[0028]次に、図を参照しながら、様々な構成について記述される。図において、同様の参照番号は、機能的に類似する要素を示す場合がある。本明細書で一般に記述および図示されるシステムおよび方法は、多様な異なる構成で配置および設計される可能性がある。したがって、図中で表されるいくつかの構成に関する後続のより詳細な記述は、特許請求される範囲を限定するものとは意図されず、単にシステムおよび方法を代表するにすぎない。
[0029]図1は、I−Q不均衡較正のために構成されたワイヤレス通信デバイス102を示す。ワイヤレス通信デバイス102は、ワイヤレス通信システム中で動作することができる。ワイヤレス通信デバイス102は、音声やデータなど、様々なタイプの通信コンテンツを提供するために広く展開される。
[0030]ワイヤレス通信システム(たとえば多元接続システム)中での通信は、ワイヤレスリンクを介した伝送を通して達成され得る。そのような通信リンクは、単入力単出力(SISO)、多入力単出力(MISO)、または多入力多出力(MIMO)システムを介して確立される場合がある。MIMOシステムは、データ伝送のために複数(NT個)の送信アンテナおよび複数(NR個)の受信アンテナがそれぞれ装備された、送信機および受信機を備える。SISOおよびMISOシステムは、MIMOシステムの特定の事例である。MIMOシステムは、複数の送信および受信アンテナによって創出される追加の次元数が利用された場合に、向上した性能(たとえば、より高いスループット、より大きい容量、または向上した信頼性)を提供することができる。
[0031]ワイヤレス通信システムは、MIMOを利用することができる。MIMOシステムは、時分割複信(TDD)システムと周波数分割複信(FDD)システムの両方をサポートすることができる。TDDシステムでは、アップリンク送信とダウンリンク送信とは同じ周波数領域にあり、したがって、相反原理により、アップリンクチャネルからダウンリンクチャネルを推定することが可能である。これにより、送信側ワイヤレスデバイスは、送信側ワイヤレスデバイスによって受信された通信から、送信ビームフォーミング利得を抽出することができる。
[0032]ワイヤレス通信システムは、利用可能なシステムリソース(たとえば、帯域幅および送信電力)を共有することによって複数のワイヤレス通信デバイス102との通信をサポートできる、多元接続システムとすることができる。そのような多元接続システムの例は、符号分割多元接続(CDMA)システム、ワイドバンド符号分割多元接続(W−CDMA(登録商標))システム、時分割多元接続(TDMA)システム、周波数分割多元接続(FDMA)システム、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、シングルキャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)システム、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))ロングタームエボリューション(LTE(登録商標))システム、および空間分割多元接続(SDMA)システムを含む。
[0033]「ネットワーク」および「システム」という用語はしばしば、交換可能に使用される。CDMAネットワークは、ユニバーサル地上無線アクセス(UTRA:Universal Terrestrial Radio Access)やcdma2000などの無線技術を実装することができる。UTRAは、W−CDMAおよび低チップレート(LCR:Low Chip Rate)を含み、一方、cdma2000は、IS−2000、IS−95、およびIS−856標準をカバーする。TDMAネットワークは、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM(登録商標):Global System for Mobile Communications)などの無線技術を実装することができる。OFDMAネットワークは、進化型(Evolved)UTRA(E−UTRA)、IEEE802.11、IEEE802.16、IEEE802.20、Flash−OFDMAなどの無線技術を実装することができる。UTRA、E−UTRA、およびGSMは、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS:Universal Mobile Telecommunication System)の一部である。ロングタームエボリューション(LTE)は、E−UTRAを使用するUMTSのリリースである。UTRA、E−UTRA、GSM、UMTS、およびロングタームエボリューション(LTE)は、「第3世代パートナーシッププロジェクト」(3GPP)と称する団体からの文書に記載されている。cdma2000は、「第3世代パートナーシッププロジェクト2」(3GPP2)と称する団体からの文書に記載されている。
[0034]第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)は、地球規模で応用可能な第3世代(3G)モバイルフォン仕様を定義することを目指す、遠隔通信協会のグループ間の共同研究である。3GPPロングタームエボリューション(LTE)は、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションズシステム(UMTS)モバイルフォン標準を改善することを目指す3GPPプロジェクトである。3GPPは、次世代のモバイルネットワーク、モバイルシステム、およびモバイルデバイスに関する仕様を定義する場合がある。
[0035]3GPPロングタームエボリューション(LTE)では、ワイヤレス通信デバイス102は、「ユーザ機器」(UE)と呼ばれることがある。ワイヤレス通信デバイス102はまた、端末、アクセス端末、加入者ユニット、局などと呼ばれることもあり、これらの機能のいくらかまたはすべてを含むことがある。ワイヤレス通信デバイス102は、セルラーフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ワイヤレスデバイス、ワイヤレスモデム、ハンドヘルドデバイス、ラップトップコンピュータなどとすることができる。
[0036]ワイヤレス通信デバイス102は、いずれかの所与の瞬間に、ダウンリンクおよび/またはアップリンク上で、0個、1個、または複数の基地局と通信することができる。ダウンリンク(または順方向リンク)は、基地局からワイヤレス通信デバイス102への通信リンクを指し、アップリンク(または逆方向リンク)は、ワイヤレス通信デバイス102から基地局への通信リンクを指す。
[0037]ワイヤレス通信デバイス102は、2つ以上のワイヤレスシステム104を備えることができる。ワイヤレスシステム104は、異なるタイプのワイヤレスシステムとすることができる。たとえば、第1のシステム104aはWiFiシステムとすることができ、第2のシステム104bはBluetooth(BT)システムとすることができる。
[0038]一構成では、両方のワイヤレスシステム104が、結合型システムオンチップ(SOC)に含まれてよい。SOCは、電子システムの複数のコンポーネントを単一のチップに統合した集積回路である。複数のワイヤレスシステム104が、単一のSOC上に含まれてよい。たとえば、SOCは、WiFiシステムおよびBTシステムを含むことができる。別の実装形態では、SOCは、WiFiシステムおよびLTEシステムを含むことができる。さらに別の実装形態では、SOCは、WiFiシステム、BTシステム、およびLTEシステムを含むことができる。本明細書に記載のものに加えて、追加のワイヤレスシステムタイプおよび組合せが含まれてもよいことに留意されたい。結合型SOCは、より安価で電力消費がより少ない可能性があり、同時動作に向けて最適化される可能性がある。
[0039]第1のシステム104aは、第1の送信機106aと、第1の受信機108aと、第1の合成器132aとを備えることができる。第2のシステム104bは、第2の送信機106bと、第2の受信機108bと、第2の合成器132bとを備えることができる。送信機106は、ワイヤレスチャネルを介する送信に向けたより適した出力無線周波数(RF)信号を得るために、合成器信号を用いてI−Q出力ベースバンド信号を調整およびアップコンバートすることができる。受信機108は、ワイヤレスチャネルを介して入力RF信号を受信することができる。受信機は、I−Qベースバンド信号を得るために、合成器信号を用いて入力RF信号をダウンコンバートすることができる。
