JP2017508686A - 糸継ぎ機及び糸を継ぐための方法 - Google Patents

糸継ぎ機及び糸を継ぐための方法 Download PDF

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Abstract

その側面に開口を有する、継がれるべき糸を受け取るための糸継ぎチャンバ(2)、糸継ぎチャンバ(2)の開口を選択的に封止するためのチャンバパッド(3)及びバルブ(9)を備える、糸継ぎ機(1)が開示される。バルブ(9)はそれを貫通する無障害流体通路を有し、バルブ(9)はチャンバ(2)から延び、通路に沿う流体の流れを阻止する第1の構成と通路に沿って流体を流す第2の構成の間で切換え可能である。

Description

本発明は、特にカーボンファイバのための、糸継ぎ機及び糸を継ぐための方法に関する。
ニューマチックスプライシング(圧気糸継ぎ)は個々別々の糸の2つの部分を結合するために用いられる周知の手法であり、伝統的な結び目の代わりに用いられ得る。撚り糸の端部がチャンバに挿入されて重ね合わされ、衝風がチャンバに導入されて繊維を絡み合わせる。圧気糸継ぎは、比較的短い糸継ぎ時間で、及び広い範囲の撚り糸タイプに、実施することができる。
圧気糸継ぎは、糸、例えば合繊糸を収めているボビンに糸がなくなり/出きり、ボビン交換が必要になった場合に発生する装置のダウンタイムを最小限に抑えることが望ましい、織物工業において特に用いられる。したがって、糸継ぎの使用は、最終的には製造されるべき生地の生産高を最大にするように糸のスループットを高めることにより、生地の製造プロセスの効率及び収益性を向上させる。
糸継ぎ機は、i)衝風ポートを有する糸継ぎチャンバ、ii)チャンバを閉鎖及び封止するための閉鎖部材及びiii)普通には、生地製造コンポーネントに用いられ得る端正な継ぎ目を提供するために2本の糸の不要な乱雑な末端を切り落とすための手段を含む、3つの主要素を有する。これらの要素は、継がれるべき糸のチャンバへの挿入を可能にする。チャンバは引き続いて、圧縮空気がチャンバに導入される前に、閉鎖部材によって順次に閉鎖及び封止される。カッターが取り付けられた糸継ぎ機においては、継がれるべき糸の特性に依存して、圧縮空気がチャンバに導入される前、導入中または導入後に、不要な糸の切り落としが行われ得る。
強固な継ぎ目を提供するためには、継がれるべき糸が圧縮空気印加時にチャンバから脱け出てはならないから、閉鎖部材とチャンバの端の間の良好な封止が肝要である。これは、閉じられたチャンバの内部表面の形状が継ぎ目の品質及び形状に影響を与えることからも、重要である。
市販の糸継ぎ機では、糸継ぎチャンバと閉鎖部材、例えば閉じパッドの間の物理的関係が、適切な閉鎖動作が達成され、封止が得られることを保証するために極めて重要である。例えば、図1に既知の糸継ぎ機1が示される。糸継ぎ機1のチャンバ2の縦軸は実質的に垂直であり、閉じパッド3はその開位置において縦軸に対して45°の角度にある。パッド3が開位置にあるとき、継がれるべき糸をチャンバのチャネル4に挿入することができる。次いで、チャンバ2の入口を封止するため、閉じパッド3を閉位置に移動させなければならない。この構成には、パッド3がチャンバ2を十分に封止することを保証するため、複雑な機械的リンク機構5の実装が必要である。そのような構成では、機械的リンク機構5に重大な改変がなされていない限り、パッド3とチャンバ2の壁の間の封止特性に有害な影響を与えないでチャンバ2の奥行きを変えることはできない。
糸継ぎ機には3つの空気供給源を備えることが普通である。第1の空気供給源は閉鎖部材を作動させ、閉鎖部材が糸継ぎチャンバに接触するまで空気が閉鎖部材を移動させる。第2の空気供給源は糸継ぎチャンバに入れられた糸の糸継ぎを行わせるために糸継ぎチャンバ自体に空気を送り込み、第3の空気供給源は切断手段を駆動する。3つの空気供給源は技術的障害がおこり易くなり得る複雑な作動構成を与える。
