JP2017508862A - ビチューメン組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ビチューメン組成物、舗装材料、屋根ふき材、ビチューメン組成物を調製する方法、ビチューメン組成物の剛性を増加する方法、ビチューメン組成物の物理的性質を調節する方法、およびビチューメン組成物の使用を対象とする。本発明のビチューメン組成物は、リグニン化合物またはその誘導体を含み、前記リグニン化合物またはその誘導体のうちの10wt%以上が、前記ビチューメン組成物に分子的に溶解している。【選択図】図1

Description

本発明は、ビチューメン組成物、舗装材料、屋根ふき材、ビチューメン組成物を調製する方法、ビチューメン組成物の剛性を増加させる方法、ビチューメン組成物の物理的性質を調節する方法、およびビチューメン組成物を用いる方法を対象とする。
ビチューメンはオイル蒸留プロセスにおける石油蒸留から残された残渣など最も重い部分である。得られるビチューメンは、こうしたオイルの異なる素性および蒸留プロセスに由来して、広範囲な性質および特性を有し得る。通常、ビチューメンは、それぞれが異なる分子量範囲を有する4つの物質クラス、すなわち、飽和物、芳香族化合物、樹脂、およびアスファルテンの存在により、それぞれ特徴付けられる。
ビチューメンは、舗装材料用骨材配合物、屋根ふき材用繊維強化膜、ならびに舗装材料および屋根ふき材の両用表面処理におけるビチューメン−水エマルションなど、異なる用途に広く用いられる。ビチューメンは、こうした混合物において、異なるサイズ、形状および化学的特質であることができる骨材と混合され、バインダー材料として作用する。こうした混合物は、歩道、道路、幹線道路、駐車場、または空港の滑走路および側道、ならびに任意の他のローラ仕上げ面の建設もしくは補修に特に用いられる。
欧州と米国の間で、ビチューメンの用語法に著しい違いがある。欧州では「ビチューメン」または「アスファルトビチューメン」という用語が用いられるのに対して、米国では同じ材料を「アスファルト」、「アスファルトセメント」または「アスファルトバインダー」と呼ぶ。混乱を避けるために、本出願では欧州の用語法に準拠する。
ビチューメンの需要は全世界で約2億トンある。現在、許容できる価格で著しく入手可能であるという見地において、アスファルト製造のためにビチューメンと代替可能な他の結合剤は存在しない。
従来の石油(例えば、オイル、ガス、および液体天然ガス)の埋蔵量は減少しているものの、地球規模のエネルギー需要は増え続けている。特に、エネルギー需要が予想通り上昇し続けるなら、石油埋蔵量の減少により課されるオイル生産のピークによって世界的エネルギー危機の可能性が高まる。したがって、従来においては異色であった資源の開発に注目が集まっている。また、石油系原料を減らし、より環境に優しく再生可能な代替物を提供するためにビチューメンに対して感心が高まりつつあった。
バイオマス由来のリグニンは、アスファルト組成物におけるビチューメンバインダーの一部として、代表的な潜在的な代替品である。リグニンは光合成バイオマスの約20%を構成する豊富な再生可能資源である。現在大規模に、バイオマスであるセルロースおよびヘミセルロース成分のアルコール燃料への変換について研究がなされている。こうしたプロセスが商業化されるにつれ、相当量のリグニン副産物が発生すると思われる。
リグニンは、木材を意味する「lignum」というラテン語に由来する。リグニンは、様々に連結したフェニルプロパン単位を含むランダム三次元ネットワークポリマーとして記述されてきた。リグニンは、木材の乾燥重量の15〜25%を構成しており、地球上で二番目に豊富な生物材料であって、セルロースおよびヘミセルロースだけが木本の乾燥重量の15〜25%以上を構成している。この高分子は、植物繊維同士を結び付けるための機械的な支えを提供する不可欠な役割を果たす。リグニンはまた、木部の細胞壁を通る水の浸透を減少させることによって水および栄養素の輸送に複雑な役割を果たしている。リグニンは、最終的に、細胞壁を通して有害な酵素が透過することを妨害することによって、植物における劣化からの自然防御能に重要な役目を果たしている。樹木にとってリグニンは必要ではあるが、多くの化学的製紙繊維では望ましくないために、パルプ化および漂白プロセスにより除去される。
こうした新しいバイオマスリグニンの形態および構造は、バイオマスの原料、変換プロセス、および操作条件に依存するであろう。天然リグニンの化学構造は完全にはわかっていないものの、リグニンがフェニルプロパン単位に基づいた複雑なポリマーであることは概して合意されている。リグニンの複雑さは、こうした基が一緒に連結することができる多くの方法に由来するものである。リグニンは、ビチューメン混合物の芳香族およびアスファルテン画分が、いずれもアルキル鎖によりつながれた類似の不飽和芳香環を含有する点において、これらと構造的な類似性を有する。リグニンは粘着性の性質も有するため、その性質をビチューメンに利用することはこれまで提案されてきた。
パルプ化プロセスなどの前処理プロセス中において、リグノセルロース系バイオマスから天然リグニンを抽出すると、通常は、不規則な多数の成分の混合物へとリグニンが断片化される結果になる。さらに、リグニン断片は、パルプ化プロセスで用いた任意の化学物質と反応する恐れがある。その結果、生成したリグニン画分を、リグニン誘導体、および/または、工業リグニンと呼ぶことができる。このように複雑な分子の混合物を解明し特徴付けることが困難であるので、リグニン誘導体は通常、用いたリグノセルロース系植物材料、ならびに、リグノセルロース系植物材料、例えば、堅材リグニン、軟材リグニン、および一年生の繊維質リグニンから、リグニン誘導体を生成しかつ回収する方法という言葉で記述される。
リグニンは、製紙用パルプ化プロセスにおける無用な副産物であるために多量に入手できる。このプロセスによって、セルロースに富むパルプ、および通常はエネルギーとして燃焼される劣化リグニンが豊富である液体が製造される。最も重要な化学的パルプ化プロセスは、硫化ナトリウムおよび水酸化ナトリウムを用いるクラフト法である。他のパルプ化プロセスは、ソーダ、アントラキノン、ポリスルフィド、亜硫酸塩およびオルガノソルブプロセスである。用いるプロセスによって、得られるリグニンは異なる性質を有する。例えば、異なるパルプ化プロセスによって製造されたリグニンの水溶性は大きく異なり、例えば、亜硫酸塩パルプ化によって製造されたリグノスルホン酸塩は、適当な対イオンの存在で水溶性である一方で、クラフトリグニンは高アルカリ性の環境下においてのみ水溶性である。
再生可能なバイオマス原料からリグニン誘導体が入手可能であれば、こうした誘導体を何らかの工業的用途に用いることを思いつくであろう。例えば、Lignol(登録商標)プロセス(例えばAlcell(登録商標))により製造されたものなどのオルガノソルブ抽出経由で得たリグニン誘導体は、ゴム製品、接着剤、樹脂、プラスチック、アスファルト、セメント、鋳造樹脂、農産物、油田製品において、およびファインケミカル製造のための原料として用いられてきた。
さらに、特定の用途に対してリグニン誘導体の性質を微調整するために、様々な化学修飾が報告されてきた。
例えば、Malutan他(BioResources 2008、3(4)、1371〜1376)は、ヒドロキシメチル化およびエポキシ化を経るリグニンの化学修飾を開示している。リグニンのヒドロキシメチル化は、アルカリ性媒体中におけるリグニンのホルムアルデヒドとの反応からなる。この種の反応を通して、リグニンの反応性位置、主として芳香環のフェノールのOH基に関してオルト位に、ヒドロキシメチル基が導入される。