[0040]各送信機106は、同相出力ベースバンド信号を調整およびアップコンバートするためのIブランチを備えることができる。送信機106はまた、直交出力ベースバンド信号を調整およびアップコンバートするためのQブランチを備えることができる。同様に、受信機108は、受信された同相信号をダウンコンバートおよび調整するためのIブランチと、受信された直交信号をダウンコンバートおよび調整するためのQブランチとを備えることができる。理想的には、IブランチはQブランチに対して位相が90度ずれているものとすることができ、これらのブランチは等しい利得を有するものとすることができる。しかし、送信機106中および受信機108中のIブランチとQブランチとの間に不均衡が存在することがある。IブランチとQブランチの利得間の不均衡(すなわち、ブランチの利得が等しくないとき)は、I−Q振幅不均衡と呼ばれる。IブランチとQブランチの位相間の不均衡(すなわち、IブランチとQブランチとの間の位相差が90度と異なるとき)は、I−Q位相不均衡と呼ばれることがある。
[0041]結合型SOCチップ中のワイヤレスシステム104は典型的には、較正ルーチンに際して独立して動作する。しかし、本明細書に記載のシステムおよび方法によれば、2つの(またはより多くの)ワイヤレスシステム104を有するSOCチップ中のワイヤレスシステム104が、I−Q不均衡較正のために協同することができる。協同I−Q不均衡較正を使用することによって、ワイヤレス通信デバイス102は、より正確なI−Q較正を達成できるだけでなく、2つの独立した合成器132を利用して、較正に必要とされる時間を短縮することもできる。
[0042]2つの独立した合成器132を利用することによって、送信機I−Q不均衡が受信機I−Q不均衡から切り離されることが可能である。この手法は、周波数が重複し得る独立した合成器132を有する2つ以上のワイヤレスシステム104を備えるどんな結合型SOCチップ中でも使用されてよいことに留意されたい。言い換えれば、第1のシステム104aに関連する周波数が第2のシステム104bの有効帯域幅範囲内にある場合は、第1のシステム104aの第1の合成器132aが、第2のシステム104bのI−Q不均衡較正に使用され得る。同様に、第2のシステム104bに関連する周波数が第1のシステム104aの有効帯域幅範囲内にある場合は、第2の合成器132b(第2のシステム104bに関連する)が、第1のシステム104aのI−Q不均衡較正に使用され得る。
[0043]第2のシステム104bの第2の受信機108bのI−Q不均衡を較正するために、第1の送信機106aは、信号110を送信することができる。信号110は、一定値を含むことができる。たとえば、信号110は、一定値(k1)に設定された送信ベースバンド同相成分xI(t)を含むことができる。信号110はまた、一定値(k2)に設定された送信ベースバンド直交成分xQ(t)を含むことができる。
[0044]第1のシステム104a中の第1の合成器132aは、第1の周波数(たとえば、fsynth1=fc+fIF)に設定されてよい。第2のシステム104b中の第2の合成器132bは、第2の周波数(たとえば、fsynth2=fc)に設定されてよい。第1の周波数と第2の周波数とは、第3の周波数(たとえばfIF)だけ異なることに留意されたい。結合信号110を生み出すために、同相成分xI(t)および直交成分xQ(t)は、第1の合成器132aからの同相信号および直交信号と結合されてよい。
[0045]第2のシステム104b中の第2の受信機108bは、信号110を受信することができる。信号110は、I−Q較正ループバックパスを介して第2の受信機108bにおいて受信されてよい。一構成では、I−Q較正ループバックパスはスイッチを含むことができ、このスイッチは、I−Q不均衡較正中にI−Q較正ループバックパスをアクティブ化し(たとえば閉じ)、I−Q不均衡較正後にI−Q較正ループバックパスを非アクティブ化する(たとえば開く)ように動作可能である。
[0046]同相ベースバンド成分(sI(t))を生み出すために、結合信号110は、第2の合成器132bからの同相信号と混合されてよい。また、直交ベースバンド成分(sQ(t))を生み出すために、結合信号110は、第2の合成器132bからの直交信号と混合されてよい。受信された信号110は、第2の受信機108bの利得不均衡αR120および位相不均衡θR122の影響を受ける可能性がある。
[0047]ワイヤレス通信デバイス102は、I−Q不均衡推定モジュール112を備えることができる。I−Q不均衡推定モジュール112は、受信された信号110に基づいて、第2の受信機108bについてのI−Q不均衡を推定することができる。一構成では、I−Q不均衡推定モジュール112は、第2の受信機108bのIブランチ電力114およびQブランチ電力116を測定することができる。I−Q不均衡推定モジュール112はまた、第2の受信機108bのIブランチとQブランチとの間の相互相関118を測定することができる。
[0048]第2の受信機108bのIブランチ電力114、Qブランチ電力116、およびIブランチとQブランチとの間の相互相関118を測定すると、I−Q不均衡推定モジュール112は、Iブランチ電力114およびQブランチ電力116に基づいて、第2の受信機108bの利得不均衡120を決定することができる。I−Q不均衡推定モジュール112はまた、相互相関118およびIブランチ電力114に基づいて、第2の受信機108bの位相不均衡122を決定することができる。第2の受信機108bについてのI−Q不均衡を推定することについては、後で図8に関してより詳細に論じられる。I−Q較正モジュールの例については、後で図13に関して論じられる。
[0049]図2は、I−Q不均衡較正のための方法200のフロー図である。方法200は、第1のシステム104aと第2のシステム104bとを備えるワイヤレス通信デバイス102によって実施され得る。第1のシステム104aと第2のシステム104bとは、異なるタイプのワイヤレスシステムとすることができる。たとえば、第1のシステム104aはWiFiシステムとすることができ、第2のシステム104bはBluetooth(BT)システムとすることができる。第1のシステム104aおよび第2のシステム104bは、単一の結合型システムオンチップ(SOC)上にあってよい。
[0050]ワイヤレス通信デバイス102は、第1のシステム104a中の第1の送信機106aによって信号110を送信することができる(202)。信号110は、一定値を含むことができる。たとえば、信号110は、一定値(k1)に設定された送信ベースバンド同相成分xI(t)を含むことができる。信号110はまた、一定値(k2)に設定された送信ベースバンド直交成分xQ(t)を含むことができる。
[0051]第1のシステム104a中の第1の合成器132aは、第1の周波数(たとえば、fsynth1=fc+fIF)に設定されてよい。第2のシステム104b中の第2の合成器132bは、第2の周波数(たとえば、fsynth2=fc)に設定されてよい。したがって、第1の周波数と第2の周波数とは、第3の周波数(たとえばfIF)だけ異なる。結合信号110を生み出すために、同相成分xI(t)および直交成分xQ(t)は、第1の合成器132aからの同相信号および直交信号と結合されてよい。
[0052]ワイヤレス通信デバイス102は、第2のシステム104b中の第2の受信機108bにおいて、信号110を受信することができる(204)。信号110は、I−Q較正ループバックパスを介して第2の受信機108bにおいて受信されてよい。一構成では、I−Q較正ループバックパスはスイッチを含むことができ、このスイッチは、I−Q不均衡較正中にI−Q較正ループバックパスをアクティブ化し(たとえば閉じ)、I−Q不均衡較正後にI−Q較正ループバックパスを非アクティブ化する(たとえば開く)ように動作可能である。
[0053]同相ベースバンド成分(sI(t))を生み出すために、結合信号110は、第2の合成器132bからの同相信号と混合されてよい。また、直交ベースバンド成分(sQ(t))を生み出すために、結合信号110は、第2の合成器132bからの直交信号と混合されてよい。受信された信号110は、第2の受信機108bの利得不均衡αRおよび位相不均衡θRの影響を受ける可能性がある。
[0054]ワイヤレス通信デバイス102は、受信された信号110に基づいて、第2の受信機108bについてのI−Q不均衡を推定することができる(206)。ワイヤレス通信デバイス102は、第2の受信機108bのIブランチ上の電力(たとえばIブランチ電力114)およびQブランチ上の電力(たとえばQブランチ電力116)を測定することができる。ワイヤレス通信デバイス102はまた、第2の受信機108bのIブランチとQブランチとの間の相互相関118を測定することができる。
[0055]第2の受信機108bのIブランチ電力114、Qブランチ電力116、およびIブランチとQブランチとの間の相互相関118を測定すると、ワイヤレス通信デバイス102は、Iブランチ電力114およびQブランチ電力116に基づいて、第2の受信機108bの利得不均衡120を決定することができる。ワイヤレス通信デバイス102はまた、相互相関118およびIブランチ電力114に基づいて、第2の受信機108bの位相不均衡122を決定することができる。
