〜C(1〜3)ならびにマプレキシンFおよびJ(4〜5)の、マッシュルームのチロシナーゼ活性に及ぼす阻害効果をアッセイした。それらのIC50値を表1に示す。Maplifaは、研究室で開発した新規な方法によって調製した。簡潔に述べると、ベニカエデの葉を乾燥させ、水性エタノールに漬けて粗抽出物を得、次いでそれをさらに樹脂カラムで精製し、葉緑素および他の植物色素を除去した。溶媒を除去した後に、Maplifaを灰白色の易流動性の粉末として得た。
Maplifaおよび本発明者らのグループによって以前に単離された信頼できるガロタンニン標準の高速液体クロマトグラフィ(HPLC)プロファイルを比較することによって、Maplifa中の主要なガロタンニンを同定した。1mg/mLのギンナリンギンナリンAの原液をDMSO中で調製し、次いで段階的に希釈し、それぞれ、0.5、0.25、0.125、0.0625、0.03125mg/mLの濃度の試料を得た。各試料を三重で注入し、濃度に対する平均ピーク面積の百分率をプロットすることによって、直線の6点検量線(r=0.9997)を構築した。Maplifa試料は、DMSO中2.2mg/mLの原液で調製した。全てのHPLC−UV分析は、Luna C18カラム上に20μLの注入量で行い、波長280nmの波長でモニタリングした。溶媒A(0.1%トリフルオロ酢酸水溶液)および溶媒B(メタノール、MeOH)からなる勾配溶媒系は、0.75mL/分の流量で、次のように使用した:0〜30分、10%〜60%B;30〜35分、60%〜100%B;35〜40分、100%B;40〜41分、100%〜10%B;41〜51分、100%B。カエデ抽出物中のギンナリンギンナリンA〜Cの濃度を、検量線に基づいて定量した。
Maplifa(商標)(ギンナリンA富化抽出物)抽出物中にギンナリンA〜C(1〜3)が存在することを示す、Maplifa(商標)のHPLC−UVクロマトグラムを図2に示す。
ギンナリンギンナリンおよびマプレキシンの化学構造を図1に示す。ガロイル基が2個から4個あるガロタンニンは、ガロイル基が1個しかないカエデ属タンニンより活性であることがわかった。1,5−アンヒドロ−D−グルシトール部分に2個のガロイル基を有するギンナリンギンナリンA(1)は、高い阻害活性を示し、IC50値は181.9μMであった。同様に、3個または4個のガロイル基をそれぞれ有する、マプレキシンF(4)およびマプレキシンJ(5)は、212.2および190.4μMという同等のIC50値を示した。しかし、1個しかガロイル基のないガロタンニン、すなわち、ギンナリンギンナリンB(2)およびギンナリンギンナリンC(3)は、チロシナーゼ酵素に対して弱い阻害効果(それぞれ、IC50=1047.3および857.8μM)しか示さなかった。
表1は、5種のフェノール類、ギンナリンA〜CおよびマプレキシンF〜Jの、チロシナーゼ酵素に対する阻害活性(IC50)を示す。IC50は、三連の独立した実験からの平均±標準偏差として示す。陽性対照。
<実施例2>
[MaplifaおよびギンナリンギンナリンA〜Cが作用したB16F10細胞の細胞生存率]
Maplifa抽出物に存在するギンナリンギンナリンA〜Cの抗メラニン形成活性をさらに調査するために、細胞ベースのアッセイを用いてマウスの黒色腫B16F10細胞についてメラニン含有量を測定した。細胞アッセイ用にギンナリンギンナリンの非毒性濃度を決定するために、MTSアッセイを使用してB16F10細胞についての細胞生存率を最初に評価した。MTSアッセイは、先に述べた通りであるが変更を加えて行った。試験試料(精製されたガロタンニンの場合は1〜100μM、およびMaplifa抽出物の場合は6.25〜200μg/mLの濃度範囲内)での24、48または72時間のいずれかの処理の終了時に、20μLのMTS試薬を電子カップリング剤、フェナジンメントスルファート(phenazine menthosulfate)と組み合わせてウェルに添加し、加湿したインキュベータ中で細胞を37℃で3時間インキュベートした。490nmでの吸光度を分光光度計(SoftmaxPro v.4.6ソフトウェアによって操作される、SpectraMax M2、Molecular Devices Corp.、CA、USA)でモニタリングし、対照集団に対する細胞数を得た。試料で処理した細胞における増殖の阻害は、対照(0.1%DMSO)細胞と比較した百分率として表した。データは、平均値±標準偏差として示し、それらは3回の別々の実験から得られた。データの統計解析には対応のない両側スチューデントt検定を使用し、Office Excel 2010ソフトウェアを使用して行った。p値<0.05を有意であるとみなした。