Winarni他(BioResources 2013、8(2)、2195〜2208)は、リグニンとポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルとの反応による、両親媒性リグニン誘導体の調製を開示している。この調製は、水酸化ナトリウム水溶液中において、酢酸リグニンと、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、エトキシ−(2−ヒドロキシ)−プロポキシ−ポリ(エチレングリコール)グリシジルエーテル、またはドデシルオキシ−ポリ(エチレングリコール)グリシジルエーテルとの反応を含む。
米国特許出願公開第2012/0329100号においては、リグニンと親水性化合物との反応により製造されたリグニン誘導体を含む酵素安定剤が開示されている。親水性化合物は、グリシジルエーテル系化合物であることができる。
現在、リグニンの主な供給源を形成しているのはパルプおよび製紙産業である。これらの産業は、クラフト(硫酸塩パルプ化)および亜硫酸塩パルプ化プロセスにより、多量のリグニンを製造する。これらのプロセスは、(例えばリグノスルホン酸塩の形で)比較的高い硫黄含量のリグニン誘導体を産出する。この硫黄含有物の存在によってリグニンは、多くの用途で不適切なものになる。その結果、多くのクラフトリグニンはエネルギーを得る目的で燃やされる。
亜硫酸塩プロセスおよびクラフトパルプ化プロセスは、それらが大気および水質汚染をもたらすことで有名であるため、クラフトおよび亜硫酸塩パルプ化操作を環境適合させるために、高価な汚染制御装置を必要とする。こうしたパルプ化技術は、今ではより環境に優しいプロセスに経済的に取り替えることができる。こうしたプロセスの1つが、環境に最小限の影響を有する、オルガノソルブパルプ化プロセスである。これまでの亜硫酸塩プロセスと違い、オルガノソルブプロセスは、これまでの亜硫酸塩プロセスと違い、高純度であり、本質的に硫黄フリーであり、かつ低水溶性を備えた疎水性型リグニンの回収を可能にする。この文脈において、本質的に硫黄フリーという記載は、元素としての硫黄および共有結合した硫黄が本質的に存在しないことを示す。硫黄塩および硫酸塩イオンは、まだ存在している可能性はある。
微粒子形状にあるリグニンおよびその誘導体は、ビチューメン分散系の乳化剤として用いることができると報告されてきた。例えば、米国特許第5320671号および米国特許5328505号は、いずれもカチオン水溶性瀝青骨材スラリーを記載しており、ここではクラフトリグニンまたはマレイン化クラフトリグニンがカチオン乳化剤として存在している。
Sundstrom(Ind.Eng.Chem.Prod.Res.Dev.1983、22、496−500)には、爆発木材由来のリグニンの舗装材料混合物中におけるビチューメンの増量剤として使用が開示されている。Sundstromが用いたリグニンは、溶液から小さな球形粒子の形状に沈殿させたもので、水に不溶であり、ほぼ700g/molの数平均分子量を有し、粉砕した木質リグニンと類似した紫外および赤外スペクトルを有する。リグニン粒子はビチューメン組成物中に分散粒子として存在し、組成物の粘度および安定性を増加させる作用がある。
リグノセルロース系バイオマスからバイオ−ビチューメン製造用熱分解オイルへの変換も知られている。オイルの芳香族画分は、屋根ふき材などの石油化学的に得られるビチューメンのバイオ代替物として用いることができる。しかし、オイルの芳香族画分は、通常は比較的低分子量を有する。この製品は、Biomass Technology GroupによりBIOtumenとして商業的に販売されている。
本発明の目的は、従来技術が直面する1つまたは複数の欠点を克服することである。
本発明の別の目的は、出発物質の少なくとも一部が石油化学系ではないビチューメン組成物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、石油化学の出発材料の少なくとも一部を置き換える際に、好ましい性質を保持するビチューメン組成物を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、用途に応じてその性質を調整することができるビチューメンを提供することである。
発明者らは、リグニンまたはその誘導体をビチューメン組成物中に分子的に溶解することにより、これらの目的の1つまたは複数が、少なくとも一部は満たされることを見出した。
したがって、第1の形態では、本発明はリグニン化合物またはその誘導体を含むビチューメン組成物であって、25℃の温度で決定される前記リグニンまたはその誘導体の重量のうち10wt%以上が、前記ビチューメン組成物中に分子的に溶解していることを特徴とするビチューメン組成物を対象とする。
本発明はまた、リグニン化合物またはその誘導体を含むビチューメン組成物であって、25℃の組成物中にあるリグニン化合物またはその誘導体の平均粒子サイズは、偏光顕微鏡により決定して100μm以下であることを特徴とするビチューメン組成物を対象とする。
本発明のビチューメン組成物は、−10〜60℃の範囲にある非常に好ましい適用温度を有することが、意外にも見出された。さらに、ビチューメン組成物は改善された剛性を有する。例えば、轍が掘れることによる摩耗を著しく遅らせることができる舗装材料としての用途では、これは非常に有利である。その結果、舗装材料の補修頻度がより少なくて済み、その分コストを削減することができる。
本出願で用いる「ビチューメン」という用語は、直接蒸留によるオイル、または減圧によるオイル蒸留からの生成物だけでなく、タールおよび瀝青砂の抽出による生成物、こうしたビチューメン材料の酸化、および/または、可塑化(fluxation)生成物、ならびに、ブローンまたはセミブローン・ビチューメン、および合成ビチューメンを指すことを意味する。したがって、タール、樹脂およびピッチ、ならびに他の瀝青物質という用語は、本明細書で用いる「ビチューメン」という用語の中に含まれるとみなされる。
リグニンが単一の化学構造を有しないことは知られている。事実、Kirk Othmer Encyclopediaによれば、木材中で発生したままの状態のリグニンの正確な化学構造はわかっておらず、その構造を変えることなく木材から抽出することは困難であるために、正確な構造は決してわからない恐れがある。多くの異形のリグニンが存在するが、「リグニン化合物またはその誘導体」という用語は、本出願で用いる場合、p−ヒドロキシフェニル単位、シリンギル単位、およびグアイアシル単位を含む任意のポリマーを指すことを意味する。
植物リグニンは、軟材(裸子植物)、堅材(被子植物)、および草または一年生植物(イネ科)などの、大まかに3つのクラスのリグニンに分けることができる。3つの異なるフェニルプロパン単位、またはモノリグノールがリグニンの生合成を担っている。グアイアシルリグニンは主としてコニフェリルアルコール単位から構成されるが、グアイアシル−シリンギルリグニンは、コニフェリルおよびシナピルアルコールからのモノマー単位を含む。一般に、グアイアシルリグニンは軟材中に見出されるが、グアイアシル−シリンギルリグニンは堅材中に存在する。イネ科リグニンは、主にp−クマリルアルコール単位から構成される。これら3つのリグニン前駆体は、下記式(I)で表される。
式(I)においてRがメトキシ基であり、かつRが水素原子であるなら、化合物はグアイアシルリグニンの主要構成要素であるコニフェリルアルコールである。式(I)において、RおよびRが共にメトキシ基であるなら、化合物はシリンギルリグニンの主要構成要素であるシナピルアルコールである。式(I)において、RおよびRが共に水素原子であるなら、化合物はイネ科リグニンの主要構成要素であるp−クマリルアルコールである。
