JP2017228878A - イヤホンの再生特性の補正特性を得る方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PRRGAMは、端末器内部のディジタル信号処理部、DEVICEは、端末器内部のディジタル信号と電気信号の相互の変換部、CONVERTは、端末器とイヤホンとの接続を変更する配線部、EARPHONEは、計測対象のイヤホンである。左右のイヤホンとマイクロホンの入出力端子を電気的結合し、プレーヤーが持つ伝達特性を1系統の出力と1系統の入力で測定し、左右のイヤホンを音響的に結合させる。左右の一方で電流駆動による測定用信号を再生し、他方で再生音をマイクロホン入力で検出し、測定系の固有の特性を補正の上、左右のイヤホンの共有リード線の電圧降下を、差し引き左右のイヤホンの音響結合特性を求め、音響結合特性から、期待する再生特性へと変換するイヤホンの固有特性の補正特性を求める。
【選択図】図1
Description
請求項で定義した 用語 と 記号 は明細書においても同様とする。
イヤホンの再生特性補正
携帯電話やスマートフォンなど、音楽再生機能を持つ 携帯端末器 は 強力な計算処理機能と大量のメモリーと音響信号の入出力機能またはマイクロホンの入力があって、イヤホンの再生特性の測定には十分である。
適応制御
高速フーリエ変換と高速フーリエ逆変換とインパルス応答と それらの相互変換
音響信号処理
最小自乗法
スマートフォンの音楽プレーヤーが持つ特有の音響信号処理構造、即ち、リアルタイム処理でなければならない信号処理にもかかわらず、使うことができるCPU資源が小刻みな一括信号処理に依存する仕組みとその仕組みを有効に使う方法。
さらに、検出側イヤホンの起電力を求めるに際し、スマートフォンの音響入力系統のディジタル信号と電気信号の相互に変換する過程での、個々のスマートフォン固有の変換部の
抵抗やコンデンサの素子が持つバラツキによって左右の特性に若干の相違があって、この若干の相違は演算途中の差を求める演算行程を持つことからイヤホンの結合特性の測定誤差を顕著に大きくする。
特に、左右のイヤホンの共通リード線の電圧降下補正は減算行程を持っていることから、そして、イヤホンによっては、その大きさが取り出そうとする信号よりも大きい場合も多く、小さな誤差でも測定結果の大きな誤差要因となる。
本案発明は、上記の誤差に関係する問題を大幅に改善し、精密な補正特性を得る手段に関する。
第2に、スマートフォンはマイクロホン入力が1系統である。
第3に、音質補正は適度におおざっぱな方法でなければならない。局部的に特徴を持つ特性は返って不安定な音質となる。
端末器 から 測定用信号 を再生し、片方のイヤホンの端子へ入力し、他方のイヤホンの端子に発生する起電力をマイクロホン入力から取り込み測定する方法において、
第1に、再生側イヤホンへ電流源の信号を供給する。
第2に、測定に使う信号入出力を一つの出力端子と一つの入力端子でまかなう。
第3に、端末器の電子回路の特性を測定し、精密な測定に反映させる。
第4に、左右のイヤホンが共有するリード線部の電圧降下を、上記 第1、第2、第3 の手段を使って精密に補正し、音響結合による 左右のイヤホン の 結合特性 を割り出すことで、与えられたイヤホン固有の再生特性を算出する。
第5に、測定算出したイヤホンの固有の再生特性の細かい凹凸を持つ強度特性を 適度に滑らかに補正することで、実使用状態で、安定した、総合的に良質の再生音を得る。
第2に、第1の結果であるが、細かい凹凸のある複雑な特性ではあるが、高い精度で測定されている音響特性を丸め込むことで、適切で的を得た平滑化特性を得ることができる。
第3に、 第1と第2の結果であるが、期待イヤホン再生特性 の音質になるよう、補正されたイヤホンの音質は、一定の水準の音質を基準に、実使用で安定した補正特性を得ることができる。
イヤホンの付属品。
ミュージシャンや、音質を決定する技術者が、特定の楽曲で、特定の音質を提供したときの楽曲を提供する側が供給できる、イヤホンの種類を選ばない音質補正。
期待特性を弱難聴者用の最適特性とするイヤホン再生特性補正。
騒音中のノイズリダクション型のイヤホンピースに最適な音質補正。
図1の記号は請求項に記述と同じである。
一般的なイヤホンのイヤピースを外した状態で、左右のイヤホンを音響的に結合させ、
測定と演算によってイヤホンの補正特性を求める手法の構成図を示す。以下の説明は、請求項の補足説明である。
再生側イヤホンに供給する信号は電流源である。
再生側イヤホン の再生音は音響結合により、 検出側イヤホン に伝わり 検出側イヤホンは起電力を発生する。その起電力の 測定用信号 に対する関係はイヤホンの変換特性に依存する。検出側イヤホンの起電力を直接測定することはできないので、検出側イヤホンのイヤホン端子から得た電気信号から、左右のイヤホンの共通リード線の電圧降下を差し引くことで音響結合による検出側イヤホンの起電力割り出す。端末器のディジタル信号と電気信号の相互の変換を司る電子回路の特性を考慮に入れることで、測定精度を上げる。また、測定系は、測定精度を上げる目的で、片側チャンルだけを使って、電子回路系の特性とイヤホンの結合特性の双方を、スイッチにより切り換えて測定する。
PROGRAM は、端末器内部のディジタル信号処理部、
CTL は、測定系の操作インタフェース、制御、演算、記憶、を司る機能、
WG は、測定用のディジタル信号を発生する機能、
BASE は、端末器の電子回路の特性測定を機能させる端末器への合図、
この時点で後述のスイッチは b と c が接続されているところの、端末器の内部電子回路の測定モードである。
請求項で記述の Eg0 を発生し、Em0 を測定することで、
端末器の内部定数 Zs*Zm 即ち Em0*{1/Eg0} 即ち Hsm0 を割り出す。
MES は、検出側イヤホンの起電測定を機能させる端末器への合図、
この時点で後述のスイッチは a と c が接続されているところの、左右のイヤホンの結合係数の測定モードである。
請求項で記述の Eg を発生し、Em を測定し、請求項で記述の、無視できる誤差を除去した後、
左右イヤホンの結合係数 Glr Rm*{1/Hsm0}*Em*{1/Eg} を求める。
Hsm0 は、計測演算によって求めた 端末器の電子回路部の固有の特性、
k、Kmin は、イヤホンの共通リード線の電気抵抗の影響を除くための可変係数と
求めた k の値、
Pep は、測定演算によって求めたイヤホンの固有特性、
Qep は、Rep と Wexp から求められた イヤホンの音質補正特性、
Uep は、Rep を平滑化したイヤホンの固有特性、
Vep は、Uep と Wexp から求めた イヤホンの音質補正特性
Zs は、ディジタル信号を電気信号に変換する機能、
Zm は、電気信号をディジタル信号に変換する機能、
Cs、Ls、Rs、Ms は、それぞれ、端末器の 左右のイヤホンの共通端子、左出力端子、右出力端子、マイクロホン入力端子である。
この測定例では、右出力は使わない。左右の使い分けはどちらでもよい。
SW は、測定モードの変更スイッチ、
c と b が接続されたときは Zs と Zm の測定モード、
c と a が接続されたときは 左右イヤホンの結合特性 の測定モード、
スイッチによって測定モードを切り換える理由は二つある。
第1には、通常の端末器では音響入力が一系統である。
第2には、いかなる端末器も、左右の電子回路の特性に、抵抗やコンデンサの定数のバラツキがあって、このバラツキが大きな誤差発生の要因となることから、電子回路の特性測定とイヤホンの起電力の測定の双方には、同一の入出力系統を使う。
Cu、Lu、Ru、Mu は配線変換部の端末器側の端子である。
Cv、Lv、Rv は配線変換部のイヤホン側の端子である。
Mv は、マイクロホン端子であるが、マイクロホンの有無にかかわらず使わない。
Rc は、左右のイヤホンの共通リード線の電気抵抗、
Rc は、左右イヤホンの結合係数の測定上、最も大きな誤差を発生する要因である。Rc の値はイヤホンの種類によって大きく異なる。請求項に記述のように、Rc が関係する項を 極小化し、無視できるまでに小さくすることによって、左右のイヤホンの結合係数を精密に測ることができる。
補正モードで測定された Hsm0 を使って Rc が関係する項のキャンセル用信号 Ecan を発生し、Ecan 即ち k*Hsm0*Eg なる信号の k を可変し、Em に含まれる Rc が関係する項を極小化する。kmin に関しては、請求項 第7の機能 として記述。
Rl は、再生側イヤホンのリード線の電気抵抗、
Rr は、検出側イヤホンのリード線の電気抵抗、
Rl、Zl、El は、再生側イヤホンの、それぞれ、共通部を除くリード線の 電気抵抗 と電気インピーダンス と 起電力、
Rr、Zr、Er は、検出側イヤホンの、それぞれ、共通部を除くリード線の 電気抵抗 と 電気インピーダンス と 起電力、
検出側のイヤホンから発せられる再生音は Rm によって Es に比例した電流源として供給される。それは Es を El の影響を無視できるほどに大きくし、 Rm を Rl と Zl の影響を無視できるほどに大きくすることによる。Es と Rm は市場で販売されているイヤホンの電気的性質の常識的範囲から設計的に決定する。
マイクロホンの起電力の検出は Zm による。
Zm の入力インピーダンスは一般的に、Rl、Zl を無視できるほど大きく、電流を消費しない。
従って、Ec と Er なる二つの起電力は 電圧として測定される。
ここで、Ec は第7の機能 で取り除かれ、Er が左右のイヤホンの音響結合による起電力として計測される。
検出側イヤホンの 音響結合による起電力は Eg*Hsm0*{1/Rm}*Glr として、極めて簡素に表現できることになる。
CP は、左右のイヤホンの結合ピース、
Ce、Le、Re は、左右のイヤホンの共通端子で、
それぞれ、配線変換部の Cv、Lv、Rv へ接続される。