[0056]図3は、I−Q不均衡を伴う受信機308の数学的モデルを示すブロック図である。受信機308は、ワイヤレスデバイス上の送受信機の一部とすることができる。受信機308は、信号110を受信することができる。受信機308は、同相(I)ブランチ328のためのミキサ324aと、直交(Q)ブランチ330のためのミキサ324bとを備えることができる。Iブランチ328のためのミキサ324aは、受信機308に関連する合成器132から、同相信号
を受け取ることができ、ここで、f
cは搬送周波数である。Qブランチ330のためのミキサ324bは、合成器132から、直交信号
を受け取ることができる。実数の変調されたパスバンド信号は、式(1)に従って書かれることが可能である。
[0057]式(1)で、xI(t)およびxQ(t)は、信号110の変調された同相(I)および直交(Q)成分である。別法として、実数のパスバンド信号110は、式(2)によって与えられるように、複素ベースバンド解析を使用して表されることも可能である。
[0058]式(2)で、sbb(t)は、下式によって提供されるように、sp(t)の等価な複素ベースバンド信号である。
[0059]局部発振器(LO)(図示せず)を含む受信機308のフロントエンドは、利得不均衡(αR)120および位相不均衡(θR)122を有することがある。話を簡単にするために、Iブランチ328が基準であるものとすることができ、Qブランチ330が利得不均衡120および位相不均衡122を含むものとすることができる。同相成分sI(t)を生み出すために、結合信号は、ミキサ324a中で合成器132からの同相信号と混合され、ローパスフィルタ326aの中を通されてよい。また、直交成分sQ(t)を生み出すために、結合信号は、ミキサ324b中で直交信号と混合され、ローパスフィルタ326bの中を通されてよい。I−Q不均衡が存在する場合の、受信同相成分(sI(t))および直交成分(sQ(t))は、式(4)に従って表現されることが可能である。
[0060]行列モデルを使用すると、I−Q不均衡は、別法として以下のようにモデル化されることも可能である。
[0061]式(5)で、I−Q不均衡がないとき(たとえば、α=1およびθ=0)、受信機は、所望の同相成分および直交成分、それぞれxI(t)およびxQ(t)を、正しく検出することを観察することができる。同相成分(sI(t))および直交成分(sQ(t))は、スプリッタ325a、b中で分割されてよい。スプリッタ325a、bは、Iブランチ上およびQブランチ上でRF信号を等しく分割する3dBスプリッタとすることができる。図3で、sI[n]およびsQ[n]は、受信ベースバンド信号である。
[0062]図4は、単一のシステム404の場合のI−Q不均衡較正のための一構成を示すブロック図である。送信機406(たとえば送信モデム)および受信機408(たとえば受信モデム)が、単一のシステム404に備わってよい。たとえば、システム404は、WiFiシステム、Bluetooth(BT)システム、またはロングタームエボリューション(LTE)システムなどとすることができる。システム404は、ワイヤレス伝送を送受信するために、送受信(T/R)スイッチ436およびアンテナ438に接続されてよい。一構成では、システム404はスタンドアロンチップとすることができ、このスタンドアロンチップは合成器432を含むこともできる。
[0063]スタンドアロンチップの場合、受信機408のI−Q較正は典型的には、信号パス446によって示されるように、送信機406からトーンを送信して、I−Q較正ループバックパス434を介して受信機408に信号をループバックすることによって、行われる。ループバックパス434は典型的には、アンテナ438へのアクセスを制御するT/Rスイッチ436の前に実装される。従来のI−Q不均衡較正では、送信機406が、受信機408にループバックされるトーンを生み出すことができる。たとえば、送信機406は、Iブランチ428aおよびQブランチ430a上でトーンを送信することができ、このトーンは、結合信号110を生み出すために、ミキサ424a中で合成器432からの同相信号および直交信号と結合されてよい。結合信号110は、ミキサ424bにおいて受け取られ、合成器432からの同相信号および直交信号を用いて同相成分と直交成分とに分離されてよい。同相成分はIブランチ428b上で受信されてよく、直交成分はQブランチ430b上で受信されてよい。
[0064]図4に示される較正方法は、いくつかの不都合を有する。合成器432が受信機408と送信機406とに共通なので、較正トーンは送信機406によってデジタルに生成される必要がある。送信機406が較正のための複素ベースバンドトーンを生成する必要があるので、受信機408における受信トーンは、受信機I−Q不均衡によって損なわれるだけでなく送信機I−Q不均衡によっても損なわれることになる。したがって、図6に関して後述されるように、較正アルゴリズムが、共同送信機I−Q較正および受信機I−Q較正の実施を試みることができる。
[0065]図5は、I−Q不均衡を伴う単一のシステム404中の送信機506および受信機508の数学的モデルを示すブロック図である。送信機506および受信機508は、I−Q不均衡較正のためのループバックパス434を備えることのできる単一のシステム104に含まれてよい。送信ベースバンド同相成分x
I(t)が、ミキサ524aを使用して合成器432からの同相信号
と混合されてよい。搬送周波数f
c(たとえば2420メガヘルツ(MHz))は、送信機506と受信機508とに共通の合成器432によって提供されてよい。送信ベースバンド直交成分x
Q(t)が、ミキサ524bを使用して合成器432からの直交信号
と混合されてよく、ここで、α
Tは、送信機506の利得不均衡120であり、θ
Tは、送信機506の位相不均衡122である。ミキサ524a、bの出力は、加算器540を使用して結合されてよい。
[0066]結合信号は、I−Q較正ループバックパス434を介して受信機508に送信されてよい。ループバックパス434は、ループバック位相遅延βとループバックパス利得Gとを含む可能性がある。
[0067]結合信号は、受信機508において受信されてよい。同相ベースバンド成分(s
I(t))を生み出すために、結合信号は、ミキサ524c中で合成器432からの同相信号
と混合され、ローパスフィルタ526aの中を通されてよい。また、直交ベースバンド成分(s
Q(t))を生み出すために、結合信号は、ミキサ524d中で直交信号
と混合され、ローパスフィルタ526bの中を通されてよく、ここで、α
Rは、受信機508の利得不均衡120であり、θ
Rは、受信機508の位相不均衡122である。
[0068]I−Q不均衡が存在する場合の、受信同相成分および直交成分sI(t)およびsQ(t)は、以下のように書かれることが可能である。
[0069]同相成分(sI(t))および直交成分(sQ(t))は、スプリッタ525a、b中で分割されてよい。スプリッタ525a、bは、Iブランチ上およびQブランチ上でRF信号を等しく分割する3dBスプリッタとすることができる。図5で、sI[n]およびsQ[n]は、受信ベースバンド信号である。
[0070]受信機508のI−Q較正のために、送信機506は、周波数fIFの複素ベースバンドトーンを送信することができる(たとえば、xI(t)=Acos(2πfIFt)およびxQ(t)=Asin(2πfIFt))。式6から、受信トーンが送信機と受信機の両方のI−Q不均衡の影響を受けることが観察される。
[0071]図6は、I−Q不均衡較正のための方法600を示すフロー図である。方法600は、図4に関して上述されたような、単一のシステム104を備えるワイヤレス通信デバイス102によって実装され得る。たとえば、送信機406と受信機408とは、共通の合成器432を有することができる。この方法600は、送信機および受信機I−Q不均衡パラメータの共同推定を実施することによって、受信機I−Q不均衡較正を実施する。
[0072]ワイヤレス通信デバイス102は、受信機一定信号(DC)オフセットを測定することができる(602)。DCオフセットは、局部発振器(LO)の漏れによって引き起こされることがある。ワイヤレス通信デバイス102は、受信機408のDCオフセットを推定することができる。
[0073]ワイヤレス通信デバイス102は、受信機および送信機I−Q補正行列を初期化することができる(604)。一構成では、受信機および送信機I−Q補正行列は、恒等行列に設定されてよい。