本出願で用いる「分子的に溶解する」という用語は、リグニン化合物またはその誘導体が、微粒子または骨材が分散した形状で分散することを意味するものではなく、分子が分散した形状で存在する組成物を指す。したがって、リグニン化合物またはその誘導体のうち10wt%以上が、前記ビチューメン組成物中に分子的に溶解するという要件は、重量で10wt%以上のリグニン化合物またはその誘導体が、微粒子または骨材の形状で分散しているのではなく、分子的に分散していることを意味する。残りの重量割合のリグニン化合物またはその誘導体は、ビチューメン組成物中に微粒子または骨材の形状で存在することができる。
重量で10wt%以上のリグニン化合物またはその誘導体が、ビチューメン組成物中に分子的に溶解しているかどうかを当業者が決定可能な、いくつかの方法が存在する。1つの方法は、ビチューメン組成物を12V100Wのハロゲンランプで励起し、G436、FT510、およびLP520カットフィルターを用いてAxiovision LE64ソフトウエアによって蛍光を検出し、前記ビチューメン組成物の蛍光顕微鏡画像を記録することである。画像が、100μm超の粒子径(または、非球形粒子の場合、等価な球形粒子径)を有するより明るいリグニン粒子と、より暗い連続ビチューメン相との蛍光強度の比が、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下を有する時、いずれの場合のビチューメン組成物も、10wt%以上の分子的に溶解したリグニン化合物またはその誘導体を有するという上記の要求を満たしている。したがって、一実施形態では、ビチューメン組成物を12V100Wハロゲンランプで励起し、G436、FT510およびLP520カットフィルターを用いたAxiovision LE64ソフトウエアによって蛍光を検出して得られるビチューメン組成物の蛍光顕微鏡画像は、(i)(25℃にて偏光顕微鏡により決定した)100μm超の粒子径(または、非球形粒子の場合、等価な球形の粒子径)を有するより明るいリグニン粒子と、(ii)より暗い連続ビチューメン相との蛍光強度の比において、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下を有する。
当業者にとって別の選択肢は、成分同士(すなわち、ビチューメン成分とリグニン成分と)を混合した直後に、ビチューメン組成物中の粒子の平均粒子径(または等価な球形の平均粒子径)を決定すること、および混合の20分後に平均粒子径を決定することによるものである。20分後の平均粒子径が10%以上減少するなら、ビチューメン組成物はいずれの場合も、10wt%以上の分子的に溶解したリグニン化合物またはその誘導体を有するという上記の要求を満たしている。したがって一実施形態では、混合20分後のビチューメン組成物中の平均粒子径は、成分同士を混合した直後のビチューメン組成物中の平均粒子径の90%以下である。好ましくは、混合20分後のビチューメン組成物中の平均粒子径は、成分同士を混合した直後のビチューメン組成物中の平均粒子径の70%以下、より好ましくは50%以下、さらにより好ましくは25%以下である。以下で述べるように、混合20分後の粒子の平均粒子サイズは、25℃で決定して、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらにより好ましくは3〜30μm、5〜25μm、または7〜20μmなど50μm以下である。
本発明のビチューメン組成物は、ビチューメン組成物の重量の、好ましくは10wt%以上、より好ましくは20wt%以上、さらにより好ましくは30wt%など25wt%のリグニン化合物またはその誘導体を含む。組成物が、リグニン化合物またはその誘導体を、ビチューメン組成物の重量の60wt%超、または50wt%超含むと、ビチューメン組成物の性質が劣化する。一実施形態では、ビチューメン組成物中におけるリグニン化合物またはその誘導体の量は、ビチューメン組成物の重量において20〜40wt%の範囲など、10〜50wt%の範囲である。
リグニン化合物またはその誘導体が硫黄をほぼ含まないと有利である。上で述べたように、この表現は、硫黄元素および共有結合の硫黄がほぼ存在しないことを示すという意図である。「ほぼ存在しない」という表現は、通常は1%未満の硫黄、好ましくは0.5%未満の硫黄、より好ましくは0.1%未満の硫黄含量を指す。一実施形態では、リグニン化合物またはその誘導体は硫黄を全く含まない。こうした硫黄不含のリグニンは、例えば、国際公開第97/14747号公報から知られ、その内容は参照により本明細書に全て組み込まれる。リグニン化合物またはその誘導体中の硫黄元素の量は、ソックスレー抽出により決定することができる(Harwood他著「Experimental organic chemistry;standard and microscale」、2nd edition、Blackwell science Ltd、1999、Oxford、United Kingdom、p.129)。共有結合の硫黄量は、Schoeniger燃焼法(Harris著「Quantitative chemical analysis」、6th edition、Freeman、2003、New York、United States of America、P.680)を用いて硫黄の総量を測定し、イオンクロマトグラフィー(Skoog他著「Analytical chemistry;an introduction」、6th edition、Saunders College Publishing、1994、United States of America、p.486〜521)を用いて測定した硫黄量を差し引いて決定することができる。
一実施形態では、バイオマスを酸または塩基の水溶液により前処理し、続いて飽和水蒸気または過熱水蒸気を前記バイオマス中に通過させる方法によって得られる、リグニン化合物またはその誘導体を用いる。このプロセス中において、水の活量を過熱水蒸気の温度および圧力によって、0.4〜0.8の範囲などの1未満に制御することができる。酸は好ましくは硫酸である。塩基は、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化アンモニウムからなる群から選択することができる。酸または塩基はその場でも形成することができる。こうしたプロセスは、例えば、国際公開第2011/071386号公報に記載されており、その内容は参照により本明細書に全て組み込まれる。
化学的に、リグニンは様々な官能基、すなわち、ヒドロキシル、メトキシル、カルボニルおよびカルボキシル基を有する。芳香環におけるフェノール性ヒドロキシル基は、リグニン中で最も反応性の大きい官能基であり、材料の化学反応性に著しく影響する場合がある。本発明に従って、リグニン化合物またはその誘導体を化学的に修飾することができる。リグニン化合物またはその誘導体を化学修飾により疎水性にすることが好ましい。