Me は、マイクロホン端子であるが、マイクロホンの有無にかかわらず使わない。
Hsm0 は 請求項において詳細を記述のように、端末器の電子回路の固有特性である ところの、信号発生系 Zs と 信号検出系 Zm の積 Zs*Zm である。
測定系が2系統ある場合は、Hsm0 は イヤホンの起電力の測定と並行して測定可能であるが、本案の特徴として、1系統の測定系で切り替えスイッチにより測定される。
さらに、Zs*Zm は Em0*{1/Eg0} で測定される。この関係式は 測定した信号 Em0 を 測定用信号 Eg0 で除して得られる定数であるが、複素数と遅延時間で表現される。周波数範囲は通常の音響信号の周波数範囲であって、一般的には20Hzか20kHzの範囲で十分である。
通常、測定用信号は音響信号帯域のホワイトノイズが用いられる。Em0 と Eg0 の遅延時間は、双方の相互相関を求めることで算出できる。
Hsm0 と Glr を求めるに必要な 相互相関と逆数と乗算などの演算の方法や手順 は信号処理の分野で公知であり、本案発名の本質ではないので、詳細説明を省略する。
ここでは、 前もって計測されている Hsm0 を使って、
Ecan 即ち k*Hsmo*Eg なる信号を 再生側イヤホンに供給する信号 Eg とは別に、信号処理内部で発生させる。
Ecan は遅延時間に誤差が生じないよう、あらかじめ正確に k*Hsm0*Eg となるよう、設計的に信号を作る。Eg を連続的に発生させながら、k を可変し、リアルタイムに kmin を求めるか、あらかじめ決められた時間、信号を記録しておいて、一括して kmin を求めるか、いずれかの方法がある。端末器の場合は演算部をリアルタイムに動作させるか、またはリアルタイムと同様に動作させるには面倒な手続が必要とされることから、記録した計測信号について一括演算処理する方法が便利である。
kmin を求めるには、k を可変し、請求項に記述の ABS(Em−Ecan) が最小になる k を求めることで必要充分である。
信号出力と信号入力がサンプリング周期に半サイクルのずれがある場合、
約30マイクロ秒から100マイクロ秒の音響結合による伝搬遅延時間がある場合、
が想定されるが、この遅延時間のサンプリング周期の半端の分を算出する場合、サンプリングポイントにある時刻の前のサンプリング時刻と次のサンプリング時刻を分割する比率よって、前のサンプリング値と次のサンプリング値のウェイトによって、その時刻のサンプリング値を近似値として算出することができる。
左右のイヤホンを音響結合して一方を再生側、他方を検出側 とすることで、測定したイヤホンの結合特性からイヤホンの再生特性を割り出す場合、同じ変換特性を保つイヤホン
がカスケードに接続されることから、結合特性が再生特性の自乗に依存する性質に基づくことによる。同様なことであるが、再生特せいの自乗は結合特性に対応する。
請求項に 比例項の除去 という記述があるが、これは、音響特性を横の周波数軸と縦の強度軸の双方の対数での表現が人の感性に対応していることに起因するものである。
イヤホンの音響特性 Rep または Uep に 特定の比例係数を乗算することは 対数軸では全帯域で一定値を加算することと同じであることから、Rep または Uep に含まれる 比例係数をどのような値に決定しようと、特性のパターンは縦軸に並行移動するだけで音質特性の本質は変わらない。仮に、結論づけられた Rep または Uep が比例係数を持っていたとしても、最終的には感度調整という方法によって、実用段階で調整される。
従って、Em−Ecan に含まれる {1/Rm} の項を無視することができる。
一般的に任意の Rep に関して、その逆関数が実現可能な定数として算出できる、とは限らない。しかし、複数個ではあるが有数のフィルターの種類とパラメーターを調整することで、限られた条件内で、最も近いフィルターを構成することができる。
たとえば、12個の二次のフィルターのパラメーターを調整し、近似させることもできるし、例え1個の二次のフィルターでも、それなりに、最も近いパラメーターを決定することができる。
Rep に対応する インパルス応答を算出することで、そのインパルス応答から逆関数を算出することもできる。また、与えられたタップ数と可変範囲の範囲で、FIRフィルターのタップの係数を調整し、Rep の逆関数を求めることができる。
これらは公知の手法であることから、詳細説明を省略する。
特定の周波数上の特性の、その付近の平均を取る方法に関して、
人の聴覚が周波数軸に対しても強度に対しても対数的に表現されることから、対数周波数軸の範囲で対数強度を平均化する方法が一般的である。
最も簡単な方法として、フーリエ変換された周波数軸は通常リニア尺度であることから、対数軸に換算して平均化するには、その周波数の付近において、対数軸でのウェイトが必要である。その一つの方法として特定の係数、たとえば、オクターブを対数的に 8分割 あるいは 16分割 あるいは 32分割 し、それらの周波数軸上の強度の相乗平均または加算平均を求める。それを全周波数帯で実行し、全体のスムースな特性を求める。強度の相乗平均または相加平均を求める際、求める周波数からの離れる程度にウェイトを設ける手法もある。
その求め方についても幾つかの方法があって、最小自乗法のような手法を利用して一義的に期待する特性に最も近い曲線を表現するパラメーター群を求める方法もあれば、適応制御的に、パラメーターを操作しながら最も近い曲線を表現するパラメーター群を探し当てる方法もある。境界条件とは、範囲内の特性の 両端の値、傾斜値、最大傾斜値 などがある。いずれにしてもこれらのスムーシングの方法は公知あり、本案の本質とするところではないので、詳細説明を省略する。
解決しようとする課題 第1、第2、第3 が 解決するための手段 第1、第2、第3、第4、第5 によって 解決される。
Ec*Zm は測定された Hsm0 を利用して、係数 k による適応制御により 生成した 信号 Ecan によって 相殺される。
結果、 Er の項である Glr*Eg*Zs*Zm*{1/Rm} 即ち
Glr*Eg*Hsm0*{1/Rm} が測定値から演算行程を経て抽出される。
ここで、 Rm は比例係数なので、音質補正とは無関係のファクターであり、削除することができる。
Eg と Hsm0 は測定系では既知のファクターであり、結果、
Glr を Rm*{1/Hsm0}*{Em−Ecan}*{1/Eg} として求めることができる。Glr は、比例係数であるところの Rm を除いて、他の全てのファクターは 完全に既知の設計値 と 精密な実測値で表現されることを示す。
測定によって、端末器の電子回路特性を既知の定数とすること、
検出側イヤホンへの電気信号を電流源とすること、
端末器のマイク入力がイヤホンにくらべ高インピーダンスであることを利用すること、
適応制御によって、計測できないファクターである イヤホンの共通リード線の電気抵抗 のファクターを高精度で取り除くこと、
である。
一般的なイヤホンのイヤピースを装着した状態で、左右のイヤホンを音響的に結合した状態を示す。
1 と 2 は、それぞれ左と右のイヤホン、3 は結合ピース、4 は測定用の電気信号の入力方向、5 は左のイヤホンの再生音が右のイヤホンに伝わる方向、6 は右のイヤホンの端子信号、7 はイヤホンプラグ、8 は左右のイヤホンのリード線の分岐点、9 は左右のイヤホンの共通リード線の部分、10 は左右のリード線の共通端子、11 は左のイヤホンのリード線、21 は右のイヤホンのリード線、12 は左イヤホンのリード線の端子、22 は右イヤホンのリード線の端子である。
左右のグランド線を共有している部分の長さはイヤホンの種類によっても異なる。中には、グランド線の共有部分がない種類もある。一般的には、イヤホンプラグの内部や携帯端末の内部の配線にも左右のグランド線の共有部分があるので、厳密には、全てのイヤホンでグランド線の共有部分が存在する、と考えられる。
細かく、刃こぼれのような大半のギザギザの特性は入力信号がホワイトノイズであることによるもので、測定対象のイヤホンの特性ではない。中には、局部共振による極めて細かいリップルも含まれている。いずれにしても、細かい音質特性については、一般の音楽のリスニングで感じるものではない。期待再生特性 Wexp が 1 即ち、期待特性が平坦の場合である。特性図の 40Hz 以下の周波数帯域での著しい低音減衰は 特性の観測に使ったモニター用の FFT の特性であって、演算結果そのものを示すものではない。
図4(b)は、市場では比較的高価で、低音再生の強度が大きい一例
図4(c)は、市場で最も高価な、一例
図4(d)は、市場で最も普及している価格の一例の測定結果、
a2、b2、c2、d2 は、共通リード線の電圧降下を差し引いた、補正後の検出側イヤホンの起電力から求めた イヤホン固有の再生特性、
a3、b3、c3、d3 は、測定演算の結果から求めたイヤホン固有の再生特性を期待特性に補正を作用させた再生特性、
a4、b4、c4、d4 は、測定演算の結果から求めたイヤホン固有の再生特性から期待特性への補正特性である。
ある。4種類のいずれも、Wexp が 1 の場合であることから、特性が平坦となるように補正されているが、補正後の音質にどのような音質が求められるかは、ユーザーの好みに依存することから、一般的には Wexp は任意の音質特性である。
また、イヤホンの装着状態によって、装着の深さは特に低音再生特性に大きく影響し、装着状態の角度は高音再生に大きく影響を及ぼす。このような理由から、期待特性は基本的に規準装着状態を想定した特性、または、幾つかの使用状態に対応した特性が望ましい。