織物工業において圧気糸継ぎは一般的であるが、決して万能ではなく、長年にわたり技術的問題を抱えている生地がいくつかある。この手法はいくつかの分野ではしっかり確立されているとはいえ、他の分野では僅かしかまたは全く進出が見られていない。いくつかの問題領域には、単繊維の糸、繊維本数の少ない糸及び粗撚りの糸、高撚りレベルの糸、人工芝及び(ガラス及び炭素のような)脆い繊維の糸がある。脆い繊維の糸を継ぐための現行の糸継ぎ手法の使用にともなう主な問題は、継ぎ目の形成に用いられる空気圧の適切性から生じる。例えば、空気圧が低すぎると、繊維の混じり合いが、必要な継ぎ目強度、したがって継ぎ目品質を得るには、不十分である。しかし、圧力が高すぎると、継がれるべき糸が破壊され、やはり弱い継ぎ目が得られるか、または全く継ぎ目が得られないであろう。カーボンファイバのような脆い繊維の糸は特にそのような損傷を受け易い。
本発明は、異なる太さ及び材料の糸に対するより高い汎用性を提供し、同時に継ぎ目を形成するために衝風が実施されるときに所望の封止効果を維持する、簡易化された糸継ぎ機を提供する必要があるという認識から得られる。糸継ぎ機は作業者にとって人間工学的に使い易くもなければならず、損傷に対して強靱でなければならない。
本発明にしたがえば、
その側面に開口を有する、継がれるべき糸を受け取るための糸継ぎチャンバ、
糸継ぎチャンバの開口を選択的に封止するためのチャンバパッド、及び
それを貫通する無障害流体通路を有するバルブであって、チャンバから延び、通路に沿う流体の流れを阻止する第1の構成と通路に沿って流体を流す第2の構成の間で切換え可能であるバルブ、
を備える糸継ぎ機が提供される。この構成により、チャンバ内に衝風を提供するための簡略化されたシステムが提供される。簡略化されたシステムは、長大な機械部品の使用が最小限に抑えられるから、作製費用も低く、ユーザにとって軽量でもある。空気流は無障害空気流であり、これは、空気抵抗が低く、衝風が確実に与えられ得ることを意味する。
衝風を与えるため、通路は空気供給源から糸継ぎチャンバの内室まで延びることが好ましい。
通路はバルブの縦軸に沿って延びることが望ましい。したがって、通路はバルブの中空性を利用し、別に空気流通路及びバルブ制御システムを設ける必要を排除する。
バルブは可動であることが有益である。この動きがバルブの状態間を切り換える。
通路はバルブ流入口から、バルブの縦軸に沿ってバルブ流入口から隔てられた、バルブ流出口まで延びることが好ましい。流入口と流出口の配置により、空気がバルブの内部空間内を−無障害態様で−流れ得ることが保証される。図1の従来技術では、空気はピストンの周りを流れなければならず、これは明らかに望ましくない。
チャンバは可動であることがさらに好ましい。したがって、チャンバは従来技術で既知であるような不動ではなく、チャンバの動きがバルブの閉状態から開状態への切換をおこさせる。これは、パッドがチャンバと接触して、最適な糸継ぎ性能を与えるようにチャンバが封止されることが保証されるまで衝風が生じないことも保証する。
チャンバとバルブは一体ユニットであることが望ましい。これは、チャンバの動きが、閉状態から開状態へのバルブの切換を可能にする、バルブの動きをおこさせることを保証する
バルブはチャンバ開口に対向するチャンバの側面から延びることが好ましい。これは、与えられた糸継ぎチャンバに対して衝風を最適化するようにバルブの空気流出口が配されることを保証する。
チャンバとパッドの間の相対運動は直線的であることが望ましい。これによって、より一般的なパッドの弧状運動のために用いられる長大な機械装置を備える必要がなくなる。
パッドは2つの独立な動き、第1は第1の軸を中心にする旋回運動、第2は第1の軸からオフセットされた第2の軸を中心にする旋回運動、を有することが有益である。これは、最適な封止効果が達成され、以降の糸継ぎ機の使用時に最適な封止効果が維持されることが保証されるようにパッドとチャンバの側壁の清掃を可能にすることを保証する。
パッドは糸継ぎチャンバの側面開口を封じるように配置できることが好ましい。これは、チャンバ内の空気流及び糸継ぎの物理過程を物理的に最適化することにより、衝風が所望の継ぎ目品質を与えることを保証する。
バルブは、バルブの開状態及び閉状態を実施するため、第1の構成から第2の構成に及びこの逆に滑動可能であることが望ましい。
チャンバは固定パッドに対して可動であることが有益である。チャンバは必ずバルブの切換を可能にするように動かされるが、パッドは不動位置に固定され得るであろう。あるいは、パッドがチャンバブロックに接触する前に、チャンバブロックが静止したままでパッドが動いている。
