JP2017504011A - 代謝物質パネルに基づく被験体において膵臓癌を診断するための手段および方法 - Google Patents

代謝物質パネルに基づく被験体において膵臓癌を診断するための手段および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、診断方法の分野に関する。具体的には、本発明は、被験体において膵臓癌を診断するため、および好ましくは膵臓癌と膵炎を鑑別するための方法、ならびに被験体が膵臓癌の治療を必要とするかどうかを同定するための方法を意図する。また本発明は、前述の方法を実行するためのツール、例えば診断用デバイスに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、診断方法の分野に関する。具体的には、本発明は被検体における膵臓癌の診断方法、及び好ましくは膵臓癌と膵炎とを鑑別(判別)する方法、並びに被検体が膵臓癌の治療を必要とするかどうかを確認する方法を企図する。本発明はまた、診断装置などの前述の方法を実施するためのツールに関する。
膵臓癌は全固形癌の中で最も予後が悪く、5年生存率が5%未満であるが、発生率は増加の一途をたどっている(Everhart 2009、Gastroenterology 136:1134-11449)。膵臓癌の早期診断、予後の層化及び鑑別診断のために、特異的なバイオマーカー及び新規分子イメージングツールをポイントオブケアで利用するための革新的なツール及び技術の確立が求められていることは広く知られている。早期ステージの腫瘍を適切なタイミングで外科的に切除することが、この悲惨な疾患を治療するために現在唯一の効果的な手段なので、これらの領域の進歩はこの悪性腫瘍の予後を改善するために極めて重要である。
この種類の癌の死亡率は、西欧諸国において、あらゆる種類の癌の中で最高である。早期検出の手段がないために、人々は診断後まもなく死亡してしまう。早期症状はほとんどなく、特徴もない。したがって、膵臓腺癌(PDAC)は通常、この疾患の悪化したステージで診断される。今までのところ、PDACを検出するために最良の画像技術は、内視鏡超音波検査(EUS)、スパイラル断層撮影(CT)、磁気共鳴胆道膵管撮影(MRCP)又は内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)(Dewitt 2006、Gastroenterol Hepatol.(4):717-25)である。残念ながら、膵臓内の新生物病変を検出するには、これらの技術の分解能は3〜10mmの範囲である。したがって、膵臓の新生物を治癒可能なステージで検出することはできない。CA19-9などの従来の腫瘍マーカーの血清濃度は、膵臓癌患者の部分集団で増加する(Fry 2008、 Langenbecks Arch Surg. (393): 883-90)。しかし、今までの利用可能なマーカーは感度及び腫瘍特異性が不十分である。したがって、非常に小さい、早期ステージのPDAC及びその前駆的病変(PanIN及びIPMN)並びに悪化した腫瘍の予後亜群を検出するために、診断の感度を高める新たなアプローチが緊急に必要とされている。
慢性炎症と悪性腫瘍の形成との間の関連は長年にわたって認識されてきた。膵臓癌では、この関連は最近確認されたばかりで、コンセンサス会議では非侵襲性前駆病変として膵臓の上皮内新生物の新たな分類について意見が一致した(Hruban 2004、Am J Surg Path (28): 977-987)。慢性膵炎は、しばしば進行性で不可逆的な形態学的変化を特徴とする、無菌的炎症の発作が頻発する疾患として定義されており、通常、疼痛及び膵臓の永久的機能障害を引き起こす。人口100000人当たり発生率は8.2人、有病率は27.4人で、任意抽出した生検標本における頻度は0.04%から5%で、慢性膵炎はよくある胃腸管の障害である。様々な病因が慢性膵炎の発症に関わっている。慢性膵炎に罹患している患者では膵臓癌で死亡する危険性が増加することが、1993年に6カ国の臨床センターから募集した慢性膵炎の患者2015人による多施設後ろ向きコホート研究として、AB Lowenfels及び共同研究者によって実施された国際協同研究において示された。この研究によって、慢性膵炎の患者の膵臓癌の累積危険率が10年後には1.8%、20年後には4%であり、標準化罹患比が14.4であることが発見された。最低でも2年間追跡した患者では、膵臓癌になる危険率は一般集団における危険率より16.5倍高かった(Lowenfels 1993、 N Engl J Med (328): 1433-1437)。慢性膵炎と膵臓癌の関連についての研究は、1996年に第7染色体上(7p35)のカチオン性トリプシノーゲン遺伝子の第3エキソンにおける点突然変異が遺伝性膵炎に関連していることが発見されたとき激化し、その後、多数の家系が同定され、報告された。ごく最近では、EUROPAC研究グループが遺伝性膵炎の臨床的及び遺伝的特徴に関する彼らの研究を発表した。European Registry of Hereditary Pancreatitisから得られたデータを使用するマルチレベル比例ハザードモデルでは、このグループは14カ国112家系を発表した(罹患した個体418人)(Howes 2004、Clinical Gastroenterology and Hepatology (2): 252-261)。膵臓癌の累積危険率(95%CI)は症状発症から70年で44.0%(8.0%〜80.0%)で、標準罹患比は67%(50%〜82%)であった。以前の研究ではまた、膵臓癌の推定生涯危険率は40%であることが示されたことがある(Lowenfels 2001、JAMA 286: 169-170、Lowenfels 1997、J Natl Cancer Inst 89: 442-44656)。
膵臓癌では、イメージング研究によって、治癒可能なステージで膵臓の早期悪性腫瘍を検出することはできないが、慢性膵炎のバックグランドでは、EUS、CT又はMRIなどのイメージング研究の感度及び特異性は、コイン投げの信頼性と同程度まで低下する。このため、高リスクコホートにおける膵臓の悪性腫瘍の検出が強く望まれる。
膵臓に関連した疾患を罹患している患者における代謝変化の報告は少ない。Schraderら(Schrader 2009、Pancreas 38: 416-421)は、膵臓癌及び慢性膵炎の患者が血清アミノ酸レベルに著しい変化を示すことを示唆している。セラミドの中でも、細胞の細胞表面上のスフィンゴ脂質は、細胞シグナル伝達に活発に関わっていることが示唆されたことがある(Pitson 2011, Trend Biochem Sci 36:97-107)。セラミドは、癌細胞においてアポトーシスを誘発することが知られている。スフィンゴミエリンのレベルが低いことは、ゲムシタビン療法に対する応答性が少ないことを示唆している(Modrak 2009、Mol Cancer Res 7:890-896)。さらなる単一代謝バイオマーカーが国際公開第2011/151252号及び国際公開第2013/079594号において報告された。
国際公開第2011/151252号 国際公開第2013/079594号
Everhart 2009、Gastroenterology 136:1134-11449 Dewitt 2006、Gastroenterol Hepatol.(4):717-25 Fry 2008、 Langenbecks Arch Surg. (393): 883-90 Hruban 2004、Am J Surg Path (28): 977-987 Lowenfels 1993、 N Engl J Med (328): 1433-1437 Howes 2004、Clinical Gastroenterology and Hepatology (2): 252-261 Lowenfels 2001、JAMA 286: 169-170、Lowenfels 1997、J Natl Cancer Inst 89: 442-44656 Schrader 2009、Pancreas 38: 416-421 Modrak 2009、Mol Cancer Res 7:890-896 Pitson 2011, Trend Biochem Sci 36:97-107
5年生存率0.5〜5%という結果から、膵臓癌の予後はヒトの腫瘍全ての中で最も悲惨で、世界中の癌関連死の4番目の主要原因となっている。したがって、社会経済学的衝撃が大きい疾患である。膵炎と膵臓癌との判別を含め、膵臓癌について、正確な診断を行い、早期腫瘍を適切なタイミングで外科的に切除することが唯一、現実的に患者の予後を改善させる見込みがある。
本発明の根底にある技術的課題は、上記のニーズを満たすための手段及び方法の提供ととらえることができる。この技術的課題は、特許請求の範囲及び本明細書中の以下において特徴付けられる実施形態によって解決される。
したがって、本発明は、被検体において膵臓癌を診断する方法であって、
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被検体のサンプル中において、1つのグループのバイオマーカーの(複数の)量を決定(測定)するステップ、ここで前記グループは、少なくとも表1aに示す組み合わせの(複数の)バイオマーカーを含み、または、表17〜26のいずれかに示すバイオマーカー(複数)を少なくとも含み、並びに、
(b)前記(複数の)バイオマーカーの該(複数の)量を(複数の)参照と比較し、それによって膵臓癌が診断され得ることとなるステップとを含む方法に関する。
本発明において記載する方法としては、上述のステップより本質的になる方法又はさらなるステップを含む方法が含まれる。しかしながら、本方法は、好ましい実施形態では、ex vivoで行われる方法、すなわち、人体又は動物体に対して実施されない方法であることを理解されたい。本方法は、好ましくは自動化により支援することができる。
本明細書において用いられる「診断する」という用語は、被験体(被験者)が膵臓癌に罹患しているか否かを評価することを意味する。当業者であればわかるであろうが、そのような評価は、検査される被験体の100%に対して正しいことが好ましいが、通常はそうでない可能性がある。しかしながら、この用語は、統計学的に有意な一部の被験体を正確に評価でき、従って診断できることを必要とする。当業者であれば、労苦もなく、種々の周知の統計学的評価ツールを用いて、たとえば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定などを行って、その一部が統計学的に有意であるかどうかを判定することが可能である。詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見いだされる。好ましい信頼区間は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。p値は、好ましくは、0.2、0.1、又は0.05である。
この用語は、膵臓癌又はその症候の個々の診断、並びに患者の継続的なモニタリングを含む。モニタリング、すなわち種々の時点における膵臓癌又はそれに付随する症候の存在又は不在の診断には、膵臓癌に罹患していることが知られている患者のモニタリング、並びに膵臓癌を発症するリスクを有することが知られている被験体のモニタリングが含まれる。さらに、モニタリングは、患者の治療が成功したかどうか、又は少なくとも膵臓癌の症候が特定の治療によって徐々に改善しうるかどうかを判定するためにも用いられる。
さらに、この用語は、好ましくは、膵臓癌を鑑別診断すること、またより好ましくは、膵臓癌と膵炎を鑑別することも含む。本明細書において用いられる膵炎とは、膵臓の炎症を意味する。通常、膵炎の原因は、小腸ではなく膵臓における膵酵素(例えば、トリプシン)の活性化である。膵炎は突然発症しかつ数日継続する急性疾患として、または長年にわたり持続する慢性疾患として発症する場合がある。好ましくは、本発明において言及する膵炎は慢性膵炎である。膵炎の典型的な症状は前述の標準的な教本に見出され、また背部に放散する激しい上腹部痛、悪心および嘔吐を包含する。膵臓癌と膵炎との鑑別は、好ましくは、膵炎に罹患していることが知られているかまたは罹患している疑いのある被験体のサンプルに本発明の方法を適用し、さらに測定されたバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌を診断することにより達成される。さらなる好適な実施形態では、前記の膵臓癌の診断は、膵炎に罹患していることが知られているかまたは罹患している疑いのある者がさらに膵臓癌にも罹患しているかどうかの鑑別につながる。
本明細書において用いる「膵臓癌」又は「膵癌」は、膵臓細胞、及び好ましくは膵臓上皮細胞に由来する新生物に関する。したがって、好ましくは、本明細書において用いる膵臓癌は膵臓腺癌である。膵臓癌に伴う症状は、ステッドマン(Stedmen)やPschyremblといった医薬の標準的な教材により周知であり、深刻な腹痛、下背部痛、及びいくつかの症例では黄疸を含む。
本明細書において用いられる「バイオマーカー」という用語は、本明細書において記載する疾患又は効果の指標として機能する分子種を意味する。該分子種は、被験体のサンプル中に見いだされる代謝物質自体であってもよい。さらに、バイオマーカーはまた、該代謝物質に由来する分子種であってもよい。そのような場合、実際の代謝物質は、サンプル中で又は測定方法の過程で化学的に修飾されることがあり、その修飾の結果として、化学的に異なる分子種、すなわちアナライトが測定される分子種となる。そのような場合、アナライトは実際の代謝物質を表し、各医学的状態の指標として同じ可能性を有することが理解されよう。
さらに、本発明にかかるバイオマーカーは、必ずしも1つの分子種に対応するものではない。そうではなく、該バイオマーカーは、ある化合物の立体異性体又は光学異性体を含みうる。さらに、バイオマーカーは、異性体分子の生物学的クラスの異性体の合計を表しうる。前記異性体は、一部の場合には同質の分析学的特性を示し、したがって下記の実施例において用いられた方法を含め種々の分析法では識別できない。しかしながら、該異性体においては少なくとも同一の合算された式のパラメーターが共通し、したがって例えば脂質の場合などには、同じ鎖長及び脂肪酸及び/又はスフィンゴ基部分における同じ二重結合の数を有する。
本明細書において用いられる代謝物質とは、特定の代謝物質の少なくとも1つの分子から該特定の代謝物質の複数の分子までを指す。さらに、代謝物質の群とは、各代謝物質ごとに少なくとも1分子〜複数分子が存在しうる、複数の化学的に異なる分子を意味することが理解されよう。本発明において、代謝物質は、生物学的材料(生物など)に含まれるものをはじめとするすべてのクラスの有機又は無機の化学化合物を包含する。本発明において、代謝物質は、小分子化合物であることが好ましい。より好ましくは、複数の代謝物質が想定される場合、該複数の代謝物質とは、メタボローム、すなわち、特定の時間に特定の条件下で生物、器官、組織、体液又は細胞に含まれる代謝物質の集合を意味する。