補正後の特性は完全に平坦な特性ではないが、どの程度平坦にするか、一般的にはどの程度、期待特性に近づけるかについては、その程度に善し悪しがある。細かい凹凸は局部共振や装着状態による定在波などに依存し、実使用状態において不安定な特性の部類に入る。不安定な特性は音質に良い結果を生まない。いずれの補正結果の例も、高域で小刻みな波を残しているが、これ以上の細かい補正は実用上、音質的にも意味を持たない。図3は、実用的な範囲の適度な精度での補正例である。
CTL 測定系の操作インタフェース、制御、演算、記憶、を司る機能、
WG 測定用の時系列数値信号を発生する機能、
MP 検出側イヤホンからの信号を時系列数値信号として読み取る機能、
START システムを起動させる端末器への合図、
BASE 測定を機能させる端末器への合図、
MES 測定を機能させる端末器への合図、
Wexp 期待イヤホン特性
Hsm0 端末器の電子回路部の固有の特性
k、Kmin 共通リード線の電気抵抗の影響を除くための可変係数と k の特定の値
Pep イヤホンの固有特性
Qep イヤホンの音質補正特性
Uep 平滑化したイヤホンの固有特性
Vep 平滑化されたイヤホンの音質補正特性
Zs 数値信号を電気信号に変換する機能
Zm 電気信号を数値信号に変換する機能
Cs、Ls、Rs、Ms それぞれ、左右のイヤホンの端子
SW 測定モードのスイッチ
Cu、Lu、Ru、Mu 配線変換部の端子
Cv、Lv、Rv は配線変換部の端子
Mv 使用しないマイクロホン端子
Rc 共通リード線の電気抵抗
Rl 再生側イヤホンのリード線の電気抵抗
Rr 検出側イヤホンのリード線の電気抵抗
Zl、El 再生側イヤホンの、電気インピーダンスと起電力
Zr、Er 検出側イヤホンの、電気インピーダンスと起電力
CP は、左右のイヤホンの結合ピース
Ce、Le、Re イヤホンの端子
Me 使用しないマイクロホン端子
3 結合ピース
4 測定用の電気信号の入力方向
5 左のイヤホンの再生音が右のイヤホンに伝わる方向
6 右のイヤホンの端子信号
7 イヤホンプラグ
8 左右のイヤホンのリード線の分岐点
9 左右のイヤホンの共通リード線の部分
10 は左右のリード線の共通端子
11 左のイヤホンのリード線
21 右のイヤホンのリード線
12 左イヤホンのリード線の端子
22 右イヤホンのリード線の端子
a2、b2、c2、d2 共通リード線の電圧降下を差し引いた、イヤホン固有の再生特性
a3、b3、c3、d3 測定演算により求めたイヤホン固有の再生特性の補正後の再生特性
a4、b4、c4、d4 測定演算により求めたイヤホン固有の再生特性の補正特性
請求項で定義した 用語 と 記号 は明細書においても同様とする。
イヤホンの再生特性補正
携帯電話やスマートフォンなど、音楽再生機能を持つ 携帯端末器 は 強力な計算処理機能と大量のメモリーと音響信号の入出力機能またはマイクロホンの入力があって、イヤホンの再生特性の測定には十分である。
適応制御
高速フーリエ変換と高速フーリエ逆変換とインパルス応答と それらの相互変換
音響信号処理
最小自乗法
スマートフォンの音楽プレーヤーが持つ特有の音響信号処理構造、即ち、リアルタイム処理でなければならない信号処理にもかかわらず、使うことができるCPU資源が小刻みな一括信号処理に依存する仕組みとその仕組みを有効に使う方法。
さらに、検出側イヤホンの起電力を求めるに際し、スマートフォンの音響入力系統のディジタル信号と電気信号の相互に変換する過程での、個々のスマートフォン固有の変換部の
抵抗やコンデンサの素子が持つバラツキによって左右の特性に若干の相違があって、この若干の相違は演算途中の差を求める演算行程を持つことからイヤホンの結合特性の測定誤差を顕著に大きくする。
特に、左右のイヤホンの共通リード線の電圧降下補正は減算行程を持っていることから、そして、イヤホンによっては、その大きさが取り出そうとする信号よりも大きい場合も多く、小さな誤差でも測定結果の大きな誤差要因となる。
本案発明は、上記の誤差に関係する問題を大幅に改善し、精密な補正特性を得る手段に関する。
第2に、スマートフォンはマイクロホン入力が1系統である。
第3に、音質補正は適度におおざっぱな方法でなければならない。局部的に特徴を持つ特性は返って不安定な音質となる。
端末器 から 測定用信号 を再生し、片方のイヤホンの端子へ入力し、他方のイヤホンの端子に発生する起電力をマイクロホン入力から取り込み測定する方法において、
第1に、再生側イヤホンへ電流源の信号を供給する。
第2に、測定に使う信号入出力を一つの出力端子と一つの入力端子でまかなう。
第3に、端末器の電子回路の特性を測定し、精密な測定に反映させる。
第4に、左右のイヤホンが共有するリード線部の電圧降下を、上記 第1、第2、第3 の手段を使って精密に補正し、音響結合による 左右のイヤホン の 結合特性 を割り出すことで、与えられたイヤホン固有の再生特性を算出する。
第5に、測定算出したイヤホンの固有の再生特性の細かい凹凸を持つ強度特性を 適度に滑らかに補正することで、実使用状態で、安定した、総合的に良質の再生音を得る。
第2に、第1の結果であるが、細かい凹凸のある複雑な特性ではあるが、高い精度で測定されている音響特性を丸め込むことで、適切で的を得た平滑化特性を得ることができる。
第3に、 第1と第2の結果であるが、期待イヤホン再生特性 の音質になるよう、補正されたイヤホンの音質は、一定の水準の音質を基準に、実使用で安定した補正特性を得ることができる。
イヤホンの付属品。
ミュージシャンや、音質を決定する技術者が、特定の楽曲で、特定の音質を提供したときの楽曲を提供する側が供給できる、イヤホンの種類を選ばない音質補正。
期待特性を弱難聴者用の最適特性とするイヤホン再生特性補正。
騒音中のノイズリダクション型のイヤホンピースに最適な音質補正。
図1の記号は請求項に記述と同じである。
一般的なイヤホンのイヤピースを外した状態で、左右のイヤホンを音響的に結合させ、
測定と演算によってイヤホンの補正特性を求める手法の構成図を示す。以下の説明は、請求項の補足説明である。
再生側イヤホンに供給する信号は電流源である。
再生側イヤホン の再生音は音響結合により、 検出側イヤホン に伝わり 検出側イヤホンは起電力を発生する。その起電力の 測定用信号 に対する関係はイヤホンの変換特性に依存する。検出側イヤホンの起電力を直接測定することはできないので、検出側イヤホンのイヤホン端子から得た電気信号から、左右のイヤホンの共通リード線の電圧降下を差し引くことで音響結合による検出側イヤホンの起電力割り出す。端末器のディジタル信号と電気信号の相互の変換を司る電子回路の特性を考慮に入れることで、測定精度を上げる。また、測定系は、測定精度を上げる目的で、片側チャンルだけを使って、電子回路系の特性とイヤホンの結合特性の双方を、スイッチにより切り換えて測定する。
PROGRAM は、端末器内部のディジタル信号処理部、
CTL は、測定系の操作インタフェース、制御、演算、記憶、を司る機能、
WG は、測定用のディジタル信号を発生する機能、
Eg は Wg が発生する測定用の信号であり、本案発明の実証に際しては、音響帯域のホワイトノイズを使っている。一般的には、その他に、インパルス信号、矩形波信号、正弦波スイープ信号があるが、いずれも、論理的に相互変換が可能である。ディジタル信号処理にはホワイトノイズが最も扱い安く、測定結果が人の聴覚とマッチングしていることから、図4の測定結果にはホワイトノイズを使っている。
BASE は、端末器の電子回路の特性測定を機能させる端末器への合図、
この時点で後述のスイッチは b と c が接続されているところの、端末器の内部電子回路の測定モードである。
請求項で記述の Eg0 を発生し、Em0 を測定することで、
端末器の内部定数 Zs*Zm 即ち Em0*{1/Eg0} 即ち Hsm0 を割り出す。
MES は、検出側イヤホンの起電測定を機能させる端末器への合図、
この時点で後述のスイッチは a と c が接続されているところの、左右のイヤホンの結合係数の測定モードである。
請求項で記述の Eg を発生し、Em を測定し、請求項で記述の、無視できる誤差を除去した後、
左右イヤホンの結合係数 Glr Rm*{1/Hsm0}*Em*{1/Eg} を求める。
Hsm0 は、計測演算によって求めた 端末器の電子回路部の固有の特性、
k、Kmin は、イヤホンの共通リード線の電気抵抗の影響を除くための可変係数と
求めた k の値、
Pep は、測定演算によって求めたイヤホンの固有特性、
Qep は、Pep と Wexp から求められた イヤホンの音質補正特性、
Uep は、Pep を平滑化したイヤホンの固有特性、
Vep は、Uep と Wexp から求めた イヤホンの音質補正特性
Zs は、ディジタル信号を電気信号に変換する電子回路の変換特性、
Zm は、電気信号をディジタル信号に変換する電子回路の変換特性、
Cs、Ls、Rs、Ms は、それぞれ、端末器の 左右のイヤホンの共通端子、左出力端子、右出力端子、マイクロホン入力端子である。
この測定例では、右出力は使わない。左右の使い分けはどちらでもよい。
SW は、測定モードの変更スイッチ、
c と b が接続されたときは Zs と Zm の測定モード、
c と a が接続されたときは 左右イヤホンの結合特性 の測定モード、
スイッチによって測定モードを切り換える理由は二つある。
第1には、通常の端末器では音響入力が一系統である。
第2には、いかなる端末器も、左右の電子回路の特性に、抵抗やコンデンサの定数のバラツキがあって、このバラツキが大きな誤差発生の要因となることから、電子回路の特性測定とイヤホンの起電力の測定の双方には、同一の入出力系統を使う。
Cu、Lu、Ru、Mu は配線変換部の端末器側の端子である。
Cv、Lv、Rv は配線変換部のイヤホン側の端子である。
Mv は、マイクロホン端子であるが、マイクロホンの有無にかかわらず使わない。
Rc は、左右のイヤホンの共通リード線の電気抵抗、
Rc は、左右イヤホンの結合係数の測定上、最も大きな誤差を発生する要因である。Rc の値はイヤホンの種類によって大きく異なる。請求項に記述のように、Rc が関係する項を 極小化し、無視できるまでに小さくすることによって、左右のイヤホンの結合係数を精密に測ることができる。