主バルブ本体内での空気供給源に対するチャンバの動きが主バルブ本体内での空気供給源に対するバルブの対応する動きを生じさせることが好ましい。これにより、バルブの開状態の実現が可能になる。
チャンバの第1の外側縁に隣接して少なくとも1つのカッターが配置され、第1の側縁に対向するチャンバの第2の外側縁に隣接して少なくとも1つのカッターが配置されることが好ましい。これはブレードとすることができ、ユーザは、継ぎ目の望ましくない端を切り落とすため、その端をブレードと接触させることができる。
横並びの少なくとも2つの継ぎ目を与えるため、横並びで配された少なくとも第1及び第2の糸継ぎチャンバが備えられていることが望ましい。これにより、ハイカウント糸に必要とされる、横並びの複数の継ぎ目を1台の糸継ぎ機で与えることが可能になる。
本発明の別の実施形態においては、横並びの少なくとも2つの継ぎ目を与えるための、少なくとも2台の上述した糸継ぎ機が横並びに配されている糸継ぎ機アセンブリが提供される。少なくとも2台の糸継ぎ機は隔てられていることが好ましい。
少なくとも1つのカッターが糸継ぎ機アセンブリのそれぞれの遠端に配置されることが有益である。これは、複数の継ぎ目の端の乱雑な末端だけが除去されることを保証する。
本発明の別の態様においては、それを貫通する無障害通路を有し、チャンバから延びるバルブを備える糸継ぎ機であって、開口を介して継がれるべき糸をチャンバ内に挿入する工程、チャンバの開口を封止するようにチャンバパッドとチャンバ側面の間でチャンバパッドをチャンバ側面と接触させる工程、通路に沿う流体の通過が阻止される第1の構成からチャンバの内室に流体を供給するように通路に沿って流体を流す第2の構成にバルブの設定を切り換える工程を有してなる、糸継ぎ機が提供される。
バルブは、主バルブブロック内に配された空気ポートに対してバルブを滑動させることによって第1の状態と第2の状態の間で設定が切り換えられることが好ましい。
チャンバは、チャンバが連結されるバルブに対して直線運動を行うように、直線的に動かされることが望ましい。
方法は主バルブブロックに対するチャンバの運動時にチャンバに空気を進入させる工程を含むことが有益である。
本発明を上に開示したが、本発明は、上に、あるいは以下の説明、図面または特許請求の範囲に、述べられる特徴のいかなる新規な組合せにも及ぶ。
次に、単に例として、添付図面を参照して本発明を説明する。
図1は技術上既知のチャネル及びパッドの配置である。 図2は本発明の第1の実施形態の断面図である。 図3は本発明の第2の実施形態の断面図である。 図4は主バルブブロック及びバルブの分解組立図を示す。 図5は第1の実施形態における本発明の略図である。 図6は第2の実施形態における本発明の略図である。 図7は3継ぎ目配置を有する糸の斜視図である。 図8は図7の3継ぎ目配置を形成するために用いられるときの糸継ぎ機の斜視図である。
初めに図2を参照すれば、継がれるべき糸をチャンバ2内に、またはその中の糸継ぎ溝内に、受け取るための糸継ぎチャンバブロック2aを備える糸継ぎ機1が示されている。糸継ぎチャンバ2はチャンバブロック2aの一側縁に配された、通常の仕方でチャンバ2内への糸の挿入を可能にする、差込チャネル4を有する。チャンバ2の2つの対向する端部6a、6bはチャンバ2のいずれの側面にも糸が伸びることができるように開いている。チャンバパッド3は、糸が入っている糸継ぎチャンバ2を封止するように、糸継ぎチャンバブロック2aのチャネル4への入口または開口を選択的に封止する。
チャンバパッド3はユーザによるチャンバ2内の糸の配置を可能にするための第1の開位置と、チャンバブロック2aを封止するためにパッド3がチャンバブロック2aと接触する、第2の閉位置の間を移動する。トリガ7の末端近くに取り付けられたパッド3は複雑な弧状運動を有する。トリガ7の回転中心は、糸継ぎ機1が作動されるときに、パッド3が初めは比較的大きな半径の弧を描くように、パッド3からいくらかの距離にある。パッド3は、パッド3が第2の小半径弧状運動を有するように、トリガ7に固定された鋼鉄ピン8を中心する自由回転もできる。パッド3がチャンバブロック2aに達すると、パッドはその小半径で若干回転することができ、よってチャンバブロック2aの表面と位置が合うことができる。パッド3のこの2つの独立した運動は、パッド3とチャンバブロック2aの間に十分な封止を形成し、パッド3がチャンバブロック2aを所望の方向に押すに十分に位置を合わせる。この構成には、従来の弧状動作できるパッドに用いられる機構ほどの長大な機構は必要ではない。