表1aには、本発明の方法に有利に適用しうるコアバイオマーカーパネル(いわゆる「コアパネル」)を示す。好適な実施形態では、リゾホスファチジルエタノールアミン(C22:5)をリゾホスファチジルエタノールアミン(C18:2)の代わりに、またはこれに加えて測定し、また膵臓癌におけるリゾホスファチジルエタノールアミン(C22:5)の変化の方向は膵炎と比較すると下方(down)である。さらなる好適な実施形態では、スフィンゴミエリンおよびセラミドを含むスフィンゴ脂質は、2つのヒドロキシル部分を含むスフィンゴ塩基を含み(すなわちd-スフィンゴ塩基を含み)、その両方、または好ましくは一方が、例えば、好ましくは、リン酸部分または該部分を含む化学基とエステル結合していてもよい。好適な実施形態では、セラミドは表1bのセラミドであり、またスフィンゴミエリンは表1bのスフィンゴミエリンである。さらなる好適な実施形態では、リン酸化されたスフィンゴ塩基はスフィンゴシン-1-リン酸(d16:1)、スフィンゴシン-1-リン酸(d17:1)、スフィンガジエニン-1-リン酸(d18:2)、または表1bのリン酸化スフィンゴ塩基であり、またそれぞれ、膵炎と比較すると膵臓癌における変化の方向は下方である。使用する好適なスフィンゴミエリン、セラミドおよび/またはリン酸化スフィンゴ塩基を表1bに挙げる。
前述のコアパネルのバイオマーカーを含むバイオマーカーの好適な群(パネル)を表2〜15のいずれか1つに示す。これらのバイオマーカー群を本発明によるバイオマーカー群(バイオマーカーのグループ)として測定すると好ましい場合がある。
さらに、表17〜26には、本発明に従って測定すると同様に好ましい場合があり、かつ効率的な診断を可能にする、さらなるバイオマーカーのグループを示す。
本明細書中に列挙した特定のバイオマーカーに加えて、他のバイオマーカーを本発明の方法で同様に測定すると好ましい場合がある。かかるバイオマーカーは、代謝物質バイオマーカーおよび好ましくは表16に示すバイオマーカーであってもよいし、あるいはペプチドもしくはポリペプチドバイオマーカーまたはグリコシド、例えばCA 19-9抗原を含んでいてもよい。好ましくは、CA 19-9抗原は、本発明に従って数量的に、すなわちその絶対量を考慮に入れることにより、またはカテゴリー的に、すなわち患者において見出された量が一定の閾レベル(好ましくは、後述の実施例において明記した閾値)より下か上かを判定することにより測定してもよい。どうすればCA 19-9を数量的またはカテゴリー的に測定できるかは、好ましくは、後述の添付した実施例に記載されている。
本明細書において用いられる「サンプル」という用語は、体液、好ましくは、血液、血漿、血清、唾液、若しくは尿、又は生検などにより細胞、組織、若しくは器官、特に心臓から得られるサンプルである。サンプルは、より好ましくは血液、血漿又は血清サンプルであり、最も好ましくは血漿サンプルである。生物学的サンプルは、本明細書中の他の箇所に明記されるような被験体に由来するものでありうる。上述のさまざまなタイプの生物学的サンプルを取得するための技術は、当技術分野で周知である。たとえば、血液サンプルは、血液採取により取得可能であり、一方、組織又は器官のサンプルは、例えば生検などにより取得可能である。
上述のサンプルは、好ましくは、本発明の方法に使用される前に前処理される。以下にさらに詳細に記載されるように、この前処理としては、化合物の放出若しくは分離又は過剰の材料若しくは廃物の除去に必要な処理が挙げられる。好適な技術としては、化合物の遠心分離、抽出、分画、限外濾過、タンパク質沈降とそれに続く濾過及び精製、並びに/又は濃縮が挙げられる。さらに、化合物の分析に好適な形態又は濃度で化合物を提供するために、他の前処理が行われる。たとえば、本発明の方法でガスクロマトグラフィ連結質量分析を使用する場合、該ガスクロマトグラフィを行う前に化合物を誘導体化する必要があろう。好適な所要の前処理は、本発明の方法を実施するために使用される手段に応じて異なり、当業者に周知である。上に記載したように前処理されたサンプルもまた、本発明に従って用いられる「サンプル」という用語に包含される。
前記サンプルは同様に、脂質分画により前処理すると好ましい場合がある。この文脈において使用する脂質分画とは、好ましくは、後述の添付した実施例に記載したようなプロセスを指す。詳細には、脂質分画は、クロロホルム/メタノールを使用して液/液抽出により血清または、好ましくは、血漿から総脂質を抽出することで達成できる。その結果取得した脂質抽出物を、その後Christie(Journal of Lipid Research (26), 1985, 507-512)に従い順相液体クロマトグラフィー(NPLC)によって11の異なる脂質群に分画する。それらの画分を、コレステロールエステル(CE)、遊離ステロール(FS)、スフィンゴミエリン(SM)、およびセラミド(CER)各々に対する特異的な多重反応モニタリング(MRM)トランジションの検出を伴うエレクトロスプレーイオン化(ESI)および大気圧化学イオン化(APCI)を利用してLC-MS/MSにより分析した。スフィンゴシンおよびスフィンゴシン-1-リン酸(SP)は、Schmidt Hら、Prostaglandins & other Lipid Mediators 81(2006), 162-170に記載されている通りに、特異的な多重反応モニタリング(MRM)トランジションの検出を伴うエレクトロスプレーイオン化(ESI)を利用してLC-MS/MSにより分析した。それらの画分をさらにTMSH(トリメチルスルホニウムヒドロキシド)による誘導体化後にGC-MSにより分析し、クラス分けした脂質のアシル部分に対応する脂肪酸メチルエステル(FAME)を得る。C14〜C24のFAMEの濃度を各画分において測定する。好ましくは、脂質分画を、本発明によるバイオマーカーとしてセラミドおよび/またはスフィンゴミエリンを測定するために使用する。
本明細書において用いられる「被験体」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物を意味する。被験体は、より好ましくは霊長類であり、最も好ましくはヒトである。好ましくは、被験体は、膵臓癌に罹患していることが疑われるもの、すなわち該疾患に伴う症候の一部又は全てを既に示しているものである。さらにまた、上記被検体は、好ましくは付加的に膵炎に罹患し得る、又は罹患していることが疑われるとされるものであってもよく、好ましくは健康なコントロールと比較してCA 19-9の増大を示し得る。しかしながら被験体は、好ましくは、上記疾患及び障害以外は見かけ上健康である。前記被験者は、好ましくは、膵臓癌を発症するリスクが増大している(Brand RE et al ,Gut. 2007;56:1460-9)。より好ましくは、リスクの増大したかかる被験者は、膵臓癌を罹患している1以上の親戚を有する、膵臓癌を発症する明確な遺伝的傾向(ポイツ−ジェガース症候群を含むがこれに限定されない)がある、膵炎を罹患している1以上の親戚を有する、及び/又は膵炎を発症する明確な遺伝的傾向がある。別の好ましい実施形態において、本明細書に用いる「被験体」は、ルイス血液型陰性のヒトである。
本明細書において用いられる「量の決定(測定)」という用語は、サンプル中の本発明の方法によって測定すべきバイオマーカーの少なくとも1つの特徴的特性を測定することを意味する。本発明において特徴的特性とは、バイオマーカーの物理的性質及び/又は化学的性質(生化学的性質を包含する)を特徴付ける特性のことである。そのような性質としては、たとえば、分子量、粘度、密度、電荷、スピン、光学活性、色、蛍光、化学発光、元素組成、化学構造、他の化合物と反応する能力、生物学的読取り系で応答を引き起こす能力(たとえば、レポーター遺伝子の誘導)などが挙げられる。該性質の値は、特徴的特性として機能しうる。また、当技術分野で周知の技術により測定可能である。さらに、特徴的特性は、標準的操作、たとえば、乗算、除算、又は対数計算のような数学的計算により、バイオマーカーの物理的性質及び/又は化学的性質の値から導かれる任意の特性でありうる。最も好ましくは、少なくとも1つの特徴的特性は、該バイオマーカー及びその量の測定及び/又は化学的同定を可能にする。従って、特性値はまた、その特性値を導いたバイオマーカーの存在量に関する情報を含むことが好ましい。例えば、バイオマーカーの特性値は、質量スペクトルのピークでありうる。かかるピークは、バイオマーカーの特徴的な情報、すなわちm/z情報、並びにサンプル中のそのバイオマーカーの存在量(すなわちその量)に関する強度値を含む。
上述したように、サンプルに含まれる各バイオマーカーは、好ましくは、本発明に従って定量的又は半定量的に測定可能である。定量的測定では、本明細書において上で参照した特徴的特性(複数可)に関して測定される値に基づいて、バイオマーカーの絶対量若しくは正確な量が測定されるか又はバイオマーカーの相対量が測定されるかのいずれかであろう。バイオマーカーの正確な量を測定できないか又は測定しない場合、相対量を測定しうる。この場合、バイオマーカーの存在量が、該バイオマーカーを第2の量で含む第2のサンプルと対比して増加又は減少しているかどうかを、測定することが可能である。好ましい実施形態において、該バイオマーカーを含む第2のサンプルは、本明細書の他の箇所に記載されるように参照計算値であるべきである。従って、バイオマーカーの定量的分析は、バイオマーカーの半定量的分析と呼ばれることもある分析をも包含する。
さらに、本発明の方法に使用される測定は、好ましくは、上で参照した分析ステップの前に化合物分離ステップを使用することを含む。好ましくは、該化合物分離ステップでは、サンプルに含まれる代謝物質の時間分解分離が得られる。したがって、好ましくは、本発明において使用される分離に好適な技術としては、すべてのクロマトグラフィ分離技術、たとえば、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、ガスクロマトグラフィ(GC)、薄層クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、又はアフィニティークロマトグラフィが挙げられる。これらの技術は、当技術分野で周知であり、当業者であれば労苦もなく適用可能である。最も好ましくは、LC及び/又はGCが、本発明の方法で想定されるクロマトグラフィ技術である。バイオマーカーのそのような測定に好適なデバイスは、当技術分野で周知である。好ましくは、質量分析、特には、ガスクロマトグラフィ質量分析(GC-MS)、液体クロマトグラフィ質量分析(LC-MS)、直接注入質量分析若しくはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT-ICR-MS)、キャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)、高速液体クロマトグラフィ連結質量分析(HPLC-MS)、四重極質量分析、任意の逐次連結質量分析、たとえばMS-MS若しくはMS-MS-MSなど、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)、熱分解質量分析(Py-MS)、イオン移動度質量分析、又は飛行時間質量分析(TOF)が使用される。最も好ましくは、以下に詳細に記載されるようにLC-MS及び/又はGC-MSが使用される。これらの技術については、たとえば、Nissen, 1995, Journal of Chromatography A, 703:37-57、米国特許第4,540,884号、又は米国特許第5,397,894号(その開示内容は参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。質量分析技術の他の選択肢として又はそれに追加して、次の技術を化合物測定に使用可能である:核磁気共鳴(NMR)、磁気共鳴イメージング(MRI)、フーリエ変換赤外分析(FT-IR)、紫外(UV)分光、屈折率(RI)、蛍光検出、放射化学的検出、電気化学的検出、光散乱(LS)、分散ラマン分光、又はフレームイオン化検出(FID)。これらの技術は、当業者に周知であり、労苦もなく適用可能である。本発明の方法は、好ましくは、自動化により支援されるものとする。たとえば、サンプルの処理又は前処理をロボット工学により自動化することが可能である。データの処理及び比較は、好ましくは、好適なコンピュータプログラム及びデータベースにより支援される。上で本明細書に記載したような自動化を行えば、本発明の方法をハイスループット方式で使用することが可能である。
さらに、少なくとも1つのバイオマーカーはまた、特異的な化学的アッセイ又は生物学的アッセイにより測定可能である。該アッセイは、サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーを特異的に検出できるような手段を含むものとする。好ましくは、該手段は、バイオマーカーの化学構造を特異的に認識可能であるか、又は他の化合物と反応する能力若しくは生物学的読取り系で応答を引き起こす能力(たとえば、レポーター遺伝子の誘導)に基づいてバイオマーカーを特異的に同定可能である。バイオマーカーの化学構造を特異的に認識可能な手段は、好ましくは、化学構造と特異的に相互作用する抗体又は他のタンパク質、たとえば、レセプター若しくは酵素、又はアプタマーである。たとえば、特異的抗体は、当技術分野で周知の方法によりバイオマーカーを抗原として用いて取得可能である。本明細書中で参照される抗体は、ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体の両方、さらにはそれらのフラグメント、たとえば、抗原又はハプテンに結合可能なFv、Fab、及びF(ab)2フラグメントを包含する。本発明はまた、所望の抗原特異性を呈する非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列とヒトアクセプター抗体の配列とが組み合わされたヒト化ハイブリッド抗体を包含する。さらに、一本鎖抗体も包含される。ドナー配列は、通常、ドナーの少なくとも抗原結合性アミノ酸残基を含むであろうが、ドナー抗体の他の構造上及び/又は機能上適合するアミノ酸残基をも含みうる。そのようなハイブリッドは、当技術分野で周知のいくつかの方法により調製可能である。バイオマーカーを特異的に認識可能な好適なタンパク質は、好ましくは、該バイオマーカーの代謝変換に関与する酵素である。該酵素は、バイオマーカーを基質として使用可能であるか又は基質をバイオマーカーに変換可能である。さらに、該抗体は、バイオマーカーを特異的に認識するオリゴペプチドを生成する基礎として使用可能である。これらのオリゴペプチドは、たとえば、該バイオマーカーに対する酵素の結合ドメイン又は結合ポケットを含むものとする。好適な抗体及び/又は酵素に基づくアッセイは、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫検査、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)、又は固相免疫検査でありうる。さらに、他の化合物と反応する能力に基づいて、すなわち、特異的な化学反応により、バイオマーカーを測定することも可能である。さらに、生物学的読取り系で応答を引き起こす能力に基づいて、サンプル中のバイオマーカーを測定することが可能である。生物学的応答は、サンプルに含まれるバイオマーカーの存在及び/又は量を示す読取り値として検出されるものとする。生物学的応答は、たとえば、遺伝子発現の誘導又は細胞若しくは生物の表現型応答でありうる。好ましい実施形態において、少なくとも1つのバイオマーカーの測定は、定量的方法、例えばサンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定もまた可能とする方法である。