[0074]ワイヤレス通信デバイス102は、受信機および送信機I−Q補正をイネーブルにすることができる(606)。受信機および送信機I−Q補正をイネーブルにすると(606)、ワイヤレス通信デバイス102は、DCオフセット補正をディセーブルにすることができる(イネーブルにされていた場合)。
[0075]ワイヤレス通信デバイス102は、同相ブランチ428a上でDCを送ることができ(608)、これにより、微分測定値が提供されてよい。ワイヤレス通信デバイス102は、ループバック位相シフトβおよび送信機LO漏れを推定することができる(610)。
[0076]ワイヤレス通信デバイス102は、新しいループバック位相シフトφを推定する(610)ために、アナログ一定遅延(たとえば45°)をアクティブ化してステップ608を繰り返すことができる。次いでワイヤレス通信デバイス102は、送信機LO漏れ推定を改善することができる。
[0077]ワイヤレス通信デバイス102は、受信機および送信機I−Q補正をディセーブルにし(612)、DCオフセット補正をイネーブルにすることができる。ワイヤレス通信デバイス102は、トーンを送り(614)、メトリックR1およびR2を測定することができる(616)。ワイヤレス通信デバイス102は、メトリックR3およびR4を測定する(616)ために、アナログ一定遅延(たとえば45°)をアクティブ化してステップ614を繰り返すことができる。
[0078]ワイヤレス通信デバイス102は、受信機および送信機I−Q不均衡パラメータを推定することができる(618)。たとえば、ワイヤレス通信デバイス102は、測定されたメトリックR1、R2、R3、およびR4に基づいて、受信機および送信機I−Q利得および位相不均衡パラメータを推定することができる(618)。ワイヤレス通信デバイス102は、受信機および送信機I−Q不均衡補正行列を、最新の利得および位相不均衡パラメータで更新することができる。
[0079]ワイヤレス通信デバイス102は、十分な回数の反復が行われたかどうか決定することができる(620)。ワイヤレス通信デバイス102は、ステップ606に戻って、n回の反復を繰り返すことができる。
[0080]反復的な方法600は、実際上の許容可能な較正結果を提供することができるが、いくつかの不都合を有する。たとえば、方法600は、反復的であり、事前定義済みの反復回数(たとえばNiter=3)にわたって実行される。最後の反復の後、方法600が収束したかどうかはわからない。
[0081]方法600は、終了するのにかなりの時間がかかる可能性がある。アルゴリズムが終了するのに必要とされる総時間(Treq)(ソフトウェアオーバヘッドおよびレイテンシを除く)は、Treq=Niter・6・tmeasであり、ここで、Niterは反復回数であり、tmeasは、方法600の各ステップごとのハードウェア測定時間である。一例では、Niter=3であり、tmeas=512マイクロ秒(μs)である。この場合、方法600は、Treq=9.216ミリ秒(ms)を必要とする。典型的には、方法600は、ブートアップ時、および温度変化があったときに実行されてよい。しかし、主要な困難の1つは、温度変化があるたびに方法600を再実行することである。Treq≒10msを必要とする方法600をパケット間でスケジュールするのは、非常に難しいであろう。さらに、方法600は、より小さいセクションに分割されることがあり、それによりプロセス全体がはるかに複雑になる。
[0082]ブートアップ時の場合は、Treq≒10msはそれほど問題ではないであろう。しかし、典型的な受信機108は、アクティブなミキサを使用する(たとえば、ミキサは異なる複数の利得を有する)。その結果、較正方法600がすべてのミキサ利得設定について繰り返される必要がある。このことはまた、I−Q較正方法600がブートアップ時間をかなり増加させる可能性があることを意味する。
[0083]方法600はまた、解決できる式の線形系を得るために、多くの近似を使用することがある。その結果、方法600によって与えられる解は決して厳密ではないことになり、常に残余較正誤差があることになる。残余較正誤差は、典型的には小さいが、チップアーキテクチャとワイヤレス適用分野(たとえばBluetooth(BT)、WiFi、LTEなど)とに、大きく依存する。
[0084]さらに、方法600は、固定小数点精度で4×4行列を逆行列化する(invert)ことによって、送信機および受信機I−Q不均衡パラメータの共同推定を得ることがある。各行列要素を表すのに使用されるビットの数と、送信機および受信機I−Q不均衡パラメータとに応じて、固定小数点の逆行列化は、正しい結果から逸脱する可能性がある。
[0085]図7は、協同I−Q不均衡較正のために構成された2つのワイヤレスシステム704を示すブロック図である。ワイヤレス通信デバイス702は、2つのワイヤレスシステム704を備えることができる。ワイヤレスシステム704は、異なるタイプのワイヤレスシステムとすることができる。たとえば、第1のシステム704aはWiFiシステムとすることができ、第2のシステム704bはBluetooth(BT)システムとすることができる。一構成では、両方のワイヤレスシステム704が、結合型システムオンチップ(SOC)に含まれてよい。
[0086]一般に、送信機706中および受信機708中での信号の調整は、増幅器、フィルタ、アップコンバータ、ダウンコンバータなどの、1つまたは複数の段によって実施され得る。これらの回路ブロックは、図7に示される構成とは異なるように配置される場合もある。さらに、図7に示されていない他の回路ブロックを使用して信号が送信機706中および受信機708中で調整される場合もある。また、いくつかの回路ブロックが省略される場合もある。
[0087]第1のシステム704aは、第1の送信機706aと、第1の受信機708aと、第1の合成器732aとを備えることができる。第1の送信機706aは、Iブランチ728a上およびQブランチ730a上で信号を送信することができ、この信号は、結合信号を生み出すために、ミキサ724a中で第1の合成器732aからの同相信号および直交信号と結合されてよい。結合信号は、ミキサ724bにおいて受け取られ、第1の合成器732aからの同相信号および直交信号を用いて同相成分と直交成分とに分離されてよい。同相成分は、第1の受信機708aにおいてIブランチ728b上で受信されてよく、直交成分は、Qブランチ730b上で受信されてよい。
[0088]第2のシステム704bは、第2の送信機706bと、第2の受信機708bと、第2の合成器732bとを備えることができる。第2の送信機706bは、Iブランチ728c上およびQブランチ730c上で信号を送信することができ、この信号は、結合信号を生み出すために、ミキサ724c中で第2の合成器732bからの同相信号および直交信号と結合されてよい。結合信号は、ミキサ724dにおいて受け取られ、第2の合成器732bからの同相信号および直交信号を用いて同相成分と直交成分とに分離されてよい。同相成分は、第2の受信機708bにおいてIブランチ728d上で受信されてよく、直交成分は、Qブランチ730d上で受信されてよい。
[0089]第1の送信機706aに関連するミキサ724aの出力は、第1の加算器740a中で、第2の送信機706bに関連するミキサ724cの出力と結合されてよい。第1の加算器740aの出力は、ワイヤレス送信のために、送受信(T/R)スイッチ736およびアンテナ738に接続されてよい。T/Rスイッチ736は、第2の加算器740bに接続されてよい。第2の加算器740bの出力は、第1の受信機708aに関連するミキサ724bの入力と、第2の受信機708bに関連するミキサ724dの入力とに接続されてよい。
[0090]I−Q較正ループバックパス734が、共有パス(たとえば、2つのシステム704からの信号が結合される点)に接続されてよい。I−Q較正ループバックパス734はスイッチを含むことができ、このスイッチは、I−Q不均衡較正中にI−Q較正ループバックパス734をアクティブ化し(たとえば閉じ)、I−Q不均衡較正後にI−Q較正ループバックパス734を非アクティブ化する(たとえば開く)ように動作可能である。一構成では、I−Q較正ループバックパス734は、第1の加算器740aの出力と、第2の加算器740bの入力との間に接続されてよい。
[0091]第1のシステム704aは、第1の合成器732aを第1の周波数fsynth1=fc+fIFに設定することができる。第2のシステム704bは、第2の合成器732bを第2の周波数fsynth2=fcに設定することができる。一例では、fc=2412MHz(たとえばチャネル周波数)であり、fIFは、低い中間周波数(たとえば500KHz)である。さらに、第1のシステム704aは、Iブランチ728a上およびQブランチ730a上で、一定値(たとえば直流(DC))を送信することができる(第1の送信機706aを介して)。第2のシステム704b中の第2の受信機708bは、信号パス746上で信号を受信することができる。第1の合成器732aと第2の合成器732bとの周波数はfIFだけ異なるので、第2のシステム704b中の第2の受信機708bは、第1のシステム704aからの信号を、周波数fIFの理想的な複素ベースバンドトーン(すなわちどんなI−Q不均衡もない)として認識することができる。