パッド3の動きは機械式トリガ7によっておこされる。これは、パッド3に空気を供給するために与えられる専用の穴あけの必要を排除する。トリガアーム?a及び閉封パッド3の弧状運動とチャンバの直線運動の組合せの結果、チャンバブロック2aの表面に対する閉じパッド3の適度なブラッシングが得られる。糸継ぎ機1の使用毎におこる、この清拭動作は、パッド3及びチャンバブロック2aの表面を掃除し、閉状態にあるときの良好なエアシールを維持する効果を有する。
あるいは、図3に示されるように、パッド3は固定されたままとすることができ、トリガ7がチャネルブロック2a自体を動かすことができる。この構成においては、ユーザによるチャンバ2内の糸の配置を可能にする第1の開位置が与えられ、主チャンバブロック2aが静置パッド3と接触し、よってチャンバ2の入口を封止する第2の閉位置が与えられるように、チャンバ2が主バルブブロック11とともに直線運動する。水平に取り付けられたチャンバ2及び主バルブブロック11は続いて、閉位置と、継ぎ目が形成された後の開位置の間で動かすことができる。パッド3とチャンバブロック2aの間の相対直線運動には、弧状運動できるパッドに用いられる機構ほどの長大な機構は必要ではない。パッド3とチャンバブロック2aの相対直線運動は、パッド3が閉位置にあるときにそれらの間に必要な封止を維持しながら、チャンバ2をどのような奥行きに構成することも可能にする。したがって、この構成はパッドとトリガの機構を改変する必要なしにチャンバ2を深くすることでさらに太い撚り糸を容易に受け入れることができる。ハンドル12及び主バルブブロック11に対するチャンバブロック2aの位置は、糸継ぎ機1の重量またはバランスに有害な効果を与えずに、チャンバサイズを大きくできることも保証する(重心は最終的に糸継ぎ機の重心によって決定される)。これは糸継ぎ機1の、大きさに関わらない、容易な動作を保証する。したがって、糸継ぎ機1は極めて汎用性が高く、取扱いが簡単である。
トリガ7は右手及び左手での操作に適し、他のいくつかの既知の作動手段に比較して、RSI及び作業者の疲労を軽減する。
細長バルブ9がチャンバ2の側面、例えばチャネル4の入口または開口に対向するチャンバ2の側面から延びるが、バルブ9は代わりにその側壁から延びることができる。バルブ9はチューブ様であり、チャンバ2への空気の進入を阻止する第1の構成とバルブ9の内室を介してチャンバ2に空気を進入させる第2の構成の間で切換え可能である。すなわち、バルブ9はスプールバルブである。圧縮空気の衝風は、バルブ9の側壁にドリルで開けられたかまたは別の手段で形成された穴であるバルブ流入口13から、バルブ9の縦軸に沿ってバルブ流入口13から隔てられた、バルブ流出口14に送られる。バルブ流出口14はバルブ9の断面端に配される。したがって、バルブはそれを貫通する無障害流体通路を有し、バルブはチャンバから延び、通路に沿う流体の流れを阻止する第1の構成と通路に沿って流体を流す第2の構成の間で切換え可能である。
直行流体通路は、圧縮空気がチャンバ2に流入できるように、バルブ9の内室に沿って通る。バルブ9は円筒形であるが、望ましければ、正方形または他の形状の断面を有する細長中空部材で形成することができる。
バルブ9は、バルブ9の閉状態及び開状態をそれぞれ可能にするため、第1の構成から第2の構成にまたこの逆に滑動可能である。
チャンバ2に送り込まれた圧縮空気は激しい乱流になっており、激烈な小規模擾乱が糸継ぎチャンバ内の糸の構成を徹底的に撹乱する。バルブの流出口にたまたまかかっていたそのような糸は直接衝風によって分離される。チャンバのどこか他にあった糸は入口点の下降渦流パターンにさらされ、これにより、ねじれ及び混じり合いが生じる。最終的に、繊条間摩擦を生じさせる、糸の混じり合いが、結果として強い結合をつくる。