様々なリグニン誘導体が知られており、それらは、天然リグニンをセルロースや他のバイオマス構成成分から分離するために用いられるプロセスの種類によって変わるであろう。リグニン試料は、例えば、(1)細かく粉砕した木材の溶媒抽出、(2)木材の酸性ジオキサン抽出(酸分解)によって得ることができる。リグニン誘導体は、(3)水蒸気爆発、(4)希釈酸加水分解、(5)アンモニア繊維爆砕(AFEX)、(6)自己加水分解(autohydrolysis)法を用いるバイオマス前処理からも分離することができる。工業的操作のクラフト、ソーダパルプ化(およびそれらの修正形態)、または亜硫酸塩パルプ化を含む、リグノセルロースのバイオマス前処理(例えばパルプ化)の後に、リグニン誘導体を回収することができる。さらに、いくつかの様々なパルプ化方法が開発されてきたものの、工業的に導入されてはいない。それらの中で、4つの主要な「オルガノソルブ」パルプ化法によって、高度に純化されたリグニン混合物を製造する傾向にある。第1のオルガノソルブ法は、エタノール/溶媒パルプ化(別名Lignol(登録商標)(Alcell(登録商標)プロセス)を用い、第2のオルガノソルブ法は、アルカリ性亜硫酸塩アントラキノンメタノールパルプ化(別名「ASAM」プロセス)を用い、第3のオルガノソルブ法は、メタノールパルプ化、それに続くメタノールNaOH、およびアントラキノンパルプ化(別名「Organocell」プロセス)を用い、第4のオルガノソルブ法は、酢酸/塩酸またはギ酸パルプ化(別名「Acetosolv」および「Formacell」プロセス)を用いる。一実施形態では、リグニン化合物またはその誘導体は、オルガノソルブリグニン誘導体を含む。
注目すべきは、クラフトパルプ化、亜硫酸塩パルプ化、およびASAMオルガノソルブパルプ化は、有機的に結合した著しい量の硫黄を含むリグニン誘導体を発生することである。酸加水分解、ナトリウムパルプ化、水蒸気爆発、エタノール/溶媒パルプ化、オルガノセルパルプ化(すなわち、メタノールパルプ化、それに続くメタノールNaOH、およびアントラキノンパルプ化)、ギ酸パルプ化、ならびに酢酸/塩酸パルプ化は、本質的に硫黄を含まない、または少量の無機硫黄を含むリグニン誘導体を発生する。したがって、一実施形態では、リグニン化合物またはその誘導体は、酸加水分解、ナトリウムパルプ化、水蒸気爆発、エタノール/溶媒パルプ化、アントラキノンパルプ化、ギ酸パルプ化、および酢酸/塩酸パルプ化によって得られるリグニン誘導体を含む。
化学修飾されたリグニンは、例えば、ヒドロキシアルキル化リグニン(ヒドロキシプロピル化リグニンなど)、および/または、アシル化リグニン(酢酸エステルなど)または他のリグニン誘導体材料から選択することができる。化学修飾されたリグニンと何らかの熱可塑性樹脂とのこうした配合において、エステル連結における1つのアルコール基の別のアルコール基による交換とともに、エステル転移反応が起きる可能性がある。したがって、ヒドロキシアルキル化リグニンは、近傍のポリエステル高分子とエステル転移反応、それによるポリエステルセグメントのリグニンへの移動を受ける可能性がある。さらに、エステル転移反応(すなわちエステル交換)はアシル化リグニン(例えばアシル化)とともに起きる可能性がある。この場合、リグニンのアルキルエステル(酢酸エステルなど)は、カルボン酸基を、ポリエステル鎖のアルコール終止(terminated)セグメントと交換する可能性がある。エーテル連結の導入を意図して、リグニンを活性化合物と反応させることも可能である。例えば、リグニンからのヒドロキシル基を、エポキシド、および/または、ハロゲン化アルカン等などの活性反応物とアルカリ性条件下で反応させると、エーテル連結の導入がもたらされる。ラジカル誘起化学炭素−炭素連結を実現することも可能である。典型的なエポキシ含有反応物はグリシジルエーテルである。
好適な実施形態では、化学修飾されたリグニンは、無水物、エポキシ含有反応物、およびハロゲン化物含有化合物からなる群から選択される1つまたは複数で化学修飾される。
好ましくは、化学修飾されたリグニン化合物は、下記式(II)で表される単位を1つまたは複数含み、
式(II)中、Rはリグニン残基を示し、
R’は、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、(C1〜20アルキル)−フェニル、(C2〜20アルケニル)−フェニル、C1〜20アルコキシ、(C1〜20アルコキシ)−フェニル、C3〜6シクロアルキル、アリール−(C1〜6アルキル)、アリール−(C2〜6アルケニル)、および(C1〜4アルキル)−アリール−(C1〜4アルキル)から選択され、
はOHまたはHであり、
はOHまたはHであり、かつXはXとは異なる。
化学修飾されたリグニン化合物は、例えば下記式(III)で表される単位を1つまたは複数含むことができ、
式(III)中、RおよびR’は上記式(II)の場合と同じ意味を有する。
式(II)および式(III)におけるR’の分子量は、150g/mol以下の範囲、好ましくは180g/mol以下、より好ましくは15〜130g/molである。
好ましくは、化学修飾されたリグニン化合物はエチレンオキシド部分をほぼ(より好ましくは全く)含まない。
意外にも、エポキシ含有反応物で化学修飾されたリグニン化合物、および/または、式(II)もしくは式(III)で表される単位を1つもしくは複数含むリグニン化合物は、本発明のビチューメン組成物の機械的性質に関して、好ましい結果を与えることが見出された。より具体的には、ビチューメン組成物は高温において硬質を保持するものの、一方で得られたビチューメン組成物は、より低温においては、より軟質であることが見出された。このことは、舗装材料の性質に関して(比較的高温な)夏季では、轍による掘りがより起こり難いことを示唆し、一方(比較的低温な)冬季では、チッピング(chipping)がより起こり難いと示唆することを意味する。
本発明に関して、リグニン化合物またはその誘導体が比較的大きな分子量を有する場合、さらに有利である。これは、得られるビチューメン組成物の機械的性質にとって特に有利である。
リグニン化合物は、好ましくは、200〜10000g/molの範囲、好ましくは350〜5000g/molの範囲、より好ましくは500〜3000g/molの範囲の数平均分子量を有する。こうした数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準物質に対して適当に決定することができる。
一実施形態では、リグニン化合物またはその誘導体は、好ましくは、二峰性の分子量分布を有する。ビチューメンの分子量分布に適合するために、本発明に関してこのことは有利である。リグニン化合物またはその誘導体は、例えば、50000〜200000g/mol、好ましくは75000〜125000g/mol、より好ましくは100000〜150000g/molのM(分子量)を有する第1の成分を含むことができる。リグニン化合物またはその誘導体は、1000〜2500g/mol、好ましくは1250〜2250g/mol、より好ましくは1500〜2000g/molのM(分子量)を有する第2の成分を含むことができる。第1の成分は、リグニン化合物またはその誘導体中に、リグニン化合物またはその誘導体の総重量に対して1〜5wt%の量で存在し得る。第2の成分は、リグニン化合物またはその誘導体中に、リグニン化合物またはその誘導体の総重量に対して95〜99wt%の量で存在し得る。本明細書で言及する数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによりポリスチレン標準物質に対して決定する。
リグニン化合物またはその誘導体を疎水性にすることが好ましい。親水性(または疎水性)は、標準的な接触角測定法を用いて評価し得る。リグニンの場合、フーリエ変換赤外KBrペレットプレスを用いて、ペレットを形成し得る。次に水滴をペレット表面上に加え、水滴とリグニンペレットとの間の接触角を、接触角ゴニオメーターを用いて測定する。リグニンの親水性が減少する(リグニンの疎水性が増加する)につれて、接触角は増加する。好ましくは、化学修飾されたリグニン化合物は、110°以上、好ましくは130°以上など120°以上の水による接触角を有する。