上に記載のように、少なくとも1つのバイオマーカーの測定は、好ましくは、質量分析(MS)を含む。本明細書において用いられる質量分析には、本発明に従って測定しようとする化合物、すなわちバイオマーカーに対応する分子量(すなわち質量)又は質量変数の測定を可能にする全ての技術が含まれる。本明細書において用いられる質量分析は、好ましくは、GC-MS、LC-MS、直接注入質量分析、FT-ICR-MS、CE-MS、HPLC-MS、四重極質量分析、逐次連結質量分析、例えばMS-MS若しくはMS-MS-MS、ICP-MS、Py-MS、TOF、又は上記技術を用いた併用手法に関する。これらの技術を適用する方法は当業者に周知である。さらに、好適なデバイスは市販されている。より好ましくは、本明細書において用いられる質量分析はLC-MS及び/又はGC-MS、すなわち、前のクロマトグラフィー分離ステップと動作可能に連結された質量分析に関する。より好ましくは、本明細書において用いられる質量分析には四重極MSが含まれる。最も好ましくは、四重極MSは以下のように実施する:(a)質量分析器の最初の分析四重極におけるイオン化により生じるイオンの質量/電荷指数(m/z)の選択、(b)衝突ガスで満たされ、衝突室として機能する、さらに次の四重極に加速電圧を印加することによる、ステップ(a)で選択されたイオンのフラグメンテーション、(c)さらに次の四重極における、ステップ(b)のフラグメンテーションプロセスにより生じるイオンの質量/電荷指数の選択であって、それにより上記方法のステップ(a)〜(c)は、イオン化プロセスの結果として物質の混合物中に存在する全てのイオンの質量/電荷指数の分析を少なくとも1回行い、それにより四重極が衝突ガスで満たされるが、加速電圧は分析中には印加されない。本発明において用いるべき最も好ましい質量分析についての詳細はWO 03/073464号に見出すことができる。
より好ましくは、質量分析は、液体クロマトグラフィ(LC)MS及び/又はガスクロマトグラフィ(GC)MSである。本明細書において用いられる液体クロマトグラフィとは、液相又は超臨界相における化合物(すなわち代謝物質)の分離を可能にする全ての技術を意味する。液体クロマトグラフィは、移動相中の化合物が固定相を通過することを特徴とする。化合物が異なる速度で固定相を通過する場合には、これらは、個々の化合物の各々がその特異的な保持時間(すなわち、化合物がシステムを通過するのに必要な時間)を有するため、所定時間で分離される。本明細書において用いられる液体クロマトグラフィにはHPLCも含まれる。液体クロマトグラフィ用の装置は市販されており、例えばAgilent Technologies, USAから入手可能である。本発明において使用されるガスクロマトグラフィは、原理として、液体クロマトグラフィと同等に動作する。しかし、液体移動相中の化合物(すなわち代謝物質)を固定相を通過させるのではなく、化合物は気体容積中に存在する。化合物は、固定相として固体支持体材料を含むカラム、又は固定相として機能する若しくはそれでコーティングされた壁を通過する。同様に、各化合物は、カラムを通過するのに要する特異的な時間を有する。さらにガスクロマトグラフィの場合には、 好ましくは、ガスクロマトグラフィの前に化合物を誘導体化することが想定される。誘導体化の好適な技術は当技術分野で周知である。好ましくは、本発明において誘導体化は、好ましくは極性化合物のメトキシ化(methoxymation)及びトリメチルシリル化、並びに、好ましくは非極性(すなわち親油性)化合物のメチル基転移、メトキシ化(methoxymation)及びトリメチルシリル化に関する。
「参照」という用語は、本明細書において記載する医学的症状、すなわち疾患の有無、疾患の状態又は効果に相関付けることのできる、各バイオマーカーの特徴的特性の値を意味する。好ましくは、参照は、検査被検体のサンプルに見いだされる、閾値と本質的に同じ又はそれより高い値が医学的状態の存在の指標となり、一方、低い値が医学的状態の不在の指標となる、バイオマーカーの閾値(例えば、量又は量の比)である。また好ましくは、参照は、検査被検体のサンプル中に見いだされる、閾値と同じ又はそれより低い値が医学的状態の存在の指標となり、一方、高い値が医学的状態の不在の指標となる、バイオマーカーの閾値であってもよいことが理解されよう。
上述の本発明の方法において、参照は、好ましくは、膵臓癌に罹患していることが知られている被験体又は被験体群由来のサンプルから得られる参照である。このような場合、試験サンプル中に見いだされる少なくとも1つのバイオマーカーの本質的に同じ値は、疾患の存在の指標となる。
さらに、参照は、同様に好ましくは、膵臓癌に罹患していないことが知られている被験体又は被験体群、好ましくは見かけ上健康な被験体、又はそのグループ、又は膵炎に罹患することが知られている被験体もしくはそのグループから得られる。このような場合、試験サンプル中に見いだされる少なくとも1つのバイオマーカーの、参照と比較して変化した値は、疾患の存在の指標となる。同じことは、変更すべき箇所は変更して、最も好ましくは、個体集団(調査対象の被験体を含む)の少なくとも1つのバイオマーカーの相対値又は変化度の値の平均値又は中央値である計算された参照にも当てはまる。該個体集団の少なくとも1つのバイオマーカーの相対値又は変化度は、本明細書中の他の箇所に特定されるように測定することができる。好適な参照値、好ましくは平均値又は中央値の計算方法は、当技術分野で周知である。上で参照した被験体集団は、複数の被験体、好ましくは、少なくとも5、10、50、100、1,000、又は10,000の被験体を含むものとする。本発明の方法により診断される被験体と該複数の被験体の被験体とは、同一種であることが理解されよう。
特徴的特性の値、定量的測定の場合は強度値が本質的に同一であれば、試験サンプルのあるバイオマーカーの値と参照値とは本質的に同一である。本質的に同一とは、2つの値の差が、好ましくは、有意ではないことを意味し、強度の値が参照値に基づいて少なくとも1〜99パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、40〜60パーセンタイルの範囲内、好ましくは参照値に基づいて50、60、70、80、90、若しくは95パーセンタイルであることを特徴とする。2つの量が本質的に同じであるかどうかを決定するための統計学的検定は当技術分野で周知であり、また本明細書の他の箇所において記載されている。
一方、2つの値について観察される差は統計学的に有意な差である。相対値又は絶対値の差は、好ましくは、参照値に基づいて、45〜55パーセンタイル、40〜60パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、1〜99パーセンタイルの区間から有意に外側にある。中央値又は変化度の好ましい相対的変化は、添付の表並びに実施例に記載されている。以下の表において、バイオマーカーの好ましい相対的変化は、増加については「上方」として、減少については「下方」として示されている。変化度は、下記の表において、曲線下面積値(AUC)として示されている。上述の相対的変化又は変化度についての好ましい参照は、以下の表にも示されている。これらの変化は、好ましくは、以下の各表中に示される参照と比較して観察されると理解されるだろう。
より好ましくは、バイオマーカーの「参照」は、参照被験体の群、すなわち疾患もしくは症状に罹患していることが知られている被験体の群、該疾患もしくは該症状に罹患していないことが知られている被験体の群、調査すべき被験体を含む集団または罹患組織もしくは一見健常な組織の組織生検サンプル群においてバイオマーカー群のバイオマーカーの少なくとも1つについて特徴的特性の値を測定し、さらに適当な統計的尺度(例えば、本明細書中の他の箇所で言及したもの、例えば、中央値、平均値、四分位点、PLS-DA、ロジスティック回帰法、ANOVA、ランダムフォレスト分類または閾値を与える他のもの)によって参照を算出することにより取得されよう。閾値は、診断検査および予後検査の感度および特異度の望ましい臨床設定を考慮に入れるべきである。参照として使用する閾値は、受信者動作特性(ROC)を適用することにより測定すると好ましい場合がある(特にZweig 1993, Clin. Chem. 39:561-577を参照されたい)。ROCグラフは、観察されたデータの範囲全体にわたり判定閾値を連続的に変えることで得られる全ての感度/特異度対のプロットである。診断方法の臨床性能は、その正確度、すなわち被験体を特定の予後または診断に正確に割り当てるその能力に依存する。ROCプロットは、識別するのに適した閾値全範囲に対して感度対1-特異度をプロットすることにより2つの分布間の重複を示すものである。y軸上は感度、すなわち真陽性率(真陽性の試験結果の数と偽陰性の試験結果の数との合計に対する真陽性の試験結果の数の比として定義される)である。これは疾患または症状の存在下での陽性率とも称される。これは罹患亜群からのみ算出される。x軸上は、偽陽性率、すなわち1-特異度(真陰性の結果の数と偽陽性の結果の数との合計に対する偽陽性の結果の数の比として定義される)である。これは特異度の指標であり、また非罹患亜群からのみ算出される。真陽性率および偽陽性率は、2つの異なる亜群から得た試験結果を利用して完全に別々に算出されるため、ROCプロットはそのコホート内の事象の有病率から独立したものである。ROCプロット上の各点は、特定の判定閾値に対応する感度/1-特異度対を表している。完全な識別能を有する試験(2つの結果の分布に重複なし)は、左上角を通過するROCプロットを有し、この場合、真陽性率は1.0、すなわち100%(完全な感度)であり、かつ偽陽性率は0(完全な特異度)である。識別能のない試験(2つの群の結果の同一分布)の理論的プロットは、左下角から右上角への45°の対角線となる。大抵のプロットはこれら2つの極端な状態の間に収まる。ROCプロットが完全にこの45°の対角線より下に収まる場合、これは「陽性率」の基準を「〜より大きい」から「〜より小さい」へと、またはその逆に転換することで容易に修正される。定性的には、プロットが左上角に近いほど、その試験の全般的な正確度が高くなる。所望の信頼区間に応じて、閾値をROC曲線から導き出すことが可能であり、感度および特異度それぞれの適正なバランスを有する所与の事象についての診断または予測が可能となる。従って、前述の本発明の方法のために使用する参照、すなわち急性炎症に罹患している被験体のコホート内での死亡リスクが増大している被験体かまたは通常のリスクを有する被験体かの識別を可能にする閾値は、好ましくは、上記の通りに該コホートについてROCを確立し、そこから閾値を導き出すことにより作成できる。診断方法のための所望の感度および特異度に応じて、ROCプロットにより適切な閾値を導き出すことができる。
好ましくは、参照、すなわちバイオマーカーの少なくとも1つの特徴的特性の値又はその比は、データベースのような好適なデータ記憶媒体中に記憶されて、従って、将来の評価にも利用可能となる。
「比較」という用語は、バイオマーカーの測定値が、参照と本質的に同一であるか、又は参照と差がある(異なっている)かを判定することを指す。好ましくは、バイオマーカーの値は、観察される差が本明細書の他の箇所で記載する統計学的手法により決定することができる、統計学的に有意である場合に、参照と差がある(異なる)とみなされる。差が統計学的に有意ではない場合には、バイオマーカーの値及び参照は本質的に同一である。上に記載した比較に基づいて、被験体は、疾患に罹患しているか又は罹患していないと評価することができる。
比較は、好ましくは、自動化により支援される。たとえば、2つの異なるデータセット(たとえば、特徴的特性(複数可)の値を含むデータセット)を比較するためのアルゴリズムを含む好適なコンピュータプログラムを使用することが可能である。そのようなコンピュータプログラム及びアルゴリズムは、当技術分野で周知である。上に述べたとおりであるが、手動で比較を行うことも可能である。
好適な実施形態では、本明細書中で言及する本発明の方法のバイオマーカーのグループの量を、1つの参照または複数の参照と比較するものとする;従って、本明細書中で言及する疾患の有無は、各バイオマーカーの、対応する参照との個別比較により診断される。別の好適な実施形態では、本発明の方法で測定した幾つかの、好ましくは全ての、バイオマーカーの量に基づいてスコア(特にシングルスコア)を算出すること、およびこのスコアを対応する(複数の)参照から算出した参照スコアと比較することも想定され、またその際、好ましくは、算出したスコアによりバイオマーカーの量に関する情報を組み合わせる。好ましくは、該スコアは膵臓癌を診断するための分類器パラメーターとみなすことができる。参照スコアは、好ましくは値、特に、試験する被験体における疾患の存在と疾患の不在との鑑別を可能にするカットオフ値である。好ましくは、該参照は、好ましくは、データを解釈する者がバイオマーカーの量に関する情報を各バイオマーカーについて個別に解釈する必要がないような、単一の値である。
上記を考慮すると、本発明の方法は、より典型的には、被験体において膵臓癌を診断するための方法または膵臓癌と膵炎を識別するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)少なくとも表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせの(複数の)バイオマーカーを含むかまたは少なくとも表17〜26のいずれか1つに示す(複数の)バイオマーカーを含むバイオマーカーのグループの量を、好ましくは、該バイオマーカーのグループの該バイオマーカーに特異的に結合しかつ結合すると該バイオマーカーの量が測定されるように検出されうる抗体またはアプタマーなどの検出剤と前記サンプルを接触させることにより測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーの(複数の)量を、該バイオマーカーの各々の参照と比較するステップ;および
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌の有無を診断するかまたは膵臓癌と膵炎を識別するステップ
を含む上記方法である。