マウスの黒色腫B16F10は、アメリカ培養細胞系統保存機関(ロックビル、MD)から購入した。細胞を、10%v/vウシ胎児血清、1%v/v可欠アミノ酸および1%v/v抗生物質溶液を補足したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Wilkem Scientific、RI)中、37℃、5%COで培養した。原液として試料をジメチルスルホキシド(DMSO)中に50mg/mLの濃度で溶解し、次いで増殖培地で所望の最終濃度に希釈した。最終DMSO濃度は0.1%未満であった。
黒色腫B16F10細胞を段階濃度のMaplifa(6.25、12.5、25、50、100、および200μg/mL)で48時間および72時間処理した。加えて、種々の濃度(0、5、10、25、および50μM)のギンナリンギンナリンA〜Cで72時間処理し、細胞生存率を非処理の対照群と比較することによって決定した。各値は、三連の独立した実験からの平均±標準偏差として表す。図3Aおよび3Bは、Maplifa(商標)が48時間および72時間作用したときB16F100細胞の生存率に及ぼす効果を示す。Maplifaは、6.25〜100μg/mLの濃度で非毒性であった。
同様に、図4では、ギンナリンギンナリンBおよびCの全てが0〜50μMの全ての濃度でB16F10細胞に対して非毒性(細胞生存率>90%)であることが見出されたのに対して、ギンナリンギンナリンAは、低濃度(5および10μM)で非毒性であるが、25および50μMの濃度でB16F10細胞生存率をそれぞれ87.0%および89.5%にわずかに低減させた。図4は、ギンナリンA〜C(1〜3)がB16F10細胞の生存率に及ぼす効果を示す。ギンナリン(1〜3)を段階濃度(2〜50μM)で72時間処理した後、黒色腫B16F10細胞の生存率をMTSアッセイで決定した。各値は、三連の独立した実験からの平均±標準偏差として示す。細胞に基づくアッセイにおいて安全かつ有効なメラニン形成阻害剤をスクリーニングする、以前の試験からの知見によれば、40μg/mLが細胞のメラニン形成アッセイの閾値濃度である。本試験においてギンナリンギンナリンの濃度の全ては公表されたこの閾値より低く、非毒性の用量であれば、安全なメラニン形成阻害剤となると考えることができる。
<実施例3>
[メラニン含有量に及ぼすギンナリンギンナリンA〜Cの効果]
段階濃度のギンナリンギンナリンA〜Cで処理した黒色腫B16F10細胞中で生合成されたメラニンの含有率を、対照群との比較によって評価した。メラニン含有量は、リャン(Liang)およびホー(Ho)によって記載された方法の変法を使用して決定した。簡潔に述べると、B16F10細胞(細胞5×10個/ウェル)をまず24ウェルのプレートに24時間播種し、次いで、培地を種々の濃度の試験試料を含有する新しいDMEM培地に変えた。72時間のインキュベーションの後、トリプシン処理を通して細胞を収穫し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で2回洗浄した。次いで、10%DMSOを含有する1N NaOHに細胞を溶解し、80℃で1時間加熱した。試料を室温まで冷却した後、メラニン含有量を400nmで分光光度的に測定した。
図5は、ギンナリンA〜CによるB16F10細胞における細胞内メラニン含有量の抑制を示す。細胞は、ギンナリンA〜Cで72時間処理し、メラニン含有量を対照群と比較した。各値は、三連の独立した実験の平均±標準偏差として示す。図5において、ギンナリンギンナリンは低濃度(5および10μM)でメラニン生合成に有意な阻害活性を示さなかったが、ギンナリンギンナリンAは、比較的高用量でメラニンの形成を低減させた。25μMおよび50μMのギンナリンAで処理したB16F10におけるメラニン含有量は、対照群におけるそれと比較して、それぞれ79.1%および56.7%に明らかに減少し、一方、ギンナリンCは、25μMおよび50μMでメラニンレベルをそれぞれ89.7%および68.8%にわずかに低減させた。加えて、25μMおよび50μMのギンナリンBで処理した細胞のメラニンレベルは、対照群と比較して90.0%に留まった。
ギンナリンA〜Cがチロシナーゼ関連遺伝子およびタンパク質発現に及ぼす効果は、次のように見出された。メラニン生合成は、多段階経路を含む。メラニン合成に及ぼすギンナリンの阻害効果の分子機序を決定するために、B16F10細胞における、MITF、TYR、TRP−1およびTRP−2を含めたメラニン形成関連遺伝子の発現レベルをRT−PCRを使用することによって分析した。B16F10細胞を6ウェルプレートに細胞2.0×10個/ウェルの密度で植えた。24時間インキュベートした後、細胞を2μMまたは10μMのギンナリンで48時間または72時間処理した。TRIzol試薬(Invitrogen)を製造業者の指示書に従って使用して、全RNAを細胞から単離した。オリゴ(dT)18プライマを使用して、全RNAのうち1マイクログラムを一本鎖cDNAに変換し、mRNAレベルを定量的リアルタイムPCRによって、Roche LightCycler検出システム(Roche Applied Science、マンハイム、ドイツ)を使用して定量した。サイバーグリーンを使用して試料の処理を実行し、参照用ハウスキーピング遺伝子としてのb2m rRNAのレベルと比較した。定量的リアルタイムPCRの条件は、適正なフォワードおよびリバースプライマを使用して各遺伝子に最適化した。使用したプライマは、補足資料に一覧表示する。全てのオリゴヌクレオチドは、Invitrogen Inc.(CA)によって合成された。