図4は送気チューブ15の一部及びバルブ9の一端を囲むように構成された主バルブブロック11を示す。バルブ9が開状態にあるときに送気チューブ15とバルブ9の間で空気を流通させるため、空気ポート16が主バルブブロック11に設けられる。空気ポート16はバルブ9が閉状態にあるときには遮断され、閉状態はバルブ9の偏位状態である。主バルブブロック11内にバルブ9を囲むために、Oリング17、スペーサ18及び孔開きシェルのアセンブリが用いられ、偏位閉状態にバルブ9を維持するため、弾性部材20、例えばバネが用いられる。糸継ぎチャンバブロック2a及びバルブ9が主バルブブロック11に向けて動かされるとバネ20が押し縮められ、バルブ9があらかじめ定められた位置に達して、Oリング17、スペーサ18及び孔開きシェル19からなる系の幾何形状が空気にバルブ流入口13を通過させる。送気チューブ15の他の部分は糸継ぎ機1のハンドル12を通って延び、ハンドル12の遠端において、圧縮空気供給源(図示せず)への接続に適するコネクタ21で終端する。したがって、送気チューブ15は、バルブ9が開状態にあるとき、空気ポート16,バルブ流入口13及びバルブ流出口14を介してチャンバ2に衝風を供給する。糸継ぎ動作をおこさせるため、トリガ7が用いられる。ハンドル12及びトリガ7のいずれもユーザのために人間工学的に構成されている。バルブ9は主バルブブロック11に自由に取り付けられるように構成される。これにより、望ましければチャンバ2の回転が可能になる(これは作業者が右利きであるかまたは左利きであるかにしたがうに適している)。
チャンバブロック2a及びバルブ9は、主バルブブロック11に対するチャンバブロック2aの動きが第1の方向での主バルブブロック11に対するバルブ9の対応する動きを生じさせて、バルブ9を閉状態から開状態に切り換え、その後の第1の方向とは逆向きの第2の方向での主バルブブロック11に対するバルブ9の動きが閉状態を回復させることが必要とされるように、一体ユニットである。開状態はバルブ流入口13の、圧縮空気がそこから脱け出す、主バルブブロック11に配された対応する空気ポート16との位置合わせによって達成することができる。この構成のため、チャンバブロック2aは、それを通る空気の通過が阻止される閉状態から、チャンバ2に入れられた糸の混じり合いをおこさせるように、バルブ流入口13からバルブ流出口14に、したがってチャンバ2内に圧縮空気を通過させる開状態へのバルブ9の作動を可能にするために、可動であることが必要である。
カッター素子(図示せず)、例えばブレードが、チャンバブロック2aの一外側縁6aに隣接して配され、少なくとも1つのカッター(図示せず)が、第1の側縁6aに対向する、チャンバブロック2aの第2の側縁6bに隣接して配される。これにより、糸継ぎ機1からの継ぎ目の取り出しに先立つ、糸の不用な末端の切取りが可能になる。これは可能な限り最も端正な継ぎ目を提供し、よって多くの異なる工業用途における、例えば、織物工業における撚り糸、またはカーペット糸での、使用に適する滑らかな継ぎ目を形成する。糸継ぎ機1の別の形態においては、一体型カッターを全く用いずに糸継ぎ機を動作させることができる。この構成において、トリミングは糸継ぎ後に、ハサミのような、適する道具を用いて実施される。この方法は特に、継がれるべき撚り糸が非常に太いかまたは非常に強靱である場合に用いられ、そのような状況において一体型ナイフは信頼できないことが判明し得る。衝風と切取りの相対タイミングを変え得ることは明らかであり、先カット、標準カットまたは後カットを必要に応じて適用することができる。
糸継ぎ機1の簡単な構成は、ネジではなく、最も単純な締結具、例えばピンを利用することができ、同様の機能的能力を持つ糸継ぎ機に比較して、より軽量で、作製コストが低い、糸継ぎ機が提供されることを保証する。
糸継ぎ機の機構は交換可能なハウジング22内に保護される。したがって、糸継ぎ機1が打撃またはその他の過大な外力を受けた場合、糸継ぎ機1の内部は、損傷を受けると交換することができる、外側のハウジング22によって遮蔽される。ハウジング22はプラスチック材料でつくられるが、代わりに、別の低コストで作製することができる衝撃吸収材料を、その中に収められた糸継ぎユニットを保護するために、実装することができる。ハウジングは簡単なスナップ嵌め構造を有する2つの部品で形成され、固定手段、例えばネジによって確実に結合される。ハウジング22は、使用していないときの糸継ぎ機1の別途保管を可能にするためのフックまたはそのための保管受け手段への糸継ぎ機1の確保を可能にするため、取付け手段(図示せず)を有する。あるいは、糸継ぎ機1は、より大型の固定糸継ぎ装置の提供を可能にする固定手段(図示せず)によってリグに固定することができるであろう。