適切な検出剤は、好ましくは、本発明の方法により調査する被験体のサンプル中のバイオマーカーに特異的に結合する抗体でありうる。適用しうる別の検出剤は、好ましくは、サンプル中のバイオマーカーに特異的に結合するアプタマーでありうる。さらに好適な実施形態では、サンプルは、検出剤と少なくとも1つのバイオマーカーとの間に形成された複合体から、この形成された複合体の量の測定前に除去される。従って、好適な実施形態では、検出剤は固体支持体上に固定されていてもよい。さらに好適な実施形態では、サンプルは、固体支持体上の形成された複合体から、洗浄液を適用することにより除去できる。形成された複合体は、サンプル中に存在する少なくとも1つのバイオマーカーの量に比例するものとする。適用する検出剤の特異性および/または感度により、特異的に結合されうる、サンプルに含まれる少なくとも1つのバイオマーカーの割合の程度が定義されることは理解されよう。どのように測定を実行しうるかについてのさらなる詳細もまた、本明細書の他の箇所に見出される。形成された複合体の量は、サンプル中に実際に存在する量を反映する、少なくとも1つのバイオマーカーの量に変換されるものとする。かかる量は、好ましくは、本質的にサンプル中に存在する量でありうるか、または好ましくは、形成された複合体と元のサンプル中に存在する量との関係上、その一定割合である量でありうる。
前述の方法のさらに好適な実施形態では、ステップ(d)を分析ユニット(一態様では、本発明の他の箇所で定義した分析ユニット)により実行してもよい。
本発明の方法の好適な実施形態では、ステップ(d)で測定した量を参照と比較する。好ましくは、該参照は、本明細書中の他の箇所で定義した参照である。さらに別の好適な実施形態では、該参照は、測定した複合体量と元のサンプル中に存在する量との比例関係を考慮したものである。つまり、本発明の方法の好適な実施形態において適用する参照は、使用している検出剤の制約を反映するために採用した人工的な参照である。別の好適な実施形態では、前記関係は、例えば、測定量の値と参照とを実際に比較する前にその測定量に対する正規化および/または補正計算ステップを含めることにより、比較を実行する場合にも考慮に入れることができる。さらにまた、測定量に対する正規化および/または補正計算ステップは、使用している検出剤の制約が適切に反映されるような比較ステップを採用する。好ましくは、比較は自動的に実行される、例えば、コンピュータシステムなどにより支援される。
診断の補助は、ステップ(b)で実行する比較に基づき、被験体を(i)膵臓癌に一定の尤度で罹患している被験体群もしくは膵臓癌に罹患していない群、または(ii)膵臓癌に罹患している被験体群もしくは膵炎に罹患している群、に割り当てることにより確立される。本明細書中の他の箇所で既に検討したように、調査した被験体の割り当てが、調査した症例の100%で正確とはいえないに違いない。さらに、調査した被験体を割り当てる被験体群は、それらが統計学的理由、すなわち本発明の方法が動作する基礎となるある特定の予め選択した程度の尤度に基づいて確立されたものであるという点で、人工群である。従って、前記方法により、ある態様においては他の技術による診断のさらなる強化を必要としうる診断の補助を確立してもよい。好ましくは、診断の補助は自動的に確立される、例えば、コンピュータシステムなどにより支援される。
本発明の方法の好適な実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーの測定は、質量分析技術(好ましくはGCMSおよび/もしくはLCMS)、NMRまたは本明細書中で先に言及した他の技術により達成される。かかる場合には、好ましくは、分析するサンプルを前処理する。かかる前処理は、好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーをサンプル物質から取得することを含み、例えば、血漿もしくは血清を全血から取得することができるし、または少なくとも1つのバイオマーカーをサンプル物質から特異的に抽出することさえできる。さらに、GCMSの場合、好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーの誘導体化などのさらなるサンプル前処理を必要とする。その上、前処理もまた、好ましくは、サンプル物質を希釈すること、およびそこに含まれる成分の濃度を調整または正規化することを含む。この目的のために、好ましくは、正規化標準物質を、少なくとも1つのバイオマーカーの量と参照との比較および/または分析すべき種々のサンプル間の比較を可能にする既定量でサンプルに添加してもよい。
本発明の方法は、好適な実施形態ではさらに、ステップc)で確立した診断の補助の結果に応じて被験体に助言する、および/または被験体を管理するステップをさらに含む。かかる助言は、ある態様においては、生活環境を改善することを目的とした生活様式、栄養物などの調節、本明細書中の他の箇所で詳細に記載した治療手段の適用、および/または定期的な疾患モニタリングであってもよい。
前述の方法の別の好適な実施形態では、ステップ(e)および/または(f)を本明細書中の他の箇所で記載した評価ユニットにより実行する。
有利なことに、本発明の基礎となる研究において、本明細書において前述したバイオマーカーのグループ(一群のバイオマーカー)に含まれる具体的バイオマーカーの量は、膵臓癌の指標であることが見いだされ、これらは特に膵臓癌と膵炎とを鑑別することを可能とする。これは、特に、疾患の効率的な診断、並びに膵臓癌の前臨床及び臨床管理の改善、並びに患者の効率的なモニタリングに役立つ。さらに、本発明の基礎となる知見はまた、以下に詳しく記載するように、膵臓癌に対するさらに効果的な薬物療法又は他の介入処置の開発も促進する。
上記の用語の定義及び説明は、特に断らない限り、本発明の下記の実施形態についても変更すべき箇所は変更して、同様に適用される。
本発明の方法の好適な実施形態では、前記被験体は膵臓癌または慢性膵炎に罹患している疑いがある。
本発明の方法の別の好適な実施形態では、前記(複数の)参照は、膵臓癌に罹患していることが知られている被験体または被験体群のサンプルに由来するものである。
本発明の方法のさらに別の実施形態では、前記(複数の)参照は、膵臓癌に罹患していないことが知られている被験体または被験体群のサンプルに由来するものである。
本発明の方法のさらなる実施形態では、前記バイオマーカーのグループは、表16から選択される少なくとも1つのさらなるバイオマーカーを含む。
本発明の方法の別の好適な実施形態では、前記バイオマーカー群は、表2〜15のいずれか1つに示す群である。
さらに、本発明の方法の好適な実施形態では、前記バイオマーカー群はCA19-9をさらに含む。
その上、本発明の方法の好適な実施形態では、前記診断は膵臓癌と膵炎を鑑別することを含む。
本発明はまた、被験体が膵臓癌治療を必要とするかどうかを同定するための方法であって、前述の本発明の方法のステップと、被験体が膵臓癌に罹患していると診断される場合に膵臓癌治療を必要とする該被験体を同定するさらなるステップを含む上記方法に関する。
本明細書において用いる「膵臓癌の治療を必要とする」との句は、被験体における疾患が、膵臓癌又はそれと関連する症状を改善又は処置するために治療的介入が必要又は有益である状態にあることを意味する。したがって本発明の根底をなす研究による知見は、被験者における膵臓癌診断を可能とするのみならず、膵臓癌療法により処置されるべき、又は膵臓癌療法が調節を必要とする被験体を同定することを可能とする。被験体が一度同定されると、本発明の方法は、膵臓癌の治療について助言をするステップをさらに含みうる。
さらに、前述の本発明の方法の好適な実施形態では、前記方法は、被験体が膵臓癌または膵炎に罹患していると診断されるかどうかに基づいて、該被験体に治療手段または患者の健康管理手段を助言(提言)するステップをさらに含む。
本明細書において用いられる「助言(提言)する」という用語は、患者に具体的に適用できる治療手段および/または患者の健康管理手段について提案することを指す。助言には、好ましくは、助言した治療手段または患者の健康管理手段の実際の適用は包含されない。
本明細書において用いられる「治療手段または患者の健康管理手段」という用語は、膵臓癌もしくは膵炎を治療もしくは改善することを目的とするか、またはかかる疾患の進行を予防することを目的とした治療手段、ならびにモニタリング(例えば、モニタリング手段とモニタリング頻度の選択)および入院などの患者の健康管理手段を指す。好ましくは、これらの治療手段または患者の健康管理手段は、以下:外科的処置、抗癌薬の投与、患者のモニタリング、積極的監視療法、および入院からなる群より選択される。適切な癌治療には、外科的処置、低および高線量照射、ならびに全身化学療法、例えば、細胞分裂阻害薬が、単独で、または他の薬物と組み合わせた形で含まれる。好適な外科的処置に基づく治療としては、膵臓又はその一部の切除、例えば膵頭十二指腸切除術、膵尾部切除術、全または部分膵切除術、姑息的橋渡し手術が挙げられる。薬物に基づく治療には、好ましくは、抗腫瘍特性を有する1種以上の薬物の投与が含まれ、例としては、限定するものではないが、白金誘導体、例えば、オキサリプラチン、フルオロピリミジン、ピリミジン類似化合物、ゲムシタビン、代謝拮抗物質、アルキル化剤、アントラサイクリン類、植物アルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤、標的化抗体およびチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる。特に好適な薬物としては、ゲムシタビン単独またはゲムシタビンとエルロチニブおよび/またはオキサリプラチンとの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。また前記方法を、被験体が前述の疾患に対する治療の恩恵を受けるか、または該治療を必要とするかを判定するためにも適用しうることは理解されよう。かかる方法は、「積極的監視療法」のような治療アプローチに適用することができる。このアプローチでは、例えば、あまり進行していない膵炎に罹患している被験体を、進行の早期発現を検出するために、短期的かつ定期的に先に記載した膵臓癌を診断するための方法に供する。進行が検出できるようになって初めて、該被験体を外科的処置または照射などの適切な治療により処置する。従って、「積極的監視療法」は、治療が直ちに必要ではない被験体において該治療の有害な副作用を予防する。この段階での治療を回避することにより、該治療の有害な副作用も同様に回避できることは理解されよう。本発明の方法のより好適な実施形態では、該方法は、被験体に前述の方法により同定した前記の治療手段または患者の健康管理手段を適用するステップも含む。
本発明は、被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイスであって、以下:
(a)バイオマーカーのグループの量の検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該群が少なくとも表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせの(複数の)バイオマーカーを含むかまたは少なくとも表17〜26のいずれか1つに示す(複数の)バイオマーカーを含み、該検出器により該サンプル中の該バイオマーカーのグループの該バイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記バイオマーカーのグループの前記(複数の)バイオマーカーの(複数の)量と保存された参照との比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記デバイスを意図する。
本明細書において用いるデバイスは、少なくとも前述のユニットを含むべきである。該デバイスのユニットは、互いに機能的に連結されている。どのように手段を機能的に連結するかは、デバイスに含まれるユニットの種類による。例えば検出器によりバイオマーカーの自動的な定性的又は定量的決定が可能である場合、かかる自動的可動分析ユニットにより取得されたデータは、評価ユニットにおける評価を促進するために、例えばコンピュータプログラムにより処理されうる。好ましくは、ユニットはかかるケース内の単一デバイスに含まれる。前記デバイスはしたがって、バイオマーカーのための分析ユニットと、評価のための結果的に得られるデータを処理するため、及び出力情報を集めるためのコンピュータ又はデータ処理デバイスを含みうる。好ましいデバイスは特化した臨床医の特定の知識なしに適用可能なものであり、例えばサンプルの充填を必要とするに過ぎない電子デバイスである。デバイスの出力情報は、好ましくは、膵臓癌の存在又は不在について結論付けることを可能にする数値であり、したがって診断の補助となる。より好ましくは、出力情報は前述の数値に基づく予備的診断又は診断の支援であり、すなわち被験体が膵臓癌を罹患しているか否かを示す分類詞である。かかる予備的診断は、専門知識データベースシステムを追加することにより本発明のデバイスにおいて提供することができる、さらなる情報の評価を必要としうる。
本発明のデバイスに従って保存された参照として使用される好ましい参照は、本明細書中で他所において記載する、膵臓癌に罹患していることが知られている被検体又は被検体群に由来する分析対象の少なくとも1つのバイオマーカーの量又はそれから得られる値である。このような場合、実体的に組み込まれたアルゴリズムは、好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーについて測定された量を参照と比較し、ここで同一の又は実質的に同一の量又は値は、被検体における膵臓癌の存在を示すものである。
別法として、本発明のデバイスに従って保存された参照として使用される別の好ましい参照は、本明細書中で他所において記載する、膵臓癌に罹患していないことが知られている被検体又は被検体群に由来する、分析対象の少なくとも1つのバイオマーカーの量又はそれから得られる値である。このような場合、実体的に組み込まれたアルゴリズムは、好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーについて測定された量を参照と比較し、ここで参照と異なる量又は値は、被検体における膵臓癌の存在を示すものである。好ましい差は、以下の表中の個々のバイオマーカーの相対的変化又は変化度として示される差である。
また本発明のデバイスのユニットは、好ましくは,互いに動作可能に連結された、いくつかのデバイスを含むシステムに組み込まれていてもよい。本発明のシステムに使用されるユニットに応じて、該手段間のデータ伝送を可能にする手段、たとえば、ガラスファイバーケーブル及びハイスループットデータ伝送用の他のケーブルを用いて各手段を他の手段に接続することにより、該手段を機能的に連結することが可能である。それにもかかわらず、本発明では、たとえばLAN(無線LAN、W-LAN)を介する手段間の無線データ転送も想定される。好ましいシステムは、バイオマーカーを測定する手段を含む。本明細書において用いられるバイオマーカーの測定手段とは、バイオマーカーの分離手段(たとえばクロマトグラフィデバイス)、及び代謝物質の測定手段(たとえば質量分析デバイス)を含むものである。好適なデバイスについては、上に詳細に記載されている。本発明のシステムに使用される好ましい化合物分離手段としては、クロマトグラフィデバイス、より好ましくは液体クロマトグラフィ用、HPLC用、及び/又はガスクロマトグラフィ用のデバイスが挙げられる。好ましい化合物測定デバイスは、質量分析デバイス、より好ましくはGC-MS、LC-MS、直接注入質量分析器、FT-ICR-MS、CE-MS、HPLC-MS、四重極質量分析器、逐次連結質量分析器(たとえばMS-MS若しくはMS-MS-MS)、ICP-MS、Py-MS又はTOFを含む。好ましくは、分離手段と測定手段とを互いに連結させる。最も好ましくは、本明細書中の他の箇所に詳細に記載されるように、LC-MS及び/又はGC-MSを本発明のシステムに使用する。さらに、バイオマーカーの測定手段から得られた結果の比較手段及び/又は分析手段も含まれるものとする。結果の比較手段及び/又は分析手段は、少なくとも1つのデータベース、及び結果を比較するために実装されたコンピュータプログラムを含みうる。また、上述のシステム及びデバイスの好ましい実施形態については、以下に詳細に記載する。