補正モードで測定された Hsm0 を使って Rc が関係する項のキャンセル用信号 Ecan を発生し、Ecan 即ち k*Hsm0*Eg なる信号の k を可変し、Em に含まれる Rc が関係する項を極小化する。kmin に関しては、請求項 第7の機能 として記述。
Rl は、再生側イヤホンのリード線の電気抵抗、
Rr は、検出側イヤホンのリード線の電気抵抗、
Rl、Zl、El は、再生側イヤホンの、それぞれ、共通部を除くリード線の 電気抵抗 と電気インピーダンス と 起電力、
Rr、Zr、Er は、検出側イヤホンの、それぞれ、共通部を除くリード線の 電気抵抗
と 電気インピーダンス と 起電力、
検出側のイヤホンから発せられる再生音は Rm によって Eg に比例した電流源として供給される。これは Rm を Rl と Zl の影響を無視できるほどに大きくすることによる。El は元々、微小であることから一般の供試イヤホンでは El<<Eg である。Eg と Rm は市場で販売されているイヤホンの電気的性質の常識的範囲から設計的に決定する。
マイクロホンの起電力の検出は Zm による。
Zm の入力インピーダンスは一般的に、Rl、Zl を無視できるほど大きく、電流を消費しない。
従って、Ec と Er なる二つの起電力は 電圧として測定される。
ここで、Ec は第7の機能 で取り除かれ、Er が左右のイヤホンの音響結合による起電力として計測される。
検出側イヤホンの 音響結合による起電力は Eg*Hsm0*{1/Rm}*Glr として、極めて簡素に表現できることになる。
CP は、左右のイヤホンの結合ピース、
Ce、Le、Re は、左右のイヤホンの共通端子で、
それぞれ、配線変換部の Cv、Lv、Rv へ接続される。
Me は、マイクロホン端子であるが、マイクロホンの有無にかかわらず使わない。
Hsm0 は 請求項において詳細を記述のように、端末器の電子回路の固有特性である ところの、信号発生系 Zs と 信号検出系 Zm の積 Zs*Zm である。
測定系が2系統ある場合は、Hsm0 は イヤホンの起電力の測定と並行して測定可能であるが、本案の特徴として、1系統の測定系で切り替えスイッチにより測定される。
さらに、Zs*Zm は Em0*{1/Eg0} で測定される。この関係式は 測定した信号 Em0 を 測定用信号 Eg0 で除して得られる定数であるが、複素数と遅延時間で表現される。周波数範囲は通常の音響信号の周波数範囲であって、一般的には20Hzか20kHzの範囲で十分である。
通常、測定用信号は音響信号帯域のホワイトノイズが用いられる。Em0 と Eg0 の遅延時間は、双方の相互相関を求めることで算出できる。
Hsm0 と Glr を求めるに必要な 相互相関と逆数と乗算などの演算の方法や手順 は信号処理の分野で公知であり、本案発名の本質ではないので、詳細説明を省略する。
ここでは、 前もって計測されている Hsm0 を使って、
Ecan 即ち k*Hsmo*Eg なる信号を 再生側イヤホンに供給する信号 Eg とは別に、信号処理内部で発生させる。
Ecan は遅延時間に誤差が生じないよう、あらかじめ正確に k*Hsm0*Eg となるよう、設計的に信号を作る。Eg を連続的に発生させながら、k を可変し、リアルタイムに kmin を求めるか、あらかじめ決められた時間、信号を記録しておいて、一括して kmin を求めるか、いずれかの方法がある。端末器の場合は演算部をリアルタイムに動作させるか、またはリアルタイムと同様に動作させるには面倒な手続が必要とされることから、記録した計測信号について一括演算処理する方法が便利である。
kmin を求めるには、k を可変し、請求項に記述の ABS(Em−Ecan) が最小になる k を求めることで必要充分である。
信号出力と信号入力がサンプリング周期に半サイクルのずれがある場合、
約30マイクロ秒から100マイクロ秒の音響結合による伝搬遅延時間がある場合、
が想定されるが、この遅延時間のサンプリング周期の半端の分を算出する場合、サンプリングポイントにある時刻の前のサンプリング時刻と次のサンプリング時刻を分割する比率よって、前のサンプリング値と次のサンプリング値のウェイトによって、その時刻のサンプリング値を近似値として算出することができる。
左右のイヤホンを音響結合して一方を再生側、他方を検出側 とすることで、測定したイヤホンの結合特性からイヤホンの再生特性を割り出す場合、同じ変換特性を保つイヤホン
がカスケードに接続されることから、結合特性が再生特性の自乗に依存する性質に基づくことによる。同様なことであるが、再生特せいの自乗は結合特性に対応する。
請求項に 比例項の除去 という記述があるが、これは、音響特性を横の周波数軸と縦の強度軸の双方の対数での表現が人の感性に対応していることに起因するものである。
イヤホンの音響特性 Pep または Uep に 特定の比例係数を乗算することは 対数軸では全帯域で一定値を加算することと同じであることから、Pep または Uep に含まれる 比例係数をどのような値に決定しようと、音質を特徴付ける特性のパターンは縦軸に並行移動するだけで音質特性の本質は変わらない。仮に、結論づけられた Pep または Uep が比例係数を持っていたとしても、最終的には感度調整という方法によって、実用段階で調整される。
従って、Em−Ecan に含まれる {1/Rm} の項を無視することができる。
一般的に任意の Pep に関して、その逆関数が実現可能な定数として算出できる、とは限らない。しかし、複数個ではあるが有数のフィルターの種類とパラメーターを調整することで、限られた条件内で、最も近いフィルターを構成することができる。
たとえば、12個の二次のフィルターのパラメーターを調整し、近似させることもできるし、例え1個の二次のフィルターでも、それなりに、最も近いパラメーターを決定することができる。
Pep に対応する インパルス応答を算出することで、そのインパルス応答から逆関数を算出することもできる。また、与えられたタップ数と可変範囲の範囲で、FIRフィルターのタップの係数を調整し、Pep の逆関数を求めることができる。
逆数に関しては、1/Rm、1/Eg0、1/Hsm0、1/Eg、1/Uep、も同様である。
Uep の場合は Pep の平滑化特性 であることから、逆数を得る計算行程で有限でない項が現れることは実応用面で極めて希であり、事実上皆無である。このことは請求項2に記述の Pep の平滑化は極めて有効な方法である。
逆数を求める具体的計算手順は公知であり、本案発明の本質には属さないことから、詳細説明を省略する。
特定の周波数上の特性の、その付近の平均を取る方法に関して、
人の聴覚が周波数軸に対しても強度に対しても対数的に表現されることから、対数周波数軸の範囲で対数強度を平均化する方法が一般的である。
最も簡単な方法として、フーリエ変換された周波数軸は通常リニア尺度であることから、対数軸に換算して平均化するには、その周波数の付近において、対数軸でのウェイトが必要である。その一つの方法として特定の係数、たとえば、オクターブを対数的に 8分割 あるいは 16分割 あるいは 32分割 し、それらの周波数軸上の強度の相乗平均または加算平均を求める。それを全周波数帯で実行し、全体のスムースな特性を求める。強度の相乗平均または相加平均を求める際、求める周波数からの離れる程度にウェイトを設ける手法もある。
その求め方についても幾つかの方法があって、最小自乗法のような手法を利用して一義的に期待する特性に最も近い曲線を表現するパラメーター群を求める方法もあれば、適応制御的に、パラメーターを操作しながら最も近い曲線を表現するパラメーター群を探し当てる方法もある。境界条件とは、範囲内の特性の 両端の値、傾斜値、最大傾斜値 などがある。いずれにしてもこれらのスムーシングの方法は公知あり、本案の本質とするところではないので、詳細説明を省略する。
解決しようとする課題 第1、第2、第3 が 解決するための手段 第1、第2、第3、第4、第5 によって 解決される。
Ec*Zm は測定された Hsm0 を利用して、係数 k による適応制御により 生成した 信号 Ecan によって 相殺される。
結果、 Er の項である Glr*Eg*Zs*Zm*{1/Rm} 即ち
Glr*Eg*Hsm0*{1/Rm} が測定値から演算行程を経て抽出される。
ここで、 Rm は比例係数なので、音質補正とは無関係のファクターであり、削除することができる。
Eg と Hsm0 は測定系では既知のファクターであり、結果、
Glr を Rm*{1/Hsm0}*{Em−Ecan}*{1/Eg} として求めることができる。Glr は、比例係数であるところの Rm を除いて、他の全てのファクターは 完全に既知の設計値 と 精密な実測値で表現されることを示す。
測定によって、端末器の電子回路特性を既知の定数とすること、
検出側イヤホンへの電気信号を電流源とすること、
端末器のマイク入力がイヤホンにくらべ高インピーダンスであることを利用すること、
適応制御によって、計測できないファクターである イヤホンの共通リード線の電気抵抗 のファクターを高精度で取り除くこと、
である。
一般的なイヤホンのイヤピースを装着した状態で、左右のイヤホンを音響的に結合した状態を示す。
1 と 2 は、それぞれ左と右のイヤホン、3 は結合ピース、4 は測定用の電気信号の入力方向、5 は左のイヤホンの再生音が右のイヤホンに伝わる方向、6 は右のイヤホンの端子信号、7 はイヤホンプラグ、8 は左右のイヤホンのリード線の分岐点、9 は左右のイヤホンの共通リード線の部分、10 は左右のリード線の共通端子、11 は左のイヤホンのリード線、21 は右のイヤホンのリード線、12 は左イヤホンのリード線の端子、22 は右イヤホンのリード線の端子である。