使用において、図5に示されるように、トリガ7が押し込まれ、パッド3が自動的に位置合わせされて、開口を有するチャンバブロック2aの外側端6aに当たるまで、カム(図示せず)に閉じパッド3の動きを与えさせる。次いで、チャンバブロック2aは閉じパッド3によって印加される力により、後方に、主バルブブロック11に向けて直線的に動かされ、滑動バルブ9を主バルブブロック11の内側に移動させる。その動きの中のあらかじめ定められた点において中空バルブ9は開状態に変わり、圧縮空気が送気チューブ15から、バルブの空気流入口13を通り、バルブ9の内室を通って空気流出口14に通され、そこで空気がバルブ9の内室から封止されたチャンバ2内に放出されて、糸継ぎ動作を開始させる。したがって、封止されたチャンバ2内に入れられた糸は圧縮空気の衝風にさらされる。この第1の実施形態において、主バルブブロック11は糸継ぎ動作の間静止したままであって、トリガ7は最終的にパッド3を、チャンバブロック2aと接触し、バルブ9を主バルブブロック11の内部に滑り込ませて開状態を開始するように、移動させる。開状態において、バルブ9の流入口は主バルブブロック11内で空気ポート16と位置合わせされ、空気にその間を通過させる。チャンバブロック2aの動きは最終的にバルブ9を開き、圧縮空気が中空のバルブ内室を介してチャンバ2に供給される。
図6に示されるような本発明の別の実施形態において、ユーザはトリガ7を押し込んで、チャンバブロック2aが固定閉じパッド3に接触するまで、主バルブブロック11及びチャンバブロック2aを前方に進める。チャンバブロック2aは次いで停止させられるが、主バルブブロック11は前進運動でパッド3の方向に押され続け、バルブ9の開状態を開始するように、バルブ9を主バルブブロック11内深くに挿入させる。バルブブロックの前進運動中のあらかじめ定められた点において、圧縮空気が空気ポート16から、バルブ9の空気流入口13を通り、バルブ9を通って空気流出口14に通され、そこでバルブ9から圧縮空気が封止されたチャンバ2内に放出される。したがって、封止されたチャンバ2内に入れられている糸は圧縮空気の衝風にさらされる。したがって、この第2の実施形態において、チャンバブロック2a及び主バルブブロック11は、バルブ9に力をかけて開状態に滑り込ませるように、静止パッド3に対して可動である。
所望の品質の継ぎ目を形成するために用いられる標準空気圧は、カーボンファイバ及びガラスファイバのような、脆いファイバに損傷を与えるから、そのようなファイバで用いられる空気圧はかなり、時には3バール(3×10Pa)もの低圧まで、低められていた。これにより、極めて僅かなフィラメント損傷しか生じさせずに継ぎ目を形成することが可能になる。しかし、これは非常に弱い継ぎ目を与え、必要な強度の継ぎ目を与えるには横並びの複数の継ぎ目が必要である。図7に示されるような、コスト及びユーザビリティを最適化しながら所望の強度をもつ継ぎ目を与えるための、横並びの3つの継ぎ目23a、23b、23cが示されている。太い撚り糸を考えた場合にも、1つだけの糸継ぎチャンバではつくることができない、より長い継ぎ目が必要になる。
したがって、第1、第2及び第3の糸継ぎ機を横並びで配置して1回の動作における第1、第2及び第3の継ぎ目の形成を可能にする糸継ぎ機アセンブリ(図示せず)を作製することができる。継がれるべき糸の端部が糸継ぎ機アセンブリアレイ全体にわたって重ね合わされる。糸継ぎ機アセンブリがユーザによって与えられる1回のトリガ動作で同時に動作することを保証するため、複数の糸継ぎアクチュエータが実装される。複合チャンバ/バルブアセンブリ及びパッドとチャンバの相対的な直線滑動によって与えられる糸継ぎ機の単純化された性質により、小型の糸継ぎ機アセンブリの提供が可能になる。
複糸継ぎ機構成においては、糸継ぎ機アセンブリのそれぞれの遠端に第1及び第2のカッターが配置されることが必要である。
3つの糸継ぎを同時に実施するための糸継ぎ構成を用いる代わりとして、図8に示されるように、継がれるべき糸24に沿う異なる軸方向距離において1台の糸継ぎ機1をはたらかせることができる。例えば、糸継ぎ機1を第1の中心位置25aで動作させることができ、次いで、糸継ぎ機1を中心継ぎ目の右に向けて右側の継ぎ目領域25bに移動させ、次いで、最後に左側の継ぎ目領域25cに、中心継ぎ目を過ぎて、移動させることができる。これは、複数台の糸継ぎアセンブリが携帯型工具とするには大きすぎ、重すぎる場合に、望ましいことであり得る。