さらに本発明は、上に記載の医学的状態又は効果の指標(すなわち、被験体における膵臓癌の診断、被験体が膵臓癌の治療を必要とするか否かの特定)となるバイオマーカーのグループ(一群のバイオマーカー)のバイオマーカーの特性値を含むデータ集合に関する。
「データ集合」という用語は、物理的及び/又は論理的に一まとめにしうるデータの集合を意味する。したがって、データ集合は、単一のデータ記憶媒体又は互いに動作可能に連結された物理的に分離されたデータ記憶媒体に組込み可能である。好ましくは、データ集合は、データベースを利用して実装される。したがって、本明細書において用いられるデータベースとは、好適な記憶媒体上のデータ集合を包含するものである。さらにデータベースは、好ましくは、データベース管理システムをも含む。データベース管理システムは、好ましくは、ネットワーク型、階層型、又はオブジェクト指向型のデータベース管理システムである。そのうえさらに、データベースは、連邦データベース又は統合データベースでありうる。より好ましくは、データベースは、分散型(連邦)システムとして、たとえばクライアントサーバシステムとして実装されるであろう。より好ましくは、データベースは、検索アルゴリズムにより試験データセットをデータ集合に含まれるデータセットと比較できるように構築可能である。具体的には、そのようなアルゴリズムを用いて、上に記載した医学的状態又は効果の指標となる類似又は同一のデータセットが得られるように、データベースを検索することが可能である(たとえば、クエリー検索)。したがって、データ集合で同一又は類似のデータセットを同定できれば、試験データセットは、該医学的状態又は効果と関連付けられるであろう。その結果として、データ集合から得られた情報を、例えば上述した本発明の方法のための参照として用いることが可能である。より好ましくは、データ集合は、上で記載した群のいずれかに含まれるすべてのバイオマーカーの特性値を含む。
上記を考慮して、本発明は、上述のデータ集合を含むデータ記憶媒体を包含する。
本明細書において用いられる「データ記憶媒体」という用語は、単一の物理的要素に基づくデータ記憶媒体、たとえば、CD、CD-ROM、ハードディスク、光記憶媒体、又はディスケットを包含する。さらに、この用語は、好ましくはクエリー検索に好適な方式で、上述のデータ集合を提供するように互いに動作可能に連結された物理的に分離された要素よりなるデータ記憶媒体をも包含する。
本発明はまた、
(a)サンプル中に含まれるバイオマーカーのグループのバイオマーカーの特性値を比較するための手段と、それと動作可能に連結された
(b)上に記載したようなデータ記憶媒体
とを含むシステムに関する。
本明細書において用いられる「システム」という用語は、互いに動作可能に連結された異なる手段に関する。該手段は、単一のデバイスに組み込みうるか、又は互いに動作可能に連結された物理的に分離されたデバイスでありうる。バイオマーカーの特性値を比較するための手段は、好ましくは、上で述べたような比較用のアルゴリズムに基づいて動作する。データ記憶媒体は、好ましくは、それぞれの記憶データセットが上で記載した医学的状態又は効果の指標となる上述のデータ集合又はデータベースを含む。したがって、本発明のシステムを用いれば、データ記憶媒体に記憶されたデータ集合に試験データセットが含まれるかどうかを同定することが可能である。その結果として、本発明の方法は、本発明のシステムにより実施することができる。
システムの好ましい実施形態では、サンプルのバイオマーカーの特性値を測定する手段が含まれる。「バイオマーカーの特性値を測定する手段」という用語は、好ましくは、代謝物質を測定するための上述のデバイス、たとえば、質量分析デバイス、NMRデバイス、又はバイオマーカーの化学的アッセイ若しくは生物学的アッセイを行うためのデバイスを意味する。
さらに本発明は、上に記載したバイオマーカーのグループに含まれるバイオマーカーの測定手段を含む診断用手段に関する。
「診断用手段」という用語は、好ましくは、本明細書中の他の箇所に詳細に明記されるような診断用デバイス、システム、又は生物学的アッセイ若しくは化学的アッセイを意味する。
「(該)バイオマーカーの測定手段」という表現は、バイオマーカーを特異的に認識可能なデバイス又は検出剤を意味する。好適なデバイスは、分光測定デバイス、例えば、質量分析デバイス、NMRデバイス、又はバイオマーカーの化学的アッセイ若しくは生物学的アッセイを行うためのデバイスでありうる。好適な検出剤は、バイオマーカーを特異的に検出する化合物でありうる。本明細書において用いられる検出とは、二工程プロセスであってもよい。すなわち、最初に、化合物を検出被検体のバイオマーカーに特異的に結合させ、続いて、検出可能なシグナル、たとえば、蛍光シグナル、化学発光シグナル、放射性シグナルなどを発生させることが可能である。検出可能なシグナルを発生させるために、さらなる化合物が必要になることもある。こうした化合物はすべて、「少なくとも1つのバイオマーカーの測定手段」という用語に包含される。バイオマーカーに特異的に結合する化合物は、本明細書中の他の箇所に詳細に記載されており、好ましくは、酵素、抗体、アプタマー、リガンド、レセプター、又はバイオマーカーに特異的に結合する他の生物学的分子若しくは化学物質などである。
さらに本発明は、上に記載したバイオマーカーのグループに含まれる(複数の)バイオマーカーを含む診断用組成物に関する。
バイオマーカーのグループ(群)は、本明細書の他の箇所に記載したように被験体の医学的状態又は効果についての指標分子となるであろう。従って、バイオマーカー分子自体は、診断用組成物として、好ましくは本明細書において記載する手段によって可視化又は検出する際の診断用組成物として機能しうる。従って、本発明に従ってバイオマーカーの存在を示す診断用組成物はまた、物理的にはバイオマーカー、例えば抗体の複合体を含んでもよく、検出被検体のバイオマーカーは診断用組成物として機能する。そのため、診断用組成物はさらに、本明細書の他の箇所に記載される代謝物質の検出用手段を含んでもよい。あるいは、検出手段、例えばMS又はNMRに基づく技術を使用する場合には、リスク状態の指標として機能する分子種は、検査被検体の試験サンプルに含まれる少なくとも1つのバイオマーカーでありうる。従って、本発明に関して記載する少なくとも1つのバイオマーカーは、バイオマーカーとしてその同定のために、それ自体が診断用組成物として機能しうる。
概して、本発明は、膵臓癌を診断するため、または膵臓癌と膵炎を識別するための、膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおける、少なくとも表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせの(複数の)バイオマーカーを含むかもしくは少なくとも表17〜26のいずれか1つに示す(複数の)バイオマーカーを含むバイオマーカーのグループまたはそのための検出剤の使用を意図する。さらに、本発明は、膵臓癌を診断するため、または膵臓癌と膵炎を識別するための診断用または医薬用組成物を製造するための、少なくとも表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせの(複数の)バイオマーカーを含むかもしくは少なくとも表17〜26のいずれか1つに示す(複数の)バイオマーカーを含むバイオマーカーのグループまたはそのための検出剤の使用に関する。
さらに、本発明は、被験体において膵臓癌を診断するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表28からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;および
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌を診断するステップ
を含む上記方法に関する。
より典型的には、前記の被験体において膵臓癌を診断するための方法は、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表28に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を、好ましくは、前記サンプルを、該バイオマーカーと特異的に結合する(かつ結合すると該バイオマーカーの量が測定されるように検出されうる)抗体またはアプタマーなどの検出剤と接触させることにより測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーの量を、該バイオマーカーの参照と比較するステップ;および
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌の有無を診断するステップ
を含む。
本発明はまた、被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表28の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照、好ましくは本発明の方法に関して先に明記した参照、およびより好ましくは、膵臓癌に罹患していることが知られている被験体または被験体群に由来する参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との(好ましくは本発明の方法に関して先に明記した)比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記のデバイスまたはシステムに関する。
最終的に、概して、本発明は、被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するための、表28の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用を意図する。さらに本発明は、膵臓癌を診断するための診断用または医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表28の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用に関する。
さらに、本発明は、被験体において膵臓癌と膵炎を鑑別するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表29、30、31、30a、または38からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;および
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌と膵炎を鑑別するステップ
を含む上記方法に関する。
より典型的には、前記の被験体において膵臓癌と膵炎を鑑別するための方法は、以下のステップ:
(a)膵臓癌および/または膵炎に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表29、30、31、30a、または38に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を、好ましくは、前記サンプルを、該バイオマーカーに特異的に結合しかつ結合すると該バイオマーカーの量が測定されるように検出されうる抗体またはアプタマーなどの検出剤と接触させることにより測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーの量を参照と比較するステップ;ならびに
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌と膵炎を鑑別するステップ
を含む。
好ましくは、前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表29からのものである場合、前記サンプルは血清サンプルである。好ましくは、前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表30、または好適な実施形態では表30aからのものである場合、前記サンプルは血漿サンプルである。さらに、前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表31からのものである場合、前記サンプルは好ましくは血漿または血清サンプルである。好適な実施形態では、前記の少なくとも1つのバイオマーカーは表38からのものであり、かつ膵臓癌はステージIまたはIIの膵臓癌、すなわち、好ましくは、切除可能な膵臓癌であり、その際の前記サンプルは、好ましくは、血漿サンプルである。
本発明はまた、被験体のサンプルにおいて膵臓癌と膵炎を鑑別するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表29、30、31、30a、または38の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照、好ましくは本発明の方法に関して先に明記した参照、およびより好ましくは、膵臓癌または膵炎に罹患していることが知られている被験体または被験体群に由来する参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との(好ましくは本発明の方法に関して先に明記した)比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記のデバイスまたはシステムに関する。
最終的に、概して、本発明は、膵臓癌と膵炎を鑑別するための、被験体のサンプルにおける、表29、30、31、30a、もしくは38の少なくとも1つのバイオマーカー、またはそのための検出剤の使用を意図する。さらに本発明は、膵臓癌と膵炎を鑑別するための診断用または医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表29、30、31、30a、もしくは38の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用に関する。
さらに、本発明は、被験体において膵臓癌を診断するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表32、33、33a、または39からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ、および
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌を診断するステップ
を含む上記方法に関する。