リグニン化合物または誘導体は、適当には、2〜8mmol/gの範囲、好ましくは2.5〜7mmol/gの範囲、より好ましくは3〜6mmol/gの範囲のフェノール性ヒドロキシル含量を有する化学修飾されたオルガノソルブリグニン化合物であってもよい。
リグニン化合物または誘導体は、適当には、0.1〜15mmol/gの範囲、好ましくは1〜13mmol/gの範囲、または1.5〜12mmol/gの範囲、または2〜11mmol/gの範囲、または2.5〜10mmol/gの範囲の総ヒドロキシル含量を有する化学修飾されたオルガノソルブリグニン化合物であってもよい。総ヒドロキシル含量は、化学修飾されたリグニン中のヒドロキシル基の量を指し、脂肪族およびフェノール性ヒドロキシル基の量の合計である。ヒドロキシル含量は、定量的高解像度13C−NMR分光法により、例えば1,3,5−トリオキサンおよびテトラメチルシラン(TMS)を内部標準として用いて測定することができる。
本発明に有用な化学修飾されたオルガノソルブリグニン化合物は、
アルカリ性オルガノソルブリグニン化合物をグリシジルエーテル化合物と30〜100℃の温度範囲で反応させるステップであって、前記グリシジルエーテル化合物が250g/mol以下の分子量を有するステップと、
反応混合物を酸で中和するステップと、
化学修飾されたリグニン化合物を分離するステップと、を含む方法によって、調製することができる。
反応温度は適当には、30〜100℃の範囲、好ましくは30〜80℃の範囲、より好ましくは40〜60℃の範囲である。反応は6〜48時間、好ましくは、12〜36時間行ってもよい。
化学修飾オルガノソルブリグニン生成物を分離するために、反応後、反応混合物を適当に冷却し、中和し、遠心分離し、透析し、凍結乾燥する。
本発明の一形態によれば、25℃でビチューメン組成物の重量の10wt%以上のリグニン化合物またはその誘導体が、分子的に溶解している。したがって、このリグニンは微粒子物質として存在するのではなく、ビチューメン組成物中に分子レベルで分散している。好ましくは、重量において25wt%以上、より好ましくは75〜90wt%など50wt%または75wt%の前記リグニン化合物またはその誘導体が前記ビチューメン組成物中に分子的に溶解している。一実施形態では、リグニン化合物またはその誘導体は、ビチューメン組成物中に完全に分子的に溶解している。リグニン化合物またはその誘導体の溶解レベルは、上記のように定めることができる。
本発明の別の形態に関して、25℃での組成物中におけるリグニン化合物またはその誘導体の平均粒子サイズは、偏光顕微鏡により決定して、100μm以下である。リグニンまたはリグニン化合物は組成物中に均一に分散していることが好ましく、リグニン化合物またはその誘導体の一部は分子的に溶解していると、さらにより好ましい。大きなリグニン微粒子が存在しないことを、リグニン化合物またはその誘導体の分散度、および/または、溶解度の尺度として用いることができる。好ましくは、ビチューメン組成物中、25℃でのリグニン化合物またはその誘導体の平均粒子サイズは、100μm以下、より好ましくは、3〜50μm、5〜25μm、または7〜20μmなど80μm以下である。一実施形態では、本発明のビチューメン組成物は、(25℃決定時において)100μm以上の平均粒子径を有する粒子を、ほぼ(好ましくは全く)含まない。
ビチューメンは原油残渣の蒸留によって製造することができる。蒸留プロセスにおいて、残渣の異なる量の軽質成分を除去することによって、異なる等級のビチューメン(すなわち、異なる硬度および軟化点のビチューメン)を製造することができる。軽質成分をより多量に除去するほど、より硬質なビチューメンが製造される。180〜300℃の温度で残渣を通して空気を吹き込むことによって同様の硬質化効果を得ることができる。この方法で製造されたビチューメンは、ブローンまたはエアブローン・ビチューメンと呼ばれる。産業界でよく知られているように、リン酸または塩化第二鉄などの添加物を、ブローンプロセスにおいて任意に用いてもよい。
ビチューメン組成物は、樹脂、オイル、安定剤、静電防止剤、剥離防止剤、融剤、および難燃剤からなる群から選択される1種または複数などの、1つまたは複数の添加物を含むことができる。こうしたおよび他の成分の含量は、ビチューメン組成物の総重量に対して0〜10wt%の範囲であり得る。
ビチューメン組成物は、1種または複数のワックスをも含み得る。適当なワックスは、50〜70℃の凝固点を有するものである。ワックスの凝固点はASTM規格D938によって決定することができる。ワックスの適当な量は、ビチューメン組成物の全重量に対して0.1〜75wt%、好ましくは5〜60wt%である。動物、昆虫、野菜、合成および鉱物ワックスを、好ましい鉱物オイル由来のものと共に用いることができる。鉱物オイルワックスの例としては、ブライトストック・スラックワックス、ミディアム機械油スラックワックス、高融点ワックスおよび多結晶ワックスが含まれる。スラックワックスの場合、オイルの25wt%まで存在し得る。ワックスの凝結点を増加させる添加物も存在し得る。
いかなる追加の充填剤も無い場合、動的剪断レオメーターにより決定される、20℃、10rad/sでのビチューメン組成物の動的粘度(η)は、1.0×10〜5.0×10Pa・sの範囲であることができる。この動的粘度は、一方ではリグニンおよびリグニン含量によって、他方では用いるビチューメンによっても影響される。通常、リグニン含量の増加とともに、および/または、ビチューメンの硬度の増加とともに、動的粘度は増加する。
本発明のビチューメン組成物は、1種または複数の充填剤をさらに含むことができる。充填剤をビチューメン組成物に加えると、得られる組成物は通常マスチックと呼ばれる。適当な充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム、カーボンブラック、フライアッシュ、スレート粉塵、石灰石、ドロマイト、ならびに粘土、雲母、および他のシート状珪酸塩などの珪質充填剤が含まれる。異なる充填剤の混合物を用いてもよい。好ましくは、充填剤として炭酸カルシウムを用いる。充填剤の量は、ビチューメン組成物の総重量に対して、40wt%超、適当には80wt%未満であることができる。好ましくは充填剤の量は50〜75wt%、より好ましくは60〜70wt%である。ビチューメン組成物は、そこに顔料を加えることにより着色してもよい。
所望であれば、ビチューメン組成物は、セルロース、ガラスおよび岩石繊維などの繊維をさらに含んでもよい。典型的には、ビチューメン組成物は、ビチューメン組成物の総重量に対して、25wt%まで繊維を含んでもよい。
一実施形態では、本発明のビチューメン組成物は、
40〜90wt%のビチューメン、ならびに、
10〜60wt%のリグニン化合物またはその誘導体を含み、25℃では、前記リグニン化合物またはその誘導体の10wt%以上が、前記ビチューメン組成物に分子的に溶解しており、かつ/または、組成物中のリグニン化合物またはその誘導体の平均粒子サイズは、偏光顕微鏡により決定して、25℃において100μm以下である。
より好ましくは、本発明のビチューメン組成物は、
50〜80wt%のビチューメン、ならびに、
20〜50wt%のリグニン化合物またはその誘導体を含み、25℃では、前記リグニン化合物またはその誘導体の10wt%以上が、前記ビチューメン組成物に分子的に溶解しており、かつ/または、組成物中のリグニン化合物またはその誘導体の平均粒子サイズが、偏光顕微鏡により決定して、25℃において100μm以下である。