上述した原理に対する様々な改変が当業者には思い浮かぶであろう。例えば、3台の糸継ぎ機ユニットをアレイで用いることを説明したが、所望に応じて、より多くの(またはより少ない)ユニットを横並びに配置することができ、これは、空気圧及び隣接継ぎ目の数を継がれるべき糸のタイプに対して調整することができることで様々な糸のタイプに対して最適化することができる。
質量流量が糸継ぎ性能の主決定要因であるから、空気より密度が高い流体を用いることが有利であり得る場合があり、例えば、適切な状況においては圧縮二酸化炭素を用いることができる。
スプールバルブの代わりに、空気流がチャンバの内室に送り込まれるべきときを選択するため、ポペットバルブを実装することができる。
糸継ぎ機に用いられる圧力は用いられる糸のタイプに依存する。例えばナイロン及びポリエステルのような強靱な糸に対しては、6〜7バール(6〜7×10Pa)を用いて最適な結果が得られる。しかし、細いガラスフィラメントを撚った、かなり脆いガラスファイバに対しては、一般に4バール(4×10Pa)程度の圧力が適している。より重質のガラスファイバに対しては、撚りファイバが酷すぎる損傷を受けずに6バールまでの許容圧力に達し得る。カーボンファイバも別であり、重質カーボンファファイバは細いフィラメントを増やしていくことでつくられる。したがって、撚りファイバは、5バール(5×10Pa)の絶対最大圧力、3〜4バール(3〜4×10Pa)の標準圧力で、慎重に処理しなければならない。これらの値は、もちろん、本出願の糸継ぎチャンバに適しており、異なる形状または寸法を有する糸継ぎチャンバに対しては変わり得る。
横並びの複数の継ぎ目を形成するために横並びに配された複数台の糸継ぎ機の代わりに、少なくとも第1及び第2のチャンバを内に収めている1台の糸継ぎ機を実施することができる。所望に応じてさらに多くのチャンバを実装することができる。
チャンバブロックの第1及び第2の外部側縁に隣接するカッター素子を備える代わりに、糸継ぎ機の主ハウジングの外側に、または所望に応じて別の位置に、カッター素子を配置することができる。
1 糸継ぎ機
2 チャンバ
2a 糸継ぎチャンバブロック
3 パッド
4 チャネル
5 機械的リンク機構
6a,6b チャンバ端部
7 トリガ
8 鋼鉄ピン
9 細長バルブ
11 主バルブブロック
12 ハンドル
13 バルブ流入口
14 バルブ流出口
15 送気チューブ
16 空気ポート
17 Oリング
18 スペーサ
19 孔開きシェル
20 弾性部材
21 コネクタ
22 ハウジング
23a,23b,23c 継ぎ目
24 糸
25a,25b,25c 継ぎ目領域

Claims (25)

  1. 糸継ぎ機において、
    その側面に開口を有する、継がれるべき糸を受け取るための糸継ぎチャンバ、
    前記糸継ぎチャンバの前記開口を選択的に封止するためのチャンバパッド、及び
    それを貫通する無障害流体通路を有するバルブであって、前記チャンバから延び、前記通路に沿う流体の流れを阻止する第1の構成と前記通路に沿って流体を流す第2の構成の間で切換え可能であるバルブ、
    を備えることを特徴とする糸継ぎ機。
  2. 前記通路が空気供給源から前記糸継ぎチャンバの内室まで延びることを特徴とする請求項1に記載の糸継ぎ機。
  3. 前記通路が前記バルブの縦軸に沿って延びることを特徴とする請求項1または2に記載の糸継ぎ機。
  4. 前記バルブが可動であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  5. 前記通路がバルブ流入口から、前記バルブの縦軸に沿って前記バルブ流入口から隔てられた、バルブ流出口まで延びることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  6. 前記チャンバが可動であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  7. 前記チャンバ及び前記バルブが一体ユニットであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  8. 