より典型的には、前記の被験体において膵臓癌を診断するための方法は、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表32、33、33a、または39に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を、好ましくは、前記サンプルを、該バイオマーカーに特異的に結合しかつ結合すると該バイオマーカーの量が測定されるように検出されうる抗体またはアプタマーなどの検出剤と接触させることにより測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカー群の前記量を参照と比較するステップ;および
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌の有無を診断するステップ
を含む。
本発明はまた、被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表32、33、33a、または39の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照、好ましくは本発明の方法に関して先に明記した参照、およびより好ましくは、膵臓癌に罹患していることが知られている被験体または被験体群に由来する参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との(好ましくは本発明の方法に関して先に明記した)比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記のデバイスまたはシステムに関する。
最終的に、概して、本発明は、被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するための、表32、33、33a、もしくは39の少なくとも1つのバイオマーカー、またはそのための検出剤の使用を意図する。さらに本発明は、膵臓癌を診断するための診断用もしくは医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表32、33、33a、もしくは39の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用に関する。
好ましくは、前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表32からのものである場合、前記サンプルは血清サンプルである。好ましくは、前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表33または33aからのものである場合、前記サンプルは血漿サンプルである。好適な実施形態では、前記の少なくとも1つのバイオマーカーは表39からのものであり、かつ膵臓癌はステージIまたはIIの膵臓癌、すなわち、好ましくは、切除可能な膵臓癌であり、かつ前記サンプルは、好ましくは、血漿サンプルである。
さらに、本発明は、被験体において膵臓癌と重要な対照(すなわち膵炎および肝硬変に罹患している被験体)を鑑別するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表34または35からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;ならびに
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌と重要な対照(膵炎および肝硬変)を鑑別するステップ
を含む上記方法に関する。
より典型的には、前記の被験体において膵臓癌と重要な対照を鑑別するための方法は、以下のステップ:
(a)膵臓癌または膵炎もしくは肝硬変に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表34または35に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を、好ましくは、前記サンプルを、該バイオマーカーに特異的に結合しかつ結合すると該バイオマーカーの量が測定されるように検出されうる抗体またはアプタマーなどの検出剤と接触させることにより測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーの量を参照と比較するステップ;および
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌と重要な対照を鑑別するステップ
を含む。
好ましくは、前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表35からのものである場合、前記サンプルは血清サンプルである。好ましくは、前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表34からのものである場合、前記サンプルは血漿サンプルである。
本発明はまた、被験体のサンプルにおいて膵臓癌と重要な対照(膵炎および肝硬変)を鑑別するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表34または35の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照、好ましくは本発明の方法に関して先に明記した参照、およびより好ましくは、膵臓癌または膵炎もしくは肝硬変(重要な対照)に罹患していることが知られている被験体または被験体群に由来する参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との(好ましくは本発明の方法に関して先に明記した)比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記のデバイスまたはシステムに関する。
最終的に、概して、本発明は、被験体のサンプルにおいて膵臓癌と重要な対照を鑑別するための、表34もしくは35の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用を意図する。さらに本発明は、膵臓癌と重要な対照(膵炎および肝硬変)を鑑別するための診断用または医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表34もしくは35の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用に関する。
さらに、本発明は、被験体において膵臓癌と肝硬変を鑑別するための方法であって、 以下のステップ:
(a)膵臓癌または肝硬変に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表36または37からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;および
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌と肝硬変を鑑別するステップ
を含む上記方法に関する。
より典型的には、前記の被験体において膵臓癌と肝硬変を鑑別するための方法は、以下のステップ:
(a)膵臓癌および/または肝硬変に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表36または37に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を、好ましくは、前記サンプルを、該バイオマーカーに特異的に結合しかつ結合すると該バイオマーカーの量が測定されるように検出されうる抗体またはアプタマーなどの検出剤と接触させることにより測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーの量を参照と比較するステップ;ならびに
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌と肝硬変を鑑別するステップ
を含む。
好ましくは、前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表36からのものである場合、前記サンプルは血清サンプルである。好ましくは、前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表37からのものである場合、前記サンプルは血漿サンプルである。
本発明はまた、被験体のサンプルにおいて膵臓癌と肝硬変を鑑別するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表36または37の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照、好ましくは本発明の方法に関して先に明記した参照、およびより好ましくは、膵臓癌または肝硬変に罹患していることが知られている被験体または被験体群に由来する参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との(好ましくは本発明の方法に関して先に明記した)比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記デバイスまたはシステムに関する。
最終的に、概して、本発明は、被験体のサンプルにおいて膵臓癌と肝硬変を鑑別するための、表36もしくは37の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用を意図する。さらに本発明は、膵臓癌と肝硬変を鑑別するための診断用または医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表36もしくは37の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用に関する。
上記を考慮すると、以下の実施形態が好適である。
実施形態1. 被験体において膵臓癌を診断するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせの(複数の)バイオマーカーを少なくとも含むかまたは表17〜26のいずれか1つに示す(複数の)バイオマーカーを少なくとも含むバイオマーカーのグループ(バイオマーカー群)の量を測定するステップ、および
(b)前記(複数の)バイオマーカーの(複数の)量を(複数の)参照と比較し、それによって膵臓癌を診断するステップ
を含む、上記方法。
実施形態2. 前記被験体が膵臓癌または慢性膵炎に罹患している疑いがある、実施形態1の方法。
実施形態3. 前記(複数の)参照が、膵臓癌に罹患していることが知られている被験体または被験体群のサンプルに由来するものである、実施形態1または2の方法。
実施形態4. 前記(複数の)参照が、膵臓癌に罹患していないことが知られている被験体または被験体群のサンプルに由来するものである、実施形態1または2の方法。
実施形態5. 前記バイオマーカーのグループが表16から選択される少なくとも1つのさらなるバイオマーカーを含む、実施形態1〜4のいずれか1つの方法。
実施形態6. 前記バイオマーカーのグループが表2〜15のいずれか1つに示すグループである、実施形態1〜4のいずれか1つの方法。
実施形態7. 前記バイオマーカーのグループがCA19-9をさらに含む、実施形態1〜6のいずれか1つの方法。
実施形態8. 前記診断が膵臓癌と膵炎を鑑別することを含む、実施形態1〜7のいずれか1つの方法。
実施形態9. 被験体が膵臓癌治療を必要とするかどうかを同定するための方法であって、実施形態1〜8のいずれか1つの方法のステップと、被験体が膵臓癌に罹患していると診断される場合に膵臓癌治療を必要とする該被験体を同定するさらなるステップを含む、上記方法。
実施形態10. 前記膵臓癌治療が外科的処置、放射線治療または薬物処置を含む、実施形態9の方法。
実施形態11. 前記サンプルが血漿、血液または血清サンプルである、実施形態1〜10のいずれか1つの方法。
実施形態12. 前記のスフィンゴミエリン、セラミドおよび/またはリン酸化スフィンゴ塩基が表1bに挙げたものから選択される、実施形態1〜11のいずれか1つの方法。
実施形態13. 前記膵臓癌が膵臓腺癌である、実施形態1〜12のいずれか1つの方法。
実施形態14. 前記方法がex vivo法である、実施形態1〜13のいずれか1つの方法。
実施形態15. 前記方法が表2〜15の1つに挙げたバイオマーカーのグループの量を測定することを含む、実施形態1〜14のいずれか1つの方法。
実施形態16. 前記方法が前記被験体において血糖値を測定することを含む、好ましくは前記方法に先行して血糖値を測定する、実施形態1〜15のいずれか1つの方法。
実施形態17. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイスであって、以下:
(a)バイオマーカーのグループの量のための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該グループが少なくとも表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせの(複数の)バイオマーカーを含むかまたは少なくとも表17〜26のいずれか1つに示す(複数の)バイオマーカーを含み、該検出器により該サンプル中のバイオマーカーのグループのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記のバイオマーカーのグループの(複数の)バイオマーカーの量と保存された参照との比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記デバイス。
実施形態18. 被験体において膵臓癌を診断するため、または膵臓癌と膵炎を識別するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)少なくとも表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせの(複数の)バイオマーカーを含むかまたは少なくとも表17〜26のいずれか1つに示す(複数の)バイオマーカーを含むバイオマーカーのグループの量を、好ましくは、前記サンプルを、該バイオマーカーのグループの該バイオマーカーに特異的に結合しかつ結合すると該バイオマーカーの量が測定されるように検出されうる抗体またはアプタマーなどの検出剤と接触させることにより測定するステップ;
(e)前記の(複数の)バイオマーカーの量を、該バイオマーカーの各々の参照と比較するステップ;および
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌の有無を診断するかまたは膵臓癌と膵炎を識別するステップ
を含む上記方法。
実施形態19. ステップ(d)を実施形態17によるデバイスの分析ユニットにより実行する、実施形態18の方法。
実施形態20. ステップ(e)および/または(f)を実施形態17によるデバイスの分析ユニットにより実行する、実施形態18または19の方法。