左右のグランド線を共有している部分の長さはイヤホンの種類によっても異なる。中には、グランド線の共有部分がない種類もある。一般的には、イヤホンプラグの内部や携帯端末の内部の配線にも左右のグランド線の共有部分があるので、厳密には、全てのイヤホンでグランド線の共有部分が存在する、と考えられる。
細かく、刃こぼれのような大半のギザギザの特性は入力信号がホワイトノイズであることによるもので、測定対象のイヤホンの特性ではない。中には、局部共振による極めて細かいリップルも含まれている。いずれにしても、細かい音質特性については、一般の音楽のリスニングで感じるものではない。期待再生特性 Wexp が 1 即ち、期待特性が平坦の場合である。特性図の 40Hz 以下の周波数帯域での著しい低音減衰は 特性の観測に使ったモニター用の FFT の特性であって、演算結果そのものを示すものではない。
図4(b)は、市場では比較的高価で、低音再生の強度が大きい一例
図4(c)は、市場で最も高価な、一例
図4(d)は、市場で最も普及している価格の一例の測定結果、
a2、b2、c2、d2 は、共通リード線の電圧降下を差し引いた、補正後の検出側イヤホンの起電力から求めた イヤホン固有の再生特性、
a3、b3、c3、d3 は、測定演算の結果から求めたイヤホン固有の再生特性を期待特性に補正を作用させた再生特性、
a4、b4、c4、d4 は、測定演算の結果から求めたイヤホン固有の再生特性から期待特性への補正特性である。
ある。4種類のいずれも、Wexp が 1 の場合であることから、特性が平坦となるように補正されているが、補正後の音質にどのような音質が求められるかは、ユーザーの好みに依存することから、一般的には Wexp は任意の音質特性である。
また、イヤホンの装着状態によって、装着の深さは特に低音再生特性に大きく影響し、装着状態の角度は高音再生に大きく影響を及ぼす。このような理由から、期待特性は基本的に規準装着状態を想定した特性、または、幾つかの使用状態に対応した特性が望ましい。
補正後の特性は完全に平坦な特性ではないが、どの程度平坦にするか、一般的にはどの程度、期待特性に近づけるかについては、その程度に善し悪しがある。細かい凹凸は局部共振や装着状態による定在波などに依存し、実使用状態において不安定な特性の部類に入る。不安定な特性は音質に良い結果を生まない。いずれの補正結果の例も、高域で小刻みな波を残しているが、これ以上の細かい補正は実用上、音質的にも意味を持たない。図3は、実用的な範囲の適度な精度での補正例である。
CTL 測定系の操作インタフェース、制御、演算、記憶、を司る機能、
WG 測定用の時系列数値信号を発生する機能、
Eg WG が発生する測定用信号
MP 検出側イヤホンからの信号を時系列数値信号として読み取る機能、
START システムを起動させる端末器への合図、
BASE 測定を機能させる端末器への合図、
MES 測定を機能させる端末器への合図、
Wexp 期待イヤホン特性
Hsm0 端末器の電子回路部の固有の特性
k、Kmin 共通リード線の電気抵抗の影響を除くための可変係数と k の特定の値
Pep イヤホンの固有特性
Qep イヤホンの音質補正特性
Uep 平滑化したイヤホンの固有特性
Vep 平滑化されたイヤホンの音質補正特性
Zs 数値信号を電気信号に変換する電子回路の変換特性
Zm 電気信号を数値信号に変換する電子回路の変換特性
Cs、Ls、Rs、Ms それぞれ、左右のイヤホンの端子
SW 測定モードのスイッチ
Cu、Lu、Ru、Mu 配線変換部の端子
Cv、Lv、Rv は配線変換部の端子
Mv 使用しないマイクロホン端子
Rc 共通リード線の電気抵抗
Rl 再生側イヤホンのリード線の電気抵抗
Rr 検出側イヤホンのリード線の電気抵抗
Zl、El 再生側イヤホンの、電気インピーダンスと起電力
Zr、Er 検出側イヤホンの、電気インピーダンスと起電力
CP は、左右のイヤホンの結合ピース
Ce、Le、Re イヤホンの端子
Me 使用しないマイクロホン端子
3 結合ピース
4 測定用の電気信号の入力方向
5 左のイヤホンの再生音が右のイヤホンに伝わる方向
6 右のイヤホンの端子信号
7 イヤホンプラグ
8 左右のイヤホンのリード線の分岐点
9 左右のイヤホンの共通リード線の部分
10 は左右のリード線の共通端子
11 左のイヤホンのリード線
21 右のイヤホンのリード線
12 左イヤホンのリード線の端子
22 右イヤホンのリード線の端子
a2、b2、c2、d2 共通リード線の電圧降下を差し引いた、イヤホン固有の再生特性
a3、b3、c3、d3 測定演算により求めたイヤホン固有の再生特性の補正後の再生特性
a4、b4、c4、d4 測定演算により求めたイヤホン固有の再生特性の補正特性
請求項で定義した 用語 と 記号 は明細書においても同様とする。
イヤホンの再生特性補正
携帯電話やスマートフォンなど、音楽再生機能を持つ 携帯端末器 は 強力な計算処理機能と大量のメモリーと音響信号の入出力機能またはマイクロホンの入力があって、イヤホンの再生特性の測定には十分である。
適応制御
高速フーリエ変換と高速フーリエ逆変換とインパルス応答と それらの相互変換
音響信号処理
最小自乗法
スマートフォンの音楽プレーヤーが持つ特有の音響信号処理構造、即ち、リアルタイム処理でなければならない信号処理にもかかわらず、使うことができるCPU資源が小刻みな一括信号処理に依存する仕組みとその仕組みを有効に使う方法。
さらに、検出側イヤホンの起電力を求めるに際し、スマートフォンの音響入力系統のディジタル信号と電気信号の相互に変換する過程での、個々のスマートフォン固有の変換部の
抵抗やコンデンサの素子が持つバラツキによって左右の特性に若干の相違があって、この若干の相違は演算途中の差を求める演算行程を持つことからイヤホンの結合特性の測定誤差を顕著に大きくする。
特に、左右のイヤホンの共通リード線の電圧降下補正は減算行程を持っていることから、そして、イヤホンによっては、その大きさが取り出そうとする信号よりも大きい場合も多く、小さな誤差でも測定結果の大きな誤差要因となる。
本案発明は、上記の誤差に関係する問題を大幅に改善し、精密な補正特性を得る手段に関する。
第2に、スマートフォンはマイクロホン入力が1系統である。
第3に、音質補正は適度におおざっぱな方法でなければならない。局部的に特徴を持つ特性は返って不安定な音質となる。
端末器 から 測定用信号 を再生し、片方のイヤホンの端子へ入力し、他方のイヤホンの端子に発生する起電力をマイクロホン入力から取り込み測定する方法において、
第1に、再生側イヤホンへ電流源の信号を供給する。
第2に、測定に使う信号入出力を一つの出力端子と一つの入力端子でまかなう。
第3に、端末器の電子回路の特性を測定し、精密な測定に反映させる。
第4に、左右のイヤホンが共有するリード線部の電圧降下を、上記 第1、第2、第3 の手段を使って精密に補正し、音響結合による 左右のイヤホン の 結合特性 を割り出すことで、与えられたイヤホン固有の再生特性を算出する。
第5に、測定算出したイヤホンの固有の再生特性の細かい凹凸を持つ強度特性を 適度に滑らかに補正することで、実使用状態で、安定した、総合的に良質の再生音を得る。
第2に、第1の結果であるが、細かい凹凸のある複雑な特性ではあるが、高い精度で測定されている音響特性を丸め込むことで、適切で的を得た平滑化特性を得ることができる。
第3に、 第1と第2の結果であるが、期待イヤホン再生特性 の音質になるよう、補正されたイヤホンの音質は、一定の水準の音質を基準に、実使用で安定した補正特性を得ることができる。
イヤホンの付属品。
ミュージシャンや、音質を決定する技術者が、特定の楽曲で、特定の音質を提供したときの楽曲を提供する側が供給できる、イヤホンの種類を選ばない音質補正。
期待特性を弱難聴者用の最適特性とするイヤホン再生特性補正。
騒音中のノイズリダクション型のイヤホンピースに最適な音質補正。
図1の記号は請求項に記述と同じである。
一般的なイヤホンのイヤピースを外した状態で、左右のイヤホンを音響的に結合させ、
測定と演算によってイヤホンの補正特性を求める手法の構成図を示す。以下の説明は、請求項の補足説明である。
再生側イヤホンに供給する信号は電流源である。
再生側イヤホン の再生音は音響結合により、 検出側イヤホン に伝わり 検出側イヤホンは起電力を発生する。その起電力の 測定用信号 に対する関係はイヤホンの変換特性に依存する。検出側イヤホンの起電力を直接測定することはできないので、検出側イヤホンのイヤホン端子から得た電気信号から、左右のイヤホンの共通リード線の電圧降下を差し引くことで音響結合による検出側イヤホンの起電力割り出す。端末器のディジタル信号と電気信号の相互の変換を司る電子回路の特性を考慮に入れることで、測定精度を上げる。また、測定系は、測定精度を上げる目的で、片側チャンルだけを使って、電子回路系の特性とイヤホンの結合特性の双方を、スイッチにより切り換えて測定する。
PROGRAM は、端末器内部のディジタル信号処理部、
CTL は、測定系の操作インタフェース、制御、演算、記憶、を司る機能、
WG は、測定用のディジタル信号を発生する機能、
Eg は Wg が発生する測定用の信号であり、本案発明の実証に際しては、音響帯域のホワイトノイズを使っている。一般的には、その他に、インパルス信号、矩形波信号、正弦波スイープ信号があるが、いずれも、論理的に相互変換が可能である。ディジタル信号処理にはホワイトノイズが最も扱い安く、測定結果が人の聴覚とマッチングしていることから、図4の測定結果にはホワイトノイズを使っている。
BASE は、端末器の電子回路の特性測定を機能させる端末器への合図、
この時点で後述のスイッチは b と c が接続されているところの、端末器の内部電子回路の測定モードである。
請求項で記述の Eg0 を発生し、Em0 を測定することで、
端末器の内部定数 Zs*Zm 即ち Em0*{1/Eg0} 即ち Hsm0 を割り出す。