[0092]第2の受信機708bについてのI−Q不均衡は、受信された信号(たとえば受信されたベースバンドトーン)に基づいて推定され得る。一構成では、ワイヤレス通信デバイス702は、第2の受信機708bのIブランチ電力114およびQブランチ電力116を測定することができる。ワイヤレス通信デバイス702はまた、第2の受信機708bのIブランチ728とQブランチ730との間の相互相関118を測定することができる。ワイヤレス通信デバイス702は、Iブランチ電力114およびQブランチ電力116に基づいて、第2の受信機708bの利得不均衡120を決定することができる。ワイヤレス通信デバイス702はまた、相互相関118およびIブランチ電力114に基づいて、第2の受信機708bの位相不均衡122を決定することができる。第2の受信機708bについてのI−Q不均衡を推定することについては、図8に関してより詳細に論じられる。第1の受信機708aのI−Q不均衡は、前述の方法を繰り返すことによって、ただし各システム704に対して動作を逆にすることによって、較正され得ることに留意されたい。
[0093]図8は、第2の受信機808の協同I−Q不均衡較正の数学的モデルを示すブロック図である。図7に関して上述されたように、第1の送信機806は第1のシステム704aに備わってよく、第2の受信機808は第2のシステム704bに備わってよい。第1のシステム704aと第2のシステム704bとは、異なるタイプのワイヤレスシステム(たとえば、WiFi、BT、LTEなど)とすることができる。
[0094]一構成では、第1の合成器732aは、第1の周波数に設定されてよく(f
synth1=f
c+f
IF)、ここで、f
cは搬送周波数であり、f
IFは、低い中間周波数である。送信ベースバンド同相成分x
I(t)は、一定値(k
1)とすることができ、この一定値は、ミキサ824aを使用して第1の合成器732aからの同相信号
と混合される。送信ベースバンド直交成分x
Q(t)は、一定値(k
2)とすることができ、この一定値は、ミキサ824bを使用して第1の合成器732aからの直交信号
と混合され、ここで、α
Tは、第1の送信機806の利得不均衡120であり、θ
Tは、第1の送信機806の位相不均衡122である。ミキサ824a、bの出力は、加算器840を使用して結合されてよい。
[0095]結合信号は、I−Q較正ループバックパス734を介して第2の受信機808に送信されてよい。ループバックパス734は、ループバック位相遅延βとループバックパス利得Gとを含む可能性がある。
[0096]結合信号は、第2の受信機808において受信されてよい。第2の受信機808に関連する第2の合成器732bは、第2の周波数(f
synth2=f
c)に設定されてよい。同相ベースバンド成分(s
I(t))を生み出すために、結合信号は、ミキサ824c中で第2の合成器732bからの同相信号
と混合され、ローパスフィルタ826aの中を通されてよい。また、直交ベースバンド成分(s
Q(t))を生み出すために、結合信号は、ミキサ824d中で第2の合成器732bからの直交信号
と混合され、ローパスフィルタ826bの中を通されてよく、ここで、α
Rは、第2の受信機808の利得不均衡120であり、θ
Rは、第2の受信機808の位相不均衡122である。
[0097]同相成分(sI(t))および直交成分(sQ(t))は、スプリッタ825a、b中で分割されてよい。スプリッタ825a、bは、Iブランチ上およびQブランチ上でRF信号を等しく分割する3dBスプリッタとすることができる。図8で、sI[n]およびsQ[n]は、受信ベースバンド信号である。
[0098]図8では、第1の合成器732aの周波数がfsynth1=fc+fIFに設定され一定信号(DC)がIブランチ728およびQブランチ730のパス上で送信されるとき、第1の送信機806は、周波数fc+fIFの理想的なトーン発生器848(I−Q不均衡のない)に見えるであろう。送信信号yTX(t)は、式(7)に従って書かれることが可能である。
[0099]式(7)において、Aおよびφは、それぞれ、結果として得られるトーンの大きさおよび位相であり、
および
として書かれることが可能である。
[00100]受信同相および直交ベースバンド成分sI(t)およびsQ(t)は、式(8)に従って書かれることが可能である。
[00101]第2の受信機808の利得不均衡αR120および位相不均衡θR122は、受信Iブランチ電力114(E[sI(t)2])と、受信Qブランチ電力116(E[sQ(t)2])と、Iブランチ上およびQブランチ上の受信信号間の相互相関118(E[sI(t)sQ(t)])とを計算することによって、推定され得る。本明細書において、E[x]は、期待演算子を表し、xの平均値を与えることに留意されたい。
[00102]受信Iブランチ電力114(E[sI(t)2])は、式(9)に従って書かれることが可能である。
[00103]Qブランチ電力116(E[sQ(t)2])は、式(10)に従って書かれることが可能である。
[00104]Iブランチ上およびQブランチ上の受信信号間の相互相関118(E[sI(t)sQ(t)])は、式(11)に従って計算されることが可能である。
[00105]第2の受信機808の利得不均衡αR120は、Iブランチ728上の電力と、Qブランチ730上の電力とに基づいて決定され得る。第2の受信機808の利得不均衡αRは、式(12)に従ってメトリックR1を計算することによって、推定され得る。
[00106]次いで、利得不均衡α
R120は、
によって得られる。
[00107]第2の受信機808の位相不均衡θR122は、Iブランチ728とQブランチ730との間の相互相関118と、Iブランチ電力114とに基づいて決定され得る。第2の受信機908の位相不均衡θR122を推定するために、メトリックR2が、式(13)に従って定義され得る。
[00108]位相不均衡θ
R122は、式(13)を解くことによって得ることができる。したがって、
である。
[00109]図9は、I−Q不均衡較正のための方法900の詳細な構成を示すフロー図である。方法900は、第1のシステム104aと第2のシステム104bとを備えるワイヤレス通信デバイス102によって実施され得る。第1のシステム104aと第2のシステム104bとは、異なるタイプのワイヤレスシステムとすることができる。たとえば、第1のシステム104aはWiFiシステムとすることができ、第2のシステム104bはBluetooth(BT)システムとすることができる。第1のシステム104aおよび第2のシステム104bは、単一の結合型システムオンチップ(SOC)上にあってよい。
[00110]ワイヤレス通信デバイス102は、第1のシステム104a中の第1の合成器132aを、第1の周波数(fsynth1)に設定することができる(902)。一構成では、第1の周波数fsynth1=fc+fIFであり、ここで、fcは、搬送(またはチャネル)周波数であり、fIFは、低い中間周波数である。ワイヤレス通信デバイス102は、第2のシステム104b中の第2の合成器132bを、第2の周波数(fsynth2)に設定することができる(904)。したがって、第1の周波数と第2の周波数とは、第3の周波数(たとえばfIF)だけ異なる。
[00111]ワイヤレス通信デバイス102は、第1のシステム104a中の第1の送信機106aによって、信号110を送信することができる(906)。信号110は、一定値を含むことができる。たとえば、信号110は、一定値(k
1)に設定された送信ベースバンド同相成分x
I(t)を含むことができる。信号110はまた、一定値(k
2)に設定された送信ベースバンド直交成分x
Q(t)を含むことができる。結合信号110を生み出すために、同相成分x
I(t)は、第1の合成器132aからの同相信号
と混合されてよく、直交成分x
Q(t)は、第1の合成器132aからの直交信号
と混合されてよい。
[00112]ワイヤレス通信デバイス102は、第2のシステム104b中の第2の受信機108bにおいて、信号110を受信することができる(908)。信号110は、I−Q較正ループバックパス734を介して第2の受信機108bにおいて受信されてよい(908)。一構成では、I−Q較正ループバックパス734はスイッチを含むことができ、このスイッチは、I−Q不均衡較正中にI−Q較正ループバックパス734をアクティブ化し(たとえば閉じ)、I−Q不均衡較正後にI−Q較正ループバックパス734を非アクティブ化する(たとえば開く)ように動作可能である。