前記バルブが前記チャンバ開口に対向する前記チャンバの側面から延びることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  9. 前記チャンバと前記パッドの間の相対運動が直線的であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  10. 前記パッドが2つの独立な運動を有し、前記運動の第1は第1の軸を中心とする旋回運動であり、前記運動の第2は、前記第1の軸からオフセットされた、第2の軸を中心とする旋回運動であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  11. 前記パッドが前記糸継ぎチャンバの前記側面開口を封止するように配置可能であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  12. 前記バルブが前記第1の構成から前記第2の構成に、またこの逆に、滑動可能であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  13. 前記チャンバが固定パッドに対して可動であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  14. 主バルブ本体内の空気供給源に対する前記チャンバの動きが前記主バルブ本体内の前記空気供給源に対する前記バルブの対応する動きを生じさせることを特徴とする請求項13に記載の糸継ぎ機。
  15. 少なくとも1つのカッターが前記チャンバの第1の外側縁に隣接して配置され、少なくとも1つのカッターが、前記第1の外側縁に対向する、前記チャンバの第2の外側縁に隣接して配置されることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  16. 横並びの少なくとも2つの継ぎ目を与えるように、横並びに配置された少なくとも第1の糸継ぎチャンバ及び第2の糸継ぎチャンバが備えられていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の糸継ぎ機。
  17. 糸継ぎ機アセンブリにおいて、横並びの少なくとも2つの継ぎ目を与えるように、横並びに配置された少なくとも2台の、請求項1から15のいずれか1項に記載の、糸継ぎ機を有することを特徴とする糸継ぎ機アセンブリ。
  18. 前記少なくとも2台の糸継ぎ機が隔てられることを特徴とする請求項17に記載の糸継ぎ機アセンブリ。
  19. 前記糸継ぎ機アセンブリのそれぞれの遠端に少なくとも1つのカッターが配置されることを特徴とする請求項17または18に記載の糸継ぎ機アセンブリ。
  20. それを貫通する無障害通路を有し、チャンバから延びる、バルブを備える糸継ぎ機において糸を継ぐ方法において、
    継がれるべき糸を、開口を介してチャンバ内に挿入する工程、
    前記チャンバの前記開口を封止するように、チャンバパッドとチャンバ側面の間で前記チャンバパッドを前記チャンバ側面と接触させる工程、
    前記通路に沿う流体の通過を阻止する第1の構成から、前記チャンバの内室に流体を供給するために、前記通路に沿って流体を流す第2の構成に前記バルブの設定を切り換える工程、
    を有してなることを特徴とする方法。
  21. 前記バルブの設定が、主バルブブロックに配された空気ポートに対して前記バルブを滑動させることによって、前記第1の構成と前記第2の構成の間で切り換えられることを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 前記チャンバが連結されている前記バルブを直線的に移動させるため、前記チャンバが直線的に移動させられることを特徴とする請求項20または21に記載の方法。
  23. 主バルブブロックに対する前記チャンバの移動時に前記チャンバに空気を進入させる工程を有することを特徴とする請求項21または22に記載の方法。
  24. 糸継ぎ機であって、図1から8を参照して上文に説明された特徴を有する糸継ぎ機。
  25. 糸継ぎ機アセンブリであって、図1から8を参照して上文に説明された特徴を有する糸継ぎ機アセンブリ。
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