MES は、検出側イヤホンの起電測定を機能させる端末器への合図、
この時点で後述のスイッチは a と c が接続されているところの、左右のイヤホンの結合係数の測定モードである。
請求項で記述の Eg を発生し、Em を測定し、請求項で記述の、無視できる誤差を除去した後、
左右イヤホンの結合係数 Glr Rm*{1/Hsm0}*Em*{1/Eg} を求める。
Hsm0 は、計測演算によって求めた 端末器の電子回路部の固有の特性、
k、Kmin は、イヤホンの共通リード線の電気抵抗の影響を除くための可変係数と
求めた k の値、
Pep は、測定演算によって求めたイヤホンの固有特性、
Qep は、Pep と Wexp から求められた イヤホンの音質補正特性、
Uep は、Pep を平滑化したイヤホンの固有特性、
Vep は、Uep と Wexp から求めた イヤホンの音質補正特性
Zs は、ディジタル信号を電気信号に変換する電子回路の変換特性、
Zm は、電気信号をディジタル信号に変換する電子回路の変換特性、
Cs、Ls、Rs、Ms は、それぞれ、端末器の 左右のイヤホンの共通端子、左出力端子、右出力端子、マイクロホン入力端子である。
この測定例では、右出力は使わない。左右の使い分けはどちらでもよい。
SW は、測定モードの変更スイッチ、
c と b が接続されたときは Zs と Zm の測定モード、
c と a が接続されたときは 左右イヤホンの結合特性 の測定モード、
スイッチによって測定モードを切り換える理由は二つある。
第1には、通常の端末器では音響入力が一系統である。
第2には、いかなる端末器も、左右の電子回路の特性に、抵抗やコンデンサの定数のバラツキがあって、このバラツキが大きな誤差発生の要因となることから、電子回路の特性測定とイヤホンの起電力の測定の双方には、同一の入出力系統を使う。
Cu、Lu、Ru、Mu は配線変換部の端末器側の端子である。
Cv、Lv、Rv は配線変換部のイヤホン側の端子である。
Mv は、マイクロホン端子であるが、マイクロホンの有無にかかわらず使わない。
Rc は、左右のイヤホンの共通リード線の電気抵抗、
Rc は、左右イヤホンの結合係数の測定上、最も大きな誤差を発生する要因である。Rc の値はイヤホンの種類によって大きく異なる。請求項に記述のように、Rc が関係する項を 極小化し、無視できるまでに小さくすることによって、左右のイヤホンの結合係数を精密に測ることができる。
補正モードで測定された Hsm0 を使って Rc が関係する項のキャンセル用信号 Ecan を発生し、Ecan 即ち k*Hsm0*Eg なる信号の k を可変し、Em に含まれる Rc が関係する項を極小化する。kmin に関しては、請求項 第7の機能 として記述。
Rl は、再生側イヤホンのリード線の電気抵抗、
Rr は、検出側イヤホンのリード線の電気抵抗、
Rl、Zl、El は、再生側イヤホンの、それぞれ、共通部を除くリード線の 電気抵抗 と電気インピーダンス と 起電力、
Rr、Zr、Er は、検出側イヤホンの、それぞれ、共通部を除くリード線の 電気抵抗
と 電気インピーダンス と 起電力、
検出側のイヤホンから発せられる再生音は Rm によって Eg に比例した電流源として供給される。これは Rm を Rl と Zl の影響を無視できるほどに大きくすることによる。El は元々、微小であり、一般の供試イヤホンでは El<<Eg*Zs となるよう測定パラメータを設計する。 である。Eg と Rm は市場で販売されているところの携帯端末の信号出力部の大まかな実測値とイヤホンの電気的性質の常識的範囲から設計的に決定する。
マイクロホンの起電力の検出は Zm による。
Zm の入力インピーダンスは一般的に、Rl、Zl を無視できるほど大きく、電流を消費しない。
従って、Ec と Er なる二つの起電力は 電圧として測定される。
ここで、Ec は第7の機能 で取り除かれ、Er が左右のイヤホンの音響結合による起電力として計測される。
検出側イヤホンの 音響結合による起電力は Eg*Hsm0*{1/Rm}*Glr として、極めて簡素に表現できることになる。
CP は、左右のイヤホンの結合ピース、
Ce、Le、Re は、左右のイヤホンの共通端子で、
それぞれ、配線変換部の Cv、Lv、Rv へ接続される。
Me は、マイクロホン端子であるが、マイクロホンの有無にかかわらず使わない。
Hsm0 は 請求項において詳細を記述のように、端末器の電子回路の固有特性である ところの、信号発生系 Zs と 信号検出系 Zm の積 Zs*Zm である。
測定系が2系統ある場合は、Hsm0 は イヤホンの起電力の測定と並行して測定可能であるが、本案の特徴として、1系統の測定系で切り替えスイッチにより測定される。
さらに、Zs*Zm は Em0*{1/Eg0} で測定される。この関係式は 測定した信号 Em0 を 測定用信号 Eg0 で除して得られる定数であるが、複素数と遅延時間で表現される。周波数範囲は通常の音響信号の周波数範囲であって、一般的には20Hzか20kHzの範囲で十分である。
通常、測定用信号は音響信号帯域のホワイトノイズが用いられる。Em0 と Eg0 の遅延時間は、双方の相互相関を求めることで算出できる。
Hsm0 と Glr を求めるに必要な 相互相関と逆数と乗算などの演算の方法や手順 は信号処理の分野で公知であり、本案発名の本質ではないので、詳細説明を省略する。
ここでは、 前もって計測されている Hsm0 を使って、
Ecan 即ち k*Hsmo*Eg なる信号を 再生側イヤホンに供給する信号 Eg とは別に、信号処理内部で発生させる。
Ecan は遅延時間に誤差が生じないよう、あらかじめ正確に k*Hsm0*Eg となるよう、設計的に信号を作る。Eg を連続的に発生させながら、k を可変し、リアルタイムに kmin を求めるか、あらかじめ決められた時間、信号を記録しておいて、一括して kmin を求めるか、いずれかの方法がある。端末器の場合は演算部をリアルタイムに動作させるか、またはリアルタイムと同様に動作させるには面倒な手続が必要とされることから、記録した計測信号について一括演算処理する方法が便利である。
kmin を求めるには、k を可変し、請求項に記述の ABS(Em−Ecan) が最小になる k を求めることで必要充分である。
信号出力と信号入力がサンプリング周期に半サイクルのずれがある場合、
約30マイクロ秒から100マイクロ秒の音響結合による伝搬遅延時間がある場合、
が想定されるが、この遅延時間のサンプリング周期の半端の分を算出する場合、サンプリングポイントにある時刻の前のサンプリング時刻と次のサンプリング時刻を分割する比率よって、前のサンプリング値と次のサンプリング値のウェイトによって、その時刻のサンプリング値を近似値として算出することができる。
左右のイヤホンを音響結合して一方を再生側、他方を検出側 とすることで、測定したイヤホンの結合特性からイヤホンの再生特性を割り出す場合、同じ変換特性を保つイヤホン
がカスケードに接続されることから、結合特性が再生特性の自乗に依存する性質に基づくことによる。同様なことであるが、再生特せいの自乗は結合特性に対応する。
請求項に 比例項の除去 という記述があるが、これは、音響特性を横の周波数軸と縦の強度軸の双方の対数での表現が人の感性に対応していることに起因するものである。
イヤホンの音響特性 Pep または Uep に 特定の比例係数を乗算することは 対数軸では全帯域で一定値を加算することと同じであることから、Pep または Uep に含まれる 比例係数をどのような値に決定しようと、音質を特徴付ける特性のパターンは縦軸に並行移動するだけで音質特性の本質は変わらない。仮に、結論づけられた Pep または Uep が比例係数を持っていたとしても、最終的には感度調整という方法によって、実用段階で調整される。
従って、Em−Ecan に含まれる {1/Rm} の項を無視することができる。
一般的に任意の Pep に関して、その逆関数が実現可能な定数として算出できる、とは限らない。しかし、複数個ではあるが有数のフィルターの種類とパラメーターを調整することで、限られた条件内で、最も近いフィルターを構成することができる。
たとえば、12個の二次のフィルターのパラメーターを調整し、近似させることもできるし、例え1個の二次のフィルターでも、それなりに、最も近いパラメーターを決定することができる。
Pep に対応する インパルス応答を算出することで、そのインパルス応答から逆関数を算出することもできる。また、与えられたタップ数と可変範囲の範囲で、FIRフィルターのタップの係数を調整し、Pep の逆関数を求めることができる。
逆数に関しては、1/Rm、1/Eg0、1/Hsm0、1/Eg、1/Uep、も同様である。
Uep の場合は Pep の平滑化特性 であることから、逆数を得る計算行程で有限でない項が現れることは実応用面で極めて希であり、事実上皆無である。このことは請求項2に記述の Pep の平滑化は極めて有効な方法である。
逆数を求める具体的計算手順は公知であり、本案発明の本質には属さないことから、詳細説明を省略する。
特定の周波数上の特性の、その付近の平均を取る方法に関して、
人の聴覚が周波数軸に対しても強度に対しても対数的に表現されることから、対数周波数軸の範囲で対数強度を平均化する方法が一般的である。
最も簡単な方法として、フーリエ変換された周波数軸は通常リニア尺度であることから、対数軸に換算して平均化するには、その周波数の付近において、対数軸でのウェイトが必要である。その一つの方法として特定の係数、たとえば、オクターブを対数的に 8分割 あるいは 16分割 あるいは 32分割 し、それらの周波数軸上の強度の相乗平均または加算平均を求める。それを全周波数帯で実行し、全体のスムースな特性を求める。強度の相乗平均または相加平均を求める際、求める周波数からの離れる程度にウェイトを設ける手法もある。