[00113]同相ベースバンド成分(s
I(t))を生み出すために、結合信号110は、第2の合成器132bからの同相信号
と混合されてよい。また、直交ベースバンド成分(s
Q(t))を生み出すために、結合信号110は、第2の合成器132bからの直交信号
と混合されてよい。受信された信号110は、第2の受信機108bの利得不均衡α
Rおよび位相不均衡θ
Rの影響を受ける可能性がある。
[00114]ワイヤレス通信デバイス102は、受信された信号110に基づいて、第2の受信機108bについてのI−Q不均衡を推定することができる。ワイヤレス通信デバイス102は、第2の受信機108bのIブランチ上の電力(たとえば、Iブランチ電力114(E[sI(t)2]))を測定することができる(910)。ワイヤレス通信デバイス102は、第2の受信機108bのQブランチの電力(たとえば、Qブランチ電力116(E[sQ(t)2]))を測定することができる(912)。ワイヤレス通信デバイス102はまた、第2の受信機108bのIブランチとQブランチとの間の相互相関118(E[sI(t)sQ(t)])を測定することができる(914)。
[00115]ワイヤレス通信デバイス102は、Iブランチ電力114およびQブランチ電力116に基づいて、第2の受信機108bの利得不均衡α
R120を決定することができる(916)。これは、上の式(12)に従って達成され得る。たとえば、ワイヤレス通信デバイス102は、測定されたIブランチ電力114(E[s
I(t)
2])を、測定されたQブランチ電力116(E[s
Q(t)
2])で割ることによって、R
1メトリックを得ることができる。次いでワイヤレス通信デバイス102は、R
1メトリックの平方根をとることによって、第2の受信機108bの利得不均衡α
R120を決定することができる(916)(たとえば
)。
[00116]ワイヤレス通信デバイス102は、相互相関118およびIブランチ電力114に基づいて、第2の受信機108bの位相不均衡θR122を決定することができる(918)。これは、上の式(13)に従って達成され得る。たとえば、ワイヤレス通信デバイス102は、相互相関118(E[sI(t)sQ(t)])をIブランチ電力114(E[sI(t)2])で割ることによって、R2メトリックを得ることができる。次いでワイヤレス通信デバイス102は、R1およびR2メトリックを使用して式(13)を解くことによって、第2の受信機108bの位相不均衡θR122を決定することができる(918)。
[00117]図10は、協同I−Q不均衡較正のために構成された2つのワイヤレスシステム1004の別の構成を示すブロック図である。ワイヤレス通信デバイス1002は、図7に関して上述されたように、2つのワイヤレスシステム1004を備えることができる。ワイヤレスシステム1004は、異なるタイプのワイヤレスシステムとすることができる。たとえば、第1のシステム1004aはWiFiシステムとすることができ、第2のシステム1004bはBluetooth(BT)システムとすることができる。一構成では、両方のワイヤレスシステム1004が、結合型システムオンチップ(SOC)上にあってよい。
[00118]第1のシステム1004aは、第1の送信機1006aと、第1の受信機1008aと、第1の合成器1032aとを備えることができる。第1の送信機1006aは、Iブランチ1028a上およびQブランチ1030a上で信号を送信することができ、この信号は、結合信号を生み出すために、ミキサ1024a中で第1の合成器1032aからの同相信号および直交信号と結合されてよい。結合信号は、ミキサ1024bにおいて受け取られ、第1の合成器1032aからの同相信号および直交信号を用いて同相成分と直交成分とに分離されてよい。同相成分は、第1の受信機1008aにおいてIブランチ1028b上で受信されてよく、直交成分は、Qブランチ1030b上で受信されてよい。
[00119]第2のシステム1004bは、第2の送信機1006bと、第2の受信機1008bと、第2の合成器1032bとを備えることができる。第2の送信機1006bは、Iブランチ1028c上およびQブランチ1030c上で信号を送信することができ、この信号は、結合信号を生み出すために、ミキサ1024c中で第2の合成器1032bからの同相信号および直交信号と結合されてよい。結合信号は、ミキサ1024dにおいて受け取られ、第2の合成器1032bからの同相信号および直交信号を用いて同相成分と直交成分とに分離されてよい。同相成分は、第2の受信機1008bにおいてIブランチ1028d上で受信されてよく、直交成分は、Qブランチ1030d上で受信されてよい。
[00120]第1の送信機1006aに関連するミキサ1024aの出力は、第1の加算器1040a中で、第2の送信機1006bに関連するミキサ1024cの出力と結合されてよい。第1の加算器1040aの出力は、ワイヤレス送信のために、送受信(T/R)スイッチ1036およびアンテナ1038に接続されてよい。T/Rスイッチ1036は、第2の加算器1040bに接続されてよい。第2の加算器1040bの出力は、第1の受信機1008aに関連するミキサ1024bの入力と、第2の受信機1008bに関連するミキサ1024dの入力とに接続されてよい。
[00121]I−Q較正ループバックパス1034が、共有パス(たとえば、2つのシステム1004からの信号が結合される点)に接続されてよい。I−Q較正ループバックパス1034はスイッチを含むことができ、このスイッチは、I−Q不均衡較正中にI−Q較正ループバックパス1034をアクティブ化し(たとえば閉じ)、I−Q不均衡較正後にI−Q較正ループバックパス1034を非アクティブ化する(たとえば開く)ように動作可能である。一構成では、I−Q較正ループバックパス1034は、第1の加算器1040aの出力と、第2の加算器1040bの入力との間に接続されてよい。
[00122]図7に関して上述されたように第2の受信機1008bのI−Q不均衡を較正した後、第2の送信機1006bのI−Q不均衡が較正され得る。第2の送信機1006bは、デジタルトーンを送信することができる。第2の送信機1006bは、周波数fIFのデジタルトーンを生成することができる。第2の受信機1008bは、デジタルトーンを受信することができる。たとえば、無線周波数(RF)信号(たとえばデジタルトーン)は、図10に示されるような信号パス1046を介して、較正済みの第2の受信機1008bにループバックされてよい。
[00123]第2の受信機1008bがI−Q不均衡について較正された後、第2の送信機1006bのI−Q不均衡が、受信デジタルトーン(たとえば受信ベースバンドトーン)に基づいて推定され得る。一構成では、ワイヤレス通信デバイス1002は、第2の受信機1008bのIブランチ電力114およびQブランチ電力116を測定することができる。第2の受信機1008bのIブランチ電力114およびQブランチ電力116は、I−Q較正モジュール(図13に関して後述される)の後で測定され得る。ワイヤレス通信デバイス1002はまた、第2の受信機1008bのIブランチ1028とQブランチ1030との間の相互相関118を測定することができる。第2の受信機1008bの相互相関118もまた、I−Q較正モジュール(図13に関して後述される)の後で測定され得る。
[00124]ワイヤレス通信デバイス1002は、第2の受信機1008bのIブランチ電力114およびQブランチ電力116に基づいて、第2の送信機1006bの利得不均衡120を決定することができる。ワイヤレス通信デバイス1002はまた、相互相関118およびIブランチ電力114に基づいて、第2の送信機1006bの位相不均衡122を決定することができる。第2の送信機1006bについてのI−Q不均衡を推定することについては、図11に関してより詳細に論じられる。第1の送信機1006aのI−Q不均衡は、前述の方法を繰り返すことによって、ただし各システム1004に対して動作を逆にすることによって、較正され得ることに留意されたい。
[00125]図11は、第2の送信機1106の協同I−Q不均衡較正の数学的モデルを示すブロック図である。図10に関して上述されたように、第2の送信機1106と第2の受信機1108の両方が、第2のシステム1004bに備わってよい。第2のシステム1004bは、ワイヤレスシステム(たとえば、WiFi、BT、LTEなど)とすることができる。第2の受信機1108は、図7に関して上述されたように較正されてよい。
[00126]第2の受信機1108が較正された後、第2の送信機1106は、周波数f
IFのデジタルトーンを生成することができる。送信ベースバンド同相成分x
I(t)は、x
I(t)=Acos(2πf
IFt)と書かれることが可能であり、送信ベースバンド直交成分x
Q(t)は、x
Q(t)=Asin(2πf