ビチューメンは、mm/10で測定される25℃におけるその針入度(すなわち硬度)(欧州規格EN1427)、および℃でのその軟化点(欧州規格EN1426)によって一般的に特徴付けることができる。より硬いビチューメンであるほど、柔らかいビチューメンよりも小さい針入度を有する。ビチューメンがより硬いほど、軟化点はより高い。
用途によって、本発明のビチューメン組成物は、10〜50mm/10など5〜50mm/10の針入度を有し得る。用いるビチューメンの種類によって、ビチューメン組成物の軟化点は、55〜75℃など50〜75℃であり得る。
用いるビチューメンの種類およびリグニンの含量にもよるが、本発明のビチューメン組成物は、20℃かつ1×10−4rad/sで1×10〜1×10Paの範囲、20℃かつ1rad/sで1×10〜1×10Paの範囲、20℃かつ1×10rad/sで1×10〜1×10Paの範囲の、動的剪断レオメーター:DSR(Dynamic Shear Rheometer)で決定される複素弾性率Gを有することができる。本発明のビチューメン組成物は、20℃かつ1×10−4rad/sで30〜90°の範囲、20℃かつ1rad/sで50〜80°の範囲、20℃かつ1×10rad/sで10〜40°の範囲の動的剪断レオメーターで決定される対応する位相角δを有することができる。
本発明者らは、リグニン化合物またはその誘導体をビチューメン組成物に加えると、ビチューメン組成物の機械的および他の物理的性質を調整することが可能になることを見出した。リグニンがビチューメン組成物の剛性だけを改善できるのではなく、特定の用途における他の性質も調整することができる。特に、リグニンに特定の修飾を導入し、それら修飾の相対量および特質を変えることによりこれをなすことができる。
本発明のビチューメン組成物は、舗装材料および屋根ふき材を含む多くの用途に用いることができる。
舗装材料に対しては、ビチューメン組成物を骨材と混合する。舗装材料用ビチューメン組成物での骨材の種類および量は、変えることができる。典型的には、舗装材料用途に用いるビチューメン組成物と骨材との混合物は、混合物の総重量に対して、0.5〜8wt%、または1〜6wt%など10wt%以下のビチューメン組成物の含量を有する。骨材は、舗装道路材料に構造補強および耐久性を提供する。骨材または充填剤は、舗装道路のグレーディング、強度、靭性および安定性に応じて選択することができる。骨材には、様々な形状およびサイズの様々な材料が含まれる。骨材の例としては、石灰石、花崗岩、砂、砂利、砕石、スラグ、再生アスファルトコンクリートなどが含まれる。骨材の別の例は、鉱物充填剤であり、これは通常は非常に微細で、混合物の密度および強度を改善するために、加熱混合アスファルトなどの舗装材料に加えられる不活性な材料である。鉱物充填剤の例としては、岩粉、スラグ粉、消石灰、水硬性セメント、フライアッシュ、繊維等を含む。舗装材料用途に加えることができる他の一般的な成分は、ガラス、金属または炭素繊維、ならびにセルロース、綿、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、およびポリアミド繊維などの、有機および無機繊維である。
このような舗装材料用のビチューメン組成物を表面に適用すると、本明細書で述べるように、舗装材料は改善された性質を備える結果となる。
したがって、本発明の別の形態は、本発明のビチューメン組成物を含む舗装材料を対象とする。特に、本発明は、全体または一部が本明細書で述べるビチューメン組成物で被覆された表面に関し、前記表面は、好ましくは、道路、駐車場、橋、高速道路、幹線道路、空港の滑走路または同様のローラ仕上げされた面などのローラ仕上げ面であり、舗装道路、歩道、運動場等などの、ビチューメンもしくは舗装材料コーティングを必要とする任意の表面でもある。
本発明のビチューメン組成物は屋根ふき材にも用いられ得る。典型的に、屋根ふき材用途に用いるビチューメン組成物および骨材の混合物は、混合物の総重量に対して、10〜50wt%、または20〜50wt%など、60wt%以下のビチューメン組成物の含量を有する。屋根ふき材に用いる時、通常、ビチューメン組成物は遅延剤、ワックス、剥離防止剤、セルロース、接着促進剤等から選択される1種または複数の添加物を含むことができる。
屋根ふき材用途では、ビチューメン組成物にポリマー改質剤を加えることが一般に知られている。こうしたポリマー改質剤の例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレンブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−ゴム、アタクチックポリプロピレン、官能化ポリオレフィン、反応性エチレンターポリマーが含まれる。
さらに別の形態では、本発明は、本発明のビチューメン組成物を含む屋根ふき材を対象とする。
別の形態では、本発明は、のリグニン化合物またはその誘導体の重量の10wt%以上、好ましくは25wt%以上をビチューメン組成物に溶解させることを含む、ビチューメン組成物を調製する方法を対象とする。好ましくは、ビチューメン組成物は本明細書で定義されるビチューメン組成物である。リグニン化合物またはその誘導体は、任意の従来の方法によりビチューメンに配合することができる。リグニンまたはその誘導体の所望の量を速く溶解させるために、いくらかの撹拌を行うことが好ましい。プロペラ混合機または高剪断混合機を用いるなどして混合することによって、これを達成することができる。こうした混合機は、ビチューメンの種類および用途の種類に応じて、300〜6000rpmなど、典型的には200〜8000rpmにて操作することができる。
通常は、混合中に、130℃以上、または140℃以上など、120℃以上の温度にビチューメンを加熱する。ビチューメンは、ビチューメンの種類に応じて、例えば140〜200℃の範囲の温度に加熱することができる。混合は10〜30分など、約5〜60分続け得る。
好ましくは、リグニンを、ふるいを用いて少量の回分にて非常にゆっくりと予備加熱ビチューメンに対して加え、前回の回分が消費された時のみ新しいリグニンの回分を加える。全リグニンを加えた後、高温で混合しながら、混合物を約10〜30分適当に均質化する。
舗装材料用途のためのビチューメン組成物を調製する例示的な方法では、約170℃に加熱したビチューメン(70/100)を用いることができ、または約160℃に加熱したビチューメン(160/220)を用いることができる。加熱プレートにより加熱することができ、ビチューメンを、プロペラ混合機を用いて毎分500回転で約15分間混合する。次に、プロペラ混合機により毎分約500回転で混合させながら、リグニンをビチューメンに(例えばふるいにより)ゆっくりと加えることができる。全てのリグニンを加えた後、ビチューメン組成物を毎分約500回転で約30分間混合することにより、均質化させることができる。
屋根ふき材用途のためのビチューメン組成物を調製する例示的な方法では、約180℃に加熱したビチューメン(160/220)を用いることができる。加熱プレートにより加熱することができ、ビチューメンは高剪断混合機を用いて毎分5000回転まで、約15分間混合する。次に、毎分約5000回転で混合しながら、スチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーをゆっくりとビチューメンに加える。全てのスチレン−ブタジエン−スチレンコポリマーを加えた後、毎分約5000回転で混合しながら、リグニンをビチューメンに(例えばふるいにより)ゆっくりと加えることができる。その後、ビチューメン組成物を毎分約5000回転で約1時間混合することにより、均質化させることができる。