その求め方についても幾つかの方法があって、最小自乗法のような手法を利用して一義的に期待する特性に最も近い曲線を表現するパラメーター群を求める方法もあれば、適応制御的に、パラメーターを操作しながら最も近い曲線を表現するパラメーター群を探し当てる方法もある。境界条件とは、範囲内の特性の 両端の値、傾斜値、最大傾斜値 などがある。いずれにしてもこれらのスムーシングの方法は公知あり、本案の本質とするところではないので、詳細説明を省略する。
解決しようとする課題 第1、第2、第3 が 解決するための手段 第1、第2、第3、第4、第5 によって 解決される。
Ec*Zm は測定された Hsm0 を利用して、係数 k による適応制御により 生成した 信号 Ecan によって 相殺される。
結果、 Er の項である Glr*Eg*Zs*Zm*{1/Rm} 即ち
Glr*Eg*Hsm0*{1/Rm} が測定値から演算行程を経て抽出される。
ここで、 Rm は比例係数なので、音質補正とは無関係のファクターであり、削除することができる。
Eg と Hsm0 は測定系では既知のファクターであり、結果、
Glr を Rm*{1/Hsm0}*{Em−Ecan}*{1/Eg} として求めることができる。Glr は、比例係数であるところの Rm を除いて、他の全てのファクターは 完全に既知の設計値 と 精密な実測値で表現されることを示す。
測定によって、端末器の電子回路特性を既知の定数とすること、
検出側イヤホンへの電気信号を電流源とすること、
端末器のマイク入力がイヤホンにくらべ高インピーダンスであることを利用すること、
適応制御によって、計測できないファクターである イヤホンの共通リード線の電気抵抗 のファクターを高精度で取り除くこと、
である。
一般的なイヤホンのイヤピースを装着した状態で、左右のイヤホンを音響的に結合した状態を示す。
1 と 2 は、それぞれ左と右のイヤホン、3 は結合ピース、4 は測定用の電気信号の入力方向、5 は左のイヤホンの再生音が右のイヤホンに伝わる方向、6 は右のイヤホンの端子信号、7 はイヤホンプラグ、8 は左右のイヤホンのリード線の分岐点、9 は左右のイヤホンの共通リード線の部分、10 は左右のリード線の共通端子、11 は左のイヤホンのリード線、21 は右のイヤホンのリード線、12 は左イヤホンのリード線の端子、22 は右イヤホンのリード線の端子である。
左右のグランド線を共有している部分の長さはイヤホンの種類によっても異なる。中には、グランド線の共有部分がない種類もある。一般的には、イヤホンプラグの内部や携帯端末の内部の配線にも左右のグランド線の共有部分があるので、厳密には、全てのイヤホンでグランド線の共有部分が存在する、と考えられる。
細かく、刃こぼれのような大半のギザギザの特性は入力信号がホワイトノイズであることによるもので、測定対象のイヤホンの特性ではない。中には、局部共振による極めて細かいリップルも含まれている。いずれにしても、細かい音質特性については、一般の音楽のリスニングで感じるものではない。期待再生特性 Wexp が 1 即ち、期待特性が平坦の場合である。特性図の 40Hz 以下の周波数帯域での著しい低音減衰は 特性の観測に使ったモニター用の FFT の特性であって、演算結果そのものを示すものではない。
図4(b)は、市場では比較的高価で、低音再生の強度が大きい一例
図4(c)は、市場で最も高価な、一例
図4(d)は、市場で最も普及している価格の一例の測定結果、
a2、b2、c2、d2 は、共通リード線の電圧降下を差し引いた、補正後の検出側イヤホンの起電力から求めた イヤホン固有の再生特性、
a3、b3、c3、d3 は、測定演算の結果から求めたイヤホン固有の再生特性を期待特性に補正を作用させた再生特性、
a4、b4、c4、d4 は、測定演算の結果から求めたイヤホン固有の再生特性から期待特性への補正特性である。
ある。4種類のいずれも、Wexp が 1 の場合であることから、特性が平坦となるように補正されているが、補正後の音質にどのような音質が求められるかは、ユーザーの好みに依存することから、一般的には Wexp は任意の音質特性である。
また、イヤホンの装着状態によって、装着の深さは特に低音再生特性に大きく影響し、装着状態の角度は高音再生に大きく影響を及ぼす。このような理由から、期待特性は基本的に規準装着状態を想定した特性、または、幾つかの使用状態に対応した特性が望ましい。
補正後の特性は完全に平坦な特性ではないが、どの程度平坦にするか、一般的にはどの程度、期待特性に近づけるかについては、その程度に善し悪しがある。細かい凹凸は局部共振や装着状態による定在波などに依存し、実使用状態において不安定な特性の部類に入る。不安定な特性は音質に良い結果を生まない。いずれの補正結果の例も、高域で小刻みな波を残しているが、これ以上の細かい補正は実用上、音質的にも意味を持たない。図3は、実用的な範囲の適度な精度での補正例である。
CTL 測定系の操作インタフェース、制御、演算、記憶、を司る機能、
WG 測定用の時系列数値信号を発生する機能、
Eg WG が発生する測定用信号
MP 検出側イヤホンからの信号を時系列数値信号として読み取る機能、
START システムを起動させる端末器への合図、
BASE 測定を機能させる端末器への合図、
MES 測定を機能させる端末器への合図、
Wexp 期待イヤホン特性
Hsm0 端末器の電子回路部の固有の特性
k、Kmin 共通リード線の電気抵抗の影響を除くための可変係数と k の特定の値
Pep イヤホンの固有特性
Qep イヤホンの音質補正特性
Uep 平滑化したイヤホンの固有特性
Vep 平滑化されたイヤホンの音質補正特性
Zs 数値信号を電気信号に変換する電子回路の変換特性
Zm 電気信号を数値信号に変換する電子回路の変換特性
Cs、Ls、Rs、Ms それぞれ、左右のイヤホンの端子
SW 測定モードのスイッチ
Cu、Lu、Ru、Mu 配線変換部の端子
Cv、Lv、Rv は配線変換部の端子
Mv 使用しないマイクロホン端子
Rc 共通リード線の電気抵抗
Rl 再生側イヤホンのリード線の電気抵抗
Rr 検出側イヤホンのリード線の電気抵抗
Zl、El 再生側イヤホンの、電気インピーダンスと起電力
Zr、Er 検出側イヤホンの、電気インピーダンスと起電力
CP は、左右のイヤホンの結合ピース
Ce、Le、Re イヤホンの端子
Me 使用しないマイクロホン端子
3 結合ピース
4 測定用の電気信号の入力方向
5 左のイヤホンの再生音が右のイヤホンに伝わる方向
6 右のイヤホンの端子信号
7 イヤホンプラグ
8 左右のイヤホンのリード線の分岐点
9 左右のイヤホンの共通リード線の部分
10 は左右のリード線の共通端子
11 左のイヤホンのリード線
21 右のイヤホンのリード線
12 左イヤホンのリード線の端子
22 右イヤホンのリード線の端子
a2、b2、c2、d2 共通リード線の電圧降下を差し引いた、イヤホン固有の再生特性
a3、b3、c3、d3 測定演算により求めたイヤホン固有の再生特性の補正後の再生特性
a4、b4、c4、d4 測定演算により求めたイヤホン固有の再生特性の補正特性
Claims (2)
- 端末器とは、音響信号の入出力機能を備えた、コンピューターまたはプレーヤーまたは携帯電話またはスマートフォンであるとし、
特性とは周波数に対するゲイン特性または強度特性を意味するものとし、
強度とは、実効値または平均値または最大値に相当するところの、信号または特性またはゲインの大きさとし、
測定用信号 とは、音響周波数帯域の、ホワイトノイズまたは正弦波スイープ信号または矩形波信号であって、イヤホンの特性測定のための信号であるものとし、
記号 + − * / は、それぞれ 加算 減算 乗算 除算 の演算子とし、
{ } 内の演算は { } 外に優先するものとし、
F( ) を、 F に続く ( ) 内 に示す 変数群を持つ、特定の関数とし、
ABS( ) は ( ) 内の項の強度を意味するものとし、
>> は 左の項が右の項に比べ強度が十分に大きいことを意味するものとし、
イヤホンの固有特性 とは、特定のイヤホンに固有の、電気入力に対する音響出力の周波数特性であるとし、
結合ピース とは、左右のイヤホンの音の出口どうしを音響的に結合するピースとし、
再生側イヤホン とは、測定用の電気信号を再生する側のイヤホンとし、
検出側イヤホン とは、再生側イヤホンの再生音によって結合ピースを介して起電力を発生する側のイヤホンとし、
音響結合 とは、結合ピース を介した音響結合によって、検出側イヤホンから起電力を発生させることとし、
測定のための ディジタル信号発生、ディジタル化された信号の扱い、演算処理は 端末器のディジタル信号処理機能によって行われるものとし、
Eg を、ディジタル信号による測定用信号とし、
第1の機能 を、Eg を発生する機能とし、
Em を、ディジタル信号に変換された検出信号とし、
第2の機能 を Em を得る機能とし、
Zs を、ディジタル信号を電気信号へ変換する電子回路の変換特性とし、
Zm を、電気信号をディジタル信号へ変換する電子回路の変換特性とし、
Rm を、再生側のイヤホンに与える信号を電流源信号とするための、再生側イヤホンに直列に接続する電気抵抗とし、
第3の機能 を、Rm を用いることとし、
Rc を、左右のイヤホンのリード線の共通部の電気抵抗とし、
Rl を、再生側の共通リード線の共通部を除く電気抵抗とし、
Rr を、検出側の共通リード線の共通部を除く電気抵抗とし、
Zl を、再生側のイヤホンの電気音響変換部の電気インピーダンスとし、
Zr を、検出側のイヤホンの音響電気変換部の電気インピーダンスとし、
El を、再生側イヤホンの起電力とし、
Er を、検出側イヤホンの起電力とし、
Ec を、左右のイヤホンの共通リード線の電圧降下とし、
Glr を、再生側のイヤホンに流す電流に対する、検出側のイヤホンに発生する起電力への結合係数とし、