実施形態21. 膵臓癌を診断するための、膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおける、少なくとも表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせの(複数の)バイオマーカーを含むかもしくは少なくとも表17〜26のいずれか1つに示す(複数の)バイオマーカーを含むバイオマーカーのグループまたはその(ための)検出剤の使用。
実施形態22. 被験体が膵臓癌治療を必要とするかどうかを同定するための方法であって、実施形態1〜20のいずれか1つの方法の1つのステップと、被験体が膵臓癌に罹患していると診断される場合に膵臓癌治療を必要とする該被験体を同定するさらなるステップを含む、上記方法。
実施形態23. 被験体が膵臓癌または膵炎に罹患していると診断されるかどうかに基づいて、該被験体に治療手段または患者の健康管理手段を助言するステップをさらに含む、実施形態22の方法。
実施形態24. 被験体において膵臓癌を診断するため、または被験体が膵臓癌の治療を必要とするかどうかを同定するための指標となるバイオマーカーのグループのバイオマーカーの特性値を含むデータ集合。
実施形態25. 実施形態24のデータ集合を含むデータ記憶媒体。
実施形態26. 以下:
(a)サンプルに含まれるバイオマーカーのグループのバイオマーカーの特性値を比較するための手段と、該手段が動作可能に連結された
(b)実施形態25によるデータ記憶媒体
を含むシステム。
実施形態27. 前述の実施形態のいずれかのバイオマーカーのグループに含まれるバイオマーカーを含む診断用組成物。
実施形態28. 被験体において膵臓癌を診断するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表28からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;および
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌を診断するステップ
を含む、上記方法。
実施形態29. 以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表28に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーの量を、該バイオマーカーの参照と比較するステップ;および
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌の有無を診断するステップ
を含む実施形態28の方法。
実施形態30. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表28の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記のデバイスまたはシステム。
実施形態31. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するための、表28の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用。
実施形態32. 膵臓癌を診断するための診断用または医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表28の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用。
実施形態33. 被験体において膵臓癌と膵炎を鑑別するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表29、30、31、30a、または38からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;および
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌と膵炎を鑑別するステップ
を含む、上記方法。
実施形態34. 以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表29、30、31、30a、または38に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーの量を、該バイオマーカーの参照と比較するステップ;および
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌の有無を診断するステップ
を含む実施形態33の方法。
実施形態35. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表29、30、31、30a、または38の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記のデバイスまたはシステム。
実施形態36. 膵臓癌と膵炎を鑑別するための、被験体のサンプルにおける表29、30、31、30a、もしくは38の少なくとも1つのバイオマーカー、またはそのための検出剤の使用。
実施形態37. 膵臓癌と膵炎を鑑別するための診断用または医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表29、30、31、30a、もしくは38の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用。
実施形態38.
(i)前記サンプルが血清サンプルであり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表29からのものであるか;
(ii)前記サンプルが血漿サンプルであり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表30もしくは表30aからのものであるか;
(iii)前記サンプルが血漿もしくは血清サンプルであり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表31からのものであるか;または
(iv)前記膵臓癌がステージIもしくはIIの膵臓癌(切除可能な膵臓癌)であり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表38からのものでありかつ、好ましくは、前記サンプルが血漿サンプルである
実施形態33もしくは34の方法、実施形態35のデバイス、または実施形態36もしくは37の使用。
実施形態39. 被験体において膵臓癌を診断するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表32、33、33a、または39からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ、および
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌を診断するステップ
を含む、上記方法。
実施形態40. 以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表32、33、33a、または39に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を、好ましくは、前記サンプルを、該バイオマーカーに特異的に結合しかつ結合すると該バイオマーカーの量が測定されるように検出されうる抗体またはアプタマーなどの検出剤と接触させることにより測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーのグループの前記量を参照と比較するステップ;および
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌の有無を診断するステップ
を含む実施形態39の方法。
実施形態41. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表32、33、33a、または39の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記のデバイスまたはシステム。
実施形態42. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するための、表32、33、33a、もしくは39の少なくとも1つのバイオマーカー、またはそのための検出剤の使用。
実施形態43. 膵臓癌を診断するための診断用または医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表32、33、33a、もしくは39の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用。
実施形態44.
(i)前記サンプルが血清サンプルであり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表32からのものであるか;
(ii)前記サンプルが血漿サンプルであり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表33aからのものであるか;
(iii)前記サンプルが血漿もしくは血清サンプルであり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表33からのものであるか;または
(iv)前記膵臓癌がステージIもしくはIIの膵臓癌(切除可能な膵臓癌)であり、かつ前記の少なく1つのバイオマーカーが表39からのものでありかつ、好ましくは、前記サンプルが血漿サンプルである
実施形態39もしくは40の方法、実施形態41のデバイス、または実施形態42もしくは43の使用。
実施形態45. 被験体において膵臓癌と重要な対照を鑑別するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表34または35からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;ならびに
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌と重要な対照(膵炎および肝硬変)を鑑別するステップ
を含む、上記方法。
実施形態46. 以下のステップ:
(a)膵臓癌または膵炎もしくは肝硬変に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表34または35に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーの量を参照と比較するステップ;および
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌と重要な対照を鑑別するステップ
を含む実施形態45の方法。
実施形態47. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌と重要な対照を鑑別するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表34または35の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記のデバイスまたはシステム。
実施形態48. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌と重要な対照を鑑別するための、表34もしくは35の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用。
実施形態49. 膵臓癌と重要な対照を鑑別するための診断用または医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表34もしくは35の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用。
実施形態50.
(i)前記サンプルが血清サンプルであり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表35からのものであるか;または
(ii)前記サンプルが血漿サンプルであり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表34からのものである
実施形態45もしくは46の方法、実施形態47のデバイスもしくはシステム、または実施形態48もしくは49の使用。
実施形態51. 前記の重要な対照が膵炎および肝硬変である、実施形態45もしくは46の方法、実施形態47のデバイスもしくはシステム、または実施形態48もしくは49の使用。
実施形態52. 被験体において膵臓癌と肝硬変を鑑別するための方法であって、以下のステップ:
(a)膵臓癌または肝硬変に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、表36または37からの少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;および
(b)前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌と肝硬変を鑑別するステップ
を含む、上記方法。
実施形態53. 以下のステップ:
(a)膵臓癌および/または肝硬変に罹患している疑いのある被験体を選択するステップ;
(b)前記被験体から試験サンプルを取得するステップ;
(c)前記試験サンプルを、該サンプルに含まれるバイオマーカーの分析のために前処理するステップ;
(d)表36または37に示す少なくとも1つのバイオマーカーの量を測定するステップ;
(e)前記のバイオマーカーの量を参照と比較するステップ;ならびに
(f)ステップ(e)の比較に基づいて、膵臓癌と肝硬変を鑑別するステップ
を含む実施形態52の方法。
実施形態54. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌と肝硬変を鑑別するためのデバイスまたはシステムであって、以下:
(a)表36または37の少なくとも1つのバイオマーカーのための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該検出器により該サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
(b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記の少なくとも1つのバイオマーカーの量と保存された参照との比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
を含む上記のデバイスまたはシステム。
実施形態55. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌と肝硬変を鑑別するための、表36もしくは37の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用。
実施形態56. 膵臓癌と肝硬変を鑑別するための診断用または医薬用組成物を製造するための、被験体のサンプルにおける表36もしくは37の少なくとも1つのバイオマーカーまたはそのための検出剤の使用。
実施形態57.