IFt)と書かれることが可能である。送信ベースバンド同相成分x
I(t)は、ミキサ1124aを使用して第2の合成器1032bからの同相信号
と混合されてよい。送信ベースバンド直交成分x
Q(t)は、ミキサ1124bを使用して第2の合成器1032bからの直交信号
と混合されてよく、ここで、α
Tは、第2の送信機1106の利得不均衡120であり、θ
Tは、第2の送信機1106の位相不均衡122である。ミキサ1124a、bの出力は、加算器1140を使用して結合されてよい。
[00127]結合信号は、I−Q較正ループバックパス1034を介して第2の受信機1108に送信されてよい。ループバックパス1034は、ループバック位相遅延βとループバックパス利得Gとを含む可能性がある。
[00128]結合信号は、第2の受信機1108において受信されてよい。第2の受信機1108に関連する第2の合成器1032bは、第2の周波数(f
synth2=f
c)に設定されてよい。同相ベースバンド成分(s
I(t))を生み出すために、結合信号は、ミキサ1124c中で第2の合成器1032bからの同相信号
と混合され、ローパスフィルタ1126aの中を通されてよい。また、直交ベースバンド成分(s
Q(t))を生み出すために、結合信号は、ミキサ1124d中で直交信号
と混合され、ローパスフィルタ1126bの中を通されてよい。
[00129]同相成分(sI(t))および直交成分(sQ(t))は、スプリッタ1125a、b中で分割されてよい。スプリッタ1125a、bは、Iブランチ上およびQブランチ上でRF信号を等しく分割する3dBスプリッタとすることができる。図1で、sI[n]およびsQ[n]は、受信ベースバンド信号である。
[00130]第2の送信機1106の利得不均衡α
T120および位相不均衡θ
T122は、第2の受信機1108の、受信Iブランチ電力114(E[s
I(t)
2])と、受信Qブランチ電力116(E[s
Q(t)
2])と、Iブランチ上およびQブランチ上の受信信号間の相互相関118(E[s
I(t)s
Q(t)])とを計算することによって、推定され得る。第2の送信機1106の利得不均衡α
T120は、第2の受信機1108の、Iブランチ1028上の電力と、Qブランチ1030上の電力とに基づいて決定され得る。第2の送信機1106の利得不均衡α
T120は、上の式(12)に従って、α
Rをα
Tで置き換えてメトリックR
1を計算することによって、推定され得る。次いで、利得不均衡α
Tは、
によって得られる。
[00131]第2の送信機1106の位相不均衡θ
Rは、第2の受信機1108の、Iブランチ728とQブランチ730との間の相互相関118と、Iブランチ電力114とに基づいて決定され得る。第2の送信機1106の位相不均衡θ
Tは、上の式(13)を、θ
Rをθ
Tで置き換えて解くことによって、得ることができる。したがって、
である。
[00132]本明細書に記載の協同I−Q不均衡較正は、いくつかの利益をもたらす。たとえば、記載の協同I−Q不均衡較正は反復的でなく、したがって収束問題はない。協同I−Q不均衡較正は、既知の方法600よりもずっと速い。受信機I−Q不均衡および送信機I−Q不均衡を較正するために、協同I−Q不均衡較正は、2つの測定セット(1つは受信機に関し、もう1つは送信機に関する)のみを利用する。必要とされる総時間(ソフトウェアオーバヘッドおよびレイテンシを除く)は、式(14)によって与えられる。
[00133]式(14)で、tmeasは、R1およびR2メトリックの1セットについての、ハードウェア測定時間である。tmeasが、図6に関して上述されたのと同じ時間とすると(tmeas=512μs)、協同I−Q不均衡較正は、Treq=1.024msを必要とし、これは、既知の方法600に必要な時間(Treq=9.216ms)の9分の1の短さである。温度変化があるたびに協同I−Q不均衡較正を再実行することがより容易なので、これは大きな利点である。たとえば、協同I−Q不均衡較正は、パケット間で実行されるように容易にスケジュールされ得る。
[00134]加えて、いくつかの適用分野またはアーキテクチャは、受信機I−Q不均衡較正のみしか実施しない場合がある。上記でわかるように、協同I−Q不均衡較正は、送信機セクション中と受信機セクション中とで切り離されることが可能である。受信機I−Q較正のみが望まれる場合は、協同I−Q不均衡較正は、式(14)によって与えられる時間の半分を使用する。対照的に、既知の方法600は常に、送信機I−Q不均衡と受信機I−Q不均衡とについて共同較正を実施する。言い換えれば、既知の方法600を使用する際は、受信機のみの較正が必要なときでも、較正に必要とされる時間を短縮することは不可能である。
[00135]既知の方法600とは反対に、協同I−Q不均衡較正は、どんな近似も使用しない。したがって、残余較正誤差はない。したがって、協同アルゴリズムの精度は、信号対雑音比(SNR)、量子化雑音、および位相雑音のみによって制限される。
[00136]さらに、協同I−Q不均衡較正は、どんな逆行列化も必要としない。利得および位相不均衡パラメータに対する閉形式の解が、それぞれ式(12)および(13)によって与えられる。
[00137]図12は、ワイヤレス通信デバイス1202内に備わる場合のあるいくつかのコンポーネントを示す。ワイヤレス通信デバイス1202は、アクセス端末、移動局、ユーザ機器(UE)などとすることができる。ワイヤレス通信デバイス1202は、プロセッサ1203を備える。プロセッサ1203は、汎用シングルチップまたはマルチチップマイクロプロセッサ(たとえば、アドバンストRISC(縮小命令セットコンピュータ)マシン(ARM))、専用マイクロプロセッサ(たとえばデジタル信号プロセッサ(DSP))、マイクロコントローラ、プログラマブルゲートアレイなどとすることができる。プロセッサ1203は、中央処理装置(CPU)と呼ばれることもある。図12のワイヤレス通信デバイス1202中には単一のプロセッサ1203しか示されていないが、代替構成では、プロセッサの組合せ(たとえば、ARMとDSP)が使用されてもよい。
[00138]ワイヤレス通信デバイス1202はまた、メモリ1205を備える。メモリ1205は、電子情報を記憶できる任意の電子コンポーネントとすることができる。メモリ1205は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、磁気ディスクストレージ媒体、光学ストレージ媒体、RAM中のフラッシュメモリデバイス、プロセッサと共に備わるオンボードメモリ、EPROMメモリ、EEPROM(登録商標)メモリ、レジスタなどとして具体化されてよく、これらの組合せも含む。
[00139]メモリ1205には、データ1207aおよび命令1209aが記憶されてよい。命令1209aは、本明細書に記載の方法を実装するためにプロセッサ1203によって実行可能とすることができる。命令1209aの実行は、メモリ1205に記憶されたデータ1207aの使用を含むことがある。プロセッサ1203が命令1209aを実行するとき、命令1209bの様々な部分がプロセッサ1203にロードされることがあり、データ1207bの様々な断片がプロセッサ1203にロードされることがある。
[00140]ワイヤレス通信デバイス1202はまた、ワイヤレス通信デバイス1202との間での信号の送受信を可能にするために、送信機1206と受信機1208とを備えることができる。送信機1206および受信機1208は、送受信機1215と総称される場合がある。アンテナ1238が、送受信機1215に電気的に接続されてよい。ワイヤレス通信デバイス1202はまた、複数の送信機、複数の受信機、複数の送受信機、および/または複数のアンテナを備えることができる(図示せず)。
[00141]ワイヤレス通信デバイス1202は、デジタル信号プロセッサ(DSP)1221を備えることができる。ワイヤレス通信デバイス1202はまた、通信インターフェース1223を備えることができる。通信インターフェース1223は、ユーザがワイヤレス通信デバイス1202と対話するのを可能にすることができる。
[00142]ワイヤレス通信デバイス1202の様々なコンポーネントは、1つまたは複数のバスによって共に接続されてよく、このバスは、電力バス、制御信号バス、ステータス信号バス、データバスなどを含み得る。明確にするために、図12では、様々なバスはバスシステム1219として示されている。
[00143]図13は、I−Q不均衡較正モジュール1327についての一構成を示すブロック図である。I−Q不均衡較正モジュール1327は、受信機108(たとえば、図1に関して上述された第2の受信機108b)に備わる場合がある。受信機108は、利得不均衡(αR)および位相不均衡(θR)を決定することができる。これは、図8に関して上述されたように達成され得る。受信機108は、式(15)によって与えられるように、I−Q補正係数ccrossおよびcdiagを計算することができる。