k を、調節可能な比例係数とし、
上記の記号に関し、
Rm、Rc、Rl、Rr、k は複素数でもなく遅延もない比例係数であり、
Zm、Zs、Zl、Zr、Jep、Rep、Qep、Wexp、Uep、Vep は複素数で表現される定数であり、
Eg、Em、Ec、El、Er、Emc、Eg0、Em0、Ecan はディジタル信号で表現されるものとし、
Hsm0、Glr は端末器のディジタル信号処理によって得られるところの、複素数と遅延時間で表現される定数とし、
Em を F(Eg, Zs, Rm, Rc, Rl, Rr, Zl, Zr El, Er, Zm) と表現するものとし、これを
関係1 とし、
Rm >> Rc
Rm >> Rl
Rm >> ABS(Zl)
Rm >> ABS(Zr)
ABS(Eg*Zs) >> ABS(El)
上の 五つの条件は 再生側イヤホンに加える測定用の電気信号が、Rc と Rl と Zl と El の影響を無視できる程度に、高出力インピーダンス信号源、即ち電流信号源であることを理由とし、
ABS(Zm の入力インピーダンス) >> Rc
ABS(Zm の入力インピーダンス) >> Rr
ABS(Zm の入力インピーダンス) >> ABS(Zr)
上の 三つの条件は、検出側イヤホンの端子電圧が Rc と Rr と Zr の影響を受けない程度の 高入力インピーダンス測定回路 であることを意味し、
上記八つの条件から、関係1 が
Em が F(Eg, Zs, Rm, Rc, Er, Zm) と表現できることを利用するものとし、
Ec 即ち、Ec*Zm が ディジタル信号では、Eg*Zs*{1/Rm}*Rc*Zm と計測されることを利用するものとし、
これを
関係2 とし、
再生側のイヤホンを流れる電流が Eg*Zs*{1/Rm} であることを利用するものとし、
Er が再生側イヤホンを流れる電流に、左右のイヤホンの結合整数を乗じた値として表現されることから、
Er が Er*Zm 即ち、ディジタル信号では、Eg*Zs*{1/Rm}*Glr*Zm と計測されることを利用するものとし、
これを
関係3 とし、
Em は Ec*Zm と Er*Zm を加算した値であることから、関係2 と 関係3 により、
Em を {Eg*Zs*{1/Rm}*Rc*Zm}+{Eg*Zs*{1/Rm}*Glr*Zm} と表現できることを利用するものとし、これを
関係4 とし
Eg0 を、検出側イヤホンにつながる端末器イヤホン出力端子と マイクロホン入力端子を接続したときの 再生出力のディジタル信号とし、
Em0 を、Eg0 が端末器の電子回路を通して検出された、ディジタル信号とし、
Hsm0 を Em0*{1/Eg0} とし、さらに、
Hsm0 は Zs*Zm 即ち、信号源側から検出側に至る経路で、端末器の電子回路が持つ固有の定数であって、測定範囲内の Eg のいかなる信号にも不変であることを利用するものとし、これを
関係5 とし、
Hsm0 を得るための操作、即ち、検出側イヤホンの入力端子から端末器のマイクロホン端子へつながっている接続線を切り離して、端末器の再生側イヤホン端子につながっているイヤホン端子とマイクロホン入力端子とを接続した状態で Hsm0 を得る機能を
第4の機能 とし、
関係5 を 関係4 に代入すると、
Em は {Hsm0*Rc*{1/Rm}*Eg}+{Hsm0*Glr*{1/Rm}*Eg}
と表現されることを利用するものとし、
Ecan を k*Hsm0*Eg とする ディジタル信号とし、
Ecan を発生させる機能を
第5の機能 とし、
ABS(Er*Zm) >> ABS(Ec*Zm−Ecan) を最大限に満足するところの、即ち、
ABS(Ec*Zm−Ecan) が最小になるところの、即ち
ABS(Em−Ecan) が最小になるところの、
k 即ち Ecan の強度の係数を求め、
kmin をこのときの k とし、
第6の機能 を kmin を求める機能とし、
kmin による Em−Ecan が実用上、{Hsm0*Glr*{1/Rm}*Eg} に等しくなる、
即ち、ABS(Em−Ecan) が最小になるところの Em−Ecan によって、
Glr 即ち、左右のイヤホンの結合係数が
Rm*{1/Hsm0}*{Em−Ecan}*{1/Eg} として計測できることを利用するものとし、
左右のイヤホンの結合係数 Glr を得る機能を
第7の機能 とし、
この結合係数 Glr の中の、Rm は比例係数であり、イヤホンの結合係数の音質的特徴とは関係のないファクターであることから、
Rm を除いた、{1/Hsm0}*{Em−Ecan}*{1/Eg} なる 端末器側で得られたところの全ての項が既知の値で表現される測定演算結果を 左右のイヤホンの結合係数 とし、
Pep*Pep が {1/Hsm0}*{Em−Ecan}*{1/Eg} に等しくなる Pep を 測定したイヤホン固有の音質特性 とし、
Wexp を、音質補正を作用させることで得たい 補正後の特性とし、
Wexp は 1 である場合も含む、選択可能な特性であるものとし、
Qep が {Wexp/Pep} に等しくなる ところの Qep を そのイヤホン固有の Wexp への音質補正特性 とし、
Qep を算出する機能を
第8の機能 とし、
Qep が比例係数を含むことを考慮に入れて、A を特定の定数とするところの A*Qep をイヤホン固有の音質補正特性とする機能を
第9の機能 とし、
第8 または 第9 の機能を 音質補正特性決定機能 とし、
第10の機能 を 音質補正特性決定機能 とし、
いずれも公知の機能であるところの
測定用信号をディジタル信号で発生する 第1の機能 と、
検出信号をディジタル信号で測定する 第2の機能 と、
測定用信号を電流源とする 第3の機能 と、
端末器の、ディジタル信号と電気信号の変換を司る部分の総合特性を得る 第4の機能 と、
イヤホンの共通リード線の起電力を打ち消す信号を発生する 第5の機能 と、
イヤホンの共通リード線の起電力を打ち消す信号の係数を決定する 第6 の機能 と、
左右のイヤホンの結合係数を算出する 第7の機能 と、
測定したイヤホンに固有の音質補正特性を算出する 第10の機能 と、を組み合わせることで、
端末器の電子回路部の左右の違いによる誤差の影響を回避し、かつ、端末器の固有の特性の影響を補正することで、左右のイヤホンの共通リード線の電圧降下の影響をより高い精度で取り除き、左右のイヤホンの音響結合特性の測定精度を上げることによって得られるイヤホン固有の再生特性から、期待する再生特性へと変換する補正特性を得る手段。 - 請求項1の第8の関係で表現される Pep なるイヤホン固有の特性の、強度特性が持つ細かい凹凸を平滑化し、滑らかな特性とする機能を スムーシング機能とし、
平滑化特性 を、スムーシング機能によって得られたイヤホンの固有の特性とし、
ある一点の周波数上の 平滑化特性 を、その周波数近傍の Rep の強度の平均値で求めることによって全周波数帯域の平均化特性を求める機能を 特性平均化機能とし、
第11の機能 を 特性平均化機能 とし、
複数個のパラメーター群 によって表現され、かつ、あらかじめ決定した複数個の境界条件群を満足する 単調関数 を設定し、
その単調関数を周波数に対する強度特性とし、その単調関数の強度特性が 境界条件群を満足し、かつ、特定の周波数範囲の Rep の強度特性に最も近くなる条件を満足する パラメーター群 による単調関数を全帯域にわたり求め、全帯域の単調関数群を平均化特性とする機能を 特性関数表現化機能 とし、
第12の機能 を 特性関数表現化機能 とし、
第11の機能である特性平均化機能 かまたは 第12の機能である特性関数表現化機能 のいずれかを スムーシング機能とし、
第13の機能 をスムーシング機能とし、
Uep を、スムーシング機能によって得られた 平滑化特性 とし、
Vep が {Wexp/Uep} に等しくなる Vep をイヤホン固有の平滑化音質補正特性 とし、
Vep を算出する機能を
第14の機能 とし、
Vep が比例係数を含むことを考慮に入れて、A を特定の定数とするところの A*Vep をイヤホン固有の平滑化音質補正特性とする機能を
第15の機能 とし、
第14の機能 または 第15の機能 を平滑化音質補正特性決定機能とし、
第16の機能 を 平滑化音質補正特性決定機能 とし、
請求項1に記述の 音質補正特性決定機能 が 第16の機能 の 平滑化音質補正特性決定機能 であるところの、
いずれも公知の機能であるところの
請求項1に記述の
測定用信号を時系列の数値で発生する 第1の機能 と、
検出信号を時系列の数値で測定する 第2の機能 と、
測定用信号を電流源とする 第3の機能 と、
端末器の 数値信号と電気信号の変換を司る部分の総合特性を得る 第4の機能 と、
イヤホンの共通リード線の起電力を打ち消す信号を発生する 第5 の機能 と、
イヤホンの共通リード線の起電力を打ち消す信号の係数を決定する 第6 の機能 と、
左右のイヤホンの結合係数を算出する 第7の機能 と、
測定したイヤホンに固有の音質補正特性を算出する 第10の機能 と
請求項2に記述の、
測定したイヤホンに固有の音質補正特性を算出する 第16の機能 と、
を組み合わせることで、
端末器の電子回路部の左右の違いによる誤差の影響を回避し、かつ、端末器の固有の特性の影響を補正しすることで、左右のイヤホンの共通リード線の電圧降下の影響を、より高い精度で取り除き、左右のイヤホンの音響結合特性の測定精度を上げることによって、得られるイヤホン固有の再生特性をもとに、細かい凹凸の特性を 平滑化した 平滑化補正特性 を用いることを特徴とする、より実用性の高い音質を得るところの 与えられたイヤホン固有の再生特性を、期待する音質特性へと変換する補正特性を得る手段。
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