さらに別の形態では、本発明はビチューメン組成物の剛性を増加させる方法であって、リグニン化合物またはその誘導体を前記ビチューメン組成物に分子的に溶解させることを含む方法を対象とする。
リグニン化合物またはその誘導体をビチューメン組成物に分子的に溶解させることにより、組成物の剛性が改善されることを、本発明者らは意外にも見出した。この方法は、ビチューメン組成物を調製する方法に対して上で述べたように行うことができる。
さらに別の形態では、本発明はビチューメン組成物の物理的性質を調節する方法であって、ビチューメン組成物にリグニン化合物またはその誘導体を加えることを含み、前記リグニン化合物またはその誘導体は場合により化学修飾される方法を対象とする。好ましくは、この方法はビチューメン組成物に関し、前記リグニン化合物またはその誘導体の重量で10wt%以上がビチューメン組成物に分子的に溶解している。実施例で示すように、リグニン化合物またはその誘導体をビチューメン組成物に加えることにより、(剛性および/または複素弾性率Gなどの)物理的性質を変えることができる。リグニン化合物またはその誘導体を化学修飾することにより、それぞれの物理的性質を特定の用途への要求に調整することができる。
さらに別の形態では、本発明は、本明細書で記載のビチューメン組成物の、舗装材料および屋根ふき材の剛性向上剤としての使用を対象とする。
明瞭さ、および簡潔な記載を目的として、同じまたは別の実施形態の一部として本明細書にその特長を記載しているが、記載された特長の全てまたはいくつかの組合せを有する実施形態を、本発明の範囲が含み得ることが理解されるであろう。
以下の例によって、本発明は、ここでさらに明らかにされ、どんな方法であれ本発明を限定する意味ではないであろう。
<合成例1>
100グラムのオルガノソルブリグニンを、1Lの0.1M水酸化ナトリウム水溶液に50℃で加え、続いて26mLのエチルヘキシルグリシジルエーテルを加えた。24時間後、混合物を冷却し、中和し、遠心分離し、透析し、凍結乾燥し、その後生成物を分離し、次に行う実験に用いた。収量は120グラムであった。
<合成例2>
100グラムのオルガノソルブリグニンを、1Lの0.1M水酸化ナトリウム水溶液に50℃で加え、続いて15mLのアリルグリシジルエーテルを加えた。24時間後、混合物を冷却し、中和し、遠心分離し、透析し、凍結乾燥し、その後生成物を分離し、次に行う実験に用いた。収量は65グラムであった。
<合成例3>
100グラムのオルガノソルブリグニンを、1Lの0.1M水酸化ナトリウム水溶液に50℃で加え、続いて17mLの1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパンエーテルを加えた。24時間後、混合物を冷却し、中和し、遠心分離し、透析し、凍結乾燥し、その後生成物を分離し、その後の実験に用いた。収量は85グラムであった。
<合成例4>
100グラムのオルガノソルブリグニンを、1Lの0.1M水酸化ナトリウム溶液に50℃で加え、続いて26mLのエチルヘキシルグリシジルエーテルを加えた。24時間後、混合物を冷却し、遠心分離し、透析し、凍結乾燥し、その後生成物を分離し、次に行う実験に用いた。収量は52グラムであった。
<合成例5>
100グラムのオルガノソルブリグニンを、1Lの0.1M水酸化ナトリウム溶液に50℃で加えた。続いて10グラムの水酸化ホウ素ナトリウムを加えた。24時間後、混合物を冷却し、遠心分離し、透析し、凍結乾燥し、その後生成物を分離し、次に行う実験に用いた。収量は45グラムであった。
<比較合成例>
1Lの0.1M水酸化ナトリウム溶液に50℃で、26mLのエチルヘキシルグリシジルエーテルを加えた。24時間後、混合物を冷却し、遠心分離し、透析し、凍結乾燥し、まさに初期リグニン含有生成物として分離した。その結果、高分子生成物は存在しなかった。収量は20ミリグラムであった。
<例1>
ビチューメン(70/100)を約170℃に加熱した。加熱プレートにより加熱し、プロペラ混合機を用いて約15分間毎分500回転にてビチューメンを混合した。プロペラ混合機で毎分約1000回転で混合しながら、リグニン(10wt%)をビチューメンに(ふるいにより)ゆっくり(少量の回分にて)加えた。全てのリグニンを加えた後、ビチューメン組成物を170℃で約15分間毎分約1000回転で混合して均質化した。
混合直後および混合の15分後のビチューメン組成物中の平均粒子径を、偏光顕微鏡を用いて決定した。比較の結果、混合15分後本質的に全ての粒子が消失したことを示し、これにより、混合15分後のビチューメン組成物中の平均粒子径は、成分同士を混合した直後のビチューメン組成物中の平均粒子径のほぼ25%未満であることを示した。
<例2>
ビチューメン(160/220)を約160℃に加熱した。加熱プレートにより加熱し、プロペラ混合機を用いてビチューメンを約15分間、毎分500回転にて混合した。プロペラ混合機で毎分約1000回転で混合しながら、リグニン(10wt%)をビチューメンに(ふるいにより)ゆっくり(少量の回分にて)加えた。全てのリグニンを加えた後、ビチューメン組成物を160℃、約15分間、毎分約1000回転で混合して均質化した。
再度、混合直後および混合15分後のビチューメン組成物中の平均粒子径を、偏光顕微鏡を用いて決定した。比較の結果、混合15分後、ほぼ全ての粒子が消失したことを示し、これにより、混合15分後のビチューメン組成物中の平均粒子径は、成分同士を混合した直後のビチューメン組成物中の平均粒子径のほぼ25%未満であることを示した。
図1は、3つの異なるビチューメン組成物(1つはリグニンの無い従来のビチューメン組成物、1つは天然リグニンを25wt%含有するビチューメン組成物、1つは合成例1で調製した脂肪族エポキシ含有反応物で修飾したリグニンを25wt%含有するビチューメン組成物、および1つは合成例3で調製した芳香族エポキシ含有反応物で修飾したリグニンを25wt%含有するビチューメン組成物)の複素弾性率を示す。この図により、ビチューメン組成物中へのリグニンの含有が、ビチューメン組成物の性質に確かに影響するが、あまり大幅ではないことが示される。リグニンの修飾により、ビチューメンの複素弾性的性質をさらに調整することができる。
Rheometrics RAA アスファルトアナライザー−動的剪断レオメーター(DSR:Dynamic Shear Rheometer)を用いて、動的剪断試験を実施した。粘弾性的性質、すなわち、材料の温度および負荷(loading)時間への応答または依存性を決定するために、DSR試験を基本的に実施した。この関連で、異なる温度および負荷周波数における、複素弾性率および位相角をそれぞれ決定した。
試料を2つの環状平行板の間に配置した。上部板は固定し、一方下部は試験中に剪断ひずみをかけながら変動した。試験は、温度制御された小型炉(チャンバー)にて行った。試料の温度は空気で制御し、20℃超の温度には試料を温風によって加熱し、20℃未満の温度には冷風を用いた。温度を安定させるのに十分な時間(通常10分)を与えれば、温度制御は±0.1℃の精度を有する。試料の温度は板で測定した。制御機構およびデータの取得はDSR装置に接続されたコンピュータにより行った。
DSR試験において、瀝青材料を異なる負荷周波数(周波数掃引)における、定ひずみ正弦波負荷にかけた。周波数掃引試験を、−10℃〜60℃の範囲の8つの異なる温度において実施した。0.1〜400rad/sの範囲の周波数において、各試験を行った。材料の応答が線形領域にとどまるひずみレベルを決定するために、周波数掃引試験(定ひずみ、周波数変化)を実施する前に、ひずみ掃引試験(定周波数、ひずみ変化)を行った。直径8mmおよび25mmを備えた2つの平行板の幾何学的形状を用いた。表1にDSRで用いた試験条件を提示する。