[00144]同相成分(sI(t))および直交成分(sQ(t))が、スプリッタ1325a、b中で分割されてよい。スプリッタ1325a、bは、Iブランチ上およびQブランチ上でRF信号を等しく分割する3dBスプリッタとすることができる。スプリッタ1325aのIブランチ出力は、同相ベースバンド信号(sI[n])とすることができる。同相ベースバンド信号(sI[n])は、ミキサ1329a中でccrossと混合されてよい。スプリッタ1325bのQブランチ出力は、ミキサ1329b中でcdiagと混合されてよい。ミキサ1329a、bの出力は、I−Q補正済み直交ベースバンド信号(sQ[n])を生み出すために、加算器1331を使用して結合されてよい。
[00145]本明細書に記載の技法は、直交多重化方式に基づく通信システムを含めた、様々な通信システムに使用され得る。そのような通信システムの例は、直交周波数分割多元接続(OFDMA)システム、シングルキャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)システムなどを含む。OFDMAシステムは、直交周波数分割多重化(OFDM)を利用するが、これは、システム帯域幅全体を複数の直交サブキャリアに区分化する変調技法である。これらのサブキャリアは、トーン、ビンなどと呼ばれることもある。OFDMでは、各サブキャリアは、データを伴って独立して変調され得る。SC−FDMAシステムは、システム帯域幅全体に分散されたサブキャリア上で送信するためのインタリーブド(interleaved)FDMA(IFDMA)、隣接し合うサブキャリアのブロック上で送信するためのローカライズド(localized)FDMA(LFDMA)、または、隣接し合うサブキャリアの複数のブロック上で送信するためのエンハンスト(enhanced)FDMA(EFDMA)を利用することができる。一般に、変調シンボルは、OFDMでは周波数ドメイン中で送られ、SC−FDMAでは時間ドメイン中で送られる。
[00146]「決定する」という用語は、多様なアクションを包含し、したがって、「決定する」は、算出する、計算する、処理する、導出する、調べる、ルックアップする(たとえば、表、データベース、または別のデータ構造中でルックアップする)、確認する、などを含む可能性がある。また、「決定する」は、受け取る(たとえば、情報を受け取る)、アクセスする(たとえば、メモリ中のデータにアクセスする)、などを含む可能性もある。また、「決定する」は、解決する、選択する、選ぶ、確立する、などを含む可能性もある。
[00147]「〜に基づく」という言葉は、明示的に別段の指定がない限り、「〜のみに基づく」ことを意味しない。言い換えれば、「〜に基づく」という言葉は、「〜のみに基づく」と「少なくとも〜に基づく」の両方を記述する。
[00148]「プロセッサ」という用語は、汎用プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コントローラ、マイクロコントローラ、ステートマシンなどを包含するものと広く解釈されるべきである。状況によっては、「プロセッサ」は、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを指すこともある。「プロセッサ」という用語は、処理デバイスの組合せ、たとえば、DSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアを伴う1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、またはそのような他の任意の構成を指すこともある。
[00149]「メモリ」という用語は、電子情報を記憶できる任意の電子コンポーネントを包含するものと広く解釈されるべきである。メモリという用語は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラム可能な読取専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能な読取専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なPROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気または光学データストレージ、レジスタなど、様々なタイプのプロセッサ可読媒体を指すことがある。プロセッサがメモリに対して情報の読取りおよび/または書込みができる場合、メモリはプロセッサと電子通信状態にあると言われる。プロセッサと一体のメモリは、プロセッサと電子通信状態にある。
[00150]「命令」および「コード」という用語は、任意のタイプのコンピュータ可読ステートメントを含むものと広く解釈されるべきである。たとえば、「命令」および「コード」という用語は、1つまたは複数のプログラム、ルーチン、サブルーチン、関数、プロシージャなどを指すことがある。「命令」および「コード」は、単一のコンピュータ可読ステートメント、または多くのコンピュータ可読ステートメントを備え得る。
[00151]本明細書に記載の機能は、ハードウェアによって実行されるソフトウェアまたはファームウェアにおいて実装され得る。これらの機能は、コンピュータ可読媒体上の1つまたは複数の命令として記憶されることがある。「コンピュータ可読媒体」または「コンピュータプログラム製品」という用語は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされ得る任意の有形ストレージ媒体を指す。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、もしくは他の光学ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、または、所望のプログラムコードを命令もしくはデータ構造の形で搬送もしくは記憶できコンピュータによってアクセスされ得る他の任意の媒体、を備え得る。本明細書において、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザディスク(登録商標)(disc)、光学ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)、およびBlu−ray(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は通常、データを磁気的に再生し、一方、ディスク(disc)は、データをレーザで光学的に再生する。コンピュータ可読媒体は、有形および非一時的とすることができることに留意されたい。「コンピュータプログラム製品」という用語は、コンピューティングデバイスまたはプロセッサによって実行、処理、または計算され得るコードまたは命令(たとえば「プログラム」)と組み合わせられた、コンピューティングデバイスまたはプロセッサを指す。本明細書において、「コード」という用語は、コンピューティングデバイスまたはプロセッサによって実行可能な、ソフトウェア、命令、コード、またはデータを指すことがある。
[00152]本明細書で開示される方法は、記載の方法を達成するための1つまたは複数のステップまたはアクションを備える。方法ステップおよび/またはアクションは、特許請求の範囲を逸脱することなく相互に交換されることも可能である。言い換えれば、記載の方法の適正な動作のためにステップまたはアクションの特定の順序が必要とされない限り、特定のステップおよび/またはアクションの、順序および/または使用は、特許請求の範囲を逸脱することなく修正されてもよい。
[00153]さらに、図2および図9によって示されるような本明細書に記載の方法および技法を実施するためのモジュールおよび/または他の適切な手段は、デバイスによってダウンロードされ得ること、および/または他の方法で入手され得ることを理解されたい。たとえば、本明細書に記載の方法を実施するための手段の転送を容易にするために、デバイスがサーバに接続されてよい。別法として、本明細書に記載の様々な方法は、ストレージ手段(たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、コンパクトディスク(CD)やフロッピーディスクなどの物理ストレージ媒体、等)を介して提供されてもよく、したがって、ストレージ手段がデバイスに接続または提供されると、デバイスは様々な方法を得ることができる。
[00154]請求項は、上に例示された厳密な構成およびコンポーネントに限定されないことを理解されたい。特許請求の範囲を逸脱することなく、本明細書に記載のシステム、方法、および装置の、配置、動作、および詳細に、様々な修正、変更、および変形が加えられてもよい。