(i)前記サンプルが血清サンプルであり、かつ前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表36からのものであるか;または
(ii)前記の少なくとも1つのバイオマーカーが表37からのものである場合に、前記サンプルが血漿サンプルである、
実施形態52もしくは53の方法、実施形態54のデバイスもしくはシステム、または実施形態55もしくは56の使用。
本明細書中で引用した全ての参考文献は、それらの開示内容全般に関して、または先に示した特定の開示内容に関して、参照により本明細書中に組み込まれるものとする。
(実施例)
本発明をここで下記実施例により説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を制限または限定するものではない。
実施例1:患者、血漿および血清の調製
膵臓癌、慢性膵炎、肝硬変を患う患者と健常供血者の計474名を臨床試験に登録した。この後向き症例対照試験には、次のサンプル:膵管腺癌(PDAC)に罹患している患者158名のサンプル、慢性膵炎(CP)患者の159サンプル、肝硬変(LC)に罹患している患者80名のサンプルおよび健常ボランティア(供血者、BD)の77サンプルを含めた。全患者または該患者の法定代理人は各々の同意書を提出し、また地域倫理審査委員会によりプロトコルが承認された。患者は2つのセンターから継続的に募集した。血液の採取および遠心分離の後、血漿または血清サンプルをエッペンドルフチューブに回収し、さらなる分析のために-80℃で保存した。サンプルの処理は治験標準業務手順書に従って実施した。除外基準は、悪性腫瘍の併発、試験への募集の2年未満の悪性疾患の治療的処置、膵臓嚢胞性疾患の併発、妊娠または同意できない患者とした。
実施例2:代謝物質のプロファイリング
MxP(登録商標)ブロードおよびMxP(登録商標)ステロイド
3種の質量分析法を全サンプルに適用した。GC-MS(ガスクロマトグラフィ-質量分析;Agilent 5973 MSSystemに連結したAgilent 6890 GC、Agilent, Waldbronn, Germany)およびLC-MS/MS[液体クロマトグラフィ-MS/MS;Applied Biosystems API4000 MS/MS-System (Applied Biosystems, Darmstadt, Germany)に連結したAgilent 1100 HPLC-System(Agilent, Waldbronn, Germany)]をブロードプロファイリング[van Ravenzwaay, B.ら、The use of metabolomics for the discovery of new biomarkers of effect. Toxicol Lett 172, 21-8 (2007]のために使用した。固相抽出-LC-MS/MS[SPE-LC-MS/MS;Applied Biosystems API4000 MS/MS-System (Applied Biosystems, Darmstadt, Germany)に連結したSymbiosis Pharma (Spark, Emmen, Netherlands)]をステロイドレベルの測定のために使用した。サンプルの分画および誘導体化ならびに検出技術については以前に記載されている[van Ravenzwaay, B.ら、The use of metabolomics for the discovery of new biomarkers of effect. Toxicol Lett 172, 21-8 (2007, Roessner, U., Wagner, C., Kopka, J., Trethewey, R.N. & Willmitzer, L. Technical advance:simultaneous analysis of metabolites in potato tuber by gas chromatography-mass spectrometry. Plant J 23, 131-42 (2000), Mutch, D.M.ら、Metabolite profiling identifies candidate markers reflecting the clinical adaptations associated with Roux-en-Y gastric bypass surgery. PLoS One 4, e7905 (2009)]。タンパク質を沈降により血漿サンプルから除去した。続いて、極性および非極性の画分を、水およびエタノールとジクロロメタンとの混合物を添加することによりGC-MS分析とLC-MS/MS分析の両方のために分離した。GC-MS分析のために、非極性画分を酸性条件下でメタノールを用いて処理することで、遊離脂肪酸と加水分解された複合脂質の両方に由来する脂肪酸メチルエステルを得た。この極性および非極性画分を、GC-MS分析の前に、オキソ基をO-メチルオキシムに変換するためにO-メチル-ヒドロキシアミン塩酸塩(ピリジン中20 mg/mL、50 ll)を用い、続いてシリル化剤(MSTFA, 50 ll)を用いてさらに誘導体化した。LC-MS/MS分析のためには、両画分を適当な溶媒混合液中で再構成させた。逆相分離カラムにメタノール/水/ギ酸を使用する勾配溶離により、高性能LC(HPLC)を実施した。フルスクリーン分析と並行して標的化および高感度「多重反応モニタリング」プロファイリングを可能にする質量分析検出技術を、米国特許第7196323号に記載されている通りに適用した。ステロイドおよびそれらの関連代謝物質はオンラインSPE-LC-MS/MSにより測定した。
MxP(登録商標)リピッド
総脂質を、クロロホルム/メタノールを使用する液/液抽出により血漿または血清から抽出した。この脂質抽出物を、その後[Christie, W.W. Rapid separation and quantification of lipid classes by high performance liquid chromatography and mass (light-scattering) detection. J Lipid Res 26, 507-12 (1985)]に従い、順相液体クロマトグラフィー(NPLC)により11の異なる脂質群に分画した。それらの画分を、コレステロールエステル(CE)、遊離ステロール(FS)、スフィンゴミエリン(SM)、およびセラミド(CER)各々に対する特異的な多重反応モニタリング(MRM)トランジションの検出を伴うエレクトロスプレーイオン化(ESI)および大気圧化学イオン化(APCI)を利用してLC-MS/MSにより分析した。スフィンゴシンおよびスフィンゴシン-1-リン酸(SP)は、[Schmidt, H., Schmidt, R. & Geisslinger, G. LC-MS/MS-analysis of sphingosine-1-phosphate and related compounds in plasma samples. Prostaglandins Other Lipid Mediat 81, 162-70 (2006)]に記載されている通りに、特異的な多重反応モニタリング(MRM)トランジションの検出を伴うエレクトロスプレーイオン化(ESI)を利用してLC-MS/MSにより分析した。脂質クラスであるモノアシルグリセリド(MAG)、トリアシルグリセリド(TAG)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、リゾホスファチジルコリン(LPC)、ジアシルグリセロール(DAG)、遊離脂肪酸(FFA)をGC-MSにより測定した。それらの画分を、TMSH(トリメチルスルホニウムヒドロキシド)よる誘導体化後にGC-MSにより分析し、クラス分けした脂質のアシル部分に対応する脂肪酸メチルエステル(FAME)を得た。C14〜C24のFAMEの濃度を各画分において測定する。下記表では、上記略語のいずれかを、各代謝物質が各脂質または脂質画分に由来するものであることを示すために、代謝物質の接頭辞として使用する。
実施例3:データセット分析および正規化
統計的分析に先立って、データの正規分布を確保するために比のlog10変換を行なった。ソフトウェアR 2.8.1 (パッケージnlme)をデータ分析および可視化のために使用した。統計的分析は、適切な場合には、固定効果として「疾患」、「年齢」「性別」、「BMI」、および「サンプルの保存期間」、および「サンプルの種類」(血漿または血清)を用いて単純線形モデル(ANOVA)により行なった。ランダムフォレスト(LiawおよびWiener (2002). Classification and Regression by random Forest. R News 2(3), 18-22.)ならびにエラスティックネット(ZouおよびHastie (2005) Regularization and variable selection via the elastic net, Journal of the Royal Statistical Society, Series B)を用いる分類分析を、パネルに示すように、CA 19-9を含むかまたはCA19-9を除外するlog10変換データに対して行なった。特徴選択は、最後のモデルの残差と最も相関している代謝物質を次のモデルに加える前方探索アプローチにより行なった。エラスティックネットに組み込まれている特徴選択は適用しなかった。本発明者らは、10中9の訓練事例集合(training folds)に対してモデルを繰り返し構築することでその後テスト事例集合(test fold)について偏りのない方法でAUCを推定するために特徴選択が組み込まれている10分割交差検証を利用した。
その後、代謝物質の最後のセットを、データ全体に対して分類器を再訓練することにより測定した。本発明者らは、3つの異なるデータセットを分析した:(1)血漿サンプルのデータ、(2)血清サンプルのデータ、ならびに(3)血漿および血清サンプルを合わせたデータ。 (3)の場合、記載した通り、このサンプルの種類をANOVA分析における固定効果として使用した。
本発明者らの選択したパネルの性能を分析するため、これらの代謝物質のセットに関するランダムフォレストまたはエラスティックネット分析を用いて分類器を構築し、交差検証した分類性能を、受信者動作特性(ROC)分析の曲線下面積(AUC)を用いて推定した。性能計算は、交絡因子(年齢、性別、BMI、およびサンプルの種類(適当な場合))に対する代謝物質データの事前ANOVA補正を行なって、または行なうことなく、実行した。
AUCに関する95%信頼区間は全て、Zhou, ObuchowskiおよびMcClish [Statistical Methods in Diagnostic Medicine (2011), 第2版、Zhou, ObuchowskiおよびMcClish著]に記載の従法線モデルに基づいて導き出した。双正規性(binormality)の仮定は、QQ-プロットを用いて視覚的に確認した。
膵臓癌と膵炎との鑑別診断のために、多変量分析(ランダムフォレスト=RF))および単変量分析(ANOVA、ROC)の結果からコアパネルを次のように選択した:
Figure 2017504011
前記のバイオマーカー候補物質にCA19-9が含まれる場合、このデータを数量データまたはカテゴリーデータとして適用してもよい。数量的CA19-9データとは、被験体当たりの測定されたCA19-9濃度(U/mL)を指す。カテゴリーデータの場合、37 U/mLという定義されたカットオフを、該データの低CA19-9群(≦37 U/mL)と高CA19-9群(>37 U/mL)への二分化のために使用した;これらの分析を、血漿サンプルのデータ、血清サンプルのデータに関して、ならびに血漿および血清の複合分析に関して行なった。
Figure 2017504011
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実施例4:患者およびサンプルの調製
後向き症例対照試験から、切除可能な(すなわちステージT1またはT2)PDACに罹患している患者79名の血漿サンプル、慢性膵炎に罹患している患者80名の血漿サンプル、および非膵臓性対照(ヘルニア修復および甲状腺切除)80名の血漿サンプルを含めた。除外基準は、悪性腫瘍の併発、試験への募集の2年未満の悪性疾患の治療的処置、膵臓嚢胞性疾患の併発、妊娠または同意できない患者とした。血液の採取および遠心分離の後、血漿サンプルをエッペンドルフチューブに回収し、さらなる分析のために、実施例2に記載した通りに-80℃で保存した。統計的分析は、実施例3に記載した通り、ANOVAにより行なった。
結果を表38および39に示す。
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Claims (15)

  1. 被験体において膵臓癌を診断するための方法であって、以下のステップ:
    (a)膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおいて、バイオマーカーのグループの量を決定するステップ、ここで前記グループは、表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせのバイオマーカーを少なくとも含むかまたは表17〜26のいずれか1つに示すバイオマーカーを少なくとも含むものである、および
    (b)前記バイオマーカーの量を参照と比較し、それによって膵臓癌を診断するステップ
    を含む、上記方法。
  2. 前記被験体が、膵臓癌または慢性膵炎に罹患している疑いがある、請求項1記載の方法。
  3. 前記参照が、膵臓癌に罹患していることが知られている被験体または被験体群のサンプルに由来するものである、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記参照が、膵臓癌に罹患していないことが知られている被験体または被験体群のサンプルに由来するものである、請求項1または2記載の方法。
  5. 前記バイオマーカーのグループが、表16から選択される少なくとも1つのさらなるバイオマーカーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記バイオマーカーのグループが表2〜15のいずれか1つに示すグループである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記バイオマーカーのグループがCA19-9をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記診断が、膵臓癌と膵炎を鑑別することを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 被験体が膵臓癌治療を必要とするかどうかを同定するための方法であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法のステップと、被験体が膵臓癌に罹患していると診断される場合に膵臓癌治療を必要とする該被験体を同定するさらなるステップを含む、上記方法。
  10. 前記膵臓癌治療が外科的処置、放射線治療または薬物処置を含む、請求項9記載の方法。
  11. 前記サンプルが血漿、血液または血清サンプルである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記のスフィンゴミエリン、セラミドおよび/またはリン酸化スフィンゴ塩基が表1bに挙げたものから選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記膵臓癌が膵臓腺癌である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 被験体のサンプルにおいて膵臓癌を診断するためのデバイスであって、以下:
    (a)バイオマーカーのグループの量のための検出器を含む、被験体のサンプルのための分析ユニットであって、該グループが少なくとも表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせのバイオマーカーを含むかまたは少なくとも表17〜26のいずれか1つに示すバイオマーカーを含み、該検出器により該サンプル中の該バイオマーカーのグループのバイオマーカーの量の測定が可能となる、該分析ユニット;ならびに該分析ユニットに動作可能に連結された、
    (b)データ処理ユニットおよびデータベースを含む評価ユニットであって、該データベースが保存された参照を含み、かつ該データ処理ユニットが前記分析ユニットにより測定した前記のバイオマーカーのグループのバイオマーカーの量と保存された参照との比較を実行するため、および診断を確立させうる基礎となる出力情報を生成するための実体的に組み込まれたアルゴリズムを有する、該評価ユニット
    を含む、上記デバイス。
  15. 膵臓癌を診断するための、膵臓癌に罹患している疑いのある被験体のサンプルにおける、少なくとも表1aに示す組み合わせのうちの1つの組み合わせのバイオマーカーを含むかもしくは少なくとも表17〜26のいずれか1つに示すバイオマーカーを含むバイオマーカーのグループまたはその検出剤の使用。
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