図6Aおよび6Bは、ギンナリンで処理したB16F0細胞におけるMITF、TYR、TRP−1およびTRP−2のmRNA発現を示す。細胞を10μMのギンナリンを用いてまたは用いずにそれぞれ48時間および72時間処理した。図6Aおよび6Bに示すように、10μMのギンナリンを用いてまたは用いずに細胞を48時間(A)および72時間(B)処理した。10μMのギンナリンAで48時間または72時間処理した後、MITF、TYR、TRP−1およびTRP−2のmRNA発現は有意に低減した。ギンナリンBは、TYRの発現を48時間および72時間でわずかに10.0%および7.5%減少させたに過ぎなかったが、MITF、TRP−1およびTRP−2のmRNA発現を48時間および72時間で有意に減少させた。加えて、ギンナリンCは、TRP−1の発現レベルを全ての時点で減少させず、TYRおよびTRP−2の発現をわずかに減少させたに過ぎなかったが、MITFのmRNA発現を48時間および72時間で有意に下方制御した。
さらに、ウエスタンブロットを使用して、B16F10細胞におけるメラニン形成関連酵素のタンパク質発現に及ぼすギンナリンの制御を評価した。B16F10細胞における、MITF、TYR、TRP−1およびTRP−2の発現を含めた、メラニン生合成関連タンパク質の発現を、ウエスタンブロットによって測定した。ギンナリンを用いて72時間インキュベーションした後、細胞からタンパク質をSDS−PAGEによって分離し、次いでポリフッ化ビニリデン膜に移した。Tweenを有するトリス緩衝生理食塩水中5%脱脂粉乳で膜をブロッキング処理し、続いて一次抗体と共に一晩インキュベーションした。ECL検出キット(Amersham Biosciences、ピスカタウェイ、NJ)を使用して、X線フィルム上でバンドを可視化した。抗体、供給源、および希釈液の一覧は、補足資料に一覧表示する。
ギンナリンは、5μMおよび10μM、48時間でメラニン生合成関連酵素のタンパク質発現に下方制御効果を示さず(データは図示せず)、ギンナリンと共に72時間インキュベーションしたB16F10細胞においてもこれらのタンパク質の発現を低減させなかった。しかし、10μMのギンナリンA〜Cで72時間処理した黒色腫細胞では、TRP−2のタンパク質発現は、ギンナリンA〜Cによって、それぞれ87.9%、92.0%および69.5%減少した(図6B)。図7は、ギンナリンで処理したB16F0細胞におけるメラニン形成関連タンパク質MITFおよびTRP−2の発現を示す。細胞を10μMのギンナリンを用いてまたは用いずに72時間処理し、MITFおよびTRP−2のタンパク質発現をウエスタンブロット法によって分析した。
<実施例4>
[α−グルコシダーゼ阻害活性を有するテトラガロイルグルシトールであるマプレキシンJの合成]
マプレキシンJと命名された、最初のテトラガロイルグルシトールを合成する方法を図8に示す。没食子酸(1,101mg、0.6mmol)を乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、2mL)中に溶解させた。この溶液にイミダゾール(513mg、7.5mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(TBDMS、521mg、3.5mmol)を添加し、次いでこの混合物を窒素下室温で24時間撹拌した。白色の結晶性固体生成物が形成し、反応溶液から析出した。ヘキサン100%から出発するヘキサン:酢酸エチルの勾配を用いるシリカゲルクロマトグラフィを使用して、トリシリル保護された没食子酸(2)を析出物から単離した(244mg、82%)。化合物2のH NMRスペクトルからのピークを積分することによって、TBDMSによる3個の置換の存在を確認した。保護されたカルボン酸が確実になくなるように、化合物2と、酢酸(6.9mg)およびHO(0.5mL)を含む乾燥テトラヒドロフラン(THF、1mL)との加水分解反応を室温で24時間行った。加水分解生成物のH NMRスペクトルから、以下のように3個のTBDMS保護基が保持されていることを確認した:CHOD、500MHz(H)にて、δ0.09(s,6H,(CH−Si)、0.20(s,12H,(CH−Si)、0.88(s,18H,(CH−C)、0.94(s,9H,(CH−C)、7.11(s,2H,芳香族プロトン2および6)(図8)。