マスター曲線を用いると、粘弾性的材料のレオロジー的性質をよりよく理解しかつ解析をすることができる。マスター曲線により、広範囲の温度および周波数での性質の推定が可能になる。複素弾性率のマスター曲線および位相角のマスター曲線を作成した。基準温度20℃での複素弾性率および位相角のマスター曲線を作るために、時間−温度換算則(TTS:Time−Temperature Superposition)を用いた。こうしたマスター曲線を図1および図2に示す。
基準温度20℃での複素弾性率のマスター曲線 基準温度20℃での位相角のマスター曲線

Claims (24)

  1. リグニン化合物またはその誘導体を含むビチューメン組成物であって、
    前記リグニン化合物またはその誘導体の10wt%以上が、前記ビチューメン組成物中に分子的に溶解していることを特徴とするビチューメン組成物。
  2. ビチューメン組成物の重量の10wt%以上の前記リグニン化合物またはその誘導体が含まれていることを特徴とする請求項1に記載のビチューメン組成物。
  3. ビチューメン組成物の重量の20wt%以上の前記リグニン化合物またはその誘導体が含まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のビチューメン組成物。
  4. ビチューメン組成物の重量の25〜50wt%の前記リグニン化合物またはその誘導体が含まれていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  5. 前記リグニン化合物またはその誘導体は、硫黄をほぼ含まないものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  6. 前記リグニン化合物またはその誘導体は、硫黄を全く含まないものであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  7. 前記リグニン化合物またはその誘導体は、化学修飾されたリグニンであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  8. 前記化学修飾されたリグニンは、無水物、エポキシ含有反応物、およびハロゲン化物含有化合物から選択される1つまたは複数のもので化学修飾されることを特徴とする請求項7に記載のビチューメン組成物。
  9. 化学修飾されたリグニン化合物は、
    下記式(II)で表される1つまたは複数の単位を含み、
    式(II)において、Rはリグニン残基を示し、
    R’は、C1〜20アルキル、C2〜20アルケニル、(C1〜20アルキル)−フェニル、(C2〜20アルケニル)−フェニル、C1〜20アルコキシ、(C1〜20アルコキシ)−フェニル、C3〜6シクロアルキル、アリール−(C1〜6アルキル)、アリール−(C2〜6アルケニル)、および(C1〜4アルキル)−アリール−(C1〜4アルキル)から選択され、
    はOHまたはHであり、
    はOHまたはHであり、かつXはXとは異なることを特徴とする請求項7または8に記載のビチューメン組成物。
  10. 前記リグニン化合物またはその誘導体は、二峰性の分子量分布を有することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  11. リグニン化合物またはその誘導体は、リグニン化合物またはその誘導体の総重量に対して1〜5wt%である100000〜150000g/molのM(分子量)を有する第1の成分、および、リグニン化合物またはその誘導体の総重量に対して95〜99wt%である1500〜2000g/molのM(分子量)を有する第2の成分を含むことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  12. 前記リグニン化合物またはその誘導体のうちの25wt%以上が、前記ビチューメン組成物中に分子的に溶解していることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  13. 前記リグニン化合物またはその誘導体のうちの50wt%以上が、前記ビチューメン組成物中に分子的に溶解していることを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  14. 前記リグニン化合物またはその誘導体のうちの75wt%以上が、前記ビチューメン組成物中に分子的に溶解していることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  15. 20℃かつ10rad/sにおいて、動的剪断レオメーターによって決定される1.0×10〜5.0×10の範囲の動的粘度(η)を有することを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  16. 20℃かつ1×10−4rad/sにおいて1×10〜1×10Paの範囲、20℃かつ1rad/sにおいて1×10〜1×10Paの範囲、および20℃かつ1×10rad/sにおいて1×10〜1×10Paの範囲の、複素弾性率Gと、20℃かつ1×10−4rad/sにおいて30〜90°の範囲、20℃かつ1rad/sにおいて50〜80°の範囲、および20℃かつ1×10rad/sにおいて10〜40°の範囲の、それぞれが動的剪断レオメーターによって決定される対応する位相角δとを有する、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  17. 充填剤、砂、およびがれきからなる群から選択される1つまたは複数のものをさらに含むことを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載のビチューメン組成物。
  18. 請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載のビチューメン組成物を含むことを特徴とする舗装材料。
  19. 請求項1〜請求項18のいずれか一項に記載のビチューメン組成物を含むことを特徴とする屋根ふき材。
  20. リグニン化合物またはその誘導体のうちの10wt%以上を、ビチューメン組成物中に分子的に溶解させることを特徴とするビチューメン組成物を調製する方法。
  21. 前記リグニン化合物またはその誘導体は、請求項5〜請求項11のいずれか一項に記載のリグニン化合物またはその誘導体であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
  22. ビチューメン組成物の剛性を増加させる方法であって、リグニン化合物またはその誘導体を前記ビチューメン組成物に分子的に溶解させることを含む方法。
  23. ビチューメン組成物の物理的性質を調節する方法であって、ビチューメン組成物にリグニン化合物またはその誘導体を加えることを含み、前記リグニン化合物またはその誘導体が、随時、化学修飾される方法。
  24. 請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載のビチューメン組成物の、舗装材料または屋根ふき材の剛性向上剤としての使用。
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