化合物2(187mg、0.4mmol)およびグルシトール(3、10.4mg、0.06mmol)を乾燥ジクロロメタン(DCM、2mL)に溶解させた。N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC、61.4mg、0.5mmol)を添加し、続いて4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、74.4mg、0.06mmol)を添加した。この混合物を窒素下室温で96時間撹拌した。この反応混合物に水を添加し、この溶液を、酢酸エチルを使用して抽出した(×3)。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィを使用して精製し、化合物4を得た。ヘキサン100%から出発するヘキサン:酢酸エチルの勾配溶媒系を用いるシリカゲルクロマトグラフィを使用して、エステル化生成物を単離した。化合物4(843mg、64.6%)を単離し、その構造を、3個の糖メチンおよび糖メチレンとそれぞれの没食子酸のカルボニル炭素とのHMBC相関によって確認した。
化合物4の脱保護をフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF)の存在下で遂行した。化合物4(50mg、0.023mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(THF、2mL)に溶解させた。TBAF(61.1mg、0.23mmol)を添加し、この混合物を窒素雰囲気下室温で10分間撹拌した。逆相HPLCを使用して粗生成物を精製し、最終生成物である化合物5(10mg、52.3%)を得、これを特性評価し、マプレキシンJという一般名を付けた。
1Dおよび2DのNMRスペクトルデータを詳細に分析することによって(H−H COSY、HSQC、HMBCを含む)マプレキシンJ(5)の構造を確定することができた(図2および表1を参照されたい)。H−H COSYのスペクトルから、図9に太字で示す、グルシトールの糖コア(C−1からC−6まで)の存在が明らかになった。HMBCスペクトルのデータから、グルシトールコアの3個のメチン(C2、C3、C4)およびメチレン(C6)へのガロイル置換基の連結が認められた。質量分析法の分析から、提示した構造が確認された(C342821;772.1123):m/z[M−H]771.5421;[M+Na]795.1403。
マプレキシンJをインビトロでのα−グルコシダーゼ阻害活性について評価し、それに加えて、以前に単離されたガロタンニンであるマプレキシンDおよびマプレキシンF(それぞれ2個および3個のガロイル置換基を含有する)でも評価した。α−グルコシダーゼ阻害の臨床薬であるアカルボースを陽性対照として使用した。表2に示すように、4個のガロイル置換基を含有するマプレキシンJは、二置換および三置換であるマプレキシンDおよびFより、それぞれ600倍および5倍効力が高く、臨床薬であるアカルボースより80倍効力が高かった。
今までに報告された最初のテトラガロイルグルシトールである、マプレキシンJと命名された高効力なα−グルコシダーゼ阻害剤の全合成について説明するものである。現行の試験および以前の観察に基づくと、グルシトールコア上のガロイル置換基の数が、α−グルコシダーゼ阻害活性に関して実際に極めて重要である。ある特定の実施形態では、テトラガロイルグルシトール部分は、α−グルコシダーゼ阻害活性を向上させるための構造類似体の合成の足場としての機能を果たすこととなる。
特定の実施形態は、説明を目的として示している。それが網羅的であることも、本発明の範囲を本明細書に記述した特定の形態に限定することも意図するものではない。いくつかの実施形態に関して本発明を説明してきたが、述べてきた通りの本発明の趣旨および範囲内から逸脱することなく種々の変形をなすことができることが、当業者であれば理解されよう。

Claims (4)

  1. カエデの一部からガロタンニンを含む化合物を合成し、新規な皮膚美白化合物とする方法であって、前記ガロタンニンを前記カエデの一部から単離するステップを含むことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記皮膚美白化合物が、テトラガロイルグルシトールであることを特徴とする方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、前記皮膚美白化合物が、以下:
    を含むことを特徴とする方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、前記皮膚美白化合物が、以下:
    を含むことを特徴とする方法。
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